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1951/03/26 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第11号
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1951/03/26 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第11号

#1
第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第11号
昭和二十七年三月二十六日(水曜日)
    午前十一時二十一分開議
 出席委員
   委員長 小平 久雄君
   理事 逢澤  寛君 理事 若林 義孝君
   理事 坂口 主税君
      青柳 一郎君    稻田 直道君
      庄司 一郎君    玉置 信一君
      中山 マサ君    福田 喜東君
      丸山 直友君    亘  四郎君
      柳原 三郎君    堤 ツルヨ君
      苅田アサノ君    上林與市郎君
 出席政府委員
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (外務省アジア
        局第五課長)  上田 常光君
        運輸事務官
        (運輸省海運局
        海運調整部総務
        課長)     亀山 信郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 海外同胞引揚に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小平委員長 これより会議を開きます。
 本日は海外同胞引揚に関する件について議事を進めます。海外同胞の引揚げについては、集団引揚げ中絶以来、現在まできわめて困難な情勢にあつたのでありますが、講和條約発効を控えて、今後引揚げ対策には一層の完璧を期さねばならないと思います。つきましては、本日は講和発効後の引揚げ対策、特に集団引揚げ等における航海輸送につきまして、当局においては、これに関する法律案の準備等もいたしておるようでありますので、これが趣旨内容等についてまず説明を聴取いたしたいと思います。運輸省海運調整部総務課長亀山信郎君。
#3
○亀山説明員 海外からの日本国民の集団引揚げ輸送のための航海命令に関する法律案は、先般の閣議で決定いたしまして、目下国会に提出の手続中でございます。明日もしくは明後日には、国会に内閣から提出されるはずになつております。この法案について簡単に御説明申し上げます。
 終戦以来今日までの引揚者の海外からの引揚げ輸送は、商船管理委員会が連合国軍最高司令官の命令によつて実施して参りました。商船管理委員会の以前の名称は船舶運営会でございまして、船舶運営会並びに商船管理委員会が昭和二十五年度、つまり昨年の四月までに実施いたしました引揚者の総数は、四百八十万人になつております。二十六年度に入りましては、商船管理委員会の実施いたしました集団的引揚げ輸送は一人もない状態でありました。商船管理委員会は、連合国軍最高司令官の命令によつて設置せられた特別な委員会でありまして、これは本年三月三十一日までしか存続しないということになつておりまして、三月三十一日には解散をいたすことになつております。従いまして、爾後商船管理委員会の行つて参りました集団的引揚げ輸送をいかにするかということにつきましては、まずこの集団的引揚げ輸送は、先般の閣議決定に基きまして、運輸省がみずから行うということに相なりまして、そのためにまず終戦以来引揚げ輸送に従事しておりました船のうち、高砂丸という一万トンの船を引揚げ輸送用ということで待機せしめるという措置を講じたわけであります。その待機するための費用といたしまして、船舶所有者に待機料を渡すことになるのでありますが、これは二十七年度予算に千五百万円計上されております。この船舶の輸送力は、一回に二千五百人ないし三千人ということになつております。それにまた必要な寝具、食器類もすべて用意をしてございます。さしあたり集団的な引揚げ輸送が開始せられるときには、この船を差向けて輸送をただちに実施し得るという態勢をとりますと同時に、この船舶だけでは不足する場合には、さらに適当な船舶を探し出しまして、運輸大臣がこれと契約をする。契約をしてさらに引揚げ輸送に従事せしめる。但しこの契約がやりにくい場合、船主がそれに応じない場合、他の輸送に従事したいなどと考えておる場合のことを考慮いたしまして、ただいま申し上げました航海命令に関する法律案を用意いたしまして、この法律によりまして強制的に引揚げ輸送に従事せしめるということを考えたわけであります。従いまして、この法律は最後の手段でございまして、今申し上げましたように、高砂丸という、すでに引揚げ輸送のために待機させてある船でまずやる。それで足りない場合は契約でやる。契約でやることができなかつた場合に、初めてこの法律を使う。こういう措置で万全を期したいと思つておる次第であります。法律の内容は、従いまして非常に簡單でございまして、法律としましては四箇條になつております。第一條は、今言いました強制的な配船命令の権限を運輸大臣に付與する。もちろん、これはむやみに発動できないのでございまして、当然法律の中で、契約によつて当該航海を行うことが困難である場合に、この命令を発動する。この命令の中には、引揚者を輸送するに足るだけの適当な施設をしろという施設の命令も包含されておるわけであります。第二條におきまして、この命令によつて損失を受けた場合には、それを補償する。船舶運航業者または船舶所有者に補償するという規定であります。第三條は、この命令に従わなかつた場合の罰則を規定しておるわけであります。第四條はこの罰則に関連いたしまして、法人に対する罰を規定しております。法律といたしましては、以上の三箇條であります。なおただいま申し上げました高砂丸に対する予算措置は、二十七年度予算に千五百万円計上してございまして、それ以上に契約もしくは命令によつて輸送する費用は、予備金から支出せられることになつております。
#4
○小平委員長 本日は木村援護庁長官及び上田外務省アジア局第五課長も出席しておりますから、ただいまの御説明を中心としまして、御質疑をお願いいたします。
#5
○若林委員 ただいまの御説明は私聞いておりませんから、あるいは重複するかもしれませんが、新聞その他で見ましたのと、またただいま御答弁になつたのを基本として、それ以外の事柄について、ちよつとこれに関連する事項についてお尋ねしておきたいと思うのであります。すでに去年の夏であつたと思うのでありますが、外務委員会において、中山マサ委員の御質問に対して、個人的の引揚げに関しての船賃その他について国家が補償するということが、外務政務次官から出ておつたと思うのであります。これに関していま一度どういうような措置を明確におとりになりましたか、伺いたいと思います。
#6
○木村(忠)政府委員 御承知の通りに、引揚げは原則といたしまして集団引揚げにいたしたいということに相なつておるのであります。従来から集団の場合については、船賃を国家が負担しておるわけであります。最近の情勢によりまして、個別に引揚げます者につきまして、引揚げたいけれども、運賃の支拂いができないために引揚げられないというのが相当あるような情勢もございますので、これらに関連いたしまして、個別の引揚者の船賃を政府において負担する方法をとりたい、かように考えまして、その方策を決定いたしまして、三月からこれを実施するようにいたしておるのでございます。これにつきましては、現在向うからこちらに帰りますことがはつきりいたしまして、そうして確かに帰れるということになりました者で、向うの港からこちらの港まで帰ります船賃が支拂えないという状況にある者に対しまして、その希望する日時に近い、向うから出ます船の船会社に対して、船賃を拂うという方法によりましてこれを解決させたいと一応考えておるのであります。これにつきましては、そのやり方でもつてやつておりますことを、先方におりますところの、引揚げたいという気持を持つておられる残留者の方方に周知徹底させる方法を、留守家族の方を通しましていたしたい、かように考えまして、そのつもりでもつて地方の方に通達いたしておりまして、各府県におきまして留守家族の方にそのことを通知いたしまして、留守家族の方からその連絡を願いまして、帰れるようにいたす。かようにいたしておる次第でございます。
#7
○若林委員 それはすでに通知済みでございますか。
#8
○木村(忠)政府委員 すでに通知済みでございます。
#9
○若林委員 この船舶のことに関しての事柄は、運輸委員会へ法案がすでに出ておるのですか。
#10
○小平委員長 それは先ほど説明がありましたが、一両日中に内閣から国会の方に提案される予定なんだそうであります。
#11
○若林委員 それでございましたら、この委員会が設置されて以来、この船舶の問題その他は本委員会の委員各位が熱意をこめて、関心を持ち、政府に要望しておつた事柄でございますので、運輸委員会と御連絡をとつていただきまして、この法案に関しては連合審査会を開いて、この委員会の委員各位が審議に参画できますように、委員長においておとりはからい願いたいと思います。
#12
○小平委員長 承知いたしました。ただいまの若林委員の申し出につきましては、実は昨日も議院運営委員長に相談をいたしまして、でき得れば当委員会に付託していただけるようにとりはからい願いたいということを申し込んでおいたのであります。なお運輸常任委員長とも相談いたしたいと思いまして、連絡をとつておるのでありますが、まだとれないわけでございます。今後、また本日中にも連絡をとりたいと考えております。
#13
○中山委員 私の方に陳情が参つております件でございますが、今遺族に対していろいろ考慮が拂われております際に、戰時中軍を運ぶために使われた船員が、途中で船とともに運命をともにいたしまして、今日まで帰つて来ない、そうしてその人々の遺骨が何ら帰らないことはあたりまえであるけれども、何らの報道もない。これもまたやはりお国のために奉仕した者であるのに、なぜにこの遺家族はこのたびの援護の対象の中にないのかという陳情が私のところに参つておりますが、これに対して援護庁の御意見を聞かせていただきたいと思います。
#14
○木村(忠)政府委員 遺族の援護をいたしますにつきまして、今回戦傷病者戦沒者遺族等援護法案を提案いたしておるのでありますが、この法案の中に、軍の船に乗つておりました船員以外の船員の方につきましての遺族の方につきましては、援護の規定が存在しない、これにつきましては、われわれといたしましては、できるだけ広く遺族の範囲を広げまして、大体同じような状況のもとにあります者につきましては、ひとしく援護をするという方途を講ずるのが適当であろうというふうに考えておるのでございますけれども、国家財政の現状からいたしまして、さしあたり最小限度の範囲において、これをやるということに相なりまして、現在の法案のようなことになつておるのでありまして、なぜ旧軍人及び軍属にこれを限定したかという点でございますが、これにつきましては、旧軍人につきましては、従来恩給法によりまする遺族の扶助料というものが出ることになつておりましたし、また軍属につきましては、軍属の中で内地勤務の者につきましては、特別なる規定によりまして、これに対します年金の給付がされるということに相なつておるのであります。旧軍人の方につきましては、これは恩給が停止されておりますことは御承知の通りであります。その間何らのこれに対する手当もいたしておらない実情であります。船員につきましては、従来船員保険法という方法をとりまして、これによりましてきわめてわずかながら年金を支給しておつたというところで、この間に一つの線を引いたというのが、今回提案の法律の趣旨でございます。しかしながら御指摘の通り、これはきわめて満足すべきものではないのであります。ただ今回の年金の金額が何とも申し上げようのないようなきわめて少数の金額でございまして、これをさらに分散いたしましてこの金額を少くするよりは、まず今まで何もしなかつたという部分についてこの際やるということでもつて、こういうことをいたしたわけであります。従いましてわれわれといたしましては、今後できるだけその範囲が広がることを期待いたしておるのであります。
#15
○若林委員 前会硫黄島の調査に関しまして、厚生省が調査員を御派遣になりまして、その御派遣になつたときの御報告をわれわれ承つたのでありますが、これに関連いたしまして、遺骨引揚げに関する具体案を厚生省においては御討究のことだと考えるのでありますが、これは熱意をもつてやるというようなことでなしに、調査に基いてそれぞれその具体策がつくられつつあるということでありますが、現在の段階においてどういうような方法をお考えになつておりますか、それをひとつ承りたいと思うのでありますが、御存じの通り、あの民間団体として宗教連盟、日赤を中心としました一大海外戰沒者遺骨奉還運動が起ろうといたしておりますときでございますので、具体的にお示しを願いたいと思います。
#16
○木村(忠)政府委員 遺骨の引揚げにつきましては、硫黄島の調査が終りまして、一応硫黄島と類似の状態にあります戰場につきましての基本的な考え方が行われようとしております。なお最近沖繩の方に係官を派遣いたしまして、現に沖繩に参つております。これは大体四月の中旬までには帰つて来ると思いますが、これが帰つて来ましてから状況を聞きますれば、またこれと類似の場合につきましての、一応の判断は下せるかと考えるのであります。この両方を勘案いたしまして、早急に全般的な対策を建てるようにしたいというので、大体硫黄島のことにつきましては、現在一応具体策をある程度まで固めつつあるような次第であります。これにつきまして、われわれとしましては、できるだけ従来の、戰争を実施いたしておりました際と同じような程度まで引揚げができるようにいたしたいというふうに考えておるのであります。これにつきましては、そのようなつもりでもつて、予算的措置等もございますので、これらの点を今検討いたしておるのでございます。なおその他の地域につきましては、大体米軍の方の占領いたしております部面につきましては、その方面の了解を得まして、ただいまこれに対しまするどういう措置をとるかという点につきまして、案を立てている最中でございます。大体これにつきましても、連合軍の方と了解がついておりますので、至急に案を立てまして、遺骨処理をいたしたいというように考えております。
#17
○若林委員 各方面に調査員を派遣せられまして、今われわれ国民といたしましても、また遺族といたしましても、今まであきらめておりましたのが、遺骨を迎えることができるというほのかな希望に燃えておるときでございますので、一刻も早く、ひとつ硫黄島だけでも具体案をお示しになり、それによつて一刻も早く着手していただきたいことを、遺族の心持をもつてお願いをいたしておきます。
 それから未復員著の引揚げ促進に関しまして、講和独立後は、自主的にわが日本政府としても、この引揚げ促進の方策を講ずることができる段階にあるのでありまして、その具体案をどういうようにせられるか、数回前の委員会において、私からも具体的にどうするかということをお願いをいたしておつたのでありますが、国際的にながめましても、相当国連で引揚げの問題が取上げられましたので、各連合国の間でも熱意をもつて引揚げの問題は一つの問題になつておると思うのであります。その当面の被害者であるドイツ並びに日本こそ、この両政府が立ち上らなければならぬと思つておるのでありますが、この講和発効後は、一大国民運動と、また政府の諸方策とが相まつて世界的の輿論の喚起に努めなければならぬということを、われわれは考えるのであります。これについて何か具体策がございますか、まだお立てになつておりませんですか。
#18
○上田説明員 きよう政務次官がここに御出席になりませんので、私から実は申し上げる問題じやないと思いますけれども、私の承知しております限りについて御説明申し上げます。この問題につきましては、外務省におきましてももちろん十分に考えておるのでございますが、一言にして申し上げますと、講和が発効したからといつて、すぐに特効薬的に未帰還者が帰れるような策がなかなか見つからないのであります。これはもう皆さんがかえつてよく御承知のことと存じます。そこで結局講和発効後の大きなラインと申しますと、従来やつておりました国際連合とか、あるいは国際赤十字のような、ああいう国際機関を通じるのと、もう一つは中共もしくはソ連と関係のある第三国を通じてやる、そのラインを通ずる以外には、一応手がないということは同じでありますが、ただ違うところは、従来それがとかく占領下にありましたためにやりにくかつた面も、自由にもつと積極的に、その面で活躍できると申しますか、一層の努力を盡すことができるというところが、違うことになるのじやないかと思うのです。中共及びソ連におりますものの引揚げ促進に関しますもつと根本的の政策の問題につきましては、これは内閣、最高幹部でおきめになる根本的外交方針とも関連しておりますので、現在の私どもが事務的に考えられます案といたしましては、今申し上げましたようなラインで、ただ一層自由に、もつと積極的にできるというところだけじやないかと思つております。
#19
○若林委員 この点に関しまして、私から数回前のときにお願いをいたしておいたのでありますが、具体的にはすぐ案が立ちにくいだろうと思いますけれども、早急に外務省の引揚げに関することを所管せられておりますところが中心になつていただきまして、各留守家族なり、それに熱意を持つております各種団体があると思うのでございますが、そういう人たちの意見を聞くと同時に、また協力を求められるようにしていただいて、衆知を集めて促進する。役所だけで気をもまずに、みんなが打つて一丸となつてその方策を講ずるという方途を講じていただいて、外務省と民間と一体となつて、この問題を推進して行くというかつこうをとる中心になつていただきたい、こう思うのであります。
 それからこれに関連する事項でありますが、中共の残留者と申しますか、引きとめられております人たちのその後の最近の状況、それから引揚げ可能の状況などについて、承ることがございましたら、ひとつ承りたいと思います。
#20
○上田説明員 先ほどの御意見、十分拝承いたしまして、そのようにいたします。
 最近の中共地区に残留しております方々の状況でありますが、これは御承知の通りに、私の方で、中共残留者から留守家族にあてられまする通信がございますが、その通信の写しをいろいろ出していただきまして、拜見いたしておるわけであります。それなどによりますと、最近は、引揚げという面から申しますと、あまり好ましくないような方向に行つているのじやないかと思います。と申しますのは、一言にして申しますと、このごろの中共政府の残留日本人に対して申しております考え方というのは、要するに日本が解放されたらお前たちは帰すと、そういうラインに立つておるのです。そうして、むしろお前たちはここに残つていて、日本の解放に努力しなければいかぬ、そして解放したあかつきに帰るのだというラインが、相当強く、最近の留守家族あての手紙を見ましても、現われております。この解放という意味は、もちろん御存じの通りな意味でございますから、そこでそういうラインを見て参りますと、この問題はそう簡單には解決しにくいんじやないかと思つております。最近までと申しますか、昨年終りごろからぼつぼつ帰つて参られました方々は、ほとんどみな病人ですとか、もしくはほとんど使い道がない――と申しては失礼ですけれども、少くとも中共政府としては使い道のない方が、しかもこれも割合にこつそり帰つて来られるようであります。帰還促進運動などということを口にすることすら、反動と言われて、生命の危險さえ感じるようなぐあいでありますから、残留者はほとんどそういうことも口にできませんし、帰る人は、こつそり何らかの方法で許可を願い出て、そして許可をもらつて帰つて来るのですが、それは今申し上げましたように、ほとんど大部分が病人か、老齢で、もう中共としては一応利用価値がないと思われるような人で、それ以外は帰つて来ておらないのであります。
#21
○小平委員長 それでは本日はこの程度にして散会いたしたいと思います。
    午前十一時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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