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2018/06/28 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 厚生労働委員会 第24号
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2018/06/28 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 厚生労働委員会 第24号

#1
第196回国会 厚生労働委員会 第24号
平成三十年六月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     徳茂 雅之君     青山 繁晴君
     三木  亨君     鶴保 庸介君
     柳田  稔君     足立 信也君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         島村  大君
    理 事
                石田 昌宏君
                そのだ修光君
                馬場 成志君
                山本 香苗君
                小林 正夫君
    委 員
                青山 繁晴君
                石井みどり君
                小川 克巳君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                自見はなこ君
                鶴保 庸介君
                藤井 基之君
                宮島 喜文君
                伊藤 孝江君
                三浦 信祐君
                足立 信也君
                浜口  誠君
                石橋 通宏君
                難波 奨二君
                倉林 明子君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
       発議者      石橋 通宏君
       発議者      浜口  誠君
   国務大臣
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
   副大臣
       厚生労働副大臣  牧原 秀樹君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       田畑 裕明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   政府参考人
       内閣府子ども・
       子育て本部審議
       官        川又 竹男君
       厚生労働省労働
       基準局長     山越 敬一君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       田中 誠二君
       厚生労働省職業
       安定局長     小川  誠君
       厚生労働省雇用
       環境・均等局長  宮川  晃君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇働き方改革を推進するための関係法律の整備に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
〇労働安全衛生法の一部を改正する法律案(石橋
 通宏君外五名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(島村大君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、柳田稔君、徳茂雅之君及び三木亨君が委員を辞任され、その補欠として足立信也君、青山繁晴君及び鶴保庸介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(島村大君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長山越敬一君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(島村大君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(島村大君) 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小林正夫君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の小林正夫です。
 今日も、六月十九日の質疑に続きまして、働き方改革実行計画について質問をいたします。
 資料のお手元の一枚目を見ていただきたいと思います。これが政府が示している働き方改革実行計画であります。黄色の線を引いたところは、前回、大臣と質疑をさせていただいたところであります。今日は、水色の部分の賃金引上げと労働生産性向上、この項目について一点質問をいたします。
 この内容によると、賃金引上げと労働生産性向上が示されていて、賃上げがしやすい環境の整備がうたわれております。具体的に、大臣、どういうふうにやって賃金上がるような環境をつくっていくんでしょうか。
#7
○国務大臣(加藤勝信君) 賃金等についての言わば体系そのものも含めて労使でお決めいただく、これは基本原則ではありますが、そうした中で、働き方実行計画でお示しをさせていただいていますが、過去最高の企業収益を継続的に賃上げにつなげ、経済の好循環を確実にしていくこと、これが重要だというふうに考えております。
 このような認識の下、昨年十月、総理から経済界に対し三%の賃上げ期待が表明され、本年の春季の労使交渉においても、多くの企業で五年連続となるベースアップが行われ、その水準も大半で昨年を上回っているところであります。
 また、最低賃金については、年率三%程度を目途として引き上げ、全国加重平均千円を目指すとの方針の下、近年大幅な引上げを実現しておりますが、一昨日から本年の中央最低審議会の審議もスタートしております。こうした点も踏まえて御議論いただきたいと考えております。
 また、賃金引上げに向けて、政府を挙げてあらゆる施策を総動員し、環境整備を進めていきたいと考えておりますが、厚生労働省としては、中小企業・小規模事業者の賃上げ、生産性向上に向けたICT化などの設備投資やコンサルティングなどの費用助成、介護、飲食、宿泊、医療、保育などの分野でのICT利活用や業務改善の促進などの生産性向上に向けた支援を進めているところであります。
 また、政府内においても、野上官房副長官を議長とする中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議も開催をしており、そこの議論を通じて、最低賃金引上げの影響が大きい業種の収益力向上に向けた「稼ぐ力」応援チームセミナーの全国展開、労務費上昇の適切な取引対価への反映など下請企業の取引条件の改善など、賃上げがしやすいこうした環境の整備、これに向けて、厚生労働省はもとよりでありますが、関係省庁とも連携をして取り組んでいきたいと考えております。
#8
○小林正夫君 今大臣答弁があったように、賃上げ交渉はそれぞれの労使間で行っていくと、これはもう大原則ですから、そのことは承知をしております。
 ただ、今回の働き方改革によって、労働基準法が変わったり、いろんな働き方の環境が変わっていきますので、私は、労働密度が相当濃くなってくると、このように思っております。したがって、労働密度が濃くなって、働く人が頑張っている、そういうものに応えられるような賃上げがしっかりできるような、労使協議でもちろん交渉するんですが、ある程度限界がありますから、政府が周りの環境をきちんと整えていく、このことが必要だと思いますので、改めて大臣に、今答弁された方向をしっかり実現していってもらいたいと、このことを要望しておきたいと思います。
 そして、資料の二枚目を見てください。これは、今回、働き方改革で八本の法案が提出をされていると、こういう一覧の表を厚生労働省からいただいております。そこで、八本の法案が束ねられていて、この八本の中に労働契約法だとかパートタイム労働法、労働者派遣法等の改正があって、労働契約法からパートタイム労働法に移す内容も盛り込まれています。また、高度プロフェッショナル制度創設に関わる労働基準法の改正もありますので、何点かこの点について大臣と確認をさせていただきたい、このように思います。
 まず初めに、加藤大臣は、今回の働き方改革の趣旨について、働く方がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を実現するものと述べております。特に、労働基準法、七十年ぶりの大改革であり、過労死を二度と繰り返さないためにも、働く方の視点に立って進める必要があると、このように申しております。しかしながら、今回の法案は、高度プロフェッショナル制度が盛り込まれており、これは経営者のニーズに基づくものであり、とても働く方の視点に立った私は改革とは言えないと、このように思っております。
 また、これまでの審議の中で、法案の重要な事項の多くが省令や指針に委任されている、こういう状況が判明いたしました。法案の肝腎な部分について国会で議論することができず、大変私は遺憾に思っております。これらの制度の詳細は、法案成立後に労働政策審議会で議論されることとなりますけれども、その検討に当たっては、これまでの審議をしっかり踏まえていただく必要があるとともに、いま一度働く方の視点に立って検討が行われるべきであります。
 この制度の詳細については、このような認識の下で検討がなされていくと、こういう理解でよろしいでしょうか。
#9
○国務大臣(加藤勝信君) これまでも申し上げておりますように、働き方改革は、ワーク・ライフ・バランスの改善、あるいは、正規、非正規間の不合理な待遇差の解消などを通じて一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現し、そして、それに当たっては働き手あるいは働くという立場に立って進めていくと、こういうこと、これまで申し上げてきたところでございます。
 今後、省令、指針、これ基本的な考え方等はこれまで労政審で議論されてきた部分等のお示しもさせていただいたところではありますが、いずれにしても、具体的には労働政策審議会で議論していただくことになっております。その際には、今申し上げた今回の働き方改革を進めていく趣旨はもとより、この当委員会でいただいた御意見、御指摘、これらを踏まえて議論をしていただくように我々としても労政審にお願いをしていきたいと思っておりますし、そういう姿勢で取り組みたいと思っております。
#10
○小林正夫君 次に、確認したいと思います。
 六月十四日のこの質疑でも私は触れましたけれども、六月一日にあった二つの最高裁判決は、期間の定めによる不合理な待遇差を禁じた労働契約法二十条についての初めての最高裁判決でした。これは、不合理性の判断の枠組みを示した大変重要な意義を持つ判決だと私思っております。
 今回の同一労働同一賃金の法整備では、この労働契約法二十条を削除して、パート法八条に移すという法的アプローチが取られています。さらに、パート・有期法八条と平仄を同じくして労働者派遣法も改正するとしております。この法的アプローチに関して幾つか確認をしたいと思います。
 まず、パート・有期法八条の法的効果について質問をいたします。
 今回の同一労働同一賃金の法整備では、「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、」「不合理と認められるものであってはならない。」という労働契約法二十条が削除されます。
 その上で、短時間労働者の不合理な待遇の禁止を定めたパート法八条に移して、事業主は、その雇用をする短時間・有期雇用労働者の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇間において不合理と認められる相違を設けてはならないとなります。これにより、有期契約労働者に関わる不合理な待遇の禁止規定が、純然たる民事法規の労働契約法からパート法に移されます。そして、条文の主語も事業主はに変わって、比較対象も通常の労働者となります。
 そこで質問なんですが、六月一日の最高裁判決では、労働契約法二十条について、同条の規定は私法上の効力を有するものと解するのが相当であり、有期労働契約のうち、同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となるものと解されるとしました。この解釈は、行政としても、パート・有期法八条についても同様という認識でよいのか、確認をしたいと思います。
#11
○国務大臣(加藤勝信君) 今、小林委員御指摘のように、今回の改正法案では、現行の労働契約法第二十条をパート・有期労働法第八条にこれは統合させていただいております。この現行の労働契約法第二十条については、今月一日の最高裁判決において御指摘のような判例が示されたというふうに承知をしているところでありまして、まさにこうした判例を積み重ねていくということは非常に大事なことだと思っております。
 また、パートタイム労働法第八条については、これまでも施行通達において、本条は労働契約法第二十条に倣った規定であるということが明文化、明示されているところであります。
 今回の法案による改正後のパート・有期労働法第八条の規定は、現行の労働契約法第二十条と同様の効果があるものと認識をしておりまして、お尋ねの点については御指摘のとおりという理解をさせていただいております。
#12
○小林正夫君 そうすると、大臣、今の解釈は、派遣先に雇用される通常の労働者と不合理と認められる相違を設けてはならないとした労働者派遣法三十条の三第一項も同様であるということでよいか、確認します。
#13
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の法案による改正後の労働者派遣法第三十条の三第一項は、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の間の不合理な待遇差を禁止するものであり、パート・有期労働法第八条と同様の趣旨のものであります。労働者派遣法第三十条の三第一項は、パート・有期労働法第八条としたがって同様の効果があるものと認識をしており、お尋ねの点についても御指摘のとおりというふうに認識をしております。
#14
○小林正夫君 次に、パート・有期法八条における不合理な待遇差の立証責任について確認をさせていただきたいと思います。
 立証責任の問題は、働き方改革実現会議などでも議論となったと伺っております。つまり、不合理な待遇差の是正を求める労働者側のみが立証責任を負うのか、それとも、労使双方が待遇差の不合理性の立証責任を負うのかという点であります。この点、さきの最高裁判決では、立証責任について、相違が不合理であるとの評価を基礎付ける事実については、該当相違が同条に違反することを主張する者が、当該相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については、当該相違が同条に違反することを争う者がそれぞれ主張立証責任を負うものと解されるとして、労使双方が主張立証を行うという解釈が示されました。
 この点について確認ですけれども、この最高裁の立証責任に関する解釈は、政府としても、パート・有期法八条についても同様という理解でよいかどうか、確認をいたします。
#15
○国務大臣(加藤勝信君) 現行の労働契約法第二十条については、今お話があった最高裁判決において、立証責任に関し労使双方がその立証責任を負うということが示されたというふうに承知をしております。
 今回の法案による改正後のパート・有期労働法第八条の規定は、先ほども申し上げましたが、現行の労働契約法第二十条と同様の効果があるものと認識をしておりますので、この立証責任についても、お尋ねの点については御指摘のとおりというふうに認識をしております。
#16
○小林正夫君 そうすると、今の解釈は、労働者派遣法三十条の三第一項も同様であるということでよいでしょうか。
#17
○国務大臣(加藤勝信君) 労働者派遣法第三十条の三の第一項についても、先ほど申し上げたとおり、パート・有期労働法第八条と同様の効果があるというふうに認識をしており、お尋ねの点については御指摘のとおりということでございます。
#18
○小林正夫君 次に、いわゆる均等待遇を定めたパート・有期法九条と、派遣法三十条の三第二項の法的効果について確認をしたいと思います。
 パート・有期法九条は、通常の労働者と職務の内容及び職務の内容及び配置の変更の範囲が同一の短時間労働者、有期契約労働者の待遇は、短時間・有期雇用労働者であることを理由として差別的取扱いをしてはならないとした規定であります。他方、派遣法三十条の三第二項は、派遣先に雇用される通常の労働者と職務の内容と職務の内容及び配置の変更の範囲が同一の派遣労働者の待遇は、正当な理由がなく不利益なものにしてはならないとしたものであります。
 両規定は、同じいわゆる均等待遇を定めた規定であるものの、規定ぶりが今言ったように異なっております。
 この点について確認ですけれども、両規定については、行政としても同じ均等待遇規定であり、かつ私法上の効力を有する条文であると考えているのかどうか、確認をいたします。
#19
○国務大臣(加藤勝信君) 今、小林委員御指摘のとおり、今回の法案による改正後のパート・有期労働法の第九条と労働者派遣法第三十条の三第二項では規定ぶりが異なっているところであります。
 労働者派遣法第三十条の三第二項において差別的取扱いという文言を用いていないのは、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者の待遇を決定する立場にないということによるものであり、この規定の趣旨は、パート・有期労働法第九条と同様であるというふうに考えております。
 したがって、労働者派遣法第三十条の三第二項、パート・有期労働法第九条のいずれについても、いわゆる均等待遇規定であり、また私法上の効力を有するものであるというふうに認識をしておりますので、お尋ねの点については御指摘のとおりということでございます。
#20
○小林正夫君 次に、高度プロフェッショナル制度に関して二点確認をしたいと思います。
 まず、改正労働基準法第四十一条の二第一項第四号に規定する高度プロフェッショナル制度における健康・福祉確保措置についてであります。
 同号に定める高度プロフェッショナル制度の健康・福祉確保措置は、制度の適用条件であり、対象業務に従事する労働者に対し、一年間を通じ百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日を該当決議及び就業規則その他これに準じるもので定めるところにより使用者が与えることが義務となります。
 この一年間を通じて百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日は、年次有給休暇のように労働者から請求があれば休日を与えなければならないというものとは異なって、制度の対象労働者に確実に休日を取得させることが必要と考えますけれども、このような理解でよろしいのかどうか確認をいたします。
#21
○国務大臣(加藤勝信君) 改正後の労働基準法第四十一条の二第一項第四号に規定する健康確保措置は、高度プロフェッショナル制度の適用要件であります。一年間を通じ百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日を確実に取らせる必要があるということであります。
 したがって、これらの休日を与えていない場合には、改正後の労働基準法第四十一条の二第一項第四号に規定する措置を講じたことにはならず、休日を与えることができないことが確定したときから制度の適用は認められないということでありますので、今委員御指摘のように、これは請求ベースではなくて、確実にこの休日を与えなければならない、こういう規定であります。
#22
○小林正夫君 関連してもう一点質問します。
 同じく改正労働基準法第四十一条の二第一項第四号に規定する四週間を通じ四日以上の休日を使用者が与えることについて確認したいと思います。
 四週間を通じ四日以上の休日については、例えば、月初めに四日の休日とし、翌月の月末に四日の休日とすると本人が希望すれば、理論上は四十八日連続勤務ということも考えられます。こうした休日の配置がなされた場合は、対象労働者の働き過ぎが大変懸念をされます。
 しかし、高度プロフェッショナル制度において、対象労働者に四週間を通じ四日以上の休日を与えることが使用者の義務とされた意義は、制度の対象となるような人たちが仕事への強い責任感などから働き過ぎてしまうことに対してどのように歯止めを掛けるのかという点にあると私は考えております。この点について確認をいたします。
 改正労働基準法第四十一条の二第一項第四号の四週間を通じ四日以上の休日について、月初めに四日の休日とし、翌月の月末に四日の休日を配置することは四十八日連続勤務という働かせ方、働き方を招きかねず、対象労働者の働き過ぎに対して歯止めを掛ける同号の趣旨からも望ましくないと、こういう理解でよろしいかどうか確認をいたします。
#23
○国務大臣(加藤勝信君) 高度プロフェッショナル制度は、仕事の進め方や働く時間帯などを自ら決定する働き方の選択肢として整備するものであり、その前提として健康がしっかり確保されているということが大変重要であります。この点で、今お話しのように過度に疲労が蓄積するような連続勤務は望ましいものではありません。
 これらのことを踏まえ、また今委員から、その四十八日連続勤務という働き方を招きかねないという等々の御指摘もこの委員会から頂戴いたしているところでございますので、この高度プロフェッショナル制度で働く方における年間百四日以上、かつ四週間を通じ四日以上の休日については、確実に取得されるよう労働者本人が年間を通じた取得予定を策定して使用者に伝えることが望ましいこと、また、その際、疲労の蓄積を防止する観点から適切に取得することが重要であること、そしてその旨が使用者や労使委員会によりあらかじめ周知されることが望ましいこと、こうした点を指針に規定をし、その旨を徹底するという方向で対応していきたいと考えております。
#24
○小林正夫君 高度プロフェッショナル制度については、いろんな課題がこの委員会でも指摘をされております。その中の一つに、四十八日間連続で勤務ができちゃうじゃないか、このことに対する懸念が、私たち何度となく大臣の方に答弁を求めてまいりました。したがって、今大臣から答弁がありましたけれども、要は疲労が蓄積しないような働き方をさせていかないと私は今回の働き方改革の目的にそぐわないと、このように思います。
 したがって、是非、今大臣答弁がありましたけれども、そういうことが生じないように指針に規定しと、このようなことを答弁されましたので、要は働き過ぎで過労死だとか過重労働にならないようにしっかりこの対応をしていってもらいたいと、このように思いますけど、改めて大臣の考え方をお聞きします。
#25
○国務大臣(加藤勝信君) その旨を指針に規定をするということは、それにのっとって決議等にも反映をしていただくということでございますし、実際それにのっとった運用がなされていけるように我々としても様々な形で指導等、これに当たっていきたいと考えております。
#26
○小林正夫君 今回の働き方改革の法案は時間外の上限規制をしていくと、このことは私は理解をしているつもりです。その一方で、高度プロフェッショナル制度は、働いた時間の管理ができにくい、そして今言ったように法的には四十八日間連続で勤務ができちゃうという、こういうような内容になっていますので、働く労働時間を抑えていくという法律とそこを外しちゃうという法律が混在をしているので、私は非常に心配しているところであります。そういう意味で、改めて高度プロフェッショナル制度はやはり撤回をしていくべきだと、このように強く大臣の方に申し入れておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 今日は厚生労働省に来ていただきました。中小企業で働く人の割合は全労働者のうちのどのぐらいの割合になっているんでしょうか。
#27
○政府参考人(山越敬一君) 我が国の雇用の七割は、今御指摘をいただきました中小企業・小規模事業者において働いておられる方であるというふうに承知をしているところでございます。
#28
○小林正夫君 そこで質問したいんですが、大臣、当初、働き方改革を検討していく過程で案があった、それに対して、中小企業に対する時間外上限規制を当初案から一年先送りにしたと、このようなことがあったと思います。
 今、厚労省から答弁があったように、中小企業で働く人たちの割合は全労働者の七割を占めていると、こういう状況です。
 そこで、中小企業の皆さんも長時間労働など大変労働環境も悪いという、こういう環境があるので、働く人全体の労働条件改善のために今回の法案が出されて、働き過ぎないように時間規制をしていくと、これが目的だったと思いますけれども、一年先送りにするというこのことで労働環境が、中小企業遅れるわけですから、そのことに対して大臣はどのような所見を持っているんでしょうか。
#29
○国務大臣(加藤勝信君) 今回のこの法案を進めるに当たって、我が国の雇用の七割を担う中小企業・小規模事業者、またそこで働く方々における長時間労働の是正を始めとした働き方がしっかりと進んでいく、これは非常に大事なことであります。
 中小企業・小規模事業者においては、法令に関する知識や労務管理体制が現行において必ずしも十分ではないという御指摘もいただいております。したがって、施行まで十分な準備期間を確保する必要がある。そして、実際、これ上限規制、具体的な罰則も掛かってきているわけでありますから、そういった点も踏まえて、法案要綱よりも一年延期をして、平成三十二年の四月一日と、こういうことにさせていただいたところであります。
 しかし、その施行する時期は一年遅れますけれども、しかし、その段階からもう既に法律が施行されるわけですから、それに向けての準備をしっかり進めていく必要が当然あるわけであります。
 したがって、今回、全国に設置する働き方改革推進支援センターを中心にまずこの今回の法改正の趣旨や内容の理解の促進を図り、また、様々な中小企業や小規模事業者で具体的にこうやったらうまくやっていますよという好事例や、あるいはそれに対する支援策も我々いろいろ用意をしておりますから、そういったことに対して説明をしっかり行っていきたいと考えております。
 また、今年度より全ての労働基準監督署に特別チームを新たに編成し、専門の労働時間相談・支援班というものを設置をしておりますので、そうした支援班を通じてもきめ細かな相談支援を行っていきたいと思っております。
 いずれにしても、先ほど申し上げたように、中小企業が罰則付き上限規制が施行されるまでにしっかり対応、その準備ができるように、この施行までの間においても労働環境の整備に着実に取り組んでいただけるよう、我々としても様々な支援あるいは指導あるいは説明会など対応させていただきたいというふうに考えております。
#30
○小林正夫君 この問題は、ちょっと過去を振り返りますと、時間外の割増し率の審議をしたときに、中小企業については猶予期間を設けると、こういうことになって、相当時間が経過をしてまいりました。
 今回の法案の中に、これをきちんと是正していく、中小企業の皆さんも一か月六十時間以上時間外の場合については割増し率を五割にしていくと、こういう法案入っていますので、やっとここまで来たという感じなんですね。
 だから、あのときに私たち主張したことは、労働基準法がダブルスタンダードになってしまった。で、大企業の皆さんはこういうルール、中小企業の皆さんは割増し率の改定ができなかった。それがもっと早く私は改善できるんだと思っていたんですが、相当時間が掛かって今日の提案になった。
 私は、この提案自体は当然いいと、このように判断をしているんですが、今回の、今言った、要は時間外の上限規制を一年先送りにしたことが更に先送りになっていくことはないのかどうか、この辺について、大臣、どうですか。
#31
○国務大臣(加藤勝信君) これは、今、特に働き手を確保するのは大変な難しい状況でありますから、明らかに大企業と中小企業の状況が違うと、なかなか中小企業・小規模事業者の皆さん方が働き手を確保するということも非常に難しくなる、そういったことも含めて条件は同じにしていくことは大事だと。
 ただ、中小企業・小規模事業者、様々な事情がありますから、その事情を無視してというか、それを考慮せずに全く大企業と同じことを同じようにやれというのは難しいということで、これまでもいろんな議論があった。そして今回、五年先送りも、中小企業の時間外の割増しの猶予、これも今回廃止をすると。ただ、それにも少し時間的な猶予をいただいておりますけれども。
 大事なことは、そうしたことが対応できる体力なり体制をまずしっかりつくってもらう、それにしっかりと我々も努力をしていく。しかし、当然いつからという具体的なスケジュールの目安がなければなかなかそれも進まないところもありますから、今回は具体的な長時間労働の罰則規定はこの時期からです、あるいは適用猶予もこの時期で廃止しますよということを具体的に明示する中において、今申し上げた努力を、我々もそうした取り組む環境が進める努力をすることによって具体的に実現させていきたいというふうに思っております。
 そういう意味で、今委員御指摘のように、そのスケジュールが更に延びるのではないかということについては、私どもは今提案させていただいているスケジュールでしっかりやらせていただきたいというふうに考えております。
#32
○小林正夫君 確かに中小企業の皆さん、大変厳しい環境の中で経営をされていると、こういう実態もあることは私も承知をしております。
 そこで、一、二点で結構なんですが、中小企業対策、当然これをした上でいろんな施策を、今言った今回提案されたこともやっていくということになるんですが、特に安倍政権として、この中小企業対策について、ここが特徴でこういう対策をやれば今言ったような労働環境が整備できるんだと、この中小企業対策について何点か説明をいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(山越敬一君) 中小企業・小規模事業者でございますが、こういった事業者におきましては、法令に関する知識あるいは労務管理体制が必ずしも十分でないということがございますので、大臣から御答弁がございましたように、こういったことを支援するということで働き方改革支援センターを設けてきめ細やかな支援をしていくということにしております。
 それとともに、こういった中小企業・小規模事業者の労働時間等の改善を図っていくためには、同時にその取引環境などの改善を図る必要がある場合もございますので、これにつきましては関係省庁とも連携をいたしまして、例えばトラック事業者であればその荷主を含めた対策を講ずるとか、そういった対策も併せて行うことといたしているところでございます。
 あわせて、この中小企業がこういった働き方改革を進めていくためには、生産性の向上を図っていくということが同時に必要でございますので、こういったことにつきましても関係省庁連携をいたしまして必要な支援をしていくということで、様々な観点からこういった働き方改革に中小企業あるいは小規模事業者が取り組めるよう関係省庁連携をいたしまして支援をしていくということで取り組んでいるところでございます。
#34
○小林正夫君 是非、まあセット物だと思います、中小企業対策をやった上で中小企業の今言った労働条件をきちんと整備していくということで。
 先ほど大臣、中小企業における時間外上限規制について五年後と、このようにおっしゃったということでよろしいでしょうか。私の聞き間違えかどうか、ちょっと確認いたします。
#35
○国務大臣(加藤勝信君) いや、中小企業の時間外は全体ですと一年後ですね。五年後と申し上げたのは例の割増し賃金の適用猶予、これが、ごめんなさい、三年後でございました。失礼しました。適用猶予が三年後ということで、済みません、訂正させていただきます。
#36
○小林正夫君 分かりました。
 最後の質問になりますけれども、私は今回の法案、先ほど言ったように、時間外の上限を抑える、高度プロフェッショナル制度が入ってくる。本当にこれで、働き方改革全体のこの法案を見て、働く人の安全と健康が守れるのかどうか。私は、働く人の安全と健康を守ること、そして、労働災害がなくなって企業の業績が上がっていく、このことが働き方改革の目的だと、私はこのように理解をしているんですが、今言ったように異なる混在が今回の法案に入っているので、大臣、正直なところ、この法案で働く人の健康だとか安全が守れると大臣本当に思っているんでしょうか。確認しておきます。
#37
○国務大臣(加藤勝信君) これまでも御説明させていただいておりますように、この働き方改革は、ワーク・ライフ・バランスの改善や正規、非正規間の不合理な待遇差の解消などを通じて、一人一人の事情に応じた多様な働き方が選択できる社会を実現していく、こういう観点で取り組ませていただいております。
 上限規制についても、要するに時間外について罰則規定を設けるということによって、まさにフルタイムの正規で働く方々についても、要するに時間外で仕事が終わるという選択肢がよりはっきりしてくれば、これまで残業があって、それはとてもできないねと。しかし、本当に時間どおり終わるのであればそういった選択もできるということで、これまで選択の対象にしていなかった方々もそういったものも選択の対象になっていく。
 あるいは、同一労働同一賃金についても、それぞれの制約の条件がある、その中で選ばざるを得ないけれども、やっぱり処遇等については不合理な部分を感じていた。しかし、そういった不合理さを解消していくことによって、その人により合った選択が可能になってくる。
 また、この高度プロフェッショナル制度においても、これは当然合意があったり様々な要件があるわけでありますけれども、そうした方々について、より自分の自律性にのっとって、より創造性の高い仕事ができる、まさにそういう選択肢をそれぞれの事情に応じて提供できる、これを目指して我々は提案をさせていただいております。
 その中で、もちろん、ここでも御指摘いただいたように、そうした働き方の中において健康を害することはないのか、あるいは過労死に行くことはないのか、こういう御指摘はいただいているわけでありますから、それに対して、この法案の中において、例えば高プロにおいても様々な健康確保措置等を盛り込ませていただいております。そうした措置等が確実に実行され、仮に高プロ等で働いた方においてもそうした過労死等が起こらないような対応をしっかりと取っていきたいというふうに考えております。
#38
○小林正夫君 以上で質問を終わります。
#39
○石橋通宏君 立憲民主党・民友会の石橋通宏です。
 今日もこうして引き続き法案審議させていただいているわけですが、大変残念ながら、今日委員会自体は二時間の設定ということで、私自身も今日二十五分だけ時間をいただいております。せっかくの機会、本来ならばまだたくさん議論すべき課題があります。審議を続けたいということも含めて、思いも述べながら、時間ありませんので早速質問に入りたいと思います。
 大臣、これまでの質疑、いろんなやり取り、大臣もこの場で問題意識を共有していただき、残念ながらまだ整理されていない事柄たくさんあることも含めて御認識をいただいてきているのではないかなというふうに思います。政治家のやり取りです。この場でまた改めて幾つか質問させていただきますので、明快な大臣の御答弁、御説明、御決意を是非聞かせていただきたいというふうに思います。
 今日は、初めに、裁量労働制についてお聞きします。
 今回、もう言うまでもなく、裁量労働制データの偽造問題等々含めてすったもんだがありました。ただ、大事なのは、大臣、まず現行の裁量労働制、これもそもそも、裁量がある、自由な働き方だ、そういう趣旨で導入されたはずです。でも、今現に裁量労働制の適用労働者で過労死が起きています。健康被害が起きています。
 大臣、まず、この裁量労働制でこういった問題が発生している、そのことについては認識をされているということでよろしいですか。
#40
○国務大臣(加藤勝信君) 裁量労働制については、時間配分や仕事の進め方を働く方の裁量に委ね、自律的で創造的に働くことを可能にしようと、そういった趣旨で設けられた制度であります。しかし、今委員御指摘のように、制度の不適切な運用等によって、長時間労働により対象労働者の方の過労死の事案が発生をしている、その事実をそれは我々もしっかり認識をさせていただいておりまして、そうしたことがあってはならないということであります。
 実際、裁量労働制の適用を受けていた方の過労死事案等の中を、これ全部網羅的に分析しているわけではありませんけれども、みなし労働時間に比べて実労働時間が相当程度長くなっていると、そういったことが長時間労働に結び付き過労死につながっている、こういったものも認められているわけでありますので、そういった意味において、こうした本来の趣旨に沿ってこの裁量労働制がしっかり運用していけるように、仮に不適正な運用等の情報があった場合等も含めて法違反が疑われる事業場に対してはしっかり監督指導等を行っていきたいと考えております。
#41
○石橋通宏君 過労死、健康被害の実態がある、認識をされている、そしてそれは、現場で不適切な運用が、本来の趣旨と違う不適切な運用がある、大臣、そういう認識はあると御答弁です。であれば、なぜその不適切な運用が可能になっちゃっているんですか。心ない使用者、企業が、そういった濫用、悪用、この制度使っている。それによって労働者が命奪われているわけです。
 大臣、その認識があるのであれば、なぜ、この働き方改革法案において、今回の取組において、そこに蓋しないんですか。何で適正な規制強化を図らないんですか。何でその部分を撤回しちゃったんですか。今この瞬間に失われる、奪われる命があるかもしれないじゃないですか。なぜそこにちゃんと対応、今しないんですか、大臣。すべきじゃないですか。
#42
○国務大臣(加藤勝信君) まず一つは、そういった御指摘あるいは実態を踏まえて、本年二月から全国一斉に広く適正化に向けた自主点検を実施したところでありまして、現在、自主点検結果の取りまとめを行っているところでありますけれども、その結果を踏まえて、裁量労働制に対する重点的な監督指導を実施をしていきたいというふうに考えております。
 それから、今、裁量労働制についてありました。これ、私どもが、本来比較すべきでないものを比較する等々、裁量労働制に対する国民の皆さんの信頼、改正に対する信頼を揺るがした。こうした事態があって全面的に削除したわけでございまして、この点は我々もしっかりと反省をしていかなきゃならないと思っております。
 その上に立って、総理からの御指示もありますけれども、改めてその実態を把握をしていくということで、専門家の方々、これには労使の方にも入っていただきたいと思っておりますけれども、改めて実態の把握等に努め、それを踏まえてまた労政審において裁量労働制の在り方について議論をしていただく、こういうふうに考えているところでございます。
#43
○石橋通宏君 大臣、なぜ今そういう問題が発生しているか。監督制度が機能していないからでしょう。監督制度だけで対応できないから、残念ながらそういう事案がある。つまり、制度の欠陥なんです。制度の欠陥は制度の適正化を図らなかったら是正されません。監督指導が残念ながら機能していない、それで監督指導で対応する、それでは駄目なんです。だから我々は言っている。我々がこの問題を繰り返し指摘してきたのは、高プロ制度が現行の企画業務型制度をそのまま使っちゃっているからですよ。
 大臣は何度も、安倍総理も、本人同意があるから大丈夫だ、同意の撤回もあります。大臣、企画業務型だって本人同意はあるんです。同意の撤回も省令で規定されているんです。で、何で、それがあるから大丈夫なのであれば、過労死が起こるんですか。本人同意している、何で過労死が起こるんですか。同意の撤回もできる、嫌ならやめればいい。いや、でもやめられなくて命の問題が発生しているじゃないですか。何でそれをそのまま引っ張った高プロは大丈夫だと言えるんですか。
 大臣、企画業務型の同意、不同意の、撤回も含めて、手続の厳格化、規制強化、これ即刻やらなければいけない。それは是非大臣の指示で、即刻やろう、そういう決意を今ここで言ってください。
#44
○国務大臣(加藤勝信君) 裁量労働制について、労使委員会において対象労働者の同意を得なければならないこと、また、当該同意をしなかった労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことを決議する、こういうことになっている。これは今委員御指摘のとおりであります。
 実態、そういう中で、残念ながら過労死の事案もございます。我々としては、労働基準監督署の監督指導において裁量労働制の適正な運用がなされているかを確認し、御指摘の点も含めて、不適正な運用がある場合には必要な指導を行っているところではあります。
 裁量労働制については、先ほど申し上げた、今後改めて実態把握をしっかり行うこととしておりますけれども、御指摘の本人同意の状況も含めて、この調査、どういった形で調査をしていくのかということをしっかり議論をさせていただきたいと思っておりますし、その上で、改善を要する点も含めて、制度の在り方そのことについては労働政策審議会で御議論をいただきたいというふうに考えております。
#45
○石橋通宏君 指導を行っている、指導を行ってきた、でも駄目だからこういう指摘をしているんです、大臣。
 本来であれば、安倍総理があのときに、裁量労働制の適用拡大撤回せよ。いや、大臣が抵抗しなきゃいけないでしょう、適正化の部分は守らせてくれと、これは今必要なんだと、働く者の命を守るんだと。適用拡大は撤回してもいい、でもそれ以外はやらせてくれと抵抗したんですか、大臣。それがあなたの役割です。恐らくは、はい、そうですかと。私が予算委員会で大臣に、何を撤回したのか御存じなんですか、残念ながらちゃんとした答弁はあのときもいただけなかった。恐らく大臣も何を撤回したのか御存じなかったのではないかと、それすら疑われます。
 改めて、大臣、これは大事な問題です。本当に働く者の命を守る厚生労働大臣なのであれば、現行制度の欠陥、問題点、即刻埋める、その努力を是非やってください。それは重ねてお願いしておきたいと思います。
 その上で、高プロの話をします。
 高プロがそういう裁量労働制の制度的な欠陥をそのまま引きずっている、だから僕らは駄目だと繰り返し申し上げています。もう重ねてこれ、何度もいろんな論点、問題点、質疑しましたが、残念ながら、厚生労働省の答弁が曖昧、聞くたびに違う、変わる、まだ議論していない、これから考えます、そんなのばっかりです。これだけ大事な中身なのに、今この段階においてそういう状況にある。これ、大臣の責任です。
 私が取り上げてきた問題、年収要件一千七十五万円何がしになる、でもそこに実は手当まで含まれてしまう。通勤手当、家族手当、場合によっては住居手当、決まって支払われるというものであれば、名目のいかんにかかわらず含まれてしまう。いや、それだったら、いろんなものごちゃ混ぜで含んじゃえば、込み込みで、もうみんなパッケージでこれだけだよ、基本給でいったら八百万下回る、場合によっては七百万下回る、そんな契約まで可能になってしまう。これが本当に大臣の言う強い交渉力のある高度に高度な人なのか、違うよね。そうしたら、聞くたびに厚労省の答弁が変わる。
 大臣、これ改めて確認します。これまでの答弁、行ったり来たりでした。もう一度確認します。本当に高度な職で、絶対に使用者に対して交渉力があって、何かしろと言われてふざけるなと言える、本当にそういう交渉力がある人がいるのであれば、幾らの年収要件で、そこには純粋にその人の専門職、専門性、プロフェッショナル、それが評価される、ほかの人以上の賃金が保障される、そうじゃないですか。大臣、そこに手当含んじゃっていいんですか。改めて確認をお願いします。
#46
○国務大臣(加藤勝信君) まずその前に、企画業務型裁量労働制のお話もありました。これは、当初、削除する前の議論でありますけれども、そうした規制面もあるということは、私は国会でも再三再四御説明はさせていただいているところであります。
 しかし、それらも含めてもう一度全面的に見直すということでありますので、先ほど申し上げたように、まず実態をしっかり把握をするということ、そしてそれを含めて労政審で御議論いただきたいということを先ほどから申し上げているところであります。
 それから、高プロについては、これは年収要件も含めて対象者を限定をしていくということで、業務の面も含めて、年収、あるいはジョブディスクリプション、さらには本人同意、そうした様々な要件を課しているわけでありますが、この年収については、これもここで御議論させていただきましたけれども、これまでの議論の中で、例えば有期雇用労働の単位を三年から五年にするという適用の場合には、交渉力のある者ということを前提に一千七十五万、こういう数字が出されてきている。そういったことも踏まえて、そして現行の平均給与との関係で三倍程度を相当上回る水準ということで議論をいただいた結果、今回の法案にその旨を書かせていただいているということでありますし、その水準については、今申し上げた有期の場合においても同様でありますけれども、名称のいかんにかかわらず、支払われることが確実に見込まれる賃金が全て含まれる、こういうふうに規定をされておりますので、高度プロフェッショナル制度についても同様の対応を考えているところでございます。
 したがって、委員が御指摘のように、基本給ということに限らず、先ほど申し上げた、名称にかかわらず、支払われることが確実に見込まれるその金額が、これまでの議論で一千七十五万という具体的な数字も出ておりますけれども、そういった水準以上であることを求めていくと、こういうことであります。
#47
○石橋通宏君 残念ながら、全く一歩も動いていない答弁でした。ごめんなさい、時間無駄に使いました。
 これ、改めて指摘をしておきます。今の大臣の答弁でいけば、もう現場の労使でいろんな手当含もうと思えば、それ決まっていると、含められてしまうと。先般、東委員の答弁には、地域手当は含んじゃいけないんだという答弁だった。何で今の答弁とそれが整合性が付くのか、全く分かりません。変動があるものは、いや、含めちゃいけませんと、昨日まではそう言っている。今の大臣には一言もそういう答弁がない。これが実態なんです。聞くたびに話が変わる。一体何なのか。こんなもの、本当に出してくるなと言わざるを得ません。
 前々回の質疑で、内閣法制局にお見えをいただいて、これも大臣と何度もやり取りしました。第四十一条の二第一項第一号、いわゆる対象業務、これ、法制局も明確に、事案次第だけれども、事案によっては対象業務自体が本来対象業務として認められるべきではない、そういうことが認定され得ると、その場合には一号に当てはまらない、対象業務にならないね、それは法制局がそういう扱いですと、これは明確に答弁されました。
 大臣、そういうふうな扱い、認定がされた場合には、当然、対象業務自体が一号の要件満たさなくなるわけですから、第一項の対象労働者を就けるべき対象業務がなくなるわけです。その場合には、対象労働者を就ける対象業務がなくなるわけですから、対象者全員含めてこれは高プロから外れて三十二条、三十七条に戻る、そういうことにもなり得る、それでよろしいですね。
#48
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどの年収については、これは従前から、支払われることが確実に見込まれる賃金は全て含まれると、こういうふうに申し上げて、そこは一貫して御説明をさせていただいているところであります。
 それから、今のお話、まさにその個々、法制局からもお話がありましたけれども、個々の事案におきまして要件を満たしているかどうかという事実認定ということでありますから、一号の対象業務自体が明らかに一号業務でないと、その対象の労働者がやっている仕事が明らかに一号業務でないということになれば当然適用除外になるということ、これはこれまで申し上げているとおりでありますし、法制局とも我々と見解何ら変わるものではないというふうに思います。
#49
○石橋通宏君 そういうふうに強弁されるでしょう、大臣。対象業務自体がなくなれば、当然、表現の仕方で大臣言われているのかもしれないけど、対象業務がなくなるわけですから、当然そこに就いている対象労働者全員対象業務から外れる、そうしたら、三十二条、三十七条に戻る、ただそれだけの話なんです。法制局の法制見解が、ここで答弁はっきりされておりますので、それでしっかりと今後運用されていくんだろうなというふうには思います。
 高プロ適用労働者、前回、福島委員が、女性の労働者はどうなるのか、出産、育児とかどうなるのか、そんな話も質問されました。大変大事な点です。
 確認しますが、まさか高プロ労働者、育休、出産休暇、これ拒否されるようなことはありませんね、差別されるようなことはありませんね。当然だと思いますが、確認です。
#50
○国務大臣(加藤勝信君) 高度プロフェッショナル制度の適用対象労働者であっても、これは他の労働者等と同じように、産前六週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合は就業させてはならず、また産後八週間を経過しない女性は原則就業させてはならない。また、育児休業も取得することが可能。これ、それぞれ法文がありますけれども。そして、これらを取得したことによる不利益取扱いに関する規定、これはまさに、それぞれの法文は、他の労働者と同様に高度プロフェッショナル制度の適用対象労働者にも適用されるということであります。
#51
○石橋通宏君 ここは明確に今答弁をいただいたと思いますが、じゃ、年収要件どうなりますか。三か月、六か月育児休業が取られるわけです。そうしたら、年収これ一千七十五万円以上、これは確実に支払われると見込まれるものということで労働契約を結ぶわけです。そうなった場合に、じゃ、この確実に支払われると約束をされた年収要件、これどういう扱いになるんですか。
#52
○国務大臣(加藤勝信君) これは、まず今お話があった育児休業は、御本人が取得をする希望を述べるか述べないかということでありますから、あえて育児休業を取らずにその間育児をしながらも働くという選択、これは当然高度プロフェッショナルの中ではできるわけであります。
 ただ、委員御指摘のように、これは、育児休業として私はこの期間休みたいということであって、それを申請された場合には、その期間は育児休業制度の仕組みにのっとった給与が支払われる。したがって、育児休業期間以外の時間について、これ一年間の中において当然その分だけ短くなるわけですから、それに応じた形で高度プロフェッショナル制度の支給金額というのは調整されると、こういうことになるわけであります。
#53
○石橋通宏君 ちょっと答弁はっきりしませんが、これ大臣、高プロは契約を結ぶときに成果で払われるんでしょう。こういう成果を上げると言って、こういう年収だ、それで契約するんですね。それで出産休暇を取る。本当にそれで使用者は、どうぞ、三か月でも六か月でもちゃんと出産休暇取ってください、そういうふうになりますか。いや、成果を上げると契約しているじゃないか、何で出産休暇取るのか、契約不履行じゃないか、そういうふうになったらどうするんですか、大臣。
 そういうふうになった場合には、これは明確に不利益取扱いだと、さっき触れていただいたけれども、絶対にそれは許さないと、そんなことは。当然だけれども、育児をしたい、育児休暇を取ってちゃんと育児をしたい、そういう希望される方が、絶対にそれは保障されなければならない、保障されるんだ、当然ですが契約の不履行にはならないし、させないし、そんなことを言ったら即刻、当然決議違反だ、使わせないんだ、処罰まで加えるんだ、そういうことでいいですか。
#54
○国務大臣(加藤勝信君) これ、今言った育児休業だけではなくて、基本的に、そもそも、じゃ、成果が上がらなかったから給料を下げていいかということにはならないということは、これまで御説明をさせていただいています。どういう状況であっても、約束をしていた確実に支払われる給料、もうこれは一千七十五万以上でありますけれども、少なくともそれはしっかり払っていただかなきゃならないということになります。
 ただ、育児休業の場合には、その方が育児休業を取るということを申請をされたということを前提に申し上げれば、その育児休業の期間というのは働いている期間から当然除外をされますから、その除外された部分に、その間は当然育児休業給付が払われます。したがって、それ以外の育児休業でない時間といいますか期間に見合った形が、例えば半年であれば、当初一年分の賃金、支払われる額は半分になると、これはそういう調整になりますけれども、その結果においてどうのこうの、それによって減らすとか上げる、それでは確実に支払う賃金ということの要件を満たさないということになるわけであります。
 それから、育児休業を取ったからあなた駄目だということ、これはまさに不利益取扱いそのものに該当するというふうに思います。
#55
○石橋通宏君 ここは大臣、多くの皆さんがこれ心配されています。是非、今大臣答弁されましたけれども、ここは本当に是非徹底していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 これ事前に聞いて、聞いてから、いや、余り考えておられなかったようで、ばたばた検討されているんです。もうこんなことばっかりなんですが、保育の必要量の認定、これどうされますか。
 社会保険の適用がそもそもあるのかと聞いたら、最初は、検討しておりませんでしたので、これから考えますという答弁でした。社会保険の適用すら分からない。雇用保険どうするのか、厚生年金どうするのか。いや、でも、慌てて検討いただいて、適用しますという答弁だったと思います。当たり前だと思いますが、これ確認です、適用するんですね。
#56
○政府参考人(川又竹男君) 保育の必要量の認定についてお答えを申し上げます。
#57
○石橋通宏君 いや、違う、雇用保険、社会保険の適用。
#58
○政府参考人(川又竹男君) 雇用保険の方でございますか。失礼いたしました。
#59
○国務大臣(加藤勝信君) それぞれ、雇用保険、あるいは健康保険、厚生年金、これは当然適用されるというふうに考えておりますけれども。
#60
○石橋通宏君 ここで当然適用されると、大臣、まあ読んでいただいて言っていただいていますが、そういう答弁、確認をさせてください。おとといまではそうでなかったので、言っておきます。
 保育の必要量も、これ改めて整理をいただいたと思います。これ、じゃ、高プロの適用労働者がお子さんを持たれる、保育の必要量の認定どうするのか。労働時間が分からないわけです、決まっていないですから。労働時間で認定される、でも申告すべき労働時間が分からない、自由ですからね。そうすると、どうやって保育の必要量が認定されるのか、され得るのか、現行の制度では全く当てはまりません。どうされるんですか。
#61
○政府参考人(川又竹男君) お答え申し上げます。
 市町村におきます保育の必要量の認定は、勤務状況あるいは就労実績など就労の実態を踏まえて判断がなされております。高度プロフェッショナル制度の対象となる労働者であっても必要な保育が提供されなくてはならず、保育の必要量の認定において不利に取り扱われることはあってはならないと考えております。
 具体的には、同制度におきます健康管理時間、あるいは本人からの申立てなどの情報も併せまして、就業の実態を把握した上で総合的に判断することになるものと考えております。
#62
○石橋通宏君 これ、またここでも申告してくださいと、御本人の申告ですと。でも、これから何時間働くかなんて分からないわけです。そういういろんな制度が実は時間とリンクしているんです、時間とリンクしている。じゃ、そういうものが高プロでどうなるのか、こういうことも整理をされないままこの法案審議が行われているわけです。そこが我々は大きな大問題だという指摘をさせていただいています。
 残念ながら、まだまだいろいろ用意をしておりましたが、時間ないので、もう一点確認しておきます。
 健康管理時間の実態、これ、前回、浜口委員が企画業務型裁量労働制の定期報告、六か月ごとの、私も更問いさせていただきました。高プロを適用する場合にも、これ、きちんと六か月ごとの定期報告、企画業務型であるわけですから、甚だ不十分だけれども、それを活用すれば、適正化すれば、実態、先ほど大臣が言われた基準監督官の調査、監督指導、その大きな貴重な材料になり得るわけです。じゃ、ちゃんと六か月ごとに報告をさせる、健康管理時間がどうなっているのか、健康確保措置、様々な施策がちゃんと行われているのか、ちゃんと報告させましょうよ、六か月ごとに。
 大臣、これやるんですか、やらないんですか。
#63
○国務大臣(加藤勝信君) 高度プロフェッショナル制度については、健康確保措置を確実に実施していただくことが重要でありまして、その実施状況を行政官庁へ報告すること、これは義務付けられております。
 この報告の頻度については、労政審においては、労使委員会の決議の届出を行った六か月後とされておりますけれども、健康確保措置の実施状況を労働基準監督署において適切に把握する観点から、詳細はこの労働政策審議会において法案成立後検討したいと思っておりますが、今委員御指摘のように、裁量労働制においても六か月ごとということになっているわけでありますから、そこを踏まえて検討していきたいと考えております。
#64
○石橋通宏君 ここは一歩前進していただいた答弁だというふうには思います。最初は六か月後に一回やればいいという話でした。でも、六か月後の状況だけでは絶対に分かりません、絶対に分かりません。だから、これ、本当に命を守るというのであれば、これ是非、今大臣言っていただいた六か月ごとに、企画業務型、しっかりとやっていただく。ただ、今の企画業務型も残念ながら、この間も答弁あったけれども、全部にやっておられないわけです、全部がやっているわけじゃない。そこも対策は講じる、考えると言っておられた。それと併せて、本当に真にそれが機能するように、これは大臣の責任においてちゃんと検討していただきたいということもお願いしておきたいと思います。
 時間来ましたので、これで終わります。済みません、今日も幾つも積み残しをしてしまいましたが、こういう状況の中で、私たちは、やっぱり高プロ制度、これだけ問題の多い、議論も尽くされていない、やっぱりこれ廃案にして、この高プロ撤回をして、もう一度ちゃんとやり直すべきだということは重ねて指摘をして、今日の質疑は終わりにさせていただきたいと思います。
 以上です。
#65
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 やっぱり、審議を通じまして、私は、この法案、立法事実も、そして提出根拠、これも崩壊していると思うんですよ。徹底審議の上、私は廃案にすることが立法府として取るべき態度だと申し上げたいと思います。本日の採決など到底認められないと、まず申し上げておきたい。
 質問です。労働時間の規制、これが国際的にどんな水準になっているのか、そしてこの法案はその水準から見てどうなのか、これ検証する必要があると思うんですね。今月開催されましたILO第百七回総会、ここでは労働時間法制について画期的な調査報告が行われております。労働時間や週休などの条約や労働時間短縮などの勧告という国際基準に照らして百二十四か国の現状を調査した、これ初めての一般調査報告書ということで伺っております。
 そこで、確認をさせていただきたい。この報告書の中で長時間労働というのはどういうことで定義がされているのか、御説明ください。
#66
○政府参考人(山越敬一君) 御指摘の労働時間に関する一般調査報告におきます長時間労働でございますけれども、一週間当たり四十八時間を超えて通常働くこととされております。また、非常に長時間の労働とは一週間当たり六十時間以上働くことと、それぞれ、これも定義されているところでございます。これに基づきまして、この労働時間に関する一般調査報告におきましては、各国の実情等が報告されているものと承知をしております。
#67
○倉林明子君 残業を含めて週四十八時間、これが長時間労働の定義なんですよ。超長時間労働、とても長い労働と、これが週六十時間なんですね。
 ちなみに紹介いたします。二〇〇三年に改正されましたEU労働時間指令、これによりますと、残業を含めて週四十八時間を超えてはならないと、こういう規定なんですよ。つまり、残業はおよそ週八時間、月三十二時間なんです。日本はどうかと。週十五時間、月四十五時間、この大臣告示になっているわけですね。こういう大臣告示さえも大幅に下回るというのがEUの当たり前と、これが世界水準であるということを私はしっかりこの法案審議の上でも押さえておく必要があるというふうに思っているわけです。
 そこで、この報告書ですけれども、表題は、未来のために人間らしい労働時間を保証するというふうにしているわけです。この中で、勤務間インターバルの規制が実施されている国の調査結果も報告がありました。これ、十一時間で規定している国、十二時間で規定している国、調査は百二十四か国が対象でありますけれども、何か国にそれぞれなっているのか、答弁してください。
#68
○政府参考人(山越敬一君) 諸外国の全てのインターバル規制について把握しているわけではございませんけれども、詳細な数字もまた把握していないところでございますけれども、今御指摘がありましたようなEU指令におきましては加盟国に原則として十一時間のインターバルを課しておりまして、実際に、ドイツ、イギリス、フランスといった国では十一時間のインターバルの規制を設けているというふうに把握をしております。また、スペインにおいては十二時間のインターバル規制を設けていると承知をしております。
#69
○倉林明子君 今の答弁聞いていて分かったんですけど、報告書見ていないですね。報告書確認できていないんじゃないですか。
 牧原副大臣、行かれたということだ。確認できますか。
#70
○政府参考人(山越敬一君) この毎日の最低休息時間を十一時間から十二時間と定めているということで、その例といたしまして、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、キプロス、チェコ、デンマークなどがこの報告書では掲げられているということでございます。
#71
○倉林明子君 報告書では国名がそれぞれ挙がっているんですよ。十一時間ということでいうと二十五か国です。十二時間は二十一か国あるんです。全て国名が記載されております。その中にはどういうものがあるかというと、十一時間では、ブラジル、そしてイラクあります。さらに、十二時間では、アゼルバイジャン、南アフリカ。つまり、発展途上国でも既に実施しているってことですよ。四十六か国で既にこのインターバルの規制が実施されているんですよね。
 本法案のインターバルは、時間の規定もなければ、努力義務にとどまるんですよ。歴史的な規制とされる罰則付きの上限規制、これは月百時間未満までを容認すると、こういうものですね。つまり、国際的な水準から見たら余りにも、余りにも低いんです。大臣の認識、どうですか。
#72
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員、二つのことをおっしゃっておられる。上限規制の話とインターバル規制のことですよね。
 まず、上限規制については、もう法案の中身は申し上げませんけれども、これまでこうした上限規制ができなかった、そしてさらに罰則を科す、そういった中において、労使において、実効性があり、それぞれの立場からぎりぎり実現可能なものとして合意をしていただいたわけでありますので、それに沿ってこれをつくらせていただいている。
 しかしながら、これまでも申し上げているように、これは上限であって、そこまで上げていいというものでは全くないわけでありますので、上限水準までの協定を安易に締結することを認める趣旨ではありませんし、また、可能な限り労働時間延長を短くするように、労働基準法に根拠規定を設け、新たに定める指針に関し、使用者及び労働組合等に対し必要な助言、指導を行うこととし、長時間労働の削減に向けた労使の取組を促していきたいと思っております。
 インターバルについては、もうこれもこれまでも答弁をさせていただいておりますが、実態が、いまだ導入している企業が一・四%にとどまっている。こういうことを踏まえて、まずは制度の周知や導入促進を図ることが重要ということで、この法案では事業主に対して勤務間インターバル制度の導入を努力義務と、課したところであります。
 国際的な今の状況、日本は長時間であると、これは十分我々も認識はしているところであります。
#73
○倉林明子君 いや、長時間かどうかということで聞いたんじゃないんですよ。国際水準と比較してどういうふうに思っているのかというふうに聞いたんです。いや、今の答弁、ちょっとすり替わっているんですよ。
 国際水準、規制の水準として私は余りにも低いんじゃないかと。どうですか。
#74
○国務大臣(加藤勝信君) まず、日本の長時間労働の状況というのは他国に比べても長時間労働の状況にあるということ、これはまずそういった認識に立っております。
 そういう中で、現行の中でどこまでやれるかということで、労使でぎりぎり調整していただいた結果ということを先ほど説明させていただいたと、こういうことであります。
#75
○倉林明子君 労使合意でぎりぎりだって、もうこの間何度も説明受けたんですよ。でも、労使合意がなかったら法制化できないと、こういう口実がまかり通るようだったら、労働行政としては責任放棄になるんじゃないかと私思うんですよ。これまでに規制に踏み出さなかった、私は、そこの政府の責任というのが問われる問題だというふうに思っているんです。
 そこで、改めて確認したいと思います。
 ILOが初めて採択した条約は何だったか。
#76
○政府参考人(山越敬一君) まず、今の御質問にお答えする前に、先ほどの私の答弁で、オーストラリア、ベルギー、インターバルを十一時間から十二時間と申しましたけれども、このオーストラリア、ベルギーなどはインターバル時間は十一時間ということでございまして、こうした国は二十五か国ということでございます。
 それから、ILOが一九一九年に第一号条約として採択した条約でございますけれども、これは工業的企業における労働時間に関する条約でございます。
#77
○倉林明子君 そして、この条約で初めて、一日八時間、週四十八時間労働、これが定められた、こういうものですよね。歴史的なものです。
 このILOの今回の報告書の方ですけれども、十九世紀初頭においては一日十四時間又は十六時間労働が一般的であった、八時間労働制の国際基準を設定することは第一次大戦後における労働者の最も切実な課題の一つであったというふうに述べているんです。これに応えて採択された、これが第一号条約です。
 当時、日本の政府は、この一号条約に対して一九一九年の日本政府の対応はどうだったのか、説明できますか。
#78
○政府参考人(山越敬一君) この一九一九年のILO第一号条約が採択された際でございますけれども、我が国政府は賛成したものと承知をしております。
#79
○倉林明子君 よく調べてから物は発言した方がいいんじゃないかなと思うんですね。
 日本の事情は欧米と大いに異なる、日本は特殊だ、こう主張して二年の猶予を求めているんですよね。態度は今も、そういう意味でいうと変わっていないんです。ILOの労働時間に関する十八本の条約を一本も批准していない先進国といえば日本と米国のみではないですか。
 第一号条約というのは、一日八時間、週四十八時間労働制を定めているわけです。長時間労働を是正するというのであれば、この一号条約の批准というのは直ちに検討、実行していくべきではないかと思います。いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど賛成と申し上げておりますが、批准はしていないというのは今委員御指摘のとおりで……(発言する者あり)いや、批准は日本はしていないということですね。
#81
○倉林明子君 だから、言いました。
#82
○国務大臣(加藤勝信君) いや、ということは委員御指摘のとおりということでございます。
 その上で、この御指摘の第一号条約、これは工業的企業における労働時間について、原則として一日八時間、一週四十八時間を超えてはならないことを定めたものでありまして、この第一号条約の批准については、我が国においては変形労働時間制、これは一週最大五十二時間まで可能となる仕組みになっておりますが、それとの関係なども含めて、引き続き国内法制との整合性について慎重な検討が必要という立場でございます。
#83
○倉林明子君 百年前のこの一号条約も批准できない、そういう立場ですか。もう一回答えてください。
#84
○国務大臣(加藤勝信君) この一号条約について、例えば現在四十七か国が批准をしておりますけれども、G7ではカナダだけ、それ以外の国は批准をしていないというふうに承知をしておりますが、いずれにしても、日本の立場においては、今申し上げた変形労働時間制との関係なども含めて、国内法制との整合性について慎重に判断をしていく必要があるということでございます。
#85
○倉林明子君 情けないと思うんですよね。百年前の、今の水準じゃないですよ、百年前の国際水準さえ、これ批准しようという気が全く感じられない答弁ですよ。
 労働行政を預かる者として、本当に基本が問われると私は思っているんですよ。月百時間未満までの合法化という、今回、上限付きで、罰則付きでやるって、これ上限規制で規制強化の法だと言っているんだけれども、その中身たるや、月百時間未満まで合法化するということにほかならないと私は思っているんです。これは、十九世紀の世界の働かせ方、これを容認するということになるんじゃないかと思うんですよ。世界的な逆行ですよ。断じて私は認められないと思う。
 この法案については、過労死を促進する、こういう懸念が繰り返し繰り返し家族会の方から、労働組合の方から寄せられております。労働者は、この法案について本当に望んでいる人がいないということも私は議論を通じて明らかになったと思うんですよ。労政審に出したデータもでたらめだったわけです。出直すべきだ、廃案にすべきだと、重ねて申し上げまして、今日は終わります。
#86
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 昨日は本会議で加藤大臣の問責決議案ということでございました。結果的には否決ということになりましたけれども、我々もこの働き方改革法案については与党と修正協議を行ったという立場ではありましたが、この間の裁量労働制のデータの不備とか、そしてまた高プロについての本当に十分な説明というか、納得いくような説明、これが厚生労働省側でなかなかできないという状況を見ていて、本当は賛成したい気分でもありましたけれども、結局は反対して、討論も行わなかったわけでありますが。
 いろいろと言わせていただきましたけれども、高プロについて、やはり過労死をしっかり防いでいくために健康確保措置をやっていく、当然ここの部分というのは非常に大事でありますが、なぜこの高プロが必要なのかというところの納得できる説明というのがやっぱり不十分だと思うんですね。
 いつも聞くと、産業競争力会議で経済人や学識経験者から制度創設の意見があって、日本再興戦略において取りまとめられたものであります、その後、労使が参加した労働政策審議会で審議を行い、取りまとめた建議に基づき法制化が行われたものでありますという答弁ばかりがこれ繰り返されて、じゃ、実態は一体どうなんですかと聞くと、その実態は、十二人、実際には会社名でいうとその半分ぐらいしか聞いていないという。もっと実態をしっかりとやっぱり把握しておくべきだというふうに思うんですよね。やっぱり、そういったところが厚生労働省としてなされていないというところにすごい腹立たしさを感じるということなんです。
 やはりそういう、まあ高プロのように、高プロがあった方がいいという働き方もやっぱりあると思うんですね。日本のプロ野球選手だって、日本のプロ野球に入って、やはり優秀な人ほどアメリカの大リーグ行って、もっと更に年収の高い、そしてまた大きな舞台でやっぱり活躍していきたいという人たちも、現に今、プロ野球選手、まあこれ例えがちょっと違うかもしれませんけれども、そういう人たちだっている。現在、世界を見ると、世界にはたくさんの優秀な企業があったり、優秀な人たちが働いていて、そして世界の企業とのやっぱり競争をしている。また、やっぱりそういったところに、またどんどんと日本人ももっとそういったところに働いていく。もうこのグローバル化社会の中で働き方もやっぱりどんどんと変わっていっているわけですよね。
 前にも言わせていただきましたが、今、会社に入って、その会社で定年までずっとおろうという人たちもやっぱりどんどんとこれ減ってきているわけですから、より条件のいいところ、よりもっと大きな舞台で働きたいという人たちのニーズとか、もっと日本だけではなくて海外へ出ていって、そういった人たちもやっぱりたくさんおられるわけで、じゃ、そういった実態が今こうやってあるんですよという本当は説明をしていただきたいなと思っていたわけですが、なかなかやっぱりそういったところの説明が本当に不十分だなというふうに思った次第であります。
 そんな中で、再度、働き方改革の効果について改めてお伺いしたいと思いますが、本会議、六月四日で、安倍総理から、働き方改革は誰もがその能力を発揮できる労働制度へと抜本的に改革するものです、これを実現する本法案の成立に向けて安倍政権として全力を傾注するというふうに答弁されておるわけですけれども、これ、今までの委員会の議論でこの法案についていろいろ問題点がこれは指摘されてきておりますけれども、本当にこの法案が誰もがその能力を発揮できる労働制度へ抜本的に改革できるものと考えているのかどうか、改めて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#87
○国務大臣(加藤勝信君) まず、今委員からの御指摘、これは真摯に受け止めさせていただかなきゃならないというふうに思います。ただ、説明として、どういう流れの中でこれが出てきたかということで産業競争力会議等の話を出させていただいたので。
 本当のこの必要性の背景の中では、私も、今委員御指摘のように、グローバル化が進んでいる。また、産業も、随分産業構造も変わり、より高付加価値なものが求められていく中で、そして雇用も流動化していく。そうした中で、優秀な人材をやはり国内に、しっかりと働いていただき、そして国内において新たな産業等が展開していく、これがやはり将来を見据えたときに大事なんではないか。そのキーパーソンになる方というのは、やはり自律的に、そして創造性のある仕事をしていただく。
 そういった中においては、例えば、まあこれが高プロの対象になるかどうかはちょっと別の議論でありますけれども、そうした、例えばAI等の技術者、先般も新聞に出ておりましたが、もう世界で取り合いになっているわけですね。やっぱりその方が日本にいて働いてくれれば、日本においてそういった様々なプロジェクトや産業も進んでいく。しかし、海外ということになれば、やっぱりどうしてもその国にそうした雇用も含めて取られていく。そういった将来を見据えた中で、やっぱりよりこれからの時代に対応した、まさに雇用を確保していくという意味においても、やっぱりこうした働き方を、しかも限定した働き方、健康確保が必要な中で確保していかなければならない、そういう認識に立っている。そのことの説明が十分でなかったということは我々も反省しなきゃいけないというふうに思います。
 その上で、今回の働き方改革がどう労働生産性等々につながっていくかということでありますけれども、これ、今回の働き方改革は、先ほどから申し上げておりますように、長時間労働の是正、高プロの導入、同一労働同一賃金などを進めることによって、様々な方々がそうした条件を抱えた中においてその多様な働き方を実現をしていく、また、それを通じて労働生産性を改善していきたいと、こう考えているわけでありますが、例えば長時間労働を是正するということになれば、経営者も当然、労働されている方、従業員にいかに効率的に働いてもらうかということを当然考えていくわけでありますから、より生産性が上がっていくことにつながるわけであります。
 また、高プロも、先ほど申し上げたように、そうした高度専門職の方々がその能力や意欲を十分に発揮をしていただくということによって、これからの時代に対応した産業等が我が国に根付き、そのことは日本の経済全体としての生産性向上にも資するし、また、同一労働同一賃金も、理由のない待遇差を埋めることで自分の能力を評価されているという納得感や働くモチベーションが高まって労働生産性の向上につながっていくことが期待をされる。
 こうした様々な働き方改革のメニューが労働生産性の向上にもつながっていくというふうに考えておりますし、また、労働生産性向上の水準についても、これ昨年末に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおいては、日本も含め多くの先進国で労働生産性が伸び悩んでいることを踏まえ、我が国の労働生産性の上昇率を二〇二〇年までの三年間において年二%向上させるといった目標も掲げられているところでございますので、そうした目標の実現に向けて、今回の働き方改革、それに加えて今厚労省においても様々な支援措置もさせていただいておりますので、そうしたことも相まって労働生産性の向上をしっかり図っていきたいと、こういうふうに考えております。
#88
○東徹君 厚生労働省の人たちもこの霞が関というところにおって、狭い範囲の中で仕事をしていて、やっぱり余り世界を見ていないんじゃないかとか、我々も国会議員でこの永田町におって、本当に地元へ帰っても支援してくれる人たちとか本当に狭い範囲でしかやっぱり仕事していないなと自分でも反省している中で、時々海外といろんな仕事をしている人の話を聞くと、もうどんどんと世界は動いていっているなということはやっぱり感覚的には分かるんですよね。感覚的に分かるので、じゃ実態を、じゃどうなっているんですかということを厚生労働省の人たちに聞くと、なかなかやっぱりそういったところの説明というのができないというところが非常にもどかしいなというふうに思っているわけであります。
 やっぱりドイツとかベルギーとかで仕事をしたという人に聞くと、もうドイツだったかベルギーだったか忘れましたけれども、金曜日なんてもう午後三時で仕事終わるんですよと、でも、それでも向こうの方が生産性高いんですというようなことをやっぱり言われるんですよね。ということは、やっぱり日本の働き方というのも変えていかないと本当に駄目なんだなと、これ思うわけですよね。
 そんな中で、安倍総理からも、働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段であるとして、例えば長時間労働を是正すれば経営者が働き方に関心を高めるため生産性が向上するとか、それから、同一労働同一賃金を実現すれば労働者の納得感やモチベーションが高まって生産性が向上すると、こういう答弁もいただいておりました。
 本当にこれで労働生産性、これ向上していくんだろうかというふうに思うわけですし、政府としては、世界の中でどの程度の水準まで生産性を引き上げていこうとか、そういった考えがあるのかどうか、改めて大臣にお伺いをしたいと思います。
#89
○国務大臣(加藤勝信君) 重複になるんですけど、これはなかなか、労働生産性って、世界で比べるといってもなかなか難しい点、これはもう委員御承知のとおりでありますので、日本としていかにこれを高めていくのか。これは今、先進国でもこの労働生産性のそれぞれの国における上昇率が伸び悩んでいるという、こういう悩みも抱えているわけでありますので。
 そういう中で、先ほど申し上げましたけれども、昨年末に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおいては、我が国の労働生産性の上昇率を二〇二〇年までの三年間において年二%向上させるという目標を掲げているところでございますので、その目標の実現に向けて、今回の働き方改革に加えて、厚労省の関係でいえば、中小企業・小規模事業者の賃上げ、生産向上に向けたICT化などの設備投資やコンサルティングなどの費用助成、あるいは介護、飲食、宿泊、医療、保育などの分野でのICT利活用や業務改善の促進、こういったことも含めて労働生産性の向上をしっかりと支援をしていきたいと考えております。
#90
○東徹君 もっと世界の中でどういうところを目指していくのかというところを本当はお聞きしたいところではあるんですけれども、二〇二〇年までに二%向上というふうなことでありますので、しっかりとその目標を実現していくために取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。
 時間がもう余りなくなってきましたので、ちょっと飛ばさせていただいて、取引における配慮の努力義務についてお伺いをしたいと思います。
 我が党と与党、希望の党とで行った衆議院の法案修正では、長時間労働の原因をできるだけなくしていくために、著しく短い期限の設定及び発注内容の頻繁な変更を行わないということを事業主が配慮すべき、これは努力義務でありますが、これが法案に追加させていただいたわけでありますけれども、この義務の具体的に想定している内容なんですが、これ厚生労働省としてはどういった具体的な内容を想定しているのか、お伺いをしたいと思います。
#91
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員御指摘のような形で衆議院によって修正をしていただいて、そうした点に配慮することが事業主の努力義務と位置付けられたわけであります。
 その具体的な配慮すべき中身でありますけれども、取引先の休日労働や深夜労働につながる納品など、不要不急の時間、曜日指定による発注を行わないこと、取引先が時間外労働を行わないと対応できないような頻繁な仕様の変更、追加発注を行わないこと、こういったことを想定をさせていただいているものであります。
 今回の労働時間設定改善法の規定、これ努力義務でありますから、義務違反に対するペナルティーを科すものではありませんが、労働基準監督署において監督指導を実施した結果、法違反が認められ、その違反の背景、例えば長時間労働とかですね、そういった違反が認められ、その背景に極端な短納期発注等による下請法違反が疑われる事案については、これらの違反に対する指導を担当する公正取引委員会や経済産業省に通報する制度を設けているところでありますが、現行制度では下請事業者の意向を踏まえて通報するということになっておりますので、委員からの御指摘等も踏まえて、下請事業者の同意を得られやすいというか、この通報制度を更に強化できる、そういう方向で具体的に検討し、整備を図っていきたいというふうに思いますし、また、こうした行為が行われていないかについての情報収集を含めて、あるいはその共有についてもしっかりと努力をさせていただきたいと、こういうふうに考えております。
#92
○東徹君 ペナルティーがないけれども、そういったいろんな努力でこういった著しく短い期間の設定とか発注内容の頻繁な変更が行われないように、是非努力をしていっていただきたいと思います。
 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#93
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日、午前中二時間だけの審議ということに強く抗議をします。たくさん論点があります。とことん審議をすべきである。高プロについては、これはもう出直すべきだ、廃案にすべきだということを強く申し上げます。
 先ほど、石橋委員が私の質問の更問いをしてくださいました。高プロ対象労働者の産休、育休はどうなるのか。私は、高プロに断固反対です。労働時間規制が一切ない労働者が誕生する中で、家庭責任を持つ子供を持ちたいという女性が働けるとは思えない。こんな状況の中で働けないですよ。家庭責任を持つ男性だって高プロでは働けないですよ、仕事の量を選べないんだから。こういうことをやって、女は子供を持たない幸せというのは勝手だという自民党の幹事長のせりふも強く抗議をしたいと思います。子供を産めないですよ、育てられないですよ。それは高プロじゃないんですか。
 先ほど、育休、産休はそのまま適用があるという答弁がありました。ところで、お聞きします。どういうふうな年収の払い方になるんでしょうか。先日、共産党の吉良委員が、じゃ、二十万、二十万、二十万、最後にがばっと払うという、一千七十五万をどう払うかは決議によって決まります。そうすると、半年たって半年育休取るというある女性が選択をした。その人、二十万、二十万、三十万でもいいですよ、月給もらっていたら、年収どうなるんですか。
#94
○政府参考人(山越敬一君) 高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者につきましても育児休業を取得することは可能でございまして、その間、休業でございますので使用者に賃金支払の義務は生じませんけれども、一般労働者と同様に育児休業給付金の対象となります。産前産後休業とか育児休業により休業する場合には……
#95
○福島みずほ君 山越さん、年収要件がどうなるのかを聞いているんです。
#96
○政府参考人(山越敬一君) はい。労務の提供が行われませんので、当該休業期間については高度プロフェッショナル制度の年収要件の算定対象から除外し、残りの期間で年収要件を判断する、これを上回るように労働契約で定めていただく、そういう中でそういったことになるということだというふうに……(発言する者あり)
#97
○福島みずほ君 時間がないんですよ。
 私が聞いているのは、育休、産休の適用があることも分かりました。それに基づいて払うことも分かりました。で、年収要件がどうなるんですか。月給で払っていて、あと、じゃ、少ないときに後でやるんですかというのに、これ決議で決まるわけで、年収要件が、だから三十万、三十万の途中で育休に入ったらどうなるんですかという質問なんです。端的に答えてください。──もういいや。
 いや、ひどいですよ。というか、答えられない。というか、やっぱりそういう事態、私は、実は産休、育休やいろいろ取ることを念頭に置いていないんだというふうに思います。
 次に、高プロ対象労働者が、例えば、私、高プロです、勉強したい、一か月ヨーロッパに行って勉強します、アメリカに行って勉強します、これは可能ですか。会社が、ふざけるな、この仕事量が終わらないじゃないか、外国に行くな、一か月なんてふざけるなと。これはどうなるんですか。
#98
○政府参考人(山越敬一君) 今御指摘のケースでございますけれども、一つは労働契約でどう定めるかによると思います。それによって変わり得るものだというふうに考えます。
#99
○福島みずほ君 ノーワーク・ノーペイになることもあり得るんですか。
#100
○政府参考人(山越敬一君) これは、労働者が休業を求めた場合あるいは労務の提供が不可能となる、そういった休業の場合につきましては、その期間は労務提供が行われませんので、その期間、高度プロフェッショナル制度の年収要件の算定対象から除外するという考え方は取り得るものだというふうに考えております。
#101
○福島みずほ君 どこが自律的な働き方なんですか。どこが創造的な働き方なんですか。違うじゃないですか。
 有給休暇の取得に関して、たくさん裁判例があります。本人取りたい、会社は駄目だという裁判例がたくさんあります。一か月、二週間、私取りたい、外国に行って勉強したい。今の答えでは、それは契約によります。労務の提供ができない場合、ノーワーク・ノーペイになるんですよ。どこが自律的なんですか。どこが創造的なんですか。どこが高度なんですか。結局、割増し賃金払われないだけのすさまじい労働者で、一か月だって休み取れないんですよ、取れないんですよ。これ、どこが自律的でどこが創造的でどこが楽しいんですか。全くそんなことないですよ。
 じゃ、お聞きします。高プロの労働者がうつ病にかかってしまいました。会社に出ることができません。将来分かりません。どのように救済や手当てはなされますか。
#102
○政府参考人(山越敬一君) まず、今、一つ前の御質問でございますけれども、高度プロフェッショナル制度については、いつ働くかと、そういう、いつ休むかというカレンダーはその労働者が自律的に決定できるものでございます。
 それから、高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者につきまして労災の請求がなされた場合の御質問かと思いますけれども、これは、使用者が把握を義務付けられている健康管理時間を参考としつつ、職場の上司あるいは同僚、御家族、そういった方から丁寧な聞き取りを行いまして、またそのパソコンのログイン、ログアウトの記録を始めといたしました資料から、休憩時間も把握した上で、実際に働いた時間を把握する、そういうこととしております。
#103
○福島みずほ君 いや、これはうつ病にかかった場合、通常の労働者と同じ扱いで、休職規定がある場合はその規定に基づいて、ない場合はノーワーク・ノーペイと。でも、高プロでとても働き過ぎて、例えばうつ病など発症した場合、その後、だからノーワーク・ノーペイになる、それから外れる場合もあるわけです、もあるわけですよね、ということでよろしいですね、山越さん。
#104
○政府参考人(山越敬一君) 労務の提供がない場合は、これは、そういった休業の場合は、この高プロの期間、算定から外れるということになるということでございます。
#105
○福島みずほ君 どういうカレンダーで働くかはその人に任せるということですが、さっきの答弁と違うじゃないですか。私、高プロ、一か月ヨーロッパ、アメリカに行って勉強したい、とても必要。自律的、創造的、必要。これ、取れるんですか。先ほど、それは仕事の量との関係で休業になったらノーワーク・ノーペイもあり得るみたいな答弁だったじゃないですか。それでよろしいんですよね。
#106
○政府参考人(山越敬一君) まず、高度プロフェッショナル制度は、いつ働くかいつ休むかというカレンダーは自律的に労働者の方で決定できるということでございます。
 他方で、休業でございますけれども、法律で休業が認められている場合、先ほど申しました育児休業などの場合は休業ということになりますし、それから、労働者が休業を求めた場合あるいは同意した場合、それは休業ということで、高プロの適用から労務を提供しないということで外れることもできるものでございます。
#107
○福島みずほ君 とっても自由じゃないじゃないですか。どこが自由で創造的なんですか。一か月、二週間の休み取ると言われたら高プロから外れるんだったら、何の自由もないですよ。あるのは単なる割増し賃金払われないという四十一条の二だけじゃないですか。
 大臣にお聞きをします。
 これはこの委員会でもよくありましたけれど、総理も大臣も産業競争力会議に基づいてと言っています。総理は、これは経団連の要請であると言っています。十二人のヒアリング以上に労働者から求められているというのは一切出てきておりません。
 産業競争力会議の竹中平蔵さんは、東京新聞の中で高プロ導入の趣旨を、時間に縛られない働き方を認めるのは自然なことだ、時間内に仕事を終えられない生産性の低い人に残業代という補助金を出すのは一般論としておかしいと説明をしています。残業代を払わなくてもいい制度にしたいという本音をあけすけに語っています。
 政府が違うと主張しても、提唱者がこう指摘している以上、このような目的で導入が進むと考えるべきではないですか。そのような動きを容認しますか。
#108
○国務大臣(加藤勝信君) まず、先ほどの休暇の話ですけれども、これは基本的に、休日については、休日が、どこで休むかどうかというのは本人に依存、委ねられているわけですね。ですから、本人が自由に、ここ休んでここ仕事する、それは自由だというのは高プロのこれ基本であります。
 ただ、様々な休業の仕組みがあります。例えば、もう今働けなくなったので労務の提供が不可能だということで、本人からこれはもう休業に入らせてくれと、こういった場合にはそれにのっとって対応していく必要があるということを申し上げているだけであって……(発言する者あり)いやいや、ということであって、長期の休暇というか、半年間休んで半年間仕事をしていただいてそれは構わないんです、この制度は。それを否定しているものでは全くありません。ただ、何らかの病気等によって、この間はもう自分が働けないし、診断書を出してきて、もう通常のですね、そういった場合については、これは別の取扱いになりますよということを先ほどから説明させていただいているということです。
 それから、竹中平蔵さんのコメントについて一つ一つ私どもからコメントをするのは差し控えたいと思いますけれども、この高度プロフェッショナル制度というのは、もちろん労働時間から、労働時間法制というものが一部分について適用されない、それは残業代のところも適用されない、それはそのとおりでありますけれども、逆に、そういった中において、先ほどのように休日も含めてより自律的な働き方ができる、こういう仕組み、それはもちろん健康確保措置とか、それを導入するための様々な要件を課した上でそういう仕組みを提供していると、それはそういうことであります。
#109
○福島みずほ君 同じように、産業競争力会議のメンバーで、竹中さんと同じくメンバーであった楽天会長の三木谷さんは、文芸春秋の対談でこう言っています。従業員の就業条件を緩和するホワイトカラーエグゼンプションもまだ導入されていない。ベンチャー企業なんかでは、スタートアップ期には週七日二十四時間体制で頑張っています。それが従業員保護の名目で規制が掛けられている。最低限のセーフティーネットは必要ですが、もっと現実に合った形に変えていかないと、日本企業の競争力はますます落ちていきますよ。
 週七日二十四時間体制で働くことが現実で、これに合った形で労働法制を変えていく、これが高プロ導入であると言っているわけですね。まさに本当に働かせていくことではないでしょうか。
 大臣、先ほど大臣は、日本は長時間労働であるということをお認めになられました。この委員会で、時短には直ちには高プロはつながらない、総理もそう答弁しています。そして、過労死をなくし長時間労働を是正するということに、高プロが直接、提案理由、趣旨に掛からないという答弁もされております。
 長時間労働の是正にならないんですよ。何で過労死遺族の人たちがこの高プロに反対をするのか。何で反対をするのか。長時間労働の是正にならないからですよ。過労死が増えるからですよ。それはどう思われますか。
 そして、裁量労働制の拡充、企画型裁量労働制、七万人以上労働者は働いています。それについては、労働時間管理をやらず、労働時間状況の管理をする、把握をするというふうになっています。でも、この委員会の中で、実態調査はされていないし、どういう形で企画型裁量労働の人たちが働いているのか、じゃ、どうやって時間管理しているのか、やっていないというのが答弁じゃないですか。そこがやれてなくて、何で高プロの健康管理時間、これが把握できるんですか。やれてなくて過労死が生まれていて、何で高プロなんですか。やるとしたら、せめて現状どうなのかをやってから、せめてせめて高プロ導入じゃないですか。大臣、じゃ、その二点。
 そして、昨日、岡田克也さんが、無所属の、総理に対して、別件のテーマですが、良心の呵責はないのかというふうに質問しました。私は高プロで聞きたいです。労働基準法を破壊するものですよ、高プロは。労働時間規制がなかったら労働者は守られないですよ。この法案をこの厚生労働委員会で成立させようとする良心の呵責はないですか。戦後の労働行政のこれ敗北ですよ。労働基準法の破壊ですよ。どうですか。
#110
○国務大臣(加藤勝信君) 幾つかのことをおっしゃったので、全部答えられるかどうかあれですけれども。
 まず、労働時間。今回、労働時間の状況については、裁量労働制も含めてそれをしっかり把握をしてもらう、そしてその場合にはパソコンのオン、オフ等でしっかりやる、こういうことにさせていただいているということがまずあります。
 それから、高プロにおいても、今度、健康確保措置、健康管理時間については同様の対応をしていくということで考えているところでありまして、その下において健康確保措置がしっかりと実行されていく、それに向けて我々としても必要な監督指導等を行っていきたいというふうに考えております。
 それから、労働時間については、先ほど申し上げた我が国の労働時間は、他国、特にヨーロッパ等の国と比べて長時間にあるということ、その認識は私も共有をさせていただいておりますし、そういった意味において、その一つとして、これまで三六協定を結んで特別の事情の場合にはむしろ青天井であった、まさにそういったところを是正をすることによって、全体として労働時間の是正、長時間労働の是正、こういったことに取り組んでいく。
 そういった意味において、今回そうした罰則付きの長時間労働の規制というものを、時間外労働の規制というものを提案をさせていただいているということでありますので、こういったことを含めて長時間労働の是正をしっかりと進めていきたいと思っておりますし、今、良心というお話がありましたけれども、これまで再三再四このことは議論はされてきたけれどもなかなかできなかった、それについて労使が合意をして、今回初めてこういった形での罰則付きの長時間労働の是正をさせていただいたということであります。
 それから、他方で、高プロについては、先ほど東議員ともお話をさせていただきましたけれども、やはりこれからの時代を私たちは考えていかなきゃいけない、そして、今の状況の中で、本当にこの国においてどういう付加価値の高い産業を残していくのか、そういった中において、やっぱりこうした高度のプロフェッショナルの皆さん方がこの国において自律的に創造性のある仕事をしていただける環境を一定の要件と健康確保措置の下でつくっていく、このことは、これからの日本の経済、あるいはそして日本における雇用の確保、職業の確保、こういった観点からも必要だということで提案をさせていただいているということであります。
#111
○委員長(島村大君) 時間が参りました。質疑をまとめてください。
#112
○福島みずほ君 はい。
 過労死が出て責任が取れるんですか。過労死が出ますよ、責任取れるんですか。取れないでしょう。取れないんですよ。人が死んで責任なんか取れません。
 労働基準法の破壊は許せない、廃案しかない、採決はあり得ないということを申し上げ、質問を終わります。
#113
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 先ほどから問題になっているように、働かせ放題にならない、そして過労死にならないために、私ども産業医は日々労働者の皆様方と向き合っております。私は、その質が心配なんです。何度も何度も、これは大臣にもお願いをしてまいりました。どのぐらい、健康管理時間という中で、今回管理がなされていくのか。これ以上働いたら、あなた無理ですよ、危ないからやめさせなさいということをしっかり勧告していかなければなりません。それによって健康が守られていくんです。そして働き方も見直されていくわけです。そうやって、私は、今回の高度プロフェッショナル制度というものをしっかり裏打ちしていかなければならないと思います。
 医師が、今回権限というものがかなり拡大をされる。勧告の内容というものも衛生委員会にも報告をされる。では、業務改善をその医師が要求する場合にどのようなレベルの要求があるというのか、まず部長、教えていただけますか。
#114
○政府参考人(田中誠二君) 労働安全衛生法におきましては、事業者は、一定の時間外・休日労働を行った労働者に対して医師による面接指導を実施し、その結果に基づき、労働者の健康を確保するために必要な措置について医師の意見を聴くことが義務付けられておりまして、事業者は、この意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して就業場所の変更等の措置を講じることとされております。このときの医師の機能というのは意見を述べるということでございます。
 さらに、産業医につきましては、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは事業者に対して勧告を行うことができることとされており、事業者にはその勧告を尊重することが義務付けられております。そのほか、安全衛生規則において、総括安全衛生管理者に対する勧告や衛生管理者に対する指導、助言というものが規定されております。
#115
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 ただの意見ではなく、勧告まで行くと尊重しなければならないですよね。産業医がそれをしっかりと事業主に勧告した場合に、それが守られないと、安全配慮義務違反というものにも問われる可能性がこれは高いということになってまいります。そうやって私どもも、様々な勧告を今までしながら、従業員の皆様方の健康を守ってまいりました。
 しかし、これを一体どのくらいの医師が理解をしているのかということが疑問なんです。いつもは臨床で働いている皆様方が、じゃ月一回そうやって産業医として勤務をする。しかし、勧告ということがどういうことで、意見というものがどういうものなのか、私はちょっとそれは理解できていないんではないかと思いますけれども、部長の御意見いただけますか。
#116
○政府参考人(田中誠二君) 産業医科大学が平成二十九年に行った調査によりますと、産業医から事業者への業務改善の要求の種類について調査を行っているわけですけれども、産業医が勧告を行う主なケースとして、三割の方が意見や指導を聞き入れられなかったためというふうにお答えされておりますので、そういう意味では、産業医は指導や助言と勧告とを、ステップ・バイ・ステップということで、事業場の実情に応じて使い分けておられる場合があるということがうかがえます。
 一方で、同じ調査によれば、勧告を行ったことがある産業医の六九%がほかの手続に比べて実効性が高いと回答しており、かつ八六%が勧告はあった方がよいと回答しているなど、勧告制度を適切に用いている産業医が存在している一方で、同調査で回答をした産業医の五八%が勧告を行ったことがないと回答しておりまして、勧告制度を使いこなせていない産業医も一定程度存在しており、そういった意味では十分な医師の権限、役割の理解をまだまだできていない方も中にはいらっしゃるのではないかというふうに考えております。
#117
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 大臣にもちょっと問わせていただきたいんですけれども、今、注意、勧告というところがございました。本当にこれ、過労死するんじゃないかと思ったときには、勧告で直ちに休ませなければならないですよね。高プロの皆様方についてもそれはしっかり休ませることができるんですよね。一つだけ確認させてください、お願いいたします。
#118
○国務大臣(加藤勝信君) それは、一連の流れというのは、高プロであっても一般の労働者であっても同様ということであります。
#119
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 そうであれば、ここがしっかりと第三者的な立場で、今回も公正中立な立場でということがうたわれておりますけれども、大事な役割になってくるわけです。
 ですから、この産業医がどのような形でその企業の中で機能していくのかということ、私はこの産業医の研修制度にもう少しメスを入れるべきだと思っております。今までのような形であれば、ますます、まあ腰掛け的な産業医の皆様方が困惑なさるわけです。ストレスチェックテストが入ったときもそうでした。八割の皆様方がもう不安だというようなお答えをいただいたような調査結果も私ある報道で見せていただきました。
 このような形で、ますます今回の法改正において権限が拡大するのであれば、研修制度、抜本的に見直していただきたいと思いますけれども、大臣、御意見いただけますか。
#120
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の、特に労働安全衛生法の改正では、労働者の健康管理を担う産業医、産業保健制度の機能強化を図っているわけでありますから、そのためにも産業医の育成、確保に向けた取組が大変重要だと考えております。
 また、これは委員が一番よく御存じだと思いますが、産業医には臨床医とは異なる様々な知識、ノウハウが必要となるわけでありますので、産業医となるための要件としては、大臣告示について、例えば労働安全衛生法令や関連制度に関する知識に加えて、健康管理、作業環境管理、作業管理に関する実践的な知識、ノウハウ、あるいは職場のメンタルヘルスに関する事項などについて十時間以上の実習を含む五十時間以上の研修の受講、今これは求めております。
 またさらに、昨年の六月の労政審の建議を踏まえて、昨年の九月から産業医の資質向上に向けた産業医研修に関する検討委員会を立ち上げ、産業医になった後の能力向上も含めた研修の在り方全般について検討を行っていただいておりまして、実習を通じた実践力の強化、産業別の産業保健ニーズへの対応、小規模事業場への対応などを含めて総合的に検討しているところでありますが、来年四月の改正労働安全衛生法の施行、これ成立をしていただければではありますが、それに向けてより効果的な研修カリキュラムを作成したいというふうに考えております。
#121
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 皆様方にも資料をお配りさせていただいておりますけど、五十単位のこの中身というものがかなり地域に委ねられている部分がございます。十四単位が前期研修として、まさに産業医が必要な知識なんですけれども、実地研修といってその講義の場で行われる。やっぱり、実地研修だったらしっかり企業のその現場を見ていただきたい。後期研修二十六単位、これ半数以上が何をやってもいいということで臨床に近いような話も行われております。ですから、皆様方の御協力をいただきながら、私は抜本的に改革を進めていただきたいと思います。
 それとともに、産業医だけではないんですね、必ず医師による面接を受けさせなければならないというふうに高プロにも書かれております。医師でいいんです。医師はこういう知識は持ち合わせておりません。ですから、しっかりとその医師にもマニュアルを作成して私は配付すべきですし、いつでもどこでも見られるように、このような形の制度というものを更につくり込んでいただきたいと思いますが、大臣、御意見ください。
#122
○国務大臣(加藤勝信君) 産業医以外の医師の方にも面接指導の適切な実施方法などを習得していく必要があります。
 現在でも、産業医以外の医師にも活用いただくための長時間労働に対する面接指導マニュアル、これを策定し、また実際の研修も行わせていただいているところでありますけれども、今回、よりこの法案によって医師による面接指導が一層重要になるということでありますので、面接指導の結果に基づき事業者が講じる就業上の措置に至る一連の対応に関して、医学専門的見地からの意見表明を含め、医師が的確に対応できるようにするためのマニュアル、これを別途作成をしたいと思っております。
 例えば、事業者に対する説得力を高めるための医学的エビデンスや面接指導から得た具体例の紹介、こういったことを通じて、先ほど申し上げた現状のマニュアルよりも更に内容の充実を図った、そういったものにしていきたいと考えております。
#123
○薬師寺みちよ君 私は急務だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 今回、この法案とともにパワハラ防止法案も提出をいただいております。パワハラ対策法案は、私はこれ重要な法案だと思っておりますので、その内容につきましても質疑したいんですけれども、この内容を見ておりましたら国家公務員というのが対象になっておりません。
 今回、労働安全衛生法の改正だけですけれども、国家公務員法の一部を改正する法案として提出なさらなかったのはなぜなのか、まず提出者からお話しいただきたいと思います。
#124
○石橋通宏君 御質問いただき、ありがとうございます。また、法案に肯定的な御意見もいただきまして、本当にありがとうございます。
 先生御指摘のとおり、今回、労働安全衛生法の一部改正案ということで提案させていただきましたので、国家公務員には適用になりません。
 私どもも、国家公務員に、じゃ、どうパワハラ規制適用すべきなのかということを立法過程で相当議論をさせていただきました。国家公務員法を直接改正ということも選択肢としてはあったろうというふうにも思いますけれども、これも先生御存じのとおり、現行でも、国家公務員の皆さん、職員の健康とかそういうことに関しては人事院規則で定めるという立て付けになっております。ですので、今回の立法趣旨そのものからいっても、やはりパワハラ規制についてもこれは人事院規則でしっかりと定めていただくことがより適切であろうという、そういう整理をさせていただきました。
 よって、今回の法案の附則の三条の中に、この法案と同じく人事院規則で同様の手当てをすべきだということで規定をさせていただいておりますので、その中で適切な対応をしていただくという整理にさせていただいたところでございます。
#125
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 私ども、やはり労働安全衛生法となってしまうとどうしても企業で働いていらっしゃる方となるんですけれども、やはりそれ以外にも、それに含まれない方々もいらっしゃることはしっかり認識をしながら議論していかなければならないと思っております。誰かが落ちてしまってはならない、誰かが忘れ去られてしまってはならない。
 しかし、大変残念なことながら、私の事務所にも批判の電話があることがございます。報道で我々国会議員がヒアリングと称して恫喝しているような姿がテレビで映されてしまう。何をしてくれるんだ、こういうことを自分たちは望んでいるんではない、そういう声も多いんです。
 ですから、そういう、我々も注意をして接しなければならない。かつ、今回、様々なこの財務省の文書改ざん等々の問題の中でも、もしかしたらそういうことがあったのかもしれないとも想定されるかもしれません。ですから、しっかりと私どもは、こういうパワハラというようなものについてもこの場で議論をしたいと思います。
 公務員を守るようなパワハラ対策法案というものも私はこれは立法もすべきではないかと先ほど議論いただいたということでお話しいただいたんですけれども、その可能性につきましてもお話しいただけますか。お願いいたします。
#126
○石橋通宏君 この点も大変重要な御指摘だと思います。
 先生御指摘のとおり、労働安全衛生法適用対象にならない幾つかの重要な職種、国家公務員も一つですし、例えば船員の皆さんですとか家内労働、家事労働、そういったことも適用対象外です。ですので、先ほど申し上げた附則の中では、国家公務員だけではなくて、そのほかの適用対象外の分野についてもきちんとした措置を講じなさいという立て付けにさせていただいております。
 国家公務員について、とりわけ議員との関係も御指摘をいただいたところでございますが、人事院規則で、じゃ、何を我々期待して、想定しているかというと、結局この法案で民間の事業主の皆さんに措置義務を課すわけです。その措置義務を、これと同じことを人事院規則でこれは国家公務員、省庁の方にも適用していただく、そういう措置を講じていただくと、そういう立て付けになります。人事院規則の場合ですから、これは各省庁でいけば大臣を先頭に、大臣がその責任者としてそういう規定をきちんと設けていただくということになろうかと思います。
 つまり、人事院が、まず全省庁横断的な指針をきちんと明確に定めていただくことになります。これ、今回の法案が想定している国の指針というのがあります。それ、参考にしていただいてもいいと思いますが、人事院としての指針を定めていただく。その中に、じゃ、国家公務員の皆さんが業務を遂行する上で様々な関係というのがあります。恐らく国会議員との関係というのはかなりの部分を占める重要な関係であろうと。では、国会議員との関係において、どこまでが適正な業務上必要な範囲なのか、でもどこからはこれはもう明らかにパワハラに当たり得る業務上の適正な措置を超えた範疇なのか、それをちゃんと御議論をいただいて、整理をいただいて、人事院の方で定めていただく。難しいかもしれませんが、私は不可能ではないというふうに思います。
 それに基づいて、今度は各省庁、厚生労働省であれば厚生労働大臣先頭に、じゃ、厚生労働省の中で具体的なガイドラインをどう定めていくかという、そういう整理をさせていただければいいのではないかと、そういうふうに期待をさせていただいているところでございます。
 そういうふうになれば、当然、省庁でこういうガイドラインを決めました、議員の皆さん、我々こういうふうに決めましたので、これちゃんと知っておいてください、守ってくださいという話をすれば、これは我々議員がそれをきちんと尊重するという、そういう整理になると思いますので、そのことも含めてしっかりと人事院規則で対応していただくことを期待したいというふうに思います。
#127
○薬師寺みちよ君 終わります。ありがとうございました。
#128
○委員長(島村大君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#129
○委員長(島村大君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後六時五十八分開会
#130
○委員長(島村大君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
 なお、常識の範囲内の時間で願います。
#131
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
 会派を代表し、働き方改革関連法案に反対の立場で討論します。
 反対する第一の理由は、高プロ制度は立法事実が希薄な点です。
 今回の高プロ制度は、労働者を保護するための時間外労働、休日労働、深夜労働の規制がなく、実労働時間の管理も全く行われません。働く皆さんがこうした働き方を本当に望んでいるとは到底思えません。日本の生産性向上が喫緊の課題であるとの大義の下、経営者ニーズだけが最優先された結果、残業代削減が本質的な目的である高プロ制度が創設されたのではないでしょうか。
 また、政府からは十二名の高度専門職労働者からヒアリングしたとの説明もありましたが、法案策定前にヒアリングしたのはたった一人。こうした労働者不在の議論経過、立法事実も希薄な高プロ制度の創設は、労働者にとって全く必要ありません。高プロは廃案にすべきです。
 反対する第二の理由は、長時間労働や過労死につながる、強く危惧される高プロ制度に対する様々な懸念や疑問が全く払拭されていない点です。
 例えば一千七十五万円と言われる年収要件は、税金込みの、パート労働者も含まれる毎月勤労統計をベースとすること、各種手当も含めることができ、年収要件の妥当性はなく、今後引き下げられる懸念も依然として残っています。また、対象業務については、高度な業務の定義の曖昧さは全く払拭できていません。
 さらに、極めて重要な労働時間の把握に関しては、事業場内、事業場外共に全ての事業所で客観的に把握できるとは限りません。ましてや、把握する健康管理時間は実労働時間ではありません。万が一、高プロ制度適用者が過労死をしても、過労死基準となる労働時間の実態を把握し、立証することが高プロ制度では不可能に近いのです。
 その結果、高プロ制度で過労死が増えたとしても過労死を申請できない、申請しても過労死が認定されず、表向きは過労死が減少ということになりかねません。こうした事態を絶対生じさせてはなりません。
 反対する第三の理由は、法案内容に関して、国会審議において議論が深まらなかった、先送りとなった項目が多く、国民の理解が進まなかった点です。
 本法案に関しては、法律制定後に、高プロ制度の細部や非正規労働者への待遇差の説明方法など六十を超える項目が省令で定めることとされ、指針や通達まで含めると更にその数は増えます。こうした中で、政府の答弁も、同じ内容の繰り返し、先送り答弁が目立ち、法案内容の深掘りや、より具体的な議論まで及ばなかったことは極めて遺憾です。こうした政府の姿勢は、白紙委任、国会軽視の対応と言わざるを得ず、政府に猛省を求めます。
 以上が反対理由となります。
 最後になりますが、今回参議院で審議している野党提出のパワハラ規制法案と与野党で協議しているワークルール教育推進法案は、働く人たちが本当に必要としている法律であり、国会の総意として与野党連携して早期に成立させることを強く求めて、討論を終わります。
#132
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 私は、自民、公明を代表して、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。
 急速に少子高齢化が進む現在の社会では、子育てや介護と仕事を両立できなければ働き続けられない方が増えています。また、仕事の成果を働いた時間で測るのではなく、成果そのもので評価する働き方を希望する方もいます。本法案は、こうした働く方の様々なニーズに応じ、多様な働き方を選択できるよう、様々な改正を行うものであります。
 まず、本法案では、一九四七年の労働基準法制定以来初めて、時間外労働に罰則付きで上限を設けることとなっています。これによって長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを改善するとともに、労働生産性を向上させることとしています。
 また、労働者の休息時間を確保するための勤務間インターバル制度では、現時点では一・四%しか導入されていませんが、本法案で努力義務化することにより、本格普及に向けた大きな一歩を踏み出すこととなります。
 同一労働同一賃金の推進についても、現在、労働者の四割近くを占める非正規雇用労働者の処遇改善につなげていくための重要な一歩です。
 加えて、現行の裁量労働制適用者を含む労働者の健康を守る観点から、労働者の労働時間を客観的な方法で把握することを事業者の義務とすることも極めて重要であり、高く評価すべきと考えます。
 また、我が国の企業の九割以上を占める中小事業主を十分に尊重し、本法案の実効性を高めるべく、施行期日まで十分な準備期間を確保する一方で、行政官庁の助言、指導における配慮も行うこと、働き方改革の着実な推進のため、事業主からの相談に対応する働き方改革推進支援センターを各都道府県に設置し、地方版政労使会議等の枠組みを活用して地域の実情に応じた対応を行うことも重要です。
 高度プロフェッショナル制度については、長時間労働を助長しかねないとの指摘もありますが、働く方の立場に立ち、成果による評価制度に基づく柔軟な働き方を可能とする制度を導入することで、多様な働き方や活躍が可能な社会を実現していくことが不可欠です。
 今回の働き方改革関連法案の成立は、社会のニーズに適合する柔軟な働き方を可能とするとともに、生産年齢人口が減少し社会の活力の低下をも招きかねない我が国の将来的な発展につながってくるものと確信しております。
 働き方改革の実現に向け不断の取組を行っていくことが我が国にとって何よりも重要であることを申し上げ、私の賛成討論といたします。
#133
○難波奨二君 立憲民主党・民友会の難波奨二でございます。
 私は、会派を代表し、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対し、断固反対の立場で討論を行います。
 反対の理由の第一は、法案の成り立ちについてであります。
 本法案は、提出前から問題続出でありました。
 労働政策審議会や国会の場で審議されてきた平成二十五年度労働時間等総合実態調査からは次々に異常値や不適切なデータが見付かり、既にその時点で立法事実が消滅していたのであります。ところが、政府は、裁量労働制の適用拡大は断念しながらも国会に法案を提出したのです。
 ここに至るデータの不備は、第一次安倍政権における消えた年金問題と同じ構図です。また、加藤厚労大臣がなくなっているとしていた平成二十五年度労働時間等総合実態調査の調査票原票は厚労省の地下倉庫で見付かったことは薬害エイズ事件と同じ構図であり、さらに、官邸主導の政策に厚生労働省が屈服した構図は、獣医学部新設をめぐって官邸の圧力に文科省が屈した加計学園問題と同じでありましょう。
 四月になってようやく提出された法案は、労働基準法、労働契約法、労働者派遣法など八本もの法案の束ね法案であり、規制強化と規制緩和が混在した、法案の体を成していないものであります。
 反対の理由第二は、本法案が労働者保護に逆行するとともに、国民の圧倒的多数が反対する法案だからであります。
 本来、生身の人間であり弱い立場にある労働者を守るための労働法制は、岩盤規制であってしかるべきです。ところが、安倍総理が重用する産業競争力会議のメンバーである竹中平蔵氏は、残業代は補助金などと言い放っております。まさに労働法制はこのような経営者から労働者を保護するために存在しなければならないのであります。
 各種世論調査を見ても、七割もの国民が今国会での法案の成立に反対しています。国会前から始まり、全国津々浦々にまで法案成立に反対する声が上がっています。こうした声を無視して法案の成立を行うことは断じて許されません。過労死家族の会の皆さんは、高度プロフェッショナル制度の導入に対し、これ以上過労死を増やさないでほしいという悲痛な声を上げられておられます。
 こうした声に耳を傾けず、なぜこれほどまでに拙速に採決を急ぐのか。政府・与党が我々の反対を振り切って会期を延長した以上、まだまだ丁寧な審議ができるのではありませんか。
 反対の理由の第三は、本法案において導入されようとしている高度プロフェッショナル制度は、その制度設計や健康確保措置などがまだまだ未成熟であることが審議の中で明らかになり、到底導入できる状態にはありません。
 こうした中、安倍総理も、高プロは産業競争力会議で経済人や学識経験者からのニーズでまとめられたものであり、労働者側のニーズはなかったことを認めたのであります。労働者のためにならない高度プロフェッショナル制度は法案から削除すべきであります。
 このように、無理に無理を重ねた砂上の楼閣にすぎない働き方改革関連法案はもう一度労政審に差し戻し、法案を出し直すべきであることを強く訴えまして、私の反対討論といたします。
#134
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に断固反対の討論を行います。
 本法案は、データの捏造、隠蔽、そしてニーズの捏造によって立法事実は完全に失われ、法案審議の前提が既に崩壊しております。労政審もそして国会も冒涜するものであり、廃案とすべきであります。
 反対する第一の理由は、長時間労働を更に拡大し、過労死を促進するものであるからです。
 高度プロフェッショナル制度は労働時間規制を完全に適用しない労働者をつくり出す制度であり、明確な指示でなければ使用者による業務の指示も可能なため、際限のない長時間労働となる危険があります。さらに、健康確保措置も長時間労働の歯止めにはならず、過労死しても、労災認定はおろか、労災申請さえも困難にする最悪の事態を招きかねません。
 時間外労働の上限規制については、過労死ラインの時間外労働の合法化にほかなりません。「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」、こう定める労働基準法に過労死ラインの上限を書き込むことは到底認められません。長時間労働の是正のためには、大臣告示の法制化、例外規定の撤廃、インターバル規制の導入、労働時間の正確な把握、記録を罰則付きで義務付けることが不可欠であります。
 第二の理由は、雇用対策法の役割を大きく変質させることです。
 法律の名称を雇用対策から労働施策に変え、労働生産性の向上を目的に据えるものとなっております。労働者保護法制が適用されない非雇用型就労も含めた多様な就業形態の普及を国の施策に加えるなど、無権利、低所得の労働者を増大させることにつながるものであり、認めることはできません。
 第三の理由は、同一労働同一賃金について、将来の転勤や昇進等の人事異動の可能性という人材活用の仕組みの違いを理由に、現在の格差を追認することになるものです。正規、非正規間の処遇間格差の是正と言いながら、格差の固定化につながりかねません。
 加えて、フレックスタイム制の清算期間を三か月に拡大することは、長時間労働の助長、新たな未払残業につながるものとなります。
 総理は、過労死の悲劇を二度と繰り返さないと何度も決意を述べられました。しかし、本法案ではこの決意を実現することは断じてできない、このことを申し上げまして、反対討論といたします。
#135
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 自由党、社民党統一会派、希望の会を代表して、働き方改革一括法案に関して反対の立場から討論を行います。
 働き方改革一括法案は、提案理由説明で、過労死を二度と繰り返さないため、長時間労働の是正が急務です、このような社会を実現する働き方改革を推進するため、この法律案を提出いたしますとしています。
 しかし、高度プロフェッショナル法案は、これと全く関係がありません。むしろ、過労死をつくり、長時間労働を助長するもので、劇薬がこの働き方改革一括法案の中に入っております。断固賛成することはできません。命を奪う法律です。命を奪う法律です。働く人たちの労働条件を破壊する法律です。労働基準法を破壊する法律です。そんな法律を厚生労働委員会で成立させるわけにはいきません。
 反対する第一の理由は、労働時間規制が全くない労働者を日本で初めて誕生させることです。
 労働時間、休日、休憩、深夜業、一切の労働時間規制がない労働者が日本で初めて誕生します。管理監督者ですら深夜業の規制があります。一切の労働時間規制がありません。会社は労働時間管理の義務がありません。これをやらなくても違法とはなりません。
 四十一条の二で、まさに割増し賃金を払わない、これがこの高度プロフェッショナル法案のポイントであります。労働時間、休憩、休日及び深夜の割増し時間に関する規定は、対象労働者については適用しない。まさにコストカット、お金を払わない、大企業の大企業による大企業のための、コストカットのための法律が高度プロフェッショナル法案です。
 第二の理由は、立法事実が全くないということです。
 立法事実の説明は全くありません。安倍総理は、このことに関して、経団連の要請であると言いました。産業競争力会議の議論から始まっていることを安倍総理も加藤大臣も認めています。
 では、労働者は望んでいるんでしょうか。私が聞いておりますとおっしゃった加藤大臣は、実は直接聞いていないことが明らかになりました。虚偽答弁ではないでしょうか。
 十二人ヒアリングをしたというのはどうでしょうか。九人はまさに今年の一月三十一日と二月一日のものです。後付けじゃないですか。この高度プロフェッショナル法案が、要綱が出る前に何も聞いておりません。しかも、その十二人のうち九名は人事担当者が同席をしております。そのうち三名はグループ企業の人事担当者が同席をしております。年収も千七十五万円以上か分かりません。本当のことが言えるでしょうか。しかも、この十二人の中で、細かい具体的な、高度プロフェッショナル法案について、詳細な説明を受けて、それに反対するというヒアリングはありません。誰が望んでいるんですか。誰が望んでいるんですか。労働者は望んでおりません。こんな法律を成立させてはなりません。
 第三の理由は、まさに健康管理時間に関する問題です。
 裁量という言葉は条文の中にありません。また、業務についても法案の中にありません。政省令で幾らでも増やすことができるものです。労働管理、労働時間の管理を企業が全く放棄する、しかし健康管理時間という概念をつくっております。しかし、健康管理時間を仮にきちっとやっていなくても労基法違反にはなりません。違法とはならないんです。これが大きなポイントです。
 企画型裁量労働制については、この高度プロフェッショナルと同じような構造を持っています。同意があること、それから、労働管理時間を採用せずに労働時間状況の把握としております。しかし、厚生労働省の答弁の中で、全く実態調査をしていないこと、では、企画型裁量労働制の中でどのように労働時間管理の労働時間の状況の把握をしているのか、それすら一切説明はありません。
 企画型裁量労働制の中で過労死が出ています。この人たちの労働時間状況の把握すらできなくて、どうして高度プロフェッショナルの人たちの健康管理時間を把握すると言えるのでしょうか。結局、労働時間管理がないために、一切会社が責任を取らない、野放しでまさに働かされる、そして過労死をしても何も立証できない、そんなことが起きるでしょう。
 賃金台帳に名前しか書かれません。労働時間の記載はありません。割増し賃金の根拠となる深夜業、休日、休憩、その記載もありません。書かなくても違法ではありません。これでどうやって過労死の立証をするんでしょうか。
 第四に、千七十五万円という、年収の三倍以上程度という根拠についても根拠がないことが明らかになりました。
 同僚委員の頑張りによって、まさに厚労省から試算が出ましたが、保険料と税金を引けば、まさに八百万円を切ることが明らかになりました。この八百万円の手取りの中には家族手当、住宅手当、通勤手当も入るというものです。どれだけの、どれだけの給料なんでしょうか。どこが高度プロフェッショナルなんでしょうか。時給換算すれば非常に安くなるものと思われます。しかも法律を改正すれば、幾らでもこの金額は下がります。
 二〇〇五年、経団連はホワイトカラーエグゼンプションに関する提言という中で、四百万円以上というのを挙げています。派遣法の改悪のように、この金額が下がっていくことを本当に恐れます。
 政府は、総理もずっと一貫して、時間ではなく成果で評価される働き方、自由で柔軟で多様な働き方とつい最近もこの委員会で説明をしました。しかし、この委員会の中で、成果で測るというものは何もない、条文にはないということはとっくの昔に明らかになっています。自由で柔軟で多様な働き方などありません。仕事の量は労働者は選べないんです。裁量という言葉も全く条文にありません。大量の仕事を押し付けられながら、時間の規制がない、こんな労働者を誕生させることになります。
 第五の理由は、高度プロフェッショナル法案の下で女性が働けなくなるということです。
 家事責任を負う女性、男性が、この高度プロフェッショナルの中で、労働時間規制がない中で働き続けることができるでしょうか。女性の活躍なんてちゃんちゃらおかしい、そう思います。労働時間を規制しなければ、子育てをする女性は働き続けることはできません。ワークルールの仕事と家庭の両立を言うのであれば、労働時間の規制、労働法制の規制をしなければ働くことはできません。家事責任を負う男性だって同じことです。にもかかわらず、労働時間規制を一切なくすこと、これは女性にとっても本当に最悪の法律だと思います。
 労働時間の規制が一切ない労働者が企業に存在し、猛烈に働く、ほかの人たちの労働条件もそれに従って破壊をされていくでしょう。自分の上司が、高給取りと言われる人たちが猛烈な働き方をする中で、みんなの労働条件も絶対に破壊をされます。
 また、この高度プロフェッショナルの人たちがもらうと言われる年収が、その会社の最高水準になっていくのではないでしょうか。私は、この高度プロフェッショナル法案はホワイトカラー層の没落の始まりになると大変危惧を持っています。賃上げなんかできないですよ。高度プロフェッショナルがこの金額で、どうしてほかの人がそれを超えることができるでしょうか。
 今日も、全国過労死を考える遺族の会の皆さんたち含め、傍聴してくださっています。過労死をなくすことを人生の本当に目的にし、人生懸けて過労死をなくすことを頑張っていらっしゃいます。家族が過労死で亡くなったら、友人が、恋人が亡くなったら、本当につらいです。過労死をなくすという決意を、私たち厚生労働委員会はかつてしたのではないですか。過労死防止推進法は何だったんですか。
 この高度プロフェッショナル法案は、残業代ゼロ法案、定額働かせ放題法案、過労死推進法案、そして子育て妨害法案、家族解体法案、そして命を奪う法案だと思います。
 労働基準法は何のためにあるか、使用者と決して対等ではない労働者を守るためです。産休なんか要らないといっても、産休取ることが義務付けられます。労働者は絶対に対等ではありません。だからこそ、メーデーで、シカゴで八時間労働を訴えて、労働者は立ち上がりました。労働時間が、ぼろ雑巾のように三百六十五日働かせないために、最も重要だからこそ、メーデーの発祥で八時間労働がうたわれたのです。
 労働基準法、大事な法律です。厚生労働省もプライドを持ってこの法律を作り、発展させ、守ってきたと思います。労働基準法を破壊する、労働基準法の労働時間規制を撤廃する、あり得ないことです。戦後の労働行政の放棄じゃないですか。厚生労働省が官邸の産業競争力会議に屈服しているんじゃないですか。厚生労働省は、労働行政こそ労働者を守れ、そう思います。法律しか守れないんですよ。法律が守ってくれなかったら守れないんですよ。法律が規制しなかったら守れないんですよ。命を守るのは労働基準法でしょう。
 高度プロフェッショナル法案、どんなことがあっても認めることはできません。廃案にすべきである、差し戻せ、そのことを強く申し上げ、命を奪う法律に断固反対、そのことを申し上げ、私の反対討論といたします。
#136
○委員長(島村大君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#137
○委員長(島村大君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林正夫君。
#138
○小林正夫君 私は、ただいま可決されました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会及び無所属クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、労働時間の基本原則は、労働基準法第三十二条に規定されている「一日八時間、週四十時間以内」であって、その法定労働時間の枠内で働けば、労働基準法第一条が規定する「人たるに値する生活を営む」ことのできる労働条件が実現されることを再確認し、本法に基づく施策の推進と併せ、政府の雇用・労働政策の基本としてその達成に向けた努力を継続すること。
 二、働き過ぎによる過労死等を防止するため、労使合意に基づいて法定労働時間を超えて仕事をすることができる時間外労働時間の上限については、時間外労働の上限規制が適用される業務だけでなく、適用猶予後の自動車の運転業務や建設事業等についても、時間外労働の原則的上限は月四十五時間、年三百六十時間であり、労使は三六協定を締結するに際して全ての事業場がまずはその原則水準内に収める努力をすべきであること、休日労働は最小限に抑制すべきことについて指針に明記し、当該労使に周知徹底を図るとともに、とりわけ中小企業に対し、その達成に向けた労使の取組を政府として適切に支援すること。
 三、労使が年七百二十時間までの特例に係る協定を締結するに当たっては、それがあくまで通常予見できない等の臨時の事態への特例的な対応であるべきこと、安易な特例の活用は長時間労働の削減を目指す本法の趣旨に反するもので、具体的な事由を挙げず、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と定めるなど恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については特例が認められないこと、特例に係る協定を締結する場合にも可能な限り原則水準に近い時間外労働時間とすべきであることを指針等で明確化し、周知徹底するとともに、都道府県労働局及び労働基準監督署において必要な助言指導を実施すること。
 四、特例的延長の場合においては、時間外労働時間の設定次第では四週間で最大百六十時間までの時間外労働が可能であり、そのような短期に集中して時間外労働を行わせることは望ましくないことを周知徹底すること。
 五、事業主は、特例の上限時間内であってもその雇用する労働者への安全配慮義務を負うこと、また、脳・心臓疾患の労災認定基準においては発症前一箇月間の時間外・休日労働がおおむね百時間超又は発症前二箇月間から六箇月間の月平均時間外・休日労働がおおむね八十時間超の場合に業務と発症との関連性が強いと評価されることに留意するよう指針に定め、その徹底を図ること。
 六、時間外労働時間の上限規制が五年間、適用猶予となる自動車運転業務、建設事業、医師については、その適用猶予期間においても時間外労働時間の削減に向けた実効性ある取組を関係省庁及び関係団体等の連携・協力を強化しつつ、推し進めること。
 七、自動車運転業務の上限規制については、五年の適用猶予後の時間外労働時間の上限が休日を含まず年九百六十時間という水準に設定されるが、現状において過労死や精神疾患などの健康被害が最も深刻であり、かつそのために深刻な人手不足に陥っている運輸・物流産業の現状にも鑑み、決して物流を止めてはいけないという強い決意の下、できるだけ早期に一般則に移行できるよう、関係省庁及び関係労使や荷主等を含めた協議の場における議論を加速し、猶予期間においても、実効性ある実労働時間及び拘束時間削減策を講ずること。また、五年の適用猶予後に一般則の適用に向けた検討を行うに当たっては、一般則の全ての規定を直ちに全面的に適用することが困難な場合であっても、一部の規定又は一部の事業・業務についてだけでも先行的に適用することを含め検討すること。
 八、自動車運転業務については、過労死等の防止の観点から、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の総拘束時間等の改善について、関係省庁と連携し、速やかに検討を開始すること。また、改善基準告示の見直しに当たっては、トラック運転者について、早朝・深夜の勤務、交代制勤務、宿泊を伴う勤務など多様な勤務実態や危険物の配送などその業務の特性を十分に踏まえて、労働政策審議会において検討し、勤務実態等に応じた基準を定めること。
 九、改正労働基準法第百四十条第一項の遵守に向けた環境を整備するため、荷主の理解と協力を確保するための施策を強力に講ずるなど、取引環境の適正化や労働生産性の向上等の長時間労働是正に向けた環境整備に資する実効性ある具体的取組を速やかに推進すること。
 十、医師の働き方改革については、応召義務等の特殊性を踏まえ、長時間労働等の勤務実態を十分考慮しつつ、地域における医療提供体制全体の在り方や医師一人一人の健康確保に関する視点を大切にしながら検討を進めること。
 十一、教員の働き方改革については、教員の厳しい勤務実態や学校現場の特性を踏まえつつ、ICTやタイムカード等による勤務時間の客観的な把握等適正な勤務時間管理の徹底、労働安全衛生法に規定された衛生委員会の設置及び長時間勤務者に対する医師の面接指導など、長時間勤務の解消に向けた施策を推進すること。また、学校における三六協定の締結・届出等及び時間外労働の上限規制等の法令遵守の徹底を図ること。
 十二、本法による長時間労働削減策の実行に併せ、事業主が個々の労働者の労働時間の状況の把握を徹底し、かつその適正な記録と保存、労働者の求めに応じた労働時間情報の開示を推奨することなど、実効性ある改善策を講じていくこと。
 十三、本法において努力義務化された勤務間インターバル制度について、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るために有効な制度であることに鑑み、好事例の普及や労務管理に係るコンサルティングの実施等、その導入促進に向けた具体的な支援策の展開を早急に実施するとともに、次回の見直しにおいて義務化を実現することも目指して、そのための具体的な実態調査及び研究等を行うこと。なお、一日当たりの休息時間を設定するに際しては、我が国における通勤時間の実態等を十分に考慮し、真に生活と仕事との両立が可能な実効性ある休息時間が確保されるよう、労使の取組を支援すること。
 十四、年次有給休暇の取得促進に関する使用者の付与義務に関して、使用者は、時季指定を行うに当たっては、年休権を有する労働者から時季に関する意見を聴くこと、その際には時季に関する労働者の意思を尊重し、不当に権利を制限しないことを省令に規定すること。また、労働基準監督署は、違反に対して適切に監督指導を行うこと。
 十五、時間外労働時間の上限規制の実効性を確保し、本法が目指す長時間労働の削減や過労死ゼロを実現するためには、三六協定の協議・締結・運用における適正な労使関係の確保が必要不可欠であることから、とりわけ過半数労働組合が存在しない事業場における過半数代表者の選出をめぐる現状の課題を踏まえ、「使用者の意向による選出」は手続違反に当たること、及び、使用者は過半数代表者がその業務を円滑に推進できるよう必要な配慮を行わなければならない旨を省令に具体的に規定し、監督指導を徹底すること。また、使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならない旨の省令に基づき、その違反に対しては厳しく対処すること。
 十六、裁量労働制の適用及び運用の適正化を図る上で、専門業務型においては過半数労働組合又は過半数代表者、企画業務型においては労使委員会の適正な運用が必要不可欠であることから、前項の過半数代表の選出等の適正化に加え、労使委員会の委員を指名する過半数代表の選出についても同様の対策を検討し、具体策を講ずること。
 十七、特に、中小企業・小規模事業者においては、法令に関する知識や労務管理体制が必ずしも十分でない事業者が数多く存在すると考えられることを踏まえ、行政機関の対応に当たっては、その労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて必要な配慮を行うものとすること。
 十八、裁量労働制については、今回発覚した平成二十五年度労働時間等総合実態調査の公的統計としての有意性・信頼性に関わる問題を真摯に反省し、改めて、現行の専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態を正確に把握し得る調査手法の設計を労使関係者の意見を聴きながら検討し、包括的な再調査を実施すること。その上で、現行の裁量労働制の制度の適正化を図るための制度改革案について検討を実施し、労働政策審議会における議論を行った上で早期に適正化策の実行を図ること。
 十九、長時間労働の歯止めがないとの指摘を踏まえ、高度プロフェッショナル制度を導入するに当たっては、それが真に働く者の働きがいや自由で創造的な働き方につながる制度として運用され、かつそのような制度を自ら希望する労働者にのみ適用されなければならないことに留意し、この制度創設の趣旨にもとるような制度の誤用や濫用によって適用労働者の健康被害が引き起こされるような事態を決して許してはいけないことから、制度の趣旨に則った適正な運用について周知徹底するとともに、使用者による決議違反等に対しては厳正に対処すること。
 二十、高度プロフェッショナル制度の適用労働者は、高度な専門職であり、使用者に対して強い交渉力を持つ者でなければならないという制度の趣旨に鑑み、政府は省令でその対象業務を定めるに当たっては対象業務を具体的かつ明確に限定列挙するとともに、法の趣旨を踏まえて、慎重かつ丁寧な議論を経て結論を得ること。労使委員会において対象業務を決議するに当たっても、要件に合致した業務が決議されるよう周知・指導を徹底するとともに、決議を受け付ける際にはその対象とされた業務が適用対象業務に該当するものであることを確認すること。
 二十一、前項において届出が受け付けられた対象業務について、制度創設の趣旨に鑑み、使用者は始業・終業時間や深夜・休日労働など労働時間に関わる働き方についての業務命令や指示などを行ってはならないこと、及び実際の自由な働き方の裁量を奪うような成果や業務量の要求や納期・期限の設定などを行ってはならないことなどについて、省令で明確に規定し、監督指導を徹底すること。
 二十二、高度プロフェッショナル制度の対象労働者の年収要件については、それが真に使用者に対して強い交渉力のある高度な専門職労働者にふさわしい処遇が保障される水準となるよう、労働政策審議会において真摯かつ丁寧な議論を行うこと。
 二十三、高度プロフェッショナル制度を導入する全ての事業場に対して、労働基準監督署は立入調査を行い、法の趣旨に基づき、適用可否をきめ細かく確認し、必要な監督指導を行うこと。
 二十四、今般の改正により新設される労働時間の状況の把握の義務化や、高度プロフェッショナル制度における健康管理時間の把握について、事業主による履行を徹底し、医師による面接指導の的確な実施等を通じ、労働者の健康が確保されるよう取り組むこと。
 二十五、高度プロフェッショナル制度の対象となる労働者の健康確保を図るため、「健康管理時間」は客観的な方法による把握を原則とし、その適正な管理、記録、保存の在り方や、労働者等の求めに応じて開示する手続など、指針等で明確に示すとともに、労働基準監督署は、法定の健康確保措置の確実な実施に向けた監督指導を適切に行うこと。
 二十六、高度プロフェッショナル制度適用労働者やその遺族などからの労災申請があった場合には、労働基準監督署は、当該労働者の労働時間の把握について徹底した調査を行う等、迅速かつ公正な対応を行うこと。
 二十七、高度プロフェッショナル制度に関し、それが真に制度の適用を望む労働者にのみ適用されることを担保するためには、本人同意の手続の適正な運用が重要であることから、提供されるべき情報や書面での確認方法を含め、本人同意に係る手続の要件等について指針等において明確に規定するとともに、本人同意が適正に確保されることについて決議の届出の際に労働基準監督署において確認すること。また、使用者に対して、同意を得る際には不同意に対していかなる不利益取扱いもしてはならないこと、労働者が同意を撤回する場合の手続についても明確に決議した上で、同意の撤回を求めた労働者を速やかに制度から外すとともに、いかなる不利益取扱いもしてはならないことについて、周知徹底し、監督指導を徹底すること。
 二十八、高度プロフェッショナル制度においても、使用者の労働者に対する安全配慮義務は課されることを踏まえ、労働基準監督署は、高度プロフェッショナル制度適用労働者の健康管理時間の把握・記録に関して、当該使用者に対して、適切な監督指導を行うこと。
 二十九、高度プロフェッショナル制度を導入するに当たっての労使委員会における決議については、その制度創設の趣旨に鑑み、有効期間を定め、自動更新は認めないことを省令等において規定すること。加えて、本人同意については、対象労働者としての要件充足を適正に確認するためにも、短期の有期契約労働者においては労働契約の更新ごと、無期又は一年以上の労働契約においては一年ごとに合意内容の確認・更新が行われるべきであることを指針に規定し、監督指導を徹底すること。
 三十、高度プロフェッショナル制度の具体的な実施の在り方については、多くの事項が省令に委任されていることから、委員会審査を通じて確認された立法趣旨や、本附帯決議の要請内容を十分に踏まえ、労働政策審議会における議論を速やかに開始し、省令等に委任されている一つ一つの事項について十分かつ丁寧な審議を行い、明確な規定を設定するとともに、対象事業主や労働者に対して十分な周知・啓発を行い、併せて監督指導する労働基準監督官等に対しても十分な教育・訓練を行うこと。
 三十一、高度プロフェッショナル制度に関して、政府は、三年を目途に、適用対象者の健康管理時間の実態、労働者の意見、導入後の課題等について取りまとめを行い、本委員会に報告すること。
 三十二、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の三法改正による同一労働同一賃金は、非正規雇用労働者の待遇改善によって実現すべきであり、各社の労使による合意なき通常の労働者の待遇引下げは、基本的に三法改正の趣旨に反するとともに、労働条件の不利益変更法理にも抵触する可能性がある旨を指針等において明らかにし、その内容を労使に対して丁寧に周知・説明を行うことについて、労働政策審議会において検討を行うこと。
 三十三、低処遇の通常の労働者に関する雇用管理区分を新設したり職務分離等を行ったりした場合でも、非正規雇用労働者と通常の労働者との不合理な待遇の禁止規定や差別的取扱いの禁止規定を回避することはできないものである旨を、指針等において明らかにすることについて、労働政策審議会において検討を行うこと。
 三十四、派遣労働者の待遇決定に関して以下の措置を講ずること。
  1 派遣労働者の待遇決定は、派遣先に直接雇用される通常の労働者との均等・均衡が原則であって、労使協定による待遇改善方式は例外である旨を、派遣元事業主・派遣先の双方に対して丁寧に周知・説明を行うこと。
  2 労使協定の記載事項の一つである「派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」に関して、同等以上の賃金の額の基礎となる「一般の労働者の平均的な賃金の額」は、政府が公式統計等によって定めることを原則とし、やむを得ずその他の統計を活用する場合であっても、「一般の労働者の平均的な賃金の額」を示すものとして適切な統計とすることについて、労働政策審議会において検討を行うこと。
  3 労使協定における賃金の定めについては、対象派遣労働者に適用する就業規則等に記載すべきものである旨を周知徹底すること。
  4 労使協定で定めた内容を行政が適正に把握するため、派遣元事業主が、労働者派遣法第二十三条第一項に基づく事業報告において、改正労働者派遣法第三十条の四に定めている五つの労使協定記載事項を、それぞれ詳しく報告することとし、その内容を周知・徹底することについて、労働政策審議会において検討を行うこと。
 三十五、使用者が、非正規雇用労働者に通常の労働者との待遇差を説明するに当たっては、非正規雇用労働者が理解できるような説明となるよう、資料の活用を基本にその説明方法の在り方について、労働政策審議会において検討を行うこと。
 三十六、「働き方改革」の目的、及び一億総活躍社会の実現に向けては、本法が定める均等・均衡待遇の実現による不合理な待遇差の解消とともに、不本意非正規雇用労働者の正社員化や無期転換の促進による雇用の安定及び待遇の改善が必要であることから、引き続き、厚生労働省が策定する「正社員転換・待遇改善実現プラン」等の実効性ある推進に注力すること。
 三十七、労働契約法第十八条の無期転換権を行使した労働者について、労働契約法による無期転換の状況等を踏まえ、必要な検討を加えること。
 三十八、本委員会における審査を踏まえ、職場におけるパワーハラスメント等によって多くの労働者の健康被害が生じており、その規制・防止を行うことが喫緊の課題であるとの共通の認識に基づき、国際労働機関(ILO)において「労働の世界における暴力とハラスメント」の禁止に向けた新たな国際労働基準の策定が行われることや、既に国連人権機関等からセクシュアルハラスメント等の禁止の法制度化を要請されていることも念頭に、実効性ある規制を担保するための法整備やパワーハラスメント等の防止に関するガイドラインの策定に向けた検討を、労働政策審議会において早急に開始すること。また、厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書を踏まえ、顧客や取引先からの著しい迷惑行為について、関係者の協力の下で更なる実態把握を行うとともに、その対応策について具体的に検討すること。
 三十九、多様な就業形態で就労する労働者(副業・兼業・雇用類似の者を含む)を保護する観点から、長時間労働の抑制や社会・労働保険の適用・給付、労災認定など、必要な保護措置について専門的な検討を加え、所要の措置を講ずること。特に、副業・兼業の際の、働き方の変化等を踏まえた実効性のある労働時間管理の在り方等について、労働者の健康確保等にも配慮しつつ、検討を進めること。
 四十、本法が目指す過労死ゼロ、長時間労働の削減、家庭生活と仕事との両立、及び女性の活躍などの働き方改革を実現するためには、法令の遵守を確保するための監督指導の徹底が必要不可欠であることから、労働基準監督官の増員を政府の優先事項として確保し、労働行政事務のシステム化を始め、労働基準監督署の体制強化を早急に図ること。また、短時間・有期雇用労働法及び労働者派遣法の適正な運用には、待遇改善推進指導官、雇用環境改善・均等推進指導官や需給調整指導官等の機能強化も重要であり、そのための体制の充実・強化や関係部署の有機的な連携・協力体制の増強を確保すること。
 四十一、多様な就業形態が増加する中で、経営者あるいは労働者自らが労働法制や各種ルールについて知ることは大変重要であることを踏まえ、ワークルール教育の推進を図ること。
 四十二、中小企業や小規模事業者において、時間外労働の上限規制が遵守できる環境を整えるために関係省庁が連携し、政府全体で中小企業の人材確保や取引条件等の改善に向けて適切な措置を講ずること。特に、中小企業庁とも協力して、働き方改革の推進を中小企業施策の一つの柱に位置付け、長時間労働につながる取引慣行の見直しを含めた業界改革につなげるよう取り組むこと。
 四十三、事務所その他の作業場における労働者の休養、清潔保持等のため事業者が講ずるべき必要な措置について、働き方改革の実現には、職場環境の改善を図ることも重要であるとの観点を踏まえ、労働者のニーズを把握しつつ、関係省令等の必要な見直しを検討すること。
 四十四、働き方改革実行計画の中で取組テーマとして掲載されている、就職氷河期世代への対応、子育て・介護と仕事の両立、外国人人材の受入れについても重要な課題であることから、現状把握や今後の対応等については各関係省庁と連携して取り組み、必要な措置を講ずること。
 四十五、全ての労働者の健康確保が適切に行われるよう、産業医等産業保健活動の専門職の育成や衛生委員会の活性化等を通じて、産業医・産業保健機能の強化を確実に推進すること。とりわけ、五十人未満の小規模な事業場については、医師や保健師等産業保健活動の専門職の選任の促進、産業保健総合支援センターによる支援や研修等を通じた産業保健活動の担い手の確保を始め、産業保健機能の強化を図るための検討を行い、必要な措置を講ずるとともに、働き方改革推進支援センター等とも連携してきめ細かな支援を行うこと。併せて、当該事業場におけるストレスチェックの実施が効果的に促されるよう必要な支援を行うこと。
 四十六、新技術・新商品等の研究開発業務に関し、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう、指導を徹底すること。また、新技術・新商品等の研究開発業務に従事する従業員に対しては、十分に手厚い健康確保措置を採るよう努めるものとすること。
 四十七、働き方改革の実行の過渡期においては、いわゆる生活残業を行う従業員が生活困窮に陥ること、高度プロフェッショナル制度の運用の仕方が必ずしも適切ではないこと等の問題が生じる可能性があることから、本法施行後、労働時間等の実態についての調査を定期的に行い、現状を把握しつつ、働き方改革実行計画の必要な見直しを不断に行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#139
○委員長(島村大君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(島村大君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤厚生労働大臣。
#141
○国務大臣(加藤勝信君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。
#142
○委員長(島村大君) 次に、労働安全衛生法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#143
○委員長(島村大君) 少数と認めます。よって、本案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(島村大君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時散会
ソース: 国立国会図書館
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