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2019/02/27 第198回国会 参議院 参議院会議録情報 第198回国会 国際経済・外交に関する調査会 第2号
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2019/02/27 第198回国会 参議院

参議院会議録情報 第198回国会 国際経済・外交に関する調査会 第2号

#1
第198回国会 国際経済・外交に関する調査会 第2号
平成三十一年二月二十七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月七日
    辞任         補欠選任
     朝日健太郎君     大野 泰正君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     伊波 洋一君     糸数 慶子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         水落 敏栄君
    理 事
                小野田紀美君
                堀井  巌君
                丸山 和也君
                古賀 之士君
                牧山ひろえ君
                三浦 信祐君
                石井 苗子君
                武田 良介君
    委 員
                猪口 邦子君
                今井絵理子君
                岩井 茂樹君
                大野 泰正君
                上月 良祐君
                酒井 庸行君
                藤川 政人君
                三木  亨君
                宮島 喜文君
                伊藤 孝恵君
                木戸口英司君
                小川 勝也君
                川田 龍平君
                横山 信一君
                糸数 慶子君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   参考人
       一般社団法人イ
       マジンワンワー
       ルド代表理事   高倉 慶応君
       近藤文化・外交
       研究所代表
       元文化庁長官   近藤 誠一君
       東京外国語大学
       大学院教授    渡邊 啓貴君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際経済・外交に関する調査
 (「アジア太平洋における平和の実現、地域協
 力及び日本外交の在り方」のうち、文化、人的
 交流などのソフトパワーを活用した信頼醸成の
 取組の課題について)
    ─────────────
#2
○会長(水落敏栄君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、朝日健太郎君及び伊波洋一君が委員を辞任され、その補欠として大野泰正君及び糸数慶子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(水落敏栄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(水落敏栄君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(水落敏栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○会長(水落敏栄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続については、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○会長(水落敏栄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#8
○会長(水落敏栄君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「文化、人的交流などのソフトパワーを活用した信頼醸成の取組の課題」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、一般社団法人イマジンワンワールド代表理事高倉慶応参考人、近藤文化・外交研究所代表・元文化庁長官近藤誠一参考人及び東京外国語大学大学院教授渡邊啓貴参考人に御出席いただいております。
 この際、一言御挨拶を申し上げます。
 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、高倉参考人、近藤参考人、渡邊参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、高倉参考人から御意見をお述べいただきます。高倉参考人。
#9
○参考人(高倉慶応君) 着席のままでお話しさせていただきます。
 本日は、このような立派な調査会にお招きをいただきまして誠にありがとうございます。
 一般社団法人イマジンワンワールドという社団法人をつくりまして、今、KIMONOプロジェクトと一般的に皆様には認知をしていただいておりますけれども、活動を取り組ませていただいております高倉と申します。福岡県の出身でございまして、早速でございますけれども、我々の活動について触れながら、いただきました課題についての御意見を述べさせていただければというふうに思います。
 まず、KIMONOプロジェクトということでございますので、多少、ちょっと着物業界の現状についても少し前段で触れさせていただきますと、我々が小学校の頃に、明治維新の直後に日本が外貨を稼ぐのに一番輸出していたのが生糸ということを皆さんも御記憶されていると思うんですけれども、現状は、国産の絹糸、そういうものが国内に占める割合は一%を切りまして、八十数%が中国から輸入をしております。
 着物はほとんどが絹織物でございまして、中国の次に輸入をしている国がブラジルでございまして、その両か国でほぼ九九%近く。国産糸、本当にもうなくなる寸前のところに今あるという現状だけ御認識いただければと思います。
 残念ながら日本の着物に必要な絹を海外からの輸入にもう頼らざるを得ない、若しくはそれが止まった瞬間に絹織物自体が日本からなくなってしまうという現状もこのプロジェクトを始める一つの発端に、私の中ではモチベーションになったということもございます。
 それから、海外含めて今非常に、アニメーションも含めていろんな意味で日本ブームが起こっておりまして、たくさんの観光客の皆さんが、日本に来たら結構着物を着て町を歩いていらっしゃる姿をたくさん見られると思います。振り返って、日本人の方が非常にお召しの方が今は逆に少なくて、産業としてはピーク時と比べて大体七%ぐらいの市場規模になっているというふうに経済産業省の方では数値をいただいております。
 こういう状況の中で、もしも着物が文化であるならば、やはり生産する方と、それからそれを消費といいましょうか、お召しいただく方、着てこうやって過ごす方がいて初めて文化であり、これが生産が止まり、若しくは着る方がいなくなれば、いわゆる歴史の一つに、一ページになるというその瀬戸際にちょうど今業界が来ているなというのが、このKIMONOプロジェクトというものをやる一つの大きな要因でございました。
 もう一つは、残念ながら、着物も工芸的な価値があるとかある意味芸術的な価値があると言われ続けてきたんですけれども、現状、例えば一般的に言う成人式における振り袖の、着装率はほぼ一〇〇%なんですけれども、そのうち、いわゆる手作りで工芸的に作られた着物をお召しの方というか、生産量はもう五%を切っております。それ以外は、一日に大体六十枚ぐらい印刷できるインクジェッターの機械で印刷した着物がするするするする機械から出てきまして、ですから、逆に言うと、最近着物安いなと思われる方がいらっしゃると思うんですけれども、ある意味技術の進歩でもあります。ただ、反面、それによって手仕事の価値も毀損してきつつあるという現状があります。
 このプロジェクトは、世界についていろんなことを勉強して、それぞれの国の美しさを描こうと思ったんですが、できれば、それを機械からプリントアウトするのではなく、日本で培った、特に染織、染めたり織ったりする技術、世界中どこを見渡してもこれ以上進歩した国もありませんし、また先進国と言われる国の中で、手仕事のこういう物づくりを残している、特に衣服に関して残している国、若しくは男性の民族衣装を持っている国、ほとんどございません。そういうこともあり、日本人としてもう一度そういうところに思いをはせていただきたいということもありまして、KIMONOプロジェクトというものをスタートいたしました。
 おかげさまでというか、おかげさまでもないんですが、始めた当初は絶対にそんなことできるわけないと言われました。というのは、オリンピックに参加する国と地域、今私たちが把握しているだけで二百六及び七と聞いております。日本の伝統的な物づくりで、どこに出しても恥ずかしくない、相手の国の例えば元首の方がお見えになったときに、それを着ていって恥ずかしくない物づくりをしようと思いますと、おおよそ一か国当たり二百万円ぐらいの原価が掛かります。これを二百か国単純に掛けますと、大体四億円のお金が必要になります。これを私たち、もう自分たちで寄附を集めてやろうということでスタートいたしましたので、要は自分たちの力で何とかやってみようということでスタートしたプロジェクトでした。
 当然、業界の中には冷ややかな声と、そんなのできるわけないやろと、どこか補助金でもないのかとか、そういう意見もたくさんありましたけれども、どれだけの日本の国民の方が自分のものにならないものに対してそういったこの思いに賛同してくださるかということも今から先のこの文化の継承にとっても大事なことだろうと思いましたので、本当にこつこつと活動を続けてきたわけでございます。
 あともう一つ大切なことがこのプロジェクトにありまして、理念がこの社団の名前でございます。イマジンワンワールド、もうべたな名前で申し訳ないんですが、イマジンはジョン・レノンの「イマジン」という曲にある理念から取らせていただきました。そしてワンワールド、当然ながら世界は一つしかありません。そういうことをもう一度想起していただく、いろいろ言ったって一つしか世界ないんだよねということを平和と友好のあかしのシンボルとして、その思いを、メッセージを伝える手法に一つ、一か国一か国の着物を作り、最後は、このテーブルをこういうふうに囲んでいるように、それぞれの国の着物を着た、日本人で構いませんけれども、みんなで手をつなごうと。そして、そこが世界が一つになるという瞬間を日本から発信しようと。そして、できればその一つ一つの着物に相手の国の美しさが描かれているとおもてなしとして最高じゃないだろうかと、そんなことによってプロジェクトの物づくりが進んできております。
 実際、それぞれの着物を作る上でやっぱり分からないことがたくさんございまして、国内に、日本に大使館を置いていただいている国と名誉領事館その他がある国は全て行かせていただきまして、デザインの打合せも大使館の皆さんと一緒にやってまいりました。非常に協力的でした。えっ、私たちの国の着物を作ってくれるのかということが単純にうれしかったというふうに言われまして、逆に、私たちが思った以上に、外から見ると、我々が着ているいわゆる和服と言われているものも憧れと非常にいいイメージをお持ちなんだなということも実感いたしました。
 また一方、非常に文化的なそごを感じたこともたくさんございました。国によっては、例えば、一番最後の方の資料にあるんですけれども、お手元の資料五ページで合っているんでしょうか、ミャンマーという国がございまして、ミャンマーという国の着物を作るときに大使館の方に行きましたところ、やはり描いてはいけない花が幾つもございました。それは神聖なものであるからいけないと。それから、仏像はもってのほか。できればそういう神聖なものは足下ではなく上の高い位置に描いてくれというふうな御要望もございました。
 同じようなことがその次のカンボジアにもございまして、多少お着物が御理解されると、留め袖と言われているものは裾に大きく柄を広げて描くことによって、日本の着物は大体そこに大きな、重要な位置なんですけれども、これを、アンコールワットはもう一番上のてっぺんのところに描かせて、見えますでしょうか、これ元々裾に描いていたんです。すばらしい柄だと私は思ったんですが、大使は、いや、どうかなとおっしゃって、本国の文化庁まで問合せをいただいて、一度は、いや、やっぱり足下に描くのは困るということで、上に上げてくれと言われて、ただ、日本の文化としては、裾に描くというふうに思うかもしれないけれども、そこが一番いい場所なんだと、できればこの形のものはそこに描きたいというふうにちょっと反論をしてみましたが、もうクメール人の名に懸けて許せないというふうに言われまして、作者には本当大変申し訳なかったんですけれども、その代わりアンコールワットを描くことを特別に許してあげるというふうに言われました。
 こういうことは、本当にそれぞれの国の人と直接、しかもこういう具体的なテーマを元に話をしてみないと分からないことでもありましたし、また一方、そういった中から出てきた作品については、非常にやっぱり向こうの、先方の国の方が自分たちの、本当にいい物ができたというように喜んでくださっております。
 今日は実物の中国の着物もここに掛けていますから、もし委員会の後でもお時間があれば実物も見ていただきたいと思います。先日、程大使の方にも運よく御覧いただくことができまして、大変喜んでいただきました。
 この中国に関することにつきましてはちょっとエピソードがありまして、日本にある、たしか化学系の会社に研究員としてお勤めの中国の方が、ウェイボーという中国のネットの中にこの着物について詳しく書かれまして、投稿されたんですね。で、ちょっと失礼な言い方かもしれませんけど、ああ、これはちょっと困ったなと、もしもネットで大きくたたかれちゃったら、もうちょっとこれ相手が相手だけに大変なことになるなというふうに思ったところ、全く逆でした。要するに、二日間で六百数十万のページビューをいただき、その中で一万件ぐらいシェアされていて、シェアというのかな、コメントも一万件以上来ていたんですけど、大体九割五分賛同の意見でした。
 ただし、もしもこの着物が赤と黄色で染められていたら、その逆になっていたと思います。そういう点は非常にやはり難しいものだなということも感じました。中国の方たちが言うには、どうせ赤と黄色で作るんだろうと思っていたそうです。ところが、地色が黒だった。古代の中国からいう、いわゆる何というんでしょうか、高貴な色であったということと、真ん中に万里の長城が描かれているんですけれども、実はこれが竜にも見えるように、それから、青海波と言うんですけど、うろこのようにも見えますが、これは波の模様でして、これを川にも例えているんです。要は、万里の長城と、それから竜と、それから中国にある大きな川ですね、これを三つを一つのデザインにしている。これ、このアイデアが出るまで作者と一年ぐらいいろいろ議論しましたけど、これで実際もうばちっと決まりまして、あとはちょっとかわいらしいパンダを描いてみたりとか、松竹梅とかボタンの花とかを描いています。
 何が申し上げたかったかというと、文化的な信用を醸成するために一番大事なことは、徹底的に相手のことをやっぱり知ることなんじゃないかなと。それから、具体的な一つの物を作る、例えば今回中国の着物を作るということで出向いたので、向こうも具体的に、これよりもこっちがいい、あっちがいいということを言ってくださいました。その結果、通常であれば日本に対するテーマに関しては、非常にやっぱりネットの中、つらい意見が多いのにかかわらず、この着物に関してだけでしか私は存じ上げませんけれども、非常にポジティブな反応が来た。今の中国人よりも日本人は中国を理解しているというコメントとか、これはまあ中国らしいですが、一体幾らで買えるのかとか、そういうコメントもあり、いや、済みません、ちょっと売り物ではないので、申し訳ないんですが、ちょっとこれは日本の国内に日中友好のあかしとして長く残していこうと思っていますと。
 まさに、この一つ一つの作品を二〇二〇年の日本のレガシーにしたいということで考えております。作者もそのつもりで、もう乾坤一擲というんでしょうか、ここに一つの、自分の全てを出すということで、一人一人の作品がおります。
 もうお時間が迫ってまいりましたが、北は盛岡にお住まいの先生から、米沢だったり、作者ですね、そして東京ももちろんたくさんいらっしゃいます。関東地区もあります。新潟県の雪深い十日町だったり小千谷だったり、今日は先生もおいでですけど、琉球の紅型だったり、それぞれのその地域にある、私のふるさと久留米にも久留米がすりがあります。久留米がすりで振り袖作ったことはありませんが、今回作っております。鹿児島の大島つむぎだったり、もちろん京友禅、西陣織、博多織、全国の生産者の方にみんな同じ条件で、一か国この金額なのでみんな先生ギャラは同じなんですと、若い先生も年の先生も、よく知らない先生も有名な先生もですね。そうして一個ずつ作品が今でき上がってきて、現在百三十か国ぐらいが完成していまして、今もう残りの国は全てスタートを切りまして、二〇二〇年のどんなに遅くても三月ぐらいには二百七の国と地域の着物が完成するところに来ました。
 ここまで来れたのは、本当に私たちも努力はいたしましたけど、本当に運が良かったなというふうに思っています。一つは、我々ボランティア団体ですので、とはいっても、活動が全国にまたがったりします。場合によっては海外まで行かなきゃいけないこともあります。そういうときに、やっぱり自分の時間とお金を、いわゆる身銭を切って支えてきてくださった、今日も傍聴席に来ていますけれども、大勢の仲間たちが全国にいたり、そして、それぞれの国、じゃ、この国は俺がお金出してあげようと、本当に所有するわけでもないのに賛同して出してくださった各企業様や団体様だったりとか、又は個人で出してくださった方もたくさんいて、あと二十、三十か国ぐらいのスポンサーが見付かるともう堂々とゴールができるところまで来ましたけれども、今度のG20、例えば福岡で行われる蔵相、中央銀行総裁の会合ですとか、あと八月に横浜で開催されるTICADにおいても活用していただくことが決まりまして、ひょっとすると、皆様方の前でもそれぞれの各国の首脳をこの私たちのプロジェクトの着物がエスコートをしたり、それから、とにかくいっぱい写真を撮りたがられるので、それぞれの国でまたしてもらいたい。
 最終的に二つ、どうしてもやっぱり最後までやり遂げてその後の活動にも結び付けていきたいのが、やはり世界が一つなんだということ。それから、日本という国は、大きな国であっても本当に小さな人口の少ない国であっても同じ予算で作る国なんだと、そういう文化を持っている国なんだ、このことによって、一般的に言う経済合理性とはちょっと違うんですけれども、それが日本人の考え方なので、是非この国と長く付き合う方がいいんじゃないのかと。日本のプレゼンス、それから日本の民度、いわゆる日本の思想、哲学、こういうものを私たちはやはりこういった衣装にも込めて長年この国の中で文化として取り組んできたということが一つは世界に伝わることで日本のイメージが良くなるといいなと、そんなふうに思っています。
 それから、できればもうちょっと手で作る文化に対して、やはり皆様たちのしっかりとしたサポートと、そしてやはり褒め言葉が欲しいですね、いい仕事しているねと。それがないと、単に給料があるとか、少しは補助が出ているとか、そういうことじゃ働けません。やはり大変な仕事なんです。ですからできれば、要するに、誇りある仕事としてこれからも、私たちのようなこの着物なり、そういう物を作る先生方、名前は先生ですけど本当にみんな貧しいんです、本当に大変です、そういった方々がやはり堂々と先生と言われ胸を張って生きていけるような、またできればそういった社会的な風潮も是非先生方の力を借りてできてくるといいなと思っております。
 まとめにちょっとなりますけれども、やっていて本当に世界にいろんな国があるなということが分かりました。国によっては、政党に全て花のマークが付いているので、きれいな花だけでそれ書かぬ方がいいよと言われたこともありました。例えば、差別的な発言の強い政党は、でもきれいな花をマークにしているんですね。ここはやめた方がいいとかですね。いろんなことがありましたけれども、やっぱり文字情報で得られる、若しくはいわゆるネットで見られるものと違って、実際にそこの国の人と話し合いながら物を作っていく中で生まれてくる信用醸成というのは本当に忘れられないものになるなと。大使とお話しする中でも、また孫の代に、お互いの孫の代にこの着物を見ながらそういう話ができるといいですねということも伝えてきております。
 このプロジェクトがもしもこの信用醸成に対する何かお役立ちができるとしたら、それは単にイベントのためにこしらえて、それで一応予算的にはこれで消化しましたねというものではなく、一回作った物が、ずっと年を経るごとに多くの人たちの、また、その国の人たちとの物語に重なっていって、ああ、うちの国の着物はああいうのだったよねというふうになっていける。その背景には、大変多くの努力と一個一個の物を作るために掛かる時間、約一年掛けて物を制作するために大変な時間と労力を掛けてやっていますけれども、ただ、やっぱり掛けた分、相手にも伝わるということもよく分かりました。
 そして、もう一度申し上げますと、最後に申し上げますと、相手の国のことを好きになろうと思ったら、やっぱりまずは相手の国のことをよく知ることから始まるんだなということを思いました。
 ある国の担当になられた先生が、これリオ・オリンピックのときでしたけど、最初、この国を作ってくれと申し上げました。いや、何でわしにそんな、これは、済みません、変な意味に取らないでください。よく知らない国だったんですね、その先生からいうと。何でわしがその国なんだと、俺は行ったこともなけりゃ聞いたこともないぞと言われましたが、作っている最中にちょうどリオ・オリンピックがやっていまして、先生のところに陣中見舞いに行きましたら、君はこの国の人口は何人か知っておるかとか、もう今度は自慢げに、何かその国の博士みたいになられまして、そして、そのことによってやっぱり急に親近感が湧かれたみたいで、たまたまその国が初めてメダルを取られたんですね、リオのオリンピックで。もう本当に自分のことのように喜んではりました。
 こういうことが、いわゆるその一つのきっかけによって、また文化というものを活用した、若しくは我々のような、これがソフトパワーと言えるかどうか分かりませんが、イマジンワンワールドという理念の下にみんなで一緒にやったから、大勢の先生たちと一緒にやったからこそできること、それぞれの国との一つ一つのパイプができること、それが中心が日本であったということ、そして、できればそれを二〇二〇年にここから世界に発信できればということによって、ますます信用醸成ができるんじゃないかなというふうに思っています。
 是非、これからの日本人、多くの日本人の方が海外で活躍するためには、やはりその国のイメージが大事だと思います。こういった着物も含めた文化を活用したイメージ戦略というものも、今後皆様の中でも少し御議論いただく機会があると有り難く思います。
 以上です。よろしくお願いします。
#10
○会長(水落敏栄君) 高倉参考人、ありがとうございました。
 次に、近藤参考人から御意見をお述べいただきます。近藤参考人。
#11
○参考人(近藤誠一君) 近藤でございます。
 私は、四十年間外務省に勤めておりまして、最後にユネスコ大使とデンマーク大使をいたしまして、退官後すぐに文化庁の長官を三年間拝命をいたしまして、退官をしてから五年半になります。本日は、そうした経験を踏まえて私の考えているところを述べさせていただく、このようなすばらしい機会をいただきまして誠にありがとうございます。大変光栄に思っております。
 お手元にレジュメと書いて、横長の九ページほどの資料がございます。これを適宜参照しながら、最初の二十分間の陳述を行いたいと思います。
 本日お話ししたいことは、まず第一に、国際関係というのにはいろいろな行動主体、アクターがおります。国家が最大の力を持っておりますが、それぞれの主体には長所があり、欠点がある。したがって、なかなか安定した秩序というのは継続しない、それが現実だということが第一点でございます。特に、最近はグローバル化、あるいはITがどんどん進んでいるということで、そのリスクがむしろ増幅している感があるように思います。
 第二点は、そうした状況を改善していくためには何が大事かということでございますが、それは今日のテーマであります文化、人的な交流というのが、もう語り伝えられていることではございますが、こういうときこそ人間が人間らしく心と心を通じ合うということがやはり一番大事なんだということを申し上げたいと思います。
 そして、最後に、国家、企業、個人あるいは市民社会といったいろいろなプレーヤーがこれからも国際関係で活躍をいたしますが、それぞれがどういうことをやればこの極めて難しい国際関係が秩序が保たれ信頼が醸成されていくか、私なりの簡単な意見を申し述べさせていただければと思います。
 まず、レジュメの二ページになりますけれども、当然ながら国際関係の主役は国家でございます。世界には国連加盟国百九十三ございます。地球の表面を百九十三の主権国家が完全に分割をしているわけでございます。南極大陸以外は全て国家であるということで、もう国家の存在が当然だという時代になっております。
 国家というのは、目的は国を治めること。安全を守り、繁栄を守り、国民の財産を守る、それが第一の目的だということで重要な役割を果たしておりますが、時として組織にありがちな、逆さの論理というんでしょうか、その自分の目的のためにそれ以外のことに十分に配慮が行かなくなる傾向がある。常に計算をしながら、自分の組織、国なら国にとって何が一番プラスかということを考える。それが時として紛争の原因になるということですね。
 国際司法裁判所には管轄権がございません。それを受け入れる国に対してしかないということで、国内のような秩序をつくる、立てるシステムが国際関係にはないということがなかなか国際関係が安定しない大きな理由になっていると思います。どうしても対立、排除ということになりがちなのが国家の欠点だろうと思います。
 実は、そのことを、一九四五年にできましたユネスコのユネスコ憲章というところにそのことが書いてあるんですね。お手元の資料、恐縮でございます、八ページの一番上にユネスコ憲章からの引用を書いてございます。「政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。」。政治や経済で幾ら合意しても、それは必ずしも永続的に守られるとは限らないということを、早くも国連ができたその年にユネスコの創始者たちが言っていると。したがって、文化というそういう排除の論理がない組織でそういう仕組みをつくってみんなが協力することが大事なんだと、それが本当に平和をつくっていくんだ、秩序をつくっていくんだということを早くもこの年にユネスコが宣言をしたということが大変重要であると思います。
 それから、二つ目のアクターは、当然ながら企業でございますね。企業は、経済力を力の源泉としまして、世界の繁栄そして連帯に役に立っております。しかし、当然ながら利益がどうしても第一になるということで、また再び排除とかそういう対立を招くことがある。と同時に、最近の金融危機に見られますように、思わぬことでコンピューターが勝手にどんどん動き出して、今アルゴリズムと言うようですが、株式市場がとんでもない方向に行ってしまう、そういうリスクがまたどんどん増えている。それもなかなか、企業は利益を追求する余り、悪気はないんですが、結果的にそういうリスクを招いてしまう、そういう存在であると言わざるを得ないと思います。
 それから、三ページに行きまして、個人でございます。個人というのは、力は弱いですが、やはり必ず良心というものがあります。国家にも企業にも、そういう組織には心はございません。組織を運営している人には心はありますが、組織には心はないので、どうしても利益とか権力の方向に進み過ぎてしまう。それに対して、個人には良心、心がありますので、一人一人の力は弱いけれども、それがうまくまとまれば大きな力になる。特に民主国家では個人の、選挙により、あるいは市民社会の活動により、その政治、経済にも影響を与えることができる。それが個人のこれからますます期待される役割であり、だからこそ文化交流、人的交流はこれからもっと大事にしなければいけないというのはそこから来るわけでございます。
 しかし、もちろん個人にも欠点はございます。個人には感情があります。どうしても恨みが残ったり利己主義になる。それが積もり積もると、最近よく言われるポピュリズムという、本来の社会の在り方とは反するような方向に国や社会を導いてしまう、そういう欠点も個人にはあるということでございます。
 その個人が集まった市民社会、これは国とも企業とも違う組織として、良心を代表するものということで、これから更に重要になっていくと思います。しかしながら、ここにもポピュリズムを増幅するというリスクもあると思います。
 そういう意味で、国家、企業、個人、市民社会、それぞれ役割があり、それが時代とともに徐々に変化はしておりますが、それぞれ長所があり、欠点がある。どうすればその長所を生かし合って秩序を保っていくか、そこが大事な鍵になると思います。
 四ページ目に参りますが、現在、非常にリスクが増していると思いますのは、グローバル化により競争がどんどん激しくなる。そうしますと、国家も企業も、ともかく目の前で領土を守り、あるいは自分の会社の利益を確保する、もうそれにきゅうきゅうとしてしまって、中長期的な、あるいは世界全体のことに必ずしも目が向かない。それが、ますますそのリスクが増幅している。グローバル化はいろいろいい点もありますが、そういうマイナスもあるということ。
 あるいは、コンピューターの発達、AIの台頭、登場、これがどういう方向に行くか分かりません。大いにプラスになる面もありますが、逆にそういう各プレーヤーが持っている欠点を増幅してしまう、そういうコンピューターの競争になって、それが結果的に誰もが、にとってマイナスになってしまう、そういうリスクもあるということで、国際関係の秩序のためのリスクはむしろ増しているとさえ言えるかもしれません。おまけに、核兵器、それからサイバー攻撃といったものがどんどん進んで起きます。
 そういう意味では、何かあったときの被害の大きさが甚大なものになる、そのようなリスクが高まっているということで、だからこそ、何とか各プレーヤーが協力をして、それぞれの長所を生かしながら秩序、平和を保っていくようにしなければいけない。その鍵となるのが、五ページに入りますが、自由な文化、人的な交流であるというのが私の考えているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、個人の持っている良心というものを思い切って前面に出し、それが連携をすることで、時として政治や経済が犯しがちな間違い、そういったものを、正すことはできないかもしれませんが、そういったものに影響をされずに、信頼関係を個人ベースで、市民ベースでより確たるものにしていくことによって、何か問題が起きてもそれが大きな危機に発展しない、歯止めにすることができる、そのように考えております。
 それから、文化というのは、異なるものにあっても、それを排除、相手を排除することではなくて、一緒に何かやろう、相手からインスピレーションを得、自分もインスピレーションを与えて、お互いに新しいものをつくっていこうという前向きな刺激を与え合うのが文化芸術だと思います。政治、経済が時として、利益が合えば協力しますが、利益が合わなくなると対立、排除に行きがちですが、文化というのは常に異なるものを受け入れ、そして協力の道を探る、そういう力があると思います。
 そういう意味で、個人が文化の力で交流を進めるということは、相互の信頼関係を増し、前向きの姿勢をつくる、国民感情をつくるという面で大変重要であろうと思います。
 ソフトパワーということも今日のテーマですが、恐らく渡邊先生がより詳しくおっしゃると思います。私も、そのソフトパワーをいかに日本として使うか、あるいは、各国がソフトパワーをうまく使うことによって、その文化を通した個人間の信頼関係をお互いに増していくと。自分だけがいい、自国だけがいいということではなくて、地域で、あるいは世界で、それぞれがソフトパワーを学び合い、感動し合って、仲よくなるという、ちょっとナイーブに聞こえるかもしれませんが、やはりその力をもう少し我々は再認識をして取り戻すべきではないか、そしてそういう仕組みをできるだけつくっていくべきではないかと思います。
 アジア太平洋諸国、特に日米中韓、どのようなソフトパワーがあるか。これは、後ほどもし時間がございますれば、御関心があれば私なりの意見は申し上げますし、お手元にございます資料の中で、アジア太平洋の秩序という、私が一論文を書いた本の資料、コピーがございます。御関心があればそれを御参照いただければと思います。
 そして、最終的に、じゃ、誰がどのようなことをやればいいかということになりますが、六ページの後半に書いてございます。やはり国家の役割が一番大きいことは間違いございません。しかしながら、この自由な人的交流には余り国家そのものが介入をしない方がいいんではないか。個人が持っている良心、新しいものを見、文化を通して感動をし、一緒に何かやろうという気持ちをなるべく大切にして、それを促進するような環境をつくる。あるいは、それを阻害するような、入国制限とかいろいろな制約がございます、そういう制約を取り払うと。市民を信じて、市民の良心を信じる、それが国家の一つの大事な役割ではないかと思います。もちろん、テロの防止とか安全保障、富の創造、これはもう引き続き大事でございますけれども、事市民交流に関しましては、なるべく道を整備することに徹するべきではないかと思います。それによって市民交流の持つ力がより顕在化してくるんではないかと思います。
 そして、特に、実は昨年の夏に、日韓関係は今相当ぎくしゃくをしておりますが、河野外務大臣の御依頼もございまして、日韓の文化・人的交流の促進に関する有識者会合というのが持たれまして、私がその座長を仰せ付かりまして、その結果としての提言もこの資料の中にございますが、この提言で申し上げていることの一番の肝は、政治はどうしても、特に隣国関係では紛争は避けられない、したがって、起こるのを防ぐのは大事ですが、一旦起こってもそれを何とか合理的に処理するとともに、その政治的な対立が国民感情とか市民交流に影響を与えちゃいけないということをはっきりと認識をし、政府としては、今、隣の国とこういう問題がある、これは合理的に処理するから、あなた方は、市民は引き続き民間交流やりなさい、お互いをもっと知りなさい、それが中長期的な友好関係、秩序の基礎になるんだということをはっきりと政府は言うべきだというのがこの提言の一番の肝でございます。
 さもないと、どうしても、国の体制にもよりますが、こんなに政治がぎくしゃくしているのに文化交流を続けていいんだろうかとか、あるいはいろいろなヘイトスピーチ的なものが飛び交いますと何となく手控えてしまう。自分自身も何か不愉快に思ってしまう。それは人間だから仕方はありませんが、それはあくまで短期的にはそういう利害が対立することはあり得るんで、もうそれはそれだと。言葉は良くないかもしれませんが、もう主権国家同士のゲームとして問題を扱っているんで、自分たちは関係ないんだと、俺たちは隣の国のキムさんとパクさんと仲いいんだからそれを続けるんだという、それを継続することが大事であるということだろうと思います。これは言うはやすく行うは難しいと思いますが、ここが今後、文化交流、人的交流がその役割を果たしていく上で、国家の役割として、そして市民交流の中心になるものとして大事なことではないかと思います。
 七ページに、「「顔の見える」友人関係」という表現が括弧三にございます。何か問題が起きた、政治的な問題がまた復活したと。またかと思って暗い気持ちになりがちですが、いや、でもあの国には何とかちゃんがいる、ああ、あの人はこんなことを考えているはずがない、これはまあメディアがちょっと報じているだけでというふうにすぐに顔が浮かんでくる。そういう関係になればなるほど、そういう時として起こる政治問題は、あるいは歴史問題は、合理的に最小限の労力で処理することができる、国民間の信頼関係は徐々に増していく、そういうことを目指すべきではないかというふうに考えております。
 そういうことで、日本の魅力という点で、八ページの注二というところに、二〇〇二年ですが、ダグラス・マグレイというアメリカのジャーナリストがフォーリン・ポリシーというアメリカの外交の雑誌に書いた論文で、グロス・ナショナル・クールというのがございます。もう御案内と思いますが、GDPという、経済で物を測る時代ではもはやない、プロダクションで国力を測る時代ではない、クールであるかどうかが大事なんだという論文で、日本の文化のすばらしさ、それが、ずっと近代主義が来て、今、欧米は近代の次を探し求めている、ポスト近代を求めているときに、それは日本の文化こそポスト近代なんだと。欧米の方々がポスト近代ということを語り始める前から日本はポスト近代だったという面白い言い方をしておりますが、日本がずっと続けてきた日本の文化のすばらしさ、それを、明治のときに西欧からの文明が入って、それをうまく処理、消化しながら維持してきた、その維持してきた日本の文化が実は欧米が今探し求めているものに極めて近いんだという、そういう趣旨のことを言ってくれまして、これは本当に私どもが言いたいことをジャーナリストとしてうまくレトリックを使って言ってくれていると思いましたので、こういう意味で、自信を持って私どもは日本文化のすばらしさを我々自身が認識していくべきではないかと思います。
 それから、一番最後に、言論NPOというNPOがございまして、そこが毎年やっている日韓、日中の世論調査の中から一つ取ってまいりました。
 人間交流が大事だという一つの証拠としまして、日本においても韓国においても、相手の国に行ったことがある人とない人とではこれだけ相手に対する好感度が違うということ。一度でも行っておけば、その国を知る、メディアとかステレオタイプ的な伝聞のイメージとは違う。やっぱり現実を見、実際に人と会うことが大事だと。そういう意味で、人的交流というのはそういう意味でも大事なんだということを示す一つの証左ではないかということで、最後に付け加えておきます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#12
○会長(水落敏栄君) ありがとうございました。
 次に、渡邊参考人から御意見をお述べいただきます。渡邊参考人。
#13
○参考人(渡邊啓貴君) 東京外国語大学の渡邊でございます。
 本日は、お招きにあずかりまして、大変光栄に思っております。
 今日は、私の方から、お二方の意見を、お話を踏まえながら、私の考える、あえて申し上げますけど、文化外交についてお話しさせていただきたいと思います。
 レジュメを少し、幾つかの点についてレジュメを作っておきました。それを御覧になっていただきながら説明させていただきたいと思いますが、今日の私のお話のポイントは、実は私、今から十年ほど前、在外公館で文化交流担当をしたことがあります。日仏百五十周年記念、外交百五十周年記念の時期でございまして、今年は百六十周年ということです。あの百五十周年で、二〇〇八年から九年にかけて七百五十六の大使館の登録の文化行事がございました。平均一日二回何かやっていたわけですけれども、その頃ちょうど、お隣にいらっしゃる近藤、当時は大使でございましたけれども、ユネスコ大使でございまして、よくオフィスに行っていろいろお知恵を拝借したり、長いときには二時間ぐらい昼間から話し込んでいたりということがございました。そういうことでございますので、今日も近藤大使の後にお話しさせていただいて、大変うれしく思っております。
 それで、そういう意味では、お二方お話しされたことと私もほとんどいろいろな点で共通の認識を持っておりまして、反対することは何もございませんし、サポートする立場でありますけれども、ちょっと私は、今日、あえて申し上げれば、文化外交戦略と申しますか、そういう観点からちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 すなわち、国際交流あるいは文化交流が進んでいけば、いずれ日本のことは理解できるし、それから相手のことも分かるし、親しくなっていくだろうと。そのとおりではございますけれども、現場におりましていろんな日本のイベントをやっておりまして、あるいはお付き合いさせていただいておりまして、それこそ着物の行事にも私も幾つか出させていただいたんですけれども、さて、大変ここの場所では盛り上がっているけれども、これは一体今後どうなるんだろうと。十年ぐらいそういう行事が行われなかったら、さっぱり日本のことは忘れられてしまう。あるいは、着物の話にしても何の話にしても、数年たってまた来ましたら、久しぶりに来ましたよというところから始まっちゃいます。
 じゃ、日本のイメージはといいますと、そのときに参加した人は何となく日本のことが分かったような気になる、イメージを持つ。ああ、あるいは、日本には歴史があったんだ、漫画、アニメで忍者の話しか知らなかったけど、実はすごい武士の歴史、社会の歴史がある、日本語ちょっと勉強してみようか、ここまで行けば御の字でございまして、そこまでなかなか行かない。
 さて、外交の立場から見ると、ちょっとせっかちであります。文化交流というのは、十年や二十年、三十年、五十年ぐらいのタイムスパンで考えるべきことではないのかもしれません。百年単位で考えて、交流していくうちにだんだん理解できるような話なのかもしれませんが、いや、さはさりながら、やっぱりそこの場所に集まって、日本のことをいいねと思って来た人たちにもう少し継続して日本のことを知ってほしいじゃないか。できるならば、ジャパン・エキスポというものがありますけれども、アニメやDVDというポップカルチャーの祭典で、三日ぐらいで二十数万人のにぎわいがあります。よく外務省が主催していると思われておりますけど、実は現地のフランス人、オタッキーのフランス人がやっております。彼は最近日本人と結婚しましたんで、文化交流の成果であるかと思いますけれども、日仏交流のとてもいい形だと思いますが、そういうケースはなかなか珍しいわけでございます。
 そういう意味では、やはり、文化外交戦略とあえて今日申し上げますけれども、そういったものを考えた方がいいのではないかと思いまして、今日お話しさせていただこうと思います。
 パブリックディプロマシーという言葉がよくあります。レジュメから申し上げますと、飛ばし飛ばしお話ししますので、それは、今日お二方のお話に出ましたように、市民社会に訴える、あるいは相手国のことを知り相手の国民に訴えかけるというふうな、ちょっと図を描いておきましたけれども、そんなところでございます。
 ただし、これはプロパガンダ、歴史的にはプロパガンダでございます。文化外交というのは、実は、ずっと先になります、この皆さんのレジュメの三ページ目の下にちょっと御紹介しておきました。右下の方ですけれども、五ポツというところで、日本も文化外交がないわけではありませんで、歴史的にアジアの大国として、戦前、文化外交を展開して、皆さん御案内かと思います、満鉄の映画がどのくらい見られたかというのは、最近の調査では余り見られていなかったということも統計で出ておりますけれども、そういう映画を作ったわけですね。
 ちょっとちなみに一言申し上げますと、文化外交という言葉って日本人で初めて誰が使い出したんだろうということでございます。物の本でございまして、私の調べたものではありませんけど、言われているのは、吉田茂総理がイタリア大使をやっていたときに使ったのが初めじゃないかと言われております。
 それから、来年は東京オリンピックですけれども、実は、皆さん御案内のように、一九四〇年に東京オリンピックが開かれる予定になっておりました。実はローマがなるだろうというのが有力であったんですけれども、それを差しおいて東京に決まったわけですけど、幻のオリンピックですけれども、このとき大活躍というかサポートした外交官に杉村陽太郎という人がいらっしゃいます。フランス大使をやりまして、それから国際連盟の事務次長、新渡戸稲造の後を継いだ方でございます。彼がムッソリーニに引き合わせた当時イタリア大使でした。彼はスポーツ選手だったので、文化外交、スポーツ外交ということを既にもう言っておりました。
 ただし、問題は、文化外交の場合、目的は何かということでございます。文化外交、どういうふうなスタンスを取っていくって、分かりやすいのは目的がはっきりしている場合です。イギリス、フランスに倣って植民地をイギリス、フランス化していく、同化政策化していく、同化政策を導入していく、こういうときには文化政策って非常に目的がはっきりしてございます。今日の文化外交、そういう観点ではございません。民主的に、いわゆるパブリックディプロマシーと言われるような言葉で表されるような、民主的に双方向的に市民交流を通じてやっていくんだということでございます。
 その上で、私がよく考えているちょっとソフトパワーについて、三ページ目の上にあります四ポツのところでございますけれども、近藤大使が、長官がさっきおっしゃられていたことでございますけど、私なりの言葉で、さっきマグレイの話をされておりました。ジョゼフ・ナイという人が、一九九〇年代、ソフトパワーという言葉を使って有名になりましたけれども、自国の望むことを強制的ではなくて自発的に相手にサポートしてもらうこと、支持してもらったり協力してもらうこと、だからソフトなんだということであります。私なりの言い方をすれば、そこはちょっと太文字で囲っております、書きましたけれども、日本の良いイメージをメッセージとして相手に伝えて、そして日本の味方になってもらうようにすること、味方と言うと変ですけれども、親近感を持ってもらうということ。先ほどから出ている言葉で言えば、私、ナショナルブランディングという言葉を使っておりまして、良いイメージの日本のブランド化すると、ナショナルなブランド化するということであるかと思います。これが今日のお話のポイントでございます。
 それで、行ったり来たりで大変恐縮でございますけれども、レジュメの二ページ目の右上の二ポツ、それからその下のところをちょっとざっと御覧になっていただきながらお聞きいただければと思います。少し狭く文化外交というふうに定義しました。
 と申しますのは、文化国際交流っていろんな形でございまして、文化的な行事を何でもかんでも外国でやったり外国人を連れてくれば、これは交流であることは確かですけれども、外交という立場からいうと、どういう目的があり、どういう成果が上がったのかということが大変分かりにくい。実は、国際的な、アメリカでこういう研究は比較的よく進んでいるんですが、それでも、エバリュエーションですね、文化外交というのは評価をどうするのかと。人が集まったからそれで評価、長い目で見ればもちろんいいことですけれども、何をもって成功とみなすのか、とっても難しいことだということで、いろんな実験が行われております。
 そこで、ここではちょっと狭く文化外交を定義しまして、というよりも、これ日本外交の現場の形ですけれども、政策広報、これはもちろん重要ですね。最近でいえば、TICADで幾ら日本がお金を出してアフリカ、世界に貢献しているんだ、もちろん外交の一義的な目的です。
 ただ、日本って何なの、どういう国なの。これは私、よく自分自身も感激して使う例ですけれども、中東の紛争の現場は水がないと、給水車を持っていった。その給水車の塗装の、外の部分に「キャプテン翼」の漫画が描いてある。少年たちが水を取りに来る。日本の命の水で救われた、「キャプテン翼」が救いに来たと、一生忘れないんじゃないかなと思いますけれども。これ、イメージ戦略である、ブランド戦略であるかもしれませんけど、こういうところにいかに外交レベルでタッチできていくかということであろうかと思います。
 そういう意味では、そういった政策広報を支える部分、教育文化・一般教育広報、これが、私、現場におり、僅かな間ですけれども、近藤大使を前に、四十年のベテランの外交官の前に言うのは恐縮なんですけれども、日々仕事をしていたときに考えたことです。とってもいいことなんだけど、さて、次にどういうことになるんだろうということがなかなか見えない、そんなことをつらつらずっと考えてまいりました。そういう意味では、狭義の文化外交というふうに、その下の、二ページ目の下の左の図に今申し上げたようなことが、ちょっと言葉でカバーしておきましたので、お時間のあるときにお読みいただければと思います。
 もちろん双方向なものですけれども、結局、文化交流、外交というのは、ちょっと抽象的な言葉遣いになりますけれども、文化の交流というのは価値の交流だと思います。違った人間が交流するということは、それ自体が価値の交換だと思います。そういう意味では、外交の出発点というのは対話であり、そして価値観の違いをいかに克服していくかということであるんではないかと思います。そういう意味では、後で申し上げますけど、結論になりますけど、人的交流ということに行き着く先はなっていくというふうに考えております。
 さて、そうしたところで、ちょっと進んでいただきまして、四ページ目の三角形を御覧いただければと思います。日頃私が考えていることでございますし、別に三角形見なくても皆さんお考えのことだと思います。
 外交の分野、政治の分野と、あるいは政策目的と、それからビジネスと、それから、純粋な文化活動というものが本当にあるのかどうかあれですけれども、文化活動というふうに、三点でこう考えています。三つ三角形を考えた、こう書いてあるのは、どこから議論をしていくかという意味であります。政治・外交から議論をしていくのか、経済・ビジネスを目的とした議論をしていくのか、文化の議論を中心にほかのことを考えていくのか。
 四ページ目の下の図に移りますと、文化外交というのは、今日私のお話ししているスタンスというのは、政治・外交でいかに日本を世界にプレゼンスを示していくのか、そういうこと、立場から考えると、政治・外交を中心とした経済・ビジネス、文化活動というつながりになるのではないかと思います。三つの領域で考えているだけでございますけれども。
 次のページ、ちょっと行ったり来たりして申し訳ありませんけど、五ページ目の左上の図でございます。パソコンの使い方がうまくないので、もう少しいい三角形が描ければよかったんですけれども、経済・ビジネスのところをもう少し内側に引っ込んだ図に本当はしたかったんですけれども、何が言いたいかというと、政治・外交とビジネスのつながりに比べて、外交と文化のつながりは非常に遠いと思います、今の段階では。それから、経済・ビジネスと文化のつながり、もう少し近づけたかったんですけど、三角形がうまく描けませんで、これはもう少し近いとは思いますけれども、外交、文化のつながりに比べればビジネスの方が、ここで指しているのはコンテンツビジネスの話ですけれども、こういった分野の方が近いと思います。正三角形になる必要はありませんけれども、今の日本の外交の現状はこういうことではないかと思います。
 だとすれば、この外交や文化のところにもっと力を入れよう、お金を掛けてくれということが結論になります。それから、ここの外交、文化の、外交と文化活動の三角形のこの辺を強くする、近くするということは、これはお金の問題と知的交流をいかに盛んにしていくかということにつながっていくんだと思います。
 こんなことを私は日頃からちょっと考えてございまして、一つ、五ページ目の下の左の図を御覧になってください。日本の国家ブランド戦略ということでございます。御案内の方もいらっしゃると思いますけれども、アンフォルトという、今はイギリス政府に、あっ、今はブリュッセル、EUの方に行っていますかね、EUの方に行っていると思いますけれども、ブランド指数というのを考えた方がいます、大分前の話なんですけれども。そこに書いてございます輸出とかガバナンスとか文化とか人とか観光とか、こういったものを数字化しまして、指標化しまして、そしてそれを合わせたポイントでいかに日本が世界の国々でブランド力が高いのかどうかというふうなことを議論しております。言うまでもなく、経済力があって工業力があるところはやっぱり高くなるんですね、どうしても。
 ただ、日本は、このブランド指数でいけば決して悪くないというか、大変いいところでございます。ちょっと二〇一一年以降、五位以下に下がってしまいましたけれども、二〇一七年からはちょっと挽回してございまして、ベストフォー、ベストファイブに入っております。
 それから、BBCの方でよくやるもの、それからワールドサービスのものをちょっと紹介しました。
 また、外務省でも数年に一回やっておりまして、ただし、このどういうイメージかということをするときに、高倉参考人が最初におっしゃったように、国によって受け止め方が違うというふうなことをおっしゃっています。だから、アジアでこういうイメージの受け止め方と、ヨーロッパ、アメリカでの受け止め方が違うということで、そういう意味からも、漠然とした交流だけではなくて、文化交流戦略といいますか文化戦略というのはやっぱり考えていった方がいいかと常に思います。
 例えば、御案内と思いますけど、「ドラえもん」はアジア、中国にとても受けますけれども、ヨーロッパに行きますとまるで知らないですね。共通なのは「NARUTO」とか「ワンピース」とか、これは万国共通でございますけれども、そこにどういう作品に込められた普遍性があるのかどうかという、そういうこともちゃんと考えていく必要があろうかと思います。
 時間がないので最後の方に行きますけれども、六ページを御覧になっていただきたいと思います。六ページの九、それからその横の辺りをお話しして終えたいと思います。
 そういう意味では、ブランド、いろいろあります。それこそ東京オリンピックで出てきたおもてなしとか、いろんなやさしいコンセプトがあって、経産省なんかも、商品を持っていって実際に見せて、展示をして、そしてそれにコメントを付けて、実はこの商品はこういう文脈、意味があるんだよということを伝えながら展覧会をやると大変受けます、たくさん人が入ってきますけれども。そういった日本的な伝統の文化と同時に、文化外交が成立するには、やっぱり信頼感とそれから敬意、相手の文化に対する敬意ですね。面白くて慣れ親しんでいるけれども、やっぱり尊敬できないというものが文化であれば余り長続きしないと思いますけど、こういう点では日本は、皇室外交ではないですけれども、これほど長い歴史を持った国はないわけですから、とってもそういう点では有利な立場にあると思います。
 そして、一般的な普遍性を伴いながら個性を出す。普遍性というのは、民主主義であるとか平和な国であるとか、安定した、今の内閣でいえば民主、デモクラシーと市場経済ということになりますけど、その上に日本という国の個性をどう伝えていくかということになろうかと思います。価値外交はその先にもう一つあるんではないかと私は日頃から思っています。
 そういう意味では、その右の最後のところでございますけれども、やっぱり文化外交を考える上で、何をどう伝えたい、どういう意味を持たせるかという概念化、コンセプチュアライゼーションというのはとても重要だと思います。
 次は、これも私たち余り得意じゃないんですけれども、来てもらったら日本の良さが分かるよというだけではなくて、来て、何を見て、何を感じてほしい、強制的ではありませんけれども、ある程度そういうことを伝える必要があろうかと思います。
 それから、物事には流れがあって、ストーリーがないと意味付けができません。これは日本人は余りうまくありません。コンテクストをつくるコンテクスチュアライゼーション。私、フランスを専門にしておりますけど、フランス人は得意ですね。何にもないところからいろんな話が出てきて、気が付いたらとても感動しているということがよくあります。
 そして、ネットワークです。ネットワークは、ただつくってしまえばいいというものではなくて、組織と活動の継続性がとても重要だと思います。この継続性について強調しておきたいと思います。
 以上のようなところから、ナショナルブランディングをどう考えていくのか、日本のイメージとしては安定した平和国家のイメージ、これをどうコンテクストをつくって広めていくかということに文化外交の戦略の基本のところがあろうかと思います。
 そういう意味では、自分もやっておりますけれども、知的交流の重要性。ちょっとお手元に、数が十分ではないのであれですけれども、(資料提示)ちょうどこういう、日仏の知的交流って、私この十年ぐらいやってございまして、去年はジャポニズム二〇一八ということで、随分国際交流基金からお金をいただいて、例の黄色ベストの騒動の真っ最中、私はパリにおりまして、一体開けるのかどうなのかと言いながらカルチエ・ラタンの学生街のカフェでシンポジウムをやりました。そして、ちょっとおととしやったものについては、こちらの方ですけど、ここには実は近藤大使も一緒に出ていただいてやってございます。御興味のある方、御覧いただいて、こういったことで、こういったところにも力を入れられる、そういうことがよかろうかと思います。
 ポイントについて幾つかお話ししました。
 どうも御清聴ありがとうございます。
#14
○会長(水落敏栄君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。
 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただきたいと存じます。
 委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 小野田紀美君。
#15
○小野田紀美君 小野田紀美です。よろしくお願いします。
 先生方、本当にありがとうございました。
 まず、高倉先生に簡単に三つ、簡単にというかいろいろ含めてお伺いしたいんですが、これ、一個目、単純な疑問で、着物のコラボをするとか各国とやったもののサイズはどうしているのかなというのが、私、百七十ありまして、おはしょりが出ないので、各国の平均身長に合わせて作られるのか、この辺どうされているのかなというのがちょっと気になりました。
 あと、二点目なんですけれども、今こうして飾ってくださっているんですが、着る文化を広げていくことと、あと、それを向こうがどう受け取るのか。要は、飾って置物にして装飾という扱いにするという割合はどうなっているのかなというのがちょっと気になりまして、私はポップカルチャーでゲームとかを作っていた会社に以前いたんですが、漫画でいうと、日本みたいにざあっと読むものというよりは、ヨーロッパだと原画を飾って絵画のように集める方も多くいらして、日本が本来持っている、例えば漫画は読み込むものとか着物は着て日常にするものとか、そういう文化丸ごと輸出できるものなのか。果たしてそういうふうに装飾扱いされてしまうことが可なのか否なのかも含めて、先生のお考えをお聞かせいただけたらと思います。
 最後に、高倉先生、今、ちょっと最近悲しいニュースがいろいろ私も聞こえてきまして、例えばアメリカの今を時めくアリアナ・グランデさんという女性歌手の方がいらっしゃいまして、大変親日なんです。日本語を勉強して、それをアップされたりとかしているんですけれども、プロモーションビデオで着物風のお洋服を着たりとかする中で、最近アリアナさんに文化の盗用だというような批判が集まってしまって、好きだったけどもう勉強やめるみたいなつぶやきをこの前ツイートでされたりということがありました。
 以前も雑誌で日本風の着物を着ていたら、これまた文化の盗用だというバッシングで下ろさなきゃいけなくなったりとか、今よく言われる、私たち日本人にとっては着てくれる、文化を愛してくれる、うれしいことなんですが、それがどうも世界の中では、一部、他国の文化を盗んでいるというようなバッシングを受けることを多々聞くので、この辺の状況とかお考えをお聞かせください。
#16
○参考人(高倉慶応君) どう答えようかと今考えておるところでございますが、まずサイズの件は、通常のやつよりも大きく作っています。百七十センチ、十分着れますので、機会があればまたモデルにも挑戦していただけるんじゃないかと思います。
 基本的には、現地の方がお召しになる可能性も考えて、通常の着物よりもより、ゆきと言うんですが、幅ですね、生地の幅が少し広いめの生地を使い、大体どうしても腰回りとかそういったものが日本人とまた体型が違う民族の方が大変多いので、ある程度広いサイズで仕立てもしております。そういったことにこのプロジェクトの場合は心掛けてきました。
 それから、装飾なのかどうなのかということなんですけれども、これは基本的には着たいという方が今多いように思います。私も昨年、ジャパン・エキスポも行きましたし、それ自分でどうやって着たのとかということも尋ねてみたんですけど、一言で言うと、海外の方の方が着付けに関しては熱心ですね。日本の方の方が何回教室に行っても覚えない。これが何かちょっと今、いわゆる、何となく逆行性なところを感じてしまっています。やっぱり我々が洋楽が好きだったりとか、例えば「ボヘミアン・ラプソディ」聞いて熱狂するのと同じように、彼女たちから見れば日本のカルチャーにそういった神秘性を感じたりとかいうことが、単純に異国のものとして捉えるところに神秘性があるやもしれないと思っています。
 装飾に関しては、これ昔からやっていまして、結局どう使っていいか分からないから飾るしかなかったというのが歴史の事実ではなかろうかというふうに思うのと、最後にちょっとおっしゃったところと関係があるかどうかは分からないんですけど、それこそ私よりも専門家の先生がいらっしゃるのであれなんですが、ジャポニズムの時代というのは、いわゆる自由にドレス化してみたりとか、有名な絵画とかもありますけれども、やっぱりファブリックとして日本の着物をドレスの材料に使ったりとかいろいろしてきたというふうに思うので、日本人が言うのはおかしいんですけど、日本の固有のデザインってほとんどないんですよね。例えば我々が帯に締めている家紋柄とか、あれはペルシャで発祥されたデザインですし、要は、日本の文化ってほとんど、まあそれを言ったら全部盗用じゃねえのというような話になるんです。胸が男女ともに左側が前に来るとか、例えば袖というものがロングスリーブになっているとか、こういうのは日本で生まれた形ではあるんですけれども、元々ほとんどの日本に伝わっているデザインというのはどこかに発祥があります。青海波でも、これたしかギリシャだったと思います。
 なので、昔から文化でいうと世界はつながっていて、これを盗用とかという考え方自体が非常にある意味例えば人と人を隔てようとする考え方なので、もうこれ、私、あくまで個人的な意見ですけれども、それはもう一笑に付せばいいのではないかと。そのような器量ではいかぬのじゃないかという、元々シェアしてきたはずだということで、先ほど出た歌手の方、私よく存じ上げないので何とも言えないんですけれども、それを盗用という考え方自体が世知辛い話だなというふうに思っているので、堂々と盗用して、盗用というか、どんどん好きになってもらっていいと思います。そのうち彼らが、やっぱりこの格好、ちょっと日本の本当と違うかもって気が付くときが来ると思うので、初めはかなり自由にやらせてあげないと、最初から日本人が今やっているような着付けを押し付けても、ちょっとこれは、日本人でも今嫌がられる方が多いので、難しいところがあると思います。
#17
○小野田紀美君 ありがとうございます。
 せっかく文化交流をしようとしたときに、それを受けてくれた側がバッシングをされるような土壌じゃちょっと嫌だなと思ったので、是非これは先生も、これは世界は一つだという気持ちで、そういうバッシングはやめようよというふうに是非啓発を一緒にお願いできたらうれしいなと思います。
 近藤先生、渡邊先生、それぞれに一点お伺いしたいんですけれども、近藤先生のところで、ハードは金の切れ目が縁の切れ目だけどソフトパワーは続くというような、青色の資料の中に書いていただいておりまして、実は昨日、日本国際漫画祭というのが飯倉公館で開かれまして、三百以上の作品が世界から寄せられて、日本の評価を受けるというような祭典がありまして、すごく今、本当に日本のポップカルチャーは、お二方から出ましたけど、コンテンツ力あるんですが、これが文化を外に出して文化交流をしようとしたときに、それぞれの文化のやっぱりタブーとかがあったりする中で日本のものを出していったときに逆に責められたりしないのかがちょっと心配で、今、国連の人が、日本の若く見える女の子の創作物も全部児童ポルノだ、やめろというようなバッシングをしたりしている中で、文化交流の中で気を付けなくてはいけないこと、譲ってはいけないところ、それを簡単にお話しいただけるとうれしいです。
#18
○参考人(近藤誠一君) 昔、一昔前、日本の漫画がアメリカにどっと流れたときに、そこの描写が暴力、それから性的な描写が強いということで反感を受けたことがございました。いろいろやり取りをしているうちに、漫画家の方も気が付いてその辺を控えるとか、そういう工夫をしてお互いに納得のいく漫画の交流ができたということですから、最初は間違いはあってもいいんだと思います。
 もちろん、余り強い宗教的な反発を受けるようなことをやってはいけないけれども、いろいろやっているうちにだんだんならされてきて、ああ、これはこういう国ではいけないんだなということが作り手にも分かる、お互いに学び合うということで、さっき渡邊先生おっしゃいましたように、相互交流進むことによってお互いに理解が深まり熟してきて、どこまでは言っていいのか、どういうことを相手は嫌うのかが分かってくる。それが文化交流のプラスですから、余り一回一回で否定的な反応があったとか批判があったということでひるむ必要はないのではないかと思います。
#19
○参考人(渡邊啓貴君) 私、先ほどページ数をちょっと、手元の資料とは違っていたので、皆さんのレジュメとページ数が違うことを私は言っておりました。ちょっと失礼いたしました。
 それから、今のお話ですけれども、おっしゃるとおりで、そんなに極端に考えることも実はないと思います。というよりも、むしろポジティブに捉えた方がいいのではないかと思います。
 例えば、今、漫画の話が出ましたのでそれだけ申し上げますと、少女漫画というのは世界で余りなかったんですね。コミックというのは皆さん御存じだと思いますけれども、「バットマン」とか「スーパーマン」とかという話で、男性が読むんですね、主に。人類の半分を読者にしちゃった、「セーラームーン」とか「ベルサイユのばら」とか。しかも、そこに歴史があり、日本の例えば「神の雫」というワインの漫画がございますけれども、イタリアとフランスのワインの説明をしていますけれども、それは日本語で説明して、それがフランス語になって行き渡っております。フランス人がフランス語で「神の雫」を見て、フランスのワインの勉強をしていたりするということもありますので。
 試行錯誤ではございますけれども、そんなにひどくない限りは時間の問題だと思いますけれども。
#20
○小野田紀美君 ありがとうございます。
 終わります。
#21
○会長(水落敏栄君) 古賀之士君。
#22
○古賀之士君 では、早速三人の参考人の皆様方に御質問させていただきます。
 まず、高倉参考人に、一点の着物二百万円という御予算を伺いましたが、これは並みいる日本を代表する作家さんたちをどうやって説得されてこの二百万円で収めることができているのか、これをお知らせください。
 また、いよいよトゥエンティー・トゥエンティーで、オリンピック・パラリンピック、東京で開催されます。これに向けてどのような夢や希望、そしてまたオリンピック・パラリンピックが終わってからの夢や希望、それぞれおありでしたらお知らせ願います。
 それから、渡邊参考人には、漫画のお話が今出ました。「NARUTO」のお話、ヨーロッパでも聞かせていただきました。御専門のフランスに関してで様々な尽力をされていることは今この場でも重々承ったところなんですが、特にそのフランスで、例えばスポーツ文化、食文化あるいは芸術文化、例えば日本よりも柔道人口密度が高いとか、あるいは食文化でもラーメンがヒットしているとか、芸術文化では北斎や、それから先ほどおっしゃった「NARUTO」、これは私、パリに行ったときに、居酒屋のお兄ちゃんから、日本人か、俺、「NARUTO」を読んでいるんだというぐらい非常に身近なところまで日本の文化が、これは特にフランスに関して、これまでの御尽力含めて何か秘密や秘策があったのか、こういったことがもし具体的に専門家としてお分かりなら教えてください。
 それから、近藤参考人には、そういったことも含めて、先ほどお話しいただいたソフトパワーの再認識、仕組み、これについて総論でより具体的な私見をお持ちでしたらお聞かせ願えないでしょうか。
 以上です。
#23
○会長(水落敏栄君) では、高倉参考人からお願いします。
#24
○参考人(高倉慶応君) 手短にお話しします。
 作者の皆様には、直接全部お会いしに行きました。今こういうことを考えているので先生よかったら参加してもらえませんかということを、当初は一軒一軒全部回りまして、口説いて回ったというのが本当です。
 その金額的な問題というのは、私はそんな少ないとは思わないんですけれども、でもまた十分でもないと思っています。ちょうどいいぐらい。これはもう、私の本業の仕事で長年経験してきた、大体このぐらいの仕入価格でいいものが手に入るんじゃないかと、本当にいいものがですね、という経験値を基にその金額を指しましたので、向こうとしても断りにくいし、逆に、だからといってそれで大もうけができるとかということではないと思います。
 ただ、言えることは、その差し上げた価値以上の着物を実際に作られているので、やはり日本人というのは本当に言われた以上のお仕事をなさるんだなというのと、全員同じ金額と分かって以降はやっぱり皆さん競争が始まりまして、正直言うと負けられない、あいつには負けられない、こいつには負けられないという、いい意味での競争意識が、着物のオリンピックみたいになっちゃったのかななんて感じに感じています。
 最後に、オリンピックに向けて、その後ということなんですけれども、できれば、これは、済みません、夢物語で、決まってもいないので、こういうふうに公式に残っちゃうのはどうかなとか思うんですが、できたら、開会式、それぞれの選手団の前を日本人が先導しますよね、各国。そのときにこの着物たちを着ていただくことができると、それぞれの選手とその国をまたリプレゼントした着物を着ている方が一緒に歩いていけるというのは、これは日本人が務める、こういう演出がもしもあるとすれば、そういうところで使ってもらったり、若しくは、全員着物を着た方が最後どこか出てきて、やっぱり手をつないで世界が一つになるというシーンこそオリンピックの精神、平和の祭典であり文化の祭典であるというところにも合致するので。ただ、これは私たちもこうなるといいなぐらいの話で、なかなかどういうふうな演出の中で、また若しくは果たして採用していただけるのかどうかもまだ私たちには分かりませんので、是非よろしければ皆様からも御推薦いただければと。
 その後といいますと、万博が決まりましたので、できればそこまでぐらいは私たちも頑張って活動を続けたいというのと、このプロジェクトそのもので海外に出向いていって、各地の主要な美術館であったりとか若しくはそういったイベントに丸ごと日本のPRの意味でも参加していければ、イマジンワンワールドという理念を世界に広める活動もやれればと思っています。
 以上です。
#25
○参考人(渡邊啓貴君) 御質問ありがとうございます。
 一つポジティブなことからいえば、フランス人は日本的なデリカシーといいますか、柔軟さというか、これを理解するんですね。同じように理解してくれます。そういう意味では、よく言われるヌーベル・キュイジーヌなんかは日本料理をかなり取り入れていると、そういうことになろうかと思います。
 ただし、ちょっと私も気が付くんですけれども、それ大変いいことなんだけれども、じゃ、その日本のブランドとか魅力というものは彼らの中で、これはフランスに限らずアメリカ人でもいいんですけれども、どのくらいの位置付けができているのかなというふうに思います。例えば、中国と比べて日本文化、どういう位置付けなんだろうと思います。中国ってやっぱり大きくて、お金を使ってダイナミックで、十九世紀のパリの万博のときに日本のパビリオンと中国のパビリオンはお隣同士にあったんですが、片方は派手で、日本はもう物すごく質素な感じ。これは逆に受けたんですけれども。
 ただ、それを考えると、ちょっとこれ水を差すような話になるんですけれども、日本の漫画ってとても売れているんですけど、実は向こうのコミックに比べれば安いです。向こうのコミックが例えば二千円とか三千円の棚に、普通の本棚に入っている。日本の漫画は、日本でいえば文庫本みたいな扱いです。駅のキヨスクでも売っています。だから、流布はしているけれども、どういう値段が付いているのか、ありていに言えばですね。
 これは万博のときに、十九世紀のジャポニズムの万博のときに、日本製品、全部売れました。売れた商品は何かというと、竹細工、紙細工、日本の伝統工芸です。このことが、日本の文化発信のときの、日本の文化の本当に親しみやすくて、伝統的で、自然に即して、そして親しみやすい、とってもいいコンセプトなんですけれども、彼らのうちで日本の文化あるいは日本という国のグレードがどういうふうに扱われているのかということに関係してこようかと思います。
 そういう意味で、今日、文化外交戦略と申し上げたのは、そういう意味できめ細かく、ターゲットは何だろうか、評価はどういうことにあるんだろうか、それからどういう分野でどういう反応が来るんだろうか、こういうことをそろそろきめ細かく考えながらやっていく必要があるのかなということでございます。
 御質問に答えての私の感想でございます。
#26
○参考人(近藤誠一君) 古賀先生の御質問は、ソフトパワーを再認識する仕組みとおっしゃいましたが、日本人がということでございましょうか。はい。
 人間は、全て自分自身を客観的に評価することがなかなか難しゅうございます。自分で自分の魅力と思っているものが必ずしも相手にはそう取られていないこともあるし、自分の気付かぬところが実は大変な魅力に感じられることもある。そういう意味で、日本の文化というのは、日本人自身の非常に奥ゆかしい性格もあって、なかなかこれが日本の文化だと言って、我々は、あるいはソフトパワーの源泉だと理解しにくいんですが、やはり外国に行って日本を見る、あるいはいろいろな文化的なイベントで外国人から日本の価値について聞くということで、次第に自分の認識も増してくる。私も二十年海外で暮らしたこともあって、日本の魅力というものをその経験である程度認識をしているつもりでございます。
 今パリで行われておりますジャポニズム二〇一八、それから来年のオリンピック・パラリンピックを契機に日本博というのを大々的に総理の御指示もあって文化庁がやるようですが、こういったことで外国人にいろいろなものを見せて評価をしてもらう。それを反応を見ることで、あっ、こういうものが実は自分は気が付かなかったけれども魅力なんだなということが分かってくる。そうすれば、それをうまく料理をして、それとなく示すことで日本の魅力が伝わる。
 そういうやはりやり取りがずっと続くことで、我々日本人自身の日本のソフトパワーに対する認識も高まるし、それをどうすればより効率的に相手に使えるかも分かってくる。そういう意味で、できるだけ、各、多くの分野の交流、文化交流ということを積極的にやっていく。それを政府が後押しをし、民間企業もいろいろ経済的なサポートをする。そういうことで次第に日本人自身も日本の魅力が分かってくると思います。
 特に、最近は禅とか高野山が大変な人気だということは、これはちょっと日本人はびっくりするわけですけれども、そういう精神性、日本人の持っているそういう自然を愛する気持ち、ああ、そういうものが非常にソフトパワーになっているんだなということを我々は今感じ始めたところでございます。
#27
○古賀之士君 ありがとうございました。
 以上です。
#28
○会長(水落敏栄君) 牧山ひろえ君。
#29
○牧山ひろえ君 立憲民主党の牧山ひろえです。
 本日は、参考人の皆様、大変お忙しい中、「文化、人的交流などのソフトパワーを活用した信頼醸成の取組の課題」、このテーマに沿った大変ためになるお話、参考になるお話、本当にありがとうございました。まずは厚く御礼を申し上げたいと思います。
 その上で、まず高倉参考人にお伺いしたいと思いますけれども、先ほどの陳述でのお話でもありましたとおり、高倉様は一般社団法人イマジンワンワールドの代表理事として二〇二〇年に向けてのKIMONOプロジェクトを進めていらっしゃる。これは、世界百九十六か国それぞれの歴史や文化のすばらしさを表現した着物を日本を代表する着物作家の皆様方の卓越した伝統染色や織りの技術によって制作され、世界をおもてなししようとされておられます。着物を通して、日本のすばらしい文化と技、和を重んじる精神性、「世界はきっと、ひとつになれる」というイメージを世界へ伝えていく、このことを狙いとされていらっしゃると聞いております。
 それに関して御質問なんですけれども、このようなプロジェクトが成り立ち、日本そのもののソフトパワーとなっていただいていることについては、日本の着物というものに文化としての深みや魅力があることが大前提となっていると考えておりますが、日本の文化や特産品などで、着物で成立したような、海外でも認められる魅力のポテンシャルを持ちながらも、現状ではその魅力が十分に発揮されていない、国際的に評価を得られていないようなものというものはあるんでしょうか。もしそのようなもののお心当たりがございましたら、是非教えていただけましたらと思います。
 そしてまた、そのような日本の隠れた魅力を再発見する方法ですとかあるいは視点などについて、何か思うところなどございましたら是非教えていただければと思います。
#30
○参考人(高倉慶応君) 今ちょっと私の専門外のことにお答えすることもなかなかできないので、ただ、私の目に見て、海外から高く評価されているにもかかわらず、一番国内で評価されていないものの最優先が着物文化ではないかなと、そんなふうに実際考えています。
 これを解決するのというのは、三、四十年掛けてやっぱり斜陽してきた産業であり、私は戒めを込めて申し上げれば、自分たち自身にも問題があるのではないかというふうに経済産業省の会議でも発言はさせていただきました。要は、自分たちが自分たちの首を絞めてきた、産業としてですね。だからこういう状況に至っているということはあるにしろ、失うには少しもったいない気がしております。
 ですので、このプロジェクトも、世界に向けて、発信というのも押し付けではいけないので、やはり向こうのすばらしさをリスペクトするということを、じゃ、気持ちを形にするということが着物にするということだと思っております。これは確実に伝わりました。例えば、デンマークから皇太子御夫妻が見えたときも、ふだんであれば我々が招かれることはありませんが、私たち、着物を見せていって、大変喜ばれました。昨年の天皇誕生日には、四か国の大使夫人並びに女性大使が着物を着て両陛下の前に行きたいとおっしゃいました。これは、まさにそのリスペクトというものを感じてくださり、それに何か応えてあげようということの行動だと思います。
 やはりそのリスペクトから始まったことに対する反応というのは非常に素直なもので、でも、そうはいっても着て大変だったんじゃないですかと聞いたら、いやあ、やっぱり動きにくいわねと。それがいわゆる素直な文化のやり取りの中から来てくるもの。でも、やっぱり一度着たらすごいとりこになったから、またそういうものがあったら着てみたいわというようなことを、これ各国の大使館から今もう毎日のように連絡が来て、今度国賓が来るから。残念ながら、これは内部からの要請ではないです。ほとんど海外からの、大使館からの要請がほとんどだというのが、まあ推して知るべしという部分ではないかなというふうに思っています。
 是非、それこそゴールデンウイーク、今度十連休あるので、皆様方も多分外国に行かれる方も多いと思うんですけど、皆様方こそソフトパワーとなっていただいて、海外に行くときだけでいいんです、着物を着ていっていただければ。それがある意味、我々からすると、是非、ちょっとこういうことを言うと大変失礼だと思うんですけれども、よかったら海外に行くときだけでいいので着物を着ていっていただきたい。そして、何かしら、また向こうの感じ方とか、また質問が来ると思います。それで、答えられなくて困って、じゃ、またそのことを家で、家というか日本に帰ってきてちょっと学んでいただく、そういったことの繰り返しでやっていただければと思っています。
 ちょっと質問の答えになっていませんが、済みません、これでお許しください。
#31
○牧山ひろえ君 大変参考になります。
 やはり海外の方々からのリスペクトから始まったものというのも大事だし、こちらからやっぱり自主的に発信していく。特に、私たちの宝である着物文化というものを再認識して、そういった重要性を日本の中で再認識して、そして世界に発信していくということを本当にこれからもっともっとやっていかなきゃいけないなと思います。
 私、以前、予算委員会のテレビ入りの質問の機会がありまして、もう十年ぐらい前になりますけれども、私、海外で長く暮らしていたものですから、日本にあって海外にないもので、すごく日本の中で魅力的だなと思ったものは温泉だなと思ったんですね。
 日本に帰ったらやっぱり温泉に入りたいなと思いましたし、温泉の文化というか、温泉が湧くところはいろいろあったとしても、温泉文化とか温泉旅館とか、日本の温泉が海外にないことに、長く外国に住んでいる者としてすごく前から思っていたものですから、予算委員会で質問の機会があったときにそのことを言いましたら皆さんに笑われてしまったんですけど、でも、よく考えてみると、笑われたということは、当たり前だと思っているから、何でこんな当たり前の質問をするんだろうと思われたのかもしれないんですけど、やっぱり長く外国に住んでいた者として、日本の魅力、着物文化もそうですけど、温泉文化もそうだと思いますけど、日本の良さ、日本ならではの魅力というのを再認識するということは、非常に参考人がおっしゃるとおり大切だなと思いました。
 二つ目の質問として、このKIMONOプロジェクトは、高倉参考人を始めとする一般社団法人イマジンワンワールドやそのほか多くの民間の皆さんの自主的な発揮が主導的な力となってここまで進んできたようにお見受けいたします。国としては、このような取組が日本の、そして各産業のあちらこちらから強い力で沸き上がってくるような状況をつくりたいと思いますけれども、そのためには国としてどのような政策なり支援なり仕組みなりが必要だと思いますでしょうか。
#32
○会長(水落敏栄君) 牧山君、誰に質問ですか。
#33
○牧山ひろえ君 高倉参考人に。
#34
○参考人(高倉慶応君) ありがとうございます。
 それこそ、例えば先ほど言った国際交流基金ですとか経済産業省のいろんなクールジャパンですとか、正直言って全部不採用だったんですね、これまで、我々のプロジェクト。そんなに駄目かなとかも思ったこともありましたけれども、単純に言えば、やっぱり実績がないとなかなか人って信用してもらえないので。もちろん、またもっと言うと、同じ業界の中にも同じように何人かオリンピックに向けてという方があったんですけど、結果的に言うと、結局補助が決まらなかったからしなかったという方ばかりなんですよ。なので、反面教師、もろ刃の剣なんですけど、やりたいと思うことがあれば人間どうにかするものだとも思っているんです。
 ただ、これ、私が思うのは、一回は我々が一生懸命やります、でも、二回転目、三回転目をさせなきゃいけないと思うんですね。例えば、じゃ、何、一回作っておしまいなのかと。その後、例えばその着物を今度どう活用していくんだとか、それをどこでどうやって維持管理をしていくんだとか、例えばですね、そういうときに、やっぱりどうしても永続的にこのプロジェクトが、やりたいことにかかわらず、着物の管理とか、例えば二〇二五年の先はどうするのかとか、どこに収蔵するんだ、どうやってプロモーションしていくんだということは、これは民間団体ではもう力に限りがあります。ですから、例えば四年に一回、じゃ、もう一回競作会やろうとか、こういうことも、そういった場合には必ず国の支援が必要になると思います。例えば、四年に四億円の予算を付けていただければ、もう一度その四年後に、今度国を変えて、みんなでまた違う国が作ることができたりもします。
 こういった意味で、二回目、三回目、要するに、最初回すのはやっぱり、創業者というのはみんな国の補助があって始めたわけではない人が多いので、自分がやりたい仕事を始めたと思いますが、その後、それが一回転した後に、是非、二一年以降にこういうプロジェクトがいい意味でまた二回転目、三回転目にしていけるようにするために、是非何かまた、制度というか、これは、済みません、私、全然どの制度があるのか分からないんですけれども、皆様方に例えば訪ねていったときに、こういう仕組みがあるからやってみたらどうかということと、あと、できたら、文化と経済が今ばらばらに動いているので、これが一番ややこしいです。文化は何か保護する的な予算がたくさんあって、経産省は売れないと駄目だというような言い方が強いので、そうではなくて、売るためにもいい文化を標榜して、それがあるから、ガンダムがあるからジムが売れるみたいな話ですかね。済みません、話が通じないと思いますけれども、要はそういうところの相関関係をうまく省を超えてやっていただけるといいなとつくづく感じました。
#35
○牧山ひろえ君 時間となりましたので、終わります。
#36
○会長(水落敏栄君) 次に、横山信一君。
#37
○横山信一君 公明党の横山信一です。
 続いて高倉参考人に最初にお聞きをしたいと思いますが、先日、まず、二月二日に衆議院の第一会館におきまして久留米商工会議所と高倉代表理事に我が党の山口代表がお会いをさせていただきまして、改めて感謝をさせていただきたいと思います。
 私、昨年五月に福島県のいわき市で開催された第八回の太平洋・島サミットの総理主催の晩さん会に出席をしておりまして、その折に参加各国をイメージした着物ショーが行われて大変に盛り上がったということをよく覚えております。国際会議の緊張感を和らげる最高のおもてなしだというふうに感嘆をした次第です。
 私自身は、ふだんの生活の中では和装とは全く縁がなくて、旅館に泊まったときに浴衣を着るぐらいのもので、先ほど高倉代表からも海外に行くときぐらいはというお話がありましたけれども、しっかり心にとどめておきたいというふうに思います。
 今の話というか、先ほどの委員の質問にも関連してくるんですが、この二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせた今のKIMONOプロジェクトが、この二〇二〇年終わって、全部の国の着物をそろえた後ですね、その後どうしていくのかということなんですけれども、着物を作るということに職人の皆さんも大変に意気に感じてというか、そこに心を込めて手仕事をされていく、そうした文化の継承ということに対しても、この作るということ自体が非常に大きな意味があったんだろうと思うんですが、このKIMONOプロジェクト自体は教育もエキシビションも地域事業もあって、それぞれ各国をイメージした着物を使って様々な活動をしていらっしゃるわけですけれども、既に二着目を制作した国があるというふうにも聞いておりますので、KIMONOプロジェクトの今後の展開をどのように考えているのか、お聞きをしたいと思います。
#38
○参考人(高倉慶応君) ありがとうございます。
 今後の展開、なかなか実はまだ、そうはいってもあと八十か国ぐらい作り上げなきゃいけなくて、まだデザインでいろんな国の方と、まあもめてはいませんが、もっとこうしてくれ、ああしてくれという話を今やっている最中でございまして、その先までなかなか目が行き渡らないところもございます。
 ですが、先ほどちょっとお話ししかかったんですけれども、今回、いわゆる全く初めてのデザインをそれぞれの先生がしました。今まで描いたことがない花、描いたことがない鳥、普通着物に描くことがない鳥とかですね、花とか。でも、上手な先生は初めて描いたと思えないぐらいうまいですね。そう思ったんですけど、じゃ、これは新しいデザインが生まれたなというようにも思いました。これまでの日本の着物になかったサムシングニューというのが日本の文化の着物のデザインの中にまた加わってきたな、だったらこの色使いはきっと今の時代に合うなとか、極端なことを申しますと。
 ですから、それによって、これから先生方がふだんなさるお仕事に随分大きな影響が出たそうです。これは金沢の加賀友禅の組合からも言われたんですけれども、加賀友禅の色が少し変わるかもしれないと、これから。どちらかというと渋い、曇天の美と言われているものが金沢だったんですけれども、これまでになかった色を使うことによって、また自分に新しい気付きができた。
 ですから、できたら、一つは、プロジェクトとしてまたやるべきことと、今度はそれぞれ着物業界の中でこのプロジェクトで得たヒントとかそういうものを誰かがまた再度、今度は彼らがふだん食べていく仕事において新しい、何というんでしょうか、収入が得ていけるようにするためにやってもらいたいなというふうに思っています。
 プロジェクトとしては、できるものなら、一番望むものはこういうことなんです。どこかの、例えば寄贈してしまうのは簡単なんですけれども、大体どこの行政でも、今まで寄贈されたものを見てきて、もう十年たったらカビが生えています。もう本当にもったいないな。だって、触れないし、所有権が移転すると僕ら手出しができないし、じゃ、せっかくその国から使いたいと言われても使わせてあげられないということがあるので、そういう中で、保管をきちんとしていただきながらも、やはり本来着物は着るものでもありますので、また、メンテナンスをすれば五十年、百年もつんですよ、本当に。なので、そういうものを大事に使うというためにどうしたらいいかということを私たちは今一生懸命考えているところです。
 大事に残すだけじゃなくて大事に使う。大事に使うというのが着物の本来の、使う方たちのスピリットだと思いますので、こういうことに関しては是非また皆様にお知恵を貸していただければと思っております。
#39
○横山信一君 近藤参考人に伺います。
 昨年十月に外務大臣に提出されました「文化・人的交流のための「日韓モデル」の推進を」と、私、読ませていただいて、貿易総額も二倍以上になっているし、人的交流も三倍以上でと、まして日韓賢人会議と日韓フォーラムは発足以来毎年やっているという、こうしたことを知りまして、逆に言うと、今、日本では韓国のKポップにしてもポップカルチャーにしても韓流ドラマにしてもいまだに人気もありますし、また韓国では日本のそういうジャパニーズポップカルチャーも人気があると。
 そういう意味では日韓の関係というのは非常に良く見えるんですが、一方で、昨年来続いている朝鮮半島の出身労働者に関する判決ですとか従軍慰安婦の問題でありますとか、連続してこういう韓国の対応が出てくるということに逆に不可思議さを感じてしまうわけでありますけれども、参考人の書かれた「アジア太平洋の未来図」の中の、政府による環境整備と日本人の意識改革を進めることが必要だと、その中で日本では市民社会が十分に育っていないということも例示をされているんですが、こうしたことを踏まえて、日本側が、我々日本側として日韓間の良好な関係を保つ上で必要なことはどんなことがあるのか、御例示いただければと思います。
#40
○参考人(近藤誠一君) 一言で申し上げれば、若干繰り返しになりますが、国家として、国としてはこういう問題があるけれども、それはもう自分のメンツのためにこの政治的な問題は積極的に解決しなければいけない、しかし、関係が悪いからといって、絶対に民間交流は途絶えさせてはいけない、中長期的には大事だからということをはっきりと言っていただくということ。
 それから、民間の方も、そういう政治の問題があり、メディアにどうも余り愉快ではない記事が載る、しかし、それはそれと距離を置いて、これはどうせ短期的なゲームなんだから、自分たちは十年後を見てこの隣の国と仲よくするんだと、リさんとパクさんとまた会ってみたい、そういう関係をどんどんつくっていく。そういう積極的に文化交流を市民レベルで続ける、顔の見える友人関係をつくるということを、こういうときこそ努力をしていただきたい。
 そんたくをして、あるいはちょっと関係が良くなることを好まない勢力が日韓両方にいます。民主主義ですから、それは存在は仕方がありませんが、それに惑わされずに、中長期的な視野で交流を深めることのメリットを我々市民全員が理解をする、そういうことが必要だろうと思います。
#41
○横山信一君 ちょっと時間が残り少ないんですけれども、渡邊参考人に、日本の主張をいかに海外に伝えるかということの上で文化広報活動の重要性を御提示いただきましたけれども、一方で日本にはそうした発想に基づく外交機関が十分にないという指摘もされていましたが、海外の事例で、とりわけ文化大国フランスではこうした部分どういうふうに取り組んでおられるのか、教えていただければと思います。
#42
○参考人(渡邊啓貴君) フランスはよく文化外交をしっかりしたものを持っているというふうに思われがちなんですけれども、必ずしも、すごい大綱を毎年定期的に出しているとか、そういう国ではないんですね。全部まとめた外交を文化外交と称して、組織立って、アンスティチュ・フランセ、フランス研究院、フランス院という言葉で使っていますけれども、そういうものをつくり始めたのがこの十年以内の話です。
 ただ、文化をどういうふうに商品化するということでは、外交に使うということでは伝統があるんですね。歴史を遡っていけば、例えば絶対王政の時代にフランスは豪華なものを売っていたんですけれども、そのカタログを作っていたんですね。王、貴族やそういう金持ちが買うカタログを作って、それをフランス語で書いていたんです。フランス語を読めないとカタログ読めない。そういうふうにビジネスとも関わってくるわけですけれども、国家戦略というふうなことを言わないまでも、そういうふうなベースがずっと昔からあるんですね。人的交流を通してあるんですね。そういう風土というのが日本にはなかなかないということ。
 それからもう一つ、先ほど温泉の話が出まして、ちょっと……
#43
○会長(水落敏栄君) 時間になりますので、簡潔にお願いをいたしたいと思います。
#44
○参考人(渡邊啓貴君) はい。
 じゃ、以上でございます。また。
#45
○横山信一君 はい。ありがとうございました。
 終わります。
#46
○会長(水落敏栄君) 石井苗子君。
#47
○石井苗子君 ありがとうございます。日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
 今日は、三人の参考人の方、ありがとうございました。
 時間もございますので、三つ、それぞれの方にお聞きしたいと思います。
 まず、高倉慶応参考人の方に、今日は着物も持ってきていただきましてありがとうございます。非常に具体的によく分かりました。
 日本の着物文化を世界に発信されているという取組、大変すばらしくて敬意を表したいと思っているんですが、私は着物を強制的に着させられる家に生まれまして、何とか自分で着れるんですけれども、この振り袖というのは二つありまして、一つは独身じゃないと着てはいけないということと、二つ目に、身にまとうものでこれほど自分でどうにもできないものがないんでございまして、帯なんて後ろなんかどうなっているんだかさっぱり分からないというような感じで、人に着させてもらわなければならないという、こういうことでございますと、先ほど温泉でしか浴衣を着ていないという発言もございましたけれども、だんだんと着なくなってくるものでございますが、したがって着物の産地というのがどこでも構造的な不況に見舞われているのではないかと思うんですね。
 着物文化を世界に広める取組というものがもしも地域経済の活性化につながれば、これは一石二鳥ではないかと私は思うんですね。先ほど、中国が即座に、幾らで買えるんだと、こう言ったらしいでございますが、着物文化を世界に広める取組が着物の需要の拡大につながるという手応えというのがもしおありでしたら、一つ二つ教えていただきたいと思います。
 続けて、近藤誠一参考人の方にお伺いします。
 ジョセフ・ナイ教授がおっしゃったこと、二つあるんですけれども、まず、間違わないように。強制や報酬ではなくて、魅力によって望む結果を得る能力をソフトパワーというと。それを定義付けの後に、国の文化、政治的な思想、政策の魅力と、この三つに分類したそうですけれども、日本においてはどれがソフトパワーの源泉になるとお考えかどうかということをお聞きしたいなと。
 もう一つは、ソフトパワーによる外交が、これまで日本は、私の主観ですが、重視してこなかった領域ではないかと思うんですが、お話をお聞きしておりますと、今後は日本も力を入れて取り組む必要性があると感じました。そうはいいながら、経済力が今低下したと言われておりますが、それでも通商国家である日本外交の基軸というものは、ソフトパワーというより、経済力を中心とした外交ではないかと思うんですが、この点について近藤参考人は外交の現場に長くおられた実感としてどのようにお感じになっているか、この二点についてお答えいただきたいと思います。
 最後に、渡邊啓貴参考人の方にお伺いいたします。
 日本の伝統文化というのは、キリスト教を基盤としたアメリカやヨーロッパの文化と異なると思います。普遍的な文化として欧米の文化というのは世界に浸透していく力があったと思うんですが、それに比較して、日本の伝統文化というのは浸透力が強くないという印象を持っているんですが、そういいながら、一方で、先ほどお話にありましたアニメやテレビゲーム、コンテンツ産業というのは大変強い影響力を持って今広がっているわけなんです。
 この文化を世界に広めるということの何か一つ秘訣のようなものがあったら、先ほどの三要素、概念化とコンテクストとネットワークだとおっしゃいましたけれども、それ以外に文化を世界に広める秘訣のようなものがあるのかという、この質問をさせていただきたいと思います。
#48
○会長(水落敏栄君) それでは、まず最初に高倉参考人、お願いします。
#49
○参考人(高倉慶応君) 海外における需要の問題だというふうに認識しておりますけれども、実際、私自身もクアラルンプールに一週間ぐらい行って浴衣を売ってみたことがあります。実によく売れました。それは、盆踊り大会が盛んなんですね。例えばマレーシアとか、これインドネシアも同じだと聞きました。要は、先に多分日本人の方が住んであって、日本人の身内でやっていた盆踊りがどんどんどんどんどんどん大きくなってきて、今はもう何か国民行事みたいになっているというようなところもありましたので、要は、着るものの場合は着る機会がないと売れません。
 ですから、今は、それはいみじくも日本の国内では着る機会が減ってきたり、今議員おっしゃったように着付けが難しかったりということで需要が減退したと思いますが、海外においても着る機会があれば増えるんじゃないかというふうに思います。それは、例えば日本のお祭りであったり、相手のカルチャーと相互、相入れる、どこかで何か、いわゆる日本の何かを積極的に、その場、その日だけは日本人になってもいい日とかですね、例えば、変な、よく意味が分かりませんけど、そういった着る機会さえあればだと思います。
 本当に、日本で普通に夏場で商売しているのかというぐらい、どんどんどんどん浴衣を買っていかれてびっくりしました。それで、着付けもその場で教えて、一回しか、もう簡単に教えてあげたんですけど、次の日ちゃんと売場に来て、どうだ、自分着れているか、女性ですけれども、というふうにおっしゃったので、ああ、やっぱり海外の方の方がその気になったらよっぽど、先ほどちょっと本論でもお話ししたように、着付けがうまいなというふうに思いました。これが一つ、浴衣という木綿素材若しくは化繊素材の価格の安いものはいけると。
 あと、中東とか、例えばそういったいわゆる資産をたくさんお持ちの方々は、もう明らかに皆さん金が大好きです。もうとにかく、好きな色はと聞いてもゴールドです。それは、ゴールドは色かどうか分かりませんが、なので、金をたくさん使った日本の豪華な織物は十分に海外でもっと、違う意味でですよ、帯ではなくても織物として輸出することは十分に可能ではないかと思います。
 染物に関しては、済みません、ちょっと外の、カルチャーが違うので、まだ私も勉強中です。
 以上です。
#50
○参考人(近藤誠一君) 手短にお答えいたします。
 ジョセフ・ナイの言っているソフトパワーの源泉のうち、私は日本が強いのは圧倒的に文化だと思います。それはなぜかといいますと、日本人が持っている自然観、それから相手に優しい、繊細さ、洗練さ、これはこの三、四百年世界を仕切ってきた西欧文明に欠けているもの、言い換えれば、その西欧文明が今やや壁にぶち当たっている、彼らがポスト近代を探しているときに、これがそれだと言い得る魅力があると思います。日本人自身が十分認識していないけれども、圧倒的に文化だろうと思います。
 政治思想というのは、例えば民主主義、市場経済主義、それを実行する政策、アメリカはそれをやってきました。それが今行き詰まっております。そういう意味では、文化というのが根源的に最も強いソフトパワーになるし、日本の持っている文化はまさにその典型だろうと思います。
 今後の日本の外交において経済大事です。しかし、日本の経済競争力の最も根源にあるのは勤勉さであり、たくみと言われる、細部にこだわり絶対に品質に妥協しない、その技術こそが日本の強みであり、それが明治以降の日本の発展を支え、戦後の発展を支えている。これが今、ちょっとデータ改ざん等でやや揺らいでいる、それが大変心配でございます。何とかたくみへの、その技術と技とそのこだわり、そういったものを取り戻すことで、日本の経済力、最先端の産業に今使われているそのたくみの力を取り戻すということが、ひいては強い経済外交につながると思います。
#51
○参考人(渡邊啓貴君) 日本の文化は西欧と違うということでございますけれども、先ほどページ間違えましたけど、後ろから二番目の九ポツのところなんですけれども、あえて言えば良識、あるいは人間の持っている良識、あるいはベースになるものですね。先ほどは共通規範とかということを言いました。当たり前のことなんですけれども、それをきちっと踏まえた上で違うことを示すということは理解できることだと思います。
 例えば、先ほど温泉の話出ましたけど、実は日本のおかみさんの温泉組合というのがありまして、おかみ協会というのがありまして、その人たち、英語のできる方が、おかみさんが着物を着て世界を回っています。アフリカに行きたいと、たしかアフリカでも温泉を誘致すると、温泉観光客を誘致するということをやっていたと思います。
 そのときにフランス人の温泉ジャーナリストという人が説明していましたけれども、何となく私たち日常でなじんでいる、温泉に行って、庭を散策して、部屋に戻ってきて食事をするとか、こういうことを一つずつ哲学的に説明するんですね、概念で。なぜ靴を脱ぐのか、なぜ浴衣に着替えるのか、当たり前のことなんですけど、それを、彼らにとっては不思議なことをやさしく説明しているわけです。そのときに、どういう発想を日本人が持っているからそうするのか、おかみさんが出てきて膝をついて挨拶するのはどうしてか。こういうことで、要するに、表面的には違うけれどもベースは同じだなということを確認し合っているんだと思います。
 そういう作業がある限り、日本の特殊性というのは受け入れられると思います。そういう意味では、コンセプトをいかにきちっと踏まえて表現していくのかということをさっき申し上げたかったことでございます。
#52
○石井苗子君 終わります。
#53
○会長(水落敏栄君) 次に、武田良介君。
#54
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、三人の参考人の先生、本当にお忙しい中ありがとうございます。
 まず、高倉参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
 今日お話をいただきました、このボランティアに基づく今回のプロジェクト、「世界はきっと、ひとつになれる」ということで、私も大変興味深くお話を聞かせていただきました。
 その上で、ちょっと端的に、一つは、聞き漏らしただけかもしれないんですが、確認をさせていただきたいと思いましたのは、プリンターで着物が作れてしまうという話も驚きましたけれども、今、手作りで工芸品として着物を作れる方、経産省の話ではピーク時の七%まで着物の生産減っているというお話ありましたけれども、そういった職人の方というのは今全国にどのくらいいらっしゃるものなのかというのが一つと、もう一つお聞きしたかったのは、高倉参考人自身が着物に対してどういうところに魅力を感じておられるのか、その参考人の感じている着物の魅力ということを、ちょっと時間短いんですが、お話しいただければなというふうに思っているんです。
#55
○参考人(高倉慶応君) ありがとうございます。
 着物の魅力自体は、まあぶっちゃけた話ししますと、私も呉服屋が継ぎたいわけじゃなかったんですけれども、本当に、父が病気で倒れちゃって、もう家がどうするこうするともめて、嫌々始めた仕事です。ですから、当初、済みません、古賀議員が笑っていらっしゃるのは事情を御存じだからだと思いますけれども、そういったことも含めて、実は最初から魅力というものがあったとは思いませんでした。要するに分からなかったわけです。要するに、これが今の多くの日本人と同じ状況だと思います。
 ところが、知れば知るほど、こんな感覚的に細かいところまで気を遣って一枚の布に絵を描いて、それをある日のためにやっているんだなとか、その背景にある日本人の精神性とか、また、その自然との調和にしても、やっぱり季節というものをまた考えながらデザインを考えたりとか、そういったいわゆる日本人の感性というものが背後にあって、しかも技術もすごい。ただ、今は評価はされていないという、浮き彫りになってくる。
 ここがいわゆる私から思う着物のすばらしさでもあり、もっともっと評価されるべきだと。もっと日本人が知れば分かってくるのに、なかなか学校でも教わらないし、家の中でも今もう誰も教えてくれないし、帯の締め方も分からない人同士でどうしようこうしようという話になっちゃっているから、それが原因なので、それに大きなインパクトのある何かプロジェクトを世界に向けて発信することによって、それがまた返って、日本にレスポンスとして返ってきて、日本人が気が付いてくれればいいなというふうに思っています。
 一言で言うなら、日本人がやっぱり美しくあろうとしたときにこの衣装を生み出してきたので、やっぱり、一言で言えば、日本の着物のすばらしさ、美しさだと思います。これは世界中どの国にも負けない、エレガントな美しさを持っていると思っています。これがある意味、品位となってくださることを期待しています、日本のですね。
 あと何でしたっけね。──はい。職人さんの数は、例えば大島つむぎというのは、これ鹿児島県にありますけど、この間、奄美まで行きましたが、生産反数は一%からもう〇・一%ぐらいになっているんですね。今現在、泥染って皆さん多分御存じかもしれませんが、泥でこうやる、あれやっているところは三軒しかなくて、しかもそのうちの二軒はもうすぐやめます。もう唯一だけ残った、ここが、息子さんは一応帰ってきていますけど、大島は作りたくないと言っています。
 というところが多々あって、この先生が隠居したら、若しくはやめたらこの技術がおしまいという技術が、僕が知っている限り百ぐらいあります。それはもうこの五年以内に確実に起こります。それはもう間違いないと思います。だから、職人さんの数は最盛期の売上げと、ごめんなさい、売上げというか、全体のあれと同じなので七%ぐらいまで減っていますけど、実際は百分の一になっていると思います。
#56
○武田良介君 非常に驚きを持って聞かせていただきましたし、その着物の魅力、美しさ、まず知れば分かるがというところも含めて今後の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 近藤参考人にもお伺いをしたいと思うんですが、お話の中で、私なりに問題意識に思っておりますけど、文化を外交にしていくときに、国がアクターとなってやるときに、その意図をどう発信するのか。それがプロパガンダとしてコントロールできるのかできないのかといったことが一方であると思いますし。
 そこで、参考人もお話しいただいたように、その秩序、平和の鍵という中で、やはり市民社会の役割ということを強調されておられたというふうに思うんですが、具体的に、例えば今、日本と韓国の間でということもあったと思うんですけれども、この間それぞれの、国家アクター、また企業間なんかでいろんな問題が起こりました。それはそれとしながら、市民的な、市民社会がソフトパワーで交流していくということだと思うんですけれども、国家、企業アクターがいろんなことが起こっている間に市民社会はどのように力を付けてきたのか。とりわけ、日本と韓国という中で市民社会がどのように歴史的に、力を付けてきたというのが正しいのか、どのような経過を経ているといいますか、その展望といいますか希望という意味でちょっとお聞かせいただけないかというふうに思っているんですが。
#57
○参考人(近藤誠一君) 国として日本の文化の力をフルに使いたいというときに、国が前面に出て、これが日本の文化だということをやることは余り得策ではない。昔、共産圏がよくやりました、国威発揚のため。それは受ける側がどうしても割り引いてしまいます。それよりも、環境だけつくり、後は日本の文化が持つ力が自然に発揮されて相手を魅了する。
 繰り返しになりますが、日本が大事にしてきた文化というのは、自然に優しい、人に優しい、繊細である、美しさを徹底的に追求する。それは誰にも通じるものです。それを制限をしないでなるべく自由に出す。そして、民間の方々も、もっと積極的にそれを自分でまず認識をして、それを相手に伝える。
 これも言葉で説明するとなかなか通じません。しかし、実際の、着物であれ、まき絵であれ、びょうぶであれ、書であれ、そういうものをどんどん出すことで、そこに何か、ああ、いいな、何かいいな、美しいなと感じてもらう。理屈ではなくて感性で感じてもらうことで日本の文化の良さが伝わっていく、そういう環境を徹底的につくるというのが政府の役割であり、それに必要な資金を提供するのが企業の役割であると。そのようにはっきりと役割分担をすることが日本の文化外交の一番重要な点だと思います。
#58
○武田良介君 ありがとうございます。
 渡邊参考人にも最後にお伺いしたいんですけど、先ほど回していただいた資料、フランスとの、何会議でしたかね、白い本、ざっと読ませていただきましたけれども、その国の文化を知るだけではなくて、その国の実情を知っていくことも大事だというようなお話がその中にあったかというふうに思っておりまして、なぜそう感じられたかということもそうですし、一方で、文化を入口に知っていくといいますか、ということもあろうかというふうに思いますので、とりわけ参考人がフランスとの関係で経験しておられるようなことだとか、もう少しお話しいただければなというふうに思っております。
#59
○参考人(渡邊啓貴君) 形になるものは、いろいろ美しいもの、はっきり分かりやすいものがあるんですけれども、それをどう意味付けしてくれるか、どう解釈するかということだと思うんですね。そのことについてやっぱり、先ほどから言っている言葉で繰り返しで恐縮ですけど、コンテクストというか、それをどうつくっていくのか。それは、その文化的な製品だけではなくて、やっぱりその社会の在り方というのを理解してもらった上で本当に理解してもらえると思うんですね。そういう意味で、日本の文化は盛んに世界に広がっていますけど、日仏の交流の中で社会科学の分野の交流が進んでいなかったんですね、ないんですね。それで私、そういうことを思い付いたわけでございます。
 コンテクストということで、あと三十秒だけお時間いただきますと、これは高倉参考人の領域になりますけど、今日、着物の話に随分傾斜しているので、ちょっと気が付いたことを補足させていただくと、源氏物語絵巻を西陣織で出しているんですね、長い、物すごい時間を掛けて作られた。これ、西陣織というのはフランスのジャガードという機械で再生してくるわけですよね。だから、これをお返しするんだというので、西陣織でフランスに返した。こんな長い源氏物語絵巻です。けんらん豪華な、物すごく時間が掛かった。これ、コンテクストが随分あると思うんですね、日本の歴史の、明治以降の歴史で。そして、それを物できちっと示して、しかも美しいと。こういうのは一つ成功例ではないかと思います。永続的な成功例ではないかなと思います。
 失礼いたしました。
#60
○武田良介君 ありがとうございました。
#61
○会長(水落敏栄君) 糸数慶子君。
#62
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 今日は、三人の参考人の先生方には大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
 最初に、高倉参考人にお伺いをしたいと思います。
 二〇二〇年の東京オリパラに向けて、世界各国をイメージした着物を作り発表会を行うという、先ほど丁寧に御説明いただきましたが、このイマジンワンワールド、KIMONOプロジェクトを主宰していらっしゃいますが、私も海外に行くとき、せめて海外に行ったときというふうに先ほど強調されておりましたけれども、とりわけ、私、これまで四回ほど国連に行きました。そこで沖縄のことをいろいろ紹介をしたり討論するんですけれど、そのときに、和装ではなくてやっぱり琉装、ちょっと、同じ着物であるんですけれども、着物の着方もそれから髪の結い方も違うんですが、話に入る前にやはり注目をされるという意味ではすごく効果的だったなというふうに思います。もちろん、そこから入って、やっぱり話もちゃんと聞いていただけるという意味では、海外こそ本当に着ていくべきだなということを改めて実感いたしました。
 そこで、話はちょっと違いますけれども、今、日本全国で海外からの観光客に向け、観光地巡りの際の着物のレンタルが盛んに行われております。沖縄でも企業が、先ほど申し上げました琉装のレンタルを行っております。こうした観光客向けの着物のレンタルが、観光産業全体の活性化にとって、着物業界の方々から見てどのような意味を持っているか、御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
#63
○参考人(高倉慶応君) ありがとうございます。
 日本の文化にも海外の文化にも、基本的にはある程度僕はヒエラルキーがあると思っています。要するに、庶民的な文化と、日本でいえば武家から生まれた文化と、あとはやっぱり皇室を始めとする公家の皆さんから生まれてきた文化があって、結構これが普通に混然としているので、結構そこはミクスチャーしていて、プロトコルとちょっと違うような使われ方をしているということは国内でもよくお見受けいたします。
 こういったものと同じように、海外から来る観光客の皆さんにもニーズが分かれると思います。いわゆる本格的なきちんとしたものを知りたいと、要するにお金が幾ら掛かってもいいんだというような方も見えるでしょう。でも、一瞬、例えばディズニーランドに行ったときに、例えばカリブの海賊の前で写真を撮りたいというような感覚でニーズがあると。ここがなかなか受入れをセパレートしてきちんと分けられていないという可能性があると思います。
 今のところ、まあ一度は日本の着物を着てみようかという方々向けの、ある程度お値段の安くて、何というんでしょうか、ああいうものがたくさん浅草とか京都でもはやっていますし、一部地元の方からはああいうのおかしいよねとかという意見も出ているようですけれども、ただ、じゃ、逆に、それぞれの地域に、今度、もっといいものがないのかと言われたときのサービスができていないので、これは各自治体とか、多分県行政だと思いますけれども、まずはその担当者になられる方が日本の中にもプロトコルがあるということをしっかり踏まえた上で、相手の国のどんな方たち、つまりそのターゲットの方たち向けにはこういったサービスをしようというのをしっかり分けて御提案されることが、恐らくインバウンドを伸ばすこれからの、特に着物にかかわらずですけれども、になってくるのかなと思います。
 衣食住はセットですので、やはり向こうの方たちのグレードに合わせてそれにお応えしていくべきだなというふうに私は思います。
#64
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、近藤参考人にお伺いいたします。
 先ほどもございましたけれども、近藤参考人は、昨年の「文化・人的交流のための「日韓モデル」の推進を」という提案の中で、政府がやるべきことは、両国の政治関係が悪化しても、文化交流はやはり発展させるべきとのメッセージを発信し続けることというふうに提言されていらっしゃいます。
 このことは、この間の日本を取り巻くいわゆる東アジアの国際関係を見るときに非常に重要だと思うんですね。そこで、是非改めてその意義をもう少し詳しくお話をしていただければと思います。
#65
○参考人(近藤誠一君) 有識者の間で議論をして、この点が一番誰もが強調した点でございます。
 どうしても、日本国民であれ、中韓、東アジアの国民の皆さん、やはり政府を見ている。そして、政府から何か叱られないように、心配であれば手控えてしまうという傾向があります。あるいは、両国関係を改善することが余り面白くない、そういう勢力が三つの国どこにもいらっしゃいます。そういった方々が割と今のSNSを使ってアピールをする、それを聞いてつい手控えてしまう。これがこの三国に見られる傾向で、これは決して良くない。
 政治関係はどうしても、隣国である以上、今後も続く。アップダウンはありますが続く。それに左右されずに民間交流を続けて、相互信頼を続けていこう。そうしないと、もうふらふらしてしまって、国民感情は永久に良くならない。そういう危機感が有識者の間にあったということで、こういう提言になった次第でございます。
 文化には元々すごい力が、特に日本の文化にはありますから、それをせっかく、出せば好きになってくれる、日本好きになってくれる、日本の魅力が伝わるのに、それをそういう環境ゆえに自分で抑えてしまうことは絶対に避けるべきだということでございます。
#66
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 それでは、渡邊参考人に最後にお伺いしたいと思います。
 今、沖縄県では、沖縄二十一世紀ビジョン、あるいはアジア経済戦略構想、その一環として空手発祥の地沖縄、そのことを積極的に海外にアピールするとともに、それから米国ハワイ州や南米諸国などの沖縄県移民の次世代のウチナーンチュネットワークというのがあります。そういうネットワークの形成と交流、あるいは世界各地における沖縄文化イベントの開催、それは沖縄県のワシントン事務所から県の発信などをしております。
 そして、独特のその歴史、文化を持っている沖縄としては、二十一世紀の万国津梁の実現に向けて、対外文化外交、それから対外発信に取り組んできておりますけれども、とりわけその対外文化外交について深い知見を有する渡邊先生に、このような沖縄県の対外文化外交について是非アドバイスをお願いしたいと思います。
#67
○参考人(渡邊啓貴君) 私、見ておりまして、沖縄というのはもうそれで、日本というより、日本の文化というよりもブランドですよね。沖縄という言葉そのものが、地名だけではなくて、一つ平和だとか、食でいえば健康食品とかそういうふうになっちゃいますけど、それから自然の豊かさ、長寿だとか、そういうことも含めて、私、それは非常に文化だと思いますね。
 したがって、それ自体、対外文化発信ということですけど、問題は政治との関係だと思いますね。これも知られていますから、世界中で、そのことをどう説明していくかと。今日、そういう場所ではありませんからこれ以上申し上げることではないと思いますけれども、そこが一つの、私、大きなポイントかと思います。
#68
○糸数慶子君 ありがとうございました。
#69
○会長(水落敏栄君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。
 質疑のある方は挙手を願います。
 それでは、川田龍平君、上月良祐君、横山信一君の順でお願いします。
 川田君。
#70
○川田龍平君 立憲民主党の参議院議員の川田龍平です。
 今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。本当に貴重な御意見をありがとうございました。
 私、ドイツに二年間留学をしておりましたときに、ケルンというところで日本文化会館の行事によく参加をしておりました。本当に海外で日本文化に日本人として非常に多く触れることができたんですが、渡邊参考人が、資料にも、フランスの日本文化会館をもっと活用すべきであると、これちょっと八年前、九年前の資料になるんですが、本当にそういったことを書かれていて、パリというのがやっぱりヨーロッパにおける日本文化を発信する場所として非常に貴重であると。さらに、ジャパン・ハウスというのが新しく今できて、ブラジル、米国でもありますけれども、もっと積極的にこういった日本文化を発信していく場所というのがやっぱり必要ではないかと思っております。
 その中で、もう一つが、渡邊参考人の資料には、日本語の発信というか、日本語をいかに普及していくかということで、ドイツにはゲーテ・インスティチュートがありましたし、中国でも孔子学院など、そういった日本語文化をもっと発信していく、日本語というものをもっと積極的に発信していくものがあっていいのではないか、そういったものをもっと国として支えていくべきではないかと思っているんですが、それについて、渡邊参考人、いかがでしょうか。
#71
○参考人(渡邊啓貴君) 全くそうだと思います。
 それで、例えば今英語でもいろんなことが伝わるんですね。そういう意味から言うと、現地語あるいは日本語を学んで、発信する側でいえば現地語ですけど、受け入れる側としては日本語を学んでほしいということになりますけど、それはとても重要なことだと思うんです。
 どういうことかといいますと、英語もできるインテリ層というのはどこの国でもいます。だから、そういう意味で日本の仕組みとか表向きの政策を理解してくれることはできる。しかし、それがソフトパワーとして相手の国民の日本へのサポートにどのくらいつながるかというところにこの文化外交の問題があるわけですから、だとすれば、その言語というのはとても重要なことだと思います。
 そういう意味では、今おっしゃられたケルンもやっていますけれども、パリの文化会館なんかでも語学、日本語の教育ってやっていますけど、私、どう見ても不十分だと思いますね。しかも、ヨーロッパ、あるいはアジアだったら特にそうですけれども、首都だけじゃなくて地方にもたくさん、現地の人と結婚したりいろんな、そこまではなかなか回っていないという、これはもっともっと強化すべきだと全く思います。
#72
○川田龍平君 私、アメリカのポートランドにも行ってきたんですが、領事館がちょっとなくなってしまったというのは大変残念に思っています。日本文化研究をしている大学が、非常に積極的にやっているところもありますし、そういう意味ではやっぱりそういった大学の、特に日本語学を学んでいるような人、日本語を学んでいる人たち、日本学、ジャパノロジーを学んでいる人たちがやっぱりしっかりいるところをもっと充実させていくべきではないかと。
 本当にそこが失われてしまったのは大変残念に思っているんですが、日韓の、先ほど、「文化・人的交流のための「日韓モデル」の推進を」というこの提言書の中に、特に「子供・青少年交流」というところで、特にヨーロッパで実施されているエラスムスプロジェクト、私もこれ大学にいたときに、海外から、ドイツの海外からですね、本当に様々な国の外国人大学生が単位互換制度でもう来ているわけですね。そういったものというのは非常に重要だなと思いまして、これを是非アジアで進めていくということはとても大事だと思いますし、まさに今お互いのホームステイとかホームビジットが非常に少なくなってきているということについても非常に危機感を感じております。
 そういった意味では、やっぱりアジアのそういった交流、特に韓国、中国、そういった国との単位互換制度に基づくこういった大学、大学院での交流プログラムをもっと盛んにやっていくべきではないかと思いますが、近藤参考人、いかがでしょうか。
#73
○参考人(近藤誠一君) 全くそのとおりだと思います。
 私もエラスムスプログラムを見て、こんなすばらしいものはない、東アジアにも導入したいと思って、ちょっと調査をいたしました。
 ヨーロッパにおける留学の割合、域内における留学の割合と、東アジアにおける学生の交流、大まかに言うと十対一。しかも東アジアの場合には、東南アジアの学生が日本とソウル、そして最近は北京に行く、一方通行であると。それでは余り意味がないわけで、ヨーロッパのようにいろんな国の学生が行ったり来たりして交わることでもう異文化が自然に身に付く、ヨーロッパ人という意識が高まる、これを東アジアでやりたいと思ったんですが、いろいろな制約がございます。ある国は必ずしも学問の自由がないとか、ある国は自分の国の大学の単位をほかの国のようにはそう簡単に与えたくないとか、そういうようなやや視野の狭い制約が実はたくさんあるということで、なかなかそれが進まない原因ですが、だからといってこのすばらしい枠組みを諦める必要はない、何とか前に進めたいと思っております。
 やはり社会人になる前に、まだ心が真っ白なうちに交流をし相手のことを知る、自分と違うものがあり、そこに価値があることを知るということがその地域の平和の最も礎になると思います。
#74
○川田龍平君 私、先ほどの提言書の中で、外務省のホームページで日本語、英語、韓国語、中国語でもこれ掲載していくべきだというのがあって、非常に今、「歴史・文化・文芸・思想などに関する、日韓の代表的な古典および近現代の作品を相手国の言語に翻訳して共同出版することは、両国の知的交流において根幹となる。この作業を「日韓・知の共有プロジェクト」と名づけて推進することが、長い目で見て両国理解の土台となる」ということが書かれております。本当にそういった知的な交流というものをやっぱりしっかりしていくことが、本当にこれはとてもお互いを知る、そして信頼を醸成する上で大変重要だと思っておりますので、是非そういったことを、お互いの主張だけを述べるのではなくて、本当にそういったホームページなどを通じて両方が相互にやっぱり知ることができるような関係をつくっていくことが大事なことじゃないかと思っております。
 ドイツとフランスが長年にわたって文化を共有するということで、チャンネル・アルテというのがありまして、僕もずっとドイツでテレビを見ているときに、これ同じ番組をそれぞれの言語で同じ時間にチャンネルでもって両国に放送していると、こういったことがやっぱりお互いの国を知ることになるのかなと思ってずっと見てきました。
 それと、ルーマニアに訪れたときには、ルーマニアは七か国語ぐらい使えるんですね、ルーマニアの知的層は。非常にロシア語もフランス語もイタリア語もスペイン語もルーマニア語もドイツ語も英語も使えると。本当にそういった人たちがいるのを見て、彼らはもう普通にテレビを見ているとそれぞれの国のチャンネルが見れるんですね。
 そういう、もうテレビを通じてそれぞれの言語を本当に日常の言語からも知ることができるし、そういった知的な、非常に高い層の知的なレベルでも知るという、そういった層が育ってきているわけですが、そういった意味で、やっぱり日本もそういったお互いの国のチャンネルを自由に見れるような、それがもう普通に地上波で、特に有料テレビとかそういうことではなく見れるようなものが、今インターネットの時代ですけれども、そういったものがあっていいんじゃないかと思いますが、それについて、渡邊参考人と近藤参考人、いかがでしょうか。
#75
○参考人(近藤誠一君) おっしゃるとおり、文化交流で、いいなと思う、美しさを感じ合うと同時に、知的に、つまり理性を、左脳を使って、ああ、こういうすばらしいことがあるんだとか、ああ、この国にはこういう思想があるんだと、そういう思想があるからこそこういう着物になったり焼き物になったりするんだという、そこを分かってもらうことがやっぱり文化交流の究極の目的ですから、そこに行く上で、文化交流でまずは敷居を低く、間口を広くして日本を好きになってもらうと同時に、いや、日本は実はこの奥にこういう精神文化があるんですよ、あるいは日本語というのはこういう美しい言葉を表現するものがあるんですよということを分かってもらう。そういう努力を、おっしゃったような地上波等を使って、つまり、そこに行かなくてもフォローアップできる、いながらにしてそういうものが分かる、そういう工夫をすることで日本の魅力の一番の奥にあるものが浮き上がってくる、彼らに理解してもらう。そうなると、日光東照宮に行ってすばらしかっただと一回で終わってしまいますが、そういう魅力が日本にあると思えばリピーターになると思うんですね。ああ、また来ようと、今度は家族を連れてこのすばらしい精神性のある高野山に行ってみようとか、こういう美しい日本語の話されているところに、田舎に行ってみたいという、そういうリピーターになって、それが本当の日本の魅力の発信になるんだろうと思います。
#76
○参考人(渡邊啓貴君) NHKの放送が英語ですよね、あれ随分論争があったみたいですけれども。それから、海外の放送、ホテルに行くと、最近は日本語のポストはあるけれど、実際契約していないとかというので、どんどん後退していますよね。やっぱり日本語の放送というのはとっても私、まだ遅くないと思いますけれども、是非予算を付けてやるべきだと思います。日本の一に対して、中国語の放送って五とか十チャンネルぐらいありますからね。それは大きいと思いますね。
 それを、ただ、番組内容というのをもう少しいろいろ考える必要があろうかなと思います。英語で伝えられるものだけじゃなくて、日本語でないと分からないという番組を作る必要があるかと思います。
#77
○川田龍平君 まとめます。
#78
○会長(水落敏栄君) もう時間ですので、お願いします。
#79
○川田龍平君 はい。
 最後に、食文化についてとかそういったことも、やっぱり食育なども韓国と共通するところがあると思いますので、是非そういったことも進めていくと同時に、済みません、高倉参考人にも聞きたかったのですが、和装もいつもしていますので、海外だけでするのはなかなか難しいので、日本でもできるようにと思っております。結城つむぎとかちょっとなかったのが残念だったんですが、またいろいろ日本のそういった地域の独自の文化をやっぱりしっかり発信できるように、また協力したいと思います。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#80
○会長(水落敏栄君) 上月良祐君。
#81
○上月良祐君 自民党の茨城県選出の上月良祐と申します。
 今日は、本当にいいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。僕は鹿児島にも六年間行っていたので、大島つむぎが非常に今大変な状況になっているという話はちょっと残念に思います。
 先生方から、渡邊参考人と近藤参考人に質問はお聞きしたいと思いますが、今、川田先生が聞けなかった食文化のことをちょっとお聞きしたいと思います。
 私は、今、党の方で農産物の輸出に関わっておりまして、ただ、日本の場合は、アメリカ方式、カナダ方式とオーストラリア方式のようなバルクで物をどんと売るという形ではなくて、フランスとかイタリアのような形で文化と一緒に売らなきゃいけない、物じゃなくて事を売らなきゃいけないんじゃないかということで今一生懸命やっております。広義の文化というよりは文化そのものなのかなというふうに思ってやっているんですが、今、一兆円の目標というのが政府でありまして、一年前倒しをしたんですが、何とかかんとか達成できるのかなというところまではこぎ着けているんですが、これはあくまで通過点なので、その次なる、何というか、更なる発展といいますか伸ばしていくためには、今と同じことだけではやっぱり駄目なんだろうというふうにも思っております。
 それで、物理的な商流の話で、ビジネス周りの話というのはたくさんあるんです。ディストリビューターという輸入代理店とか小売販売網の話とかという話はもちろんあるんですけれども、先生方にお聞きしたいのは、アドバイスがあれば是非お聞きしたいのは、日本食、和食の文化の普及に関して、ちょうどオリパラとか万博とかもあるので来ていただく人もいるんですけれども、そういった機会を捉えてというだけじゃなくて、海外の経験もあられて、実際に向こうでいろんなものを見てこられた先生方として、御参考人の先生方として、さっき一つ、ターゲティングみたいなものを余り国が文化に関してはやり過ぎない方がいいという話もちょっとあったんですけれども、そういったことも含めて何かアドバイスがあればなというふうに思います。
 ちなみに、それで私は、混沌とする世界の中で日本が大切にすべきは、もう本当に先生方おっしゃったとおり感性だと思っているんですよ。理屈というのは幾らでも何かある意味つくろうと思えばつくれるんだけど、この花がきれいかどうかとかこの紅葉がきれいかどうかというのは感性なので、繊細さとか美しさとか自然との関係、繊細な四季もあるからなのかなと思いますが、そういったものは本当に大切にしないといけないと思っておりまして、まあそれは私の意見なんですけど。
 今申し上げました食文化、食に関して、これからもっと普及をしていきたい、文化の一つの重要なアイテムとしてやっていきたいというときに何かアドバイスがあればということを渡邊参考人と近藤参考人からいただきたいと思います。
#82
○会長(水落敏栄君) では、まず渡邊参考人、お願いします。
#83
○参考人(渡邊啓貴君) 日本食といった場合に、いろんな分野で日本食普及しているんですけれども、そこに、格差と言うと変ですけれども、ラーメンが売れているのと懐石料理が売れているってやっぱり違う、客層が違う。まあそれをターゲットと言っていいかどうか分からない。そうすると、いかに付加価値を高めていくかという話にやっぱりロングタームで考えるとなるわけで、ラーメンや何かというのは、もう普及しているのは若い人に、安いから、フランス料理食べるよりも安いからというところもあります。でも、高級懐石も同時に売れていると。だから、こういう日本商品の、これは食に限らずですけれども、それをどう付加価値を高めていきながら説明していくかということになると思います。
 多分そこで感性の話が出てきたんだと思いますけれども、経産省がやった、いろんな商品の、売れた、非常に良かった展覧会のタイトルが感性展なんですね。感性の展覧会だった。でも、実際は日本の伝統的な商品を並べているんです。そこに説明を加えていったんです、どういう感性かと。ただ見て、良かった良かった、役に立つではなくて、どういうふうにして日本人はこれを役に立てようとしたのか、きれいにしようとしたのか、見やすくしようとしたのか。そこのところが私が先ほどから申し上げている説明といいますか、コンセプト。
   〔会長退席、理事堀井巌君着席〕
 それによって、実は百円のものでも、まあこれはフランスはそれでやってきたわけですけれども、何百円かのバッグが何十万円で売れる、何百円の香水が何十万円になると。これはビジネスだけではなくて、それは日本文化の上昇ということになりますから、それはそれぞれの分野での付加価値の問題というふうに私は考えております。
#84
○参考人(近藤誠一君) 私も、和食というのは最近になってやっと文化庁の文化のカテゴリーに入ったわけですけれども、和食ほど日本の文化を総合的に代表しているものはないと思います。それは、単に健康的であるとか見た目に美しいというだけではなくて、季節感が極めて微妙に出てくる。同じ魚でも、例えば名残ハモという言葉が私大好きなんですが、祇園祭の頃にハモがたくさん、皆さん、京都の方が楽しまれる。秋になるといよいよハモのシーズンが終わりだと、そのときのハモを名残ハモと呼んでいる。それは、ああ、この夏が終わった、また来年の初夏に会いましょうねという感じで、それを、行くものを惜しむ気持ち、これは桜を楽しみ桜を惜しむ気持ちと同じだと思います。そのように、毎食、一日三食の間に季節感を徹底的に味わう。
 それから、使う器ですね。まき絵であったり焼き物であったり竹の細工であったり、そういう日本の伝統工芸品のすばらしさ。日本の伝統工芸品と食に共通しているのは、自然の素材を大事にし、自然から色をもらい、着物もそうですね、そしてそれを徹底的に大事に使って、最後は土に返るわけですね、いずれも。プラスチックなんかは使わない。そういう、ある意味ではエコである。自然を大事にし、自然に使ったものを戻していくという、そういう日本人の最も思想の根幹にあるものが食。それは食材であり、使う食器であり、周りの畳であり、家の中に表れている。
   〔理事堀井巌君退席、会長着席〕
 それを、渡邊先生がおっしゃるように、単に見せていいなと思ってもらうのに加えて、実はこういうことなんですよということをちょっと教える。そうすることによって、ああ、和食ってそういう深い意味があるんだということで、ますます和食への関心が高まる。自分でちょっと茶わんを焼いてみようと。それを、茶わんを焼いてあげて、それで和食を食べてもらう。そういうようなちょっとした工夫をすることで、和食の魅力は幅広く世界に広がると思います。
#85
○上月良祐君 ありがとうございました。
#86
○会長(水落敏栄君) 横山信一君。
#87
○横山信一君 先ほど、時間がなくて、お聞きしたかったのが実は食文化でございまして、引き続きお願いしたいと思いますが、渡邊参考人と近藤参考人にそれぞれお伺いしたいと思います。
 渡邊参考人には、コンテクストづくり、文化外交三原則の中の一つのコンテクストづくりが重要だということはよく理解できるわけですが、その上で、どんなに広報しても相手に本当に日本の味方になってもらうのは難しいというお話もありましたけれども、だからこそ広報活動には文化外交が重要になるわけですが、それでも乗り越えられない異文化の壁というのがあるのではないかと。
 実は、私は商業捕鯨の再開に取り組んできたんですけれども、捕鯨ですね、鯨。日本は三十年以上にわたって国際捕鯨委員会の中で科学的な資源評価に基づいた多様な価値観の重要性というのを訴え続けてきた。しかし、それを認めようとしない国々が、頑として認めようとしない国々があって、そこにその広報の難しさがあるというふうに痛感をしてきたわけなんですが、道理が通っていて、科学的な根拠もあって、なおかつ宗教上の問題がないものであっても乗り越えられない異文化というのがあるのではないかと、それが鯨食文化だったんじゃないかというふうに私は痛感しているんですけれども、理解されない文化という、この点について渡邊参考人の御意見を伺いたいと思います。
 あわせて、近藤参考人に同じ視点から、近藤参考人の先ほどのお話では、文化の持つ力というのは異なる価値観の理解だと、それが協働の方に働いていくんだというお話がありましたけれども、やはりこの鯨食文化というのを考えたときに、必ずしもその協働のベクトルに向いていかないというふうに実感をしているんですが、そういう異なる文化を理解できないというものに乗り越えられない文化があるんじゃないかと、若しくはその乗り越えられないようなものをどうしたら乗り越えられるのか、その点について教えていただきたいと思います。
#88
○会長(水落敏栄君) それでは、渡邊参考人からお願いします。
#89
○参考人(渡邊啓貴君) 捕鯨のことでいえば、かつて日本の刺身だとか私たちが踊り食いを食べるなんというのはとても野蛮なことだと言われていましたけど、今それはおいしければいいやということになっていますね。
 それからもう一つ、死刑の問題がやっぱりありますね。これも乗り越えられない壁ですけれども、これは、私も正直申し上げて、こうすればいいというものはないと思います。ただ、とても時間が必要なものだと思います。
 それからもう一つは、受け身で、要するに、世界の論理というのは西欧近代文化がメジャーになっているわけですから、唯一ちょっと反抗しているのが中国でございまして、それを日本がどうアクセプトできるかというと、なかなか難しいところが結構あると。
 そういう意味では、日本はもう少し自分の価値観を言った方がいいですね。死刑はなかなか言いにくいところでしょうけれども、数字や何かだけではなくて、自分たちの文化として言った方がいいと思いますね。それは、嫌がられるかもしれないけれども、究極的な意味でいえば、腹切り、切腹なんてとても野蛮なことですけれども、文化としてある程度は受け入れられているわけですから。
 それとはちょっと違いますけれども、やっぱり私たちは、受け入れてそれに答えるじゃなくて、自分たちで発信するという姿勢、それを何かつくっていかなくてはいけないということだと。今それだけの、そういうソフトパワーを発信するにはそれだけのバックグラウンドがなきゃいけないですけれども、例えば中東の、戦争をして、小さい国が幾ら発信しようとしても説得力がない。でも、日本は説得力を大分持つようになっていると思いますので、その姿勢が弱いんだ、強化すればいい、もっとやっていくべき方向だと思います。ちょっと抽象的ではございますけれども。
#90
○参考人(近藤誠一君) 私がデンマーク大使として赴任をした直後に、和歌山県のある町でイルカを殺して食べているというのが映画になりまして、ドキュメンタリーでかなり誇張がございました。それを放映するから来いと言われて、私は行きました。
 かなり見た目に残酷な絵を見せられた上で、こんなことを何でやるんですかと言われた。私はそのときに、いや、人間は生きるためには自然から命をいただくんだと、だから日本人はありがとうと言っていただく、いただいたものは一〇〇%使い切るんだと。もちろん、科学的に種が絶滅するようなものは保護する、それは分かっている、しかし、イルカにしても、ある一部の鯨にしても、もうそういうことは証明されているんだから、それは食文化として必要なんだと。あなたの国は、デンマークは豚肉で有名ですから、豚肉食べますよね、豚はやっぱり殺すんですよねと。肉を自然からいただくためにはやっぱり殺さざるを得ない。しかし、それに対して十分にリスペクトをし、ちゃんと拝む、感謝の気持ちを出す、そうすることで生態系は回っていくんですよということを説明しましたが、もちろん彼らの三分の二はブーイングでした。
 しかし、彼らはその後少し考えたと思います。そこはもう信じ切って、宗教と言うとオーバーですけれども、いや、豚の殺すのとイルカ殺すのとどう違うのかというふうに考えた人がいると思います。粘り強く説明をし、日本に住んでもらう、そうすることで、ああ、日本のカルチャーはこうで、こんなに自然に優しい人たちなんだから、イルカや鯨を食べるのもその枠の中であろうということを感じてもらう。
 百年掛かるかもしれませんが、決して諦めずに続けることが文化交流の価値であり、だからこそ何としても続けなきゃいけないというふうに思っております。
#91
○横山信一君 終わります。
#92
○会長(水落敏栄君) 伊藤孝恵君。
#93
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 本日、三人の御参考人の皆様、本当に示唆に富んだお話ありがとうございました。
 先週、私、日中議員交流で中国に行ってまいりました。まさにその場でも、この文化、人的交流についても中国の議員の皆様と対話をしてきたんですけれども、つまり、友好の進展のためにこれらの交流があるとしたときに、両国に暮らす人たちがお互いの国を知って理解をして好きになる、そのためにこういったようなことがあるんですが、そのやっぱり過程をいかにつくれるかというのを、私たちはどういうふうにつくっていくのか。またさらに、殊更、未来を生きる次世代の若者たちに交流をしてもらう、そういったその道をつくる、その機会をつくるために尽力をしていこうというようなお話をしていました。それが、中国のみならず、いろんな国との私たちが想像を超える関係性をつくる唯一の方法であろうというふうに思いました。
 今、先ほど高倉参考人の方からも、ネット情報では分からない、好きになるにはまず知ることだと、相手を徹底的に知るのが大事だというお話いただきました。それから、渡邊参考人の方からも、文化の交流というのは価値の交流だと、対話であり、価値観の違いをいかに超えていくかというようなお話をいただきまして、非常に共感をいたしました。
 ここからは近藤参考人にお伺いしたいんですけれども、日本でも対日理解促進交流プログラムというのがあります。昨年の十二月にも、百九十九人の中国の高校生を日本に迎えました。それで、いろいろな一緒に体験をしたりディスカッションをするんですが、彼らのみずみずしい感想を聞いていると、日本人では中国に親しみを感じない人は七八・五%という悲しい数字があるんですが、これらを全く感じない、本当に彼らの感性で交流するということに価値を感じたんですが、その交流のためのディスカッションテーマがオリンピックですとか植樹ですとか、昨年の十二月は高齢化社会と老人介護というディスカッションテーマだったんです。私、これらに本当に少々物足りなさを感じておりまして、このアジェンダ設定は、青春時代にはもっと心震えるディスカッションをしてほしいと思うわけです。
 これから彼らが生きる世界というのは、国境なんてなくなります。AIとかIoTとか、ロボットによって働き方も生きるために必要な力も変わっていく。そのときに、お互いの国にある課題にどう向かうのか。それこそ、生まれながらに格差があるのは普通なのか、生き方を自由に選べる社会ってどうやってつくるのか、そういうようなテーマでディスカッションしてほしいと思うんですが、外務省ないし文化庁のアジェンダ設定というのは時にオリンピック、植樹、老人介護みたいなところになってしまう。もう一つ深い、そういったアジェンダ設定をするというのはできないものか、そういったところについてお伺いできればと思います。
#94
○参考人(近藤誠一君) 先生おっしゃるとおりで、恐らく、なるべく無難に、変に政治問題にならないように、民族争いにならないようにと選んだのかもしれません。しかし、それでは物足りないことはもうおっしゃるとおりです。
 例えば、じゃ、AIがどこまで人間と取って代わるのかとか、人間とはそもそも何なんだというようなことをAIをきっかけに考える。あるいは、ゴリラと人間比べて人間とは何なのかということを考える。人間とは何か。じゃ、民族の違いって何なんだろうかと。言葉が違うということと文化が違うということはどういう意味があるのか。AIから見ればどうだろうか、ゴリラから見ればどうだろうか。そういうような議論をすることで、ああ、実は人間同士、こんな違うようだけどつながっているんだなとか、違いは違いだけれども、それはそれぞれ気候風土があって違うのであって、歴史が違うのであって、本質的な違いじゃないんだということが自然と分かってくる。そういう、仕掛けといった言葉は良くないですが、そういう方向に導くようなテーマをやはり出して、真ん中辺でちょっとそちらの方に行くように誘導する。そういうような工夫をするとしないとではこの対話の効果は随分違ってくると思いますので、そういう努力を組織をする方々はもうちょっとしてほしいという意味では先生がおっしゃるとおりでございます。
#95
○伊藤孝恵君 その無難の壁ってどうやったら越えられるんでしょう。
#96
○参考人(近藤誠一君) どうしても霞が関は無難にという空気が強うございます。それはなかなか、慎重であり、前例を大事にすることそのものは、安定性という意味では確かに価値はあります。しかし、この変化する時代にはそれだけではいけない。それを基礎としつつも、やはり、特に青少年に議論をしてもらうときには思い切った題をぶつけてみる。そういう両方をうまくバランスさせるという努力をもっと霞が関の私の後輩たちはやっていただきたいなと思います。先生のおっしゃるとおりです。
#97
○伊藤孝恵君 それでは、是非その御担当者、後ほど教えていただければと思います。
 次に、渡邊参考人にお伺いしたいというふうに思います。
 今、いろいろなお話の中で、文化の交流というのと政治的なそういう話というのは分けて考えるんだ、もし政治にいろいろな緊張感があった際も、文化の交流は、市民レベルの交流は続けていくんだというお話はありました。非常に共感しますが、やはり両国の国民感情に及ぼすメディアの影響というのは多々あります。例えば、日本にも、日本のメディアにも努力をすべき点があり、そして、その情報を発信する相手国にももっと情報の透明性を高めていただくとか情報発信をしていただくとか等々あります。
 鶏、卵の関係かと思いますが、事、例えば中国を好きになってもらおうというふうに日本で活動しようとしても、例えば、バレンタインデーの日に、中国で事業を展開している商社の社員が一年間にわたって中国の国家安全当局に拘束されているなんというニュースがありました。内容が内容だからいろいろ詳しい報道ができないんだと言う方も多々おりますが、それを普通に、中国に行ったこともない方が聞いたときに、やっぱり一瞬何でだろうと、ちょっと怖いと思うのは、これはもう否めない感情の中で、その国の文化を知りたい、その国に行ってみたいと思うかというと、必ずしもそうではないというふうに思います。
 日本も努力が必要で、自国メディアの報道が日中関係の改善に貢献しているかという質問に対して、中国側は八〇パーの方が貢献しているというふうに答えたのに対して、日本人は三〇%だったそうです。
 そういった意味でも、日本のメディアにはもちろん改善点もあると思いますが、そういった、今日のお話で広報というようなお話があったものですから、我々の国の広報についての課題、それから相手の国にもっとオープンに情報性を高めていただく上での工夫というのを渡邊参考人にお伺いできればと思います。
#98
○参考人(渡邊啓貴君) お互いの政治体制という問題があると思いますが、中国は言わずもがなでございますけれども、それから、もう一つ考えられるのは、考えなくてはいけないのは、私たちの国際的な接触の仕方、あるいは我々の国民文化、あるいは精神文化とか風土だと思います。どうしても日本のメディアの自由開放度が非常に世界的にも低いということはよく出ますけれども、私たちそういうメンタリティーを持っていますよね。
 私も実は中国には年に一回か二回必ず行くんですけれども、親しい友達がいて、接待してくれるのは大体公的な人たちが出てくるんですけれども、公的な人たちの中にも親しい者同士の間で出てくることが結構あるんですね。そうすると、ここでは先生何をおっしゃってもいいですよと言われてもどこまでしゃべるかと考えるんですけれども、さはさりながら、そういう二重構造といいますか、そういうふうな表と裏みたいなところが彼らにはあるわけで、そこでしゃべっていると、政治の問題はあるけれども、じゃ、文化とか価値交換の問題ですよという話をすると、それは先生分かっていますよと、しかし政治が邪魔しているんですよという話をするんですね。しかし、文化という、文化交流とか人の交流というのは、要するに、ラフな言い方をすれば、交流していればまずいいんじゃないですかという話を僕はするんです。というのは、なぜかというと、交流している限り、交流ですから、解決されていない、問題は解決されなくても戦争にはならないわけです、決裂していないわけだから。決裂しないことがまず交流ということでもいいんじゃないですかというふうなことを言うと、そういうことは分かってくれるようにはなってきています。
 だから、政治の問題と文化の問題、交流の問題というのはもちろんつながっているんですけれども、しかし、政治があるから交流が引かれるんだじゃなくて、そうじゃなくて交流が先にある。例えば、かつて日中関係が国交がないときに、高碕達之助とLTルートというのがありましたけれども、そういう民間の接触というのはこれはどこにでもあるわけ、まあ経済だから分かりやすいわけですけれども。
 そういうふうなことで、我々はそういう政治にそんなに縛られなくてもやりますよというところを日本人の方からでも示すこともいいことかもしれないと思いますね。
#99
○伊藤孝恵君 あらゆるレベルでやっぱりつながって、自分の感情、感じたことをちゃんと発する。こういったSNSの時代ですから、そういった基地局をいっぱいつくる。その一つとしてやっぱり文化、人的交流というのは非常に最も可能性があるものだというふうに感じました。
 ありがとうございます。
#100
○会長(水落敏栄君) 川田龍平君。
#101
○川田龍平君 この参考資料の中の、「三・一一後の広報文化外交」ということで、広報文化外交の制度的あり方に関する有識者懇談会の最終報告書というのが平成二十四年の七月に出ているんですが、その中で特に「国際放送の強化」というのがありまして、その中で、「日本から国際発信を行う国際放送としてはすでにNHKワールドが存在する。」というところで、その中には、最終的なところには、「放送内容への信頼を勝ちとるうえで政府からの独立性が不可欠であることは言うまでもない。」とあるんですが、その状況が今変わってきていることについて、近藤参考人、いかが感じていますか。
#102
○参考人(近藤誠一君) 今、現状がどのようなものになっているのか、私、放送業界には携わっておりませんので、何ともそのお答えは難しいですけれども、基本的には、自由な報道、自由な発言、それが国境を越え、地域を越えて回ることで、いろいろ対立はちょっと起こるかもしれないけれども、それで理解が進む。先ほどの漫画でしたかとかアニメで相手から批判される、そういうことはあるかもしれないけれども、それを繰り返すことで乗り越えていけるという、そういう発想からすれば、国家が一般論としてやるべきことは、そういう自由な交流を妨げないという、繰り返しになりますけれども、その原則はやはり徹底していくということが必要であろうと思います。
#103
○川田龍平君 高倉参考人に、私はベトナム料理の店によく行くんですが、そこではベトナムの衣装のアオザイを作って、それをベトナムに注文して、ベトナムのアオザイを着る日本人の人たちが購入するんですけれども、そこの、日本の和服を海外で注文して、海外で注文を受けたものを生産するような、そういう和食の店とかというのはあるんでしょうか。
 要するに、非常に高い、高価な日本の和装の文化ですけれども、それを海外の人が買ってくれるというようなものをもっと促進していけば、ちゃんと職人も守れるんではないかと思うんですが、そういった例というのはあるんでしょうか。
#104
○参考人(高倉慶応君) そういったお問合せは最近増えています。やっぱり、でも予算が合わないなというのがまず今のところの最初の印象だと思うんですけれども、これから先もう少し、いわゆる素材を絹にこだわらず、もう少し洗濯しやすかったり、そういうものでどんどん作っていくことになれば、浴衣ぐらいのお値段になれば十分に可能性はある。
 もっと言うと、本物の日本らしさを追求しないと、海外でも和食ブームが成熟してきているので、私も食のあれじゃありませんけれども、恐らく着るものも含めて、ちょっとそういうところに海外の人が目が行くようになってきたということじゃないかと思います。
 十分に可能性はあると思うので、是非それぞれのその生産地でまたしっかり考えていただいてやっていかれたらうまくいくように思います。
#105
○川田龍平君 是非、日本で買わなくても海外でもっと買えるような手軽さがあると、もうちょっと普及するのかなと思いました。
 もう一つ、日本食の、和食、特に食育の問題が大変重要だと思っているんですが、私は健康の視点から医食同源というのが大変重要だと思っているんですが、先ほどのこの日韓の提言書の中で、特に、「近年、日本では「食育」が盛んである。そもそも両国の「食」において、起源を同じくするものがあるはずで、そのことを学び合うことも大切である。」と。私、韓流ドラマで「チャングム」とか見ていましたけど、やっぱり宮廷料理、本当に一文からかなり想像の部分で作った物語だとは承知していますが、そういった医食同源というのは中国、韓国、日本で共通するものがあると思っているんですが、そういったものの食育を通じてやっぱりこの文化を醸成して、信頼を醸成していくことというのはすごく重要なことだと思っていまして、この文書の中には、近年、韓国の方が、日本に調理、製菓製パン、栄養を学ぶ韓国人留学生も多いと書かれています。
 私、大変この栄養というところがすごく重要だと思うんですが、本当に今栄養を通じて、やっぱり病気にならない食というもの、特に健康志向が高まる中で、今、欧米でもグルテンフリーとか非常に盛んになってきまして、パスタでもグルテンフリーのものが出ていますし、それは米粉を使ったりとか、日本の食がそういった形でちゃんと輸出できるようになってきているという中で、本当にその食育というのをやっぱり通じて、そういった起源が同じくするような医食同源的な考え方を思想として伝えていくことが、やっぱり欧米にとっても、欧米文化にも通じるものがあるのではないかと思いますので、是非そういった観点で近藤参考人に、是非、食育それから栄養といったことでどういった関心をお持ちか、お答えいただければと思います。
#106
○参考人(近藤誠一君) おっしゃるとおり、日中韓の食事の大本は非常に共通性がございます。その共通性を我々が認識をすることが、そしてそれが、西洋とはこういう点が違う、西洋料理もこういうプラスがあるけれども、我々はこういう共通性があるんだという、他者と言うとちょっと排除的になるかもしれませんが、西洋と比べて俺たちはこんな共通だねという共通性を認識する上で西洋料理と比べること、それによって一見違う日中韓の食事が実は共通性があるということが分かる。それが文化の共通性、親しみにつながっていく。特に、食はもう一日三回いただくわけですから、それを日々感じるようになるということが日中韓の相互理解、相互信頼の醸成に実は大変な力を秘めているというふうに思っております。
 何とかそれを実現していく方向に、今いい方向に向いていると思いますので、それを是非加速していきたいと思っております。
#107
○川田龍平君 まとめます。
 海外で私も、イランやイラクの人と交流するときには「おしん」がやっぱり非常に皆さん共通の話題になりましたし、アフリカ人とは「キャプテン翼」だったりとか、本当にいろんな日本のソフトパワーが、そういう意味ではソフトの力でもってやっぱりそういった交流、信頼醸成というのはできるということを本当に実感しておりますので、そういったことをやっぱりしっかり生かしていけるようにまた努力していきたいと思います。
 ありがとうございました。
#108
○会長(水落敏栄君) それでは、予定の時刻が参りましたので、本日の質疑はこの程度といたします。
 一言御挨拶を申し上げます。
 高倉参考人、近藤参考人及び渡邊参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人の皆様のますますの御活躍を心から御祈念申し上げて、本日のお礼とさせていただきます。本日はありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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