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2018/11/13 第197回国会 参議院 参議院会議録情報 第197回国会 農林水産委員会 第1号
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2018/11/13 第197回国会 参議院

参議院会議録情報 第197回国会 農林水産委員会 第1号

#1
第197回国会 農林水産委員会 第1号
平成三十年十一月十三日(火曜日)
   午後一時八分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         岩井 茂樹君
    理 事         中泉 松司君
    理 事         田名部匡代君
    理 事         紙  智子君
                礒崎 陽輔君
                上月 良祐君
                進藤金日子君
                堂故  茂君
                野村 哲郎君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                山田 俊男君
                谷合 正明君
                横山 信一君
                小川 勝也君
                鉢呂 吉雄君
                徳永 エリ君
                舟山 康江君
                儀間 光男君
                森 ゆうこ君
    ─────────────
   委員長の異動
 十月二十四日岩井茂樹君委員長辞任につき、そ
 の補欠として堂故茂君を議院において委員長に
 選任した。
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十四日
    辞任         補欠選任
     中泉 松司君     高野光二郎君
     谷合 正明君    佐々木さやか君
     横山 信一君     里見 隆治君
     舟山 康江君     藤田 幸久君
 十一月十二日
    辞任         補欠選任
     藤田 幸久君     森本 真治君
 十一月十三日
    辞任         補欠選任
     山田 俊男君     今井絵理子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         堂故  茂君
    理 事
                上月 良祐君
                藤木 眞也君
                田名部匡代君
                紙  智子君
    委 員
                礒崎 陽輔君
                今井絵理子君
                岩井 茂樹君
                進藤金日子君
                高野光二郎君
                野村 哲郎君
                平野 達男君
               佐々木さやか君
                里見 隆治君
                小川 勝也君
                鉢呂 吉雄君
                徳永 エリ君
                森本 真治君
                儀間 光男君
                森 ゆうこ君
   国務大臣
       農林水産大臣   吉川 貴盛君
   副大臣
       農林水産副大臣  小里 泰弘君
       農林水産副大臣  高鳥 修一君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       濱村  進君
       農林水産大臣政
       務官       高野光二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○農林水産に関する調査
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(堂故茂君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。
 去る十月二十四日の本会議におきまして農林水産委員長に選任されました堂故茂でございます。
 本委員会の運営につきましては、理事を始め委員各位の格別の御指導、御協力をいただきまして、公正かつ円満に行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#3
○委員長(堂故茂君) 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、川田龍平君、舞立昇治君、横山信一君、谷合正明君、舟山康江君及び中泉松司君が委員を辞任され、その補欠として鉢呂吉雄君、里見隆治君、佐々木さやか君、高野光二郎君、森本真治君及び私、堂故茂が選任されました。
 また、本日、山田俊男君が委員を辞任され、その補欠として今井絵理子君が選任されました。
    ─────────────
#4
○委員長(堂故茂君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(堂故茂君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に上月良祐君及び藤木眞也君を指名いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(堂故茂君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、農林水産に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(堂故茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(堂故茂君) この際、吉川農林水産大臣、小里農林水産副大臣、高鳥農林水産副大臣、濱村農林水産大臣政務官及び高野農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。吉川農林水産大臣。
#9
○国務大臣(吉川貴盛君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣として考え方の一端を申し述べます。
 この度、第四次安倍改造内閣の発足に当たりまして、農林水産大臣を拝命いたしました。委員の皆様の御指導を賜りながら、大臣としての職責を果たしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 冒頭、大阪北部地震、本年七月の豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震などの度重なる災害によりお亡くなりになった方々に心からお悔やみ申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞い申し上げます。
 私は、大臣就任直後から、大阪府、和歌山県、北海道、愛媛県、広島県及び岡山県を訪問し、今般の被災の状況をこの目で確認してきました。経営再開に向けて、ひたむきに取り組む皆様と言葉を交わし、農林水産業をなりわいとして取り戻していただくために万全の対応を取らなければならないと痛感しました。被災された農林漁業者の方々が一日も早く経営再建できるよう、全力で取り組むとともに、災害に強くしなやかな国の実現に向け、治山、ため池の改修など、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を今後三年間で集中的に実施いたします。
 以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方について申し述べます。
 農林水産業は国の基であり、国民に食料を安定的に供給するとともに、地域の経済を支え、活力ある地域社会を維持するために大きな役割を果たしています。先人の方々が厳しい自然環境の中で苦労を重ね、創意工夫しながら営々と続けてきた農林水産業こそが、現在の農山漁村をつくり上げてきました。こうして築き上げられた我が国の誇るべき農林水産業、農山漁村を次世代に継承することは、今を生きる我々の責務です。
 一方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化の進行など、厳しい状況に直面しています。このような中で農林水産業を将来にわたって維持し、更に発展させるためには、世界に評価される和食や美しい農山漁村の風景など、農林水産業の有する潜在力を最大限引き出し、若者が夢や希望を託すことができる魅力ある成長産業にしていかなければなりません。
 このため、安倍内閣においては、農林水産業全般にわたる改革を推進してきており、農林水産物・食品の輸出額が五年連続で過去最高を更新し、生産農業所得は過去十八年で最高に達するなど、これまでの改革の成果が着実に現れ始めています。
 引き続き、改革の取組を確実に前進させるとともに、それが農林漁業者の所得向上につながるよう全力で取り組んでまいります。
 以下、具体的な施策を申し述べます。
 まず、農業についてです。
 農業を持続的に発展させるためには、何よりも次世代の担い手を育成、確保していく必要があります。就農の検討・準備段階から経営を確立するまでの総合的な支援や、営農しながら経営ノウハウを学ぶ農業経営塾の活用等により、若者や女性を始め多様な人材の育成、確保を進めます。
 担い手への農地集積、集約化の切り札として創設した農地集積バンクについては、農地集積、集約化のスピードを更に加速していくため、農地中間管理機構法施行後五年見直しの中で、人・農地プラン等の地域協議の活性化、機構の手続の簡素化、他の農地集積手法の見直し等の検討を進めます。
 農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を実現するためには、生産基盤を強化する必要があります。農地の大区画化、汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・耐震化対策を推進します。
 農業者の努力で解決できない構造的な問題を解決するため、引き続き、生産資材業界や流通加工業界の再編、参入を促進するとともに、各種法制度の点検を推進します。
 行政による生産数量目標の配分を廃止した米政策については、米の需給及び価格の安定を図っていくため、需要に応じた生産、販売を促していく必要があります。引き続き、水田フル活用に向けた支援、きめ細かい情報提供等を行います。
 五年間の農協改革集中推進期間の期限が残り一年を切りました。農林水産省としても、農業者の所得向上に全力投球できる農協を実現するため、JAグループが自己改革の取組を着実に進め、具体的な成果を上げるよう、継続的にフォローアップし、改革に協力してまいります。
 ロボット、AI、IoT、ドローン等の先端技術は、農業の生産性を飛躍的に高めるための起爆剤となります。世界トップレベルのスマート農業を実現するため、新技術の開発や実証、実装を強力に推進します。先端技術を生産から出荷まで一貫した体系として導入することや、経営分析等を行うとともに、新技術の現場での速やかな普及を図るなど、総合的に推進してまいります。
 人口減少が進む中、我が国の農林水産業は、国内の一億人だけではなく、世界の七十五億人を見据えた輸出産業への転換が必要です。平成三十一年の輸出額一兆円目標の達成、そして、更なる輸出の飛躍に向け、海外の規制やニーズに対応した産地づくりや輸出業者とのマッチングへの支援、輸出先国による規制の撤廃、緩和に向けた働きかけ等を行ってまいります。
 農山漁村は、都市に先駆けて人口減少、高齢化が進行しており、その活性化は待ったなしの課題です。中山間地域を始め農山漁村に住む皆さんの元気が出るよう、地域で受け継がれてきた豊かな資源を活用した六次産業化の展開、農泊を中心とした都市と農山漁村の交流の推進、鳥獣被害対策や安全で良質なジビエの利活用など、地域の特色を生かした多様な取組を総合的に推進いたします。
 食の安全と消費者の信頼を確保するため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保と正確な情報伝達による消費者の信頼確保に取り組みます。本年九月に岐阜県で豚コレラが発生しましたが、患畜等の迅速な処分や野生動物の農場への侵入防止の徹底等により、蔓延を防止しました。今後も、動植物の防疫措置等に万全を期してまいります。
 TPP11協定や日EU・EPAについては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、これまでの実績の検証を踏まえた所要の見直しを行いながら、体質強化対策を実施するとともに、協定発効に合わせて経営安定対策を実施してまいります。また、日EU・EPAの締結に必要な法整備として、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、御審議をお願いいたします。
 本年九月に交渉開始が合意された日米物品貿易協定については、農林水産品について、過去の経済連携で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるという日本側の立場を尊重するとの日米共同声明を踏まえて、我が国の農林水産業の維持発展を旨として、関係府省と連携し、交渉に臨みます。
 林業と水産業についても、海や山の潜在力を十分に引き出し、地域の活力向上につなげるための抜本的な改革を実行に移します。
 林業については、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るためには、国産材の安定供給体制の構築と木材需要の拡大を促進することが必要です。
 このため、新たな森林管理システムを着実に実施するとともに、川上、川中、川下の事業者の連携による木材の生産流通構造改革を推進してまいります。また、国有林野については、一定区域において、国有林野の有する公益的機能を維持しつつ、民間事業者が長期、大ロットで立木を伐採、販売できる仕組みの整備に向けて検討を進めます。
 水産業については、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスの取れた漁業就業構造を確立するため、本年六月に決定された「水産政策の改革について」に即して、改革を推進いたします。
 具体的には、国際的に見て遜色のない新たな資源管理システムを構築するとともに、産地市場の統合等により競争力のある流通構造を確立いたします。また、漁獲量による資源管理の導入に併せ、トン数制限の規制から転換します。大型化を可能とすることで漁船の安全性、居住性等を向上させ、若者に魅力ある生産性の高い漁業を実現します。さらに、海面利用制度を見直し、漁業権付与のプロセスの透明化や漁場の適切、有効な活用の促進等を図ります。
 これらの改革を確実に推進するため、関連法案を今国会に提出いたしましたので、御審議をお願いいたします。
 大臣就任後の初めての訪問先は福島県でした。原発事故により避難を強いられた中でも、共同で先進的な経営に取り組む畜産農家の方々に話を伺い、復興に向けて確実に前進していると実感しました。東日本大震災、熊本地震を始めとした地震や、重なる豪雨、台風災害で被災されても、諦めることなく、前向きに取り組む農林漁業者の方々を後押しするため、地域ごとの多様な課題に対応したきめ細かな支援を行います。被災者の方々の気持ちに寄り添い、単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた復興、創生を実現できるよう全力で取り組んでまいります。
 以上、農林水産行政に関する基本的な考え方を申し上げました。
 豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、攻めの農林水産業を展開し、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現する。そのことを通じて、食料自給率を向上させ、食料安全保障の確保を図ります。
 堂故委員長を始め委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#10
○委員長(堂故茂君) 小里農林水産副大臣。
#11
○副大臣(小里泰弘君) この度、農林水産副大臣を拝命いたしました小里泰弘でございます。
 吉川大臣の下に、高鳥副大臣、濱村大臣政務官、高野大臣政務官とともに、特に若者が将来へ向けて夢と希望の持てる、そんな農林水産業の実現に力を尽くしてまいります。
 堂故委員長を始め委員各位の御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
#12
○委員長(堂故茂君) 高鳥農林水産副大臣。
#13
○副大臣(高鳥修一君) この度、農林水産副大臣を拝命いたしました高鳥修一でございます。
 吉川大臣をお支えし、小里副大臣、濱村政務官、高野政務官と力を合わせ、農林水産業の潜在力を引き出し、地域の活力向上につながるよう努力をいたしてまいります。
 堂故委員長を始め委員各位におかれましては、御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
#14
○委員長(堂故茂君) 濱村農林水産大臣政務官。
#15
○大臣政務官(濱村進君) この度、農林水産大臣政務官を拝命いたしました濱村進でございます。
 吉川大臣の下、小里副大臣、高鳥副大臣、高野大臣政務官と一丸となって、豊かな食生活、それを支える農山漁村を次の世代に受け継ぐために、農林水産業、農山漁村の活性化に誠心誠意努めてまいります。
 堂故委員長を始め理事、委員各位の御指導、御鞭撻賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
#16
○委員長(堂故茂君) 高野農林水産大臣政務官。
#17
○大臣政務官(高野光二郎君) 農林水産大臣政務官を拝命いたしました高野光二郎でございます。
 吉川貴盛大臣の下、小里副大臣、高鳥副大臣、濱村大臣政務官と一致協力して、農林水産業に活力を取り戻し、魅力ある成長産業にすることができるよう、精いっぱい努力をしてまいります。
 堂故茂委員長を始め委員の先生方、御指導、御鞭撻のほど、何とぞよろしくお頼み申し上げます。
#18
○委員長(堂故茂君) 大臣、副大臣及び大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
#19
○委員長(堂故茂君) 農林水産に関する調査を議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。岩井茂樹君。
#20
○岩井茂樹君 報告に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。
 委員長在任中は、理事及び委員の皆様方の御協力によりまして、その職責を全うすることができました。心から御礼を申し上げます。
 なお、引き続き本委員会に籍を置くことになりました。今後とも、是非ともよろしくお願いいたします。
 本年は、平成三十年七月豪雨、台風、地震と、大きな災害が相次いで発生しております。まずもって、災害の犠牲となられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 委員派遣の御報告を申し上げます。
 去る八月二十九日、広島、岡山の両県におきまして、平成三十年七月豪雨による農林水産関係被害の状況等に関する実情を調査してまいりました。
 派遣委員は、当時の中泉理事、舞立理事、田名部理事、紙理事、進藤委員、野村委員、平野委員、山田委員、横山委員、徳永委員、小川委員、川田委員、儀間委員、森委員及び私、岩井の十五名であります。
 平成三十年七月豪雨は、西日本を中心に、全国で生命、財産に大きな被害をもたらしました。特に、広島、岡山の両県での被害は甚大であります。
 全国の農林水産関係被害額は、九月末時点で三千億円弱、このうち広島県は七百七十億円、岡山県は二百十億円をそれぞれ超えております。
 以下、派遣の概要について申し上げます。
 まず、広島県に赴き、広島中央農業協同組合が三原市大和町に所有する農業用共同利用施設の被害状況を視察しました。
 被災したカントリーエレベーターは、裏山の土砂崩れにより、建物及び装置等に大きな被害が生じておりました。米の収穫時期に間に合うよう再稼働するべく、組合において全力で対応された結果、仮復旧ではあるものの、九月一日からの荷受けを可能とし、最盛期にも対応し得るまでに至ったとのことでありました。
 しかしながら、施設の脇に積み上がった大量の土砂の撤去が急がれるほか、雨天時の安全を確保するための措置が必要な状況でありました。
 こうした状況を踏まえ、組合からは、早急な土砂処分に向けた行政間の連携、災害復旧事業における柔軟な認定等を内容とする要望が、また、天満三原市長からは、災害復旧事業の実施に向けた人的支援、治山、砂防、農地災害復旧の各事業が連携した総合的な防災対策等を内容とする要望があり、それぞれ要望書を受け取りました。
 その後、近隣の被災した水田を視察しました。
 組合としては、復旧工事に合わせて圃場整備も行い、より効率的な農業を可能にするべく、農家負担のない農地中間管理機構の事業も活用していきたいとのことでありました。
 派遣委員との間では、災害対策事業の現場に即した運用、自治体に対する人的支援の在り方、被災した農林漁業者への相談体制の充実等について意見が交わされました。
 次に、福山市草戸町に赴き、豪雨で決壊した農業用ため池を視察しました。
 視察した堂ノ奥池は、築造年代が不明な古いため池であり、近年は、利用者が離農したため管理が行き届かず、堤に生えた大木の根に起因するパイピング現象により決壊したと推察されております。
 広島県内には約二万か所のため池がありますが、堂ノ奥池と同様に、適切な管理が行われていないことを原因とする決壊が多かったとのことです。
 このため、同県では、利用を継続するため池については、改修工事を行って安全性及び管理の利便性を高めるとともに、利用されないため池については、関係者の協議を経て、適切に廃止していきたいとのことでありました。また、ため池の存在を知らない周辺住民が増えてきたことから、避難行動につながるよう、ため池の存在及び決壊の危険性を周知していきたいとのことでありました。
 派遣委員との間では、近代的なため池への早期の改修、ため池ハザードマップの策定状況等について意見が交わされました。
 次に、岡山県に赴き、倉敷市真備町において農業用排水機場の被害状況を視察しました。
 真備町及び周辺地域では、小田川及びその支川の決壊等により、最大五メートルもの浸水に見舞われ、多くの尊い人命が失われるとともに、家屋や水田等が被災しました。
 小田川沿岸には、県営事業で造成された農業用排水機場が十五か所ありますが、視察した服部排水機場を含む十四か所が被災しました。天井川に囲まれたこの地域において、排水機場は、農地のみならず、人命、家屋等を守っており、その早期復旧が不可欠であります。このため、岡山県は、管理者である関係市町からの委託を受け、県対応にしたとのことであります。
 九月の台風シーズン前に全ての排水機場の能力を復旧するべく、応急工事が急がれていました。本格復旧が完了するのは、平成三十二年三月末とのことであります。
 派遣委員との間では、排水機場の浸水対策、大規模氾濫の減災に向けて堤防の一部を低くした越流堤を設置する必要性等について意見が交わされました。
 次に、総社市福谷地区に赴き、樹園地の被害状況を視察しました。
 福谷地区は、県特産のマスカット・オブ・アレキサンドリアや贈答用の桃の産地であります。高梁川の氾濫により、収穫期を迎えた果実を失ったほか、ハウスや樹体の損壊、圃場の表土の流出など生産基盤の被害に見舞われました。
 岡山西農業協同組合及び生産農家からは、早期の営農再開に向けた支援、洪水対策として農地の復旧に際し一・五メートル程度のかさ上げ、洪水防止に向けた高梁川の樹木の撤去等を内容とする要望がありました。
 また、片岡総社市長からは、農林水産省が農機具などの補助率を早々に明示したことが被災農家の営農意欲を取り戻す契機となり感謝していること、高梁川の洪水対策を早急に講じる必要があること、高梁川の洪水を原因とするアルミ工場爆発という複合災害の被災者を支援するよう国に要望していること等の発言がありました。
 派遣委員との間では、災害復旧事業における農地かさ上げの方策、出荷できるまでの未収益期間における収入対策等について意見が交わされました。
 次に、岡山県庁に赴き、伊原木知事と意見交換を行いました。
 伊原木知事からは、現時点での被害額は百九十六億円であるが、被災現場にたどり着けず被害調査ができていない場所もあることから今後増える見通しであること、複合的な災害も発生しており、被害形態ごとに必要な支援が現場の実態に即した形でなされる必要があること等の発言がありました。
 派遣委員との間では、林業関係の被害状況、現場のニーズに合った災害対策の内容及び課題、被災者生活再建支援法に基づいた複合災害への対応策、永年作物の未収益期間における農家の複合経営等について意見が交わされました。
 以上が調査の概要でありますが、広島中央農業協同組合及び三原市から提出されました要望書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただきますよう、委員長のお取り計らいをお願い申し上げます。
 今回の派遣を通じ、被害の大きさと復旧復興の難しさ、そして、農林漁業者の事業の再開と継続に向けた意欲が損なわれないよう適時適切な支援を講じることの必要性を痛感しました。
 自然災害が続く今、食料安定供給の責務を果たすため、現場からも要望がありましたように、災害復旧に際しては、長期的な視点に立ち、より災害に強い生産基盤を整備するとともに、平時から気候変動等に対応した生産・物流体制を構築していくことの重要性を改めて強く認識する次第であります。
 最後になりましたが、今回の調査に当たり御協力いただきました皆様方に厚く御礼を申し上げるとともに、広島、岡山の両県を始め、全国の被災地の一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げ、派遣報告といたします。
 以上でございます。
#21
○委員長(堂故茂君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、ただいまの報告の中で要請のございました現地からの要望書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○委員長(堂故茂君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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