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2018/05/24 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 国土交通委員会 第14号
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2018/05/24 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 国土交通委員会 第14号

#1
第196回国会 国土交通委員会 第14号
平成三十年五月二十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     足立 敏之君     衛藤 晟一君
     朝日健太郎君     中川 雅治君
     柳田  稔君     増子 輝彦君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     衛藤 晟一君     足立 敏之君
     中川 雅治君     朝日健太郎君
     増子 輝彦君     石上 俊雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         長浜 博行君
    理 事
                阿達 雅志君
                井上 義行君
                酒井 庸行君
                山本 博司君
                羽田雄一郎君
    委 員
                足立 敏之君
                青木 一彦君
                朝日健太郎君
                石井 正弘君
                金子原二郎君
                末松 信介君
                高橋 克法君
                中野 正志君
                牧野たかお君
                吉田 博美君
                高瀬 弘美君
                竹内 真二君
                石上 俊雄君
                山添  拓君
                室井 邦彦君
                青木  愛君
                行田 邦子君
                平山佐知子君
                野田 国義君
   国務大臣
       国土交通大臣   石井 啓一君
   副大臣
       国土交通副大臣  牧野たかお君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       高橋 克法君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 利幸君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       飯田 圭哉君
       外務大臣官房参
       事官       志水 史雄君
       財務省理財局次
       長        富山 一成君
       経済産業大臣官
       房審議官     上田 洋二君
       国土交通省水管
       理・国土保全局
       長        山田 邦博君
       国土交通省鉄道
       局長       藤井 直樹君
       国土交通省港湾
       局長       菊地身智雄君
       国土交通省航空
       局長       蝦名 邦晴君
       国土交通省国際
       統括官      篠原 康弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促
 進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(長浜博行君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として石上俊雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(長浜博行君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省国際統括官篠原康弘君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(長浜博行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(長浜博行君) 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○末松信介君 おはようございます。自民党の末松信介でございます。今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 昨年の八月まで牧野副大臣の席に座っておりました。したがいまして、石井国土交通大臣始め国交省の皆様方には大変お世話になりました。
 国交省は、国内問題が中心といいましても、海外から大勢の方々が要望に来られたり、意見交換にお見えになります。私も幾つか覚えております。
 ミャンマーのピョー・ミン・テイン・ヤンゴン地域政府首相、東京都知事のような立場の方ですが、都市開発を、インフラの整備について、例えば一階はショッピングセンター、二階は道路、三階は鉄道といった、こうした都市のインフラ整備ができないかという、そういう話もありました。
 また、カンボジアからは、トイ・チャンコサル公共事業運輸省長官がお見えになりまして、下水道分野における覚書を交わしたわけであります。あらゆる要望がその場所で出されました。車検制度まで出たことを覚えてございます。
 一方、アジアから遠く離れましたアフリカへ四回出張させていただきました。少し偏った地域ではありましたけれども、良い勉強になったと思ってございます。
 思い出に残っております一つに、ガーナ共和国がございます。昨年、野口英世博士がガーナに黄熱病の研究に渡航されて九十年でありました。ガーナには野口記念医学研究所という施設がございます。そこに新たに先端感染症研究センターを建設することになりました。二十三億無償供与、日本側が建設することになって、その起工式に出席をしたわけであります。
 野口英世博士は、八か月間研究された後、一九二八年、昭和三年五月二十一日に五十一歳の若さで首都アクラで死去されました。当時使っておられました研究室を訪れましたが、今はもう使われておりません。隣の執務室は小さな書斎で、古ぼけた顕微鏡と記念品が飾っていたわけであります。ここに今資料をお配りさせておりますけれども、壁に忍耐という字で、自分で揮毫されました額が飾ってありました。当時のにおいが伝わってくる思いがいたしました。
 現地の方が、当時ここから海が見えていましたと、野口博士はここから海を眺めるのが大変好きだったようですと話をされておられました。博士の最後の言葉は、アイ・ドント・アンダースタンドと、私には分からないと。病原菌のことが分からない、意味はよく分かりません、そういう言葉でありました。誰でも感慨深くなるわけであります。野口英世博士のような存在は、我々にとっては誇りであります。
 一方、ザンビア共和国に行きましたときには、東京ウエーという日本人が造った道路の名前がございました。やはり、海外へ展開していくには情熱が必要だと思うんです。相手の国をこうしてあげたいとか地図を塗り替えてあげたいとかいう、そういう熱意が必要だと思うんです。
 しかし、一方で、国ごとの風習も違いますし、法制度も違います。それに関係する法律すらない国もたくさんあるわけでございます。厳しい国際環境の中で、受注が必ずしもできないケースもございます。
 こういった意味で、日本ならではの有意義な投資を整備計画立案といった川上から携わっていくには、要はネタ探しから入っていかなきゃいけないという、もうそういう思いでございます。
 そこで、今日のこのインフラシステムの海外展開の政策の必要性と意義につきまして、独立行政法人が一体参画する意義はどういうことなのかということ、このことを質問したいと思います。
#7
○政府参考人(篠原康弘君) お答えを申し上げます。
 まず、意義でございますけれども、新興国を中心といたします膨大なインフラ需要を取り込むということが日本経済の成長の戦略であるというふうにまず考えてございます。また、相手国における経済、社会的な基盤強化が図られる、あるいは海外に進出しております日本企業のサプライチェーンの強化が図られるということもあると思います。さらに、相手国の人々のライフスタイルを豊かにし、環境、防災等の課題解決にも貢献できることから、日本のソフトパワーの強化、あるいは外交的地位の向上にもつながると考えてございます。
 今回の法案は、このようなインフラシステムの海外展開の意義を踏まえまして、日本の質の高いインフラ技術についてノウハウを持ち、また中立性、交渉力を持っております独立行政法人等に日本企業が参入しやすい環境整備を行わせようとするものでございます。
#8
○末松信介君 ありがとうございます。今の統括官の御答弁で趣旨はよく分かりました。
 そこで、私、二つ要望をしておきたいと思ってございます。
 全国の中堅・中小企業は海外で通用するいろんなノウハウとか技術を持っております。しかし、他方で、相手国の情報がない、ネットワークがないということで、商売をしていくきっかけすらないわけなんですね。したがって、そうした、この前、JASMOCというのを設立いたしましたけれども、中小企業の皆さん方も巻き込んで展開をしていくという姿勢が絶対必要だと思うんですよ。インフラ輸出といえば大企業が中心ということの概念を一つ捨てていただきたいということ、このことを思います。
 二つ目の要望は、これは、大臣おられますけれども、統括官に申し上げたいんですが、私、いた者として思うんですけれども、国交省というのは非常に頑張っておられるんです。でも、組織が見えにくい。統括官がおられます。で、土地・建設産業局で建流審と言われる方がおられる、建設流通審議官。一方で、総合政策局に国際政策課がある。各局にも国際担当がおられるという。誰もがそれぞれ加わっているんですけれども、見づらいと。私は、やはり一つの大きな、例えば国際局のような太い組織に変えていくということも一つの方法かなということを、そういうことを実は考えてございます。せっかくこういった法律を出そうということになりましたので、いずれの時期かこうした組織のことについて御検討いただきたいということ、このことをお願いを申し上げたいと思います。
 次に、質問に移ります。
 ここに一冊の本があります、国土交通省インフラシステム海外展開行動計画二〇一八という。全部読みました。大変よく書けています。五つの戦略という要素で書かれているわけなんです。特に競争力の強化という点では、よく国交省の内部の会議でもいろんな指摘があったんですけれども、確実だが遅いと、決めるのが遅い、それを確実で速いに変えていこうという。特に、FS、事業可能性から実際の詳細設計までの間を短縮しようではないかという。具体的にはいろいろ書いておられるんですけれども、細かなことは申しません。この作成責任者は牧野副大臣でございます。
 牧野副大臣、この二〇一八行動計画ですけれども、どこに注力されたかということ、このことをお聞きをしたいということと、それと、行動計画二〇一七年においてリスト化されました主要プロジェクトのうちどれだけ受注をされたのかということ、実績についてお尋ねをいたします。
#9
○副大臣(牧野たかお君) お答えさせていただきます。
 今年三月に改定いたしました行動計画二〇一八においては、特に重要と思われる視点として、分野横断的に五つの視点を提示しております。
 具体的には、まず一番目として、ただいま御審議していただいております独立行政法人等の活用による官民一体となった海外展開、二つ目は、相手国のニーズに対応した提案を行うことなどによる競争力の強化、三つ目として、海外交通・都市開発事業支援機構の積極的な活用などによる官民連携、PPP案件への対応、四つ目が、相手国の課題の解決に向け貢献することを通じた日本の質の高いインフラの受注機会の拡大、そして最後五番目でありますが、代金の未払に対する相手国政府への働きかけなどの受注後の企業への継続的支援の五つの点であります。
 また、行動計画二〇一七でリストアップした七十六件のプロジェクトの受注状況でありますが、七十六件のうち十四件が入札が行われまして、そのうちの九割近い十二件を日本企業が受注しております。
 具体的には、末松委員がトップセールスされたマダガスカルのトアマシナ港の拡張事業を始め、総事業費がおよそ三千三百億円のインドのムンバイ湾の横断道路の建設計画や、総事業費がおよそ二千八百億円のバングラデシュのダッカ都市交通の整備事業について日本企業が受注しているところであります。
#10
○末松信介君 ありがとうございます。
 この二〇一八、よくできていると思うんです。このとおりやればかなりの実績が上がってくると。日本人のこの攻め方の弱さ、こうやったらどうかという、そういうような提案含まれておりますので、是非この趣旨に沿って頑張っていただければなと思うんです。
 前へ進めます。現在のインフラシステムにつきましての海外展開というのは、アジアとか先進国が中心でございます。総理がおっしゃる地球儀を俯瞰するという視点からいいますと、アフリカ大陸はまさにフロンティア地域であります。二〇五〇年には、アフリカ大陸の人口は二十五億人に達するということであります。
 そこで、先般、南アフリカの方に出張された高橋克法政務官にお聞きをします。牧野さん、出番が終わりました、済みません。
 来年、横浜市で開催予定のTICADZへ向けましてアフリカへの取組は一層強化する必要があると考えますけれども、国交省のアフリカにおけるインフラシステム海外展開について、特に重点を置くべき点、留意しておくべき点についてお尋ねをしたいと思うんです。あわせて、JAIDAの最近の活動状況につきましてもお願いを申し上げます。
 高橋政務官からは活動の写真も全部読ませていただきまして、すばらしい活動を続けてございます。これでございます。それでは、御答弁ください。
#11
○大臣政務官(高橋克法君) 御答弁申し上げます。
 まず冒頭に、四回のアフリカ訪問ということで、大変、日本のアフリカへのインフラ展開について末松先生が汗を流してこられたことに敬意を表したいと思います。
 アフリカ地域は、全般的に、豊富な天然資源、増加する人口を背景といたしまして、近年目覚ましい経済成長を遂げております。インフラ市場としても高いポテンシャルを有しておりますが、競合国と比べまして日本企業進出が遅れているという現実もあることも事実です。このため、我が国土交通省といたしましては、質の高いインフラに対する理解促進と日本企業進出支援の観点、この二点から、これまで十一か国で官民インフラ会議を開催をし、トップセールスやビジネスマッチングを行ってまいりました。
 私自身も、今月五月三日、日・アフリカ官民経済フォーラム出席のために南アフリカを訪問いたしまして、ケニア、モザンビークなど六か国のインフラ担当大臣とお会いをし、トップセールスを行ったほか、具体的なインフラ案件について意見の交換を行ってまいりました。
 また、先ほど委員お尋ねのアフリカ・インフラ協議会、通称JAIDAと申しますが、我が国の質の高いインフラを支える技術や経験等を積極的にアフリカに向けて情報発信をされているとともに、相手国との関係構築、交流を促進するために平成二十八年九月に設立をされた組織がJAIDAでございます。
 JAIDAは、官民インフラ会議への参加はもちろんですが、在京アフリカ大使館との交流、アフリカのインフラ関係者来日の際にインフラ視察の機会の提供など大変積極的に活動しておりまして、日・アフリカ官民経済フォーラムにも、今回、会長を始め二十三社の会員が参加をいただいております。
 国土交通省といたしましては、このJAIDAとも連携しつつ、官民インフラ会議を引き続き開催をしていきまして、日本企業のアフリカへの関心を高めるとともに、現地とのネットワークを深化させまして、案件の受注につなげていきたい、そのように考えております。
#12
○末松信介君 どうもありがとうございます。
 アフリカの大陸というのは、日本人が八千人しかおられないと、中国人の方は百万人おられるということでありますから、空港に降りますと、ほとんど金融機関の看板は中国の看板でありまして、圧倒されているというその実態を見るわけでありますけれども、健全な競争、協力できるところは協力していくということも大事なことだと思うんですけれども、その辺りをしっかり念頭に置きながら、これからのアフリカへのインフラ展開、システムの輸出に努めていただきたいと思います。
 大分時間なくなってまいりまして、飯田審議官、質問が当たらないようでございますので、済みません。最後のインドへの鉄道の輸出の状況についての質問で終えたいと思います。
 インドへの新幹線の輸出、ムンバイとアーメダバード間高速鉄道につきましては、二〇三〇年に開業を目指して、日本の新幹線のシステムを利用した整備、円借款、人材育成、技術育成などの計画がなされております。昨年、インドのモディ首相が来日されまして、安倍総理と一緒に神戸にお見えになりまして、実は私も御一緒させていただいたんですけれども、川崎重工業の兵庫工場を見学をいたしました。新幹線を始めとする鉄道車両の受注は、神戸の地方経済にとっても大変重要なものでございます。
 インドへの鉄道輸出の取組の状況と国交省の決意につきまして、藤井鉄道局長に御答弁をお願い申し上げます。
#13
○政府参考人(藤井直樹君) お答えをいたします。
 今委員御指摘のありましたインドのムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道事業でございますけれども、これは、二〇一五年十二月の日印首脳会談時に署名をされました協力覚書におきまして、円借款等の資金援助により日本の新幹線システムを活用して整備を進めるということが確認をされております。昨年九月には、日印の両首脳の立会いの下、本プロジェクトの起工式典が開催されたところであり、現在、高速鉄道の本体工事の着工に向けた作業が進められているところでございます。
 インドにおきましては、今申し上げました高速鉄道事業に加えまして、デリーを始めとする各都市でのメトロ事業、さらにはDFCと呼ばれる貨物専用鉄道の建設など、多くの鉄道プロジェクトが進捗をしております。このうち、メトロ事業におきましては、既にモーターなどの電気関係部品や信号システムなどを日本企業が受注しているところでございます。今後、高速鉄道事業が進捗をする中で、鉄道車両も含め、更なる日本の企業の受注が期待されるところでございます。
 国土交通省としましては、日本の強みである技術、ノウハウを最大限に生かし、インドにおけるインフラ需要を取り込むべく、高速鉄道を始めとする各種プロジェクトの着実な推進に向け、引き続き官民一体となって取り組んでまいります。
#14
○末松信介君 ありがとうございます。
 新幹線は、半世紀以上、安全、信頼の実績を有します我が国が誇る交通インフラでありますので、引き続きこのプロジェクトを進めていただきますように、当地はなかなか用地の買収等いろんな複雑な要素が絡んでいることも伺っております。よろしくお願いを申し上げます。
 時間がやってまいりました。外務大臣官房審議官の飯田審議官には深くおわびを申し上げまして、私の質問を終えます。
 ありがとうございました。
#15
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。
 本日は、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案について質問をさせていただきます。
 本法案では、我が国の成長戦略として、国土交通分野におけるインフラシステムの海外展開を図るために官民を挙げて取り組む、そのための新たな措置が盛り込まれております。
 そこで、まず伺います。
 本法案の提出に至った背景と期待される効果とはどのようなものでしょうか。
#16
○政府参考人(篠原康弘君) お答えを申し上げます。
 新興国を中心といたします世界のインフラ需要は大変膨大でございます。このインフラ需要は、御指摘のとおり、取り込むということが我が国経済の成長戦略にとって不可欠と考えてございます。一方、競合国との受注競争が大変熾烈化をしております。また、新興国におけるインフラ開発は現地政府の影響力が大変強いものですから、日本側も公的な信用力、交渉力が求められるというところがございます。また、民間部門には、大規模都市開発のマスタープラン作り、あるいは新幹線、道路等々のノウハウが不足している、さらには、日本の民間事業者が専門分化しているためにコーディネート役が不在であるといったような課題もございます。
 このような課題を踏まえまして、公的機関としての中立性、交渉力に加えて、国内業務を通じて蓄積してきた技術、ノウハウを有する独立行政法人等が日本企業が参入しやすい環境づくりを行って、官民一体となったインフラ輸出を可能とするためにこの法案の提出に至ったものでございます。
#17
○竹内真二君 今、受注競争が大変激化しているという答弁もございましたけれども、やはり海外市場でのインフラ整備や都市開発などのプロジェクト、これを受注していくためには、やはりトップセールスによって相手国の政府にしっかりと食い込んでいく、提案もしていく、こういうことがやはり有効であると考えますけれども、これまで、まず世界各国で様々な国家プロジェクトがあったと思うんですけれども、国土交通省によるこのトップセールスの実績について、説明をお願いいたします。
#18
○政府参考人(篠原康弘君) 国土交通省のトップセールスの実施状況でございますが、平成二十九年四月から平成三十年三月の一年間を取りますと、大臣を筆頭とする政務三役によりまして外国を十八回訪問し、訪問先としては延べ三十二か国に及んでいるところでございます。
 そのトップセールスが実った代表的な例としましては、インドのムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道について、国土交通大臣さらには安倍総理のトップセールスで二〇一五年に日本の新幹線システムが決まったということがございますし、また、先ほど話題に上りましたトアマシナ港の拡張事業では、昨年七月に末松前副大臣がマダガスカル共和国でトップセールスを行われ、さらに石井大臣が昨年十二月に来日されたマダガスカルの大統領にトップセールスを行った結果、今年二月に日本企業による受注が決定したということがございまして、こういった形でトップセールスを行いながら受注につなげていきたいというふうに考えてございます。
#19
○竹内真二君 まさに今お聞きしましたように、トップセールスによってやはり高い効果というものはあると思うんですね。
 それと関連してもう一点。国土交通省関連では、今後三、四年間に注視すべき主要プロジェクトが東南アジアを中心に相当数に上ると伺っております。
 そこで、日本企業による受注を成功させるためには、質の高い日本規格というものを、単にアピールするだけにとどまらずに、相手国のニーズにやはり合わせた、例えばコストを少し下げるとか、そうした具体的な提案というものも行っていくことが重要であると考えますけれども、国土交通省のお考えをお聞かせ願います。
#20
○政府参考人(篠原康弘君) ただいま御指摘いただきましたとおり、相手国の目線に立って、そのニーズに応じてカスタマイズしていくという視点が極めて重要であろうと考えてございます。特に、新興国は経済発展段階に応じて様々なニーズがございますので、そのニーズに応じた適切な技術水準のインフラシステムの展開が求められていると考えておりまして、本法案で国土交通大臣が定めることとしております基本方針、この基本方針の中でも、相手国のニーズに応じた我が国技術のカスタマイズの必要性といったことも定めていきたいと思っております。
 国交省といたしましては、相手国が必要としているサービス水準、財政への負担、こういったものも考慮しながら適切な提案を行っていきたいと考えてございます。
#21
○竹内真二君 次に、人材育成という側面についてお聞きします。
 海外から様々な留学生あるいは研修生というものが教育機関あるいは企業等に学んで、日本の優れたインフラシステムというものを研修されているわけですけれども、実際にそういう方々、日本に来られた方というのは、日本の様々なインフラの高い品質というものを体験する、目の当たりにしているわけですね。母国に戻ってからも、我が国がインフラを輸出する際に、そこの関係機関等にいれば、やはり日本の品質の高さ等を理解しているわけですから、大きな推進力になり得ると考えます。
 こうした人的なネットワークというものもこれから存分に活用していくことが必要だと思うんですけれども、このインフラシステムの海外展開のために、単に制度というものを整えるだけではなくて、留学生や研修生というものをもっと積極的に受け入れて日本のインフラシステムの知見やノウハウ、これをよく理解していただく、またその一方で、我が国においても、今回の独立行政法人や進出する民間事業者の海外人材というものを育て、確保していく、こうした人材育成、両面にわたる人材育成というものが必要だと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
#22
○政府参考人(篠原康弘君) 御指摘いただきましたとおり、日本に来た留学生あるいは研修生に日本のインフラの良さを理解していただくということは、大変インフラシステムの海外展開を進める上で重要であるというふうに考えてございます。特に、外国政府機関からの研修生等は、帰国後、相手国の政府機関等において活躍をしていくということが期待されるものですから、我が国のインフラの災害に対する強靱性、あるいは都市鉄道の整備等によって交通渋滞を軽減してきたといったような我が国の知見、経験といったものを理解いただくことで、日本の質の高いインフラに関する理解を促進するという観点から非常に効果的であるというふうに考えてございます。このため、外務省等の関係府省あるいは関係機関等とも一体となりながら、様々な人的ネットワークを有効活用していきたいと考えております。
 また、日本の側の人材育成という観点の御指摘もございました。
 今回の法案におきまして、独立行政法人が海外業務を本来業務と位置付けるということになりますので、その海外業務に必要な人材の採用あるいは育成が計画的に行えるようになるということがございます。こういうところを踏まえながら、各法人で体制整備が進むことを期待しておりますし、また、民間企業におきましても、例えば産官学の連携をいたしまして、民間企業の職員を対象にインフラ海外展開に必要な実務的な知識やスキルを習得できるような研修の機会、そういったものも検討しながら官民双方の人材育成もやっていきたいというふうに考えてございます。
#23
○竹内真二君 次に、先ほど末松委員からもありましたけれども、中小企業という視点で、政府はもちろん全体的に成長戦略としてこの中小企業の海外進出というものを支援しているわけですけれども、今回、独立行政法人の海外業務の追加ということで民間事業者の海外展開を促す措置を新たに講じるわけですけれども、大企業という視点だけではなくて、やはり中小企業は更に海外進出がしやすくなると、こういう視点も忘れてはならないと思います。
 そこで、本法案を踏まえて、中小企業の海外進出の促進については国土交通省としてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#24
○政府参考人(篠原康弘君) 御指摘いただきました中堅・中小企業の参入というところですけれども、この中堅・中小企業が有する優れた技術、ノウハウを活用して海外市場に進出する企業の裾野を広げていくということは、日本経済にとっても非常に重要なことであるというふうに考えてございます。中堅・中小企業の海外展開に向けては、まず海外進出のきっかけづくり、あるいは意欲の喚起といったことが大変重要ですので、その点を積極的に支援していきたいというふうに考えてございます。
 具体的には、中堅・中小建設企業の海外進出を促進するためのプラットフォームとして、中堅・中小建設業の海外展開推進協議会、JASMOCと申しますが、こういったものを昨年の六月に立ち上げましたし、今年の三月には、海外において先導的に活躍しております中堅・中小建設関連企業の表彰制度を創設をいたしております。
 さらに、この法案によりまして独立行政法人等が日本の企業の支援をするわけですけれども、中堅・中小企業に対しましても情報提供や支援を積極的に行う中で、これまで以上に中堅・中小企業の海外進出を後押ししてまいりたいと考えてございます。
#25
○竹内真二君 それから、インフラシステムの海外展開については、既にJOIN、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構が存在しております。そこで、本法案で措置されるこの独立行政法人とこのJOINとの関係というものはどのように捉えればいいのか。また、両者による連携した取組というものも必要だと思うんですけれども、国交省の見解をお伺いします。
#26
○政府参考人(篠原康弘君) 今回の法案におきます独立行政法人等の役割といたしましては、独立行政法人等が有します技術、ノウハウ等を活用して、民間事業者を技術面から支援するということになろうかと思います。これに対しまして海外交通・都市開発事業支援機構、JOINは、主に資金供給を通じまして民間事業者を経営面から支援するということかと思っております。
 そこで、この独立行政法人等とJOINが効果的に連携いたしますと、技術面、経営面の両面から支援が行われることになるというふうに考えておりまして、具体的な連携の仕方と申しますと、案件形成段階でまず独立行政法人等が日本企業が参入しやすい環境づくりを案件形成をする、それを踏まえて、今度は日本企業が具体的に参入しようというときに、JOINが日本企業とともに出資を行って負担の軽減やリスク分担を行うことで日本企業の具体的な進出が支援されると、こういう形になっていこうかと考えてございます。
#27
○竹内真二君 それでは、最後の質問になりますけれども、こうした海外の巨大なインフラ市場にあって日本がインフラ輸出の強豪国に競り勝っていくためには、やはり官民が一体となったチーム・ジャパンによる取組というものがその成否を握っていると言っても過言ではないと思うんですけれども。
 そこで、国土交通大臣の強いリーダーシップを発揮していただく、そのために本法案を踏まえて、今後のインフラシステムと海外展開に向けた石井国交大臣の御決意をお伺いできればと思います。
#28
○国務大臣(石井啓一君) インフラシステムの海外展開は、日本の強みである技術、ノウハウを最大限に生かしまして、新興国を中心とした膨大な世界のインフラ需要を取り込む日本経済の重要な成長戦略の一つであります。
 本法案は、公的機関が有します交渉力や技術、ノウハウを活用いたしまして日本企業の海外展開を支援するものでありますが、さらに中堅・中小企業の参入促進や官民双方における海外プロジェクト要員の育成等とも相まって、官と民が有する資源を効果的に投入をし、官民一体となって成果につなげていくことが重要と考えております。また、外務省等の関係府省やJICA等の関係公的機関とも一体となって取り組むことも不可欠であります。このような、政府一体、官民一体となった対応を実現していくためには、国土交通大臣が強いリーダーシップを発揮をしまして、関係者が共通の方針の下で情報共有を図りながら取組を進めていくことが必要となります。
 このため、本法案では、国土交通大臣が海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進のための基本方針を定めることとするほか、国土交通大臣が関係者に対して必要な情報、資料の提供や指導、助言を行い、また関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならない旨の規定も設けております。国土交通大臣が先頭に立ちまして、積極的にトップセールスも行いながら、インフラシステムの海外展開にオールジャパン体制で取り組んでまいりたいと考えております。
#29
○竹内真二君 石井国交大臣から今強い御決意をお伺いしましたので、是非とも、これから新しい第一歩を踏み出すわけですから、海外輸出展開の加速をお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#30
○羽田雄一郎君 国民民主党の羽田雄一郎でございます。
 本来、私は推進する立場ですので、すぐにでもこの法案の質疑に入りたいわけであります。残念ながら、森友事件、また加計問題について聞かなければなりません。
 我々立法府、国会は、この事件、問題を放っておくわけにはいきません。大切な国民の税金が使われる、直接国民に関わる問題であるからであります。
 森友事件では、廃棄したはずの交渉記録があり、やっと昨日、四千ページに及ぶものが提出をされました。我々が一年以上議論をしてきたことが何だったのか自問自答しているわけでありますけれども、国土交通省も、大阪航空局が直接関わった事案であり、委員会でも何度も議論をされ、内部調査も行っているとされています。
 疑念を晴らすためには、大臣のリーダーシップで、政府・与党も含めて最大限の努力をしていただきたいと思いますし、来週月曜日には予算委員会が衆参で行われるというふうに聞いております。また、火曜日には、この問題が中心になると考えますけれども、委員会で一般質疑を行うことで今調整をさせていただいております。
 そこで、現在までの調査、中間報告ぐらい、今度の火曜日ですね、そこで現在までの調査、中間報告ぐらいできるよう、大臣からもしっかりと指示を出していただきたいと思います。石井大臣のお考えを伺いたいと思います。
 そして、加計問題についても、疑念が晴れていないと考える国民が多い中、安倍総理は、これまでの答弁と五月二十一日に愛媛県が参議院予算委員会に提出した資料との間に大きな食い違いがあるということが分かってまいりました。総理はこれまで、加計学園による獣医学部新設計画を知ったのは昨年一月であり、加計理事長からの相談や働きかけも一切なかったと説明してきました。しかし、愛媛県側の資料では、平成二十七年二月二十五日に加計理事長が安倍総理に説明し、総理も新しい獣医大学に賛意を示していたことが記されていました。
 この食い違いについて、もう一年以上このことについても国会内外で議論が続いております。これらの問題について、国民の疑念が晴れているというふうに考えるのか、晴れていないとするならばその理由、このことも石井大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
#31
○国務大臣(石井啓一君) まず、森友問題の関係で調査ということがございました。私どもに課せられているのは、まず、財務省から国土交通省に対しまして改ざん依頼があったのではないかという調査、もう一つは、地下埋設物の増量依頼があったのではないかと、この二つ、二種類かと存じますけれども、いずれにいたしましても、現在、聞き取りなど調査を行っている段階でありまして、調査結果につきましてはできるだけ早期に御説明したいと考えております。
 加計問題に関しましては、国土交通省とは直接関係のない案件でございますので、コメントは控えさせていただきたいと思います。
#32
○羽田雄一郎君 その調査について、なるべく早くというお話でありますし、しっかりと、来週、一般質疑を行います。多分それが中心になると思いますので、是非そこまでに、中間報告でも結構ですから、どこまで調べているのか、どういう聞き取り調査をしているのか、はっきりとさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、この法案の質疑に入らせていただきたいと思います。
 インフラシステムの輸出に関しては、私が国土交通大臣を務めていたときにも非常に力を入れて取り組んだ分野でありました。これからも是非推進していただきたいと、こういうふうに考えておりますが、気になった点について質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、私が大臣在任中に行ったトップセールスのその後の状況について確認させてください。
 私は、タイやベトナムを訪問してトップセールスを行わせていただきました。特に高速鉄道についてトップセールスを実施したわけですけれども、現在、タイとベトナムにおける高速鉄道案件についての状況がどうなっているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
 また、ミャンマーの運輸大臣と、日本でありましたけれども、ミャンマーの交通分野における協力覚書を調印をさせていただきました。その後、ミャンマーでの我が国の交通関係のインフラ展開の状況と、また港湾の物流プロジェクトや、また気象庁との連携等もそのときに共にさせていただいたというふうに思いますけれども、その状況も伺わせていただければというふうに思います。
#33
○政府参考人(篠原康弘君) お答えを申し上げます。
 まず、平成二十四年十月に羽田大臣がタイ、ベトナムに訪問されまして、それを受けまして今の状況でございますが、タイのまずバンコク―チェンマイ間の高速鉄道計画につきましては、我が国の新幹線システムの導入を前提といたしまして、現在、JICAにおいて事業性調査を実施をして、昨年十二月に最終報告書を提出、現在、タイの運輸省で閣議承認を求めるプロセスに向けた準備が進んでいるところでございます。
 また、ベトナムのハノイ―ホーチミン間の南北高速鉄道計画ですけれども、JICAが優先二区間の事業化調査を行った上で、さらに、来年春の国会提出に向けて、昨年十二月には全線を対象に補完的な調査を開始しているという状況でございます。
 次に、ミャンマーに関してでございますけれども、平成二十四年十一月に羽田大臣とニャン運輸大臣との間で交通分野に関する協力覚書を結んでいただいております。これを受けまして、成果として、鉄道分野では、ヤンゴン―マンダレーの幹線鉄道、それからヤンゴンの環状鉄道、これにつきまして円借款を活用した鉄道の近代化事業が進んでおりまして、日本企業による車両の受注が決まるなど、着実に進捗をしております。
 また、港湾に関しましては、ティラワ港ターミナルの建設、運営を日本企業が受注をいたしまして、二〇一九年二月に供用を開始する見込みでございます。
 さらに、気象分野に関しましては、平成二十五年から三十年までに、JICAが気象レーダー三基、自動気象観測装置三十基をミャンマー気象局に供与することにしておりますし、また、この気象レーダーや気象衛星のデータ利用に関して技術的な協力も行っていると、こういう状況でございます。
#34
○羽田雄一郎君 ありがとうございます。
 私がトップセールスをしたときに、日本の強みとして、やはり自然災害が大変日本は多いわけでありまして、そういう意味では、技術革新、更に進める中で、老朽化したときに、替えるときにまた新たな形で進歩したものを提供できると。最初の投資は少し高いのかもしれませんけれども、やはり後々のメンテナンスや、また、更に進化させるときには、この自然災害が多い中での知見等を使って新たなものをしっかりと提供できると。
 そして、最大なのは、その国に雇用を生むんだということ。中国等はどちらかというと中国人の皆さんがわっと行って造るというような形で、その国に対しての雇用というのが生まれないというふうに考えますけれども、日本の場合はしっかりとその地域にも雇用を生むんだということも申し上げながら、トップセールスをしてまいりました。
 是非、これからもそういう形で日本の強みをアピールしながら進めていただきたいと、こういうふうに思います。
 ところで、今回、いわゆる海外インフラ展開法案につきましては、閣議決定された未来投資戦略や内閣官房の経協インフラ戦略会議の決定であるインフラシステム輸出戦略に基づいて提出されていると伺っております。ある意味国土交通省というよりも官邸主導で提出されている法案ではないかとも思われます。
 しかしながら、民間企業の海外展開を行うための公的機関の活用については、私が国土交通大臣に就任する直前の平成二十四年の五月から国土交通省内にはインフラ海外展開推進のための有識者懇談会が設置されておりましたし、私が大臣に就任した直後の六月には、国土交通分野のインフラ海外展開についての中間取りまとめ的存在として、国土交通分野のインフラ海外展開、新たなるステージへの展開、戦略と具体策が公表され、その中で指摘されていた事柄でもございます。
 その中では、川上から川下までのトータルの受注を目指すに当たり、特に川上部分については、総合的なノウハウ等を有する我が国の公的機関、鉄道・運輸機構、下水道事業団、また水資源機構等を積極的に活用することが有効である、このため、我が国の公的機関が民間企業の海外展開支援を行うことを明確化するとともに、国内で蓄積された公的機関のノウハウを生かした支援、技術的評価等を積極的に実施することが必要であるなどといった、まさに今回の法案改正につながるべき内容となっていました。
 インフラ海外展開推進のための有識者懇談会の議論は、政権交代後の平成二十五年二月に「これからのインフラ・システム輸出戦略」として取りまとめられたところであります。そして、そこでは公的機関の海外展開の必要性について中間取りまとめと同様の指摘を行い、また、我が国の公的機関、鉄道・運輸機構、下水道事業団、水資源機構、空港の管理者等が民間企業の海外展開支援を行うことを明確化するための制度の創設や改善について検討するとともに、運用面においても柔軟な対応を図るとしておりました。
 そこで、幾つかお伺いをさせていただきます。
 「これからのインフラ・システム輸出戦略」に至るまでの議論の積み重ねと同戦略による指摘も今回の法案の土台となっているのではないかと思いますけれども、同戦略による指摘から五年以上が実は掛かってしまっております。国土交通省内部では、同戦略の指摘に基づいて、公的機関が民間企業の海外展開支援を行うことを明確化するための制度についてこれまでどのような検討を行ってきたか、御説明をいただきたいと思います。
#35
○政府参考人(篠原康弘君) ただいま御指摘をいただきました有識者懇談会によりますインフラ輸出戦略におきまして、公的機関の積極的な活用ということが提言をされております。
 これを受けまして、まず国土交通省としましては、現行制度の範囲内でできることに最大限取り組もうということで、まずは公的機関において国内における研修の受入れ、あるいは相手国への人材派遣等を中心に取組を始めたというところでございます。
 しかしながら、新興国等におきまして大変多くのプロジェクトが計画をされ、競合国との競争もますます熾烈になる中で、現行制度上、独立行政法人等の海外業務につきましては本来業務に支障のない範囲でしかできないという制約がございますので、更に内部で検討を続けまして、平成二十九年に至りまして、国交省におきまして、鉄道等の分野で案件形成から完工後の運営、維持管理までを公的機関あるいは企業が本格的に実施できるような制度的措置を検討しようということを決めまして、これを平成二十九年五月のインフラ輸出戦略等に位置付けをいたしました。
 このような経緯を踏まえまして、本法案の提出に至ったという経緯でございます。
#36
○羽田雄一郎君 この制度改正の前段階として、運用面においても柔軟な対応を図るということでやってきたというふうに考えます。
 国土交通省としては、この五年間の間にどのように柔軟な対応を図ったのでしょうか、その主な対応について伺います。また、柔軟な対応を図ることによって具体的に受注につながったケースがあったのかどうか、その実績の具体的な有無についてもお伺いをさせていただきたいと思います。
#37
○政府参考人(篠原康弘君) ただいま御指摘いただきましたとおり、独立行政法人等の公的機関は大変豊富な業務実績、ノウハウを有しておりますので、これを民間企業の海外展開に生かしていきたいということで、どういうことができるかということをトライしたわけですけれども、まず、本来業務に支障のない範囲内という制約がある中でやはり中心となりましたのは、相手国への専門家派遣あるいは海外からの研修生の受入れを精いっぱいやるというところ、そこを可能な限り対応してきたというふうに考えてございます。
 このような対応が具体的な受注実績にどのようにつながっているかということは残念ながら明らかではありませんけれども、公的機関による取組を通じまして、相手国政府における日本の質の高いインフラへの理解は確実に深まったのではないかと、こういうふうに考えてございます。
#38
○羽田雄一郎君 次に、基本方針の策定についてですけれども、国土交通大臣は、海外資本事業への我が国企業の参入を図るため、基本方針を策定することとなっておりますが、その策定に当たっては、是非、機構や我が国事業者その他関係者から広く意見を聴取をしていただきたいということを指摘だけさせていただきたいと思います。
 また、役職員の法令遵守の徹底ということでありますけれども、財務省における事務次官のセクハラ発言とか森友学園をめぐる文書の改ざん問題を始めとして、行政の綱紀粛正が重要な課題となっているところでございます。機構等が海外業務を実施するに当たっては、経理や業務遂行において国民の疑念を招くことのないように、また、相手国も含めて疑念を招くことがないように役職員の法令遵守の徹底等が必要だというふうに考えておりますので、そこを指摘をさせていただきたいと思います。
 次に行きます。
 機構等によるインフラ事業の海外展開に当たっては、海外での事業を実施することによりまた新しい知見やノウハウを得られるということもあると考えられます。これを国内業務にしっかり還元していく必要があると思いますが、国土交通省の見解をお伺いします。
#39
○政府参考人(篠原康弘君) 各機構等が海外業務を実施することで、例えば新しい技術の活用などの国内では得られない知見、ノウハウが海外業務を通じて蓄積されるということが期待されると考えております。
 これらの海外業務で得られました知見、ノウハウを各機構等の国内業務にも活用することで国内業務を実施するに当たっての技術、ノウハウ、サービスの向上にもつながるというふうに考えてございますので、国土交通省といたしましても、各機構等に対して、海外業務で得た知見、ノウハウを効果的に国内業務に還元するように指導、助言をしてまいりたいというふうに考えてございます。
#40
○羽田雄一郎君 次に、「これからのインフラ・システム輸出戦略」においては、韓国等が公的機関を民間企業の海外展開の先駆けとして活用していると指摘をしていましたけれども、改めて、我が国が海外インフラ展開をしていく上で気になるのは、競合国の動向であります。
 第一に、韓国は、民間企業の海外展開の先駆けとして公的機関をどのように活用してきたのでしょうか。そして、今回の法案によって我が国の公的機関も新たに海外展開をしていくわけでありますけれども、我が国の公的機関は韓国に比べて海外インフラ展開に対してどのような競争性あるいは優位性を有しているのか、お伺いをします。
#41
○政府参考人(篠原康弘君) まず、韓国の制度でございますけれども、韓国企業が参画いたします海外における建設プラント事業に対しまして韓国輸出入銀行等の公的機関あるいは公的機関と民間企業が共同出資する官民ファンドというものがございまして、こういったものを通じて支援が行われているというふうに承知をしております。また、公的機関として、水資源、鉄道、土地住宅、道路、空港等の分野の公的機関は海外においても事業が実施できるというふうになっているというふうに承知をしてございます。
 一方で、我が国でございますけれども、我が国は、質の高いインフラというコンセプトで競合国と差別化を図るということを考えてございます。具体的には、先ほど御指摘もございましたとおり、維持管理まで含めたライフサイクルコストが低廉であるとか、使いやすく長寿命、納期を遵守、環境、防災面にも配慮するといったようなインフラ整備を進めていくのが日本の質の高いインフラでございますし、また、相手国の人材育成にも意を用いているということも日本の海外展開の強みになっておりますので、今回の法案で業務を追加いたします独立行政法人等もこのような質の高いインフラを国内業務においてノウハウを蓄積してきているというところでございますので、このような日本の質の高いインフラ整備に関する豊富な技術、ノウハウを持つ独立行政法人は、相手国に対しても差別化を図ることができ、優位性も発揮できるものと考えているところでございます。
#42
○羽田雄一郎君 もう一つの国、中国も、習政権が一帯一路政策を掲げるとともに、経済安全保障の観点から海外インフラ展開を積極的に行っております。中国は、最近、国内の成長力の鈍化が指摘されるようになってきましたけれども、そうだとすると、海外の成長力を取り込もうとする我が国と同じような動機を持って海外インフラ展開を図ってくる可能性が高くなり、いよいよ競争が激化していくことが予想されます。
 韓国と同様に、中国に対しても、我が国の公的機関はどのような点において競争性、優位性があるとお考えになるか、お伺いをしたいと思います。
#43
○政府参考人(篠原康弘君) まず、中国の状況でございますけれども、中国につきましては、政府、公的金融機関、国有企業等がまさに一体となって取組を進めているというふうに認識しております。これが価格競争力と相まちまして非常に競争力を持ち、受注額を大きく伸ばしている状況でございます。
 これに対しまして日本の対応は、韓国の場合と同様かと思いますけれども、質の高いインフラということで差別化を図りながら、人材育成を含めたソフトインフラの輸出を含めて総合的に対応していくということが肝要かと思っておりまして、日本の今回海外業務を追加いたします独立行政法人等の質の高いインフラ整備に関する豊富な技術、ノウハウ、さらには経験を使いながら、民間企業の参入を促進して、競合国と差別化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
#44
○羽田雄一郎君 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。
 資料も皆様にお配りをさせていただいておりますが、外務省が各国で実施している海外における対日世論調査によると、安倍政権が地球儀を俯瞰する外交の一環として開催したTICAD、先ほどもお話がありましたけれども、アフリカ開発会議ですけれども、アフリカ三か国、ケニア、コートジボワール、南アフリカでは六割の人がこのTICADを全く知らないと答えておりますし、聞いたことあるなという方も二割ぐらいいるということであります。また、これらの国々では中国の方が重要なパートナーだとして捉えられ、信用もされているという結果でありました。
 こうした部分を見ると、我が国のPRはまだまだ不足しており、改善の余地があるように感じられます。各大臣や副大臣、政務官もこの五月の連休にもトップセールスをしていただいておりますけれども、なかなか認めていただいていないような気もします。海外インフラ展開については、私もその重要性は十分に認めるところであります。政府には、我が国の存在感を様々な形でより高めていくよう、一層の取組が必要であるというふうに感じております。
 最後に国土交通大臣の今後の海外インフラ展開についての御決意をお伺いして、質問とさせていただきたいと思います。
#45
○国務大臣(石井啓一君) インフラシステムの海外展開は日本経済の重要な成長戦略の一つでありますことから、しっかり取組を進めていく必要がございます。また、インフラシステムは相手国の経済産業活動に大きなインパクトを与え、我が国の存在感を高めていく上でも非常にこのインフラシステムの海外展開は有効な手段と考えております。
 我が国のインフラシステムが、維持管理まで含めたライフサイクルコストが低廉であること、また、環境、防災面にも配慮されていること、人材育成や制度構築も併せて行うなどの特徴を持ちます質の高いインフラであることを示すことによりまして、他国と差別化を図りながら、我が国の先進的な知見、ノウハウを生かして相手国の課題の解決に貢献することが重要と考えております。
 インフラシステムの整備には相手国政府の意向が強く働くことから、高いレベルで相手国に働きかけを行うトップセールスが極めて有効であります。このため、国土交通省といたしましても、大臣始め政府三役が先頭に立ちまして、国内外におけるあらゆる機会を捉えて積極的な働きかけを行ってまいります。
 また、本法案によりまして、独立行政法人等の公的機関が有する中立性や交渉力と日本企業の有する高い技術力やノウハウを組み合わせることによりまして、相手国に対し効果的な提案が可能となり、日本企業が海外進出をしやすい環境整備がなされることとなります。
 このようなトップセールスと官民一体となったチーム・ジャパンの取組を連携させながら進めることで、インフラシステムの海外展開を積極的に進めていきたいと考えております。
#46
○羽田雄一郎君 以上で終わります。
#47
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 昨日、財務省は、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん前原本三千ページ、また、佐川前理財局長が廃棄済みとしていた学園側との交渉記録九百五十ページを公表しました。佐川氏の虚偽答弁はいよいよ明らかであります。麻生財務大臣の責任が問われる重大な事態と言わなければなりません。法案審議に先立って、開示されました交渉記録について若干質問をいたします。
 財務省に伺います。
 交渉記録の八百六十一ページ。二〇一六年四月五日の応接記録で、財務局職員が、「本地の売払い価格の算出にあたっては、廃棄物埋設や軟弱地盤等の要素を踏まえるなど土地の現状を適切に反映した評価を行いたいと考えており、そのための資料を提供いただきたい。」と述べています。要するに、この時点ではごみの撤去費用を算出するための根拠は手元になかった、こういうことですね。
#48
○政府参考人(富山一成君) お答えをいたします。
 本件の土地につきましては、地下埋設物が二十八年三月十一日に発見された後、森友学園側から本件土地を購入したいとの要望が三月二十四日にあり、三月三十日に大阪航空局に見積りを依頼し、四月十四日に大阪航空局から近畿財務局に地下埋設物の撤去処分費用の見積りが提出され、それを受けて不動産鑑定評価を依頼したものでございます。
 御指摘の二十八年四月五日につきましては、三月三十日に大阪航空局に見積りを依頼した後、応接の記録にもございますように、地下埋設物や軟弱地盤等の状況を踏まえ、撤去費用を適切に見積もる必要があるため、森友学園側に必要となる各種資料の提供を依頼し、その内容について打合せを行ったものでございまして、この時点においては地下埋設物の撤去費用の見積額は決定していないものと承知をしております。
#49
○山添拓君 その根拠もまだなかったということです。
 そこで、八百六十二ページ。グラウンド部分について、森友側の弁護士が「西側の一箇所しか掘削していない。」と述べたのに対して、これに対して、「他の箇所も確認したい。埋設廃棄物を推定できるボーリングデータなどがあればいただきたい。」ということを航空局がこれは述べております。さらに、恐らく設計業者のキアラの発言で、「グランド側においても深度三m程度からゴミ等が含まれている層は確認されている。ただその層がどこまでかは確認できていないし、写真・資料など残していない。改めて掘削するしかないが、掘削しても廃棄物層の範囲・深さの推定は困難なもの。国が求めている廃棄物の推定埋設量の算定は難しいので、国で判断していただけないか。掘削自体は行って、国に確認いただける状況は用意する。」こう続きます。この時点で三メートルより深いところのごみは確認できていない、写真や資料もない、新たに掘削するしかないと言っています。
 ところが、昨年四月六日の当委員会で佐藤航空局長は、私の質問に対し、三・八メートルまでごみがあった証拠とする写真、委員の皆さんにも何度か配付をした写真です、これは三月二十五日又は三十日に撮影したものだと答弁されていました。今年三月二十二日の当委員会では、蝦名局長も、私の質問に対し、四月五日に現地に確認に行った際に写真の提示を受けながら現場を確認したと答弁されていました。
 おかしいじゃありませんか。四月五日の時点で、これから掘削するしかないと言って、写真や資料はないと言っている、矛盾しているんじゃありませんか。
#50
○政府参考人(蝦名邦晴君) お答え申し上げます。
 平成二十八年四月五日の現地確認に関する御指摘の発言につきまして、国土交通省として、どういう内容であるか、どういうことかということについての詳細は今承知しておりませんけれども、深度三・八メートルの試掘の写真につきましては、四月五日の現地確認が行われた後に、工事写真や試掘の位置図や説明が記載された報告書の形のものを入手したということで御説明をしてきたところでございます。
 今の御指摘の点につきまして、そうした応接の記録も公表されたことを受けまして、現在、事実関係の確認を行っているところでございます。
#51
○山添拓君 つまり、以前の答弁は間違いだった可能性があるということですか。
#52
○政府参考人(蝦名邦晴君) ちょっと、事実関係の確認をした上で回答させていただきたいというふうに思います。
#53
○山添拓君 確認が必要な事態になっているんですよ。八億二千万円の値引きの根拠という出発点の問題が改めて問われています。その見積りが適切だと一貫して述べてこられた石井大臣の責任も当然問われます。引き続き徹底究明が必要であることを指摘し、今日は法案について質問をいたします。
 今度の法案は、国交省所管の九つの独立行政法人等に海外インフラ事業への日本の事業者が円滑に参入するようにするための調査などを行わせようという法案です。かつてODAは途上国支援の位置付けでしたが、今や日本企業の利益のために用いられています。JBIC、国際協力銀行も、当初は途上国向けだったものが先進国向けに拡大をされました。今度の法案は、途上国支援などの大義名分や理念もなく、成長戦略としてインフラ輸出を狙う企業の受注機会を拡大させる、こういう露骨な性格を持ったものです。案件の形成から運営、維持管理まで官民一体で進めて、独法が結果として特定の企業の海外展開をするのを支援する。
 しかし、これは国内なら考えられないことじゃないでしょうか。ある事業について、政府所管の独法が特定の企業に受注をさせ、利益を得させるようにサポートするというのは、公務の中立性やあるいは全体の奉仕者としての公務員という憲法の要請にも反するものです。なぜ海外インフラ輸出であれば許されるんでしょうか、大臣、御答弁ください。
#54
○国務大臣(石井啓一君) 本法案では、独立行政法人等が有する公共性の高い法人としての信用力、中立性や交渉力に加えまして、国内業務を通じて蓄積をしました民間企業にはない技術、ノウハウを活用して海外業務を行うことで、民間企業のみでは参入が困難である案件において海外市場への参入を促進するものであります。これは特定の企業を対象とするものではありませんで、中小企業なども含めた海外展開を図る日本企業全体が参入しやすくするような環境づくりを海外において行おうとするものであります。
 これによりまして、我が国企業の海外市場への参入機会が拡大をいたしまして日本経済の成長に寄与することが期待をされることから、インフラシステムの海外展開に独立行政法人を活用する意義は十分にあるものと考えております。
#55
○山添拓君 余りお答えになっていないんですけど、要するに、企業の利益を拡大させる、受注させて拡大させることがもう正面から目標にされているわけですね。
 本来、独立行政法人というのは、日本の国内で仕事をする場合には、例えば国内の公共事業ですと、一応は国民の公共の利益のために仕事をするわけです。しかし、海外インフラというのは海外の人が使うものですから、国民は利益を享受いたしません。本法案の目的は企業が受注できるようにすることであって、受注した事業そのものによって国民生活が向上するというものではありません。ですから、独法にやらせる必要性も許容性も問題となると私は考えます。
 特定の企業の利益のためにインフラ輸出を推進する最たるものがリニアです。安倍首相は、アメリカへのリニアの売り込みに異常なほど執着をしています。ワシントン―ニューヨーク―ボストン間七百三十キロを結ぶ構想です。
 二〇一三年の二月、安倍首相が初めての日米首脳会談でリニアに言及をしました。二〇一四年四月には、ケネディ駐日大使を実験線の試乗に招き、JR東海の葛西名誉会長、安倍首相とじっこんですが、この方も同席をし、オバマ大統領の来日時には、超電導リニア技術を無償提供すると、その考えを示しました。これは、言うまでもなくJR東海のリニア技術です、ほかにはありませんので。
 第一段階として、ワシントンとメリーランド州のボルティモア間約六十キロを十五分で結ぶ計画があります。建設費一兆円とされています。安倍首相はこのうち五千億円をJBICを通じて日本が融資すると提案したと報じられております。事実ですか。
#56
○国務大臣(石井啓一君) 米国のワシントン―ボルティモア間の超電導リニア技術の導入につきましては、日米首脳会談の機会を捉えて、安倍総理から、日米協力の象徴として数次にわたり御提案いただいているものと承知をしております。
 今御質問がありましたJBICの融資の件につきましてですが、これ国土交通省の所掌ではございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。
#57
○山添拓君 答えられないというんですよ、安倍内閣の一員である石井大臣が。これ事実であれば、日本政府の対外融資で最大規模とされています。こんな重大な融資提案について密室で進めることは許されません。
 二〇一五年の六月、メリーランド州知事が実験線に試乗しまして、安倍首相も同行しました。十一月にはアメリカ運輸省の長官も試乗しています。州の主導で計画立案や設計分析、環境評価など事前調査を行うことになり、約四十二億円の費用のうち三十四億円についてはアメリカ連邦鉄道局の補助金が認められました。残りの八億円が課題になりまして、州知事がJR東海の柘植社長と会った際、四分の一は日本政府にも負担をお願いしたいと述べたと言われます。
 安倍政権は、二〇一六年度以降、一般会計予算から毎年約二億円、一九年度まで合計八億円の支出を予定しています。州知事の要望したとおりに事が運んでおります。八億円もの調査費の支出は異例なんですが、その法的根拠は何ですか。
#58
○政府参考人(藤井直樹君) お答えを申し上げます。
 米国ワシントン―ボルティモア間の超電導リニア構想につきましては、平成二十八年度から平成三十年度まで、国土交通省予算に調査費を毎年度二億円計上し、具体の計画策定に向けた調査を行っているところでございます。
 なお、この本調査費は経済協力委託調査費の一部として国土交通省予算に計上され、予算執行の手続にのっとり執行されているところでございます。
#59
○山添拓君 ですから、特に法律に基づいて執行しているというよりも、単に予算措置をして行っているものなんですね。
 国交省所管の委託調査費に関する契約状況を見ますと、相手方が外国企業であったのはこの一件のみでした。ノースイースト・マグレブ社といいます。JR東海の支援を受けてアメリカ東海岸でリニア計画を進めるプロモーション会社です。一億円を超える契約額になっているのもこの会社のみです。異例の好待遇です。
 日本で建設中のリニア中央新幹線は、南アルプストンネルや大深度地下など難工事があり、地下水や崩落など自然環境への影響、残土の搬出やトラックの騒音など生活環境への影響、地震や事故対策、電力消費量や電磁波の影響など、問題が山積し、実用化そのものに批判が強いものです。未完成の技術でもあります。その上、リニア単体では採算が取れないとJR東海の社長が公言をし、事業の大きさゆえにスーパーゼネコンによる談合の温床にもなってまいりました。
 アメリカのリニア構想は総工費十兆円を超えます。現地の市民から否定的な意見も既に出されています。政府は、八億円を投じた委託調査について、米国側に提案する技術的事項をまとめることで今後の米国側における技術検討を促進すべく調査を実施すると、こう言っています。
 仮にリニアが採用されなければ、この八億円はどうなるんですか。
#60
○国務大臣(石井啓一君) 米国ワシントン―ボルティモア間の超電導リニア構想につきましては、平成二十八年度より三十年度まで国土交通予算に調査費を毎年度二億円計上してきているところであります。
 国土交通省といたしましては、米国において超電導リニア技術が着実に採用されるよう、この調査の結果を十分に活用しつつ、引き続き米国への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 なお、超電導リニア技術が採用されなかった場合という仮定の御質問に対しましては、お答えは差し控えさせていただきます。
#61
○山添拓君 いや、採用されないことだって十分あり得るじゃないですか。採用されたらこうだという話はされるのに、採用されなかったらどうだという話はできないとおっしゃるんですか。それはおかしいと思いますね。採用できなければ……(発言する者あり)
#62
○委員長(長浜博行君) 御静粛に。
#63
○山添拓君 されなければ、これはもう掛け捨てなんですよね。
 受注できればJR東海の利益ですよ。採用されなければ国民の税金、国民の負担ということになります。企業の利益のためにリスクと負担を国民に押し付けるものです。大体、先進国であるアメリカの公共事業のために日本の税金を投入する必要などありません。こんな計画は中止するべきだということを私申し上げておきたいと思います。
 本来、独立行政法人というのは多国籍企業を支援するために設立されたのではありません。国内のインフラ整備を担ってきた国民の財産というべきものです。国内のインフラ施設が今一斉に更新時期を迎えて、対策のために膨大な時間や費用が必要と指摘をされています。例えば、全国で八割以上が赤字経営の水道事業、今後十年以内に四十年の耐用年数を超える水道管が四割とされますが、その更新は一年に総延長の一%しか進んでいないと言われます。更新のために、上下水道を合わせれば、二〇二五年までに百二十兆円も必要だともされています。
 今、例えば世界の水ビジネスの市場にうつつを抜かすのではなくて、国内で求められるインフラ整備にこそ責任を果たさせるべきだ、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#64
○室井邦彦君 維新の室井邦彦でございます。
 この本法案を私はもっと早く手を打つべきだったんじゃないのかなというふうな、単純にそのような感がございます。この点について、各先生方もいろいろとお尋ねされておられ、中国、韓国の話が必ず出るわけでありますけれども、私も同感でありまして、ここで大臣にお答えいただけるようでありますので御質問いたしますけれども、中国、韓国の受注実績が急激に伸びてきておるという、これはもうどなたもが感じていることでありますが、この競争に勝ち抜けない要因、価格競争力だけなのか。中身は私も理解しておるつもりでありますけれども、ただそれだけじゃなく、今後の必要な改善点、どう大臣お考えされておられるのか。そういうお考えがあってこそこの法案の提出ということになったんでしょうけれども、その点を確認をしておきたいと思いますので。
#65
○国務大臣(石井啓一君) インフラ市場をめぐる競合国との競争が激化している要因といたしましては、価格競争力だけではなくて、一つには、我が国の強みであるライフサイクルコストが低廉等の質の高いインフラの理解促進が十分でないこと、二つ目には、案件形成段階からの働きかけが十分でないこと、三つ目には、着工までの手続等に時間を要し、確実だが遅いと評価をされていること、四つ目には、官民一体となった取組が十分でないこと等が挙げられると認識をしております。
 このため、まず、質の高いインフラの理解促進につきましては、相手国政府等に対して高いレベルで働きかけを行うトップセールスや政府間協議の場を活用して取り組んでまいります。
 また、案件形成段階からの働きかけにつきましては、本法案により計画策定段階から独立行政法人等が関与することが可能となりますので、相手国のニーズに基づいた具体的なプランを提示することで民間事業者の参入が促進されるものと考えております。
 さらに、手続等の迅速化につきましては、確実で速いインフラ整備を行えるよう、関係省庁と連携をしまして、事業の審査期間の短縮等に取り組んでまいります。
 関係者間の連携強化につきましては、本法案で、国土交通大臣が定める基本方針の中で関係機関や民間事業者の連携、協力に関する事項を定め、関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならない旨の規定も設けております。
 国土交通省といたしましては、これらの取組を通じまして、官民一体となったオールジャパン体制でインフラシステムの海外展開に取り組んでまいりたいと考えております。
#66
○室井邦彦君 よろしくお願いしておきたいと思います。
 そこで、四年ほどたつのかな、この海外展開を支援するためにJOINという組織が設立されておったはずでありますが、今、このJOIN、四年たってどうなっているのかという、実際、実績、どのような活動をされておられるのか、少しお聞かせをください。
#67
○政府参考人(篠原康弘君) 御指摘をいただきましたJOIN、海外交通・都市開発事業支援機構でございますけれども、この法人は、海外における交通事業あるいは都市開発事業が投資の回収までに長期間を要する、あるいは収益の発生が不確定という中で、日本企業の参入促進をこの分野で図る観点から、出資あるいは専門家派遣、これをハンズオンと申しますけれども、といったことを行う官民ファンドとして平成二十六年の十月に設立をされております。これまでに三年半を経過しているわけですけれども、これまで支援対象としては合計十一件、高速鉄道事業や都市鉄道事業、都市開発事業などを対象に支援を行ってきている状況でございます。
 ただ、この十一件ということで、機構が抱える課題として私どもが認識しておりますのは、そもそもJOINが、多くの日本企業が海外市場に参画できるように、そして実績、経験を積み重ねることができるようにということでできておりますので、機構と日本企業との対話を更に積み重ねて、案件の発掘、それから出資等の支援実績、これを更に増やしていく必要があると思っております。
 今回の法案で、独立行政法人等が日本企業が参画しやすい環境をつくっていくということになりますので、その独立行政法人とタイアップしまして、機構の出資、ハンズオン支援を重ねることで日本企業の参画を後押ししていく、そういう役割を更に強めていきたいと考えてございます。
#68
○室井邦彦君 理解はいたしましたけれども、今までJICAがこういう活動をしておりましたし、ファイナンス関係、そしてJOIN、そして今回は、独立行政法人というのは今までの技術力、ノウハウを生かしていくと、そういうことでありますけれども、この連携をしっかりと取っていただかないといけないのじゃないのかな、このように今感じました。その点をひとつよろしくお願いをしておかなくちゃいけないかなと思っておりますので、御配慮のほどというか、御指導のほどお願いしておきます。
 そこで、今も大臣からも出ましたし、また末松先生からも出ましたけれども、我が国のインフラシステムの海外展開、これはしばしば、確実だが遅いと、これ牧野先生がそのように書かれておったのか、そのような指摘をされておりますし、私もそう聞いております。
 しかし、この事業をやはりしっかりと確実に日本の国が勝ち取る、こういうことがまず前提であって、この内容では我が国の、JICAのこの事業実施可能性調査開始から着工まで、耳にしておる数字は約五年ほどを要すると、こういうことを、現状がそういうことだということは耳にしておりまして、この手続等に時間を要しているうちに、要するに、整備を急ぐ新興国が待ち切れずに、競合国に先行され、受注を逃がしてしまうと、こういうパターンが数多くあったかと思います。
 そういうところで、お尋ねしておきたいことは、この案件発掘調査から今までJICAがやっておられたということでありますから、JICAの事業実施可能性調査に有効に今回結び付けていくためにこの面での取組をどう強化していくのか、その点も御説明をしていただきたいと思います。
#69
○政府参考人(篠原康弘君) ただいま御指摘いただきましたとおり、我が国のインフラ展開、確実だが遅いというところから確実で速いということに変えていく必要があると認識をしてございます。
 もちろん、この手続の迅速化には関係府省、関係機関との連携が不可欠でありますが、特に今御指摘いただいた、案件をJICAのFS調査につなげていくための手法としましては、まず、今国土交通省では案件発掘調査というものをやってございまして、この案件発掘調査をやる際に重要案件をあらかじめ特定して、相当早期の段階から相手国の潜在的なニーズを踏まえたプロジェクト形成をして、相手国政府がそれを受けて、是非やりましょうということになってJICAのFS調査につながっていくというような、そういう案件発掘調査の的確な実施ということがまず大事かと思っておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
 また、今回の法案におきましては、案件形成段階でも更に上流の、例えばマスタープランといったような個別プロジェクトの手前の上流計画への参画も可能となりますので、こういう上流計画の段階から日本が関与をして案件づくりを具体的に主導していくような形での独立行政法人の関与もできるようになりますので、こういったものを使いながら、スピード感を持って案件の具体化を図ってまいりたいと考えてございます。
#70
○室井邦彦君 お願いをしておきたいと思います。
 日本人はきちょうめんですし、きちっと仕事をやるということ、これはもう世界も冠たるもので評価をしておるわけでありますけれども、臨機応変に、石橋をたたいて渡るというか、石橋をたたき過ぎて渡れなくなってしまうというようなことのないように、その点はやはりバランス感覚というか、臨機応変に的確に行動していただければなと期待をしておりますので、お願いをしたいと思います。
 最後の質問になります。これはもう公明党の竹内先生と全く同じ質問で、重複して申し訳ありませんが、お答えをしていただきたいと思います。
 特に、今までの話は大企業の話でありまして、では中小企業がどのようなことを、国土交通省は、まあそのレベルですね、考えておられるのか、その点を是非確認をしておきたいなというふうに思っております。よろしくお願いします。
#71
○政府参考人(篠原康弘君) 御指摘をいただきましたとおり、今回の法案は、大企業のみならず中堅・中小企業含めて、その優れた技術、ノウハウを海外展開に生かしていきたい、特に、まだまだ日本企業の海外展開が進まない中で参加する企業の裾野を広げていくということが大変重要だろうというふうに思ってございます。
 そのためには、特に中堅・中小企業はきっかけづくりあるいは意欲喚起ということが大事でございますので、先ほど御紹介申し上げたようなプラットフォーム、JASMOCですとか、あるいは表彰制度といったことを使って意欲喚起などを図っていこうと考えておりますけれども、特に今回の法案では独立行政法人がきめ細やかなサポートができるようになりますので、特に中堅・中小企業に対して情報提供を行ったり、中堅・中小企業が持つ優れた技術を積極的にPRするといったようなことも通じまして、しっかりと後押しをしてまいりたいと考えてございます。
#72
○室井邦彦君 終わります。
#73
○青木愛君 希望の会、自由党の青木愛です。
 本日は、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案について質問をいたします。
 まず、本法律案の提出の意義についてお伺いをいたしますが、国交省が所管します様々な分野の海外インフラ事業につきまして、我が国事業者の参入促進を図るために独立行政法人等に新たに調査、設計などの海外業務を行わせることにしておりますけれども、現状におきまして既にこれらの機関において海外で様々な活動を実施しているようにも思えますが、あえて今回新法制定をして独立行政法人等に海外業務を追加する意義について、まずお伺いをしたいと思います。
#74
○政府参考人(篠原康弘君) お答えを申し上げます。
 現在、独立行政法人等は確かに海外業務を手掛けてはおりますけれども、あくまでも国内業務に支障のない範囲でということでございまして、主に専門家の派遣や国内への研修生の受入れといったところにとどまってございます。一方で、現在、大変競合国との競争も激化し、新興国でのプロジェクトも増加している中で、更に公的機関の積極的な関与が求められているところでございます。
 このためには、まず独立行政法人そのものの内部体制の強化、人材の採用、育成といったことも計画的に実施する必要がございまして、そういうためには、独立行政法人におきまして本来業務として海外業務を積極的、明確に位置付ける必要があって、今回新たに新法を制定するということに至ったものでございます。
#75
○青木愛君 今御答弁にもございましたが、海外に目が向けられる余り国内の事業がまたおろそかにならぬよう国民生活をしっかりと支えていただかなければなりませんし、支障がない中でという御答弁でありましたので、その点、よろしくお願いいたします。
 次に、先ほど来質問が出ておりますけれども、この質の高いインフラ整備ということでありますが、一昨年の伊勢志摩サミットに先立ちまして質の高いインフラ輸出拡大イニシアチブが公表されて、我が国のインフラ輸出については質の高さが求められてきております。今回の法律案においてもこの質の高さという点については引き続き求められるものと思っておりますけれども、そもそもこの質の高いインフラとはどのようなことを指しているのか。競合国との差別化を図るものだという御答弁がございます。
 日本は少子高齢化を迎え、これから人口も減少していくという中で、インフラシステムも、メンテナンスは大事な点でございますが、ほぼほぼ整っているという状況の中でこれから経済成長を海外に求めていくということでありますけれども、やはり日本の都合で、相手国の自然環境ですとかあるいは伝統的な生活文化ですとか、こういった面がないがしろにされてはならないというふうに考えておりますが、その辺のところも踏まえて、この質の高さという具体的なことを是非お聞かせいただきたいと思います。
#76
○政府参考人(篠原康弘君) 我が国が進めようとしております質の高いインフラと申しますのは、我が国のインフラ海外展開を進める際の基本的な考え方でございます。またそれが、競合国との差別化を図るという御指摘のような要素にもなろうかと思っております。
 具体的に申し上げますと、維持管理までを含めましたライフサイクルコストの低廉さ、使いやすさ、長寿命性、それから納期の遵守、さらには御指摘いただいたような相手国の環境、防災面への配慮といったことにも配慮をしたインフラ整備を進めるということかと思っております。
 さらに加えまして、ソフト面でも、人材育成を行って相手国の方々が自ら適切にインフラの維持管理、運用ができるようにするですとか、日本が積み重ねてきた優れた制度を相手国の方にも導入していただけるような支援をしていくといったようなことも含めたソフトインフラとともに、総合的な観点から相手国の持続可能な発展につながるようなインフラ展開を進めていくことが質の高いインフラであるというふうに考えてございます。
#77
○青木愛君 相手国に合った形で、ハード面そしてソフト面も共に日本らしいやり方で提供していくことが大切だというふうに思います。
 そして、このインフラ受注を進めるに当たって、やはり現地情報の収集が不可欠でございます。今後、国土交通大臣が機構や我が国事業者に対して必要な情報及び資料の提供又は指導及び助言を行うものとなっております。実際、現地情報あるいは競合国の情報など、その収集あるいは提供についてはどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
#78
○政府参考人(篠原康弘君) インフラ市場をめぐります競合国との競争が大変激化をする中、御指摘のように、関係者が最新の情報を共有するということが不可欠だろうと考えてございます。
 このため、まず国土交通省が得られた情報、例えば政府要人によるトップセールスあるいは政府間協議等で得られた情報などについては、その共有を図るために、御指摘いただきました本法案の規定であります、国土交通大臣が関係者に対して必要な情報、資料の提供、指導、助言を行うといった中で対応してまいりたいと思っております。
 また、これらの情報は、国だけではなく、大使館、JICA、ジェトロあるいは民間事業者の方にもそのような情報が蓄積されているかと思いますので、必要に応じてそのような情報も関係者間で共有できるように、これも本法案で関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならないという規定を置いておりますので、こういった規定も活用しながら、情報の総合的な共有が図れるように努めてまいりたいと考えてございます。
#79
○青木愛君 この情報収集について、競合国の情報についてお伺いをしたいと思いますけれども、先ほどもお話がございました中国の一帯一路という大きな構想がございます。海外へのインフラシステム展開において、中国、また韓国、我が国との競争国となっております。特に中国は、習近平政権となってから、一帯一路構想を掲げ、アジアインフラ投資銀行までをも設立をし、単なる経済開発だけではなくて、安全保障も関連付けた中でインフラ展開を行っていると思います。
 我が国の事業者が海外展開する上で、これらの競合国の情報は必要だというふうに考えております。中でも、過日、シンガポール、またマレーシアに参議院から派遣をいただいたときに、現地に日本から赴いている民間企業の方々が口をそろえて、中国の港湾の進出が大分進んでいるというお話を聞きまして、その点、中国が他国で進めている港湾の建設に関して、現時点で国交省が把握している情報をお聞かせいただければと思います。
#80
○政府参考人(菊地身智雄君) お答えいたします。
 中国は、いわゆる一帯一路構想の下、国営企業を中心に積極的に海外の港湾の建設及び運営に参画をしていると承知をしてございます。
 例えば、スリランカのハンバントタ港につきましては、中国輸出入銀行からの借入れによりまして港湾の整備が行われてきたところでありますが、スリランカ政府が、対中債務負担軽減ということから、中国企業とスリランカ港湾公社との合弁会社に対しまして、債務の返済に代わって土地及び港湾施設を九十九年間リースするとともに運営権を譲渡したと承知をしてございます。また、このほか、パキスタンのグワダル港やあるいはギリシャのピレウス港などにおきましても中国企業が港湾の建設や運営を行うなど、海外展開を積極的に図っているものと承知をしております。
 我が国インフラシステムの海外展開の推進に向けましては、外務省、在外公館等、関係省庁とも連携をいたしまして、競合国企業の動向について情報収集を行った上で、海外展開を図る本邦企業に対しまして情報提供を行ってまいりたいと考えております。
#81
○青木愛君 ありがとうございます。
 次に、大臣にお伺いしたいと思いますが、この海外への協力とともに、今のような競合国の育成という面、一見相矛盾するようなこの両面についてどのようにお考えになるかお聞かせをいただきたいのですけれども、独立行政法人等がこれから海外展開を積極的に進めるに当たりまして、これまで蓄積した知識、ノウハウ、技術などを活用していくということになりますが、それによって現地の国づくり、あるいは人づくりに大きく貢献することにもなります。
 このことは、地域の経済発展、また住民の生活向上を牽引をして、かつ日本の国際的評価も高めることにつながると思い、その意味では、広い意味で安全保障でもあろうかというふうに思います。しかし、一方で、日本にとっての競合国を生み育てるということにも、過去の経験からそういう面もあろうかと考えるわけであります。
 この相矛盾する結果について大臣はどのように捉えていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#82
○国務大臣(石井啓一君) 相手国が自ら適切にインフラの維持管理、運用を行えるようにするための人材育成は、我が国のインフラシステム展開の強みとしているところであります。また、日本が高度成長を遂げる中で蓄積してきた知見を活用して相手国の課題解決に貢献することも重要と考えております。
 海外インフラ展開を通じて、相手国の課題解決や人材育成に貢献することによりまして、相手国における我が国の質の高いインフラへの理解が深まり、我が国と同様の基準や制度等を導入する意欲を高めたり、更なる案件の受注にもつながることが期待をされます。また、相手国の企業の技術レベルが向上することで、日本企業と相手国企業が補完的なパートナーシップを組みながら第三国へ展開する可能性も考えられるわけであります。
 以上のように、国土交通省といたしましては、相手国に対する課題解決や人材育成を通じまして、相手国とのウイン・ウインの関係を築きながら質の高いインフラの海外展開を推進してまいりたいと考えております。
#83
○青木愛君 ありがとうございます。
 続いて、石井大臣にもう一点お伺いをさせていただきたいと思います。
 この度の連休中の海外出張の成果についてお伺いしたいと思いますが、大臣を始め政務三役が海外出張をされております。また、せんだってというか、過日質問をさせていただいたマレーシア―シンガポールの高速鉄道の入札の状況でありますけれども、当時のお話からするとちょっと遅れているようにも感じておりますけれども、現在どのような状況になっているか。また、マレーシアでは五月の選挙でマハティール政権が誕生する、政権交代が行われたということで、日本に対する影響なども踏まえて御答弁をお願いしたいと思います。
#84
○国務大臣(石井啓一君) 四月から五月にかけましての連休中の出張につきましては、私がフィリピンとシンガポールに出張したほか、あきもと副大臣がロシアとミャンマー、秋本政務官がインド、簗政務官がフランス、高橋政務官が南アフリカに出張をいたしまして、それぞれの出張先で相手国政府の幹部と会談等を行いまして、インフラシステムの海外展開に向けたトップセールスや協力関係の強化に取り組んできたところであります。
 私の出張について申し上げますと、フィリピンでは、社会資本整備に関する協力覚書を結ぶとともに、現在フィリピンにおいて進行中の鉄道を始めとするプロジェクトの進捗を図る観点から、関係大臣と意見交換を行わさせていただきました。
 また、シンガポールでは、現在入札公示が行われておりますシンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道プロジェクトにつきまして、新幹線方式が導入されるよう働きかけ等を行ったところであります。マレーシア―シンガポールの高速鉄道につきましては、応札のスケジュールが半年延期されまして本年十二月末までの期限となっておりまして、現在、日本を含む関係国において応札に向けた準備が進められているところであります。
 五月九日のマレーシア連邦下院の総選挙において、マハティール元首相率いる野党連合が勝利をいたしました。政権幹部からは、大型プロジェクトについては見直しを行うとの発言が報道されておりますが、マレーシア―シンガポール高速鉄道プロジェクトへの影響は明らかではございません。
 国土交通省としましては、引き続き情報収集に努めまして、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。
#85
○青木愛君 質問を終わります。ありがとうございます。
#86
○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 TPP11ですけれども、三月八日にサンティアゴにおいて署名式が行われました。元々このTPP11につきましては、日本が主導的な役割を果たしましてここまでこぎ着けたというか、合意に至ったということであります。そして、日本においては、国内手続を完了させるべく、今、衆議院で審議されていたということであります、まあこれから参議院ということでありますけれども。
 このTPPの第十五章の政府調達におきましては、WTO協定未締結のマレーシア、ベトナム、ブルネイに対して、新たに一般競争入札の義務付けがなされているということであります。
 TPP発効が国土交通分野における日本のインフラシステム輸出促進にどのような影響を与えるとお考えか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(石井啓一君) TPP11協定は、アジア太平洋地域におきまして自由貿易圏を形成するための協定であります。日本にとって、アジア太平洋地域の成長を取り込むための成長戦略の柱であると考えております。
 TPP11協定の発効が国土交通分野におけます日本のインフラシステム輸出促進に与える影響についてでありますが、TPP11協定では、今委員から御紹介いただいたように、WTO政府調達協定を締結していないマレーシア、ベトナム、ブルネイに対して、一定額以上の対象公共事業について新たに公開入札を原則として義務付けておりまして、加盟国のインフラシステム市場へのアクセスが改善するものと考えております。
 また、本協定によりまして、物品、サービスの貿易自由化や投資の自由化、円滑化に向けて関税等の引下げやルールの共通化が図られることから、アジア太平洋地域における貿易投資を促進させるものであると考えております。
 このような内容を含む本協定の発効は、TPP11加盟国へのインフラシステムの海外展開に寄与し、今回の法案と相まって、我が国のインフラシステムの海外展開を後押しするものであると考えております。
#88
○行田邦子君 TPP11では、日本の約束はWTOと同じ水準ですから国内の公共事業については影響はないというか変化はないということですけれども、逆に、この今大臣もおっしゃられたマレーシア、ベトナム、ブルネイについては、日本が特にインフラシステムを海外展開していくのに一つのいいチャンスになるというふうに思っております。
 続いて、今日、外務省さんにお越しいただいていますので伺いたいと思うんですけれども、世界のインフラ需要というのはもう膨大なものであります。資料によりますと、全世界では五千百兆円、そしてアジアだと三千兆円という非常に大きな需要があるということでありますけれども、特に新興国を中心として今後更なる成長が見込まれる、市場の拡大が見込まれるということが言われております。
 そして、日本におきましてもこうした世界の成長市場をしっかりと取り込むことが経済成長に貢献するというふうに考えております。特に、新興国におけるインフラ開発というのは現地政府の影響力が強いということが言われておりますけれども、そうしますと、民民の間で解決することではなくて、やはり日本政府としてもしっかりと関与していかなければいけないと、出ていかなければいけないということであります。
 インフラシステム輸出が促進されることの外交面におけるメリット、利点について、またインフラシステム輸出の促進をどのように外交に生かしていくことができるか、外務省にお聞かせいただきたいと思います。
#89
○政府参考人(飯田圭哉君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、新興国や開発途上国を中心に膨大なインフラ需要が存在しているというふうに認識をしておりまして、それを積極的に取り込むべく、日本政府、外務省としましても、日本企業の事業の強みや魅力をトップセールスを通じて、また委員から御指摘がありました、直接相手国政府に訴え、大型プロジェクトの受注や販路拡大の後押しをしているところでございます。
 より具体的には、外務省は七十二か国の九十三の在外公館に百九十二名のインフラプロジェクト専門官を今設置しておりまして、インフラ需要に対する情報収集や分析、それからJICA、JBICといった関係機関や関係省庁との連携、現地企業との連絡体制の強化にまさに取り組んでいるところでございます。
 なお、外交上の利点について御質問ございましたけれども、我が国としては、国際スタンダードに乗った質の高いインフラ整備を通じた連結性の強化、これを通じて、相手国の発展のみならず、経済圏の拡大、地域全体の経済的繁栄の基盤づくりに取り組んでいくということができると思いまして、こういうことが日本の存在感、外交上にもプラスに働くというふうに考えておりますし、また、こうした取組は、我が国が外交上推進しております、最近、自由で開かれたインド太平洋戦略と言っておりますけれども、この重要な柱として位置付けをしておりまして、引き続き、外交的視点を踏まえつつインフラシステムの輸出の促進を積極的に展開していく決意でございます。
#90
○行田邦子君 インフラシステムを海外展開、輸出するというのは、その相手国と日本との友好関係、信頼関係に非常にメリットがあるというふうに考えております。
 続いて、また大臣に伺いたいと思います。
 水ビジネス市場、水ビジネスについて伺いたいんですけれども、世界の水ビジネス市場は二〇一五年で八十三・六兆円ということであります。また、今後も成長が予測されているわけでありますけれども、一方で、日本企業のシェアはといいますと、これは二〇一三年度で〇・四%と実績が乏しい、これ水ビジネス市場全体でありますけれども、ということです。
 しかも、これは国土交通省さんが出されている資料によりますと、水分野において日本政府が供与したODA、これは十億円以上のODAですけれども、のうち日本企業の落札案件は金額ベースで約三割なんだそうです、低いということです。そしてまた、何と六割の案件において入札に参加をしていないということだそうです。
 この水ビジネスの中でも下水道分野はどうかということなんですけれども、海外市場規模は、二十三兆円というのは二〇一三年度です。日本企業の実績は七十億円と。シェアは、資料によりますとゼロとなっていたんですけど、〇・〇三%という、非常に今実績が乏しいという状況であります。
 大臣に伺いたいと思いますけれども、日本企業が世界の下水道分野で実績を上げられない原因は何なんでしょうか。そしてまた、今回の法改正によりまして世界の下水道分野への日本企業の参入はどのように促進されるとお考えでしょうか。
#91
○国務大臣(石井啓一君) 平成二十七年度におきまして、本体工事十億円以上の下水道に関しますJICAの円借款事業におけます日本企業関連の受注実績は、件数ベースで十四件中三件、約二割、受注金額ベースで約七百三億円中約三百二億円、約四割となっております。
 件数、金額共に更に拡大するための課題といたしましては、求められる処理水のレベルが低いなど日本の質の高い技術を必要としない案件があるということや、ライフサイクルコストの安さや維持管理のしやすさ等、日本の技術の良さが十分に理解されておらず、結果として価格競争に焦点が当たりがちになることなどが挙げられます。
 今回の法改正によりまして、日本下水道事業団が本格的に海外業務を実施することが可能となります。これまで培ってきた技術やノウハウ、さらには公的機関としての中立性や交渉力を活用いたしまして案件の形成段階から関与をすることで、例えばより高度な処理レベルの必要性を提案をし、日本企業の質の高い技術の導入を促すなど、これらの課題を解決することで日本企業の海外インフラ事業への参入を促進してまいりたいと考えております。
#92
○行田邦子君 大臣の御答弁伺っていて、相手国がどの程度の水準のものを求めているのかということもしっかりとやはりリサーチすることが重要なんだなというふうに思いましたし、また同時になんですけれども、日本の質の高いインフラシステムについてもしっかりと理解をしていただくことによって、実はこういった、このぐらいの高いレベルのものが必要ではないですかという提案もできるのではないかなというふうに思いました。
 続けて質問させていただきますけれども、下水道についてですが、日本下水道事業団です。
 これは、地方公共団体同士が協力し合って全国の下水道整備を行うことを目的に元々設立をされました。現在は、地方公共団体といいますか、都道府県の一〇〇%出資による地方共同法人となっていますが、今回の法改正によって下水道事業団は海外案件の技術的援助業務を行うことになりますけれども、このことが出資者である都道府県にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
#93
○政府参考人(山田邦博君) お答えをいたします。
 日本下水道事業団は、御指摘のとおり、地方公共団体等の要請に基づきまして下水道の整備等を促進をしているところでございます。日本下水道事業団が海外の下水道に関する技術的援助業務を行うことで、我が国事業者の海外案件への参入を促進でき、我が国事業者の経営体力、それから技術力の向上、さらには、日本下水道事業団自身の技術力強化によりまして、各地方公共団体における下水道事業の品質が向上するなどの効果があるものと認識をしているところでございます。
 なお、日本下水道事業団の中期経営計画におきましても本邦企業等の国際水ビジネス展開等を支援していく旨が記されておりますけれども、これ、地方公共団体の代表が構成員の大多数を占めております評議員会が取りまとめた答申を受けて策定されたものでございます。
#94
○行田邦子君 日本下水道事業団が海外展開、日本企業の海外展開の技術的援助を行うことによって、日本下水道事業団自身の技術力の向上というか、維持かもしれませんけれども、に役立つと、そのことが出資者にとってもメリットであるということであります。
 続いて質問させていただきますけれども、ちょっとこれまでの質疑と重複するかもしれませんけれども、世界の下水道関連市場におきまして我が国のライバルとなるのが中国、韓国と言われていますけれども、こうした国々、中国、韓国の強みの一つは、何といっても価格競争力というふうに言われています。これに対して日本はどのような戦術で臨んでいるのでしょうか。
#95
○政府参考人(山田邦博君) お答えいたします。
 海外インフラ市場における受注競争は熾烈化しておりまして、我が国の民間事業者の受注拡大に向けて一層積極的に取り組む必要があるものと認識をしております。
 下水道分野につきましては、現状、政府間会議や技術セミナーを通じた日本の技術の売り込みですとか、あるいは日本の技術の海外での実証試験ですとか、あるいは日本の技術基準の海外への移転などを通じまして、価格競争に偏重せず、案件形成に当たって外国政府等に日本企業の有する質の高い技術を盛り込んでもらえるように取り組んでいるところでございます。
 本法案に基づきまして、日本下水道事業団が技術やノウハウ、さらには公的機関としての中立性や交渉力を活用しながら海外技術的援助業務を実施をいたしまして、整備計画やあるいは設計図書、仕様書に我が国の技術を盛り込むことなどを通じて、我が国事業者の海外インフラ事業への参入をより一層促進してまいりたいと考えておるところでございます。
#96
○行田邦子君 価格競争という同じ土俵で戦わないということも大切な戦略だというふうに思いました。
 最後の質問なんですけれども、水資源機構について伺いたいと思います。
 これまでは、本業に、本来業務に支障を来さない範囲での国際協力や海外展開が認められていましたけれども、今回の法改正によりまして、日本企業の海外業務支援が本来業務に位置付けられることになります。これによってこの機構の業務がどのように変わり、またどのような貢献が期待されるのでしょうか。
#97
○政府参考人(山田邦博君) お答えいたします。
 現行の水資源機構法における新法案の海外調査等業務に相当する業務は、本来業務の遂行に支障のない範囲内において行うこととされております。今回の法改正によりまして、こうした現行制度上の制約を受けることなく、事業構想段階から発注者支援、さらには維持管理支援業務に至るまでの海外業務につきまして、計画的かつ継続的により多くの業務を実施することが可能となります。これによりまして、事業構想段階から我が国事業者が優位性を持つ技術の導入が促進されること、それから事業を実施する上での種々のリスクが軽減されることといった効果が発現され、我が国事業者の参入がより一層容易になると考えているところでございます。
#98
○行田邦子君 終わります。ありがとうございます。
#99
○平山佐知子君 国民の声の平山佐知子です。
 行田委員からも水ビジネスの話がありましたけれども、様々なインフラが現在も海外に輸出されている中で、私も水に特化してお話を伺ってまいりたいというふうに思います。
 水道を、蛇口をひねると透明な水が出てきて、そのまま飲むことができるのは私たち日本人にとっては当たり前のことですけれども、一方、海外ではといいますと、なかなかこの水道施設、整っているかといいますと、その国や地域は限られますし、しかも、飲めるといいましても、その国内全域でひとしく安全な水道水を飲むことができるかといえば、そういうふうに言えないという状況の国もいまだ多くあるという現実があります。この水と衛生の問題は実に人の命にも関わりますし、重要な問題だというふうに考えております。
 二〇一七年版開発協力白書によりますと、水道や井戸などの安全な水を利用できない人口は平成二十九年には世界でおよそ八億四千四百万人、また、およそ三十六万人の五歳未満の子供が、安全な水と衛生施設が不足しているために引き起こされる下痢によって尊い命を落としているという非常に厳しい現実もございます。
 このような世界の現状におきまして、この日本の水道設備、間違いなく世界トップレベルでありまして、この公共インフラは世界中に胸を張って売り込むことができるもので、また、これは世界からも求められているものだというふうに考えています。
 そこで、伺います。
 現在、国内の上下水道設備をインフラ輸出している現状についてまずは簡単に教えていただきたいということと、また、このような世界の現状を踏まえれば、水道、それから下水道の整備は、今までのODAの開発援助に加えて今後大きなビジネスになっていくというふうに考えています。
 例えば、中国や韓国など、いわゆる日本の競争国の現状を見ても、では、果たしてその中国や韓国が国内どこにいても安全な水を供給できているかといえば、いまだ難しいというのが現実だというふうに考えています。ここは日本の水のインフラ輸出が世界にもアピールしやすく優位な分野ではないかというふうに思っているんですが、その点についていかがでしょうか、経済産業省、お願いいたします。
#100
○政府参考人(上田洋二君) お答え申し上げます。
 世界の水ビジネス市場は、二〇一五年には約八十四兆円の実績がございまして、また、二〇二〇年には百兆円規模との予測もございます。我が国のインフラ輸出における非常に有望な分野という具合に認識をしております。他方、我が国の企業のこのシェアは極めて限定的な状況でございます。
 我が国企業は、水処理技術でありますとかあるいは漏水の管理の技術、さらに省エネ技術等、要素技術には非常に優位性がございます。他方で、水ビジネスの海外展開に当たって相手国のニーズに合わせた提案をするためには、これ、運営管理も含めたパッケージでの展開や、あるいは国内の水事業の経験が豊富な自治体のノウハウの活用、これが必要となってまいります。これに対応するためには、例えば、これは単なる設置のコストだけではなくて、運営管理も含めたライフサイクル全体のコストでの評価を働きかけるなど、我が国の強みを生かしつつ、相手国のニーズに合致するような提案等を行っていくことが重要であると考えております。
 引き続き、官民一体となって、関係省庁と連携をして水ビジネスの海外展開を一層推進をしてまいりたいと考えております。
#101
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 百兆円規模というと本当に大変魅力的でありますし、これからもっと大きな可能性も感じるところでありますので、政府としても、是非バックアップ、しっかりとしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 そして、先日、法案の概要説明をいただいた際に大澤参事官から、今回、まちづくり全体のプロデュースの依頼もあるというふうにお話を聞きました。本法律案では、独立行政法人等に海外業務を行わせるための措置を講ずるというふうにありますけれども、まちづくり全体というふうになりますと、それぞれの独法間の連携もやはり必要になってくるというふうに思います。
 プロジェクトの内容にもよるんですけれども、例えば、都市再生機構がまず都市開発のデザインをした上で、水資源機構と日本下水道事業団が都市開発に伴う水資源や下水道整備に関するニーズ調査を一体的に実施をしたり、また、上水事業者などとともに上下水道一体の工事計画を策定するといった連携や協力も可能となるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#102
○政府参考人(篠原康弘君) お答えを申し上げます。
 インフラシステムの海外展開の推進に当たりまして、ただいま御指摘いただいた例のような分野横断的な総合力の発揮による一体的な取組というものが大変重要であるというふうに考えてございます。
 今回の法案では、各独立行政法人等がそれぞれの分野で海外業務を行えるようになるわけですけれども、さらに、各法人同士が情報を共有して案件形成に向けて連携をするということによって相手国に効果的な働きかけができるということかと思っております。
 このため、今回の法案で国土交通大臣が定めることにしております基本方針の中で「参入の促進の方法に関する基本的な事項」という項目がございますが、その項目の中で是非この分野横断的な連携ということをしっかりと位置付けて、その必要性を方針に書き込んでいきたいというふうに考えてございます。そして、この基本方針には関係者間の連携協力に関する事項を定めるということにもなっておりますので、そのような総合的な分野横断的な取組に関係者が相互に連携して協力していくようにということも書いていけないかというふうに考えてございます。
 さらに、国土交通省は、政府関係者との間でいろんな情報を得る機会がございますので、その情報を関係法人に、複数の関係法人に情報共有するという形でも総合的な案件形成にも役立つというふうに考えておりますので、以上のような本法案の措置を総合的に活用しながら、分野横断的な総合的取組を推進していきたいと考えてございます。
#103
○平山佐知子君 大変すばらしいことだと思いますので、しっかりと一体的にまた進めていただければというふうに思います。
 海外での社会資本事業は、いわゆるスーパーゼネコンなど大手建設業者が中心になると思います。しかし、水道、下水道、その実際の工事は、国内では例えば小規模事業者、本当に五人、六人のそういう事業者が施工している場合がほとんどだというふうに思います。
 そうした建設業界、地域の現場では大変御苦労も多いというふうな声も私聞いています。昔は、道路工事、水道工事がある際は大変地域の皆さんから感謝をされて、地域で、現場ではお茶とかお茶菓子を出していただいたりとか、そういうことも多かったそうなんですが、この頃では、例えば工事しますよということで各地域の家々にお願いをしに行ったところ、けげんそうな顔をされるばかりで大変つらい思いをしたという現場の声を聞いています。ただでさえ、今建設業界、深刻な人手不足に悩まされている状況なのに、これではやる気もなくなってしまいますし、若い人たちがなかなか入ってこないということになってしまうと、もう心配になってしまうところもあります。
 しかし、一方で、海外でインフラ整備に携わった人からお話を伺いますと、現地の人に例えば水が出たということで涙を流して喜ばれたというお話も聞いたことがあります。こうしたことが、私、一番重要だと思うんです。
 そこで、中小の建設業や上下水道業に携わる皆さんこそ、やはり喜びを現場で感じていただくためにも、海外に進出していただくということは重要であるというふうに思っております。
 先ほど来からもありますけれども、既に政府はインフラシステム輸出戦略において中小企業の支援を掲げていらっしゃいますけれども、海外進出の意欲となるとやはり大企業に比べて低くなってしまうという現実があるというふうに思います。政府として、特に、中堅というよりか中小事業者の海外進出への支援策について考えを聞かせてください。
#104
○政府参考人(篠原康弘君) ただいま御指摘いただきましたように、中堅、特に中小の企業の海外進出にはなかなかそのきっかけづくりを含めましてハードルがあるところでございます。
 そこで、今回の法案では、独立行政法人等が公的機関として持っております交渉力、中立性といったものがございますので、その力を活用しまして、相手国政府に対して、中堅・中小企業の持つ優れた技術、これを積極的にPRするなどによりまして後押しがしていけるのではないかと思っております。
 先ほど来出ておりますように、建設業者の中堅・中小のためのプラットフォームあるいは表彰制度なども使いまして、進出の意欲を高めながら積極的に今回の法案を活用して応援をしていきたいと考えてございます。
#105
○平山佐知子君 一方で、中小の建設業などを海外で進出させるためには、マンパワーですとか資本はもちろんのこと、言葉の壁、それから国民性の違いなど、課題も多くあるというふうに思います。
 こういったソフト面の課題に対して、行政としてはどのような支援策を講じていくつもりなのか、教えてください。
#106
○副大臣(牧野たかお君) お答えをしたいと思います。
 中堅・中小建設企業の海外展開に向けて、国交省では、中堅・中小建設業海外展開推進協議会、先ほどから出ていますが、JASMOCによるセミナーの開催などを通じて、相手国の建設市場の概況やニーズなどの情報の提供や具体的な進出事例の紹介、また、海外進出に向けた個別の相談や現地関係者とのコネクションの構築への支援など、ソフト面での様々な課題に対してきめ細やかに対応しているところです。
 このような取組に加えて、本法案によって独立行政法人などが海外業務を実施することが可能になることから、独立行政法人などから中堅・中小建設企業への情報提供を始めとする支援についても一層積極的に行ってまいりたいと考えております。
#107
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 また、小規模事業者が単独で海外事業を手掛けるとなると、またこれは相当なプレッシャーがあるというふうに思います。五人ぐらいの小規模事業者が全員海外に打って出るということはなかなか難しいと思うんですが、例えば、建設業なら地域の建設業組合に一人入るとか、水道や下水道なら地域の上下水道組合であるとか、そういった地域単位での海外進出についても政府としては支援をしていくべきだというふうに考えるんですが、これについてはいかがでしょうか。
#108
○副大臣(牧野たかお君) 委員の御指摘のように、小規模事業者を含めて中堅・中小の建設企業の海外進出を促進していくためには、複数の企業の連携を図ることも効果的であると考えております。
 国土交通省では、先ほど申し上げたJASMOCや下水道関連企業のビジネス展開を支援するための下水道グローバルセンターによるセミナーの開催などにおいて、企業を含めた関係者間での情報共有を行っております。これらの機会というのは、小規模事業者を含めて中堅・中小の企業の間で交流を深める場になっておりまして、このような取組を重ねることによって複数の中堅・中小企業、また小規模事業者が連携をして海外進出を行うことにもつながると考えております。
 本法案によって海外業務を実施することが可能となる独立行政法人などから中堅・中小企業、小規模事業者へ情報提供や支援を行う際にも、企業間の連携や小規模事業者についても留意しながら支援を行ってまいりたいと考えております。
#109
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 小規模事業者にとっても大変大きな夢のある話だと思いますので、是非進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 最後に、例えば水力発電が可能な多目的ダム開発の場合、発送電設備、河川堤防、道路整備などをパッケージとしてこの複合的な大規模プロジェクトを提案した上で受注もしていくということが考えられますが、そのような場合、トップセールスの役割がやはり重要になってくるというふうに考えます。
 この水資源開発に当たってのトップセールの役割について大臣に最後伺わせていただきます。
#110
○国務大臣(石井啓一君) インフラシステムの海外展開の推進に当たりましては、相手国が有する課題への解決策として、複数の機能のインフラをパッケージ化して提案することも有効であります。
 例えば、急速に人口集中や都市化が進む新興国等における都市問題への解決策として、都市開発と交通施設の整備を一体として行う等の総合的な面的開発を提案していくことが考えられます。こういった提案につきましては、相手国の政策決定権者に直接働きかけることが有効であるため、トップセールスが極めて重要と考えております。
 また、本法案によりまして独立行政法人等が国内業務を通じて蓄積をいたしました技術、ノウハウ等を活用して海外業務を行うことが可能となることから、トップセールスを受けて独立行政法人等が具体的な案件形成に向けた調整や技術提案等を行うことで、日本企業が参入しやすい環境づくりが可能となります。
 このように、国土交通大臣が先頭に立ちまして積極的にトップセールスを行い、それを受けて分野横断的にオールジャパン体制で総合力を発揮することによりまして、インフラシステムの海外展開を強力に推進してまいりたいと考えております。
#111
○平山佐知子君 ありがとうございました。終わります。
#112
○野田国義君 野田国義でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、政府全体の戦略との関係についてということでお尋ねしたいと思います。
 現在、政府全体の戦略として、インフラシステム輸出戦略があるわけです。私もこれ読ませていただきましたが、これらの取組の成果と課題を踏まえて今回策定されているのか。例えば、この中に原発なんか書かれておりますけれども、今回、原発はないというようなことでございますけれども、そのことについても御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。
#113
○政府参考人(篠原康弘君) お答え申し上げます。
 まず、御指摘いただきましたように、政府全体の方針としては、インフラシステム輸出戦略というものが平成二十九年五月に策定をされております。また、政府全体の目標といたしまして、二〇二〇年に約三十兆円の受注を目指すという目標がございます。
 この政府全体のインフラシステム輸出戦略におきましては、その目標達成のための重要な要素として官民連携の強化というものが挙げられておりまして、その中で、官民連携の強化の重要な施策の一つとして、今回の法案につながるところでございますが、鉄道、空港、港湾、都市・住宅、下水道等の分野で案件形成から完工後の運営、維持管理までを公的機関、企業がより本格的に実施できるように制度的な措置を検討せよということが位置付けられているところでございます。
 この位置付けを受けまして、これらの分野を担当いたします私ども国交省において検討を進めまして、今回の法案の提出に至ったということでございます。
#114
○野田国義君 今、原発には触れられませんでしたけれども、原発を輸出するというのは本当に、日本はまだ福島の問題も解決をしていない中でございます。非常にデリケートな問題だと思いますので、私は、個人の意見としてはいかがなものかということを申し添えさせていただきたいと思います。
 それから、目標達成でございますけれども、二〇二〇年に三十兆円のインフラシステムの受注を目指すとするKPIが示されております。この目標の達成見通しについてどのような認識を持っておられるのか、各対象法人の業績の見通しなど立てておられるのか、お聞きしたいと思います。
#115
○政府参考人(篠原康弘君) 御指摘いただきましたとおり、政府全体としては、二〇二〇年のインフラ受注額約三十兆円ということで政府を挙げて取り組んでいるということでございますけれども、実はこの三十兆円という目標は海外展開の主要分野ということで、各府省横断的にエネルギー、交通、情報通信、基盤整備、生活環境といった切り口で分野別に積み上げて設定されているという中身でございます。
 そういう意味で、各法人への分解はなかなか難しいわけでございますが、特に国土交通分野の関わりが深い交通分野では、二〇一五年の受注実績を見ますと一・三兆円となっております。また、都市開発等の基盤整備分野は一・七兆円となっていると。これに対しまして、一番多い分野は情報通信分野で九・四兆円、あるいはエネルギー分野は四・四兆円ということで、国土交通分野は他の分野に比べて相対的に伸び悩んでいる分野であるというふうに考えてございます。
 その理由の一つが、この国土交通分野のインフラは相手国政府の影響が大変強く、かつ専門的な技術、ノウハウがどうしても国内の独立行政法人等に偏在しているというところがございます。このため、今回、国土交通分野の独立行政法人等について海外業務ができるように措置をするわけですけれども、そういったことで、伸び悩みをしております国土交通分野の受注額が上がることで政府全体の三十兆円の目標にも貢献できるんじゃないかと、こういうふうに考えているところでございます。
#116
○野田国義君 次に、私も大臣等のトップセールスにということでお聞きしようと思っておりましたが、もう何人も聞かれましたので割愛させていただきたいと思います。
 そこで、私も水資源機構の方のことについてこれからちょっと聞きたいと思いますが、実を言いますと、三週間前でしたでしょうか、私、地元福岡出身であります中村哲先生、ペシャワール会ですね、その講演に行ってまいりました。本当に頑張っておられるというか、元々御承知のとおり医者と、医師ということで、診察というか診療所などを造っておられましたけれども、それ以上にやっぱり大切なのが水なんだと。
 今、かんがい用水などを引かれまして大変な成果を上げられておるということでございまして、そこには本当に大地がよみがえるというか、緑が、そしてまた人がその水のところに移り住むというような、ですから、町がそこに形成をされるというようなことでございまして、本当にすばらしいことをやっておられるなということで、改めて尊敬をさせていただいたところでございますけれども、それとはまた今回のものは違うわけでありますけれども、しかし、やっぱり、最後おっしゃったのは自然との調和が必要なんだと、自然との調和がですね。このところを我々しっかりと海外に進出していっても考えていかなくてはいけない大きなテーマではなかろうかと思っているところであります。
 そこで、現在の水資源機構法ですか、第十二条の業務の範囲の中、あるいは第四条の水資源開発基本計画など、機構が海外展開できる根拠はどうなっているのか。今回の新法によって水資源機構は、水需要の増加が見込めない、もう日本国内では、それで海外に仕事を見付け、組織の拡大を図っていくのか。そしてまた、機構などの公的機関がインフラシステムの海外展開に関与することとなりますが、これらによって具体的にどのような点が有利になり、我が国の事業者の受注につながっていくのか。そして、海外社会資本事業を実施するに当たり、機構等の人員、予算等の体制に変更はあるのか。今後、業務量が増えた場合には定員の増員などを検討する必要はないか。また、過度に海外業務の割合が増加し、本来業務の遂行に支障を来すおそれがないかという点について御答弁をお願いしたいと思います。
#117
○政府参考人(山田邦博君) お答えいたします。
 新法案の海外調査等業務に相当いたします業務は、委員御指摘のとおり、現行の水資源機構法第十二条第二項におきまして、本来業務の遂行に支障のない範囲において行うことと規定をされております。このため、現行のままでは、水資源機構が海外の水資源開発案件につきまして、体制を拡充しつつ本格的に調査等の業務を実施することは困難な状況にございます。実際に、外国政府や我が国事業者等から求めがあるにもかかわらず、水資源機構側の体制が整わないことが理由で対応ができなかった案件も発生しているところでございます。
 今回の法改正によりまして、本来業務の遂行に支障のない範囲内でのみ行うことができるとの現行制度上の制約を受けることなく、事業構想段階から、発注者支援、さらには維持管理支援業務に至るまでの海外業務について、計画的かつ継続的に、より多くの業務を実施することが可能となります。そして、これによりまして、事業構想段階から我が国事業者が優位性を持つ技術の導入が促進をされるということ、それから、事業を実施する上での種々のリスクが軽減されることといった効果が発現をされまして、我が国事業者の参入がより一層容易になるというふうに考えているところでございます。
 そして、今後の水資源機構の体制と従来業務との関係について御質問がございましたけれども、水資源機構におけます海外調査等業務に要する組織、人員につきましては、今後の業務の実施状況を踏まえながら、海外勤務経験者等の内部人材の活用等を検討しつつ、計画的かつ継続的に業務を実施できるように充実が図られるものと考えています。
 今回追加いたします海外業務は、本来業務と親和性が高いものを水資源機構としての性格を変えない合理的な範囲で行わせるものでございまして、海外業務によって従前より行っている国内業務に支障は生じないものと認識をしているところでございます。
#118
○野田国義君 それでは、最後になりますけれども、対象となる独立行政法人等の今後の業務と確認についてさせていただきたいと思います。
 各独立行政法人等は、業務を行うに当たり、中期計画に基づき実施されていると承知しておりますけれども、本法案に基づき追加される海外事業と中期計画はどのような関係にあるのか、また、その活動はどのような報告がなされるのか。海外ゆえ見える化と評価の方法が今後ますます重要になってくるのではなかろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#119
○国務大臣(石井啓一君) 本法案は、独立行政法人等が有します公的機関としての信用力や交渉力と国内業務で蓄積をいたしました技術やノウハウを活用いたしまして、民間事業者の海外インフラ市場への参入を支援しようとするものであります。
 対象となる独立行政法人等は、案件形成段階からマスタープランの策定や具体的なプロジェクト形成のための海外における調査、設計、研究等の業務や専門分化した日本企業のコーディネートを行いまして、インフラシステムとして機能させるための海外におけます工事管理やあるいは運営業務等を行うこととなります。
 これらの業務につきましては、独立行政法人等については、海外業務の追加に伴い変更することとなります国が示す中期目標や、それに基づき独立行政法人等が策定をいたします中期計画の認可、毎年度の事業評価と公表を通じまして、また、その他の法人、これは特殊会社等でありますが、これにつきましては、事業年度ごとに作られる事業計画の認可等を通じて適切に監督してまいりたいと考えております。
#120
○野田国義君 終わります。
#121
○委員長(長浜博行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#122
○山添拓君 日本共産党を代表して、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案に反対の討論を行います。
 第一に、本法案は、日本企業が海外のインフラ事業をより多く受注できるよう、公的機関である独立行政法人を動員して支援を強め、多国籍化する大企業の利益獲得の機会を増大させることを目的とするものであるからです。
 本来、独法は、公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図ることを目的とするものです。海外インフラにより利益を享受するのは海外の住民であり、事業受注による特定の日本企業の利益獲得を支援することは、国民の公共上の見地から行う事務とは言えません。本来業務に支障のない範囲でしか認められてこなかった海外展開を本来事業に据えるのは、独法の存在意義自体を揺るがすものです。
 インフラ輸出戦略の柱の一つである新幹線事業に関して、政府はアメリカへのリニア高速鉄道の売り込みに躍起です。合計八億円もの調査費を投じようとしていますが、受注により利益を受けるのはJR東海と既に決まっており、受注できなければ調査費は国民負担となります。まさに企業の利益のためにリスクと負担を国民に押し付けるものです。
 第二に、そもそも独立行政法人は多国籍企業を支援するための組織ではありません。国民生活向上のためにインフラ整備を担ってきた国民の財産です。国内でインフラ施設が大量に更新時期を迎え、対策のために膨大な費用と労力を必要としている中、独立行政法人等の公的機関は老朽化インフラ対策など国民生活の向上に役立つ業務こそ優先するべきです。
 第三に、本法案には日本国内では義務付けられる開発前の環境影響評価や住民参加についての規定がなく、環境や人権、民主主義への配慮を欠いています。政府の言う質の高いインフラは、結局、民間企業任せの独善的なものとなりかねません。
 以上、反対討論とします。
#123
○委員長(長浜博行君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#124
○委員長(長浜博行君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、羽田君から発言を求められておりますので、これを許します。羽田雄一郎君。
#125
○羽田雄一郎君 私は、ただいま可決されました海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会、希望の会(自由・社民)、希望の党及び国民の声の各派並びに各派に属しない議員野田国義君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
 一 我が国企業が二千二十年に三十兆円の海外インフラシステムを受注するとの目標を確実に達成するためには、関係府省、機構等及び海外社会資本事業を行う我が国事業者その他の関係者の相互連携、協力が重要であるとの認識の下、効果的な連携・協力の在り方等について十分に検討し官民一体となって確実に実行すること。また、専門的な技術やノウハウを有する機構等の海外における知名度の一層の向上に取り組むよう努めること。
 二 基本方針の策定等に当たっては、本法の規定に基づく関係大臣との協議とともに、機構等及び海外社会資本事業を行う我が国事業者その他の関係者から広く意見を聴取する機会等を設けるよう努めること。
 三 各機構等が海外業務を実施するに当たっては、各機構等の設立の目的や趣旨を踏まえ、当該事業を実施することにより得られた知見等の国内業務への還元について、十分配慮するよう指導、助言等に努めること。また、経理や業務遂行において国民の疑念を招くことのないよう、役職員の法令遵守の徹底等について指導すること。
 四 海外業務が各機構等の正規業務として位置付けられることに鑑み、本法施行後の海外事業及び各機構等における海外業務の実施状況を見つつ、必要があると判断した場合には、各機構の組織、人員の充実、強化等について、適切に対応すること。
 五 我が国の良質な社会資本の整備、運営及び維持管理の手法を世界に広める観点から、機構等が関係する海外社会資本事業の実施に際しては、自然環境の保全、地域住民の生活環境の改善等について配慮しつつ、相手国の持続可能な経済成長に資するものとなるよう努めること。
 六 インフラシステムの海外展開を効果的に推進するため、相手国や競合国の動向など、海外インフラシステムの受注に資する情報の一層の収集・活用を図るとともに、必要となる人材の育成に取り組むこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#126
○委員長(長浜博行君) ただいま羽田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#127
○委員長(長浜博行君) 多数と認めます。よって、羽田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、石井国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石井国土交通大臣。
#128
○国務大臣(石井啓一君) 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
 誠にありがとうございました。
#129
○委員長(長浜博行君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(長浜博行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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