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2018/06/05 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 外交防衛委員会 第18号
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2018/06/05 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 外交防衛委員会 第18号

#1
第196回国会 外交防衛委員会 第18号
平成三十年六月五日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     宇都 隆史君     渡辺 猛之君
     佐藤  啓君     関口 昌一君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     関口 昌一君     佐藤  啓君
     中西  哲君     三木  亨君
     渡辺 猛之君     宇都 隆史君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     中西  哲君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     武見 敬三君     古賀友一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         三宅 伸吾君
    理 事
                猪口 邦子君
                塚田 一郎君
                中西  哲君
                杉  久武君
                藤田 幸久君
    委 員
                宇都 隆史君
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                中曽根弘文君
                堀井  巌君
                山本 一太君
                山口那津男君
                小西 洋之君
                福山 哲郎君
                牧山ひろえ君
                井上 哲士君
                浅田  均君
              アントニオ猪木君
                伊波 洋一君
   国務大臣
       外務大臣     河野 太郎君
       防衛大臣     小野寺五典君
   副大臣
       外務副大臣    佐藤 正久君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  岡本 三成君
       外務大臣政務官  堀井  学君
       外務大臣政務官  堀井  巌君
       防衛大臣政務官  大野敬太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房TPP
       等政府対策本部
       政策調整統括官  澁谷 和久君
       外務大臣官房審
       議官       川崎 方啓君
       外務大臣官房審
       議官       石川 浩司君
       外務大臣官房審
       議官       川村 博司君
       外務大臣官房審
       議官       松浦 博司君
       外務大臣官房参
       事官       林  禎二君
       外務省北米局長  鈴木 量博君
       外務省経済局長  山野内勘二君
       農林水産省生産
       局農産部長    岩濱 洋海君
       農林水産省生産
       局畜産部長    大野 高志君
       環境大臣官房政
       策立案総括審議
       官        米谷  仁君
       防衛大臣官房長  高橋 憲一君
       防衛大臣官房サ
       イバーセキュリ
       ティ・情報化審
       議官       小波  功君
       防衛省防衛政策
       局長       前田  哲君
       防衛省整備計画
       局長       西田 安範君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○環太平洋パートナーシップに関する包括的及び
 先進的な協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(三宅伸吾君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として古賀友一郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(三宅伸吾君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(三宅伸吾君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に中西哲君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(三宅伸吾君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(三宅伸吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(三宅伸吾君) 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
#8
○国務大臣(河野太郎君) おはようございます。
 ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、アメリカ合衆国が環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したことを受け、同国を除く同協定署名十一か国で同協定の内容を実現するための法的枠組みとしての協定の交渉を開始しました。その結果、平成三十年三月八日にチリのサンティアゴにおいて、十一か国の代表者によりこの協定の署名が行われた次第であります。
 この協定は、アジア太平洋地域において、物品及びサービスの貿易並びに投資の自由化及び円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等幅広い分野で新たなルールを構築するための環太平洋パートナーシップ協定の内容を実現するための法的枠組みについて定めるものであります。
 この協定の締結は、我が国の成長戦略に資するものであり、また世界的に保護主義的な風潮が広まる中で自由貿易の旗手である我が国から世界に向けた力強いメッセージとなり、アジア太平洋地域に二十一世紀型の貿易・投資ルールを広げていく上で大きな一歩となることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#9
○委員長(三宅伸吾君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
 本日は、環太平洋経済連携協定、TPPの質疑でございますが、本年三月に我が国を始めカナダ、メキシコ、ペルーなど十一か国が署名をしたTPP11がいよいよ本委員会で質疑となりました。
 このTPPにつきましては、既にメキシコが議会承認等の国内手続を終了していると伺っておりますけれども、メキシコに続いて我が国におきましても質疑を迎えたことは私も歓迎したいと思いますし、本委員会での質疑を機に、他のTPP参加国に対しても早期発効に向けた機運を高める大変重要な機会であると考えておりますので、本日はTPPにつきまして主に外交という観点から質問をしてまいりたいと思います。
 まず冒頭申し上げたいことは、TPP参加十一か国の発効が実現いたしますと、アメリカがTPPから抜けたとはいえ、それでも世界の貿易額の実に一五%近くを占める地域が九九%の関税撤廃という高い基準を持つ人口五億人市場の巨大な自由貿易圏が誕生をいたします。アメリカのTPP撤退後に我が国が積極果敢にイニシアチブを発揮いたしまして署名にまで導いたことは、大変画期的なことでございます。
 また、それ以上に、今やTPPから想起されるイメージ、そしてTPPから発せられるメッセージというものが単なる自由貿易圏の誕生といった経済的視点でのみ語られるものではなくなってきております。昨今の保護主義的な動き、あるいは自国優先の経済政策を前面に打ち出して世界の通商政策の秩序を破壊しようとする国々に対して、TPPの存在が自由で開かれた経済を実現する言わばフォートレスとなっておりますし、各国が対等な立場で共存共栄をプラットホームとして制度を模索し、協議し、構築するというあるべき国際協調主義、国際秩序を体現したTPPが保護主義に対する明確な対抗軸になっていくのではないか、そのように思います。
 こうした意義を持つに至ったTPPを我が国が主体的にリードし、合意形成に至らしめたことは、従来、自由主義の旗手として主導的役割を担ってきたアメリカから、今や我が国がその役割を担い、その存在感を強めているということを世界に示していくだけでなく、今後、外交に基づく様々な世界秩序の構築と維持、そして発展というものに対し、我が国が責任を持って牽引していく、その嚆矢として後世TPPというものが我が国の歴史の中で語られていくのではないか、私見ではございますけれども、このように感じております。また、それを世界が望んでいることは、TPPの動向を注視する世界各国のまなざしが日増しに熱くなっていることから見ても明らかであると思います。
 そこで、このような観点を踏まえまして質問に移りたいと思いますが、まずは、TPP参加十一か国中、冒頭申し上げましたとおり、既にメキシコが国内手続を終了しておりますけれども、そのメキシコに続きまして我が国が国内整備を完了いたしますと、TPPは六か国の批准によって発効いたしますので、あと四か国が国内手続を終えれば、その六十日後に条約が発効し、関税の引下げや各種ルールの統一というものが順次開始をされるわけでございます。
 そこで、外務省に伺います。
 我が国とメキシコを除きます他の九か国の国内手続につきまして、各国それぞれの直近の進捗状況を確認するとともに、本条約の年内発効に向けた見通しについて見解を伺いたいと思います。
#11
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 三月八日のチリにおける署名式の際にも、このTPP11の多くの国から年内の締結に向けて前向きな発言があったとおりでございます。TPP11協定の早期発効に向け、現在各国において国内手続が進められているところでございます。
 委員御指摘のとおり、メキシコはその先陣を切って先月国内手続を終えたところでございますけれども、そのほかにもオーストラリア及びニュージーランドでは議会での審議が始まるなど、各国で手続が順調に進んでいるというふうに認識しているところでございます。
 我が国といたしましても、是非今国会で御承認いただき、早期発効に向けた機運を高めてまいりたいというふうに思っております。
#12
○杉久武君 経済効果が十分に発揮されるためには、最終的には十一か国全ての国における批准が大変重要だと思いますので、外務省からも引き続き積極的なアプローチを是非お願いしたいと思います。
 そのTPPによる経済効果についてでありますけれども、昨年十月にピーターソン国際経済研究所が発表した推計によりますと、アメリカを抜いたいわゆるTPP11は、二〇三〇年までに世界における国民所得への効果を千四百七十億ドル押し上げると、このような試算がございました。しかしながら、アメリカがTPPに参加していれば、同じその数字は四千九百二十億ドルに上がったと試算されておりますので、現状TPP11に対する経済効果が都合三分の一に縮小するとの試算でございますが、特に対アメリカとの貿易という点では我が国が最も関係性が深いことから、アメリカ抜きのTPPの場合、TPP11の中でも最も多くの利益を失う可能性がある、このような指摘もされております。
 しかしながら、それでもTPPが我が国の経済成長に寄与することは明らかでございまして、商品の貿易でいえば、関税削減や製品の規格や標準がフラットになることで輸出が拡大し、資源配分や生産性の向上を始め、サービス貿易や投資拡大など、我が国の新たな経済成長の源泉になることは間違いございません。
 さらに、TPPへの参加に関心を示しておりますインドネシア、韓国、フィリピン、台湾、タイの五か国・地域を引き入れることができれば、いわゆるTPP16となりますけれども、この場合、二〇三〇年までの国民所得への効果が四千四百九十億ドルに押し上げるという試算もございます。この額は、先ほど申し上げましたアメリカがTPPに参加した場合の経済効果により近い額になりますので、たとえアメリカ抜きであったとしても、TPP16によって我が国の国民所得が二%押し上がるといった試算を鑑みても我が国に好影響を与えることは間違いないのではないかと、このように考えております。
 そこで、外務省に伺います。
 TPPに加わろうとする動きが各国に広がる中で、特にインドネシア、韓国、フィリピン、台湾、タイの五か国・地域のTPP加入に向けた動きについて確認するとともに、今年の夏にもTPPの首席交渉官会合を開催して対応を協議すると言われておりますが、これら国々に対して我が国としてどのような対応をするのか、外務省に伺いたいと思います。
#13
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 新たな国・地域の加入を通じて二十一世紀型の新たな共通のルールを広めていくと、こういうことがTPP参加国共通の思いでございます。その意味で、委員御指摘の国・地域を含め、様々な国・地域がTPPへの参加に関心を示していると、こういうことを歓迎したいというふうに思います。
 具体的に申し上げます。
 タイにつきましては、先月、茂木大臣が訪問され、ソムキット副首相からTPP参加への強い意向が示されたところでございます。日本からも支援を得たいという先方の要望があったところ、茂木大臣から、今後、情報提供を含めタイに支援を行っていくというふうに表明しているところでございます。
 韓国につきましては、TPP11への加入の是非を年内に決定する考えであるというふうに承知しているところでございます。
 台湾につきましては、アジア太平洋地域との経済関係を強化する観点から、TPP11への加入に強い意欲を表明しているというふうに承知しております。
 インドネシアにつきましても、先ほど、日本とインドネシアの国交樹立六十周年の記念のシンポジウムにおいてバンバン長官から、インドネシアは真剣にTPPへの参加を検討しているといった表明もあったところでございます。
 それから、フィリピンにつきましては、ラモン・ロペス貿易産業大臣の発言ということで伝えられているところでございますけれども、より大きな輸出市場をフィリピンに提供するTPPに参加する利益を見直したところ、再度関心が出てきた、こういったような発言が伝わってきているところでございまして、こういった動きに注目していきたいと思います。
 それから、TPP11の第五条でございますけれども、ここに加入の規定がございまして、「この協定の効力発生の日の後、締約国と当該国又は独立の関税地域との間で合意する条件に従ってこの協定に加入することができる。」というふうに規定されているところでございますが、まずはTPP11協定の早期発効に全力を挙げるということが肝要かと思います。
 それから、御質問ございましたTPPに関する首席交渉官会合でございます。この夏に予定されているところでございますけれども、こういった機会も通じて十一か国で発効後のTPPの拡大ということも視野に入れた議論を進めて、我が国として関心国・地域に対して必要な情報提供を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
#14
○杉久武君 是非、外務省におかれましては、積極的な働きかけを継続して行っていただきたいと思います。
 さて、TPPの大きな魅力として諸外国が認識していることは、TPPが閉鎖的な言わばブロック経済を目指しているものではなく、まあ名称こそトランスパシフィックとなってはおりますが、TPPが全ての国に対して参加への窓が開かれているという点であろうかと思います。
 これは、河野外務大臣にもあらゆる機会を通じてTPPに地理的な要件はないと強くアピールいただいておりますが、これは後ほど質問いたしますけれども、河野大臣には先月十九日からブラジル、アルゼンチン、アメリカ、メキシコと大変な距離を移動いただき、外交交渉を精力的に展開いただきましたが、特にアルゼンチンで行われましたG20ブエノスアイレス外相会合では、大臣から自由貿易体制の強化の必要性を訴えられ、中南米各国にTPPへの参加を呼びかけていただいております。
 その中南米諸国の中でも、特にTPP新規加盟を目指す筆頭候補として目されているのがコロンビアであります。中南米の自由貿易圏である太平洋同盟の中では、コロンビア以外は全てTPP参加国でありますので、コロンビアがTPPに加入しませんと、農産品などの関税面でコロンビアだけが不利益を被ることになることからTPP加入に関心を持っている、このように言われております。
 また、G20の外相会合で河野大臣からは、TPPは環太平洋という言葉は入っているが太平洋という言葉に関わらないという発言もされておりますが、その言葉のとおり、パシフィックの反対でありますアトランティックの大国のイギリスがこのTPPについて、イギリスのリアム・フォックス国際貿易大臣がTPPの参加案を排除しないと、このように明言されていることも報じられております。
 そこで、外務省に伺いますが、コロンビアのTPP参加に向けた動きについて確認するとともに、イギリスにつきましては、これはEUを見据えた我が国にとって大事な意義があると考えますので、我が国からもTPP参加をしっかり後押ししていくべきではないかと、このように思いますが、外務省の見解を伺います。
#15
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 まず、コロンビアにつきましては、委員御指摘のとおり、コロンビアはメキシコ、チリ、ペルーとともに四か国で太平洋同盟という中南米のFTAをつくっているところでございまして、コロンビア以外のメキシコ、チリ、ペルーはTPP11に参加しているということでございます。さらに、コロンビアはアメリカあるいは韓国などとFTAを締結もしておるところでございまして、これまで自由貿易を推進してきている国であるというふうに認識しております。こういう中で、サントス大統領御自身がTPP参加に高い関心を表明しているというふうに承知しているところでございます。
 イギリスにつきましては、アジア太平洋諸国以外初めてのTPP参加国になることに意欲を示していると、こういった報道もあるところでございまして、こういった関心を歓迎したいというふうに思います。
 イギリスとの関係では、昨年八月、メイ首相が訪日された際の日英首脳会談の際に、繁栄協力に関する日英共同宣言というものが発出されたところでございまして、この宣言を踏まえて、日本とイギリスの間では、貿易・投資関係を前進させるための貿易・投資作業部会というものを設置しておるところでございます。
 こういった機会も活用しながら、イギリスのTPPへの関心も十分踏まえて、今後の日英の経済関係の強化に向けて議論を深めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#16
○杉久武君 TPPに関連する国々について外交面から順次伺ってまいりましたが、その上で、次にアメリカについて伺いたいと思います。
 TPPをめぐっては、御承知のとおり、トランプ大統領は、二〇一六年、大統領選の期間中から、ばかげた協定であるとかアメリカの製造業にとって致命的な打撃になるといった発言もあるとおり、TPPからの離脱を訴えて大統領に当選したという事実がございます。そして、大統領就任直後の二〇一七年一月にはTPPから永久に離脱すると、忘れることのできない発言を残してTPPから離脱をしていった経緯を考えますと、本年四月にはトランプ大統領がTPP復帰を検討などといった報道も一部ございましたが、私は、少なくともトランプ政権下でのTPP復帰はなかなか難しいのではないのか、ないのではないのかなと考えるのが道理じゃないかなというふうにも感じております。
 もちろん、復帰への門戸を閉じることは必要ございませんし、特にTPP11の早期発効がアメリカに再考を促す一つの契機になることは間違いないと思いますが、私の正直なところ、トランプ大統領は、TPP撤退に伴う自国利益の毀損以上に、あえてバイの交渉を持ってTPPよりも大きなビッグディールを獲得する、そういった自信があるからこそ、したたかにTPPから撤退しているのではないか。また、仮にビッグディールが得られないと判断すれば、大統領は即座に我が国や参加国に対してTPPの再交渉を始め、相当強い圧力を掛けながら強引に戻ろうとするであろうと、可能性としては十分に想像できます。
 したがって、アメリカへの対応という点を申し上げれば、TPPを早期に発効させ、参加国が一致団結をして強い結束力を示しながら、アメリカには前政権下での交渉と同じ条件下で接するべきですし、そのためにも参加国のTPPへの求心力を我が国がしっかり支えていく必要があると思います。
 そこで、外務大臣に質問いたします。
 大臣には大変熱心に活動いただいておりますが、今後も我が国が加盟国とともにTPP参加関心国を積極的に勧誘してTPPを拡大し、経済的利益を一層増大させることがアメリカに対する揺るぎない対抗軸になっていくものと考えますが、アメリカに対するTPPを通じた外交的な戦略、そしてTPPへのアメリカの復帰というものについてどのようにお考えなのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
#17
○国務大臣(河野太郎君) TPPは二十一世紀型の自由で公正な新しいルールを作り上げる協定でありまして、今後の通商交渉の言わばモデルになるものだと思っております。アジア太平洋地域の現状を踏まえた上で、この地域でのルール作りを日米が主導していくということが大事だということから、日本はこのTPP交渉に加わったわけでございます。
 米国に対しましては、引き続き、このTPPの持つ経済的な重要性だけではなく、戦略的な重要性、そしてグローバル化や技術革新が最も進んでいるのがアメリカだということから、このTPPがアメリカの経済や雇用にとって非常にプラスになるということを様々な機会を通じて米国に訴えてまいりたいというふうに思っております。
 また、これまで御質問いただきましたように、TPP11発効後のTPPの拡大ということを視野に入れて、TPPに関心を示している国や地域に対して必要な情報提供を行い、自由で開かれた枠組みであるTPPが拡大をする、その結果、高い基準のルールがアジア太平洋地域のみならずその先まで拡大するということは、TPPの持つ戦略的、経済的価値を更に高めるということにつながるわけで、それがアメリカに対する良いメッセージとなるということを考えているところでございます。
#18
○杉久武君 今月下旬には日米間でFFRがスタートするとの話もございますが、アメリカはバイの交渉で貿易赤字の削減を考えておりますので、およそ理不尽と言えるような要求も相当出てくるのではないかと危惧されます。これは我が国の問題だけでなく、他国にとっても同様ですので、結果的にアメリカとの二国間交渉を避けたいと考える国が増えると考えられます。
 そのような意味からも、自由貿易や透明性の高いルールの枠組みを持つTPPに活路を求める動きが出ることは当然でありますので、引き続き河野大臣には、強い発信力と行動力によりまして、こうしたメガFTPの中で各国が対等な主権国家として尊重され共存共栄を図ることが、国際秩序の維持、構築に引き続き御尽力くださいますようお願い申し上げたいと思います。
 そこで、次の質問に移りますけれども、先ほど中南米の話でも触れましたが、河野大臣には、五月の十九日から、ブラジル、アルゼンチン、アメリカ、メキシコと大変な距離を移動いただき、活発な外交を展開されました。その中で本日はブラジルについて伺いますけれども、河野大臣には、中南米諸国の歴訪に先立つ五月十七日に我が国を訪問中のアロイジオ・ヌネス外務大臣と会談されまして、二国間の経済関係強化やインフラ分野での協力推進、また国連安保理改革や北朝鮮問題についても協議されたというふうに伺いました。
 他方、ブラジルの国営通信アジェンシア・ブラジルによれば、ヌネス大臣の訪日はメルコスールと日本との自由貿易協定の交渉再開について期待したものであり、保護主義が台頭する中、日本との協定は不可欠と報じられておりますが、このメルコスール、南米南部共同市場については、本年四月の第八回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議による最終報告書の中でも、本年十一月までに我が国とメルコスールのEPAの交渉開始のための外交的相互理解に達することを強く望むと、このような提言があり、ブラジルのテメル大統領、そして安倍総理にも提言書が手交されております。
 そこで外務省に伺いますが、我が国とメルコスールにおけるFTA、EPAの交渉状況について確認するとともに、日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の最終提言書について外務省としてどのように受け止め、取り組むのか、伺いたいと思います。
#19
○政府参考人(林禎二君) お答えいたします。
 ブラジルを含むメルコスール、南米南部共同市場は、市場や人口の規模の観点から、また資源、食料の供給基地として我が国にとって重要でございます。このため、二〇一二年以降、日・メルコスール経済関係緊密化のための対話を開催し、同地域との経済関係の強化に努めているところでございます。
 委員御指摘のとおり、メルコスールとのEPA交渉開始については、日本とブラジルの経済界を代表する企業家で構成される日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の提言書でも提言がなされ、この提言書は安倍総理にも手交されたと承知してございます。
 本件につきましては、今後、国内への影響等様々な要素を踏まえつつ慎重に検討してまいりたいと考えております。
#20
○杉久武君 ブラジルもTPPの重要なパートナーたり得る国ですので、今後も注意していきたいと思います。
 また、河野大臣には、ブラジルが公私共の初訪問と伺っておりますが、我が国のブラジル移住の歴史は一九〇八年六月、笠戸丸によって七百八十一名の日本人が移住したのが始まりで、戦前には約十九万人、戦後も五万人の方がサンパウロ州を中心に入植されましたが、以来、百十年に及ぶ歳月を経まして、その間には言葉では言い表せないほどの艱難辛苦の果てに、海外最大の日本人社会の構築を見たことは誰もが知るところでございます。
 そこで、最後に、河野大臣にブラジルに関係して二点お伺いをさせていただきます。
 一つ目は、大臣には、ブラジル訪問の際、サンパウロの日本移民史料館訪問を始め、開拓先没者慰霊碑へは献花をいただくなど、ブラジル日系社会とのきずなを大切にする姿勢を強く示していただきましたが、日系社会、特に若い世代は日系四世、五世の方が成人に達し、日系六世の世代も誕生しているということですので、百十年の節目を契機に、日伯二国間の懸け橋として、特に若い日系人世代との連携強化につきまして大臣の御見解を伺えればと思います。
 そして二点目は、ジャパン・ハウスでの講演会の際にも、大臣からは各国に対しTPPへの参加を呼びかけていただきましたが、TPP参加国の増加に向けた大臣のお考えについても併せて伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(河野太郎君) サンパウロの訪問では、今お話をいただきましたように、若い世代の日系の方々とも懇談をさせていただきまして、若い世代の日系人の方々がブラジル人であることに誇りを持つと同時に日本にルーツがあるということを強く思ってくれているということがよく分かり、大変感激をいたしました。その一方で、日系社会でも世代交代が起こり、あるいはある世代の日系人の方がかなり多く日本に来られたということもあり、様々、地域の中での意識の変化、状況の変化というのもございます。
 日本といたしましては、時代に即した形で、日系社会のリーダーを招聘する、あるいは現地の日系のネットワークを構築する支援、こうしたことをやりながら連携を強化していきたいというふうに思っております。
 また、TPPにつきましては、トランスパシフィックと言ってはいるものの太平洋は全く条件には入っていないということを力説いたしまして、中南米諸国がこのTPPに興味を持っていただいて加盟をしてほしいということを呼びかけました。TPPのハイスタンダードを満たす、そういう用意があれば積極的に情報を提供していきたいということを申し上げましたので、TPP11の早期発効にまず全力を尽くしながら、その後しっかり中南米を含め拡大してまいりたいというふうに思っております。
#22
○委員長(三宅伸吾君) 時間が参りましたのでおまとめください。
#23
○杉久武君 はい。
 TPPの重要な条約でありますので、また外務省は先頭に立ってこの拡大に御尽力いただければと思います。
 時間になりましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#24
○藤田幸久君 国民民主党の藤田幸久でございます。
 通告をしております質問の前に、昨日、米軍のオスプレイ二機が奄美大島に緊急着陸をいたしました。昨年六月と本年四月に続く三度目のこの奄美大島におけるオスプレイの緊急着陸でございます。
 これ、大事に至る前に、小野寺大臣、これまでの米軍に対するその対応ではない、全く違った対応をしてもらわないと、これは大変なことが起こり得るんではないかと思いますけれども、対策について、これまでとは違った対策を求めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(小野寺五典君) 昨日三時頃、米空軍のCV22オスプレイ二機が横田飛行場から嘉手納飛行場へ向かう途中、鹿児島県奄美市の奄美空港に着陸をいたしました。米側からの説明によれば、オスプレイのうち一機が嘉手納飛行場の三五三特殊作戦群所属であり、飛行中に機内システムの警告があったため、パイロットは標準の手順に従い、最も近い施設であった奄美空港に安全に着陸したということであります。昨日、一機が離陸し、残る一機は、本日、奄美空港において必要な整備を行うと承知をしております。
 いずれにしても、民航機への影響等はなかったということではありますが、私どもとしては、米側に確実な整備、点検、安全の管理の徹底を申し入れております。また、先般の日米防衛大臣会合におきましても、米軍機の安全な運航については私の方からマティス長官の方に求めております。
#26
○藤田幸久君 米軍の広報官ではございませんので、今のお話聞いていますと、先般申し入れたにもかかわらず三度目ということでございますから、今までとは違った対応をしっかり日本の防衛大臣としてこれからも対応していただきたいと思います。
 TPPについて質問いたします。
 資料を配らせていただいておりますけれども、これはたまたま酪農でございますけれども、十年間で頭数の減少それから廃業に歯止めが掛からない、牛乳の受託量は二年連続で減産と、こういった深刻な状況にあります。一日の本会議でも質問いたしましたように、トリプルパンチを受けて、ヨーロッパのチーズは安くなっても国産の牛乳がなくなってしまいかねないというような状況というふうに聞いております。
 そこで、以下質問いたします。
 まず、アメリカの参加を前提とした牛肉のセーフガードですが、有効に機能するんですかね、実際に。と申しますのは、政府は各国から見直しの理解を得ていると説明しておりますけれども、どういう保証があるんでしょうか。それから、アメリカが参加をしないと。牛乳、牛肉以外にも見直す必要がある農産品セーフガードや関税割当て枠が実際はあったのではないかと疑いますけれども、いかがでしょうか。
#27
○国務大臣(河野太郎君) TPP11協定においては、元々のTPP12協定の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、米国不在であっても協定の内容自体は維持した上で、ごく一部のルール分野の適用の停止のみを行うことで合意いたしました。
 御指摘の牛肉等のセーフガードの発動基準や関税割当てについては、現時点では修正を行わず、発効後必要と判断した時点でTPP11協定第六条に従い見直しを行うということで合意をしたものでございます。
 こうした我が国の考えにつきましては、TPP閣僚会合の場を含め繰り返し各国に明確に伝えており、これに対し各国からも特段の異論がなかったものでありまして、十分各国の理解を得ていると考えております。
#28
○藤田幸久君 関税暫定措置法において、いわゆるCPTPP参加国以外からの輸入牛肉についてのセーフガードは続けるようですけれども、アメリカが復帰した場合はこの措置は廃止されるんですか、継続されるんでしょうか。
#29
○国務大臣(河野太郎君) TPP12協定の締結に伴うTPP整備法では、TPP12協定の発効時に輸入牛肉の平成二十八年度実績九九・八%をカバーする新たなセーフガードが導入されることから、関税暫定措置法に基づく現行の牛肉に関する関税の緊急措置を廃止することとしたところでございます。
 しかし、TPP11協定の場合、輸入牛肉の約四〇%を占める米国が締約国に含まれないことから、新たなセーフガードは輸入牛肉の約六〇%をカバーするにとどまるため、この国会に提出しているTPP整備法改正法案では、TPP12協定が発効するまでの間は現行の牛肉に関する関税の緊急措置を維持することとしております。仮に米国が復帰し、TPP12協定が発効する場合には、牛肉に関する御指摘の関税の緊急措置は廃止することになります。
#30
○藤田幸久君 実際にそれ廃止をしてしまいますと、日本の農業の、いろいろ何か言い訳していらっしゃいますけど、崩壊につながるんじゃないですか。本当にそうならないということを言い切れるんですか。
#31
○国務大臣(河野太郎君) TPP12協定の締結に伴うTPP整備法では、TPP12協定の発効時に輸入牛肉の平成二十八年度実績九九・八%をカバーする新たなセーフガードが導入されることになりますので、現行の牛肉に関する関税暫定措置法に基づく関税の緊急措置を廃止するということにしているところでございます。
#32
○藤田幸久君 実際には、アメリカからの要求を受けるような、いろんな準備を実は進めているような気がしますけれども。
 畜産と酪農に関しては、生産力強化対策事業ということが言われておりますけれども、その柱を簡潔にお答えいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(大野高志君) お答え申し上げます。
 畜産・酪農生産力強化対策事業におきましては、TPP対策の一環といたしまして、生まれてまいります子牛の性別を雌に偏らせることができる、言い換えれば雌子牛の割合を高めることができる性判別精液を用いた人工授精、支援することによりまして、輸入牛肉と競合いたしますホルスタイン種の雄子牛の生産を抑制しつつ、後継牛となるホルスタイン種の優良な雌子牛を効率的に生産すること、またホルスタイン種への和牛の受精卵移植を支援することによりまして輸入牛肉に対して競争力のある和牛の子牛の生産を強化すること、また発情発見装置等から得られるデータを情報通信技術を活用いたしまして処理することによりまして繁殖性の向上を図ること、こういった内容を柱といたしまして、畜産、酪農の生産力強化を支援しているところでございます。
#34
○藤田幸久君 同じように、水田活用による飼料作物生産奨励のために水田活用の直接支払交付金の拡充を検討していると聞いておりますけれども、これも内容についてお答えいただきたいと思います。
#35
○政府参考人(岩濱洋海君) 我が国においては、主食用米の需要が毎年おおむね八万トンずつ減少しているところでございます。そのような中で、主食用米以外の作物への転換により、水田のフル活用を進めているところでございます。
 飼料作物については、飼料自給率を向上させるためにも、水田における重要な転換作物の一つであると認識しているところでございます。このため、水田活用の直接支払交付金の三十年度予算については、飼料作物等の戦略作物助成の現行単価を引き続き維持した上で、これらの生産拡大にもしっかり対応できる額として、二十九年度の当初予算額の百五十四億円増となる三千三百四億円と必要な額を計上させていただきました。
 農林水産省としましては、今後とも、農業者の方々が水田を活用した飼料作物等の生産に引き続き安心して取り組むことができるよう、必要な予算をしっかり確保してまいりたいと考えております。
#36
○藤田幸久君 しっかりやっていただきたいと思います。
 遺伝子組換え食品・作物に違法なものが混入していた場合、輸出国と輸入国間で協議をするということにしたTPP条項がありますけれども、日本は輸入国でありまして、これまでのように輸出国に対して突き返すことをせずに協議をするということは、これは輸出国への譲歩ではないかというふうに思いますけれども、また、輸出国が輸入国にこの遺伝子組換え食品を合法化せよと要求できる項目は、これは輸入国への主権侵害ではないかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
#37
○国務大臣(河野太郎君) TPP協定における食品安全に関わるルールは、WTOのSPS協定を踏まえた内容となっております。すなわち、締約国が自国の食品の安全を確保するために科学的根拠に基づいて必要な措置をとる権利が認められており、我が国の食品の安全に関する制度に変更を求めるものではありません。
 また、TPP協定において定められている現代バイオテクノロジー生産品作業部会は、遺伝子組換えに関する情報交換や各締約国間の協力を行う場であり、各締約国の制度や基準の変更を求める趣旨のものではなく、その旨が条文上も明記されております。
 したがって、このような協議を行うことが輸出締約国への譲歩や輸入締約国への主権侵害には当たらないと考えております。
#38
○藤田幸久君 ちょっと危ういんですけれども、時間の関係で、このTPP関係、最後、ISDSについて質問いたします。
 このISDS条項というのは、公共の福祉に係る正当な目的に行う措置は妨げられないと説明しておりますけれども、ISDS条項のうち、投資の許可、投資に関する合意違反の仲裁付託規定が凍結されたのは何でしょうか。これは、そのISDS条項が国の主権の侵害に当たると判断した国があったからではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#39
○国務大臣(河野太郎君) TPP11協定における凍結項目は、TPP12協定が有しているハイスタンダードな水準を維持しつつ、十一か国全てが合意できるバランスの取れた内容を目指して交渉を行う中で決まったものであります。
 TPP11協定では、投資の許可及び投資に関する合意という先進的な項目をISDSの対象とすることが凍結されることとなりましたが、最恵国待遇といった従来からの項目に関するISDS制度は維持されております。
 このように、TPP11協定参加国の間ではISDS制度の有用性に関する理解は共有されているというふうに考えております。
#40
○藤田幸久君 この間、本会議でも申し上げましたが、これは貿易協定というよりも投資協定でありまして、特定の企業等の投資を非常に有利にするということが非常に強い協定ですから、あくまでも主権としての国の利益をしっかり守るように対応していただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。
 時間の関係で、米朝首脳会談について質問させていただきます。
 まず、六月十二日のシンガポールの首脳会談、また復活したようでございますけれども、非核化ということが非常に重要なことでございます。
 そこで、河野大臣、そもそも北朝鮮が明確に非核化ということを公式に表明したことはあるんでしょうか。
#41
○国務大臣(河野太郎君) 非核化ということを北朝鮮がうたったことはあるというふうに思います。
#42
○藤田幸久君 それは声明でしょうか、発言でしょうか、あるいは文書でしょうか。
#43
○政府参考人(石川浩司君) お答え申し上げます。
 北朝鮮、ちょっと正確な年代はあれですけど、九〇年代とか、あるいは累次、南北首脳宣言等におきまして、朝鮮半島の非核化ということについて北朝鮮はこれまでもコミットはしたことはあるということと、それに加えまして、最近の流れの中でも、これは南北首脳会談等において、韓国によれば、非核化ということを北朝鮮は言っているというふうに承知しております。
#44
○藤田幸久君 つまり、主語で北朝鮮がということで表明したことというのは九〇年代を除けばないということですね。今のは伝聞でしたよね。
#45
○政府参考人(石川浩司君) 繰り返しになりますが、九〇年代あるいは二〇〇〇年代に入っても南北でそういった宣言をしたというふうに承知しておりますが、最近の流れの中におきましては、今申し上げたとおり、南北の首脳会談等においてそういった北朝鮮の非核化ということが言われたというふうに承知をしております。
#46
○藤田幸久君 つまり、北朝鮮が正式に表明したという答弁はなかったというわけでございます。それで、ちょっと大臣の答弁と違ったと思っておりますけれども。
 それで、実は、その今回の首脳会談に関して、トランプ大統領が、プロセスの始まりだ、時間を掛けても構わないということを言っております。したがって、首脳会談を何回か重ねるうちにということを言っておりまして、これは、ある意味では、いわゆる完全で検証可能な不可逆的な非核化ということについてこれは方針転換をしたんだと、トランプ大統領はというふうに受け止められるわけですが、いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(河野太郎君) 全くそのようなことはございません。
#48
○藤田幸久君 そういう答弁の仕方をするのであるならば、小野寺防衛大臣、シャングリラ会議で、日米韓防衛大臣会議の共同声明で、最大限の圧力という表現がなかったということでございますが、この背景はどういうことでしょうか。
#49
○国務大臣(小野寺五典君) 今般の日米韓防衛大臣会談におきまして、共同声明にも示されているとおり、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法による朝鮮半島における非核化のために行われている外交努力を引き続き支援することで三か国閣僚間で一致をいたしました。その上で、御指摘の点については、現在外交努力が進められていることも踏まえ、共同声明において、関連する全ての国際連合安全保障理事会決議の履行を継続することで一致したとの表現で圧力を維持していくことを示したということであります。
 いずれにしましても、今般のシャングリラ会合での際に行われた各種会議を通じて、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での廃棄の実現に向けて、国際社会の連携の下で圧力を維持していくということを十分確認できたと思いますし、私ども三か国の防衛大臣会合では、圧力を継続することは確認をしております。
#50
○藤田幸久君 今朝のNHKの報道によりますと、圧力という言葉を盛り込むように日本側が求めたと、それに対してアメリカ側は、トランプ大統領が最大限の圧力という言葉はもう使いたくないと発言したことを踏まえ難色を示したということが防衛省関係者への取材で分かったというふうに報道されている。これは大臣でしょうか、大臣以外の方でしょうか。
#51
○国務大臣(小野寺五典君) そのような報道があったことは承知をしておりますが、私どもは、今御指摘の点も踏まえ、現在外交努力が進められていることを踏まえて、共同声明においては、関連する全ての国際連合安全保障理事会決議の履行を継続することで一致したとの表現で圧力を維持していることを示しております。
 トランプ大統領は、最大限の圧力という言葉はもう使いたくない旨発言をしましたが、我々は制裁を実施しており、それまでは、非常に強力な制裁である、北朝鮮が行動するまで制裁を解除しないとも発言をしております。
 我が国としては、安保理決議に基づく制裁措置を厳格に実施し、引き続き、国際社会との連携の下、圧力を維持していくという従来の方針に変わりはないと思います。
#52
○藤田幸久君 トランプ大統領は、先日、アメリカで、北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長との会談において、人権問題について聞かれたところ、いや、話していないとはっきり答えておりますが、本当にこれ、米朝首脳会談で拉致問題が提起されるんでしょうか。外務大臣、簡潔にお答えください。
#53
○国務大臣(河野太郎君) 首脳間で何度も確認しておりますので、そういうふうに考えております。
#54
○藤田幸久君 確認されているけれども、しない、話していないということでございます。
 それから、トランプ大統領は、いわゆる非核化後の経済支援について、アメリカが多額の支援をすることはなく、日中韓に任せているというふうに語ったと言っておるわけでございますが、つまり経済支援については、これ日米間ですり合わせを行っているんでしょうか。
#55
○委員長(三宅伸吾君) 時間が参りましたので、答弁は簡潔に願います。
#56
○国務大臣(河野太郎君) 日朝平壌宣言に基づいて、核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決し、国交正常化がなされた場合には、日本は北朝鮮に対し経済支援をする用意があるということは、これまでも累次日本政府として申し上げているところでございます。
#57
○藤田幸久君 非核化ということを北朝鮮が言ったことは正式に一度もないということが確認されたわけですから、非核を実現するためにしっかり頑張っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#58
○牧山ひろえ君 立憲民主党・民友会の牧山ひろえです。
 本論に先立ちまして、いよいよ事前交渉も大詰めに差しかかっているであろう米朝首脳会談について御質問させていただきたいと思います。
 アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を当初の予定どおり今月十二日にシンガポールで行うと発表しました。中止決定から僅か八日後の方針転換ということになります。この間、どのような情勢の変化があったんでしょうか。変化の理由をどう分析されていますでしょうか。
 この発表は、北朝鮮の金英哲党副委員長がトランプ米大統領に面談し、金正恩委員長の親書を手渡した面談の直後になされました。この面談についての認識も含めて御説明いただければと思います。外務大臣、お願いします。
#59
○国務大臣(河野太郎君) トランプ大統領が中止するという発言をされた後、北朝鮮の中で具体的にどのような動きがあったかというのは、なかなかうかがい知ることはできないわけでございますが、北朝鮮として、国際社会が一致して経済制裁を履行しているという中で、なかなか現状で経済がうまく回っていないということはあるんだろうというふうに思っております。
 その状況を打開するために、米朝首脳会談の中で非核化あるいはミサイルの放棄といったことを伝えて、しっかりとそれに向けて北朝鮮が実行をすれば、国際社会は経済制裁を最終的に解除するということになるわけでございますから、北朝鮮としては、その入口の米朝首脳会談が行われないということは、経済制裁解除に向けての道のりが更に遠くなるということを危惧して、様々、方針転換を行い、メッセージを伝えたのではないかというふうに考えております。
#60
○牧山ひろえ君 この方針変更について、米国からはどのような説明がどの段階で我が国になされているんでしょうか。
#61
○国務大臣(河野太郎君) 北朝鮮の中でどのような方針転換があったかというのは、これは日米様々な情報を分析をしておりますが、いろんな北朝鮮の方針転換についてのやり取りというのは日常的に行っているところでございまして、その一つ一つを詳細に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
#62
○牧山ひろえ君 安倍総理は、さきにトランプ大統領が中止を打ち出した際はそれを支持するとしたものの、一転して、会談の実現可能性が高まると、今度は強く期待するに変わっています。米国追従の姿勢が余りにもあからさまであることが、日本の国際的存在感を軽く見せることにつながり、結果として日本外しをしても問題ないというふうに周辺国に見られているのではないか、現状認識につながっているのではないかというふうに思います。
 北朝鮮が非核化した場合の経済支援について、先日トランプ大統領はこのようにコメントしています。韓国がやるだろう、中国も日本も支援するだろう、アメリカがたくさん金を出すことにはならないというふうにコメントされています。
 北朝鮮への経済支援について、米国とはどのような調整がなされているんでしょうか。外務大臣。
#63
○国務大臣(河野太郎君) アメリカに対しては、日朝平壌宣言で、核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決し、国交の正常化が行われれば、日本は北朝鮮に対して経済支援をする用意があるということを累次伝えております。
#64
○牧山ひろえ君 交渉には影響力を発揮できず、請求書だけがツケ回されるような状況に陥らないように、事前からのすり合わせをしっかりとしていただければと思います。
 北朝鮮の金正恩党委員長は、五月三十一日、ロシアのラブロフ外相と平壌で会談し、ロシアと対話を進める用意があるとの考えを示しました。それに応えるように、プーチン・ロシア大統領は、金党委員長を九月にウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムに招待しました。
 これで、核問題をめぐる六か国協議参加国で首脳や政府高官が金氏と会談していないのは結局日本だけというふうになります。この状況に関する御認識をお示しいただきたいと思います。
#65
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会は安保理決議に基づく経済制裁を今一致して履行しているところでございますので、特に情勢に変化はないというふうに考えております。
#66
○牧山ひろえ君 四月二十七日に南北が合意した板門店宣言では、南北米中の四者会談の推進が明記されましたけれども、日本に関する言及はありませんでした。このことからも、北朝鮮による日本外しの姿勢は明確だと思います。今回は、日本の安全に関わる重大な国際交渉です。直接相手方と折衝を行うプレーヤーになっていないという、こういった事実を真摯に総括して、今後の外交に生かしていかなければならないと考えております。
 今回の一連の北朝鮮関係対応において日米韓が目指すべきはCVID、すなわち完全かつ検証可能で不可逆的な非核化であることは再三述べられていますが、このCVIDのうち、完全かつ検証可能というのはまだしも、不可逆的というのは具体的にどのような措置を想定しているんでしょうか。既に北朝鮮の核開発がここまで進んでいて、しかも技術者も技術も北朝鮮に保持されている状況で、この不可逆的というものを実現することのイメージがつかみづらいので、是非御説明いただければと思います。
#67
○国務大臣(河野太郎君) これから南北首脳会談の中でこの非核化に向けて様々な議論が行われるというふうに理解をしておりますので、こちらからその手のうちを明かすわけにはいきませんので、もう少々差し控えさせていただきたいと思います。
#68
○牧山ひろえ君 この北朝鮮をめぐる安全保障上の対応においても、最も重要なのは日米韓三か国が緊密な連携を取るということだと思います。そのためには、少なくとも目標とすべきCVIDの具体的措置について事前にしっかりとすり合わせた上で共通のイメージを持っていなければならないというふうに考えております。
 さて、前回に引き続きまして、イラク日報問題について質問させていただきたいと思います。
 前回の質疑で、稲田元大臣は元々調査の対象内だったけれども、各種の調査の結果、聞き取りなどの必要性はないと判断したという旨の答弁がありました。第三者機関による客観的な調査でないために、調査の信頼性を担保する中立性にやはり疑問が残ると思います。
 この件も含めて、今回の調査報告の信頼性を客観的に主張されたいのならば、大野調査チームの三十四回の会議録とそのほかの調査情報を公開すべきだと思いますが、御対応いただけますでしょうか。
#69
○大臣政務官(大野敬太郎君) ただいまの、公開するべきじゃないかというような御指摘だと思いますけれども、基本的にはこれはルール、制度に基づいてしっかりと対応していきたいと、そのように考えてございます。
 現在、三十四回の会議を開催いたしましたけれども、今議事の概要というのを取りまとめている最中でございますが、その中で公開できる部分というのは公開するわけでございますし、また公開できないという部分は不開示とするわけでございます。例えば、個人情報とか国の安全に関わる部分、あるいは、例えば部内調査手法を把握されるでありますとか、任意の部内調査への協力が得にくくなるといった観点から、今後の同種の部内調査に影響を与えるおそれのある情報については不開示とする必要がある、このように考えておりまして、そのほかの調査関連情報も含めて、今後開示できる情報というのを検討した上で適切に対応してまいりたい、このように考えております。
#70
○牧山ひろえ君 基本として、全ての調査資料を極力スピーディーに公開していただけますようお願い申し上げたいと思います。
 さて、日報の公開請求を受けた教訓課の文書担当者は、十分に調べもしなかった、なおかつ、日報の存在を知っていた課長に相談や報告することなく、ないと回答したんですね。情報公開の担当者が、上司の決裁も受けずにないと報告し、それが結果的に組織決定になっているわけです。防衛省では、情報公開請求について、いつもこのようなずさんな対応がなされているんでしょうか。
#71
○政府参考人(高橋憲一君) 委員御指摘の点でございますが、今回の報告書において述べましたとおり、陸上自衛隊研究本部におきましては、当時の教訓課の人間が、実際に文書探索を行わず、上司の決裁を得ずに文書不存在の回答を行ったことが確認されております。
 防衛省における情報公開手続に関する規則類におきましては、開示請求の対象となる文書の探索は組織として入念に行うものであり、探索を行わなかったことはもとより、このような組織として行う事務処理を一担当者が何ら上司の判断を仰ぐことなく回答したことは不適切なものであったと考えております。
 ただ、現在は、情報公開請求の後でございますが、南スーダンPKOの日報問題の再発防止策といたしまして、昨年八月三十一日の規則改正におきまして、開示請求に合致すると考えられる行政文書が確認できなかった場合、文書管理者、この場合の研究本部におきましては研究本部総合研究部長でございますが、機関等情報公開責任者、この場合は陸上幕僚長への報告を義務付けております。また、報告を受けた後に実施される再度な入念の探索にもかかわらず、開示請求の対象である行政文書が存在しないとの判断に至った場合は、文書管理者は、総合研究部長でございますが、作成した行政文書の探索結果を添付し、防衛大臣宛て上申することを義務付けております。
 これら関係規則の改正等によりまして、ただいま御指摘のような事態は防げるというふうに考えてございます。
#72
○牧山ひろえ君 防衛省や自衛隊の情報公開請求に対する対応につきましては、私は以前から強く問題を感じておりました。法に従って公開の可否を判断する以前に、十分確認せずに安易に文書が存在しないとして済ませることが、これ繰り返されているんですね。そのまま、その結果、結局国民の知る権利、これを軽視する形となっている印象があります。
 このような体質を変革し、本当の意味で再発を防止するためには、各部署の保有している文書や資料を一元的に管理して、そして効率的に開示する専門の部署ですとか役職を新設することが望ましいと思いますが、それを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(小野寺五典君) 今般の一連の事案を受け、情報公開や国会議員からの資料要求等に迅速かつ確実に対応できる体制を整備する必要があると考えています。
 その一環として、防衛省において、文書探索の簡易化、迅速化を図り、探索の正確性、透明性を確保するため、電子ファイル化された行政文書を一元的に管理し把握できる効率的な体制の在り方について検討したいと考えております。委員の御指摘を踏まえて、しっかり考えていきたいと思っています。
 このため、まずは諸外国の事例等も参考にしつつ、電子ファイル化された行政文書を一元的に管理、把握するための制度設計やシステムの構築などに関する調査を進めていきたいと考えております。
#74
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 小野寺大臣も再発防止策を発表されていますけれども、是非、本気で事態を改善しようとするならば、仕組みの改善にしっかりと踏み込んでいただきたいと思います。
 では、本日の本題であります環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定について質問させていただきたいと思います。
 トランプ大統領は、TPPが米国にとってより良いものになるのであれば復帰する可能性があると述べています。政府は、TPPは参加国の様々な利害関係を綿密に調整して作り上げた言わばガラス細工のような協定であり、再交渉を行うことは不可能であるとしてきました。ですが、最近になって、一部のみを取り出して再交渉する、変えることは極めて難しいと述べ、再交渉の可能性を否定していないんですね。
 不可能というのと極めて難しいという言葉と違いがあると思いますが、この違いについて御説明していただきたいと思います。米国が求めれば再交渉を行ってしまう可能性もあるという趣旨でしょうか。
#75
○国務大臣(河野太郎君) TPPは、参加国の様々な利害関係を綿密に調整してつくり上げたハイスタンダードでバランスの取れた、言わばガラス細工のような協定であります。
 政府として、一部のみを取り出して再交渉したり変えたりすることは極めて困難であると安倍総理や私から述べているところでございます。
#76
○牧山ひろえ君 政府は、なぜ再交渉は不可能であり行わないと断言できないのでしょうか。以前はそういうふうに言っているので、疑問に思うんですが。
 では、こういう可能性はありますでしょうか。再交渉はしないという建前を守るために、TPPの本体協定はいじらない。ですが、日米間の二国間交渉、その成果物としてのサイドレターで米国に見返りを与えることによってTPPへの復帰を勧奨する、こういう可能性はありますでしょうか。
#77
○政府参考人(山野内勘二君) 米国のTPPへの復帰を促す上では、まず、TPPの持つ経済的な意義あるいは戦略的な重要性、こういったことが米国の経済や雇用にとってもプラスになると、こういったことを含めてこれまでも訴えてきているところでございます。
 我が国といたしましては、TPPこそが日米両国にとって最善であるというふうに考えているところでございます。日米両国が日米経済関係及びアジア太平洋地域の発展にいかに協力すべきか、TPPの持つ意義も含めて、建設的な議論を今後とも米国と行っていくというふうに考えているところでございます。
 米国からTPP参加の意向が示された場合の具体的な対応の在り方、こういったものについては、現時点では予断を持って申し上げることは差し控えたいというふうに思います。
#78
○牧山ひろえ君 最近の米国の経済交渉の方向性として、二国間の貿易不均衡を解消するためには、手間の掛かる貿易協定のルール変更によるのではなくて、いわゆるディール、ディールによって得られる短期的な成果を重視する傾向があるように思います。サイドレターでつじつま合わせをすることによって国益を害することがないように、是非御留意いただきたいと思います。
 トランプ大統領は、TPPからの離脱後、二国間での協議を進める意向を示しています。政府は、TPPは日本だけでなく米国にとっても最善であると説明しています。その一方で、米国との間では、まず、麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話があります。それに加えて、茂木国務大臣とライトハイザー通商代表による自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、FFRを相次いで立ち上げています。
 こうした我が国の姿勢は、TPPではなく日米の二国間協議、ひいては日米FTAを受け入れたと受け止められているのではないでしょうか。米国にTPPの必要性を説くとしながら、なぜ二国間の枠組みの創設に合意したんでしょうか。
#79
○政府参考人(山野内勘二君) まず、御指摘のあった日米経済対話でございますけれども、この麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話でございますけれども、これは、一、貿易及び投資のルール、課題に関する共通戦略、二、経済及び構造政策分野における協力、三、インフラやエネルギーなどの分野別協力、この三つの柱で幅広く議論しているところでございます。
 このうち、特に貿易と投資について担当閣僚を配置していくというものが今般設置された自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、FFRでございます。これは、公正なルールに基づいて自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるように、日米間の貿易や投資を更に拡大させていくという目的で行われるものでございます。その内容は日米経済対話に報告されることになっておるところでございます。
 米側は二国間ディールに関心を有しているということは承知しておりますけれども、我が国としてはTPPが日米両国にとって最善と考えているところでございまして、その立場を踏まえて引き続き議論に臨んでまいるところでございます。
 そして、このFFRでございますけれども、これは日米FTA交渉と位置付けられるものでもなく、またその予備協議でもないということは累次にわたり明確に示しているところでございます。
#80
○牧山ひろえ君 外交交渉とか通商交渉ですので、こちらがそのつもりはないというふうに言っても、それは完結せず、相手方がどう認識しているかが重要だと思うんですね。安倍総理自身も、我々も決して日米FTAを否定しているわけではないというふうに述べていらっしゃいます。折衝の内容だけではなくて、その舞台づくりにおいても引いてはいけないラインをしっかり守るべきだと思います。
 米国は、TPP12からの離脱後、一貫して二国間の貿易協定を推進する姿勢を示しています。政府は、日米経済対話やFFRについて、日米FTA交渉と位置付けられるものではなく、その予備協議でもないと説明しています。ですが、これは誰がどう見ても、事実上の日米FTA交渉の土台となることが容易に想像できると思うんですね。
 今後、これらの枠組みが利用されて、米国からTPPで譲歩をした以上の多種多様な要求を突き付けられることになるんではないかなと心配していますが、外務省、いかがでしょうか。
#81
○政府参考人(山野内勘二君) 米国からは、日米経済対話の議論の中で、日米二国間のFTAに関する米側の考え方が示されているところでございます。また、ライトハイザー通商代表の連邦議会での発言にもあるとおり、将来的な可能性として米国がFTAに、視野に入れているということは承知しているところでございますが、我が国としてはTPPが日米両国にとって最善というふうに考えているところでございまして、様々な機会を捉えて米側に対してその旨説明してきているところでございます。
 こういった日本の立場を踏まえて、引き続き、FFRあるいは日米経済対話、そういった場を通じて米国との議論に臨んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
#82
○牧山ひろえ君 TPP11の発効によって、米国の幾つかの産業は日本への輸出という面で国際競争力を失うということになります。このことが果たして、政府が期待しているように、当初条件でのTPPへの復帰へ米国を誘導することになるのかどうか心配でならないです。むしろ、日本へのより厳しい要求を含んだ二国間交渉に米国を駆り立てる危険性が高いのではないかなと心配しています。
 さて、TPP11の凍結項目に対する我が国の対応についてお伺いしたいと思います。
 政府は、凍結を終了させるためにはTPP11の締約国全体の合意が必要であり、仮に米国がTPPに戻ってくるとしても、米国の主張だけで凍結が自動的に解除されることはないというふうに説明しております。
 ここで質問ですが、仮に米国がTPPへの復帰を希望した場合、凍結項目について我が国はどのように対応するお考えなんでしょうか。そして、十一か国の間で凍結項目をどのように扱うのかについて何らかの合意はあるんでしょうか。
#83
○政府参考人(山野内勘二君) お答えします。
 今頂戴しました委員の質問に関しては、TPP11協定上二つの条文が関わっているところでございます。
 一つ目が、TPP協定の第五条でございまして、この新しい国がどういう形で加入するかということでございます。これは第五条に規定しておりまして、「国又は独立の関税地域は、この協定の効力発生の日の後、締約国と当該国又は独立の関税地域との間で合意する条件に従ってこの協定に加入することができる。」、こういう条文に従って、米国であれどこであれ加入が認められるということになります。
 それから、凍結項目に関してですけれども、これはTPP11協定の第二条にございます。「締約国は、この協定の効力発生の日に、この協定の附属書に掲げる規定の適用を停止する。締約国は、これらの規定のうち一又は二以上の規定の適用の停止を終了させることに締約国が合意する時まで、当該規定の適用を停止する。」というふうに規定しているところでございます。
 したがって、米国がTPP11に加入することになる場合には、先ほど申し上げました協定五条に基づいて、締約国が合意する条件に従って加入するということになります。また、先ほど申し上げました第二条の規定のとおり、いかなる凍結の解除にも締約国の合意が必要ということになります。
 我が国といたしましては、まずはTPP11協定を早期に発効させるとともに、米国に対してはTPPの持つ経済的意義、戦略的意義を粘り強く説明し、引き続きTPPへの復帰を働きかけていくというふうに考えておるところでございます。
#84
○牧山ひろえ君 政府は、TPP12の規定のうち二十二項目を凍結したTPP11の国会承認を求めています。いずれも凍結が解除された場合には、我が国に大きな影響を与える規定だと考えています。今後、締約国がいずれかの項目の凍結解除に合意した場合には、我が国においては必ず国会承認が必要になると考えますが、政府の見解をお示しいただければと思います。
#85
○政府参考人(山野内勘二君) 先ほど答弁申し上げましたとおり、TPP11協定の第二条は、凍結の解除には締約国の合意が必要であるということを定めているところでございます。その際にいかなる手続が必要となるか、これは合意の具体的な内容によって異なるところでございます。
 我が国といたしましては、個別具体的な事案に即して必要となる適切な国内手続を判断することになるというふうに考えてございます。
#86
○牧山ひろえ君 TPP12の国会審議の際に、協定本文だけでなく附属書の内容に変更を加える場合においても、協定の一部を改定することになるため、改めて各国の合意と国会の承認が必要になると答弁していました。附属書の内容の変更に国会の承認が必要であるならば、協定本文の修正に当たる凍結項目の解除は国会承認が絶対に必要になるはずだと思います。
 例えば、日本は主に米国への譲歩として脱脂粉乳とバターで低関税輸入枠を設定しました。米国離脱後にもこれを修正、凍結しなかったので、オーストラリアやニュージーランド、カナダなどの農産物輸出国が輸入枠を全て使えることになります。牛肉や豚肉などのセーフガードの発動基準数量も変更していないため、TPP11参加国は米国抜きでほぼ制限なく日本に輸出できることになります。
 今後、我が国と米国との間でFTAの締結に向けて交渉を開始した場合、TPP枠において米国分と想定されていた以上の数量の市場開放をTPP枠とは別途米国から求められる可能性があるんじゃないかなと思うんですが、これ通告しておりませんが、外務省、お願いします。
#87
○政府参考人(山野内勘二君) 仮定の質問にはなかなかお答えし難いと思いますけれども、一つはっきりしていますことは、TPP12の協定でオファーしている農業分野のマーケットアクセス、あれが最大であるということははっきりしているというふうに思います。
#88
○牧山ひろえ君 実際にライトハイザー米通商代表は、二〇一七年三月の上院公聴会において、TPP協定離脱後の政策方針として、農業分野市場拡大では日本が第一の標的になる旨述べているんですね。TPP協定を上回る合意を目指すことを主張しているわけです。TPP11の締結が日本の国益を損なうことにつながるのでないかという懸念は深まるばかりです。
 政府は、米国を含む形で設定した牛肉のセーフガードの発動基準数量、そして乳製品の関税割当て枠数量について、見直しの必要性を各国に明確に伝えて各国の理解を得ていると説明をしています。しかし、TPP11、第六条の見直し規定は「協定の運用を見直す。」としか記されておらず、必ず協定の修正をしなければならないとは規定されていないんですね。
 ここで質問ですが、ほかの十か国が口約束だけで我が国の主張に沿い修正を許容するとは全く限らないのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。それから、修正のための条件としてほかの締約国から新たな譲歩を迫られる可能性はないのかどうか。それからまた、修正が行われるまでの間、我が国農業への悪影響は甚大なものとなるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
#89
○政府参考人(山野内勘二君) 先ほども申し上げましたけれども、米国との関係でいえば、我が国としてはTPPが日米両国にとって最善であると考えているところでございます。
 農業分野につきましても、米国に対して、TPP協定での農業分野におけるマーケットアクセスの譲歩が我が国としての最大限のものであるということは伝えてきているところでございまして、このような我が国としての立場を様々な機会を通じて改めて訴えていきたいというふうに思うところでございます。
 それから、TPPの第六条における見直しの点でございますけれども、これは、米国を含めたTPP12の協定が発効する見込みがなくなった場合には、締約国の要請に基づいて協定の見直しを行うというふうに規定しているところでございます。米国からの輸入量も念頭に、TPP12協定で合意された個別のセーフガードあるいは関税割当てについて、我が国としてはこれは第六条に基づく見直しの対象になるというふうに考えております。こうした考えにつきましては各国に明確に伝えておりますし、特段の異論もなかったものでございますし、各国の理解を十分に得ているというふうに考えているところでございまして、それは先ほど河野大臣からも答弁させていただいたとおりでございます。
 また、TPP11協定には、我が国のTPPワイドと同じような枠組みを持っている国が、カナダ、ベトナム、マレーシア等、ほかにもありますので、十分交渉を行えるものというふうに考えているところでございます。
#90
○牧山ひろえ君 TPP枠に米国分が参入しないことによるメリットを享受しているTPP11締約国と協議を行った場合であっても、当該締約国は自国に有利な条件を見直すことは、普通に考えると想像しづらいと思います。にもかかわらず、ほかの十か国が口約束だけで我が国の主張に沿い修正を許容すると期待する政府の説明は、私は無責任なんではないかなと思います。
 さて、TPP11の締約国は、TPP12の効力発生が差し迫っている場合又はTPP12の効力が生ずる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に応じてTPP11の運用を見直すこととされています。
 TPPの効力発生が差し迫っている場合とは具体的にどのような場合が該当するんでしょうか。一方で、TPPが効力を生ずる見込みがない場合とはどのような場合が該当するんでしょうか。それからもう一つ、そして、それらはどの時点で、誰が判断することになるんでしょうか。
#91
○政府参考人(山野内勘二君) TPP11協定の第六条の見直しの規定は、委員御指摘のとおり、まずTPP12協定が発効しTPP11協定と併存する状況が差し迫っている場合、あるいは米国を含むTPP12協定が発効する見込みがもはやないと判断される場合にはTPP11協定を見直すという、こういうことを規定しているところでございます。
 いかなる状況がこれらの場合に該当するかということでございますけれども、これは米国の通商政策の新たな動向などを踏まえて、TPP11協定の締約国、我が国を含むわけでございますけれども、その締約国が判断することになるということでございます。
 しからば、どの時点でそういう判断を行うかということでございますけれども、これはTPP協定上、明示的な規定はございませんが、いずれにしても、その時点での米国の通商政策の新しい動向を踏まえて判断することになるということでございます。また、誰がその判断を行うかということでございますけれども、いずれかの締約国の要請に応じて締約国が協定の見直しを行うというふうに規定されているところでございます。
#92
○牧山ひろえ君 米国の復帰がないと判断するタイミングは特定しづらく、再協議も義務付けられているわけではありません。しかも、先にTPP11は発効し輸入が増加した場合、後で再協議したとしても時既に遅しとなる危惧もあります。つまり、この見直し規定の実効性は極めて疑わしいと思うんですね。しかも、事前の御説明によると、どの加盟国も単独でかつそれぞれの判断で、しかも別途の要因や分析であれば回数の制限なく六条該当による運用見直しの規定が可能とのことでした。こうなると、むしろ法的安定性の意味で問題が生じると思うんですね。
 やはり実効性の乏しい六条の見直し規定によるのではなくて、TPP11の折衝において、米国分を省いた上でTPP11にそうした縮減されたTPP枠を設けるべきだったのではないでしょうか。いかがでしょうか。
#93
○政府参考人(山野内勘二君) これは、世界の中で保護主義的な雰囲気が広がる中で、TPP12で達成していたハイスタンダードを米国が抜けた後といえどもTPP11の国の中で達成していこうという各国の強い思い、そこで交渉をし、TPP11についてこういう形で妥結したわけでございまして、そういう中で状況の変化に対応できるように協定の第六条を置いたところでございまして、それは各国ともそういう思いでおるところでございますし、累次御説明していますとおり、日本としての立場については十分表明し理解を得ているというふうに考えておるところでございます。
#94
○牧山ひろえ君 たくさん心配が残る御答弁でしたけれども、是非よろしくお願いします。
 少し早いですが、時間ですので終わります。
#95
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 TPP11は、オバマ政権が二〇〇九年に参加の意思を表明して以来、アメリカが主導して進められてきました。当時、カーク米通商代表は、我々は大志を持って、全面的にあらゆる領域で高い水準を持った二十一世紀の貿易協定という米国のゴールを達成するために非常に積極的に進んでいると、こういうふうに表明をしていたわけですね。ところが、トランプ政権が発足後、イの一番に大統領令を出して、TPPからの脱退を表明をいたしました。本会議でも指摘しましたけれども、今や現職の閣僚が公然とこのTPPを欠陥協定というふうに呼ぶに至っております。
 このようなアメリカの変化、その大本には何があると、外務大臣、お考えでしょうか。
#96
○国務大臣(河野太郎君) 米国を含め他国の通商交渉における態度の変化について我が国として説明する立場にはございません。
 その上で申し上げれば、日本としてTPPが日米両国にとって最善であり、米国の経済や雇用にとってもプラスになるものと考えておりまして、引き続き米国としっかり粘り強く交渉してまいりたいと思います。
#97
○井上哲士君 先ほども保護主義的傾向が広がっていることの問題などが言われました。ただ、これは単にトランプ政権の誕生による政策の変更と私は捉えられないと思うんですね。なぜなら、あの一六年のアメリカ大統領選挙では、独りトランプ氏だけではなくて、民主党の候補者もTPP反対を掲げました。
 これはなぜかと。衆議院の関連法質疑の際に鈴木参考人がこう述べられております。アメリカ国民の八〇%が、TPPをやってもグローバル企業の経営陣がもうかるだけで賃金は下がる、失業が増える、国家主権の侵害だ、食の安全性が脅かされるということで、大統領候補の全てがTPP反対と言わざるを得なくなった、保護主義との闘いではございませんと、こういうふうな自由貿易への反省からこれを否定せざるを得なくなったという国民の声があるわけですと、もう一方でも、グローバル企業はもちろん違うと、こういうふうに指摘をされました。
 つまり、保護主義どうこうではなくて、国民の間でこうした貿易協定への不信の広がりがあると、こういう事実があの大統領選挙にも現れ、トランプ政権の政策にも現れていると思いますけれども、大臣、こうしたアメリカ国民の中での世論、声、どのようにお考えでしょうか。
#98
○国務大臣(河野太郎君) 戦後、この自由貿易で最も利益を得てきたというのが日本であり、アメリカであり、ヨーロッパなんだろうというふうに思っております。
 様々な御意見があるかと思いますが、我が国は、やはり国際経済を繁栄させるためにもこの自由貿易を堅持していくということが非常に大切だというふうに考えております。WTOをベースとした自由貿易体制をしっかりと堅持してまいりたいと考えております。
#99
○井上哲士君 私、重要なのは、今挙げたようなアメリカ国内における様々なこのTPPへの反対の声、これが日本国内における様々な反対の声と共通をするものだということなわけですね。
 こういう国民世論を背景にして、これまでグローバル資本主義を推進をしてきた盟主とでもいうべきアメリカがTPPを離脱した。では、ほかの参加国はどうしたかと。凍結要求が各国から八十項目も出されて、結果的には二十二項目ということになりましたけれども、これ、各国はどのような理由でこういう凍結を要求したんでしょうか。
#100
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 私、ずっと現場におりまして、各国の凍結要望は、どちらかといいますと少人数といいますか、バイの形でいろいろとサウンディングがなされて、日本がどっちかというとみんなの話をよく聞くコーディネーターのような役割を果たしたわけでございますが、各国の主張として私が特に印象に残っておりますのは、国内で既に制度がある、あるいはこれから制度をつくらなきゃいけないときに、その制度の内容がTPP協定の規定に合致するのかどうかということについてまだ十分確認が取れていない、あるいは自信がないというので凍結をしたいと、こういったような要望がかなり多かったような印象を持っております。
 いずれにいたしましても、TPP11における凍結項目は、TPP12のハイスタンダードな水準を維持しつつ、十一か国全て合意に参加できるバランスの取れた協定を実現するために、各国の様々な調整を経て合意がなされたというふうに考えておるところでございます。
#101
○井上哲士君 私は、やっぱりこれ経過を見れば、それぞれの国がアメリカから迫られて嫌々自由化や規制撤廃を約束したけれども、それは本当はやっぱり外したいということがこういう項目に現れてきたんだと思うんですね。
 じゃ、日本はどうなのかということでありますが、日本は凍結をした項目というのはあるんでしょうか。
#102
○政府参考人(澁谷和久君) 我が国としては、凍結の要望、主張はしておりません。
#103
○井上哲士君 先ほど申し上げましたように、日本の国内でも、TPP12の審議の際にも、そして今も様々な声が上がっております。農産物の関税のみならず、食の安全、ISDSなど、国民の暮らしに関わる様々な懸念が国会審議でも国民の間からでも議論をされておりました。にもかかわらず、何も日本が凍結を主張しなかったのは、外務大臣、なぜでしょうか。
#104
○国務大臣(河野太郎君) 第二次世界大戦後、冷戦が続く中で、日本、アメリカ、ヨーロッパを中心とした西側諸国は、ブレトンウッズ体制、IMF、世銀、WTOといったリベラルな国際秩序を中心とした国際経済体制をつくり上げました。その中で、共産主義体制が崩壊をし、冷戦が終わったわけでございます。戦後の国際経済の繁栄の礎となり、共産主義体制の言わば欠点を浮き彫りにした、その一つがこの自由貿易体制にあったんだろうというふうに考えるわけでございます。
 そういう中で、世界で保護主義への懸念が高まる中、このアジア太平洋地域に自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げるという意思を世界に示すことは、自由貿易を推進する観点から、また市場主義経済を発展させるという観点からも画期的な意味がございます。
 TPP11協定におきましては、元々のTPP12協定の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、米国不在であっても協定の内容自体は維持した上で、ごく一部のルール分野の凍結のみを行うことで合意をいたしました。
 我が国といたしましては、今回凍結されることとなった二十二の項目全てを含め、TPP12協定全体について、幅広い分野において二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものであり、今後の経済連携協定のスタンダードになるものというふうに考えております。このような我が国の考え方に基づきまして、またTPP11協定発効後必要となった場合の見直し規定が設けられたことから、我が国から凍結提案を行わなかったということでございます。
#105
○井上哲士君 自由で高い水準の協定をずっと目指してきた、繰り返し様々答弁がされてきました。
 ただ、それは、先ほどもカーク米通商代表の話で触れたように、元々アメリカがよく使っていたスローガンなわけですね。そのアメリカの国内が世論が変化をして、TPPから離脱をして、他のTPP参加国が凍結を要求したことによって二十二項目が凍結をされた。ですから、経過から見れば、日本政府だけが国民の様々な懸念を顧みないという対応をしているということと言われても仕方がない経過に私はなっていると思います。
 例えば、多くの懸念がある牛肉等の農産物でありますけれども、そもそもTPP12では食料安全保障を顧みないような約束をした分野と言わざるを得ません。関連法の質疑でも行われると思うんですが、日本がアメリカの参加が前提で譲許した輸入農産物の税率や特恵枠の約束内容については、TPP11でも変えていないんですね。そうしますと、オーストラリアとかニュージーランドなど他の農産物の輸出大国が、アメリカが占めたであろうこの輸入部分、この枠を取ることになる、そういう可能性が高いと。そうしますと、アメリカは、日本市場に対して競争上の不利を挽回するためにそれ以上のものを日本に求めてくると、こういうことになるのは必至だと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(河野太郎君) 我が国は、アジア太平洋におけるハイスタンダードな貿易、投資の枠組みの早期確立を図る観点から、米国離脱宣言後のTPP11の議論を主導してまいりました。
 TPP11協定におきましては、元々のTPP12協定の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、譲許表を変更しないことを含めて、米国不在であっても協定の内容自体は維持した上で、ごく一部のルール分野の適用の停止のみを行うことで合意をしたわけでございます。
 米国との関係では、日本といたしまして、TPPが日米両国にとり最善と考えておりまして、農業分野につきましても、米国に対して、TPP協定での農業分野における譲歩が我が国としての最大限のものであるということを伝えてきております。
 今後とも、このような我が国の立場を様々な機会を通じて改めて伝えてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはございません。
#107
○井上哲士君 私は、食料安全保障をないがしろにするような中身、様々ありながら、ハイスタンダードだといって胸を張られる。いかがなものかと思うんですね。
 アメリカからこのTPP11以上のことを二国間で要求される、日本の農林水産業や食料が打撃を受けることになるんじゃないか、こういう様々な不安の声があるのは、現実にこれまで二国間協議で様々譲歩してきたそういう歴史があるわけであります。
 トランプ政権は今、国内世論を背景に、雇用にフォーカスをしてTPP離脱を実行し、一方で、アメリカ第一主義を掲げて、世界での米国グローバル企業の利益追求は全く変えておりません。貿易赤字をてこにして外国への一方的制裁措置によって譲歩を引き出すとともに、二国間ベースでよりアメリカに有利な協定を追求することで、アメリカの国民、労働者、中間選挙を前にしてアピールすると、こういうことですよね。
 鉄鋼、アルミ、自動車について、安全保障を理由にしたアメリカの一方的な措置の対象に日本がされていることについて、先日の本会議でも質問いたしました。現時点で除外される確約は得られたのかということについて明確な答弁はありませんでしたけれども、そういう確約は現時点で得られているんでしょうか。
#108
○国務大臣(河野太郎君) 今般の米国政府による安全保障を理由とした鉄鋼、アルミニウムに関する広範な貿易制限措置は世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものであり、極めて遺憾と考えております。日本からの鉄鋼やアルミの輸入が米国の安全保障に悪影響を与えることはなく、むしろ高品質の日本製品は米国の産業や雇用にも多大に貢献しています。
 いずれにいたしましても、我が国としては除外を獲得すべく、引き続き米国に粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
#109
○井上哲士君 引き続き働きかける、めどはいまだにないということだろうと思います。その間にもEUやカナダなどはWTOへの提訴を相次いでおるわけですね。
 防衛大臣にも来ていただきましたけれども、そもそも安倍政権は、日米同盟の強化といって日米ガイドラインを改定し、閣議決定一つで憲法解釈も変えて、安保法制、集団的自衛権を可能といたしました。日米の軍事一体化も進めて、相互運用性の向上を図るなどとして米国製装備品を爆買いをしているわけですね。駐留経費の負担、再編経費の負担はもちろん、沖縄の基地負担軽減を口実に、米領グアムの基地整備にも日本の血税から巨額の資金支援までやっております。
 それが突如、安全保障を理由にした一方的な措置の対象とされたと。事実は重いですし、国民も驚いているわけですね。総理も、施政方針演説で繰り返し、個人的信頼関係の下、日米関係はかつてないほど強固だと述べてきたにもかかわらず、この安全保障を理由にした一方的措置の対象にされているということに対して、防衛大臣としてはいかに国民に説明されるんでしょうか。
#110
○国務大臣(小野寺五典君) 我が国からの鉄鋼及びアルミが米国の安全保障に悪影響を与えることはなく、このような決定は遺憾だと思っております。一方で、我が国及び地域の平和と安全を確保するためには日米同盟が不可欠であり、より一層強化することが必要であることには変わりはありません。
 また、先般、これは米国時間五月二十九日でありますが、日米の防衛大臣会談においても北朝鮮問題への対応方針が日米で一致していることを改めて確認をし、地域情勢を踏まえ、地域の平和と安定のため、日米が連携して同盟の抑止力、対処力の強化に取り組むことで一致をしたところであります。
 引き続き、マティス長官との間で日米同盟の強化に取り組んでまいりたいと思います。
#111
○井上哲士君 私たちは、米国ファーストを掲げる政権に日米同盟第一だと対応すれば、際限のない従属の道を歩むことになると警告をしてまいりました。まさに米国ファーストにかなうことを日本がやったら歓迎をするけれども、より米国ファーストを貫徹するためには容赦なく制裁まで掛けてくると、こういう日米の在り方がいいのかということが今問われていると思うんですね。
 これまでも、様々、日米間の経済では譲歩の歴史でありました。日米経済対話において日米交渉が進展しないことにアメリカが不満を漏らすと、今度はFFRが立ち上がったわけですね。向こうの代表はライトハイザー米通商代表でありますが、この米通商代表、USTRが二〇一八年外国貿易障壁報告を出しております。お手元にそれをまとめたみずほ総合研究所の資料を配付をしておりますが、実に、この表では三十五項目にまとめているわけで、その中でも評価されているのは安倍政権による米国製兵器の調達増でありますが、他に障壁とされている事柄は、まさに国民の命や食の安全に関わることが並んでおります。
 先日の本会議では、議論の対象は米国と調整するということでありましたが、こういう項目が協議対象になるということも排除されないということでよろしいでしょうか。
#112
○政府参考人(澁谷和久君) 先日、茂木大臣が御答弁したとおりでございまして、具体的なFFRの議論の対象は今後日米で調整していくということでございますので、先生の御質問にお答えするとすると、先生御指摘のあったような項目を議論の対象にするという合意もしておりませんし、対象にしないという合意もしていないということでございます。
#113
○井上哲士君 対象にしない合意もしていないというお話でありました。
 これは、まさにライトハイザー氏が代表を務めるUSTRが出しているものなんですね。既に日米経済対話ではこの報告書にある自動車の分野について議論をされておりますし、これポテトチップス用のバレイショの項目もありますけど、昨年の秋にはアイダホ産のポテトチップス用バレイショに対する輸入停止措置は解除をされた。それでもまだ足りないということですね。これ求めているわけですね。
 さらに、牛肉の輸入月齢の制限の撤廃など、食品の安全基準に関する項目がずらりと並べております。既に、TPP交渉の入場料として、事前交渉において二十か月齢から三十か月齢まで輸入、牛肉の輸入制限が緩められたわけでありますけれども、アメリカの農業団体も強く求めている。一方で、自動車への様々な制裁。
 こういう食品の安全基準とか農業というのがディールの対象にされるんじゃないか、多くの国民が懸念と不安を持っておりますけれども、改めていかがでしょうか、こういうことは議論されないということを明確にしていただきたいと思いますが。
#114
○政府参考人(澁谷和久君) 茂木大臣が答弁したとおりでございまして、議論の対象は今後日米で調整していくということでございます。
#115
○井上哲士君 このUSTRの報告書はずっと出されてきました。それが結局、次々と譲歩をされてきた歴史があるわけですね。アメリカの自動車の安全基準、米国産米の様々な流通の緩和、農薬の使用の緩和、最近ではアフラックのがん保険が一気に郵便局で使われるということにもなりました。
 こういうことがまた行われるんじゃないか。そして、TPP11が防波堤、防波堤といいますけれども、アメリカが日本に一層の譲歩を求めてくるその出発点になるんじゃないかという多くの懸念があるわけですね。そういう国民の懸念についてどうお考えでしょうか。
#116
○委員長(三宅伸吾君) 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いします。
#117
○政府参考人(山野内勘二君) 御指摘の外国貿易障壁報告書は、一九七四年の通商法に基づいて、USTRが毎年議会及び大統領に対して提出することになっているものでございます。
 これについては、適時適切な場を通じて米側の主張に対しては常に反論をしてきているということを御指摘させていただきたいと思います。
#118
○委員長(三宅伸吾君) 質疑をおまとめください。
#119
○井上哲士君 実際には譲歩が続けられてきたというのが歴史であります。そのことを強く指摘しまして、質問を終わります。
#120
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
 私は米朝首脳会談について質問をいたします。
 来週の今日に開かれるということでございまして、その前に総理大臣も外務大臣も訪米されると。時期が時期だけに大臣にはお答えしにくい質問もあろうかと思いますけれども、外交上の機微に触れることなので答弁は控えるという答弁だけはできるだけお避けいただくようにお願い申し上げて、質問を始めたいと思います。
 この会談、拉致問題解決の入口になるかもしれない数少ないチャンスだと思います。だから、非常に期待されている方、固唾をのんで見守っておられる方、たくさんおられると思います。
 この会談でありますが、会談をやるということは、何か成果が期待できなければ首脳会談などは開かれないと思います。米朝、アメリカと北朝鮮のそれぞれが、どういう成果を期待して、一旦はやめるということになったのが再び開催されることになったとお考えでしょうか。外務大臣にお尋ねいたします。
#121
○国務大臣(河野太郎君) 何か成果がなければ会談が開かれないかといえば、そうでもないんだろうと思います。なかなか会談の成果を予断を持って申し上げるというのは難しいというのが現実だろうと思いますが、国際社会といたしましては、北朝鮮が核、ミサイルのCVIDに向けて明確なコミットをするということを期待をしているところでございます。
#122
○浅田均君 今御答弁いただきましたけれども、私は、今回のこの米朝会談、アメリカにとっての当面の獲得目標は二つあって、一つが核・ミサイル実験はもう二度とやらないと確約させること、それから二番目が核、大量破壊兵器、ミサイルの申告、どこにどれだけものがあるということを申告させる、この二つだと思っております。
 日本政府として、獲得目標はCVIDだということを両大臣ともこれまでにも発言されておりますけれども、最小限期待している成果は何なんでしょうか。今申し上げました一番目の核・ミサイル実験はもう二度とやらないという言及、最近のアメリカのメディアとかアメリカの政府高官の発言を聞いておりますと、コンプリートという言葉に代わってパーマネントディスマントルメントですか、だから、もう二度とやらない、永遠にやらないという言葉がコンプリートに代わって用いられているようでありますが、したがいまして、核・ミサイル実験はもう二度とやらない、永遠に永久にやらないという言及を取り付けるだけでも成果だとお考えになっておられるんでしょうか。
#123
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会は、核とミサイルのCVIDが達成されない限り安保理決議に基づいた経済制裁は緩和しないということを明確にしておりますので、我々としてはその達成を目指すということでございまして、今回の首脳会談にどういう成果があるか、これは予断するのはなかなか難しいというふうに考えております。
#124
○浅田均君 それは難しいのはよく分かります。
 それで、アメリカの対北朝鮮政策、この二つ、北朝鮮政策に対してポンペイオ国務長官という方の存在と、それからボルトン補佐官、この方の、二人の存在が非常に大きいと私は思っております。しかも、このお二人の方々の考え方がかなり違っておって、それが会談の開催あるいは非開催に反映しているというふうに受け止めております。
 元々、ボルトン補佐官はリビア方式ということについて言及しておりました。これ、もう直ちに持っている核兵器をアメリカに運んで、アメリカで無力化させるというような提案ですので、これは北朝鮮にとっては到底受け入れられるものではないというふうに思います。他方、ポンペイオ国務長官は、直接、金正恩委員長に会って、そこから会談を行うということになりましたので、ボルトン氏が掲げたハードルよりは低いハードルを設定したものと思われます。
 そこで、外務大臣にお尋ねしたいんですが、ポンペイオ国務長官とボルトン補佐官の対北朝鮮に対するスタンス、これを政府はどういうふうに認識されているんでしょうか。教えていただけませんでしょうか。
#125
○国務大臣(河野太郎君) 日本政府として、アメリカ政府の個人のスタンスについてコメントをする立場にはございませんが、アメリカ政府としては、一貫して核、ミサイルのCVIDが達成されない限り経済制裁の緩和はないということをはっきりしておりますので、アメリカは個人の立場がどうあれ、アメリカとして政策は非常に明確になっていると考えております。
#126
○浅田均君 次の質問も同じような答弁になろうかと思いますけれども、トランプ大統領が一旦会談を中止するというふうに決めて、その直後に北朝鮮の金桂冠という第一外務次官が、我が方はいつでもいかなる方式でも対座して問題を解決していく用意があることを米国側にいま一度明らかにするという談話を発表しております。
 もうやめますよとアメリカに言われて、何とかお願いしますというふうに聞こえるんですが、自らが対話を求める姿勢とも受け止められますけれども、これ外務大臣はどういうような御認識でしょうか。
#127
○国務大臣(河野太郎君) 北朝鮮の意図につきましては様々な見方があるんだろうと思いますが、おっしゃったように、アメリカに対して会談の実施に向け再考を促したという見方も十分にあり得る、それだけ北朝鮮がこの米朝会談を行いたいというふうに考えているという見方も十分あり得ると思います。
#128
○浅田均君 ありがとうございます。
 それで、韓国紙のこれ朝鮮日報という新聞がありまして、北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長がトランプ米大統領との会談で、米朝関係が一朝一夕に変わることはないだろうが、度々会って信頼が深まれば核を持つ必要はないとの趣旨の金正恩委員長のメッセージを伝えたと報じております。このメッセージを受けてトランプ氏は、対北朝鮮をめぐって最大限の圧力との言葉を使いたくないという発言をされたものと私は受け止めております。こういう報道内容と軌を一にして、シンガポールの国防相会談で、CVIDという表現はあるが圧力という表現がなく、外交努力を引き続き支援すると明記されたと思われます。
 この点につきまして質問を通告しておったのでありますが、先ほど藤田先生の方から全く同じ質問がありまして、それに対して明確に小野寺大臣が答弁されておりますので、この質問は申し訳ないんですけど取り下げさせていただきます。
 それで、次に、北朝鮮のこれ内政、内部事情に関わることについてちょっと質問させていただきたいんですが、豊渓里の核実験場を廃棄したと、それで核開発を終えたと。私はこれは怪しいと思っておりますし、外務大臣もどうもそういうふうな見方をされているような答弁をされております。つまり、北朝鮮が進めている核開発と経済開発、この並進路線の一方の核開発が完了したので次の段階に入ったと。
 河野大臣が先ほどどなたかの質問に対する答弁で、現状で経済がうまく回っていないという御認識を示されましたけれども、核開発は終えたのでうまく回っていない経済に力を入れていく次の段階に入ったという受け止め方があるんですが、外務大臣はこういう受け止め方に対してどういう御認識でしょうか。
#129
○国務大臣(河野太郎君) 御指摘のような見方がある一方で、寧辺にあります核燃料の再処理施設を稼働する準備と見られる動きがあるというような指摘もございますので、北朝鮮が依然として核開発に関する活動を続けているという見方もあるんだろうというふうに思います。
 ですから、一方的に核に関する行動をこれで核実験場を爆破することによってやめるというふうにもなかなか言い切れないのではないかというふうに思っておりまして、この間の豊渓里の核実験場の、正確に閉鎖だったのかどうかというのは今後検証しなければなりませんが、あの動きがCVIDにつながっていくものなのかどうかということは注意深く見続けていかなければならないというふうに思っておりますし、やはりこの六月十二日に北朝鮮がどのようなコミットメントをするかということを引き続き注視してまいりたいと考えております。
#130
○浅田均君 その外務大臣も注視される北朝鮮のコミットメントに関わることでありますが、先ほどの質問の中にもありました不可逆的、イリバーサブルという意味について先ほど質問があったんですが、これCVIDがCVDになる可能性も伝えられております。CVIDからCVDになったとき、日朝対話に関して我が国はどういう判断をするのか。CVIDがたとえCVDになっても、それに関して北朝鮮がコミットをするというようなことになったとき、対話の条件は整ったとお考えでしょうか。
#131
○国務大臣(河野太郎君) 国際社会が北朝鮮に対して求めているのは、核を含む大量破壊兵器及びあらゆる射程のミサイルのCVID、完全かつ不可逆的、検証可能な廃棄ということでございますので、単に廃棄をしても、それがまた短期間で元へ戻る、あるいは短期間でなくとも時間があれば元へ戻すことができるということでは、これは国際社会として制裁を解除するということにはならないんだろうというふうに思います。
 国際社会の制裁が続いている以上、日朝間で何かを前へ進めるということにはこれはならないわけでございますから、完全かつ検証可能で不可逆的というこの国際社会の求めにどれだけ北朝鮮が応じることができるかということを我々はやはりしっかりと見極めていかなければならないと思いますし、そのためには安保理決議のしっかりとした履行を国際社会一致して行っていくということが今までにも増して重要になってくるというふうに考えております。
#132
○浅田均君 今外務大臣が御発言になったとおりだと私も思うんですが、この件に関しまして、トランプ政権のクドロー国家経済会議委員長は、トランプ大統領が北朝鮮への態度を若干軟化させたのではないかということに関しまして、北朝鮮の非核化はプロセスの最後になると述べ、非核化交渉が長期化する可能性を示唆した、交渉は通商問題と同じで時間が掛かると説明し、大統領は現実的だと指摘したと報道されております。
 拉致問題を抱えている我が国にとりましては、このCVIDというのをできるだけ早く完了させないことには、これをもって条件としている拉致問題の話合いに取りかかれないわけですね。
 だから、CVIDが実現して、クドロー長官はかなり時間が掛かるとおっしゃっておりますし、大統領もそういう認識であるということを示されると思うんですが、このCVIDが実現するとして、完了までどれぐらい掛かると想定されているんですか、外務大臣。
#133
○国務大臣(河野太郎君) 北朝鮮がCVIDを達成しない限り安保理決議に基づく制裁は続くわけでございますから、国際社会といたしましては、このCVIDに時間が掛かればその分経済制裁を長期にわたって行うということになりますし、北朝鮮からしてみれば、経済に力を入れられるという時期がその分遅くなるだけというふうに認識をしております。
 CVIDの議論がこれから始まるわけでございますが、原子炉の完全な廃炉ということになりますと、これは数十年たつということになりますので、そこまでをもってCVIDの達成というのは、これはやや無理があるだろうというふうに思っております。
 どの時点でCVIDを達成し、経済制裁を緩和するかというのは、これは安保理でも判断をしなければならないことでございますが、私は以前、二〇二〇年の大統領選挙までを目標とすべきだということを申し上げたこともございますし、今アメリカは、アメリカ政府内で様々日程を引いております。これは、専門家を加えて、どのようなタイミングでどういう作業ができるかということを線を引いているわけでございますので、このアメリカのタイムスケジュールが公表されれば、もう少し明確な所要時間というのが明らかになるのではないかというふうに考えておりますが、私は個人的に二〇二〇年までというふうに考えて、そのように申し上げたこともございます。
#134
○浅田均君 具体的な年まで御発言いただきまして、ありがとうございます。河野外務大臣のその二〇二〇年という主張を何とかトランプ大統領にお伝えいただきたいと思います。そして、実現させていただきたいと思っております。
 それで、今もうお答え半分ぐらいいただいているんですが、先ほど引用させていただきました北朝鮮の金桂冠第一外務次官、我が方はいつでもいかなる方式でも対座して問題を解決していく用意があることを日本側にいま一度明らかにするという発言を、談話を、これ日本にすることは決してないと思います。
 それで、日朝対話の始まりというのを、これは非常に難しい判断になると思いますけれども、日朝対話の始まりというのはどういう状況下で判断できるというふうに外務大臣はお考えでしょうか。
#135
○国務大臣(河野太郎君) 日朝のやり取りということで考えれば、今様々なレベルでやり取りはさせていただいているところでございまして、多分おっしゃっているのは首脳会談のようなハイレベルの対話のことではないかというふうに考えておりますが、日朝平壌宣言でうたいました核、ミサイルの放棄、そして拉致問題の解決の包括的な解決に向けての何らかのめどが立ったときというのがハイレベルの対話のスタートになるのではないかというふうに考えております。
 具体的には、まず、この米朝の首脳会談で北朝鮮がどれだけ明確にCVIDに対してコミットをするかというところが一つ大きなポイントだろうと思いますし、最終的に拉致問題は日朝で議論し解決をしていかなければならない問題でございますから、このCVIDについての明確なコミットメントが行われ、それに向けての動きがあり、この拉致問題について様々なやり取りの後、拉致問題について解決に向けて何らかの対話が始められると判断をしたときという、先ほどの質問と違って曖昧な答弁で申し訳ございませんが、現時点ではそういうことだろうというふうに考えております。
#136
○浅田均君 今ちょっと御発言しにくい部分もあったかと思いますけれども、そういう部分について、これから総理、外務大臣共にアメリカに行かれて、それからポンペイオさんとトランプ大統領、お話しになるんだろうと思いますけれども、私どもは大いに期待しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#137
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があればおなかもTPP。
 どういうことかというと、本会議で、ある議員が、どうもたまるものがたまっちゃってて、議場から出ようかなと思っていたやさきに、採決なんで議場閉鎖と言われたんで出れるに出れなくなってしまって、ああ、どうしようと思っているうちにもう我慢ができなくなってしまいました。ある大きな音が出たんで、周りにいた議員さんがびっくりして立ち上がってしまいました。そうしたら、議長はそれを見て何を勘違いしたのか、閉会と。何を勘違いしたんでしょうかね。
 そういう本当に今日もいろんな意見が先ほどから出ておりますが、まずもって、今回のテーマはTPPということで、包括的、先進的TPP協定についてお伺いいたします。
 まず、TPPは、アメリカを除く十一か国で締結となり、アメリカが抜けたことで、メリット、デメリットについてお聞かせ願いたいと思いますが、本当によく、毎日テレビをちょっと見ながらも思うことに、リーダーによってその国が変わっていくし、あるいは今話題になっている学校の問題もそうですが、そういう意味で、このメリット、デメリット、簡単には答えられないと思いますが、お聞かせください。
#138
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 TPP11では、元々のTPP12の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、米国が不在であっても協定の内容自体は維持されているところでございますが、ごく一部のルールの分野の適用は凍結されていると、こういう状況でございます。
 米国が抜けたことによるこのような違いはありますけれども、世界で保護主義への懸念が高まる中、このアジア太平洋地域に自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げるという意思を世界に示す、こういうことは自由貿易を推進する観点から画期的な意味があるというふうに考えているところでございます。
#139
○アントニオ猪木君 いろんな問題がありますが、特に懸念されるのは、アメリカとの保険だと思いますが。外国産の価格の安い農産物が増えれば国内産に影響が出る可能性があり、また食品添加物や遺伝子組換え食品、残留農薬などの規制緩和について、食の安全についても影響が出てきます。また、医療保険の自由化、混合医療の解禁によって国民の負担が増え、医療格差が広がるのではないか。今後の方向性と対策について具体的にお聞かせください。
#140
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 今、TPPに関して、農業への影響、あるいは食の安全への影響、それから医療制度への影響について御質問がございました。
 農業への影響についてでございますけれども、農産品につきましては、関税撤廃の例外を確保するとともに、重要五品目を中心に国家貿易制度の堅持、セーフガード等の有効な措置、これをしっかりと獲得しているところでございます。国益にかなう交渉結果が得られたというふうに考えております。加えまして、総合的なTPP等関連政策大綱を実施することを通じて、引き続き万全の措置を講じてまいりたいと思います。
 これらを踏まえた農林水産省の影響試算におきましても、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるというふうに結果が得られているというふうに承知しているところでございます。
 食の安全への影響でございます。TPP協定による食の安全に関するルールは、日本が既に締結していますWTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定、SPS協定、これを踏まえた内容となっておるところでございます。したがって、SPS協定と同様に、各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることが認められております。したがって、食品添加物の基準であるとか、遺伝子組換え食品、あるいは残留農薬等の安全性審査、あるいは表示、こういったものを含めて、TPP協定によって日本の制度が変更されるということはございません。我が国の食の安全、安心が脅かされるという懸念は当たらないものというふうに考えておるところでございます。
 それから、医療制度への影響ということでございます。TPP協定には、民間医療保険の拡大や混合診療の解禁といった我が国の公的医療保険制度の在り方そのものについて変更を求める、そういったような内容のものは含まれておりません。さらに、我が国は、協定の附属書のUにおきまして、社会保険等の社会事業サービスについては将来にわたって留保をしているところでございます。協定上の義務と我が国の既存の制度、この整合性をしっかり確保しているところでございます。
 こういった点につきまして、政府としては、今後とも国民の皆様に丁寧に説明してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#141
○アントニオ猪木君 次に、台中関係についてお聞きしたいと思いますが、中国当局が航空会社や外国企業に対し、香港、台湾表記の変更を求めているという記事を目にしました。アフリカでも、中国の国交を結ぶ代わりに台湾と断交する国が増えていると聞きます。
 台湾、香港の現在の情勢についてお聞かせをください。
#142
○政府参考人(石川浩司君) お答え申し上げます。
 台湾につきましては、蔡英文政権の発足以降、中国側との公式なやり取りが中断される中で、委員御指摘のとおり、先月にはドミニカ共和国に続いてアフリカのブルキナファソも台湾と外交関係を解消し、台湾の国交国は減少を続けているほか、世界保健機構、WHOの総会を始め、台湾の国際機関への参加も実現できない状況となっております。
 我が国としては、このような台湾をめぐる情勢について、両岸関係及び地域の平和と安定の観点から、今後の影響を含め、関心を持って注視していく考えでございまして、いずれにせよ、台湾をめぐる問題については当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の一貫した立場でございます。
 また、香港につきましては、アジアの一大金融センターとして地域全体の発展と繁栄に重要な役割を果たしてきていると認識しております。昨年七月、香港は中国返還二十周年を迎えるとともに、キャリー・ラム氏が女性として初めて行政長官に就任し、更なる発展が期待される一方で、その祝賀式典の当日には、中央政府に反発する民主派による大規模なデモの発生も報じられました。
 我が国としては、香港が引き続き一国二制度に基づく自由で開かれた体制の下で民主的に発展していくことを強く期待しております。
#143
○アントニオ猪木君 小野寺大臣にお伺いいたしますが、先日ハワイで、パールハーバーで行われた太平洋軍司令官交代式典に出席されたと思います。ハリス前司令官、日系アメリカ人ということもあり、日本に対する理解も深かったのではないかと思います。
 今回新たに就任されたデービッドソン司令官と小野寺大臣は、日米防衛協力関係について会談されたと思います。会談の内容についてお聞かせください。
#144
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 五月三十日、現地時間でございますが、小野寺防衛大臣は、米太平洋軍司令官交代式に日本の防衛大臣として初めて出席をいたしております。マティス米国防長官とともに交代式に出席をすることで日米同盟のきずなの強さを示すことができたものと考えている次第でございます。
 その交代式前日の五月二十九日、大臣は、太平洋軍司令官であったハリス司令官、それから現在の司令官でございますデービッドソン司令官と意見交換をいたしております。大臣からハリス司令官には、日米同盟の強化への貢献に対する感謝を、そしてデービッドソン司令官には、インド太平洋軍司令官に着任されることのお祝いを申し上げております。
 その上で、北朝鮮問題については、米朝首脳会談が、核、ミサイル、拉致問題といった諸懸案が前進する機会となることが重要であり、引き続き日米が連携をして北朝鮮から具体的な行動を引き出していくことで認識を共有をしてございます。
 また、これ以外にも、地域の課題、あるいは自由で開かれたインド太平洋の確保に向けた取組、こういったことについても率直に意見交換をいたしたところでございます。
#145
○アントニオ猪木君 大臣は私の質問に答えたくないんですね。いや、けんかを売っているわけじゃありません。
 次に、マティス国防長官。インド洋と太平洋の連携性が高まっていることから、インド太平洋軍に改名すると宣言しました。中国の領海侵犯を含め関心が高いことだと思いますが、マティス国防長官との会談ではどういった話をされたのか、お聞かせください。
#146
○国務大臣(小野寺五典君) 私も出席しました五月三十日の米太平洋軍司令官交代式において、マティス国防長官から、太平洋軍の名称をインド太平洋軍へ改称する旨公表されました。インド太平洋軍の名称は、この部隊が担う役割にふさわしいものであり、また自由で開かれたインド太平洋戦略の推進にも沿うものと評価をしております。
 前日の五月二十九日には、長官との日米防衛大臣会談を行いましたが、会談では、北朝鮮への対応方針のほか、地域の課題についても意見交換をし、特に東シナ海、南シナ海において中国が現状変更の試みを続けていることを踏まえ、引き続き東シナ海の平和と安定のため協力していくことや、南シナ海への日米の関与の重要性を確認しました。
 また、我が国周辺海空域における中国の活動活発化にも留意しつつ、地域の平和と安定のために日米が連携し、同盟の抑止力、対処力の強化に取り組むことで一致をいたしました。
 さらに、自由で開かれたインド太平洋の確保に向けた日米、日米豪など多様なパートナーとの連携を確認するなど、会談においてもインド太平洋地域への米国の関心の高さが現れていたと考えております。
#147
○アントニオ猪木君 次に、三日、シンガポールでアジア安全保障会議が行われ、日米韓の防衛相が、北朝鮮の非核化に向け国連安全保障理事会の決議に基づく制裁を継続していくという声明を出しました。
 トランプ大統領の、最大限の圧力という言葉を使いたくないという、先ほども同僚議員からもありましたが、北朝鮮の非核化に向けた姿勢に評価し、圧力を前面に出さないと声明、なったことでしたが、日本はまだ圧力と言い続けていくのか、これから。
 ちょうど私なりに感じたことを言わせてもらうと、いろいろやっぱり人間ですから、振り上げた拳、これはなかなか下げられない。今、一生懸命どうやって下げようかと、ある一部の部分の話ですが。あるいはまた、日朝議連の人たちが静かにしていたんですが、最近情勢が変わってきたことによって、いろんな動きが起きていると聞きます。
 そういう中で、今後、この圧力と言い続けることが、何があればそういうことを変えていけるのか、その辺は知恵を絞ってもらいたいんですが、御意見をお聞かせください。
#148
○国務大臣(小野寺五典君) 私どもが問題にしているのは、拉致、核、ミサイルの問題、これが北朝鮮が明確に政策を変え、そして私どもが望む方向に行けば、私どもとしては、北朝鮮の国民も私どもと同じように豊かでそして幸せな暮らしができる、その方向に行くのではないかと思っております。
 その上で、圧力という言葉でありますが、私ども防衛当局は、これは今後とも北朝鮮がこのような政策を変えるまで圧力を継続していくということ、これは一致をしております。他方、トランプ大統領は、最大限の圧力という言葉はもう使いたくない旨、発言をされております。私どもとしては、これはトランプ大統領の考え方だと思いますが、トランプ大統領は同時に、北朝鮮が行動するまでは制裁を解除しないとも発言をしております。
 いずれにしても、私どもとしては、関連安保理決議に基づく制裁措置等を厳格に実施し、引き続き国際社会との連携の下、圧力を継続していくという従来の方針に変わりはありませんが、私どもの求めているのは北朝鮮の政策の変更ということでありますので、一日も早くこの問題が外交的に平和裏に解決することを望んでおります。
#149
○アントニオ猪木君 ペンタゴンが、リムパック二〇一八年の中国招待を取り消すと発表しましたが、中国による南シナ海の領海侵犯、軍事的利用、アフリカにおけるアメリカ軍機へのレーザー照射など、中国の国際ルールを守らない姿勢がリムパックの目的と合わないとのことでした。
 過去開催されたリムパックで中国軍は、艦艇以外に情報収集艦を派遣し、アメリカ軍や各国の海軍の情報収集をしたり、我が国海上自衛隊に対して国際礼儀を踏みにじるような非礼を働いたと聞いています。特に、中国、南シナ海における実効支配は深刻で、早急に動かなければならないことだと思います。
 今回のリムパックへの招待を取消しを受け、今後どういった対策を取るのか、お答えください。リムパックという言葉、私も知らないので、これも説明してください。
#150
○国務大臣(小野寺五典君) リムパックというのは、太平洋を含めた様々な地域の国がありますが、その各国がアメリカ主導で行う海軍間の共同訓練ということになります。日本は長年このリムパックに参加をしております。
 また、中国も最近このリムパックに参加をし始めておりますが、ただいま委員から御指摘がありましたように、中国が参加する中において、通常であれば共同訓練というお互いに信頼感を持ってやる訓練の中で、情報収集艦を並行させて走らせるなど、通常私ども信義違反と思われるようなことを行ったり、あるいは日本も含めて首をかしげるような行動を取ることが中国の中にあったということ、そして、今回一番大きかったのは、南シナ海をめぐる問題で、アメリカと中国の首脳間で約束をしていた、これは軍事的な利用について、ここを中国が約束を破ったということをもって、今回アメリカが中国のこのリムパックへの招待を取り消すということをされたということは承知をしております。
 いずれにしても、私どもとしては、中国には、法の支配、そして航行の自由等、私ども国際社会が求めていることをしっかり守ってほしい、そのことをこれからも外交面でしっかり訴えていくということ、そしてまた、私ども、防衛面におきましては、この国、東シナ海を含めてしっかり守っていくこと、その対応を継続するということなんだと思っております。
#151
○アントニオ猪木君 昨日の夕刊で、日本、フランス両政府は、中国の強引な海洋進出を念頭に、インド洋地域で連携を包括的に強化する海洋対話を創設する方針を固めたという記事を目にしました。
 フランス側から提案があり、七月に安倍総理とマクロン大統領との首脳会談を行う予定で調整しているとのことですが、内容についてお聞かせください。
#152
○政府参考人(川村博司君) お答え申し上げます。
 日仏友好百六十周年の本年、我が国といたしましては、特別なパートナーでございますフランスとの関係を様々な分野において飛躍的に発展させるべく取り組んでおるところでございます。
 特に、太平洋国家でもございますフランスとは海洋分野における協力を重視いたしております。本年一月に行われました日仏2プラス2でも、自由で開かれたインド太平洋のために海洋分野での協力を継続し、強化することを確認をしたというところでございます。
 ただいま委員御指摘の海洋対話、これを含みますフランスとの海洋分野における協力強化の在り方につきましては、現在フランス側とその詳細につき緊密に協議を行っておるところでございます。
#153
○アントニオ猪木君 テレビでも放映されましたが、大変明るいニュースというか、パリの不法移民のスパイダーマン、子供救出のお手柄、マクロン大統領が謝意、フランス市民権を付与というのがありましたが、ちょっとテレビを見ていたら、本当にすごい。五階建てのビルに飛び乗っていきましたけど。本当にいつもテレビのニュースは刺激の強いものがいいんでしょうけど、こういうニュースも大変いいなと思って見ておりました。フランスの関係でこの記事をちょっと拾ってみました。
 時間が来ました。ありがとうございました。
#154
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
 TPP11は、以前のTPPと同じく、グローバル企業の利益追求のために国内産業を犠牲にするものです。TPP11について、安倍政権は国民の声に耳を傾ける姿勢を欠いています。
 安倍政権が沖縄県民の反対を踏みにじって強行する辺野古新基地建設についても、この姿勢は同じです。辺野古新基地建設工事について伺います。
 アセスにおいて、辺野古地先のリーフ内は海草藻場の被度が比較的高いと確認されています。資料の海草藻場の分布状況、二枚目ですが、見ても、現在土砂投入が検討されている辺野古地先、K4護岸の内側は最も海草藻場の被度の高い海域の一つです。海草類の年間生育量は、乾燥重量で、辺野古地先で約七十五・九トン、大浦湾で約十一・五トン、嘉陽地先で約九・五トンで、総量九十六・九トンの九割が辺野古地先と大浦湾なのです。
 事業者として、K4護岸の内側が最も海草藻場の被度が高い海域であるとの認識はありますか。
#155
○国務大臣(小野寺五典君) 環境保全図書におきましては、海草藻場の分布状況について、辺野古地先、大浦湾奥部、安部の湾内、ギミ崎の東側において比較的被度が高い箇所が見られる旨記載をされております。
 防衛省としましては、今後とも、環境保全図書の記載にのっとり、海草藻場に係る保全措置を講ずることとしております。
#156
○伊波洋一君 辺野古埋立てでは、七十八ヘクタールの最大の海草藻場が失われると言われています。通常の埋立工事では藻場に影響を与えないように計画するのですが、辺野古の工事は藻場そのものを埋め立てるものです。皆さんの資料のような状況で分かります。
 外周護岸の完成、接続や土砂投入の前に、当然この外周によって囲われる海草藻場を移植しなければならないと考えますが、いかがですか。
#157
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 環境保全図書におけます海草藻場の拡大を図る保全措置につきましては、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますとされているところでございます。
 このように、環境保全図書におきましては、施設等の存在の段階を念頭に置きまして保全措置を講じることとされておりまして、現在、具体的な対策につきまして検討しているところでございます。
#158
○伊波洋一君 資料を皆様に、みんなに配ってあります資料、これは上空からの写真ですけれども、まさにここが海草藻場なんですね。海草藻場が今囲われています。
 ただいまの答弁は、そこはそのまま埋め立ててしまうというようなニュアンスですが、海草藻場の移植という以上、埋めてしまってからでは手遅れです。海草類について、環境保全図書には、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主な対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図ると、このように書いています。
 先ほど申し上げたように、九割が、この海草、辺野古そして大浦湾で生育しています。これはジュゴンだけではありません。この海域全体の様々な影響が与えることなんです。
 今答弁しておりますが、施設等の存在及び供用の施設等の存在の段階とは、飛行場及び飛行場施設の存在する段階という意味で間違いはないんですか。
#159
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 いわゆる環境保全図書におきましては、本事業に伴う影響要因としまして、まず、公有水面の埋立てと飛行場及びその施設の設置という区分があるところでございまして、この飛行場及びその施設の設置の中には施設等の存在及び供用が含まれております。このような分類に基づきまして、施設等につきましては飛行場及びその施設に該当するものと整理をしております。
 また、護岸の工事等を行っております現在につきましては、公有水面の埋立てにこの分類上は該当する時期でありまして、飛行場及びその施設の設置の中の施設等の存在及び供用には当たらないものと考えておるところでございます。
#160
○伊波洋一君 ただいまの答弁について、環境保全図書には、先ほど述べたように、施設等の存在に伴うと書いてある、伴うとの前提で、海草藻場の減少に対して移植を行うとされ、今の回答は、防衛省は完成後に移植を行うと。しかし、完成したらもうなくなっちゃっていますね、この海草は。一体この海草はどうなるんでしょうか。
 私たちは、同じく環境保全図書の「工事の実施」の項目には、工事中においても海草類の移植や生育範囲の拡大について可能な限り実施します、と書かれています。
 沖縄防衛局の公有水面埋立承認願書には、海草藻場を埋め立てるということは一言も書いてありません。逆に、環境影響評価書には、「代替施設の位置については、海草類の生育する藻場の消失を少なくできるように計画しています。」と書いています。しかし、実際は、この施設の中に最大の藻場が入っています。しかし、その最大の藻場に対して、今の答弁は、何もしないのだと、このような言い分ですね。本当にそれでいいんでしょうか。
 この辺野古最大の海草藻場を埋め立てる。しかし、環境保全図書には改変区域の周辺に三か所移設先が示されています。この移設先は、この海草藻場の広さに相当するものです、三か所ですね。そういう移設先を示しながら、移す藻場を埋め立ててしまったら、どこから移すんですか。なぜ埋立予定地内の海草類の移植を取り組まないんですか。
#161
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 若干繰り返しになりますけれども、環境保全図書におきましては、代替施設の設置に伴う海草藻場の消失がジュゴンの個体群維持に及ぼす影響は小さいと考えるとしておりまして、その上で、そうした認識も前提に、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますというふうにされておるところでございます。
 これに基づきまして、現在、当該記載に基づいて鋭意検討を行っておるところでございまして、いずれにいたしましても、今後とも、環境監視等委員会の指導、助言を得つつ、海草藻場の生育範囲拡大につきましてはしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
#162
○伊波洋一君 環境アセスの一番のポイントは何かというと、広大な海草藻場をどのように保全するかということです。細かく書かれています。工事の最中もネットを掛けるのも、これも海草藻場への影響を与えない、含めてです。
 しかし、ただいまの話は、海草藻場の、その二つ、工事中というのと、それから施設の完成・供用というのがありまして、この二つに分かれている。分かれているから、その下の方にあるので完成というのは飛行場の完成のことだから、そこに移植はすると書いてあるけれども、今じゃないんだからやらないというのが今の主張ですね。しかし、おかしいんですよ。
 「工事の実施」においては、周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下した場合には、必要に応じて、専門家の指導、助言を得て、海草類の移植や生育基盤の環境改善による生育範囲拡大に関する方法等を検討し、可能な限り実施します、これは工事のところに書いてあります。
 そもそも、この埋立てをやれば、そこにある藻場が影響を受けます。最後は埋め立てられます。そのことが明らかなのですから、当然その外にある海草同様に、この海草を対処するのは当たり前ではないですか。周辺海域の中には、当然工事実施区域も含まれるはずです。
 そもそも一番の前提は、藻場の上を埋め立てないというのが一番の最初の前提なんですが、しかし、皆さんはそこを、まさにそこを埋め立てようとしている。それならばこの藻場を対処する、そのことは当然ではありませんか。アセスや保全図書の意味は、工事実施中には海草類の移植をしなくてもよいことではないのではないですか。
#163
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 環境保全図書におきましては、委員御指摘のように、工事の実施において周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきた場合には、必要に応じて、専門家等の指導、助言を得て、海草類の移植や生育基盤の環境改善により生育範囲拡大に関する方法等を検討し、可能な限り実施と記載されているところでございます。
 今後そのような状況が確認をされた場合には、環境保全図書の記載にのっとりまして適切に対応してまいりたいと考えております。
#164
○伊波洋一君 ではお伺いしますけれども、今護岸で囲もうとしています。やがて閉じます。ここに土砂を入れたときに、この藻場はそのまま生育環境は変わらないんですか。つまり、皆さんが予定している次の土砂の段階で、ここにある藻場というのはそのままそこに存在し続けるんですか。ここでいう生育環境の状況が明らかに低下した場合、まさに絶滅をさせようとするわけじゃないですか、埋立てで。この埋立てに対して何の対策もしないんですか。今の話は、ただその場所が、書かれている場所が違うからというだけの話であって、実質的な環境保全の意思を全く持っていないということじゃないですか。お答えください。
#165
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 まず、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、環境保全図書におきましては、工事の実施において周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきた場合には、必要に応じて、専門家等の指導、助言を得て、可能な限り実施というふうに記載をされておるところでございます。
 これまで、第十五回の環境監視委員会におきましては、普天間飛行場の代替建設事業に係る工事を開始する前の平成十九年から二十七年までの海草藻場の生育状況についての分析結果を報告をしておるところでございます。その中で、海草藻場の減少等の理由につきましては委員からは特段の指導、助言がなかったところでございますが、今後とも、環境監視等委員会の指導、助言を得ながら、そうした状況、工事の実施において周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきた場合、そういった状況が確認をされた場合には、環境保全図書の記載にのっとって適切に対応していく考えでございます。
#166
○伊波洋一君 じゃ、今、確認された場合というのは、土を入れたら当然駄目になっちゃいますね。ここを閉じたら当然藻場は死んでしまいますね。それが確認ですか。
#167
○政府参考人(西田安範君) 繰り返しになりますが、周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきたということが確認された場合には、環境保全図書の記載にのっとりまして適切に対応していく考えであります。
#168
○伊波洋一君 じゃ、周辺というのにはこの中にある藻場は入らないということですか。明確に答えてください。
#169
○政府参考人(西田安範君) 周辺海域の海草藻場の生育状況ということでございますので、ここをしっかりと確認をしていきまして適切に対応してまいりたいと考えております。
#170
○伊波洋一君 いや、答えてください。この今締め切ろうとしている中は入らないのですかと聞いているんです。
#171
○委員長(三宅伸吾君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#172
○委員長(三宅伸吾君) 速記を起こしてください。
#173
○政府参考人(西田安範君) 繰り返しになりますが、周辺海域の海草藻場ということでございます。そうしたことでございますので、今後、仮に埋立てを行っていくということになりました場合に、それに伴いまして周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下をしてきた、そういった場合には、環境保全図書の記載にのっとりまして対応していきたいと考えております。
#174
○伊波洋一君 そもそも、その藻場を移植するということも書いてある。で、場所も、今日は今資料示していませんけれども、その間の空白の区域、この空白の区域、それから二か所、それから施設ができた後の大浦湾側、この三か所が指定されて大きなエリアが確保されている。しかし、肝腎の藻場があるところ、今藻場があるところを移すということを今答弁できないんですよね。当然それ、こういうことやるのが当たり前じゃないですか。
 それに、あと一つ。皆さんが昨年十月に受け取った米国防総省の沖縄ジュゴンの人類学的調査等を含めた基礎調査プログラム、それから、それに基づいて国防総省が裁判所、連邦地裁に提出した、二〇一四年四月十五日付けで提出した米国海兵隊推奨報告書では、三つの条件でジュゴンの保全をすると書いてあるんですよ。その中に藻場の移植があります。
 つまり、問題になっているのは、先ほど申し上げたように、九割が失われる、つまり藻場の九割の生育重量が失われるような埋立てを今しようとしている、防衛は。それに対する代償措置を求められているんですよ。そのことを皆さんは、アセスでは書きながら、実際はやらないという、これでいいんですか。
#175
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 ジュゴンの状況あるいは海草藻場の状況につきましては、ただいま工事を進めている段階でございますけれども、その中でしっかりと事後調査等を行いましてモニタリング等を行っているところでございます。そのモニタリングの状況を踏まえまして、必要な場合には適切に対応してまいりたいと考えております。
#176
○伊波洋一君 とにかく、今のような状況で外周護岸の接続とか土砂の投入というのはあり得ないです。もっときちんと整理をしてください。環境保全というのは何かということを、皆さんがアセスに書いたことは何だったのかということをきちんと整理して取り組んでいただきたいと思います。
 また引き続きこの件はしますが、質問通告してありますので、ジュゴンの件で。
 環境省は、今、沖縄にジュゴンが具体的に何頭いると考えていますか。
#177
○政府参考人(米谷仁君) 環境省が過去に行いました調査、それから防衛省が実施しておられます航空調査、沖縄県が実施しておられます調査などを踏まえますと、日本における生息頭数は少数にとどまるものと考えております。
#178
○伊波洋一君 もう少数ということですが、前回五月二十九日の委員会で、大臣は、二〇一五年六月二十四日のヘリ監視調査以降確認できなかったジュゴンの個体Cについて聞き取りを行った専門家から、親離れして離れていったのではないかとの見解を受け取っていると答弁されました。
 この説明は、到底科学的分析とは言えません。少なくとも、どのような専門的知見を有する誰がどのような科学的根拠に基づいて結論をしたのか、明らかにすべきです。何らかの具体的な科学的根拠が示されるべきです。
 第九回委員会で紹介された、親離れしていったという説明を行った御専門の先生方とは誰ですか。どのような科学的根拠に基づく結論でしょうか。
#179
○政府参考人(西田安範君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のように、ジュゴンの個体Cの存在につきましては、平成二十七年の六月以降確認をされていないところでございます。その原因につきましては、確たることを申し上げることは困難でございますが、聞き取りを行った専門家からは、成人して親離れして離れていってしまったのではないかとの見解を得ており、その旨を第九回の環境監視等委員会で報告をしたところでございます。この専門家の氏名につきましては従来から公表を差し控えさせていただいているところでございまして、監視等委員会の委員であるかどうかも含めましてお答えは差し控えたいと存じます。
 なお、科学的根拠につきまして確たることを申し上げることも困難でございますけれども、ジュゴンの個体Cの親離れにつきましては、二十九年の七月に行われました第八回の環境監視等委員会におきまして、委員会の委員から、ジュゴンは生まれて親と一緒にいる期間は一年であること、古宇利で母親である個体Bと一緒に見付かる時期もあったが、その後、個体Cは嘉陽沖でも見られているので、この時期には親離れをしているということ、そうすると二〇一五年以降はもっと違うところに行った可能性がある、そうした意見が出されているところでございます。
 いずれにいたしましても、ジュゴンにつきましては、今後とも引き続き生育状況に係る監視調査を適切に行うこととしておりまして、当該監視調査の結果を踏まえ、ジュゴンに対する環境保全措置につきましては、委員会の指導、助言も得ながら適切に対応してまいりたいと考えております。
#180
○委員長(三宅伸吾君) 時間が参りましたのでおまとめください。
#181
○伊波洋一君 時間も来ましたが、引き続き行いますけれども、ジュゴンCについての環境監視委員会等での議論も継続をしています。そのほかも含めて、やはり今問題になっているのは……
#182
○委員長(三宅伸吾君) 伊波君、時間が参りました。
#183
○伊波洋一君 はい。
 とにかく、次回に向けてまた質問いたします。
 終わります。
#184
○委員長(三宅伸吾君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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