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2019/05/10 第198回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第198回国会 本会議 第23号
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2019/05/10 第198回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第198回国会 本会議 第23号

#1
第198回国会 本会議 第23号
令和元年五月十日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  令和元年五月十日
    午後一時開議
 第一 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 第二 投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 第五 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 第六 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 第七 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案(内閣提出)
 第八 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第九 司法試験法等の一部を改正する等の法律案(階猛君外二名提出)
 第十 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十一 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第六 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第七 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案(内閣提出)
 日程第八 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第九 司法試験法等の一部を改正する等の法律案(階猛君外二名提出)
 日程第十 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十一 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(岡本充功君外十名提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
#3
○議長(大島理森君) 日程第一、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方創生に関する特別委員長松野博一君。
    ―――――――――――――
 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔松野博一君登壇〕
#4
○松野博一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、地方公共団体等の提案等を踏まえ、都道府県から中核市への事務、権限の移譲を行うとともに、地方公共団体に対する義務づけを緩和する等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月二十五日本委員会に付託され、翌二十六日片山国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月十八日から質疑に入り、二十五日質疑を終局いたしました。
 質疑終局後、立憲民主党・無所属フォーラム及び国民民主党・無所属クラブの共同提案により、放課後児童健全育成事業に係る改正規定を削除する修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。
 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対して附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第六 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
#7
○議長(大島理森君) 日程第二、投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第五、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第六、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、右五件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長若宮健嗣君。
    ―――――――――――――
 投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔若宮健嗣君登壇〕
#8
○若宮健嗣君 ただいま議題となりました五件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 日・アルゼンチン投資協定は、平成三十年十二月一日にブエノスアイレスにおいて署名されたもので、我が国とアルゼンチンとの間で、投資の拡大により経済関係を一層強化するため、投資の設立段階及び設立後の内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与等について定めるものであります。
 日・スペイン租税条約は、平成三十年十月十六日にマドリードにおいて、日・クロアチア租税協定は、同年十月十九日にザグレブにおいて、日・コロンビア租税条約は、同年十二月十九日に東京において、日・エクアドル租税条約は、平成三十一年一月十五日にキトにおいて、それぞれ署名されたもので、我が国と相手国との間で、二重課税の除去並びに脱税及び租税回避行為の防止を目的として、課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子等に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。
 以上五件は、去る四月二十三日外務委員会に付託され、翌二十四日河野外務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。二十六日に質疑を行い、討論の後、順次採決を行いました結果、五件はいずれも賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(大島理森君) 五件を一括して採決いたします。
 五件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、五件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第七 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案(内閣提出)
#11
○議長(大島理森君) 日程第七、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長葉梨康弘君。
    ―――――――――――――
 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔葉梨康弘君登壇〕
#12
○葉梨康弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、所有者不明土地問題への対策の一環として、不動産登記簿の表題部所有者欄の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が正常に登記されていない表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化を図るための措置として、所有者の探索のために必要な調査権限を登記官に付与し、所有者等探索委員制度を創設するほか、所有者の探索の結果を登記に反映させるための不動産登記法の特例を設けるとともに、所有者の探索を行った結果、所有者を特定することができなかった表題部所有者不明土地について、裁判所の選任した管理者による管理を可能とする制度を設けようとするものであります。
 本案は、去る四月二十三日本委員会に付託され、翌二十四日山下法務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十六日、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第八 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#15
○議長(大島理森君) 日程第八、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長牧原秀樹君。
    ―――――――――――――
 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔牧原秀樹君登壇〕
#16
○牧原秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るため、情報通信技術を活用した行政の推進に関する基本原則及び行政手続等を情報通信技術を利用する方法により行うために必要となる事項等を定めるとともに、住民票及び戸籍の附票の記載等に係る本人確認情報の保存及び提供の範囲の拡大、電子証明書及び個人番号カードの利用者への国外転出者の追加、個人番号利用事務への罹災証明書の交付に関する事務等の追加等の措置を講ずるものであります。
 本案は、去る四月十六日本委員会に付託され、翌十七日平井国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、二十六日に質疑を行い、質疑終局後、本案に対し、立憲民主党・無所属フォーラム及び国民民主党・無所属クラブより、情報通信技術を活用した行政の推進の基本原則として、個人情報の保護に十分配慮して行わなければならないこと等の規定を追加するとともに、法令に基づく申請に際し省略できる添付資料を明記すること、地方公共団体が行うデジタルデバイド対策の具体例を明記すること、地方公共団体によるオンライン化施策に対する国の援助を明記すること等を内容とする修正案が提出されました。
 修正案について趣旨の説明を聴取した後、原案及び修正案について討論を行い、採決した結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第九 司法試験法等の一部を改正する等の法律案(階猛君外二名提出)
 日程第十 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#19
○議長(大島理森君) 日程第九、階猛君外二名提出、司法試験法等の一部を改正する等の法律案、日程第十、内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文部科学委員長亀岡偉民君。
    ―――――――――――――
 司法試験法等の一部を改正する等の法律案及び同報告書
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔亀岡偉民君登壇〕
#20
○亀岡偉民君 ただいま議題となりました両案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、内閣提出の法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要について申し上げます。
 本案は、法曹養成プロセスの中核である法科大学院における教育の充実を図り、高度な専門的能力及びすぐれた資質を有する法曹となる人材の確保を推進するため、法科大学院と法学部等の連携促進等による法曹志望者の時間的、経済的負担の軽減、法曹養成制度の信頼性、安定性の確保のための措置等を講ずるものであります。
 次に、階猛君外二名提出の司法試験法等の一部を改正する等の法律案の概要について申し上げます。
 本案は、司法試験を広く受験しやすいものとするとともに、法曹の資質の維持向上を図るため、司法試験の受験資格、方法及び試験科目並びに司法修習の期間の見直し、弁護士への研修機会の提供等の措置等を講ずるものであります。
 内閣提出の法律案は、去る四月十六日本委員会に付託され、翌十七日柴山文部科学大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。また、階猛君外二名提出の法律案は、十八日本委員会に付託され、二十三日提出者階猛君から提案理由の説明を聴取いたしました。同日より両案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取した後、翌二十四日、二十六日、五月八日と質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。
 質疑終局後、討論を行い、順次採決いたしましたところ、階猛君外二名提出の法律案については賛成少数をもって否決すべきものと決し、内閣提出の法律案については賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、内閣提出の法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(大島理森君) これより採決に入ります。
 まず、日程第九、階猛君外二名提出、司法試験法等の一部を改正する等の法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(大島理森君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第十、内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#23
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第十一 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#24
○議長(大島理森君) 日程第十一、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長谷公一君。
    ―――――――――――――
 道路運送車両法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔谷公一君登壇〕
#25
○谷公一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、自動運転技術が加速度的に進展していることを踏まえ、車両の安全基準等について、ドライバーによる運転を前提とした制度からシステムによる運転も想定した制度への見直しを図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、保安基準の対象装置に、プログラムにより自動的に自動車を運行させるために必要な装置として自動運行装置を追加すること、
 第二に、事業として行う場合に認証が必要な分解整備の範囲を拡大し、名称を特定整備に改めるほか、自動車の電子的な検査に必要な技術情報の管理に関する事務を独立行政法人自動車技術総合機構に行わせること、
 第三に、自動車の電子制御装置に組み込まれたプログラムの改変による改造に係る行為についての国土交通大臣の許可制度を創設すること、
 第四に、自動車の型式指定制度における完成検査について国土交通大臣が是正命令等を行うことができることとするほか、罰則を強化すること
などであります。
 本案は、去る四月二十三日本委員会に付託され、翌二十四日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、五月八日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(岡本充功君外十名提出)の趣旨説明
#28
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案及び岡本充功君外十名提出、児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣根本匠君。
    〔国務大臣根本匠君登壇〕
#29
○国務大臣(根本匠君) ただいま議題となりました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 児童相談所における児童虐待相談への対応件数は、一貫して増加が続いており、平成二十九年度には十三万件を超えています。ときに、痛ましい事件により、かけがえのない子どもの命が失われる状況が生じており、児童相談所の体制強化、関係機関間の連携強化等の対策が喫緊の課題となっております。
 こうした状況を深刻に受け止め、児童虐待防止対策の強化を図るため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、児童の権利擁護であります。
 体罰禁止を法定化するとともに、政府は、この法律の施行後二年を目途として、民法に定める懲戒権の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしています。また、児童相談所の業務として、児童の安全確保を明文化するほか、児童福祉審議会において児童に意見を聴く場合においては、その児童の状況や環境等に配慮することとしています。
 第二に、児童相談所の体制強化であります。
 児童相談所が、躊躇なく一時保護などの介入的対応を行うことができるよう、介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分けること等としています。また、児童相談所において常時弁護士の指導の下で法律関連業務を行うための体制整備、医師及び保健師の配置、児童福祉司の任用要件の見直し等による職員の資質の向上を図るとともに、児童相談所の業務に係る第三者評価を努力義務として規定することとしています。
 第三に、児童相談所の設置促進であります。
 児童相談所の管轄区域に関し、人口その他の社会的条件について定める参酌基準を法定化するとともに、政府は、この法律の施行後五年間を目途として、中核市及び特別区が児童相談所を設置できるよう、設置に係る支援その他の必要な措置を講ずることとしています。
 第四に、関係機関間の連携強化であります。
 学校、教育委員会、児童福祉施設等の職員について守秘義務を規定するとともに、ドメスティック・バイオレンス対策との連携強化を図るため、児童相談所と配偶者暴力相談支援センターについて、相互に連携協力に努めるべき機関として法律上明確化することとしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十二年四月一日としています。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(大島理森君) 提出者岡本充功君。
    〔岡本充功君登壇〕
#31
○岡本充功君 ただいま議題となりました、児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 それに先立ち、まず、議場の皆様に御説明をしたいことがあります。
 昨年の三月二日に、東京都目黒区の五歳の女の子が、虐待により、とうとい命を失いました。
 当時、厚生労働委員会において、厚生労働委員会としての調査、視察、野党で求めてきたところでありますが、なかなか実現をしない中、我々野党は、五月、六月と時間を使って調査をしてまいりました。そして、六月には、児童虐待防止法を改正するべく我々の案を提出し、議論を求めてきたところであります。
 残念ながら、長きにわたってこの法案はつるされたまま、審議をされることはありませんでした。結果として、多くの皆さん方に児童虐待防止の対策をとることの重要性を喚起することができなかったと思っています。
 政府におかれましては、七月に、関係閣僚会議などで、我々が出した法案の一部を吸い取るかのように対策を立てたと言われていますが、国会で議論をするべきだった。政府だけで決める話ではなく、国会で議論をして、その議論の喚起の中で国民的な関心を集めるべきだったと私は強く思っています。
 そんな中、また、転居を伴う児童虐待事案が発生しました。本年の一月二十四日には、沖縄県から転居してきて千葉県野田市に越してきた小学四年生の児童が、虐待により、また命を失いました。
 私たちが求めてきた法案審議、もちろん、法案審議だけでなくても、議論でもいい、厚生労働委員会で法案の質疑、審議、閣法が終わった後でもやってくれという強い訴えを無視してきた結果、私は、国民の議論の喚起が起こらなかったことを本当に悔しく思ったものであります。
 そういう意味で、こうした対策をとることを求めてきたにもかかわらず、ようやく政府が案を出してきたこと、遅きに失したと思っています。私たちは、そんな今の状況を嘆きながら、今回の法律案、昨年六月に出した法律案を更にバージョンアップし、このたび提出をさせていただきました。
 虐待により命を失うという痛ましい事件が立て続けに起こる。これらの事件において何が足りなかったのか。関係機関間における情報共有や連携の問題、DVがある家庭とその家庭における児童虐待の問題などが明らかになっており、これらの問題を踏まえた児童虐待防止対策の抜本的かつ総合的な強化は本当に喫緊の課題です。そういう意味で、今回の法律案、ぜひとも皆様方に十分な御審議をお願いしたいと思います。
 そこで、我々が提出した本法律案、概要を御説明申し上げたいと思います。
 第一に、児童の権利の擁護であります。
 およそ親権の行使に当たっては体罰を加えてはならない旨を明確に規定するとともに、政府は、児童の権利の擁護に関する国際的動向を勘案し、民法に定める懲戒権の在り方について早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしています。
 また、児童の施設入所等の措置の実施又は解除に当たっては、児童の心身の状況や環境等に配慮して、当該児童の意見を聴くものとしています。
 第二に、児童相談所の体制強化であります。
 児童虐待に迅速かつ適切に対応するため、児童福祉司を増員することとし、また、児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に関し、関係機関の連携強化等について明文化するほか、児童の転居等に係る対応強化のため、児童相談所が通告を受けた児童等が転居する際の児童相談所間の情報共有、児童虐待を受けた児童が転居する際の指導措置の解除制限等並びに施設入所等の措置等が採られた児童と保護者の居住地が異なる場合の都道府県知事等の相互の連携及び協力について規定することとしています。
 第三に、児童相談所の設置促進であります。
 中核市及び特別区について児童相談所を必置とするとともに、児童相談所の数の標準を法定化することとしています。
 また、国は、指定都市、中核市、特別区等が児童相談所の設置を適切に行うことができるよう、児童相談所の職員の人材育成及び確保のための支援その他の必要な措置を講ずることとしています。
 第四に、児童虐待を行った保護者に対する指導及び支援の強化であります。
 児童虐待を行った保護者の意に反して施設入所等の措置が採られている場合に、当該保護者に対して児童虐待の再発を防止するための特定指導を実施することとしています。
 また、政府は、特定指導に関する調査研究及び特定指導を実施するための専門施設の整備、支援並びに子育てに困難を有する保護者に対する支援の在り方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしています。
 第五に、DV防止対策の強化であります。
 DV防止関係機関と児童相談所との連携強化を明記するほか、DVを発見した場合の通報を義務化するとともに、その通報先を拡大することとしています。
 また、婦人相談員の待遇改善や専門性の確保、通報の対象となるDVの形態及び保護命令の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大、DV加害者の更生のための指導及び支援の方法やその実施体制について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしています。
 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ御賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(岡本充功君外十名提出)の趣旨説明に対する質疑
#32
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田畑裕明君。
    〔田畑裕明君登壇〕
#33
○田畑裕明君 自由民主党の田畑裕明です。(拍手)
 令和の新時代の幕あけが国民の慶賀に包まれて始まっていることに喜びと高揚感を感じています。ここに、天皇陛下の御即位に謹んで慶祝の意を表したいと思います。
 全ての子供たちが健やかに育つ環境を整える決意を申し上げ、ただいま議題となりました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、総理大臣及び厚生労働大臣に質問をいたします。
 児童虐待防止対策の強化については、自由民主党といたしましても、虐待に関する特命委員会において、馳委員長のもと、議論を重ねた上で提言をまとめ、政府に申入れを行ったところであります。本法律案は、我々の提言も十分に踏まえた上で、児童虐待防止対策の強化を図るため、児童の権利擁護、児童相談所の体制強化及び関係機関間の連携強化等を内容とするものと承知をしております。
 児童虐待をめぐる状況につきましては、児童相談所における児童相談対応件数が一貫して増加をしており、直近の数字となる平成二十九年度の実績では、十三万件を超えております。この数字は、児童虐待防止法の制定直前である平成十一年度と比べると、実に十一倍以上となっています。
 そこで、まずは、このように児童虐待相談対応件数が増加していることに対してどのように取り組んでいくのか、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 なお、児童虐待の相談窓口に関しては、児童相談所全国共通ダイヤル「いちはやく」について、より広く国民に認知され活用されるよう、今後も積極的な取組を期待しております。
 また、「いちはやく」は虐待通告の受け付けを中心とし、それ以外の相談と番号を分けるなど、相談等にきめ細かく対応できるように運用を改善するとともに、通話料無料化も今年度の早期実施に向けてスピード感を持って対処することを望みます。
 昨年三月に目黒区で起きた結愛ちゃんの事件、本年一月に千葉県野田市で起きました心愛さんの事件を始め、心が張り裂けそうになる痛ましい児童虐待事件が相次いでいます。これらの事件を始め、親がしつけと称して体罰を行い、子供が虐待により死亡する事例が後を絶ちません。
 体罰を行うことは、児童虐待につながるものであり、子供の健全な心身の育成という観点からも、決して許されるものではないと考えます。体罰は許されないことを国民全体で共有し、体罰によらない子育てを推進していくことが重要と考えますが、今後どのように取組を進めていくのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 一方で、虐待が深刻な場合には、子供の安全を確保することを最優先に考える必要があり、時には、一時保護等の措置を適切に行うことで、混乱した生活環境から子供を離すことも重要となります。
 そのためには、一時保護所の受皿が十分に存在しなくてはなりません。さらに、子供が一定期間生活をする場であることを考慮すれば、子供の健全な成長という観点から、一時保護所の生活環境を整備していくこともあわせて重要な課題と考えます。
 このため、一時保護所については、その受皿の拡大に加えて環境改善も含めた整備について今後どのように取り組んでいくのか、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 千葉県野田市の心愛さんを担当していた柏児童相談所の管轄区域の人口は約百三十万人を超えていました。管轄人口の多さは、それだけ児童相談所がカバーすべき領域が広いことも意味します。少しのリスクも見逃すことがないよう、一人一人にきめ細やかに対応していくためには、児童相談所の設置を促進し、虐待対応の網の目を密にしていくことが重要です。
 一方で、そのことは、児童相談所という建物があればよいということではありません。専門職による適切なアセスメントや子供たちのケアを行うことができる機能を持った児童相談所を設置できるかどうかは地方自治体の置かれた状況によってもさまざまであり、地域の実情を無視した設置は、かえって子供たちに適切なケアを届けることができない可能性もあります。
 今後、児童相談所の設置を促進していくべきと考えますが、その際、地方公共団体とも十分な意見交換を行い、地域の実情にも目を向けて虐待対応の体制を整備していくことが重要と考えますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、児童相談所の職員の処遇改善についてお伺いいたします。
 現場で一つ一つのケースに向き合う職員がいなくては児童虐待防止対策は成り立たないことは言うに及びません。痛ましい事件は世間の耳目を集めますが、夜間、休日を問わず児童虐待事案の対応に当たっている現場の職員の方々の存在によって多くの子供たちの命が救われていることもまた我々は忘れてはなりません。
 他方で、その重責や夜間、休日対応は、大きな精神的プレッシャーや肉体的な負担をもたらすことは想像にかたくありません。
 今回の改正法案や、本年三月の関係閣僚会議決定に盛り込まれた対策を着実に実施していくことは、子供たちの命を守るためには必要不可欠なものであると考えますが、その一方で、現場の職員の方々については、今まで以上に負担が生じていくことも事実です。
 こうしたことを考えたとき、児童相談所の第一線で働く児童福祉司等の職員については、その職責の重要性と精神的、肉体的負担に見合った処遇を確保していくことが国としての責務と考えますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 最後に、児童虐待防止に向けた総理の決意をお伺いいたします。
 目黒区の事案や千葉県野田市の事案が発生した際には、政府は、一丸となって迅速に対策を策定するとともに、保育園、幼稚園等に通っていない児童等の状況把握や在宅の虐待ケースに対する緊急安全確認などに取り組んできました。
 また、今年度からは、児童福祉司の大幅な増員計画がスタートいたしました。
 政府におかれては、今後もこれらの取組をしっかりと進めていただきたいと考えますが、二度と痛ましい虐待事案によってかけがえのない子供の命が失われることがあってはなりません。
 児童虐待のない社会をつくっていくためには、総理の力強いリーダーシップのもと、各省庁が緊密に連携して対策に取り組んでいくことが重要と考えます。児童虐待の根絶に向けた安倍総理の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田畑裕明議員にお答えいたします。
 児童虐待根絶への決意についてお尋ねがありました。
 子供たちの命を守るのは、私たち大人全員の責任です。
 この強い決意のもと、昨年十二月に児童相談所強化プランを前倒しして見直し、そして、新たなプランのもとで、これまでの三千名体制の児童福祉司を今年度一気に千名増員し、二〇二二年度には五千名体制とすることや全市町村への身近な相談拠点の設置などを進めることとし、必要な予算を今年度予算に計上しました。
 また、現在御審議いただいている児童福祉法等の改正法案においては、体罰禁止の法定化や、ちゅうちょなく一時保護に踏み切れるよう、一時保護等を行う介入の担当者と保護者支援の担当者の分離、児童相談所における弁護士等の配置促進、DV対策との連携強化など、実効性のある対策を盛り込んでいるところであります。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くして、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣根本匠君登壇〕
#35
○国務大臣(根本匠君) 田畑裕明議員にお答えをいたします。
 児童虐待相談対応件数の増加への対応についてお尋ねがありました。
 全ての子供の健やかな成長、発達や自立等が保障されるよう、児童虐待防止対策を講じていくことが重要です。
 昨年十二月には、新たなプランのもとで、現在三千名の児童福祉司について、今年度一気に千名増員し、二〇二二年度には五千名体制とするなど児童相談所の体制を抜本的に強化することとしたところであります。
 体罰によらない子育ての推進についてお尋ねがありました。
 体罰は児童虐待にもつながり得るものであり、体罰そのものを許さないことが児童虐待防止対策の観点からも重要です。
 今般、しつけに際して体罰が許されないものであることを法定化し、民法上も体罰が許されない懲戒であることを明らかにした上で、国民全体で体罰によらない子育てを推進していきます。
 一時保護所の整備等についてお尋ねがありました。
 一時保護は、安全確保のため、個々の子供の状況に応じ、適切に行われることが重要です。
 三月十九日の関係閣僚会議では、一時保護の受皿の適切な整備や確保、個別的な対応ができる職員体制の強化や環境整備の促進などの対策を決定しました。
 今後、関係閣僚会議決定を踏まえ、その具体的な内容について検討してまいります。
 児童相談所の設置促進についてお尋ねがありました。
 今回の改正案では、児童相談所の管轄区域について、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする旨の規定を新設することとしています。
 具体的な基準設定については、今後、地方団体等とも十分協議した上で、地方の実情に即した対応が可能となるよう、検討してまいります。
 児童相談所の職員の待遇改善についてお尋ねがありました。
 本年三月に、児童福祉司等の職員について、手当などによる処遇改善を図る旨を関係閣僚会議で決定しています。
 これは、児童相談所においては、通告への対応、介入的な対応や夜間及び休日の緊急的な対応に備えが必要となるためです。
 具体的には、今後、地方団体等の意見も踏まえながら検討してまいります。(拍手)
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#36
○議長(大島理森君) 大河原雅子君。
    〔大河原雅子君登壇〕
#37
○大河原雅子君 立憲民主党・無所属フォーラムの大河原雅子です。
 会派を代表して、内閣提出、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案並びに野党提出法案、児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案に対して質問させていただきます。(拍手)
 冒頭、一言申し上げます。
 対話のための対話には意味がない、こう言って回っていた安倍総理が、先日、北朝鮮の金正恩委員長と無条件で会いたいと突然言い出したのには驚きました。まさに、どの口が言っているのかと思わざるを得ません。最大限の圧力などと威勢よく叫んでいたのも今は昔。今や安倍外交は完全に置いてけぼりです。
 北方領土問題も一体どうなったのでしょうか。歴代内閣の血のにじむような努力を、一ミリも動いてこなかったと切って捨てたのは、安倍総理御自身です。あれから北方領土問題は一ミリでも動いたのでしょうか。ロシア側の不法占拠であるという事実ですら、なぜか口にしなくなり、ロシア側には言われ放題。一ミリも進んでいないどころか、大幅に後退しているのではないですか。しかも、政府は国民に対して何ら説明をしようともしていないのではないですか。
 こうした外交課題に加え、不透明感が増していく経済情勢などについても、政府の現状認識はどうなっているのか、国民の皆さんに丁寧な説明が必要であることは改めて申し上げるまでもありません。
 こうした状況下で、野党がそろって予算委員会の開催を求めるのは至極当然です。やましいところがないのなら、与党は堂々と予算委員会の開催要求を受ければいいではないですか。
 ところがです。与党は予算委員会の開催を拒否し続け、言を弄して逃げ回り、与党による予算委員会審議の拒否は、ついにきょうで七十日に及びます。一言で言えば、七十連休。与党の七十連休、政府の七十連休です。与党の皆さんには猛省を促し、質問に入ります。
 本年一月、千葉県野田市で、父親から虐待を受けていた小学校四年生の女児が虐待死するという痛ましい事件が起こりました。父親の逮捕後、母親も傷害幇助罪で逮捕されています。
 この事件では、何度も女児からSOSが発せられていたにもかかわらず、命を救うことができませんでした。この夫婦の間に以前からあったDV問題と子供虐待の関係の見落としたこと、児童相談所が女児を一時保護していながら安易に保護を解除して家に帰したこと、女児が父親から暴力を受けていることを伝えた小学校のアンケートのコピーを、あろうことか野田市の教育委員会が父親に渡していたことなど、関係機関の致命的な判断ミス、連携不足、法制度の欠陥など、さまざまな問題が浮き彫りになりました。
 さらに、児童虐待の背後に家庭内のDVがあると言われています。この事件でも、母親が父親からDVを受けていたとされています。DV被害者は、恐怖で思考能力を奪われ無力化し、加害者のゆがんだ見方に同調する事態にも至るわけです。
 専門家は、まず、行政はDV事案として母子を保護して父親から離すべきだった、実際のDV加害者は、大声を出したり暴れたりせず、冷静かつ理論的に相手の弱みにつけ込むタイプが多いこと、DVの本質は精神の支配とコントロールであり、長期間支配されていた母親が子供を守るためにできたことは限られていたのではないか、DVの特殊な構造を見きわめた法体系をつくる必要がある、また、縦割りをなくさないと事件の再発は防止できないと指摘しています。
 繰り返されるこうした悲劇への対応として、政府案、そして野党案が提出され、議論していくことは、遅きに失したとはいえ、何歩も前進するものと捉えております。
 まず最初に伺いたいのは、子供の権利に関することです。
 国連の子どもの権利委員会が、ことし二月、子供への暴力や虐待事件が相次ぐ日本への強い懸念を示し、政府に虐待防止に取り組むよう勧告しています。
 子供の人権を保障する国連の子どもの権利条約を日本が批准してことしで二十五年になりますが、悲惨な事件は一向になくなりません。なぜ、こうした事件が相次ぎ、子供自身による勇気ある告発も軽視されるのでしょうか。
 国連の子どもの権利条約は、十八歳未満の子供も大人と同じ権利の主体と位置づけ、暴力や搾取から守られる権利、教育を受ける権利などとともに、自由に意見を表明する権利も保障するとしています。
 締約国が条約の定める義務を守っているかを監視する子どもの権利委員会は、本年一月、日本の状況を審査し、二月には、子供への暴力や虐待が高い水準で発生していると懸念を表明しています。その上で、政府に、子供の通報や苦情申立てなどを受け付ける仕組みづくり、虐待防止の教育プログラム強化、そして家庭への適切な支援などを勧告し、法律による体罰の全面的な禁止も求めているのです。
 以下、質問してまいります。
 政府提出法案には、親権者による体罰を禁止する規定を児童虐待防止法に盛り込んでおります。民法の懲戒権のあり方については、施行後二年を目途に検討を行うとされており、野党案では、早急な検討と結論を求めています。
 この規定の趣旨を野党案提出者に伺います。そして、民法上の懲戒権の削除を含む見直しについて、国連子どもの権利委員会の勧告も踏まえた総理の決意を伺います。
 次に、子供の意見表明権について伺います。
 野田市の女児が助けを求めた声は、周囲の大人たちに黙殺されました。二度とこのようなことが起きないために、子供の意見表明権を具体的に保障する仕組み、アドボケート制度やオンブズマン制度を含む、子供の権利擁護センターの設置など、こうした取組が求められていると思います。この点につき、野党案提出者と総理の考えを伺います。
 政府案、野党案のいずれも、児童相談所が担う介入と支援の機能分化を促進する規定が盛り込まれています。今後の児相が担っていく業務のあり方を考えれば、将来的には、児相は子供の安全を守るための介入に特化し、親子関係の再構築といった支援の多くは市町村や民間団体に任せていくべきではないでしょうか。この点につき、野党案提出者と厚生労働大臣に見解を伺います。
 児童相談所の体制強化については、児童福祉司の増員が必要なのはもちろんですが、ただ人数をふやすだけでは十分ではなく、個々の児童福祉司の資質の向上が重要です。児童福祉司が一人前になるのには五年から十年もかかるとの指摘もあり、職員の増員と資質の向上という課題に対して、野党提出者と厚生労働大臣の考えを伺いたいと思います。
 野党案では、非常勤職員の常勤転換を含め、児相職員の待遇改善を検討規定に盛り込んでいます。野党案提出者にこの規定の趣旨を伺います。
 子供の命を守る児相職員の仕事は責任が重く、本当に大変な仕事です。地方自治体の職員とはいえ、待遇を改善するための何らかの支援を国としても早急に検討すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 野党案には、一時保護所の増設、機能の強化に加え、支援のあり方に関する検討規定を設けています。
 東京都などの都市圏では、一時保護所の平均入所率が一〇〇%を超えているところもあります。また、その実態は、幼児から高校生までの子供が虐待や非行などさまざまな理由により入所する施設であることから、子供にとっては、養育環境の変化により、精神的にも大きな不安を伴うものです。
 児童相談所の機能分化による適切な介入的対応を促すのであれば、一時保護所の増設や環境の整備は不可欠です。また、連携協力先となる民間のNPOやシェルターなどへの支援強化も欠かせません。野党案提出者と厚生労働大臣の見解を伺います。
 冒頭に触れた野田市の痛ましい事件では、管轄する千葉県の児童相談所があるのは中核市である柏市です。中核市や特別区という住民により身近な自治体が児童相談所を設置すれば、都道府県児相の負担も減るのではないでしょうか。
 野党案は中核市、特別区による児童相談所の設置義務化を盛り込んでおりますが、政府は野党案の当該規定についてどのようにお考えなのか、お答えください。また、児童相談所設置に伴う自治体の財政的、人的負担を支援するためにどのような支援を考えているのでしょうか。厚生労働大臣の答弁を求めます。
 多くの児童虐待の背後には家庭内のDVがある、これは専門家や関係者の間では常識です。児童虐待への対応と同時にDV問題の解決が不可欠なのです。
 児童虐待防止強化及びDV防止等について、政府提出法案と野党法案との主な違いについて野党案提出者に伺いたいと思います。
 政府が、国会がまずすべきことは、虐待を防ぐこと、加害者をつくらないよう社会全体で子供の育ちを支援することだと考えます。この観点から、野党案提出者に伺います。
 虐待を行った親への再発防止プログラムやその義務化、DV加害者への指導、支援の検討規定を設けた趣旨を伺います。
 私は、今回の政府案、野党案にとどまらず、DV防止法の根本的な改正が必要だと考えています。特に、児童虐待の背景にあるDV影響の調査研究は必須であり、DVを見抜ける専門職も必要です。DV影響下の母親についても、まず支援が必要であるという認識を広く共有していくことが重要だと考えております。
 麗しい時代と言われる令和の時代に、本当に実現すべきこと、これは子供たちの最善の利益です。子供でなかった大人はおりません。私たちが子供たちの最善の利益を追求し、政府案、野党案の審議を尽くして、お互いに補い合う修正法案が結実することを強く私は期待をして、質問を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#38
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大河原議員にお答えをいたします。
 懲戒権の規定の見直しについてお尋ねがありました。
 御指摘の懲戒権については、家族のあり方にかかわり、国民の間でもさまざまな議論があると承知しています。そのため、その規定のあり方の検討に当たっては、児童の権利委員会の指摘を含め、国会における議論等も踏まえながら、法務省を中心に徹底的な議論を行う必要があります。二年を目途とする検討期間が必要であると考えています。
 しっかりとした議論を踏まえ、適切な結論が得られるよう全力で取り組んでまいります。
 子供の意見表明権を保障する仕組みについてお尋ねがありました。
 現在、一時保護等の子供の家庭復帰など、その支援方針を決める際には、児童相談所は、子供の意向を尊重し、子供の最善の利益の確保に努めることとされています。
 また、本法案の附則において、施行後二年を目途として、児童の意見表明権を保障する仕組みの構築について検討することとしています。
 今後、海外を含む先行事例の研究を行うなど、有識者による検討の場を設け、具体的な仕組みのあり方について検討をしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣根本匠君登壇〕
#39
○国務大臣(根本匠君) 大河原雅子議員にお答えをいたします。
 児童虐待対応における支援と介入の役割分担についてお尋ねがありました。
 平成二十八年の児童福祉法改正により、児童相談所では一時保護や施設入所措置など専門的な知識、技術を要する支援を行い、市町村では身近な場所における継続的な支援を行うことを明確化し、体制強化を図ってきました。
 親子関係再構築などの支援は、保護者の特性等に合わせ、児童相談所による専門的な支援、指導のほか、市町村の在宅サービスを通じた支援など、さまざまなメニューを組み合わせながら、関係機関が継続してかかわることが重要と考えており、今後、このような形を更に進めていきます。
 児童福祉司の確保及び資質の向上についてお尋ねがありました。
 児童福祉司については、昨年十二月の新プランに基づき、現在の三千人体制から、二〇二二年度までに五千人体制へと強化していくこととしています。
 専門性を確保することも重要であり、自治体に対し、専門人材を採用するための活動費用を補助するとともに、経験者の再配置などを進めるよう周知するなどの支援を行っており、引き続き児童相談所の体制強化に努めてまいります。
 児童相談所職員の待遇改善についてお尋ねがありました。
 児童福祉司等の職員は、負担が大きく専門性が求められる業務であることを踏まえ、手当などによる処遇改善を図ることを三月の関係閣僚会議で決定しました。今後、地方の意見も踏まえながら内容を検討してまいります。
 一時保護所の増設等についてお尋ねがありました。
 一時保護は、安全確保のため、個々の子供の状況に応じて行われることが重要です。
 三月の関係閣僚会議では、一時保護の受皿の適切な整備や確保を進めるとともに、個別的な対応ができる職員体制の強化や環境整備を促進することを決定しました。この決定を踏まえ、具体的な内容について今後検討することとしています。
 中核市及び特別区への児童相談所の設置についてお尋ねがありました。
 中核市及び特別区での児童相談所の設置は、身近な地域での一貫した対応につながる一方で、一律の義務化は適切ではない等の意見が地方団体などから寄せられています。
 こうしたことを踏まえ、三月の関係閣僚会議決定で、施設整備、人材確保、育成の支援の抜本的拡充、地方団体等が参画する協議の場の設置などを盛り込んでおり、必要な対応を行ってまいります。(拍手)
    〔阿部知子君登壇〕
#40
○阿部知子君 大河原雅子議員から、八問の御質問をいただきました。
 まず第一に、民法の懲戒権のあり方の検討についてのお尋ねであります。
 私どもの野党法案は、民法第八百二十二条の懲戒権の規定について、児童の権利の擁護に関する国際的動向を勘案して検討することといたしております。
 大河原議員の御質問にありました児童の権利委員会による勧告においては、我が国の民法及び児童虐待防止法が懲戒権の行使を容認しており、体罰の許容性が不明瞭であることについても懸念が示されております。
 このような国際的動向を踏まえて、懲戒権の規定の削除を含めた検討がなされるものと考えております。
 また、検討の期限につきましても、本法案では、政府案と異なり、二年を待つことなく、早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものといたしております。
 次いで、子供の意見表明権を保障する仕組みについてのお尋ねがありました。
 児童虐待を受けた児童に対する施設入所等の措置や一時保護については、とりわけ児童の権利利益に重大な影響を与える場面であることから、児童みずからが意見を表明する機会を設けることは重要であると考えております。
 そのため、本法案においては、施設入所等の措置や一時保護の実施又は解除に当たって、必ず児童の意見を聞くこととし、その際には児童の心身の状況や環境等に十分配慮しなければならないことといたしております。
 さらに、児童の意見の代弁や意見表明の支援のための制度の導入など、アドボケート制度、子供オンブズマン制度の構築に関する検討を行ってまいります。
 次いで、児童相談所が担う介入と支援のあり方についてもお尋ねがありました。
 確かに、緊急性を要したり親子の分離をも含む介入には、警察との連携や緊急の一時保護機能も必要となり、児童相談所が担う役割がこれからも大きいと思います。
 その一方で、親子に寄り添い、保護者の孤立を防ぎ、より早期の支援が必要である、また、親子関係の再構築や家庭や地域生活の再建には、児童相談所のみならず、身近な地方自治体の果たす役割が重要となっております。
 そのために、本法案では、各市町村の子ども家庭支援拠点の必置化や、DV相談も含めた婦人相談員の配置と、要保護対策地域協議会での情報共有を始めとする機能強化を定めております。
 また、本法案においては、子育てに困難を有する保護者に対する支援のあり方について、児童虐待の防止等に関する法律の見直しも含めて検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられることといたしております。
 今後、提案者の御提案も含めて、支援、介入のあり方についても検討してまいります。
 次いで、児童福祉司の増員と資質の向上という課題についてお尋ねがありました。
 本法案は、政府プラン以上の児童福祉司の増員を規定しておりますが、一方で、児童福祉司の資質の確保についても配慮をいたしております。
 まず、資質の確保のため、専門性の高い精神保健福祉士及び公認心理師を任用資格に追加するほか、実務経験に関する任用要件を厳格にいたしております。
 さらに、一定期間の勤務経験のある児童福祉司が、指導教育担当児童福祉司として、いわゆるスーパーバイザーとして、他の児童福祉司に専門的技術に関する指導及び教育を行うものといたしております。
 なお、資質の向上については、自治体だけに任せるのではなく、国として十分な支援を行う必要があることから、本法案では、児童相談所の職員の人材の育成、確保のための国による支援、財政上の措置を規定しております。
 次いで、児童相談所の職員の待遇改善についてお尋ねがありました。
 児童虐待の防止に関する業務に象徴されるように、児童の権利利益の擁護において児童相談所の果たす役割の大きさを考えれば、そこで働く職員に対して十分な待遇を確保することは当然と言えます。また、児童福祉司の不足に関しては、長時間労働の常態化を含めて、待遇にもその一因があるとの指摘もございます。
 そこで、本法案では、まず、児童相談所の職員を始めとして、児童虐待に係る相談に応ずるための非常勤職員について、待遇の改善及び常勤職員への転換に関する検討を行い、それに加えて、児童福祉司を含む児童相談所の職員の待遇の改善に資することを考えております。
 次いで、一時保護所の増設や環境の整備についてのお尋ねがございました。
 一時保護は、児童の安全を迅速に確保し、児童の適切な保護を図るとともに、児童の心身の状況等を把握する重要な制度と考えております。
 しかしながら、大河原議員御指摘のように、一時保護施設の不足、さまざまな事情を抱えた児童を同じ施設に入所させる混合処遇などの問題もあり、一時保護制度に関する課題は山積しており、一時保護所の増設や環境の整備、また、一時保護の委託先に対する支援についても緊急に行うべきと認識をいたしております。
 さらには、一時保護その他の措置に係る手続のあり方について検討をするとともに、一時保護所の新設及び増設、機能の強化、一時保護の実施に関する支援のあり方についても、必要な措置を講ずるものといたしております。
 児童虐待防止及びDV防止法に関して、政府提出法案との主な違いについてお尋ねがありました。
 平成二十九年度に児童相談所に寄せられた虐待件数十三万件余りのうち、その過半を占める心理的虐待の相当数がDV関連となっているという現実がございます。
 そのことを踏まえて、DV防止法の改正部分について、政府提出案では、DV防止関係機関と児童相談所との連携強化を明記するにとどまっておりますが、野党案では、これに加え、次の四つの措置を講ずるといたしております。
 第一に、身体的なDVの発見者による通報及び医師等が職務上身体的なDVの被害者を発見した場合の通報を義務化することとともに、その通報先に市町村を追加することといたしました。
 第二に、本法の公布後速やかに、平成二十九年度時点で約八割が非常勤である婦人相談員の待遇改善、専門性の確保等について検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定を設けることといたしました。
 第三に、本法の公布後三年をめどに、通報の対象となるDVの形態及び保護命令の申立てをすることができる被害者の範囲等について検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定を設けております。
 第四に、本法の公布後三年をめどに、DV加害者の更生のための指導及び支援の方法並びにそれらの実施体制について検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定を設けております。
 最後に、虐待を行った親への再発防止プログラムの義務化、DV加害者への指導及び支援方法等に関する検討規定を設けた趣旨についてのお尋ねがありました。
 まず、虐待再発防止プログラムの義務化の趣旨についてお答えをいたします。
 児童虐待の再発を防止するためには、児童虐待を行った保護者が虐待の事実を受けとめ、みずから変わろうとすることが重要であります。現行法においても児童虐待を行った保護者に対する指導を実施しておりますが、これをより一層充実させる観点から、本法案では、保護者の意に反して一時保護等の措置がとられた場合には、その保護者に対して再発防止のための指導を受けることを義務づけることとしております。
 次に、DV加害者への指導及び支援に関する検討規定を設けた趣旨についてお答えをいたします。
 DV被害が生じた場合には、DV被害者の保護、自立支援等の対応が適切に講じられねばならないことは言うまでもないことです。他方で、DV加害者について何の指導や支援も行わなければ、DVやその裏に隠れた児童虐待が、千葉県野田市の事案のようにエスカレートするおそれは否定できません。
 このため、DV加害者に対して、適切な体制のもとに効果的な指導や支援を行うことが重要であると考えたところです。
 もっとも、DV加害者への指導及び支援の方法については、その実施体制も含め、十分に整備されていない現状にあります。このため、本法公布後三年をめどとして検討を加える旨の規定を設けることといたしました。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○議長(大島理森君) 大西健介君。
    〔大西健介君登壇〕
#42
○大西健介君 「つくろう、新しい答え。」、国民民主党、大西健介でございます。
 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました、政府提出、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案及び野党五会派提出、児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案に対して質問をいたします。(拍手)
 冒頭、御代がわりが国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われたことを謹んでお喜び申し上げます。
 思い返せば、上皇陛下は、平成二十八年の八月のビデオメッセージで、天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにもさまざまな影響が及ぶことが懸念されますと述べられました。
 昭和天皇の御崩御という悲しみの中で始まった平成とは異なり、今回は祝賀ムードで令和の幕あけを迎えることができたことに、改めて、御自身の健康よりも国民の幸せを願う大御心に感謝と尊崇の念が自然と湧いてまいります。
 同時に、この世界に誇る日本の皇室の安定的な皇位継承策を検討することは、我々に課せられた大きな課題だと改めて思います。
 皇位承継資格のある男性皇族が三名のみとなり、女性皇族の御成婚により皇籍を離脱するまでの時間を考えますと、検討のために残された時間は限られております。
 共同通信の調査では、女性天皇を認めることに国民の約八割が賛成をしております。小泉内閣の有識者会議で女性、女系天皇を容認する報告書が、また、野田内閣では、皇族減少への対策として女性宮家創設を軸とする論点整理がまとめられました。これまでの議論で論点は整理されており、安定的な皇位継承策の議論をこれ以上先送りすることは許されないと考えます。
 これ以外にも、国会が議論すべき課題は山積をしております。
 安倍総理が前提条件をつけずに日朝首脳会談を模索すると表明する一方で、北朝鮮は短距離ミサイルと見られる飛翔体を再び発射いたしました。
 また、米中の関係閣僚貿易協議が再開をされましたが、我が国の経済に与える影響が懸念をされています。
 議論から逃げることなく、予算委員会の集中審議を開いて説明責任を果たすことを強く求めて、児童虐待の質問に入りたいと思います。
 二〇一八年の三月、東京都目黒区で船戸結愛ちゃんが虐待を受けて死亡するという事件が起きました。結愛ちゃんが覚えたての平仮名でノートに書いた、もうお願い許してという悲痛な叫びに胸が張り裂けそうになりました。
 私たちは、二度とこの悲劇を繰り返さないために、昨年の六月、児童福祉司の大幅増員、関係機関の連携強化などを内容とする議員立法を緊急に国会に提出いたしました。
 ところが、与党が法案の審議を拒み続けた結果、二〇一九年一月、千葉県野田市で栗原心愛さんが虐待を受けて死亡するという事件が起き、悲劇は繰り返される結果となってしまいました。
 心愛さんが勇気を振り絞ってアンケートに書いた、先生、どうにかできませんかというSOSが踏みにじられ、はかり知れない絶望感の中で亡くなっていったことを想像すると、痛恨のきわみであります。
 政府が虐待防止改正法案を国会に提出したのは、結愛ちゃんの死から一年以上がたったことしの三月十九日であり、与党が野党の提出した議員立法の審議を拒否し、政府の対応が後手後手に回ってきたことが悲劇を繰り返す結果になったことは否めないと考えますが、総理はその責任についてどのように考えているのか、真摯な答弁を求めます。
 次に、懲戒権の見直しについて伺います。
 心愛さんの父親の勇一郎容疑者は、逮捕後も、しつけのつもりで、悪いとは思っていないと供述をしています。
 どんな理由であっても暴力はいけないという社会規範をつくるためには、法律で体罰を禁止することだけでは足らず、民法の懲戒権の規定を見直すことが不可欠だと思います。
 この点、野党案では早急に検討するとしているのに対し、政府案では二年を目途に検討することとしています。その間に痛ましい事件が再発したらどうするのか、総理の見解を伺います。
 次に、指導の措置がとられた家庭が転居する場合の対応について伺います。
 虐待が疑われる家庭の転居は、児相の介入逃れのおそれがあり、危険度が高いにもかかわらず、目黒区の事件でも、転居前後における児童相談所間の引継ぎにおいて必要な情報が適切に共有できていなかったことが指摘をされております。
 野党案には、指導の措置がとられた家庭が転居する際に、児童相談所が転居を知ったときから、措置を切れ目なく継続することとし、転居後一カ月間は措置を解除してはならないということが法律に明記をされておりますが、野党案の狙いについて、議員立法提出者にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、児童相談所の措置解除のあり方について伺います。
 野田市の事件では、児童相談所が虐待のリスクを認識していながら、心愛さんは家に戻されることになりました。こうした問題が繰り返されることがないようにするための措置が必要であります。
 野党案では、一時保護を解除しようとするときは、当該児童の意見を聞くものとすること、また、当該児童の家庭その他の環境等を勘案しなければならないこととされております。
 この点、イギリスやカナダで制度化されている、虐待を受けている子供の意思を第三者が酌み取り関係機関などに伝える、いわゆるアドボケート制度を我が国でも導入すべきとの意見がありますが、この点について、総理及び議員立法提出者のお考えを伺います。
 次に、児童福祉司の増員について伺います。
 政府は、二〇二二年度までに約二千人程度の児童福祉司を増員することにしています。一方で、野党案では、より人員を手厚く配置するため、政府案に加えて、各児童相談所に児童福祉司を一人配置することとしています。
 児童相談所に対して、一時保護等の介入を行う職員と保護者支援を行う職員を分けることを求めて、より迅速かつ適切な対応を期待するのであれば、政府案では不十分と考えます。
 政府の増員プランで十分と断言できるのか、総理の明確な答弁を求めます。
 また、政府案に加えて、各児童相談所に児童福祉司を一人配置することとしている野党案の狙いについて、議員立法提出者に伺います。
 児童福祉司を増員するためには、処遇の改善が必要不可欠です。政府は、三月十九日の関係閣僚会議で、児童福祉司等に対し手当などによる処遇改善を行うことを決めていますが、具体的にどの程度の改善を行うのか、常勤職員だけでなく非常勤職員の処遇改善や非常勤職員が常勤職員に転換することの支援も行うのか、総理に伺います。
 また、金銭的な処遇改善のみならず、心身をすり減らし、ぎりぎりの状態で業務を担う児童福祉司の精神的なケアなどの支援をどう行っていくのかについてもあわせてお答えください。
 次に、児童相談所の設置促進について伺います。
 野党案には、国による児相職員の確保等のための財政支援を行った上で、中核市及び特別区において児童相談所を必置することを定めていますが、その理由を議員立法提出者に伺います。
 一方で、政府案においては、中核市及び特別区における児童相談所の設置を義務化することを見送った理由を総理に伺います。
 次に、関係機関の連携強化について伺います。
 海外では、児童保護ワーカーと警察官がペアで家庭を訪問し子供を保護する仕組みになっています。子供の命を救うためには、児童相談所と警察との連携強化が必要不可欠です。
 児相は、警察との情報共有は保護者との信頼関係を崩すおそれがあると案件を抱え込む傾向がありますが、それが最悪の結果となることも少なくありません。
 既に、ことし一月末時点で、六十九自治体のうち十自治体で全件情報共有が行われていますが、警察との全件共有について、政府としてはどのように考えているのか、総理に伺います。
 また、野田市の事件では、児相が心愛さんが自宅に戻ったことを小学校に伝えた記録はなく、児相も学校も帰宅後に一度も家庭訪問をしていませんでした。さらに、心愛さんは、一月七日の始業式以降、小学校を欠席していましたが、学校は児相に長期欠席をしていることを連絡していませんでした。児童相談所と学校の連携不足に対して、政府はどのような再発防止策を考えているのか、総理に伺います。
 次に、所在不明の子供たちへの対応について伺います。
 厚生労働省の乳幼児健診未受診者、未就園児、不就学児等の緊急把握調査フォローアップ結果によれば、四月八日時点で安全確認ができていない子供がまだ六十一人残っています。最後の一人まで安全確認をするよう政府に強く求めます。総理の答弁を求めます。
 野党案には、国、地方公共団体が居住の実態を把握することができない児童の所在を特定し、必要な支援を行うための措置を講ずることが規定されています。
 所在不明の子供たちは、虐待を受けるなど危険な状態に置かれているおそれもあり、子供の安全と命を守るためには、法律で所在の特定や必要な支援を行うことを規定し、確実に行っていく必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、児童虐待防止対策と密接に関連するDV対策について伺います。
 心愛さんの家庭では父親から母親へのDVがあったことがわかっていますが、多くの専門家がDVと児童虐待が不可分であることを指摘しています。また、近年ふえている面前DVは、子供の心身に深刻な影響を及ぼします。
 野党案には、DV加害者の更生のための指導及び支援の方法並びにその実施体制について検討することが盛り込まれています。
 三月十九日の関係閣僚会議で示された対策にも、「加害者対応(加害者プログラム等)の在り方の検討」とありますが、どのようなプログラムを想定されているのか、総理に伺います。
 また、DV被害者の女性を支援するため、経済的自立を促すことが重要であり、就労支援や住宅の提供に力を注ぐべきです。
 一方で、我が国では、母子家庭の約二割しか養育費を受給できていません。この点、養育費立てかえ払い制度を含む養育費の支払い確保のための抜本的な対策が必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
 最後に、平成二十八年度に虐待死した子供の六割超が零歳児であり、そのうち三割以上が生まれたその日に亡くなっています。この点、望まない妊娠や予期せぬ妊娠に対する対策が不可欠と考えます。
 具体的には、子育てが困難と考える親からの相談を出産前から受け付けて特別養子縁組を前提とした里親委託を推進することや、アフターピルのOTC化やオンライン処方を緩和するなどの措置が必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
 少子化、人口減少が我が国の最大の課題であるにもかかわらず、せっかく生まれてきた、国の宝であるはずの子供たちが虐待によって殺されることはあってはならないことです。
 今度こそ、悲劇を繰り返さないために、与野党の枠を超えて防止対策の抜本強化に全力を挙げようではありませんか。
 以上で、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#43
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大西議員にお答えいたします。
 児童虐待防止に関する議員立法への対応についてお尋ねがありました。
 児童虐待防止対策については、平成二十八年及び二十九年に施行となった改正児童福祉法の着実な実施、定着などを進めてきたところでありますが、昨年三月に五歳の結愛ちゃんが児童虐待で亡くなったことを受け、児童虐待の防止に政府一体となって取り組むため、緊急総合対策を取りまとめました。それにもかかわらず事件が繰り返されたことは、悔やんでも悔やみ切れません。
 こうした事態を政府として深刻に受けとめ、本年三月の関係閣僚会議において「児童虐待防止対策の抜本的強化について」を取りまとめるとともに、児童福祉法等の改正法案を今国会に提出しました。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 なお、議員御指摘の議員立法を含め、国会の審議のあり方については、国会においてお決めいただくものと認識しております。
 懲戒権の規定の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の改正法案においては、たとえしつけを目的、名目とするものであっても、体罰は許されないものであることを明確化しております。
 他方で、御指摘の懲戒権については、家族のあり方にかかわり、国民の間でもさまざまな議論があると承知しています。そのため、その規定のあり方の検討に当たっては、国会における議論等も踏まえながら、法務省を中心に徹底的な議論を行う必要があり、二年を目途とする検討期間が必要であると考えています。
 いずれにせよ、何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 子供の意見表明権を保障する仕組みについてお尋ねがありました。
 現在、一時保護等の子供の家庭復帰など、その支援方針を決める際には、児童相談所は、子供の意向を尊重し、子供の最善の利益の確保に努めることとされています。
 また、本法案の附則において、施行後二年を目途として、児童の意見表明権を保障する仕組みの構築について検討することとしています。
 今後、海外を含む先行事例の研究を行うなど、有識者による検討の場を設け、具体的な仕組みのあり方について検討をしてまいります。
 児童福祉司の増員と処遇改善、中核市、特別区への児童相談所設置についてお尋ねがありました。
 児童相談所の体制については、昨年十二月に決定した新プランにおいて、二〇二二年度には五千名体制とするなど抜本的拡充を図ることとしており、まずはこれを着実に実施することが重要であると考えています。
 また、本年三月の関係閣僚会議において、常勤職員に限定することなく、児童福祉司等の処遇改善を決定しました。具体的な内容については、今後検討してまいります。
 中核市、特別区における児童相談所の設置は、身近な地域で子育て支援から虐待対応まで切れ目のない一貫した対応につながるものであると考えています。一方、人口規模や当該自治体の有する人材などの状況もさまざまであり、一律に義務化することは適切ではない等の意見が地方団体等から寄せられています。
 こうしたことを踏まえ、本法案では一律の義務化とはしていませんが、今後、地方団体と十分協議しつつ、設置に向けた支援を抜本的に拡充し、設置促進に取り組んでまいります。
 警察と児童相談所の全件共有及び学校と児童相談所の連携についてお尋ねがありました。
 子供の安全確認を確実に行うとともに、安全確保や必要な支援を的確に行っていくためには、警察と児童相談所との情報共有は重要です。
 全件情報共有している自治体も含めて、地域の実情を踏まえた連携体制が構築されているところであり、引き続き、先行する自治体での取組も十分踏まえながら検討してまいります。
 また、学校との連携については、本年三月の関係閣僚会議において、スクールソーシャルワーカーの配置推進、教職員が留意すべき事項を記載したマニュアルの作成や研修の実施、連続して七日以上欠席した要保護児童等の出欠状況等を児童相談所や市町村に情報提供することなどの対策を決定しました。
 さらに、本法案には、学校の教職員等に対する守秘義務の規定を盛り込むに当たり、関係機関との連携を妨げるものではない旨を明確化し、積極的な連携強化につながるようにしています。
 子供の安全確認についてお尋ねがありました。
 この調査は、健診未受診などのために関係機関による安全確認ができていない子供を対象に、安全確認し、必要な支援につなげるため実施したものです。
 安全確認ができていない子供については、自治体において継続して確認が進められており、引き続き全ての事案について安全確認の結果の報告を求めています。
 また、この調査は、児童福祉法において、市町村は子供の実情把握を行うこととされていることを踏まえ、平成二十六年より毎年度継続して調査を行っています。
 DV対策と養育費の支払い確保対策についてお尋ねがありました。
 DV対策における加害者プログラムについては、中長期的な被害者の安全確保や健康の回復につなげていくため、加害者自身が暴力と向き合い、暴力によらない関係づくり等を学ぶことができるよう、効果的なものにしたいと考えています。
 養育費の支払い確保対策については、今国会で成立した改正民事執行法において、養育費の支払いについて強制執行の申立てをしやすくなるようにするための内容を盛り込んでいます。
 また、養育費立てかえ払い制度については、この法案の附帯決議を踏まえ、公的機関による養育費の請求権の履行の確保について、必要な検討を進めるよう努めてまいります。
 予期せぬ妊娠への対策についてお尋ねがありました。
 特別養子縁組制度等の利用促進については、現在、都道府県において策定中の社会的養育推進計画において、この制度の活用や里親委託の推進を盛り込むようお願いしているほか、今国会において、制度の利用促進のための民法等改正法案を提出しています。
 緊急避妊薬のオンライン診療による処方やOTC化に関しては、有識者の意見や関係者の取組状況を踏まえつつ、引き続き検討してまいります。
 このほか、予期せぬ妊娠に対応していくため、教育や相談体制の整備などを進めてまいります。(拍手)
    〔岡本充功君登壇〕
#44
○岡本充功君 大西議員から、四問質問をいただきました。
 まず初めに、児童虐待を受けた児童が転居する際の措置解除の制限の規定についてお尋ねがありました。
 児童虐待を受けた児童が転居しても、対応の必要性が変わるものではありません。しかし、実際には、児童虐待を受けた児童の転居に伴って支援が途切れてしまう例や、指導を逃れるために転居を繰り返す例も珍しくありません。
 本法案においては、転居後の児童相談所が迅速に対応できるよう、児童相談所が通告を受けた児童等が転居する際の児童相談所間の情報共有について規定をしております。
 その上で、転居前の都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待を受けた児童について指導措置がとられている場合において、当該児童が他の自治体に転居をすることを知ったときは、転居前日まで措置を解除してはならないこととしております。
 さらに、転居後の児童相談所長は、転居前の児童相談所長から情報提供を受けた後、直ちに指導措置をとらなければならず、措置開始から一カ月の間は、一時入所等の措置に移行する場合などを除き、解除をしてはならないこととしております。
 これに加えて、転居を理由として、施設入所等の措置や一時保護が安易に解除されることのないよう、これらを解除しようとするときは、転居後の家庭環境等を勘案しなければならないこととしています。
 以上の措置により、児童虐待を受けた児童が転居する場合であっても、切れ目のない対応が可能になるものと考えております。
 次に、アドボカシー制度の導入についてお尋ねがありました。
 本法案では、施設入所等の措置や一時保護が、とりわけ児童の権利利益に重大な影響を与える場合があることから、これらの実施又は解除に当たっては、児童の意見を聴取することとし、その際には児童の心身の状況や環境等に配慮しなければならないこととしています。
 施設入所等の措置や一時保護を含めたさまざまな場面において確実に児童の権利利益の擁護を図るためには、児童の発達の状況等によって、児童がみずから意見を述べることが難しい場合もあることから、このような場合においても児童の意見が適切に酌み取られるようにする仕組みが必要であると考えています。
 そこで、本法案には、児童の意見の代弁や意見表明の支援のための制度の導入など、児童が意見を述べる機会を拡充するための措置に関する検討条項を設けています。
 この検討に当たっては、大西議員の御質問にありました、イギリスやカナダにおけるアドボカシー制度の例についても、当然に参考にされるものと考えております。
 次に、児童福祉司の数を、各児童相談所につき、政府案より一人増員する趣旨についてお尋ねがありました。
 本法案では、児童福祉司の数を法定化し、昨年十二月に決定された政府の新プランよりも、児童福祉司の数を各児童相談所につき一人増員することとしています。
 その趣旨は、児童虐待に係る相談件数が右肩上がりで増加し続けている現状を踏まえると、政府の新プランにより増員を行ったとしても、児童福祉司の数が不足することが予測されることから、更に各児童相談所において児童福祉司を一人増員するものであります。
 これに加えて、こうした増員を行ってもなお、児童虐待に係る相談件数の増加により児童福祉司が不足するような事態に備えて、児童福祉司一人当たりの相談件数が四十を超えないよう、児童福祉司の数の標準に関する見直し規定を設けております。
 次に、中核市及び特別区における児童相談所の必置についてお尋ねがありました。
 現行法上、児童相談所の設置については、都道府県及び政令市における設置を原則とし、中核市については、現在、横須賀市、金沢市及び明石市において設置されていると承知をしています。
 現在、児童相談所の一つ一つが余りにも多くの人口をカバーしていることや、最近の児童虐待対応件数の増加を踏まえると、基礎自治体におけるきめ細やかな対応が必要であり、また、児童と家庭に関する相談についての基礎自治体の役割が強化されている中で、基礎自治体において子育て支援から児童虐待への対応まで一貫した児童福祉施策を実施することが求められていると考えています。
 一方で、児童相談所の機能を持つことは、自治体にとって大きな負担となります。
 そこで、人口規模、財政規模等を勘案して、中核市及び特別区について、児童相談所の設置を義務づけることとともに、児童相談所の設置が過度な負担とならないよう、国による児童相談所の職員の人材育成やその確保のための支援、財政上の措置等の規定を設けているところであります。
 以上でございます。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
#45
○副議長(赤松広隆君) 富田茂之君。
    〔富田茂之君登壇〕
#46
○富田茂之君 公明党の富田茂之です。
 公明党を代表して、ただいま議題となりました法律案につき、総理並びに関係大臣に質問します。(拍手)
 二〇〇〇年五月十二日、当本会議場で、衆議院青少年問題特別委員長であった私は、提案者として児童虐待防止法案の趣旨説明を行い、五月十七日、全会派一致で成立しました。
 しかし、法案作成の作業は難航しました。しつけと虐待をどこで線引きしたらいいのか、児童の人権を明記するか等につき、各党の考えに隔たりが大きかったからです。そこで、私から、各党がそろって立法化できるところから始めようと提案し、各党の理事が急速に歩み寄り、法文づくりに着手しました。
 二〇〇〇年四月十二日、特別委員会のメンバーは、新宿区戸山の東京都児童相談センター等を視察しました。職員の皆様は口々に訴えられました。ここに来る子供の半分が虐待を受けている。虐待を受けているとわかっても、強制的な措置ができないので、子供を連れてくることができない。児童福祉法の改正では対応できません。虐待を定義した児童虐待防止法をつくっていただきたいと。
 この視察が決定打になりました。この国会で何とかしなければという雰囲気に各党の委員がなりました。
 法文の作成に当たっては、各関係省庁が消極的で、全く熱意が感じられませんでした。むしろ抵抗勢力と言えました。
 この抵抗を押し切って、与野党が結束して法制定に取り組みました。特別委員会は、この瞬間に虐待されているであろう子供の将来に思いをはせながら議論しました。言論の府にふさわしい国会のありようだったと思います。
 与野党の本法案責任者の皆様、立法時の経緯を、今後の与野党協議の際、ぜひとも参考にしてください。
 政府は、児童相談所への虐待相談対応件数の一貫した増加や昨年三月の目黒区での虐待による女児の死亡事件を受け、昨年七月二十日には緊急総合対策、十二月十八日には新プランを策定し、児童虐待防止対策を進めてきました。
 しかし、本年一月に、千葉県野田市において、関係機関がかかわりながら、児童虐待による死亡事件が発生するなど、深刻な状態が続いています。
 政府は、緊急総合対策のさらなる徹底、強化についての関係閣僚会議決定をし、児童虐待防止対策を強化するため、本改正案を国会に提出しました。
 これまでの対策に不十分な点はなかったのか、今回の改正法、関係閣僚会議決定をどのように実効あらしめるのか、総理の決意を伺います。
 公明党の提案を受け実施した、緊急点検並びにフォローアップについて確認します。
 厚生労働省では、各児童相談所が在宅指導している子供を、四月十五日まで、面接などで直接確認を進め、虐待のリスクが高いとして、一時保護百六十一人、児童養護施設への入所など三十九人、計二百人を保護者と分離しました。
 また、文部科学省では、二月一日以降二月十四日まで一度も登校していない児童生徒に対し、学校の教職員らが面会し、虐待のおそれがあるとした二千六百五十六人と、面会できず、虐待のおそれがないとは言い切れないとした一万三百八十二人の計一万三千三十八人について、児相や警察などと情報共有をしました。
 現場で担当された皆様の御努力に心より感謝申し上げます。
 ただし、今もどこかでSOSを発信している子がいるかもしれません。所在不明の子十五名や面会できていない子供を含め、継続的な安全確認を徹底していただきたい。
 どのように対応されるのか、厚生労働、文部科学両大臣の答弁を求めます。
 緊急点検の中、担任の教員が自宅を訪ね、事前の打診なく子供と会おうとした事態が発生しています。何もしていないのに虐待を疑われているようで悲しい、子供にも親にもつらい調査だったとの声があります。
 二月二十八日付新たなルールでは、緊急点検の対象から、不登校等による欠席であって学校、保育所等が状況の把握を行っている場合を除くとされています。
 文部科学大臣、不登校の児童生徒への配慮が足りなかったのではないですか。教育機会確保法で、子供たちに学校を休んでもよいと認めた趣旨が生かされなかったのではないですか。
 児童虐待防止法が成立した平成十二年度における相談対応件数は一万七千七百二十五件であり、全国の児童相談所に配置されている児童福祉司の数は千三百十三人でした。
 これに対して、平成二十九年度の相談対応件数は十三万三千七百七十八件と、約七・五倍に増加しましたが、児童福祉司数は三千二百三十五人と、約二・五倍の伸びにとどまっています。
 この点から見ても、児童相談所の業務が繁忙をきわめ、職員が不足していることは明らかであります。
 関係閣僚会議決定において、新プランに基づく児童福祉司の二千人増等に向けた支援の拡充や、都道府県等に対し、児童相談所OBの活用や専門職採用、一定の経験年数を経た職員が確保できるような人事ローテーションへの配慮等が行われるよう要請すると決定したことは、きめ細やかな支援の拡充策として評価するものです。
 他方、児童福祉司が虐待対応や児童、保護者への援助を行う力を身につけるためには、最低五年から十年の経験が必要との指摘もあります。
 厚生労働大臣、児童相談所の体制強化にどう取り組みますか。
 関係閣僚会議決定では、都道府県等の児童福祉担当部局と都道府県警察が連携し、児童相談所への警察OBの常勤的な配置や警察職員の出向等を進める、このために必要な財政支援等の拡充を図る、警察における知識経験を生かした威圧的、暴力的な保護者への対応や、児童相談所の援助要請に応じた立入調査等への同行など、関係機関と連携して迅速的確に対応すると、これまで以上に具体的に踏み込んだ連携のあり方が示され、警察の役割は拡大しており、実効性を期待できる連携強化策であると評価します。
 しかし、既に平成二十八年四月には、警察庁、厚生労働省がそれぞれ、関係機関における情報共有の徹底に係る通達を発出しています。これらが十全に機能していれば、野田の事件は未然に防げたのではないですか。なぜ、児童相談所と警察の連携がとれていなかったのですか。これを克服するにはどうすべきなのか、厚生労働大臣、国家公安委員長の答弁を求めます。
 改正児童福祉法第十二条第四項は、児童相談所が措置決定その他の関連業務について、常時弁護士による助言、指導のもと、適切かつ円滑に行うため、弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとすると規定します。加えて、関係閣僚会議決定で、一時保護や施設入所等の措置の実施及び解除の判断等の意思決定に日常的に弁護士が関与するとされています。
 福岡市こども総合センター所長の藤林武史医師は次のように指摘しています。
 福岡市では、二〇〇九年、子供の虐待死事件が相次ぎ、この年だけで五件、計六人が亡くなりました。さまざまな検証を行いました。虐待死を防ぐためには、十分な経験を積んだ専門性の高い職員が欠かせないと感じました。そこで、児童福祉司の数をふやし、専門性の高い人を多く採用しました。全国で初めて常勤の弁護士を配置しました。現場の職員が判断に迷うとき、後ろ盾になるのが弁護士です。弁護士を置いて以来、親の同意を得ない職権の保護の件数は増加しました。親から何と言われようとも、法的に守られている安心感は大きく、職員に余裕が生まれました。子供を虐待から守るのは、子供を守ろうという情熱だけではなく、法律、そしてこれに基づく権限の適切な行使です。権限を使えば、ほぼ一〇〇%、職員が子供に会うことはできます。その権限をどう使うか、児童相談所の専門性が問われていますと。大変参考になる事例であると思われます。
 野田市では、スクールローヤーの導入を決め、市内小中学校三十一校を四地区に分け、それぞれの担当弁護士計四名の配置を決めました。
 このように、弁護士等の関与のあり方は地域によりさまざまな対応があると思われますが、財政的支援も不可欠です。厚生労働大臣、どう対応されますか。
 親権者は、児童のしつけに際して体罰を加えてはならないこととすると児童虐待防止法第十四条は規定しました。加えて、民法上の懲戒権のあり方について、施行後二年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとされました。公明党の主張が反映されたものと評価します。
 立法時にも、懲戒権の廃止や親の承諾なしに子供を保護するための親権の一時停止について、徹底的に議論しました。しかし、法務省や厚生省は全く非協力的で、異論も少なくありませんでした。特別委員会の参考人質疑で、しつけは教育であり、虐待ではないと力説した大学教授もいらっしゃいました。
 しかし、同じ参考人の全国児童相談所長会の大久保隆会長は、保護者の大方は、児童に対して殴る蹴るなどの行為を行っても、これはしつけであり、それが少し行き過ぎただけだと主張していると、子供を虐待する親が親権を理由に子供の保護を阻んでいる実態を説明し、児童虐待の容認につながりかねない懲戒権は廃止すべきだと訴えられました。まさに正論です。
 あれから十九年。今後、法制審議会での議論を経て、二年を目途に必要な措置を講ずることになりますが、異論をどのように乗り越えられるのか、総理のリーダーシップを発揮していただきたい。
 関係閣僚会議決定では、保護者支援プログラムについて、諸外国の先行事例の把握を進めるとともに、活用方法等を周知する、さらに、保護者支援プログラムの実施を伴う専門人材の養成に取り組むとされました。
 理化学研究所の調査によると、虐待で有罪判決を受け服役した親の七割が、自身の子供時代、虐待を受けていました。立法時に開催されたシンポジウムでも、子供に手を出してしまった親たちから数多く同様の報告がなされていました。
 被害者から加害者へと変貌する虐待の世代間連鎖を断ち切る手だてを早急に講じる必要があります。
 フィンランドでは、ネウボラと呼ばれる公的な子育て支援施設があり、出産前から就学まで七年間、可能な限り同じ保健師が家族に寄り添いサポートし、虐待防止に効果を上げているとの報告もあります。
 また、アルコール依存症の家族援助に四十年以上かかわってこられた公認心理師の信田さよ子氏は、性暴力の分野で既に実施されているワンストップ支援センターを、家庭子供支援ワンストップセンターとして各地域に設置し、経験を積んだベテランの保健師やソーシャルワーカー、公認心理師などがチームを組み、ローテーションで一つの家庭を息長く継続して担当する体制を整備することが有効と指摘しています。
 大いに参考にすべきと思われますが、厚生労働大臣はどのように取り組まれますか。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#47
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 富田茂之議員にお答えいたします。
 児童虐待の防止対策についてお尋ねがありました。
 最近の児童虐待事案においては、しつけと称して児童虐待を行う事案、関係機関からの情報漏えいにより虐待リスクが高まった事案、DV対策との連携が必ずしも十分ではない事案などが生じていました。
 また、児童相談所の管轄区域が大き過ぎることにより、きめ細やかな対応が十分にできなかったのではないかとの指摘もあります。
 このため、本法案では、体罰禁止の法定化、学校、教育委員会などの関係機関の職員に対する守秘義務、DV対策を担う関係機関の職員に対する児童虐待の早期発見に係る努力義務、児童相談所の管轄区域に関する参酌基準の設定といった事項を盛り込むこととしました。
 このほか、児童相談所の体制強化、関係機関間の連携強化なども盛り込んでいます。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 懲戒権のあり方についてお尋ねがありました。
 虐待、特にしつけを名目とした虐待によって幼い命が奪われる痛ましい事件が繰り返されたことは、本当に悔やんでも悔やみ切れません。子供たちの命を守るのは、私たち大人全員の責任です。
 御指摘の懲戒権については、家族のあり方にかかわり、国民の間でもさまざまな議論があると承知していますが、国会における議論等も踏まえながら、法務省を中心に徹底的な議論を行い、適切な結論が得られるよう全力で取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣根本匠君登壇〕
#48
○国務大臣(根本匠君) 富田茂之議員にお答えをいたします。
 緊急安全確認についてお尋ねがありました。
 二月の関係閣僚会議決定を受けた緊急安全確認及びフォローアップ調査の結果、所在不明や面会できていないことにより継続して確認が必要な子供は四百三十八人となっております。
 今後、継続して面会を実施していくとともに、所在がわからない子供については、警察など関係機関と共有を図り、子供の安全確保を最優先に安全確認を行ってまいります。
 児童相談所の体制強化についてお尋ねがありました。
 昨年十二月に児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定し、児童福祉司等の増員とともに、保健師を各児童相談所に配置するなど、体制の抜本的拡充を図ることとしています。
 また、自治体が行う研修や採用活動への補助のほか、専門職団体への働きかけなどにより、児童相談所における専門的な人材の確保を支援してまいります。
 警察との連携強化についてお尋ねがありました。
 今回のような事案が繰り返されたことを深刻に受けとめ、本年二月の関係閣僚会議では、警察等との共同対処等の新たなルールを決定しました。また、三月の関係閣僚会議では、警察OBの配置や警察職員の出向等の推進などの対策を決定しました。引き続き、さらなる連携強化を図ってまいります。
 児童相談所における弁護士の関与等に対する財政的支援についてお尋ねがありました。
 児童相談所において、法的な知見を踏まえて対応することは重要です。今回の法案では、弁護士による助言又は指導のもとで、法律の専門的な知識経験を必要とする業務を行うことができるよう、児童相談所に弁護士の配置等を行うこととしています。
 三月の関係閣僚会議では、弁護士に係る体制整備に必要な財政支援等の拡充を図る旨を決定しており、地域の実情に応じた弁護士の配置に向けて今後検討してまいります。
 虐待の連鎖を防ぐための保護者への支援についてお尋ねがありました。
 保護者支援は、関係機関とのネットワークのもとに、継続して行うことが重要です。
 このため、子育て世代包括支援センターにおける妊産婦や乳幼児等に対する支援や児童相談所における保護者支援プログラムによる支援などを組み合わせながら、関係機関が一体となって虐待を防ぐための取組を進めてまいります。(拍手)
    〔国務大臣柴山昌彦君登壇〕
#49
○国務大臣(柴山昌彦君) 富田議員からのお尋ねにお答えいたします。
 最初に、虐待を受けた児童生徒への対応についてお尋ねがありました。
 今回、野田市の事案を受け、学校等において、児童虐待が疑われる事案に関し緊急に点検を行い、四月十五日時点で虐待のおそれがある又は否定できないとして市町村や児童相談所等に一万三千三十八人が情報共有されました。
 一方、四月十五日時点で一度も面会できておらず、情報共有も行われていない千九百九十九人の児童生徒等につきましては、今後、五月末までの面会の状況などを国に報告していただく予定としております。
 虐待の疑いのあるケースの学校における継続的な把握のあり方については、今回の緊急点検の結果も踏まえて、しっかりと検討してまいります。
 次に、緊急点検の際の不登校児童生徒への配慮についてのお尋ねでありますが、今回の緊急点検は、学校の教職員等による面会を通じて虐待が疑われるケースを把握することを求めるものですが、このことは、休養の必要性が認められる不登校児童生徒に対して登校を強制する趣旨ではありません。
 このため、学校等の教職員による面会のみならず、教育支援センターやフリースクールの職員、児童委員等による面会も認めているところです。
 議員御指摘のような、今回の緊急点検に関するさまざまな御意見を踏まえ、今後の児童虐待防止対策について、不登校の児童生徒の心情にも十分配慮し、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣山本順三君登壇〕
#50
○国務大臣(山本順三君) 富田議員から、児童相談所と警察の連携についてお尋ねがありました。
 お尋ねの野田市の事件は大変痛ましい事件であり、改めて心より御冥福をお祈り申し上げます。
 警察においては、平成二十八年四月の通達に沿って、警察が取り扱った児童虐待が疑われる情報について、全て児童相談所に通告し、又は情報提供を行うほか、事案に応じて厳正な捜査を行っているところです。
 御指摘のとおり、児童相談所と警察の連携の強化は重要であると考えており、引き続き、関係閣僚会議の諸決定を踏まえ、児童相談所への警察OBの配置等を含め、さらなる連携の強化を図りつつ、子供の生命を守ることを最優先とした取組に全力を尽くすよう、警察を指導してまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○副議長(赤松広隆君) 高橋千鶴子さん。
    〔高橋千鶴子君登壇〕
#52
○高橋千鶴子君 冒頭、五月八日に滋賀県大津市で、交通事故に巻き込まれた二人の保育園児が死亡する事故がありました。本当に言葉もありません。このようなことは二度とあってはならず、子供の命を守るため、社会を挙げて全力を尽くすときと考えます。
 私は、日本共産党を代表し、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部改正案並びに五野党共同提出法案について質問します。(拍手)
 幼い子供たちが、この世で最も自分を守ってくれるはずの親からの仕打ちに対し、どれほどの苦痛と絶望を味わいながらこの世を去っていったことでしょうか。ほとんどの事件は救える命だったはずです。
 虐待相談件数は、二〇一七年度、十三万三千七百七十八件と過去最多となり、深刻な事案も少なくありません。死亡に至った虐待事例はゼロ歳児が最も多く、中でも、生まれたその日という事例が一八・六%にもなります。まだ名前さえないという事実に打ちのめされる思いです。
 二〇一七年の児童福祉法改正では、七十年ぶりに理念規定を改定し、第一条に「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」と加え、児童が権利の主体であることを明らかにしました。改めて、この理念が空文句で終わることのないよう、社会全体で取り組むときではないでしょうか。
 まず必要なのは、体罰の禁止を明確に規定することです。
 二〇一七年改正では、しつけの名目で体罰や虐待を行う例が後を絶たないとして、第十四条に、しつけに際して、民法八百二十条の監護及び教育に必要な範囲を超えて当該児童を懲戒してはならないと規定されました。
 今回、この規定を残したのはなぜですか。せっかく体罰禁止を加えても、これでは、監護、教育の範囲を超えなければ体罰を加えてもよいということになりませんか。
 体罰の定義について、国連子どもの権利委員会は、暴言やおどしなども含めたあらゆる形態の品位を傷つける取扱いについて禁止するよう求めています。さらに、権利条約には懲戒権に関する規定はなく、いわゆる児童の親権者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で、適当な指示及び指導について、権利及び義務を尊重するとしています。
 正当な体罰があるといった余地を残さず、子どもの権利条約にのっとった規定にするべきです。
 また、民法第八百二十二条、懲戒権の規定については、二年を待たず、早急に削除するべきと考えますが、総理並びに提出者の見解を伺います。
 体罰を与えた親の中には、みずからも体罰や虐待を受けた経験がある方もいます。また、子供への接し方がわからず、小さな体罰の積み重ねから深刻な事態へ至っていることから、予防も含めた再発防止のための親に対する支援、教育は極めて重要です。
 第十四次死亡事例検証委員会の報告では、主たる加害者で最も多いのは実の母親です。その約九割が二十四歳未満であり、うち半分は十代です。経済状況も、四五・九%が非課税世帯であるなど、精神的にも経済的にも養育能力が不足していると指摘されています。
 困難を抱え、孤立を深める親への支援は欠かせないと考えますが、見解を伺います。
 子供が権利の主体であると位置づけたとはいえ、どこにそれが生かされているでしょうか。検討事項となってきたのが、子供の意見表明権の尊重についてです。
 例えば、親をかばう気持ちや親から見捨てられる不安から、家に帰りたいと言う場合もあること、性虐待など暴力を受けた恐怖のトラウマから自分の内面を見詰めることができないなどの複雑な心理状況があります。こうした子供の心理状態をよく理解した問いかけや、まずは安全であること、ほっとできる環境であることが必要と考えます。
 先日も、厚労省の初の調査で、児童養護施設や一時保護所などで、子供同士の性的トラブルが、回答した一千施設のうち七百三十二件もあったということが判明しました。施設職員による虐待なども少なくないと言われつつ、その実態はまだ十分な解明がされていません。どちらも絶対にあってはならないことであり、第三者調査の徹底を始め、人員配置のあり方など、どのように保護を必要とする子供たちが安心して過ごせる環境をつくっていくのか、厚労大臣に伺います。
 急がれるのは、関係機関の連携と児童相談所の体制強化です。
 政府も、昨年の緊急対策において、三年間で児童福祉司を二千二十人ふやすと決め、今回、更に前倒しで増員すると言います。しかし、児童福祉司の増員、児童相談所の増設については、法律事項ではありません。
 今回、児童福祉司や指導教育を担うスーパーバイザーの任用要件の見直し、児童心理司の配置基準を規定することは重要ですが、増員を確実にするためにも、法定するべきと考えますが、厚労大臣と提出者に伺います。
 また、市町村を経由する虐待相談も十万件を超え、市町村の体制と連携強化は不可欠です。児童福祉司を始め、虐待の対応に当たる自治体職員については、専任職員をふやすために地方財政措置を行うべきと考えますが、答弁を求めます。
 児童相談所の設置については、一九九〇年の運営指針から、人口五十万人に最低一カ所程度が必要とされていましたが、二〇〇九年三月、政令指定都市などの設置規定に伴い、削除されました。現状はどうなっているでしょうか。
 改めて基準を決め、児童相談所の増設をするべきと考えますが、見解を伺います。
 虐待相談で最も多いのはDVです。面前DVによる心理的虐待、今回の野田市の事案のように、DV被害者である母親が加害者になる、あるいは、夫の我が子に対する虐待をとめられないという事案は少なくありません。
 DV支援センターとの連携は必須ですが、現状のDV対策が適切に行われているのか、また、対応に必要な体制が整っているのかなど、早急な検証が必要です。
 婦人相談員や民間シェルターなど関係者からの意見も聞きながら、DV法の抜本的見直しを検討すべきと考えますが、認識を伺います。
 終わりに、壮絶な虐待事件に接して、世間は加害者である親への憎悪を募らせてきました。しかし、虐待を本当になくすためには、子供を見守る無数の目をつくること、孤立する親をどう救うのか、真剣な議論が必要です。そのために全力を尽くす決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高橋千鶴子議員にお答えをいたします。
 子供の権利を守る取組への決意についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、児童は、適切な養育、健やかな成長、発達や自立等を保障される権利を有することを前回の児童福祉法改正において明確にし、児童の最善の利益が優先されるよう、児童虐待防止対策の総合的な推進を図ってまいりました。
 特に、ゼロ歳児における死亡事案などに対応するため、子育て世代包括支援センターの全国展開や、支援を必要とする妊産婦に対する支援などを講じてまいりました。
 今回の改正案を含め、何よりも子供の権利や命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 体罰と懲戒権についてお尋ねがありました。
 体罰は、たとえしつけを目的とするものであっても許されないものです。
 体罰によらない子育てを推進するため、本法案では、児童虐待防止法の改正により体罰の禁止を法定化しています。
 改正後は、児童のしつけに際して、監護及び教育に必要な範囲を超える行為か否かにかかわらず、全ての体罰が禁止される規定となっており、監護、教育の範囲を超えない体罰を正当化する余地を残しているという御指摘は当たりません。
 また、御指摘の懲戒権については、家族のあり方にかかわり、国民の間でもさまざまな議論があると承知しています。このため、その規定のあり方の検討に当たっては、国会における議論等も踏まえながら、法務省を中心に徹底的な議論を行う必要があると考えており、二年を目途とする検討期間が必要であると考えています。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 児童虐待防止のための親への支援についてお尋ねがありました。
 児童虐待の発生予防や再発防止のため、保護者への支援を行うことは重要です。
 児童相談所においては、虐待を行った保護者へ指導、援助を行い、養育方法の指導や家庭訪問など、保護者の特性に合わせた支援を行っています。
 また、市町村においても、孤立しがちな子育て家庭を早期に発見し、必要な支援につなげるため、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行う子育て世代包括支援センターの整備や、生後四カ月までの乳児のいる全家庭の訪問に加え、特に支援が必要な家庭に対する相談支援や育児、家事援助の実施などに取り組んでいるところです。
 市町村を含めた自治体職員の地方財政措置についてお尋ねがありました。
 児童虐待への対応に当たり、児童相談所に加え、特に、発生予防、早期発見や児童虐待発生時の迅速的確な対応において、市町村は重要な役割を担っています。
 このため、昨年十二月に新プランを策定し、児童福祉司等の増員に加え、市町村において、子供や家庭に対する相談支援を行う市区町村子ども家庭総合支援拠点を二〇二二年度末までに全市町村に整備することを決定しました。
 これに基づき、児童相談所職員の配置や、市町村における専任職員の配置ができるよう、今年度より地方交付税措置を講じており、引き続き必要な支援を行ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣根本匠君登壇〕
#54
○国務大臣(根本匠君) 高橋千鶴子議員にお答えをいたします。
 体罰禁止の規定についてお尋ねがありました。
 体罰によらない子育てを推進するため、本法案において、体罰禁止を法定化しています。
 改正後は、しつけに際して、体罰を加えることと監護及び教育に必要な範囲を超える行為のいずれによっても児童を懲戒してはならないものであり、御指摘は当たりません。
 また、監護及び教育に必要な範囲を超えて懲戒してはならない旨についても規定を残し、引き続きこの趣旨を周知啓発をしてまいります。
 子供の意見表明権の保障についてお尋ねがありました。
 一時保護や施設入所等の子供に対する支援方針を決める際には、子供の意向を尊重し、子供の最善の利益の確保に努めることとしています。
 加えて、本法案の附則において、施行後二年を目途として、子供の意見表明権の保障の仕組み等のあり方について検討することとしており、引き続き必要な検討を進めてまいります。
 施設における子供同士の性的な問題や職員による児童への虐待についてお尋ねがありました。
 子供同士の性的な問題については、調査結果を踏まえ、各自治体に対し、未然防止などの対応について通知しました。さらに、引き続き、調査結果を分析し、必要な対応を検討してまいります。
 また、職員による児童への虐待も未然防止と早期発見が重要であり、児童相談所を中心として、子供たちに対して、相談窓口の周知徹底を図るなど必要な対応を行います。
 児童相談所の職員の配置の法的根拠についてお尋ねがありました。
 昨年十二月に、児童相談所や市町村の体制強化を図るため、新プランを策定し、現在約三千人の児童福祉司を、二〇二二年度には約五千人体制とすることを決定しました。
 児童虐待相談対応件数の増加やケースの複雑化に応じた児童相談所の体制強化を行うためには、政令において規定した方が機動的な対応が可能となるものと考えています。
 児童相談所の設置基準の設定及び増設についてお尋ねがありました。
 現在の児童相談所の設置状況は人口六十万人に一カ所程度であり、管轄区域が大き過ぎるという指摘もありました。
 今回の改正では、管轄区域について、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする旨の規定を新設し、きめ細かな対応が可能となるよう取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣片山さつき君登壇〕
#55
○国務大臣(片山さつき君) 高橋議員より、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の抜本的見直しについてお尋ねがありました。
 政府としては、これまで、この法律等に基づいて、DVの被害の防止や被害者の適切な保護を徹底するために、相談体制の整備や広報啓発、調査研究、そして民間団体に対する援助等の対策を講じてきているところです。
 御承知のように、この法律は、超党派の議員により議論が積み重ねられ、全会一致により制定、改正されてきたものと承知しており、その改正の要否を検討するに当たりましては、当時の御議論や経緯等についても十分に踏まえる必要があるとは考えております。
 内閣府といたしましては、御指摘のように、男女共同参画担当大臣としての私のもとに新たに設置いたしましたDV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会におきまして、民間シェルターやその関係者の御意見を随時伺うとともに、現場訪問も積み重ねながら、男女共同参画会議のもとにある女性に対する暴力に関する専門調査会等も活用して、DV対策の一層の充実に努めてまいる所存でございます。(拍手)
    〔畑野君枝君登壇〕
#56
○畑野君枝君 高橋千鶴子議員の御質問にお答えいたします。
 体罰の禁止についてお尋ねがありました。
 教育やしつけと称して行われる体罰は、児童の心身に著しい悪影響を及ぼすものであり、断じて許されるものではありません。
 子どもの権利条約においては、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力から子供を保護するための措置をとることが求められています。また、本年二月に公表された、国連の子どもの権利委員会による第四回・第五回対日審査総括所見、最終見解においては、どんなに軽いものであっても全ての体罰を明示的かつ完全に禁止することが要請されています。
 今回の政府案では、しつけに際しての体罰の禁止について規定されていると承知していますが、本法案では、子どもの権利条約や子どもの権利委員会の所見、見解を踏まえて、正当な体罰が存在しないことを明確に示すため、およそ親権の行使に際して体罰を加えてはならない旨を規定しております。
 民法第八百二十二条の懲戒権の規定の検討についてお尋ねがありました。
 民法第八百二十二条の懲戒権の規定は、子どもの権利条約に反するものです。本法案の「児童の権利の擁護に関する国際的動向を勘案」というのは、そうした懲戒権の規定を削除すべしという趣旨を込めたものです。御指摘のとおり、二年を待つことなく、早急に削除の検討をするべきです。
 子供の意見表明権のあり方についてお尋ねがありました。
 子供の意見表明権については、子供の権利利益への配慮の観点から十分に尊重されるべきものであることから、本法案においては、施設入所等の措置や一時保護の実施又は解除に当たり、子供の意見を聞くこととしております。
 その際、施設入所等の措置や一時保護は、子供にとって肉体的にも精神的にも大きな負担を強いるものであることから、子供の意見の聴取に当たっては、その心身の状況や環境等に配慮しなければならないこととしております。
 高橋議員と同様、私どもも、子供の意見を聴取する場合には、子供の特別な心理状況に鑑み、寄り添いながら、結論を急がず、専門家による相談や安心できる環境づくりなどに十分に配慮することが必要であると認識しております。
 児童福祉司の増員に関する法定化についてお尋ねがありました。
 ふえ続ける児童虐待に迅速かつ適切に対応するためには、現場で対応する児童福祉司を十分に確保することが必要不可欠であるところ、現行法においては、「児童福祉司の数は、政令で定める基準を標準として都道府県が定める」と規定され、児童福祉司の数の基準は政令事項となっております。
 このような仕組みは、一見、弾力的な運用を可能にするとも思われますが、政府に児童福祉司の数の増減が委ねられ、確実な増員が担保されておりません。
 そこで、昨年提出した法律案に続き、本法案においても、児童福祉司の数の基準について法定化する措置を講じたものです。
 DV防止法の抜本的見直しについてお尋ねがありました。
 DVと児童虐待との相互の関連性が指摘されていることから、DV防止対策の強化により、DVの裏に隠れた児童虐待の防止を図るべく、高橋議員と同様、私どもも、DV法の抜本的な改正が必要であると認識しております。
 そこで、本法案では、早急に対応すべき課題として、DV防止関係機関と児童相談所との連携協力を明記するほか、DVを発見した場合の通報を義務化するとともに、その通報先を拡大することとしております。
 その上で、DV防止法の抜本的改正にもつながる今後の課題として、婦人相談員の待遇改善や専門性の確保、通報の対象となるDVの形態及び保護命令の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大、DV加害者の更生のための指導及び支援の方法やその実施体制について検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定を設けております。
 なお、この検討を行うに際して、婦人相談員や民間の支援団体などの関係者から意見を聞くことは、当然必要であると考えています。(拍手)
    ―――――――――――――
#57
○副議長(赤松広隆君) 藤田文武君。
    〔藤田文武君登壇〕
#58
○藤田文武君 日本維新の会の藤田文武でございます。
 私は、我が党を代表して、ただいま議題となりました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 児童虐待に関する相談対応件数は年々増加しており、児童相談所を中心とした、地域ぐるみで児童を虐待から守る仕組みに国民の関心が高まっています。
 昨年三月の目黒区の五歳児、そしてことし一月の野田市の小学四年生の女児の虐待死亡事案は、児童を守る仕組みの不備による痛ましい犠牲者と考えざるを得ません。
 法律案では、児童相談所の業務として児童の安全を確保することが明文化され、これまでのように、児童相談所が虐待をしている親に遠慮をして、親が嫌がることをしないことが優先されがちであった対応の改善が期待されていると考えています。
 そして、より児童の生命の保護を重点化した法案にすべきことを主張した上で、質問に入ります。
 本法律案では、学校教育法に定められたように、体罰の禁止を条文として明記しています。しかしながら、子供の生命を守るためには、更に一歩踏み込んで、児童虐待罪を創設して、より強い法律とすることもできたはずです。
 総理に伺います。
 本法案作成に当たり、児童虐待罪を創設する必要について検討されたのでしょうか。そして、児童虐待罪をつくらなかった理由とは何でしょうか。お答え願います。
 児童相談所の対応について、総理に伺います。
 本法案により、児童相談所が親の言いなりになることや親の強圧的な態度に屈し、その結果、子供の生命を救えなかった場合において、児童相談所の職員に対して刑事責任を問うことができるようになるのでしょうか。問えない場合、これまでの虐待死と同様の事案が繰り返されないと本当に言い切れるのでしょうか。お答え願います。
 児童相談所の設置基準について伺います。
 これまで中核市及び特別区への児童相談所設置の義務化を進める動きがありましたが、結局、本法案においては義務化が見送られました。
 総理に伺います。
 本法案施行後五年を目途に、設置できるように支援を講ずるものとされていますが、義務化が見送られた理由は何でしょうか。児童を虐待から守ることについて、その緊急性が高くないと判断した理由は何なのでしょうか。お答え願います。
 本法案では、学校、教育委員会、児童福祉施設等の職員は、正当な理由なく、職務上知り得た児童に関する秘密を漏らしてはならないこととしています。
 ことしの野田市で起きた虐待による死亡の事案では、女児が、親から虐待を受けていると答えたアンケートを、親にコピーを渡したことをきっかけに、虐待を秘匿するようになったことが問題にされました。本法案がなくとも公務員には守秘義務がありますが、事件は起きてしまいました。
 総理に伺います。
 法律に、秘密を漏らしてはいけないと条文に書き込むだけで、本当に秘密は守られるのでしょうか。守秘義務はどのように担保していくのでしょうか。お答え願います。
 児童相談所に弁護士を配置することにより、直ちに法的措置をとることができるようになることは、児童相談所の機能向上につながるとは思いますが、常設を義務づけると弁護士のなり手がいなくなることが懸念されます。
 大阪府では、その懸念を避けるために、常勤弁護士を置かず、あらかじめ登録された多数の弁護士によって、輪番によるチームで対処する工夫をしています。
 総理に伺います。
 「常時弁護士による助言又は指導の下で」という文言が入ることになりますが、これは大阪府のような対応を排除するものなのでしょうか。具体的にはどのような体制を想定しているのでしょうか。お答え願います。
 児童相談所の業務として児童の安全確保が明文化されますが、そのためには地域との連携強化や警察との協力関係の強化が必要になります。ところが、これまでの福祉分野においては、虐待は福祉的対応にすべきであって、警察との連携はしないという傾向が強くあるようです。
 児童相談所には強い権限がありますが、その上に警察の協力がある方が、虐待親から強力に児童の生命を守ることができると考えられます。
 大阪府、神奈川県、神戸市など、児童相談所と警察の連携、そして情報の共有化ができている自治体はある一方で、まだ多くの自治体の児童相談所においては警察との連携がとられないケースが見られます。
 総理に伺います。
 これまで児童相談所と警察との連携をとられていない自治体に対し、どのような方法で連携関係を築いていくのでしょうか。お答え願います。
 社会福祉士の場合、国家資格として定着して資格者が一定数に達するまで二十から三十年以上の時間がかかったと言われています。
 本法案では、児童福祉分野を担う人材について、新たな国家資格化をすることは盛り込まれませんでしたが、法律施行後一年を目途として、資格のあり方や資質の向上策について検討を加え、必要な措置を講ずるとしています。
 総理に伺います。
 児童福祉分野を担う人材の育成と安定的な確保について、どのようなプランをお持ちでしょうか。お答え願います。
 日本維新の会は、子育て世帯に対する手厚い支援の実現を進めるとともに、重大児童虐待事案撲滅を継続的に進めることをここにお約束いたしまして、私からの質問といたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#59
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤田文武議員にお答えをいたします。
 児童虐待罪の創設についてお尋ねがありました。
 児童虐待罪を創設することについては、対象となる行為の外延を明確に規定できるのかなどの観点から、慎重な検討が必要であると考えております。
 児童相談所の職員の刑事責任等についてお尋ねがありました。
 刑事責任については、個別の事情により判断されるべきものであり、一概に申し上げることは困難であります。
 その上で、威圧的、暴力的な親への対応については、本年三月の関係閣僚会議において、児童相談所への警察OBの常勤的な配置や警察職員の出向等を進め、その活用方策を全国に周知することなどの対策を決定しました。
 また、今回の法案では、学校や教育委員会などの関係機関の職員に対する守秘義務規定の整備、児童相談所が弁護士による助言、指導のもとで適切かつ円滑に業務を行うための体制整備などを盛り込んでおり、子供の安全確保のため、児童相談所の職員等により適切な対応がとられるような取組を進めることとしています。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を尽くしてまいります。
 中核市、特別区の児童相談所の設置の義務化についてお尋ねがありました。
 中核市、特別区による児童相談所の設置は、身近な地域で子育て支援から虐待対応までの切れ目ない一貫した対応につながるものであると考えています。一方、人口規模や当該自治体の有する人材などの状況もさまざまであり、一律に義務化することは適切ではない等の意見が地方団体等から寄せられています。
 こうしたことを踏まえ、本法案では一律の義務化とはしていませんが、今後、地方団体と十分協議しつつ、設置に向けた支援を抜本的に拡充し、設置促進に取り組んでまいります。
 関係機関の職員の守秘義務についてお尋ねがありました。
 本法案では、学校、教育委員会、児童福祉施設等の関係機関の職員に対する守秘義務の規定を盛り込んでいます。
 これにより、虐待を受けた子供に関する情報は秘匿情報で、親権者でも原則開示すべきものではないことが明確化するものと考えています。
 本規定の趣旨については、関係機関間で正しく認識されるよう周知徹底を図り、子供の安全が守られる社会をつくってまいります。
 児童相談所の弁護士配置についてお尋ねがありました。
 本法案では、法律の専門的な知識経験を必要とする業務については、常時弁護士による助言又は指導のもとで適切かつ円滑に行うため、児童相談所に弁護士の配置又はこれに準じる措置を行うこととしています。
 弁護士の配置方法については、その人数や確保策も地域によりさまざまであり、一律に配置方法を定めるものでなく、大阪府の方法も含めて、地域の実情に応じて、日常的に弁護士が関与できる体制を実質的に求めることとしたものです。
 今後とも、地域の実情に応じた体制の推進に努めてまいります。
 警察との連携強化についてお尋ねがありました。
 警察との連携に関し、虐待による外傷、ネグレクト、性的虐待があると考えられる事案、通告受理後四十八時間以内に安全確認ができない事案、一時保護等が解除され家庭復帰する事案については、必ず警察と情報共有を行うこととしています。
 さらに、千葉県野田市の事案を受け、本年二月の関係閣僚会議などにおいて、威圧的な保護者に対応する場合における警察等との共同対処ルール、警察OBの配置や警察職員の出向等の推進、情報共有に関する協定等の締結の促進、ケース検討や訓練等の合同研修の実施などの対策を決定し、連携協力体制を強化していきます。
 児童福祉を担う人材についてお尋ねがありました。
 子供の福祉にかかわる人材の育成及び確保は極めて重要な課題だと認識しています。
 まずは、新プランに基づき、児童福祉司を今年度一気に千名増員し、二〇二二年度には、五千名体制とすること、児童心理司を八百名増員すること、全ての児童相談所に保健師を配置することなどにより、専門性を確保しつつ、必要な人材確保を図ってまいります。
 また、本法案の附則において、施行後一年を目途として、児童の福祉に関し支援を行う者について、資格のあり方を含め資質の向上策を検討することとしており、今後、具体的な方策について、関係者の意見も聞きながら検討してまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#60
○副議長(赤松広隆君) 井出庸生君。
    〔井出庸生君登壇〕
#61
○井出庸生君 社会保障を立て直す国民会議、信州長野の井出庸生です。
 議題となりました両案について質問します。(拍手)
 まず、大きな見地から総理に伺います。
 改正案によって、親権者、児童相談所長、児童福祉施設の長など、しつけのための懲戒権を法律上認められてきた者に対して、体罰を禁止することが条文に追加されました。
 しかし、体罰の禁止は、体罰を禁止する者を限定してしまって本当によいのでしょうか。親であろうと、学校の先生、保育所の先生、近所の大人であろうと、もっと言えば上級生の下級生に対する子供同士の体罰も、決して許されることではありません。
 そこで、体罰の禁止については、国連子ども権利委員会の考え方を参考に、何人も児童のしつけに際して体罰及びその他の屈辱的で品位を傷つける行為をしてはならないと、体罰をする者を限定しない条文を今後検討することを提案します。
 体罰についての総理の考えとともに、私の提案に対する答弁をお願いいたします。
 また、児童虐待を根絶するためには、あらゆる人にとって、禁止されるべき体罰が何なのか、はっきりわからなければなりません。既に文部科学省が学校現場における体罰事例を詳細に示しているように、想定されるあらゆる限りの体罰の具体例をガイドラインとして示すことを提案しますが、総理にはこれは決意を求めたいと思います。
 保育所について伺います。
 幼稚園もそうですが、保育所の職員は、懲戒が法律上認められておりません。これは、衆議院法制局と議論したところ、幼児が懲戒を理解できず、懲戒をする効果がないからとのことでした。しかし、幼児は、懲戒や体罰は理解できずとも、大人に従うことの重要性は理解しています。
 昨年十二月、私は、保育所内虐待に関する勉強会院内集会のお手伝いをし、大阪府子ども家庭サポーターで、社会福祉士、保育士でもある辻由起子さんらをお招きしました。与野党超えて有志の議員の方々に御参加いただいたこと、改めて感謝を申し上げます。
 保育所での虐待や不適切保育は、幼児が行為自体を理解できないため発覚しにくいことに加え、仮にそうした兆候があっても、慢性的な保育所不足などから、保護者が保育所に強く物を言えない、保育所から、嫌だったら別の保育所へ移ってくれと言われてしまうことがあり、子供ばかりでなく親も保育所に対して弱い立場にあることが指摘されました。
 そこで、保育所内の虐待、不適切保育の実態調査を行うべきだと提案しますが、そうした実態把握をこれまでしたことがあるか、また、今後取り組まれるおつもりがあるか、厚生労働大臣に伺います。
 また、保育施設に対する改善指導も、公表が全く不十分です。
 ことし一月八日の読売新聞によれば、読売新聞が保育施設への検査権限を持っている百二十一の自治体全てを調べたところ、改善指導を行った保育施設の名前と指導内容を公表している自治体は一割にも満たないとのことでした。
 記事では、こうした情報の公開は、保護者の役に立つ一方、施設側の反発も予想されるため、全国で統一した公表基準を国につくっていただきたいという自治体職員の声が紹介されました。
 内閣府などが二〇一六年に定めた保育施設などの事故防止ガイドラインでは、自治体による検査結果の公表については、公表している自治体の例を参考に、実情に応じて検討するとの記述にとどまっているとのことです。
 そこで、改善指導の公表基準を厚生労働省が作成し、改善指導の公表を促進することで、自治体による検査の実効性を高めるべきと考えますが、厚生労働大臣の考えを伺います。
 児童虐待は、親が子育てについて学びを深めなければ減らすことはできません。
 警察庁の統計によりますと、大変残念ですが、自殺をした小学生の動機の多くが、親からの叱責、しつけとされています。また、子供が死亡した児童虐待事案の加害者の動機は、厚生労働省の調査を見ますと、しつけのつもりだったとか、泣きやまないことにいら立ったといった回答が多く見られます。
 親や将来親となる若者が子育てについて学ぶ機会を、地域や学校教育の場を通じてふやすべきだと考えます。大切なことですので、総理に考えを伺います。
 虐待に直面した親と児童相談所に対して、平成二十六年三月、厚生労働省は、児童相談所における保護者支援のためのプログラム活用ハンドブックを発表しました。その中では、民間の親への支援プログラムを幾つか紹介しています。しかし、親が仕事と両立をしながらそうしたプログラムを受講できるのかなど、その活用に多くの課題があるように見受けられます。
 当時紹介した民間支援プログラムについて、厚生労働省は、親が受講しやすくなるようなフォローをしてきたのか、また、今後、虐待や子供との向き合い方に悩む親に対して、多くの人が利用できる支援策を提供していくつもりがあるかどうか伺います。
 次に、児童の年齢について、総理に伺います。
 一例を挙げますと、性犯罪に係る刑法では、平成二十九年、十八歳未満に被害者を限定し、加害者に親などを想定した監護者性交等罪が新設されました。しかし、この法律では、十八歳、十九歳の子供が親に性的な行為をされた場合、親子関係は考えずに、同意の有無や暴行、脅迫要件などの立証が求められます。
 選挙権年齢が十八歳になり、三年後には成人年齢も十八歳となります。しかし、法律が変わったからといって、十八歳、十九歳が急に成熟するわけではありません。
 そこで、児童の年齢等の定義については、個別の法律の趣旨に沿って、若年層をできるだけ広く保護する方向で政策立案をするべきと考えますが、総理の一般的、大局的な考えを伺います。
 児童虐待の中でも、性的虐待は深刻な問題です。
 ことし三月、名古屋地裁岡崎支部で、十九歳の実子に対する準強制性交等罪に問われた父親に無罪判決が出ました。個別の裁判ですので、その分析は極めて慎重を期さなければなりませんが、父親が長年にわたって実子に性的虐待をしていたことが裁判で認められたことなどもあって、大きな議論となっています。おととい、自由民主党議員が多く参加されております超党派の若手勉強会でも議題となりました。
 刑法の性交同意年齢が現行の十三歳未満のままでよいのか、近親相姦を処罰対象としないままでいいのか、さらには、性的な行為は自分自身の意思によって決めることができるという性的自由を守ること、すなわち、同意のない性行為は処罰の大前提であるということをもっと世の中に広く明らかにしていくべきだと考えますが、法務大臣の見解を求めます。
 最後に、野党案について伺います。
 野党案では、児童虐待防止法に医師の関与等を規定しています。政府案との違いと、医師による児童虐待防止への具体的な貢献、本規定を盛り込んだきっかけ等を含め、答弁を求めます。
 子供や子育てをしている人を社会が支え、守っていくことを皆様とともに実現をしたいとお願いを申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#62
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井出庸生議員にお答えをいたします。
 体罰についてお尋ねがありました。
 体罰は、たとえしつけを目的とするものであっても許されないものであります。
 そもそも、親権者以外の者については、民法上の懲戒権を持たないため、従来より、体罰を加えることは許されていません。
 さらに、本法案により、たとえ懲戒権を有する場合であっても、体罰の禁止が法定化されることとなります。
 いずれにしても、体罰はどのような理由であっても許されないということを法律の上でも国民の意識の上でも徹底し、虐待の根絶につなげてまいります。
 体罰の具体例についてお尋ねがありました。
 体罰の範囲や体罰禁止に関する考え方等については、既に示されているものも参考に、今後、国民にわかりやすく説明をするためのガイドライン等を作成してまいります。
 こうした取組により、全ての子供の健やかな成長、発達や自立等が保障されるような社会づくりを進めてまいります。
 子育てに関して学ぶ機会の拡充についてお尋ねがありました。
 児童虐待の発生予防の観点から、子育てに悩む親に対する相談支援や子育てについて学ぶ機会の確保は意義のあるものと考えています。
 このため、市町村の子育て世代包括支援センターにおいて、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行うとともに、妊婦健診や両親学級の際の保健指導を通じて育児に関する不安や悩みの解消のための支援を行うほか、子育てについての悩みや不安を抱える家庭を支援するための学習機会の提供や保護者への相談対応などの教育や相談体制の整備を進めています。
 また、学校教育においても、家庭科等で乳幼児との触れ合いや交流、親の役割と保育等の学習を実施しているとともに、高等学校学習指導要領において、乳幼児と適切にかかわるための基礎的な技能、子育て支援についての理解を新たに明記するなど、子育てに関する内容の充実を図ったところです。
 これらの取組を通じて、安心、安全に出産ができ、未来の宝である子供の命が守られ、育まれるよう、総力を挙げて取り組んでまいります。
 法令上の成人年齢等についてお尋ねがありました。
 各法令の適用対象となる年齢については、それぞれ個別の法令の趣旨に沿って定められるべきものです。
 御指摘の監護者性交等罪については、年少者の保護を目的とする他の法令とのバランス等も踏まえ、被害者を十八歳未満の者としたところですが、例えば、同じく十八歳未満を児童として定義する児童福祉法においては、児童養護施設への入所は必要に応じて二十歳まで延長が可能となっているなど、それぞれの法律の趣旨に応じて、必要な保護が図られるよう、年少者の実態を踏まえた制度が定められているものと承知しています。
 今後とも、各制度の立案に際しては、若年層に必要な保護や支援が行き届くよう、十分な配慮を行ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣根本匠君登壇〕
#63
○国務大臣(根本匠君) 井出庸生議員へお答えいたします。
 井出庸生議員への御質問にお答えする前に、去る四月二十三日の本会議における障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨説明質疑において、中島克仁議員の御質問の一つに対して私が答弁していなかったことについて、深くおわびを申し上げます。
 御質問は、障害のあるがん患者への支援に関するお尋ねでありました。
 私の答弁は、次のとおりです。
 障害のあるがん患者の方々も、安心して治療を受け、地域で生活していくための支援体制を整備することが重要です。
 厚生労働省では、平成三十年三月に閣議決定された第三期がん対策推進基本計画に基づき、がん診療連携拠点病院等に設置されているがん相談支援センターでのきめ細やかな相談の実施、精神障害者が抱える課題の抽出や必要な医療体制に関する研究の推進、国立がん研究センター等を通じた視覚障害者のための音声資料や点字資料などによる情報の発信など、さまざまな支援を実施しています。
 今後とも、これらの取組の充実に努めてまいります。
 続きまして、井出庸生議員への御質問にお答え申し上げます。
 保育所における虐待等の実態調査についてお尋ねがありました。
 保育所は、就労等により日中保育できない保護者にかわって子供を保育し、生涯にわたる人格形成の基礎を培う場です。
 こうした場である保育所で虐待等が行われているとすれば、極めて遺憾であり、今後、自治体における実態把握の現状を確認した上で、全国的な実態把握に向けて具体的な方法を検討してまいります。
 保育施設に対する改善指導の公表や実効性の向上についてお尋ねがありました。
 都道府県等による指導監査の結果の公表は自治体の任意で行われていますが、昨年十一月に総務省から厚生労働省に対し、既に公表に取り組む自治体における公表の効果や留意点を周知すること等について勧告がなされました。
 このため、まずは各都道府県等における結果の公表状況を含む指導監査の実態を把握した上で、総務省の勧告に沿って対応してまいります。
 保護者支援プログラムの活用についてのお尋ねがありました。
 厚生労働省では、児童相談所においてプログラムが効果的に実施されるよう、平成二十九年度にマニュアルを作成するとともに、プログラムの実施を民間団体等に委託する場合の費用の補助を行っています。
 今後は、三月の関係閣僚会議決定に基づき、プログラムの実施を担う専門人材の養成や支援の拡充などに取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣山下貴司君登壇〕
#64
○国務大臣(山下貴司君) 井出庸生議員にお答え申し上げます。
 性犯罪の罰則のあり方などについてお尋ねがありました。
 御指摘の点についてさまざまな御意見があることは承知しておりますが、平成二十九年六月に成立した刑法の一部を改正する法律の附則第九条において、同法の施行後三年を目途として、広く性犯罪の実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされているところであり、これに従って適切に対処してまいりたいと考えています。(拍手)
    〔中島克仁君登壇〕
#65
○中島克仁君 井出庸生議員から、児童虐待防止における医師の関与等の趣旨などについてお尋ねがありました。
 最近の児童虐待死亡事件の経緯を見ますと、虐待の兆候に関する医師の第三者的な所見が必ずしも十分に生かされていないことが重大事件をもたらす要因の一つであり、より積極的に医師等が児童虐待の現場に関与すべきと考えます。
 そこで、本法案では、児童相談所において、児童虐待が行われているかどうかを判断するために必要があると認めるときは、児童の心身の状況について医師の意見を聞くこととしております。なお、医師の意見については、児童虐待の発見のために必要な知識及び技術を十分に有する医師の意見であることが望ましい旨を規定しております。
 さらには、医師等が特に児童虐待を早期に発見しやすい立場にあることを踏まえ、現行法上の医師等に対する研修を強化し、医師等に対し、児童虐待の発見のため必要な知識及び技術等に関する研修の実施、児童虐待の発見のため、知識と技術を有する医師等の確保、養成及び資質の向上の措置を講じております。
 以上のような措置を講ずることにより、虐待に関する専門的な知見を有する医師等が児童虐待の防止や早期発見に大きな役割を果たすことが期待されるところであります。(拍手)
#66
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#67
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       法務大臣     山下 貴司君
       外務大臣臨時代理
       国務大臣     茂木 敏充君
       文部科学大臣   柴山 昌彦君
       厚生労働大臣   根本  匠君
       国土交通大臣   石井 啓一君
       国務大臣     片山さつき君
       国務大臣     平井 卓也君
       国務大臣     山本 順三君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官  西村 康稔君
       厚生労働副大臣  大口 善徳君
ソース: 国立国会図書館
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