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2018/05/22 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 経済産業委員会 第8号
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2018/05/22 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 経済産業委員会 第8号

#1
第196回国会 経済産業委員会 第8号
平成三十年五月二十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     井原  巧君     赤池 誠章君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     赤池 誠章君     井原  巧君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     中川 雅治君     朝日健太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜野 喜史君
    理 事
                井原  巧君
                滝波 宏文君
                吉川ゆうみ君
                大野 元裕君
                石井  章君
    委 員
                青山 繁晴君
                朝日健太郎君
                北村 経夫君
                松村 祥史君
                丸川 珠代君
                宮本 周司君
                渡辺 猛之君
                渡邉 美樹君
                平木 大作君
                矢倉 克夫君
                石上 俊雄君
                鉢呂 吉雄君
                真山 勇一君
                岩渕  友君
                辰巳孝太郎君
   国務大臣
       経済産業大臣   世耕 弘成君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       平木 大作君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        廣原 孝一君
   政府参考人
       内閣官房情報通
       信技術(IT)
       総合戦略室次長  矢作 友良君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       文部科学大臣官
       房審議官     瀧本  寛君
       経済産業大臣官
       房審議官     木村  聡君
       経済産業大臣官
       房審議官     佐藤 文一君
       経済産業大臣官
       房審議官     前田 泰宏君
       経済産業省経済
       産業政策局長   糟谷 敏秀君
       経済産業省産業
       技術環境局長   末松 広行君
       経済産業省製造
       産業局長     多田 明弘君
       特許庁長官    宗像 直子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に井原巧君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(浜野喜史君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 不正競争防止法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、経済産業省経済産業政策局長糟谷敏秀君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(浜野喜史君) 不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○井原巧君 おはようございます。
 早速質問に入りたいと思います。自民党の井原でございます。
 不正競争防止法の一部改正ということでありますけれども、今回の改正の背景には、よく大臣にも私も御指導いただきましたが、もうとにかく時代の進化が激しくて、もうIoTとかAIとかそういう時代に変わりつつあって、今までは物づくりというそのものが価値が問われていたんですけれども、今はそれに加えて、企業の競争力の源泉というのは、データとかその利活用ができるところが勝ち抜くと言われていますけれども、比較的我が国は保守的で真面目な風土があるのかも分かりませんが、非常にこのバーチャルデータの利活用の分野では少し遅れているのではないかと、こう言われております。
 実際、最近私が生活する身の回りを考えてみても、グーグルとかアマゾンとかヤフーを見ない日はないというのが今の現状でありまして、例えば、私がネットで物を買うときに、この前もダイエットのおなかがへこむベルトみたいなのを買ったんですよ。買うと、それから、次の日から、ネットを見ると必ずダイエットに関するものが最初の広告に出てくるわけですね。つまり、しっかりニーズを把握してそのデータを生かし切って効率よく商売をしているというのがネット世界なんだろうというふうに思っておりまして、このデータの利活用というのは非常に重要なんだろうということをそのことをもっても思うわけです。
 また、これも一つの例ですけれども、先般、四国で最大級の倉庫の、私、竣工式に行ってきたんですね。そこの社長に倉庫経営のコツは何ですかというお話をしていると、倉庫というものは、もう空にもならず満杯にもならず、半々程度に物が動くのが最もいいんだよと、そうするのがコツなんだよと。
 つまり、荷物を出すメーカーにとっても荷物を運ぶ物流業者とかあるいは倉庫業者にとっても、最ももうかるのは、そのように効率的に物が常に動くようにどうやってやるかということだそうでありまして、そのためには、様々なビッグデータを活用して、それを効率よく産業が連携して製造から物流まで果たしていくようにできる社会じゃないと競争力を持てないんだと、こういう話もしておりまして、ああ、なるほど、やっぱりデータというのは重要なんだなとつくづく感じたわけで、世耕大臣は、前々からこういう状況で非常に危機感も我が国へも持っておりまして、コネクテッドインダストリーズというのは、まさに様々なつながりの中から産業の創出とか効率化、活性化につなげていこうというふうな思いで打ち出しているんだろうというふうに思っておりまして、今回の改正は、それを進めていく上での重要な環境整備の一つであるというふうに私も理解をいたしております。
 そこで、本論の質問ということでありますけれども、十分データの利活用については整備されていなかったのが我が国の現状だと思うんですね。というのは、そもそもデータの利活用についてそんなに関心が高くなかっただけに、ルールなんかにもそんなに関心が高くなかったんだろうと思うんです。
 ただ、今回の不正競争防止法の改正でありますけれども、名前のとおり、これは、規制緩和という、規制を緩和してデータを流通させようという考え方というよりは、データ保護ルールをびしっと定めることによって企業が安心してデータを積極的に提供とか利活用できる環境につなげようという考え方であるんだろうと思います。
 ですから、この改正を歓迎する声はある一方、今まではルールが余りなかったわけなので、ルールが厳格過ぎるとかえってデータ利活用に萎縮が生まれる場合もあるのではないかという心配する声もあるというふうに伺っておりまして、今回の改正についてはその両方のバランスの中でつくるなかなか難しいルールだろうと思うんです。厳し過ぎたら萎縮になるし、緩過ぎたらやっぱり安心感がなくなってくるしというものなんだろうと思うんです。
 そこでお伺いするわけでありますけれども、営業秘密ではない新たに保護すべきデータ、いわゆるビッグデータを限定提供データと位置付け規制するという、データの不正行為に照準を定め、言わば規律という一定のブレーキ義務を定めることでデータ利活用のアクセルにつなげるという考え方の法制度では、お伺いすると世界ではまだ例がないというふうに言われているそうです。世耕大臣は、どのような思いで本改案を提出して、世界の先陣を切ることでどういうメリットを考えているのか。
 加えて、このデータの利活用というのは国際社会全体の課題でもありますから、我が国独自のルールだけではなくて、今後国際協調についても図っていく必要があると思うんですが、どのように考えているか、お伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(世耕弘成君) おっしゃるように、今は、企業の競争力の源泉、もちろん知財、特許とか営業秘密といったことも非常に重要なんですが、その企業が例えば製造過程ですとかサービスを提供する過程で生み出してきたデータそのものがかなり今価値を持ってきていて競争力の源泉になっている。ただそれを企業が単独で持っていても意味はなかなか少なくて、やはり他の企業とも連携をしてビッグデータとして持っていくことによって価値が生まれてくるということだというふうに思っております。
 ただ、残念ながら、このデータそのものをどういうふうに保護をするかというのは、世界各国でも規制はまちまちです。アメリカは全く規制するルールがありません。あるいは、EUは、データそのものに一応保護を掛けている、排他的権利を認めていますが、一方で、判例では、これはデータベースの構造を保護しているんであってデータそのものではないというような判例もあったりして、ちょっとこれも混乱をしているという状況であります。
 我が国においては、データベースについては、創作性があれば、データベースとしての創作性があれば保護はされるわけですけれども、やはりデータそのものを保護する体系というのはなかったわけであります。そういう意味で、今回、世界に先駆けた形で、データそのものをきちっと保護をする制度というのを整備することによって、逆に企業がいろんな形でデータを出しやすくする。出してもその相手からそのデータを何か転用されるおそれがないというようなきちっとしたルールをつくることによって、企業間、産業間でのデータの共有ですとか利活用が進んで、我々の目指しているコネクテッドインダストリーズへ向けて進んでいくというふうに考えているわけであります。
 もちろん日本単独でやっても駄目で、データの越境流通というのはこれから盛んになってくるわけでありまして、データ利活用における国際協調も非常に重要であります。
 これも、でも非常に難しくて、アメリカは基本的に自由、EUは物すごく厳しくなっている、中国はもうグレートファイアウォールの中に囲んで独自の発展を遂げているという中で、これどうやってこのデータ利活用に関して国際的なルールをつくっていくかというのは非常に困難な課題でもありますけれども、日本は、きっちり保護するべきは保護する、だけど共有して活用するべきは活用するというスタンスをしっかり世界に発信をしていくことで、世界におけるデータの利活用の最先端を走ってまいりたいというふうに思っています。
#9
○井原巧君 こういうデータの取組、是非取り組んでいただきたいと思います。もうアメリカなんか訴訟社会なので、文句があれば裁判すればいいじゃないかと、そういう社会でもありますけれども、このデータの国際協調、非常に重要ですので、今後とも先陣を切って頑張っていただきたいと思います。
 それでは次に、今回の新たな規律は、データ提供者の権利を守りつつ、データを入手した者が安心して、今大臣がおっしゃったように、利用できるといった保護と利活用のバランスが非常に重要と考えております。今回、その保護の対象としてどういったデータを想定しているのか、具体的にどのような行為が不正競争行為となるのか、お尋ねをいたします。
#10
○政府参考人(糟谷敏秀君) 今回、保護の対象として想定しておりますデータでございますけれども、一定の条件の下で多くの者に利用させる外部提供用のデータを想定をいたしております。例えば、自動車走行用地図データでありますとか化学素材データ、又はPOS、ポイント・オブ・セール・システムで収集した商品の売上データや、船舶の運航データ、こういったものがこれに当たるというふうに考えております。
 どういう行為を不正競争行為と位置付けるかということにつきましては、不正アクセスや詐欺などの不正な手段によってデータを取得することでありますとか、その取得したデータを使用、提供すること。あるいは、業務の委託等を通じて入手したデータについて、不正な利益を得る目的やデータ提供者に損害を加える目的を持って横領、背任に相当するような態様でそのデータを使用すること。あるいは、不正な経緯が介在していることを知りながら取得したデータを使用、提供すること。このように、真に悪質性の高い不正取得、使用等に限定をいたしまして、必要最小限の規律を設けることといたしたいと考えております。
#11
○井原巧君 そこで、今回、その限定提供データに係る不正競争ということなんですけれども、民事上の措置に限定して、刑事上の措置というか、刑事罰の導入は見送るというふうになっておりますけれども、これは多分、やっぱりなかなか最初のスタートでバランスを考えながらのスタートだと思うんですね。余り重くしたらデータもうまく協調できないということだろうと思うんですけれども、どのような考え方に基づくものなのかということと、今後、その状況を踏まえて刑事罰の導入についても検討をされるんだろうかどうかということについて御所見を願います。
#12
○政府参考人(糟谷敏秀君) 産業構造審議会の検討の過程におきましては、データ提供者の立場から、一部に刑事罰の導入を求める意見がございました。その一方、有識者やデータ利用者の立場からは、現状においてデータの取引実績が必ずしも十分ではない中、刑事罰の構成要件を明確化することが困難であること、また、現時点で刑事罰を導入いたしますとデータの利活用が萎縮するおそれが大きい、こういった御意見がございました。
 こうした御意見を総合的に勘案をいたしまして、今回の改正では、データ提供者と利用者の保護のバランスに配慮をいたしまして、必要最小限の措置として、まずは差止め請求などの民事措置のみに限定をすることとしたものでございます。
 経済産業省といたしましては、まずは新たな制度の普及啓発に最大限取り組んだ上で、経済社会状況に応じた制度の不断の見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。この中で、刑事措置の導入についても必要な検討をしてまいりたいと考えております。
#13
○井原巧君 ありがとうございました。
 次に、中小企業に焦点を当てるんですけれども、先般、生産性向上特別措置法、成立しました。そこにデータ共有事業者の認定制度というものが創設されるというものが盛り込まれておりまして、この制度と今回の改正案の相乗効果を発揮して、協調領域におけるデータ利活用が今後期待されるわけでありますけれども、今後どのようにしてその動きを支援していく考えなのかと、あわせて、この制度を周知し利活用を進めるためには特に中小企業への周知というのが大切だと思いますが、その支援をどう行っていくのか、お尋ねをいたします。
#14
○政府参考人(糟谷敏秀君) さきに御審議をいただきました生産性向上特別措置法と今回の不正競争防止法等の改正法案は、いずれも、様々なものがデータを介してつながることにより、新たな付加価値の創造と社会課題の解決を目指すコネクテッドインダストリーズを実現するための法制度であるというふうに位置付けております。
 生産性向上特別措置法の革新的データ産業活用計画認定制度でございますけれども、データを収集、共有、連携する事業へのインセンティブを付与するために、複数の民間事業者などが協力して協調領域におけるデータ活用を行う取組を減税措置などにより支援を行うものでございます。
 また、今回の不正競争防止法の改正は、データを安全、安心に利活用できる事業環境を整備することで、その流通を円滑化するために、データの不正取得等に対する差止め措置などを創設することを始めまして、知財や標準分野のデータ関連制度を一体的に整備をするものでございます。
 これらの制度が相乗効果を発揮するように、周知についても一体的に行ってまいりたいと思っております。具体的には、関係団体と連携をいたしまして、全国各地での説明会でありますとか相談体制の整備、こうしたことを中小企業にもよく御理解いただけるように進めてまいりたいと思います。
 また、特に中小企業に対しましては、設備導入やIT導入を促進するための補助制度、加えて、全国規模での成功事例の共有などの支援を行うことによって、多くの企業がデータを有効に活用してイノベーションを生み出せるようにしてまいりたいというふうに考えております。
#15
○井原巧君 ありがとうございました。
 次に、工業標準化法、いわゆるJIS法の一部改正についてお伺いをいたします。
 御案内のとおり、日本工業規格というのは、JISなんですけれども、国がこれまでは鉱工業製品の仕様などを定めた規格で、製品の品質のばらつきとか生産方法が異なることによる非効率を防いで製品の安全性を高めようという目的で設置をされております。
 実は、私もJIS規格に触れたエピソードがあって、私の地元は紙の生産量日本一の町でトイレットペーパーもたくさん作っているんですけれども、トイレットペーパーはもちろん強度とか品質とかサイズとかいうのもJISで規定されております。百十四ミリなんですね、幅は、百十四ミリ。だから、どこへ行ってもペーパーホルダーにはぴしっと入るようになっているんですが、実は昔、それを逆手に取って、ある日本の商社が海外で一割幅の狭いトイレットペーパーを作って、その前に公共施設とかデパートとか、いっぱいトイレットペーパーを消費するところにペーパーホルダーを無料で取り付けていったわけですね。そうなると、実は一割幅の狭いトイレットペーパーしか入らなくなって業界がすごい混乱をしたということが過去にあって、だけど、日本人の使うトイレットペーパーの消費量は一緒ですから、二種類、三種類のものができちゃうと、それは決して、収益が上がるというよりは同じパイの中の取り合いということになって、互換性がないものは逆に産業を停滞させる、混乱させることになってしまうと、こんな経験が首長の頃にありまして、ああ、なるほど、JIS規格というのは役に立っているんだなと、そういうことをすごく感じた次第でありますけれども。
 この度、この法案を七十年ぶりに大改正をしようとしておりますけれども、非常に私は事宜に合ったものと賛同しております。
 それは、一つには、今もお話ししましたけれども、これまで我が国の牽引役であったのは物づくりということでありましたが、今やサービス産業、第三次産業が七割を国内総生産の中で占めているという状況でありまして、介護とか観光とかIoTとか、その規格を盛り込もうということでありますから、非常にその領域で取り組んでいる皆さん方にとっては朗報になるのではないかなというふうに思っております。
 そこで、数点お伺いしたいと思うんですけれども、ある新聞記事に、サービスも規格の対象となる中で、家事代行業というサービス業者の方の記事を読みました。家事代行のサービスを使ったことのない方は、サービスの内容とか、果たして家に人が入るんだけど大丈夫かなとか、そういう不安があってなかなか利用が進まなかったりためらう人も多かったそうです。しかし、規格を示して国家認証とされれば、一定の基準を満たしているということで利用者も安心し、利用促進につながるというふうに期待しているというような記事を読みました。
 そこで、お伺いするわけですが、JISの対象にデータやサービスを拡大することでどのような効果を見込んでいるのか、具体的にどのようなものが想定されるのか、一例を示して御説明いただけたらと思います。
#16
○政府参考人(末松広行君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、今回の法改正で、標準化の対象に、これまでの鉱工業分野に加えて新たにデータやサービス分野などを追加することとしております。これにより、データやサービスの分野におきましても、生産や消費の合理化を通じた生産性の向上、品質の差別化を通じた海外展開への寄与、消費者の安心感醸成を通じた市場の健全な発展、このような効果がもたらされると見込んでおります。
 具体的には、一般的にサービス業は受けてみないと品質が分からないという特徴があり、事業者と顧客の間にいわゆる情報の非対称性があることから、標準化による品質の見える化が、優れたサービスの差別化、粗悪なサービスの排除などにつながり、生産性の向上に寄与すると考えております。
 また、どういう例ということで、海外展開に寄与する例といたしましては、今、日本からISOに提案し規格開発が進められている小口保冷配送サービスなどが挙げられます。海外展開に当たり、現地の提携事業者に実施を促す、また、粗悪な事業者との差別化を可能にするツールとして期待されております。
 また、市場の健全な発展をもたらす例といたしましては、今先生が御指摘されました家事代行サービスなどが挙げられます。事業者が守るべき品質に関する事項などを標準化することで、消費者が安心して利用できる環境を整えながら新たなサービスの市場を拡大できると考えております。
#17
○井原巧君 次に、一問ちょっと飛ばさせていただきまして、認証の迅速化についてお伺いしたいと思います。
 迅速化を図るために新たに創設する手続として、一定の要件を満たす民間機関である認定産業標準作成機関からのJIS案について、日本産業標準調査会の審議を経ずに制定できるように定めております。その民間機関について、どのような具体的要件によりどのような業界団体が認定されると想定しているのか。私がお聞きするのは、JIS案は、業界寄りではなくて利用者の観点も非常に重要なものというふうに思っておりまして、その公平性の担保が重要と考えております。
 それを踏まえて、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
#18
○政府参考人(末松広行君) お答え申し上げます。
 認定産業標準作成機関を認定するに当たっての具体的な基準は、今度の改正JIS法に基づき省令で規定することとなっておりますが、主に二つの要件が必要だというふうに考えております。
 一つ目に、十分な知識及び能力を擁しているかについてでございます。これについては、これまでのJIS原案の作成や類似業務の実績を確認することが必要であると考えております。
 二つ目に、業務の実施の方法及び実施体制が適切かどうかについてでございます。これについては、JIS案の作成を行う委員会の設置状況やその運営に係る規定、JIS案の作成の業務に係る規定の整備状況などを確認することが必要であるというふうに考えております。
 今御指摘いただきました公平性の担保につきましては、これまでの日本工業標準調査会の審議で、業界団体の関係者に加え、消費者団体、学識経験者などの利害関係者が審議に参加していたことを踏まえまして、認定機関が設置する委員会の委員構成ですとかパブリックコメントの実施方法など、公平な審議結果が得られる体制やプロセスを保有しているかということを重視することになると考えております。
 また、認定機関の候補といたしましては、これまでのJISの原案作成やISO、IECの委員会の国内での審議を担ってきた団体のうち、専門性や公正性において日本工業標準調査会と同等の審議を行うことが可能な機関を想定しているところでございます。
#19
○井原巧君 ありがとうございました。
 迅速化、頑張っていただくということと、今までの工業製品と違って、サービスって見えづらいので品質評価とか定義付けは難しいと思いますが、是非、実効性のある政策、標準づくりにお願いを申し上げたいと思います。
 次に、特許法の改正についてお伺いします。
 先日、新聞に、日本商工会議所と東京商工会議所が共同で知的財産政策に関する意見というものをまとめられて、成長する経済実現のための生産性向上の鍵はイノベーションを創出する知的財産にあるとして、特に中小企業の生産性向上をその柱に掲げておられました。確かに、見てみると、我が国の特許出願件数に占める中小企業の比率は一五%程度ということでありまして、アメリカでは二六%程度と言われておりまして、中小企業の持っている知的財産が生かされ切れていないようにも思うわけです。
 そこで、長官にお伺いいたしますけれども、今般、それを促進するために主要国では最低水準となる特許料等の一律半額措置をとるということ、その英断を高く評価するものでありますけれども、どの程度の中小企業の出願を目指されているのか、お伺いをいたしたいと思います。
#20
○政府参考人(宗像直子君) 全ての中小企業を対象に一律半減ということで、どのぐらいのペースで出願が増えるかという、これは定量的に予測することは難しゅうございます。黒字の企業も軽減対象になるということや軽減手続が簡単になるということで、大いに出願しやすくなるとは考えておりますけれども、この制度を広く知っていただく努力を始め、全国の窓口できめ細かくサポートをするということなどを通じまして、何とか大幅に増えますように全力で取り組んでまいりたいと思います。
#21
○井原巧君 是非PDCAサイクルをチェックしていただいて、ハッパ掛けながら、せっかく下げたんだから上がるように努力していただきたいと思います。
 同時に、地方の中小企業が出願したい、今長官もおっしゃっていましたが、環境を整備することも非常に重要だろうというふうに思っておりまして、私も政務官のときに宗像長官に御案内いただいて特許庁に伺わせていただきましたら、非常にいい勉強になりましたし、長官の熱意を非常に感じた次第であります。中小企業のための出張面接審査とかテレビ面接等に取り組んでいるというのをお聞きして、ああ、よくやっているなと本当に思ったわけでありますけれども、地域における知財活動活性化に向けた取組の一環として、これも私も一緒に同席させていただきましたが、ずっと今まで東京でやっていたんですけれども、今回INPIT―KANSAIというものが大阪で昨年の夏に開設されました。
 このように振り返ると、ここ数年、確かに特許庁さんは中小企業に対する取組を強化されてきたというふうには私も感じておりますけれども、現在のINPIT―KANSAIの利用状況が果たしてどういうふうになっているのか、今後一層、関西方面ですね、利用してもらうためにどういう取組を行っていくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
#22
○政府参考人(宗像直子君) 井原先生には、開所式の御出席、特許庁の御視察、誠にありがとうございました。
 INPIT―KANSAIには、知財の専門家四名を常駐させて、特許庁の審査官が出張して面接を行うほか、先行技術を調べられる検索用の端末を設置しております。
 その利用状況でございますけれども、平成三十年四月末までの九か月間で、出張面接審査は五百八十一件、全国で四割を占めております。テレビ面接審査はちょっと伸び悩んでおりまして、十三件にとどまっております。常駐専門家が支援した企業数は百十社、そして検索用の端末、延べ六百三十三名に御利用いただきました。
 INPIT―KANSAIを一層御利用いただくために、近畿地方の自治体関係機関とともにこれまでもセミナーを四十六回ほど開催したんでございますけれども、引き続き周知に努めてまいりたいと思います。今年九月三日には設立一周年フォーラムを行う予定でございます。
 引き続き、御利用者の御意見を伺いながら、サービスを充実させまして、知財活動をしっかりと支援してまいりたいと存じます。
#23
○井原巧君 本当、是非地方の活性化のために、全国津々浦々につながるようにお願いしたいと思います。
 そこで、一つちょっと懸念というか、頑張って中小企業の申請が今後増えてくると思いますし、それは非常にうれしい悲鳴ということになるんですけれども、当然、審査の業務は増えてくるということになります。しかし、特許の審査請求後、最終的な権利化が認められるまでに我が国では平均十四・一か月掛かっているというのが、多少早くはなりましたけれども、それでもそれだけ掛かっているのが現状で、件数が増えたから更に遅れるというわけにもこれいけないと思います。もちろん職員の能力の向上とか事務の効率化を進めなければなりませんが、それも限界があろうというふうに思っておりますし、審査費用を半額にしたので収入も増えはしないだろうというふうに思っております。
 そのような中でありますけれども、世界の中で競争力のある我が国産業にするには、知的財産の活用を更に進めるためにその審査体制の充実は必要不可欠で、もちろん予算の確保ということが一番大きいんだろうと思いますけれども、是非、長官の思いと今後について決意をお聞かせいただければと思います。
#24
○政府参考人(宗像直子君) 主要国の知財庁、特許庁は、審査官を大幅に増員をいたしておりまして、また、審査支援にAIを活用するなど、審査のスピードと品質の向上に競って取り組んでおります。
 御指摘のとおり、私どもも、中小企業の出願が増えても審査が遅くなることがあってはならないと考えております。現状の審査のスピードは、昨年度、一次審査通知と申しまして、最初の答えが返ってくるまでの平均期間が九・三か月、そして権利化できるまでの期間が御指摘のとおり十四・一か月となっておりまして、これ自体は世界で最速の水準を維持しております。
 この世界最速を維持しながら、品質も紛れもなく世界最高になれるように、必要な審査官の確保、それから、私どもも、AIの活用を含めた情報システム開発を更に加速化すること、そして先行技術調査を充実させることなど取り組んでまいりたいと思います。
 特許特会は収支相償で、自分たちが特許出願でいただいた手数料で賄っておりますので、国の国庫からのサポートはないわけでございますので、できるだけもう日本でイノベーションが起きて日本にどんどん出願していただけるように全力で頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#25
○井原巧君 ありがとうございました。
 だから、審査費用を半額にしてちょっと心配はしたんですけれども、しかし、本当、知財は非常に大切なことでありますし、私も、特許庁なんかは行ったこともないし、触れ合ってみて初めて、ああ、これは大事なんだなと、見えないものだけにその価値について考えた次第でありまして、今後とも特許、知的財産をしっかり活用できるようにお取組を願って、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。
#26
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 私も、今回の法案、非常に評価をしておるところであります。先ほど井原先生からもお話もあったんですが、ソサエティー五・〇に向けて今経済構造をどういうふうにしていくのか、日本も大きな岐路に立っているし、ここで勝つか負けるかが大事なところだと思いますが、特に肝になるのが、やはりデータの取扱い、処理をどうするかというところであるかと思います。その肝の部分を今回規定された意味でも非常に大きな観点があるかなというふうに思います。
 私からは、まず大臣に、特に不正競争防止法関係でその狙いをお伺いしたいというふうに思っております。特に、コネクテッドインダストリーズ、大臣が提唱されている、そちらとの関係で、どういう御趣旨で狙いを持ってこのような改正に至られたのか。
 先日の四月十九日の私の質問に対して大臣から、コネクテッドインダストリーズとは何か、非常に簡潔にして要を得た答弁をいただきました。一つは、日本にとってのコネクテッドインダストリーズは、大臣がそういう提唱をされたのは、まず、強みはバーチャルではなくリアルデータ、現場にあるリアルデータであると。そして、ドイツのように、ITも、企業内のIT化だけじゃなくて企業間のITも含めて、少数のIT企業も含めた形で独占されているものと違って、日本の場合は、現場個々の、個々にあるデータがあるが、それをつなげていけるかどうかというところが日本のこれからのソサエティー五・〇にとっては重要であるし、そういう方向性を示したのがコネクテッドインダストリーズだとお伺いして、本当に日本の強みを御理解した上でのこの構想なんだなということを改めて実感もしたところであります。
 大臣から、改めてでありますが、このコネクテッドインダストリーズというものの実現に向けて今回の不正競争防止法の改正の狙いをどのように捉えていらっしゃるか、御説明いただければと思います。
#27
○国務大臣(世耕弘成君) やはり今、データというものが産業の競争力の大きな生命線になっているわけでありますね。残念ながら、前も答弁させていただきましたが、BツーCのバーチャルのデータはいわゆるGAFAと言われる巨大IT企業に全部押さえられてしまっている。じゃ、日本が勝ち筋がないのかというときに、最後、BツーB、プロ同士がやり取りをしているまさにリアルデータ、それは製造業の現場ですとかサービス産業の現場で生み出てくるリアルのデータ、これについてはまだきちっとしたプラットフォームもないわけであります。また、日本は、中小企業も含めてかなり機械化、IT化が進んでいて、中小企業の現場にもいいリアルデータがたくさん存在をしているわけであります。
 今後は、やはりこのコネクテッドインダストリーズのコンセプトの下で、中小企業も含めた多様な産業が集まって、協調領域のデータの相互利用を通じてビッグデータとして活用していくことでみんなが成長していくということが、今後、第四次産業革命の日本の対応の本筋だというふうに思っています。このため、既にこの委員会でも御審議いただいて五月十六日に成立した生産性向上特措法においては、複数の民間事業者などが協力をしてデータ活用を行う取組を減税措置などで支援する制度を手当てをしたところであります。
 ただ、一方で、このデータというのは、コピーが簡単にできますし、転送もできますし、これ、一旦不正に取得、利用をされてしまうとその行き先はもう分からなくなってしまうというぐらい、非常にこの影響を、甚大な被害を受ける可能性がありますので、みんなでデータを持ち寄ってというときに、やはりその持ち寄ったデータがきちっと保護される仕組み、不正取得とか不正利用ができないような対抗手段がないと安心してデータが提供できないという懸念があったわけであります。
 今回のこの不正競争防止法になってくるわけでありますけれども、産構審で、不正競争防止小委員会で御議論をいただいて、新たにデータの不正な取得や使用などの不正な行為に対する差止めなどの民事措置を設ける不正競争防止法の改正案を提出をさせていただいたわけであります。
 この制度の下で、そして生産性向上特措法と両方併せて両輪として、物づくりを中心とした日本の強みである現場力を生かしたリアルデータの活用によってコネクテッドインダストリーズが進んで、そして第四次産業革命の下でも日本が世界の産業を引っ張っていくような状況をつくり上げていきたいと考えています。
#28
○矢倉克夫君 この委員会でもう既に成立した法案も含めた一連の流れのものであることも確認させていただきましたし、やはり小さな中小企業というところに現にあるデータをどうやってつなげていくかという発想であるかなというふうにも確認しました。特に後段の点については後ほどまた政務官にもお伺いもしたいなというふうに思います。
 その上で、先ほど井原先生からもお話もありましたが、今回のようなこの日本のアプローチというのは非常に先進的なものであるかなというふうに思っております。各国も、オープンにするかクローズにするか、そこで今悩んでいるわけでありますが、そのような中で、今回の法案のアプローチというのは先進的でもありますし、WIPOの事務局長なども、日本の取組は、産業財産権に近い形で保護を強めようとしつつビッグデータに関するルール作りを、作ることではこれ先駆者だというふうにもおっしゃっているところであります。
 この取組をやはり海外にもしっかり伝えていかなければいけない。このデータの使い方が違うことになれば、海外、国境を通じたデータの共有にもやはり支障もあるわけでありますから、そういう点も踏まえて、この日本の取組を国際的なルールという形にしていくべく積極的に今後も動いていかなければいけないというふうに思いますが、この辺りについての取組をお伺いしたいというふうに思います。
#29
○政府参考人(糟谷敏秀君) 不正競争防止法に規定されております不正競争行為、これ、多くは、国際条約、国際合意に基づいてそれを国内で履行するためのものというのが多いわけでありますが、今回の新たな保護対象にしますものは日本が先駆的に取り組むものでございます。この分野、データの不正取得について国際的に統一されたルールというのは現時点で存在しないわけであります。
 EUでは、創作性のないデータベースにも排他的な権利を付与されて差止めが可能となっている反面、対象はデータベースに限定をされておるわけであります。また、アメリカでは、懲罰的な損害賠償が不正使用などへの抑止力として機能をしているということで、それ以上の具体的なルールがあるわけではないということで、まだまだこの分野、そのルール化というのがこれからという状況であります。その中で、我が国が先駆的にルール化を図るというのが今回の改正法案でございます。
 この観点から、我々といたしましては、今回の規制は必要最小限のものにとどめるということにしつつ、今回の内容について、米国やEU、さらにはアジア諸国も含めて、新しい制度の趣旨や内容について機会を捉えて情報発信を行ってまいりたい、それによって国際的にルールがハーモナイズされる方向に議論が行くように、我々の考え方でありますとか運用状況でありますとか、そういうことを情報発信をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#30
○矢倉克夫君 是非、関係諸国の御理解を更に広めるべく努力をお願いしたいなというふうに思います。国境を越えた経済をつくる上では非常に重要な価値もあるかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 その後また政務官にちょっとお尋ねしたいというふうに思うんですが、先ほども大臣から、この法案について、データの取扱いについては日本のコネクテッドインダストリーズという概念を基礎にしたものであると、現場の中小企業から生まれたデータ、それをどうやってつなげていくのかという発想が、日本らしい発想があるというふうにもお伺いもしたところであります。
 その観点からも、この法案によってデータの利活用を更に推進していく、その主体としては中小企業も重要であるというふうに思いますが、やはり何といっても、中小企業にとって、これ、制度の周知を図る意味合いでは、制度についての分かりやすいガイドライン、ガイドラインが余りに複雑になり過ぎると、またそれに対応し得るような専門家の方がなかなか少ない中小企業にとっては取り扱いにくくなって、いい制度も使われなくなるわけでもあります。こういった形での分かりやすいガイドラインが必要かなというふうに思います。
 また、もう御案内のとおりですけど、この動きというのは本当に速い、一年たてば全然違う状態になっていく、それをどうやって追っていくかという話であります。技術進展やビジネスモデルの変化が速いため、もう制度自体やガイドラインを作って終わりというわけではなくて、やはり将来は経済社会情勢に応じた見直しということも見据えて今から御準備をされる必要があるかというふうに思いますが、その辺りについては、経済産業省の御見解、政務官からいただければというふうに思います。
#31
○大臣政務官(平木大作君) 経済産業省といたしましては、中小企業も含めた多くの企業の皆様に新たな制度、有効に御活用いただくために、まずは、改正法の施行までに、そもそもどのような行為が不正競争行為に該当するのかなどの事項につきまして分かりやすい実践的なガイドラインを策定、公表する予定でございます。また、INPIT、独立行政法人工業所有権情報・研修館や関係団体との連携の下で、全国各地での説明会の開催、相談体制の整備などを通じまして、きめ細かい周知広報活動を展開し、制度全体の理解促進に努めてまいる決意でございます。
 また、今委員御指摘のとおり、データの取引実態が急速に積み上がりまして、データやIoT関連技術が日進月歩で発展することが想定されますことから、改正法の施行後におきましても、技術革新や経済社会状況に応じまして制度やガイドラインの不断の見直しは必要と考えております。
 そこで、中小企業も含む産業界や有識者の皆様の御意見を集めながら、データの取引実態や技術の進展、また改正法施行後の侵害の実例などを把握し、諸外国の動向なども踏まえまして、必要に応じ、適切な見直し、行ってまいる決意でございます。
#32
○矢倉克夫君 ありがとうございます。是非、中小企業が使いやすいような形でお願いします。
 これは意見ですけど、また他方で、こういうデータの取扱いについての契約実務というものもまた向上していく必要もあるかなというふうに思います。その辺りも含めて並行的にまた議論をいただければというふうに思います。それは御意見として申し上げたいというふうに思います。
 じゃ、次に、JIS法の関連についてお伺いしたいというふうに思います。私、これ、非常に重要な分野であるかなというふうに思います。
 このJISに関係してですけど、よくオープン・アンド・クローズド戦略というふうに言われています。日本は、本当に物づくり、優れた技術を持っている、独創的な技術を開発される企業が非常に多い。その反映もあってか、特許という形で排他的にまず権利を囲い込んでその上で利益をしっかり図るという、この戦略、クローズド戦略というのは非常に活発にやられているというふうに思います。
 私、その点は非常に重要だと思うんですが、他方で、クローズドばかりですと、今まさにコネクテッドの世界で、市場自体が縮まって、対応する市場がやはり縮まっていって最後はガラパゴスというようなこともやはりあるわけであります。クローズしつついかにオープンしていって、共同し合って、共有、共栄の経済構造、それに対応するような製品を作っていくのかというオープン戦略というのは、やはり重要かなというふうに思います。オープンということでいえば、やはり標準化であるかなと。
 先日、中国へ行って改めて思ったんですが、短い時間、ずっといろいろ市を回ったら、何度も言っているキャッシュレス化がありますけど、あれはもうQRコードを使ってやっているわけでありますよね。QRコードは、日本のとある有名な会社が作られたものであります。もうこれは本当に成功事例かなというふうに思っています。特許の内容、これライセンス無償にして、その上で、規格化した上でオープンにして、QRというものは。その上で、全体を市場を拡大してQRコードを使っている人たちをばあっと広げた上で、最後は読み取りの技術を売るという戦略を使って利益を図っていった。どこをクローズにしてどこをオープンにするかという、この切り分けの戦略が非常によくできた成功事例かなというふうに思います。
 こういうオープンの戦略をまた今後考えなければいけないなと。実感としては、まだ特に経営陣の皆様に、標準というかオープンにしていく戦略というものの周知も含めて、まだまだこれから必要な部分もあるのかもしれないなというふうに思っているんですが、政府として、今とりわけ、経営陣と言ってしまいましたけれども、そこに特出しはせずに、政府としてどのように企業へのオープン戦略というものの啓発、さらには標準化活動へのサポートというものをこれ実施されるのか、まず御説明いただきたいというふうに思います。
#33
○政府参考人(佐藤文一君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、QRコードのように、標準化によって市場の拡大を図りつつ、その市場の中で知財を活用しながら利益を上げるいわゆるオープン・クローズ戦略、これが重要だということは私どもも認識しておるところでございます。
 ところが、日本では、知財については企業の認識、取組が進んでいる一方で、標準についてはまだ公のルールを決める国の活動という意識が強いかと思っております。標準化戦略担当の役員を置いている企業が現在のところ七十社程度しかないということなどを見ても、事業戦略と直結して捉えている企業は一部にとどまっているということが現状かと思います。
 こうした企業の認識不足を変えるために、経済産業省では、標準の戦略的活用に関して企業や業界向けの講演を年百回程度実施しておりますし、また経営大学院などにおける講義を十八の大学において実施しておるところでございます。また、若手人材に対する国際標準化交渉のトレーニング研修を年二回実施するなどの取組をこれまでも進めてきたところでございます。
 これに加えて、今回の法改正で新たに認定機関制度を導入して民間主導で迅速にJISを制定できる、こういうことが環境が整うわけでございますので、これを推進していくとともに、予算の面でも、国際的なルール形成の動向に関する情報収集と産業界への提供、企業の国際標準化活動への支援強化などの措置を講ずることを予定しております。
 これら全体を通じて、産業界の標準化体制を強化してまいりたいと考えてございます。
#34
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 今、公のものだという理解があったという、そこをまず突破することはやはり重要であるかなというふうに思います。
 国際ルールという話も今あったので、その関係も含めて、これは大臣にお伺いしたいなというふうに思うんですが、標準化というのは、先ほども井原先生からトイレットペーパーのお話もあって、互換性というところ、そこからコストを下げるという標準という部分もあるんですが、その上で、まず企業ではそれが企業戦略に生かされるものだという理解も必要だし、そしてもう一つ必要なのは、やはり自社のこの標準を、互換性がある標準をやはり各国の規則などにも従わせるような、ルール化というような観点というのも非常に必要かなというふうに思っております。
 いろんな今までそういうのに成功した例があるというふうにはお伺いしているんですが、例えば、今後はまた自動車とかも、自動車もエコカーとかそういうものがいろいろとこれからも議論されると思うんですけど、こういうものについて、いろんな自動車業界がそれぞれの規格に応じたものを造るんですが、最後はそれを世界的に、エコカーとはこうあるものだというような理解も含めてルールの中で規定をする、その部分のルール交渉も含めた上での標準化というのはやはり重要であるかなというふうに思っております。
 こういう中で、標準化というものがやはり、何度も繰り返しますけど、各国の規制や政府や民間の調達などに活用されて初めて効力を発揮して市場獲得の道具となっていくわけでありますが、こういう標準をそれぞれの規制とか調達などに活用して市場獲得を図っていく、こういう国際ルールの形成という観点が重要かと思うんですが、この辺りについて日本としてどのように進むべきか、大臣の御所見をいただければと思います。
#35
○国務大臣(世耕弘成君) ヨーロッパなんかは、やはりこの国際標準をうまく取ってそして主導していくというのが非常に上手だと思いますし、最後は国際機関での投票になると、ヨーロッパは突然、二十八票ですかね、持っていることになるわけでありまして、非常にその辺をうまくやっているというふうに思います。
 日本の場合は、過去私の勤務していた電話会社も含めて、いい技術、いいものは作っているんだけど、気が付いたら国際標準は別のものになっていると。この辺取れないと、今御指摘のように、例えば各国の政府調達はこれWTOの政府調達協定に従って行われることになりますので、せっかく日本の技術なのに、日本政府、あるいはJRといったようなその政府調達の対象になっているような機関も調達できないというような問題が起こってきているわけであります。特に、今御指摘のように、これから自動走行とか第四次産業革命に代表される分野においては、これは製品やサービスが市場に出る前からこの標準化を獲得する競争が行われるようになっていますので、日本としても、国際的な動向を踏まえた戦略を立てることが喫緊の課題だというふうに思っています。
 こういった問題意識から、内閣官房を中心に関係省庁や経済団体が連携して、国際標準獲得に向けた官民連携会議というのを設立をしています。日本として市場獲得を目指すべき分野ですとか、あるいは日本が苦手としている社会システム分野といったところの国際標準化のための戦略ですとか推進体制、国際規格の活用による諸外国の規制への働きかけなどについて議論をさせていただいています。
 経産省としても、関連予算を拡充をして、世界の規制や標準化の動向に関する情報収集を強化するとともに、ISO、これは国際標準化機構、あるいはIEC、国際電気標準会議といったこの標準化機関において日本による国際標準提案や委員会の幹事引受けの数を増やすなど、今後とも、関係省庁と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
#36
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 今大臣、政府調達の関係もおっしゃっていただきましたが、まさに、例えばTBT協定などでも、国際標準であれば各国の強制規格がそれを採用しなければいけないというような規定もあるわけであります。それぞれの国際交渉の場でいかに国際標準として認められるかというこのアプローチがあって初めて各国企業のいろんな動きも世界展開できる下地ができるかなというふうに思っております。
 その理解の前提で、もう一つだけちょっと端的にお伺いしたいなというふうに思うんですが、今回のJIS法の改正です。今の国際標準化のために、例えばISOであったりとかそういうところで議論をしなければいけないという文脈はあるわけですが、そのような動きにとってこのJIS法の改正というのがどういうふうに役立つのか、御答弁いただければと思います。
#37
○政府参考人(佐藤文一君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、国際標準の方が世界市場獲得に有効に働くというのは御指摘のとおりなんですが、一方で、国内標準の制定によって国際標準化が円滑に進むケースが多いということもあります。国際標準の制定に関しては、ISOなどの国際標準化機関において、既存の国内標準があれば、その根拠になった試験データや利害関係者間の議論の蓄積を有することが評価されますので、このためJISの制定が円滑な国際標準の制定にも大きく貢献した、そのような事例がございます。
 また、JISを経てから国際標準へ提案することは、通常必要な審議プロセスを経ずにすぐに加盟国の投票に掛けることができるなどの仕組みもあり、二〇一七年には七件をこの仕組みを活用して国際標準を制定しておるところでございます。
 このように、JISの制定を迅速化することは、日本が国際標準に関する取組を強化していく上でも大変重要だと思います。
 もう一点だけ加えまして、国際標準の対象範囲がマネジメント分野やデータ分野、データを含むシステム分野に拡大しておりますので、こうした分野の標準化体制を国内的に構築するためにも今回のJISの対象を拡大することは大変重要でございまして、いずれにしても、官民で連携して、今後もJIS制度を活用しながら国際標準化に積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
#38
○矢倉克夫君 是非、JISを利用した国際標準という動きも加速していただきたいなと。先ほど、幹事国としての、ISOの中での、増えたというような話もありましたが、これは意見だけ。そういう動きを更に加速していっていただいて、また新興国の方でもそういう競争も今後激しくなってくると思います。そういったこと等の中で、やはり最後は官民一体となってやっていくという体制をこれつくることが非常に重要かというふうに思います。そういったISOの舞台であったりIECであったり、そういうところとの動きの加速化も是非また進めていただきたいと、これは御要望だけさせていただきたいというふうに思います。
 ちょっと残り時間少なくなったんですけど、最後、特許法についてちょっとお伺いしたいと思います。
 地元である企業を回っておりましたら、階段昇降機などを造っていた企業なんですけど、今後海外展開をしたいと。そういうときに、今回の改正で国際出願の関連手数料を半減するという話をしたら、大変に喜んでおりました。もう本当に、そういう点でも地元にもしっかりと喜ばれる、企業に喜ばれる非常にすばらしい改正であるかなというふうに私は思っております。
 とりわけ、あと、その上で、手数料の引下げだけではなくて、出願後の制度運用も含めて、やはりワンストップ、中小企業の支援というところではここも非常に重要かと思うんですが、特許庁としてはこの辺りについてどのように取組をされるのか、御答弁いただければと思います。
#39
○政府参考人(宗像直子君) 特許庁は、海外に出ていく際の情報を収集する段階から、権利を取ったり、あるいは侵害対策といった各段階での御支援を、全国四十七都道府県の知財総合支援窓口、それと中小企業庁の下で運営しているよろず支援拠点、これが連携をしましてワンストップで提供しております。
 中身としては、情報収集につきましては、弁理士、弁護士などが無料で相談を受け付ける、あるいは、海外でどんなリスクがあるか、出願手続はどうなっているかといった情報や助言を提供しております。それから、外国出願の際は、翻訳や代理人の費用などの半分を補助しております。それから、海外で知財を侵害された場合に、例えば模倣品が出回ってしまった場合に、それを作ったり売ったりしている人に警告状を送るための調査費用であるとか、それから、自社ブランドを先取りされてしまった場合には、それを取り消すための審判請求の費用であるとか、こういったものの一部を補助しております。外国で訴えられた場合の弁護士費用を賄う保険の加入費用の一部なども補助しております。
 これらの情報が、パンフレット、ウエブサイトなどでも提供しているんですけれども、日頃から中小企業と接点のある中小企業支援機関や地域金融機関の方々に周知をして、身近に情報が得られるようにしていきたいと思っております。
#40
○矢倉克夫君 非常に今、広範に取組をされていることを改めて議事録に残る形でもお話しいただいたわけでありますが、しっかりまた周知をお願いしたいというふうに思います。私も行ったところは、自前でふうふう言いながら頑張っていらっしゃったところもあったので、是非よろしくお願いします。
 あと一点だけ、また長官に引き続きお伺いしたいんですけれども、さっき答弁の中でおっしゃっていた模倣品の対策、これだけ一つ、私もちょっと関わっていた時期もあったこともありますので、答弁をいただければというふうに思います。どのような審議をされているのか。
#41
○政府参考人(宗像直子君) 具体的には、ジェトロなどの海外事務所に知財の専門家を配置しまして、現地の知財制度に関する情報提供や模倣品被害に遭った場合の対策マニュアルなどを提供しております。それから、現地の機関に働きかけもしておりますし、御相談に対する対応も行っております。
 特に中小企業の皆様に対しましては、先ほど申し上げたような侵害品の調査であるとか警告状の作成、行政摘発の申請などに費用の三分の二を助成しております。
 それから、各国の警察や税関などの取締り機関に対しまして、正規品を見分ける真贋判定のポイントなどの情報を提供するとともに、中国との間では、政府間の定期協議の場を通じて模倣品取締りの強化をお願いしております。
 こういったことを積み重ねてまいりたいと思っております。
#42
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 二〇一三年時点では海賊版も含めて五十兆円ぐらい被害があったというふうにもデータもあるぐらいでありますので、また引き続きこの辺りは対応をいただきたいなというふうに思います。
 最後、大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 今回の改正で一つまた特色があるのが、弁理士さんの活動をこれまでの部分とはまた更に広げて、標準であったりデータの利活用を通じた部分まで広げられているというところも大きいかなというふうに思います。
 特許というところでよくやられている、申請という話でよく今まで動かれているんですけど、当然、弁理士さんも、特許を権利化するだけではなくて、やはりその後の権利行使というところも含めて申請もされる、そうする観点からは、ほかの、特許申請をしようとしているクライアントの技術以外のものもしっかり理解した上で申請されるのが通常の実務であると思いますし、そういう点では、データ取扱いも、情報とかそういう製品の技術だとか、そういうのも含めたスペシャリストであるかなというふうに思います。
 そういう、弁理士さんが今後コンサルティング機能を発揮していくというのも非常に重要であるかなというふうに思うんですが、弁理士さんが期待されているこうした役回りを果たしていけるように政府としてどのように取り組まれるのか、最後、大臣から答弁いただければと思います。
#43
○国務大臣(世耕弘成君) 中小企業というのは、なかなか社内に専門的な人材抱えるというのが難しいわけですから、弁理士の先生方が標準化とかデータの利活用についても一体的にコンサルティング機能を発揮していくことに期待を持ちたいというふうに思うわけですが、御指摘のように、弁理士さんというのは、特許とか商標とかそういったところの手続の専門家というところもありまして、やはりこの標準化、データということについては少し自己研さんも図っていただく、そしてアップデートしていただく必要があるのかなというふうに思っています。
 政府としても、日本弁理士会と協力をして、弁理士に対する研修の充実などに取り組んでいきたいというふうに思っています。また、中小企業が、この弁理士さん、こういう能力を持っていますよということをやはりしっかり分かるようにしなければいけませんので、日本弁理士会が運営する、弁理士をインターネット上で手軽に検索できる弁理士ナビをより使いやすくするため、日本弁理士会と改善について議論をしてまいりたいと考えております。
#44
○矢倉克夫君 是非、引き続き、弁理士さんともまた協力もしながら、いい形での法運用をお願いできればと思います。
 以上です。ありがとうございます。
#45
○石上俊雄君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の石上俊雄でございます。
 早速、不正競争防止法等一部を改正する法律案に対して質問をさせていただきたいというふうに思ってきたわけでありますけれども、今朝、新聞各紙が加計学園に関する、加計学園事件という問題ですね、これに対する愛媛県から新たな文書が提出されたという報道がありまして、その件に関してどうしてもやっぱり聞かざるを得ないということでございますので、貴重な時間ではありますけれども、冒頭、大臣に二つお聞きしたいなというふうに思っているんです。
 この内容について、私、提出された文書を読んでいるわけではありませんので報道ベースでありますが、二〇一五年の二月、三月に理事長が総理とお会いになってこの特区の話をしたというふうな、その文書の中に加計学園側からそういうふうなことを言われたという記載があるということであります。
 確かに、友達思いの総理ですから、やっぱり友達が悩んでいることに対して会話は何がしかしているのが当たり前で、二〇一七年の一月の特区の内容が決まるまで知らなかったというのは、やっぱり友達思いの総理としてあり得ないことだとずっと私は思っていたんですね。なので、今回のこの内容が出て、ああ、やっぱりそうだよなというふうな形で、友達思いだったなというふうに思っていました。
 そういう形で、大臣も、前、内閣官房副長官のときに総理の近くにおられたわけでございますので、そういった意味で、やはり総理としてこれは、やっぱりそういうふうなんだろうなというふうな思いでこの記事を見られたのか、若しくは記事は知らなかったのかといったところについてちょっとお聞きしたいと思いますが、大臣、お願いします。
#46
○国務大臣(世耕弘成君) 官房副長官室と総理の部屋というのは結構離れていまして、そんなに四六時中近くにいたわけではありません。
 今御指摘の件に関しては、今日、安倍総理が朝、官邸でぶら下がり会見で、御指摘の日に加計孝太郎理事長と会ったことはございませんと、念のため昨日官邸の記録も調べたところですが確認できませんでしたと述べておられます。また、今日、同じくぶら下がり会見で、加計孝太郎氏とは獣医学部新設について、これまで国会にて答弁してきたとおり、加計孝太郎氏から話を聞いたこともございませんし、話をしたこともございませんと総理自身が述べられているわけでありますから、もうこのことに尽きるんだろうと思っております。
#47
○石上俊雄君 そういうふうな答弁になるんでしょうけれども。
 せんだって、私もいろいろな方々と会合の中で、懇親会もあるものですから膝を突き合わせながら話すんですが、おまえら何やっているんだということで結構怒られまして、どう考えたってこれは不自然だと、あの総理の答弁ですね、絶対それは違うんじゃないかなという思いは誰が見ても明らかじゃないのかと、何でおまえらはそういうのを明確にできないんだということで、結構支援者の方から怒られるんですね。
 先ほど、井原委員の質問の中で、産業政策、日本の産業に対して相当危機感を持っていられる大臣でございまして、今日の不正競争防止法等の一部を改正する法律案もその一環なわけなんですね。だから、日本の産業に対して危機感を持たれる、このことと並行して、やっぱり今多くの日本の皆さんが、国民の皆さんが政治に対する不信というものがだんだん高まってきていて、このことに対する危機感って相当高まっているというふうに思っているんです。
 したがって、是非、内閣の一員である世耕大臣としても、この辺、とにかく疑惑というか疑問というところを早急に内閣として払拭いただくということを是非大臣としてもお力添えいただきたいと思いますが、そのことに対して答弁をお願いします。
#48
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘の件については、総理は明確に否定をされています。また、私も報道で読む限りですが、加計学園側も否定をしているわけでありまして、会ったと言われる双方が否定をしている、もうそのことに尽きるんではないかというふうに思っております。
#49
○石上俊雄君 これ以上やると不正競争防止法等の一部を改正する法律案の時間がなくなりますのでやめますが、我が代表も言われていますけど、やはり様々の方々がおられるのでいろいろな考えを持たれるのは当たり前の話で、それを議論する上では、やっぱり事実に基づいた形での正直なデータだとか、本当に正直な、その事実関係を明確にした中で、じゃ、どうするんだということをやっていかないといけないということでありますから、引き続き、それぞれの場面でまたこのことについては議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 それでは、本テーマであります不正競争防止法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただければと、そういうふうに思います。
 先ほど来話が出ていますが、第四次産業革命とか大臣がよく言われるコネクテッドインダストリーズ、このことをしっかりと進めるために、とにかくデータをしっかり活用していくと、そして様々な障壁を取り払ってしっかりこの壁を乗り越える形でデータをしっかり活用していく中でそのことにつなげていくと、そういう環境をつくっていくための今回は法の改正だというふうに認識をしているところでございます。
 今回の法の柱としては三つあるというのは皆さん御存じだと思いますが、一つはデータ関連であります、二つ目が特許関係、三つ目が国内及び国際標準関連というわけでありますけれども、今回は、その三つのテーマでそれぞれ分けて質問をさせていただければと思います。
 まずはデータ関連でございます。
 今日、資料も作らせていただきましたが、資料の一の@に示させていただきましたけれども、法案の第二条の七項に規定されている限定提供データというふうなものがあるわけでありますけれども、その定義について教えていただきたいのと、今回の法の改正、制度の創設の背景、趣旨についてまず経産省に説明をいただきたいのと、資料の一のAに示させていただきましたけれども、お聞きするところによりますと、今回の法の改正で期待される効果について、データを不正競争防止法で守ると利活用が進まなくなるのではないかという議論も何かあったやに聞くわけでありますが、その議論というのは誤解に基づくものなのかどうかというところも含めて、経産省、説明をいただけますでしょうか。
#50
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 データやそれを活用したビジネスモデルが企業の競争力の源泉となる第四次産業革命が進展する中にありましては、価値あるデータを複数企業の間で共有し、そこからイノベーションを創出していただくことが重要であると、このように考えてございます。
 その一方で、御案内のとおりでございますが、データは複製や転送が容易でございまして、一旦不正に取得されますとその後の不正な流通が止められず、そのことが外部へのデータの提供が進まない要因の一つであるという指摘がなされているところでございます。
 今回新たに導入する制度の検討を行いました審議会、産業構造審議会不正競争防止小委員会でございますけれども、こちらにおきましても、例えば、自動走行用の地図データや化学素材データの提供事業者などから、複数企業が連携してデータを利活用すればそこから付加価値を生み出すことができることは分かっていても、データの不正取得や不正使用に対する差止めなどの対抗手段がないと安心してデータを他社に提供できないといった趣旨の懸念が示されたところでございます。
 そこで、社会全体といたしましてデータを安心して取引し利活用できる事業環境を整備させていただきますために、不正競争防止法を改正し、データの不正な取得や使用などの不正な行為に対する差止め請求権などの民事措置を設けさせていただくことといたしたところでございます。
 新たに導入いたします制度では、保護対象とするデータの範囲につきまして、相手先を限定して提供するために、電磁的方法により相当量蓄積、管理されている技術上又は営業上の情報と定義する限定提供データに限った上で、例えば政府が公表する統計データなど、誰もが無償で自由に使うことができますいわゆるオープンデータに係る行為につきましては不正競争行為の適用除外扱いとするということを明示させていただいているところでございます。
 今回の法改正によりまして、価値あるデータの円滑な流通が促され、特に物づくりを中心に、日本の強みであります現場力を生かしたリアルデータの幅広い共有、利活用が円滑に行われることを通じまして、コネクテッドインダストリーズの実現に向けた取組が進展、拡大すると、もって日本の競争力が高まることが期待されるものと考えているところでございます。
 以上でございます。
#51
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 次ですけれども、資料の二の@にこれも示させていただきましたが、不正取得の類型として、権限のない外部の者が管理侵害でデータ取得とか、取得データを使用して、そして取得データを第三者に提供するなどがあるというふうにお伺いをしているわけでありますが、実際にどのようなビジネスモデルのどのようなデータが対象と想定しておられるのか、教えていただきたいと思うんです。
 この資料の三のAの下の方にも書いてあるんですけれども、一般的にデータの共有の事業モデルというのもあるわけでありますけれども、こういうのも典型なんですが、それ以外で、資料ちょっと戻っていただいて、資料の二のAにイメルト前GE会長が提唱されたインダストリアル・インターネットというのがあるんですが、これは、センサー等をモーター等に付けて、そういったところのデータをクラウドに上げて分析することによって効率化させるとかという、その一番最初に提唱されているやつで、その当時は、何かこう、それでがあっと広がったような感じなんですが、こういったものに対してどういうふうに考えになるのかというところとか、さらには、資料の三の@のところに付けさせていただきましたが、日本の電機産業が世界で攻勢に出ているエッジコンピューティング、これが三菱とか日立さんが中心になってやっているんですが、三菱とか日立が中心となっているエッジクロスとかファナックがやっているフィールドシステムとかでデータ等を使うわけなんですが、こういったことについてどうか、この辺も含めてちょっと教えていただけますでしょうか。(発言する者あり)
#52
○委員長(浜野喜史君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#53
○委員長(浜野喜史君) 速記を起こしてください。
#54
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 保護の対象となりますデータは、先ほどもお答え申し上げましたとおり、限定提供データといたしまして、複数の企業間で共有し、あるいは利活用されることを想定し、一定の条件の下で外部の他者に提供されるデータでございまして、第一にID、パスワードなどの技術的な管理を行っていること、第二に事業として相手方を限定して提供すること、第三に取引価値を有する程度に集積していることといった三つの要件を全て満たすものに係る不正競争行為が差止め等の民事措置の対象になるところでございます。
 審議会の検討過程では、その具体例といたしまして、例えば自動走行車両向けに提供する三次元地図データでありますとか、あるいはPOSシステムで収集した商品の売上げデータ、化学物質等の素材の技術情報を集約したデータなどが想定されたところでございますが、御指摘のございました、今後導入が進むと想定されますクラウドやエッジコンピューティングなどのシステムに利用されるデータなどにつきましても、先ほど申し上げました三つの要件を満たせば今回の法改正による保護対象になり得るものと考えてございます。
 以上でございます。
#55
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 次に、資料の四の@に付けさせていただきましたが、民事訴訟で、侵害の立証責任は原則原告側にあるということでございます。しかし、不正競争防止法の不正使用は相手側の工場や研究所で、研究所内で行われるということでございまして、考えるからに、原告側の証拠収集は一般的に困難ではないかなというふうに思うわけでありますけれども。
 そこで質問でありますが、不正使用行為の推定はどのような法的立て付けになっているのかということと、営業秘密と限定提供データの場合で違いがあるのかというところ、さらには、不正使用行為によって生じたものの取扱いについて、データ利活用促進に向けた検討中間報告案に対するパブリックコメントにあったというふうになっているんですが、あったんですけれども、不正使用がなければそのものは作成されないはずであり、データの不正使用により生じたものの譲渡についても民事措置の対象とすべきとの考えもありますけれども、そうしたデータの不正使用により生じたものの譲渡等の行為は不正競争行為の対象と、その後、パブリックコメントであったんですが、果たしてそのものは対象になったのかどうか、そして、そうしたことに至った、もし対象となったんだったら、そうした整理となった理由は何か、その審議会で議論されたそのプロセスも含めて、経産省、説明をいただけますでしょうか。
#56
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました現行の不正競争防止法の第五条の二の規定についてでございますが、これは、技術上の営業秘密が不正に取得された場合におきまして、その侵害を行った者による当該秘密の使用を推定する規定でございます。
 平成二十七年の法改正において設けたこの規定は、不正に取得した営業秘密を不正に使用する者の生産行為は、通常、工場とか研究所など侵害者の内部領域で行われることが多く、侵害を受けた者、すなわち原告側でございますが、それによる立証が難しいことに配慮いたしました結果、そうした被侵害者が差止めや損害賠償等の民事救済を円滑に求めることができるようにする、このことを目的として導入させていただいたものでございます。
 新たに保護対象といたします限定提供データにつきましては、それが不正に取得、使用されることによりましてデータの保有者が大きな損害を被ることも想定されます一方で、不正に取得したデータには、営業秘密の場合とは異なりまして、物の生産に限らず、当該データ自体の解析など、様々な用途が想定されます中、審議会における検討でありますとか、あるいは事業者からのヒアリングの過程におきましては、限定提供データに係る不正使用を先ほど申し上げております推定規定の対象とするということに対するニーズが確認できなかったところでございます。
 このため、流通を前提といたします限定提供データにつきましては、その正当な利活用を妨げることのないよう必要最小限の規律を設けるという今回の法改正の基本的な考え方に沿いまして、今般は限定提供データに係る不正使用行為を現行法第五条の二の推定規定の対象とはしないこととさせていただいたところでございます。
 次に、データの不正使用による成果物の取扱いについてお答え申し上げます。
 成果物といたしましては、例えば限定提供データを不正に使用して学習させたAIプログラムなどが想定されるところでございますけれども、審議会におきましては、現時点では個別のデータがAIプログラムの性能向上にどの程度寄与するかを算定することは難しいといった趣旨の御指摘でございますとか、あるいは成果物の流通を差止めの対象にすることによるデータ利活用への萎縮効果を懸念する御指摘があったところでございます。
 このため、データを利用したAIプログラムの開発が途上にありますことにも鑑みまして、今回の法改正では、限定提供データの不正使用行為によって生じた成果物の譲渡などの行為につきましては、不正競争行為には位置付けないということにさせていただいたところでございます。
 なお、今回導入いたします新たな制度につきましては、データに関わるビジネスや技術の進展など、経済社会情勢に応じた制度の不断の見直しが必要であると考えてございます。経済産業省といたしましては、改正法施行後におけるデータの取引実態や技術進展、侵害行為の実例などを踏まえた上で、産業界や有識者からの御意見を伺いながら、制度全般について適時に検証、見直しを行っていきたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。
#57
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 次に、データに係る不正競争行為と正当な目的で行われる行為のこの区切りというところの観点で質問させていただきますが、資料の四のAに示させていただきましたけれども、今回の改正案の大本となっております、先ほどもちょっと申し上げましたが、データ利活用促進に向けた検討中間報告の第一章の四のところの、この資料にこの黄色の部分でありますが、正当な目的で行われる行為の欄に、不正取得類型に属する行為を始め、不正競争行為の範囲を定めるに当たっては、ホワイトハッカー等によるセキュリティー対策、リバースエンジニアリング、修理・検査、相互互換のための研究、教育、公共機関におけるアーカイブの目的で行われる行為に加え、障害者支援等の社会的な課題へ対応する目的で行われる行為等、正当な目的で行われる行為については、それらが妨げられることのないよう留意すべきであるとの記載があるわけでございます。
 このホワイトハッカー等によるセキュリティー対策、あとはリバースエンジニアリングなど、それぞれの内容が今回の法案ではどのように反映されているのか、もしかしたらいないのかもしれませんが、その辺をちょっとお聞きしたいのと、そもそもその記載内容の意図するところは何かというところを経産省に教えていただきたいのと、また、こうした正当な目的で行われる行為について萎縮効果が起これば社会的に大きな損失につながるわけでございまして、そうならないように、データに係る不正行為との明確な切り分けが行われて、その内容が特に関係者に向けて周知徹底されることが極めて重要でないかなというふうに考えるところでありますが、政府としてどのような具体的な政策というか対策をお考えになられているのか、その辺を含めて、経産省、教えていただけますでしょうか。
#58
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 限定提供データの不正取得行為につきましては、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為と、このように定義させていただいているところでございます。
 御指摘のございましたデータ提供者のために行いますセキュリティー対策やいわゆるリバースエンジニアリングなど正当な目的で行われる行為は、データの取得を行わない場合はもちろんのことでございますけれども、仮にデータの取得をする場合であっても不正の手段による取得には該当しないと、このように考えてございます。
 また、不正競争防止法におきましては、差止め請求や損害賠償請求ができる者としては、営業上の利益が侵害される者や侵害されるおそれがある者としているところでございまして、データの提供者のために行われる場合にはデータ提供者の営業上の利益の侵害には該当しないと、このようにも整理できるものと考えてございます。
 これら二つの点から、セキュリティー対策など正当な目的で行われます行為は不正競争行為として差止め等の対象とはならないという整理でございます。
 こうした正当な目的で行われる行為に萎縮効果が生ずることのないように、改正法の施行までに十分な期間を確保した上で、正当な目的で行う行為の取扱いも含めまして、今回新たに導入する制度の具体的な内容について広く国民や産業界に対し丁寧な周知に努めることが必要不可欠であると、このように考えてございます。
 経済産業省といたしましては、改正法施行までのできるだけ早い時期に、どのような行為が正当な目的で行われる行為に該当し、それが新たに追加する不正競争行為との関係でどのように整理されるのかといったような点も含めまして、制度全般について分かりやすい実践的なガイドラインを策定、公表したいと考えてございます。
 加えまして、独立行政法人の工業所有権情報・研修館、通称INPITでございますが、そちらや関係団体との連携の下、全国各地での説明会の開催、相談体制の整備などを通じまして、きめ細かい周知広報活動を展開し、中小企業を含めた産業界の理解促進に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。
#59
○石上俊雄君 ありがとうございます。
 しっかりと切り分けをして対応いただきたいと思います。
 データ関連では最後の質問になりますけれども、これは大臣にちょっと質問をさせていただきたいと思いますが、各国のデータに関するルールの整備状況は、我が国の今回の法改正の位置付けに関するところも結構あるわけでありますけれども、世界の潮流というのは、データ革新の嵐が吹き荒れているというような形で繰り広げられているんですが、サービスや商品、ビジネスモデルが次々と新しいものが生まれてきまして、そこの裏で繰り広げられているのが言わばデータの争奪戦というところでございまして、各国では、様々な思惑の下、そのデータをいかに取ってくるかという、そこに関するルールの整備というのが進んでいるわけでございます。
 例えば、資料の五の@に示させていただきましたが、EUでは、今週の五月の二十五日施行開始というふうに何か出ているようでありますけれども、一般データ保護規則、GDPRというらしいんですけれども、個人のプライバシー保護に重点を置くと同時に、アメリカの巨大IT企業のデータ独占が不正競争を、阻害しないよう、その競争法の観点も重視してルールを決めているというものがあるんだそうです。あと、一方で、中国、ロシアは、自国産業の保護、育成や安全保障を理由に、データの越境移動を規制するデータローカライゼーションを強めているというふうにも聞くわけであります。
 今、世界がデータ資源をめぐる攻防の最中であって、今後どのような世界秩序が形成されるかで我が国にどんな影響が来るのかといったところが大変重要だなと、見ていくことがしっかりとやっていかないといけないなというふうに思うわけであります。
 こういった中で質問をさせていただきたいと思いますけれども、こうした世界動向を大局で見た場合、我が国の法改正の戦略的位置付けはどこにあるのかと、そういうことを教えていただきたいのと、さらには、例えば、ビッグデータを産業財産権に近い形で保護する方向を強めることでデータ流通の規律と自由化を同時に醸成しようとする先駆者的な取組を唱えることもできる一方で、経済のグローバル化の中であくまでも国際協調を第一として貫くべきだという、そういう思いもあったということでございますけれども、実際、各国で、データ保護制度の調査によりますと、アメリカとか欧州委員会とかドイツ、フランスでは、おおよそ営業秘密と不正アクセスと契約によるデータ保護に関わる制度となっているわけでありますが、我が国も新たな法規制ではなくて契約の高度化という別の手法も検討していくべきではないのかなというふうに思っているわけでありますが、こういった観点も含めて、大臣の御認識、今後の取組の方向性についてお伺いさせていただけますでしょうか。
#60
○国務大臣(世耕弘成君) ちょっと、今おっしゃっていただいたこと、私はいろいろ思いがあって三十分でも一時間でもしゃべれるんですが、簡単にまとめますと、やはりこのGAFAというのがビッグデータをがばっともう今、はっきり言って大きく抱えてしまっています。ただ、これは、いわゆる事業者と消費者の間のバーチャルデータというレベルだというふうに思っています。
 我々は、やはり日本の勝ち筋は、BツーB、事業者間の、しかも物づくりの製造の現場ですとかあるいはサービスの現場、そういったところで生まれてきている本物のデータ、リアルデータを事業者間で共有することによって、ここに、そこからビッグデータとして人工知能で解析することによって日本の勝ち筋が生まれてくるんではないかというのがコネクテッドインダストリーズの考え方なんです。
 じゃ、BツーBのこのリアルデータというのは誰も狙っていないかというと、そうではありません。もう既にGAFAも少しこのBツーBのデータのところへだんだん手を付け始めています。あるいは、ドイツのインダストリー四・〇なんというのも、突き詰めてみれば、これはドイツのIT企業によるBツーBのデータの囲い込みだというふうに捉えることもできるわけでありますから、日本としても、このBツーBのリアルのいいデータを我々はたくさん持っているわけですから、これを一日も早くみんなで共有できる枠組みをつくることが非常に重要だというふうに思っております。
 そういう中で、今回、世界で初めて、データそのもの、データベースとしての創造性が存在しなくても生データそのものを共有するためにきちっと保護をする枠組み、民事上の措置をとれる枠組みを世界で初めてつくらせていただきました。このことによって、業界内でのデータの共有、あるいは業界を超えた、例えば、昨日も実は議論していたんですが、化学プラントでの保安データというのは実は発電所でも使えるんですね。例えば、パイプの腐食をどう察知するかなんというビッグデータ解析というのはそのまま発電所でも使えるわけですから、そういう分野にも広げていくことによって日本の産業の競争力というのを獲得していくというのが非常に重要だと思っています。
 ただ、一方で、このデータの流通に関しては、各国いろいろ規制の状況が違います。アメリカははっきり言って自由であります。ヨーロッパは、物すごく、今お話のあったGDPRなんかは非常にきつい規制になっています。中国は、逆に、グレートファイアウオールというもう一種独特のインターネット空間をつくって、そこで十四億人分のビッグデータを特定の企業に食わせることによってまたITのジャイアントを中国で育ててそれを外へ出していくというようなことをやっています。この辺をどう国際的なルールを作っていくかということも非常に重要だと思っています。
 既に、これは日本が主導する形で、WTOで電子商取引に関する有志国会合というのを去年の十二月立ち上げまして、今七十か国以上参加をしてくれておりますけれども、そこでの議論もしっかり進めていきたいと思いますし、あるいは、日、米、EUがやはり三極でしっかりこのデジタルのルールというものを協調させていくという取組も、これ今、三極貿易大臣会合というのを今二回やっていて、三回目は諸般の事情が許せば近くやりたいと思っておりますが、そういったところで規制のコーディネートをしていくことも重要だというふうに思っています。
 最後、御指摘の、いや、契約でカバーすればいいじゃないかと。確かに契約でカバーできる部分もあるわけですけれども、契約というのはあくまでも契約当事者間ということになります。
 我々は、今回、データ共有というのはもう少し契約よりも業界全体とか産業界全体ということを考えていますので、契約だけではなくて、こういう法律による民事措置がとれるようにするということが一つポイントなのかなというふうに考えております。
#61
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それでは、このデータ関連はここで終わりますけれども、冒頭、データが利活用される、そういう環境をつくっていく必要があるということで言っていましたが、一方で、データだけではなくて、特許とかを含めた全ての知的財産、知的活動でもこういう垣根を越えて使っていくというのは当てはまるわけでございまして、そういった視点で特許法改正案について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 今IoTの世界的普及に伴って、資料の五のAに付けさせていただいておりますが、特許紛争の構図が大きく変わり始めてきたと言われております。例えば、アップル対サムスンなどは、IT業界同士の紛争が大半だったわけでありますけれども、これまではですね、あらゆる情報技術がデジタル化、ICT化する中で、異業種間の紛争が目立ち始めているということなんです。同じ業種間だと、大体、紛争をしても、俗に言う特許のクロスライセンスとかそういったのでカバーできていくわけでありますけれども、しかし異業種になると、その相場的なところの感覚もずれてきて、大変交渉的にも難しくなってきているというのが大きくなってきているわけであります。
 そこで、ちょっと質問をさせていただきたいわけでありますけれども、異業種間となってかなり今までの構図と変わってきているという中で、特許庁として、このIoT普及に伴う特許紛争の構図変化をどのように捉えられていて、また、イノベーションが絶えず生み出される健全な産業、社会発展のためにどのような対応を取ろうとしているのかといったところをまずお伺いしたいのと、具体的には、昨年まで特許庁として標準必須特許裁定制度の導入を検討していたというふうにお聞きしていたわけでありますけれども、これを見送り、代わりに標準必須特許のライセンス交渉に関する手引の策定に切り替えたとお聞きしたわけでありますけれども、この経緯、内容について併せて御説明をいただきたいと思います。
#62
○政府参考人(宗像直子君) 御指摘のとおり、第四次革命の進展に伴いまして、いろんなインフラ機器がネットを通じてつながってきてまいりますので、機器間の無線通信に関する標準の規格、その実施に必要な特許、つまり標準必須特許をめぐるライセンス交渉は大きく変わってきております。
 御指摘のとおり、今までであれば、このような標準必須特許をめぐるライセンス交渉は情報通信業界の企業同士を中心に行われてまいりましたので、多くの場合、クロスライセンスによる解決が可能でしたし、互いに相手が保有する特許の権利範囲であるとか必須性であるとか、価値について相場観をある程度共有できておりました。
 ところが、標準必須特許のライセンス交渉が製造業やサービス業といった異業種との間でも行われるようになりまして、クロスライセンスによる解決が困難になるとともに、相場観も懸け離れてきているということで、これをめぐる紛争に対する不安の声が高まっております。
 このような状況を踏まえまして、特許庁は当初、御指摘のとおり、標準必須特許の実施を求める企業の申立てに応じて行政が強制実施権を設定しましてその適正なライセンス料を決めるという、そういう裁定制度の導入を検討しておりました。しかし、検討の結果、やはり裁定制度はなかなか難しいかなというふうに認識いたしました。
 具体的には、実施者が権利者とのライセンス交渉に誠実に応じないで権利侵害を続けた場合これに対する対応ができないということで、権利者と実施者のバランスを欠いていること。それから、日本で強制実施権を設定しても日本の外では通用いたしませんので、グローバルな解決につながらないこと。それから、特許庁が個別の紛争に介入をしまして適切なライセンス条件を設定できるのかということについて疑問の声も多かったということ。それから、途上国が日本を先例としまして強制実施権の導入を積極化する可能性を含めまして、国際的にも懸念の声が強いということがございました。
 一方で、ライセンス交渉に入るに当たりまして、有益な情報を分かりやすく提供してほしいというニーズもございます。このため、標準必須特許に不慣れな企業が安心してライセンス交渉に臨めるように、内外の情報を集約した手引を策定しまして、交渉当事者間の参考に供することといたしました。
 昨年秋を中心にしまして、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの主要国を訪ねまして、専門家や実務家と意見を交換いたしまして、今年三月にそれを踏まえて手引の原案をパブリックコメントにかけました。その直後には国際シンポジウムを開催いたしまして、その場でもコメントの提出をどんどん出してくださいとお願いをした結果、国内外からほぼ同数、合計五十以上のコメントがいただけました。
 この交渉の手引は法的な拘束力を持つものではございませんで、現段階で内外の裁判例やライセンス実務などの動向を踏まえまして、どう行動すれば誠実な交渉態度と認められて、実施者は差止めを回避し、特許権者は適切な対価を得られやすいかということについて説明を試みております。これによって交渉が円滑化されて紛争が未然に防止され、あるいは早く解決されることを期待しております。
 標準必須特許をめぐる状況が大きく変化しておりますので、この手引は随時見直しをいたしまして、生きた手引であり続けるようにしたいと考えております。今後、裁判例の更なる蓄積や、各国の政府機関や企業、有識者の意見を踏まえた透明性の高い見直しのプロセス等をつくってまいりたいと存じます。
#63
○石上俊雄君 次に、大量の商標出願という観点で質問させていただきますが、どういうんですか、トレードマークトロールというんですか、この適正化策についてお聞きさせていただきますが、今回の特許法改正案には商標出願の適正化も含まれておるわけでございまして、皆さんも記憶に新しいと思いますが、ピコ太郎さんの世界的ヒット曲のPPAP、これもそういったところの被害に遭ったというんですか、そういうところに関連に触れたということでありますが、そういったところがあって、世界で注目される流行語を大量に商標出願するということをするという問題が社会的に注目、問題化されたわけであります。このほか、PPAPだけではなくて、私の元の党であります民進党もその一つだったようでありますけれども、そういったところもあるわけでありますが、カーリングの「そだねー」は、何かいい人だったらしくて、自由に使ってくださいという形で、そういうケースもあるわけでありますけれども。
 こういう形で、先に商標登録というのを、何というんですかね、があっと大量に出して、そこで交渉によって要は利益を得るというようなことを何かずっとやっていたということで、それに対しても対応されているということでございますけれども、そのことについてちょっとお聞きしていきたいというふうに思うんですが。
 実際、そういうのがあると、実際は自分たちが商標として登録をしたいんだけれどもそれができないということで、何というんですか、萎縮してしまうんだけれども、特許庁としては、いやいや、そういう方々、実際に使うというか、そういう業務というか、そういう使うところの方々が出していなければ登録されませんよ、だから諦めないでくださいねという、そういう文書を出しているというふうにお聞きするんですね。
 そこで質問でありますけれども、その後、この問題、その問題の解消はどうなっていますかというところと、今回の適正化による効果や、その他取り得る対策にどのようなものがあるのかをお伺いしたいと思います。
#64
○政府参考人(宗像直子君) 御指摘のとおり、一部の出願人の方から出願手数料を納めない商標登録出願が大量に行われておりまして、また、これを元の出願とした分割出願が行われております。これは、現に商標を使っている企業に先んじて商標出願中という地位を得て、それを基に商標を使用している企業に対価を請求するということになっております。平成二十九年に約十九万一千件の出願、全体でありましたのですけれども、そのうち、このような大量出願が約三万二千件、全体の一七%も占めております。
 特許庁としましては、この手数料未納のような手続の瑕疵のある出願につきましては、一定の猶予期間を設けた上で、お払いいただけますかという意思を確認をしまして、納められない場合には出願を却下しておりますけれども、出願いただいてから却下するまでに四か月から六か月掛かってしまいます。このため、大量出願人は、却下が見込まれる直前に分割によって元の出願日を維持しながら新たな手続を開始するというプロセスを繰り返すことで、事実上恒久的に商標出願中の地位を維持しております。
 このような行動で、今、早期の登録を望む商標使用者の方々が出願をためらい、さらには諦めてしまうという事例がございますので、過去二度、御指摘のとおり、利用者の方々に対しまして、御自身の商標が他人によって出願されていても出願をどうぞためらうことのないようにという注意喚起をさせていただくとともに、手続上の瑕疵ある出願が却下されるのを待つことなく次の実体審査を開始する運用を、出願日が後のものについても実体審査、中身の審査を始めますということの運用ですからということも周知いたしました。しかしながら、この注意喚起に対しましても、大量出願は今でも依然として続いております。
 そこで、今回の改正なんですけれども、出願を分割をして出願日を遡及させることができるというのは、元の出願の手数料を払っていただいた方に限るということに変えるということでございます。つまり、手数料を払わない限り、分割出願しても出願日の遡及が認められなくなると。こうすれば、元の出願が却下されればその後は商標出願中という地位が維持できなくなりますので、大量出願に一定の歯止めが掛かることが期待されます。
 このような制度の改正をまたしっかり周知してまいりたいと存じます。
#65
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それではここで、特許に関しても終わりまして、次は工業標準化法の改正について質問をさせていただきたいと思いますが、標準化で忘れてはいけないのが、やはり昨年次々と発覚した製造業界の品質データの改ざん問題といったところがあるのではないかなと思うんです。
 この問題を何とか対策をするということで、罰金というんですか、罰則が百倍になったんだなというふうな認識をしているわけでございますが、そんな中で、経産省として、この品質の不正問題というんですか、そこの問題の本質はどこにあったと認識されているのかというところと、今回の罰金刑の引上げという抑止力は今後どの程度効果を発揮すると考えておられるのかというところをお聞きしたいのと、さらには、電機産業の仲間の中に日新電子工業というのがあるんですが、そこは日本の中で初めて金属検出装置を造ったメーカーなのでありますけれども、そこの企業理念が三方よしで、自分よし、相手よし、第三者よしなんです。したがって、これなんだと思うんですね。やっぱり罰金刑引き上げて抑止力の強化も重要だとは思うんですけれども、やはり、こうした三方よし、安心、安全の原点に立ち返ってそれをどうサポートするかという視点も大切だと考えているわけでありますけれども、先ほどの問題の本質等も含めて、経産省、御認識をお伺いしたいと思います。
#66
○政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。
 三点お尋ねいただきました。
 まず、検査データ改ざん問題の本質は何かというお尋ねでございます。昨年相次ぎました製造業におけます製品検査データ書換えの不正事案というものは、私ども、日本の製造業における各社の企業経営の問題と認識をいたしております。それぞれの背景や原因につきましては、関係各社の状況に応じて異なるものでございまして、一律ではないと考えております。
 その上ででありますけれども、例えば、あの神戸製鋼所の報告書では、その根本原因といたしまして、収益偏重の経営と不十分な組織体制、バランスを欠いた工場運営と社員の品質コンプライアンス意識の低下、一連の不適切行為を容易にする不十分な品質管理手続と、様々に挙げられているところでございます。ここで、私どもの受け止めというのをあえて一言で申し上げようといたしますと、現場と経営の乖離というものではなかったのかなというふうに考えてございます。
 それから二点目でございます。罰金刑の引上げの抑止効果というお尋ねでございますけれども、今回、私ども、JIS法の改正案の中で御提案させていただいておりますのは、この一連の不正事案の中で規格値を満たさないJISマークの製品の出荷などが認められまして、登録認証機関によるJISマーク認証の取消しが行われた事案があったわけでございまして、このことなども踏まえまして、事業者が認証を取得せずにJISマークを表示した場合などに対する罰金の上限を引き上げるということとさせていただいているものでございます。これによりまして、JIS法遵守の重要性に対する事業者の意識が更に高まりまして不正行為の抑止につながるということを期待しているわけでございます。
 三点目、これら罰金刑の引上げだけではなくて、人を支援する仕組みをという御指摘でございました。私ども、常々、世耕大臣が申し上げておりますとおり、コネクテッドインダストリーズを推進する中で、御指摘のようなシステムやロボット等の導入によりまして、うそのつけない仕組み、あるいはトレーサビリティーの確保というものを図ることが重要であるかと思っております。既に一部の製造事業者におきましては、それらを取り入れて、信頼性の高い品質保証体制を構築して強みとする企業も存在しております。
 例は割愛させていただきますけれども、私ども経済産業省といたしましては、こうした品質保証体制を構築する産業界の具体的な取組に対して、先進事例の共有でございますとか、予算、税といった支援を実施していきたいと思っています。
 いずれにしても、最後はトップが腰を据えて取り組むことが重要だと思っておりまして、私ども経済産業省として、引き続き経営トップに粘り強く訴えかけていきたいと思っております。
#67
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 最後ですけれども、世耕大臣に日本の国際標準戦略についてお伺いしたいと思うんですが、資料の六に付けさせていただきましたが、国際標準の幹事受けというのがなかなか日本は伸び悩んでいる、海外よりも低い。一方で、中国とか韓国がだんだんと近づいてきているという中で、やっぱり、人手が育たないというか、人材が育成されていないというところもあるんですが、やはり産業をしっかり側面から支えていくのがこの国際標準だというふうに思っているわけであります。
 そこで、今後の戦略や取組例や人材育成なども含めて、この分野に対する大臣の問題意識や今後に向けた決意などもお聞かせいただいて、最後の質問にさせていただきます。
#68
○国務大臣(世耕弘成君) 標準化の一つの指標になるISOの国際幹事国引受数、これ日本も頑張って伸ばしてきてはいるんです。二〇〇六年が六十三件だったのが、二〇一六年、百件まで増やしていますので、大分伸びている方なんですが、やっぱり、韓国はまだまだですが、中国は大分猛追をしてきていて、中国は同じ時期、十五件から八十件まで伸ばしているということでありますので、日本は今、ドイツ、アメリカに続いて三位ということになるわけでありますけれども、少し中国の足音がひたひたと聞こえてきているのかなという状況だというふうに思っています。
 もうやっぱり日本の問題は、標準化に携わる人材の高齢化が進んでいるということだと思っています。ISOの議長とか幹事を務めている日本人は、五十歳代が三八%、六十歳以上が四一%ということでありまして、ちょっとかなり、あと十年、二十年たってくるとぐっと数が減ってくる可能性もあるという状況であります。
 もちろん、経産省としては、この国際標準獲得のために、ISOの上層部への働きかけですとか、あるいはヨーロッパ、アメリカ、アジアの標準化機関との連携ということもやっていますし、国内においては官民の連携体制構築ということもやっていますが、人材確保、人材育成というのがやはり何よりも重要だというふうに思っていまして、様々な取組も講じてきております。
 例えば、民間企業で国際標準化を取った経験のある方々を講師に招いて、若手の人材に対する国際標準化のトレーニング研修、こういうのを年二回実施をさせていただいています。平成二十九年度末時点で二百三十三名の卒業生を出しているところであります。また、標準化推進活動に優れた功績を持っている人材や組織に対して工業標準化事業表彰制度というのをつくっておりまして、三十代の若手も表彰するなど、若い人にやる気を出してもらう取組を講じているところであります。
 また、こういう標準化に関してスキルを磨いた人材が企業の内部でしっかり評価されるように、今回の改正JIS法においても、実は、事業者に対して、標準化に従事する者の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう適切な処遇の確保に努めるという旨の、努力義務規定ではありますけれども、こういう規定も盛り込ませていただきました。
 標準化は非常に重要な、日本にとってはですね、第四次産業革命、コネクテッドインダストリーズで勝ち抜いていくためにはこの標準化というのは非常に重要であって、その標準化の根底を支えるのは人材でありますので、引き続き取組を続けてまいりたいと思っております。
#69
○石上俊雄君 終わります。ありがとうございました。
#70
○委員長(浜野喜史君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#71
○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#72
○真山勇一君 立憲民主党・民友会の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。
 今回は、不正競争防止法を始めとして、工業標準化法、いわゆるJIS法ですけれども、こうした法律の内容、名前変更などという、これはJIS法では大変大きな改正ではないかというふうに私は思うんですけれども、こうしたことの審議ということなんです。
 やはり審議を聞いていますと分かるのは、やっぱりデータ、データという言葉がもう本当に出てきます。やはり今の時代、このデータをどうやって集めてそしてそれをどうやって加工して利用、活用できるものにしていくのか、そうしたことが本当に今求められているということがしみじみともう感じるような審議になっているわけなんです。
 企業の競争というのも、今度データをどういうふうに使うかということで勝負が付くというくらいのそういう感じで、このデータをうまく使えば日本の産業の全体の底上げというか、アップにもつながって、いい方向に進むのではないか。まさにやはり活用していくというのは、私もそういう実感を持って受け止めております。
 今日はまず、今注目を集めている汎用性の大きいいわゆるビッグデータの活用を促進するために、新しい一つのカテゴリーというんですか、データ提供者が利用者に提供できる限定提供データというものですね、これ新しいものではないかというふうに思うんですが、この限定提供データということについてまずお伺いをしていきたいというふうに思っております。
 これまでの質疑の中で、今回のこのデータについて、特に罰則というのはない、大きな罰則はない、民事除いたらないという方向で規定をしているわけですけれども、こうしたことの理由については、民事の損害賠償請求はできるけれども刑事罰は作らない、その理由は、啓発とか普及を最優先にしていきたいということで、データを使うことの萎縮というものはあってはならないし、むしろ積極的に使っていくためには刑事罰はこの際はない方がいいのではないかという理由が伺うことができました。
 ただ、そうはいっても、やっぱりデータというのは、実際になかなか具体的に製品と違ってどういうものかというのがはっきりつかむことがなかなかできないということもありますし、それから、一つは、データを欲しい側というのは、やはりビッグデータも大事かもしれないけれども、あるデータがあるとその先のデータが欲しいとか、それよりも更に詳しいデータが欲しいとかというそういうような気持ちにもなる、そういう傾向があるんじゃないかというふうに思っています。そのためにデータの盗用とか不正取得などという問題が起きてくると思うんですが。
 ちょっとそこまでまだ心配するのは早いんじゃないのという声もあるかもしれませんけど、積極的に使うというその一方で、やはり出てくるデータ、特にもっともっと例えば細かい、もっともっと具体的なデータが欲しいというようなことになると、その生データというものを求めて、例えばマーケティングの部門ですとかあるいはPOSシステムなんかを使っているところとかそういうところは、個人の例えば属性のあるデータが欲しいとか、やっぱりそういうデータを何とか手に入れたいとか、あるいはプライバシーに絡むようなデータも手に入れたいというような、だんだんやはりそういう気持ちになると思うんですね。やっぱり、自分たちの役に立つデータというのを求めていくということがどんどんエスカレートするということもあると思うんです。
 今回、刑事罰ないということで、そういういわゆる個人の属性の問題ですとかプライバシーに関わるようなそういうデータが漏れたり不正に取得されたりするということ、そういう心配とか危険性がないのか、その辺り大変気になるんですが、まず、これをもう一回改めて伺いたいと思います。
#73
○政府参考人(糟谷敏秀君) まず、個人情報については、個人情報保護法に従ってしっかりと対応をされるというものでございます。
 今回、限定提供データとして想定しておりますものは、先ほど委員もおっしゃいましたPOSデータでありますとか、あと自動走行の地図のデータでありますとか、あと船舶の走行データでありますとか、まあそういう類いのものでありまして、基本的に個人情報が含まれないものというのも相当程度あるわけであります。
 そういったものについて、そうはいっても、そのデータを持っている中小企業を始めとする事業者からは、提供したときに、不正に取得されたり、不正に提供されて流通してしまうと取り返しが付かないので、何か安心、安全に提供できるようなルールをしっかりと設けてほしいというお話があったわけであります。それにお応えをして、今回、限定提供データについて民事上の措置を設けることといたしたというものであります。
 刑事上の措置を設けなかったということにつきましては、先ほどおっしゃいましたように、萎縮するということもございますけれども、もう一つ、刑事法の専門家からは、やっぱり刑罰というのはちゃんと罰するに値するだけのしっかりとした構成要件が必要であって、まだ取引の実態がそんなにない中で、構成要件が明確になるほどの実態がないので、刑罰を科すというのには時期尚早ではないかというお話があったこと、また、刑罰というのは全く何もないわけではありませんで、不正アクセスをした場合には不正アクセス禁止法で刑罰の対象になる場合もあるわけであります。
 それから、営業秘密について、過去に不正競争防止法で不正競争行為にしたときも、まず民事措置から始めてそれからいろいろと運用を見ながら一定期間の後に刑事罰を入れたと、こういう経緯もございましたものですから、今回の限定提供データに対する措置といたしましては、まずは民事措置に限定をして設けることとしたと、個人情報については現行の個人情報保護法に従ってしっかりと対応されるという考え方でございます。
#74
○真山勇一君 そうしますと、今回新しく決めた限定提供データというのがあって、これについての範囲であればこういうことでもいいと思うんですが、やはり往々にして、私も心配するのは、データですから、うっかりすると、うっかりか故意かいろいろあると思うんですが、その範囲を超えてしまって、いわゆる普通だったら外へ出てはいけない、漏れちゃいけない、そういうデータが含まれていたり、漏れちゃったときにこれでやったのでは、ああ、しまったということになってしまうわけで、そういうときには今後法規制みたいなものを考えているのかというのが一点。
 それから、今おっしゃったように、今の段階でも、もしそういう場合が起きたら、例えば属性が分かるようなデータとかプライバシーのデータが、本来入っちゃいけないデータが入っちゃって出てしまったときには、それを取り締まる法律の規制はきちっとあるというふうに解釈してよろしいですね。
#75
○政府参考人(糟谷敏秀君) 個人情報につきましては、個人情報保護法で規律をされているところでございます。
 今後につきましては、今回の措置を運用、運用の前に普及啓発をしっかりと取り組んだ上で運用をいたしまして、その過程で経済社会状況に応じた制度の不断の見直しを行っていくこととしております。その結果、今回御提案しております制度について更に見直しが必要だということであれば、またそういった手続をお願いをしていくということになろうかと存じます。
#76
○真山勇一君 そういうことで、今回、データの利用の拡大、特に良質なデータ、これをもうできるだけ活用しようという趣旨はそういうことで確認をさせていただきました。
 その次に、JISマークの件なんですが、これもいわゆるデータの拡大ということで今回改正というふうに私は捉えているんです。
 JISといえば日本工業規格ということだったんですが、それが日本産業規格というふうに変わりますし、それから法案自体の名前も、工業標準化法という名前を産業標準化法という名前に変えるということでございます。
 私も、民間の立場からいうと、JISというのはやっぱり、私も小さい頃、JISマークがあっただけで何か安心するという、そんな感じがある。例えば、子供の頃、いろんな工作をして、ラジオを作ったりモーターを作ったりするときにねじとねじ回しを持ったら、そういうときに、ねじが規格が合わなくて、大変、ねじ回しとうまく合わなくてねじ山潰しちゃったりとかそういう記憶があるんですが、こうしたことがJISの標準化によってなくなってきて、大変、工作も多分、子供たちの工作なんかもそういうことで楽しくなるんじゃないかと。小さなことですけど、やっぱりこういうところにも影響があったんじゃないかと思うんですね。
 これ、大変大きな改正じゃないかと思うんですね。何となくちょっと名称が変わるのと、中身にデータとかサービスが入るだけだよと言うけれども、大きいと思うんですね。これ、やはり一般の人、一般にこれを周知させるのは大変じゃないかと思うんですが、その周知についてはどんなことを考えていらっしゃるのかということをまず伺いたいと思います。
#77
○政府参考人(末松広行君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、今回の法改正では、JISの対象のサービス分野への拡大ということで、日本工業規格という日本語の名称を日本産業規格というふうに変更することといたしております。たまたま英語についてはJISという英語名称は変更しないということでございますが、日本語については日本産業規格という名称になります。
 今回新たにサービス分野が対象になったことを含めて、今後のJIS制定、今先生お話あったように、生活に役に立つJISが円滑に人々の生活に入っていけるように、企業、消費者等の制度利用に対する説明会の開催を始めとして、様々な広報活動をしてより十分な周知に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#78
○真山勇一君 たまたま英語の頭文字が日本語の法律の名前が変わっても同じだもんで、JISマークというもの自体には何ら新鮮味がないんで、やっぱり、変わったということは、これ是非、しかもJISマークを更に範囲を広げて、これからの主流であるデータとかサービスも入るんだよということは是非周知していく必要があるんじゃないかというふうに感じております。
 今回、私ちょっとびっくりしたのは、JISマークってやはり信頼のマークですね。やはりそういうイメージがありますね。ところが、これまでそのJISマーク、勝手に、ですから信頼があるというがゆえに勝手に使われちゃうという、そういうことがあったんではないか。そのときの罰則が、上限これまでは百万円だったのが、今回一挙に百倍ですよね、百倍、一億円。私は、この上げ幅、余りにも極端なんでちょっとびっくりしたんですけれども、かなり大胆というか思い切りよく上げているわけですけれども。
 この罰金を一億円にしたというそのことの、引上げの根拠、理由ですね、それから、本当にやっぱり一億円ということでこれ効果がかなり違うふうに考えられるのか、それから、業界の方の反応というのはこれに対してどんなふうな反応があるかということをお伺いしたいと思います。
#79
○政府参考人(末松広行君) お答えをいたします。
 今回、罰金の額については、先生御指摘のとおり百倍ということにしたわけでございますが、これ実は、類似の法律で日本農林規格の法律、JAS法がございまして、こちらの方が既に百倍になってございます。ですから、同じような中小企業を始めとした事業者の方々が対応するのに決して高過ぎるということではないのではないかというふうに思います。
 まあ高いということにおいて抑止力がある、働けばいいというような狙いもありましてこのような額に設定しております。この額が設定されたことによって、JISの違反というのが起きないような心理的な効果が出ることを願っているところでございます。
#80
○真山勇一君 普通、法改正のときに、なかなか、例えば罰金の額なんかをこれほど一挙に上げるということはないですし、少し上げるのでもなかなかやっぱり議論があるわけですが。農業規格ですか、JASの方が一億円ということでよろしいですね。まあそういうことになっていて合わせたということもあると思うんで、私は、これでこういう方向は間違えてはいないんじゃないかなというふうにやっぱり思っております。
 それだけいわゆるJISの信頼性とか、それからその価値、そういうものから見たらやっぱりこういうこともあり得るのか。それで、勝手に使われるようなことを避けるという意味、つまり、やっぱりなるべく普及させるということと、一方で、やはりそういう、それに違反したら厳しく対処するということがやはり必要じゃないかなというふうに思います。
 ところで、今回、JISがデータとかサービスも含みますよというんですけれども、今回、新しくできた限定提供データ、これもこの範疇に入るデータというふうに考えてよろしいですか。
#81
○政府参考人(末松広行君) データについては、今までも鉱工業の製品に付随するものとしてはJISの制定の範囲に入っていたと思いますが、今回、サービスなど広範な部分がJISの対象になったことによって、データについてのJISの制定ということも明確に対象になっているということが言えるというふうに考えております。
#82
○真山勇一君 このデータも対象になるということが考えられるということで、ただ、やはりデータとかサービスというのは、工業製品と違って具体的な物になって目に見える形になっていくことがなかなか難しいものなんですけれども、具体的に、イメージ、そういうものでも結構なんですが、JISの認定を受けるそのデータとかサービスというのはどんなものを考えておられるんでしょうか。
#83
○政府参考人(末松広行君) お答え申し上げます。
 最近、データについてとかサービスについていろいろな事例が出ております。最近よく言われるものでは、小口保冷宅配サービスのようなサービスですとか、家事手伝いサービス、家事支援サービスのようなもの、これはサービスでございますが、受けてみないとどういうサービスか分からないという面がございます。それが標準化されていることによって、安心してサービスを受けられるようなことに役立つ可能性があるというふうに思っておりまして、サービスの分野においてのJIS制定、標準の設定というのはこれから大いに役に立っていくものだというふうに思っております。
 また、こういうものについては、ISOですとか国際的な規格においては設定ができるような仕組みになってございますので、日本のJISの制度においても同じように設定ができるようにするということは大きな意義があるというふうに考えております。
#84
○真山勇一君 今例に挙げていただいたものについては何か分かるような気もしますが、例えば、サービスなんかは、標準化というのはちょっとなかなかイメージつかみにくいんです。つまり、サービスというのは、受ける方の主体的な、主観的な印象もありますよね、例えば。ここぐらいならば、ああ、いいサービスだなと思うかもしれないけれども、逆に、ある人は、いや、そんな程度のサービスじゃ、ちっともサービスとは思えないよみたいなところがありますね。
 そうすると標準化というのはどういうふうな、そうすると、やはり具体的に、例えばそのサービスの内容を列挙して、こういうことをすれば標準化、JISマークの認定付きますよということにするのかどうか。これはあくまでもやはり一つの標準化を作る、制定する、その作るということがとても大事じゃないかなというふうに思っているんですけれども、その標準化する、例えばサービスなんかを標準化するというのはどんなふうなことを考えていらっしゃいますか。
#85
○政府参考人(末松広行君) さきの質問で言及しました、例えば小口保冷配送サービスについては、例えば温度管理が必要な荷物を保冷機能を有するようなトラックなどで配送するサービスであって、運送の途中で荷物を積み替えるプロセスを伴うものというふうに定義付けて、サービスがどういうものかというものを位置付ける、どれがこのサービスに当てはまるかというのを位置付けると。また、そのときに適切な温度管理を行うに当たって必要な作業項目というのを定めておいて、それで、そうすると、その必要な作業項目をきちんとやっているかどうかということで、サービス品質を適切に評価するということができると、そういう基準を作るということが大切だというふうに思っております。
 ですから、サービスがあって、そのサービスの品質を評価するための基準を作っていくということがサービスにおける標準化の大きな役割になるというふうに考えております。
#86
○真山勇一君 分かりました。ありがとうございます。
 それで、このJISマーク、これ、日本ではもちろんかなり信頼性が高いというその代名詞にもなるわけですけれども、海外でもそうだと思うんですね。海外で勝手に日本と同じように、国内で同じように使われてしまうという危険性もあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、海外でのこのJISマークの登録商標というんですか、商標登録というこの問題はどういうふうになっているのか。あるいは、その不正使用についての防止とか、それから摘発、そして処罰などのそうした体制というのはどのようにできているんでしょうか。
#87
○国務大臣(世耕弘成君) このJISマークの制度については、昭和五十五年に法改正が行われて、それ以来、海外の事業者も日本国内の事業者と同じように認証が取得できるようになっています。これもある意味ジャパン・ブランドの信頼性の一種なんでしょうか、現在も海外の認証取得者というのは韓国、中国、台湾を中心に九百七十七件に上っておりまして、海外でも高い信頼を得ているというふうに思っています。
 ただ、一方で、今おっしゃるように、不正使用というのもあるわけであります。例えば、平成十六年、中国において、偽のJISマークを表示した自動車用ブレーキ液の模倣品が出回っているという事実が判明をいたしました。このときは、JIS法では残念ながら海外で流通している製品を取り締まることはできないわけでありますので、中国当局に取締りを要請をして、そして中国当局が製造事業者に対して模倣品を出荷停止するための措置を行ったという形でこれは解決をしたわけであります。
 こういった事例が出たことを受けて、平成十六年、またJIS法を改正をいたしまして、このときはJISマークが今のJISマークに変わったんですね。今までの、我々が子供の頃は縦にしゅるっと流れるやつを、これを横にJISと書くようになったことを一つのきっかけにして、JISマーク自身の商標登録を海外において、特にアジアの八か国・地域、韓国、中国、台湾などを中心に八か国又は地域に対して商標登録を行いました。そこから先は、不正使用を発見した場合は、商標の権利に基づいて警告状を送ったり、それに従わないときは訴訟提起を行うということによってJISマークの信頼性を確保するということにしております。
 実際に、平成二十六年、中国において、そもそもこのJISが存在していない、エアニッパーって、何か空気圧で物を切る機械ですかね、それについてホームページやパンフレットにJISマークを載せているという事案が中国でありました。このときは、製造事業者に対して現地の特許事務所から商標権の侵害だということで警告状を発出をして、その結果、事業者はJISマークのホームページやパンフレットの表示を削除したということが起こっております。
 このように、引き続き、海外のJISマークの認証事業者、これはしっかりと拡大をしていきたいというふうに思っていますが、一方で、不正な使用があった場合は迅速に働きかけるということもしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。
#88
○真山勇一君 やっぱり国内だけじゃなくて、まさにグローバル化でデータなんかは動きますので、やはりその辺の体制をしっかりとこれから構築していくこと。特に日本は、その権利意識がどうしても遠慮がちというか、なかなかそういう主張をしない、欧米に比べるとやっぱり差が付いちゃう。やはりこれからその点も欧米に伍してやっていくということが必要じゃないかというふうに思っております。
 そういう意味の知財競争の点からまたお伺いしたいんですけれども、特許についてなんですね。
 お配りした資料を見ていただきたいんです。国際特許の出願件数というんですけれども、これ、見出しでお分かりのように、中国が二位にということですね。そして、三年以内にはアメリカを抜いてトップになります。これ、二〇一七年の統計なんですが、一番下、左下の折れ線グラフを見ていただけるとお分かりのように、青の米国、それから緑の日本、そして一番下から急激に上がってくるのが中国で、これが二〇一七年、ついに日本を追い抜いてしまったということなんですね。
 そのために、例えば特許料を少し今回下げる、半分にするというような措置もとられているわけですけれども、この辺の、中国のこの急激な伸び、日本はやはりどちらかというと、頭打ちとまではいかないけど伸びが鈍くなっている、それでもう間もなく中国はアメリカを抜くんじゃないかというふうに言われているんですけれども、日本が少し伸び悩んでいる、この辺の原因、根本的な原因というのはどこにあるというふうに感じられていますか。
#89
○政府参考人(宗像直子君) 中国で大幅に出願が伸びている一方、日本が伸び悩んでいる原因ということでございますけれども、まず中国につきましては、国の経済成長とともに企業の経済活動も活発になっておりまして、企業の数も一億社ほどあるということでございますので、そういった意味で、国の規模に合った形での出願の増加というのがあるかとは思います。政策的には、中国は二〇〇八年に国家知的財産権戦略綱要というものを発表しておりまして、企業が知財を創造、活用する主体となるよう推進する、一般市民にも発明、創造を奨励するというようなことがあります。
 これに対しまして、日本の方では、元々出願が多くて対価もあったぐらいだったんですけれども、対価が多かった時期に、その企業の方々に、出願するだけで権利化しないようなものは、なかなかもう出願をたくさんいただいても処理し切れませんので、少し厳選をしていただくというようなことをお願いした時期もございました。
 その後、日本企業の出願、一応下げ止まっておりますんですけれども、日本企業が海外に出願しているものが増えているのに比べて日本国内が横ばっているのは、やはり日本の市場の成長力とか、それに対してむしろ海外の方が伸びていくというようなこともあってそういう出願傾向になっているかと認識しております。
#90
○真山勇一君 日本がちょっと伸び悩んでほかの国に追い付き追い越されるみたいなことがよく言われるんですけれども、その中、にやっぱり教育の問題なんかもよく言われますね。やはり若い人たちのそういう人材を育成しなくちゃいけないということもあるかと思いますけれども、今御説明あった国の規模、これ確かに中国とちょっと日本じゃ国の規模が違うんで、やはり経済の状態によって、今、中国は大きく伸びてきているというのはよく分かりました。日本もやはり、でもこれからも何とか伸びていかなければ世界の中で戦えないんではないかという、そういうちょっと懸念から伺ってみました。
 時間がちょっとなくなりましたので、少し、申し訳ありません、飛ばさせていただいて、今日おいでになっているのでちょっと伺いたいんですが、こうして知財がグローバルに流れていくと、やはりそれぞれの海外、外国でいろいろ訴訟沙汰、裁判沙汰になるわけですよね。
 そうすると、例えば司法関係者というのが最新のそうした知識を持ち合わせていないとなかなか対応が難しいんじゃないかというふうに思うんですけれども、例えばこうした国際的な知財の動きに対する訴訟などの場での裁判、そんなときに、司法、法曹の場、そういうところでこうしたことの新しい知識なり新しい傾向を捉えての裁判ができるような、可能な、例えば司法修習のときにそういう教育課程をちゃんと入れるとか、そうしたことを考えていらっしゃるのかどうか。それから、あとは教育の問題。先ほど私申し上げましたけれども、例えば、そういう意味では、司法試験を目指す法科大学院なんかでもこういう新しい分野の法律に対応できる若い人たちをつくるような、そんな対応というのはなっているのか、できているのか、伺いたいと思います。
#91
○政府参考人(瀧本寛君) お答え申し上げます。
 法科大学院につきましてですが、司法が二十一世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立することを目的とするプロセスとしての法曹養成の中核でありまして、国際競争の激化する知的財産分野を始め、社会の様々な分野に対応できる特色ある教育活動を展開することが期待されています。
 こうした期待を踏まえまして、各法科大学院では先端的な法領域に関する科目の充実が図られておりまして、平成二十九年度には、全ての法科大学院において知的財産に関する科目が開講され、その中には国際的な案件の処理を念頭に置いた教育内容も多数含まれております。文科省では、各法科大学院が社会の変化に対応しながらそれぞれの特色を生かして多様な教育を行い有為な人材を育成、輩出できるよう、めり張りある予算配分などを通じて引き続き支援をしてまいりたいと思っております。
#92
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 社会経済の高度化やグローバル化の進展を受けまして、我が国の法曹有資格者の活動領域は知的財産など専門的知見を要する分野に広がり、また、国境を越えた紛争にも広がるなど、知財分野や国際分野における法曹の一層の活躍が期待されております。このような観点からしますと、委員御指摘のとおり、今後、これらの分野に幅広く対応できる多様かつ専門的な法曹人材を養成し、その専門性が有効に活用されていくことが重要であると認識しております。
 法科大学院を中核といたします現行の法曹養成課程におきましても、先ほど文部科学省から説明がございましたように、法科大学院において知的財産法に関する科目や国際的な案件への対応を扱う科目も開講されているほか、司法試験におきましても、これらの科目を含む専門的な法律の分野に関する科目を論文式試験の選択科目として設けております。
 また、司法修習におきましても、選択型実務修習の中で、裁判所の知財関連の事件を専門的に取り扱う部署における修習や渉外業務を取り扱う弁護士事務所における修習などが行われていると承知しております。もちろん、法曹としての必要な専門的知見等の涵養におきましては、法曹となった後の各自の自己研さんや経験の蓄積等も重要であると考えているところでございます。
 なお、法務省といたしましては、日本企業の海外展開を支援する観点から、東南アジア諸国に弁護士を派遣し、知財の紛争解決に関係するものを含む現地の法律の運用や法的問題の実情等の調査を行い、その結果を公表するなどしてきたところでございます。
 法務省といたしましては、知財などの専門的知見を持ち、国際的な紛争の解決に関わる人材も含めまして、優秀かつ多様な法曹人材を数多く輩出できるよう、文部科学省とも連携して必要な取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。
#93
○真山勇一君 時間が来ておりますので終わります。ありがとうございました。
#94
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 加計学園の獣医学部新設をめぐって、昨日、愛媛県から新しい文書が提出をされました。この文書が事実ならば、安倍総理が一年にわたって国会の中で虚偽の答弁を繰り返していたということになります。立法府と行政府の信頼関係が問われる重大な問題です。柳瀬元総理秘書官、加計孝太郎氏の証人喚問を速やかに実現をしなくてはなりません。真相の徹底究明は最優先の課題だということを述べて、質問に入りたいと思います。
 政府が二〇一七年六月九日に閣議決定をした未来投資戦略二〇一七は、AIやIoTなどの新たな技術革新、ビッグデータを活用した新ビジネスが今後の日本の産業競争力の源泉になるとして、データ利活用基盤の構築、徹底したデータ利活用に向けた制度整備をその柱として掲げました。
 これを受けて、今回の一連の法案では、知的財産や標準分野において、データの流通、利活用のための環境整備を行うとしています。不正競争防止法案は、IDやパスワードなどで管理をされ、会員向けに限定してデータの提供を行う限定提供データの定義を新設して、悪質性の高い不正取得、使用などに対する差止め請求権を創設するとしています。
 お配りしている資料の一を御覧ください。データの利活用、保護に関連する取組の全体像を示した表になります。2の部分は、先日議論をした生産性向上特別措置法に当たる部分になります。未来投資戦略では、データ利活用の課題として、パーソナルデータの流通、活用を進める仕組みであるPDS、パーソナルデータストアや情報銀行、データ取引市場を明記して、観光や医療、介護、ヘルスケアなどの分野における官民連携実証事業を推進するとして個人情報の取引市場を具体的に想定をしています。
 今回議論をする不正競争防止法案の部分は、この3のところに当たります。データの利活用促進については、二〇一六年に官民データ活用推進法が制定をされて、二〇一七年に策定をされた官民データ活用推進基本計画に基づいて、公共データのオープン化が二〇二〇年までを集中取組期間として推進をされています。公共データの棚卸しや重点分野を中心に、官民対話の場となる官民ラウンドテーブルを設置をして、民間事業者のデータニーズの把握やビジネスモデルの提案などが進められています。
 そこで、生産性向上特別措置法の議論の中でも、一回目の官民ラウンドテーブルについて取り上げてお聞きをしました。今日は二回目の官民ラウンドテーブルについてお聞きをしたいんですけれども、この二回目は、三月二十七日に、インフラ、防災・減災、安全・安心分野におけるデータ活用をテーマに開催をされています。この中で、株式会社パスコ、主な株主はセコムだそうですけれども、このパスコが提案をしている内容について概要を紹介してください。
#95
○政府参考人(矢作友良君) お答えいたします。
 平成三十年三月二十七日に開催された第二回オープンデータ官民ラウンドテーブルにおきまして、株式会社パスコからは、交通事故位置情報、それから自動車の急ブレーキ情報について公開の希望がございました。また、あわせて、防犯上の課題等はあるものの活用する意義が非常に高いとして、小中学校の通学路情報についても希望がございました。
 同社からは、これらの情報を組み合わせることで、交通事故の多発地帯が特定できるだけでなく、事故は発生していないものの危険な場所が分かり、安全な通学路の設定、見直しができるなど、今まで以上に子供たちの安全、安心につなげることが可能となるとの説明がございました。
#96
○岩渕友君 結果の概要を公表されているんですけれども、それを見ると、提案されたものが実現をすれば、車両の自動走行社会に向けたキラーコンテンツとなる可能性も秘めているということも書かれていました。
 それで、今説明をいただいたように、通学路の情報を公開してもらえないかという提案があって、これを受けたのは文部科学省なんですけれども、文科省が、機微な情報も含まれることを踏まえると、通学路に関する情報を持っている教育委員会や学校に一方的に公開しろというのは難しいといった回答があったようです。さらに、教育委員会、学校、保護者等、関係者の理解を得ることが必要であり、まずは公開実績を積み重ねる中で成果を示し、横展開することが有効なのではないかということも見解として述べられているんですね。
 先日、新潟で小学生の児童が殺害をされるという非常に痛ましい事件が起きました。こういうことを考えると、この通学路の情報を出せということは非常に心配だなというふうに思ったわけなんですけれども、大臣はこうした提案、どのように感じていらっしゃるでしょうか。
#97
○国務大臣(世耕弘成君) 一般論として、事業者などにとって分かりやすい形でデータをオープン化することによっていろんなサービスを提供するというような機会を創出するということは、これは重要な取組なんだろうというふうに思っています。ただ、一方で、データの種類によっては公開になじまないというものもあるのは事実だというふうに思っています。
 今委員御指摘の民間企業の提案については、これは、通学路情報と交通事故情報を重ね合わせることによって通学時の交通安全を確保するサービスを創出できないかというアイデアを念頭に置いたものだというふうに認識をしています。これは確かに傾聴に値する話だと思います。あるいは、まさに先ほど新潟のお話をされましたけれども、あのニュースなどを見ていると、やはり、ふだんからこの辺は危ないというようなところもあるから、そういう情報を共有して子供たちの安全を守るというのも一つあり得るのかもしれないと思います。
 ただ、一方で、文科省も指摘をしているとおり、そういったデータを万人が見れるような形で広く公開するに当たっては、やはり関係者の理解とか安全性のチェックとか、そういったことは必要だというふうに私も思います。この点については、現在内閣官房のIT室において慎重に議論がなされているというふうに思っています。
 経産省としては、この制度の運用や法人情報のオープン化なども積極的に活用しながら、安全性に配慮しながら事業をつくり出すことに貢献するような官民データの共有を進めていきたいというふうに思いますが、安全の配慮も忘れてはいけないというふうに思っております。
#98
○岩渕友君 安全に配慮ということなんですけれども、パスコが当日示した資料の中には、オープンデータ化に向けて幾つかの課題があるということで、データが悪用できてしまう、情報公開による防犯上の安全対策、これが課題だということ書かれているんですね。さらには、今年の二月にグーグルのストリートビューで探した高級住宅街で空き巣が繰り返された事件についても自身で紹介しているんですよね。
 データの利活用というんですけれども、安全、安心が脅かされるようなことがあっては断じてならないと指摘しなくてはなりません。この不正競争防止法案は、限定提供データの定義を新設して、悪質性の高い不正取得、使用などに対する差止め請求権を創設するとしています。
 資料二を御覧ください。これは、どんな場合に不正競争行為の対象になるのかということを示した図なんですけれども、IDやパスワードなど技術的な管理手段を破る行為には、不正アクセス禁止法、窃盗罪など、既にある法令による対応が可能です。また、不正取得者や転得者には、民法の債務不履行や不法行為責任に基づいて損害賠償を請求することもできます。
 現行法の下でもこれ対応は可能なのではないでしょうか。
#99
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 今回の法改正を検討いたしました審議会、産業構造審議会の不正競争防止小委員会でございますが、こちらでの議論でありますとか、あるいは事業者からのヒアリングの過程では、データの不正取得、不正使用等への対応策に関しまして、御指摘のございました不正アクセス禁止法でありますとか、あるいは民法の不法行為や契約法などによる対応も考えられるのではないかという指摘もございました。
 まず、不正アクセス禁止法についてでございますが、御案内のとおり、同法には不正アクセスに対する刑事措置しか規定されてございません。データの不正な流通に対する実効的な救済措置がないという、こういう課題があるわけでございます。
 続きまして、民法の一般原則による対応についてでございますが、これにつきましては、データの不正な流通といった不法行為に対する差止めは原則として認められません。また、契約に基づく差止めは直接の契約当事者にしか適用できないといった限界も指摘されているところでございます。
 こうした現行の法制度の限界、あるいはその制約に加えまして、知的財産戦略本部新たな情報財検討会におきまして、新たな不正競争行為の追加等の方向で検討を進めることが適当であると取りまとめられたことを踏まえまして、審議会において検討を重ねました結果、今般、不正競争防止法を改正させていただくということにさせていただいたところでございます。
 具体的には、御指摘ございましたように、アクセス権限のない者による不正取得行為や、業務委託等を通じて正当にデータを取得した権限のある者による横領、背任に相当するような不正使用行為など、悪質性の高い行為に限って不正競争行為に位置付けまして、民事上の救済措置を導入することとさせていただいたところでございます。
 以上でございます。
#100
○岩渕友君 日本経団連は、二〇一七年の十一月二日に、不正競争防止法改正について、取得時に善意の転得者の使用、提供行為については基本的に不競法の対象とすべきではない、図利加害目的の意味するところが判然とせず、広く解釈されることが懸念される状況では、不競法に基づく係争を過剰に誘発する可能性があることから賛成できないというコメントを行っています。
 こうした懸念は払拭されたんでしょうか。
#101
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 今回導入させていただきます新たな制度の検討に当たりましては、平成二十八年十二月から合計十五回の審議会を開催いたしまして、データの提供者と利用者の双方に御参画いただき、議論を重ねていただいたところでございます。そして、審議会における検討の取りまとめに先立ちましてはパブリックコメントを実施し、様々な立場の方から幅広く御意見を求めた上で、データの提供者と利用者の双方の保護のバランスに配慮した制度設計をさせていただいたところでございます。
 そうした過程におきまして、データの提供者側からは、データは複製や転送が容易でありますため不正取得や不正使用などへの対抗手段がないと安心して外部にデータを提供できないという指摘がございました。その一方で、データの利用者側からは、データの利活用に萎縮が生じないように、不正競争行為の範囲はできるだけ限定、明確化すべきといった御意見もいただいたところでございます。
 これらの御意見も踏まえまして、今回提出させていただきました改正法案では、先ほども御答弁申し上げましたとおり、悪質性の高い行為に限りまして不正競争行為として位置付けまして、民事上の救済措置を導入することとさせていただいたところでございます。
 これは、データの不正流通に対する安全弁、必要最小限の措置といたしまして、御指摘もございました経済団体あるいは関係する業界団体の関係者からも相当程度御理解をいただいておりまして、新たな制度の導入によりまして、データ利用者の正当な事業活動が萎縮するとか、あるいは訴訟リスクが不当に高まるといったことはないものと、このように考えてございます。
 改正法の施行に当たりましては、どのようなデータが限定提供データとなり、またどのような行為が不正競争行為に該当するかといった点など、制度全般の具体的内容につきまして、現場の実務を踏まえた分かりやすいガイドラインを策定、公表することといたしております。制度に対する理解の不足や誤解によってデータの利活用に萎縮効果が生ずることのないように、その周知に努めていきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
#102
○岩渕友君 日弁連は、二〇一七年十二月二十一日に、中間報告案に対する意見書で、不競法にデータに関わる不正競争行為類型を追加して差止め請求権などの救済措置を設けることについては、必要最小限の規律を設けることを基本方針として、慎重な検討がされるべきだと。善意でデータを取得した者が事後に不正行為の介在について悪意となった場合、当該取得者によるデータの使用、提供行為は、その基となった契約による権限範囲の内外を問わず、不正競争とされるべきではないと。この点に関する中間報告案には反対だというふうに述べています。
 こうしたいろいろな話を聞いていくと、新たな規制を講ずべき立法事実はないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、日本印刷産業連合会は、二〇一七年十二月二十七日に、中間報告案に対する意見として、現状では該当する行為がどの程度発生しているか不明であり、立法事実の積み重ねが十分になされていないと、こういう指摘も行っているんですね。
 不正競争防止法案は、生産性向上特別措置法のデータ共有、連携制度と一体のものです。脆弱な個人情報保護制度の下で利活用を促進するということは、個人のプライバシーを脅かす深刻な人権侵害をもたらしかねないものです。
 EUでは、五月二十五日から一般データ保護規則が施行されると。ここでは、忘れられる権利、データポータビリティー、プロファイリング、重要な権利について規定をされています。日本の個人情報保護法ではこれらの権利について明文で規定されているのかと、これ生産性のときにも聞きましたけれども、個人情報保護委員会からは、同様の趣旨に沿ったそれぞれの規定があると答弁あったんです。
 それで、資料の三を見ていただきたいんです。これは、経済産業省の新産業構造ビジョンの資料です。データに関する各国の基本戦略が書かれているんですけれども、これは、経団連が今年の五月十五日に出しているデジタルエコノミー推進に向けた総合的な国際戦略の確立を、この中にも同じ資料が使われています。日本のところを見ますと、紫で囲ってありますけれども、個人データについては一般的な保護だとある。個人情報保護委員会は同様の趣旨に沿った規定だと言うけれども、経済産業省は違うということを指摘しているわけなんですよね。結局は、EUの規定とは似ても似つかない内容になっているということを指摘しなくてはならないと思います。
 次に、JIS法案についてお聞きをいたします。
 JIS制度は、認証事業者の約八八%を中小企業が占めています。中小企業の品質管理能力の向上や事業機会の確保に役立ってきました。JISは鉱工業製品の公的な規格ですけれども、今回の改定でその対象にサービスを追加するとしています。サービス分野の標準化というのはどういう分野そして業態を想定しているのか、お答えください。
#103
○政府参考人(末松広行君) お答えいたします。
 改正JIS法案に定義規定がございまして、「この法律において「産業標準化」とは、次に掲げる事項を全国的に統一し、又は単純化することをいい、「産業標準」とは、産業標準化のための基準をいう。」というふうになっております。
 今回でございますが、サービス分野につきましては、農林物資の販売その他の取扱いに係る役務を除くという限定が付きますが、十号として役務の種類、内容、品質又は等級、十一号として役務の内容又は品質に関する調査又は評価の方法、十二号として役務に関する用語、略語、記号、符号又は単位、十三号として役務の提供に必要な能力というものが追加されているということでございます。
#104
○岩渕友君 もうちょっと具体的に答えてほしかったなというふうに思うんですけれども、衆議院の議論の中では、想定しているサービス分野や業態というのは非常に広いんですと、それで、例えば、シェアリングエコノミー関連サービスなど、規制が整備されていない中で規範的な役割を果たすいわゆるソフトローとして標準を整備することによって市場の健全な発展が見込めるような新たなサービスですというような答弁も行われています。
 シェアリングエコノミーも入っているということになるわけなんですけれども、このシェアリングエコノミーの定義はどうなっているでしょうか。
#105
○政府参考人(矢作友良君) お答えいたします。
 内閣官房でシェアリングエコノミーの健全な発展に向け必要な措置を検討するため、有識者で構成されるシェアリングエコノミー検討会議を平成二十八年七月から開催し、同年十一月に中間報告を取りまとめたところでございます。
 この報告書におきまして、シェアリングエコノミーは、様々な分野で新たなサービスが開発され登場する途上にあり、現時点で一義的に定義を行うことは困難であるとし、便宜的に、シェアリングエコノミーとは、個人等が保有する活用可能な資産等、これはスキルや時間等の無形のものを含むとなってございますが、これをインターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動と捉えることとされてございます。
 以上でございます。
#106
○岩渕友君 今のシェアリングエコノミーの定義はそうだと。
 それで、JISをソフトローとして活用するということなんですけれども、ソフトローの定義というのはどういうふうになっているでしょうか。
#107
○政府参考人(末松広行君) ソフトローについて法律上の定義はJIS法にはございませんが、百科事典によれば、ソフトローとは、主として国際法上の概念で、拘束力が穏やかな法ないし実質的に何らかの法的拘束力のうかがえる非法的機関のことを指すとされております。
 これを国内の文脈で申し上げれば、ソフトローとは、JISなどの標準のように、規制が整備されていない中で法的な拘束力はないという前提で規範的な役割を果たすようなルールということも言えるのではないかというふうに考えております。
#108
○岩渕友君 新たなサービス分野の準則的な役割をJISに担わせようとするものです。
 二〇一七年十月十一日、産業構造審議会は、「今後の基準認証の在り方 ルール形成を通じたグローバル市場の獲得に向けて」と題した答申を出しています。この答申によれば、JIS法の改定でその対象をサービスに拡大することについて、新たなサービス業態に関して、何らかの規制が講じられる前段階から規範的な役割を果たすいわゆるソフトローを整備することにつながり、技術の社会実装を迅速に行うなどの効果が見込まれるというふうにあります。
 シェアリングエコノミーですけれども、利用者の自己責任を原則としたPツーP、不特定多数個人間取引であり、業法によって安全性や信頼性が担保されたものではありません。JISでは業法のような規制の役割は果たせないし、トラブルの抑止にはつながりません。ところが、これでは国のお墨付きを与えて促進するということにつながりかねません。
 生産性向上特別措置法の審議では、ライドシェアが論点の一つとなりました。参考人質疑で陳述をされた川上参考人から、シェアリングエコノミーという名の下に、仲介サイト企業は労働者に対する雇用責任、利用者に対する安全責任を負わずに莫大な利益を上げる一方で、労働者は個人事業主と位置付けられ、労働法上の権利を否定されて、あらゆるリスクを背負わされているということが指摘をされました。
 ライドシェアは、元々、道路運送法で禁止をされている白タクを経済産業省がグレーゾーン解消制度を使って相乗りマッチングサービスとして認めているものです。この衆議院の議論では、例えば、ライドシェアについて、事業所管官庁はどこになるのかという質問に対して、JISの制定について主務大臣は決まっていないというようなやり取りがありました。業法がなくて、主務大臣も決まってはいないと。
 では、このマッチングの場を提供する事業者、すなわちプラットフォーム事業者に対する規制はあるのでしょうか。
#109
○政府参考人(前田泰宏君) お答え申し上げます。
 シェアリングサービスのためのマッチングを行う事業そのものに対する規制は、現在ないものであるというふうに認識しております。シェアリングエコノミーは、先ほど御答弁ございましたけれども、ある特定の業種に限定されない概念でございますので、平成二十八年七月に内閣官房で検討会が立ち上げられまして、シェアリングエコノミーの健全な発展に向けたルールの整備、CツーCサービスの特性を踏まえた安全性、信頼性の確保、消費者が安心して利用できる仕組みの構築等の議論が行われ、自主ルールの整備が重要であるという中間報告を受け、さらにシェアリングエコノミーにおけるマッチングプラットフォーム事業者が遵守すべき事項を規定したモデルガイドラインができ上がっております。
 そのモデルガイドラインですけれども、シェアリングエコノミー協会というのがシェアリングエコノミー認証制度を平成二十九年六月から開始し、その認証制度は、一定の安全、安心の仕組みが担保されたシェアリングサービスの差別化を図るということで、現在、十八のシェアリングサービスが認定を受けたというふうに聞いております。
 経済産業省といたしましては、業法による規制はないものの、民間による自主的な取組を通じたシェアリングエコノミーの健全な発展を内閣官房と連携しつつ、必要に応じて後押ししてまいりたいというふうに考えております。
#110
○岩渕友君 大臣にお聞きをするんですけれども、今答弁にあったように、政府はシェアリングエコノミー推進しているわけですよね。けれども、業法も作らずにJISに肩代わりをさせて、主務大臣が誰になるのか、誰が責任を持つのかということもはっきり決まっていないということなんですよね。
 政府がこういう下でこのシェアリングエコノミー推進するということは、そしてこれをJIS化するということは、業法も利用者保護のルールもない自己責任のサービスに国がお墨付きを与えるということになると。これは、JISに対するこれまでの国民の信頼を揺るがして、JISの価値を曖昧にすることにつながるんじゃないでしょうか、大臣。
#111
○国務大臣(世耕弘成君) JISは、品質の改善ですとか生産合理化、あるいは取引ですとか消費の合理化の目的で、法律に基づいてそれぞれの主務大臣が制定する国家規格であるわけですから、それ自体は規制ではなくて、あくまでも任意の制度であります。ですから、シェアリングエコノミーのようなサービスも含め、技術の進歩ですとか業界の発展に迅速かつ柔軟に対応した規格を制定することで、新たなサービスや製品の市場の健全な発展に寄与できるものだと考えています。
 一方で、JISはあくまでも任意の規格であって、そのサービスが国民の生命、安全などに関わるおそれがあるような場合は、当然法律で規制が行われるわけであります。あの民泊もシェアリングエコノミーの中の一つでありますけれども、民泊は今法律によるルールが制定をされているわけであります。それとは別に、やはりこのJISによって品質を保証することによって、国民が安心してこういったサービスを活用できるという面があるんだろうと思っております。
#112
○岩渕友君 本当に国民が安心して利用できるということになるのかなというふうに思うんですね。先ほども言ったように、業法を作らない、JISにも肩代わりさせるということでね。
 それで、大臣に更にお聞きをしたいんですけれども、このJISの対象からシェアリングエコノミーを除外するべきではないでしょうか、どうでしょうか。
#113
○国務大臣(世耕弘成君) 全くそうは考えておりません。サービスに当たるものは、きっちりJISで求められれば、あくまでも任意の制度ではありますけれども、求められれば、サービスの一種であるシェアリングエコノミーサービスについても認証をしていくということは十分あり得る話だと思っております。
#114
○岩渕友君 シェアリングエコノミーは、先ほども述べましたように、労働者を個人事業主と位置付けるという大きな問題点があります。ライドシェアを例に見ると、先ほども述べたように、サービスを提供するプラットフォーム事業者は自由な働き方をうたってドライバーを集めて、全てのドライバーは個人事業主だということになります。だから、車に係る経費であるとか事故の補償などはドライバーの自己責任、自己負担になります。事故や病気などで働けなくなった、そういうときの休業補償も労災もないし、各種社会保障制度への組入れなどもありません。個人事業主ということで、労働組合による団体交渉で労働条件の改善を求めることもできないということになっています。
 このような状況に対して海外ではどうかというと、ドライバーの労働者性を問う裁判が多数起こされております。生産性向上特別措置法の参考人質疑で、川上参考人がアメリカであるとかイギリスでの裁判例を紹介しておられました。裁判の結果、労働者性が認められて、最低賃金であるとか有給休暇の支給などが命じられています。
 フランスでは労働法が改正をされて、プラットフォーム事業者の社会的責任が定められました。独立行政法人の労働政策研究・研修機構が発行している日本労働研究雑誌というのがあるんですけれども、二〇一七年十月号にも、フランスでは労働法が改正をされてプラットフォーム事業者の社会的責任が定められたということが書かれているわけなんですよね。
 一方、日本はどうかというと、何の対応もされていません。そして、プラットフォーム事業者は、ドライバーの労働力によって利益を上げているにもかかわらず、雇用主であれば本来負担するはずの雇用保険、労災保険その他社会保障費などのコストを一切負担せずに、何ら雇用責任を果たさなくていいと。政府は、シェアリングエコノミー促進室を設置して、業界団体やプラットフォーム事業者の人をシェアリングエコノミー伝道師に任命をするなど、シェアリングエコノミーをどんどん広げようとしています。けれども、労働者は個人事業主と位置付けられて、労働法制の適用外となって外に放り出される、不安定な地位に置かれるということになります。
 これだけ問題があるシェアリングエコノミーをJIS化するということは、国がお墨付きを与えることになり、認めることはできません。このことを申し上げて、質問を終わります。
    ─────────────
#115
○委員長(浜野喜史君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中川雅治君が委員を辞任され、その補欠として朝日健太郎君が選任されました。
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#116
○石井章君 日本維新の会、石井章、不正競争防止法等の一部を改正する法律案につきまして、通告に従いまして質問いたします。
 まず、今、ビッグデータを制する者が世界を制すると言われておりますけれども、今日の我々の経済や経営、生活、思考方法など、その全てに大きな変革が到来しております。それが全てビッグデータと言っても過言ではありません。
 二〇一七年十二月における株式時価総額の世界ランキング、これはもう前回の委員会でも質問いたしましたけれども、一位がアップル、二位がグーグル、三位がマイクロソフト、四位アマゾン、五位フェイスブックとなっております。トップのアップルの時価総額は八千六百八十八億ドル、膨大なものでありますが、先日来の委員会で私が質問した中で、特に中国のベンチャーでありますアリババが八位に付けておると。その時価総額が四千三百六十一億ドルとなっております。対して、我が日本の企業は、辛うじて四十二位にトヨタが入っているという状況であります。このように、時価総額で見れば、上位全てがプラットフォーマーと呼ばれるビッグデータを収集、確保している企業ということになります。
 また、米国の世界的な調査会社IDCが二〇一六年十月に公表しました世界のビッグデータ市場においてのリサーチでは、その市場は二〇二〇年に二千三十億ドルに到達する見込みであり、年平均一一・七%という二桁成長が続くということであります。しかし、日本国内の二〇二〇年のビッグデータ市場予想額は二千八百八十九億円とされていて、そのシェアは世界全体の約一・五%にしかすぎないという残念な予測もされております。
 まさに、今後のビッグデータの利活用の成否が、我々の想像以上に今後の我が国の世界市場におけるポジションを決めると言っても過言ではないと考えます。
 そこで、今回の不競法の改正案によって新たに定義される限定提供データと既存の営業秘密について、どのように利活用するのかという点に加え、技術流出をどう防ぐかという点から、いろんな問題について、オープン・クローズ戦略とも絡めて、今後の日本の産業競争力に多大な影響を及ぼす非常に重要なテーマであると考えておりますけれども、ここで大臣にお伺いいたします。
 協調領域にある限定提供データを武器に、コネクテッドインダストリーズの推進によりまして日本の産業競争力の強化を図るという展望をお持ちであると思いますけれども、まず一点目、今回の不競法改正によって、逆にデータの利活用をちゅうちょ、萎縮させる可能性を指摘する意見も存在しておりますけれども、その点についてのお考え、まず一点。
 そして、もう一点ですが、我が国がビッグデータ利活用を飛躍的に推し進めるとともに、ビッグデータの利活用におけるルール作りで米国や中国を始めとする各国との協調を図り、調和の取れた国際ルール形成に先導的な役割を務めていくための戦略等について大臣にお伺いいたします。
#117
○国務大臣(世耕弘成君) 第四次産業革命の下で、企業の競争力の源泉はまさにデータあるいはそのデータを用いたサービスへ移り変わりつつあるわけでありまして、世界的に見てもこのデータの重要性というのはますます高まっています。
 こうした中、今回の不競法の改正は、データの不正流通への対抗手段を措置をして、そして安心、安全なデータの利活用環境を整備するものであります。
 今回、改正するに当たっては、データを利用する側からは、データの利活用に萎縮が生じないように不正競争行為の対象を限定、明確化すべきだという御意見をいただきました。一方で、データを提供する側からは、やはりデータは複製とか転送が容易であるので、不正取得とか不正利用への対抗手段がないと安心してデータを提供できないという御指摘をいただいたところであります。この両方の御意見をしっかり聞いた上で、データの提供者と利用者のそれぞれの立場の方に参画をいただきながら議論を重ねた結果、データの不正流通に対する安全弁となる、正当な事業活動を阻害しない範囲で必要最小限の措置として、データの不正取得などに対する民事上の差止め制度を創設するということにしたものであります。
 制度の施行に当たっては、どのようなデータが限定提供データとなり、どのような行為が不正競争行為となるかなどについて、これはもう分かりやすいガイドラインをしっかりと策定をして明確化をしたいというふうに思っております。いわゆる誤解に基づく萎縮効果が出るようなことがないようにはしたいというふうに思っています。
 また、データ利活用に向けた国際的なルール形成は非常に重要でありまして、不競法改正でこれまさに世界に先駆けた制度を整備することになるわけでありますので、日本において協調領域に属するデータの複数の企業での共有、利活用が進むことを期待しておりますし、当然、このデータのやり取りが国境を越える時代でありますから、データ利活用における国際協調は重要性が増すと考えておりまして、この新たな制度についても、アメリカやEUを始めとする主要国に対して、引き続きその趣旨、内容について情報発信を行ってまいりたいと思います。
#118
○石井章君 ありがとうございます。
 コネクテッドインダストリーズの実現には、協調領域に属するデータを囲い込ませず、積極的に市場に流通させ、そのデータの適切な利活用を促すことが非常に重要であります。そのためには、データ提供者が安心してデータを提供でき、またデータ利用者が安心してデータを利活用できる、そのための適切な流通環境の整備が不可欠であると考えます。今大臣おっしゃったようなことをやっていくことが大変必要だと思います。
 そこで、不競法の改正に加えまして、データの適正な流通及び利活用を促進するためのデータ契約ガイドライン、更なる活用や、データ提供者との利用間における契約についても一層の精査、推進が必要と思われますけれども、政府はこうした点に属する環境整備や支援について具体的にどのような取組を進めていくのか。大臣から先ほどお伺いしましたけれども、また、私の例えば地元などは中小零細企業しかありませんので、知的分野などの専門にした法務部門などを持つ会社は皆無に等しいわけであります。その中で、中小企業がデータ利活用によるビジネスで商機を見出すとともに、合法的なデータの使用に際するガイダンスなどの政府のサポートが必要と考えますが、どのような方策を具体的に考えているのか、お伺いします。
#119
○政府参考人(前田泰宏君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、データを提供する者と利用する者の間で安心をして契約が結ばれるということは非常に重要でございまして、平成二十九年五月、データの利用権限に関する契約ガイドラインを作りました。現在、昨年の十二月から抜本的な見直しを行っておりますけれども、具体的に申し上げればポイントは三点です。
 一つは、自動走行、モビリティーサービス等の、今大臣から申し上げましたようなコネクテッドインダストリーズの重点的な分野を五つに絞って、それについて具体的な事例を取り上げて、そのユースケースを充実をしていくという点が一点。それから、データの点と、それと事業者の方から最近は人工知能のAIに関する問合せが非常に多くなっておりますので、データ編とAI編、両方ともこれをどのような契約関係があるのかということも整理をしております。
 この六月にこれを取りまとめまして普及をしていきたいというふうに思っておりますけれども、実は、例えばAIの開発に関して、委員御指摘のように、中小企業の方から問合せのあったケースなんかもございます。六月にガイドラインがまとめられましたら、中小企業の方々にも分かりやすく、商工会議所等々の説明会を通じまして普及に努めてまいりたいというふうに考えております。
#120
○石井章君 ありがとうございます。
 それじゃ、JIS法の改正についてお伺いいたします。
 今回のJIS法の改正案では、認証を受けずにJISマークの表示を行った、あるいは使った法人に対する罰金刑が上限を一億円に引き上げると。先ほど真山委員の方から百倍に上がったという御指摘がありましたけれども、私は一億円でも低いんじゃないかと思う立場の人間でありまして、この改正は、最近の神戸製鋼所あるいは三菱マテリアルの子会社などによりますデータ改ざん事件を念頭に置いたものと認識しておりますけれども、この罰金刑の引上げによりまして不正の抑止効果はどの程度高まるのか。また、その中身は、JIS基準に違反したものとしても全てが罰則の適用を受けないことになっております。間接的な心理効果を期待しているのではないかと思いますが、罰金一億円という額についてもまだ少ないというような意見もあります。実際にこの改正でどの程度の効果が上がると政府は考えているのかをお伺いいたします。
#121
○政府参考人(末松広行君) 今先生御指摘のとおり、JIS法においては、事業者が認証を取得せずにJISマークを表示した場合とか、認証を受けた事業者がJISマークの除去・抹消命令などに従わずにJISマークを表示し続けた場合などを罰則の対象としております。罰則の対象となっている場合というのは限られたものでありまして、通常は罰則に至ることなくいろいろなことが進んでいくということでございます。こういうものについて、罰金の上限を百万円から一億円に引き上げるということとしております。
 この罰金の引上げでございますが、確かに両論の声がありまして、厳しいという声と緩いという声がございます。両方あるので、こういうのが一つの考え方ではないかというふうに考えておりますし、また類似法令の効果等を見ると、罰金が引き上がったことによって心理的に遵法意識が高まったというような声も聞いておりますので、こういう額でいいのではないかというふうに思っております。
 ただ、これから引き上がって効果がどうなるかということが分かってくる時期だと思っておりますので、経済産業省といたしましては、このような罰金の上限の引上げによりJIS法遵守の重要性に対する事業者の意識が更に高まり不正行為の抑止につながるということを期待しつつ、この制度の周知、適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
#122
○石井章君 ありがとうございます。
 それでは、特許法の改正について、今回の特許法の改正案では、発明の新規性の喪失の例外期間、いわゆるグレースピリオドを六か月から一年に延長することとされております。グレースピリオドの延長は、TPP国内整備法においても同様に措置がされておりまして、TPP11、アメリカを除く環太平洋経済連携協定でありますけれども、発効されれば実現することになりますが、今回の法案ではそれを待たずに公布の日から十日後に施行することとなっております。
 そこで、TPPの批准を待たずにグレースピリオドの延長を早急に措置しなければならないと考えるその理由についてお伺いいたします。
#123
○政府参考人(宗像直子君) 特許権は、出願まで公表されていない新規性のある発明に付与されることが原則なんですけれども、出願前に研究成果が学会で発表された場合などの救済措置として、例外として六か月以内に出願された場合に新規性を認めております。それが、最近のいろいろな四次革命を始めとする技術革新の進展に伴って、共同研究、産学連携が活発になっておりまして、論文を専門誌の査読前にインターネットで公開するなどの動きも相まって、本人が知らないうちに発明が公開されて新規性を失うというリスクが高まっております。
 そういう中で、TPP交渉で一年ということで合意をしたんですけれども、整備法にも改正規定を盛り込んだのですけれども、アメリカの離脱によってその発効時期が不透明になり、TPP11の協定の発効も各国手続の進捗に左右されるということがございます。そこで、新規性喪失の例外期間がいつ延長されるか施行の見通しが立たないという不安定な状況を解消するために、TPP12やTPP11とは別に、今般の法律改正で速やかに例外期間を延長することといたしたものでございます。
#124
○石井章君 大臣始めそれぞれの御答弁、分かりやすい御答弁、ありがとうございました。これで私の質問を終わりにします。
#125
○委員長(浜野喜史君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#126
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 代表して、不正競争防止法等改正案の反対討論を行いますが、その前に一言申し上げたいと思います。
 国民の共有財産ともいうべきデータが公文書であります。この公文書が改ざん、捏造、隠蔽をされてまいりました。いとも簡単にこの公文書を変造する政府がデータを語る資格があるのか、法案審議できる前提条件があるのか、大きな疑問であります。
 昨日、国会に提出された愛媛県の文書は、総理の友人が経営する学園に便宜が図られ、行政がゆがめられ、私物化をされたことを如実に示すものであります。反証は政府・与党の責任であります。
 一権力者を守るために虚偽答弁が繰り返される、権力者に不都合な公文書は隠蔽され、改ざんされる、これは民主主義ではありません。これ以上、一権力者のために国会が愚弄され、軽視され、その権威を地におとしめられる、これは、この委員会としても、国会としても、与党、野党関係ありません、断固拒否すべきであります。
 それでは、法案の反対理由を述べます。
 第一の理由は、脆弱な個人情報保護制度の下、内外資本の新ビジネス最優先でデータ利活用を推し進めることがプライバシーなどの人権侵害をもたらしかねないからです。
 本法案は、生産性向上特措法と一体的にデータ流通環境を整備するものです。この間、行政機関が保有する個人に関わるデータも含む官民データのオープン化とビッグデータの利活用が促進されてきました。その一方で、個人情報保護ルールは遅れたままです。個人の尊厳の観点から個人情報の自己コントロール権を保障したEUと比べても、極めて脆弱です。たとえ、匿名、非識別加工を施したとしても、データ量が増えれば個人の特定に至る、その危険を一層深刻にするものです。
 第二は、迅速化ありきでJIS制定を民間任せにすることが国民生活や産業活動の基盤となる公的規格への信頼を後退させかねないからです。
 これまでJISを審議してきた日本工業標準調査会では、制定過程の議事録や資料の公開により、専門性とともに客観性や透明性を確保してきました。ところが、民間認定機関の情報公開は、パブリックコメントの募集にとどまります。これでは、JISへの信頼性を損なうのみならず、品質管理能力の向上や事業機会の確保にJISを役立ててきた八割近い中小企業にも悪影響を及ぼしかねません。
 第三は、JISにサービス分野のいわゆるソフトロー的な役割を担わせることで、業法による安全性や信頼性が担保されないシェアリングエコノミーが促進されるからであります。
 政府、経産省は、道路運送法が禁止する白タクを相乗りマッチングサービスとして容認するなど、業法規制もないプラットフォーム事業を野放しにして、無権利、不安定な労働者を生み出しかねないシェアリングエコノミーを拡大しようとしています。標準化による市場獲得の名の下に、JIS化で一見、国のお墨付きを得たように見えても、トラブルの際は利用者の自己責任が原則で、業法のような規制の役割は果たせません。
 七十年掛けて培ってきたJISの信頼の土台を崩すことになりかねない、このことを厳しく指摘し、反対討論とします。
#127
○委員長(浜野喜史君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 不正競争防止法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#128
○委員長(浜野喜史君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、大野君から発言を求められておりますので、これを許します。大野元裕君。
#129
○大野元裕君 私は、ただいま可決されました不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 本法施行後三年を目途として、データの適正な流通及び利活用を促進する観点から、データに関連するビジネスの展開、技術革新の動向等を踏まえ、改正後の不正競争防止法の規定の実施状況について検討を加え、所要の措置を講ずること。また、我が国企業が不利益を被らないよう、諸外国におけるデータ保護制度との整合性の確保に努めること。
 二 データ取引の安全を図り、データ取引の萎縮を避けるため、ガイドラインにおいて、限定提供データに係る不正競争行為の明確化を図ること。特に、保護されるデータの客体、図利加害目的、取引によって取得した権原の範囲等の要件の該当性等について、考え方や具体例を分かりやすく明示すること。また、運用状況を見つつ、適時適切にガイドラインの見直しを行うこと。さらに、本法に基づく新たな制度及びガイドラインについて、十分な周知を行うとともに、特に中小企業者に対して丁寧な説明に努めること。
 三 技術的制限手段に対する不正競争については、試験・研究目的で行われる行為のほか、リバース・エンジニアリングや情報等が不正に取得される疑いがあるときのフォレンジックのために技術的制限手段を無効化する役務等の正当な目的で行われる行為が、その対象外となることを広く周知すること。
 四 限定提供データが適切に管理、保護及び利活用される環境を構築するため、事業者が、従業員に対してデータの適切な取扱いに関する教育・啓発活動を適切に行えるよう支援を行うこと。
 五 サービス分野を始め、新たな分野等の標準化に適切に対応するため、省庁の枠を超えた連携体制を構築すること。また、国際標準化を推進するため、専門人材の確保と育成を図るとともに、国際標準を通じた市場優位性の確保のため、官民が一体となった標準化戦略の立案及び実行に努めること。
 六 認定産業標準作成機関に求める基準を明確に定めるとともに、事前の十分な情報提供に努め、認定された機関が標準化作業を円滑に進めるために必要な支援を提供するよう努めること。
 七 中小企業者に対する特許料等の軽減措置の拡充及びその手続の簡素化については、制度が確実に利用されるよう、中小企業者に対して制度の周知徹底を図ること。一方、負担が増加する者に対しては、全体としての知財活動を縮小あるいは停滞させないよう、十分留意すること。
 八 本法による弁理士の業務範囲拡大に当たっては、新たに対象となる標準化関連業務やデータ関連業務等の知見を有する人材の確保・育成のため、適切な支援を行うよう努めるとともに、適正な報酬の獲得とユーザー側の安心感につながる適切な報酬体系となるよう促すこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#130
○委員長(浜野喜史君) ただいま大野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#131
○委員長(浜野喜史君) 多数と認めます。よって、大野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。世耕経済産業大臣。
#132
○国務大臣(世耕弘成君) ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
#133
○委員長(浜野喜史君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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