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1951/02/23 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第7号
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1951/02/23 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第7号

#1
第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第7号
昭和二十七年二月二十三日(土曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 小平 久雄君
   理事 逢澤  寛君 理事 若林 義孝君
   理事 受田 新吉君
      青柳 一郎君    飯塚 定輔君
      川端 佳夫君    庄司 一郎君
      玉置 信一君    福田 喜東君
      丸山 直友君    柳原 三郎君
      苅田アサノ君    高田 富之君
      上林與市郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  石原幹市郎君
        厚生政務次官  松野 頼三君
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (アジア局第五
        課長)     上田 常光君
        外務事務官   山川  壽君
        参  考  人
        (日本基督教青
        年会同盟総主
        事)      齋藤 惣一君
        参  考  人
        (在外同胞帰還
        促進全国協議会
        委員長)    上島 善一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 海外同胞引揚促進に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小平委員長 これより会議を開きます。
 本日は海外同胞引揚促進に関する件について議事を進めます。海外同胞引揚促進に関する件につきましては、ソ連地区よりの集団引揚げが中絶して以来二箇年にわたり、その間国際情勢の変化等により引揚げが相当困難な状況
 のまま今日に至つており、国際連合においても引揚げ問題を人道上の問題として取上げ、俘虜特別委員会を設けて調査しているところでありまして、先般この俘虜特別委員会がジユネーヴで開催され、わが国より三名の代表が出席され、多大の成果を攻めて帰国された次第であります。本日ここにジュネーヴの国際俘虜特別委員会に出席された三名の方々よりその状況をお話願いたいと思い、出席を煩わした次第であります。ただいまお見えになつておられる方々を御紹介申し上げます。前引揚援護庁長官、日本基督教育年会同盟総主事斎藤惣一君、在外同胞帰還促進全国協議会委員長上島善一君であります。なお同行されました外務事務官山川壽君も出席をいたしております。
 これより参考人の方々より場お話を承ることといたしますが、その前に一言参考人の方々にごあいさつ申し上げます。参考人の方々には御多忙中のところ、また長途の旅でお疲れでありますところ、特に本日は御出席を煩わしましてまことに恐縮に存じます。厚く御礼申し上げます。なお本日御出席の政府委員は外務政務次官石原幹市郎君、外務省アジア局第五課長上田常光君、援護庁長官木村忠二郎君でありますので、これらの方方にもあわせてこれから参考人と同時に御質疑を願いたいと思います。
#3
○若林委員 参考人からお話を承る前に、今度どういう身分でおいでになりましたか、前のとちよつと違つておるように思いますので、それをひとつ御説明願つてから承りたいと思います。
#4
○庄司委員 議事進行について……。内閣総理大臣兼外務大臣吉田茂君は、三名の方々は日本政府代表として派遣された旨本会議において説明されておりますので、本員はさように了承しております。
#5
○小平委員長 その点外務当局より説明を聴取します。
#6
○石原(幹)政府委員 前回はオブザーヴアーというような形で出られたのでありまするが、今回は日本政府の正式代表として齋藤惣一氏、上島善一氏が出席されておるのであります。
#7
○小平委員長 それでは参考人のお話を承ります。まず齋藤惣一君。
#8
○齋藤参考人 御報告を申し上げます前に、本委員会からいただきました電報の前文はこれを総会に報告をいたし、また後半の私どもに対しまするまことに行き届いたお言葉に対しましては、この機会に厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 御承知のごとく一昨年の十二月十四日に国連総会におきまして、第三委員会から配付されました決議案を審議いたしまして、賛成四十三票、反対五票、棄権六票という多数の賛成のもとに、国連の中に引揚げに関します特別の委員会が任命されることと相なつたのであります。この任命のいたし方は、最初その決議の中に国際赤十字または事務総長においてこれを任命するということになつておりましたので、最初国際赤十字社に交渉をいたしましたところ、それが承諾を得られませんでしたために、これはその決議の通り事務総長において任命されることと相なりました。
  この三名の委員の方々について、まず第一にどういう人がその中心になつておつたかということを御報告申し上げたいと存じます。スエーデンのエステル・ベルナドツト伯爵夫人、それからエル・サルバドールルのホゼ・グスタヴオ・ゲレロ判事、ビルマのアウン・カイン判事、このお三方が任命されたわけであります。そうして昨年の七月三十日に国連本部で第一回の会合が開かれました。そしてゲレロ博士が委員長に選任をされました。この委員会では、引揚げ問題が第一委員会で取上げられませんで第三委員会において取上げられた、すなわち社会、人道、文化に関する委員会で取上げられましたので、この問題はまつたく次のような性質を帯びるものであると了承されたのであります。第一は、この委員会は司法機関でもなければ、また政治的の調査機関でもない。第二に、この委員会の使命とするところは、純粋に人道的な精神により、また全関係諸国の政府が受諾のできるような引揚げ問題を解決することにある。こういう結論に達してこの委員会は発足いたしたのであります。次にこの立場に基きまして引揚げに関します特別委員会は、関係国の協力を得ますために委員会の性格とその使命を明らかにいたしまして、これを関係各国に通知いたしました。そして八月の八日に至りまして、国連の加盟国と非加盟国でありますとを問わず、全関係国政府にその趣旨を述べた書簡を発送いたしたのであります。今回のことを申し上げます前に、これしのことを御了承仰ぎたいと思うのであります。
 そういたしまして、この委員会は後に時と方法をきめて各国で必要の場合に会合を召集するということに決定かいたしたのでありますが、それが今回の会合がゼネヴアで催されるようにたつた順序に相なつておるのであります。
 次にこの三人の委員会の構成をしております方々がどういう方であるかということを、ごく簡略に申し上げたいと存じます。このうちの委員長であられますゲレロ博士は国際法に通じ、また判事でもあられます関係上、法律の権威者であられます。その位地から申しましても、かつて外務大臣をされており、あるいはその他の要職にあられた人でありまして、この人の年令は七十六才であります。そうしてエル・サルバドールの国連に対する代表の位地にあられる方であります。それからビルマのアウンカイン判事は、これは五十一才の方でありまして、この方は学歴はカルカッタあるいはケンブリツジ等を出られて、そうして高等裁判所の判事に今現にあられる方でありますが、ビルマを代表して国連に出席をしておいでになる方であります。特にその業績といたしましては、エリトレアとエチオピア問題の解決に当られまして非常な手腕を示された方であります。こういうような人のほかにもう一人、これはさきに申し上げましたベルナドツト伯夫人が加わつております。この夫人は御承知のようにイスラエルの問題で暗殺されましたベルナドツト伯の未亡人であります。スエーデンの皇室と関係のある方であります。こういう三人の方がこの委員となつておられたのであります。
 この会合は一月の二十二日、ゼネヴアの元の国際連盟の会館パレ・ド・ナシヨン、今国連において使われておる建物でありますが、その場所において第一回の総会が開かれたのであります。どういう国々とどういう人たちとがそこに出席いたしましたかということを御報告申し上げたいと存じます。オーストラリアの代表はシヨーという人でありまして、これはかつて対日理事会に英国側を代表して日本に来られた方であります。親しみのある方であります。その次はベルジアムの方でありまして、これは存じ上げない方であります。フランスの方は五人代表が参つておられます。またドイツの方はトリツツラーという方を首席代表といたしまして全部で五人、またイタリアはメダーという人を加えまして四人の代表が参つております。日本からはさきにお話のございました私ども二人と、それから外務省からお二人の方、ことに在外事務所長であります田村氏がこれに加わられたのであります。それからこちらから行かれました山川事務官にいろいろのお世話をしていただいたのでございます。その次はルクセンブルグから一人、これはベルンにおられるところの公使でありますが、スツルム氏という人が出席しております。それからオランダ、それから英国の代表、それから北米合衆国の代表が三名、これは国会議員であらせられますマンスフイールド氏という方と、それからジユネーヴの常駐の委員であらせられるブレースデル氏という方、それから一昨年の私どものこの問題に対しまして非常にお世話を願つて、おりましたミセス・アリス・コレルというこの御三方であります。こういうような構成のもとにどういうふうに会議が運ばれたかと申しますると、最初の一月二十二日には公開の会合がございました。それから最後の二月の九日にまた公開の会合がございました。その間におきまして各国の代表者とこの委員方は毎日のように非公開の会合を催されたのであります。この非公開の会合におきましては、委員とそれから私ども代表の者と国連の事務当局の者とだけの会合でありました。ここではすべてのことをざつくばらんに話し合う会合でございます。この会合は私どもにとりましては二回ございました。二度いろいろこまかいことについてのお話ができたのであります。また委員会におきましては、ただ各国の代表者にそれぞれ協議をいたしたばかりでなく、いろいろの団体がございますが、文化団体、宗教団体、いろいろの団体の人々とも話合いをされました。これは御承知のごとく国連の中に非国家機関、ノン・ガヴアメンタル・オーガニゼーシヨン、NGOと申しておりますが、その団体と一々話合いをされたようであります。たとえば赤十字社あるいは宗教団体というようなものでございまして、そういう細心な注意のもとに委員会は活動をされたのであります。わが方におきましてはこの会合におきまして、公開の席におきましてはいまだ帰らざるところの同胞のことを述べまして、そうして今回のこの会合が三つの点において非常に私どもの注意を喚起しておることをまず述べました。すなわちこれは政治問題でなく人道上の問題であるという点、第二は、この問題の取扱い方はただ單に一箇国の問題としてでなく国際協力のもとにすべきであるという点、第三は、捕虜という言葉の解釈でありまして、これは現在において捕虜という名前がついておらないでも、第二次世界大戦後にかつて捕虜であり、そして捕虜といわれておつたところの者をもその中に含む、こういう三つの新しい、あるいはそういう建前で開かれました会合であるということを非常に喜ぶ旨を述べまして、そうして待ちわびておられるところの家族の状態、これは特に後に非公開の席におきましては上島さんからお話がございましたので、上島さんにお話を願いたいと思いますが、そういうような問題を申しまして、最後に委員会がぜひわが国を訪問されて、そうしてこの実情をはつきりと見てもらいたい、ことに三十何万という大勢の人の名前、そのはつきりしたところのカード、こういうものを見ていただきたい、あるいはまた家族の人々の状態をも見ていただきたい、決してこれは架空の数ではない、事実に即しておるものであるという点を力説いたしまして、委員の来朝を希望いたしたのであります。こういうことの後の二回の非公開の席でいたしましたことは、どういうふうな方法でその数字がわかつたか、あるいはどういうふうな事柄があるかというような詳細にわたる委員たちの質問があり、また私どもは、準備いたして参りました小冊子あるいはいろいろの地図、統計等を示しまして、これに関して話合いをいたした次第であります。
 また最後の日におきましてのわが方の公開の席におけるステートメントの中におきましては、まずこの会に対して感謝の意を述べまして、そうして特に言葉づかいその他の態度に細心の注意をして、この問題の解決に当るところの熱心さというようなものにつきまして心からなる敬意を表しました。その次に、今日ここに委員長をしておいでになりまする小平久雄先生の名前を申し上げまして、こういう電報が参つておるということをごひろう申し上げました。そうしてそれはちようど今回はどうもお受けできない、おたずねすることができないと委員長から述べられた後でありますので、おいでができないことはまことに残念である、しかしながらこれは愼重にお考えになつた後のことであると存じますが、家族の人々は皆様の熱意のあるこの御支援に対して非常に感謝をしておることと思いまするし、またこの会において一歩前進することのできたことは非常に喜ばれることと思う、どうか委員たちは最後の一人の帰還いたしまするまでお骨折りを願いたいというその願いを述べまして、終りになお皆様においでを願いたいというこの御招待を申し上げる気持はかわらぬのであるから、皆様が御遠慮なく、また御躊躇の心なくおいでのできることを、またそういうときのすみやかに来ることを望んでおるというようなことを申しまして話を終つた次第であります。
 この機会にいささか心配をいたしました事柄について皆様に御報告を申し上げたいと思います。第一の事柄は、多少会議の技術的な方面でございまするが、御承知のごとく二月の初旬まで国連の総会がパリで開かれておりまして、その終了のときが二月の四日であるというようなことを聞かされ、私どもの委員会は九日まで、これはどうも困つたことである、もし総会にこのたびの会の様子がかけられて、それから発動をするというようなことであつたといたしますればこれは実は困つたことだと、そのときに考えたのであります。ところが幸いなことに、さきにもちよつと触れて御報告を申し上げましたように、今回のその委員は、赤十字社において推薦をしてもらうか、赤十字社が推薦をしなかつた場合は事務総長これを任命するということが規定されておりましたために、この会の結果は事務総長に報告すれば国連において適当なる活動をすることができる、こういうことがわかりましたので、ほつと一安心いたした次第でございます。もう一つの心配は、この国連において任命されました委員会は特別という言葉がついておりますアド・ホック・コミツテイース・オブ・プリズナースというのが公の名前であります。このアド・ホックというのは申すまでもなく一時の特別の委員会でありまして、常設の委員会ではございません。それでもしこの会が引揚げの問題を打切つてしまう、あるいは今回の委員会でもはや活動してくれないというようなことにでも相なりまして、日本の平和条約の批准が済みまし中共あるいはその他の関係諸国との連絡のできなくなつた場合にこれはどういう形になるであろうかという心配を持つたのであります。ところがこの委員会はさらに継続いたしますばかりでなく、八月にこの次の会合をジユネーヴにおいて開くことが決定されましたということは非常に喜ばしいことでございます。ことに日本側の問題につきましあるいは赤十字社の看護婦で帰られない人人であるとか、あるいはその他のいろいろの問題について大いに骨を折つてくれるというようなことも明らかになりましたために、初めの心配に増しまして非常な力を得たような次第であります。以上で委員会の成立いたしました経過、また委員がどういう人柄であるということ、また会の大体の様子を申し上げた次第でございますが、それでは今後どういうことになるのかという見通しについて一言申し上げたいと存じます。
 それは、この委員会はさらに具体的ないろいろの資料を集める、たとえば来引揚者のうち、なくなられた方があるならばその氏名、あるいはそういうことに関する詳細な調査等々を引続いてやることにしよう、そして八月に再開するというようなことを聞きまして、一纔の望みが與えられたように私ども思つた次第であります。この間になお一言つけ加えることをお許しいただきますれば、私ども二つの公開の会合、また非公開の会合のほかに、各国の代表の人々とあらゆる機会において協議、相談をいたしました。これは、たとえばドイツのごときは未帰還の人の数が百三十万という多数であります。そしてはつきりとわかつております数は八万三千、これは書簡その他によつて明瞭になつておるものであります。その氏名までもはつきりしておるということを公に言つておられました。それからイタリアのごときは六万、またルクセンブルグは千七百といつたようなことでありまして、関係各国の人々とよく打合せをいたし、また今後のことにつきましても国際的な協力の事業であるということをはつきりと認識をいたして参りました次第であります。そのほかに、またあそこでは御承知のごとく国際赤十字社とそれからソ連の赤十字社、中共の赤十字も含めておりますリーグというのがございます。リーグ・オブ・レッド・クロス・ソサイティー、赤十字社同盟のようなものがございます。こういう二つの団体、また宗教団体、文化団体の人人に今までのお骨折りあるいは協力を感謝いたし、さらにそれにつけ加えて今後一層協力を仰ぐというようなことをお願いいたしました。今後この問題につきまして委員会において一層のお骨折りを願えることと思いまして、非常な望みを持つて帰つて来た次第であります。
 はなはだ雑でございましたが、以上御報告を申し上げた次第でございます。
#9
○小平委員長 ありがとうございました。では次に上島善一君にお願いいたします。
#10
○上島参考人 ただいま齋藤先生からの御報告によりましてその全貌を御了承いただいたことと存じますが、先ほど齋藤先生の御報告の中にもありましたように、非公開の会議におきまして、私は全国の留守家族を代表いたしまして、委員各位に親しくお目にかかりましてごあいさつを申し上げ、この問題の解決に御努力を願うことをお願いする機会を與えられたことをお礼申し上げまして、留守家族の長い間待つておる気持を率直にお伝えいたしました。なおソ連からの引揚げ関係につきまして、ソ連はもう終つた、こう申しておりますが、現に私のせがれの妻がまだ帰つて来ておりません。これは軍人でも軍属でもない一邦人であります。しかも向うから私の手元へPW通信が届いております。なぜにそういうことをするのかわかりませんが、これらの実情をはつきり申し上げて、断じてソ連の終つたということは私は承服することができないとはつきり申し上げました。
 一次には中共地区にある多数の邦人の問題について特に注意を喚起すると申しましようか、ここにはつきりと御認識をいただくように、中共の問題について詳細に事情を御説明申し上げてこの問題について急速な解決方をお願いいたした次第でございます。大体のことは齋藤先生からお話をいただきましたので、私は主として家族の立場から、現に中共地区にあるたくさんな人人、私どもが向うから参ります手紙などによりましてはつきり知つた事情等もあわせて申し上げ、なお瀋陽において發行されておりまする新聞の写真等も添えて委員会に提出いたしました。これらの資料の控えを持つておりますので、あとからまとめて委員会の方に提出いたしたいと存じます。
 非常に簡単でありますが、一応私の御報告を終らしていただきたいと思います。
#11
○小平委員長 ありがとうございました。両参考人のお話を中心といたしまして海外同胞引揚促進の問題についてこれより質疑を許します。玉置信一君。
#12
○玉置(信)委員 まず最初に、今回のジュネーヴにおける国際連合の俘虜特別委員会に日本代表として出席されました齋藤、上島両氏がいろいろな面から御努力されましたことに対しまして深甚なる敬意と感謝の意を表する次第であります。そこで引揚げ問題について外務省当局に御質問申し上げたいと思いますが、その前に一応齋藤さんにお伺いしてみたいことは、先ほどの御報告の中に今回は三人委員会の方々が日本においでくださることができないようになつておるとのことでありまするが、幸い八月にも委員会が開催されるということで、この点から見て、私ども今後の日本としてこの引揚げ問題を推進して行く上に非常に力強く思つておりますが、やはり一応わが国の現状を見ていただくということは、代表の方々と私どもまつたく一致した考え方を持つておりますので、御交渉なさつている経過において、将来日本を訪れてもらえるような見通しがありましたでしようかどうでしようか、この点をお聞かせ願えれば幸いと思います。
#13
○齋藤参考人 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。私どもがお招ねきをいたしましたばかりではございませんで、これに対しましては米国の代表者は最も強力にこのことを委員会に諮られ、最初の公開の席でこのことを明らかにされましたのと、それから最後の会合におきましても――もうすでにそのときは今回は訪問できないということのきまつておりましたときでございましたが、それにもかかわらず繰返しぜひ日本及びドイツを訪問してもらつたらどうかというようなことが、その最後のときにも話されました。また対日理事会の一員でありましたシヨー氏は濠州を代表して、やはりその際にも、自分は日本におつたのであるが、日本に行つてもらいたいということを言われたのでありまして、私実は非常に心強く感じた次第でございます。今回おいでにならないということのお断りのありましたのは――すでにこの御招待は外務大臣から行つておるのでありまして、私どもはその公開の席でさらにそのことを申したわけでありますが、その前にもお断りが来ておりますが、今回のはさらに愼重に考えられた上に、この会議の目的を果すためには、あるいは直接に行かない方が公平の立場をとることができるというような考えからいいのではないか、そこであらゆる関係国を含めてこの問題を考究したいということでございます。それで私どもがなお望みを捨てません事柄は、この委員会の方がおいでになれなければ、あるいは事務関係の当局の方なり、あるいは濠、米、その他この問題について強力に支持されており、この問題に関して非常な骨折りをしておいでになる方がございますので、そういう方々においでを願つたらどうかということも申しておる次第であります。あるいはそれは可能であるかと思うのであります。委員会としては今回はおいでにならないだろうと存じます。
#14
○玉置(信)委員 重ねて齋藤さん並びに上島さんにお伺いいたしますが、先ほど齋藤さんの御報告によりますと、この委員会の性格は、純人道的立場からこれを構成し、活動することになつておる、しかも国連に加盟しない国でありましても、言葉をかえて申しますれば、全世界の国々が受諾できるようなことをこの委員会において取上げて活動をするし、さらに相手国にこれを要求できるのだというようなことを承つたので、この点について私どもは非常に力強く考えます。御承知のごとくソ連が今日まで鉄のとびらとでも申しますか、一向その消息がわからないのです。しかもソ連地区におけるわれわれの同胞がどれだけおるか、どれだけ死亡しておるかというようなことを、戦時国際公法に基いて、当然相手国たるわが日本に通知しなければならぬにもかかわらず、それを無視して、今日に至る間何らのそうした報告もないわけであります。しかし純人道的立場からこれを取扱う上におきましては、おそらくソ連といえどもこれを受けられないはずがないと思うのであります。従つてこの国際捕虜特別委員会が活動いたしますれば、私は相当将来の見通しがつくのではないかという、甘いかもしれませんが期待を持つておる一人でございまして、従つてこの特別委員会が将来そうした立場に立つて、ソ連の現地まで実情調査に乗り出すところの熱意をお持ちになつておらるるであろうかどうか。そういう面についての見通しがありましたならば、この際承りたいのであります。
#15
○齋藤参考人 ただいまのお尋ねに対しましては、はつきりとお答えのできないことを非常に遺憾に存じますが、さきにもちよつと触れておきましたように、この調査はあらゆる関係国を含めてということになつておりますので、もちろんただいまお名ざしになりました国もこの中に入つておるわけであります。ことにここに会場の写真を持つて参つておるのでありますが、この会場には、ただいまお名ざしのソ連邦も出席をいたしますように、席もここにちやんととつてあります。そういうような意味合いから申しまして、調査――あるいは書面でいたしますなりあるいは直接に行かれるかどうか存じませんが、そういうようなことの方法は考えておるということ。またその内容については、ちよつと申すことを許されておりませんけれども、すでに国際赤十字社におきましてはモスクワ並びに北京に社長その他幹部の人が行つておられるのであります。これは国連の直接の関係ではございませんけれども、協力いたしておりまする団体がすでにそのようなこともされておるということを申し上げて、お答え申し上げたいと思います。
#16
○玉置(信)委員 この引揚げ問題につきまして、外務省当局がおいでになつておりますから、まず前提として、石原政務次官に先に部分的にお伺いいたしますが、中共地区のいまだ帰らざる同胞のうちで、これはたびたび当委員会に引揚者の方々に参考人としておいでを願つて実情をお聞きしております中に、旅費さえあれば引揚げができるのだ、旅費がないために実は日本に帰れない、こういうようなことをしばしば承つておるわけであります。当委員会におきましても、たびたびその問題は政府当局にただし、何らかの手を打つてそうした旅費を送金をして引揚げ道を講ずる必要はないかということを、繰返して質疑をいたしたのであります。しかし衆議院の当委員会においては、遺憾ながら今日まで政府当局はこれに対して非常に同情をし研究はいたしておるが、その運びがなかなかつかないのだということを承つておつたわけです。ところが最近それが政府においてどういうように検討されましたか、旅費の面は考慮できるやに実は伺つておるのでありますが、この点いかがでありましようか、まずお伺いいたします。
#17
○石原(幹)政府委員 ただいまお話になつた問題につきましては、政府におきましても、ごもつともの要望であると思いまして、種々協議いたしました結果、帰国旅費は支給をしたい、こういう建前のもとに進めておるのであります。これもただ帰国旅費をいかにして送るか、あるいは一時立てかえてもらうかという問題については、まだいろいろ研究すべき点があると思うのでありますが、旅費は出したいこういうことで進みたいと思つております。
#18
○玉置(信)委員 ただいま石原政務次官のお話によつて、非常に明るい見通しがついたわけでありますが、そこでその旅費を送る場合には、集団的引揚げであろうと個人的引揚げであろうと、その別はもちろんないだろうと思うのですが、その点を明確にして、おきたいと思いますので、重ねてお伺いいたします。
#19
○石原(幹)政府委員 これは集団的でありましようが個人的でありましようが、いずれでもいいと思います。むしろ集団的の引揚げが可能でありまするならば、輸送その他の関係から申しまして、かえつてその方が非常に便宜ではないか、かように思つております。
#20
○玉置(信)委員 個人の引揚げについて集団の場合よりも一層これは困難であろうとは思うのでありますが、政府としてお考えになつておることは、どういう手続をとることがその目的を早急に達し得られるか、その見通しをひとつお伺いしたいと思います。
#21
○木村(忠)政府委員 大体ただいま外務政務次官からお話がありましたように、従来集団引揚げにつきましては、原則としましてこ兼を日本政府の手で行うということでもつて準備いたしております。なお個人的な引揚げにつきましては、これに対しまする帰国の旅費を日本政府は負担するという大体の考えをもちまして、今準備いたしておるのでございますが、その具体的方法等につきましては各種の関係がございますので、留守家族の方にその趣旨が徹底するような方法をとりまして、遺憾なきようにいたしたいと考えております。
#22
○柳原委員 ちよつと議事進行について……。きようはせつかく齋藤さんも上島さんも来ておられることですから、質疑を主としてジユネーヴ会議に関連して進行していただいて、旅費云云という話はひとつ後刻願いたいと私は思いますが、そういうようにおとりはからいをお願いいたします。
#23
○小平委員長 先ほども申し上げました通り、ぜひ両参考人のお話を中心として御質疑を願いたいと思います。
#24
○玉置(信)委員 遠まわりをして元へもとして質疑に入ろうと思つたのですが、向うで急いでおられる方もあるようですから、私一人ばかりしやべつても何だと思いますから、ほかの方の発言後に留保いたしいと思います。
#25
○川端委員 私は先ほどのお二方のお話に関連いたしまして二、三点お伺い申し上げたいと思うのでありまするが、先ほど玉置委員からも、三人委員会で日本の実情をつぶさに見てもらいたい、これは私たちもひとしく希望するところでありまするが、実情を齋藤さんからも伺いまして、多少むずかしいような印象を受けたのであります。一層これはわれわれが国民運動として陳情といいますか、要請をいたすようなことをいたしても可能性がないものでありましようか、われわれはほんとうに国内の事情、これだけ引揚げを待望する同胞愛の見地からの国民の熱望を、三人委員会の方々にもつぶさに知つてもらいたい、こういうふうな感じを持つておるのでありまするが、方法いかんによつては可能性が生れるのじやないか、それには政府、国民一致して大きな国民運動として申請する方法をとつてもだめか、こういう点を重ねてお伺いいたしたいと思うのであります。
#26
○齋藤参考人 ちよつとただいまのお尋ねにお返事申し上げたいと思いますが、私ども日本側におきましてこれを要望いたしておりまするばかりでなく、ドイツの代表者の発言の中にも、あるいはオーストラリアの代表の発言の中にもございましたので、あるいは私は多数できまるかとも思つたくらい
 であります。でありまするから、皆様のお力がこれに加わりますれば、必ずしも不可能とは私は存じません。またこの関係の直接の任に当つておいでになりまする、たとえば先刻申しました米国の代表の中の一人、あるいは一昨年の会議において非常に強力に力を盡されました委員がございますが、そういうような委員においでいただく、つまり直接の国連の代表でなくとも、その当時からの関係のある方、あるいは事務関係の方、あるいはでき得れば委員がおいでをいただきたいというふうに私は思うのであります。実はこれは個人的な話でございまするが、その委員のうちの一人の方に伺いましたところ、自分は日本に行きたかつたのだけれども、ちよつと待つてくれと言われたので行かなかつたのだということを、これはその三人の委員のうちの一人が私にお漏らしになつたのでありますが、全然不可能だということは私は申し上げられません。しかしこれは皆様のお力によりましてさらに一層の力が加わりまする場合に、あるいは可能かと存じておる次第であります。
#27
○川端委員 非常に頼もしい答弁をいただいたのでありまするが、私たちもこの点については齋藤、上島両代表のお働きに感激をいたすとともに、御両氏を通じまして、今後われわれもなお一層の後援を申し上げたい。そうして願わくは国民運動としてでもこの実現をはかつてもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。
 なお続いてお尋ねいたしまするが、ソ連中共地区の未帰還者の数について、今われわれの手元に資料が一九五一年の五月一日現在として渡されておるのでありますが、この中に合計で三十四万五百八十五名、こうしてこの中には生存者数が大体七万七千六百三十七、死亡者と見込まれる人が二十三万四千百五十一、生死不明者が二万八千七百九十七名、こういうふうになつておるわけであります。これは齋藤、上島代表が向うの委員会においてあるいは参考にされた数字ではないかと思いますが、この未帰還の数につきまして、委員会においては妥当であるといふうな認識を持つてもらえたのでありましようか。この点をまず伺いたいと思うのであります。
#28
○齋藤参考人 この数字は外務当局において、あるいはまたその他の関係の方々において明らかにされました白書にも出ておりまするので、この数を小冊子にまとめまして持つて参りました。これを向うでは詳細に調べてくれまして、この数については妥当であるというふうにお考えになつたように伺つて参りました。
#29
○小平委員長 ちよつと川端君に申し上げますが、両参考人の方は予定がありまして、十二時半までしかここにおられないそうでありますが、他に質疑の通告もありますから、ひとつ簡明にお願いいします。
#30
○川端委員 それでは要点のみをお伺いいたしますが、しからばその委員会において、ソ連、中共の共産勢力地帯にゆえなく抑留されておるというふうにわれわれ考えておりまする同胞引揚げに関しまして、委員会からソ連に向つて、具体的な働きかけとしてどういうような手を打つていただけるようなお話になつたのでありましようか。これをお伺いするのは平和条約第六条の(b)項によりましても、はつきりと裏づけされておるのでありますが、これは「日本国軍隊の各自の家庭への復帰に関する千九百四十五年七月二十六日のポツダム宣言の第九項の規定は、まだその実施が完了されてない限り、実行されるものとする。」こういうふうにはつきりとうたわれたことは御承知の通りであります。出席の関係諸国の代表も、このことはよく御承知で出席されておつたと思うのであります。従つて平和条約にもこういうことをうたわれ、われわれは大きな希望を持つておるのでありますが、こういう観点から、さぞかし強い具体的な方法が考究されておつたのではないかと思うのであります。われわれは外務省当局にも要望をいたしておるのでありますが、委員会での具体的な方策等がお漏らしいただければ、この際にお伺いいたしたいと思うのであります。
#31
○齋藤参考人 ただいまのお尋ねに対しましては、お手元に印刷物として「国連の引揚特別委員会の活動」というものがございますが、それの最後のページをごらんいただきたいと思います。「かくて委員会は八月公開会議を開き、左記事項を決定して閉会した。1、日独両国への訪問は行わぬこと、2、死亡捕虜の名簿未提出国に対しては提出方を要求すること、3、本年六月一日までに関係国に、服役者および取調中の者の名簿とこれに関する情報の提供を要請すること、4、第三次会合を八月二十五日ジュネーヴで開催すること。」こういうような四つの項目の中にこの委員会のいたしますることが含まれておると存じます。なおこのほかに非政府機関において活動いたしますることは、この会合では書いてございませんが、これは協力をいたして活動を続けるということに相なつておる次第であります。
#32
○川端委員 先ほど日赤の社長その他もソ連へ行つて何か交渉をしてくださつておるとかいうお話、私は聞きそこなつたかもわかりませんが、こういうような方法でのお話合いは何かございませんでしたか。そういうことが伺いたかつたのであります。
 それからソ連の出席しなかつた理由というのは、私たち日本におりましてこちらから考えますると、どうも自分の痛いところが爼上に上りまして理不盡なことを委員会で聞かれるのではないかというおもんぱかりから逃げたのではないかと、俗にこういう考え方を持つておつたのでありますが、ソ連の出席しなかつた理由について、もう少し平たい話合いがございましたら伺いたいと思います。
#33
○齋藤参考人 先刻私の申し上げましたのは国際赤十字でございまして、日赤ではございません。
 それからソ連がなぜ出なかつたかということは、何も説明がございませんでお答えができませんことを非常に残念に存じます。
#34
○川端委員 失礼しました。私も国際赤十字というつもりで申し上げたのであります。
 もう一点お伺いいたしたいと思うのでありますが、八日の公開会議で決定された本年六月一日云々、その中で服役者及び取調べ中の者の名簿を提出すること、こういうふうに決議をされておるのでありますが、私これは戦犯関係の方々と思うのでありますけれども、この戦犯の方々も、平和条約が結ばれ、批准を見たあかつきには、平和条約の十一条によつて、日本政府としてもこれの減刑、移管その他いろいろな問題についての陳情、勧告ができる、こういうふうなことにもなつておるわけでございます。従つてこういう決議がなされたかと思つておるのでありますが、今度はこの服役中の方々が批准が行われると同時に、あるいは三月二十一日には日本政府に移管される、こういう話を旧臘の総司令部の発表でわれわれ承つたのであります。こういう問題について。要するに戦犯でありまするから。普通の抑留者とは多少違いましようけれども、やはり異国の室で服役をいたしておるというようなことは必ずしも好ましいことではございません。そういう点から、海外で服役をいたしておる服役者を日本へ移管するというような話は出なかつたものでありましようか、これはいろいろ条件もございますが、こういう運動についてもこの委員会で考えてやろうじやないかというようなお話が出たのでありましようか、どうでしよう、こういう点も伺いたいのであります。そうしてあわせてお願いしますが、ドイツの陳情の場合には、留守家族等の名薄が非常にはつきりいたしておる。ところが日本の代表として向うへ参られました齋藤、上島両氏の持つて行つた日本側の資料が非常に不備であつたということで困られたというような、非公式な情報をわれわれは聞いておつたのでありますが、そういうような御不便があつたでありましようか、どうでしようか。この点もあわせて伺つて、私の質問を終ります。
#35
○齋藤参考人 だいまの後段のお尋ねの方から先にお答え申し上げたいと存じます。持つて参りました資料は、完璧とは申されないかもしれませんけれども、十分に外務当局において、またその他の関係官庁においてつくられたものでありまして、その点においては委員等も満足しておられたのであります。それで比較上の問題でありまするが、私どもの方では抑留されておる方方の、あるいは帰られない方々のお名前をあげることは少し遠慮しておつたわけでありますが、その数もはなはだ厖大なものでありますために、これは持つて参りませんでした。ドイツ側ではこれに対しまして非常に大部なものを、近い関係もありましようが持つて来ておられたのであります。そういうような点で非常に迷惑したというようなことはございません。
 それからお尋ねの戦犯の問題でございますが、これはここには説明が何ら加えてございませんが、この最後の会合におきましても、また私の会合におきましても、他の国との会合におきましても、何としても抑留されておる人の氏名というものがはつきりしなければならぬ、それはその関係国において提出さるべきであるという点を強調されたのであります。そういう点で、ことにタスの発表のございましたあの数字につきましても、少くともその氏名をはつきりしてもらいたい、こういうことでございます。それはよほど話が進んで参つたように心得ております。
#36
○小平委員長 若林義孝君、先ほど申し上げたように、時間がございませんからなるべく簡明にお願いいたします。
#37
○若林委員 箇条書で申し上げたいと思います。独立をいたしました日本としては、将来この委員会を開くことに対する要請権といいますか、そういう権利が生ずるものであるか、あくまでも受動的のものであるかということをちよつと伺いたい。
#38
○齋藤参考人 それは私のお答え申し上げるところでないと思います。官庁の御関係の方が適当ではないかと思います。
#39
○若林委員 それではそれは拔きにいたしまして、資料について、将来こうしておく万がよいだろうというようなことがございましたら、これをひとつ政府へ通達願つておきたいと思います公の席上で言いにくいことがあるかもしれないと思うのでありますが、今後三人委員会その他が派遣されましたときに、わが国内ではこういうようにしておいた方がいいだろう、こういうような資料を整え、あるいは国民の態勢としてはこういう態勢にある方がいいだろう、たとえてみれば、写真その他で証明すると同時に、やはり国民運動がいつまでも盛り上つておるという態勢を見せなければならぬと思うのでありますが、そういう意味においてどうお考えになつておるかということと、それからもう一点は、この完璧を期するために、現在の外務省が持つておるような予算が、調査費その他を考えてみましても、それでよいか悪いかということでございます。それから前に中山委員からの報告の中にありましたように、そんなに捕虜がまだソ連に残されておるのかと、意外に考えておつたような国もあつたというお話があつたのでありますが、これについても幾分世界的に徹底しておつたかどうか、将来これを徹底さすためには日本政府としても、また日本の国民運動としても世界へ呼びかける方途を考慮すべきでないかと思うのでありますが、そういう意味においてひとつ代表としての御所見を伺いたい。
#40
○齋藤参考人 資料につきましては、ここにおいでになります山川事務官は最初からこれに当つておられ、また復員局、援護庁等におきましての関係の方々に詳しく申し上げたいと存じます点もございますので、ごく簡潔に申し上げたいと存じます。それはたれが来てごらん願つてもはつきりわかるような、すでに現在持つておられるカードでありますとか、あるいはその資料の入手されまして道筋でありますとか、そういうものはこのパンフレツトの中にもしるしまして、委員会にも提出いたしましたので、向うではよく了承してくれております。今後さらに、たとえばドイツからもらつて参りました資料などがありますが、そういうものと並行して行けるようなものができたらけつこうじやないかと思います。
 それから予算のことでありますが、これはもつとほしいだろうと思うのでありますけれども、数字的のことでありますし、官庁のことでありますから、私からお答え申し上げることを、避けたいと思います。
 また一般の人がはたしてこの捕虜の問題についての関心を持つておつたかどうかという最後のお尋ねでありますが、これは一昨年参りましたときは、実はあまりございませんでした。最初の私どもの苦心は、そのときは非公式のオブザーヴアーでございまして、何らの発言権がございませんで、これは間接にそれぞれの人々にお話したわけでありますが、そのときのことを考えてみましても、よほど認識が薄かつたのであります。たとえば六年もたつた今日帰らない者かあるというのは、帰りたくないのだろう、そういう推定までした。あるいはまたわが国の特殊事情の六百二十四万の人が引揚げて参りましたうちに半分以上一般人が入つているということなどは驚きの的である、そんなにもあるのかというので、そこはよく事情を申し上げて、台湾あるいは満州、朝鮮等の人々があるというようなことを申しまして、初めて委員すらそうかと言つてくれたような次第であります。こういうような点から申しまして、一昨年は遺憾ながら認識がはなはだ乏しかつたと申し上げたいのですが、今年の委員会におきまする空気においてはそうではございません。
#41
○受田委員 齋藤さん、上島さんの御苦労を心から感謝いたしますとともに、あちらで御検討された結果、ドイツ及びイタリアの未帰還捕虜がどれくらいの数字になつているかということと、もう一つは、その中で生存を確認されている数字がどれだけあるかということ、そうしてそれに対してドイツ及びイタリアはどういうふうに国家の補償を與えているかということ、この三つをお伺いしたいと思います。
#42
○齋藤参考人 ドイツの場合は、わかりません数が百三十万、それから明確にわかつておりますものが八万三千、但しこれに対しましてソ連側の方では一万三千だけは認める。但しその一万三千は捕虜ではない、それは戰犯である、こういうふうに答えておるということをドイツ側の方から伺いました。またイタリアの方は六万という数字でありますが、生存確実の数ははつきり申されておりません。これはどういうわけでありますか、私の記憶の足りないところかも存じませんが六万ということを言つておられただけであります。
#43
○受田委員 戦犯もわかりませんか。
#44
○齋藤参考人 これはそう明確な数をお話がなかつたようでございます。
#45
○上島参考人 補償のことでありますが、この会議に出席された方は大体引揚げを主とする責任者が多いのでありまして、その補償の資料が十分おわかりにならぬ方がありますが、ドイツあたりは非公式に私ども話を続けまして、あとから資料も送つてもらうようにお願いをして参りました、近くその資料が参ると思いますが、ドイツは遺族あるいは戰傷者を中心にするもの、未亡人を中心にするもの、それから未帰還者に対する法律と、三つの法律でこれを行つておるということを言つておりますがその来た人が十分わからないものですから、その法律を送つてくれるように頼んで参りました。はつきりしたことをこの会議に出席された方からつかむことができなかつたことをまことに遺憾に存じます。
#46
○受田委員 日本においては、未帰還者の方々のうちではつきりと資料がつかめる人たちにだけ未復員者給與法と特選法によつて補償されておりますが行方不明とかそれから向うの方で妻子を持つておるとか、そのほかの事情でこちらに帰る意思のない者はこれを除外しております。きわめて少数の者だけがその法律の適用を受ける対象になつておるのでありますが、この点ドイツやイタリアがどういう取扱いをしているか、齋藤さんのお話によると、まだ未帰還者が百三十万もあるうちで、生存確認をされておるのが八万三千しかおらぬという日本の場合と比べると未帰還者の中で生存確認者が二十分の一にすぎないというような非常に間が開いております。それからイタリアの方は生存確認者がさつぱりわからぬというような、まことにあいまい模糊としておるようでありますが、この三国は共同の協力によつてこの問題の解決をはからなければならない立場にあるにかかわらず、イタリアの代表者などがそういう資料を持つておらぬということは実におかしい話ではありますし、それからもう一つは、国家補償がどうなされておるかというようなことを互いの国々の代表者の間で話合いをされて、未帰還者の家族の保護というようなところへも重点を置く国連の三人委員会でありたいと私は思うのです。こういう点について、ただ單に帰つて来ない人の運動をやるのみではなくして、その家族を保護するということにも三人委員会が強く動くようにやらなければならぬ。わけてもおととし中山さんと齋藤さんもおいでになられたが、あのときはすぐ三人委員会が活動をするという約束をしておきながら、一年以上も休止状態が続いておるというようなことに対しては、われわれは不満の意を表明しておるのでありますが、この点において、おととしの九月あの国連総会に代表として出られたあなた方が非常な努力をされたにかかわらず、国連のこの引揚委員会が活動しなかつたことに対しての反省というようなものはありませんでしたか、これをお尋ねしたいのであります。
#47
○齋藤参考人 さきにお尋ねのありました帰還者に対して、ドイツ側の方だけはちよつと聞いて参りました。帰還者には帰還のときに二百五十マルク、それから失業中には約百マルク、それから未帰還者の家族に対しては毎月八十マルクから百マルクを與えておる。但し生活費の最低はどのくらいいるものでしようかということを聞いてみましたら、これは約二百マルクかかる、ですから半分ぐらいしか補償しておらない。ずいぶん多数の数でありますから……。それだけの点はわかりました。それからイタリアがどうしてそんなことまでも言わなかつたのかという点でありますが、これは言葉の関係で意思のよく通じなかつた点もあろうかと思いますけれども、その他のことについては、向うからのお話合いもなかつたわけであります。それからこの委員会でございますが、委員会は昨年五月ごろかにはつきり任命されたわけであります。そうしてすぐに活動を始めておりますので、なまけておるわけではないと思います。十二月に委員をあげるということはきまりましたけれども、その選考等に非常に時間がかかつたものと察せられますので、任命されると同時にすでに委員会は開いております。それからその性格をきめ、その使命をはつきりする、どういう使命を持つているのだということをきめまして、そうして関係各国にそれぞれ通牒を発しております。そういうことがありますので、決してなまけておつたというふうな感じはいたしません。むしろ非常によくやつてくれているように私は感じて参りました。
#48
○受田委員 今の未帰還者に対しての国家補償の点において、今毎月八十ないし百マルクの支給のお話をなさいましたが、それは百三十万の未帰還者全部になされておるのか、あるいは数字のわかつておる八万三千だけになされておるのか。日本の場合の未帰還者の費用が非常に嚴重であるので、この日本の場合と比べまして、法律改正にはそれは十分盛つて行かなければならぬ、断固としてこれは改正の要があると思いますので、ドイツの場合の例をお聞きしたい。
 それからもう一つ、ドイツ、イタリアの捕虜がソ連地区のどの辺に今抑留されているか。日本の捕虜の抑留されておる地域と競合するところはないか。向うの国の捕虜が日本の捕虜のおる所を確認して、互いの国の捕虜のおる所の状況を知り合うようなつながりに持つて行く、イタリアとドイツと日本の捕虜が互いに通信その他消息交換の道はないか、そういうところへ何とか道を開きたいと思うのでありますが、この点をお尋ねしたい。
#49
○齋藤参考人 ただいまのことについて、ドイツ側にそれをただすことはいたしませんでしたが、さきに上島さんからお話のありましたように、詳しい法律、そういうものを送つてくれるということになつております。その時分にやはり情報を求めたいと思つておるのであります。
 それからもう一つ、ドイツの捕虜と日本の捕虜とのおりまする場所でございますが、これはこちらが向うからその材料を得るというよりも、むしろこちらの方で、ドイツの捕虜が一緒にこういう所におつたということの確認がございますものは向うにこれを提供いたしまして、非常に喜ばれております。こういうことは国際協力の一つであろうと感じております。
#50
○受田委員 向うからこつちに連絡しておりませんか。
#51
○齋藤参考人 こつちの方から向うに連絡しております。
#52
○上島参考人 向うからも全部まとめてよこすと言つておりました。
#53
○苅田委員 参考人がたいへんお急ぎのようでありますから、私は一点だけお伺いしたい。それは今度の会合は社会的な、人道的な、文化的な意味を持つたものであるということでございますが、日本からおいでになつた代表は、まだ海外にたくさん残つておる日本の抑留者を一日も早く、一人でも多く帰してもらいたいという未帰還家族の要望をになつて御出席になつたものと思いますが、この外務省の資料を見ましても、現在日本人で抑留されておる人たちの大部分は中国地区に残つておりまして、しかも最近中国から帰つて来た人たちの話を聞きますと、この中にはまだ一般の民間の人も残つておりますし、それからただいま政府でも考えておいでになるように、旅費その他の支給をすれば帰れる人もたくさんおるのでありまして、こういう人たちが一日も早くお帰りになれるようにすることが、これがただいま日本から行つた代表の一番大きな考えじやなかつたかと私は思うのであります。この問題につきまして委員会で何か具体的なお話がありまして、促進されましたようなことがありましたら、それをお聞かせ願いたいと思うのであります。
#54
○齋藤参考人 ただいまのお尋ねにお答えを申し上げます。お話の通りに、私どもはわが同胞の一日も早く帰られることを希望いたしております。このためによし全体のことがわからなくても、わかつているところから解決してもらいたい。たとえば日本赤十字社の看護婦三百二十六名の方がおります。その方のお名前もまた現におられる所もわかつております。こういうような人は即時返してもらいたい。またそのほか今まで私どもの方で調べておりますような、こういう数字につきましてわかつているところからどんどん始めてもらいたいというようなことを申し、またいろいろのお話しております間に、これは一日も早く解決してもらわなければならぬということはもうお言葉の通りでありますから、このことはまだ懇請するのはかなかつたわけでございます。具体的な方法といたしましては、ただいまの四つの決議のございました最初の決議にございますように、至急に六月一日までに、不幸にしてなくなられたところの方、あるいは服役をしておいでになる方の名前をはつきり教えてもらいたい、とにかくわかるところから進めてもらいたい。そうしてイタリーの代表なども申しておりましたが、部分的でも帰還を促進してもらいたい。私どもはつまり全体の話がきまらなければこの帰還はできないというようなことでなく、もう一日も早く皆様のお帰りになることを実際化してもらいたいというようなことを訴えた次第でございます。
#55
○苅田委員 そういうような訴えに対しまして国連の方の機関といたしまして、御承知のように現在の中国政府は今度のサンフランシスコ会議には招かれていないような状態で、日本の直接の交渉がいろいろしにくい関係があると思いますのでやはりどうしてもそういう国際的な機関で促進の労をとつていただくのが一番いいのじやないかと思いますが、そういう訴えに対しまし何か具体的にそういうことを先方の国と協調したとえば船を日本政府から出すとか旅費を持つて行くとかいうような、そういう御相談まではできなかつたものでございましようか。その点をお聞きをしたいのです。
#56
○齋藤参考人 そういうこまかい点には話が及びませんでございました。
#57
○小平委員長 これにて参考人よりジユネーヴにおける国際連合捕虜特別委員会の状況聴取の件を終ります。
 参考人各位には御多忙中のところ御出席くだされ、長時間にわたり詳細に状況をお話くださいまして、委員長として厚く御礼申し上げます。参考人の各位にはこれにてお引取りを願います。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#58
○小平委員長 なお海外同胞引揚げ促進に関しまして御質疑があればこれを許します。玉置君。
#59
○玉置(信)委員 私はさきに御質問申し上げた旅費の支給の仕方の点を御答弁になつておりませんので、先にそれをお答え願いたい。
#60
○木村(忠)政府委員 これは先ほど御答弁申し上げたのでございますが、これにつきましてはいろいろな関係がございますので、これを広く公表する方がいいかどうかという点につきましても若干問題がございますから、留守家族の方に徹底するような方法を講じまして、そうして向うのこちらへ帰還したいという御希望の方に十分伝えるようにいたしたいと考えております。
#61
○玉置(信)委員 留守家族に徹底するという意味は、留守家族に連絡をとつて、旅費を留守家族の手によつて送ろうとするものであるかどうかということが第一点。
 第二点は、従来受田委員等とわが党の委員等がよく引揚者その他の方と連絡をとりまして、引揚げ並びに援護の運動として愛の運動というものが起つたのでありまするが、それに対して昭和二十六年度には、たしか二百万くらいの助成があつたように思うのですが、二十七年度にはそれを打切られているということを承つております。これを打切られるということになると、せつかくのこの運動が冷却されやしないかと思うのでありますが、どういう事情で打切られたか。考え直して助成する意思はないか。
 第三点は、引揚げに関して外務省当局は相当熱心にやつてくださつておりまするが、伺いますと、外務省の機構改革によつて従来の監理局がアジア局にかわつて、その第五課において引揚げの事務を担当しているやに伺つておりまするが、正課としてやるのか。あるいは聞くところによると、班というものに縮小されるようでありますが、もしそうなりますと、どうも外務省の引揚げに関する事務といいますか、仕事というものがだんだん縮小し、熱意がなくなつたとも解されるおそれがあるので、この点に関して、外務省は今後どういうように引揚げの仕事をやつて行かれる方針であるかあわせてお聞きいたしたい。
#62
○木村(忠)政府委員 ただいま留守家族に差上げましても、向うに送る方法がございませんので、そういう方法をとることにはいたさないつもりであります。
 それから愛の運動の経費につきましては、われわれといたしましてはぜひともこの金は継続いたしたいというふうに考えておつたのでございますが、国家財政の都合と均衡の上から、現在の予算におきましては認められておりません。私どもは非常に遺憾に思つております。これにつきましては予算を認められない状態でございますので、予算がございませんので出す方法はないのでございますが、その他の方法をもちましてできるだけ愛の運動につきましては御協力いたしたい、かように考えております。
#63
○石原(幹)政府委員 お話のようにアジア局の機構改革によりまして、アジア局の第五課の担当となつたのであります。そして引揚げ地域が主としてアジア地帯でありますのでアジア局の所管になつているのでありますが、陣容はまつたく前と同じでありまして、それから外務当局といたしましては、この問題についてはさらに今後一層力を入れてやりたい。講和発効後にはそれぞれの地域に在外公館も正式に持てるのでありますから、この問題は一層力を入れてやるつもりでいるのであります。御了承願います。
#64
○玉置(信)委員 ただいまの引揚援護庁長官のお話は申訳的で、月並的な御答弁で要を得ないと思うのでありますが、それは引揚者に対する旅費の支給の点であります。徹底をさしてという表現でありまして、しからばその裏に、家族に何らか旅費でも與えて送らせるような方法をとるのかと言うと、それもできないそうなると徹底さすという意味はどういう意味か、選ろうという意思があるのに一方において送れないということは、徹底という意味がさつぱり私には解せないが、どういう意味の徹底を期するおつもりであるか。それから愛の運動の予算がないからできない、これはまあ一応ごもつともだが、予算がないというのはどういうわけで削減されたか。援護庁として最初どれだけの予算を要求したのであるか。削減される場合に実情を訴えて復活運動をしたのであるか、熱意をもつてやつたのかどうかという点をひとつまずお伺いしたいと思います。
#65
○木村(忠)政府委員 予算の要求につきましては非常に熱意を持つて要求いたしまして、これの削減を受けました後たびたび復活要求をいたしたのでありますが、結局最後のところへ行つて認められずに終つたという状況であります。従いまして、事務当局といたしましては非常に熱意を持つてやつたつもりなのでありますが、その力足らずしてこういうぐあいになつたことはまことに遺憾だと思つております。それから金を送る方法は現在のところないわけでありますから、向うに金を選るという方法をとらずにやる以外には方法はないのでございます。従いましてこれにつきましては、つまり向うから乗せて来る船会社がございますが、これに金を払うという方法以外には方法はないのであります。従つてそういうような方法をもつてやるというふうにいたしたいと思います。
#66
○玉置(信)委員 最後にお伺いしますが、今の船までやるということはなるほどやりやりやすいことであるが、船に乗るまでの期間、奥地から出て来る費用さえないというような実情でありますが、これに対して研究されておりますかどうか。今の石原政務次官のお話によると、非常に形はかわつたが、東洋のアジア圏内における引揚げに対して熱意を持つておやりになるというお言葉で私は満足いたしたいのでありますが、そこでこの引揚げの問題につきましてはほかの方々からも御意見が出ると思うのでこれで終りますけれども、ごく簡單に申し上げます。
 新聞によりますと、今日なお財政の実情を知らないで、降服しない者がまだおるというようなことが二、三日前の新聞に出ております。そこで、そういう抑留されておる者以外の降服せざる者の数が一体どれくらいおるかということがおわかりになりましたならばお聞きしたい。それから引揚げのそういう生存死亡その他に関連して、衣部隊の件について、実は先だつてラジオ東京、読賣新聞社から参考人のおいでを願つてお聞きしたのでありますが、当時木村援護庁長官のお話に、ああした事実はないというような表現があつたのでありますが、今速記を持つておりませんのでその通り表現はできませんが、絶対そうした事実がないとおつしやつた援護庁長官のお話を裏切るように、読売新聞の地方部長の人は、事実がかようにあるということを数字をあげて申し述べておるのであります。その席上にあなたの部下の方々が出ておられたので、このことはすでに長官の方に報告されておると思いますが、この食い違いに対して長官はどういうふうにお考えになつておりますか、それをひとつお伺いいたしたいと思います。
#67
○木村(忠)政府委員 ただいまのところ、中国の内部におきまして向うの旅費を持つだけの方法があるかどうか、あるいは持つたならば出せるかどうかというような点につきましては、向うの事情を誓いたしていろいろ研究いたしておりますが、現在のところまだ不可能だと思つております。ただこれにつきましては今後とも十分調査を進めまして、できるだけ早く実現できるような方法をもつて帰れるようにいたしたい、かように努力いたしております。
 それから例の衣部隊の一件でございますが、この前も申しました通り、百八十二名は生存確実であつて、それは新しい事実によつてわかつて来た。これは地方の方に世話課長会議を通して発表するというようなことが読売新聞に出ており、またラジオ東京で放送されたのであります。それは私の方も全然発表したこともありませんし、その事実はないのであります。これは認められないということは、あのときも確かに発表しました。これは新聞をごらんになつてもおわかりの通り、百八十二名の生存確実な者があるということは事実ではございません。それから世話課長会議を通してこれを発表するということも事実ではございません。すべて事実ではないことを新聞に書いておりますし、またラジオ東京でも言つておつたのであります。これは事実ではないとはつきり申し上げたのであります。現在でも申し上げられます。なおその後読売新聞等において発表になつておりましたいろいろな記事につきまして、たとえばあのときに七十七名の者についてその後の消息がわかつたというようなことが発表されておりますが、これもそういう事実はございません。その当時大宮の会議におきまして、そういうような発表をいたした事実はないのであります。ただそのときに新聞記者の方が来ておりまして、いろいろな調査をしておりました。その会議室聞いておりまして、そのときのいろいろな情勢から判断してそういうことをお書きになつたのではないかと思いますが、これも事実に反しております。七十七名という者がその当時予想されたということは、前からわかつていた事実であります。そのときに発表された事実ではありません。私の方から申しますれば、そういうふうに事こまかく掘り下げて調べて行きますれば、私の方が正しいのでありまして、読売は正しくないといわなければならないのであります。この点につきましては、ああまで仰せられたことにつきましては、私は遺憾だと思つて、おります。私どもの方といたしましては非常に確かなことを申し上げましたので、新聞記事と私の申したこととお比べになりますればはつきりわかることと思います。
#68
○石原(幹)政府委員 先ほどの、なお若干の者が残つておるのじやないか、数字はどうかというお話でありまするが、御指摘のように若干の者がなお残つておることは事実であろうと思うのでありますが、その数字ははつきりわからないのでありますこれは御承知の通り、元軍人または軍属で終戦直前または直後に離縁逃亡したり、あるいは山の中に隠れておつたりした者が留守家族に連絡があつたり、山をおりて町に出没したという際に初めて判明したものでありまして、生存しておつたということがわかりました際には、あらゆる手段を講じまして帰還できるように交渉しておるのであります。そういうような径路をとりまして帰りました者が約四、五十名になつております。現在何名残つておるかという数字は、先ほど申し上げたような事情によりましてわからないのであります。
#69
○玉置(信)委員 今援護庁長官のお話を聞きますと、政府の責任ある立場において申されておることでありますから、一応もつともであろうと思いますが、そこで重ねてお尋ねしておきたいのは、読売新聞は大宮かどこかの引揚者の会合の席で、引揚者のいろいろの情報を総合して、さらに百十二名の生存者があることを確認しておる。確認という言葉を繰返して使つておるのでありますが、こういうことに対しては援護庁長官はどういうふうに思われますか、なお今私が指摘したことについてはなはだ遺憾であるというようなことを申されたのでありますが、私は個人の考えをもつてではなくして、むしろ政府の数字の方に信憑性があるか、あるいはラジオ東京並びに読売新聞社の報道が信憑性があるか、これをたださんがために申し上げておるので、しかもこの問題はわれわれ委員会に重大な責任がある。換言して申しますと、留守家族がこのために気分的に非常に混乱を来しておる。この混乱を防ぐためにも、安心を與えるためにも、適正なる判断を下して正確な数字を家族に知らしめるということが私どもの任務である。引揚げを促進することが任務である。援護の全きを期することはわれわれ国会議員の任務である。こう考えて申し上げているのであつて、あなたが遺憾であると言われたことに対して、むしろわれわれの方から遺憾の意を表せざるを得ないのであります。これに対して長官の回答を望みます。
#70
○木村(忠)政府委員 ただいまの第一の点。百十二名の生存が確実になつたということも事実ではありません。これにつきましては、大体あの調査以前におきまして、昭和二十三年ないし二十五年の間におきまして生存確実であつた者が七十五名、その後の調査によりましても七十五名、同一であつたという結果になつております。それからただいま私が遺憾であつたと申し上げたことにつきましては、玉置さんに対して遺憾であつたと申したのではないのでありまして、あるいは私の言葉が足りなかつたからそういうふうにとられたかもしれませんが、その後になりましても、読売新聞のお書きになつたことが正しいと読売新聞社がおつしやられたということに対して、それは遺憾であるという意味で申し上げたのであります。
#71
○川端委員 それでは、私も時間もありませんから先ほどのジユネーヴの代表のお話に関連しまして、委員会の決議の中の第三項で「本年六月一日までに関係国に、服役者および取調中の者の名簿とこれに関する情報の提供を要請すること」という決議をなされたそうでありますから、この問題に関連しましてちよつと外務当局に伺いたいと思うのです。
 それは現在日本の国で戦犯によつて抑留をされておる者、要するに国際法廷において裁判を受諾した者の数がどういうふうになつて、おるかを伺いたいのであります。これは六月一日が期限になつて、日本からもこういう事情を申し述べなければならないと思いますので、現在どういう調査になつておるか、伺つておきたいと思うのであります。
#72
○石原(幹)政府委員 まことに残念でありますが、ここに資料を持つておりませんので、後の機会にお答えしたいと思います。
#73
○川端委員 それではこれに関連して、平和条約の十一条に「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」こういうふうに出ておるのであります。先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、日本国内で受刑いたしておる者は三月の二十一日、あるいは批准と同時に日本の政府にこの受刑者を移管する、そして法務府がこれを監督する、こういうふうなことに総司令部から発表を見ておるのでありますが、今国外において受刑をいたしておる方々はこの条約によつて、いろいろそのあとに関係国の権限に属することだとか、あるいは日本政府の勧告に基くこととか条項はありまするが、原則として国外の受刑者は日本の政府の管轄下に入るのか、要するに国内へ移送されるのか、日本国へ移されるのか、こういう点を伺いたいと思うのであります。これは引揚げと関連いたしましてお伺いいたしたいのであります。
#74
○石原(幹)政府委員 ただいまお話になりました平和条約第十一条に規定されておりまするところは、これは明らかに内地の服役者に限つておるのでありまして、外地で服役しておる者のためには、まことに遺憾でありまするが、その前提といたしましてまず内地服役にかえてもらうようにあらゆる努力をすべきであると思うのであります。これは現地側のいろいろの対日感情等の問題もございまするので、いろいろの機会で申し上げておると思うのでありまするが、最もよい機会をつかまえまして、適当な方法で懇請をする、こういう建前のもとに今日までも常にいろいろの努力をいたしておりまするし、今後も努力を続けまして、フィリピン並びにマヌス島に残つておりまする気の毒な戦犯の方々に対しましても、一日も早くこちらへ帰れますように、まずその努力をしなければならぬと思つておるのであります。
#75
○川端委員 それでは先ほどの戦犯の資料を委員会へ御提出を願います。同時に今お話のように、現在までも努力をされておりましようが、しかしこの条約で規定されておりまするから、今度はこの条約に基いて、日本国からこの戦犯に対する取扱いの問題について正式の折衝ができるようになるのだと思います。具体的にその後の方策はまだあるいは発表できないかもわからぬし、どういうふうになつているか、あるいは考えがまだかたまつておらぬのかしれませんが、この点をよくお考えになつて、適切なる措置を敏速におとり願いたいことを要望しまして私は終ります。
#76
○若林委員 私、厚生省と外務省とにわけてお導ねをいたしたいと思いま
 す。箇条書きに申しますから、ひとつ箇条書きに合うような御返答、御説明を願いたいと思います。簡潔でけつこうでございます。
 第一に厚生省に対して、留守家族援護につきまして、今までは暫定的の未復員者給與法あるいは特還法などによつて保護を與えておりますが、遺族の援護につきまして、国家補償についてそれと並んで考慮するという言明があつたのでありますが、政府の援護対策の方針がどういうように具体化されておるか、もしこれが具体化されぬとするならば、本委員会において取上げてでも行かなければならぬ問題だ、こういうように考えておる、これが第一。
 それから第二は、聖守家族の夫人と遺族の未亡人とを、現在においてはどちらが有利であり不利であるかは別問題といたしまして、区別されておる。しかしながらもう社会的に考えますと、こう六年も七年もたつた今日でありますので、社会的にはもう区別がつかない、どちらも気の毒な立場に立つておるのであります。これについて政府当局の両夫人に対する御見解を承りたい。
 第三点は、未帰還の在外公務員の処遇は今どうなつておるかということであります。
 それから第四点は、未復員者給與法、それから特還法を区別する理由をひとつ伺いたい。
 それから第五は、抑留者は国家の外交の法権の発動不可能という原因から生じたのであります。日本の国としてはどうすることもできない、こういうようなことで抑留をされておるということになつておるのでありますから、当然国内一般戦争犠牲者とは区別して考えてやらなければならぬ理由がそこに政治的にあると思うのであります。だから外地におつた、いわゆる抑留されておつた者と、内地におけるところの一般戦争犠牲者というものを――空襲その他を受けた方でありますが、区別すべきだと思うのでありまして、特に外地の抑留者については特別のはからいをすべきだという感じを持つのであります。またそれが当然だと思うのでありますが、これについて政府の御所見を伺つておきたい。
 それから第六点は、このために国家の補償をする、ことに留守家族援護の精神があると思うのでありまして、この金額の問題よりも、国家としてこの外地に抑留されておる人たちの国内における家族の補償という問題についての御見解を承りたい。
#77
○松野(頼)政府委員 ただいま六箇条出ましたが、長官の部分を除きまして、私一、二の点につきましてお答えいたします。御承知のように本年の二百三十一億の援護予算の法律は来週中には提出できると思つております。ただいま各関係方面と緊急に交渉いたしておりますので、内容を全部ここでお知らせするには早いと思いますが、思想としましては、未復員者給與法と今度の未亡人遺族の対策の違う一点は、未復員者給與法によりますと、未復員者が生存しておるということを前提としまして、俸給の一部として一番初期におきまして月額千円、当時の下士官及び大将までの平均給與として差上げたわけであります。物価が、だんだん上りまして現在の実情には沿いませんけれども、ただいま毎月千円というものを未復員者の給與にかわつてその留守家族にお渡ししておる。これが未復員者給與法の一番大きな問題であります。このために遺族援護は別個にいたしまして、新しく日本の遺族対策を本年から確立して将来はふやす、本年ははなはだ軽少の数字になるやに存じますけれども、とにかく遺族に対して生活の一部として補償をするという考えから本年発足いたしております。この中の金額の相違は額面におきまして別でありますが、思想的に根本的に違いますのは、未復員者給與法は現在生存しておる方の俸給的給與が入つておる。遺族の方には、遺族の生活補助、生活の一部の補償としての思想から発足しておる。そのために俸給的な考えはなくなつておる。この一点が差別をつけるならば差別のつく一点ではなかろうか、こう私は考えております。
 第三点の在外公務員の問題、四の未復員者と特還法の問題はいずれ関係の局長がお答えいたします。
#78
○木村(忠)政府委員 未帰還の公務員の給與につきましては、先般器手元に差上げました資料の中に、私の方で調査いたしましたものを差上げてございます。関係方面でわかつております事実をそちらの方へ差上げたわけでございます。それで御承知願いたいと思います。
 それから特別未帰還者と普通の未復員者とは、現在では法律上別に差別はいたしておらない。結局未復員者給與法を特別未帰還者に準用しているという対策をとつております。今後におきましてこれを差別する理由があるかという点につきましては、われわれとしましてはどうも区別する理由はあまりないのではないかというふうに考えております。しかしただ御承知の通りに、未復員者の方の関係は、帰りました後等におきましては、従来軍人、軍属であつたかどうかというような身分上の問題についてのいろいろな差別は多少残るのではないか、つまり両方とも生きておられる方でありますから、これについての身分上の問題に伴いますところの差別は、やはりある程度あるのではないか。ですからそういうような点に基きましてやられる場合においては、差別的な扱いがされる。しかしながら未復員者におきましても未帰還者におきましてもこれに対しまする今おられないという関係につきましては、大体同じように現在扱われておりますし、今後も同様に扱われることになるのではなかろうかというふうにわれわれは考えております。
#79
○若林委員 外務省に伺いたいと思います。前に出ました質問は抜きまして、先ほどの分もついでにひとつ答えていただきたいと思います。それから独立を迎えますので、今までは私たちもときどき司令部でしかられたこともあるのであります。言つてはならぬ無理を言いに行つたような感じもありますが、おそらく政府としても非常に被占領国という意味で手も出ぬ足も出ぬというようなお感じがあつたと思います。今度は伸び伸びとした交渉が開始されると思うのでありますが、この引揚げ対策について、おそらく独立国となつてからの引揚げ対策と今までの政府のとつた引揚げ対策とは画期的相違がなくてはならぬと思うのであります。今日その対策を熱意をもつてやりますということは、これは何千べん聞いたかわからない、国民はもうそれにはあきあきしているのでありまして、またその熱意は決して疑つてはおらないのでございます。その熱意を今まではいろいろの支障があつて目現することができなかつたと思うのでありますが、との熱意をひとつ具体的に示すようにしていただきたい。今日お答えができなければ早急に、この引揚げ対策についてはこういうようにやるのだ、また政府だけでできなければ、民間もこういうようにひとつ協力せよということで――この間も遺骨引揚げについては、政府をさしおいて遺骨奉還慰霊の大委員会を設置するような運動が起つておりまして、これは引揚委員長初めわれわれもそれに関與いたしおるのであります。ここに画期的の引揚げ対策を樹立して、政府と国民と――しかもこれに命をかけておられます留守家族の方たちは、今までは被占領国だつたが、今度は独立国家になつたから、これだけの運動がやられるという見通しと、精神的にもひとつ緊張が増して来、また張りが出て来る。また明るい希望が持てるような具体策をひとつ今お立てになつていなければ、至急にひとつ立てていただくということが第一点であります。
 それから先ほど代表にお尋ねをいたしてお答えがあつたのでありまして、これは世界的の輿論というものに乗つて、そうして三人委員会の活動を容易ならしめるということが被害国であるわれわれとしての立場でないか思うのであります。この点についてもいわゆる国際的の輿論に訴えるために、相当いろいろパンフレツトであるとか、ポスターであるとか、あるいは国内におきましても、子供たちが書きました作文あるいはポスターなどは一見人の衷情を喚起し、何ものを見ずとも、留守家族の窮状も、また酷寒零下何十度というようなところで苦労しておる人たちの苦労も、あの魂のこもつたポスター一枚で心に訴えるものがあるのでありまして、あらゆる手段を講じまして世界の人たちの輿論を喚起することが必要だと思うのでありますが、そういう計画をひとつ立てていただきたいと考えるのであります。
 それから第三でありますが、在外公館が近く開かれてそれぞれ行かれるのでありますが、この人たちはそれぞれやはり外交官として、今までのように向う行つて麻雀をしたりゴルフをするだけの外交官であつてはいかぬのであります。アメリカに行つておつてアメリカのことを知らずにおつて、そうしてこんな結果になつたわけでありますから、そういうようなことでない、向うの実情も知る、今度は前の外交官では役に立たぬ、もつと新しい日本として、生まれかわつた外交官としての養成をおそらくなさつておると思うのでありますが、その養成をなさる資料の中へ引揚げに関するところの問題を魂を込めて――そこへ行けば必ず一人残らず一日も早く返すようにというこの魂を持つて、在外公館の出張員として行つてもらいたいと思うのでありますが、そういうテキストがあるかどうか。それを必ずその中に一項目入れておかなければならない。英語がしやべれ、その土地の言葉を解したら外交官になれるというような在来の行き方であつてはいけないのであります。いわゆる引揚げ問題に関する所見いかんというような試験題目でも出していただきたい。熱意のないようなやつはやらぬというような覚悟でもつて行く、その資料をつくつておられるかどうか。もしつくつて参おられたら、ひとつ今度われわれにお示しを願いたい。もし皆様外務当局だけでできなければ、この引揚委員会においてもその資料を出してあげて、教科書をつくつてみたい、こういうふうにも考えておるのであります。そのために予算があるのかどうか、いわゆるこの在外公館として行く場合に、そういうようなことについてやはりその土地の人たちの協力を求めなければならぬと私は思う。そういうものに対する予算を、普通一般の会議費ということでなしに、あるいは機密費ということでなしに、引揚げに関する予算は、在外公館の中にこれだけあるのだから、これでひとつ十分活動せよというような予算を持たしてやる必要があるし、同様に外務省自体でも、これに関する一項目を予算の上においても省内でとれるだけとつていただく、こういうことがわれわれの気持でございます。これに関して、今までの熱意はわかつておりますから、ひとつこれを具体化するために、われわれが納得し、また全国の留守家族ばかりではなしに、ほんとうにこれを心から要望いたしております国民のまじめなる心情に政府がこたえるだけのことをやつていただきたいと思うのであります。今大体お聞きすることのできることだけは聞いておいて、できないことはまた後日承りたい、こう考えております。
#80
○石原(幹)政府委員 第一点の、先ほど齋藤、上島両氏にもお尋ねになつた点でありますが、この点はただいまのところでは、日本は国連にまだ加盟を許されておらぬのであります。従いましていわゆる厳格な意味での、公式な意味での特別委員会の開催の請求権というものは持つていないのじやないかと思うのでありますが、しかしこれは人道的の機関ということになつておりますので、輿論の力によつて開催を促進する、これはできると思うのでありますが、大体そういうところと思います。
 今後の引揚げ新対策、あるいは新外交官の構想等につきましては、私もただいま若林委員の申されました点にきわめて同感に思うものでありまして、あまり抽象的なことを並べましても御満足が行かぬかと思いますので、くどくど申しませんが、講和発効後の引揚げ対策というものは、先ほどちよつと触れましたようにかわつて来ると思います。それは日本も正式にいろいろなところへ大公使が駐在することになりますから、ソ連、中共と外交関係を持つておりまする枢要なる国々にもまた日本は大公使を置くことができるのであります。そういう機関を通じましてかわつた立場から新しい引揚げ対策が講じられて行くことはもちろんであろうと思います。国連の活動あるいは国際赤十字、こういうことは先ほど来からいろいろお話のあつた通りであります。それからもう一つ、日本の持つておりまする情報、資料もできる限り整備いたしまして、一層信憑力の強いものにして行かねばならぬと思います。帰還促進の旅費その他の援護の予算を今後獲得しなければならぬことは、もちろんであろうと思います。それから外務公務員の研修につきましては、御案内の通り研修所がございまして、教科書という式のものはございませんが、引揚げ問題に関するいろいろの資料、あるいは外務省情報局の今日まで発表したようないろいろのパンフレット、その他はこれを配るようにしておりますし、御意見のごとく、今後こういう問題もできるだけ教え込んで行きたい、かように思います。
 それから機密費等の問題は、従前のような機密費の予算はまだとれておりません。新しい公館が開かれるにつきまして若干のものは用意されるようであります。なお大蔵省にも若干とめ置き等もあるようでありまして、こういう金は今後さらに拡充されますように努力をしたいと思います。
#81
○若林委員 前のことについて特に一つお願いをしておきたいと思うのでありますが、国連にまだ加入をいたしておりませんけれども、いろいろの義務を負わされて来ておるのであります。義務のあるところにはやはり権利が生ずると思うのであります。日本の国をあげてどうかと思うようなことを、再軍備でないと政府は言つておりますけれども、いろいろなことをやらされておるわけでありまして、これをやつておるにもかかわらず何らの権利はないということはないだろうと思います。表面はまだソ連に拒否権がある以上、正式に加入は不可能かと思いますが、しかしながら事実上アメリカを中心とする日本に好意を持つておる国は、日本を国連加入国と同等の扱いをするごとく義務だけは課して来ておりますから、この点外務当局も、もし言うことを聞いてくれぬのなら義務の方も少し足踏みをするぞというくらいの腹構えを持つてやつていただきたいと思います。これで打切ります。
#82
○受田委員 差迫つた時間ですから、簡潔に御答弁いただきます。在外公務員の待遇の問題は、先般要求したのに対する資料だろうと思いますが、これには現在の内地の公務員の給與と比較検討してありませんので、漠然としておりますが、これはやはり資料として親切に、現在の内地の公務員の給料はこれだけだ、在外公務員の給料はこれだけだ、こういうふうに並べて資料をいただくのが政府の親切だと思います。それでこれを見ると、最高一万八百八円というものは現在の十五級の最高級である五万円に相当するものであるが、そうなれば、この在外公務員と国内の公務員の差別を立てた基準はどこに置いたのか。これは担当の厚生省として重大な責任問題だと思いますので、簡單にお答えいただきます。
#83
○木村(忠)政府委員 資料の不備でございました点は、まことに恐縮でございます。この資料につきましては人事院が担当いたしておるもので、これにつきましてはいずれ調査いたしまして御答弁いたしたいと思います。
#84
○受田委員 これは厚生省の所管で、当然厚生省ががんばつてこの基準をつくるべきであるのに、人事院のさしずによつて、人事院のあてがいぶちだけもらうということでは、これは在外公務員の保障の線で非常に不親切である。この基準をどういうわけでこのような低い線に置いたかを明確にしてもらいたい。それから未帰還者の一般邦人の数はどれだけあるか。昨年七月の外交白書の示しますところの七万七千何がしの中で、一般邦人は何名であるか。同時に特還法によつて現在給與を受けている者はどのくらいあるか。それから遺族が援護される立場に立つでいる今日、なお帰らざる人の中に、特還法やら未復員者給與法で保護を受けている人もあれば、全然保護を受けていない人もあるのでありますから、差別待遇もはなはだしいのですが、生存者及び生死不明の留守家族にも、当然本人の給與を留守家族に渡し、もしくは家族手当も当然支給しなければならない。それを怠つておられるということは重大な政府の責任であると思いますが、この点もお尋ね申し上げます。なお外務政務次官にお尋ねします。一般邦人の数は、これは外務省が調査されたものでありますが、外務省として特還法の給與との差額が当然問題にせられると思うのですけれども、昨年七月に外務省が發表した外交白書の数字の中に一般邦人がどれだけあるかということは、当然外務省がわかつておらなければならぬが、その点外務省から御答弁願います。
#85
○石原(幹)政府委員 一般邦人と軍人その他の数の区別につきましては、ここで申し上げることはちよつと差控えたいと思います。
#86
○木村(忠)政府委員 一般邦人の数は、これは外務省の方でお答えしなければならぬので、私の方では数字については申さないことになつております。特別給與法で現在支給いたしておりますのは四千九百五十九世帯になつております。これは昨年末現在であります。
 それから特別未帰還者給與法におきましては、国、地方公共団体の公務員で給與を受けておるものにつきましては、これに給與しないということになつておるのであります。法律がそういう建前になつておるのであります。従いまして一般の給與を未帰還者として公務員として受けております者につきましては、特還法の方の給與は全然出さない、こういうことになつております。
#87
○受田委員 昨年の外交白書には、この今の日本政府の調査の結果が発表されておりまして、本義における死亡者数とは、軍人に関しては終戦時生存し、一般邦人については一九四五年八月九日まで生存し、その後死亡したものを集計した数、こういうことがはつきり書いてあります。一般邦人が何名か、旧軍人軍属が何名かということがこの集計でははつきりされてないわけであります。これがはつきりされないでこの数字が出たということは非常に奇怪なことでありまして、私が今記憶しているところでは、一万を越えるところの一般邦人があるのではないかと思うのでありますが、この問題は明らかにせられなければなりませんので、外務省として答弁をしていただくべき筋合いだと思います。これは国民に明らかに、一般邦人が幾ら、旧軍人軍属は幾らとはつきりしておいて、そうして一般邦人が幾らあるうち特遺法の適用を受けるものが何名ある、その特還法の保護を受けないものが何名ある、この人数だけは――こういう事項に該当するものは特還法の適用を受けることができないとはつきりしているものと、それから生死不明とか何とかで理由がはつきりしないから、確証がつかめないから特還法を適用しないのだというのとあるはずです。確証がつかめないから適用しないということになると、まだ帰らざる留守家族は全然保護を受けないことになる。本人も給與を受けないということになる。ましてや十八才未満の少年たちが向うにひつばられておつても全然本人の給與を受けないということになりますが、未帰還者に相違ないのでありますから、向うの満軍の将校になつたとか、本人の意思に反して無理やりに強制されてそういう立場に立つたというものに対して、家族をないがしろにすることは非常に不都合なことでありますが、とにかく帰らざる人に対しては全面的にその留守家族を保護するという根本策を立てぬと、その帰らざる一部の人を保護するのに、確証がつかめないから確証を出せ、確証が出されたら給與の対象にしてやるというような不親切なことでなくて、今全面的に遺族援護をするときでありますから、そういう留守家族の人の悩みを少くする線まで行かなければならぬと思うのであります。この点ひとつ政府の御答弁をいただきたいのであります。
#88
○木村(忠)政府委員 特別未帰還者給與法におきましては、未復員者給與法に準ずるような建前をとつて、法律の体制ができておるわけであります。ただいま、御指摘になりました点につきましては、いわゆる留守家族全般の援護の問題と申しますか、それに対する補償の問題と申しますか、そういうような点につきましては、そういう見地から、われわれといたしましてはきわめて同感であります従いましてわれわれといたしましては、大体そういうような線に沿いましていろいろといたしたいというふうに考えておるのでございます。現在までの段階におきまして、まだそこまでの予算的の措置その他がとられておらぬということに現在なつておるわけであります。現在の給與法の建前から、そういうふうに扱うことはわれわれ法律を勢いたしますものといたしましてはきわめて困難じやなかろうかというふうに考えております。
#89
○受田委員 この問題は、政府として法律の適用以外のものは考えることはできないという点でありますので、法律改正を当然されなければいかぬ、政府としてはこの法律改正を考えるか、特別未帰還者給與法及び未復員者給與法等、特還法の法律改正を根本的に未帰還者の特別援護法案として考えておるのかどうか、ここをお伺いしたい。
 それからもう一つ、未復員者給與法の療養手当を受けるもののあの通牒の中に、規則とか業務課連絡とかいうもので、非常に厳重なわくがはめられて、民間で手当を受けたものは全部除くことになつておりますが、こういう点も昨年の末、再び三年療養期間が延長されて、国家と地方に申請されたものに対しては、当然原因がそれだと思われる場合は、復員以前の原因で療養がまだ完成していないものに対してはもつと幅を広く、全部これを受入れるというところまで行かなければいかぬのですが、厚生省の最近決定みたものは非常に厳重なわくで、地方の国立病院で療養を受けられないでおる者がたくさんおります。こういう手紙をたくさんいただいておりますが、こういう人だちをもつと適用範囲を広げて――予算はわずかなものですから、もつと愛の手をさしのべた行政措置をとつていただきたいと思うのですが、この点をあわせてお願いを申し上げます。
#90
○木村(忠)政府委員 厚生省におきましては、法律の適用につきまして特に嚴重に――不当に厳重にやつておるつもるはないのであります。われわれといたしましては、法律の適用については御承知の通り法律を執行いたしますものは、法律以外のことはできないわけでございますが、法律の許します範囲におきましてはこういうようなものにつきましてはできるだけゆるやかに考えなければならないというふうに考えております。そういうあたたかい気持でもつて法律を適用しなければならぬことは、私たちといたしまして当然考えておるのでございますけれども何を申しましても法律で一つのわくがあるわけでございまして、これにつきましてはわれわれといたしまして、そのわくの範囲内でもつて許される範囲のことをするという以外にできません。もしも具体的にこのわくの範囲内でもつてやるべきことをやつていないというものにつきましては、できるだけ改めたいと思いますので、具体的な事件につきましてお示しをいただきますれば、やつてみたいと思います。
#91
○受田委員 今の根本的援護法を政府は用意しておるかどうか、全部の留守家族を援護をする根本法を用意しているかどうか、これを用意していなければわれわれも考えなければならぬのですが、用意しておるかどうかということを伺う。
 それからもう一つは、今の御答弁の中で一つ反駁したいことは、業務課連絡第九号の中に、復員患者の取扱規程には、再発の認定については特に嚴重に審査されたいということが書いてあります。それを嚴重に審査するというと、われわれが法律をつくつた議旨と違うので、もつと復員後の療養について、家へ帰つて療養をした期間があつたためにそれが削除されることがないように、前の病気が続いておると認めるようにというのでありますが、今再発の場合は、全然国立病院は手を打たれません。こういう者に対しては嚴重に審査をせられるということをせぬように、これについてはなるべく本人の希望が取入れられるようにやるというような業務課連絡を、これは行政措置ですから、行政措置をもつとゆるやかにしていただきたいと思うのであります。
#92
○木村(忠)政府委員 留守家族の援護法につきまては、われわれといたしまして研究はいたしております。と申しますのは、それに必要なる、法の体制のとれるだけの予算がとれなければ、これにつきましての法律ができませんので、その法の体制がとれるようにいろいろ研究もいたし、準備もいたしたわけでございます。ただ御承知の通りに今回の予算におきましては、一応財政上の都合からこれがとれておらないわけであります。従いましてとれておりませんと、範囲を広げるということもきわめて困難でありますので、従来の法律でもつてやつて行く以外にはないのではないかということで、法律は準備しておりますけれども、それでとりやめになつておるというふうに現在なつております。
 それから今の嚴重にということは、われわれ事務的に申しますと、普通嚴正にやるということは厳重にというふうに申すわけでありますので、そういう意味で書いたわけであります。従いまして、地方に特に嚴重にやつて、やるべきものをやらないということにはならぬように、われわれは従来の役人の常識としては考えております。
    ―――――――――――――
#93
○小平委員長 なおこの際御報告申し上げておきます。さきに委員諸君より御要望のありました沖縄諸島における遺骨調査の件及びフィリピン諸島における生存元軍人の件に関しましては、それぞれ委員長名をもつて要請状を出しておきましたので、参考のため、ここに御報告いたします。
 沖縄諸島における遺骨調査の件につきましては、委員長名をもつて、二月十六日付、シーボルト外交局長あて、終戰以来七年に亙る今日、われわれは連合国諸国の御好意と特に総司令部の適切なる御指道により、国情を回復し、今や講和条約の批准も終え完全独立と国際社会復帰の日を目前にする現状に到りましたことを喜ぶと共に、未帰還同胞の引揚問題に対する貴下並びに総司令部関係各位の今日に至る御厚情に対し深甚なる感謝の意を表するものであります。
 従来より未帰還同胞の引揚問題と並んで戰夢中海外諸地域で戰沒し未だ現地におかれている元日本軍将兵の遺骨に関しましてはわれわれは一日も速かにその収容引取方を念願していたものでありますが、先般来、硫黄島における戰沒同胞の遺骨調査については特に御配慮を賜り、その調査も順調に進み、その実情を把握し得ましたことは、遺家族は勿論われわれとしても感激に堪えないところであります。
  これと並んで、八万余の戦没同胞を出した沖縄諸島の遺骨調査については、速かにこれを実施し、その収容に当りたいと熱望しておるのであります。
  つきましては、この沖縄諸島において戦没した同胞の遺骨調査に際してはわれわれとしてもその調査に加わりたく特に貴下並びに総司令部当局の絶大なる御高配を願う次第であります。
 なおフィリピン諸島における生存元軍人の件につきましては二月十六日付、委員長名をもちましてキリノ大統領あて次の通り要請状を出しておきました。
  大統領閣下におかせられましては、国際間の平和とアジア復興のために終始御盡力せられ、特に日比親善について深い御理解を示されておりますことに対し深甚なる敬意を表するものであります。
  閣下には、日本人戰犯関係者について従来より特に深い御配慮を願つているものでありますが、この際、重ねて貴国ルバング島等の島與に今なお、遁残している元日本軍将兵の措置に関して懇願いたすものでおります。
 終戦以来七年余を経た今日、われわれ日本人は連合国諸国の御好意と御指導により着々として民主的国家再建の実を挙げ、今や講和条約の批准も終え、国際社会復帰の日を目前にする現状に到つたのでありますが、いまだに、多数の同胞が異境の地に残留していることは留守家族は勿論、われわれ日本国民の心痛極り無いところであります。仄聞するに、貴国ルバング島等の島嶼には未だ幾何かの元日本軍将兵が遁残し、貴国に対し治安上其の他種々御迷惑をおかけいたしておることは、洞に遺憾に堪えないところであります。
 われわれ同胞としては、彼等が一日も速かに翻然覚醒の上、貴国の寛大なる御処置にすがり生を得て血涙を以つて内親を待つ留守家族の許に帰国することを請い希うものであります。
  ここにわれわれは、これ等残留同胞の収容並びに引揚に関しまし格段の御配慮を賜りますよう衷心より懇願申し上げる次第であります。
 以上の涌りであります。
 なおさきの理事会において決定を見ました千葉市稲毛におきまする復員局留守業務部の視察につきましては、昨日これを行いました。私及び坂口主税君、清藤唯七君、柳原三郎君、上林與市郎君、以上五名が参りまし留守業務の実際を調査して参りましたことをあわせて御報告申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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