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2019/03/01 第198回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第198回国会 財務金融委員会 第5号
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2019/03/01 第198回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第198回国会 財務金融委員会 第5号

#1
第198回国会 財務金融委員会 第5号
平成三十一年三月一日(金曜日)
    午後八時四十分開議
 出席委員
   委員長 坂井  学君
   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君
   理事 武部  新君 理事 寺田  稔君
   理事 藤丸  敏君 理事 川内 博史君
   理事 緑川 貴士君 理事 竹内  譲君
      穴見 陽一君    井上 貴博君
      石崎  徹君    今枝宗一郎君
      神田 憲次君    小泉 龍司君
      國場幸之助君    斎藤 洋明君
      鈴木 隼人君    武井 俊輔君
      津島  淳君    土井  亨君
      中山 展宏君    本田 太郎君
      牧島かれん君    三ッ矢憲生君
      宗清 皇一君    山田 美樹君
      義家 弘介君    今井 雅人君
      末松 義規君    高木錬太郎君
      佐藤 公治君    古本伸一郎君
      前原 誠司君    伊佐 進一君
      宮本  徹君    丸山 穂高君
      野田 佳彦君    青山 雅幸君
      鷲尾英一郎君
    …………………………………
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   財務大臣
   国務大臣
   (金融担当)       麻生 太郎君
   財務副大臣       うえの賢一郎君
   財務大臣政務官      伊佐 進一君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    星野 次彦君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君
   政府参考人
   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君
   政府参考人
   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君
   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
     ――――◇―――――
#2
○坂井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局庁星野次彦君、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○坂井委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川内博史君。
#5
○川内委員 総理、財務大臣、お疲れさまでございます。十二分という短い時間でございますが、質問を何点かさせていただきたいというふうに思います。
 委員の先生方のお手元に、財務省におつくりいただいた資料を配付をさせていただいておりますけれども、軽減税率約一兆一千億の、各所得階層別、収入五分位別に減税恩恵額を試算していただいたものでございます。
 この結果、三段目が、国から見れば軽減税率の減収見込み額、すなわち国民から見れば恩恵額になるわけでございますけれども、所得の低いところから五つの階層でその恩恵額を試算をしていただきました。一番低い低所得の世帯、それから一番所得の高い世帯、約倍の開きがある。
 総理、この軽減税率一兆一千億というのは、総合合算制度をやめて、総合合算制度四千億、低所得世帯への四千億の恩恵をやめて軽減税率をとった。しかし、低所得世帯へは、その恩恵額は千四百三十億円という試算になっております。
 四千億行くはずだったのが千四百三十億しか行かないというのが、この軽減税率のある種の試算である。私は両方採用すればよかったと思いますよ。しかし、どちらか一方ということで軽減税率を採用された。
 これは、結局、所得の再分配がうまくいかずに、軽減税率は逆進性を助長してしまっているということになるのではないかというふうに思いますが、この試算結果を見ての総理の御見解をお尋ね申し上げます。
#6
○麻生国務大臣 御指摘のこの試算というものは、過日この委員会で、川内先生の方からの審議において、一定の仮定を置いたいわゆる資料作成の指示をいただきまして作成をさせていただいたものがこの資料の背景です。
 具体的な予算ベースの軽減税率制度の実施に伴う減収が約一兆一千億程度、家計調査における総世帯の年間収入五分位の、いわゆる階級別にして、軽減税率対象の消費支出の多寡で機械的に案分をさせていただいたというものであります。
 この試算で、収入が高い層ほど軽減税率の減収見込み額の配分額が大きくなっていると言えますが、これは収入が高いほど消費支出が大きいためでありますし、また、収入が高いほど一世帯当たりの人数が多いということも、下に出ています三・二七と一・三〇、こういったことによりまして、軽減税率制度の逆進性の改善につながらないということにはならないのではないかと思っております。
 そもそも軽減税率によります逆進性の緩和は、収入に対します消費税負担の割合で見るというのが適当だろう。割合、額ではなくて。
 軽減税率の対象品目につきましては、低所得者ほど収入に対する消費支出の割合が高いということになっております酒類、外食を除く食料品ということに、きちんと食料品というものにばさっと決めております。これによって、収入に対する消費税負担の割合については、低所得者の方が高所得者よりも大きく引き下げられることができ、消費税の逆進性の緩和につながる、そう考えております。
 また、総合合算制度の話でありますけれども、これは、負担の上限を年収の一定割合とするといったことが想定をされていたんですが、具体的には、対象の所得階層についてはあの当時は決められてはいなかったというのは御記憶のとおりだと思います。したがって、御指摘の年間収入五分位階級別の試算の値と総合合算制度の所要額というのを比較するのは、これは前提条件が違っておりますので、難しいと思っております。
 いずれにしても、総合合算制度は、消費者にとりまして痛税感の緩和の実感につながらないのが一点。また、必要な所得とか、また資産の把握というものがマイカードを使いましても難しいといったことから、低所得者対策としては導入は困難と考えて、今回この採用をさせていただいたというように御理解いただければと存じます。
#7
○川内委員 麻生大臣からるる御説明をいただいたわけですけれども、この表を見れば、一兆一千億円という財源がどのようにどの階層に行くのかという傾向は、機械的な試算であっても明白になっているというふうに思います。
 低所得の世帯に対する支援、要するに、世帯の人数についても、麻生大臣、言及になられましたけれども、結局、高齢者のひとり暮らし世帯とか非正規で働く若者の世帯とか、そういうところにどう支援をしていくかということが、日本の経済にとっても非常に大事な局面である中において、その一兆一千億が、結局、消費税の逆進性ということよりも世の中的に逆進性を助長している、格差を拡大している結果になっている、一兆一千億の財源がですよ。それを私は指摘をしているわけでございまして、総理にお答えいただけなかったのが残念ですが。
 もう一点、今度は総理しか答えられないことなんですけれども、きょう、玉城デニー知事とお会いになっていらっしゃると思います。そこで、普天間の危険性の除去ということも御発言を総理はされているんですけれども、普天間の危険性の除去というときに、亡くなられた翁長知事は、飛行場が危険なんじゃないんだ、その飛行場にいるヘリコプターや飛行機が危険なんだ、住宅地の上を低空で飛び回り、そして窓から物が落ちてくる、窓から物が落ちてくるんじゃなくて窓が落ちてくるということもあった、そういうことをなくしてもらいたいんだということをおっしゃっていらっしゃったわけですが。
 普天間の危険性の除去、だから辺野古をつくるんだということであれば、普天間の危険性の除去、これは、辺野古は、いつできるかわからない、幾らかかるかわからない、そして、辺野古ができたとしても普天間が返ってくるかどうかはわからないというのが防衛大臣の見解ですから。
 だったらば、まず飛行機の危険性を除去する、すなわち日米地位協定の改定を、せめてアメリカの国内と同じように、低空飛行訓練は誰もいないところでやってね、住宅地の上は飛ばないでねというような日米地位協定の改定をまず申し込んでいらっしゃるというのであればまだ納得できるけれども、何にもしないでいて、ただ普天間の危険性の除去という言葉をお使いになられるのは、辺野古を強引に推し進めるための方便としか私は思えないんです。総理の見解を問いたいと思います。
#8
○安倍内閣総理大臣 普天間飛行場が世界で最も危険と言われるゆえんは、周囲を住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にあるということだと思います。
 普天間飛行場から離陸する場合も着陸する場合も、飛行高度の高低にかかわらず、必ず市街地の上空を飛行することになります。また、このため、騒音被害も避けられず、住宅防音が必要な世帯は一万数千に上っています。
 このような普天間の危険性を根本的に除去するためには、一日も早く辺野古への移設を進めていくことが必要であります。
 辺野古への移設は、沖縄に全く新しい基地をふやすというものではありません。普天間が持つ三つの機能のうち一つに絞って、かつ規模も大幅に縮小した上で移設するものであります。
 辺野古への移設が実現すれば、飛行経路はこれは海上となります。安全性は格段に向上します。また、騒音も大幅に軽減されることになりまして、住宅防音が必要となる世帯は、現在は普天間においては一万数千世帯でございますが、それがゼロとなるわけでありまして、負担は大幅に軽減することになります。
 これまで日米の首脳間における具体的なさまざまなやりとりをしてきたわけでございますが、それは差し控えさせていただきますが、累次の機会に、沖縄の負担軽減に関する日本政府の立場については説明をしてきたことでございますし、地元の方々の思いも伝えてきたところでございますが、まさに普天間基地を全面返還し、そして辺野古に移設すれば、今申し上げましたように危険性も負担も大幅に軽減される、このように考えております。
#9
○川内委員 いや、総理、辺野古ができれば普天間が返ってくるということが保証されているのであれば、今の総理の御発言はそうですかということになるのかもしれませんが、普天間が返ってくるという保証はないわけですから、そこをトランプさんと話し合っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 さらに、辺野古のサンゴですね、これはしつこくて申しわけないです、辺野古のサンゴ。これは、総理、子供のサンゴは埋め殺されているんですよ。子供のサンゴ、ちっちゃなサンゴは埋め殺されているので。ちっちゃいサンゴというのは子供のサンゴなんです。これから大きくなるんです。それが埋め殺されていることだけは間違いないので、あそこのサンゴは移植しているという言い方は不十分だった、あそこの移植対象のサンゴは移したよ、移植対象のという言葉をつけるべきだった、訂正するということだけは言ってください。お願いします。
#10
○安倍内閣総理大臣 あと、辺野古が完成し、そして使用が可能となれば、間違いなく普天間は返還されます。全面返還されます。普天間基地は全面返還されるということは明確に申し上げておきたいと思うわけでございます。それはそういう約束で進めてきているわけでございます。(川内委員「条件が整えばですよ」と呼ぶ)条件というのは、もちろん辺野古が完成して使用が可能となれば、当然、普天間基地は全面返還されます。これはもう明確に米国と約束をしていることでありますから、返還されるかどうかわからないということでは全くないということは明確に申し上げておきたい、このように思います。
 その上で、もう何回も何回もサンゴについては御質問いただいておりますが、お答えをさせていただきますが、移設作業に当たっては、周辺の自然環境に最大限の配慮を払うため、約五年間にわたる環境影響評価を行っています。その際、沖縄県知事からは、合計六度、千五百件以上に及ぶ意見をいただき、これを全て反映をしております。その上で、保護対象のサンゴについては移植し、また、国指定の天然記念物や絶滅危惧種に指定されている貝類、甲殻類なども移動させる方針であると承知をしております。
 このうちサンゴ類の移植については、沖縄防衛局において、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言を踏まえて保護基準を設定しておりまして、実際設定した基準は、那覇第二滑走路の工事に伴う埋立ての際よりも相当厳しいものであり、この内容は沖縄県にも報告をしていると聞いております。
 具体的には、那覇第二滑走路の工事に伴い、小型サンゴ約三万七千群体の移植を行いましたが、仮にこれに辺野古移設と同じ基準を当てはめれば小型サンゴ類十七万群体を移植する必要があった、つまり、三万七千ではなくて十七万群体を移植しなければならないという、非常に厳しい、那覇第二滑走路と比べて厳しい基準で辺野古のサンゴの移植は行っているということであります。
 なお、北側海域には……
#11
○坂井委員長 安倍総理、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
#12
○安倍内閣総理大臣 ということでございます。
#13
○川内委員 終わっておりますけれども、那覇第二滑走路事業におけるサンゴを辺野古基準と同じにしたら十七万群体を移さなきゃいけなかったんだ、それを三万七千移したんだ、十四万殺したということなんですよ。(安倍内閣総理大臣「辺野古じゃなくて」と呼ぶ)那覇でね、那覇で。だから、そういうちっちゃなものはいっぱいあるんです。それは移されていないということだけはちゃんとわかっているよと、だから訂正するよぐらい言わないと……
#14
○坂井委員長 川内委員、十二分に時間は使われたことと思いますが。(川内委員「もう一度」と呼ぶ)川内委員、もう申合せの時間は過ぎておりますので、きょうはここで終わりにしたいと思いますので、残念ですけれども。次の質問者、お願いいたします。
 次に、緑川貴士君。
#15
○緑川委員 国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。
 緑のネクタイをしている安倍総理、きょうはありがとうございます。私、緑川なので緑のネクタイをしております。
 そして、麻生大臣、また政府関係者の皆様、連日の予算案の質疑、審議、大変敬意を払った上で真摯に議論を進めてまいりたいというふうに思います。
 戦後最長と言われる景気拡大の中にはありますけれども、一人当たりの国民の物、サービスを買う力が伸びているのかどうかを見る上で大変重要な指標である実質賃金の伸びが、去年の各月の大半でマイナスでありました。そして、賃金の目減りをしている、生活者が豊かになっていない、暮らしが上向いていかない、景気回復の実感は感じられない、私の地元の生活者の大半の声であります。
 安倍総理は、名目一人当たりの賃金に雇用者数を掛けた総雇用者所得がプラスであるというふうに胸を張っていらっしゃいますけれども、私の、実質賃金がマイナスであり、暮らし向きがよくなっていない、このことに対する答えにはなっておりません。
 議論が平行線のままですので、きょうは資料をお持ちいたしました。
 一の総雇用者所得の推移を見ていただきたいと思いますが、こちら、総理の言うように、名目、実質で見てもプラスであります。そして、その下、そのプラスの要素は何であるのかを見ると、二〇一八年に三%近い急激な伸び率が生まれています。この要素の主体は何であるのか更に見ていけば、三の六十五歳以上の男女、二〇一八年でも確かに伸びていますが、そのほかの月、そのほかの年でも伸びています。そして、一方、女性、下を見ますと、これは六十五歳以上の女性も含まれていますが、二〇一八年に二と同じように急激に伸びている部分が、リンクしております。この女性と高齢者が就業者として伸びている、どういう形態で伸びているのかを見れば、五です。正規と非正規のこの伸び、二〇一八年に、赤いこの折れ線グラフがはね上がっている。これが非正規です。
 つまり、女性、そしてお年寄りが非正規という形で働いている、低い賃金で働いている。そうした生活者がふえることによる総雇用者所得の伸びは、総理、暮らし向きがよくなっていると思いますか。
#16
○安倍内閣総理大臣 国民みんなの稼ぎである総雇用者所得については、女性や高齢者の就労参加が進んだこと等により雇用が大幅に増加する中、名目でも実質でも増加が続いています。
 また、労働力調査によると、安倍政権の六年間で、六十五歳以上の方については、非正規雇用が百七十九万人増加している一方で、実は、六十五歳以上でございますが、正規雇用も三十万人増加をしているわけであります。
 その上で、六十五歳以上の方が非正規雇用として働く理由については、自分の都合のよい時間に働きたいからという理由が、家計の補助、学費などを得たいからや、正規の仕事がないからという理由を上回っております。
 なお、消費の動向につきましても、二〇一四年四月の消費税率八%への引上げにより大きな駆け込み需要と反動減が生じ、景気の回復力が弱まることとなったものの、その後のアベノミクスの取組によって、GDPベースで見て、二〇一六年後半以降、増加傾向で推移をしております。
 また、平成三十年の内閣府の調査によれば、現在の生活に満足と回答した者の割合は七四・七%、これは過去最高となっておりまして、まさにこの調査によれば、多くの方には景気の回復を実感していただいている、こう思います。
 ただ、実感できないという方もいらっしゃることも承知をしておりまして、少子高齢化が進む中にあっても、我が国経済が力強く成長し、国民一人一人に景気回復の波が広がっていくように、あらゆる政策を総動員してまいりたいと考えております。
#17
○緑川委員 総理、長寿化のもとで意欲を持って働きたい人がふえる、女性やお年寄りがふえている、そしてまた、自分らしく働くこと、それ自体はすばらしいことです。しかし、働き手がふえているのに消費が伸びていかない。
 六の図をごらんください。実質家計消費は、二〇一八年、この景気拡大の六年間の中、真っただ中にあるこの時期にしても、二〇一三年に比べて、五年前よりもむしろ下がっているんですよ、消費が。これは何かというのを真剣に考えていただきたい。
 共働き世帯が何で今も共働きで働いているのか。ひとり暮らしのお年寄りが年金収入以外の収入を求めてなぜ働き続けているのか。消費をふやしたいけれどもふやせない、貯蓄に回すしかない、将来不安を抱えている人たちがふえているからじゃないですか。
 アベノミクスの効果があらわれていないことの何よりの証左であると思いますが、いかがですか。お答えください。
#18
○安倍内閣総理大臣 今お示しをいただいたグラフについては、消費税による反動の増と減ということだというふうに我々は理解をしております。
#19
○緑川委員 生活の実感が感じていられない人もまだいるとか、どうもやはり、現場の感覚では、総理、余りお持ち合わせていないような気がしてなりません。家計調査、実質GDPの算出基準もやはり怪しくなっているところがございますので、引き続き追及をしていきたいと思うんですが、まず、私の地元秋田とそして山口に配備が予定されているイージス・アショアについて最後にお尋ねをしたいと思います。
 あくまで、限られた予算の中で、熟議を尽くして、最大効率のもとで防衛体制を整備していくということが日本の防衛計画の大前提であるはずです。しかし、防衛大綱にも載っていない、二六中期防にも盛り込まれていない、総理、イージス・アショアの整備が定められていない中で、トランプ大統領と話だけ進んで、トランプ大統領がおととしの十一月に来日をしたときに、シンゾウ・アベが軍事装備を大量にこの後購入することになると述べて、その次の月にイージス・アショアの導入が突如として閣議決定されたわけです。
 国民的な議論が全く進んでおりません。さまざまな理由を並べてイージス・アショアの導入を目指しているようですけれども、そもそも、日本の防衛計画に基づけば、イージス艦八隻体制での防衛弾道弾計画であったはずです。来年度には「まや」が就役をします。そして、再来年には新しいイージス艦がまた就役をして、八隻になります。この八隻体制のもとで常時二隻ずつ稼働する。そして、洋上監視、また艦隊防空、さらにはその上で迎撃ミサイル防衛を組む。さまざまな任務を乗組員が負担を軽減できるように分け合って八隻体制になる。そのための目的で八隻にしている。これが本来の防衛計画のあり方でした。
 しかし、乗組員の負担軽減というのを理由にイージス・アショアを導入しようとしている、これは理由にはなりません。
 総理、地元秋田そして山口に対して間違った説明をしているのではないですか。お答えください。
#20
○安倍内閣総理大臣 間違った説明ではございません。
 まず、お話をさせていただきますと、これまでの我が国の弾道ミサイル防衛は、ミサイル発射の兆候を早期に察知をしてイージス艦などを展開させ、必要な期間、迎撃体制をとることを基本としてきました。こうした考え方のもと、政府としては、イージス艦八隻体制であれば、二隻程度は一定の期間にわたって継続して洋上でBMD任務を行い、我が国全域の防護が可能である、こう考えてきたところでございます。
 他方、北朝鮮は、移動式発射台、TELと言われておりますが、による実戦的な発射能力を向上させました。そしてまた、潜水艦発射型、SLBMを開発いたしました。この開発は、日本あるいは米国において予測していたよりも速いスピードで行われているわけでございます。これは残念ながら、事前にSLBMの発射は予測はできないわけでございまして、発射兆候を早期に把握することは困難になってきております。
 このような状況の変化などを踏まえれば、今後は二十四時間三百六十五日の常時継続的な体制を一年以上の長期にわたって維持することが必要であり、これまでの我が国の弾道ミサイル防衛のあり方そのものを見直す必要があると考えております。まさに、事態、状況の変化に対応して、私たちは国民の命を守る責任があるということであります。
 また、現状のイージス艦の体制において、長期間の洋上勤務が繰り返される乗組員の勤務環境は極めて厳しいものとなっております。これに対しまして、イージス・アショア二基の導入により、我が国全域を、二十四時間三百六十五日、長期にわたって切れ目なく防護をすることが可能となりまして、隊員の負担も大きく軽減をされるわけでありまして、イージス・アショアを導入する方針には変わりはないということであります。
 なお、イージス艦八隻体制のもとで二隻程度が洋上でBMD対応で展開するためには、イージス艦はほぼBMD任務に専従する形で運用をせざるを得ないということになるわけでありまして、他方で、そうした運用を行った場合、海洋の安全確保任務というイージス艦の本来の任務を実施することができず、また、そのための練度を維持するための訓練や乗組員の交代を十分に行うことができなくなると考えているところでありまして、我が国の周辺における警戒監視任務等の所要は大幅に増加をしております。イージス・アショアの導入により、イージス艦を本来の任務や訓練に充てられるようになり、我が国の対処力、抑止力を一層強化するものと考えております。
#21
○緑川委員 だったら、なぜ、各国でまず議論する前にここで議論をしないんですか。計画の変更については、しっかりと議論していかなければならない。防衛計画の変更があるならば、ルールに基づいてしっかりとやっていただきたいというふうに思いますよ。ローテーションの乗組員の負担軽減は、あくまで、イージス艦の洋上勤務での乗組員の負担は、やはりイージス艦の増隻でしか防衛計画上はなし遂げられなかったはずなんです。その変更があるならば、しっかりと伝えなければならないというふうに思います。
 地上のイージス・アショアは、秘匿性のある、機動性のあるイージス艦と比べて脆弱です。地上に露出をして、固定式で動かせません。
 北朝鮮を想定すれば、ハワイ向けには秋田の上空をICBM、大陸間弾道ミサイルが通過する、そして山口の上空にはIRBM、中距離弾道ミサイルがグアムに向けて発射される、そのちょうど迎撃ポイントがこの山口と秋田なんじゃないんですか。アメリカ本国にとっては、防衛するための早期警戒、追跡レーダーとしての役割を担わされる。そういう中で、北朝鮮の抑止力としては邪魔な存在なんですよ、イージス・アショアは。
 そうなれば、この二カ所を狙ってくるそういうテロ行為、さらには、破壊工作、先制核攻撃のようなことに対して、そういう事態、地域にイージス・アショアを置かれることに対するリスク、一国の総理としてどのように認識されているでしょうか。最後にお答えください。
#22
○坂井委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
#23
○安倍内閣総理大臣 当然、このイージス・アショアの存在というのは、北朝鮮が日本を攻撃しようというときに抑止力が向上しますから、北朝鮮にとっては邪魔な存在なんだろうと思います。それだけ効果があるんだろう、こう思っているところでございますし、いずれにいたしましても、秋田と山口両県の皆様の理解を得るべく努力を重ねながら、この二県に配備することで日本全体をカバーできる、このように考えております。
#24
○緑川委員 また議論させていただきます。
 ありがとうございました。
#25
○坂井委員長 次に、宮本徹君。
#26
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
 総理、本委員会で質疑してきて定かな答弁がなかった点について、まず伺います。
 消費税の増税、複数税率化に伴い、インボイス制度が導入されます。財務省の見積りでは、免税事業者のうち百六十一万者が課税業者となり、二千四百八十億円税収がふえる、一事業者平均で見れば課税売上げは五百五十万、利益は約百五十万、消費税増税額は十五・四万円。利益百五十万で消費税の納税義務十五万四千円というのは大変大きいです。
 問題は、消費税は価格に転嫁できるかなんですね。日本商工会議所の調査では、消費税が全部価格に転嫁できる、そういう見込みだと答えたのは、小規模な事業者ほど少ない、一千万円以下の事業者では約五割。事業者が消費税を価格に転嫁できなかった場合、年間の利益が百五十万円しかない中、十五万四千円の消費税をどうやって納めるのかというのを私は繰り返し聞きましたが、財務省からは、転嫁してもらうように頑張るという話しかないわけですよ。でも、現に転嫁できていない実態はたくさんあるわけですよね。
 ですから、きょうは、財務省は答えられなかったので、総理に答えていただきたいと思います。
 事業者が消費税を価格に転嫁できなかった場合、事業者はどこからお金を出してこの消費税を納めるんですか。
#27
○安倍内閣総理大臣 消費税は、価格への転嫁を通じて最終的には消費者に御負担をいただくことが予定されている税でありまして、事業者の方々が消費税を円滑に転嫁できるよう環境整備を行うことが重要と考えています。
 政府としても、消費税率引上げに際して、転嫁対策特別措置法に基づき、買いたたき等に対して公正取引委員会による指導、勧告を適切に実施をし、さらに、転嫁Gメンによる監視体制の強化を行うことにより、中小・小規模事業者の方々が不利益をこうむることのないよう関係法令に基づいてしっかりと対応してまいります。
#28
○宮本(徹)委員 ですから、同じ答えで、転嫁できなかった場合どうするのかということですよ。
 きょうは、本委員会には元財務大臣でもあった野田さんもいらっしゃいますけれども、野田さんは財務大臣のとき、こう答弁されておりますよ。きちっと転嫁をしていないということですので、それは自己負担になるということです。これは私は正しい答えだと思いますよ。
 結局、消費税が価格に転嫁できなければ、事業者が身銭を切って支払うしかない、これが真実なんじゃないですか。総理、違いますか。
#29
○麻生国務大臣 たびたび申し上げておりますけれども、このお話をずっとしておられますけれども、これは常に、滞納という話は消費税に限ったことではなくて、所得税でも滞納は起きます。
 いろいろな税でそういったものは常に起きるものというのはある程度覚悟せねばいかぬのだとは思いますけれども、今、少なくとも、中小企業庁のを見ましても、全く転嫁できていないという回答は二・四%、消費者向け取引で四・二%という数字になっておりますので、事業者が消費税を適切に転嫁できていないという状況ではないというように、私どもは基本的に宮本先生とは意見が、そこのところが大きく違っていると思っておりますが。
#30
○宮本(徹)委員 その同じ調査で、全て転嫁できていると答えているのは、この間も議論しましたけれども、BツーBで八七・三%、BツーCで七五・四%ですよ。一部転嫁できていない、あるいはいろいろな理由で転嫁していない、そういうところも含めれば、たくさんの事業者が転嫁できていないというのは政府の調査でも厳然たる事実ですよ。
 消費税が価格に転嫁できなかったら、どうやって事業者は税金を納めなきゃいけないのか。納税義務は事業者にあるんですよ、消費税というのは。所得税や法人税は、所得があったらかかりますけれども、消費税というのは、事業者が消費税を預かっていなくても事業者にかかるんですよ。利益百五十万円の事業者にとって、消費税が転嫁できないということになったらどうなりますか。十五万円、生活費を削って納めるということになるわけですよ。そういう深刻な事態を引き起こすということを総理は自覚しているんですか。
#31
○麻生国務大臣 滞納の話をされておられるんだと……(宮本(徹)委員「滞納の話じゃないです、価格に転嫁ができない場合」と呼ぶ)座ってしゃべらないでください。立ってしゃべっていただかないと。ルールというふうになっておりますので、立って。
#32
○宮本(徹)委員 滞納の話をしているんじゃないですよ。消費税が価格に転嫁できなかった場合のお話をさせていただいております。
#33
○麻生国務大臣 だから、払えなかった場合は滞納になるわけですよね。
#34
○宮本(徹)委員 払えなくなったら消費税は滞納になりますけれども、消費税を価格に上乗せしなかったら、それでも売上げがあれば、それに応じた消費税の納税義務は発生するわけですよ。そうすれば、どこからかその消費税を持ってくるしかない。どこから持ってくるのかといったら、利益を削ったり生活費を削ったり、こうやって納めるようになっているのが消費税の仕組みじゃないのかということを言っているわけですよ。
#35
○麻生国務大臣 税金は、基本的にはそういうものだと思っております、私どもは。その上で答弁をさせていただかぬといかぬのだと思うんですけれども。
 少なくとも、そういった形で滞納するとかいう形にならざるを得ない、百五十万円で十五万四千円の納税ができなくなるという話を前提にしておられますので、そういった一括納税というものが困難というような相談があったとかいうことになった場合には、それは、個々の事情を十分に把握した上で、具体的な納税計画を約束して分割納付等々を認めるのは、これは法令に基づき適切に対応させていただくということになっておりますのは、ほかの税金と同じことだと思いますが。
#36
○宮本(徹)委員 ほかの税金とは消費税は全く違うんですよ。法人税も所得税も、自分に所得があって、それで自分が納める納税義務があります。消費税というのは、預かった消費税を事業者が納税する義務があるんですよ。預かっていなくても納税する義務が発生するんですよ。ここは大変な問題なんですよ。日本商工会議所の調査でも、インボイス制度を導入したら免税事業者の一割近くが廃業を検討すると答えているんですよ。そういうことをやっていいのかということが問われていると思いますよ。
 地域の住民の暮らしとそして経済を支えている業者の皆さん、インボイス制度を導入すれば一割近くの方が廃業を検討する、こういう道に、総理、進んでいいんですか。総理にぜひ答えていただきたいと思います。
#37
○麻生国務大臣 転嫁対策のお話だと思うんですけれども、基本的には、民間事業者団体の認識等々を言っておられましたけれども、これは、消費税率の引上げに対して価格への転嫁を行うということの重要性というのは申すまでもない話なのであって、資金繰りの確認とか納税資金の確保等々について、これは事業者に対して注意の喚起を促していく、こういうことをしておかないとだめですよというようなことになるのだと思っております。
 いずれにしても、事業者の方々が消費税を価格に転嫁できるようにするためには、消費税転嫁対策特別措置法というのがあるのは御存じのとおりだと思いますので、これ等に基づいてしっかりと対応してまいらねばならぬところだと思っております。
#38
○宮本(徹)委員 私は、ですから、消費税、三十年たっても転嫁できていない業者がたくさんいる、にもかかわらず消費税の納税義務が発生している、これを免税事業者まで広げたら大変なことになるという話を何度も繰り返しさせていただいているのに、どういう大変なことが起きるのかという自覚が余りにもなさ過ぎますよ。こんなことで、複数税率化、一〇%増税、インボイス導入なんてとても認められないと申し上げておきたいと思います。
 もう一点、お伺いします。
 消費税導入三十年ということで、消費税以外の国民の負担がどうなったのかということで、きょう、資料をお配りさせていただいております。
 この資料の一枚目の右側のグラフを見ていただきたいと思いますが、これは政府税調に提出された資料を簡素化したものであります。所得税、住民税と社会保険料の合計の負担率、赤い線が消費税導入前、紺色の方の線が二〇一五年分です。角度がなだらかになるだけではなくて、低所得者は負担が大きくふえ、高所得者ほど負担が下がったというのがこの三十年間の傾向なわけですよね。
 これは、税と社会保険料の集め方として、総理、間違っているんじゃないですか。
#39
○安倍内閣総理大臣 まず、税制について申し上げれば、所得税は累進税率の仕組みをとっておりまして、もとより所得再分配機能を有するものでありますが、昭和六十年代以降、税率構造の大幅な累進緩和が行われた結果として再分配機能が低下したことは否めないとの指摘もあると承知をしています。このため、所得税の再分配機能の回復を図る観点から、最高税率の引上げ、金融所得課税の税率引上げ、給与所得控除の見直し、基礎控除の見直し等の施策を既に講じてきたところであります。
 そして、社会保険料については、高齢化等に伴い社会保障給付の費用が増加する中で、国民皆保険の維持にどうしても必要な費用を賄うため、保険料率の引上げを行ってきたところであります。他方、比較的低所得の方々が多い国民年金や国民健康保険等の保険料については、所得に応じた免除や軽減の仕組みを設け、必要な支援を行ってきました。
 また、例えば、基礎年金、国民健康保険等に係る給付費用の半額は税金で、これは御承知のとおりでありますが、賄われておりまして、さらに、所得が低く税金を負担していない、あるいは少額の負担にとどまる場合でも各種の給付を受けることができるなど、受益と負担をあわせて考えることが重要であろうと思っています。
 いずれにいたしましても、個人所得課税や社会保険料のあり方については、経済社会の情勢の変化等も踏まえながら、今後とも不断に検討を行ってまいりたいと考えています。
#40
○宮本(徹)委員 所得再分配機能の回復の観点から最高税率を引き上げたとおっしゃいましたけれども、所得再分配機能を本気で回復するんだったら、逆進性の強い消費税増税というのは全く反対のことをやっているじゃないですか。
 総理、消費税をどんどんどんどん引き上げて、高額所得者の税率を引き下げたというのは、この三十年間なんですよ。これを本当に正すというんだったら、消費税増税はやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。
#41
○坂井委員長 次に、丸山穂高君。
#42
○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。
 総理、短うございますので、早速質問させていただきたいんですけれども、総理は、リーマン・ショック級のことがない限り、この秋に消費税を一〇%にされるというお話をされてきました。現にもう法律もありまして、何事もなければそういうことだと思うんですけれども、総理の認識として、現時点、きょうはもう三月一日ですが、現時点でリーマン・ショック級の事態が起こっているとお考えでしょうか。いかがでしょうか。
#43
○安倍内閣総理大臣 足元の経済状況については、通商問題の動向や中国経済の先行き等によるリスクに留意する必要はあると考えておりますが、世界経済は米国を中心に全体としては緩やかな回復を続けておりまして、我が国経済も内需を中心として緩やかな回復が続いている、こう認識をしています。
 その上で、リーマン・ショック級の事態については、これまでも申し上げているとおり、例えば世界的な経済危機や大震災などが考えられると申し上げてきたところでありますが、現在のところ、そのような事態は発生しておらず、経済への影響に対して十分な対策をした上で、消費税率を引き上げることができる環境にあると考えております。
#44
○丸山委員 現時点ではそのような状況にない、そして上げられる環境にあるということですが、そうすると国民の皆さんが気になるのは、最終判断のタイミングはいつなのか。これは非常に大事なタイミングです。
 先日、官房長官、菅さんは、延期の最終判断のタイミングについては、予算成立が、きょうこの後採決、まず衆議院でされる予算成立が一つの区切りと官房長官は御発言されています。
 また、きょうは税法です。この税法も通って、そして予算も三十日ルールで自然に成立すれば、三月末には成立することになる。そうすると、それに基づいて民間も契約が行われますし、万が一、その中で、例えば報道等があります六月とかに中止決定となったら、これはもう大混乱が起きるのが目に見えていると思いますし、正直、国会に身を置く者として、予算の減額補正をやるとか、若しくは税法改正をやるとか考えたら、やはり数カ月かかるわけですよ。二カ月、三カ月かかる。正直、私としては、もはやそのタイミングも過ぎていますし、まさか、税法そして予算がきょう通る、衆議院を通過見込みの中で、この後、タイミングとしては、最終判断はもう過ぎているなと私は思うんですが。
 総理、官房長官は予算成立が一つの区切りと発言されています。総理はこの最終判断のタイミングについてどのようにお考えか、お答えください。
#45
○安倍内閣総理大臣 委員が御指摘の菅官房長官の発言は、消費税率引上げの対応策を盛り込んだ予算案や税制改正法案が国会で成立をすれば一つの区切りになるという趣旨で発言したものと承知をしておりまして、また、消費税率については、リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり本年十月に一〇%に引き上げる予定でございます。
 そして、御指摘の、引上げ延期を行う、もしそうなったらどうするかという政治判断の話なんだろうと思うわけでございますが、仮にリーマン・ショック級の事態が発生し、そのときの政治判断において増税を延期することとなれば、法改正について国会で議論をお願いすることになるだろう、こう思います。
 御指摘の時期については、発生した事態の状況等を踏まえて判断することになるため、予断を持って申し上げることはできないと考えております。
#46
○丸山委員 ただ、総理、物理的に、例えば、十月から引き上げるわけで、九月にそういう事態になったとして、引上げを延期できるかというと、非常に厳しいと思います。正直、今の段階で、逆に、そのタイミングで中止になると、余計に混乱が生じ得ると思うんです。物理的な、判断、対応の限界は当然あると思いますし、当然、予算を今回、今審議している、そしてこの税法だって今審議していますが、この税法は消費税を前提に議論をしているわけですね。そういう意味では、タイミングとしてはもうこれ以上引き延ばすわけにはいかないし、総理がおっしゃる、いつでも、不断のというのは限界があると思うんですよ。
 国民の皆さんに、このあたり、しっかり、不安を与えないように御判断いただきたいと思いますが、総理として率直に、国民の皆さんに、この判断について、タイミング、もう一度わかりやすい形で御説明いただけますか。
#47
○安倍内閣総理大臣 現在のところ、そういうリーマン・ショック級の状況、出来事が起こるということが予測される状況ではない、こう思っております。
 もちろん、大地震ということ等についてはなかなか予測がつかないものでございますが、経済においては、今申し上げた、我々で認識を持っているわけでございます。
 政府としては、本年十月の消費税率引上げに向けて経済運営に万全を期していきたい、こう考えておりますが、先ほど申し上げましたように、仮にそういう判断をするときには、これは総合的に判断をしていくということになるわけでございますが、法改正について国会で御議論をお願いすることになるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、いずれにいたしましても、それが必要になるということなんだろう、こう思っているところでございますが、時期については、発生したときの事態の中身、状況等について、踏まえて判断することになるわけでございますので、今の段階であらかじめそうしたものを予断を持って申し上げることはできないということでございます。
#48
○丸山委員 つまり、総理としては直前でも可能だとお考えだということですか。
#49
○安倍内閣総理大臣 直前……(丸山委員「十月です」と呼ぶ)十月のですね。それは、今申し上げましたように、法改正は必要なわけでございますから、国会で御議論をお願いすることになるということでございます。
#50
○丸山委員 そういうことであれば、それ相応の時間は必要ですよね。だから、いずれにしろ、直前にはさすがに無理だというお考えは、認識は同じゅうしていただけるということですか。
#51
○安倍内閣総理大臣 これは、事態の中身、あるいはどの時点かということにもよりますので、今ここで確たることを申し上げることはできないということは御理解をいただきたいと思います。
#52
○丸山委員 でも、大体の総理のお考えが見えてきてはいますが、明言はされませんが、こればかりお聞きしても同じようなお答えになると思いますので、続きにつなげていきたいんですが。
 やはり、今回の税法を見ていますと余りにも複雑だと思います。予算委員会でもいろんな議論がありました。ポイント還元によって最低三%、今、消費税八%なのに三%ポイントになる。一方で一〇%のものはあるし、さんざん私も言っています、なぜか新聞が税率八%になる。非常に複雑になると思いますけれども、これは国民の皆さんから多く、総理もお聞きになっていると思います、複雑じゃないですかというお声。これに対してどう御説明されるか、もう一度、最後にきちんと総理の口からお伺いできますでしょうか。
#53
○安倍内閣総理大臣 まず、この軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している食料品等に限定して税率を八%に据え置くことによって、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点があります。そういうことから、低所得者への配慮として実施するものであります。
 また、政府としては、制度の円滑な実施に向けて、具体的な事例を紹介したQアンドAを公表するほか、約五万回の事業者向け説明会を開催し、延べ百四十五万程度の事業者が参加するなど、周知、広報に取り組んでいるところであります。
 また、ポイント還元については、前回、八%への引上げの際、予想以上に消費の低迷を招き、その後の景気回復にも力強さを欠き、中小・小規模事業者は大企業に比べて体力が弱く、競争上の不利もあるといった点を踏まえ、中小・小規模事業者に限定した上で、消費を下支えするため時限的に実施するものであり、税率がこれは複雑になるわけではないと考えております。
 今回の実施に当たっては、ポイント還元の対象となる店舗に還元率を明記したポスター等を張り、消費者の皆さんが一目でわかる工夫を講じる考えであります。さらに、キャッシュレスの決済事業者とも連携しながら、中小・小規模事業者、消費者双方に積極的に広報を行ってまいります。
 いずれにいたしましても、今回の消費税率引上げへの対応には、引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また、消費者が安心して購買できるよう、積極的な広報により各施策の周知徹底を図ってまいります。
#54
○丸山委員 総理、ただでさえ複雑な、今総理は、きちんと周知を図っていく、広報が大事だという話をされましたけれども、先ほどのに少し戻りますが、万が一、消費税増税の延期だという話になったら余計大混乱ですね。今の総理の御回答であれば、恐らく、混乱が生じないようなタイミングでは決まるんだと。つまり、例えば延期に関しては、混乱を生じさせるようなタイミングでは延期はしない、そういう御回答ということでよろしいんですか。
#55
○安倍内閣総理大臣 いずれにいたしましても、我々としては、まず、経済の状況等も含めまして、円滑に消費税を引き上げる状況をつくっていきたい、このように考えているところでございます。
 また、その判断時期等については、先ほど申し上げたとおりでございますが、リーマン・ショック級の出来事がない限り、我々は法律にのっとって税率を八%から一〇%に引き上げていく考えであります。(丸山委員「混乱のないタイミングかどうかです」と呼ぶ)これは、混乱のないタイミングというのは、先ほど申し上げましたように、その時期や事態等によりますので、今、どういう状況が混乱に当たるかどうかということについても明確に答弁することについては、それは困難であるということで御理解をいただきたいと思います。
#56
○丸山委員 いずれにしても、混乱が生じないような最終判断をいただきたいというふうに思いますが、やはり、総理、最後に聞きたいのは新聞の件です。
 軽減税率、総理、予算委員会、テレビ入りでもお聞きしましたが、なぜか新聞だけ外形判断されているんですよ。書籍は外形の判断じゃなくて有害指定云々の話があるんですけれども、これは何で外形なんですか。総理、そのままお読みになるんじゃなくて、なぜ新聞だけ外形の判断なのか、明らかに矛盾なんですけれども、それについてどうお答えになるのか、お願いします。
#57
○安倍内閣総理大臣 軽減税率制度は、消費税率引上げに伴う所得の低い方々への配慮として、食料品等を対象品目として、法律において明確に定め、実施するものであります。
 食料品については、食品表示法に規定する食品であって、人の飲用又は食用に供されるもの、又は新聞については、週二回以上発行され、定期購読契約されているものとしており、現状において、軽減税率の適用される物品については、外形的な基準に基づきその対象を定めているところでございまして、いずれにいたしましても、新聞については、その購入の実態に着目をし、逆進性緩和の観点から軽減税率の対象としていることを御理解いただきたいと思います。
#58
○丸山委員 時間が来たので終わりますが、なぜ外形かは全く説明いただけませんし、極めて矛盾のある税制だと申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。
#59
○坂井委員長 次に、野田佳彦君。
#60
○野田(佳)委員 よろしくお願いいたします。
 一番小さな会派でありますけれども、他の党の御配慮をいただいて、均等割の十二分をいただきました。
 限られた時間ですので、早速質問いたしますが、平成という時代を税財政の面で振り返ったときに、私は、消費税の呪縛との戦いだったというふうに思います。
 昭和においても、大平内閣、中曽根内閣、それぞれ一般消費税、売上税、構想はありましたけれども、頓挫をしました。
 平成元年の一月八日、曲折を経ながら、竹下内閣で消費税三%が導入され実施をされました。その後、八%まで上げるまでに三十年かかったわけであります。
 歴代政権それぞれの立場で御苦労があったと思いますけれども、私は、どうしても、消費税は政権の倒れることにつながりかねない、そういうおびえが常にあったんだろうというふうに思います。それが先送りを続けてきた一番の要因だというふうに思うんですね。
 私は、社会保障と税の一体改革を通じて、三党合意で与野党が未来の世代に責任を持つために、ネクストエレクションよりもネクストジェネレーション、そういう合い言葉のもとで、お互いに責任を持ち合うことによってその呪縛を解こうとしましたが、残念ながら、また呪縛が出てきているように思えてなりません。
 安倍総理は、八%実現までは実施をされました。今度、十月一日の一〇%引上げに際しては、残念ながら呪縛にとらわれていると思うんですね。それは、堂々と、国民の皆さんに何のために御負担をお願いをするかという王道からそれて、むしろ、ばらまきをたくさんやってごまかすことによって、私はその呪縛に取りつかれているというふうに思っています。私は、これは将来にわたって大変悪い癖を残すことになると思うんですね。
 平成三十一年度で、消費税の引上げで増収の見込みが約二兆円、一方で、先ほど話題になっていたポイント還元であるとか、あるいは住宅ローンの減税の拡充であるとか、国土強靱化とか、さまざまな対策が講じられますが、これを全部合わせると二兆三千億円。私は、過剰なばらまきだというふうに思います。
 これによって、社会保障の充実、安定と財政健全化のためなら増税もやむを得ないと思っていた人たちのその気持ちを裏切ることになり、何のための増税か、政策に対する根源的な不信が生まれると思いますが、総理の御見解をお伺いをしたいと思います。
#61
○安倍内閣総理大臣 何のための増税かといえば、それは税収を上げていくためであります。
 しかし、ただ税率を上げればいいということではなくて、経済が腰折れして、デフレが再び、今デフレではないという状況をつくり出しましたが、再びデフレ経済に陥り、成長が鈍い、あるいはマイナス成長となってしまっては、これは元も子もないわけでございます。
 それは、まさに、税率を上げたにもかかわらず、残念ながら税収は上がっていかないということにもつながっていくわけでございますし、多くの人たちが職を失い、あるいは若い人たちが残念ながら未来を見ることができない、つまり、就職がなかなかできないということにもつながっていくわけでございまして、やみくもに税率を上げるわけにはいかないのは当然のことであろう、こう考えております。
 税率を上げていく上においては、いわばそういう状況をつくり出すことが極めて重要になってくるわけでございまして、しっかりとデフレではないという状況をつくり、そして経済を上向きにしていく中におきまして税率を上げていく。まさに、アベノミクスの効果によって、我々は税収をまず三%引き上げる状況をつくり出すことができました。
 その次に、更に二%引き上げる上におきましては、三%引き上げた際に相当、駆け込み需要もありましたが反動減もあった、そして、残念ながら景気は回復をそう簡単にはしなかった。のみならず、経済の成長においても、一回伸びて一回落ちただけではなくて、伸び方も鈍くなるという問題があった中においては、この対策に万全を期していくことは当然のことであろう、こう思っているところでございます。
#62
○野田(佳)委員 私も、駆け込み需要と反動減があるということは承知していますし、それに対する一定の政策はとるべきだというふうに思います。その点は理解をしているつもりです。
 ただ、その二・三兆円の中には、過剰だと先ほど表現もしましたけれども、よく精査もされないで盛り込まれたものもたくさん入っているように思えてなりません。その代表的なものがポイント還元であります。
 これは、本会議でも総理に質問をして、お答えをいただきましたけれども、税制というのは、あるべき姿というのは、まず簡素であることです。しかし、軽減税率に加えて二ポイント、五ポイントの還元が加わることによって、一〇パー、八パー、六パー、五パー、三パー、これだけ複雑な税率になる。簡素からかけ離れる。
 歳出項目でありますけれども、ポイント還元というのは税制をゆがめるんですよね。加えて、カードを持っていない子供やお年寄りは増税になり、そして、カードを持っている人たちにとっては減税になるかもしれない。これは、逆進性を助長するというふうに思います。その意味では、税制の中立公平、この観点からも失格だというふうに思います。
 このポイント還元について、委員会で私は随分いろいろ質問しました。経産省が主に答弁をしたんですけれども、驚いたことに、例えば、いまだに中小・小規模事業者の要件というのはまだ固まっていないんですよ。ポイント還元の対象が決まっていない。商品の対象も決まっていません。たばこはどうなんですかという質問がありましたけれども、まだ決まっていないと言っていましたね。いろいろな不正が起こる可能性もある。ポイントの転売がされる可能性もある。そういう不正防止に対する対策もまだ決まっていない。ほとんど検討中でした。
 こんな粗雑な施策に二千七百九十八億円も血税を使うというのは私は許されないと思いましたね。私、財務大臣は何でこれを認めちゃったのかと思いました。この議論をやっていたら、麻生財務大臣からは、今の話を聞いていて率直に言って大丈夫かなというような本音がぽろっと聞こえたんですね。何でこんなことが起こったのか。麻生大臣おっしゃいましたけれども、このポイント還元というアイデアは十二月七日に聞いたと言いました。よく練っていないんです。制度として練り上げていない、そんなものに約三千億円も使われる。これはまさにばらまきじゃないでしょうか。
 私は、過ちを改むるにはばかることなかれという言葉がありますが、この愚策は撤回すべきだと思いますけれども、総理の御所見をお伺いいたします。
#63
○安倍内閣総理大臣 消費税の引上げ後、大企業は自己負担でセールなどを実施できるのに対しまして、中小・小規模事業者は大企業に比べて体力が弱く、競争上の不利があるわけでございます。
 前回消費税を引き上げたときには、いわば消費税率還元セールのようなものをしないような、そういう指導をしてきたわけでございますが、例えばヨーロッパにおきましては消費税率を引き上げても反動減等々駆け込み需要というものが非常に山が小さいのはなぜかという中におきましては、小売店等がそうしたまさに消費税が引き上がる前に少し値上げをしたり、あるいは後に値引きをしたりということをしているということもありますから、今回はそういうことも可能にしていこうということにしたのでございますが、その際、今申し上げましたように、大型店、大企業は体力上それができるけれども、競争上不利になる。
 こうした点を踏まえまして、今回は中小・小規模事業者に限定した上で、消費をしっかりと下支えするため、大胆なポイント還元を実施することとしたものであります。今の段階ではまだ決まっていないという御指摘がございましたが、これはいずれ経産省の方においてしっかりと見解が示されるものと思っております。
 今回のポイント還元では、誰でも簡単に加入できるプリペイドカードなど多様な選択肢を用意することで、クレジットカードを持たない方々も含め幅広い消費者がポイント還元のメリットを受けられるようになるわけでありまして、QRコードなどはカードがなくても手数料もなしで簡単に使うことができるようになるわけでございまして。
 また、中小・小規模事業者は雇用の七割を支えるまさに日本経済の屋台骨でありまして、今回の大胆なポイント還元によって中小・小規模事業者の売上げが大きく伸びれば、従業員の方々の所得拡大など裾野の広い波及効果も期待されると考えているところでございまして、そうした考え方から、今回、導入をさせていただくわけでございます。
 また、キャッシュレス決済については、これは世界の大きな流れがあるわけでございまして、中小・小規模事業者の皆様もこの流れの中で今回導入ができるように、国としてもしっかりと支援をしていくということでございます。
#64
○野田(佳)委員 今は思いつきの政策の問題を申し上げましたけれども、思いつきと同時に思い込みというのも弊害がありまして、その思い込みの弊害というのは、私は、デフレは貨幣的な現象であると国会で総理が明快に確信を持って答弁されました、その思い込みから始まった異次元の金融緩和は異次元の副作用をもたらすだろうと思います。金融の出口を見つけることは私は困難だと思います。そして、財政健全化の入り口に立つことも困難になると思います。
 私は、近い将来に、想像のできないような大きなリスクが口をあけて待っているような気がしてなりません。私は、この異次元の金融緩和についても軌道修正していかなければならないと思うし、そうでなければ、後世において、それこそ安倍政権が幻想だけ振りまいた悪夢の政権と言われかねないと思います。
 総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#65
○坂井委員長 安倍総理大臣、簡潔にお願いいたします。
#66
○安倍内閣総理大臣 従来から申し上げているとおり、デフレはさまざまな原因があるものの、基本的には物価が継続的に下落する貨幣的な現象であり、デフレ脱却において金融政策が大きな手段であるという考えに変わりはないわけでございます。
 まさに、二十年以上続いたこのデフレ経済に、デフレではないという状況をつくり出したのは、まさに私たちが進めた、また黒田総裁が進めた金融政策があったからこそ、我々は、もはやデフレではないという状況を早くつくることができたわけでございます。
 その中では、例えばGDPにおきましても、名実が逆転していた状況を正常に戻すことができた。それ以外の政策、もしそれをやっていなければいまだに続いていたということになるわけでありますから、それこそ、野田政権のときに決めた消費税の引上げすらできない状況が続いていたのではないか、こう思う次第でございまして、まさに、この政策を進めたからこそ、名目GDPは一割以上成長したわけでございまして、雇用においても大きな成果が出ているのは間違いないんだろう、こう思っておる次第でございます。
 金融政策につきましては、具体的な手法については出口戦略を含めて日本銀行に委ねられるべきだ、こう考えておりまして、私は黒田総裁の手腕を信頼をしているところでございます。
#67
○野田(佳)委員 終わりますけれども、今の金融政策も、自分の任期中に出口を見つけるとか、私は、越権行為のような発言で、日銀を縛っていると思います。そのことだけ強く警告として申し上げて、質問を終わります。
#68
○坂井委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#69
○坂井委員長 これより討論に入ります。
 討論の申出がありますので、順次これを許します。高木錬太郎君。
#70
○高木(錬)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの高木錬太郎です。
 私は、会派を代表して、政府提出の所得税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 反対の理由、第一に、今回の住宅ローン控除の拡充、そして車体課税の見直しが、ともに、既に複雑な税制を更に複雑化するものであり、簡素という税制の大原則を大きく外れた改正だからであります。
 また、住宅ローン控除拡充と車体課税見直しは、ことし十月に予定する消費税率引上げに対する駆け込み需要とその反動への対策ということでありますが、質疑でも明らかになったように、その効果は判然とせず、極めて限定的と言わざるを得ません。
 あわせて、消費税率引上げへの臨時特別の措置でいえば、天下の愚策キャッシュレス決済ポイント還元は、質疑で聞けば聞くほど、中身が実にいいかげん、一部の特定の企業だけぼろもうけの疑いあり、こんなことに巨額の税金を本当に使っていいものか、多くの委員の皆さんが問題意識を共有したところかと存じます。
 そもそもでいえば、戦後最長の景気拡大局面と政府は言えども、その恩恵のない、あるいは実感が全く得られない国民の日々の暮らし、消費、需要がともに伸び悩むという現下の日本経済全体、そして、中国経済の動向始め、世界経済の不確実性に伴う下振れリスク、更に言えば、統計不正によって明るみになりつつある、実は虚像であったアベノミクスの実態を鑑みれば、本年十月に消費税率を引き上げられる景気環境には全くありません。
 第二に、研究開発税制の見直しが真にベンチャー企業の支援税制になるのか、非常に疑問であるからであります。
 また、研究開発税制を始めとする租特全体については、毎年のように指摘されているとおり、効果を科学的、定量的に分析、検証することが難しく、常に願望を述べるにとどまっている以上、むやみやたらに拡充することは一旦立ちどまり、むしろ、抜本的、根本的見直しを図らなければならない時期に来ていると考えます。
 第三に、今回の改正には、またしても金融所得課税の見直しが含まれなかったからであります。
 我が国の喫緊の課題である格差是正のためにも、税による所得の再分配機能強化に本腰を入れて着手しなければならないとこれまた毎年のように指摘されているにもかかわらず、ことしもナシのつぶてであります。
 以上申し上げましたように、本法案は、公平、中立、簡素、加えて、透明、納得という税制の大原則を無視した、継ぎはぎだらけ、その場しのぎの税制改正であり、国民経済を混乱させることは必定であります。
 個人事業者の事業承継税制創設など、一部に必要な改正が含まれていることも認めますが、以上、どうしても看過できない重大な問題を三点指摘し、本法案に対する反対の討論とさせていただきます。(拍手)
#71
○坂井委員長 次に、緑川貴士君。
#72
○緑川委員 国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。
 国民民主・無所属クラブを代表いたしまして、今、反対の立場から、所得税法等の一部を改正する法律案について討論をいたします。
 私たちは、これまで、実質賃金の低下が顕著であること、そしてGDPの民間最終消費支出が横ばいであることなど、アベノミクスの失敗を検証した上で、国民生活重視の経済政策への転換を訴えてまいりました。そうした検証を覆そうと、実質賃金が不正に上方修正されるといった事態がまさか起きることになるとは思いませんでした。
 今回の統計不正でより鮮明となったのは、アベノミクスの失敗がいよいよ隠し切れなくなったということです。第一の矢、異次元の金融緩和は、とうとうマイナス金利にまで足を踏み入れ、地銀も大手銀も苦しんでいます。第二の矢、大規模な財政出動により、建設業界もバブルに今は沸いていますが、バブルはいつかはじけるものです。本丸であったはずの第三の矢、成長戦略も、目に見える結果は出ておりません。
 国民のためを思うなら、素直にアベノミクスの失敗を認め、政策を転換していただきたい。統計を不正に操作して失敗を糊塗するなど言語道断であります。不正を恥じ、不正の上に築かれた歳入法案を撤回して出し直してください。
 その際、消費税の軽減税率制度も撤回するべきです。軽減税率は、高額な財・サービスが購入できる高所得者ほど軽減額が大きくなるなど、不公平を助長します。さらに、事業者に過度な負担を負わせるだけでなく、消費者側にも大きな混乱を招くものであります。
 最後に、国民民主党は、国民生活重視の経済政策実現に注力していくことを国民の皆様にお誓いをして、討論を終わります。(拍手)
#73
○坂井委員長 次に、宮本徹君。
#74
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
 日本共産党を代表して、所得税法等一部改正案の反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案がことし十月の消費税増税を強行するものとなっているからであります。
 前回の消費税増税以降、消費は落ち込んだままであります。消費税増税を強行すれば、更に消費は停滞し、日本経済に深刻な影響を与えます。
 消費税は、低所得者ほど負担が重い税制です。増税により一層逆進性が強まります。その一方で、住民税非課税世帯でない高齢者世帯、単身の低所得の勤労者世帯に対し、逆進性を緩和させる対策はありません。住宅ローン控除の拡大や自動車関連税制の軽減は、購入できる世帯の消費は喚起するでしょうが、住宅を購入できない世帯への支援はありません。
 増税対策の目玉であるポイント還元は、キャッシュレス決済を使用しない高齢者などに恩恵がない一方、高所得者ほど恩恵を受けられ、極めて不公平です。中小・小規模事業者の支援をうたいますが、キャッシュレス決済を導入すれば、手数料など、業者に新たな負担を強います。売上増につながらなければ経営が苦しくなるだけです。かといって、キャッシュレス導入を避ければ、ポイント還元制度の存在により、消費者の選択から排除されかねません。ポイント還元は中止すべきであります。
 さらに、消費税の複数税率化に伴うインボイス導入は、多くの免税業者を苦境、そして廃業に追い込みかねません。住民の暮らしと地域経済を支えている業者を廃業に追い込む税制など、断じて許されません。消費税増税は中止すべきであります。
 第二の反対理由は、研究開発減税を始め、法人税を空洞化させている租税特別措置など、大企業優遇税制が温存、拡充がなされるからであります。
 研究開発減税は、トヨタなど大企業に減税の恩恵が集中しています。内部留保は毎年数十兆円ずつ積み上がっています。今回の改定案では、税額控除ができる上限を現行の法人税額の最大四〇%から四五%に拡充します。巨大の内部留保を積み上げ続ける大企業に減税を拡大するなど、大企業優遇が過ぎます。大企業優遇税制を改め、応分の負担を大企業に求めるべきであります。
 なお、本法案には、中小企業の軽減税率の特例措置の延長や事業承継を支援する制度の拡充など、賛成できる内容も含まれますが、以上の理由から、反対といたします。(拍手)
#75
○坂井委員長 次に、丸山穂高君。
#76
○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。
 所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
 現在の日本が直面している経済的な課題と、社会保障費の膨張に伴いふえ続ける国債発行額の問題を見れば、やらねばならぬことは明確なはずです。
 やるべきことは、経済成長による税収の確保、ともに並行して身を切る改革をもって行財政改革を進めることで、無駄のない行政を実現し、財政健全化を進めること。税制においても、場当たり的な軽減税率や、控除申告の誤りなどが頻発している住宅ローン減税等の複雑な平準化策などではなく、給付つき税額控除など、適正な所得再分配を行う形での抜本的な税制改革が必要であると考えます。
 本法案の内容に十月の消費税率の引上げに伴う需要変動の平準化策があります。そもそも政府はさまざまな景気対策を検討されていますが、我が党は、軽減税率の拙速な導入には断固として反対の立場であり、将来に禍根を残すと考えております。そもそも、二〇一五年に軽減税率を決めた際、マイナンバーを前提とした給付つき税額控除の導入も選択肢であったはずであり、マイナンバーカードの普及を前提とした真に公正な制度の確立を優先すべきです。
 本法律案には、住宅ローンの減税制度の拡充や、自動車重量税の見直しといった方策が盛り込まれていますが、住宅や自動車のような大きな買物により恩恵を受ける対象は限定的であるだけでなく、そもそも人口減少に伴って住宅は余る方向で、地方だけでなく都市部においても空き家問題が深刻化している状況にあります。こうした状況下で果たしてこうした税制が景気対策として妥当なのか、それ自体がそもそも疑問であります。場当たり的な制度作成で、本来簡素であらねばならないはずの税制がますます複雑さを増すばかりです。
 一つ一つの例を挙げてみても、今の税制はびほう策の陳列でしかないという批判をせざるを得ませんし、政治が約束した身を切る改革を実行せぬままに、消費税率を上げ、軽減税率等で更に税の複雑さを高めることはもってのほかだということを改めて申し上げ、所得税法等の一部を改正する法律案に反対の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#77
○坂井委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#78
○坂井委員長 これより採決に入ります。
 所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#79
○坂井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#80
○坂井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、井林辰憲君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会保障を立て直す国民会議の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。高木錬太郎君。
#81
○高木(錬)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引の国際化・広域化・高度情報化による調査・徴収事務等の複雑・困難化、新たな経済活動の拡大に加え、税制改正、社会保障・税一体改革への対応などによる事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。
   特に、社会的関心の高い国際的な租税回避行為、富裕層への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。
以上であります。
 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#82
○坂井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#83
○坂井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。
#84
○麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと考えております。
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#85
○坂井委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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#87
○坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十時散会
ソース: 国立国会図書館
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