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2019/03/27 第198回国会 参議院 参議院会議録情報 第198回国会 本会議 第10号
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2019/03/27 第198回国会 参議院

参議院会議録情報 第198回国会 本会議 第10号

#1
第198回国会 本会議 第10号
平成三十一年三月二十七日(水曜日)
   午後二時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  平成三十一年三月二十七日
   午後二時開議
 第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指
  名
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、平成三十一年度一般会計予算
 一、平成三十一年度特別会計予算
 一、平成三十一年度政府関係機関予算
 一、地方税法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 一、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に
  関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 一、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 一、地方交付税法等の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 一、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 一、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為によ
  り支出すべき年限に関する特別措置法の一部
  を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 内閣から、中央選挙管理会委員五名の任命について、本院の議決による指名を求めてまいりました。
 本委員を指名するときは、併せて同予備委員を指名することとなっております。
 よって、これより中央選挙管理会委員及び同予備委員各五名の指名を行いたいと存じます。
 つきましては、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名は、いずれも議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 中央選挙管理会委員に宮里猛君、高部正男君、斎藤勁君、細川律夫君及び白浜一良君を、
 また、同予備委員に元宿仁君、阿部信吾君、阿部和弘君、加賀谷弘平君及び藪仲義彦君を、
それぞれ指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 平成三十一年度一般会計予算
 平成三十一年度特別会計予算
 平成三十一年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長金子原二郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔金子原二郎君登壇、拍手〕
#7
○金子原二郎君 ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 平成三十一年度予算三案は、去る一月二十八日に国会に提出され、二月六日に財務大臣から趣旨説明を聴取し、衆議院から送付の後、三月四日より質疑に入りました。
 以来、基本的質疑、一般質疑に加え、四回にわたる集中審議を行い、三月十二日、公聴会を開催し、三月十九日、三月二十日及び二十二日には各委員会に審査を委嘱したほか、予備審査中の二月十八日及び十九日の二日間、長崎県及び佐賀県に委員を派遣して現地調査を行うなど、本日まで熱心に審査を行ってまいりました。
 質疑は、財政健全化への取組、日銀の金融緩和政策の妥当性、消費税率引上げ対策の効果と課題、幼児教育、保育の無償化をめぐる諸課題、児童虐待防止対策の強化、辺野古沖埋立事業をめぐる諸問題、日ロ等の外交に取り組む政府の姿勢、農林水産業振興政策の在り方、インフラ整備・維持の重要性、原子力発電所をめぐる諸問題、改元と皇位継承、毎月勤労統計調査における不適切な処理に係る問題など多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 本日をもって質疑を終局し、討論、採決の結果、平成三十一年度予算三案は賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(伊達忠一君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小西洋之君。
   〔小西洋之君登壇、拍手〕
#9
○小西洋之君 立憲民主党・民友会・希望の会の小西洋之です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 まず、複雑怪奇かつ高所得者ほど得をする天下の愚策軽減税率、幾通りもの複数税率となるポイント還元、事務経費が約三割を占めるプレミアム商品券等々、合理性を欠く対策で国民を欺き、国民生活に害を与える消費増税は断じて認められません。
 また、二兆円超の消費増税対策のうち、その三分の二は実は国土強靱化対策などであり、その結果、公共事業費が前年度比一五・六%の増という十年ぶりの高水準に大きく膨れ上がるなど、プライマリーバランス黒字化目標が本年一月の政府試算で既に達成不可能となっているのは言語道断であります。
 一方で、約二万人の待機児童が保育士不足などによって解決できていない中、年収六百四十万以上の世帯に対し無償化予算の五〇%を費やすなど、社会保障の充実策の多くは政策合理性に反するばらまきとなっており、断じて容認できません。
 しかし、本案に反対する理由の根幹は、その発足以来、改ざん、捏造、隠蔽などの不正行為によって、憲法破壊、議会政治の破壊等々を繰り広げてきた安倍政権の暴挙が人間の尊厳と国民生活そのものの破壊に及んでおり、こうした虚偽と詭弁の強権政治、民主制の敵である安倍内閣には、予算の国会議決を得てそれを執行する行政府としての正統性そのものが断じて認められないからであります。
 まず、統計法第一条に民主制における国民の合理的な意思決定の基盤と定める政府統計への信頼は、完全に地に落ちたと言わざるを得ません。厚労省の特別監察委員会は、うそをついたが隠蔽ではないという追加報告書をまとめ、国民を唖然とさせました。しかし、そのからくりは、事実を隠す意図を持ってうそをついたか否かを厚労省と関係の深い調査委員らがわざと確認しないという、隠蔽を意図的に隠蔽する不正調査であったのであります。
 統計委員会の委員らも厳しく批判するこの報告書を根本厚労大臣は、衆参の審議で三十回近く、隠蔽がないことが明らかになったと主張しており、国会を改ざん文書で欺いた麻生財務大臣同様、もはやその在任自体が民主制の否定であり、即刻辞任すべきであります。
 また、統計不正の本丸、アベノミクス偽装の疑惑は、政府・与党の抵抗により何ら解明されていません。森友、加計学園問題に続き、もはや安倍政権の風物詩となった総理秘書官の暗躍は、肝腎のサンプル入替え方法の変更指示の場面に限って記憶喪失になり、二〇一八年一月以降の賃金かさ上げを講じた担当室長らの参考人招致は最後まで拒否され続け、予算審議のため三月末までに提出するはずの共通事業所ベースの実質賃金は、土壇場で中間整理案なるものに後退しました。国民の賃金の実態が不明なままに、消費増税等々を含む予算審議が成り立つわけがなく、本案は国会提出の前提そのものを欠いていると断ずるほかないのであります。
 では、国会の国政調査権をじゅうりんして、安倍政権は一体何を隠したいのでしょうか。
 アベノミクスの六年間、実質賃金は大きく低下し、アベノミクス開始前の水準にすら届いていません。政府も口をつぐみ始めた戦後最長の景気回復なる大風呂敷は、GDPを不当にかさ上げし、株価を日銀の大規模買入れによって下支えした偽装経済であるのであります。
 一方、この間に、異次元の金融緩和によって日銀の保有国債は四百八十兆円に迫り、長期債務残高は約二百兆円増加する一方で、二%の物価安定目標は放棄され、本予算で八・八兆円もの利払い費が計上されている長期金利の上昇リスクを前に、景気の好循環どころか、国家を財政破綻に、国民生活をハイパーインフレなどの危険に追い込んだ暴挙こそがアベノミクスの真の姿なのであります。
 通貨の番人であるはずの日銀の黒田総裁は、野党議員の出口戦略に関する真摯な問いかけに対し、法の番人どころか、三権分立の国会の自律権を侵害し、政治的発言までを行う総理の番犬と成り果てた横畠内閣法制局長官と同様、薄ら笑いを浮かべながら、何ら具体策を語ろうとしません。もはやアベノミクスは、安倍総理に虚偽と偽装にまみれた見果てぬ成果を語らせるときではなく、国家の総力を挙げて、その失敗の真実と国民生活への恐るべきリスクを語るときなのであります。
 次に、沖縄県民投票の圧倒的な民意を無視し、辺野古の基地建設を強行する安倍政権の対応は、憲法九十二条の定める地方自治の本旨たる住民自治、団体自治をじゅうりんする暴挙にほかなりません。
 岩屋大臣が主張する国の民主主義の在り方は、地方自治の本旨に基づき、沖縄の民主主義と調和する限りにおいて許されるのが憲法の趣旨です。しかし、防衛大臣も、防衛省の担当局長、課長も、沖縄県議会での県民投票の趣旨説明、地方自治法に基づく住民四名の代表者意見を一行も読んでいないことが明らかになりました。そこには、安倍総理らが埋立て強行の理由として壊れた機械のように繰り返す、普天間基地の危険性、早期移転の必要性が、そもそもの住民意思、団体意思として明確に述べられているのであります。沖縄県民が、沖縄県が、何のために、いかなる思いを持って、どのような政策的な視野を持って県民投票を行うのか、行ったかを事前に知ろうともせず、全く知りもせず、一体どうやって投票結果を真摯に受け止め、県民の気持ちに寄り添うことができるのでしょうか。
 沖縄の海兵隊駐留の軍事的正当性は、複数の米国政府の元高官らからも疑問が呈されています。玉城知事の協議呼びかけを無視し、期間も費用も不明な基地建設を強行する安倍政権の所業は、まさに現在の銃剣とブルドーザーそのものであります。今、土砂で埋め立てられているのは、沖縄県民にとどまらず、私たち日本国民一人一人の人間としての尊厳であり、私たちの民主主義そのものなのであります。
 こうした安倍内閣の人間の尊厳と法の支配をじゅうりんする暴挙の端緒及びその最たるものは、昭和四十七年政府見解を曲解し、その中に集団的自衛権を許容する基本的な論理なるものを捏造した解釈変更、安保法制であります。
 この近代立憲史上に例のない決裁文書の改ざんによる憲法破壊行為、自衛隊明記改憲によっても法的に治癒され得ない、人間として断じて許されない、自衛隊員ら国民の尊厳をこの上なくじゅうりんする暴挙が今般の予算で具体化しています。
 安倍総理は空母保有を専守防衛に反しないと主張していますが、そもそも安倍内閣は、解釈変更の際に専守防衛の定義を改ざんし、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使しとの文言について、この相手とは、日本を攻撃する国ではなく、日本の同盟国のアメリカを攻撃する第三国の意味とも読めるのだと強弁しているのであります。これは、法の支配の破壊だけではなく、日本語という言語、国語の破壊、すなわち文明破壊の暴挙そのものであります。この専守防衛の改ざんのどこに自衛隊員の名誉や尊厳があるのでしょうか。
 また、安倍総理は、丸二年余り、自衛隊員や国民の前で幾度となく改憲の口実にしてきた憲法学者の自衛隊違憲論について、その学説の内容を紹介するよう三月六日の予算委員会で二度にわたって問われ、全く何も答えることができなかったのであります。安倍総理ほど、自衛隊員の名誉と尊厳を踏みにじっている政治家はいない。これ以上自衛隊員を改憲の道具にすることは断じて許されない、あなたには改憲を唱える資格など一ミリもないと満身の怒りを持って安倍総理を弾劾するものであります。
 最後に、安倍総理は、確認できる限りこれまで百回以上、国会や国民に対し法の支配を訴えています。しかし、その安倍総理は、三月六日の予算委員会で法の支配の対義語を二度問われ、やはり何も答えることができない、何も知らなかったのであります。
 法の支配とは、権力者の専断によって人間の尊厳が侵されてはならないという、人の支配の否定から生まれた普遍原理であります。改憲を唱える総理が近代憲法の立憲原理の趣旨さえ理解していないという驚愕の事実は、同時に、我々立法府に集う者たちに対して、改めて安倍総理とは一体何者であるのかという根本命題を突き付けているのであります。
 本演説で指摘した安倍総理の一連の暴挙は、全て民主制における悪夢そのものであり、すなわち人の支配そのものであるのであります。平成のその先の時代の前に、一刻も早く、人の支配、安倍政権を打倒し、法の支配と当たり前の民主主義、真っ当な政治を取り戻す決意を申し上げ、反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#10
○議長(伊達忠一君) 石井準一君。
   〔石井準一君登壇、拍手〕
#11
○石井準一君 自由民主党の石井準一です。
 私は、自民・公明を代表して、ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案に対し、賛成の立場から討論をいたします。
 四月三十日には天皇陛下が御退位をされ、皇太子殿下が五月一日に御即位をされます。来月一日には新しい元号も発表されます。平成という時代の最重要課題の一つは、経済再生と財政の健全化でありました。また、激変する安全保障環境の中で我が国の平和をどう守っていくかという時代でもありました。新たな時代を迎える今こそ、これらの課題の解決に向けて、新しい時代の国づくりにつながる平成三十一年度予算案を一日も早く成立をさせ、様々な施策を力強く実行させていかなければなりません。
 参議院におきましては、三月二日に本予算案を受領し、それから六十六時間強の、良識の府、熟議の府らしく、多角的な視点、中長期的な視点から議論を重ねてまいりました。厚労省の毎月勤労統計調査の不適切事案に端を発した政府統計調査についても、集中審議や中央公聴会などを通じ、適切な議論を行ってまいりました。適正な手続を経ずに抽出調査としてしまった不適切、不正な事務処理については、厚労省に猛省を促すとともに、これにより発生した雇用保険給付等での過少給付には早期かつ簡便な方法で対応すべきと強く訴えます。同時に、統計調査への信頼の回復に向けた真摯な努力を続けていくべきと重ねて申入れをいたします。
 では、以下、平成三十一年度予算三案について、賛成の主な理由を申し述べます。
 まず、経済再生など、我が国将来につながる政策の推進と財政健全化の両立を成し遂げている点であります。
 今回の平成三十一年度予算には、デフレからの完全脱却はもちろん、国難とも言える少子高齢化への対応、全世代型社会保障の実現など、国内外の重要課題に果敢に取り組むための施策がしっかりと盛り込まれた結果、一般会計においては当初予算ベースで初めて百兆円台に乗せましたが、同時に、バブル景気時を上回る税収を見込むとともに、国債発行額は第二次安倍内閣発足以来七年連続で減額、一般会計プライマリーバランスも赤字幅を九兆円台に縮小するなど、財政健全化とも両立したフレームとなっております。
 主な政策項目で見ていくと、まず、全世代型の社会保障制度への転換に向け、消費税増収分を活用した幼児教育の無償化、社会保障の充実等が進められている点が特徴となっております。
 具体的には、十月より、全ての三歳から五歳児、そして住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳までの幼児について、幼稚園、保育園、認定こども園等の費用が無償化をされます。待機児童の解消を目指した保育受皿の拡大や保育人材の確保のための経費も拡充をされております。さらに、喫緊の課題としての対応が急がれる児童虐待防止対策等の迅速かつ強力な推進を図る内容となっております。同時に、介護人材の処遇改善や年金生活者支援給付金の支給、低所得高齢者の介護保険料の負担軽減の強化など、高齢者にも配慮されております。
 国土強靱化にも積極的に取り組んでいる予算となっております。近年、多発化、激甚化する自然災害から国民の皆様方の生命と財産を守るために、脆弱性が判明した箇所には集中的に前倒しで対応を講ずるべきであります。今回の予算では、重要インフラの緊急点検等を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に基づき、二〇二〇年度までの三か年間で集中的に緊急対策を実施していくための十分な経費が盛り込まれております。
 消費税率引上げに伴う痛税感の緩和のため、軽減税率の円滑的な導入支援策や、経済への影響の平準化に向けても、ポイント還元やプレミアム付き商品券発行など、多角的な施策が総動員をされております。
 また、水産資源管理の強化のための資源調査の充実や高性能漁船の導入等による水産業の成長産業化、そして、二〇一九年の農林水産物・食品輸出の一兆円目標の確実な達成に向けた輸出のプロモーションの強化、加えて、訪日外国人旅行者数二〇二〇年四千万人、旅行消費額八兆円等の目標達成に向けた地域資源の活用策の充実や、中小企業・小規模事業者のIT化、生産性向上に向けた支援策の推進など、あらゆる産業分野の発展にも配慮されております。さらに、厳しさを増す安全保障環境の中、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域を含めた体制構築の強化や、戦略的外交の推進のための予算もしっかりと確保されております。
 今申し上げた以外にも、先端科学や観光、農業といった地方大学等の新たなチャレンジを後押しする地方創生関連施策、福島の復興に向けたなりわい再生支援や復興拠点整備、外国人材受入れに伴う環境づくり、地方の実情を踏まえた安定的な財政運営のための交付税措置など、様々な施策が盛り込まれており、地域の皆様方も一日も早い予算の成立を待ち望んでおります。
 以上、本予算案に対する賛成の理由を述べました。議員各位におかれましては御賛同賜りますよう強くお願いを申し上げまして、私の賛成討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#12
○議長(伊達忠一君) 田名部匡代さん。
   〔田名部匡代君登壇、拍手〕
#13
○田名部匡代君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 冒頭、沖縄新基地建設問題について申し上げます。
 防衛省が国会に提出した一万ページに及ぶ調査報告書では、新たに見付かった広大な軟弱地盤に対する工法も、そして工期も総事業費も明示されていない上、移設後の地盤沈下への懸念も払拭されていません。
 本年二月二十四日に行われた辺野古への米軍基地移設問題の賛否を問う県民投票では、およそ七割を占める四十三万四千二百七十三名もの人々が反対の意思を示しました。しかし、それにもかかわらず、安倍政権は結果を一切顧みず、民意を無視して強引に工事を推し進めようとしています。沖縄県民の思い、願いを踏みにじる政府の対応は決して許されるものではありません。
 次に、疑惑が深まる統計不正について指摘いたします。
 毎月勤労統計の不正調査は、雇用保険等における五百億円規模の支給漏れや本予算の閣議決定のやり直しなど、未曽有の混乱を引き起こしました。また、数値の修正は十一の経済指標等へ影響することが明らかになったほか、基幹統計においては二十七もの問題が発見されるなど、国民の統計に対する信頼は完全に失われております。
 さらに、安倍総理が誇る長期の景気回復も、我が会派の大塚耕平議員が指摘したように、眉唾物と言わざるを得ません。内閣府の景気動向指数研究会は、指標が低迷した二十六年四月から二十八年二月を、エコノミストですら疑念を抱くような判断で、景気後退期ではないとしましたが、次々と明らかになる不正の前で、この判断をうのみにすることはできないのであります。
 仮に百歩譲って政府の判断を信じたとしても、足下で景気後退の可能性は高まっており、今まで取り繕ってきたアベノミクスの限界は明白であると言わざるを得ません。このまま安倍内閣による政策運営が続けば、経済の好転は期待できず、ますます格差は拡大することになるでしょう。
 担当する根本厚生労働大臣は、毎月勤労統計の不正調査データ問題を解明しようともせず、御自身のお考えを問われても、大臣の決断を求められても、委員会中、後ろでずっとひざまずきレクチャーし続ける役人の方の声ばかり聞いて、何を質問されたかもお聞きになっていないという有様でした。事の重要性を御認識されておられるのでしょうか。
 お手盛りのいいかげんな調査のまま、立法府も国民をもごまかそうとする安倍政権に対して強く抗議し、以下、本予算に反対する主な理由を申し述べます。
 第一の理由は、規模、内容共に問題ばかりの消費税対策が盛り込まれた予算となっていることです。
 本予算には、十月に予定される消費税率引上げの対策として、二兆円規模の臨時特別の措置が計上されており、総理は、いただいた消費税を全てお返しする規模の対策などと述べていますけれど、全て返すならば初めから増税を中止すればいいじゃないですか。
 対策の中身も容認できないことを申し上げなくてはなりません。二千八百億円の予算で実施するポイント還元は、高齢者や地方の小規模店舗などキャッシュレスと縁遠い国民には恩恵がない一方、高額商品をカードで購入する高所得者は多くの還元を受けることができ、消費税の逆進性を更に強めるものです。
 また、臨時特別の措置と別に実施される一・一兆円規模の軽減税率も、財務省の試算によると、低所得層の軽減額が一千四百億円であるのに対して、高所得者層の軽減額は二倍以上の二千九百億円に上り、逆進性を助長することが明確です。
 国民の皆さんの景気実感を判断するのに大変重要な指標となる実質賃金も明らかにせず、消費税対策という名目で大盤振る舞いを行い、結果、格差拡大に拍車を掛けることになる本予算に賛成の余地はないのであります。
 第二の理由は、保育の無償化の問題です。
 保育、そして幼児教育無償化のことについて、その考え方に何の理念もありません。約十年前、民主党政権で進めていた子ども手当を、当時野党であった安倍総理は、子ども手当は子育てを家庭から奪うスターリンやポル・ポトの政策であると根拠のない批判を執拗に行い、自民党の議員は、愚か者めと採決のときに叫び、さらには、愚か者Tシャツまで作ってネガティブキャンペーンを行って、子ども手当を潰しました。
 当時は、団塊ジュニアが出産・子育て世代として、まさに人口の塊があった時代でありました。子ども手当を満額支給していたら、まさに子供の貧困の問題や少子化の問題も、今はもっと薄くなっていたかもしれない、なかったかもしれません。当時の言葉をそのままお返しします。愚か者め。
 第三の理由は、防衛関係費を際限なく拡大する予算となっている点であります。
 政府は、昨年、新たな防衛大綱及び中期防衛力整備計画において、護衛艦の空母化、スタンドオフ防衛力の強化など専守防衛を逸脱する疑義のある内容を、国会における十分な議論もないまま唐突に盛り込みました。そして、新計画の初年度となる本予算に、当初予算として過去最大となる五・三兆円の防衛関係費を計上しております。近年、防衛関係費は毎年度増加を続けており、予算編成過程において聖域化しているとの批判は免れません。
 確かに、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の整備は必要ですが、これまで国内で組み立ててきたF35A戦闘機を米国から直接購入するなど、有償軍事援助に関する予算が前年比七一%増の七千億円に達していることを見れば、防衛関係費増加の背景にトランプ大統領への配慮があることは明白です。
 財政事情を踏まえた政策の優先順位付けを欠き、国内防衛産業の競争力の低下も招きかねない本予算には断固反対であります。
 第四の理由は、近年例のない規模の公共事業を含んだ予算となっている点であります。
 本予算には、前年比一五・六%増となる六・九兆円の公共事業関係費が計上されており、当初予算としては十年ぶりの規模となっています。政府はそのうち八千五百億円を臨時特別の措置と位置付けておりますが、真に必要な事業があるならば、既存の予算を見直して実施すべきです。
 また、三十年度第二次補正予算を合わせると八兆円規模の予算となりますが、公共事業関連職種の有効求人倍率が五倍を超える中、限られた期間で執行できるのかが疑問であります。
 安倍内閣では補正予算による公共事業関係費の積み増しが繰り返されてきましたが、ついに、当初予算でもたがが外れました。公共事業を野方図に拡大する本予算に賛成することはできないのであります。
 第五の理由は、過度に楽観的な成長見通しを前提とした予算となっている点であります。
 本予算において政府は、三十一年度の名目成長率二・四%の想定の下に、税収を当初予算としては過去二番目の規模の六十二・五兆円と見込んでおります。しかし、民間エコノミストは名目成長率を一・五%程度と見ており、政府の見通しは余りにも甘過ぎる、甘過ぎます。
 一方で、歳出削減の取組は不十分なままです。既に述べた防衛関係費や公共事業関係費の増大に加え、高齢化による増加分に収めたという社会保障関係費も、制度改革の中身は既に決定されていたメニューばかりで、真剣に歳出の見直しを検討した様子は全くうかがえません。予算審議でも、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化に向けた具体策が総理から語られることは、ついにありませんでした。
 成長に頼った財政再建では、景気の低迷で税収が落ち込んだ場合、追加の国債発行が必要となり、財政再建目標の達成は更に遠のきます。景気の先行きが不透明感を増す中、財政危機を招きかねない予算には反対するほかありません。
 以上、本予算に反対する主な理由を申し述べました。
 アベノミクスの息切れ、さらには、その成果とされてきた事実にも疑念、疑惑が顕在化している今、経済の実態に根差した政治が求められております。また、参議院の定数六増や繰り返される隠蔽など、国民の生活をないがしろにし続けているのが安倍政権です。
 我々国民民主党は、事実を直視した的確な政策運営を取り戻すため今後も安倍政権と対峙していくことを申し述べ、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#14
○議長(伊達忠一君) 片山大介君。
   〔片山大介君登壇、拍手〕
#15
○片山大介君 日本維新の会・希望の党の片山大介です。
 私は、会派を代表して、平成三十一年度予算案に対し、反対の立場から討論いたします。
 平成三十一年度予算案に反対する第一の理由は、消費増税を前提としていることです。
 消費税率の引上げが予定されていますが、増税に基づいた予算は到底賛成できません。日本維新の会は、これまで何度も身を切る改革を主張してきました。国民に増税をお願いする前に、まず行財政改革をしっかりと実現し、歳出の無駄をなくすことから始めるべきです。
 維新が行財政改革を進めてきた大阪府、大阪市においては、随意契約から競争入札への大幅な切替えなどを進めることで歳出の適正化を進めました。このような地道な改革を進めないで、国民に負担を強いること自体が問題です。増税の前に徹底した行財政改革を行うことを主張します。
 そして、予算案に反対する第二の理由、世界経済の減速が高まっていることです。
 OECDとIMFは、今年の世界経済の見通しを下方修正しました。また、日銀の黒田総裁は、三月の日銀政策決定会合後の会見において、前回一月に行った海外経済の評価を下げ、世界経済の減速リスクが高まっており、輸出と生産に影響を与えるという考えを示しました。
 安倍政権は、平成二十六年十一月、そして平成二十八年六月に消費税率の引上げを延期しました。その延期を判断したときと比べ、世界経済の情勢は明らかに悪くなっています。そうお感じになりませんか。今は消費税を上げることができる景気状況ではないことが明らかであるにもかかわらず税率が引き上げられるのであれば、政府の判断基準は無責任なものと言わざるを得ません。
 第三の理由としては、政府の説明にごまかしがあるということです。
 政府答弁では、安倍政権の発足以来七年連続で国債発行額を縮減してきたとしています。しかし、補正予算を含めた決算ベースの国債発行額は、平成二十八年度、平成三十年度とも前年よりも大きくなっています。七年連続というのはごまかしにすぎません。
 それだけでなく、政府は、預金保険機構の剰余金の中から八千億円を一般会計に税外収入として組み入れようとしています。そこまでして当初予算における国債発行額をあたかも七年連続で小さくなったかのように見せかけることにどのような意味があるのかは大きな疑問です。政府には、現実にしっかりと向き合い、誠実な姿勢を示していただきたいと思います。
 問題はほかにもあります。
 安倍政権の発足以降、プライマリーバランスの黒字化は先送りされ続けています。税収が伸びているときだからこそプライマリーバランスの黒字化に向けた取組を進めるべきであり、財政健全化に向けた努力を続けることで強い日本経済を目指すべきです。
 プライマリーバランスの黒字化は、累積した赤字国債発行額を縮小させるために避けては通れません。累積した赤字国債を甘く見るべきではなく、将来的な金利上昇リスクは当然想定しなければなりません。海外の金融筋がいつまでも円に信認を置いてくれるとは限らず、国家財政の健全化こそが、先行きの不透明な世界情勢の中で日本が安定した政治運営を進める上での鍵になると考えます。
 最後の反対理由になりますが、消費税増税とともに適用される軽減税率についての課題です。
 何が標準税率で何が軽減税率なのか、国税庁の出したQアンドAを見ても、その線引きが複雑過ぎて理解できません。
 今から五十一年前に軽減税率を導入したドイツでは、二〇一八年時点でも連邦税務裁判所における売上税に関する訴訟が百九十件もあり、軽減税率の線引きは五十年以上たった今でも決着が付いていません。日本で軽減税率が適用され、仮に訴訟が起きた場合、線の引き方が変わることも予想されます。また、店と客とのトラブルも懸念され、国民に不満がたまるおそれもあります。
 その上、政府は、キャッシュレス決済をした場合のポイント還元を導入しようとしています。
 還元率が、購入する店の規模によって、中小店舗で五%、大企業のフランチャイズチェーン店が二%、ポイント還元を受けない店は〇%と三通りとなり、標準税率と軽減税率と組み合わせて六通りととても複雑なものとなります。流通業界やソフトウエアの開発者に大きな負担を掛けることは明らかです。軽減税率やポイント還元などの導入は拙速に過ぎるものであり、将来に禍根を残すことは明らかです。
 二〇一五年に軽減税率の導入を決めた際、給付付き税額控除の導入も選択肢であったはずで、マイナンバーカードの普及を前提としたポイント還元策が可能であるならば、複雑な軽減税率ではなく、給付付き税額控除の導入を検討すべきです。
 改めて、日本維新の会は、消費税増税の凍結及び軽減税率に対する反対を主張します。そして、増税を前提にした平成三十一年度予算案は容認できないということを申し上げ、私からの反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#16
○議長(伊達忠一君) 辰巳孝太郎君。
   〔辰巳孝太郎君登壇、拍手〕
#17
○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、二〇一九年度一般会計予算外二案に対し、反対の討論を行います。
 安倍政権の下、日本の民主主義が危機にさらされています。
 最大の民主主義破壊は、辺野古新基地建設の強行です。県民投票で圧倒的民意を一顧だにせずに、政府は辺野古の海に土砂投入を続けています。政府は、深度七十メートルから九十メートルの軟弱地盤について、地盤の強度を示すN値を調査していないことを認めました。地盤改良を含めた総工費が一体幾らになるのかも示されておりません。大体、設計変更には玉城デニー知事の承認が必要であり、知事は承認しません。
 安倍政権が辺野古に固執すればするほど普天間基地は返還されません。地元がこれだけ反対するものを押し付けるような国は民主主義国家とは言えません。普天間基地の閉鎖、無条件撤去を米国に求める本腰を入れた外交交渉を行うことこそ主権国家の当たり前の姿であるということを申し上げたいと思います。
 総理の妻が肩入れし関与した学園には国有地が八億円も値引きされ、ただ同然で売却され、総理の腹心の友には獣医学部の新設が五十二年ぶりに特例的に認められるという重大な国家の私物化が露呈をしました。
 森友事件においては、工事事業者が政府に提出した報告書が全くのでたらめであることが判明し、八億の値引きの根拠は崩壊いたしました。
 なぜこのような不適切な国有地売買が行われたのか。それは安倍昭恵氏が開校の予定されていた小学校の名誉校長に就任するなどの関与があったからにほかなりません。改ざんされる前の決裁文書には五か所にわたって昭恵氏の名前が記され、籠池夫妻とのスリーショットの写真が職員に渡され、昭恵氏が、いい土地ですから前に進めてくださいと語り、神風を吹かせたからではありませんか。
 森友事件は終わっておりません。とりわけ深刻なのは、決裁文書の改ざんの経緯が記された可能性のある本省理財局と近畿財務局とのやり取りの文書の国会提出を、今後の業務の支障が出るとしていまだに財務省はその提出を拒んでいることです。我々が入手した文書には、最高裁まで争う覚悟で非公表とあり、全く反省していないではありませんか。
 これほどまでの事件、不祥事を起こし、部下が公文書の改ざんを強要され自ら命を絶っても、政治家は誰一人責任取らない。一体、この国は本当に民主主義国家なのか。安倍政権から民主主義を取り戻すことは、一刻の猶予も許されません。
 立法府の軽視も極限に達しました。例えば度重なる資料の隠蔽です。南スーダン自衛隊派兵をめぐる日報隠蔽、怪文書と切り捨てながら存在していた加計文書めぐる文書、廃棄したとうそをつき隠蔽した森友事件における応接録、ついには、会計検査院にまで求められた資料を出さず、金額を消すようにと報告書の記述への介入を試みました。統計不正に関わったキーマンとされる人物の国会招致も最後まで拒みました。共通しているのは、政権に不都合な公文書も参考人も国会には出さないという究極の国会軽視であり、国会の行政監視機能を奪うものであり、到底容認できるものではありません。
 その安倍政権による本予算は重大な問題を抱えています。最大の問題は、国民に対して五・七兆円もの負担を押し付ける消費税一〇%への大増税です。
 内閣府の景気動向指数は三か月連続で悪化し、景気判断が下方修正されました。続く政府の月例経済報告でも、政府自身が景気悪化の可能性を認めました。二〇一四年十一月の消費税を八%に増税した直後以来のことです。今回は増税前から下方修正の景気判断をしたことになります。
 総理は、就業者が三百八十万人増えたことを景気回復の表れと自慢していますが、増加した七割は高齢者であり、年金だけでは暮らしていけないからです。二割は学生アルバイトの増加で、奨学金という名の借金に頼らざるを得ない若者たちが債務を少しでも減らそうとしているからであり、そもそも自慢するような話ではありません。
 世論調査では八割を超える国民が景気回復の実感なしと答えていますが、実感がないのは実態がないからです。消費支出は増税前と比べても二十五万円も減少しています。
 そんな中、昨年一月からの毎月勤労統計のデータがこっそり補正され、ベンチマーク更新に伴う遡及改定を統計委員会委員長も知らないうちにやめ、賃金の伸びを上振れさせていたことが分かりました。野党の試算では、共通事業所における前年同月比実質賃金はマイナスであり、アベノミクスの破綻は明白であります。
 そして、景気回復の温かい風は大企業と大資産家と総理の頭の中だけに吹いていたのではありませんか。国民生活に壊滅的な打撃を与える消費税一〇%増税は、中止、撤回を強く求めるものであります。
 今必要なのは、国民の家計、懐を温める政策です。我が党が指摘したように、最低賃金額が標準生活費を満たしていません。深刻な貧困と格差を克服して日本経済を立て直すために、今こそ、年金削減やめ、全国一律の最低賃金千円を実現し、中小企業支援とセットで千五百円への引上げを目指すべきではないでしょうか。
 安倍政権は、国民にはうそ一辺倒ですが、米国には忠実です。
 本予算案の軍事費は五兆二千五百七十億円で、五年連続で過去最高を更新いたしました。米国の有償軍事援助、FMSに基づく購入額も七千十三億円と過去最高額です。護衛艦「いずも」の改修は、F35Bやオスプレイなどの運用を想定したもので、憲法上持てないとしてきた事実上の空母化そのものです。海外で戦争できる国になるための危険な改憲策動を支えるものであり、断じて認められません。
 とりわけ、安倍首相がトランプ・アメリカ大統領に約束したF35戦闘機の爆買いは問題です。
 米国防総省は、二〇一八年度の年次報告書で、F35A、B、Cの三タイプ全体で九百四十一件の欠陥があることを指摘し、初期に製造されたF35Bステルス戦闘機の寿命は僅か十年程度であるとしました。短期間で機体の買換えや大規模な改修を余儀なくされることになります。取得費や維持費などで六千億円を超えるとも指摘されているイージス・アショアも論外であり、文字どおり浪費的爆買いです。
 その上、米国は、米軍駐留経費総額の一・五倍の負担を日本に要求をしています。思いやり予算は高止まりし、中小企業予算を超えています。一体、いつまで思いやる相手を取り間違えるのか。政府は、負担増についてアメリカと交渉すると言いますが、交渉ではなく、断じて認められないとはっきり言うべきです。
 最後に、本予算が、原発再稼働を推進し、核燃料サイクルを温存する予算も計上していることも問題です。
 経済産業省は、国内で原発を動かす電力会社に対する補助制度を創設し、その費用を電力料金に上乗せすることを検討すると言います。まさに、原発ほど高く付くものはないということを認めたということではないですか。
 経団連の中西宏明会長も、原発の輸出はもう限界と語っています。原発輸出も国内での再稼働も安全性に疑問符が付き、コストの面でも成り立ちません。東電や国に東京電力福島第一原発事故の責任を果たさせるとともに、原発ゼロの政治決断こそ行うべきです。
 民主主義をわきまえず、国民の暮らしを顧みず、憲法の原則をも踏み外す本予算案は、我が国の前途に禍根をもたらすものになることを厳しく指摘し、私の反対討論といたします。(拍手)
#18
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#19
○議長(伊達忠一君) これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#20
○議長(伊達忠一君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#21
○議長(伊達忠一君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#22
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十九票  
  白色票          百五十二票  
  青色票           八十七票  
 よって、三案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#23
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 地方税法等の一部を改正する法律案
 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案
 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案
 地方交付税法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長秋野公造君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔秋野公造君登壇、拍手〕
#25
○秋野公造君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢等を踏まえ、特別法人事業税の創設に合わせた法人事業税の税率の引下げ、自動車税の税率の引下げ並びに環境への負荷の少ない自動車を対象とした自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の特例措置等の見直し、自動車重量譲与税の拡充並びに地方公共団体に対する寄附に係る個人住民税の寄附金税額控除における指定制度の導入等を行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行おうとするものであります。
 次に、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案は、地方税の税源の偏在性の是正に資するための特別法人事業税を創設し、その収入額に相当する額を特別法人事業譲与税として都道府県に対して譲与しようとするものであります。
 次に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案は、森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑み、市町村及び都道府県が実施する森林の整備及びその促進に関する施策の財源に充てるため、森林環境税を創設し、その収入額に相当する額を森林環境譲与税として市町村及び都道府県に対して譲与しようとするものであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、平成三十一年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるほか、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するための地方交付税の単位費用等の改正を行うとともに、自動車税減収補填特例交付金等を創設する等の改正を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、四法律案を一括して議題とし、安倍内閣総理大臣に対する質疑を行うとともに、一般財源総額の確保と法定率引上げの必要性、今後の税源偏在是正の在り方、ふるさと納税制度の評価、森林環境譲与税の活用方策、幼児教育無償化に係る地方負担の財源確保、統計、児童福祉対策等に係る地方公共団体の人員確保等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、国民民主党・新緑風会を代表して森本真治委員より、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に賛成、他の三法律案に反対、日本共産党を代表して山下芳生委員より四法律案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、四法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(伊達忠一君) 四案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。杉尾秀哉君。
   〔杉尾秀哉君登壇、拍手〕
#27
○杉尾秀哉君 立憲民主党・民友会・希望の会の杉尾秀哉です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案等四法案に対して、森林環境税・譲与税に関する法律案に賛成、その他の法案については反対の立場から討論します。
 まず、冒頭に申し上げます。
 安倍総理、あなたは平成最後の総理大臣としてどのような功績を歴史に残そうとしているのでしょうか。
 モリカケ問題に象徴されるように憲政史上まれに見る不祥事が次々と発覚しても一切誰も責任を取らない無責任内閣のトップとして、また、国民の代表たる国会を行政府の下請にし、異論、反論を排除してきた独裁者として、さらには、実証不可能なスローガンを次々と繰り出し、様々なツケを次の時代にツケ回ししてきた、今だけ、金だけ、自分だけのリーダーとしてでしょうか。
 あの中曽根元総理は、政治家は歴史という法廷の被告であるという有名な言葉を残しました。また、安倍総理自身も同様の趣旨の答弁を繰り返しています。しかし、かく言うあなたがその歴史に盲目であること、それは、今国会最大の争点の一つとなった統計不正問題を見ても明らかです。
 統計は国民の共有財産であり、あらゆる政策立案の基礎となります。統計がゆがむと政策がゆがむ、統計が乱れれば国が乱れる、これは、去年の統計法改正の質疑で私が問うた際の総務省統計局長の答弁です。
 戦後、統計法ができたのも、さきの大戦で時の為政者が統計を都合よく利用して無謀な戦争に突入したという歴史の教訓にほかなりません。ゆえに、公的統計はいかなる権力からも自立した存在でなければならない。
 ところが、あなたの部下であった元秘書官は、毎月勤労統計の調査手法をめぐり、統計の素人であるにもかかわらず、わざわざ厚労省の担当部長を官邸にまで呼び付けて、問題意識を伝達しました。これはあからさまな統計への政治介入にほかならず、こうした秘書官の行為を至極当然と開き直ってはばからないあなたには、統計の独立性への理解も数字への敬意もない。
 更に付け加えれば、予算委員会で、法の番人たる横畠法制局長官が国民の代表者たる国会議員の質問について論評するという暴挙を行いました。まさに、あなたの政治姿勢のゆがみが秘書官はおろか法の番人にまで広がっている事態には慄然とせざるを得ません。
 さて、安倍総理、あなたは政権の座に復帰して真っ先に地方創生を政策の柱に掲げました。地方創生は安倍政権の看板政策であったはずです。
 ところが、実態はどうでしょう。地方から三大都市圏への人口流出、とりわけ東京一極集中は安倍政権になって止まるどころか一層加速し、昨年は東京圏で人口が十四万人も増加しました。今や、地方創生は中身のない空疎なスローガンと化しています。
 沖縄県民投票が示した民意を踏みにじり、辺野古埋立てを強行する姿勢しかり、名ばかりコンサルタントが横行し、国主導の強いコントロールがばっこする地方創生推進交付金の実態しかり、これらはほんの一例で、あたかも地方に寄り添うふりをしながら実は地方軽視が甚だしい政権の姿勢は、今回の地方税など一連の改正案にも見て取れます。
 まず、今回新たに創設される特別法人事業税・譲与税法案は、地方税を一旦国税化する措置で、たとえ税源の偏在是正が目的であっても、地方の自立と活性化を目指す地方分権に逆行するものにほかなりません。
 加えて、問題の根本には大規模事業所の東京など大都市への集中が進む社会構造そのものがあり、国と地方の消費税の配分割合や地方交付税の法定率引上げなど、地方財政全体を設計し直す必要があるにもかかわらず、こうした抜本改革は置き去りにされました。
 更にひどいのが、おととし秋の解散・総選挙直前に安倍総理が突然公約に持ち出した幼児教育の無償化です。地方に何の事前協議もなく、文字どおり鶴の一声で一方的に決められてしまいました。
 この無償化に係る財源の地方負担分について、平成三十一年度は臨時交付金の措置で全額国費負担となりますが、問題は三十二年度以降です。交付金を含めた地方の一般財源総額がその分増えなければ、地方の裁量の範囲が狭まり、地方単独事業にしわ寄せが行く可能性があります。これでは、選挙目的のばらまき政策を押し付けられた地方はたまったものではありません。現に、私の地元長野のある自治体の首長さんは、我々は一揆を起こしたい、怒りのメールを私に送ってまいりました。
 また、これも安倍政権で急激に増えたふるさと納税。本来の趣旨とは懸け離れて、今や金持ち優遇のカタログギフトと化したこの制度に、今回、地場産品に限り、返礼割合を三割以下にするという法の縛りが掛けられることになりました。
 これまで自治体間競争を結果的にあおり、一たび制度のひずみが顕在化するや、今度は事実上総務省の許認可事業とする。これぞまさに御都合主義の極み。控除限度額など、高所得者の節税対策とも言われる現状には手を付けず、逆に地方への統制を強める。これには、はしごを外された格好の自治体が怒るのも当然でしょう。
 さらに、一連の制度改正が、安倍政権でますます深刻になる格差拡大を助長する側面を指摘しないわけにはいきません。
 まず、幼児教育、保育の無償化で最も恩恵を受けるのは、これまで高い保育料を払ってきた高所得世帯です。認可保育所の場合、住民税非課税の低所得世帯に充てられるのは無償化費用全体の僅か一%。その一方で、年収六百四十万円を超える世帯に五〇%が配分されるという試算もあります。つまり、低所得世帯には恩恵がない。
 また、自動車関連税制の見直しでは、自動車税が全ての区分で税率が引き下げられるため、例えば税率の最高区分である六千t超の乗用車の税率まで引き下げられます。一体どんな人が六千t超という超高級車やスポーツカーに乗っているのか。
 さらに、今回の改正では、子供の貧困問題に対処するため、児童扶養手当を受けている一人親家庭について、個人住民税の非課税措置が講じられることになりました。ところが、未婚の一人親家庭については、寡婦控除を認めないという差別的取扱いは放置されたまま。子供にとってみれば、親の結婚歴は何ら関係なく、政府・与党には子供の貧困問題に真剣に立ち向かう意思がないと言わざるを得ません。
 そもそも、今回、十月に八%から一〇%へ増税される消費税そのものが逆進性が強く、景気の後退局面入りの可能性が指摘される目下の経済状況で予定どおり実施されることになれば、更に追い打ちを掛けることは火を見るより明らかです。
 それでも政府は万全な対策を打ったと言いたいのでしょうが、ポイント還元など効果が不明で、しかも三、五、六、八、一〇%と、実に、異なる税率が五つも存在するような複雑怪奇な制度の導入は、とてもまともな政府が実施する政策とは到底思えません。
 公正、中立、簡素という税の基本原則から懸け離れ、総じて高所得者に優しく、貧困世帯に厳しい今回の改正に、我々は断固反対です。
 なお、新設される森林環境税・譲与税について、趣旨には基本的に賛同しますが、配分や使い道に厳しく目を光らせるとともに、既に多くの都道府県等で実施されている森林税との事実上の二重課税となる問題についても、将来的にはクリアすべきと考えます。
 今回、一連の制度改正について、主に地方分権や、都市と地方、高所得者と低所得者など、様々な格差の観点から問題点を列挙しました。
 安倍政権は、こうした数々のメニューは並べても、決して抜本的な制度改正に踏み込もうとはしない。まあ、もっとも、民主党政権時代の一括交付金にも、子ども手当にも、高校授業料無償化にも、全てばらまきと徹底的に批判し潰そうとしたのがほかならぬ当時の自民党ですから、無理もないでしょう。
 その安倍政権が今や見境ないばらまきに走っているのは、歴史の皮肉としか言いようがありません。民主党政権時代を悪夢と切って捨て、自己を正当化しようとする安倍総理。あなたが一日でも長く政権の座に居座り続けることこそ、地方にとって、そして日本にとって、悪夢以外の何物でもないと申し上げて、私の討論を終わります。
 御清聴大変ありがとうございました。(拍手)
#28
○議長(伊達忠一君) 森本真治君。
   〔森本真治君登壇、拍手〕
#29
○森本真治君 国民民主党・新緑風会の森本真治です。
 私は、会派を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の三法案に反対、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。
 三月十三日の本会議において、安倍総理は、自ら推進してきたアベノミクスの成果として、経済成長や高水準の有効求人倍率に言及しました。また、地方財源不足額の縮小や臨時財政対策債の発行額の抑制についてもアベノミクスの成果だとしています。
 ところが、足下の経済状況は、景気動向指数の一致指数が三か月連続で下降し、基調判断が下方修正されました。景気ウオッチャー調査では、景気の現状判断DIが甲信越地方や沖縄で低下しています。経済の現状を直視すれば、アベノミクスの行き詰まりは明らかです。
 安倍内閣では、森友問題などにとどまらず、統計不正の問題が明らかになりました。前代未聞のこの失態にはあきれるばかりですが、アベノミクスの行き詰まりと毎月勤労統計での不正との間に因果関係を見出してしまうのは私だけではないと思います。
 さらに、このような経済状況であるにもかかわらず、本年十月からは消費税率が引き上げられます。軽減税率の実施や各種の需要変動平準化策を実施するとしていますが、そもそも、国民に混乱をもたらすだけの軽減税率の導入と一体化した消費税率の引上げに反対です。
 問題山積みの安倍内閣の政策運営をただすべく、三法案に対する反対の理由を申し述べます。
 第一の理由は、国が果たすべき責任を放棄しているところです。
 都市と地方の格差が拡大しており、政府は、地方税源の偏在性を是正するため、法人事業税の一部を切り離して国税化する措置を講ずることとしました。ところが、新たな偏在是正措置と称するこの対応は、暫定的な措置として平成二十年度に導入された地方法人特別税、地方法人特別譲与税と何が違うのか。これでは、地方税源を国税化する措置が恒久化されるにすぎず、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築という目標の達成は遠ざかるばかりです。
 そもそも、各団体の財源不足は地方交付税でしっかりと手当てすべきであり、法定率の引上げを中心とする地方交付税法の改正で対処すべきです。地方交付税総額が十分に確保できていれば、財源調整機能と財源保障機能がしっかりと発揮され、地域間の財政力格差を適切な水準に収束させることができます。ところが、平成三十一年度においても法定率の引上げは実現せず、平成三十年度からの繰越金四千二百十五億円を含めても、地方交付税総額は一千七百二十四億円しか増えていません。
 石田総務大臣は、法定率の引上げが実現できない理由として国の財政状況にも言及していますが、財務省の意向をそんたくするのではなく、しっかりと地方に向き合って、地方財政を支える重責を担っていただきたい。地方には、依然として四兆四千百一億円もの財源不足があり、十分な地方交付税総額を確保できない現状は、地方に対する国の責任放棄以外の何物でもありません。
 反対する第二の理由は、地方団体の意見を軽視し、地域主権に逆行する政府の姿勢です。
 安倍総理の肝煎りで、幼児教育の無償化が進んでいます。初年度となる平成三十一年度は、地方負担の全額を国費で対応するとしましたが、その後は消費税率一〇%への引上げによる増収分が充てられます。このような重大な方針転換は、国と地方が十分な協議を重ねた上で決定すべきものであり、あるべきプロセスを省略し、国の意向を地方に押し付ける今回の進め方は地方軽視そのものです。
 国は、二年目以降、地方負担の全額を地方財政計画の歳出に計上し、一般財源総額を増額確保するとともに、個別団体の地方交付税の算定では基準財政需要額に地方負担の全額を算入するとしていますが、国が消費税増税分の使途を決めてしまった事実が変わるわけではなく、国の都合で地方財政の自由度が著しく狭められることになります。
 ふるさと納税に関しては、返礼品競争を問題視して法改正を行うこととなりました。もちろん、返礼品競争によって地方の財源が浪費されてしまうことは避けるべきであり、過度な返礼品を抑制することは必要です。その一方で、国による制度設計の不備が返礼品競争を招いたという指摘から目を背け、国が地方の自由度を縛るてん末に至ったことは、国と地方の関係に禍根を残す法改正であると言わざるを得ません。また、高所得者ほど有利な控除額の仕組みを放置していることも看過できません。
 反対する第三の理由は、軽減税率の導入と一体化した消費税率の引上げが前提となっている点であります。
 少子高齢化が急速に進展する我が国では、生活者の安心を守る観点から、社会保障と税の一体改革の推進が基本的に必要であると考えます。他方、国民に新たな負担を求める消費税率の引上げに当たっては、社会保障の充実や教育の負担軽減のほか、無駄な経費を削減する行政改革などをしっかりと行うことが必要です。また、著しい混乱が懸念される軽減税率の導入は許されるものではなく、給付付き税額控除で対応すべきです。
 反対する第四の理由は、自動車関係諸税の改正であります。
 地方ほど生活必需品としての性格が強まる自動車に対しては、複雑かつ不条理で過重な税を課している現状を抜本的に改め、ユーザー負担を軽減し、家計を支援する必要があると考えます。その一方で、自動車関係諸税は地方の重要な財源であることにも留意が必要です。
 今回の改正案には、一部、このような考え方に合う見直しも含まれていますが、税体系の簡素化とユーザー負担軽減の観点でいえば道半ばです。それにもかかわらず、与党の税制改正大綱において、車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とするとされており、このような税制改正を実現する法案に賛成することはできません。
 最後に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案については、譲与基準や使途の在り方などについて多くの課題が残されていますが、地球温暖化の防止、災害防止と国土保全、水源涵養等の重要な役割を担う森林を支えるという大きな意義を有するものであり、賛成することを申し述べます。
 安倍総理は、アベノミクスの成果として、国と地方を合わせた税収が二十八兆円増加し、全都道府県の有効求人倍率が一倍を超えたと喧伝しています。しかし、地方の財源不足額は巨額に上り、地方財政は依然として厳しい状況にあります。
 個別自治体に目を向ければ、過疎化や高齢化の進展を始め、様々な点で大きな違いがあり、地域の経済基盤から財政状況まで多様です。また、児童虐待の悲しい事件が連日のように報じられていますが、児童相談所の人員が著しく不足し、個別事案への対処に支障を来している状況を放置してきた責任をどのように感じているのでしょうか。
 強固な政権基盤を築く安倍総理こそ、そのような点にも目を向けて政策運営に取り組むべきであり、地方財政への配慮が不十分な法案が国会に提出されたことは残念でなりません。
 国と地方の関係では、協議に協議を重ねてお互い納得した上で重要な施策を決定すべきものであり、対等な関係であることは言うまでもありません。しかし、これから更に進展する地方の人口減少と高齢化に対処していくには、国は対等以上に地方の立場や思いを重視する。国民民主党は、完全地方主義の立場で今後も努力していくことをお誓いし、討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#30
○議長(伊達忠一君) 行田邦子君。
   〔行田邦子君登壇、拍手〕
#31
○行田邦子君 日本維新の会・希望の党の行田邦子です。
 私は、会派を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案、そして特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案については反対の立場から、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案、そして地方交付税法等の一部を改正する法律案については賛成の立場から討論を行います。
 日本維新の会・希望の党は、統治機構改革による完全な地方自治を実現し、東京一極集中ではなく、多極分散型の成長する国家の実現を目指しています。また、私ども希望の党は、地方自治の本旨を明確化、具体化し、地方自治体が課税自主権を有することを特記した具体的な憲法改正条文案を提案しています。
 このことを踏まえて討論に入ります。
 東京一極集中を是正して、地方それぞれの特性を生かし、自主性を持って成長する国へと転換するためには、税源と権限の各地方への大幅な移譲が不可欠です。自治体間格差や税源の偏在の問題は、国が間に挟まるのではなく、地方自治体による水平的な財政調整で行うべきと考えています。
 ところが、政府提出の特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案は、地方税である法人事業税を国が召し上げて国税化した上で地方に配分をし、税源の偏在是正をするものとなっています。しかし、偏在の是正が必要であることは言うまでもありませんが、このような地方税を国税化する手法は、地方の自主性を軽視し、地方分権の方向性に真っ向から逆行しています。
 もし、このような制度が許されるのなら、次は固定資産税、その次は住民税と、地方間で偏在があるものは何でも国税化して再配分することも可能となり、地方税の存在意義そのものを否定することとなります。
 地方税源の偏在を是正するのであれば、今回のような小手先の改正ではなく、水平的な財政調整をする仕組みをつくる抜本的な改正が必要と考えます。政府法案のような地方税を国税化する手法は、地方の自主性の尊重を主張する私ども日本維新の会・希望の党としては到底賛成できるものではありません。
 今回の地方税法改正案では、ふるさと納税の特例控除対象寄附金とされる基準は総務大臣が定め、対象となるには総務大臣の指定を受けなければならないとされています。これでは、事実上の地方自治体に対する個別認可制度の新設です。地方自治体の自主性、主体性を否定し、創意工夫や良い意味での競争関係を封殺し、地方分権に逆らう総務省の露骨な権限強化を目指す立法です。
 ふるさと納税という制度は、地方自治体がそれぞれ創意工夫をすることによって発展していくものであり、地方の自主性に任せるべきであって、政府がいろいろ条件を課すべきではありません。このような、国が物事を決めて地方自治体を従わせるという姿勢、考え方は、まさに旧内務省的、旧自治省的、お上意識そのものであり、地方分権という流れに逆行するものです。
 そしてまた、政府が一部特定の地方自治体を名指しして、一方的に制度をゆがめていると決め付けた上で、何ら法的根拠がないにもかかわらず、税額控除の対象から外すと恫喝めいたことを言うことは不適切ではないでしょうか。
 次に、本法案では、消費税の税率を引き上げるとともに、幼児教育の一部無償化などに使うものとされています。幼児教育の一部無償化は良いことだとは思います。しかし、本法案は、自民党が二〇一七年の衆議院選挙で公約にしたことが発端となっていて、政府としても突然に言い出したものです。それを国は無償化の費用の半分しか負担せず、残る半分を都道府県と市町村に負担させるとしています。これはおかしいことであると指摘します。
 確かに、地方自治体は消費税の一〇%への引上げを支持してきました。しかし、それは地方消費税による税の増収を期待してのことです。それを後から国が幼児教育無償化を言い出して、地方に負担を押し付ける。こんなことで本当によいのでしょうか。地方自治体は、地方消費税の一部の使途を国によって幼児教育に限定させられることは望んでいません。地方は、国の権力は強く、従わざるを得ないから従っただけであって、心底から納得はしていないでしょう。どうせ地方自治体は国には逆らえないのだからという中央政府の意識では、国が地方自治体の面従腹背を醸成しているようなものではないでしょうか。
 次に、賛成する二本の法案についての討論をいたします。
 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律は、これから進めるべき環境政策の大きな柱として位置付けられます。環境問題が厳しくなってきていることに加えて、戦後に植えられた杉やヒノキが今ちょうど伐採期を迎えている現状を踏まえて、資源の活用と環境の保全という二つの意味で重要です。森林の保護を実際に行うのは市町村であるという実態を踏まえて、森林譲与税の譲与基準が市町村に九割向けられていることも適切であると考えます。
 温暖化ガスの排出が問題になる中、国土の三分の二が森林である我が国としては、積極的に森林資源を活用すべきこと、そのための税を創設することは、国民の皆さんからも理解が得られるものと考えます。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案については、毎年激しさを増す集中豪雨や台風などの自然災害の対策などのために基準財政需要額の算定方法が見直されるなどの一定の改善が見られることを評価しています。
 地方再生、そして地方発の国づくりを進める上には、将来的にはより大胆な変革、すなわち権限と財源を地方に移譲し、地方分権を推進すべきであると私ども日本維新の会・希望の党は主張しています。しかしながら、現時点においては、本法案は進めるべきものであると判断をいたしました。
 ただし、今回の特別交付税の配賦の際、ふるさと納税に関して総務省に盾を突いた地方自治体に対し露骨にペナルティーを掛けるような運用については、猛省を促したいと思います。
 以上、会派日本維新の会・希望の党からの討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#32
○議長(伊達忠一君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#33
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表し、地方税法、地方交付税法の改定案等四法案に対し、いずれも反対の討論を行います。
 法案の問題点に入る前に、安倍政権が、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋立てで、新たな区画への土砂投入を開始したことに対し、民主主義と地方自治の名において断固たる抗議の意を表明するものであります。
 七割以上が埋立て反対という県民投票の民意を無視し、一か月の工事停止と集中協議を求めた玉城デニー知事の要請も拒否した上に、大浦湾側の埋立面積の六割以上を占める軟弱地盤の改良には途方もない時間が掛かる、施工不可能な深度に軟弱地盤が存在することも確認されている。にもかかわらず、ただただ既成事実をつくって工事を進めようとする安倍政権のやり方は、まさに展望なき暴走と言わなければなりません。
 このままでは新基地は完成せず、普天間基地が半永久的に固定化され、辺野古の海にコンクリートの巨大な残骸が残るだけであります。工事は即刻中止すべきです。さもなくば、安倍政権は、沖縄県民はもとより、国民から厳しい審判を下されることになるでしょう。
 以下、法案に対する反対の理由について述べます。
 第一の理由は、本法案が、国民、住民の暮らしに大打撃を与え、日本経済と地方財政を悪化させる危険が極めて大きい消費税増税を前提としているからであります。
 三月十三日の本会議質疑で、私は、総理に対し、消費税増税が景気悪化を招いて地方財政を悪化させた一九九七年の例を引いて、十月からの消費税一〇%への増税が地方財政を悪化させない保証はどこにあるのか問いましたが、総理は、家計消費が持ち直すことへの期待を述べ、地方財政悪化の懸念を否定されました。
 しかし、その後、政府の景気動向指数に続き、月例経済報告も景気判断を下方修正せざるを得ませんでした。一九九七年は、上向いていた景気が消費税増税で急速に悪化したため、新たな地方の税源となる地方消費税が創設されたにもかかわらず、地方税収総額が逆にマイナスとなったのです。今、消費税一〇%を強行することは、坂道を下り始めた日本経済を後ろから蹴飛ばして谷底へと転がり落とすことになり、地方財政も悪化する懸念を拭うことはできません。
 十月の消費税増税を前に、既に四月から食料品など各メーカーの値上げ競争が始まっています。地方自治体の調達への影響は計り知れません。この増税前の値上げは、内閣府、内閣官房の消費税率の引上げに伴う価格改定についての指針、ガイドラインに沿ったものです。そこには、消費税率引上げ前に需要に応じて値上げを行うことなど経営判断に基づく自由な価格設定を行うことを何ら妨げるものでないと、わざわざ増税前の値上げを推奨しています。
 総理は、二十日の総務委員会で、このガイドラインについて、消費税導入前の駆け込み需要を防ぐために、ある意味価格を引き上げ、そして消費税が上がった後も消費が落ちないような工夫を自主的な判断で行っている、そういう対応を取っていると認めました。軽減税率の対象となり、税率が八%に据え置かれるはずの食料品の便乗値上げを政府が主導するとは言語道断と言わなければなりません。
 安倍政権が進める国民健康保険の都道府県単位化は、これまで各市区町村が行っていた国保の財政運営を都道府県単位に移すものです。ここでも地方自治に逆行する事態が生じます。都道府県が市区町村ごとに算定する標準保険料率は、これまで各市区町村が国保料を抑制するために独自に行ってきた、一般会計からの国保会計への繰入れも、子育て世帯や高齢者世帯に対する減免も、全てなしにすることを前提に算定されます。
 この標準保険料率に合わせた場合、八割の自治体で、今でも高い国保料が更に値上げになる危険があります。我が党の試算では、年収四百万円の四人世帯で見ると、大阪市では、二〇一八年度四十二万円だった国保料が四十六万円へと四万円上がる、東京品川区では、四十二万六千円が五十二万五千円に九万九千円も上がることになります。
 消費税一〇%への増税に加え、国保料値上げが国民生活にダブルパンチとして襲いかかることになります。家計消費は確実に一層冷え込み、地方税収は抑えられることになります。消費税に頼るのではなく、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって、この道に行くのではなく消費税一〇%への増税中止、高過ぎる国保料の値上げではなく値下げこそ行うべきであります。
 反対理由の第二は、本来なら、地方交付税の法定率を引き上げ、地方の財源保障機能と財政調整機能を十分に発揮させるべきであるのに、それに背を向け、地方の事業の民間委託を促進するトップランナー方式など、上からの地方財政縮減を推し進めるものだからであります。
 安倍政権は、骨太方針、改革工程表に基づき、地方の一般財源を厳しく抑制するために様々な手段を用いてきました。トップランナー方式を学校用務員などに段階的に拡大し、さらに窓口業務にも導入することを検討するとしていますが、住民と自治体職員との接点をとことん細め、住民福祉の増進という自治体本来の役割を弱らせるこの方式は直ちにやめるべきであります。
 さらに、安倍政権は、地方創生一兆円交付金において、まち・ひと・しごと創生事業に行革算定の仕組みを持ち込み、自治体が必要に駆られて児童相談所職員や教職員、保育士などを増員すれば交付金が減額されるやり方を続けてきました。これは、児童虐待を防止するために児童相談所に新たに二千二百人の児童福祉司を配置する政府の方針とも根本的に矛盾します。
 委員会質疑の中で、この仕組みによって今年度は二十一道府県で減額算定がされ、福岡県六億一千万円、神奈川県五億九千万円、埼玉県四億九千万円、愛知県四億八千万円、静岡県四億円を始め、合計四十八億円が本来交付される額から減額されたことが明らかになりました。一つの県で職員を数十人ないし百人規模で採用できる額に相当します。政府の方針とも矛盾するこの仕組みは直ちに廃止するべきであります。
 反対理由の第三は、法案の具体的内容が地方税本来の性格を大きくゆがめるものだからであります。
 自動車保有税の恒久的な引下げと環境性能割の一%減税は、業界団体の要望に応え、消費税増税による駆け込み需要と反動減への対策を行うものです。
 さらに、消費税増税で自治体間の財政格差を拡大させながら、その格差是正の責任を一部の自治体に押し付けるやり方も問題です。新設される特別法人事業税は、地方税を国が取り上げ、他の自治体に回すやり方を恒久化するもので、地方自治体の課税自主権を侵害し、地方税制にゆがみを持ち込むものであり、反対です。自治体間の財政格差は、地方交付税の財政調整機能を回復させ、国の責任で是正すべきものです。
 さらに、森林環境税は、東日本大震災を口実に導入し二〇二三年度で終了とされていた個人住民税均等割への上乗せ千円を、看板を替えて継続するものです。個人住民税の均等割は、所得税が非課税の人にも課税となる逆進性の高い税であり、国民生活を圧迫するやり方はやめるべきです。
#34
○議長(伊達忠一君) 山下君、時間が超過しております。簡単に願います。
#35
○山下芳生君(続) 森林整備の財源は、国の一般会計での林業予算や地方交付税で保障すべきであります。
 以上述べて、反対討論を終わります。(拍手)
#36
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#37
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案及び特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#38
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#39
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成            百四十九  
  反対             八十八  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#40
○議長(伊達忠一君) 次に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#41
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#42
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百二十三  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#43
○議長(伊達忠一君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#44
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#45
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成            百六十五  
  反対             七十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#46
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長中西健治君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔中西健治君登壇、拍手〕
#48
○中西健治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、消費税率の引上げに伴う対応、デフレ脱却と経済再生の実現、国際的な租税回避への効果的な対応等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行おうとするものであります。
 委員会におきましては、安倍内閣総理大臣に対する質疑を行うとともに、消費税率引上げに伴う需要平準化策の効果、事業承継を円滑に進めるための税制の在り方、金融所得への課税を強化することの是非、研究開発税制を見直す必要性、電子申告の利用率を向上させるための政府の取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、立憲民主党・民友会・希望の会を代表して風間直樹理事、国民民主党・新緑風会を代表して古賀之士委員、日本共産党を代表して大門実紀史委員より、それぞれ反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#49
○議長(伊達忠一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。風間直樹君。
   〔風間直樹君登壇、拍手〕
#50
○風間直樹君 立憲民主党・民友会・希望の会の風間直樹です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論します。
 税制の基本は、公平、透明、簡素、そして国民の納得の四原則の下で考えるべきです。しかし、政府の税制改正はその場しのぎの継ぎはぎだらけの改正であり、国民生活のために必要な改革に真摯に取り組んでいるとは到底言えません。
 反対する最大の理由は、我が国経済の現状、国民生活の実態を見れば消費増税を行える状況にはないにもかかわらず、今年十月の消費税率引上げを本法律案の前提としていることです。
 安倍政権は、これまで、雇用の改善、賃金上昇、GDPの拡大など聞こえのいい言葉を並べて、アベノミクスの成果を声高に主張してきました。しかし、昨年、毎月勤労統計の不正が発覚し、賃金上昇の論拠とされていた数字が上振れ操作されたものであったことが明らかになりました。我々は、政府に対し実質賃金の参考値を示すよう繰り返し求めてきましたが、いまだに提出されていません。三月の月例経済報告において、政府は三十六か月ぶりに景気判断を下方修正しました。現在、消費税率一〇%への引上げを行える景気、経済状況にないことは明らかです。
 また、国際経済の状況を見てもそれは同様です。三月二十二日、米国債券市場では、アメリカ国債十年物の利回りが急低下し、三か月物を下回る長短逆転現象が起きました。この長短逆転は、二〇〇七年八月以来、つまりリーマン・ショック直前以来、実に十一年半ぶりのことです。
 長短逆転は不況の前兆とされる動きです。通常、金利は、貸し借りの期間が長い金利の方が高くなりますが、市場で景気不安が特に強くなると、将来の利下げを織り込む形で長期金利が大きく低下し、短期金利を下回ることがあります。米国調査会社が過去五十年の米国の状況を調べたところ、十年物と三か月物の国債金利の逆転状態が十日続いた場合、平均で三百十一日後に景気後退が始まる結果になっています。
 このような状況で消費増税を断行すれば、五%から八%への税率引上げのときと同様、個人消費の落ち込みによって我が国経済は一層冷え込み、国民生活は更に苦しいものとなりかねません。本年十月の消費税率引上げは凍結を検討すべきであり、増税前提で作られた本法律案には賛成することはできません。
 ところで、ここ最近の政府の経済運営に見られる姿勢に、私は強い違和感を持っています。それは物価上昇率目標二%の放置です。
 アベノミクスと異次元金融緩和の開始は、今から六年前、二〇一三年です。当初は鳴り物入りで始まったこの政策も、ここ最近では目標を達成したという趣旨の発言が政府高官から目立つようになり、政府は満腹感を持っているようにも見えます。
 そもそも、物価上昇率目標二%の達成は、デフレ脱却のための出発点だったはず。それゆえに、政府と日銀は二〇一三年一月の共同声明にこれを盛り込み、政府は、合理的期待形成学派、またの名をリフレ派の理論的中核であった岩田規久男学習院大学教授を日銀副総裁に送り込みました。異次元金融緩和は円安をもたらし、結果として景況感は改善。一方、二%目標を達成できなかった岩田副総裁は失意のうちに日銀を去りました。
 そして、一昨年頃から麻生財務大臣の誘導発言、二%はもういいよが目立つようになります。例えば、二%が当たり前だった目標がほとんどの国で変わってきている、日銀ともよくこの話をしている、二〇一七年十一月の発言。政府と日銀との間では二年はまず無理だということを互いに認識していた、二〇一八年九月の発言などなど。去る三月二十日の財政金融委員会で、麻生発言と安倍総理の考えにそごがあるのではないかという私の質問に対し、総理は、麻生発言の真意は二%を達成するための措置を今すぐにとる必要はないという意味だと苦しい答弁をされました。
 政府の心境を例えると、こういうことでしょうか。おなかがすいて窮乏生活をしていたけれども、日銀にミルクをたくさん製造、供給させ、幸い空腹は満たされた。だから、もうこれ以上供給しなくてもよい。しかし、製造元の日銀には大量のミルクの在庫があります。にもかかわらず、政府は、金融政策は日銀の所管と逃げ口上を使い、ミルクの処分を突き放しています。日銀が国債というミルク在庫の処理を誤れば国民生活に大混乱が起きることは明白です。
 共同声明で二%達成を約束したのは日銀だけではありません。政府と日銀です。日銀は、政府が共に誓った二%目標の達成のためにミルクを営々と製造、供給したのではないでしょうか。ならば、ミルク在庫の処理は政府にも責任があるはずです。二%達成するための措置を今すぐにとる必要はないという総理発言は見当違いではないでしょうか。
 政府が行うべきことは、共同声明が役割を終えたことを明らかにし、二%目標達成の旗を下ろし、日銀の金融政策に柔軟性を取り戻すことにほかなりません。日銀は、二%の縄で縛られたまま、身動きが取れないように見えます。世界の景況感が悪化しつつある中、二%目標のために箸の上げ下げを制約された状態では、日銀が景気悪化の場合に金融政策の手段として金利操作を使えなくなるというリスクがあります。これが他の先進国と最も違う我が国特有の状況です。
 平成の大借金王と自らをやゆしたとされる小渕総理は、九八年度三次補正予算で十二兆三千億円、翌九九年度に三十一兆円の国債を発行し、生前、大変なことをしたと思っている、俺は死刑になってもおかしくないなと吐露したと伝えられます。
 当時の国債残高は二百九十六兆円、翻って現在は千二百四十九兆円です。異次元金融緩和による日銀の国債買入れもあり、第二次安倍政権の発足後、国債発行残高は九百九十一兆円から千二百四十九兆円へ二百五十八兆円増え、日銀の国債保有額は百二十五兆円から四百六十九兆円へ三百四十四兆円増えたことを指摘しておきます。安倍総理の胸中には今どのような思いが去来しているのでしょうか。
 政府と日銀の二人三脚で始まったデフレ脱却、景気回復、財政再建の試み、それが成功したときに可能となるのが消費増税にほかなりません。アベノミクスの根本的哲学、すなわち物価を上げることによりデフレを脱却し、景気回復する、このことをごまかさないでいただきたい。そして、大量の国債発行残高処理を政府自らの責任として直視、対応するよう求めます。
 以上を指摘し、私の反対討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#51
○議長(伊達忠一君) 古賀之士君。
   〔古賀之士君登壇、拍手〕
#52
○古賀之士君 国民民主党・新緑風会の古賀之士です。
 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して、提案も盛り込み、反対の立場で討論いたします。
 「つくろう、新しい答え。」、これは政策提案を重視する国民民主党のタグラインです。税制においても新しい答えをつくるため、参議院財政金融委員会で議論してまいりました。
 例えば金融に関する税制です。この三十年余りの平成の時代において、様々な税制改正が行われてきました。しかし、まさにそのことによって格差の拡大がもたらした面もあるのではないか、そう言わざるを得ません。この三十年間の税の在り方を検討していきます。
 低所得者層は所得税減税の恩恵をほとんどあずかっておらず、消費税を払うのみ。その一方、高所得者世帯では、所得税、住民税が三百九十万円も減ったのに比べて、消費税の負担はその十分の一以下、三十八万円にとどまっています。
 そこで、格差是正のため高額所得者を中心とした金融所得課税の見直しを行うと同時に、サラリーマン世帯などの老後を守るためNISAやiDeCoを拡充することを新しい答えとして強く求めましたが、財務大臣は、引き続き検討を続けるなどと、残念ながら前向きな答弁はいただけませんでした。
 賃貸住宅への支援も国民民主党の新しい答えです。住宅を購入する場合の政策については、ローン控除の延長、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイント制度など、曲がりなりにも対策がなされています。これに比べて、賃貸住宅に住む人たちへの税対応は見当たりません。家賃に消費税は掛からないと政府は説明しますが、それは見た目だけの話で、実質的には転嫁された消費税が含まれています。賃貸住宅に住む方々も含めて、さらに、結婚や子育てなど生活のトータルとして住まいの負担の軽減が必要ですが、政府はその気は更々ないようです。
 我が国は、度々大きな災害に見舞われているにもかかわらず、税制の対応が不十分と言わざるを得ません。現状では、災害による損失が生じても雑損控除で処理するほかありません。しかし、災害による損失は、雑損控除の対象となる例えば盗難や横領と比べて多額となりやすく、被災地の復旧復興がなされる期間も長期となることがほとんどです。そこで、新しい答えとして災害損失控除の新設を提案しましたが、政府はまともに取り合おうとはしませんでした。
 いずれも、国民の強い願いに基づいた新しい答えの税制提案でしたが、結果はまさに門前払い。一字一句たりとも法案を変更することなくこのまま押し通すことが、政府の強い願いなのでしょうか。
 それでは、この法案、そして付随する政策について、反対する理由を述べていきます。
 来年度の税制における最大の課題は、何といっても消費税です。混乱を招くことが確実な軽減税率の導入に我々は反対してきました。今回、それに加えて、税金によるポイント還元という政策が唐突に打ち出されてきました。
 財政金融委員会で幾つか質問をしてみましたが、謎は深まるばかりです。例えば、外国人旅行客が、プリペイドカードで物を買ってポイントをもらった後、免税手続をしたらどうなるのかとお尋ねしましたら、還元の対象となりますとのこと。つまり、現金で払う子供にはポイントが付かず、消費税を払わない外国人にポイントで還元、しかも元は税金というのは、さすがに理屈が合いません。気前がいいにも程があります。
 キャッシュレス社会に多くの利便性があり、そのこと自体に反対ではもちろんありません。しかし、このように余りにも生煮えの制度に税金を使うのは、いかがなものでしょうか。キャッシュレスで税金レス、これが今回のポイント還元制度の実態です。
 自動車税についても問題が山積です。おおむね減税となることや、地方への財源移譲が行われたことなど、評価する点も少しはあります。
 しかし、今、いわゆるCASE、コネクテッド、自動化、シェアリング、そして電動化によって、自動車の在り方、そして社会の仕組みが大きく変わろうとしています。ところが、今回の税制には、その兆しすら見ることができません。これでは、自動車政策のレースで周回遅れになってしまいます。ギアを一段も二段も上げ、アクセルを全開にする対応が必要ですが、今回の法案にはそのスピード感は全く見当たらないのです。世界一の自動車大国にふさわしい世界一の自動車税制を、世界一のスピードで築き上げるべきです。
 以上、反対の理由を述べてまいりましたが、このような税制が立案される背景には、事実を軽視する現政権の体質を見て取ることができます。
 最近のベストセラーに「ファクトフルネス」という本があります。この議場の中にもお読みになった方が多いのではないでしょうか。客観的なデータを用いて世界の現状に対する思い込みを正してくれる、優れた本です。
 しかし、今の日本の政治はどうでしょうか。財務省による公文書改ざん、防衛省の南スーダン日報隠し、そして厚生労働省の毎月勤労統計の不正など、前提となるファクト自体が実にいいかげんに扱われており、政策立案の基礎が信頼できない状況です。現政権の実態を本にすれば、そのタイトルは、「ファクトフルネス」ではなく、ファクトのふりですとなるでしょう。
 世界でデータサイエンスをめぐってGAFAやBATなどがしのぎを削る中、足下で起きた統計不正の報告書すら読んでいないと総理大臣が公言する日本は、何が起きるのでしょうか。
 例えば景気判断です。アメリカのFRBは政策金利の引上げを行わないことを決めましたが、アメリカの長短金利は逆転するなど、既に警戒モードに入っています。ヨーロッパのECBは金利据置期間を延長しました。中国も、経済成長の目標を引き下げ、景気対策を打ち出しています。世界経済が重要な局面を迎えていることは明らかです。
 これに対して、日本はどうでしょう。景気動向指数はもちろん、輸出、鉱工業生産、機械受注、工作機械受注など、重要なファクトはいずれも暗い影を落としています。にもかかわらず、戦後最長の景気回復と政府は強気の姿勢を維持しております。
 しかし、実際は、国民のおよそ八割はその景気回復を実感していません。世界各国がデータを直視して政策方針を転換しようとしている中、日本の政府だけがファクトのふりですに基づいた景気の認識をしているようでは、国民の生活に取り返しの付かない悪影響を与えてしまいます。
 「ファクトフルネス」の著者はこう言っています。未来を考えるには、現在を知ることですと。しかし、今、客観的データを出してもらえないなど、不信感があることは紛れもない事実です。これでは、未来への責任を果たしているとはとても言えないでしょう。五歳の女の子に、ぼうっと生きてんじゃねえよと叱られないようにしなければなりません。
 あと一月余りで平成が終わり、新しい元号となります。消費税は平成元年にスタートしました。新しい税制をつくろうと昭和の末にもがき苦しんだ先人たちに倣い、我々も平成の末に新しい税制をつくって、新しい時代を切り開くべきです。
 しかし、今回の法案はとてもその任に堪えません。私たち国民民主党の目指す「つくろう、新しい答え。」ではなく、現状は、取り繕う古い答えにすぎません。
 したがって、この税制には断固反対であると皆様に強く訴えまして、私の反対討論を終わります。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
#53
○議長(伊達忠一君) 藤巻健史君。
   〔藤巻健史君登壇、拍手〕
#54
○藤巻健史君 日本維新の会・希望の党の藤巻健史です。
 私は、会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
 まず、今回の所得税の改正には思想がありません。あるのは、足りない税収をどう増やすか、消費税上げに伴う駆け込み需要と反動減をどうならすか、消費税増税を国民にどう納得してもらうかというような小手先の工夫だけです。
 平成が終わろうとしていますが、平成元年の日経平均株価終値は三万八千九百十五円でした。本日午後一時半の段階では二万一千三百三十円近辺と、平成が終わろうとしている今、半値近くになってしまいました。一方、当時のニューヨーク・ダウは二千七百五十三ドルで、昨日の終値は二万五千六百六十七ドルです。当時の約九倍にもなっています。
 株価は経済の体温計といいますが、日経平均は約半分、ニューヨーク株は約九倍、まさにこれが日米の経済力の差です。単に米国に後れを取っているだけではなく、日本は先進国で断トツびりの経済成長です。
 二〇一七年の名目GDPは五百四十七・四兆円でしたが、二十年前の一九九七年のGDPは五百三十三・四兆円で、今とはほとんど変わっておりません。経済全体の規模が大きくなっていないのなら、もし人口が変わらないのならば、一人当たりも豊かになっていないことになります。現在、国民の間に、景気が良くなった、豊かになったという実感がないのは当たり前の話なのです。
 冷静に、なぜ日本が先進国の中で最悪の低成長国家になってしまったのかを分析するべきです。それを分析して、低成長の原因を除去することこそが政治家の責務だと思います。税制改革はそれに資するべきものだと思います。
 現在、税制改革の議論では、所得再配分のみが重視されています。所得再配分の必要性に関してはもちろん否定するものではありませんが、最後までそれを押し通すと、働いても働かなくても皆平等ということになってしまいます。税制の議論は、パイをどう分配するかだけでなく、パイをどう大きくするかの思想も織り込まなくてはいけないと思います。格差是正は小金持ちを引きずり下ろすことで達成するものではなく、低所得者層を引き上げることにより達成すべきです。そうでなければ、国民全員が皆平等に貧乏になってしまいます。
 結果平等ではなく、機会平等社会の実現が重要です。日本維新の会は、長年、教育の無償化を主張しておりますが、それは単にばらまきというわけではありません。若者が同じ土俵に立つための機会平等のためなのです。機会が平等になった後は、より努力した人、より働いた人がより多くの収入を得るのが当たり前だと思います。自助努力です。税制も同じで、結果平等ではなく、機会平等の税制を考えるべきです。パイを大きくし、国力を強くする税制を考えるべきです。
 平成三十一年度の税収予想は約六十二兆円で、史上最高の税収のようです。今まで史上最大の税収は、狂乱経済と言われたバブル期の末期の一九九〇年に上げた六十・一兆円でしたが、当時を多少ですが超す税収となるようです。問題は、これまでの最高税収を記録した一九九〇年の歳出は六十九・三兆円だということです。九〇年度と今年度、ほぼ同じ税収なのにもかかわらず、歳出が九〇年度の六十九兆円から今年度は百一兆円にと四六%も伸びていることです。これでは千九十二兆円もの赤字がたまるのは道理です。この巨大赤字を生んだ単年度赤字を消費税率を引き上げて賄うのは王道ではないはずです。
 名目GDPが上昇しないから税収が伸びない、しかし歳出はうなぎ登り、だからその差を消費税の増税で補う、これでは国民が怒るのは当たり前だと思います。あるべき姿は、名目GDPを二倍にし、税収を二倍にする。そうすれば、歳出が二倍になっても税収、税制は問題を生じることもなかったはずです。この二十年間で国内総生産、GDPを二倍にするのは、他国がいとも簡単に達成している以上、日本でも不可能ということはなかったはずです。
 税制を含むグレートリセットで潜在成長率を高め税収を増やす、それが税収増の王道だと思います。足りないから税収を上げて補うのが王道ではないはずです。王道を行っても税収が足りなければ、まずは不急不要の歳出を削るべきです。
 日本維新の会は、全所属議員から毎月十八万円を集め、被災地に寄附しています。身を切る改革を口先だけでなく実行しているのです。有言実行の党なのです。それだけでは当然財源にならないのは、たかが知れたものです。しかし、まずは隗より始めよなくして行財政改革の旗振りなどできるはずがないのです。最大限の歳出カットを行って、それでも足りなければ、そこで初めて消費税増税があるはずです。現状、消費税増税が許されるだけの努力を政府が行っているとは到底思えません。それがゆえに、日本維新の会は、現時点での消費税増税には反対いたします。
 また、複数税率の導入にも反対です。納税側や徴税側の事務負担は尋常ではありません。欧米のように二〇%の消費税ならいざ知らず、この段階での複数税率の導入には、公平、中立、簡素という税制の三大原則、特に簡素に反します。軽減税率導入先をめぐって利権の温床にもなります。
 十月の消費税の引上げに伴う需要変動の平準化策も、駆け込みと反動減の先送りにすぎません。平準化の処理には期限があるからです。ポイント還元には、キャッシュレス化を進めるためとの理由も付いています。キャッシュレス化が重要であるという認識は共有いたしますが、キャッシュレス化の進展に予算を付けるのもいかがかと思います。
 日銀法第四十七条第一項に、日本銀行券の種類は、政令で定めるとあります。また、日本銀行法施行令第十三条に、日本銀行券の種類は、一万円、五千円、二千円及び千円札の四種類とするとあります。日銀が勝手に券種を減らしたり発券を取りやめることはできませんが、内閣が政令を書き換えれば券種を減らすことができると考えられます。一万円札や五千円札の発行を政令で廃止すれば、おのずとキャッシュレス化は進展します。財政がこれだけ厳しいのですから、不要な歳出は避けるような工夫が必要と思います。
 今回の改正には税で国力を伸ばそうという思想がなく、歳出削減の努力もせずに、まずは消費税を上げることで何とかしようという態度がかいま見えます。消費増税を国民の皆様に認めてもらうための小細工に終始しています。このような税制改革には、日本維新の会は反対せざるを得ません。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#55
○議長(伊達忠一君) 大門実紀史君。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕
#56
○大門実紀史君 会派を代表して、所得税法等改正案に反対の討論を行います。
 反対する最大の理由は、消費税の増税を前提にしていることです。
 消費税は、低所得者ほど負担の重い逆進性のある税金であり、所得の再分配を意図する社会保障の財源として最もふさわしくありません。ところが、安倍内閣は、消費税は負担が特定の世代に集中せず税収が景気の動向に左右されにくいことから、社会保障の財源にふさわしいと説明してきました。
 しかし、消費税の負担が特定の世代に集中しないのは、収入のある現役世代だけでなく、収入がないか、あっても少ない高齢者にも課税するからではありませんか。税収が景気の動向に左右されないのも、どんなに景気が悪く国民の暮らしが苦しくても、容赦なく課税するからではありませんか。このことにこそ、消費税の厳しい逆進性が表れています。
 この逆進性があるから、高福祉高負担と言われるヨーロッパ諸国でも、社会保障財源に占める付加価値税の割合は一割前後にすぎず、法人税や所得税、社会保険料などを組み合わせて賄っています。付加価値税を中心にすると、所得の再分配機能が損なわれるからです。
 そもそも、安倍内閣が社会保障を本気で充実しようとしているとは到底考えられません。消費税が導入されてから三十年、社会保障は、充実どころか、給付の削減と負担増で改悪の一途をたどってきました。安倍内閣になっても、社会保障の自然増は、来年度予算も含め一兆七千億円も削減されました。
 元々消費税は、直間比率の見直し、すなわち、法人税や所得税などの直接税を減らして消費税のような間接税を増やしたいという新自由主義的な税制改革の目玉として、八〇年代に財界を中心に打ち出されたものでした。
 実際、経団連などは、大企業や富裕層向けの減税を行うための財源として消費税を導入するよう、あからさまに要求していました。しかし、直間比率の見直しだけでは国民の理解を得ることができなくなり、途中から社会保障のためと言い換え、増税に対する抵抗を和らげようとしてきたのです。
 この三十年間の累計で三百七十二兆円の消費税収入がありましたが、ほぼ同期間に、法人税は累計で二百九十兆円の減収、所得税、住民税の税収は二百七十兆円も減ってしまいました。結局、消費税は社会保障の充実には回らず、法人税や所得税の穴埋めに消えてしまった計算になります。
 直間比率も、消費税導入前の約七対三から現在の六対四に変化してきました。税収に占める消費税の割合も、導入時の六%から現在の約三〇%に、五倍にも増えてきました。社会保障のためと言いながら、実は、財界が求めていたとおり、直間比率の見直しが実行されてきたのです。
 社会保障の財源は、消費税ではなく、応能負担を原則とした税制改革で賄うべきです。アベノミクスのおかげで空前のもうけを上げ、十分に負担能力のある大企業、富裕層に欧米並みの負担を求めれば、消費税増税分を超える数兆円の財源が生まれます。特に、政府の税制調査会も見直しの提言をしている研究開発減税や、与党税調や経済同友会、OECDも見直しの提案をしている証券税制については、直ちに見直しに着手すべきであります。
 また、この間、トランプ政権の言いなりに爆買いさせられてきている巨額の兵器の購入はきっぱりやめるべきです。アメリカに差し出すお金があるなら、日本国民の暮らしのために使うべきではありませんか。
 安倍内閣は、都合のいい数字だけを持ち出して、景気は良くなっていると言い張り、消費税の増税を強行しようとしています。しかし、国民の多数に景気回復の実感は全くありません。最近のマスコミの世論調査を見ても、景気回復の実感がないが八割以上、消費税増税に反対も過半数を超えて増え続けています。政府の発表した景気動向指数に続き、月例経済報告でも景気判断を三年ぶりに下方修正しました。鉱工業生産指数や法人企業の景気予測調査など、いずれの経済指標も景気の悪化を示しています。
 中国経済の減速が日本企業の輸出と生産を直撃し、外需依存の日本経済の脆弱さを露呈する形になっています。
 二〇一六年に安倍首相は、中国を始めとする海外リスクの高まりを挙げて、消費税増税を延期しました。今の状況は、リスクではなく実際の落ち込みです。この状況で増税を強行すれば、日本経済に深刻な打撃を与えることは間違いありません。まさに経済の自殺行為です。
 今大事なことは、将来の消費税の在り方に対する考え方の違いを脇に置いてでも、本当にこの経済状況で増税していいのか、立場の違いを超えて真剣に議論することではないでしょうか。
 安倍内閣は、景気悪化の危険性を指摘されると、二〇一四年増税のときは駆け込み需要とその反動減が大きく、その対策が不十分だった、今回は対策に力を入れたから大丈夫だと説明してきました。しかし、駆け込み、反動減だけが二〇一四年の消費の落ち込みの原因なら、いずれ元に戻ったはずです。問題は、なぜ現在に至るまで消費が元に戻らないかということです。
 二〇一四年度の内閣府経済財政白書は、消費税増税による物価上昇が消費に与える影響は二つあったと的確に指摘しています。一つは、安倍内閣も注視をする駆け込み需要と反動減です。もう一つは、価格上昇に伴う実質可処分所得の減少が消費に与える影響です。
 実質可処分所得の減少は、購買力を低下させ、消費を押し下げます。逆に言えば、実質賃金を引き上げるか、あるいは社会保険料や税の負担を軽減しない限り、幾ら駆け込み、反動減対策だけを行っても、消費は回復しないということです。安倍内閣は、経済財政白書のこの指摘を全く無視をしています。
 それどころか、先ほど我が党の山下芳生議員が指摘したように、消費税増税に加えて国民健康保険料の大幅引上げまで国民に押し付け、国民の可処分所得を一気に奪おうとしています。これでは、幾ら小手先の対策を取っても景気が上向くわけがありません。
 また、インボイス制度の導入も、中小零細事業者に多大な負担を負わせ、取引から除外されるリスクにさらすものであり、倒産、廃業の増大を招き、景気悪化を加速するだけです。
 今年十月からの一〇%増税は、きっぱり中止することを強く求めます。
 本法案には、中小企業の軽減税率の特例措置の延長や事業継承を支援する制度の拡充など、必要な改正も含まれておりますが、以上述べてきたように、日本経済と国民の暮らしに深刻な打撃を与える消費税増税を前提としている点から断固反対であることを重ねて申し上げ、討論を終わります。(拍手)
#57
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#58
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#59
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#60
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成             百五十  
  反対             八十七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#61
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長渡邉美樹君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔渡邉美樹君登壇、拍手〕
#63
○渡邉美樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限の上限を十か年度とする特別措置法が本年三月三十一日に有効期限を迎えることから、防衛力の計画的な整備を引き続き実施していくため、法律の有効期限を五年間延長すること等を定めるものであります。
 委員会におきましては、現行法制定の経緯と長期契約の実績及び効果、長期契約による縮減効果の計算方法、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為と国会の予算審議権との関係、FMS調達による装備品を長期契約の対象とする際の要件、FMSを含む海外調達において為替変動リスクに対処する必要性、長期契約による財政硬直化が法律の有効期限延長で強まる懸念等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局した後、国民民主党・新緑風会の大野理事より、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限の上限を七か年度に改めることを内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、立憲民主党・民友会・希望の会の小西委員より原案に反対、日本共産党の井上委員より原案及び修正案に反対、沖縄の風の伊波委員より原案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対しまして四項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#64
○議長(伊達忠一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
#65
○福島みずほ君 立憲民主党・民友会・希望の会の福島みずほです。
 私は、会派を代表して、本法案に反対の討論を行います。
 反対をする第一の理由は、武器の購入について国庫債務負担行為を十年までとすることは、憲法八十六条が規定する予算単年度主義を踏みにじり、財政を硬直化させ、十年にわたり未来の国会と国会議員を縛り、国会の予算審議権を侵害するものだからです。
 現行法が審議された二〇一五年、当時の中谷防衛大臣は、財政の硬直化を招くことがないように実施すると答弁をしました。しかし、財政の硬直化がますます強まっています。
 契約の翌年度以降に分割で支払う後年度負担が年々増大し、二〇一九年度は過去最大の五兆三千六百十三億円になっています。二〇一九年度の防衛予算を上回る莫大な額です。武器の購入は、まさにローン地獄となっています。財政はまさに硬直化し、長期にわたり国会の予算審議権を縛るものとなっています。十年の長期契約を更新することは、このローン地獄を更に深めてしまいます。
 第二の理由は、十年間の長期契約を更新することは、この防衛予算の急増に更に拍車を掛けることにつながるからです。
 防衛予算は安倍政権の下で上昇し続け、二〇一九年度の予算では、七年連続過去最大を更新し、五兆二千五百七十四億円になっています。補正予算は、二〇一八年度は四千五百四十五億円です。合わせれば五兆七千百十九億円です。本来、本予算として組むべきものを補正予算で組むことは、財政法二十九条に反するものです。このままのペースでいけば、中期防の今後五年間で二十七兆四千七百億円程度という限度を上回る勢いになります。
 この防衛予算の増大について、国民からの批判が高まっています。F35戦闘機を百四十七機購入すると防衛省は言います。一機百十六億円、維持管理、修理費を入れれば三十年間で六兆二千億円とも言われ、莫大な金額になります。生活保護費は百五十億円削減され、生活保護世帯の六七%の人に打撃を与えています。F35戦闘機一機分にまさに当たります。税金の使い道を変えるべきです。
 第三の理由は、審議の中で立法理由がないことが明らかになりました。
 防衛省は、五年ではなく十年の長期契約にすることで経費節減やスケールメリットで金額を縮減できることを立法理由にしています。しかし、審議の中で防衛省は、例えば五年ではなく七年にした場合のコストの比較を聞かれても、そのような契約にはなっていないので比較はできないという答弁に終始し、コスト縮減について明確で説得力のある答弁はできませんでした。
 長期契約には、物価変動や価格変動、調達環境の変化などのリスクが高まる側面もあり、一概に経費削減につながるとは言えません。日本を取り巻く安全保障環境、とりわけ北東アジア情勢の変化にも対応できません。
 第四の理由は、この法案によって、アメリカ政府からのFMS、有償軍事援助が急増するからです。
 二〇一五年、初めて長期契約法が成立するきっかけとなったのは、二〇一三年、経団連から防衛予算の大綱に向けた提言が要望として出され、長期契約の導入を要請されたからです。今回の法改正は、アメリカからの武器の購入を増大させる危険性が極めて高いものです。
 一九九八年には三百四十六億円だったFMSは、二〇一九年度予算では過去最大の七千十三億円です。二〇一八年度予算の四千百二億円に比べて約三千億円も急増しています。FMSは、アメリカが価格や納期に主導権を持ち、代金は前払で、アメリカの言い値で購入することが多いという極めて大きな問題があります。
 今回の改正法案が年度内に成立することを前提に、PAC3ミサイル用部品の一括取得と早期警戒機E2Dの九機のまとめ買いを予定しています。E2DはFMSによる調達です。今回、限時法である長期契約法を延長してまでFMSによる契約を実行しようとしていることが極めて問題です。トランプ大統領のバイ・アメリカン、アメリカの製品を買えという強力な圧力の下、アメリカ製の武器の爆買いの暴走が更に加速をしていきます。まさに、この改正案はアメリカ製の武器の爆買い法案です。
 二〇一七年十月、会計検査院は、FMS取引の不備を指摘しました。パーツ番号が合わない、数値が異なる、空欄のままになっているなどです。早期警戒機など二〇一四年から一五年の六十四契約、六百七十一億円の全てについて、アメリカ側から届いた納品書と精算書の記載が食い違っていました。
 このような状況であるにもかかわらずFMS契約を増大させていくことは、まさに税金の無駄遣いです。本法案は、国益を損なう極めて危険な法案です。賛成するわけにはいきません。
 さて、安倍政権は、辺野古沖に土砂の投入を続けています。安倍総理は、軟弱地盤であること、改良工事が必要なこと、埋立工事の変更申請が必要であることを認めています。埋立工事の変更申請をせず、許可されていないにもかかわらず、なぜ土砂投入を続けることができるのですか。
 防衛大臣の、沖縄には沖縄の、国には国の民主主義があるという発言にも強く抗議をします。違う民主主義などあり得ません。自治体の、住民の意見を踏みにじってもいいんですか。踏みにじられているのは、まさに日本の、私たちの、みんなの民主主義です。
 二〇一六年三月に辺野古の軟弱地盤などについて報告書が作成されています。大浦湾にN値ゼロのマヨネーズ状の超軟弱地盤が広がっていることを防衛省は分かっていたわけです。情報公開請求によって二〇一八年三月にこの報告書は明らかになりました。二〇一六年三月の時点で防衛省は、安倍政権は、軟弱地盤であること、改良工事が必要なことを、沖縄県に、沖縄県民に、国会に、国民に隠したことは、重大な問題です。
 沖縄県の埋立工事承認撤回は正当な根拠があるのです。
 先日、野党の頑張りで、深度七十メートルから九十メートルの部分について強度の検査をして、あっ、ごめんなさい。
 先日、野党の頑張りで、二〇一九年一月付けの地盤に係る設計・施工の検討結果報告書などがようやく提出されました。B27地点で深度七十メートルから九十メートルの部分について強度の検査をしていません。そのことを予算委員会で防衛大臣は認めました。深度が九十メートルあるのに強度の検査をしないことは致命的な欠陥です。
 防衛大臣は、二月の衆議院予算委員会で、七十メートルを超える深さでは非常に固い粘土層に分類される強度があり、安定性を確保できると答弁しています。この答弁が全くの虚偽答弁であることが明らかになりました。
 防衛大臣は、S3地点、B58地点、S20地点で検査をしているので問題ないと言っています。しかし、B27地点からの距離は、S3地点は百五十メートル、B58地点は七百五十メートル、S20地点は三百メートルです。防衛大臣は、B27の粘性土とS3、S20、B58で確認された粘性土は同じ地質と主張しています。しかし、これら三か所の地質はそれぞれ違います。B27の七十メートル以下の地質と同じとは必ずしも言えません。類推できるとする防衛大臣の答弁は虚偽でしかありません。
 直径二メートルのくいを七・七万本、全体で七十三万平方メートル、大浦湾の工事の半分の面積にわたり打ちます。しかも、そのくいは七十メートルしか打てないというもので、改良工事は欠陥工事でしかありません。
 辺野古に基地は造れません。沖縄県民の反対の意思で基地は造れません。また、沖縄県知事は、改良工事の許可をしません。にもかかわらず、土砂の投入を更に続ける安倍内閣は、民主主義を踏みにじり、大量の税金の無駄遣いをするものです。
 アメリカの武器の爆買い、できない工事をして環境破壊する、大量の税金を投入し続けるなど、安倍政権は国民の生活や政治を破壊しています。
 また、森友学園、加計学園、統計偽装に端的に表れているように、うそが支配する政治を変えなければなりません。うその上に政治はつくれません。
 国民の生活と民主主義を救うため、安倍政権の一日も早い退陣を強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
#66
○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕
#67
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私は、会派を代表して、特定防衛調達特措法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 本法案は、自衛隊の装備品や役務などの防衛調達に関して、財政法が定める国庫負担行為の五年の年限を超えて最長十年まで認める特例を定めるものであり、二〇一五年に制定された現行法の期限を更に五年延長するものです。
 反対する理由の第一は、本法案が財政民主主義に反するものであり、国会の予算審議権を著しく侵害することです。
 憲法は、財政民主主義の大原則から、予算単年度主義を取っています。そこには、過去の侵略戦争で軍事費を単年度主義の例外とし、戦費調達のために大量の国債を発行するなどして国の財政と国民生活を破綻させた痛苦の教訓があります。
 戦後、財政法を制定した際に、例外としての国庫債務負担行為の年限を三年としたのは、国会議員の任期が理由の一つにあったことは財務大臣も否定できませんでした。その年限を最長十年までに延長し、将来の軍事費を先取りすることは、まさに財政民主主義に反して、国会の予算審議権を侵害するものにほかなりません。
 岩屋防衛大臣は、契約行為を行う年度の予算において計上するとともに、将来実際に支払を行う各年度ごとに歳出予算として計上され、国会の議決を経るので、予算審議権を侵害するものではないと答弁しました。
 しかし、後年度に歳出化されるときには、当然のことながら既に契約行為は終わっています。一度行った調達契約を変更すれば、軍事企業側から補償を要求される可能性もあります。契約が行われた以降の国会における予算審議は、いや応なしにそうしたリスクを含めて歳出予算の是非を判断することを迫られます。国庫債務負担行為の年限を長くするほど、それだけ将来の予算審議を縛ることとなるのは、余りにも明らかです。
 それにもかかわらず、各年度で国会の議決を経るから侵害に当たらないとする防衛大臣の答弁は、内容抜きで議決の形式のみに依拠した無責任な空論だと言うほかはなく、国務大臣による国会の予算審議に対する甚だしい軽視だと言わなければなりません。
 第二は、法案が財政の硬直化を一層進めることです。
 安倍政権の下で進む軍備の大増強によって軍事費の後年度負担はどんどん膨らみ、国民負担の増大とともに、予算の硬直化を深刻なものにしています。
 二〇一五年の参議院外交防衛委員会における法案審議の際、当時の防衛大臣は、長期契約について、財政の硬直化を招くことがないように実施すると答弁しました。
 ところが、特別防衛調達も含めた装備品、役務等の調達のために後年度負担の累積額は年々増加し、特措法を施行した一五年度からほぼ一兆円も増え、五兆三千六百十三億円に達しています。
 この状況について、財政制度等審議会の分科会も、昨年十月、現中期防期間中、それ以前と比較して、長期契約に基づく装備品のまとめ買いなどにより、新規後年度負担額が大きく増加、この結果、予算の硬直化を招くとともに、平準化されない形で歳出規模の増大を招きかねない状況だと指摘しました。
 防衛省が当時の防衛大臣の国会における言明に真っ向から反して予算の硬直化を進行させたことは明らかであり、その責任は重大です。にもかかわらず、岩屋防衛大臣からは、後年度負担というものがどんどん増えてきているということについて、問題意識を持っていないわけではないとの答弁があったのみで、所管大臣として硬直化をもたらした責任についての言及も反省もありませんでした。このことが全く聞かれなかったことは、ただただあきれるしかありません。
 今後の長期契約について、かなり対象についてはしっかり厳選、限定をしてきている、できるだけこの予算のコストの縮減、合理化、効率化というのを図っていくために引き続き努力するとしていますが、これでは従来の答弁を繰り返し述べているにすぎません。
 本当に問題意識を持っているというなら、まず現状に対する真摯な反省を示した上で、後年度負担増の根本の原因に切り込むこと、すなわち軍備の大増強計画の見直しこそ不可欠ではありませんか。それなしに問題を解決することはできません。しかしながら、防衛大臣からは、解決に向けた姿勢は全く示されませんでした。余りにも無責任な姿勢だと言わざるを得ません。
 防衛省は、本法案による特定防衛調達の長期契約の対象として、一九年度予算で初めて、米国の有償軍事援助、FMSによる装備品調達として、早期警戒機E2Dの九機のまとめ買い経費を計上しました。
 FMSは、米国が自らの安全保障政策の一環として米国製装備品等を同盟国等に有償で提供する制度であり、防衛省も認めるとおり、価格は見積り、納期は予定、米国から契約解除もできるという、米国に一方的に有利な契約制度です。
 肝腎な調達の価格も納期も米国が握っている、一方的な制度の下で長期契約を適用することは、防衛省が長期契約のメリットとして強調する調達コストの縮減、安定的な調達といった効果も結局は米国次第であり、米国は一括発注を得られる一方で、日本には先々まで重い後年度負担が残ることとなるのは必至です。
 そもそも、新しい中期防衛力整備計画に基づく調達経費を二兆円も増やした下で、個別の装備品に係る調達経費を長期契約で縮減したとしても、その分は他の装備品の購入に充てられるのであって、軍事費全体の縮減につながるものではないことは改めて強調しなければなりません。
 近年、安倍政権が日米軍事一体化による軍備増強を推進する下で、FMSによる米国製装備品や役務の調達は急増し、イージス・アショア導入やF35追加導入が象徴するように、貿易赤字を背景にしたアメリカ・トランプ政権による兵器購入増額の要求圧力がFMS急増に拍車を掛けています。その額は、一九年度は当初予算の前年比で約六割増しの七千十三億円に膨れ、後年度負担に占めるFMSの割合も、第二次安倍政権発足直後には四・八%だったものが、一九年度は実に二五・七%に増加しています。
 FMS調達の実態に関しては、会計検査院の検査により、看過できない問題も判明しています。
 それによれば、防衛装備品の数多くの不具合や計算書の誤りについて米国に是正要求する必要があるのに、一年以上に行わなかったために米国から却下された場合があること、装備品等を受領した際の計算書と受領検査調書の照合について、その過程や結果に関する記録、保存を行っていなかったり、極めて多くの記載内容の不一致がありました。
 これについて、防衛省が会計検査院に対し、説明の要請を行っても米国政府から十分な説明を受けられないことが想定されるから疑義の解明を十分に行わないままだとしていることは、驚くべきものと言わなければなりません。米国が価格も納期も握っている制度の下でずさんな調達業務が常態化していることを示すものであり、このFMS調達に長期契約を適用することは断じて認められません。
 軍事費の膨張は、財政を逼迫させ、国民の暮らしに関わる予算を圧迫します。軍事費を膨張させる軍備増強計画そのものの見直しを強く求めて、反対討論を終わります。(拍手)
#68
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#69
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#70
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#71
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十六  
  賛成            百六十四  
  反対             七十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#72
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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