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2019/04/10 第198回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第198回国会 国土交通委員会 第5号
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2019/04/10 第198回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第198回国会 国土交通委員会 第5号

#1
第198回国会 国土交通委員会 第5号
平成三十一年四月十日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 谷  公一君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君
   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君
   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君
   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君
      秋本 真利君    加藤 鮎子君
      門  博文君    神谷  昇君
      神山 佐市君    工藤 彰三君
      小島 敏文君    古賀  篤君
      田中 英之君    高木  毅君
      谷川 とむ君    土屋 品子君
      中谷 真一君    鳩山 二郎君
      福田 達夫君    福山  守君
      藤井比早之君    堀井  学君
      三谷 英弘君    宮内 秀樹君
      宮崎 政久君    望月 義夫君
      盛山 正仁君    簗  和生君
      荒井  聰君    福田 昭夫君
      道下 大樹君    森山 浩行君
      小宮山泰子君    下条 みつ君
      谷田川 元君    山岡 達丸君
      伊藤  渉君    北側 一雄君
      塩川 鉄也君    宮本  徹君
      井上 英孝君    重徳 和彦君
      中島 克仁君
    …………………………………
   国務大臣         石井 啓一君
   内閣府副大臣       浮島 智子君
   文部科学副大臣      永岡 桂子君
   国土交通副大臣      牧野たかお君
   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君
   国土交通大臣政務官    田中 英之君
   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君
   政府参考人
   (内閣官房アイヌ総合政策室長)          橋本 元秀君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君
   政府参考人
   (文化庁審議官)     内藤 敏也君
   政府参考人
   (林野庁国有林野部長)  小坂善太郎君
   政府参考人
   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 和泉 晶裕君
   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任         補欠選任
  鬼木  誠君     福山  守君
  宮崎 政久君     神山 佐市君
  盛山 正仁君     堀井  学君
  下条 みつ君     山岡 達丸君
  日吉 雄太君     谷田川 元君
  宮本  徹君     塩川 鉄也君
  広田  一君     中島 克仁君
同日
 辞任         補欠選任
  神山 佐市君     宮崎 政久君
  福山  守君     鬼木  誠君
  堀井  学君     盛山 正仁君
  谷田川 元君     日吉 雄太君
  山岡 達丸君     下条 みつ君
  塩川 鉄也君     宮本  徹君
  中島 克仁君     広田  一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(内閣提出第二四号)
     ――――◇―――――
#2
○谷委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省北海道局長和泉晶裕君、内閣官房アイヌ総合政策室長橋本元秀君、内閣審議官諸戸修二君、文部科学省大臣官房審議官増子宏君、文化庁審議官内藤敏也君、林野庁国有林野部長小坂善太郎君、水産庁増殖推進部長保科正樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○谷委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中野洋昌君。
#5
○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。
 提出されましたアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案につきまして、公明党を代表いたしまして、通告に従い質問をさせていただきます。
 昨日委員長の方からも報告がありましたとおり、本法律案の審議に先立ちまして国土交通委員会で視察に行かせていただき、私もその意見交換というのに参加をさせていただきましたので、その議論も踏まえながら質問をさせていただきたいと思うんです。
 実際に現地を視察に行かせていただき、また、さまざまな関係者の方とも意見交換をさせていただき、やはりアイヌの方々、今までアイヌの方々が置かれてきたさまざまな歴史的な背景、そしてまた、こうした政策に関して本当にいろいろな御意見、そうしたさまざまな御意見がある中で、今回この法律案ということで一つの政策ということで形づくられた、この関係者の皆様の御努力というものにまずは心からの敬意を表したいというふうに思います。
 今まで、アイヌの方々をめぐるさまざまな政策というか支援というか、長い歴史がございます。生活的なところの支援というのも行われてまいりましたし、また、アイヌ文化振興法もつくり、そして文化振興というものも今まで行われてきた、こういう歴史がございます。そうした、生活の水準、一定程度向上している、こういうふうな結果というものもまた拝見させていただきましたけれども、まだまだこうした取組が不十分なんだ、こういう指摘もあるところでもございます。
 また、国際社会においても、そして我が国の国内においても、先住民族をめぐるさまざまな議論も進んでまいりました。しかし、現状においては、アイヌということで自分が差別、あるいはそういう偏見があるんじゃないか、こういう御意見もまだ多々あるところでございますし、やはり、こうした現状を変えていくためには、アイヌの歴史あるいは文化に対して国民の理解というものをもっと進めていかないといけない、共生を進めていくための取組をしていかないといけない、こういういろいろな御意見もあるというふうに理解をしております。
 そこで、まず冒頭でございますけれども、アイヌ政策の担当の大臣でもございます石井大臣に、今までのアイヌの方々に関する政策への評価、そして本法律案の意義について、冒頭お伺いをしたいというふうに思います。
#6
○石井国務大臣 政府におきましては、従来から、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌ文化を継承する基盤が失われつつある状況を踏まえ、現行のアイヌ文化振興法に基づく文化振興等施策に取り組んできたほか、北海道庁を中心に生活向上施策を講じてきたところでありまして、これまで一定の成果が得られてきたと承知をしております。
 しかしながら、平成二十年、衆参両院のアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議等を踏まえ、アイヌの人々を先住民族と認識した上で施策を展開していくことが求められていること、アイヌの人々からは、アイヌ文化伝承が担い手の生業、なりわいとなるような施策、あるいはアイヌ伝統工芸品の原材料を確保するための施策などアイヌ文化振興のための環境整備が求められていることなど新たなアイヌ政策を総合的に推進していくことが求められております。
 このため、本法案では、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示すとともに、アイヌの人々の誇りが尊重される社会の実現に向けて、従来の福祉政策や文化振興に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含む支援を行う新たな交付金制度を創設するなど、アイヌ施策の効果的な推進を図るために必要な各種措置を講ずることとしております。
 なお、これらの措置に対する強い期待から、先般実施されました国土交通委員会の現地視察におきましては、参加された方々から本法案の早期成立を望む意見が出されたものと承知をしております。
 本法案は、これらの措置によりまして、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とするものでございます。
#7
○中野委員 先ほど大臣からもまさに御答弁ありました、本法律案に基づいて施策を講じていく、支援の中心的なメニューでもございます交付金、これにつきまして政府の方にお伺いをしたいと思います。
 本法律案の第十五条におきましては、認定をされた市町村に対しまして、アイヌ施策の推進地域計画、これをつくっていく、これについて認定をする、それに基づいた取組に対しては交付金を支給をする、こういう形で施策を応援、国として支援をしていく、こういう仕組みになっているというふうに承知をしております。
 この交付金につきましては、比較的自由度も高く、観光あるいは産業、さまざまな分野においてこうした支援に使える、こういう形がある一方で、これは党内でも議論をしたんですけれども、自治体がこの計画をつくるという形になっております。そして、この計画に対して交付金を支援をするという形になっておりまして、具体的に、アイヌの方々の意見というのがこの政策をつくっていく中でどのように反映をされていくんだろうか、こういうふうな意見も党内では出たところでございます。
 この本交付金の制度の創設の意義、そして、その施策の実施に当たりまして、アイヌの方々の意見というのが具体的に施策にどのような形で反映をされていくのか、これについて政府にお伺いをしたいというふうに思います。
#8
○橋本政府参考人 本法案に基づき新たに創設する交付金制度につきましては、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の事業に対して支援を行うものでございます。
 交付金制度を含むアイヌ施策の推進に当たりましては、御指摘のとおり、アイヌの人々の意見を尊重するということが重要であると認識しており、本法案におきます基本理念におきましても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行わなければならないものとしているところでございます。
 また、当該交付金につきましては、市町村が作成したアイヌ施策を推進するための計画に基づき交付するものでございますが、計画を作成する際、事業の実施主体に意見を聞かなければならないということにしており、事業の実施主体はアイヌの人々が中心となるということが想定されることから、アイヌの人々の要望や意見が交付金事業に適切に反映されるもの、そのように承知しているところでございます。
#9
○中野委員 ありがとうございます。
 次に、白老町につくられます民族共生象徴空間、ウポポイに関連をして質問をさせていただきたいと思います。
 現地も見させていただきましたけれども、このウポポイの中核施設の一つは国立アイヌ民族博物館ということでございまして、新たに国立の博物館ができる、こういうことであります。アイヌ文化振興の取組というのが更に加速されるのではないかというふうに大変な期待をしております。
 視察をした際の意見交換会の中でも、やはり、今までの博物館の形では財源も限られている、入場料の収入の中でやっていくということでありまして、実際にはもっとやりたい。例えば、アイヌの伝承を記録をしていく、あるいは、さまざまな散逸している情報、こういうものを収集をしていく、こういった基本的なアイヌの文化を継承していくための非常に重要な取組というのが、なかなか手が回っていなかった、こういうふうな御指摘も意見交換ではいただいたところでございます。
 今回、新たな国立の博物館ができるということで、これが文化振興の中核となっていく、このように期待をしておりますけれども、この博物館がアイヌの文化振興に果たす役割をどう考えているのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。文化庁、よろしくお願いします。
#10
○内藤政府参考人 お答えいたします。
 国立アイヌ民族博物館は、先住民族であるアイヌの尊厳を尊重し、国内外にアイヌの歴史と文化等に関する知識と理解を促進するとともに、アイヌ文化の創造と発展に寄与することを理念といたしまして、先生方ごらんいただいたように、北海道白老町の民族共生象徴空間、ウポポイ内に整備を進めているところでございます。
 その役割といたしまして、具体的に、まず、アイヌの歴史、文化等に初めて触れる人々も含め、国内外の多様な人々がアイヌ民族の歴史や文化を学び、正しく理解する機会の提供、それから、展示、調査研究機能を活用してアイヌ文化に関する十分な知識を有するキュレーターなど次世代の専門家の育成、さらに、博物館の収蔵品や象徴空間内外の自然空間を研究フィールドといたしましたアイヌの歴史、文化に係る実践的な調査研究、そして、アイヌの歴史、文化等を展示する他の博物館や大学、研究施設をつなぐ情報ネットワーク拠点、この四点に取り組むこととしてございます。
 こうした活動を通じまして、国内外から高く評価される専門性を持ちながら、多くの人々に親しまれる博物館となるよう、展示、教育普及、人材育成、調査研究、ネットワーク拠点のいずれにおいても先進的な取組を行うことで、アイヌ文化振興のナショナルセンターとしての役割を果たすこととしてございます。
#11
○中野委員 アイヌの文化を次世代に継承するということで、大変に重要な役割を果たす博物館になると思います。ぜひともお取組をお願いをしたいとともに、北海道各地に、白老町以外にもさまざまなアイヌの文化に関する博物館もございますし、文化施設もございますし、ここは北海道全道挙げて、やはり、広域的にしっかり連携もしながら、こうした文化振興というものも行っていく必要があるというふうに考えております。
 これについてはどのような取組を進めていかれるのかというのを、文化庁にもう一度お伺いをしたいというふうに思います。
#12
○内藤政府参考人 お答えいたします。
 国立アイヌ民族博物館の整備に当たりましては、北海道内はもちろん、国内外の博物館や研究機関、アイヌ文化の伝承活動を行う団体等とのネットワークを構築することが重要な機能の一つとして位置づけられると考えております。
 そこで、文化庁では、平成二十八年十二月に、北海道内の博物館で構成する国立アイヌ民族博物館ネットワーク準備会を発足させ、定期的な協議を進めております。
 この協議会では、これまで、各地の博物館等との資料収集、貸借等の協力体制、展示会の巡回などの連携、学芸員の育成などが話し合われております。
 今後、博物館の開設準備と並行いたしまして、このネットワークの構築に向けた取組を更に進め、各地域におけるアイヌ文化に関する調査研究や展示、教育普及などの活動の充実に貢献してまいりたいと考えてございます。
#13
○中野委員 最後に、二〇二〇年の東京オリパラ大会について伺いたいと思います。
 この大会はよくスポーツの祭典というふうに言われるんですけれども、オリンピック・パラリンピックというのは、スポーツだけではなくて、文化の祭典でもございます。日本の文化を世界に発信をしていくまたとないチャンスであり、先日の意見交換会でも、こうした機会を踏まえましてアイヌ文化の発信を世界にしていってほしい、こういう大変に強い御要望があったところでもございます。
 そこで、オリパラの開会式、また閉会式での扱いも含めまして、この大会を通じてアイヌ文化をしっかりと発信をしていく、これは非常に重要なことであるというふうに思っておりますので、最後、これをどのように行っていくのかということについて政府の答弁を求めたいというふうに思います。
#14
○諸戸政府参考人 お答えを申し上げます。
 二〇二〇年東京大会、ただいま委員からも御指摘ございましたとおり、スポーツだけでなく文化の祭典でもございます。大会を契機とした文化プログラムを実施をすることといたしております。
 アイヌ文化の発信につきましては、これまでも、多様性や国際性に配慮して日本文化の魅力を発信する取組を認証いたしますビヨンド二〇二〇プログラムを既に活用もしていただいておるところでございます。
 また、文化プログラムの中核的な事業といたしまして検討が進められております日本博では、今後具体化していく案の一つとして、自然とともに生きるアイヌ文化をテーマとした企画が挙げられておるところでございます。
 二〇二〇年東京大会の開会式、閉会式につきましては、大会組織委員会が、野村萬斎さんを中心に四式典全体の総合的な演出、企画を行います東京二〇二〇総合チームにおいて検討を進めていると承知をいたしております。委員のお考えにつきましては、大会組織委員会に伝えてまいりたいと思います。
 今後とも、さまざまな機会を捉えて、アイヌ文化の発信に関係の皆様と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
#15
○中野委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#16
○谷委員長 次に、堀井学君。
#17
○堀井委員 イランカラプテ。自由民主党の堀井学でございます。
 本日は、質問の機会をいただき、委員長始め理事の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。私は国土交通委員会所属ではございませんが、質問の御調整をいただいた皆様方に感謝を申し上げたいと思います。
 北海道の十二選挙区ある中で、私を選出する北海道九区という場所は、一番アイヌ民族の方々が生活をされて、暮らしている地域であります。また、白老町というところには民族共生象徴空間の国立アイヌ民族博物館、ウポポイが建設されることからも、質疑者として地元の思いやアイヌ民族の思いを代弁せよと命じられたものと思い、務めを果たしてまいりたいと思います。
 最初に御挨拶で、私はイランカラプテと申し上げました。この言葉の意味は、あなたの心にそっと寄り添うというアイヌ語の意味であります。日常の御挨拶であります。
 皆さんがなれ親しむ北海道の地名には、先住民族であったアイヌ民族の方々が名づけた地名が八割存在いたします。その地名の、名称の由来には意味があり、例えば、私が住む登別という地域でありますけれども、アイヌ語ではヌプリペツと呼ばれておりました。意味は、皆さん御存じのとおり、登別温泉の川に温泉の白く濁ったものがまじり合ったことを意味してヌプリペツと名づけられたそうであります。
 また、漢字にすると読みにくく難しい、皆さんがよく知っていらっしゃる長万部という地域は、オサマムペという名前であります。意味は、魚のカレイが河口付近でいっぱいとれる場所という、河口という意味であるそうであります。
 北海道の小学校に通っていた生徒であれば、郷土の歴史の勉強として、自分が住む町の名前、名称の由来というものを小学校四年生、五年生、六年生の学年で習うということがあります。
 アイヌ民族がつけられたアイヌ語の地名が変化したものであって現在の地名になったというのが八割方、北海道に存在するということであります。川も山も湖も丘も滝も、そのほとんどがアイヌ語の由来であります。アポイとかカムイとか、いろいろあります。
 私の同級生、幼なじみには、アイヌの血を引く民族の方、友人が多数おります。スポーツでの同級生や先輩、後輩でもおりまして、トップアスリートとして互いに切磋琢磨した仲間もおります。
 理事の皆様に御視察いただいた建設中のウポポイの前にあるポロト湖は、冬は全面が凍るわけでありますが、スケートリンクになります。私も何度も練習させていただいたリンクですが、白老町のポロト湖をホームリンクで育った道産子のメダリストも誕生しておりますし、オリンピアンも数多くおります。
 それでは、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案について伺ってまいりたいと思います。
 法案をつくり上げる上で、アイヌ民族、有識者を始め関係者の意見聴取を行ったと承知をいたしております。アイヌ民族の皆さんはそれぞれ要望があったわけでありますけれども、それに加えて、有識者の公正な判断、さらには公正公平な意見を盛り込んだ上で、その後、アイヌ政策推進会議において法案として素案を取りまとめ、本日の法案審議に至るわけであります。
 これまで、アイヌ民族とそれ以外の人々は古くから交流を行い、差別などの問題が発生する一方で、時には両者助け合い、困難を乗り越えながら北海道の開拓、発展をつくり上げてきました。今後においては、今まで以上、互いを尊重しつつ、共生する社会を築き上げることが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、最初にお伺いをいたします。
#18
○石井国務大臣 委員御指摘のとおり、北海道の開拓、開発の過程においては、移住者とアイヌの方々が手を携えながら取り組んできたという側面もあるものと承知をしております。
 このため、今般の法案において、アイヌの方々が先住民族であるとの認識のもと、共生社会の実現に向けて、アイヌ政策について、従来の文化振興や福祉政策に加えて、地域振興、産業振興、観光振興等を含む多岐にわたる施策を総合的に進めていこうとするものであります。
 具体的には、アイヌ施策の推進に当たっての国、地方公共団体の責務を示すとともに、市町村に対する交付金の交付、林産物の採取やサケの採捕に関する措置、民族共生象徴空間の円滑な運営のための措置、アイヌであることを理由とした差別することその他の権利利益を侵害することの禁止など、アイヌ施策の効果的な推進を図るために必要な各種措置を盛り込んでいるところであります。
 今後とも、アイヌの方々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことにより、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会が実現されるよう取り組んでまいりたいと考えています。
#19
○堀井委員 今大臣がおっしゃられました、名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことにより、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会の実現を目指すということであります。この取組の一層の推進をお願いしたいと思います。
 アイヌ民族の皆様方には、この法案成立後は、今まで以上に、アイヌの血を引く人間であることに胸を張っていただきたいと思いますし、今まで以上に強い誇りを持っていただきたい、そうなる法律であってほしいと願うものであります。
 次に、アイヌ政策推進に当たっては、その民族としての当事者であるアイヌの人々の意思を尊重することが重要であります。法案作成の過程において、アイヌの人々からは多くの要望や課題が示されておりました。この法律案で要望や課題がどのように改善されていくのか、お伺いをいたします。
#20
○牧野副大臣 お答えさせていただきます。
 アイヌの方々に寄り添った施策を講じるため、この法案の検討においては、北海道の内外で延べ三十六回、五百名を超えるアイヌの方々と意見交換を実施し、より多くのアイヌの方々の御意見を伺うよう努めてまいりました。
 その中では、例えば、アイヌの人々や地域の住民の交流の拠点になっている生活館が老朽化しているので対策を講じてほしいとか、伝統的な生活の場でありますイオルの整備をもっと進めてほしい、また、雇用が生まれるような施策を講じてほしいなどの御要望をいただきました。
 これらの御要望を踏まえ、さまざまな課題を総合的に解決するため、この法案においては、アイヌの人々と地域住民の交流の場の整備や、伝統的なアイヌの生活の場であるイオルの再生、そして地域の高齢者の足となり観光振興も支えるコミュニティーバスの運営などを支援する新たな交付金制度を創設することにしております。
#21
○堀井委員 地元からは、丁寧な意見交換を行っていただいたと伺っております。
 また、地元の意見が尊重された新交付金制度に期待するなど、法案成立を望む声が強く私のもとへも寄せられているところであります。新しい交付金制度の創設により、意見交換によって多く寄せられた課題解決につながる運用となるようにお願いを申し上げたいと思います。
 次に、この法案においては、市町村が地域計画を作成し、アイヌ政策を進めていくこととしております。先日、視察において行われた意見交換でも、出席者からは、市町村によってはアイヌ政策にも温度差があり、住んでいる地域、各市町村の取組によっては、政策の均衡が保てるのかと指摘を受けたところでありますが、市町村からはどのような意見が寄せられているのか、また、取組の温度差、住んでいる地域間格差をどう解消していくのか、お伺いをいたします。
#22
○牧野副大臣 この法案の検討において、アイヌの方々にとって身近な行政主体である市町村から意見を伺いました。
 その中では、地域における交通手段の確保が必要だとか、アイヌの文化や遺産を生かした観光ルートの開発が必要といった意見が寄せられました。このため、この法案においては、アイヌの文化や観光、地域振興などを支援する交付金制度を創設することにしております。
 この交付金制度は、市町村に広く周知を図りまして、また、問合せに対しては丁寧に対応をいたしまして、幅広い地域、そして市町村におきましてアイヌ政策が推進されるよう取り組んでまいる所存でございます。
#23
○堀井委員 先月末の理事の皆様との視察の際の関係者から御指摘を受けた件、質問させていただきましたが、新しい交付金制度は政策的に幅広く柔軟な対応ができる内容となっております。地域が抱える問題、課題の解決につながりますので、各自治体に対しては丁寧に広く周知をお図りいただいて、アイヌ政策が活発に議論され、政策が着実に推進されるよう取組をお願い申し上げたいと思います。
 次に、本法案では、国有林野やサケの採捕に関する措置など、先住民であるアイヌの人々による土地、資源の利用に関する措置も含まれております。
 国有林野における林産物の採取に関する措置は、アイヌの人々の要望に十分に応えられる内容となっているのか、お伺いをいたします。
#24
○小坂政府参考人 国有林野についてお答えいたします。
 アイヌ新法の制定に当たりまして、アイヌの人々に御意見を伺ったところ、森林に関しましては、儀式や文化の伝承に必要となる林産物を、国有林で、その都度許可等を得ることなくとれるようにしてほしい、そういった御要望があったところでございます。
 国有林の利用につきましては、農山村の生活に必要な自家用のまき等の林産物の採取を認める共用林野制度というものがございます。今回の特例措置におきましては、儀式を始めとするアイヌ文化の振興等に利用するための林産物の採取を行う共用林野の設定を行うことができるようにいたしまして、アイヌの人々が国有林からこれらの林産物の採取を行えるようにするようなものでございます。
 このような特例措置によりまして、アイヌの方々の森林に対する要望には応えられるものと考えているところでございます。
#25
○堀井委員 柳の木からは、イナウというアイヌの儀式や祭具として使われるものが採取されるわけであります。アットゥシというのはアイヌの衣装でありますが、これはオヒョウという木を使ってつくられるわけであります。特例措置により、手続の簡素化、必要なときに自由に活動できるように取組をお願いしたいというふうに思います。
 また、本法案では、アイヌにおいて継承されてきた儀式の保存、継承又は知識の普及啓発のため、内水面でのサケを採捕する事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をするとしておりますが、これまでとどのように変わっていくのか、何が変わるのか、お伺いしたいと思います。
#26
○保科政府参考人 サケの採捕についてお答えいたします。
 河川等の内水面におけるサケの採捕につきましては、都道府県知事の許可等を受けた者以外は禁止されております。本法案におきましては、アイヌの方々にとってサケが伝統的に重要であることを踏まえまして、内水面におけるサケの採捕に必要な許可に関する配慮について規定をしたものでございます。
 具体的には、市町村が作成するアイヌ施策推進地域計画の中にアイヌの儀式等に利用するためのサケを内水面において採捕する事業が記載されている場合に、都道府県知事等は、その事業が円滑に実施されるように、採捕について許可をするに当たって適切な配慮をすることとしております。
 本法案が成立した場合、北海道においては、アイヌの方々からの御要望を踏まえまして、許可手続の柔軟化や簡素化等を検討する予定と聞いております。
#27
○堀井委員 ありがとうございます。許可の柔軟性、手続の簡素化、ぜひお願いをしたいと思います。
 昔からアイヌの人々は、自分たちが使う分だけ、必要なだけ、食べる分だけ、保存する分だけ自然の恵みをいただくという考え方で、それが、手続が簡素化されたり許可が柔軟化されて乱獲になるんじゃないかとかという指摘をされる方もいらっしゃいますが、決してそのようなことはありませんので、御安心していただきたいというふうに思います。
 私の選挙区である北海道胆振、日高地方には多くのアイヌの人々が生活をしております。昨年、胆振東部地震の災害や、近年、人口減少で過疎化に苦しむ地域が存在をします。国と市町村が連携をして、地域の底上げにつながるような取組、開発政策を展開する必要があると考えますが、どのように取り組むお考えか、お伺いをしたいと思います。
#28
○和泉政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十八年三月に閣議決定されました第八期北海道総合開発計画におきましては、北海道の食と観光を戦略的産業として位置づけ、これらを支える生産空間の維持発展を図ることといたしております。
 北海道の胆振、日高地方には、議員も御指摘のとおり、多くのアイヌの人々が居住されており、アイヌ文化の継承にとって重要な地域であるとともに、生産空間としても守っていかなければならない大事な地域だと認識しているところでございます。
 このため、交流人口の増加や物流ネットワークの充実、観光アクセスの改善等を図り、地域の強みをより高めていくためにも、引き続き、新千歳空港や室蘭港、苫小牧港、日高自動車道などの基幹となる社会資本整備を進めてまいりたいと思っています。
 また、本地域におきましては、昨年九月の北海道胆振東部地震により大きな被害が発生いたしました。現在、新たな砂防施設の整備や農業水利施設などの災害復旧に鋭意取り組んでおり、引き続き、被災者の生活再建、被災地域の経済復興に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 国土交通省といたしましては、これらについて、地域の関係機関と幅広く連携しつつ、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
#29
○堀井委員 北海道八期総合計画に基づいて取組が進められる、そしてさらには、北海道の胆振東部地震災害からの復旧復興、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、民族共生象徴空間については、二〇二〇年の四月の一般公開に向けて着実に整備が進められております。北海道を始め御当地白老町、また近郊市町村は、百万人の来場者目標を達成するために連携した取組を進めているところであります。一般公開後はより多くの人に来場してもらい、北海道の歴史と大自然の中で生活をしてきたアイヌの歴史を知っていただくためには、周辺の空港、鉄道、道路といったアクセスの改善も必要であります。
 百万人の来場者の目標を達成するため、空港、鉄道、道路アクセスについて、国土交通省でそれぞれどのように改善を取り組んでいくのかお伺いすると同時に、民族象徴空間により多くの人に来場していただくための観光振興にどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
#30
○石井国務大臣 ウポポイへの年間来場者百万人の達成に向けまして、国内外からの来訪者がウポポイまでスムーズに移動できるよう、交通アクセスを向上させることは極めて重要と認識をしております。
 国土交通省といたしましては、新千歳空港のエプロン拡張等による受入れ機能の強化や、国道三十六号の拡幅事業を実施するとともに、社会資本整備総合交付金により、北海道や白老町が実施をする白老駅の自由通路の設置やウポポイ周辺の道路整備を支援をしております。
 また、JR北海道においても、白老駅のバリアフリー化を図るとともに、白老駅に停車する特急列車の本数をふやす方向で検討を進めていると承知をしております。
 観光振興につきましては、新たな交付金の活用や、観光地及び交通機関の多言語対応、無料WiFi等の受入れ環境整備による誘客促進、DMOを中心とした多様な関係者の広域的な連携の促進などに取り組んでまいります。
 また、ウポポイの認知度向上のためのイベント、広報等のプロモーションを全国で実施をしてまいります。
 引き続き、国土交通省といたしまして、二〇二〇年四月の開業に向けまして、必要な整備や支援を進めてまいりたいと考えております。
#31
○堀井委員 白老町、その周辺地域は、本当に今、四月二十四日開設に向けて全力で頑張っているところでありますので、引き続き御支援をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、最後に、国際社会に向かって我が国の取組の理解を図る観点から伺いたいと思います。
 先住民族の権利に関する国際連合宣言の内容は多岐にわたっておりますが、本法律案では具体的にどのように宣言の内容を取り込んでいるのか。また、これまで国連の人権理事会などで我が国の先住民族であるアイヌの人権問題が取り上げられるときがありました。今般の法律案に基づく施策も含め、我が国の先住民族への取組を積極的に国際社会へPRしていくことが必要と考えますが、これについてはどのように対応していくのか、あわせてお伺いをいたします。
#32
○橋本政府参考人 国連宣言につきましては、平成二十年、衆議院、参議院両院の本会議で、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議におきまして、先住民族の権利に関する国際連合宣言を参照しつつ、総合的な施策を確立すべき、そのように御指摘いただいているところでございます。
 本法案におきましては、国連宣言が、差別を受けない権利であるとか国民の理解の促進、先住民族の文化に関する権利などについて規定していることを踏まえまして、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念、国、地方公共団体による教育活動、広報活動等の責務を規定しておりまして、新たに創設される交付金の制度や法律上の特例等の措置により、アイヌ文化の振興や国民の理解の促進を図ることとしております。
 本法の制定及び現行の関係法律により、国連宣言に示されている国の果たすべき責務につきましては、したがいまして、憲法との整理をするものを除きましては、おおむね措置できるものと考えており、これはこれまでになかったことと承知しております。
 これらにつきましては、我が国の先住民族政策の取組として、国連人権理事会を始めとする国際機関等に十分我が国が取り組んでいるという立場を説明したい、そのように考えている次第でございます。
#33
○堀井委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#34
○谷委員長 次に、荒井聰君。
#35
○荒井委員 委員長、定足数、足りていますか。確認してください。
#36
○谷委員長 大丈夫です。
#37
○荒井委員 きょうは、この機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 今まで私もアイヌにかかわる施策についていろんな措置で携わってまいりました。その意味では、今回このアイヌ新法の法制定というのは感慨深いものがあるんですね。
 もともとアイヌにかかわる国の政策というのは、一九八五年、随分昔ですけれども、一九八五年、中曽根政権で、中曽根総理が、日本人は単一民族であるという発言をたしかアメリカでしたんだと思いますけれども、それに対してアイヌの方々が、そんなことはないという話から、その年に北海道庁の中にアイヌ対策室というのをつくります。そこを中心にアイヌ新法の検討に入ることになりました。
 私、当時道庁に出向していたこともあって、その責任者になりまして、翌年の一九八六年に、この話はぜひ皆さんに聞いていただきたいんですけれども、その概案を持って東京の永田町に陳情に参りました。中曽根総理に会いたかったんですけれども、そうはいきませんので、当時官房長官をやっていた藤波孝生さん、もうおやめになっていたんですけれども、藤波孝生さんのところに陳情に行きました。
 そのとき、藤波さんがこうおっしゃったんですね。荒井さん、和人はアイヌの人々の鎮魂の祭りをしないといけませんね。鎮魂の祭りということを言われました。つまり、深い謝罪をしなければいけませんよね、そういう意味だと解釈をしました。弱い立場の人にこれだけ心を寄せる政治家っているんだ、そういうことに深く打たれました。
 それだけではなくて、藤波さんは、その場からすぐ電話をしていただいて、自分の後任が小渕恵三さんだ、小渕恵三さんのところにすぐこの陳情書を持って行ってきなさいということを言われまして、アポも何にもなかったんですけれども、そのまま行きました。恐らく小渕さんは何のことか全然わからなかったと思いますけれども、前任者からのそういうお話だったので、丁寧に聞いてくれました。
 それから十年後、村山政権になりまして、官房長官が五十嵐さんでした。五十嵐さんは旭川選出の議員でしたので、アイヌ文化振興法の起案に入り、その年にアイヌ文化振興法ができるんですね。このときに私も携わりました。萱野さんというアイヌの方が参議院でおられて、その方も本会議場で涙を流しながら代表質問をした、その光景が目に浮かびます。
 そのときに初めて、アイヌの人々を対象とする旧土人法という法律を廃止するんですね。今でも、旧土人法という法律が二十年ほど前まで生きていたということを知っている人はそんなに多くないんじゃないかというふうに思います。
 このアイヌ文化振興法をつくるときの最大の課題が、アイヌ人という、アイヌ民族という人たちの定義ができなかった。したがって、その方たちに対する個別の対応とかあるいは権利の回復とか、そういうことにまで話が及ぶことができなくて、結局、文化振興という形でおさまったわけですね。
 それから更に十年たって、国連宣言で先住民族の話が出てきて、この先住民族の国会決議を受けて、新しい法律の検討に入ります。このときのアイヌに関する懇談会の主役というか主導したのが当時の官房長官の町村さんでありました。この方もやはり北海道選出、札幌ですけれども、選出であります。
 そういう意味では、何となく、アイヌにかかわる法案というのは北海道の人が中心になってという、そんな感じができていたんですけれども、今回初めて、北海道の関係者ではない菅官房長官が中心になってこの法案をつくられ、いろいろな形でオール・ジャパンでこの法案の形成を図ったというのは、私は画期的だというふうに思っています。
 これでおおむね文化振興法との違いというのは説明したつもりなんですけれども、大臣から、文化振興法、前の法案と今度の新しい法案の違いというのを端的に説明をしていただけますか。
    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕
#38
○石井国務大臣 今般の法律案は、従来のアイヌ文化振興法に基づいた文化振興に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含む多岐にわたる施策を総合的に推進をするものであります。
 具体的には、アイヌの方々が先住民族であるとの認識のもと、国、地方公共団体、国民の責務を示すとともに、市町村が作成する計画が内閣総理大臣の認定を受けた場合における交付金の交付、林産物の採取に関する特例等の特別の措置、民族共生象徴空間の円滑な運営のための措置、内閣官房長官を本部長とするアイヌ政策推進本部の設置など、アイヌ施策の効果的な推進を図るために必要な各種措置を講ずることとしております。
 これらの措置を講ずることによりまして、アイヌの方々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを期待をしております。
#39
○荒井委員 阿達政務官、随分勉強されたようですので、積極的に答弁に立たれてください。
 ところで、今度の法案というのは国連宣言を受けた形になっていると思うんですけれども、十分、国連宣言がうたっている、その法案の、趣旨に沿っているのかどうか。このあたりは不十分だ、しかし将来このあたりはもっと検討していきたいというようなことがあれば、その点について御答弁いただけますか。
#40
○石井国務大臣 平成十九年に先住民族の権利に関する国際連合宣言が採択をされまして、我が国も賛成票を投じたところであります。この宣言につきましては、法的拘束力はないものの、先住民族に係る政策のあり方の一般的な国際指針であると認識をしております。
 また、衆参両院のアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議等におきまして、この宣言を参照しつつ、総合的な施策を確立すべきであると決議をされております。
 国際連合宣言が、先住民族の文化に関する権利や差別を受けない権利、国民の理解の促進などについて規定していることを踏まえまして、本法案では、これらに対応する施策を実施することとしておりまして、同宣言の内容に対応した形の法案と言うことができると考えております。
#41
○荒井委員 アイヌの方々が、自分たちのアイデンティティーの一番の基本になっているのは、やはり言葉、言語だと思うんですね。
 ところが、少数民族である、あるいは先住民族は、概してその独自の言葉が消滅言語と言われていて、なかなか保存ができないというか失われていく、そういう現象があちこちで起きています。アイヌもまた、消滅言語の一つだというふうにいろんな研究機関から指摘をされております。
 アイヌ語の研究は、一九二〇年代から三〇年代にかけて、金田一京助さんが非常に熱心に研究をして、日本の学会を挙げてアイヌ語の研究というのをやった経緯があるんですけれども、その後、アイヌ語の研究というのは非常に下火になってきているのではないかというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
#42
○内藤政府参考人 お答えいたします。
 アイヌ語につきましては、現在、複数の大学、研究機関及び博物館等において研究がなされ、アイヌ語に関心を持つ方々も増加してきているものと認識してございますが、アイヌの人々を取り巻くこれまでの環境の変化や、アイヌの歴史、文化等についての国民の認識、理解が必ずしも十分でないことを背景として、アイヌ語の伝承を中心とするような研究がなかなか進んでいないというふうに考えてございます。
    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕
#43
○荒井委員 ここに「アイヌ神謡集」という本を持ってきました。これは、当時十九歳の天才少女と言われていたアイヌの女の子、少女ですね、知里幸恵という方ですけれども、その方が死の間際に書いた「アイヌ神謡集」という本です。ぜひ、阿達さん、読んでみてください。
 アイヌに伝わるいろいろな伝承のうちの二十編弱を採録しただけなんですけれども、この後というのは続いていないんじゃないかと思うんですよね。そういうことをもっと文科省を中心になって僕はやるべきだと思うんですけれども。
 それは、「アイヌ語の世界」というこの本、著書があります。これは田村すゞ子さんという方が著した本です。金田一京助さんのまな弟子として、アイヌ語の研究をずっと、一生をささげて、最後は早稲田大学の言語学研究所の所長さんになったのかな、副所長さんかな、という方であります。
 実は、この方は私の家に下宿していたんですね、若いころ。私が小学生ぐらいのころに私の家に下宿をしていて、土曜日、日曜日になると日高の方にアイヌ語の研究に赴いていました。その田村すゞ子さん、数年前にお亡くなりになったんですけれども、死ぬ直前に私のところに来られまして、アイヌ語の研究が非常におくれている、あるいはちょっと違った方向に進んでいるんじゃないだろうか、そういうことを漏らしておりました。
 また、若いころの田村すゞ子さんの話として非常に印象に残ったのは、当時アイヌ語をしゃべる古老というのはまだ健在だったんだけれども、その人たちは、アイヌ語を知っている、アイヌ語をしゃべるということで差別を受けるということで、しゃべりたがらなかった。忘れたとか知らないとかということで、その研究が非常に滞ったんだということをおっしゃっていました。そういう状況の中で、アイヌ語の研究をずっとやっていったんですね。
 今、それがどういう状況なのか、もう一回、アイヌ語の研究について、どうですか。
#44
○内藤政府参考人 アイヌ語それからアイヌ民族に関する研究は、例えば、さまざまな大学、それから国立民族学博物館、北海道大学など、さまざまな機関で取組が行われてきているところでございます。
 先ほど申し上げましたようなアイヌの人々を取り巻く環境の変化、例えば話者が極めて減少しているような状況、それから、さまざまな研究機関ごとのネットワークの形成が十分でない等の課題がさまざまあるというふうに認識してございます。
 文部科学省では、こうした状況も踏まえまして、アイヌ語の指導者、話者の育成、一般を対象とした普及事業を実施しているとともに、各地に残されている伝統的なアイヌ語話者の音声資料、これは調査研究の基盤になるものだと考えてございますが、こういったものの公開を進めるためのアナログ資料のデジタル化、それからアーカイブ作成、支援を行っているところでございます。
 加えまして、先ほども答弁させていただきましたけれども、この今回つくります国立アイヌ民族博物館におきまして、調査研究、人材育成等のネットワークの拠点となるような先進的な取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
#45
○荒井委員 この法案の成立を契機に、アイヌ語の研究、あるいはアイヌの歴史についてもっと研究をされたらいいと思います。
 きょうは私の秘書がそこに来ていますけれども、私の秘書は、おじいさんが静内の町長をしていたんですけれども、その町長時代にシャクシャインという、近代になる、江戸時代ですかね、江戸時代の大反乱が日高を中心に起きます。そのシャクシャインの反乱は結局鎮圧されるんですけれども、その慰霊のために銅像をつくられた方のお孫さんなんです。
 そういうゆかりの方が私の周りにもたくさんおりまして、アイヌの歴史というもの、あるいは北方文化の歴史というもの、そして、日本文化あるいは日本社会との関係性というものは、もっと研究していいんだろうというふうに思います。
 この本はかなり古い本なんですけれども、ぜひ阿達先生にお読みいただきたいと思うんです。これは梅原猛が、フォーラムで書かれた「アイヌと古代日本」という本です。
 梅原猛は、「隠された十字架」ということで、聖徳太子のころをやっているうちに、どうも、日本文化あるいは日本社会というのは縄文文化を基底とするわけですけれども、それと非常に近いところにいるのがアイヌではないかと。アイヌの宗教観と、非常に縄文文化とはよく似ているのではないかということを一番最初に、私が知っている限りでは一番最初に指摘した人じゃないかなというふうに思います。それは彼の哲学者としての直観みたいなものだったんじゃないかというふうに思うんですけれども、最近、縄文文化とアイヌ人との関係というのは、研究をする人が結構ふえているような気がいたします。
 縄文文化というのは日本が誇る文化だと思いますね。一万年以上続いた文化というのは世界にないと思いますし、世界で最古の土器をつくった文化ということで、今のところそう言われています。そういうものと共通性があるのがアイヌの文化であり、アイヌの民族ではないかということが梅原猛さんの指摘でもあります。
 ぜひ、そういうことも、日本という国全体を深く理解をしていく上にも、アイヌの人々の生活、社会、歴史とか、そういうものをしっかり踏まえていくということ、この法案の成立を契機に深めていただきたいというふうに思います。
 ところで、私、一つだけ非常に心配をしているのは、ウポポイの中に慰霊碑をつくりますよね。盗掘された遺骨を集めて、そこで慰霊のお祭りをするというのは、私もそうだろうなと。これは、藤波孝生さんの、鎮魂の祭りをしなければいけないよなと言われていた、それに対する一つの回答だというふうに私は思いますし、よくできたよなというふうに思うんですけれども、その心配というのは、国費でこういう宗教的な儀式をされるようなそういうものをつくったときに、これに対して何ら異論を言う人がいないのかといえば、そうでもないような気もするんですけれども、このあたりはどういうふうに整理をされたのか、お知らせください。
#46
○阿達大臣政務官 お答えいたします。
 北海道白老町において、民族共生象徴空間、ウポポイを構成する区域及び施設の一つとして、慰霊施設を整備中です。
 この慰霊施設は、アイヌの遺骨及びその副葬品について尊厳ある慰霊の実現を図るためのものであり、政府として特定の宗教を援助するものではないと考えております。
 なお、慰霊施設完成後の運営に当たっては、政教分離の原則に抵触するおそれが生じないよう十分配慮してまいります。
#47
○荒井委員 恐らく、アイヌの人々にとっては、この慰霊の施設というのが一番心を打つのではないか。つまり、藤波孝生さん流に言うと、和人が慰霊の祭りを助けてくれたというか、そして、ある意味で謝罪をしてくれたということにつながるのではないかというふうに思うので、ここのところは遺漏なきように、ぜひしっかりやってもらいたいというふうに思います。
 ところで、この慰霊の碑をつくるに当たって、遺体を盗掘したという、あるいは研究のためにほとんど尊厳性を無視したような形で遺骨を集めたということが、いたくアイヌの人々の尊厳を傷つけた経緯があるんですけれども、そこのところの実態あるいはそれの解決策について、どういう対策をとっていますか、文科省。
#48
○増子政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、明治中ごろから昭和にかけまして、日本人研究者によりアイヌの方々の御遺骨の発掘、収集が行われ、個々の御遺骨により事情は異なるものの、中には、発掘、収集時に、先生御指摘の、盗掘のような、アイヌの方々の意にかかわらず収集されたものも含まれていると見られている旨承知しております。
 文部科学省といたしましては、アイヌの方々の御遺骨の尊厳ある慰霊の実現に向けまして、御遺骨の返還に関するガイドラインに基づきまして、祭祀承継者や出土地域への御遺骨の返還などに真摯に取り組むよう、各大学に協力を促してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#49
○荒井委員 これは私が小学校のころもそうだったんですけれども、アイヌ人というのは白系だ、アジア人ではなくて白人なんだ、そういうふうに言う人が結構いたんです。
 それはどうしてなのか。当時、アイヌ人の研究、特に自然人類学の研究はドイツ人が非常に中心になってやっているんです。最初に入ってきたのもドイツ人です。ですから、ドイツの大学にも遺骨が結構あるんですけれども。
 当時、一九二〇年代、三〇年代、第一次世界大戦が終わった後、ヨーロッパでヒトラーの勢力が非常に強くなって、世界に冠たるアーリア人、そういう概念が世界じゅうを覆う、ドイツが発信するわけですけれども。その中で、アーリア人の一部である白人が北海道のアイヌの先祖だというような、ほとんど何の根拠もなかったと思うんですけれども、そういうのが伝わっていって、アイヌ人の自然人類学的な研究というのはドイツから、ドイツ人が始めたと。その影響があって、ずっとアイヌの人というのは白人、日本人と人種が、全然アジア人じゃないんだという概念に染まったまま研究がなされていたのではないか。
 したがって、それを実証するために盗掘が行われて、自然人類学的な、頭の長さだとか胴体だとかなんとかという、それが白人に近いんだということを実証するためになされていたのではないかな、そんな推測がされます。そこのところはもうほぼ遺伝子的にも解決がされたと思うんですけれども、その残像というのはどうもまだ残っているのかなというような気がします。
 ここはしっかりとした研究がなされていないからなんだろうなというふうに思いますので、ぜひこのあたりの研究というのを、文部省を挙げてきっちり整理をしていくということが必要なのではないかというふうに思います。
 次に、アイヌの人々が一番、この間ずっと悩まされてきた、苦しめられてきたのは差別です。一八九九年につくられた旧土人法という保護法がついこの間まで生き残っていたわけです。北海道旧土人法、明治三十二年、一八九九年につくられた法律です。こんな法律が近代日本になってもずっと残っていたということ自体が物すごくおかしいというか、あるいは差別の象徴としてアイヌの方々がお怒りになるのは、僕は当然だろうというふうに思います。
 文化振興法のときにやっと旧土人保護法という法律を廃止するわけですけれども、どうもそこの着手が近代日本として非常に私はおくれてしまったのではないかというふうに思うんですけれども、そのあたり、いかがですか。大臣、どうですか。
#50
○石井国務大臣 確かに、委員おっしゃるように、明治三十二年に北海道旧土人保護法が制定をされて、平成九年にアイヌ文化振興法が制定されて、その明治三十二年に制定した北海道旧土人保護法が廃止をされたということでありますので、非常に長い期間この北海道旧土人保護法が残っていたということは、一つの課題であったというふうに思っております。
#51
○荒井委員 それと関係するのかどうかはちょっと定かではないんですけれども、いまだにアイヌの人々に対するヘイトスピーチというのがあるんですよね。
 アイヌの人々に対するヘイトスピーチを、どういうふうに連携をとられていて、その解決のために、ヘイトスピーチ禁止法という法律までできているのにもかかわらずそれがなされているというのはどのように考えるのか、それに対する対策はどうあるべきなのか、お答えいただけますか。
#52
○橋本政府参考人 ヘイトスピーチにつきましては、例えば、民族としてのアイヌなんてもういないといったような趣旨の心ない発言が今も繰り返しなされているというのは御指摘のとおりと承知しております。
 アイヌの人々につきましては、現在では、日常生活においては他の日本の人々と変わらない生活を営んでいるものの、政府といたしましては、今日においても、アイヌの方々は、独自の言語、文化、伝統、また民族への帰属意識など、民族としての独自性を有しておられる、そのように認識しているところでございます。
 政府といたしましては、我が国にアイヌという民族やアイヌ文化が存在することについて、国民の認識を一層深めることが重要であると考えている次第でございます。
 例えば、ウポポイに来場される人々に、アイヌ文化、伝統のすばらしさを知ってもらうことはもちろん、ウポポイ以外の地域のネットワーク、こういったことも通じまして、アイヌ文化の創造、発展、またさらには、教育活動や広報活動等を通じまして、アイヌ文化等につきまして国内外に発信していくよう取り組んでまいりたいと考えております。
 こうした取組によりまして、アイヌの民族や文化への国民の理解を深めるよう努めてまいりたいと考えております。
#53
○荒井委員 私も道庁時代に、アイヌの人々の生活水準といいますか、そういうものの調査に携わったんですけれども、やはり、アイヌの人々の貧困の度合い、あるいは教育格差の問題というのは相当激しいです。ここを解決してやらないと、解決する対策を練らないと、貧困から脱出することができなければ、私は、本当の意味の差別の解消にはならないと思うんだけれども、ここはどういう対策を考えていますか。
#54
○石井国務大臣 我が国が近代化する過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ、貧窮を余儀なくされたアイヌの方々が多数に上ったという歴史的事実につきまして、政府として厳粛に受けとめております。
 これまで、アイヌの方々に関する差別や貧困に対する施策は、主に北海道庁及び道内市町村が中心となって、生活向上策として実施をしてまいりました。住民に対する福祉的な施策といたしまして地元公共団体が取り組み、国が財政支援を行うものであります。
 政府といたしましては、過去の歴史的事実を踏まえた上で、引き続き、アイヌの方々が抱えていらっしゃる課題の解決に向けた取組を着実に実施していくことが重要と考えております。
 このため、従来の取組を引き続き推進することに加えまして、新たな交付金制度を活用した施策を講じることで、進学率の向上など、アイヌの人々の誇りが尊重される共生社会を実現してまいりたいと考えております。
#55
○荒井委員 室長、何かある。
#56
○橋本政府参考人 今大臣の説明があったように、基本的には、この法案につきましては、従来の生活向上施策、また文化振興法に基づきました文化施策、そういったものにつきましては継続して行う。さらに、新交付金というものを活用いたしまして、生活向上の面であるとか、例えばアイヌの方々が文化継承を行うに当たって、その継承自体がなりわいにつながるような、そういった事業、産業政策的な面も推進していきたい、そのように考えておるところでございます。
#57
○荒井委員 国連の先住民族宣言では権利の復活ということがうたわれていて、ここのところが、いつも各国で対応が異なる、あるいは実際はできない、そういうことにつながっているんだろうというふうに思います。
 しかし、サケの採捕だとか森林資源の活用だとか、そういうものに関しては、ある種の権利の復活だというふうに読めなくもないなというふうには思いますけれども、ここのところはもう少し、権利の復活ということに関して、交付金制度を使いながら、アイヌの方々と議論を重ねて、もっとよりよい権利の回復ということに向かった努力が、政府も、あるいは関係者が必要だというふうに思います。ここのところ、どうですか。
#58
○橋本政府参考人 ただいまサケについての御指摘をいただきました。
 サケにつきましては、アイヌ文化における重要な要素であると承知しております。
 この新法の法案の中におきましては、サケの採捕に関する特別措置を行う規定がございます。これにつきましては、アイヌの方々と意見交換を行う中で、サケの採捕手続の簡素化などにつきまして強い要望があったことを踏まえたものでございます。
 具体的には、北海道庁におきまして、アイヌの方々からの御要望を踏まえ、伝統的儀式に用いるサケの採捕許可の柔軟化であるとか手続の簡素化等を検討しているものと承知しております。
 政府といたしましては、関係機関との連携によりまして、アイヌの人々がアイヌとしての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#59
○荒井委員 それでは、最後の交付金の話、多くの方々から交付金の話が出ましたので。
 この交付金は、ある意味では画期的だろうと思うんですけれども、ある意味では、具体的にどういうふうに使われるのかな、あるいは使う手段はどうするのかな、その手段の中でアイヌの人々がどういうふうに実質的にかかわれるのかなということについては、必ずしも明らかではないように思うのですけれども、この点、大臣いかがですか。
#60
○石井国務大臣 本法案に基づき新たに創設をいたします交付金制度は、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の事業に対して支援を行うものであります。
 交付金制度を含むアイヌ施策の推進に当たりましては、アイヌの人々の意見を尊重することが重要と認識をしておりまして、本法案の基本理念におきましても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行われなければならないものとしております。
 また、当該交付金は、市町村が作成をいたしましたアイヌ施策を推進するための計画に基づき交付されますけれども、計画を作成する際、事業の実施主体の意見を聞かなければならないこととしておりまして、事業の実施主体はアイヌの人々が中心となると想定をされますことから、アイヌの人々の要望や意見が交付金事業に適切に反映されるものと考えております。
#61
○荒井委員 実施主体がアイヌの人々が想定されるとおっしゃっているけれども、そこのところは確認できているんでしょうか。
 市町村の方にとっても、アイヌ対策というのは、特定の市町村だと経験がありますからできるでしょうけれども、そうではない市町村にとっては、担当者も少ない、あるいはアイヌ対策はやったこともない、そういう市町村が北海道であってもほとんどだと思いますよね。
 そういうところが、アイヌの人々と一緒に計画をつくり、そして実施をしていく。実施をするにしても、会計検査院が入りますから、市町村にとってはやはり会計検査院は怖いですから、適正な交付金になっているかどうかというのを厳密なチェックをすることになろうかと思うんですね。
 そうすると、そのあたりの自由度というのは、必ずしも、今皆さん方が考えているような、私も北海道庁にいましたからわかるんですけれども、中央省庁は非常にフリーに考えるんだけれども、下に行けば行くほど、非常に厳しくなってしまって、にっちもさっちもいかないという事例、たくさんありますよ。
 そういうふうにならないのかどうか。細部に神は宿るというけれども、そういうことにならないのかどうかということが心配なんだけれども、室長、どうですか。
#62
○橋本政府参考人 お答えさせていただきます。
 御指摘のように、市町村によりましては、役所の職員数が少ないといったようなことからも、なかなかこの施策に対応するのが大変だ、そういうようなお話は、実は、この政策を考えるに当たりまして、北海道でいろいろなレベルで意見交換会を実施しております、その中でも市町村からそういった御指摘はいただいているところでございまして、我々として、しっかりと対応していかなければならない。
 今後、市町村に対しましては、しっかりと情報提供していく、個別に御相談いただければ親切に対応していきたい、そのように考えているところでございます。
#63
○荒井委員 交付金というのは、年間四十億か五十億くらいでしたよね。違いましたか。交付金総額は大体どのぐらいですか。そして、その交付金総額の単体は、何億から何億くらいを想定をし、何年ぐらいで、ある事業をやろうとしているのか、そういう具体論というのは検討に入っていますか。
#64
○橋本政府参考人 交付金の予算規模でございますが、今年度につきましては十億円を計上しております。
 その内訳につきましては、今回の交付金の発想自体が、アイヌの方々に寄り添って、アイヌの方々の要望をできるだけすくい取っていこうということでございますので、柔軟に対応していこうと。そういう意味で、何億円以上であるとか何億円以下であるとか、そういった規定は現在のところ持ち合わせていないところでございます。
#65
○荒井委員 私も、全く新しい事業というのは何回か経験をしているんですけれども、そのときには、本省自身が、つまり予算編成をしたところ自身が直接指導してやらないと、下の方は、町村ではわからないと思います。
 だから、一、二年はモデル事業のような形で、内閣府、官房あるいは国交省が丁寧に指導してやらないと、十億円全然使えないということも生じ得るのではないかというふうに思います。この交付金に魂を入れられるのは、私は、この法案をつくり上げたそこの人たちだというふうに思います。
 大臣、どうでしょうか。
#66
○石井国務大臣 委員の御指摘も踏まえて、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
#67
○荒井委員 それでは、これで終わります。
 ぜひ、この法案をつくられた実務者の方々に、この法案に魂を入れるべく、しっかりとした指導の仕方を市町村に対してなされるように、あるいはアイヌの人々と寄り添うということを体現するような、そういう対策を念願をしてございます。
 ありがとうございました。
#68
○谷委員長 次に、山岡達丸君。
#69
○山岡委員 山岡達丸と申します。
 本日は、こうしたアイヌの皆様をめぐるこの新しい法案につきまして、私山岡は、所属委員会ではなかったわけでありますけれども、しかし質問の希望をさせていただきまして、そして質問の機会をいただきました。
 委員長を始め、本当に皆様の御高配に感謝申し上げますとともに、私、また北海道で、今、ウポポイという議論が盛んに出ておりますが、まさにその白老町も含め政治活動をさせていただいている身として、先日は、委員長を筆頭に、理事の方を中心にこの北海道白老町に足を運んでくださって、アイヌ民族のさまざまな関係者との交流も、あるいは状況の視察も含めてしていただいたことに本当に心から感謝を申し上げながら、いただいた時間の中で質疑をさせていただければと思います。
 北海道は変わった地名が多いと言われるわけでありますが、そのほとんどはアイヌ語がもとになっていると言われております。そうしたさまざまな状況を見ても、アイヌの方々がやはり北海道の先住民族であったということは、状況からもこれは明らかなことであるということは言えるわけであります。
 しかし、その一方で、今回、本当に厳粛な気持ちで私も質疑に立たせていただくわけでありますけれども、アイヌの方々に対する差別で、厳しい仕打ち、非情な対応というのは、これは、歴史の書物にも残る、厳然たる事実として残っているという状況であるわけであります。
 私も、地域の中でさまざま活動させていただくに当たって、アイヌの方々と何度も交流をさせていただいて、もちろん公式な行事だけでなく、お酒の場であったり、さまざまお話をさせていただくわけでありますけれども、こういう場で申し上げるのも口が重くなる、本当に気持ちも重くなるお話であるわけでありますが、今生きておられる高齢者の方々も、例えば小学校のころ、アイヌという言葉をもじったのであると思いますが、犬、犬と呼ばれて非常にいじめの対象になった、そうしたお話を、日ごろはお話しされない中でも、お酒の飲んだりした場で訥々とお話しされる。
 そうした状況に触れさせていただきますと、やはり今なお残る、それは外形的な差別もあったと思いますし、あわせてそこに心の本当に大きな傷というのがあるということは、ぜひこの場をもちましても委員の皆様と思いを共有させていただければと思うところであります。
 北海道の命名者とも言われる方に松浦武四郎という方がおられるわけでありますが、一八一八年の三重県生まれの方でありますけれども、幕末から明治にかけての探検家。この探検家の方が幕府に報告するに当たっても、この方自身は、現地で先住民族であるアイヌの方々と信頼関係を結ばれて、非常に助けてもらいながら冒険を続けられて、そうした方であったわけでありますけれども、その方が幕府に対する報告として、和人のアイヌの方々の取扱いが余りにも非人道的であるということを記録に残しています。
 一端を御紹介しますと、アイヌ民族の方を、十代半ばぐらいになると、男女の区別なく国後などの別の場所に強引に移動させて使役させている。男性は昼夜問わず酷使されて、女性はめかけとしてもてあそばれるような状況もある。病につく者は放置されて、一服の薬も一切の食事も与えられていない。それをふびんに思った身寄りの者が食事を運んできて生き長らえている。
 これは日誌で幕府に奏上したものでありますけれども、今死なんとするアイヌの人たちを救ってください、このままでは二十年も過ぎないうちにアイヌは滅びてしまう、こうした記録が百三十年前に残っているわけであります。
 同じく最上徳内という幕臣の方がいるわけでありますが、この方も本当にそうした事実を記録として残しているわけでありますけれども、松前藩支配下のアイヌの方々の状況は悲惨そのものだ、地獄だと、借金の傍らにおける人身売買の実態等も含めて報告しているわけであります。
 主に和人の商人たちが行っているという状況であったわけでありますけれども、これは和人側の記録にもやはりこうした厳しい仕打ちをやってきているということが記録として明確に残っているということは、ぜひこのことは共通の認識として皆様とともにお持ちさせていただきたいという思いであります。
 今お話にもありましたが、一八九九年に明治政府は、北海道旧土人保護法、保護法という名称の法律をつくったわけでありますけれども、この法律では農地を与えたということを表現しているわけでありますけれども、そもそもアイヌの方々は、狩猟とか漁業が中心で、土地を持つとかそういう概念が乏しいという、そういう文化的な違いもあった中で、和人側の理屈で農地を与えたという側面もあって、しかし、その法律の中には、耕作放棄地は没収しますよとか、他人への譲渡は禁止しますよとか、あるいは、これは運用上の問題ですけれども、与えられた土地も決していい土地ではなかった、そうしたことが今に伝わっているわけであります。
 あるいは、その中で就学援助とかそうしたことがうたわれているわけでありますけれども、これは日本語教育ということになるわけでありますから、まさに同化政策というような中で、文字を持たない民族であるということもあって、どんどん文化が侵食されていった、こうした実態があるということは記録等からもうかがい知ることができるわけであります。
 私は本当に、今、この法案が、また大きな前進をするアイヌの共生政策の一端であるということは理解する中で、ただ、こうした厳しい歴史にやはりきちんと向き合って、目を向けて、そしてその上で進めていかなければいけない、そうした政策であるということを強く思うわけであります。
 そのことをまず大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、こうしたアイヌの方々をめぐっての和人との間の不幸な歴史、厳しいさまざまな仕打ちも含めて、政府として、どのように向き合って、これはどのように考えて認識され、そしてこれから政策を進めていかれるのか、このことをまずお伺いしたいと思います。
#70
○石井国務大臣 アイヌの人々との歴史的かかわりにつきましては、平成二十一年、官房長官に報告をされたアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書におきまして、例えば、中世以降、交易の拡大などによりアイヌの人々との社会的かかわりが深まっていき、明治以降、アイヌ文化の制限、禁止やアイヌ語を話す機会の減少により民族独自の文化は深刻な打撃を受け、また、圧倒的多数の移住者の中でアイヌの人々は被支配的な立場に追い込まれ、さまざまな局面で差別の対象ともなったとの認識が示されております。
 このようなことから、我が国が近代化する過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として厳粛に受けとめております。
 これまでも、政府といたしましては、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現や、アイヌの人々の社会的、経済的地位の向上等を目指し、さまざまな施策を実施をしてまいりました。
 今後も、アイヌの人々に寄り添いながら、未来志向のアイヌ政策という観点から、アイヌの人々が抱えている課題の解決に向けた取組を一層着実に実施してまいりたいと考えております。
#71
○山岡委員 今、まさに大臣から、厳粛に受けとめて未来志向の政策を進めていきたいというお話がありました。
 もちろん、和人の方と、個別には美談とも言われるような、そうしたお話もあるわけでありますけれども、まさに総じては今の御認識のお話でありますので、ぜひそのことも受けとめながら、本当に今後の政策の推進もその立ち位置の中で進めていくということを確認をさせていただいたところでありました。
 しかし、最近でも残念な発言も多い、これが事実であります。これは私も、この委員会だけじゃなくて、過去に内閣委員会で菅官房長官に二回にわたって質問させていただく中で取り上げさせていただいたわけでありますけれども、政府がこうしたアイヌの方々との共生政策を進めるに当たっては、日本の解体になる、分断する、こうした発言をされる、あるいは、この通常国会の開会日であったと思いますが、議員会館と国会の間の道で人が集まってそうした声を上げるデモが行われる、そうしたこともありました。
 官房長官は、日本の解体、分断につながるという彼らの話をどう思うかということは、そんなことはあり得ないということは述べたわけであります。それはそのとおりだと思いますが、しかし、こうした心ない、関係者の心を痛める、更に傷つける、いわゆるヘイトスピーチなどということが今後もあり得るわけであります。
 今回、法案には、四条の中に、「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」ということがはっきり書かれているわけであります。
 先ほどの質問の御答弁の中で、アイヌの方々のそうした文化の認識を深めていくことが重要だということもお話ありましたが、しかし、その認識を深めるということだけでは、この四条にある、そうした行為をしてはならないということを満たすことにならないということを私は思うわけであります。
 この法案を提出されるに当たって、政府にお伺いしますが、四条の、差別あるいは権利利益を侵害する行為をしてはならないの、この実効性をどのように担保されていくのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
#72
○橋本政府参考人 アイヌの人々に対する差別につきましては、本法案の、共生社会を実現するという、その趣旨に反するものでございます。
 差別を解消するためにはアイヌの歴史や文化について国民の理解を深めることが重要であり、アイヌの歴史や文化を紹介するパンフレットなどの作成、配布や、改訂されました学習指導要領によるアイヌに関する教育活動、その推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、民族共生象徴空間、ウポポイにおきましても、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園などを整備することとしておりまして、来場者にアイヌの衣食住、舞踊、工芸等のさまざまなアイヌ文化に触れていただきまして、アイヌに関する理解を大勢の方に深めていただきたいと考えている次第でございます。
#73
○山岡委員 もう一度質問しますが、私が質問させていただいたのは、知っていただければよい、認識を深めればよいということでなくて、現にそうしたスピーチをされる方がいる中で、この四条の、してはならないということの実効性をどう保っていくのか、このことについて考え方を聞いておりますので、そのことについてお答えいただければと思います。
#74
○橋本政府参考人 基本は今御説明したアイヌまたアイヌの文化に対する理解ということでございますけれども、仮に具体的な差別事案ということが把握された場合には、法務省と連携して、人権相談窓口などを通じまして適切に対応したい、そのように考えております。
#75
○山岡委員 今、踏み込んだ発言もいただいたと思います。ぜひ、そうした目に余るような話は、法務省と連携をしていただきながら適切な対応をとっていただきたいということは重ねて強く要望させていただきまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。
 これは大臣にお伺いしたいと思います。
 この新法をめぐって、もちろん、進めたいという気持ちの中で、関係者は本当に、ようやくここまで来たという声もあります。しかし、アイヌ民族の方というのは数多くおられて、私も地域、地元でいろいろ交流させていただくに当たって、この法案が出てきたときの最初の報道は、アイヌ新法に生活支援入らずという表現が載って新聞報道に出ました。このことをもって、この法案というのは、アイヌの方々のこれまで歴史的な積み重ねの中で開いてしまった生活的な格差、教育的な格差が埋まるものではないんだというような、そうしたことを述べられる方もいるというのが今厳然たる事実であります。
 そして、そのことを受けて、この法案が、進めるに当たって、やはりある種のメリットがないかのような誤解が広がったまま進んでいくというのは非常に残念なことでもございまして、ぜひ大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この法案の中で、この法案を進めていくことによって、アイヌの民族の方々の生活、あるいは教育、その格差を縮小していく、そうした支援の助けになっていく、このことがどのようにカバーされていくのか、このことについて大臣からお伺いしたいと思います。
#76
○石井国務大臣 これまで、アイヌの人々の生活支援につきましては、各地域におけるアイヌの人々とそれ以外の地域住民の間の格差の是正を目的といたしまして、地域の状況に応じて、地方公共団体が取り組み、国が財政支援を行ってまいりました。長期にわたる取組の結果、生活保護率などの格差は縮小の方向に向かっております。
 アイヌの人々の民族の誇りや尊厳の保持のため、こうした従来の取組を引き続き推進することに加えまして、本法律案により新たに創設する交付金制度によりまして、各地域の創意工夫に基づく生活支援の取組を国として支援をしてまいります。
 すなわち、従来の文化振興や福祉政策に加えまして、新交付金により総合的な施策を推進する中で、アイヌの方々の生活向上に資する政策につきましても、例えば、アイヌ文化の伝承に携わる人々の生業を支援するほか、地域住民の交流の場となる多機能な生活館の整備、コミュニティー活動や観光振興を支えるバスの運営、学校外教育による教育支援などを進めてまいりたいと考えております。
#77
○山岡委員 今お話ございました、生業の支援も含めて進めていくんだというお話でありますので、もちろんこれで全て、地域、地元のアイヌの方々の思いが達成される法案かどうかというのは、今後のまた施策を進めていく中での議論はあろうかと思いますが、しかし、大きな一歩であって、助けになるんだということは、政府の立場からも、ぜひそうした民族の方に伝えていただくという努力も、取組も今後一層進めていただきたい、その思いもお伝えさせていただきたいと思います。
 白老町の民族共生象徴空間、ウポポイのことについてお話を伺いたいと思います。
 菅官房長官が意欲的な御発言をされ、二〇二〇年の一般公開の年、つまり来年になりますけれども、この年に来場者数百万人だ、達成するんだということをお話をされているわけであります。
 最初の年の百万人というのは非常に意欲的であって、それはすばらしいことであると思うんですけれども、最初の年だけじゃなくて、その後もどうなっていくのかということは地域にとっても非常に大きな関心事であります。
 せっかくの機会なので大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この来場者数百万人、当然、初年度達成したらその後も維持されていく、そういう決意を持って考えておられるという認識でよろしいのかどうか、そして、どのような考え方を持って、二〇二〇年より以降の経営、運営を取り組んでいくということを考えておられるのか、そのことについて大臣にお伺いしたいと思います。
#78
○石井国務大臣 民族共生象徴空間、ウポポイにつきましては、年間目標来場者数を百万人としております。
 このため、これまでも、開業五百日前カウントダウンセレモニー、愛称、ロゴマークの決定、有楽町でのアイヌ舞踊披露等のイベント開催等のプロモーション活動を実施をしてきているところであります。
 開業後は、アイヌ文化の復興を図り、多くの人々におけるアイヌに関する理解を促進する上で、継続的に多くの方々に来場いただきたいと考えております。
 このため、アイヌ古式舞踊や伝統工芸の魅力を伝えるプログラムや、食文化に触れる機会の提供、さらには、最新の映像や音響技術を活用した芸能プログラムの高度化など、魅力的な施設運営を促進をしてまいります。
 さらには、今後も引き続き、国際イベント、旅行博との連携、訪日外国人向け空港等でのPR、ウエブサイト、SNSを活用したPR動画の配信等、プロモーション活動を実施していく所存であります。
 特に、ウポポイ周辺には、自然や温泉、食など、魅力的な観光資源がございますので、継続的なウポポイへの年間来場者百万人の達成に向けまして、北海道庁や周辺地域とも連携を密にしながら取り組んでまいりたいと考えております。
#79
○山岡委員 大臣から、継続的な来場をいただくために、さまざま質を向上させていくというお話も、今意欲を伺ったわけでありますが、これは政府に伺いますけれども、まさにウポポイというのは、経営的な観点と文化的な施設と両側面、公的な側面も持つわけであります。そうしますと、過去でいえば第三セクターというのがなかなかうまくいかなかった事例もある中で、公的な考え方と経営的な考え方を入れながらクオリティーをどうやって上げていく、そのモチベーションをどう保っていくのか、そのことについて、今、運用上、政府としてはどのように考えておるのか伺いたいと思います。
#80
○和泉政府参考人 ウポポイにつきましては、目的としては、三つの拠点となることを目的とした施設でございます。
 一つ目は、アイヌの人々におけるアイヌの歴史、伝承、文化等の継承、創造の拠点、二つ目が、国内外の多くの人々におけるアイヌに関する理解を促進する拠点、三つ目が、アイヌ文化振興に向けた全国的ネットワークの拠点という、こういう目的の施設でございます。
 このような重要な機能を有する施設であることから、ウポポイの機能の重要性や公的性格を踏まえると、入場料等の徴収に加えまして、委託費を充当することをもって運営することを基本としているところでございます。
 一方で、運営主体が創意工夫をもって魅力的な施設となるよう努力することによりまして、クオリティーの向上が図られることを通じ、来場者がふえ、入場料等の収入が確保されるなど、継続的な管理運営につながることも重要であると考えております。
 また同時に、そのような魅力的な施設運営がアイヌの人々により主体的に行われることを通じまして、アイヌ文化の継承等に関する人材が育成され、アイヌ文化の復興にもつながるというふうに期待しているところでございます。
 以上でございます。
#81
○山岡委員 極めて精神論的なお話に聞こえるわけでありまして、本当にこれをきちんと実行するように、これからぜひ努力をしていただきたいと思うんです。
 やはり、公的なお金を一定程度支援する、これは、文化的な、あるいは、さまざま今お話ありましたけれども、必要なことであると思うんですけれども、しかし一方で、多くの方に足を運んでいただく、このクオリティーの向上というのは、やはりこれは、私は、運営主体と政府が一体的に知恵を出してさまざま努力していくことが必要だと思いますので、このことは強く申し上げさせていただきます。
 大臣に、最後、時間も残り少ないので伺いますが、この象徴空間のウポポイだけではなくて、周辺にはさまざま努力をされている地域があります。広域関連区域として、日高地方には、平取町という地域も含めて名乗りを上げておって、先日は、この法案を、ごく最近は新ひだか町静内にも政府の関係の皆様が足を運んでくださったり、いろいろ御努力はいただいているというのはよく承知しているんですけれども、こうした象徴空間の関連として、今名乗りを上げようとして、アイヌの文化の体験交流事業だとか、あるいは工芸品の製造の人材育成とか、資源の供給地とか、そうした役割を担おうとするそうした地域に対して、政府としてどのように評価をされていくのか、そして、日高地方だけじゃなくて、さまざま、胆振だけじゃなくて、日高も含めてほかの地域のいろんな取組に対して政府としてどのように向き合っていくのか、そのことを大臣にお伺いしたいと思います。
#82
○石井国務大臣 今委員が御紹介いただきました平取町におきましては、従来から、地域一体となって工芸品製作等、アイヌ文化の伝承活動に積極的に取り組んできておりまして、すぐれた人材や技能が蓄積をされているものと承知をしております。
 これらのすぐれた人材や技能を、民族共生象徴空間、ウポポイにおける工房での工芸品の製作体験等に提供いただくことによりまして、ウポポイの活動が、より魅力が高まるものと期待されるところであります。
 同時に、平取町にとりましても、ウポポイにおいて広く活動の成果を情報発信できるようになるなど、平取町の取組は更に拡大する契機となることが期待をされます。
 このように、ウポポイの取組と、平取町を始めとする各地域におけますアイヌ文化の振興や地域振興、産業振興等に関する取組との連携を推進することは、アイヌ文化の復興等にとって重要であり、平取町を始め各地域に対して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
#83
○山岡委員 ありがとうございます。
 アイヌ民族というと一つの形におさまってしまうような印象を持つかもしれませんが、当然、皆様、交流の地域は地域ごとにそれぞれ特徴がありまして、また、日高地方は日高地方、今お話あった平取も、非常に趣の違う、そうした文化が伝承されている地域でもありまして、大臣にもぜひ、白老町には恐らく足を運ばれたと思うので、今うなずいていただきましたけれども、この平取にも、またほかの地域にも積極的に足を運んでいただいて感じていただきたい。そのことはまた、委員長、理事、そして委員の皆様にもぜひ多くの地域に足を運んでいただいて、このアイヌ民族のさまざまな文化を体で感じていただきたい。
 その思いをお伝えさせていただきながら、オリンピックも、そこでの発信も大きく期待されるところでありますので、本当にこの法案を進めていくに当たって、関係者の期待も含めて膨らんでいることもお伝えもさせていただきながら、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#84
○谷委員長 次に、津村啓介君。
#85
○津村委員 アイヌ政策について伺います。
 本日審議になっております法案の名前は、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案となっているわけですけれども、法文を逐条的に見ていく中で、アイヌ文化についての定義は第二条でなされているんですけれども、アイヌについての定義は特になされていないように思います。
 一体アイヌとはどなたのことを指しているのか、そして、何人いらっしゃるのか、誰のための法律なのかというところが少し法文上は判然としないところがあります。
 これは、特定の方々に対して、ある意味、支援といいますか、まさに誇りが尊重される社会を実現するための施策を推進するわけですので、その対象になる方々、あるいは対象にならない方も含めて、御理解いただきながら、この施策を進めなければいけないと思うわけですが、一体アイヌの方々が、何人、どこにいらっしゃるかということについては、私の知る限り、国としての調査は行っていないと思います。
 個人の方々の属性について、国がどこまで調査をするかというのは、非常にデリケートなものなので、国勢調査その他で、今まで議論はあったようですけれども、あなたの民族は何ですかということを悉皆的に調査するというのが適当だとは必ずしも私は思わないんですけれども、一つ参考になるのは、北海道は道庁としてのある種の調査をされています。
 北海道アイヌ生活実態調査と呼ばれるものですけれども、これは、「調査の対象」として、「この調査における「アイヌ」とは、「地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる方」としている。 調査の対象となったのは、各市町村が把握することのできたアイヌの人たちであり、道内に居住しているアイヌの人たちの全数とはなっていない。」こうはっきり「全数とはなっていない。」と断った上で公表されているものなんですが、直近の平成二十九年では一万三千百十八人となっています。
 ただ、全数とはなっていないというところからも察せられるように、市町村によって、やはり調査の仕方とか、その時々でいろいろな変化があるようで、わずか十一年前には二万三千七百八十二人いたわけです。十一年で半減するとはとても思えないですので、半減といいますか、一万人以上減るというのはなかなか考えられませんので、調査の仕方が多少不安定な部分もあるんだろうというふうに想像をしております。
 他方、じゃ、国は何も調べていないかというと、そういうわけではありませんで、平成二十三年には北海道外の生活実態調査というものがなされておりまして、これは、ただ、調査対象者が二百四十一世帯、三百十八人で、回収率は六六%、回収数二百十人という大分サンプルの小さい調査になっています。
 こうしたものが、皆さんにも配付されているこの法案を検討するための資料として使われているわけですけれども、私は、ちょっとサンプルが少ないというか、しかも、平成二十三年の調査に基づいて施策を講じるというのは少し調査不足じゃないかなと。
 どこまでの範囲でどの程度のことができるかというのは、これはコストもかかることですので簡単には言えないかもしれませんが、全国規模の、これは北海道にいらっしゃらないアイヌの方も大勢いらっしゃいますので、アイヌの皆さんの生活実態把握というものを行うべきと思いますが、大臣、いかがですか。
#86
○石井国務大臣 北海道外のアイヌの方々につきましては、今委員から御紹介いただいたように、過去に調査を行ったことがありまして、この際には、アイヌの方々のネットワークをたどる形で調査対象者に協力を依頼をいたしました。
 ただ、個人情報保護の制約もありまして、調査対象者の正確な把握が困難であったなどの課題があったと承知をしております。このため、北海道外にもアイヌの人々が居住していることは承知をしておりますが、その実数については把握し切れていないのが実情であります。
 他方、関東におきましては、アイヌの文化伝承等の活動に取り組んでいる、いわゆる関東アイヌ四団体がございまして、その方々から、本法案の検討に当たりましては御意見、御要望を伺ったところであります。
 今後、北海道外におけるアイヌ文化伝承等の活動を支援することによりまして、北海道外のアイヌの人々が活動に参加をし、そのことを通じてなるべく実態を把握ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
#87
○津村委員 方向感としてはそういうことなのかなというふうに私も思うんですが。
 御提案を込めて申し上げたいんですけれども、一つは、今大臣がお触れになったとおり、全国には、関東に限らないと思うんですけれども、アイヌの方々のネットワークが民間レベルで既に幾つもあるわけで、実際その方々に今回の法案作成に当たっても多大な御協力をいただいているわけですが、ぜひその方々の、まず会員数がどのぐらいいらっしゃって、重複があるのかどうかわかりませんけれども、まずそこをベースにしただけでも、先ほど、全国で二百十人なわけですから、それはさすがにかなり少ないわけですから、一つ御提案したいのは、関連団体の方々の会員数を正確に把握するべきではないかというのが一点。
 そして、もう一つは、道庁さんが各市町村に対して、市町村で調べてくださいと投げかけて数字が出てきているわけですから、今回、この法案が全国を対象にしたものだということですので、全国の市町村、千八百市町村に対して同様の、各市町村でできる範囲の調査をお願いするということはすべきだと思うんですが、いかがですか。
#88
○石井国務大臣 まず、会員数の件ですが、これは関東の関連の四団体について事例として申し上げたいと思いますけれども、それぞれの団体の代表者や連絡窓口、アイヌ文化振興補助金により支援している文化活動については承知をしておりますが、いずれも任意団体でございまして、それぞれの正確な会員数については把握していないという状況でございます。
 それから、全国の市町村にやるということでありますけれども、まあ、どうでしょうか、なかなか、やったことのない調査でしょうから、それは受けとめる市町村の方も大変難しいのではないかという面もあろうかなというふうに考えております。
#89
○津村委員 後者については、引き続き御検討いただければというふうに思います。
 この法律の第三条を見ますと、第三条三項にはこう書いてあります。「アイヌ施策の推進は、国、地方公共団体その他の関係する者の相互の密接な連携を図りつつ、アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて全国的な視点に立って行われなければならない。」私はこのことをそのまま言っているだけです。
 この趣旨を貫くためには北海道外の各自治体の御協力が必要ですし、自分たちも当事者なんだという意識を持っていただくというためにも、実際にはゼロという回答が多いと思うんですけれども、多くの自治体に投げかけとして調査をされるというのは一つのステップではないかという提案であります。
 続きまして、今回の法案の大きな柱としては新しい交付金制度の創設ということがあるわけですが、今年度予算に十億円が計上されておりまして、先ほど荒井さんと室長の議論の中で、どのぐらいの規模かというのは必ずしも決まっていないということですけれども、私は、利用自治体数をどれぐらいでイメージしているかを伺いたいと思います。
 と申しますのも、各自治体は既に予算を組んでいるわけですよね、新年度の。ですから、自治体からすると、名乗りを上げようとしている自治体さんはそれぞれの市町村の予算の中で一定の見込みを持っているはずで、それについて、どう計上すればいいか、どのぐらいの申請が通る蓋然性があるかということを、恐らく室に対して一定のコミュニケーションをとっていらっしゃると思うんです。
 幾つの自治体からそういう打診がありますか。
#90
○石井国務大臣 昨年秋以降に新交付金に関する意見、要望を寄せてきた市町村は、現在までに、北海道内では四十弱、北海道外から二、三あったところでありまして、市町村の関心は非常に高いと認識をしております。
 北海道内だけではなく、アイヌに関する活動や交流を進めるため、国として、北海道外の市町村に対しましても、新交付金を活用していただくよう積極的に働きかけてまいりたいと考えています。
#91
○津村委員 ありがとうございます。
 その北海道内四十前後、それから北海道外の二者とのコミュニケーションをぜひ密にとっていただきまして、必ずしも北海道内にとどまらない施策の推進を、法文どおりの施策推進を望むところでございます。
 時間が限られておりますので少しはしょるんですが、ヘイトスピーチの件について、先ほど山岡代議士と室長の間で非常に重要なやりとりがあったと思います。
 新法の第四条には「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」とあるわけで、これが国会内外での、内はないですかね、国会の外でのヘイトスピーチ等にどう当てはまるのかという議論をされて、法務省さんとも連携しながら適切な対応をするという趣旨のことだったと思うんですが。
 私は、この四条について、そのままストレートに聞きたいんですけれども、アイヌ民族を対象にしたいわゆるヘイトスピーチ、程度がありますので全てとは言いませんが、ヘイトスピーチの悪質なものについてはこの第四条に抵触する場合があるというふうに解してよろしいですか。
#92
○石井国務大臣 アイヌの人々に対する差別は政府としても重要な課題と考えておりまして、本法案におきまして、アイヌの方々に対する差別をしてはならないことを基本理念として明記をしております。
 したがいまして、アイヌの方々を明確に差別することを目的としたヘイトスピーチはこの条文に反するものと考えております。
#93
○津村委員 ありがとうございます。よく理解できるところでございます。
 最後といたしますけれども、オリンピックについて。
 オリンピック・パラリンピック、現地で、白老、苫小牧に行かせていただいたんですけれども、アイヌの伝統舞踊を見せていただきまして、できることなら東京オリンピック・パラリンピックで世界の方々に見ていただきたい、そんな思いで練習に励んでいるんだというお話を伺いました。
 もう一年ちょっとですから、練習されている方々のお気持ちを考えても、そろそろ、サプライズということなのかもしれませんが、一定の判断をされる時期に来ているんじゃないかなと思うんですけれども、オリンピック担当の副大臣に来ていただいていると思いますので、御答弁をお願いします。
#94
○浮島副大臣 二〇二〇年の東京大会は、スポーツだけでなく、文化の祭典でもございます。大会を契機とした文化プログラム、これを展開していく上で、アイヌ文化を発信していくことは大変意義深いことと思っております。
 例えば、文化プログラムの中核的な事業といたしまして検討が進められている日本博、これでは、今後具体化していく案の一つといたしまして、自然とともに生きるアイヌ文化をテーマにした企画が挙げられておりまして、アイヌ文化を発信する有効な機会になるものと期待をしているところでございます。
 他方で、今お話ございました、アイヌの皆様が二〇二〇年東京大会の開会式そして閉会式に参画したいとの思いをお持ちであることは承知をいたしているところでございます。
 この件につきましては、開会式、閉会式について、野村萬斎さんを中心とする東京二〇二〇の総合チーム、ここにおきまして検討が今進められているところでありますので、委員のお考えにつきましてしっかりと大会組織委員会に伝えてまいりたいと思います。
#95
○津村委員 演出効果もあるでしょうから前もって全て明らかにできないところは当然あると思うんですけれども、ぜひその方向で検討を進めていただければと思います。
 時間となりましたので、永岡先生には大変失礼なんですけれども、これで質問を終わります。
#96
○谷委員長 次に、井上英孝君。
#97
○井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝です。
 この法案質疑に入らせていただく前に、まずは、アイヌの方々が、先ほど各委員からもお話があったように、差別や仕打ちなどを受けてこられたこの歴史的経過に遺憾の意を表したいというふうに思います。また、やはりそういった歴史的経過の転換を図るためにさまざまな活動で尽力してこられた先人を始めとしたアイヌの方々に、本当に心から敬意を表したいというふうに思います。
 そのお話をさせていただいた上で、質疑に入らせていただきたいというふうに思います。
 本法案提出に当たり、先住民族の権利に関する国際連合宣言、これは平成十九年に採択をされています。それから、先住民族への配慮を求める国際的な要請も高まっている。平成二十年には、衆参両院でアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議というのが採択されて、そして、それを受けて内閣官房長官談話というのもあった。十年ほどたって、環境が整ったということで本法案の提出になったというふうに伺っていますけれども、そういう経過でよろしいか、自席でうなずいていただいたらいいんですけれども、それでいいんですよね。
 まず、本案における先住民の定義というのはいかがかをお答えいただけますでしょうか。
#98
○橋本政府参考人 本法案におきましては、先住民族という用語につきまして特に定義は置かず、一般的に使用している意味で用いております。
 なお、先住民族につきましては、現在のところ、国際的に確立した定義はなく、先住民族の権利に関する国際連合宣言におきましても、その定義は置かれていないと承知しているところでございます。
#99
○井上(英)委員 今、定義がないということなので、ただ、先ほどるる述べました国際連合宣言も含め、全て先住民族ということを前提に話が進んでいるということになると、先住民の定義というのはやはり必要なのではないかなというふうに思うんですね。
 次に行かせていただきますけれども、現在、どのような基準でアイヌと認定をされているのかというのを改めてお聞きしたいと思います。
#100
○橋本政府参考人 アイヌの認定ということでございますが、この認定が必要な施策といたしまして、北海道庁がアイヌ生活向上施策を実施する上で、その場合には、北海道アイヌ協会理事長、若しくはアイヌ地区協会を代表する者、又は市町村長の推薦を求めております。
 この推薦におきましては、戸籍をさかのぼり、アイヌ語名があることなどの客観的な資料をもとにしながらアイヌであることを確認している、そのように承知しております。
 本法案におきましては、アイヌであるかどうかの個人認定を必要とするような施策は盛り込んでおりません。
 以上でございます。
#101
○井上(英)委員 先ほど津村委員からもあったように、道で調べているとか、そういった議論もありましたので、ここでは省かせていただくんですけれども。
 現在、北海道でアイヌの方がお住まいになっている、アイヌ地区の住民を対象とした施策というかがありますけれども、北海道以外におられるアイヌの方々への施策というのはあるんでしょうか。いかがでしょうか。
#102
○橋本政府参考人 北海道外のアイヌの人々への施策といたしましては、アイヌ民族文化財団が都内に設置しておりますアイヌ文化交流センターにおきます情報発信、また文化伝承事業、また、別の話でございますが、厚生労働省の電話相談事業、こういったものを実施しているところでございます。
 本法案におきましては、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興、福祉施策に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の取組に対し支援を行う新たな交付金を創設しているところでございますが、この交付金の対象となる市町村につきましては、北海道に限っておらず、道外の市町村からも申請がされるように我々としても働きかけてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#103
○井上(英)委員 本法案で、国や地方自治体がアイヌの伝統などに関する国民の理解を深めるよう努める責務や、国民がアイヌとの共生社会の実現に協力するように努める責務が規定されている。アイヌに対する差別や偏見の原因となっている、アイヌの歴史に関する理解の不十分さへの対応として評価するという見解もあるというふうに聞いていますし、我々もそこは同意するところではあるんですけれども。
 レクに来られた担当者の方に、では、現在もアイヌの方々に対してどのような差別や偏見があるのかというふうにお伺いをしたときに、結婚等を断られたりするようなことがあるというお話が大きくあるんだということを担当者の方がおっしゃっておられたんですけれども、逆に、アイヌだというふうに言って結婚できている方々の数とか、その全体の割合というのは把握しておられるでしょうか。
#104
○橋本政府参考人 差別の現状につきましては、平成二十九年に北海道が実施いたしました北海道アイヌ生活実態調査によりまして、その中で、例えば結婚であるとか職場、交際など、そういった場面におきまして差別が残っているということが示されているところでございます。
 今御指摘の、アイヌということを名乗って結婚、そういった割合であるとか数字、件数等については、当方では把握しておりません。
#105
○井上(英)委員 結婚も、いろいろな恋愛がありますので、もちろん、歴史的経過も踏まえて、その辺はデリケートに、やはり慎重に考える必要はあると思うんですけれども、いろいろな恋愛をしていて、結婚がなかなかできない方もたくさんおられるというのは、さまざまな理由がありますので、できている方々のやはりその数字というのは把握する必要があるのではないかなというふうに思います。
 次に、アイヌのこの新設される交付金は、地方公共団体が事業について地域計画を策定して国の認定を受けるということになっているんですけれども、八割補助ということになっていますが、アイヌ民族が居住している要件やアイヌ民族が事業を行うなどの要件もなく、振興策としての本当に必要性はあるのか、お答えいただけますでしょうか。
#106
○橋本政府参考人 お答えいたします。
 この交付金につきましては、市町村の提案によりまして、地域のアイヌの方々、人々のニーズに対応した事業を幅広く対象とすることを考えております。
 割合的に、実質的にはやはりアイヌの方々が現に居住される市町村の申請が大半を占めるのではないかなというふうには想定しておりますが、例えば、普及啓発活動でイベントを行うなどのそういったアイヌ文化の普及啓発などは、アイヌの住民がおられるおられないを問わない事業だというふうに承知しておりますので、そういったものにつきましては、必ずしも、アイヌの方に関連するというか、住んでおられる市町村に限らないもの、そういうふうに承知しております。
#107
○井上(英)委員 じゃ、次に、時間も限られていますので、民族共生象徴空間についてお伺いをいたしますけれども、国が新設する施設を、民間法人に、整備や貸付料の負担もなく、非競争的に管理運営させることの妥当性についてお聞かせいただけますでしょうか。
#108
○和泉政府参考人 ウポポイの管理運営につきましては、政府として、平成二十六年の閣議決定によりまして、アイヌ文化振興法に基づき指定された法人とすることを決定しているところでございます。
 これは、ウポポイを通じたアイヌ文化の復興等を進めていく上で、アイヌの人々自身の参画を得ながら実現していくことが重要であることから、アイヌ文化に精通した法人が運営主体となることがふさわしく、民族共生象徴空間の管理業務とアイヌ文化の振興に係る業務は密接に関連することから、両業務を同一の法人が担うことが効果的、効率的であると判断しているところでございます。
#109
○井上(英)委員 質問に答えているかどうかちょっとわからないですけれども。整備や貸付料の負担もなく、非競争的に管理運営させることの妥当性はどのようにお考えですかとお聞きしたんですけれども。
#110
○和泉政府参考人 管理運営につきましては、ウポポイの機能の重要性や公的性格を踏まえると、入場料等の収入と、それから委託費を充当するということにしているところでございます。
 これにつきましては、本法案の中で、管理業務規程というものの中で、いろいろ、入場料の金額ですとか、そういうものを規定することとなっています。これは国の認可をとることになっておりますので、そういう中でチェックをしていくということになっております。
#111
○井上(英)委員 その表現で。入場料も決まっていないというふうにはお聞きはしているんですけれども。
 それでは、民族共生象徴空間の開設によりアイヌ民族文化財団の事業規模が大きくなることに伴って、国などからの補助金及び委託費の流れについて、やはり、過去の経過も踏まえて、透明性の確保というのを徹底する必要があると思うんですが、政府における指導監督はいかがでしょうか。
#112
○和泉政府参考人 御指摘のとおり、本法案における指定法人におきましては、アイヌ文化振興法に基づく従来からのアイヌ文化振興等の業務に加えまして、ウポポイの管理業務が追加されることになります。したがって、新法に基づく業務を行うに当たりまして、財務状況も含めた指定法人の業務における透明性の確保がより一層求められるものと考えております。
 このため、本法案におきましては、指定法人に関し、管理業務規程の国の認可、毎事業年度における事業計画書及び収支予算書に対する国の認可、ウポポイの管理業務に関する経理とそれ以外の経費の区分経理などの措置を講じ、事業実施状況の明確化等を図っているところであり、国においても適切な運営を確保するよう取り組んでいるところでございます。
 また、必要に応じまして、この法案に規定する国による報告の徴収及び立入検査を行い、監督命令等適切な指導を行っていく所存でございます。
#113
○井上(英)委員 ちょっと限られた時間なので。
 本当に透明性を確保するというのは絶対必要だというふうに思うんですね。その辺を含め、次に行きますけれども、民族共生象徴空間というのが、認知度がどれぐらいされているのかというのがあります。その中で、先ほど山岡委員からもありましたけれども、年間来場者百万人という政府目標ですね。百万人の施設というのも聞こうかなと思ったんですけれども、限られたところだと思うんですね。北海道においても非常に限られたところで、場所も白老町と。
 大阪の吹田に、世界有数の文化人類学の研究拠点と言われている国立民族学博物館というのがあるんです。この国立民族学博物館、一千万人になったのに何年かかっているか御承知ですか。もうこれは言うんですけれども、三十五年かかっているんですね。先ほども言いました、世界有数の文化人類学の研究拠点である施設でさえも、一千万人集まるのに三十五年かかっているんですね。それが単年度の目標で百万人ということは、一千万人を十年でやる、単純にそういう計算なんですけれども。
 我々としては、そんなに大きな風呂敷を広げるのではなくて、もう少し、実際の数字は、大体今の民族博物館で三十万人ぐらいと聞いているので、それぐらいのスタートからするべきなんじゃないかなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
#114
○和泉政府参考人 委員御指摘の入場者数につきましては、目標来場者数については、当初、五十万人という目標でございましたけれども、訪日外国人旅行者数が飛躍的に伸びている中で、二〇二〇年の東京オリンピックの開催効果も見込み、百万人を超える来場者数としたところでございます。
 我が国の訪日外国人旅行者数は、安倍内閣発足前、二〇一二年の八百三十六万人に比べ、昨年、二〇一八年は三千百十九万人と飛躍的に増加しているところでございます。二〇二〇年に四千万人という目標が完全に視野に入ってきたところでありまして、東京オリンピック・パラリンピックの開催効果も見込めば、百万人の目標は、開業年度である二〇二〇年にぜひ実現したいと考えているところでございます。
 なお、北海道でございますけれども、年間来場者数百万人以上の施設につきましては、旭川の旭山動物園というところが約百四十三万人、あと五稜郭タワーが、函館ですね、百二万人という入場者数になっています。近くの登別市の観光入り込み客数が四百万人ほど、延べでございますけれども、入っていることを考えまして、この目標は達成できることを目標にしていきたいというふうに考えているところでございます。
#115
○井上(英)委員 そうおっしゃると思うんですね。
 ただ、実際、今の民博が三十万人ぐらい、いっときマックスで九十万人ぐらいいったというふうには聞いているんですけれども、常時三十万人ぐらいということを考えると、二〇二〇年のオリンピックに合わせた年が百万人といっても、一応恒久施設ですよね、それで、恒久法ですから、毎年毎年百万人と来なかったときに、赤字が出た場合、どこが責任を負うのか。箱物行政になりかねないと考えるんですけれども、いかがでしょうか。
#116
○和泉政府参考人 先ほども申しましたとおり、今回のウポポイの機能の重要性や公的性格を踏まえますと、入場料等の徴収に加えまして、委託費を国から支出することにしているところでございます。
 この委託費の内容につきましては、今後、本法案が成立後、指定法人と調整をするということになっておりまして、その内容等については今後の調整ということになります。
#117
○井上(英)委員 じゃ、一言で言うと、補填するという表現でよろしいですかね。自席でうなずいていただいたら。そういうことですよね。
 だから、その方式が本当に、財団も含めて、いい体制になるのかどうかというのは、ちょっと甚だ疑問な部分が私はあるんですね。
 先ほどからもるるありました、振興策としての必要性があるのかとか、二回ほど聞きましたけれども、整備や貸付料の負担もなくて非競争的に管理運営させることの妥当性ということもお聞きをしましたけれども、やはり、一九六九年、昭和四十四年に同和対策事業、地対財特法もありました。当初、十年という年限の時限立法でしたけれども、これは特措法でしたから、結果的には、三十三年間、十五兆円ほどのお金を入れて、世間では、逆差別になっているんじゃないかというような議論を生んだというふうに記憶しています。
 また、この法案をつくる上において議論される有識者の中でも、北海道大学の常本先生なんかは、そういった歴史的経過も踏まえて、やはり非常に重要だけれども、そういったところは非常に気をつけないといけないという御指摘をたしかされていたというふうに、私も北海道に視察に行きましたので、記憶をしています。
 そういう中で、本当に、この法案の概要を示していただいていますけれども、アイヌの方々へ、自動車運転免許の取得や就職するときの支援とか、考えようによっては個人の支援にもなるんですけれども、そういったことよりも、やはり固有の言葉や文化、風習、それから、ふだんの生活の中で使えるように、文化、歴史の保護などにかかわる活動費というのに明確に支援すべきだと考えます。
 時間もありませんので。
 やはり今回の問題というのは、アイヌと区別することで、アイヌと和人というのは平等と言えなくなるのではないかと。多種多様な人々が共生する社会というのをやはり理想とする観点からすると、逆に、先ほども申し上げたように、差別を助長する可能性があるのではないかというふうに思います。
 そういう観点で、なぜアイヌの人々にだけ特別措置を設けて優遇するのか、最後にお答えいただけますでしょうか。
#118
○橋本政府参考人 今回の法案におきましては、アイヌの人々が先住民族であるとの認識のもとにアイヌ施策を総合的に推進するものでございますが、全ての国民は民族が異なっても日本国民として平等であることは言うまでもない、そのように承知しているところでございます。
 アイヌの人々につきましては、平成二十年六月に衆参両院の方からアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議をいただきまして、アイヌ民族、アイヌの人々が先住民族であるとの認識のもとに、総合的な施策の確立に取り組むことが政府に求められていると承知しております。
 特に、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化が危機的な状況にあることに鑑みまして、アイヌ文化の振興とそれに資する環境の整備を図る必要があると考えている次第でございます。
 また一方、アイヌの人々が民族として名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことは、我が国におきまして、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会を実現していくために必要なものと考えます。
 したがいまして、本法案は、このような考え方に基づき、アイヌ文化の振興、地域振興、産業振興等のアイヌ施策を総合的に推進するものでございます。
#119
○井上(英)委員 先住民の定義がないということを改めて確認をした上で、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#120
○谷委員長 次に、重徳和彦君。
#121
○重徳委員 社会保障を立て直す国民会議、重徳和彦です。
 アイヌ新法について質問させていただきます。
 この新法の目的ですけれども、先住民族であるアイヌの人々が誇りを持って生活でき、その誇りが尊重される社会の実現を目指すということなんですけれども、これは、先ほど来、北海道選出の先生方は大変その重みというものを感じておられて、この委員会においても大変学ぶことの多いさまざまな御意見を主張されておりましたけれども、ただ、多くの日本国民は、一体アイヌの人たちってどこにどれぐらいいるのという、これが本当にそのスタートラインだと思うんですね、まだまだ。
 それで、今お配りしております北海道のアイヌの人々の人数に関する資料、これが政府の方から出てきているんですけれども、平成二十九年、一万三千百十八名なんですが、これは四年前から三千六百六十八人も減っているんですね。さらに、これは地図に落としてありますので見ていくと、日高支庁管内だけで二千七百人減っている、こういうことなんです。
 これは、統計としても大丈夫かなと思うんですけれども、大丈夫ですか。
#122
○橋本政府参考人 ただいま委員の方から御紹介いただきました計数につきましては、北海道庁が調査を実施したものでございますけれども、その北海道庁が、人数が減少した市町村にその理由を確認しております。
 その中では、アイヌ協会会員には高齢者が多く、死亡した者が多かったであるとか、都市部への転出がふえ、その後の動向が不明となった者が多かった、また、個人情報保護の意識が浸透しつつある中で、市町村が把握できない方や調査に協力を得ることができない方がふえたなどの回答を得たと。北海道庁はそういった回答を得たというふうに承知しております。
 中でも、個人情報保護の意識が浸透しつつあります。市町村が把握できない方、調査に協力を得ることができない方がふえたという回答の市町村がこれもまた最も多かったというように聞いているところでございます。
#123
○重徳委員 特に日高の、これは四二%減っているということですけれども、これはやはり数字として自然じゃないですよね。
 高齢者が多くて死亡したんだとか、転出したんだとかいうようなことは、少なくとも、四年前のというか、平成二十五年の時点の高齢者の割合が日高には物すごい多かった、本当に、年齢でいえば七十代、八十代の人たちが物すごいたくさんいて、たくさんお亡くなりになったんだとかいうことならわかるし、実際、札幌でしょうか、本州でしょうか、転出された方がこの日高地方はほかの地域よりも格段に多いとか、そういうことが分析できていれば、ここはある程度説明できると思うんですけれども、個人情報の意識がこの四年間でめちゃめちゃ日高地方だけ高まったなんということはなかなか考えにくいと思うんですけれども、もうちょっと分析されていないんですか。
#124
○橋本政府参考人 この件に関しましては、北海道庁の方に聞いたところ、日高振興局管内の町村におきまして、その人数の減少理由については、個人情報保護の取扱いを理由に把握できなかった人が多かったというように回答があったと。北海道庁はそのように受けとめているというように承知しております。
#125
○重徳委員 そんな曖昧に言っていると、この法律の立法事実も危うくなってしまうのではないでしょうか。
 別に道が調査することはいいですけれども、その資料に基づいて国で法案を出して審議する以上は、誰が見ても、ちょっと見れば、これはおかしい、おかしいというか、何か大きな要因があるんじゃないかということは疑問に思いますよね。それを調べる当事者が今の法案提出者自身であるでしょうから、これはもっとちゃんとしないと。あらゆる、ヘイトスピーチを招くとまで言いませんけれども、アイヌの人が存在しないんだと言う方々までいるわけですよね、世の中には。そういうことに問題意識を持っているのであれば、やはりこういう数字の大幅な増減はせめてちゃんと把握しておかないと。今、はっきり言って答弁になっていませんので、そこはしっかりしないといけないと思います。
 今はこれ以上聞いてもこれ以上出てこないということでしょうけれども、これは改めてちょっと確認してください。私も法案は賛成するんですけれども、これはやはり不思議な数字なので、もうちょっときちっと調査をしていただけることをここで約束していただけませんか。
#126
○橋本政府参考人 この調査につきましては、法令に基づく調査ではないことから、回答を義務づけることはできないため、調査には限界があるものと考えておりますが、御指摘のとおり、政策立案に重要な調査と承知しております。
 調査方法の改善につきましては国も協力してまいりたい、そのように承知しております。
#127
○重徳委員 ぜひしっかりと協力して、よりよい調査にしていただきたいと思いますし、まさに個人情報で出さないというのも、一般論としての個人情報というよりは、やはり残念ながらまだまだ自分がアイヌであるということを申し出ることをちゅうちょするという要素もあるのではないかというふうに推察されます。
 この法律は、そういう意味でも、そういう皆さんにも、まさに誇りを持って堂々と、アイヌの血を引く方なのであるということは日本じゅうの人たちが、世界じゅうの人たちが認めてくれる、こういう環境をつくる法案だということでありましょうから、そういう意味でも、国がしっかりとこういう法案をつくって、皆さんの尊厳をしっかり守るんだ、こういうこともあわせて主張していただきたいというふうに思います。
 次に、先ほど荒井先生の御質問にもありました北海道旧土人保護法、一八九九年に制定をされた法律です。それから百年近くたって、ようやくこの法律は一九九〇年代に廃止されたということなんですけれども、この北海道旧土人保護法の制定されたときの帝国議会の議事録をちょっと見ますと、政府側の答弁としてこう言っています。アイヌは、同じ帝国臣民でありながら、内地の者が事業を進めるに従い生活の道を失う、こういう情勢は皆さん御承知のとおりだと思います、こんなような内容の政府側の答弁があるんですね。
 この旧土人保護法は、目的はいろいろとあるんですけれども、土地を多く失ってしまったアイヌの皆さんに対して、土地を付与して農業を奨励する、こんなような内容だそうなんです。しかし、百年近くたって振り返ってみれば、そうはいっても、既に和人がたくさん移住して土地を全部とっちゃったものだから、アイヌの人たちに良好な土地をもはや付与できなかった。こういう総括をされているような説明文書もいただきましたけれども、こういった経緯、そして、百年近くを経て今回の法律の前のアイヌ文化振興法が制定された、こういう歴史というものは、やはり立法府に籍を置いている我々国会議員はきちっとこうした経緯、歴史について認識をするべきだと思うんです。
 当時は、当時というのはアイヌ文化振興法が制定されたそのときは、閣法ではありましたけれども、しかし、参議院議員であられた萱野茂さん、アイヌ出身の方、この方の活動、動きも大きかったんじゃないかなということも推察はいたしますけれども、この九〇年代に制定されたアイヌ文化振興法の経緯とか背景について、あるいはこの歴史の重みといいましょうか、そういったことについて、大臣、どのように認識されているでしょうか。
#128
○石井国務大臣 昭和六十三年に、地元の北海道、当時の北海道ウタリ協会などから新法制定の御要望を受けて以来、政府として大きな課題と受けとめ、検討を重ねてきたと承知をしております。
 平成七年の三月には、五十嵐内閣官房長官の私的懇談会といたしまして、ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会が設置をされ、各界の権威の先生方に幅広い角度から御議論をいただき、平成八年四月に報告書を提出していただいたところであります。
 政府といたしまして、この報告書の指摘にある、アイヌの伝統やアイヌ文化を受け継ぐ人々が少なくなり、消滅の危機にあるとの状況を踏まえ、法律案として取りまとめ、第百四十回国会における御審議を経て、アイヌ文化振興法が制定されたものであります。
 平成九年四月の参議院内閣委員会の審議において、アイヌ出身の萱野茂議員が質疑を行うなど、法案成立に大きく寄与されたものと承知をしております。
#129
○重徳委員 この九〇年代の文化振興法ができたときにも、やはりアイヌの人たちの数が減ってきているということを踏まえてやってこられたということなんですよね。
 それは、やはり最初の問いに立ち返っても、じゃ、今どうなんだということももう少し踏み込んで国として把握していく必要があるんじゃないかと私も思います。
 先般、この委員会の委員の先生方とともに白老町に現地調査に行ったときに、その場で、有識者として広瀬健一郎准教授、鹿児島純心女子大学の先生がおっしゃっていたことがあります。それはアイヌの人たちが利用していた土地をいわば収奪されたということなんですけれども、この土地に関する権利、土地権について、この重み、これをどのように回復するのかというのが一つの論点として提起されていたわけなんです。
 今回の法律、この土地権に関しては、じゃ、アイヌの関係の人たちに土地をお渡ししますなんということは、現実問題、できることではないと思うんですが、これはアイヌの皆さんからの要望に応えたという形ではありますが、国有林に共同権を設定して、自由にというか、希望のとおり、希望に沿う形で木々の伐採をすることができるようにする。
 こういう、まあちょっとささやかな権利のような感じがするんですけれども、これは、アイヌだということを名乗り出られない状況の中で、つまり、アイヌの人たちがすごく名乗り出ている方々が少ないというふうに見た場合に、これからこの法律ができて、本当に誇り、尊厳を回復していく、こういう中で、自分もアイヌの血を引くんだという人たちがもっとたくさん出てきて、もっと声が大きくなったときに、何かもっといろいろなことをやってあげられるのかななんということも思うんです。
 この間の有識者の方々に言わせれば、アイヌの人々というのは、古来、非常につつましくて平和的でという方々だ、そういう民族なんだというようなお話もありました。今回の要望も、もしかしたら、非常につつましくて、ちょっと木を刈らせてよということぐらいしかおっしゃらなかったのかもしれない。
 これからどんなような要望が出てくるかわかりませんけれども、やはり、こうした重い歴史を踏まえて、できる限りのことは政府としてもしてあげたいという立場に立ったときに、どんな心意気で今大臣がおられるかということをお聞きしたいと思います。
#130
○石井国務大臣 アイヌの方々のみを対象として土地の利用権を設定するなど特別の措置を講ずることは、憲法第十四条に定められた法のもとの平等に反するおそれがあること、国民の理解が得られず新たな差別につながるおそれがあることなどの問題があり、委員御指摘のとおり、適切でないと考えております。
 他方、本法案におきましては、アイヌの方々の御要望などを踏まえまして、国有林野における林産物の採取に関する特例措置を規定しておりまして、これを活用することにより、アイヌ文化の振興等に活用するための林産物を、近隣の森林に限らず広く国有林野から採取することが可能となります。
 政府といたしましては、この当該特例措置や、また本法案に基づく交付金も活用しながら、アイヌの方々のさまざまな御要望に応えることができるよう支援をしてまいりたいと考えています。
#131
○重徳委員 余りこれからのことは語っていただけませんでしたが、オリンピックのことは、各委員、要望されているとおりで、私も、歴史ある日本という国が寛容なる成熟国家として国際社会と連帯しながらリーダーシップを発揮していく、こういう意味でも非常にメッセージ性のあることだ、意義のあることだと思いますので、最後に要望だけ申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#132
○谷委員長 次に、塩川鉄也君。
#133
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 本法案について質問をいたします。
 最初に、石井大臣に、このアイヌ問題の政府の歴史認識を問いたいと思っております。
 明治維新以降現在に至るまで、北海道開拓及び北海道旧土人保護法等による政府の土地政策、同化政策によってアイヌ民族から土地も言語も民族固有の文化も奪い、差別と偏見を生み出した、こういう認識を政府としては持っているのか、この点についてまず伺いたいと思います。
#134
○石井国務大臣 近代化の過程におきまして、同じ国民でありながらアイヌの人々が差別を受けてきた、こういう歴史に対しましては重く受けとめているところでございます。
#135
○塩川委員 それは政府の行為がもたらしたという認識があるのかどうかを聞いているんです。土地政策や同化政策などの政府の施策が、アイヌから土地も言語も文化も奪い、アイヌの貧窮化を生じさせた、こういう政府としての認識があるのかをお尋ねしているんですが、いかがですか。
#136
○石井国務大臣 いわゆる政府の同化政策というのも差別の一因になったのではないかというふうに考えています。
#137
○塩川委員 そういう点で、政府の同化政策がそういった差別を助長する要因となっていた。その前提として、貧窮化をもたらすような施策、差別の話の前に、そもそも、実態として貧窮化をもたらした、そういうことが政府の措置によって行われた、そういう認識はあるということですか。
#138
○石井国務大臣 差別と貧窮化がもたらされたということは重く受けとめているところであります。
#139
○塩川委員 法案の名称は、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律となっているわけです。法律名で誇りを掲げるなら、百五十年間もアイヌの誇りを奪ったことへの政府の反省、謝罪がないのかというアイヌの方の思い、これをどう受けとめておられますか。
#140
○橋本政府参考人 我が国が近代化する過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実については、政府として厳粛に受けとめます。
 なお、今回、本法案を作成するに当たりましては、アイヌの方々と数多くの意見交換会を実施いたしまして、御意見、要望等をいただいてまいりました。その中では、確かに謝罪を求める意見もございましたが、民族共生に向けて、国民の理解を深め、未来志向で物事を進めるべきである、そういう意見が強かったというふうに承知しているところでございます。
 政府といたしましては、今回の法律により、未来志向のもと、アイヌの人々に寄り添い、アイヌの人々の要望にできる限り対応しながら、共生社会の実現に向けてアイヌ施策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
#141
○塩川委員 アイヌに関する施策を進める上で、政府の行ってきた土地政策、同化政策がアイヌの皆さんから土地、言語、文化も奪い、貧窮化を生じさせたという政府の反省を踏まえてこそ真の対策につながっていく。やはり、こういうアイヌの方の指摘を正面から受けとめるべきだと思います。
 ですから、言語や文化を奪われて差別を受けてきた歴史を国民全体の認識にしていく、これが政府が責任を持ってやるべきことではありませんか。
#142
○橋本政府参考人 歴史的な事実について政府として厳粛に受けとめる、これにつきましては、平成二十年の衆参両議院による決議で御指摘いただいているところでございます。その決議におきましては、あわせまして、アイヌの人々が先住民族であるとの認識のもとに、総合的な施策の確立に取り組むことを政府に求めている、そのように承知しております。
 このような決議の指摘を踏まえまして、本法律におきまして、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示し、また、アイヌ施策については、従来の生活向上施策や文化施策に加えまして、産業振興、観光振興、地域振興など、総合的な施策の確立に取り組むこととしております。
 政府といたしましては、今回の法律により、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって国民が相互に人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現を目指したいと考えている次第でございます。
#143
○塩川委員 法案の中身の話にまだ入っていないんです。その前提の議論をしているわけで。
 やはり、政府によるこういう土地政策、同化政策といったものがアイヌの方々から土地や文化を奪う、言語も奪う、そして貧窮化をもたらすといったことについての反省があってこそ真の対策につながっていくのではないのかというアイヌの方の訴えを重く受けとめるべきだ。
 そういう点でも、こういった現状の差別、偏見の大もとには政府の施策があるんだ、だからこそ、政府がきちんと、こういう、言語や文化を奪われて、差別も受けてきたアイヌの歴史を国民全体の認識にしていく、そういう責任がある、そこのところを問うているんですけれども、改めてお聞きしたい。
#144
○橋本政府参考人 事実認識につきましては、重ねて申し上げて恐縮でございますが、厳粛に受けとめているところでございます。
 政府といたしましては、アイヌの人々が民族としての名誉、尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことが、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会を実現するために非常に重要だと考えているところでございまして、アイヌの皆様に寄り添って、未来志向のもと、アイヌ施策を総合的に推進していきたいと考えております。
#145
○塩川委員 実際、アイヌの方の生活困難ということも、調査などでも明らかであります。特にアイヌの年配の方、古老の方の生活困窮問題が深刻だとお聞きします。
 実際、低年金、無年金といった実態、こういうアイヌの古老の方の生活実態、生活困窮の実態というのは政府としては把握しているのか、そういう生活困窮の要因は何なのか、その点についてはどうですか。
#146
○橋本政府参考人 法案策定に当たりましては、北海道、また北海道の外におきましてもアイヌの方々と多数の意見交換会を実施してきたところでございます。その中で、特に高齢者の方々の貧窮といったようなことの御指摘はいただいておりますので、その点については承知しているところでございます。
#147
○塩川委員 高齢者の貧困のことについては、そういう指摘があったと。
 政府として、その実態を把握をしているのかというのを聞いているんですけれども。
#148
○橋本政府参考人 アイヌの法案策定に当たりましては、アイヌの方々の要望、また意見を聞く、その中でアイヌの方々の状況を十分把握するということに努めてきた、そのように承知しております。
#149
○塩川委員 実態把握をしていないということで、そういう点でも、じゃ、そういった生活困難といった要因が何なのかの分析にも至らないわけですよ。それでいいのかということが問われているわけなんです。
 古老を始めとしてアイヌの人々は、土地政策や同化政策などの政府の施策によって貧窮化が強いられた。ですから、そういう歴史的な経緯を踏まえたときに、アイヌに対する生活保障、生活向上策を今回の法案に盛り込む考えというのはなかったのか、この点についてはどうですか。
#150
○橋本政府参考人 まず、現状におきましては、生活向上施策につきましては、アイヌの人々とその他の住民の格差の是正ということを目的に、北海道におきまして、北海道、また市町村がアイヌ施策、生活向上施策を実施しているところでございます。
 今回の法案におきましては、そういったものをそのまま推進するとともに、それに加えて、本法案によりまして新たな交付金制度を創設いたしまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた総合的な施策を推進する中で、例えば地域住民の交流の場となるような、現状は生活館というものがございますが、多機能な生活館を整備するであるとか、また、地域の高齢者の足となるようなバス、その他、生活支援、教育支援等の面で資する、そういったものについても市町村と協議しながら対応してまいりたいと考えております。
#151
○塩川委員 交付金とかの施策の話は法案にかかわってまた聞くことになるわけですけれども、そもそも、現状行っているようなアイヌ政策、生活向上施策等々、その生活支援、生活向上策といったものについて法案に盛り込む考えはなかったのか。
#152
○橋本政府参考人 現状につきましてでございますが、北海道の方でアイヌの生活実態調査を行っております。その中で、例えば貧窮度を見る場合に生活保護率というものがございますが、生活保護率については、長年の北海道等の取組の結果、改善している、そのように承知しているところでございます。
 この生活向上施策は、先ほども少し御説明いたしましたけれども、地域の状況に応じて地方公共団体が生活格差を是正する、そういう措置でございますので、本法の全国を対象とした法律にいきなりなじむかどうかということについては慎重に対応する必要がある、そのように承知しております。
#153
○塩川委員 生活保護だけで何かあたかも貧窮、困難、生活苦が改善されているかのように言うのは実態と違うと思います。
 平均所得で見ても、全国平均よりも少ない北海道、その北海道の平均所得よりも少ないというのがアイヌの方々の生活実態ですから、それをどう底上げするのかといった視点が必要じゃないのか。政府の施策によってもたらされたアイヌの皆さんの貧窮化というところを、どうやはり政府として対処するのかということが求められている。この予算措置となっているアイヌに対する生活保障、生活向上策を抜本的に強化することが必要だということを申し上げたい。
 それから、今回の法案の策定過程において、アイヌの方の参画がどうだったのか。いわば、自決権という場合に、自己決定権、アイヌの方自身が法案を策定をする、そういった際に、当事者であるアイヌの人々が法案策定に参画するのは当然のことであります。
 多様な意見を酌み尽くすことが必要で、今回の法案は、アイヌの手によってつくられたと言える法案となっているんでしょうか。
#154
○橋本政府参考人 今回の法案の策定に当たりましては、基本的な考え方といたしまして、アイヌの方々に寄り添って、アイヌの方々の要望に応えていくということでございます。
 したがいまして、法案の策定過程におきまして、意見交換会を、ちょっと手元資料はあれですが、四十回近く、また、参加人数は五百人を超えていたと思いますけれども、多くの方から意見をお伺いして、その内容を法案に反映するように努めてまいりました。
 また、官房長官をヘッドといたしますアイヌ政策推進会議というものがございまして、ここの中にはアイヌの方々に多数参加していただいているところでございます。
#155
○塩川委員 地域説明会で意見を聞いてそれを反映するという話もありましたけれども、こういう地域説明会で出された意見については、この法案作成段階でどのように検討したのか、あるいはしなかったのか、取り入れたのか、取り入れなかったのか、そういうことについての説明というのは公表されているんですか。
#156
○橋本政府参考人 策定の段階におきまして地域の意見交換会の中でどういう議論があったかにつきましては、北海道アイヌ協会の理事会といったところで還元して説明しておりますし、また、先ほど申しましたアイヌ総合推進会議などにおきましても、その状況については御説明しているところでございます。
#157
○塩川委員 意見を述べた方に、自分の意見は反映されたのか、されなかったのか、これは極めて重要だと思うんですよ。まさに多様な意見を酌み尽くしたことを行ったのかということが問われているわけで、こういった対応については疑問が残ると言わざるを得ません。法案策定過程におけるアイヌの参画について、少なくない批判が寄せられているということを重く受けとめるべきであります。
 以下、法案の内容についてお尋ねをいたします。
 今回の法案は、二〇〇八年のアイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議を踏まえて提出されたものということでよろしいんでしょうか。
#158
○橋本政府参考人 御指摘のとおり、平成二十年の衆参両院の国会決議、その内容を踏まえて法案を提出してございます。
#159
○塩川委員 国会決議において、政府は、先住民族の権利に関する国際連合宣言を踏まえ、アイヌを先住民族として認めること、同宣言の関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組むとあります。この国会決議を踏まえ、法案を提出したということです。
 大臣にお尋ねいたします。
 アイヌ文化振興法と今回の法案の違いというのはどこにあるんでしょうか。
#160
○石井国務大臣 今回の法律案は、従来のアイヌ文化振興法に基づいた文化振興に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含む多岐にわたる施策を総合的に推進するものであります。
 具体的には、アイヌの方々が先住民族であるとの認識のもと、国、地方公共団体、国民の責務を示すとともに、市町村が作成する計画が内閣総理大臣の認定を受けた場合における交付金の交付、林産物の採取に関する特例等の特別の措置、民族共生象徴空間の円滑な運営のための措置、内閣官房長官を本部長とするアイヌ政策推進本部の設置など、アイヌ施策の効果的な推進を図るために必要な各種措置を講ずることとしております。
 これらの措置を講ずることによりまして、アイヌの方々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを期待をしております。
#161
○塩川委員 アイヌ文化振興法との違いという点で、先住民族という認識を示しているということ、これまでの文化振興法に基づく文化振興、普及啓発に加えて、地域振興、産業振興など総合的な施策を推進する、そういう中身になっているということです。
 重ねて大臣にお尋ねしますが、この法案においてアイヌ民族が先住民族であることが初めて明記をされた、そのことの意義についてはどのように考えておられるか、お尋ねします。
#162
○石井国務大臣 平成十九年に国連総会におきまして先住民族の権利に関する国際連合宣言が採択をされ、我が国も賛成票を投じたところであります。同宣言の採択を受けまして、平成二十年に衆参両院によりましてアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が採択をされ、政府に対しまして、アイヌの人々を先住民族として認めること、国連宣言における関連条項を参照しつつ、総合的な施策の確立に取り組むことが求められました。
 本法案におきましては、これらを踏まえまして、アイヌの人々が先住民族であるという認識のもと、従来のアイヌ文化振興法に基づいた文化振興に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含む多岐にわたる施策を総合的に推進することとしているところでございます。
#163
○塩川委員 施策の総合的推進に寄与するといった点での説明がありました。
 今回の法案は二〇〇七年の先住民族の権利に関する国際連合宣言を踏まえたものだという点について、改めて確認したいと思います。
#164
○石井国務大臣 先住民族の権利に関する国際連合宣言につきましては、法的拘束力はないものの、先住民族に係る政策のあり方の一般的な国際指針として認識をしております。
 また、平成二十年六月に衆参両院の本会議で決議をされましたアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議におきましては、先住民族の権利に関する国際連合宣言を参照しつつ、総合的な施策を確立すべきとされているところであります。
 本法律案におきましては、国連宣言が、差別を受けない権利や国民の理解の促進、先住民族の文化に関する権利などについて規定していることから、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念、国、地方公共団体による教育活動、広報活動等の責務等を規定しており、新たに創設される交付金制度や法律上の特例等の措置によりまして、アイヌ文化の振興や国民の理解の促進を図ることとしております。
 本法の制定及び現行の関係法令によりまして、先住民族の権利に関する国連宣言に示されている国の果たすべき責務につきましては、憲法等との課題整理を図る必要があるものを除きまして、おおむね措置できているものと考えております。
#165
○塩川委員 二〇〇七年の国連宣言を踏まえているということは、この法案の法文上のどこに示されているんでしょうか。
#166
○橋本政府参考人 お答えいたします。
 この法律におきましては、第一条に目的を規定しているところでございますが、その中で、「近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み、」と、この部分で示しているところでございます。
#167
○塩川委員 その上で、その国連宣言、第一条の目的のところで含んでいるということですが、この国連宣言は、じゃ、法案の中の施策として具体的にどのように反映されているのか。その権利宣言の、例えば第何条がどういうところで反映されているか。そういうことについて、わかりますか。
#168
○橋本政府参考人 国連宣言の中は非常に多様な権利等が定められております。その中で、例えばでございますけれども、差別を受けないといったことについての権利が国連宣言の中にあります。これに関しましては、この法律の基本理念の部なんですが、第四条のところで、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念を示しております。
 また、国連宣言の中では、国民の理解の促進といったようなことについても言及があると承知しております。これにつきましては、例えばでございますけれども、法律の第五条の国、地方公共団体の責務のところの三項で、国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、アイヌに関し、国民の理解を深めるように努めなければならないということもありますし、今回の施策、ウポポイを始めとして、アイヌ文化について情報発信していくという取組は、国連宣言の内容を受けてのものだと理解しております。
#169
○塩川委員 法案の目的に、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができる社会の実現を図ると明記しておりますが、このアイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができる社会の実現を図るというのは、その意味するところは何か、お答えください。
#170
○石井国務大臣 我が国が近代化する過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として厳粛に受けとめているところであります。
 また、現状におきましても、結婚、職場、学校などさまざまな場面において、アイヌの方々に対するいわれのない差別が残っていることが示唆をされております。
 本法律案におきましては、国連宣言が、差別を受けない権利や国民の理解の促進、先住民族の文化に関する権利などについて規定をしていることから、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念、国、地方公共団体による教育活動、広報活動等の責務等を規定しておりまして、新たに創設されます交付金制度や法律上の特例等の措置によりまして、アイヌの文化の振興や国民の理解の促進を図ることとしております。
 こうした措置によりまして、本法案は、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図るものであります。
#171
○塩川委員 アイヌ文化振興法にはない規定が追加をされているわけです。そこの持つ意味として、民族としての誇りを持って生活することができる、まさに生活をどう支えるのかといった点が極めて重要だと思っていますが、その意味するところというのはどういうところなのか。もう一度。
#172
○橋本政府参考人 アイヌの方々が誇りを持って生活できるというその誇りの源泉といたしましては、やはり民族としての誇りでございますので、文化にその大きなところ、文化、伝統があると思います。そういった文化伝承について、継承、振興していくということが非常に重要なところでございます。
 文化振興法が文化の振興ということに焦点を当てて対策、対応、施策を進めてきたわけでございますが、今回の法律におきましては、その文化振興に資する環境の整備ということも入ります。
 それはどういうことかと申しますと、例えば、文化の継承をしていて、これまた意見交換で聞いた話ですけれども、継承をしていると、ほかに本業があれば、本業の稼ぎが減ってしまうんだというような、そういうふうなお声もいただいております。やはり、文化継承すること自体が、例えばなりわいにつながるであるとか、その文化継承の、例えば工芸品ということであれば、一定の規模が必要だと承知しますので、そういった原材料の確保であるとか、そういったものも非常に重要な課題だと承知しております。
 そういった環境の整備、文化の周りのそういった環境の整備も今回対応していきたい、そのように考えている次第でございます。
#173
○塩川委員 文化の継承をする場合、そのことを行うことで本業の稼ぎが減ってしまうという点でも、文化の継承がなりわいにつながるという点が含まれるという話は首肯するところであります。
 そういう点で、従来の文化振興法の文化振興等の施策に加えて、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活するためのアイヌ文化の振興等に資する環境の整備を位置づけておりますが、その中には、地域振興や産業振興、観光振興に対する支援も入ってくると。そういった点で、こういった環境の整備というのが実際になりわいにつながっていくということが重要なんじゃないかと思うわけです。
 これらの生活のための環境整備の支援においては、アイヌの人々の生業、なりわいを保障するということが、アイヌの儀式や伝統、文化を継承することにつながるんじゃないのか。この点についてお答えください。
#174
○橋本政府参考人 今回の法案の一つの柱として、交付金制度の新設がございます。また、法律の特例措置といったものがございます。これにつきましては、例えば、今委員が御指摘のように、地域振興、産業振興、また観光振興といった面でいろいろ活用があるのではないかなと。
 例えばアイヌのブランド化を推進する、これは、やはりアイヌの製品を扱うことをなりわいにする方にとっては大きなことだと思いますが、こういった産業振興を振興する。また、アイヌ文化関連の観光プロモーション、こういったものも進めれば、アイヌの芸術に携わる方々のなりわいも確保される方向で改善されるのではないかな、そのように承知しております。
#175
○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。
#176
○谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#177
○谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#178
○谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#179
○谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、伊藤忠彦君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び社会保障を立て直す国民会議の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。道下大樹君。
#180
○道下委員 イランカラプテ。立憲民主党・無所属フォーラムの道下大樹です。
 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
    アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
 一 「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の趣旨を踏まえ、並びに過去の国会決議及び本法に基づき、アイヌ施策を推進するに当たっては、我が国が近代化する過程において多くのアイヌの人々が苦難を受けたという歴史的事実を厳粛に受け止め、アイヌの人々の自主性を尊重し、その意向が十分反映されるよう努めること。
 二 アイヌ文化の振興等に資する環境の整備に関する施策の推進に当たっては、アイヌの人々の実態等の把握に努めるとともに、国、地方公共団体等の連携の強化を図ること。
 三 アイヌの人々に対する差別を根絶し、アイヌの人々の民族としての誇りの尊重と共生社会の実現を図るため、アイヌに関する教育の充実に向けた取組を推進すること。
 四 アイヌの人々の民族としての誇りの尊重と我が国の多様な生活文化の発展を図るため、アイヌの人々の生活支援及び教育支援に資する事業や、存続の危機にあるアイヌ語の復興に向けた取組、アイヌ文化の振興等の充実に今後とも一層努めるとともに、アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて、北海道外に居住するアイヌの人々を対象とする施策の充実に努めること。
 五 本法に基づく措置、とりわけ交付金制度については、本法の目的に沿ってアイヌ施策を適正かつ効率的に推進するため、制度の適切な運用を図ること。
 六 本法において特例措置が設けられる認定アイヌ施策推進地域計画に係る地域団体商標の取得を契機に、アイヌ文化のブランド化の確立など産業振興を図るために、交付金制度の活用や国等からのノウハウの提供等により、アイヌの人々の自立を最大限支援すること。
 七 内水面におけるさけの採捕や国有林野における林産物の採取といった本法の特例措置に関し、アイヌにおいて継承されてきた儀式の保存又は継承等を事業の目的とする趣旨に鑑み、関係機関と緊密な連携の下、アイヌの人々の視点に立ち、制度の円滑な運用に努めること。
 八 民族共生象徴空間への来場により国内外におけるアイヌの伝統等に関する理解の促進が一層図られるよう、広報活動やアクセスの改善等を図ること。また、民族共生象徴空間に関し、適切な運営が図られるよう指定法人に対する指導監督に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#181
○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#182
○谷委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。国務大臣石井啓一君。
#183
○石井国務大臣 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
 まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#184
○谷委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#185
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#186
○谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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