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2018/03/23 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第4号
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2018/03/23 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第4号

#1
第196回国会 法務委員会 第4号
平成三十年三月二十三日(金曜日)
   午後一時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     石井 苗子君     片山 大介君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     片山 大介君     石井 苗子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川 博崇君
    理 事
                中西 健治君
                山田  宏君
                真山 勇一君
                若松 謙維君
    委 員
                岡田 直樹君
                福岡 資麿君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                山谷えり子君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                石井 苗子君
                有田 芳生君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  山下 貴司君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   安東  章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      渡邉  清君
       内閣府大臣官房
       政府広報室長   原  宏彰君
       内閣府男女共同
       参画局長     武川 恵子君
       警察庁長官官房
       審議官      小田部耕治君
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     古市 裕久君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       法務省民事局長  小野瀬 厚君
       法務省刑事局長  辻  裕教君
       法務省矯正局長  富山  聡君
       法務省保護局長  畝本 直美君
       法務省人権擁護
       局長       名執 雅子君
       法務省入国管理
       局長       和田 雅樹君
       財務省理財局次
       長        富山 一成君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成三十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成三十年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成三十年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管及び法務省所管)
    ─────────────
#2
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、石井苗子君が委員を辞任され、その補欠として片山大介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(石川博崇君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官渡邉清君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(石川博崇君) 去る十九日、予算委員会から、三月二十三日の一日間、平成三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○元榮太一郎君 自由民主党・こころの元榮太一郎でございます。
 質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。
 まず一つ目でございますが、司法試験合格者数の見直しの必要性についてということでございます。
 司法試験合格者数は長らく五百人ぐらいの推移を見せておりましたが、一九九〇年代から徐々に増えてきまして、私が合格した一九九九年にほぼジャスト千人ということになりまして、その後更に増加をしていくということになります。
 平成十四年三月に閣議決定された司法制度改革推進計画では、今後法曹需要は量的に増大することが予想されるということを前提としまして、平成二十二年頃に合格者数を年間三千人程度にするということを目指すとされておりました。実際には二千人を超える水準で推移をしていたのが近年でございまして、そんな状況でございます。
 しかし、お配りの資料一でございますが、これは全裁判所の新受全事件数の推移ということでございまして、最高裁のデータを基に作成したものでございますが、この裁判所で受け付ける事件の数の推移というものが平成十七年から二十五年に至るまでどんどんと減少をしていると、減少傾向が見て取れます。そして、その後、平成二十六年からはほぼ年間三百五十万件程度で推移をしていると、こういうような状況でございまして、弁護士需要というのは広がっていなくて、供給が多過ぎるのではないかと、こんな指摘が出てくるようになってまいりました。
 そこで、御存じのとおり、平成二十七年六月に法曹養成制度改革推進会議において法曹養成制度改革の更なる推進についてを決定をし、合格者数を当面千五百人程度とすると、このような取組を決定をいたしました。そして、昨年、平成二十九年の合格者数は千五百四十三人ということになっております。
 そこで御覧をいただきたいのが資料の二ということになりますが、こちら、平成三十年の二月二十六日付けの日本経済新聞の記事ですが、私もこれを見て、おやっというふうに思ったわけであります。赤線部分を読んでいきますが、国内の弁護士数が初めて四万人を超えた。二〇〇二年の司法制度改革推進計画により法曹人口が増え、十五年で二倍になりました。一方で、企業が弁護士を採用したくても集まらない、地方に若手弁護士が根付かない、こういった声も聞かれると。
 そして、弁護士の年次構成で見ますと、一七年三月末時点では登録十年以内の若手がほぼ半数。企業で社員や役員として働くインハウス、企業内弁護士が目立つとなっておりまして、一七年六月時点で九百三十七社に計千九百三十一人の弁護士が働いて、十年前に比べ、社数、人数とともにほぼ十倍に増えたと、こういうようなことになっております。しかし、需要には応え切れていないということで、やはり企業統治の強化、そしてMアンドA対応などで法務対応の重要性が高まって、採用したくても希望者が集まらないと、こういうような報道になっています。
 そして、地方では若手不足も指摘されまして、新人弁護士は司法修習を終えた毎年十二月に、全国五十二の弁護士会のいずれかに一斉登録するのが通例ですが、足下で新人登録ゼロの弁護士会が地方に複数ある、一年前より増えたということです。これ調べましたところ、釧路弁護士会、函館弁護士会、高知県弁護士会ということで、何とこの高知県に至っては三年連続登録がゼロということになっているようです。そしてまた、地方で最初に弁護士実務をスタートしても、それから東京に移る弁護士も目立つというようなことも書かれております。こういうような中で、弁護士需要の高い分野や地域には弁護士が供給し切れておらず、偏りがあるのが実情だということに、そんな記事になっております。
 もう一枚の資料三も同じような内容の記事であります。日本経済新聞の平成二十九年八月二十一日付けでありますが、全部はお読みいたしませんが、合格者数が減り過ぎたということで、検事と裁判官、既存の法律事務所の固定需要にすら足りなくなっているというような発言もここで言及されているということであります。
 このような形で、やはり企業内弁護士の急増というのがこの十年間における大きなトレンドだと思っておりまして、二〇一七年までの十年間で千七百人以上増えていますので、大体一年間に百七十人程度企業内弁護士になっているというような状況が今展開されております。
 そしてまた、首都圏や大都市の大手の法律事務所も採用を実は活発化しておりまして、一度リーマン・ショックで大きくへこんだのでありますが、その後また活力を取り戻しまして、資料四にありますとおり、いわゆる五大法律事務所と言われる大規模法律事務所、これは企業法務をメーンと扱っておりますが、おおむね、これは七十期の採用というのですから昨年の十二月に登録した弁護士たちだと思いますが、前期比でほぼプラスと、かなり大幅にプラスになっております。この七十期という修習期終了者全千五百六十三人のうち百八十九人を占めていて、全体の一二%を占める割合となっているということであります。
 これまでは弁護士イコール裁判というようなイメージが強く、一般の方もまだそのようなイメージがあるかと思うんですが、かなり活躍のフィールドが広がってきているのではないかなというふうに思っています。
 こういうような企業法務弁護士、企業内弁護士の分野、あとは民事に関しても、やはり裁判所に行く前の裁判外の示談交渉で解決するような、そんなケースも増えてきたのではないかなというふうに思います。インターネットで弁護士、離婚、例えば離婚分野で検索をしますとずらっと法律事務所が出てきますので、かなり早い段階で双方に弁護士が付いて弁護士の関与率が高まりますので、そうすると、大体調停や裁判まで行くとこのような形になるよと見通しが示されますから、じゃ、裁判外で解決しようというような形であります。
 そして、国や自治体で働く弁護士も非常に増えております。
 こうした裁判所を利用しないために司法統計には表れにくい司法領域において弁護士需要が増加しているんじゃないかなというような印象を受けますが、法務省はどのような御認識でしょうか、伺います。
#7
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 現在、企業や国の機関など社会の様々な分野で活躍する法曹有資格者の数、着実に増えておりまして、委員御指摘のとおり、特に企業内弁護士の数は大幅に増加している状況が見受けられるところでございます。
 他方、これも委員から御指摘があったところでございますが、全国の裁判所における民事訴訟事件の新受件数や、あるいは弁護士会が実施している法律相談の件数、これは平成二十一年のピーク時から減少を続けた後、近年は横ばいか僅かな増加にとどまっており、民事訴訟事件が一般に複雑困難化しているという傾向は認められるものの、弁護士の需要が総体として増加しているかどうかにつきましては、現時点で一概に申し上げることは困難でございます。
 もっとも、法務省といたしましては、社会の法的需要に応じ、質、量共に豊かな法曹を養成することが重要と認識しておりまして、より多くの質の高い法曹が社会の様々な分野で活躍する状況が実現することを目指して、まずは引き続き法曹人口の在り方に関する必要なデータの集積等に努めてまいりたいと考えております。
#8
○元榮太一郎君 今御答弁にもありましたとおり、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され活躍する状況になることを目指すべきであると。こちらについては、先ほどの法曹養成制度改革の更なる推進についてにおいても明確に言及されているところであります。
 私としては、今お話ししましたように、司法統計に表れにくい新しい法曹ニーズというものがかなり顕在しているかと思いますので、いろいろな現状もあるかと思いますが、司法試験合格者数を例えば従前水準の二千人ぐらいに戻していくということも検討するべきではないかと思います。まずは調査が大事だと思いますが、この合格者数の従前水準に戻すということについての御見解を伺いたく思います。
#9
○国務大臣(上川陽子君) 現状における適正な法曹人口の在り方につきまして、数も含めまして様々な御意見があるということでございます。
 先ほど委員から言及していただきました政府の法曹養成制度改革推進会議決定におきましては、法曹人口の在り方につきまして、新たな法曹を年間千五百人程度は輩出できるように必要な取組を進め、さらにはこれにとどまることなく、社会の法的需要に応えるため、より多くの質の高い法曹が輩出される状況を目指すべきということがまとめられたところでございます。
 法務省といたしましては、この推進会議決定を踏まえながら、文部科学省等の関係機関、団体の協力を得ながら、委員御指摘の様々な法曹人口の在り方に関する必要なデータの集積をしっかりと図り、また、文科省等におきましては法科大学院改革、こうしたものも進められているということでございますので、こうしたことも含めまして、一定の必要なデータの集積を生かした形で、今後とも、国民の法的需要に十分に応えることができる法曹の輩出規模はどのレベルかということにつきまして、必要な検証をしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。
#10
○元榮太一郎君 上川大臣、ありがとうございます。まずは調査が大事だと思います。
 そしてまた、その法曹人材確保の強化拡充という意味では、大臣も今言及されました法科大学院の改革というところも重要だと思います。私も、例えば在学中の受験を可能にしたらもっと法曹資格を取得するまでの期間が短縮されるし、法科大学院を修了した後の空白の八か月という、奨学金も何も、身分もないと、こういうような状況があるとか、こういった点も一つ一つ手当てしていくことでもっともっと豊かな法曹を引き付ける魅力となりますと思っておりますので、今日お話しした合格者数の点も含めまして、是非とも前向きに、現実的な対応をお願いしたいなというふうに思います。
 続きまして、司法修習生のいわゆる谷間世代の救済の必要性についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 こちらは、昨年の百九十三回国会におきまして修習給付金制度というものを創設することなどを内容とする裁判所法の改正が行われました。昨年十一月末に修習を開始した第七十一期生から月額十三万五千円と、基本給付金、その他、住居給付金、移転給付金、こういったものが制度化されまして、これは法曹養成制度の改革においては大きな前進であったと思い、心から敬意と感謝を表したいと思います。
 その一方で、この貸与制に移行した後の新六十五期から七十期というまでの貸与制の利用者、八千百六十一人いるということですが、給付の対象となっていないということで、いわゆる谷間世代ということになるわけですが、やはり経済的な負担が給付制世代と比べて重くなるというところで何らかの救済措置をいただけないものかなと私は思っておりまして、昨年の四月十八日の法務委員会でも御質問をさせていただきました。
 本年の七月末に、大体、平均三十万円の年額一括払いの時期がやってまいりまして、実はこの新六十五期の弁護士、知り合いいるんですが、もしかしたら変わるんじゃないかと、ちょっと難しいかもしれないという話もしたんですが、みんな期待して七月末まで待っているんですね。そのくらい、実はこの谷間世代にとっては非常に関心の高いテーマであります。
 時期が迫っていることもありまして、再び御質問をさせていただきますが、新六十五期から七十期までの修習生に対する救済措置はその後御検討をいただけましたでしょうか。
#11
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 従前の貸与制下で司法修習を終えられた方につきましては、昨年の裁判所法改正において創設された修習給付金制度の対象とならないことから、何らかの救済措置を講ずべきという御意見があることは承知しております。
 この点、修習給付金制度の制度設計の際にも検討されたことでございますが、既に修習を終えている方に対して国の財政負担を伴う事後的な救済措置を実施することにつきまして国民的な理解を得ることは困難と考えられますし、仮に何らかの救済措置を実施するとしても、従前の貸与制下において貸与を受けていない者等の取扱いをどうするかといった制度設計上の困難な問題もあるということでございまして、これらの事情につきましては委員の御質問に前回お答えしたときから変更はなく、現時点においても、従前の貸与制下の司法修習を終えた者に対して御指摘の貸与金の一部免除あるいは一律の返済期限の猶予、長期化等の救済措置を講じることは予定していないということでございます。
 なお、従前の貸与制下の司法修習を終えた者が経済的な事情により法曹としての活動に支障を来すことがないようにするための措置といたしまして、貸与金の返還期限の猶予も制度上認められております。すなわち、災害、傷病その他やむを得ない理由により返還が困難となった場合や返還が経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由がある場合には、貸与を受けた者は最高裁判所に対して個別に貸与金の返還期限の猶予を申請することが可能となっておりまして、個別の申請に対しては最高裁判所が適切に判断されるものと承知しているところでございます。
#12
○元榮太一郎君 まあそういうような御答弁であります。
 資料五にもあるんですが、大学、法科大学院在学中の貸与型奨学金の債務額、これは司法修習生を対象としていますが、平均値は三百六十三万円ということで、まず大学、法科大学院でこれだけの奨学金を借りています。それに加えまして貸与の債務額がおおむね三百万ということですので、六百万円以上の債務を負って社会に出るということで、さらに、この資料の五にもありますとおり、右側なんですが、一年目時点の所得の平均値は三百五十四万円ということになっておりまして、なかなか厳しい状況にあるというその現実は御認識いただきたいなと思っております。
 例えば、年額一括よりも本当は月額分割で平準化してもらった方が何とか頑張れるぞというような最低ラインもあるわけですね。あとは分割期間の長期化、やはり十年で返さなければならないというのはちょっとなかなか、一年間三十万円は結構大きい金額ですので、何か柔軟な方策を通じて、やはり今一番近い、若い法曹世代がより生き生きと活躍しているということが法曹人材確保の強化拡充につながると思いますので、再び改めて御検討いただきたいなというふうに申し上げさせていただきます。
 そして、もう一つでございますが、遺言による相続の円滑化についてお尋ねしたいと思います。
 人がお亡くなりになったとき、その方の相続人が被相続人が遺言を残したかどうか分からないときに、その遺言の有無を調べる方法というものはあるのでしょうか。
#13
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 民法上、普通の方式による遺言といたしましては、自筆証書遺言、公正証書遺言、それから秘密証書遺言という方式がございますが、このうち公正証書遺言と秘密証書遺言につきましては、亡くなった方が生前遺言書を作成していたか否かを各地の公証役場において調べることができることとなっております。他方で、自筆証書遺言につきましては、現行法の下では網羅的にこの遺言書の保管の有無を検索する方法はございません。
#14
○元榮太一郎君 御答弁にありましたとおり、公正証書遺言は公証役場で検索できるということです。
 私の弁護士時代の経験でも、公正証書遺言が作成されても、それが相続人に気付かれなくて、結果として故人の遺志が尊重されずに遺産分割手続が行われてしまったということも例としてありました。また、その後、遺言が見付かって遺産分割をやり直しということもありました。
 ということで、ほかの相続を扱う弁護士に聞いても、そのようなことというのはよくあるよということなんですが、公正証書遺言でもそうですから、自筆証書遺言の場合も、そのまま気付かれないで相続手続が行われる例というのは割合的に多いというような印象を受けています。
 そこで、今回、内閣提出の予定ですか、法務局における遺言書の保管等に関する法律案によって自筆証書遺言の保管制度ができる、これは紛失や偽造を未然に防ぐために本当に大きな前進だと私も思っております。しかしながら、この法律案のとおり運用を開始するとしても、やっぱり死亡届が自治体に提出されたときに法務局や公証役場にその情報が提供されて、さらにそれが相続人に通知されるような仕組みがなければ、また相続人が気付かない状態で遺産分割ということが起こり得るのではないかなというふうに思っております。
 そこで、自治体と連携して法務局と公証役場にそういう死亡情報が通知されるような仕組みを設けるべきなんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
#15
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 ただいま委員が御指摘になりました法務局における遺言書の保管等に関する法律案でございますが、この法律案におきましては、法務局において自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度を設けているわけですが、この制度の下では、公正証書遺言の場合と同様に、相続人等が法務局における自筆証書による遺言書の保管の有無を照会できることとしております。さらに、相続人等のうちの一人が遺言書の写しの交付を受けたりあるいは閲覧をした場合には、法務局が他の相続人等に対しても遺言書が保管されている旨を通知することとしておりまして、そういった意味では相続人が遺言書の存在を認識できるような措置を講じているところでございます。
 ただいま委員が御指摘されました、死亡届の提出があった場合に公正証書遺言あるいは自筆証書遺言の遺言者の相続人に通知をすると、こういうことにつきましては、現在のところでは法的な面あるいは技術的な観点から直ちに実現するということは困難でございますけれども、利用者の利便性の向上は重要な課題であると考えられますから、今後、前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
#16
○元榮太一郎君 一生に数度あるかないかの相続でありますから、やはり一般の方々にとってみると、自分から法務局、公証役場に照会するというのはかなり至難の業だと思うんですね。そういった意味では、現実的に困難だとしても、こちらから広報を促進する。具体的には、今、相続登記については、それを促すリーフレットというものを全国七割以上の市町村窓口で配布中だと伺っておりますので、それと併せて、お亡くなりになった際に法務局、公証役場に照会してみたらいかがでしょうかというような形で広報を促進するというのはいかがでしょうか。
#17
○政府参考人(小野瀬厚君) 委員御指摘のとおり、そういった広報というのは非常に有効だというふうに考えられます。この法律案によりまして創設いたします法務局における自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度、あるいは公正証書遺言の制度につきましては、死亡届を提出したとき等に相続人がこれらの制度の存在を認識することができるように、効果的な広報に努めてまいりたいと考えております。
#18
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 遺言というのは、亡くなった方の基本的人権の一つである財産権の人生における最後の行使なんじゃないかなというふうに思っておりまして、やはり憲法の趣旨に応えるためにも、この遺言制度というものをより円滑かつ適正にしていくというのは大事なことだと思いますので、引き続き前向きな取組をお願いしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#19
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫です。
 まず、財務省に先にお尋ねいたします。
 今、森友学園に対する国有地の払下げ決裁書の改ざんということがあったということで大変な論議を呼んでおりますが、実は私ですが、昨年の二月下旬頃、予算委員会の質問が三月一日ですか、これにあるんで、その準備としてこの売払い決裁書、これを提出していただきたいというふうにお願いしましたところ、その職員から、いや、決裁書はありますけれども、判こが押してある紙一枚のもので中身は何にもありませんけれども、そんなものでもよろしいですかというふうに言われまして、いや、そういうことはない、普通、決裁書というと中身があるものなんだけどと言っても、いや、財務省ではそういうものなんで一枚しかないということで、とにかく、じゃ、出してくれと言われた結果、その表紙一枚のものを決裁書として提出受けたと、こういうことがございました。
 これについては、先般、その担当者の後任の方から大変失礼なことをいたしましたという謝罪があったんですが、私は、その担当者一人の判断でぺら一枚の決裁書、つまり決裁書の表紙だけ私に出して中身を渡さないということをその担当者一人の判断でしたことではなくて、やはりこれは理財局なり財務省としての組織的な議論、内部での議論があった上で決裁書の中身を提出しないで出したのではないかというふうに私は思うんですが、そこら辺のところ、今回、その改ざん問題について財務省内で調査していずれ報告をいただけるということでありますので、やはり私は、その背景においては、結局、決裁書の中身を国会議員に見せない、質問の準備にも使用させないということでは共通するものがありますので、このことについてもしっかりと調査して報告をしていただきたいと思っておるんですが、いかがでしょうか。
#20
○政府参考人(富山一成君) お答えをいたします。
 今委員御指摘の時期、昨年の二月、三月頃でございますけれども、連日国会議員の方々からの様々な御質問あるいは資料要求といったものを頂戴していた時期であります。そういったこととの関係での事実確認などの作業に追われていたということでございます。議員への質問取りあるいは資料要求への対応ということにつきましても、理財局内の様々な者が総出で対応していたところでございます。
 そうした状況の下で、様々な決裁文書、売払いといった御指摘でございましたが、そういったもの以外の様々な決裁文書の国会等への提出に当たりまして、決裁文書に含まれます不動産鑑定評価書あるいは契約書などいわゆる決裁文書を構成する重要な書類につきまして、順次、情報公開の非開示事由に該当するかどうかの作業を行っておりました。そういった中で、順次整ったものからお示しをしてきたところでございます。
 御指摘の売払決議書につきましては、すぐには全体を把握して提出できる状況にはなかったのではないかと考えております。そうした状況の下で、当時御下問を受けた者が、まずは取り急ぎ鑑を一枚でございましたが、これをお持ちして、その後、決裁文書全体をお持ちするといった対応をせずにそのままにしてしまったことが考えられるというふうに思っております。
 ただ、この点につきましては、委員から何回か御指摘を受けておりますので、そこで改めて調査と申しますか、当時、委員のレクを担当していた可能性のある者に確認を行いましたが、恐縮でございますが、当時の対応の詳細については覚えていないということでございました。
 いずれにいたしましても、委員がおっしゃるような対応があったとすれば大変失礼な対応でございまして、おわびを申し上げたいと思います。今後、このような対応が生じることのないよう徹底してまいりたいと考えております。
#21
○小川敏夫君 あったとすれば申し訳ないというと、あったということをお認めになったわけじゃないんで、私もそれは現場を録音、録画しているわけじゃないから、そんなことがないと言われれば客観的な証拠があるわけじゃないんですけれども、ただしかし、現実にぺら一枚の決裁書もらって、後からこういう状況の中で驚いておるというのが事実経過でありますので、改めて、私は担当者、名前は知りませんけど、顔を見ればすぐ分かりますので、そうしたことも踏まえてしっかりとした調査をしていただきたいと思います。
 次に、夫婦別姓制度の世論調査のことについてお尋ねいたします。
 内閣府ですけれども、まず、この世論調査の対象者の選定方法及びその調査の聞き取り方法、これについて御説明いただけますでしょうか。
#22
○政府参考人(原宏彰君) お答え申し上げます。
 世論調査のサンプルにつきましては、いわゆるランダム抽出ということで、住民基本台帳を基本にいたしまして、全国から年齢の人口構成を比例いたしまして抽出をいたしているという次第でございます。
 それから、調査方法でございますけれども、調査会社に委託をしておるわけでございますけれども、そこの調査員が御自宅に訪問をいたしまして、そちらで調査員が伺った時点で、それから質問を読み上げまして回答いただくという、そういうやり方をやってございます。
 以上でございます。
#23
○小川敏夫君 この世論調査の結果、非常に特異な結果が出ておりまして、七十歳以上ですと別氏制度取り入れる必要ない、つまり反対の人が五二%、六十歳以上ですと三三%と。しかし、十八歳から五十九歳までは全て二〇%未満といって、年齢層によってかなり特異な差が出ているという結果が出ております。
 それで、今調査方法を伺いました。抽出した対象者はアトランダムにやったんだから公平なばらつきでしょうけれども、実際の調査は訪問して直接聞き取るとなると、やっぱり高齢者ほど在宅して質問に答えるということで回答率が高いと思うんですね。実際、事前に聞いた範囲でも、高齢者の回答率が若年層の回答率に比べて五割ぐらい高いんじゃないかということでありました。
 それで、私が言いたいのは、その高齢者も圧倒的に反対の数が多い。五十九歳以下では反対の人がもう二割未満ということで少ないという分布がある中で高齢者の回答率が高いということは、結果的に、全体として見ると反対の人のサンプル数が増えた統計数字になってしまうんじゃないかというふうに思うわけであります。ですから、私が言いたいのは、要するに結果として全体の、総体として反対が二九・三%、賛成が四二・五%ということになっていますが、高齢者、圧倒的に反対が多い高齢者の数がほかの世代よりも多いということを加味しますと、実質的には更にこの反対者の数字は二九・三%より少ない、賛成者は四二・五%よりも多いと、こういうのが実態じゃないかと私は思うんですが、私のこの考えについてはいかがでしょうか。
#24
○政府参考人(原宏彰君) お答え申し上げます。
 当方の調査方法でこのような数字が出ているということでございまして、その後、回答の率が高齢者の方が多いんじゃないかとかということに関しては、委員のおっしゃるような傾向があるであろうということに関しては認識をしているところでございます。
#25
○小川敏夫君 いずれにしろ、圧倒的に高齢者、六十歳、特に七十歳以上が反対が強いということですが、しかし、十八歳から五十九歳までは反対は二割にも満たないというこの数字。ただ、この夫婦別姓制度を採用してもらいたいという現実に自分の問題として求めるのは、やはり職を持っている人、あるいはこれから職に就く人、あるいはこれから結婚する人ということで若年層や現役世代が中心だと思うわけでありまして、失礼ながら、これから結婚するとかこれから社会で働くという現実の問題がない高齢者の方に反対者が多く偏っているという状況を見ますと、この夫婦別姓を求めている人の中ではかなりやはり必要としている方がこの統計の数字以上に多いのではないかというふうに私は思っておりますが、法務大臣、こうした現実にかなり多くの夫婦別姓制度の採用を求める人がいるという現状を踏まえて、この夫婦別姓制度の導入、もう既に法制審議会の答申も得ているわけですから、これの導入をしていただきたいと思っておるんですが、いかがでございましょうか。
#26
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から、今回の平成二十九年十二月に内閣府が実施した世論調査の結果におきまして、統計のある意味では傾向の特徴というところについて御指摘がございました。
 全体的に五年に一回の定例的にしている調査でありますので、過去との比較、様々な観点から丁寧にやっていく必要があるということにつきましては十分に認識をしているところでございますし、また、今回の結果につきましても、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして様々な比率につきましての特徴があろうかというふうに思っているところでございます。
 今回、先ほど御指摘があった若い世代の皆さんの意見ということにつきまして、十八歳から二十九歳までと三十歳代で選択的夫婦別氏制度の導入につきまして賛成する意見が過半数を占め、半数を超えているということ、世代間の意見に大きな違いがあるということが今回大変貴重なデータとして浮き彫りになったものというふうに考えているところでございます。
 今後、今回の世論調査の結果につきまして、更に配偶者あるいは子供、兄弟の有無などの違いによりましてどのような意識の違いがあるのか、あるいは選択的夫婦別氏制度に賛成の人、反対の人などが他の質問でどのような回答をしたのかということにつきまして、きめ細かな検討をしてみたいというふうに思っております。
 ここにつきましても、過去の世論調査の結果とも比較検討をしながら引き続き対応してまいりたいというふうに、対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
#27
○小川敏夫君 対応を検討ということではなくて、もっと前向きな答弁がいただきたかったんですが、私の希望といたしまして、また前向きに是非検討していただきたいというふうに思います。
 では次に、今被告人として勾留中の籠池泰典氏の接見禁止、被告人の接見禁止の点について、昨日も真山委員から指摘があり、質問、答弁があった点でありますけれども、私自身もこの被告人の接見禁止についてかなり問題意識を持っておりますのでお尋ねさせていただきますが、捜査段階の、捜査中の勾留について接見禁止が付くということはよくあることなので私もよく承知しておるんですけれども、ただ、捜査が終わって起訴された後は、やはり刑事訴訟の構造というものは検察側とそれから被告人、弁護側が言わば対等の構造として訴訟に臨むというのが私は基本構造でおりまして、その中で、既に捜査が終了して起訴された後の被告人段階で接見禁止を付けるというのはかなり現実的に重大なそれだけの必要性がある例外的なケースだというふうに私は思っております。
 これについて、まず最高裁に、被告人の接見禁止の総数がどのくらいあるのか、それから被告人の接見禁止が付された被告人のその起訴罪名、これについて統計資料がないのかお尋ねしたところ、ないということでございました。ただ、やはり被告人のこの接見禁止の問題というものは、昨日も真山委員からありましたように、国連の方の意見からもそういうことは望ましくないと、やってはいけないという意見も出ているように、それ独自に重大な論点として議論する必要がありますので、やはり客観的なそうした数字を把握する必要が私はあるというふうに思います。
 ですから、今回は、ないというものを出せと言ってもしようがありませんけれども、被告人の接見禁止というその命令について、件数的な統計資料、あるいはできればその罪質について統計的な整理をしていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#28
○最高裁判所長官代理者(安東章君) お答え申し上げます。
 今お尋ねのありました接見等禁止決定につきましては、今御指摘ありました起訴前と起訴後の決定の総数については統計として把握しておりますが、起訴前と起訴後を区別した形では統計を取ってございません。これにつきましては、接見等禁止の要件につきましては、法文上、起訴前と起訴後では異なるものではないという事情がございます。
 また、罪証隠滅のおそれに関する事情につきましては、事案の性質、内容等によって様々でございます上、起訴前の勾留から判決に至るまで、捜査、公判準備、あるいは公判審理の進捗状況等によって刻一刻と変化するものでございまして、起訴前か起訴後かで区別して統計を取る必要性が必ずしも高いとまでは言えないのではないかとも思われるところでございます。
 これらの点に鑑みまして、起訴後の接見等禁止決定に限定した統計、これを取ることにつきましては慎重に考える必要があると存じているところでございます。
#29
○小川敏夫君 ちょっと消極的な答弁だったので納得できないんですがね。起訴前の接見禁止と起訴後の接見禁止が、法律が同じだから、条文が同じだからというような話でしたけれども、どうなんでしょうかね。しかし、今申し上げましたように、捜査段階で捜査側が調べているときの勾留と、それから起訴された後の被告人の勾留というのは、これはやはり質的に違うんじゃないですか。少なくとも捜査という状況は終わって、さっきも言いましたように、今度は訴訟に臨んで、検察側と被告、弁護側というのが対等な立場で公判に臨むという大きなこの今の刑事訴訟制度の在り方からいって、全く同じだからそれを分けて考える必要がないという議論には私はとても賛同できないのですが。
 それから、国連の意見としても、被告人の勾留については、その家族との面会は禁止してはならないというようなそうした意見、勧告があるわけでありますから、それ自体やっぱり独立な一つの大きな問題であると思うわけであります。それについて、この実態が把握できない、数的にも把握できない。それから、それは被告事実の具体的な中身まで一々詳細にということは難しいでしょうけれども、被告罪名ぐらいは、これは当然統計的に把握することは、把握して統計的に処理することは可能なわけであります。
 ですから、今の答弁は、要するにこれからも特に分かるような統計処理をしないという答弁というふうに受け止めましたが、それは納得できない。しっかりとやはりそうした問題点を踏まえて、被告人の勾留に関する接見禁止、これが統計的に数字的に分かる、こうした作業を是非していただきたいと思いますが、もう一回答弁をいただきたいと思います。
#30
○最高裁判所長官代理者(安東章君) お答え申し上げます。
 ちょっと重ねてのお答えで恐縮でございますが、起訴前と起訴後につきまして各裁判体が接見等禁止決定をするについては、事案に応じて様々な事情を考慮して判断するということでございます。起訴前か起訴後かということのみに着目して、どちらが難しいということはなかなか判断しにくいところもございます。
 いずれにしましても、いろんな事情を踏まえて判断するということですので、現時点では慎重に考えているということでございます。
#31
○小川敏夫君 そういう答弁ですと、じゃ、これから統計調査してくださいという話ではなくて、昨年一年間で起訴後の勾留の接見禁止命令が何件出されたのか、調べて後日回答してください。
#32
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 御指摘を踏まえて検討してまいりたいと思います。
#33
○小川敏夫君 この国会の場において国会議員の質問という形で質問させていただきましたので、調査すればできることですから、必ずその数字を出してください。
 それで、この接見禁止命令、裁判官が命令を出すけれども、実務的には検察官が裁判所のそうした接見禁止命令を出すように職権発動を促すという形で、事実上検察官の申請で行われるわけでありますけれども、法務省、どうでしょう、個別の事件について説明はできないでありましょうけれども、この起訴後の勾留について接見禁止を求める場合の判断基準というのは一般的にどういうところにあるんでしょうか。
#34
○政府参考人(辻裕教君) 接見禁止の要件は、委員御承知のとおり、罪証隠滅のおそれ、あるいは逃亡のおそれがあるということでございまして、大きく申し上げれば、具体的な事案の証拠関係、事実関係に照らして、そういうおそれがあるのかということを判断していくということになろうかと存じます。
 その上で、一般論でございますけれども、例えば、罪証隠滅の対象というものは、公訴事実あるいは違法性阻却事由、責任阻却事由のほか、犯行に至る経緯、被疑者と被告人の関係、誘因、動機、それから共犯者がいる場合は共謀の内容や成立過程、犯行後の利益分配などなど様々な事情が含まれると一般に解されてございますので、それらの点について、既に収集された証拠関係にも照らして、あるいはそれまでの被疑、被告人あるいは関係者の罪証隠滅に当たるような行動があったかなかったかといったような事情も踏まえて一般的に判断しているものと考えております。
#35
○小川敏夫君 まず、罪証隠滅と逃亡のおそれということを先に説明されましたけれども、逃亡のおそれって、これ拘置所に入っちゃっている人間にどうして逃亡のおそれがあるんですか。
#36
○政府参考人(辻裕教君) 一般論としてでございますけれども、もちろん釈放された場合、あるいは勾留、接見禁止の場合は関係者と接見をした場合に逃亡のおそれがあるかどうかという問題になるんだと考えておりますけれども。
#37
○小川敏夫君 いやいや、今勾留するかどうかの問題を聞いているんじゃないんですよ。勾留している人間について接見禁止命令を付けることについてずっと質問しているんです。勾留されている人間について接見禁止命令付けようが付けまいが、逃げることなんかできないじゃないですか。だから、逃亡のおそれを理由にするのはおかしいじゃないですかと聞いているんです。
#38
○政府参考人(辻裕教君) やはり接見することによって、例えば拘置所から逃亡するということも極端な場合は考えられるのではないかと思いますし、あるいはそれによって勾留の保釈を得るとか、それを踏まえて、その上で逃亡していくということも考えられるのではないかというふうに思いますけれども。
#39
○小川敏夫君 何か突然隕石が落っこちてくるから気を付けろみたいな話に、ちょっと感想を抱きましたけど。
 事案に応じてそれは判断するんでしょうけれども、今回のこの籠池さんの詐欺事件ですけれども、これ、被害者といいますか、お金だまし取られたのは国なり地方自治体で、言わば担当者は公務員ですよね。ですから、例えば組織暴力団とか組織犯罪、やくざの事件のように、被害者を脅かしてとか被害者にいろんな影響力を行使して証言を変えさせようとか、そういうような働きかけるという可能性は、相手が公務員ですから働きかけを受けるという可能性は少ないと思うんですね。ですから、そういう面での罪証隠滅というのは、一般的な例に比べてかなり罪証隠滅の可能性は少ないというふうに思うわけであります。
 また、例えば一般的にこういう起訴後の接見禁止が付く、例えば、複数の犯罪でまだ首謀者が捕まっていないとか、あるいは組組織の関係で親分にまで本当は行くのにまだ親分が捕まっていないとか、重要な共犯者が逃げているとか、そういうような状況があって、そういうものとの関係で罪証隠滅が、おそれがあるのが私は一般的だと思うんですが、今回のこの事件は、籠池さん夫婦が二人でもう共犯関係完結しちゃって、この上に親分がいるわけじゃないし、重要な共犯者がいるわけでもない。ですから、そういった関係での罪証隠滅の可能性というものも、私は平均的に考えて、一般的に考えて少ないんじゃないかというふうに思うわけであります。
 また、罪質も詐欺、別に詐欺をいいと言うわけではありません、詐欺もこれはけしからぬ犯罪だけれども、やはり組織犯罪集団が組織的に行うような麻薬の密売だとか拳銃だとか、そういう類いの事件じゃなくて、やっぱり単発の詐欺なので、特別ほかの犯罪の中に比べて証拠隠滅の可能性が高いような類型の犯罪でもないわけであります。
 そうして考えますと、何でこの籠池さんに関して、私の考えでは異例なほどに厳しい処分がなされている、そういうふうに思いまして、これは政治的な今の状況の中で大変重要な証言をなされる、事実関係を知っている方ですから、今の政治的な問題、政治に関わる疑惑の問題について事実関係を知っている方について、こうした接見禁止命令があるから十分な事情聴取ができないし、また当事者の彼も発言できないということにあると。これは、本来の刑事訴訟法が想定している理由とはまた別の、口封じのためにそうした外部との交流を禁止しているのではないかと、こういうような疑いの声も思いたくもなってしまうわけであります。
 もちろん、もう命令出しているのは検察官じゃなくて裁判官で、裁判官がそれは良心に従って判断しているんでしょうから、それ以上不正が云々なんてことは決して言いませんけれども、ただ、どうしても一般の例に比べて、勾留の接見禁止が長期間、七か月間にも及んでなお出ているし、今後も続きそうだというのは、一般の例に比べてかなり厳しい扱いじゃないか、そういうふうに思っておりまして、どうしても口封じ、まさかそういうことはないだろうけれども、司法の場が政界にそんたくしているなんてことはないだろうし、あってはならないことだからそういうふうには思いませんけれども、しかし、どうも異例に厳し過ぎるというふうに私は思っておるわけでございます。
 そうした点について、この起訴後の接見禁止ということについて、しっかりとやはり今後の勾留の接見禁止の在り方について、被告人の接見禁止の在り方についてもしっかりとこれからも問題意識を持って議論を重ねていきたいというふうに思いますので、最高裁におかれましては、やはりその議論の前提として、やっぱりその実情が把握できなくちゃなりませんので、きちんとしたそうした調査統計資料を提出していただきたい、このように申し上げて、私の質問は終わります。
#40
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
 昨日に続きまして質問をさせていただきます。
 更生保護施設についてでありますが、大臣所信の質疑の際に、昨日でありますが、生活に困窮して刑務所に寝食を求めていわゆる軽微な窃盗等の犯罪を繰り返す高齢者のこと、これを取り上げさせていただきました。行き場のない刑務所出所者の住居確保、これが重要な課題となっているという観点から、更生保護施設の受入れ強化について伺います。
 更生保護施設でありますが、帰るべき場所がない刑務所出所者の受入れを行ってきたわけでありますが、依然として年間約五千人が帰住先がないまま刑事施設を出所していると、こういう状況でございます。
 再犯防止推進法では、犯罪をした人が、社会で孤立することなく、国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることを支援するための基本施策の一つとして住居の確保が挙げられているわけでありますけれども、この一時的な宿泊場所としての更生保護施設に対する援助、これが実際にあるわけであります。
 このような状況の中、これまで一般的な更生保護施設におきましては、施設長以下四人という限られた職員体制で入所者を支援してきたわけでありますけれども、更生保護施設における受入れ、処遇機能を強化するために、平成二十九年度予算におきまして、平成三十年一月から全国の八割の更生保護施設の職員を一人増配置すると、そういう経費が認められたということを承知しております。
 これによりまして、早期自立に向けた支援の充実が図られ、一人でも多くの保護を必要とする人を受け入れることが強く期待されているわけでありますが、平成二十九年度予算において措置されなかった残りのいわゆる二割ですか、の更生保護施設につきまして、平成三十年度予算において早急に手当てすべきではないかと思いますが、法務大臣の見解を伺います。
#41
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から御指摘いただきました更生保護施設の予算ということでございます。
 施設につきましては、帰るべき場所がない刑務所出所者等を受け入れていただき、また施設の職員の皆さんが昼夜分かたず社会復帰に向けてきめ細かい御指導をいただいているということでございまして、再犯防止の要として極めて重要な役割を果たしていただいているということでございます。
 再犯防止推進計画、昨年十二月に決定をいたしましたけれども、この中でも、御指摘のとおり、更生保護施設における受入れ、処遇機能の充実と、これが具体策の一つとして盛り込まれているところであります。
 二十九年度予算、八割の施設につきまして常勤補導職員一名の増配置に加えまして、二割の施設における非常勤賃金職員の増配置に必要な経費が措置されたところでございます。平成三十年度予算政府案におきましては、更にこの残る二割の施設におきまして非常勤賃金職員を常勤補導職員にするための経費が計上されておりまして、これによりまして、更なる更生保護施設の人的体制の強化が図られるものというふうに考えているところでございます。
 推進計画元年ということで、今年、大変大事な一年であると認識しておりまして、この更生保護施設におきましての受入れ、処遇機能の充実を着実に進めまして、刑務所出所者等の受入れ拡大、一層努めてまいりたいというふうに考えております。
#42
○若松謙維君 更生まさに推進元年ということで、着実に対応されていると思いますので、引き続き様々な問題提起、また場面場面で提案させていただきます。
 次に、出入国審査体制の整備につきまして、特に入国審査官の人的体制整備についてお伺いをいたします。
 日本政府観光局の調べによりますと、二〇一七年の訪日外国人旅行客数は前年比一九・三%増の二千八百六十九万一千人ということで、ちょっと済みません、うちの数字と違うな、これ、資料が皆様に届けさせていただいておりますけど、ここでは二千九百八十九万六千人というふうになっておりますが、これ今後、二〇二〇年が四千万、三〇年が六千万と、こういう状況で、特に大型の国際空港ですか、では、入管、税関の検査場での長蛇の列と、こういうことがもう常態化しているというふうに認識しておりまして、国の玄関である空港、港湾における体制整備が急務となっているという状況でございます。
 これまでは、観光立国の推進とテロ行為、不法入国防止のための入国審査の円滑化、また厳格化を両立するため、訪日外国人旅行客等の入出国審査を行う入国審査官の人的体制につきまして毎年増員が図られていることがちょうどこの五年間の推移でお分かりいただけると思います。一方、急増する訪日外国人旅行客に対応できていないのではないかと、そう思われる数字が、これ単純に、平成二十九年ですと、二千九百八十九万六千人から入管審査官数二千八百八十二人を割って、それで三百六十五で割ると二十八と、こういう数字になりまして、これを、週休二日制というともっと増えると思うんですけれども、一時間当たり三・五人と、これがどういう意味かということでありますけれども、いずれにしても一人当たりの処理人数は増えていると、こういう状況であります。
 一方、特に地方の、いわゆる地方空港はLCCが多いと、こういうことで、かつ、審査官も余り多くないと、こういう状況で、この審査官の配置、これについても、いわゆる見直しというんですかね、きちんと整備されているかどうか、ばらつきがないかどうか、また外国人の入国数に応じた対応になっているかどうか、そういった危惧があるわけでありますけれども、その点、平成三十年度予算の地方入国管理官署の人員体制の整備についてお伺いすると同時に、この急増する訪日外国人旅行客にどう対応しているかどうか、大臣にお伺いいたします。
#43
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおり、訪日外国人旅行者が急増をしておりまして、この出入国管理関係業務が大幅に増加している状況でございます。
 二〇二〇年の受入れ四千万人ということでございますし、その先、六千万人ということも目標にしているところでございます。まさに、増加する外国観光客等に対する適切な入国審査、そしてテロ未然防止等の水際対策の充実、これは喫緊の重要課題でございます。法務省といたしましても、厳格な入国管理と円滑な入国審査、これを高度な次元で両立させる必要があるというふうに認識をしているところでございます。
 人的体制整備につきましては、平成三十年度予算案におきまして、主要七空港を始めとした出入国審査業務の充実強化等のため、入国審査官計二百七十九人の増員を計上しているところでございます。こうした人的体制の充実を図り、適材の中で、こうした大きな増加が見込まれる観光客等に対しましての迅速かつ適切な入国審査を実施できるように努めてまいりたいと思っております。
#44
○若松謙維君 ということで、人数等の配置も行われているということであります。
 もう一つ、これは提案になるかと思うんですけれども、顔認証ゲート、この現状と平成三十年度予算額についてお伺いするわけでありますが、観光立国の推進、また二〇二〇年の東京オリパラ、この競技大会の開催に向けまして更なる入出国審査の迅速化が求められるわけであります。
 この課題につきまして、法務省は、顔認証技術を活用して日本人の出入国手続を合理化していると、より多くの入国審査官を外国人の審査に充てると、こういう工夫をされているわけであります。審査の厳格化を維持し更なる円滑化を図るということで、先ほどの二〇二〇年には四千万、そして二〇三〇年が六千万というこの目標達成のために、顔認証ゲートの利用範囲を日本人だけではなくて訪日外国人旅行客まで拡大する必要があるのでないかと、このように考えるわけであります。
 既に、観光ビジョン実現プログラム二〇一七年ですか、これは平成二十九年五月のいわゆる閣僚会議決定なものでありますけれども、我が国の空港における出国手続に要する時間短縮のために、外国人出国手続の自動化ゲートの利用拡大ということが掲げられております。
 そういう意味で、顔認証技術の活用はもう既に昨年十月から羽田空港で日本人の帰国確認手続において運用開始されているそうでありますけれども、まず顔認証ゲートの概要及び現在の導入状況を確認させていただき、あわせて、今後の運用拡大のための平成三十年度予算額及びその計画を御説明願います。
#45
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 顔認証ゲートと申しますのは、日本人旅行者の出帰国手続におきまして、旅券内のICチップ内の顔画像と顔認証ゲートのカメラで撮影された顔画像を照合しまして本人確認を行いまして、問題がなければ当該旅行者がゲートを通過できるというシステムでございます。
 平成二十九年十月十八日から、羽田空港の上陸審査場におきまして日本人の帰国手続を行う顔認証ゲートを先行導入いたしておりまして、運用を開始しております。平成三十年度中に、羽田空港の出国審査場に加えまして、成田空港、中部空港、関西空港及び福岡空港の上陸・出国審査場への本格導入を予定し、鋭意準備を進めているところでございます。
 平成三十年度予算案におきましては、日本人の出帰国手続用顔認証ゲートの運用のために必要な経費として約五億六千万円を計上しているところでございます。
 次に、外国人出国手続の関係でございますが、御指摘のございました顔認証ゲートの訪日外国人旅行者への利用拡大につきましては、日本人の出帰国手続において導入する顔認証ゲートを観光等の目的で入国した外国人の出国手続にも活用するという方向で検討いたしておりまして、平成三十一年度中の運用開始を目指しまして、平成三十年度予算案におきましては、顔認証ゲートを外国人の出国手続にも対応できるよう、システム改修に必要な経費といたしまして約四億七千万円を計上しております。
#46
○若松謙維君 ということは、観光目的で出国される場合、この平成三十年度、先ほどの四・七億というのはシステム導入で、まだ運用ではないわけですね。
#47
○政府参考人(和田雅樹君) はい。この四億七千万円はシステムの改修でございまして、まだ運用ということではございません。
#48
○若松謙維君 そうすると、運用はいつからでしょうか、恐らくパイロットテスト的になると思うんですけど。
#49
○政府参考人(和田雅樹君) 日本人の旅行客に対する運用状況を見た上ででございますが、平成三十一年度からの運用を目指しております。
#50
○若松謙維君 了解いたしました。じゃ、東京オリンピック・パラリンピックには間に合うということですけど、テスト運用なので、できたら二〇二〇年までに全空港でできるように頑張ってください。期待しております。
 次に、介護の技能実習生への在留資格付与について、これも昨日、大臣所信の質疑に取り上げさせていただきましたけれども、技能実習制度の対象職種に介護が追加されまして、制度整備の課題ということを取り上げたわけでありますけれども、そこでは、事業者が監理団体に支払う監理費が高額だという事実を紹介させていただいて、このことが事実であれば、この外国人の特に介護の技能実習生、なかなか広がらないのではないかと、こう思うわけでありました。
 それで、昨日紹介した事例におきましては、六名の実習生を受け入れた事業者が監理団体から示されたのが年間三百二十九万、月大体一人五万円と。これが監理費ということでありますので、これは一般的に適正と言えるかどうか。どのようにお考えでしょうか。
#51
○政府参考人(和田雅樹君) 昨日も答弁いたしましたが、一般論として申し上げますれば、監理費の金額につきましては、技能実習生の受入れの人数、実習実施者の数や場所などに応じて異なり得るものでございまして、技能実習法令に基づき徴収している限りにおきましては、その金額の多寡は当事者である監理団体と事業者間の合意に基づいて決まるということになりますので、御指摘の金額が適正と言えるかどうかにつきましては、なかなか一概にお答えすることは困難であるというふうに御理解いただければと思います。
#52
○若松謙維君 そこの見積書といっても、個々の事例なので余り委員会で配るのは適切じゃないと。いろんな手数料が入って、この際という感じをするんですね。そうするとコスト高になりますし、私はそれはそれなりに、何というんですか、当然民民ですからね、その考え方は大事にしながらも、やはりそういう、なるべくなら、もちろんいい、何ですか、監理の中に、いわゆる授業料とか語学の研修といろいろあるんでしょうけれども、それでも結局コストアップになれば、この介護の外国人ですか、の方の拡大というのは進まないと思います。
 そういう観点から、やはりこの制度の利用を拡大されるためにどうしたらいいか、そういった観点からどのようにお考えでしょうか。
#53
○政府参考人(和田雅樹君) 御指摘のとおり、監理費等に関しまして不適正なことがあってはならないというふうには考えておるところでございます。
 技能実習法に基づく技能実習制度におきましては、監理団体が監理費の支出額算出根拠等を記載した監理費管理簿というものを領収書等の書類と併せて事務所に備え付けるということとされております。
 また、技能実習制度におきましては、制度の管理監督機関である外国人技能実習機構が監理団体に対しまして年一度の頻度で実地検査を実施すること、また、監理団体は、毎事業年度、監理費の徴収額、支出額の実績等を記載した事業報告書を外国人技能実習機構に提出するということになっております。
 こうした取組の中で、監理団体が保管する書類を点検するなどいたしまして、監理団体が監理費をあらかじめ明示していることや徴収される費用が実費の範囲内であることなど、適切な運用が確保されるようにしっかりと対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。
#54
○若松謙維君 この問題、引き続き、運用が始まったばかりでありますので、さらに現場にいろいろな意見があると思いますから、また課題とかありましたら当委員会等で取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、同じいわゆる介護の現場、まさに慢性的な人手不足であります。この介護の技能実習生、この方々が働き続けることができると、これ大変重要な人手不足解消の担い手になるわけでありますけれども、そういう観点から、介護の技能実習生の在留資格の付与についてお伺いをいたします。
 先日の報道によりますと、厚生労働省と法務省は、介護現場で受入れが開始される外国人技能実習生につきまして、介護福祉士の国家試験に合格すれば日本で働き続けることができるように制度を見直す方針であるということで、両省は必要となる省令を改正した上で、早ければ平成三十年度中にも始めるということであります。
 現行制度でも、一定の実務経験などの条件を満たした上で試験に合格すれば介護福祉士の資格を得られるわけでありますが、日本に残って働き続けることは認められておりませんので、介護現場で外国人を受け入れる枠組みには経済連携協定、EPAですか、これがありますが、対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの三か国に限られております。
 仮に新しい仕組みが導入されれば、受入れ国に限定されずに、介護福祉士の資格を取得した人が在留資格を得て日本で長く働けるようになるということでありますけれども、特に途上国への技能の移転を目的とした技能実習制度の本来の趣旨とどう整合性を図るかが課題になるんではないかと思っております。
 そのような観点から、法務省と厚生労働省で現在どのような検討を行っているのか、お伺いいたします。
#55
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 現状、在留資格「介護」につきましては、法務省令におきまして、都道府県知事が指定する介護福祉養成施設等において、必要な知識及び技能を修得して介護福祉士資格を取得する方法に限定しているところでございます。
 昨年末に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましては、介護分野における技能実習などによる三年以上の実務経験に加えまして、実務者研修を受講し、介護福祉士の国家資格に合格した外国人の方にも在留資格「介護」を認めるということが記載されましたことから、その方向で制度設計をしているものでございますが、当該制度の運用方法等につきましては現在関係省庁と検討中でございまして、制度の趣旨等も含めまして、当該制度の運用方法等について現在検討中ということで御理解いただければと思います。
#56
○若松謙維君 今検討中ということでありますが、いつ頃一つの中間報告なり取りまとめが出てくるんでしょうか。
#57
○政府参考人(和田雅樹君) ちょっと今いつ頃ということを申し上げることは困難なんですが、できるだけ早期に結論を出すよう検討を進めたいと思っております。
#58
○若松謙維君 済みません、そのときに、ちょっと質問通告しなかったので、思い出して、この場で申し訳ないんですけど、特に被災地ですね、福島とかの、非常に介護職員の深刻な人手不足があります。そういった地域においては特例で延長するとか、そういったことを検討していただけないかという、質問通告ないんですけど、それについていかがでしょうか。
#59
○政府参考人(和田雅樹君) 在留資格「介護」は全国的な資格でございますので、地域的な特性に応じてどのようにするかということについては検討をしなければいけないところでございますが、今の先生の御指摘につきましても、内部でまた検討させていただきたいと思います。
#60
○若松謙維君 是非よろしくお願いいたします。
 次に、矯正施設の環境整備についてお伺いいたします。
 まず、矯正施設の環境整備に関する平成三十年度予算についてでありますが、全国に今二百九十六か所の刑務所、少年院、いわゆる矯正施設があるわけでありますが、半数近い百四十施設が現在の耐震基準を導入した一九八一年以前に建てられていると、半分ですね、旧耐震基準適用前の建物も六十施設があるということで、一部の施設は耐震性に課題があるという状況でございます。
 矯正施設の老朽化に対する現状と課題について、法務省の見解をお伺いいたします。
#61
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 矯正施設は、再犯防止施策を実現するための土台であるとともに、特に災害が発生した場合には、被収容者の逃走を防止し平穏な収容を維持すること、国民の安全確保のためにも大変重要な施設でございまして、その整備は大変重要な課題であるというふうに考えています。
 また、先般の熊本で発生いたしました地震におきましても、幸いなことに施設自体は大きな被害もなかったわけなんですが、職員の武道訓練のために設けられました道場を地域の方々に開放いたしまして避難所として運営をしたというようなこともありまして、いろいろな意味で地域の役に立つ施設でもあるというふうに考えております。
 そのような中、委員御指摘のとおり、全国二百九十六あります矯正施設、その約半数は現行耐震基準が定められた昭和五十六年以前建築のものであり、老朽化が著しい状況でございます。これにつきましては、いろいろな予算をお認めいただいておりまして、これを有効に活用いたしまして、建て替えあるいはリノベーション、あるいは耐震補強、様々な方策がございますが、それぞれの施設の置かれた状況に応じて所要の整備に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
#62
○若松謙維君 財政集めるの大変だと思うんですけど、頑張ってください。我々も応援いたしますので、よろしくお願いいたします。
 次に、刑務所や少年院の統廃合ですね、それに向けた自治体との連携の必要性についてお尋ねいたしますが、耐震基準に満たない刑務所又は少年院、これが今後、改築、改修を行うという方針でありますけれども、施設の統廃合を進める方針も同時に進んでいると、こう承知しております。どのような統廃合を予定しているのか、法務省の方針をお伺いいたします。
 さらに、施設が統廃合になるということは、その施設に勤めていた刑務官等の職員、またその家族がいわゆるいなくなるということでありまして、当然、その対象の自治体においてもある意味ではダメージになるのではないかと、そういうことも考えますが、一方、近年、矯正施設は災害時における防災拠点、避難場所、先ほどおっしゃいましたが、そういう意味での大事な役割もありますので、刑務所、少年院の統廃合に当たって、自治体等の関係機関と綿密な連携を図ることが必要だと思いますので、それについてお伺いいたします。
#63
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 昨今の行財政事情の下、矯正施設における収容動向を踏まえまして、効率的な施設運営の確立と矯正行政の更なる充実強化を図るという観点から、状況に応じてではございますが、施設の統廃合等を進めているのが現状でございます。現時点では、佐世保刑務所、それから黒羽刑務所、置賜学院、小田原少年院、現在いずれも運営をしておりますが、これを廃庁する方針で所要の作業に着手をしておるところでございます。
 各施設とも、それぞれ今日に至るまで地域と良好な関係を築きながら職員一丸となって安定した施設運営を維持、継続をしてきたところでございます。こういった施設、合理化のためとはいいながら、廃庁するということは私どもも大変残念でございます。しかしながら、やはり効率的な運営、それによってマンパワーを集約してより良い処遇を行うというようなことが必要かと思います。もちろん、廃庁に当たりましては、関係する自治体にも情報提供をし、理解を得るように努めております。
 今後とも、こういった廃庁に向けた手続を進めるに際しては、自治体等の関係機関と緊密な連携を図りながら対処をしていきたいと考えております。
#64
○若松謙維君 終わります。ありがとうございました。
#65
○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。
 私は、昨日のこの委員会で、ヘイトスピーチ、差別の扇動、特にインターネット上で吹き荒れているマイノリティー、特定個人に対する攻撃に対してどのように対処、解決していくのかということについてお聞きをいたしました。この委員会の様子をインターネット上の中継で見ていた国際人権問題そしてヘイトスピーチ問題の専門家の方から感想をいただきました。上川大臣そして人権擁護局長の答弁を聞いていて、非常にこれからに期待をしたいという、そういうメールをいただきました。
 さらには、昨日の委員会で、ネット上の問題として、十五歳の在日コリアンの少年に対してインターネット上で、平和のための活動をしたことに対してとんでもないひどい、異常な攻撃がずっと続いている。十五歳の少年ですから親権者はいますけれども、もう切りがないような書き込みに対して法的手段を取るというのはなかなか大変なんですよね。ですから、そういうことを個人の負担負わされることなくインターネット上から削除するような新しい方向を検討してほしいということもお話をしました。やはりその少年の母親もインターネット上の中継を見ていて、感想をすぐにくれました。同じなんですよね。大臣そして局長の答弁に今後期待したい、うれしかったというような反応がありました。
 それで、昨日、大臣は、昨年の六月に施行されたヘイトスピーチ解消法について大きな前進という表現をされました。様々な問題があることは十分皆さんも御承知だと思いますし、私も昨日指摘をさせていただきましたけれども、大きな前進として、例えばヘイトスピーチ解消法ができることによって全国の地方自治体で条例作りが進んでおります。
 最も進んだ動きとして言えるのは、川崎市の条例だというふうに思います。この間も川崎市議会ではヘイトスピーチ根絶のための決議がたしか三月十六日に行われておりますけれども、川崎市では、事前にヘイトスピーチを行う可能性がある者たちについては公共施設を貸出しをしないということを、憲法の表現の自由とか集会、結社の自由に損なうことなく、第三者機関なんかの評価も得て行うと。一言で言えば、ヘイトスピーチの事前規制というものを川崎市が準備をしてきました。
 そして、昨日、関西のMBS、毎日放送が報道しておりますけれども、京都府がヘイトスピーチを事前規制へ、ネット上の発信内容もチェックというような報道がなされました。
 昨日の委員会の質疑については、今日付けの神奈川新聞でも、ネットヘイト対策、事業者との協議は有効というまとまった記事にしてくださいまして、昨日の大臣の答弁としての、人としての尊厳を大切にする社会に向け取組を地道に粘り強く前進させていく、関係省庁とも連携したいと答弁したということが肯定的に評価をされております。
 ですから、ヘイトスピーチ解消法は様々な問題点を抱えておりますけれども、同時に、この解消法ができることによって大きな前進を獲得しつつあるのが大阪の条例であり、川崎の条例であり、そして京都府の条例、さらには東京都、愛知県、名古屋、神戸市、福岡などでもそういうものを作りたいという声がこの二年ほどでずうっと広がってきているということは大きな前進として評価をすべきだというふうに思いますが、擁護局長、そうした地方自治体の取組についてどのように評価されておりますか。
#66
○政府参考人(名執雅子君) 今委員が御指摘のとおり、このヘイトスピーチ解消法が施行されまして、その事実、法律の趣旨が報道等でも大きく取り上げられたことなどが契機の一つとしまして、このような言動が許されないものであることが社会の中で認識されつつあるということは非常に大きな前進だと思っております。
 また、昨日御紹介いただきました例のように、一つ一つの書き込みについては不快な思いをされている被害者の方もいるだろうということは個人的にも思いを致すところでございます。
 今御指摘のありました地方の条例の問題につきましては、地方公共団体がその自治権に基づいて制定される条例でございますので、政府職員として一つ一つコメントすることは差し控えたいと思いますが、これもヘイトスピーチの施行によるものだというふうに認識をしております。
 ただ、私どもといたしましては、昨年の世論調査にありましたように、ヘイトスピーチに関する関心がないあるいは知らないというような人たちもまだ一定数いるということもございますので、引き続き、特定の民族、国籍の人々を一方的に排斥する、このような不当な差別的言動を解消するために、地道で粘り強い啓発活動を通じて社会全体の人権意識を高め、遠回りのようには見えますが、これを重要なこととして実行してまいりたいと思っております。
#67
○有田芳生君 ヘイトスピーチ解消法がこの参議院の法務委員会を中心にしながら広がって、共通に確認しておきたいのは、やはり与野党一致してこういう差別の扇動、ヘイトスピーチはいけないんだということが一致したということだと思うんです。
   〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕
 これは、各地方自治体、例えば川崎市における条例作りの中心になってくださったのも、まあ与野党が頑張ったんだけれども、特に自民党の元議員の重鎮の方などが積極的に動いてくださったということも大きな力になったということは事実として認めなければいけない。ただ、やはり人間の尊厳と平等を損なうヘイトスピーチというのはなくさなきゃいけないんだということで、みんなで一致して前に進んでいかなければいけないと思っております。
 しかし、昨日の委員会での質問で愕然としたというか驚いたのは、今日いらっしゃらないんだけれども、警察庁の答弁だったんですよね。デモの件数、いわゆる右派系市民団体のデモがどのぐらいありましたか、ヘイトスピーチ解消法の前と後で増えていますか減っていますかということについて、数の紹介はしてくださったんですけれども、じゃ、その主張の内容はどんな特徴がありますかという問いをしましたところ、いや、警察としては何がヘイトスピーチかということを判断する基準がないというような趣旨のことをおっしゃいました。
   〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕
 それは、ヘイトスピーチ解消法ができる前に、この委員会で何回も何回も警察庁はそう答弁されてきたんですよ。だけど、ヘイトスピーチ解消法ができて、その年のたしか十二月ですか、法務省人権擁護局の方で非常に細かい、詳細な、正確なヘイトスピーチ解消法参考情報という、そういうものを作ってくださって、各地方自治体に役に立つような資料を作ってくださったんですよ。それはなぜかというと、各地方自治体が例えば条例なんかを今後作っていこうとするときに、じゃ、何がヘイトスピーチなのか、その基準が知りたいということでそういうものを作ってくださったんですよね。
 具体的に言えば、著しく侮蔑する発言、地域社会から排除することを扇動する発言、生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を与える旨を告知する発言、そういう三類型を出してくださって、類型を出しただけじゃなくて、その参考情報の中には細かく、といってまだまだ足りないかも分からないけれども、こういう発言はヘイトスピーチなんだよという、そういうことを示してくださった。それを各都道府県、地方自治体の担当者、求めるところには送ってくださった。
 擁護局長にお聞きをしたいんですけれども、これだけ貴重な作業をなさった文書が、関連の省庁、例えば警察庁とか文科省とか、そういうところにも伝達はされているんでしょうか。
#68
○政府参考人(名執雅子君) 伝達しております。
#69
○有田芳生君 伝達されているんですよ。されていて、解消法ができた直後に警察庁は全国に通達出してくれたんですよ。これからどのようにそういう右派系市民団体のデモに対処していこうかと。
 だけど、昨日も言いましたけれども、現場に行けばすぐ分かるように、警察官の方々へのそういう教育というものが不十分というよりも逆行しているかのようなシーンをしばしば見受けてしまう。だから、これも今後の課題だというふうに思うんです。
 ですから、そういった方向で必要な啓発というのを国民に対してだけではなくて、やはり警察官の皆さんとか、あるいは教育現場の皆さんなどにも正確に広めていっていただくということが、ヘイトスピーチを始めとした人権侵害をなくしていく地道な道につながると思うんですが、大臣、そういう各省庁の連携というのは今後更に強めなければいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
 昨日も言いましたけれども、東京オリンピック・パラリンピックがやってくる、だけど今でも、近くは新宿でもやりますけれども、京都とか大阪とかいろんなところで今でも右派系市民団体のそういった人間の尊厳を損なうようなデモが行われていて、そこに外国人がいっぱい通っているんですよね。その人たちから見れば、やはり警察官の方々がもう少し配慮するような、警備体制も含めてしっかりとした理解をしてもらわなきゃいけないんだけれども、そういったことを含めた連携というものについて、法務省が率先してやってくださるおつもりはないでしょうか。
#70
○国務大臣(上川陽子君) まさにこのヘイトスピーチ解消法が成立したことが、そうしたそれぞれの機関の連携を促すためにも大変大きな役割を果たすものであるというふうに私は考えております。
 もちろん、一朝のうちに何か事が成し遂げられるというものでは必ずしもないという、そうした難しいこともございますけれども、やはり何といっても粘り強く、また地道に活動を積み上げていくことが必要ではないかと。その中に、地方公共団体あるいは市民団体、あるいはそうした関係省庁の連携の中での徹底ということについては、粘り強く実践をしてまいりたいというふうに思っております。
#71
○有田芳生君 予算、そして今後の方向ということでいえば、今日、資料をお示ししたんですけれども、よくできているんですよね。平成二十八年度予算案の、何というんですか、ユニバーサル社会の実現に向けた新たな人権擁護施策の推進ということで、二〇一六年度から二〇二〇年度、つまり、オリンピック・パラリンピックが開催されるまでにどのような人権施策を推進するかということが非常に分かりやすく表にされております。
 まず、お聞きをしたいんですけれども、私はこの表というのかグラフというのか図表というのを数年前に拝見をして、日本が今目指すところは、一番大きく強調されている人権大国日本の構築、ああ、これはいいスローガンだなと当時思ったんですよ。このスローガンというのは今も生きているんですか、大臣。どちらでも構いませんが。
#72
○政府参考人(名執雅子君) 今委員から御指摘のありました人権大国につきましては、法務省の人権擁護機関としましては、一人一人が違いを認め、互いを尊重することの大切さを理解するとともに、全ての人々の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現するということで、現在も人権大国という言葉にこの意味を込めて表現しております。
 また、この資料は二〇一六年度の予算案計上の折に二〇二〇年度までの五か年間の工程を策定したものでありまして、その後の各年度におきましても、本資料の趣旨を踏まえて予算要求を行っているところでございます。
#73
○有田芳生君 常に常に人権大国日本の構築というようなスローガンというのか目標というのか、そういうものをあらゆるところで強調していってくださることが必要じゃないかななどと個人的には思っております。
 ここにも書かれておりますけれども、平成二十八年度新規ということで、外国人の人権状況に関する調査、これ、実際に行われました。そこで、日本にいらっしゃる外国人がどのような差別を受けているかということを含めて、非常に詳細な結果が出ました。
 しかし、平成三十年度予算案の中でも強調されている一つが、外国人、障害者とともにインターネットということが示されており、そこには、法務省の人権擁護機関が平成二十八年に新たに救済手続を開始した事件数が過去最高件数を記録と。昨日も擁護局長答弁していただきましたけれども、調査すればするほど毎年前年度を上回る最高の数になっていく、五・三倍でしたかね。それで、今年度示された図表の中にはインターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件、この十年間で六・八倍に増えている。皆さん、インターネットを御覧になれば誰でも分かるように、匿名での攻撃がほとんどなんですよね。だから、自分は隠れながら銃眼から敵を撃つというようなことが、しかも、繰り返しますけれども、マイノリティーの特定個人が何か報道されると、そこに集中するという著しい人権侵害。これはマイノリティーだけではなくて、障害者あるいは被差別部落の方々などなど、この日本で今も続いている状況。これをやはり解決しなければいけないと私は思っております。
 本来ならば、ヘイトスピーチ解消法の次には、国連の人種差別撤廃委員会が何度も何度も日本に勧告しているように、今の日本に必要なのは人種差別禁止法だと私は思っておりますけれども、そこに至る経過の中でも、この外国人人権状況に関する調査を行ったように、次はネット上の人権侵害の調査というのをやはり本格的に今後検討する必要があるのではないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。
#74
○政府参考人(名執雅子君) インターネット上における様々な人権侵害につきましては、平成二十八年三月にヘイトスピーチ実態調査の中で行われたもの、また外国人住民調査の中などでも触れながら調査をしてきたものでありまして、今後、現状をきちんと捉えながら施策に生かしていくようにまた検討を進めてまいりたいと思っております。
#75
○有田芳生君 そのネット上の人権侵害については、もうとにかく個人では何とも削除するに至るには大変なんですよね、それはもう御承知のように。
 ですから、今後の方向として人権擁護局に検討していただきたいのは、例えば法務局又は第三者機関に委託をして、ネットモニタリングを行って、そしてこれは著しい人権侵害だということが、ガイドラインを作って、それに基づいて明らかになれば、深刻なものについては削除要請をするようなシステム、そういうことも早急につくる必要があるのではないかと思うんですが、そういった方向を検討していただくことはいかがでしょうか。
#76
○政府参考人(名執雅子君) いわゆるネット上のパトロールのようなことと申しますのは、また表現の自由を所管する当局としてネットを監視するということになりますので、非常に慎重な取組が必要だと思っておりまして、現在のところ、そのような取組まではなかなか難しいところかということは考えております。
 また、ネットの問題につきましては、この人権侵害、様々な方面から解決策を模索すべきだと思っておりますので、今後の検討の中で考えていくしかないかと思っております。現状では非常に難しい課題かと思っております。
#77
○有田芳生君 難しい課題に取り組んでくださるのが名執人権擁護局長たちだと思っておりますので、非常に被害者の方々から期待がありますので、是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 あと、もろもろ、すばらしいパンフレットを作ってくださったりしているんだけれども、この中にも課題があるんだけれども、時間が来てしまいましたので、次の機会にまた質問させていただきます。
 どうもありがとうございました。
#78
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、性暴力を根絶する上で緊急の課題として、アダルトビデオ、AV出演強要問題について伺いたいと思います。
 この問題は、当事者の深刻な訴えと支援の広がりで被害が明るみに出る中で超党派の声が上がり、一歩一歩動かしてまいりました。ところが、今国会で、先日、与党議員から心ない、まるで言いがかりのような質問がされたこともございまして、そこでまず、男女共同参画局長においでいただきましたが、野田大臣はこの問題の性格について、若年層、若い女性たちを狙った性暴力は被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であると、こういう認識を示されました。
 この人権侵害の深刻さを政府としてどのように捉えておられるか、また政府はどんな構えで根絶に取り組んでいかれるのでしょうか、御紹介ください。
#79
○政府参考人(武川恵子君) いわゆるアダルトビデオへの出演強要を始めとする女性に対する性的な暴力に関わる問題は、犯罪となる行為を含む重大な人権侵害でございます。特に、十代から二十代の若年層を狙った性的な暴力は、その未熟さに付け込んだ許し難いものと考えております。
 また、そのような性暴力の被害者は、身体的な面のみならず、多くの場合、精神面でも長期にわたる傷痕を残す、そういうものでございまして、あってはならないものでございます。
 女性活躍の前提となる安全、安心の基盤を揺るがす問題であるため、政府を挙げてその根絶に取り組む必要があると考えております。
#80
○仁比聡平君 ありがとうございます。
 未熟さに付け込んだ許し難い人権侵害という御答弁でもありましたが、そうした構えで、特にこの一年、関係府省において相談窓口の充実が取り組まれてまいりました。例えば、警察庁の相談窓口に二十五件という相談件数が上がったりしていますけれども、これで被害の全てを把握したとは、政府どの府省も思っていらっしゃらないと思います。
 お手元の資料に、支援団体でありますポルノ被害と性暴力を考える会、PAPSの資料から抜粋してお配りをしましたが、一枚目にありますように、このPAPSとNPOライトハウスへの二〇一六年の新規相談件数というのは百件、一七年で八十九件、二〇一二年の一件などからするともう急増しているわけですね。
 こうしたことを見ますと、被害は深く潜在化しているのではないかと思いますが、内閣府としては、あるいは政府としては、インターネット調査も踏まえてどんな御認識でしょうか。
#81
○政府参考人(武川恵子君) アダルトビデオのあっせん強要問題は、被害者の多くが若年の女性でございますし、また性犯罪、性暴力は周囲に打ち明けにくいということがございまして、関係行政機関などで把握している相談件数はこうした問題を抱える被害のごく一部であるというふうに認識をしております。また、これまでに内閣府で実施しました若年層を対象とした性暴力被害の実態の把握のためのインターネット調査におきましても、被害に遭った方々がなかなか公的な相談窓口には相談していないという、そういう実態も明らかになっているところでございます。
 今後、公的相談窓口の認知度を高めるための広報啓発の取組や相談員に対する研修の充実、さらには女性に対する暴力を容認しない社会環境の整備を進めることなどを通じまして、被害に遭われた方々が孤立してしまうことのないように努めてまいりたいと思います。
#82
○仁比聡平君 政府のそうした取組を一層強化をしていくときだと思うんですけれども、その中で、今日大臣の認識も含めてお尋ねしたいと思いますのは、この手口の卑劣さなんですね。
 このPAPSの資料の二枚目、御覧いただきますと、勧誘、スカウトに当たって、この上の方にホームページの写真がありますが、撮影会モデルあるいはパーツモデル、こういう紹介できるお仕事三十種以上といって、顔ばれ一切なしだから安心ですなどと若い女性を誘引するわけですね。女優や歌手あるいはモデルになりたいという気持ちに付け込んだだましのテクニックだと言うべきだと思います。
 このAVというのは聞いていないわけです。けれども、ここに言わば引っかかっていくと抜けられなくなる強要の手口があります。スタジオに行くと大勢の男性スタッフに囲まれて、契約したんだからとか違約金が発生するよとか言われる。二枚目、もう一枚めくっていただくと、例えば交わされた契約書の例がありますが、被害の損害を請求するとか出演義務を怠った場合にはとか、こうした法律用語を振りかざして、社会経験のない若い女性たちをがんじがらめに拘束していくわけですね。
 前のページにもありましたけれども、事前に身分証明書のコピーを取る。例えば、未成年でないことを確認するからなどと言って学生証などを取る、あるいは自宅の住所を取る。こうやって個人情報を握って、最後は親や学校にばらすというような脅しを掛ける例もあります。
 こうした形で、契約だとか合意だとかそういう外形を取って、けれども、内実は強要。この形によって被害者が拘束されるという下で、顔がばれる、身ばれするということで就職が取り消されたり、会社を辞めざるを得なくなったり、あるいは自主的に退学をする、相談中に自ら命を絶たれると、そういうケースが相次いでいるわけです。これ、社会的経験がない、あるいは自己肯定感情も持てないでいる、そうした女性たちの弱みに付け込んだ極めて卑劣な手口だと思います。
 この一年間の取組でこうした実態が随分明らかになってきたかと思うんですが、警察庁に、昨年五月二十四日の通達で、アダルトビデオの出演に関する契約などの相談を受けたときにどう適切な助言を行うかという留意事項を示しておられますが、その要点を教えてください。
#83
○政府参考人(小田部耕治君) 警察では、アダルトビデオへの出演に関する契約等の相談を受理した際には、一般論で申し上げますと、民事上、錯誤に基づく契約は無効であるほか、詐欺や脅迫に基づく契約については承諾した意思表示を取り消すことができることなどを踏まえながら、個別具体的事案に応じて所要の助言を行ったり、法テラス等専門機関の紹介を行うなどしているところであります。
 今後とも、こうした相談や被害申告があった場合には適切に対応してまいりたいと考えております。
#84
○仁比聡平君 その通達には、そうした相談を受けたときに、女性が出演を拒否できる可能性は高いという基本認識に立って相談に当たらなければならないのだということが示されているわけですね。
 この一年の取組で、契約だとかあるいは演出だとかと言いながら、AV業界の異常さがはっきりしたと思います。
 大臣に、ターニングポイントになった二〇一五年の九月九日の東京地裁判決の趣旨をお伝えして認識を伺いたいんですが、この裁判判決は、アダルトビデオへの出演契約が、プロダクションが指定する男性と性行為等をするということを内容としている、これが出演者である被害者の意思に反して、意に反して従事させることが許されない性質のものだと述べているんですね。これ、当然だと思うんですよ。
 不特定の誰か分からない相手との性行為を義務付けるという関係が合法化されてはならないと。誰と性行為をするのか、それが本人の同意なく、あるいは意思に反して、プロダクションなりメーカーなりに指定されて性行為を拒否できなくなる、それは性暴力そのものだと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#85
○国務大臣(上川陽子君) 女性に対しまして、御本人の意に反してアダルトビデオに出演を強要すると、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題ということでございますが、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であると、また女性に対する暴力にも当たるものであるということでございます。
 先ほど男女共同参画大臣の野田大臣も発言されたということでございますが、政府を挙げてその根絶に取り組む必要があるというふうに考えます。
#86
○仁比聡平君 その決意で、今、もう一歩対策を充実をさせるということが求められていると思うんです。
 実際、現に起こっていることは何かと。その性暴力を契約、合意だと言って強要する中で、PAPSの配付した資料の四枚目にありますが、契約書に例えばこんな同意をさせている。私は、本件コンテンツの出演に当たっては、貴社が本件コンテンツ撮影のために選定したスタッフの指示に従うものとし、演出、撮影方法について一切申立てを行いません。その下の同意書には、妊娠、性感染症への感染について一切の補償や責任を求めないものとしますというふうにあります。つまり、妊娠や性感染症のリスクが高い、そうしたありとあらゆることを演出だと言ってやらせる。これはあり得ないことだと思います。
 私、お一人の元AV女優であった被害者の方にお話を直接伺いましたけれども、実際そういう強要をされて、フリーズして抵抗などできない。それはまさに強制性交の被害ですよ。そうしたことが一旦行われ、絶望します。その絶望感の中で囲い込まれて、撮影が繰り返されたりもします。でき上がったAVビデオは、仮に笑顔が見えたとしても、それは支配されて、演技という外形が編集されている。問題は、嫌なものは嫌なんだと、ノー・ミーンズ・ノーという観点からこのアダルトビデオの出演強要問題を捉え直して、あるいは見方を根本から転換して取組を強化しなければならないというところにあると思うんですね。
 そのようにしてでき上がったアダルトビデオがインターネット上で販売される。これは拡散されますから、永遠に消えない、第二の人生を歩めない、人生そのものに係る人権侵害になっていると、ここが重大な問題になっています。
 こうした動画を回収し、販売を停止し、削除してほしい、これは切迫した要望なんですが、これ、インターネットに流出すると、被害者が完全に削除することは今、極めて困難です。そのことをこのPAPSさんはデジタル性暴力と表現をしておられますが、男女共同参画局長、こうした広範に流通、拡散するというインターネット上の被害の重大さについてはどんな御認識でしょうか。
#87
○政府参考人(武川恵子君) 昨年の三月に女性に対する暴力に関する専門調査会から報告書が出ておりまして、その報告書によりますと、アダルトビデオへの出演強要の危険性として挙げられているものとして、撮影された映像が繰り返し使用、流通され、インターネットなどにも掲載されることによる二次被害に悩み、苦しみ続ける、また、家族、友人、学校、職場などにアダルトビデオへの出演が知られないかとおびえ続ける、さらに、アダルトビデオへの出演が知られることにより、家族や友人との人間関係が壊れる、職場にいづらくなり職を失うといったことが挙げられております。
 一度画像が流出してしまいますと完全に削除することがほぼ不可能となり、これが本人の同意なく撮影された性的な画像であれば本人の名誉や私生活の平穏を侵害することとなり、決して許すことのできない人権侵害だと考えております。
#88
○仁比聡平君 ところが、被害者が求めても削除がされないというのが今の仕組みなんです。
 時間がないので、警察庁と総務省、端的に結論だけ伺いたいんですが、警察庁が削除要請をしているのは刑法違反のわいせつ物、児童ポルノ違反という違法情報であって、私が申し上げている被害者の意に反したAVの流通は対象になりません。総務省には有害情報の窓口というのがありますが、プロバイダーに削除申出ができますよという案内はしてくれるんだけれども、その後実際に削除されたかという実態も今は把握をするようなふうにはなっていません。そのとおりですね。
#89
○政府参考人(小田部耕治君) 警察におきましては、インターネットに掲載された情報が、情報の掲載が犯罪に当たるような場合には、プロバイダー、サイト管理者等に対して当該情報の削除の要請を行っているところでございます。
#90
○政府参考人(古市裕久君) お答えいたします。
 御指摘のありました違法・有害情報センターでは、相談者に対して迅速かつ的確な助言を行うことに注力をしておりまして、現時点では、実際に相談対象となった情報が削除されているかどうかを把握する運用は行っていないところでございます。
#91
○仁比聡平君 インターネットあるいはコンピューターの拡大によるこうした被害を、これまでの仕組みでは被害を回復する対応はできないんですよ。
 法務大臣にお願いをしたいと思うんですけれども、どれだけの削除請求がかなっていないか、支援団体や弁護士からも実情を聞くなどして実態の把握を行って、インターネット上の画像を嫌なものは嫌だと速やかに削除する、これを組織化するということが私はどうしても必要だと思うんですね。野田大臣を始めとして、関係の閣僚の皆さんと是非御相談をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#92
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど申し上げましたけれども、アダルトビデオ出演強要問題ということで、政府が一丸となって取り組むべき重大な問題であるというふうに認識をしております。
 野田大臣、また関係省庁ともしっかりと連携をし、一丸となった対策に努めてまいりたいというふうに思っております。
#93
○仁比聡平君 切迫した要求として、自らが映っているこの映像、これが公開されているということと、それから、これがどんどんどんどん拡散されていくということ、この映像が一次情報として使われて、オムニバスなんて言うんですけど、新たな作品と称するものが作られて、これがまた拡散をしていく。これ、世界中に広がっていく。これは、嫌だと言っている女性にとって、これほど耐え難い人権侵害というのはないと思うんですよ。
 私たちが声を上げ、政府が取り組んでいただいて以来、実際削除をメーカーや販売店に求めながら、プロバイダーに求めながら、これが削除されないという現実というのが日々進行しているんですね。
 これ、連携して抜本的に対策取り組んでいただくという決意をいただきました。このインターネット情報、この削除について是非特段御努力をいただきたいと思いますが、大臣、もう一度いかがですか。
#94
○国務大臣(上川陽子君) この問題につきましての重大な人権侵害であるということについては、私どももしっかりと認識をしております。また、大変緊急な要請ということにつきましても理解をしているところでございます。
 関係省庁、また野田大臣とともに、この問題について取り組んでまいります。
#95
○仁比聡平君 ありがとうございます。是非頑張っていただきたいと思います。
 この女性たちの言わば人生と尊厳を食い物にしてもうけをあさる、そうしたやからをどうするのかと。これ、これまで所管省庁はないわけです。市場規模で年間四、五千億円というような関係者の本なんかもありますが、それをはるかに超えるものなのではないか、これが海外の違法サイトなども使って巨額の利益を手にしているのではないか。そうした問題について、是非政府が挙げて取り組む、これを厳しくただしていく所管あるいは監督という省庁も私は設けていく必要があるのではないかと思います。
 もうその御答弁を伺う時間がなくなりましたので、今日はここで質問を終わりますけれども、政府を挙げての取組を強く求めて、今日は質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#96
○委員長(石川博崇君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、片山大介君が委員を辞任され、その補欠として石井苗子君が選任されました。
    ─────────────
#97
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 上川大臣は、昨日、選択的夫婦別姓について私の質問に対し、今回の世論調査の結果を受けまして、直ちに選択的夫婦別氏制度を導入すべき状況にあるとは言えないと受け止めているというふうに答弁をされました。そのことについて確認をさせていただきたいと思います。
 政府は、男女平等の見地から、夫婦の氏や待婚期間の在り方等を含めた婚姻及び離婚に関する法制の見直しを行うと新国内行動計画に明記いたしました。軌を一にして、法制審議会が見直し作業を開始したのは今から二十七年も前のことです。五年の歳月を掛け丁寧に議論を重ね、九六年二月に法務大臣に民法改正案要綱が答申されました。個人の尊厳や男女の平等といった憲法や条約の理念に沿って見直すということが出発点であったはずです。
 昨日の上川大臣のその御答弁、そのことを踏まえないばかりか、法制審議会を軽視するものではないでしょうか。そのように言わざるを得ません。なぜなら、婚外子相続分差別の撤廃も再婚禁止期間の見直しも、法制審が答申したにもかかわらず、最高裁から違憲判断されるまで法改正ができませんでした。これは立法府にいる私たち議員に大きな責任があるというふうに思っておりますが、しかし、法制審答申を主張できないどころか、否定をする法務大臣では困ります。大臣は、男女共同参画担当大臣時代に賛成を表明されていらっしゃいます。男女平等に特に関心をお持ちなのでじくじたる思いなのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 人権に関わる政策で世論調査は、参考にしても、反対の理由にすることがあってはなりません。少数者に関わる政策の実現ができなくなるからです。昨日、私は在日朝鮮人や沖縄県民へのヘイトスピーチについて言及をいたしました。夫婦別姓にしようとする人に向かって、そんなに夫婦別姓にしたいなら朝鮮人になれなどと言われる、そういう向きもあるわけです。
 改めて、法務大臣としてこの問題にどのように向き合っていくおつもりか、上川大臣にお伺いいたします。
#98
○国務大臣(上川陽子君) 選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、我が国の家族の在り方に深く関わる大変重要な問題であるというふうに認識をしているところでございます。
 そこで、五年に一回、世論調査の結果等も踏まえて様々な動向、社会の動向について把握をし、そしてその上で更なる取組ということでやってきたところでございますが、今回、平成二十九年の十二月に世論調査が実施されまして、その結果につきまして発表をしたところでございます。
 その結果によりますと、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして国民各層の意見が分かれているということが改めて示されているというふうに理解をしたところでございますが、平成二十四年の世論調査の結果と比べてみまして、選択的夫婦別氏制度の導入について賛成する意見の割合が増えているというのも事実でございます。
 そこで、今回の世論調査の結果を受けまして直ちに選択的夫婦別氏制度を導入すべき状況にあるとは言えないと受け止めておりますが、昨日も御答弁したとおりでございまして、今後、この世論調査の結果については、例えば、配偶者あるいは子供、兄弟の有無などの違いによってどのような意識の違いがあるか、また、選択的夫婦別氏制度に賛成の人、また反対の人などが他の質問でどのような回答をしたのかと、そうしたきめ細かな分析をし、そして過去の世論調査の結果とも比較検討を行うということを実施していきたいというふうに思っておりまして、その上で引き続きの対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
#99
○糸数慶子君 先ほど小川委員の質問の中にもありましたけれども、賛成は若い人たちにかなり多いということであります。そういうその状況を見ても分かりますけれども、やはりこのことは、今の大臣の御答弁残念でございましたが、政府に期待できないようですので、議員立法案の提出、野党で今取り組んでおりますが、その決意を表明し、次の質問に入りたいと思います。
 次に、難民の問題についてお伺いいたします。
 昨日、通告しておりましたができませんでしたので、難民審査参与員への認定室通知の徹底についてお伺いをしたいと思います。
 難民認定手続における難民該当性の適切な評価のために、二〇一六年十一月十六日付けで法務省入国管理局から通知が提出され、難民認定室補佐官より各地方局の難民調査の担当者に事務連絡で伝えられています。
 この通知は、難民不認定処分等の取消しを求めてなされた名古屋高裁判決を受けて出されたものですが、申請者の申告における人権や治安情勢に関する情報を正確に把握すること、申請者の供述の信憑性の評価における視点、迫害のおそれについての評価方法について適切かつ妥当に示すものとして、難民支援に携わる弁護士団体や市民社会からも高い評価を得ています。
 一方で、せっかくすばらしい通知が出されているにもかかわらず、この通知では否定されている評価方法が異議棄却理由に使われていたり、必ずしも難民審査の現場に反映されていないとの指摘もございます。
 この通知は難民審査参与員にも配付されているのでしょうか、お伺いいたします。
#100
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 御指摘のございました難民認定室補佐官事務連絡でございますが、これは、基本に忠実な審査業務の遂行を改めて徹底するために地方入管に宛てて発出されたものでございまして、難民認定手続に携わる地方入国管理局の職員に周知しておるものでございますが、難民審査参与員には配付しておりません。
#101
○糸数慶子君 是非配付をしていただきたいと思います。
 次に、昨日の中西健治委員の我が国での難民保護に関する質疑への答弁で上川大臣は、真の難民を迅速に保護するために今年一月から更なる運用の見直しを実施している旨を述べられました。二〇一五年九月の運用見直しの際には、真の難民を迅速かつ確実に保護するためとされ、迅速だけでなく、確実に保護するということが含まれていました。
 今回、この確実な保護を含めていないことに何らかの意図はあるのでしょうか。
#102
○国務大臣(上川陽子君) 難民認定制度を所管する法務大臣といたしまして、真の難民の迅速かつ確実な保護が重要であるという認識につきましては、前回の運用の見直しを行いました平成二十七年九月当時も、現在においても変わりはございません。しかしながら、平成二十七年九月当時と比べても難民認定申請が急増しておりまして、その結果として、未処理数が急増し、処理期間も長期化し、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態となっていたことから、今回の更なる見直しを行ったものでございます。
 また、中西委員からも、シリア人の難民認定に二百数十日を要しているが、そうした真の難民の迅速な保護にどう対応するのかという御質問をいただいたことから、特に真の難民の迅速な保護を図ることを目的に行った見直しである旨をお答えしたものでございます。
#103
○糸数慶子君 迅速な保護も大切でありますが、難民である者が誤って不認定にならないように、難民として保護されるべき者が確実に保護されるよう、適切な難民認定制度の運用をしていただくように期待しております。
 さて、皆様にもお配りしておりますけれども、二〇一六年の難民申請者数が多い上位二十五か国についての世界及び日本での難民申請や認定等の数字があります。
 シリア、アフガニスタン、イラク出身者の日本での難民認定申請者数は大臣のおっしゃるとおり少ないわけですが、世界での難民出身国の上位二十五か国で、合計すると三千人以上が日本でも難民認定申請をしております。難民の出身国として、シリア、アフガニスタン、イラクのその次に多いイラン、パキスタン、コンゴ民主共和国、それ以降のナイジェリア、中国、バングラデシュ、ミャンマー、トルコなどを見ても、日本での難民認定率の低さが際立っています。
 これは、単純比較はできませんが、ざっと見ても日本での難民認定数が世界各国と比べて非常に少ないように思います。濫用、誤用的な申請やあくまで個別に判断をした結果だけでは説明し切れないように思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。
#104
○国務大臣(上川陽子君) 難民認定は、難民条約等に規定する難民の定義に申請者が該当するか否かを判断するものでございます。我が国の難民認定数は、申請者が難民条約上の難民に該当するか否かにつきまして個別に審査した上で、難民と認定すべき者を適正に認定した結果であるというふうに考えております。先ほどの適正にかつ確実にということでございます。また、条約上の難民とは認定できない場合であっても、本国情勢などを踏まえまして、人道上の配慮が必要と認められる場合につきましては我が国への在留を認めているところでもございます。
 委員からお示しいただきました二十五か国の御指摘でございますけれども、それらの国のどのような方がどのような事情を申し立てて難民認定を申請をしたのかということにつきまして明らかでございませんので、単純に比較することはできないということでございますが、我が国におきましても、それらの国からの申請者に対しまして難民認定、さらには人道上の配慮による在留を認めている事例もございます。
 いずれにしても、引き続き真に庇護を必要とする者の迅速かつ確実な保護を図ってまいりたいというふうに考えております。
#105
○糸数慶子君 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、日本司法支援センター、法テラスについてお伺いしたいと思います。
 今年二月二十八日に法務大臣が示されました、指示されました日本司法支援センター中期目標では、これは、償還率に占める当該年度末までの償還金額の割合について、中期目標期間の最終年度において九〇%以上を目指すというふうにしておりますが、民事法律扶助の利用者はそもそも資力が乏しい方であるため、返済を求めるに当たって十分な配慮が必要ですし、返済の結果、過酷な状況に置かれないためにも、並行して償還金免除の制度の十分な活用や更なる制度拡大も検討するべきだというふうに思いますが、検討される予定はありますでしょうか。
#106
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、本年二月二十八日に指示した法テラスの第四期中期目標、これは平成三十年度から平成三十三年度までの四年間にわたるものでございますが、償還率において、中期目標期間の最終年度、平成三十三年度において九〇%以上を目指すという指標を設定したところでございます。
 この償還率は、償還期限が到来した立替金額に占める償還金額の割合でございまして、その算出に当たりましては生活保護受給者等償還を免除された者の立替金は除外しております。したがいまして、第四期中期目標において設定した償還率に関する指標は、償還が困難な方からも今後は償還を求めていくという趣旨ではなく、あくまでも償還が可能な者からの償還の確保に努め、その向上を図るというものでございます。
 償還免除の更なる拡大につきましては、償還金が将来の民事法律扶助の被援助者への立替金に充てられるという相互扶助の観点からの検討も不可欠でございまして、慎重な検討が必要な問題と考えておりますが、法テラスにおきましては、現在も、先ほど申し上げましたとおり、生活保護受給者やこれに準ずる方など、立替金の償還が困難な方につきましてはその償還を免除しているところであります。また、免除要件に該当しない場合でありましても、償還が困難な事情のある方に関しましてはその償還を猶予する制度も設けております。
 いずれにいたしましても、法テラスの民事法律扶助の利用者は、委員御指摘のとおり、資力の乏しい方でありますため、法テラスにおいて引き続き現行の免除制度や猶予制度を適切に運用し、立替金の償還が困難な方に配慮した運用がなされるものと認識しているところでございます。
#107
○糸数慶子君 よろしくお願いいたします。
 次に、スタッフ弁護士の応募者が減少しているというふうに聞いておりますが、その要因をどう分析されているのでしょうか。また、どう講ずるのか、その予定などもお伺いしたいと思います。
#108
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、法テラスの職員として勤務する弁護士、いわゆるスタッフ弁護士の応募者数につきましては、近年減少傾向にございます。このスタッフ弁護士の応募者数の減少につきましては、一般の法律事務所への就職状況等様々な要因があると考えられまして、その要因を一概に特定することは困難でございます。
 いずれにいたしましても、スタッフ弁護士が、司法過疎地域における法的サービスの提供のほか、自ら法的援助を求めることが困難な高齢者等への法的支援など、司法へのアクセスが困難な者に対するセーフティーネットとしての役割を果たしていることを鑑みますと、優秀なスタッフ弁護士の確保は重要と認識しております。
 したがいまして、現在も法テラスにおいて司法修習生を対象とした説明会等を通じてスタッフ弁護士の確保に努めているところではございますが、さらに法科大学院や日本弁護士連合会等の関係機関の協力も得つつ、スタッフ弁護士の活動の魅力を広く積極的に周知するなど、より効果的なスタッフ弁護士の確保策を検討してまいりたいと考えております。
#109
○糸数慶子君 今年度の民事法律扶助の代理援助件数、それが増加しているというふうに聞いておりますが、その要因は何でしょうか。また、次年度以降予算不足とならないよう十分な手当てをされているか、お伺いしたいと思います。
#110
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、本年度の、平成二十九年度の民事法律扶助の代理援助件数は、前年度、平成二十八年度に比べて増加傾向にございます。この点、事件類型別で見た場合、自己破産事件を含む多重債務事件が大幅に増加しておりまして、これが本年度の代理援助件数の増加要因だというふうに考えております。
 こうした状況を踏まえまして、法務省といたしましては、平成三十年度予算の政府案において実績を考慮した予算額を計上しており、代理援助件数の増加を反映した必要な手当てを講じているところでございますが、引き続き、民事法律扶助事件数の動向を踏まえまして、必要な予算の確保に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
#111
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 現在、スタッフ弁護士希望者が激減しているというふうに言われておりますが、その一番の理由に挙げられているのは、同地更新が原則として認められないことだと聞いております。せっかく築いた人的関係をリセットして、縁もゆかりもない土地に行って新たな関係をつくるというのは酷ではないでしょうか。三年任期ですと、二年半くらいの時点で新規受任を控えざるを得なくなるようであります。今その任期を二年にすることが検討されているようですが、任期を二年にしたら、任地でまともな仕事はできずに、淡々と目の前の仕事をこなすだけになるといった、そのような懸念の声も聞かれております。
 そういうことにおきましては、やはり弁護士の皆さんのそのような懸念、それにしっかり応えて、予算の手当て、制度の見直しなど、しっかり対応していただきたいと思いますが、最後に上川大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#112
○国務大臣(上川陽子君) 日本司法支援センターの役割は大変重要であるというふうに考えております。また、様々な社会のニーズに応じて適切に対応していくためにも、体制も含めまして丁寧に対応してまいりたいと思っております。
#113
○糸数慶子君 時間が参りましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
#114
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
 本日、選抜高校野球大会、春の甲子園が開幕しました。選手の皆さんには、これまで青春を懸けたその成果を存分に発揮していただきたいと思っております。
 そこで、高校野球を始めとする学生スポーツについていつも思っていることがありますので、それをちょっと少し発言させていただきたいと思います。
 それは、一部の部員が不祥事を起こしたときに、連帯責任を理由に学校全体が対外試合の禁止処分を受けたり、監督や教員が、学校側が世間体を気にして大会出場の辞退を決定する風潮があるということです。個人の尊厳を基本的な価値とする日本国憲法下では、刑事でも民事でも、個人の自己責任が原則です。そんな中、学生生徒に対して連帯責任を課すことは極めて不合理であり、人権侵犯の疑いもあるのではないかと考えております。
 通告していないんですけれど、学生スポーツにおける連帯責任の名の下に処分、辞退をするということは望ましくないと、このことを法務大臣からきっぱり言っていただければこのような状況が、風潮が改善すると思うのですが、また、学校側も出場しやすくなる、上川大臣の発言を理由に出場しやすくなるということは非常にいいことだと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
#115
○国務大臣(上川陽子君) 高校のスポーツの場面の中で、日頃から委員がそのような御意見を持って状況を見詰めていたということについて、今日初めてお伺いしたところでございます。私もよく考えてみたいというふうに思っております。
#116
○山口和之君 是非、青春を懸けて一生懸命練習していて、一部の部員が不祥事を起こしたことに、全体で行った場合はそれはちょっと別として、一部の部員が行ったことに対して出場ができなくなるという、そういうつらい思いがないように、是非大臣の方から機会があったら発言していただければと思います。
 そこで、今日の委嘱審査について質問したいと思いますが、老朽化施設への対応についてお伺いします。
 刑務所などの施設については、現行の耐震基準が定められた昭和五十六年以前に建設された施設が約半数以上に上っているということであり、次年度予算には施設の建て替え等を推進するための経費として約二百五十億円計上されています。
 まず、矯正施設の老朽化に関する現状と課題についてお伺いします。
#117
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 矯正施設というものは、再犯防止の施策を実現するための土台であるとともに、また特に災害等が発生した場合には、被収容者の逃走を防止し、平穏な収容を維持することで国民の安全を確保する、そういったため、その整備は非常に重要であると考えております。
 また、近年では、熊本で発生いたしました地震の際には、職員の武道訓練のため設けてございます道場を近隣住民のための避難所として開放するといったようなことを行っておりまして、地域の皆様にとっても役に立つ施設でございます。
 しかしながら、今委員お尋ねのとおり、全国に二百九十六ございます矯正施設は、そのうちの百四十施設、これは平成二十九年四月一日現在での数字でございますが、百四十施設が現行耐震基準制定以前の昭和五十六年よりも前に建てられたものとなっております。更に申し上げますと、その百四十施設のうちの六十施設につきましては、昭和四十六年以前、旧耐震基準の改定以前に建てられたものであるということで、その老朽化は著しく、対策は急務となっているところでございます。
 矯正施設は再犯防止の取組の基盤となる施設であるということに鑑みますと、今後、建て替えあるいはリノベーションあるいは耐震補強、その施設の置かれた状況にふさわしい合理的な方法を選びながら、そういった所要の整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#118
○山口和之君 仮に老朽化施設の倒壊などが起きて収容者や職員が死傷した場合には、国は責任を負うことになるのでしょうか。
#119
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 先ほど述べました老朽化施設の中に、例えばですが、昭和四十六年に建築されました熊本刑務所、これは先日の熊本地震で被災をしたわけでございますが、老朽化した施設ではございましたが、建物に多少の被害は生じたものの倒壊等は発生していない、そういった事実がございます。
 東日本大震災の際にも、昭和三十年に建てられました宮城刑務所、こちらも建物に被害は出ましたが倒壊等には至っていないということで、なかなか委員お尋ねの建物の倒壊によって職員が死傷する具体的な場面というのが今まで余り経験をしたことがなく、なかなかお答えするのが難しいのですが、あくまで一般論として申し上げたいと思います。
 国家賠償法第二条第一項には、道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は地方公共団体はこれを賠償する責めに任ずると定められております。こういった法律に定めのある瑕疵があるかないかということにつきましては、施設の構造、用法、場所的環境及び利用状況等、諸般の事情を総合的に考慮し、具体的、個別的に判断すべきものとされていると承知しております。
 お尋ねのような件につきまして、やはり何か起きた場合には、その結果について今申し上げたような枠組みで判断をし、瑕疵があるとされた場合には国に賠償責任が発生すると、そのように考えております。
#120
○山口和之君 矯正施設の耐震化を全て終えるには時間が掛かると。そのため、その完了前に大地震が発生することを想定し、十分に備えることも必要があると思います。震度六強や七の地震が起きた場合、旧基準下で建築された建物は倒壊のおそれはあると思います。老朽化した矯正施設ではどのように対応することになっているのでしょうか。深夜や厳寒期に地震が起きた場合、収容者に高齢者や要介護者がいる場合などへのソフト面の対策を踏まえ、御説明願います。
#121
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 一般的に、旧耐震基準の下で造られた施設であるかないかにかかわらずでございますが、大規模地震が発生した場合には、直ちに被害状況を確認し、必要な措置を講ずることとしているところです。例えば、建物倒壊あるいは火災の延焼のおそれがあるといったような場合には、あらかじめ定めてあります避難場所に被収容者を誘導するなどの措置を講じることになります。
 もちろん、その際には、高齢、障害等で歩行が困難な被収容者がおればその者には介助者を付けるなど、所要の配慮を行います。また、厳寒期であれば当然屋外にいたのでは寒いわけですので、毛布その他防寒の措置もとれるように準備をしているところでございます。
 また、こうした避難措置などの対応につきましては、平素からの訓練が重要であります。各施設におきましては、避難計画を作成するほか、年に一度程度は避難訓練を実施しているものと承知をしております。
 また、大規模地震が発生したような場合には、食料の確保ができないということも想定されるところであります。各矯正施設におきましては、非常用の食料として七日分の非常食、これを備蓄しているところでございます。
 また、被災をした矯正施設だけでは特に大規模な地震のときには対応できない場合というのが容易に想定されます。このため、法務大臣訓令、矯正施設警備救援規程をもちまして、天災事変その他保安上緊急の措置を要する事態には、必要に応じて、近隣施設はもとよりですが、全国の矯正施設から警備応援や災害復旧その他の救援活動のための職員を派遣する体制も整えているところでございます。
#122
○山口和之君 矯正施設の耐震化は十分進んでいないということですし、矯正施設に収容されている者には身体の自由がなく、大地震が起きても自ら逃げることは許されないということです。また、矯正施設が倒壊したような場合でも、収容者を移送できる場所は極めて限定されていると思います。そのため、矯正施設は、病院や学校と同様に、耐震化を重点的に進める必要が高いとも言えると思います。
 上川大臣には、このような特性を持つ矯正施設について、耐震化等のハード面の対策を加速するとともに、ソフト面の対策にも全力を挙げていただきたいと思っておりますが、御決意をお聞かせ願います。
#123
○国務大臣(上川陽子君) 矯正施設につきましては、ハード、ソフトの面からこれを万全にしていく必要があるということにつきまして、委員御指摘のとおりというふうに考えております。
 拘禁施設であるということ、また、避難させることについては相当の制約を有する上に、再犯防止の取組の基盤となる施設でもあるということに鑑みまして、耐震化等の所要の整備に取り組んでまいりたいと存じます。
 また、ソフト面の対策につきましても、平素からの有事に備えた訓練等の充実を始め、必要な食料等の備蓄につきましても確実に進めてまいりたいというふうに考えます。
#124
○山口和之君 老朽化施設への対応は喫緊の課題ですし、災害が起こるたびに国会では想定外という言葉が聞かれます。しかし、東日本大震災を経験した我々には、もはや想定外という言葉はないと思っております。
 予算の制約があり、耐震化を加速させることには限度があるかもしれませんが、その分避難計画などのソフト面対策を万全なものとして、どのようなことが起きても、生命、身体及び財産を保護できるようにしていただきたいと思います。
 次に、会社法制、企業統治等関係について質問させていただきます。
 近頃、東芝、日産、スバル、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レ等と、次々と企業の不正が明るみに出ておりますが、会社法を所管し、コーポレートガバナンスの強化を進めている法務大臣としては、どこに問題があるとお考えでしょうか。
#125
○国務大臣(上川陽子君) 企業の不正を防止することは会社法の果たすべき重要な役割の一つであるわけでございます。
 不正が起きる原因というのは様々でございまして、全ての事案につきまして一概に述べるということはなかなか難しいところでもございます。
 もっとも、企業の不正を抑止し、その業務の適正を確保するための体制を整備するに当たりましては、その制度を形式的に整えるだけではなく、実質的に機能させるということが重要であると認識をしております。
 例えば、経営者に対して監督の実効性を高めるためには、期待される役割を適切に遂行することができる知見、また経験を兼ね備えた者を社外取締役に選任をすること、あるいは社外取締役の機能が発揮しやすい環境を整備すること等の運用面の取組が重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 そういった運用の改善のための施策につきましては、コーポレートガバナンスに関するガイドラインの策定等の取組を行っている関係省庁ともしっかりと連携をして検討してまいりたいというふうに考えております。
#126
○山口和之君 日本の上場企業では約六割の会社で相談役、顧問が在任中であって、経営に影響力を及ぼしているケースも少なくないとのことです。
 相談役や顧問については会社法に規定がありませんが、これらの者が経営に深く関与することは、透明性の確保、企業統治の強化という会社法の理念に照らして問題はないのでしょうか。上川大臣の御見解を伺います。
#127
○国務大臣(上川陽子君) 会社法上、上場企業におきましては、業務執行の決定をする権限、これを有するのは取締役会でございます。
 委員御指摘のように、取締役会の構成員以外の者が実質的にその権限を行使し、経営に深く関与することには会社法上も問題があり得ると認識をしております。他方で、相談役、顧問といいましても、企業によりましてその位置付けは多様でございます。一律にその良しあしを判断することはできないという指摘もされているところでございます。
 相談役、顧問の問題につきましては、委員の御指摘のような御意見、このこともあるということを踏まえまして、東京証券取引所におきまして平成二十九年の八月にコーポレートガバナンスに関する報告書の記載要領を改訂いたしまして、退任した社長、CEOが就任する相談役、顧問等の氏名、役職、地位、業務内容等を同報告書の自主的な開示事項に追加したものと承知をしているところでございます。
 相談役、顧問をめぐる問題につきましては、このような取組による効果等も踏まえまして、関係省庁とも連携をした検討が必要であるというふうに認識をしております。
#128
○山口和之君 昨今、そんたくという言葉をよく聞きますが、良くも悪くも他人の気持ちを推し量るのが日本の社会です。そのような日本において社長経験者が相談役や顧問として会社に残り続けたりすれば、その人物が関わった業務を批判、改善することを困難にして、企業の隠蔽体質を生む大きな要因になるとも考えられます。
 会社法においてはそのようなことは想定されていないはずです。社長の退任後は他の会社の代表取締役か社外取締役に就任したり、新しく起業してこそ、その方の能力を生かすことができ、社会貢献にもなると思います。
 上川大臣には、既得権益にそんたくすることなく、何が日本のためになるのかを見極め、今後のコーポレートガバナンスの在り方を検討していただければと思います。
 以上で終わります。
#129
○石井苗子君 最後になりました。日本維新の会の石井苗子です。
 所信表明の三から四ページにあります無戸籍、この無戸籍状態の解消のところで幾つか質問させていただきます。
 大変複雑な問題でございまして、親によって出生届が出されておらず無戸籍になっているという、親によってというところが重要なんでございますが、最初の質問です。
 毎年無戸籍の人が何人誕生しているかについて、ネットなどを調べますと様々な情報がありますが、法務省としてはどこまで正確な数字を把握していらっしゃいますか。
 次に、資料の裏表の新聞記事の方ですけれども、戸籍法改正について、法制審議会がマイナンバー制度の導入を検討しているということになっているはずですが、そのマイナンバー制度というのは、戸籍届を出そうとしている人たちの管理に便宜を払ってやりやすいようにしていくということで、現在無戸籍である人たちの解消に役に立つものなのだろうか。そして、親によって出生届が出されておらずという、その親が出したくないというところの無戸籍の人たちの解消にもこのマイナンバー制度の導入というのは役に立つめどがあるでしょうか、お答えください。
#130
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 無戸籍の方々につきましては、法務局におきまして無戸籍状態を解消するための手続案内を丁寧に行うという観点から、平成二十六年以降、当省におきまして、市区町村長等と連携して無戸籍の方々の情報を集約しております。例えば、平成二十九年三月から平成三十年三月までの一年間に新たに把握しました無戸籍者の方の累計は三百二十五名でありますが、いまだ把握できていない無戸籍の方がおられる可能性はあるものと認識しております。
 そこで、昨年十一月でございますが、市区町村内における情報の集約に更に十全を期すために、市区町村の戸籍事務担当部署以外の関係部署も含めまして、情報提供は法的な根拠に基づくものであって個人情報保護の観点からも問題とはならないと、そういう趣旨の、そういう旨を当省において総務省とともに周知したところでございます。
 また、無戸籍者の把握につきましては、現在検討中の戸籍事務へのマイナンバー制度の導入によりまして、無戸籍の方のうち戸籍はないものの住民票が作成されている方をシステム的に把握することができるようになることが想定されます。そういった面で、その方たちに対しまして法務局又は市区町村が支援することが可能になるものと考えられます。
 今後も、新たな取組も含めまして、不断にその効果を検証しつつ、無戸籍者問題の解消に向けてより一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#131
○石井苗子君 ありがとうございます。
 次の質問なんですが、この無戸籍の子供が生まれる要因で一番多いのが、離婚と再婚のはざまで生まれた子供なんですけれども、民法七百七十二条二項の法的離婚後三百日以内に生まれた子供は前の夫の子供と推定されるという。離婚後に妊娠が発覚した場合に生まれてくる子供の財産相続権を守る目的があったと、一概に悪い法律ではなかったと言われておりますが、それは昔ですね、離婚だけを言い渡された女性との間に生まれる子供の場合です。
 現在、女性の方から別居をして、離婚調停が長引いて再婚した夫の子供が早産だった場合に、その子供が前の夫の子供となるといったような問題について、現在では、法務省民事局長通達というのがございまして、離婚後の妊娠については医師による妊娠期間の証明があれば前の夫の子供ではないとして出生届が出すことができるという非常に特定的なものが認められているんですが、そのことを知らない人というのは女性の中で非常に多いです。
 民法は、今国会でも御案内のように、相続や遺言書などについて改正が相次いでおりまして、この離婚後の出産についても、民法七百七十二の二について、この際DNA鑑定を取り入れた法律に改正して、血統の確認をした上で、実の父親、つまりどちらかが父親なんだという特定を行って新生児の戸籍を取得することを円滑化するべきだと考えますが、これは男性の意見をお聞きしたいので、副大臣にお答えをお願いいたします。
#132
○副大臣(葉梨康弘君) 御案内のように、この嫡出推定の趣旨ですけれども、先ほどいい制度であったという意見もあるというお話もございましたが、法律上の父子関係を早期に確定して、家庭の平和が脅かされる、この事態を防ぐということで子の利益を図る点があると、これは現在でもあるものだというふうに私自身は認識をしております。したがって、この制度が存在することによってもたらされている子の利益は総体として非常に大きいものと考えています。子の利益の観点から必要な制度ではないかと思います。
 御指摘のように、DNA鑑定で夫と子の間の血縁関係が否定されれば嫡出推定を覆すことができるという制度を採用する場合は、次のような問題点があるんじゃないか。つまり、現行法上、嫡出推定を覆すには嫡出否認の訴えによってしなければならないこととされています。子の身分関係の法的安定を図る観点から、出訴期間や提訴権者にも制限が設けられています。
 嫡出推定制度を見直す場合の制度設計の在り方については、このような嫡出否認権の行使の方法を訴えに限定すべきであるのか、出訴期間をどのように定めるのか、提訴権者をどの範囲にするかといった点を踏まえて様々な問題があります。国民的な議論の動向を踏まえながら、その見直しの要否等を慎重に検討することが必要だと思います。
 また、現実に、出産時に、先ほど医師の証明のお話がございましたけれども、外見的な婚姻関係がない状況で子供が生まれているということについては、この嫡出否認の訴えではなくて親子関係不存在の訴えということを、判例上訴えを出すこともできると、そういうような形の訴えを、提訴することもできるということも付け加えておきたいと思います。
 裁判手続を経ることなくて戸籍の窓口でDNA鑑定の結果を根拠に嫡出推定が覆されるものとして出生届を受理することができるようにするということとなりますと、DNA鑑定の結果が提出されても戸籍の窓口では鑑定に用いられたのが真に本人の検体かどうかといった点を判断することはできません。ですから、結局のところ、裁判所の判断等を経なければ嫡出推定が覆されたものと扱うことはできないというふうに思います。ですから、このようにDNA鑑定によって血縁関係が否定されれば嫡出推定を覆すことができるという制度については慎重な検討を要するし、また様々な問題もございます。
 現行法、今の現状においては、先ほど申し上げました親子関係不存在の訴え、つまり、外見的に婚姻関係がないという状況で子供が妊娠されたということが推定される場合、それから医師の証明がある場合といったものをしっかりと徹底をしていくということがまずは必要じゃないかというふうに思っています。
#133
○石井苗子君 根本的な考え方として大分私と開きがあるような気がするんですけれども、無戸籍の子供というのは、学校に入学できないとか、保険証がないとか、予防接種ができない、通院ができない、身分証明書がないために就職ができない、結婚、出産も困難を極めて、運転免許証やパスポートも取得できないというようなことが書いてあるネットがありますが、これは間違いなんです。これは間違いなんです。
 資料には出しませんでしたけれども、無戸籍をめぐる運用改善というのがありまして、現在では通学や結婚は戸籍のあるなしにかかわらず可能であると、健康保険証は戸籍でなくそこの住んでいる状況の確認によって可能でありますと、パスポートも、無戸籍状態を解消するための手続を取っていることなどの要件を満たす場合には戸籍がなくても発給されることができているということなんですが、これ全く周知されていません。
 なぜかというと、最初の一行です、親によって出生届が出されていないから、自分が何かしようと思ったときに、住民票があるのでパスポートくださいとかと、そういうように言って、そこから戸籍もくださいと、私には戸籍がないのですと訴えるところがあるのかどうかという、これ随分前から話題になっているのになぜ民法改正に踏み切らないのかという意見も多くあると言われております。
 もし母親が無事に出産できたなら、これさっきと話題が違うんですよ、もし母親が無事出産できたら、いかなる事情のシングルマザーであっても国としてその子の戸籍だけは作れる制度を考えるべきだと思いますが、お考えをお聞かせいただけませんでしょうか。私は、出産するのは母親なのですから、父親関係がどうだとかいうことなしに、戸籍だけは生まれてくる子の人権を守るために、国はまず生まれてきた子供に無条件で戸籍を作ってあげるべきだという考えを持っています。
 秩序の乱れとかそういうことではなくて、生まれてきた子供にはまず国は戸籍を入れてあげると。そうすると、母親のマイナンバーカードを使って医療だとか自治体だとか、この子は生まれましたよという戸籍が作れる制度をマイナンバーカードで活用すべきじゃないかと考えますが、全体として、生まれてきた子供にはまず国として戸籍を作ってあげるということに関して将来的にどのようなお考えがあるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#134
○副大臣(葉梨康弘君) 男性にということでございますので。
 先ほど御答弁させていただきましたけれども、いわゆる戸籍の窓口においての受付の段階でDNA鑑定書を持ってきても、その検体はどうかというのを確認するというのはなかなかこれは難しい、本人のものであるかどうかを確認するというのは非常に難しいものがあります。
 ですから、一旦はこの民法七百七十二条の規定によって出生の届けを出していただいて、そして、それによって戸籍を作成した後に夫の方から嫡出否認の訴えというのもありましょうし、先ほど、外形的に婚姻関係が継続していないという状況において妊娠して出産したという状況であれば親子関係不存在の訴えというのを提起することができる。そういった中で、あるいは医師の証明書というのがあれば一番いいわけなんですけれども、それで裁判上の手続によって親子関係が不存在である、あるいは夫の方からですと嫡出否認であるという形での、あるいは強制認知という形で、強制認知の訴えというのも外形的に婚姻関係が不存在であれば提起することができます。そういった裁判上の判断をいただいた上で、それを実のお父さんの戸籍のところに入れるというような形、これが今のところは現実的なのではないかと。
 つまり、戸籍の窓口でDNA鑑定の鑑定書を持ってこられてもなかなかこれを判断するというのは非常に難しい。やはり裁判上の手続というのを経た上で新たな戸籍を確定していくということが必要じゃないかと。そのために、法務局においてはいろんな形での寄り添い型の支援というのを行わせていただいているというのが現状でございます。
#135
○石井苗子君 まだ五分ありますね。もう一回言わせてください。
 私、親子関係の話をしているんじゃなくて、生まれてきた子供は親子関係に関係なく国としてその子にまず戸籍を作ってあげることが非常に大事なのではないかと。ここの所信にありますように、親の届けがないためにという、ちゅうちょしている何かあるんでしょう、事情が。だけど、それはどこかで助けるべく制度や法律を作らないと、とにかく生まれるという事実、無事に生まれてきたという事実でもってその子にはまず最初に戸籍があるという制度を何とかしてつくってほしいと私は申し上げているのであって、その後、誰がどうしたとか鑑定がどうだとかいうことは後でいいというのが私の意見なんです。
 これに関して、どこかで出産するわけですよ、家であったり病院であったり、どこかで出産するんです。そのときの誰かが出産届というのを出せば戸籍が取れるようにはなりませんか、無戸籍の子供というのが増えないようにするためにその制度はいかがでしょうかと、前向きに何か検討していらっしゃいますかという質問をしておりますので、もう一回お答えいただけますでしょうか。
#136
○副大臣(葉梨康弘君) 確かに、石井委員おっしゃられるように、仮戸籍を作れというような御意見があるということは私も承知をしております。
 ただ、母親の子供だということは、これはもう明らかに物理的に出産するわけですから分かるわけですけれども、じゃ、その子の戸籍をどういう形で作るのかという問題もございます。といいますのは、戸籍というのは、例えば離婚の前であれば、離婚の前に同じようなDNA鑑定で別の男性の子供を出産するということもあり得るわけですよね、その場合はまたどうなのかという議論もございますし、離婚後三百日の間だけの話なのかどうかという議論もまたあろうかと思います。そして、仮戸籍を作ったときに、じゃ、実際に父親の欄に一体誰の名前があるのかというような問題もまたこれがあるわけで、非常になかなかそこのところは難しい問題があり得るかと思います。そうなりますと、先ほど申し上げましたけれども、嫡出推定制度、これが一点、子の利益を図るという意味で合理性があるということでありますので、やはりこの嫡出、民法七百七十二条、この趣旨にのっとって一旦はその戸籍を作ってというようなこと、これが必要ではないかなというふうに思います。
 いずれにしても、無戸籍の方々、これについて、ちょうど私、前の副大臣で、ちょうど大臣が、大臣と副大臣が同じコンビなんですけれども、そのときにこの無戸籍の問題というのが非常に大きく提起されて、それから三年間が経過しております。そういった中で、法的な問題等々もある意味で含めまして、今自民党の中でもいろんな議論が行われているところですけれども、一層我々としてもいろんな御意見承りながら、積極的な無戸籍問題の解消に取り組んでいきたいというふうに思っています。
#137
○石井苗子君 質問用意してきたんですけれども次に回しまして、この無戸籍なんですが、やっぱり聞いているとどうしても結婚制度というのがあって、父親がちゃんといなければというような話に聞こえてならないんですけれども、様々な個人の事情によって届出をしないで育てている親というのがおりまして、実際そういう人の人数の把握というのができているかどうか分からないんですけれども、更にもっと突っ込んで言いますと、年間二十万件です、望まない妊娠ということで中絶をしております。これは母体法の十四条でしたね。中絶要因として、経済的な理由とか、配偶者不明、そのように言われておりますが、少子化対策ということであれば、これは私、この間言いましたけど、特別養子縁組などの法的な整備も整えて、今ある命を守るということであれば、子供の命を守るということであればですよ、生まれたら生まれたんだということで、さっきから離婚とかという話ではなくて、医療機関なりどこなりが国に届ければいい。あなたは母親がマイナンバー持っていますかと、あなたの生まれた子供さんの戸籍だけは作っておきましょうということであれば誰も反対しないと思うんですね、戸籍だけは作ってあげましょうよと。やはり、父親が誰であっても母親が出産するわけですから、母親のマイナンバーでも何でも、戸籍だけは出しておきましょうと。どうしてもその家族という枠組みの中で、父親の名前がとかそういうことであると、これ一歩も進まないと思います。
 DNA鑑定で誰の検体か分からないというようなことを、私、病院に勤めていますから、それはこちらのミスがないようにやっていけばいいわけであって、望む方も望まない方もいるでしょうけれども、離婚した場合に、これは誰の子供なんだということを早く母親と、女性の方が知りたい場合にはそれをやってあげるという物の考え方のイノベーションも必要だと私は思っておりますが、五分でございますので、次の機会に用意してきた質問をさせていただきます。
 ありがとうございました。終わります。
#138
○委員長(石川博崇君) 以上をもちまして、平成三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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