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1951/05/14 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第14号
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1951/05/14 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第14号

#1
第013回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第14号
昭和二十七年五月十四日(水曜日)
    午後二時四十七分開議
 出席委員
   委員長 小平 久雄君
   理事 逢澤  寛君 理事 池見 茂隆君
   理事 若林 義孝君 理事 受田 新吉君
      飯塚 定輔君    稻田 直道君
      川端 佳夫君    庄司 一郎君
      玉置  實君    福田 喜東君
      丸山 直友君    亘  四郎君
      金子與重郎君    堤 ツルヨ君
      苅田アサノ君
 出席政府委員
        外務政務次官  石原幹市郎君
        外務事務官
        (アジア局長) 倭島 英二君
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 海外同胞引揚に関する件
 南方諸地域における戰ぼつ者の遺骨調査に関す
 る件
    ―――――――――――――
#2
○小平委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先だちまして、この際お諮りいたします。過般の理事会におきまして、沖繩諸島における戰没者の遺骨の収容に関して、沖繩当局並びに島民に対して感謝の意を表明することになりましたので、琉球諸島民政長官あてに感謝文案を委員長において作成いたしました。案文を朗読いたします。
 終戰以来茲に七年、この間連合国諸国の御好意と適切なる御指導の下に、われわれは農再建のため献身の努力を続け、今や平和条約発効によつて、再び国際社会に復帰の念願なり、平和的、民主的独立国家として、世界平和の為に貢献すべき日を迎うるに到りましたことは誠に喜びに堪えないところであります。
 従来より戰争中海外諸地域で戰没し、未だ現地におかれている同胞の遺骨に関しましては、われわれは一日も速かにその収容引取方を念願していたものでありますが、先般、沖繩諸島における政府の遺骨調査については特に御配慮を賜りまして、その調査も所期の目的を達成して詳細にその実情を把握し得たことの報告を得、特に沖繩復興に努めておられる貴官始め関係各位の御努力は夙に聴き及んでいるところでありますが、この間、貴官が率先してわが同胞戰没者の遺骨を収容され、且つ慰霊塔を建設して丁重なる供養を営まれておるとの実状に接し、その厚き御懇情に対しては遺家族は勿論われわれとしても衷心より感謝の意を表明する次第であります。
 つきましては、われわれのこの深き感銘を貴島民諸氏にもお伝えを願うと共に今後とも絶大なる御配慮の程を懇願する次第であります。
 以上の通りであります。右案文の通り委員会において決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小平委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。なおこの伝達方等の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#4
○小平委員長 次に御報告を申し上げます。前回の本委員会において、庄司委員より引揚げ促進に関し、毛首席あて懇請状を本委員会の決議をもつて送付してはいかんとの熱心なる御提案があり、これが取扱いについては理事会に御一任を願つでおりますが、過般の理事会において本問題を協議の結果、諸般の情勢より右懇請を委員会の決議により送付することは、現段階においてはしばらく見合わす方が適当であろうとの結論に達しましたので、この段御報告申し上げます。
 これより議事に入ります。海外同胞引揚に関する件について議事を進めます。平和條約発効後の今日、今なお三十数万の同胞が外地に抑留されていることは大痛心事である。この問題の早期解決については、一層強力に推進すべき時期に至つているのでありまして、今後の対策いかんにより、解決に対する障害を打破するかいなかの問題に直面しているのではないかと思うのであります。
 なお民間関係団体において、独立を機として本問題に関する国民意識を中外に宣明するための国民的ないしは国家的行事を行いたいとの意向があるようであります。また留守家族に対する援護に関しましても、その悲境を思いますとき、なお一層の処置を講ずべき委員会議録第十四品寸時期にあるものと思うのであります。これらの問題につきまして、政府当局の御意向をまず伺いたいと思います。
#5
○木村(忠)政府委員 留守家族の援護等につきまして、政府におきましては、これに対しまする新たなる見地かりの処置を講じたいと考えて、これにつきましては、あるいは留守家族援護伝といつたようなものを考慮いたしておつたのでありますけれども、不幸にして、今回それに必要な予算が新たにふえるというような段階に至つておりませんので、この際はこの新しい法案乞出すことを見送つておつたのでございます。しかしながら遺族の援護と並行いたしまして、留守家族の援護の問題を取上げなければならぬということは申し上げるまでもないことでありまして、現在行うことにいたしておりますところの遺族の援護の措置が今後強化される機会をとらえまして、あわせて留守家族の援護の強化の問題を解決するようにいたしたい。かように考えまして、今後努力をいたしたいと思います。
 なおこの講和発効の機会におきまして、留守家族に対しまする何らかの処置を講じなければならぬじやないかというような点につきまして、民間側におきまして、いろいろな御計画と申しまするか、御意見もあるようでありまして、政府といたしましては、これに対しましてどういうような処置を講じたらよいかということにつきまして、はお検討中でございます。これにつきまして、なお民間側におきまして各種の計画をいたすことにつきまして、われわれといたしましては、できるだけの御援助はいたしたいと考えたのでありますが、ただいまのところどういう処置を講ずるかということにつきましては、まだ言明するだけの段階に至つていないということを申し上げざるを得ないわけであります。大体ただいま委員長からお話があつた点につきましては、そういうことで御了承願いたいこ思います。
#6
○小平委員長 この際本件に関する発言を許します。
#7
○若林委員 過般五月二日を期しまして、政府が主体となり、新宿御苑におごまして、全国戰没者の追悼式がおごそかに天皇、皇后両陛下の御親臨を得し行われたのでありまして、おそらく過去七年間白眼視されて小さい気持で暮しておられました遺族にとりましては、援護法によるいろいろな追弔金あるいは年金などを超越いたしまして、あの国家的な儀式に感泣し、何とも言えない、言葉で言い表わせない、一種の心にかつて持つておつた国家のためにという気持をとりもどしたように思うのでありまして、困苦欠乏に耐え、山間から白眼視されたそのときの苦しかつたことも打ち忘れたような感があつたと思うのであります。この遺家族の気持を察しましたときに、これと同様に、過去長きにわたつては十数年、短かくとも七、八年の留守家族の方たちの苦痛、これは未復員者給與法というものでそれぞれ国家の施策が現われてはおるのでありますが、独立した機会に、何とか一段の飛躍がこの引揚げの留守家族の方たちの気持を一層引締め、激励あるいは慰安をし、しいて国外にまだ抑留されておる方たちが帰還しますことが一時間でも一分でも促進される方途が現われるだろうと待望いたしておるのであります。これを機会に何とかしなければならぬという政府の熱意のあることは、各委員会においての御答弁において認めることはできるのでありまして、直接私たちがこれを聞き、また種々御努力になつておる姿を見、われわれとしてはこれは納得できるのでありますけれども、これを直接見聞きすることの機会を持たない留守家族にとりましては、御遺族に対しては国家がこういう処置をとつたが、われわれ留守家族なりあるいは未復員の着たちの帰還促進に対しては、積極的の何らの表現されたものがないという不満とまでは行かなくとも、物足りなさというものは、すべての者が持つているのじやないかと考えるのでありまして、ここに一段と、政府として御遺族のためにあの措置をとつたと同じように、留守家族の方たちにも、こういうような熱意があるのだということを表明する何らかの具体的の事柄を表明せられなければならないと私は考えるのであります。きのうラジオの街頭録音でありますか、討論会という形式でありますか、これから派遣せられます大公使に対して、国民は何を望むかという街頭録音がきのう放送されておつたのを聞いたのでありますが、これを要約いたしますと、日本が独立国となつた今日、襟度を持して国際社会に加わつて行つて、日本の体面を汚さないようにということ、それから経済においては、大陸との経済に依存しなければならぬのだから、ドルに囲われるだけの政策をとらずに、大陸政策に飛び込んで行く経済であるような行き方に仕向けようというような、種々議論が出たのでありますけれども、要約するところ、どの人の言葉の中にも、一日も早く大陸に抑留されております人たちを帰還せしむるために、派遣された大公使はその国の力を利用して、また機会を求めて、これを促進することに努力せよという言葉で結ばれておるのでありまして、おそらく統計を、とつてみますと、発言せられた中の大半は、引揚げ問題を大公使に要求しておるのであります。これは国民の語ると語らざるとにかかわらず、すべての人がひとしく独立の喜びとまでは行かなくとも、独立国になつたという気持の中に、必ず忘れずに持つておるのは抑留同胞の一日も早く帰還するよう努力せよということなのであります。政府として積極的にひとつ。国民運動として、相当これに対する成果を上げ得るような方策が講ぜられたならば、全幅的にこれに賛意を表し、あるいは財政的にも、国家として一つの協力をせられる御意思があるかないか。これは私は、予算のことに関係があるように思うのでありますけれども、おそらく予備費その他で措置をいたしましても、私は国民だれ人といえども、これに対して反対の意思を表明するものはないと考えるのでありますが、厚生省並びに外務省は、もし国民的にこの行事が計画された場合、どれほどまでの熱意を持つおつもりでおるか。私ども、これは政府が主体となつておやりになつてひとつもさしつかえないと思う面もあるのでありますけれども、ひとつその決意を伺いたいと思います。
#8
○石原(幹)政府委員 講和発効後の引揚げ対策といいまするか、今後の抑留同胞救出の方策等につきましては、この前の委員会におきまして、外務当局としてさしあたりどういうことを考えておるかということは申し上げた通りでございます。その後もいろいろ検討いたしまして、実は私の気持といたしましては、ここでつまり外務当局としては同胞の引揚げ促進をやる、それから厚生当局においては留守家族の援護をさらに徹底強化する、この引揚げ促進と留守家族の援護というものをばらばらでなく、さらに一本にいたしました、いわゆる国の一つの大きな方針、方策として引揚げ促進、留守家族援護、こういう一つの大きなものを打出して行つたらいいのではないかと私自身も考えまして、外務省の省議等でもこれを強力に申し入れております。それから本日の午前中の当委員会の理事会におきましても、同胞救出国民運動というようなお話も出ましたので、ちようど幸い正午に定例の政務次官の会議がございましたので、こういう計画が進められておるようであるということを申し入れまして、各省政務次官の全面的な賛同を得た次第でございます。ただそのとき、この実施上においてどういうものが主体になつてやるか、どういう形でやるかということについては、さらに十分委員会なりを通じて、あるいは関係者において検討を願いたいという意見も出ておりました。そういう意味合いからいたしまして、今後こういう運動にはわれわれ外務当局といたしましてもできるだけの御後援と御援助をいたしたいという気持で、われわれは進んで行きたいと思つております
#9
○木村(忠)政府委員 引揚援護庁におきましては、従来からこの問題につきましてはきわめて深い関心を持つておるのでございます。ただ現在の段階におきまして、いかなる方法をとればいいかというやり方についての問題があるのじやなかろうかと考えております。それにつきましては、ただいま外務次官からお話がございましたように、関係各省の間におきまして緊密なる連絡をとりまして、できるだけ早い機会に適切なる措置が講ぜられるようにいたしたい、かように考えて、今後努力いたしたいと思つております。
#10
○若林委員 ただいまより一歩前進をし、具体化されようとする外務政務次官の御説明を聞いて、やや愁眉を開くのであります。過般全国の留守家族の代表が東京に集まりまして、二日間にわたりこの協議遂げられ、その要求の切なるものを私たち受けておるのでありまして、これをひとつ早急に実現すべく、われわれ国家といたしましても、国民運動の一環として協力をいたしたいと思うのでありますが、そのでき上りますかつこうがどういう主体性を持つものかわかりませんが、政府としてあとう限り財政的の面も、また精神的の面も、過般新宿御苑において行われました追悼式と軽重をつけることのない方法で、国民の留守家族の慰安、激励し、なおひいては引揚げ促進を世界へ訴える一つの方途を御考究を願いたいと思うのであります。
 なお庄司委員からもこれに関連するところの御発言があると思うのでありますが、私は、留守家族の方たちの数日前の東京における連絡会議の要望を強く政府当局に訴えまして、私のこれに関する発言を終ります。
#11
○庄司委員 ただいま若林同僚委員より相当詳細にわたつて要請的な御意見があり、それに対して外務政務次官は、外務大臣を補佐代理するお立場の上より、本日の政務次官会議において同胞救出問題に関する総蹶起国民大会、民間主催の計画等に対し、御理解をもつて御協議されましたるところ、幸いにも各省の各政務次官各位の御賛同を得られたという意味における御答弁は、まことに政務次官会議の大きな収穫であり、また、これは大きな進歩的な御行動であられたと思うのであります。御答弁によつてあとう限りの御援助を頂戴し得るような情勢のようでございまするが、ただいま民間団体において構想しておる計画は、目的はもとより抑留同胞の即時帰還促進のための総蹶起的大会であり、一面においては国連及び捕虜調査関係の三人委員会、あるいは全世界の各国の外交官はむろんのこと、万国民に対して強く愛情に訴え、良識に訴えて、われわれ同胞の即時帰還をアッピールするところの目的、また国内において留守家族世帯戸数約三十幾万の気の毒な同胞諸君に対しては、講和発効記念と同時にさらに前途に希望と光を與え、長い耐乏生活に疲れておる留守家族の方々に、さらに意を強うする慰問と激励を與える、さような大きな副作用的な収穫をもたらす意味において、まず在外同胞引揚げの国民運動総本部に歴代の衆議院の議長を会長とする国会各派、各党の諸君が御理解をもつて加入されており、また多少の経費まで負担されておる同胞救出議員連盟、かような団体が主体となつてひとつ総蹶起の大会をやりたい、かような議がようやくまとまつておるのであります。かような民間団体の切なる熱願に対し、どうかただいまの御答弁になられたような御趣旨において、ただ単に政治的な面における御援助だけじやとうていものになりません。政府の予備費その他の雑費はもとより国民の共有財産でありまするがゆえに、国民的総蹶起大会であるから、適当な、できるだけ適切なる方法をとれば、適法に多少の経費の捻出というものも可能性があり得るのでありまするがゆえに、どうか石原政務次官におかれても、また援護庁長官におかれても、ベストを盡されて、この民間団体の諸計画が最も効果的なる収穫を収め得るよう、御援助を重ねて要請してやまないのであります。全国的の東都における大会、全国各都道府県単位の地方大会、かような大会を通して三十幾万の留守家族全部の方々を御招待申し上げ、半面においては政府の御意思のあるところを赤裸々に開陳していただく、また民間団体もきわめて真勢な態度をもつて指導的な役割を果し、もつて東都における国民大会も、都道府県単位の地方大会も、対外的に、国際的に、最も効果的な効果を収め得るような、また御家族、留守家族各位に対しては一人々々心からなる御同情の愛情を捧げて、もつて前途に希望を抱かせることができ得るように、さような措置をとることが当面の大きな問題であると念願しておりますので、これが具体化のための財政的措置予算的措置の裏づけをもつて、一段と成果を収め得るように御善処、御援助を願いたいと思うのであります。なお民間団体等の諸計画等については、書類をもつて厚生省にも外務省にも提出をさせたいと考えておりますので、最善の御援助を頂戴したいということを重ねて申し上げ、あえてこの件に関しては御答弁はいりません。こいねがわくば、厚生、外務両省は直接の関係各省でありますがゆえに、二省緊密なる連繋の上にどうか有終の美を収め得るように御援助を賜わりたく、強く要請するものであります、
 この際、在外同胞抑留者即時帰還問題に関連をして、外務政務次官にお尋ね申し上げておきたい。それは国会議員である参議院議員高良とみ女史が、新聞報道によれば、過般ソ連に入国をされ、ソ連のそれさ、最高党人各位と面談せられた結果、いまだソ連に抑留されておる戰犯者、あるいは病のために医療を受けておる等の諸君、あるいはその他の抑留者諸君と日本国の留守家族の間において、つまり慰問品の差入れ、慰問品の贈りもの、あるいは文書、手紙の往復、あるいは衣類着物の発送等々に関してソ連の政府当局の正しい了解を得られた。かような意味の外電の報道がきのうかの各新聞に所報されたところでありますので、さだめし外務省当局においても新聞はごらんになつておることと思うのでありまするが、高良女史のソ連におけるいわゆる旅行劵の問題が合理的であろうが、不合理であろうが、ソ連に入国された以上は、その問題をただいま取上げて批判するのではありません。とにもかくにも新聞報道のような意味における一つの新しい福音が報道されました、そのことがほんとうのことであるならば、これはけつこうなことである。一体外務省がソ連に入国を希望するわが国の人々に対してきわめて姑息因循な態度をとつておることを、私は遺憾に思うのであります。これは少々脱線するようでありますが、この前の欧州第一次大戰直後において民間政治家であつた後藤新平氏が、ソ連の民間政治家であつたヨツフエ氏を招いて、箱根、熱海において日ソ間の国交回復のために盡力され、わが国民間外交史上において赫々たる功績のあつたことは御承知の通りであります。たとい政治上のイデオロギーが違いましても、わが国の隣国であるがゆえに、国交の回復を早める一助として、お互いの理解を深める意味において、わが国民中において入国希望者があるならば、ある程度まではこれを公式に援助して、ソ連に行きたい者はやるべきであり、来る者はこれを拒ます。ただ講和條約関係の外交の成文法においては、いまだ国交を回復しないがゆえにということはありましようけれども、原則的には、われわれはよさうな面において、彼我両国の文化の交流等もなしたいと念願しておるのでありまして、そうでなければまことに正しき自由主義者ではあり得ないのである。そういう観点から、今回高良国会議員がソ連に入国され、新聞報道のごとき喜ばしいおとずれがはたして真なりとせば、まことにけつこうなことである。つきましては、お伺いしたい結論は、高良女史のソ連入国後において、新聞報道等に関連する、あるいはそれ以上の何らかの情報を外務省の情報部において入手されておるかどうか。特にソ連抑留のわが同胞に対し、昨日の新聞報道のごとき福音は事実であるかどうか。かようなことについて、外務政務次官が御承知であれば、御答弁をこの際頂戴しておきたいと思うのであります。
#12
○石原(幹)政府委員 まず最初にソ連行きの旅券に対する態度について、一言申し上げておきたいと思います。これはたびたび外務委員会等では論議されて申し上げたことなのでありますが、ただいま外務当局がとつております態度は、つまりソ連、中共等の多数の未引揚げの問題、あるいは不法漁船拿捕の問題、あるいは歯舞、色丹島の領土問題、こういういろいろな懸案を未解決のままにしておきまして、一方うやむやのうちに自然な交通状態に入るということはどうか。とにかく今日本の一番関心事であります抑留同胞救出という問題を、何らかの形において糸口をつけてからの問題ではあるまいか。こういうことで旅券発給の問題に対処しておるわけでございまして、これはいろいろ御意見もあると思うのでありますが、外務当局がただいまとつております措置は、そういう観点から出ておるということをまず御了承願いたいと思うのであります。
 それから高良女史に関するいろいろの報道でありますが、外務省といたしましては、正式な通報はもちろんただいままでのところ何ら受けておりません。本日の新聞に出ておりまする慰問品の問題等につきましても、いずれ帰国されました上でよく先方の真意、その他方法等の話を聞きまして、今後の措置をとつて行きたいと思うのであります。まとめて慰問品を送るというようなことにつきましては、きわめてけつこうなことでありますが、ここまでお話申し上げるのはあるいはどうかとも思うのでありますが、方法等によりましては、さらにこちらでいろいろ研究して行かなければならぬ問題もあるかと思つておるのであります。
#13
○庄司委員 高良女史が正式の入ソのオーケーをとつて行つたか行かないかというような問題よりも、ただいま御答弁のように、対ソ関係上の領土の問題、あるいは抑留されている同胞を即時帰還させることが、ソ連に対しても、中共に対しても、わが国の当面の大きな問題である。そこでどうぞソ連からオーケーをとられて、わが国の抑留者を帰してもらえるような特使――公式な大使はやれなくても、さような大胆率直なやり方はいかがなものでございましようか。かりに私に、庄司行つて来いといつてオーケーを與えるならば、私はそういう問題のためならば挺身して行つてみたい。これははなはだ唐突な、ふまじめなことに聞かれては困ります。幾多の同胞が抑留されておるという事実に関して特使を送るならば、喜んで国民代表となつて行きたい、こういうことこそ、ほんとうの抑留同胞即時帰還のための適当なメッセンジヤーであると考えております。政府はどうかあまりこだわらない、名目は領土とか抑留同胞とかいう正式なオーケーがかりにとれなくても、あるいは経済会議であろうが、文化会議であろうが、そういうインヴイテーシヨンが来た場合には、相当なる人格者であるならば派遣してよろしいと思う。姑息な考えを持つということは最もいけないのでありまして、大正九年かの日ソの国交回復において、ヨッフエに憲兵隊が尾行したけれども、日ソ間の国交回復において最も貢献したものは、直接の外務省よりは後藤新平氏であつたことは、重ねて申し上げるまでもない。民間外交というものは最も大切なものでありますから、外務省としてはかような問題に何らか一歩前進をしてもらいたい。決して鉄のカーテンなるものを恐るることなく、われわれの魂のどん底からほとばしり出るところのヒューマニスティックな信念の上に立つて、ソ連のスターリン氏であろうがだれであろうが、訴うべきものは訴うべぎであり、要求すべきものは要求すべきであると考えております。これもあえて御答弁はいりませんが、御考慮を願つておきたいと思うのであります。
#14
○石原(幹)政府委員 先ほども申し上げましたように、ソ連との関係におきましては、われわれが何とも理解することのできない遺憾千万ないろいろの問題が一方に残つておることは、御承知の通りであろうと思います。しかしてまた一方には、経済会議とか文化会議とか、俗に平和攻勢といわれておりまするが、こういうものが次々と企画されている。われわれといたしましては、ソ連の考えておる真意がはたしてどこにあるか。これは国民大体みな一部には考えを持つておられると思うのでありますが、真意がはたしてどこにあるか把握できないところが多々あるのでありまして、かような意味で、遺憾ながらただいま日本とソ連とは何ら国交関係に立つていないということが前提になつておるのでありまして、そこでこの前も申し上げましたように、第三国を通ずる、あるいは今後派遣される在外大公使、また国連を通ずることによりまして、事の真相をだんだん確かめ、さらに世界の輿論を喚起いたしまして、これらの問題が一刻も早く解決して行くように努力をしたいというのが、繰返して申すようでありますが、外務当局のただいまとつておる措置でございまして、今後また皆様方のいろいろの御知恵を拝借し、御覧を承りまして、今後の方策をさらに考究して参りたいと考えておるところでございます。
#15
○堤委員 ただいままでの御答弁に対して、私は石原外務政務次官に対してさらにつつこんでお尋ねをいたしたいのでありますが、参議院の高良さんに対して、政府が出さないというのにソ連に入られたことに対する問題は別といたしまして、せつかく行かれたのでありますから、そうした政府の感情的な問題は別として、入られた高良さんに対して、未復員家族のために当然何らかの手を打たれたものと実は想像しておつたのであります。従つて外務省としては、高良さんにその後どういう連絡をとり、引揚げ促進のためにどういう手を打たれたか、こういう実は質問をするつもりでおつたのでありますが、先ほどからの御答弁を承つておりますと、かつてに行つたやつに対するくやしまぎれの腹立たしさばかりで、何らそこに理性的な手が打たれていないということは、非常に片手落ちだと思います。政務次官はこれに対してどうお考えでありますか。
#16
○石原(幹)政府委員 これは先ほどから申し上げておるところによりまして、われわれの考えを御推察願いたいと思いますが、ただ無断で行つたからどうという、そういう犬糞的なことはわれわれは全然考えておりません。帰国されましたならば、法律的関係の問題は別としまして、いろいろ先方の事情も聞き、今後の対処策等も考究して行きたい思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、ソ連のとります行動というものは、一方において行うごとと他方において行うことと、まつたくちぐはぐなものがございまして、われわれはその真意、真相を把握するのに実に困難をするといいまするか、困る問題がたくさんあるのでございまして、そこでやはりこれは国の大きな一つの外交の線に沿いまして活動をいたして参りませんと、思わざるところでどういう伏線といいまするか、どういう問題にぶつからないとも限らないのでありまして、そういうところをわれわれは懸念し、そういう点からこういう問題に対して――あるいは堤さんたちから考えれば御不満、歯がゆいような感じを持たれるかもしれませんが、以上申し上げたような観点からいたしまして、愼重なる態度をとつておる次第でございます。
#17
○堤委員 そこで私は、外務政務次官ははなはだ謙虚なお気持で皆様方の御高見を拝聴して、今後あらゆる手段を蓋すという先ほどの言葉もございましたので、私は政務次官にこれを一つ聞いていただきたいのであります。かつて鳥居博士がお帰りになりましたときに、本委員会において参考人として御出頭を願いました。そのときの鳥居博士の言葉の中に、もし現吉田内閣が今まで来た外交政策のまま方向転換をせずに、中共、ソ連に対して外交政策を進展さすならば、おそらく残つておる同胞は永久に日本の土を踏むことはできないであろうということを、私は非常に悲しいことだけれども予測する。従つて何とかここ二、三箇月のうちに、国会議員諸公はひとつよい手を打つてもらいたいというような意見の御開陳があつたことは政務次官そのときに御出席になつておつたかどうかは記憶に残つておりませんが、こういう御意見をお吐きになつたのであります。従つて私が外務省の政務次官に特に申し上げておきたいのは、今あなたがおつしやいますところの、非常にソ連という国のやつておる事柄は表でやるごとと一塁でやることと違う。従つて未復員の三十数万の抑留同胞の問題を筆頭に、不法漁船の拿捕、さらに領土の問題、いろいろな問題を通じて、こういう問題を残したままうやむやに自然流通するということは問題であるということをおつしやるのでありますが、しからば現在の吉田内閣が、お前はきらいだから、しやべつたつて始まらないからしやべらないといつた態度でおる今日の外交政策のまま、仮想敵国として中共並びにソ連というものをなお鉄のカーアンの向うに押しやつて、語らないままにしておいた方がより引揚げが促進になるかどうか、そこのところの御見解をひとつ政務次官にはつきりと聞いておきたいと私は思うのです。私はもしあかずのとびらであつたとしても、何も外交は、共産党が出が好かないから、自由党内閣であるところの吉田さんは、ソ連、中共を相手にしないのだという簡単な問題では済まさまされないと思うのであります。国民の外交であります。従つてこの国民の中にあるところの未復員留守家族三十数万は、自由党現内閣というものの立場をのけにして、未復員家族のために発言してもらいたい問題が山積しておる。しかるに現内閣は自由党の立場において、今日ソ連、中共に公平な立場をもつて対処しないというところのこの欠陥は、何人といえども指摘すると思うのであります。従つて政務次官の御認識は、非常にうやむやの問題があるからものを言わない、よけいそつぽを向くのだという、こういう外交方針のままでさらに引揚げを促進するのかどうか、その辺のところの御見解を承わらないと、私は納得が行かないのであります。ひとつ御所見を承りたいと思います。
#18
○石原(幹)政府委員 政府におきましても、この問題をまつたく放してそういうものとは何らかかり合わないでほつておくんだというようなあり方では全然ないのでありまして、これは御案内のごとく、サンフランシスコの平和会議におきましても、吉田全権より特にこの未帰還者の問題を強調されまして、平和條約の中にもわざわざそり一項が設けられておるというような状況であり、さらに国連を通じて俘虜特別委員会等もつくられまして、こういう世界の輿論、世界の正義を動かしよして、この問題の促進をはかつておりところであります。また国交の回復よりまして、いわゆる第三国を通じて日本の真相を訴え、この問題の促進をはかるということも、今後は以前に旧して行われて来ると思うのでありまして、それで、ここまで申し上げていいかどうかとも思いまするが、ソ連はほとんどいわゆる戰犯以外には抑留者はないというようなことを言つておるわけであります。わが方といたしましては、いわゆる三十数万、その中に死亡者と認められるものはたくさんあるのでありまするが、三十数万の者につきまして、何らの情報を得ていない、今日まで何らの通報も情報もよこしてくれない、こういう問題が一方にあるのであります。そこでわれわれはいわゆる経済会議、文化会議、いろいろなことが一方に行かれておりますけれども、こういう仕打ちを一方に残しておきながら、一方でこういうことをやつておるということについて、われわれはどうも真意がはたしていずこにあるかということを把握できない。これは国民の何人も考えられると思うのでありますが、こういう面がありまするので、いましばらく世界の輿論を喚起いたしまして、堂々と正攻法によつてこの問題の解決を促進して行きたい、こういう観念でおるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
#19
○堤委員 もちろん政局を担当されるところの政務次官のお言葉としては、私は了承しないことはございません。覆車でなければならないであろうということはわかりますけれども、しかしなおわからない点、不可解な点があるならばあるほど、たとえば個人の場合においても、どうもあの人は虫がすかない、そしてロジックに合わないことばかりやるという場合に、あいつはすかないからということで、一町離れておるよりも二町離れておる方がよけいわかるようになるかというと、決してそうではない。むしろこちらから飛び込んで行つてこれを解剖する必要がある。私はソ連に対しては、少くとも第三国とか第三者の手をまつてというような、政府の消極的な立場においては、とうてい解決し得ない問題がある。もう少し中・ソに対するところの外交政策に対しては、政府は勇気と英断がいるのではないか。これは一に政府の頭にかかつておる。非常にシャープな頭でもつと分析すれば解決し得る問題があるのに、どうも書あんどんのような頭で分析しておれば、わかつておる問題でもわからないことがあるのでありますから、これはひとつ言い過ぎかもしれませんけれども、御了承を願いたいそれからあらゆる機会をつかまえて引揚げ促進をやるという誠意があるのならば、たとい高良さんがしやくにさわつたソ連行きをなさつたとしても「高良さんに対してほしい何ものかが政府にあるとするならば、はたの人はその鉄のカーテンを越えてないのでありますから、あとを追つて宮腰さんも行つておられます。改進党の衆議院の宮腰さんも、帆足さんも、三人もソ連に行つておられるのでありますから、少くとも国会議員階級の人が三人もあちらにおられる間に、何かの手を盡してもらえるはずだが、お帰りになつてから事情を聴取いたしましてと、そんなのろまな話はないのであります。私はおられる間に恥を忍んでお頼みになる必要があると思いますので、この点政務次官に率直に申し上げておきたいと思います。
 そこで木村援護庁長官でありますが、今外務政務次官ははつきりおつしやつた。ソ連は何ら正式通牒をしないけれども、戰犯以外は残つておらないということが巷間伝えられておる。従
 つてほとんどは死んでおるのではないかというところの想像を政府は立てておられる。しかも政府の一方の机の上では、三十数万のいまだ帰らざる空席があるわけだ。そういたしましたら、留守家・族、未復員というものに対して政府が誠意を持たれるならば、少くとも遺家族援護法に匹敵するところの留守家族援護というものが、あるいは生活保障の形において、残つている子供の教育の面において、生業扶助の面において、あらゆる面から留守家族というものに対して單独立法をもつてでも、講和発効と同時に政府がこの人たちを保障しなければならない義務があることははつきりしておる。そうであるのに、援護庁長官の話を聞いておりますと、遺家族援護法と何とか一緒にいたしたいと思いましたけれども、予算の関係でそういうわけに参りませんでした、従つて何とかいたしたいと思います。これはいつもお答えになつておる。そうして留守家族援護の問題は未復員者給與法、特別未帰還者給與法によつて、ささいなものが申訳的な手が打たれておるわけです。これは単独立法によつて当然保障しなければならない問題でございます。今国会中にでも即刻これを立法化しなければならないと私たちは考えておりますが、今の援護庁長官のお言葉では、今国会中には何とかするというような誠意すら私は拝見し得ないと思うのでありますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
#20
○木村(忠)政府委員 まだ帰らざる同胞が三十万おることは、これはその通りでございます。ただこれが全部生きておりますかと申しますれば、前に外務省から御発表なつておる通りに二十数万のものはすでになくなつておるのであります。従いまして現在残つておる数字というものは、十数万ということに相なつております。従いましてわれわれといたしましては、三十何万が全部残つておるとは考えておりません。ただこの間におきまして、われわれとして非常に遺憾に存じますることは、死亡者の氏名等につきまして当然通報すべき義務があるにもかかわらず、通報を受けていないという事実であります。従いまして日本の政府においては、その者は一応死亡しておるというふうに考えております。従つて三十数万のものがすべて放置されておるというような形にはなつておらないのであります。
 なお留守家族の援護法の問題でありますが、現在できました遺家族援護法は、留守家族に対しまする未復員者給與法、特別未帰還者給與法の給與よりは低いのであります。従いましてその低い給與にならいまして留守家族援護法をつくるというのは妥当を欠くというふうに考えております。われわれといたしましては、遺家族の援護等につきましてはもう少し強力な手を打ちまして、これに合せまして留守家族の援護につきまして適切な手を講じたい。かように考えております。現在の段階におきましては、遺家族、援護法と同じような内容の留守家族援護法をつくるといことは考えておりません。
#21
○堤委員 そこで私は遺家族援護の問題、引揚げ促進の問題について政府の方に特に申し上げておきたいのは、抑留同胞救出国民大会と銘打つて、民間団体が近く何とかこれをやりたいというような御希望がおありになると私たちも承つております。まことにけつこうなことでございますが、しかし貴重な国費が現在の貧しいこの国情のもとにおいて、この引揚げ促進に使われます場合に、未復員者のために使われます場合には、少くとも私はできるだけこの金が有効に生きなければならぬと思う。従つて政府が何がしの援助をしようというような場合には、またこれだけの予算を組もうというような場合には、私は留守家族に直接生きる金になつてもらいたい、かような切なる要求を持つております。こういうことを申し上げるのは何かと申しますと、かつて戰争遺家族のために追悼会を政府が実行いたしました。これは非常にけつこうなことでございます。二百三十一億というささいな遺家族援護でなしに、われわれが要求するところのせめてもう倍くらいの費用を使つて遺家族援護をなし、さらにあの追悼会をしてもらつたらなおよかつた、私たちはかように思うのでありますが、あの追悼会というものに対して私は前もつて援護庁の方に申し上げておきました。あまりにも案内する都道府県の代表が少いのではないか。ほんとうに来たい人が代表になつて東京に来るだろうか、非常に不安でありました。はたせるかなお見えになつた代表は、非常なお年寄りの男の方が多くて、私もあの日に参列いたしましたが、もはや遺家族の方々では、常に遺家族の援護のために東京にお出ましになつて始終運動をやつておられるリーダーの方ばかりあの当日は来ておられました。はなはだしきは県会議員、市会議員というような人が先頭に立つておいでになりました。私たちは政府がああいうようなことをなさるならば、少くとも千五百人御招待なさるならば、遺家族五百名、戰争未亡人五百名、年老いたる母が二百五十名、あと引率のしやんとした男の人が五十名くらい入つて、これに都道府県の者がついて来るのならば、ほんとうの遺家族また英霊の追悼会になるのではないか、こういう気持を持つておりましたが、私たちの気持に反して、あらゆる新聞でも非常に非難いたしておりましたが、驚くなかれ未亡人はちらほら、遠見のごときは一人か二人というような、非常に勢力を持つた、いつでも東京に来られるような人があれに参加された。こういうことにつきましては、千五百万円使われた政府の金というものは十分に生きておらないということが言い得ると思うのであります。従つて今後留守家族のために、引揚げ促進のためにお使いになる金は、どうぞ未復員家族のほんとうの生活の援護になり、また残つている子供たちの育英になり、ほんとうに職を授け得るところの生きた金になるように政府は使つていただきたい。民間団体を御支持になるのもけつこうでございます。当然支持をしていただきたいが、口だけの援護でなしに、経済的な援助をしてもらいたいと思つておりますけれども、私は特にこの未復員家族のために生きる金に使つてもらいたいということをここでつけ加えておきたい。私の発言を終ります。
#22
○苅田委員 先般来自由党の庄司委員や堤委員から発言されました、少くともこの同胞援護の問題に関しては中ソに対する従来の考え方を捨てて、もつと未帰還家族の心になつて、この問題をもつと率直に取運ぶべきではないかという御質問に対しまして、私は全然同意いたします。これに対する石原政務次官の御返答はまつたく同意できない、こういうことを私は申し上げたいのであります。それならば一つお聞きいたしますが、今後政務次官のお考えでは、講和発効後相手国のソ連なり、あるいは中国に対しまして、直接政府としての交渉ということは全然なさらないつもりであるかどうか、このことを一つお聞きしたいのであります。
#23
○石原(幹)政府委員 先ほどからたびたび申し上げましたように、ソ連とはただいま国交は回復しておりませんし、サンフランシスコの平和会議においても、日本との平和を承認しなかつたのでございまして、ただいまのところ直接交渉をする道はないのでございます。
#24
○苅田委員 これはソ連だけでなくて、講和発効と同時に、日華條約が結ばれてないから、当然現在の抑留者の関係である中華人民共和国とも政府は直接の交渉はできないとお考えだと思うのであります。そういたしますと、政府が引揚げ促進のために盡力したいということは、第三国に対してこれを懇請するという方法か、あるいは先ほど来庄司委員も言つておられましたように、民間外交によつて、これを促進するという方法しか具体的にはないと思うのでありますが、あなたの方ではその後者である、ただこちらでかけ声だけするのではなくて、直接向うから招請される機会は、今度の国際経済会議にしても、あるいはメーデーに対する招請に対しても、あるいはその他婦人会議とか、いろいろな文化的な会があるわけですが、こちらも率直にそれを受けて、そういうところに行つて、未帰還者の引揚げ促進をする機会のあることは今度の高良女史の実例を見ましてもよくわかるのであります。こういうことは、将来政府としてはやらせい方針をやはり持つておいでになるのかどうか、この点をひとつはつきりお聞きしたいと思うのです。
#25
○石原(幹)政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまのところでは、いわゆるソ連、中共の経済会議、あるいは文化会議というようなものに対しては、今までとつておつたと同じような措置をとつて行くつもりでございます。それでたびたび申しましたように、第三国を通ずることによつて、今までよりはもう一層この問題は積極化すると思いますと同時に、国連を通じまして、国連の俘虜特別委員会等を通じ、いわゆる世界の正義感に訴えまして、この問題を一層促進したいと思うのであります。先ほど申し残したのでありますが、御案内のごとく、先般の国連の俘虜特別委員会に対しても、ソ連は代表者すら出席させていないのでありまして、こういう一事から見ましても、私はこの問題に対するソ連の考え方というものを、まつたくつかみ得ないことを非常に遺憾に思つておるところでございます。
#26
○苅田委員 私はこの引揚げ問題に対しては、ソ連当局並びに日本の当局との間に、大きな意見の食い違いがあることを承知しておるわけです。それであればこそ、私はそういつた国際会議というような公な機関以外に、たとえば今度の高良さんのごとく、民間の交渉によりまして、なお事情が明瞭になる部分がたくさんあると思うのな、ほんとうに促進する意思があれば、政府としては、あらゆる機会に、やはりそういうことを誠意をもつて行うということでなければ、ただ両国の間の相違をあくまで両方で固持するというだけでは、問題は一歩も進まないわけですから、そういう点につきまして、やはりこの際政府といたしまして、ほんとうに引揚げ促進について虚心坦懐に、未帰還家族の心になつて、これをやる気があれば、私は先ほど来のような御答弁はなかつたはずだと思います。たとえば抑留者がたくさん残つておるからこちらからはやらないの、だとおつしやいますが、抑留者が残つておるところにこそこちらから人をやつて、その問題についても、できるだけの交渉を進めるということがいいのだということは、これはほんとうに高良さんの一つの例だけでも、すでにはつきりしているわけなんです、そういう点からいえば、私はやはりこの際外務当局としては、従来の御方針はわかつておりますが、この方針について再検討をなさるべきときが来ていると思うのです。こういう点につきまして、再検討の必要はない、従来通りやはり米ソは敵対国としての、そういう一般的な関係の上からだけこの未帰還者の問題もやつて行くのだというお考えですかどうか。この点私ははつきりさせておきたいと思います。
#27
○石原(幹)政府委員 この問題は、今後各位と申しますか、国民各方面から相当いろいろの意見が出て参ると思うのであります。それらは十分参考といたしまして、とるべきものはとつて、善処するにやぶさかではないのであります。重ねて申しますが、ソ連においては、つまり戰犯者以外にはもう未帰還者はないのだ。しかもその数は二千名足らずのごくわずかな数字しか向うは言つていないのであります。ところが日本におきましては、生存しておる者と認められるものについても数万という数字を持つておるのでありまして、こういう前提として一つの大きな食い違いがここにございます。こういう問題は、国連の俘虜特別委員会とか、あるいはまた第三国を通じての今後のいろいろの情報交換、あるいは折衝によつてだんだん明るみに出て来る問題もあるかと思いますが、こういう大前提になつております問題がいま少しく明白になりませんと、うやむやのうちにいろいろの交渉が各自かつてに行われるということになりましては、これまたかえつて留守家族の方々に対して非常な失望を與えるというような場面もなきにしもあら、ずとわれわれは考えておるのでございます。ただ先方が憎いから、そういうところとは何ら今後交渉はしないのだとかいうような、単なる感情的気持でやつておるものではないということをここに重ねて申し上げまして、お答えといたします。
#28
○苅田委員 先方にいるのは生きた人間でありますから、やはり大前提とか小前提とか、そういうことを言つてこれを遅らすということは、大きな失態を引起すということも考えられるわけですから、そういう点につきまして、私が前に申しましたように、外務省としてはこの際徹底的にこの問題についての対策をお考えにならなければいけないと思うのです。
 それからこのたび計画されております未帰還者の家族の大会の計画でありますが、私は今日これをお聞きしまして、この詳細についてはまだいろいろ考えさせられる点があるのでありますが、少くとも私は、国として二千五百万円の予算を組んでこれをなさるということであれば、この二千五百万円を最も抑留者の引揚げの促進に有効に使わなければならぬと思います。この方法については、私は相当まだ考慮の余地がある、こういうふうに考えるのです。この点については、もう少し私は考えたいと思います。
 それからもしもこういうことをなさるのであれば、私はとにかく高良さんなり、あるいは宮腰、帆足、こういう現、前衆参の議員の人が三人も向うに行つておられて、新聞紙の報道によれば、相当抑留者の問題にも関心を持たれて、調査をされておると聞いておるのでありますから、その報告を待ちまして、どういうふうにやるのが国民運動として同胞の救出に一番いい方法であるかということを検討なさつた上でされた方がいい。私聞き違えておりましたかしれませんが、この大会は民間団体でなさるということであります。しかしこの予算を見ますと、この予算はやはり国家予算から出るということであれば、民間団体のこういう行事に対しましても、やはり関係当局としてのこれに対する御指導があつていいと思うのであります。これに対する予算が出るということであれば、当然だと思いますが、そうであれば、そうした現に入国しておられる人たちの帰国を待つて、そして最もいい、向うの様子と比べ合せまして、国内でそういう未帰還者の帰還促進運動を起されるということは、非常にけつこうだと思います。実際病人にやる薬が病状に適当かどうか十分検討した上でやらなければ、かえつて病人を殺すということもあり得るのですから、そういう点から考えて、私は時期の問題は相当考慮され、向うにおられる方たちの帰国後の報告を待つた方がいいのではないか、こういうふうに考えるのです。政府側として、そういう問題についてどういうふうにお考えになるか、御意見を聞きたいと思います。
#29
○木村(忠)政府委員 ただいま抑留同胞の帰還促進の大会につきまして、御質問があつたのでありますが、これにつきましては、私先ほど申しました通りにどういう方法でもつてやつたらいいかということは、目下検討中であるということを申し上げたのであります。なお民間におきまして、そういうような計画があることを聞いておりまするけれども、これにつきましては、できるだけ御援助いたしたい、こういうことを申し上げたのであります。これに対しまして、予算を幾ら出すとか、それからどういう方法でやるとか、どういう援助をするとかいうことにつきましては、まだ研究中であるのでありまして、何らきまつたものはございません。二千五百万円という大金が今直ぐ出るようなことは、予算のどこにも載つていないし、そう簡単に行きません。従いまして私どもの方といたしましては、いかなる時期に政府がやつたらいいか、あるいは政府がやらずして、ほかの方法でやつた方がいいか、政府はこれに対してどういう態度をとつたらいいかということにつきましては、目下検討中なのであります。
#30
○苅田委員 それではきよう当委員会に配付されました抑留同胞救出国民大会実施要項というようなものは、これはどこから出されているものか。それからこれに関連して、大会の予定経費概要というようなものもどこから出ておるかということをお聞きしたい。
#31
○小平委員長 委員長から申し上げます。これはプリントをごらんになればわかるように、実施主体海外抑留同胞救出国民運動総本部、同胞救援議員連盟、こういうふうに書いてありますが、これらの民間団体が、このような案で抑留同胞救出国民大会を開いたならばどうか、それについては政府もできる限りの援助をしてほしいという陳情がありましたので、御参考までにこれを議員各位のところにお配りをいたしたのであります。決して政府が出したのではございません。
#32
○受田委員 私は今までおそらく発言をしていないと思いますので、最後に未復員者給與法、特別未帰還者給與法の該当になつていないところの、いまだ帰らざる人たちの待遇について政府の意図を伺いたいのであります。大体この未復員者給與法と特別未帰還者給與法によつて政府の支給を受けている人たちの数は、まだ帰らざる人で、生存確定考及び行方不明者の三分の一程度じやないかと思つておるのでありますが、第一にお尋ねしたいのは、行方不明の中にこの両法の適用を受けている人たちがあるかどうか。つまり未復員者給與法と特別未帰還者給與法は、旧軍人、軍属と一般邦人とを対象にしておるのでありますが、その生存確実な人以外の、生死不明者をこれに含めておるかどうか、この問題であります。生存確実だと見られる者は、あちらから手紙が来たとか、あるいは帰つた人によつて生存を確認されたとかいう者は、昨年七月の外務省の引揚白書によつて、約七万七千と私は記憶しておるのでありますが、この人たち全部が生存が確定しておるのであるから、この二つの法律の給與を受けなければならぬはずなのでありますが、この人たちの中で、給與を受けない人が半分以上もあるというようなことは、これはどうしたことか。調査が十分でないとかいう理由もあるようでありますが、少くとも今戰死者の遺族だけは、もう例外なしに国家の援護法によつて、これを救済することになつたのです。ところが戰死者以上に苦痛をなめているところの家族、これら帰らざる人の中の、生存確定者の中にすら、三分の二という厖大な人たちがこの国家の保護を受けておらぬ。これは非常に矛盾しております。この矛盾を少くともすみやかに解決しないというと、これは政府の大責任なのです。つまり死亡が確認されれば、戰死者の遺族として取扱われるが、生死不明のままでおるならば、これから何年たつても、その家族はその大事な人が帰らなくても、何ら国家の保護を受けないという結論が出るではありませんか。そこで政府は、生存確実な者は全部この二つの法律の適用を受ける処置を、すぐする用意があるかどうか、この点をまずお伺いしたいのであります。
#33
○木村(忠)政府委員 ただいまの御質問でございますが、未復員者給與法によります者は、これはこちらに復員していないことが事実で、死亡確認をされない限りは、すべての者に適用があるわけであります。ただ御承知の通りに、未復員者給與法は、こちらにそれに該当いたしまする留守家族があります者だけであります。つまり留守家族がありましても、これが未復員者給與法でいつております留守家族に該当しておりませんと、こちらでもらう人はないわけであります。従いまして未復員者という概念にはまります者は、これはすべて一応この法の対象になつておるというふうに申し上げていいと思います。特別未帰還者に関する部分については、この特別夫帰還者は、向うにおつて抑留されたということによつて、この身分が生ずるわけであります。従いまして、抑留ということがはつきりいたしておりまするならば、その所在がわかつておるわけであります。生死不明ということはないのであります。生死不明者につきましては、これは抑留されておるということがはつきりいたさない、こういうことになるわけであります。従いまして、特別未帰還者の方は、抑留されておるという者だけに限られるので、その他の者については適用されておらない、こういうことになります。それからただいまお話がありました、特別未帰還者でもつて死亡いたしました方、その遺族につきましては、御承知の通り、現在の遺族援護法によりましては、これに対しては何ら措置が講ぜられるようになつておりません。特別未帰還者に対しましては措置が講ぜられておりますけれども、その他の者につきましては講ぜられておりません。従いまして、この間における不均衡というものは現在のところないのじやないかというふうに私は考えております。ただもちろんわれわれといたしましては、これらにつきまして、そのままでよいということはないのでありますけれども、その間の不均衡というものは現在のところはない。死ねばもらえるけれども、生きている限りはもらえないということはありません。ただその状態で、今援護を受けてないところのこちらにおられます方々、それに対してそのままほうつておいていいということはないのでありまして、これにつきましては、今後できるだけ研究いたしたいと思つております。
#34
○受田委員 私はこのことをお尋ねしたいのです。特別未帰還者給與法及び未復員者給與法によつて保護を受けていない人たちが多数ある。その人をこのまま放任しておいてよいのか、戰死者の遺族は全部援護法で保護を受けることになつたのにかかわらず、その二つの法律の適用者は、保護を受けない人がたくさんあるということは、非常に矛盾だ。大事な人がまだ帰つて来ないのに、その家族は、戰死した人はもうちやんと援護法で保護を受けるのに、一方は保護を受けない人たちがあるということは、非常に不均衡で、これは戰争犠牲の不公平です。この戰争犠牲者を全面的に国家が保護するという立場から行くならば、当然全部の未帰還者をこの二つの法律の適用者にすべきです。それを行方不明であるから、抑留されていることが確実かどうかを確かめて、そして確実である者は保護を加えるというような、そんなやり方であつたならば、むしろ抑留が確実でない人の家族こそ、ほんとうに自分の大事な夫は、父はどうしておるのだろうという非常な不安にかられておるのであるから、そういう人こそ優先的に国家が保護してやらなければいけないのです。私の言うのはここなんです。それともう一つは、外務省でも厚生省でもけつこうですが、昨年のあの引場白書に生存確実者七万七千、行方不明者が三万幾らとあつたと思いますが、一般邦人はその中で何人おり、残りが軍人軍属であつたというその数字の割合をはつきりここで言うていただいて、その一般邦人のうちで、特別未帰還者給與法の給與を受ける人が何人おるのだという数字をここではつきり――もう独立国家になつたのでありますから、何ら躊躇する必要はないと思いますので、ひとつ御答弁をいただきたいのであります。
#35
○木村(忠)政府委員 戰争犠牲者に対しまする援護の問題につきましては、戰死者のみを厚くいたしまして、その他の者には全然何らの措置をとつていない、これははなはだ不都合であるというお話であつたと思います。これをどういうふうに、どの程度までやつたらよろしいかという点につきましては、いろいろ問題があるのであります。できますれば全部の戰争犠牲者に対しまして援護の措置を講ずるのは当然だと思います。われわれといたしましても、できるだけあらゆる戰争犠牲者に対しまして、戰争犠牲に応じましたところの補償の措置、あるいは援護の措置を講じなければならないのではないかと考えておりますが、現在の財政上の都合によりまして、戰死者の遺族につきましてある程度のことしか今のところいたしておらないという実情でございます。従いまして、それをこの際どこまで広げるかということにつきましては、われわれといたしましては今後十分に検討いたしまして、国家財政の許す範囲内におきまして、逐次これを拡充いたして参りたいというふうに考えております。ただ現在の未復員者給與法、あるいは特別未帰還者給與法でもつて何らかの措置を講ずるということは、現在の法律の定めるところによつてやる以外には、行政当局としてはいたし方がないのではないかというふうに考えております。今後の立法問題につきましては、われわれは今後も検討をいたして参りたい、こういうように考えております。
#36
○受田委員 私のお尋ねする要点にどうも触れておらないのですが、まだ帰らざる同胞の生存確実者か七万七千ある、行方不明者が三万何がしある。この数字のうちで、一般邦人が何人おるのか。この一般邦人の数字が、独立した今日まだよう言えないような外務省では、これはだらしなくてしようがない。この点で国民をごまかして、いつまでも一般邦人が何人生存しておるということをよう言わぬような政府では、独立国家の値打ちはありません。私はそこを堂々と、一般邦人は未帰還者の生存確実者の中でこれだけおるのだ。その人の中で特別未帰還者給與法によつてこれだけの人を保護しておる。また未復員者は、軍人軍属は何人生存者がおるのだ。その中で、未復員者給與法の対象として保護しておるのは何人おるのだ。そこの数字をはつきりまず言つていただきたいということを申し上げておるのです。
#37
○木村(忠)政府委員 数字の問題につきましては、外務省の方からお答えになることに従来からなつておりまして、われわれきようはその数字をここへ持つておりませんので、ただいまお答えいたすだけの資料を持つておりません。もちろん旧軍人軍属とその他の者との区分がそうわからぬわけではないのであります。これを申し上げてみたところで、私の方で申し上げても別に困ることはなかろうと思つております。従いましてこれは調査いたしまして――調査と申しますか、ここに資料を持つておりませんから、今返事しろと言われましても返事はできない、数字を持つて来たときに御返事申し上げる、こういうことにいたしたいと思います。
#38
○受田委員 この前に外務省は、一般邦人の数字をよう発表しなかつた。ことにこの前石原さんがここへおいでになつて、一般邦人の数字は今発表できないと言われたのですが、木村援護庁長官は、一般邦人の数字を今すぐ発表するというここにまことにりつぱな御態度を示されたわけで、政府側に食い違いがあつてはいけないと思いますから、一般邦人をはつきりとここに、木村さんが言われたように、あすぐらいにただちに報告していただけますか。この点外務省首脳部と厚生省首脳部の発表の食い違いが絶対ないように確認しておきたいのであります。
#39
○木村(忠)政府委員 先ほど申し上げましたように、厚生省といたしましては、数字につきましては的確なるものを持つておらないのであります。従いまして先ほど申し上げましたことは、若干誤りがありますので訂正いたしますが、軍人軍属の区分の中におきまして、現在われわれの方では一般邦人であると考えております者が、向うで現地召集になつておる場合もあり得るわけでありまして、従いまして、これを正確なものとして申し上げることができるかできぬかという問題はあろうかと思います。
#40
○受田委員 若干誤りがあるということではないのです。それは根本的な誤りなんです。一般邦人は現地で召集を受けたから、その方へ行つておるかもしれぬということでありますが、現地で召集を受けたことは抜きにして、とにかく一般邦人として帰らざる立場の人と、それから軍人軍属として帰らざる立場の人と合計して七万七千の生存確認者を政府は発表しておる。その発表した数字のパーセンテージがどれくらいになつておるかということをはつきりとお答えいただきたい。それについては数字の用意がしてあるから、ただちに報告するという木村援護庁長官の御答弁だつた。この御答弁がもしそれは発表できない面があるということになると、ここに数字がないから、すぐあとから報告するということと食い違いになるおそれがあるのです。若干の食い違いでなくて、一般邦人の数字を発表するかしないかという重大問題になるのですが、この点についてもう一ぺん政府の御意図を伺いたいのであります。
#41
○木村(忠)政府委員 数字に関する資料は、ただいま持つておりませんので、どれだけの数字があるということをここではつきり申し上げることはできないのであります。従いまして先ほど申し上げましたことは取消しいたします。
#42
○受田委員 政府がみだりに取消しをやるということになると、これは非常に問題が深いのでありますが、ここであつさり取消されましたので、政府の内部が分裂しておるということをはつきり物語ることになるのですが、これで私は追究を一応おきます。しかし、もう独立国家になつたのですよ。もうはつきりと外務省も独立の自主外交ができるようになつた。自主独立外交ができて、だれにも何ら気兼ねをする必要がないから、七万七千の生存者の中で一般邦人が何人おるかということをちやんと発表してもいい時期が来ておるのじやないか。その一般邦人の中で特還法の適用を受けるのが何人おるのだ、残つた者は行方不明でどこにいるかわからぬが、これが給與の対象になくて何ら補助を與えておらぬとなれば、戰死者の遺族には国家が援護法で保護を與え、いまだ帰らざる人の中で、どこに行つたか非常に不安にかられておる人の家族は何ら保護を受けない。戰死者とまだ帰らざる人たちは、立場こそ違え、同じ條件に立つ戰争犠牲者です。その帰らざる人の中に全然国家の保護を受けぬ人が多数残つておるということは、非常に矛盾しておる。まだ帰らざる人は、たとい向うで抑留されておろうと、あるいは死んでおろうと、とにかくこの人たちが帰らぬことは間違いないのですから、まだ帰らざる人を一括して給與の対象とするあたたかい愛情をこの際政府はお示しになる必要はないか。全部の戰死者の遺族に保護を加えることが確定したのですから、願わくはこの帰らざる人を全部国家の保護の対象にして、何とかすみやかにこの、援護法を戰死者遺族の援護法とあわせて、同時に残つた人を一緒に救済する必要はないか、これを申し上げたいのであります。
#43
○木村(忠)政府委員 ただいまの御質問の趣旨からいたしますれば、現在の法律で何とかできないだろうかというお話でございますが、現在の法律をもちまして、これは何ともいたし方ございません。と申しますのは、未復員者給與法におきましては、未復員者給與法の対象というものが法律上はつきりきまつておるのであります。特別未帰還者給與法によりましても、その対象ははつりきりきまつております。これは国会で御制定になりましたこういう法律があるのでありますから、その法律によらずして、行政官庁がいいかげんな措置をすることはとてもできない。従いましてこれらの不公平な部分につきまして、今後立法措置をとるかどうかという点につきましての御質問でございますならば、その点につきましては、今後十分検討いたしまして、不公平なことのないように努力いたしたいということは、先ほどからたびたびお答え申し上げておる通りでございます。
#44
○受田委員 これは今後検討を加えなくても、ちやんと不公平はわかり切つておるのです。それをいまさら検討を加える必要はない。その人数はわずかではありませんか。わずかな者をさらに検討を加えても、帰らないことは確定しておるのです。その帰つていない人で抑留されておるのが確認されたものだけは給與を與える、確認されないものは、たとえ家族がどんなに悲痛な生活をしておろうと、それは放任しておくという、このようなつめたい態度なんです。今から十分検討を加える必要がありますか。検討も何もない。もう確認されておるのです。これは確定しておるのだから、それにすぐ手を打つかどうかの問題なんで、政府としてはあわせて手を打つところの用意がすぐ必要ではありませんか。私はこれを放任しておくということは人道上許されぬことだと思うのです。これはとにかく人数がわずかなんですから、このわずかな人数を一緒に救うてあげようじやありませんか。この際勇敢に法律に1行政措置では間に合わぬ点があるならば、そこを法律的にある條文だけちよつと直せばいいのですから、その改正案を政府がお出しになつていいのです。そうすればわれわれはすぐ協賛します。予算の措置などというものはわずかの問題で、同胞引揚費の予算が二十数億計上されているのだから、ちよつとそれを流用してもいいのだから、この二つの法律の適用を受けないで、しかもまだ帰らない未復員、未帰還の方々を何とかひとつ大急ぎで救おうじやありませんか。検討するとかなんとかいうような問題じやありませんよ。この点長官はどうお考えになりますか、検討を加えるほどの重大問題ですか、ゆつくり考えていい問題でございますか、これはすぐ手を打たなければならない問題だと思うのですがね。
#45
○木村(忠)政府委員 われわれはただいま法律の執行をいたしておるわけでございます。立法は国会でおやりになることになつております。もしわれわれの方でやつておりまする立法の提案が不十分でございますならば、国会におきましてこれに対する提案はできるわけでございます。われわれといたしましては、現在のものでは不満足でございまして、これに対しまする予算的措置を講じてからでなければ、政府側といたしましてはこれに対する法案を提案するわけには行かないのであります。われわれといたしましては、予算的措置が講ぜられなかつたために、今回遺憾ながらこれに対する措置を講ずることができなかつたということは、先ほど申し上げた通りであります。われわれといたしましては、これで十分でいいかげんに小手先だけでできる問題ではなかろうと考えております。われわれの方におきまして法案を提案する場合には、必ず予算措置を講じてからでなければなりません。われわれは予算の措置を講ずることができなかつたために、今回まことに遺憾でございましたけれども、援護法ができなかつたのでございます。そういう状況にあるのでございます。われわれといたしましては、まことに力の足らないことを遺憾に考えておりますが、現在の予算でもつて流用してできるという性質のものでは全然ございません。これにつきましては、今後全般的に、戰争によりまして犠牲を受けた者に対する措置をどうするかという問題もございまして、まだきわめて不十分な状態がたくさんあります。これにつきましてわれわれといたしましては、何らかの措置はどうしても至急に講じなければならない問題だと考えまして、政府といたしましては、これに対し財政の許すことを條件といたしまして、できるだけすみやかなる措置を講ずるようにいたしたいと考えております。
#46
○受田委員 最後に、先ほど資料の問題で御答弁があつたのですが、数字の、問題でひとつ伺いたい。昨年の引揚白書のうちで、もう一度御迷惑でございまするが、生存確認者と、それから行方不明と、それからその中における一般邦人及び軍人軍属、そうしてその中における特別未帰還者の給與の対象となつている人員と、未復員者給與法の対象になつている人員とをここで資料をすぐいただきたいと思います。そうしてもう一つは、未復員者給與法によるものには、今長官の御答弁では、この法律の適用を受けていない人は、まだ帰らざる軍人軍属ではおらぬのだ。こちらにこの対象となる家族がいる限りは、ちやんと全部、まだ帰らざる人がたとい行方不明であろうと何であろうと、はつきりと取上げられておるのだという御答弁があつたのですが、これは間違いありませんかどうか。まだ帰らざる軍人軍属の全部は、未復員者給與法の該当者として入れてある。但しその家族がいないものだけは除外してあるという御答弁だつたと思うのですが、さよう考えてよろしゆうございますか。
#47
○木村(忠)政府委員 これは未復員者給與法に書いてあります通りでございまして、未復員者給與法におきましては、未復員の状態にありまする者に対しまして給與を支給することになつております。その給與のうちで、こちらに該当いたしまする留守家族がありまする者に対しましては、その給與の前渡しをするという形になつているのであります。従いましてこれに対しましては全部わたるわけでありまして、死亡ということがはつきりいたしません限りは、これは渡るというふうに法律ではなつております。ただ特別未帰還者の場合は別であります。
#48
○受田委員 そこを確かめておかなければならぬ。未復員者給與法では、行方不明者であろうと生存確認者であろうと、とにかく軍人軍属でまだ帰らざる者は全部これの該当者にしてある、このことは間違いございませんか。そうしてその数字はおよそ四万幾らと思つていたが、概数でもいい、示してもらいたい。
#49
○木村(忠)政府委員 これは間違いございません。数字は、未復員者の場合は、三万七千二百四十七件ということになつております。
#50
○受田委員 そうしますと、三万何がしという数字は軍人軍属に限るのでありますが、七万七千の生存確認者の中で、この未復員者給與法の適用を受けるものと、家族その他の関係で適用を受けないものとの数字の合計が幾らになるのですか。
#51
○木村(忠)政府委員 これはただいまここに持つておりません。あるいは帰りまして、あるかないかということも調べてみないとわかりません。
#52
○受田委員 帰つてみなければわからぬというような無責任な答弁では――帰つてもあるかないかでなく、帰つたらある、帰つてもこれは今発表できないのだとか、そこをはつきりしていただきたい。あるかないかというような無責任な答弁は私は了承できません。
#53
○小平委員長 その点はよく相談してもらつて、資料をあらためてもらおうじやないですか。数字を持つていないというのだから、今ここであれしてもしようがない。
#54
○受田委員 私は今こういうことをお願いしておるのです。われわれはほんとうに残された人たちで、まだあちらからも残つて来ぬ人がたくさんあつて、この二つの法律の適用を受けておらぬ。一般戰死者の遺族は援護法でちやんと救済されておるのに、この人たちはまだ帰つて来ぬ、おじいさんもおばあさんも、子供が帰つて来ぬとい、つので路頭に迷うておる人たちを放任しておいて、何人おるかわけがわからぬ、帰つてみてもその数字があるかないかわからぬ。こんな無責任な放言を政府の高官がなされるということは、ほんとうに私は留守家族に相済まぬと思うのです。だからこの点政府としては最善を盡して調査する、そうしてその数字を御報告するとかいうようなことでなければいかぬと私は思うのですが、帰つてみてもあるかないかわからぬという御答弁は、言葉じりをとらえるわけではありませんが、ほんとうに数字を知りたい、その人たちを救済したい、そのためには予算が幾らいるか検討したい、こういうことを今考えておるのでありますから、ひとつそこを親切に、帰つてみて資料を調査して出す、もし帰つてない場合には、さらに調査をするとかいうような行き方ならば私は了承するのですが、ここの問題です。木村長官に御答弁をいただきたい。
#55
○木村(忠)政府委員 私がきわめて簡単にお答えしましたので、非常にお気を損じたことを恐縮に存じます。私は今すぐこれについて、調査がふところから物を出すように帰つてすぐ出るかどうかということを申し上げたのでありますが、私といたしましては、言葉が足りなかつたのはまことに遺憾に存じます。帰りまして十分に調査いたしまして、できましたならば、できるだけすみやかにこしらえまして出すようにいたします。
#56
○受田委員 了承いたしました。
    ―――――――――――――
#57
○小平委員長 次に南方諸地域における戰没者の遺骨調査に関する件について議事を進めます。すでに硫黄島、沖繩諸島における現地調査も終り、委員会としてはこの調査についての報告を聴取したのでありますが、これら両島における遺骨の早急なる収容計画並びに右両島以外の諸地域における遺骨の調査及び政客について、政府としての今後の措置並びに対策をこの際説明されたいと思います。
#58
○木村(忠)政府委員 南方諸地域における戰没者につきましては、去る三月私から本委員会に報告いたしたのでありますが、その際にも申しました通り、南方諸地域には、戰没者百二十四万の遺骨の相当部分がなおそのままになつているのであります。これらの地域のうち、硫黄島と沖繩とには、本格的な遺骨処理の準備のために係官を派遣いたしまして調査いたさせましたことも、すでにこの前に御報告申し上げました通りでありますが、その調査の結果の整理も大体完了いたしまして、これらの結論によりまして、目下全般的な処理の準備中であります。
 硫黄島と沖繩とは、戰争の末期、守備部隊のほとんど全員が玉砕した地域の例でありますが、南方地域におきまして、戰死の遺骨処理状況が時期及び地域によりまして相違いたしておりますことは、特に今後の遺骨処理に深い1関係がございますので、すでに報告せられましたことと重複いたしますことをお許し願いまして、この際いま一度この間の事情を御説明申し上げます。
 まず時期による遺骨処理の相違について申し上げます。開戰から昭和十八年ごろまでは、いずれの地域も遺骨処理は大体戰時の処理規定に従つていたのでありますが、昭和十九年以降は、戰況の変化に伴いまして、各地域によりまして処理状況を異にしているのであります。第一に、大なる地上兵力の攻撃を受けなかつた蘭領マライ、タイ、仏印等におきましては、終戰までおおむね規定通りの処理が行われ、遺骨は墓地に葬り、その一部をとつて内地に送還いたしまして遺族に伝達してあるのであります。
 第二の地域は、ソロモン群島、東部ニューギニア、ビルマ、フィリピン等でございまして、急激な戰況の変化のために、遺骨処理は必ずしも規定通り行われなかつた場合も多く、遺体を辛うじて埋葬するにとどめた場合もありますし、あるいはそのいとまさえもなかつた場合もある状況であります。
 第三は、硫黄島、沖繩、マリアナ諸島にように守備部隊が玉砕した地域でありまして、最後の地上戰闘が起りましてからは、遺体処理もわが軍の手ではほとんど行われていないのであります。
 以上申し上げましたように、いろいろと異なつた状態にあると考えられます遺骨をいかに処理するかの点につきましては、各種の関係から包括的な全般計画を申し上げる域に達していないのは、まことに遺憾であります。ことに相手国との話合いが非常に関係して来るのであります。米国の管理しております地域におきましては、特に先方から好意ある申出も参つておりますので、さしあたつては米国管理地域につきまして具体的な決定を得ますために、現在各方面と折衝中であるというのが今日の段階でございます。この遺骨の処理は、当然に政府の責任におきまして実施せらるべき事項に属することは、申すまでもないのであります。さようにいたしまして、具体的な処理要領といたしましては、第一に処理のために作業を実施すべき地域を選定いたし、着手の順序を決定いたすべきであります。第二の事項としては、各地域の特殊性に応ずる作業の方法等、処理要領の細目を規定する必要があろうかと存ずるのであります。右の点につきまして今日まで検討いたして参つた結果、この際処理に着手するのを適当といたします地域は、先ほど部隊の遺骨処理状況について申し上げました三種の地域のうち、守備部隊が玉砕した地域であります。その他の地域につきましては、玉砕地域を処理した後にするというように、逐次全地域の処理を進めて行きたいという根本的な考え方を持つておるのであります。外地残留遺骨の処理につきましては、政府といたしまして当然果すべき事項といたしまして、ただいま申しましたような方針のもとに目下検討を進めておる次第でありますが、さきにも触れました通りに、米国側におきましても、日本政府が行う遺骨の処理に適当な協力を與えるために必要な資料を送るようにとの申出もあります。あらためて申すまでもなく、遺骨の処理につきましては、先方の協力にまたなければならない点が相当ありますので、なるべくすみやかにこの折衝を始めたいというとかうに考えておるのであります。さきにあげました地域のうち、硫黄島は目下日本の業者が向うに参つて作業をいたしておるのでありまして、作業等につきまして相当の便宜を得られることが期待し得られるのであります。また沖繩におきましては、近く日本政府の連絡事務所が開設されるような見込みもございますので、遺骨処理の問題につきましても、この事務所を通じまして在沖繩の米国機関や硫球政府と交渉いたしまして、周到な準備も円滑な実施も期待されるのであります。特に沖繩におきましては、島民の協力が大いに予期することができるのであります。先般全国戰没者追悼式に、沖繩代表といたしまして参列されました硫球政府の副主席の方もこの点を強調しておられるのであります。
 マリヤナ群島、ハラオ諸島につきましては、特に最近の情報に関する資料が十分でない点もありますので、今後その資料を補整する機会が期待できますし、大体の状況が硫黄島、沖繩等から類推される点もあるように存ぜられますので、処理につきまして、なるべく調査と作業と別々に実施せず、作業班の手によりまして調査と作業とを同時に実施いたすのが適当であろうと考えまして、目下その準備を進めておるのでございます。
#59
○小平委員長 本件に関して御発言があればこれを許します。1別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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