くにさくロゴ
2018/10/31 第197回国会 参議院 参議院会議録情報 第197回国会 本会議 第3号
姉妹サイト
 
2018/10/31 第197回国会 参議院

参議院会議録情報 第197回国会 本会議 第3号

#1
第197回国会 本会議 第3号
平成三十年十月三十一日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成三十年十月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#4
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました所信表明演説等に対し、安倍総理並びに関係大臣に質問します。
 自公連立政権発足から間もなく六年。安定した政治の下で積み上げてきた国民のための改革を将来に向け更に深化させていく。そのために公明党は、引き続き、与党の一翼として、日本の将来への責任感と緊張感を持って国民の負託に力強く応えてまいる決意です。
 東日本大震災から八回目、熊本地震から三回目の冬を迎えようとしています。公明党は、被災地の復興、そして福島再生へ全党を挙げて取り組んでまいります。
 さて、今年に入り、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害が各地に甚大な被害をもたらしました。災害でお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 公明党は、防災・減災ニューディールを提唱し、災害に強い国・地域づくりに取り組んできました。しかし、地震、津波、豪雨、火山の噴火など、近年の災害の激甚化、頻発化を目の当たりにし、改めて日本全体が災害多発列島であることを認識させられました。
 残念ながら、自然現象そのものは止められません。しかし、災害を防ぐ、あるいは災害による被害を減らすことはできます。観測情報の精度を上げる、被害を少なくする、回避する、回復を早くする、ここにこそ政治の使命と責任、役割があるのではないでしょうか。
 公明党は、災害の都度、復旧を図ることを繰り返すというのではなく、防災・減災への取組を日本の政治の主流、社会の主流に押し上げるべきと考えます。
 災害から国民の生命と暮らしを守る、そのために、国の体制を整え、自治体や地域の取組を強化し、そして国民一人一人の防災意識改革を進める。いつでも災害が起こるとの前提に立ったあらゆる社会の仕組みの改革を進めるべきです。さらには、災害の多い日本だからこそ、世界各国に対して防災・減災分野での貢献も可能ではないでしょうか。
 防災・減災対策について、総理の答弁を伺います。
 さて、当面する最重要の課題は、一連の災害からの復旧です。緊急性を要する事業の早期執行に向けて、補正予算の早期成立を強く望みます。また、台風二十一号、北海道胆振東部地震の後に起こった災害への対応、被災地の復興に向けた必要な支援措置の検討を求めます。
 被災地では、いまだ多くの被災者の方々が、心身の疲労、ストレス、これからの生活不安などの中で長期にわたる避難生活を強いられています。政府においては、一日も早く安心した暮らしを取り戻せるよう、生活再建、なりわいの再生、事業の再開のためにきめ細やかな支援の手を差し伸べていただきたい。総理の答弁を求めます。
 さて、今般の自然災害からは様々な教訓や課題が見えてきました。今後の対策にしっかりと生かさなければなりません。
 台風に伴う強風により、関西国際空港では、連絡橋の損壊や高潮による浸水などで空港が機能不全に陥りました。北海道の地震では道内全域が停電するというブラックアウトが発生し、生活や産業など、あらゆる分野に多大な影響を及ぼしました。
 さらに、これらを通じ、災害時における人の流れや物流等の輸送ルートや、機能不全となった重要インフラの代替対策の確保といった課題、さらには、大都市災害が経済社会に与える影響の大きさから、首都中枢機能のバックアップの在り方などの課題も改めて浮き彫りになったところです。
 総理は、電力や空港などの重要インフラについての緊急点検を指示され、十一月末をめどに、その結果を踏まえた対策をまとめるとしています。
 今般の災害による教訓、課題を専門的な知見も入れながらしっかりと検証し、中長期にわたる明確な目標を立てつつ、連続性を持った集中的な防災・減災、インフラ老朽化対策を進めていくべきです。
 重要インフラを含むハード面での防災対策について、総理の答弁を求めます。
 ソフト面の対策も重要です。
 長期にわたる避難所での生活。暑さ寒さ対策は万全か、段ボールベッド、トイレなどの衛生環境面の配慮はなされているか、高齢の方、女性、子供の視点は大丈夫か。被災者一人一人の尊厳が守られる、きめ細やかな対策が重要です。
 更に言えば、避難所生活から一日でも早く解放されるような対応策こそ求められます。例えば、災害時に公的賃貸住宅の空き室、民間の空き家など、既存の住宅ストックを活用したみなし仮設住宅の提供などの仕組みも検討すべきと考えます。
 その他、情報取得手段としてのスマホ等の充電可能な電源設備の確保、災害時の訪日外国人旅行者への対応など、国と地方自治体が連携し、対策を急ぐべきです。
 地域防災力の向上と防災意識の改革も欠かせません。
 特に、ハザードマップやタイムラインなどを整備し、災害時の避難対策と連動させることや、地域防災力を軸としたコミュニティー活性化を図るべきです。地域住民による自主防災組織を整備し、訓練や備え、自主防災マップの作成、さらには、防災リーダーや消防団など、地域の防災人材の確保と育成も不可欠であると考えます。
 以上、ソフト対策、地域防災力の向上について、総理の見解を求めます。
 今年の夏、日本列島は記録的な猛暑に見舞われました。熱中症対策として、学校教室のエアコン設置が急がれます。また、児童生徒の安全を守る観点から、倒壊のおそれある危険なブロック塀の除去、改修も急務であり、これらの対策が補正予算に盛り込まれたことを高く評価したい。
 予算成立後は、ブロック塀対策は速やかに、エアコンは来年の夏までに確実に設置できるよう、設置主体である自治体と連携し、取組が加速されるよう強く望みます。
 公明党は、早くからエアコンの学校教室への設置を訴えてきました。
 今から二十七年前の平成三年、公明党のある地方議員が過去の気温上昇を比較調査し、それを根拠に学校のエアコン設備を議会で粘り強く主張し続け、実現。その自治体は、現在、全小中学校でエアコンが設置されました。
 私も、改めて気象庁のデータを確認しました。七月、八月の東京の平均気温について十年間平均で比較したとき、直近と二十年前とを比べると約摂氏一・三度、明治八年の統計開始の頃と比べると約摂氏二・五度上昇しています。また、文部科学省の調査の結果でも、教室内の温度が子供たちの学習意欲や効率や成績にまで影響を与えることが明らかになっています。
 設置は必須です。当面、未設置の普通教室が優先されますが、今後、整備状況を見極めつつ、特別教室や災害時の避難所となる体育館等への整備も大きな課題と考えます。
 一方、ブロック塀ですが、宮城県では、昭和五十三年の宮城県沖地震の教訓を踏まえ、県内の市町村でブロック塀の撤去と生け垣等への改修に対する助成制度をスタート。危険なブロック塀を点検、調査し、所有者等への継続的な訪問で改善指導を続けています。着実に実績を積み上げた結果、東日本大震災ではブロック塀の倒壊による犠牲者は一人も確認されませんでした。
 今般の大阪での地震を教訓に、各地の地方自治体での取組が大きく広がりを見せています。さらに、学校施設だけでなく、通学路や緊急避難道路などのブロック塀の対策も政府は検討を急ぐべきと考えます。
 総理の見解を伺います。
 あわせて、通学路など一般道路でのブロック塀の安全対策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
 安倍総理は、新内閣の発足に当たり、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていくと宣言されました。
 これまでも、社会保障と税の一体改革のほか、連立政権において、一億総活躍社会、働き方改革、さらには教育の無償化など、全世代に通じた社会保障関連施策を着実に進めてきたところです。
 その上で、将来世代への責任として、人口減少社会、人生百年時代、さらには団塊ジュニアの世代が高齢者になる二〇四〇年頃を見据えた持続的な社会保障制度の姿を示していくことが求められています。
 年齢にかかわらず意欲と能力に応じて活躍できる生涯現役社会の実現は、個人はもとより、地域や社会全体に活力をもたらすものです。
 中でも、働く場は、現在六十五歳までになっている継続雇用や定年延長の在り方、さらには高齢者の再就職、起業支援などについて、早急に検討し、整備を進めていくべきではないでしょうか。
 年金制度も、働き方の多様化に対応するため、本人の希望による受給開始年齢の柔軟化や、在職老齢年金制度の見直し、厚生年金の適用拡大などを総合的に検討すべきと考えます。
 予防、健康づくりの強化も重要です。
 全国各地に設置されている高齢者の通いの場。予防、健康づくりのための大切な地域の居場所であり、その数は着実に増えています。通いの場が拡大している市町村では、単に体操の場にとどまらず、口腔ケアやフレイル対策などといった医療との連携が進められている地域も見受けられます。
 地域、住民主体のこうした場を活用し、健康無関心層へのアプローチも強化しつつ、健康寿命、活動寿命の延伸につながるような取組を強化すべきです。
 医療、介護、予防、健康づくりなど、社会保障の主体は地域です。
 公明党は、ネットワーク政党として、地方からの改革を国で制度化する、あるいは、地方の様々な工夫、政策を横展開するという役割を担ってきました。例えば、健康増進や介護予防に向けて、支え合いのためのポイント制度をつくるなど、地域の実情に沿った地域包括ケアの構築を我が党の議員が推進しています。
 今後、さらに、国と地方自治体が連携協力しつつ、より良い社会保障の仕組みとなるよう努めていくべきです。
 生涯現役社会に向けた総理の答弁を求めます。
 暮らしの場、働く場である地域の持つ力を最大化するための地方創生がますます重要になっています。
 公明党は、景気回復の恩恵を地方へ及ぼすことを訴えてきました。結果、雇用や賃金の環境は大きく改善してきています。一方で、人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化、そしてなお続く東京一極集中の中で、地方への新しい人の流れをどのようにつくっていくのかが大きな課題です。
 公明党は、まち・ひと・しごとの地方創生の中心は人であるとの観点から、例えば地方創生関係交付金を地方在住者の起業や就業にも活用できるなどの改善を進めてきました。これをさらに、別の地域から移住してくる人の起業や就業へも支援の対象を広げるなどの対策を講じるべきです。
 人が生きる地方創生へ、総理の決意を伺います。
 来年十月、消費税率が引き上げられます。そのことを前提に、幾つか申し上げます。
 第一には、消費税は、急速な少子高齢化に伴い増大する社会保障費を維持するための重要な安定財源であるという点です。
 引上げ時には、低所得の年金生活者に対する最大月五千円の支援給付金などが実施されます。さらには、増収分の一部を活用し、子供たち、子育て世帯に対する幼児教育の無償化にも充てられます。来年十月から、三歳から五歳児の全世帯とゼロ歳から二歳児の住民税非課税世帯の幼児教育の無償化を円滑に実施できるよう、自治体と連携し、準備を加速化していただきたい。
 第二に、軽減税率制度の着実な実施です。
 公明党が一貫して主張してきた飲食料品等を対象とする軽減税率制度が円滑に実施されるよう、国民の皆様に制度の趣旨、意義を含め丁寧な周知に努めるとともに、制度の円滑な実施に向けて、事業者を含めて準備に万全を期すよう強く求めます。
 第三には、消費税率引上げに係る平準化対策であります。
 前回の八%への引上げ時には、駆け込み需要、反動減が生じ、経済に大きな影響を及ぼしました。こうした経験を生かし、経済への影響を緩和できる対策が必要です。
 政府では、ポイント還元といった新たな手法による支援など、様々な検討がなされています。キャッシュレス決済を普及させ、同時に平準化対策にも活用しようということでしょうが、実施に向けて、事業者、消費者共に混乱が起こらないよう、丁寧な制度設計を求めます。
 同時に、軽減税率の対象とならない日用品など飲食料品以外の生活必需品の消費税負担についても、所得の低い人を中心に支援措置を検討する必要があります。ばらまきを避け、できるだけ効果の高いものとするため、例えば税率引上げから一定期間使用できるプレミアム付き商品券などを検討してはどうかと考えます。また、需要変動の大きい耐久消費財、住宅、自動車についても税制を含めた支援措置を講ずるべきであります。
 以上、消費税引上げに係る対応策について、総理の答弁を求めます。
 日本経済は、雇用・所得環境の大幅な改善が続くなど、緩やかな回復基調が続いています。この戦後最長に迫る景気回復の流れを維持し、より一層拡大していくためにも、引き続き、米中の貿易摩擦や相次ぐ自然災害などが経済に与える影響を十分留意しつつ、来年の消費税率引上げに向けて積極的な対策を講ずるなど、機動的な経済財政運営に万全を期すよう求めたい。
 多角的な自由貿易を促進し海外需要を取り込む、あるいは我が国の誇る技術やインフラ等の輸出を積極的に進め国際競争力を高めていく上で、TPP11や日EU経済連携協定などの推進は極めて重要です。国と国とをいたずらに分断させる保護主義には毅然と立ち向かうべきです。
 政府は、既に承認されたTPP11協定や、日EU経済連携協定などの早期発効、さらにはRCEP、東アジア地域包括的経済連携の早期交渉妥結に向けても、日本がリーダーシップを発揮し、必要な調整を主導していただきたい。
 なお、国内には、日EU経済連携協定による農業への影響を懸念する声もあります。今回の協定を契機に、我が国の農産物の輸出拡大につながるよう、地域ブランドの保護強化など必要な対策を講じるべきです。
 我が国が自由貿易を推進する意義及び国内農業への対策について、総理の答弁を求めます。
 AIやIoTなどの第四次産業革命が急速に広まる中、我が国においても、世界に通用する技術力を発揮し、大胆な設備投資を通じて潜在成長率を高めていく必要があります。その鍵を握るのは、日本の屋台骨である中小企業・小規模事業者の活性化です。
 現下の地域の中小企業にとっての最重要課題は、経済の好転と技術の急激な進歩による人手不足と設備の老朽化です。こうした中小企業のニーズに応えてきたのが、公明党も強く推進してきたものづくり補助金です。これまでも、企業のサービス開発や設備投資を後押しするなど、極めて高い効果を上げてきています。
 しかし、これまでは、補正予算を財源とする一時的な制度であるため、激動する経済環境の変化への対応や事業者のニーズに対応するという意味では課題がありました。これまでの対応に加え、ものづくり補助金の恒久化、当初予算化を進めるべきではないでしょうか。
 あわせて、中小企業経営強化税制など、設備投資を後押しするための税制を延長、拡充し、事業者の攻めの投資を支援すべきと考えます。
 他方、来年は、大企業の時間外労働の上限規制や消費税率の引上げを控え、下請企業へのしわ寄せが懸念されます。引き続き、下請Gメンによるヒアリング調査を強化するなど、取引実態の把握に努めるべきです。
 中小企業支援策について、総理の答弁を求めます。
 世界の情勢は、不透明化、不確実性を増しつつあります。今、大国を中心に、自国ファーストという言葉が飛び交うなど、それぞれの国益を過度に優先する傾向が見られ、また、保護主義やポピュリズムの台頭も懸念されています。
 しかし、世界の平和と安定に向けては、多国間での枠組みの下、対話と協調によって国際的な秩序とルールを作っていくという基本をより重視することが今まで以上に求められているのではないでしょうか。経済、貿易はもとより、さらには地球温暖化、海洋ごみ対策、そして防災対策等々、日本は様々な分野で国際的な秩序づくりにおける主体的、主導的な役割を担うべき立場にあるものと考えます。
 また、SDGsの取組も重要です。総理は地球儀を俯瞰する外交を展開されておられますが、日本外交の基本方針と国際社会における日本の役割について、総理の基本認識を伺います。
 日中平和友好条約締結四十周年を迎えました。
 去る二十五日、二十六日の両日、安倍総理は、日本の首相として約七年ぶりに中国を公式訪問されました。習近平国家主席との会談はもとより、経済やスポーツといったあらゆる分野における両国民の交流の飛躍的な強化など、日中関係は、まさに新たな段階へと進み始めました。
 公明党は、自公で政権奪還以来、与党として日中の関係改善を目指し、安倍総理の習主席宛ての親書を四たび届けてきました。
 首脳往来は、日中関係を安定的に発展させるための大きな弾みとなります。経済大国である日中両国は、国際社会に与える影響が大きいからこそ、人的往来を含むあらゆる分野の具体的な協力、交流を幾重にも重ねながら、裾野を広げ、地域及び世界の繁栄と安定のために力を注いでいくべきです。
 この度の訪中の成果を踏まえ、安倍総理の答弁を求めます。
 北朝鮮をめぐる情勢は、米朝首脳会談によって大きく動き出しました。しかし、これでもって北朝鮮の核、ミサイルの脅威が去ったわけではありません。引き続き、関係各国と連携を図りながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指していくべきです。
 所信表明演説で、総理は、日朝関係について、金正恩委員長と向き合わなければならないとし、拉致問題の解決への思いを述べられましたが、この度の訪中結果も踏まえ、日朝関係に向けた展望を含め、答弁を求めます。
 次に、外国人材の受入れ拡大について伺います。
 政府は、六月に閣議決定をした骨太の方針の中で、中小・小規模事業者を始めとした人手不足の深刻化を防ぐ観点から、一定の専門性、技能を有した外国人材を幅広く受け入れる仕組みの構築を決定しました。
 人口減少が進み、生産人口の減少し続ける我が国において、働き手不足への対応は喫緊の課題であり、一定の外国人材の受入れの拡大は重要な選択肢の一つであります。
 今国会に関連法案を提出されるとのことですが、我が国の入国管理政策上の大きな転換でもあり、丁寧かつ慎重に制度設計を進めるべきです。
 例えば、これまでの技能実習を含めた既存の在留資格制度の課題と新制度との関係性、受け入れる側の地域や住民の不安、さらには、日本に来る外国人の人権や生活者としての視点への配慮など、多岐にわたる懸念や疑問の声に十分に応えていただきたい。そして、来る人も、受け入れる側も、共に共生できる制度とすべきです。総理の答弁を求めます。
 政治は、信なくば立たずです。
 さきの国会では、残念ながら、森友、加計など、政府の説明責任や公文書管理をめぐる様々な問題が大きな議論となりました。また、一部省庁の幹部職員による不祥事、さらには、政府の府省庁の障害者雇用が法定雇用率に達していない実情も明らかになりました。民間に義務を課し、適切に実施している自治体もある中で、政府のこの有様は言語道断です。国民のためとの深き信念に立って行政を遂行しているならば、こうしたことが起こるはずもありません。
 安倍総理は所信表明演説で、長さゆえの慢心がないかと自戒され、一層身を引き締めて政権運営に当たる決意を述べられました。まさにその言葉どおり、襟を正し、どこまでも国民のための政治を貫き通すことを強く期待し、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 防災・減災対策についてお尋ねがありました。
 近年、災害が激甚化する中、御指摘のとおり、国民の命を守る防災・減災対策は、我が国の政治、社会にとって重要かつ喫緊の課題であります。そのため、政府として、全国で防災・減災、国土強靱化のための対策を年内に取りまとめ、三年間で集中的に実施していくこととしております。
 その中で大切なことは、行政による公助はもとより、国民一人一人が自ら取り組む自助、そして、地域、企業、学校、ボランティアなど互いに助け合う共助を組み合わせ、地域全体で防災意識を高め、常に防災・減災の視点を持ってあらゆる自然災害に備える防災意識社会を構築していくことです。政府として、こうしたソフトとハードを組み合わせた対策を総動員して、防災・減災、国土強靱化に取り組んでまいります。
 被災地の復旧復興についてお尋ねがありました。
 政府としては、一連の災害に対し、関係自治体の復旧復興事業が進むよう、予備費を十分に活用して、発災後直ちにプッシュ型支援を実施するとともに、応急仮設住宅の確保を含む生活やなりわいの再建に向けた支援策の実施、激甚災害の指定などの対策を迅速に講じてきたところです。
 今回の一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 被災者支援については、御指摘のとおり、被災からの時間の経過により絶えず変化する被災者の一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を切れ目なく行うことが重要であります。被災者が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、政府として、引き続き、被災者の方々の生活、なりわいの再建に全力を尽くしてまいります。
 ハード面の防災対策についてお尋ねがありました。
 台風に伴う高潮により関西国際空港が冠水し、地震により北海道全域にブラックアウトが生じるなど、一連の自然災害は、住民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼしました。
 電力や交通など私たちの生活に欠かせないインフラが、災害時にしっかりとその機能を維持できるよう、平時から万全の備えを行うことが重要であると考えています。
 このため、現在進めているインフラの総点検の結果を始め、これまでの災害を通じて培ってきた経験や教訓を踏まえ、国土強靱化基本計画を年内に見直し、インフラの老朽化対策を含め、中長期的な目標や方針を明らかにするとともに、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するなど、必要な予算を確保した上で、強靱なふるさと、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げてまいります。
 災害におけるソフト対策、地域防災力の向上についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、被災者支援については、被災者一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を、国と地方公共団体が連携して、切れ目なく行うことが重要であります。
 今回の一連の災害においては、既に存在する空き家、空き室を応急仮設住宅として積極的に活用するとともに、その入居要件を半壊であっても入居できるようにするなど、困難な避難所生活から一日も早く移行できるよう、対応を行いました。
 また、被災者が必要な情報を取得するため、避難所や観光案内所等でスマートフォン等の充電ができるようにするとともに、住民はもとより、訪日外国人などの旅行者も含め、災害救助の対象としたところであります。
 地域全体の防災力を向上させるため、自主防災組織の結成等を促進するとともに、自主防災組織の活動の中心となるリーダー等の育成支援や、企業、大学等と連携した消防団への加入促進などを図ってまいります。
 学校における熱中症対策、ブロック塀の安全対策についてお尋ねがありました。
 本年六月十八日に発生した大阪府北部地震では、倒壊したブロック塀に挟まれた女子児童が亡くなるという大変痛ましい事故が起こりました。また、連日記録的な猛暑に見舞われるなど、安全、安心な学校施設の整備は待ったなしの状況です。
 政府としては、御党も訴えられてきた熱中症対策としての公立小中学校等へのエアコン整備と、学校のブロック塀の倒壊防止の安全対策を推進する経費を平成三十年度補正予算案に計上しているところです。早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 このうちエアコン設置については、児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への新設を優先しつつ、地方自治体の実情に応じた対応を行ってまいります。
 また、通学路や一般道路に面している民間のブロック塀等について、まずは、ブロック塀等の安全点検のチェックポイントを公表し、安全性を確保するよう周知してきたところです。
 加えて、地方公共団体が指定する避難路に面するものについては、耐震改修促進法に基づき耐震診断を義務付けるとともに、ブロック塀の撤去費用等に対する支援の推進を検討しているところです。
 引き続き、ブロック塀等の安全の確保について徹底した啓発を行うとともに、規制や支援制度を総動員して、ブロック塀等の安全対策に全力で取り組んでまいります。
 生涯現役社会についてお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化は我が国にとって大きなピンチでありますが、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんの経験や知恵を社会でもっと生かしてもらうことで、日本はまだまだ成長できる。人生百年時代の到来は大きなチャンスであります。
 既に、未来投資会議において、七十歳までの就業機会の確保や、中途採用、キャリア採用の拡大など、生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、来年の夏までに実行計画を決定する考えです。その上で、予防、健康へのインセンティブ措置の強化や年金の受給開始のタイミングを自ら選択できる範囲を広げるなど、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を行う考えです。
 高齢者の皆さんが、年齢にかかわらず、元気で、学び、働くことができる生涯現役社会をつくり上げていく考えです。
 地方創生についてお尋ねがありました。
 山口代表の御指摘のとおり、若者を中心に地方への人の流れをつくっていくことが、美しく、伝統あるふるさとを守り、次の世代に引き渡していくための鍵であると考えています。
 こうした観点から、安倍内閣では、これまで、全国に人材拠点を設置し、都市部の人材と地域の中堅・中小企業のマッチングを進めてきました。既に、四千人を超える人材がこの枠組みで地域の中堅・中小企業で活躍しています。また、地域おこし協力隊を大幅に拡充してきました。現在、政権交代前の十倍以上、五千人の若者たちが協力隊として地方の新しい活力となっています。
 これに加え、地方から東京圏への転入超過数の九割以上が二十九歳以下の若者であり、大学進学や就職がそのきっかけとなっていることから、さきの国会において、きらりと光る地方大学づくりを支援するための法律を成立させたところであります。今後、さらに、UIJターンにより地方で起業、就職する若者たちを支援する新しい制度を来年度からスタートさせる予定です。
 地方にこそチャンスがあると、若者たちがそう考え飛び込んでいくことができる、自らの未来を託すことができる地方をつくり上げることで、まさに人が生きる地方創生を実現してまいります。
 幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、これまで幼児教育の無償化を段階的に進めてきましたが、今般、消費税率引上げ分の使い道を変更して、子供たち、子育て世代に大胆に投資することでこれを一気に進めることとしました。
 具体的には、三歳から五歳までの子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることとしました。現在、担当府省と地方自治体とで実務に関する議論を行う機会を設けるなど、様々な意見を伺いながら検討を進めていきます。
 引き続き、来年十月の実施に向け、地方自治体の皆様の御意見を丁寧に伺いつつ、準備を加速してまいります。
 消費税率引上げに係る対応策についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 軽減税率制度については、今後も、引き続き、関係民間団体等とも緊密に連携しつつ、制度の周知、広報等に努めるとともに、来年十月の実施に向けて、事業者の準備状況等を踏まえつつ、必要な措置を検討し、制度の円滑な実施につなげていきたいと考えております。
 ポイント還元といった新たな手法による支援については、現在詳細を検討中ですが、消費者に対しては、キャッシュレス対応の多様な選択肢を準備するとともに、端末の導入の支援や手数料の引下げに向けた取組などにより、中小・小規模事業者の皆さんが利用しやすい環境を整え、現場に混乱が生じないよう取り組む考えであります。
 自動車や住宅といった大型耐久消費財についても、来年十月一日以降の購入等にメリットが出るように、税制、予算措置を講じます。
 所得の低い方を中心に支援措置を検討する必要があるとの御指摘については、その御趣旨を十分に踏まえ、具体的内容を検討してまいります。
 自由貿易推進の意義と国内農業への対策についてお尋ねがありました。
 戦後、天然資源に乏しい我が国が目覚ましい経済成長を遂げることができたのは、自由貿易体制のおかげです。
 世界で保護主義の動きが広がる中、年内の発効が確実となったTPP11の拡大や日EU経済連携協定の早期発効、さらには、東アジア地域包括的経済連携交渉の早期妥結などを通じて、今後とも、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
 TPP11や日EU・EPAの交渉に当たっては、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、実際に国内生産に影響が出るかどうかということについてしっかりと注目しながら交渉し、結果として、農業者が再生産可能となるような措置を勝ち取ったものと考えています。
 さらに、それでもなお残る不安や懸念にもしっかり向き合い、政府として、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、産地パワーアップ事業や畜産クラスター事業等に加え、国産チーズの競争力強化対策、地理的表示の活用による輸出促進など、きめ細やかな対策を講じてまいります。
 中小企業施策についてお尋ねがありました。
 多くの中小・小規模事業者の皆さんが深刻な人手不足に直面する現在、生産性向上に向けた投資を力強く促すことで、ピンチをチャンスに変える発想が必要です。
 そのため、本年度から、固定資産税ゼロのかつてない制度を創設したところですが、御指摘のあったものづくり補助金の当初予算化も含め、今後、中小・小規模事業者の皆さんの投資促進策の強化に向けて検討を進めてまいります。
 そうした中で、中小企業経営強化税制を始め、今後の中小企業に対する税制の在り方についても、来年度税制改正に向けて、与党における議論を踏まえながら検討していく考えです。
 安倍内閣では、これまでも、近年の下請いじめの実態を踏まえ、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本改定するなど、下請取引の条件改善に取り組んでまいりました。
 今後、大企業の働き方改革や消費税率引上げに当たって、そのしわ寄せが下請企業に及ぶことがないよう、下請Gメンの体制強化やヒアリング調査の拡充によって関係法令の厳格な運用を行ってまいります。その上で、調査結果を踏まえ、更なる商慣行の見直しや取引条件の適正化にも取り組んでまいります。
 こうした施策を通じて、雇用の七割を支え、日本経済の屋台骨を担う全国三百八十万者の中小・小規模事業者の皆さんを力強く応援してまいります。
 日本外交の基本方針と国際社会における日本の役割についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、世界で保護主義の動きが広がる中、我が国は、自由貿易の旗手として、新しい時代の自由で公正な経済のルール作りをリードしていきます。
 国際社会が直面する課題については、パリ協定の着実な実施を通じ国際的な気候変動対策に貢献するとともに、海洋プラスチックごみ対策、防災といった課題について、問題解決のための世界全体での取組を主導してまいります。
 持続可能な開発、すなわちSDGsについては、人間の安全保障の理念に基づき、誰一人取り残さない社会を実現すべく、教育や保健の分野を始めとして、国際社会の取組をリードし、SDGsの達成に向け貢献してまいります。
 引き続き、地球儀を俯瞰する外交を積極的に展開し、国益を守り、地域や世界の平和と繁栄に貢献していく決意です。
 日中関係についてお尋ねがありました。
 山口代表には、連立与党のパートナーとして、九月に訪中された際にも、私の習近平主席への親書をお持ちいただき、多くの要人と精力的に会談するなど、これまで与党交流を通じた日中関係の発展に尽力いただいており、改めて感謝申し上げます。
 今回の私の訪中は、日中平和友好条約の締結四十周年という節目の年に日本の総理大臣として七年ぶりの公式訪問となり、習近平主席や李克強総理との間で長い時間を掛け大変率直で有意義な会談を行うことができました。
 国際スタンダードの上に競争から協調へ、隣国同士として互いに脅威とならない、そして、自由で公正な貿易体制を発展させていく。習近平主席、李克強総理と、これからの日中関係の道しるべとなる三つの原則を確認しました。そして、この原則の上に、共に世界の平和と繁栄に建設的な役割を果たしていくことで一致しました。
 隣国ゆえに様々な課題はありますが、この大局的な観点から首脳同士が率直に語り合うことで、そうした課題もマネージしていく、日中関係の新しい時代を切り開く訪中となったと思います。
 五月の李克強総理の訪日、今回の私の訪中に続き、次は習近平主席を日本にお招きし、首脳同士の相互訪問を通じて、政治、経済、文化、青少年交流、地方交流など、あらゆる分野で交流、協力を一層発展させていきたいと思います。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
 今回の訪中では、習近平主席、李克強総理との間で、朝鮮半島の非核化に向けて引き続き緊密に連携していくことを確認し、拉致問題に関する日本の立場について理解と支持を得ました。
 次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければなりません。最重要課題である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。
 北朝鮮には、豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。相互不信の殻を破り、拉致、核、ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を目指します。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものであります。これまで、政府として、既存の在留資格の課題への対応や地域社会との関わり、外国人の方の人権への配慮等について、これまで積極的、継続的に検討を重ねてきたものです。
 制度の運用に当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかりと実行に移し、外国人との共生社会の実現に向け、環境整備を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(石井啓一君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 通学路など一般道路でのブロック塀の安全対策についてお尋ねがありました。
 まず、六月十八日に発生をいたしました大阪北部地震におきまして、ブロック塀等の倒壊により亡くなられた方に対し、心よりお悔やみを申し上げます。
 ブロック塀等の安全対策は喫緊の課題であると認識をしております。このため、国土交通省は、これまでに、所有者等に向けた安全点検チェックポイントの公表、地方公共団体に対する塀の所有者等に向けた注意喚起の依頼、支援措置の周知、建築士関係団体等への協力依頼や、関係団体連絡会議の開催等を行っております。
 また、一部の地方公共団体におきまして、所有者への周知のほか、相談窓口の設置や防災・安全交付金の効果促進事業等を活用した支援に取り組んでおり、ブロック塀の撤去等に対する支援を推進をしてまいります。
 さらに、今後のブロック塀等の安全対策につきまして、通学路を含む避難路の沿道のブロック塀等について、建築物と同様に耐震診断を義務付けることができるよう、耐震改修促進法の政令等の改正に向けてパブリックコメントを行っているところであります。これに合わせて、ブロック塀等の耐震診断や、診断の結果、撤去等を行う場合の費用の補助について、平成三十一年度予算概算要求に盛り込んでおります。
 今後とも、ブロック塀等の安全対策について、関係業界や地方公共団体と連携をして対応してまいります。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(伊達忠一君) 大塚耕平君。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕
#8
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を目指す国民民主党・新緑風会を代表し、総理の所信に関して質問させていただきます。全て総理にお伺いをいたします。
 今年は各地で大規模な災害が続いています。犠牲者の御冥福をお祈りしますとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。
 国民民主党は、今なお不自由な暮らしを余儀なくされている皆様に寄り添い、復旧復興に全力で取り組んでまいります。
 災害復旧を中心とする補正予算に関して伺います。
 各地の被害の全容について、被害地域、被害金額、いまだ避難中の住民数、農業者、中小企業等からの要望等、政府が把握している情報を御説明ください。
 特に、北海道の本格的な冬を前に、胆振東部地震で全半壊した住宅の復旧、住民支援について、政府の対応を伺います。
 次に、今国会で審議が予定されている入管法改正案に関して伺います。
 政府は、労働力不足解消を目的として、就労目的の新たな在留資格を設け、事実上の永住を可能とする道を開くことを企図しています。巷間、移民政策とも言われており、国民の意見を十分に聞いた上で、慎重に検討すべき課題です。
 しかし、総理は、今国会で成立させ、来年四月から新制度を運用する意向を示しています。六月二十七日の党首討論でも指摘しましたが、いかにも拙速です。なぜそれほど急ぐのでしょうか。総理の認識を伺います。
 総理は、再三、移民政策ではないと発言していますが、総理の言う移民及び移民政策の定義をお伺いします。定義が共有されなければ、議論がかみ合いません。
 党首討論でも申し上げましたが、国際的によく引用される定義は、国連統計委員会の国連事務総長報告に基づくもので、通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも十二か月間当該国に居住する人を指します。また、国際移住機関は、他の居住地に移動する人を移民としています。入管法改正案で検討されている特定技能一号、同二号の外国人労働者はこれらの定義に該当します。
 詭弁を弄することなく、論点を正面から見据え、正直な議論を国会で行うべきです。外国人労働者の受入れ自体を否定するものではありませんので、実質的な移民に伴う問題を直視し、その対策を講じることこそ重要です。
 そもそも、移民政策ではないと強調するのはなぜでしょうか。総理は、移民は良くないと認識しているということでしょうか、お伺いいたします。
 外国人労働者の受入れ業種は当然法律事項とすべきです。総理の見解を伺います。
 また、受入れ業種の選定に当たっては、当該業種における有効求人倍率等、何らかの客観的基準に依拠すべきと考えます。総理の所見をお伺いします。
 受入れ業種選定が恣意的に行われれば、労働政策としての不合理性や政策決定に当たっての癒着等が生じかねません。六月の骨太の方針発表当時は報道等で五分野と言われていたものが、現在では報道等で既に十四分野に拡大しています。この間、特定業界等からの要望、陳情等があったのか否かを伺います。
 外国人労働者の受入れ数によっても影響は異なります。想定している特定技能一号、同二号の受入れ人数とそのペースを伺います。
 外国人労働者と社会保障制度の関係についても伺います。日本人と全く同様と考えているのか、何らかの違いを設けようとしているのか、基本的な考え方を伺います。
 外国人労働者と社会保障制度の関係については実態把握が必要です。例えば、現在でも、技能実習生は実習先の組合健保、協会けんぽに加入しますが、被保険者の三親等内親族も保険対象です。つまり、母国在住家族の医療費も組合健保や協会けんぽが負担します。その際、対象親族の年収制限は百三十万円未満。国によってはそれなりの水準であり、母国で普通に働いている親族が保険対象になり得ます。技能実習生のみならず、就労ビザで入国している外国人労働者のうち、企業勤務者は同様です。
 一方、就労ビザで入国した企業勤務者以外の者、例えば経営者など、また、非就労ビザで入国している留学生等は国保に加入できます。そのため、日本の国保を利用することを目的に、他の理由で就労ビザ又は非就労ビザを取得して入国するケースがあると聞きます。また、そうした入国及び国保加入をあっせんする業者も存在するようです。
 去る六月十九日、厚労省にヒアリングしたところ、公的医療保険には国籍要件がないため、加入者に占める外国人の割合及び公的医療支出における外国人向け支出の割合は把握できないとの回答でした。
 その後、厚労省が八月から実態把握のための調査を始めたと聞いています。一歩前進であり、当然の対応です。
 この調査では、どのような事項を調べ、その結果をいつまでに公表するのでしょうか。入管法改正案は、この調査結果を踏まえた上で最終案を確定するべきと考えます。調査結果と改正案の関係についてお伺いいたします。
 また、厚労省は、今年一月から、高額療養費制度利用認定証を申請した外国人について、留学生なのに通学していない、経営者なのに給与所得があるなどの理由で不正在留と判断した場合、入国管理局に通知する仕組みを試行していると聞きます。現在までの通知件数、入管が実際に在留資格を取り消した件数についてお伺いいたします。
 日本人労働者への影響についてお伺いいたします。
 移民先進国である米国や英国における研究では、外国人労働者増加により国内の競合労働者の賃金が下がる傾向にあることが明らかにされています。こうした傾向は、外国人を安い労働力として使うという対応から生まれる現象です。
 そもそも、日本では人件費を抑制する傾向が強過ぎます。三月一日の予算委員会、六月二十七日の党首討論でもお伝えしたように、先進七か国の中で、二十一世紀に入って自国通貨ベースの賃金が下落しているのは日本だけです。この傾向を是正しないと、安かろう、良かろうという流れから、外国人と日本人の労働賃金のダウンスパイラルが起きかねません。
 なぜ日本では賃金抑制傾向が強いのか。企業の経営体質、政府の政策上の原因、双方についての総理の認識を伺います。
 また、外国人の新たな就労ビザを創設するに当たり、日本人、外国人双方の賃金をめぐる労働政策等に関し、どのような工夫をするべきか、総理の考えをお伺いいたします。
 就労目的ではない技能実習制度において、昨年秋の見直しで、受入れ監理団体が登録制から許可制になりました。つまり、厳しくなりました。一方、就労目的のこの度の特定技能一号、同二号は、理屈上、それよりも厳格な管理制度にするのが筋ですが、受入れ監理団体に相当する登録支援機関は、骨太の方針において、個人でも設立可能であり、かつ登録制と記されました。悪質な登録支援機関がばっこする危険性があります。このような甘い仕組みにする意図と背景について、総理にお伺いいたします。
 入国管理局を出入国在留管理庁に格上げする対応は理解できます。その場合、どの程度人員を増強する計画か、総理にお伺いします。
 最後に、外国人労働者の子供についてです。
 公立学校での受入れ体制、公立学校以外で母国言語で教育を受ける場合の制度対応、高校授業料無償化や給付型奨学金における扱い等、検討課題は枚挙にいとまがありません。これらに関する総理の基本的な考え方をお伺いいたします。
 僅か四十八日の会期で日本社会の大転換につながる入管法改正案を審議することは、拙速に過ぎます。昨年秋の技能実習制度の見直し効果を見極めつつ、改正するにしても、ソフトランディングを旨とすべきことを進言いたします。総理の所見をお伺いいたします。
 次に、経済について伺います。
 一昨年六月、総理は二度目の消費税増税延期を表明しました。理由として、新興国経済の陰り、国際商品市況の下落等を挙げました。米中貿易摩擦に端を発して国際経済の不透明性が増しているため、先週来、世界の株価も不安定になっています。こうした中、来年の消費税増税は不退転の決意で断行するのか、それとも、世界経済等の動向いかんで三たび延期もあり得るのか、総理にお伺いいたします。
 仮に三たび延期があり得るのであれば、その場合の判断材料は何かもお伺いいたします。
 総理は、消費税増税をにらんだ経済対策の実施を打ち出しました。増税による経済押し下げの程度、それに対する経済対策規模及び内容についてどのような想定をしているのか、お伺いいたします。
 軽減税率については、何度も申し上げていますが、高所得者ほど恩恵を受けることから、逆進性対策にはなりません。また、軽減税率導入によって税収を失います。逸失税収規模及び財源補填策について、総理の考えをお伺いいたします。
 今や総理自身も連呼しなくなったアベノミクスですが、その柱は日銀による異常な金融緩和です。政策には必ずプラスとマイナスがあります。異常な金融緩和のマイナス面が看過されています。
 先週二十二日、日銀の白川前総裁が講演において、金融政策の効果は長続きしないと明言し、金融緩和に依存せず、財政健全化や構造改革に取り組むことを政府に求めました。白川前総裁のこうした指摘について、総理の認識をお伺いいたします。
 平成二十七年二月二十六日の参議院財政金融委員会において、私は日銀及び財務省の国債関連データの継続的公開を求めました。理事会協議の結果、以後、毎月初に当該データが財政金融委員会の委員に手交されています。その中の一つに、日銀の総資産対名目GDP比があります。今年八月、その数値はついに一〇〇を超えました。つまり、日銀が日本のGDP以上の総資産を持っているという状態です。その大半が国債であることは言うまでもありません。この状況について、総理の認識を伺います。
 総資産の中には、日銀が購入している株やETFも含まれます。政府として把握している日銀保有の株、ETFの全容及びその状況に対する総理の認識をお伺いいたします。
 さらに、日銀による株、ETFの購入が日経平均株価をどの程度押し上げているかという点について、総理の認識を伺います。
 日銀による異常な金融緩和の結果、邦銀は金余り状態が続いています。国内融資には回らず、大半は、ただいま述べた国債や株のほか、海外投融資に回っています。国際決済銀行の最新データによると、日本の海外投融資は約四兆ドルと世界最大になりました。過去五年間、米国、英国、ドイツ等が約三割減らしている一方、日本だけが約四割増加させています。
 国際経済の先行きに照らすと、この状況は日本として大きなリスクを抱えていると言えます。総理の認識を伺うとともに、リスク対策としてどのようなことを政策的に行うべきか、総理の所見をお伺いします。
 骨太の方針では、プライマリーバランス黒字化の目標時期が二〇二〇年度から二〇二五年度に先送りされました。景気回復による税収増が財政健全化を実現するとうたって異常な金融緩和を五年継続し、財政拡大とともに二度にわたって消費税増税を先送りし、その上でプライマリーバランス黒字化を丸々五年先送りしたことは、結局アベノミクスが財政健全化には寄与しなかった事実を示しています。この点に関する認識をお伺いいたします。
 次に、貿易問題についてお伺いします。
 今後の日本の通商外交にとって重要な原則の一つは、対等な日米関係です。いかに同盟国とはいえ、昨今のトランプ大統領の姿勢に対しては、日本としても苦言を呈し、場合によってはWTOに提訴する等の対抗措置も必要だと考えます。総理の基本的認識をお伺いします。
 一方、中国も、知的財産権の軽視、技術移転の強要等に関し、米国が指摘する問題を抱えていることも事実です。訪中において、総理は中国に対してどのような主張を行い、どのような成果を得たのか、説明を求めます。
 米中間の水面下の交渉も日本にとっては重要な問題です。米国の対中制裁関税第一弾、第二弾において、中国からの輸出品の主力であるパソコンと携帯電話が除外されました。第三弾でも、中国で生産されるアップルウオッチが除外されました。これらの背景に関し、どのような情報と認識を有しているのか、総理にお伺いいたします。
 米国は、北米自由貿易協定に代わるメキシコ、カナダとの新協定において、乗用車、ライトトラック、自動車部品に関して、通商拡大法二百三十二条発動時の除外輸出数量を定め、事実上の数量規制を導入しました。鉄鋼の制裁関税ではブラジル、アルゼンチン、韓国、アルミの制裁関税ではアルゼンチンが数量規制を受け入れました。
 これらに関して、政府が把握している事実関係を伺うとともに、日本は同様の内容を受け入れることは断じてないと言い切れるか否か、総理にお伺いします。
 そうした中で、日米物品貿易協定交渉開始を決めた九月二十六日の日米共同声明の項番五において、「米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。」と記されています。この内容は、米国内の自動車販売台数が頭打ちの状況下、日本から米国への輸出数量規制か日本企業の米国内での生産増がなければ実現しない内容であります。
 交渉妥結の際に自動車輸出の数量規制を受け入れるということなのか、そうでないならば、数量規制は絶対に受け入れないと明言できるのか否か、総理にお伺いいたします。
 所信で述べた戦後外交の総決算の意味を伺います。
 駐留米軍を撤退させ、真の独立を果たすという意味なのか、何がなされていないからまだ総決算が行われていないと認識しているのか、総理にお伺いします。
 対等な日米関係の実現こそ、戦後外交の総決算だと考えます。その観点から、米軍基地問題、とりわけ沖縄の基地問題は避けて通れません。
 辺野古への基地移設反対を唱えた玉城デニー氏が当選した知事選の結果は大変重いものです。ところが、知事が総理と会談した僅か五日後の十月十七日、沖縄防衛局が県による公有水面埋立承認の取消処分に対し、行政不服審査法に基づく審査請求、執行停止を申し立て、昨日、国交省が執行停止を決めました。県民の思いを軽視する不適切な対応と考えますが、総理の認識を伺います。
 また、十月二十六日、辺野古移設の賛否を問う県民投票を実施するための条例が県議会で可決され、来春までに実施されることとなりました。条例では、賛成が四分の一に達した意見に対しては、知事は結果を尊重しなければならないとしています。投票結果を尊重する意思があるか否か、総理にお伺いいたします。
 最後に、改造内閣の姿勢についてです。
 改造直後から新閣僚のスキャンダルが報道されている事態を憂慮いたします。中でも、唯一の女性閣僚である地方創生大臣に関して報道されている内容が事実であれば、大臣個人の問題にとどまらず、モリカケ問題で国民の信頼を完全に失い、既に地に落ちた税務当局及び財務省は、更に地中深く埋没する事態です。事実関係及び任命責任について、総理の認識を伺います。
 総理は、所信の最後に、第十九代内閣総理大臣原敬翁に言及いたしました。初の本格的政党内閣を実現した先人として、私も敬意を表します。
 しかし、いかなる政策、いかなる内閣、いかなる政治にも、必ず光と影があります。政治を担う者に必要なことは、光ばかりでなく、影も見詰め、正直に国民に説明し、深く自省することです。
 時に強引であったと言われる原翁の政治手法は、政治史において積極主義とも呼ばれ、功績の一方で、利益誘導型政治を定着させたとの指摘もあり、その象徴として、鉄道誘致をめぐる問題から、我田引鉄という言葉も生まれました。
 総理は、任期を全うすると在職日数が歴代最長となります。それだけ長く在職すれば、光がある一方、影も大きいことを自問自答していただきたいと思います。後世、自らの友人に利益を誘導したという意味で我友引益などという言葉が残らないよう、身を律していただくことを切に願います。
 国民民主党は、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を目指し、真摯かつ誠実に政治に向き合うことを国民の皆様にお約束し、質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えいたします。
 この夏の一連の災害に関して政府が把握している被害の全容及び北海道胆振東部地震に係る住宅の復旧、住民支援についてお尋ねがありました。
 この夏の一連の災害により、全国各地で、多数の人的被害、家屋被害のほか、農林水産業や観光業等、地域の基幹産業にも甚大な被害が生じました。北海道、岡山県及び広島県においては、いまだ合計で約五百名の方々が避難所における不自由な生活を余儀なくされています。
 特に、北海道においては、本格的な冬を迎える前に避難所等における生活から移行していただくことが重要です。現在、借り上げ型仮設住宅への入居が順次決定しているほか、建設型仮設住宅についても、十一月末までには約二百二十戸が完成予定です。また、今般の地震については被災者生活再建支援法が道内全域に適用されており、今後、随時、被災者への支援金の支払が行われる予定です。
 今回、一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 被災者支援については、被災からの時間の経過により変化する被災者の一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を切れ目なく行うことが重要であります。政府として、被災者が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、被災者の方々の生活、なりわいの再建に全力を尽くしてまいります。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 政府としては、いわゆる移民政策を取ることは考えておりません。移民や移民政策の概念は様々な文脈において多義的に用いられていると承知していますが、政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取ることは考えておらず、今回の制度改正はこの方針に沿ったものであります。
 すなわち、新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限を付して我が国に受け入れようとするものであります。
 現下の人手不足に対応することは喫緊の課題であり、これまで政府として、積極的、継続的に検討を重ねてきたものでありますが、異なる角度、視点から様々な御意見があることも承知しており、本制度の趣旨や内容について広く御理解いただけるよう取り組んでいきます。
 外国人材の受入れ拡充に係る受入れ業種等についてお尋ねがありました。
 新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものであります。
 制度の運用に当たっては、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、真に必要な業種に限り外国人材の受入れを行うこととしております。
 受入れの規模に関しては、現在、農業、建設、宿泊、介護、造船など十四の業種について外国人材受入れの希望が示されており、受入れの見込み数を精査しているところであります。
 外国人労働者と社会保障との関係、公的医療保険に関する調査についてお尋ねがありました。
 医療保険や年金は、外国人労働者にも既に日本人労働者とひとしく適用されており、今回の新たな外国人材の受入れに伴い、こうした制度を見直すことは考えていません。
 お尋ねの調査は、今般の出入国管理法の改正に関わりなく、医療保険の適正な利用の観点から、国民健康保険における外国人の被保険者数や保険給付の状況、市町村から入国管理局への通知件数や在留資格の取消し件数などを調べるものであります。調査の結果については、現在取りまとめを行っているところであり、本年中に公表したいと考えています。
 今後、その結果も踏まえ、外国人の医療保険の適正な利用に向けた対応について検討を進めてまいります。
 外国人労働者の受入れに当たっての賃金に関する認識についてお尋ねがありました。
 我が国は二十年間デフレ状況が続いていましたが、政権交代後、アベノミクスにより、極めて短い時間でデフレではないという状況をつくり出してまいりました。
 我が国の企業は、過去最高収益を記録している一方で、将来リスクへの備え等様々な要因を背景として内部留保が積み上がる中で、これを賃上げにつなげるよう必要な対策を講じてまいりました。その結果、賃上げは五年連続で今世紀に入って最も高い水準となり、特に中小企業は過去二十年間で最高となる所得環境の改善が進んでいます。
 また、新たな外国人材の受入れに当たっては、事業主に対する周知や外国人向け相談体制の強化を図ることなどにより、日本人と同等の報酬をしっかりと確保いたします。
 今後は、一定の専門性、技能を有する外国人材に即戦力として活躍いただきながら、着実に回り始めている経済の好循環を更に力強いものとしてまいります。
 外国人材の受入れ拡充に係る登録支援機関等についてお尋ねがありました。
 新たな受入れ制度においては、受け入れた外国人材に対する支援の実施主体として、出入国在留管理庁長官の登録を受けた登録支援機関を設けることとしております。
 登録支援機関は、支援計画に基づき、外国人材に対する職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を実施することが求められます。出入国在留管理庁は、実施状況に関する届出等を通じて、必要に応じて登録支援機関に対する指導、助言を行うほか、適切な支援を行わなかった場合等には登録を取り消すことができ、これらを通じて登録支援機関を適切に管理してまいります。
 また、今般、出入国在留管理庁を新たに設置し、管理体制を抜本的に強化することとしており、具体的には、平成三十一年度概算要求において、法務省からは、新たな外国人材の受入れに伴う出入国在留管理庁の設置に伴うものとして、三百十九人の増員要求が行われています。
 さらに、新たな受入れに当たっては、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかりと実行に移し、外国人児童生徒に対する教育環境整備についても、関連施策を一層積極的に推進してまいります。
 現下の人手不足に対応することは喫緊の課題であり、これまで政府として積極的、継続的に検討を重ねてきたものでありますが、異なる角度、視点から様々な御意見があることも承知しており、本制度の趣旨や内容について広く御理解いただけるよう取り組んでまいります。
 消費税率の引上げについてお尋ねがありました。
 五年半にわたるアベノミクスの取組により、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%増加し、過去最高となりました。消費についても、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で、二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。
 消費税率については、リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、来年十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定です。
 引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 具体的には、消費税率引上げ分の税収のうち半分を国民の皆様に還元します。子育て世代に大胆に投資し、来年十月一日から幼児教育を無償化します。
 軽減税率を導入し、家計消費の四分の一を占める飲食料品については、消費税を八%のまま据え置きます。
 引上げ後の一定期間に限り、中小小売業に対し、ポイント還元といった新たな手法による支援を行うなど、引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講じます。
 自動車や住宅といった大型耐久消費財について、来年十月一日以降の購入にメリットが出るように、税制、予算措置を講じます。
 二〇一九年度、二〇二〇年度の当初予算において臨時特別の措置を講ずることとしており、その具体的な規模や内容等については、各年度の予算編成過程において検討してまいります。
 軽減税率制度については、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があることから実施することとしたものであります。軽減税率制度の財源として確保が必要となる一兆円程度のうち、総合合算制度の見送りで確保した以外に必要となる〇・六兆円程度については、年末に向けて、歳入、歳出の両面から対応を検討してまいります。
 金融政策についてお尋ねがありました。
 政府としては、二〇一三年一月に公表した政府・日本銀行の共同声明に沿って、成長力の強化と持続可能な財政運営に取り組んでまいりました。
 引き続き、あらゆる政策を総動員し、デフレ脱却と経済再生を図りながら、歳出と歳入、それぞれの面からの改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
 日本銀行による国債やETFなどの買入れは、専ら日本銀行の判断の下に、物価安定目標等を実現するための金融政策の一環として行われているものと認識しております。その上で、日本銀行は、資産価格の動向を含む様々なリスク要因も十分に点検し、経済、物価、金融情勢を踏まえながら、黒田総裁のリーダーシップの下で適切に金融政策運営を行っていると理解しております。
 また、日本銀行が保有する株式及びETFについては、平成三十年九月末時点において、それぞれ約一兆円、約二十二兆円保有していると承知しております。これらの株式及びETFの買入れは金融政策の一環として行われているものであり、特定の株価水準を念頭に置いて実施されているものではないと承知しております。
 我が国の大手銀行グループは緩和的な金融環境の下で海外業務を拡大しているところ、リスク管理の状況については金融庁においてしっかりとモニタリングしてまいります。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 私の基本的な考え方は、経済再生なくして財政健全化なし。経済成長を実現し、税収を上げることで財政健全化も進めていくというものであります。
 政権交代後、アベノミクスにより、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%、六十兆円増加し、過去最高となりました。同時に、歳出と歳入それぞれの面から改革を行うことにより、財政健全化に大きな道筋を付けてまいりました。国、地方を合わせた税収は二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
 今般、少子高齢化を克服するため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度への転換を図ることとしました。
 これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となりました。ただし、日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は決して下ろさず、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
 米国や中国との通商外交についてお尋ねがありました。
 米国の通商拡大法第二百三十二条に基づく鉄鋼、アルミへの追加関税賦課については、日本は、WTOセーフガード協定上のリバランスの権利を保留しています。我が国としては、引き続き、米国との話合いを続け、本件の早期解決に努めてまいります。日本としては、ルールに基づく多角的貿易体制を重視しており、いかなる貿易上の措置もWTO協定に整合的であるべきと考えており、WTO協定に整合的ではない合意はするつもりはありません。
 九月の国連総会に際する日米首脳会談では、世界経済の自由で公正かつ開かれた発展を実現することへの決意を再確認しつつ、日米物品貿易協定の交渉を開始することで合意しました。日米共同声明の内容に沿って、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの観点から今後の交渉を進めたいと考えており、いずれにせよ、国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 先般の訪中においても、私と習近平主席及び李克強総理との間で、自由で公正な貿易を発展、進化させていくことで一致しました。同時に、過剰生産につながる補助金や知的財産、技術移転を含む問題について、中国側が更なる改善を図っていくことが重要である旨指摘しました。
 米国の中国に対する追加関税措置及び通商拡大法第二百三十二条に基づく輸入制限措置等についてお尋ねがありました。
 米国による中国への追加関税については、我が国も関心を持って緊密にフォローしていますが、個別品目がいかなる理由で除外されたかについては、第三国間のやり取りであることからコメントは差し控えます。
 いずれにせよ、GDP世界第一位、第二位の経済大国である米中両国が世界経済の安定的な成長と発展につながる関係を構築することが、我が国を含むアジアのみならず、世界全体にとっても重要であると考えています。
 米国・メキシコ・カナダ協定、USMCAの合意の下での通商拡大法第二百三十二条に基づく自動車等への追加関税や、御指摘の諸国に対する鉄鋼及びアルミニウムに関する追加関税賦課の内容については、米国通商代表部の発表等を通じて把握しており、それに至った経緯についても関心を持って情報収集していますが、第三国間のやり取りであるのでコメントは差し控えます。
 今般、日米物品貿易協定の交渉開始で合意するに当たり、協議が行われている間は、我が国の自動車に米国通商拡大法第二百三十二条に基づく追加関税が課されることはなく、共同声明の精神に反する行動は取らないことをトランプ大統領と確認いたしました。ルールに基づく多角的貿易体制を重視する日本としては、いかなる貿易上の措置もWTO協定に整合的であるべきと考えており、いかなる国ともWTO協定に整合的ではない合意をする考えはありません。
 今後の米国との交渉について、現時点で予断を持って申し上げることは差し控えますが、いずれにせよ、我が国として国益に反するような合意をするつもりはありません。
 戦後外交の総決算についてお尋ねがありました。
 所信表明演説で述べた戦後外交の総決算については、我が国に駐留する在日米軍を撤退させることを意図したものでは全くありません。米国との間では、平和安全法制に基づく取組等を通じて日米同盟の強化を図るとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に向け協力し、地域や世界の平和と繁栄に貢献してまいります。
 北東アジアでは、冷戦時代の構造が今なお残されたままとなっています。北朝鮮との間では、相互不信の殻を破り、拉致、核、ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。ロシアとは、領土問題を解決し、平和条約を締結します。中国とは、首脳間の往来を重ねると同時に、あらゆるレベルで両国民の交流を強化し、日中関係を新たな段階に押し上げてまいります。
 これが私が所信表明演説で述べた戦後外交の総決算であります。
 行政不服審査法に基づく審査請求等についてお尋ねがありました。
 選挙の結果については真摯に受け止めています。その上で、地方自治体の首長選挙の結果について政府の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。
 沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣による国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知しています。これは、法治国家として法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、これを尊重すべきものと考えています。
 住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。
 沖縄県における県民投票条例についてお尋ねがありました。
 地方自治体における独自の条例に関わる事柄について、政府として見解を述べることは差し控えたいと思います。
 いずれにせよ、安倍政権としては、基地負担軽減のため、できることは全て行う、目に見える形で実現するという方針の下、取り組んでいます。
 今後とも、抑止力を維持しながら、沖縄の皆様の心に寄り添い、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出してまいります。
 片山地方創生担当大臣に関する報道についての事実関係及び任命責任についてお尋ねがありました。
 閣僚の任命責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。その上で、政治活動については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が、その事実関係を含め、国民に不信を持たれることのないよう、常に襟を正し、説明責任を果たすべきものと考えております。(拍手)
#10
○議長(伊達忠一君) 理事が協議中でございますので、少々お待ちください。
 答弁の補足があります。内閣総理大臣安倍晋三君。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま、大塚耕平議員からの質問の中で、移民政策ではないと強調するのはなぜか、総理は移民は良くないと認識しているということなのかという御質問に対して、答弁漏れを指摘されましたので、改めて答弁をさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げたとおり、移民や移民政策の概念は多義的なものでありますが、政府としては、例えば、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取ることは考えておりません。これは大きな政策転換であり、国民の中に様々な御意見がある中でこれを行うべきではないと考えているからであります。
 それと、もう一点についてでありますが、外国児童生徒に対する教育環境等の整備等についての御質問がございました。
 外国人児童生徒に対する教育整備については、現在様々な具体的な項目については検討中でありますが、関連施策を一層積極的に推進してまいります。(拍手)
#12
○議長(伊達忠一君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#13
○副議長(郡司彰君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#14
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 この間、大阪北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害が連続しました。亡くなられた方、被災された方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 災害から国民の命と財産を守ることは政治の要です。その立場から二点提案します。
 一つは、被災者の住宅となりわいをどう再建するかです。
 東日本大震災では、いまだに五万七千人もの被災者が避難生活を強いられています。七年半もたつのに、なぜ住宅の再建ができないのか。インフラの点検だけでなく、被災者の住宅となりわいの再建に関わる問題点の把握こそ緊急に行うべきです。被災者生活再建支援法の支援金を五百万円に引き上げ、支援対象を半壊や一部損壊に拡大することも決断すべきです。
 もう一つは、被害を拡大させず、命を守るための防災対策です。
 大阪で九歳の児童らが犠牲となったブロック塀の倒壊も、倉敷市真備町で高齢者の多くが自宅一階で溺死した堤防の決壊も、その危険が早くから予測されていたにもかかわらず、危険を最小化する対策が取られてこなかったことが共通しています。何が原因なのか、どうすれば命を守り抜くことができるのか。底をついた検証を行い、防災対策の在り方を転換することが必要です。
 以上二点、総理の答弁を求めます。
 北海道胆振東部地震では、全道の二百九十五万戸が停電するブラックアウトが起こり、道民生活に大きな打撃を与えました。大手電力会社の全エリアが停電したのは初めてのことです。
 地震発生時、電力需要量の半分を苫東厚真石炭火力発電所の三基が一手に供給していました。その三基が停止し、電力の半分を失ったことが全道停電の決定的な要因となりました。
 総理、電力の安定供給のためには、大規模集中発電から分散型への転換が必要、これが北海道大停電が示した重大な教訓だと考えますが、いかがですか。
 この分散型の電力供給の対極にあるのが原発です。原発の特徴は、大出力かつ出力の調整ができないこと、そして震度五程度の地震で自動停止することです。もし北海道電力が泊原発を稼働していたら、その出力は電力需要量の七割近くを占めることになり、全道停電が起こるリスクは一層大きかったでしょう。
 総理、原発に固執することが分散型への転換を阻む最大の障害になっているとの認識はありますか。
 九州電力は、十月、四回にわたって一部の事業者が持つ太陽光発電からの電力の受入れを一時停止しました。九電は、秋は電力の需要が減り、需給バランスが崩れると大規模停電を起こすおそれがある、それを回避するための措置だと主張しています。しかし、原発四基を動かし続ける一方で太陽光発電を抑えるやり方は、再生可能エネルギー普及のブレーキになるとの懸念と批判が広がっています。
 総理、今回の事態は、原発再稼働を続ける限り再生可能エネルギーの普及は進まないことが明らかになったと考えますが、いかがですか。
 安倍政権は、エネルギー基本計画で、二〇三〇年度に電力の二〇ないし二二%を原発から供給することを目標としていますが、これは、既存の原発と建設中の原発、合わせて三十七基を全て稼働させるものです。国民の七五%が原発ゼロを求めていることに逆行します。
 今も多くの住民がふるさとの家に戻れずにいる東京電力福島第一原発事故の教訓に加え、原発が電力の安定供給のリスクとなり、再生可能エネルギー普及のブレーキとなっている点からも、原発頼みのエネルギー政策を根本から転換すべきです。日本共産党は、他の野党の皆さんと共同して原発ゼロ基本法案を提出していますが、その真剣な検討を求めるものであります。
 総理は、来年十月から予定どおり消費税を一〇%に増税すると宣言しました。
 しかし、四年半前、消費税を五%から八%に増税したことによって、家計消費は、一時的どころか、いまだに落ち込んだままで、二人以上世帯の実質消費支出は年二十五万円も減っています。総理、こんなときに増税を強行すれば、消費が一層冷え込み、景気がますます悪くなることは火を見るよりも明らかなのではありませんか。
 政府は、消費税増税は社会保障のためと言います。しかし、所得の少ない人ほど負担が重くのしかかる弱い者いじめの税金である消費税を、立場の弱い方々を支える社会保障の財源にするほど本末転倒はありません。
 しかも、現実はどうでしょうか。消費税が導入された一九八九年度から二〇一八年度までの三十年間で国民の皆さんから集めた消費税の税収を累計すると、三百七十二兆円に上ります。ところが、社会保障は充実どころか、年金は削られ、医療費の窓口負担は増やされ、介護保険の利用料は上げられるなど、改悪の一途をたどりました。
 どうしてこんなことになったのか。調べてみると、同じ時期に、法人三税の税収は累計で二百九十一兆円も減っています。つまり、消費税税収の約八割が、社会保障のためでなく、結果的に大企業を中心とした法人税減収の穴埋めに回されたことになります。これでは社会保障が良くなるわけがありません。
 安倍政権は、今回の増税も全世代型社会保障をつくるためだと言っています。しかし、財務省が財政制度等審議会などに示しているのは、後期高齢者医療制度の窓口負担の一割から二割への引上げ、介護保険の利用料の、これも一割から二割への引上げ、要介護一、二の生活援助の保険給付外し、そして、児童手当の給付対象から多くの共働き世帯を除外することなど、全世代にわたって社会保障を大削減する計画です。
 国民には社会保障のための増税と言いながら、実際は社会保障に削減の大なたを振るう、国民をだまし討ちにするようなやり方はもうやめるべきではありませんか。財源というなら、アベノミクスで純利益が二・三倍に増えた大企業、保有資産が大きく膨らんだ富裕層にこそ応分の負担を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。
 今回の消費税増税に伴って導入されるインボイス制度は、中小零細事業者にとって深刻な問題です。年間の売上げが一千万円以下の免税業者は、インボイス、適格請求書を発行できません。しかし、納入先はインボイスがなければ仕入れ税額控除ができなくなり、過大な税負担を強いられます。そのために、五百万とも言われる免税業者が取引から排除されてしまうことになります。だからこそ、日本商工会議所など中小企業団体がこぞって反対しているのです。
 総理は、インボイスの導入によって中小零細事業者が取引から排除されることを認識しているのですか。消費者だけでなく、中小零細事業者にも致命的な打撃を与える消費税一〇%への増税は、直ちに中止すべきであります。
 政府が検討している入管法改定案は、百二十八万人に上る現状の外国人労働者の人権侵害をそのままに、どの分野にどれだけ受け入れるのかなど重要な問題を法制定後政府に全て委ねてしまう白紙委任立法です。このまま閣議決定するなど断じて許されません。
 現在の技能実習生制度は、一つ、職業選択の自由、居住の自由など個人の尊厳と基本的人権を制度として奪っている、二つ、労働者として保護するといいながら、実際には労働基準法や最低賃金法すら守られていないという重大な問題を抱えています。背後にブローカーが暗躍する実態もあります。
 総理、こうした現状を正さないまま、なし崩し的に外国人労働者の受入れ対象を拡大するなら、世界から尊敬されるどころか、人権後進国として軽蔑されることになるのではありませんか。まずやるべきは、外国人の人権を制限している制度を根本から見直し、現にある人権侵害をなくすことではありませんか。
 我が党は、外国人労働者の基本的人権が保障される受入れ制度を整えて秩序ある受入れを進めていくべきであり、そうしてこそ日本人の労働者の権利と労働条件を守ることにもつながっていくと考えるものであります。
 自民党衆議院議員が、LGBTのカップルは生産性がないなどとした暴言を雑誌に寄稿しました。LGBTの人たちへの偏見をあおる差別発言であり、憲法に保障された個人の尊厳を冒涜する人権侵害の発言であります。ところが、総理は、まだ若いからと擁護し、不問に付す許し難い態度を取っています。
 総理は、この発言で傷ついた人たちの気持ちをどう考えているのですか。
 政治家のモラルが最も問われなければならないのは、安倍総理、あなた自身です。森友、加計学園問題では、安倍総理の説明に納得していない国民が七割に上るなど、国民の多くは総理がうそをついていると思っています。その総理のうそを隠すために公文書が改ざん、隠蔽され、国会で虚偽答弁が繰り返されたのです。
 違うというのなら、鍵を握る安倍昭恵氏、加計孝太郎氏の国会招致と証人喚問を堂々と行うべきではありませんか。
 九月二十六日に行われた日米首脳会談について、総理は、合意した日米交渉は、TAG、物品貿易協定であって、包括的なFTA、自由貿易協定とは全く異なると弁明しています。しかし、首脳会談で合意した日米共同声明の英文の正文を見ると、TAGという言葉はどこにもなく、FTA交渉開始の合意そのものであることは明らかです。
 総理、合意したのはFTAそのものではないのですか。ごまかしはやめて、国民に正直に説明すべきではありませんか。
 日本の食料主権と経済主権を身ぐるみ米国に売り渡すことになるFTA交渉開始に合意しながら、外交文書の翻訳まで捏造し、うそで国民を欺く、こんなひきょう、卑劣なやり方は断じて許されません。
 九月三十日に行われた沖縄県知事選挙で、沖縄に新たな米軍基地は造らせないと命燃え尽きる瞬間まで闘い抜かれた翁長雄志前知事の遺志を継ぐ玉城デニー候補が、過去最多の得票を得て大差で勝利しました。沖縄県民は辺野古新基地建設ノーの民意を明確に示した、総理はそう受け止めないのですか。
 当選したデニー知事との会談で総理は県民の気持ちに寄り添うと述べながら、その僅か五日後、沖縄県の埋立て承認撤回に対し効力停止を申し立てる対抗措置に乗り出し、昨日、国土交通大臣は、不当にも埋立て承認撤回の執行停止を決定しました。安倍政権は沖縄県民の声を聞く耳は持たないということですか。
 そもそも、国民の権利を守るためにある行政不服審査制度をねじ曲げて、防衛省沖縄防衛局が国土交通大臣に不服審査を申し立てるなどというのは、自作自演の茶番劇と言わなければなりません。
 この決定に対し、玉城デニー沖縄県知事は、結論ありきで法治国家にあるまじき態度だ、公平性、中立性を欠く判断に強い憤りを禁じ得ないと抗議しています。県民は、翁長さんの命懸けの撤回を僅か数枚のペーパーでなきものにするのかと怒りに震えています。
 総理、民主主義も地方自治も法治主義も破壊する、国交大臣による無法な決定は取り下げるべきです。沖縄の揺るがぬ民意を尊重し、辺野古新基地建設の中止、普天間基地の即時閉鎖、撤去を掲げ、米国と交渉することこそ、日本の総理のやるべきことではありませんか。答弁を求めます。
 これまで安倍政権は、辺野古新基地建設を始め、安保法制、軍備拡大などを進める上で、北朝鮮の脅威を最大の口実にしてきました。しかし、朝鮮半島で対立から対話への歴史的な転換が起こっています。三回に及ぶ南北首脳会談、初の米朝首脳会談によって、朝鮮半島の非核化と平和に向けた歴史的合意が交わされました。
 総理も所信表明演説で、歴史的な米朝首脳会談によって北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています、この流れに更なる弾みを付け、朝鮮半島の完全な非核化を目指しますと述べられました。しかし、国際社会が北朝鮮の核・ミサイル問題の対話による平和的解決の流れを促進する様々な努力をしている中、流れに弾みを付けるどころか、逆行しているのが日本です。
 今年の防衛白書では、北朝鮮問題について、これまでにない重大かつ差し迫った脅威だと述べ、引き続き日米軍事一体化を進め、大軍拡を進める口実にしています。
 総理、この防衛白書の認識は、対決から対話への歴史的転換を全く無視しているのではありませんか。
 さきの日米首脳会談後の会見でトランプ大統領は、私が、日本は我々の思いを受け入れなければならない、巨額の貿易赤字は嫌だと言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになったと述べました。
 総理、トランプ大統領とのこのやり取りはどの場で行われたのですか。具体的にどのような武器をどれだけ買うことが話し合われたのですか。お答えください。
 防衛省の来年度概算要求には、陸上配備型迎撃システム、イージス・アショア本体を二基導入するために二千三百五十二億円もの関連経費が計上されています。しかし、配備候補地としている秋田県や山口県では、電磁波の影響やテロ攻撃の標的になることへの不安とともに、北朝鮮情勢が変わっているのになぜ必要かという批判が噴出しています。
 地元や住民の合意なしに計画を進めることなどあってはなりません。米側の武器購入要求に唯々諾々と応じ、朝鮮半島の平和と安定に背を向け、逆に情勢を悪化させることになるイージス・アショアの配備は中止することを強く求めるものであります。
 総理は、国連総会での首脳会談で、韓国の文大統領の強いリーダーシップに対し敬意を表すると述べられました。文氏は、朝鮮半島で絶対に二度と戦争は起こしてはならない、対話しか解決の道はないとの信念で、南北、米朝首脳会談を実現し、画期的な外交イニシアチブを発揮しました。軍事ではなく対話の平和外交でこそ事態の解決が進む、まさにこれは憲法九条が指し示すものであります。
 にもかかわらず、総理は九条改定に執念を燃やしています。今ある自衛隊をそのまま書き込むだけで、自衛隊の任務も権限も変わらないと言いますが、九条に自衛隊を明記すれば、九条二項の空文化、死文化に道を開き、海外での武力行使が無制限になってしまいます。
 今、日本に求められているのは、平和の激動に逆らい、九条を変えて戦争する国づくりを進めることでは断じてありません。北東アジアに生きる国として、この地域に平和体制を構築するための外交的イニシアチブを発揮することこそ、憲法九条を持つ国として政府がなすべきことだと考えますが、総理の見解を求めます。
 日本共産党は、安倍政権による九条改憲を許さない一点で立場を超えた共同を広げ奮闘する決意であることを述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えいたします。
 被災者の住宅となりわいの再建等についてお尋ねがありました。
 東日本大震災による避難者数は五万六千人に減少しましたが、いまだ多くの方が仮設住宅での不便な生活を強いられています。また、平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震など、本年も多くの災害が生じており、これらの災害の被災者の方々が一日も早く安心できる生活を取り戻せるよう、被災自治体と連携して、地域の課題やニーズの把握に努め、被災者に寄り添いながら、住宅・生活再建に向けた支援やなりわいの再建に向け、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
 被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものです。このような制度の趣旨からすれば、支給対象の拡大や支給額の引上げについては、国や都道府県の財政負担等の課題があり、慎重に検討すべきものと考えます。
 ブロック塀等については、過去の地震による被害を踏まえ基準を強化していますが、現行基準に適合しない古いものであることから、安全点検のチェックポイントを公表し周知するとともに、避難路に面するものについては、耐震診断の義務付けや撤去費用等に対する支援を検討しているところです。
 また、平成三十年七月豪雨では、小田川等がバックウオーター現象等に伴う越水等により堤防決壊し、尊い命が失われるなどの甚大な被害が生じました。今回の被害を踏まえて、抜本的な治水対策を進めるため、事業を集中的に実施し、再度の災害を防止することとしています。
 今回の一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 被災地の皆様の命を守り、安心を確保できるよう、引き続き検証を行い、防災対策をしっかりと進めてまいります。
 北海道におけるブラックアウトの教訓についてお尋ねがありました。
 今回の北海道胆振東部地震におけるブラックアウトと同様な事象を繰り返さないため、現在、電力インフラの総点検を実施しております。十一月中に対策パッケージを取りまとめ、災害に強い電力供給体制を構築してまいります。
 原発政策に関連して、分散型への転換、再生可能エネルギーの普及、原発ゼロ基本法案についてお尋ねがありました。
 現在、多くの原発が停止している中で、東日本大震災前に比べ、一般家庭で平均で約一六%電気代が上昇し、国民の皆様に経済的な大きな御負担をいただいている現実があります。こうした経済的なコストに加え、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。
 様々な電源によるベストミックスを追求する中で電力の安定供給を維持するためには、それぞれの電源の特性を踏まえながら、あらかじめ決められたルールに基づき出力制御を実施することが必要であります。そうした中でも、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが安倍内閣の一貫した方針であります。
 また、分散型エネルギーは、非常時にも活用できるエネルギー供給源を確保する点や地域活性化にも資する点から重要と考えます。政府としては、これまでも地産地消型エネルギーシステムの構築に対する支援などを行ってきておりますが、今後も、自家発電設備や蓄電設備の整備を支援するなど、分散型エネルギーの普及を後押ししてまいります。
 なお、議員提出法案の扱いについては、国会の運営に関わるものであり、国会がお決めになることであると考えます。
 消費税率引上げの影響についてお尋ねがありました。
 前回の二〇一四年四月の消費税率引上げの際には、耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じ、景気の回復力が弱まることとなりました。だからこそ、この間、我々はしっかりと三本の矢の政策を進めてまいりました。その結果、消費は、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。
 来年十月に予定されている消費税率の引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 社会保障の財源とその負担の在り方についてお尋ねがありました。
 社会保障の充実については、これまでも、消費税率の引上げに伴う増収により、持続可能性を確保しながら、待機児童の解消や低所得者の医療・介護保険料の軽減などを実施してきたところです。
 来年十月に予定する消費税率引上げに際しては、その使い道を見直し、半分を国民の皆さんに還元します。子供たち、子育て世代に大胆に投資することで、来年十月から幼児教育を無償化いたします。
 少子高齢化という国難に正面から取り組むため、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換してまいります。
 なお、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んでまいりましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベースの拡大により、財源をしっかり確保しております。さらに、金融所得課税の見直し等を講じてきたところであります。
 今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
 インボイス制度の免税事業者への影響についてお尋ねがありました。
 インボイス制度は、複数税率の下において適正な課税を確保する観点から導入するものであります。
 他方、インボイス制度を導入すれば、免税事業者が取引から排除されるのではないかなどと懸念する声があるのも事実であり、政府としては、免税事業者が課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を決めていただくよう、インボイス制度の導入までに四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることとしています。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度ですが、一部の監理団体や受入れ企業において労働関係法令違反や人権侵害が生じている等の指摘があることから、制度を見直し、昨年十一月に技能実習法が施行され、制度の適正化を図っているところです。
 新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものです。
 受入れに当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対策をしっかり実行に移し、在留のための環境整備について関連施策を積極的に推進することとしております。
 LGBTに関する発言についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないことであります。多様性が尊重され、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に政府としてしっかり取り組んでまいります。
 国会招致と証人喚問についてお尋ねがありました。
 行政プロセスが公正公平に行われたかについては、引き続き政府においてしっかりと説明責任を果たしてまいります。その上で、国会の運営については国会がお決めになることだと思います。
 日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。
 これまで我が国が結んできた包括的なFTAでは、物品貿易に加え、サービス貿易全般の自由化を含むものを基本とし、さらに、知的財産、投資、競争など、幅広いルールを協定に盛り込むことを交渉を開始する段階から明確に目指してきました。
 しかし、今回の日米共同声明では、サービス全般の自由化や幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が結んできた包括的なFTAとは異なるものと考えています。
 他方、FTAについて国際的に確立した定義が存在しないことも事実であるため、言葉遣いの問題として、今回の交渉についてFTAの一種ではないかとの御意見があることは承知しています。
 そうした中で、私が、これまでFFR協議について、FTA交渉でもFTAの予備交渉でもないと申し上げてきた最大の理由は、国内の農林漁業者の皆さんにTPP以上の関税引下げが行われるものではないかとの懸念があったためであり、農林水産業は必ず守り抜くとの思いから申し上げてきたものであります。
 そして、今回は、日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意しました。この点が最大のポイントであり、この前提の上に今後米国と交渉を行い、我が国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意であります。
 沖縄における選挙結果、国土交通大臣による執行停止決定、普天間飛行場の返還についてお尋ねがありました。
 選挙の結果については真摯に受け止めています。その上で、地方自治体の首長選挙の結果について政府の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。
 沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣による国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知しています。これは、法治国家として法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、これを尊重すべきものと考えています。
 住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 普天間飛行場を移設した上で全面返還するとの方針は、米国政府との間で累次にわたり確認しているものです。
 政府としては、現在の日米合意に基づき、抑止力を維持しながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。
 今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、沖縄の皆様の心に寄り添い、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出してまいります。
 防衛白書の記述についてお尋ねがありました。
 防衛白書における我が国を取り巻く安全保障環境に関する記述は、様々な情報を総合的に分析、評価した上で、極力客観的な記述に努めたものと考えています。
 また、北朝鮮に関しては、金正恩委員長が朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を改めて文書の形で明確に約束した意義は大きいとも記述していると承知しています。
 いずれにせよ、歴史的転換を無視しているとの御指摘は当たらないものと考えております。
 米国製装備品に関するトランプ大統領とのやり取りについてお尋ねがありました。
 本年九月に行った日米首脳会談において、私から、米国製の防衛装備品を含め、高性能な装備品を導入することが我が国の防衛力強化のために重要であると考えている旨をトランプ大統領に説明したところです。
 日米首脳会談のやり取りの一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと思いますが、防衛装備品の導入については、五か年計画である中期防衛力整備計画に基づき、米国製の防衛装備品を含め計画的に取得しており、今後とも、我が国の主体的な判断の下、防衛力の強化を行っていく考えです。
 イージス・アショアについてお尋ねがありました。
 我が国の防衛を考える上で、我が国を射程に収める数百発の弾道ミサイルが現実に存在するという事実から目を背けることはできません。
 防衛装備品については、事態が切迫してから取得しようとしても数年間という長期間を要します。国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応し得るよう、平素から万全の備えを取ることは当然のことであると考えています。
 イージス・アショアは、あくまでも我が国の主体的な判断により導入を進めているものです。
 また、弾道ミサイルから国民の生命、財産を守る純粋に防御的なシステムであり、周辺諸国に脅威を与えるものではありません。地域情勢を悪化させるとの御指摘は当たらず、導入を中止することは考えていません。
 もとより、イージス・アショアの配備に当たっては、地元の皆様の御理解をいただくことが大前提であり、様々な御懸念や御要望について一つ一つ丁寧に対応していく考えです。
 北東アジア外交と憲法についてお尋ねがありました。
 六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
 同時に、国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な任務であり、いかなる事態にも対応し得るよう万全の備えを行ってまいります。
 憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、お尋ねですので、あえて私が自民党総裁として一石を投じた考えを改めて申し上げるとすれば、現行の憲法第九条第一項及び第二項の規定を残した上で、自衛隊の存在を憲法に明記することによって、自衛隊の任務や権限に変更が生じるものはないと考えています。
 他方、現在、自民党の党内において行われている憲法改正をめぐる議論の状況や方向性についてお答えすることは差し控えたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#16
○副議長(郡司彰君) 片山虎之助君。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕
#17
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 私は、我が党を代表して、安倍総理に質問いたします。
 まず、本年の大阪北部地震、西日本異常豪雨、北海道胆振東部地震、そして台風二十一号を始めとする度重なる台風被害により亡くなられた方々及び御遺族に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災者全てに心よりお見舞いを申し上げます。
 政府には、被災者の一日も早い生活再建と災害復旧復興のため、万全の措置を講ずるようお願いします。
 また、身を粉にして被災者の救助や復旧復興に懸命の努力をされた自衛隊、消防、警察、ボランティアその他の皆様にも厚くお礼を申し上げます。
 我が国は元々自然災害の多い国ですが、今年は連続して発生、しかも、スピード化、異常化してきたため対応が難しく、被害が拡大しました。
 まず、予報、警報の発令、伝達です。
 実際に岡山県倉敷市に出た予報、警報は十七種類もあり、驚きました。
 多くの主体が大小様々の予報、警報をばらばらに出す、伝達するタイミングもそれぞれの都合で、言葉が氾濫しめり張りがない。知見のない受ける側が混乱するのは当然です。内容を簡略化し、言葉遣いもそろえ、少なくとも、携帯端末等、個々人に直接届く警報については主体を統一、例えば市町村にワンボイス化すべきです。
 また、重要警報は関係地域を絞り、その住民全員に徹底させる、防災用無線かそれに類する装備を高齢者家庭等に無償貸与する等が必要ですが、いかがでしょうか。また、急増する外国人労働者にどのように発信していくおつもりですか、お答えください。
 避難勧告や指示には強制力がありません。そのため、実効性が不十分で、ある統計によると、避難実行は僅か〇・五%にとどまっています。これをどう是正するか、法制面のみならず実態面での検討が必要です。総理、いかがお考えですか。
 北海道でのブラックアウトには日本中に衝撃が走りました。今後の防止策として、個々の発電所の防災対策を強化し、電力の広域的な融通を整えることは前提です。
 今回、北海道では、道内需要の約半分を苫東厚真発電所が担う一極集中の電力システムでした。二〇一二年には、九州電力でもブラックアウト寸前の事態に陥りました。他の地域でも起こり得ます。
 日本の電力供給体制を大規模設備に一極集中するのではなく、再生可能エネルギーをも含む発電装備を分散する電力の地産地消化を進めるべきです。総理、いかがですか。
 再生可能エネルギーも、太陽光偏重から、地熱、洋上を含む風力、木材や家畜排せつ物などのバイオマスに重点を移すべきです。そして、電力の安定供給体制の構築は誰が責任を持って行うのか。電力の自由化が進む中、電力会社が主導すれば経営優先になるおそれがあります。答弁を求めます。
 政治姿勢について申し上げます。
 さきの通常国会で、与党は、参院選挙制度改革を全野党が反対する中で強行し、六人の定数増を行いました。消費増税など国民には新たな負担を課すにかかわらず、身を切る改革に逆行する措置は誠に遺憾です。
 我が党は、この冗費を抑え、国会改革を進める観点から、衆参両院予算、両院で三十四・七億円、参院で十二・三億円の削減を提案しております。第一、議員報酬二割、月額十八万円のカット、二、関係書類等のペーパーレス化、三、公用車の民間委託廃止、四、委員長手当の廃止、五、海外派遣経費の縮減等です。総理に、内閣総理大臣としてでなく、自民党総裁としての御所見を伺います。
 憲法改正について申し上げます。
 我が党は、一昨年三月に憲法改正原案をまとめ、公表しています。それは、一、教育の無償化、二、地方分権、国の統治機構改革、三、憲法裁判所の設置の三項目です。
 そもそも、憲法は、国の最高法規であり、国の権力の在り方を定める最重要案件ですから、主権を持つ国民が最終決定権者です。それなのに、現憲法については、制定過程から今日まで、七十年以上も国民が参画せず、国民投票もされなかったことに最大の欠陥があります。これは憲法の発議権を持つ国会の怠慢だと私は考えますが、いかがですか。
 また、憲法は国民全てのものです。国民が憲法に親しみ、憲法を誇りにし、憲法がより良くなることを願うのは自然の姿です。そのため、衆参の憲法審査会という国民に開かれた場で徹底した議論を行い、国民に憲法を理解できる十分な素材を提供することは、発議とともに国会の重要な役割だと考えますが、総理の御所見を伺います。
 国民投票まで行うと、大阪都構想の住民投票の例で見るように、一気に国民の認識が進み、関心が盛り上がります。それは憲法が真に国民のものとなる大変望ましい事態です。現在は国民の間に憲法改正の機運が乏しいので国会で改正論議をすべきでないという意見があります。これは憲法の最終決定権者である国民を愚弄するものだと私は考えます。総理の御所見を伺います。
 来年十月の消費増税一〇%への引上げに我が党は反対します。既に予算委等で、消費税の引上げには、景気の本格的回復、身を切る改革の断行などの四項目の実現が必要と主張してきましたが、果たされていません。
 総理は、引上げに当たり、景気の腰折れをなくすべく、あらゆる施策を総動員し、全力で対応すると述べ、既にもろもろの税制、予算措置が政府・与党で検討されています。しかし、本当にこれらが必要とは私には思えない。今までの例でも、単なるばらまきに終わるおそれが強い。
 我が国では、今後、各種災害の復旧復興予算や東京オリパラ関連予算など、膨大な歳出が予定されています。今の我が国の財政に、これら全てに耐えることができるのか、総理の答弁を求めます。
 総理は歳出改革に取り組むと言われるものの、実際は毎年度補正予算が常態化して歳出は肥大化する一方で、二〇二〇年までのプライマリーバランスの黒字化は不可能となりました。この黒字化とは、国の借金が新たに増えないというだけで、減るわけではありません。黒字化は結局五年先送りですので、消費税を一〇%にしても、その間、国の借金は増え続けるのです。二〇二五年に黒字化という今回の目標も、前回と同様、高い経済成長率を前提にしていますから、達成は困難と既に評価が確定しています。達成には思い切った社会保障制度への切り込みが必要ですが、総理、できますか。お答えください。
 我が党は、軽減税率の導入にも反対します。反対する理由は幾つもあり、既に長い実施の歴史を持つヨーロッパ諸国でも反省が広がっています。また、軽減税率の導入には一兆円の確定した財源が必要ですが、四千億円はどうにか措置できるとのことでも、あとの六千億円はどうなりますか。答弁を求めます。
 軽減税率は逆進性対策にならないというのが定説です。とすれば、逆進性を抑えるためには富裕層の課税強化が必要で、例えば所得税の最高税率を上げたり、金融所得への課税を強化しなければ不公平が拡大します。総理の御所見を伺います。
 国民の更なる懸念は、消費税一〇%から先にどれだけ上がるかです。税と社会保障の一体改革は二〇二五年までを想定したもので、それ以降のことは考慮していません。仮にこの考え方を延長すればどうなるのか。逆に言えば、消費税をどこまで上げれば持続可能な財政と社会保障制度になるのか、消費税率は一五%なのか、二〇%まで行くのか。最長政権ならばこれに答えを出すべきだという指摘もあります。総理の忌憚のない答弁を求めます。
 一定の技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格が提案されるようです。人口減少の我が国では、地域や業種の実情から見て、一定の条件を満たす外国人材のなだらかな受入れはやむを得ないと私は考えます。ただし、今回の案は、ほとんどこれまで言う移民です。それでも移民とは言いたくない本当の理由は何なのか、お教えください。
 今回の案は一歩前進だとしても、いまだに全体像がはっきりせず、細部も決まっていません。まず、これをはっきりさせる必要がありますが、気が付く問題点を挙げれば、なし崩し的な受入れにならないかどうか、入口である人手不足産業の判定はどうするのか、厳し過ぎると人手不足対策とならないし、甘過ぎると野方図になる。日本人の雇用に悪影響が出ないよう、人手不足が解消したら一時停止するとしていますが、そんなに都合よくいくものでしょうか。答弁を求めます。
 また、治安の悪化を起こさないよう、入国後の在留資格の審査は適切に行いつつ、処遇、待遇を含め、外国人や家族が地域社会と共生できる、そんな受入れ体制の構築が求められます。しかし、そうなると、保険財政の悪化、労働法制、地方参政権の扱い等、難しい問題が出てきます。さらに、各国と受入れ人材の獲得競争が激化すれば我が国はどうするのか、総理の御所見を伺います。
 当面の外交交渉について順次質問します。
 日米首脳会談の共同声明では、TAGとサービスを含む分野で交渉する、TAGの後に他の貿易、投資の事項も交渉すると表明しています。ペンス米副大統領は二国間のFTA交渉を始めるとストレートに発言するなど、米国ではTAGの文言を用いていません。総理は包括的なFTAとは異なるものだと強調されますが、当面サービス貿易の交渉はしないとしても、将来的にはそれを含むFTAの交渉になるというのが正確なところではないですか。また、ムニューシン米財務長官は為替条項の導入を求めると言い出しています。どう対処されますか。
 総理は、米国と輸入自動車への高関税措置を交渉中は発動しないことで確認したと説明されましたけれども、共同声明にはその旨はありません。本当に大丈夫でしょうか。また、米国が関税でない数量規制を要求してくることはありませんか。答弁を求めます。
 茂木担当大臣は、農産物について、パッケージとしてはTPP以上のことはできないと、一部品目ではTPPを超える譲歩をする可能性があることを示唆しています。パーデュー米農務長官は日欧EPA以上の譲歩を求める姿勢を強調しており、農産物につきTPPで合意された水準を守ることを信じていいのかどうか、総理にお伺いします。
 九月、ウラジオストクで突如プーチン大統領が前提条件を付けずに本年末までに平和条約を結ぶことを提案しました。プーチン提案はその日に安倍総理が拒否したと報じられていますが、事実でしょうか。年内に二度機会がある日ロ首脳会談ではどう論議されますか。また、北方領土の軍事演習については強腰で臨むべきだという意見が出ています。どう対応されますか。
 せんだって発表の共同経済活動の中身に目ぼしいものがなく、今後ともスムーズに推進されるとは思われません。改めて総理の御所見をお聞きします。
 北朝鮮の非核化は、掛け声とは裏腹に難航です。二回目の米朝首脳会談を開催できても、進展するかどうか、保証はありません。それを前提に、拉致問題の解決のため今後どういう戦略をお持ちですか、お答えください。
 また、非核化が動かなければ、北朝鮮への経済制裁の持続は当然として、現在進めているミサイル防衛体制、イージス・アショアの配備等も何らの変更もないと考えてよいのか、総理の答弁を求めます。
 総理は、七年ぶりの日中首脳会談で、日中関係を競争から協調へなど新たな段階に発展させることで合意されました。北朝鮮問題の解決には中国の協力が不可欠ですし、東アジアの安定のためにも日中の友好関係は重要です。しかし、現在、中国は、米中貿易戦争、一帯一路構想の難航など厳しい状況にあるからこそ、頼りになる日本に急接近してきたという大方の見方は当たらずといえども遠からずでしょう。中国の姿勢がまた変わる可能性があるとしても、日本は変わらず引き続き戦略的思考に立って中長期的な関係安定を探るべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
 最後に、最長となる安倍政権に二項目について要望します。
 一つは、人生百年時代を見据え、健康寿命を延ばす努力をしながら、働く意欲と能力を持つ全ての高齢者が働ける環境づくりを急ぐことです。そのため、まず継続雇用年齢六十五歳の引上げや、年金受給開始年齢を希望に応じて七十歳超に設定できる制度を導入することに賛成です。また、高齢者の労働力を生かすため、解雇ルールを明確化し、労働市場を流動化して転職をしやすくすることも必要と考えます。既得権益を守ることなく、生涯現役社会に見合う構造改革を進めていただきたい。総理、いかがですか。
 我が党は、さらに、社会保障制度改革として、年金を現行の賦課方式から積立方式に変更すること、給付と負担を年齢でなく所得、資産に見合ったものにすることをかねてから主張してまいりました。これも全世代型社会保障制度の主要課題になると考えますが、総理の御所見を伺います。
 二つ目は地方分権です。
 国の予算委で保育所の待機児童問題が取り上げられ、総理始め関係閣僚が大わらわで答弁していることに私は違和感を持ってきました。本来、保育所を設置し管理運営するのは市町村です。それが、なぜ市町村でなく国政上の大問題になるのか。それは、国が設備運営基準を決め、運営費の公費分の半分を持ち、細かい指導監督を行うからです。各省庁は、権限と財源を理屈を付けて地方に渡さない。与党もその方がいろいろと口出しできるし、野党も政府・与党を直に攻撃できるから目立ちます。少子化の現代、待機児童がいる地域は限られています。極めて地方的な課題ですから、当該市町村に任せたらいい。仮に市町村ごとに差異が生じても、その住民が同意したらそれを認める、指導監督が必要なら最小限にして都道府県が行う。とにかく権限と財源を地方に与えて、地方の責任で行う、問題が起これば地方自ら処理する、これがあるべき地方自治であり、地方分権の姿です。総理の御所見を伺います。
 我が党は、今後とも、このように国民目線で地方分権、統治機構改革や、全世代が安心できる社会保障制度改革を推進するため、懸命の努力をすることをお約束して、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 災害情報の伝達についてお尋ねがありました。
 災害発生時の避難については、住民一人一人自らの判断で避難行動を取ることが第一義的に重要であり、行政はこうした住民の避難行動に資するように避難勧告等により早めの避難を促すこととしています。
 しかしながら、例えば平成三十年七月豪雨では、行政が発信した避難に関する情報や防災気象情報が、受け手である住民に確実に伝わり、正しく理解されていたかなど、様々な問題があったと考えています。
 このため、現在、中央防災会議の下にワーキンググループを設置し、防災気象情報と地方公共団体が発令する避難勧告等の連携、防災情報の確実な伝達など、七月豪雨を教訓とした避難対策の強化について検討を進めており、年内を目途に検討結果を取りまとめ、必要な対策を講じることとしております。
 政府としては、発生した災害から学べるものは全て学び、以後の対応に生かしてまいります。
 電力の安定供給体制、再生可能エネルギーも含む分散型エネルギーの重要性についてお尋ねがありました。
 今回の北海道胆振東部地震におけるブラックアウトと同様な事象を繰り返さないため、現在電力インフラの総点検を実施しており、国の責任において十一月中に対策パッケージを取りまとめ、災害に強い電力供給体制を構築してまいります。
 また、再生可能エネルギーを含む分散型エネルギーは、非常時にも活用できるエネルギー供給源を確保する点や地域活性化にも資する点から重要と考えます。政府としては、これまでも、地産地消型エネルギーシステムの構築に対する支援などを行ってきております。
 今後、さらに、固定価格買取り制度の開始以降に導入された再生可能エネルギーの九割以上が太陽光となっている現状の見直しも含め、風力、地熱、バイオマスなど、バランスの取れた再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、自家発電や蓄電設備の整備など、分散型エネルギーの普及を後押ししてまいります。
 身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するために真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然であります。日本維新の会が、こうした観点から、議員歳費の二割削減やペーパーレス化等具体的な提案を国会の場にしておられることにつきましては、敬意を表したいと思います。
 その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 憲法改正の内容については、内閣総理大臣として、今後国会の憲法審査会において議論されるであろう御党の提案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、お尋ねですのであえて申し上げるとすれば、憲法の改正について国民的議論を深めるためには、まずは具体的な条文案を示す必要があると考えています。
 憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により決められるものであります。憲法審査会において政党が具体的な改正案を示すことで国民の皆様の理解を深める努力を重ねていくことは、私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えております。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 私の基本的な考え方は、経済再生なくして財政健全化なし。経済成長を実現し、税収を上げることで財政健全化を進めていくというものであります。
 政権交代後、アベノミクスにより、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%、六十兆円増加し、過去最高となりました。
 同時に、歳出と歳入、それぞれの面から改革を行うことにより、財政健全化に大きな道筋を付けました。国、地方を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
 来年十月に予定されている消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員することが必要と考えています。
 もちろん、無駄な歳出等を行うつもりは全くありませんが、駆け込み需要や反動減といった経済変動を可能な限り抑制するためにも、万全を期す必要があります。
 二〇一九年度、二〇二〇年度の当初予算において臨時特別の措置を講じることにより、消費税率引上げによる経済的影響を平準化するとともに、引き続き、経済再生を図りながら、社会保障制度を含めて、歳出と歳入、それぞれの面からの改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
 消費税の軽減税率と富裕層への課税強化についてお尋ねがありました。
 軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している、酒類及び外食を除く飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとともに、低所得者ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和できる有効な制度であると考えています。
 軽減税率制度の財源として、総合合算制度の見送りで確保した以外に必要となる〇・六兆円程度については、年末に向けて、歳入、歳出の両面から対応を検討してまいります。
 また、これまで、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや、金融所得課税の見直し等の施策を既に講じてきたところです。
 今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ、検討する必要があるものと考えています。
 消費税率一〇%以上への引上げについてお尋ねがありました。
 消費税率については、法律で定められたとおり、来年十月一日に、現行の八%から一〇%に二%引き上げる予定です。また、その後について検討を行っていることはありません。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 政府としては、いわゆる移民政策を取ることは考えておりません。政府としては、例えば、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取ることは考えておらず、今回の制度改正はこの方針に沿ったものです。
 すなわち、新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限を付して我が国に受け入れようとするものであります。
 制度の運用に当たっては、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、真に必要な業種に限り外国人材の受入れを行うこととしております。
 また、受入れに当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかり実行に移し、外国人材の円滑な受入れの促進や、不法滞在者、偽装滞在者対策を含む犯罪防止に向けた取組を進めることにより、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備に努めてまいります。
 日米物品貿易協定に関し、サービス、為替、自動車、農産品の扱いについてお尋ねがありました。
 まず、今般の日米共同声明では、協議が行われている間は、共同声明の精神に反する行動は取らないこと、すなわち、我が国の自動車に対する米国通商拡大法二百三十二条に基づく追加関税が課されることはないこととされております。この点については、日米首脳会談の場で私からトランプ大統領にも明確に確認したところです。
 また、農林水産品については、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意いたしました。我が国がこれまでに締結した経済連携協定の中で、農産品について最も水準が高いものはTPPであると理解しており、その前提の下に、今後、農林水産業に携わる皆様の不安な気持ちにしっかりと寄り添いながら米国と交渉を行ってまいります。そして、我が国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意であります。
 その上で、今後の交渉について現時点で予断を持って申し上げることは差し控えますが、いずれにせよ、我が国として、いかなる貿易上の措置もWTOルールに整合的であるべきと考えており、また、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 日ロ関係についてお尋ねがありました。
 御指摘のプーチン大統領の発言全体の中には、様々な含意が含まれています。フォーラムという公開の場で交渉の一部となるようなやり取りを行うことは適当ではないと考え、終了後、直ちに私からプーチン大統領に対し、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが引き続き我が国の基本的な立場であることを伝え、突っ込んだやり取りを行いました。
 北方四島におけるロシア軍による軍備の強化は、これら諸島に対する我が国の立場と相入れず、政府としては、ロシア側に対して累次にわたり抗議を行ってきています。
 北方四島における共同経済活動については、九月の日ロ首脳会談でロードマップを承認し、十月初めにビジネスミッションを派遣しました。共同経済活動は、日ロが共に北方四島の未来像を描き、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという新しいアプローチであり、その実現に向けた取組を通じ、北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができると考えています。
 今後とも、あらゆる機会を捉えプーチン大統領と会談を行い、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉してまいります。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 六月の歴史的な米朝首脳会談により、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
 次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければなりません。最重要課題である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。
 北朝鮮には、豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。相互不信の殻を破り、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を解決するとの決意で、引き続き全力で取り組んでまいります。
 イージス・アショアの配備等、ミサイル防衛体制についてお尋ねがありました。
 我が国の防衛を考える上で、我が国を射程に収める数百発の弾道ミサイルが現実に存在するという事実から目を背けることはできません。
 防衛装備品については、事態が切迫してから取得しようとしても数年間という長期間を要します。国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応し得るよう、平素から万全の備えをすることは当然のことであると考えています。
 政府としては、イージス・アショアの導入も含め、我が国の弾道ミサイル防衛能力の向上を進めるとの方針に変わりはありません。
 日中関係についてお尋ねがありました。
 今回の私の訪中は、日中平和友好条約の締結四十周年という節目の年に日本の総理大臣として七年ぶりの公式訪問となり、習近平主席や李克強総理との間で長い時間を掛けて大変率直で有意義な会談を行うことができました。
 国際スタンダードの上に競争から協調へ、隣国同士として互いに脅威とならない、そして、自由で公正な貿易体制を発展させていく。習近平主席、李克強総理と、これからの日中関係の道しるべとなる三つの原則を確認しました。そして、この原則の上に、共に世界の平和と繁栄に建設的な役割を果たしていくことで一致しました。
 隣国ゆえに様々な問題はありますが、首脳同士が率直に語り合うことで、そうした課題もマネージしつつ、大局的な観点から中長期的に安定した日中関係を構築していくことは、議員御指摘のように大変重要であると考えます。
 五月の李克強総理の訪日、今回の私の訪中に続き、次は習近平主席を日本にお招きし、首脳同士の相互訪問を通じて、政治、経済、文化、青少年交流、地方交流など、あらゆる分野で交流、協力を一層発展させていきたいと思います。
 全世代型社会保障制度についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が急速に進む中で、これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めていくことが不可欠であります。人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、年齢に関わらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。
 既に、未来投資会議において、こうした観点から生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、来年の夏までに実行計画を決定する考えです。その際、あくまで働く人の視点に立って、それぞれの高齢者の健康状態や就労形態の希望などに応じ、個々の高齢者が多様な選択をできるよう検討していく考えであります。
 その上で、生涯現役社会を前提に、予防、健康へのインセンティブ措置の強化や、年金の受給開始のタイミングを自ら選択できる範囲を広げるなど、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を行う考えです。その際、御指摘のあった年金制度を現行の賦課方式から積立方式へ切り替えることについては、若い世代を含む全世代が自分の積立てに加えて現在の高齢者の給付を賄うこととなるいわゆる二重の負担の問題があり、難しいと考えています。
 今後三年掛けて、子供から若者、子育て世代、現役世代、高齢者まで、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていきます。
 待機児童対策の権限と財源の地方への移譲及び地方分権についてお尋ねがありました。
 待機児童の解消に向けて、保育の受皿の整備については、その必要量の把握から計画の策定、実施等に至るまで、市町村が主体的な役割を担っております。その上で、待機児童の解消は待ったなしの課題であることから、国としても、市町村を積極的に支援し、最優先で取り組んでおります。
 保育の受皿の整備を図る際には、その質の確保、向上も重要な課題であり、最低限遵守すべき基準を設けておりますが、例えば朝夕の時間帯における保育士配置要件の弾力化など、地域の実情を踏まえた柔軟な取扱いにも努めています。
 安倍内閣の地方創生は、地方の意欲と創意工夫を応援するものであります。今後とも、国としての責任をしっかりと果たしつつ、地方の熱意と現場の生の声を真摯に受け止め、やる気のある地域を応援する地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#19
○副議長(郡司彰君) 牧山ひろえ君。
   〔牧山ひろえ君登壇、拍手〕
#20
○牧山ひろえ君 立憲民主党・民友会の牧山ひろえです。
 会派を代表して、総理の所信に対し質問いたします。
 安倍総理は所信表明演説で、原敬の、常に民意の存するところを考察すべしという言葉を引用しました。国民の皆様と共にというせりふを繰り返し述べられています。沖縄を始めとする地方の方々、LGBT、日本に働きに来る外国人、複雑で過酷な税制に苦しむ中小零細企業、これらの方々は総理の視野に入っているのでしょうか。
 第二次安倍政権の歩みは、政権与党を支持しない人の声には耳を傾けず、自らの考えに同調、そんたくする身内で無理を通してきた歴史です。独善。所信表明とは裏腹に、外交も含めた安倍政権の問題点の根幹はここにあると考えています。
 政治と金の問題を指摘される新任閣僚が相次いでいます。これも、内向き志向とまさに慢心が招いたものではないでしょうか。しかも、訴訟を口実に説明を拒むケースも出ています。所信表明で森友や加計問題に触れなかった総理の姿勢と相通じるものを感じるのですが、総理は、自らが任命した閣僚に対して真摯に国民への説明責任を果たすよう指導すべきではないでしょうか。また、今後、閣僚の行為の違法性が明確になった場合、自らの任命責任を果たす覚悟はおありでしょうか。
 また自民党の議員から看過できない発言がありました。杉田水脈議員のLGBTについての寄稿に関する問題です。この問題に関し安倍総理は、まだ若いですから、そういったことをしっかり注意しながら仕事していってもらいたいなどと述べ、擁護する姿勢を示しています。
 子供を産むか産まないかで差別することは、若いから云々という話ではなく、憲法が尊重する基本的人権、自己決定権を否定する思想であり、見過ごせません。差別を禁じた憲法を遵守するべき国会議員が、差別との自覚を持てないままこのような主張をし、しかも、いまだに寄稿文の撤回も謝罪も拒否しているというのは、国会議員の資質を問われる話なのではないでしょうか。自民党総裁でもある総理の見解を伺います。
 沖縄の基地問題についてです。
 総理はこれまで、沖縄の皆様に寄り添う旨答弁してきているものの、沖縄県知事選、豊見城市長選、那覇市長選と、与党が推薦した候補が三回連続で敗れたという事実に照らしてみれば、政府の政策は結果として沖縄県民に全く寄り添えていないこととなるのではないでしょうか。これらの選挙結果を受け、沖縄の民意をどう評価しているのでしょうか。
 辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例が、十月二十六日、沖縄県議会で成立しました。辺野古移設の是非のみを問う県民投票は、まさに民意が明確に示される機会となります。ここで示される民意を政府は尊重するとお約束いただけますか。
 沖縄県による辺野古の公有水面埋立承認撤回に対し、防衛省は行政不服審査法に基づき国土交通大臣に対し審査請求及び撤回の執行停止申立てを行い、石井国土交通相はそれを認めました。行政不服審査法は、国民の権利利益の簡易かつ迅速な救済を図ることを目的とするものであり、国が行政不服審査制度を用いて対抗手段を講じることは、明らかに法を逸脱する制度濫用なのではないでしょうか。
 以上三点について、総理の答弁を求めます。
 総じて政府は、沖縄に対する接し方、政策の在り方を根本から改めなければならないのではないでしょうか。総理の沖縄に寄り添うという表明がうそでないならば、名護市辺野古における普天間飛行場代替施設建設事業については、法的措置によるものではなく、対話を通じた解決を追求すること、沖縄県並びに沖縄県民が納得する結論、方針が確認されるまでの間、一切の工事を停止すべきであると考えますが、総理の御見解を伺います。
 沖縄を始めとする米軍基地に起因する様々な問題の根底には、日米地位協定の課題があります。
 沖縄県の調査によると、ドイツやイタリアは、米軍機の事故等を契機とした民意の高まりを背景として、一九九〇年代に協定の改定や新たな協定の締結を行っています。現在は、受入れ国の国内法適用、基地の管理権、訓練、演習への関与、警察権等、様々な面において受入れ国の主権が我が国のケースよりも強化される規定となっています。
 このような他国の事例があるのに、我が国の主権がより尊重される地位協定の改善を積極的に目指さないのはなぜなのでしょうか。日本を取り戻すとうたわれるのならば、地位協定の改定を明確に主張するべきだと思います。
 政府は、来年十月に消費税率を一〇%に引き上げることを閣議決定しました。今この時期に消費税率の引上げを決定することは、果たして正しい決断なのでしょうか。
 まず、現在、景気回復の実感が社会の隅々まで行き渡らないのは、消費の低迷の影響が大きいと言えます。また、世界同時株安に見られるような世界経済のリスクの懸念は依然払拭されません。この状況の中で消費税を上げるということは、景気に対する大きなダメージを与える公算が強いと考えています。喫緊の課題である財政健全化に必要な財源については、金融課税や法人課税の見直しなど、取り組むべき方法は数多くあります。
 消費税引上げに伴う具体策については、より大きな疑問符が付きます。
 特に大きな問題点は、政府が軽減税率と呼称する複数税率の導入です。複数税率は、逆進性対策として非効率である上、軽減の分だけ税収減となり、負担を次世代に先送りしないという消費税アップの元々の趣旨が損なわれることになります。何より、区分経理が必要となるので、事業者、とりわけ日本経済の基盤を支えている中小零細企業に大きな事務負担を生じさせることになります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 複数税率を導入するに伴い、事業者に発生する事務コストはどの程度と想定されるのでしょうか。今回の税率アップ時と、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度の導入時、それぞれについてお答えください。
 また、インボイス導入時、免税事業者の取引からの排除が生じるのではないかとの懸念に関しては、どのようにお答えになりますでしょうか。
 ここまで無理をして複数税率及びインボイスを導入しようとするのは、将来消費税率を更にアップした上で、軽減される課税項目も税率の種類も増やしていくおつもりではありませんか。
 これらの点について明確にお答えいただきたいと思います。
 今回の方針によると、同じファストフード店を利用するにしても、店内で飲食する場合の消費税が一〇%であるのに対し、持ち帰りなら八%となります。持ち帰りと申告しながら店内で飲食するケースはないんでしょうか。消費者のみならず事業者も含めて、混乱を招く制度は導入すべきではないと考えますが、総理の見解を伺います。
 総理は、消費税率引上げが経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を動員するとされていますが、消費税引上げによる反動減対策として出てきたのが、キャッシュレス決済をした消費者へのポイント還元やプレミアム商品券です。
 キャッシュレス決済の導入には端末や手数料等の負担が生じます。また、現金決済に比較し資金ショートの危険性も高まります。これらについての中小企業の負担についてはどのようにお考えでしょうか。
 また、これらの二つの消費刺激策の財政規模はどの程度と想定されていますでしょうか。所信表明には財政再建という言葉に一言も触れていませんが、将来へのツケ回しになる危険性が大きいのではありませんか。
 税体系は公平、中立、簡素を基本原則としています。複数税率やポイント還元が簡素と言えますでしょうか。それとも、日本の税制は簡素でなくてもいいとお考えなんでしょうか。
 以上三点について、総理の見解を求めます。
 今回の消費税引上げについての諸施策は、余りに不合理で天下の愚策としか言いようがないものです。
 政府は、単純労働分野での外国人の受入れにつながりかねない新しい在留資格を設けるとしています。ですが、制度の詳細はいまだ明らかになっていません。何しろ、十月十二日に開かれた外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で、出入国管理法などの改正案骨子が示されたばかりです。実質的に移民政策への転換になりかねない重要な法案であり、臨時会の短い会期で拙速に成立させるのは大きな問題があります。総理出席の下、慎重な審議を進めるべきと考えますが、総理及び与党総裁としての見解をお伺いしたいと思います。
 そもそも、単純労働分野も含めた外国人労働者の受入れを拡大するならば、開かれた多文化、多民族共生国家を目指す国民的コンセンサスを形成した上で、あらゆる社会インフラを構築し、受入れ体制をつくる覚悟が必要です。その覚悟と準備がないままの受入れは、将来に大きな禍根を残すことになります。
 にもかかわらず、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の最終取りまとめは、臨時会が終了するのと同時期の本年十二月中と予定されているのです。この最も大きな、大事な受入れ・共生の対応策が固まらないうちに法案の是非を審議しろと立法府に求めるのはおかしいでしょう。これで実のある審議ができると総理はお考えなんでしょうか。
 以前から指摘されている技能実習制度の様々な根幹的な問題点、また、本来留学生として来日したにもかかわらず、実際には単純労働力となっている現実があります。
 外国人の受入れ拡大を検討するならば、こうした今の制度の問題点を根本的に解決するための議論が必要だと考えますが、総理の見解をお伺いします。
 人手不足を解消した業種については受入れを停止することになっていますが、不景気で人余りになった外国人労働者への対応についてはどのようにお考えなのでしょうか。
 この期に及んでも、総理は、事実上の移民政策、単純労働力の受入れであることを否定しています。建前と本音の乖離は大きくなり、そのツケは外国人労働者に回されることになります。
 憲法の基本原理である基本的人権の中でも、表現の自由、そして国民の知る権利がその根幹を成す特に重要な人権であることは言うまでもありません。ですが、安倍政権においては、防衛省の南スーダンPKO日報やイラク日報のように、破棄していた、あるいは存在していないと国会に対して説明されていたものが一年後に発見されるようなずさんな公文書管理がなされました。また、加計学園の問題では政権に不都合な情報を怪文書扱いしたり、森友学園への国有地処分をめぐる事件において決裁文書の改ざん等により国政調査権が踏みにじられるという、議会制民主主義の存立にも関わる空前の事態が生じています。現行憲法の価値観を尊重しない内閣の長たる安倍総理に憲法を語る資格はありません。
 そもそも、総理が提案する改憲四項目につきましては、世論でも賛否が二分されるテーマです。国民を分断するようなテーマで憲法改正に取り組むのが本当に正しいとお考えなのでしょうか。国会議員が先走るのではなく、国民の中から憲法改正すべしとの声が高まり、機運が醸成されて初めて憲法改正に取り組むべきです。立憲主義で憲法に縛られるべき行政府の長が憲法改正を主張するのはそもそもおかしいと考えますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、我々は、総理の対極に立ち、国民の幅広い民意を本当の意味で尊重し、そして実現していく決意を表明させていただき、質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 牧山ひろえ議員にお答えをいたします。
 閣僚の説明責任、任命責任についてお尋ねがありました。
 閣僚の任命責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。その上で、政治活動については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が国民に不信を持たれることのないよう、常に自らが襟を正し、説明責任を果たすべきものと考えております。
 LGBTに関する発言についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないことであります。多様性が尊重され、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に政府は取り組んでいるところです。
 内閣、与党、野党を問わず、国民から選ばれた一人一人の政治家は、自身の発言で関係者を傷つけることのないよう細心の注意を払わなければなりません。その上で、政策を磨き、結果を出すことによって国民の負託に応えていかなければならないと考えております。
 沖縄県における選挙結果に関する評価についてお尋ねがありました。
 選挙の結果については真摯に受け止めます。その上で、地方自治体の首長選挙の結果について政府の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。
 住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府、そして地元の皆様の共通認識であると思います。
 今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。
 沖縄県における県民投票条例についてお尋ねがありました。
 地方自治体における独自の条例に関わる事柄について政府として見解を述べることは差し控えたいと思います。
 いずれにせよ、安倍政権としては、基地負担軽減のため、できることは全て行う、目に見える形で実現するという方針の下、取り組んでいます。
 今後とも、抑止力を維持しながら、沖縄の皆様の心に寄り添い、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出してまいります。
 行政不服審査に基づく対応についてお尋ねがありました。
 沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣たる国土交通大臣による、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知しています。これは、法治国家として法律に基づき必要な法的手続が行われたものと認識しており、法を逸脱する制度の濫用との御指摘は当たらないものと考えています。
 沖縄県との対話及び移設工事の停止についてお尋ねがありました。
 行政不服審査法に基づく国土交通大臣による執行停止の決定については、これを尊重すべきものと考えています。今後の対応については、かかる決定を受け、防衛省において適切に判断されるものと思います。
 政府と沖縄県との間では、普天間飛行場負担軽減推進会議や政府・沖縄県協議会という協議の枠組みがあります。政府としては、このような協議の枠組みを活用し、基地負担軽減のための政府の取組について粘り強く丁寧に説明していきたいと考えています。
 日米地位協定についてお尋ねがありました。
 日米地位協定と米国が第三国と締結している地位協定との比較については、地位協定そのものの規定ぶりのみならず、細部の取決め、実際の運用や背景等も含めた全体像の中で検討する必要があると考えられ、一律な比較は難しい面があるものと承知しています。
 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて、最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。
 安倍政権の下では、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。
 また、例えば、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米軍人・軍属の拘禁についても、日米合意に基づき、実際に起訴前に日本側へ移転が行われてきています。
 今後とも、目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 軽減税率制度の実施についてお尋ねがありました。
 軽減税率制度は、消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮として、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があります。酒類、外食を除く飲食料品等を対象に実施することとしたところです。
 軽減税率制度等の実施により、事業者には新たに区分経理等の事務負担をお願いすることになり、そのコストは事業者によって様々と考えられますが、区分経理が困難な中小事業者等には、税額計算の特例を設け、また、インボイス制度の導入まで四年間の準備期間を設けるなどの負担軽減を行うこととしております。
 インボイス制度は、複数税率の下において適正な課税を確保する観点から導入するものであります。
 他方、インボイス制度を導入すれば、免税事業者が取引から排除されるのではないかなどと懸念する声があるのも事実であり、政府としては、免税事業者が課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を決めていただくよう、先ほど申し上げたインボイス制度の導入までに四年間の準備期間を設けることに加え、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることとしています。
 消費税率については、法律で定められたとおり、平成三十一年十月一日に一〇%に引き上げる予定です。その後について検討を行っておらず、軽減税率の対象品目等についても見直すことは考えていません。
 なお、軽減税率の適用の判定については、具体的な事例をまとめたQアンドAを公表するとともに、説明会等において事業者等に対して周知、広報を行っているところであります。
 消費税率引上げに係る反動減対策についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 二〇一九年度、二〇二〇年度の当初予算において臨時特別の措置を講ずることとしており、御指摘の財政規模も含めた具体的な内容等については、各年度の予算編成過程において検討してまいります。
 ポイント還元といった新たな手法による支援については、現在、詳細を検討中ですが、端末の導入支援や手数料の引下げに向けた取組、多様なキャッシュレス対応の選択肢の準備などを行うことで、中小・小規模事業者の皆さんが簡素で利用しやすい環境を整えるよう取り組む考えであります。
 軽減税率制度についても、対象品目を酒類、外食を除く飲食料品として、通常の飲食料品を全て含むこととすることにより、垂直的公平に配慮する中で、可能な限り経済取引に対し中立的で簡素な仕組みとしたところであります。今後、導入に向けた準備に万全を期してまいります。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 まず、法案審議の在り方については国会において御議論いただくべきものと考えております。
 新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限を付して我が国に受け入れようとするものであります。これまで、政府として、既存の在留資格の課題への対応も含め、積極的、継続的に検討を重ねてきたものであります。
 受け入れる外国人に対しては、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかりと実行に移し、外国人材の円滑な受入れの促進に向けた取組とともに、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備を進めてまいります。
 技能実習制度については、平成二十九年十一月から新しい技能実習制度を施行し、外国人技能実習機構による実地検査等により、その適正化に努めています。
 また、留学生については、教育機関における入学者選考及び在籍管理の徹底や、法令違反が認められる留学生について、積極的に資格外活動許可の取消し、在留期間更新不許可処分を行うなどしているところであります。
 新たな受入れ制度において、経済事情に変化が生じた場合、既に在留が認められている者については、雇用契約の更新がなされない場合は在留期間の更新は許可されないことになり、転職等により新たな在留資格を取得しない限り在留を継続できないことになります。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 憲法改正の内容について、内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、お尋ねですのであえて申し上げるとすれば、憲法の改正について国民的議論を深めるためには、まずは具体的な条文案を示す必要があると考えています。憲法を改正することや改憲案を本国会に提出することに賛成する方々が一定程度認められる現状において、議論することまで否定すべきではありません。
 憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により決められるものです。憲法審査会において政党が具体的な改正案を示すことで国民の皆様の理解を深める努力を重ねていくことは、私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えております。
 憲法第九十九条が憲法遵守義務を定めているのは、日本国憲法が最高法規であることに鑑み、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないと考えています。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(伊達忠一君) 石井準一君。
   〔石井準一君登壇、拍手〕
#23
○石井準一君 自由民主党の石井準一です。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、安倍内閣総理大臣の所信表明演説について質問をいたします。
 総理は所信表明演説で、南部藩出身で我が国初の本格的な政党内閣を樹立をした原敬の言葉で、国民一致の力でなければ、到底国家の進運を図ることはできぬとおっしゃいました。政党内でのちょうちょうはっしの政策議論、これがなければ、ただの形だけの政党であると思います。あわせて、議論が尽くされ、政党としての政策方針が決まれば、政党としてその実現を目指す、これが政党政治の本質であると思います。
 さきの総裁選、私たち自民党では、政権与党としてどのような国をつくっていくのかという活発な政策議論が正々堂々と交わされました。国民の皆様にも我が党の政策を知っていただく良い機会であったと思います。
 そして、総裁選挙が終わればノーサイドです。お互いの健闘をたたえ、私たち参議院自民党は、全員野球の精神で、総理と共に新しい国づくりのために邁進をしていきます。各閣僚にも全員野球の精神で全力を尽くしていただきたいと思います。本日は、そのような思いを持って質問をいたします。
 冒頭、昨日、韓国大法院が新日鉄住金株式会社に対し損害賠償の支払等を命じる判決を確定させたことについて一言申し上げます。
 この判決は、日韓請求権協定第二条に明らかに反し、日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか、一九六五年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできません。政府には、大韓民国に対し日本の立場を改めて伝達するとともに、大韓民国が直ちに国際法違反の状態を是正することを含め、適切な措置を講ずることを強く求めます。
 それでは、防災における国の役割、国土強靱化についてお伺いをいたします。
 本年七月の豪雨、大阪北部地震、平成三十年台風第二十一号や二十四号、そして北海道胆振東部地震により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災をされた方々、その御家族に心よりお見舞いを申し上げます。政府・与党一体となって、被災された皆様方が一日も早く元の生活を取り戻すことができるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。
 最近、地球温暖化の影響なのか、台風もより強大となるとともに、勢力を維持しながら多くの都道府県をなめるようなコースで我が国に襲来することが多くなっています。北海道胆振東部地震による北海道全域にわたるブラックアウトなど、予想もしなかった事態も生じております。首都直下地震や南海トラフ地震が懸念されていることも踏まえれば、これまでの常識だけではなく、本年七月の豪雨や大阪北部地震を含めて、近年発生した自然災害による被害等をしっかりと分析をし、将来の自然災害に備える視点で国土の強靱化を進めるべきです。
 政府は、今国会、七月豪雨への対応として、生活再建やなりわい再建、災害応急復旧のための経費、台風二十一号、大阪北部地震や北海道胆振東部地震等への対応として、災害復旧経費等を含む補正予算を提出をしております。一日も早く成立をさせ、被災地に届けることが求められております。その上で、自然災害による被害を復旧するだけではなく、国家百年の計に立って、近年の自然災害の傾向を分析しつつ、そもそも被害を受けないように強靱な国土をつくっていくことが重要であります。
 まずは、本年、我が国を襲った自然災害による被害を踏まえつつ、国家百年の計に立って、国民の生命と財産を守る国土づくりに取り組んでいく覚悟を総理にお伺いをいたします。
 今回の大阪北部地震において、ブロック塀の崩壊により通学途中の幼い命が失われるという大変痛ましいことが起きてしまいました。通学路という最も安全であるべきところでこのようなことが生じてしまったことは、誠に残念です。今回の補正予算では、学校の緊急重点安全確保対策として倒壊の危険性のあるブロック塀対応が盛り込まれましたが、子供たちを守るためにも、早急に対策が講じられる必要があります。
 学校は近隣の避難所として指定されていることが多く、地域住民の避難路の安全確保のためにも、学校までの通学路は高い安全性が確保されてしかるべきです。同様に、学校そのものが避難所として機能を備えているのかという視点も持つべきであると考えます。
 北海道胆振東部地震は北海道が本格的な寒さを迎える前に発生をしましたが、同程度以上の地震が厳寒期に発生した場合を想定すれば、インフルエンザや肺炎などの発生を抑える意味でも、避難所となる学校の教室や体育館には暖房器具が備えられている必要があります。同様に、夏に猛暑となる地域では、避難が長期に及ぶ可能性を考えれば、体育館などにもエアコンの設置が望まれるところであります。
 今回の補正予算だけではなく、国土強靱化の観点で、避難所としての機能を持つ学校には、暖房器具やエアコン、停電に備えた非常用電源などの防災拠点としての必要な整備を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。山本国土強靱化担当大臣にお伺いをいたします。
 漆黒の闇の中、投光器で照らされた土砂崩れ現場で救命活動に当たる自衛隊員、何日間も温かい食べ物を口にできなかった被災者の前で調理や給仕を行う自衛隊員、厳しい状況下にある被災者の皆様方にとって頼もしい存在です。
 しかし、最近では採用が厳しい状況にあります。要因の一つは少子化です。さらに、景気が好調ということもあり、民間企業は求人を増やし、待遇改善を図ってきました。人材獲得競争はますます厳しくなってきております。また、労働環境も厳しい印象があり、若者に敬遠されているという声もあります。安全保障環境が厳しさを増す中、自衛隊の活躍の場が広がっているにもかかわらず、人材が確保できなければ、国防上はもちろん、災害時にも十分な活躍ができなくなります。
 災害復旧復興の際に大きな役割を果たしているのは、現場で汗をかいている地方の建設業も同様であります。しかし、やはり人材の確保や事務所の存続に苦労しているのが実態です。技能労働者の高齢化の問題もありますが、地方の公共事業が縮小していく状況下で、経営体力が衰退してしまったという側面もあります。
 自然災害が多発する中、前線で防災や復旧復興に携わる自衛隊や地方の建設業が疲弊してしまわないようにどのように対処していくおつもりなのか、総理にお尋ねをいたします。
 福島再生についてお伺いをいたします。
 東日本大震災から復興政策を担う復興庁は、震災から十年となる二〇二一年三月末に設置期限を迎えることとなっております。残すところ三年を切りました。国や県は、福島・国際研究産業都市構想、いわゆる福島イノベーション・コースト構想を進めており、ロボットの一大研究拠点となる福島ロボットテストフィールドの建設なども着々と進んでおります。
 しかし、今なお、東京電力福島第一原子力発電所の事故で住民が避難生活を余儀なくされている状況を見れば、地域の再生には中長期的な対応が必要であると思われます。我が党と公明党も、国が継続して支援するための体制について検討を始めるべきと、総理に要望を提出をしております。
 復興庁の設置期限までに、まずはやれることを全てやるということはもちろんですが、再生状況をつぶさに調べて、復興のためのコントロールタワーが必要であるならば、ちゅうちょなく復興庁の後継組織を設置すべきです。創造と可能性の地としての東北をつくり上げるためにも、福島再生に向けた総理のお考えを、復興庁の後継組織の検討も含めて、お伺いをいたします。
 アベノミクスの成果は確実に現れております。その一つは、初めて有効求人倍率が全ての都道府県で一倍を超えたことでも明らかです。しかし、地方を回ると、温かな経済の風の実感はないという声が聞こえてくるのも確かであります。
 その要因の一つとして、地方の将来が見えてこない状況があると考えております。大都市部への人口集中が進む反面、地方では人口減少がやみません。地方在住の意欲的な若者や女性たちによるユニークな活動で盛り上がりを見せるところもありますが、全国津々浦々まで広がるというところまでには至っておりません。
 地方には、美しい自然、魅力的な文化、おいしい食材といった様々な人を引き付ける資源があります。SNSで拡散された画像を元に、今まで知られていなかったところに大勢の外国人観光客が訪れた例もあります。しかし、その前提として、そこに人を運ぶ交通機関が必要となります。
 JR北海道の状況などが示すように、今、地方の公共交通機関は大変厳しい環境下に置かれております。整備新幹線については、人件費や資材価格の上昇など、やむを得ない要因によって事業費が膨らむ傾向にありますが、これが地域の求める事業の進捗に影響を及ぼさないような措置を求めたいと思います。せっかくの資源がありながら、そこまでの交通網が途切れていれば、意欲とアイデアでピンチをチャンスに変える地方創生もままなりません。
 そこで、地方創生を加速化させるためには、整備新幹線の更なる延伸等、地方の皆様方が希望の持てる交通網整備を進めていくべきではないでしょうか。総理にお伺いをいたします。
 次に、経済関係で幾つかお伺いをいたします。
 世界で保護主義が広がっている、こう切り出して、総理は、今月十九日、アジア欧州会合で、リードスピーカーとして、世界で広がる保護主義の動きを念頭に、自由で公正なルールに基づく貿易体制を推進していく考えを表明をいたしました。この発言を受け、保護主義との闘いを明記した議長声明が採択をされました。自由貿易体制の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済秩序を強化していくという我が国の立場をしっかりと位置付けることができたと高く評価されるべきと考えます。
 日本と欧州は、日EU・EPAに合意しております。これが発効すれば、保護主義の動きを見せる国々を自由で公正なルールに基づく貿易体制へと再び取り込むことが可能となります。その意味でも、今回の総理の欧州訪問は、保護主義の復活、拡大を抑え込もうとする一連の流れの中でしっかりと練られたものであり、これまで積み上げられてきた安倍総理の外交成果の上に初めて成り立つものであります。
 保護主義の拡大の流れは徐々に強まりつつあるように見えますが、自由貿易は我が国の発展の土台であります。自由で公正なルールに基づく貿易体制の拡大の中で、我が国が更に成長していけるように、どのように保護主義拡大の流れに対応していくおつもりでしょうか、総理の方針をお聞かせください。
 これまでも、我が国の高速鉄道や都市開発に代表されるインフラ輸出は、安全、安心を支える技術力、環境への優しさ、維持管理費用を含むコストパフォーマンスの高さなど、その質の高さを世界中から評価されてきました。総理や関係閣僚が直接相手国を訪問をし、直接我が国のインフラのすばらしさを訴えてきたこともあり、導入成功例も広がりつつあります。
 しかし、今月、大変残念なことに、我が国が誇ってきた免震、制振技術の一つで新たな検査記録データの改ざんが判明をいたしました。三年前にも免震ゴム、防振ゴムで性能データの偽造問題が判明をしております。地震国である我が国においては、命や財産に直接関わりかねない大きな問題であります。そして、我が国の質の高いインフラの一例でもある免震、防振技術は、その信頼性を損ねることとなってしまいました。関係者は猛省をするとともに、一刻も早く当初に想定されていた安全性を確保するのに必要な対応を講ずるべきであります。
 そこで、質の高いインフラの売り込みを図る意味で、このようなデータ偽造や改ざんなどが起きてしまった背景をしっかりと分析をしなければなりません。その上で、二度と起きないようにどのような対策を講じた上で、我が国の技術への信頼性を高め、質の高いインフラの展開を推進すべきとお考えでしょうか。総理にお伺いをいたします。
 本年九月、日米首脳会談が開催をされ、総理は中国に対して追加関税を発動させ続けているトランプ大統領と交渉をし、その結果、最も警戒をしていた自動車の追加関税は回避をされました。
 また、日米物品貿易協定、TAGを新設をし、交渉することとなりましたが、同時に、農林水産品をめぐり、日本は、過去の経済連携協定を超えるレベルの市場開放は行わないことをしっかりと合意に盛り込みました。TAGは、その文言どおり、物品貿易に関する協定であり、サービスや投資の分野を含む包括的なFTAとは異なる点も明らかであります。
 しかし、TAG交渉はこれからです。駆け引きの中では、米国は我が方にTPP以上を求めてくることも否定はできません。農林水産業に関わる皆様方の中には、米国側から様々な要望が出され、揺さぶられるのではないかと不安を隠し切れない方もおられます。
 TAGについては相当厳しい交渉が予想をされることから、政府としては、気を引き締めて、両国間の貿易を一層促進することでウイン・ウインの経済関係を築くことができるよう、そして、過去の経済連携協定を超えるレベルの市場開放は行わないという合意がしっかりと最後まで貫かれるように交渉に当たってほしいと思いますが、いかがでしょうか。総理の決意をお聞かせください。
 中小企業においては、人手不足や原材料費の高騰による収益圧迫などによる先行き不透明感が広がっていると言われております。人口減少社会の中、このままでは人手不足については厳しい状況が続くと予測をされております。IoTの積極的な活用などを通じ、業務の効率化で対応していくことが不可欠であります。同時に、一定の専門性、技能を有する外国人材により、不足する人材の確保を図ることも考えていかなければなりません。
 政府におきましては、出入国管理法等の改正をし、このような新たな外国人材受入れのための在留資格を創設すると伺っております。真に外国人材を受け入れる必要があると認められる人手不足の分野に限り、専門性、技能を有する外国人材を受け入れることは、人手不足で悩む中小企業の状況に鑑みれば、求められている政策であると考えます。また、きちんとした制度を構築することにより、雇用契約をしっかりと結んで日本人と同等以上の報酬額を確保するとともに、日常生活、職業生活、社会生活についても支援を受けられるようにすることなど、外国人材のことを大切に考える政策でもあります。
 しかし、定められた分野に従事する場合などに限り在留資格が認められるにもかかわらず、提出しようとする改正案の一面だけを殊更強調した誤解を耳にすることもあります。
 そこで、政府におきましては、我が国が人口減少社会を乗り越えていくためのビジョンの中で、今回の改正案はどのような位置付けに当たるのか、同時に、不法滞在等に対処するための入国管理政策との関係でどのような位置付けになるかという点について、改めて丁寧に説明すべきだと考えますが、いかがでしょうか。総理にお伺いをいたします。
 国難ともいうべき人口減少、少子高齢化社会の中、我が国の活力と生活の安心、安定の確保に向けて、全世代型の社会保障制度を進めていきますが、そのための財源措置が不可欠であります。そのために、今回、消費税率引上げを行いますが、これについては、今月、臨時閣議で総理が万全の対策を講じるよう指示しており、年内にも、耐久消費財の税負担の軽減や中小小売店などでの税率引上げの相当分の還元、そして政府による関連費用の支援など、思い切った施策がまとめられることを期待をしております。是非とも、中小企業の現場の声に耳を傾け、温かみのある対策を講じていただきたいと思います。
 同時に、今回の引上げでは、生活への負担軽減のため、酒類、外食を除く飲食料品にはこれまで同様の消費税率八%が掛かることとなっております。これについては、初めて一〇%と八%という二本立ての消費税率となることから、中小零細事業者の中には準備が間に合うのかといった不安もあり、そのことに対応する必要があります。複数税率対応レジ導入やシステム変更などに必要な経費も負担です。従業員への研修にも時間を取られることと懸念をされます。何が軽減税率に該当するのかを政府におきましてはよく周知をし、消費者や業者が混乱することがないようにすべきであります。
 そこで、円滑な消費税率引上げが実現できるように、どのような考え方の下、中小零細事業者の負担等を軽減していくおつもりなのか、お伺いをいたします。
 平均寿命や健康寿命が延び、様々な働き方が広がる中で、六十五歳に年金を受け取るというのは、いささか硬直的かもしれません。現在は年金の受給開始時期を七十歳以上にはできません。しかし、七十歳を超えて働く高齢者が増えております。七十歳を超えてからでも年金の受給開始時期を選べるようにして選択肢を広げる方が、それぞれの高齢者のライフスタイルに応じた柔軟性が高い制度であるという意見もあります。年金の受給開始時期を遅らせれば遅らせた分だけ月の年金給付額は増えるようにすれば、働く意欲がある高齢者は、できるだけ働こうというインセンティブも働くこととなります。
 この点についても、将来世代の給付水準を維持しやすくするために支給開始年齢を更に引き上げるのではないかと誤解をされている面もあります。全世代型社会保障と働き方改革がセットで議論をされているのは、単に財政的な側面だけで柔軟な年金受給開始年齢が議論されているわけではないという証明であると考えております。
 高齢者が健康を維持し、意欲があれば長く働くことができ、年金を受け取る時期をできるだけ遅くして、受け取るときには遅らせた分だけ増えているという高齢者、現役世代双方にメリットがあるというのが今検討されている全体像ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。また、どのような方向性で年金受給開始年齢の柔軟化に取り組んでいくのでしょうか。総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、働く意欲のある高齢者が働き続けることができるような社会を構築することが、柔軟な年金受給開始年齢の実現には不可欠であると考えます。これについても総理にお伺いをいたします。
 次の世代に誇れる国づくり、地方づくりについてお伺いをいたします。
 最後に、次の世代に誇れる日本をどのように引き継いでいくのかという点について、改めてお伺いをしたいというふうに思います。
 冒頭にも申し上げたとおり、今年、幾度となく大きな自然災害が各地を襲いました。被災された地域の皆様方には、本当に大変な御苦労をされたことと思います。その厳しい状況にもかかわらず、地域の皆様方は、秩序と冷静さを保ちながら、まず相手のことを思いやり、助け合っておられました。一昨年、大震災により大きな被害を受けた熊本からも、ボランティアの皆様方が、今度は自分たちが助ける番だと言って被災地に入られました。
 このような日本人の助け合う姿を見て、いつも世界中から称賛が送られます。そのたびに、互いを思いやる心を育て、それを大切に引き継いできた先人たちに感謝したいといつも思っております。美しい国土、すばらしい文化、これはもちろんのこと、日本人の心である共助の精神も大切に次の世代に引き継いでいかなければなりません。
 我が国では、経済活動においても、単に利益だけを追い求めるだけではなく、社会全体を豊かにするということで結果的に企業自身も豊かになるといった発想があります。歴史を見ても、元々我が国の企業家は、利潤追求だけではなく、どのように社会に利潤を還元していくかという視点を持っておりました。過度な競争原理、市場原理一辺倒ではなく、共助の精神がもう少しだけあれば、内部留保も生きたお金となって回るのではないのでしょうか。
 そこでお伺いをいたしますが、総理は、長い間、日本で受け継がれてきた共助の心をどのように評価されているのでしょうか、そして、この共助の精神を大切に次の世代に引き継ぐためには何をすべきとお考えなのでしょうか。この点をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石井準一議員にお答えをいたします。
 国土強靱化の取組についてお尋ねがありました。
 この夏、大阪北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いで発生しました。防災・減災、国土強靱化は喫緊の課題であると改めて痛感しています。
 政府としては、一連の災害に対し、関係自治体の復旧復興事業が進むよう、予備費を十分に活用して、発災後直ちにプッシュ型支援を実施するとともに、生活やなりわいの再建に向けた支援策の実施、激甚災害の指定などの対策を迅速に講じてきたところです。
 また、一連の災害の被災地の復旧復興を更に加速し、ブロック塀改修等に対応するため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 今後は、記録的な集中豪雨、経験したことのない暴風や大雨を伴う台風など、近年の災害を受けて現在進めているインフラの総点検の結果を始め、これまでの災害を通じて培ってきた経験や教訓を踏まえ、国土強靱化基本計画を年内に見直すとともに、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するなど、必要な予算を確保した上で、強靱なふるさと、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げてまいります。
 自衛隊及び地方の建設業の人材確保等についてお尋ねがありました。
 各種の災害が多発する中、自衛隊は、人命救助や生活支援など、被災者に寄り添った活動を行うことでその心の支えとなり、地方の建設業は、最前線で安全、安心の確保を担う地域の守り手として重要な役割を果たしています。
 今後とも、自衛隊の多様な活動を支える人的基盤を一層強化していく観点から、民間企業での勤務経験を有する者など、幅広い層からの多種多様な人材の確保を図るとともに、育児や介護との両立支援施策の推進を図ることとしています。
 また、地域の建設企業が将来にわたって地域を支えていくため、受注機会の確保や予定価格の適正な設定、ダンピング受注の防止に取り組むとともに、生産性向上にも積極的に取り組んでまいります。
 政府としては、少子高齢化という社会構造の大きな変化に直面する中においても、自衛隊や地方の建設産業を魅力ある職場とし、優秀な人材を確保していくため、働き方改革を積極的に推進してまいります。
 福島再生についてお尋ねがありました。
 福島では、避難指示が解除された地域において小中学校が再開するなど、復興は一歩一歩着実に前進しています。福島の皆さんの思いに寄り添いながら、引き続き、なりわいの復興、心の復興に強力に取り組む決意であります。
 特に、福島イノベーション・コースト構想は、福島復興の切り札です。
 この夏、南相馬市で福島ロボットテストフィールドが一部開所し、民間企業によるドローンの先進的な飛行試験が行われました。浪江町では、世界最大級の再生可能エネルギー由来の水素製造工場の建設が始まりました。ここで作られた水素は、福島県内のみならず、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会での活用も目指しています。
 福島から、未来のロボット社会、エネルギー社会の姿を世界に向かって力強く発信してまいります。
 復興庁の設置期間経過後の組織の在り方については、与党からも検討開始に向けた提言をいただいたところですが、今後、復興施策の進捗状況や、原子力災害被災地域の復興再生には中長期的な対応が必要であり、国が前面に立って取り組む必要があるといった観点を踏まえ、具体的に検討していく考えであります。
 今後とも、福島の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下、福島の再生に政府一丸となって取り組んでまいります。
 地方創生のための交通ネットワークの整備についてお尋ねがありました。
 鉄道や道路を始めとした交通ネットワークは、地域相互の交流を促進し、観光振興や企業立地など、地方創生に重要な役割を果たすものです。このため、利便性の高い交通ネットワークを早期に構築していくことにより、その効果を最大限発揮させていくことが必要です。
 中でも、整備新幹線は、現在整備中の三区間を平成二十七年一月の政府・与党申合せにおける完成・開業目標時期に合わせ確実に開業させるよう財源を確保し、着実に工事を進めるとともに、北陸新幹線敦賀―新大阪間についても、駅、ルートに係る詳細調査等を着実に実施し、財源の確保を行うことで、整備計画路線の確実な整備に目途を立ててまいります。
 新幹線等の交通ネットワークを軸に、日本全国北から南まで、地方と地方をつなぐ地方創生回廊をつくり上げ、地方に成長のチャンスを生み出してまいります。
 保護主義の広まりと自由貿易の推進についてお尋ねがありました。
 世界において保護主義の懸念が高まる中で、自由で公正なルールに基づく貿易を世界に広げていく重要性は一層高まっています。戦後、天然資源に乏しい我が国が目覚ましい経済成長を遂げることができたのは自由貿易体制のおかげです。TPP11や日EU・EPAを相次いで合意に至らせたことは、自由で公正な貿易を力強く前進させていくとの揺るぎない意思を全世界に示すものです。
 今後とも、我が国は、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化を積極的に推進してまいります。
 免震、制振技術に関する不正事案と質の高いインフラの輸出についてお尋ねが出ました。
 世界的にも高く評価されてきた免震、制振技術の分野で検査記録の改ざんなどの不正事案が発生していることは大変遺憾であります。
 現在、国土交通省において徹底した原因究明などを関係者に指示しているところであり、再発防止を徹底し、一日も早い信頼回復に向けた取組をしっかりと進めることが重要です。
 また、政府は、拡大する世界のインフラ需要に対し我が国の質の高いインフラの輸出を促進しているところですが、これは我が国の企業や製品が世界各国からの信頼を得ていることが大前提です。
 今後とも、我が国の技術への信頼を高めるための不断の取組を進め、質の高いインフラの海外展開を推進してまいります。
 日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。
 日本と米国は、戦後一貫して強固な同盟国であるとともに、経済大国として世界の自由貿易体制を共に牽引してきました。この土台の上に、先月、日米物品貿易協定の交渉を開始することで合意しました。
 今後の交渉について現時点で予断を持って申し上げることは差し控えますが、双方の立場の違いをお互いに尊重しながら、両国の間の貿易を一層促進することによって双方に利益が得られるような結果が得られるように議論を進めていきたいと考えています。
 いずれにせよ、農林水産品については、既に先般の日米共同声明において、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意いたしました。
 この点が最大のポイントであり、当然この前提の上に、今後、農林水産業に携わる皆様の不安なお気持ちにしっかりと寄り添いながら米国と交渉を行ってまいります。そして、我が国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意であります。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものです。
 制度の運用に当たっては、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、国内人材の確保や生産性の向上の取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる業種に限り外国人材の受入れを行うこととしております。
 また、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の検討を進めており、在留のための環境整備についても関連施策を積極的に推進するとともに、不法滞在者、偽装滞在者対策を含む犯罪防止の取組も的確に進めてまいります。
 体制面においても、出入国在留管理庁を新たに設置し、管理体制を抜本的に強化し、国民の皆様に不安や懸念を与えることがないよう、政府全体として適切に取り組んでまいります。
 軽減税率の導入に当たっての中小・小規模事業者の負担軽減についてお尋ねがありました。
 来年十月に予定されている消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 お尋ねの軽減税率制度については、政府としても、その円滑な実施に向けて、周知、広報や事業者の準備支援にしっかり取り組むことが重要と考えています。
 このため、これまでも、軽減税率制度についてのQアンドAの公表や事業者向け説明会の開催を行うとともに、中小の事業者等が軽減税率に対応するために必要なレジ導入やシステム改修に使用できる補助金を設けるなど、様々な取組を推進してきたところです。
 今後も、引き続き、関係民間団体等とも緊密に連携しつつ、制度の周知、広報等に努めるとともに、来年十月の実施に向けて、事業者の準備状況等を踏まえつつ、必要な措置を検討し、軽減税率制度の円滑な実施につなげていきたいと考えております。
 柔軟な年金の受給開始時期の選択についてお尋ねがありました。
 人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。既に、未来投資会議において、七十歳までの就業機会の確保など、生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、来年の夏までに実行計画を決定する考えです。
 その上で、高齢者の生活の支えである年金については、年金受給開始のタイミングを自分で選択できる範囲を広げていきたいと考えています。
 共助の取組についてお尋ねがありました。
 日本は古来から、朝早く起きて額に汗して田を耕し、水を分かち合いながらみんなで五穀豊穣を祈り、そして、病気に倒れて満足に田畑を耕せない人がいれば、みんなでお米を持ち寄って助け合ってきた。懸命に生きる人同士が、苦楽を共にする仲間だからこそ、何かあれば助け合う。我が国にはそのような共助の精神があると考えています。
 この夏の一連の災害は、列島に大きな被害をもたらしました。他方で、困難な中にあっても、人々は整然と助け合い、譲り合いました。そして、多くのボランティアの方々が被災地に入って活動した。これは、まさにこうした共助の精神の表れではないかと考えております。
 企業は今、過去最高の収益を上げています。こうした収益を着実に賃上げにつなげていく、そしてさらに、未来への投資を大胆に行い、成長と分配の好循環をしっかりと回していく。アベノミクスの取組を通じて、この好循環を更に力強いものとすることがより良き未来につながっていくのではないかと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣山本順三君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(山本順三君) 石井準一議員より、国土強靱化に関して御質問をいただきました。
 まず、この夏の一連の大災害により亡くなられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 災害から人命、財産を守るための防災・減災、国土強靱化、これは早急に対処すべき課題であると考えております。また、災害関連死による死者数が地震による直接の死者数を上回った熊本地震等の教訓も踏まえ、被災者の健康管理や避難生活環境の確保は重要な課題であると認識をいたしております。
 御指摘の学校施設については、避難所としての役割も果たすことから、トイレ改修、非常用電源など、防災機能強化を推進し、学校施設が避難所としての機能を十分果たせるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいります。また、平成三十年度補正予算案においても、児童生徒等の熱中症対策として、エアコン整備のための経費を計上しているところでございます。
 また、国土強靱化基本計画においては、災害により発生する四十五の最悪の事態を設定し、それを回避するために必要な施策の方針を記載をいたしております。
 年内を予定いたしております国土強靱化基本計画の見直しにおいては、最悪の事態の一つとして、新たに、劣悪な避難生活環境、被災者の健康管理の不全による多数の死者、病症者の発生を加えることにいたしております。さらに、この最悪の事態を回避するために必要な施策についても、重点化プログラムとして新たに位置付け、優先的、重点的に取り組むことといたしております。
 これら取組を着実かつ重点的に進めることにより、学校施設の防災機能の強化を始め、被災者の良好な避難生活環境の確保など、強靱な国土づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(伊達忠一君) 石上俊雄君。
   〔石上俊雄君登壇、拍手〕
#27
○石上俊雄君 国民民主党・新緑風会の石上俊雄でございます。
 安倍総理の所信表明演説に対し、会派を代表して質問させていただきます。
 冒頭、大阪北部地震、西日本豪雨災害、台風二十一号、そして北海道胆振東部地震で亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 早いもので、憲政史上類のない政府の不祥事で混乱したあの通常国会から三か月がたちました。この間、私も政治家として原点に立ち返るべく、全国津々浦々の仲間を訪ね、政治に対する疑問や批判、また建設的な提案をたくさん聞かせていただきました。
 さらに、私の最大支援組織である電機連合五十七万人の皆さんからも、魂のこもった熱いメッセージを数え切れないほど頂戴しました。
 本日は、その中でも特に要望の高かった御意見、関心事に基づき、安倍総理と麻生大臣に質問させていただきます。
 初めは、最も多くの方から寄せていただいた要望である産業政策についてお尋ねします。
 一つ目は、現在進行中の米中貿易戦争についてです。
 昨年まで世界経済は、グレートモデレーション、大いなる安定と呼ばれ、ダボス会議では、この安定がいつまで続くのかが最大の関心事でした。しかし、今年に入り、米国トランプ大統領が貿易戦争を中国に仕掛けた結果、我が国製造業では好調だった産業ロボットや工作機械、また電子部品の製造装置等で中国投資落ち込みの懸念が広がり始めています。これ以上の対立激化は、米中のみならず、我が国の経済にもマイナスであることは必至です。トランプ大統領のことを評論家は、俺の最高のアドバイザーは俺と信じる人とやゆしますが、そんな彼でも総理は友人として、いや、それ以上に日本の国益を代表して経済界の懸念をしっかりと直言すべきです。保護主義の行き着く先は所詮勝者なき戦いと総理はトランプ大統領に言い含める気構えがあるかどうか、真摯な答弁を求めます。
 二つ目は、国内企業に散見されるデジタル革命への取組不足についてです。
 今年八月、日本政策投資銀行が公表した企業行動に関する意識調査というアンケート結果で関係者の間に衝撃が走ったことを総理は御存じでしょうか。製造業、非製造業の計一千百六十八社にビッグデータや人工知能についてヒアリングしたところ、三八%が活用の予定なし、三四%では活用予定ないだけではなく関心もないとの回答でした。更に驚くべきは、中期的な市場開拓や新規事業への取組について問われると、約六割の企業が取組の予定はないと答えたのです。これでは、政府の成長戦略、例えばコネクテッドインダストリーズ等は企業の間で本当に理解されているのかと疑問符を付けられても仕方がありません。
 また、所信表明演説で総理が誇らしげに紹介した固定資産税ゼロのかつてない制度も、実は三年限定という一過性のものにすぎず、果たしてこれで我が国企業のデジタル革命への取組不足という課題解決が可能なのか、極めて疑わしいと考えますが、総理の見解、今後の対応について御説明ください。
 次は、同じぐらい要望の高かった労働分野から、さきの働き方改革国会では議論の俎上に上がらなかった、ある長時間労働問題について質問させていただきます。
 全国の医療現場では、二年に一度の診療報酬改定に合わせて、大勢のシステムエンジニアたちが、診療報酬明細書を作成する専用ソフト、通称レセコンの改修に、短い納期の中、不眠不休で取り組んでいます。実は、レセコンの改修が過酷な作業現場として常態化する原因は、国の予算編成の流れにあるのです。診療報酬の改定率は、国の予算枠が固まらないと決めることができません。しかし一方、改定内容が決まると、今度は新年度当初からその適用が求められるため、結果的に作業は常に短納期、過密スケジュールとなり、現場では毎回長時間労働が当たり前となってしまうのです。
 私も何度か委員会でこの構造問題を訴えてきましたが、厚労省は政府全体の予算編成というスケジュールの複雑化、硬直性を前に物申せないのか、長年問題を放置してきました。本来、長時間労働を是正する側の国が長時間労働をつくり出し、二年に一度苦しむ人が必ず発生する。そんな仕組みがいつまでも存続していいはずがありません。
 総理、是非明確で力強いリーダーシップを発揮して、この問題を解決すると、この場ではっきりとお約束してください。
 次に、社会保障について、安倍総理と麻生大臣にお尋ねします。
 総理は所信表明演説の中で、全世代型社会保障をきれいにうたい上げましたが、年々拡大する社会保障給付費と保険料収入の差についてはどう考えるのでしょうか。
 また、来年十月に消費税率を一〇%に引き上げる旨を宣言しましたが、一〇%の後、我が国の消費税率は最終的にどこまで上がるのですか。これで打ち止めか、それともヨーロッパ諸国並みに二〇%まで上げるつもりなのでしょうか。
 いずれにしても、政府がまずやるべきは徹底的な無駄遣い減らしです。自分たちの無駄遣いの精査は後回しにして、消費税率をいじれば、幾らでも国民からお金を搾り取れると思ったら大間違いです。
 また、関連して、プライマリーバランス回復達成が二〇二五年度に五年先送りされましたが、本当のところ、その実現性はどれくらいあると考えているのでしょうか。万が一、この公約が合理的な理由もなく破棄された場合、総理はどのような政治責任を取る覚悟ですか。後々言い逃れができないよう、明瞭簡潔な言葉で具体的な答弁をお願いします。
 また、麻生大臣にもお尋ねします。
 持続可能な社会保障制度の確立を図るため、自助自立のための環境整備の必要性は今や国家的な大命題となっています。特に、生命保険等は自助努力による生活保障手段として国民生活の安定に寄与しており、今後、より多様化する国民の生活保障ニーズ対応の観点からも、生命保険関連税制の抜本的な強化充実が必要と考えますが、麻生大臣の認識、対応方針をお示しください。
 最後に、安倍内閣閣僚の政治姿勢についてお尋ねします。
 片山大臣、麻生大臣、そして総理自身に質問します。
 まずは、片山大臣にお伺いします。
 大臣には、現在、口利き疑惑報道が投げかけられています。午前中、総理から、我が会派、大塚参議院会長への答弁にもありましたように、疑惑に対して説明責任を果たすべきは、片山大臣、あなた自身です。裁判を起こすのは自由ですが、自分が雇った弁護士から裁判外で説明は控えてもらいたいと言われているということを理由に説明責任を回避できるという考えは、完全な間違いです。世間ではこれをマッチポンプと呼びます。何もなければ説明し、潔白ならばそれで疑惑は終わりです。
 片山大臣には、まず自らの疑惑について、納得できる説明責任を果たすことを求めます。それがあなたの義務です。でなければ、大臣の職を担うことはできません。
 次に、麻生大臣にお聞きします。
 一連の財務省不祥事の責任を負うはずの大臣が、なぜいまだに内閣の一員としてこの場にい続けているのでしょうか。総理に頼まれたからですか。麻生大臣は、あの明治維新の偉人、大久保利通の御子孫とお聞きしますが、最後の最後まで麻生大臣をかばい続ける安倍総理に、大久保利通の盟友、西郷隆盛、西郷どんの最期の言葉を拝借して、御自身の意思をしっかり伝えるべきではないでしょうか。晋どん、もうここでよかと。
 晋どんとは、西郷隆盛が西南戦争の最後で介錯を頼んだ別府晋介のことで、くしくも晋介の晋の字と安倍晋三の晋の字が同じで、ついついイメージが重なり、不思議だなあと感心しています。
 それはさておき、麻生大臣は、今からでも遅くありません、安倍総理に、晋どん、もうここでよかと、大臣留任を固辞すべきではないですか。麻生大臣、時に解読困難な本心を、誰にでも分かるように是非率直にお聞かせください。
 そして最後に、安倍総理にも政治姿勢についてお聞きします。
 総裁選で三選を果たし、このままだと首相在任期間が、合計でも連続でも日本の憲政史上最長になると伺いました。そのことが国家国民にとっていかなる意味があるか、私にはよく分かりません。しかし、その記録達成までの間、大多数の国民、与党公明党も乗ってこない憲法改正を唱え続けるのは余り有益とは思えません。
 今、安倍政権に必要なのは、異次元緩和策の出口戦略のように、登った山の頂から安全に下りること、言わば下山の思想ではないでしょうか。残された時間の中、自らの行動に起承転結をしっかり付けることが何よりも大切です。
 新しく求心力をつくるため、政権のレガシーをつくるため、見込みの薄い憲法改正を引っ張り回す作戦については、私からも総理にはっきりと言わせていただきたい。晋どん、憲法改正は、もうここでよかと。
 今回は厳しいことも多少言わせていただきましたが、これも全て、麻生大臣、安倍総理、そして国家国民のためと信じ、私自身、自らの代表質問にもうここでよかとけじめを付けて、質問を終わらせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石上俊雄議員にお答えをいたします。
 米中の経済関係についてお尋ねがありました。
 貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもなりません。ルールに基づく多角貿易体制を重視する我が国としては、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えています。
 このような日本の基本的な立場については、これまでも米国及び中国に対して様々なレベルで明確にしてきております。
 今後とも、米中双方による追加関税措置の事態の推移については、その影響と併せ、緊密にフォローしてまいります。
 我が国企業のデジタル革命への取組についてお尋ねがありました。
 世界第四次産業革命とも呼ばれる急速な変化が進む時代にあって、我が国企業が国際競争力を高め、世界で打ち勝つためには、人工知能、ビッグデータなどデジタル革命のイノベーションを積極的に取り込むことが必要であります。そのためには、企業がこうした激変する外部環境を的確に捉え、大胆な投資を行うことができるよう、これまでのデフレマインドを一掃し、その経営の在り方を大きく改革していかなければなりません。
 そうした観点から、安倍内閣ではこれまで、内向きマインドを廃し、外を向いた改革を促すため、上場企業において社外取締役の選任を原則化し、社内の順送り人事ではなく、改革を断行できる人材を経営トップに選ぶための新しい仕組みをつくるなど、コーポレートガバナンス改革を積極的に推し進めてまいりました。
 今後とも、企業の経営改革を後押しすると同時に、投資促進のため、税制、予算などにより、我が国企業によるデジタル革命への対応を力強く後押ししてまいります。
 診療報酬改定のスケジュールについてお尋ねがありました。
 診療報酬改定に関しては、年末の予算編成過程を通じて決定された改定率に基づき、中央社会保険医療協議会において個別の診療報酬項目に関する点数設定等を決定した上で、三月上旬に改定内容について告示や通知を発出し、四月一日から施行しており、医療を取り巻く諸課題にできるだけ早く対応する必要があることから、このスケジュールにより改定作業を行っています。
 一方で、これまでも、告示や通知を少しでも分かりやすくすることや、告示と同日に電子点数表を公示すること等の取組を行い、システム改修を始めとする関係者の負担軽減を図ってきております。引き続き、関係者の働き方に留意しつつ、改善に取り組んでまいります。
 社会保障給付費、消費税率引上げと財政健全化目標についてお尋ねがありました。
 社会保障給付費については、高齢者に係る給付がより高い公費割合となっていることから、近年の高齢化等の影響により公費負担が増加し、結果として社会保障給付費と保険料収入の金額の差が拡大しているものと考えています。
 消費税率については、法律で定められたとおり、来年十月一日に現行の八%から一〇%に二%引き上げる予定です。また、その後について検討を行っていることはありません。
 来年十月に予定されている消費税率の引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員して、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
 引き続き、経済再生を図りながら、歳出と歳入、それぞれの面からの改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
 私の在任期間と憲法改正についてお尋ねがありました。
 内閣総理大臣として、また国会議員として常に私の頭の中にあることは、ただ一つ、国民の負託に応え、結果を出していくことであります。肩の荷を少し下ろせとの温かいお気持ちで、晋どん、憲法改正はもうここでよかという言葉を掛けていただいたと感謝申し上げたいと思いますが、しっかりと国民の負託に応えていきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(麻生太郎君) 石上先生からは、計二問お尋ねがいただきました。
 まず、生命保険関連税制についてのお尋ねであります。
 生命保険料控除制度というものは、これは、生命保険が有しておりますいわゆる公的保障を補完いたしますいわゆる私的保障としての役割を踏まえた上で、保険契約者の自助努力を支援するものというように位置付けられておりますのは御存じのとおりです。
 昨今の急速な高齢化が進展しております中で、私的保障に関します老後の生活等のリスクへの備えは、これは極めて重要でありまして、生命保険料控除制度そのものがその観点から一定の意義を有するものであることははっきりしておりますが、更なる拡充の必要性ということにつきましては、これは、私的年金、貯金、また、ほかにも投資等々各種の優遇税制がありますのは御存じのとおりでして、これらのものとの関係もありますので、これは丁寧に検討していく必要があろうと存じます。
 もう一点、私の留任についてのお尋ねがあっております。
 今回の内閣改造に対しまして、安倍総理から、これまでの経済の立て直しに向けた成果を上げてきており、引き続きデフレ不況からの完全脱却を目指して全力投球をするようとのお考えを示されておりますので、経済再生と財政健全化の両立に向けて、私もしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 あわせて、財務省における文書改ざんなどの問題を真摯に反省し、こうしたことを二度と起こさないようにするとともに、財務省の信頼回復に向けた取組を進めていくということにより、大臣としての職責を全うしていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣片山さつき君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(片山さつき君) 石上俊雄議員より、週刊誌報道に関するお尋ねがありました。
 まず、最近の週刊誌報道によりお騒がせをしている件について、大変申し訳なく思っております。
 ただ、私は、記事にあるような不法な口利きをしておりませんし、その百万円を要求したことも受け取ったこともありません。記事には事実と異なる記述があり、私の名誉を毀損することから、十月二十二日に司法の場に提訴したところでございます。
 今後、記事が事実ではないことを司法の場を通じて明らかにするとともに、しっかりと説明責任を果たしてまいりたいと考えております。(拍手)
#31
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト