くにさくロゴ
1951/06/06 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 運輸委員会 第40号
姉妹サイト
 
1951/06/06 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 運輸委員会 第40号

#1
第013回国会 運輸委員会 第40号
昭和二十七年六月六日(金曜日)
    午後一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 岡村利右衞門君
   理事 滿尾 君亮君 理事 山崎 岩男君
   理事 淺沼稻次郎君
      大澤嘉平治君    岡田 五郎君
      尾崎 末吉君    片岡伊三郎君
      黒澤富次郎君    關谷 勝利君
      玉置 信一君    坪内 八郎君
      石野 久男君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (通商雑貨局
        長)      徳永 久次君
        運輸事務官
        (自動車局長) 中村  豊君
        運輸事務官
        (自動車局整備
        部長)     中村 俊夫君
 委員外の出席者
        参議院議員   植竹 春彦君
        参議院法制局参
        事
        (第三部第二課
        長)      杉山惠一郎君
        通商産業事務官
        (通商機械局車
        両部長)    吉岡千代三君
        運輸事務官
        (大臣官房文書
        課長)     谷  伍平君
        専  門  員 岩村  勝君
        専  門  員 堤  正威君
六月六日
 委員黒澤富次郎君辞任につき、その補欠として
 中山マサ君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員中山マサ君辞任につき、その補欠として黒
 澤富次郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月六日
 道路交通事業抵当法案(参議院提出、参法第四
 号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 道路交通事業抵当法案(参議院提出、参法第四
 号)
    ―――――――――――――
#2
○岡村委員長 これより会議を開きます。
 道路交道事業抵当法案を議題といたし、質疑を続けます。大澤嘉平治君。
#3
○大澤委員 それでは道路交通事業抵当法案につきまして一言お伺いをいたします。戰争中に自動車財団法が実施されておりまして、当時その自動車財団法による金融の措置といいますか、あるいはこの自動車財団法による金融の実際の面がどのくらい活用されておつたか、その点をお伺いをいたします。
#4
○植竹参議院議員 今までは、昭和二十三年の一月一日に廃止になりまするまでは、自動車交道事業法がございまして、その法律の当時、昭和九年にはその法律によつて三十一件財団が設定されて金融が行われておつたのでありますが、その後だんだん件数が少くなりまして、自動車運送事業が非常に不振に陥りました。あの終戰前後にはほとんどこの法律によりまして金融を受ける業者が二、三件というふうなありさまになりまして、まつたく旧法によりまする金融の利用者が非常に少くなりました。ところがその後、終戰後今日までの間にだんだん体両や何かが新しく更新され、そうしてまた交通需要も非常に増大いたして参りましたので、これに応じまして、自動車業者といたしましても多額の新しい資金が必要となりましたので、それに対応いたしまして、金融措置が行われておりまして、ただいま御質問のございました金融措置というものは、たとえば勧業銀行との間に昭和二十三年の十二月までに約八億円の融資が行われました。一方におきまして、昭和二十一年十月には復興金融金庫法によりまして融資の措置が講ぜられましたので、右申し上げました勧銀の融資によりまする新車以外の設備資金、主として車両の再生、修理費の資金需要の増大にかんがみまして、昭和二十三年第三・四半期以降、昭和二十三年十二月までには約三億六千万円の融資があつたのでありますが、越えまして昭和二十四年の一月の経済九原則の暫定措置による財政資金からの産業融資のとりやめは、復金の融資もまた不可能にならしめたために、市中金融機関の貸出し制限は再び急激に梗塞をいたして参りまして、前年の昭和二十三年十二月には一時中断されました勧銀融資に対して、八月にさらに車両月賦購入資金の融資を折衝して、手形割引による購入資金の円滑化を実現し、さらに損害保険会社運用資金による車両購入資金の融通をはかるようにいたして参りました。その後対日援助見返り資金あるいは市中銀行の融資対象となり得ない軽車両、運送事業用自動車の整備事業につきましては、協同組合組織体を主体として、日本銀行あつせんによります商工組合中央金庫並びに市中銀行から融資をはかるようにして参つたのでありますが、さらに資金梗塞に対し、中小企業の信用力、担保力を補強し、企業合理化に必要な長期資金の融通を円滑ならしめ、中小企業の振興をはかる目的で、昭和二十五年の十二月には中小企業信用保險法が施行されましたので、翌二十六年一月管下陸運局長に右の趣旨を周知徹底させて金融の円滑化をはかつて参りまして、運輸省当局においても非常な熱意を持つて業者と銀行とのあせんをはかつて来られましたが、何分にも法律制度が不備でありましたために、ことにまた昭和二十三年一月一日からはただいま申し上げた旧自動車交通事業法が廃止せられましたために、十分な金融も行われないで今日に至つたのであります。一方業界はいわゆる自動車事業ブームとでも申しますか、新車購入、また戰争中に休止しておりました路線の復旧、燃料のきゆうくつでありました点の回復等の事情からますます発展し、路線の延長、また大型車、長距離輸送といつたような方法がとられます結果、ますます本律法が必要になりましたので、もしもこの法律が通りますならば、将来においてはきわめて活発なる金融が行われる結果、さらに業界は盛んになつて、公衆の利便もまた非常に増大することと存じます。
#5
○坪内委員 この法律案については結論的には賛成であります。いろいろ尋ねしたいことがあるのでありますけれども、私参議院の方に行かなければなりませんので、一言お尋ねいたします。
 第二十條に「この法律に規定する運輸大臣の職権の一部は、政令で定めるところにより、陸運局長に委任することができる。」という規定になつておりますが、なぜこのような規定にしたのか、その点をちよつとお伺いしたいと思います。
#6
○谷説明員 第二十條の職権委任の趣旨は、たとえて申しますと、第二條のところで事業單位の認定は運輸大臣の責任ということになつておりまして、事業單位の認定をしてから金を借りる財団を設定するということになるわけでございますが、その際に認定というのはほとんど証明程度の意味で、非常に迅速にやりたいということを運輸省としては考えておりますので、業者の方々が金融を受ける際に、役所が認定で手間をとつて遅れるというようなことがあつては、はなはだこの法律の趣旨に沿いつませんし、鹿児島や北海道の方の業者の方がわざわざ運輸省に書面を出すというようなことになつては、時間的な問題もございますので、いきなり陸運局長に職権を委任して、陸運局長が迅速に事業單位の認定をすることにしまして、段階を少くして行きたい。その他の事柄につきましても大体事務簡素化と申しますか、事務のスピードが早くなるように現地で処置させたというつもりで、職権委任の規定を置いたわけであります。
#7
○坪内委員 そういう方針であることが、むしろ今日の状況においては逆な結果になつているような点もありますので、私は質問を申し上げた次第であります。そこで提案者にお尋ねいたしますが、もちろん自動車行政というものについて、地方の陸運局が実際の事業面あるいは行政の監督面を担当いたしております関係上、陸運局長にそういつた事務的な関係とかいうものにつついて、運輸大臣の権限の一部を委任することはいいのでありますが、委任することについても、それ自体がそういつた事務の迅速化あるいは業者の利便をはかるためにこうしたのだというお話でございますが、実際にその通り行われればいいのであります。しかし私どもが過去において経験したところによりますと、この国会なり運輸委員会で、本省の自動車局長なり、あるいは事務次官なり、その他の局長にいろいろとお願いしておりますけれども、われわれの申すことが未端の陸運局長に徹底しない。これは陸運局長の権限内の仕事であるからというので、一応聞きおく程度であつて、実際に陸運局長男にわれわれの意見が浸透しないきらいがいつもあるのであります。そういう観点から提案者にこの際お尋ねいたしますが、業者の利便をはかるためにやろうとしたことが、実は逆な結果になつているということもございますので、むしろこういつた関係の仕事が本省でさばけるようにすることも必要であるということも実際問題から考えあわせて、政治家の立場にある植竹さんはこういう点についてどのようにお考えになつているのか、御所見を伺いたいと思います。なおまたここで私たちがいろいろ要望したり、希望を申し上げたことが、陸運局長に徹底しない。いろいろな権限について陸運局長に委任をしているために、本省の局長会議とか、出先の陸運局長会議とか、あらゆる連絡機関でそういう趣旨を徹底させる機会もあろうかと思いますが、陸運局長の権限になつておりますということでつ一つも徹底しないきらいがある。そういう点は慎重に考えなければならぬと思いますので、それらの点について提案者の御所見を伺いたいと思います。
#8
○植竹参議院議員 お答えいたします。ただいまの御意見は私といたしましてもまつたく同感であります。陸運局長に委任されると予想される業務の範囲は、主として事業單位の認定事項にあると存じます。その事業單位の認定事項につきましては、本省も十分事情はわかつておりますが、しかし地方の陸運局長の方がむしろ本省よりも十分に業界の有様をのみ込み得ると考えますし、坪内議員の御心配になりました点は、陸運局長にまかせても問題は起きないと考えまして、立案者の一人としてこの委任條項をとりきめたような次第であります。と申しますのは、どの車両とどの車両とを事業單位に加えるべきか、あるいはまたどの不動産をその事業單位に加えるべきかという認定事項でありますので、その範囲のことならば地方陸運局長に委任いたしても弊害も起らないであろう。しかし万が一のことはいつでも準備しておかなければならない。この点は問題が起きますときには、道路運送審議会あたりの意見もまた参考に求めるようにいたして参つたならば、なおさら中正公平な判断が得られるかと存じますが、しかし日常の業務といたしまして事業体を認定する事項は、陸運局長だけの判断でもつて十分公正な結果を得て行く、かように相考えている次第でございます。
#9
○坪内委員 私の質問に対しまして、提案者よりまつたく同感であるというようなお話でございますが、幸い自動車局長が来ておりますので、局長に二十條の点についてさらにお尋ねしたいと思います。ただいま提案者からいろいろ御説明がありましたし、先ほど政府委員の説明もございまして、こういつた関係は地方の業者の利便をはかるために、北は北海道から南は九州に至るまで、一々東京に集まることも困難であるし、さらにまた実際にそういつた自動車の行政を担当している陸運局長にそういうことを委任することが妥当であるという話は、私はよくわかるのであります。さらにまた道路運送審議会の問題も出ましたが、道路運送審議会のあり方というものがいろいろと多角的に批判されておりますが、この問題はまた別の機会にお話申し上げてみたいと思いますけれども、とにかく私が申し上げますのは、本省の権限の一部を出先の陸運局に委任することはけつこうでありますけれども、私どもが当運輸委員会なり、あるいは国会の立場からいろいろの要望をする場合、われわれの要望事項の内容が出先の陸運局長の権限外にあるというような場合に、国会の意思がよく浸透しないというきらいがあるのであります。それは実例をあげろと言えばあげますけれども、従つて自動車局長としてはそういうふうに国会の要望なりあるいはいろいろな希望が陸運局長の権限にあるから、自分としては何ともそう強力な言いつけもできないような立場にあるというふうなお話もいろいろ承るのでありますが、国会の意思なり、あるいは自動車局長の意思が陸運局長によく徹底しないときに、自動車局長は陸運局長に対してどういう処置をもつて臨むのか、その点が私は明確でないと思います。たとえばそういう局長の命令なりあるいはそういう方針に従わないものは、異動その他のときに他に異動させたり、あるいはいろいろ関係がありましようけれども、どうもそういう点に局長の意思が徹底しない。またわれわれの意思が陸運局長にいろいろな権限が委任されている建前上、どうも浸透しないきらいがあるので、私はその点に十分考慮してもらわなければならぬということを申し上げているのでございますが、そういう点について自動車局長は、出先の局長に対してどういうふうに采配を振るつて、われわれの意思を浸透させてくれるか、その辺の御所見を承りたいと思います。
#10
○中村(豊)政府委員 陸運局長への委任事項として、第二條の事業規模の認定を考えているということにつきまして、御不満を持つておられるようでありますが、その点はまことに遺憾に存ずる次第でございます。ただ今まで提案者の植竹議員あるいは他の方から御説明がありましたように、この認定というのは、認定基準に基きまして厳格に事実をありのままに確認することでありまして、その基準については十分にその趣旨を徹底するようにいたしますし、自由裁量の余地はほとんどないものでありますから、これを陸運局長に委任しましても、御心配のようなことは起らないと信じます。ことにこの認定はできるだけ事業者に金融の道をつけてやろうという、助長的な気持から出ておるのでありますから、これを抑制して金融の道を梗塞するようなことは、運輸本省のみならず、陸運局も全部を通じて金融の道を広くすることについては、趣旨が十分徹底しておるのでございますから、御心配のようなことは全然ないと信じます。ただ一般論といたしまして、いろいろと陸運局長に本省の意思が徹底していない、あるいは国会からのいろいろな指示や御意見がどうも徹底しないというような御不満については、具体的な問題はよく存じませんが、一般的にはあつてはならないのでございますが、もしさようなことがありますれば、われわれとしても責任をもつてこれを解決しなければいけないと思つております。一般的に本省の意思を、あるいは中央の全体の空気を地方に反映さすにつきましては、絶えず通牒あるいは会合その他の席で努力しておるのでございまして、また必要な場合には直接電話連絡でもやつておりますし、係官を現地に派遣してもやつておりますので、今後もそのような努力を十分に拂いまして、御不満のことが起らないようにいたしたいと思います。なお具体的な問題につきましては、また十分お話を承つて善処いたしたいと思います。
#11
○坪内委員 この法律案の内容とする関係の面は、今局長のお話で了承するのでありますけれども、私が先ほどから申し上げておりますことは、この法律案と別に、やはり陸運局長の権限内にあるいろいろな関係事項について、私どもが本省の局長なり部長を通じて、文書等をもつてそういつた指示をしてもらつた関係においても、これは陸運局長が自分の権限にあることだからというので、あまりわれわれの意思を尊重しないというようなきらいもあるかのような御心配の実例もございますので、そういう点について、局長としては文書なりあるいは局長会議なりでいろいろ指導もするのでしようけれども、どうもそういう点に私どもは納得の行かない点があるのであります。従つてそういう点について局長がなかなかやりづらいというふうに私は考えるのでありますが、もう少し何とか本省の意思あるいは国会の意思、あるいは運輸委員会の要望というものが、周知徹底されるような方法がとられないものであるかどうか。これは陸運局長に委任してある委任事項であるから、運輸本省としては何とも手が触れられないのであるということで、あまり関心を持たないのであるか、その点明確に御所見を承りたいと思います。
#12
○中村(豊)政府委員 陸運局長に委任してある権限に関する事項については、原則として本省としてはかれこれさしずをいたさないことにしております。従いまして陸運局長の善良なる意思と常識と、適正な判断に信頼しておるわけでございまして、具事的な問題についてこれをチエツクすることはいたしていないのでございます。ただしかし委任した権限といえども、その源は大臣から発しておるのでございますから、その意味においては、基本的には本省にこれをいろいろと指示したり、監督するところの責任と権限を持つておるわけでございます。そのような意味からいたしまして、具体的な問題でありましても本省独自の考え方、あるいは国会方面からの御要望によつてごもつともと思う点につきましては、これは今後ともいろいろと指示を
 いたしたいと思います。その上で意見が食い違うということは万々あるまいと思いますし、食い違うということが起りました場合には十分話合いをして、本省として妥当と思う線に持つて行くことは十分できるつもりでございます。そのような方法で今後問題を進めて行きたいと思つております。
#13
○坪内委員 局長のお話でよく了承いたしました。そこで提案者におかれましても、過去においてそういうふうに国会の意思なりあるいはわれわれ委員会等の要望を、出先の陸運局長によく徹底周知方をお願いするのだけれども、権限なりそういつた委任事項が局長に委任されておる関係上、出先の陸運局長においては事関せずというきらいがなきにしもあらずというようないろいろなことがありましたが、幸いにしてこういう優秀な、理想に近い法律案ができましたので、そういう点については今後円滑に行くよう考慮してくださるように要望いたしまして、質疑を終ります。
#14
○大澤委員 先ほど提案者からの御答弁によりますと、戰争中あるいは戰後の自動車業者の営業成績といいますか、業者の経済的な信用の程度が非常に落ちておつた、そして自動車財団に対しての金融の面が少かつたが、それが現在は自動車関係の事業が発達したので、この法案を提案したというお話でありますが、自動車事業というものは、国家がある程度までこれを育成目し、あるいは行政面においてはこれが助長政策をとられない限り、断じて発達するものではない。自由放任の、すなわち自由免許でこれを放置しておくならば、そのために業者の経営面はますます苦くなつて、金融の対象になるような業者というものは、だんだん減つて来るというのが現実の姿であることは御承知の通りであります。従いまして先ほどの提案者のお話のように、戰時中あるいは戰争直後のように経済の統制が強化されておつたときは、同じ自動車業の中でも特に貨物自動車のごときは経営が非常に楽であつて、しかも融資の対象にも十分なれるだけの資格というか、価値があつたわけであります。しかるにこれが一般のトラック業者の場合には、なかなか金融の対象としては数が少いのであります。通運事業法による通運会社のごときは、国鉄等との特別な関係があるために、ある程度までの独占権というか、優先権というか、相当これは金融の対象となつておつたのでありますが、一般のトラック業者においては、ほとんど金融の対象になつていないというのが、戰争中、戰後の実情であつたと思います。現在そういう面が非常に発達したから、この法案をつくつて金融の対象にするのだというようなお話でありますが、この点はちよつと考え方がどうかと思われるわけであります。なぜならば、自動車業の中にはバスもあるしトラックもあるし、あるいはタクシー、ハイヤーというようなものもあるようでありますが、トラックの事業は御承知の通り物の輸送であつて、国民経済には最も大きな関係を持つており、産業経済の一つの部門の根幹をなすということも言い得ると思うのであります。そういうように重要性を持つておる事業に対しての金融の面は、戰争中あるいは戰後統制経済を続けておるときは、それが最も金融の対象になつたにもかかわらず、実際問題としては金融をしていなかつた。ところが現在自由経済に移行して来て、業者の数も戰争中あるいは戰後の業者の数から見ると何倍というふうにふえておるし、従つて経営面の状態も、当時から見ればあまり芳ばしくないとか、非常に苦しくなつておることは現実の姿であると思うのであります。そこでこういう業種に対してこの法律をつくつて金融の対象にするのだというようなお話でありますが、この法律によつて金融を申し込んだ場合にはしなければならないとか、あるいは政府がこれに対してある程度までの補償をするとかいう、何かそこに特別の金融機関に対しての処置が講じられておるならばこれはお話の通りでありますが、そうでない限りは、お話の点とは逆なのではないか、かように心配されるわけでありますが、この点に対する所見を政府の方から、あるいは提案者から伺いたい。
#15
○中村(豊)政府委員 自動車運送事業に対して金融が十分でない、またそれに対して運輸省として努力が足りないというお話でございますが、この点は実績が十分に上つていない点をまことに遺憾に存じます。ただ今までのいきさつでございますが、運輸省としてはいろいろと努力はしておるのでございまして、その大体の模様を申し上げますと、すでに植竹参議院議員から、運輸省としてあるいは業界として金融をつける方法について努力をした経過はお話があつたようでございますが、そのような勧銀あるいは復金からの融資というものは相当されていたのでございます。ただ遺憾ながら経済九原則によつて、復金式の財政資金からの融資というものがさしとめられましたから、これが宙に迷つてしまつた。その後はただ中小企業のわく一本やりであつたわけでございます。しかしながらこの自動車運送事業は、トラックといわずその他の部面においても、中小企業の中に入れるにしては大き過ぎるのでございまして、一般の市中銀行から中小企業のわくでとろうとしても、他の純粋な企業と競合すれば、これは問題にされなくなつてしまう。さればとて大企業として自己の信用力によつてみずから融資の道を開くにはあまりにも小さい、そういう中途半端な状態にあるのがこの業態の特質であり、金融を円滑にすることがなかなか困難であつた理由であろうと思います。そこでわれわれもいろいろな御希望なり御陳情によりまして、市中銀行あるいは日銀その他とお話をし、あつせんをしておるのでございますが、金融関係としていわれる常套の言葉は、自動車事業は担保にする価値のあるものはほとんど車両以外にないではないか、そういうような担保価値の少いものに対して、簡單に融資するわけに行かない、われわれは営業であつて、国策がいかがであろうと、う簡單に御用立てするわけに行かない、こういうような話があるわけでございます。これはコマーシャル・ベースに乘らなければ、いくら銀行といえども国策的融資はできないという話で、その立場からももつともであろうと思うのであります。そこで考えましたことは、まず担保力を増す、金融を容易にするという方法を制度的に考える必要があると思いましたので、個々の動産たる自動車を抵当権設定の目的にするという自動車抵当法を先般の国会で審議し可決していただき、のみならずさらに事業全体を一括して財団にして、その担保力を大きく増加することによつて、金融の道をさらに容易にするという方法を講じよう、こういうことにしておけば担保価値も増すから、融資の道も容易であろう、また金融関係の方もこの制度を早くつくつてください、こういう制度ができればわれわれとしても安心して融資をすることができる、こういうような強い御要望もあるのでこの制度をつくりましたので、この法案が可決されれば、従来よりは目に見えて金融はよくなる、私たちもその方向に極力努力をいたしたい、かように思つているわけであります。
#16
○大澤委員 この金融の面が、いかなる産業にしてもある程度まで円滑でなければ、事業の発展は期し得ないということは御承知の通りでありますが、従来自動車運送事業法は、収入の面が他の事業とは異なつて、ある程度まで現金収入が多いために、月賦販売とかなんとかいう販売会社の一つのえじきのようなものになつて、高い金利でいろいろな購買をして、それを日々の収入によつてなしくずしてその元金を償還し、また金利を拂つて行くというようなやり方が多かつたために、小資本の運送事業者はなかなか育たなかつたというのが、現実の姿であると思うのでございます。従いまして今度こういう自動車交通事業財団法というものをつくつて、育成をはかることは、理想としては非常にもつともであるし、これは行政面を担当される自動車局といたしますれば、最も当を得た考えであると思うのでありますが、実質の面はなかなか理想通りには行かないというのが現実の姿であるわけであります。この自動車交通事業財団を設定するという法案を見ましても、すでに自動車なりあるいはこれに対する土地、建物なり、すべて條件がそろわなければ、この財団の設定はでき得ないようになつておりますので、従いまして自動車もそろい、しかも土地、建物あるいはその他のすべての施設が完全にそろつておれば、しいて金融の道はなくてもそのままの姿でやつて行けるわけです。しかるにこの法案によりますと、それがそろつて初めて財団の設定ができるのだというようになつておるようでありますが、これは一つの許可営業であるから、一応認可した以上は、一つの施設をつくる場合に、金融の道なり何なりが講ぜられるような点を、この法案に盛り込んだらどうかと考えるわけでありますが、この点についての所見をお伺いいたしたいと思います。
#17
○植竹参議院議員 本法案のねらいは、財団を組成して、そうして金融の道を講ずるわけでありますので、財団ともなりますれば、何かそこに一かたまりの組成体となります物なりあるいは不動産なりが必要になつて来るわけでありますので、ここに第四條に掲げてございます通りの財産を一団といたしまして財団を組織いたします関係上、そのうちの土地、不動産及び事業用の自動車、それから自動車の事業にあつては一般自動車道の敷地、それだけはどうしてもなければ財団という観念に当てはまりませんので、少くともその事業者の不動産と今申し述べました自動車、それから自動車道事業では敷地、それだけは最小限度においてどうしても組成物件の中に入つていなければ、財団と言うことができないという立場から、今申しました不動産や自動車あるいは敷地というようなものは、財団組成物件として絶対になくてはならぬ物件というふうに制度をこしらえました。しかしまた一方、ただいま大澤委員の御指摘になりました点を類推して答弁申し上げますと、そう申してもそれでは土地のない会社、事業者の場合にはどうするか、不動産を借りておつて、それで自分では不動産を持つていない事業者の場合にはどうするか、そういう小さい業者の場合には、昨年成立いたしました自動車抵当法によりまして、一台々々の車を抵当にして融資をするというふうにいたしますれば、ちようどただいまの御質問の御要望にも沿い得ると考えております。
#18
○大澤委員 そうしますと、かりに自動車抵当法があるから、自動車財団法がなくても、小さい業者は小さいなりでそのままの姿で行くのだ。従つてそういう土地、建物があり、一つの施設が備わつておるもののみに対して、ての法案が当てはまるのだというふうに解釈し了解していいかどうか。この点をお伺いいたします。
 なお自動車道事業等に対しまして、先ほどもお話がありましたように、土地がなければこの法案に当てはまらないというのでありますが、一つの観光地の町村が、自分の町村の人夫を出して自動車道をつくり上げる。しかし土地は国有地であるという場合は、財団を設定して自動車道をつくるというようなことはとうてい不可能になるようであります。つまり自動車財団法によつて自動車財団を設定し、自動車道をつくるときに、その沿線の観光地の人たちが人夫を出してつくるというような場合が、私らの知つておる範囲にもあるわけであります。そういう場合にはこの法案は当てはまらないと解釈できると思うのでありますが、そう解釈してさしつかえないかどうかお伺いいたします。
#19
○植竹参議院議員 ただいまの小さい業者にはこの法律を適用することができるかどうかという前段の御質問でありますが、小さい業者でも不動産を持つておる業者は、むろんどの業者でも車両は必ず持つているわけですが、その事業が小さくてもこの法律を利用することができるわけであります。それすら持つておらないところは、遺憾ながら自動車抵当法のみによらざるを得ないのでございます。
 それから御質問の後段であります。たとえば観光地等におきまして、新しく自動車道になる敷地を提供して仕事をするというような場合には、本法のねらいといたしますところは、すでにできました事業者に融資するのが目的でございますので、これから敷地を持ち寄つてできます場合には、適用し得ない場合が非常に多いことと推測されるのであります。もつと特殊の例外といたしまして、新しくできます会社において、自動車も方々の業者から持ち寄ります結果必ずあるという見通しがつく、またりつばに敷地も備わつておる一つの法人ができ上りさえすれば、さつそくにも活動することができるし、その活動の結果の業績も、融資さえすればつぶれてしまうようなことがない、りつぱに運営をやつて行ける会社であるという見道しがつきましたときには、本法律が適用され得るものと考えております。
#20
○大澤委員 財団設定の対象として、事業單位を定めた理由、また業務が独立して運営される場合とはいかなるものをさすか。この場合の主務大臣の認可は何ゆえに必要か。またいかなる基準によつてするか、この点を伺いたい。
#21
○植竹参議院議員 旧法では、事業の全部または一部につきまして、かつまた一部の場合には独立の線または独立の事業区間について財団を設定し得ることといたしましたが、今回は旧法と同様に、事業の一部に財団設定を認めることは、金融の便宜からぜひ必要であると考えまして、一部單位制度を旧法にならつてとつたわけであります。そうかと申しまして、事業を無制限に細分化いたしますことは、免許行政上非常にぐあいが悪い。また財団に当該事業に関します物件が、当然所属するという主義をとつておるといたしましても、共用物件が他の事業との兼営の場合、兼営でなく一事業者、一会社の中にありましても、他の事業單位との間の共用物件が存在する場合には、物件の所属が不明瞭となりやすいのであります。言いかえますならば、行政的見地から事業の細分化を防止して行かなければならぬ。また当然所属主義を貫く上で、物件の所属を明確化して行かなければならない。こういう二点から事業單位を定めて行こうとしたわけでございます。しからばいかなる範囲のものを單位と定めるかということにつきましては、法案では二つの要件をあげてございます。第一は業務が独立して運営されなければいけない。第二にはその業務の事業規模が適当な事業規模でなくてはいけないというふうに、第二條で規定しているわけでございますが、それならば業務が独立して運営され、あるいは適当な事業規模を有するというのは、どういう事柄をさしているのかと申しますと、まず事業の当該部分の用に供する事業用自動車及び主要な設備が、その他の部分に共用されるおそれがない、他の事業單位のものに共用されるおそれがないということ、その次には、その事業の当該部分の路線または事業区域が独立性を保つていなければいけないということ、第三には、事業の当該部分が、普通に経営さえしていれば採算がとれる規模でなくてはいけない。適正な事業規模というのは、つまり採算の点であります。第四番目には、事業の当該單位の部分を分離した場合に、その事業に属する路線事業区域あるいは取扱駅における輸送需要に対して、公衆に非常に不便をかけるといつたようなことがあつてはならない。つまり経営の面から参りまして、適切でない状態が生じるようではいけない。そういつたような状態が生じるおそれがないということを條件といたしまして、第一から第四まで列挙いたしましたような状態ならば、事業が独立して運営される、また適当な事業規模であると認める基準といたしておるようなわけでございます。
 最後の御質問の、それらの事業單位の決定にあたつて、なぜ主務大臣の認定を必要とするか、法規裁量に一切をまかして行つたらいいじやないか、なぜ認定を必要とするかという御質問でございますが、この財団設定の登記の際に、法規裁量だけによります場合は、登記官吏にその判定をゆだねることになるのでありますけれども、登記官吏は事業のことについてはうといために、登記官吏が判定することは実際上において不可能である。それからまたこの役所といたしましては、監督官庁の立場から客観的に公平に事業單位というものをきめて行かなければならないというようなわけで、この事業單位を設定するにあたつて、業者と金融業者との間のとりきめだけでも、それがもし公衆に不便を及ぼすようなことになつてはいけないので、そういう点から勘案いたしましても、どうしてもこれは監督官庁といつたような公平な立場のものが、事業單位を認定して行くということが必要と考えられまして、かくのごとくいたしたのであります。また同時に大切な認定の目途となるところは、事業が細分化されない、事業單位がこまかくわかれ過ぎない、細分化を防止いたすためにも、ぜひ認定にゆだねて行こうということが、この認定ということをとりましたおもな根拠でございます。なおその認定書の様式とか、あるいはこまかいことにつきましては、省令で定めるように提案者としては考えている次第でございます。
#22
○大澤委員 それでは財団の組成物件に関してお伺いいたします。組成物件の中に、免許に関する権利というものは何ら認めていないようでありますが、かりに抵当権者が抵当権を執行する場合に対して、免許が認めていないとすれば困るのじやないかというので、すなわち銀行その他の金融業者の方で一応この点を心配するのではないかと考えるわけであります。従つてこの法案の中にも、もしこの抵当権を執行する場合、この営業権は抵当権の中に入つてないというのであるから、従つてほんとうの物件そのもの、すなわち土地、建物あるいは自動車というような物件のみを評価して価格をきめることになると思うのでありまして、一つの事業である以上は、これに対して相当の犠牲も拂い、あるいはその事業者としても維持して経営して行くための相当の費用もかけてあるわけでありますので、この二つの評価に対しましても、営業して独立した事業をやつて行くとすれば、それに対する一つののれんとかしにせとかいうものを認めるのが、商習慣から見ても当然であると思いますが、その点をお伺いいたします。
#23
○植竹参議院議員 御質問の前半につきましては、競落いたされましたときには免許に基く権利義務は、当然承継されることに第十八條に立案いたしてございます。
 それから御質問の後半の営業権をなぜ認めて行かないかということにつきましては、営業権が権利であるという考え方も確かに成り立つと思います。この営業権に法律上の権利としての性格を付與いたしまして、そして譲渡を認めて、これを流通過程に入らしめて行くということも、ただいま法律をつくろうとしておりますのですから、つまり立法論としてまことにりつばに成り立つ議論である。むしろこの方が業界の実情に即しておると思われるのであります。御指摘のように業者の間には実際上営業権というものを譲渡しております。それが業界の実情でありますので、その実情を勇敢に立法の際に採用して行つた方がいいのじやないか。そして弊害がちつとも伴わないのであるというふうにも考えておるのでありますけれども、ただ残念なことには、これがまた現在の社会一般の通念になつていないのである。また監督官庁側の免許行政上の見地からもこの点を考えてみなければならぬ。監督行政上、取扱い上の便不便、あるいは効果と弊害とかいつたような点も十分考慮に入れるべきであると思います。そしてこの営業権を組成物件に入れるか入れないかという点については、提案者側におきましては非常に審議いたしたのでございます。権利というものは初めから法律上保護されておるとばかりは限らないので、たとえば占有権にいたしましても、昔は占有の事実ということがあつたけれども、これは決して法律上の権利ではなかつた。それがだんだん発達いたして参りまして、これを法律上の物件として認めて行つて、そして占有権は今日ではりつぱな一つの物件であるというふうになつております。と同様に営業権もやがては近き将来におきまして、これが物件として登場して来て、業者の営業権というものを十分保護して、のれんというものを組成物件に認めてこそ、財団の担保価値が非常に増大して行く。そして個々の組成物仲の担保価値の合計額が決して事業財団の担保価値ではないので、一つの財団を組成いたします以上、財団の担保価値というものは個々の組成物件の合計額以上に担保価値がある。それはどうしてそういうふうになるかということ、その事業の収益力がしからしめるのである。従いましてその収益力は何によつて現わされるかというと、これは営業権、のれんといつたようなものによつて現わされるということを考えますれば、私は近き将来、営業権なんか物件として登場することを望んでおりますが、ただいまの段階におきましては遺憾ながら社会通念といつた立場、監督行政という立場から、ただいまございますような法律案を原案として御審議願うように至つた次第でございます。どうぞそのように御了承願います。
#24
○大澤委員 はなはだ字句にとらわれるようでどうかと思いますが、十八條による「競落人は、その時において免許に基く権利義務を承継する。」こういうふうになつておりますから、すなわちその権利というのは、事業者だから営業する権利をいうのではないかと考えます。義務は債務を履行すべきもので、この法律にある通りでありますが、すなわちこの営業する一つの権利を法文でも一応認めているからこそ、ここに権利義務という文句が使われておるのではないかと思いますが、その点はどういうお考えなのか、承りたいと思います。
#25
○杉山参議院法制局参事 この言葉につきましては、さきに道路運送法の中でもそういうような言葉の使い方があるのでございますが、これは事業の讓渡があつた場合に、讓受人の方に免許に基く権利義務を承継するという言葉、これは三十九條の四項にございます。ここで申し上げておりますのは、これは免許という行政処分に基いて免許を受けた人が持つている行政上の権利義務、そういつたようなものを承継するということで、別の立法例から申し上げますと、免許に基く法律上の地位が移転するというふうに書いてあるのがありますが、そういつたことと同じ意味で使つておるわけでございます。
#26
○大澤委員 それでは次に財団の組成物件に関して、事業單位に属するものは、当然財団に所属するという制度をとつた理由を伺いたいと思います。
#27
○植竹参議院議員 この当然所属主義をとります必要性は、免許行政上の立場と担保価値の面と二面から考えたのでございます。第一に行政上の見地から事業の細分化を防ごうとしたわけでありまして、道路運送事業及び通運事業はそれぞれ道路運送法及び通運事業法によりまして、運輸大臣の免許を得て営業する公共事業でありまするので、一旦免許された事業は、事業計画に定めるところによりまして継続的に事業を営まなければいけない義務を持つておるわけでございます。ここに工場抵当法のように、事業に関する個々の物件を選択的にピツク・アツプして取出しまして、または事業を細分して、それについて財団を設定し得るようにいたしますると、そういうふうに工場抵当権の実行による競落の場合に、この事業が細分化して寸断されてしまうおそれがありまするので、もし細分化されれば免許行政上の目的に反する結果を来すわけであります。言いかえますれば、公衆が非常に不便を来すわけでありますから、どうしても免許行政上はこまかく事業をわけることができない。一定の独立して運営される、また適当な規模において譲る場合に、分割事業單位をきめて行くならばいいけれども、それよりこまかくすることは、公衆に対してもはなはたぐあいが悪いという点を考慮いたしたのでございます。自動車に関します事業は、日一日と発展いたしますので、財団に属する事業をその変動発達に即応させて、現在の形態をそのまま財団に反映させることは、行政上ぜひとも必要であると考えたのでございます。
 第二には事業の一体性を確保いたしますれば、競落に際して事業讓渡と同じように免許とともに財団を競落人に引渡すことができる。従つて財団の担保価値を著しく高めることができる。選択主義をとつて参りますと、事業を無條件に競落人に承継させることができない。承継させるときに、またそこで事業の一体性というものをとりまとめてやつて行かなければ、免許を取消させることができない。それではたいへん不便でありますので、初めから細分化を防ごうということになつた次第であります。
#28
○大澤委員 事業財団に対してかつてにこれを譲渡することができるかどうか、すなわち事業財団を設定しておいて、その財団を抵当権でなくて譲渡することが任意にできるかどうかということを伺いたい。
#29
○植竹参議院議員 これはずいぶん考えてみたのでありますが、結局別に讓渡を禁止する必要性はあまりないというのが結論でざいます。旧法にはたしかに抵当権者の同意ある場合のほかは、讓渡または財団の処分を禁止しておりますけれども、しかし道路運送法でも事業の讓渡は認可さえあればかまわないといつて認めておりますので、本法案におきましても別に譲渡を禁止する必要性はないというふうに考えたのでございます。第二に財団の譲渡とともに抵当権はその財団に追随して参りますから、抵当権者の銀行の方の権利を害することもない。また第三には、一応財団は事業の免許を前提といたしますから、財団の譲渡は事業の讓渡とみなされまして、運輸大臣のあらかじめ認可を必要といたしておいたのでございます。最後に四番目に、抵当権設定に際しまして特約があるような場合もあります。そういうふうな場合にはそれに従うようにいたしました。たとえばこの抵当権者の同意を得なければ、財団をかつてに讓渡してはいけないというふうな財団設定のときの貸借契約をいたしてあれば、そういうときには当然抵当権者の同意がなければ讓渡してはいけないというふうに認めることにいたしたわけでございます。
#30
○大澤委員 かりに事業財団を設定してあるからこそ、讓渡ができる。財団が設定してない事業に対しては、すなわち甲から乙にその事業を移す場合には、一応認可をとつてその譲渡を受けるが、認可がなければ譲渡できないわけでありますが、道路運送法にも御承知の通り免許基準がありまして、その免許基準に当てはまるものであるならば、運輸大臣は免許をしなければならないという法律がありまするから、結局その当てはまる人ならば、当然甲から乙、乙から丙、だれにでも譲渡は自由である、かように解釈できるのでありますが、財団が設定してあるから、その財団の讓渡はかつてに認められるとして、財団が設定していないものに対しての譲渡の関係はどういうふうになるのか、その点を伺つてみたいと思います。
#31
○植竹参議院議員 それはやはり財団を設定してあります場合でも、道路運送法第六條第二項によります一定の基準さえあれば、やはり競落人にもそれは譲渡して行くわけでありますが、ただどういう人が競落人になるかは、競落の結果をまたなければわかりませんので、初めから競落人を欠格條項があるかないかを審査してやるということは実際上不可能でありますので一応競落に際しましては欠格條項ということを審査することもなく、またはたしてその人に認可が得られるかどうかということも考慮せずに、一応だれでも一定の資格の者は、競落に参加できるようにして、それで競落がありました後は審査いたしまして、もし第六條第二項にあるような欠格條項の場合は、それはやはり認可できないというふうな措置をとるわけであります。
#32
○滿尾委員 先ほど御説明がありましたが、第二條は「業務が独立して運営され、且つ、適当な事業規模を有すると運輸大臣が認定」するということになつております。これはその財団を設定しようとするときに、その都度具体的に認定をとるのでございますか、どういうような手続でこの第二條の主務大臣は認定をするのでありますか。
#33
○中村(豊)政府委員 抵当権を設定しようとする場合には、そのときにとるわけであります。但し一度財団を設定してしまえば、それからはとる必要はございません。
#34
○滿尾委員 そうしますと業者はすでに免許基準に従いまして、道路運送法による免許事業を運営しておるわけでありましで、運営しておる業者でも独立運営をしておらぬとか、あるいは適当ならざる事業経営のものがあるとかいうことになります。すると現在の免許業者でも、ある種以下の事業規模であれば、本法による恩恵を受けることができないというものがあると予測されるのでありますか。
#35
○中村(俊)政府委員 それは免許事業でありますから、もちろん免許する際に「独立して運営され、且つ、適当な事業規模を有する」という点を審査して免許されたのでありますから、その事業者としてはそれに該当するわけでありますが、その事業の一部を分割して抵当権財団を設定しようとするような場合には、その部分がはたして「独立して運営され、且つ、適当な事業規模を有する」程度のものであるかどうかは審査し、認定する必要がある。そのためにこの條文を置いたのであります。
#36
○滿尾委員 そういたしますと、非常に話が混乱して来るのであります。ここに免許事業を運営しておるところの交通事業者がある。その人の一部の事業についてこの事業財団を設定するということになりますと、第四條にいわゆる「同一の事業者に属し、且つ、当該事業單位に関するものをもつて組成する。」とありますが、たとえばここにトラック業者がある。その人は定期便の運営をしておる。また区域事業をしておる。そうすると、定期便の方にだけ事業財団が設定され、区域事業は除外する、常にそうするということではございませんけれども、そういうことも可能であるという建前でこの法律ができておりましようか。もしさようなものが可能であるといたしますと、ここに一つの包括的な事業財団を設定して、これを抵当権の対象にするという立法の精神に照して、少し行き過ぎな感じがするのでありますが、御見解を伺いたい。
#37
○中村(豊)政府委員 もちろん事業全体について財団を設定したときには問題はないのでありますが、その担保価値が非常に大きいのにかかわらず、融資を受けようとする額がそれほどでもない場合には、事業の一部について財団を設定して足りる場合があるわけであります。そのような場合を予想して、一部について財団を設定するために、事業單位という観念をつくつたわけでございます。従つて御質問のような、トラック事業者が路線事業と区域事業とをやつておる場合に、おのおのについておのおのを事業單位として財団を形成することができます。但しその場合に共用しておるような設備については、分割するわけに行きませんので、はつきりどちらかに所属を明らかにする。所属の明らかにならないようなものは、そういう設備を入れることは認定しないことになるわけでございます。
#38
○滿尾委員 ただいまの政府委員のお考えのような構想でこの法案ができておるとすると、私はこの條文の書き方は非常に不明確たと思う。合体を達観いたしまして、さような思想はどうも何ら出ていない。ただいま私がお尋ねしたことで、だんだんそういうふうに発展したように思うのでございますが、先ほどの提案者の御説明によりますと、抵当権者が包括的にすぐすべての権利義務を継承し、財団を継承して、ただちに事業が運営できるような状態にあることを予想して、この法律案が出ておるのだというお話があつた。同一の車庫によつて定期便と区域便を両方で使つておるに違いありません。そうしますと、もし片方だけで競落いたしました場合には、当然すぐ事業ができなくなつてしまう。だから、これはどうも法律の議論に堕したきらいがありますけれども、ただいまの政府委員のお考えは少し行き過ぎではないかと思いますが、やはり同じトラック事業の運営形態ごとに事業單位を考えるというお考えでございますか。
#39
○中村(豊)政府委員 そのような場合には御心配のようなことが起るので、事業單位を認定する場合に、共用しておる設備で両方に分割できないような設備を入れる單位は認定しないわけでございます。もう一度別の言い方をしますれば、事業單位の認定の基準に、植竹議員からもお話がありましたように、当該部分の用に共する事業用自動車あるいは主要な設備その他の部分の共用されるおそれのないこととかを基準に考えておるわけでございまして、そのようにして事業單位を認定すれば、設備の所属ははつきりするというわけでございます。
#40
○滿尾委員 第二條の認定でその点かじをとるから心配はないということでありますから、私も安心をいたしました。さように了承してこの点の質問は打切ります。
 今度は第四條の問題でありますが、この事業單位に関するものをもつて組成をする。そういたしますと、第八條にもつて行つて「事業財団は、一箇の不動産とみなす。」ところがこの組成財団を見でみますと、これはまことに動産中の動産らしいものが入つておる。たとえば自動車の付属品であるとか、あるいは機械器具というのがある。一体こういうようなものを財団抵当の構成分子として取上げることは、非常に問題があるのではないか。スパナにいたしましてもなくなることがある。いわば消耗品である。消耗品も財団の構、成分子であるということになりますと、しばらく時間もたちますと、きわめて善意にこれをいたしましても滅失毀損いたしまして、数量の上において非常に変化がある。それはふえる方なら抵当権者の利益を阻害しませんけれども、善意で使つておつてだんだん減つて行つた場合には、相当問題があるのであります。だから自動車はよろしいが、その付属品なり機械及び器具という、特にこの器具等をお入れになつたことはどういうごりようけんか、きわめて不適切だと思いますが、その辺伺いたいと思います。
#41
○谷説明員 今の四條と八條との関係でございますが、まず八條から御説明を申し上げた方がよろしいと思います。事業財団を抵当に入れるという場合に、法律構成といたしましては二つの型がございまして、財団が一つの單体だということを現わすために、鉄道抵当法では一個の物とみなすということをいつております。それから工場抵当法の系統に属する財団におきましては、一個の不動産とみなすというふうに、物とみなす型とそれから不動産とみなす型と二つあるわけでありますが、いずれも單一体として抵当権の目的とできるということを表現しただけのことでございます。どちらかと申しますと、物とみなした鉄道抵当法の方が、大体あまり個々の組成物件に着目せずに、包括的に当然その事業の骨格をなしておるものは、全部そつくり入るのだという気分が、多少ニュアンスとしては現われておりますが、大体学説といたしましても、物とみなす場合も不動産とみなす場合も、実質はあまりかわらないことに、なつております。ただ不動産にみなした場合には、民法上の抵当権の規定が当然そのまま默つておつても適用になりますとか、あるいは不動産登記法の規定が、不動産とみなしておるのでそのまま適用になりますとか、あるいは競売法の規定がそのまま適用になりますとかいうことで、非常に規定上楽になるわけでございます。御承知のように鉄道抵当法は物とみなしたために、独自の抵当権の内容を書いたり、あるいは強制執行につきましても、非常にこまかい規定を民法のそれとは違うのだということで、独自の法体系をこしらえております。従いましてこの法律案におきましては、不動産とみなすことによりまして、そういう手間は省くという、工場抵当法の型によつたわけであります。 それから今御指摘の組成物件で動産が非常に多くて、そういうものがつかまえにくいのではないかという点はまことにごもつともございますが、事業財団は大体理念的に申しまして、不動産も動産も、要するにその事業で使つておるものを、そつくり一つの單一体として担保価値を把握するというところにねらいがあるわけでございますので、いずれの財団におきましても、動産的なものを多少とも入れておるわけであります。ただ動産をすべて入れますと、これは登記上に表現できるものと表現できないものとありますし、それにはやはり程度がございますので、個々のものとして表現できないものも多少あるわけでございますが、旧法におきましては、この貯蔵品まで組成物件に入れておつたのであります。大体の傾向としましては、不動産だけを把握しておつたのが事業財団の起りであつたのが、だんだん事業用の動産までも入れて包括的にやつて行くというような財団抵当の発達の方向と申しますか、そういうことになつておりますので、そこの兼ね合いが非常にむずかしいわけでございます。そこで動産につきましては、旧法のように貯蔵品まで入れることは、たとえばガソリンが何ガロンというようなことを登記で表示しておきましても、時々刻々内容のかわるものでございますし、それからこれは現在の状態を考えますと、ガソリンは金さえあれば買えるという時代ももう間もなくやつて参りますし、代替性が非常にあるわけでございますので、一応旧法の貯蔵物品というものは除いたわけでございます。ただしかし自動車の付属品につきましては、ラジオでございますとか、かなり高価なものも中にはありますので、一応これは組成物件の中に入れました。但しこれは、たとえば債務者がこれを讓渡したこいうような場合の追求力につきましては、大体民法の百九十二條の即時取得の規定の適用があつて、善意に平穏、公然に取得した人は所有権を取得するものという規定が働くと解釈されておりますので、現実の面では、それほど取引の安定を害するということはないのではなかろうかと思いますし、また故意にそういう額の大きい動産につきまして、債務者が債権者を阻害する目的でいろいろ讓渡その他の行為をしたというようなときには、それぞれ民法上の救済手段がございますので、一般の財団抵当法にならいまして動産を入れたわけでございます。
#42
○滿尾委員 第八條の御説明はよく了承いたしましたが、第四條のただいまの御説明に対しましては、私はなお若干のお尋ねを申し上げたい。しかしながら通産省関係の政府委員がお帰りになりたいそうでありますから、ちよつと順序を変更して、その方の関係のことをお尋ね申し上げます。実は通産省の関係につきましてお尋ねいたしたいことは大体三つばかりあるのであります。一つは、わが国の自動車生産業に対する通産省の政策、特に乘用自動車に関する御見解を伺いたいのであります。第二は、ついさきの五月二十日に出されました通産省の告示百十四号ということについてお伺いしたい。第三は、資材、ゴム等の操短という問題についての御関係をお伺いしたい。しかしこれらはいずれも若干政治的性格を持つておりますので、御出席の政府委員にははなはだお気の毒のような感じでありますけれども、私はこの意味で大臣及び政務次官にぜひこれはお尋ねいたしたいのであります。従つて本日事務的にお考えの内容を伺うにとどめまして、政治的な見解並びに責任という問題について、私はもう一度大臣ないしは政務次官から御見解を聽取いたしたい決心であります。従つてそれだけの質問の保留をいたしましてお尋ねを申し上げる次第でございます。
 第一は、わが国の乘用自動車の生産に関する問題でありまするが、昨日も若干伺つたのでありますけれども、わが国の乘用自動車の生産というものが、はたして外国の競争にたえ得る発達をなし得るであろうか、その見込みの問題であります。もとより私は、国産自動車製造事業というものにつきまして、非常な熱意をもつてこれをバツクいたしたい熱意は持つておるのであります。国産が不要だという論者では毛頭ないのでございます。何とかして日本の産業構成の上におきまして、自動車生産事業の健全な発達を持ちたいという熱心なる論者でありますが、なおかつその点に立ちましても、この乘用自動車に関する限り、私は非常に悲観的な見解を持つておる。むしろこの際わが国の自動車生産事業というものは、製品の種類を整理整頓して、もつと重点的に力を結集した方が得ではないか、あるいは自動車製造会社等の問題につきましても、それぞれ特長のある会社に集約をして、もう少し業態を整理整頓して強力なるものに育てたらどうかと思うのであります。それがわずかばかりの乘用車を、めいめいの会社がめいめいの構想に従つてつくつて行く。それを通産省が何とかして手を引き、足を引きして育てて行きたいという御努力なり熱意は多とするも、それが国民経済の上において非常な不利益になりはしないか。むしろこの際、乘用自動車のごときはすつかりあきらめてしまつて、もつばらバスなりトラツクなり、その方面のマス・プロに全力を傾倒せしめる方が、全体としては得じやないか、かような見解を持つておるのでありますが、当局の御見解をお伺いしたい。
#43
○吉岡説明員 政務次官は他の委員会に出席しておりますので、私から一応お答えいたしたいと思います。乘用車に対する通産省の考え方というお尋ねでありますが、端的に申しまして、自動車特にその中でも乘用車は、非常な高速の改良を行い、また圧力、振度、熱というふうないろいろなものの総合された一つの工業なのでございます。簡單に申しますと、一国の機械工業の水準がここに集約されて出て来るような形のものではないかという考えを持つております。そのような考えのもとに立ちますならば、日本の自動車工業として、日本の過去及び現在における機械工業の水準並びに将来のわが国の機械工業の占める地位を考えまして、私どもは日本においても優に国際的な先進国の水準に達する生産ができるという考えを持つておる次第でございます。しかしながらただ残念なことに乘用車の生産は、昭和十六年に戰争が始まりまして以来、戰争中ほとんど休止状態にあり、また戰後におきましても燃料事情その他一般の経済関係からいたしまして、相当期間製造禁止ないしはそれに近い措置がとられておつたわけであります。ある期間は製造禁止の形であり、その後におきましても年間三百とか五百とか数量を限られて組立てを許されていたような経過がございます。従いまして戰後におきまして乘用車の生産が自由になつたというのは、まだ二年そこそこの以前でありまして、また制度上自由になりましても、終戰後の、自動車のみならず一般の国民経済の状況からいたしまして、会社自体が本格的に取組むという状況でなかつた。要するに乘用車につきましては非常に貴重な時間を、約十年間空白で経過したという事実を御了解願いたいと思います。従いまして私ども現在における国産車の現状に決して満足しておるわけではありませんし、各方面の御意見もすべてごもつともの点が多々あると思うのでございますが、近い時期におきまして、先ほど申しましたように優に世界の水準に追いつき得るという考えをもちまして、努力いたして参りたいと考えておる次第でございます。
#44
○滿尾委員 ただいまの御答弁は、当局の希望的観測を述べられただけであつて、何ゆえにそれが可能であるかという点の御説明に触れておらぬと思います。私の疑念といたしますところは、まず材質の上において、わが国の工業というものが相当遅れていはせぬかと考えておる。また設計その他の技術の点は、ある程度外国の模倣も可能でありますから、それは可能であろうと思う。今度は工業としての成立ちから考えてみますと、マス・プロダクシヨンの関係からどうしてもコストが高くつくのではないか、その結果日本の国産自動車を保護するためには、どうしても相当の保護関税を考えなければならぬし、また保護関税だけでは足りない、その他いろいろの国家の施策によつてこれを強度に保護しなければならぬ。強度に保護する結果は、国民に非常に高い乘用車を使わせる、質度は悪くて高い乘用車を使わせるという結果に陷りはせぬか、その点を私は非常に心配しておるのであります。業者はどうしても保護しなければならぬ。ある程度これは必要な業者でございますから、ぜひなくてはならぬ。しかしそれは程度の問題であつて、国民一般に非常に悪い自動車を無理に押しつけるという点は考えなければならぬ。
 次にお伺いしたいことは、今回の告示百十四号なるものも、結局今のお話の、通産省の希望的観測からするところの、国産乘用車の生産を何とかしたいというお気持がほとばしつて、遂にここに至つたのではないか。形式的には為替管理というかつこうになつておりますが、大体進駐軍の軍人軍属のラジオでも電気冷蔵庫でも何でもおかまいがない。ただ自動車だけが許可がある。これは一体どういうわけか。法律によりますと、資本が逃避する憂いがあるとか、あるいは国民経済の復興上悪影響を及ぼすおそれがある場合にはということになつておる。一体一年間に何台軍人軍属の自動車を通産省は買おうと考えおられるのか。われわれの考えでは年間にせいぜい六、七千両の車でしかない。一台平均千ドルとしても六百万ドルか、多少端数がついても八百万ドルくらいの金である。これでわが国の資本が逃避するとお考えになるのかどうか、これは私は非常におかしな感じだと思うのであります。ここらも百十四号に触れますが、これらの点におきましても、この五月二十日の通産省の告示というものは、どうも私ども納得いたしがたいものである。特に自由党の政務調査会におきましては、この物調令の廃止について審議いたしましたときに、ガソリンの統制撤廃の問題と外国自動車の自由販売の問題、この二つを非常に議論したあげく、七月一日からこれを自由にしようという結論を出した。それは自由党のよつて立つているところの基本的な経済的な理念に従つて、多少の問題があつてもぜひ七月からは自由にしようということで、国民一般よく了承しておつたとたんに――私のごときはまことにうかつな男で、きのうになつて初めて五月二十日の告示を発見して、まことに唖然としたものである。これは通産省としては自由党内閣のもとにおいて、まつたく奇々怪々なる施策をとられたものである。どうしてこういうことが出し抜けにできたものだろうか。従つて私はこの問題の基本的な考え方について、どうしても通産大臣の御出席をいただいて、その間の大臣の御所信をひとつお尋ねしたいという考えを持つております。なお本日政府委員から、いかにしてこの百十四号は実現する運びに至つたか、そのプロセスを御説明願い、またその内容といたしましてこの告示に基く許可はどういうふうにせられるつもりであるか、年に何両ぐらい御許可になる見通しを持つて、この告示を出されたものだろうかということをひとつお伺いしたい。
#45
○吉岡説明員 行政協定に基きます通産省の告示の点につきまして、経過を御説明申し上げます。
#46
○滿尾委員 その前に自動車事業のことについてもう一言言つてください。
#47
○吉岡説明員 先ほどお答えいたしましたのは、きわめて簡單に申し上げたのでありますが、問題といたしましては、結論的に価格の点と性能の問題、この二点に盡きると思います。
 それでまず価格の問題でございますが、国産車がなぜ高いかという理由につきましては、いろいろ原因は多くあると思います。最も大きな理由といたしましては、一つはボディーを御承知のように作業でやつておるというのが最大の原因であると思います。これは先ほど申しましたように、現在まで乘用車の生産数量が、ボディーにつきまして本格的なマス・プロの形をとり得る程度に達しておりませんでしたために、さような形態になつており、値段の点のみならず、耐久力の点におきましても、手作業のことでありますから非常に弱いということは申し上げるまでもないと思います。しかしながらこの点につきましては、最近において国産車の生産も昨年度は年間四千台という計画で進んで参り、また企業合理化促進法によつて自動車工業が指定業種になつた関係もありまして、現在開発銀行の資金、一般金融機関の資金等によつて、着々とプレス化の設備を備えつつあるわけでございまして、このボディーのプレス化をやりますと、これだけで車の総価格に対して約三割のコストの引下げになり得るというように承知いたしているわけでございます。ただこのためには申すまでもなく、ある期間にわたつて安定した需要が確保されませんことには、プレスの型だけの設備にしても、一つのセットで約一億円というよろなことにもなるわけでございますので、私どもとしてはまずボデイーのプレス化を促進いたしますと同時に、これによつて価格の引下げをはかりたい。それから資材の問題については、鉄鋼とかタイヤというようなものはアメリカ等の価格にして二倍以上のものを使つております。しかしこれにはいろいろな原因があることでありますので、この点については一般的な措置にまたざるを得ないかと思いますが、いつまでもこういう状況が続くものというふうには考えられないのでありまして、私どもといたしましては素材の価格、品質の点については、一般的な施策の進行をまつ以外にはしかたがないのじやなかろうか、ただこういうふうな一つのハンデイキヤツプを持ちながら生産をやるわけでありますので、国産車と申しますか、特に中古車に対する現行の物品税等については、何らかの措置をとつて参りたいという考えをもちまして、昨年においてもわれわれは現行の二割の免税を希望したのでございます。大蔵当局もまず一割程度に引下げることについては了解していたのでありますが、当時まだ占領下にあつたような関係でこれが実現を見なかつたわけでございますので、この点については近い時期におきまして、できるだけこういう面においても価格の低下をはかりたいと考えております。そこで今申しましたように、すでにプレスの設備も進行しておりますので、これを持つているというようなことでは間に合わない。この際ある程度将来のコストの低下を考えて、メーカーとしても需要者の希望に応じて、できるだけ買い手の負担の軽減についての措置をとつてもらいたいということを勧奨しているわけでございまして、この点は問題が営業上の機徴に触れる点もありますので、いつからどの程度ということは申し上げかねるのでございますが、遠からざる時期において、ある程度そういう方向に進んでいるということを、現実に需要者各位にも御了解願えるような措置がとれることを期待しているような次第でございます。
 なお性能の点につきましては、昨年の暮れに実施いたしました長時間の連続耐久試験等の結果によりますと、結論的に申しまして、相当長時間無理をして走つても、まず一応故障なしに乘り得るというのが現状ではないか、こういう専門家諸氏の御意見であります。従つで乘用車の備えるべきいろいろな性能等については、もちろん今後なお努力を継続しなければならぬ点が多々あると思いますが、一応ある程度の実用に供し得るという段階に達し得ている。これは先ほど申しましたようないろいろな生産上の悪條件等から考えまして、われわれの立場としてはある程度メーカーの努力も認めてやりたい、かように考えているわけであります。
 それから第二の告示についてのお尋ねでありますが、これについてはひとつ実情を御了解願いたいと思いますが、この措置は一般的に外国人の車の処分についての制限ではないわけでありまして、行政協定によつて駐留軍の軍人軍属につきましては、為替管理法上の例外と申しますか、要するに通関手続を経ずして自動車を持ち込み得るという形になつている。これは自動車のみではありませんので、その他の物資についてもいろいろ問題が起つているわけでありまして、行政協定上の必要に基く為替管理法の一つの抜け穴と申しますか、例外措置によつて通関の手続を経ざる形のものが自由に処分し得るということになりますと、極端なことを考えれば自動車を逐次持ち込んでは売り、持ち込んでは売るという、一つの脱法的な商売ができるという懸念があるわけであります。従つてこの告示のねらいといたしますところは、駐留軍の軍人軍属が駐留の必要上通常の姿において車を持ち込み、またある期間使用した車を新しい車と入れかえる形において処分することは何ら制限しない、しかしそれ以上にわたつて、一つの商業目的のような形において為替管理法令の抜け道を制限しようというだけの趣旨でございます。従つてこれによつてただいま米軍側と話合いを進めていただいておりますが、大体国内における軍人軍属の持つております乘用車の数量等から推定いたしまして、この程度の車は通常年間に代替される、自然的に入れかわるものであるという台数によつて一つの総わくをきめよう、そのわく内であるということが立証される以上は、従来のごとくそれ以上何ら割当とか切符制ということを考えておらない、この意味において御了解願いたいと思います。それでこの告示案について打合せをいたしましたときも、ほかの物資、たとえば菓子類等も、砂糖の値段の違い等でこのような形で持ち込まれると非常に困るという要望もあり、その他主として消費用の機械類についても問題があるわけでありますが、これらのものが、かりにこういう制限を加えましても、軍人軍属が個人的にPXなりその他のところから購入し、また個人がこれを讓渡するということにつきましては、実はこれを具体的にとらえる方法がないということであります。その他の物資につきましては、やはり全体の量において駐留軍が通常必要とする数量に輸入を押えていただくということを、先方に申入れをしていただく。ほかの物資につきましてはそれ以外に押えようがないという意味において、結果的には自動車だけが出て来ている、こういうことになつていることを御了解願いたいと思います。
#48
○滿尾委員 ただいま了解を求められましたが、私は実は了解しないのでありますが、もう少し伺つてから申し上げたい。今度の告示によりますと、あれはどういうように許可せられるのですか。一年間のめどがつきさえすれば、総括的な許可を駐留軍にやるというのですか。個々の自動車についての許可というものは行われないのでありますか。また年間の両数をどのくらい念願に置いて考えておられますか。
#49
○吉岡説明員 具体的の方法につきましては、ただいま先方と話合い中でございますので最終的なことは申し上げかねますが、考え方といたしましては年間の総台数を押え、それをある時期に区切りまして、いわば一般の輸入の場合の先着順というふうな形において処理してはどうかということを考えております。
#50
○滿尾委員 ますますどうもこの問題はわからなくなる。五月の二十日に告示をし、それを話がつくまでは一切許可しないということになつて、その面は事務が澁滞するわけでございますね。聞くところによると何かアメリカ側では、軍人軍属に自動車を売つてはいかぬという禁令を出したそうです。今あなたのお話を聞くと、日本側においてもそれを受入れる準備ができていない。とりあえず通産省の告示で縛ることだけは縛つて行く。話がつくまでの間は軍人軍属から流れて来る中古自動車の供給が一時ストップするということになります、かように解釈して間違いありませんか。
#51
○吉岡説明員 その点につきましては現在御承知のように、今月の末日までは従来の外国自動車讓受規則が生きておりますので、その規則の生きている間はこの規則によつて、讓渡を受ける場合にはこの告示の制限から除外しております。従いまして今月一ぱいは従来の形で動いて行く。従つてこの告示の効力が実際に発動いたしますのは、来月の一日からになるということでありますので、今月中には具体的の措置をきめるという考えでおります。
#52
○滿尾委員 そうしますとこれはなおわからないのであります。伝えられるところによりますと、アメリカ側の軍人軍属に対してはアメリカ側であの規則の関係で、たしか車の讓渡を禁止しているわれわれ日本人側においては、クーポンを頂載している人が受入れ態勢を準備している。両方に食い違
 いがあつて、いくらクーポンがあつて買おうと思つても、売手がなければ品がすれで買えないことになつて、クーポンというものはから切符になつてしまう。私はきのうもちよつとお伺いしたのたが、どうもすつきりした御答弁がない。あのクーポンを出すについては、その数量を考えたその数量には通産省の御認定のあつたディーラーに対して、それに必要なドル価の裏打ちをしてクーポンをお出しになつたと私
 は了解しているのでありますが、現在の情勢をもつて進みますならば、売ろうとする軍人軍属がいなければからクーポンに終りまして、用意されたドルというものは書寢をする以外に方法がない、これらの事情はどういうようなお見通しを持つておられますか、お伺いいたしたい。
#53
○吉岡説明員 実は最近におきまして、先方でそういう何らかの停止をしているということを聞きましたので、特にこれは急いで話合いをきめなければならぬと考えているわけでありますが、現在の供給源といたしましては、一般の民間人の持つている車、それから軍拂下げの車等の供給源がございますので、全部がストップになつているというわけではありませんが、いずれにいたしましてもそういう関係もありますので、至急にきめなければならぬということで考えております。
#54
○滿尾委員 その程度の御答弁ではわれわれはどうも納得できないのでありまして、なるほどそれは外車、いわゆる三百台の車がわれわれの了解するところでは、全体で八千台くらいしかない。またその八千台の中も、法律上の建前は別といたしまして、事実問題として約五千台くらいはすでに日本人の手に渡つておるそうであります。そうすると残るところは三千台しかない。その三千台の第三国人がどのくらい一月の間に車を売るであろうか。従つて発行されているクーポンヘの一つの供給源としては、きわめて微々たるものである。おそらく五百両、千両とあるまいと思う。まさか残つておる三万台の車の三分の一放出されるとは思わない。この拂下げの車はどういうことになりますか。これは私にもちよつとわからぬのでありますが、それらの面から見まして非常に供給源はしぼられておる。そうするとクーポンはから切符になつて、せつかく非常に期待した人がみんな困る。このクーポンは六月三十日をさらに期間延長する御意思が当局にあるかどうか。御意思がなかつた場合に、から切符に終るところの責任はどうして負われるかを伺いたい。
#55
○吉岡説明員 先ほどちよつと申し落したのでございまするが、いま一つ供給源といたしまして欧州車の新車につきましては、今年度以降におきましてアメリカ軍の中古車と同じ取扱いをいたしております。この車は現実に相当動いておるわけでございます。それから讓渡制限の点につきましては、これは行政協定によりまして両国政府が合意しなければ、軍人軍属の持ち込んだものを自由に処分できないという一般規定がございますので、その面からどうしてもすぐに話合いをつけませんことは、先方としても制限せざるを得ないという形になつております。なお外国自動車讓受規則が今月一ぱいでの効力でありますので、七月以降におきましては軍人軍属の車を除きまして、一般的には讓渡、処分等も自由になる、こういうことになつております。
#56
○滿尾委員 私の申し上げた供給源をかようにしぼられたことに対して、現在すでに発行されておるクーポンの処理について、何らか措置せられるお考えはないかどうかという点について御答弁がない。
#57
○吉岡説明員 この点につきましては外国自動車讓受規則自体が、御承知のように物調法の関係上三箇月を限つて延長を認められましたので、規則そのものがなくなるわけでございますので、これを延長するということは困難かと思います。
 なお御参考までに、この際本年度におきまする乘用車の需給関係についての考え方をちよつと申し上げておきたいと思いますが、御承知のように現在国内におきまする日本人の保有車両は約四万台、実働は三万数千台という状況でございます。これに対して年間どの程度の需要があるであろうかという点につきましては、これはいろいろ見方はある思いますが、大体この点につきましては運輸省のお考えと私どもの考え方もほぼ一致しておるのでありまして、ここ当分の間は年間一万台程度の供給力があればまずやつて行けるのじやなかろうか、こういう考えでございます。これに対しまして国産車は、先ほど申しましたように本年度六千台ほどの計画でございますので、残りの四千台をどうするかという点につきまして、外貨予算の上で本年度四千台の輸入計画を組んでおります。このうちアメリカ車と欧州車とが現在のところほぼ半数程度でありまして、欧州車につきましては、七月以降何ら制限のないことになりますので、だれでも自由に買える。それからアメリカ車につきましては、御承知のようなドルの関係もございますので、第一次的には在留の外人にこれを売りましてドルを回收していただく。しかしながら外人が車を買いますれば、その結果として、従来乘つておりました車が中古車として処分されることになりますので、一応国産車と合せまして、この両者をもつて一万台の供給力を確保いたしたい。なおこれ以外に、軍からの直接の拂下げと、先ほど申しました軍人軍属が一般の輸入手続を経ずして持ち込んで参ります中古車として処分される数、もつともこのうちの一部のものは外貨予算によつて輸入いたしました車を買い取つて、中古車を売るという形になりますので、一部重複する面があるかと思いますが、要するに一万台プラス何台かの車の供給力がある。従つてこの点につきましては、一応の供給力は確保し得るのではないかと考えております。
#58
○滿尾委員 どうも私のお尋ねしたポイントがはつきりならない。つまりかような需給の、今月中の情勢ではクーポンがからになるような問題については、どういう措置をとられるお考えか。それは措置がないというお考えであるか、もう成行きにまかせるほかはないという御意向であるかどうかという点が一つ、それから今の外国車の七月以降の輸入の問題でございますが、欧州車に制限がないと仰せられたのはよろしい。ただアメリカ車の場合でも、法制上外国人に優先制を認めるということが出て来るのでありますか。譲受規則がなくなれば、普通の財貨の一種として米国の自動車を輸入しようという動きがあつても、法律上の制限はないように思われるのでありますけれども、なぜイギリスとアメリカと地域的にわけて、法律上の差別待遇ができるようになつておるのか、お伺いいたしたい。
#59
○吉岡説明員 あとのお尋ねから先にお答えいたしたいと思います。アメリカ車を第一次的にアメリカ人にしか売らないということは、まつたく外貨面の関係であります。方法といたしましては、輸入貿易管理によりまして、輸入許可の條件といたしまして、貴重なドルを使つて輸入した車につきましては、在留の外人が手持ちのドルを銀行に参りまして円と交換をする、そういう証明のつきました円貨でもつて取引をする。従いまして政府といたしましては、輸入についてはドルの立てかえ拂いであり、かつこれを在留外人に売ることによりまして、その間の手数料その他のディーラー・マージンを実質上ドルによつてかせぐ、まあ一種の内国貿易という考え方でございます。これに対しまして欧州車の方は、現在御承知のようにポンド並びにオープン・アカウントの関係はむしろ貸越しになつておる関係もございますので、この方は第一次的に自由に売つていただく。要するに欧州車の新車と、アメリカ人がドルで買いました新車のかわりに従来使つておりました中古車が出て来る、この両者でもつて国産車の不足分を補つて参ろうという考えでございます。
 それからクーポンの点は、先ほど申しましたように規則自体が六月末で失効いたします。かりにこれが継続しておれば、この需要者に優先の扱いをすることは可能でございますが、その点がなくなりますので、特別の取扱いは困難かと思います。ただ従来制限しておりました国内の外人なり、そういう一般の軍人軍属以外との取引は自由になりますので、その面で需要の方もある程度フリーになりますが、同時に供給の方においてもある程度の供給力が出て来る。運輸省並びに私どもの考えによりますと、全体として一万台見当の需要ということで考えておりますので、あるいは一時的には多少需給の逼迫を見ることがあるかとも思いますが、ある期間がたちますれば、全体としては需給のバランスはとり得るのではなかろうかと考えております。
#60
○滿尾委員 それではもう一ぺんクーポンのことを伺いますが、このクーポンを出すときに、七十万ドルの為替の裏づけをなしたという、その為替は今でもディーラーに出す用意があるのですかどうですか。かりに軍人軍属のルートが当然押えられた場合におきましても、第三者のそれ以外のルートを探すにつきましても、ディーラーが為替がもらえなければなかなか入手困難という事情があるのですが、この為替は一体どういうことになつておりまするか。どうもたな上げせられておるという疑いをわれわれは持つおるのでありますが、その点をひとつ伺いたい。
#61
○吉岡説明員 昨年まではドルの取引になつておつたのでございますが、本年度におきましては、中古車の取引は原則として円拂いということになつております。
#62
○滿尾委員 それでは自動車問答はこれでやめまして、雑貨局長の御出席をいただきましたから一言お尋ね申し上げる。これは新聞の伝うるところでありますから、責任あるルートとは言いにくいのでございますけれども、かつてゴムを非常に輸入し過ぎて、ゴム製品が国内に氾濫し、非常に値下りする傾向になつた。そこで通産省は、タイヤの製造業者等に対して、タイヤの操業短縮をしたらどうかと御勧誘になつたかのごとき記事を読んだ。私は事業者団体法第五條第四号の操業短縮というのは、値段を維持し、あるいはつり上げるために同業者が相談をして仕事をやめるというようなことは禁止せられておる條項のように拝聽しておる。いやしくも監督官庁がたとい御勧誘にせよ、さようなことを示唆せられることは万々あるまいと思つておるのでありますけれども、東京の大新聞にそういうことがしばしば出ましたので、一応真偽のほどをお伺いしておきたいと存ずる次第であります。
#63
○徳永政府委員 ゴム工業に対しまする操短、生産制限の勧告は、実は役所として正式にいたしております。但しこれは罰則等があるわけでもございません。御承知のようにゴム工業が昨年の春以来当面しております問題で、昨年の過剰輸入の後を受けまして、ゴム価の暴落で非常に困つておつたのであります。原料の値段が下る、その前に高いものを買つておつて、それが値下りで商売が悪くなる、これは経済の普通の原則ですが、その逆のこともあるわけであります。安いものを買つて高くなるということもあるわけであります。役所としては放置しておいて、その問題に関する限りはどうこう言う性質のものではないというふうに考えておつたわけであります。ところがそういうことで金融上でもいろいろ困つておりましたが、金融のめんどうその他というものはわれわれが見ておつたであります。ところがその後におきまするゴム産業の当面しておりまする事態というものはどういうことかと申しますると、非常に簡單な言葉で申しますれば、国内全体としての需要がどういう状態にあるかというようなことは全然おかまいなしで、ただ自分のところのそろばん本位で赤字を埋めようということで、大量生産という方針でやつておるわけであります。それも自由競争の原則から申しますと、ある意味の合理化でございます。自分のところのそろばんがよくなるようにということで、今までの生産を工場の設備、システムをフルに動かすというような形で、間接的にコストを少しでも引下げるという形になつて行けば、これまた経済の進歩に役立つということでございまして、それ自身非難すべきことではない。経済の自由競争の自然の姿であるというふうに思うわけであります。ところが状況はそれからさらに進みまして、そういう形に現われました全体を寄せ集めてみれば、過剰な生産に相なつておるわけであります。そこで過剰な生産に相なりますれば、業者として勢い売れ残りが出るということになりますので、値段はおかまいなしというような売り方をするというようなものが現われる。それもまた私ども間々ありがちなことだと思うのですけれども、私どもが勧告をするに至りましたのは、それよりさらに事態が進みまして、先ほど申しましたある企業においては金融上の行き詰まりから、破産、整理というような段階に来ておるものもあるわけであります。そういう人たちの値段というものは、いわば企業採算を無視したほんとうの捨値ということになりますので、そういう投げ物が出れば、まともな生産をしておる人もその値段に追従せざるを得ないというようなことが出て参るわけであります。あるいはまたそれが單に生産者ばかりでなしに、消費者系統にも現われたというようなことで、そういうあおりを受けまして、経済自由の原則で競争に負けて、整理さるべきものが整理されて行くということであれば、われわれもかまいませんけれども、正常にやろうとしている人も、いくらがんばつてみてもそのコストを目安には売れないというようなことで、値段は市況に追従せざるを得ない。しかもまたそういう状況ですから、少しでも多く生産しようというような方向に動いておるわけですが、それが因となり、果となりまして、結局ゴム工業界というものは出血生産を続け、しかも結果的に見れば滞貸になるべきものだけを盛んに生産しているというような状況に相なつておつた。それも私どもしばらくの間はある経済の変動期の波でございまするから、見送つてもおつたわけでございますが、そういう状態から昨年の暮れごろ、ゴム工業界の当面しております事態というものは、相当深刻化もしておりましたが、年があらたまりましても、これがいつ果てるともしれない。これはゴム工業は全体に非常に業者の数が多い。従つてそれぞれの各業者が全体の需要がどうだとかい、うようなことを研究して、つくつたものが売れるか売れないかということを考えるほど聰明でないというと語弊がありますけれども、そういうところに原因があるわけです。いつ果てるともわからないというような事態になつておりますので、それからひいては金融機関はますますゴム工業に対しまして警戒気味に金を引上げるというようなことになります。そこである程度正常なベースにもどすということが適当ではないだろうかと私ども考えたわけであります。私ども生産制限の勧告と俗にいわれておりますけれども、方法としてかりに勧告しても、実は法的に何ら履行せしむる手段は私ども何も持つておりません。むしろ従来私どもゴム工業にとつておりました原則は、すべ自由主義経済を徹底させて行く方向から、ゴム取引所を再開するということもその現われでございます。あるいはゴム価格変動に際して国際マーケット、国際的なロンドン、ニユーヨーク、シンガポール等の取引所で取引さすというようなこともしなければならぬ。そういう自由主義経済の思想を徹底させて行くという考え方が、基本的に今日までの政策でありましたけれども、当面している事態というものは、業者があまりにも多過ぎることから、全体の市況、全体の需要がどう変動しているかということを何も考えないで、やみくもにやつて、みんなが自滅の道をたどつているというような事態にあるような気がいたしますので、年間の全体の需要というものを想定してみると、これも非常にむずかしい想定でありますが、こんなものですよ、皆さんが最近おつくりになつている数量はこれくらいになつておりますが、そうすると、約二割か三割は過剰ではありませんかということを、それぞれの個々の業者に申し上げ、その業者として聰明にできるだけ自分たちの品物を安くつくつて行くことはけつこうですということを勧告いたしたわけですが、先ほども申しましたように、きめ手を持つていないわけです。私どもとしては原料割当とか、さようなことをするのは好ましくありませんし、きめ手を持つておりませんので、ただ一つの啓蒙運動というようなつもりでやつているわけであります。従つてやりました成果というものは、非常にむらがあるわけであります。中には注文生産のものもありますし、そういうものはどうも手がつけられないとか、あるいは輸出品――われわれ輸出品あるいは特需品は頭に入れておりません。これは別であります。そこらのところはわれわれは何もきめ手を持つていないので、業者も各自やつているわけであります。ただ全体の生産はこうです、需給関係はこうです、皆さんがおつくりになつているゴムは、この程度行き過ぎておりますよということを注意するというわけでざいます。
#64
○滿尾委員 通産省は道義的立場に立つてこれを勧奨した、罰則もなければきめ手もないというお話でありますが、しかしただいまの通産省の御政策というものは、私が先ほど疑問を持ちました事業者団体法の関係と矛盾するとお考えにならないかどうか、その点について御見解を伺いたい。明らかに業者の団体がさようなことをした場合は、法律は違法なりとしておるようであります。しかるに法律が業者側の自発的な行為を違法なりとしておる場合に、監督官庁が指示する態度をとられるのは、これは一体どういうお考えであるかということが第一点、それから第二点で、かりにかような法律論を抜きにして考えてみるに、なるほど業者が困つたという事実は、われわれもおぼろげながらお察ししておりますが、なぜ昨年の春に過剰の輸入が行われたか。その問題につきましては、私はやはりあなた方の方のゴムの輸入計画といいますか、為替の割当の関係か何か知りませんけれども、少くともこれに通産省が参画して、その過剰の状態をつくるについて一役買われたのではないかという疑念があります。そういうことはなかつたというならばけつこうですが、その点についての何らかの責任があつたかどうかという問題、それからゴムが過剰になつて業者が困つた。その困つたのを何とかしてやりたいとお考えになるのはけつこうです。それについては輸出を漿励するとか、あるいは滞貨の金融について何か手伝つてやるとか、経済界の波動によつてある時間だけその資材が安くなつて、それを消費する者は非常に喜んでおる、そのときにそれがだんだん上るような手を監督官庁が簡單に打つということは、これは考えもので、消費者の利益を阻害せず、なおかつ業者を極端な苦境に陷れぬように、御政策をおきめになるのは非常にけつこうです。しかし消費者の負担において業者の苦痛を軽減するような指導をされることは、少し行き過ぎではないか。そのことは、言葉をひつくり返して申しますと、ゴムの供給が非常に少くなつた。タイヤはどんどん上つた。しからばその上るときに通産省はいかなる手を打つか。上るときには業者はふところがゆたかだから鼓腹撃壤しておる。それを傍観している。それでは消費者はたまつたものではない。だから通産省が業者をいろいろ御指導なり誘掖して行かれるということも、究極は国民の利益に合致する限度においてなさるべきことであつて、究極の主人公は消費者大衆なのですから、上るときはどんなことをせられるおつもりであるか、その点をあわせてこの際伺つておきたいと思うのであります。
#65
○徳永政府委員 ゴムの過剰輸入が行われましたときのことは、私当時雑貨局長をしていなかつたのでありますが、しかし制度としては、当時ゴムにつきましては自由輸入の形をとつておりました。AAシステムと申しております。これはどなたがいつ申請なさつても、幾らでも許可するというような制度でありまして、数量も割当制にするとか、金額もきめるとかいうようなことをいたしていないわけであります。その限りにおきましては、それぞれの企業家、生産者あるいは貿易商等が現状並びに将来を判断して輸入したのだといろふうに形式的には見られます。しかし御承知のようにあのときはゴムばかりではございません。私の方の担当の品目である皮も同様でございます。朝鮮事変以後の一種の世界の軍擴気構えの非常に濃厚な時期でございまして、皮、ゴムというのは軍需品としても重要な品物でございますので、需要が著しく逼迫するに至るのではなかろうかというふうに業者としては懸念し、しかもゴムのごときは百パーセント輸入せざるを得ない、買えるときに幾らでも買つておこうというような貿易政策をとつたのは、常識的に想像できるところでございます。その後世界の情勢が、軍擴気構えが若干スロー・ダウンをして、それが時間的には急激にやつて来たというような現象を呈して、関係業者が非常に苦しんだということであつたのであります。その意味で、役所がたくさん入れなさいというふうにさしずしたことがあるようには聞いておりません。しかしできた事実が国民経済に與える影響というものは、これは行政官庁として必要な限度においては援助の手を差延べることが適当かと思います。その意味で、そのためにとたんに赤字ができて、銀行の貸出しがストップになつて、金融がまわらなくなつたというようなことのないようにということで、金融機関にはできるだけ次の操業資金のあつせん等をいたしておつたわけであります。先ほどお話がございましたように、そういうものをやる際にゴムの生産者ばかりを考えてもらつては困る、消費者のことも考えて、広く国民経済全般のことを考えて行かなければ、そんなやたらに妙なことをしてはいかぬという仰せでございますが、それは私どもの気持としてはまさにその通りでございます。この問題の根本原因は、昨年の春にあつた問題でありながら、その後においても常に出血はしておりますけれども、それを放置しておつたということにあつた。いつまでもその事態が改善されないで、出血生産の状況が続いており、しかもそれがゴム工業だけの金融ではなく、一般的な金融引締めの状況から来る破産整理価格が市場を支配しておるというようなことのために、ゴム工業が成り立たない。その成り立たないことから金融機関にまた一層迷惑をかけるということ、これは産業としても相当大きな産業でありますので、それを放置しておくことは、結局広い意味におきまして消費者のためにもならない、国民経済全体のためにもならないということではないか。過当なもうけをするということは好ましくないことでありますが、一番優秀な企業が一番馬力をかけてみてもなお赤字であるというようなことにならないような、中庸なところが精一ぱいの努力をした場合にかすかすながら事業を継続して行けるというだけの状況で、経済が回転して行くということが一番望ましいことではないかという観点からも考えてみました場合に、そのレベルをはるかに割つた形で不合理な事態になつておつたということから、私は今滿尾委員がおつしやつたようなお気持に、そうそむいていないのだというような感じで、さような勧告をしたわけであります。
 それから今お尋ねの中に、独禁法との関係をどう考えるかというお話でありました。これは非常にむずかしい問題でございまして、私ども独禁法の精神というものは、自由競争をねらいとする主眼をうたつておるものと思います。徹底した自由競争によつて、経済の合理的な発展が確保されるのである、さような意味で独禁法ができておるというふうに考えておるわけであります。そのためには業者が談合して、それによつて消費者を犠牲にして、より多くい利潤をむさぼる目的のために価格の協定をし、数量の制限をするというようなことを禁止する、さような趣旨において独禁法がつくられたものであるというふうに私どもは了解するわけです。先ほど来申しておりますように、昨年から今年の春ごろまで、業界が当面しておりました問題は、すでに自由競争の域を越えて、ほとんど全企業が整理価格に引づられて、出血競争の段階に落ち込んでおる。その段階から立ち直つて行くその立直りの手段として、マーケットの需要におかまいなしに行われておる生産を、マーケットの需要の程度まで――需要を減らすというのではなく、需要はこの程度であるということを頭に置きながら生産して行くということ、これはある意味におきましては独禁法の予想もしていない事態ではなかろうかというふうに考えます。またそういうことがたびたびあつても困るのでありますが、非常に変則的な事態として、昨年の過剰輸入によるゴム価の暴落というものが非常に大きかつた、あるいは戰後日本の金融の逼迫の状況、そういう特殊の還境から生れた、あと幾たびも繰返されるということのない、きわめて変則的な事態から起つた、いわば特殊の事態ですから、独禁法の通常予想しておつた條件とは違う事態ではなかろうかというふうに私どもは感ずるわけであります。それはただ気持の問題でございますが、役所のやろうとする方向も、需要は全体として見ればこの程度ですぞということを業者に示して、業者の聰明な行動を期待するという程度のことであります。私どもその精神において独禁法の意図しておるところに違反しておるとも考えておらないのであります。
#66
○滿尾委員 ゴムの事情については一応了としておきましよう。ただ私は暴落したときにその施策をとられたならば、暴騰したときにもほぼ同様の考え方をぜひ進めていただきたい。それでなければフエアーでないと思う。さらに問題は七月一日以後に石油が自由になるが、ゴムに起つたような事態が統制撤廃直後の一年間くらいに、石油にも起る可能性が非常に多いと私は見ておる。従つて過去に済んだゴムのことをやかましく申し上げたのでありますが、石油に対しても必ずや同様の事態が発生すると私は思いますので、事前にこれを御警告申し上げて、きわめて公平な御判断でひとつ善処していただきたいと希望を申し上げて質問を終ります。
#67
○玉置(信)委員 私は先ほどの滿尾委員の御質問に対する政府の御答弁に関連いたしまして、ただ一点だけ政府委員にお伺いしておきたいと思います。
 乘用自動車の国産助長の点におきましては、先ほど滿尾委員から申されましたごとく、政府並びに私どもが自由経済を基本としての経済政策をとつておる建前から、もつとも自由経済と申しましても、手放しの自由経済ではありませんが、少なからざる疑問を持つておるものであります。
    〔委員長退席、黒澤委員長代理着席〕
しかしこれに関しましては通産大臣なり政務次官にお伺いをいたすことといたしまして、ただ一つ、クーポンの問題について、私はまだ納得できがたい点があるのでお伺いをするのであります。供給源の点につきましては、お答えによりますと、供給源はかなりあるとのお話であります。あるいはそうかもしれませんが、しかし最近の情勢を見ますと、車がないからもう売らないのだという説がひんぴんとして伝えられて参りまして、従つてクーポンを持ちながら自動車が購入できないという現況であります。ところが今日になりますと、円で売らないのだ、ドルでなければ売らないのだということがはつきりして参りまして、このために今回割当てられたクーポンは、どうも空に迷つたように思われるのであります。この前二千台のアメリカ自動車の割当に対して、百万ドルのドルの裏づけがなされ、このうち三十万ドルが出されておるのでありますが、あとの七十万ドルをこの際お出しにならないかどうか、たな上げにしてこのまま置くのかどうか。私はこの場合この七十万ドルはたな上げをしてしまわないで、こうしたきゆうくつな際でありますから、ひとつ政府において思い切つて出すべきだ、かように思うのでありますが、まずこのことについて所見をお伺いいたします。
#68
○吉岡説明員 これは講和後における在留外人に対する取扱い方の一般の問題になるわけでございますが、国内の取引におきましては、ドルは使わないという原則のもとに、駐留軍側と話合いの結果、こういうことになつたわけでございます。従いまして国内で外人からそういうものを買います場合に、ドルを支拂うという建前は一般にとつていない、こういうことであります。この自動車の場合についてのみ例外を認めることは困難でありますので、御了承を願います。
#69
○玉置(信)委員 しからば三十万ドル出したことに対しては、どういうような見解をとつておられるか。
#70
○中村(俊)政府委員 運輸省の見解を申し上げさしていただきたいと思います。二千両クーポンを出しましたけれども、その両数が買えなくなりそうだということは私どもも心配いたしております。なぜそうなつたかと申しますと、二千両の割当の中の数百両、――八百両、九百両は現在軍人軍属が持つておる車を引当てに考えておつたわけであります。これは讓受規則が一月に、かわりました際に、どういうふうになつたかと申しますと、軍人軍属以外の一一般の車につきましては円で買う、軍人軍属の場合は円またはドルで買う。軍人が円でよろしいという場合には円で買う。ドルの場合でも日本人がドルを持つてするのではなくて、ドルの裏づけということでありますが、それが実は昨年末の打合せが不十分であつたのか知りませんが、円だけでなければならないといつきまつたか、私ども承知していないのであります。それで一面アメリカさん方はどうなつておるかと申しますと、この間司令部へ行つて調べましたところが向うの軍人軍属が円を取得する場合は、自分が持つておりますドルあるいは軍票を軍の経理官ないし銀行でもつてとりかえて、いわゆるドルでもつて円を買つた外には円を取得できない、こうきめてございますので、自分の自動車を売つて円を取得することはできないのでございます。それで一般に伝えられておりますように、自分の持つておる自動車を売つてはいかぬという命令は、アメリカ軍では出しておらぬといつておりますが、日本側では円でなければ拂つてはいけないという通産省の御方針でありますし、アメリカ軍の方では円を受取つてはいけないということになつておりますので、われわれの期待しております数百万両の財源が出て来ないというような現実になつております。特に国会関係の方、またハイヤー、タクシーの方で、クーポンの発行が事務的の手続で遅れ、からクーポンになるということになつてはまことに申訳ないので、この点につきましては先般大蔵省に参りまして打合せをいたしたのであります。もちろんわれわれが国内で使えるのは円に限つておるのでありますが、それを外人に拂いました場合に、ドルにかえてやることができるような措置、ないしはアメリカに帰りますときに円をドルにかえてやるとか、あるいはこれはアメリカ人が通例行いますところの何年かたつた古い車を国内で輸入した新しい車にかえるという場合に、円がすぐに役に立つというような措置をしなければいけないとか、そういうようなこといろいろ考えておると申しておりますが、まだこれは進行いたしておりません。早くこれを進めてやらないと、せつかく運輸省と通産省とよく協議して出しました二千枚のクーポンが、その中の相当の部分がからになるということになつては申訳ないと考えておりますのですが、なかなかピッチが合わないというのが現状であります。
#71
○滿尾委員 ただいまの通産省の吉岡さんのお話は、私は非常におかしいと思います。円の支拂いについては、自動車だけに除外例の取扱いはできないという御説明です。先ほどの御説明では、自動車だけは除外例の許可制にする、その他のものはラジオであろうと洗濯機であろうと何でもかまわない、円でよろしいけれども、自動車だけは除外例にするのだということであつた。この二つの御答弁は彼此突き合せてみると、まつたくめちやくちやな御答弁といわなければならぬ。一体通産省という役所は人格の統一制を持つておられるのか、私は精神分裂症にかかつておるのではないかと思いますこれはどうかしておる。これはどうしても国会にいる者として、通産大臣を徹底的に追究せずんばやまぬ。そんなばかなことはない。もしそれならばあなたが円で拂うという決定をする前に二千枚のクーポンを出して、その裏づけとして若干のドルを用意していただいて、そのひつかかりのある分のドルに対しては当然除外例にすべきである。それをそのとき何をぼんやりして自動車もその例外でないということを御了承になつたのか。それはあたりまえの人間の考えることではない、頭が少しどうかしておると私は思います。これはどうしても通常の判断では理解ができない原則だと思います。それは一般原則はそれでよろしい。しかしそれ以前に日本の行政官庁は一つの決定をした。それについて、六月一ぱいでおしまいになるほんの過渡期の間のつなぎの経過的措置をなぜとらなかつたか。それではお役所というものは切捨てごめんの無責任きわまるものである。国民に対して何のかんばせがあるか。これはきようお帰りになつて、大臣に運輸委員会でかくのごとき暴論をもつてしかられたということをせつかく御復命いただいて、あすは大臣に腹をきめてここに出て来てもらう。大臣が下手なことを言つたならば私は絶対に承知しません。そして代弁者の答弁は許しません。大体通産大臣なんというものは、自分のことを人に答弁させて責任を回避しておる、これは私はけしからぬと思います。あすは大臣からはつきりと答弁を求めますが、きようはこの委員会のわれわれの意の存するところを間違いなく大臣にお伝え願つて、明日は、その決意をもつて大臣の口から答弁をいただきたいと思います。
#72
○玉置(信)委員 私もただいま滿尾委員の申されたようなことで注意を喚起しようと思つておりましたが、本日は質問を留保いたしまして、これで打切つておきます。
#73
○滿尾委員 私は事業財団について質問を続けたいと思います。第四條の第一号に工作物とありますが、建物とか什器等をこの中に含ますおつもりでありますかどうか、お伺いいたします。
#74
○谷説明員 第四條の工作物には、什器は含まないと思つております。おもに建物、それから柵がきというものを予定しております。
#75
○滿尾委員 そうしますと第四條というものは非常におかしなものである。工作物の中に建物は入るけれども、その中身の什器たるいす、テーブルは入らない。しかるに四号を見ますと器具が入つております。器具にもモーターもあるしスパナに至るまでの器具も含まれると思います。そうするとこの四條はでこぼごしたもので、先ほどの御説明の包括的に事業を経営するための云々というお話に当らぬように思うが、ただいまの御解釈は非常に狭きに失するのではありませんか。また先ほど二号の「自動車及びその附属品」の中で、ラジオに例をとつてお話になりましたが、私は車の中にとりつけてあるラジオは自動車自体だと実は思つていたのでありますが、それが付属品だというお話であつて、いささか驚いて聞いておつたのであります。付属品とはスペアのタイヤのごときものをさすものと心得ておつたのでありますが、御解釈のほどをお伺いしたいと思います。
#76
○谷説明員 今の什器の点は四号の「機械及び器具」で読むごとにいたしておるのでありますが、たとえば事務所で使つております机類は、工作物には入れずに器具と呼んでおります。什器を含まないというのは一号に含まないという意味でありまして、もちろん事務用に使います器具まで入るわけでございます。それから付属品につきましては、御指摘のようにラジオを付属品というのは多少法律的には間違つておりまして、あるいは滿尾先生のおつしやいまするのが正確であるかもしれませんが、われわれが考えおりました付属品の範囲と、法務府あたりの考えと、どの程度までが付属品に入るかということで、いろいろ議論になつておつたのでありますが、われわれが考えておりましたのは、ラジオのある車もあればラジオのない車もあるということで、それでラジオでございますとか、シートでございますとか、ヒーターでございますとか、そういうものは付属品に入るだろうという解釈をとつているわけでございます。なお先ほどの説明が不十分であつたと思いますので、補足的に全般的に四條にどうしてそういう動産を入れたかということについて御説明申し上げますと、御説の通り財団抵当というものは個々のものはあまり考慮せずに、事業の收益力でもつて金を貸す、でありますから、債権者としては大体銀行が多かろうと思いますが、債権者としては事業につきまとつてあの動産をどうしたこうしたということは事実上不可能でございますし、また債務者としましても一々その内容がかわりますごとに、スバナあるいはジヤツキの類に至りますまで抵当権者の同意を求めて返事をいたしますとか、変更登記を一々いたしますとかいうことは、実際上なかなか行われがたいのでございまして、債務者が誠実に担保力を落さない気持で運用して行けば、まず債権者としては権利の上に眠つておつても大体目的が達せるわけであります。第四條で一番問題になりますのは、いざ競落というときで、そのときは債権者としては普通仮差押えをいたしまして、競落の申請をしたために急激に財産がなくなつてしまうということを、自衛的に防止いたす措置をとりますとともに、その仮差押えをした状態における財産目録を競落の前につくるのが一般でございまして、そのときにここに掲げられております動産に至るまで全部こまかく目録をつくり直して、それを基礎にして裁判所で鑑定に及んで、全体の競落価格を決定し、競落に移るということであります。従つて先ほど植竹先生から御説明がありましたように、事業が競落されて新しい事業者になりまして当然あるべきもの、しかも財団設定のときには財団に載つておつたようなものが、内容はいろいろ消耗品なものもありますので、どんどんかわつて行きますが、そういうものがないということになつて参りますならば、たとえば鑑定の競落価格が非常に下つたということになれば、あるいは求償関係も起きますでしようし、そういうことで競落のときに四條の関係が一番ものをいいますので、大体ここに掲げられていますものを押えれば、先ほど植竹先生がおつしやつたように、観念的に言えばあすからでも営業をやるのにそれほど支障はない。それは個々的にはいろいろ欠けたり何かすることはあり得ますが、大体財団抵当法の立て方として見ましたときに、ここに掲げられておりますものを押えれば、まずまず支障はないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
#77
○滿尾委員 第四條に関連してもう一言伺いたい。ある抵当権を設定しました人が、自動車を持つておつた、その自動車が転覆し、火災を起して焼失してしまつた、自動車に保險金はかけてあつた、こういたします。保險金はそのときに財団の抵当の方のために供託するか、あるいは何とかして保存しておかなければいかぬのかどうか、あるいは現金で人づて来ますその保險金を、自動車の価格と見合つて使つてよろしいのですか。
#78
○谷説明員 自動車の保險金につきまして、自動車抵当法の場合で申しますと、抵当権はそのかわりに参ります保險金の上にかかつて行く、つまり法律でいいます物上代位というかつこうになつて行くのでありますが、財団抵当の場合には、一体として抵当権を設定しておるわけであります。従つてたまたまその債務の弁済期が来る前に、自動車が転覆して保險金が入つて来たという御設例のような場合には、その保險金だけに物上代位がかかつて来るという形はとれませんので、一般の流動財産の中に入つて行つて、これからのける。但しその場合に、事業をやつて行く上においては、大体の補充事業計画で定めている車両数は必ず備えておくことが要求されておりますので、それがその自動車を買つたときにおいては自動的に六條の三項でございますが、新たにその後に入つたものも当然事業財団に属するということで、この場合においては前項但書の規定を準用するという次第であります。
#79
○滿尾委員 もう一言伺います。たとえば四條の関係になりますが、非常な台風、災害が起りまして、土地及び工作物に非常な損害があつたとかいう場合、担保価格が相当低下するような場合には一体どういうことになりますか。天災だからといつて、抵当権を設定した人の不利益だけでかぶるのか、債務者の方は一体どういうことになりますか。
#80
○谷説明員 今の問題につきましては、災害を受けて大部分の財産が自動的になくなつた場合には、不動産が一つもなくなれば財団がなくなつてしまうわけでありますけれど、土地などがあつた場合には、いかに大きな災害を受けても、理論上は財団はなくならぬわけであります。抵当権はそのまま存続するという関係になるわけでございますが、大体興銀あたりでやつております融資契約の例を見ますと、ひな型としてはそういうふうな大きな担保物がなくなつた場合には、かわりの担保を提供しろという融資契約におけるひな型になつているようであります。その場合にかわり担保――かわり担保と申しますと、たとえばその場合に自動車が全部洪水で流れてしまえば、事業者として存続する以上は、その自動車を常備しなければならぬことになるわけであつて、それをかわり担保というわけでありますが、そういう場合に買う資力が全然なくなつたという場合には、民法百三十七條の三号に「債務者カ担保ヲ供スル義務ヲ負フ場合ニ於テ之ヲ供セサルトキ」とありますが、そういうことになつて、期限の利益を喪失いたしまして、抵当権の執行ができることになるわけでございます。それから全般的に見まして、その場合に完全に抵当権者が終局まで保護されるのかというと、今の場合は、普通の抵当権の場合もそうでございます、非常に大きな財産を失つた者に対して抵当権を執行して終局まで満足を得ることは、一般の場合も常にあるとは言えないので、ある程度債権者もその犠牲は拂わなければならぬ、こういうことになると思います。
#81
○黒澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト