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1947/11/29 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第69号
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1947/11/29 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第69号

#1
第001回国会 本会議 第69号
昭和二十二年十一月二十九日(土曜日)
    午後四時五十五分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第六十八号
  昭和二十二年十一月二十九日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 西尾官房長官不信任に関する決議案(江崎眞澄君外一名提出)
         (委員会審査省略要求事件)
 第二 民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出)
 第三 配炭公團法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 西尾官房長官不信任に関する決議案(江崎眞登君外一名提出)
                   (委員会審査省略要求事件)
#3
○議長(松岡駒吉君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、西尾官房長官不信任に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。小川原政信君。
    〔小川原政信君登壇〕
#5
○小川原政信君 明朗でありまして、崇高な人格が國民大衆に反映し、その行う政策が民衆の生活を安定せしむることが、民主政治の要諦であると信じます。しかるに、絶え間なき権謀術策をめぐらし、國政の澁滯を來し、國会の運営を誤つて、國民の道義的観念に惡影響を與え、社会に暗影を投じ、もつて民衆生活を脅かすがごときは、一刻も早く芟除せざるを得ないと断ずるものであります。(拍手)ここにおいて、まことに遺憾ではありますが、片山内閣の軸心をなす西尾官房長官に対して、不信任案を提出したゆえんであります。(拍手)
 新憲法が実施せられてはじめて召集せられました第一回國会が、歴史的に記録さるべき重要な意義をもつものであり、また、この國会における政治の運営いかんは、今後の政治のあり方に重大な影響を與えるものであることは、言うまでもないことであります。しかるに、國会召集以來百数十日の長期にわたる政治運営の経過を顧みるに、萬事がすこぶる不明朗であり、暗黒で陰惨な感じを禁じ得ないことは、今日すでに動かすことのできない世評が定評となつて現われておる。(拍手)各種の怪文書が乱れ飛ぶという忌わしきこの事実が、これを裏付けてなおあまりあるものであります。(拍手)
 人格者といわれる片山首相のもとにおいて、かくも不明朗な政治が行われることは、何ゆえでありましようか。言うまでもなく、首相輔佐の重任に当る西尾官房長官の特殊的な性格がその特殊なやり方をもたらした必然的の所産であると断言してはばからないのであります。政治の民主化の途上にあり、しかも世界各國の信頼を博し、國際社会への復帰の門出であるこの重大な時期に際し、かくのごとき独裁的な暗黒政治が行われて、政治に対する國民の信頼感が弱められることは、國家再建の前途に対して重大な暗流を流すものであり、かつ西尾官房長官の責任はきわめて重大である。かるがゆえに、速やかにその職を退いて、万死に値するその罪を國民に謹んで謝すべきであると深く信ずるものであります。(拍手)
 最近の政界について最も奇怪な事実として喧傳せらるるものは、平野問題及び林問題であります。そのことの眞相が未だ十分に究明されていないことは、國家のためにすこぶる遺憾であります。平野問題の場合は、社会党内における平野、西尾両氏の勢力爭いにその端を発したことは明々白々である。(「ノーノー」)一党派内における派閥の爭いのために、最も嚴粛に行わるべき追放問題が利用されたがごとき深い惡印象を國民に與えたのであります。これはまことに遺憾な問題で、政治に対する國民の信頼は、このことによつて根本から動搖を來したことは、おおうべからざる事実であります。(拍手)
 西尾君の内閣記者会に対する軽率なる言動は、追放問題を政爭の具に供したがごとき印象を與え、この問題が國民の政治に対する信頼を低下し、陰鬱な氣持に導いた言う事実こそは、何といつても弁明のできない事実であります。(拍手)この事実だけに対しましても、政治家としての西尾君は、重大な責任を自覚しなければならぬのであります。しかして、片山総理大臣をしてやむなく新聞の誤傳、誤報であると遁辞を述べさして、これをまつたく窮地に追い落したが、一度新聞記者会の抗議に遇うと、たちまちにして叩頭して了解に狂奔しつつ、議会に向つては、言葉足らなんだということによつて言訳をいたして、三枚舌をもつてつぶやき、故意に事理を明白にせず卒然として、二十数年來無二の親友であつた平野農相を、自己保身のために友情もなく、内閣不統一の言葉をかりて、弊履を捨つるよりも軽くこれを切り捨て、臆面もなく非難、論難してその非を発く醜状に至つては、子は親のために、親は子のために隠す、直きことその中にありとの道徳観を忘れ、道義高揚論一点張りの片山内閣の官房長官として、國民に対して信をつなぐゆえんではないと断じてはばからないのであります。(拍手)
 なお附加せねばならぬことは、平野農相罷免後、專任農相を設置せんとして、すでに一箇月にもなんなんとするに、未だに決定せず、三公團法を初めとし、臨時農業生産調整法と、幾多の重要法案並びに食糧問題、燃料問題等國民の死活に関する重要問題が堆積しておるがごときは、まつたく現内閣の運営を誤らしめ、もつて現下わが國最も緊要なる農林行政を軽んずる一証左であつて、國務澁滯の罪は、特に國務大臣、官房長官としての重大なる責任に帰属するは当然で、國民の等しくその非を追究せんとするところであります。
 言うまでもなく現行憲法は、民主政治の徹底をはかるために三権分立の確然性を明示しているにもかかわらず、西尾君は、國務大臣、官房長官の地位をもつけのさいわいとして、松岡衆議院議長が社会党の党員として党籍を離脱せざるを惡用して、諸般の事柄をその背後より強要したので、近來まれに見る違法、横暴の限りを盡し、みずから議場内を右往左往して謀議を凝らし、議事進行を混乱に導いたる実例は、一々枚挙するまでもなく、先日來の議場内の事実によつて明瞭なるがごとく、まつたく立法部と行政部とを紛淆せしめて議会運営を妨げたるごときは、はたして憲法上許すべきや否や。民主政治の敵であり、議会政治の冒涜者であり、平和國家の破壊者であると断じても、弁解の言葉はあるまい。この一事によつても、現地位を去るべきが当然であることは、八千万國民のひとしく認むるところであると固く信ずるものであります。(拍手)
 次に、いわゆる炭鉱國管法案をめぐる西尾君の言動について一言いたしたい。さきに臨時石炭鉱業管理法案が、國民輿論の向うところ、大体委員会において否決の運命にあると見るや、西尾官房長官は、委員の数を倍加し、一氣に委員会の採決を有利に導かんとしたごとき、あるいは鉱工業委員の人格を冒涜するがごとき言辞を弄し、はたまた委員会の採決を経ることなく一挙に本会議において採決せんと策謀したごとき、いずれも目的のために手段は選ばぬという西尾君の不明朗なる性格より來るものであつて、新憲法下の民主主義政治のもとにおいては、まつたく不適当極まる旧式策謀政治であります。(拍手)
 ゆえに、一度このことが朝野の焦点となりますと、西尾君は、自分が内閣の記者会と談話をしたことは非公式であつて、公式でないと逃げ言を並べて恬として恥じないごとき、内閣のスポークスマンたる官房長官として、國会法を無視した独裁者のごとき言動に至つては、不謹愼極まるもので、國会運営に暗影を投じ、あまつさえ、はなはだしく議事の進行を阻害する原因となつたことは、諸君御承知の通り、最近の國政を陰惨ならしめ、政治の権威を失墜せしめたことを指摘せねばならぬのであります。
    〔発言する者多し〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#7
○小川原政信君 西尾君の性格は、一種の独裁的な傾向をもつておることは、各種の事実から証明できるのでありますが、もし否定をなさるならば、私はたくさんの材料をもつております。しかしながら、一々これを御披露する必要がない。もし、このことを否定するものがありとするならば、西尾君は天下にその弁明をいたさなければならぬ。
 かつて、支那事変の当初の議会におきましてスターリンのごとく、ムソリーニのごとく、ヒトラーのごとく、近衛首相は政治を断行せよと叫んで、いわゆる戰時体制の強化を提唱した。これがために、当時の自由主義的な議会から除名されたことは、有名な事実である。
    〔発言する者多し〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#9
○小川原政信君(続) 日本を戰爭へと駆り立てる上に重要なる役割を演じた國家総動員法が可決された昭和十三年三月十七日の本会議における西尾君の演説によれば、すなわち現実に見るがごとき大多数の有色人種が、白色人種の優越感によつて支配されておる現状を顧みまして、また東洋の平和の確立のために実力的に戰い得るは、わが日本の國をおいてほかにないと言つております。実力的に戰い得るものは、わが日本の國をおいてはほかにないという信念に基きまして、この日本の歴史的使命達成のために敢然立つて萬進すべしと、意見が高まり來つておるのであります。われわれは、この歴史的使命をはつきり認識しなければならぬ。以上の認識に立つて今日の國際情勢を見るときに、國家総動員法は絶対に必要なりと確信するものであると述べて賛成しておられるのであります。
    〔「つまらぬことを止めろ」「もつと眞劍に討論しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#11
○小川原政信君(続) この事実は、総動員法のもつ独裁的性格を是認することによつて、明白に西尾君の持つ独裁的思想を露呈し、一路戰爭準備を進めていた当時の政治を是認し、戰いに導いた大責任を負うべきものであると確信をいたします。
 西尾君はまた、院内のみの演説ばかりではない。東亞連盟に加入して、一再ならず数度にわたり、國粹党の笹川良一君とともに、満州國に、あるいは支那に往來して、我が駐屯軍に対し激励のために、到る所において演説行脚をいたしおることによりましても見るがごとく、よくファッション的性行を現わしておるということは、否定することのできない事実であります。
 最後に一言いたしたい。西尾君の政治的節操の問題であります。社会党内部には、右派、左派、中間派の三派が対立しておることは、隠れもない事実であります。西尾君は、右派の中枢人物として、平野君とともに左派彈圧に奔走してきたことも、隠すことのできない事実であります。しかるに、官房長官就任以來……
    〔発言する者多し〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#13
○小川原政信君(続) 党内における自己の支配力を確立維持するために、左派と手を握り、かつての同志である平野君と対立し、そのために、きはめて不明朗なる事態を露出せしめておつたことは、具体的な事実をあぐるまでもなく、八千万國民のひとしく顰蹙しておるところであります。(発言する者多し)
 かくのごとき政治的無節操は、單にこれだけではない。かつて近衛首相に激励の言葉を贈つた。公衛公と対立する東條首相に対しても、迎合の辞を臆面もなく慇懃に述べておるのであります。すなわち、昭和十八年二月の八日、衆議院予算総会において、東條首相に質疑していわく、わが東條総理大臣、お願いしたいことは、この際ひとつ國民に氣合をかけてもらいたい。みなわかつておるけれども、氣合をかけてもらいたい。さらに続けて、東條首相の親心を禮讃しておるのであります。
 以上の諸事実を通観した場合、西尾君の政治的節操を疑いたくなるのは、私一人ではあるまいと確信するものであります。
    〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#15
○小川原政信君(続) 國家再建の大業を達成するには、まず國民に十分信頼される政治を行わなければならないのであります。そのためには、何よりも第一に、言行一致、不動の信念をもつて、政治的節操を嚴然と守らなければならぬのであります。しかるに、今日のごとき重大なる時局に際し、その政治的節操を疑わるる西尾君のごとき人物が、政治の局面、殊に内閣の中枢的地位におるということは、國家國民のために最大なる不幸といわねばならないのであります。(拍手)
    〔発言する者多し〕
#16
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#17
○小川原政信君(続) 今日の政治のあり方が日本再建の基礎となることを思うとき、われわれは、西尾君がその地位を速やかに去つて、ファッショ的においのきわめて強い片山内閣不明朗性を拂拭することが最も緊要であると、深く痛感せざるを得ないのであります。(拍手)私は、固い信念をもちまして、八千万民衆のために悲痛なる決意をもつて本不信任案を提出しその理由を述べたゆえんであります。(拍手)
#18
○議長(松岡駒吉君) これより討論に入ります。細川隆元君。
    〔細川隆元君登壇〕
#19
○細川隆元君 私は、社会党を代表いたしまして、ただいま上程されましたる不信任案に絶対反対の意見を述べたいと存じます。
 ただいま提出者の御説明を承りましたが、その理由とするところについては、不信任案を出される以上は、私どもはそれ相当の理由が附せられた上での御提出であると思いまして、愼重に傾聽をいたしたのでありまするが、まことに遺憾なることは、いやしくも一國の國務大臣に対して、不信任の意思を表示する上において、その理由がいかにも貧弱であり、理由のないことに実は驚いたのであります。(拍手)名前は不信任案となつておりまするが、一種の政略的の不信任案の作文にすぎない感じがいたすのでございます。
 第二の点は、この不信任案が、今から述べますように、まつたく政略的に提出されておるという点であります。不信任の理由としてあげられましたのは、大体四つの点に要約いたされます。第一は平野問題第二は林問題であり、第三は石炭國管案の委員増加に関する西尾長官の発言の問題、第四は、官房長官の在任中の言動にあらずして、戰爭中もしくは戰爭以前に関する各種の言動についてであります。
 第一の平野問題につきましては、しばしば片山内閣総理大臣から、平野前農相の罷免は総理大臣の自発的意思によつて、自分の責任で罷免したと明瞭に申されておるのであります。
 第二の林前國務相の問題につきましては、一両日前に政府から追放の理由が明確に発表されると同時に、詳細にわたつて司法大臣の談話が発表いたされております。これらの点につきまして、いわゆる林問題がまつたく前國務相林氏の一人相撲でありまして、これを自由党のみが支持しておるのでございます。
 第三の、石炭國管案委員会の委員の増加に関しまして西尾長官が発言をした問題でございますが、政府といたしまして、特に日本のように議院内閣という制度をとつております場合において、政府当局者が議院の内部のことについて、自分の希望を述べることは当然であります。これは議院に対する抑圧でもない。彈圧でもございません。自由党も、將來内閣を組織されましたならば、議会に対して各種の希望をどしどし述べていただきたいと思います。私どもは、かかるささたることをもつて、國務大臣不信任の意思を表示するというような子供らしい行動は、とらないものでございます。(拍手)
 第四番目は、戰爭中もしくは戰爭前における西尾長官の各種の言動についてでありますが、自由党の諸君は、國務大臣不信任の意思を表示するならば、何ゆえに長官としての行政上の措置について理由を求められないのか。(拍手)まつたく人身攻撃に終始するごとき品の惡い態度は、新國会において一掃しなければならないのであります。(拍手)
 かく、自由党の不信任の理由は、今申し上げました四点に盡きると存じます。これ、ことごとく貧弱にして、國務大臣不信任の意思を表示する理由とは全然なり得ない。まつたく子供らしい理由なのでございます。(拍手)ただいま提案者は、八千万の國民はという言葉を使われましたが、おそらく八千万の國民は、かかる貧弱な理由によつて國務大臣に対する不信任の意思が表示されることに、大きな疑問をこそ懐くものと私は思うものでございます。(拍手)
 第二の点は、不信任案がまつたく政略的に提出されておるという点でございます。ただいま提出者は、片山内閣の枢軸である所の西尾長官云々と言われましたが、この枢軸に対して不信任の意思を表明するならば、なぜ、堂々と片山内閣不信任案を提出しないか。元來この不信任案は、石炭國管案について朝野の間に非常な紛爭を起しました去る二來日の夜、各派交渉会において、議事引延しのために突然と提出されたのが、この不信任案の起りであります。かかる國務大臣の不信任というがごとき重要問題を、議事引延しの具とするという行動そのことが、すこぶる不明朗なる政治行動であると断ずるものであります。自由党の諸君は、この内閣にあきたらないならば、先ほども言いましたように、眞正面から堂々と内閣不信任案をもつて対処すべし。その議事引延しの跡始末としてこの不信任案を提出するがごときは、まつたくその理由の発見に苦しむものでございます。
 先ほども申し上げましたように、この不信任の理由は、各理由を取り上げてみて、すこぶる貧弱であり、またその動機もまつたく政略的なものであるという点をあげまして、私の不信任案反対の理由といたします。八千万國民の意思を代表しておりまするこの衆議院は、一時間後には、おそらくかかる貧弱にして理由不明の不信任案を否決し去るであろうということを予言して、私の反対の演説といたします。(拍手)
#20
○議長(松岡駒吉君) 今村忠助君。
    〔今村忠助君登壇〕
#21
○今村忠助君 私は、日本自由党を代表いたしまして、今提案されております西尾官房長官不信任案に対して賛成の意を表せんとするものであります。
 私は、現在洛陽の紙價を高めるという言葉の通り、恐ろしく出ておる西尾官房長官に対する公開状や怪文書の中の内容をもつて、西尾氏を彈劾しようとするものではありません。新憲法のもとにおきまして、新しい、正しい、良い日本を建設するには、どうあつても西尾氏のごとき一つの恐るべき性格を持つてしては、とうてい不可能であると信ずるからであります。
 大体、社会党が四月の選挙におきまして第一党になつたことについては、最も眞劍に考えなければならぬものがあります。最近の朝日新聞は、輿論調査の結果として、片山内閣を支持しないものは五四%であると発表したのでありますが、実は四月の選挙の結末は、御承知の通り、第一党になつた社会党とは言いますけれども、わずかに議席を占めたものは百四十三名にすぎません。これは全投票二千七百万票から見ますと、わずかに三〇%余でございます。殊に獲得した投票数から言いますると、わずかに二六%しか占めていないのであります。わずかなこの社会党の勢力をもつて、いわゆる社会主義政策を断行しようとしたところに、多くの間違いが含まれておるのであります。(拍手)
 政治というものは、國内の実情と世界の大勢に基いて行われなければなりません。現在の日本が、いわゆるアメリカの日本管理政策に基いて管理を受けておることを知らなければなりません。いわゆる日本管理政策の第三部の政治の部におきましては、日本の國民は、アメリカの歴史的制度と文化を…
    〔発言する者多し〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#23
○今村忠助君(続) 知る機会を與えられ、かつ奬励されると書いてあります。この……。
    〔発言する者多し〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#25
○今村忠助君(続) この一つといたしまして、新しく制定されたところの日本國憲法は、アメリカの憲法にも見られると同じように、いわゆる自由主義憲法であります。しかるに、この自由主義憲法下において、しかも選挙の結果はわずかに國民の三割の支持しか受けずして、しかも社会主義的政策を断行しようというところに、大きな過ちの基礎があります。
 すなわち西尾氏は、組閣にあたつて、いわゆる西尾・芦田協定というものをつくつたと世間は傳えております。すなわち、実力の十分ないところの社会党は、芦田氏と語らいまして、次の政権を芦田氏に渡すから協力せよと、かく話をまとめたと傳えております。(拍手)組閣にあたつてなしたところのものは、國民の総意によるものにあらずして、この西尾氏のもつ性格がそのまま現われて、権謀術数となつておるということであります。
 もし、社会主義的な政策を実施せんとするならば、私は憲法を改正してなすべきであると信ずるのであります。憲法の改正は、第九章第九十六條におきまして、議会の三分の二の協賛と、國民の半数以上の賛成を得ればできるのであります。社会主義的政策を断行しようとするならば、國民に問うて、國民の支持を受けてなすべきであります。しかるに、西尾氏は少数をもつてイデオロギーの実現を期したところに、恐るべき陰謀が繰返されたのであります。
 殊に、國内における緊急経済対策といたしまして、七月、突如としてあの物價の引上げをいたしたのでありますが、これは、あそこにおります経済安定本部長官の共産主義的イデオロギーをもつて、いわゆる計画的生産恐慌を起して、もつて資本主義諸制度の壊滅を期したといわれております。
    〔発言する者多し〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#27
○今村忠助君(続) このことは、少数の力のない勢力と、最も恐るべき手段とを併せて、もつてイデオロギー的政策を実施せんとするにあつたからであります。
    〔発言する者多し〕
#28
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#29
○今村忠助君(続) 私は、國内の実情を知らず、世界の大勢を知らずして政治を行つた者に、さきに大東亞戰爭に國民を駆り立てた東條英機元大將があり、また新日本建設の上にあたつて、当然この深刻な國情を知つて、しかもまた世界の大勢を知つて政治を行うべきにあたつて、権謀術数を弄した西尾末廣大臣のあることを、諸君の前に指摘しなければなりません。(拍手)
 西尾氏は、わずかな勢力をもつて、何とか國民の前に自分らのイデオロギーの実現を示さんといたしまして、一たび炭鉱國家管理案が通過不可能となりますと、恐るべし、憲法を無視して委員の増加を策し、一たびこれが実現不可能となりますと、多数の力を駆つて、議会においてこれを乘り切らんといたしたのであります。(拍手)殊に、委員会が自党に有利に展開せぬということになりまするや、淺沼稻次郎君を初め幾多の暴力をもつて、委員会を攪乱するに至らしめたのであります。(拍手)なくのごときことを、新しい憲法のもとに、第一回の議会においてあえてして、もつてイデオロギー政策の実現を期しようというところに第一の過ちがあるとともに、天皇陛下が弱い性格の持主だという片山総理大臣を懐柔して、もつて陰謀と暴挙とをあえて繰返したこの西尾末廣君を、新日本建設の上に歴史的に意義ある第一回國会において認むることは、われわれは断じてできないのであります。(拍手)
 私は、平野問題といい、あるいは林問題といい、そしてまた委員会を通じ、この本会議を通じて、実にファッショ的な態度をもつて押し切らんとする西尾官房長官の暴挙は、國民をかり立てたあの東條英機大將以上に恐るべきものがあると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)社会党の前書記長であり、片山内閣の官房長官であつて、今日政府の側にある最も中心的責任者であります西尾君が、かくのごときことを繰返すにおいては、断じてこれを許すことはできないのであります。私は、この性格的に恐ろしいファッショ的なものをもち、國政の上に常に憲法その他の精神を無視するこの西尾官房長官を彈劾せずんば、とうていよき新日本は建設されずと信じて、ここに本案に賛成するものであります。(拍手)
#30
○議長(松岡駒吉君) 中野四郎君。
    〔中野四郎君登壇〕
#31
○中野四郎君 私は、ただいま上程中の西尾官房長官不信任案に賛成せんとするものであります。(拍手)
 すなわち、去る十月三十日、平野農林大臣罷免に関する当時の西尾君の言動は、明らかに民主政治を破壊し、暗黒政治を助長せんとするものであることは、林國務相の参議院におけるその速記録によつて明らかであります。(拍手)さらに、去る五日の本会議におきまして、本員が西尾君に対して質問をいたしましたその内容は、明らかに西尾君の本質を問うものであるにもかかわらず、その答弁をことさらに避けたということは、私は明らかにこの國民を代表する議員を侮蔑するものであると考えております。(拍手)
 さらに私は、重複するのをおそれまして、特に申し上げなければならぬ点は、去る二十日の官房長官としての定例新聞記者会見におきまして、西尾君は、炭鉱の國管案に関して鉱工業委員を増員するかもしれぬということを発言しておりまするが、その節の新聞記者の質問に対して、西尾君は、その理由をば、一部利益を代表する委員が権限を惡用して、ことさらに鉱工業委員会における炭鉱國家管理案に反対している者があるからという、重大なる発言をしたのであります。(拍手)すなわち、その言明に基けば、明らかに委員の中に一部利益を代表する委員があつて、その職権を濫用したとあるなれば、その人間を明らかにし、しかして國会の権威を保つことが当然であると考えるのであります。(拍手)かくのごとき言動をなすことは、明らかに國会を侮辱し、冒涜し、議員を侮辱するものであると考えまするので、かくのごとき人物を信任せざるは当然と信じ、あえて不信任案に賛成をする次第であります。(拍手)
#32
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 本案は記名投票をもつて採決いたします。江崎眞澄君外一名提出、西尾官房長官不信任に関する決議案に賛成の諸君は白票……。
    〔発言する者多し〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 靜粛にしてください――靜粛にしてください。
    〔「議場を閉鎖したか」と呼び、その他発言する者多し〕
#34
○議長(松岡駒吉君) まだ閉鎖はしておりません。(拍手)江崎眞澄君外一名提出、西尾官房長官不信任に関する決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
#35
○議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(松岡駒吉君) 投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。閉鎖。投票を計算いたさせます。
    〔参事投票の数を計算〕
#37
○議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百八
  可とするもの 白票 百二十九
  否とするもの 青票 百七十九
    〔拍手〕
#38
○議長(松岡駒吉君) 右の結果、江崎眞澄君外一名提出、西尾官房長官不信任に関する決議案は否決せられました。
    〔拍手〕
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 江崎眞澄君外一名提出西尾官房長官不信任に関する決議案を可とする議員の氏名
   東  舜英君  井上 知治君
  小野瀬忠兵衞君  尾崎 末吉君
   工藤 鐵男君  佐々木秀世君
   幣原喜重郎君  千賀 康治君
   田中 角榮君  中村 嘉壽君
   根本龍太郎君  原 健三郎君
   平澤 長吉君  降旗 徳弥君
   本間 俊一君  山本 猛夫君
   青木 孝義君  淺利 三朗君
   有田 二郎君  伊藤 郷一君
   石田 博英君  石原 圓吉君
   泉山 三六君  磯崎 貞序君
   今村 忠助君  今村長太郎君
   岩本 信行君  植原悦二郎君
   内海 安吉君  江崎 眞澄君
  小笠原八十美君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  大石 倫治君
   大内 一郎君  大瀧亀代司君
   大野 伴睦君  大村 清一君
   岡井藤志郎君  奧村 竹三君
   加藤隆太郎君  花月 純誠君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   柏原 義則君  片岡伊三郎君
   上林山榮吉君  神田  博君
   木村 公平君  菊池 義郎君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   小暮藤三郎君  小峯 柳多君
   近藤 鶴代君  佐々木盛雄君
   佐瀬 昌三君  坂田 道太君
   榊原  亨君  澁谷雄太郎君
   島村 一郎君  白井 佐吉君
   周東 英雄君  鈴木里一郎君
   鈴木 仙八君  鈴木 正文君
   關内 正一君  田口助太郎君
   多田  勇君  高田 弥市君
   高橋 英吉君  竹尾  弌君
   塚田十一郎君  辻  寛一君
   冨田  照君  冨永格五郎君
   苫米地英俊君  中島 守利君
   中野 武雄君  夏堀源三郎君
   西村 久之君  野原 正勝君
   花村 四郎君  林  讓治君
   原   侑君  樋貝 詮三君
   平井 義一君  平島 良一君
   廣川 弘禪君  深津玉一郎君
   福永 一臣君  淵上房太郎君
   古島 義英君  星島 二郎君
   本田 英作君  益谷 秀次君
   増田甲子七君  松浦 東介君
   松崎 朝治君  松野 頼三君
   三浦寅之助君  水田三喜男君
   水谷  昇君   宮幡 靖君
   明禮輝三郎君  村上  勇君
   村上 清治君  森  直次君
   梁井 淳二君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山名 義芳君
   山村新治郎君  吉田  茂君
   若松 虎雄君  渡邊 良夫君
   亘  四郎君  石原  登君
   齋藤  晃君  田中 久雄君
   加藤吉太夫君  河口 陽一君
   北  二郎君  綱島 正興君
   寺崎  覺君  中野 四郎君
   中村 寅太君
 否とする議員の氏名
   足立 梅市君  赤松  勇君
   淺沼稻次郎君  荒畑 勝三君
   井伊 誠一君  井上 良次君
   井谷 正吉君  伊藤卯四郎君
   猪俣 浩三君  池谷 信一君
   石神 啓吾君  石川金次郎君
   稻村 順三君  海野 三朗君
   大石ヨシエ君  大島 義晴君
   大矢 省三君  岡田 春夫君
   加藤 勘十君  加藤シヅエ君
   加藤 靜雄君  笠原 貞造君
   片山  哲君  勝間田清一君
   金子益太郎君  上林與市郎君
   川合 彰武君  川島 金次君
   河井 榮藏君  菊川 忠雄君
   菊池 重作君  清澤 俊英君
   久保田鶴松君  黒田 壽男君
   佐々木更三君  佐竹 晴記君
   佐竹 新市君  境  一雄君
   榊原 千代君  笹口  晃君
   島上善五郎君  島田 晋作君
   鈴木茂三郎君  鈴木 雄二君
   鈴木 義男君  角田藤三郎君
   田中織之進君  田中 松月君
   田中 稔男君  高津 正道君
   竹内 克巳君  竹谷源太郎君
   館  俊三君  辻井民之助君
   土井 直作君  戸叶 里子君
   野老  誠君  冨吉 榮二君
   永井勝次郎君  成瀬喜五郎君
   成重 光眞君  成田 知巳君
   西村 榮一君  野上 健次君
   馬場 秀夫君  林  大作君
   原 彪之助君  福田 昌子君
   藤田  榮君  藤原繁太郎君
   細川 隆元君  細野三千雄君
   前田 種男君  正木  清君
   松尾 トシ君  松谷天光光君
   松永 義雄君  松原喜之次君
   松本 七郎君  水谷長三郎君
   武藤運十郎君  村尾 薩男君
   守田 道輔君  森 三樹二君
   森戸 辰男君  森山 武彦君
   師岡 榮一君  門司  亮君
   八百板 正君  矢尾喜三郎君
   矢後 嘉藏君  安田 幹太君
   安平 鹿一君  山口 靜江君
   山崎 道子君  山下 榮二君
   山花 秀雄君  吉川 兼光君
   米窪 滿亮君  和田 敏明君
   安東 義良君  芦田  均君
   荒木萬壽夫君  伊藤 恭一君
   飯村  泉君  宇都宮則綱君
   馬越  晃君  梅林 時雄君
   小野  孝君  岡野 繁藏君
   岡部 得三君  押川 定秋君
   金光 義邦君  川崎 秀二君
   神山 榮一君  北村徳太郎君
   久保 猛夫君  栗田 英男君
   小坂善太郎君  小島 徹三君
   小平 久雄君  小林 運美君
   小松 勇次君  後藤 悦治君
   坂口 主税君  櫻内 義雄君
   志賀健次郎君  椎熊 三郎君
   關根 久藏君  園田  直君
   田島 房邦君  田中源三郎君
   高橋 長治君  武田 キヨ君
   橘  直治君  圖司 安正君
   坪川 信三君  苫米地義三君
   中垣 國男君  中曾根康弘君
   中山 マサ君  中村 俊夫君
   長野 長廣君  並木 芳雄君
   橋本 金一君  長谷川政友君
   原   彪君  坂東幸太郎君
   一松 定吉君  福田 繁芳君
   細川八十八君  堀川 恭平君
   最上 英子君  八並 逹雄君
   矢野 政男君  山下 春江君
   吉田  安君  秋田 大助君
   井出一太郎君  石田 一松君
   今井  耕君  大島 多藏君
   大原 博夫君  岡田 勢一君
   川越  博君  木下  榮君
   吉川 久衛君  黒岩 重治君
   河野 金昇君  笹森 順造君
   竹山祐太郎君  内藤 友明君
   野本 品吉君  早川  崇君
   船田 享二君  松原 一彦君
   松本 瀧藏君  三木 武夫君
   谷口 武雄君
     ――――◇―――――
 農業保有米に関する緊急質問(河口陽一君提出)
#39
○安平鹿一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、河口陽一君提出、農家保有米に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#40
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 農家保有米に関する緊急質問を許可いたします。河口陽一君。
    〔河口陽一君登壇〕
#42
○河口陽一君 私は、日本農民党を代表いたしまして、農家保有米に関する質問を行いたいと思うのであります。
 昭和二十二年産米の供出割当には、政府は民主的に地方と協議決定を行わんといたしましたが、その計画と非常に開きがあるため、もみにもんで決定せず、遂に連合軍司令部の覚書となつて、十月五日知事会議の結果、一方的な割当決定をされたことは御承知の通りであります。昨年は、政府見積り收穫高六千百万石、供出実績が約二千九百万石であり、この供出の中には、代替供出としての甘藷、雜穀約二百万石が含まれておるのであります。本年の三千五十五万石は、雜穀は含まれておりまするが、甘藷は含まないので、米に対する期待量は三千万石と見なければならない。こうすると、三百万石も昨年よりよけいに米を出さなければならない。
 しからば、作柄はと申しまするに、どう甘く見ても昨年以上ということにはならない。それに水害、旱害、東北・北海道の冷害等を考え合わせてみるならば、思い半ばに過ぎるものがあるのであります。作付面積についてもたとい中央で補正したことが正確であつたといつてみても、それは所要の補正であります。買上價格、農業用生産及び生活資材、供出制度の不合理に対する農家の自衛手段としての隠し田、過少申告などが統計面に本年浮び出たという意味であつて、実際の作付面積が七万町歩も一躍場加したことでないくらいのことは常識であつて、むしろ野菜や飼料獲得のため、水田が畑地に還元されている実情であります。
 かく考えてくると、本年の收穫高は昨年以上であるということは、どうしても出てこない。三千五十五万石は、かかる意味で、農家にとつてはなまやさしい割当でないことは、もはや疑うことのできないことであります。かく見るとき、國民は、生産者も、消費者も、三千五十五万石という数字をあらためて再びながめ直さなければならないのであります。しかして、この数字を確保しなければ、國民の最低必要食糧の維持すらきわめて困難であり、麦・馬鈴薯の増産確保を期し、併せて二百万トンの輸入食糧を引当てなければ、まさに砂上の樓閣化せんとしておるといつても、過言ではないのであります。(拍手)
 三千五十五万石は、いまや出せる出せないの論議ではない、ぜひとも出さねばならないという絶対命令的結論となつたのであります。このことを農民は自覚いたし、悲壯な決意で現在供出に協力をしておるのであります。私、先日北海道に参りましたが、旭川市近在の農村では、百パーセント供出を確保するため、一俵たりとも横流しはできないというので、農民が自主的に晝夜交代でやみ買いの警備をしている姿を拜見いたしまして、万感胸に迫るものがありました。
 かような努力により供出された米が、一旦政府米となりますと、これら水田農家に還元する食糧は、一般配給と同じ遅配・欠配をもつてし、今年のごとき、二百二十円で買上げた米を六百円で農家に買わせるというような乱暴なことでは、農家は絶対に保有米の供出はいたしません。政府は農家保有米を差引き割当をしたと発表しているが、個々の農家の割当を見るに、さようになつておらないのであります。殊に單作米作地帶及び低位生産地帶には、保有米のない農家が多いのであります。北海道のごときは、保有米のない農家がことごとくであります。かかるとき、政府は三千五十五万石確保のため供出を強行せらるるならば、農家保有米がなくなる。このとき、保有米をなくしても供出を完遂すべきか、しかるとき、さきに優先保有米を確保せしむると発表せられた事実といかに調整せらるるか、これに対して、納得のいく責任のある答弁を求める次第であります。(拍手)このことを明確にいたさねば、農村は思想的に一大混乱に陷り、ひとり政府の責任のみに止まらず、社会混乱を招來するものと思われるのであります。農家保有米確保につき、農民の納得のいく答弁を重ねて求むる次第であります。(拍手)
    〔「定足数を欠いているぞ」「散会散会」と呼び、その他発言する者あり〕
#43
○議長(松岡駒吉君) これにて暫時休憩いたします。
    午後六時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時二十七分開議
#44
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。農林政務次官井上良次君。
    〔政府委員井上良次君登壇〕
#45
○政府委員(井上良次君) ただいま農家の保有米の確保の問題について御質問がございましたが、この問題について、政府の所信を申し上げておきたいと思います。
 昭和二十三年度のわが國の食糧事情につきましては、すでに政府からその実情を詳細に発表いたしました通り、この年間において大体千二百万石、すなわち小麦換算で百九十三万トンほど不足をいたしますので、百九十三万トンの小麦換算の不足食糧を國内へ輸入いたしますためには、日本の國内産の食糧がいかに公正に供出され、これが政府の手に管理されているかということが、世界の各國によく認識されて、なるほど日本國民は國内産の食糧については総ざらいをいたし、よくこれを管理し、公正に配給しているという実情の姿が世界の國に映りませんと、この百九十万トン余の不足食糧の輸入の上に重大な支障を來してくるということは、常々連合國側からも警告をされておる通りであります。
 そこで、政府といたしましては、本年度産米の三千五十五万石の割当については、実に公正なる割当を期待し、これが不公正なる割当に終らず、耕作農民をして納得せしめるやり方において割当を完了してもらいたいことを各地方にお願いいたしておるわけであります。問題は、公正に妥当な割当がされているか、されていないかということにおいて、初めて保有米が確保されているか、されていないかという問題になつてきます。政府は、原則として農家の再生産を期待し、食糧増産を望む見地におきまして、農家保有米はあくまで確保してまいらなければならぬという立場をとつております。(拍手)從つて、万一この三千五十五万石の割当が米において完全供出されない場合はどうするかという問題が起つてまいります。この場合は、その割当がいかに公正妥当に行われたかという跡を檢討してみて、だれが見てもこの割当は公正妥当な割当であるということがわかり、かつてその上で、眞に赤字供出をしなければならぬという実情に当面します部落及び農家に対しては、そのときに、政府は政府としてその最後の処置を講じたいつもりでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
     ――――◇―――――
 第二 民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出)
#46
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員会委員池谷信一君。
   ―――――――――
 民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
   ―――――――――
    〔池谷信一君登壇〕
#47
○池谷信一君 ただいま議題と相なりました民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案について、司法委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨について御説明いたします。御承知の通り民法において、戸主、家族その他家に関する規定及び家督相続に関する規定の削除、両性の本質的平等に反する規定の改正、親族会の廃止、口語化書きおろしのための多くの整備等が行われたので、他の法律中從前の民法の規定を前提としている幾多の規定をこれに適合するように整理する必要があり、さらに民法改正と並行して、他の法律中の家族制度に関する規定もまたこれを憲法の基本原則に適合するように整理する必要があり、しかも、これらの法律の数は、すでに他の法律の改正等に関連して整理したものを除いても、なお実に六十七の多きに上る状態であつて、これをそれぞれの法律で改正することは非常に煩雜なので、一括整理することとなり、本案が提出せられたものであります。本案の内容を簡單に御説明いたします。
 第一に、たとえば銃砲火藥類取締法第二十一條の営業主に対する罰則においては、営業者の戸主、家族が同法に違反したときには、自己の指揮に出でないという理由で処罰を免れることができないことになつているのであるますが、民法から戸主、家族の規定を削除した結果、右の規定からも戸主、家族を削り、事実上同居している親族に犯則行爲があつたときは、同條中の同居者に包含されるものとして扱うこととなり、同樣に他の法律についても、戸主、家族その他家または家督相続の存在を前提とする規定に、それぞれの法律の内容に照らし、所要の改正が加えられております。
 第二に、たとえば信託法第五條第二項の、妻が信託の引受をするには夫の許可を受ける必要があるという規定のように、妻の能力を制限する規定、その他両性の本質的平等に反する規定は、それぞれの法律の内容に即應して所要の改正を行い、両性の本質的平等に徹底するための措置が講ぜられております。
 第三に、たとえば精神病者監護法第一條第二項においては、精神病者に対する最終順位の監護義務者は四親等内の親族の中から親族会が選任することになつておりますが、親族会廃止の結果、これを家事審判所が選任することに改めております。同樣に、從來親族会の決議または裁判所の裁判で扱つていたもので、改正民法の精神に照らし、家事審判所で扱うのが適当と思われるものを、家事審判所の審判事項としております。
 第四に、國民優生法第四條においては、父母等の同意を要しないで優生手術を受けることのできる年齢は三十歳となつておりましたが、これを原則として二十歳まで引下げております。これは單なる整理でなく、実質的な改正を含んでいるのであります。從來民法においては、男が父母等の同意なくして婚姻のできる年齢が三十歳であつたため、單独で優生手術を受けることのできる年齢も三十歳であつたのでありますが、民法改正により、同意なくして婚姻のできる年齢が原則として二十歳に引下げられたので、これと歩調を合わせるのが適当であるとの理由から、單独で優生手術を受けることのできる年齢を、原則として二十歳に改めておるのであります。
 第五に、改正民法の條文の整理に伴い、他の法律で引用した民法の條文を整理し、その他所要の整理改正を加えております。
 最後に、信託法外二法律については、その法律の改正に伴い、それぞれ所要の経過規定を設けております。以上が、政府原案の要旨でございます。
 本案については、委員会は本月二十三日政府の説明を聽き、次いで二十五日審査を進めたのでありますが、本案の内容は、新憲法並びに改正民法の施行に伴う当然の改正、整理であつて、別に問題となる点もなく、從つて質疑を省略し、直ちに討論に移り、各党委員より、それぞれ党を代表して原案賛成の意見が述べられた後、採決の結果、本案は全会一致をもつて原案のとおり可決いたしました次第でございます。右、御報告いたします。
    ―――――――――――――
#48
○安平鹿一君 本案に対する採決は残余の日程とともにこれを延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#49
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
  
   午後六時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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