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1951/05/09 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 運輸委員会 第27号
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1951/05/09 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 運輸委員会 第27号

#1
第013回国会 運輸委員会 第27号
昭和二十七年五月九日(金曜日)
    午後一時五十一分開議
 出席委員
   委員長代理理事 黒澤富次郎君
   理事 原   彪君
      大澤嘉平治君    岡田 五郎君
      尾崎 末吉君    關谷 勝利君
      玉置 信一君    坪内 八郎君
      畠山 鶴吉君    飯田 義茂君
      川島 金次君    山口シヅエ君
      江崎 一治君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 村上 義一君
 出席政府委員
        航空庁長官   大庭 哲夫君
        運輸事務官
        (中央気象台総
        務部長)    北村 純一君
 委員外の出席者
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
    ―――――――――――――
五月七日
 五稜郭駅構内に輸送家畜の給水施設設置の請願
 (小平忠君紹介)(第二五五一号)
 小川原信号所を旅客取扱駅に昇格の請願(山崎
 岩男君紹介)(第二五六一号)
 宇野港の国鉄代替施設工事促進の請願(逢澤寛
 君外六名紹介)(第二五六二号)
 清水川駅舎新築並びに上りホーム改造の請願(
 山崎岩男君紹介)(第二五六三号)
 伯備線施設の改善強化に関する請願(星島二郎
 君外六名紹介)(第二五六四号)
 山形市より柏倉門伝村を経て荒砥町に至る間に
 鉄道敷設の請願(松浦東介君紹介)(第二六〇
 一号)
 長倉村より茂木町を経て大子町に至る間に鉄道
 敷設の請願(尾関義一君紹介)(第二六一七
 号)
 和忠地内に簡易駅設置の請願(近藤鶴代君紹
 介)(第二六一八号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 四国循環鉄道の完成等に関する陳情書(徳島県
 町村議会議長会会長川真田徳三郎)(第一六六
 二号)
 北海道内国有鉄道のスピードアップに関する陳
 情書(北海道議会議長蒔田余吉)(第一六六三
 号)
 東北本線大宮、仙台間電化促進に関する陳情書
 (栃木県知事小平重吉)(第一六六四号)
 旋行あつ旋業者取締強化に関する陳情書(社団
 法人全日本観光連盟会長佐藤尚武)(第一六六
 五号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 航空法案(内閣提出第一七九号)
 気象業務法案(内閣提出第一四六号)(参議院
 送付)
 日航機事故に関する件
 観光小委員会における参考人招致の件
    ―――――――――――――
#2
○黒澤委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。
 気象業務法案を議題とし、これより討論に入ります。討論の通告がありますのでこれを許します。江崎君。
#3
○江崎(一)委員 共産党のこの法案に対する態度を最初に明確にしておきます。日本共産党はこの気象業務法案に対して反対をいたします。
 この気象業務法案は、気象であるとか、地震、津波等の予報、警報を正確に発することができるよりうに、広い範囲の気象、地象及び水象の観測技術及びその組織を整備して、自然現象によるところの人類の災害を最小限度に食いとめようとする法律案であるとすれば、これは何人も反対することはできないと考えるのであります。しかしながらわれわれは名刀でも、これは使い手次第だということを考えるのです。この名刀が正しい人によつて使われると破邪の劍になるでしよう。しかしながら松澤病院で精神鑑定をしてもらうような人に使わせると、これはえらいことになる。私はついこの間こういう話を聞いたのです。戰時中、当時の中央気象台の台長が、猛烈な台風が日本本土に襲来して来る危險があるので、ぜひこれに対しては暴風警報を出したいという意向を示したところ、当時の軍部が、それは軍機上けしからぬ、絶対にまかりならぬというわけで、これを嚴禁したどういうことであります。当時の気象台長が泣いてこれを頼んだが、しかしながらむげにしりぞけられ、日本の国民はそのために莫大な損害を受けたということを聞きました。これを考えますと、今やわれわれは思い当ることがあるのです。日本の現在のアジアにおける地位は、一口に言うと非常に割の悪い、分のない立場にあると思うのです。そこであの日米行政協定の内容にありますところの、昔の言葉で言えば一旦緩急あればというこの場合は、日米合同委員会がオール・マイテイーの働きをすることはきわめて明らかです。しかもこの日米合同委員会なるものは、委員会であるという対等の形をとつておるけれども、その実はアメリカの命令を受け、承る機関であるにすぎないのであります。そういう観点から考えますと、思い半ばに過ぎるものがあります。この気象行政を中央で一括し、運輸大臣がその一括して一本化された組織に対して命令を出すことができますので、こういう危険をはらんでいることになるのであります。そこで日本共産党といたしましては、條件付で反対という反対の仕方はあるかないかしらないけれども、去年の九月にサンフランシスコで結ばれた平和、安保の両條約を廃棄しないで、またこの行政協定を粉みじんに粉砕することなしには、この法案には反対するのであります。
#4
○黒澤委員長代理 これにて討論は終局いたしました。
 これより本案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#5
○黒澤委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 なお本案に対する委員会報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○黒澤委員長代理 御異議がなければさよう決します。
    ―――――――――――――
#7
○黒澤委員長代理 次に、日航機事故に関し大臣より発言を求められております。これを許します。村上運輸大臣。
#8
○村上国務大臣 去る四月九日大島三原山の東側山腹において遭難しました日本航空株式会社のチャーター機もく星号の事故原因につきましては、過般の当委員会においても御質問を受けた次第でありますが、ようやくにして昨日その調査の結論を得ましたので、この機会に報告をお聞き取り願いたいと存ずるのであります。今般の事故は、わが国民間航空開始以来の最も悲惨なものであります。かつ民間航空再開早々の不祥事でもありますので、これらの原因を調査するために、政府といたしましてはただちに航空事故調査会を設けまして、斯界の権威者の方々に集まつていただきまして、愼重に各方面から検討を重ねました結果、ようやく結論を得ましたので、御報告を申し上げる次第であります。
 まず当時の状況から申しますと、この事故を起しましたもく星号は、九日の午前七時四十二分羽田飛行場を出発以来、館山通過後通信が杜絶しましたので、ただちに各方面の御協力を得まして八方捜索をいたしたのでありますが、不幸にして当日天候が悪く、視界が非常に狭い状況にありましたため、遂に発見するに至らず、翌十日午前八時三十二分に至り、捜索航空機により、大島三原山の東側東径百三十九度四十八分、北緯三十四度十二分の地点にこれが遭難しているのが発見されました。その通報を受けましたので、ただちに救難につきまして各方面に御連絡申し上げ、その御協力を得たのでありますが、遺憾ながら全員の死亡が確認された次第であります。政府といたしましては、ただちに現場に調査員を派遣し調査に当り、その現場の資料並びに各方面の資料により、航空事故調査会は愼重な検討を重ねて参つた次第であります。
 遭難機はアメリカ国籍のN九三〇四三号マーチン202航空機でありまして、当日乗員四名、乗客三十三名を乗せ、羽田を出発しました福岡行の定期便でありまして、途中、大阪に寄航する予定でありました。この遭難機の機長はE・G・スチユワート、三十六歳でありまして、飛行時間七千六百九十八時間四十九分、副操縦士はR・クレベンジヤー、三十一歳で、四千九百五時間の経歴を有し、ともにアメリカの定期航空運送操縦士としての資格を有し、最近一箇月間に機長はこのコースを十回、副操縦士は一・四回の航空路を飛行いたしておりました。なお他の二名の乗組員は、日本航空の社員であります。出発当時の搭載物は、燃料二千七百二十キログラム、乗客、貨物、郵便物は二千六百七・四キログラムでありまして、離陸重量は十七、八トンで、もちろん許容離陸最大重量の範囲内にあつたのであります。かつこれら搭載物の重量は、航行の安全のため必要な平衡を保つていたことも確認されております。
 離陸前に羽田のコントロール・タワーは、館山、大島経由大阪行、飛行高度六千フイート、館山通過後十分間飛行高度二千フイートと交通許可を與えましたが、ただちにこれを羽田出発後十分間飛行高度二千フイートと訂正しましたので、機長はこれを復唱して離陸いたしたのであります。通常はただちに高度を上げて行くのでありますが、当時アメリカ空軍の輸送機が一機羽田上空二千五百フィートの高度で空中待機中であり、なお約十機が付近を航行中でありましたので、この措置がとられたものであります。しかし館山通過時の航空機から東京コントローラーへの通信は、午前七時五十七分館山上空通過、高度六千フイート、午前八時七分大島上空予定と記録されておるのであります。また東京モニターの記録によりますと、午前七時五十五分、館山上空二千フィート、計器飛行――いわゆる盲目飛行、館山南方十分間飛行高度二千フィートを保持し、次いで上昇すると記録されてありまして、いずれが真実であるか、その後の調査によりましても決定しかねておる次第であります。しかしながら航空交通管制官と機長の責任分野について申し上げますと、管制官の責任は計器飛行を行つている航空機相互間、及び航空機と障害物との衝突を防止するために機長に交通許可を與えることが、アメリカの航空法において規定されておるのであります。一方機長には交通許可の訂正を要求する権限、あるいはそれを拒否する権限が與えられておりますので、これらの指示に対して、適正に判断する責務があるわけであります。従
 つてもく星号の館山上空の通報に関するモニターの記録が正しく、かつ操縦者の錯誤に対して管制官が注意を喚起しなかつたとしても、この業務の性格上、このことは操縦士の航法の錯誤を生ぜしめた間接原因とはなり得たとしても、このことが事故の直接の原因とはなり得ないものであります。
 次に機体関係は、出発前の整備の状況並びに事故後の調査の結果から見ましても、運航に影響を及ぼすような故障を起したとは認められないのであります。すなわち機体が三原山の東向き傾斜約十三度の斜面にやや上向き姿勢で激突した痕跡から見ましても、また破壊された機体の部品を調査した結果からしましても、空中分解をいたしたものではないことが明らかであります。また操縦性を失つて墜落したものとは考えられないのであります。発動機は両発動機とも、三原山の地面に残されたプロペラの痕跡及びそのピツチ角度から見ましても、また発動機点検の結果からも、何らの故障を発見できないのであります。これらのプロペラの痕跡による推定速度は、毎時約二百マイルと考えられますし、またプロペラのピツチから、当時事故機は巡航速度で飛行していたものと認められるのであります。
 次に機体、発動機の焼けた部分の調査から、また消火器を全然使用していなかつた事実から、航空機の空中火災が発生したとは認められないのであります。装備品につきましては、まず無線通信機は事後分解の結果、いづれも最後まで通信状態にあつたと考えられるのであります。また方向探知機は、大島並びに焼津の航空無線標識に合わされていたのみならず、電源系統にも故障を認めることはできないのであります。また計器類も計器の指度に一部異状を認められるものがありましたが、それは分解の結果、衝撃によるものと判断せられるのでありまして、衝突以前にはすべて正常な状態にあつたものと認められるのであります。
 さらに気象関係でありますが、当日午前六時中央気象台の観測結果によりますと、紀伊半島沖に千ミリバールの低気圧があり、東北東に毎時約五十キロの速度で進行していたため、関東、中部、近畿の各地方並びに四国東部は雨となつておりまして、東京地方の下層雲底は千五百フイートでありまして、千五百フイートから一万五千フイートまでは密雲にとざされておりまして、視界はわずかに両翼が見える程度であつたと思われるのであります。また上層気流は、午前六時の羽田の観測によりますと、五千フイート上空までは南東もしくは南南東の風でありまして、その風速は十ノツト内外であつたのでありまして、六千フイート以上では南風で二十ノツトくらいとなつておつたのであります。当時大島付近には、多少の気流擾乱あるいは下向気流があつたとも考えられますが、乗客がほとんどバンドを締めていなかつたことからしても、これが直接原因になつたとはとうてい考えられないのであります。また航空機の凍結問題でありますが、羽田における上層観測の結果は、一万二千フイート上空において摂氏零度線があることから、凍結によつて事故を起したとはとうてい考えられないのであります。また羽田、館山、大島、焼津の各航空無線標識も、それぞれ異状なく運転いたしておつたのであります。
 以上述べましたことを総合いたしますと、機体がこなごなに大破し、かつ乗客並びに乗員が全員死亡しましたために、直接原因を確認することは困難でありますが、詳細な調査の結果から、操縦者が航法上何らかの錯誤を起して、計器飛行のために、いわゆる盲目飛行のために、その航空路に規定されている最低高度以下を飛行したため、このような悲惨な事故を惹起したと推定するのが、最も妥当な見方であるという結論に到達いたした次第であります。今後この種の事故を防止するために、政府といたしましてはさらに自主的な立場において、航空機の安全性の確保、運航従事者の技能の向上等につきまして、保安上の監督指導を強化し、また航空交通管制の機能及び施設を強化し、さらにまた安全な航空ができるよう、各般の措置を講ずる所存であるのであります。
 最後に、不幸にしてこの事故によつて遭難されました方々の御遺族の御心中のほどは、まことに推察するに余りある次第でありまして、ここにつつしんで哀悼の意を表する次第でありますが、今後この災いを転じて福となすべく、これを契機としまして、わが国民間航空がよりよき発展を遂げることこそ、これら貴重なる犠牲者の霊を慰める唯一の道であることを確信しまして、今後一層の努力を傾倒いたしたいと存じておる次第であります。
#9
○黒澤委員長代理 ただいまの説明に対し、質疑があればこれを許します。
#10
○坪内委員 もく星号事故につきまして、ただいま大臣より詳細なる御報告がございまして、いろいろと了承する点もございました。そこでこの際二、三お尋ねいたしますが、あのもく屋号の事故発生当時、大臣も御承知の通り重大なる誤報がございまして、その誤報に基きまして、そのもく星号の関係者は何と申しましようか、喜怒哀楽こもごも至るというような事態に立ち至つたのでありまして、全国的に非常にいろいろとシヨツクを受けたわけでありますが、その誤報によることにおいて、捜査の点に遺憾の点があつたのではないかということを、一部われわれ国民におきましても憂慮いたしたのでございます。ただいまの報告中、それらの点について御報告がなかつたようでございますが、その点もあわせて一応お聞かせ願いたい、かように考える次第でございます。
#11
○村上国務大臣 事故発生の当日、御指摘のごとく一時遭難者全部救助せられたといううわさがあり、特にうわさのみならず、一応は日本航空会社の責任者から発表せられたのであります。しかるに全員死亡しておられるという結果を翌朝確認することに相なりまして、今お示のごとく悲喜こもごもと申しますか、一層遺憾に思つた次第でありますか、実はこの誤報の伝わつた原因は、極東空軍のある人が日本航空会社に、全員助かつているということを報告せられたのに起因いたしておる
 のであります。そういう誤報の組み立てられた原因は、当時名古屋の飛行場から飛び立つた軍用飛行機が、浜松の南方約十マイルの海上に機翼が浮流しておるのを認めたという報告を小牧飛行場へせられまして、もし墜落したのであるならば、入水と同時に飛行機は粉砕されるはずであるが、機翼が水に浮かんでいるということは、意識的に着水したものと考える。しからば二時間ないし三時間は浮いていることは可能であるということと、一方におきまして、その報告を極東空軍が受けると、時を移さずその近くを航行しておりました米国の船――掃海艇二隻がその周辺におつたのでありますが、この二隻の船並びに航行中の米国国籍の一万二千トン程度の貨物船に、その救助、協力を電報したということは事実であつたのであります。これらの事実から今の誤報が組み立てられた次第であります。しかしながら運輸大臣としては、もしそういうことであるならば、海上保安庁もまた出動いたしておるのでありまして、海上保安庁のパトロール船において確認するはずだ、また現場に急行する命令も出ておつたのでありまして、海上保安庁の方へ再々運輸大臣としては質問を続けておつたのでありますが、海上保安庁からは終始一貫確認できぬという返事を得ておつたのでありまして、運輸省としましては、ややこの情報に疑義を終始持つておつたような次第であります。特にこの遭難者中におられる三鬼さんが主宰しておられました八幡製鉄所におきましては、今の情報を日本航空に出されたGHQの人と個人的の親交があるので、直接に尋ねられたのであります。そのときに、すべて乗員は安全だということを直接に聞いておられるような次第でありまして、そういう間違いのために今のような悲喜こもごも至るというような情勢に相なつた次第であります。
 最後にお尋ねの、そのために捜査が手遅れになつたのではないかというお尋ねでありますが、これはただいまも申し述べましたごとく、地上千五百フイートから一万五千フイートまでは密雲の暦であつたのであります。しかも非常な密雲で、わずかに自分の機翼を認め得るという程度の密雲であつたのであります。もしこのただいまの情報が真でないということが早くわかりましても、また予備の日航機が飛び立つて三原山の上を通過したとしても、おそらく遭難機の残骸を発見することはしよせん不可能であつたと考えられるのであります。従つてこのために事故機の発見が遅れたということはなかつたのじやないかと考えておるのであります。
#12
○坪内委員 そこでお尋ねいたしますが「この航空事故調査報告書というものは、アメリカ側のノースウエスト会社に対しても了承済みの報告書であるのかどうか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
#13
○大庭政府委員 日航あるいはノースウエストからは、事故調査会といたしまして、いろいろ参考になる資料、あるいは責任者に出ていただいて説明を聞いたのでありますが、結果については何ら打合してありません。結果は調査会として独自の判定に基いて判定を下したのであります。
#14
○坪内委員 その点は了承いたしました。そこで報告の内容にもございました通り、結局これは機体とか、あるいは計器類、あるいは気象におきましても、困難な気象状態ではあつたけれども、航空に支障を及ぼすような気象状態ではなかつた。結論において機長に重大な過失があつたというようなことになると思いますが、そうなりますと、この報告書がノースウエスト会社においてもこの通り認めるというようなことになりましたときに、被害を受けた会社、あるいは遭難された方々の損害賠償の関係、そういつた問題は将来どういうことになるでありましようか。
#15
○村上国務大臣 遭難者からの損害賠償は、これは日本航空会社に請求せられると思うのであります。日本航空会社は第一段においてその責任を持つておるのであります。日本航空会社は損害を賠償しまして、その賠償した額と、それ以外になおその事故について費した諸般の経費、これを合算したものをノースウエスト会社に要求する、こういうことに相なるのであります。従つて遭難者からノースウエスト会社に直接請求するということにはならぬと思います。
#16
○坪内委員 そこで機長のミスター・スチュワードはどちらの所属といいましようか、そういう点はどういう関係になりましようか。
#17
○村上国務大臣 もちろんノースウエストの職員であるのであります。機長も副操縦士もノースウエストの社員であるのであります。
#18
○坪内委員 そこで愼重に科学的にこの事故調査をなさつた事故調査会の報告に基きまして、結論的には機体、あるいは器具、あるいは気象その他あらゆる面から総合的に検討を加えた結果、結局これはノースウエスト会社に関係のある機長の重大なる過失によつて、こういつた事故が生じたということになりますと、航空庁あるいは関係の日航会社においては何ら責任がないと思いますので、この点の全責任はいわゆるノースウエスト会社にあろうと思いますが、その点は大臣どういうようにお考えでございますか。
#19
○村上国務大臣 旅客運送契約、あるいは郵便物ならば郵便物輸送契約に基きまして、この契約の当事者は、旅客であるならばその遭難者、いわゆる遭難せられた乗客と日本航空会社との両者間の契約であるのであります。事故のために受けた損害は、従つて遭難者あるいはまたその家族から日本航空会社に請求権があるというふうに考えております。しかし内面的に第二段階におきましては、日本航空会社はみずから飛行機を持つて、みずから操縦をしまたみずから飛行機を整備するということは許されていないのでありまして、GHQの覚書によりまして、昭和二十五年の一月一日現在、日本に民間航空として乗り入れている会社の中の一社もしくは数社と契約をして、そしてそのオペレートすること、いわゆる日本航空会社の設立は認める、ただ單に乗客の、つまり営業方面だけをみずから処理することを認める――内面においては二十五年一月一日現在で、日本に航空機を乗り入れることを許されている会社と契約をすべし、こういう内容の覚書になつて、それに基いて契約しているのであります。日本航空会社は航空機をチャーターしたり、あるいは買い入れたりすることは許されてないのであります。従つて飛行機もこれらの外国からの乗入れ会社のもの、またその整備も外国会社がする、また操縦も外国会社がする、こういうことが指示されているのであります。第二段におきましては、その契約に基いて日本航空会社がその相手方の契約会社に請求をする権利があるのであります。
#20
○坪内委員 次にさらにお尋ねいたしますが、それではこの日航とノースウエスト・カンパニーの契約は、ことしの十月までだということを聞いておりますが、そういつた契約といいますか、約束に、この事故によつて生じたいろいろな原因のもとにおきまして、契約、あるいはそういつた約束の面に、将来何らか変更が伴うものであるのかどうかということをまずお尋ねいたします。
 それから第二点におきまして、これは当委員会に付託になつておりまする航空法案並びに日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案、この二法律案につきましては、まだ質疑をしないのでございますけれども、いろいろ重大な関連がございますので、この際お尋ねいたしますが、この二法案につきましても、この事故の結果に基いて、何らかこの法案を草案するにあたつて考え方をつけ加えたか、あるいは何か検討を加えて、そういう面についても、そういう事故によつて生じた結論において、何らかの方法を講ずるというようなことを検討されたのかどうか。その点もあわせてお聞きしたい、かように思います。
#21
○大庭政府委員 まず最初のお答えをいたしますが、ノースウエストと日本航空とのチヤーター契約というものは、一年間の契約になつておりまして、結論的に十月の二十四日までの契約でありますから、その間契約の変更は起きない、また契約の変更は何らないと考えております。
 次に航空法案あるいは出入国の政令というものにつきましても、本事故によりまして特別改変いたしたところはありません。実はこれらの事故が今後起きないように、また事故を未然に防ぐように、いわゆる航空の安全を主眼として、航空法をつくつてあるわけであります。従いまして航空法そのものが実施されたあかつきには、それらの事故も最小限に防ぎ得るのじやないか、また防ぎ得たいと私は考えているわけであります。特別今度の事故によつて処置をしたところはありません。
#22
○坪内委員 航空法案外一案の法律案につきましては、質疑がされることになりましたときに、関連してあわせて質問いたすことにいたしまして、私の質問はこれで終ります。
#23
○岡田(五)委員 大臣に一つお尋ね申し上げたいのですが、事故の原因の結論は、操縦士が航法上何らかの錯誤を起して、こういう事故を起したという結論が一応出ておるのでありますが、新聞紙の報ずるところによりますと、機長スチユワード氏は、来目以来相当酒をたしなんでおつた。しかも当日は止宿先から相当酩酊をして、しかも羽田飛行場に着いたときには、常人の姿を少し逸脱をしておつた。同僚その他の連中とのあいさつにおいても、しどろもどろであつた。しかもこれを送つた大和運輸でございますが、何運送会社でございましたか、タクシー運転手が自動車の料金の伝票を請求したときに、そのときの返事も実にあいまい模糊として事務室に入つてしまつた。またおりて来たところをとつつかまえて何したところが、伝票だということがわかつて、また上へ上つてサインをして渡してくれた。そのサインを受けた伝票は、目下大和運輸において調査中であるということを、新聞記事が報じておるのであります。私は新聞で知つたのでありますが、おそらくスチユワード機長は相当優秀な機長であつた。ただ悲しいかな、来日されてから日にちが浅い。日本の地勢、日本の気流といいますか、気象になれていないという点はあつたのでありますが、御承知のように精密なる航空保安施設、精密なる航空機の内部の装備ということによつて何いたしますれば、普通の状態においては航法上の錯誤は起り得なかつたものだと私は考える。そこに酩酊あるいはこれに類似する重大なる原因が機長の個人にあつたのではないか、かように私は考え、またかように私は新聞記事を読みまして、その真実性を、軽卒ではございますが、一応信じておるのであります。この辺のところは、その後の調査はどういうことになつておるか。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
 また営業と運航というものが、不幸にいたしまして両断せられまして、日本航空会社といたしまして、はなはだ貴重なる人命を輸送する上におきまして、不完全きわまる運航経営形態をもつて当分の間進まざるを得ない、悲しいかな日本の客観的事情はやむを得ませんが、これらの機長あるいは操縦士に伴う、重大なる過失を起し得るような原因の除去については、やはり航空会社と運航会社との間に、今後事故防止の面におきまして、何か誓約をし、何か約束をし、何か規定を設けられる必要があるのではないか。もしこれなくするならばおそらく私は、アメリカから来ておられる方は多分独身でございましよう。子供がありましても出かせぎ根性というか、そういう気持でおられましよう。従いましてつい酒色に親しまれるということは、あの人たちの客観的情勢から当然予想せられるのであります。これら素行上の原因による故障に基きまして、航法上の錯誤を操縦士が再び繰返すおそれがあるのではないか、かように私は心配するのであります。かような飲酒をしておつたかどうかという問題と、かような飲酒その他素行上の原因に基きまして、身体上の障害を来し、これに基いて高度の安全性を持つた航空機の操縦を、かような高度の安全性を無視して、身体上の故障のために事故を起すことを私は憂うるのでありますが、この辺に対する大臣の処置、お考え方をこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
#24
○大庭政府委員 それでは私から事実だけを御報告申し上げますが、今の操縦士が前日酒を飲み、あるいは操縦を始めるまでの間に酒のけがあつたのではないかという御質問につきましては、事故調査当時からそのうわさがありまして、愼重に調査いたしたのでありますが、ノースウエストからの報告によりますと、その日は操縦士、副操縦士とも水交社に宿泊いたしまして、十一時にはベツドに入つておるというボーイの言質もあるわけでありますし、かつまた出発する際におきましては、飛行計画というものを運航主任との間につくり上げるわけでありまして、運航主任の報告によりますと、何ら操縦にさしつかえるような状態ではなかつた、酒気を帯びておつたようには思えなかつたという報告になつているわけであります。但し昨日でありましたか、毎日新聞の報ずるところによりますと、日本航空へ車で水交社から送つた、日本航空に機長が入つた際、今御質問になつたような件があつたといううわさ、それは現在確かめつつあるわけでありますが、日本航空から飛行場までの間というものは、まだ未定であるわけであります。これについてはもう少し調査の結果御報告する機会があれば、御報告したいと思います。まだ現在調査中でございます。
#25
○村上国務大臣 今お聞きのような事実でありまして、とにかく御指摘のように、この機長は酒が非常にすきであつたということは事実であります。しかしながら前晩も相当の時間にベツトに入つておるのであります。翌朝も酒は宿では飲まなかつたということは明瞭なのであります。その宿を出てから後のことについては、お聞きのように今調査中であるのであります。お話のように大和の運転手が申し述べておるというようなことは、真実性に乏しいのじやないか。これは單に想像でありますが、いやしくも飛行機を操縦せんとする直前に、酒を大いに飲んで泥酔をするというようなことは、あり得べからざることだというふうに考えておるのでありまして、真否を今調査いたしておる次第であります。とにかく乗務のときに酒気を帶びない、これは非常に短時分に明確な判断を下して操縦をせんければならない性質のものであるので、いやしくも乗務の直前に酒をたしなむ、酒気を帯びるというようなことは、絶対に許されないことであるのであります。これらの点につきましては日航をして、十分に今後ノースウエストに責任を持つて自粛せしむるように督励をいたしたいと思つております。
#26
○岡田(五)委員 大臣のおつしやることはごもつともなんでございますが、今までの国営バスの事故その他の原因をいろいろ探求いたしますと、事故を起しました原因は当時お祭りであつたとか何であつたとかいつて、運転手が酒気を帶びていたがために事故を起したというような事例もなきにしもあらずであります。この飛行機の操縦士に至りましては、ましてより以上に飲酒すべからずという鉄則を守りたいと思うのでありまするが、私の心配いたしますところは、何といいましても操縦士の方はアメリカの方でありまして、日本人の操縦士と違いまして――非常に言い方が強くなりますが、安易なる気持で飲酒ということにふけりやすい。また飲酒した上において操縦席につかれるということも、事実上あり得るのではないかと私は心配するのであります。ことにかような記事が新聞に出まして、また事実でないことがとにかく報道せられるとすれば、私はおそらくある一部の人は、このことをもつて反米思想といいますか、これに悪用するおそれもあると思うのであります。従いまして事実かようなことがないといたしますならば、新聞紙その他の報道機関によりまして、善良なる――といつては言葉が悪いのでありますが、ほんとうの不可避の錯誤に基いてかような事故が起つたものであるということを、明らかにされんことをお願い申し上げますとともに、先ほど私が申し上げますように、とかく向うの方々は安易な気持で操縦に従事せられるのではないか、こういう客観的な事実を基礎にいたしまして、少くとも判断の錯誤を起しやすい飲酒その他の行為につきましては、何らか取締るがごとき規定、または取締るがごとき方法を講ぜられんことを特に切望いたしまして、私の質問を終りたいと思うのであります。
#27
○村上国務大臣 ただいま御注意をこうむりまして、ごもつともしごくであると思うのであります。ただ飲酒して泥酔していたというようなことが新聞紙上に現われております。しかし羽田を出発するに際しまして、機長は羽田のコントローラーから、前刻も御報告しましたように、館山通過後十分間は飛行高度を二千フィートを保持して飛べという指令を受けたのに対しまして、館山から大体七分の距離にある大島まで――つまり十分といえば、大島を通過してしまうのであります。ちようど三原山がオン・ザ・ルートにあるのであります。従いましてこの指令が間違つているということを抗弁をしているのであります。機長が抗弁をしましたのによつて、それは館山通過後でない、羽田を出発後十分間飛行高度二千フィートということだということに訂正を、賜田のコントローラーがしているのであります。そういう、普通クリヤランスと申しているのですが、日本で何と申しますか、指令といいますか、何と言つたらよいかわかりませんが、その飛ぶべきコースをクリヤーに保つておけという一つの指示なんであります。その指示に対して機長はそういう抗弁をしておるのであります。そういう点から見ますと、相当頭はしつかりしているというふうに考えられるのでありまして、今御指摘のような、飲酒をして飛行機を操縦するということは、もう絶対に許すべからざることだと思うのであります。ただ事故の機長がどういう実情にあつたかということは、長官の申しますごとく、いまなお調査をしておる次第であります。
#28
○江崎(一)委員 先ほど大臣経の過報告を承つたのですが、かんじんのところがどうも不明確のように思うのです。それで逐次ずつと飛行機の状態につきまして御質問申し上げたいと思いますが、三原山の上空では、一体もく星号はどれだけの高度をとつていたものと推定されているのですか。
#29
○大庭政府委員 千八百ないし二千フイートの高度というのであります。
#30
○江崎(一)委員 そうしますと、二つの高度計が破壊したとはいえ、三原山の標高よりもはるかに高い指度を示しているということについては、どういう見解をとられたのでしようか。
#31
○大庭政府委員 高度計は、御承知のように一つが五千六百七十フイート、
 一方は短針だけでありまして八千フイート、これを調査いたしました結果、衝撃によつてそれだけの指度に変化して来た。これを元村まで持つておりますと、五千六百七十フイートを示したものが七千にかわつていた。従いまして高度を維持されておつたとすれば、衝実現場というものは千八百ないし二千フイートのところで上にいたものが下に落ちたとすれば、必ずその指度を示していなければいけないわけですが、指度は狂つていた。分解の結果機械的にも故障していた。従つてその指度は衝撃による指度ということに判定を下しました。
#32
○江崎(一)委員 高度計の機械的な構造の問題だと思いますが、その高度計はおそらくアネロイド型の高度計だと思います。これは衝撃によりますと、一定の基準指度からプラスの方へ誤差を生じ得るような構造になつておるのですか。
#33
○大庭政府委員 どういうように指度を示すかは、そのときの状況によると思いますが、いかような状況であつたか知りませんが、指度は五千六百七十フイートになつております。
#34
○江崎(一)委員 この気圧型の高度計の機械的な構造から考えまして、もしも事故が起るとすれば、衝撃によつてプラスに振れる、あるいはマイナスに振れるということについては、これは五分々々だと思うのです。しかし両方ともきわめて飛び離れた高度を示しておつたというところに、われわれは非常に不審を感ずる点があるのですが、それをネグレクトされた、無視されたという点について非常に不審に感ずるということと、もう一つお伺いしたいことは、この高度計のタイム・ラグについて、実際どういうような状態になつておるか。急速に高度を落した場合にフオーローしたのか。つまりタイム・コンスタントといいますか、どれくらいになつておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
#35
○大庭政府委員 最初の御質問のプラスだけであつたとい問題その他の問題につきましては、持ち帰りまして担当官が詳細に調べた結果の判定が、そういうような判定なのであります。ひとつ判定にまつ以外に方法はないと思います。かつまたタイム・ラグという問題については、タイム・ラグはあります。しかしながらそのタイム・ラグが一分以上かかるタイム・ラグではなくて、二、三秒の問題だと私は今想像しております。
#36
○江崎(一)委員 技術的な問題については後ほど御質問するとしまして、大臣が急いでおられますので、運輸大臣に一言申し上げたいと思います。このもく星号の航空事故について、それを調査された調査員ですが、これはどういう顔ぶれで調査なさつたのか、その点を御説明願いたいと思います。
#37
○村上国務大臣 私にお尋ねでありますから一応申し上げますが、最初現場に派遣いたしましたのは、航空庁の技術官の首脳者を派遣いたしたのであります。なお詳細なことは長官からお聞きを願いたいと思います。
#38
○大庭政府委員 現場調査としましては、最初私の方の調査課長であります市川を派遣しました。それに六名ばかりの機体、発動機、装備、無線という専門技術者をつけて出したわけであります。その後現場には、委員としてお願いしました小川太一郎さん、小川清二さん、あるいは疋田さんという方にもう一度現場へ行つていただいて、あらゆる点におきまして確認をしていただいたわけであります。委員としましては、私が会長になりまして、あと気象関係としましては気象台長、それから無線関係としましては電波監理委員会の長谷さん、それから装備関係その他で、事故について過去に経験を豊富に持たれておりました疋田さん、これは現在運輸研究所の方に勤めておられまして、昔海軍の事故調査の主任であつた方であります。あと機体関係としましては小川太一郎さん、発動機関係としましては小川清二さん、それから運航その他操縦関係としまして、昔ニツポン号に乗られて世界を一周せられた中尾さん、あと幹事としまして官房長と私の方の次長、この九名で編成いたしまして事故調査会を設けた次第であります。
#39
○江崎(一)委員 ただいまの御説明を承りますと、航空庁が主体となつて、その他諸官庁の、一口に言うとアメリカに遠慮をしたがる側の人が非常に多いように感ずるのです。われわれの見解では、民間人で優秀な航空技術を持つた人がおるわけですが、こういう人たちをもつと大幅に動員さるべきであつたと考えるのですけれども、そういう人選をせられなかつたのはどういう理由によるのでしようか。
#40
○大庭政府委員 それは見解の相違でないかと思います。委員会としましては、これだけの構成を持ちまして、あるいはそれ以上の質疑が起き、あるいはそれ以上の問題が起きたときには、これ以上にもふやせるし、あるいはどなたにも質問をし得る権能を與えられていたわけでありまして、必要に応じてはだれにでも質問でき、だれからの建言も採用し得るような大幅の権限を與えられていたわけでありますから、メンバーはこれだけであつたにしても、事実上は厖大なメンバーとお考えくださつてけつこうだと思います。
#41
○村上国務大臣 ちよつと敷衍しておきたいと思います。この調査会を構成しましたときに、私もあらゆる観点から非常に考慮を払いまして、大学の教授も二人――両小川さんがそうだと思いますが、それから中尾さんも純然たる民間人であります。行政官とか民間人とかいうようなことは一応考えずに、とにかく日本におけるオーソリテイーという気持で選定をいたしたのであります。のみならず最初は数も比較的少い七人の委員、また二名の幹事ということで進んだのでありますが、当時私としましては要すればなおさらにこれを増加するということも心に置きまして、長官にもその旨は当時伝えておつたような次第であります。今お話のような意識をもつて、意識的に委嘱したというようなことは全然ないのでありますから、御了承を願いたいと思います。
#42
○江崎(一)委員 大臣は参議院で急がれておるということでありますから、最後に要望やら質問を申し上げたいと思います。いつでしたか白鳩号が遭難したことがありますが、このときの調査員はもつともつと民間人が大幅に動員されておつたと思うのですが、今度の調査員の顔ぶれは、アメリカ側に遠慮しなければならぬような人が多過ぎると思うのですが、どうしてそういうことになつたのか、その点をもう少し詳しくお話を願いたいと思います。
#43
○村上国務大臣 ただいま申し述べた通りでありまして、アメリカ側に遠慮するとかいうような考えは、私としては毛頭持つておりません。これは一つの科学の分野の問題であると心得ております。あくまで科学的に徹底した原因を得たい。私も長年交通に参画いたしておりまして、諸種の交通事故にぶつかつておりますが、交通事故の真因というものは、発見することが至難であるという経験を持つておるのであります。多くの場合は複合原因でありまして、四つなら四つの原因が競合して事故を発生せしめる。もしこのうちの一つがなかつたならば、こういう結果にはならなかつたろうというようなことが多いのであります。従いまして事故の原因探求につきましては、あらゆる角度から公正無私に科学のメスを入れた検討を要するということを痛感いたしておるものでありますが、そういう趣旨において権威者をそろえたい。実はある人は、今のジヨンソン・ベースのコントローラーというような人は、アメリカ空軍に属する人でありまして、こういう方面の原因も探求せんければならぬから、この際その監督者も加えたらどうかという忠告も受けたのでありますが、今お話のような点もありますので、もし必要なれば、その部分についてのみ必要な資料を提供してもらう、あるいは意見を徴するということをすればよろしい、全面的に参画してもらう必要はないという見解をとつて、日本人のみでこの委員会を構成したような次第であります。いろいろ御質問のような趣旨は毛頭ないのでありますから、御了承願いたいと思います。
#44
○江崎(一)委員 もく星号の遭難者の中に、八幡製鉄の社長三鬼さんがおられました。これは運輸大臣はよく御存じだと思いますが、あの方は国際経済会議の招請があつたときに、政府が認、可してパスポートを出しておれば、おそらくモスクワに行つたのですから、そうすれば死なずに済んだと思う。その点閣僚の一人として道義的な責任をお感じになつておりましようか。
#45
○村上国務大臣 これはどうも道義的に責任を感じておるということを申し上げかねるのであります。あしからず。
#46
○江崎(一)委員 最後に要望を申し上げます。政府はちようど航空機の操縦士のようなものです。日本というこの航空機が、もく星号のようにならぬように、どうぞひとつかじの取違えのないようにお願いする次第であります。
    ―――――――――――――
#47
○黒澤委員長代理 次に航空法案を議題として、政府より内容説明を求めます。
#48
○大庭政府委員 航空法案の概要につきまして御説明申し上げます。
 昨日提案理由につきましては大臣から御説明申し上げたようでありますが、日本国との平和條約第十三條におきまして、わが国が国際民間航空條約の規定を実施すべきことを定めておりますので、この法律案は、国際民間航空條約の規定を全面的に取入れますとともに、平和條約発効後のわが国の自主的航空活動に対処し得るために、必要な規定を定めたものでありまして、航空行政の基本となるものであります。以下章を追つて御説明を申し上げたいと存じます。
 第一章、総則におきましては、この法律の目的とこの法律一般に通ずるおもな用語の定義とを規定してあります。
 第一條のこの法律の目的は、国際民間航空條約に準拠いたしまして、航空機の航行の安全をはかるための方法を定め、及び航空機を運航して営む事業の秩序を確立することによつて、航空の発達をはかることにあるのでありまして、以下の法律案の各條項に規定しておりますことは、すべてこの目的の具体化されたものであります。
 第二章、登録の章におきましては、航空機の登録について規定してあります。国際民間航空條約第二十條によりますと、国際航空に従事するすべての航空機は、その適正な国籍及び登録の記号を掲げなければならないことになつておりまして、外国の航空機と識別し、かつその実体把握のためにも、何らかの登録制度が必要となつて参るのであります。このような見地から、第三條の規定は、航空機は、航空庁長官の行う登録を受けたときは、日本の国籍を取得することを定めたものであります。なおこの登録の法的効果といたしましては、第十條の耐空証明を受けられないことといたしております。
 次に登録の要件としましては、第四條で外国、外国人、外国法人及び外国資本または外国人役員がその三分の一を占める法人が所有する航空機は登録することができないことと規定してありますが、この三分の一という限度は、航空自主権確保の見地から、米英両国の法制にも存在しているところでございます。その他、第五條から第九條までは、登録事項、登録の変更及び抹消等を規定したものであります。
 次に第三章、航空機の安全性の章におきましては、航空機の安全性を確保するために必要な証明及び検査について規定してあります。およそ航空機の安全性を確保し、もつて貴重なる人命及び財産についての損害を未然に防止いたしますことは、運輸行政の行わざるべからざる最小限であり、また最大の眼目でありますことは、論をまたないところでございます。特に最近のもく星号の遭難はきわめて遺憾な事例でありまして、今後再びかかることのないよう、運輸省といたしましては航空機の安全性の確保には万全を期する所存でございます。
 耐空証明につきましては、この法案の第十一條は、耐空証明をつけた航空機でなければ、航空機の用に供してはならないことを規定しております。この耐空証明を行う場合には、航空機の強度、構造及び性能が一定の技術上の基準に適合するかどうかを検査することになつております。
 次に、検査を簡略化し、もつて検査の能率化をはかる便宜方法といたしまして、第十二條の型式証明制度を定めたのでございまして、ちなみにアメリカ航空法においても、これと同様の趣旨が規定されているのであります。すなわち型式証明は、航空機の型式の設計について行い、この型式証明を受けた設計に基いてつくられた航空機の耐空証明にあたつては、設計について検査を省略することといたしてあります。
 その他、第十六條の修理改造検査、第十七條の予備品証明、第十八條の発動機の整備及び第十九條の整備または改造の場合の確認、第二十條の指定無線通信機器の規定は、いずれも航空機の航行の安全性のための検査について定めたものであります。
 次に第四章、航空従事者の章におきましては、航空従事者に関する規定を定めております。ここで航空従事者申しますのは、第二十二條の航空従事者技能証明に合格した者を申すのでございまして、この航空従事者になろうとする者に対しましては、一定の申請資格を必要といたしますとともに、航空従事者がこの法律に違反した場合等には、航空庁長官は免許の取消しあるいは業務の停止を命ずることができることといたしております。
 次に航空従事者の中で、航空機に乗り込んで航空業務を行う者は、この法案では航空機乗組員と申しておりますが、この航空機乗組員は、前に申し上げました技能証明のほか、その身体條件につきまして、第三十一條の航空灘乗組員免許を受けなければならないとともに、この資格に相応ずる能力を保持させるために、免許に一定の有効期間を設けてあるのでございます。なお航空従事者の資格につきましては、操縦士、航空士、航空機関士、航空整備士、航空通信士に大別いたしまして、これらをさらに細分して規定しているのでございます。
 次に第五章、飛行場及び航空保安施設の章におきましては、飛行場及び航空保安施設の設置及び管理の適正をはかるため必要な事項につきまして規定してございます。飛行場及び政令で定めます航空保安施設の設置につきましては、第三十八條では、航空庁長官の許可を要することといたしておりますが、特に飛行場のごとく広範囲の土地を必要といたしますものにつきましては、これらの土地の所有者その他、他人の利益を著しく害することとならないように、設置の許可の際には公聴会を開くことといたしておるのであります。
 次に第四十九條の物件の除去の規定は、公共の用に供する飛行場の周辺には、一定の物件の設置等を制限し、またはその除去を命じ得ることといたしておるのでありますが、この場合土地または物件の所有者に対しまして損失を與えたときには、飛行場の設置者はその損失を補償し、他方、土地または物件の所有者は、用益の制限による損失が生じましたときには、土地等の買収を求めることができることといたしております。この規定は、飛行場の設置者に飛行場の機能を発揮させると同時に、土地等の所有者に対しましては、その利益を十分保護せんとする規定でございます。
 その他、第四十八條の許可の取消し、第五十一條の航空障害燈の設置、第五十二條の類似燈火の制限、第五十三條の飛行場の使用料金の届出等の規定がございます。
 次に第六章の航空機の運航の章におきましては、国際民間航空條約の規定並びに同條約の付属書として採択された標準方式及び手続に準拠いたしまして、航空機の航行の安全を保持するための必要な事項を規定しております。
 第五十七條から第六十四條までの規定は、国籍の表示、航空機に備えつける書類、救急用具、燃料等、航行する航空機に具備すべき要件を定めたものでございます。
 次に第六十五條から第七十六條までは、航空機に乗り組むべき者、携帯すべき書類、一定の飛行経験及び機長の資格並びに義務等、航空従事者が航空機の運航に従事するために必要な事項を規定したものであります。
 次に第七十九條から第九十八條までの規定は、飛行の禁止区域、最低安全高度、航空機の衝突予防、物件の投下の禁止及び爆発物の輸送禁止等、陸上におきます交通規則と同じように、空中における航空機の航行規則を規定してございます。
 第七章、航空運送事業等の章におきましては、航空運送事業及び航空機使用事業に関する規定を定めております。航空運送事業並びに航空機使用事業につきましては、このような初期航空事業の健全な発達をはかり、もつて当該事業の秩序を確立する必要がございますので、免許事業といたしております。航空運送事業につきましては、定期航空運送事業と不定期航空運送事業とにわけて規定してございます。
 定期航空運送事業は、その高度の公共性にかんがみまして、路線ごとに、第百條の運輸大臣の免許を要することといたしてありまして、この免許を受けた定期航空運送事業者は、第百二條に規定する航空機その他の施設について、航空庁長官の検査を受けることになつております。
 また定期航空運送事業者の定める運賃及び運送約款につきましては、利用者の立場を保護する趣旨によりまして、第百五條及び第百六條の規定する運輸大臣の認可を受けなければならないことといたしております。
 次に、当該事業の公共性を確保するために運輸大臣は、定期航空運送事業者に対しまして、公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、当該事業の停止を命じ、または免許を取消すことができることといたしております。しかしただいま申し上げましたような行政処分を行う場合には、運輸大臣はすべて運輸審議会に諮つて、その決定を尊重してこれを行わなければならないのであります。その他、免許事業の本旨から申しまして、当該事業の貸渡し、譲渡、合併及び相続等につきましては、運輸大臣の免許を受けなければならないことと規定いたしております。
 次に第百二十一條の不定期航空運送事業は、主として軽航空機による遊覧飛行等が考えられるのでありまして、定期航空運送事業とは若干その性格を異にいたしておりますので、その安全性及び公益性を確保するために必要な限度におきまして、定期航空運送事業に関する規定を準用いたしております。
 次に航空機使用事業とは、航空機を使用して有償で、旅客または貨物の運送以外の行為の請負を行う事業をさすのでありまして、空中広告宣伝、写真測量、魚群探見等の事業形態が予想されるのであります。当該事業につきましても、その安全性と公益性を確保するために必要な限度におきまして、定期航空運送事業に関する規定を準用している次第でございます。
 第八章、外国航空機の章におきましては、外国航空機の本邦への飛行、外国航空機の国内使用、外国航空機による国内運送及び軍需品輸送の禁止並びに外国人の国際航空運送事業の許可等につきまして規定しておりまして、いずれも国際民間航空條約の規定を尊重いたして定めたものでございます。
 なお行政協定に伴う駐留軍の航空機につきましては、別に定めるこの法律の特例法案で規定いたしております。
 第九章、雑則におきましては、事故原因の調査、航空運送代理店業等の届出、この法律の施行を確保するために必要な報告徴収並びに立入検査、行政手数料、運輸審議会への諮問事項及び訴願について規定しております。そのうち事故調査につきましては、航空事故があつたときは、航空庁長官は遅滞なくその原因について調査し、その職員に航空機その他の物件を検査させなければならないことになつておりますが、救助能力の十分でない現在におきましては、海上保安庁、国家地方警察、地方自治団体等の御協力を得まして、その安全を期する所存でございます。
 次に第十章の罰則の章におきましては、この法律の履行を担保するため必要な限度の罰則について規定しております。罰則は必要最小限度にとどめ、かつ罪となる行為を明らかにして、不当に個人の自由を侵害することのないように留意して規定したのでございます。
 最後に附則におきましては、国内航空運送事業会の廃止に伴う経過措置といたしまして、同令に基く日本航空株式会社及びノースウエスト航空会社の地位は、この法律施行後政令で定める日まで、現在の地位をそのまま認めることにいたしております。また外国人の国際航空運送事業に関する政令の廃止に伴う経過措置といたしましては、同令の許可を受けて日本に乗り入れている外国航空会社のうち、日本国との平和條約第二十五條の連合国に属する者については、日本国との平和條約第十三條b項の規定に基きまして、この法律施行後、四年間、その他の者については一年間は認めることといたしている次第でございます。その他、運輸省設置法及び関係法律の改正につきまして規定しております。
 以上で航空法案の概要につきましての御説明を終ります。
 何とぞよろしくお願いいたします。
#49
○黒澤委員長代理 本案に対する質疑は次会より行います。
    ―――――――――――――
#50
○黒澤委員長代理 この際お諮りいたします。観光小委員長より、小委員会において観光事業振興方策樹立のため、関係者を参考人として招致いたしたい旨の申出があります。これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○黒澤委員長代理 御異議なければ、さよう決します。なお参考人の選任に
 ついては委員長及び小委員長に御一任願います。
 本日はこれには散会いたします。
    午後三時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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