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1947/05/06 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 水産委員会 第12号
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1947/05/06 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 水産委員会 第12号

#1
第002回国会 水産委員会 第12号
昭和二十三年五月六日(木曜日)
    午前十一時七分開議
 出席委員
   委員長 青木清左ヱ門君
   理事 夏堀源三郎君 理事 西村 久之君
   理事 三好 竹勇君 理事 鈴木 善幸君
      石原 圓吉君    坂本  實君
      冨永格五郎君    仲内 憲治君
      森 幸太郎君    本間 俊一君
      金野 定吉君    藤原繁太郎君
      宇都宮則綱君    神山 榮一君
      内藤 友明君    受田 新吉君
      河口 陽一君
 委員外の出席者
        大藏事務官   忠  佐市君
        專門調査員   小安 正三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 漁業課税に関する件
    ―――――――――――――
#2
○青木委員長 これより会議を開きます。
 石原圓吉君より、漁價並びに資材の問題等に関し発言を求められております。これを許します。
#3
○石原(圓)委員 西日本水産振興会におきましては、二十三年四月二十五日大会を開きまして、以下申し述べる各項目に対する陳情をいたしてゐるのであります。この西日本水産振興会は、大阪以西の漁業題係者を網羅しておるものでありまして、およそ全國の半数に達する漁業者大衆よりの声であります。第一に高級魚に対する價格統制を廃止されたい。現行の制度は價格算定の基礎に大なる誤謬がある。この誤謬の点につきましては陳情書に明記してありますから、説明は省略することにいたしますが、從來高級魚というものはいわゆる大衆の口にはいらないのでありまして、大体旅館、料理店その他いわゆる生活の高き家庭へはいるのであります。この高級魚が採捕されるまでには、從つて種々の大衆魚と此較にならないほどの時間と漁具とその他の資材に対する費用が莫大に要るのでありまして、大衆魚と同率にやるということは根本より間違つているのであります。これは長く叫ばれていることでありますが、この價格を撤廃するということは、物價局等よりは間接に漏れているけれども、まだ撤廃するもののごとく新聞等には出るけれども、実際未だ確定しないのであります。しかし漁業関係者は、すでに撤廃になるものと信じて漁獲に対する準備をして、現在漁獲に着手しつつあるのでありますが、この高級魚の漁期はもう目前に差迫つておるのでありまして、この一両月が最も漁期の重要な時期でありまして、これが速やかに撤廃が発表されない場合には、漁業がたちまち停止され、漁業者が沖に出ないおそれがあるのであります。であるから、これは今日ただいま速やかに高級魚の價格統制を撤廃してもらわなければならぬという趣旨であります。
 次は沿岸漁業者に対して労務加配米を交付されたいという問題であります。遠洋漁業、トロール、その他各種の漁業に対して加配米を出しておるのにかかわらず、沿岸漁業にはどうして加配米が今日まで交付されないのか、この点は非常に不合理なのでありまして、遠洋漁業その他は港を出てから戻るまでの間、船員としては漁業に從事する以外に、あるいは漁業以外の労働というものはむしろ沿岸漁業よりその率は低いのでありまして、沿岸漁業者こそ沿岸と沖との往復が頻繁に行われるので、労働の上からはむしろ沿岸漁業者に加配米を出さなければならぬというのが事実であります。それにかかわらずこのことが未だ実行されないということは、漁業の減退を來すよりしかたがないという実情にあるのでありますから、これは速やかに沿岸漁業者に対して労務加配米を交付されたいという趣旨であります。
 次は漁具及び漁場に対するところの保險制度を設けられたいという点であります。從來漁船には保險制度がありますけれども、定價漁業であるとか養殖業であるとか、そういう漁場内の設備、種々の海に対する設備についての保險制度がないのであります。また網であるとか綱であるとかいうような漁具が失われた場合、またははえなわというものが失われた場合の保險制度がないのであります。從つて漁業者は非常なはからざる損害をこうむるのみならず、ここに一大支障を生じておるのは、漁船は保險制度があるから、復金、中金その他金融の面においては、相当今日までは円滑に融資されておるのでありますけれども、定置漁業のごとき、また漁船以外の漁具のごときは、少しも金融の対象にならないことになつておるのでありまして、この際これらの漁船以外の漁具、漁場の設置等へも、速やかに保險制度を設けられたいという趣旨であります。
 次に漁業に対する税制の問題であります。この税制の問題は、今日の事業税に関する問題でわれわれ委員会は態度をきめなければならぬことになつておるのでありますが、この漁業税にははなはだ不合理の点が多いのでありまして、速やかにこれを改善されたい。漁業者がいたずらに融資であるとか、その他國の助成を望むが、一面税金は免れたいという意向に聞えることは非常に遺憾なのでありまして、そういう意味ではないのであります。漁業者といえども國民の一部であり、國費を負担するのは当然でありますから、合理的な税制制度を改廃するようにという趣旨であります。
 次は金融機関の問題であります。從來われわれは水産銀行であるとか、水産金融の独立したものを制定しなければ、日本の水産は金融のために急速なる発達は見られないということは、長く主張しておるのでありますが、今回復興金融金庫の制度ができましても、その大部分は鉱山であるとか、あるいは工業等の方面に融資をされ、最近新聞にもあるように、ある一つの大きな方面、会社等へ融資して、それが調査を要するような実情になつておる、漁村においてはまことに微弱なものの集まりでありますから、この復興金融金庫の融資の爭奪は、要するに資本的な方面、鉱工業者、それらに圧倒されてしまつて。円滑なる融資が受け得られない実情にあるのであります。ゆえにこの際農林水産復興金庫と申しますか、とにかく水産金融の独立した制度を設けられたいという趣旨であります。
 次に燃油の配給の制度であります。終戰までは漁業用の燃油は大体系統機関を通じて配給されておつたのでありまするが、その後石油公團というものができて、それがまた逆轉して、漁村の石油配給の慣例を無視するような状態になつたのでありまして、これはある意味から言えば、昔の石油業者を救済するというような傾きもないとは言えないのであります。はたしてさような事実がありとすれば、これは時代の逆行であります。漁業における燃油というものは、人間における主食の米麦と同等の地位にあるものでありまして、漁業用の燃油は漁業者團体すなわち漁業者の手によつて輸入をし、また配給をするようにしなければならぬものであると主張をしておるものであります。この趣旨をもつて、速やかに漁業用燃油は漁業者の手において取扱うような制度を設けられたいというのであります。
 荒筋でありますけれども、以上が大体この陳情の要旨でありまして、詳細はここに書面に認めてありまするから、御檢討を願いたいのであります。
 なおもう一つ、資材調整事務所を廃止されたい。この資材調整事務所の行う事務は、從來この制度のない以前は、都道府縣において取扱つておつたものでありまして、この都道府縣の扱いに多少の非難があつた所がありまするけれども、要するに都道府縣の縣廳に取扱いをせしめて、配給の委員会の制度を設けたならば、必ず円滑敏速にいくものであるとわれわれは考えておつたのであります。しかるに突如として、農林省は資材調整事務所を都道府縣に置くことにしておるが、そのためにむしろ都道府縣の水産関係官吏との間に摩擦相尅が起り、対称的な傾向を生ずるおそれがあるのであります。せつかく府縣には事務的にもすべてそれだけの施設があつたものを、それを無用の長物として、さらに本省出張所を設けるということは、時代錯誤であり、中央集権であります。地方分権を叫ばれ、民主主義を叫ばれておるときに、その逆作物を起すところの中央集権主義をここに実現するということは、この民主主義政治を実行しなければならぬときに、まつたく間違いのはなはだしいものであると思います。そのために各府縣のこの種の出張所、同種の地方の役所は大体閉鎖撤廃されるようなことを政府は声明しておるのでありますけれども、この資材調整事務所は未だ廃止しない、廃止するという意思の表示がないのでありまして、はなはだ怪訝にたえないのであります。まずこれより早く撤廃すべしという要望が全國の漁業者の声であります。どうかこの点も速やかに撤廃されんことを希望するものであります。
 以上が西日本水産振興会の総意であります。よろしくこの主旨の貫徹に向つて委員長及び委員各位におかれましては、政府を御鞭達あらんことを希望いたします。
#4
○青木委員長 本件に関しましては、関係当局の政府委員の出席がございませんので、これを速記録に留めてございまするから、他の適当な委員会の日にこれの説明を求めたいと存じます。なおただいまお述べになりました事項は、いずれも本委員会におきましても、以前より論議研究されておる点でありまして、おそらく委員諸君もすべて同感であり、その趣旨は支持されるものと考える次第であります。
    ―――――――――――――
#5
○青木委員長 次に漁業課税の問題につきまして、前会に引続き討議をいたします。本日は大藏省主税局管理部第一課長忠佐市君並びに経済安行本部財政金融局財務課岡野節君が出席されております。各位の御意見の御発表を許します。
#6
○西村(久)委員 まず漁業者に対しまして漁業事業税を創設せられんとする当局のお考えを先に御発表が願いたいと思います。
#7
○忠説明員 事業税につきましては、私直接担当いたしておりませんので、ただいま趣旨その他について申し上げることができないのは、はなはだ遺憾とする次第でございますが、要するに地方税の問題といたしまして、地方財政の充実と確立というような面から、ただいま研究の道程にあると考えておる次第でございまして、なお詳細につきましては、後刻担当の方面からお答えを願うようにさしていただきたいと思います。
#8
○西村(久)委員 ただいまのお話によりますと、おわかりにならないもようでございますから、これ以上質問いたすことは遠慮しなければならぬと存じますが、私の考えといたしましては、今日のような時代に、さなきだに負担の多い漁民に、漁業事業税という惡税を負担させるという考え方は、根本的に改むべきものであるという信念をもつております。理由その他につきましては追つて申し述べたいと存じまするけれども、地方の財源が枯渇いたしておりまする財源緩和の方法としては、漁師をいじめないでも、ほかに別途の方法が、國民全体を通じての均衡を保ち得る負担の方法があり得るやに私は信ずるのであります。かるがゆえに不均衡にまたがりますこういうような一職業に偏するような方法の税は、これは撤回をして、考え直しを政府にお願い申し上げまして、私の意見は適当な他の機会に申し述べたいと存じます。
#9
○青木委員長 ただいま西村君の御発言もございましたが、地方財改委員会の事務局長がこちらへ参ることになつておりまするから、出席がありました場合この問題に対する審議を継続いたすことといたしまして、この問題はしばらく保留いたしたいと存じます。
 次に何か御発言ございませんか。
#10
○石原(圓)委員 今回の國会においては、委員制度を設けて水産が一つの独立した委員会を形成したことは、これは財戰後の日本が重要産業の第一として、最も重大性のある將來重要な産業であるから、農林部門より切放して、そうして水産常任委員会を設けたいということは明らかな事実でありまして、これが常任委員会を整理するとか、その数を減すとかいうようなことのために、水産常任委員会が他へ併合されてなくなるということは、非常なる不合理なことと考えるのでありまして、すでにその必要を認めたから独立した。おそらく産業部門で一つの独立した委員会になつたのは、水産が他のいずれの産業にも優越性をもち、重大性をもつているものであるから設けられたのであつて、この際これをただちに併合するということは絶対に反対である。この意向はかねて委員長は何らかの意思表示をされていると信じているのでありますが、これに対して從來とられた処置がありますならば、簡單に御説明を願つて、さらに発言を求めたいと考えるのであります。
#11
○青木委員長 お答えいたします。農林委員会と水産委員会との併合に関しましては、この問題が起りましたのは、今より約二箇月前のことでありますが、委員諸君の総意をもちまして、議院運営委員長の浅沼君並びに衆議院事務総長の大池君に対しまして、われわれの意のあるところを傳えたのであります。その後衆議院の運営委員会においても、常任委員会を各省別に分類するか、またはこれを業種別に分類するかという点については、まだ議がまとまつておらないかのように聞いておるのであります。從つて常任委員会の数を十五ないし十六に減ずるという既定方針は変りはないが、そのいずれの方法にするかということについては、まだ決定を見ておらないもののようであります。実はこの問題について本委員会の委員各位の熱望する点は、ただいま石原委員よりお述べになつたことをもつて代表されているのでありまするが、委員会として相当の意思表示をするとともに、また政治の基盤は政党にあるという建前から、各党において党議をまとめ、議院運営委員がわれわれの意向によつて動いていただくという方法を講ずる必要があると存じまして、私は各党の方々にもお願をいたし、なお私の属しておりまする民主党においては、過日役員会において、農林、水産委員会は合弁すべからずという決議をいたしておるのであります。なお四日、五日の両日にわたりまして、民主党の党大会が行われたのでありまするが、不肖私は水産対策委員会の委員長といたして水産対策を決定したのでありまするが、その決議事項の第二項に衆参両院の水産常任委員会は、農林とは別個の事業形態を有する水産の立法基盤として存置するという事項を挿入いたし、昨日党大会において党の基本方針として決定を見ておるのであります。どうか民主自由党、社会党、國民協同党、社会革新党その他各党におきましても、党議をもつてこの問題を御決定に相なるとともに、わが水産常任委員会においても、一致の要望として関係方面の了解を得ることに万全を期したいと考えております。石原圓吉君。
#12
○石原(圓)委員 経過の点は了承いたしました。参議院の水産常任委員会は全会一致でこの反対存置を強調して、それに対しては進駐軍へまでも陳情書を出し、またそれの存置の要望を申し出ておる。これは衆議院の常任委員会よりも一段と熱意をもち、前進しているように心得るのでありまするが、ただいま委員長の申されるように、ここに固き方針の決定を見て、一段と速やかに前進することを要望する次第であります。民主自由党にありましては、水産関係議員は、全部これの存置を強く党の幹部へ要求しておるのであります。なおこれに対する党の決議を求めることになつております。どうか他の各党においても、委員長の仰せられるように党議をきめ、速やかに参衆議院の提携結束によつて、これの存置を貫徹することにお取計らいあらんことを、強く切望する次第であります。
#13
○青木委員長 藤原繁太郎君。
#14
○藤原委員 委員会統合問題に関しまして、社会党といたしましても、ただいま石原委員が言われたと同様の趣旨において、農林と水産というものはおのずからその性格を異にいたしております。農林、水産委員会が一緒になるということは、われわれ日本の水産業の將來を考えて立つておる水産人といたしましては、まことに同意できないものがあるのであります。從いまして社会党水産委員といたしましても、この議が起きました第二國会の初めにおいて、しばしばこれを党幹部と協議をなしてまいつたのでありまするが、当時は大体において農林委員会に水産委員会が合流するという案は中止いたしまして、できるならば水産委員会で独立していく、こういうことに大体方向が向いておつたのでありまするが、その後しばらなこの問題が中絶されまして、また自然休会明けの今日にこの問題が出てまいつたのであります。われわれ社会水産委員会といたしましては、石原委員の申されたことく、社会党全体として、水産委員会は独立していくという方面に全力を注いでいきたいと存ずる次第であります。從つてその方法といたしましては、やはり幹部との折衝によりまして、党議としてこれをきめるというところまで力強く推進していきたい、こう存ずる次第であります。各党同様な一致協力をしていただきたいことは、石原委員の言う通りわれわれも十分これを諒とし、それに共鳴して進んでいきたいと考えておる次第であります。
#15
○青木委員長 鈴木善幸君。
#16
○鈴木(善)委員 社会革新党といたしましては、先に党議をもつて農林、水産両委員会の統合問題につきましては、これを絶対に避くべきことであるという決定をいたしまして、議院運営委員会におきましても、外崎委員をもつて党の主張を強く主張いたしておるのであります。ただいま石原、藤原両委員から申されましたように、農林と水産とはおのずからそこに非常なる差異と特色をもつておるのでありまして、今日水産廳の設置を要望し、水産行改の面でも、総合的に、強力に水産政策を推進しようという要望が全漁村に高まつております際に、これと水産委員会が相まつて、強力に水産政策を樹立推進するということが絶対に必要であると思うのであります。特に漁業協同組合法案の審議及び農地改革に匹敵いたしますところの漁村民主化の基本法案である漁業権改革の問題等も、いまだに設定されておらない現段階におきまして、水産委員会の使命と任務はますます重大さを加えておる時でありますので、この際水産委員会はあくまでこれを存置いたしまして、十分なる審議と研究を本委員会においてとりまして、國会の権威を十分に発揮できるように、水産委員会はあくまで存置すべきものである、こういう趣旨のもとに、社会革新党といたしましては、党議をもつと強くこれを主張いたしたいのであります。
#17
○青木委員長 金野定吉君━━ちよつと速記を止めて……
    〔速記中止〕
#18
○青木委員長 速記を始めてください。
 水産常任委員会の存置の問題に関しましては、各党ともただいまの御発言によりまして、御賛成のもようでありますので、どうか各党の政治力を結集し、各方面の御了解も得、また参議院方面との運絡も緊密にいたしまして、各位の意のある点をくみまして、委員長におきましてそれぞれ交渉を開始し、善処いたしたいと存じます。
#19
○石原(圓)委員 近く自然休会のようなことに議会の空氣が見えるのでありまするが、休会明けということになれば、非常に期日が遷延してよろしくないと思います。この休会明けまでに、参議院と衆議院の合同会を開いて、この問題の歩調を強く進めていくようにお取計いを希望するものであります。
#20
○青木委員長 了承いたしました。
 なおこの際御報告申し上げ、併せて御了解を得たいことがございます。それは私の一身上に関する事件でございますが、今回民主党の総意によりまして、その保有す委員長を総て交代することに党議がまどまつたのでありまして、私も本委員会終了後、議長に対しまして辞表を提出いたしたいと考えるのであります。
 委員長就任以來約一年間、各位の御援助と御鞭撻によりまして、私の職員を無事果し得ましたことを、厚く感謝する次第であります。
 振り返りまして、私の在任中における水産関係の種々の問題を考えますると、魚價の問題につきましては、昨年約九割余の値上げを見、また今年の三月八日には五割程度の値上げを見ておるのであります。魚價の問題と資材のリンクの問題とは、その関連性において十分檢討を要する点もあることと存じまするが、とにかく一應漁民の熱意が報いられたという点におきまして、私は満足しているものなのであります。高級魚の統制撤廃につきまして、ただいま石原委員からも発言がございましたが、さらに一歩を進めまして、高級魚の統制撤廃よりは、むしろ國民の主食の対象となるべき大衆魚のみを統制し、それ以外のものを撤廃するという方向にもつていくべきではないかとも考えたのであります。すなわち大衆魚は約九種、いわし、にしん、たら、さんま、かつお、まぐろ、ぶり、さば、いかというようなものでありますが、政府方面及び関係上面とも折衝いたし、來る六月の一般物價の改訂の際、私どもの目的は達成するのではないかと考えられるまでに、この点の交渉が進んでおるのでありますが、漁期等の関係もありこれが実現の急速を期しておつたのであります。
 なお資材の問題につきましては、漁業資材を確保いたしまして、漁獲に必要なリンクの完璧を期するとともに、漁網、網の製造工場を拡大しなければならないと考えて、これらの点について鋭意努力してまいつたのであります。すなわちマニラ麻、綿糸あるいはワイヤロープ、燃油、という資材につきましては、すべてこれは輸入にまたなければならないのでありますけれども、ただいまのところ輸入の見透しは十分ついておるのでありまするが、残念ながら製網工場、製綱工場等の設備がこれに伴わない、ゆえにこれらの工場設備を拡充強化しなければならないという考えをもつておるのでありまして、この点われわれの努力が報いられて、こうした漁業資材が連合軍の好意によつて続々國内に輸入されつつあることは、御同慶に考える次第であります。
 なお金融の問題につきましては、零細なる漁民に対しまして融資の途を開き、水産施設を完成し、次の飛躍に備えるために、特に金融の方途を講じなければならないと考えまして、農林委員会等と連絡いたしまして、農林水産金庫の設立に向つて努力して來たのでありますが、まだこれが実現を見ないのははなはだ遺憾に感ずる次第であります。しかし今までの金融の方法はこれを改めまして、零細漁民の漁船の建造並びに加工工場の建設等に対して融資の途が開け、われわれの目的とするいわゆる零細漁民に対する融資という点におきましては、希望の一端が実現されつつありますことは、これまた欣快に存ずる次第であります。
 水産のために政治がはなはだしく貧弱でありますることは、自他ともに遺憾にするところでありまして、どうしてもこれは行政面の増強をはかり、次に漁業の根拠地の拡充をはかり、さらに漁民全体の政治力を結集するという、この三点に向つて努力をいたさなればならないのであります、第一の行政面の問題とは、水産廳の設置でありまして、各位の御協力を得て、関係方面どの折衝も衆議院の総意をもつて進むとともに、なお農林省の水産局の手を通じまして、関係方面の天然資源部と交渉いたしました結果、この方面の了解は一應妥結いたしまして、ただいま法案の整備を終り、これを他の関係方面に御協議申し上げておるような現状なのでありまして、不日水産廳設置の法案は本議会に提案を見ることと存じております。
 次の漁業の根拠地の漁港の問題でありまするが、これまた本委員会に各位の御協力を得まして、衆議院の水産常任委員会に漁港調査会というものをつくるという御賛成を得たのでありますが、その後種々官制法規等の関係で衆議院内につくることなく、これを別個の團体としてつくる方がよろしいというような考えに変つてまいりまして、社團法人漁港協会というものをつくる方針を定めたのであります。元の農林省水産局長井出正孝君、同じく寺田省一君、元農林省水産局施設課長橘英三郎君、同じく横山登志丸、君元農林省水産局農林技師小田賢郎君、衆議院の水産常任委員会專門調査員小安正三君、千葉縣漁港協会長安西直一君、宮城縣漁港協会副会長木田豊吉君、下関水産振興協会副会長七田末吉君、これらの方を世話人といたしまして、來る五月八日にこれが創立に関しましての世話人会並に発起人会、できればただちに創立総会を開く予定にまで取運んでおるのであります。
 第三の政治的な漁民の團結についての、私の考えといたしましては、農村方面におきましては日本農民組合、全國農民組合、全日本農民組合あるいは農村協同民主運盟というような形におきまして、各政党に基盤をもつた農民の團体がありまして、おのおの独自の目的をもつて農民の政治的進出をはかつておられるもようであります。私どもは政党を否定いたしません。すなわち政治の根拠は政党にあるのであつて、どこまでも今後の水産行政も、やはり政党に基盤をもたなければならないのでありますけれども、漁民の数は全國でわずかに三百五十万でありまして、これを現在の中選挙区において一人の代議士を選ぶというような場合は、北海道、長崎等においては漁民の投票のみをもつて選出される代議士は、選出可能でありますけれども、その他の選挙区におきましては、おそらくこれは至難のわざだと考えるのであります。この点に鑑みまして、もちろん政治は各政党に基盤をもつものでありますけれども、漁民総体の利益を守るためには各党とも手を握り、漁民同士が一致團結して政治力を結集し今後の政治的進出をはからなければならないと考えるのであります。從つて私はこういう意味における全日本漁民連盟――これはかりの名前でありますけれども――というものを設立いたしまして、今後の漁民の政治的進出に備えなければならないと考えたのであります。この点がまだ実現されずして、私が委員長の任を退かなければならないのは、はなはだ遺憾に存ずる次第なのであります。
 過去一箇年間、各位の御後援、御助力によつて、つつがなく委員長の職を全うすることができましたことは、ここに退任に際しまして厚く感謝の意を表する次第であります。今後委員長を退きましても公私とも各位の御援助と御鞭撻を賜わらんことを切望いたしまして、皆樣に御報告を申し上げ、併せて御了解を得たいと存ずる次第であります。
 本日はこれをもつて閉会いたします。
    午後零時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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