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1947/10/08 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第41号
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1947/10/08 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 農林委員会 第41号

#1
第002回国会 農林委員会 第41号
昭和二十三年十月八日(金曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員 
   委員長 井上 良次君
   理事 森 幸太郎君 理事 永井勝次郎君
   理事 小林 運美君 理事 北  二郎君
      佐々木秀世君    佐瀬 昌三君
      田口助太郎君    松野 頼三君
      山村新治郎君    伊瀬幸太郎君
      稻村 順三君    金子益太郎君
      清澤 俊英君    成瀬喜五郎君
      溝淵松太郎君    守田 道輔君
     青木清左ヱ門君    神山 榮一君
      関根 久藏君    坪井 亀藏君
      萩原 壽雄君    山口 武秀君
      大瀧亀代司君    寺本  齋君
 委員外の出席者
        議     員 岡野 繁藏君
        物價廳次長   野田 信夫君
        總理廳事務官  長谷川 清君
        農林事務官   平田左武郎君
        農林事務官   伊藤  佐君
        食糧管理局長官 安孫子藤吉君
        專  門  員 片山 徳次君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 米價問題に関する件
 風水害対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○井上委員長 ただいまより農林委員会を開会いたします。
 本日の会議に付する案件を審議する前に、一應皆さんにお諮りをいたしまして、ご了承を得たいことがあります。それは第二國会から本委員会に継続審査を付託されました自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三件が本委員会に継続審査を付託されておりますが、委員会としては数回委員会を開きまして、それぞれ各案に対する質疑は終了いたしております。ただこれを委員会としてどう取扱うかという最後の態度決定だけが残つておりますときに、御存じの通り芦田内閣が総辞職をいたしました。よつて芦田内閣から本國会に提案されましたこれら三件法律案は、必然に政府側から撤回をされることになろうと思います。從つて政府側において、もしこの法律案がどうしても必要であると思います場合は、新しい内閣において次の國会に新しい法律案として提案をされて審議されることが正当でありますので、本委員会はこの三案に対する審議は打切ることにいたします。さよう御了承願います。
#3
○坪井委員 ただいま委員長から報告がありましたが、自作農関係、あるいは農地調整、あるいは農業協同組合関係法案について継続審議中でありましたけれども、これを内閣が退陣したから、結局継続審議を打切つて新しい内閣においてこれを提案する、かように委員長において簡單に、継続審議をさせておいて片づけるということは心外千万だと思います。十二分に委員の意思を確かめて、しかる後にこれを委員会に諮つて、その上でどうするということで行くべきが、私は委員会の継続審議の趣旨を体する上において当然だと考えておりますが、この点について委員長はなお改めて委員会に付議して、多数をもつてこれを打切るか、さもなければ、継続審議をするかということについては当然諮るべき義務があるように考えられますが、委員長の所信を伺いたいのであります。
#4
○井上委員長 三法律案が國会側の提出法律案であります場合はさような手続をとります。ところがこの三法律案は政府の提出法律案でありまして、從つてこれを提出した芦田内閣はすでに存在しないのであります。存在しない内閣が提出しております法律案を、次の第三國会に提案をすることは委員長としてできません。從つてこれを法律的にいろいろ調べました結果、当然自然消滅といいますか、いわゆる政府側から一應撤回をいたしまして、また新しい次の内閣が提案する必要があればする、こういうことになるそうでありますから、從つて委員会にも諮る必要がなくなつてきましたから、かような取扱いをいたしました。
#5
○坪井委員 そういう次第ならば、委員長がもう少し明瞭に調べた結果こうだということを、もつとよく徹底するように話してくれれば、そういうことを私どもは発言いたしません。あまりにも簡單に片づけすぎますので、私の意思をはつきりしたわけであります。そういうことならば異議はありません。しかしあとでその点について他から非難や異議の起らないように、ひとつ十二分にご注意を願いたい。
#6
○井上委員長 わかりました。それではこれよりまず新米價決定の経過につきまして、物價廳の長谷川第二部長より説明を求めます。
#7
○長谷川總理廳事務官 それでは今回決定いたしました米價の内容につきまして、その経過を合わせまして、簡單にお話申上げたいと思います。
 今回きまりました米價につきましては、ただいまお手元に配付いたしました新聞発表の原稿でありますが、それによつて大体ご了承願えるかと思うのでありますが、結局今度きまりました米價は、玄米三等の値段が、一石当り三千五百九十五円であります。それから俵代は、二重俵でありますと、九十二円五十銭をそれに加算いたしますので、二重俵の俵入りの一石当りの米價は三千六百八十七円五十銭ということに相なります。一俵の値段にいたしますと、二重俵入りで千四百七十五円ということであります。この價格の算出は一昨年來やつておりますパリテイ計算方法によつて算出いたしたのであります。その算出の方法は、これまたお手元に配つてあります昭和二十三年度農業パリテイ指数算出表に基いてできたものであります。結果的に申しますと、この算出表の三枚目の最後のところをごらんになりますと、結局本年九月三十日現在のパリテイ指数が一三二・二九ということになりましたので、これを基準年次の米價二十七円十六銭を乘じますと、その下に書いてありますように、三千五百九十三円ということになるのでありまして、その三円を五円に切り上げまして先ほど來申上げましたような價格がきまつた、こういう次第であります。このパリテイ計算の具体的の内容につきましては、当農林委員会等におかれましても、いろいろ御意見を承つておりますし、また農業復興会議等ににおきましても、御熱心な研究の結果をわれわれにお示しいただきまして、いろいろ御意見をいただいておるのであります。われわれといたしましては、できるだけその線に沿うように考えてやつたつもりでありまして、特にその内容につきましては、もし御要求がございますれば、なお詳しく申上げてもいいと思いますが、一應お手元に昭和二十三年産米生産者價格算定要領というのがありますが、この要領に從いましてこの指数の算出を行つたものであります。また御質問等がありましたら、それによつてお答えすることにいたしたいと思います。
#8
○井上委員長 大体米價決定の主要官廳であります物價廳から大要の説明をされたのでありますが、なおこの説明に関連いたしまして質問があるかとも思いますので、これを許します。成瀬君。
#9
○成瀬委員 ただいまの御説明は昨年度來繰返し繰返し説明されておる御意見でありまして、私はその基本的な考えにつきましては、この考え方のわく内においていかほど理論的に意見を鬪わしましても、政府当局における考え方がこのパリテイ計算における以上は、その止まるところを知らないと考えるのであります。ただここに一点まず最初にお尋ね申上げたいのは、去る九月の二十一、二日のこの農林委員会におきましても質問申上げた通りに、農民のみがマル公價格によつて生活いたしておる。家計費のすべてがマル公である。生産費のすべてがマル公である。今日労働組合関係においては千八百円の賃金ベース決定におきまして、そうして今日はすでに六千二百円を云々いたしておるというような状態でありまするが、これは労働者、官公労組合の人たちの生活費の中に、家計費の中に、やみの食生活、やみの物資があるということを政府も認めておる。一方農民の生活においては、まつたく政府の配給せる物資によつて生産され、あるいは生活いたしておるかのごとき考えのもとにかようなパリテイ計算をいたしておることは、私どもは納得がいかない。現にゴムロールなんかにおきましても相当大幅な引上げをいたしましたが、マル公における配給價格は一組一千円に満ちておりませんが、これがマル公のみによる配給物資のみではとうてい所要の石数を調製するわけにはまいりませんがために、二千円以上のやみ値のゴムロールの入手によりましてやつておるということが例年行われておる。かように調製の面におきましても莫大なるところのやみの支出があるし、本年度における虫害は、各所にありまするが、徳島縣は特にうんか等の虫害が非常に多くて、反当多いものは千何百円を必要としております。部分的な面のみにとらわれてかような意見は共通の問題でないとして一笑に附されるかわかりませんけれども、螢光燈その他あらゆる方面におきましても、生産費におけるやみの支出ということは相当多額な量に及んでおるにかかわらず、それらをほとんど見ておらない。いわゆるマル公價格によつてのみやるということが、まず第一点におきまして農民全体の納得のいかない点でありますが、あくまでもかようなことで押し通していかれるというような考えのもとになされておるかのように考えるのであります。殊にここに資料として出されておるところの点を考えてみましても、一石三千五百九十五円ということに対しまして、俵代を入れましてなんだか三千七百円に近いような数字上のごまかしをやつておるということも考えられる。私はあくまでも二重俵正味六十キロ、こういうようなインチキ的発表をやめてもらいたい。あくまでもなかみのみが三千五百九十五円ということを堂々と発表いたしてもらいませんと、大体世間的に言われておるところの意見というのは、三千六百九十五円だという意見に通用いたしておりますので、この点ははなはだ迷惑千萬だと考えるのであります。また同じパリテイ計算の指数の算出によりましても、農業復興会議におけるところの研究は、昨年度における政府の一方的な計算によりまして、農民に多大なる経済的窮乏を現出いたしておりますので、このところ各農業團体の責任ある調査によつて計算した数字につきましても、四千二百円以上を突破しておるような状態であります。かような権威ある農業復興会議等の同じパリテイ計算の算定の方法に対しましても、どうしてここに両者の間にかように八百円以上の開きを生ずるかということに大きな疑問をもつております。またこの農業復興会議の資料は九月一日現在の資料でありまして、政府の二十三年度の分は九月三十日だということでありますが、そこに一箇月間の開きがあるということは、その間におけるインフレの高進等もありまして、このパリテイ計算におきましては、農業復興会議の四千二百円というものはさらにもつと多額な数字に上つていくものであると考える次第でありまして、一千円以上の開きが生ずるものであると私考える次第でございます。この点につきまして答弁を願いたい。
 次には、この國会は農民の眞の代表的な立場におきまして、米價に対する眞劍なる意見が鬪わされてまいりまして、さいぜんの説明におきましても、國会の意見を相当取入れたかのような御意見でございましたが、過般の農林大臣の意見にもありますように、時間的に米價審議会等の設置も見ることができないとか、いろいろ言訳されておりましたけれども、國会の意見を尊重するということがいずこにも見当らない。一方的な三千五百九十五円の決定が、その発表の前において、かような数字になるというような國会に対する相談がなく、ただ一方的な発表に終つたということは、しばしば言われるところの國会の意見を尊重するということと大きな隔りがある。農林大臣の言明によりましても、今までは國会の意見を尊重する、また長谷川物價廳部長の御意見におきましてもそういうことが言われておりますが、何らこの間國会の意見を尊重する手続上の点が全然見当らないということを考えてみました場合、はなはだ遺憾千万に考えるのでございまして、かように一方的に事を運んで、はたしてこれで農民が納得いけるものであるか、この二点につきまして責任ある答弁を煩わしたいと思うのであります。
#10
○野田物價廳次長 お答え申上げます。パリテイの計算にやみを入れておらぬというお話の点についてでありますが、パリテイの基礎になつておりますウエートの計算には、農家経済調査に上つております金額がウエートの計算の基礎になつておりますので、経済調査に上つてきます限りにおいては、それはやみでもなんでも実際に農家が支拂いました金額が上つてきておるのでありますから、ウエートの算出の基礎には経済調査におけるやみ價格ははいつておる、こう考えていいのであります。ただそれにかけ合せます品目の單價になつてきますると、マル公を使つておる、こういうところで今お話しのような矛盾が出てきておると思うのであります。ただその点はわれわれも非常に矛盾を感じておるのでありますが、いかんせんそれ以外の処置をとることは許されておらぬものですから、このかけ合わせまする單價にはマル公をとらざるを得ない、こういう状況になつておるのであります。でありまするが、元になるウエイトにはやみの支出も入れてウエイトがはじかれておるという点では幾分か救われておるのではなかろうかという点を考えておるのであります。
 それから國会の意見の尊重という御意見の点でありますが、この前こちらからの御意見を提出しまして、それ以來愼重に檢討いたしました結果、取入れられる点は今度取入れたのであります。たとえば、指数を値上り倍率をとるのに、米價設定当日の指数にしてもらいたいというような御意見もありまして、それで今度は九月三十日現在の確定指数ということに全部統一しまして、その一本でやつたというがごときは、こちらの御意見をそのまま採用いたしたわけであります。それを全部各項目にわたりまして檢討いたしまして、取り得る限りはその意見を尊重してとつた、かように存じておる次第であります。なおまた詳しいことにつきましては、第二部長の御説明があると思います。
#11
○長谷川總理廳事務官 ただいま農業復興会議の方の算出米價が四千二百円となつておる。今度政府がきめた價格は三千五百九十五円である。その違いはどういうところにあるのかというお話がありましたので、その点についてお答え申上げたいと思います。大体農業復興会議のやられました基礎資料は、やはり物價廳でやつております基礎資料と同じものであります。ただ一番大きく違つておりますのは、要するに基準年次のウエイトと現在のウエイトとを調和する意味におきまして、フイツシャーの方式をわれわれはとつておるのでありますが、農業復興会議の御意見によりますと、フイツシャー方式は調和方式であるから低く出る要素をもつておる。特にフイツシャー方式の中にありますパーセーの方式の算術平均が低く出る要素があるので、これをやめて別の方式をもつて置きかえたらどうかということで、現在のウエイトを基礎にいたしまして、騰貴率を算出する方式でその点を置きかえて計算をしておられると思うのであります。その結果もしその方式でやりますると、十から十三、四出てくる指数が違うことになると思います。その点が、十三、四くらいということは具体的の金額にいたしますると、三百円以上違うということになるわけであります。そこが非常に目立つてわれわれの方式と違つておる点でございます。でこの御意見につきましては、実はわれわれもいろいろな研究をいたしましたし、特にまた農業復興会議の方からの御注文もありましたので、これは非公式ではありましたけれども、内閣の統計委員会等にもはかりまして、いろいろその問題を研究したのであります。しかし結論といたしましては、基準年次と現在のウエートを調和する方法といたしましては、今のところフイツシヤー法式によるのが適当であるという御意見を得ておるのであります。われわれはその方式を採用したのであります。この点が非常に大きく違う第一点であります。
 それから第二の違う点は建物とかあるいは大農機具をこのパリテイ計算の項目なりあるいは品目として採用されておるのであります。この点はこの前もここでお話し申し上げたと思いまするが、建物なりあるいは大農機具のごときものをパリテイ項目に採用するということになりますれば、それはそれらのものの償却費の倍率をパリテイ計算に計算するということになるのであります。しかしわれわれのしております農家経済調査にはその償却費は出ておらないのでありまして、建物は購入費が出ておるのであります。購入費を償却費と置きかえる、購入費をもつて償却費とみなすことは、これは理論的にもまた実際的にもその数字は非常に変つてくるのであります。これは理論的にはどうしても採用できないので、採用をしなかつたのであります。農業復興会議におきましても建物費とか大農機具費のごときは購入費で見るべきではない。やはりこれは償却費でその倍率を見るべきであるという点については、農業復興会議でも專門の委員会をお開きになりまして研究された結果も、やはりそういうことになつておるのであります。われわれといたしましてはこれをどうしても理論的にとれないものでありますからとらなかつた。この点で相当開きが出てくるのではないか、こういうように考えております。
 それからもう一つ違います点は、これはよく問題になります雇傭労賃であります。雇傭労賃を農業復興会議の方の項目として採用されておるのであります。これは議会の方の申出事項にも雇傭労賃を採用すべしという御意見があるのであります。ただこれもたびたび申上げますようにパリテイ計算は要するに基準年次の價格と現在の價格が何倍程度に上つておるかというその上り方を見る計算であります。從つて項目なり品目として採用しまするためには、基準年次の價格がいくらであるということがはつきりしなければ、項目としてとりましても、これは意味をなさないのであります。ところが雇傭労賃につきましては、御承知のように、特に農家に雇傭労賃としての現物給與等が相当多くありまして、基準年次のときの雇傭労賃が、全國的に見てこれが妥当な雇傭労賃であるというものを算定することは非常に困難であります。と同時に現在の雇傭労賃につきましては公定價格がありません。從つて比較すべき土台がありませんので、これは遺憾ながら採用しなかつた、こういうことに相なるのであります。ただこれもこの前申上げたのでありますが、とらなかつた、採用しなかつたということは、何もそれを全然ネグレクトした、こういうふうにお考えにならないようにしていただきたいのでありまして、なるほど生産費計算では生産に要するいろいろな支出は全部網羅いたしまして、積み上げて生産費を出すのがあたり前であります。しかしパリテイ計算は農家の支出金額が基準年次と現在とどういうような倍率をなしておるかということを見る方法でありますので、基礎資料があれば、むろん雇傭労賃のごときは採用すべきでありますけれども、今申上げましたように基礎資料がありませんから、それを採用しなかつた、しかし採用しなかつたということは、結局裏から申しますと、今度一三二・二九になつているということを意味しております。先ほどの建物とか大農機具とかいうことも採用はいたさなかつたのでありますが、採用しなかつたということは建物、大農機具の償却費が百三十二倍上つたという計算をしたのと同じ意味をもつのでありまして、その点は御了解を得ておきたいと思います。
 それからなおお話しの中に、農業復興会議の方は九月一日の指数でとつて一應計算をやられまして、十月一日の價格を予想せられてあの四千二百円という計算が出ておるのであります。今度政府の方でやりましたのは、九月三十日現在の確定指数をとつております。結果的には今一月違うというお話しがあつたのでありますが、十月一日と九月三十日では一日違うわけでありますから、一日でそれが特に変るということは……。なおこまかい点におきましては、われわれの何と違う点もありますけれども、それはこまかい点でありまして、大きな点の食違いは以上のようなところにあります。しかしこれらの御意見につきましては、われわれもいろいろ研究をいたしまして、また関係方面とも十分に討議を盡したつもりでおるのであります。
#12
○成瀬委員 あなた方当局がやみの面における支出を七五%認めておるのは、マル公生活が二五%になる。かような立場における三千七百円賃金ベース、さらに六千二百円、七千なんぼというふうな要求が労働組合方面にあるわけであります。農民に対しましては、ただウエイトに対しては、農業経済調査による結果、ウエイトの中にやみが若干はいつておる。けれどもそれをもつてしては私自身も納得がいきませんが、現在の場合におきましてはそれはやむを得ません。かように言うておられる。なるほど公式の場合におけるところの計算のしかたによりますれば、それはやむを得ないかもしれませんが、現実の事態が農民といえども莫大なるやみ生活をいたしておることは、あえてあなた方の立場と変りありません。にもかかわらずそれが採用されておらないことは不合理であるということを私は根本的に指摘いたしておるのであります。なおまた数字に若干の違いがありますが、全國農家戸数、いわゆる経済調査によるところの対象戸数が、昨年は百三十なんぼであつたか、一町七反の耕作経営の農家を基準といたしておる。また本年はそれを若干拡げまして、五百なんぼの戸数にし、そうして一町三、四反というふうに相当経営面積も低めておるように言われておりますが、一体日本の農家戸数は昨年の八月一日のセンサスによりましても五百九十二万でありまするが、その中で七割強というものが一町以下の農民である。おそらくこの標準農家に選ばれているところの農家というものは、最も理想的な機械化農業をやつておる、生産コストにおきましてもきわめて合理的に経営されておる農家を対象といたしておるのでありましようが、一体あなた方物價廳におきましては、かような日本の農業経営の中におきまして一割にも五分にも満たないこういう最も優秀な農家の農業経営を対象といたしまして調査せられて、残余の農民は餓死してもよいというようなお考えで、かようなことをやつておられるのか、この根本的な調査資料の対象が誤りであるということを指摘せざるを得ないのであります。私はかようなことによりまして、この農業復興会議におきましては五十歩、百歩を讓つて、政府の昨年度の計算による立場に立ちましても、九十七品目による場合は、その指数におきまして、その結果におきまして三千九百八十六円五十四銭と現れている政府のとつた二十二年度における基準からいたしまして、本年を計算いたしてみますると、これが四千四百二十五円四十五銭となつておるというような形でありまして、私どもの方の立場からすれば、農業復興会議のこのパリテイ計算も、やはり政府の考え方と同一基準による算定のしかたでありまして、今日の農民生活の実態と隔たること非常に遠いものである。現在農民は税金と供出と米價と天災、この四重の苦しみの中にまさに危殆に瀕しておるということを考えてもらわなくちやならぬのでありまして、かような点からいたしまして、あなた方が先ほど言われましたように、納得のいかない点があるけれども、現在の場合におきましてはやむを得ない。それゆえにこそわれわれは昨年來財政法第三條を改正するとか、あるいは單行法をこれと別に決定いたしまして、國会がその米價決定の権限を握ることを主張してまいりまして、農林大臣もそういうことをしばしば言われておつたのであります。しかし時間的に余裕がないといたしましても、なぜあなた方は國会の意思を尊重されなかつたか。國会はあなた方がそういつたわれわれの立場を尊重するという態度に出ましたならば、いかなる事情がありましようとも、万難を排しまして物價廳なり農業復興会議の方面の関係者なり、その他農業團体の各方面の人たちから、公聽会等の方法をもちまして、意見を徴し、そして最後の決定権は、これは現在の法規に基き物價廳にあるとして権威を尊重いたしますけれども、その実質上におきまして現在の農民の実情に副うべく、ここに若干の政治的價格の米價に対する点が考慮されるということによつて、農民は納得し得るものであると思うのでありますが、まつたくかような昨年來のわれわれの意見を蹂躙いたしまして、ただ一般的な天降り的なことをもつて、はたしてそれで事足れりと考えておるか。私はこういうことにつきましてはもつともつと徹底的にこれらの意見を徴しまして、その上におきまして今後の行動を律したいと考えるのであります。
#13
○長谷川總理廳事務官 ただいま本年の農家経済調査が前年が百八十七戸であつたのが五百九十九戸になつた、なおこの経営面積が前年は一町四反九畝であつたのが本年は一町七反七畝に上つておるという点につきまして、こういうどちらかと申しますと、経営規模の大きい農家の資料を対象にすることは、非常に指数が安く出るおそれがあるというような御意見であつたかと思いまするが、私たちがむしろ逆に考えておりまして、経営規模が大きい場合におきましてはいろいろ支出金額も大くなつておりまして、むしろこの点は大きく出る要素の方が多いのではないかというように考えております。農業復興会議の計算いたしましたパリテイ計算の内容とわれわれの計算いたしました内容に差異のあります点のおもなる点は先ほど申上げたのでありますが、なおこまかい点におきましてもいろいろ違つた点はむろんありますが、これはまた何か適当の機会がありますれば、十分一つ一つの品目その他について申上げてみたいと考えております。
#14
○坪井委員 私はこの前の委員会におきまして、パリテイの基礎がどうも農民泣かせであつて、この基礎によると非常に安いところの生産費になるだろう。私は農家の要望する点から見ても、生産者價格は少くとも七千円以上になることは当然だろうと予期しておりましたが、いろいろ復興会議あるいは新聞で見ると、野溝さんですか、とにかく四千二百円とか言つておるようでありますが、すべてを裏切られまして、私どもの期待の半分にしかいかなかつた。はたしてこれでいわゆる農業再生産ができるかできぬか、こういう点を農家の立場になつて、この生産費で米が安いか高いかという観点についてまず再考願いたいと思う。この生産費ではたして生産ができるかどうかということを御檢討願いたいと思う。私はなぜそういうことを申上げるか、その理由といたしましては、大体最近においては國民所得の三分の一というものは税金であります。そうしたいわゆる公租公課というものを大きく取上げてみますれば、その大半は所得税でとられておる。なおまた総合所得でとられる。地租は微々たるものでありますが、そうした点が非常に大きいのでありまして、これらの点がパリテイの基礎になつておらない。その重要なる支出載つておらないというような点と、いま一つはこの前も申上げましたが、やはり雇傭賃金がこれにははいつておらない。また大農機具がこれにはいつておらない。あるいはまた肥料等におきましても、非常に今まではやみ肥料が多くて配給肥料が少かつたのでありまして、ここににしんかす、菜種かすなどがありますが、にしんかす、菜種かすなどは、この價格から見ますと数十倍あるいは数百倍にもいつておるというようなことをお氣づきにならぬかということを考えておるのでありまして、なおまた光熱費等におきましても、薪炭を入れますと、非常に薪が高くなつておるというような点もあるし、次の農業藥剤にまいりましても、やはり最近は御承知の通りD・D・Tとかその他非常に高價な農藥がだんだん進出してまいりまして、最近の駆除におきましても反当一千円以上もかかつておるというのに、わずかなほんの十分の一か百分の一というくらいの農藥費にしか見積つておらないというような点と、なおまた建物等もちよつと小破修繕いたしますと、相当たくさんかかるべきものが、これがあまりにもわずかな費用をただ比率だけをもつてやられておるが、実際かかる面から見て、どんなものをつくりましても、最近では坪一万円以下のものはできない、堆肥舎のようなもので少しりつぱなものだと一万五千円あるいは二万円かかる。むしろ普通の建築よりよけいかかるという観点から見ましても、これらがあまりに安い。なおまた飲食費におきましても、農家の副食費は農家で生産し得ない他から買うものはほとんどやみであります。結局こういう点から見てもこれらがほとんど実情に伴わない、價格が安い。その次には被服費でありますが戰前から見るとほとんど十分の一に減つたので、農家として作業衣、シヤツその他必要なものの配給は微々たるものでありまして、それが必要なだけくれれば結構だけれども、ただこないものを仮定してここにこうしたパリテイの基礎をとるということは、はなはだもつて私どもは不満であります。どうしてもこの價格は少なくともマル公とやみの中間くらいのところに今配給品がいつております。マル公といつてもやみ價格に近い價格であります。そういうことを御存じないのかということを私はまずお伺いいたしたい。この七十一品目が九十品目になつても、あるいは百品目になつても、とにかく重点的に農家の支出の大半を占むる大きなものだけを入れていけば、このパリテイの基礎から見ますれば少なくとも現在の生産費の倍くらいな價格には当然なるべきものと思う。私はこういうことを申上げていいかどうか存じませんが、もちろん関係方面との連絡はありましようけれども、それを押さえられておるのかおらないのか、そういう点は私どもはわからぬのでありますが、そういう点はやはり過去九年から十一年までの三年のパリテイの基礎から見て、その倍数がいずれも――もちろんこれで見ますと相当でこぼこはとつてあるように数字では見えますけれども、実際面において農家の買い入れるものについては私どもは認められぬのであります。結局農家の賣るものがマル公であつて、買うものがほとんど九割以上やみである、こういう現状から見たときに、この基礎があまりにも古すぎる。私どもはこのパリテイの基礎というものがあまりに過去の古い基礎をもつておるというだけであつて、ただ日だけは九月の一日とかあるいは三十日ということを言われておりますけれども、これはただ一つの美名のもとにこういうことを言うだけでありまして、私どもが納得できない價格になつておる。これは今後速やかにこのパリテイの基礎をなお再檢討を加えて、そうして新米價の再改訂を私どもは要求いたしたい、かように考えておりますが、農家の生産者の身になつて、はたしてこの生産者價格であたりまえだと思いますか、それともどうも御説の通りいくら安くても半分くらいにしか思えない、そういう御意見でありますが、まず農家の立場になつて御考慮を願いたい。先般の委員会におきましても農林大臣は米價審議会をつくつて愼重を期してやつていきたいと言つておつたけれども、それができぬうちに米價が発表になつて、農家としては唖然としておる。委員会で答弁されたことも実現できない。なおまた私どもはそうした米價をつくるのに学者を入れぬでも、私ども農林委員会は農家の代表と言つても差支えない、國民の代表であり、農政には多年の研究をもつておる。この委員会で米價委員会をつくつて審議していけば何ら差支えないと思う。かようなものをわざわざ変則的に出して、米價が上つてはいかぬから安くこぎつけるために結局このパリテイ計算の基礎をつくつた。どう考えてもそうしか考えられない。こういう点についてはやはりそうした問題がこの基礎を出すのにありはしないか。これだけ安くするのにはよほど苦心をして、ここまで低くもつてきたのではないかと思う。少くとも農家の立場になつてみれば、まだ倍くらいな價格になることを私は期待しておる、また当然と考えておりましたが、この点についてひとつ明確なる農家の立場に立つて、妥当なる價格についての御答弁と、あとのいろいろなパリテイの基礎があまりにも大きいものを取り除いて、ただの過去の古くさいところの、なるべく安いものだけを集めたこのパリテイの基礎であるということを私は信じておりますが、これらについてどんな考えをもたれておるか、ひとつ御明答願いたい。
#15
○野田物價廳次長 ただいまの御意見に対してお答えいたします。このパリテイの今度のはじき方が故意に低くしようと計算したのではなかろうかというような御質問でありましたが、さようなことは断じていたしておりません。それは事実がありましたらば指摘していただいていいと思いますが、パリテイ計算というわくがはめられておりまする以上は、與えられた資料につきまして與えられた方式でやつていくほかないのであります。それで先ほどもまたただいまもるるお話がありましたように、このやみをどう見るかということがわれわれとしては一番苦心のあるところなのであります。それで物價廳当局の立場といたしましては、パリテイ計算方式のわくをはめられている以上は、この方式でやるほかない。しかしそこの矛盾は、実際の生活はやみがあるという点を――先ほどもお話しがありましたように、実際に政府の施策としまして農村に対する配給物資その他をほんとうに確実に配つてもらいたいということを、われわれの方は強く要求して、それをおれの方は前提としてはじいておるのだから、その点を誤つてもらつては実際われわれの方として困るということを、強くそのたびに要求しておるのです。それで農村物資の生産もそれから配給も、徐々にはよくなつてきておるようにわれわれも見ます。たとえば肥料にしても相当よくなつてきておると思います。ですからその点では徐々に改善はされておると思うので、われわれの方としては、そういう努力をする以外に事務当局といたしましては方法がないのであります。そういう点をひとつ御考慮願いまして、これは政府全体として、政府の力によつて解決していただかなければならぬ、そういうふうに事務当局としては考えておるのであります。しかしそのパリテイ計算の方法それ自体としましては、決して私たちはやましいところはないと確信しております。
#16
○坪井委員 ただいま御答弁を伺いますと、事務当局としては仕方がないからやつた、それは私は封建的であり、なおまた天降りであるということを言わざるを得ないのであります。なぜ、仕方がなかつたならばこれを十二分に檢討いたしまして、そうして委員会の意思を取入れ、あるいはまた最後になぜ仕方がないということをきめる前にもう少し檢討させなかつたか、きめておいてから仕方がないというような、それだからわれわれは納得ができない、おそらくそこにむりがあるのではないか、何もやましいことではなくして、そうしたとられたところの手段というか、その方法について、言いかえれば抑えつけたような、ただきめればいいのだというような、わくがあるから仕方がないということでこれを抑えつけておる感があるから、私はその点を先ほど指摘したのであります。そうしてこれらについて仕方がないという言葉の裏を返しますと、何か関係方面でこの点も支持されまして、そういう点で仕方がないという点があるのですか、ないのですか、この点をお答え願いたいのであります。
#17
○野田物價廳次長 今のお話しの通りであります。パリテイ方式をかえるかどうかという問題に触れてくると思います。パリテイ計算方式をかえるかどうかは、先ほどお話しのような御意見から申せば、原價計算方式でやらないと、どうしても思うようなふうには私はいかぬと思うのです。しかしその点に触れてきますると、これは大きな政治問題で解決していただかないといかぬ問題であります。
#18
○成瀬委員 大体今までの御答弁によつて、物價廳といたしましてはパリテイ計算によつて、その間にやましい点がない、こういう良心的な答弁に対しましては了承いたします。しかしわれわれはそういうパリテイ計算による方式を最初から認めておるものでない、ただかようなパリテイ計算のやり方によりまして、今日の農民の経済的貧困ということは非常に深刻なものがあるのでありまして、これを今後いかにして緩和するかということが、当面の問題であると思うのであります。從つて私は物價廳に対して、このパリテイ計算による今度の新米價の價格というものは、農民の実態に添わないものであるということをここにすなおに、大担率直に認められておるのであるから、從つて次善の策といたしまして、これを改訂するために國会に協力を求め、國会とともに新しい米價を決定するところの御用意があるかということ、もう一つさらに申上げまするが、今日この農機具面におきましても、米價と隔つた点が非常に大きいということは、單に小さい個々の例を申上げますならば、枚挙にいとまがありません状態でありまして、すべてにおける農家支出というものはマル公といえども、まつたく矛盾せるやみ價格がはいつておる。また報奨物資として配給されるところの作業衣におきましても、これはマル公の價格といえどもやみの市場にある價格に匹敵するような價格で配給されておる、こういうような状態でありますので、さような点から改めて、今までの御答弁の中に、パリテイ計算によるところの矛盾を認められた以上は、これを改訂する用意があるかどうかということを伺いたい。なおまた委員長に対しましても、さいぜんからのお話によつてわかつておりますが、本農林委員会はかような点について新しい見解のもとに、強力にそれぞれ関係筋へも申込をするというような考えをもつことが妥当であると考えるのでありますが、委員長の決意に関して聽きたいと思うのであります。
#19
○野田物價廳次長 今のお話のような点を考慮いたしまして、皆様の御意見を容れて考えてみたいという趣旨から、農林大臣は主要食品の審議会をもちたいというご趣旨であつたと思いまして、われわれも賛同しておるのであります。それでどうしてもそういうようなところで廣く知識を集めまして、よく檢討していただいて、一体パリテイがよいのか、原價計算方式がよいのかということも、物價廳だけの頭、官僚だけの頭で考えないで、民主的に考えていただきたいというのがわれわれの念願だつたのであります。それでそういう機関をこしらえてやろうという御趣旨でありまして、われわれも大賛成であります。そういう次第であります。
#20
○井上委員長 米價問題については、御存じの通り本委員会としてはもう数回この問題の重要性を考えて論議を重ねてまいり、かつ政府に対しても委員会としてそれぞれ要望をいたしまして、その結果ただいま政府から報告されましたような米價が決定を見ております。ただこの決定の経過に対して國会側の意見がどれだけ採用されておるか。また國会側の意見をどう一体政府は考えるかというような点について、十分國会としても政府側の意見を必要といたしましたので、特にこの米價決定後に米價問題を取上げたわけであります。ただいまお聞きの通り、政府側におきましても本米價決定が決して農民の納得するところの價格ではないということを言明をされております。なお今後十分農家の再生産を確保し、食糧増産のために十分必要なる米價を、できるだけ民主的な方法で、できるだけ公的な手段でこれをきめていきたいという意思を明確にされましたから、これをぜひわれわれはこの次の主要農産物價格が決定をされる場合、今言明をされました方向を誤らぬようにして、ひとつやつていただきたいことを私は特に希望いたしておく次第であります。從つて米價問題に関係いたします質疑はこの程度で終了しておきたいと思いますが、どうでございますか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#21
○井上委員長 採決いたします。これで質疑を打切るのに御賛成の方挙手願います。
    〔賛成者挙手〕
#22
○井上委員長 多数であります。――ただいま北君から特に米價問題で一言発言をしておきたいというたつての申出でありますから、これを許可します。簡單に願います。まださきに議題がつかえておりますから……。
#23
○北委員 一体政府は今度の米價決定にあたつて國会の意思を尊重してやられたのかどうか。
#24
○野田物價廳次長 國会の意思は十分尊重したつもりでおります。
#25
○北委員 一体國会の意思を尊重しておるということはどういうことか、この点ひとつ……。
#26
○野田物價廳次長 こちらの委員会からの申入事項の御連絡がありまして、それにつきましてこれが正式の申込みと思いました。それでこれにつきまして十分に檢討いたしまして、そのうちとり得るものはとつたことを先ほどお話申上げた通りでありまして、こういう意味で十分尊重しておるつもりでおります。
#27
○北委員 しからばきようこういう資料を出されましたが、こういう資料というものは米價決定の前に出して委員会が練らなくちやならぬのだ。一体その点どう考えておるか。
#28
○野田物價廳次長 それはご承知の通り関係方面との折衝できめなければならぬことになりまして、向うの方へ係官は全部毎日のように詰めかけまして、あらゆる資料、たとえば先ほど申しました経済復興会議からの御資料も全部もちよりまして、向うで討議いたしておりますので、それで期日はもう一ぱいであります。そうでありませんと十月一日の発表に間に合わぬ。それは農家経済調査の集計ができまする期日と十月一日という期日との間にこれを作業をしてしまわなければならぬということが絶対の要請なのであります。そういうことになつておりますから、その間にそれだけの資料を整えましてやる時間がどうしても足りないというような関係がありまして、こちらにも十分の御満足のいくような御連絡はあるいはなかつたかと思います。しかしわれわれとしましては、前もつてのご提案がございますので、これを愼重に檢討することによりまして、こちらとはよく御連絡申上げた、そういうふうに考えてよかろうと思つておつた次第であります。
#29
○北委員 先ほど高いとか安いとかいろいろありましたが、われわれは高い安いは別もので、今の話によると、関係方面にさえ説明すれば、國会はどうでもいいという結論になると思うが、この点どう考えておるか。
#30
○野田物價廳次長 その経過中に事前にそういうことを発表をすることは嚴禁されております。
#31
○北委員 嚴禁されておるかおらぬかは別もので、嚴禁されておるから國会で米價が審議されないという法はないと僕は思う。しかも米價がきまつてからこんな資料が出て、パリテイ計算がどうだ、資料がどうだということは非常に一方的だと思うが、物價廳はどう考えておるか。
#32
○野田物價廳次長 ただいまの機構ではやむを得ないと思つております。
#33
○北委員 ただいまの機構ではやむを得ないという返答では僕ら納得できない。もう少し詳しく説明してもらいたい。
#34
○井上委員長 政府から答弁ありません。大体これで……。
#35
○北委員 発言中です。
#36
○井上委員長 政府から答弁ありませんから仕方がない。
#37
○北委員 政府ないですか。
#38
○井上委員長 ないです。
#39
○野田物價廳次長 ただいまのお答えの通りです。
#40
○北委員 答弁ないですか――それじやあこの資料を米價決定後出したということはあたりまえだと思つておりますか。これはあなたたちの行う当然の途だと思つておりますか。
#41
○野田物價廳次長 現在のところはほかに仕方がないと思います。
#42
○北委員 そこで先ほど成瀬委員からも質問がありましたが、今年の價格について國会の意見を尊重してパリテイ計算を再檢討する考えはないかどうか、この点ひとつはつきり答弁願いたい。
#43
○井上委員長 政府の答弁ありません。議事進行上……。
#44
○北委員 発言中じやないか。
#45
○井上委員長 政府は答弁ありません。
#46
○北委員 ないならないと答えればいいじやないか。それじや今年の米價は國会の意思を何も尊重しないで、一方的にあんたたちきめたということになるが、この点どうか。
#47
○井上委員長 政府の答弁はありません。
#48
○北委員 いま答弁の打合せをしておるじやないか。
#49
○井上委員長 見たらわかるじやないか。ないと言うてるじやないか。
#50
○北委員 一方的にやつているから、答えられないと私は信じております。
#51
○井上委員長 委員会といたしましては、さいぜん委員長が申し上げました通り、一應この問題については、政府の方でも次期農産主要物價の御決定にあたりましては十分國会の意思を尊重し、民主的な方法によつていろいろやりたいという意見を明確にされておりますから、その方向で今後やつてもらうように特に委員長からも希望しておきます。これで大体米價問題に対する質疑を打切ります。
    ―――――――――――――
#52
○井上委員長 引続きまして、風水害に対する対策をこれからいろいろ御協議願いたいのですが、その前に特に永井君から畜産問題について緊急質問がしたいということでありますので、これを簡單に許します。
#53
○永井委員 畜産局長にお尋ねしたいと思います。ご承知の通りに北海道の脳炎の問題で、内地移出が禁止されております。買いつけた馬が約一万五千滯留しているわけであります。どうしても北海道の現状からすれば、二万頭というものはその年度において本州に移出しなければならぬ。そうしませんと、冬季を控えて飼料その他の問題で非常に困窮している状態で、これについて関係方面から相当話があつたと思います。それに対して当局は具体的にどういうふうな措置を講じ、緊急措置を考えておられるか、これは政府の命令で移出が禁止されているわけでありますが、そういう措置に対して政府はどういう保証をするか、この点を明確にしていただきたいと思います。
#54
○平田農林事務官 本年度におきまする馬の流行性脳炎につきましては、現在までのところ約三千頭以上の発病がありまして、そのうち死んだものが二五%ないし三〇%に上つておるのであります。この病氣の原因並びに傳播系統、病的の状況等につきましては、まだ解明の途中でありまして、関係方面の学者の方々、その他が十分研究中であるのでありますが、政府といたしましても、たとえばワクチンの製造を行いまして、約八万頭に対する予防注射を行う等の措置を講じてまいつたのでありますが、何分にも不明の点等がございまして、予防対策としての馬の集團的の移動の禁止ということを、関係方面の指示もありまして、今日まで実施いたしているような次第であります。御説のごとく北海道は日本における馬産地の大宗でありまして、年々約二万頭以上の馬が本州の方に移動されてをり、それによつて農馬の普及を行つているのでありますために、ひとり北海道の馬産上の影響が甚大であるばかりでなく、内地の農業においても影響が少なくないものと考えております。それで対策といたしましたは、以上申しましたような衞生上の対策、これはそれぞれの專門家の施策にまたなければならぬことでありますが、それとともに一面損失補填の措置をいかにするかという問題があるわけであります。これに関連する問題は大よそ三つにわかれるのでありまして、大体九月の初めごろからいたしまして、十月ごろにわたつて内地に導入されるはずのものが、約二箇月間も釧路地方に停滯している。その間現地において馬を預托その他の方法で飼育しなければならぬ経費が損失として生ずるという問題が第一点、第二点といたしましては、時期の関係よりいたしまして、九月、十月の交に汽車輸送を行いますれば比較的スムーズに移動し得るのでありますけれども、十一月以降になりますると、食糧、木材等の輸送と輻湊いたしまして、その関係上やむを得ず船舶輸送に依存しなければならぬという問題が起つてくるのでありまして、釧路地方から直接日本内地へ船舶輸送によるということにいたしますれば、汽車輸送との関係上、運賃においてそこに相当の差が生じてくる。その損失をどうするかという問題が第二の点であります。第三は早く馬が処分できまして資金が手にはいりますれば、馬産農家としてそれだけ経営上のゆとりがとれるわけでございますが、それが代金の支拂いが遅れるということに関連して、いろいろと資金の点において御不便がある、これが融資をどうするかというような損失の点が考えられるのであります。畜産局としてはそれらの三点の関係業者の損失を補填いたしますために、でき得る限りの予算的の措置を講じたいという考えにより、追加予算の編成を要求いたしたのでありますが、御承知のごとくこの問題がたまたま脳炎の発生というような一種の不可抗力的な事情、原因に基くものでありますので、これを政府のみが全部補うということにも性質上いかがかと考えられる点もございますし、また財源その他の関係から、農林当局として大藏省に要求し得る限度等もあることでございますので、結局会計方面で農林省全体の予算関係をにらみ合わしたところによりますと、この三つの損害として畜産局に要求しておりますうちに全部充すわけにも困難なような現状にあるわけであります。從つてわれわれとしてはこれが全部あるいは無理かとも思いますけれども、無理なものはやむを得ぬ場合はやむを得ないけれども、そうでないものについては、北海道の馬産の振興上、また現地よりの切実なる要望にこたえるために、ぜひ実現化をしたいという考え方をもつて、全部とは言い得ませんけれども、大藏省に対して追加予算の編成を要望するという手順まで今組んでおるのであります。そこで問題は予算的のそうした措置で解決するという一本やりの方策、それもそうでありますけれども、なおそのほかに手段があるのではないか。損失を補填する方法として、たとえばこれはまだはつきりしておりませんけれども、馬が相当期間預托されておるその間の飼料等についても、現地調達が非常に困難な際に、政府の統制下にありますものについて御便宜をはかろうということにおいて、この損失の軽減をはかるというような方策もあることでありますので、あれやこれやを考え合わせて、目下全体としての対策を考究中でありますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
#55
○北委員 今畜産局長から非常にありがたい御言葉をいただいたのでありますが、実は北海道は馬産についてはわくがちやんときめられております。そこで今一万五千頭なり一万七千頭なりの馬が停滯すれば、当然出るべき馬がそのわく内の飼料を食いこむわけであります。そうすると北海道全体の馬糧というものはその馬によつて非常に減ることになる。そこでこの穴うめはぜひともしていただきたいと考えておるのであります。どうぞよろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#56
○井上委員長 それではこれよりことしの夏以來全國各地に風水害のためにいろいろの被害を受けておりますが、特に去る九月の十六日ですかにアイオン台風が襲いましたために、この被害が東日本各地に相当多いのであります。本農林委員会といたしましては、委員各位の御都合を伺いました結果、まず和歌山縣、靜岡縣、徳島縣、これらの各縣下にそれぞれ委員を派遣いたしまして、風水害の被害の実情を視察させました。本日は時間の関係がございますので、靜岡縣の実地調査に参りました坪井委員より靜岡縣下の被害状況について報告を求めます。
#57
○坪井委員 ただいま委員長から靜岡縣のアイオン台風によります被害の実情調査について、この委員会において報告をするようにという命を受けまして、はなはだ僭越でありますけれど、委員会におきまして私から一應靜岡縣の去月十六日にアイオン台風における被害の実情につきまして、御報告申し上げます。
 御報告を申し上げる前に一言御礼を申し上げます。それは過去のこの委員会から見ますると、一議会に同じ委員が二度の被害調査はできないことになつておりましたが、それを委員長のはからいによりまして、しかもまた特に運営委員会を開きまして、靜岡縣の災害その他の災害のような突発的災害については、特別なる処置をもつて一回以上になつてもよいというわけで、例を破りましてここに靜岡縣に小野瀬委員長を初めとして、委員数氏の御派遣を願いまして、過般三日間にわたつて靜岡縣のアイオン台風の被害状況を御視察くださいました点は、委員長に対しまして、重ねて御礼を申し上げると同時に、なおまた出張された委員各位に対しまして私から厚く御礼を申し上げます。出張調査をされましても、いろいろその調査に対する資料、その他いろいろと調査に対しまして遺憾なきを縣としてはしたのでありますが、皆さんの御意思に副わなかつた点が多々ある点をこれまた私からおわびを申し上げます。時間がありませんので、私からその概略を申し上げたいと思いますが、実は本日靜岡縣の副知事が、参られ、なおまた経済部長、縣会代表その他各縣下の被害地における関係團体長が数十名この委員会に陳情に参られておるのであります。ぜひともひとつ副知事からはこの委員会において靜岡縣のアイオン台風の被害状況をつぶさに御報告し、なおまたこれに対する処置についてお願いいたしたいという要望でありますので、これも特に前もつてお願いいたす次第でございます。以上申し上げまして私から特にお願いいたします。
 まず第一に衆議院の農林委員長井上良次氏に対しまして、お願いがあります。昭和二十三年九月十六日正午ごろ縣西端から、夕刻縣東端に至る沿海を通過したアイオン台風は、縣下各地に多大な被害を與え、特に開花期のある水稻二万三千町歩は翌十七日白穗と化し、被害農家は八万四千戸、その減收量は三十八万六千石で、縣全生産量の三分の一に上る予想で、かかる被害はまことに本縣特異の現象として全國に例のない稀有のことでありました。この発生地帶が縣の穀倉地帶であるだけに、災害農家の食糧と経済に及ぼした打撃は非常に大きく、このために飯米の確保はもちろん、明年度種子の入手にも困難して、農業再生産上重大な事態に立ち至つております。これがために本縣におきましては、あらゆる手段を講じ、救済と再建に努力をしておりますが、予想以上の被害でありますので、本縣のみをもつては、十分なる対策も実現し得ない次第であります。しかもこれが應急対策は、被害農家の生活安定のため焦眉の急務でありますので、國会におきましても、補正割当、收穫皆無農家に対する食糧加配、税の減免、再生産資材の特配、資金の融通、明年種子の特配等、これが救済対策の速やかに実現できますよう格段の御配慮を煩わしたく、ここに謹んで請願する。かような請願が靜岡縣農業対策委員長、靜岡縣知事小林武治氏から農林委員長あてに、昭和二十三年十月八日付をもつてなされておるのでありまして、どうかこの趣旨の実現のできるように、委員長においては格別の御配慮を煩わしたい、かように考える次第であります。
 次に米、甘藷の補正の割当でありますが、今回の水稻被害の減收推定は三十八万六千二百三十五石、甘藷被害の減收推定は六百九十三万四千七百八十八貫でありまして、これが補正割当につきましても御配慮を煩わしたいと存じます。
 次には被害農家への食糧配置でありますが、今回の被害は本縣穀倉地帶であるだけに、農家であつて保有のできない農家が大部分となり、再生産に必要な食糧の絶対不足は重大事でございますので、どうか農家に対しては加配の特別ご配慮をいただきたいと存じます。なお本縣は年間の三分の一は從來も移入及び放出食糧によつて賄つてきた現況でありますが、今回の被害で三十八万六千石余も減收となり、今後の食糧操作も非常に困難であるので、移入米の十分でき得るよう格別の御配意をお願いいたしたいと存じます。
 次に災害地域の所得税の減免でありますが、今回の被害は收穫直前の水稻及び甘藷に最も甚大な影響を與えたが、播種以來現在まで投下した労力及び肥料、農藥等の量は莫大なもので、減收した推定数量を合算いたしますと、今後の農家経済に及ぼすこと甚大でありますので、所得税その他税の減免を御考慮願いたいと思います。
 次に農村金融の措置であります。今回の災害による農家收入の激減は、逼迫化しつつある農家金融にさらに不利條件を加重し、本縣における被害地農家の農業生産及び生計資金のはなはだしい枯渇を予想せられることになつたのであります。從つてこれが打開のために、明年上半期までに関する資金として、大約左記により処置するよう計画しましたので、これが実現のできるように御配意をいただきたいと存じます。一、共済金の支拂いによる資金八千三百万円、これは前拂いを要望しておるのであります。二、農業手形の運用による資金、二十三年秋まき麦資金五千万円、二十四年水稻資金一億円、これに要する特別融資一億円を御配意煩わしたいと存じます。
 次に農業共済保險金の前拂い。これはただいま申し上げた通りでありまして、この金額は共済金といたしまして九千万円から少なくとも一億六千万円に上る見込でありますから、ぜひともこれが前拂いを要望しているのでありますが、本縣といたしましても十二分にこれらの調査をいたしまして、早くこの目的達成に努力をいたしますので、政府においても特別農業保險に対する前渡金の実現できる処置をお願いいたしたいと存じます。
 次に補助金であります。今回のアイオン台風による被害は甚大であるのでありまして、縣におきましては地租の減免を実施することといたしましたが、市町村当局における諸事業――新制中学校の建設、その他道路橋梁の復旧に対しまして経済的困難が多いので、相当額の助成の途を考慮願いたいと存じます。
 次に生活物資の特配であります。被害農家の復旧再建のために、地下たび、作業衣等の特配を煩わしたいと存じます。その他推定被害農家の戸数は八万四千戸に及んでおります。
 次に水稻種子の対策であります。被害が甚大でありまして、種子すらないのであります。今回の被害は水稻の晩生種が最も激甚でありまして、種子用は皆無でございます。明年用の種子の確保に努力しておりますが、これが種子の特配をお願いいたしたいと存じます。その面積は一万八千百十一町歩に及び、その所要種子量は五千四百三十三石をお願いしなくては、これにまきつける種子がないのでありまして、農林省におかれては特にこれが種子の御斡旋と、これに対する格別な御処置をお願いいたしたいと存じます。
 次に土地改良その他公共事業であります。今回の被害による農家收入の激減によりまして、農家経済の救済と農家子弟の離村防止等を考慮いたしまして、農耕地の改良、常時冠水地帶の灌漑、排水施設の公共事業を急速に実施いたしたいと思いますので、これについて格別の御配慮を願いたいと思います。
 次に肥料の特配であります。被害地帶の今後の麦、馬鈴薯の増産をはかるために、必要なる肥料の特配をお願いいたしたいと存じます。靜岡縣におきましては、特にこれら四十万戸に近いこの被害を補うためには、何としても今後の麦の一大増産をはかり、なお秋馬鈴薯等の増産をいたしたいと思いますが、これらの種子については、何とかひとつぜひご考慮を煩わしたいと存じます。
 この九月十六日の台風によりまして受けた被害は、水稻におきましては被害面積が二万九千八百三十六町一反、この減收が三十八万六千二百三十五石でありまして、これはほとんど靜岡縣全地域に及んでおるのであります。その他甘藷におきましては三千十一町一反でありまして、被害減收は六百九十三万四千七百八十八貫となつておる実情であります。
 この機会におきまして、水稻被害の原因とその機構について簡單に説明いたします。アイオン台風は九月十六日正午ごろ、縣西端から夕刻縣の東端に至る沿海を通過し、交通通信関係より詳細なお未詳の点もあるが、靜岡測候所にあつては風速十七メートル、雨量二百ミリ余を記録いたしました。また台風雨中は氣温二十四度内外、濕度百%で、台風直後は氣温二十七度内外、濕度六五%、風速六メートル、さらに夜間地理的排水不能地、低濕地は冠水し、地形等によつては流失埋没を点綴しました。またその他の水稻は全縣的に早生の倒伏、中生のもみ擦れ、晩生と中生が一部は白穗化したのであります。しかして早生は成熟直前のため倒伏し、乳熟期の中生はもみ擦れとなり、中生の遲れたるもの及び晩生はあたかも出穂期から穂揃期であつたため白穗化しました。しかし白穗は暴風雨期の十七メートルと暴風雨直後及び夜間の高温強風、感覚では熱風があつたため、風揉みと異常蒸散によると思料せられます。なお沿海地方ではいわゆる塩風も作用いたしました。白穗被害は縣下全般的に発生いたしましたが、その大なる所は靜岡市志太郡、榛原郡、小笠郡、磐田郡等であります。水害は浮島沼を中心とする冨士駿東地区、狩野川沿岸の田方、駿東及び今浦川(磐田)小笠南部等でありますが、これらはいずれも今度のアイオン台風による被害でありまして、これを並行してうんかの発生が二万数千町歩に及びまして、これらの被害も実に甚大でありますので、この台風による靜岡縣の農家の被害においては、本年は農業再生産がどうしてもできない現状となつておるのであります。
 右申し上げましたのは大体の数字でありまして、なおその後微細に一筆ごとの被害による調査が近いうちに発表されると思いますが、これらによりましてぜひとも政府は万難を排してこれらの被害に対する救済についての格別の御配慮をお願いいたしたいと存じます。
 最初にも申し上げた通り、本日は知事に代つて副知事、なお経済部長、その他本縣の関係農民代表多数陳情に参つておりますので、ぜひともひとつこれらの対策について副知事から発言をさせてもらいたいという要望が強くありますので、委員長におかれましては格別の発言のでき得るようにお取計らいを願いたいと思います。農林委員としては本日私が参つております。靜岡縣出身としては私でありますが、本日は靜岡縣の選出衆参議員多数の方が参つて、皆さんとともに陳情されておりますので、これらの点を十二分におくみとりくださいまして、本委員会はぜひともひとつ参議院議員にもこの旨を委員長からお諮りくださり、なおこれを本会にもぜひともかけるように、この災害について格別のお取計らいを特にお願いいたしまして、私からは以上靜岡縣のアイオン台風被害状況を御報告するとともに、委員長並びに各委員に対して深甚なる謝意を表し、なお今後格別の御配意をお願いいたしたい。以上簡單でありますが私の報告を終ります。
#58
○井上委員長 この際衆議院の災害対策特別委員の岡野議員から、委員外の発言が許可されたいということでありますので、岡野さんの発言を許可いたします。
#59
○岡野繁藏君 私は水害対策特別委員会の委員でございますが、委員外の発言を御許可くださいましたことをお礼申し上げます。
 ただいま坪井委員から詳細にわたりまして靜岡縣の災害に対します数字的な、また要求いたしまするすべての点につきまして詳細に申し述べられましたので、私はこの点を省きまして、私が水害対策委員といたしまして親しく五日間にわたつて靜岡縣下を調査してまいりました概要の一、二点をお話申し上げまして、各位の深甚なる御同情と御支持を頂戴したいと思うのでございます。
 私がまずアイオン台風によります災害を見ますときに、きわめて今度のこのアイオン台風によります靜岡縣の白穗の災害というものは特殊な災害でありまして、一見ただ白穗が波を打つておるだけでありまして、どこに人畜の死傷があり、またどこに家が流れたというような災害とは違いまして、きわめて地味な災害であります。自然その災害の被害が甚大なるにかかわらず、比較的これを等閑視されやすいのであります。この点私は特に当委員会におかれまして深甚にこの災害をお取上げくださいまして、速やかに救済の手が伸べられんことをお願いいたしたいのであります。そこで今委員長のお手もとに差上げたように、アイオン台風によりまして今や穂を出そうとしておりました少なからざるところの稻が、一朝にして白穗と化して收穫皆無となつたのであります。そうしてその被害は実に三十八万六千石と申しておるのでありますが、私が親しく五日にわたつて調査いたしましたところによりますと、まずこの数字を上まわるであろう。もつとこの被害が増大いたしまして、あるいは虫害の被害とともに五十万石を超えておるかと見るのでありまして、こういうように非常な、五十万石に及ぼうとするような大被害が、一見さような痛々しい姿に見えないというのでありまして、この点におきまして特に政府はこの大被害を大きく取上げていただきたい。こう思うのであります。私が五日にわたつて各地を歩きますと、各地の農家あるいは村長さん、町長さん、村会議員、あるいはその村の農業組合の方々は、自失茫然という言葉がありますが、文字通り自失茫然して、ただ田を見張つておるのみでありまして、その姿はまことにお氣の毒である。それはそのはずであります。一年間非常な苦心をした稻が一朝にして收穫が皆無となつたのでありますから、自失茫然することは当然であります。そして私たちが参りますと、村の人たちはわれわれの自動車を取巻いて、声を上げ涙を流して、救済をわれわれに依頼され、またどうしてわれわれが生きていけるでありましようかと言つて、何十人という人に各村到るところでただ泣かれたのであります。私はこの眞劍なる姿を見まして、私もともに涙を流して泣いたのでありますが、かように涙すら出ない自失茫然しておつた村もありまして、私はこの大被害を見まして、容易ならざるものであると思つたのであります。今坪井委員から詳細にわたりまして御説明がありました。どうぞこの坪井委員の詳細なる御説明に基いて、当委員会は申すに及ばず、政府は急速に救済の手を伸べられんことを切望してやまないのであります。もちろん供出の補正であるとか、あるいは税金の減免であるとかいうことも早急の問題であります。しかしながら私は農家の方があしたに食べる米がない、あしたに支拂う十円の金もないというような窮状をまのあたり見まして、かかる災害に対しまして、政府は早急に手を伸ばされんことを切望いたしまして、簡單でありますが私の報告を終りたいと思うのであります。本日は幸いにして縣からは知事の代理といたしまして藤原副知事が見え、かつまた経済部長も見え、また縣会からも、また本日は志太郡の農民組合並びに各町村の代表約二十六名がまいりまして、幸いにしてこの熱誠なる委員会を傍聽させていただくことができたのでありまして、今坪井委員からお話のありました通り、私もどうぞこの機会におきましてわが縣下の詳細にわたる陳情を、藤原副知事に発言を許されんことを切望してやまない次第でございます。
#60
○井上委員長 御承知の通り災害対策は、全國的に被害を受けた府縣がございまして、これら全体的な問題を取上げ、特に今御説明になりましたような地方的な重要度合によりまして、應急対策なり恒久対策を政府に至急に立てていただくように本委員会としては進めたいと考えております。そこでこれらの対策に関しましていろいろ各委員からも希望がありまして、明日午前十時から農林省の次官なり、あるいは食糧管理局長官、農政局長、総務局長、開拓局長、林野局長官、それに経済安定本部の建設局長、大藏省の主計局長らを本委員会へ出席を要求いたしておりますから、明日これらの政府側の各関係官が出席をされました後に、災害による農作物の供出補正の問題、それから收穫皆無の農家に対する食糧の加配とか、税の減免とか、または再生産に必要なる資材、肥料その他種等の特配というような諸問題をよく檢討を加えることにいたします。特に本日わざわざ災害を受けられまして、非常にお困りになられております地元の切なる陳情要望が本委員会にされておりますので、委員会としては職員以外の発言を正式な委員会で許すというわけにはまいりませんので、一應委員会は閉じまして、懇談会にいたし、その上で副知事さんの方の御陳情を受けることにいたしたいと思います。さよう御了承を願います。
#61
○成瀬委員 靜岡縣の災害につきましては、私は十八日に米價について上京いたしました際に、車中でありますが見たのでございます。農民である私は、その被害の甚大であることに対しまして心から御同情申し上げ、二十二日の靜岡縣に派遣する災害の特別調査團の要請に対しましては、まつ先に賛成をいたした一人でございますが、徳島縣におきましても、沿岸の地震沈下の被害がありまして、この方面の調査は、明日小野瀬委員長及び平工代議士、岡主事等が帰つてまいりますので、あらためてその方の委員長から報告することにいたし、地元のことは遠慮申し上げたい、かように考えております。ただこの際に委員長に対して申し上げたいことは、十一日に補正の最終決定があるということでありますので、もしその間に関係方面との交渉が行われて、この過大な相当激甚なる被害地に対する補正が当を得ておらないような結果になりましたならば、これはまた結果におきまして大きな憂慮すべき状態が派生するものである、かように考えておりますので、この方面に対しまして、特に補正については、日時を延長するような方法によつて正確を期するようにしていただきたい。
 ほかにも申し上げたい点がありますが、まず明日に讓りまして、私はあくまでも農民の食糧確保のために、当面の救済策を講じていただきたい。以上申し上げておきます。
#62
○井上委員長 この際特に開拓局長から、靜岡縣の農業災害について耕地の復旧また土地改良等についての政府としていろいろ対策を考えておるそうであります。そのことについて発言をしたいという申し出がありますから、簡單だそうでありますからこれを許します。
#63
○伊藤農林事務官 ただいまの靜岡縣のアイオン台風による被害でございますが、非常に大きな被害を受けられまして、私の方の関係の耕地の復旧を要するものだけで、現在まで縣の方からいただいております資料によりますと、五億数千万円にのぼつておるのであります。その点につきましてはすでに調査員も派遣いたしまして、今後來るべき最近の議会に追加予算を提出いたしたいと、かように考えておる次第であります。
 それから先ほど坪井委員から特にお話になりました土地改良の点でございますが、これは本來私の方の関係から申し上げますれば、耕地の被害を受けたものを復旧するという関係でありますけれども、今回の靜岡縣の白穗の問題は特殊のものでありますので、それに対する対策といたしまして、われわれの方で特に特別な方法を講じたい、と申しますことは、各種の土地改良を急速に実施して、それによりまして先ほどお述べのありました農家経済の安定あるいは離村防止の一助にいたしたい、かような意味からいたしまして相当規模の土地改良をこの白穗の害を受けられた地帶に急速に実施したいというので、この点につきましても追加予算を提出すべく、現在安定本部の方と協議をいたしておるような次第でございます。簡單でございますが、現在私どもの方で考えておりますことについて御説明申し上げます。
#64
○井上委員長 それでは委員会はこの程度で本日は散会いたします。
    午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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