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2018/06/12 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 厚生労働委員会 第20号
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2018/06/12 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 厚生労働委員会 第20号

#1
第196回国会 厚生労働委員会 第20号
平成三十年六月十二日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月八日
    辞任         補欠選任
     徳茂 雅之君     小川 克巳君
     中西  哲君     宮島 喜文君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     木村 義雄君     二之湯武史君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     自見はなこ君     羽生田 俊君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         島村  大君
    理 事
                石田 昌宏君
                そのだ修光君
                馬場 成志君
                山本 香苗君
                小林 正夫君
    委 員
                石井みどり君
                小川 克巳君
                大沼みずほ君
                自見はなこ君
                鶴保 庸介君
                二之湯武史君
                羽生田 俊君
                藤井 基之君
               三原じゅん子君
                宮島 喜文君
                伊藤 孝江君
                三浦 信祐君
                足立 信也君
                浜口  誠君
                石橋 通宏君
                難波 奨二君
                倉林 明子君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
       発議者      石橋 通宏君
       発議者      浜口  誠君
   国務大臣
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
   副大臣
       厚生労働副大臣  牧原 秀樹君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       田畑 裕明君
       経済産業大臣政
       務官       平木 大作君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   政府参考人
       法務省入国管理
       局長       和田 雅樹君
       文部科学大臣官
       房審議官     瀧本  寛君
       厚生労働省労働
       基準局長     山越 敬一君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       田中 誠二君
       厚生労働省雇用
       環境・均等局長  宮川  晃君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    定塚由美子君
       厚生労働省保険
       局長       鈴木 俊彦君
       経済産業大臣官
       房審議官     小瀬 達之君
       中小企業庁事業
       環境部長     吾郷 進平君
   参考人
       一般社団法人日
       本経済団体連合
       会労働法制本部
       上席主幹     布山 祐子君
       日本労働組合総
       連合会会長代行  逢見 直人君
       株式会社ワーク
       ・ライフバラン
       ス代表取締役社
       長        小室 淑恵君
       弁護士
       日本労働弁護団
       幹事長      棗  一郎君
       全国過労死を考
       える家族の会代
       表世話人     寺西 笑子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇働き方改革を推進するための関係法律の整備に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
〇労働安全衛生法の一部を改正する法律案(石橋
 通宏君外五名発議)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(島村大君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、中西哲君、徳茂雅之君及び木村義雄君が委員を辞任され、その補欠として宮島喜文君、小川克巳君及び二之湯武史君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(島村大君) 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹布山祐子君、日本労働組合総連合会会長代行逢見直人君、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長小室淑恵君、弁護士・日本労働弁護団幹事長棗一郎君及び全国過労死を考える家族の会代表世話人寺西笑子君でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず布山参考人にお願いいたします。布山参考人。
#4
○参考人(布山祐子君) 経団連労働法制本部の布山と申します。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、参考に、経営労働政策特別委員会報告、こちらをお配りしておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 私からは、政府の働き方改革関連法案に賛成する立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 今、社会全体にAIやビッグデータなどICTを活用した新たなビジネスの展開や業務プロセスの変革が急速に進み、企業や業種の垣根を越え、大きな変化が起きております。こうした中、今後、働き手の働きがいと企業競争力を共に向上させていく重要な鍵は創造力の発揮にあると思っております。テクノロジーを活用して従来の働き方を大胆に見直し、高い創造性と専門性を発揮しながらイノベーションを追求する働き方へとシフトしていかなければならないと思います。こうした働き方は、必ずしも時間に応じて成果が得られるものではなく、生み出した成果に応じて評価、処遇することで働き手の満足度を一層高めることもできるというふうに思っております。
 また、時間外労働の上限規制の創設は、労使が三六協定を結びさえすれば青天井に時間外労働が可能である現状を見直し、罰則付きで時間外労働を規制する大改正であると思っております。中小企業の実態も勘案しながら、労使の合意の下まとめた経緯がございます。過労死は絶対あってはならない、この過労死を防止し、労働者の命を守るための重要な見直しだというふうに考えております。
 今回の働き方改革関連法案には、多様な働き方への対応、長時間労働の是正、働く人の能力の発揮に向けた環境整備など、これらが盛り込まれておりまして、時代に即した改正であると認識をしております。働き方改革の実現は社会の要請であり、働く人にとってプラスになるものと考えております。
 次に、各法案の内容について具体的に述べたいと思います。
 まず、雇用対策法の見直しについてですが、労働施策総合推進法に名称変更されるということで、国全体として働き方改革を総合的かつ継続的に推進していく方針を明らかにした点において、大切な改正だと考えております。
 労働基準法の改正につきましては、二〇一七年の三月十三日、連合と経団連の会長が、時間外労働の上限規制に関する労使合意、この内容に沿った形で上限規制を設けた点が重要であるというふうに思っております。
 具体的には、原則的な上限規制を月四十五時間、年三百六十時間に設定し、企業として原則的上限に収まるよう努力をすること、特別の事情がある場合であっても、一つは休日労働を含め単月百時間未満、二か月から六か月平均八十時間以内、年間七百二十時間以内、月四十五時間を超える月は年六回までという、この四つの上限規制を罰則付きで設けております。これは労働基準法施行七十年以来の大改正だと思っておりまして、効果の高い過重労働防止策と考えております。
 また、年五日の年休については、時季指定を事業主へ義務付けること、月六十時間を超える法定時間外労働を五割以上にする割増し賃金率、これ今、中小企業について適用猶予になっておりますが、これを廃止することについても盛り込まれておりまして、いずれも働く人の長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現に資する改正だと考えております。
 あわせて、業務の性質上、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない高度の専門職に対し、職務を限定し、本人同意を取った上、通常の労働時間規制ではなく、労使同数の委員で構成する委員会で決めた独自の健康確保措置を適用する高度プロフェッショナル制度の創設は、創造性を十分に発揮できる柔軟な働き方の選択肢を増やすものであり、時代の変化に対応した改正と考えます。
 労働時間等設定改善法につきましては、勤務間インターバルの努力義務を創設することで、政府の各種支援と相まって、まずは導入企業が増えることが期待されるところでございます。
 労働安全衛生法の改正については、産業医、産業保健機能の強化が盛り込まれております。加えて、医師の面接指導の徹底を図るため、管理監督者も含め、健康確保のための労働時間の把握義務が明記をされます。
 また、上限規制の導入に伴いまして、医師の面接指導の対象となり得る時間が、省令において百時間から八十時間に引き下がることが予定をされております。また、じん肺法の改正は、労働者の心身の状況に関する情報の取扱いを整備するものであり、労働安全衛生法、じん肺法、いずれも働く方の健康確保にプラスの改正というふうに考えております。
 最後に、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の改正についてでございます。
 同一労働同一賃金の目的は、いわゆる非正規労働者の待遇を改善して、働き方の選択肢を広げ、誰もが活躍できる社会をつくることにあると思っております。労働力人口が減少する中、企業といたしましても、若年者、女性、高齢者など多様な人材の活躍を促すため、雇用形態の違いによらない均等・均衡待遇を確保していく上で有効だというふうに考えております。
 我が国企業の多くは、一時点の仕事の内容だけではなく、職務内容、配置変更の範囲など、様々な要素を総合的に勘案して賃金を決定しております。加えて、我が国では、基本給が職能給、年齢給などの複数の賃金項目で構成する企業も少なくございません。ゆえに、正規と非正規との間の処遇差が不合理かどうかの判断がしにくいという課題がございました。
 今回、不合理の判断基準を明確にしたこと、つまり、個々の待遇の目的、趣旨から判断要素を決めること、また、法律に基づくガイドラインを作成することは、個別企業労使が不合理かどうかの判断をしやすくするものでございまして、均衡規定の実効性を高めるものと評価できると思っております。
 あわせて、通常の労働者との間の待遇の相違の内容や理由などを説明するなど事業主の説明義務を強化したことは、事業主しか持っていない情報のために労働者が訴えを起こすことができないといったこと、この解消につながると期待されるほか、会社が説明できない、あるいは説明しにくいことがあれば、社員に納得してもらいやすい賃金制度への見直しのきっかけとなると考えております。
 いずれも、正規、非正規の間の不合理な待遇差を解消する上で大変重要な改正であると思っておりまして、働く方のプラスになる改正だというふうに考えております。
 つきましては、先生方におかれましては、今企業が大きな変革のときを迎えている現状を改めて御理解を賜りまして、今国会において、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度を盛り込んだ働き方改革関連法案、これを成立させていただければと思います。
 私からは以上でございます。
#5
○委員長(島村大君) ありがとうございました。
 次に、逢見参考人にお願いいたします。逢見参考人。
#6
○参考人(逢見直人君) 御指名いただきました連合の逢見です。
 本日は、このような場で私ども連合の意見を表明する機会をいただき、ありがとうございます。
 連合の今回の法案に対する考えは、先月行われた衆議院厚生労働委員会の参考人質疑で会長の神津が述べさせていただいております。若干重複する点もありますが、そのポイントを申し述べます。
 第一に、政府提出法案に盛り込まれている罰則付きの時間外労働の上限規制は、早期にそして確実に実現すべきということです。
 過重労働による心身への影響や、仕事と生活の両立の困難さなど、長時間労働の弊害が顕在化している中で、長時間労働に依存する働き方を社会全体で見直していくことが求められています。罰則付きの時間外労働の上限規制の導入という労働基準法七十年の歴史の中で特筆すべき大改革を今こそ実施すべきです。
 また、三六協定を締結して認められる時間外労働の上限は月四十五時間、年三百六十時間であること、その上で、特別条項を適用する場合でも、上限時間水準までの協定を安易に締結するのではなく、原則的上限に近づける努力が労使双方に求められていること、そうした法改正の精神を世の中に対して周知していくことが必要です。
 第二に、同一労働同一賃金の法整備も欠かせません。非正規雇用比率が四割近くに達する中、非正規雇用労働者の処遇は総じて正規雇用労働者に比べて低く、低賃金層を増やす結果となっています。この現状を直視すればこそ、同一労働同一賃金の法整備を実現することは政治の責任であると思います。
 そして第三に、法の実効性確保のためには、使用者、労働者共にルールを知り、守ることが不可欠です。そのためにも、ワークルール教育を社会全体で広げていくための法整備を進めていただくことを強く要請いたします。
 その上で、本日は、法案審議で更に議論を深めていただきたい点、法の実効性確保のために必要な点、さらには、現在の職場の状況に鑑みて必要な施策についてお話し申し上げたいと思います。
 まず、中小企業でどのように働き方改革を進めていくかということです。連合に集う仲間の中には、中小企業で働く労働者も多くおります。また、中小企業の使用者団体との意見交換の場も設けていますが、その中でよく耳にするのは、何から手を着けてよいか分からないといった悩みです。法整備が行われたとしても法の理解が進まなければ、それは絵に描いた餅になりかねません。法の正しい理解と定着に向けた施策が必要です。
 この点、立憲民主党が衆議院に提出した働き方改革の対案には、同一労働同一賃金の専門調査機関を設置して中小企業で働く者も相談できる体制の整備をすることなども盛り込まれております。単に法律を整備するだけではなくて、職場の取組を後押しする施策を充実させることが必要です。
 そして、取引慣行の是正も重要です。下請いじめの撲滅などの取引慣行を是正しなければ、中小企業で働き方改革が進まないばかりか、むしろそこにしわ寄せが行くことになります。その防止に向けた総合的な施策を政府一丸となって取り組んでいただくことを強く求めます。
 続いて、高度プロフェッショナル制度について申し述べたいと思います。
 一日は誰にとっても二十四時間、どのような仕事、どのような職種であっても、いかに高度な専門的業務、いかに高年収であろうとも、過重労働により心身の健康がむしばまれることはあってはなりません。改めて、高度プロフェッショナル制度の創設は実施すべきではない、この点を強く申し述べておきます。
 参議院の審議では、制度の問題点について具体的な議論がなされていると承知しております。例えば、制度の対象労働者の健康管理時間を把握する措置について、客観的方法で把握しなければ働き過ぎを防止する措置として機能しないことや、対象労働者にどれだけの裁量権が確保され得るのかなど、大変重要な指摘です。また、高度プロフェッショナル制度も、当然、労働基準監督行政の対象であるわけです。これらの問題点について更に審議を深めていただくことをお願いいたします。
 次に、自動車運転業務の問題です。
 自動車運転業務は、これまでの例外扱いをなくす一方で、改正法の施行期日の五年後も年間九百六十時間以内という水準の規制が適用されることとなっています。過労死の最も多い自動車運転業務こそ長時間労働の是正に向けて真っ先に取り組まなければなりません。衆議院で改善基準告示の見直しという道筋も示されたところですが、やはり五年の適用猶予後には一般則を適用すべきだと思います。
 また、自動車運転業務の中身は多様です。貨物自動車運転業務といっても、宿泊を伴う長距離運転もあれば近距離の日勤の業務もあり、また運ぶものも危険物の輸送である場合もあります。それら勤務実態や業務特性を踏まえた規制とすることが必要です。
 さらに、教職員、建設事業、医師など、長時間労働の業種、職種についても実効性のある長時間労働是正策を講じ、着実に前進させることが重要です。そして、公務の現場の長時間労働是正も大きな課題である点も強調しておきたいと思います。
 続いて、同一労働同一賃金の法整備です。
 この点についても、事業主の待遇説明義務の履行の在り方など、法の実効性をいかに確保するかという点ではまだ課題があります。また、一昨年十二月に公表されたガイドライン案には、改正法案についての国会審議を踏まえて最終的に確定するとされているものの、まだ具体的に中身のある審議がなされているようには思えません。
 連合が二〇一八春季生活闘争の結果をまとめた中では、働き方改革を先取りして労使が取り組んだケースも報告されています。個別労使でも、均等、均衡、処遇格差の是正の認識が高まりつつあります。また、労働契約法二十条あるいはパート法九条に関する裁判例も増加しており、労働者が司法的解決を求める際の根拠規定の整備は政治の責任であると思います。
 加えて、法案では、派遣労働者については、派遣先労働者との均等・均衡処遇と一定の要件を満たす労使協定のいずれかを選択することとしておりますが、派遣先からの待遇に関する情報提供義務が適正になされるのか、情報提供項目などの議論が必要です。一方、労使協定は一定の水準を満たすとなっておりますが、一定の水準を測る物差しが必要です。不適切なデータが使われることがないよう、これも議論の深掘りをしていただきたいと思います。
 最後に、もう一点、職場でのいじめ、いわゆるハラスメントの問題です。
 連合の労働相談には、上司にすぐどなられる、仕事でミスをしたら殴られた、このような相談が数多く寄せられています。さらに、連合の構成組織で流通業やサービス業で働く仲間を組織しているUAゼンセンが行った調査でも、本日資料をお配りしておりますが、お客様から土下座を要求されたなどの悪質クレームの実態が明らかになり、その経験者は七割にも及んでいます。労働災害においても精神疾患は増加しており、職場におけるハラスメントもその要因の一つです。
 誰もが生き生きとその能力を最大限発揮して働き続けられるようにすることが働き方改革の目的であるならば、ハラスメントのない職場をつくるための施策も同時に行うことが必要です。しかし、ハラスメントを防止する法律がない、これが実態です。
 そうした中、民進党、希望の党の合同チームがまとめられたパワハラ規制法案が四月に国会に提出されております。安心して働くことができる職場環境の整備に向けては、ハラスメント防止の法律は必要不可欠です。
 折しも、五月末から六月にジュネーブで開催され私も参加してきました第百七回ILO総会においても、条約と勧告による補完を内容とする「仕事の世界における暴力とハラスメント」基準設定委員会の報告が採択されました。条約制定は一年後となりますが、国内法の整備に向けた議論を早くスタートさせて、是非ともハラスメントの防止に関する法規制の一刻も早い実現に向け、建設的な議論を行っていただくことを求めます。
 以上で私の発言を終わります。ありがとうございました。
#7
○委員長(島村大君) ありがとうございました。
 次に、小室参考人にお願いいたします。小室参考人。
#8
○参考人(小室淑恵君) 株式会社ワーク・ライフバランスの小室でございます。本日は貴重な機会を賜りまして、ありがとうございます。
 十二年前に企業の働き方改革を支援するコンサルティングの会社を起業しました。これだけの少子化社会だというのに女性が育児と仕事を両立できないような長時間労働の社会、それから多くの真面目な方が健康を壊してしまう長時間労働社会、これに対して強く憤って起業しました。
 また、介護に直面しまして、ヘルパーの資格も持っていますが、団塊世代が昨年から一斉に七十代に突入しています。今、親の介護を理由に離職される方が年間十万人を超えていますが、ある大手の建設業では、もう既に二〇一四年から、育児で休んでいる女性の数よりも介護で休んでいる男性の数の方が逆転して超えているという状態になってきています。
 つまり、今までですと、休むだとか短時間勤務になるというのは女性の話で、一部の人に配慮をしてあげるというような話になっていましたが、今や男女共に自分のキャリアを一度も時間制約を持たずに走り切るという人の方が奇跡というような状況になってきています。
 そうした中で、今回、労基法七十年の歴史において初めて労働時間の上限が設定されると、罰則付きで設定される今回の法改正には賛成の立場で参りました。もちろん、まだまだ一歩目というところで早急に次なる一手を打っていく必要があると思っていますが、労働時間に明確な上限が設定されることは、これまで過労死ラインを超えて働かされてきた人たちの健康と幸せを確保するだけでなく、時間制約があっても誰もが働きやすい環境を整備する第一歩になると考えるからです。
 今日は、この法案が今後更に働き方改革を加速させていくことへの期待と、既に参考になっている好事例がたくさん出てきていますので、それを知っていただきたくお話しさせていただければと思っております。
 起業して十二年間で約一千社の企業をコンサルティングしてきました。経営者の認識が昨年辺りから急速に変化してきています。いよいよ本当に上限設定がなされそうだなというような政府の本気度を感じているというのを私たちも感じています。
 今日、お手元に私の資料を配付させていただきました。一枚目の下にありますけれども、三年間コンサルティングさせていただいたリクルートスタッフィングという企業では、評価形態にも深く踏み込んで変革を行いました。
 上から二行目に、業績MVPのブルージャケット表彰というふうに表記しましたけれども、この表彰制度を新しい評価制度では、チームの中で一人でもある労働時間を超えたらチーム全員が表彰対象外になるというような制度変更をしました。すると、限られた時間内での勝負になりますので、育児女性が何と一位を取ったりというようなことも出たり、また、チーム内で誰か一人でも長時間労働にならないようにということで、ノウハウを共有するようになりまして、若手も積極的に育成するようになりました。それまで個人商店型だったこの同社が、チームみんなで仕事を助け合うというような風土に変化しました。
 結果として、スライドの一番下に書きましたが、深夜労働を八六%削減し、女性社員の出産が一・八倍になりました。業績も極めて好調になっています。
 一枚おめくりいただきまして、百四十人のセントワークスという企業の事例が下のスライドに入っております。
 介護支援システムの会社なんですけれども、こちらでは徹底的に意識改革を行うために、右上に写真が入っていますが、これは定時以降になったら、定時以降に残っていることを恥ずかしいと感じるように、恥ずかしいマントというんですけれども、これを定時以降に皆さんでかぶって、その結果、意識が大幅に改善されて、左下に書きましたけれども、全社の残業時間四九%削減、経常利益一五五%、従業員の出産数が二・七倍、女性の管理職比率が八倍になったという事例です。
 また、次のスライドに三重県の事例を入れました。こちらは、たった五十八人のエムワンという調剤薬局の会社さんです。
 スキルアップなどを通じて働き方改革を徹底的に行ったところ、医薬部外品の売上げが前年比で二三〇%へ、そして有休の取得数が三五二%、そして従業員の出産数が二・五倍、結婚数は二倍になりました。こうした変革を翌年の採用で学生にPRしたところ、それまで採用のエントリー数は年間三十三名だったのが、百六十八名にまで増えました。そして、十一名に内定を出したんですけれども、内定を辞退した人はゼロ人。そして、三名は大阪の企業を蹴ってこの五十八人の三重県の企業に就職をしたという、これ、今後、中小企業においては人材獲得が極めて重要ですので、こうした好事例が参考になるかなと思いました。
 また、下のスライドは愛知県警です。四年間コンサルティングさせていただいています。右上に示しましたように、少年課や暴力団対応の刑事部門でも取組を行いました。
 それまで、夜勤明けでもそのまま周りも気付くことなく一日勤務させてしまうというようなことがよく起きていたので、右側に写真を入れましたが、夜勤明けであることが分かる札を付けさせて、きちっと周りも声かけをして帰らせる、ジョブローテーションを行う、仕事の見える化、共有化を行う、こうしたことを徹底して行ったところ、下のオレンジの枠の中のところですが、事案の処理件数が四割増しながら、夏季休暇が七・〇日から九・九日へ増加。こうした特殊な組織においても働き方改革に取り組むことができ、検挙率なども抜群の成績を収めたという成果が出ました。最も残業が減った部署では、最大で六〇%減ったという成果になりました。
 さらに、次のスライドですが、私が個人的に一番驚いた事例です。
 三菱地所プロパティマネジメントという会社なんですけれども、こちらでは左側の真ん中にグラフを入れましたが、残業時間が三〇%削減することができ、営業利益が一八%増加した。これももちろんすばらしいのですが、下の枠の中に書きましたように、そこで浮いた利益というのを、一億八千六百万円、これ全額なんですけれども、社員に還元をいたしました。このときの社長である千葉社長がおっしゃっていたのは、残業代を払いたくないから働き方改革をしているんではないんだと、社員が生活を取り戻して新しい発想で仕事をしてもらいたいんだということを社員に説得をしました。
 そして、四月に就任した新しい川端社長が先日、社員と家族を招いてイベントで発表したのが真ん中の右側のグラフになります。これは何と、今の時点を指標として二〇二二年まで残業時間を減らし続けていくが、浮いた残業代は全額ずっと還元し続けるよということを社員の前で宣言したというものになります。こうした事例というのは大変すばらしいなと思いました。
 また、右下にコトフィスというのが、写真が入っていますけれども、この働き方改革をしたことで社員の発想が変わってきました。この企業さんはビルのテナントに入っていただく営業の会社さんなんですけれども、今後、働き方改革を進める企業が増えると子連れで出勤する方が増えるのではないか、であれば、ビルの真ん中に子連れで勤務ができるスペースをつくるといいんではないかということでつくりました。そうしたところ、テナント料が多少高くても入ってくれるような企業が増え、高付加価値型の仕事をすることができた。こうした商品、サービスのイノベーションにまでつながったという本質的な事例です。
 また、残業代をきちんと個人に還元していくことにより消費力を高めていくことが今後日本社会のデフレ脱却にとっても重要な観点ではないかと感じました。
 次のスライドから、少し考え方の部分も追加しておきたいと思います。
 スライド七番目ですけれども、日本は六〇年代半ばから九〇年代半ばまで人口ボーナス期でした。右側に書きましたが、人口ボーナス期というのは人口構造がボーナスをくれるようなおいしい時期という意味合いなんですが、若者がたっぷりいて高齢者がちょっとしかいないという時期です。この時期には、男性ばかりで長時間労働をして均一な同質性の高い組織をつくると、早く安く大量に商品、サービスをつくって世界を凌駕することができます。そうした時代でした。このときに日本は強い成功体験を積んだ国です。
 しかし、現在の日本はもう明らかに人口オーナス期です。右下に書きましたが、オーナス期は人口構造が経済に重荷になる時期です。高齢者が多く、生産年齢人口は少ししかいない。こうした段階では、男女両方が活躍することができ、なるべく短時間で仕事をし、多様性に満ちた組織をつくることが勝つための条件というふうになってきます。
 この人口オーナス期は、人件費が高騰するため、高付加価値型の商品やサービスにイノベーションを起こして転換せざるを得ません。イノベーションを起こそうとすると、その条件は、職場の中に多様な人材がいて、上下関係ではなく、フラットに意見を交わして、全然自分とは違う考えの人とも対等に議論することになります。これができて初めて化学反応が起きて、斬新な商品やサービスが生まれます。
 これまでは、長時間労働という働き方があることによって育児や介護や体調不良の方たちを働き方によって門前払いしてきました。二十四時間型の人だけで意思決定をしてきました。これからは、働き方の門前払いをなくし、職場に多種多様な人が排除されずに活躍できる働き方改革、これが必要だと考えています。長時間労働の是正はとにかく急がれると考えています。上限規制は一日も早く施行していただきたいと思っています。
 そして、日本の社会保障を考えると、この深刻な少子化問題がありますが、団塊ジュニア世代、私が今まさにそうなんですけれども、団塊ジュニア世代は四十代の後半に入ってきています。日本の女性の出産点をプロットしていくと、四十四歳で〇・〇何%という状態になります。つまり、人口のボリュームゾーンが出産年齢を完全に終えてしまう前に二人目、三人目を考えられるように、夫婦が共に助け合って育児も仕事もできるような、男性が家庭に参画できるような、両立できる社会に進んでいただきたいというふうに考えています。
 そして、今回、インターバル規制が努力義務として明記されました。このことに対しては高く評価をしています。インターバル規制は、メンタル疾患、過労死の防止に有効です。スライドの八番に入れさせていただきましたが、それの真ん中に書きましたが、慢性疲労研究センターの佐々木センター長によると、人の睡眠は前半が体の疲れ、後半が精神の疲れを取るという役割になっているので、七時間睡眠の後半が取れないと、前日受けたストレスの上に翌日のストレスが積み上がっていってしまいます。これがメンタル疾患や過労死の大きな要因になってくるので、一日ごとにリセットしていくことが大事です。そうすると、この十一時間を空けるということが非常に重要になってくるわけです。このインターバルを導入してきている企業が出てきていますので、これをもっと支援して実績をつくっていただき、早急に義務化に進んでいただきたいと思っております。
 最後に、今回の労基法の改正では対象にならない教員や国家公務員の働き方改革にも是非上限設定できる段階に進んでいただきたいと思っています。今、岡山県や静岡県、埼玉県の教育委員会に御依頼いただいて学校の働き方改革もやらせていただいていますが、残業時間が半減するような成果もたくさん出てきています。
 また、多種多様な業界をコンサルティングして気付いたことは、残業の多い企業に共通しているのは、行政と何らかのやり取りがある企業、これが非常に多いんですね。つまり、民間の残業の震源地は霞が関である。そして、その霞が関の残業の震源地が永田町だというふうに感じるんですね。やはり大臣答弁のために、一国会につき約二十億円の残業代が掛かっているんです。
 議員という仕事は特別なんだというふうによく言われます。ですが、是非考えてみてください。なぜここまでの少子化社会になったのかということです。政治の中心に育児をしている女性の議員さんたちがいればそういったことにはならなかったのかなと考えると、やはり議員の働き方が二十四時間を前提としていること、それによってやはり働き方の門前払いが行われてきたこと、こうしたことが大きな要因かなというふうに考えています。男性の議員の方も含め、ここから働き方改革にまず努めていただきたいというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。
#9
○委員長(島村大君) ありがとうございました。
 次に、棗参考人にお願いいたします。棗参考人。
#10
○参考人(棗一郎君) 弁護士で日本労働弁護団の幹事長を務めております棗と申します。
 私たち、労働事件の専門家の法律家の集団ですから、今日は労災申請認定の実務、それから裁判実務の観点から、この働き方改革関連法案について御意見を述べさせていただきます。私の意見のレジュメがありますので、それを御覧になりながらお聞きください。
 初めに、私の法案に対する基本的な立場を説明しておきますと、私は法案全てに反対の立場ではございません。高度プロフェッショナル制度の導入には反対ではありますが、同一労働同一賃金法案には賛成でありますし、労働時間の罰則付き上限規制法案に対しては条件付でありますけれども賛成で、是非入れるべきだと思っております。どれも日本の労働者の重大な働き方に影響を及ぼし、今後の日本の雇用社会の在り方を左右する極めて重要な法案ですから、個別に切り離して審議して採決していただきたいというふうに思います。
 第一に、労働時間の罰則付き上限規制法案について申し上げます。
 今回の労基法改正法案第三十六条五項、六項では、議員の皆さん方もう御承知だとは思いますが、時間外労働の上限が一か月百時間未満、月平均八十時間を超えないことというふうに定められておりまして、これは過労死の国が定めた労災認定基準の水準に近い、それに達する上限時間が設定されていることになります。これでは、労基法が過労死認定水準の長時間労働を容認することになりかねず、誤解を生じます。これは、幾ら何でも上限時間長過ぎますので、もっと過労死の労災事故が起こらないような水準まで下げるべきだと思います。
 ほとんどの国民にはまだ知られていないことだと思いますが、改正法によると、休日労働を含めると、一月平均八十時間以内、年間で合計九百六十時間の時間外・休日労働を命じることが可能になってしまうんですね。これではますます過労死ラインを超えてしまいますので、やはり罰則付きの上限は引き下げるべきだと思います。
 日本の裁判所も、労働時間の上限規制について、月九十五時間分の時間外労働を労使合意で行ったという、こういう事案について、裁判所は、安全配慮義務に違反し、公序良俗に反するおそれさえあるというふうに言っておりますし、月八十三時間のみなし残業手当の効力が争われた事件で、裁判所は同じように、相当な長時間労働を強いる根拠となるものであって、公序良俗に反すると言わざるを得ないと言っておりますので、労働部を経験した裁判官の方も、今回の法案大丈夫かというふうに心配されておりますので、是非上限を引き下げていただきたいと思います。
 それから、気を付けていただきたいのは、次の三ページですけれども、使用者の安全配慮義務、この今回の改正によって、使用者の安全配慮義務が、労働契約法の五条違反ですけれども、これが免脱されるものではないということを明確に確認していただきたいと思います。そうでなければ、今後、裁判実務では、使用者から一月百時間未満、月平均八十時間を超えなければ労基法違反にならないんだから合法でしょうと、使用者の民事上の責任、損害賠償義務はないという主張を許してしまいかねません。ここのところはしっかりと審議していただいて、そのようなことがないようにお願いしたいと思います。
 次に、高度プロフェッショナル制度の問題点について申し上げます。
 安倍総理大臣は、今年の六月四日の参議院の本会議において、高度プロフェッショナル制度については、その対象業務に関し、働く時間帯の選択や時間配分は、労働者自らが決定するものであるということを省令に明記する方向で検討しているというふうにおっしゃいました。ところが、労基法改正法案四十一条二項の中には、高プロ対象労働者に労働時間に関する裁量権、すなわち自ら働く時間と休憩を決める権利がある、出退勤の自由がある、休む自由があるという、法文上明確に書かれておりません。そうなると、法律家から言わせれば、そこから直ちに労働時間についての自由裁量が高プロの対象労働者にあると、要件であるということは言えませんので、政府がそういうふうにおっしゃるのであれば、明確に法文に書き込むべきだと思います。
 職場の実態からすれば、政府が宣伝されているように、労働者が成果を出せばいつでも早く帰れるようになるという保証はどこにもありません、このままじゃ。一つの仕事が終われば次の仕事が降ってくるのが職場の現状であります。しかも、高度の専門職の労働者は優秀な労働者ですから、この優秀な人たちに仕事が集まるに決まっています。業務量は増えるんです。そうすると、自ら時間を決める、帰れる、休める、裁量権があるということを法文に明記しないと大変なことになってしまうと思います。
 次に行きます。
 五ページから六ページですけれども、高プロ対象の対象業務が法案の提案の段階で具体的に定められていないというのは極めて問題だと思います。特に、条文にあります、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務とありますが、一体何を意味するのかさっぱり分かりません。これでは国民にとってどういう業務が高プロに当たるのか全く分からないものとなっていますので、法律を作る段階できちんと明示していただきたいと思います。そうしないと、もう導入ありきと言われても、批判されても仕方がないというふうに思われます。
 次に、六ページですけれども、先ほどの安倍総理の御発言では、高プロの要件を満たさず、高プロ制度の適用が認められないこととなった場合には、法定労働時間に違反するとともに割増し賃金の支払義務が発生し、罰則の対象になるというふうに言われていますが、しかし、私、現場の労働基準監督官の方たち何人かの方たちから聞きましたけれども、高プロは労働時間の記録が残りませんので、立件しようがないじゃないかと、処罰できなくなってしまうんじゃないかと、また、実際の労働時間の記録が残っていないので、労災認定することは難しいとおっしゃっています。
 労災認定の実務、裁判の実務もそうですけれども、ざっくりとした認定では誰も認めてくれません。しっかりと、何時から何時まで何時間働いたということを主張、立証しなければなりません。法案に定められているような健康管理時間では労災認定されませんし、割増し賃金の支払も命じることはできません。なぜなら、健康管理時間は事業場内にいた時間、すなわち在社時間と事業場外で労働した時間の合計ですから、実際に働いた時間ではないからです。これでは認定できません。ですので、きちんと労災認定ができるように、処罰できるように、それから残業代を請求できるように、客観的な労働時間を把握する義務を是非とも課していただきたいというふうに思います。
 それから、七ページ、八ページに行きますけれども、加藤厚労大臣は答弁で、たとえ労働時間の記録が残っていなくても、PCのログイン記録等で労働時間を認定することができるというふうにおっしゃっていますが、そもそも始業から終業までの労働時間が全て社内PCに残っているわけではありませんし、ほとんどの労働者はパソコンの前だけで仕事をしているわけではありません。
 我々が経験した事例では、ある金融機関の過労死事件で、PCのログ記録が残っているのに、使用者側が、パソコンを開けていただけでは仕事ができていなかったはずだと、そういう方便を労基署が丸のみにして労災認定を不支給にしたという事件がありますし、私が担当した専門業務型の裁量労働制で働いていた市場アナリストの男性の過労死事件では、使用者が死亡直後に自宅のPCを回収に来て証拠隠滅を図ったという事件まであります。どうやって労災の認定の中で労働時間を認定していけばいいということになるんでしょうか。是非この点をきちんと手当てしていただきたいと思います。
 最後に、九ページ、十ページですけれども、現在、働き方改革関連法案と同時に審議されている労働安全衛生法の改正案、つまりパワハラ規制法案については、労働弁護団も十年以上も前から職場のいじめ、嫌がらせの防止に関する立法措置が必要だと訴え続けてきましたので、現状、職場のいじめの相談が五年連続でトップで、訴訟や労働審判も多数提起されていますから、是非とも立法的な措置をお願いいたしたいと思います。
 終わりに、今の日本の労働時間法制は、現在でも十分に弾力的な労働時間法制になっております。原則形態である通常の労働時間規制、法定労働時間制の下で働いている労働者は全体の四〇・八%にすぎません。今日いただいているこの法律案の参考資料の三百四十五ページに厚労省の資料として掲載されています。これ以上労働時間規制を緩和する必要はどこにもないと思います。
 高プロ制度は日本の全ての労働組合と労働者が反対しておりますし、過労死を考える家族の会など市民団体、それから日本弁護士連合会や我々法律家団体も反対しております。最近の共同通信の調査では、主要企業百社のうち約七割が今の国会で成立させる必要はないと回答しています。
 このように、労働側だけじゃなく使用者側も、市民団体も法律家団体のほとんどが反対している高プロが入っている働き方改革関連法案を強行的に採決されるのじゃなく、法案から是非削除していただきたいと思いますし、国民の理解を得られるようにするためには、少なくとも徹底した審議を行って、長時間労働と過労死を助長しかねないような問題点を丁寧に丁寧に除去していただきたいと思います。
 以上です。
#11
○委員長(島村大君) ありがとうございました。
 次に、寺西参考人にお願いいたします。寺西参考人。
#12
○参考人(寺西笑子君) 全国過労死を考える家族の会代表世話人をしています寺西笑子でございます。本日は、貴重な機会を与えていただき、ありがとうございます。
 全国家族の会は、一九九一年結成以来、過労死の根絶を願って、遺族の救済と過労死防止活動に取り組んできました。本日は、これまでの遺族の実情を踏まえた経験に基づき、働き方改革関連法案の反対の立場で問題点を指摘し、一部削除を求めて意見を述べたいと思います。
 私たちは、愛する家族をある日突然に過労死で亡くしました。私の夫は、二十二年前に、年間四千時間の長時間過重労働とパワーハラスメントが原因で過労自殺しました。本日の随行席には、エンジニアだった御主人を四十歳で裁量労働制の勤務で過労死された渡辺さん、報道記者だった三十一歳の娘さんを裁量労働制的勤務で過労死された佐戸さん、同じく四十三歳だった御主人が過労自死された小林さん、また、高度プロフェッショナル制度を先取りした働き方でもある学校の教員だった御主人が過労死された中野さん、最後に、飲食店店長だった二十四歳の息子さんが長時間過重労働とひどいパワハラを受けて過労自死された古川さんです。
 それぞれ仕事の内容は違っても、共通しているのは、真面目で責任感の強い人が長時間過重労働の末に理不尽な過労死に追い込まれ、尊い命が奪われたことです。私たちは、大切な家族を突然に亡くしたことで、地獄に突き落とされた衝撃を受けながらも、なぜ死ななければならなかったのか、その温床になっている長時間労働はなぜ起こっているのかを考え、せめて懸命に働いたあかしになる過労死を認めてほしい思いで労災申請をしました。
 そこで大きく立ちはだかるのが、申請者側に立証責任があることです。会社側の協力がない中、正しい情報を得られず、遺族が労働時間と仕事の内容、職場の出来事を証明しなくてはならないために、血のにじむような苦労をしながら、労力、財力、精神力を尽くして闘います。しかしながら、労災認定基準に阻まれ、認定されるのはその一部にすぎず、国が公表する認定者は氷山の一角にすぎません。たとえ労災認定されても、死んだ人は二度と生き返ってくることはないことで、人生は狂わされ、普通だった一家団らんはなくなり、いとしい家族との触れ合いも言葉を交わすこともなく、ただ遺影をじっと見詰めながら、喪失感にさいなまれ、生きているときに救えなかった自責の念に苦しみます。私たちは、このような悲劇を二度と繰り返してはならないために、国や企業へ改善を求め、過労死の教訓を予防に生かせるように考え、行動してきました。
 では、どうすれば過労死等をなくせるのか。一番の原因は、長時間労働とハラスメントをなくすことであります。そこで、現在問題になっている政府の働き方改革関連法案について、私たちはこれまでも、残業時間が過労死ラインの上限規制と裁量労働制の拡大、高度プロフェッショナル制度の創設、この三つの問題点を再三指摘し、批判してきました。
 裁量労働制の拡大についてはデータ問題で削除されましたが、労働者の根幹を揺るがすスーパー裁量労働制と言われている高度プロフェッショナル制度も働き方関連法案から削除すべきと考えます。
 なぜなら、高プロ制度は、労働時間規制をほぼ全面的になくすもので、長時間労働に陥り、過労死の発生を促進する危険性が非常に高いと考えます。今は年収要件や職種を限定していますが、一旦通ってしまえば、省令で変えることがいとも簡単、アリの一穴も堤も崩れることが目に見えているからです。つまり、これまで違法と言われているような定額働かせ放題の長時間労働を完全に合法化し、その挙げ句に、過労死をしても自己責任にされる仕組みになっているからです。過労死なのに自己責任とされ、労災認定されなくなり、過労死を出した企業は、勝手に働いて勝手に死んだ、会社は責任ないという、このようなひどいことがまかり通る社会になっていくことが目に見えています。
 高プロ制度は、労働時間も使用者に把握義務がなくなるので、過労死しても過労死の労災認定はほとんど無理になり、賠償も無理になります。そうすると、遺族は、過労死と認定されないので補償も受けられず泣き寝入りし、路頭に迷う遺族が増えることになります。
 このように、高プロ制度になれば過労死が必ず増えることなのに、過労死しても過労死と認められなくなるのは、遺族にとっては地獄です。こんな恐ろしい高プロ残業代ゼロ制度は絶対に削除してほしいです。実際に過労死は増えても労災申請も認定もされないことは、泣き寝入りする人が増え、数字の上では過労死は減ったという最悪の現象になりかねません。私たちは、過労死の被害者として、命に関わる危険な働き方の創設を認めることはできません。
 そもそも、働き方改革の関連法案は、安倍総理大臣が委員長になり、政府主導で推し進めてきたものです。法案採決する前に是非私たちの遺族の声を聞いていただきたく思い、この度、五月十六日に安倍総理大臣へ面談依頼をしましたが、いまだ安倍総理との面談はいただいていません。
 世論調査で国民の約七割が反対している法案を強行する暴挙はやめてください。先進国日本と言われているその政府の先頭に立っている方が、まさか命に関わる法案を、丁寧な審議をせず、過労死遺族の声も聞かず、教訓を学ぼうとしない、世論の大半が反対している法案を強行するという暴挙はやめていただきたいのです。
 私は、四年前の六月、この参議院厚生労働委員会で意見陳述し、過労死防止法を通過させていただきました。六月の本会議で、安倍総理も賛成され、一人の反対もなく全会一致で過労死防止法は成立しました。まさか四年後に、国民の命を奪ってしまうような過労死を促進する法案について参考人意見陳述するとは、夢にも想像できませんでした。国民の命を奪うような高プロ法案は削除してください。そして、過労死防止法に逆行する働き方改革関連法案の強行は絶対にやめてください。
 参議院厚生労働委員会の皆様、万が一、来年四月から施行されるようなことになり、一人でも犠牲者が出てからでは遅いのです。賛成された議員の責任は重大です。それでも人が死ぬ法律に賛成されるのでしょうか。ここで立ち止まっていただくことをお願いしたいです。そして、高プロ制度を削除し、過労死根絶へ方向転換していただきたいと思います。過労死遺族から切にお願いを申し上げ、私の意見陳述といたします。
 御清聴ありがとうございました。
#13
○委員長(島村大君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○馬場成志君 自由民主党の馬場成志と申します。
 本日は、参考人の皆様方、お忙しい中ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 短い時間ですので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。
 まずは、布山参考人にお尋ねをしたいというふうに思います。企業の長時間労働是正に向けた取組についてお尋ねをいたします。
 今回の法案では、史上初めて、労働界と産業界のトップの合意の下に、三六協定でも超えてはならない罰則付きの時間外労働の限度を設けることが盛り込まれています。この新たな制度により長時間労働が是正され、働く方がこれまで以上に自分の能力を発揮していく、さらにはそれが企業の生産性向上につながっていくことが期待されています。
 一方で、残業時間が減ることで収入が減るのではないかという不安の声も聞かれているところです。この点、先日、ある大企業では、働き方改革で減った残業代を賞与に上乗せして支給し、社員に還元していく取組をこの夏から実施するというニュースを目にいたしました。先ほど小室参考人のお話の中にもあったかというふうに思いますが、残業を減らせと掛け声を掛けるだけではなかなか進まないところもあると思います。
 長時間労働の是正、働き方改革を進めていくためにはこのような取組が広がっていくことが大変重要だと考えておるところでありますが、そこで布山参考人にお伺いをしますが、長時間労働の是正に向けて、働く方のモチベーションを高めながら現在企業においてどのような取組が行われているか、さらにまた、そういった先進事例を御紹介をいただきたいと思います。また、今回の法案も踏まえながら、今後、経済界全体としてどのように取り組んでいくか、お考えを聞かせてください。
#15
○参考人(布山祐子君) 今、先生からの御指摘どおり、残業の削減は短期的なコスト削減を目的としたものではない、そういうメッセージを社員に伝えることは働き方改革を進める上で重要なポイントだというふうに考えております。
 そうした観点から、あるコンサルティング会社なんですけれども、ここでは、残業ゼロを実現した社員に対して、インセンティブ、つまりは残業代相当の部分を支給する仕組みというのを導入しているというふうに聞いております。また、別の例といたしましては、これはある金融機関なんですけれども、早帰りの実施状況、それと成果を労働時間で割った時間当たり生産性、これを営業店の評価項目とすることによって残業削減の取組を賞与等に反映しているという、そういう事例も伺っているところでございます。
 また、経団連といたしましては、本日お配りをしております経労委報告書、この百十九ページのところにも記述をしているんですけれども、今年の労使交渉、二〇一八年の春季労使交渉の論点として、長時間労働是正を始めとする働き方改革推進に伴う時間外手当の減少が挙げられる、働き方改革推進の一環として、労働生産性が向上した場合、自社における総額人件費の動向も勘案しながら、何らかの形で社員の処遇改善等へつなげていく方針を明らかにすることが望まれるというふうにしておりまして、各会社のそれぞれの取組を促しているということで、今後もそういった呼びかけを継続してまいりたいと思っております。
#16
○馬場成志君 ありがとうございました。
 次に、小室参考人に中小企業における働き方改革の取組についてお尋ねをしたいというふうに思いますが、働き方改革は、それぞれの企業で創意工夫を凝らしながら進められているものと承知をしております。ただ、財源や人員に余裕がある大企業ならまだしも、資金繰りや人手不足に苦しむ中小企業には、なかなか取り組むのが難しいところもあるというふうに思います。
 法案においては、時間外労働の上限規制については平成三十一年四月から導入されることとなっておりますが、中小企業については、十分な準備期間を確保するために、その導入は一年後の平成三十二年四月からとされております。
 しかし、先ほど布山参考人に伺った大企業の好事例などが実際に広がっていけば、中小企業にとっては今よりも大きなしわ寄せが来るのではないかと心配する声が聞こえてまいります。処遇の格差によって人材が採れない、人材不足によって職場が回っていかないなどの声であります。
 そこでお伺いしますが、これまで様々な個々の企業の働き方改革を支援されてきた御経験を踏まえて、中小企業の働き方改革を進める上で鍵となる取組はどのようなものか、また、どのような支援があればより取組が進むのか、聞かせていただきたいと思います。
#17
○参考人(小室淑恵君) ありがとうございます。
 今日お持ちした資料の後ろの方に中小企業の事例を入れておきましたので、スライドの十番を見ていただければと思います。
 今御質問にありましたように、中小企業の方がこれからは働き方改革の必要性は非常に高くなります。特に、人材採用において非常に厳しい側面になると考えています。スライドの十番にも書きましたが、今、既に働き方改革推進支援センターがあったり、それから厚労省や経済産業省が各種の助成金をつくっているんですけれども、これ非常に難しいのは、助成金などがあっても、中小企業にはその申請資料を書くような人材がいないんですね。なので、その申請の書類が書けないことによって活用できていない。また、支援センターで取組のプランを作ってもらえるんですが、そのプランをもらっても、その後の実行がなかなか立ち止まってしまうというところがあります。
 スライドの十一番のところに、参考になるのではないかということで、三重県の中小企業変革パッケージというのを書かせていただきました。
 三重県では、二〇一五年から既に始めているんですが、地方創生加速交付金を使いまして、それを三重県が、まず予算をそれによって確保する、そして、その予算を中小企業に働き方改革のために渡すのではなくて、その中小企業の働き方を支援するような社会保険労務士や働き方改革のコンサルタントにその支援の支払をし、書類も全てそちらが作る、選ばれた企業はしっかりと最後まで働き方改革を走るというような形で、選定した企業を複数一緒に走らせるというモデルにしています。
 これが実は非常に重要でして、地元の中小企業が一緒になって取り組むと、途中くじけそうになっても、励まし合ったりまねし合ったりして進んでいきます。ここでは六か月のプランをやった実際のものを書かせていただいているんですが、真ん中で、好事例の共有会というのを複数行うことによって、ここに知事も来て、三重県の鈴木英敬知事が来て、すばらしい取組だということで褒めたりするんですね。これがモチベーションとなって最後まで変革することができました。さっき例に出した三重県のエムワンさんという企業もこのうちの一つでしたし、この後ろに三重県の企業をたくさん入れています。ちなみに、三重県ではこの取組で出生率は現在過去最高になっていまして、男性の育児休業が全国平均の二・七倍になっています。
 後ろの方の資料に、ほかの都道府県が今この三重県モデルをまねてやっているんですが、ページ十九からは岩手県の事例を入れております。そして、二十四ページからは熊本県の中小企業の変革のパッケージ、熊本県は三つの企業を選定してやっています。そして、二十九ページからは山口県、三十一ページからは大分県という形で、今、各都道府県が県の予算を使って企業を選んで励ましながら進めていくということをやっています。これがまさに地方創生になっていき、働き方を変革したところに企業が集まり出産が増えていくというような形になっているので、こうしたパッケージをしっかりと支援していくことが大事ではないかと考えています。
 以上です。ありがとうございました。
#18
○馬場成志君 済みません、ありがとうございました。
 高プロについて先ほどから両方から意見が出ておりましたが、布山参考人に、過労死はあってはならないということはもう皆さんしっかりと同じ共通の思いだというふうに思いますので、一言いただければと思います。
#19
○参考人(布山祐子君) 高度専門職に対する働き過ぎ防止の観点、これは非常に重要だというふうに思っております。そのため、通常の労働者にはない独自の健康確保措置を設けて、またその内容につきましては、二〇一七年の七月十三日に連合会長が安倍総理に要望したとおりに強化し修正した内容となっているというふうに思っております。必須の健康確保措置となっている年間百四日、休みの確保、これについては、週休二日相当は確実に休みを確保するという内容でございますし、また、労使同数による労使委員会が自社の実態に合った形で別途健康確保措置を決める仕組みが法律に盛り込まれておりまして、高度プロフェッショナル対象者、これの健康を確保する上で実効性の高い仕組みになっているというふうに考えております。
 経団連といたしましては、この内容をしっかり周知活動を行いまして、長時間労働の是正だとか生産性の向上の取組を行っている好事例、先進事例についても、今後、周知、水平展開を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#20
○馬場成志君 終わります。
#21
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。
 今日は、本当に参考人の皆様方、大変お忙しい中をありがとうございました。
 早速質問をさせていただきます。
 まず、布山参考人と逢見参考人にお聞きをしたいんですけれども、今回、長時間労働の是正ということで、とにかく時間をきっちりと上限を規制をして、罰則を作って、そして守ってもらうということを進めていくというところなんですけれども、そのために、まず一つ大切になるのが、雇用者側、企業側の意識改革、管理職の方の意識改革というところがあると思います。
 これまで、いろんな企業の中で、経団連の会員企業の皆様もしっかりと取り組んできていただいた中で、緩やかな形ででもしっかりとお休みを取っていく、時間を守っていくというところの意識が高まってきたというふうに思っているところもありますけれども、そこで、まだまだここはいかがなものかというところの課題などがありましたら、経営側の意識改革という点についての課題を教えていただきたいと思います。
 また、有休などを取りにくい、そして時間を守りにくいという中で、よく調査の中で出てくるのが、迷惑を掛けてしまうんじゃないかとか、また、いろんな形での従業員の方々の意識においても、当然、その会社の環境というのが大前提としてある中ではありますけれども、変わっていただきたいところもあるのかなというふうに思っております。その中で、しっかりと勤務時間を守っていくという点において、労働者側の意識改革というところにおいて、逢見参考人の方から考えるところがありましたら、是非教えていただきたいと思います。
#22
○参考人(布山祐子君) 今先生から御質問にあったことに関してでございます。
 まず、管理職の今後の教育ということは、法律のところで非常にしっかりした上限規制がなされるということで、それをまず企業、それから管理職全体に周知をして守らせるということが一つあるかと思います。
 また、部下の方がお休みあるいは残業しないで済むようにマネジメントということが非常に必要だと思いますし、あと、休みに関しては、これはある企業の事例なんですけれども、今のこの働き方改革の取組の一環として行っているということで伺ったんですが、一か月四回土曜日がございますが、その土曜日を、それぞれ管理職を四グループに分けて、少なくとも金曜日の午後、半休をするようにする、そうすると、必ず管理職は年間で日数的にある意味取れるようになるので、そういう取組をしながら、部下の方も取りやすくするというふうな形に進めているということを伺っております。
 以上でございます。
#23
○参考人(逢見直人君) 従業員の側からの意識改革という点でのお尋ねがございました。
 これからは、やはり三六協定の重要性というのはより増してくると思います。従業員代表、過半数代表と使用者側とが、ただ単に上限の数字を幾らにするかという話をするだけではなくて、当然、要員配置の在り方とか、あるいは労働の密度の程度であるとか疲労度であるとか、そういった部分について話し合う中で、どのような働き方の中で時間外労働が抑制していけるかというような話合いを進めていくことになるんだろうと思います。
 さらに、年休の取得についても、これからは使用者側にも取得をさせる義務が生じるわけですけれども、いつ、どのような形で年休を取得するかというのは、労働者本人、個人の意思が当然優先されるべきでしょうけれども、全体として、職場としてどのような形で年休が取得できるような環境をつくっていくかということも話し合っていかなきゃいけません。
 そういう意味では、集団的労使関係というのがますます重要になってきます。連合としても、ハンドブックを作るなどして、こうした点についてのいろんな好事例などもこれから提供していきたいというふうに思っております。
#24
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 次に、小室参考人にお伺いをしたいと思います。
 今日は、いろんな形でのこれまでの取組をお聞きさせていただいて、もう本当に示唆に富んだお話というか、ああ、こういう形でできるんだなというのを感じさせていただいたことも大変有り難く思っております。
 その中で、参考資料でいただいていた中にもありましたけれども、やっぱり会社それぞれ、百社があれば百通りの改革の仕方がある、また、していくことが必要なんだということも伺いました。なかなかその企業規模で、大企業で、また中小企業というところでも、私たちの感覚からすると、中小企業はやっぱり働き方改革難しい面があるんじゃないかと、すごく大ざっぱな言い方をするとそういう感覚もやはりあるところなんですけれども、小室参考人のこれまでの取組において、会社の規模によって違うところがどういうところがあるのか、また、変わらず働き方改革はしていけるんだというところについてのお考えも含めてお聞きさせていただければと思っております。
 また、もう一つ、働き方改革推進支援センターについても先ほど言及いただきました。今回、都道府県に各一か所ずつではありますけれども、まずこのセンターにおいてしっかりと、中小企業の方、また企業経営されている方、従業員の方からの相談に対応していくという役割をそこで担っていただくということなんですけれども、小室参考人がこれまで各社に応じて取組をされていたような形のことをセンターでやっていただくことが十分に可能かどうかというと、まだまだ難しいところはあるかと思うんですけれども、このセンターに担っていただかないといけない役割として望まれることを教えていただければと思います。
#25
○参考人(小室淑恵君) ありがとうございます。
 中小企業においての働き方改革は、確かに大変難しい点がありまして、なぜなら、その上流の工程、取引先との関係性に強いプレッシャーを感じるからというところです。
 中小企業が、今回、各都道府県の県庁とのプログラムにおいては非常に好事例がたくさん出ているので、中小企業の働き方改革が全く不可能ということはなくて、取り組めばきちんと進んではいくんですが、やはりその強いプレッシャーがあるところで更に進めていくというときに、私は大塚倉庫さんの事例というのが非常に興味深くて、大塚倉庫さんは倉庫業ですけれども、自社の従業員ではないトラックの運転手さんたちの残業時間を今六〇%ぐらい削減することができて、そうしなければ自分たちの業界全部がなくなってしまうんだと、トラックのドライバーがいなければドライバー不足でこの業界がなくなってしまうという危機感で、非常にそこをしっかりと下流の工程も巻き込んでやっておられました。今、大塚倉庫さんは非常に、それで表彰を受けて、いろんな賞を受けたことによって更にやっていこうという意欲になっています。
 中小企業に働きかけをするのはもちろんのこと、その取引相手である大企業に、下請の会社を巻き込んだ場合に何かしらのインセンティブを与える、それをやっていないと働き方改革ではないよという形で、そこをしっかり仕組みとしてつくっていくということが重要ではないかなというふうに思っております。
 それから、センターの方ですね、支援センターに関しまして、今ですと、やはりプランを出して終わりというところがあります。中小企業にとっては、プランをその後、途中でやっぱりいろんなハードルに遭って止まってしまうということが多いんですね。なので、私たちが一千社コンサルをしてきて、八か月より短く働き方が変わった企業って余りないんですね。どうしても六か月から八か月ぐらいが必要です。何十年とやってきた働き方ですので、小さなトライ・アンド・エラーをしながら成功体験を積んでやっとちょっと変わってくるという形なので、できれば七、八か月ぐらいの期間を何か伴走できる仕組みで、複数の企業が集まって情報交換をして励まし合えるような仕組みというのをセンターごとに持っていくことによって、より実効性が高まるのではないかというふうに考えます。
 御質問ありがとうございました。
#26
○伊藤孝江君 棗参考人に最後にお伺いしたいと思います。
 今回、上限規制超えたものに対して罰則を設けるという形で法改正が予定されております。この罰則を設けること、これまで弁護団として、なかなかその捜査の権限もないとか、いろんなような形で大変だった面があるかと思うんですけれども、罰則を設けることの効果、どのような形で考えておられるのか、お教えいただけますでしょうか。
#27
○参考人(棗一郎君) ありがとうございます。
 本当に、これまで上限を規制する罰則がなかったので、もう青天井の状態だったんですよね。これは、罰則付きだということになると、労基署監督官も入りやすいですし、それを告訴、告発することができますし、そこまで行かなくても、企業に対する交渉として、この上限付きがあるので、この働き方というのはおかしいんじゃないかということを容易に交渉の場でも裁判の場でも言っていけることになるだろうというふうに思いますので、これによってかなり劇的に変わるんじゃないかというふうに思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、もうちょっと下げてもらった方がいいかなというふうには思います。
#28
○伊藤孝江君 ありがとうございました。以上で終わります。
#29
○足立信也君 国民民主党の足立信也です。
 皆さん、どうもありがとうございました。いつも参考人の方にはできるだけ全員に質問したいんですけれども、するようにしているんですが、今日はちょっと時間の関係で五名は難しいので、あらかじめ質問できない方がいらっしゃることをお許し願いたいと思います。
 まず、布山さんにお聞きしたいんですが、今朝のNHKの世論調査で、今回の法案、特に閣法ですね、賛成が一二、反対が三二、どちらでもないが四四。衆議院で三十時間以上、参議院で、今日を入れ、今のところ十二、三時間で、どちらでもないという方がこれだけいるというのはほかの法案よりも多い、これはなぜだと思いますか。
#30
○参考人(布山祐子君) とても難しい質問かと思います。
 願わくば、働く方、皆さん働いていらっしゃって、雇用者がもう大多数を占めるという中で、それぞれ、会社側だけではなくて、働く方々の方も通常自分のこととして今回の法案を見ていただければなというふうに思っております。
 私どもとしましても、今回賛成の立場ですということは、これからの日本の変わりよう、変革に向かって同じように働き方も変わっていく、当然、きちんと縛りを掛けなきゃいけないことも縛りが掛かっているという内容の中身だと思っておりますので、これはなぜなのかというと、なかなか答えにはなりませんが、これがきちんと浸透して周知ができるように私どもの方としても努力したいと思います。
#31
○足立信也君 私は二つあると思うんですね。皆さんおっしゃっているように、いいものと悪いものが混在しているからですよ。それともう一つは、悪いものと思っている中で、国会審議を重ねたら説明が繰り返されてより理解されるのが、理解されないんです。で、棗さんおっしゃっていたように、対象業務とか、あるいはアナリストやコンサルタントの中でも更に高度なものとか、訳分からないというようなことが、理解が深まらない、どちらとも言えないとなっている、私は大きな原因だと思います。
 もう一つお聞きしたいんですが、今回、三六協定、布山さんですね、三六協定、あるいは裁量性のある働き方、高プロも含めて、委員会、こういう存在が非常に大きいですね、極めてこれ肝だと思います。
 そこで、労働者の代表制というものについて、今、過半数組合、過半数労働者、組合組織率は一七%ですか、この労働者の代表制ということについて企業側としてはどういうふうに捉えているんでしょうか。それが正当性、主体性のある民主的なものだと捉えているんでしょうか。
#32
○参考人(布山祐子君) 企業側の立場から労働組合のところについてコメントするというのはなかなか難しいかと思います。ただ、各企業、通常、日本の場合、企業内組合がございますが、そこで各企業の労使が話し合うということはきちんと行われているんではないかなというふうに思っております。
#33
○足立信也君 逢見さんにお聞きします。
 今の後半の部分ですね、労働者の代表制というものについてどうかという点が肝だと思う。
 それと関連、もう一問は、時間の把握というのが今回何よりも欠かせないんですね。特に、高プロであろうが、事業場外も入ってくる。棗さんもさっきおっしゃっていましたが、時間把握ができないではないかと。この点について、この時間の管理、把握の仕方についての逢見さんの御意見を伺いたいと思います。
#34
○参考人(逢見直人君) まず、過半数代表の問題でございますが、これは過半数を組織する労働組合があればその労働組合、この場合は労働組合としての機能の中で意見を集約していくメカニズムがあるわけですが、労働組合のないところの過半数代表というのはやっぱりいろいろ問題点があると思っています。
 実際にその選出手続について、例えば会社側が指名しているとか、あるいは社員会や親睦会の代表がそのまま過半数代表になっているとかですね、あるいは一名だけ代表者になっていて、それが必ずしも全体の従業員意見を束ねているわけではないというようなところがありまして、こうした過半数代表制の選出に関わる問題については、今は告示のようなものでしかないわけですが、これはもうちょっとルールを厳格にしてきちんとした集団的労使関係が機能できるような仕組みが必要だというふうに思っています。
 それから、労働時間の客観的な把握については、これはやっぱり最も基本になるところだと思います。今回、衆議院でもそうした議論がなされておりましたけれども、事業場外で働いている人、あるいはみなしで働いている人を含めて労働時間を把握する手はずというのは、IT機器などを使えば実際に職場にいなくても把握することはできるわけですから、もう客観的な時間の把握ということはより厳格に進めていく必要があるというふうに思います。
#35
○足立信也君 私、前職は、その後、国立大学法人とか国立病院機構、民間になって、過半数代表者がいるんですが、全く私は労働者の代表としての機能はないに等しいんではないかと、そのように実は思っています。そういうふうに民営化されたところというのはかなり労働者の総意の具現化というものが非常に弱いんではないかなと私は感じています。
 小室さんにお聞きしたいんですが、安倍政権では労働生産性を高めようとしています。特に、それは全要素生産性というよりも、むしろ労働力生産性、労働時間、投入する人の数を減らそう、そういう方向性だと思うんですが、これはバブルの崩壊の前からも、あるいは世界的にもどの業種が多いかによってもうほとんど決まってしまうんですよね。日本のようにサービス業を始めとする労働集約型産業が非常に多いところは、労働力生産性って高まらないんですよ。
 それに絡んで、先ほど寺西さんがこれは高プロの先取りだとおっしゃった教育、収入要件は違うんでしょうけれども、この教育、先ほど小室さんは是非とも検討すべきであるとおっしゃいました。我々が衆議院に提出した法案には、検討項目ではありますけれども、これは早急に教員の働き方についてはやらなきゃいけない。特にその中でも残業が認められていない給特法であるとかですね。
 小室さんの、教育の方での働き方、これを早急に取り組まなきゃいけないとおっしゃったその内容、何をまずやるべきか、何からやるべきかについて御意見を伺いたいと思います。
#36
○参考人(小室淑恵君) ありがとうございます。
 今まさにおっしゃられた給特法について非常に大きな問題意識を持っています。
 今、部活動は基本的にはまずボランティアの扱いになっているというところであるだとか、そもそも労働時間を把握するというようなことすらも、これは今、小学校、中学校、全部で二十校ぐらいのコンサルティングをしているんですが、労働時間の把握がまずそもそもしていないです。何度も何度も聞くと、校長先生が最後に、一応僕が私的に把握しているものはあるんですけどねというような形でやっと出てくるというような状況です。
 なので、もうやることは山積みだと思っているんですけれども、そもそも大きなこの給特法のところから変えていかなくては、全くこの議論、一度もちゃんと進んだことがないわけです。ここからしっかり、最低限のところですので進んでいかなくてはならないというふうに思っていますし、部活動は決してボランティアではありませんし、また、それから母親としての立場から見ますと、やはり学校の先生に指導してもらうよりも専門家に指導してもらった方がレベルも上がるというふうに思っています。
 また、学校の先生の方にも強い信念があって、これによって様々な生活の問題がある子供を救っていくのが部活なんだというようなお話もあって、それで部活に非常に力を入れているという部分もあるんですが、その学校の中で、部活動の中で、狭い世界の中で問題を良くしていくということではなくて、今の子供たちには、学校で苦しくなったのであれば、学校外でもっと世界を見付けてもらう、自分の別の道というのは幾らでもあるんだということを見付けてもらうというのも新しい考え方で、そういった学校の先生側も意識を変えていくことも重要ですし、そもそも給特法を変えていくことも大事、こうした総合的にやっていく必要があるなと考えております。実際には、学校の中だけで取り組んで、もう様々な成果は出ていますので、是非見に来ていただけたらと思います。
 ありがとうございます。
#37
○足立信也君 ありがとうございます。
 今回、産業医のことがいろいろ取り上げられますけど、今のお話で、学校医の関わりというのもかなり重要だと思います。
 皆さん、どうもありがとうございました。
#38
○難波奨二君 立憲民主党の難波奨二でございます。
 五人の参考人の方、大変今日は貴重な御意見、ありがとうございました。
 まず、逢見参考人にお聞きいたしますが、先ほどの質問と同じでございますけれども、教職員の働き方改革ですよね。今回もなかなか衆参議論が、この問題については非常に難しい課題が多いというのも私も承知しておりますけれども、連合として、この教職員の働き方の課題ですね、現状における課題、そして政府にどういった対応が必要というふうにお求めになられる課題ありましたら、お述べいただきたいと思います。
#39
○参考人(逢見直人君) 私ども連合としても、この教職員の働き方というのは大変大きな課題だというふうに思っております。
 実は、連合総研という私どもの連合のグループにある研究機関が調査しておりまして、ここで週六十時間以上働いている教員の割合が小学校教員で七二・九%、中学校教諭で八六・九%と極めて長時間の実態にあります。また、出退勤時刻を把握していない、あるいは把握しているかどうかすら分からないという現場の回答が四割を占めているということで、そういう中で教員の方が疲弊していると、そのことが結局子供たちにも悪影響を与えているということだと思います。
 現在、中教審で働き方改革特別部会というのが開かれておりまして、ここでも連合からも相原事務局長が委員として参加しております。ここで緊急に実行できる課題についての提言が行われて、その後、より本格的な議論ということになっているわけですけれども、やはりまずは緊急でやるべきことということでいうと、教員というのは本来教育業務に専念するということなんですけど、実際にはそれ以外の事務がたくさんあって、そこで教員が本当にやらなきゃいけない仕事なのか、あるいはほかの人に任せてもいいものなのかと、そういう区分けをしながら、本来のあるべき業務に専念できるようにしていくということとか、あるいはICTを活用した勤務時間の把握、あるいは安全衛生体制の整備、それぞれの学校の中で衛生委員会をつくるとか、そういう改革をしていくということがまず当面必要だと。その上で、さらにその本来の勤務の在り方、給特法も含めた議論ということが次の課題になって上がってくるんだろうというふうに思っております。
#40
○難波奨二君 もう一点逢見参考人にお聞きいたしますけれども、今回の関連法の中で幾つかキーワードがあるんですけど、裁量権とか、あるいは高い交渉力とか、あるいは本人同意とか、あるいは解除申出とか、本当に私は非常にこれ懐疑的なんですけれども、働く労働者にそんな裁量権や高い交渉力や、あるいは本人同意の問題を含めて、拒否権ですよね、あるいは解除の申出、本当に働く者がそういう権利なり行動なり、これ行使できるような環境にあるのかどうなのか、この辺は、逢見参考人、どのように御自身、お考えをお持ちでしょうか。
#41
○参考人(逢見直人君) 本当にプロフェッショナルとして、もう自分一人で稼げるという人が会社に対して対等な立場で交渉できる、まあそれはそういう人もいるかもしれませんけれども、ほとんどの人はそういう対等に個人として会社と交渉して自分の働き方を決めるということはできない。ほとんどはやっぱり上司に言われるとそれを唯々諾々と従うしかないということだと思います。それをカバーするものとして、集団的労使関係の中で従業員の全体意思としてまずルールを決めて、その中で個人の同意を得た上でという手続を取るという形で、やはりその前提として集団的労使関係がしっかり機能しているということだと思います。
 労働組合があるところは、そこの労働組合がその役割を担わなきゃいけないんですけれども、残念ながら一七%そこそこという組織率ですから、八〇%のところには労働組合がないというところがありますが、そういうところであってもやっぱり集団的労使関係が機能する仕組みというのをこれから考えていかなきゃいけないと。
 やはり、その一人一人の労働者というのは弱い、対等な交渉力持てないと。それをかさ上げしていくことによって対等性を担保していくという仕組みは必要だというふうに思います。
#42
○難波奨二君 次は棗参考人にお伺いしたいと思いますけど、これも私、なかなかよく理解できないんですけど、一千七十五万円の金額の問題なんですよね。この金額の妥当性、これはもう衆参の議論聞いていても、これはもう極めて理解できないんですよ。
 今後の心配事も当然あるわけでございますが、この一千七十五万、つまり高プロの基準賃金というものは、どういう基準を作り、そしてまた法的にどのような担保をつくっていく必要があるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
#43
○参考人(棗一郎君) 一千七十五万という数字が独り歩きしていると思うんですよね。これ、法文にどこにも明記されてはおりませんし、これが妥当なのかどうかというのは誰がどうやって検証したのかってさっぱり分からないんですよ。
 これ、たしかもう十五年ぐらい前に労基法改正したときに、専門の有期制をつくったときですよね、あのときの数字を参考にしているので、物すごく古い数字なんですよね。しかも、これ、毎月勤労統計で決まって支払われる固定の額を基礎にすると言っていますが、大分変わっているんですよね、十五年前と。それと、この額には通勤手当とかも入っていて、何か変なものが入っているんですよ。こんなものを算定基礎にしていいのかと。
 私、この参考人で呼ばれたときに調べたところ、平成三十年一月の速報値ですけれども、毎月勤労統計の、この一般の手当、一般労働者の手当が、給料が、二十五万八千円なんですね。これを単純に十二掛けて、三倍を相当程度超える額というふうに法案にはなっていますので、そうすると、年間三百九万円の賃金で三倍すると九百二十万円ぐらいにしかならないんですよ。
 これ、相当超える額といって千七十五に届くのかというのがそもそも問題ですし、これ、数字はパートタイム労働者も入っているんですよ、この数字、勤労統計に。パートタイム労働者の平均月収は九万四千七百円なんです、この今年の三十年一月。これも取り込むとなるとぐっと平均賃金が下がりますので、こんな取り方でいいのかという根本的な問題があると思います。
#44
○難波奨二君 ありがとうございます。
 最後、寺西参考人にお伺いしたいと思いますけれども、お話がありましたように、この立証責任というのは申請する側にある。大変多くの御苦労をされて労災認定まで歩まれたんだと思いますけれども、そうした壁の問題、これをもう少しお話しいただければと思います。
#45
○参考人(寺西笑子君) 御質問ありがとうございます。
 別に、絶対申請者側から出さなければならないということはありません。労基署へ行って請求用紙を書けば申請はできるというふうに思います。ただ、その場合、担当官は会社の方に調査に入ると、既に、何もこちら側から根拠となるものがない場合、会社側の意見だけ採用されてしまうわけです。そこで、会社側から勤務時間や職場の出来事、そしていろんな仕事の内容など、適正な形で正しく伝えられるかということが問題なんですね。
 私の夫の場合も、やはり、夫が自殺して会社に知らせれば、社長と上司は我が家に飛んできて土下座して泣いて謝りました。しかし、数日たてば手のひらを返した態度になり、会社に、職場に箝口令をしき、そして同僚や部下たちの、会社に不利なことは言うなというような状態になりました。ほとんどの遺族はそういう経験をしています。
 ですから、根拠となる労働時間、そしてどういう仕事をしていたのか、そして職場で何があったのかというものをあらかじめこちら側から用意をして、これ、こういう出来事がありましたからこれにのっとって調査をお願いしますというような形がふさわしいのではないかと思います。そういうことをしても経営者側はやっぱり自分たちの不利なことは言ってくれませんから、それをどちらを信用するかということがまた評価されて、不当な判断を受けたりというような問題になってしまいます。ということが実情です。
#46
○難波奨二君 終わります。ありがとうございました。
#47
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、五人の参考人の皆さん、御意見ありがとうございました。
 この法案を審議するに当たって、やっぱり過労死をどうやってなくしていくのかと、そのために法改正どうあるべきなのかということを我々は本当にしっかり押さえて議論していく必要があるというふうに思っているわけです。
 そこで、最初に、全国過労死を考える家族の会代表の寺西参考人に伺いたいと思うんですね。
 高プロに反対だと、安倍総理にも面談をずっと要望されてきた、座込みなどもやられてきたというふうに伺っているし、やっぱり、こうした活動に取り組んでいるという思いを、何で取り組んできたのかという辺りも是非御紹介いただきたいと思います。
#48
○参考人(寺西笑子君) ありがとうございます。
 私たちは、なぜここまで行動するのかということをお聞きいただいてありがとうございます。
 私たちは、大切な家族をある日突然、働き過ぎで命を奪われたわけです。朝、行っていらっしゃいと言った家族が夜になって御遺体となって家に帰ってくる、また、お休みと言って寝て、朝起こしに行ったら息をしていない、また、これは本当に痛ましいんですが、外出をして帰ってくると部屋で首をつっている、こうした形で大切な家族の命が奪われたわけです。こんな思いというのは本当に一般の方は理解していただけません。誰にもこのような苦しい思い、言えないんですね。ですから、私たちは、何も知らない初めての方でも同じ境遇の人と本当に励まし合って支え合うことをしています。
 こうした過労死をなくしたいということで、この度、この働き方関連についての、二月辺りには裁量労働制のデータ問題がありました。そのときにも衆議院予算委員会に呼んでいただきまして、意見陳述をさせていただきました。その思いを、この問題点を加藤厚労大臣にお伝えしたいという思いで面談をお願いし、そして、急遽調整をしていただいて、二月二十三日に加藤厚労大臣と面談することができ、非公開ではありますが、私ども家族の会から十四人の会員のお話を聞いていただきました。大臣からは、皆さんの深刻な思いを受け止めたと。で、どうしたことで改善をしていただけるのでしょうかと言うと、監督指導を徹底するという、具体的な対策としてはその一点でしかお聞きできなかったんですね。やはりもう採決ありきの返答だというふうに思いました。
 そうしたことで、この法案を左右する裁量を持っていらっしゃるのは、当初法案を、働き方改革の委員長をされた安倍総理しかおられないという思いがあって、急遽面談の申入れをいたしました。そこまでして私たちは、どうしても安倍総理にお話を聞いていただきたい、そして、文章や言葉だけではなくて、家族の亡くなった遺影を見ていただきたい、肌で感じていただきたい、人として感じていただきたい、その胸でもう一度人としての命の問題を考えてほしいという思いがあったんです。
 そういうことで、何度も、また国会の中でも審議をしていただきましたが、残念ながら、会っていただける、また、傍聴でその場にいても目線も合わせていただけませんでした。本当に冷たい態度で対応されたというふうに感じています。
#49
○倉林明子君 法案は、今、参議院での審議中ということです。徹底したやっぱり審議を尽くしていきたいと思っていますし、安倍総理に伝えたかったその思いを我々もしっかり受け止めて審議に臨んでいきたいというふうに改めて思っております。
 そこで、逢見参考人と小室参考人にそれぞれお伺いしたいと思っているんですが、裁量労働制、既に今行われているわけですが、ここでも実労働時間の把握というのが極めて困難な実態があるというふうに思っております。これは更に高プロ制度ということで出ているわけですけれども、長時間労働を助長する、労働時間の規制を更に取っ払うということになるわけで、この実労働時間の把握の困難性、長時間労働を助長するリスクを高めるのではないかと、こういうことについての見解をそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
#50
○参考人(逢見直人君) 今回、裁量労働制の拡大については法案から外れましたけど、既に専門業務型あるいは企画業務型の裁量労働制が入っているんですが、現に入っているところでやはりいろんな問題、指摘がなされております。やはりこれが長時間労働の温床になってしまっている、それから、きちんとした労働時間の把握ができなくなってしまっているということがあります。
 そういう意味で、裁量労働制については、拡大を止めたからこれでいいということではなくて、今ある裁量労働制についても、よりその厳格な運用を求めるための措置は必要であるというふうに思っております。
#51
○参考人(小室淑恵君) 御質問ありがとうございます。
 私は、今回、この上限の規制と一緒に入れるということに非常に大きな意味があると思っています。今まで起きてきたことは、特に管理職が一番キーとなるかと思うんですが、管理職は今まで、上から降ってきた仕事を何も断らずに、取捨選択をせずにそのまま下に下ろしてしまうという仕事の仕方をしていました。そうすると、特に優秀で仕事を早くこなしてくれる人に全部乗っけてしまうということが起きていました。
 今回、この上限規制を入れるということで各企業で今盛んにやっているのが、上限規制が入ることによって、その上司に当たる人に、仕事を断る能力を付けなさい、取捨選択をしなさい、幾つかのことを断る方をむしろ評価しますというような、管理職の評価基準がこの上限が入ることによって大きく変わるんですね。今までは期間当たり生産性というか、月末、年度末までに一番積み上げた人を評価するというリーダーの評価基準だったんですが、そこに対して、短い時間で成果を出すということを管理職の評価基準にしていく。これが変化しないと、やはり一部の人に全部乗せていってしまうということが起きるわけですが、今回、これをセットで入れていくことによって、上司がいかに仕事を捨てるかというふうなところを、それから、経営者がいかにきちっとIT投資もして仕事を取捨選択するかというところが問われてくるのかなというふうに思っております。
 また、今ちょうどテレワークを入れたいという企業が非常に増えているんですが、テレワークを入れようとすると、これは企業側としても、いつ働いているのか働いていないのか分からないというところが同時に問題になっていまして、企業側もテレワークを入れたいから労働時間の把握をしなくてはならないというところのフェーズに進んでいるというのがあります。ここの部分をもう少し支援をして、テレワークと同時に労働時間の把握が自動的に進むような仕組みというところが支援するべきではないかなというふうに考えています。
 御質問ありがとうございました。
#52
○倉林明子君 実労働時間の管理ということをきちっとしていくということは、本当に大事なところになっているというふうに思います。
 先ほど棗参考人の方から御紹介ありました、労働時間は今でも弾力的な運用は拡大していると。法案資料のところで御説明もあった、一般的な働き方は四割だという数字なんですけど、実はここに管理監督者が含まれていたということが分かったんですね。そうなると、実際にはもっと弾力的な働き方をしている人が多いんだということになると思うんですね。
 そういう意味で、やっぱり原則的な働かせ方を本当に原則にしていくということが大事なんじゃないかと思うんですけれども、コメントをいただきたいなと思います。
#53
○参考人(棗一郎君) ありがとうございます。
 管理監督者も含むということで、私もそれ驚いたんですけれども、管理監督者イコール管理職じゃありませんので、大きく違うんですよね。労基法四十一条二号の管理監督者というのは、企業経営者と一体的な立場で重大な責務を任せられている人で、出退勤の自由、労働時間の裁量がある人、それから相当程度年収が高い人、この三つの要件が判例上確立しておりますので、そういう人たちのことをいうんですよね。
 ところが、それをそういう要件に当たらない人を管理職に上げてしまってやっているというのが現状でありまして、ここのところも併せて手当てしないと、管理職に、先ほど小室さんも言われましたけれども、仕事が取捨選択できるにしても、今どういうことが起こっているかというと、働き方改革でとにかく部下の時間を減らせと、そうすると管理職に集中しちゃうんですよ。おまえがやれと、仕事引き受けて、もうあっぷあっぷでどうにもなりませんという相談たくさんあります。ですので、ここのところも手当てしないと、管理職が倒れてしまいますよ、これ。
 なので、そこも一緒にやらないと、時間をきちんと管理職も把握して管理して一緒に下げていくと、みんなで下げていくということをやらないとまずいと思います。
#54
○倉林明子君 ありがとうございました。
#55
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 まず、寺西参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 我が会派の方では、高プロについては御反対だということでしっかりと承らせていただいておりまして、高プロについては本人が撤回をできる、そういった法改正をさせていただきました。
 衆議院の方でも寺西参考人来られて、撤回できたとしても、やっぱりなかなか撤回しにくいという状況もあるというふうなことで、それもそうだなというふうに思っていまして、そのことについては、今後、是非検討を重ねていきたいというふうに思っております。
 過労死、過労死自殺、これは長時間労働ももちろん関係しているのは当然だと思うんですけれども、プラスハラスメントだというふうなことで、このハラスメントの防止というのも大切だとは思うんですけれども、今後ですね、長時間労働はいろんな業種で、医者とかもそうだと思いますけれども、たくさんの方が長時間労働をされております。その是正というのはもちろん大事だと思うんですけれども、過労死とか過労死自殺を防いでいくために、ほかにもっとこういったことをやっていくべきだというふうなことがありましたら、是非お伺いをさせていただきたいなと思います。
#56
○参考人(寺西笑子君) ありがとうございます。
 その過労死、過労自死の大きな温床になっているのは、やっぱり長時間労働と、自死の場合はハラスメントですね。
 この度、残業の上限規制ということで、単月は百時間未満、そして複数月八十時間というふうに、これを法律で明記されようとしていますが、この時間というのは過労死ラインなんですね。国がやっぱり、過労死と認められる時間ですし、休日労働を入れると、平均、年中八十時間可能になるわけなんです。そういうところをしっかり明記されていない、聞かれて初めてそうだというような、ちょっと不誠実なこれまでの審議もあります。
 そして、もっと大事なことが隠されていまして、一日の上限、週の上限がないんですね。ですから、何も平均に取るとは限らない、月四十五時間であっても、一日の上限、週の上限がないことによって、一週間や、すごく集中して青天井状態で取れることだって可能なんです。そうしたところももっともっと審議を深めないと、四十五時間厳守にした、ところが過労死は減らないという問題点を御理解いただきたいというふうに思います。
 そして、私たちが、過労死防止法を二〇一四年に成立させていただいて、それの取組としましては、やはり理念法なので罰則規定はありません。ただ、調査研究、周知啓発という部分で関わらせていただいているところであります。特に、家族の会は啓発事業に全面的に協力しまして、やはり集会なんかで過労死の実情をお伝えして、こういう過労死を起こさない、また、働いている皆さんも働き方に、過労死を人ごとではなくて、御自身の問題として捉えてくださいということでお話をしているわけなんです。もう本当に、草の根運動的なことでしか過労死防止法に家族の会が関われない状態になっています。
 ですから、やっぱり法改正、厳罰化も大事ですし、やっぱり働かす側も働く側も考えを、意識を変えていくということが、両方が大切かなというふうに思います。
#57
○東徹君 ありがとうございます。
 続きまして、小室参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 この参考資料を見させていただいて、本当にすばらしいなと、もうこういった企業がもっともっとあれば日本の未来も明るくなっていくんではないのかなというふうに、こう思った次第なんですけれども、女性という立場で、子育てしながらも仕事ができるような、そういった社会をつくっていくというのは非常に大事だというふうに思っております。今回の法改正はそういったところも視野に入れてやっているというふうになっているわけですけれども、小室参考人の方から、是非、今後の形として、どういったことを取り入れていけばもっともっと子育てしている女性が働くことができるのかとか、そういったことを是非お話ししていただければと思います。
#58
○参考人(小室淑恵君) 御質問ありがとうございます。
 もう言わずもがなとしては、待機児童の問題をまずもう早急に、何でこんなにずっと変わらないんだというところはずっと憤っております。
 更にというところで言うと、やはり女性たちにとって、自分に時間制約ができると、時間に全く制約なく働ける人と、自分には価値がもう全く半減したぐらいの感覚を持ちます。なので、一番大きいところはやはり労働時間というところで、もう過労死を防ぐというぎりぎりのラインではなくて、本当に八時間以内で、八時間一本勝負で職場で働くというようなところになれば、多くの女性が今まで諦め型になっていたのが本気で勝負するというところにもっともっと変化してくると思っています。
 そういう意味では、今後、経営者にとって一番恐ろしいのは人が採れなくなることなんですね。採用においては、かなりブランド力があった企業すらも随分苦戦をしてきています。そうすると、法律での上限ももちろん大事なんですが、ちゃんとした働き方をしていない企業は採用で著しく不利になるような状況へもっと追い込んだ方がいいと思っているんですね。若しくは、投資を受けられなくなるというような、投資の基準の中でも、今はなでしこ銘柄や健康経営銘柄はありますが、まだまだ参考程度という形で、最低限こういう企業以上じゃないと投資をする価値がないというふうな基準をもっとつくっていくべきで、そこにまだ労働時間がちっとも入っていないんですね。
 なので、労働時間で投資をされる企業、全くお金が集まらない企業というふうにしっかり分かれる仕組みであったりだとか、新卒を採用したいと思うのであれば、労働時間がこういう状態になっていないと国のお墨付きが得られないというような、何かの仕組みをつくったりというところをもっともっと力を入れていただければというふうに思っております。
 ありがとうございます。
#59
○東徹君 ありがとうございます。
 布山参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 長時間労働の上限規制ということで、今回決まるわけですけれども、その中で、やはり上司、管理職、こういった人たちが、これまで長時間労働していた人たちを長時間働かせないようにするためにはやっぱり上司とか管理職の人たちが仕事を振り分けたりとか、新しい人を採用していくとか、そういったことをやっていかないといけないわけですけれども、そういうマネジメント力というか、そういったことをしっかり身に付けていくとか、それから企業風土をやっぱり変えていかないといけないわけですけれども、この点については、今後どのように変えていかなくてはならないというふうに考えているのか、お聞きしたいと思います。
#60
○参考人(布山祐子君) 御質問ありがとうございます。
 今先生のおっしゃるとおり、今後労働時間のところの把握というところで、きちんと管理職自らやっていかなきゃいけないということだと思っております。
 私ども経団連といたしましても、一昨年から働き方改革という一環でキャンペーンを開いております。その中で、今年の内容についてはこれから発表するような形になるんですけれども、昨年も労働時間についてはどう是正していけばいいかという内容で、企業の取組事例も入れた事例集を作ったりだとか、あるいは、連合さんとも共同でシンポジウムを開きまして、そういうPRもしてきております。
 経団連としては、そういう形で周知活動をして皆さんに分かっていただくという形になるかと思います。それを受けていただいた各会員企業さん始め、企業の方々に、また、働き方が変わるということをきちんと把握していただいた上で、企業の管理職の方の評価の中に時間マネジメントという、タイムマネジメントのものをきちんと入れるだとか、そういう工夫というのも必要なのかなというふうに思っております。
 以上です。
#61
○東徹君 時間ですので、ありがとうございました。
#62
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日はすばらしい活動をされていらっしゃる五人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、寺西参考人にお聞きをいたします。過労死をなくすために人生懸けて頑張っていらっしゃることに心から敬意を表します。
 過労死に関しては、五月三十一日、過労死等防止対策推進協議会に示された過労死等防止対策大綱案では、労働時間の適正な把握が効果的である、白書においては、労働時間を適正に把握すること及び残業手当を全額支給することが残業時間の減少に資するとしています。
 高度プロフェッショナル法案はまさにこれに逆行すると、過労死促進法案、残業代不払法案、定額働かせ放題法案、子育て妨害法案、家族解体法案だと思いますが、いかがでしょうか。
#63
○参考人(寺西笑子君) 福島先生のおっしゃるとおりだというふうに思っています。
 まず、労働時間の管理を適正把握することがやはり一番過労死の実態があぶり出されるのではないかというふうに思っています。私たちもこの労働時間管理の適正把握は要求しているところですが、なかなか、通達からガイドラインになり、法案にはまだ届かないということで、本当に残念に思っているところであります。
 なぜなら、やはりサービス残業が横行し、そして、それを隠すために自主申告をさせているという実態があるわけなんですね。ですから、これまでも若い方の過労死、過労自死の方なんかも、やはり自主申告で正しい時間が書けていない、あと、パソコンであったりとかメールであったりとか、そこから時間算出をするという、本当になかなかこちら側から証拠を出すことも難しいし、それをまた行政で認めてもらうことも難しいというところに問題があるんですね。
 ですから、やはり労働時間を、せめて働いた時間は正しく使用者が管理すべきだと、客観的証拠でそれを管理することを私は本当に徹底することによって過労死の実態が正しく表れてくるんじゃないかというふうに考えています。
#64
○福島みずほ君 今、寺西参考人からもありましたが、棗参考人にお聞きをいたします。
 労働時間管理ではなくて、なぜ健康管理時間なのか。厚生労働省は、原則として客観的な方法で毎日把握し記録するというふうに答弁をしました。でも、タイムカードやパソコンのログを記録すると言っているんですが、そうでないところもありますし、先ほどおっしゃったように、PCそのものをもう出さないという会社も多い。それから、自己申告では、今、寺西参考人からもありましたが、会社外は、事業場外は自己申告と厚生労働省言っていて、健康管理時間は砂上の楼閣だと思いますが、これについての御意見をお聞かせください。
#65
○参考人(棗一郎君) ありがとうございます。
 先ほども言いましたように、健康管理時間じゃ労災の認定もできませんし、残業代も請求できませんし、処罰もできませんから、これ、何でこんなものを入れたのかなというふうに思うんですよね。
 そもそも、労働時間の規制から対象労働者を外すということと労働時間を管理して健康を確保するということは別の話だと思うんですよね。むしろ、規制を外されて長時間労働になりやすい人をつくるのであれば、むしろそういう人たちほど労働時間の管理をして厳格に時間を抑えていかなきゃいけないということがあると思うので、私は、高プロであろうが裁量労働制の人であろうが、客観的な実労働時間を把握する義務を課して、で、もう簡単なんですから、先ほど逢見さんも言われましたように、自分の持っている携帯とかパソコンとか、それで労働時間を客観的に管理するソフトがありますから、それでやればいいだけなんで、全然企業に負担はないです。そこから始めるべきだと私は思いますね。
#66
○福島みずほ君 棗参考人にお聞きをします。
 この高プロは誰が望んでいるのかということが一点。二点目は、同意ということなんですが、同意で足りるんだったら労働基準法なんか要らないと思うんですね。対等でないから労働基準法が必要で、日本のどこに、パワハラもそうですが、どこに対等な労働者がいるんだというふうに思うわけです。この二点についての御意見をお聞かせください。
#67
○参考人(棗一郎君) 高プロは誰が望んでいるのかというのを、私もさっぱり分からないんですよ。
 私、労働事件の専門で事件をたくさんやっていますから、経営側の弁護士ともたくさんやり合っています。彼らに聞いてみても、日本経団連の顧問をやっているような人たちに聞いても、一体これは誰が欲しがっているのかと、さっぱり分からないんですよ、要らないと言っていますから。裁量労働制があるので十分だと、専門職の裁量労働制がありますから、屋上屋を重ねるような改正なので、こんなの使わないけどなというふうに言っています。
 なので、それは分かりません、誰が望んでいるのか。先ほども、国民のほとんどの人が反対しているということがありましたけれども、何で入れるのかなというのが、どこにニーズがあるのかというのが分からないというのが一つです。
 それから、同意の問題ですけれども、やっぱり、先ほど逢見さんもおっしゃいましたけれども、これ、私の依頼者、相談、事件をやっている方にも一千万の年収を超える人というのはたくさんいます。例えばお医者さんとか、それから市場アナリスト、コンサルタントの人います。これ、どういう相談が来るかというと、業務命令違反で解雇、雇い止め、配転になるんですよ、こういう人たちだって。これ、労働者ですから、年収が高くても使用者の業務命令には従わなきゃいけません。これに逆らったら業務命令違反で飛ばされるし、首になるんですよ。
 そういう人たちがどうやって自分の自由な意思でその働き方を選べますか。僕は選べないと思いますよ。逢見さんもおっしゃったように、ごく一部の物すごい専門職の対等な人がいるかもしれませんけど、それはもう極めて例外中の例外であって、ほとんどは無理だと思います。私はそう思います。
#68
○福島みずほ君 逢見参考人と小室参考人にもお聞きをいたします。
 逢見参考人には、高プロの問題点について改めてお聞かせください。
 小室参考人に、高度プロフェッショナルがもし通ればワーク・ライフ・バランスなんかあり得ない、女性は労働時間規制がなくなるわけで、ワーク・ライフ・バランスを破壊すると思います。先ほど一日八時間労働でやればいいじゃないかとおっしゃったのはそのとおりで、高度プロフェッショナルについてのお考えをそれぞれお聞かせください。よろしくお願いします。
#69
○参考人(逢見直人君) 高度プロフェッショナル制度の考え方として、時間ではなくて成果で測るんだという考え方が出されているんですけれども、今の労基法も決して成果で測る働き方を禁止しているわけではないんです。一定の時間があれば働く、その時間帯だけ働くという働き方もありますが、ある役割が与えられて、その役割を果たせばあとは帰ってもいいという働き方をしても、それは自由なんですね。
 問題は、残業代を払わなくていい、夜間、深夜業の割増しも払わなくてもいいという、その所定労働時間からはみ出た部分を全く払わなくていいという制度を入れているということが問題だというふうに思っております。これがやはり長時間労働の温床になってしまう、働かせる側にとって都合のいい制度になってしまうというところが非常に大きな問題点だと思っております。
#70
○参考人(小室淑恵君) 御質問ありがとうございます。
 高度プロフェッショナル制度について、これを導入しようとする企業はもう極めてマネジメント能力が問われるということに今後なってくると思います。これがなければ導入することはもうできない。なぜなら、それをすればいい人材を逃すだけという形になるだろうと考えています。
 今、現実的に私たちがコンサルティングしている企業で、さっき棗さんにもありましたが、高度プロフェッショナル制度を入れたいと言っている企業さんはほとんどないという状況にはあります。それができるような状態ではないですね。むしろ、人が来ない中で、どうしたら人が来てくれるような働き方に変わっていくかという状態になっているので、いかにしてそのマネジメント能力を上げていくのか。もし本当に導入したいというのであれば、そこを徹底的にやっていかなければ導入することはできないという状態ではないかなというふうに考えています。
 ありがとうございます。
#71
○福島みずほ君 高度プロフェッショナル法案で労働時間規制をなくせば女性は本当に働けなくなると思いますが、その点についてはいかがですか。
#72
○参考人(小室淑恵君) ありがとうございます。
 私は、この労働時間の上限ということをきちっと入れて、高度プロフェッショナル制度以上に、大多数の職場に早く時間当たりの生産性が求められるような状態というのをつくっていくことが大事だというふうに考えています。
 ありがとうございます。
#73
○福島みずほ君 時間ですので、終わります。ありがとうございます。
#74
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。今日はどうもありがとうございました。
 まず、棗参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 私と同じ問題意識のところがこの私どものいただきました中には書いてございますのですが、そこが説明いただけなかったので少し補足していただきたいんですが、三ページ目の余りにも上限規制適用の例外業種が多過ぎるというところでございます。高度プロフェッショナルだけが注目されているんですけれども、実は私、ここにとても大きな穴が空いていると思いますが、いかがでいらっしゃいますか。
#75
○参考人(棗一郎君) 済みません、時間の関係ではしょってしまったんですが、逢見さんもおっしゃったように、これ、余りにも例外業種が、上限規制の業種が多過ぎて、こんなのでいいのかという感じがします。ここ、新たな技術、商品、役務の研究開発業務でしょう。それから、工作物の建設その他関連業務、建設業務ですよね。それから、自動車の運転業務、それから医業に従事する医師ですよね。
 これ、ここにも書きましたけれども、三ページに、今回いただいた法律案の参考資料の三百八十八ページに脳・心臓疾患の労災補償状況というのがありまして、これに厚労省が発表している附属資料のデータが載っているんですが、みんな高いレベルで過労死している人たちの集団なんですよ、これ。やばいですよ、これ。何でこんな例外をつくったのかなというのが非常に疑問でして、労働者の、国民一人一人の命と健康は全く平等なはずです。職種によって違うわけがないですから、平等に処遇しないと立法としてはちょっとどうかと、国民の理解は得られないんじゃないかと思います。
#76
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 私もやっぱり同じ意見でございまして、だからこそ、その健康管理をいかに構築していくのか。しかし、その健康管理をするに当たりましても、いわゆる五十人という一つのハードルというものがございます。五十人以上であれば、ストレスチェックテストもそうでございますし、産業医選任もしなければならないというような、それが義務化されていますけど、それ以下は義務化されているものではない、努力義務でございますよね。
 ですけれども、労働者の六〇%がその以下のところで働いていらっしゃるこの現状を見るに当たりまして、バス事故などもやはりここで多発しているこの現状、バス事故というのは、やっぱり自動車運転のその業務に当たります。そこで五年間の猶予を与えられて、この間どうなってしまうんだろうということも心配の要因ではございます。
 しっかりとこの例外というものをつくらないようにするためにも、やはり現実的には人がいないという問題があるかと思いますけど、その辺り、どういう折衷案というものがあるというふうにお考えになりますか。棗参考人、お願いできますか。
#77
○参考人(棗一郎君) 難しいです、かなり。
 もちろん、私も運送業界の労働組合の顧問を幾つもやっていますけれども、確かに人は足りないんですよね。
 それで、ただ、言えることは、先ほど逢見さんとか小室さんもおっしゃっていましたけれども、長時間労働の会社には、今、人が集まらないんですよ。逆現象が起きていまして、こんなに大変だったらもう辞めてしまおうという人がたくさん出ていって、組合がもたないというようなところも出てきておりまして。
 だから、やっぱり長時間労働を自動車の運転業務であってもなくしていくと、労使でちゃんと抑え込んで、今そういう交渉をしているところありますけど、労使で抑え込んで協定つくって、オープンにして、これだけ働きやすいよと、そこそこ給料もらえるよという賃金体系をつくっていかないといけないというふうに思います。
#78
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 小室参考人にも同じような形のことをお尋ねしたいと思います。
 中小の皆様方のマネジメントを、コンサルも請け負っていらっしゃるというところを先ほどもお伺いしました。大企業というものよりも、私は、もう少し中小に手を入れたというような施策に落とし込んでいってもらえないかなという希望がございます。
 国交省の方でも、自動車運転者につきましては、ホワイト企業というところで少しそれを、経営の透明性もそうでございますし、いかに今後このような働き方改革の中で自分たちが改革しているという姿を見せるというような企業を認定していこうじゃないかというようなところで、今、協議会も始まっているようでございますが、やはり中小の皆様方にとって、この働き方改革というのはどのようなところがやっぱり難しいんでしょうか。それを導入するときに中小の皆様方にどういうサポートをすればいいのか、教えていただけますか。
#79
○参考人(小室淑恵君) 御質問ありがとうございます。
 今、中小企業、特に地方の中小企業にとっては、人手が足りなくて、そして働き方改革が進まないという、もう非常に困難な状況にあるかなと思っています。
 そういう中で、それでも働き方改革をやっていこうとしたときに、週五の人材、週五でフルタイムで働ける人材にこだわっているということはもうできなくなってきているんですね。逆に言うと、地元にしっかりと目を向ければ、週三勤務の育児中の女性だったり、親の介護をしているので一日四時間しか働けないというような様々な事情を抱えている人は、でも、まだまだいるんですね。ただ、そういう方たちを採用したときに、いろんな、週二の人、週三の人、時間が違う人というのをマネジメントするというのがまだうまくできない、シフトの管理も複雑になってくるというところで、できる限り週五で長時間労働できる人が来ないかなというようなことをずっとやっているという傾向があります。
 いかにその様々な、パズルのようにいろんな人材を組み合わせて仕事のアウトプットを出していくかというところに切り替わらなきゃいけない。そうすると、シフトの管理をする精度のいい何かしらのシステムが必要だったり、そのノウハウが必要だったりするのかなというところで、いろんな人材をうまく使うという、そういう方法についての支援ということが中小企業には必要ではないかなということも感じます。
 ありがとうございます。
#80
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 そのやっぱり業界全体でというものが一つ横とすると、先ほどおっしゃったように、そのラインで、チェーンサプライではないですけれども、やはり上が決断してもらわないと、だんだんだんだんそこにつながっていく下請の企業の皆様方も改革ができないということになりますので、そのマトリックスをどのように組み合わせていくのかということにつきましても何か御意見がございましたら教えていただけますでしょうか。
#81
○参考人(小室淑恵君) ありがとうございます。
 それは、前後の工程の方たちとどういうふうにやっていくのかというところですよね。ありがとうございます。
 働き方に関して非常に行き詰まっている企業さんにコンサルティングに入ると、自分の取引先には交渉ができないのだと思い込んでいることが多いです。これは、向こうの方がパワーバランスが強くて、ジャストタイムで納品しろと言われたらもう直前まで全て在庫は自分たちが持たなきゃいけないというふうに強く思い込んでいるケースがあります。ただ、私たちはそれをサポートして、本当にそうですか、ちょっと一緒に話しに行ってみましょうという形で行ってみると、向こうも非常に長時間労働に悩んでいて、お互いに解決するために、じゃ、もうこれはやめていこう、変えていこうということの話合いに応じられるケースが多いんですね。
 これは、中小企業の中だけで考えると、そんなのは、もう何十年間あそこにお世話になっているんだから絶対無理だというふうに思考停止してしまいますので、それを上下の工程と一緒に話すようなサポートというのができると、一緒に話合いに行ってみましょう、ここの接続を変えてみましょうというようなことができるとサプライチェーン全部が変化するということができるのかなと。この交渉力はなかなか中小企業単体では持てませんので、そうした支援も、先ほどの支援センターであったりだとか、そういうところの人材に必要かなと思います。
 今、支援センターだとか都道府県でこうした支援をする人材を確保するときに、社会保険労務士の資格を持っていないとというふうにすることが多いんですが、今のような交渉は、必ずしも社会保険労務士の資格にうまくフィットするものではなかったりします。なので、余りその社会保険労務士の資格とかではなくて、こうしたその全体の様々な能力のコンサルティングができるような人というのを育成するのも大事ですし、幅広く集めて、支援センターなどでうまく一つのサポートのプログラムにしていかれるといいのではないかなと思います。
#82
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。大変勉強になりました。
 逢見参考人に、最後、お伺いさせていただきたいと思います。
 先ほどのサプライチェーンの上下関係ではないですけれども、やっぱり労使の中でも、その上下関係の中で自分が意見を言ってはならないのではないか、権利を主張してはならないのではないかという思いを抱えながら、その悩みの中でストレスを抱え、かつ長時間労働に悩みというような方々が、私も産業医として大変多く今接しているところでございます。その中で、どうやってうまく交渉をしていくのか、自分が与えられた権利というものを主張するために必要なことがもし労働者の皆様方にございましたら、教えていただけますでしょうか。どのようなサポートを、じゃ、政府としてしていけばいいのか、教えていただけますか。
#83
○参考人(逢見直人君) 連合にも労働相談などがございまして、そういう相談の中身を見ると、本当に悩んでいるんだけれども上司も聞いてくれないとか、言われていることが余りにもきついんだけれども自分としてはそれをどうしようもないんだというのがありまして、中には、やっぱりワークルールを知らない、法律を知らないと、これは違反なんですよと言われて、ああ、そうなんですかというふうに気付くのがあって、まずは、そういうワークルール、特にその労働法制がきちんと知らせられる教育、ワークルール教育というのは必要なんだろうと思います。
 その上で、先ほども言いましたけれども、一人一人の交渉力というのはやっぱり弱いんです。そこで、集団で意見を述べる機会をつくっていくという、その集団的労使関係の枠組みというのをつくっていく必要があると。労働組合があれば当然その労働組合がその役割を果たすんですけれども、労働組合がない職場においてもそういった集団的労使関係の枠組みをつくっていく取組が今後必要になってくると思います。
#84
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。終わります。
#85
○委員長(島村大君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#86
○委員長(島村大君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長山越敬一君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(島村大君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#88
○委員長(島村大君) 休憩前に引き続き、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#89
○二之湯武史君 自由民主党の二之湯武史でございます。今日はよろしくお願いいたします。
 午前中、参考人の方々の御意見をお伺いいたしましても、やはりこの働き方改革というかなり幅の広いといいますか、そして奥に深いこの改革が一つにまとめられて、それぞれのお立場でそれぞれの御意見をおっしゃると。私、一言で申し上げると、この働き方改革というものの全体像でありますとか、その目的でありますとか、そういったものがまだまだうまく国民の皆さんに御理解をいただいていないというふうに率直に私も思います。与党の一員としても責任を深く感じている次第でございます。
 総理は今国会を働き方改革国会とまさに名付けられていらっしゃるように、最重要の政策課題だというふうに思っておりますが、その柱であります労働時間の規制の問題、また同一労働同一賃金の問題、また高度プロフェッショナル、それぞれ具体的な政策が、特にその具体的なものの更に具体の議論がこの委員会で行われるわけですけれども、そもそもこれ何でしたっけということをちょっと私は今日は議論させていただきたいと思っています。
 私は、今この平成三十年という時代を捉える認識の中でいうと、これまで戦後から遡りますと、やはり日本の戦後というのは人口ボーナス期におけるキャッチアップモデルの成功だと思っています。その時代に有効な人材の在り方、若しくは企業等々の組織の在り方、そういうことで考えますと、これまでの教育のシステムや日本独特である終身雇用、また年功序列といったような雇用慣行、こうしたものが非常に合理的な時期が一時期あったと思います。それでこそ日本の高度成長、戦後の復興というのはなし得たと、これはまさに事実だと思いますが、例えば日本が世界第二の経済大国になったのは一九六四年です。例えば、IMFや、国際組織における先進国としての八条国移行等々もこれ一九六八年なんですね。もう五十年以上、いわゆる経済大国、先進国に仲間入りしてからたつにもかかわらず、まだまだ昭和のモデルを引きずっている、その象徴がこの雇用社会、労働の世界ではないのかなというのを私は感じております。
 一方で、この二十年、過去を振り返りますと、先進国の経済成長を比べても、アメリカ等々二倍、若しくはヨーロッパの主要先進国も二倍弱の成長を遂げております。一方で、我が国はほぼ横ばい。こうした中で、かつて世界で最も厚いと言われた中産階級が、なかなか所得が伸びずに今非常に大きな問題を抱えている、その中で少子高齢化等々の社会問題を解決していかなければいけない。まさにこれだけ大きな革命的変化と言われる時代においてこの今働き方改革が議論されているという私は認識を持っておりまして、まずは大臣から、この働き方改革全体像において、何が問題で、そして何を目的としているのかということを是非とも大臣の口から改めて説明いただきたいと思います。
#90
○国務大臣(加藤勝信君) 今、二之湯委員から、戦後における、戦後からこれまでの日本の歩みというものを簡潔にお話をいただけたというふうに思います。
 今、御指摘のように、ここ二十年間において、デフレの中で日本の経済が停滞をし、ちょうど一九九〇年代の半ばぐらい、たしか日本が世界経済に占める割合は多分一五、六%でありましたけれども、世界経済が三倍になる中で日本が足踏みをして、今日では五%、六%という、そういう形になってきているわけでありまして、ただ、今お話があったように、じゃ、他のヨーロッパの先進国は成長していなかったのかというと、そういうことではないわけであります。
 そういった状況の中で、さらにそれをどうにかしていこうということで、アベノミクスで金融、財政、成長戦略によって、デフレの脱却、あるいは経済の再生を果たしてきてはいるわけでありますけれども、日本の社会の場合は、もうよく言われておりますけれども、少子化、高齢化、人口減少、あるいは生産年齢人口の更なる減少、そういったことがもう既に起こり、そしてこれから更にそれが進んでいく、こういう状況を我々は見ているわけでありまして、これにどう対応していくのか。
 そういう中で、やはり一つは、今おられる方々が、その希望を持ち、力を持っている方々がその力を十二分に発揮をしていただける、こういう環境になっているのかどうか。そういった意味において、ここ安倍政権の五年間見ても、全体として生産年齢人口が減少する中にあって、女性や高齢者が就業をされていくという中で就業人口はむしろ増えてきているわけでありますから、そういった方々がその思いを十二分に発揮をしていただける、言い方を換えると、フルタイムでは働けないけれども、あるいは様々な制約条件はあるけれども、その条件の中で、自分の思うように、自分の力を、また自分の夢を実現したい、こういうことができる社会、言い方を換えれば多様な選択肢が提供できる世界、社会、こういったものを実現したいというところがベースにあります。
 そして、もう一つ、もちろん前提として、過労死をなくしていくとか、あるいは正規と非正規で不合理な処遇の改善をしていく、もちろんそういう論点はありますけれども、今申し上げたそういった多様な働き方をしていくことによって、言わばその働き手を、働きたいという方が働ける状況、裏返して言えば働き手の確保につながることにもなります。
 それからまた、長時間労働等を是正する中で、いかに限られた時間の中でうまくその時間を使っていくのか、あるいは、同一労働同一賃金を進める中にあって、納得する、より処遇等において納得できる働き方ができる、あるいは、高度プロフェッショナルのように、力がある方が自律的に創造的な力を発揮できる、まさに生産性の向上、そういった働き手の確保であり、また生産性の向上を通じてこの国の経済の成長というものをしっかり維持をしていく、そういったことにつながっていく。その大前提として、先ほど申し上げたように、やはり多様な働き方ができる社会、これをしっかりつくっていきたい、こういう思いで法案を提出させていただいているところでございます。
#91
○二之湯武史君 よく分かりました。
 ただ、そうした問題意識が広く国民に理解されているかというと、私はそうではないと思いますから、とにかく枕言葉のように、これからは労働人口減少社会に入る、また、非常に低成長時代の中でいかに多様な働き方を含めた労働参加率を上げて、しっかりと成長につなげる、生産性の向上等々にこれまでとは違う次元で取り組んでいくということがまずベースにないと、それぞれの個々の各論というのはそもそも成り立たないと、そういう非常に危機感あふれた時代に我々は生きているんだということをやはり皆さん共有をして、その上で各論にしっかり議論を進めていくということにしないと、私はなかなかそうした、そもそもこの働き方改革というのは何なのかということがうまく伝わっていないというふうに思っているので、是非ともこれからの議論においてそうしたことを強調して議論を進めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 その上で、今お話ありましたように、労働生産性の低さということがちまたには言われているわけであります。欧米の、アメリカの七割水準だと、ドイツやフランスといった国々と比べても八割ぐらいの水準だという中でそうした議論が進んでいるわけですけれども、そもそも日本の労働生産性が低いというその原因というものはどのような分析をされているのでしょうか。
#92
○副大臣(牧原秀樹君) 今先生が御指摘になりました労働生産性については様々な議論があるところでございますけれども、いずれにしても、今、政府としては労働生産性を向上させなければいけないというのが基本スタンスで、根本方針でございます。その意味で、要因についてはやはりいろんな議論が指摘されているところでございまして、今先生が御指摘になられたような中でも雇用に関わる話とか、それから教育や文化、あるいはデフレが原因なんだとか、様々な総合的でかつ深い議論がやはり必要だろうというふうに思っております。
 その中で、我々としては、まず、この長時間労働、それから正規、非正規の不合理な待遇格差、こういうものも今の生産性の低さの理由になっていると考えておりまして、これを今国会の法案で是正したい。あるいは、ソフトウエアへの支出といったICT投資、それから人的資本への投資、さらにはイノベーションの実現というものが国際的に不足しているじゃないか、こういう指摘もあるところでございまして、これも我々、課題として考えているところでございます。
 いずれにしても、厚生労働省としては、この働き方改革に取り組むと同時に、所管であります介護、飲食、宿泊、医療、保育といった分野でのICT利活用や業務改善といった様々な総合的な政策を通じて生産性の向上を取り組んでいきたい、こう思っています。
#93
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 少し私の持論を述べさせていただきますと、要は、国民の能力として、日本人がアメリカ人やヨーロッパの先進国の人たちと比べて劣っているということは私はないと思うんですね。ですので、この人材というものを生かしていく社会の中での仕組み、そこにやはり相当問題があるのではないかなというふうに思っております。
 例えば、長時間労働ということでございますが、じゃ、なぜ日本は長時間労働になるのかと。これもいろいろな観点から議論がございますけれども、私が思うに、例えば欧米諸国における高等教育、これはかなりキャリア教育が進んでおります。ですので、大学若しくは大学院を出れば完全に労働市場で評価される。ジョブ型スキルを持って、そのジョブに応じて仕事を得ていると、まさに就職の世界であります。
 しかし、日本の場合はどうでしょうか。特に文系の世界で、何学部を出ようが、それは全く市場で評価される労働スキルは身に付きません。そして、そうしたものを逆に企業は求めているわけです。そして、それぞれの企業のオン・ザ・ジョブ・トレーニングや、若しくはそうした業務と業務じゃない非常にグレーなところの中でメンバーシップを高めて日本独特の企業文化をつくり上げた。その中に日本の企業の成長力、競争力というものが培われてきたわけです。ですので、どうしても、就職ではなくて就社型雇用ですから、そのメンバーシップというのが非常に大事になります。ですので、どうしても拘束時間、また、それを労働時間でいけば労働時間が長くなると、そういう文化が私はあると思っています。
 一方で、例えば解雇や中途採用という文化も相当違います。ジョブ型社会においてはその自分自身のジョブに価値があるわけですから、それに応じた給料、所得を得る。ある一定の結果が残せなければ、それをやはりうまく解雇するという文化もございます。それはルールにのっとったものですが、しかし、解雇された側も、次は中途のキャリア教育を受けることによって、自分のスキルアップ等々をすることによって次の労働市場にチャレンジすることができる。
 しかし、日本の場合はどうでしょうか。なかなかまだまだそうした中途採用市場というのはメジャーではありません。やはり新卒一括採用で、大学四回生で就職していくと、そしてその就職した企業で基本的には勤め上げていくというのがまだまだ主流だと思いますし、そうした中途採用の窓口が広くこの雇用社会で開かれているかといえば、私、そうではないと思います。つまり、なかなか不採算な事業、非生産的な事業や企業が市場から撤退しにくいという、こういう我々の企業文化、雇用文化もあると思うんです。
 こういうものも語られないまま、高度プロフェッショナルだけ、自由裁量、労働裁量だけという話になってくると、また議論が非常に狭い視野の中で行われていく。その中で、十分広い視野を持ったまま議論できなくなる。我が国が抱えている労働市場、雇用市場の問題が見えないまま、その制度だけの善悪で議論が進んできているというような私は気がして仕方がないんですね。
 ですので、それぞれの国々で、その雇用の在り方、就職の在り方というのは違うわけです。
 そういった意味で申し上げますと、今回の改革は、我が国企業の強みである、先ほど申し上げたメンバーシップ型のいい部分すらもなくなってしまうんじゃないかと、そういうおそれも現場からあるわけです。つまり、労働時間の問題でありますとか、そういったことについて、その懸念については、大臣、どのようにお考えですかね。日本の企業の競争力という観点で、この働き方改革をちょっと論じていただきたいんですけれども。
#94
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の目的は、先ほど申し上げた、一人一人の実情に応じた多様な働き方が選択できる社会ということであります。当然、例えば、同一労働同一賃金においても、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差は認めないとしてはおりますけれども、同時に、我が国の雇用慣行には十分留意をしている。また、企業の待遇制度やビジネスモデル、これは正直言って、企業によって、業種によって様々なものがございますから、それは当然の前提として認めていくということでありますので。
 総理もおっしゃっていますけれども、日本型雇用における人を大切にするという優れた点、これを大切にしながら、しかし同時に、今、国際化あるいはICT化が進む中で、この我が国の雇用を取り巻く状況も随分変わってきているわけでありますから、それにキャッチアップしていくということも、当然、この雇用を確保していくという意味においても、我が国の経済を成長を維持していくという意味においても大切なことだろうというふうに思っております。
 そういった意味において、なかなか言うはやすし行うは難しのところは正直あります。しかし、私どもはそれを全部否定をして物事を捉えているわけではなくて、そうした雇用のいい点は残しながら、しかし、時代に対応したそうした視点を入れてつくり上げていきたい。そういう意味においては大変チャレンジングなそうした課題ではあると思いますけれども、それにしっかり取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
#95
○二之湯武史君 今私申し上げたことというのが、本当は取り組むべき政策課題の全体的な生態系だと思っています。ですので、厚生労働省という範囲内でできることは今回の法案で盛り込んであるというふうに思いますが、先ほど申し上げていましたような、例えば高等教育とその人のキャリアプラン、キャリアチェーンにおける役割、こういったものは今のままでいいのかという問題もございます。
 また、例えば労働生産性と働き方との関連、若しくは高等教育との関連、こういったものを考えますと、私は、政府の中で、どうなんでしょうか、例えば厚労省、経産省、文科省ぐらいの実務者辺りで本当に今申し上げた働き方の生態系全体について問題点を全て洗い出した上で、それぞれが管轄する制度や様々な仕組みについて本当に網羅的に取り組んでいこうと、こういうふうな議論というのは政府内で行われているんでしょうか。それについてお聞きしたいと思います。
#96
○副大臣(牧原秀樹君) 私たちも、その先生の御指摘のようなこと、大変重要だと思っておりまして、元々この働き方改革につきましては、総理を議長として、そしてまた労使のトップにもお加わりいただいて、文部科学省や経済産業省も含めた関係省庁も集まった働き方改革実現会議で議論を行ってきたものでございます。当会議で昨年三月に働き方改革実行計画を取りまとめ、継続的に実施状況を調査し、施策の見直しを図るために、働き方改革実現会議を改組して同一の構成員から成る働き方改革フォローアップ会議を設置し、フォローアップを行うこととされておりますので、このフォローアップ会議をやっていって先生御指摘のような検討をしていきたいと思っています。
 また、中小企業庁等の関係省庁で構成される中小企業・小規模事業者活力向上のための関係省庁連絡会議というのもございまして、こうしたところでは、例えば取引条件の改善や生産性向上といった中小企業・小規模事業者が抱える諸問題についてやはり横断的に検討を、対策を行っているところでもございます。
 こうした会合を通じて、省庁横断的に全体的なものとして働き方改革実行計画に盛り込まれた施策を着実に実現してまいりたいと思っています。
#97
○二之湯武史君 もう少しそれが見えるような形で具体的な制度や法律論になって形が出てくれば、私も、ああそうかと、そういう議論が進んでいるんだなというふうに納得できると思います。
 今日、文科省に来ていただいておりますけれども、これ、私も党の中で随分、もうこの三年、四年、このキャリア教育における日本の高等教育がいかに弱いか、主要先進国と比べてそうした、中途も含めた人々のキャリアについて教育というものが果たす役割がいかに弱いかということについてしっかりと提言なりまた議論なりしてきたつもりでございますが、今文科省において、この働き方改革という中での高等教育、これをどのように今具体的に、例えば法改正や制度改正を議論されているのか、簡潔に教えてください。
#98
○政府参考人(瀧本寛君) お答え申し上げます。
 委員からいろいろこれまでも御指導いただいておりますが、私どもの高等教育におきます、とりわけキャリア教育でございますけれども、社会が大きく変化する中で、大学には人材育成においても一層大きな役割を果たすことが求められていると思います。このため、大学教育を通じて社会や職業生活に必要な知識、技能を確実に身に付け、その力を十分発揮できるようにすることが大切と考えております。
 文科省におきましては、学生の資質、能力に対する社会からの要請等も踏まえまして、大学でキャリア教育の実施のための体制の整備を各大学に義務付けるとともに、様々な支援策を講じているところでございます。大学におきましても、例えば平成二十七年度においては、約八割の大学で学部段階においてインターンシップを取り入れた授業科目を開設したり、企業関係者やOB、OG等の講演を教育課程内で実施するなど、鋭意取組を進めております。
 また、今後さらに、現在、中教審におきまして、学生が在学中にどのような知識や能力を身に付けたかを可視化をするという事柄について検討を進めておりまして、これは企業においても、採用時においてそうした可視化された学生の力を積極的に採用の場面で活用していただくようなことを含めて、現在、中教審で議論しており、この秋頃には一定の方向性をまとめさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
#99
○二之湯武史君 いろいろとお話しいただきましたが、ほぼゼロ回答に聞こえます。
 私が先ほど申し上げたような、生態系というものを突き崩すほどのそれでモメンタムが出るんでしょうか。そんな指標化するとかインターンシップをするとか、そういうレベルではなくて、そういうことで全然進まないのが文科省なんですよ、これ。
 だから、さっき政府でその会議やっているとおっしゃいましたけど、やっていらっしゃるんだったらその取組ぐらい言っていただいたらいいんじゃないですか。例えば、来年の四月から専門職大学という新しい職業教育の大学制度が始まるとか、今、党の方でもいろいろと提言させてもらっていますガバナンス改革でありますとか、そういうこともやっぱりしっかり、文科省、本当にしっかり取り組まないと駄目ですよ。いや、本当に。
 私は、先ほど申し上げましたように、日本人というのは諸外国の国民と比べて非常に優秀だと思いますよ。その優秀な人材をしっかりと使っていくシステムが非常に弱いと思っているんです。それは公においても官においてもそうです、民においてもそうです。その公の方は、やはりまずは教育ですよね、初等から含めて。特に高等教育は、諸外国に比べて非常にキャリア教育が弱い。もうアカデミックが中心で、もうここにおられる方だって、大学の時代はほとんど勉強していなかったという方多いと思いますよ。社会の……(発言する者あり)いや、それは私を基準に全てをするのはよくないかもしれませんけれども、でも、やはり、バイトや部活で社会を学んだとか、そういうことはちまたよく言われる話でありますから、やはり大学の勉強そのものが社会のキャリアに直結すると、こういうやっぱり新たな形をつくってもらわないといけないんじゃないかなというふうに思います。
 そもそも、私は思うんですけれども、この働き方改革というものをやっぱり国が主導するという国はどうなのかなと。つまり、民が余りにも弱いんじゃないか、意識がと私は常々思っています。先ほど申し上げたように、人という財産、資源をいかにうまく活用するかというのは、これは人間においての最高の芸術です。これは松下幸之助さんがおっしゃっているんですが、人間における最高の芸術は経営だというわけですね。経営というもので今日のお話はほとんどカバーできるんです、これ、実は。
 先ほど参考人の方が具体的な好事例として紹介されていたような会社の経営者がみんなこれ日本の企業の経営者であれば、そんな過労死なんていうとんでもないことは起こりませんし、労働時間が長ければ、先ほどもおっしゃったように人も集まりません。私も十二人社員がいる小規模事業の経営をもう十一年やっておりますけれども、本当に人集まらないです。ですので、集まった社員に対しては、本当に我が子のように、何とか続けてもらえるようにという気持ちで本当に経営に当たっております。そういう民の側からの発想がしっかりとしていれば、それは国が音頭取って働き方改革だなんというのは、私はある意味必要最小限でもう十分なんだろうと思うんです。
 そういう意味では、やはり経営というものの在り方にどうやったらもう少し国がタッチできるかなということでありましたり、若しくは、このちょっと一歩先になりますと、もう私は、これまでの昭和の時代というのは、ルールで人を縛る、ルールで社会を管理するというコンセプトでした。ですので、やはり制度やルールや規則で我々国会も議論をし、そしてそれで、いや、これで改革成し遂げられますよという文化ですよ。しかし、一番大事なことは、こうした改革の精神や実務が現場でちゃんとオペレーションされるんですかということだと思うんです。そこが一番今我が国の問題でありまして、はっきり申し上げれば、私は、民が非常にまだまだ意識が弱いし、そして経営者のマインドがもっと変わるべきだというふうに思っております。
 今日、ちょっと資料を配らせていただいているんですけれども、これこの前も、三月一日の予算委員会でも使わせていただいたんですが、要は、この一番下のレッドとかアンバーという組織の在り方ですね。レッドというのは命令とか恐怖で人を動かす組織、アンバーというのは肩書、ヒエラルキーで人を動かす組織、いかにもこれまでの日本型社会だなというふうに思います。しかし、今求められている、例えば高度プロフェッショナル、なくなっちゃいましたけど労働裁量制、これはそれぞれの皆さんが内側に持っている共感がスタートする私は働き方だと思います。あるプロジェクトやある経営者やある企業の理念に心から共感をして、そしてその共感をベースに組織やコミュニティーをつくっていくというのが、このグリーンやティールという新しい、非常に生産性の高いと言われている組織やコミュニティーの在り方です。いわゆるGAFAと言われるようなシリコンバレーのスタートアップ企業なんというのは、例えばオフィスに名前と机と椅子があるような、そんなオフィスの世界観はもうとうに卒業しているわけです。
 私も先日、ある外資系の日本法人のオフィスに行ってまいりましたけれども、もう何にもありません。何にもというのは、そういう伝統的なオフィス像は何にもありません。本当にそこにカフェスペースがあり、おしゃれな北欧型の家具があり、そこに四、五人、二、三人がプロジェクトごとにああいうタブレットを持って会議をしている、非常にフラットでオープンなオフィスです。こういう姿が民が主導して実現されれば、まあはっきり言って、何回も言いますが、この働き方改革なんといって国ががあんと主導してというような姿というのはもっと必要最小限で済むんじゃないかなと。それが本来我々が目指す成熟したこの日本という国の姿なんじゃないかなと。
 非常に理想的な話になって恐縮ですけれども、そうした人々の価値観の変化、これまでの受け身で、命令で、秩序で人が動く、こういう組織、働き方から、今私が申し上げているように、次世代の若い人たちから見られるような共感といったものをベースにした価値観で組織やコミュニティーをつくっていくというような働き方、こういったものに私はもう少し国がコミットできないものかなと常々思っていまして、非常にこの法制度やルールを構築するのは難しいんですけれども、大臣、最近、そうした若い人たちの働き方とかそうした高いモチベーション、そんな組織は生産性高くなるに決まっていますから、そういうふうなことについて何か御意見があればお伺いしたいなと思うんですが。
#100
○国務大臣(加藤勝信君) 私もアメリカへ行ったときにそうしたところを見させていただいて、全く日本の、私も役所におりましたけれども、そのときの事務風景とは全く違う雰囲気、そしてフラットな関係で、いろんなところで議論したり、本当に自由に発想を出してやっていると、そんな雰囲気は感じさせていただきましたし、国内でもそういうことを取り入れておられる方もだんだん増えてきているんだろうなというふうに思いますし、またそれが展開していくということは、また日本にとっても大変大事なことだというふうに思います。
 今、働き方改革というものにどこまで政府がコミットするのか、大変大事なポイントでありまして、長時間労働も、それぞれ働く側からとっても企業からとってもこれ是正をした方がいいに決まっているという思いをしながら、これはなかなか進んでこなかったと、こういう経緯もありますので、そういった意味において、今回の法案は、政府がある意味では少しぐっと前に出すという意味はあります。
 しかし、最終的にそれぞれの企業においてどうそれが取り込まれていくのかというのは、自主的な労使の関係含めて、それぞれのまた企業風土もあると思いますから、そういった中で、こういった動きを感じながら、次の時代を見据えていただきながら展開をしていく。また、そうでなければ、個々のこうした次の時代に沿った働き方改革も実現しようがないわけでありますから、そういった意味においては、今回の働き方改革が、働き手にとっても、また使用者側にとっても、あるいは更に言えば顧客にとっても非常にプラスになっていくんだ、そういったことにつなげていくことが大変大事なんだろうというふうに思います。
#101
○二之湯武史君 私はやはり、大臣や総理のような立場の方々がそうした好事例をしっかりいろんな場面場面で語っていただいて、役所の方でもそうした資料やデータをしっかり横展開する、私はもう今の時代、本当そうだと思います。好事例の横展開で、本当に一人一人の現場の皆さんの、ある種類でいうと、覚醒といいますか、気付きを促していくと、そういうことは非常に大事だと思いますし、そうしたメッセージを発信できるのはやっぱりもう政治家しかないと思うんですね。
 そういう意味で、大臣のリーダーシップ、そして総理のリーダーシップで、この働き方改革法と同時に、そうした実質的な現場現場における気付きをどんどん導いていく、促していくと。そんな活動、また対外的な発信、大変心から期待をして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#102
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
 まず、高度プロフェッショナル制度についてお聞きをいたします。
 これまでの審議の中でちょっと要件的に私自身がはっきり分かりにくい、あっ、分かりにくいなと思っているところについての確認をさせていただきたいと思っております。
 まず一つが、本人の同意についてお聞きをいたします。
 この高プロの制度を適用するためには、一つ、本人の同意というものが要件とされております。労使委員会の決議も併せて、会社の都合、また会社の意向だけで高プロの制度が適用されるわけではないという点では大変大切な要件の一つであると思います。
 この本人の同意を明確にするための方法、また本人の意思をきちんと確認するための方法として書面による同意というのが一つ挙げられているかと思うんですが、それ以外にはどのような方法を想定されているんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
#103
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度でございますけれども、対象労働者につきまして、書面その他の省令で定める方法により本人の同意を得ることを制度適用の要件としております。
 この同意の方法でございますけれども、労働政策審議会の建議におきまして、職務記述書等に署名等する形で職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならないこととし、これにより、希望しない労働者に制度が適用されないようにすることが適当であるとされております。
 詳細は、労働政策審議会で御議論いただき、省令に規定することになりますけれども、書面への署名による以外の方法といたしましては、電磁的記録による方法も検討いたします。また、本人の同意の記録を保存することを労使の決議事項として省令で定める考えでございます。
#104
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 その書面ないし電磁的記録による方法というところなんですけれども、結局は、その書面の作成について、本人が真意で署名をしたのか、作ったのかというところが一番問われることかと思います。
 午前中の参考人のお話の中でもありましたけれども、やはり会社と労働者の関係というのは、全くの対等で、全く自分たちの言いたいことを全て言って意見を通すことができるという関係ではないというようなのが事実上ある中で、いずれの方法においても、その同意が真意に基づくものであるということをどう担保するのかというのが一番必要になってくるかと思います。
 考えてみても、例えば、会社対個人というのが難しい、であれば、じゃ、その個人ではなく複数の対象者を一緒にやればいいのかというと、対抗はしやすくなるかもしれないけれども、周りが応じることによって自分も応じざるを得ないような雰囲気になってしまうのではないかとか、一定期間ごとに意思を確認するのかとか、どういう方法をもって本人の意思が真意であるということの担保をしていくのかということについてお答えいただけますでしょうか。
#105
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度でございますけれども、対象労働者につきまして高い年収要件を求めておりまして、自らの労働条件について交渉能力が高い方が対象になるようにしております。その上で、同意をしなかったことに対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことも法律に規定をしております。さらに、労働者からの同意の撤回も可能でございます。
 今回の法案におきまして、対象労働者の適正な労働条件を確保するため、労使委員会の決議事項に関します指針、これ大臣告示でございますけれども、これを策定することになっておりまして、同意を撤回した場合における不利益取扱いの禁止につきましては、この指針に位置付けて明確化をする予定でございます。
 こうしたことにより、労働者の意に沿わない形で制度が適用されることがないよう制度設計しているところでございます。
#106
○伊藤孝江君 今の御答弁の中では、例えば、そもそも交渉能力が高い人を対象にするというところで、交渉能力が高いか低いか普通なのかというところを一体どういうふうに判断するのか。また、交渉能力が高いといっても、会社と従業員という関係であるというところは変わりはありませんので、しっかりとその辺りも踏まえた形での制度設計をしていただきたいというふうに思います。
 次に、業務時間の管理という点についてお伺いをいたします。
 従前の御答弁の中で、時間管理を労働者の裁量にこの高プロの制度においては委ねるということについて、少しでも上司ないしは会社側から業務時間を指示することは認められないと。具体的な時間配分の指示は法違反である。その場合には、当該労働者には高度プロフェッショナル制度の適用は認められないという趣旨の答弁がなされているように思われます。
 この点についてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、この業務の遂行について、労働者の自由裁量に時間の管理を委ねるということを前提としましても、例えば会社で会議をするとか、また、来週このときに業務の報告やプレゼンをしてほしいなどと日時を特定して対応してもらわなければならない業務というのは当然想定されるところでもあります。このような場合ですら、日時を特定して指示をするということは認められないということなんでしょうか。
 労働者の業務時間の管理を行うというこの高度プロフェッショナル制度において、労働者が業務時間を管理するということと上司ないしは会社の指示による業務対応についての関係について御説明ください。
#107
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度の対象となる業務でございますけれども、これは法案において、高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものについて厚生労働省令で定める業務についてのみ認められる、こういうことが定められております。
 この法律の要件に沿って具体の対象業務を省令で定める際に、働く時間帯の選択や時間配分につきまして、使用者が具体的に指示するものは対象業務としないことを明記する方向で検討してまいります。これによりまして、労働者自らが時間配分等を決定することを法令上は担保してまいります。
 したがいまして、使用者から特定の日時を期限として設定することによりまして、労働者の時間配分等の裁量を奪うような指示がなされた場合には、高度プロフェッショナル制度について申し上げれば、法令の要件を満たさず制度の適用は認められないこととなるものです。他方で、御指摘いただきましたような、業務上必要な会議等の出席を求めることは労働者との合意の下であれば排除されないものです。また、使用者の一般的な業務管理といたしまして、業務の進捗状況の報告等を求めることはあり得るものです。
 いずれにいたしましても、それらの会議などへの出席の要否も含めた時間配分等につきまして、労働者の裁量を奪うような業務指示を行わないことが制度上の要件でございます。
#108
○伊藤孝江君 また、この高プロの制度におきましては、労働時間という形で会社が把握することは求められていないと。
 健康確保措置の一つとして、健康管理時間というものを管理をするということになっております。この健康管理時間なんですけれども、対象労働者の健康確保措置を行うということなんですが、この健康管理時間はそもそも労働時間と同じであるというふうに考えていいのでしょうか。健康管理時間の定義について御説明ください。
#109
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度におけます健康管理時間でございますけれども、これは事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間と定義されております。ただし、労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を健康管理時間から除くことを決議したときは、当該時間は除くことができることとしております。したがいまして、健康管理時間は休憩時間等を含み得るという点で労働時間とは異なります。
 健康管理時間は、その決議で一定時間を除くこと、その決議をしなかった場合におきましては、休憩などの事業場内にいたが労働していなかった時間を労働時間に加えた時間でございます。
#110
○伊藤孝江君 それでは、ちょっと確認ですけれども、では、健康管理時間の方が、休憩時間等も含むということで、労働時間よりも多いということに理屈上なるということでよろしいんですか。
#111
○政府参考人(山越敬一君) 健康管理時間は、一般には休憩時間なども含みますので、労働時間より長い時間であるところでございます。
#112
○伊藤孝江君 この健康管理時間をどういうふうに管理をしていくのかというところですけれども、まず事業所内にいた時間については客観的な方法で把握をするということなんですけれども、具体的にはどのように行うのかということをお聞きしたいと思います。タイムカードやパソコンのログインを用いてなど、その時間を確認する方法についてが一点。
 また、この時間を事業主がどのように把握をするのか。労働者から毎日報告をするということなのか、労働者の健康管理時間を事業者が把握する方法についてと併せて御説明ください。
#113
○政府参考人(山越敬一君) 健康管理時間の把握方法につきましては、平成二十七年の労働政策審議会の建議におきまして、労働基準法に基づく省令や指針において、客観的方法、タイムカードやパソコンの起動時間等によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める旨を規定することが適当であるとされております。
 健康管理時間の把握方法につきましては、省令において定めるものですけれども、事業場内においてはタイムカードやパソコンの起動時間等の客観的な方法によることとし、事業場外で労働する場合についてもパソコンの起動時間等の客観的な方法を原則とし、パソコン等による客観的な把握も困難などやむを得ない場合に限って自己申告を認めることとする方針でございます。
 したがいまして、タイムカード等の客観的な方法を取っている場合はそれで足りまして、更に重ねて他の方法を用いることまで求めるものではございません。
#114
○伊藤孝江君 事業所外にいる時間についても今パソコンのログイン等でみたいなお話だったかと思うんですが、事業所外の場合は、そういう意味ではなかなかパソコンを常に使用するということも少ないかも分かりませんし、自己申告という方法がどうしても増えざるを得ないということも現実かと思います。
 ただ、実際にはこの自己申告制度が不適切に適用されて長時間労働がなされてきたという現実があります。また、この健康管理時間につきましては、この申告が仮に不適切であっても罰則が適用されるというようなものでもありません。その中で、この自己申告が適正になされるためにどのような取組がなされるんでしょうか、教えてください。
#115
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度の健康管理時間の把握につきましては、先ほど御答弁させていただきましたように、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める予定でございます。ただ、事業場外においても客観的な方法による把握が可能である場合には客観的な方法によることを原則とし、それが困難な場合に限って自己申告によることを認めるものでございます。
 使用者に健康管理時間に関する記録を保存を求めることにつきまして、労使の決議事項として省令で定める方向で検討しておりまして、監督指導の際にはこれらの記録を確認いたしますとともに、必要に応じまして本人から聞き取りなどを行いまして、自己申告の場合においても適正なものかどうかを確認してまいります。
 また、把握した健康管理時間でございますけれども、これについて労働者に通知しなければならない旨も併せて通達等で明らかにしてまいります。
#116
○伊藤孝江君 済みません、ちょっと通告をしていない分なんですけれども、今の御答弁の中で、本人の聞き取りによってということだったんですけれども、自己申告の適正を確認するというところで、これはその都度確認をするということなんですか、それか、後日出てきた何かをもって、いついつの何々はなぜこの時間なのかというのを確認するということなんですか。
#117
○政府参考人(山越敬一君) 今御答弁させていただきましたのは、労働基準監督署が監督指導を行う際にこういった健康管理時間に関する記録について確認するとともに、必要がある場合にはこの制度の適用されている御本人から聞き取りを行って、自己申告の場合においても適正なものかどうかということを確認してまいるということを申し上げたところでございます。
#118
○伊藤孝江君 その労基署による確認のときに本人の聞き取りということでは、もうほかにやりようがないのかというような状況に陥らざるを得ないのが実際だと思います。
 その自己申告がどうやったら適正なものを担保していくことができるのかというところについては、もう少し具体的な方法で、また例示等をもって企業の方が適正にしていくことができるようなやり方を考えていただきたいというふうに思います。
 では次に、時間外労働の上限規制に対しての罰則を今回設けることについてお伺いをいたします。
 本法案では、時間外労働の上限規制違反に対して罰則が設けられております。これまでは労基署等において指導などの方法で対処をしていたけれども、それだけでは改善できないという実態が多いということからの罰則を設けたことになるんでしょうか。
 午前中の参考人の質疑の中でも、この罰則を設けることによってかなり効果が期待できるのではないかという参考人の御意見もいただきましたけれども、手続の流れとしては、実態を把握して、まずは注意や指導などの方法が取られて、それでも改善されないときには罰則を適用するというような流れになるのかと思います。
 であれば、手続の進め方という点ではこれまでと余り変わりはないというふうにも思われるんですけれども、罰則を設けることでどのような効果が見込まれるというふうにお考えでしょうか。
#119
○政府参考人(山越敬一君) この時間外労働の上限規制でございますけれども、これまで長年議論されながら法定化できなかった課題でございます。
 今般の法改正におきましては、これまで青天井となっていた時間外労働につきまして、実効性があり、かつぎりぎり実現可能なものとして労使が合意した内容で罰則付きの上限を課すこととしたものでございます。
 実際のところ、現在、一部ではございますけれども、三六協定に特別条項がある場合の延長時間が例えば月百時間を超えるものも見受けられるところでございます。これまでは、上限時間は厚生労働大臣告示で定められていたために、こういった上限時間、告示で定める上限時間を上回る三六協定を締結することも可能でございました。
 改正後におきましては、上限時間を超える三六協定は無効でございます。したがいまして、労働基準監督署に三六協定が届けられた際には、上限時間を上回るものでないことを確実に確認いたしまして、上限時間を上回る三六協定はこれ無効でございますので、無効である旨を指導をしてまいります。
#120
○伊藤孝江君 続きまして、月六十時間を超える法定時間外労働に係る五割以上の割増し賃金率の中小事業主への適用猶予の廃止についてお伺いをいたします。
 この点、中小企業事業主への適用猶予が廃止されるというところですけれども、まず、現状において月六十時間以上の時間外労働をしている従業員を抱える中小企業がどのぐらいあるんでしょうか。また、中小企業事業主、そして直接利害にも直結をする従業員への周知徹底、これは今後どのようになされるのでしょうか。御答弁お願いいたします。
#121
○政府参考人(山越敬一君) 現状で時間外労働が月六十時間超である労働者がおられる企業の割合でございますけれども、全体では大企業八・一%、中小企業四・四%となっているところでございます。
#122
○国務大臣(加藤勝信君) それを前提にして今回猶予を廃止するということでありますけれども、その猶予廃止に当たっては、法の周知や中小企業主の準備に期間を要するため、施行を平成三十五年四月とさせていただいております。
 法制度の内容の周知に当たっては、今年度より都道府県に設置をいたしました働き方改革推進支援センターを始め、商工団体などを始めとした関係団体と連携をして幅広く周知をしていきたいと思っておりますし、また、中小企業・小規模事業者の相談を受け付け、労務管理のノウハウを提供するなど、各企業に時間外労働の削減に向けた取組が浸透するようしっかりと支援をさせていただきたいと思います。加えて、今年度から、全ての労働基準監督署に特別チームを新たに編成をし、専門の労働時間相談・支援班が中小企業・小規模事業者に対するきめ細やかな相談への対応や支援も行うことにしております。
 この準備期間の中においてしっかり周知をし、そして中小企業・小規模事業者において施行に当たって円滑に取り組んでいただけるように努力をさせていただきたいと思います。
#123
○伊藤孝江君 中小企業の事業主の中には、本来は一・五倍が猶予されているという認識ではなく、一・二五倍だというふうに認識されている方も多いと思いますので、その辺りは丁寧に具体的な取組の方をお願いをいたします。
 ちょっと時間の関係で質問の順序を飛ばさせていただきます。
 労働者に対する待遇に関して説明義務を強化をするという点についてお伺いをいたします。
 本法案の今回直接の対象ではありませんけれども、そもそも正規雇用労働者、正社員におきましても、休暇や退職金など、自らの待遇をきちんと認識、把握しているとは言い難い面もあります。本来、労働条件は明示されるべきものですし、就業規則については、そもそも法的にも常時各作業場の見やすい場所へ掲示し又は備え付けること、あるいは書面を労働者に交付すること、またパソコンで常時確認できるようにすることなど、周知方法が法律上も求められているところでもあります。これがきちんとなされていれば、どういう雇用形態のものであっても基本的な労働条件を確認することは可能です。
 この就業規則の制定が義務付けられる会社において、そもそもきちんとこの周知方法が守られているのでしょうか。この現状について、また、それらの義務が遵守されていない会社に対して現状どのように指導等をしているのか、御説明願います。
#124
○政府参考人(山越敬一君) 労働基準監督署が平成二十八年に実施した定期監督等の実施件数は十三万四千六百十七件でございまして、そのうち常時十人以上の労働者を使用する事業場で、就業規則を作成し労働基準監督署に届けていない又は就業規則の法定事項を変更したにもかかわらず就業規則の変更を労働基準監督署に届けていないといった労働基準法第八十九条の違反は九千七百六十五件でございます。
 このように、労働基準監督機関が実施する監督指導につきましては、その際、労働基準関係法令の遵守状況を確認しておりまして、法違反が認められればその是正を指導しております。
 加えまして、今年度より監督署に特別のチームを新たに編成をいたしまして、就業規則の作成でございますとか労働者への周知も含め、中小企業に対するきめ細かな支援を効果的に推進してまいります。
 就業規則の周知方法の遵守状況でございますけれども、それだけを取り出した統計等は作成しておりませんで、把握ができていないところでございます。
#125
○伊藤孝江君 就業規則を見やすい場所に掲示をする、あるいは書面を交付する、またパソコン等で見えるようにするという点については、私自身もこれまでの経験で、いろんな方に、それぞれが勤めておられる会社の就業規則を知っているのか、見たことはあるかということを聞いても、そういうのはないというふうに答える方が非常に多かったというのは経験上思っているところです。
 実際に就業規則に書かれている労働条件を確認する、総務課に聞く、人事課に聞く、またお金のことも含めて聞くというような、そこからの闘いが労働者の方にとっては始まるという、本来しなくてもいい苦労から始まるというところは現状としてあるのかなと思います。
 せっかく就業規則を掲示するというところも含めて周知方法がしっかりと定められているところですので、まずは、この現状定められている制度についてもしっかりと守られるようにということで取組をもっと強くしていただければと思っております。
 今回の法案の中では、短時間労働者、有期契約労働者、また派遣労働者から求めがあった場合には、正規雇用労働者との待遇差の内容、またその理由などについて事業主が説明をする義務を負うことになります。
 ただ、特に、待遇差の理由を説明するというのはなかなか困難かと思います。一応、例示の中では、例えば非正規社員だから幾らですよというのは足りませんというふうには挙げられてはいるんですけれども、じゃ、どんなふうにしたらいいのかなというところはよく分からないところでして、どのように説明をすることが求められているのでしょうか。また、十分な説明であるというふうに認められるかどうかの基準ないしは説明の仕方を、大臣、具体的に示していただけますでしょうか。
#126
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の改正法案では、非正規雇用労働者に求められた場合の正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等の説明義務を事業主に課しております。
 具体的なその説明、待遇差の内容や理由等の説明方法については、やはり非正規雇用労働者が理解できるような説明にするということが大変大事だというふうに思います。どのような説明方法が良いのか、実効ある労働者保護の観点、そして実務上現実的に対応する観点の双方を踏まえて、この法案成立後、労働政策審議会において具体的には御議論いただきたいというふうに考えておりますけれども、いずれにしても、非正規雇用労働者の方が理解ができる、こういうような説明方法ということを考えていかなければならないというふうに思います。
 また、待遇差に関する説明の内容については、労政審の建議では、事業主に説明を求めた非正規雇用労働者と職務内容、職務内容・配置変更範囲等が最も近いと事業主が判断する無期雇用フルタイム労働者ないしその集団との待遇差、当該待遇差の理由、当該無期雇用フルタイム労働者ないしその集団が当該非正規雇用労働者に最も近いと判断した理由を説明することとされているところでございます。
 いずれにしても、この具体的な内容についても労政審において議論をしっかりとさせていただきたいと思っております。
#127
○伊藤孝江君 従業員の方が理解ができる説明をということだったかと思いますけれども、ただ、なかなか納得がいくまでというような基準というのはちょっとまた違うかなというふうにも思いますし、具体的にどのように説明をするかというところが一義的にはなかなか規定はできないとしても、具体例として、例えばガイドラインになるのか例として示すものなのか、事業主の方、説明をする側にも少なくとも分かるような形の示し方が厚労省の方からあった方がいいかと思うんですが、済みません、この点も通告はしていない分なんですが、そのような示し方を事業主の方に対してされる御予定なり御意向なりがあるかどうかということについて、併せていただけますでしょうか。
#128
○国務大臣(加藤勝信君) 具体的には労政審の審議を踏まえていくことになるわけでありますけれども、この委員会でも、この説明というのは大変大事だという御指摘もいただいております。
 そういった意味において、事業主の方に対してもどういう説明をすればいいのか。納得いくまでといっても、これなかなか実務的にも難しい点もあるわけでありますけれども、しかし、じゃ、勝手に打ち切っていいというものでもまたこれはないんだろうと思いますので、そういった点も含めて、やっぱりどういう形でどういう説明の方法、具体的にどういう内容が求められるのか、それが事業主にとっても分かるような、そういったやり方はやっぱり考えていく必要があるというふうに思っておりますが、それをどう具体的に指示をしていくのかというようなことについても労政審とよく御相談をしながら考えていきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、そういったことを明示していくことは必要だというふうに思います。
#129
○伊藤孝江君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#130
○足立信也君 国民民主党の足立信也です。
 私は、行政と国会の関係は、行政はやはり国会の質問を通じて、これはオープンになっているわけですからアクセスもできる、国民の皆さんに説明をしていくというのが行政の国会における役割で、それを重ねるごとに国民の皆さんに理解が広がっていくんだと、この意義だと私は思うんですが。
 この法案、閣法についてもそうですけれども、今までの答弁で、今後検討しますとか、今後労政審で検討しますとか、これから検討して指針を作りますとか、国民の皆さんが見ていて、何か解決されたなとか、ああ、ここが分かったなということが余りにもないような気がするんですよ。それは、この一年間特にそうですけれども、安倍政権そのものの性質のような気がしてならないですね、ちょっときつい言い方ですけど。
 参考人質疑のときにも言いましたが、今朝のNHKの世論調査で、閣法ですよ、賛成一四、反対三二、どちらとも言えないが四四、この四四というのは、例えばIR実施法案あるいは自民党が提出された参議院の選挙制度ですね、これよりも高いんですよ、どちらとも言えないというのが。これは、これだけ審議してきた、衆議院、参議院としてきた中で、やっぱり私は、解決されていない、より説明がされて理解が深まっていないとつくづく感じます。
 そこで、午前中の参考人、山越局長を始め六、七名の厚生労働省の方が御覧になっていましたから、傍聴席から、よく分かると思うんですが、まず、労働安全衛生法とは言いませんが、パワハラの規制、これについて触れた人は全員この法案成立していただきたいと、させていただきたいと、そういうふうにおっしゃっていましたよ。
 そこで提案者にお聞きしたいんですけれども、就業形態は本当に多様ですけれども、今問題になっているそのパワハラそのものを定義するというのはかなり難しい作業だったと思うんですね。
 私の若い頃は、屋根瓦式といいますか、三年目が一年目を教え、五年目が三年目を教えというふうに、こうなっているわけですよ。私は、医局長までやっていましたから若い講師も教えなきゃいけないというような立場でもあるし、そうなってくると、どこまでが適切な教育や指導の範囲と、これはやっぱりいわゆるパワハラというものがなかなか分かりづらいところも出てくるんですね。
 発議者としては、このパワハラの定義、どこからがパワハラに当たるのかと。パワハラだけ取り上げましたが、職場におけるハラスメントと取っていただいても結構ですが、その範囲どこからかということについてのお考え、教えてください。
#131
○浜口誠君 質問ありがとうございます。
 私も、今日の午前中の参考人の質疑を聞いていたときに、提案者として言うのもなんですけれども、この法案は非常に重要だなというふうに、改めて御意見を述べられた方のお話を聞いて感じました。
 今、足立委員の方から非常に重要なポイントについての御質問をいただきました。
 まさに、私もサラリーマン時代に、新入社員のときに上司からいろいろ指導や教育、受けました。そういう新入社員に対する教育指導と十年目の社員に対する指導教育、これはまた違うと思いますし、また、仕事によっても、現場で作業をしている方に対する指導、これは一歩間違えばけがにつながったりあるいは労災につながったりというような局面もありますので、いろいろなケースを想定しながらやっていく必要があろうかというふうに思っております。
 法案上は、委員から御質問あったとおり、どこまでが教育指導でどこからがパワハラかというところをしっかり明記をしなきゃいけないというふうに思っておりますが、でも一方で、いわゆる業種や業態によっても線引きというのは異なってくるというふうに思っておりますので、法案上の表現としては、業務上適正な範囲を超えるものと、一般的な規定をさせていただいております。
 ただ、具体的に今後どういった行為がそうしたパワハラに該当するのかどうか、これは幅広い意見もいただきながら、先ほど御説明したような、いろんな業種、業態、あるいは仕事の内容、こういったものによって変わってくるというふうに思っておりますので、今後は、労政審等でもしっかりと御議論いただいて、その上で厚労大臣が定める指針において明記をしていきたいなというふうに思っております。
 あわせて、これはやっぱり現場に近いところでしっかり議論していただくというのが極めて重要だというふうに思っておりますので、それぞれの労使が自分たちの会社、自分たちの職場においてどういう基準を定めるのが適当かということをしっかり議論をして定めていっていただくのが適当だろうというふうに考えております。
#132
○足立信也君 様々な業務形態ありますし職種もありますから、本当に一つ一つ違うと私は思いますので、そういう方向性でこの法律に書いたということで、同意したいと私は思います。
 参考人の中で、先ほど、説明はしてもなかなか的確な答えが返ってこない、説明がされないからどちらとも言えないが多いんだというふうに申し上げましたが、これはひとえに、ひとえにと申しますか、新しい制度であればなおのことですよね。新しい制度をつくるんだったら、本当に、この言葉は何を意味しているというのが分からないと、それは不安でしようがないと、これはもう高プロのことを申し上げているわけですが、参考人五人の方のうち四人の方が必要ないと言っていましたよ。企業のコンサルタント、コンサルしている方でも必要とおっしゃった方はいませんという発言をされておりました。今日はその高プロのことを私も詰めたいんですね。何を意味しているのかを詰めたいんですが、その前に大臣にお聞きしたいんですけど、前回の局長答弁、後で訂正の発言を求めるということになっていますが、何だったかということは説明します。
 労働政策研究・研修機構、JILPTの調査、これは労政審あるいは分科会で四回使われている。厚労省の二〇一三年度労働時間等総合実態調査は十一回使われている。そこで、裁量労働制で働く労働者の健康及び福祉を確保するための措置をなぜ法案から削除したのかという質問に対して山越局長は、裁量労働制の実態をしっかり把握し直すんだ、正確なデータが得られた上で裁量労働制についてどうするか検討していきたい、だから健康確保及び福祉の確保のための部分も削除したんだと、理由は合わないと思いますが、そう答えたんです。
 これ、通告の段階では大臣が答えるということだったと思うので、二点お聞きしたいです。局長答弁で、調査はやる、やり直すと。いつまでにやるんですかが一点。それから二点目です。やっぱり前の条文にあったように、裁量労働制のいろいろな問題点、特に健康、福祉の確保のところはJILPTの調査でも出ているわけですよ。これをなぜ削除したのか。データが良くなかったから全部削除しましたじゃ説明にはなっていないと思いますよ。なぜその部分を削除したのか、これが二点目です。
#133
○国務大臣(加藤勝信君) まず、調査でありますけれども、今回の裁量労働制に係るところで国民の皆さんの裁量労働制の改正に対する信頼が大きく揺らぐということで、これをやり直すということにいたしました。まだ現在、これから具体的にどういうやり方でこれを調査していくのか、外部の有識者にも入っていただいてしっかり議論をさせていただき、またその調査結果を踏まえて労政審で御議論いただこうということでございますが、今の段階で具体的なスケジュールを申し上げるほど詰め切っていないというのが現状の状況であります。
 それから、今の健康確保措置でありますけれども、いずれにしても、この裁量労働制に係ること全体についていろいろ御疑義をいただいたわけでございますので、もう一度原点に戻って、もう一回裁量労働制の実態を把握する、それは問題点も含めて把握をし、その上で必要な対策を講じていく必要があると、そういった観点から裁量労働制に係る全ての条文を撤回をさせていただいた、こういう経緯であります。
#134
○足立信也君 そうおっしゃるんですけれども、JILPTの調査は無作為抽出調査です。厚生労働省のものは、調査したけれどもおかしなデータを作為的に抜いた、九千あるから大丈夫だと。無作為であっても作為的に抜いたら、それはもう作為的な調査ですからね。それでもいいんだという強弁は、私は全く信じられない強弁。だったら、これはもう全部このデータはなかったものとしてもう一回やり直しますと言った方がすっきりしますよ。
 その点指摘しておきますが、そこで資料を皆さんのところへお配りしておりますけれども、これは、訂正したいということは、前回の質問でJILPTへの調査依頼はいつやったんですかという質問に対して答弁が誤っていたということですので、まず山越局長から答弁していただきたいと思います。
#135
○政府参考人(山越敬一君) 御指摘の要請書を独立行政法人労働政策研究・研修機構へ提出した時期でございますけれども、確認いたしましたところ、二〇一三年の三月十九日でございました。六月七日の本委員会におきまして、提出時期につきまして二〇一三年の一月になってからであった旨答弁をいたしましたけれども、二〇一三年三月十九日の誤りでございまして、訂正いたしますとともに、確認が不十分なまま答弁したことにつきましておわびを申し上げます。
#136
○足立信也君 この資料を御覧になって、皆さんも一見してあれっと思うと思うんですが、日付がないんですよ。厚生労働省が行った総合実態調査は三月八日で、局長の通知ですか、で調査的監督を指示しているわけですね。これには日付がないんですよ。
 この前の答弁で、JILPTからのこういう調査したいんだという希望に対して調整をずっとしてきて、依頼してきたということで、文書は一月という答弁だったんですが、私の方から、産業競争力会議、この左の一番上ですね、@のところ、「とりわけ、」の後です、産業競争力会議が始まったのは二〇一三年の一月ですよと、第一回、それだったら一月にこれが書けるわけないじゃないですかという話をしたわけです。で、これがくっついてきて、まあ三月だと、三月十九日ですか。
 これ、日付がないということは、そのときの官邸での会議、いろんな会議に合わせて、この調査依頼そのものをどんどんどんどん上書きしていったんじゃないですか。そもそもの、そもそも依頼をしていた内容から継ぎ足されていって、この前の答弁でもありました、会議の流れに沿うようにというようなことがありましたけど、結局そういうことなんじゃないですか。
 私は、これに近いものが何回か出されているような気がしますよ。これには日付もない。これですと言われたって、信用できないじゃないですか。私は、それを出してくれると思って、あえて理事会で検討してほしいとは言いませんでした、この前。で、結局持っているのは私が前回持っていたのと同じなんですよ。
 これ、調査依頼のもの、これ以外にあれば是非出していただきたいと思いますが、委員長、検討をよろしくお願いします。
#137
○委員長(島村大君) 後刻理事会で協議いたします。
#138
○足立信也君 それでは、この問題は問題として一つずつ解決していきたいので、高プロに行きますね。
 共同通信のアンケートで、働き方改革企業調査、主要企業百十二社に対して行っています。そのアンケートで、裁量労働制の対象拡大に賛成三五%、高度プロフェッショナル制度に賛成二八%あります。
 私は、一定のこういう制度があったらという理解はあるんだろうと実は思っているんですね。ただ、先ほどNHKの世論調査でも言いましたように、明確になっていないから何となくいい気がしているだけなんじゃないでしょうか。どこまで詰められているのか、これが多分分かっていないんですよ。こういう制度があってもいいのかなぐらいの感覚だと私は思います。
 そこで、一つ一つただしていきたいと思います。
 対象業務ですが、これは高度な専門的知識を必要としとある中で、これ業務が、金融商品の開発業務とかディーリング業務ありますが、アナリスト、コンサルタントとありますね。これは、アナリストの業務、コンサルタントの業務は、そのまま高度で専門的な業務というふうに理解されるんですか。
#139
○政府参考人(山越敬一君) この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、高い交渉力を持つ高度専門職の方が自律的な働き方を可能とする選択肢として整備をするものでございます。このため、対象業務につきましては、法案に、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められる業務と規定をしております。
 高度の定義でございますけれども、定量的な基準があるわけではございませんけれども、具体の業務につきましては、法律の条文に沿った業務のみが対象となりますよう、労働政策審議会で議論の上、省令において適切に定めていくことといたします。例えばの例といたしまして、その企業の投資判断に資するマーケットの分析でございますとか、経営戦略に直結する助言は該当すると考えられますが、労働政策審議会で議論しまして、省令において適切に定めていきたいと思います。
 その上で申し上げれば、この制度は付加価値の高い財・サービスを生み出す革新的な分野で、イノベーションでございますとか高付加価値化を担う高度専門職の方にその意欲や能力を有効に発揮していただけるようにすることを目指しておりますので、労働政策審議会ではこのような制度の狙いを十分御理解いただいて議論をしていただきたいと考えております。
#140
○足立信也君 お聞きになっている方はちょっと分かりにくいと思いますので、説明しますね。
 例示されているんですよ。高度プロフェッショナル制度は、まず高度の専門的知識等を必要としとあるわけです。その中に、またアナリストの業務というのがあって、その中に、企画、市場等の高度な分析業務と、高度が二回あるんですよ。全体のアナリストやコンサルタントも同じです。その業務というのが高度で専門的なと言われていて、その中に更に高度なと付いているんですよ。
 アナリストの業務とコンサルタントの業務で高度であるやつと高度じゃないやつ、今の説明で分かりますか。
#141
○政府参考人(山越敬一君) この高度プロフェッショナル制度の対象業務でございますけれども、平成二十七年の労働政策審議会の建議におきまして、対象業務につきまして具体的な例が示されております。
 その中で、アナリストの業務につきましては、アナリストの業務、コンサルタントの業務が具体的にはということで、これらを念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当とされているわけでございますけれども、アナリストの業務については企画、市場等の高度な分析業務、コンサルタントの業務については事業、業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務、こういったものであることを括弧書きで示して、その上で、具体的な例としてこの建議で例示されているという結果でございます。
#142
○足立信也君 分かっていただけたと思うんです。アナリストとかコンサルタントとかはそもそも高度な専門的な業務であって、そして、そのアナリストやコンサルタントがやる業務の中に更に高度なものがある、それは労政審でこれから決めますと。だから分からないんですよ、一体何が入るのか。だから、幾らやったって理解が進まないんですよ。
 じゃ、局長、その人がやっていることが高度であることを、いつまで高度であるかとどうやって評価するんですか。
#143
○政府参考人(山越敬一君) 高度の定義でございますけれども、これにつきましては定量的な基準があるわけではございませんけれども、具体的な業務につきましては、法律の条文に沿った業務が対象となりますよう労働政策審議会で議論をしていただいて、省令において定めていくこととするものでございます。
 その上で、個々の事業場にある業務が省令に定められた対象業務に合致するのか否かは、一義的には職場の実態を熟知する労使委員会において話し合い、適切に決議していただくことが必要でございます。
#144
○足立信也君 先ほどと変わらないような気もしますけれども。
 高度な業務であって、その中でも高度なものがある、その基準はこれから決めますでは、高度であるときと高度でないときというのはどうやって区別すればいいのか。例えば病気をしたとかけがをしたとかいう場合に、高度でなくなった場合、その人はどうなっちゃうんだろう、一般の通常業務になっちゃうのか。高度であり続けるということをどう評価するんですか。それが分からないと、新しい制度でしょう、一体どうやってつくれるんですか。
 やっぱり少なくとも国会の審議でそれぐらいは出てこないと。つまり、高度であり続ける、高度であることをどうやって測るのか、それはいつまで継続性が認められるのか、病気とかけがして高度でなくなったら直ちに高プロは外れるのか。どうなんですか。
#145
○政府参考人(山越敬一君) まず、この対象業務につきましては、今御答弁させていただきましたように、労働政策審議会で高度の専門的知識を要するものとして決めていくということでございます。それとともに、具体的にそのそれぞれの事業場で対象業務が高度なこうした業務かどうかということは、業務の内容によってそれぞれの一義的には職場の実態を熟知する労使委員会において話し合って決議していくものであると考えます。
#146
○足立信也君 僕は大分譲っているんですよ。これから労政審で高度であるかどうか決めますと言うから譲っているんですよ。じゃ、高度でなくなったらどうなるんですかと聞いているんですよ。高度であるということは、じゃ、採用時から高プロあるんですか。採用時から高プロで働く人があるんですか。いつまでそれは高度であるということを証明するんですか、誰が証明するんですか。
#147
○政府参考人(山越敬一君) まず、この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、法案には在職年数の要件などは課しておりませんので、対象業務でございますとか年収などの各種の要件を満たしていれば、採用時から制度を適用することも可能でございます。
 それから、高度プロフェッショナル制度の適用に当たりましては、労働者の同意が要件となっております。したがいまして、対象労働者の同意なく一方的に使用者が職務内容を変更し、高度プロフェッショナル制度の対象から外すということは認められないものでございます。
#148
○足立信也君 今大事なことがあったと思います。まず、採用時から高プロというのがあると。当然のことながら、採用時はそう思っていたけれども、やっぱり高度なことができない、多分初年度からは難しいと思いますけれども、高度ではないという基準がまず一つはあるんだろう。これから決めますと。しかし、直ちにそれによって高プロ制度から外れるということはないと、今そう言われたわけですね。ということは、内定を出す段階でも、あなたは高プロ制度で働いてもらいますということもあるんですか。
#149
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度の適用条件としてこの労働者の同意があるわけでございますので、その同意がなされれば、それに従って高度プロフェッショナル制度の対象にするということは可能でございます。
#150
○足立信也君 ということは、これ、三十一年四月施行、もうすぐ内定、高プロがもうそうなるわけでしょうね。
 今私が問題にしているのは、話合いだということでしたね。とにかく話合いで、その高度の維持、どこまでが高度かということはまずこれから決めると、何度も言いますが、これから決めると。ただし、その高度プロフェッショナルということで内定も決まるし、もう採用時からすぐにその働き方もやるんだと。しかし、高度であることが維持できなくなった場合の判断は使用者は当然あるでしょう。でも、それは話合いで決めると、業務が変わるかどうかということですね。今大臣、首かしげていらっしゃるので、私は今、山越さんの答弁をまとめたつもりですけど、そうじゃないんですか、今私がまとめたことは。
#151
○国務大臣(加藤勝信君) 今のまとめの中で、その高度というのはその人が高度かどうかということは問うていないわけですね、ここにおいては。業務について議論しておって、業務が高度の専門的知識を必要とし、その性質上、従事した時間と従事した成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令による業務。この業務をどう定めるのか、これは委員からの御指摘があって、その高度な知識を持って相関が強くない業務としてどういうものがあるのかという中において、例えばこの建議ではアナリストの業務として企業、市場等の高度な分析業務と、こういう言い方をしていますけれども、例えば専門型裁量労働制なんか見てもかなり細かく書いていますから、それはもう少し私は細かく議論をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。
 そして、そうやって省令で決められた業務の中で各企業が、じゃ、その中において、そのままもあるかもしれません、その中をもっとえぐり取ってここだけをやりますという決議をし、そしてそれを具体的に実行、今度は対象者の問題とかいろんな要件はありますけれども、高プロを進めていくと、こういうことになります。
 したがって、元々かなり、中途採用みたいな形であれば、ここですごく働いてきた人、その人をヘッドハンティングで持ってくれば、その人はもう採用当初からそうやって働くということも本人の同意等々が整えば十分あり得るのではないかと思います。そして、実際やってみる中で、それはいろいろなことがあると思いますけれども、それは、あくまでもやっている業務が、そういう業務をやっていただいている限りにおいては、それは高度プロフェッショナルとして継続をしていく。そして、例えば一年なら一年で契約が切れたときに、じゃ、次どうするか、そういった議論につながっていくんだろうというふうに思います。
#152
○足立信也君 大臣が今整理していただきましたけど、その中で私が、個人としてその高度を維持できなくなる場合もあるでしょうと、病気とかけがとか、そのときには直ちに業務が、働き方が変わるんですかという質問をしたので、それで多分その答えになったわけです。
 今大臣いみじくもおっしゃったんですが、少なくとも、この高度プロフェッショナル制度、本人の同意撤回という話もありましたが、私はこの契約期間の有効期限というのがきちっと定められるべきだと思いますよ。一年ごとにしっかり本人の状況も確認し、その人の専門性の高さも確認し、一年ごとに繰り返していく。同意が得られれば更新もいいだろう。私は、少なくとも、そういうふうな更新制、期限を一年として定めるということが非常に大事だと思いますよ。
 今いみじくも大臣おっしゃったので、その考え方についてはいかがですか。
#153
○国務大臣(加藤勝信君) 私どものイメージとしても、例えばですけれども、これちょっと業種は的確ではありませんけど、やっぱりプロだと一番プロ野球の選手等を思い出すわけでありますけれども、大体一年一年で更改されていくと。そういう意味においては、一年間やってみて、そしてまた次の年をどうしていくか、職務内容をどうするか、給与をどうするか、こういうような議論を積み重ねていただくのがやっぱり自然な姿なんではないかなというふうに思います。
 ですから、それをベースに、しかし、中には一年じゃなくて半年という方もいらっしゃるかもしれませんから、その辺どう考えるかというのはありますけれども、基本は一年をベースで、本人と、本人ですよ、本人との合意についてはやっていくということを前提に組み上げていきたいというふうに思っています。
#154
○足立信也君 是非ともそれは何らかの形で、確認答弁は取れたにしても、大臣の思いですから、どんな形かでしっかり文書として残していきたいと私としては考えます。高プロでいろいろ用意いつもしてあるんですが、高度なだけで終わってしまいましたので、高度な一つを取ってもこれは詰める部分はかなりあるということ。
 もう一つは、これ衆議院で決着付かなかったと思いますが、医師が、産業医さんが診て、これ以上この働き方は危ないと言った場合に、その働き方を中断する、あるいはやめることは医師の意見としてあるのかというようなことも、これもまだ未決着だと私は思います。
 実は物すごく大事なことで、もう時間がありませんから以上でやめますが、これ衆議院でそこの、医師の意見で、高プロでの働き方はやめるべきだという医師からの意見が出た場合はどうされるか、そこだけお答えください。
#155
○政府参考人(田中誠二君) 労働安全衛生法の改正案におきまして、事業者は、医師の面接指導の対象となった労働者の健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴かなければならないこととされており、事業者は、当該医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、職務内容の変更など適切な措置を講じなければならないこととされております。
 このため、医師が高度プロフェッショナル制度対象の労働者を当該制度から外すべき旨の意見を述べ、事業者がその必要があると認める場合、事業者は、当該労働者の健康を保持するため、当該労働者を高度プロフェッショナル制度の業務から外す措置を講じなければならないと考えております。
#156
○足立信也君 今日のところは以上で終わります。ありがとうございます。
#157
○浜口誠君 皆さん、こんにちは。国民民主党・新緑風会の浜口誠でございます。
 今日も質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず最初に、これ通告していないんですが、今日の午前中の参考人質疑で、過労死家族の会の寺西笑子代表のお話聞きました。これ、この委員会の中でも、福島委員の方からもいろいろ議論ありましたけれども、安倍総理にお会いしたいという文書を五月の十六日に出されています。それに対しての今日思いもお伺いをして、加藤大臣は、二月二十三日に過労死家族の皆さんとお会いして直接お話も聞いていただいたと。そのときには、労基署の監督業務しっかりやりますというお話も加藤大臣の方からお伺いしたというお話、今日お伺いしました。
 でも、今回の国会は、安倍総理自ら働き方改革国会だと冒頭の所信表明から言われております。そんな中で、今まさに参議院でもこの法案の議論が行われている中で、過労死家族の会の代表の、会いたいんですと、直接会って思いを伝えたいんですと、そのことに総理が応えられないのは本当何でかなと、正直に今日のお話を聞いても感じました。
 是非、閣僚のお一人として、加藤大臣の方から総理に対しても、御家族の思いをしっかりと直接お会いをして聞いてほしいと、そのことをお伝えいただけないかなというふうに思うんですけれども、その点いかがですか。
#158
○国務大臣(加藤勝信君) 全国過労死を考える会から総理との面談という御要請については、政府、これは官邸、内閣官房、また私ども厚生労働省も踏まえて相談をした結果、働き方改革関連法案に関する御意見が中心だということもあって、過労死等防止対策を所管し、働き方改革関連法案を担当する厚生労働省において、御意見をしっかり受け止め、対応するということにしたところでございまして、その旨を、これは厚生労働省の方からお伝えをしたということでありますけれども、先方からは、私にはもう一回話をしているしということになっているというふうに承知をしているところでございます。
 いずれにしても、私も本年二月に皆さんからの、お会いをして、その思いもお伺いしたところでございますし、また政府としても、過労死をなくす、そういう思いでしっかりと取り組ませていただきたいと考えております。
#159
○浜口誠君 是非、本当に過労死の御家族の方の今日のお話聞いても、何回も私、違う場でもお話を聞く機会もあるんですけれども、本当に当事者でないと感じられないようないろんな思いが皆さん持たれておられますので、是非その思いを総理にも直接聞いていただいて、受け止めていただくことは非常に重要だというふうに思っておりますので、改めて安倍総理にお会いしていただくことを強く求めておきたいというふうに思います。
 それでは、質疑の方に入らせていただきます。
 今日は、先週もこの場で同一労働同一賃金の観点について議論をさせていただきました。今日は、先回の質疑も踏まえて、もう少し深掘りであったり、さらに確認をしたい部分ございますので、その点を中心に今日はさせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初は、非正規労働者の方への待遇差の説明ということについて、先回も、口頭ではなくて書面で何とかできませんかと、省令とかに書面でやるというのを規定していただいてやっていただくのがやっぱり必要じゃないですかというお話を強く求めさせていただきました。結果として、先回の議論の中では、宮川局長からも加藤大臣からも踏み込んだ御答弁にまでは至らなかったかなと。それは、現在のルールは口頭で説明するというのが原則になっていると、そのルールがあるために先回の議論の中では踏み込んだ発言にはなっていないと。
 一週間たちましたので、その後、省内でもいろいろ御議論もいただいたかもしれませんので、もう一度、その点について確認をしたいんですけれども、今のパート労働法においては、施行通達で、待遇を説明するときには口頭が原則と、書面の交付であっても義務を履行したこととするというふうになっています。それは私も承知していますけれども、そもそもなぜそういうルールになっているのかどうか、そこをまず確認したいと思います。
#160
○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。
 委員、今御指摘の現行のパートタイム労働法の施行通達におきましては、第十四条第一項に基づく説明は、事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置を短時間労働者が的確に理解することができるよう、口頭により行うことが原則であるが、すなわち的確に理解することができるようという形で記されております。その後に続きまして、説明すべき事項を漏れなく記載した短時間労働者が容易に理解できる内容の文書を短時間労働者に交付することなどによっても本項の義務の履行と言えることとしておりまして、漏れなく記載したものを容易に理解できる内容という辺りがポイントかと思われますが、また、それに併せまして、口頭による説明の際に、説明する内容等を記した文書を併せて交付することは、事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置を短時間労働者が的確に理解することができるようにするという観点から、望ましい措置と言えることとしておりますことから、的確に理解するという点がその理由と考えられるところでございます。
#161
○浜口誠君 先ほど伊藤委員の方からも議論があって、質問があって、加藤大臣の方からは、理解できる説明方法が大事なんだという御答弁もありました。本当、そこが非常に大事だと思います。
 今回も、口頭だとどうしても言った言わないとか、こういうことも起こるでしょうし、実際、非正規の方が正社員との待遇差に対して不満があったときに司法解決みたいなものにどう移行していくのか、その根拠規定みたいなものもしっかり整備していくことも非常に重要であるとは思っています。
 そのときに、実際にその書面があって、それが証拠となって裁判にも訴えることができるということにつながっていくと思います。そういうのがないと裁判にすら持ち込めないということが弱い立場の労働者の僕は位置付けだというふうに思っていますので、是非、しっかりとした書面、先ほど宮川局長からも、分かりやすく容易に理解できるそういうちゃんとした書面を基に説明をしていただく、これはやっぱり原則だというふうに思います。
 それができれば、理想は省令とかにちゃんとそれを書き込んで、事業者側にそれを意識してもらって、ちゃんとその省令に基づいて行ってもらうというのがもう基本中の基本だと思いますけれども、もう一回そこ、厚労省としての今後の非正規労働者の方への説明という点について、お考えをお伺いしたいと思います。
#162
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員からお話がありましたように、現行パート法がそういうふうになっているということ、それについて今ちょっと説明をさせていただきました。
 また、説明においては、例えば書面だけ渡すというのが本当にいいのかどうかというまた問題も別途あるんだろうと思います。そういった意味で、本当に非正規雇用労働者にとって理解できるような説明というのはどういうものなのか、これは労働者側からいってもそうですし、やっぱり使用者側も現実的に対応できる方法でなければ、これはなかなかフィージブルなものということは言えないんだろうと思います。
 そういった双方の観点から、労政審でということを前々から申し上げてまいりましたけれども、労政審で議論いただく際にも、こういう場においてちゃんと出した方が、今言った労働者にもつながるし、逆に言えば使用者側も一応説明責任を果たしたことになる、そういうチェックにもつながるんではないかと、こういう御指摘があったような点、それから、実際、今、先ほど、パートタイム労働法において口頭でやっておりますけれども、それがどういうことになっているのか、そういったことも含めてしっかりと議論させていただいて、先ほども申し上げておりますけれども、非正規の雇用労働者にとって理解しやすい、そして日常的にも対応できる、日常的というか、使用者側も対応できる、こういったやり方を考えていきたいと思います。
#163
○浜口誠君 もう一度確認ですけれども、厚労省始め政府の方の基本スタンス、基本的な考え方として、あるべき姿、非正規の方に使用者の方、事業主が説明するときのあるべき姿は、きちんとした書面をもって説明すると、それがあるべき姿だというお考えでよろしいですか。それを省令に書き込むかどうかはいろいろこれからの労政審の議論はあると思いますけれども、やはりしっかりと、待遇差を説明するときには書面をもって、そしてしっかりと説明をそれに加えて、書面を渡すだけじゃこれはいけませんので、そこにちゃんと説明をしていくというのがあるべき姿なんだと、これが基本的な政府の、厚労省の考え方なんだということを確認したいと思います。
#164
○国務大臣(加藤勝信君) 私どもの基本的な考え方は、先ほど申し上げておりますように、非正規の雇用の労働者、要するに説明を受ける側がしっかり理解できる手法はどういうことなのかということで、ですから、今委員御指摘の、例えば、じゃ、あるべき書面とおっしゃるそのあるべき書面がどういうものなのかということもあるんだろうと思いますね。それがかなり個々の話について、例えば非正規で働いている人のある個々の具体的な条件ということになると、これはなかなか個人情報の問題としても難しいという面があったりとか、あるいは余りにも詳細であればなかなかそこまでお示しできないという、そういった意味で、あるべき書面というものがどういうものなのかということも含めてやっぱり議論していかないとならないのではないかなというふうに思います。
 そうでないと、先ほどから申し上げているように、本当の意味で、分かりやすいのと同時に使用者側もそれなりに対応できる、そういう仕組みにはなかなかなり得ないということではございますから、そこは最終的にはやっぱり労政審、労側と使用者側が出てきている場においてそれぞれの考え方を決めて最終的には決めていく必要があると思いますけれども、ただ、先ほどから申し上げておりますように、やはりその第一としては、やっぱり非正規雇用の方々が説明を受けやすい、理解をしやすい、そういったものがどうあるべきなのかといったその点に立って考えていくべきだと思います。
#165
○浜口誠君 今大臣の方から御説明いただきましたけれども、じゃ、大臣は口頭でもいいと言われているんですかね。僕は、口頭ではやっぱりいけないと。口頭だと望ましくないから、その書面の書きっぷりはいろいろありますけれども、書面を基にちゃんと説明をすると、そこがやっぱり求められているんですよというところはしっかり言っていただかないと。何か今のお話聞いていると、もう口頭でもいいよというようなニュアンスに受け取れるんで、それだと全然駄目だと思うんですよ。ちゃんと必要な書面を交付して、で、説明をするというのがやっぱりあるべき姿、基本なんですということをしっかり言っていただく必要あると思います。
#166
○国務大臣(加藤勝信君) ですから、先ほど申し上げておりますように、まずそのあるべき書面というのはどういうものなのかという、そこもやっぱり議論していかないと、そこが多分使用者側から見れば、じゃ、一体どこまですればいいんだろうか、こういう議論にもつながっていくんだろうというふうに思います。
 ですから、私は書面を出して説明すること自体を否定するつもりは全くありませんし、そういった説明というのも非正規雇用労働者の方にとっては分かりやすいという場合もあるんだろうというふうに思います。ですから、そこを否定するつもりはありませんが、ただ、物事として決めという中においてどこまで決められるのか、あるいはどこまでが望ましいという話になるのか、そういった部分も含めて労政審で議論していただくということでございます。
#167
○浜口誠君 別にこの場で何か書面に書き込むとか、別に書面の中身を僕議論したいわけではなくて、実際に使用者の方が非正規の方に説明するときには書面に基づいてしっかりと説明すると、そこが最低限求められるんですよと、その考え方を厚労省、政府としても持っておられますよねと。そこを否定されちゃうと僕ら、えっという感じになっちゃうんで、そこは少なくとも書面で説明すると、そこはもう原則、それは政府としても基本的な考え方として持っていますと、そこだけは認めてくださいよ。その中身がどうのこうのは、それはいろいろ幅があると思いますけれども、最低限そこは政府としてもその考え方にはアグリーしますと、同意しますということを言っていただかないと、何かもう口頭でも何でもいいというような感じに、ここの国会の議論ではそういう幅を持たせたくないので、是非そこは同意をしてほしいと思います。
#168
○国務大臣(加藤勝信君) 今の最初に委員がお話しになったパートタイム労働者については口頭でということになっているわけですよね。ですから、そういった流れのことも踏まえながら議論を、当然それは多分労使でいろんな議論があってそうなったという経緯があるんだろうというふうに思いますから、やっぱり今回においてもどういう形にしていくのかというのはやっぱり労使にしっかり議論していただかにゃならないと思っています。
 ただ、先ほどから何回も申し上げますように、しかしやはり、第一義的には今回どういう趣旨でこれが入ってきているのか、そういった意味において非正規と正規のその格差を是正していくためにも、非正規雇用労働者がそういった説明を受けることが非常に大事である、また、それが非常にこの仕組みにおけるある意味ではコアでありますから、そこをどう担保していくのかと、そこはしっかりと議論をしていただきたいというふうに思いますし、その上において、紙をまず出さなければ説明をしたことにならないんだというところまで今私が言えるかというと、そういう状況にはなっていないということでございます。
#169
○浜口誠君 正直ちょっと残念ですし、今回、使用者側に説明の義務を課すということを考えれば、やはり説明方法についてもしっかりとしたものを示していく、政府としての考え方はしっかり持っていただきたいなということは、本当これ、もう強く求めておきたいと思います。ちょっとこればっかりやっていてもこれで終わっちゃうので、また次回やります。また一週間あったら、また省内でいろいろ御議論が。
 では、続きまして、お手元、資料配ってあるので、ちょっとそこを見ていただきたいんですけども、これ、短期ですか、有期の派遣労働者の方がどういった、今回の法律で均衡・均等待遇が確保されるのかというのを少し絵に落としたものです。
 同じ派遣会社の中であれば、ここにあるケース1、これはパート・有期法の均等・均衡待遇規定八条、九条が、この中のケース1の場合はここで規定されると。一方で、派遣先にこのAさんが派遣元から派遣されたときには、派遣先の会社において、このケース2のような、向こうの派遣先の通常の労働者との間で均衡・均等待遇の規定、これは労働者派遣法の方で適用されると。
 要は、このAさんからすると、いろんな仕事の態様があるんですけれども、それぞれ二つの法律の規定に基づいて均等・均衡待遇が適用されて、いろんな行政への救済ですとか、あるいは司法解決、こういったものを求めることができる、それぞれの規定において求めることができると、こういう理解でいいかどうか、これは確認です。
#170
○政府参考人(宮川晃君) 今回の改正後、派遣労働者がパートタイム労働者又は有期雇用労働者にも当たる場合、派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇、ただし、その場合、労使協定の対象となる場合の労使協定の部分は除きますけれども、労働者との均等・均衡待遇と、それから派遣元の通常の労働者との均等・均衡待遇の双方が求められることになります。その際、派遣労働者の実際の就業場所は派遣先でありまして、派遣労働者の納得感を考慮する上で派遣先の労働者との均等・均衡待遇は重要な観点であるとして、労働者派遣法で派遣先の労働者との均等・均衡待遇を義務付けていることから、待遇のいかんにかかわらず派遣先の労働者との差がある場合にそれが不合理か否かという問題になると考えられますが、その一方で、派遣労働者と派遣元の通常の労働者とでは職務内容を含めた就業環境や指揮命令関係が大きく異なります。
 したがいまして、基本給など職務の内容に密接に関連する待遇については、特段の事情がない限り、派遣元の通常の労働者との待遇差が問題にはならず、一方、通勤手当など雇用関係や人事管理に密接に関連する待遇につきましては、特段の事情がない限り、派遣元の通常の労働者との待遇差が問題になると考えております。
 こうした点につきまして、必要に応じまして、施行段階において労働政策審議会で御議論いただいて考え方を整理し、通達等で考え方を明らかにしていきたいと考えております。
#171
○浜口誠君 いや、いろいろ専門的な御説明いただいたのを、もっとシンプルに我々に説明いただきたいんです。
 私は、このAさんは、二つの法律、パート・有期法と、今回、労働者派遣法、それぞれどういう仕事をするかによって適用される法律は変わるかもしれませんけれども、このAさんにとっては二つの法律によって均等・均衡待遇、いわゆる同一労働同一賃金についてはちゃんとその規定が適用される、そういう労働者になるんですねということを聞いているだけなんです。それに対してイエスかノーかだけで答えてください。
#172
○政府参考人(宮川晃君) そういう観点、適用という観点では適用されます。
#173
○浜口誠君 適用されるということですので、このAさんにとっては、二つの法律に基づいて同一労働同一賃金というのはしっかりと適用の対象になるということは確認できたと思います。
   〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕
 じゃ、続きまして、派遣労働者の方、これも先回、宮川局長と議論させていただいて、労使協定に織り込む派遣労働の方の賃金、これ一定の水準を上回らないといけないと。この水準は何かというと、同じような仕事に従事している一般の労働者の方の平均的な賃金、これを上回らないといけないと。じゃ、その一般の労働者の方の平均的な賃金は何に基づいて決めるんですかと、こういう議論をさせていただきました。
 そのときに、私は、公的統計、賃金センサスですとかあるいは職業安定業務統計、こういった公的統計を使ってしっかりとした金額を一般の労働者の方の平均の賃金ということで算出すべきだと、こういうことを強く求めました。それに対して、宮川局長からは、公的統計だけではカバーできない部分もあるので、いわゆる業界データなんかも使わざるを得ないかもしれないと、こういう考え方が示されました。これ、裏を返して言うと、公的統計があるところはしっかりその公的統計を使いますと、ただ、やむを得ず、公的統計がないところはもうやむを得ないので業界データを使うと、そういう理解でいいですか。
 使えるところは公的データをちゃんと使うということを政府としても考えておられるのかどうか、ここを確認したいと思います。
#174
○政府参考人(宮川晃君) 先日お答えしましたとおり、職種ごとにある程度詳細な賃金水準を把握できる統計といたしましては賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計がございます。
 しかしながら、賃金構造基本統計調査は業務内容の区分が製造工程を中心とする百二十九業種に限られているということ、それから、職業安定業務統計については勤続ゼロ年の数値しかないなどといった事情もございます。このため、業界の独自データなど公的統計以外の活用を認めるのかどうか、どのような場合に認めるのか、認める場合に当該データはどのようなものでなければならないのかを含めて議論が必要と考えております。
 こうしたことから、労働政策審議会の建議におきましても、一般の労働者の賃金水準について、実効ある労働者の保護の観点、実務上現実に対応できるようにする観点の双方から施行段階において検討を深めることが適当とされておりまして、改正法成立後に労働政策審議会における議論を経てその点について決めさせていただきたいと考えております。
#175
○浜口誠君 先回の答弁繰り返さなくていいですよ、全く同じことを先回聞いているんですから。僕らはその先を議論したいということを言っているわけです。
 その上で、公的データがあるところはちゃんと公的データを優先して、公的データあるわけですから、賃金センサスとか。そこはちゃんと活用できるところはそこを優先的にしっかり活用するんですよねと、その確認を今日は取りたいということなので、そこに対してちゃんと答えてください。
#176
○政府参考人(宮川晃君) 繰り返しになり恐縮でございますが、業界の独自のデータと公的統計以外の活用を認めるかどうか、どのような場合に認めるか、認める場合には当該データがどのようなものでなければならないかも含めて議論が必要と考えておりますので、労働政策審議会における議論を経て定めたいと考えております。
#177
○浜口誠君 いやいや、ちょっと待ってください。それは公的データがあっても使わないということを言っているのと等しいですよ。それはいかぬですよ。やっぱり公的データがちゃんとあるんだったらそこを使うと言ってくださいよ。でなければ、そんなのどんどん、もう派遣労働者の方の賃金なんて低く抑えられますよ、そんなの、当然。政府がそんな態度でいいんですか、それはいかぬと思いますよ。
#178
○政府参考人(宮川晃君) 失礼いたしました。
 例えば、職業安定業務統計の分類の一つに一般事務の職業があるわけですが、その中に秘書とかコールセンター、オペレーター、医療事務員などが含まれておりまして、秘書に限定した業界独自のデータがある場合にその利用を認めないのかどうかという細かい議論の点もありますので、ただ、原則、もちろんそういうデータ、公的データがあればそれを優先させるという思想の下の中で、先ほど申しましたように、公的統計の活用を認めるのか、どのような場合に認めるか、認める場合には当該データはどのようなものでなければならないのかと、まさにその範囲の問題だと思っております。
#179
○浜口誠君 ようやく公的データを優先させると言っていただきましたが、もうこれがもらえなかったら僕は何のためにこの三十分議論しているんだという話になりましたので、少しは安心しました。
 その一方で、やむを得ず業界データを使うといった場合においても、この業界データの信憑性だったり、そのデータが本当に事実に基づいたデータかどうかというのはこれはちゃんと担保していかないといけないというふうに思います。
 やむを得ずです、やむを得ず、公的統計データがないのでここは業界のデータを使うとなった場合において、その信憑性、そのデータの正当性、これを、じゃ、厚労省としてどう確保しようと考えられていたんですかね。そこはちょっと明確にしてほしいと思いますし、仮にその業界データを使うに当たっても、厚労省としてこれは使っていいデータなんだと、そういう認定をするだとか、保証を与えた上でそのデータを使ってもらうというような、やっぱり管理するスキーム、仕組みをこれ考えていく必要があるというふうに思いますけれども、その点に関して現時点でのお考えを聞きたいと思います。
#180
○政府参考人(宮川晃君) 先ほど申し上げましたとおり、改正法成立後に独自のデータの活用を認めるか、認める場合に当該データがどのようなものでなければならないか、これは議論をさせて定めることになるわけですが、仮に業界の独自のデータを認める場合であっても、これを労使協定において比較対象とした一般労働者のデータの出典等について記載を求めることも含めて検討しているところでございまして、そのデータが適切なものであるか等については、行政として指導監督を行っていくつもりでございます。
   〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕
#181
○浜口誠君 しっかり、使う場合も、厚労省としてそのデータの中身、精査していただいて、使っていいものだということを確信を持った上で業界の方に使っていただくようにしていただきたいなというふうに思います。
 では、もう一点、最後になるかもしれませんけれども、先回の質疑の中で、労使協定がちゃんと締結されているかどうか、行政としてどのようにその適正性を確認するんですかという議論をさせていただきました。そのときに、派遣労働法の二十三条に基づいて派遣元の事業者が年一回、厚労省の方に事業報告ですかね、これをやると。その中で、労使協定がどういう締結状況になっているのかというのを報告させるというのも一つの考えとしてはありますというお話をいただきました。
 ただ、この事業報告は、単に派遣労働者の方の労使協定、我が社は結んでいますと、その事実だけを書いてあるだけではこれ何の意味もないと思っていまして、しっかりと、この労使協定に書き込まないといけない五つの項目について、賃金決定方法ですとかあるいは派遣労働者の範囲ですとか、こういったものをきめ細かく明確にその事業報告に書き込ませると、それをもって確認するということでよろしいですね。
#182
○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。
 先日御答弁させていただきました、一つの考え方としての事業報告により行政に報告させると。ですから、この点につきましても、労働政策審議会において議論をいただかなければならないわけですが、仮に事業報告によることとする場合に、どのような事項をどの程度報告させるかといった事項についても併せて労働政策審議会における議論を経て定めてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、行政として、労使協定が適正に運営されているかについて適切に把握できるようにしてまいりたいと思います。
#183
○浜口誠君 適正に適切にどこまでやるんですか、その意味をもう一回詳しく丁寧に説明してください。
#184
○政府参考人(宮川晃君) この届出に代わる事業報告によりまして協定の内容等が適切に把握できるようにするという観点から、その報告内容については考えさせていただきたいと思います。
#185
○浜口誠君 もう時間が来ましたので今日はできませんけれども、五つの事項についてきめ細かく事業報告に書くことによってちゃんと行政として把握する、そのことが最低の対応だというふうに、今後の議論においてしっかりとその方向でまとめていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#186
○石橋通宏君 立憲民主党・民友会の石橋通宏です。前回、前々回に続きまして質問させていただきます。
 今日は、まず、今日理事会に、これまで福島委員が質問され、理事会協議事項となっておりましたいわゆる高度専門職、高プロの労働者側からの要望があるんだ、これで政府が大臣含めてヒアリングをしてきたんだ、こういうことで資料を出していただきました。十二人だけ、たった十二人だけヒアリングをしていたと。
 今日は日付も入ったものも出していただきましたので、ちょっとこれに基づいて確認したいと思いますが、大臣、今年の一月の三十一日、参議院の予算委員会で、当時民進党の浜野委員の質疑に対して、これ大臣、答弁をいただいております。参考までに、今日、資料の一でお付けをいたしました。浜野委員からこれ聞かれているんですね、同じことを。これ、高プロの制度について働く者からの要請があったのか、あったんですね、どうして聞いたんですかという、そういう脈絡の中で、大臣こういう答弁されています。私自身も、推進していくということで、働く方の声をいろいろと聞かせていただきました。
 大臣、この答弁では、大臣御自身が聞かせていただいた、あちこち行ってヒアリングに回った、そういう答弁をされていますが、大臣、改めて聞きます。これは事実ですか。(発言する者あり)
#187
○委員長(島村大君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#188
○委員長(島村大君) 速記を起こしてください。
#189
○国務大臣(加藤勝信君) これ、前を除いているんですけど、企業業務裁量労働制の対象の業務の拡大、また高度プロフェッショナルの創設についてというお話をさせていただいて、そして、それが働き方改革を推進していくということで、働く方のをいろいろ聞かせていただきましたということを申し上げているわけでありまして、企業に行って、裁量労働制については後から出てくると思いますけれども、直接企業から聞かせていただきました。
 それからあと、私の知っている方等々で、やはりこういった分野で、こういった分野というのは、これからそういった分野で働くのではないかと思われるIT関係の方等々からお話を聞いたり、あるいはいろいろ、それが目的ではありませんけれども、たまたまそういう会合にいらっしゃったときに、これについてどう思いますかということでお話を聞かせていただきました。加えて、厚生労働省としてヒアリングをした、これは間接的に聞かせていただいたと。
 これらを含めてこういうお話をさせていただいたということであります。
#190
○石橋通宏君 大臣、これ、二つの制度、これは大臣、高プロ制度、裁量労働制、浜野委員はそれで聞いているんですね。大臣、わざわざ区分けして答弁されているんです、裁量労働制、そしてその後段では高度プロフェッショナル制、これはまだ導入されていませんけれども、様々御要望をいただきましたと。大臣御自身が高プロ制度についても御要望をいただきましたと、あちこち行きましたと、そういう答弁になっているんです。
 大臣、確認しますよ。大臣御自身で高プロの導入に当たって要望を受けた、あちこち行って回った、聞いて回った、これは事実だということでいいんですね。
#191
○国務大臣(加藤勝信君) 申し訳ないですけど、ここに、あっちこっち行って回ったなんてどこにも書いていませんけれども。
#192
○石橋通宏君 いろいろと聞かせていただきましたって書いてあるじゃないですか、大臣。
 大臣、それ御飯論法なので。働く方の声をいろいろと聞かせていただきました、私もいろいろお話を聞く中で、しっかり答弁されていますよ。そうやって言っているじゃないですか。いろいろ聞かせていただいた、あちこち行ったんでしょう。まあ、あっちこっちお呼びになって、来られたのかもしれませんけど。
 事実関係を聞いているんです。大臣御自身が、高プロ制度、働く者の要望があるんだ、要請があるんだ、これを直接お聞きになった、それをこの一月三十一日、浜野委員に対して答弁をされている、それでよろしいですね。
#193
○国務大臣(加藤勝信君) だから、先ほど説明をさせていただいたように、いろいろな機会に、別にそれが目的じゃなくても、たまたまそういった方々が会合におられたときに、それどういうこと、どう思いますかとか、そういったことも含めて聞かせていただいたということを先ほど申し上げたところでありますので、これを聞くためにわざわざ足を運んだということを別に限定して申し上げているわけではありません。
#194
○石橋通宏君 いや、だとすれば、大臣、物すごい不誠実な答弁ですね。予算委員会の質疑ですよ。浜野委員は、その制度を取り上げて大臣に聞いているんです。大臣が答弁したからです。そういう働き方を望んでいる労働者がいっぱいいるんだということは、安倍総理だって大臣だって何回も答弁しているじゃないですか。だから浜野委員は聞いているんです。大臣そう言われるのであれば、要請があったんですね、理解してよろしいんですねと、この制度について聞いているんです。それについて大臣が答弁した、御要望いただきました、聞かせていただきました。それは、この制度について質疑を受けて、それに対する答弁です。いや、これについて聞いたんじゃありません、たまたま、それは余りに不誠実な答弁じゃないですか。
 大臣、ここでこういうふうに答弁されていますね。例えば、研究職の中には、例えば二日間集中した方が非常に効率的に物が取り組める、こういった声を把握していた。これも、浜野委員が、この制度、働く者に聞いたんですねという質問に対して、大臣が予算委員会の場でこの答弁をされているわけです。
 この対象者って、今日いただいたリストの一番、ヒアリング、研究開発職、二日間集中した方がトータルの労働時間は短くて済む、そっくりですね。この方のことじゃないんですか、大臣。
#195
○国務大臣(加藤勝信君) ですから、先ほど申し上げておりますように、私が申し上げたのは、例えばこれを聞くから来てくれということではなくて、たまたまそういう方がいらっしゃるときに、今こういう議論もあるけれども、これについてどう思うのかという話をいろんな機会で、いろんな機会というか、そういう方に会った場合等についてお伺いをし、そして、そこでいただいたそうした感触、あるいは是非そうしてほしい、中には、そういった形がなければもう自分はアメリカに行ってもいいんだ、そういう大変強いおっしゃり方をする方もおられました。そういったものを含めてここで申し上げているわけでありますし、聞いたという範囲、それぞれ、ここに、例えばのところは把握をしたということですから、これは厚生労働省がヒアリングをした、間接的に聞いた中身をこうやって把握したということでお示しをさせていただいたと、こういうことであります。
#196
○石橋通宏君 それはおかしい話ですね。
 じゃ、大臣、今お認めになったんですね。ここで引用された、二日間集中した方が云々というのは、このヒアリングの一番の方だ、それ、お認めになったということでいいんですね。
#197
○国務大臣(加藤勝信君) これは、厚労省のヒアリング結果としてこういう声があったということをもって把握をしているとしてお示しをさせていただいたと、こういうことであります。
#198
○石橋通宏君 大臣、それはまた余りに不誠実な答弁ですね。
 この委員会で、まさにこの制度について聞かれた、そうやって答えられている。今大臣、こうしてここの場で、いや、あれはそうでした、こうでしたという、この場で一言もそんなこと言っていませんね。あたかも御自身が高プロ制度についてヒアリングをしたんだ、その例がこれなんだというふうに、この場ではそれ以外のことは一切言われていませんよ。何で後付けで、今になって、いや、それはいろんな話を聞く中でこういうことを、聞いたことを言っただけ。このときに、じゃ、そういうふうに言うべきじゃないですか、大臣。何でそのときには誠実にそういう答弁をせずに、いや、このために聞いたことはありません、ほかの機会のときにまあ一応聞いたことはありますと予算委員会の場でちゃんと答弁すればいいじゃないですか。それを言わずに、今になって、いや、こういうことだったんです。そういうことが、加藤大臣、余りに不誠実な答弁で、我々の法案審議をしている中で大臣がまともな答弁をしない。これ、ちまたでもずっと今話題になっているじゃないですか、その繰り返しですよ、大臣。
 大臣、ここで、先ほど認められた、これはヒアリングの一番だということを認められましたけれども、これ三年前の話ですね。平成二十七年三月三十一日に厚生労働省の担当が聞いた話です。重ねて言います。大臣、ここではそんなこと一言も言っていません。脈絡としては、どう見ても大臣が直接聞いた話としか思えません。今、それを否定された。これ、虚偽答弁ですよ。しかも、記録はない。大臣、ここで明確におっしゃっていますね、記録はない。あるじゃないですか、記録。記録はないというの、大臣、これ虚偽答弁ですね。こうして記録が出てきた。三月三十一日にちゃんと聞いていた。こうやって出てくるわけです。
 大臣、ここで虚偽答弁だった、認められますね。
#199
○国務大臣(加藤勝信君) まず前者は、把握したというふうに申し上げているじゃないですか。別に直接聞いたとは申し上げておりません。
 それから、記録がないと言っているわけじゃなくて、記録を残すあるいは公表することを前提に話されたものじゃありませんよということを言っているのであって、別に記録がないということを言っていないんですよ。だって、手元にあるんですから。それは、メモがありますよ。ただし、それ自体は記録をすることを前提に取ったものじゃありませんから公表をすることは難しいということを、ここで公表してくださいと言うから言っているので、虚偽答弁というのは違います。
#200
○石橋通宏君 これ、いつも、毎度、予算委員会などで大臣、答弁で、後でそうじゃなかった、そういう意味では言っていません、そうじゃありませんでしたって重ねて言われるんです。
 ここでも浜野委員は、記録はないということでございましたというふうに大臣の答弁を受けてまとめておられます。ここでは一切大臣は否定されないわけです。いや、そういう意味ではありませんと一言もおっしゃっていません。ここで否定せずに、後になって、いや、そういう意味ではありませんでした、まさに大臣の御飯論法ここに極まれりという感じで言わざるを得ませんが。
 大臣、こういうふうに大切な審議をしている、でも、ちゃんとした情報を答弁されていないわけです。後になって修正される、否定される、こういう情報が後になって出てくる。これ、余りに不誠実です。先ほど、足立委員も指摘をされました。大事な審議をしているのに、まだ何も決まっていない、今後検討します、議論します、これじゃまともな法案審議できません。かつての審議を、大臣答弁をひっくり返される、そうではなかった。それじゃ、また後日、いや、あそこで言ったことはそういうことではありませんでした、そんなことを繰り返されていたらまともな審議なんかできませんよ、大臣。ちゃんと答弁してください。そのことを、これをもって改めて指摘しておきたいと思います。
 これ、また後ほど恐らく福島委員も触れられると思いますので私はこの程度にしておきたいと思いますが、改めて、これ明らかに、この浜野委員に対するこのときの予算委員会の質疑、大臣の余りに不誠実な答弁、これによって我々の審議、相当に混乱させられた、そのことは指摘しておきたいというふうに思いますので、改めて大臣、反省をお願いします。
 それから次に、前回ですね、私は改めてこの業務の指定についてさんざん議論させていただきました。これ先ほど、これも足立委員が質疑をされたときに、大臣、大変、僕、重要な答弁されたと思うんですね。足立委員が、高度なアナリストで高度な分析、高度で高度でと。じゃ、いつまでそれは高度で高度でと、ずっと高度なのかというふうに指摘をされた。で、ずっと高度じゃない、それ高度じゃなくなったら、高度、これ外れなきゃおかしいだろうというふうに足立委員が指摘されたときに、大臣、いみじくも、いや、それは個々じゃないんだ、業務なんだというふうにおっしゃった。いや、それはまさに私がずっと指摘していることです。業務なんです。業務で指定をされるから、仮にその業務が、さっきの足立委員の名を借りれば、高度で高度な業務でなくなれば、それは業務が全体として高プロの対象から外れなきゃおかしいんです。個々じゃないんです。大臣そのとおりです。個々じゃないんです、業務なんです。だから、その業務が高プロとして、時間とのリンク、時間の指定をしてはいけない、そういうふうにはしない。それは業務ですから。
 大臣がさっき答弁でお認めいただいたので、改めて、大臣、これは業務、対象業務ですね、四十一条の二第一項第一号、あの対象業務。まさに先ほど大臣が答弁いただいた、対象業務が対象でなくなれば、当然、対象業務全体が高プロから外れなければおかしいし、対象業務全体が指定自体がおかしいということが判明すれば、対象業務自体がそれは外れなきゃおかしい。重ねて、そういうことだと思いますが、大臣、先ほどの答弁受けてよろしいですね、それで。
#201
○国務大臣(加藤勝信君) 足立委員との御議論は、その高度な、高度な者、者じゃなくなるとおっしゃったから、そこはそうじゃない、業務で見るんですよということで申し上げたんですよ。で、ちょっと私が誤解したのは、多分足立委員がおっしゃった高度な者というのは、例えば病気とかそういうことでできなくなったと、そういう場合をおっしゃっていたので、ちょっとそこは……(発言する者あり)いやいや、そこは私が多少曲解をした部分があるんだと思いますが、足立委員はあくまでもそう言っていた。
 それから、これもう石橋議員と何回も議論しているんですが、この法文の構造というのを是非御理解をいただいて、その者がどういう業務をしているか、で、どういう者なのかということで適用がされるということに、そういう構造になっているわけですから、その者がまさにその業務、AさんならAさんがですね、その言われている業務でないものをやっていたらそれは適用除外になりますし、しかしBさんが、その会社、同じ甲という企業において適用する業務をやっていたら、それはBさんはBさんでちゃんとそれは高プロ上として適用すると。こういう、その者ごとに見ると、こういう法文の構造になっているので、委員のおっしゃるように、それで全部アウトという形にはなっていないということを再三再四御説明をしているわけであります。
#202
○石橋通宏君 いや、大臣、理解をされて言っているのか、されていなくて言っておられるのか。対象者を対象業務に就けるんです。対象業務が対象業務でなくなれば、就けるべき対象業務がなくなるんです。そのことを指摘しているわけで、個々の対象者が誰であるかは、先ほど来いろいろ議論がありました。これは、明確な業務を指定する中で、本当に対象だ、これは二号でやる、これもう何度もやっているんです。相変わらず、大臣そこから一歩も動かれないので、相変わらずそれを真摯に考えるおつもりもないのかなというふうに思わざるを得ませんが。
 今日、済みません、ちょっと一つ飛ばしますが、じゃ、対象業務をといったときに、それから、済みません、個々の対象者といったときに、第一項の、だからこれが第二号のイ、ロ、明確な業務の指定ですね、それから年収要件というイ、ロの規定があるわけです。これは確かに個々です。ですから、これがそうでなくなれば個々の労働者が対象から外れる、高プロから外れる、それはそのとおりです。それはもう僕もずっと肯定しています。
 で、先ほど足立委員が大事なことをこれ確認いただいたと思いますが、イについて、これ明確なプロファイルを決めなきゃいけないわけですね。で、それに基づいて当然本人同意がある。これ、伊藤委員も先ほど本人同意の話、これ書面でやるべきだ云々の話も大切なことがありました。
 大臣、さっき一年ごとだというふうに答弁いただきましたので、これ、基本的には一年ごとに本人同意を取り直す、つまりは一年ごとにやっぱり本人同意を取り直す。当然そのためには、この二号のイ、明確なプロファイルを、これもちろん一年ごとに、今年どうだったのか、来年どうするのか、新しくプロファイル変えるのか、同じでいいのか、それによって年収がどうなるのか、当然そういう見直しを一年ごとにするわけです。それで、対象、それで、じゃ、それなら今後も引き続き高プロ、私はいいですと判断をされるのか、だから、大臣言っていただいた一年ごとというのは僕は適切だと思いますが、これ、明確にその旨は省令に明記していただく、それでよろしいですね。(発言する者あり)
#203
○委員長(島村大君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#204
○委員長(島村大君) 速記を起こしてください。
#205
○国務大臣(加藤勝信君) これ、最終的には、もう何回も恐縮ですけれども、労政審の議論ではありますが、私どもとしては、決議事項を定める省令において記載する方向で検討はさせていただきたいと思いますが、ただ、あくまでもこれ労政審で決めるという仕組みになっていることを御理解いただきたい。
 それから、先ほど委員がお話がありました、一年ごとということを原則に考えたいということは先ほど申し上げました。したがって、この更新をするときにおいては常にやはり新規と同じ要件が求められる、新規と同じ手続が求められる、そういうことでございます。
#206
○石橋通宏君 今の、大事なところです。
 もちろん、短期、先ほどもありましたけど、六か月契約とかそういう場合もひょっとしたらあり得るのかもしれません。その場合にどうするのか。これ労政審でやっていただくんですが、当然やはり、改めてそのたびごとにきちんと話合いをしていただいて、これは労働者の合意、同意を取っていただく、今そうやって明記いただく方向で、政府の思いとして、大臣の意向として言っていただきましたので、これは是非その方向で確認を労政審でもしっかりいただきたいということは言っておきたいと思います。
 その上で、問題はロの年収要件です。これがどうも年収一千七十五万円というのがこれまでも独り歩きをする。
 私、さっきのやり取り聞いていても、高度なアナリストで更に高度な仕事をする、本当にそういう人がいるなら、それが本当に一千七十五万円程度でいいのかと思いませんか。いや、本当に高度なアナリストの高度なといったら、当然もっとちゃんとした高度なお給料をもらっていないと、当然、高度なアナリストの高度のって、今日の午前中の参考人でもそういうような話ありました。一千万以上なんてたくさんいますよ。たくさんおられると思いますよ。それで交渉力があって完全な働き方の裁量があるなんて到底思えないと、そういうやり取りだったと思いますので、改めて大臣に確認させていただきたいと思います。
 この法案に規定されている、ロ、基準年間平均給与額ですね、これ毎勤、毎月勤労統計を使うということですが、これ、参考資料で、改めて私も一体どういうことになるのか見るために、毎月勤労統計の数字、資料の五にこの十五年間の推移を示しております。
 大臣、この法律に規定されている基本給与額、これ、どの数字使うんですか。
#207
○国務大臣(加藤勝信君) これ、毎勤統計ですよね。であれば、この就業形態計の方で、例えば平成二十九年でいえば二十六万七百七十六円だと、済みません、思います。ちょっと済みません、これはどこまで入っているか分かりませんが、基本的にそうだと思います。
#208
○石橋通宏君 私もそういうふうに説明受けました。
 大臣、これ適切なんですか。この就業形態計ってパートの方も入った数字ですよ。非正規の方々も、まあ非正規でフルタイムの方は一般労働に入るんですが、就業形態計って、パート労働者、有期の方含めて全部入った二十六万ですよ。これを比較のベースにするっておかしくないですか、大臣。
#209
○国務大臣(加藤勝信君) 比較のベースというか、それを踏まえて三倍を相当程度上回るという、これを含めて議論されたというふうに承知をしております。
 それから、こういった水準を使っているのは、もう委員御承知のとおりだと思いますけど、雇用保険法や労働者災害補償保険法など他の法令でも、平均給与額等の定義としては通常これらを利用しているというふうに承知をしております。
#210
○石橋通宏君 ちょっと分からないんです。
 これ、例えば、就業形態計でいくと平成十五年から比較しても落ちているんですね、一万八千円も低下しています。それはそうですね、パート労働者入れるから減るんです。パート労働者がこの間ずっと増えている、時間当たりのあれも、労働時間が減っていますので、全体を含めちゃうと減っちゃうんです。
 大臣、この数字を使うということは、今後も更に減り続けるおそれもあるということですが、これはどうするんですか。それだけ高度なって言っておいて、これ、毎勤使って就業形態計、パートの皆さん、有期の皆さん、派遣の皆さん全部含めてのこの数字っていったら、今後も下がっていったら下がっちゃいますよ。
#211
○国務大臣(加藤勝信君) したがって、ですから、これは労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であるというふうに規定をしているわけでありますから、それをまた、その基準をどうするかということについてはしっかりと議論をしていく必要がある。その一つのとばとしてこれがあるわけでありますから、これが少し下がるからすぐ上がると、こういう関係ではないというふうに思います。
#212
○石橋通宏君 いや、じゃ、何で法律の根拠にこれを書くんですか。この毎勤のこの数字の三倍って法律に明記しちゃっているんですよ。じゃ、何でそんないいかげんな話なら、そんないいかげんなことを法律の基準にするんですか。大臣、おかしいでしょう。
 いや、これがでも下がっても、いや、それが下がるものではありません。じゃ、基準書く意味がない。法律の条文にそれが書いてあるんですよ、大臣。そうしたら、その根拠として、何でこれをわざわざ法律の根拠としてこの条文に書き込んだのかということが、大臣、根拠がないという話になりますよ。
#213
○国務大臣(加藤勝信君) いや、私が申し上げたのは、今おっしゃる、こうした変動があるから直ちに変えるものではありませんということを申し上げたのであります。
 それから、年収要件については、閣議決定された日本再興戦略改訂二〇一四において、「一定の年収要件(例えば少なくとも年収一千万円以上)を満たし、」と明記されたこと、また、平成十五年の労働基準法改正時の附帯決議に基づき、もう、ちょっと読みませんけれども、労働政策審議会で検討の上、大臣告示において一千七十五万の年収要件が設定されていることなどを踏まえて、公労使の三者の議論の上、労政審において建議の形で取りまとめられたということでありまして、それを踏まえて、法案においては先ほど申し上げたように規定をされている、そういう流れの中で決められてきたこの平均給与の三倍相当程度を上回る水準と、こういうことであります。
#214
○石橋通宏君 大臣、それも言うと思って、資料の四もお付けをしておきました、資料の四。今大臣、一千七十五万円と、これが独り歩きして、この間もうずっと我々も、まあ一千七十五万円以上らしいですよって言ってきた。
 大臣、これ平成十四年のこれは人事院のデータ使っている。ここでは人事院のデータ使っているんですね。人事院のデータを使って、わざわざ技術課長、技術課長代理、大卒、高卒、こういった数字を使って、こういう計算式で一千七十五万、それが適切かどうかは置いておいて、そこでは、有期の特例、どんなときに有期の特例が認められていいのかということでこういう計算をされた。大臣、これ今当てはめると一千十万円にしかなりません。もう、もはや一千七十五万円もないんです、下がり続けています。
 大臣、この根拠も、これどうするんですか。一千七十五万、もうすっ飛んでいますよ。一千十万円しかありません。いずれ一千万円切るかもしれません。下がっているじゃないですか、大臣。
#215
○国務大臣(加藤勝信君) これは、あくまでもそのときの議論としてこの一千七十五万というものが出され、そういったものも見据えながら、今申し上げた労政審の建議を踏まえて、そして、法案で先ほど申し上げたように定めさせていただいたということであります。
 この一千七十五というのは、しかも、交渉上、劣位に立つことのない労働者のメルクマールということで出てきた数字でありますから、そういった意味で、それを見定めながら、そして、この三倍という数字を入れ、しかも相当程度ということでありますから、それを含めて労政審で最終的には議論いただいて省令で決めていくと、こういうことになるわけであります。
#216
○石橋通宏君 相当程度って、どんな程度ですか。相当程度、教えてください。
#217
○国務大臣(加藤勝信君) 普通、相当程度という使われ方は、要するに三倍ぎりでもないし、また四倍を超えるわけでもない、その間の水準というのが大体相当程度という水準だと思います。
#218
○石橋通宏君 これ聞いておられる皆さん、そんないいかげんな話なのかと思っておられると思いますよ。
 いや、この基準でいけば下がっていく可能性もあるわけです。現に下がっているわけです。下がっていく。でも、大臣、いや、それは額がそう変わるものでもありませんと。じゃ、何のための基準を置いているのか。何でこれを置いているのか。何で毎勤で、何でパートの方々含めたお話を基準にするのか。そうしたら、下がる蓋然性が高いじゃないか。でも、大臣、いや、相当程度があるから大丈夫だ。でも、相当程度って、相当程度です。そんないいかげんな話ですか、大臣、これだけのものが。
 そもそも、大臣、これよく御存じですね、さっきの有期の特例って。年収が一千七十五万円以上で、これ、いろんな業務がここに書いてあるわけですね、告示には。農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、システムエンジニア、デザイナー、大卒実務経験五年以上、短大、高専卒実務経験六年以上、高卒実務経験七年以上、システムコンサルタント実務経験五年以上。さっき新入社員でもオッケーみたいな議論もありましたね。余りに乱暴ですね、大臣。
 そうやって、今回、えいやあでこういうふうに決めている。何の根拠も示されない。こんな乱暴な根拠を法律に置いちゃって、結局、法律上はこの解釈次第で、相当程度の解釈次第でどうにでもなっちゃう。これで本当に働く者、完全に裁量権がある、裁量があるんだ、自由に働き方が決められるんだ、物すごい高度な、高度な仕事で、交渉力があって、自分で好きなときに帰れるんだ、働けるんだ。何の根拠があるんですか、大臣。どこにも根拠がないことを今まさに証明された、そうとしか思えませんよ、大臣。
 一体どこに、これに対象になれば完全な働き方に自由があって、物すごい使用者に対する交渉力があって、その保障になるんですか。誰がどう判断するんですか、大臣。
#219
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員おっしゃったその自由というのは、時間に縛られないという意味においては、これは前から議員と御議論させていただいておりますように、業務について、さらに省令において、そうした時間配分等について指示を受けないとか、そういった省令を検討しておりますから、そうした省令を含めて法令によって言わば裁量性を与えていくと、確保していくと、こういうことになるわけであります。
 それから、今言った交渉力の話は、今委員がお話があった有期労働法について、三年を五年にするという対象者について、当時、労政審で議論をし、そしていろいろな議論の結果として千七十五万という当時の水準を想定をしたと。今回もそれを念頭に置きながら、この今申し上げた三倍、平均給与を三倍を相当程度上回ると、こういう水準にしているわけでありますから、そうしたこれまでの議論の経過、そして、過去と現在の水準を比べても、まさに委員御指摘のように、六十五万は下がっておりますけれども、ほぼそういった水準になってきていると。しかも、それを相当程度上回るということでそれを確保するということでございまして、そうした年収要件をもらっている方がやっぱり交渉力が高いということ、これは一つの想定ではありますけれども、過去そういう議論をされてきた、それを踏まえてこうした水準を出させていただいていると、こういうことであります。
#220
○石橋通宏君 いや、結局何のちゃんとした国民の皆さんも納得できる根拠を示せていないと思います。この条文の規定、なぜ毎月勤労統計なのか、なぜパートの皆さん含めた数字なのか。現にこの十五年間でこれだけ、一万八千円ですよ、平均、これだけ低下をしている。一千七十五万円の根拠も、今一千十万円まで落ち込んでいる。こういった事実、これがあるわけです。
 いかに大臣がそれを担保できるのか、これだけ根拠が薄弱なものを法案に書いている。省令で、これ、決める幅が物すごい大きい。こういうことも含めて、これ自体、年収要件自体が根拠が全く薄弱でその保障にならないということ、これ改めて今日多くの皆さん御理解をいただけたのではないかというふうに思います。これでは到底担保にならないということを改めて指摘しておきたいというふうに思います。
 時間がありませんので、今日、もう一つちょっと飛ばして、これも前回も確認させていただきましたし、今日も高プロの、例えば決議違反があったとき高プロから外れるんだ、でも、高プロから外れたときに、じゃ、どうやって実労働時間を把握するのか。これ、大臣、前回の質疑でもうこれは明確に答弁いただいています。高プロから外れれば三十二条、三十七条に戻る。でも、三十六条、三六協定結んでいませんので、その時点でもう三六協定違反だ、これはもう使用者は罰則受けるわけですね、三六協定違反で。
 ただ、労働者にはちゃんと賃金、正規に支払ってもらわなきゃ困るわけです。じゃ、賃金どうやって計算するのか、払うべき賃金を。払うべき賃金計算するには、ちゃんとした実労働時間を、深夜何時間働いたのか、休日何時間働いたのか、じゃ、割増し賃金どうするのか、これ全部決めないといけないわけですが、何にも決まっていないわけです。当然ですね、三六協定ありませんから。
 大臣、どうやって高プロから外れた労働者、三十二条、三十七条に戻ったときにその方々に真っ当なちゃんとした賃金をお支払いするんですか。教えてください。
#221
○国務大臣(加藤勝信君) 今お話がありましたように、決議違反等々あって高プロの対象から外れた場合、この労基法三十二条、三十七条の適用対象になりますと、しかもこの高プロの場合には協定の対象になっていませんから、根っこから行きますということを申し上げたところでございます。
 具体的に、その実労働時間数については、これはタイムカード、パソコンの起動時間等の記録、あるいは健康管理時間として提出されたものも一つの参考になるんだろうと思いますけれども、そうしたものを含めて実労働時間というものを特定をしていく必要があります。また、その場合の割増し賃金については、月ごとに賃金が決められている場合には、その金額を、その月の一般労働者の所定労働時間で割った金額を基礎として算定をし、そして今言った払うべき金額を算定をし、そして支払を求めていくと、こういうことになるわけであります。
#222
○石橋通宏君 午前中の参考人質疑でも、現場の弁護団の方からも不可能だと。大臣、これ声聞いているんですか、ちゃんと。それがちゃんと可能だということを、現場の皆さん、現場の専門家、現場の有識者、まさに今、日々そうやって健康被害がある、過労死が起こっている、それについて実労働時間が把握できなくて奔走されている、奮闘されている、でも駄目だ、こういった方々の意見、大臣、直接聞いているんですか。ヒアリングして、今可能だと、ここで大臣として答弁されているんですか。教えてください。
#223
○国務大臣(加藤勝信君) そういう声は家族会の方からもお聞かせいただきました。
 しかし、実際、今、裁量労働制等々においても、あるいは実際の一般の労働者の場合においても、正確にそうした記録がなされていない、そういった場合には今申し上げたタイムカード、パソコンの起動時間、あるいはそこで働いている方のお話等々聞きながらその実労働時間というものを特定すると、そういう作業をしているわけでありますから、別にこの高プロに限らずそういった対応をしていくと、こういうことになるわけであります。
#224
○石橋通宏君 いかに現場の声、本当は聞いていないかというのが今証明されたと思います。
 大臣、本人から話を聞くとおっしゃいました。過労死家族の会の皆さんの話、本当に聞かれたんですか。じゃ、本当にその労働者が過労で亡くなった、どうやって本人から聞くんですか。
#225
○国務大臣(加藤勝信君) その場合に、今のは労災の話になっているわけでありますけれども、今は高プロの場合ということでおっしゃったので、それは本人がおられるということで……(発言する者あり)いやいや、そういうふうに言われているからそう答えているので、労災の話になって、そうして……(発言する者あり)いや、その方が亡くなっていればそれは当然本人に聞けない、それは当然のことでありますから、その場合には、例えば家の中で働いているのであれば御家族の方、あるいは職場で働いていれば同僚の方からお話を聞くと、それはそういうことになるだろうと。
#226
○石橋通宏君 タイムカード、パソコンのオン、オフでいかにその方の実労働時間を把握するんですか。大臣、教えてください。
#227
○国務大臣(加藤勝信君) 済みません、ちょっと質問の趣旨が分からないんですけれども、その方が働いて、要するにパソコン、その方のパソコンについてそれをオンにし、オフにする、それを一つ働いている時間ということで推定していくと、一つに使っていくと、こういうことであります。
#228
○石橋通宏君 これも午前中、参考人の御意見でありました。もう既に判例で、パソコン、オン、オフ、パソコンがついていることをもって実労働時間にはならない、できない、そういう判例があります。大臣、それ可能なんですか。
#229
○国務大臣(加藤勝信君) 済みません、ちょっと私、午前中のヒアリング聞いておりませんので、その判例が具体的にどの判例を指しておられるか分かりませんが、一般的には、これまでもパソコンの起動時間等々を使いながら、労災の時間、労災等々対応させてきていただいていると、こういうように承知をしております。
#230
○石橋通宏君 またしても、本当にどこまでちゃんと現場のヒアリングをされているのか分かりませんね。
 これ、多分当事者の方も言われておりますよ。別に私たちは一日中パソコンの前、パソコンつけて仕事をするわけではないというふうに、これはそういった方々も言われているはずです。だから、パソコンのオン、オフでなんて、到底現実離れした話なので、もうそれで実労働時間の把握なんてできないと思います。いかに根拠が薄弱なのか、大臣、それをまさに証明されたんだというふうに思います。
 それができなければ、大臣、ちゃんとした、外れた、じゃ三十二条、三十七条に戻った、その方についてちゃんとした賃金をお支払いする、そんなことできませんよ、大臣。無責任なこと言わないでくださいよ。絶対できないということを、これ重ねて、これは午前中の参考人の質疑、大臣、また質疑録お読みください。
 もう一つ聞いておきます。これも伊藤孝江委員が先ほどやり取りをされた中で、健康管理時間と実労働時間の違い、今の話に絡むんですが、その話、どうやって把握するのか云々、これは先ほどやり取りもありました。
 一つ教えてください。これ当然、把握をするということは、ちゃんとした記録、保存、全て義務付けられるというふうに理解しておりますが、これ当然だと思いますけど、労働者若しくは労働者御本人に何かあったときには、御家族からその記録の開示を求められたら、当然ちゃんと開示に応じなければならない、それでよろしいですね。
#231
○国務大臣(加藤勝信君) 健康管理時間の開示については、基本的には、医師による面接指導の対象者に対して健康管理時間を通知することについて、事業者の面接指導の実施義務の内容に当然含まれているということであります。まずは、それは通達においてその旨を明らかにしたいと思います。
 その上で、健康管理時間の通達、今お話しのケースも含めて、医師による面接指導の対象にならない方についても、働く本人が状況を把握しつつ、自身の健康管理に生かしていくためには重要だというふうに思っております。
 健康管理時間の把握や健康確保措置については、労使委員会の決議事項となっているところから、労使委員会の委員が決議に当たって適合させる責務を負う指針、これは我々が定めるわけでありますが、定める際に、医師による面接指導の対象にならない方についても健康管理時間を対象者本人に通知することが望ましい、そういった旨を、具体的な方法について規定していきたい、労働政策審議会で御議論させていただきたいというふうに考えております。
 その上で、今言った、仮に過労死で亡くなられた方に対してどこまで開示義務があるかどうかということについては、まさにこの全体の、まずそうした面接指導の実施義務があれば、当然それは通達で明らかにしていくということでありますし、そこまで至っていない場合においてどうなのかということについても、これは労政審での議論を踏まえて対応させていただくことになると思います。
#232
○石橋通宏君 大臣、最後、結局またもごもごって、分からないんですね。明確に言ってください。
 御本人、開示を求める、いや、面接指導に至ったら、いや、それは、でも至っていないまで、一体どれだけその健康管理、把握をされているのか。ちゃんと把握をされているのか、いや、どれだけ働いたのか、そういうことも含めて、きちんと御本人たち働く側が知ることができる、そうしなかったらこれ意味ないですよ。だから、これについては御本人の求めがあれば開示する方向でこれやるんだ、政治の意思です。大臣、言ってください。
#233
○国務大臣(加藤勝信君) いや、ですから、そこについては、先ほど申し上げた医師による面接指導の対象にならない方についても健康管理時間を対象者本人に通知することが望ましい旨やその具体的な方法などについて規定する、先ほど申し上げた指針において、方向で労働政策審議会で御議論いただきたいと、こう考えているわけであります。
#234
○石橋通宏君 今、御本人からの求めがあれば、健康管理時間云々、それとは関係ない段階でも開示をする方向でこれ調整いただくというふうに御答弁いただいたと理解してよろしいんでしょうか。大臣、はっきり言わないから分からないんです、さっきから。だから、それはっきり答弁してください。
 もう一回、最後、答弁求めて、質問終わりたいと思います。
#235
○国務大臣(加藤勝信君) はっきり申し上げているつもりではありますが、健康管理時間の把握や健康確保措置については、労使委員会の決議事項となっております。
 労使委員会の委員が決議に当たって適合させる責務を負う、これは指針、これは私どもが指針を定めます。その際に、医師による面接指導の対象にならない方についても健康管理時間を対象者本人に通知することが望ましいという旨、またその具体的な方法などについて、今申し上げた指針に規定する方向で労働政策審議会で御議論いただきたいと考えております。
#236
○石橋通宏君 時間が来ましたので終わりますが、本人に通知することが望ましいというのと、御本人の求めがあったら通知しなさいというのでは違うんです。だから聞いているんです。その辺について確認をいただけなかったので、これ、次回までに改めて整理をいただいて答弁いただくことをお願いし、質問を終わりにします。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#237
○委員長(島村大君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、自見はなこ君が委員を辞任され、その補欠として羽生田俊君が選任されました。
    ─────────────
#238
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 柔軟な働き方を拡大していくと、それが一つ高プロになるわけです。しかし、労働時間の規制を外すと、これ更に外していくことにつながっていくわけです。そこで、裁量労働制、これ、労働時間の規制を外した働き方ですけれども、現状どんな働き方になっているのかということをしっかり検証していく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 そこで、具体的な事例を紹介したいと思います。
 一つは、損保業界最大手の損保ジャパン日本興亜です。これは、裁量労働制を営業職まで拡大し、違法適用しているということで昨年三月の厚生労働委員会で小池晃議員が指摘をした問題です。
 実際の残業時間はみなし労働時間手当の二倍と。いわゆるただ働き。当時の塩崎厚労大臣は、企画業務型裁量労働制といいながら法律の定めに合っていないものは不適切な運用だから、労働基準法違反ということが確認された場合は厳しく指導していかねばならないと、こういう答弁いただいているわけですね。
 事実確認として、指導されたんでしょうか。
#239
○政府参考人(山越敬一君) 個別の事案に関することでございますので、また監督指導の円滑な実施に支障を来すおそれがございますことから、回答は差し控えさせていただきたいと思います。
 労働基準監督署におきましては、一般論でございますけれども、裁量労働制に係る不適正な運用等の情報があった場合を含めまして、各種情報から法違反が疑われるそうした事業場に対して監督指導を行っております。
 今後とも、各種情報から裁量労働制に係る不適正な運用が疑われる事業場につきましては、監督指導を徹底してまいります。
#240
○倉林明子君 個別の事案だからそういう答弁になろうかと思うんだけれど、指導してもらったと思うんですね。なぜなら、昨年十月にはこの損保ジャパンは、営業職そして保険金サービスの職員への適用、これ撤回したんです。この営業職などは、労働時間の算定が困難だということで実は事業場外労働制に変更されております。しかし、現場の実態は何も変わっていないんです。
 一般論として聞きます。事業場外労働のみなし労働時間の対象にできない業務、これは何ですか。
#241
○政府参考人(山越敬一君) 労働基準法第三十八条の二に規定をいたします事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となりますのは、労働者が事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務でございます。
#242
○倉林明子君 労基法三十八条の二第一項に言う労働時間を算定し難いとき、これに当たるのかどうかということが問題になるわけですね。
 営業社員の事業場外みなし労働の適用が争点となった判例がございます。これは光和商事解雇無効確認等請求事件。これ、朝礼に出席し、その日の行動予定を提出して外出する、外勤、で、会社に帰ってくる、午後六時に帰ってくる、そして終業と、仕事終わるという業態だったんです。これが労働時間を算定し難いとは言えないということで判決が下った、これ大阪地裁の判決です。
 さらに、会社が携帯電話で労働時間の把握は可能だということで事業場外労働には当たらないという、みなし労働時間、対象できませんよという判決も出ています。
 つまり、朝、出社すると、そして行動予定も確認して、行き先もはっきりしていると、原則会社に帰ってきて仕事を終わると。実は、損保ジャパンもこの光和商事とそっくりの働き方になっているんですよ。
 一般論として聞きたい。法令違反じゃないでしょうか。
#243
○政府参考人(山越敬一君) 一般論としてお答えさせていただきますけれども、労働基準法第三十八条の二に規定する事業場外労働、このみなし労働時間制の対象となりますのは、先ほど御答弁をさせていただきましたように、労働者が事業場外で業務に従事し、かつ使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務でございます。
 したがいまして、例えばでございますけれども、何人かのグループで事業場外に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間を管理する者がいる場合でございますとか、事業場外で業務に従事するが、無線などによって随時使用者の指揮、指示を受けながら労働をしている場合、あるいは事業場において訪問先、帰社時刻等の当日の業務の具体的な指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合などのように、事業場外で業務に従事する場合であっても使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合には労働時間の算定が可能でございますので、みなし労働時間制の適用はございません。
#244
○倉林明子君 いや、だから法令違反に当たるんじゃないかと言っているんです。裁量労働制の違法適用をやっていて指導を受けて、さらに今度は事業場外労働のみなし労働時間、こういう適用でもないのに、これ使っているんですよ。あのね、業界代表するような大手企業が指導されても更に法令違反でただ働きをさせる、これはもってのほかだと思うんですよ。指導すべきじゃないか。どうです、大臣。
#245
○国務大臣(加藤勝信君) 倉林委員の御質問は、一般論になったり個別論になったりするので、ちょっとなかなか答えにくいのでありますが、一般論については局長から申し上げたのでもう申し上げません。
 いずれにしても、個別の事案が事業場外みなしの適用になるか、またそれが適切に適用されているか、それは個々の事業場の状況において判断していく必要があるというふうに考えておりますけれども、私どもとしては、そうしたことがしっかり行われていないということであれば、それは前、塩崎大臣の答弁もございましたけれども、しっかりと厳しく指導していかなければならないと、こういうふうに考えております。
#246
○倉林明子君 法令遵守、これをさせていくということが労働行政で非常に大事なんだということで、一般論でも御答弁あったとおりですので、業界最大手がこんなことやっているということを踏まえた対応を求めておきたい。
 次に、これ電機業界大手の話であります。ソニーです。ここは一万人を超える社員おります。で、この社員の二人に一人が実は裁量労働制の適用ということになっているんです。対象業務の適用は、これソニーの場合、法の範囲ということで確認できております。
 しかし、実労働時間との乖離を見てみますと一日平均二時間長いと。労基法を適用すれば、残業時間は一か月百時間を超えると、こういう労働者が十人から五十五人あったと。スパンで見てみますと、半期ごとに締めて見てみると、そういう推計出てくると。三か月平均で、月平均八十時間超え、こういう過労死ラインを超える労働者も二十七から三十七人いるんだと。これ、労働組合が調べて分かったんですね。
 こういう実労働時間として見るならば、労働時間から手当として評価している分から見たら、みなし手当といったら一律三十時間分程度しか出ていないんですよ。つまり、実労働時間が過労死ラインを超えるような働き方になっている、みなし手当は一律で三十時間分程度。これが実は違法でないんですよね。このこと自身が非常に問題で、こんなことを合法として認めるならば過労死なんてなくせないと思う。大臣、どうでしょう。
#247
○国務大臣(加藤勝信君) 一般論としてお答えをさせていただきますけれども、裁量労働制はその時間配分、仕事の進め方を働く方の裁量に委ね、自律的で創造的に働くことを可能にする制度ではありますけれども、対象労働者が過労死するようなことがあってはならないのは当然であります。
 裁量労働制においても、みなし労働時間と実労働時間の間に乖離がある場合、また協定や決議で定める労働時間の状況に応じた対象労働者の健康確保が適切に講じられていない場合などには、その適正化に向けて労働基準監督署においてしっかりと指導を行うことにしているところであります。
 また、今回は、労政審の建議を受けて、法案でも裁量労働制の対象労働者も含めて労働時間の状況について客観的な方法により把握する義務を規定をし、さらに、法定労働時間を超える労働時間が長時間労働となった場合の労働者本人の申出に基づく医師の面接指導についても、その基準、これは省令改正ですが、月百時間を月八十時間を超えた場合に改正するということにしているところでありますので、そういった措置等も含めて、裁量労働制が適正に運用をされていけるように取組をさせていただきたいと思っております。
#248
○倉林明子君 いや、今適正になっていないんですよ。適正じゃない働かせ方、過労死生むような働き方というのが、これ裁量労働制であろうとも許しちゃならないと、そういう姿勢で私は臨む必要があるというふうに思っています。健康確保措置も、結局、結果としては何の歯止めにもなっていないという現状をお聞きしています。そこもしっかり押さえていかないと駄目だと、過労死なくせないと言っているんですよね。
 このソニーなんですけれども、裁量労働制と三六協定の関係を私、見てみたいと思うわけです。本法案で規制強化される労働時間の上限規制、これはあくまでも三六協定の特別条項になるわけです。一般論としてお聞きします。裁量労働制の場合、この上限規制の対象となるのかどうか。いかがですか。
#249
○政府参考人(山越敬一君) 裁量労働制で働く方につきましても、今回の時間外労働の上限規制の対象となりますけれども、みなし労働時間に対して上限規制が掛かることになります。
#250
○倉林明子君 最後、なりませんって答弁されたんですよね。
#251
○政府参考人(山越敬一君) 裁量労働制で働く方についても……
#252
○倉林明子君 最後だけでいいよ。
#253
○政府参考人(山越敬一君) みなし労働時間に対して上限規制が掛かることになります。
#254
○倉林明子君 ソニーは、実は所定内労働時間である七時間四十五分をみなし労働時間と規定しているんです。そうなるとどうなるかというと、三六協定はあくまでも法定外の長時間労働の労基法違反を免除すると、こういうものになってきたわけですよね。一般に、みなし労働時間を法定内に設定した場合、これはどうなるんでしょうか。
#255
○政府参考人(山越敬一君) 裁量労働制でございますけれども、業務の遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関して、使用者が具体的な指示をすることが困難な業務、これは専門業務型裁量労働制でございます、又は使用者が具体的な指示をしないこととする業務、企画業務型裁量労働制でございます、これを対象といたしまして、労使で定めた時間、労働したものとみなす制度でございます。
 労使で定めたみなし労働時間が七時間四十五分など法定労働時間以内に設定されていた場合は三六協定の締結や割増し賃金の支払は必要ございませんが、裁量労働制の下ではみなし労働時間と実労働時間の乖離を生じないようにすることが必要でございます。
 御指摘のようにみなし労働時間と実労働時間の間に乖離が認められる場合は、各種記録を確認するとともに、必要に応じ労働者等からの聴取を行うなどによりまして実態を把握し、必要な見直しを行うよう指導しております。
#256
○倉林明子君 いやいや、裁量労働制ではみなし労働時間が三六協定の対象になるんじゃないですか。だからそういう答弁になるんですよ、乖離があると問題だから。それで指導するというわけだと思うんだけど、実際には過労死水準で働いていても、みなし労働でしか規制の対象にならないということなんですよ。三六協定の上限規制、これを歴史的にやるんだ、罰則付きでやるんだというんだけれども、裁量労働制の長時間労働の歯止めにはならない危険があると、これは現実のものとして指摘をしておきたいと思うんです。
 こうやってただ働きさせてきたのがソニーなんですよ。驚いたのが、二〇一八年三月の決算、二十年ぶりの過去最高益ですよ。しっかり払える能力があるのに、こういうことで残業時間を払わないというようなことを私は天下のソニーやってええのかと言うておきたいと思います。
 更に聞きたい。法案では、三六協定の上限、これ月、年、これ上限のみです。一日、週の上限がありません。その理由は何でしょうか。一日八時間、そして週十五時間、この法定時間を超えるような三六協定の実態というのをつかんでいますか。つかんでいるか、つかんでいないかだけで結構です。
#257
○政府参考人(山越敬一君) まず、実態をつかんでいるかということでございますけれども、一日についての協定時間数、詳細な実態については把握をしておりません。それから、一週の延長時間について定めている事業場についてでございますけれども、平成二十五年度の労働時間等総合実態調査によりますれば、三六協定を定めている事業場のうち一・七%でございます。
#258
○倉林明子君 ソニーの三六協定に戻りますけれども、一日の労働時間、この上限設定が十五時間十五分なんです。所定の七時間四十五分と合わせると二十三時間の労働が可能になっているんです。一日上限を徹夜勤務可能。私、ソニーのことばっかり言いましたけれども、大企業で少なくないんです、この二十三時間とか徹夜可能だっていうところ。
 本法案でも、徹夜可能な三六協定というのは、これ違法にならないと思うんですけれども、イエスかノーかで。
#259
○政府参考人(山越敬一君) 今回の時間外労働の上限規制でございますけれども、月四十五時間、年三百六十時間でございます。その上で、臨時的に特別な事情のある場合にも上限七百二十時間、それから、複数月八十時間以内、単月では休日労働を含んで百時間未満ということでございます。
 他方で、一日単位の上限でございますけれども、この一日単位の時間外労働の上限規制につきましては、企業現場において業務の繁閑などの対応が困難となるおそれがあるところでございまして、慎重な検討が必要であることからこういった一日の単位の上限は設けていないところでございます。しかし、他方で、一日単位についても三六協定は締結をしていただく必要がございますので、その範囲内の労働時間としていただくということです。
#260
○倉林明子君 合法にできるということなんですよ。一日、週の上限規制がないと、私はやっぱり過労死というのは防げないと思うんです。
 インターバル規制、これは義務規定になっていない。インターバルは努力義務となったんだけれども、この辺は完全にやっぱり義務化しないといけない。さらに、週の上限規制も規定しないといけないと思う。どうでしょうか。大臣に聞いています。
#261
○国務大臣(加藤勝信君) 勤務間インターバルの必要性は我々も必要だというふうに考えておりますが、ただ、もう委員御承知のように、現在、その勤務間インターバルを制度を導入している企業は、平成二十九年の就労条件総合調査でも一・四%と、こういう状況であります。
 そういった意味で、認知度が低い、労務管理上の課題があるということも指摘をされているわけで、しかし、今回、努力義務として課し、また、昨年度から制度を導入する中小企業に対する助成金も創設をし、また好事例の周知を努めることによって、これがしっかりとそれぞれの企業において導入されるように、実際、今回の春闘でもこれを新たに導入する企業が見受けられたというところであります。
 それから、一日、一週のお話がありました。今回の中身、時間外労働の上限規制、これは本当に実効性があり、かつぎりぎり実現可能なものとして、これまでなかなか合意ができないものを労使がやっと合意をしたということでありますから、まずはそれに沿った中身を法定させていただいたと、こういうことであります。
#262
○倉林明子君 法定ラインが過労死ラインなんですよ。過労死容認ということにつながっていくものだと。
 過労死を本当になくすためにどうしたらいいのかと、本当にその点から改正はあるべきだと思う。
 この法案については撤回を求めまして、終わります。
#263
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 この働き方改革法案についてでありますけれども、長時間労働を是正して、そして同一労働同一賃金制度、こういったものを取り入れていくことによって、子育て世代の女性であるとか、そしてまた仕事をしながら、家庭もしながら働くことのできる女性であったりとか、そしてまた高齢者、そしてまた病気を持ちながらでも働いていくことができる、そういったいろんな方たちが働くことによって、多様な働き方を認めていくことによって生産性も向上していき、そして働く人たちの生活の質も高めていく、こういったことが成っていけることを是非目指していっていただきたいというふうに思っておりますが、ちょっと気になる報道もありまして、この外国人労働者について更にちょっと今日は確認をさせていただきたいと思います。
 先週、六月五日の委員会でも質問させていただきましたけれども、委員会終わった後の経済財政諮問会議で、今年の骨太方針の原案がこれ示されました。そこでは、人手不足の業種について即戦力となる外国人人材を受け入れるための新たな在留資格をつくるというふうに書かれておりました。我が国では、これまでに、主に専門的、技術的分野の外国人に限定して受け入れてきたわけでありますけれども、今回の内容というのはそれを大きく広げるような内容だというふうに受け止めております。
 一方、働き方改革ということで、これからいろいろな、今まで働けなかった人たちもどんどんどんどんと働いていってもらうようにしていく改革が進む、今検討している中で、今回の外国人労働者を大きく広げて働いてもらうというふうなこの方針の転換について、まず理由とか目的についてお伺いしたいと思います。
#264
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 今回の骨太方針の原案におきまして、従来の専門的、技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築することを政府としてお示しさせていただいているところでございます。
 その背景といたしましては、中小・小規模事業者を始めとして人手不足が深刻化しており、我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきていることが挙げられております。
 そこで、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお当該業種の存続、発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において外国人材の受入れを行うこととし、今回就労を目的とした新たな在留資格を創設して新しい外国人材の受入れ制度を構築することとしているものでございます。
#265
○東徹君 これは、外国人労働者についてはこれまでもいろいろと議論があるわけですけれども、治安の問題とかまた習慣の違いとか、そしてまた外国人労働者がどこかへ行ってしまっているとか、そういった問題もたくさんあった中で、いろんな問題が生じてくることもこれからまた考えられるわけですが、報道では二〇二五年までに五十万人を超える就業を目指しているというふうな数字が出ておりましたけれども、どの程度増やすことを想定しているのか、お伺いしたいと思います。
#266
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 ただいま御指摘がございました報道があることは承知しておりますが、現時点におきましては受入れ対象分野はまだ決定しておりません。今後、真に必要な分野における受入れが行えるように検討を行うことになりますので、特段現在において目標値のようなものは算出しておりませんし、また、増加する外国人労働者数についても具体的にお答えすることは困難でございます。
 しかしながら、現下の各分野における人手不足の状況に鑑みますならば、一定数の外国人材の受入れが見込まれるものと考えているところでございます。
#267
○東徹君 確かに、中小企業においては人手不足というのは非常に深刻な問題だというふうなことも、そこは理解できるところではあるわけでありますけれども、報道で、まだこれからだと言うんですけれども、二五年に五十万人超えということで、これは五月三十日の日経新聞にでかでかとこれ書かれているわけじゃないですか。恐らくそういうことを想定されているのかなというふうに思うわけでありますし、先ほど、どういう業種なのか、職種なのかまだ決めていないということですけれども、報道では建設や農業など五つの業種というふうに言われていますが、この点についてもう一度確認をさせていただきたいと思います。
#268
○政府参考人(和田雅樹君) 今回、深刻な人手不足に対応するために、現在の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度の内容を見直しまして、真に必要な分野において一定の専門性、技能を有する外国人材を受け入れるため、専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォースにおきまして、新たな外国人材の受入れ制度を構築すべく関係省庁とともに検討を行ってまいったところでございます。
 これまでの検討の中で、介護、農業、建設、造船、宿泊などが上がっておりましたが、これらの業を含めまして、今後、各業種の業所管省庁が今回の受入れ対象分野とすることについての検討を行い、その後、法務省におきまして厚生労働省等の制度所管官庁とともに対象業種とすることについての検討を行っていくという、このようなことにすることを考えているところでございます。
#269
○東徹君 介護の分野では、経済産業省の方でも二〇三五年に七十九万人不足するというふうな試算もこれしているということで、かなり人手不足の状態にあるというふうに、これはもうよく言われていることですけれども。
 昨年十一月に外国人技能実習制度の対象として介護が追加されて、介護の質を確保するために二年目の日本語能力N3とするなど、介護の固有の要件が足されておるわけですが、今回の骨太方針の原案では、介護の技能実習生の二年目の日本語能力について、要件をこれは満たさなくても引き続き在留を可能とする仕組みを検討することというふうにされているわけですけれども、昨年、技能実習にこれ追加されたばかりで更にこのような制度変更が必要とされる理由についてお伺いしたいと思います。
#270
○政府参考人(定塚由美子君) 介護の技能実習でございますが、サービス提供に当たりまして利用者の方や職員間でのコミュニケーションが求められることから、他の職種と異なりまして、日本語能力として、入国時にN4、入国一年後までにN3の取得を求める告示を昨年公布しているところでございます。
 この告示を踏まえまして、各国政府、準備をしていただいているわけでございますが、ベトナムとフィリピン政府が介護職種の送り出しに必要な国内制度の整備を進める中で、政府間の意見交換の場において入国一年後にN3を取得できない場合の帰国のリスクについて懸念が示されておりまして、現在もこの両国からの送り出しは開始されていないという状況にございます。
 政府といたしましては、こうした状況を踏まえて、技能の移転による国際協力という技能実習制度の目的が果たされるよう、まずは相手国からの送り出しの開始に向けて、介護の質にも配慮しつつ、介護の技能実習生について入国一年後の日本語要件を満たさなかった場合にも引き続き在留を可能とする仕組みについて検討を進める必要があると考えているところでございます。
#271
○東徹君 介護というのは本当にコミュニケーションというのが非常に一番、一番大切な部分だというふうに思うんですね。その中でこれかなり大きな方針転換なのかなというふうに思うわけですけれども。
 一方で、これやっぱり国内人材の確保ということも非常に大事だというふうに言われていますし、その処遇の改善というふうなことをずっとこれ言われてきていて、これが本当に改善されたのかどうかという状況にあるというふうに思っていますけれども、その国内人材の確保についてはどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#272
○国務大臣(加藤勝信君) 国民お一人お一人が必要な介護サービスに対して必要な介護サービスが提供されるということが大変大事でありまして、そのためには何といっても人材の確保をし育成をしていくということが、言わば、今、高齢化が更に進む日本においては喫緊の課題だというふうに思います。
 介護人材確保については国内の人材確保対策を充実強化していくということが基本でありまして、処遇改善、就業促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成の支援なども含めて、人材確保、育成に総合的に取り組んでいくことが重要ということで、これまでも処遇改善に加えてリーダー級の職員の皆さんを対象に八万円相当の給与増を行えるような処遇改善をまた新しい経済政策パッケージに基づき実現をするということにもしているところでありますし、先ほど申し上げた様々な施策にも取り組み、介護人材の確保、これを総合的に進めていますし、さらに、必要な介護人材を確保するべく更に努力をさせていただきたいと思います。
#273
○東徹君 介護という仕事も非常に大事な分野でありまして、外国人頼りというのもいかがなものなのかなというふうに思いますし、やはりしっかりと介護の質を確保した中での制度を是非構築していっていただきたいと思います。
 今日は参考人質疑が午前中ありました。その中でも、全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子さんですね、お話も聞かせていただきました。その中で、やはり長時間労働、これはもう過労死自殺、過労死についての大きな問題だというふうにも思いますけれども、もう一つはやはりパワハラということが問題だということで、今回、パワハラ防止法を出された、議員立法で出されたということで、このパワハラ防止法についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 私もその必要性については認識を共有をさせていただいているところでありますけれども、ただ、今回のパワハラ防止法ですけれども、社外の人からパワハラを受けた場合とか社外の人に対してパワハラを行ってしまった場合も事業者が必要な措置を講じるべきというふうにこれされておるわけですけれども、セクハラよりも範囲が非常に広がっているというふうに思っていますし、まずその事業主が具体的にどのような措置をとらなければならないというふうにこれ想定されているのか、発議者にお伺いをさせていただきたいと思います。
#274
○石橋通宏君 東委員、本当にありがとうございます。
 大変重要な御指摘をいただいたと思います。
 東委員も御理解いただいていると思いますが、この法案の目的はパワハラをなくすことです。パワハラによって本当に現時点においても健康被害が起こっている、命の問題にもなっている、だから一日も早くパワハラをなくしていかなければいけないと、そういう趣旨、目的でこの法案、提案させていただいております。
 であれば、パワハラの被害がある、加害者が誰であっても被害者を守らなければいけません。そして、自分のところの社員が加害者になってはいけない。被害者、これが自社の社員であるから規制をするのではない。相手は誰だろうと関係ないわけです。
 自分のところの社員がパワハラの被害者になってもいけない。被害に遭った場合には、加害者が誰であろうと、それは事業主の責任として救済しなければいけない。措置を講じなければならない。加害者に絶対なってはいけない。そういう意味で、対象範囲を広げて、そこに垣根を設けなかったということで御理解をいただければと思います。
 具体的には、まず、事業主が講ずべき措置の一つとして、予防措置があります。
 パワハラは駄目なんだ、当たり前です。それは、被害者になってもいけない、被害者にならないように、当然加害者になってもいけない、加害者にならないように、こういう意味での社内できちんとそういったガイドラインを策定した上での周知啓発活動をしていただく、窓口を設置してそういう対応をしていただく、このことはまず予防措置として講じていただくことになります。大事なのは、万が一その行為が発生してしまった場合にどうするか。
 例えば、相手方が他社の人間だったとします。残念ながら雇用の直接的な関係がありませんので、加害者に対して直接的に何らかの行為を命ずることは措置義務としては適切ではないという判断をさせていただきました。ただ、じゃ、加害者に何もしないのか。それでは根本的な解決にはなりません。ですので、これ当然、各企業に同様な措置を講じていただくわけですから、相手方企業に対してそれについて通知をしていただく、情報共有をしていただく、相手方企業の事業主に対してその加害者と思われる方に対する対応を促していただく、ここまではできるであろうというそういう整理をさせていただきました。
 当然、その通知を受けた側の企業は先ほどと同じ脈絡です。自分のところの従業員が加害者になってはいけないわけですから、万が一そういう通知を受けた場合には、その通知、事実関係を確認し、もし本当に事実であれば適切な対応をいただく、そういう措置義務を事業主に対して課す、こういう整理を今回させていただきましたので、御理解いただければと思います。
#275
○東徹君 自分のところの会社の被害者を守るという、これは大事だなというふうに思いますけれども、他社に対してこれはなかなか難しいところだなというふうに一点思うわけですけれども。
 もう一つ、そもそもパワハラとは何か。今日も先ほどありましたけれども、パワハラとは何かというところで、私もパワハラを受けていますとかいって僕の義理の弟から相談を受けたことがあって、それパワハラなのかなというふうにやっぱり思う点って結構あるんですよね。
 パワハラというのは、本当に個々それぞれ、国民の間でもまだまだこれ議論されるべきぐらい認識の差があるんじゃないだろうかなというふうに思っているわけですが、このパワハラとは何かというところがしっかりとこれ明確にならないと、業務上必要な指導ってなかなかこれしにくいよなと、こう思うわけですよね。過度な萎縮になってもいけないわけでありますし、この点についてどのように考えているのか、この点もちょっと発議者にお考えをお聞きしておきたいなと思います。
#276
○石橋通宏君 これ、先ほど足立委員からも同様の質問をいただきまして、浜口委員から御答弁も申し上げました。
 我々のこの法案では、パワハラ、御存じのとおり、定義を置かせていただいています。業務上適正な範囲を超えるものというふうにさせていただきました。これ実際に、じゃ、どこまでが業務上適正な範囲なのか。例えば教育指導なのか。先ほども、先輩からの指導、それが新入社員に対する指導なのか、ベテランに対するあれなのか、いろいろな状態があり得るという話もありました。やっぱりこれ、一番よくそれを御存じなのは現場の皆さんだと思います。
 ですので、我々、法案は、意図的に法案の定義としてはこういう定義を置かせていただいた。これに基づいて国で指針を定めていただくわけですが、その際にも、労働政策審議会で、公労使、しっかりと労使の御意見もいただいた上で国としての指針を定めていただきますが、しかし、国が全部の業種、業態についてどこまでが具体的に適正な範囲なのか、これ定められるわけではありませんから、最終的にはやはり現場で、使用者、これがしっかりと現場の労働者の意見を聞いていただいて、どこまでは適正な範囲なのか、いや、でもどこからが駄目なのかと、これはしっかりと現場の各企業において、労使の話合いに応じて、国の指針を参考にしていただきながらしっかりとガイドラインを定めていただいて運用していただく。
 当然、運用していただきながら定期的な見直しも必要でしょうし、それを是非やっていただきながら、これ、一年たって、二年たって、そういう積み上げでますますそのガイドラインがいい精緻なものになっていく、そういうことも期待して、労使の話合いでしっかりと決めていただければというそういう立て付けにさせていただいております。
#277
○東徹君 業務上適正な範囲って、これ、どういうところを業務上適正な範囲って言うのかなという、ここが本当に分かりにくいところだなというふうに思うんですね。
 労政審でもって決めていってもらいたいと、指針を、ガイドラインを決めていってもらいたいというわけですけれども、なかなか、この指針といっても、パワハラの定義とか、事業主のとるべき措置とか、こういったことが具体的でない中でこれ指針を定めるのはちょっと難しいんじゃないのかなというふうにも思ったりするわけですが、実際にこれ、石橋委員はもう労働政策の専門家だと僕は本当に思っておりますので、どういう指針を具体的に作ろうと考えているのか、もしありましたらお考えをお教えいただきたいと思います。
#278
○石橋通宏君 これは恐らく東委員も御存じのとおり、実はこの間にも様々なパワーハラスメントに関する議論、検討というのは行われて、かなりの積み上げはできてきています。
 元々、二〇一二年に、当時、円卓会議、厚生労働省の下でつくられました円卓会議で報告書が出され、その後の様々な、法律的な規制はありませんでしたが、この円卓会議の報告書に基づいた様々な取組というのは厚生労働省もこの間やっていただいているわけです。
 また、先般、ハラスメント防止に関する検討会も報告書まとめられて、この間、様々な議論が行われておりますし、今日午前中の参考人質疑でも少し説明があったと思いますが、実はいろいろな業種、業態で現場のパワーハラスメントの実態のアンケート調査、様々なヒアリング、この積み上げも行われております。
 今日午前中紹介されたのは、例えば労働組合、百六十万人の加盟構成員がおられますけれども、UAゼンセンという産別の組合がかなりの網羅的な現場の調査をされて、そこで七割もの方々がパワーハラスメントの経験がある。当然そこには、どこまでが業務の範囲内で、どこまでがやっぱりパワーハラスメントなのか、そういうことを現場で御判断いただいた上で、定義を置いてのアンケート調査の結果として、七割もの方々がそういった経験があるというふうに示されている。
 そういう意味では、様々な業種、業態、産業において既にそういう議論があり、積み上げがあり、今、我々もそれを基にこういう法案を提案させていただいていると。
 ですから、指針を国がこれ定めていただく、先ほど申し上げましたように、労政審で公労使の議論をいただきますので、こういうこれまでの議論、積み上げ、現場の様々な調査、アンケート、こういったものもしっかりと政労使で参考にしていただきながら、国として統一的に決められる範囲内の統一的な基準、指針というものを決めていただきたいというふうに思っています。
 具体的には、先ほど言った定義の中で、じゃ、業務上の優位性を利用して行う行為というのはどういう行為があり得るのか、適正な範囲を超えるもの、一般的に規定できるものはどういうものがあり得るのか、こういったことを規定していただきながら、円卓会議の六類型というのも参考にできると思います。過大な要求ですとか過小な要求ですとか、こういった類型、どういったものが当たり得るのか、これを国としての統一的に示せる範囲で指針として決めていただいて参考にしていただくということで整理ができるものというふうに思っておりますので、そういう立て付けで考えております。
#279
○東徹君 もう時間が過ぎましたので、ありがとうございました。
#280
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 先ほど石橋委員の方からもありました高度専門職に対するヒアリング概要で、先ほど大臣は、このヒアリングの一が実は二〇一五年三月三十一日、厚生労働省の職員がヒアリングしたものであるということを認められました。そうすると、理解ができません。
 一月三十一日、今年の参議院予算委員会で、浜野委員に対する答弁で、私自身、この働く方の立場に立って働き方改革を推進していくということで、働く方の声をいろいろと聞かさせていただいております。企画型裁量労働制の話の次に高度プロフェッショナルの話になって、また、高度で専門的な職種、これはまだ制度ございませんけれども、私もいろいろお話を聞くことで、その方は、自分はプロフェッショナルとして自分のペースで仕事をしていきたいんだと、そういった是非働き方をつくってほしいと、こういう御要望をいただきました。例えば、研究職の中には、一日四時間から五時間の研究を十日間やるよりは、例えば二日間集中した方が非常に効果的に物が取り組める、こういった声を把握していたところでありましてというのが続くんですね。
 大臣、これ、この答弁、誰が聞いても、大臣自身が直接聞いたとしか聞けないんですが、虚偽答弁じゃないですか。
#281
○国務大臣(加藤勝信君) その虚偽とおっしゃるのはどこだかよく分からないんですが、まず、私が御要望をいただきましたというのは、これは私がまさに個々にお話を聞いた中で御要望をいただいたということであります。例えばというところは、そういった事例を把握をしているということを申し上げているわけでありますから、これ、まさに厚労省において把握をしているところをここで例示として挙げさせていただいていると、こういうことであります。
#282
○福島みずほ君 違うでしょう。だって、その方は、こう、ほしいと、こういう御要望をいただきました、例えばとなっているんですよ。
 大臣、ここで、私がそういうところへ、企業等を訪問した中でお聞かせいただいたそうした意見、声でございます、言っているじゃないですか。あなた自身が聞いた声としてまさに紹介しているんですよ。あなた、聞いていないじゃないですか。
 先ほどの石橋委員の質問に対しても、さっき、そのために行ったのではありませんと答弁されました。そのために行っていないんでしょう。
 でも、大臣は一月三十一日に言っていますよ。私がそうしたところへ、企業等を訪問した中でお聞かせいただいたそうした意見、声でございます。違うじゃないですか。何が虚偽答弁か分からないと、とぼけないでくださいよ。自分が聞いていないのに、自分があたかも、自分自身が企業に行って、企業でヒアリングして、まさにこの声を聞いたというふうに誰が読んでも、誰が読んでもそう理解する中身になっているじゃないですか。
 大臣、正式にちっとも、ヒアリングは一回もやっていないんじゃないですか。虚偽答弁ですよ。
#283
○国務大臣(加藤勝信君) まず、その前の浜野委員の質問を聞いてください。
 御説明いたしましたけれど、現裁量労働制対象の方々からも意見があった、そして、新設される高度プロフェッショナル、あった、そういうことを踏まえて、先ほど、その前にありますけど、企画裁量型についてはこれは私事業所へ行っておりますから、そういった企業等を訪問する中で聞かせていただいたと言っているのに、どこが虚偽答弁なんですか。
#284
○福島みずほ君 虚偽答弁ですよ。
 だって、ここ、また、高度で専門的な職種、これはまだ制度ございませんけれど、私もいろいろお話を聞く中でその方はと言っているじゃないですか、その方はって。例えばとしてこの一番の人の証言が出てくるんですよ。聞いていないじゃないですか。
#285
○国務大臣(加藤勝信君) だから、これは私が直接聞いた方はそうしてくれということの要望をいただいたということです。例えばというのは、研究職の中にということで例えばという言葉を通じ把握をしているということを申し上げているのであります。
#286
○福島みずほ君 いや、ひどい答弁ですよ。
 だって、ここは、そういった是非働き方をつくってほしいと、こういう御要望をいただきました、例えば研究職の中には一日四時間、誰が聞いても大臣が聞いたと思いますよ。そう思い込んでいましたよ、私自身だって。そう思い込んでいましたよ。虚偽答弁じゃないですか。例えばと言ってこの一番の話をしているんですよ。虚偽答弁じゃないですか。
 少なくとも、自分が直接聞いていないのに、あたかも自分が直接聞いたかのようにこのナンバーワンの人の証言を引用するのは間違っていたということを認めてくださいよ。
#287
○国務大臣(加藤勝信君) それ、どういうふうに解釈されるかは委員それぞれのことがあるんだと思いますが、ここで申し上げるのは、要望をいただきましたと一回切れて、例えばというのは、研究職の中にはという意味で例えばと申し上げているので、しかも、声を把握、把握していると言っているじゃないですか、聞いているなんて言っていないじゃないですか。
#288
○福島みずほ君 もう語るに落ちたというのはこういうことですよ。
 だって、これは、働く人の声をいろいろ聞かせていただきました、高度プロフェッショナルで、その方は、例えばというのは、そのいろんな声を聞いた中で例えばというふうに読みますよ。そして、ここで、私が、最後に、だから、裁量労働制と高プロと両方話した後に、私がそうしたところへ、企業等を訪問した中でお聞かせいただいたそういう意見、声でございます。違うでしょう、虚偽答弁ですよ。こんなので虚偽答弁、恥ずかしいですよ。
 しかも、一月三十一日、浜野さん、午前中に質問をしています。二番目のバッターです。驚くべきことに、この十二、お手元に資料がありますが、一月三十一日が六人、二月一日が三人です。九名ですよ、九名がまさにこの中で出てきたものなんですよ。つまり、大臣のこの答弁の後に、大急ぎで九人ヒアリングしたんじゃないですか。
 大臣、この九人のヒアリング、知っていましたか、知りませんでしたか。
#289
○国務大臣(加藤勝信君) 具体的にどういうふうにやっているかは承知をしておりません。
#290
○福島みずほ君 九人は、だから十二人ヒアリングをしました、この十二人のみが高度プロフェッショナルの根拠になっているわけですが、九人は一月三十一日と二月一日なんですよ。大臣がいろいろ話を聞きましたと、私は、虚偽答弁をやった後に大急ぎで九人まさにヒアリングをやったと。
 で、これは、二〇一五年二月十七日には、労政審労働条件分科会に対して労基法改正法案の要綱が既に諮問されています。立法するときは、立法事実があるかどうか、立法事実があるかどうかを確定し、確かにそういう立法事実があるとして法律を作るのに、おかしいじゃないですか。
 総理の施政方針演説、大臣が、いろんな人の声を聞きました、例えばとナンバーワンの人のを引用して話した後にですよ、あたかも自分でやったかのように、九人の人のヒアリングをやっているんですよ。こんな立法理由は後付けじゃないですか。こんなの納得いかないですよ。こんなので高度、まあ十二人でというのもおかしいけど、時期もおかしい。そして九人が人事担当者が同席なんですよ。こんなのパワハラだったら、ちゃんと言えないですよね。
 そして、私、これ不思議なのは、一月三十一日、六人なんですが、これって同一人物は入っていないか。あるいは、これ局長、会社、ABCでいいですから言ってくれますか。
#291
○政府参考人(山越敬一君) これ、同一の方は入っておりません。それから、会社の名前については、相手方の……
#292
○福島みずほ君 違う、名前じゃなくて、同じ会社かどうか。
#293
○政府参考人(山越敬一君) これは五社、全部で五社にしているものでございまして、同一の会社の、その同じ会社の中の複数の労働者に聞いているケースがございます。
#294
○福島みずほ君 五社だと。どれとどれとどれが一緒か教えてください。
#295
○政府参考人(山越敬一君) 三番と四番と五番が同一の会社でございます。それから次の六、七、八が同一の会社でございます。九、十、十一が同一の会社でございます。それから二と十二が同一の会社でございます。
#296
○福島みずほ君 これ、同じときに聞いたんですか。
#297
○政府参考人(山越敬一君) 一つの会社につきましては、同じときに聞いております。
#298
○福島みずほ君 だから、全部まとめて面倒見ようじゃないですか。二月一日に三、四、五をまとめて聞いた、一旦。そして一月三十一日もこれ同じなわけでしょう。つまり、物すごい手抜きなんですよ。まとめて三人、四人聞いているんですよ。これで十二人聞きました、いろんな方の声を聞きました、高度プロフェッショナルの導入ですって、ちゃんちゃらおかしいですよ。時期もおかしいし、人数もおかしいし、同時期で、これで何で、人事担当者が同席していて、これでどうしてみんなの声を聞いたって言えるんですか。おかしいですよ。愚弄するにもいいかげんにしてほしい、そう思います。これで命を失う人が出たらどうするんですか。これで命を失う人が出たらどうするんですか。
 大臣、今朝、参考人質疑がありました。過労死を考える家族の会の方の話聞いて、どう思われました。過労死を促進するという話聞いて、どう思われました。聞かれましたか。
#299
○国務大臣(加藤勝信君) 済みません、私はちょっとそれを聞くことはできませんでした。
#300
○福島みずほ君 この高度プロフェッショナル、みんなの声を聞いたというのはやっぱりおかしいですよ。このデータから見てもおかしい。これはもう撤回すべきだということを強く申し上げます。
 裁量についてお聞きをします。
 裁量は条文には書かない、しかし、政省令に書くという話です。ということは、裁量違反、つまり何かの指揮命令したり、あしたまでに納期をやってくれ、これは法違反、労働基準法違反にはならないということで、局長、よろしいですね。
#301
○委員長(島村大君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#302
○委員長(島村大君) 速記を起こしてください。
#303
○政府参考人(山越敬一君) この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、法案においては、高度の専門的な知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務について認められるということが明記してあると……(発言する者あり)はい。
 法律の要件に従って具体の対象業務を省令で定める際には、働く時間帯の選択や時間配分について使用者が具体的に指示するものは対象業務としないこととしております。使用者から一定時間労働しろといった指示がなされた場合は、これは高度プロフェッショナル制度の今申しました法令の要件を満たしませんので、この制度の適用は認められないことになります。この場合は、例えば時間外労働があれば、法定労働時間に違反するとともに、割増し賃金の支払義務が発生し、罰則の対象にもなるものでございます。
#304
○福島みずほ君 いや、法律には裁量という言葉はないわけですよね。
 私の質問は、この間も聞きましたが、その高度プロフェッショナル法案の取決めが無効になるというのは分かりました。しかし、法律の中に裁量という言葉がなくて、それを盛り込むのは政省令なわけですから、単純にお聞きしているんです。法違反にならないということでよろしいですね。
#305
○政府参考人(山越敬一君) この今申し上げたことでございますけれども、法案においては、今申しましたように、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務について認められるということで、この法律の要件に従って具体的な対象業務を省令で定めるときに、働く時間帯の選択や時間配分について使用者が具体的指示するものは対象業務としないということにしておりますので、もし、今御質問ございましたように、一定時間労働しろといった指示が出た場合は、これは対象業務とならないわけでございますので、その法律、またそれに基づく省令に基づきまして対象業務とならないものでございますので、したがいまして、先ほど申しましたように、時間外労働があれば法定労働時間に違反するということになるものでございます。
#306
○福島みずほ君 私は単純なことを聞いているんです。裁量という言葉は法律にはない、政省令に書く。だとすると、その裁量に反したとして、それは法違反ではないですね。政省令違反ではあるが、法令違反ではないですね。
#307
○政府参考人(山越敬一君) 今申しましたように、法案におきましては、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務について認められることが法律に定められておりまして、法律の要件に従って具体の対象業務、この省令を定める際に、その働く時間帯の選択や時間配分について使用者が具体的に指示するものは対象業務としないということを明記するというものでございますので、いずれにいたしましても、この法律、これに基づく省令で対象業務とならないものについて、一定時間労働しろという指示がなされた場合はそういった対象業務にならないわけでございますので、先ほど申しましたように、その時間外労働があればということになるわけでございます。
#308
○福島みずほ君 法律があって、その下に政省令があるわけだから、政省令違反とはなっても、法律に裁量という言葉がないから法律違反にはならないじゃないですか。これは事前に法違反にはならないという答弁をもらっていますよ。
 どうしてそう回りくどくなるのか。だって、法律に裁量という言葉がない、政省令に書くとしても、それは政省令違反ではあっても法違反にはならないじゃないですか。
#309
○政府参考人(山越敬一君) これは、法律に根拠を持ちます、厚生労働省で定めるものでございまして、ですから、これはその省令に反するような業務に就くことになれば、これは法律の枠組みとしての高度プロフェッショナルの対象業務にはならないということになるものでございます。
#310
○福島みずほ君 いや、おかしいですよ。法律があって、その下に政省令があるわけだから、政省令違反だとしても法律違反ではないじゃないですか。法律の中に裁量という言葉がないんだから、政省令で幾ら裁量って書いたとして、それは政省令違反ですよ、もちろん。しかし、法律違反ではないじゃないですか。政省令違反だったら何で法違反になるんですか。
#311
○政府参考人(山越敬一君) これは先ほども御答弁させていただきましたけれども、法律において厚生労働省令で定める業務がこの対象業務であるわけでございます、法律上の対象業務であるわけでございます。
 この具体的な対象業務を省令で定める際には、先ほど申したような定めをすることとしておりまして、そうでない、働く時間帯の選択や時間配分について具体的に指示するものは対象業務でございませんので、これは法律の定める高度プロフェッショナル制度には該当しないものになるというものだと考えます。
#312
○福島みずほ君 だったら、あしたまでにこのものを仕上げろと言われた私が法違反だとして訴えて、罰則の規定はありますね。法違反だとしたら罰則の規定がありますね。私、訴えたら勝ちますね。処罰されますね。
#313
○政府参考人(山越敬一君) この高度プロフェッショナル制度につきましては、直接、これは対象業務、対象労働者などを決定いたしまして、それに該当する方について、一定の、労働基準法の第四章の規定を適用しないこととするという規定でございまして、高度プロフェッショナル制度に違反するというようなことは生ずるものではなくて、こういった要件に該当するものは、今申したような効果を生ずるという制度の仕組みになっているものでございます。
#314
○福島みずほ君 端的に答えてください。おっしゃっていることは分かりますが、私が聞いているのはそういうことではないんです。
 私は高度プロフェッショナルで働いています、でも、裁量って条文にありません、でも、上司からあしたまでにこれを納期でやってくれと言われた。法律違反ではないじゃないですか。でも、私は、おかしい、訴えて法違反となりますか。そして、処罰されますか。私は罰則の規定求められますか。
#315
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル規定に違反する罰則の規定というのは設けられていないものでございます。
#316
○福島みずほ君 そのとおりです。法違反ではないんです。法違反じゃないということでよろしいですね。
 罰則の規定もないんです。私は、裁量という言葉が条文にないから、あしたまでにこれをやれと言われて、訴えて、私裁量あるはずだ、おかしい。でも、それは政省令に書いてあるだけだから法違反とならないということでよろしいですね。
#317
○政府参考人(山越敬一君) この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、法案におきまして、この厚生労働省令で定める業務、これはその性質上従事した時間と従事して得た成果の関連性が通常高くないものと認められるもの、これを厚生労働省令で定めることにしておりまして、この対象業務として、今申しました法律の要件に従いまして、働く時間帯の選択や時間配分について使用者が具体的に指示するものは対象業務としないということにしておりますので、その範囲のものが法令上の対象業務となるものでございます。
#318
○委員長(島村大君) 時刻参りましたので、質疑をまとめてください。
#319
○福島みずほ君 はい、分かりました。
 罰則の規定がないわけですよね。これは法違反じゃないんですよ。法律があって省令があるから、省令で初めてそれで法律違反になるなんといったら、法律が何なのかが分からないですよ。処罰法規なんだから、これは。だから、局長の答弁、すごくおかしいですよ。
 それから、私はたくさんのことを実は今日聞こうと思っていました。こんなのでつまずくんだったら、本当に実際、実務はどうなるんですか。こんな当たり前のことで、処罰されないと答えるまで物すごい時間掛かっているんですよ。こんなのでやれないですよ。答弁おかしいですよ。
 たくさん質問があってちょっと残ってしまいましたが、こんなので、やっぱり高度プロフェッショナル法案削除すべきであるということを申し上げ、質問を終わります。
#320
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 今日の午前中も様々な御意見をいただきました。その中でやはり重要なのは、事業主の皆様方がしっかりと労働者の皆様方へ寄り添いながら労務管理をする、健康管理をする、その中で多様な働き方を提供していくためのシステムを構築していくことだと私は思っております。
 以前から私取り上げておりますように、労働者の六割の皆様方が健康管理が受けられていない。健康管理が受けられていないと、誰かがどこかで止めなければ過重労働になってしまう。その壁がなくなってしまっているこの状態を何としてでも今回の法案の中でも担保していただきたいと思うんですけれども、それが担保できていないので、厚労省以外にも助けを求めることにいたしました。
 皆様方にお配りをいたしております。健康宣言というものを御存じでいらっしゃいますでしょうか。これは、健保が中心となりまして、企業に健康を宣言してもらうというものでございます。有名なものといたしましては、経産省が行っております健康経営銘柄のような形で大々的に表彰されるもの、健康経営優良法人というふうに認定される制度もございますけど、まず、今、中小企業の皆様方、健康経営に着手するに当たりまして、この一番入口で大変取り組みやすいものとして、この健康宣言というものを御利用いただいております。
 この健康宣言を行った企業、団体、そして経産省が今やっております健康経営優良法人、認定された企業、団体、どのくらいございますでしょうか。それぞれお答えいただけますか。お願いいたします。
#321
○政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。
 協会けんぽや健保組合といいます医療保険者と連携して健康宣言に取り組んでいる企業の数でございますが、平成二十八年六月時点では二千九百七十社でございましたけれども、平成二十九年六月時点で一万二千百九十五社となっておりまして、これは日本健康会議が掲げました二〇二〇年までの目標でございます一万社を超えるなど、順調な広がりを見せているというふうに考えているところでございます。
#322
○政府参考人(小瀬達之君) お答えを申し上げます。
 健康経営優良法人認定制度は日本健康会議が認定しているところでございますけれども、本年二月に発表されました健康経営優良法人二〇一八におきましては、大規模法人部門では五百四十一法人、中小規模法人部門では七百六十法人が認定されているところでございます。
#323
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 資料二にもお配りをいたしておりますけれども、健康宣言を取った後に、東京都のこれは事例でございますけれども、そこから日本健康会議の健康経営優良法人認定委員会の方になるべく持ち上げようじゃないかというような動きがございます。こういう動きをしっかり厚労省も利用しながら、今回の法案改正にもありますように、多様な働き方、安全で安心に働ける環境というものを私は提供していただきたいと思っております。
 この健康宣言を行うこと、健康経営優良法人に認定されること、それぞれどのようなメリットというものが企業サイドにもたらされるのか、教えていただけますか。
#324
○政府参考人(鈴木俊彦君) 健康宣言でございますが、企業の主体的な予防、健康づくりの取組を推進いたしますために、企業が従業員の健康保持増進に対する方針を明文化いたしまして社内外へ発信する仕組みでございます。その中で、保険者にその取組を登録するといった仕組みになっております。
 したがいまして、こうした健康宣言を行うメリットといたしましては、第一に、事業主や従業員の健康づくりへの意識が醸成されまして、従業員の健康増進あるいは生産性の向上に寄与する、こういったことが期待されるところでございます。第二に、企業の健康宣言に基づく取組を保険者が連携支援をいたしますので、保険者が行います保健事業の実効性を高めて、従業員などの予防、健康づくりの効果を最大限に発揮できる、こういったメリットを考えているところでございます。
#325
○政府参考人(小瀬達之君) お答えします。
 ちょっと先ほどの答弁で若干修正がございます。
 先ほど中小規模法人部門七百六十と申し上げましたが、七百七十六法人が認定されたところでございます。
 また、次、健康経営につきましてですが、これは従業員の健康管理を設備投資や人材育成のように経営的な視点で行うものであり、取組自体に意義があるというふうに考えてございます。さらに、健康経営優良法人に認定されることで、優良な健康経営に取り組んでいることが内外に見える化され、従業員や求職者、取引先などから社会的、経済的な評価を期待することができるところでございます。
 また、過去の調査では、健康経営優良法人に認定されたことの効果として、従業員の健康に対する意識の向上、顧客や取引先に対する企業のイメージの向上、PR機会の増加、社内コミュニケーションの活性化や従業員の仕事満足、モチベーションの向上などのメリットが挙げられているところでございます。
 また、健康経営に取り組む企業に対する金利や保険料の割引、自治体の入札における加点など、民間や地域における様々なインセンティブの措置が拡大しているところでございます。
 以上でございます。
#326
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 会社が信用できない、健康管理も過重労働もされっ放しだよねという状態ではなく、いかにそこをボトムアップ式で持ち上げながらしっかりとそれができる体制や、逆にそれをやったところにはインセンティブを付けて、いい循環をつくっていかなきゃいけないですよね。そういう議論ってなかなかないんですよ、今。
 だからこそ、しっかりと厚労省と、経産省もそうです、今は自動車運転者のところで国交省も関わりながら、内閣官房もやってくださっていますけど、多くの知恵を生かしながらいい労働をこの日本で獲得してもらうようにしていかなければならないと私は思います。そのためには、どういうインセンティブを付けていくのかが肝腎だと思います。
 これ、愛知の一例でございましたら、銀行の金利優遇サービス、信用保証料の優遇などもこの健康宣言を行うことによって獲得できるというものもございます。それぞれもう少しインセンティブを強化していくべきだと思いますけれども、平木政務官、そして大臣、どのようにお考えになられますか。お願いいたします。
#327
○大臣政務官(平木大作君) 健康経営というのは民間主体の取組でありまして、企業が自主的な取組によりまして、例えば従業員の皆さんの活力が向上する、組織としての生産性が向上する、そういったものが事業の業績にひいては結び付くというふうなものでございます。そういったことが結果として取引先ですとか関係者の皆様に評価され拡大していく、これが基本でまずあるというふうに思っております。
 他方で、健康経営は、退職後を含めまして、従業員や関係者の健康度を高め、地域の活力や社会保障に良い影響をもたらす、また、新しい産業を生み出すと、こういった外部効果も期待されるものでありますので、国にとっても政策的意義が高いというふうに考えております。
 健康経営の拡充そして充実につきましては、顕彰制度の運営、ベストプラクティスの共有、また中小企業の取組支援といった政府の取組と、また法人の成長可能性の向上や事業リスクの低減に着目した民間や地域のインセンティブの措置が相まって、効果的で持続的な取組となりますように、政府としても適切に進めてまいりたいと考えております。
#328
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の働き方改革法案、法案として出させていただいておりますけれども、大事なことは、まさに現場において労使が自主的に取り組んでいただく、特にそういう中においても、使用者側、特にトップがリーダーシップを発揮していただくということは、これは大変大事なことだというふうに思います。
 そういった意味で、今お話があった健康宣言というのは大変有用なツールの一つだというふうに思っておりますし、日本健康会議が掲げる健康なまち・職場づくり宣言二〇二〇に、保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を一万社以上とするともう明記をしておりまして、これ既に達成されておるわけですから、更にそれを上回っていこうという努力をしております。
 また、今年度からは、健保組合等の予防、健康づくりの取組に対するインセンティブの仕組みであります後期高齢者支援金の加算・減算制度において、新たに健康宣言の策定や健康づくり等の共同事業の実施を評価指標に追加をさせていただきました。保険者から企業に対して健康宣言の策定を促す、こういったことにつながることを期待をしているところであります。
 さらに、加入者の健康状況を見える化して保険者を通じて経営者に通知する健康スコアリング、これを今年度から実施をすることになりまして、こういった取組をきっかけに、経営者自らが自分の会社の健康課題というものを認識をしていただいて予防、健康づくりに取り組んでいく、その第一歩になり、そして健康宣言を策定するきっかけにしていただければと、こういうふうに考えております。
#329
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 労働の現場にいると、法律だったりルールだったりというものはもうほぼ関係ない中で仕事をさせられていらっしゃる方々もいらっしゃいます。昼休みに休んでいたら何を休んでいるんだと言われるような、そんな現場が、こんなに法律ができたから、改正ができたからといきなり変わるわけではないんですよ。やはり、自主的に自分たちで企業風土を変えていくんだという動きが起こってこないと、どんなに法律作ってもただの机上の空論にすぎません。ですから、この動きというのを私はすごく大事に育てていただきたいと思っております。
 それに当たりまして、まだまだこれから改善の余地があると思います。この取組の項目、そして評価項目の中で更に課題があるというふうに私は考えておりますけれども、それぞれどのようにお考えになっていらっしゃいますか。短めにお願いいたします。
#330
○政府参考人(鈴木俊彦君) まず第一に、健康宣言につきましてはより多くの企業に取り組んでいただく、これが大事だと思っております。したがいまして、広く周知を行うことは当然でございますけれども、取組項目につきましても各企業が取り組みやすい項目とする、これが重要な課題だと思っております。
 同時に、既に健康宣言を行っていただいている企業では取組項目をより充実していく、これが大事になってまいります。したがって、従業員の健康増進、生産性の向上により資するように、この取組項目を各企業の従業員の健康課題に対応した効率的、効果的な取組としていく、これが今後の課題であるというふうに認識をいたしております。
 こういった観点から、この取組項目、評価の在り方につきまして、広く関係者の皆様の御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。
#331
○政府参考人(小瀬達之君) お答えいたします。
 健康経営優良法人制度につきましては、認定審査の過程で得られました知見あるいは認定法人などからの御意見を踏まえながら、評価項目や認定手続などを毎年見直すこととしてございます。
 健康経営優良法人二〇一八、これに認定されました中小規模法人につきましては、定期健康診断の受診に対する取組が実施率の高い項目でございました。一方、病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取組については、新たな項目だったこともあり、実施率が低調だったということでございます。
 このような分析を踏まえまして、今後、次世代ヘルスケア産業協議会健康投資ワーキンググループにおける議論も行いつつ、健康経営優良法人の優良事例などの紹介等によるノウハウの提供や中小規模法人向けの認定基準解説書の充実等を通じまして、実施率が低調な項目の底上げも含めまして、中小企業等がより健康経営に取り組みやすい環境を整備していきたいというように考えております。
#332
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 だから、私はそこがすごく肝腎なところだと思うんです。どこが取り組みにくいのか、どこにハードルが構えているのかが皆様方の取組具合によって分かってくるじゃないですか。このデータを利用しない手はないんですよ。しっかりそこを吸い上げながら、私は次につなげて、法案改正なり若しくは様々な施策につなげていただきたいと思っております。
 一問飛ばさせていただきまして、更に情報共有を進めていきたい、その宣言を政務官と大臣にはお願いしたいと思いますが、いかがでいらっしゃいますか。
#333
○大臣政務官(平木大作君) 今、委員御指摘のとおり、健康経営を効果的に進めていくためには民間企業とそして医療保険者との連携というのが欠かせません。また、これを支える政府も足並みをそろえて政策を進めていくことが極めて重要でございます。そのために、次世代ヘルスケア産業協議会の下で、経済産業省や厚生労働省を始めとする関係省庁によります職域における健康づくりに係る取組を共有いたしまして、一体となって健康経営の推進に取り組んでいるところでございます。
 加えまして、最近は自治体による自主的な独自の健康経営に関する顕彰制度ですとかインセンティブ措置というのも大分拡大をしつつございまして、地域の中小企業が健康経営に一層取り組みやすくなるものとして高く評価するところでございます。こうした地域への情報提供なども積極的に実施をしていきたいと考えております。
 経産省といたしましては、今後も、厚生労働省等の関係省庁や自治体、地域の関係者と連携をしながら、健康経営の充実と拡大に取り組むことで、働く人の健康増進、生産性の向上、社会保障費の適正化実現に取り組んでまいりたいと考えております。
#334
○国務大臣(加藤勝信君) これから先行き、特に高齢者人口がピークに達する二〇四〇年、これを見通す中で、これまでの高齢者人口の単なるこの急増という局面から生産年齢人口が急減していくという局面に中心がずれていく、移っていく。そういったことを踏まえると、やっぱり、社会保障、これの持続可能性を確保するという取組に加えて、やはり現役世代の人口が急減する中で我が国の活力をどう維持していくのか。そういった意味において、やはり私どもは、健康寿命の延伸という言い方をしておりますけれども、そういった新たな政策課題にこれまで以上にしっかり取り組んでいくことが必要でありますし、これは短期でやればいいというわけじゃなくて、長期的にずっとやっていく取組であります。
 健康経営や保険者におけるデータヘルスの取組、省庁の垣根を越えたオールジャパンの取組、こういったことが必要でありますし、先ほどちょっと申し上げた健康スコアリングの取組でも、私どもだけではなくて、日本健康会議や経済産業省とも連携をしながら準備を進めさせていただいております。
 そうした取組について、経産省あるいは総務省始め、あるいは地方自治体等々と、そして健康会議を構成されている方々としっかり連携を取らせていただいて、社会全体で予防、健康づくりをしっかりやっていくんだと、こういう機運の広まりと定着、そして具体的な行動、これをしっかりと図っていきたいと思います。
#335
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 それをするに当たりましても、中小企業庁の中に、私は、産業保健に関する支援するメニューがあってもいいんではないかと思いますけれども、いかがでいらっしゃいますか。
#336
○政府参考人(吾郷進平君) 現状を申し上げますと、中小企業に対する専門家派遣の枠組みの中で社労士の方も含まれておりますので、その中で御相談を受けることもあろうかと思いますけれども、特に産業保健に特化をした予算措置、支援措置は講じておらないところでございます。
#337
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 でも、政務官、必要ですよね。しっかりと、経産省でも、やっぱりこの健康に着目しながら生産性を上げる中小企業支援というものは私はこれから充実させるべきだと思いますけれども、御意見いただけますか。
#338
○大臣政務官(平木大作君) この従業員の健康づくりを支援し、働く方々が健康の不安がなくモチベーションを上げて仕事に取り組める、最大限に能力を発揮できるようにしていく、このためには企業における産業保健の機能というのは大変重要であるというふうに思っております。
 こうした観点から、法律上の義務付けの対象となっておりません中小企業あるいは小規模事業者の産業保健に対する支援については、現在、厚生労働省の方におきまして、全国に産業保健総合支援センターを設置をして様々な今取組をされているところでございます。
 経産省といたしましては、直接的にこの産業保健について支援するということよりも、生産性の向上を通じて付加価値を生み出し、中小企業・小規模事業者が産業保健の取組を行うことができるような環境をしっかり整備するということがまず第一義であるというふうに考えておりまして、具体的には、IT導入ですとか設備投資の支援のために予算を措置するとともに、今国会でも成立をしていただきました生産性向上特措法におきまして、認定を受けた中小企業事業者に対して自治体の判断により固定資産税をゼロにする取組、通していただきました。こういった取組を通じてしっかりと環境整備に努めてまいりたいと考えております。
#339
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 最後に大臣にお願いでございます。
 やはり両輪で進めていくということは、コラボヘルス、いわゆる健康経営の肝でございます。そこでどうしてもその縦割りの弊害みたいなものが行われてまいりますけれども、やっぱり中小企業庁などにも応援をいただきながら、業界団体の皆様方、かつその地域の中小企業団体の皆様方、様々、もう少し取組をきめ細やかに私はやっていただかないと、これは大企業だけのものだよねということになりかねませんけれども、いかがでいらっしゃいますか。お願いいたします。
#340
○国務大臣(加藤勝信君) もう日本の働く方の七割がそこで働いております中小企業・小規模事業者等々においてこうした取組がしっかりと出されていく、これは大変大事なことだと思っておりまして、今、私どもとしても、例えば、産業医の選任義務がない労働者数五十人未満の事業場についても医師等に労働者の健康管理を行わせることを努力義務とする一方で、なかなかノウハウや体制がありませんから、それを支援する取組をさせていただいております。
 先ほど経産省からありましたけれども、厚労省でも、労働健康安全機構が四十七都道府県に設置している産業保健総合支援センターを通じて医師の面接指導や健康相談の実施、あるいはそうした取組をした企業に対する一部助成、そういったこともやらせていただいておりますが、あわせて、そういった内容を中小企業の皆さんに知っていただくことが必要でありますから、そういった意味においても、中小企業庁ともよく連携をして、よろず支援拠点等を通じた周知、あるいは働き方改革支援ハンドブック、これ厚労省と中小企業連名で公表しておりますけれども、そういったものの活用等々を通じて、中小企業に対する、それぞれ役所ごとですから視点は違いますけれども、それを通じて、産業保健活動の促進を図ることによって、そこで働いている方々がやりがいを持って健康で働いていただき、またそれが中小企業の発展にもつながっていく、そういう脈絡の中でしっかりと連携をさせていただきたいと思います。
#341
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 健康宣言のように、小さな企業も自立しようとしていらっしゃるんです。だから、しっかりと救いの手を伸ばしていただきたいと思います。
 じゃ、以上で終わります。ありがとうございました。
#342
○委員長(島村大君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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