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2018/06/13 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第4号
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2018/06/13 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第4号

#1
第196回国会 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第4号
平成三十年六月十三日(水曜日)
   午前十一時七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     青山 繁晴君     鴻池 祥肇君
     小野田紀美君     石井 正弘君
     自見はなこ君     中西  哲君
     藤木 眞也君     石井 準一君
     宮島 喜文君     こやり隆史君
     徳永 エリ君     羽田雄一郎君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     東   徹君     浅田  均君
 六月五日
    辞任         補欠選任
     石井  章君     儀間 光男君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     儀間 光男君     石井  章君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     鴻池 祥肇君     元榮太一郎君
     山本 博司君     竹内 真二君
     石井  章君     石井 苗子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井 浩郎君
    理 事
                岡田 直樹君
                武見 敬三君
                松村 祥史君
                森屋  宏君
                西田 実仁君
                足立 信也君
                牧山ひろえ君
    委 員
                石井 準一君
                石井 正弘君
                こやり隆史君
                佐藤  啓君
                山東 昭子君
                徳茂 雅之君
                中西 健治君
                中西  哲君
                二之湯 智君
                西田 昌司君
                舞立 昇治君
                宮沢 洋一君
                元榮太一郎君
                里見 隆治君
                竹内 真二君
                平木 大作君
                羽田雄一郎君
                浜野 喜史君
                芝  博一君
                難波 奨二君
                井上 哲士君
                山下 芳生君
                浅田  均君
                石井 苗子君
                青木  愛君
                中山 恭子君
                伊波 洋一君
       発議者      足立 信也君
       発議者      石井 正弘君
       発議者      舞立 昇治君
       発議者      森屋  宏君
       発議者      西田 実仁君
       発議者      牧山ひろえ君
   委員以外の議員
       発議者      古賀友一郎君
   国務大臣
       総務大臣     野田 聖子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野  哲君
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局選挙部長    大泉 淳一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(足立信也
 君外十三名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(石井浩郎君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、徳永エリ君、自見はなこ君、宮島喜文君、小野田紀美君、藤木眞也君、青山繁晴君、東徹君、石井章君及び山本博司君が委員を辞任され、その補欠として羽田雄一郎君、中西哲君、こやり隆史君、石井正弘君、石井準一君、浅田均君、石井苗子君、竹内真二君及び元榮太一郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(石井浩郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#5
○委員長(石井浩郎君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者足立信也君から趣旨説明を聴取いたします。足立信也君。
#6
○足立信也君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 現在、参議院選挙区選挙の政見放送については、候補者が放送事業者のスタジオに出向いて録画する、いわゆるスタジオ録画方式に限られ、候補者が自ら録画する、いわゆる持込みビデオ方式によることはできないこととされております。また、参議院選挙区選挙以外の選挙においては、政見放送に手話通訳や字幕の少なくともいずれかは付与できることとなっておりますが、参議院選挙区選挙においては、いずれも付与することができない状況となっております。
 このため、参議院選挙区選挙の政見放送について、持込みビデオ方式を導入し、手話通訳や字幕の付与を可能にすること等を通じて、障害等の有無にかかわらずできる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにすることが喫緊の課題となっております。
 本法律案は、こうした状況を踏まえ、参議院選挙区選挙の政見放送について、現行のスタジオ録画方式に加え、政見放送の品位保持の観点から、一定の要件を設けた上で持込みビデオ方式を選択できることとするものであります。
 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、参議院選挙区選挙において、所属国会議員が五人以上又は直近の衆議院議員総選挙若しくは参議院議員通常選挙における得票率が百分の二以上のいずれかの要件を満たす確認団体又は推薦団体の所属候補者又は推薦候補者の政見の放送については、放送事業者は、その録音し若しくは録画した政見又は当該候補者が録音し若しくは録画した政見をそのまま放送しなければならないものとしております。
 第二に、当該候補者は、政令で定める額の範囲内で、政見の放送のための録音又は録画を無料ですることができるものとしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(石井浩郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○こやり隆史君 自民党のこやり隆史でございます。
 今日は、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、自民党・こころを代表いたしまして質問させていただきます。時間短いですので、早速質問に入らせていただきます。
 先ほど、趣旨について御説明がありました。今般の改正法案では、参議院選挙区選挙の政見放送につきまして、持込みビデオ方式を導入すること等を内容とするという御説明がございました。その背景、目的につきまして、いま一度詳しく御説明いただきたいと思います。
#9
○舞立昇治君 お答えいたします。
 現行制度上、参議院選挙区選挙の政見放送につきましては、候補者が放送事業者のスタジオに出向いて録画する方式であるスタジオ録画方式に限られておりまして、候補者が自ら録画する方式である持込みビデオ方式によることはできないこととなっております。
 また、参議院選挙区選挙以外の選挙におきましては、政見放送に、現在、手話通訳か字幕の少なくともどちらかは付与できることとされておりまして、具体的に申し上げますと、衆議院小選挙区選挙では持込みビデオ方式が認められているため、持込みビデオに手話通訳や字幕の付与が可能となっており、また、衆議院比例代表選挙や都道府県知事選挙では手話通訳の付与が認められております。参議院比例代表選挙では手話通訳に加えて字幕の付与が認められているところでございます。
 これに対しまして、現在、参議院選挙区選挙におきましては、手話通訳者が少ない地域があることや字幕を付与する設備、技術的な対応について困難がある等の理由から、手話、字幕のどちらも付与できておらない状況でございます。
 そこで、今回、喫緊の課題といたしまして、参議院選挙区選挙において持込みビデオ方式を導入することにより政見放送に手話通訳や字幕を付与できるようにして、障害のある方ですとか聴力が弱くなっておられる高齢者の方など、できる限り多くの国民の皆様に候補者の政見がより効果的に伝わるようにすることが必要であることから、今回、参議院選挙区選挙の政見放送について持込みビデオ方式を導入するための改正を行わせていただくものでございます。
 以上です。
#10
○こやり隆史君 ありがとうございます。
 参議院選挙区選挙のみ字幕もあるいは手話通訳も付けられないという現状を踏まえて、一人でも多くの有権者に政策を届けるという観点から喫緊の措置であるということを理解をさせていただきました。
 他方で、持込みビデオ方式はスタジオ録画方式に比べて自由度が高いという観点から、ともすれば品位を欠いたりあるいは不適切な内容が含まれている、そういった懸念を生じさせるものでもあるというふうに思っています。
 その観点から、そういうことを防止するために、今回の法改正におきましてどのような防止措置をとられているかということについて御説明いただきたいというように思います。
#11
○舞立昇治君 先生御指摘のとおり、持込みビデオ方式は、スタジオ録画方式と比べて自由度が高くて、候補者が創意工夫を凝らして国民により効果的に政策を訴えることができる反面、品位を欠くビデオが持ち込まれる懸念があり、品位を欠くビデオの放送をいかに防ぐかという点につきましては非常に重要なことだと考えております。
 現行制度上、品位を欠くビデオを持ち込まれたとしても、放送事業者はこれをそのまま放送しなければならないと規定されているため、品位を欠くビデオを持ち込むことが考えにくい一定の者に限って持込みを認めることが適切だと考えております。この点、衆議院の小選挙区選挙におきましては、従来から候補者届出政党に限って政見放送が認められ、品位を損なうようなことは考えにくいことも理由として持込みビデオ方式が可能となっており、その実績に照らすとすれば、参議院選挙区選挙におきましても、同様の要件を満たす政党の所属候補者や推薦候補者であれば政見放送の品位を損なうようなことは考えにくいかと考えております。
 こうしたことを踏まえまして、今回の改正では、所属国会議員が五人以上又は直近の総選挙若しくは通常選挙におきます得票率が二%以上のいずれかの要件を満たす確認団体又は推薦団体の所属候補者又は推薦候補者に限りビデオの持込みを認めることとしたものでございます。
 以上です。
#12
○こやり隆史君 ありがとうございます。
 衆議院小選挙区での実績等々を踏まえて、それを見て、今回、参議院の選挙区選挙に導入されたということでございました。
 今回の改正で衆議院及び参議院の選挙区選挙においてビデオ持込みによる字幕、手話通訳放送が可能となるという措置になると思います。
 他方で、今、政見放送については衆参に加えて知事選挙についても政見放送が認められている状況であります。例えば、参議院の選挙区選挙とも同じまさに範囲を対象とした知事選挙におきましては、今回、参議院選挙はビデオの持込みが可能となりましたけれども、知事選挙におきましては依然としてビデオの持込みは不可のままとなります。その結果として、手話通訳は今でもできますけれども、字幕については引き続きできないといった形で、ちょっと各般の選挙ごとにその取扱いが異なる状況が引き続き生まれてくるということになると思います。
 有権者にとって、テレビを見ておられる有権者にとっては、選挙ごとに少しずつ取扱いが異なってくるというのは分かりにくい感もいたします。そういう意味で、これは可能な限り、できるだけ取扱いについては統一を確保していくということも、それぞれの選挙ごとにその個性というか背景があるということは理解をしておりますけれども、やっぱり有権者の立場に立つと統一性という観点も重要になってくるというふうに思いますけれども、これについては総務省の御見解をいただきたいと思います。
#13
○政府参考人(大泉淳一君) お答え申し上げます。
 政見放送につきましては、平成六年の公職選挙法改正によりまして、衆議院小選挙区選挙に持込みビデオ方式が初めて導入されたところでございます。この理由でございますが、政党本位、政策本位の選挙の実現の観点から、候補者届出政党、政党が主体でございますけれども、これができる限り自由に創意工夫を凝らしてその政策を訴えることができるようにすることが適当であること、また、候補者届出政党は一定の要件を満たした政党であり、政見放送の品位を損なうような政見ビデオを持ち込むことは考えにくいこと等の理由によって持込みビデオが始まりました。
 他方で、それ以外の選挙におきましては従来どおりスタジオ録画方式によることとされてまいりました。ただ、聴覚に障害のある方等に配慮いたしまして、手話通訳や字幕の付与につきまして環境が整った選挙から順次導入しておりまして、参議院選挙区選出議員の選挙以外の選挙におきましては手話通訳あるいは字幕の少なくともどちらか一方は付与することができるということで現在の制度になっております。
 この点、今回の法律案は、参議院選挙区選挙におきまして、政見放送への手話通訳と字幕の付与を喫緊の課題として各党各会派の丁寧な協議が積み重ねられた上で、障害者の方々も含め、できる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにするための改正でございまして、品位保持の方策などを講じた上で、選挙区選挙につきまして持込みビデオ方式を導入することとされたものということと理解しております。
 いずれにいたしましても、政見放送、今申しました経緯のとおり、様々な事情であります。また、選挙運動の在り方に関わる問題でもございますことから、各党各会派において十分御議論いただくことが必要であると考えております。
#14
○こやり隆史君 ありがとうございます。
 投票率を上げていくということが我々の使命であります。そのためにも、政見放送をより多くの有権者に届くよう我々一度検討していかないといけないということを御指摘をさせていただきまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#15
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。今日は御質問の機会をいただきましてありがとうございます。
 まず、本法律案により、手話、字幕付きの対象となる政見放送が、その範囲が拡大をするということの評価についてお伺いをしたいと思います。
 これまで手話、字幕付きのどちらも付与できないのは参議院選挙区の選挙だけでございます。翻りまして、現在、我が国において聴覚障害や高齢による難聴を抱える方々が約一千五百万人いらっしゃいます。高齢化の進展に伴いまして、その人数は増加の一途をたどるというふうに考えられております。これらの方々の政治への参加、アクセスということをこれ以上放置することは許されない、そんな現状が来ているのが実情でございます。
 こうした中で、私ども公明党では、バリアフリー法等に関するプロジェクトチームを設けまして、聴覚障害者の団体の皆様とともに、首相官邸において菅官房長官宛てに、まず国会中継の字幕放送を早期に実現するよう要請をいたしました。それを受けて、この三月でございますけれども、我が党の太田昌孝衆議院議員が衆議院の総務委員会で、本年三月二十二日でございますが、質問を行い、まず本会議の字幕放送の準備に取りかかるとNHKから答弁をいただいているところでございます。私自身も、昨年の決算委員会で、この参議院の院内放送における字幕放送の可能性についてお訴えをしたところでございます。
 国会の中継についてはある程度検討が進んでおりますけれども、まさに民主主義の根幹とも言える選挙制度において、字幕も手話もない参議院選挙区政見放送にこれらの導入が図られることは大変大きな前進であると評価をいたしております。こうした中で、障害の有無にかかわらず有権者が政見に接することができる環境の一層の向上が求められる中、今回の改正により、良識の府としての参議院の候補者の政見をより多くの人に伝えることが可能となることは画期的な改正として評価すべきと考えますが、この点、提案者の御所見を改めてお伺いいたします。
#16
○西田実仁君 今委員からお話がございましたように、国会での審議、障害をお持ちの方にもきちんとお伝えしていこうということに精力的に推進なさっておられることに敬意を表したいというふうに思います。
 また、今、御質問は本法律案の意義についての率直な思いということでございますので、今御指摘のように、参議院の選挙区選挙のみが手話通訳も字幕も付与されていないという、こういう状況を何としても変えたいという思いで、実は二年前から各党各会派の皆さんと意見交換をしてまいったわけであります。残念ながら、二年前には一致点を見出すことができませんで今日まで来ましたけれども、また今回も各党各会派の皆さんと意見を重ねてまいりまして、ようやくこの法案提出に至ったということについては大変に感慨深いと率直に思います。
 その最大の意義でありますけれども、ビデオ持込み方式を導入することによりまして、手話通訳そして字幕を付与することができるようになって、障害等をお持ちの方につきましても、より広く、また効果的に政見放送をお伝えすることができるようになるということが最大の意義でございます。
 ただ、参議院の選挙区選挙というのは政党本位の選挙ではございませんで、個人の候補者が立候補して選挙活動をするという立て付けになっているものですから、できますれば全ての候補者の方にこのビデオ持込み方式をできるようにしたいというのが、それにはどうしたらいいのかというのが正直最大の課題で、そこに一番腐心をしてきたところでございます。
 しかし、憲法上、事前検閲というのは大変に難しゅうございますし、また、公選法上、放送事業者は持ち込まれたビデオをそのまま放送しなければならないということから、また、公選法上、品位の保持ということがうたわれているわけで、そこをどう担保するのかということもまた大きな課題でございました。
 実際、スタジオの録画、収録におきましても、周囲の目があっても品位を欠く政見放送がなされたという事例もございまして、そうした周囲の目が少ないこのビデオ持込み方式の場合に、どうやってその品位の保持を担保するのかということも大きな議論のテーマになりました。第三者機関の関与あるいは罰則の強化といった代替案も検討したわけでありますけれども、実際には、現実的には非常に難しいし、その効果も非常に限定的であると。こういうことから、今回、衆議院の小選挙区選挙と同様、政党要件というものを課すことで品位の保持を担保するということにしたわけでございます。
 もっとも、しかし、衆議院の小選挙区選挙と違いまして、今回我々の参議院選挙区選挙におきましては、完全無所属と言われる方でももちろんスタジオ録画できる、政見放送ができるというところは大きな違いでございますし、また、今回、総務省の実施規程等も変えて、手話通訳をそのスタジオ録画の方にも付与できるようにしようじゃないかということに加えまして、NHKで収録した政見放送を他の放送事業者における政見放送にも、いわゆる使い回しというんでしょうか、使うことができると、こういうような変更も考えてございます。
 さらに、今後でありますけれども、スタジオ録画の政見放送におきましても、この今申し上げた手話通訳に加えまして字幕放送もできるように、技術的な検討を精力的に行っていただくよう放送事業者にも強く要請していきたいというのが我々立法者の意思でございまして、できる限りそうした努力を重ねていきたいと、こういう率直な思いでございます。
 以上です。
#17
○里見隆治君 ありがとうございます。
 私も気に掛かりますのは、今御答弁がありましたように、政党に属されている方あるいは推薦を受けられる方はいいんですけれども、完全に無所属の候補の皆さん、どう配慮していくかという、この点は大変重要だと思います。政府にあっても、その点はよく、その運用また様々な工夫について是非検討いただければというふうに思います。
 すなわち、完全に無所属の候補の方は引き続きスタジオ録画方式になるわけですけれども、今回の改正でほかの方が持込みビデオ方式を選択するとなれば、これまで技術的には、あるいは物理的にネックとなっていたスタジオ録画方式における手話通訳士の手配や字幕の付与というのが地方部においてより可能に、可能な状況に近づくというふうに考えてよいのかどうか、この点総務省に確認をしたいと思いますし、加えまして、スタジオ録画方式の政見放送に字幕を付すことについて、収録時間が極めて短い中で多数の候補者の政見に字幕を付すには技術的課題があるというこれまでの御説明がありました。しかし、映像技術の進歩を踏まえれば、将来的には、衆議院比例代表選挙や都道府県知事選挙においても字幕の付与が可能となる日もそう遠くないのではないかというふうに期待をしております。
 今回の法改正後において、引き続きスタジオ録画方式で政見放送の収録を行う候補が出てくるわけですけれども、これらの候補者の政見についても手話通訳また字幕を付すということについて積極的に検討をまた進めていくべきと考えますけれども、総務省、この点いかがでしょうか。
#18
○政府参考人(大泉淳一君) お答え申し上げます。
 手話通訳につきましては、これまで手話通訳士が全国で偏在していると。例えば、手話通訳士研修を受けた通訳士が十人以下という都道府県は、平成二十八年の七県に比べれば減少しているんですけれども、全国で四県あるというようなことから、これまでは手話通訳が参議院選挙区選挙ではできなかったということでございますが、今回の改正法によりまして、ビデオ方式に移行される方、あるいはNHKのスタジオで収録したものを使って政見放送を民放の方で行うこととするようなことを定めることによりまして、候補者が減るということになります。
 日本手話通訳士協会とも調整したところ、参議院選挙区選挙の政見放送におけるスタジオ収録についても手話通訳を付すことが可能となるというふうに考えておるところでございます。そのように実施規程等を改正していきたいと考えております。
 また、字幕放送でございますが、NHKによると、全国ほとんどの放送局では、字幕付与に対応できる専門的なノウハウと技術を持った人材あるいは会社が地域にないというのが実態で、加えて、字幕を付与するための機材の整備など課題もあるというふうに伺っております。
 現状としては、限られた期間に全ての選挙区で対応することは困難な状況ではございますけれども、技術の進歩等に応じまして、私どももいろいろ考えていきたいと考えております。
#19
○里見隆治君 本法律案により、参議院選挙区選挙においてもできる限り多くの国民の皆様に候補者の政見がより効果的に伝わるよう期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#20
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 本法案の政見放送ビデオ持込みは、前回、二年前にも議論になりました。当時は全会派一致で委員長提案でということでやったわけでありますけれども、まとまらなかったと。今回は賛成会派のみの議員立法で行われようとしておりますが、選挙戦のルールに関わることはやはり全会一致でやるべきだということをまず申し上げておきたいと思います。
 総務省の公選法の説明では、選挙運動の規制について、選挙の公正と候補者間の平等の確保のためとされておりますけれども、なぜこれが大事なんでしょうか。
#21
○政府参考人(大泉淳一君) 選挙運動は、各政党や候補者の政策について有権者がいかなる選択をすべきかの判断材料を提供するものと考えておりますが、それを無制限に認めると、財力や権力等によって選挙がゆがめられるおそれがあるということが考えられます。
 このため、ルールに基づき選挙運動を行うという必要がございまして、金の掛からない選挙を実現し、選挙の公正と公平を確保する観点から、これまでの国会審議あるいは各党の議論を経まして、現在のような選挙運動のルールが設けられてきたものと考えております。
#22
○井上哲士君 公正と候補者間の平等の確保のために様々な規制が掛けられてきましたが、その下で候補者個人の行える選挙活動は具体的にどういう項目があるのか、その中で候補者間に不平等がある項目があるのかどうか、お答えください。
#23
○政府参考人(大泉淳一君) お答えいたします。
 公職の候補者個人に認められた選挙運動手段につきましては、各級選挙によって差異があるものの、おおむね、選挙運動用自動車等の使用、ビラ、ポスター等選挙運動用文書図画の頒布、掲示、演説会や街頭演説などの開催、選挙公報、政見放送、新聞広告などの手段、またインターネットによる選挙運動などが認められておるところでございます。
 御指摘の候補者の属性による選挙運動の規制の差異ということについては、一般的には、同一選挙区で立候補した候補者間で個人の選挙運動として認められる内容には差異がないと認識しております。ただし、参議院議員選挙につきましては確認団体と推薦団体の制度がございまして、その中では、所属候補者や推薦候補者について、それ以外の候補者については認められていない選挙運動ができるものということもございます。
#24
○井上哲士君 確認団体、推薦団体の話がありましたが、あくまでも候補者個人が行うことができる選挙運動は全て平等とされてきました。
 ところが、本法案は、参議院選挙区選挙の政見放送において、一定要件を満たす政党、確認団体の所属推薦候補のみビデオ持込みを認めることになっております。支出される公的経費も、スタジオ収録の場合の候補者一人当たり七十九万円に対して、持込みビデオの場合の一人当たり四百二十八万円というふうに報告をされております。
 効果的な政見放送の方法を特定の候補だけに認めて公的な費用にも大幅な差を付けるという不平等な措置は、公職選挙法の中に初めて個人の選挙運動の差別、不平等を持ち込むことになっておりますけれども、これは公正、平等を旨とする公選法の基本に反するものではないかと考えますが、提案者、いかがでしょうか。
#25
○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答え申し上げます。
 政見放送の方法を特定の候補者だけに認める、このような措置が憲法あるいは公選法との関係でどうかというような御指摘でございました。
 そもそも憲法につきましては、各候補者が選挙運動の上で平等に取り扱われるべきことを要求してはいるというふうに承知をしておりますけれども、合理的理由に基づくと認められる差異を設けることまで禁止しているものではないということ、このことは既に最高裁判所の判決においても判示されているわけでございます。
 その上で、今回の改正でございますけれども、障害等の有無にかかわらず、できる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにしようというわけでございますが、その場合に、先ほど来出ておりますように、この品位の保持というものをどのように担保していくのかという、この対策が課題となっているというわけでございます。
 そうした観点から、今回のこの政党要件というのは、その線引き、基準といたしまして、現状、最も客観的で、また合理的と考えられる要件だというふうに我々認識をしておりまして、それを用いることによりましてその対策にしようというふうに考えているわけでございます。
 その一方で、無所属候補者の方々につきましては、先ほどもこれは答弁がございましたけれども、今回の改正後におきましても、ビデオ持込みが認められない候補者の方につきましては、これは従来どおりスタジオ録画方式による政見放送を行うことが可能であるだけでなくて、それにプラスいたしまして、この法改正を踏まえて、総務大臣が定める実施規程が改正される、そのことによりまして、スタジオ録画方式の場合であってもNHKで収録したビデオが民放でも使用できる、それと併せまして、手話通訳、これも新たに付けられるようになると、このように承知しておりまして、その差異につきましては必要最小限にとどめようと、そういった努力もさせていただくということを考えているわけでございます。
 こうしたことによりまして、この最高裁の判例に照らして考えましても、これは憲法上許容される範囲内だというふうに考えているところでございます。
 また、公選法上も、現行法で、先ほど出ておりましたが、確認団体、推薦団体の関与の有無でこの選挙運動に差異が現行法上もあるということを考えますと、これもまた許容の範囲内であると、このように認識しているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
#26
○井上哲士君 最小限と言われましたけれども、今までゼロだった差異が広がる、できるわけですね。
 確認団体と推薦団体のことを言われましたけれども、個人の行う選挙運動ということではこれは違う話でありまして、全く理由になりません。
 衆議院では、政党本位の選挙とする考えから候補者届出政党に様々な選挙運動を認めて、政見放送の主体も候補者届出政党といたしました。結果としては無所属候補が政見放送ができないということで問題になってきたわけですが、参議院選挙区の選挙の主体は候補者個人です。現在はもちろん、歴史的にも、政党の公認、推薦を受けない多くの議員が存在をして重要な役割を果たしてこられましたし、この委員会室にもそういう方がいらっしゃるわけですね。
 個人が主体の参議院選挙区選挙に政党本位の選挙である衆議院小選挙区における政党優位の規定を持ち込むということは、市民と政党が同じ立場で共同して候補者を擁立することを可能にしてきた参議院選挙区の選挙の基本であるとか、そして参議院の在り方や歴史等にも私は反するのではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
#27
○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答えを申し上げます。
 今回の改正が、これまでの参院の在り方、歴史との関係でどうかというような御指摘でございましたけれども、今回の改正後におきましても、政見放送において候補者個人の政見が放送されるということにはこれは変わりはないということでございまして、候補者個人本位の選挙の性格を変えようとするものではないということをまず御理解いただきたいと思います。
 その上で、先ほども触れましたけれども、現行におきましても、確認団体あるいは推薦団体の候補者であるかどうかによって選挙運動に差が生じていると、こういった現行法上の位置付けもあるというわけでございます。そういったことから考えますと、この確認団体、推薦団体が関与するかどうかで選挙運動に差が付くということがこの参議院選挙区制度になじまないとか、あるいはこれまでの参議院の歴史においてそごを来すとか、そういったことはないものと、このように理解をしているところでございます。
 以上でございます。
#28
○井上哲士君 先ほど申し上げましたけれども、推薦も公認もない非常に立派な無所属議員はたくさん、現在も過去もいらっしゃいます。一部品位保持が危惧される候補者がいるからといって、そういう人たちも同列して、品位保持ができないという理由でビデオ持込みができないということに私は合理性はないと思いますけれども、最後、いかがでしょうか。
#29
○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答え申し上げます。
 今回の改正は、より多くの国民の方々に候補者の政見がより効果的に伝わるようにするということ、これが主目的であるというふうに認識しているわけでございますが、その際に発生をする懸念、品位の保持というものをどのように担保するかと、こういう発想で制度を考えているところでございます。
 その基準といたしまして、先ほども申し上げましたけれども、現状、最も客観的で合理的と考えられる政党要件、これを使用させていただくことによりましてその対策にしようとするものでございまして、何も無所属候補の方々を一律にその品位保持に懸念があるというふうに申し上げているわけではないということは是非御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
#30
○井上哲士君 時間で終わりますが、結果的にはしかしそういう区別になっているということを申し上げまして、質問を終わります。
 以上です。
#31
○青木愛君 希望の会、自由党の青木愛です。
 本日は、公職選挙法の一部を改正する法律案に対しまして質問をさせていただきます。
 まず、今回の改正案で、参議院の選挙区の選挙の政見放送において持込みビデオ方式を導入するということでありまして、手話あるいは字幕を付与できるようにするという、その趣旨については理解するものでございますけれども、やはり政党所属あるいは推薦の候補者と完全無所属の候補者に差別をつくってはならないと私どもも考えております。全ての候補者に、手話また字幕を付与した政見ビデオを持ち込むことができる、その選択を与えるべきだというふうに考えております。
 まず質問をいたしますけれども、今回、完全無所属候補者をこのビデオの持込みについて対象外とした理由につきまして、政見放送の品位保持という点が挙げられていますけれども、この品位保持とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
#32
○石井正弘君 お答え申し上げます。
 先ほど御質問ございました、完全無所属の候補者、これを対象外とした理由としての品位保持ということについての具体的には何を指すのかというお尋ねと存じます。
 御案内のとおり、公職選挙法の第百五十条の二という規定がございまして、これによりますと、政見放送をするに当たりましては、他人や他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ、善良な風俗を害し、特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をするなど、いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならないと、このように規定されているところでありますが、この品位保持ということは、こういった内容の放送がされないことである、このように考えているところであります。
 より具体的に申し上げますと、これまでもあった事例といたしましては、候補者が差別的な発言をするとか、あるいは性的な発言をした、それをそのまま放送してよいのかどうかと、こういったことが問題になった事例がございました。そのほか、暴力的な表現を内容とするものとか、さらにはヘイトスピーチを内容とするもの、こういったものも懸念されるところであると、このように承知しております。
 以上です。
#33
○青木愛君 まさに今、石井先生おっしゃいました公職選挙法の第百五十条なんですが、日本放送協会、また民間基幹放送事業者は、スタジオ収録であれビデオの持込みであれ、録音したもの、また録画したものはそのまま放送しなければならないという規定があります。
 ただ、そのまま放送しなければならないとありながらも、今先生がおっしゃったその百五十条の二で、ただし書といいますか、本則でありますけれども、繰り返しますが、「他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならない。」とここで定められております。
 そして、この違反者に対しましては、この選挙後、事後に公職選挙法あるいは刑法で処罰の対象になるというふうになっておりますので、これは公認、推薦、無所属にかかわらず一定の品位保持は可能ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
#34
○石井正弘君 お答えいたします。
 確かに、議員御指摘のとおり、そのような規定があるわけでございます。百五十条の二を御指摘をいただいたところでございます。
 ただ、具体的に、罰則が設けられているのはどういうことかということで、御案内のとおり、これは虚偽事項を公表した場合とか、あるいは営業に関する宣伝をした場合などに限られているところであります。一方、刑法の規定を見ておりますと、わいせつ物陳列罪あるいは名誉毀損罪、これはございますけれども、品位を欠く行為というものは実は多様なものが考えられるところでありまして、刑法上、その全てが処罰の対象となるというわけではないところであります。
 このように、品位を欠く行為のうち罰則の対象となるものというものは限られているということから、罰則だけで品位保持ができるとは言えないのではないかと、このように考えているところであります。
#35
○青木愛君 私はこの百五十条の二を、選挙の事前にこの趣旨を徹底をして行うということが大事だというふうに思っております。
 そして、ビデオの持込みが可能となっている衆議院の小選挙区の選挙においては、これは候補者届出政党が持ち込むことになっていて、候補者個人ではありません。今回の参議院選挙区選挙、この改正案においては、候補者個人がビデオの持込みを可能とするものでありますので、政党に所属している者であれ完全無所属の者であれ、候補者自身がビデオを持ち込むという原案になっておりますので、なおのこと、これは政党に所属しているから品位を保持できる、無所属だから品位を欠くという判断にはならないのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#36
○石井正弘君 お答えをいたします。
 今回の改正、結論から申し上げれば、無所属の候補者は品位を保てないと、こういった発想によって行うものではございません。
 御説明申し上げますと、持込みビデオ方式でありますけれども、これは、収録をしているときに放送事業者などの周囲の目がありますスタジオ録画方式、これとは異なりまして、収録時には必ずしもその周囲の目があるとは限らないということがまず一点言えるかと思います。もう一つ、スタジオ録画方式と比べますとこれは自由度が高いということなどを踏まえますと、著しく品位を欠く表現がされる懸念がより高まるというように考えているところでありまして、これは政党の公認とか推薦を受けない候補者であるかどうかということにかかわらず生じる懸念であると、このように考えております。
 また一方、テレビという媒体は強力な影響力を有しております。また、品位を欠く政見放送が行われた場合におきましては、もう放送されてしまうわけでありますから、被害回復ができないといったことを踏まえますれば、品位を欠くものが放送されることはこれは避けなければならないと、このように考えるところでございまして、こうしたことから、政見放送の品位保持のために、品位を損なうようなことが考えにくい場合に限って持込みビデオ方式を認めることが適切であると、このように考えているところであります。
 こういった点、政党要件を満たす確認団体又は推薦団体の所属候補者又は推薦候補者については、政党に所属している者であればその政党の規律が及んでいると、このように考えられるところでありますし、また政党の推薦候補者でありますれば、実際上は政党が持込みビデオを確認した上で推薦団体となると、このように考えられるわけでありまして、こういった形で国民の一定の支持を受けている政党が関わることで品位を欠く表現がされる懸念を解消することができると、このように考えた次第でございます。
#37
○青木愛君 時間がありませんので。
 無所属だから品位を欠くという明確な理由はなかったと思っております。そして、参議院選挙は衆議院選挙と異なりまして、参議院の良識の府、再考の府にふさわしい候補者が選ばれる制度でなければなりません。政党所属候補者と無所属候補者に選挙における有利不利があってはならないと考えます。
 先ほど、事例、事案があったということの御紹介もありましたけれども、やはりこうした候補者に、その選挙の条件に差があること、不公平な選挙を行うことの方がむしろ問題だということを指摘申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
#38
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
 まずもって、提案者の各位の御尽力には敬意を表します。
 今回の手話、字幕を参議院選挙区選挙の政見放送に取り入れることには賛成です。全ての候補者に持込みビデオを認める立場で質問いたします。
 従来、良識の府たる参議院においては、選挙運動などの選挙制度改革について、全ての会派の合意を得るべきとの考え方があったと記憶しております。今回、既に反対を表明する会派がある中で、このような御提案に至ったことは極めて残念なことと言わざるを得ません。
 提案者の先生方は、今回の全会派の合意がないまま御提案に至った点について、どのような御見解をお持ちでしょうか。
#39
○牧山ひろえ君 お答えいたします。
 公職選挙法の改正で、とりわけ選挙運動の自由度を高める改正につきましては全会一致で行われることが多かったと承知しておりまして、二年前に、この改正案について当委員会の理事懇談会で検討したときには、委員長提案とすることについて一部会派の賛同が得られなかったことから、法案の提出自体を見送ったということがありました。今回も、二年前と同様に、全会一致となるよう協議を重ねてまいりまして、政党要件を課す以外に政見放送の品位保持が可能となる仕組みが考えられないのか、このことについても検討をいたしましたけれども、妙案は見当たらなかったところでございます。
 このような中で、次回の参議院通常選挙が来年に迫っております。政見放送に手話通訳も字幕も付与できないという状況を放置するわけにはいかず、それまでに参議院選挙区選挙における持込みビデオ方式の導入という喫緊の課題を解決するために、やむを得ず、一部の会派の賛同を得られない状態で法案の提出に至ったものでございます。
 全ての会派の合意を得られる見込みがないことは非常に残念ではありますけれども、このような事情がありまして、是非御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。
#40
○伊波洋一君 本法案における政見放送について、政党所属候補者等が持込みビデオ方式を利用できる一方、無所属候補は従来どおりスタジオ録画方式に限られます。さきの二〇一六年参議院選挙でも、全候補者二百七十八名中、政党所属等の候補が百八十一名、無所属が九十七名です。三分の一の無所属候補に不利益をもたらすものではないかと危惧をしております。
 政見放送における品位の保持を理由に、個人の立候補である参院選挙区選挙で立候補者の権利に制限を加えることは、参政権や選挙の平等を定めた憲法上の問題はないのでしょうか。
#41
○牧山ひろえ君 お答えいたします。
 憲法は、各候補者が選挙運動の上で平等に取り扱われるべきことを要求しています。ですが、合理的理由に基づくと認められる差異を設けることまで禁止しているものではなく、このことは最高裁判所の判決においても認められております。
 持込みビデオ方式を導入した場合に、全ての候補者に持込みを認めると、品位を欠くビデオが持ち込まれる懸念がありまして、放送事業者はこれをそのまま放送しなければならないと規定されていますことから、そのようなことが考えにくい一定のものに限って持込みを認めることが適切であると考えております。
 この点ですが、衆議院小選挙区選挙におきましては、従来から候補者届出政党に限って政見放送が認められ、品位を損なうようなことは考えにくいことも理由として持込みビデオ方式が可能でありまして、その実績に照らすならば、参議院選挙区選挙においても、同様の要件を満たす政党の所属候補者や推薦候補者であれば政見放送の品位を損なうようなことは考えにくいのではないかと思います。
 また、今回の改正案でも、改正後でも、持込みが認められない候補者は従来どおりのスタジオ録画方式による政見放送を行うことが可能であるだけではなくて、法改正を踏まえて、総務大臣が定める実施規程が改正されることによって、スタジオ録画方式の場合であってもNHKで収録したビデオが民放でも使用できるようになるとともに手話通訳が付けられるようになると承知しております。持込みが認められるものと認められないものとの差異はそれほど大きいとは言えません。
 このように、選挙運動の一部を成す政見放送について、一定の要件を満たす政党の所属候補者や推薦候補者に限って持込みを認めることとしましたのは合理的な理由に基づくものであり、憲法に違反しないと考えます。
#42
○伊波洋一君 持込みビデオとスタジオにはかなりの差が出ると思いますが、今、その品位という、政見放送における品位の保持ということを理由に約三分の一の無所属候補の権利を制限をするということであるわけですが、一体その品位を欠くビデオの出現率をどの程度想定して、このような制限を加えようとしているのでしょうか。
#43
○足立信也君 今の御質問に対して明確に数値を示すことは困難であります。正直に申し上げてできません。
 しかし、過去の事例を振り返りますと、昭和五十八年、それから二年前の東京都知事選において、やはり現場でのスタジオ録画ではありますけれども、やはりそこに手を加える必要性が生じたことがございました。それに対して、これは法律違反ではないかということで訴訟が起こされたことがございます。それを考えますと、それよりは自由度の高いビデオの持込みということになりましたら、その件数は過去の二例よりも多く生じることが私は考えられると思います。
#44
○伊波洋一君 その出現率は想定はされていないということでありますのでこれ以上お聞きしませんけれども、しかし、三分の一の無所属の候補者を制限するだけの理由になるかどうかということは極めて疑問であります。
 二〇一七年衆議院選の持込みビデオにおいて、手話、字幕の挿入は、全三百七本中、手話百本、字幕二百七十八本であり、圧倒的に字幕のニーズが高いのが事実です。しかし、改正案のスタジオ録画方式では、手話通訳は付けられるが、字幕の挿入には対応できないということであります。極めて大きな差になってまいります。
 聴覚障害をお持ちの方向けの字幕放送も一般化しています。スタジオ録画方式にも字幕付与が望まれますが、実現はできないのでしょうか。
#45
○牧山ひろえ君 お答えいたします。
 先日、放送事業者から、参議院選挙区選挙の政見放送に字幕を付与できない事情についてヒアリングを行いました。ですが、その際に聞いた話では、政見放送に字幕を付与するためには、そのための設備や技術スタッフなどの体制が整っている必要がありまして、現在のところ、そのような設備や体制が整っているのは東京などに限られておりまして、地方の各放送局では設備や体制が整っていないため字幕を付与することができないということでした。
 もっとも、今回の改正で持込みビデオに字幕が付与できることとなる一方で、スタジオ録画の場合には字幕が付与できないという状況を放置すべきではないと考えております。そして、技術の進展が目覚ましい今日においては、そう遠くない将来には各放送局のスタジオで政見放送を録画する場合にも字幕を付与できるようになることが期待できるのではないかと聞いておりますし、私も考えております。
 このため、政府においては、スタジオ録画による政見放送における字幕の付与に向けて、放送事業者と連携して課題の克服に向けた検討を行って、その実現に是非努めていただきたいと考えています。
#46
○伊波洋一君 質問終わりますけれども、やはり全ての候補者にとって同等な権利がある、行使できるような選挙制度であるべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#47
○委員長(石井浩郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について青木君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。青木愛君。
#48
○青木愛君 私は、本法律案に対し、希望の会(自由・社民)、沖縄の風を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 本法律案は、いわゆる持込みビデオ方式の導入を政党要件を満たす確認団体又は推薦団体の所属候補者又は推薦候補者に限っておりますが、参議院選挙区選挙については、政党への所属の有無等にかかわらず、全ての候補者が平等に持込みビデオ方式を選択できるようにすべきであります。
 このため、本修正案は、参議院選挙区選出議員の選挙における政見放送について、自ら政見を録音し又は録画することができる候補者の範囲を限定せず、日本放送協会及び民間基幹放送事業者は、その録音し若しくは録画した政見又は候補者が録音し若しくは録画した政見をそのまま放送しなければならないものとするものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 以上でございます。
#49
○委員長(石井浩郎君) 本案及びただいまの青木君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両案に対する意見を聴取いたします。野田総務大臣。
#50
○国務大臣(野田聖子君) 公職選挙法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては特に異議はございません。
 また、公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
#51
○委員長(石井浩郎君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#52
○井上哲士君 日本共産党を代表して、公職選挙法改正案に反対、修正案に賛成の討論を行います。
 本法案は、参議院選挙区選挙の政見放送において、手話、字幕を付けることなど、多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにするために、一定要件を満たす政党、確認団体の所属推薦候補のみにビデオ持込みを認めるものです。
 主権者国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにするための改革は必要です。ビデオ持込みもその一つです。同時に、その改革は、民主主義の土台となる選挙において、選挙運動の公正と候補者間の平等という公職選挙法の大原則に沿ったものでなければなりません。
 参議院選挙区選挙の主体は候補者個人であり、公職選挙法では、候補者個人が行うことができる選挙運動は全て平等とされております。一方、衆議院小選挙区では、政党本位の選挙とする考えから、候補者届出政党に様々な選挙運動を認め、政見放送の主体も候補者届出政党としてきました。
 法案は、こうした衆議院小選挙区制の政党本位の規定を持ち込み、効果的な政見放送の方法を特定の候補だけに認め、候補者一人当たりの公的な費用にも大幅な差を付けるものであります。初めて候補者個人の選挙運動の不平等を持ち込み、公選法の原則に反するものと言わなければなりません。
 これまでも現在も、この参議院には、どの政党にも所属せず、推薦も受けなかった無所属議員がおられ、重要な役割を果たしてこられました。個人が主体のこの参議院選挙区選挙に政党要件を持ち込むことは、市民と政党が同じ立場で共同して候補者を擁立することに困難をもたらし、参議院の在り方や歴史にも反するものであります。
 政党の公認、推薦候補は品位保持ができるが、公認、推薦を受けない候補者は全て品位保持できないとしてビデオ方式を認めないことに合理性があるのか。そのことは、参議院の在り方、歴史にも反すると言わなければなりません。
 修正案はこうした問題をなくすものであり、賛成であります。同時に、全ての候補者に認めた場合に、品位の保持の担保についてどうするのか、更に議論を進めることも必要だと考えます。
 そのことを述べまして、以上、討論といたします。
#53
○伊波洋一君 沖縄の風を代表して、参議院選挙区選挙における政見放送について、候補者の範囲を限定せず持込みビデオ方式を導入する修正案に賛成、政党所属候補に持込みビデオ方式を認め無所属候補にはスタジオ録画方式のみを認める原案に反対の討論を行います。
 まずもって、提案者各位の御尽力には敬意を表します。
 参議院選挙区選挙における政見放送について、手話通訳、字幕の付与を可能にするとの趣旨には賛同できます。また、一部の無所属候補には持込みビデオ方式を利用できる可能性もあるなど、御配慮いただいた点は評価したいと思います。
 しかし、そもそも持込みビデオを採用するに当たり、政見放送における品位を保持しなければならないという利益と、立候補の利益、参政権の平等原則とを比較して、前者が重いとは考えられず、憲法上の疑義を払拭できません。全ての候補者が平等に取り扱われるべきだと考えます。
 持込みビデオ方式において、独自のタイトルの付与、BGMの使用、背景の使用、ナレーションの付加、政見演説以外の文言を含む独自の字幕の付加、候補者以外の映り込みなども現行の衆議院の制度では可能とのことです。スタジオ録画方式とクオリティーに大きな差が付く可能性もあります。
 政党所属候補に比較して無所属候補を不利益に取り扱うことは、国民の立候補、政治への参加にハードルを設けることです。現在、国民の多数が無党派層という現実を軽視すべきではありません。本改正は、国民に既成政党のお手盛りとも映りかねないもので、結果的に国民の政党不信、政治不信を招くことも懸念されます。
 従来、本院においては、選挙運動などの選挙制度改革について、全ての会派の合意を得るべきとの考えがあったはずです。今回、御提案者において様々な意見の反映、調整に努めてこられたことには敬意を表しますが、既に反対を表明した会派がある中でこのような提案に至ったことは極めて残念であると言わざるを得ません。
 以上申し述べ、修正案に賛成、原案に反対の討論といたします。
#54
○委員長(石井浩郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより公職選挙法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、青木君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#55
○委員長(石井浩郎君) 少数と認めます。よって、青木君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#56
○委員長(石井浩郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、石井準一君から発言を求められておりますので、これを許します。石井準一君。
#57
○石井準一君 私は、ただいま可決されました公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、公明党、国民民主党・新緑風会、立憲民主党・民友会、日本共産党、日本維新の会、希望の党及び沖縄の風の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、政見放送が候補者及び政党の政策等を伝える重要な手段であることに鑑み、障がい等の有無にかかわらず有権者が政見に接することのできる環境の一層の向上のため、参議院選挙区選出議員選挙のスタジオ録画方式による政見放送における字幕付与の導入に向け、放送事業者と連携して課題の克服に向けた検討を行いその実現に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
#58
○委員長(石井浩郎君) ただいま石井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#59
○委員長(石井浩郎君) 全会一致と認めます。よって、石井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、野田総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田総務大臣。
#60
○国務大臣(野田聖子君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
#61
○委員長(石井浩郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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