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1951/05/27 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 運輸委員会 第37号
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1951/05/27 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 運輸委員会 第37号

#1
第013回国会 運輸委員会 第37号
昭和二十七年五月二十七日(火曜日)
    午後一時四十八分開議
 出席委員
   委員長 岡村利右衞門君
   理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君
   理事 山崎 岩男君 理事 原   彪君
      大澤嘉平治君    岡田 五郎君
      尾崎 末吉君    片岡伊三郎君
      關谷 勝利君    玉置 信一君
      坪内 八郎君    畠山 鶴吉君
      江崎 一治君    石野 久男君
      木村 俊夫君
 出席政府委員
        海上保安庁長官 柳澤 米吉君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  甘利 昂一君
 委員外の出席者
        大藏事務官
        (管財局国有財
        産第二課長)  牧野 誠一君
        專  門  員 岩村  勝君
    ―――――――――――――
五月二十六日
 造船法の一部を改正する法律案(坪内八郎君外
 二十名提出、衆法第四九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 造船法の一部を改正する法律案(坪内八郎君外
 二十名提出、衆法第四九号)
    ―――――――――――――
#2
○岡村委員長 これより会議を開きます。
 造船法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
#3
○石野委員 造船法の一部を改正する法律案の目的に関してでございますがこの法律が制定されることによつて、明らかに五百総トン以上のものと以下のものとの、認可の届出と許可との段階の区別がはつきりして来るわけでございますが、この法律は、五百トン以下の造船業者に対しての処置というものを、あらかじめ考慮して制定されるものでありまするかどうか。まず一番最初にそれを伺つておきたいと思います。
#4
○坪内委員 提案理由の中にも詳しく説明してございます通り、この法律案の改正の要点の一部は、ただいまお話がございました通り、五百トン以上の場合と五百トン以下の場合の関係が生じて参ります。そこで従来総トン数百トンのものは許可制にしておつたのでありますけれども、この法律案の改正によりまして、五百トン以上並びに長さ五十メートル以上のものについては運輸大臣の許可制をとつたのでございますが、その以下のトン数につきましては、ただいまお話の通り十分考慮いたしまして立案いたした次第でございます。
#5
○石野委員 この法律は、結局造船業界におけるところの将来における不当な混乱を惹起することのないようにという目的があるのだということが、説明の中にも言われておるのでございまするが、しかしながら現状の世界的な造船界の事情や、それから特に日本におけるところの造船に対する需要の問題等を考慮いたしました場合に、はたしてこういう法律は、今ここで早急に必要であるというふうにお考えになつた根拠はどこにあるか、それを伺いたい。
#6
○坪内委員 お話の通りでございまして、私どもがこの法律案を提案いたしました第一の趣旨は、将来のわが国の造船業を円満に健全に発達させるためには、それらに関する経済の基礎を十分確立させて、そうして造船業界の健全な発達を望むために、国家の保護政策をとろこういうのがそのねらいでございまして、ただいまのお話の通り、それらの点も十分勘案いたしまして法律を出した次第でございます。
#7
○石野委員 この法律をつくりました後におけるいわゆる五百トンの上下についての国家的な保護政策の問題について、何らかやはり法的な措置を用意されておるのでございましようか。
#8
○坪内委員 これは提案理由にもございます通り、今度の改正案によりましては、その保護政策につきましては財源の関係は別にないのでございます。しかしながらいずれの外国の例を見ましても、国家が強力なる保護政策をとつておるような現状でもございまするので、できれば将来は今のお話の通りのような考え方をもつて、強力に国家がこれを育成して行くということの方向に私は行くべきじやないか、かように考えておりますけれども、現在のところは具体的なそういつた法律案のことについては考えておりません。
#9
○石野委員 現在はそういうことを考えていないということと、それからこの法律をつくるについては、結局やはり従来の届出制を認可制にすることによつて、造船界におけるところの混乱を防ぎたいという企図とは、ちよつとそぐわないということになるのじやありませんでしううか。もつと端的に言いますならば、今日の救急策としては何らの意味もないということになるのじやありませんでしようか。
#10
○坪内委員 現在のわが国の造船業界の客観的な諸情勢を私どもは十分勘案して、この法律案――いろいろ諸外国との関係、あるいは諸外国の経済事情あるいはわが国に導入されようとしておるところの、あるいは投下されようとしておるところの外貨の問題、そういつたものなどを十分考慮いたしまして、こういつた法律案の改正をすることが、現在の造船業界においては妥当であるというもとに、この法律案を提案いたした次第でございます。
#11
○石野委員 この法律は結局するところ、今日の造船業界におけるところの混乱を救う意味を持つものであるのかそれとも今日の状態はどうでもいい、これから後に起きて来るであろう問題をという、非常に将来にわたる基本的な問題を考えての改正案であるのか、そのいずれであるかをはつきり伺いたい。
#12
○坪内委員 現在も将来も両方でございます。
#13
○石野委員 現在も将来もいずれもであるということになりますると、特に今日の造船界がいろいろな意味において混乱を来しておることを考えますると、さしあたり今日の段階で、この法律案はどういう成果をもたらして来るかということについての、提案者のひとつ目安を知らしていただきたい。
#14
○坪内委員 この法律案の提案につきましては、石野委員も多分御承知じやないかと思いますが、現在のわが国の置かれておる講和発効後における造船業界の実情、また講和発効後、条約が効力を発生いたしました後におきましての外資の関係、そういう関係から行きますと、外資が自由にわが国に投下され、導入されるような情勢もありますので、そういう動きもございまするし、こういう法律案を提案することにおきまして、将来そういう方面に予想されることを一應調整しようというような意味のもとに、この法律案の提案ということに相なつておるのであります。従つてこの法律案の内容の中に、それらの諸外国のいわゆる外資の関係というような点について、具体的にうたつておるのではありませんけれどもそういつた顯顕な動きが現在あるいは将来も起るような予想がされますのでこういう法律案を提案するということに相なつた次第でございます。
#15
○石野委員 そうしますると、この法律の主たる目的は、今日当面する外資の導入、造船界における外資の導入ということが、基本的には大きなねらいになつておるものであるというふうに考えられるのでございますか。
#16
○坪内委員 これはわが自由党の政策といたしましても、外資を導入して、大いにわが国の経済の確立をはかるということは、わが党の政策でもあるしまた私ども提案者といたしましても、この外資の導入ということについてはむしろ双手をあげてこれを賛成する意思でございますけれども、そういつた外資の導入がわが国の経済界を、さらにまたひいてこの造船業界、あるいはそれに関連する関連産業のいろいろなそういつた経済面につきまして、混乱に陷れるような不当な外資の導入ということは、この際調整をする必要があるのじやないかということが主となつて、こういう法律案の提案ということになつたわけでございます。
#17
○石野委員 そうしますると、お話は非常に混乱するのでありますが、外資の導入は自由党の基本方針である、けれどもその外資の導入によつて事業界が混乱をしては困るから、それでこういう法律をつくつたのだ、こういうことに理解せよというのですか。
#18
○坪内委員 それらの面はさように、今お話がございました通り理解してくださつてけつこうでございます。
#19
○石野委員 この法律案が施行されるに至ることを予想した場合、この提案についてわれわれが考えなければならぬのは、今日の造船界がどういう事情のもとに置かれているかということだろうと思うのであります。特に世界的な造船に対する需要の増大というものと、それにもかかわらず日本の造船業界が非常に苦しんでおるという実情とは、いろいろわれわれがいただいておるこの資料から見ましてもはつきりするように、その間非常に複雑な事情があるようでございます。ことに今日の造船界の苦しみの最大の原因は、第六次の計画以後における経営難から来ているのじやなかつたかというふうに想像されます。第七次造船の受注がなかつた企業のごときは、今はもう瀕死の状態に置かれているということが、この説明資料等によつてわれわれは教えられるのであります。また事実そういうふうになつていると思います。そういうときに、われわれはここでこの法律をつくるということが、それらのものを救済する手段方法になるならばけつこうでございますけれども、むしろかえつてそれらの人々を破滅のふちに追い込んで行くというようなことになるのでは、ちよつとこれは考えなければならぬのじやなかろうかと思います。この法律ははたしてそういうような今日非常に苦しんでおる造船業者、そういうものに対してどういうような恩恵をもたらすことになつて参りますか、提案者の説明をお願いしたいのであります。
#20
○坪内委員 お話の点よくわかりましたが、わが国の造船業界がいろいろな点から、その経営あるいは運営ということについて非常に支障を来しておる。また過去においてもそういうことがあつた。あるいは将来もそういうことが予想されるので、この法律案によつてそういつた危機に瀕した造船所、あるいは造船業界に対して、何かこれを救済済する法律になるかというお話のようでございますが、結局この法律は、そういつた造船業界に対しての保護手段であり、保護政策でございますので、そういう点にも手が伸びるということに相なるのでございますけれども、さしあたりはそういつた困窮しておるところの造船業界を、この法律によつてたちどころに経済的にあるいは財源的に、あるいは何かの裏ずけをもつて救済しようという意図の法律ではないのでございまして、これが延長して行きますと、そういう点にも関連を生じて参りますけれども、この法律案の提案理由にも説明してあります通りそういつた関係じやなくして、この立法趣旨は他にもあるわけでございますので、その点御了承願いたいと考えておるのであります。
#21
○石野委員 ただいまの坪内議員からのお話からうかがいますと、この法律案では早急にそうした造船業界における苦しんでおる人々への救済施策が出て来ないのだということでありますが先ほどのお話にもありましたように、財政的裏ずけがない法案でありますから、そういうことになるのは当然だと思うのであります。そうしますとこの法律は、かえつてこういうことになりはしないかと思います。それは先ほど自由党の党の政策である外資の導入ということもからみ合せて、造船業界に外資の導入をしたい、またそれによつての混乱を防ぎたい、こういう矛盾の上に立つてこの法律をつくることは、結局において日本の国内における造船業者のいろいろな競争が、弱肉強食の方向を決定的なものにする法律になつて来はしないか、言いかえれば今現に非常に苦しんでおる人々にとつては、この法律は決定的な死の宣告を与えることになつて来はしないか。そうして他面では、現在ある程度恵まれておる企業家、あるいはまた上昇線をたどつておる企業家等に対しては、将来外資の導入の受入れられるような措置を開いて行く、そういうようなことを予想させるような法律になりはしないかということを私は憂えるのでありますがそういう点はどういうふうに考えておられますか。
#22
○坪内委員 お話よくわかりますが、石野委員と私どもの考え方は少し違つておるのであります。この法律によつてなおさら造船業界を窮地に陷れるようなことになりはしないかというようなお話がございました。あるいは外資の関係とこの法律が、何か矛盾が生ずるようなことがあるのではないかというお話もございましたが、お話の点はよくわかりますけれども、私はさように考えていないのでございます。この提案理由にも説明が書いてございますように、また法律案を御研究くださいますればよくわかるのでございますが外資の導入があつた場合、あるいはわが国の造船業界に対してのいろいろな施設とかあるいは設備の改良とか、そういうことについては運輸大臣の許可制でありまして、そういうものを禁止する法律案ではないのでございます。場合によつては許可する場合もあり得るわけでございますけれども、そういつた外資の導入が造船業界を混乱に陷れるような場合を予想いたしまして、こういつた法律案になつておるのでございます。従つて現在諸外国のいろいろな動きからいたしまして、わが国の造船業界に投資をいたしまして、大株主になつて、わが国の造船業界を運営して行こうというような動きもちらほらございますので、こういうことになつたのでございます。外資の導入あるいは外国資本の投下ということにつきましては、これを全面的に禁止しているのではなくて、大体三〇%程度がいいのではないかというような関係も考えておる次第でございます。これとは別でございますけれども、現在本委員会で審議中の航空法案のごときを見ましても、やはりこれと同様でございまして、外資の導入関係は、三〇%程度でとどめておるような現状でございますので、ただいま石野委員が心配されておるようなことはないのではないか、かように考えておる次第でございます。
#23
○石野委員 いろいろ説明があつたのでありますが、結局この法律が従来の届出制から許可制になるということはこの企業に対する一つの統制方向を示しておるというふうに考えるわけでございます。いろいろそれはいわゆる普通の統制ではないという説明等もこの中には書いてありますが、しかし結局においては企業における一つの政府統制といいますか、そういう方向を出して行こうというねらいがあるように見受けられます。その結果といたしまして、造船企業の中における非常に調子の悪い企業というもものは、許可制からはずれてしまう、そしてその結果としていろいろな便宜が将来与えられなくなるだろう、そういうことが予想されるわけでございます。特に中小企業といいますか、同種産業における中小企業の受ける立場というものが非常に不利になつて来はしないか、企業における独占がむしろ促進されることが予想されるのではなかろうか、こういうような疑問を持つのでございますけれども、そういう点についてはどうでございましようか。
#24
○坪内委員 ただいまお話がございました通り、こういつた届出制のものを将来この法律によつて許可制にすることは、統制への逆行ではないかということ、その他の点につきましては石野委員のお話の通り、わが党におきましてもいろいろ問題があつたのでございます。しかしながらこの点は私どもは十分検討いたしまして、自由主義の原則との関係につきましても、愼重にわれわれは研究いたしたのでございますが、私が申すまでもなく公共事業的なたとえば電気とか、ガスとかあるいは水道とかいうようなものにつきましても、国家が相当に干渉し、あるいは鉄道とかその他交通事業関係につきましても、国家が一定の規律を設けてこれを育成して行くというようなことは、統制への逆行だとかいうようなことについては、将来国家が相当保護政策をとつて育成して行くという状態にあつては、むしろそういつた行き方をとることが当然ではないかというようなことも考えております。わが党におきましても、そういう点については問題になりましたけれども、その点は十分われわれも研究いたしまして、さような点はないという結論に達した次第でございます。従つて石野委員のお考えのようなことにはならないというようなことで、この法律の提案ということに相なつた次第でございます。
#25
○石野委員 自由党の政務調査会がそういうふうな結論に到達したということは、あるいはそうであつたかもしれませんが、われわれがこれを見る場合には、必ずしもそういうふうに坪内議員の言われるようにすぐ納得し得られるものでないように思うのでございます。ことに保護政策ということをその前提としての許可あるいは認可というような問題が論じられるとしまするとその許可なり認可の範囲に入るものと入らないものとでは、おのずから保護を受けられるか受けられないかの差別が出て来るわけでございます。従つてそういうことはこの業に携わる者にとつては重要な問題である。ことにここで明らかにしているように、総トン数五百トン以上の鋼船の場合とそれ以下のものとの区別がはつきりしておるわけでございまして、そういたしますれば、おのずから中小企業というものがそのらち外に出てしまうということがわかるわけでございます。これらの者に対する救済策はどういうふうになるかということを先ほどもお尋ねしたのですが、それについてはほとんど見通しを持つていないようでございます。それでは政治にならないのではないかかえつてこの法律を改正することによつて、そういうトラブルが惹起される危険性がありはしないか、こういうふうに心配します。それに対してどういうふうな対策をお持ちになるのであるか、もう一ぺんはつきりしておきたいと思います。
 それからなおこの法律に対して、保護政策、保護政策と言いますけれども財政的裏づけがない保護政策なんというものは、あり得るはずがないと思うのでございます。そういう点についても保護政策の意図する方向というものは、どういうものであるか。
#26
○坪内委員 お答えいたします。お話の点よくわかるのでありますが、あとの点を申し上げますと、この保護政策につきましては、財源の裏づけがないのじやないかというお話につきましては、これは将来のことは十分われわれは考えて行くつもりでございますけれども、現在のところでは、ただちに今財政的な裏づけをしようというようなことは考えていないのでございましてそういう点は大いに考えまして、財源の伴う保護政策を考慮に入れなければならぬということを考えておる次第であります。
 さらに最初のお尋ねでございますがこの法律は、五百トン以上のものについては、届出制が許可制になり、五百トン以下のものは、そういつた許可制とかあるいは保護の対象にならないから、むしろ五百トン以下のものは野放しじやないか、そういうふうになるといわゆる中小企業というか、そういつた小さい造船所などというものは、運営が困難になるのじやないかというようなお話でございます。しかし、この五百トン以上というものにつきまして許可制をとつたのは、五百トン以下の場合についてはこれはむしろ野放しに政府としては見向かないのだというような関係でなくして、むしろそういう御希望でございますれば、五百トン以下の、百トンあるいは五十トンのものにも、こういつた許可制をとつてもいいというような考えもあるのでございますけれども、そういつたことになりますと、むしろ五百トン以下のものは業者が煩わしく考えるのじやないかというようなことを考えまして、さしあたり特にいろいろな面で対象となる五百トン以上という基準を設けて、こういう法律案にしたわけでございます。従つて五百トン以下のものは全然これを顧みないというのではなくして、むしろ私どもは業者の立場を考慮して、許可制というような煩わしい規定からはずしまして、伸び伸びとした自由運営をはかつていただこうというねらいのもとに、五百トン以下の関係は手をつけてない次第でございます。従つて五百トン以下のいろいろな金融の関係あるいは保護政策につきましては、中小企業の育成、助成という立場から、金融のあつせんとか、あるいはいろいろそういつた面の保護、あるいは指導、あるいは啓蒙というようなことについては、十分考えておる次第でございます。なおそういつた五百トン以上ということにいたしますと、政府側の力と申しましようか、そういうものが非常に強力になつて、何か業者を圧迫するようなことになるのじやないかというようなお話も先ほどからございましたが、そういうことにつきましては十分運輸大臣とも相談をいたし、また運輸大臣といたしましても、それぞれ関係者にはそういうことのないように厳重に愼重な注意を払うということに相なつておりますので、ただいまのようなお話の点は十分そういう点で解消されて行くのじやないか、かように考えておりますので、この点の御認識をさらに深めていただくようお願いしたいと思います。
#27
○石野委員 どうも坪内委員の方からのお話は、なかなか納得しにくい点が多いのでございます。五百トン以下のものでもいいのだけれども、業者の方が煩わしいのじやないかというようなお話でございますが、しかし明らかにこの説明書にも書いてありますようにこれは一つには、不当な混乱を惹起することを防ぐために、それからまた二つには、何らの制限なしに国際資本が流入することを防止するために、あるいは第三には、調整をもつてその調和的な経営と健全な発達を確保しようというような意味で、この法律の提出がなされておるのだというふうに予想されるのであります。しかもこれらのものが意味するものは、その裏づけに保護政策というものを考えておるのである。これは説明の中にるる何べんも繰返されておるわけであります。しかも保護政策の中には、直接的な保護政策と間接的な保護政策があるのだとまで事こまかに説明の資料としてわれわれは承つておるわけであります。法律はそういう直接あるいは間接の保護政策を期待されをるのとして、五百総トン以上の企業を届出から許可制へ移行せしめて、それで将来保護政策の対象企業として、それをはつきり法的に確立させようという意図を持つているものだと思うのでございまして、坪内委員の言われますように五百トン以下でも百トンでも五十トンでもいいのだという意味とは、全然趣が違うのじやなかろうかと思いますが、この点もう一度はつきりしておきたいと思います。
#28
○坪内委員 お話の点は私とまつたく結論においては同様でございまして、国際的な外資がわが国に導入、あるいはわが国造船業界に投下されるという場合の対象は、大体そういつた五百トン以下の場合は対象にならないというような見通しでもございますし、国際的な資本か投下されるということにつきましては、五百トン以上の場合が考慮されるというような点が、いろいろと国際的な関係からうかがわれます。また諸外国の経済界におきましても、わが国の五百トン以下の関係にはあまり関心を持たない。むしろ五百トン以上の場合にそういつた考えが生じて来ると思いますので、そういう点で五百トンというようなことがそこに生れて来た。こういう事情でございます。
#29
○石野委員 ただいまのお説、いわゆる国際的観点からすれば五百トン以上のものが問題なのだ、これはよく了解できるのでございます。しかしながら造船法の対象とするのは、国際的な船舶に対しての問題だけではなくして、むしろ日本の造船企業家に対する法律として造船法があるのだと思うのでございます。従つて日本におけるところの船舶製造業者というようなものは、五百トン以下のものがないのではなくて、五百総トン以下の小さな企業が数限りなくたくさんある。しかも日本におけるところの中小企業の維持というものが、非常に重要だということを考えて参りますと、この法律はただ單に国際的な問題だけを考慮してという改正だけでは困るのじやなかろうか。むしろただいまの説明でございますならば、別途にまた国内向けの造船業者に対しての何らかの法律を予想してというならば、これはよくわかるのでございます。しかしながら造船法の一部改正というものが、全般としての日本の造船業者に影響するところは非常に重大である。しかも国家の将来にわたるところの保護政策が、この法律の改正によつてはつきり確立されるということになつて参りますと、この事業形態の中における巨大産業と零細企業との間における区別というものが、ここではつきりと出て来るのでございましてこれは非常に重大な将来への問題を含んでいることになつて来ようかと思うのでございます。従つて説明の中には、これは決して統制ではない、こういうことを再三再四にわたつて繰返しておられますけれども、統制経済への移行といいますか、しかも独占企業への道を開いて行く、こういうことが予想されるのでありまして、これは非常に重要でございます。私は外国との船舶需給の関係から来る法律の改正の意図と国内におけるところの同種企業の問題と関連性なくして考えることは、非常にわれわれ立法府の立場としては粗雑だというそしりを、あとで受けるのじやないかということを心配いたしますので、はつきりとその点はお聞きしておきたいと思うのでございます。そういう零細な企業に対する考慮をどのようにしてお払いになつておられるのか立案者としての立場をはつきりしておいていただきたい。
#30
○坪内委員 わが国の造船業界の全般的な運営あるいはあり方ということにつきまして、御心配なさつてのいろいろなお話、まつたく私も同感であります。従つてこの造船法の一部改正法案のみによつて、わが国の造船業界を育成して行くということではないと思うのであります。過去におきましても、御承知の通り造船奨励法、あるいは製鉄奨励法、あるいは関税定律法というような法律によつて、国家がいろいろな面から、こういつた角度から保護政策を立てて参りまして、初めてわが国の造船業界が今日の段階に至つたというようなことも歴史的に明らかではないか、かように考えております。そういう観点から、この造船法一部改正法律案におきましても、わが国の造船業界の円満な発展ということについては大いに力があつて来たのでないか、かように考えております。そこでそういつた関係に基いて、わが国全般の、たとえば五百トン以下の中小企業における造船業に対しても、何か親心を示さなければいかぬではないか、そういうことについて何か対策がないかというようなことでありますが、先ほどもお話しました通りこの法律案というものは、提案理由の説明にもあります通り、大体当面の段階としてはこういう必要がございますので、これを提案したのでございますけれども、そのほか五百トン以下の企業家に対してどういう手を打ち、あるいは将来考えておるかということにつきましては、われわれもこれは党の立場からもいろいろ考えておる次第でございますけれども、過去においてもあるいは将来においても、そういう点について政府側においても腹案を持つておるというふうに考えておりますので、この際船舶局長も来ておりますので、船舶局長からその辺の事情を説明させて、なお私からもお答弁いたしたい、かように考えます。
#31
○甘利政府委員 この法案の提案理由は、先ほど提案者の坪内代議士からいろいろと御説明になつたのでありまして、私どもの考えておりますことも、大体そういつた線に沿つておりますが、今御質問の点、私はこういうように解釈いたしておるのであります。五百トン以上の船をつくる造船所だけ保護をして、五百トン以下の造船所を保護しないというように解釈されておりますが、今改正しております要点は、造船法のうちの施設の許認可の点だけでありまして、その他の面においては、造船法においては五百トン以上、以下を問わず、全面的にわが国の造船業を保護育成するように書いてあります。ただ施設の点につきましては、先ほども坪内委員から申されましたように、外資が入つて来る必要も別段ないように思うのであります。特に現在の造船施設の状況から見ますると、ちようどバランスしたような状態でありまして、これ以上施設の面において外資を入れるというようなことは、そう必要ない。従つてこれをかつてにほつておいて、自然に入れるということは防ぐべきである。またその外資を入れるような憂いは、五百トン以上の船をつくるような施設でなければ対象にならぬ、こういうように解釈しております。
#32
○石野委員 大体そういうような意味であるとすれば、理解はしやすいのであります。外資の導入をむしろ防ぐための法律だというふうに理解されるならば、これはある程度日本の造船能力と、日本に対する国際的なあるいは国内的な造船需要との問題をからみ合せまして、現在の能力が相当程度不足しておるのではなくして、十分であるという実情でございまするので、ただいまの説明はよくわかりました。しかしそれにもかかわらず、この届出制あるいは認可、許可制になるということになりますと、その許可の基準が、第三條の二でもはつきりしておりますように、第一番には「適正な造船能力をこえることとならないこと。」第二番目には「造船事業の健全な発達を阻害するような競争をひき起す虞がないこと。」、あるいはまた第三番目には「技術的及び経理的基礎が確実であること。」等を対象として認可する、こういうふうに書かれておるわけであります。ただこういう認可、許可が行われました後に将来の造船界の保護育成という問題がその裏についておるわけであります。これは説明者も言つておる通り、その保護政策というものが、この認可制というものとどういう関連性があるかということをはつきりしておきたいのであります。造船法は、今局長のお話によりますと、認可制、許可制のいかんにかかわらず、全般にわたるのだというふうに言つておられますけれども、今ここで改正される許可制というものは将来起きるであろう保護政策との間に、どういう関連性を持つて来るだろうかということについての構想をひとつ承つておきたい。
#33
○甘利政府委員 今お話の点よくわかりますが、今の施設の許認可制によつて改正する要点は、先ほどお話いたしました通りに、むしろ消極的にその混乱を防ぐというような面で働くのでありまして、むしろ積極的に造船業を保護育成するということは、たとえば先ほど坪内委員からお話がありましたように、関税定率法とか、あるいは造船奨励法とか、いろいろなそういう保助政策によつて積極的にやる部面もありますし、またいろいろな技術の奨励のための奨励金を出すとか、あるいはいろいろな面で技術指導を行うというふうな、補助政策としてはむしろあまり積極的ではありませんが、しかし今の許認可制よりは積極的な面が、この造船法にも書いてありますので、そういうものと消極的の面あるいは積極的な面、さらにより積極的な保護政策というふうな三つの段階をもつて、これを完全に育成して行きたい、こういうふうに考えております。
#34
○石野委員 非常にこの法律は消極的なものであるという御意見でございますが、しかし消極的であるにもかかわらず、提案説明から見ますると、非常に保護政策の面が強調されておるわけでございますね。そうしますと、法律の各條目におけるところの問題と、提案者の意図するところとの間に違いがあるのでございましようか。
#35
○坪内委員 お答えいたします。この法律によつて、何かはかに保護政策的な具体的な考えを持つておるのじやないかというようなお話のようでございますが、大体この造船法というものは昭和二十三年にできまして、その後改正を見ていない法律なのでございまして、その後わが国における造船業界あるいは経済界の客観的ないろいろの変化に伴いまして、この造船法を改正する段階に至つたのでございます。現在におきましてはそういつた財政的な裏づけはないのでございますけれども、この法律によつて多少ともそういつた面を啓蒙して、将来は財源的にあるいは財政的に、何らかの方法でわが国造船業界を育成して行こうという考えは持つておる次第でございます。従つてこの法律案がそういつた糸口になるような向きも出て来ることになるのじやないか、かように考えております。
#36
○石野委員 今のお話によりますと、積極的な保護政策はしないけれども、やがてその道が開くだろうという意図のあることは明白だと思うのでございます。従つてその場合における許可の問題は、業界にとつては非常に重要な問題になつて来ようと思うのであります。先ほど私が申しましたように、やはり五百トンを境にする企業の間における差別状態が出て来る。いわゆる政府の政策の中で差別状態の出で来ることが予想されるわけでございますが、そういうことを何か予想しておるのでしようか。それとも予想はしていないのでございましようか。もし予想していないとすれば、そういうことが出て来ることを防ぐ措置をどこで考えておるか、そういう点をお聞かせ願いたい。
#37
○坪内委員 その点は先ほどもお答えいたしたのでございますが、この法律案によつて、現在の造船業界を極度に拘束するとか、あるいはそういつた差別待遇をとるとかいうようなことにつきましては、考えていないのでございまして、そういつた印象を与える点につきましても、われわれも多少不安を感じた点もございましたので、その点につきましては、政府当局とも十分打合せをいたしまして、それらの点がないように、いろいろな機会を通じて、運輸大臣等からもそういつた懸念がないように意思を発表してもらうというようなことも、寄り寄り研究しておる次第でございます。従つてこの法律案によつて、現在あるいは将来拘束するというようなことはない、かように考えております。
#38
○石野委員 私はここで提案者に観点をかえてお聞きしたいのでございますが、こういう法律の改正をしなくちやならないという、現在の日本の造船業界の実情をどういうふうに把握されているかという問題がここにあるわけであります。おそらくこの法律案の改正は、造船業界におけるところの無秩序な事態を、これから後頻繁に行つてもらつては困るから、それを防ぐのだということに盡きるのだろうと私は思うのでございます。そういうような意図をもつてこの法律がつくられておる場合には、今後起きて来るいろいろな問題点を十分考えなければなりません。そこで私は現在造船業界の実情をどういうふうに把握し、どういうふうに是正し、将来の日本のいわゆる基幹産業として堅実に育てて行くためにどうせねばならぬという一つの構想がおありになるだろうと思います。そういうことを、簡單でよろしゆうございますからひとつお聞かせ願いたいと思います。これは提案者と政府委員の両方に御意見を伺いたいと思います。
#39
○坪内委員 お話の点は、まことに傾聽に値するものでありまして、私もそういうことについては、重大な関心を払わなくちやならぬ、かように考えております。申すまでもなく今日の造船業界がいかに発展し、また将来いかにあるべきか、あるいは現在の独立国日本の経済力、あるいは業界の経済能力からいたしまして、いかにあるべきかということにつきましては、これは愼重な考え方をもつて育成して行かなくちやならぬ、かように考えております。さらにこの造船業の関連産業というものが、非常に重要な役割を果しておるような現状でありまして、それらのところも私どもは十分勘案して行かなくちやならぬ、かように考えております。そこで問題は、結局この造船業界を育成して行くには、強力な国家の保護手段が必要であろうと思います。それについてはいろいろと財源的な問題、あるいは銀行の融資、あるいは資材の関係、いろいろと関連が生じて来ようと思いますので、お話の通り私どもは造船業界については、あらゆる角度から十分検討を加えて育成して行かなくちやならぬと考えておる次第でございますが、それらについては、運輸大臣あるいは政府当局も十分いろいろな点から考えておられることと思います。さらにまた今日まで造船業界の歩み来つた跡、あるいは現在どういうふうに把握しておるかという点については、政府側から答弁していただきたいと思います。
#40
○甘利政府委員 先ほど御質問のありました点、まことにわれわれも御同感でありまして、今各国の造船業界を見ますと、いずれも建造の差額の補助金を出したり、あるいは利子の補給をしたり、あるいはいろいろな材料の免税をやつたり、いろいろな点で保護育成策を講じておりますが、わが国においては遺憾ながら財政の面から、そういう積極的の保護育成をすることは非常に困難であります。しかしわれわれとしても、それに沿つていろいろ努力はしております。さしあたつて諸外国のとつておるような積極的の保護政策は困難でありますので、今ここで問題になつておりますように、浩船施設の五百トン以上の許認可制をしきまして、いたずらに外資が入つて来て不当の競争を起すことのないよう、消極面においてでも少くとも防ぎたい。しかしながらこれらの造船所は、つくる船が非常に大きいのでありまして、直接諸外国と競争するのでありますから、積極的あるいは消極的な保護を加えてやりたい。五百トン以下の船につきましてはそういう国際競争には直接さらされませんので、これについてはまた別途近海の船腹状況、あるいは船質の状況等を勘案いたしまして。必要な時期に必要な措置を講ずるのが適当でないかこういうふうに考えております。
#41
○石野委員 今お話の現在各国において保護育成策をとつているのに、日本はとつていない。だから将来そういうようなものをよく考えるとともに、また外資の導入によつていたずらに国内産業を混乱に陷れないような方途を、この法律によつて規定したい。こういう趣旨はよくわかります。そこで問題は、今日の造船業界の実情について、政府当局特に運輸当局がつかんでおる大体の方向をひとつお聞きしたい。
#42
○甘利政府委員 わが国の海運の規模をどのくらいにするかということについては、安本の五箇年計画、あるいはわれわれの立てております三箇年計画によつても、大体今後のわが国の貿易量というようなものからはじきましてその量の約五〇%を自国船で運ぶ。これは諸外国においても同様でありますが、それを目標にして船腹の拡充、代替をはかつているわけであります。それによります、今後少くとも数箇年間毎年貨物船において二十五万トンないし三十万トン、それからタンカーにおいて五万トンないし十万トン、大体三十万トンから四十万トンくらいの船をつくつて行かなければ間に合わない。そのほかに小さな、保安庁の船であるとか、あるいは客船であるとか、あるいは鉄道連絡船とか、こういう貨物船、油槽船以外のもの、あるいはそのほかに今までの例から見ましても、年々十万トンくらいの輸出船をつくつて行くのが、外貨獲得上あるいは日本の造船技術の維持上、非常に必要ではないかという点から考えますと、大体四、五十万トンの造船をしなければならぬというような結論になります。ところが一方、わが国の造船能力は、戰後日本の工業事情調査に来ましたストライク・ミッシヨンの報告によりましても、当時八十万トンと称されておりますが、その後休廃する造船所がありまして、それらを差引きますと大体五十八万トンくらいになります。また一方、各造船所の現在の雇用量から行きましても今後それを維持するとして、大体五十七、八万トンが適正なるわが国の造船能力である、こういうふうに考えますので、四、五十万トンの造船必要量に対して五十七、八万トンの造船能力は大体バランスがとれておるのではないかと考えております。また一方、造船技術の面から見ても、わが国の造船技術は戰前から世界に劣つておりませんし、現在においても劣つておるとは思いません。ただ一部溶接関係におきまして、戰時中外国において発達した関係もあつて、一部劣つておつた点もありますが、現在においてはこれらも大体外国の水準に近づいております。従つて技術の面においては、彼も進みわれも進む必要上、ある程度外資を入れて技術の向上をはかることはありましようが、施設の面において、これ以上外資を入れて増設するということは必要ないと思います。ただ一般に船の傾向が大型になつて参りました。特にタンカーのごときは従来七千トンから一万トンくらいのものでありましたが、最近は二万トン、三万トンと非常に大きくなつて参りましたので、これに応ずるために不必要な施設をつぶしまして必要なものを大きくすることはあると思います。そういう点についてはわれわれは企業の合理化の一端としてやつて行きたい、こういうように考えております。
#43
○石野委員 造船能力に対する見通しの問題について、これ以上外資の導入なんかは必要がないという御意見、これは現在各社が持つておる能力からその通りのように思われるのであります。そこで問題になりますのは、それだけの造船能力があるのにかかわらず、需要がどれだけあるかということになつて来ようかと思います。二十七年度における需要の実情はどういうふうになつておるかということを一応お聞かせ願いたい。
#44
○甘利政府委員 運輸省としましては、二十七年度の造船計画としては、二十七、八、九、この三箇年の造船計画の一環として、遠洋の貨物船を二十五万トンないし三十万トン、それから油槽船を五万トンないし十万トン、こういうようにいたしておりますが、見返り資金の関係で本年度百四十億もらつたのでありますが、そのうち従来の継続費その他に差引きますと、八十九億しかありません。従つてこれによつて大体貨物船を約十八万トン、それから全部自己資金による油槽船を五万トンくらい、それから外資と内資の協調融資の油槽船を約五万トン、こういうものをつくりたい、こういうふうに考えております。従つて二十八年度も二十九年度も、大体貨物船を二十五万トンないし三十万トン、それから油槽船を五万トンないし十万トン、こういう計画で進んでおります。
#45
○石野委員 資料によつても大体そういうことがわかるのでございますが、それにもかかわらず貨物船が大体わが国の持つておる保有能力と比較しますと、やはりオーダーが非常に下まわつておるように見えるのでございます。このことは結局造船業界におけるところのいろいろな問題を残して来るであろうと思うのであります。ことに第六次船におけるところの業界が受けておる打撃というものを考えますると、それを堅実な面にまでもどすのには、なかなか容易なことじやないように思います。そのためにこの法律のねらいとはまた別個でございますけれども、運輸行政上から来る一つの方策がここで当然考えられなくてはならないんじやないか、一方でこういう法律を出す以上、当然そのことを考えなければならぬと思いますので、そのことについて今どういうふうに思つておられるか、これは政府当局及びこの法を提案する側に立つておる自由党の皆さんの考え方は、どういうふうであるかということもひとつお聞かせ願いたい。
#46
○甘利政府委員 先ほど申しましたように、われわれの海運の規模から申しますと、三、四十万トンの船をつくらなければならぬ。ところがまた一方、これのもとになります建造資金の面は、どうしても海運界の現状から見て自己資金だけでは調達できない。従つて何らかの財政資金を必要とします。これが国の財政上そう十分に出せないということになりますので、われわれとしましては今後この造船資金の捻出方法について、たとえば開発銀行を利用するとか、あるいは長期信用銀行を利用するとか、あるいはまたそれらで資金はできましても、利子の面で非常に高いものですから、諸外国に対して非常に不利だという点から利子の補給をする、そういうものを目下われわれといたしましても考えておりますので、これらを早急に実現いたしまして造船資金の確保をはかり、われわれの必要とする造船量を確保したい、こういうふうに考えております。
#47
○坪内委員 石野委員よりかなり大きな問題につきまして御質問がございましたが、これは先ほど船舶局長からもお話がございましたし、またこの問題につきましては、むしろ適当な機会に運輸大臣からその政答をお聞きくださることもいいんじやないか、かように考えております。何しろ先ほど局長からお話がございました通り、わが国の建造能力が大体五十八万総トン数くらいある。しかしそれに伴うところの建造資金その他がなかなか意のごとくならないので、私どもももつともつとこの保護政策を強力に遂行いたしまして、わが国の造船業界の現状をさらに飛躍させたいというような気持はありますけれども、先ほど申し上げましたわが国造船業界のいろいろな能力やあるいは資金の関係、あるいは資材の関係、そういつた面も考慮いたしまして、これはなお研究に研究を加えて、そうして強力な政策を断行しなければ、これがすぐ飛躍して行くということはないと思うのでございまして、現在の段階におきましては、そういつた財源の面とか、あるいは製造能力とか、あるいは資材の関係とか、あるいは国際的な海運業界の貨物あるいは荷物の輸送状況とか、そういう面も愼重に考慮して、これは徐々に計画を立てて行かなければならぬ問題じやないか、かように考えておる次第でございます。
#48
○石野委員 結局現状等いろいろお聞きした後にこの法律案を考えてみますと、この法律の改正に伴う業界における混乱を防ぐということと、そのうらはらの形で業界における五百総トン以上の許可を得た業者に対しての保護政策の強力な推進が予定されるように思うのでございます。このことの見方についての善悪は別といたしまして、もしそのような保護政策が行われるようになりましたときには、もちろん直接保護と間接保護とのいろいろな問題が出て来るわけでございまするが、特に監督官庁といたしましての運輸省の立場からいたしまして、保護政策の最も大きい順序といいますか、その手段方法といいますか、そういうような保護政策のあり方について、どういう構想を持つておるのでございましようか、それをひとつ聞かしていただきたい。
#49
○甘利政府委員 外航船につきましては、先ほど申し上げましたように長期の、しかも利率の低い資金の確保を第一に考えております。それから比較的小さな、近海をまわるような船については、これも目下考慮中でありますが、これについては現在近海の船腹量が比較的バランスしておるというか、むしろ過剰のような気味にありますので、早急に講ずる必要はないかとも思いますが、しかし早晩外航船腹の拡充に伴つて内航船も活発になつて参りますので、そのあかつきにおきましては、これらに対しても何らか長期の低利資金なり、あるいはいろいろな研究資金なりを出して、保護育成をはかりたいと思います。あるいはまたそういう事情が生じなくても、これら近海をまわつておる船は相当古い船が多いものですから、これらの船を年々逐次に代替して行かなければ将来非常に困ることが考えられますので、両方の面から考えまして、いずれに対しても低利、しかも長期の資金のあつせんをするような措置をとりたい、こういうふうに考えております。
#50
○石野委員 それだけでございますか保護政策の考え方というものは……。
#51
○甘利政府委員 いろいろ技術の向上に対する補助金とか、あるいは経営の合理化に対するいろいろな指導とか、そういうものもありましようが、今造船界として一番困つておりますのは、資金問題が一番大きいのでありますから、そういう点に重点を置いております。
#52
○石野委員 あと一つだけお聞きしておきますが、そういう保護政策がとられる場合の対象企業と、この許可制との関連性をどういうふうに考えるか、それの構想をひとつ聞かしていただきたい。
#53
○甘利政府委員 許可制とその保護政策との関係でありますが、先ほど申しましたように現在の状況におきましては、外航船腹に対する造船施設、五百トン以上の大きな船に関する施設に対して、外資の不当な流入を防ぐ意味で許可制をとりますが、本来ならば先ほど申しました積極的な資金的保護政策をとるのが最も適当な方法でありますので、現在の段階と将来の段階の二つにわけて、それをとりたい、こういうふうに考えております。従つてこの造船法の一部改正によりますものは、急に迫つておりますところの外資の不当の流入を、外航船をつくるような造船所の施設に対して防ぐというような意味にありまして、長期資金の方は海運の将来の全般の問題としてこういう政策をとりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#54
○石野委員 私はこれは非常にとらわれた形かどうか知りませんが、この法律案が施行されて、将来保護政策との関連性における問題は、おのずからやはり企業の集中的独占の傾向を助長する一つの法案の基礎になるであろう、こういうふうに私は予想するのです。そういうような形に追い込まれては、どうもやはり中小の企業が非常に困ると思う。それに対する何らかの救急策がなければ困るのじやないかというふうに私は思います。そういう点に対する危惧の念がないような処置を、立法者が何かの点で考えておるのかいないのかということを、もう一ぺん坪内委員にお聞かせ願いたいと思います。
#55
○坪内委員 お話、私もまつたく同感でございまして、この法律案にいたしましても、五百トン以上を対象にする場合、さらにまた五百トン以下の場合の造船関係につきましても、両々相まつてこれが育成をはかるということはお話の通りごもつともでございます。私どももその点は考えておるのでございますけれども、独立後の現在、わが国が置かれている客観的な諸情勢からいたしますと、さしあたりこの造船法の一部を改正して、この立法趣旨にもございますような方策をとることが必要であるというようなことを考えまして、この法律をまず私どもは提案した次第でございます。将来におきましてただいま石野委員のおつしやるような点につきましては、先ほど来局長もお話になりましたが、そういつた中小企業的な造船所につきましても、何らかの方法を講じて育成して行かなければならぬということは当然でございまして、この点につきましては、造船資金の面が関連して参りますので、国家財源ともにらみ合せて、何らかの方法を講じなくてはならぬ、こういうふうに考えております。将来はそういう面も具体化して行くことになろうと思うのでございます。そういう構想を持つておりますが、今すぐに具体的な立法化の考えは現在のところないのであります。将来その点について十分考慮を払わなければならぬということは考えておる次第でございます。
#56
○石野委員 この法律を規定するときに、説明者は、この改正法律は国民産業としてわが国産業の自立化に致命的な関係を有する造船業について、法制をもつてその調和的な経営と、健全な発達を確保しようとするものである、こういうふうに言つておるわけであります。そこで調和的な経営と、健全な発達を確保しようということのために、いろいろな保護をしなくてはいけない。従つて外資の導入からの保護も、この法律の一つの目的になつておる。それからまた、将来長期低利の資金を確保するための方途も考えたい、こういうことを当局は言つております。最近における日本の造船業界が受けておる問題には、資金の問題が一つあると同時に、他面には、たとえば厚板等の材料の面から来る制約が非常に大きいように思います。ことにこの問題は、日本の今後の国民経済の上から行きまして、決定的な問題になつて来るのじやなかろうかとさえ思います。そういう問題に対して、この法律はそこまで触れていないのでありますけれども、立案者または当局の皆さんは、材料の問題等についてどういう考え方を持つておるのか、見通しをひとつはつきりしていただきたいと思います。
#57
○甘利政府委員 先ほどおつしやいましたのは、おそらく今問題になつておりますリムド鋼とキルド鋼のお話だと思います。従来各国とも船を建造する場合に鋲をもつて接合しておりましたが、戰時中アメリカが特に鋲打を溶接にかえましたために、非常に鋼材の節約になつたというような点が有利であります。しかし一方溶接を使いますと今までのリムド鋼では溶接のためにいろいろな欠陷が起つて来る。やはりこれはキルド鋼でなくてはならぬというような結論になりました。それでは日本でキルド鋼はできないかと申しますと、十分できるのでありまして、施設の問題ではなくて、むしろ製鋼する場合の方法の問題でありまして、現在も十分つくつております。ただコストその他の面においてリムド鋼の方が高く製鋼時間がよけいかかるというふうな不利な点はありますが、決してできないわけではありません。もうある程度そういう方面の生産に進んでおります。しかもこれらのものは一インチ以上の大きな厚板のものですが、そういうものは量も船として少いのであります。従つて現在の段階におきましてはわれわれの計画する建造にさしつかえることは決してありません。間に合つているから御心配いらないと考えております。
#58
○岡村委員長 江崎君。
#59
○江崎(一)委員 材料の船価に及ぼす影響について説明があつたのですが、日本の貿易態勢に非常に大きな関係があると思います。アメリカから高い石炭と鉄鉱石を輸入しているというようなことでは、日本の鉄鋼界はいつまでたつても国際水準に達しないと思う。国際水準に達するためには、どうしてももつと安い材料を中共あるいはソビエトから買う必要があると思う。これについて政府はもつと真剣に考えるべきだと思うのですが、こういう点についてどう考えておられますか。
#60
○甘利政府委員 それは通産省の鉄鋼局長にお聞きください。私の所管外でありますので、またほかの方から御答弁願いたいと思います。
#61
○江崎(一)委員 この問題は大臣がお見えになつたときに、国の政策としてお伺いすることにしましよう。
 ではこの法案につきまして、大体石野君が要を盡されたと思いますが、二三お伺い申し上げたいと思います。今まで一年間に五百総トン以下の船と以上の船とは、どれくらいの比率で建造されておりますか。これはトン数によつてお知らせ願いたい。
#62
○甘利政府委員 今ここで詳細の数字は覚えておりませんが、五百トン以上の占める比率は、トン数にしまして大体九十四、五パーセント以上だと思います。五百トン以下のものはごくわずかだ、こういうように考えておりますが、後ほど資料を整えまして御返答申し上げます。
#63
○江崎(一)委員 この法案は、造船事業に対する保護法案であるというふれ込みであります。しかし直接予算措置をやるでもなし、ただ届出制を許可制にするということ、あるいはまたこれによつて外資のべらぼうな導入を防ごう、こういうところに焦点があるようでありますけれども、どうもこれでは日本の造船業界の見通しがすつかり明るくなるというようにはならぬと思うのです。日本の造船業がほんとうに困つておるのは何かというと、むしろ建造総トン数が非常に少い、ここに問題があると思う。この根本問題を解決せずして、制度をいじつただけでは、日本の造船業界が今後発展の緒につくということはとうてい考えられぬと思うのです。この点をもう少しはつきりさしてもらいたい。先ほどから御両人より長い間かかつてとくと御説明があつたのですけれども、どうも納得できません。
#64
○甘利政府委員 先ほど申しましたように、わが国の必要とする船腹量を確保するためには、相当数の造船をしなければならぬのでありますが、しかし財政資金その他市中金融から制限されて、不本意ながらわずかのトン数しか建造しておらないのであります。従つて造船所としては操業度が非常に低くなつているわけでありまして、これらの点からしますと、積極的に造船資金を増して、操業度を高くするということが一番よい方法でありますが、しかしこれもいろいろな点からそう簡單にも参りませんので、われわれ努力はいたしますが、そう簡單に参りませんので、そういう点において造船施設にいたずらに金をかけてふやすということは、その操業度をさらに低くするもとでありますので、そういう面におきまして、さしあたりできる施設に対する資金の調和のとれない導入を防ぎたい、こういう意味であります。
#65
○江崎(一)委員 ただいまの御説明によりますと、資金のまわりが悪いから操業度が低くなつてもうからぬのだ、こういうように承るのだが、これはちよつと逆だと思う。注文数量が少いために、従つて資金がまわつて来ない、これがほんとうじやないか。そこで日本の造船業界を発展させるためには、もつと建造総トン数を飛躍的に上げるという方法が唯一の方法で、これ以外にないと思う。しかも国内の需要といえば、これも大体そう大してふえない。どうしてもこれは国外の注文をとる以外にないと思うのです。しかし非常に私ふしぎに思うことは、造船界が非常に苦境にあるにもかかわらず、アメリカのバトル法によつてさえ制限されていないのに、ソビエトや中共あたりからの船の修繕を何とかかんとかりくつをつけて断つておるのです。これは一体どういうわけだろうか。日本の造船界をもつと活発に発展させたい、そういつた意図を持つている人が、こういうような処置をとることはわからぬですがね。一体どうなんでしよう。その点を勇気を出して説明してもらいたい。
#66
○甘利政府委員 今お話の点で、注文が少いから操業度が少いとおつしやいますが、なるほど注文が少いからだと思います。しかし注文は、船主は御承知のように保有トン数を全部今次の戰争でなくし、その補償を打切られており、何らの資金がない。従つてあるいは何らかの財政資金を出してやらなければ、船の注文ができない。その資金をたくさん出せることを非常にわれわれも歓迎します。またけつこうな御趣旨でございます。その点は私も同感でありますが、ただ最後にお話がありました困つておりながら外国の修繕船をとつていないというお話でありますが、われわれはそういうことは聞いておりません。造船所もできるだけ外国船の注文をとり、また外国船の修理を引受けるように努力いたしておりますので、これは何かお話が違うのではないかと考えております。
#67
○江崎(一)委員 うまいこと言葉の上ではお逃げになるのだが、われわれ業者から直接聞くのです。そうしますと、通産省あたりでは、それはおやりなさい。バトル法にちつともひつかかりません、それはなかなかいい收入になるから、日本の国としても異存はないはずだからおやりなさい、こういうように聞いて勇気百倍、いろいろな手続をして、さてこれが実行の面になるとどういうことになるかというと、一体どうしてその修理船の見積りをするんだこういうような質問があるんだそうです。それはソビエトに対しては旅券を出さないから、見もしないものの見積りができるか、こう言うのだそうです。それからまたひどいのになると、その修理船を日本の港に入れると、ソビエトの船員たちが上陸すると、これは共産主義の宣伝をするからあぶないから困るのだ、こういうようなことを言つて、どたんばの実際の問題になると拒否するそうです。これは実に言語道断だと言つておりますが、そういうことをあなたおつしやつたでしよう。違いますか。どうなんです。ここでそういうことははつきり白状しなければだめだ。
#68
○甘利政府委員 今のお話はまつたく逆でありまして、われわれは先ほどおつしやつたように、造船所が非常に能力を持ち、しかも技術を持つておりながら、修繕船もないし、新造船もないので困つておりますから、そういう人には十分これをやらせる意思はあるのでありますが、ただ通産省の許可があるにかかわらず、うちが許可しないということはむしろ逆でありまして、通産省はポンド過剰、ドルの不足という点について、あるいは許可しない場合もあるかもしれませんが、うちとしてそれを許可しないということは絶対にありません。今後そういう話が具体的にありましたら、ひとつおつしやつていただければけつこうだと思います。私たちとしてはそういうことはとつておりません。
#69
○江崎(一)委員 それでは最近船舶局長を筆頭に出てもらつて、業者の方から直接話を聞こうという会をやりたいと思いますから、ぜひそういうときに出ていただきたいと思いますが、御承諾願えますかどうですか。
#70
○甘利政府委員 承知しました。
#71
○石野委員 ただいまの問題は、江崎君が別に共産党だからどうというのではなくて、ほかにもそういう問題があるのです。この問題はおそらく、通産省と運輸省の問題でなくして、外務省の問題になつて来るというようにわれわれは聞いておるのであります。従つてこういうような問題は、日本の産業のために非常に重大なことでありますので、主管省としての運輸省あたりが、外務省あたりに対してやはり相当に強い意見を出してもらわなくてはならない問題だろうと思うのであります。そういう意味でも、これは近いうちに運輸委員会とそういう業者との懇談会でもやつて、もう少し実情をお聞きいただくように、これは委員長にお願いしておきたいと思います。
#72
○山崎(岩)委員 先ほどからのだんだんの政府当局並びに提案者である坪内代議士からの御説明を承つたのでございますが、造船関係についての政府の方針というものは、何としてもこれは基礎産業として取上げて行かなければならぬ問題として――日本を自立経済に持つて行くべきところの基礎産業は一体いかなるものであるか、一つには電力だ、二つには石炭だ、三つには造船だ、四つには鉄鋼だ、この四つのものを現政府は基礎産業として取上げて、それを旗がしらとして、ただいま自立経済に持つて行こうとしておる。その際、先ほどの甘利政府委員からの御説明を承りましても、どうも造船の保護育成をやつて行きたいのであるけれども、しかしながら資金の面において当惑せざるを得ない立場にある、こういう話なんである。私どもとしてはこれは非常に意外なんです。すでに政府として開発銀行に連絡をつけ、あるいは政府資金を貸し付けるというような処置をとつて、自立経済の大根幹であるべきこの造船の仕事にはもはやすでに手を打つておかなければならぬはずだ、その道がいまだに具体化していないということは、まことに遺憾だ。その通りなのかどうか、その点もう一度政府委員から承りたい。
#73
○甘利政府委員 今おつしやいました資金の面について、ただいまのところは見返り資金を使つておりますが、今後はこれを開発銀行の資金を使うように措置をとりつつありますし、あるいはその他の建設資金のみならず、いろいろな技術向上のための研究に対する施設、そういうものは開発資金を使つてやつております。いずれにせよ、これらの資金を全部かき集めましても、まだわれわれの希望する造船量を維持するだけの額に達しないのでありまして、毎年われわれの希望するよりも幾分低目になつておりますので、そういう点についてはわれわれはもつと資金を獲得して、この操業度を高め、造船の保護育成をはかりたい、こういうふうに考えております。
#74
○山崎(岩)委員 そこで造船の保護育成に関しまして本案を提案いたしました理由につきましては、先ほどから提案者から御懇篤なる御説明を受けたのでありますが、外資導入こいう点は、これは吉田内閣の実は旗がしらだ。これがなければ吉田内閣の性格というものは破綻するわけだ。それに対して――坪内委員は自由党の党員である。与党として、この外資導入に対してどういう立場から反対せざるを得ないのかその点を伺つておきたい。
#75
○坪内委員 ただいま山崎委員からお話がございました通りわが党の政策といたしましても、あるいは現在の吉田内閣におきましても、わが国の経済の自立、あるいはわが国の経済的な復興という面から、どうしても外資を百%導入しなくてはならぬということは、るる主張されておることでございますし、さらにまたわが党の党の政策としても、そういつた面をうたつておることは御承知の通りでございます。私どもはその外資導入がされることについては、双手を上げて賛成するものであります。そこでその外資を導入するということは、賢明なる山崎委員に申し上げるまでもないことでございますけれども、外資を導入して、わが国の経済の確立をはかろう、そうしてわが国の再建をはかろうというのがねらいでございますので、その外資導入によつてわが国の経済界が混乱に陷るというようなことになれば、私は外資はお断りしなくてはならない。従つてそういつた外資の導入によつて、少くともこういつた造船業界が混乱に陷れられ、さらにまたこれに関連する関連産業も非常にいろいろな面において支障を来すような事態が惹起いたすということであれば、その外資導入は相当いろいろな点で調整を加える必要があるのじやないか、こういう観点からその外資導入につきましては、反対をするのじやないけれども、わが国の経済界の安定をはかるために多少の制限あるいは調整を加えるべきは、当然必要な措置ではなかろうか、かように考えております。
#76
○關谷委員 私も提案者の一人でありまするので、今の件につきまして山崎委員の御質問に対しまして、坪内委員の答弁でちよつと山崎委員御不満であろうと思いますので、補足をいたしておきますが、外資の導入もとより望むところでありますので、外資の導入を決してこの法律は阻止するものではないのでありまして、外資の導入あるいは技術の導入につきましては、決して阻止はしないのでありまして、その導入する外資の、何と申しますか形なのであります。資本といたしまして、これが投資として来る場合と融資として来る場合とのあらきがあるのでありまして、これは投資として来る場合には、五〇%以上の投資が参りますると、国外の勢力によつて自由にやられる、こういうことになつて参たりますので融資といたしまして入つて参りまする場合には、造船業界は無制限にこれは歓迎をするものでありますが、投資として参ります場合には、その産業が外国資本によつて握られる。さらにまた許可制というようなことになりませんことには、一つの造船所というものを拡充をいたしまして、他の造船所への発注等をすべてこれに吸収するということになりますると、他の造船所が倒れるというようなことで、これは提案いたしておりまするので、決して外資の導入を阻止するものでないということだけを補足いたしておきます。
#77
○山崎(岩)委員 そこでだんだんの御説明を承つたのでありますが、私はまだ業界を混乱に陷れる程度に外資の導入ということが実現していないと思うのです。と申しまするのは、実は私は大湊に長い間町長をやつておつて、実情をよく知つているのですが、あそこにりつぱな乾ドックがある。ただいまの値段にするならば、おそらく数百億万円もかけたくらいの大きなものなのです。一万トン級の巡洋艦をこしらえるだけの乾ドック、これに手をつけるものは一人もない。函館ドックですらも、一時はあの工場を使つたことがあるけれども、現在においては手をあげている。何だといえば仕事がないからです。何のために今ここで、この場合において外資の導入を、そうして壁を設けなければならぬか、ふしぎにたえない。ああいうものを使つてやつてみ、やつてみたけれども、どうも業界に混乱を生せしめると、そういうのであれば、私は坪内委員や關谷委員の御説明に対して満足する。しかしながらああいうものに手をそめることはできない。日本において旧軍部があつた場合にああいう建設をしましたものが、どのくらいの一体現在の価格に見積られるかわかりませんが、私の見当ならば五、六千億に該当する分は眠つている。それだけのものが眠つているのにそれを利用することができないのは、何だといえば、キヤピタルが不足だからだ。しかるにそのキヤピタルを受けることをどうして阻止しなければならぬのか。これはふしぎでならないのでありますが、その点御説明ができたらひとつ承りたい。
#78
○坪内委員 お話の点よくわかるのでありますが、外資が導入されて、しかる後にこの法律の提案でもいいのじやないかというお話もございましたが、その点につきましては、私が申すまでもなく、そういつた国際的な資本のいろいろな動きというものが、現在においてもある程度察知されますので、事態がそこまで至つてから法律ということになりますると、申すまでもなく間に合いませんので、さしあたりそういうことを予想してこの法律案を出した次第であることは、十分御了承いただくことと思うわけであります。そこで今お話のような点につきまして、外国人というものは特に、日本人よりも申すまでもなく非常にそろばん高い。はたしてその造船所を運営して、採算がとれるかというような点も十分考えるでしようし、そういう点からいたしまして、ただちにそういつた造船所があるから、ただちにそこに外資あるいは資本が投入あるいは投資されるということは、いろいろの点から研究されるのじやないか、かように考えております。しかしながら現在の段階におきましては、山崎委員からお話がございましたけれども、諸外国のいわゆる国際的な資本というものが、わが国の特殊な造船所には投資されまして、それを運営しようというような、ややそういつた動きもあるかのように見受けられますので、その前にこういつた立法措置をしておいて、そうしてそういつた実際の面に立ち至つたときに、この法律とにらみ合せて検討して行きたいというのが、このねらいじやないか、かように考えております。
#79
○山崎(岩)委員 承りましたが、結局するにこの法案のねらいとするところは、届出制というものを許可制に改めたということ、そうしてその裏づけとなるものは保護育成ということなのですから、この法律案に対しては私ども決して不賛成を唱えるものではないけれども、多年日本でもつて国帯を傾けて、そうして新設したものが眠つている。その眠つているものをこの際利用して行かなければならぬ。それは国民として当然考えて行かなくちやならぬ。そして私はこの機会に海上保安庁の長官と大蔵省から牧野説明員がお見えになつておりまするので、この際承りたいと思います。大湊の海運の施設とうものは、これはもう莫大なものでありまして、金額に見積りましたならば天文学的な数字になるのでありましよう。そのくらいたくさんの金をかけて、しかもその施設というものはみな眠つておる。今度幸いにしまして海上保安庁におきましては、警備隊の基地にあそこを指定してくださるということになつておりまするので、これは私どもとしましては、眠れる設備を利用していただくのでありますので、まことに欣快にたえない。ところが海上保安庁の基地になることのためには、何としてもやはり私は骨格ができ上つても、その内部に臓物を、胃の腑をつけてもらわなければならぬと思う。ところがその胃の脇になるものは何だというならば、旧海軍当時において施設しましたところの工場なのです。その工場には、今でもりつぱな機械が眠つているわけなのです。その機械というものは、今日まではこれは賠償物件に指定されておりましたから、あらゆる手をかけましてりつぱにみがきをかけております。今すぐにでも使えるような道が講ぜられておるようなわけなのであります。ところがそれがごく最近の私どもの情報によりますると、大蔵当局においては全部これを分散して売り払つてしまおうという計画を立てておる。業者がうの目たかの目でそれを手に入れようとして、ただいま努力しているわけなのであります。基地となつて、そこに警備艦が配属される、そうするとその警備艦に対する修理というものは、当然行われて行かなければならぬ次第のものなのです。しかるにその警備艦を修理すべきものが分散されてしまうということになれば、これはゆゆしき問題でありまして、何としてもこれは今のうちに手を打つておく必要がありはせぬかと思うのであります。先ほど私は造船界の問題について外資導入を御質問しましたところが提案者である坪内代議士は、まことに上手に逃げを打つておる。外人というものはまことに利にさといものだ、そろばんずくである、従つてあそこのドツクを生かすということが、はたしてそろばんに合うか合わないかということを計算を立てて考えておるから、なかなかその利用ができないのじやないかという逃げの手を打つておる。まことに上手な私は逃げ口上だとも思う。まことにその通りだとぼくも考える。そこでああいうものはやはり国家的機関で、それを利用して行かなければならぬものだと思う。国家的機関として利用しなければならぬ現段階においてこれは政府同士の間の話合いがうまくつかないことのために、二度と再び手に入れることのできないようなものが分散される、まことにこれは私は残念この上もないのであります。そこでこの機会において、私はこういうりつぱな施設を政府が使つて行くことのためには、どうせ海上保安庁も政府、また大蔵省も政府なのだから、政府同士の間において話合いがりつぱにつくものだとぼくは考える。ところがその政府における連絡というものが欠けておつて、しかも将来日本の国民に莫大なる負担をさせるという結果になりまするので、この点について当局は、海上保安庁並びに大蔵省はどのようにお考えになつておりまするか、承りたいと思うのでございます。
#80
○柳澤(米)政府委員 大湊におきまする旧海軍の施設でありまするが、今回海上保安庁におきまして警備隊を設置いたしました。この警備隊はでき得れば近い機会に大湊の施設を利用する。先回も申しました通り、なるべく商港あるいは漁港というものをじやましないところに基地を持つて行く、同時に新設するには費用がかかりますので、新設をせずに既成の建物及び接岸施設を利用したい、かように考えて参つておるわけであります。大湊等もその有数なる候補地の一つとしてあがつて来ておるわけであります。なおこれらの警備隊が、現在大湊におきますところの工廠を利用したらどうかというお話でありますが、御承知の通り海上保安庁の警備隊というものの能力、規模等を考えますとき、これが工廠を利用するだけの大きさ及びそれに伴う規模とを持つておらない。海上保安庁といたしましては、現在のところこの工廠をただちに利用する意図を持つておりません。しかしながらこの工廠の利用価値というものを考えますとき、お説の通りに将来に対しまして、何らかの利用ができるのではないかと考える次第であります。従つてこの点につきましては、現在大蔵当局その他関係当局と相談をいたしまして、これが処置について善処したいと考えておる次第であります。
 なおこの工廠の実際の問題が、どういうふうになつておるかという問題につきましては、ここに大蔵省から見えられておりますので、私の方といたしましては、将来お説のようなむだの起きないような処置は講じたいというふうに考えておる次第だけ申し上げまして、詳細につきましては、大蔵省の方から御説明があると思います。
#81
○牧野説明員 ただいま保安庁長官からおつしやられた通り、海上保安庁としては大湊のただいまお話の出ました元海軍工作部と称するところでございますが、そこまでも利用しようというところまでは、にわかに予算その他の関係で行きかねると思つております。それでこれはつい先日平和条約発効と同時に、われわれは今までの賠償指定というものが解除されたというふうに考えて、さように取扱つておりますが日本政府が独自に処分し得ることに、ごく最近やつとなつたばかりでございますが、ただいま申し上げました通り海上保安庁としては、当座御利用になる計画はないように承つております。それでわれわれの方といたしましてはそのほかの今度賠償がはずれましたいろいろな物件を全部網羅いたしましてこれを大体そのまままとめて、造船所なら造船所として一体として転用するのがいいものはどれとどれとどれであるか、あるいはまた、その範囲はどの程度でおるかということ、それからもうすでにさんざいじられてしまいまして、ばらばらにほぐすよりしかたがないというものもございますので、一体として転用するものと、それからばらばらにほぐしていいものと、この両方に仕わけをしたいということで、その作業から始めようというふうに考えておりまして、今運輸省並びに通産省、経済安定本部その他の方々にお集まりを願いまして、今その仕わけからとりかかつております。それでまだ大湊をどうするかということの結論が出ておりませんけれども、大蔵省として歳入さえ上れば、ばらしてしまつてもいいというような、目先も見えない処分の仕方をしないようにいたしたい。十分に運輸省あるいは経済安定本部その他とも御連絡の上、処理の方針をきめて行きたい。大湊についてもそういうふうにやつて行きたいというふうに思つております。
#82
○山崎(岩)委員 ただいま当局からまことに御懇篤なるところの御説明を承りまして、地方民といたしましてはまことに感謝にたえない次第なのでございます。昨日も実は運輸大臣にこの点につきましてお話申し上げましたところが、運輸大臣といたしましても、将来の日本の立つて行かなければならぬ見通しという点から考えまして、この旧海軍工廠をいかにして利用するかということについては、いろいろ考えておる。そこで大蔵大臣にもその点についてはお耳に入れておるような次第であるから、近くまた当局の方々とよく打合せをしたいというお話でございました。大臣もそのようにお考えになつておるのでございまするが、所管の長官である柳澤長官並びに大蔵省の管財局の当局が、ただいまのようなお話でございますので、ぜひこれはひとつそのようにしてお考えをまとめていただかなければならない。ところが末端の大湊の地方におきますところの管財の役人の方々になりますと、何でもかんでもこれは換金してしまわなければならぬ。財政難といつたような立場もありますので、一つの財務局に対しては、お前のところで一体今年は何億万円の処分をしろ、大湊に対しては五億なら五億という割当がある。そこで何としてもこれは急いでやらなければわれわれの面子が立たぬといつたようなやり方でもつて、売急ぎをしておるような傾向が見えるのであります。そうなつて参りますと、先ほど長官がお話になりました通り、せつかく基地に使いましても、それは船のことでありますから、当然修理というものが伴つて来るのであります。ただいま上程されておりまする造船といつたような大きな仕事でなくても、りつぱに修理ということが伴つて来る仕事なのであります。修理のないところであれば、基地にいたしましてもその効果というものは半減するのであります。それがかりに横須賀であるとか、呉であるとか佐世保であるとかいつたような大都市でありますと、地方のどの工場を持つて行つても間に合うわけであります。ところが大湊というところは辺陬の土地であつて、おそらく海軍の基地であるがゆえに持つて行くところなのであります。これが海軍といつたようなものでなかつたら、今まで利用されて来るわけのものではないのであります。それが国家的の大きな機関であつたがために、今日まで残されて来たということにもなるわけでございますが、どうかそういう点をひとつ御勘案くださいまして、一体工作部というものの機関がなくなれば、これはもうよそへ持つて行くということになればどこへ持つて行くか、おそらくは函館へ持つて行つて修理するより方法がない。そうすると莫大な費用をかけなければならぬ。基地にいたしましても修理がそこでできないということになつたらたいへんだから、そうなつて来ると、何を犠牲にしても工作部を置かなければならぬ。また造機工場を設けておかなければならぬ。ところがその際においてはもう機械というものはない、たいへんな値上りになつて来るということになれば、かけなくてもよい国の費用をかけて行くということになりますので私は見通しとしてはまことに下手なやり方であろうと、かように考えるのでございます。
 そこで長官のお説のように、現段階としてこれを使うという見込みがなくても、ここ一年、二年の後において、どうしてもこれは修理して行かなければならぬことになると思うのでございます。かりに警備隊においても、海上保安庁においても、難破したところの船をひつぱつて来る。その難破した船を基地へひつぱつて来て、そうしてそれを修理して独航させまして、元の港へ帰してやるということにいたしましても、基地のそういうりつぱな施設がおるということとないということではたいへんな開きがあるかと考えますので、どうかこの点ひとつ牧野説明員におかれましては、局長さん、大臣、次官等ともよく御相談くださいまして、それからまた柳澤長官の方ともよく御連絡くださいまして、そつのないような御計画のもとに、何とぞこの工場を全面的に生かすような緊急の処置を賜わるようお願いを申し上げたい。この点についてひとつそのお覚悟を漏らしていただければ、まことに好都合だと思います。
#83
○牧野説明員 ただいまの御趣旨の通り、われわれの方としては慎重に処理をいたしたいというふうに思つております。
#84
○山崎(岩)委員 よろしくお願いを申し上げます。長官ありがとうございました。
#85
○岡村委員長 本件の残余の質疑は次会に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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