くにさくロゴ
1951/03/18 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第10号
姉妹サイト
 
1951/03/18 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第10号

#1
第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第10号
昭和二十七年三月十八日(火曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席委員
   委員長 小平 久雄君
   理事 逢澤  寛君 理事 高橋  等君
   理事 若林 義孝君 理事 受田 新吉君
      飯塚 定輔君    稻田 直道君
      川端 佳夫君    庄司 一郎君
      玉置 信一君    玉置  實君
      中山 マサ君    福田 喜東君
      丸山 直友君    亘  四郎君
      堤 ツルヨ君    上林與市郎君
 出席政府委員
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
        引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 連合審査会開会要求に関する件
 遺家族援護に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小平委員長 これより会議を開きます。
#3
○川端委員 議事進行について……。私は簡單に委員長にお願いをいたしたいのでありまするが、この特別委員会のあり方につきまして私は当初より非常に疑惑を感じておつたのであります。今回援護法の提案にあたりまして私は一層その感を強ういたしましたので、一言この機会に委員長に申し上げたいと思うのであります。というのは、この特別委員会というのは、御承知のように引揚げの調査、遺家族の援護、こういう特別な問題についてこの会期中重要な問題であるからというようなことで、別委員会が設けられたわけであります。ところが今回援護法の提案にあたつても、これが厚生委員会の方に付託になりまして、本委員会には付託になつておりません。世間では今会期中の重要な問題であるということから、援護法あたりは当然この委員会において審議されるものであると思つていると思うのであります。というのは、国会法にも厚生委員会でなければ審議ができないというような規定はない。従つて私は、衆議院の扱い方が間違つておるのではないかというふうな感じを持つ。これを参議院に比べますと、参議院においては特別委員会において法律案の審議もいたしております。請願も陳情も取扱つて常任委員会以上の立場をつくり上げておるわけであります。また衆議院におきましても、先例によつてこういうふうに法律案等が特別委員会にかからないということになつておるのではありません。先例は幾つもございます。第一国会における皇室経済法施行法案特別委員会に皇室経済法施行法案が付託され、あるいは日本国憲法第八條による決議案を併託しておる。あるいは第六回国会において観光事業振興方策樹立特別委員会において別府国際観光文化都市建設法案を付託しておる。しかもこの委員会の前身ともいうべき海外同胞引揚に関する特別委員会においても、未引揚者数発表を促すの決議案を併託しておる。こういうふうなこと、また第十二国会においては、平和條約及び安全保障條約の特別委員会において、あの條約を審議いたしておるわけであります。従つて衆議院においても例のないわけではないのであります。選挙法においてしかりであります。こういうふうなことでありまするから、私は今の衆議院の扱い方はかえてもらわなければならない。従つて政府においても、本日この援護法の説明をしよう、われわれはそれを聞こう、こういうことになつておるのに、資料も出そろつておらない。しかも一部分は出ておるのでも、本日われわれは手に入れただけである。こういうふうなことでは、この特別委員会の意義を全うすることはできないと私は思う。この際委員長においては、この説明を聞くことはわれわれはもちろん了承いたしておりまするけれども、建前をはつきりして、もう少し特別委員会の意義を全うせしめるような方法をお考えを願い、そうして運営委員会等にも委員長から申し出をしてもらうなら、委員長から直接――と言うとおかしいが、議長にこの話をしていただいて、衆議院における特別委員会の運営の仕方についての改善をはかつてもらいたいということを委員長にお願いいたしまして私の議事進行に関する発言を終ります。
#4
○小平委員長 川端君の御意見にはまつたく同感でありますから、理事諸君とも御相談の上、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。
 本日は遺家族援護に関する件を議題として議事を進めることといたします。遺家族援護に関しましては、本委員会の使命にかんがみ、各般の調査を進めて参つておるのでありますが、今般遺家族援護対策の骨子ともいうべき戰傷病者戰沒者遺族等援護法案が内閣より提出され、厚生委員会において審議されるに至つたのでありまして、水毒員会としては、その調査上より、この戰傷病者戰沒者遺族等援護法案の概要について、政府当局より説明を求めることといたします。木村引揚援護庁長官。
#5
○木村(忠)政府委員 戰傷病者戰沒者遺族等援護法の趣旨概要について御説明申し上げます。
 御承知のように、戰傷病者、戰没者遺族等に対する国としての処遇は、雇傭人たる軍属を除きまして、恩給法に基き、その公務上の負傷または疾病に関しましては、増加恩給、傷病年金等が支給せられ、またその公務上の死亡に関しましては、扶助料等が支給ぜられていたのであります。しかるに今次大戰の敗戰に伴いまして昭和二十年連合国軍最高司令官の指令たる恩給並びに扶助料の件が発せられ、これに基きまして、昭和二十一年ポツダム勅令第六十八号により、これらの恩給はその支給を停止され、わずかに戰傷病者に対して、少額の増加恩給のみが残されているにすぎないのであります。さらに陸海軍部内の雇傭人たる軍属の戰時災害による公務上の負傷または疾病につきましては、内地勤務の者に限り、それぞれ陸軍軍属戰災救恤規程、海軍共済組合令等により処遇せられ、現在におきましては、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法により、これらの雇傭人に対しまして年金を支給いたしておりますが、雇傭人たる軍属のうち戰地勤務の者につきましては、年金を支給すべく立案中に遂に終戰に至り、少額の一時金を支給したほか、今に至るまで何ら適切な処遇をいたしていないのであります。
 これらの戰傷病者、戦沒者遺族等は、過去における戰争において、国に殉じたものでありまして、これらの者を国が手厚く処理するのは、元来国としての当然の責務であります。敗戰によるやむを得ざる事情に基、き、国が当然になすべき責務を果し得なかつたのは、まことに遺憾のきわみと申さねばなりません。しかしながらすでに平和條約は締結せられ、その効力発生の時期は目睫の間に迫つているのでございます。この講和独立の機会に際しまして、これらの戰傷病者、戰沒者遺族等に対し、国家補償の観念に立脚してこれらの者を援護することは、平和国家建設の遂にあるわが国といたしまして、最も緊要事であることは言うまでもないことでございます。これが、この法律によりまして戰傷病者戰沒者遺族等の援護を行おうという根本的な趣旨でございます。そこでこの法案の内容につきましてその大綱を御説明いたします。本法は第一章総則、第二章援護、第三章不服の申立及び第四章雑則の四章五十一箇條並びに附則の十二項をもつて成り立つものであります。
 まず第一章は、本法の総則を規定するものでありまして、本法の目的を示し、本法にいわゆる軍人軍属、その在職期間及び公務傷病の概念を明確にし、及び年金及び一時金の権利の裁定に関する通則を規定しているのであります。本法の目的は、軍人軍属の公務上の傷病または死亡に関して、軍人軍属であつた者またはその遺族を援護することにあるのでありますが、まず本法において援護の対象とすべき軍人軍属は、元の陸海軍部内の軍人、準軍人並びに高等文官及び判任官たる警刑職員、すなわち恩給法の適用を受けながら、現在は恩給法の特例に関する件によりまして、その者に関する恩給の支給が原則として停止されているものと、恩給法の適用されていなかつた元の陸海軍部内の有給の嘱託員、雇員、傭人、工員または鉱員のうち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法によつて処遇されていない戰地勤務を命ぜられた者並びに軍人軍属の身分を持つていた者で未復員の状態にある者といたしたのであります。
 次に、在職期間及び公務傷病の概念につきましては、ほぼ恩給法の例によつたのでありますが、本法におきましては、特に未復員期間中の公務傷病に関しまして援護を行うことを明定いたしましたために、未復員中の期間も在職期間に含めることを明示し、かつ、昭和二十年九月二日以後において外国の権力下にあつて帰国することのできなかつた軍人軍属については、その者の自己の責めに帰することのできない負傷または疾病を公務上の負傷または疾病とみなすことにいたしたのであります。
 第二章は、本法において行うべき援護に関する実体規定から成り立つものでありますが、その第一節においては、公務上の傷病を受けた旧軍人軍属に対する援護に関し、第二節においては、これら旧軍人軍属の遺族に対する援護に関し規定いたしているのであります。
 まず傷病軍人、軍属に対する援護といたしましては、障害年金の支給、更生医療の給付、補装具の交付及び国立保養所への収容を規定いたしておりますが、障害年金の支給は、在職期間内における公務上の傷病により不具廃疾となつた軍人軍属で、その不具廃疾の程度が現在恩給法の特例に関する件により増加恩給の支給されている第六項症以上のものに対して行うこととし、その年額は、第六項症の二万四千円から特別項症の六万六千円まで七つの段階を設けたのであります。なお障害年金の支給事由である公務上の傷病に関し、昭和二十年九月二日前に生じた軍属の傷病については、太平洋戰争開始後における戰時災害によるものに限ることといたしたのでありますが、これは、旧陸軍軍属戰災救恤規定において内地動務軍属に対しては、太平洋戦争開始後における戰時災害によるもののみをその処過の対象としていたのと均衡をとつたものであります。このほか障害年金に関する規定といたしましては、増加恩給との関連を考慮いたしまして、主として恩給法の例にならい、裁定当時において不具廃疾の程度が低下し、または回復する見込みの多い者に対する有期恩給に相当する期限付障害年金に関する規定、不具廃疾の程度の低下または増進の場合の額の改定に関する規定、国籍を有しない者、または失つた者、あるいは三年を越える刑に処せられたもの等が障害年金を受ける権利を取得せず、あるいはその権利を失う旨の規定、三年以下の刑に処せられた者または執行猶予の言い渡しの取消しを受けた者等に関する支給の停止の規定、受けるべき年金を受領しないで死亡した者の相続人に対する支給に関する規定を置き、また恩給法の特例に関する件による傷病賜金、未復員者給與法による障害一時金の支給を受けた考及び国立保養所へ収容した者に対する障害年金の支給額の調整に関する規定を設けているのであります。
 次に、傷病軍人、軍属に対しては、更生医療の給付及び補装具等の支給を行いますが、これに関しましては、その対象を公務上の傷病を受けた軍人軍属で、その傷病のため一定程度以上の視力障害、聴力障害、肢体不自由または中枢神経機能障害の状態にあるものといたし、これ等のものがその更生のため必要があると認められるときは、これらのものに薬剤、治療材料を支給し、手術その他の治療を行い、病院へ収容する等の援護を與え、またこれらの者に必要があると認めるときは盲人安全つえ、または補装具の支給を行う等の措置を講じ、その実施に必要な規定を設けたのであります。さらに国立保養所への収容による援護に関しましては、その対象を障害年金を受ける権利を有する者で重度の不具廃疾になつている者といたし、これらの者に対しては、全額国庫負担により医学的管理の下に保養を行わせることといたしたのであります。
 本章第二節は、軍人軍属の遺族に対する援護を規定いたしているのでありますが、その援護の種類といたしましては、遺族年金の支給及び遺族一時金の支給の二種のものを設けておるのであります。
 まず遺族年金に関しましては、その対象を公務上の傷病により死亡した軍人軍属の遺族及び公務傷病以外の事由で死亡した障害年金受給権者の遺族の二種といたし、前者に対する遺族年金としては、配偶者につき年額一万円、その他の遺族一人につき年額五千円とし、後者に対する遺族年金としては、それぞれ十分の六の額を年額として支給することといたしたのであります。
 次に、本法において遺族年金を支給すべき遺族の範囲は、死亡者の死亡当時における内縁関係を含む配偶者、子、父、母、孫、祖父及び祖母であつて死亡した者の死亡当時その者によつて生計を維持し、または生計をともにしていた者、または現実に生計維持、生計同一の関係がなくても、軍人軍属たることの勤務がなければ、当然これらの條件を具備していたと認められる者の範囲とし、支給條件としましては、妻は無條件、夫、子、父、母、孫、祖父及び祖母については、所要の支給條件を設けるごととし、たとえば夫については、不具廃疾で生活資料を得ることができないこと、子については、十八才未満で配偶者がないこと、または不具廃疾で生活資料を得ることができないことを支給條件とする等、恩給等の例を参酌して必要な規定を設け、その條件を具備することにより権利を取得せしめることといたしたのであります。このほか遺族年金に関する規定といたしまして、支給事由たる軍属の死亡に関し、軍属の死亡が昭和二十年九月二日前に生じた傷病によるものであるときは、当該傷病が太平洋戰争後における戰時災害によるものに限るとしたことは、障害年金に関して述べましたと同趣旨によるものであり、年金支給の始期終期を明定したこと、権利者数人ある場合の総代請求を規定したこと、国籍を有しないとき、または失つたとき、あるいは刑を受けたとき及び遺族が遺族となつた後婚姻し、または遺族以外の者の養子となる等身分関係に変動を生じた場合等に権利を取得し得ないこと、またはその権利を失うこと等、主として恩給法の例にならい必要な規定を置いているのであります。
 次に、遺族一時金に関しましては、その対象を太平洋戰争開始後において生じた公務傷病により死亡した軍人軍属の遺族といたしたのでありますが、一時金につきましては、その支給を遺族年金と多少異にし、死亡者一柱につき遺族中の最先順位者一人に五万円の記名国債を交付することといたしたのであります。遺族一時金を受けるべき遺族の範囲につきまして、大体において遺族年金を受ける遺族の範囲と同様でありますが、父母及び祖父母については、遺族年金の場合と異なり、六十才以上あるいは不具廃疾であること等の支給條件は置かないこととしておるのであります。また一時金を支給すべき順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順序とし、父と母、祖父と祖母等は同順位であります。このほか一時金を取得し得ない場合等に関して、ほぼ遺族年金に関する規定と同様な規定を置いているのであります。
 第三章は、年金、一時金に関する行政庁の処分、すなわち権利の裁定、年金額の改定、減額または控除の決定等に不服のある者には、不服の申し立ての権利を與え、年金、一時金等の権利の保護に遺憾なきことを期しているのであります。
 第四章は、雑則といたしまして、年金を支給すべき時期、年金受給者の身分関係の異動の調査等による受給権の調査、その他年金、一時金を受ける権利に関する消滅時効、その権利の譲渡等の禁止及びその権利に対する差押えの禁止、援護を受ける権利に対する非課税等の規定を設け、援護の公正に行われること及びその実が十分にあげられることを期しているのであります。このほか、援護の実施が迅速かつ的確に行われることを期するために、年金の支拂い方法に関する会計法の特例を設け、また必要に応じて都道府県知事等に厚生大臣の権限または権限に属する事務を委任することといたしたのであります。
 最後に附則におきましては、まず戸籍法の適用を受けない者、すなわち朝鮮人及び台湾人に対しては、当分の間、本法を適用しないことを規定し、次に恩給法による増加恩給または船員保険法による障害年金もしくは遺族年金の受給権者で、本法による障害年金または遺族年金を受ける権利を有する者に対しては、全額国庫負担による同一事由による年金をあわせて受けさせる不合理を避けるため、必要な調整規定を設けたのでありますが、この場合、本法の障害年金受給権者が軍人たるによる増加恩給を受ける権利を有するときは、増加恩給の裁定を受けさせ、次いでその裁定を本法の障害年金の裁定とみなし、事務の簡素化をはかつているのであります。さらに本法施行事務の所掌等に関して厚生省設置法、引揚援護庁設置令等に所要の改正を加え、附則の末項におきましては、本法による援護の趣旨に即応して所得税法を改正し、本法による障害年金受給著、遺族年金を受ける老年者、寡婦及び勤労学生に対する特別控除額の引上げ等の措置を講じたのであります。
 以上が本法律案の内容の大要でありますが、本法律案に定められているもののほか、遺族の子弟の育英を充実し、戰没者の霊を慰めるための合同慰霊式典に要する経費に対し補助し、身体障害者を一定の事業所に雇用させる等の措置をとるごとにいたしております。
 なおこの法律の施行に要する経費は、全額国庫負担でありまして、障害年金の所要経費約十八億円、遺族年金の所要経費約百五十六億円、遺族一時金として交付される公債利子の所要経費約五十三億円、更生医療等に要する経費七億円、その他事務費として約三億円、計約二百三十七億円を計上している次第であります。
#6
○玉置(信)委員 議事進行について……。ただいまの木村長官の御説明とここに配付されておりまする提案理由の説明のプリントと内容が大分違うわけであります。従つてお伺いしておつて大要はわかるのですが、速記録のできる前に委員会を開くことがありますれば、ただいま説明されたのと同じものを配付していただかないと議事を進める上に不便でありますので、これに対する質疑は後日に延期されんごとを動議として提出する次第であります。
#7
○小平委員長 ただいま玉置委員の申された通り、政府からただいまの長官の説明と同様の説明書をお出し願いたいと思います。
 なおただいまの玉置委員の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○小平委員長 それでは本件についての質疑は後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#9
○小平委員長 なおこの際お諮りいたします。戰傷病者戰没者遺族等援護法案は現在厚生委員会に付託されて審議されておりますが、本委員会としては、この法案には密接な関係を有しますので、厚生委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○小平委員長 御異議なきものと認めます。つきましては、戰傷病者戰没者遺族等援護法案について厚生委員会に連合審査会の開会を申し入れるごとといたします。
 なお開会の日時等につきましては、当該両委員長協議の上、公報をもつてお知らせすることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト