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2018/07/03 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 内閣委員会 第23号
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2018/07/03 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 内閣委員会 第23号

#1
第196回国会 内閣委員会 第23号
平成三十年七月三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十九日
    辞任         補欠選任
     進藤金日子君     野上浩太郎君
     田名部匡代君     榛葉賀津也君
 七月三日
    辞任         補欠選任
     野上浩太郎君     朝日健太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柘植 芳文君
    理 事
                藤川 政人君
                和田 政宗君
                西田 実仁君
                矢田わか子君
    委 員
                朝日健太郎君
                有村 治子君
                石井 準一君
                江島  潔君
                岡田  広君
                山東 昭子君
                豊田 俊郎君
                野上浩太郎君
                山下 雄平君
                熊野 正士君
                榛葉賀津也君
                相原久美子君
                白  眞勲君
                田村 智子君
                清水 貴之君
                山本 太郎君
   委員以外の議員
       発議者      小西 洋之君
   衆議院議員
       発議者      中谷  元君
       発議者      岩屋  毅君
       発議者      桝屋 敬悟君
       発議者      佐藤 茂樹君
       発議者      浦野 靖人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
   参考人
       一般社団法人R
       CPG代表理事  西村 直之君
       独立行政法人国
       立病院機構久里
       浜医療センター
       院長       樋口  進君
       大阪いちょうの
       会幹事      山口美和子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○ギャンブル等依存症対策基本法案(衆議院提出
 )
○ギャンブル依存症対策基本法案(小西洋之君外
 一名発議)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、進藤金日子君及び田名部匡代さんが委員を辞任され、その補欠として野上浩太郎君及び榛葉賀津也君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柘植芳文君) ギャンブル等依存症対策基本法案及びギャンブル依存症対策基本法案の両案を一括して議題といたします。
 まず、ギャンブル等依存症対策基法案について、発議者衆議院議員中谷元君から趣旨説明を聴取いたします。中谷元君。
#4
○衆議院議員(中谷元君) ただいま議題となりましたギャンブル等依存症対策基本法案につきまして、提出者を代表して、提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 ギャンブル等依存症がギャンブル等依存症である者等及びその家族の日常生活又は社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせていることに鑑み、ギャンブル等依存症対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、ギャンブル等依存症対策の基本となる事項を定めること等により、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進する必要があります。
 以下、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律においてギャンブル等依存症とは、法律の定めるところにより行われる公営競技、パチンコ屋に係る遊技その他の射幸行為であるギャンブル等にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいうこととしております。
 第二に、ギャンブル等依存症対策は、ギャンブル等依存症の発症、進行及び再発の各段階に応じた防止及び回復のための対策を適切に講ずるとともに、ギャンブル等依存症である者等及びその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるように支援すること等を基本理念として行われなければならないこととしております。
 第三に、ギャンブル等依存症対策を講ずるに当たっては、アルコール、薬物等に対する依存に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとすることとしております。
 第四に、国、地方公共団体、関係事業者、国民及びギャンブル等依存症対策に関連する業務に従事する者の責務を規定することとしております。
 第五に、政府は、ギャンブル等依存症対策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこととしております。
 第六に、政府は、ギャンブル等依存症対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、ギャンブル等依存症対策推進基本計画を策定しなければならないこととしております。
 第七に、基本的施策として、国及び地方公共団体は、医療提供体制の整備、相談支援等の推進、社会復帰の支援等の施策を講ずるものとすることとしております。
 第八に、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、ギャンブル等依存症対策推進本部を置くこととしております。また、同本部は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画の案を作成しようとするとき等には、同本部に置かれるギャンブル等依存症対策推進関係者会議の意見をあらかじめ聴かなければならないこととしております。
 第九に、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(柘植芳文君) 次に、ギャンブル依存症対策基法案について、発議者小西洋之君から趣旨説明を聴取いたします。小西洋之君。
#6
○委員以外の議員(小西洋之君) ただいま議題となりましたギャンブル依存症対策基本法案につきまして、提案者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 ギャンブル依存症が、その患者の日常生活及び社会生活に様々な問題を生じさせる国際的にも認められている疾患であるのみならず、その家族に深刻な影響を及ぼすとともに、重大な社会問題ともなっていることに鑑み、ギャンブル依存症対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、ギャンブル依存症対策の基本となる事項を定めること等により、ギャンブル依存症対策を総合的かつ計画的に推進する必要があります。
 以下、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律においてギャンブル依存症とは、法律の定めるところにより行われる公営競技の投票、パチンコ屋等における遊技その他の財産上の利益の得喪に関し射幸心をそそるおそれのあるものを行うことに関する依存症をいうこととしております。
 第二に、ギャンブル依存症対策は、ギャンブル依存症の発生、進行及び再発の各段階に応じた防止及び回復並びにこれに関連して生ずる多重債務、貧困等の問題に応じたその防止を図るための施策を適切に講ずること、財産上の利益の得喪に関し射幸心をそそるおそれのある行為を客に行わせる事業についてギャンブル依存症の患者等による利用が制限されるようにすること等を基本理念として行わなければならないこととしております。
 第三に、国、地方公共団体、ギャンブル関連事業者、国民、医療関係者及びギャンブル依存症対策に関連する業務に従事する者の責務を規定することとしております。
 第四に、政府は、ギャンブル依存症対策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこととしております。
 第五に、政府は、ギャンブル依存症対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、ギャンブル依存症対策推進基本計画を策定するものとすることとしております。
 第六に、都道府県は、都道府県ギャンブル依存症対策推進計画を策定するものとすることとし、同計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、ギャンブル依存症の患者等及びその家族を代表する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすることとしております。
 第七に、基本的施策として、国及び地方公共団体は、医療提供体制の整備、ギャンブル依存症の患者等の受診促進、相談支援の充実、社会復帰の支援、民間団体とギャンブル依存症の発生等の防止等に関連する業務を行う機関等との連携の確保、民間団体の活動等に従事する人材の確保等の施策のほか、民間による支援を受けるギャンブル依存症の患者等及びその家族の経済的負担を軽減するために必要な施策を講ずるものとすることとしております。
 第八に、ギャンブル依存症対策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、内閣総理大臣を本部長とするギャンブル依存症対策推進本部を置くこととしております。また、同本部は、ギャンブル依存症対策推進基本計画の案を作成しようとするとき等には、同本部に置かれるギャンブル依存症対策関係者会議の意見をあらかじめ聴かなければならないこととしております。
 第九に、政府は、ギャンブル依存症対策を推進する観点から、ギャンブル関連事業者の事業の方法に関し、射幸性の抑制、広告宣伝の在り方、依存症対策に係る費用負担等の検討に早急に着手し、結論を得た事項から直ちに、遅くともこの法律の施行後三年以内に、必要な措置を講ずるものとすることとしております。
 第十に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
#7
○委員長(柘植芳文君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 発議者は御退席いただいて結構でございます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(柘植芳文君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#9
○委員長(柘植芳文君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ギャンブル等依存症対策基本法案及びギャンブル依存症対策基本法案の審査のため、本日の委員会に一般社団法人RCPG代表理事西村直之君、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長樋口進君及び大阪いちょうの会幹事山口美和子さんを参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#11
○委員長(柘植芳文君) ギャンブル等依存症対策基本法案及びギャンブル依存症対策基本法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず、西村参考人、樋口参考人、山口参考人の順にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず西村参考人にお願いいたします。西村参考人。
#12
○参考人(西村直之君) それでは、ギャンブル等依存症対策基本法及びギャンブル依存症対策基本法に対する意見を述べさせていただきます。
 本法案は基本法ですので、この問題に必要な対策、全体を俯瞰しますと過不足と感じる内容はありますが、このいただいた時間の中では、今後、この法案、この基本法がより有効に機能するために重要と思われる課題について取り上げさせていただきます。
 まず初めに、法案で用いられているギャンブル等依存症及びギャンブル依存症の用語に対する医学的な見地からの問題を述べさせていただきます。
 両案とも、ギャンブル等またギャンブル依存症と、依存症の用語が用いられております。精神医療の現場で用いられることはこの用語あるのですが、実は医学的診断名としてはギャンブル依存症は通称や俗称というものであって、WHOが作成した診断分類ICD11においても、アメリカ精神医学会が作成した診断分類DSM―5においても、ギャンブル依存症という用語は現在存在しておりません。両者においては、ギャンブリングディスオーダー、日本精神神経学会はギャンブル障害と訳した診断分類名となっております。
 このギャンブル障害、ギャンブリング障害の包括する範囲は、いわゆる依存症、病的な依存にある人たちよりも幅広く、これをそのまま依存症と読み替えて同一視することには問題があるというふうに考えます。政治用語としての依存症と医療用語のいわゆる依存症の混同や混乱というのは、既にこれは問題として起こっており、このことは冷静で建設的な対策についての議論を阻害しかねないものと危惧しております。諸外国においてもこの名称が約二十ぐらいに分かれておりまして、この用語の統一がいまだになかなかなされていないという混乱が対策の支障になるというふうに聞いております。
 アルコールや薬物においても、診断分類から既に依存症、ディペンデンスという用語はなくなっておりまして、これから十年後、二十年後の日本の未来と世界最高水準の対策を担う新たな法案として依存症の用語を用いることは、世界の研究者、対策者に対してどのように映るのかについて、これもやはり考えておかなければならないと思います。まあ、今後の問題ですので、この法案の充実とともにこの問題が解消されるように希望します。
 さらに、法案の用語としてギャンブル等依存症とギャンブル依存症の定義がそれぞれ異なっているという問題を指摘させていただきます。
 この用語が、先ほど言いました医学用語であれ政治的な用語であれ、定義の明確化は、これは必須の課題というふうに思います。どちらが正しいという問題では、これは定義ですのでないと思いますが、その定義の違いというのは、対策の基本骨格、それから具体的には対策の対象となる人たち、それから支援対象になる人たち、その家族の範囲、そしてそのまたボリューム、人数の違いにつながってくるので非常に重要な問題だと思います。
 この法案を見ますと、ギャンブル等依存症対策基本法では、ギャンブル等依存症は、ギャンブルののめり込みにより生活に支障が出ている状態というふうに、これは状態定義になっております。これは海外の対策でいう標準的な対策標的になっているプロブレムギャンブリング及びプロブレムギャンブラーですね、問題あるギャンブリング、いわゆる問題あるギャンブラーという定義とほぼ同じような範疇になっております。この定義ですと、医学モデルよりもより広い公衆衛生的な生活障害モデルの視点に近い定義というふうになっているというふうに思います。
 一方、ギャンブル依存症対策基本法を見ますと、特定原因行為に関する依存症の定義の下、対策支援対象は依存症の患者(その疑いのある者)及び患者であった者並びにその家族というふうになっております。この定義は、疾病として捉える医学的モデルにより近い定義、対策案となっております。
 この違いは、やはり今後の対策の根幹を公衆衛生のモデルを主軸にするのか医療モデルを主軸にするかの違いにつながって、対策の実施、費用、対策の費用効果等に大きな影響を与えるというふうに考えております。世界の標準的な対策は予防を中心とした公衆衛生モデルに向かっております。私自身もそういうふうにあるべきではないかというふうに考えております。
 その公衆衛生モデルの中では、依存症であるかないかの線引きやギャンブルが原因であるかないかなどの因果関係よりも、今ギャンブルの問題を持っている人を早期に把握し、より早く介入する地域の公衆衛生対策を総合的、戦略的にプラン化させて実行する、近年これは海外ではレスポンシブルゲーミングという戦略になっておりますが、この戦略にのっとった国や地域の対策の流れというのが、これがやはり世界の流れになっておりますので、これを踏まえると、あえてより狭い医療・医学モデルにこだわるよりも、より広い公衆衛生的なモデルですね、生活障害の視点で対策を議論する方がやはり有用だというふうに考えております。
 特に、世界最高水準の対策を掲げて、医療・医学モデルに重きを余りにも置く対策の方向性については、これは私の交流しております北米や欧州の対策に関わる研究者や施策者から、なぜかと、度々奇異であるということを指摘を受けます。日本の皆保険制度ということのある恩恵ということもこれはやはりありまして、医療がかなりの担保になっている事実はありますが、とはいっても、やはり方向性については答えをなかなか率直に返せないというふうに窮しております。
 やはり両法案とも、既に発生した問題と、どちらかというと重症者対策に重きが置かれまして、予防に対する対策戦略の重点化と拡充というのがやはり全体として薄いように思います。この部分の拡充というのが、基本法から実際に展開していく中ではしっかり行われていくべきではないかというふうに思っております。
 ギャンブリングに参加している、ギャンブルの参加者の中に、実際、病的な依存状態に陥る、本来の医学的水準の依存症レベルという人たちが存在していることは、これはもう間違いない事実で、しかし、この比率というのは、実はギャンブルの習慣を持つ人たちの一から三%程度ではないかというふうに大体世界のところでは言われております。
 一方で、自己制御を行いながら、ギャンブルの習慣による問題を抱える人たちというのは、その参加者の大体五%から一〇%、多くても一〇%程度ではないかというふうに言われております。この群は、問題ギャンブラー、プロブレムギャンブラーと呼ばれておりまして、この問題ギャンブラーは、必ずしも問題があるからといって病的な状態に移行するわけではないわけですね。問題を抱えながらも、自分なりに調整又は何らかのきっかけでかなりの割合の人が自己回復又は自己制御しているというふうに言われております。
 世界の対策の黎明期というのは、より重篤ないわゆる依存症レベルの治療介入を標的として、やはり医学モデルを中心として始まったんですが、だんだん対策が進むにつれて、問題ギャンブラーへの早期介入と依存症水準に進行させない自己制御の支援というふうに変わり、さらに現在は、問題がないプレーヤーの問題化防止ということが対策の中心になってきています。これが統合的にパッケージ化されてきているというのがやっぱり世界の流れで、基本法もそのような形に本来なっていただきたいというふうに思っております。
 AMEDの調査の中で問題がある依存症の可能性という人たちが七十万人ぐらいというふうに出ておりますが、これは実際は問題ギャンブラーに相当する人たちを指しているというふうに思いまして、いわゆる病的な依存状態にある重症のギャンブル障害の人たちがこのまま七十万人存在しているわけではないというふうに思います。その一部としても数万人の深刻な問題保有者がいることというのは歴然たる事実で、その方々の介入とケアは早急かつしっかりと対策されるべきではあります。ただ一方で、むしろ病的な依存症レベルではないその数十万人の問題ギャンブラーを、これをいかに増やさないようにするか、それから、いかにこの問題ギャンブラーを病的な依存状態に進行させないかというふうに考えた予防対策がより重要だというふうに思います。
 シンガポールにおいても、このような視点で予防対策を重点化して、問題ギャンブラーの絶対数をまず減らして、その上で、やはりどうしても重症化すると治療効果が薄いので、その方たちの対策に、その絶対数を減らした上で対策に力を注ぐという、そういう方向を取って効果を上げているというふうに聞いております。
 問題ギャンブラーの場合、初期段階であるほど本人の援助を求める行動が期待しやすく、相談窓口の工夫によって敷居を下げることが可能です。私が代表を務めているぱちんこ依存問題相談機関リカバリーサポート・ネットワークでは、年間五千件ほどの相談を受けております。その八〇%が本人です。相談者の約七〇%は過去に相談経験がありません、この電話相談が初めてですね。つまり、電話相談やチャット相談など簡易介入というのは、結構有効性が高くて費用効果が高いということが分かっております。また、問題行動の修正効果も、これも期待できるということが分かって、こういうことは海外の調査で明らかになっています。このように、もっと多様で、エビデンスに基づいた多様な早期介入のプロジェクトの展開というのは重要な対策項目だというふうに考えております。
 また、諸外国の研究では、ギャンブリング問題の発生、ギャンブルの問題の発生には、その習慣ができる前から持っている先行する併存障害の影響が大きいということが明らかになっております。極論すると、ギャンブルへの依存が重篤なケースほどギャンブル以外の精神医学的要因の影響が大きいと、ギャンブルを止めても生活障害が改善しにくく、再発しやすいということが言えます。
 海外の調査で、問題ギャンブラーが問題ギャンブルに先行した障害を有する率は極めて高いということが明らかになっております。つまり、依存症的であればあるほど、重複障害が、併存する障害が多いため、依存症の治療では十分な改善が難しく、むしろ先行又は併存する他の精神医学的疾患の除外や同定、治療を行い、問題行動との関連を明らかにし、その後の生活障害を軽減し、安定した福祉、生活支援につなげていくことが医療の重要な役割だと思います。その点では、本来、精神保健を支える医療という枠組みがありますので、その中でしっかりと、ギャンブル依存だけの問題が特別化されるのではなくて、その枠の中でしっかり見ていくということが大事だというふうに思います。
 自助グループの重要性については、もうこれは議論すべき余地はありませんが、一方で、これまで精神保健の相談や医療機関が、やはり依存症という名前が付くと、自助グループの紹介、回復施設に紹介という形で極めて短絡的なパターン化に陥って、その多様な援助や個別支援の質的な向上が図られてこなかったりということがやはり事実としてあります。やはり、それゆえに世界の依存問題対策と乖離してしまっているということは大きな対策の課題だと思います。それぞれの機関の特性や適応、限界などを踏まえた連携が図られなければならないと思います。
 最後に、そのカジノの是非は置いても、諸外国のゲーミング産業の発展によってこれらのエビデンスが蓄積されてきたという、これはもう間違いない事実です。この蓄積されたエビデンス、知見、それを支える研究者の知の蓄積に対しては、学ぶものは学び、日本に適した対策の活用は積極的に行うべきだというふうに考えております。
 以上です。ありがとうございました。
#13
○委員長(柘植芳文君) ありがとうございました。
 次に、樋口参考人にお願いいたします。樋口参考人。
#14
○参考人(樋口進君) それでは、意見を述べさせていただきたいと思います。
 ギャンブル等依存症は、大きな健康、社会、家族問題です。この実態を明らかにするために、私どもは平成二十九年に我が国成人のギャンブル等依存に関する全国調査を行いました。対象者は、全国三百地点の住民基本台帳から無作為に抽出した一万人です。その結果、五千三百六十五名から回答が得られました。また、ギャンブル等依存症に関する調査項目、すなわちSOGSの日本語版の有効回答数は四千六百八十五名でした。
 SOGSは、一九八〇年代の後半に米国で作成されたギャンブル依存のスクリーニングテストで、世界で最も汎用されています。この調査結果によると、調査前十二か月間にSOGSによりギャンブル等依存が疑われた者の割合は〇・八%、その推計数は約七十万人、また、過去のどこかでギャンブル等依存が疑われた者の割合は三・六%、その推計数は三百二十万人でした。
 さて、ここではギャンブル等依存が疑われる本人の推計をしました。しかし、依存症にまで進行した場合には、本人を取り巻く周囲の者にも多大な悪影響をもたらします。ギャンブル等依存症となると、例えば、家族の知らないところで次々に借金を作り、返してもまた作る、ギャンブル絡みで家族に頻繁にうそをつく、家族内でもめ事、暴言、暴力が絶えない、別居、離婚に至る、子供への悪影響、詐欺、窃盗、横領を働く、うつ病、自殺などの問題が頻繁に起きます。家族はこのような問題に常に振り回され、心の休まるときがなく、このような問題は次世代の子供たちにも影響します。したがって、ギャンブル等依存症にまつわる問題は、単に推計数だけでは捉えられない社会的に大きな問題を包含していると言えます。
 さて、ギャンブル等依存症とはどのような人たちでしょうか。これを理解いただくために、私どものセンターを受診された百十三名の患者さんの概要をお示しします。
 初診時の平均年齢は三十九歳。男女比は、男性が十に対して女性が一ぐらいの割合です。既婚者は五七%、離婚は一〇%。正規、非正規雇用を含めると七〇%の者が働いていました。アルコールや薬物依存症に比べると、全般的に社会的安定性は高いというふうに思われます。ギャンブル等の開始年齢の平均は二十歳と若く、借金のある人が九〇%に及びました。ギャンブルによる今までの借金の総額は平均約六百万円で、初診時に平均二百万円程度の借金を抱えていました。ギャンブルに関連して、窃盗、詐欺などの警察沙汰を起こしていた者が一六%いました。依存しているギャンブル等では、パチンコ、スロットが九〇%と圧倒的に多く、次いで、競馬二〇%、マージャン六%、競輪、競艇五%の順になっていました。
 ギャンブル等依存症では、その他の精神的問題が高率に合併することも知られています。中でも、ニコチン依存症やアルコール依存症などの物質依存症、うつ病を含む気分障害、不安障害などが多いと報告されています。
 また、自殺の問題も重要です。既述の私どものセンターを受診した患者さんの場合でも、その四四%は過去一年間に希死念慮を持ち、一二%は自殺企図に至っています。適切な治療や借金対応により、このような方々の貴重な命を救うことができます。
 次に、診断について簡単に説明します。
 現時点で最もよく使われている診断基準は、米国精神医学会が作成した精神疾患の診断統計マニュアルの第五版、これDSM―5というふうに呼ばれていますが、この中のギャンブル障害の診断基準です。先生方に配付されている資料の中にこの基準が掲載されていますので、御参照ください。
 依存症の診断基準は、いわゆる依存行動と依存の結果として起こる健康、社会問題の組合せで構成されています。このDSM―5の基準は全部で九項目ございますが、九項目の中で過去十二か月に四項目以上を満たす場合にはギャンブル障害というふうに診断します。
 つい最近まで、このギャンブル障害は病的賭博という名前で、衝動制御の障害という疾患群に分類されていました。個人の衝動がうまくコントロールできないために起きてくる疾患という意味です。病態を考えると、その対策としては専ら個人に対する予防的、治療的アプローチになります。依存症のモデルは物質依存症です。病的賭博の症状、経過、ギャンブルに伴う脳内の機能変化、合併精神障害のパターンなどを見ると、衝動制御の障害よりも物質依存症と類似していることが次第に判明し、DSM―5では初めて依存症の一疾患に分類されるようになりました。
 私どもが日常の診療に使用しているガイドラインは、世界保健機関が作成した精神及び行動の障害に関する国際疾病分類を踏まえた臨床記述と診断ガイドラインです。現行の分類では依然病的賭博になっていますが、今年六月にWHOから発表された新しいバージョンの草案ではやはりギャンブル障害と改名され、いわゆる依存に分類されるようになりました。
 ところで、依存症に分類されることで何が変わるでしょうか。依存症は個人の特性、依存対象物の種類や特性、環境などを総合的に考えて、予防や治療対策の立案、施行ができるものがあります。また、衝動制御の障害に比べると治療に関するエビデンスも豊富で、より良い治療の提供が可能となるということが挙げられます。
 ギャンブル等依存症の予防や対策を考える場合、その危険要因の評価は非常に重要です。危険要因に適切に対応できれば、ギャンブル等依存症のリスクを軽減できます。また、危険要因を有するハイリスクグループを同定し、適切な予防対策を講じることも可能になります。
 ギャンブル依存症のリスク要因を今から幾つかお話し申し上げたいと思います。
 まず、人口統計関連の項目で、若年者、男性、失業などがそのハイリスクに入っています。依存対象としてのギャンブル関連の要因としては、まず、利用しやすさが挙げられています。利用しやすさの中には、距離的に近い、時間的にいつでもできる、賭博場の雰囲気が良い、自由に入場できるなどがあります。
 一般的に、依存はその開始年齢が早いと依存のリスクが高くなると言われています。また、本人はギャンブルをしなくとも、幼少のうちにギャンブルに暴露されると将来の依存リスクが高くなるという報告もございます。その他、うつ病や他の依存症が併存している場合や高い衝動性、刺激追求性のような性格傾向は依存のリスクを高めると報告されています。
 さて、ギャンブル等依存症の対策にお話を進めてまいります。
 まず、厚労省が、平成二十九年度から、依存症に対する二つの事業、すなわち依存症全国拠点事業及び地域依存症対策事業を始めました。依存症の対象は、ギャンブル等依存症を含めたアルコール及び薬物依存症です。全国拠点に私どものセンターが指定され、依存症医療に関わる地域の指導者のマンパワー育成を行っています。ギャンブル等依存症関連のマンパワー育成に関しては年々拡充され、平成三十年度は四コース、七日間の研修が計画されています。全国拠点の他の事業として、情報発信及び調査研究事業があり、こちらも前進しています。
 一方、地域依存症対策事業では、都道府県は地域の専門医療機関及び地域拠点機関を指定します。拠点機関は、地域のマンパワーの育成の役割を果たすとともに、医療連携を図り、依存症医療の向上に貢献することが期待されています。また、依存症の専門相談員を精神保健福祉センターに配置し、家族などの相談に当たる計画です。
 厚労省関連の対策はこのほかにもありますが、その説明は割愛させていただきます。
 さて、最後に、ギャンブル等依存症の予防対策に関し、現状と今後期待される対策について私見を述べさせていただきます。
 まず、ギャンブル等依存症の発生予防です。ここでは、まず、国民のギャンブル等依存症に対する知識の普及及び意識の向上が必要です。この中には、ギャンブル等に対する間違った認識の修正、ギャンブル等依存症は治療可能な疾病であるという理解及び困ったときの相談先の情報なども含まれています。このためには、ギャンブル等に問題のある本人や周囲の人が相談できる体制が整わなければなりません。
 次に、学校での予防教育です。この有効性に関する欧米での研究によると、ギャンブルに対する正しい知識の普及や間違った認識の修正は可能であること、しかし、これが実際のギャンブル等の行動修正にどの程度影響するかについては必ずしも明確でないということでした。
 次に、早期発見、早期治療導入です。あるいは、早期発見、早期介入ですね。依存症は、精神疾患の中でも治療の必要な人が専門治療や相談機関に最もつながらない疾患であることが知られています。ギャンブル等依存症は、物質依存症に比べて更にその傾向が強いと言われています。家族から、保健所等の地域や民間の相談機関から、他の医療機関から、借金相談のための法的機関から、また、ギャンブル等の提供施設から専門治療相談機関への連携を強化する体制づくりが必要だと思います。
 次に、ギャンブル等の行動が頻回だったり、使う金額の多い人、既に問題はあるが依存症まで至っていない人、又は、軽症のギャンブル等依存症を対象にした有効な簡易治療プログラムの開発と広範な施行も重要です。この点に関しての研究は世界的にも少なく、今後発展が望まれます。また、このような方々に適切な支援を行う相談機関の充実も必要です。
 最後に、治療、再発予防、回復支援です。
 私どもが平成二十八年度に行った厚労科研研究では、全国にギャンブル等依存症の専門治療機関が百二か所存在し、その中で入院可能な施設は四十四でした。これはアルコール依存症の専門医療施設よりかなり少なく、更に広範な整備が必要です。
 ギャンブル依存症の治療に関しては、世界的に認知行動療法を主体にした心理行動的アプローチが有効とされ、これをサポートする研究が海外で報告されています。我が国でも、現在外来ベースの標準的治療プログラムの開発とその有効性検証のための研究が進んでいます。この有効性が確認された場合には、このプログラムを専門医療機関のみならず一般精神科でも広範に施行していくことが望まれます。
 また、他の治療方法の開発も重要です。他の心理社会的治療に加えて薬物治療の開発も不可欠です。ギャンブル依存症に関しては、使用の認められた使用薬物は世界的に今存在しません。しかし、ギャンブル依存症に伴う諸症状に対する治療については、候補治療薬は挙がっており、この効果検証と臨床使用が望まれます。
 ギャンブル等依存症の最も大きな問題の一つは借金です。この借金の適切な対応が回復には必要です。医療機関と借金処理のための法的機関の連携の発展も期待されます。
 再発予防や回復支援では、自助グループや回復施設の果たす役割は重要です。ギャンブル等依存症の自助グループは、ギャンブラーズ・アノニマス、GAで、その家族のためのグループがギャマノンです。現在、GAは我が国に二百近いグループがありますが、偏在傾向もあるので、均てん化と数の増加が望まれます。既述の厚労科研で回復施設の調査を行っています。ギャンブル等依存症を受け入れているという施設が我が国で五十四ありましたが、今後更に拡充が望まれます。
 さらに、既述のとおり、ギャンブル等依存症では家族など周囲に多大な悪影響をもたらします。しかし一方で、本人の回復のためには、この家族の、あるいは家族からの支援が重要です。この点を踏まえ、家族が気軽に相談できる体制、相談機関の見える化、受診支援などの整備が必要です。
 最後に、このような対策を行っていくためには、その基礎となる情報の提供が必要です。
 まず、ギャンブル等依存症のモニタリングのための実態調査の定期的実施です。また、縦断研究などによる我が国におけるリスク要因の同定、自然経過などの情報も必要です。また、より有効な早期介入技法や治療技法の開発は特に重要で、この方面の研究成果が待たれます。
 以上です。ありがとうございました。
#15
○委員長(柘植芳文君) ありがとうございました。
 次に、山口参考人にお願いいたします。山口参考人。
#16
○参考人(山口美和子君) いちょうの会の山口美和子と申します。
 本日は、大変貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
 初めに、私が所属しておりますいちょうの会の活動内容について、少し御紹介いたしたいと思います。
 当会は、サラ金による過酷な取立てによって、心身的、経済的に追い詰められ、自殺にまで追い詰められる被害者を個別に救済し、生活再建を図るとともに、このような被害者を社会から根絶することを目的としております。平成四年十一月に設置されました。そこから二十五年余りの活動の歴史の中で、活動の質やその内容は日々成長し、発展し続けております。
 現在では、一つの案件に対し複数の専門分野のエキスパートが様々な角度から意見を出し合っておりまして、行政及び他の団体、必要があれば社会福祉協議会も協働を図り、積極的な協働を図り、迅速かつ的確に具体的支援が提供されております。会員は今で、現在までに延べ数で八千五百名に達しております。この中には自助グループ、今までの当事者等も含まれることを御了承ください。
 なぜ今回いちょうの会より私が参考人に選出されたかといいますと、私の父と弟がギャンブル依存症に罹患し、私はその怖さをこの数年間実際に経験しております。また、相談に乗る間、ギャンブル依存症の方で苦しんでいる家族、私も実際にサポートに入っていて、その家族の方たちの思いも私を介して先生方に知っていただきたい、国を動かす先生方にその実態を知っていただきたいと思い、この場に出させていただきました。
 まず、私の父の一例になりますけれども、ギャンブル依存の、私が経験したことからちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 私の父は造園業を営んでおりましたが、仕事がうまくいかなくなったときに、たまたま地元にできたパチンコ屋さんに足を踏み入れました。そこがきっかけで日増しにパチンコにのめり込むようになりました。仕事をすることもなくなり、血族や祖母、母、ありとあらゆる仕事関係の人からもお金を借りるようになりました。そこから、それでも足らず、サラ金に手を付けることもございました。とうとう資産も全てなくなり、家もピアノも、今まで裕福であった家具等も全てなくなり、六畳二間の市営住宅で五人暮らしが始まりました。
 その頃から、父は、もうとても母親の説得にも応じず、サラ金の、もうサラ金なのか闇金なのか、この人たち、素性の知らない、分からない人たちが昼夜問わず家の中に土足、本当に土足で当時は入り込んできて、いろんなものを嫌がらせで破壊して回りました。なので、私の母子手帳ももうありません。うちの兄弟のもの、私の大事にしていたもの全て破壊されましたので、一切私は幼少期のものを持っていません。また、追い詰められた母親が包丁で父親を切り付けた事件がございまして、これについても、幼少期、私はとてもショッキングな場面を目にしたと思い、今でもそれはトラウマになっております。
 シングルマザーとなって母は働き出したんですけれども、ちょうど、シングルマザーになって母が働くということは物すごく貧困なわけですよ。しかしながら、その貧困と引換えに、私たちは、サラ金とも知らない、闇金とも分からない、えたいの知れない人たちの迫害から解放されることになりました。それには一家離散という悲しい現実がございましたが、私は、母が私たちを連れて出てくれたこと、父が失踪してくれたことに心から感謝をいたしました。
 また、母子家庭となりましてから、私の中学三年生になった頃の進路の問題が発生しました。担任の先生からは、公立の高校は制服代や授業料が掛かるので、公立の受験はもう控えるようにと助言がありました。当時私に許された道はお礼奉公付きの看護学校。制服代、授業料、全て免除になる、その代わり学校の指定した病院で働くこと、二年ないしは四年間、お礼奉公という形で返すというのが条件でした。このとき私は、憲法で保障されている就職の選択の自由すら与えてもらうことはなかったんだなと今になってもつくづく思います。
 精神病院の方にお礼奉公で私は勤めることになったんですけれども、生まれ育った鹿児島の地を離れ、大阪の精神病院に就職することになりました。その頃からです。どこで聞き付けてきたか分からないんですけれども、音信不通だった父から突然連絡があり、そこから先は、うそにうそを重ねてのお金の無心が続きました。いい年をして娘の人生の門出にお金を無心してくる父親が私は本当に情けなく、心の底から父を憎みましたし、自分の心の置きどころもなくしました。
 これ、まだまだ父からの被害というものを私いっぱい持っているんですけれども、時間の加減でこの辺で終了させていただきたいと思います。
 また、就職先の精神病院におきまして、先ほど西村先生の方からも指摘がありましたとおり、ギャンブル依存症の患者さん、明らかにギャンブル依存で、ギャンブルが原因で問題行動を起こし措置入院してきた患者さんのカルテは、ギャンブル依存症とは載りません。躁うつ病や統合失調症が大半を占める状況であります。
 これにつきましては、先ほど西村先生もおっしゃったように、早急に、もうギャンブル依存症という造語ではなくて、実際にギャンブル依存症という症状や特徴というのはもう特定されてきていると思います。また、そういう方たちが日に日に増えてきているのも実情で、私たちの方でも相談記録等もございますので、是非ここは国の方でギャンブル依存症の方の枠組みをきっちりと整備していただきたいと思います。
 ギャンブル依存対策でございますが、ギャンブル依存対策には大きく二つあります。
 第一に、依存症を生まない対策、つまり、あるいはギャンブルの規制です。新たにカジノをつくるなどとんでもなく、絶対にやめていただきたい。私たちは、日々、ギャンブルや借金で自死をする人たちを防ぐために活動をしております。そこを本当にあざ笑うかのようにカジノを持ってくるなんて、私は到底認めることはできませんし、私たちの自助グループも、いちょうの会としましては断固反対させていただきます。
 第二に、依存症になってしまった人への対策ですが、これも先ほど、ちょっと重複しますけれども、市町村の窓口、あと消費者センター、もっと身近にギャンブル依存症の相談ができる窓口をつくっていただきたい。これにつきましては、専門性を持った病院であるだとか、依存症に詳しいお医者様、看護師、そこを投入するに当たって、今のうつ病や精神障害の方に対しては自立支援医療というものが使うことが可能となっております。また、障害福祉手帳の方から移動支援という制度も使うことが可能となっております。
 私は、ギャンブル依存症の方にもこのような移動支援や作業療法あるいは訪問看護を用いて、ある程度の伴走型の支援ができると考えております。今、私たちがそれをやっております。とても予算も足りませんし、ずっとパチンコに行かないように見張らなければならない。見張るという言い方をしたらとても失礼なんですけれども、その方がほかに何か興味を持つもの、ほかに何か熱中できるものを一緒に探して、その時間はそれをやっていてもらう。これは本来でしたら国の方で作業療法士が担うところであって、私たちも言っても素人でございます。ですので、これは是非、国の責任において作業療法士なり訪問看護師を活用する障害手帳の適用に認めていただきたいと存じます。
 あと、パチンコ、既存の競馬、競輪場などについても、もうギャンブル依存症の注意という張り紙や注意喚起をしたとしても、なかなかそれを見るということもないです。なぜならば、ギャンブル依存に陥った方はもう競馬しか見えていないからです。ですので、ここにつきましても、既存のものにつきましてももうちょっと具体的な規制を掛けるなり、年収を、カジノ法案のときは年収だ何だを入場制限に掛けますとかということをおっしゃっていたけれども、既存のものにももうすぐに、今すぐにでも掛けていただきたい。
 自己責任論についてですけれども、いつでも、自己責任じゃないかとか、あの人はだらしないというふうな言葉が聞かれます。それはとっても私たちにとりましては、実際に支援をしている方に対しても、とてもとても失礼な表現でありまして、自己肯定感も下げますし、その方も病気になりたくてなったんじゃないんです。病気になりたくてなる人ってまずいらっしゃらないですよね。ギャンブル依存というのはもう自分では制御できません。その時点で私たちは疾病だと。疾病だという概念で接すると、幾らでも支援の方法も出てくるんです。実際にその支援を当てはめていくと、その方が回復していくんです。しかしながら、少しずつです。油断はできません。少しでも油断すると、また再発してすぐにパチンコに行ってしまうということも多々ありました。
 競馬や競輪、パチンコに、うちの父もそうですけれども、だらしないとか自己責任、そう、ちまたの人は言いました。じゃ、その子供や家族、本人よりも家族や周りの者が首をつるんです。死んでいくんです。そこについて、子供に向かって、あなたは誰々さんの家に生まれたんだからあなたの自己責任ですと、子供に向かって皆さん言えるでしょうか。子供や配偶者は一切関係ありません。子供は親を選べないんです。じゃ、あなたはそこの何々さんのギャンブル依存の子供に生まれたんだから、一生お父さんにお金を貢ぎ続けて、就職して立派に働けるようになったら、全額競馬だ、パチンコだ、全部お父さんのために使いなさいと、私は言えません。お父さんを断ち切って、あなたは自分は自分の道を行きなさいと背中を押してあげるのが私たち周りの大人の責任ではないでしょうか、私は強くそう思います。
 もう時間が来ましたのでそろそろ終了しようと思いますけれども、最後に、先ほども強く言いましたけれども、私たちいちょうの会は、カジノの誘致には断固反対をいたします。不幸な子供をつくってはならない、もうこの一点に絞らせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
#17
○委員長(柘植芳文君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終了いたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#18
○和田政宗君 自由民主党・こころの和田政宗でございます。
 参考人のお三方、本当に貴重な御意見ありがとうございました。
 まず、西村直之参考人にお聞きをしていきたいというふうに思っております。
 ギャンブル依存症をギャンブル障害と呼ぶべきであるというお話であったかというふうに思うんですけれども、この中でやはり一番多いのがパチンコやパチスロに対する依存であるというふうに認識をしております。まあ、パチンコ、パチスロは遊技であるというようなことの立て付けになっているわけでありますけれども、これが果たしてギャンブルではなく本当に遊技なのかと。遊技という言葉をそのまま考えますと、それは遊びの延長であるというような形であるかというふうに思います。
 昨年、また一昨年辺りからのこのギャンブル依存に対する議論の中で、出玉規制でありますとか、そういったような規制というのも行われてきておりますけれども、パチンコ、パチスロ依存を少なくするためには、法規制の在り方、また業界はどういうふうに取り組んでいくべきなのか、西村参考人、お願いをいたします。
#19
○参考人(西村直之君) パチンコ……
#20
○委員長(柘植芳文君) 済みません、挙手してから。
#21
○参考人(西村直之君) 済みません。
 パチンコ、パチスロの依存問題に関して、十三年前からパチンコ業界と一緒に、協働しながら対策をしております。その中でやはり見えてきたことというのは、多くの人たちが自分で問題を気付くきっかけはあると。ただ、重症になってくるとなかなかそれは難しくなってくる。より早く匿名でサポートできるような形が必要であって、ただし、これが必ずしも規制とか、いろんな今依存対策ということでいろんな規制がありますが、そこの根拠が本当に何かというのはよく分からないまま規制がどんどん進んで、その中で、パチンコにのめり込んでいることというのはどうもすごく良くないことだという空気があって、より表で言いにくくなっているという空気があるのも確かだと思います。
 こういう意味では、本来何が対策にとって効果があるのかという、もう少し科学的なエビデンスをしっかり踏まえた上で本来はこの依存の対策というのはなされるべきで、今やっぱりそこがなかなか十分されていないように思います。
 ただ、大事なことは、私たちはやはり早期に介入することと、もう一つは遊技産業の方たちがこの問題を隠さずにしっかりお客さんと向き合って気が付くことということで、そういう形でパチンコ・パチスロアドバイザーという制度を昨年からつくって各店舗に、そういうお客さんが困っているのを見付けると声を掛ける、又は精神保健のところに紹介ができるような、そういうことをできるような方を一店舗に少なくとも営業時間に一人はいるようにというふうな形で民間ベースで育成をしております。
 さらに、これは御存じないかもしれませんが、全国のパチンコホールには既に依存問題のチェックリストのリーフレットと、それから精神保健センター及び医療機関がどこで情報が取れるかということができるようなものを配布しております。そういう形で対策を今、総合的に進めているところです。
#22
○和田政宗君 今、西村参考人の方から科学的知見というお話がありましたけれども、私の手元にある、西村さんも寄稿している安心娯楽通信の二〇一七年九月号というものを基に御質問したいというふうに思いますけれども、日工組社会安全研究財団、略称社安研の中でパチンコ・パチスロ遊技障害に関して全国調査を実施しているということでありますけれども、パチンコ・パチスロ遊技障害のおそれのある人は、そうでない人に比べてどういう傾向があるのか、またそれを防ぐためにはどうするのか、そういったような知見をお聞きできればというふうに思います。
#23
○参考人(西村直之君) このちょっと調査……
#24
○委員長(柘植芳文君) 済みません、挙手してから御発言願います。
#25
○参考人(西村直之君) 済みません、度々。
 このデータについては全てインターネット上で詳細を公開されておりますので、是非御覧いただきたいと思うんですが、その特徴というのは、これは結構高所得の人が多いとか男性が多いとか、全体のその医療モデルとは若干違うプロフィールが見えてきているというのは一つあります。この中で、実際約四十万人ぐらいの人たちが依存の状態にあるかもしれないと。ただ、実際深刻な人たちはその更に数分の一だろうというふうに推定されております。
 今、このもっと細かい調査、この人たちがどのような背景で今後どうなっていくかという調査を現在も実は継続的に続けているところで、ちょっと今回のこの法案に関するところで余り断定的なことが申し上げられないので、その点についてはちょっと今回は控えさせていただきたいと思います。
#26
○和田政宗君 今、西村参考人の中で、その高所得、割合、比較的高い所得の方もというようなお話があったわけでありますけれども、山口参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
 本当にお父様のこと、激烈な体験で、またそれを聞くというのが本当にいいことなのかということがありますけれども、今後の参考にしたいのでお聞きをしたいというふうに思うんですが、お父様も、今のお話を聞いておりますと、造園業をなされていて、おうちもあり、また家具もしっかりしたものがあったというようなことを言っていらっしゃるわけでありますけれども、お父様がパチンコにのめり込んでいった原因というのは、もしお話しいただけるようでしたらお話しをいただければと思います。お願いします。
#27
○参考人(山口美和子君) 先ほど、ちょっと私も緊張していて大変申し訳なかったんですけれども、父親がちょうど仕事がうまくいかなくなった頃、その頃とパチンコ店ができたのがちょうど同じ時期でした。そのタイミングに合わせて父はのめり込みましたので、仕事に、仕事につまずいたということが一番の原因かと思われます。
#28
○委員長(柘植芳文君) 参考人の方にお願いをいたします。
 挙手をしてから御発言を願いたいと思います。
#29
○和田政宗君 山口参考人、そうしますと、まさにそういうふうなうまくいかない時期にパチンコで何かお金を取り返そうみたいなところがあったというようなことなんでしょうか、いかがでしょうか。
#30
○参考人(山口美和子君) まさにそのとおりだと思います。
 ずっと負けていたのではなく、一度、支払をしなければならなかったときに、本人に聞きましたら、そのときにすごく大当たりをして、あのときはすごく助かったということをおっしゃっていました。
#31
○和田政宗君 樋口参考人に、これに関して、お二人の参考人に聞いたことを踏まえてお聞きをしたいというふうに思うんですけれども。
 このパチンコ、パチスロについては、いつでもどこにでもあるというようなところというものもまたギャンブル依存、この依存にのめり込んでいく原因になっているのではないかという知見があるわけでございますけれども、治療を実際行った後に、でも、普通に生活していますと駅降りてすぐその前にパチンコ店があるわけでございますけれども、治療を受けた方というのは、例えばまた再発をしたりですとか、そういったものを見たときにどういった心理状況になるのか、またそのコントロールができるのかどうか、その辺りをお聞かせいただければと思います。
#32
○参考人(樋口進君) その辺りについては、個々の方々によって大分違います。
 外来にお見えで、まあパチンコの方が非常に多いわけですけれど、パチンコ、パチスロの方が多いわけですけれども、ある方はそういうふうなパーラーを避けて通っていくと。依存の場合には、キューと申しまして、きっかけを見ると頭の中に非常に我々と違って興奮が出てきまして、それで、それがやりたいという気持ちにつながっていくというようなことなんですね。ですから、そういうふうな、そういういわゆるキュー、これ英語でCUEと書きますけれども、それを避けるという方もいらっしゃる。だけれども、正々堂々とその前を通って、やっぱり自分で立ち直っていくときに、一歩一歩前へ進むときにそれを確認しながらやっていくような方もいらっしゃって、様々だと思いますけど。
#33
○和田政宗君 依存のことについて樋口参考人にお聞きしたいんですが、いただいた資料の一の方に、賭博場の知覚操作、光、音響効果などの影響、これがその危険因子としてあるということでございますけれども、これは、もう少し詳しく教えていただけたらというふうに思います。
#34
○参考人(樋口進君) 二〇一三年と二〇一四年にギャンブルの依存性に関するワークショップのようなものが、国際的に非常に著名な学者が集まってやったんですけれども、そのときに、どのようなギャンブルが一番依存性が高いかという議論があったんですね。そのときに、一番高いとそのときに言われたのが電子ゲーム機器と言われているものです。
 電子ゲーム機器の場合には画像を使ったり音響を使ったりということなんですけれども、こういうふうな場合は、必ずしも当てはまるかどうか分かりませんけれども、ギャンブルをやっている中に、もうちょっとしたら勝てるという、そういう場面がかなり出てくると。そういうふうなものというのは、頭の中の反応は勝ったみたいな気になってしまって、それで、それがまたやりたいという気持ちを助長するというふうなことも言われています。
 それから、あと、画像とか音響で何か周りがいろいろとありますと、負けていてもやっぱりそれが勝ったみたいな間違った認識をしてしまうことがあって、それが電子ゲーム機器がギャンブルの依存の、何というか、大きな要因になっているというふうなことがその会議では報告されていました。
#35
○和田政宗君 それでは、これが最後の質問でございますけれども、ゲームに対する依存ですね、これは、携帯などのゲーム、スマホなどのゲームのガチャ、コンプリートガチャ、コンプガチャとも言いますけれども、これに対する依存というものが、センターを訪問させていただいたときに、こういったような傾向も最近の事例として出てきているというようなことでありますけれども、いわゆる、どういうことが原因で、どういった危険があるのかということをお聞かせいただければというふうに思います。
#36
○参考人(樋口進君) これは、ギャンブルではなくゲームですね。
 普通は、ゲームをしているときに、オフラインのゲームとオンラインのゲームというのがございまして、オフラインというのは一人でやるゲーム、オンラインというのは仲間と一緒にやるゲームですけれども、インターネットを介してですね。このときに、ゲームの中で自分が強くなって更にランクを上げていきたいというときにいわゆるアイテムというのを購入するんですけれども、このアイテムが、購入するときに、そのアイテムそのものが出てくるのではなくて、このガチャが出てきて、それを回して運良ければ自分が欲しいものが出てくるという、そういうふうなことになっています。
 このガチャに多額のお金を使う方がいらっしゃるということなんですが、これは欧米でもルートボックスという名前で同じようなシステムがございます。このルートボックスあるいはガチャがギャンブルと同じものなのかどうかということについてはまだ議論のあるところでございまして、必ずしも結論が出ていないことと、それから、ギャンブルというのは大体お金を、何というか、得ようとしてやるゲームですけれども、これゲームの場合にはお金が余り絡まないで、自分の中の、何かそのゲームの中の位置とか、それから自分が周りから評価されるとかそういうふうなことが報酬としてあるので、ギャンブルとは少し違う部分があるのではないかというふうなことも言われています。
#37
○和田政宗君 お三方、ありがとうございました。
 以上で終わります。
#38
○熊野正士君 今日は、三人の参考人の方々、本当にありがとうございました。
 まず、私の方から西村参考人の方にお伺いしたいと思います。
 お話の中で、いわゆる問題ギャンブリングとそれから病的ギャンブリングというのを分けるべきというふうなお話だったかなというふうに思いました。衆議院の方でも、お話の中で、疾病モデルというのとそれから障害モデルというふうに、障害モデルと疾病モデルというふうに、また、本日も、医学モデルであるとか、公衆衛生、医学的モデルというふうなことがございました。
 この問題ギャンブリングとそれから病的ギャンブリングということについて、もう少しお話をお聞かせ願えたらなと思います。
#39
○参考人(西村直之君) 先ほど、診断基準の変更で、実は病的ギャンブリングという用語もなくなっている、なくなるという方向にありますので、本来、ギャンブリング障害というのに今一本化していっています、医学的な診断基準では。
 ただし、世界では問題ギャンブリングという言葉はかなり幅広く使われておりまして、つまり、これはその原因かどうかは別だということですね。もうとにかくギャンブリングに関わる習慣で問題が起きている人たちを全て対象にしていこうという考え方なので、これは医学的な診断基準を満たすか満たさないかということに関しては余り重要視しない。つまり、その地域にどのぐらいギャンブリングに関係して問題を持った人たちがいるかという視点になります。ただし、その中でもう明らかにギャンブリングとの問題が非常に濃厚に、それをとにかくコントロールしない限りは生活の再建とか難しいという状態になっている人の場合、やはりこれは病的なギャンブリングというふうな位置付けになっていくと思います。
 ここで、やはりコントロールができるかできないかというところが一つの大きな差になってくると思います。ある程度コントロールが、時々逸脱しながらも何とかコントロールしていた人たちはやはり問題ギャンブラーというふうな言い方でいいかと思いますが、完全にコントロールができなくなって、先ほど他の参考人の方がおっしゃっていた、やはりもう重篤に生活全てが破綻していても止まらないという状態は、これはやはり明らかに逸脱、通常の健康の状態ではない病的な状態というふうに、ただ、この境目が非常に不安定に動いていて、海外の研究でも明確に分けることができないんだというふうに言われております。
#40
○熊野正士君 ありがとうございます。
 なかなか問題ギャンブルとそれから病的ギャンブル分けにくいということでしたけれども、今回、ちょっと樋口先生にお伺いしたいんですけれども、AMEDの研究調査で七十万人の方がいわゆる直近一年間で依存症だというふうな形です。
 この七十万人という数字がちょっと独り歩きしているようなところもあるのかなと思っておりますけれども、今、西村参考人の方からございましたけれども、なかなか問題ギャンブルとそれから病的ギャンブルというのは分けられないということでございましたけれども、先ほど西村参考人の方からは、この七十万人のうち、いわゆる病的ギャンブルというのはかなりもうちょっと狭まっているんじゃないかというふうな意見がございましたけれども、実際にこの調査に携わられた樋口参考人の方から、その辺の、この七十万人がその問題ギャンブルなのか病的ギャンブルなのかということの観点から少しお話しいただいたらと思います。
#41
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 先ほどもお話し申し上げましたけれども、この調査の中で使った、何というか、評価尺度みたいなものが、これがSOGSというものでして、これはもういわゆるスクリーニングテストですから、そのギャンブル障害あるいはギャンブル依存症の方そのものを拾い上げるよりももっと広く拾い上げるというふうなことです。ですから、我々も、ギャンブル依存症あるいはギャンブル等依存症の推計数ではなくて、ギャンブル等依存症の疑われる方々の推計数というふうに申し上げています。
 それで、この中で本当にその診断ガイドラインとか診断基準を満たす人がどのぐらいいるのかというふうなことについて非常に興味あるところなんですけれども、その辺りについてはまだ実は解析してございません。ですから、今のところだとそのデータをお示しすることはできない状況です。
#42
○熊野正士君 ということは、これから、この間、二十九年、昨年やられた調査を基に更に分析をして、いわゆる病的ギャンブリングというか、そういったものが実数としてどれぐらいあるかというのは分かるということで理解してよろしいでしょうか。
 そういったことを踏まえて、いわゆる、西村参考人の方からは、どちらかといえば病的ギャンブル、いわゆる本当に医学的に治療が必要な方も当然治療をしないといけないけれども、その前に至る、前段階と申しますか、その問題ギャンブルというふうに言われる方々のところにしっかりと対策を講じるべきだというふうなお話がございましたけれども、問題は、この問題ギャンブルの人をどう見付けていくかというか、どう発見していくかということだというふうに思います。
 この、どう早く発見していくかということについて、西村参考人と樋口参考人のお二人に御意見を伺いたいと思います。
#43
○参考人(西村直之君) 早期発見については、今現在行われている精神保健センター等のいわゆる公的な窓口での発見、それから消費問題とか日常生活、いろんなところに関わってきますので、その中でやはりキャッチしていく、いろんな面でキャッチしていく。それは子供の問題からでもあるでしょうし、貧困の問題からでもあって、ここは必ずしも精神保健の領域よりも、それ以外のところでこの問題に対しての認知を広げていくという必要があります。
 それと、もう一方は、私たちが行っているように、やはり自覚を促していくことで、現在遊んでいる状態の中で気付いていってもらう、またそういうことを事業者が一体になって取り組んでいると、こういう地域全体に関わっているいろんなその窓口がこの問題にしっかりとコミットしていくというのが重要だというふうに思っています。
#44
○参考人(樋口進君) 先ほども申し上げましたけれども、国民にギャンブル依存症あるいはギャンブル等依存症の正しい知識を普及させることによって、あっ、うちのあの人はひょっとしたらギャンブルの問題があるのではないかとか、そういうふうなことが気付きが早く得られるというふうに思うんです。ですから、そういうふうなその啓発活動というのは非常に大事だと思うんですね。
 それとともに、そういうふうにはたと思った方々が、じゃ、どこに相談したらいいんだというときに、なかなか相談するところを見付けるのが実は難しい状況がございまして、それがすぐに相談できる場所が気軽に、しかも見えるという、そういうふうな、何というか、制度というか、システムも是非必要だというふうに思います。
 それからもう一つは、先ほど私もちょっと申し上げたんですが、簡易介入といって簡単なカウンセリングのようなことで治療するようなプログラムというのがぽちぽちと出てきています。そういうふうなものの中に、例えばオンラインでその簡易カウンセリングできるとすると、オンラインだと顔も見えませんし、本人たちもかなり気楽に、しかも家にいた状況でそういうふうなことができるということもあるし、それから西村参考人のような電話の相談もあるでしょうし、そういうふうないろいろな本人からのアクセスの仕方を向上させるのと同時に、国民のその意識の向上というふうなことが大事だというふうに思われます。
#45
○熊野正士君 ありがとうございます。
 樋口参考人の方から、先ほどの、実際にこの診療に当たられたお話をしていただきまして、ちょっと数字は忘れましたけれども、百十数名のいわゆるギャンブル依存症の方を診察、治療に当たられたということでした。そういう意味でいいますと、先ほど簡易介入といいますか、いわゆる治療、例えば認知行動療法のようなそういった治療をしなくても改善していくような方々もいらっしゃったんだろうと思いますけれども、この先ほどお話しいただいた百十数名という方というのは、これは、ちょっとさっきの話に戻りますけれども、いわゆる病的ギャンブリングといいますか依存症と、医学的な依存症という範疇になるのか、もうちょっと広い意味での百十数名ということになるんでしょうか。
#46
○参考人(樋口進君) お答えします。
 百十三名は全てDSM―5、先ほど申し上げましたDSM―5でギャンブル障害、まあギャンブル依存症でもいいんですけれども、診断された方々です。ですから、今申し上げた簡易介入の方はもう少し軽い方々を対象にしたものですね。今それの有効性に関する研究も進んでいますので、今年度末ぐらいにはその結果がある程度出てくるのではないかというふうに考えています。
#47
○熊野正士君 ありがとうございます。
 ということは、百十三名の方々はいわゆるDSM―5で言うところのギャンブル障害、ちょっと言葉の定義があれですけれども、いわゆる我々が思っているギャンブル依存症ということでいいのかなと思います。そういう意味でいうと、その外側にいらっしゃる方々について、先ほど西村参考人がおっしゃるような問題ギャンブラーと言われるような人たちに対しては、医療ではなくてもいわゆるもうちょっと簡易なカウンセリング等でできるということがずっと今研究されつつあるという理解でよろしいでしょうか、ありがとうございます。
 先ほど樋口参考人の方から、その百十三名の方々でやっぱり多重債務の問題が非常に大きいというお話がございました。平均の借金の額が六百万円というふうなお話もございました。
 そこで、ちょっと山口参考人にお伺いしたいと思いますけど、こういった多重債務の方々、実際ギャンブル依存症で借金を抱えて御苦労なさっている方々を支援していらっしゃったと思いますけれども、そういった観点から、多重債務の方々、ギャンブル依存症で多重債務抱えていらっしゃる方、どういった支援が一番必要なのかということについてお教え願えればと思います。
#48
○参考人(山口美和子君) 今御質問のありました多重債務の方のうち三割以上が今のパチンコでのギャンブル依存を確認しております。これにつきましては伴走型の、もう本当にパチンコに行かさないという支援しかあり得ないんですね。あとは、包括支援センターであるだとかお医者様である、あとヘルパーさんが入っておられるところはそこも全て活用して、活用できる財源は全て活用しても、どうしても穴が空くんです。そこについて、今私たちも入れる者が入ったりもしているんですけど、なかなか人手が足らない状況が続いていまして、なかなかこれにつきましてはこの支援と、一つに絞ることはなかなかできないです。
#49
○熊野正士君 ありがとうございました。
 私も実は、今日、樋口参考人が来られるということで、是非これ聞こうと思って、先ほど和田委員の方からも質問が出たゲーム依存のことでございます。新聞、マスコミでも大きく取り上げられまして、ICD11でいわゆる疾患として捉えられるということで注目度も集まっていて、実際周りでゲーム依存、インターネット依存で非常に困っているというふうなお声も聞いております。
 実際に樋口参考人の方でこのネット依存、ゲーム依存の方、先ほども具体的に診療の内容をお話しいただいたと思いますけれども、この深刻さと申しますか、その辺のところをもう少しお話ししていただいてよろしいでしょうか。
#50
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 ゲーム障害ですけど、正確に言うとゲーム障害はICDの11の草案に入ったということでして、まだ決定ではないんですけれども。
 まず、一番他の依存症と違うのは、子供たちということなんです。我々のところにお見えになっている方々の平均年齢十九歳で、七〇%ぐらいが未成年者です。今から我が国を背負ってくれるような若者たちが、ゲームをして、それでそのゲームの時間が長くなって、それで夜昼逆転、学校に行けなくなって、そのうち学校から出されてしまうようなこと。それから、ちょっと御両親が注意するとそれに対して暴言、暴力があって、御両親はどうしていいか分からないという、そういうふうな状況で大体外来にお見えになるということです。
 ですから、御本人たちの症状もかなり重症なんですね。そうすると、例えば健康問題では、睡眠障害だけではなくて体の不活発による、例えば骨密度が下がるとか心肺の機能が落ちるとか、あるいは場合によってはエコノミークラス症候群のようなものも起きてくるとか、それから我々のやった研究では脳の神経細胞が障害を与えるようなこともありますので、ですから、見た目だけではなくて本当にやっぱり健康問題もしっかり起きているということです。
 ですから、まずは未成年者であること、将来を背負う方々が自分の投資をしなければいけない部分、時間に問題が起きてしまうこと、それから、健康だけではなくて家族、社会的な問題も起きていること、そういうふうなことだと思います。
#51
○熊野正士君 ありがとうございました。
 これで質問を終わります。
#52
○矢田わか子君 今日は、参考人の皆さん、お忙しいところ本当にありがとうございます。
 まず、西村参考人からお伺いをしていきたいと思うんですが、西村さんのお話の中で、特にギャンブル障害、今後の対策の根幹を医療モデルよりは公衆衛生モデルを主軸に置いて、より早くに介入をし、より広範囲にわたった対策が必要なんだというふうなお話があったと思います。西村参考人御自身も、リカバリーサポート・ネットワークですか、電話相談やチャット相談を受け付けていて功を奏しているということなんですが、そんな中において、その法的な整備、今まさにこの論議、ギャンブル依存にかかっていらっしゃる方の法的な整備を討議をしていく場面なんですが、一番根幹となるその対策で必要なこと、法に整備しておくべきことだということがあれば教えていただけますか。
#53
○参考人(西村直之君) これは、ギャンブルのこの依存症対策の法案の場で、私は元々アルコール、薬物のケアを民間ベースでずっと支援してきた中でいえば、実を言うとこの問題は、ギャンブルだけに特化して公衆衛生ベースでいくと、そもそもこの問題だけを切り取る意味というのは余りないわけですね。そうするとこの問題だけが突出してしまって、地域の中ですごく目立ってしまうことというのは、本来余り良くない、望ましくないと思います。
 この問題というのは、地域の中にある依存問題というのは、やはり弱者、社会的弱者とか、またつながりの弱い人たちの中に出てきます。そして、次世代の問題としては、子供たち、それから最近は高齢者の問題として出てくるので、つまり、病気という枠組みの中だけで取るのではなくて、本来はこれは依存問題の総合対策法の中のギャンブルの問題、それからアルコールの問題、薬物の問題として、そこの理念が本来は公衆衛生のモデルで一致されるべきだというふうに思います。
 ただし、それはそれぞれの歴史がありますのでなかなか難しい。そういう意味では、従来の枠組みをなかなか変えるのが難しい中で、このギャンブルの法案は、まずそれを公衆衛生モデルに近い形で展開してもらい、その中でアルコール、薬物の問題も是非統合的に対策してもらいたいというふうに思っております。
#54
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、今回はギャンブルというところに焦点を絞って今論議をしているわけなんですが、その根幹のところでいえば、やはりアルコールやそれから薬物等の依存との、兼存というんですかね、一緒にその症状を持っていらっしゃる方も多い中にあって、第一歩としての足掛かりということで私たちも捉えているということでもあります。
 そこで、いちょうの会の山口参考人、御自身の経験も含めて、本当におつらい経験、ありがとうございます。実は、私の父もギャンブル依存症でございました。私も同じ経験をしてきております。だからこそ、何らかの形で対策が必要だというふうに思っておりまして、今あったとおり、何かのきっかけでそういったところにのめり込むということだというふうに思いますので、山口さんの場合はお仕事のつまずきではないかということなんですが、そういった過度にのめり込む背景にある、遊びを超えた人たちの中にある根本的な要因解決をしていかなければ、この問題、どうしてもイタチごっこになるというふうに思うんです。
 それに当たっては、今回法的な整備を私たち進めているわけですけれども、山口さんが、御経験から通じて最も政府に対して、法の整備もそうですし支援の面でも、今御自身がそういう方々の支援をしているというお立場からも求めることがあれば、お聞かせいただければと思います。
#55
○参考人(山口美和子君) やはりもう多岐にわたって、いろんな、私最初に話をさせてもらったように、ギャンブル依存のみならず重複していろんな問題を抱えていますので、私たち、医師、看護師、弁護士、司法書士、包括支援センター、介護のヘルパーさん等も、全く畑違いのところで一つの案件で六人がケース会議を開くということも珍しくなく、逆に私たちは今それを積極的にあえてケース会議を開いていっております。
 できれば、包括支援センター等も、公的機関を使わせてもらったり保健センターとも協働しますけれども、やはり全体的に地域によってばらつきがございます。そのばらつきを一番なくしていただきたい。本来の機能として、実施要綱等もきっちりと存在しているので、私たちは行政機関にもお願いをしに行くんですけれども、どうしてもそこで断られるということもございますので、きっちりと本来の役割を果たすように、もう一度、各機関の連携を図るように周知していただければ大変助かります。
   〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕
#56
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 日々そういう依存症の方々に触れられていく中で、多くの悩みに寄り添っていらっしゃるということを思います。特に、御本人もそうですけれども、御家族の相談を受けられるときに、いろいろとお困りになっていることとかもあると思うんですね。体制の脆弱さだとかいうことも先ほど挙げられていたと思いますけれども、そういったグループ活動、これは西村参考人もその有用性については先ほども説かれているところですが、こうしたNPOなりグループでの活動を地域に根付かせていくためにどのようなことが更に必要だというふうに思われますか。
#57
○参考人(山口美和子君) やはり地域で支えるというのが一番早いのかなと私たちも実感しております。
 どうしてもギャンブル依存というのは本当に怖い疾病でございますので、それを見守る人が一人でも多く存在するということ、また、地域の見守り活動の中に入れていってもいいんじゃないかというぐらい今すごく隣近所の方が疎遠になったりしていますので、そこの部分をきっちりと、うちも自助活動という、もう自助グループをあえてつくったんです。個別に行くよりも、同じ悩みを抱えた者同士が一緒に話をし、そこで何かつかんで帰る。その家族の会もございます。そこについても、やはり自分たちでは気付かなかったこと、ほかのケースを見て、あっ、私たちもこうしたらどうだろうというのが生まれてくるのを肌で実感していますので、できればそういう交流の場といいますか、自助グループがもっと地域に根付いて発展していくことを望んでおります。
#58
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 一方で、今度、次は医学的な見地から樋口参考人にお伺いしていきたいんですが、昨年もお世話になり、ありがとうございました。
 その際にも少しお話があったかと思いますが、このギャンブル依存症ですね、活動されて何年か経過する上で、治療法についても、だんだんとブラッシュアップされているというか、より効果的な治療が出てきているのではないかというふうにお見受けいたしております。
 特に、脳科学の発展によって、脳を対象とした磁気共鳴機能画像法ですか、というようなものがあるということや、遺伝子の分析などによる症状把握が進展し、認知行動療法などが旧来の精神科での治療に加えても行われているというふうにお聞きをしております。
 今後、そうした治療法を進展していくために必要な施策であるとか、若しくは、サラリーマンとか学生が、入院をしてしまえればいいんですけど、そうはいかずに、通学や通勤をしながら、いわゆる日常生活を営みながらも治療を継続させていくために必要なこと、どのような方法が考えられるのかについてお伺いしたいと思います。
#59
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 非常に難しい御質問でございますが、治療に関しては、様々な研究が行われていますけれども、やはりエビデンス、つまり有効であるということが科学的にしっかり実証されているものを普及させていくということがとても大事だということだと思います。
 そういうふうな意味では、私が知る限りだと、一番やっぱり研究が行われているのが認知行動療法をベースにした心理行動療法のようなものでございます。それに関しては諸外国でもう十何本論文が出ていまして、メタ解析といって、要するに全部を統合したものであっても有効性を示しているということですね。
 ただ、我が国ではそれのまだ有効性の検証がなされていなくて、先ほど私が申し上げましたとおり、今、研究班の一つとして新しい治療プログラムを作ってその有効性を検証しているということなので、それがもし有効であるということが明確であれば、そうしたらそれをいろんなところで使っていただくように広めていくというようなことが大事だというふう考えています。
 それからもう一つ、済みません、薬物の話ですけれども、薬物に関しても研究ベースでは世界で何本も論文が出ていますが、大体有効であったり有効でなかったりということで、一貫性を持って有効性を示しているものというのは、ある特定のものだと思うんですね。それに関しては、今後、やっぱりもし可能であれば、これを我が国でも有効性を検証して、それを臨床的に使えるようになっていくというふうなことは非常に大事だというふうに考えます。
#60
○矢田わか子君 樋口参考人、通学や通勤をしている方々が治療と併存させていくための、そういう方法についてはいかがですか。
#61
○参考人(樋口進君) 先ほど申し上げました認知行動療法は、実は外来がメーンなので、例えば土曜日とか日曜日にそれができれば、そうすれば普通に仕事していてももちろんやっていただけますし、それから、先ほどちょっとお話し申し上げました簡易介入というものに関しては、これは電話でも恐らくオンラインでもできるのではないかということで、そういうふうなことが普及すると、そうすると仕事に支障を起こさないでやっていけるのではないかということなんですが、これも、あくまでも有効性をきちっと確認した上で普及していかないといけないということだと思います。
#62
○矢田わか子君 ありがとうございます。
   〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕
 なかなか日本においては、これからIR法についても論議をしていくわけなんですが、カジノの解禁をするかしないかはちょっと別としても、パチンコやいろいろな公共ギャンブルというものがある中で、西村参考人に特にお伺いしていきたいんですが、こういうことに対する対策が、やはり遊びの範囲を超えていくというところに対してどう超えさせないのか、いや、そういった方が行くことをどう制限していくのかというのが一つのポイントになっていくのではないかなというふうに私も思っておりまして、なかなかそういう対策が日本は今打てていないですが、こうしたことに対する何か御見解があればお伺いしたいと思います。
#63
○参考人(西村直之君) なかなかこれも難しい問題なんですが、やはりばらばらにやっていては駄目だろうと。
 その予防と治療というのは、別々のものではなくて、やっぱり一体化していくプログラムにならなければいけなくて、その中で、先ほど言った遊びを超えていく要因というのは何かというのが、実は分かっているようで分かっていない。それから、遊びを一時的に超えてもまた戻っている人たちは何が役に立ったのか、どういう防御をしたかということで戻ったのか、また、どういうことがされなくて進行したのかというのが、単に病気という言い方をしてしまうと分からなくなってしまうので、その部分をむしろ今から、現在問題を起こっていない人、それからある程度安全に遊べているプレーヤーも含めて、長期的に前向きにやはり調査していくという必要があるんだろうと。
 リスクをちゃんと評価していくということがされないまま対策だけが感覚で進んでいくということには、やはりちょっと違和感を持っております。そこの部分が重要じゃないかというふうに思います。
#64
○矢田わか子君 今、次なるIR法のカジノに関して、実施法案や予定されている政省令においては入場制限システムが導入するということで、高額の入場料を取ったり回数制限、それがその依存症対策ということで今御準備いただいているようなんですが、そういったことが本当に有効になるのかどうかということについても、もし御意見があればお聞かせいただければと思います。
#65
○参考人(西村直之君) 有効を何をもって有効とするかという、その依存症というもの、そのものを抑える問題なのか、それとも全体の参加者数を抑えるということで減らすのかということによって、やはりいろいろその予防という意味合いも変わってくると思うんですが、ただ、やはりその入場制限とか回数とか入場料金についても、むしろこれが効果が余りないという文献もあれば、かえってマイナスだという評価もあるわけですね。
 そういう中で、どのような意図でこれをどういう目的でやるかというのを、単にやはり依存症対策というざっくりとした目標であればやはり少なくとも余り科学的なエビデンスとは言い難いので、そこの部分はもう少しやっぱりしっかり詰めていく必要があるし、一度決めてしまうともう後に戻れないではなくて、今後、それが本当に効果があるのかないのかを検証して、やはりそこはちゃんと修正すべきものは修正していく、追加するものは追加していくというスタンスは非常に重要だと思います。
#66
○矢田わか子君 最後に、テレビコマーシャル等についてお伺いしたいんですが、競馬なんかは日本ダービーとか有馬記念、結構派手めのテレビのコマーシャルとか大々的にされたり、そういうCMについても余り自由にやっていらっしゃるような感が見受けられるんですが、こうしたテレビコマーシャルとかあるいは新聞の折り込み等について、依存症対策としてはどうなのかということについて、簡潔にもし御意見があればお答えください。
#67
○参考人(西村直之君) 広告については、やはり広告をどのようにするかという、やっぱり全体的なガイドラインは必要だと思います。
 それぞれ、これは良くて、これは駄目でというのがばらばらではなくて、やはり今回の法案が射幸性をという言葉の中でそのリスクを対策するのであれば、やはり広告全体をどういう形でやるか、また広告の中にどのような啓発を組み込むかという、その二つをしっかりとやはり統一したラインをつくるべきだというふうに思っております。
#68
○矢田わか子君 ありがとうございました。
 質問を終わります。
#69
○相原久美子君 立憲民主党・民友会の相原久美子でございます。
 今日、三人の参考人の皆様、ありがとうございます。特に、樋口先生のところには先日お邪魔をさせていただきまして、施設も拝見させていただきました。本当にありがとうございます。
 それで、まずは西村参考人に、多分ほかの委員の方たちも指摘されておりました、いわゆる医学的な問題の部分と、それから公衆衛生的な部分ということでお伺いしたいと思うのですが。
 最初に、参考の資料としていただきましたところに、この問題ギャンブラーというのは本人から援助を求める行動がかなり期待できるというように書いていらっしゃるのですが、実際にそうなのか。それと、もし御自身がちょっとこれは危ないなということで援助を求めようというときに、対象とするところというのが明確でなければなかなかそれに手を差し伸べることができないだろうと思うのですが、そういう観点から、どういう方向性がいいのか、お教えいただければと思います。
#70
○参考人(西村直之君) 先ほど私も言いましたが、やはり軽症の人ほど、本人、問題に気付きやすいということもあります。これは、私が薬物、アルコールの問題を関わり出した二十五年ぐらい前は、依存問題は否認の問題で、本人は相談をしないということが定説となっていたんですが、私が地域の動いている中で、薬物の方たちが匿名であれば結構病院に相談をしてくるということを気付きました。
 そういうこともあって、このギャンブルの問題もそうだろうということで、パチンコのホールと連携して直接相談を受けるようにしました。そうすると、現在、本人が八〇%、家族が二〇%なんですね。その八〇%のうち、男女の比率がほぼパチンコのユーザーと同じ比率なんです。ということは、ほぼ、問題が起きたときに、同じような人たちが、やっぱり今遊んでいる途中であれば、ちょっと心配、今こんなに度を越したけどと、その場なら連絡ができる。だから、パチンコホールから相談してくるということが起こるわけですね。これは戦略の問題だと思います。でも、医療機関になってくるレベルで、借金がたくさんあると隠してしまうとなれば、やはり家族の方の相談が多くなるでしょうし、つながりにくくなって、そのときには重症化している。
 だから、これはやはりその問題ギャンブラーだから相談しやすいとかしにくいではなくて、問題ギャンブラーを相談しやすいようにどういう戦略を取るか、又はなかなか相談をせずに重症化した人たちに対してのメッセージはどう届けるかという、ここは何段階もやはり必要になりますし、そうすると、早い段階で気付いた方たちは、先ほど言った、禁止ではなくて、むしろコントロールしながらどうリスクを減らして遊んでいくかということをまだまだサポートすることも可能になってくるので、そのゴールも多様になってくるんですね。本人が相談してくればゴールも多様になります。ただし、本人が相談しない重症化したケースではゴールも非常に狭くなるのでそれだけ大変になると。
 だから、援助を希求してくる、求めてくる行動というのはやっぱりステージごとに違うんだ、そのステージをどのように設定してどこが関わるかというステップケアというか、そういう段階的な戦略というのがやっぱり非常に必要だというふうに思っています。
#71
○相原久美子君 ありがとうございます。
 私どももそういう意味ではしっかりと考えていかなきゃならないなと思うのですが、山口参考人にお伺いしたいと思います。
 実際に御家族の中に、依存症と言われる病的なところにまでいらしたということなんですが、私、実は先日ちょっと読みました本、星新一さんの本だったと思うんですが、そもそも依存症というのはいろいろなケース、アルコールの依存もあるでしょうし薬物の依存もあると思うんですけど、ギャンブル依存というのは、ぬれ手でアワの一獲千金を夢見ると、そしてなおかつ結局他人の成功のお手伝いをするんだというようなことを書いてあったんです。
 ちょうど今、このIR法案、それから依存症の問題を審議するときだったものですから、私は、ああ、そういうことも、他の依存症とは違った面があるのかなと実は思って、先ほど御質問の中に、実は仕事がうまくいかなくなったときにというようにおっしゃっていただいたのですが、今、多重債務とか何かの御相談を受けていらっしゃるケースとしてはどうでしょう、やっぱりそういうことである種一獲千金的な感じというところ、見受けられるものでしょうか。
#72
○参考人(山口美和子君) 今御質問があったんですけれども、これにつきましては私どもの方でも今データを一生懸命取る努力はしております。
 しかしながら、皆さん、個別ケースが余りにも範囲が広くて、居場所がなくてパチンコ屋さんに行ってそこからはまる人もいらっしゃれば、もう日頃から棚ぼたを期待して、仕事が続かなくて、たまたま行ったパチンコで二十万、三十万出た。この方については、後々医療の方につなぎましてWISCを実施しましたら発達障害ということで、仕事で同じミスをして仲間から省かれていく、仕事が続かない、なぜ続かないんだというところに着眼を当てましてWISCをしましたら大人アスペルガーが出てきました。そういう方も中には、障害という、発達障害の方もおられますし、家に居場所がない、旦那さんが構ってくれないから、パチンコ行ったら誰でも話しかけてくれるし、話をしなくてもずっと時間を潰せるというところからはまった方もおられます。
 なので、もう相談を受けていくうちに、多重債務でギャンブル依存の方というのは本当にいろいろな皆さんばらばらの理由で結構、そこにはまるときはもう二個三個やっぱり心に闇を抱えていたり、疲れていたり、人生の途中のターニングポイントが、たがねが外れた状態というところがかなり多く見られております。
#73
○相原久美子君 ありがとうございます。
 ちょっと樋口参考人にお伺いしたいと思いますけれども、全国の拠点機関の病院として久里浜、存在していらっしゃるということなのですが、まあ日本全国、私、実は北海道の出身なんですが、北海道、地域が広くて、さはさりながら、本当に申し訳ないですがパチンコ屋さんは物すごい数ありますし、コントロールできる間はよいとは思うのですけれども、さはさりながら、人間って弱い部分がありまして、多分どうしても医療機関に結び付かなければならない方たちも出てくるんだろうと思うんですけれども、現在の全国のこの病院等々でこれで足り得るかどうかという点と、それから、専門的な方、医師のところもあるでしょうけど、その前の相談の体制等々について、これから我々はどうしていかなきゃならないのかという点、ございましたらお願いしたいと思います。
#74
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 医療機関の数でございますが、先ほど、我々が平成二十八年度の厚生労働科学研究で行ったとき、百ちょっと、百二だと思いますけれども、それからあと、入院できるところが四十四ということなんですけれども、これが十分かどうかということだと思うんですが、推計数からすると、先ほども、七十万人が全て治療が必要というふうなわけではないですけれども、かなりたくさんの数の方々がいらっしゃるので、百二という数は決して十分ではないというふうにそれは思います。
 それからあと、今のように例えば北海道なんかの場合には、広いですから、できるだけやっぱりアクセスが良いところにちゃんとした医療機関がないと、やっぱり行く気がなくなってしまいますし、ただでさえ本人行きたくないところで、家族が何とか本人を連れていきたいというところだと、やっぱりその辺りの何かアクセスの件もあると思いますし。
 それから、我々自嘲的に申し上げるんですが、やっぱり医療をつかさどっている者の質ですね、どれだけ真摯にやっぱり患者さんたちを診ていくかという、それから、それだけのスキルをどれだけ持っているかという、そういうようなことも必要だと思いますので、やっぱり数もとても大事だと思いますが、数とともに、やっぱり研修をしてマンパワーを育成していくことはとても大事だと思います。そのときに、当然、医者だけではなくて様々な職種がそこに関係しますので、包括的にマンパワーを広げていかないといけないだろうというふうなこと。
 それから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、治療の技法ですね、誰がやっても同じように治療できるんだというようなものがあれば、そうすれば、別に専門医療でなくても、一般の先生方もやってくださるかもしれないので、そういうふうなこともやっぱり今後開発して広げていかないといけないんじゃないかという、そういうように思います。
#75
○相原久美子君 ありがとうございます。
 久里浜にお邪魔をいたしましたときに、相当やはり老朽化してきているなという点や何かを考えますと、我々がこれからしなければならないのは、もちろんそういう重篤な方たちを出さない対策というのが第一だと思うんですけれども、実際にやはり拝見させていただいて、こういうところでと言うと失礼なんですが、やっぱりまだまだ私どももお金を掛けてしっかりと対応していかなきゃならない問題かなというように思って、是非私どももしっかりと応援してまいりたいと思います。
 その上で、ちょっと今の法案の中でですが、これからIRの関連法案の審議が始まるわけですけれども、一週間に三回、月十回というこの制限というのがあるわけですけれども、実は通常の形ですと、皆さん働いていらっしゃる方たちなわけですよね。これ週三回、仕事ほっぽり出してカジノへということになると、これはもうまさに依存になりかねないという道をつくるのではないかという私は危惧を持っているわけですね。
 通常の方ですと、一週間に三回仕事をしないでということにはならないだろうなと思っているのですが、山口参考人、そういう点なんかの感想はいかがでしょう。
#76
○参考人(山口美和子君) 先ほど、いっぱいに賭け金がいきなりばあんと高く棚ぼたで入ってきたというお話があったと思うんですけど、それと全く同じ話でありまして、射幸性がとにかくまだパチンコも高い。そこに来て、もしカジノが来れば、もうとんでもなく、射幸性、もうとんでもないことになってくるんですね、その額自体も。
 そうなったときに、週三回、これはもう本当にやめていただきたい。先ほどお話あったとおり、入場料も六千円、ディズニーランドより安いんですよ。もう六千円だろうが一万だろうが、もう五万だろうと、もう家族から剥奪してでも行くんです。なので、本当に私たちが今一生懸命止めて、行かさないように行かさないようにしているものを、本当に導入するのはやめていただきたい。私たちの活動というのが本当にもう無になります。
 パチンコに行かさないという活動を今していますけれども、本心はもうパチンコをやめていただきたい。射幸性も制限掛けていただいて、とことん厳しく国の方から改善命令を企業側にも出していただきたいというのが本音です。
#77
○相原久美子君 ありがとうございます。
 最後になるかと思います。西村参考人にお伺いしたいと思うのですが、私どもも、できれば疾病となる前のこの対応というのが、いずれの場合もそうだと思うんですね、ギャンブルに対してどう考えるかということを度外視しても、いかに疾病を防ぐかということになろうかと思うんですけれども。これ、例えて言えば、ギャンブルと言われるこの分野に関してで言うと、この疾病に至るまでのそのアプローチ、これに関われる方たちの育成というのは政府としてどう考えていけばいいと、今の状況でいいのか、それともまた別なスタンスで政府としてやらなければならないことがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#78
○参考人(西村直之君) やはり対策の一本化だと思います。縦割りの行政ではなくて、やはり横に串刺ししていって、問題を持った人はどこからでも拾い上げられるのと対策が一本化できることというのが大事だと思います。これについては、カジノであろうが宝くじであろうが、実は地域にあるギャンブリングというのは同じスタンスでやるべきだと思いますし、同じフレームワークで本来対策がなされるべきだと思います。
 そういう意味で、人材の育成も、今治療法の話の人材育成になっていますけど、私が一番やはりこういう問題を早期にキャッチできるのは保健師さんだと思っています。
 私たちは保健師さんを交えた形でもう六年ぐらい前から勉強会をずっと開催していまして、やはりそこの辺りの現場の意見がなかなか政策の中にも入っていっていない。これはアルコール対策にしてもそうなので、やはり専門家という特定のものではなくて、既に地域に密着した方たちといかに専門家が予防、対策も含めて横串を通せるかという、そういう形のイメージが私が言っている公衆衛生の話なので、是非そういう形での法案の立体化をしていただければ有り難いかなというふうに思います。
#79
○相原久美子君 ありがとうございます。
 終わります。
    ─────────────
#80
○委員長(柘植芳文君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、野上浩太郎君が委員を辞任され、その補欠として朝日健太郎君が選任されました。
    ─────────────
#81
○田村智子君 参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。
 まず、山口参考人にお聞きいたします。
 意見陳述をお聞きしまして、本当に、ギャンブル依存症は発生する方が数%程度だから大したことないとか、そこに対策を取ればいいとか、こんなことは絶対に言えないなと。やっぱり、新たに生まないというその点をもっともっと私たちも議論をしなければならないなということを改めて胸に刻んだところなんですけれども。
 意見陳述に時間の制限もありましたので、やっぱり子供の立場や視点から見たときにギャンブル依存症って何なのか。ここは、やっぱりそういう話を聞く機会がなかったです、率直に言えば。話し足りないところがありましたら、もう少しお聞かせください。
#82
○参考人(山口美和子君) 私が一番、いろんな、物がないとか父親が情けないとか、そういう感情的な部分がとても破壊されました。やはり一番、自分に自問自答したときに何が一番悔しかったかというと、本当に自分の父親を尊敬することができない、ここの一点であるのかなと。そこは、私でも、今まで恨みの感情とか、しかしながら親である、どうしても切っても切れない、そういう同情的な部分であったりとか、そこでかなり振り回されました。しかしながら、一言で表現すると、いろんな方が来て、いろんな妨害を加えたり、命の危機がありましたけれども、一番情けなかったことは自分の父親を尊敬できない自分がいる、そこは本当にさもしい思いをいたしました。
 ですから、やはり、みんな幸せになろうと思って結婚をするんですよ。幸せになろうと思って家を買って子供を産む。ちょっとしたことのたがね、ちょっと外れただけであそこまでなると、経験した者しか分からないと思います。ですから、やはり少数派かも分からないです。そういう強烈な幼少時代を送ったり、多感な時期を過ごしてきたり、お金にもう小さいときから困るような経験をした人ではなかなか、ごく少数派に数えられるんですよね。そこの部分はきっちりと酌み取っていただいて、無差別平等であるべきだと私は思います。
 やはり服も何も、服とかもお金がなかったもので、子供ながらに二日に一遍とか三日に一遍しか学校に行かなかった記憶もございます。やはり同じ服を着ていくということが、誰に言われたわけでもなく、自分の中に恥ずかしいという思いがありまして、やはり二日、三日休んでからその服をまた、同じ服しか持っていないので、そういう小学校の教育にも影響したことを今でもとても後悔しております。
#83
○田村智子君 つらい経験を本当にありがとうございました。
 いちょうの会の活動についてもお聞きしたいんですけれども、多重債務だけであるならば、恐らく弁護士さんがいろんな御相談に乗って、過払いの問題なんかも解決して、そこで解決ねと、これから頑張ろうね、再起していこうねということになると思うんですけれども、先ほど一人の方についてもう六人がというお話もありました。私たちいろんな詳しい状況が分からないので、ヘルパーさんが必要になるとか、それから意見陳述の中で見張らなければならないというお話があったんですけれども、こういう状況がどういうことなのか、恐らく債務の問題を解決しても長期にわたっての支援が必要だということのお話だと思うんですけれども、その点について御説明いただけますか。
#84
○参考人(山口美和子君) お答えいたします。
 先ほど田村先生のおっしゃられたとおり、多重債務だけであれば弁護士の先生や司法書士の先生にお願いしますと、あとは淡々と事務的にとんとんとやって、それはもう大変な事務手続もいっぱいあると思うんですけれども、そこで解決する話です。
 しかしながら、破産手続中に更なる借入をした場合、免責も下りなければ、それまでやってきた先生たちの事務も止まります。辞任しなければならないところまで行ってしまいます。そうしたら破産すらもできなくなるんです。なので、ギャンブル依存の方については、たとえ友達であろうと、また闇金であるだとか消費者金融に平気で借りに行くんですね。手続、今受任したところで、これから手続するというときに借りた方もいらっしゃいましたし、三百万お金を持っていて、それで破産をしましょうと言っている最中にその三百万も全部使い込んだ、一瞬で使い込んだ方もいらっしゃいました。ですので、やはりいろんな手続をするに当たっても、そういうギャンブル依存の重症化した方、この方については本当に油断ができなくて、本人もその場では理解をしてくれます、もう行かない、分かった、じゃこうしよう、じゃ二か月はもう絶対行かないとおっしゃるんですけれども、やはりちょっと人の目が外れたらもうパチンコに行っている。そういう状況がその人、その人とかという表現ではないんです、何例かございます。私たちも経験則で油断ができないという、見張らなければならない、残念ながら見張らなければならないという表現を使わせていただくことになる、そこまで達しています。
 本来は使いたくないです、見張らなきゃならないなんて、支援者側がね。しかしながら、そういう経験則から、もう何例もあるのであえてそういう表現をさせていただいております。
#85
○田村智子君 ありがとうございます。
 そこで、樋口参考人にお聞きします。これは視察の折にも何度もお聞きしたので繰り返しの質問になってしまうんですけれども、このギャンブル依存症の治療のゴールは何なのかということは、やっぱりちゃんと委員会の中でも御説明いただけたらなと思っているんです。
 適度にギャンブルができるようになることなのかどうか、その治療のゴールで久里浜の皆さんが目指しておられることは何なのか、お願いいたします。
#86
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 この治療ゴールについては様々な議論がございます。海外の論文を見ますと、ギャンブルをやめなくていい、減ギャンブルですね、減らすというギャンブル、そういうふうなものも治療として十分成り立つというようなことを示すものもあります。しかし、完全にやめなければいけないということをサポートするもちろん論文もあります。
 我が国の状況を見てみますと、我が国、先ほど、ある一定の数の治療施設がありますけど、その中で特にきちっとした治療プログラムを持ってやっているところについてお聞きすると、ほぼ全てやっぱりやめるということを治療目標にやっているというようなことです。
 依存症は、これはアルコールにしても薬物にしても、昨今ハームリダクションといって、減らすという選択肢の議論もあるんですけれども、やっぱり一番安定的でかつ安全で、しかも家族もそれを良いとするのはやっぱりやめるというふうなことだと思います。
#87
○田村智子君 もう一点、樋口参考人にお聞きしたいのは、意見陳述の中でも、ギャンブルについての正しい知識と、西村参考人でしたっけ、予防策としての正しい知識の普及ということはお話しいただいたかなというふうに思うんですけれども、この正しい知識というのが何なんだろうかと。
 ギャンブルというのは賭博ですから法律で禁じられていると。ただ、一部、競馬、競艇などは別個の法律でやってもいいよということになっているという状態ですよね。パチンコというのは私はもうギャンブルだと思いますけれども、なぜか法律上はギャンブルではないという扱いにもなっていると。
 それでは、正しい知識を予防策として子供たちにも教育していくというのは一体何を教えていったらいいのか、樋口参考人にまずお聞きしたいと思います。
#88
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 それはもちろん、ギャンブル等依存症のその病気の状況とか、先ほどから山口参考人がお話しになっている非常に大きな問題になることとか、そういうような話は当然そうなんですけれども、学校で子供たちに教育していた内容を、海外の様子を見ていますと、結構ビデオを使ったり、それからあと動画を使ったりと、結局ギャンブルというのは、要するに、言ってみれば、何ですか、確率の話なので、その確率の話をそうではないと、私の場合には勝てるんだとか、これ間違った考えなんですけれども、それから、例えば何十回もやってきていれば、今度、次は当たるはずだとか、そういうふうなことが頭の中にあって、それがギャンブルを助長しているというふうなことがあるということなんです。
 ですから、例えば子供たちの場合には、この確率だったら、十個のうち例えば四当たって六駄目だったら、そうしたらこういう確率だよねというふうなことをちゃんと子供たちに教えていくと。ギャンブルというのは、そうではないようなことを考えてギャンブルやるんだけど、実は結果的には最後はやっぱり四と六になっちゃうんだねとかって、そういうふうな話ですね。
 ですから、言ってみれば、ギャンブル依存症の問題そのものもそうですし、それから予防できることもそうですし、それからあと間違った考えを、ギャンブルに対する間違った考えがあるとそちらの方に行ってしまうので、その辺りをちゃんと教育しておこうよと、そういう話だと思います。
#89
○田村智子君 なかなか、しかし、それは依存症対策になるのかなって、ちょっと率直に言って思ってしまって、例えば確率がほとんどなくても、やっぱり当たったときには大当たりというので脳が刺激されるというお話ありますよね。そうすると、これが予防策になり得るのかどうかという辺りも、ちょっともう一度、樋口参考人にお聞きしたいんですけれども。
#90
○参考人(樋口進君) 先ほど申し上げましたとおり、海外の研究のエビデンスを見てみると、そういうふうな間違った考え方の修正というのがギャンブル行動の修正につながるかどうかについては、これは必ずしも明確ではないんですね。ですから、その辺りについては、今後やっぱり研究をちゃんとしていって、より有効性の高い教育というのは何かというようなことを我が国の中でエビデンス積んでいかないといけないんではないかと思います。
#91
○田村智子君 改めて、そういうエビデンスもなくカジノをつくるということはあり得ないなということは思ったわけですけれども。
 西村参考人にもお聞きしたいんです。
 リカバリーサポート・ネットワークの代表も務めておられて、このリカバリーサポート・ネットワークは、パチンコ、パチスロの業界の皆さんの自主的な取組で、のめり込みとか依存の問題を起こさないようにいろんな相談活動も受けていらっしゃるということなんですけれども、ということは、いろんな業界の皆様との意見交換の場もあるだろうなということも踏まえてなんですけどね。
 やっぱり、いわゆるゲームセンターでこんなのめり込みをして多重債務に陥るなんていうのはほとんど聞いたことがないわけですよ。扱いとしてはゲームセンターと同じ遊技という、なのにどうしてパチンコはこれだけののめり込みが起こるのか、その根本的な要因がどこにあるのかということについて業界の皆さんはどういう議論をされておられるのか。私は、少なくとも三店方式の規制とか、やはり事実上換金システムがあることの問題性などは議論されてしかるべきだというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
#92
○参考人(西村直之君) 遊技業界の議論の中身について、私、答える立場ではないので、私たちのリカバリーサポート・ネットワークは独立した第三者機関ですので、そちらを別に代弁しているわけではないんですが、やはり全国で約一万店舗のホールがあり、なおかつ機械メーカーがあり、全部で大きく分けて十四の団体が遊技関連の中にあります。その中で、やはりそれぞれの立ち位置、立場、今までの考え方、関わり方があるので、正直やはりこの問題の本質的なところはどこにあるかというのがなかなかやはり突き詰めて議論ができない、共有できないという事実はあると思います。
 そういう中で、この問題、特にこの依存問題の対策というのは、やはり風営法の枠組みの中で今動いているので、じゃ、これは、風営法はそもそも依存対策法かというとそうではないので、この問題を突き詰めていくようなことが義務として枠付けであるわけでもないという中で、この問題はなかなか触れづらいという中を、まずは、でもお客さんのこの問題に向き合いましょうというところだけでも、この十年、ここの部分に関しては敷居が非常に下がってきて、私たち自身の問題であるというところまでにはなりました。
 なってきたんですけど、やはりこの原因というところの追求にまでは、まだ正直議論がまとまったり、そこまで突っ込んでいける状況ではないというのはこれからの課題で、特にこの法案が一つのそういう、パチンコだけでなく、全体を含めて、人はなぜ遊びにのめり込んでいくのか、また逸脱するかということを、ちょっと責任論を外した形でやっていかないと、なかなか、いや、私たちのところは責任を問われるならば触れにくいという話になってしまうので、むしろそこは一回、こういう法律、健康の法律という問題で少し敷居を下げていただければいいかなというふうに思っております。
#93
○田村智子君 ありがとうございました。
 終わります。
#94
○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。
 今日は、本当に貴重なお時間と御意見と、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私も、まず西村参考人にお伺いをしたいと思います。
 今、田村先生と同じ、リカバリーサポート・ネットワークについてお伺いをしたいんですけれども、年間五千件ですから、一日十件以上の相談を受けていらっしゃる、かなりの数だと思います。
 どういった体制でされていて、もちろん運営費も掛かると思います、その中で様々、これから全国的にそういった相談機関というのがもっともっと広がっていくべきだという話が皆様から出ている中で、多分参考になる、先進して進められていらっしゃるので参考になることがあるのではないかというふうに思うので、その辺り、御意見聞かせていただけたらというふうに思います。
#95
○参考人(西村直之君) リカバリーサポート・ネットワークは、沖縄県に認定されております非営利活動法人ですので、まず非営利であると。活動費は、先ほど言いましたパチンコ・パチスロ産業21世紀会というのがありまして、その十四団体が相応の拠出をしてくれております。それプラス、個々の会社又は個人ですね、遊技業界と関係もない方の個人の支援等で行っております。現在、朝の十時から夜十時までの相談を無料で行っております。それと、週一回、東京、それからあと、横浜にありますこの依存問題の対策に昔から取り組んでいる回復支援組織のワンデーポートというのがありますが、そこと協力して対面相談もこれも無料で行っております。
 この経費で大体年間五千万を超えるぐらいですが、相談員もNPOですから非常に安い給料でやっております。公的な支援は、今、これはパチンコの問題に特化しているということで実は余り公共性がないという言い方をされて、支援対象に何かならないという、なかなか申請ができないというような状態もあって、今のところ公的な補助金は一切受けない状態で行っております。
 ただ、先ほど言った遊技業界がお金を出してはいますが、理事会の過半数は一般の遊技業界と関係がない方たちを入れておりまして、あくまでもその部分に関しては独立した運営というふうに、特にこういうデータを公表するなとか、こういうふうなことはするなとかいうことは、一切この十数年、開設して以来、こういうことはありません。
 それプラス、先ほど言いました、アドバイザーをつくっていくとか、それから遊技業界の本来あるべきガイドラインを作ってくれとか、あと、社員の研修ですね、そういうようなことを、直接現場を見ている人たちに対する研修、それから管理職の研修とかもこの枠組みの中でやらせていただいております。
#96
○清水貴之君 八〇%は本人からの相談というのが、まずその数に非常に、割合に驚いたんですけれども、これまでの話の中で、やはり相談しやすい体制であったり、本人が気付くことが大事だというお話が出ていまして、八割が本人。
 パチンコ業界と一緒にやっているということですから、パチンコ店にそういう啓発活動をしているんだと思いますが、そういった活動の中で、これも何か参考になるお話が聞けたらいいなというふうに思うんですけど、やっぱりパチンコ店に直接ですと非常に、本人が行っているわけですから、気付きやすいですし、相談しやすいんでしょうが、それだけじゃないところで、もし何か本人が相談しやすい状況、環境づくりができることがありましたら、何かお話しいただけますでしょうか。
#97
○参考人(西村直之君) ポスターの貼り方一つも実は開設以来工夫がありまして、大きなポスターが窓口にあると、入った時点で多分もうこれは俺には関係ないといって目をそらされるだろうと。それで、A4のポスターしか作らず、トイレに貼ってくれと。長時間、頻回に来る人は絶対トイレに行くと、そのときだけは台から離れるので冷静になる瞬間かもしれない。だから、トイレから掛けてこられる方、結構いらっしゃるというのを、これを十三年前に戦略として考えて。
 これは、やはり八割の考え方というのは、そういうやはり単に啓発の量とか大きさとか、それから目立つとかいうことではなくて、どこにどうすればその方が恥とか罪の意識を感じずにそっとそこで情報を取ってその後でもできるか、又は家族とかにばれないでも相談できるかという、そういうユーザーの立場に立った、ユーザーの今問題を抱えながらそれでも遊びが止められない人たちの心理というのをやはり考えながらケアをするという、やはりそういうことがすごく大事なので、単にたくさん啓発します、こんな問題は大変ですということを言えば、余計そういう方たちは話しにくくなるかもしれない。
 実は、つまり、ここで大事なのは、やはり依存症という言葉は救済にもなる代わり、別のラベリングにもなって、私は依存症と言われるのが嫌だからそんなことはとんでもないといって逆に声を閉じる人たちもいるという、そのリスクもやはり考えないといけないので、そこら辺りを何段階も分けて、一つのキャンペーンではなくて複数のやっぱりキャンペーンの張り方というのが要るんじゃないかなと、そこにもやはり重要な戦略が要ると思います。
#98
○清水貴之君 多額の費用を使っている政府広報などを見ていますと、やはり何かひとまずやっていますというような広報が多いなというふうに思うことが多いので、やっぱり戦略的という今のお話、大変勉強になるし、参考になるなというふうに思いました。
 山口参考人にお伺いしたいのですが、山口参考人の組織、大阪いちょうの会さんについてもお聞かせいただけますでしょうか。どういった体制でやっておられて、例えば行政であったりとか、もし要望とかございましたら、そういったお話をお聞かせいただけたらと思います。
#99
○参考人(山口美和子君) 私たちの団体は、主に多重債務の方のお話を掘り下げて聞いて、そこにもう多重に、それこそ多重債務であっちこっちに借りなければならなかった理由を掘り下げて、特にそこの根底に眠っている部分というのをもう掘り起こす作業をここ最近ではメーンにしています。
 もうただただ多重債務、今までは多重債務でもう右も左も向けない、もう自死、死ぬことしか考えられないという方を中心にやってきましたけれども、ここ最近本当にギャンブルで離婚問題、これもDVと離婚がかなり二十歳、三十歳代でもう急増しておりますので、ここについてもちょっと私たちの団体でももう手いっぱい、無給でボランティアなんです。
 全員が全員、もうボランティアで専門家の先生たちにも入っていただいていて、その人たちというのは本当に気のいい人たちが集まって、無給です。もうひとえで言ったらブラック企業と言われても仕方がないんです。その中で、自分の本業があり、自分の休みはそこに全部徹底的に集中して、時期をずらしてでも、クライアントをちょっと二時間ずらして来てくれる先生もおられますし、そこの部分については、もうちょっと国の方でも対策なりそういう機関をもうちょっと増やしていただければなと切望いたします。
#100
○清水貴之君 ありがとうございます。
 続いて、樋口参考人にお伺いをしたいと思います。
 薬物を使った治療についてもお話聞かせていただけたらというふうに思います。今、患者さんを診ていらっしゃるような方法で、対話をしながら考えを変えていく方向というのは、もうこれが本当に、一番正しいというとちょっと上から目線になってしまうかもしれませんが、ふさわしいとは思うんですが、その一方で、やはりこれだけギャンブルができる環境が町中にある中で、なかなか完全に断ち切るというのは難しいんじゃないかなというふうにもやっぱり思ってしまうわけですね。
 その中で、薬物が果たしていいのかどうか、体にもしかしたら害があるかもしれませんし、その辺はなかなか難しい判断だと思うんですけれども、ただ、一つの、療法の一つにはなると思うんですが、これについての可能性などをお聞かせいただけたらと思います。
#101
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 先ほどから申し上げているとおり、ギャンブル、ゲームもそうですけど、いわゆる行動嗜癖に関して世界的に治療薬として認められているものは一つもないというのが今の状況です。ですから、諸外国に行っても状況は同じです。研究ベースで治療の有効性を検討したものというのは、それは論文として出ていますけれども、例えば抗うつ薬とか、それからあと、いわゆる抗精神病薬とか、そういうふうなものです、あるいは抗てんかん薬とか。
 その中で、一番可能性が高いのではないかなと私も思うし、それから論文も示唆しているんですけれども、いわゆる抗オピオイド神経の、オピオイド神経の受容体の、何ですか、それをそのままブロックする、そういうふうな薬ですね。具体的に言うと、ナルトレキソンとかナルメフェンとかという薬があるんですけど、これがかなり有望じゃないかというふうに言われています。
 こういうふうな薬、実はアルコール依存症の治療薬として使われているんですね。ですから、アルコール依存症の治療薬の用法が拡大される形でそういうふうなものが使われるようになるといいかなというふうに思うんですが、もちろんそのためにはやっぱり有効性をちゃんと確認しないといけないということがございます。
 それから、もう一点ですけれども、依存症の治療は一般の精神科の先生、すごく嫌うんですね。それは、来てもらっても何していいか分からないということがあります。ですから、専門医療の話についついなってしまうんですね。そのときにやっぱり薬物が手元にあって、処方して、この薬使ったらひょっとしたら治療できるかもしれないということであれば、診てくださる先生の数が増える可能性があるんですね。
 ですから、そういうような意味では、やっぱり何か、先ほど言った認知行動療法のようなものというのは、誰でも同じようにできるということを申し上げましたけど、やっぱりちょっと職人芸みたいなところもあるわけで、薬物の場合に職人芸ないですから、そういうような点では、やっぱり医療を広めていくということに関しては、やっぱり薬物の開発というのはとても大事かなというふうに個人的には思っています。
#102
○清水貴之君 今のお話で、ということは、精神科の先生で、例えば患者さんが、私ちょっとギャンブル依存症かもしれませんといって行った場合に、もう現状ではなかなか何もできないお医者さんがいらっしゃったり、若しくはどこか、じゃ、でしたらもう久里浜の方行ってくださいという、紹介するようなお医者さんもこれは現実的にやっぱりいらっしゃるという状況なんでしょうか。
#103
○参考人(樋口進君) お答えします。
 そのとおりです。ですけれども、例えばギャンブルの治療のために新しく治療プログラムを作って、これを使うとそれなりに有効性、それなりというか、有効な治療法が得られるということであれば、やっぱりそれはそういう方も使えるのではないかということなので、やっぱりそういうふうな治療の、何というか、新しい技法をつくって、それを広くいろんな先生方に使っていただくのはすごい大事かなと思います。
#104
○清水貴之君 最後に、再び西村参考人でお願いいたします。
 世界の依存症対策ということでいろいろ見ていらっしゃるとお話がありまして、その中で、もし具体的に何か、ここが日本でも適用できるんじゃないかとか有効だと。日本だと、今日の話でもそうですが、パチンコが主だという話で、ただ、世界的に見ると、やっぱりパチンコというのは日本特有のものですから、果たして世界の症例が日本に当てはまるのかとかいろいろ考えてしまったわけですけれども、その辺り、世界的な目線で少々お話しいただけたらというふうに思います。お願いします。
#105
○参考人(西村直之君) 世界的なことでいうと、パチンコはないんですが、スロットはたくさんありますので、その中で、現在、テーブルがない、スロットのみのカジノというのも海外には存在していますので、必ずしも全く別物ではないと、非常に共通したパッケージが使えるということはあります。
 それからもう一つは、今、この大きな議論というのは、今目の前にある、既にあるギャンブリングの問題ですね。ただ、実際、世界は、先ほど、オンラインの世界の中にどんどんギャンブルの戦場というか収益を移しておりまして、そうすると、私はさっき地域対策と言いましたが、どの地域からどこに参加しているかもう分からないというようなことが次々に今起こっております。
 そうすると、やはり今からこの対策が十年、二十年後と考えたときには、今の既存のものを中心に考えるだけではなくて、これから今起こってくるギャンブリングに対応できるような基本法にしておかないといけないという中では、海外における、特にオンラインギャンブリングの問題というのと、それから、日本の中では既にFXとか、ギャンブルではないんだけれども金銭の非常に大きな問題、近接している問題、これをどうやるかと。
 この辺りも全て実はネット上で起こって、手元にその、極端に言えばギャンブル場が手元にあるわけですよね。というような事態に対してどのような法的な枠組みをつくっていくかというのが、やはりこの中では直接参加のイメージが非常に強過ぎて、そこの部分は世界の方がやはり一歩、二歩と進んでいるところがありまして、世界の方がただ今も先端で、世界も先ほど樋口先生が言ったように議論している途中なので、そこにやっぱりもう一緒に関わる、歩調を合わせていくというのはすごい学ぶものが多いと思います。
#106
○清水貴之君 終わります。
 どうもありがとうございました。
#107
○山本太郎君 自由党、山本太郎です。
 先生方、本当に勉強になるお話、ありがとうございます。
 まず、樋口先生にお伺いしたいんですけれども、先ほども、スマホのゲームであったりとかオンラインゲームの話、これ、WHOの枠組みの中でやはりこれを対策していくべきだということをリードされたのは樋口先生だということを書物で読みまして、今日、本当にいろんなことをお聞きできること、光栄です。ありがとうございます。
 先週の土曜日、六月三十日に、十日町の商工会議所で三十代の男性の職員が約一千万円を着服して、ほぼ全額をスマートフォンのゲームに使っていたことが判明したと、懲戒解雇になったと報道にもあったんですけれども、ほかにも、スマホなどのオンラインゲーム中心に、依存症状態になって多額な課金を繰り返すという、先ほどガチャという言葉も出てきましたけれども、その結果起きた事件というものも最近はちょっと目にするようになってきたなというふうに思うんですが。
 このスマホゲームで依存症状態になったという方々に対して、この多額の課金を繰り返す仕組みというのはある意味私ギャンブル的要素だと思うんですけれども、今回のこのようなギャンブル依存症対策であったりとか、そういう法律という部分で、こういうスマホゲームであったりオンラインゲームという人たちも同じように救われるべきだと、同じように手を差し伸べるべきだというふうに思われますか、先生は。
#108
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 まず、ゲームの依存とそれからギャンブルの依存というのは、やっぱり分けて考えるべきだと私は考えています。
 ギャンブルの場合にはお金を得ようということがあって、それでお金を賭けてある一定の割合で返ってくるという、そういうようなシステムですけれども、お金が得られたらそれが喜びにつながるということです。ところが、ゲームの場合には、その中のゲームで勝ったとか、友達に、仲間に褒められたとか、ランクが上がったとか、そういうふうなお金以外の部分が依存の大きな要素になっていることなので、ギャンブルと同一には考えられないというふうに思います。
 それから、今御指摘のあった課金の話でございますけれども、確かに我々の病院にお見えになっている方々、特に成人の方々は課金の問題が多いです。お金も数百万から数千万まで課金でやっている方々もいらっしゃるわけで。先ほどもちょっとお答えしましたけれども、この課金も、お金を目当てにしてお金を使っているわけじゃなくているので、必ずしもこれがギャンブルかどうかということについての議論は、まだ世界的にも定着していないというのが今の状況だと思います。
#109
○山本太郎君 ありがとうございます。
 そのスマホのゲームですけれども、これ依存症になる理由といいますか、例えば脳の動きでとか分かります、どういう影響を与えてとかということがもしも、私にも分かるように、中学生でも分かるように説明していただけましたら助かります。
#110
○参考人(樋口進君) ギャンブル依存症の脳の中の、何というか変化というのと、それからゲームの依存症の脳の中の変化というのを比べた論文というのがやっぱりあるんですね。それを見るとよく似ているというふうなことが言われています。
 先ほどもちょっと申し上げたとおり、何かきっかけになるものを見ると非常に脳が強く反応してやりたくなるということとか、それからあと、ギャンブルもだんだんだんだんやっていくと、だんだんだんだん興奮が得られなくなってくるので、更に賭け金を増やしていかないといけないような状況になるんですけど、やっぱり脳の中でも同じようなことが起きています。こういうのは報酬欠乏というふうに言っていますけれども。
 それから、更に脳の中で依存が進行していくと、いわゆる理性の脳というのがありますが、この前頭前野というところですけれども、ここの働きが落ちてきて本人の行動をコントロールするのがますます難しくなるような話があって、こういう類いのものってギャンブルの依存症とゲームの依存症はよく似ているというふうなことが言われています。
 ですから、脳の中のメカニズムはよく似ているということですが、実際の在り方というのはちょっと違います。
#111
○山本太郎君 久里浜のギャンブル依存外来で約九〇%の受診患者の方がパチンコ、スロット由来といいますか、そこを楽しまれて結局依存にまで至ってしまった方々がほとんどだと。外来の約九〇%がそういうふうに該当するということですけど、どうしてここまで圧倒的な数といいますか、パチンコ、スロットが依存者の数が増えるというような形になっているのか、その理由みたいなものって何かあるんですかね。
#112
○参考人(樋口進君) お答えします。
 これにつきましては、それを明確に示したような論文って余り存じ上げません。ただ、一般的に言われているのは、やっぱり先ほどの、アクセスしやすいと、いつでも長時間開いているし、それから場所も一万軒ぐらいありますので、そういうような点が大きいのではないかというふうに言われています。
 現に、我々の先ほどの全国一万人の調査の報告をいたしましたけれども、あの中でSOGSでギャンブル等依存症が疑われる方の中で、どこに一番お金を使っているかというのを見ていますけれども、やはりパチンコ、スロットが一番お金をたくさん使っているというふうなことなので、それは外来の数で九〇%がパチンコ、スロットに依存しているというのと共通しているのではないかというふうに考えます。
#113
○山本太郎君 このアクセスのしやすさ、パチンコをたくさん楽しまれる方々がいらっしゃって、大きな駅には大体どこにでも、小さな駅にもですけど、パチンコのホールがあって、このアクセスのしやすさというのが、ひょっとしたらその数、依存につながる数というものの大きさに増えていくんじゃないかというお話なんですけど、これアクセスしやすさといったら、これスマホのゲームなんてもっとアクセスしやすいわけですよね、いつもポケットの中、かばんの中にあるわけですから。一駅行かなくても、場所を移動しなくてもその場で空いている時間でできてしまうということを考えるならば、これ依存症ということは、恐らくこれらのギャンブルの依存ということの比にはならないぐらいの勢いにまでこれ発展していく可能性というのはあるんですかね。
#114
○参考人(樋口進君) お答えいたします。
 可能性とすればあるかもしれませんけれども、それを裏付けるようなデータが今ございませんので、今のところは何とも言えないというふうなことでございます。
#115
○山本太郎君 なるほど。結果が出てしまうとかなりまずいことになってしまうといいますか、いろんな、科学的なその全て検証された後の結果を受けての動きというものになってしまうとなかなか難しくなってしまうので、先手先手を打つように恐らく政治が主導していくというか、恐らく、そのスマホゲームに関しても依存症対策でしっかりと組み込んでやっていくというような決意というものが必要になっていくと思うんですけれども。
 先ほどスマホのお話をお伺いしました。それが脳に与える影響であったりとかということもあったんですけれども、これは同じ画面を見詰め続けるという部分に関しては、恐らくパチンコ、スロットとかという部分に関しても共通する部分があると思うんですね。EGMと呼ばれるものでしたっけ、エレクトリック・ゲーミング・マシン。繰り返される映像、音声によって脳に強烈な刺激を繰り返して与えるということで、何でしょう、依存の状態に引きずり込まれる可能性がある、そのような研究結果というものも散見されるんですけど、このことに関しましては先生はいかがお考えでしょうか。
#116
○参考人(樋口進君) 先ほども申し上げましたけれども、ギャンブルの中の種類の中でどういうふうなものが依存しやすいかということを脳科学的に調べた、そういうふうな研究がございまして、これはかなり著名なギャンブルの学者が集まった研究のグループがやったものですけれども、やはりそのEGMは非常に依存性が高いというふうなことがその中で指摘されています。その理由については、先ほど申し上げたとおりでございます。
#117
○山本太郎君 ありがとうございます。
 これ、次、続いて西村先生にお伺いしたいんですけれども、今、恐らくパチンコ、スロットの業界というのもかなり努力をされていて、先ほどおっしゃっていた、要は、ホール内に貼ってもそんなに反響がないだろうから、まず、その貼られているもの、掲示物と一対一になるトイレに貼っていくというような御努力もされていたりとかで、年間八千件ぐらいの方々がアクセスされてきたりとかというようなことを事前に読んだりもしたんですけれども、この根本の部分、EGMという部分に関して業界として取り組んでいくということを自主的にやっていくというのは恐らくハードル的には高いと思うんですけれども、ここ、なかなか政治の中で進まない部分でもあるので、逆に、業界的にこれを取り組んでいく、要は、脳への影響を低減させていくというようなことを進めていくということはなかなか難しいんですかね。
#118
○参考人(西村直之君) まあこれも機械メーカーの意図ですので、私が何とも答えられないんですが、ただ、このパチンコの問題には二つあって、一つは、接近性、近接性とかアクセスの話では、パチンコホールの話になっております。広告の話もそうです。もう一方は、これらは全て国家公安の内規ですね、その中で決められた、もう規制が掛かった機械しか使えないという状態になって、これはホールは選べないというやっぱり二つの側面があって、それぞれがどのような責任を分担するかということがそもそも立て付け上明確でない。何をちゃんと調査しなければいけないかということはやはり今まで一度も明確化されていないというのは、そこについて、それが何となく見えるパチンコ屋さんが悪いという言い方になっているというところはやはり感情論になっていて、エビデンスが出てこない原因だと思います。
 ただ、先ほど言った日工組社会安全研究財団の研究というのは、これは、パチンコの機械を作っている団体がこの調査として自分たちの数値を、これ一切干渉はないです、厳密に調査費用を出しながらやっているということに関しては、やはりこういう取組が少しずつ進んでいるので、よりもっとこういうことをちゃんとやったらどうかというのは、むしろそこは政治の方から提言投げかけていくというのはあるかというふうに思います。
#119
○山本太郎君 そうですよね。まあ業界の努力に任せるみたいなところでずっと来ていたという部分で来たわけですから、ここはやはりそのような疑いがあるといいますか、脳に影響が与えるという可能性が少しでもあるんだったら、国からの規制というものをしてもらえるんだったら、もっと話は早い部分だと思うんですけれども。
 山口先生にお聞きしたいと思います。
 先ほど、田村先生とのお話の中で、ボランティアで多くの方が参加しているんだと。もうかつかつというよりも、もう本当、現場の善意に頼り切っているということがもうよく分かりました。もし国が予算幾らでも付けてあげるよということを言ってきたとして、ごめんなさい、例え話で、だとするならば幾らぐらい、で、その幾らのお金をどういった部分に、自分たちの活動のどういった部分に充てたいのか、一番台所事情苦しい部分を教えていただけますか。
#120
○参考人(山口美和子君) 今日、ありがとうございます。
 そう言っていただけるところはなかなかなくて、私どもはもう、困窮者の支援であるだとか、多重債務なんですね。そうしたら、先ほど西村先生も言われたとおり、いろいろ公的なところの助成金を当たるんですけれども、公共性がないという一言で全て切り捨てられることがありますので、もういつも、サポーター代、一口五百円から広く募っていますけれども、なかなか昨今集まりが悪い。そこに来て、弁護士、司法書士の先生以上は、実は一口五千円サポート代を月払っていただいているんです。先生たちはボランティアで来てくださって、無料報酬の上、五千円を払わされるという。
 ですので、一番ここは声を大にして、もし予算が取れたのであれば、日頃無償で働いていただいて、かつサポート代を多額にもう出していただいてくれている先生たちにはきっちりと最低の基準の時給がお出しできたらというふうにも思っております。
 あと、サポーターの育成費用、これがとても重要になってくると思います。どうしても時間を割いて教育をしていかなければならない、また、その人材の募集もしなければならない。あと、啓発活動。私たちのところにつながった人は本当に死なせませんから。それだけ自負があります。しかしながら、つながらなかった人がどのぐらいいらっしゃって亡くなったのかというところもちょっと気には掛けていますので、啓発活動等、それも全て含めまして、大体いただけるのであれば、年間六百万ほどあればかなりのことができるのかなと察します。
#121
○山本太郎君 年間六百万。今、私たちにつながれば絶対に死なさないと。それは、当事者の方もその御家族も誰も命を絶つようなことにはしないというぐらい手厚いことをボランティアでやられているというのが非常に、ボランティアだけじゃなくて、しかも会費まで先生方は、何でしょうね、善意から上乗せしていくという状態にならないと回らない。このような団体に対してぽんと六百万ぐらい出すぐらいのことを当たり前にやってこなかったというのが非常に不思議なんですけれども、これをきっかけにやっていかれることがあればいいんですけど。
 プラス、やはり、その当事者たちに対して、何でしょうね、それを克服していくための経済的な軽減という部分は必要になってくるんですかね、山口さん。
#122
○参考人(山口美和子君) 緊急支援といいまして、昨今のもう本当に今までは、私たちの事務所にいついつ来てくださいって、来てくれる方が多かったんですけど、ここ最近、電車代がありませんという方が多いんです。なので、私たちがその交通費も、電話取った人がもう交通費を負担すると、で、現地まで行く、食べる物がない。取りあえず、フードバンクともつながってはいますけれども、そのときにあるかといったら必ずあるものではないので、当面の食費と、あと携帯電話切れたら連絡ができなくなるので、その辺の部分の費用というのもこちらで負担しております。
#123
○山本太郎君 時間が来たようなので、終わりたいと思います。ありがとうございます。
#124
○委員長(柘植芳文君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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