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2019/05/22 第198回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第198回国会 経済産業委員会 第13号
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2019/05/22 第198回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第198回国会 経済産業委員会 第13号

#1
第198回国会 経済産業委員会 第13号
令和元年五月二十二日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 赤羽 一嘉君
   理事 穴見 陽一君 理事 梶山 弘志君
   理事 小林 鷹之君 理事 國場幸之助君
   理事 西村 明宏君 理事 簗  和生君
   理事 落合 貴之君 理事 斉木 武志君
   理事 富田 茂之君
      青山 周平君    池田 道孝君
      石崎  徹君    岩田 和親君
      尾身 朝子君    神谷  昇君
      神山 佐市君    神田 憲次君
      神田  裕君    熊田 裕通君
      佐々木 紀君    斎藤 洋明君
      田野瀬太道君    冨樫 博之君
      野中  厚君    百武 公親君
      穂坂  泰君    星野 剛士君
      細田 健一君    堀井  学君
      本田 太郎君    三原 朝彦君
      宮澤 博行君    務台 俊介君
      宗清 皇一君    八木 哲也君
      山際大志郎君    吉川  赳君
      菅  直人君    田嶋  要君
      松平 浩一君    宮川  伸君
      山崎  誠君    浅野  哲君
      太田 昌孝君    笠井  亮君
      足立 康史君    笠  浩史君
    …………………………………
   国務大臣         宮腰 光寛君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君
   政府参考人
   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 田川 和幸君
   政府参考人
   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       森 美樹夫君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       諏訪園貞明君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局審査局長)        南部 利之君
   政府参考人
   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           風木  淳君
   政府参考人
   (経済産業省貿易経済協力局長)          石川 正樹君
   政府参考人
   (特許庁総務部長)    米村  猛君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     城福 健陽君
   参考人
   (一般社団法人日本経済団体連合会常務理事)    井上  隆君
   参考人
   (一般社団法人新経済連盟理事)          吉田浩一郎君
   参考人
   (神戸大学大学院法学研究科教授)         泉水 文雄君
   参考人
   (弁護士)        山本 晋平君
   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     堀井  学君
  岡下 昌平君     宗清 皇一君
  神山 佐市君     務台 俊介君
  神田  裕君     百武 公親君
  穂坂  泰君     本田 太郎君
  八木 哲也君     熊田 裕通君
  山際大志郎君     神田 憲次君
同日
 辞任         補欠選任
  神田 憲次君     山際大志郎君
  熊田 裕通君     八木 哲也君
  百武 公親君     神田  裕君
  堀井  学君     田野瀬太道君
  本田 太郎君     穂坂  泰君
  務台 俊介君     神山 佐市君
  宗清 皇一君     神谷  昇君
同日
 辞任         補欠選任
  神谷  昇君     岡下 昌平君
  田野瀬太道君     池田 道孝君
同日
 辞任         補欠選任
  池田 道孝君     斎藤 洋明君
同日
 辞任         補欠選任
  斎藤 洋明君     青山 周平君
同日
 理事穴見陽一君同日理事辞任につき、その補欠として簗和生君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
     ――――◇―――――
#2
○赤羽委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事穴見陽一さんから、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に簗和生さんを指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○赤羽委員長 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長田川和幸さん、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官森美樹夫さん、公正取引委員会事務総局官房審議官諏訪園貞明さん、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一さん、公正取引委員会事務総局審査局長南部利之さん、総務省大臣官房地域力創造審議官佐々木浩さん、外務省大臣官房審議官高橋克彦さん、経済産業省大臣官房審議官風木淳さん、経済産業省貿易経済協力局長石川正樹さん、特許庁総務部長米村猛さん及び国土交通省総合政策局公共交通政策部長城福健陽さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#7
○赤羽委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松平浩一さん。
#8
○松平委員 どうもおはようございます。立憲民主党、松平浩一です。
 きょうは一時間もお時間をいただきましてありがとうございます。しっかりとした審議ができるものと大変うれしく思っています。
 それでは、きょうは独禁法改正ですね、質疑に入らせていただきます。
 まず、今回の改正、非常に大きなトピックがあるものと理解しています。課徴金減免制度の協力内容による減算率の導入というところです。
 こちら、なぜこのような協力型にされたのか、教えてもらっていいでしょうか。
#9
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 現行の課徴金減免制度でございますが、これは、法令が規定する一定の事項を報告すれば、その内容にかかわらず一律に一定の減算率が得られることとなっております。このため、減免申請をしたものの、必要最低限の報告は行うものの、その後は非協力的な対応をとる事業者、これが少なからず発生するという問題が生じております。
 本改正におきまして、減免申請順位に応じた減算率に加えまして事業者の調査協力の度合いに応じた減算率を付与することによりまして、事業者の調査協力インセンティブが高まり、事業者と公正取引委員会の協力による効率的、効果的な真相解明、事件処理につながるものと考えております。
#10
○松平委員 事業者のインセンティブを高めるとおっしゃいましたけれども、私は、このインセンティブ、何か露骨な気もしているんです。
 今まで、課徴金の減免率は申請順位、届け出た順位に応じたものだったので、フェアだったと思うんですね。自分は何番目に申請したかで、これが本当に客観的に、もう誰も文句つけようがないので、非常に透明性が高かった。
 それが、今回、協力度合いに応じて減算率を決める。非常に裁量も多くて、どのくらい減算されるのかよくわからないということになってしまうので。
 これはどういう懸念があるのかというと、協力度合いに応じて考えるということで、事業者としては、高い減算率となるように公取のストーリーに沿った形で物事を進めるといいますか、そうなると、事実がねじ曲がってしまう傾向が強くなっちゃうんじゃないかな、そういう懸念が大いにあるわけです。何というんですか、もうアメですね、減算率というアメですね。それで、協力に向けた誘引が非常に強くて、公取に迎合してしまうんじゃないかという懸念があります。
 こういうことがないようにどう担保されているのか、その辺教えてもらってもいいですか。
#11
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 調査協力減算制度では、事業者と公正取引委員会の間で協議する仕組みを導入することとしております。この協議におきまして、公正取引委員会は、事業者の協力内容を十分に確認いたしまして、事業者の方からはその協力内容を提示し、その事業者の間で協力の内容や減算率について共通認識を形成した上で合意するということになります。
 また、調査協力減算制度の対象となりますカルテルや入札談合などの行為、これは複数の事業者によって行われる共同行為でございます。このため、公正取引委員会が違反行為を認定するに当たりまして、単に減免申請者からの報告を受けた事実などだけで判断する、結論を出すということはむしろできないということでございまして、他の事業者に対する立入検査などにより収集した資料でございますとか、供述聴取によって得られた供述内容、それらに基づきまして総合的に判断するということになります。
 したがいまして、単一の事業者の協力だけで判断はできないということで担保されているのではないかというふうに考えております。
#12
○松平委員 単一の事業者だけでないので担保されているんじゃないかということなんですけれども、リーニエンシーの特徴として、早く駆け込んだ人というのは大きく言う傾向にあるというふうに思っています。だから、もともとリーニエンシーというのは、後から駆け込む、後から申請する人というのはその方向に引っ張られやすい、最初の方向に引っ張られやすいという傾向があるように思っているんですね。
 だから、今までグレーだったというところが、それが今回、アメがあるので、全体として先の人の意見に引きずられやすくなって、そのグレーがより黒に近くなった状況になってしまう。そうなると、後からの人というのはもう、よりディフェンスしにくくなってしまうんじゃないかな。だから、ディフェンスするよりも協力した方がいいよということになってしまうのではないかなというふうに思うんです。だから、これはつまり、従来よりも否認がしにくい手続になってしまうというふうに思うんです。
 やはり、適正手続というものがあって初めて真実の発見があると思います。だから、きちんと、違う、やっていない、人とか会社が、違う、やっていないということを言える制度になるのかというところが、私はこれは非常に重要なのではないかなと思います。
 この適正手続の部分、これは憲法三十一条にも書いてあります。この観点を踏まえて、きちんと事業者が自分でディフェンスをすることができる、それで、先ほど共通認識を共有して合意して初めてということもありましたけれども、ここで本当に、真の心から合意ができる、ほかの方が黒なのでもうこれはディフェンスできないなということでやむなく合意ではなくて、真に、もうやったから仕方がないということで合意できる、納得して自分で事業者が選択できる、そういう制度に、そういう運用にこれはしてもらいたい、していかなきゃならないというふうに思っています。
 その点、一言お願いできますでしょうか。
#13
○杉本政府特別補佐人 先ほど申し上げましたとおり、事実認定をするに当たりましては、単に減免申告者からの報告を受けた事実だけで判断するものではございませんでして、他の事業者に対する立入検査等により収集した資料、供述聴取によって得られた供述内容を総合的に判断することにしておりますし、仮に事業者が事実に反する報告をした場合には、事件の真相解明に資することはないということですから、その報告に対して高い減算率を与えられず、虚偽の報告をした場合には減免率を受けられないというようなことにしておりますので、無理やり公取の意向に沿って事実をゆがめて報告する、そういうことにはならない、それは制度的に担保されているのではないかと我々は考えているところでございます。
#14
○松平委員 結局、制度を運用するのは人ですので、制度的な担保がされているとはおっしゃいましたけれども、私はそこも疑問でして、やはり現場でそういうことにしないといった決意で運用していただきたいなというふうに思っております。
 この点、独禁法の研究会報告書、平成二十九年の四月二十五日に出された報告書ですけれども、供述調書に関する意見がありました。どう書いてあったかというと、より高い減算率を得るため、又は、減免失格とならないようにするため、公正取引委員会の審査方針に迎合した供述を行う結果として、事実に反する供述調書が作成されるおそれがあることから、供述調書は減算率を決定する際の評価対象とはしないことが適当という意見がございました。私も本当にそのとおりだなというふうに思っています。
 これについて、どういうふうにされるおつもりか、お聞きしていいでしょうか。
#15
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、また報告書にも記載のありますとおりでございますが、事業者が社内調査等を行ってみずから提出する報告書や陳述書、これらとは異なりまして、公正取引委員会の審査官が減免申請者の従業員などから供述聴取を行った際に作成される供述調書、これを減算率の評価対象とした場合には、みずからの供述内容が直接評価されるということになりますので、従業員などが公正取引委員会に迎合した供述を行う結果として、事実に反する供述調書が作成されるおそれというのはございます。このため、供述調書については減算率の評価対象外とすることを考えております。
 この点につきましては、今後、公正取引委員会において策定する調査協力減算制度の運用に関するガイドラインにおいて明確に、明らかにしていくことを予定しております。
#16
○松平委員 ありがとうございます。
 評価対象外とするとはっきりおっしゃっていただきました。承知いたしました。
 次に、課徴金制度の売上げについてお聞きしたいと思います。
 七条の二の第一項、課徴金の算定基礎額とする売上額の範囲で、商品又は役務の政令で定める方法により算出した売上額と定められています。この売上額、平成二十一年六月二日の国会答弁で、あくまでも日本国内において売上げがあればそれに対して所定の割合を掛けるスキームになっていると説明がなされております。
 ここで、この日本国内の売上げという点についてお聞きしたいと思います。
 御存じのとおり、ブラウン管カルテル事件というものがありました。テレビのブラウン管の販売で、日本、韓国、台湾、タイ、インドネシア、マレーシアの製造販売業者十一社の国際的なカルテルの事案です。
 このカルテルで設定された価格で東南アジアの日本の現地子会社に供給したということで、この事案を見ると、東南アジアの日本の現地子会社に供給しているので、日本国内の売上げではないので課徴金はないのかなというふうに思えるんですけれども、平成二十二年、課徴金納付命令を出されていらっしゃいます。これはその後、審判請求、それから審決取消し訴訟も行われて、平成二十九年に最高裁判決が出ています。
 これは、先ほどちょっと申しました平成二十一年六月二日の国会答弁で日本国内の売上げとおっしゃっておられた、しかしながら、ちょっと一見すると今回のこのブラウン管カルテル事件は日本国内の売上げでないようにも思えるんですけれども、この基準、変わったのかどうか、教えてもらってもいいでしょうか。
#17
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国市場におけます自由経済秩序を侵害する違反行為に対しまして、これを抑止するため課徴金を賦課するものということでございます。ですので、日本国内における売上額が課徴金の算定基礎となるという基本的な考え方、これを変更しているものではございません。
#18
○松平委員 済みません、ということは、何を検討されていらっしゃるんですか。日本国内の売上げを検討しているものではございませんと。
#19
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 日本国内における売上額、これが課徴金の算定基礎となるという基本的な考え方を変更しているものではないというふうに考えております。
#20
○松平委員 変更しているものではないということですね。大変失礼しました。わかりました。
 そういうことであれば、日本国内の売上げという、日本はその基準をとっている。
 では、ちょっとEUを見てみます。EUはどうなっているか。
 基礎算定となる売上額の定義、EU制裁金ガイドラインの十八項にこう書いてあります。違反行為が行われた当該地理的範囲、この当該地理的範囲というのは、欧州経済領域、EEAよりも広い範囲という意味なんですけれども、こちらにおける違反行為に関連する物又はサービスの総価額を算定し、当該市場において各事業者の違反行為に対する売上価額の割合を決定し、この割合を当該事業者らが関係するEEA内における総売上額に当てはめる、こう書いてありまして、つまり割りつけを行っているんです。EU域内で売り上げていなくても、売上げがなくても、割合を考えてそれを基礎にできるという考えをとっている。
 これは、もっとわかりやすく言うと、例えば、EUの会社と日本の会社があります、そのEUの会社と日本の会社が国際的カルテルをしたとします。その場合、EUの会社は日本で売上げがゼロだと、先ほどの基準ですと、日本の公取は課徴金を課せないわけです。しかし、日本の会社がEUで売上げがゼロでもEU側は制裁金を課せるということになるんです。これはちょっとイコールじゃないのかな、対等じゃないのかなと思ってしまうんです。
 その点、どうでしょう。私はこれはもう対等にする改正を今回すべきだったのかというふうに思っていますけれども、いかがでしょうか。
#21
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の点につきましては独占禁止法研究会でも検討がされまして、その報告書では、国際的な市場分割カルテルなどにおきまして、日本国内で売上額が生じない事業者に対する課徴金の賦課という提言がなされておりました。
 公正取引委員会では、この報告書を受けまして、日本国内において、こうした国際的な市場分割カルテルなどにおいて、売上額のない事業者が違反行為から得る不当利得につきまして、この事業者の国外での売上額をもとに擬制することによりまして課徴金を課す制度を導入できないか検討いたしましたが、法制上の課題、この解決になお検討を要するということがございまして、本法案に盛り込むことは見送ったものでございます。
#22
○松平委員 そうですか。法制上の課題とおっしゃいましたけれども、私もちょっと勉強させていただきましたけれども、不当利得の考え方ですとかそういったところだと思うんです。私はやはり、逸失利益という考え方もあると思いますし、やり方はあると思うんですね。国際カルテルに対する抑止効果という観点から、やはり大局的に考えていただきたいなと思っています。
 実際、国際カルテルの事案で、日本の公正取引委員会は外国企業に対して何にもできないんじゃないかと。ちょっと甘く、済みません、言葉が悪くて、甘く見られている節がある、そういうふうに聞いております。
 やはり、このままでは国際カルテルを取り締まる気があるのかと疑問に思われることになってしまうんだと思います。その点があるので、引き続き積極的な御検討をお願いしたいというふうに思っています。
 今、EUが、域内で売上げがなくても制裁金を課せるという話をさせていただきましたので、域外適用についてもお聞きしたいというふうに思います。
 国外での行為に自国法を適用する、自国の領域を超えて自国法を他国に及ぼす、これを一般に域外適用と言っています。これはビジネスに関する法領域で多いと思います。今回の話題になっている競争法もそうですし、証券法、それから贈収賄の規制法などあります。
 日本では、ノーディオン事件ですとかマリンホース事件、こういった事件で、公正取引委員会が外国で行われた国際カルテルについて、国内では何らの行為も行っていない外国企業も対象として法的措置を行ったという事案、これの代表例だと思います。先ほどのブラウン管事件もそうだと思います。
 こういった域外適用、講学上、効果理論というふうに言われることもあります。なので、ちょっと私、用語の整理をさせていただきたいんですけれども、日本の独占禁止法というより、公正取引委員会として、効果理論というところ、採用しているというふうに言っていいのかどうか。ちょっと整理させてください。
#23
○諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま議員御指摘のように、効果理論という用語は講学上用いられているということは承知しているところでございます。ただ、当委員会としては、こうした用語を用いて法運用を行っているというわけではございません。
 ただし、独占禁止法は、国外で合意されたカルテルでございましても、それが我が国の自由競争経済秩序を侵害する場合には、同法の排除措置命令及び課徴金納付命令に関する規定の適用を認めると解するのが相当であるという最高裁判決、これは先ほど議員御指摘のブラウン管カルテル事件の話でございますが、平成二十九年十二月十二日、最高裁第三小法廷で出ております。当委員会としましては、本判決を踏まえまして法運用を行うということにしているところでございます。
#24
○松平委員 了解いたしました。では、こちらは域外適用ということで、私も用語を使わせていただきます。
 二〇一八年一月に公表された米国の司法省の統計を紹介させていただきます。
 シャーマン反トラスト法違反で米国当局から一千万ドル以上の罰金を受けた企業、百四十社あるんですけれども、一千万ドルなので十億九千万円ぐらいの金額になります。この罰金を受けた企業百四十社のうち、何と六十社が日本企業、日系含むんですけれども、日本企業だったということなんです。これは全体の四二・九%なんです。日本の会社が何と一位なんです。二位に米国企業が入って二十一社、三位にドイツ企業十三社。司法省のホームページを見ると、日本人経営陣の個人起訴件数も訴追されたのは六十名を超える状況になっている。大変多い状況になっています。
 日本企業がもちろん、米国のコンプライアンス基準におくれをとってというか、日本のコンプラ基準のまま米国進出して反トラスト法に違反してしまうという事例が多いのかなとは思うんですけれども、私、中には、日本国内で行われたカルテルに域外適用されてしまって摘発されたという事案も少なからずあるんじゃないかと思っています。
 アメリカが域外適用し出したのはかなり昔からの話だったんですけれども、これに対して、各国は対抗立法して対抗していくという動きもあったと聞いています。イギリス、英国ですね、イギリス、オーストラリアが有名ですね。対抗立法の内容としては、自国の事業者が外国に対し文書を提出することを禁止することができるという内容ですとか、域外適用している国の判決の承認、執行を拒否する、そういった内容になっています。
 これに対して、日本は今までこういった種類の対抗立法を制定してきていないというふうに理解していますけれども、この日本、対抗立法を制定してきていないという事実、これは合っているということでよろしいですか。確認させてください。
#25
○諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国におきましては、米国による反トラスト法のいわゆる域外適用、これに対する対抗立法というものを講じているという事実はございません。
#26
○松平委員 今まで事実はないということ。
 では、今後どうしますかね。対抗立法することというのは検討はされていますでしょうか。
#27
○諏訪園政府参考人 お答え申します。
 今後、当委員会として何か、米国など諸外国の競争法の域外適用に対して対抗立法を検討するといった考えは、今のところございません。
#28
○松平委員 わかりました。
 それでは、このアメリカの、米国の反トラスト法の域外適用が過剰であるということについて、日本としてどういった立場を表明されているんでしょうか。
#29
○風木政府参考人 お答え申し上げます。
 これまで政府として、米国の外の事業者同士が米国外で行われた取引におけるカルテルに関しまして米国の裁判所で争われているケースにつきまして、特に民事訴訟、民事損害賠償のケースが多いんですが、米国裁判所に対して、こうした取引に米国競争法を適用することへの懸念を表明しております。アミカスブリーフという手続がございますので、法廷の友として意見表明をしております。
 具体的には、外国事業者同士が外国市場において行った取引における損害の賠償のために米国の管轄権を行使するということになりますので、これは、我が国の主権を間接的に侵害する、国際的に議論されています国際礼譲に反するということを主張しております。
 経済産業省としてもこの立場を維持しておりまして、議員御指摘のとおり、過度な競争法の域外適用は避けられるべきだというふうに考えております。
#30
○松平委員 日本政府としてきちっと意見表明されているということで、安心いたしました。
 私も、本当に国際礼譲に反するんじゃないかなというふうに思っています。やはり、日本が独占禁止法を適用できる範囲というのは、日本の独禁法の適用を優先すべきであると思っています。これは、ちょっと今からお話しします二重処罰的なところにも反してしまうんじゃないかなと。米国で制裁を受けて、同じく日本でも課徴金を受けてしまうということも生じ得るので、この辺、本当にどうなのかな、整理する必要があるのかなというふうに思っています。
 今、経産省の方にお答えいただいたんですけれども、この国際礼譲について、公取の考え方というのもお聞きしたいなというふうに思います。いかがでしょうか。
#31
○諏訪園政府参考人 お答え申します。
 ただいま議員御指摘のありました国際礼譲につきましてでございますが、OECDの方で、競争法の審査及び手続に関する国際協力に係る理事会勧告というのがございまして、この中で、ほかの支持国、これはOECDを支持しているということですね、地域の競争法のもとで行われている審査及び手続が、自国の重要な利益に影響を与えると思料する支持国、OECDに対する支持国、地域は、当該他の支持国、地域に対し、当該事項に対する自国の見解を伝達する又は協議を要請すべきである、こういうふうな国際礼譲についてのルールを定めております。
 これに基づきまして、我が国公正取引委員会が提携しております二国間の独占禁止協力協定ほかにおきましても、その多くにおいて、国際礼譲を尊重すべきであるということは明示的に規定されております。当委員会としても、国際礼譲を尊重した上で、適切な法運用を行っていくということが重要であると考えているところでございます。
#32
○松平委員 まさにそのとおりであると思います。
 この点、今回の法改正に絡んで言いますと、独占禁止法研究会の報告書でこういう指摘がありました。諸外国の制裁金の対象となる商品又は役務の売上額と重複する場合等、違反行為者にとって課徴金が過大となるケースに対応するため、一定の場合には課徴金の算定となる売上高から除外することができるようにすることが適当というふうな指摘もありました。これもなかなか的を得た指摘なのかなというふうに思いました。
 憲法三十九条で、二重処罰の禁止を定めております。この二重処罰の禁止、国外で科されたものと国内で科されるものと、その二つの、二重処罰の禁止というところまで適用があるかどうかというのはちょっとわからないんですけれども、少なくとも、その趣旨、精神というものは尊重をされていいのじゃないかなというふうに思います。
 やはり、アメリカの反トラスト法、本当に、域外適用も過重になってきているという現実もありますし、それからEUの競争法も、先ほど割りつけの話もありました。それから日本も、独禁法、域外適用を認める方向というところですので、どうしても、課徴金それから制裁金の重複というものは生じてくると思います。
 この課徴金、それから外国で言う制裁金の重複について公取としてどう考えるのか、お聞かせください。
#33
○諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。
 今議員から御指摘ございました、諸外国の競争当局が重複して制裁金あるいは課徴金を課すべきでないという御指摘がさまざまなところでなされているということについては、私どもも承知しているところでございます。
 他方で、カルテルにつきましては、米国のように刑事罰が科される国、それから、EUのように行政制裁金が課される国、また、我が国のように課徴金と刑事罰が併科されることがあるような国がありまして、それぞれに異なっております。また、制裁金等の賦課につきましては、これはすぐれて各国の国家主権にかかわるものであるという御指摘もございまして、こうしたことなどを踏まえますと、なかなか、制裁金、課徴金が重複しないように調整を行うということについては、慎重な検討が必要とされているというふうに考えているところでございます。
#34
○松平委員 やはり、企業にとっては過度な負担ともなりますし、国際的な法の安定性というところもあると思います。これからどんどんどんどんグローバリゼーションが進んで、世界をまたいだ経済活動が行われるようになるというので、私は、競争法の国際的なハーモナイゼーション、これは進めるべきだというふうに思っています。
 全体的な意味で、日本としてこの国際的なハーモナイゼーションというところをどのように考えていくのか。その方針的な部分であるとか今後のところ、委員長、お聞かせいただければというふうに思います。
#35
○杉本政府特別補佐人 経済活動がグローバル化することに伴いまして、事業者は多くの国の競争法を遵守することが求められているということになっておると思います。
 したがいまして、国によって従うべきルールが異なることになれば事業活動の妨げになりかねないということは、先生御指摘のとおりだと思います。したがいまして、各国の競争法、競争政策のハーモナイゼーションを積極的に図る必要があると考えております。このような観点から、私ども公正取引委員会でも、多国間の協力の機会を活用するなどして、委員御指摘のハーモナイゼーションに向けた取組に積極的に加わっているところでございます。
 実際、多国間の取組といたしまして、競争法執行における手続面及び実体面の収れんの促進を目的として二〇〇一年に発足いたしました国際協力ネットワーク、略しましてICNと申しておりますが、こういうところにおきましても、具体的にベストプラクティスをつくって、ハーモナイゼーションを図っていこうという試みが進められておりまして、私どもも積極的にそれに貢献しているところでございます。
 また、OECDにおきましても、国際協力に関しましていろんな考え方を議論しておりまして、整理されているところでございますので、そのOECDの議論にも積極的に貢献していると考えているところでございます。
 また、東アジア地域の競争当局のトップを招く東アジア競争政策トップ会合におきまして、これは当委員会の主宰のもとで二〇〇五年から開催しているものでございますが、東アジア地域における競争当局間の協力関係の強化ということにも努めているところでございます。
 このような活動を通じまして、今後とも、競争法、競争政策のハーモナイゼーションに向けた努力、取組を続けていきたいと考えているところでございます。
#36
○松平委員 ぜひお願いしたいと思います。
 今、御答弁の中で執行の手続面に関するお話とか出ましたけれども、まさに、域外適用があると、この執行の手続面というところも非常に影響してくるのかと思います。いかに外国の事業者に自国の競争法を適用するか、適用して執行するかというところが重要になってくると思います。
 そういった意味で、ちょっと具体的にお聞きしたいんですが、外国に所在する事業者への調査それから執行、どういった対応をされているのか、お聞きさせてください。
#37
○南部政府参考人 お答えいたします。
 外国事業者に対する報告命令あるいは排除措置命令等の送達につきましては、日本国内にその外国事業者の支店や営業所などがある場合には、あるいはその代理人が選任されているといった場合には、当該支店あるいは代理人に対して直接に送達を行うということになります。
 他方、日本国内に支店等がございませんで、日本国内の代理人も選任されていないといった場合であれば、当該外国政府からの応諾が得られるということを前提に、当該外国に駐在いたします日本の領事等に嘱託をし、在外公館等から当該事業者に送達を行うということになります。この送達方法は、領事送達というふうに言われているところでございます。
 また、外国政府から当該領事送達について応諾が得られなかったといった場合などにおきましては、送達をすべき書類をいつでも交付すべきという旨を公正取引委員会の掲示場に掲示をするということにより行う、いわゆる公示送達ということを行うということになります。
 ちなみに、公正取引委員会の行政調査は、当然、いわゆる間接強制ということですから、実効性が担保されるものであります。例えば、これらの方法により報告命令に係る送達を行っても当該事業者が従わないという場合には、独占禁止法上の罰則の対象となり得るということでございます。
#38
○松平委員 なるほど、ありがとうございます。
 やはり、やりやすいのは代理人が選定されている場合だと思うので、これはもしかしたら、その執行面を考えると、代理人の選定義務みたいな議論もしてもいいのかなというふうにも思います。これはジャストアイデアですけれども。
 次、行かせてください。
 今回の改正で、犯則調査手続における電磁的記録の証拠収集手続の整備というものも行われました。こちらもちょっと域外適用との絡みで聞きたいので、まず、この電磁的記録の証拠収集手続の整備の内容、具体的な内容を教えていただいてもいいですか。
#39
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 適時的確な証拠収集を可能にするという観点から、独占禁止法の犯則調査手続におきます電磁的記録の証拠収集手続を整備するというものでございます。
 具体的には、記録命令つきの差押えでありますとか、接続サーバー保管の自己作成データ等の差押え、送信履歴の電磁的記録の保全要請、そして、電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備、こうしたことを行うものでございます。
#40
○松平委員 先ほどの絡みで言うと、データの保存先のサーバーですとかクラウドですとか、これが海外にある場合の取扱い。差押えの場合、これはどういうふうに考えればいいか。どういうふうに考えていらっしゃるか教えてください。
#41
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な調査手法がどのような場合に許されるのかということにつきましては、事案ごとに応じて判断されるべき事柄でございますので、一概にお答えすることは困難なところはございますが、法改正が行われた場合には、他法令、こうした手続につきましては刑事訴訟法や国税通則法などの規定がございますが、他法令における類似の制度の解釈でありますとか運用状況を参考として、適切な調査方法を用いていきたいというふうに考えております。
#42
○松平委員 済みません、全くお答えしていただいていないような気がするんですが。
 では、海外にある場合どうするかというのは、もうちょっと具体的にお答えいただくことはできないものですか。
#43
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 海外にあるといっても、さまざまな状況と事業者との関係があると思いますので、もちろん可能な限りそうした情報収集を行っていきたいと考えておりますが、犯則調査手続ということになりますと他の法令との関係もございます。こうしたことも見ながら、今後しっかりと進めていきたいと考えております。
#44
○松平委員 わかりました。了解です。ちょっと私もまたこの点は今後議論させていただきたいと思います。
 次、課徴金の算定基礎の話に戻らせていただきます。
 現行制度で、課徴金の算定基礎は、当該商品又は役務の売上額と規定されております。この当該商品又は役務の解釈、これはどのように解釈されているか教えてください。
#45
○南部政府参考人 お答えいたします。
 当該商品又は役務といいますのは、カルテルについては、違反行為の対象となる商品又は役務の範疇に属する商品又は役務であって、当該違反行為による拘束を受けたものというふうに解釈されております。
 また、入札談合等の受注調整につきましては、違反行為である基本合意の対象とされた商品又は役務であって、基本合意に基づく受注調整等の結果、具体的な競争制限効果が発生するに至ったものをいうというふうに解されているところでございます。
#46
○松平委員 談合の方ではなくてカルテルの方でいいんですけれども、対象商品の役務の範疇に属するという要件、それからもう一つは拘束を受けたという要件でよろしいですか。はい。
 例えばこの算定基礎を争うということになった場合、実務上、拘束を受けたという要件、相互拘束の要件で争うというのは非常によく行われていることだと思っています。なので、この二つ目の相互拘束の要件というのは非常に重要です。
 独禁法の研究会の報告書で、相互拘束の要件を立証するために、違反行為に関与していた従業員等からの供述調書に頼らざるを得ず、事業者とその従業員の負担がふえている、そういった理由で、違反行為の対象とされた商品又は役務の売上額については、一律に課徴金の算定とすることが適当と考えられるというふうに指摘されています。つまり、二つ目の拘束の要件は外そうよ、そういう御指摘なのかなというふうに思います。
 それで、それを前提にこの改正法案を見ると、当該商品又は役務の文言、これは変更ありません。ということは、先ほどお答えいただいた解釈、二つの要件というものがそのまま生きている、拘束の要件というものはそのままなのか、そのままなのだという理解でいいのか、教えてください。
#47
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、その報告書で、売上額ごとに相互拘束とか具体的な競争制限効果の有無について検証を要する現行の当該商品又は役務、これを見直し、違反行為の対象商品の売上額の全てを課徴金の算定基礎とすることという提言がされておりました。
 公正取引委員会では、この報告書を受けまして検討を行いましたが、違反行為の対象商品の売上額の全てを課徴金の算定基礎とすることは、従来の課徴金制度の趣旨から乖離するかどうかという点で、法制上の課題がございました。
 従来の課徴金制度の趣旨と申しますのは、違反行為に基づく不当利得相当額をベースとしつつ、不当利得相当額以上の金銭を徴収するという仕組みとして、違反行為を抑止するために違反行為者に対して金銭的不利益を課す法制上の措置ということでございますが、そういう法制上の課題がございまして、今回の改正ではこの規定の改正は見送ったということでございます。
#48
○松平委員 なるほど。法制上の課題というところなのかと思いますが、やはりそうなると、立証のハードルが高過ぎるという指摘もあるんですけれども、その点は大丈夫なんでしょうか。
#49
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、審査段階では、引き続きこれまでと同じように子細な事実認定を行うという必要はこの点についてございます。
 他方、今般の改正による新たな課徴金減免制度、これを適切に運用することによりまして、より効率的、効果的な事件処理を行うことができるようになるとも考えております。
#50
○松平委員 はい、わかりました。
 では、また引き続き、運用面、注視させていただきたいと思います。
 それでは、次、また大きなトピックであります、弁護士の秘匿特権についてお聞きしたいと思います。
 今回認めようとしている秘匿特権の範囲について教えていただきたいと思います。対象物件の範囲というところの観点から教えていただければと思います。
#51
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの制度は、事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した文書に関しまして、所定の手続により一定の条件を満たすものであると確認された場合には、審査官がその文書にアクセスすることなく、速やかに事業者に還付するというものでございます。
 この対象となる文書は、カルテル等の不当な取引制限に関する法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載したものでありまして、これに限られるということでございます。
#52
○松平委員 日本では今まで秘匿特権は認められておりませんでしたので、日本で当局に情報を提供してしまって、海外の関連会社から、日本は秘匿特権を放棄してしまったんじゃないかというふうに言われてしまうということもよくありました。ですので、今回の改正、一歩前進として考えています。
 しかし、対象手続は限定されているというお話です。対象行為として、不当な取引制限に係る違反行為のみということでよろしいんですよね。そうですね。はい。私、これは問題だと思います。やはり、独禁法の調査手続全体というものを対象とすべきだというふうに思っています。
 例えば、弁護士が事前に相談を受ける場合、何の相談かはっきりしない場合が多いと思うんです。不当な取引制限に係るものなのか、不公正な取引方法に係るものなのか、やはり区別がつきにくい部分だってあると思うんです。そうなると、不当な取引制限以外の話かもしれないということで、相談の秘密が保障されるか明らかじゃない。秘密が保障されるか明らかじゃないと、全ての事実を開示して弁護士に相談することというのがちゅうちょされてしまうおそれもあるんじゃないかなというふうに思うんです。
 そもそも、適正手続というものを確保する観点というのはカルテルに限られない。事業者が当局と協力して事件の解決を行うというのはリーニエンシーだけじゃない。真実というものは適正手続の中でこそ担保されるものであるというふうに思っています。したがって、弁護士が関与する適正手続の保障という、弁護士関与のもとで適正手続は保障されるんだという制度本来の趣旨に即した制度設計をすべきなんじゃないかなというふうに思っています。
 ですので、私は、今回の改正は足りないんじゃないか、独禁法、調査全体を対象とすべきなんじゃないかと思っています。
 今の点についてどうお考えか、教えていただければと思います。
#53
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 本制度は、カルテル、談合、いわゆる不当な取引制限を対象にしているわけでございます。独占禁止法で禁止している不当な取引制限というのは、秘密裏に行われるものでございまして、物証が乏しく、違反事実を明確に示すようなものも難しいという面がございます。
 こうした不当な取引制限に固有の事情に鑑みまして、今般の法改正によりまして、新たな調査協力減免制度、これが設けられますと、いわゆる自主的な調査協力度合いに応じて課徴金の減算額が決定されるとなりますので、調査協力を行うかどうか判断する、また、調査協力を効果的に行うために外部の弁護士に相談するという事業者のニーズがより高まると考えられます。
 このため、このようなニーズに対応して、新たな課徴金減免制度をより機能させるなどの観点から整備するものでございますので、その対象を、この制度の対象違反行為でありますカルテルなどの不当な取引制限の行政調査手続としているところでございます。
 一方、我が国では、いわゆる秘匿特権を認める明文上の規定はございませんので、そうした中で、今般の法改正にあわせて、独占禁止法上の固有の事情に鑑みまして、不当な取引制限の行政調査手続に限定したということでございます。
#54
○松平委員 今回はこれで始めるものだとしましても、やはり将来的な課題として引き続き検討していく。海外と比べると日本は狭いので、先ほど国際的なハーモナイゼーションの話もありましたけれども、その点に鑑みても、やはり将来的な課題として今後も考えていくべきだというふうに思っています。
 その点に関してはいかがですか。
#55
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 対象範囲の拡大についてはいろいろ御意見をいただいております。
 ただ、お尋ねの制度を独占禁止法の全ての違反行為類型に拡大するという場合には、例えば、特に中小企業が被害者となることが多い違反行為類型であります優越的地位の濫用、これにつきましては、新たな課徴金減免制度のような調査協力インセンティブを高める制度が整備されておりませんので、審査期間が長期化するのではないか、そうした懸念を主張する向きもございます。これは中小企業団体からの懸念でございます。
 また、カルテルなどの不当な取引制限が新たな課徴金減免制度の対象となっているといった固有の事情を離れて、対象範囲を拡大する、又は犯則調査手続にも拡大するとなりますと、本制度は一般的、普遍的なものと位置づけられることとなり得ますので、この場合には、我が国でいわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める明文上の規定はないこととの整合性が問題となるほか、他の行政調査手続でありますとか司法手続に及ぼす影響についても懸念がございます。
 したがいまして、今後、対象範囲の拡大を検討するに当たりましては、こうした他法令への影響を及ぼすことがないよう、また、中小企業への懸念なども留意しつつ検討する必要があるというふうに考えております。
#56
○松平委員 「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の取扱いについて」という文書がありまして、そこの「その他」のところですね、「他の国における競争法の違反被疑事件と関連する国際的独占禁止法違反被疑事件など、本制度の対象範囲の拡大について、早急に検討する。」とあります。
 ただ、今の御答弁だと、ここの「早急に検討」というところとちょっとそごがあるんじゃないかなと。今の御答弁が何かちょっと消極的なふうに聞こえたので、そこの辺、確認させていただいてもいいですか。
#57
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 委員にも引用していただきました文章のその続きのところでございますが、「この検討に当たっては、本制度の運用開始後の状況を踏まえ、中小企業に不当に不利益を与えることとならないよう、また、他法令への影響を及ぼすことがないよう、留意する。」ということでございます。
 本制度の運用、いろいろな懸念もございますので、本制度をしっかりとまず運用を開始いたしました後に、その状況を踏まえた上で、中小企業への不利益や他法令への影響も踏まえて早急に検討していくということを考えております。
#58
○松平委員 先ほどの御答弁、早急というふうな言葉がなかったように聞こえたので、ちょっと指摘させていただきました。
 それから、ちょっと具体的に一つお聞かせください。
 秘匿特権の対象物件として、規則で、一次資料、事実調査資料は除かれる方向ということをお聞きしました。
 それでは、ヒアリングメモ、法的意見を提供するために弁護士が作成するこういった資料について、ヒアリングメモとかの扱いはどうなるのか、聞いてもいいですか。
#59
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの、弁護士が作成したヒアリングメモにはさまざまなものがございますけれども、一般的に申し上げますと、例えば、従業員などがみずから経験した事実関係を弁護士が聴取して、その従業員などの陳述書として取りまとめた資料、それのみの資料ということになりますと、通常、法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した物件、これには該当しないものと考えております。したがいまして、そうしたものは、一次資料でありますとか事実調査資料と同じように、お尋ねの制度の対象外として取り扱うことになるものと考えております。
#60
○松平委員 弁護士のインタビューメモを、扱いを外すとなると、これは欧米の水準から外れていると思うんですよね。やはり相談を幅広く保護すべきだと思っています。
 いずれにせよ、何が秘匿特権に当たって何が当たらないかというのをきちんと明確にしてほしいと思いますので、これは指針とかでちゃんと具体的に明確になるということでいいですか。
#61
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、弁護士が作成したヒアリングメモ、そうしたものを含め、何が対象になるかなど具体的な取扱いにつきましては、公正取引委員会が整備する指針などにおいて明確化し、制度の透明性、予見可能性を確保することとしたいと考えております。
 この指針の策定に当たりましては、関係省庁や関係団体としっかり意見交換を行いまして、本制度の導入までの間に、周知期間も考慮した上で、指針案について、もちろんパブリックコメントも実施して、広く意見を求めることというふうに考えております。
#62
○松平委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それから、ちょっと最後のトピック、域外適用ですとかそういった話も冒頭させていただきましたので、外国の競争当局との連携についてお尋ねしたいと思います。
 今回、調査協力で得た情報、これを外国の競争当局に情報提供したりすることはあるのか。その辺について、まず前提としてお聞かせください。
#63
○諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のありました情報提供の範囲でございますが、公正取引委員会としましては、これまで、米国、欧州委員会、カナダ等との間で独占禁止協力協定を締結しておりますが、オーストラリアやシンガポールなど十一の競争当局との間で協力の覚書を結んでおります。また、EUやスイスなど十六カ国・地域との間で経済連携協定を結んでおりまして、その競争章において国際協力に関して規定しているところでございます。
 こうした二国間独占禁止協定などにおいては、御指摘のありました情報提供というものについて、例えば通報ですとか自己の保有する情報の提供、こういったものが定められているところでございます。
 こうしたところについては、公正取引委員会では、情報交換の協力を行うなどによって、国際協調のもと、執行活動の強化ということに努めているというところでございます。
#64
○松平委員 情報提供をされることがあるということですけれども。
 先ほどの秘匿特権の件と関連してお話しさせていただきたいんですが、日本の秘匿特権、対象は限られている。つまり、例えば不公正な取引方法とか私的独占に関するものは、これは秘匿特権の対象外になってしまうということになります。そうなると、この対象外の情報、これは、今のお話だと、海外の当局に流れてしまうのかな、そういうおそれがあるのかなと思うんですね。
 何で問題かというと、一方、海外では、今言った不公正な取引方法とか私的独占についての情報というのは秘匿特権の対象となるので、そうなると、海外からは秘匿特権の対象なので情報をもらえないんですけれども、日本では秘匿特権の対象じゃないから出ていくと、やはり不公平なところが出てくるのかな、非常に不都合なところが出てくるのかなと思うんですね。
 したがって、この点、どういうふうに考えておられるのか、最後、お聞かせください。
#65
○諏訪園政府参考人 お答え申します。
 独占禁止法第四十三条の二というのがございまして、ここで、外国の競争当局に対して情報提供を行うことができるということを規定しております。この同条第一項ただし書きにおきまして、情報提供を行うことが、この法律の適正な執行に支障を及ぼし、その他我が国の利益を侵害するおそれがあると認められる場合には、情報提供を行うことはできないというふうに規定しているところでございます。
 これは、情報提供を行うかどうかに当たっては、我が国の利益を侵害するおそれを踏まえまして判断することを規定したものでございまして、例えば、外国の競争当局に情報提供を行うことで事業者の協力が得られにくくなったり、その後の独占禁止法の執行に悪影響を及ぼすなどのおそれがある場合には、情報の提供を行うことはできないとしております。
 したがって、委員御指摘のありました私的独占や不公正な取引方法について、弁護士と依頼者の間の通信に係る文書が今回の法改正に伴う保護の対象から外れるということからして、直ちに海外の競争当局に対する情報提供の対象になるというわけではございません。提供するかどうかは、全て公正取引委員会の判断に委ねられております。
 こうした文書の取扱いにつきましては、公正取引委員会としましては、審査活動に与える影響を踏まえまして、十分慎重に対応してまいりたいと考えております。
#66
○松平委員 安心しました。というか、ぜひとも十分に慎重な御対応をお願いしたいと思います。
 時間が参りましたので、これにて質問を終わります。どうもありがとうございました。
#67
○赤羽委員長 次に、浅野哲さん。
#68
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は独占禁止法の改正案について質疑をさせていただきますけれども、今般、本当に、日本経済、産業界、グローバル化が進展している中で、国内企業のみならず、海外からの国内市場参入者も含めて、いかに公正公平な取引を実現するか、そういう視点で本日は質問を用意をさせていただきましたので、ぜひとも真摯かつ建設的な議論をさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初の質問なんですけれども、本日、資料の一をごらんいただければと思いますが、こちらの上の部分のグラフには、過去、平成二十五年度から二十九年度までの五年間で、独占禁止法に反した行為を行ったことによって排除措置命令を受けた件数というのが推移として載っております。
 棒グラフと折れ線グラフが二種類載ってございまして、折れ線グラフの方は、これは対象となる事業者の数というのがトータルで記載されているんですけれども、この内訳といったものをまずは簡単に御説明いただけますでしょうか。
    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕
#69
○南部政府参考人 お答えいたします。
 内訳、排除措置命令の件数で見ますと、上の表でございますけれども、価格カルテルが、下から見て、八件、それから入札談合が二件、民間部門の、黄色のところですけれども、受注調整が七件、それ以外が一件ということ。これを二十九年で見ますと、同様でありますけれども、価格カルテル一件、入札談合五件、民間部門の受注調整が五件、それ以外が二件ということでございます。
 これを事業者の数でお答えいたしますと、平成二十五年度の価格カルテルにつきましては三十六名、それから、入札談合につきましては五十二名、受注調整につきましては百二十一名、それから、それ以外が一名ということ。平成二十九年度につきましては、価格カルテルが二名、入札談合で十八名、受注調整で十九名、それ以外が二名といった、こんな内訳でございます。
#70
○浅野委員 ありがとうございます。
 皆さんのお手元には、配付資料の一の下段に、今の答弁の内容、これは公取の方にまとめていただいたものですけれども、各年ごとに記載をしてございます。
 今回の独禁法、改正をする必要性について、ちょっとこのグラフを用いながら議論をさせていただきたいんですけれども、このグラフを見ますと、平成二十五年度というのは、違反をした事業者の数の方のグラフを見ておりますが、例えば黄色の、受注調整をした業者が百二十一者と、かなり多いのが目立つと思います。
 そして、二十六年度を見ますと、今度は価格カルテルを行った事業者が百二十一者ということで、こちらも非常に目立つわけでございますが、例えば、こちらの主な内容といったものというのを御紹介いただけますでしょうか。
#71
○南部政府参考人 お答えいたします。
 違反行為の内容、内訳について一概のお答えというのは難しいと思うんですけれども、過去五年をならして見ると、民間部門の受注調整であるとか入札談合に対しては相当程度対処してきているということでございます。
 それから、業種につきましても、なかなかこれは一概にお答えすることは難しいんでございますけれども、例えば平成二十五年度当時につきましては、建設業に係る入札談合であるとか民間部門の受注調整事案というものが多かったと思われますけれども、近年では建設業に限らず違反行為に係る業種が、多少の多様化が見られるんじゃないかというふうに考えております。
#72
○浅野委員 全体的なお話、傾向を御答弁いただいて、ありがとうございます。
 資料をいただいて私の方で少し調べたところ、例えば平成二十五年度のこの黄色い部分、受注調整を行った百二十一者のうち、実は百二十一者全てが送電網の改修工事に関連する工事であったということであります。
 なぜ送電網の改修工事が行われたのかというその背景をたどっていきますと、東日本大震災の際に、電力事業者が大きな支出が必要になり、経営の合理化の必要性が生まれ、その結果、この送電網の再整備という一つの手段として行った結果、その発注の中でこうした受注調整が行われていたということを知りました。
 また、同じく平成二十五年度の五十二件、五十二者がかかわっていたという入札談合ですけれども、この五十二者のうち、これも五十二者全てが千葉県内で実施をされた土木工事。特にこの工事の内容には、震災のときに液状化が起きましたよね、あの液状化の地域の復旧工事もその中には含まれていたということで、これもまた震災に関与する事案でありました。
 次の平成二十六年度は、調べたら、実は震災関係ではなく、ある段ボール業界で行われたカルテルだったということがわかったわけです。
 私が言いたいのは、この震災に起因した公共事業で平成二十五年度は非常に大きな数字が出ているんですけれども、それ以外の年は、段ボールのカルテルを除けば、それほど上昇傾向ではないし、減少傾向にもありませんけれども、年間、比較的低いレベルで推移をしているというのが現状であります。
 そういう認識なんですが、この独占禁止法改正をなぜ今行うのか、そして、今回、減免制度を見直ししたりすることで違反事業者がいなくなるように、減少していくような内容になっていますけれども、なぜ今このタイミングでやる必要性があるのか。この部分について改めて答弁をいただきたいと思います。
#73
○杉本政府特別補佐人 独占禁止法の現行の課徴金制度は、一律かつ画一的に算定、賦課するものでございますため、事業者の調査協力の内容を勘案して課徴金を決定することができないことから事業者による協力が促進されず、効率的、効果的な真相解明、事件処理に支障が生じていると考えております。また、事業者の経済活動の、企業形態の多様化、複雑化が進む中で独占禁止法違反行為も多様化、複雑化しておりまして、そのような真相を踏まえて機動的に対応して適切な課徴金を賦課することができない事案が生じているところでございます。
 このため、公正取引委員会の調査に協力するインセンティブを高める仕組みを導入いたしまして、事業者と公正取引委員会の協力による効率的、効果的な真相解明、事件処理を行う領域を拡大するとともに、複雑化する経済環境に応じて適切な課徴金を課せるよう、所要の改正を行いたいと思っているところでございます。
 先生御指摘のように、毎年、措置命令、法的措置をする案件はいろいろありまして、多岐にわたっております。こういう問題に対してやはりより効率的、効果的に事案を処理していくという要請は非常にますます強くなっていると思いますし、さらに、事案が複雑化していることによりまして、その複雑化した事案の解明、複雑化した事案に対して課徴金を対応していくという必要性に迫られているということでございます。
#74
○浅野委員 ありがとうございます。
 複雑化しつつあるこうした事案に対して適切に対応するというその必要性は私も理解はできますので、しっかり、この法案の中身についてはその趣旨に合った運用をお願いしたいんです。
 私から一つ言いたいのは、今申し上げたこのグラフを見ると、例えば東日本大震災のような大きな被害、インフラが被害を受けたりあるいは大規模な何らかの影響が及ぶような事案が発生した直後に、やはりこういうカルテルとか受注調整とかというのはどうしても上昇する傾向にありますので、そういうタイミングで、しっかりこうした取引環境を適切に保持できるような取組もあわせて必要なのではないかというふうに思いますので、ぜひそちらの視点でも今後取組を強化していただきたいというふうに思います。
 では、この後はこの法案の具体的な中身に入ってまいりまして、より実効性を高めるための幾つかの質問、議論をさせていただきたいと思います。
 まず、今回、独占禁止法改正によって算定期間を現状の三年から十年に延長するという見直しがされることになっておりますが、これは幾つかやはり懸念点がございまして、一つは、算定を十年前までさかのぼるというためには、そのさかのぼるための資料が残っていないといけない、残しておかなければいけないというふうに思います。
 しかしながら、現在の税法上では、税法の枠組みの中では、例えば、帳簿類というのは七年間というのが保存すべき期間というふうに定められておりまして、八年前から十年前までのこの期間というのは保存をしておく責任が発生しません。したがって、これは十年前までさかのぼろうとしても、必ずしもさかのぼれる保証はないという状況にありますが、やはり、このあたりをしっかり担保していく必要性はあるのではないかと思います。
 したがって、この算定期間を今回十年に延長することに当たって、実効性を確保するためにどんな対策が必要か、答弁をいただきたいと思います。
#75
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正で、これまでの期間三年を十年と変えたいと考えているわけでございますが、これは、違反行為期間が長期化しているということから、不当利得相当額以上の金銭を徴収して違反行為の抑止を図るというこの課徴金制度の趣旨、目的を果たすための改正ということでございます。
 近年では、三年を超え、平均して四年ぐらいという、長い事件では十年近い事件も存在するということでございます。
 そのため改正するわけでございますが、まず、十年とした理由の一つは、商法とか会社法など、他の法律では帳簿書類の十年間の保存義務が課されているということもあるということで、算定期間について十年前までさかのぼれるようにすることとしたものでございます。
 一方、帳簿書類の十年間の保存義務が課されているといたしましても、事業者の帳簿書類の一部が欠落していたり、公正取引委員会の調査に応じず、算定基礎資料を提出しなかったりするなど、適正な算定基礎の把握ができない事態も生じ得ると考えております。したがいまして、この法案におきましては、あわせて、算定基礎の実額が把握できない期間について当該事業者の算定基礎を推計し得る規定、これも整備しているところでございます。
#76
○浅野委員 今、最後の部分ですね、推定し得る規定を策定中だということですけれども、これは、もちろんその推定の精度を高めていただかなければいけないんですけれども、ぜひその際に配慮していただきたいのは、この推定をする際の透明性、納得性を高める、こうした対策というのは必要になるかと思いますので、今策定中であろうかと思いますから、その視点をぜひ盛り込んでいただいて、できましたら、事業者、現場の声も聞いていただいて、納得性のある内容にしていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移りますが、次は、先ほど松平委員も議論をされておりましたが、秘匿特権について議論をさせていただきたいと思います。
 私の理解では、今回、この課徴金減免制度の手続の中で、事業者と弁護士が過去に相談をした内容を判別官がこれは証拠か証拠じゃないかというのを判別をして、その後、審査官にその証拠類を提出する、そんな手続がございます。
 これは秘匿特権が認められているかいないかといえば、認められていないという判断がされる手続でありますけれども、過去、独占禁止法研究会という公正取引委員会の中での研究会では、この秘匿特権をもっと認めるべきではないか、しっかりと、事業者と弁護士の間でやりとりされた内容は守られるべきじゃないかという議論もあったそうであります。
 これまでいろいろ議論をされてきた中で、結果的にはこの法案の中身のような内容になっていると思いますけれども、なぜ秘匿特権を認めずに今回のような手続にしたのか。その理由について説明をいただきたいと思います。
#77
○杉本政府特別補佐人 先生の御指摘にもありましたような、公正取引委員会が主催いたしました独占禁止法研究会、それから、自由民主党の競争政策調査会、独禁法を研究する法律ワーキング・グループにおきましても、本改正案の検討にあわせて、秘匿特権について、独占禁止法の法定化の有無を含めたさまざまな議論が行われたものと承知しております。
 その議論におきまして、仮に秘匿特権を独占禁止法に規定した場合、その権利が一般的なものとして位置づけ得るものになるため、その場合には、我が国ではいわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める法文上の明確な規定がないことからその整合性が問題になりますし、さらには、他の行政手続や司法手続に及ぼす影響、波及についても懸念が生じるという議論が強く出されたところでございました。
 こうしたことから、独占禁止法七十六条に、公正取引委員会は事件の処理手続において規則を定めることができると規定していることから、今般の制度を審査手続の一環として規則によって整備することとしたものでございます。
#78
○浅野委員 法文上の整合性がとれないといった課題もあるということで、私も今の答弁でその理由はある程度理解はできましたけれども、この法案だけで解決ができない問題だ、この秘匿特権を認めるかどうかというのは、ほかの法令もあわせてセットで見直していかなければいけないという、簡単に言えばそういうことだと思いますので、この議論はぜひ今後も継続してやらせていただきたいというふうに思います。
 続いて、関連してですけれども、先ほど少し申し上げました判別官、今回は判別官という方が公取の中に位置づけられまして、この方が提出すべき証拠かどうかの判別を行うという仕組みであります。
 ちょっと今回問題提起したいのは、この判別官というのは公取の職員の方が行う、そして、提出された証拠を使って審査をする審査官も公取の職員の方が行うということで、どちらも公取の職員の方が行うわけです。そうすると、やはり事業者から見たときに、この判別官の方が公平公正な判断をしてくれるのかどうか、公正さが担保されているのかどうかというところが非常に重要な視点になってくるわけです。
 この公正さを確保するために、今回どのような対応をとっていこうとしているのか。このあたりの答弁をいただきたいと思います。
#79
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 判別手続の中立性、公正性を確保するという観点から、この判別手続につきましては、事件調査を担当する審査局の職員ではなく、事件調査に関与していない官房の職員が実施するということを考えております。また、調査に従事したことのある職員はみずからが従事した事件の判別手続には従事できない、そうした運用も行うことを考えております。
 さらに、判別手続を実施する職員には、弁護士などの法曹資格を有する人員を充てるということも含めて検討していきたいと考えております。
 こうした運用につきましては、今後整備する規則や指針などで明らかにすることなどによりまして、判別手続の中立性、公正性を確保していきたいと考えております。
#80
○浅野委員 ありがとうございました。
 こちら、大臣にも一言いただきたいんですけれども、この判別官の公正さというのが非常に大事だと私は思っています。
 最近のこの経済産業委員会での議論の内容を見ておりますと、例えば昨年、そしてことしも特許法の改正を行いまして、証拠提出手続の中で、提出すべきかどうか、あるいは現場に立入調査をすべきかどうかの判断をする人間は、第三者、直接のステークホルダーではない第三者がその役割を担うというような内容でありました。
 それだけ、こういう証拠を提出すべきかどうかという判断については公正さが求められるということの裏返しなんだろうというふうに思いますけれども、今回、この独占禁止法の改正においても、判別官の公正さを担保するというために第三者の活用という部分もぜひ御検討いただきたいというふうに思うんですが、この点について御所見を伺いたいと思います。
#81
○宮腰国務大臣 議員御指摘のように、判別官の外形的公正性の確保は重要であるというふうに認識をいたしております。
 今後、公正取引委員会において、お尋ねの制度を整備する際には、御指摘の点を十分に踏まえて検討されるものというふうに承知をいたしております。
#82
○浅野委員 どうもありがとうございました。
 ぜひ、今後の検討に当たっては、今の点、十分に御配慮いただきたいというふうに思います。
 次の質問になりますけれども、今回、課徴金減免制度の内容が一部見直されるということなんですけれども、この課徴金減免制度を受けた事業者というのは、言いかえれば、犯してしまった違法行為に対してしっかりと反省をし、捜査に誠実に協力をしたという評価を受けたという意味合いもあると思うんですね。
 事業者の立場からすれば、意図的にせよ意図的でないにせよ、やはり、その違反行為によって社会的責任が低下をしてしまうわけです。その後、その信頼を取り戻す作業というのは大変なものがあると思うんですけれども、しっかりと誠意を持って捜査に協力した事業者については、課徴金減免制度を受けた場合には、受けたという事実をしっかり公表して、表化して、この事業者は誠意を持って対応しましたよということを出していく、そんな、支援という言い方ではふさわしいかどうかわかりませんが、こうした対応も政府として必要だと私は思うのですが、やられているのかやられていないのか、やられていなければ、やる可能性はあるのか。このあたり、御答弁をいただければと思います。
#83
○南部政府参考人 お答えいたします。
 法運用の透明性確保といった観点から、現在の課徴金減免制度の適用を受けた事業者につきましても、各事件の報道発表等におきまして免除の事実あるいは減額の率を一律に公表させていただいているところでございます。この運用は今後も同じだろうと思います。
    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕
#84
○浅野委員 公表されているということで確認させていただきました。ありがとうございます。
 続いて、課徴金制度について引き続き質問させていただきますが、今回、この課徴金は、国内に売上げがあることを前提に算出をされるような数式になっております。ただ、その一方で、経済がグローバル化する中で、売上げが国内に上がらなくても国内消費者が直接取引をするようなケースというのも、これからどんどんたくさん発生していくんじゃないかと思うんですね。
 売上げが海外で計上されたとしても、消費者は国内にいて、取引される商品も国内にあってというようなケースというのも、これから場合によっては考えられるんじゃないか。特にIT産業なんかはその傾向が非常に顕著です。
 こうしたことを受けますと、今回、なぜ課徴金算定に当たって国内の売上げというのを前提にしているのか。この理由を改めて説明をいただきたいと思います。
 もう直接申し上げれば、今のIT業界とかの傾向を見ると、ちょっと時代におくれているんじゃないかという印象も持つわけでありまして、このあたりの理由を説明いただければと思います。
#85
○杉本政府特別補佐人 独占禁止法は日本市場における行為というものに着目して対応するものでございますので、そういうものに着目して課徴金をかけているというのが基本的な今の施策、制度の考え方でございます。
 したがいまして、日本市場において行動する者が、それは外国企業であろうと日本企業であろうと、それは関係なく課徴金の対象になるものと考えております。
 先生の御指摘の話は、国際市場分割カルテル等において、海外事業、いわゆる海外にしか売上げがないような企業に対して課徴金をかけるべきかどうかという御議論だと思います。
 この点に関しまして、私どものところでやっていただきました独占禁止法研究会、二十八年二月から二十九年三月の間に開催いたしましたが、その報告書の中では、国際市場分割カルテルに対して課徴金を賦課することが提言されております。
 したがいまして、私どもも、その報告書を受けて、国内において売上げのない事業者が違反行為から得る不当利得につきまして、当該事業者の国外における売上金をもとに擬制するというようなことについて課徴金を課す制度を導入できないかということを検討してきたところでございました。
 しかしながら、この制度につきましては、法制上の課題、法律上どういうふうにそれを仕組んで法律的な整合性がとれるかというところについてなかなかその課題をクリアする案ができませんでして、そこのところで引き続き検討することといたしまして、本法案に盛り込むことは見送ったということが実情でございます。
#86
○浅野委員 今の、海外の、国内に売上げのない事業者に対して何らかの形で課徴金に準ずるようなそういうペナルティーを与える方法というものについては、本日の参考資料の資料五を見ていただきたいんです。
 平成二十一年度にこの法律を改正した際に、この赤枠の中をごらんください、この課徴金制度、課徴金だけではなくある一定の制裁金のような制度はつくれないのか、現に国外の諸外国では制裁金という形でかなり柔軟な運用がされているという実績もありまして、そうした海外に倣って、課徴金というもう決まった数式で出された金額だけではなく、制裁金という形で、ある程度裁量を持った制度も盛り込めないのかという議論をした際に、当時の竹島公正取引委員長の答弁として、やはり今の課徴金制度は裁量性に欠けているのではないかというような趣旨の答弁もありました。
 この制裁金という制度の導入というのはできるのかできないのか。これは今公取の中で議論はされてきているんだとは思いますけれども、そのあたりの現状についてもし答弁可能であれば、教えていただけますでしょうか。
#87
○杉本政府特別補佐人 現在の独占禁止法の成り立ちからいたしますと、発生した不当利得以上のものを課徴金として徴収するんだという仕組みになっておりますので、それを超えて、先生おっしゃるような制裁金とか裁量性のあるような形で賦課するということについては、今の独占禁止法の中で織り込むということについてはなかなか法制上難しいというようなことに、いろいろ検討して議論した結果なっておりますので、そこのところはまた、どういうことで考えていくかということを引き続き公正取引委員会としては検討していくということが必要なんじゃないかと思っております。
#88
○浅野委員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
#89
○赤羽委員長 次に、笠井亮さん。
#90
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 本法案は、カルテルや入札談合に対する課徴金の算定範囲を追加することで独占禁止法違反行為の抑止を図ろうとするものであります。
 まず、宮腰担当大臣に伺いたいと思います。
 今回の課徴金制度見直しの背景と効果なんですけれども、現行の課徴金の算定方式では、いわば画一的、機械的な要件と方式で算出する仕組みになっているために、法が予定をしていない違反行為に対して適正な課徴金を算定、賦課することができないという問題が指摘をされてまいりました。
 本法案は、この問題を是正をして、そして、違反行為に対して適切な課徴金を課すというためのものということでよろしいんでしょうか。
#91
○宮腰国務大臣 独占禁止法の課徴金制度は、違反行為者に対して金銭的不利益処分を課すことによって違反行為を抑止するための行政上の措置として、昭和五十二年に導入されました。課徴金は、決定された算定方式に従って、一律かつ画一的に算定、賦課されております。
 しかし、現行の一律かつ画一的な課徴金制度は、事業者による調査協力を促進するものではありません。また、違反行為の実態に応じた適切な課徴金を賦課することができない場合が生じております。
 そのため、本法案により、事業者による調査協力を促進をし、適切な課徴金を課すことができるように改正をするものであります。これによりまして、不当な取引制限等を一層抑止をし、公正で自由な競争による我が国経済の活性化と消費者利益の増進が図られるというふうに考えております。
#92
○笠井委員 そこで、杉本公正取引委員会委員長に伺います。
 この課徴金の額というのは、算定基礎掛ける算定率マイナス減免額の方式で算定されるわけですが、最初に算定率について伺います。
 本法案のもととなった独占禁止法研究会報告書は、「現行の基本算定率が違反行為抑止という行政目的に照らして十分な水準とはいえない」というふうに指摘をしております。
 この法案は、現行の基本算定率一〇%を引き上げるというものになっているんでしょうか。
#93
○杉本政府特別補佐人 今般、課徴金の見直しに当たりまして、公正取引委員会が措置をとった事例による不当利得の推計を行いました。前々回の改正、十七年の改正でございますが、それで算定率を一〇%に引き上げたと考えておりますけれども、その当時と比較しまして、不当利得相当額の推計値が増加したような状況は認められなかったということでございます。このため、今回、算定率は一〇%に維持しているということでございます。
 他方、この法案によりまして算定期間が三年から十年に引き上げることにさせていただいておりますので、その延長に伴いまして、課徴金の水準が違反行為の実態に応じたより適正なものになるのではないかと考えておりまして、それによりまして違反行為の抑止効果は高まるのではないかというふうに考えているところでございます。
#94
○笠井委員 では、算定基礎を広げるということもあるというわけですが、広げることで課徴金水準全体の引上げにつながるものになっているかという問題でありまして、本算定率の経緯を振り返りたいと思います。
 まず、一九九一年に一・五%から六%へと四倍もの引上げが行われました。ところが、それでも違反行為が減らずに、繰り返し違反を行う事業者も後を絶たないために、二〇〇五年に一〇%へ更に引き上げたものであります。
 当時、一〇%にした根拠というのは、過去、一九九二年から二〇〇三年のカルテル事件、九六年から二〇〇三年の入札談合事件の違反事件の平均不当利得が一六・五%と、全体の九割が八%以上になっていたことに対応したものと聞いておりますけれども、伺いたいのは、二〇〇四年から二〇一四年の不当利得の平均値というのはどのようになっているんでしょうか。
#95
○杉本政府特別補佐人 先ほど申しましたとおり、独占禁止法研究会におきまして平成二十八年二月から二十九年三月までに検討を行いましたけれども、その間で、平成十六年度から平成二十六年度、二〇〇四年から二〇一四年でしょうか、の措置を分析したところ、推計することができた事案における不当利得の平均値は約一三・五%ということでございました。
#96
○笠井委員 不当利得の率というのは依然として高いままと。そして、二〇〇五年の基本算定率一〇%への引上げが、カルテルや入札談合など違反行為の抑止にしっかり結びついているかといえば、必ずしもそうとは言えないと。
 八十三件のカルテル、入札談合事件を個別に見ますと、不当利得率が三〇%を超える事件が十一件もあります。
 その中で、見て私も驚いたんですが、最も高いのは岡山市立の中学校の修学旅行価格カルテル事件ということで四一・七九%。これは、五つの旅行会社、近畿日本ツーリスト、東武トラベル、トップツアー、JTB中国四国、日本旅行が、修学旅行の貸切りバス代金や宿泊費、添乗員費用などの価格カルテルを結んでいたものでありますけれども、二〇〇九年七月に排除措置命令を受けたわけですが、課徴金はゼロだった。
 杉本委員長、この命令を受けながら、なぜ課徴金がゼロということなんでしょうか。
#97
○杉本政府特別補佐人 カルテルに対します課徴金の額というものは、違反行為の実行として事業を行った日から当該違反行為の実行として事業活動がなくなる日までの期間における、違反行為の対象となった商品又は役務の売上額に一定の比率を乗じて算定されるものであります。
 御指摘がございました岡山市所在の市立中学校の修学旅行を取り扱う旅行業者に対する件でございますが、この案件におきましては、合意が消滅した日より後に中学校との契約の締結が行われまして、課徴金の算定期間内における売上高が発生しなかった。すなわち、合意が消滅した後に契約の締結が行われたということで、課徴金納付命令を行わなかったものでございます。
#98
○笠井委員 このケースのような、数年後の取引を対象とした価格カルテルで、違反行為終了後に売上額が発生する場合には、現行法では課徴金の算定基礎に含まれないために課徴金がゼロとなってしまうということであります。
 報告書では、この事例は、「課徴金制度の趣旨・目的を踏まえると、課徴金を課す必要性は高い」というふうに指摘をしているわけですが、今回の改正法案では対象になるんでしょうか。
#99
○杉本政府特別補佐人 本改正により、御指摘のような事例に課徴金を課すことができるようになるわけではないと考えております。ただし、御指摘のようなことに関しましては、違反行為によって具体的に売上高が発生している場合に、売上高が全くない場合と異なり、課徴金を課し得る場合があるのではないかとも考えられるところでございます。
 他方、違反行為の終了後、時間を経過してから発生する売上高等が課徴金算定の対象になるか否かにつきましては、どの時点で売上げが立ったと認定すべきかという点が検討課題になってくると思っております。
 このような課徴金算定の対象となる売上額等についての具体的な算出方法においては、非常に法律、技術面的な面が強いところから、本改正の施行後に独占禁止法施行令を見直すことにしておりますが、その見直しの過程で、適切と考える方法がないのかどうか、そういうことを検討してまいりたいと考えているところでございます。
#100
○笠井委員 報告書ではさらに、課徴金制度の目的をより効果的に達成するためには、現実に得られた利益を剥奪するという観点よりも、違反行為の実施において違反行為者が一般的に期待し得る利得を徴収する観点を重視すべきだというふうに言っております。
 そこで杉本委員長に伺いますが、カルテルで四割もの不当利得を狙っていたことに着目して、課徴金の対象とすべき、こういうことじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。
#101
○杉本政府特別補佐人 今の課徴金制度の法律的な成り立ちが、現実に起こりました国内での売上高を参考に、そこから不当利得の水準というものを考えていくということになっておりますので、そういった枠組みのもとで判断するということにならざるを得ないと考えております。
#102
○笠井委員 金融商品取引法では、インサイダー取引に対する課徴金に、違反者が期待していた利得を徴収するという考え方が既に取り入れられております。我が国法体系とも整合して、さらに、違反行為の抑止という課徴金制度の目的をより効果的に達成することにもなるんじゃないか。
 諸外国の例も見ながら、研究、検討を進められたいと強く求めておきたいと思います。
 次に、算定期間について確認をいたします。
 法案では、算定期間を三年から十年に延長するとしております。一九七七年の課徴金制度導入時には算定期間の上限はなかったんですが、一九九一年改正時に三年とされました。それまでの課徴金納付命令対象事件の実行期間というのは平均一年二カ月、三年を超えるものは例外的であるために、抑止力は低下しないなどを理由として挙げておりました。
 そこで杉本委員長に伺いますが、二〇〇九年から二〇一五年の課徴金賦課事件百三件の平均違反行為期間というのは何年でしょうか。うち、三年を超える件数となっているのは何件か。その割合はどのような割合になっているでしょうか。
#103
○杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきたいと思います。
 平成二十一年度から平成二十七年度、二〇〇九年から二〇一五年度において課徴金が賦課された百三件の事件でございますが、この事件で見ますと、違反行為の期間は平均年数で約四年、正確に申し上げますと、三年十カ月二十五日となっております。
 また、違反行為期間が三年を超える事件は七十五件ございまして、全百三件のうち、割合で申し上げますと、約七三%を占めているという状況になっております。
#104
○笠井委員 算定期間の上限が三年とされてきたことで、三年を超える長期間のカルテルや談合での不当利得に対して課徴金をかけられない問題が生じてきた。自動車部品にかかわる価格カルテルなど、長いものでは十年近く続いているものもあります。だから、見直しというのは当然だと。
 そこでなんですけれども、算定期間を三年から十年に延長するということでありますけれども、EUとかイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、韓国などでは上限が設けられていない。日本でも上限を撤廃すべきではないか。こういうことについてはいかがですか。
#105
○杉本政府特別補佐人 課徴金を課するに際しましては、やはり、どういった売上高、取引量があったかということも立証する必要がありますので、先ほどいろいろな答弁で申し上げているところだと思いますけれども、帳簿の保存期間が商法とか会社法で十年になっている、そういうことも勘案いたしまして、十年ということにしているところでございます。
#106
○笠井委員 算定期間に上限を設けていないEU、イギリス、フランスでは、最終年度の関連売上額掛ける違反行為期間という簡便な算定方法を用いて制裁金の額を算出しております。
 課徴金の算定基礎が狭くて、そして算定期間も限られているために、我が国の課徴金が諸外国に比べてゼロが一つ二つ少ない水準にとどまっている。独禁法違反抑止に必要十分とは言えない。算定期間の上限の引上げ強化が求められている。このことは強く申し上げておきたいと思います。
 更に伺いますが、課徴金の中小企業算定率の対象を実質的な中小企業に限定する点について杉本委員長にお尋ねします。
 企業の収益力をあらわす売上高営業利益率は、企業規模が小さくなるほど低い。中小企業に対して過度な経済的負担を課すことは適切でないことから、現行法では、中小企業への課徴金の算定率は四%に軽減されています。
 ところが、中小企業の定義として、中小企業基本法、資本金三億円以下、従業員三百人以下を引用しているために、大企業の子会社やグループ会社にも中小企業算定率が適用されることになる。
 本改正案は、どのような中小企業を対象から除外するということなんでしょうか。
#107
○杉本政府特別補佐人 中小企業の算定率は、平成三年、一九九一年の改正時に、規模の大小を区別せずに課徴金を一定率引き上げるという、小規模企業にとって相対的に大きな経済的負担が課されること等を踏まえまして、法人企業統計による中小企業の平均的な売上高営業利益率に基づき、通常の算定率を軽減する制度として設定されたものでございます。
 独占禁止法の中小企業算定率の適用対象は、資本金等の額及び従業員等の数によって定義されますことから、近年、独占禁止法の執行では、大企業グループに属する違反事業者であっても、中小企業算定率が適用される事例が見られるところでございます。
 しかし、大企業グループに属する違反事業者は、当該グループ内に違反事業者の経済的負担を共有する大企業があるなど、その趣旨に必ずしも合致しないと考えられますため、中小企業算定率をこうした企業に適用するのは適当でないと考えたところでございます。
 そのため、中小企業算定率の適用を受ける事業者の範囲を、違反事業者及びその全ての子会社等が中小企業に該当する場合、すなわち、企業グループ内に大企業が存在しない場合に限定するということによりまして、実質的な中小企業に限定するように改正しようとするものでございます。
#108
○笠井委員 では、中小企業算定率が実際に適用された例で確認をします。
 東京電力など七電力、東京、東北、中部、北陸、中国、九州、沖縄が発注した電線の入札に際して、エクシム、ジェイ・パワーシステムズ、ビスキャスの三社が談合を行っていたとして、二〇一〇年一月に排除措置命令が出されました。
 この三社は、中小企業に当たるとして、課徴金算定の際に中小企業算定率四%が適用されておりますけれども、いずれも大企業の子会社であります。親会社の名前と議決権の所有割合はどうなっているか、端的にお答えください。
#109
○杉本政府特別補佐人 平成二十二年一月に、東京電力株式会社等の電力会社が発注する特定電力用電線の入札談合事件について課徴金納付命令を行っておりまして、株式会社ジェイ・パワーシステムズ、株式会社エクシム、株式会社ビスキャスの三社は、当該事件の違反事業者となっております。
 当時の三社の親会社が保有する議決権数は、違反認定では必要ではない情報であるため、正確な割合は不明でございますが、少なくとも、独占禁止法研究会の検討時点においてわかりましたところを申し上げますと、株式会社ジェイ・パワーシステムズは住友電気工業株式会社が一〇〇%の株式を保有しており、株式会社エクシムは昭和電線ホールディングス株式会社に吸収合併されて組織が一体となっておりまして、株式会社ビスキャスは古河電気工業株式会社が五〇%の株式を保有しておりました。
#110
○笠井委員 本改正案では、こういう三社のようなケースでは、中小企業算定率四%が適用されず、一〇%ということになるわけですね。
#111
○杉本政府特別補佐人 御指摘のとおりだと思います。
#112
○笠井委員 全国消費者団体連絡会も、二〇一七年六月の「独占禁止法の強化を求める意見」の中で、現行の制度では、巨大なグループ企業において一部の販売子会社のみを違反行為に関与させて、中小企業又は業種に応じて軽減された算定率の適用を受けることが防げないために、これを改善する必要があると指摘しております。
 こういう点でも、しっかりとやはりこの問題というのはやっていかなきゃいけないということだと思うんです。
 最後に宮腰大臣に一言伺いたいんですが、本法案を通じて、課徴金を課す対象を広げてしっかり取ることによって独禁法違反を抑止する力を高めて、カルテルや談合などを許さない社会を実現するということが大事だと思うんですが、大臣の決意を伺いたいと思います。
#113
○宮腰国務大臣 冒頭申し上げましたけれども、本法案は、事業者による調査協力を促進をし、適切な課徴金を課すことができるようにするものであります。
 本法案により導入される新たな課徴金減免制度等を公正取引委員会が適切に運用し、入札談合やカルテル等の違反行為を効率的に排除していくものと承知をいたしております。また、違反行為に対する抑止力が向上するものであるというふうに考えております。
#114
○笠井委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
#115
○赤羽委員長 次に、足立康史さん。
#116
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 きょうは、独禁法ということでありますが、公取委から示されている独禁法改正案、私は、賛否はともかくとして、問題は多い、こう思っています。
 何が問題かというと、きょうも、立憲、国民の委員の方からもあったように、秘匿特権等について、何で法律に書かないのかなと思うんですね。秘匿特権のような重要な権利は、省令以下の規定ではなくて法律に書いて、国会でちゃんと議論した方がいい、こう思います。
 宮腰大臣、きょう、宮腰大臣には多分ほとんど通告させていただいていませんが、もし、ちょっとここは俺に言わせろというところがありましたら、手を挙げていただいたら拒否はしませんので。
 どうですか。これ、何で法律に書かないんですか。
#117
○杉本政府特別補佐人 お答え申し上げます。
 我が国の法制度上、いわゆる弁護士・依頼者秘匿特権を認める明文上は規定はないわけでございますが、今般、法改正にあわせて、独占禁止法上の固有の事情に鑑みまして、カルテル等の不当な、不当制限の行政手続について、そういった制度を導入するものでございます。
 これを独占禁止法に、法律で規定するということになりますと、この制度が一般的なものとして位置づけられるものとなりますために、我が国の法制度の中では、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める明文上は規定がないこととの整合性が問題となりますほか、他の行政手続や司法手続に及ぼす影響についても懸念されているところでございます。
 そういうことを考えまして、独占禁止法七十六条において、公正取引委員会が、事件の処理手続について規則を定めることができるという規定がございますので、この制度を審査手続の一環として規則によって整備するということにしたものでございます。
#118
○足立委員 いやいや、すると、何、委員長おっしゃるのは、法務省がやっていないからうちもできないんだ、こういうことですね、端的に言うと。
#119
○杉本政府特別補佐人 日本制度の司法制度、行政調査制度と通じる制度といたしまして、こういった弁護士・依頼者間秘匿特権を規定する明文の規定がございません。
 そういった法体系の中で、ここだけ秘匿特権を法律で認める、独占禁止法上に認めるということになりますと、それは法制度全体の整合性がとれないということが問題だと思っておりますし、さらには、申し上げましたように、他の行政手続や司法手続に対する影響についても懸念が生じるということで、こういった規則によって整備することとしたというところでございます。
#120
○足立委員 すると、何、公取委としては、法制度にちゃんと規定したかったけれども、内閣法制局や法務省と調整がし切れなかったと。
 要は、持ち込んでもいないんじゃないの。持ち込んだんですか、内閣法制局に。
#121
○杉本政府特別補佐人 私どもも、全体的な司法制度の中で独占禁止法というものを執行している立場でございますから、全体的な法制度の整合性ということに十分配慮する必要があると思っているところでございます。
#122
○足立委員 要は、自己抑制というか、そういうことを日本政府はそれぞれの部署が、何か世の中の空気を見ながらやっているからこんなことになるんですよ。
 でも、独禁法には独禁法の法益があります。
 例えば、この秘匿特権については、まあ、判別官の話はさっきも出ていました。判別官が情報漏えいしたときに、制裁はできるんですか。あるいは、判別官の判断自体について異議申立てはできるんですか。ちょっと、通告ちゃんとしていないかもしれないけれども、答えられるよね。
#123
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる立入検査をしたときに、一定の書類を提出命令をして持ち帰るということになります。その持ち帰った書類の中で、事業者側からこの制度の対象であるという主張があったものについては判別官のもとに届け、判別官がこの制度の対象かどうかを判断いたします。
 判断した結果、対象でないということになりますと審査官の方にこれは移行することになりますが、事業者側からそれについて異議がある場合は、多分、還付の請求、つまり戻してくださいという請求が出てくることになろうかと思います。
 出てきた場合には、それに対して公正取引委員会が判断しますが、そこで還付の請求を拒否する、認めないということになりますと、その処分につきまして裁判で争うことができるというふうに考えておりまして、ただ、これは最終的に個々の事例ごとに裁判所がどう判断するかでございますが、こうした考え方については、この制度の調整の過程で関係者に説明をし、理解を得ているところでございます。
#124
○足立委員 何でそんなことになるかというと、法的にちゃんと書いていないからですよ。省令以下で適当にやるからそういうことになるわけです。
 ではもう一つ、さっき申し上げた判別官の情報漏えい。
 判別官は官房に置くと聞いていますが、判別官と審査局、ファイアウオールはあるんですか。
#125
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
 これは、中立性、公正性を確保するために、判別官の判断に審査局はもちろん関与しないということを担保していきたいと考えております。
 これまでも、例えば意見聴取の手続などございますが、審査事件の中で手続がございますが、これについても、いわゆる審査局以外の職員が実施するということで行っている類似の制度もございます。これまでも、中立性、公正性は保たれた運用が行われてきているものと考えております。
#126
○足立委員 いやいや、これまでも適当だったからこれからも適当にしますと言っているんですよ、今の話。
 では、判別官が審査局に情報漏えいして、その情報漏えいした判別官はどういう制裁を受けるんですか。どこに決まっているんですか。
#127
○菅久政府参考人 ちょっと今、完全に正確なお答えができるかわかりませんが、いわゆる職務上の問題ということで、国家公務員法又は独禁法の守秘義務違反、そうした条項がかかってくるものと考えております。
#128
○足立委員 だから、きょう私が指摘したいことは、余りにいいかげんだと。こんな法体系で秘匿特権とかよく言うよ。いやいや、秘匿特権やるなと言っているんじゃないですよ。秘匿特権についてちゃんと整備するのは当たり前なんだけれども、それを適当にやるんじゃなくて、ずさんにつくるんじゃなくて、ちゃんと法律に明記したらいいじゃないかと僕は言っているわけです。それをやらないと、さっき立憲の方と国民の方がわかりましたとか言って納得していましたけれども、全然納得できませんよ。
 欧米との競争、欧米と経済競争、経済戦争している中で、こんな制度で、日本の企業だけが不利益をこうむる。それは公正取引委員会がちゃんと判断してやるんです、いや、日本政府は全て私たちがうまくやりますから、ファイアウオールは法的に規定はないけれども、これまでもうまくやってきたからこれからもうまくやるんですと言っているんですよ。
 我々が政権に入ったら、こんないいかげんな、適当な制度はすぐ変えますからね。自民党の先生方も、のんびりしているのもいいけれども、ちゃんと真面目に考えた方がいいですよ、ちょっと自民党の先生方。こんな制度をつくっているから日本は中国に負けるんですよ。
 それからもう一つ、メモ。何で供述調書のメモ取りは認められないんですか。何で、二時間も三時間も四時間も聴取した内容をずっと覚えておいて、休憩に入った途端、それをばあっと書くんですか。そんなこと、おかしくないですか、ちょっとこれ。
#129
○南部政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねのございました任意の供述聴取のメモ取りにつきましては、供述人が、例えば、メモ取りに気をとられてしまって審査官の質問に集中しないまま、結果的には供述人の真摯な対応が供述聴取の場で得られなくなるとか、あるいは、詳細に録取された場合には、そのメモの内容が事業者間の口裏合わせなどに用いられるということによって事件の真相解明に支障が生じ得るといったような考慮をいたしまして、これまで認めてきておらないということでございます。
 ちなみに、内閣府で開催されました独占禁止法審査手続についての懇談会、平成二十六年十二月に取りまとめられておりますけれども、その報告書においても、録取されたメモが口裏合わせに用いられる可能性が否定できないことなどから、供述聴取時のメモ取りを認めるべきとの結論には至らなかったというふうにされているところでございます。
#130
○足立委員 そういう取扱い。だって、聴取が終わった後、はい、休憩ですといったら、必死でその三時間分メモをとるわけですよ。おかしくないですか、そういうの。
 そういうメモ取りについてのルールはグローバルスタンダードなんですか。欧米はどうなんですか。
#131
○南部政府参考人 お答えいたします。
 供述聴取という審査手法がグローバルスタンダードかどうかという点については、EUあるいはアメリカでは、どちらかというと、そういった日本でやられているような供述聴取というようなことは頻繁には行われていない。逆に言うと、供述調書が証拠として重要に使われているということではないということでございます。
 もちろん、いろいろとヒアリングなどがあると思いますけれども、そういう意味で、意味合いが違うということで、なかなか比較の仕方が、できないんじゃないかなという面がございます。
#132
○足立委員 与党の皆さんにはぜひ深く御理解をいただきたいんだけれども、とにかく、グローバルな観点から見ればひどい制度なんですよ、特に法的にね。法律に書いてないんですよ。
 そういうことで、日本企業が、経済戦争に、経済競争に向き合う中で大変な不利益をこうむっているというのがきょうの指摘です。
 ほかにも、きょうは、与党の皆様の御理解を深めていただくために、ちょっと別の分野も来ていただいています。
 特許庁、きょうはありがとうございます。米村部長、済みません、ありがとうございます。私、直属の部下ですよ、かつて。済みません。
 秘密特許に係る制度整備が日本ではできてないですね。いや、こういう、きょうの独禁法だって一緒ですよ。グローバルに当たり前のことが全く、いや、適当にやってきたから適当にこれからもやりますと言っているんですよ。
 秘密特許だって僕は必要だと思うけれども、何でできないんですかね、これ。
#133
○米村政府参考人 お答えを申し上げます。
 諸外国には、国家安全保障上の機微技術の流出を防止するために、出願内容の公表を制限するいわゆる秘密特許制度を導入している国があることはもちろん承知をしてございます。
 我が国の特許法において、特許出願について、その内容が公序良俗に反しない限り、原則として出願から十八カ月経過したときに全件公開することになっております。さらに、特許権を取得したものについては全件公開することになっておりますが、この趣旨は、権利者がみずから選択した国において、発明の公開の代償として特許という独占権を付与するとともに、第三者に対して新技術の存在を知らせてその利用を促し、研究開発の重複投資を防止するところにございます。
 これによりまして、特許制度本来の目的である発明の保護及び利用を促進することにより、発明を奨励し、産業の発達に寄与することを図っているものでございます。
 この秘密特許の制度につきましては、今申し上げた特許制度における発明の公表の趣旨と、それから国家安全保障上の秘密保護の要請に留意をしながら、慎重に検討すべきものだと認識をしてございます。
#134
○足立委員 まさに、今御答弁いただいたように、これは安全保障の観点ですよ。日本は、その安全保障について、いや、憲法九条もやったらいいですよ、まあ聞いてないかもしれぬけれども。憲法九条もやったらいいけれども、そもそも安全保障に係る規定がすかすかなんですよ、何も規定してないんですよ。
 だから、今、米村部長の御答弁は、いやいや、俺たちはちゃんとやっているんだけれども、国家安全保障に係る枠組みがちゃんとしてないから議論ができないんだと。まあ、ちょっとゆがめているかもしれません。私はそう理解をしています。
 先日も、この経済産業委員会でインテリジェンスについて議論しました。きょう、石川局長にも、御無沙汰しております、お越しをいただいていますが。
 私、ヨーロッパに駐在をさせていただいていたときに、ドイツの貿易管理についてドイツの経済省と議論しました。なぜドイツと日本の貿易管理のいろんな違いがあるのかというと、ドイツには諜報機関がある、情報機関があるからだとドイツの官僚は言っていました。だって、インテリジェンスの機関を持っていない国がどうやって貿易管理するんですか。私は、先ほど特許庁の話もしましたが、貿易管理にあっても、国家としてインテリジェンスがなければ、貿易管理を迅速かつ適正に行うことは困難だと。
 だから、きょう、石川局長には、インテリジェンス、ちゃんとやるべきだ、やらないと俺の仕事が面倒なんだとちょっと言っていただけないでしょうか。
#135
○石川政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきました、貿易管理を適切に実施する上で、技術の機微性ですとか最終需要者ですとか懸念国の調達活動といったようなことについて幅広い情報収集が必要だということは御指摘のとおりだと思います。
 その上で、経済産業省といたしましても、関係省庁とも連携しながら、諸外国の政府でありますとか、関係省庁や産業界ともさまざまな情報収集や意見交換をしていることは事実でございます。詳細は、恐縮ですが差し控えをさせていただきたいと思います。
 引き続き、関係省庁とも連携しながら、そういった取組を強化をさせていただきたいと思っております。
#136
○足立委員 与党の皆さん、ちゃんと聞いておいてくださいよ。今の石川局長の御答弁のとおりなんですよ。国会には何も言えないけれども、だって法律に書いてないんだから、国会には何も言えないけれども、うまくやっていますからと言うしかないじゃないですか。ねえ、局長。
 きょうは、また再び内閣官房にも来ていただいています。森内閣審議官、毎度済みません。この間も、カウンターインテリジェンスじゃなくて、インテリジェンスはということをお聞きしました。
 一言でいいんですが、日本の、それはインテリジェンスと呼ばなくてもいいですよ、御答弁いただいたように、それは情報収集していますとおっしゃっていました。その規定の根拠のところをもう一回ちょっと、どこに何と書いてあるかだけ簡潔に教えてください。
#137
○森政府参考人 お答えいたします。
 各政府機関が、それぞれ所掌事務に関しまして、関係法令に基づいて情報収集を行ってきておるということは事実でございます。例えば、内閣情報調査室におきましては、内閣法、内閣官房組織令等に基づきまして内閣の重要政策に関する情報の収集を行っておるところでございます。
 御指摘いただきましたとおり、情報収集活動に必要な法制度のあり方についてはさまざまな議論があるものと承知しておりますけれども、政府といたしましては、引き続き、必要な情報収集活動に取り組みつつ、その充実強化に努めてまいりたいと考えております。
#138
○足立委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、与党の皆さん、必要な情報を収集、分析するとしか書いてないんですよ。いいんですか、国家というものがこんなもので。
 先日、日本の方が中国にスパイ容疑で逮捕されました。逮捕じゃないや、捕まって、十五年だっけ。いいんですか、こんな勝手なことをさせておいて。日本もしっかりとスパイ防止法を整備して中国に対抗すべきだと思いますが、内閣官房、もう一度お願いします。
#139
○森政府参考人 ただいま委員から、日本における状況についてお尋ねがあったと思いますが、政府といたしましては、諸外国等が本邦におきましても各種の情報収集活動を行っているおそれがあるということは念頭に置きまして、外国情報機関等の情報収集活動に対抗して政府の重要な情報を保護する、これをカウンターインテリジェンスというふうに呼んでおりますけれども、その取組の強化に努めておるところでございます。
 そのいわゆるスパイ活動……
#140
○足立委員 ありがとうございます。時間が来ましたのでとめちゃいましたが、もうわかっていますので。
 ただ、きょうは外務省もお越しいただいて、中国でスパイ容疑で拘束された状況も御説明いただこうと思っていましたが、時間が来ましたので終わりますが、とにかく、きょうの質疑でわかったことは、情報を収集、分析するとしか書いてないんですよ。国会議員はあれですよ、蚊帳の外ですよ。こんなことでいいんですか、野党の皆さんも。
 ちょっと真面目に、しようもないことばかり質問するんじゃなくて、ああ、ごめんなさい、訂正しますけれども、ちゃんと僕みたいな質問をするように野党の皆さんにお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございます。
#141
○赤羽委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#142
○赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人日本経済団体連合会常務理事井上隆さん、一般社団法人新経済連盟理事吉田浩一郎さん、神戸大学大学院法学研究科教授泉水文雄さん、弁護士山本晋平さん、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。
 私は、この経済産業委員会の委員長を務めております公明党衆議院議員の赤羽一嘉でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 本日は、皆様方におかれましては、大変御多用のところ、また、遠方各地より本委員会に御出席をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。まことにありがとうございます。
 参考人の皆様におかれましては、それぞれ専門のお立場から、限られた時間でございますが、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。充実した委員会質疑になるように、よろしく御協力お願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず井上参考人にお願いいたします。
#143
○井上参考人 経団連の常務理事の井上でございます。
 本日は、このような意見陳述の機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。
 私からは、経済界の立場から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意見を申し述べます。
 まず初めに、今回の独占禁止法の見直しにおきましては、事業者と公正取引委員会による協力型の事件処理を実現することが一つの重要なテーマであると認識をしております。
 これに関しましては、私ども経団連といたしましてもこれまでも提言してきたところでございまして、その仕組みにつきましても、公正取引委員会との間でさまざまな意見交換をさせていただきました。私どもといたしましても、独占禁止法に係る調査に関しましては、事業者と公正取引委員会が相対するものではなく、協力して早期に事件解決を図るべきものと考えておるところでございます。
 以下、本法案の中心となります課徴金制度の見直し、及び、それに関連いたしまして、議論が重ねられました弁護士・依頼者間秘匿特権につきまして申し上げます。
 まず、課徴金制度につきましては、私も委員として参加をいたしました公正取引委員会の独占禁止法研究会の議論をおおむね踏まえた内容となっております。
 調査に協力するインセンティブを高めるための課徴金減免制度の見直し、すなわち、減免申請事業者数の上限の撤廃、協力度合いに応じた減算率の付加などは、協力型の事件処理の実現に向けた効果的な施策であり、積極的に評価をしているところでございます。
 一方、具体的な事業者の協力度合いの評価方法などにつきましては、本法案が成立した後に、ガイドラインに委ねられることになると思います。
 私どもといたしましては、課徴金制度の制度設計には予見可能性、透明性、公平性の確保が重要と考えておりまして、新しい課徴金減免制度における証拠の評価、それに基づく減算率の決定に関しましては、可能な限りわかりやすいガイドラインの作成が必要と考えておるところでございます。評価基準が事業者にとってわかりやすくなることによって、事業者としてはより積極的に調査に協力できるようになると考えておるところでございます。
 加えまして、課徴金の算定期間の延長、業種別算定率の廃止などにつきましても、いずれも、公正取引委員会の独占禁止法研究会での議論を踏まえた内容となっておりまして、賛同をいたします。
 次に、弁護士・依頼者間秘匿特権についてですが、これは、協力型の事件処理を機能させる上でも不可欠な仕組みでありまして、私どもとしても、重要な課題として位置づけてまいりました。
 事業者が公正取引委員会と協力して事件解決を進める上で、専門家である外部の弁護士に相談するニーズは、今後、より高まっていくものと考えられます。その際、弁護士との間の相談に関する秘密を保障していなければ、事業者が弁護士に相談すること自体をためらい、結果として調査への協力が進まないという可能性がございます。
 外部の専門家の活用は、事業者が主体的に公正取引委員会と協力して実態解明を行い、早期の事件解決を行うための制度でもございます。
 このような観点から、私どもといたしましても、実態の伴った秘匿特権制度、また、海外の弁護士とのやりとりも含めまして、諸外国から見て日本に秘匿特権があると評価されるような制度の導入を求めてきたところでございます。
 今回、改正法案自体ではございませんが、規則、指針などによって示されることとなる弁護士・依頼者間秘匿特権の整備は、企業実務の目線から見ましても、大きな違和感のない制度内容となっております。今後、更に詳細な整備が進められると思いますので、引き続き、企業実務の観点から、私どもといたしましての意見をお伝えしてまいりたいと考えております。
 ここでは、現時点で実務的にちょっと気になる点につきまして三点ほど申し上げておきたいと思います。
 一点目は、判別手続についての訴訟でございます。
 公正取引委員会の資料によりますと、秘匿特権該当性が認められる物件であるかどうかについての判別官の判断には処分性がないとされております。すなわち、判別官の判断に対しては、取消し訴訟による司法救済はないということになります。しかし、秘匿特権該当性がないと判断され審査官に移送された物件に対し、事業者からの還付請求を拒否する判断につきましては、取消し訴訟で争えるということが示されたところでございます。
 この秘匿特権の該当性に、最終的に司法審査が受けられるかどうかという点につきましては、諸外国から見ても、制度の透明性、信頼性に大きく影響するものと考えられます。ぜひ、海外当局や実務家の目にわかる形で明確化をするように、意見を申し上げておきます。
 二点目は、秘匿特権の対象物件の範囲でございます。
 今回、相談、回答文書に含まれる事実が唯一の証拠となる場合であっても、弁護士などの評価、整理が介在するものは制度の対象となるというふうに理解をしております。これは諸外国の制度と比較しても遜色のない水準と理解しておりますが、この点に関しましては、現時点の公正取引委員会の資料からは明確になっておりませんので、こちらも今後何らかの形で対外的に明確化が必要と考えております。
 三点目は、電子メールの取扱いでございます。
 弁護士とのやりとりの大半は電子メールで行われることが実務上の通例でございます。今回の整理では、紙の文書あるいはメモを前提に大枠を詰めていただいたというふうに理解をしておりますが、今後、電子メールをどのように取り扱っていくかという具体的な検討を進めていただきたいと思っております。その際には、電子メールという、数の多さなどの特殊性を踏まえながら検討していく必要があると考えております。
 事業者は、秘匿特権の対象であることを示すために、物件ごとに、作成日時、作成者の氏名、共有者の氏名、資料の属性、概要などを記載した文書を一定の期限内に提出しなくてはならないこととされております。電子メールに対しまして、これらのプリビレッジログ、すなわち秘匿特権の対象物であることを示す文書の提出時期あるいは記載内容等につきましては、実務的な調整が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
 以上、るる申し上げてまいりましたが、経済界といたしましては、本法案の内容に賛成でございます。
 経団連では、かねてより、競争政策の重要性を認識の上、経団連の会員企業に遵守を徹底しております経団連企業行動憲章に、公正かつ自由な競争並びに適正な取引、責任ある調達を掲げておるところでございます。また、望ましい競争政策の実現に向けて、提言活動、周知活動を行ってまいりました。
 グローバル化、デジタル化の急速な進展の中で、競争政策のあり方をめぐりましても、さまざまな変化や新しい課題が生じていると認識をしております。国際的に遜色のない競争制度を整えまして、公正、自由な競争を促進し、我が国経済の発展に資する観点からも、法案の早期の成立をお願いしたいと思います。
 私からの意見は以上でございます。(拍手)
#144
○赤羽委員長 ありがとうございました。
 次に、吉田参考人にお願いいたします。
#145
○吉田参考人 新経済連盟の理事をしております吉田と申します。
 本日は、参考人としてお呼び立ていただきまして、まことにありがとうございます。
 私の方からは、海外デジタルプラットフォームをめぐる諸問題について述べさせていただきたいというふうに思います。
 お手元の資料を追って、順に説明させていただきますので、ごらんいただければと思います。
 私自身は、新経済連盟の理事として、現在、その中のグランドデザイン、日本がこれから、高度経済成長期が終わって次のフェーズを迎える中で、新しいグランドデザインが必要であるというところのプロジェクトチームのリーダーをしております。また、自身でも上場企業を経営しておりまして、オンラインでお仕事がマッチングする、そういったサイトを運営しております。
 めくっていただきまして、本日の説明内容なんですが、ことし三月に、海外デジタルプラットフォームをめぐる諸問題と対応策について、新経済連盟の会員企業全体で調査をして対応策を検討し、関係大臣に提言を提出させていただいております。その中で、特に、今回に関係するところ、競争政策の必要性あるいは独禁法の執行強化の必要性、そういった部分を中心にお話しさせていただければと思います。
 なお、提言全体はこの後にありますので、この後、御興味がある方はぜひごらんいただければと思います。
 まず、この三ページ、お詳しい方にとっては釈迦に説法ではございますが、改めて説明させていただきますと、日本国内市場はこのブルーのところだ、この青いところだというふうに想像していただくと、消費者と、右側に企業、サービス、アプリとありますが、これが日本人と日本企業ですね。この間に、現在全て、スマートフォンを通る限り、OS、アプリストア、この二つによって、アップルとグーグルが二社で寡占をしている状態であるということなんですね。
 ここが完全に寡占されている以上、そこに対して各日本企業が気を使っているですとか意見が言えないというような状況であったり、不平等な状態が存在するというふうなヒアリングが来ております。
 また、税務の部分でも、この右側の上、四ページにありますとおり、税務の手前で、売上げのところなんですが、実は、アプリ内決済にかかる手数料というのは、一律、売上げに対して三〇%かかっている状況でして、たとえ利益が出ていない企業であっても、売上げに対して三〇パーかかる。
 これはちょっと想像していただくと、後で詳しくお話しさせていただきますが、例えば製造業や小売の世界で先に三割必ず取られますというとなかなか利益が出せないと思うんですが、それと同じような状況が、インターネット企業とアップル、グーグルとの関係において、今、ほぼ全企業、アプリを提供している会社において存在しているということでございます。
 第二、恒久的施設がない、PEがないということで、OECDの方でBEPS問題がありますが、それと同じように、この三ページの赤枠の中で売り上がっているその三〇パーの売上げが日本にほぼ納税されていない状況でございます。
 つまり、この青いところが国土だとすると、日本の中でインターネットビジネスが提供されていて、提供する側も日本企業、受取側も日本人であるにもかかわらず、真ん中でアメリカに、あるいは各国に納税されているというような、税務が還元されていないという点もございます。
 五ページです。広告市場のところをごらんいただければと思います。
 先生方におかれましては、新聞、当然読まれていらっしゃると思いますが、昔は、スマートフォンがない時代、電車に乗っている風景というのは、皆さん新聞をごらんいただいていました。当然です。新聞は日本企業です。広告出稿も、外資のこともありますけれども、日本企業が出稿して、その広告料というのはきちんと日本の国土に、日本企業に還元されていたかと思います。
 ところが、今、皆さん、先生方もごらんいただきますと、電車の中ではスマートフォンをごらんいただいています。そのスマートフォンを見ている時間が、つまり新聞と同じような広告がそこでビジネスとして存在しているわけです。それが今全てグーグルとアップルにほぼ握られている状態、あるいはそれが日本に納税されていない状態というのが存在しているということです。その割合について、後ほどお話しさせていただきます。
 また、Eコマース市場に関しても同様に、昔は小売の状況でしたので、お店が目の前にいる人に売るといったことをやっていたんだと思うんですが、ネットショッピングになって、全てインターネット、プラットフォームを介して行われるといった状況になります。
 まためくっていただきまして、六ページです。
 以前は、CDをお店で売っていたといった形になりますが、今、御存じのとおり、CDの売上げというのは激減しております。それに対して、スマートフォンで音楽をダウンロードしてそこで聞く、あるいはダウンロードせずともインターネットを介して聞けるといったモデルになっていますが、その音楽配信サービスも外資企業がほとんど独占している状態。事実、若い人たちに聞くと、アップルミュージックとかアマゾンのミュージックとかグーグルミュージック、そういったものをずっと皆さんは聞いているといった形。
 あるいは、右側のDVDです。昔はDVDというのは販売していましたが、今、ネットフリックス、あるいはHulu、あるいはこれもアマゾン、そういった企業です。全て外資になりますが、そういったところが動画を全部配信している。日本のコンテンツであっても、一旦海外のプラットフォームを通して配信されているといったような状況です。
 あるいは、ゲーム市場でモバイルゲームが、家庭の専用機が全部スマートフォンを介して配信されるようになっていますといった形です。昔のゲーム機であれば、日本企業が日本で販売していた。でも、スマートフォンを通してしか今ゲームが配信されていない、こういった形です。
 あるいは、それの全体的なアプリ市場が、もともとガラ携の時代、iモードとかありましたけれども、ああいった企業というのは日本企業のプラットフォームでしたといった形なんですが、今、スマートフォンによって、スマートフォンのデバイス、端末が、そもそもアップル製、あるいはグーグルが提供するOSと呼ばれるプログラムの上に乗っているものですので、そういったところを介さないといけないといった形になっています。
 それをまとめたものが八ページになります。
 これは新経済連盟の個社、各社ではなかなか個別には声を上げられないということでまとめた資料になりますが、インターネット広告で、今、外国勢のシェアが五〇パーから七〇パーになっているわけです。
 少し具体的に説明すると、新聞の時代、皆様の手にとる新聞の半分が外国の新聞になったといったら結構な事態じゃないですか。それがインターネット上では今起きているということなんです。これらのものというのは日本に還元されていない、税務で。
 あるいはEコマースも海外勢が今非常にシェアを伸ばしている。音楽定額制も約七五%が海外に全て寡占されている状態です。動画定額制も今二倍の伸長、あるいはゲームも外国勢のシェア拡大、アプリストアに至ってはほぼ一〇〇%、アップルとグーグルによって寡占が進んでいるといったことです。
 アプリストアの問題点なんですが、先ほど売上げにかかると言ったものが九ページになります。
 九ページに、先ほど申し上げたとおり、一番左に、売上げが百億ありますと。普及前は利益が出ていたものが、そもそもその原価に三〇パーが、利益ではなく売上げにかかる。これが、たとえ利益が赤字だったとしても、この三〇%というのは必ず払わないといけないといった形になっています。ですので、国内のそういったゲーム関係の上場会社、軒並み非常に苦しい状況に今陥っております。
 めくっていただきまして、また、配信においても、ここにある記事のとおり、規約の一方的変更によりサービスがある日突然とまってしまう、しかもその理由は開示されないといった形が例として存在しておりまして、そういった中では、何千万あるいは何億と開発費をかけたアプリが、ある日突然配信停止され、売上げが上げられなくなるといったリスクを国内企業は軒並み抱えているといった形になります。
 そういった状況を受けて、十一ページにありますが、EUでも競争当局が調査に入るといった形になっていますし、あるいは、先週ちょうど記事になっていましたが、米国の消費者団体がこちらは訴訟に移るといった形になっています。
 また、規則の不適用の事例ということで、十二ページでございますね。
 こちら、民泊の規制というのが進んでいて、国内企業というのはおおむね全員そういった法律に準拠して運営をしている状態であるというふうに認識しています。
 ただ、この右側にありますとおり、そういった中で、中国人オーナーによる中国人の物件、日本にあるものです、そこで民泊が運営されていて、その旅行サイトも中国語で中国で運営されていて、さらに、羽田におり立つと、ドライブシェア、カーシェアリングで中国の白タクが迎えに来るといった形で、宿泊所のマッチング、車のマッチング、あるいは車に乗って宿泊をする、こういった一連のことが中国企業には規制が及んでいないといったような事例が散見されており、こういった中で、イコールフッティング、平等の観点から不平等が生じているというふうに考えております。
 課税の問題は、更に再投資の原資といった形で今影響がございまして、BEPS問題ですね。この一番下に参考といった形でありますが、伝統的なEUの企業は二〇%払っているのに、国際的なデジタル企業は八・九%しか払っていないといった形で、再投資できる利益の原資が、納税額を抑えているがゆえに日本企業よりも多いわけですね。それによって再投資が進んでいますので、非常に不平等な競争がここでも行われているというふうに認識をしております。
 めくっていただきまして、こちらの、我々で推計をしたんですが、ネット広告業界だけでも二千億円の逸失利益というものが出ている可能性がございまして、実効税率一〇%で計算したときに、九年間で一千億ぐらいが日本に納税されていないのではないかといった形になっています。
 なので、まとめとしては十五ページですね。
 我々が望んでいるのは、イコールフッティングという観点でございます。決して、プラットフォーム自体を規制するとか、そういったことを望んでいるわけではございません。ですので、プラットフォームは自由競争の世界の中でイノベーションを生み出すものであるというふうに考えておりまして、ここは、法規制に関しては慎重に検討していただきたいなというふうに考えている一方、アプリストアの寡占問題は、これはもう明確な事象になっていますので、この三〇%の手数料のところというのもぜひ検討いただければなと思っています。
 あるいは、そのほか、税や規制の内外企業のイコールフッティング、こういったところも、やはり不平等な競争が日本企業においてあるというふうに感じておりますので、検討いただければと思います。
 最後、十六ページ。これは最新の事例で、業界では非常に話題になったんですが、グーグルがファーウェイの、ファーウェイというのは中国企業なんですが、中国企業が出しているアンドロイド、アンドロイドというのはグーグルのプラットフォームなんですけれども、グーグルの仕様にのっとった携帯電話、スマートフォン、ここに対してサービス停止を検討するというふうになっています。
 こういった形で、もうプラットフォーム自体の停止を日本企業に対しても行えるような状況なんですね。これは、だから、ファーウェイの問題というのはイコール日本企業にも今後降りかかってくる問題であるというふうに考えておりまして、ちょっと事例として最後、御紹介させていただきました。
 私の方からの意見は以上となります。ありがとうございました。(拍手)
#146
○赤羽委員長 ありがとうございました。
 次に、泉水参考人にお願いいたします。
#147
○泉水参考人 神戸大学大学院法学研究科の泉水と申します。本日はありがとうございました。
 独占禁止法改正法案につきまして意見を述べさせていただきます。
 今回の改正法案につきましては、基本的に賛成いたします。以下、その理由を述べさせていただきます。
 改正法案は、課徴金制度と課徴金減免制度につきまして広く改正しようとしておりますが、そのうち最も重要な改正内容は、事業者が事件の解明に資する資料を提出した場合に、公正取引委員会が課徴金を減額する仕組み、調査協力減算制度と考えております。改正法案は、あわせて、減免申請できる事業者の上限が従来最大五名であったものを撤廃しようとしております。
 これまでの課徴金減免制度については、とりわけ公正取引委員会が立入調査を行った後に申請される課徴金減免制度、いわゆる調査開始後の課徴金減免制度と呼ばれておりますが、調査開始後の課徴金減免制度につきましては、減免申請をすれば課徴金が一律かつ自動的に三〇%減額され、事業者が調査に協力したとしても、協力したことが評価されないという仕組みになっております。
 今回の法改正は、事業者が調査に協力すれば課徴金を減額するというものでありまして、事業者が調査に協力しようとするインセンティブを高める制度と言うことができます。これにより、事業者と公正取引委員会が協力して事実の解明を行うことができるようになります。あわせて、事業者にとっては、コンプライアンス体制をしっかり構築すればそれが報われるということになりますので、事業者がコンプライアンス体制をしっかりと構築するインセンティブを与えると言うことができます。
 ただし、公正取引委員会と事業者が協議して合意する制度を具体的にどのようなものにするのか、及び、事業者の協力の内容をいかにして評価して減算率を決定し、合意するのかにつきましては、初めての制度ということもございますけれども、ガイドライン等による明確化が必要と考えております。
 次に、我が国の課徴金制度は、課徴金の算定の基礎となる売上額が違反行為終了からさかのぼって三年間に限定されております。多くの国や地域では、このような算定期間の限定がありませんし、あったとしても十年間等のより長い期間となっております。公正取引委員会が課す課徴金は、海外等における同じ事件であったとしても、EUや米国に比べると一桁あるいは二桁少ない金額となっておりますが、その原因の一つは、この課徴金算定期間が短いという点にあると考えております。
 今回、課徴金算定期間を最大で十年間とすることは、カルテルや入札談合が平均でも四年を超え、五年を超える事例も多く、十年近く続く事例もあるという実態に合わせようとするものでありまして、違反行為を抑止する上で有効であると考えます。
 なお、現在の課徴金の算定率は売上額の一〇%を基本としており、今回の改正でもこの点の変更はございません。
 これに対しては、公正取引委員会に設置され、私も委員でありました独占禁止法研究会におきまして、カルテルや入札談合による不当利得は単純に平均すれば一〇%を超えていると推計されること、違反行為が及ぼす社会的な悪影響を考えると抑止力として不十分であるということが指摘されてきました。
 この点につきましては、今回の法改正で課徴金算定期間が調査開始から十年前までにさかのぼれるとした上で、その運用を確認して、十分な抑止となっているかどうかを見た上で、必要に応じて、あるいは必要であれば、今後、算定額の引上げを含めて違反行為を抑止する仕組みを総合的に検討することが適切であると考えております。
 現行法では、カルテルや入札談合の実行行為者であるにもかかわらず、算定期間内に売上額がなかったり、売上げのかわりに談合金を受け取ったり、下請業者として対価を受け取っていたりするという者がございます。現行制度では、これらに課徴金を課すことができないという仕組みになっております。すなわち、違反行為を行い、それにより談合金などの不当な利得を得ながら、課徴金が課されない者がいます。しかし、それは違反行為の抑止の仕組みとして不適切です。
 今回の改正で提案されております、課徴金の対象となる売上額に係る証拠が見つからない場合に売上額を推計する制度、下請業者や完全子会社の売上額について課徴金を課す制度、及び、談合金について談合金額をそのまま課徴金額として課徴金を課す制度につきましては、いずれも、以上の理由から適切であると考えております。
 次に、現行法では、卸売業、小売業、中小企業について課徴金を減額する制度があります。法改正では、この卸売業、小売業の課徴金を減額する業種別算定率を廃止し、また、中小企業の課徴金を減額する中小企業算定率について対象を限定することとなっております。この点、業種別算定率及び中小企業算定率が実際に適用されている事例を見ますと、ほとんどは大企業の子会社及び製造業者の、メーカーの子会社などが減額を受けているのが実態であります。
 したがいまして、これらの改正も、法規制を実態に合わせようとするというものでありまして、適切なものと考えております。
 また、他の事業者に調査妨害、例えば、資料の隠蔽や虚偽の事実を報告するといった調査妨害を他の事業者に対してさせる行為を主導的事業者の課徴金の加算要因としております。さらに、検査妨害罪の法人等に対する罰金額を二億円に引き上げています。
 過去にも検査妨害は多々見られております。課徴金の減額制度を設けるとともに、加算制度を拡大し、めり張りをつけるということは適切なものと考えます。
 なお、調査妨害をみずから行うことは、検査妨害罪の対象にはなりますけれども、課徴金の加算の要因にはならないというふうに今回提案されております。
 この点は、後で述べます課徴金の法的性格に関する理解と関係しているのかもしれませんけれども、検査妨害罪に該当するほどではない検査妨害を行っているものについても、法案とは異なりますけれども、課徴金を加算するということが適切であると考えています。
 すなわち、事業者が他の事業者に検査妨害をさせる行為だけでなく、みずからが資料の隠蔽、虚偽の事実の報告等といった調査妨害をする行為についても課徴金を加算すべきと考えております。
 次に、弁護士・依頼者間秘匿特権については、公正取引委員会規則において導入するとされています。
 弁護士・依頼者間秘匿特権は、欧米を中心に、医者や弁護士などのプロフェッション、つまり専門職業の職務と関係して、基本的に判例の蓄積によって各国で形成されたものであります。
 例えば、秘匿特権を持つ弁護士の範囲は、米国では社内弁護士を含みますが、EU及びその加盟国においては社内弁護士を含みません。また、EU及びその加盟国では、EU圏内の弁護士、正確にはEEA、欧州経済領域圏内で弁護士資格を持つ者に限定されております。
 このように、秘匿特権を持つ弁護士の範囲だけ見ても、制度のあり方はさまざまであります。また、秘匿される文書の範囲も、国や州、米国の州ですが、によってさまざまであります。
 弁護士・依頼者間秘匿特権については、何か世界的に、あるいは主要国でも、統一した制度があるというわけではございません。その上、秘匿特権は、独占禁止法にとどまらず我が国の司法制度全体にかかわる問題です。
 今回、弁護士・依頼者間秘匿特権をカルテル、入札談合などの不当な取引制限に限定して導入することとし、また、法律ではなく公正取引委員会規則を根拠とする制度として導入することになっています。
 今後は、公正取引委員会規則での運用により、経験を蓄積し、事例を積み重ねて、生じる課題を解決していくということになります。その蓄積の上において、独占禁止法上のいわゆる単独行為について、そしてさらには我が国の司法制度全体における秘匿特権の制度設計のあり方や運用のあり方について慎重に検討していくということができます。
 その意味で、秘匿特権をカルテル、入札談合等の不当な取引制限に限定し、また公正取引委員会規則において導入するということは適切であると考えております。
 ただし、公正取引委員会の独占禁止法研究会において法改正が提案されながらも、今回の法改正案に含まれていないものがあります。
 具体的には、第一に、日本や外国の事業者が自己の市場を協定し市場を分け合うという国際市場分割カルテルにつきましては、独占禁止法研究会報告書では、日本に売上額がない外国事業者について売上額を推計して課徴金を課す制度を提案しました。しかし、今回の法改正では、この制度の導入は見送られています。
 第二に、国際カルテルにおいて、同じ売上額について、外国の競争当局と公正取引委員会との両方が課徴金あるいは制裁金をあわせて課そうとする場合に、課徴金額を減額するなどして調整するという制度も提案されておりましたが、これも導入が見送られています。
 これらは、我が国の独占禁止法を外国企業に適用する上で重要な制度であります。これらの制度の導入が見送られたのは、課徴金制度について不当利得を剥奪する制度と位置づけた上で、この不当利得の内容を極めて厳格に解する立場に立ったためかもしれません。
 しかしながら、課徴金制度の法的性格につきましては最高裁の判決があり、カルテル禁止の実効性を確保するための行政上の措置とか、制度の積極的かつ効率的な運用により抑止効果を確保する、以下若干省略しますが、ことが必要だ等とされています。
 国際市場分割カルテルにおいて、日本に売上額がない外国事業者について売上額を推計して課徴金を課すことはEUでも行われており、現に複数の日本企業が高額の制裁金を支払ってきています。これらの制度については、ぜひ今後、改正を検討していただきたく希望します。
 我が国の課徴金制度は、今から四十年以上前の昭和五十二年に導入されたものです。昭和五十二年当時、我が国の課徴金制度は世界的にも最先端の制度でありました。そして、当時は世界的にも珍しい制度であったために、当時、慎重な制度設計がなされたものと考えます。しかし、その後、中国を始めとする社会主義国や発展途上国が次々と独占禁止法を制定しました。そこで導入されている課徴金制度あるいは制裁金制度は最先端のものになっております。
 外国事業者は、さまざまな競争当局の動きを気にしつつ行動しています。強い制裁金や強い執行を行う国に対する対策をまずは考え、弱い執行力の競争当局に対する対応を劣後させます。アジアでは、日本に対する優先度を他国よりも低くしているという、ジャパン・バッシングではなくてジャパン・パッシングです、日本を通過する、ジャパン・パッシングという状況があるとも聞きます。
 我が国においても、これらの諸国と遜色のない制度を設けることを強く希望いたします。今回の独占禁止法改正は、それに近づくものとして高く評価いたします。
 以上から、改正法案につきまして基本的に賛成させていただきます。
 以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
#148
○赤羽委員長 ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。
#149
○山本参考人 本日は、意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。弁護士の山本晋平でございます。
 私は、これまで、日本弁護士連合会依頼者と弁護士の通信秘密保護制度の確立に関するワーキンググループ事務局長として、独禁法における手続保障、特に、依頼者と弁護士の通信秘密保護制度の問題を中心に研究、調査を行ってまいりました。本日申し述べる意見は私個人の意見でございますが、これまでの知見を生かし、今般の改正案に至る議論にかかわった部分がございますので、私が知る限りで、これまでの御議論を踏まえつつ、意見を申し述べたく存じます。
 公正取引委員会におかれましては、本年三月十二日、独禁法改正案の閣議決定に伴い、別紙二、「事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の取扱いについて」と題する文書を公表されております。お手元の、私の方で配付をお願いした資料の資料二でありますし、衆議院の経済産業調査室がまとめられた今般の法律案の要点及び問題点、青い色の冊子の七十六から七十八ページにおいても同じものが掲載されてございます。以下では公取委制度案という呼び方をさせていただきますが、本日は、主にこの内容に関し意見を申し述べます。
 なお、公正取引委員会は、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権という用語を使われておりますが、私は、依頼者と弁護士の通信秘密保護制度、あるいは、単に通信秘密保護制度という言葉を使わせていただきますので、御了承いただければと存じます。
 公取委制度案において、最後の部分で、「本制度の対象範囲の拡大について、早急に検討する。」と記載されたところがございまして、本日は、これに関連して、今後の制度の見直し、拡充に関しても意見を申し述べるところがございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料一に沿って内容に入らせていただきます。
 まず、大前提として、言うまでもないことでございますけれども、独禁法は、公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保し、国民経済の健全な発展を促進することを目的とするもので、重要な法律であり、独禁法違反に関する実態解明は重要であります。違反に対する処分の内容、程度も、法の適正な執行という観点から十分効果的なものとなるべきであります。今般の独禁法改正案もこの観点から提案されていると承知しておりまして、法改正の趣旨について、私も異論がございません。
 他方、執行力強化のみならず、適正手続の確保も必要不可欠であります。真実は適正手続の中でこそ明らかにされるものであり、そのような手続を経た結果として違反の有無が明らかになるものであります。違反の有無や内容が、適正手続にのっとって確定されることが必要と考えます。処分を受ける可能性のある者が、事実認定及び法の解釈、適用の両面から、十分な検討と必要な防御の機会を与えられることは必須の要請であると考えます。このため、弁護士に相談し、助言を受けることが保障されるべきであります。この認識は、国際的な共通理解になっていると承知しております。
 通信秘密保護制度の趣旨は、端的に言えば、第一に、依頼者の正当な権利、防御権の確保、第二に、法令遵守、すなわち、有利なことも不利なことも包み隠さず打ち明けて法的相談ができることが、社会における法令遵守につながる点にあるとされております。少なくとも、独禁法、競争法の実務において、国際的に広く認められた制度であると認識しております。
 念のため申し上げますと、弁護士との相談というのは、事業者の事業活動に関連する一定の事実を前提に、そうしたもとの事実関係から派生して生じる事象でありまして、違反被疑事実との関係ではいわば間接的な位置づけにありますので、その意味で、弁護士との相談の過程や相談内容は、そもそも直接証拠としての資格が欠けております。弁護士との通信に当局がアクセスしないということは、証拠構造の面からいえば、弁護士の代理を受けていない者に対する調査と同列に考えられるかと存じます。
 この通信秘密保護の考え方が我が国に何ら存在しないのかというと、そうではございません。資料に、民事訴訟法、刑事訴訟法などの規定を記載いたしましたが、一つの例として、裁判所、大阪高等裁判所が平成十七年一月二十五日の判決の中で述べていることを考え方として御紹介させていただきます。
 これは、刑事訴訟法三十九条一項に関するものですが、接見交通権の実質的根拠として、裁判所は次のように述べております。
 その実質的根拠は、かかる接見等の交通権が直接的に被告人等の人身の自由等の保障に資する点のみならず、被告人等が弁護人と相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会が確保されることにより、国家の権能である刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使の適正化が図られ、もって、実体的真実の発見に資する点にも求められるのである。
 刑訴法三十九条一項が被告人等は弁護人と立会人なくして接見することができる旨規定しているのは、被告人等とその弁護人との間において、相互に十分な意思の疎通と情報提供や法的助言の伝達等が、第三者、とりわけ捜査機関、訴追機関及び収容施設等に知られることなく行われることが、弁護人から有効かつ適切な援助を受ける上で必要不可欠なものであるとの考えに立脚するものであるが、これは、接見の機会が保障されても、その内容が上記各機関等に知られるようなことがあれば、両者のコミュニケーションが覚知されることによってもたらされる影響をおもんぱかってそれを差し控えるという、いわゆる萎縮的効果を生ずることにより、被告人等が実質的かつ効果的な弁護人の援助を受けることができないことも十分に予想されるからであると解される。
 とすれば、刑訴法三十九条一項の「立会人なくして」とは、接見に際してその内容を上記各機関等が知ることができない状態とすること、すなわち、接見内容についての秘密を保障するものであり、具体的には、接見に第三者を立ち会わせることのみならず、接見内容等を録音等したり、接見内容等を事前に告知ないし検査等したり、接見内容等を事後に報告させることなどを許さないものである。
 以上、御紹介しましたのは、刑事事件の裁判例ではございますが、その考え方、依頼者と弁護士とのコミュニケーションが萎縮なく行われることの重要性を述べている点で、普遍的なものであると考えます。
 以上を踏まえまして、公取委制度案の、まず、「一、趣旨」について意見を申し述べます。
 趣旨の記載のうち、弁護士との相談に係る法的意見等についての秘密を実質的に保護し、適正手続を確保するというふうに記載されている部分につきましては、極めて適切なものであると考えます。この観点からの制度とすることは、諸外国で認められている通信秘密保護制度本来の趣旨にも近づくと評価できると考えます。
 他方で、新たな課徴金減免制度をより機能させるという観点も記載されてございますが、通信秘密保護制度の趣旨としては本来記載する必要がなく、今回示されている制度を限定的なものにする根拠になっていると理解されますので、問題が残っていると考えております。
 この点に関連しますが、公取委制度案の「三、制度 (二)制度の対象となる手続」について、いわゆるカルテル事案の行政調査手続に限定していることの問題点を三点述べさせていただきます。
 まず第一に、通信秘密保護制度の目的のためには、弁護士への相談の前から、その相談内容が将来秘密取扱いを受けることが制度的に確保される必要がございます。国際的にもそのように理解されておると承知しております。依頼者が行動を決定するに当たって、弁護士に相談し、弁護士による検討結果を踏まえ、それによって法的状況を理解、評価した上で意思決定すること、インフォームド・デシジョンを確保するためには、法的相談の前に相談内容のスクリーニングを迫ったり、そのようなちゅうちょを与える制度設計は適切ではありません。
 カルテル事件の行政調査という場面を前提としても、独禁法三条前段の私的独占や、十九条の取引妨害等に該当する可能性もあわせて検討する必要があるような事案もございますので、そうした場面も対象になる制度としなければ、事業者が気兼ねなく相談するための制度としては十分でないと考えます。
 第二に、今般の独禁法改正は、カルテル以外の行為類型についての課徴金の強化も含んでおります。これらとの関係でも、適正手続の確保は必要でございます。
 第三に、独禁法固有の事情による制度導入という前提に立って考えてみても、課徴金減免制度とは別に、事業者の自主的な計画案に基づいて事案の解決を図る制度として確約制度がございます。これは、TPP関連法に基づいて導入されたものであり、昨年末に既に発効しております。資料の中には、この点に関する日弁連の関連意見書を二点入れてございます。
 この確約制度も、独禁法固有の制度であり、独禁法固有の事情に基づいた制度の導入が可能と考えます。つまり、確約制度の対象たる、カルテル以外の行為類型に関しても、通信秘密保護制度の対象としていただくのが適切であると考えます。
 以上三点、制度の対象をカルテルに限定せず、独禁法全般とする理由があることを申し述べました。今後の制度拡充の検討に当たっては、以上の点を踏まえた御検討をしていただきたいと考えます。
 なお、行政調査における手続保障は各行政分野でそれぞれ定められておりますので、その他の分野の行政調査とは区別して、独禁法行政調査に関する制度を導入しても、法制上特段の支障はないと考えております。伊藤真東京大学名誉教授も、判例時報二千三百六十七号においてこの点を検討されて、その点を述べられております。
 以下、ほかの点につきまして、時間が限られておりますので、要点のみ申し述べます。
 まず、公取委制度案のもとで制度の対象となる通信の範囲については、物件単位で、その物件の属性等に即して判断するものとなっておりますところ、この制度設計に賛同いたします。
 例えば、法的意見が記載された報告書が本制度の対象物件とされておりますところ、法律相談や法的意見の前提として事実関係の記載がある場合でも、当該文書一体として対象物件になると理解をしております。
 なお、ここで保護の対象となる通信は、電子データ等、電子メール等の電磁的記録も含まれるよう、規則、指針等において確認していただきたく存じます。
 次に、保護が認められるための秘密性の維持の要件については、国際的な実務との平仄という観点を十分に意識した制度の具体化をしていただきたいと考えます。
 我が国の企業も、海外当局による調査を受けたり、海外での訴訟、国際仲裁などをも意識した文書管理をしている例がございます。今後策定される規則や指針において、そうした企業の文書管理の実務と整合的な内容にしていただきたいと考えます。
 次に、公取委制度案において、違法な行為を目的としたものでないことが要件とされている点、この点も賛成でございます。
 違法な行為を目的とした通信は、それ自体が違法行為の直接証拠という性格を帯びますので、保護が認められないというのは適切であると考えます。
 なお、この点に関しては、判別手続における適切な運用が極めて重要だと考えます。
 次に、依頼者の範囲でございますが、会社の役員や従業員がみずから弁護士を依頼した場合、その個人と弁護士との間の通信も保護対象にされるべきであると考えます。
 それは、課徴金減免制度を機能させるという観点からも、適正手続の観点からも必要であります。独禁法審査プロセスに関与する個人も、弁護士の法的助言を受ける資格が保障される必要がございます。
 依頼者の範囲に関してもう一点、弁護士と依頼事業者のグループ会社との間の通信も、一定の場合には保護の対象になるものとしていただきたいと考えます。これは、今般の改正に伴う規則、指針において対応していただきたいと考えます。
 次に、弁護士の範囲に関して、今後の制度拡充の検討に当たっては、組織内弁護士も対象とするよう御検討いただきたいと考えます。
 我が国の法制上、弁護士の秘密保持、秘密交通等に関して、社内弁護士と社外弁護士を区別するような取扱いは見当たりませんので、この点、EUなどと事情が違っておりますので、そのことを踏まえた検討がなされるべきと考えます。
 次に、ほかの行政調査との関係ですが、本制度を導入する以上は、ほかの行政調査等からの影響を遮断する観点が必要であると考えます。
 公取委以外の行政当局から公取委審査部門への迂回的な入手ルートが生じないよう確保していただきたく、また、そのような取扱いをすることは、ほかの行政調査との関係でも影響を生じないと考えます。
 手続保障に関する最後の点としまして、供述聴取における適正手続に関し申し述べます。
 この点に関し、最も適切なのは、弁護士の立会いを認めることでございます。
 各国において既に認められている実務であり、供述聴取過程を円滑にする効果があること、実態解明機能の阻害という懸念への対処も可能であることは、海外での経験上わかっていることでございますので、弊害防止のためにどのようなルールを設けつつ導入するかという議論に移っていただきたいと存じます。今後の課題として御検討をお願いいたします。
 事情聴取の際のメモ取りは、弁護士の立会いが認められれば基本的には必要がなくなると考えますが、現状、弁護士立会いが認められない状況下では、メモの作成を認めることが必要となります。この点、公取委制度案には限定的なことが書いてございますが、メモの作成は供述終了後に限るべきではなく、また、課徴金減免申請者の従業員等に限るべきではないと考えます。
 以上申し述べましたが、公取委制度案の最後の箇所、「その他」という記載の中で、「本制度の対象範囲の拡大について、早急に検討する。」という記載がございますので、一言申し述べます。このような記載がなされたこと自体は評価すべきと考えております。
 ただし、拡大の検討に当たって、違反被疑案件が他国における案件と関連するか否かによって適正手続のための制度内容に区別を設けることには合理性がないものと考えます。独禁法固有の事情に着目しつつ、カルテル以外の違反行為類型をも制度の対象となし得ることは、これまで述べたとおりでございます。したがいまして、他法令への影響という要素も、独禁法のもとでの対象範囲拡大の妨げとなるべきではないと考えます。
 また、本制度の導入により、カルテル被害者が何か不当な不利益をこうむると想定されているわけではないと認識しております。通信秘密保護制度は、中小企業を含む全ての事業者による独禁法コンプライアンスの促進に資するものであり、それは消費者利益にもかなうものであります。中小企業の利益、不利益といった観点は、対象範囲拡大の妨げとなるべきではないと考えます。
 以上、私からの意見を最後にまとめますと、通信秘密保護制度を含む手続保障に関し、今回の公取委制度案は、申し述べましたように、評価できる点もございます。他方、なお不十分な点もございます。今後の規則、指針の内容次第というところもございますが、今示されている内容を前提として見た場合、制度として一つの前進と言えるものと考えております。
 残された課題につきましては今後御検討いただきたいと考えますが、今般の独禁法改正案については、成立に向けた御審議をいただければというふうに考えております。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#150
○赤羽委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#151
○赤羽委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明さん。
#152
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。自由民主党の斎藤洋明でございます。
 まず、本日御意見をいただきました参考人の先生方、大変ありがとうございます。質問させていただきます。
 また、委員長を始め理事、委員各位にも、質問の機会をいただきましたことを感謝を申し上げます。
 早速質問させていただきます。
 今回の独占禁止法の改正案の中身の最大のテーマの一つが、公正取引委員会と違反被疑事業者とが今までよりもより協力して事件調査、実態解明に当たるという協力型の事件処理の導入だと考えます。
 その制度的な裏づけとして、調査協力のインセンティブも付与されることがありますが、まず、この導入される協力型の事件処理を有効にワークさせるために、特にどういった点、今後制度を具体化していくに当たって留意する必要があるか。まず、井上参考人、本件につきまして御意見をお願いします。
#153
○井上参考人 先ほど申し上げましたとおり、まず一つは、この法案が成立した後に、協力度合いをどう評価していくかというところが一つポイントになろうかと思います。やはり、ここが明らかになることで初めて、企業側の予見可能性であるとか透明性、公平性というのが担保されると思いますので、この部分を明らかにしていただくと、事業者にとって、より積極的に調査に協力できるという体制が整うというふうに思っております。
 それとプラスをいたしまして、先ほどありました弁護士・依頼者間の秘匿特権、これが規則等によって整備されたということも、この協力型の事件の解決を進める上で非常に大きなインセンティブツールになるというふうに考えております。
#154
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 ぜひ、この制度導入を契機に、政府としても、今までよりも事件処理を効率的にやっていただきたいということも強く思っておりまして、個々の細かい事実を調査することを役所がやるのではなくて、まさに企業から、弁護士としっかり話し合って、これは間違いないという事実を出していただくような制度をまさに具体化をしていただきたいと思いますので、御意見ありがとうございます。
 次に、今、弁護士とのやりとりに関する保護のお話もいただきましたので、泉水参考人にお伺いをしたいと思うんです。
 この秘匿特権の取扱いにつきましては、与党の中でも相当長期間議論させていただきました。結論としましては、泉水参考人からの御意見陳述にもありましたけれども、民事、刑事との関係でありますとか、国税庁の調査のような、他の行政手続との議論の整理がつかないということで、独占禁止法独自の制度である課徴金減免を受ける際に限って導入するということで政府案をおまとめをいただきました。
 このことの評価を、泉水参考人からお伺いしたいと思います。
#155
○泉水参考人 ありがとうございます。
 まず、独占禁止法研究会報告書では、実は、課徴金減免申請された事案に限って秘匿特権を導入しようという提案がなされていたんですが、今回は、課徴金減免申請に限らず、不当な取引制限について導入されていますので、そういう意味では独占禁止法研究会報告書よりは秘匿特権の対象となる行為は広がってはいると理解しておりますけれども、なお独占禁止法の中の主要な行為というんですか、いわゆる単独行為は除かれているということになっているかと思います。
 その点につきましては、先ほども申しましたとおり、独占禁止法についてなぜ秘匿特権が必要かというと、アメリカにおけるクラスアクション等において、公取に提出された文書が、ウエーバー、権利放棄されるようになると、アメリカの訴訟等で困難だ、いろいろ問題が起こると言われて、そこで今回導入されたんですが、そういう議論の経緯があると思います。
 しかし、他方、ではそれ以外の、日本の独禁法の中に制度を導入すると、やはり、今委員御指摘のとおり、他の行政調査、それから、さらには、民事訴訟等の制度設計をどうするかということ、広く密接に関係しますので、私自身といたしましては、まずはある意味で小さく産んで、それで、それからいろいろもんでいきながら大きく育てるというのがいいかなと思っております。
 以上です。
#156
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 今、アメリカ等での司法手続との関係につきましてコメントいただきましたので、済みません、井上参考人に再度、経済界の要請ということでお伺いしたいんです。
 今回、秘匿特権の導入の議論の中で要請があった理由の一つに、海外で、弁護士とのやりとりを、保護を求めることとの関係で、秘匿特権を何らかの形で導入してほしいという経済界からの御要請があったと思いますが、今回の制度で、その経済界の要請は一定程度満たし得るのかどうか、コメントいただきたいと思います。
#157
○井上参考人 この秘匿特権に関しましてさまざまな議論があったというふうに承知をしておりますけれども、結論といたしまして、私ども、企業の方々に、法務の実務の方にお集まりいただきまして、今回の秘匿特権の制度につきましていろいろと検討させていただきましたけれども、海外に対しても、十分にこれは、新しい制度として日本が秘匿特権を導入されたんだという評価にたえ得る内容になっているというふうに思います。
 ただし、そのためにも、先ほども申し述べましたところでございますけれども、対外的にこういう制度がちゃんとあるんだということを発信をするということもあわせて重要な課題だなというふうに感じております。
#158
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 次に、吉田参考人から御提案いただきましたプラットフォーマーのお話につきまして、法改正の話に直接結びつくかどうかわかりませんが、一点コメントいただきたいことがあります。
 プラットフォーマーに対する規制につきましても、今現在与党内でも議論しておりますけれども、その中で、一つは、課税回避のような、どちらかというと国との関係で問題になるような話もありますし、もう一つ、民民、競争市場の問題もあります。
 競争市場のことでお伺いをしたいのが、このプラットフォーマーが、将来プラットフォーマーに育ち得るような革新的な技術あるいはアイデアを開発した企業がまだスモールビジネスのうちに買い取ってしまっていて、結果として競争の芽を摘んでいるのではないかという指摘があります。
 こういった、スモールビジネスをあらかじめいわば予防的に買い取ることによって競争の芽をあらかじめ摘み取ってしまうというようなことにつきまして、何か問題意識がありましたらコメントをいただければと思うんですが。
#159
○吉田参考人 御質問ありがとうございます。
 そういった新しいビジネスの芽を積極的に摘み取る事例というのは幾つか既にございまして、私が知っている範囲で申し上げますと、昨今非常に新しい領域と言われているのがヘルスケアの領域なんですね。健康管理するアプリケーションとか、スマートウオッチをつけて、私もつけていますが、こういったスマートウオッチによって健康管理するみたいなベンチャーが海外では結構立ち上がってきたんですけれども、先日のニュースで、アップル社が健康に関するアプリケーションは一律配信停止といった措置をとって、基本的にはアップル社も自身で健康管理をするアプリケーションを出しているものですから、そこで、ある日突然全部停止といったような事例というのを聞いております。
 また、ほかの各社、例えばグーグルですとかアマゾンさんですとかセールスフォースさん、そういったいろいろな企業の中でもMアンドAというのを今積極的に行っていますので、基本的には、寡占していく過程である程度ストップをかけて競争を阻害をして買収をしていくといった形は事例があるかと思います。
#160
○斎藤(洋)委員 ありがとうございました。この点につきましても、いずれ別の形でまた御意見いただければ大変ありがたいと思っております。
 山本参考人にお伺いをしたいんですけれども、まず一つは、冒頭の方の質問で申し上げましたとおり、事件調査のフローが変わって、より効率的な事件調査が行われることが望ましいと考えております。
 そのこととの関係で、今回課徴金の算定期間を三年から十年に延ばすというお話の中で、調査対象期間が延びることが、実務上何か障害があり得るということがあるかどうか。ちょっと現時点のお考えを伺えればと思います。
#161
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
 本日、実は、主に手続保障の点について御意見を述べようと思っておりましたので、必ずしも、どう考えているかという、全くの、御質問いただいたこの場での考えになりますが。
 海外での調査対応では、日本とは異なり長期間の調査対応をする場面がございますので、そういう意味では、それと同じようなことと考えれば、既に海外の調査当局の調査を受けている日本企業の対応と同様の対応ということで、あり得るのかなと。
 私の記憶している限り、日弁連などの意見では三年から五年にするのはどうかというような意見をたしか述べていたと思いますが、それよりも今回は更に、十年ということで延びたということで、先生の御質問の点は問題になる余地はもちろんあるかと思うんですが、国際的に何かずれた期間設定になっているということではないということかと考えております。
#162
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 十年という期間、商法上の帳簿の保存期間ですとかいろいろなものとの関連で十年ということかと思いますが、先々また独禁法の執行力強化という話が出たときに海外の制度との整合性をとる中でまた議論が出てくるかと思いますので、ちょっと質問させていただきました。
 もう一つ、調査協力のインセンティブのところに関連しまして山本参考人にもう一点お尋ねして、最後、終わりにしたいと思います。
 企業の所有と経営の分離が進んでおりますので、違反行為を隠すことによって企業が結果として短期的には経済的な利益を得るという場面は少なくなってきていると思うんですけれども、課徴金減免制度がかつて導入されたときも、利用する企業が出てくるかどうかわからないという議論もありましたが、実際にはかなりその活用が広がったということもありますので、今回の、協力することによって調査協力のインセンティブを得るというニーズ、相当あるのではないかと考えておりますが、個人的な見解で結構ですので、いかがでしょうか。
#163
○山本参考人 これも全く、今御質問いただいて今考えることでございますけれども。
 課徴金減免申請の順番が、これまで限定があったのが限定がなくなったということは、下位の事業者にとっても協力のインセンティブが働くということでございますので、少なくともこちらについては下位の事業者との関係でも公正取引委員会の調査が円滑になるだろうということは想定されるといいますか、それが一つの今回の改正法案の狙いかと存じますので、その意味では、公取のリソースの配分といいますか、そういう意味で有効なリソースの配分がなし得るということで働く。
 それを他の案件に振り向けるのか、それはまたさまざまあるかと思うんですが、そういう意味では公取の執行力全体においてプラスになるということで期待されているということで、私もその点については賛同しております。
#164
○斎藤(洋)委員 ありがとうございました。
 関係者全員が全て一〇〇%賛成という中身ではないかもしれませんが、それを求めていると遅過ぎた規制になりかねないという意味で、今回、政府の内容でまず通していただくことが非常に重要ではないかと思っております。
 きょうは、参考人の先生方、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 以上で終わります。
#165
○赤羽委員長 次に、富田茂之さん。
#166
○富田委員 公明党の富田茂之でございます。
 四人の参考人の先生、きょうは、貴重な御意見、ありがとうございました。また、経団連、日弁連の皆様におかれましては、我が党のヒアリングにも参加をしていただきまして、いろいろ教えていただきました。そのことをまたお礼を申し上げたいと思います。
 まず泉水参考人と井上参考人にお伺いしたいんですが、今回の調査協力減算制度について、先ほど泉水参考人は、新しい制度、初めての制度だということで、具体的にどのようなものにしていくのか、事業者の協力内容をいかに評価するかについてガイドライン等による明確化が必要だというふうにお話しされていました。また、井上参考人の方も同じようにガイドラインということを挙げられて、予見可能性、透明性、公平性、特に事業者の予見可能性を強調されておりました。
 今後このガイドラインをどういうふうに作成していくかというのが大事になると思うんですが、お二人が考えられているガイドラインの中に最低でもこういうものをきちんと事業者が予見できるような形で書いてもらいたいという具体的なものがありましたら、ぜひお二人から教えていただきたいと思うんですが。
#167
○泉水参考人 ありがとうございました。
 ガイドラインの中に何を具体的に書くかというのはこの段階ではなかなかお答えするのが難しいところであるのですけれども、ただ、幾つか言えることは、例えば事業者が申請して、それである証拠というか物証を出した、その物証が公正取引委員会の調査にとってどれだけの評価、価値があるか、これは、調査開始前で最大四〇%、調査開始後で最大二〇%として段階的にするわけですが、その中の例えば一〇%ごととか五%ごとに評価を分けていくということになると思うんです。
 それについて具体的にどのような形か、これは経験を積まないとわからないことではありますけれども、最初はかなり大まかなものになるかと思いますが、経験を積んでいって、例えば例としてこのような事例があるというような形でガイドラインをどんどんと例等を加えて、それで実際に、このような事例、このような証拠が提出されればこれだけ減算されるんだ、そういう形でだんだんとわかるようなものにしていくというのが大事だと思いますし、そういう意味では、事例の蓄積をしながらつくっていくということが大事ではないかと思っております。
 以上です。
#168
○井上参考人 ただいまの参考人の意見とほとんどダブるんですけれども、これは多分、これからの経験をやはり積み重ねていって、どういう事例がどういう評価になったのかということを積み重ねていって、それを明らかにしていくということでその評価というのがだんだん固まってくるんじゃないかなというふうに思いますけれども、例えば、談合の対象の、どういうものが対象になっているのかであるとか、その方法、具体的にどんな方法で行われたとか、そういうものが、どういう情報が対象の評価となるのかということをまず明らかにしなくちゃならないと思いますし、その対象ごとにどういう減算の方法になるのかというあたりを、これも経験を積み重ねながら対外的にも明らかにしていくといったところが必要じゃないかなというふうに考えております。
#169
○富田委員 ありがとうございました。
 泉水参考人に、先ほどの御意見の中で、今回の課徴金の算定率は売上額の一〇%が基本だと、ここは今回も変わりませんでした。ただ、独占禁止法研究会では、もっと利益を得ているんじゃないかとか、一〇%ではなかなかちょっと、社会に与える影響でもまだ足りないんじゃないかというお話を先ほどされていました。
 今後、これを踏まえて総合的に検討していく必要があるというふうに先ほど言われていたんですが、研究会の方では一〇%以上のお話が出ていたのか、あるいは、総合的に検討という場合に、どんなところを考慮していくというふうに先生は考えられているんでしょうか。
#170
○泉水参考人 ありがとうございました。
 この問題につきましては、まずは独占禁止法研究会の委員の間でどのような意見が出ていたか、とりわけ一〇%を超えて引き上げるべきだという意見が出ていたかどうかでありますけれども、これは、一部のといいますか、何人もの、実は私も含めてなんですけれども、者から、一〇%じゃ足りなくて、まさに私が先ほど申しましたとおり、平均すれば今やや利益率は下がっていると思うんですが、リーマン・ショック以降の時期がありますので下がっていると思うんですが、それでも単純平均すれば一〇%を超えておりますので、そういう意味で、まだ不当利得を考えても足りないと思います。
 それから、先ほども言ったカルテル等々については、利益を得るだけじゃなくて、相手にいろいろな、消費者とか社会に利益以上の損害を与えることがしばしばありますので、それらも含めて本人に負担させなければ十分抑止できないんじゃないかということで、複数といいますか、委員の中の、過半には至らなかったと思いますが、者から、一〇%を超えて引き上げるべきだという主張が出たと思います。
 ただ、他方においては、三年から十年になるので、それによって課徴金の総額、課される総額は全体としてふえるので、まずは、全体の総額がふえて、それによって抑止力がどの程度確保できるのかを見て、その上でなお抑止力が十分でなければ課徴金の基本算定率を引き上げるべきだというのが大勢を占めたということで、このような結果になったと理解しております。
 以上です。
#171
○富田委員 次に、もう一度井上参考人にお尋ねしますが、秘匿権のところで三点気になるところがあるというふうに言われていました。
 最初の、判別官と審査官。判別官の判断に対しては取消し訴訟を起こせない、処分じゃないということで起こせない、返還請求してそれを拒絶された場合に訴訟で起こしていくんだというお話をされていましたが、午前中の委員会でも、同じ役所の中の人間が判別して審査するというのはやはりおかしいんじゃないかという委員からの質問がありました。
 公取の方では、審査官、審査局とは別に、官房の方の職員にまず判別させて、特に弁護士資格を持った人間にできるだけやらせてみたいというような話をしていたんですが、一般から見るとこの判別だって処分じゃないかというふうな思いで多分この意見を言われたと思うんですが、これを海外当局や実務者に対して、きちんと目にとまる、まとまった形で示してほしいというふうに言われていました、明確にしてもらいたいというふうに先ほど御意見がありましたが、ここをどういうふうにしていったらいいというふうにお考えでしょうか。
#172
○井上参考人 まず、重要なのは、この秘匿特権という制度が日本にちゃんと独禁法上整備されたんだということを言っていただくとともに、透明性の観点からいうと、やはり問題があった場合に最終的に裁判所の判断に委ねられるんだということが重要でございますので、今回、判別官の判断ではないですけれども、物件の返還の訴訟に関しては一応争えるということになっておりますので、そういう最終的な訴訟という判断で争えるという点も含めて、対外的に広報していただきたいということでございます。
#173
○富田委員 ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお尋ねしたいんですが、先ほどお話しいただいた資料も読ませていただきましたが、実は、弁政連ニュースのことしの一月号に、先生も入っていらっしゃいます「依頼者・弁護士間の通信秘密保護制度の確立を」という座談会の記事を読ませていただきました。
 山本参考人の意見で、外国の弁護士が日本の企業と相談する際に、本来なら書面で出すべきものを日本の弁護士に口頭で伝えて書面が証拠として残らないような、そんな実際の実務の扱いもあるとか、外国の弁護士との打合せに日本の弁護士を入れないとか、そういったことが書かれていたのでちょっとびっくりしたんですが。
 現実問題として、やはり実務面でこういうふうに対処されてきたのかなというのを抱くと同時に、先生が結論の方でこんなふうに言われていました。当局に協力するか否かの意思決定の前段階で弁護士とのコミュニケーションを保護するという保障がなければ、結局そのコミュニケーションは促進されないということが世界の共通の経験だと。
 かなり早い段階で、やはり弁護士と相談をした上で、きちんと、情報提供した方がいいのかどういうふうにしていったらいいのかということができないと、やはり企業の防御権の面からも問題だという御指摘だと思うんですが、今回はまだそこまでいっていない改正ですけれども、先生の考え方からいって、この部分はどういうふうに思われていますか。
#174
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
 今回の公取の制度案について先ほども意見を申し述べましたが、やはり早い段階から相談をするということは大事でございまして、この点については先ほどの井上参考人も同じ趣旨をお話しになっていたかと思いまして、その点については認識に違いはないと思うんですけれども、その観点から見ますと、やはりカルテル限定の通信秘密保護制度というのは、企業からすると、相談する前に、これはカルテルの相談なのだろうかということを考えなきゃいけない制度になっております。
 それから、カルテルの相談だというふうに思っても、後で公取委が調査を始めるときに三条前段の私的独占で調査を始めると、そのコミュニケーションは今回の制度の対象外になってしまいます。
 それから、もちろん、そういうことを懸念して、弁護士に相談するかどうか自体をちゅうちょしたり、あるいは弁護士も書面に残すかどうかということをちゅうちょするということが、従前あった実務が消えてなくなるかというと、そうはならないかもしれないというふうに思っておりまして、先ほどの私の意見は、まさにその観点から、今後、対象範囲の拡大を御検討いただきたいと。
 それが国際水準でありまして、私の知る限り、独占禁止法、競争法の分野で通信秘密保護制度を導入している、ほかの分野はともかくですね、という国はございます。他方、カルテル限定とか、カルテル調査限定というような形で導入しているということは私の知る限りございませんので、その意味でいうと、やはり今後、その対象範囲の拡大ということはぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 ありがとうございます。
#175
○富田委員 最後に、もう一度泉水参考人にお尋ねしたいんですが、国際市場分割カルテルについて御意見を述べられていました。研究会の方でも大分議論されたと思うんですが、今回はここについては改正がありませんでした。
 午前中の委員会の質疑でも、EUの方に課徴金が取られているのに日本ではなぜ取れないんだ、おかしいじゃないか、不公平だという質問もあったりしまして、そのとおりだなと思うんですが、今後、新たな改正をしていく際に、先生は不当利得の観点があるから難しかったんじゃないかというふうに先ほど言われましたけれども、そこをちょっと乗り越える何か手段というのはあるんでしょうか。
#176
○泉水参考人 ありがとうございました。
 国際市場分割カルテルについてなぜ今回導入されなかったかについては、私も推測ですけれども、今御指摘のように、市場分割ですから、外国の事業者は、例えばヨーロッパの事業者はヨーロッパという市場が与えられて、日本の企業は日本という市場が与えられますので、売上額から利得を計算するとすると、外国の事業者はヨーロッパでしか売上げがないので利得がないという形で、日本に利得がないという発想なんだと思います。
 でも、他国においては、日本の企業はヨーロッパで販売しないという協定を結んで、それによってヨーロッパの企業は利得を得ているわけですよね。ですので、ヨーロッパの企業がアメリカで利得を得たとしても、それは本来日本で得られたものを分割しているだけの話なので、そういう意味では利得が私はあると言っていいと思いますし、先ほど、利得を厳格に解し過ぎているということを言いましたが、利得を観念していたとしても、利得は推認できると思うんです。
 ですので、今回の制度についても不当利得は観念できると思うので、むしろ、不当利得を厳格に解し過ぎているんじゃないかということと、他方で、不当利得を、例えば不当利得以上の制裁を科すことによって抑止するという、多分、きのう、私、最高裁も不当利得を超えてはいけないとは絶対言っていないわけですから、そういう意味では不当利得の範囲は厳格に解するべきではないし、しかも、不当利得と離れた課徴金制度のあり方というのは私は十分にあると考えておりますので、両面において、今後の立法においては、余りそういう、昭和二十二年に非常に慎重に導入した制度から離れて制度設計を今後はしていただかないと、他の、独禁法以外にも課徴金制度はありますので、やはり同じような問題があると思います。
 広く、今後、課徴金制度に対する影響もありますので、もうそろそろ、非常に厳格な不当利得の観念とか、不当利得による制裁、抑止という観念を離れていただきたいなと考えております。
 以上です。
#177
○富田委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
#178
○赤羽委員長 次に、笠井亮さん。
#179
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 きょうは、四人の参考人の皆さん、御多用の中、貴重な御意見を本当にありがとうございました。
 既に幾つか質疑があったんですが、私の方からも、まず山本参考人に伺いたいと思います。
 通信秘密保護制度を中心にお話、そして御意見がありましたけれども、その前提となります課徴金制度、そして基本算定率についてなんですが、伺っていきたいと思うんです。
 日弁連は、二〇一六年十一月十五日の意見書、「「課徴金制度の在り方に関する論点整理」についての意見書」というのを出されておりますが、その中で課徴金の算定について、十分機能していないのであれば、基礎とする売上額の算定期間を現行の三年間から五年間とし、算定率を現行法の一〇%から二〇%に引き上げる方向で検討すべきというふうにされておりました。
 今回の改正案は、期間は十年とされたわけですが、算定率の方は一〇%据置きというふうになっております。これで違反行為抑止に効果を果たせるのかどうか、その点では算定率はどうあるべきかということについて御意見をまず伺えればと思うんですが、いかがでしょうか。
#180
○山本参考人 先ほども御質問いただいたんですが、私、日弁連の中では手続保障の問題を中心に検討するワーキンググループに入っておりまして、また、きょうは日弁連を代表して参っているわけでもございませんので、なかなかストレートにお答えするのは難しいのでございますけれども。
 日弁連の、先生が御指摘の二〇一六年十一月の意見書も、機能しているかしていないのかという評価を踏まえて一〇%から二〇%にするかどうかというのを検討するべきだというふうに、単純に二〇%に上げるべきという意見ではないかと思いますので、その点は独禁法研究会を含めてこれまで御検討をされた上で今回このような改正になったのだろうと思いますので、その点について私がそれ以上、問題であるというような意見を持っているわけではございませんので、この程度で御容赦いただければと思います。
#181
○笠井委員 ありがとうございました。
 それでは、泉水参考人に、先ほども、この基本算定率、一〇%より引き上げるのかどうか、いろいろな意見があった中でということもやりとりをなさっていたんですけれども、率の問題と同時に、今、山本参考人からもありましたが、さまざまな問題でこれをどうするかということで、抑止効果を含めたことが出てくると思います。
 それで、一〇%というのは基本算定率で、二〇〇五年に一〇%になった、今回それが引き続きということで据置きということになっているわけですが、この一〇%ということがカルテルや入札談合などの違反行為の抑止に本当にしっかり結びついているのかどうかということも見ると、必ずしもそうなっていないんじゃないかということがあると思うんですね。
 午前中の質疑でもやったんですけれども、二〇〇四年から一四年の十年間のうちに八十三件のカルテル、入札談合事件があって、これを個別に見ると、不当利得率が三〇%を超える事件が十一件もある。
 それで、最も高いのは岡山市立の中学校の修学旅行の価格カルテルの事件で四一・七九%ということで、これは二〇〇九年に排除措置命令を受けたんだけれども、課徴金はゼロだったということで、杉本公取委員長に伺ったところ、要するに、数年後の取引を対象とした価格カルテルで、違反行為が終わった後、売上げがあったということになる場合には、現行法では課徴金の算定基礎に含まれないので課徴金がゼロになっちゃうという話でありました。
 参考人も加わって議論された研究会の報告書の中では、この事例というのは、「課徴金制度の趣旨・目的を踏まえると、課徴金を課す必要性は高い」というふうに言われたけれども、今度の改正法案では対象にはならないということになってきます。
 それで、報告書ではさらに、課徴金制度の目的をより効果的に達成するには、現実に得られた利益を剥奪するという観点よりも、違反行為の実施において違反行為者が一般的に期待し得る利得、これを徴収する観点を重視すべきであるというふうに指摘もされていたわけです。
 金融商品取引法でいうと、インサイダー取引に対する課徴金に、違反者が期待していた利得を徴収するという考え方が既に入っているということからすれば、こちらの方でも、カルテルで四割もの不当利得を狙っていたことに着目して、その点で課徴金の対象にするということをやるべきじゃないかということを思うんですけれども、そういう議論というのはあり得るのか、そして参考人はどのようにお考えか、いかがでしょうか。
#182
○泉水参考人 ありがとうございます。
 現在の制度は、あるいは今回提案されている制度も、実際に幾ら売上額があったかを見て、それに対する原則一〇%、最大二〇%ではあるわけです。繰り返し、かつ、主導的事業者の場合は一五、二〇となるわけでありますけれども、原則一〇%。実際にあった売上げが幾らかから、不当利得をベースにした課徴金を考えていると理解しています。
 他方、しかし、では、企業がこれからカルテルをしようかとか入札談合をしようかと考える場合には、それによって幾ら利益が得られるんだろうかという、それを期待して、その期待と、それによって課徴金を課されるかもしれないリスクを考えながら、多分、当該企業は行動していると思われますね。
 その期待する利益が、実際の、結果として出た売上額よりも大幅に大きかったとするならば、やはりそれは、期待している利益の方を取らないと十分な抑止にはならないというのは御指摘のとおりだと思いますので、制度としては、今御指摘のような、期待する利益というのを例えば予測して、売上額とそれから実際に期待される利益と両方見るのかもしれませんが、期待される利益を推定する制度ができれば、それの方が抑止力としてはより機能するものになると理解しています。
 ただ、それがどういう制度設計をするかについては、私自身、十分にまだ考えられておりませんけれども、あり得る制度だと考えています。
#183
○笠井委員 諸外国の例も含めて、この辺はやはり研究して検討していく課題ではないかと、参考人がおっしゃったことを伺いながらも改めて感じたところです。ありがとうございます。
 井上参考人に伺ってよろしいでしょうか。
 私たちは、独禁法改正案の質疑でも何度も指摘もさせていただいたんですが、日本経団連役員企業によるカルテルや談合事件が後を絶たないという残念な事態が続いているわけです。そして、現会長の出身企業である日立製作所でも、二〇一七年に、子会社がカルテルに関与していたことが明らかになって排除措置命令を受けているということがあります。
 なぜこんなに独禁法違反が繰り返されるのかという点でいいますと、やはりみずからの談合体質を正すとともに、経済界挙げてカルテル、談合を根絶させる、まさに自己改革するということが大事なんじゃないか。そのために日本経団連が果たすべき責任と役割は大きいと思うんですね。
 私、質問としては、しっかりやっていただきたいという思いで伺うんですけれども、井上参考人、いかがでしょうか。
#184
○井上参考人 私どもとしても、違反事件がなくならないということに関しましては、大変危機感を持っておりますし、残念な事態だというふうに考えております。
 その上で、私どもといたしましても、先ほども申し上げましたけれども、経団連の中に、会員企業に遵守を徹底しております企業行動憲章というものがございまして、こういうものを通じて、公正かつ自由な競争をしっかりと守っていくんだ、これが企業の責任なんだということを繰り返し徹底をしているところでございますし、また、新しい法令が出た際には、その新しい法令の趣旨等につきましても会員企業の間で徹底するように、各種セミナーを開催したりとか、そういうことをやっております。
 また、残念ながら何か事案が起こってしまった場合には、経団連の中でも、処分といいますか、活動を休止するとか、そういうこともしておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、大変これは深刻な問題でございますので、引き続き、我々としても活動を徹底してまいりたいと思います。
#185
○笠井委員 きちんとやっていただきたいと強く申し上げたいと思います。
 井上参考人、吉田参考人、そして山本参考人に一言ずつ伺いたいと思っております。
 課徴金減免制度、リーニエンシーについてでありますけれども、実際に法的措置がとられたカルテルや談合の八割でリーニエンシーが適用されていることから、これは一定の役割を果たしてきたと思うんですが、お三方に伺いたいと思いますが、それぞれ、このリーニエンシーの役割について、あるいは今後の課題について、特にこの点はということで絞ってお考えがあれば伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#186
○井上参考人 ありがとうございます。
 冒頭、私の意見の中で申し上げましたように、これからの事件解決というのは、やはり協力型で、みずからが問題意識を持って解決をしていくということが大変重要だと思いまして、今回の制度もそういった方向に大変資する内容になっておると思いますので、この課徴金減免制度、今回の見直しを契機に、その協力型の事件処理ということがますます浸透していくということを期待しております。
    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕
#187
○吉田参考人 我々としては、三年前にパブリックコメントとして公取に提出させていただいている事項は、今回払拭されているというふうに考えております。
 つまり、増額方向での裁量の話はない、また、適正手続の確保と防御権の保障の観点から、弁護士・依頼者間の秘匿特権について、規則、指針等の整備も行われることになったということで、今回の法改正に我々としても期待しております。
#188
○山本参考人 先生の御質問にお答えになることかわかりませんけれども、やはり日本がこの国際的な制度間競争の時代に何がおくれているかというと手続保障でございますので、これは課徴金減免制度のみの問題ではないわけでございますけれども、やはり執行力の強化は大事でありますけれども、それに伴って手続保障を国際的に遜色のないものにするということは、ぜひ立法府におかれましても引き続き御検討いただきたい。それが最大の課題であると認識しております。
#189
○笠井委員 ありがとうございました。
 最後に、泉水参考人に伺います。
 本改正案は、課徴金減免率を、これまでの申請順位に応じたものから、事業者の実態解明への協力度合いに応じた減算率を加算する、減算協力制度へ変更するとしているわけですが、しかし、法案のもとになった研究会報告書では、減免申請者に継続協力義務を法定すべきだと明記をされている。それが盛り込まれなかったということになっております。
 申請時から手続終了時まで、誠実に全面的に継続的かつ迅速に協力する義務を課しているというEUや諸外国のように、やはり法定化が必要だったと考えるんですけれども、泉水参考人の御意見を伺いたいと思います。
#190
○泉水参考人 ありがとうございます。
 EUの場合は、委員御指摘のとおり、全面的協力義務というのがございまして、それをどう評価するかについていろいろな意見はあるわけでありますが、他方、執行力という観点からは非常に強い制度になっていると理解しております。
 それが日本においてどういう制度を導入するかについては、独禁法研究会で検討いたします、御指摘のとおり、継続協力義務という形で掲げたわけでありますけれども、今回の法改正につきましては、協議した上で合意をして、合意を遵守するという形で、一応遵守する義務が事業者には発生する等いたしますので、そういう意味では、ある意味で言葉の問題かもしれないんですが、やはり合意を遵守しないといけないですし、それから、課徴金の減免については失格事由もございますので、それは全面協力ではないかもしれませんけれども、協力等しない場合には、その合意に反したら失格事由となるということになりますね。
 そういう意味では、それほど独禁法研究会の報告書と大きな差はないのではないかなというふうに私自身は理解しております。
 以上です。
#191
○笠井委員 ありがとうございました。
 今後の審議の中で、皆さんの御意見、大いに生かしていきたいと思いますので、お礼を申し上げます。
 終わります。
#192
○富田委員長代理 次に、宮川伸君。
#193
○宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸でございます。
 きょうは、四人の参考人の先生方、お時間いただきましてまことにありがとうございます。
 まず、私の方からは、今回の独禁法の改正で、課徴金制度の強化が一つの柱だと思いますが、今、幾つか質問が出てきましたが、改めて、この課徴金制度が十分に機能しているのかどうかというところを経済界の方からお伺いしたいので、井上参考人の方から、今回の、一〇%据置きだけれども、三年間が十年間になる、また周辺のところも広がるわけでありますが、これが十分にインプルーブしているといいますか、十分にカルテル、談合を抑えられる方向に動くぐらいのインパクトがあるのかどうかということをちょっと教えていただけますか。
#194
○井上参考人 今回、算定率自体は一〇%ということでございますけれども、それ以外にプラスになる部分もございますし、まず、何より、今回、度合いに応じて減免率が変わるということと数の限定がなくなったということがございますので、この部分におきまして、これまでインセンティブがなかった事業者に対してもインセンティブが湧く制度になっておりますので、その面におきましては、今回の課徴金減免制度の改正は、更に効果的なインパクトのある制度になっているというふうに私は理解をしております。
#195
○宮川(伸)委員 もう少し前の部分に戻るんですが、なぜ、こういった談合だとかカルテルだとかというのがなくならないのかということでありますが、産業界の中では談合やカルテルは今もほとんど変わらないような状況で来ているのか。今、問題になっている件数は、公取の方で取り扱っている件数は余り変わっていないんですね、年々。なんだけれども、実際上はかなり減ってきているんだという状況なのか。あるいは、まだ、今、そういう数は減っていないんだということだとすれば、なぜそこは減らないのかということは、井上参考人、御意見いただけますでしょうか。
#196
○井上参考人 全体的な数ということになりますと、要するに、顕在化しているものか、していないものかということになろうかと思いますけれども、ちょっとそこのデータというのは私も把握をしておりませんので。
 ただ、法令遵守という意味合いにおきましては、これまでに比べれば、もう経営者トップ自身の意識というものが、国際的な、社会的な評価でありますとか、あるいはレピュテーションリスクでありますとか、そういうものに対する危機感というのは非常に高まっておりますので、そういう意味におきましては、経営トップが直接、今度は現場の担当者にはそれを徹底するという今動きもございますので、全体の数としては、私としては、減少傾向にあるんじゃないかなというふうに考えてはおります。
#197
○宮川(伸)委員 ありがとうございます。
 同じ質問なんですが、泉水参考人の方に、今申したように、今、談合、カルテルというのは全体的に変わらない状況なのか、減ってきているのか、そこはどういう御認識で、その理由というところもちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
#198
○泉水参考人 ありがとうございました。
 私自身も、カルテルや談合が実態としてあるのかないのかということについてはわからないんですけれども、実際に摘発され、例えば法的措置がとられた件数で見るならば、もちろんデータはございまして、それでいくと、今から十年ぐらい前からここ数年は、日本においては、法的措置がとられた事例についてはやや減少傾向にあると思います。
 ただ、それをどう評価するかというと、一つは、課徴金減免制度の導入が十年前にあって、それからすごい数の事件件数が摘発されています。そろそろ、危ないものは課徴金減免制度で大体見つかったという評価もあるとは思います。
 他方においては、特に日本で、世界でもそうなんですが、件数が多いのは実は自動車部品カルテルなんですね。日本の自動車部品メーカーが行っていたカルテル、世界じゅうで摘発されまして、日本も摘発されました。その件数が非常にしばらく多かったものですから、それに比べたら減っているという面もございます。
 それで、いろいろな評価があります。あるいは世界全体で見ても、やはりカルテル件数は、措置件数は減っている、ここ数年は減っていると思います。いろいろな評価は可能だと思うんですけれども、じゃ、全滅したかというとそういうことはなくて、繰り返されている事件もありますし、今でも摘発されておりますので、そういう意味では、今なお一定のものがあるのかなというふうに考えております。
#199
○宮川(伸)委員 もう一つ、課徴金の減免制度なんですけれども、公取にかなり裁量権が入るということで、今までは、事業者の方が形式的な情報しか出せない、あるいはネガティブなこともあったというように聞いていますが、これが、積極的にいろいろなものが出てくるんじゃないかという中で、先ほどまでの御質問は、最初に事業者さんがカルテルをやっていましたみたいな話でしたけれども、この減免制度の拡張によって、いろいろな情報が出てきて、そこから新たにまた新しいものが見つかってくるというような、芋づる式というんでしょうか、そういうような効果がもう一つあるんじゃないかというような気がしています。
 こちらも泉水参考人の方から、そういった減免制度が広がったことによって、新しい情報がより得られることで、ほかのカルテルや談合の方まで広がっていく可能性というのは期待できるんでしょうか。
#200
○泉水参考人 ありがとうございました。
 今回の法改正前の状況で見ましても、ある事件で課徴金減免申請がなされて、そうすると、一番目、二番目、三番目と出てきますので、近隣の隣接した商品とか市場においてやはり事件が見つかってくるということで、今委員おっしゃったとおり、まさに芋づる式でどんどんと対象が広がるということが行われています。
 先ほどちょっと触れました自動車部品カルテルも、そういう意味では、芋づる式に全体に広がって発見されてきたという事例ですね。これは世界的に見ても、課徴金減免制度というのはそういう機能が強く働くと理解されています。
 今回については、これに対して、これまで、調査開始後にはほとんど証拠を出さなくても自動的に三〇%減額されていましたので、ほとんど証拠が見つからなかったんですが、今後は、調査開始後においてもそのようなことが、新しい証拠が見つかりますので、そういう意味では、要は芋づる式の事件の発掘というか発見というのは更にふえるのではないかと理解しております。
 以上です。
#201
○宮川(伸)委員 もう一つ、井上参考人にまたお伺いしたいんですが、今、この課徴金という話で、先ほど、一〇%等がどのぐらいの効果があるかという話をしましたが、もう一つ、そのほかに、民事訴訟での賠償金等もいろいろあると思うんですね。現状、今までの制度でも、企業として、このぐらいの課徴金だったら大したことないというような状況なのか、民事訴訟の方の賠償金まで含めると、やはり倒産してしまうような、そういったかなり深刻なケースの方が多いのか。業界の方ではどんな印象で、民事訴訟まで加えるとどのような印象でいらっしゃるんでしょうか。
#202
○井上参考人 先ほどのお答えとちょっと重なってしまいますけれども、当然ながら、民事訴訟もそうですし、課徴金、制裁金に関して言えば、日本では刑事罰の併科というのもございますので、このあたりも含めますと、今の制度というのは、かなり企業にとっては抑止効果のまた更に高いものになっているというふうに私は考えております。
#203
○宮川(伸)委員 ありがとうございます。
 ある程度、この課徴金制度、特に減免制度の方で効果が広がる可能性があるんじゃないかというように私自身も思っているんですが、そういった中で、やはり秘匿特権の話が出てくると思います。
 山本参考人にお伺いをしたいんですが、不十分だ、弁護士活動をしていく上で、独禁法全体にこの秘匿特権がないと十分な保護ができないという御発言をされていると思いますが、きょうの午前中も、公取の方から、なぜという理由は話があったんですけれども、なぜ、公取はそこまで広げられなくて、今回限定したものだけになってしまったというようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#204
○山本参考人 なぜというのは、今回は公正取引委員会の方でのお考えなので、公正取引委員会が実際にどういうふうにお考えになっているかというのを私がお答えするのは、ちょっと適切かどうかわからないのでございますけれども。
 独禁法研究会の報告書などでも、法体系上の問題でありますとかそういうことが御議論されたということはあるかと思いますので、独禁法にどういう形で導入するかというのをほかの法令との関係で懸念されたということが事情としてあるのだろうということは、私どもとしてもそのように理解しておりますけれども。
 申し上げましたとおり、その点については、実際には独禁法だけで導入することは可能であるということは、法理論上も問題ないと。これは、伊藤真先生の見解、先ほど御紹介させていただきましたけれども、可能であるというふうに思いますし、行政手続、行政調査が、行政分野それぞればらばらなのは、今、日本、現状そうなっておりますし、世界でも独禁法だけで導入している例もございますので、実は独禁法だけで導入するということは可能であると。
 しかも、この間、この数年間、秘匿特権問題、通信秘密保護制度の問題について、非常に国会議員の先生方も熱心に御議論いただいたんですけれども、経済の基本法である独禁法については、まさに国際的な制度間の比較、あるいは競争当局間、国際的に協調する、あるいは手続を同じようにしていくという流れがある中で、やはり、この問題は企業の競争力にも国益にもかかわるということで、非常に熱心な御議論をいただいてきたということで、その点については私も非常に深く敬意を抱いております。
 もちろん、全分野統一の制度をつくるべきかどうかという議論を別に否定する必要はないのでございますけれども、独禁法に限った問題として、喫緊の問題として御検討いただくということがやはりお願いしたいということでございまして、その点については、私どもは、公正取引委員会の方でほかの法令への影響ということを御懸念かもしれませんが、その懸念は当たらないというふうに考えております。
    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕
#205
○宮川(伸)委員 はっきりと言っていただきまして、よく理解できました。ありがとうございます。
 もう一度、ちょっと井上参考人の方にお伺いをしたいんですが、泉水参考人の方からも、今回のものに関して、国際カルテル等に関してやはり対応が甘いというのがありますが、今の産業界において、国際カルテルに関する危機感とか、そういった発言が余り先ほどなかったように思うんですが、どのように、どのぐらいの危機感が今産業界ではあるんでしょうか。
#206
○井上参考人 今回の法案の中には含まれなかったわけでございますけれども、例えば、国際市場分割カルテルに対しまして、私どもとしては、もとより、自由で公正な競争環境というのは国内にとどまるものではなくて、今グローバルな企業が活動しておりますので、そういう場においても、まさにレベル・プレーイング・フィールド、公平な競争環境を維持するということは重要だと思っております。
 そういう意味で、今回、国際市場分割カルテルに対しての対応はなされませんでしたけれども、片や、先ほど御紹介あったように、日本の事業者が例えばEUで課徴金を課されているというような実態があり、これはどう見ても、やはり公正な競争という観点からすると問題のある状況になっておりますので、私どもといたしましても、これに対しましては今後の検討に期待をしたいと思います。
#207
○宮川(伸)委員 最後に、吉田参考人にお伺いしたいんですが、デジタルプラットフォーマーの問題、この委員会でも何度か取り上げられていて、非常に大きな問題だというふうに思っています。
 そういった中で、ここまで問題が顕在化をしてしまう、これだけ大きな問題になる以前に、もうちょっと何か手を打つことができなかったのか。きょう、白タクの話なんかありましたが、ほかの分野で、ここ、今、手を打っておかないと更にまずいよということが、きょうの例以外には何かございますでしょうか。
#208
○吉田参考人 御質問ありがとうございます。
 やはり、これは私の私見にはなるんですが、今、国単位で物が流通していた時代から、インターネット上の情報のやりとりにはビザとか税関とかが存在しないというルールチェンジが起きていますという中でいくと、中国政府と中国企業が一体となって保護政策をとるといった形で、グーグルやアップルをある意味シャットアウトして、自国のビジネスを育てる、これは一つのやり方としてあるかなと思っています。
 一方で、アメリカの方では、新しいルールだから、ある程度、グレーゾーンもまずやってしまおうということで、法整備がある前から、サンフランシスコでは無人の自動車がもう走るようになっているといった形になっています。それによって、走行データがたくさんたまりますので。日本は、例えばそういう無人の自動車ということでいけば、まだ許可されていない、実験段階ということで、実走行はやはりできない状態になっています。
 新しいルールが導入されたタイミングというのは、やはり国と企業が一体となって、オープンなのかあるいはクローズなのか、どちらでもやり方としてはあると思いますが、一体となって新しい産業をつくっていくという意思決定をしていくというのがとても重要なのかなと。
 そういう意味では、今の自動運転なんかも、今、続々と外資には走行データがたまっていて、知見が我々よりもたまっている、国内企業よりもたまっているといったような状態であったり、ドライブシェア、カーシェアといったもののマッチングのあり方、こういったものも、今、自家用車が九割方使われていないというようなデータもありますが、そういったものは、では、どのようにシェアすれば一番エコな地域のあり方になるんだということも、海外ではどんどんどんどんデータがたまっている。
 あるいはバイオでは、例えば最近話題になっている人工肉とか、そういった新しい分野、SDGsにまさにつながっていくような、持続性のある社会をつくっていくためのテクノロジー、こういったものが、著作権がどんどん今、外資がとっているような状況になります。
 あるいはVR、ARといった拡張現実みたいな分野でも、今、アメリカの方がどんどんどんどん特許をとりに行っているといったような状態になっていますので、こういった新しい分野、SDGsとひもづくような、次の世代につながるような分野については、ぜひ、国と企業が一体となって産業を育成していくといったことが必要になるのかなというふうに考えております。
 以上であります。
#209
○宮川(伸)委員 時間になりました。ありがとうございました。
#210
○赤羽委員長 次に、斉木武志さん。
#211
○斉木委員 国民民主党の斉木武志です。
 私は主に吉田参考人にお伺いをさせていただければというふうに思っております。
 デジタルプラットフォーマーへの対策というのは、私も非常に我が国の今後の成長を左右する重要な施策だと思っております。五月、今月十五日の経産委員会でも質疑で取り上げさせていただきました。
 きょう、まずお伺いしたいのが、吉田参考人、新経連の方々というのは、公取に対して、対GAFA、プラットフォーマーに対してどのような対応をとってほしいのかという点がまずあります。
 この前の質疑でも、公取側の政府参考人は、例えば、アマゾンジャパンであるとかアマゾン・サービシズ・インターナショナルであるとか、エアビーアンドビー・アイルランド及びエアビーアンドビー・ジャパンに対して公取が調査に入ったということで、それを受けて当該事業者たちが、審査の過程で、不利な契約条項の変更を自主的にやめたりという対応をとりましたというようなことを公取側は言ったんですけれども、私も、やはり、手数料に関しても、ある意味交渉事でもあります、公取がまず調査に入る、アクションを起こすという、何かあったら独禁法を適用しますよというような姿勢を見せるということも非常に重要なのかなと、プラットフォーマーの姿勢を改めさせる上でも。
 皆さんは、今の公取に対してどのようなことを望まれていますか。
#212
○吉田参考人 御質問ありがとうございます。
 大前提として、我々、これは経済上の競争でございますので、基本的には自由競争であるということがまず第一点。
 次に、プラットフォーマーというものが、国内にもプラットフォーマーは存在していますので、そういったものの育成も非常に重要になってきますので、プラットフォーマー一律規制ということを申し上げているわけではなくて、そこは慎重に検討していくべきと。
 その二つの前提の上で、アプリストアの寡占問題に関しては、これはもう明確に二社が寡占しているというのは事実でございます。恐らく、先生方の皆様のスマートフォンもどちらかに属しているものしか多分今ないんじゃないかなと。これが明らかになっているわけですね。ここに関して本当にフェアな競争環境があるのかというところについては、一度ぜひ御検討いただきたいなというふうに考えております。
 特に、先ほど申し上げた三〇%の部分、これは、繰り返しにはなりますが、インターネット企業にも当然原価がございますので、その原価が乗った上で三割必ず取られるというのは、これは利益を出すことはなかなか難しいわけですね。
 なので、市場が成長している中のタイミングであればよいんですが、先ほど申し上げた合わせわざで、中国やアメリカから来る広告費は、税をヘッジした上で、再投資額が我々の二倍、三倍、五倍といった形で、一人当たりの顧客獲得にかける単価が三倍とかの差があったりするんですね。だから、そういう意味でいくと、ちょっと注意して今後見ていただきたいんですけれども、スマートフォンに出てくる広告をクリックしてみると、ほとんどが外資のゲームになってきているんですね、今。
 そういった意味でいくと、そこのサイクルで、結局、寡占をしています、税務でもいわば租税措置をとっていますといった形で、どんどんどんどん加速度的に差は開いていく、利益の額も差が開いていきますから、それで再投資の額も差が開いているといったような状態は、ちょっとこの現状でいきますと一経済の企業、単位ではなかなかいかんともしがたい状況がこのアプリに関してはあるのかなというふうに考えております。
 ありがとうございます。
#213
○斉木委員 その三〇%の手数料というのは、私も余りにもハンデが高いなというふうに思っております。これをやはり二五なり二〇なりというふうに引下げをすれば、それだけ開発にお金が回せる。我々、日本企業を応援している立場からも、やはりそこを、コミッションを、その手数料を引き下げてもらうというのは非常に国益にかなうかなと思うんですけれども、非常に見えにくいですね。アップル対個社、そしてグーグル対個社というような形の手数料ですので、私たち、ちょっと目にすることができません。
 どうやって下げるのかという話なんですけれども、公取や欧州委員会など、そういった規制当局側が調査に乗り出しました、若しくは課徴金を命令しました、そういったことによって、手数料を三〇から二五、二〇に、引下げに成功したような事例というのはあるんでしょうか。
#214
○吉田参考人 現在のところはまだその例がないといった状況です。
 こちらの十一ページにもありますとおり、まさに、十一ページでは、EUの競争当局が調査に入るという報道、米国の消費者団体が訴訟といった形で、世界的な今潮流で、まさに今そこに対しての対策が始まったという印象でございます。
#215
○斉木委員 これは、実際に、なかなかGAFAは手ごわい相手だというのは皆さん、与野党問わず認識は共通なんですけれども、こういった潮流が、欧州委員会が先んじて調査に入りますよという報道が出ましたが、それによって引下げへの道というのは加速していくというふうにお考えですか。どういうふうにつなげていくかという部分なんですけれども。
#216
○吉田参考人 それは、連携していくことで有効だというふうに思っています。特に、GDPRの例をとってみても、そういった、EUが一体になることで日本の検討も始まったというふうに動いていますので、そういったのと同じような流れで、ここのアプリストアの問題についても、ヨーロッパやアメリカと連携をしてやっていくということは非常に有効なのかなというふうに感じています。
 何より、やはり、私、一経済人として企業をやっていて思うんですが、当たり前ですけれども、日本国がきちんと税収があって、日本国が成長することというのは、極めて企業や国民にとって重要であるわけですね。だから、日本国の中の活動がきちんと税務として機能して、日本国の中での活動が日本国に税金が落ちるという仕組みは必須だと思っています。
 だから、そこに対しては手が打たれるということ、寡占しているということと税務のところですね、ここは非常に有効に働いていくのではないかなというふうに思っています。
 以上であります。
#217
○斉木委員 まさにそのとおりで、日本のデジタルマーケットから上げた利益は日本に貢献してもらう、至極当然の、そして日本企業と同様に納税してもらう。まさに税の大原則でございますので、これは次回の委員会等でもぜひ継続して審議させていただければと思います。
 プラットフォーマーの側もやはり、こういった規制当局に対して対抗手段をとってくることもございます。大きな例としては、昨年の七月十八日だったと思いますけれども、欧州委員会がグーグル社に対して五千七百億円、四十三億四千万ユーロという史上最高の課徴金を課しました。これに対して、たしか今係争中に入っていると思うんですけれども、グーグル社の方としては、そういった法的対抗手段、これは違反しているという根拠がないという反訴をしてきているわけです。
 プラットフォーマー側としては、独禁法の適用に対して、優越的地位の濫用に対してどのような論拠で反訴をしてきているんでしょうか。彼らの対抗手段というのは、どういうロジックに基づいているんでしょうか。知見があればお願いいたします。
#218
○吉田参考人 今まさに、我々が聞いている範囲でいくと、日本国内でのロビーイングを各企業は非常に強めているという話を聞いております。そういう中で、彼らがどのような手だてでロビーを行っているかというのは、今、新経済連盟としても情報を収集中といった形になります。
#219
○斉木委員 非常にアップ・ツー・デートで動いているところですし、恐らく、GAFAの側は法務部門の人材も潤沢だ。一説によりますと、公取をしのぐのではないかぐらいのことも言われておりますので、なかなか手ごわい多国籍企業群であるなということは思います。
 彼らと向き合っていかなければいけない時代に入りましたので、ぜひ、産業政策の観点からもちょっとお聞きしたいなと思います。
 まさに、アップストアとグーグルプレーが日本のスマートフォンを寡占するという、プラットフォーマーの寡占時代に入ったわけです。
 これは、この前の経産委員会の質疑では、やはり、そういったプラットフォーマーを、我々としても日本から生み出したいし、日本政府としても応援しなきゃいかぬとは思っているんですが、今のGAFAの寡占体制、特にこのスマホのグーグルとアップルの寡占体制というのはもうこれから二十年、三十年は続いてしまうだろうということを想定して日本企業は対策を立てなきゃいけないのか。それとも、どういうふうにこのGAFAのプラットフォーム独占状態、ニューモノポリーといいますけれども、それに我々は向き合って成長を達成していけばいいというふうに経営者としてお考えでしょうか。
#220
○吉田参考人 非常に難しい問題だと思います。
 ただ、一つそこにこれからのヒントがもしあるとすれば、5Gですね。5Gのスマートフォンのタイミングでまたルールを、日本国主導でこの通信規格をつくることができますので、この5Gのタイミングでどのように制限をするのか若しくはオープンな戦略をとるのかというのは議論の余地があるかなというふうに考えております。
 先ほどの、済みません、一つ前の質問で少し思い出したんですけれども、彼らがよく言っているのは、雇用をしていますというアピールを結構しますね。要は、例えば日本国内で何千人という人を雇用していますということが社会貢献ですよといったようなアピールはよくされているんですが、だからこそ、これはPEじゃないか、パーマネントエスタブリッシュメント、恒久的施設じゃないかというところから、恐らく税務にも逆に我々としてはカウンターを打てるのかなというふうに感じております。
 ですので、今回の質問に戻すと、この5Gのタイミングで、例えば一案としては、中国を参考にして、国内企業を育てる、この分野に関しては国内企業を育てるというような判断も一つの方向性としてはあり得るのかなというふうに考えております。
#221
○斉木委員 5Gをめぐっては、政府も去年の十二月十日ですか、全省庁申合せでいわゆるセキュリティーリスクのある機器は日本政府として調達しないということを決めまして、au、ドコモ、ソフトバンクなどの携帯キャリア会社も、特にソフトバンクなどは中国製の基地局を使わないとか、いろいろ対応は始まっております。
 それほど富の源泉ということで世界じゅうが、どこがこのマーケットを握るのかというのは、まさに参考人がおっしゃったような覇権の一つの取っかかりというか、若しくは日本にとっては失地回復のチャンスだというふうにも言えると思いますので、ぜひ最後に、参考人がお考えなのはどのような、今中国のことも例におっしゃいました、それは多分、クローズしてテンセントやアリババを育ててきたような中国のやり方というのも一つあると思います、オープンにしていくという一つもあると思います、どのような5Gの政府の運用の仕方が日本の成長につながるとお考えですか。
#222
○吉田参考人 もう一つ、ここで少し上げていない論点として著作権の問題というのは結構あって、外資が日本に入ってくるとき、例えば動画共有サイトみたいなものあるいは音楽の共有サイトみたいなものというのは、著作権が違法な状態でアップロードを続け、国内のユーザーを獲得してから著作権をきれいにするといったやり方が結構横行しているんですね。ここは日本企業は初めから著作権をきっちり守らないといけないので、なので、国内にも動画共有サイトは結構あったと思うんですけれども、今、事実上ユーチューブにほとんど寡占されている。
 あるいは、最近若者でティックトックというものがはやっていますが、ああいったような音楽とかちょっと数秒の動画をシェアするようなところも、使われている音楽が当初は非常に自由であったといったところが、今みんなが気づくころには拡大をして、そこから著作権をきれいにする。なので、著作権という観点で目を光らすというのは一つあるのかなというふうに感じています。
 その上で、5Gのタイミングでどうするかというところなんですが、データの読み込む速度がもう圧倒的に今度変わるわけですね。一時間ぐらいダウンロードにかかっていたような映画が三分とかでダウンロードできてしまうということがこれから始まって、大量のデータがやりとりされます。
 そこで私の、一つの私見としては、今まで全てオープンで自由競争にしていましたということでこういった結果になっているわけですので、逆に一回少し閉じる。施策も、検討の余地としては、両方やればいいと思うんですね。今まで全部オープンで自由競争でここまで来てしまっているので、ある意味、一回、日本企業あるいは日本の産業を育成するということで、保護的な政策を実験的にある分野においてはとってみる。
 例えば5Gですと、やはり動画とか音楽とか、そういったところの大量なデータがやりとりされる。これは、当然、音楽サービスも動画サービスも全て外資にお金が流れていますから、これからコンテンツをつくる、映画をつくる、ドラマをつくるというお金も源泉は利益ですから、それが外資に全て流れてしまっているので、事実上、日本のテレビ局は収益が落ちていますけれども、それはそういったところにお金が流れ、日本向けのコンテンツもこれからは外資がつくる時代がやってきてしまうということが容易に今想像ができるわけですね。
 そういった意味では、ある種の限定的な保護政策、時限措置でもいいですけれども、そういったものを考えるというのも一つの案かなというふうに思います。
#223
○赤羽委員長 申合せの時間が経過していますので、御協力願います。
#224
○斉木委員 終わります。ありがとうございました。
#225
○赤羽委員長 次に、足立康史さん。
#226
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 参考人の先生方、きょうは本当にありがとうございます。
 きょうは、時間も限られていますので、山本参考人中心にちょっとなるかもしれませんが、御理解をいただきたいと思います。
 ただ、最初に少し包括的な御質問を申し上げたいと思うんですが、きょうは独禁法ということでありますが、参考人の先生方によっては独禁法の専門家というよりはもう少し広く、きょう、新経連の吉田参考人もそうだと思いますが、もう少し広くふだんから問題意識を持って御活動いただいているかと思います。
 そういう意味では独禁法に限らなくても結構なんですが、要すれば、この独禁法もそうなんですけれども、例えば先ほど山本参考人だったかな、一つの前進ということを、違ったかな、おっしゃいました。安倍政権が出してくる法案は大体全て一歩前進です。民主党政権のときはちょっと逆行した法律も幾つか出たわけでありますが、安倍政権の法案で全く逆を向いていると思うことは私は少ないですね。ただ、今回の独禁法はスピードがちょっと遅いんじゃないかと私は思います。泉水参考人も先ほど小さく産んでというようなこともあったと思います。
 ただ、グローバルな観点からいえば、競争しているわけですから、日本がしっかりと繁栄を続ける、日本の国民そして企業が、しっかりと企業が成長し国民が幸せに暮らしていく、これを守るためにやはりグローバルな、国際的に遜色のない制度を整備していくのが私たち国会議員の責任だと思っています。
 その観点から、独禁法に限らずで結構ですが、ちょっとここは急げというところを、参考人それぞれのふだんの御活動の中で、ありましたら、忌憚なくおっしゃっていただければと思います。よろしくお願いします。
#227
○井上参考人 なかなか広範囲な意見で難しいんですけれども、私の関連しているところでいきますと、やはり企業がグローバルに活躍する上で今後基盤となってくるのはデータの流通のあり方とか、あるいは国際課税、特にデジタルエコノミーに対する課税のあり方、このあたりはグローバルな競争の上で非常に重要なあれになってくると思いますし、ただ、グローバルな活動をする上でもやはり国内の政策もしっかりしていかなければなりませんので、国内の社会保障とか財政の問題、このあたりも非常に重要な課題だというふうに認識しております。
#228
○吉田参考人 我々、グランドデザインPTでは、外資系企業とのイコールフッティング以外にもう一つ、デジタル手続法案に関しても提言を続けております。これはようやっと今まとまりそうな状況だというふうに聞いていますが、デジタルファースト自体は我々六年前から言ってきていることでして、しかもグローバルでデジタルで手続することでいろいろな新しいビジネスが生まれるということも明らかになってきていますので、特に不動産関連における対面原則とか、そういったものをぜひ撤廃していただきたいなというふうに考えております。
#229
○泉水参考人 ありがとうございます。
 私の専門は独占禁止法ですので、独占禁止法について申しますと、最初に申し上げたとおり、課徴金制度の方について、不当利得に拘泥して、それで抑止力を弱めているという面がありますので、そこのところは不当利得ともう切り離して、どのような措置が抑止力を高めるのか、もちろん消費者の権利とか依頼人の権利もそうですけれども、そういう観点から、今回見送られたものも含めて迅速に導入していただきたいと思います。
 それから、独禁法については、さらに、このあと残るのは私的独占とか不公正な取引方法という、単独行為と言われているものですね、こちらについては、独禁法研究会で見直しが、確約制度を見てからということになっていますが、それらについても今後検討していただきたいと思います。
 ちなみに、ちょっと言わなくちゃいけないのが、私、デジタルプラットフォーマーに関する環境整備に関する検討会というものが、経産省と公取と総務省でやっていますが、私はそれの座長でありまして、申しわけありません、最初に言えばよかったんですけれども、その関係で、まさに今申しました独禁法の単独行為を含めて、そのような規制というのを迅速に法整備していただく必要があるかと思っております。
 以上です。
#230
○山本参考人 先生御指摘のとおり、まず、独占禁止法の手続保障については国際的に立ちおくれておりまして、これはスピードという面でも、やはり私どもとしては、あるいは私としては、もっと早くやっていただきたいというふうに考えているところでございます。
 ほかの面で、私は弁護士でございますので、裁判所における紛争解決機能という意味でも、やはり国際的に日本の裁判所が十分に民事裁判において役割を果たすような機能が強化されているか、これは国際的に見て立ちおくれていないかという観点ではいろいろ感じるところはございます。
 一つわかりやすい例で申し上げると、証拠とか情報収集の手続の中で、そういう証拠とか情報収集がちゃんと紛争の中で出てくるという制度になっているのか、また、それらがデジタル化されているかという問題、判例も含めてですけれども、これは、今まさにビッグデータ、AIの時代ですので、そういう法律関係情報、紛争関係情報がデータになっているかなっていないかで、その後の発展といいますか、大きく影響するわけでございます。
 その点で、そういう意味でいうと、日本の司法関連の分野とか、それをもとにしたビジネスとか、そういう点でもやはり立ちおくれるということになるんだろうと思いますので、そういう意味でいうと、証拠情報の司法における観点、それはデータ、デジタルの問題としても重要というふうに考えておりまして、その点、やはり日本では、現状では立ちおくれていると言わざるを得ないのではないかというふうに思っております。
#231
○足立委員 ありがとうございます。
 先ほど山本参考人中心にと申し上げましたが、その前に、一つだけ井上参考人に。
 先ほど富田委員からもお話しいただいた判別官のところなんですけれども、これはきょう午前中の対政府質疑でも若干議論したところなんですけれども、判別官の判断自体が行政処分に当たらないために判別時点での異議申立てができないとか、判別官に係るそこの制度整備が、いや、後でいろいろできるんだとかそういういろいろな議論はあるかもしれませんが、やはりこれは、判別官の判断自体をしっかりと位置づける。
 あるいは、更に言うと、判別官の情報漏えいみたいなものも今は制裁がない。きょう議論したら、いや、国家公務員法だとか、適当なことを政府は言っていましたが、ここはちょっといいかげんに過ぎると僕は思うんですけれども、経団連としてちょっと一言活を入れていただきたいと思うんですけれども、どうですか。
#232
○井上参考人 私どもといたしまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、最終的にこの訴訟がちゃんと有効に機能するかどうかということが非常に重要なところでございまして、無論、この判別官の判断の段階で訴訟に至るということが可能であればこれはそういうふうに措置をしていただきたいというのが我々の希望ではございますけれども、ただ、片や、先ほどもありました、この制度整備のスピード感というところとの関係というのが一つまた出てくると思いますので、そこのバランスかなというふうに思っています。
#233
○足立委員 ありがとうございます。
 それを求めているともっと独禁法の成立がおくれるから、まず、これだけ早く仕上げてくれということだと勝手に理解をいたしました。
 山本参考人、きょうは、お忙しい中、ちょっと無理を申し上げましたが、お越しをいただきましてありがとうございました。
 私は、きょう、山本参考人が資料を御用意いただいておっしゃったこと、ほぼ全て同感でありまして、特に手続保障、あるいは、秘匿特権、通信秘密保護の問題、これは本当に重要だと思っています。その中でお話をいただいた、刑訴法の判例とかいろいろなものを取り上げながら、論理的に、いやもう少しこれはできることがいろいろあるんだということをおっしゃっていただいたこと、大変参考になりまして、今回、金曜日にもう一度、公正取引委員会、政府に対して質問する機会がありますので、これはまたきょうのあれを受けてやっていきたいと思います。
 幾つかちょっと、もう時間が五分ぐらいしかないんですが。
 確約制度について御紹介をいただいて、これは要は、独禁法固有の事情に基づいてできるはずだ、いや、民事とか刑訴法とかいろいろあるけれども、独自の理屈でできるだろう、カルテル以外もという御紹介をいただきました。
 ちなみに、この点について、私も、午前中、公取とやったんですよ。これは、法律、独禁法改正案をつくるときに、内閣法制局とか法務省とがりがりやった形跡はありません。まあ難しいだろうなということで、諦めているわけです。
 だから、このロジックを使って、もっとそこは速やかに広げていくことが私は必要だと思うので、その点について、もう一言、補完的に御紹介をいただければと思います。
#234
○山本参考人 ありがとうございます。
 先生の御質問の趣旨を踏まえつつということになりますが、先ほど、ほかの先生方が参考人との間で、例えばGAFAとかの問題、つまりカルテル以外の問題について御議論があったかと思うんですが、やはり、海外の企業に対して、立ち入って、事情聴取を何回もしてというような調査手法では、これはなかなか、実際、管轄の問題でやりにくいということもありましょうし、それから、時代のスピードの問題として、時間をかけた調査というのはなかなか、タイミングの問題として遅くなってしまう。
 競争法の実務家の研究会では、その意味で、確約制度というのを、機動的なそういう事件処理をするという観点でも、今の時代に合っているのではないかという議論も、競争法の実務家の研究会ではなされております。
 その観点で、確約制度、自主的な解決を公取との間でする制度において、やはり手続保障というのが大変重要になってくると思いますので、現代的な問題も含めて対応するという観点で、やはり確約制度における行為類型を対象としてということで、独禁法における手続保障を導入していただくというのは十分御検討に値するのではないかというふうに思っております。
#235
○足立委員 ありがとうございます。
 それから、もう一点、秘匿特権、通信秘密保護の問題について、私は、これはやはり法律でしっかり書いていく。その中で、例えば、きょうも御指摘をいただいた、そもそも官房と審査局のファイアウオールさえ、きょう午前中、公取にこれはどうやって遮断するんだと。いや、これまでも適当にやってきましたからこれからも適当にできますという答えしか出てこないんですよ。いや、そうでしたよね、与党の皆さん。
 与党ももうちょっと自民党本部の中でしっかり詰めてほしいので。あっ、詰めていますよね。済みません。
 これはやはり法定すべきだと思いますが、その点、どうですか。
#236
○山本参考人 今般の通信秘密保護制度、いわゆる秘匿特権については、法律のレベルではなく規則で対応するということが公正取引委員会の御方針でしたので、その中で、今回、審査局ではなく別の官房に置くというのは対応できる限界であったのかなと思いますし、その意味で、今回の対応として最大限やっていただきたい、情報遮蔽措置もやっていただきたいというふうに思います。
 その意味で、今後の実務が大事だと思いますけれども、先生御指摘のとおり、法律で書くのが本来の姿であると思いますし、そうであれば、つまり、規則であるからこのやり方しか現在できないんだというような制度設計が幾つかございますので、その点は法律になれば解決する問題というのは多々あろうかと存じます。
#237
○足立委員 ありがとうございます。
 最後、もう一分ですが、再び最後も山本参考人にもう一つだけ伺いたいのは、国際的に遜色があるこの手続の問題で、一番最近のゴーンさんの話とかでも気になるのは、やはり弁護士の立会いなんですね。今回も弁護士が立ち会えないから、メモの作成について、いや、それもだから、中で書くな、休憩に入ってから書けと、ひどい制度だと思うんですね。
 これはやはりちゃんとやるべきだと、これもちょっと一言活を入れていただきたいと思います。
#238
○山本参考人 ありがとうございます。
 これは、私、個人的な経験にもなりますけれども、シンガポールの競争当局でも、韓国の競争当局でも、台湾の競争当局でも、私も他国の競争当局での案件については立ち会っております。それについてどうやってやればいいのかということは、実務的には感覚としてありまして、それについて事情聴取する担当官の方で、何というんですかね、それが実態解明の懸念になるというようなことを、国際的には、考えてやっておられる担当官はいないのではないか。あるいは、少なくとも実務としては非常に定着しておって、どうやればうまくいくかということが実務としてどんどん発展しております。
 そこで、日本は完全に取り残されているということは改めて申し上げたいと思います。
#239
○足立委員 時間が来ましたので終わります。大変ありがとうございました。
#240
○赤羽委員長 次に、笠浩史さん。
#241
○笠委員 きょうは、本当に、参考人の皆さん、どうもありがとうございます。
 最後に私の方から質問をさせていただきたいと思いますけれども、多少、今までの質問とかぶるところ、確認のこともございます。
 最初に、まずちょっと吉田参考人の方に。
 先ほど、斉木さんとのやりとり、興味深く拝聴しておりましたけれども、きょうは、先ほどあった今後の諸課題への打ち手ということで、アプリストア寡占問題に対するこの独禁法の適用、あるいは税と規制の内外企業のイコールフッティング、このための関係法令一括整備をする必要があるというようなことを提言をされておりますけれども、ちょっと具体的に、例えば独禁法、あるいは公取、どういうことが期待をされるのか、あるいはどういうことが実現可能なのか、少しその辺をお話をいただければと思います。どのように考えておられるか。
#242
○吉田参考人 御質問ありがとうございます。
 ちょっと、先ほど触れていないところを一つフォーカスをして取り上げたいと思っていまして、十四ページでございますけれども、先ほど、外国勢の推計で九年間で一千億円というようなことがありますけれども、これは海外の税率で外資が日本の売上げを納めたとき、一千億なんですね。これが、本来、日本の中で課税できたとすると、この下の矢印なんですけれども、三千億円の税収が期待できるといった形になります。こういったことでいきますと、やはり、税務のイコールフッティングのところというのはこれぐらいの有効性が既にあるのかなというふうに考えております。
 もう少し具体的な金額を出して説明しますと、例えば三十億利益が出たとしたときに、では、実効税率が一〇%で二十七億円残っている会社と、五〇%払って十五億円残っている会社、十五億円と二十七億円の再投資利益って、これはもうほぼ倍ぐらい変わりがあるわけです。同じ利益を上げてもこれは全くイコールではないということでいくと、そこの租税回避のところについてはやはり厳しく当たっていただきたいなというのが一つ。
 あと、先ほど申し上げた、十五ページのところにありますアプリストアの寡占問題のところというのは、これは推計ではなくて、ほぼ一〇〇%というのが根拠を持って言える事実ですので、非常にアプローチしやすいところかなと。
 ここに関して、二つですね、手数料の部分と、あともう一つ、利用規約の一方的な変更。
 例えば、先ほどのヘルスケアの話じゃないですけれども、アップロード、この市場にそもそも乗せませんよということが一方的に可能であり、そこに対して日本企業というのはそもそも投資をしていた、数年にわたって投資していたような事業がある日突然停止されるというところの、手数料の寡占化という部分と利用規約の一方的な変更、この二点は非常にアプローチしやすい内容としてあるのかなというふうに考えております。
#243
○笠委員 今お話を伺って、先ほど、それで、泉水参考人が総務省のデジタルプラットフォーマーをめぐる検討会の座長を何かお務めだということをおっしゃっていましたけれども、今の吉田参考人のこれまでのいろいろな御提言、提案等々について、現実、どういった形で受けとめられるのか。あるいは、今後私どもが国会において議論をしていかなければならない、その点の課題等々があれば教えていただきたいと思います。
#244
○泉水参考人 ありがとうございます。
 いろいろな実は論点がございまして、全ては言い切れないんですが、今、先ほどから出てきています例えばグーグルの事件については、ヨーロッパで三件あるんですが、いずれも競争者を排除して自分の支配的地位を強化するというタイプの行為ですので、これは現在、日本の独占禁止法でも、証拠さえ見つかれば現行法で対応できるものだと理解しています。
 他方において、手数料が三〇%というのについては、可能性としては現行法でも日本の優越的地位の濫用規制があり得るんですが、手数料が高いということだけで優越的地位の濫用規制を発動したことはありませんので、例えば、今、先ほど出てきましたように、規約を一方的に変更したとか、そういうような形であれば、現行法の優越的地位の濫用規制等で対応ができるのではないかと思います。
 他方、手数料が高いこと自身を競争法で規制するというのはなかなかハードルの高い話でありますので、別の措置が必要だと思います。
 これらの、独禁法の中で何ができるか、それから、現行法ではすぐにはできないので、補完的な、競争法を補完する制度等が必要かについては、ちょうど先ほど、まさに検討会で透明性、公正性に関するルールに関するオプションというのが提示されたんですけれども、その中でかなり本格的に取り組んでおりますので、そこにまさに合意されればいいということを提案させていただいております。
 それからもう一点は、デジタルプラットフォームに関しては、データポータビリティーというのがすごく重要で、これが今回出てきませんでしたが、それがまた競争的プラットフォームを排除したり、あるいは競争的プラットフォームを育成するのに非常に重要なものですので、このデータポータビリティー、これももう一個のオプションの中に入っているんですが、これらをぜひ、昨日まさに二つのオプションが付されていますので、これをまさに検討していただいて、必要なものについては迅速に法改正を含めて検討していただければというふうに思っております。
 以上です。
#245
○笠委員 ありがとうございました。
 それで、次にお伺いしたいのが、今回、またいろいろな形で、先ほど来、秘匿特権等々の話もあったわけでございますけれども、特に、きょうは経団連の方からも、大企業の皆さんというのは、いろいろな形で直面する課題にこれまでも対応してこられているし、非常に勉強もされている、あるいは制度の活用、あるいは問題点等々認識されていると思うんですけれども、中小企業の皆さんというのがなかなか、独禁法自体を法的な課題として認識をしている方々も企業も非常に少ないというようなことも伺っておるわけでございます。
 例えば、弁護士に相談して、どういうことをやっていくのかというようなこともなかなか、中小零細企業の方々はやはり非常に厳しいんじゃないかと思うんですが、ぜひ、その点の課題というものがございましたら、泉水参考人、山本参考人に、あと、もしあれでしたら井上参考人の方にもお伺いをしたいというふうに思います。
#246
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
 秘匿特権、通信秘密保護制度との関係で、中小企業のということでございますけれども、先生御指摘のとおりの状況というのは十分想定されるわけでございまして、つまり、さすがに中小企業においても、カルテルはいけないだろうというのは、例えば二十年前に比べると認識はかなり高まっていると思いますが、独占禁止法は、かなり、ほかの行為類型というのは、どういうことをすると独禁法違反になるかというのはそんなに簡単ではないし、わかりにくい。これは中小企業にとってはまさにそうだと思います。
 そうすると、独禁法の相談だからということで弁護士に相談してということではない場面で、例えば契約書を見てくださいというふうに弁護士に相談した場合に、これは独禁法の問題があるんじゃないですかというようなことが起きるという、これは私も中小企業の御相談をお受けするときに、そういうことが起きるわけでございます。
 そういうときに、相談対応して、こうやったら適法になるだろうとか、その事情を聞きながら、ちゃんとしたビジネスをやりましょうねということにはなるんですが、その相談をしやすくする、そして、その相談の結果をちゃんと書面にして、企業の中で徹底していただくというのは、本来、非常に大事なことでございまして、それをやはりちゃんと中小企業であっても実施できるようにすること。
 そして、中小企業の特徴の一つは、やはり企業内の法務部隊が弱いということがございますので、外部の弁護士に相談せざるを得ないといいますか、外部の弁護士にも、必ずしも頻繁に相談しないこともあるかとは思うんですが、それでも、なるべくそういうことを、こういうことは相談した方がいいなということを、我々も努力して中小企業の皆様にお伝えしていかなきゃならない。
 これは、例えば日弁連でも取り組んでおりますけれども、その中で、何でも安心して相談してくださいと。言ったことは、ちゃんと弁護士は守秘義務がありますし、それでちゃんと企業のために御解決しますということでやっていくということに関しては、弁護士は守秘義務がありますけれども、やはり通信秘密保護制度というのは大事でありますし、先ほど申し上げたように、独禁法の問題というのは、企業にとっては、中小企業にとってはわかりにくいことも多いので、まさにカルテル以外の分野についてもその制度の必要性があるというふうに言えるところかなというふうに思います。
 ありがとうございます。
#247
○泉水参考人 ありがとうございます。
 中小企業については、まさにきょうのテーマにつきましては、課徴金制度と課徴金減免制度をうまく利用する等について、中小企業の方はなかなか、やはり弁護士の方が必要ですので、従来、なかなか弁護士の方に御相談できないということがあったと思いますので、このあたり、誰がということはわかりません、中小企業の団体かもしれませんけれども、あるいは弁護士会かもしれませんが、そういうところが弁護士をうまく紹介して使いやすくするということは非常に大事ではないかと思います。そうしないと、中小企業の人たちは今回の法制度の便益を受けられないということになると思います。
 それから、更に言うならば、カルテルや談合というのを、本当に今でも、多分、田舎の方の方によっては、知らず知らずにして、知ってしていることももちろんあると思いますが、本当に悪いことじゃないと思ってしている方もいるのかもしれないですよね。このあたりは、やはり、独禁法を含めて、弁護士の方が常に接することができてアドバイスを受けられるという環境が必要で、そういうのは、やはり国としてそういう制度をつくっていくことが必要なのではないかと思っています。
 私は法科大学院で教えているんですが、法科大学院制度ができて十数年たちましたが、それで法曹人口は随分ふえまして、それで、従来はなかったようないろいろな分野に、企業の中でもそうですし、それから知的財産関係とかいろいろな分野で活動して、世界的にも活動していますが、その中の一つは、田舎の方でも、中小企業の方に対しても真摯になって相談するという弁護士の方がふえていますので、やはり法曹養成制度の充実というのも、更にこの問題については重要であると思います。
 引き続き、法曹養成制度についても、私、法科大学院で教えているからではありませんが、現在、千五百人が合格者数なんですが、もう少しふえてもいいのではないかというふうに思っております。
 以上です。
#248
○井上参考人 やはり日本経済を発展させていくためには、中小企業も含めて、このコンプライアンスの問題というのを、そのレベルを上げていかなくてはならないということで、私ども経団連といたしましても、ほかの経済団体とも連携をしてまいりますし、何より、大企業のサプライチェーンを通じて、こういった法改正であるとかコンプライアンスの徹底というのも働きかけてまいりたいというふうに考えております。
#249
○笠委員 ありがとうございます。
 本当に、先ほど来、いろいろな話の中で、たしか泉水参考人でしたか、この制度がスタートした昭和五十二年のときには、非常に日本は先端を行っていた。ただ、それからもう四十年ぐらいたって、グローバル化、あるいはいろんな情勢が変わっていく中で、非常に今、ちょっと国際比較しても、先ほども幾つか問題点が指摘されておりました。
 ただ、こうやって議論している間にも更にもっとすごいスピードでグローバル化等々進む中で、最後に泉水参考人と井上参考人に伺いたいんですけれども、一点、このことだけは今後、本当に課題として、急ぎ、対応しておかなければならない、あるいは備えておかなければならないんだというようなことがもしあれば、別に一つじゃなくてもいいんですけれども、伺いたいというふうに思います。
#250
○泉水参考人 ありがとうございます。
 一つあるいはもう少しということでありますけれども、やはりどうしても強調したいのは、今回の独禁法改正法においては、独禁法研究会の報告書にあった提案の幾つかが採用されなかったので、それがまさに昭和五十二年に、非常にかたいというか、かた過ぎる制度設計とか法的性格の位置づけでやって、それが今まさに、それが今なかなか制度を拡大できないという形でいっているわけですよね。
 委員御指摘のとおり、その間に、アジアでも中国や韓国とかにはるかに、あるところでは競争法でははるかに追い越されてしまっているということがありますので、そういう意味では、一つというならば、一つというのは、独禁法研究会報告書で提案されて実現されなかったものというのは、もう来年にでも実現していただければというふうに思っております。
 以上です。
#251
○井上参考人 強調しておきたいのは、やはり国際的な視点とスピード感、この二つを強調しておきたいと思います。
#252
○笠委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
#253
○赤羽委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言御礼申し上げます。
 まず、皆様、本日は大変お疲れさまでございました。
 参考人の皆様におかれましては、限られた時間内でございましたが、貴重な御意見を簡潔にお述べいただきましたこと、まず心から感謝を申し上げたいと思います。また、事前の質問通告なしで、実に多岐にわたる質問に対しましても、誠実に御答弁賜り、まことにありがとうございました。今後とも、引き続き御指導賜りますよう、本委員会を代表いたしまして心からお願い申し上げ、御礼の御挨拶とさせていただきたいと思います。
 本日は大変ありがとうございました。(拍手)
 次回は、来る二十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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