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2019/04/24 第198回国会 参議院 参議院会議録情報 第198回国会 本会議 第14号
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2019/04/24 第198回国会 参議院

参議院会議録情報 第198回国会 本会議 第14号

#1
第198回国会 本会議 第14号
平成三十一年四月二十四日(水曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十四号
  平成三十一年四月二十四日
   午前十時開議
 第一 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第二 旧優生保護法に基づく優生手術等を受け
  た者に対する一時金の支給等に関する法律案
  (衆議院提出)
 第三 自然環境保全法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、建築物のエネルギー消費性能の向上に関す
  る法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 藤末健三君、松川るい君から来る二十七日から十日間、伊藤孝恵君から来る二十九日から八日間、それぞれ海外渡航のため請暇の申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(伊達忠一君) この際、日程に追加して、
 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。国土交通大臣石井啓一君。
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(石井啓一君) 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 エネルギー資源の大半を海外に依存している我が国におきましては、省エネルギー対策を徹底し、限られた資源の有効な利用を図ることが重要な課題となっております。また、地球温暖化対策の観点からも、パリ協定を踏まえた我が国の目標を確実に達成するため、省エネルギー対策の推進が求められております。
 このため、我が国のエネルギー消費量の約三割を占める建築物について、省エネルギー性能の一層の向上を図るべく、建築物の規模、用途ごとの特性に応じた実効性の高い総合的な対策を講じることが不可欠であります。
 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、省エネルギー基準への適合を建築確認の要件とする建築物の範囲について、中規模以上のオフィスビル等に拡大することとしております。
 第二に、小規模な建築物について、設計を行う建築士は、省エネルギー性能に関する評価を行い、その評価結果等について建築主に説明しなければならないこととしております。
 第三に、多数の注文戸建て住宅等を建設する事業者に対し、その住宅の省エネルギー性能の向上を図る必要があるときは、国が勧告等を行うことができることとしております。
 第四に、複数の建築物の連携により優れた省エネルギー性能を実現する取組について、所管行政庁の認定を受けて容積率の特例を受けることができることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。野田国義君。
   〔野田国義君登壇、拍手〕
#9
○野田国義君 立憲民主党・民友会・希望の会の野田国義です。
 ただいま議題となりました建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案について、会派を代表して石井国土交通大臣に質問いたします。
 新たなる令和の御代をお迎えする目前、平成最後に、法案の質疑に入る前に一言申し上げます。
 オリンピック・パラリンピック担当大臣、国土交通副大臣と、安倍内閣の辞任ドミノが続きます。そのような中、先週十八日には、総理の側近中の側近なる立場の方から驚くべき発言が連発をされました。
 まず、令和になってワイルドな憲法審査のことですが、これは全く必要ありませんし、国民は求めてもおりません。挙げ句の果て、消費税増税の再延長にまで言及され、増税を延期した場合には信を問うことになるとも明言し、総理の解散権まで持ち出されたとされています。なぜこのような発言が飛び出すのでしょうか。よもや、この発言も総理・総裁をそんたくしたのではないでしょうか。
 翌日には、十月の消費税率引上げについては、安倍総理大臣と意思疎通したわけではなく、政治家としての私個人の見解だ、政府の方針に異議を唱えたつもりもないと述べられております。
 しかしながら、国民に向けてのこれら一連の発言を伺う限りでは、アベノミクスの破綻の表れともいうべき内容として捉えることができますし、政府・自民党の中でも、景気が悪化しているということをより具体的に、かつ深刻に受け止めている証拠でもあると、国民と共にしっかりと受け止めさせていただきます。
 そして、事ここに至って、熟議の参議院の在り方に関わる大変な事態が起きようとしています。与党は、民意を無視し、自分たちで参議院の定数を強引に六増し、今度は勝手に歳費法の改正をもくろんでいるとお聞きします。たとえ三年でも歳費削減に臨めば、それで帳尻が合う、それで国民世論の批判をかわしたなどとお考えのおつもりなのでしょうか。
 以上、御指摘申し上げ、質問に入らせていただきます。
 地球温暖化の問題は、異常気象による災害や農作物等への被害など目に見える形となって、人類、生物全体の暮らしに大きな影響を及ぼしています。
 そのため、地球規模での温室効果ガス削減の必要性から開催されたCOP21においてパリ協定が採択され、二〇一六年十一月に発効されました。この中で、日本は二〇三〇年までに二〇一三年度比で温室効果ガスを二六%削減することを中期目標として設定をいたしております。
 また、我が国は、エネルギー源の中心となる化石燃料に乏しく、そのほとんどを輸入に頼る状態です。そのような中、国民生活と産業の基礎となるエネルギーの利用、消費については細心の注意を払う必要がございます。
 このような背景の下、我が国の部門別のエネルギー消費の推移について目を向けると、一九九〇年の消費量と比較して、工場等の産業部門では一三・五%の減少となっている一方、住宅等の家庭部門とオフィスビル等の業務部門は合わせて一九・九%の増加となっており、大幅に増加をいたしております。
 なぜこのように明暗が分かれたのか、政府はその理由をどのように分析しているのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 パリ協定を受けて二〇一六年に策定された地球温暖化対策計画及びそれ以前の二〇一三年に閣議決定された日本再興戦略等において、新築の住宅及び建築物については、二〇二〇年までに段階的な省エネ基準の適合義務化を実施することが示されていました。
 また、諸外国を見ると、ヨーロッパ、特にドイツなどを中心に、建築物等に対し厳しい省エネ規制が課せられております。それにもかかわらず、本改正案は、中規模建築物を省エネ基準適合義務の対象に加えるのみであり、住宅や小規模建築物は対象とされておりませんでした。諸外国と比較しても、遅れていると言わざるを得ません。
 温室効果ガス削減目標が達成できない場合には、排出枠を買い取ることになるなどペナルティーを受けることにもなりかねません。それを防ぐためにも、現段階から実効性のある省エネ対策を講じる必要があるわけですが、今般、適合義務が中規模建築物までとどまった理由、並びに今後どのようなスケジュールで住宅を含む全ての建築物について義務化するかについてお答えいただきたいと思います。
 さて、本年十月より消費税率の引上げが予定されています。地球温暖化対策は待ったなしの課題でありますが、新築物件における省エネ性能向上のため追加費用や、既存物件の省エネリフォームには多額の費用が掛かります。高額である分、建築主にとって二%の違いであっても負担感を感じることが容易に想像できます。
 本法案を提出し、少しでも建築物の省エネ性能を向上させようとしている中、消費税率の引上げがその弊害となるのではないでしょうか。政府は、矛盾する政策をやめ、国民の負担を増やす消費税増税は今からでもやめるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 建築物省エネ法は、基本的に、これから新築、増築する建築物などに対して規制を掛けるといった構造となっていますが、我が国のストック全体について省エネ化を促進していくには、現在既に使用されている住宅、建築物の省エネ化についても対策を講じていかなくてはなりません。
 しかしながら、所有者にとって、経年劣化による修繕など、通常の維持管理だけでも苦労をしているところであり、加えて、決して安くない省エネ改修を実行してもらうためには、現行の補助制度の見直しや新制度の創設など、所有者が省エネに向けて行動する動機付けになるような対策が必要であると考えますが、政府の認識及び検討状況について伺います。
 我が国には、地域の気候風土に対応した日本独自の伝統的構法による木造住宅等が多数あります。これらは、居住空間としてのみならず、過去からの伝統技術、伝統文化が結集された貴重な宝であると考えられます。これらを存続し、後世へ伝えていくことも我々の使命であります。
 しかしながら、伝統的構法は、気密性、断熱性から見ると弱い面があるとされており、省エネ性能としては評価が低いのが一般的です。建築物の省エネルギー化が進展することは大いに歓迎するところでありますが、規制により伝統的構法による住宅等が廃れてしまうことがあってはなりません。
 前回の改正の際、参議院国土交通委員会で付された附帯決議において、「伝統的構法の建築物などの承継を可能とする仕組みを検討すること。」が求められましたが、その後の政府における対応について伺います。
 以上、本法案における、良識の府、熟議の参議院として、国民のための充実審議を切に願い、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(石井啓一君) 野田国義議員にお答えをいたします。
 我が国の部門別のエネルギー消費の推移についてお尋ねがありました。
 二〇一六年度におけますエネルギー消費量は、対一九九〇年度比で、業務部門では約二四・二%の増加、家庭部門では約一五・五%の増加であるのに対し、産業部門では約一三・五%の減少、運輸部門では約二・〇%の増加となっております。
 平成二十九年度エネルギーに関する年次報告によれば、業務部門についてはオフィスオートメーション化の推進などの要因が、家庭部門については世帯数の増加や家電製品の普及などの要因が増加に寄与したとされております。これに対しまして、産業部門につきましては製造業を中心とした省エネルギー化などの要因により、運輸部門については自動車の燃費の改善などの要因によりまして、エネルギー消費量が減少又は微増にとどまっているとされております。
 住宅等の適合義務化が見送られた理由等についてお尋ねがございました。
 住宅及び小規模建築物につきましては、省エネ基準への適合率が低い水準にとどまっているため、適合義務制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念されること、関連する事業者に省エネ関連の技術について習熟していない者が相当程度存在していること等の課題があることから、本法案において、住宅は適合義務制度の対象とはせずに、届出義務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の措置により省エネ性能の向上を図ることとしております。
 今後につきましては、まずは本法案に盛り込まれました措置の推進状況を丁寧にフォローアップしつつ、適合義務化の対象の拡大を含めまして、更なる省エネ対策の充実に向けた検討を進めていくことが重要と考えております。
 消費税率の引上げと建築物の省エネ性能の向上との関係についてお尋ねがございました。
 本年十月一日に予定されております消費税率引上げに当たりましては、駆け込み需要と反動減により経済に影響を及ぼすことがないよう、住宅ローン減税やすまい給付金の拡充、次世代住宅ポイントの創設など、総合的な対策を講じることとしております。これまでのところ、前回のような急激な駆け込み需要は生じておらず、今回の対策が一定の効果を上げているものと認識をしております。
 また、本法案に盛り込まれました規制強化措置につきましては、経済への支障なく円滑に施行が行われるよう、法律の公布後二年程度の準備期間を置くことを考えているため、施行は消費税率の引上げから一年以上経過したタイミングとなると考えております。
 こうした措置によりまして、消費税率の引上げが本法案に盛り込まれた施策の推進に影響を与えることは基本的にないものと考えております。
 既存の住宅、建築物の省エネ対策についてお尋ねがございました。
 省エネ対策の推進につきましては、新築の住宅、建築物に係る対策と併せて、既存ストックに係る対策を推進することが重要と考えております。
 本法案は、新築の住宅、建築物の省エネ性能を向上させるための措置を中心としておりますが、既存の住宅、建築物の一定規模以上の増築、改築につきましても、適合義務制度、届出義務制度や説明義務制度の対象としているところであります。
 また、既存ストックの省エネ性能の向上を図るため、省エネリフォームに対する税制及び財政上の支援を推進をしておりまして、今年度は、次世代住宅ポイント制度の実施や木造住宅の省エネリフォームに対する財政上の支援の充実を行うこととしております。また、消費者による省エネ改修を促進するためには、省エネ改修が、ヒートショックの防止等、居住者の健康維持にもつながることについて消費者に周知することも重要と考えております。
 今後も、新築の住宅、建築物の省エネ対策の推進と併せまして、既存ストックに係る省エネ対策を推進をしてまいります。
 伝統的構法の建築物の承継に向けた取組についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、平成二十七年度に公布されました建築物省エネ法の参議院の附帯決議には、「地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物などの承継を可能とする仕組みを検討すること。」という項目が盛り込まれております。
 この附帯決議も踏まえまして、現行の届出義務制度では、所管行政庁が認める場合に、壁や窓などの断熱性能に関する基準を適用除外とするなど、伝統的構法による住宅の供給に配慮をしているところであります。
 本法案では、小規模住宅等に係る建築士から建築主への説明義務制度の創設を盛り込んでおりますが、本制度におきましても同様の緩和措置を適用するとともに、所管行政庁による運用が円滑に進むよう、対象とする住宅の仕様を例示すること等を検討しております。
 これらの措置を通じまして、日本の伝統的構法による住宅の供給と省エネ性能の向上の両立を図ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(伊達忠一君) 青木愛君。
   〔青木愛君登壇、拍手〕
#12
○青木愛君 国民民主党・新緑風会の青木愛です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。全て国土交通大臣に答弁を求めます。
 まず、森友、加計学園問題や下関北九州道路の整備に関して、いまだそんたく政治の疑念が晴れておりません。この度は、国土交通副大臣の口から直接そんたく発言が発せられました。所管する国土交通大臣におかれましては、いま一度予算の公平性と透明性が確保されているのかどうか徹底的な検証を行い、国民に対ししっかりと説明責任を果たされるよう強く要望をいたします。
 それでは、質問に入ります。
 二十世紀後半以降、地球温暖化が深刻な課題となっています。
 二〇一五年十二月、気候変動枠組条約第二十一回締約国会議、COP21において、二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとしてパリ協定が採択されました。我が国は、二〇三〇年度までに、二〇一三年度と比較して二六%削減することを中期目標として設定し、その達成に向けて二〇一六年五月に地球温暖化対策計画を閣議決定しました。
 同計画においては、温室効果ガスの排出削減対策として、新築住宅、建築物について、二〇二〇年までの段階的なエネルギー消費性能基準の適合義務化、住宅、建築物の省エネルギー対策の一層の普及、建材、機器の省エネルギー化に資する工法等の開発支援などが掲げられました。さらに、二〇一八年七月に閣議決定した第五次エネルギー基本計画においても、同様に、二〇二〇年までに新築住宅と建築物を適合義務化すると明記されています。
 しかし、本改正案では、建築物のエネルギー消費性能基準適合義務化については、これまでの大規模建築物に続き、今回は中規模以上の建築物のみを適合義務の対象としており、住宅については、マンション等の大規模住宅も含め、適合義務対象とされておりません。
 なぜ住宅を対象にしなかったのでしょうか。法制化における新築住宅の基準適合義務化についての検討の経緯について伺うとともに、なぜ過去の閣議決定の内容と矛盾する法改正となったのか、その理由と整合性の認識についてお伺いします。
 確かに、住宅は、オフィス等の建築物と比べ、数の多さに対して一軒当たりのエネルギー消費量は少ないかもしれません。しかしながら、建築分野におけるエネルギー消費量の約四割を占めており、手付かずにすべきではありません。
 政府が示したパリ協定における我が国の部門別の二酸化炭素の削減目標を見ましても、オフィスなどの業務その他の部門で四〇%の削減、住宅などの家庭部門でも三九%の削減とされており、それぞれ同等の高い目標値が掲げられています。
 世界の国々に目を向けても、ドイツでは全ての住宅、建築物に対し基準への適合義務が課され、アメリカでも、カリフォルニア州及びニューヨーク州では、州の法律により全ての住宅、建築物を義務化しています。フランスにおいても五十平米を超える住宅、建築物を義務化の対象としていることに比較して、日本は、本改正案で義務化の対象が三百平米以上の建築物のみとされており、規制の遅れが目立ちます。
 地球温暖化対策計画では、二〇三〇年の更に先の長期目標として、二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減することも示されています。早急に新築の住宅全般についても適合義務化を検討すべきと考えますが、お伺いいたします。
 今般の改正は、いずれも、将来的に新築や一定規模以上の増築、改築を行おうとする場合の規定です。新築や増築、改築のタイミングを待たねばならず、温室効果ガスの削減効果が現れるまでに時間が掛かります。
 現実には、新築物件よりも圧倒的多数の既存住宅、既存建築物が存在しています。パリ協定の目標や二〇五〇年の八〇%削減目標を実現するためには、これら既存ストックの対策を後回しにするわけにはいきません。新築物件への対策と両輪で取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 また、省エネリフォームを促すには補助の増額や制度の周知も必要と考えますが、検討の予定の有無及び必要性の認識についてお伺いいたします。
 次に、窓について伺います。
 一般的な住宅は、窓などの開口部を通して夏は冷房の約七〇%、冬は暖房の約六〇%も熱が移動します。その分、冷房や暖房を強くしなければなりません。すなわち、住宅のエネルギー効率を上げる際に最も重視すべきことは開口部の断熱性です。その点、多層ガラスの木製サッシは断熱性に大変優れています。結露も防ぎ、防音性にも優れております。欧米諸国では主流となっています。
 しかし、日本では、窓の約九割がアルミ製サッシを使用しております。アルミは木材に比べて熱伝導率が一千二百倍も高いために、アルミサッシでは冷暖房に大量のエネルギーを無駄に浪費します。環境負荷も高いために、ドイツでは二三%、フランスでは三四%の普及にとどまっています。アメリカに至っては、五十あるうちの二十四の州、約半数の州でアルミサッシの使用が禁止されています。
 この窓の断熱性能を示す指標として、U値というものがあります。値が小さいほど断熱性が高いという指標ですが、フィンランドでは一・〇、ドイツでは一・三、イギリスでは一・八、フランスは二・一、この値を下回るようにとの義務基準が定められています。韓国でも二・七、中国でも二・五ですが、日本ではこの義務基準が定められておらず、四・六五でも通用しております。
 熱の六割から七割が窓を通して出入りすることを考えると、窓のU値の設定と義務化及び木製サッシの普及促進が重要だと考えますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、エネルギー消費性能基準に適合した住宅を供給できるか否かについては、建設業者の事業規模によって大きな違いが見られます。年間着工戸数が百五十戸以上の大手建設事業者が供給する戸建て住宅は八八%が基準に適合している一方、年間着工戸数が四戸以下の小規模事業者が供給する住宅の適合率は僅か四四%とのデータがあり、倍の開きがあります。
 前回の改正時に本院国土交通委員会で付された附帯決議では、政府に対し、戸建て住宅を含めた小規模建築物の義務化に向けて、中小工務店や大工等の技術力の向上に向けた支援の拡充を行うことが求められています。
 中小建設業者が省エネ性能の高い住宅を供給できる能力の向上について、今後の対策をお伺いいたします。
 同様のことは、本改正案でエネルギー消費性能について説明義務が課された建築士についても言えます。あるアンケート調査によりますと、基準の計算、適合確認、どちらもできないと回答した建築士が約三割に上るとのことであります。改正案が施行されるに当たり、こうした建築士に対しどのような対策を講じていくのか、併せてお伺いします。
 このような中小の建設業者がエネルギー消費性能基準に適合した住宅を供給しづらいことや、基準に精通していない建築士が存在する背景には、基準が複雑であるということが指摘をされます。もちろん、それだけの能力を有する者でなければ大事な住宅、建築物の設計、建設は任せられないわけではありますが、基準をもう少し簡素化できないものでしょうか。簡素化されることにより、エネルギー消費性能適合性判定などにおいても審査時間の短縮等の効率化が図られます。
 従来と同等の性能を保持しつつ、計算等において簡便な方法が可能なエネルギー消費性能基準の実現について、政府の課題認識と検討予定の有無についてお伺いをいたします。
 最後に、人類は、長い歴史を通して科学技術を発展させ、便利で豊かで効率性の高い社会を築いてきました。しかし、人間だけの利便性を追求した結果、人類が生存する地球環境を破壊の危機に追い込んでいます。
 住宅、建築物は、人間にとって快適で安らぎの空間であるとともに、地球環境にも歓迎される建造物でなければなりません。この法律案を機に、温室効果ガスの削減に向けて大きく貢献することを願い、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(石井啓一君) 青木愛議員にお答えをいたします。
 住宅の適合義務化を行わない理由、その検討経緯及び過去の閣議決定との関係についてお尋ねがございました。
 本法案の検討に当たりましては、中小工務店等へのヒアリングや消費者へのアンケート調査等によりまして住宅、建築物の省エネ性能に関する状況等を把握するとともに、昨年九月から社会資本整備審議会におきまして今後の住宅、建築物の省エネ対策の在り方について審議が進められ、本年一月に答申をいただいたところであります。
 この答申等を踏まえまして、住宅については、省エネ基準への適合率が低い水準にとどまっているため、適合義務制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念されること、関連する事業者に省エネ関連の技術について習熟していない者が相当程度存在していること等の課題があることから、本法案において、適合義務制度の対象とはせずに、届出義務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の措置により省エネ性能の向上を図ることとしております。
 また、エネルギー基本計画等の閣議決定におきましては、「規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化すること」とされ、適合義務化に関する施策の基本的方向性が定められております。
 本法案では、本閣議決定における方向性を踏まえまして、省エネ基準の適合率の状況等を勘案をし、中規模のオフィスビル等を適合義務化の対象に追加することとしたものであります。
 新築住宅の適合義務化についてお尋ねがございました。
 住宅につきましては、省エネ基準への適合率が低い水準にとどまっているため、適合義務制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念されること等の課題があることから、適合義務制度の対象とはせずに、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の措置により省エネ性能の向上を図ることとしております。
 また、現在、パリ協定の長期目標の実現のための政府としての長期戦略の策定に向けて検討が進められており、本年六月のG20までに策定する予定と承知をしております。
 本戦略はパリ協定の長期目標の実現等に向けた我が国の地球温暖化対策の長期的なビジョンを示すことを目的としており、本戦略のビジョンを地球温暖化対策計画等に反映していくプロセスを通じまして、具体的な施策の検討が進められていくものと認識をしております。
 こうした長期戦略や当該戦略を反映をいたしました地球温暖化対策計画等の見直しを踏まえながら、本法案に盛り込まれた施策の推進状況も丁寧にフォローアップしつつ、適合義務化の対象の拡大を含めまして、更なる省エネ対策の充実に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
 既存の住宅、建築物の省エネ対策についてお尋ねがありました。
 省エネ対策の推進につきましては、新築の住宅、建築物に係る対策と併せまして、既存ストックに係る対策を推進することが重要と考えております。
 本法案は、新築の住宅、建築物の省エネ性能を向上させるための措置を中心としておりますが、既存の住宅、建築物の一定規模以上の増改築につきましても、適合義務制度、届出義務制度や説明義務制度の対象としているところであります。
 また、既存ストックの省エネ性能の向上を図るため、省エネリフォームに対する税制及び財政上の支援を推進をしており、今年度は、次世代住宅ポイント制度の実施や木造住宅の省エネリフォームに対する財政上の支援の充実を行うこととしております。
 さらに、これらの制度につきましては、全国各地域で行う講習会等において周知を徹底をしてまいります。
 今後も、新築の住宅、建築物の省エネ対策の推進と併せまして、既存ストックに係る省エネ対策を推進をしてまいります。
 窓のU値の設定と義務化及び木製サッシの普及促進についてお尋ねがございました。
 議員御指摘のとおり、木製サッシは、金属製サッシと比べて熱を伝えにくいことから、建築物省エネ法に基づく省エネ基準の適用に当たりましても断熱性能が高く評価をされております。
 また、省エネ基準における断熱性能に関する基準につきましては、設計の自由度を確保する観点から、窓のみについての基準は設定をせずに、住宅の外皮全体の断熱性能に係る基準を設定をしております。住宅については適合義務制度の対象とはせずに、届出義務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設等の措置を講じることとしておりまして、これらにより窓の断熱性能も含めて省エネ性能の向上を図ることとしております。
 また、木製サッシを活用しているものなど高い省エネ性能を有する住宅の普及に向けまして、先導性の高い住宅、建築物の省エネ化プロジェクトへの支援などを進めるとともに、本法案におきまして、注文戸建て住宅及び賃貸アパートの住宅トップランナー制度の対象への追加といった措置を講じることとしております。
 これらの施策によりまして、木製サッシを活用しているものなど高い省エネ性能を有する住宅、建築物の供給促進に取り組んでまいります。
 中小建設事業者等の技術力向上に向けた政府の取組についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、平成二十七年度に公布されました建築物省エネ法の参議院の附帯決議には、「中小工務店や大工等の技術力の向上に向けた支援の拡充を行うなど、制度の円滑な実施のための環境整備に万全を期すこと。」という項目が盛り込まれております。
 本法案に盛り込まれました小規模住宅等を対象とする説明義務制度を円滑に推進するためには、中小工務店等の関連事業者が省エネ基準の内容や基準の適合状況の確認のために必要な省エネ計算の方法等について的確に理解していることが必要であり、その準備のための期間を考慮いたしまして、説明義務制度の施行日を法律の公布から二年以内としております。
 一方で、中小工務店には省エネ基準等に習熟していない者も多く、中小工務店に対しましてアンケート調査を行ったところ、約五割は省エネ計算ができないとの回答となっております。
 これまでも、中小工務店等を対象といたしました省エネ技術に関する講習会を全国で実施するとともに、地域の中小工務店等による省エネ性能に優れた木造住宅の供給に対しまして財政的支援を行ってきたところであります。これらの取組を今後より一層推進することによりまして、中小工務店等の関連事業者の省エネに係る技術力の向上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 省エネ基準の簡素化についてお尋ねがございました。
 御指摘の省エネ基準につきましては、本法案に基づく適合義務制度、説明義務制度等において活用されるものであります。このため、本法案に盛り込まれました制度を円滑に推進するためには、関連事業者が省エネ基準の内容や基準の適合状況の確認のために必要な省エネ計算の方法等について的確に理解していることが必要であります。
 こうした関連事業者の省エネ関連の技術力の向上につきましては、平成二十四年度より、中小工務店等を対象といたしまして省エネ技術に関する講習会を実施をしており、本法案に盛り込まれた施策の内容等も含め全国各地域で実施をしており、今後より一層推進することを予定をしております。
 御指摘の省エネ基準の簡素化につきましては、本法案において適合義務制度の対象に新たに追加をされます中規模建築物につきましては、既に省エネ計算書の届出が義務付けられている届出義務制度の対象となっておるため、特に必要はないと考えております。一方で、新たに創設をされます説明義務制度の対象となる戸建て住宅等につきましては、御指摘のとおり、基準の適合状況の確認をより簡易にできるようにすることが必要と考えております。
 このため、省エネ基準への適否を簡易に判断することができる計算シートを整備することを予定をしており、当該計算シートに関する情報につきましても、全国各地域で行う講習会において提供していくこととしております。
 これらの取組によりまして、中小工務店を含む関連事業者の省エネ基準への習熟等を進め、説明義務制度を円滑に実施するための環境整備に努めてまいります。(拍手)
#14
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#15
○議長(伊達忠一君) 日程第一 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長渡邉美樹君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔渡邉美樹君登壇、拍手〕
#16
○渡邉美樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数等の変更、航空自衛隊の航空総隊の改編、カナダ及びフランスとの各物品役務相互提供協定の実施に係る規定の整備等の措置を講ずるものであります。
 委員会におきましては、自衛隊のサイバー及び電磁波領域における能力、体制の強化、自衛官及び医官の充足率向上に対する取組、警戒航空団の新編に当たり、早期警戒機に共同交戦能力を搭載する必要性、フランス及びカナダとの防衛協力が我が国の安全保障にもたらす効果等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主党・民友会・希望の会の小西委員より反対、日本共産党の井上委員より反対、沖縄の風の伊波委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#17
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#18
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#19
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成            百五十九  
  反対              七十  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#20
○議長(伊達忠一君) 日程第二 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長石田昌宏君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔石田昌宏君登壇、拍手〕
#21
○石田昌宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、旧優生保護法の下、多くの方々が、生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたことに対し、我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびをし、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給に関し必要な事項等を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者である衆議院厚生労働委員長冨岡勉君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#22
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#23
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#24
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#25
○議長(伊達忠一君) 日程第三 自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境委員長那谷屋正義君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔那谷屋正義君登壇、拍手〕
#26
○那谷屋正義君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、沖合の海底の自然環境の保全を図るため、沖合海底自然環境保全地域の指定及び当該地域内における海底の形質を変更するおそれがある特定の行為に対する許可制度の創設等の措置を講じようとするものであります。
 本委員会におきましては、海洋保護区設定の在り方、本法律案による規制と沖合の海底の資源開発、利用との調整の在り方、海洋環境の保全に係る監視体制の強化策、沖合域における生物多様性等の調査研究の充実の必要性、外国船舶の違法行為に対する本法律案の抑止効果等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#27
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百三十  
  賛成            二百三十  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#30
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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