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2018/05/31 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第13号
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2018/05/31 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第13号

#1
第196回国会 法務委員会 第13号
平成三十年五月三十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     元榮太一郎君     関口 昌一君
     櫻井  充君     榛葉賀津也君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     関口 昌一君     元榮太一郎君
     榛葉賀津也君     櫻井  充君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     山谷えり子君     三木  亨君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     中西  哲君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川 博崇君
    理 事
                中西 健治君
                山田  宏君
                若松 謙維君
                有田 芳生君
    委 員
                岡田 直樹君
                中西  哲君
                福岡 資麿君
                三木  亨君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                櫻井  充君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                石井 苗子君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  山下 貴司君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   安東  章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      渡邉  清君
       警察庁長官官房
       審議官      小田部耕治君
       金融庁総務企画
       局審議官     水口  純君
       消費者庁政策立
       案総括審議官   井内 正敏君
       消費者庁審議官  東出 浩一君
       消費者庁審議官  福岡  徹君
       総務大臣官房審
       議官       篠原 俊博君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       法務省民事局長  小野瀬 厚君
       法務省刑事局長  辻  裕教君
       法務省人権擁護
       局長       名執 雅子君
       外務省領事局長  相星 孝一君
       文部科学大臣官
       房審議官     神山  修君
       文部科学大臣官
       房審議官     白間竜一郎君
       文部科学大臣官
       房審議官     下間 康行君
       文部科学大臣官
       房審議官     信濃 正範君
       厚生労働大臣官
       房審議官     吉永 和生君
       厚生労働大臣官
       房審議官     成田 裕紀君
       厚生労働省子ど
       も家庭局児童虐
       待防止等総合対
       策室長      山本 麻里君
       厚生労働省政策
       統括官      酒光 一章君
       農林水産大臣官
       房生産振興審議
       官        鈴木 良典君
       国土交通大臣官
       房審議官     馬場崎 靖君
       国土交通省航空
       局交通管制部長  飯嶋 康弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山谷えり子君が委員を辞任され、その補欠として三木亨君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(石川博崇君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外二十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(石川博崇君) 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。上川法務大臣。
#6
○国務大臣(上川陽子君) おはようございます。
 民法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、公職選挙法の定める選挙権年齢が満二十年以上から満十八年以上に改められたことなどの社会経済情勢の変化に鑑み、民法が定める成年となる年齢の引下げ等を行うものであります。
 その要点は、次のとおりであります。
 第一に、現在二十歳とされている成年となる年齢を十八歳に引き下げることとしております。
 第二に、現在男性が十八歳、女性が十六歳とされている婚姻開始年齢について、男女とも十八歳にそろえることとしております。
 第三に、民法が定める成年となる年齢の十八歳への引下げに伴い、関係法律について所要の整備をすることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#7
○委員長(石川博崇君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○中西健治君 おはようございます。自由民主党の中西健治です。
 重要な成年年齢引下げの法案のトップバッターとして質問に立たせていただきますので、まず、この成年年齢の引下げの意義などについてお聞きしていきたいというふうに思います。
 戦前に東京帝国大学教授・法学部長を務め、戦後も最高裁判所判事などの要職を歴任されました、民法、特に家族法の権威で家族法の父とも呼ばれました穂積重遠先生は、大正十年に刊行された「民法総論」の中で、成年期を繰り下げて、例えば満十八年としたらどうであろうかと記しておられます。
 ただし、こうも述べておられます。独立して社会生活をなすに堪える程度の思慮分別の成熟が人それぞれ異なっている以上、未成年者と成年者を画一的に区別することは実は不可能なのであり、それを強いてするから時に不当の結果を免れないと、こう述べておられます。成年年齢の在り方に関する議論が一筋縄でいかないことを明確に指摘しておられるところであります。
 この指摘から九十七年という月日がたち、百四十年ぶりに成年年齢が十八歳に引き下げられる、こうした議論が本格化したわけでありますけれども、未成年者と成年者を年齢という基準で単純に切り分けてしまうことが大変難しいということは変わりがないということではないかと思います。
 このことを踏まえた上で経緯を振り返ってみますと、成年年齢の引下げに至る直接の契機は、平成十九年に成立した日本国憲法の改正手続に関する法律、国民投票法の第三条において投票年齢を十八歳と定めた上で、附則第三条第一項で、「国は、」「選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」としたことにあります。これを受けて法制審議会成年年齢部会において議論が行われ、平成二十一年に十八歳に引き下げるのが適当であるとの最終報告書が提出されました。その後の平成二十六年の国民投票法の改正や平成二十七年の公職選挙法の改正に当たっても、民法を含む諸法令について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするという同様の附則が定められております。
 前置きが少し長くなってしまいましたけれども、ここで重要なのは、国民投票法の当初案、与党案では、投票年齢が二十歳とされていたということであります。これに対して、当時の民主党から、投票年齢を十八歳とし、民法や公職選挙法についても検討を加える旨の提案がなされ、与党が修正に応じた結果十八歳が動き始めたということであります。
 すなわち、今般の成年年齢の引下げはまさに政治主導で進められてきたものであり、単に民法上の成年年齢を引き下げるということにとどまらない意義と意図があると思われますけれども、この点について、法務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員御指摘のとおり、今回の成年年齢の引下げにつきましては、日本国憲法の改正手続に関する法律の制定の際に附則で、民法においても法制上の措置を講ずるよう求める旨の規定が設けられたこと等を契機として議論がなされるようになってきたものでございまして、その意味では政治主導、まさに政治主導で進められてきたと、こうした御指摘についてはそのとおりであると認識をしております。
 成年年齢の引下げは、国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢が十八歳と定められ、国政上十八歳以上の者を大人として見るとの判断がされたという政策的な流れの中に位置付けられるものではないかと、こんなふうに考えております。十八歳、十九歳の若者に参政権という権利を与えるとともに、私法上も大人として扱うことにより、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加することを促進し、ひいては我が国の将来を活力あるものにすることにつながるというふうにも考えるところでございます。
 また、成年年齢の引下げによりまして、十八歳、十九歳の者は自ら就労して得た金銭などを自らの判断で使うことができるようになるほか、自ら居所を定めたり、また希望する職業に就いたりすることができるようになるということでございまして、未成年であることが欠格事由とされている様々な職業にも就くことができるようになるものでございます。これは、若者の自己決定権、これを様々な場面で尊重をするというものでありまして、若者にとりまして大きな意義があるものというふうに考えております。
#10
○中西健治君 民法は、我々が社会生活を送る上で必要とされる基本的なルールを定めているわけでありますけれども、人々は、自分の財産の範囲内であれば自由に契約を結び処分してよいという、いわゆる契約の自由という思想に支えられております。この思想が非常に重要で、契約を締結するかどうか、誰と契約をするのか、どのような内容の契約を締結するか、どのような契約の方法を取るのかなどを決定する自由が認められているということによって、我々は、職業や居住地、売買するもの、さらには何を学ぶのかなどといったことに関して好きな選択ができるということになります。言い換えれば、自分の生き方を自らの判断で選択できる私的自治の原則が定められ、認められているということであります。
 一方、これはあくまで成年の話でありまして、未成年となるとこの原則が逆転いたします。未成年者の契約には親権者などの同意が必要であり、もし本人が勝手に契約をしてしまっても、親権者や後見人などが取り消すことが可能となっております。つまり、未成年と規定されることによって、生き方を選択できる自由が大幅に制限されているということになります。未成年者であっても成年と同様の基本的人権を有していることを考えると、これは大きな問題なのではないか、未成年者の自己決定権に関しては最大限尊重されるべきではないかというふうに思います。
 もちろん、例えば小学生、中学生であれば、本人を保護するということで理解が得られると思いますけれども、高校を卒業するような年齢の人の自由をそのような形で制限することに対しては、果たして広い理解が得られるのかは疑問であると常々思っております。したがって、今大臣が御答弁されたとおり、十八歳、十九歳の人たちを独立した一個の人間として位置付けて、一人前の大人として扱うべきであると考えるところであります。
 ただし、穂積教授がおっしゃるとおり、十八歳で切るのがよいのか二十歳がよいのか、はたまた十五歳がよいのかと、こういうことは永遠の課題であるとも言えるかとも思います。先ほど申し上げたとおり、そこを政治的に十八歳で区切ったからには、その結果生じるであろう負の側面について政策的な対処を講じるのは政治の責任ということになるかと思います。
 まず、この改正が国民にどう受け入れられているのかという点に関して、平成二十五年の内閣府の世論調査によりますと、契約を一人ですることに関する賛否では、反対が七九・四%、賛成は一八・六%にとどまっております。ただ、この調査を細かく読むと、反対している人の中に、条件が整えば賛成という方がかなり多く含まれており、合算すると六〇%が賛成又は条件付賛成となっております。また、年齢階層別で見ると、若年層に賛成が多いという傾向も現れております。この点に関して、政府の見解をお伺いしたいと思います。
#11
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、内閣府が平成二十五年に実施しました世論調査では、反対した者の中にも、法的な物の考え方を身に付けるための教育の充実や消費者保護の施策の充実という前提が整えば成年年齢を引き下げてもよいという意見が相当程度含まれておりまして、このような意見の者と賛成の意見の者を合わせますと六〇%に達しております。このことは、成年年齢の引下げについて国民の理解を得るためには、これらの施策の更なる充実強化を図るだけではなく、政府全体でこのような施策に取り組んでいることについて広く国民への周知を図ることが必要であることを示しているものと考えております。
 また、平成二十五年十月の世論調査の結果によりますと、成年年齢の引下げに賛成又はどちらかといえば賛成とした者の割合は若い年齢層で高く、年齢層が高くなるにつれて減少するという傾向が見られることも御指摘のとおりでございます。さらに、前提が整えば成年年齢を引き下げてもよいという意見の者と賛成の意見の者を合算した割合も、若い年齢層で高い傾向が見られます。
 こうした結果は、若年者の方が年齢層の高い者よりも積極的に社会に参加することを肯定的に捉えている、そういうことを示しているものと考えております。
#12
○中西健治君 高齢者が若者に対して否定的であるという傾向というのは、何も今に始まったことではないというふうに思います。今どきの若い者はなっとらん、わしの若い頃にはという落書きがピラミッドの天井にもあると、こんなような話、まあ、これちょっと定かかどうかは分かりませんけれども、あと、古代ローマの遺跡からも、今どきの若い者はと嘆く文章が見付かっているということであります。また、これは紙面という形できちんと記録が残っておりますけれども、戦前の新聞などを見てみますと、この頃の若い男たちは頼りない、この頃の青年には気概がなくなった、近頃の学生は道義心や犠牲的精神が欠乏している、こうしたものを戦前の大新聞はこぞって書き立てていたということであります。今回の調査にも若干その傾向は現れているんではないかと感じている次第であります。
 ただ、百四十年の長きにわたって二十歳を成年年齢とし、大人と子供を区別してきたことが国民の間に深く定着してきていることもまた事実であり、この調査結果は真摯に受け止めるべきものであると考えております。しかし、その一方で、若者を一人前の大人として処遇し、社会参加の機会を与えるという政策の方向性はしっかり維持していくべきものであるというふうに思います。
 公職選挙法の改正によって、平成二十八年の参議院選挙と昨年の衆議院総選挙では、十八歳、十九歳の若者が実際に投票を行いました。このことは国民に十八歳成年の意識を浸透させる契機となったのではないかと思われますが、この点に関して法務省としてはどう評価しているのか、若しくは、そのような変化が見られているのか見られていないのか、これについて見解をお伺いします。
#13
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、選挙権年齢が十八歳と定められ、前回の衆議院議員総選挙、二十九年の、昨年の十月実施でございますけれども、この総選挙を含めまして、実際に十八歳、十九歳の者による選挙が実施されたことは、若者の社会参加を促すという政策的な流れが国民に定着し、そのような流れの一環として十八歳成年という意識が浸透する契機の一つになったものと考えております。
 十八歳、十九歳の者による選挙が実施されたことによる意識の変化につきましては、前回の衆議院議員総選挙に関する数値は現時点で詳細を把握しておりませんが、平成二十八年七月の参議院議員通常選挙に関するものを申し上げますと、選挙の前後で、当事者である十八歳、十九歳の者が選挙権年齢を十八歳とすることを良いことだと評価する割合が六八%から七九%に増加したとの調査結果がございます。また、選挙後に政治に対する意識を調査したところ、多くの若者の声が集まれば若者の望む政治が行われると思うようになった、あるいは、政治を自分のこととして考えるようになったといった回答が上位を占めるという結果も出ております。
 このことは、選挙権の行使を通じて若年者の間に社会に積極的に参加することを肯定的に捉える機運が生じていることの表れであり、若年者の大人としての自覚を促す効果が発揮されたことを示すものと言うことができると、そのように考えております。
#14
○中西健治君 これまでの二回の選挙においては、若者の間では積極的に捉える意見が多いということが紹介されたということだと思います。
 負の側面という点に関しては、本件に関する法務省のパブリックコメントでも消費者被害に関する懸念が多数寄せられました。特に、未成年者取消し権が失われることによって、十八歳、十九歳といった現在の未成年者の保護機能が低下するとの指摘が多数あります。
 重要な論点ですので、未成年者取消し権がどれくらい使われているのか、データがないか、客観的な数値がないのか探してみましたけれども、やはり必ずしも裁判に持ち込まれるわけではなくて、民対民の間で解決される、これが行使されるケースもあって、信頼のおけるデータというものは見付かりませんでした。
 一方、平成二十一年の法制審民法成年年齢部会では、消費生活専門相談員の方、これ、岡田ヒロミさんという方ですけれども、未成年取消し権を使うケースはそれほどはありませんと、十八歳に引き下げたから被害が拡大するということは現場の人間としては違和感がありますという趣旨の発言をされておられます。
 この点に関する見解をお伺いしたいと思います。
#15
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法制審議会民法成年年齢部会における調査審議の過程では、消費生活相談員である同部会の委員から、ただいま御紹介があったような趣旨の指摘がされているところでございます。これは消費生活相談の現場の実態を踏まえた重要な指摘であるというように受け止めております。
 もっとも、衆議院法務委員会におきます参考人質疑におきましては、同じく消費生活相談員である参考人から、未成年者取消し権は悪質な消費者被害に対する防波堤になっている、こういったような指摘もされておりまして、未成年者取消し権が未成年者の消費者被害を防ぐ役割を果たしてきたこともまた重要であると受け止めております。
 いずれにしましても、法務省といたしましては、消費生活相談の現場から寄せられる様々な御指摘をしっかりと受け止め、成年年齢の引下げによって消費者被害が拡大することがないようにする施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
#16
○中西健治君 今日は資料を配付させていただいておりますけれども、資料の一枚目、消費者庁の平成二十九年版消費者白書で、若者の消費生活相談件数の推移を見てみますと、どの年齢層でも過去十年間に大幅に減少しております。これは、消費者庁始め多くの方の努力の結果として評価をしたいと思います。
 ただ、これ御覧いただきますと、十五歳から十九歳の千人当たりの相談件数が直近二・七であるのに対して、二十歳から二十四歳が六・四、そして二十五歳から二十九歳が六・〇と、二十歳を境に数値が大きく上昇しているのが見て取れます。この数字からは、二十歳から十八歳に成年年齢を引き下げると被害が低年齢化するとの推測が成り立たないわけではないということではないかと思います。他方、二十歳になって自分でいろいろな契約をする、つまり、一人の大人としての活動が活発化したことによって、相談する機会、相談件数が増えたということも考えられるのではないかと思います。
 消費者庁の見解をお伺いしたいと思います。
#17
○政府参考人(福岡徹君) 消費者庁でございます。
 委員御指摘の消費者白書のデータでございますが、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談情報につきましてまとめたものでございます。委員御指摘のとおり、そのデータからは、十代後半の方についてのものよりも二十代前半の方についての相談がより多い傾向が見られるところでございます。
 その要因でございますが、二十歳代の方からの相談内容を見ますと、例えば住居の賃貸借契約など、世帯ベースで発生する消費生活上の契約についての相談が目立つところでございます。これは、例えば学生から社会人になるときなど、新生活が始まるタイミングで独り暮らしを始める若者が多いため、仮に実家で生活していたときは保護者が対応していたような契約を独り暮らしの中では当事者として判断するようになる、そういった中でトラブルに発展して消費生活センター等へ相談しているケースが多く見られるものと、そういうふうに認識してございます。
#18
○中西健治君 社会人になったことによってそうした問題が起きてきて相談件数が増えているということを今御指摘いただいたということだと思います。
 今般の消費者契約法の一部を改正する法律案では、社会生活上の経験不足を不当に利用した場合、不当な勧誘行為として契約を取り消し得るとしております。例として、就活中の学生に、その不安を知りつつ、あなたは一生成功しないと告げ就職セミナーに勧誘するですとか、消費者の恋愛感情を知りつつ、契約してくれないと関係を続けないと勧誘することなどが示されており、主に若年者を意識したものだということが分かります。ただ、この改正自体は必要でありますけれども、そもそも契約相手の経験不足に乗じて損害を与える取引は、被害者の年齢とは関係なく、きちんと規制していくべきものだと思われます。
 資料の二枚目を御覧いただければと思います。
 二枚目の上段のグラフですが、これは年齢別の消費生活相談件数、これ、若年層だけではなくて出ているわけでありますが、これを見ると、何も若年層だけがこの相談件数突出しているわけではないということが分かります。その意味で、今回の改正というのは、成年年齢引下げを契機として、消費者被害防止策を一段と強化するものと捉えるべきものだと考えております。
 しかしながら、若者には若者特有の弱点があるということも事実ではないかと思います。その点に着目した消費者保護対策こそが必要なのではないかと思います。
 これが資料二の、この今の資料の下段のグラフなんですけれども、これを見てみると、強く勧められると断れない人の割合、これが十五歳から十九歳で明らかに高くなっているということが分かります。幼少期から、親の言うことをきちんと聞きなさい、先生や大人の言うことを聞きなさいと言われて育つことを考えると、この結果は推測ができないものでもないということではないかと思いますが、ここに若者特有の問題があると考えるべきなのではないかと私は思っております。強く勧められることがポイントになる商法というのは、キャッチセールスですとかデート商法ですとかマルチ商法など、こういったものですが、この被害が特に若者に多いとされる理由はこの辺りにあるのではないかと思います。強く勧められると断れないというところにあると。
 そこで、今後の対策の一つとして、不招請勧誘の禁止について是非お考えいただきたいと私は思っております。
 不招請勧誘の禁止、これ、聞き慣れない方もいらっしゃると思います。簡単に言いますと、頼みもしないのに営業に来るな、売りに来るなと、こうしたことであります。もっと正確に言いますと、具体的な商品やサービスを特定して、その説明や勧誘を受けたいという意思をあらかじめ業者に伝えて初めて、自宅などへの来訪を要請している者以外に対する勧誘を禁止する。だから、それはそうした要請をして初めて勧誘ができると、こうしたことであります。
 というのもなんですが、もう御記憶にないかもしれませんが、十年ほど前に外国為替証拠金取引に関係するトラブルが急増して、大きな社会問題となりました。次のページの資料を御覧いただければと思います。
 かなり執拗な営業を電話や訪問などでこの外為業者というものが行いまして、そして苦情件数というのが三千件に、この赤いグラフですけれども、まで上りました。そこで、平成十七年に、当時の金融先物取引法、現在の金融商品取引法によって不招請勧誘というのが禁止をされました。そうしましたら、年間三千件を超えていた相談件数がたった一年で十分の一にまで減ったということになりました。その後もこの証拠金取引の口座数というのは順調に伸びているんです。その中でも、こうした苦情件数、相談件数というのはそんなに増えていないということが、この不招請勧誘の禁止というのが効果があったということを示しているわけであります。
 この不招請勧誘の禁止という措置というのは、非常に強い効果をこのように持つ反面、商行為の自由を束縛するという面もありますので、府令ですとか省令ですとかでは発動が難しく、やはり法律を改正しなければいけないということになりますのできちんと議論をしなければいけませんが、強く勧められると断れない若い人を守るという趣旨には最もかなった対策なのではないかと私は思っております。
 もちろん、クーリングオフ制度というのがあることは承知しておりますけれども、クーリングオフは八日間ということでありますので、初めて引っかかった、ちょっと言葉は悪いですけれども、引っかけられた若者の熟慮期間としてはいかにも短いということではないかと思います。
 商品類型ですとか対象年齢などをきちんと定めた上で不招請勧誘の禁止を行うことを今後の課題として是非提案したいと思いますけれども、それについての御意見をお伺いしたいと思います。
#19
○政府参考人(東出浩一君) 委員御指摘のキャッチセールスですとかマルチ商法でございますけれども、特定商取引法上、訪問販売あるいは連鎖販売取引ということで規制の対象になっております。
 この特定商取引法でございますけれども、平成二十八年に改正が行われておりまして、違反事業者に対しては業務停止命令というのを行いますけれども、これの期間が最大一年から二年と延長されております。また、業務停止命令を受けた会社の役員等に対しまして、業務禁止命令ということで、別の会社をつくって同じような商売をやるというのを禁止するという命令を新しくつくっております。それから、刑事罰の強化というような、悪質業者に対しましては対策強化が盛り込まれたところでございまして、この改正法は昨年の十二月から施行されたところでございます。
 消費者庁といたしましては、同法を厳正かつ適切に執行することによりまして、若年層を含む消費者被害の防止に一層積極的に取り組んでいくこととしております。
 御指摘の不招請勧誘規制でございますけれども、この二十八年の特定商取引法の改正をするに先立ちまして消費者委員会でいろいろ御議論が行われまして、その際に、この不招請勧誘規制についても議論の対象になっておりますのですけれども、委員間の意見の一致を見なかったということになったというふうに承知をしております。
 ということでございますので、まずは悪質事業者への対応強化策を盛り込みました改正法を厳正に執行すると、それから、あわせて、再勧誘の禁止等の法令遵守の徹底の取組を着実に進めていくということが重要であるというふうに考えております。
#20
○中西健治君 平成二十八年の改正の当時は意見の一致を見なかったのかもしれませんけれども、今回は、民法の改正という大改正をするということで大きな変更が加えられるわけでありますから、是非とも今後の、まあ一年、二年を見てということになるかもしれませんけれども、これも、再び若年層に関してどうした対策を取れるものかという中で、検討課題として入れていっていただきたいと私は思っているところであります。
 こうした対策もしていかなければいけないんですが、大事なこととして消費者教育ということが挙げられると思います。十八歳になる前にきちんと消費者教育、さらには法教育が必要だという問題意識の下に指導要領が改訂されて、消費者庁が「社会への扉」という冊子を作って教育の現場での活用を推進していると承知しております。
 私も内容を見させていただきました。クイズから始まって、具体的なケースをイラストをたくさん使って明示しており、非常に分かりやすい教材となっているというふうに思います。ただ、高校の教育現場からは、どうしても受験対策に時間を取られがちである、さらには、この新しいテーマを生徒に教えるところまで個々の教員がきちんと自分のものにできていないなどという声も聞こえてきております。
 これには私、若干思い当たる節がありまして、これもちょっと古い話で恐縮ですが、一九九〇年代に話題になりました連載漫画で「ナニワ金融道」というものがありました。この「ナニワ金融道」で、商品先物業者に勧められるままに投資をして大損をするというのが小学校の教頭先生ということでありました。別にやゆするわけではないんですが、当時、学校の先生は純粋な人が多いから、ああいう海千山千の営業マンに引っかかるとひとたまりもないんだよなと思って読んだわけでございます。あの漫画の著者もその点を意識して小学校の教頭先生を被害者としたストーリーを描いたのではないかと思っている次第であります。
 あくまでも推測の域を出ないのですが、小学校、中学校、高校、大学とずっと学校という環境にあって、卒業後、そのまま教員としてまた学校というある種の閉ざされた特殊な空間に入って社会人としての生活を送っているため、生々しい商取引などの現場の話には若干苦手意識を持っている方が教員の中には多いんではないかというふうに思っております。
 したがって、この件に関しては、消費者教育に関して、教師の取組というのは当然なのですが、それを補完する手だてを講じるべきなんじゃないかと思います。既に消費者教育コーディネーターなど外部のリソースの活用が始まっていると聞いていますけれども、現状についてお伺いしたいと思います。
#21
○政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。
 消費者として主体的に判断し、責任を持って行動できるようにするためには、高等学校における消費者教育は極めて重要であると考えております。
 このため、文部科学省におきましては、委員御指摘のとおり、平成十六年に制定された消費者基本法や平成十七年に決定された消費者基本計画を踏まえまして、平成二十一年度に改訂した高等学校学習指導要領において消費者教育に関する内容の充実を図ったところでございます。
 これによりまして、現状でございますけれども、高等学校では、公民科において消費者に関する問題を学習する際に、高金利問題、多重債務問題などを扱い、消費者としての権利や責任について考察させたり、家庭科において契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題などを取り上げて具体的に扱い、消費者として適切な判断ができるようにするなどの学習が行われているところでございます。
 さらに、委員御指摘のとおり、本年二月に関係省庁において決定された若年者への消費者教育に関するアクションプログラムを受けまして、今年度から二〇二〇年度までの三年間の集中強化期間におきまして、消費者庁作成の高校生向け消費者教育教材「社会への扉」の活用を全国的に促進すること、また、消費者教育コーディネーターも活用し、実務経験者の外部講師としての活用を推進することなどの実践的な消費者教育の取組を着実に進めることとしております。
 文部科学省といたしましては、学習指導要領に基づいて消費者教育を引き続きしっかりと行っていくとともに、消費者庁を始めとする関係省庁と連携いたしまして、消費者教育の更なる充実に向けて取り組んでまいります。
#22
○中西健治君 これは通告しているわけではありませんけれども、今私がお話しした、学校の先生というのはこうした商取引などについて若干苦手意識を持っているのかとか、そうしたことについて、文科省は何かコメントめいたものというのは持っていらっしゃいますか。
#23
○政府参考人(下間康行君) 備えがございませんが、学校における消費者教育の充実を図るためには、それを教える教師の指導力の向上を図ることは重要であるというふうに認識をしております。
 大学における教員養成におきまして、例えば高等学校の公民科や家庭科に関係する科目において消費者教育の内容が取り扱われているものと承知をしてございますが、まだまだ十分ではないところもあろうかと思います。その上で、現職教員に対する研修といたしまして、各都道府県教育委員会等におきまして、消費者行政担当部局等とも連携をしながら、それぞれの地域の実情に応じた研修を実施しているものと承知しているところでございます。
#24
○中西健治君 問題になっているのはデート商法とかですので、そこら辺はやはり生々しい現実もしっかり認識しておいてもらいたいと、こういうふうに思うところであります。
 こうした高校における消費者教育のほかに、私、大学での消費者教育というのも大切なんじゃないかなというふうに思います。というのも、高校を卒業したその日から、大学生になって、若しくは就職して、毎日の生活が、そのものが全く違ったものになっていくわけであります。独立した個人としての行動が求められるようになってくるということになります。しかも、全員、周りは十八歳以上ということになってまいります。野球でいえば、一軍に上がっていきなりベンチ入りするということになるんだろうというふうに思いますけれども。
 したがって、高校のときだけではなくて大学で消費者教育を行う。特に、大学に入った人たちはもう十八歳以上ですから、自分の喫緊の課題として、目の前の課題として捉えやすいということになるんではないかと思いますが、より教育効果が高くなるというふうに思いますが、大学での消費者教育ということについてはどのような見解をお持ちでしょうか。
#25
○政府参考人(信濃正範君) 大学生は社会との関連も深まりますし、経済活動の範囲も広がりますことから、高校段階までの消費者教育、これは今御答弁申し上げたとおりですが、これに引き続きまして、大学においても消費者教育を続けることが重要であるというふうに考えております。
 例えば、大学におきましては、これは課内授業、課程の授業ですけれども、消費者教育に関する授業科目が設けられている。ある大学では、一年次に必修ということで、悪徳商法への対処方法、こういったものを教えている例がございます。また、授業外では、学生に対するガイダンスですとか学生相談等を通じて、消費者トラブルやその対処方法に関する啓発など、これは八五%近い大学で消費者問題に関する何らかの取組が行われているということでございます。
 また、文部科学省におきましては、各大学に対しまして、消費者教育の一層の推進、あるいは消費者被害の防止のための情報の周知を目的とする通知を送付しまして対応を求めるということですとか、学生支援業務を担当する教職員を対象にしまして様々な機会に啓発、こういったことを行っております。
 またさらに、先ほどの答弁にもありましたけれども、アクションプログラムの中に、大学に関連しまして、例えば大学等と消費生活センターとの連携の強化、あるいは大学等における消費者教育の指針の見直しなどを行うということが掲げられております。また、この指針につきましては、今、六月を目途に見直すべく検討を進めているという状況でございます。
#26
○中西健治君 こうした取組を是非拡充していっていただきたいと思います。
 次に、女性の婚姻年齢の引上げについてお伺いしたいと思いますけれども、今回の改正では成年年齢の引下げに注目が集まっていますけれども、女性の婚姻年齢は十六歳から十八歳に引き上げられることになります。民法は、婚姻開始年齢についての規定をこのように設けているわけでありますけれども、これはどのような趣旨で定められているのか、また、諸外国では婚姻開始年齢についてどのように定められているのか、これについてお伺いしたいと思います。
#27
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 婚姻開始年齢が定められている趣旨でございますが、身体的、社会的又は経済的に未熟な段階で婚姻することは、早期の婚姻破綻につながりやすいなどその者の福祉に反するおそれがあるため、未熟な若年者の保護の観点からその婚姻を禁ずるものであるというふうに理解されております。
 諸外国の婚姻開始年齢でございますけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダなど、日本を除きますG7各国では婚姻開始年齢に男女差を設けておりません。そして、ドイツ、フランス、イタリアにつきましては、婚姻開始年齢を原則十八歳としております。また、アメリカやカナダにつきましても、州によっては異なりますものの、多くの州で婚姻開始年齢を十八歳としているというふうに承知しております。
#28
○中西健治君 婚姻開始年齢が男女間で異なるというのは、これは極めて特殊なことであったということだろうというふうに思いますので、今回同一にするということ、これは是非ともすべきことであったというふうに思います。
 今回、成年年齢の引下げを議論するに当たって、より多くの人々が好きな生き方を自分の判断で選択できる方向を目指すべきだという方向性を打ち出しているというふうに私は考えておりますけれども、この女性の婚姻開始年齢を引き上げる、この引き上げるということというのは、女性の婚姻する自由を害する、制限するということにならないのかと、そうした若干の疑念もありますが、これはいかがでしょうか。
#29
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、女性の婚姻開始年齢を引き上げて男女とも十八歳にするということは、一面におきましては、現行制度と比較しますと、女性につきましては十六歳、十七歳で婚姻することができないということになりますので、そういう面で女性の婚姻の自由を制限する、こういう面があるというふうには思っております。
 しかしながら、若年者の婚姻につきましては、一般に早婚の場合に破綻につながりやすいといった指摘もされておりまして、具体的には、十六歳、十七歳の女性の離婚率が他の年代と比べて相当に高いものと推定されるといったような事情もございます。
 婚姻開始年齢を定める趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、未熟な若年者の婚姻を禁止し、若年者を保護することにあるということでございますが、こういったような制度趣旨に照らしますと、十八歳未満の者の婚姻を一律に禁止するといたしましても、必要かつ合理的な規制としてやむを得ないものと考えられるというふうに思っております。
#30
○中西健治君 十六歳未満というのは理解を得られない、論外ということじゃないかと思いますが、婚姻年齢が十六歳の時代であれば子供ができたことを理由に結婚することができた女性が十八歳まで婚姻を待たされることになり、その間はシングルマザーであり、子供は嫡出子でない状態に置かれるのではないかと思います。その間の子供の身分に関して何らかの救済策があるのか、また、現在、十六歳、十七歳の女性の婚姻数が年間どの程度あるのか、お伺いいたします。
#31
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、婚姻開始年齢を十八歳に引き上げた場合には、十六歳、十七歳の女性は婚姻することができなくなって、十六歳、十七歳の女性が子を出産したとしても、その生まれてくる子については民法上嫡出でない子となりまして、母の氏を名のるとともに、原則として母の単独親権に服するということとなります。
 もっとも、母が婚姻開始年齢に達した後にその子の法律上の父と婚姻した場合には、民法上嫡出子の身分を取得するものとされておりまして、これによりまして父母の共同親権に服することとなります。また、戸籍窓口に届出をするのみで父母の氏を名のることができることともされております。したがいまして、御指摘のように、シングルマザーの子が嫡出でない子となるために生ずる問題につきましては、これらの制度によって一定程度解消されるものと考えられます。
 また、十六歳、十七歳の女性の婚姻数でございますが、人口動態調査の結果によりますと、平成二十八年に婚姻をした十六歳の女性は二百五十八名、また十七歳の女性は八百八名でありまして、合計千六十六名でございます。
 また、年代ごとの推移で見ますと、十六歳と十七歳の女性の婚姻数の合計は、昭和三十年には三千八百十八名、昭和五十五年には二千九百六十名、平成十七年には二千五百十名、平成二十二年には千六百九十八名となっておりまして、徐々に減少しつつあると、こういう状況でございます。
#32
○中西健治君 成年年齢を何歳にするかということに関して、画一的に線を引くことが難しいということを申し上げましたけれども、婚姻年齢を幾つに定めるかも、やはりどこに線を引くのか難しい問題ではないかというふうに思います。
 男女に差を設けるべきではないというふうに思いますけれども、今回、女性の婚姻年齢を引き上げるのではなくて男女そろえるということであれば、男性を十六歳に下げるという考えもあったかと思いますけれども、それはなぜしなかったのか問いたいと思います。
#33
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 現在の日本社会は、現行民法の婚姻開始年齢が定められた戦後直後と比較いたしましても、社会経済の高度化、複雑化が進展しており、若年者が婚姻し、夫婦として共同生活を営むに当たって要求されます社会的、経済的成熟度は格段に高度化しているものと考えられます。
 そして、高校進学率が九八%を超えるものでありまして、その大半は卒業していると、こういう現状を鑑みますと、婚姻をするには少なくとも十八歳程度の社会的、経済的成熟を要求することが適当であるものと考えられます。
 また、平成二十四年の世論調査の結果によりますと、女性の婚姻開始年齢について、十八歳とした方がよいというのが四六%、十六歳でよいとするものが二〇・九%と、こういったような結果も出ております。なお、さらに、若年者の婚姻については、先ほど述べましたとおり、早婚にした場合の問題点の指摘もあるところでございます。
 こういったようなことを考慮いたしまして、この法律案におきましては、男性の婚姻開始年齢を十六歳に引き下げるのではなくて、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることとしたものでございます。
#34
○中西健治君 民法の成年年齢が引き下げられたことを受けて、少年法の上限年齢を引き下げるべきと、この議論は当然出てくるものと考えられます。逆に、統一する論理的必然性はないという意見があることも重々承知をしております。その是非について今この場で議論はいたしませんけれども、冒頭述べました国民投票法の附則、「民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」とされている中に少年法が含まれているはずであり、きちんとした議論を進めなくてはいけないと考えております。
 今回の改正で少年法が対象に含まれていないその理由を伺いたいと思います。
#35
○政府参考人(辻裕教君) 日本国憲法の改正手続に関する法律の附則の規定はただいま御指摘いただいたとおりでございますけれども、それに加えまして、平成二十七年に成立いたしました公職選挙法等の一部改正法の附則におきましても、民法、少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることとされているところでございます。すなわち、少年法の少年の上限年齢の検討に当たりましては、少年法固有の観点だけではなく、より広く、例えば民法等のより一般的な法律における年齢条項の在り方などをも踏まえる必要があるというふうに考えられるところでございます。
 他方で、少年法の上限年齢の在り方は、刑事司法全般において成長過程にある若年者をどのように取り扱うか、また、どのように改善更生、再犯防止を図るかという問題に関わるものでありまして、民法の成年年齢が引き下げられた場合においても、論理必然的にこれを引き下げなければならないことになるものではないと考えられるところでございます。
 そこで、昨年二月九日、法務大臣から法制審議会に対して、少年の上限年齢の在り方及び若年者を含む犯罪者に対する処遇を充実させるための刑事法の整備の在り方について諮問をしたところであります。
 現在、法制審議会において調査審議を行っていただいているところでありまして、結論が得られていないというところでありますので、本法律案による改正の対象とはしていないところでありますが、法務省といたしましては、法制審議会において充実した議論が行われるように努めてまいりたいと考えております。
#36
○中西健治君 ありがとうございます。
 法制審の議論を経た上で、この場でもしっかりまた議論をしていきたいと思います。大切な法案の審議でありますので、是非とも充実したものになって、そしてしっかりとこれが可決されることを私としては願いまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#37
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
 先日、本会議で代表質問を与党としてさせていただきました。その際行った質問の深掘りを中心に質問を進めさせていただきます。
 まず、いわゆる自立のための継続支援でありますが、昨日の参議院本会議質問で、私は、成年年齢引下げに対して懸念や慎重な意見もあるということでありますが、今改正を行うべき意義と、百四十年ぶりの成年年齢引下げに取り組む大臣の決意について質問をいたしました。大臣からは、自立のための継続支援を行う旨の御答弁をいただきましたが、いろいろと自立支援策があろうかと思います。
 その上で、例えば、ブラックバイト対策のための労働法教育等を充実させる方針であると、こう伺っておりますが、法務省として、自立のための継続支援について具体的にどのような検討をしているのか、山下政務官にお伺いいたします。
#38
○大臣政務官(山下貴司君) お尋ねがありました若年者の自立を促すような施策としては、平成二十八年二月決定の子供・若者育成支援推進大綱に基づいて、政府を挙げて若者の自立支援を含む子供・若者政策に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、例えばキャリア教育などのキャリア形成に関する支援、そして、学生アルバイトの労働条件確保対策、労働法に関する教育、周知啓発、教育現場へのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の推進、相談窓口の充実といった施策が実施されております。
 政府としては、今後もこうした施策を引き続き実施し、若年者の自立を支援する取組を着実に進めていくと、そういう必要から、成年年齢の引下げを見据えた関係府省庁連絡会議においてこの各種施策の進捗管理、これをしっかりと適切に行ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#39
○若松謙維君 今、関係府省庁ということで、確かに、今のブラックバイトですか、を含むいわゆる労働法に関する教育、周知徹底というものがあるわけであります。
 そこで、ハンドブックの作成、これはこれからの課題ですか。事務方で結構ですので、分かればお願いいたします。
#40
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 この労働の関係でございますけれども、主に若い世代の働く方を対象として労働法についての分かりやすいハンドブックを作成し、その周知をすると、こういったものでございますけれども、こういった若年者に対する自立支援策につきましては実施しているというものでございます。
 今後も、こういった取組につきましては進めてまいりたいというふうに考えております。
#41
○若松謙維君 分かりました。それは是非しっかり進めていただきたいと思います。
 次に、関係府省庁連絡会議についてお尋ねをいたしますが、私、本会議質問でも、関係府省庁連絡会議で確認された工程表を着実に実施して、新たな課題が生じた場合にも適切に対応していくということを、大臣の力強いリーダーシップが必要ということで、覚悟を持って取り組むという大変力強いお言葉をいただきました。
 それでは、成年年齢引下げに伴う最重要課題は何なのか。また、それに対してどのように取り組むのかをお尋ねすると同時に、あわせて、個別の施策の達成状況と進捗状況をしっかり管理し、着実に進める必要があると思うんですが、これは具体的にどういうふうにするのかなんですけれども、これも改めて大臣の決意をお伺いいたします。
#42
○国務大臣(上川陽子君) 今回の法案でございますが、成年年齢を引き下げて十八歳で一人前の大人として扱うこととしているわけでございますが、十八歳、十九歳の若年者が大人として完成されたということを意味するのではなく、いまだ成長の過程にあるという認識をしているところでございます。
 関係省庁連絡会議につきましては、この成年年齢の引下げを見据えまして、環境整備に関し、関係行政機関が施策につきましても相互に密接に連携、協力をし合って、そして総合的また効果的な取組を推進する、この目的のために設置をしたものでございます。
 成年年齢引下げに伴って対応が必要とされる個別の政策につきましても、目標に向けました進捗状況の管理を徹底するとともに、進捗状況を踏まえて、特に省庁横断的な検討が必要な個別の論点について重点的に検討することとしているところでございます。検討に当たりましては、十八歳、十九歳の若年者は引き続き支援が必要な存在であるということ、また社会全体として支援をしていかなければいけないという視点が重要であるとも考えているところでございます。
 工程表に盛り込まれた施策の中で何が最重要かという御質問でございますが、この引下げに伴いましての環境整備につきましては総合的に施策を推進するということでございまして、いずれも重要度の高い施策ばかりということでございますし、また、相互に関連をするものということでございまして、ここでこの政策が最重要であるということを申し上げるということはなかなか困難ということでございますが、いずれの施策につきましても、政府一丸となって取り組むということが重要であるというふうに考えております。
 また、決意ということで改めて御質問をいただきました。成年年齢の引下げにつきましては、この国の在り方に関わる、将来の日本の国の在り方、百四十年ぶりの改正ということでございますので、百年先を見越しながら、そして今何を決断していくのかということでございまして、これにつきましては大変重要なテーマであるということでございまして、私自身、法務大臣としてこの連絡会議の議長を務めさせていただいておりますが、平成三十四年四月一日、今御議論をいただいている施行日、この期間をしっかりと用いて、施策の充実強化につきましては覚悟を持って取り組ませていただきたいというふうに思っております。
#43
○若松謙維君 今改めて、国の在り方に関わる、百年先を見越すというお話でありますけれども、是非、これ恐らく行政の方中心だと思うんですけど、あるときは、例えばいわゆる哲学者とか、あるいは歴史学者とか、そういう幅広い人たちの意見も聞いた上でいろいろと深掘りの議論をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、民法改正の周知徹底について深掘りの質問をさせていただきます。
 百四十年ぶりの歴史的な成年年齢引下げという、何度もお話が出ておりますが、非常に重要な改正となるわけでありまして、この民法改正の事実、さらに成年年齢引下げに伴う影響について、一人も漏れなく国民に伝えていく必要があると、そう主張させていただきました。
 この周知徹底に当たりましては、関係省庁、特に自治体との連携をしっかり図る必要があると考えますが、法務省として今後どのように臨むのか、これは葉梨副大臣にお願いいたします。
#44
○副大臣(葉梨康弘君) 確かに、委員御指摘のとおり、なかなか認知度が低いということは重く受け止めなければならないと思います。
 実は、十一年前の平成十九年の五月に、先ほど来御質問あります国民投票法、これが成立したわけですけれども、私、そのときの発議者でございまして、併合修正案を受けまして、当時、国会答弁の中で私からも、もう民法と公職選挙法はマストであるというのが発議者の立法者意思であると、三年以内にこれは法的措置をとらなければいけない、そして、それ以外の法律についても、何を改正すべきかということも三年以内に検討を終えなければいけないというのがこの法律が通ったときの国会の意思なんだということを、私が発議者として大分何回も答弁をさせていただいたことを覚えております。当時、仁比先生も委員でいらっしゃいました。
 ただ、それから十一年たちましても、各種の世論調査の結果を見ますと、成年年齢の引下げに向けた議論の内容、環境整備の施策等についての周知が十分に行き届いていないということは、そのように考えております。この点については、やっぱり現状を重く受け止めていかなければならないと思います。
 そこで、成年年齢の引下げは国の在り方に関わる重大なテーマであり、本法律案が成立した場合には、その内容や改正の意義等について政府全体でその周知に向けた取組を推進していく必要があると考えています。その際には、地域に密着した自治体の協力を得ることが極めて重要で、平成三十四年四月一日、これから四年間弱になりますけれども、しっかりやっていく必要があろうかと思います。
 このため、本法律案が成立した場合には、委員の御指摘を踏まえて、これらの周知活動に向けた総務省との具体的な協力、連携の在り方を含め、必要な検討を行ってまいりたいと考えています。
#45
○若松謙維君 私は、あえて総務省と言っているのは、とにかく百四十年ぶりの民法改正の見直しでありますので、本当にその趣旨、また様々な影響というのをやはり一人一人に住民に伝えるには、もうやっぱり総務省の力を借りるしかないと思っております。あわせて、全国自治体の対応も本当にきめ細やかにやっていかなければいけないと、そういうふうにも思っております。
 そうすると、恐らくこれからは、じゃ、具体的に何を総務省にお願いするかということの議論がされたわけでありますけれども、それはこれからですよね、ですね、首を振っていらっしゃいますので。その上で、今後、法務省から要請があった場合には、いわゆる自治体との連携という観点から総務省としてどういうふうに対応していくのかについてお伺いをいたします。
#46
○政府参考人(篠原俊博君) お答え申し上げます。
 成年年齢の引下げに関しまして法務省から具体的な要請があれば、地方行財政制度等を所管する立場から必要な協力を行ってまいります。
#47
○若松謙維君 済みません、質問通告していない。局長、これ、具体的な要請等ですね、これはこれから、どんな状況ですか。答えられる範囲で結構ですので、お答えください。
#48
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 先ほど委員御指摘がありましたとおり、地方自治体等との連携もしっかり確保してこの周知に努めていくということは非常に重要な御指摘と受け止めています。
 具体的な、どういったような連携、どういったような協力をお願いするかという点につきましては、これから検討してまいりたいというふうに考えております。
#49
○若松謙維君 分かりました。とにかくしっかりと議論して、また自治体も受けやすいような、また総務省と連携密をお願いをして、次の質問に移ります。
 それでは、消費者ホットライン一八八、これも昨日の本会議で触れさせていただきました。この消費者ホットライン一八八ですが、若者の消費者被害の防止ということで、消費生活相談窓口、これが活用されて、さらに若者の様々な社会に関わるサポートをすると、そういう必要性のためにますます消費者ホットラインは重要になると、そう認識しております。
 それでは、成年年齢引下げに伴いまして、特に消費者相談に当たって、いわゆる十八歳、十九歳ですね、いわゆる新成年の成熟度に配慮して、一人一人に寄り添った運用、これを行うことが大事であると考えております。特に、全国で約三千五百人弱ですか、いる消費者生活相談員、彼らに対して、これまでの経験の蓄積の上に今後どのように更に周知、更にどういったことを研修、教育を行って今後運営していくのか、是非説明をいただきたいと思います。
#50
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 消費生活相談は、電話や対面で消費者から詳細な聞き取りを行い、双方向のやり取りを通じて消費者が抱える問題の所在を把握し、適切な解決を図っていくことが基本となっております。
 お尋ねの若年者への消費生活相談への対応についてでございますけれども、全国の消費生活センター等において約三千五百名の消費生活相談員が従前より若年者からの相談を受け付けており、日々その相談の内容をPIO―NETと呼ばれますネットワークシステムに入力することによりまして、若年者の相談に関するノウハウの蓄積も行ってございます。こうした若年者からの相談への対応につきましては、このようなノウハウの集約、活用が重要と考えております。
 今般の成年年齢の引下げに対応しまして、国民生活センターにおいて、若年者が遭いやすい消費者トラブルの具体的事例を基にした研修を消費生活相談員向けに実施するほか、制度変更の内容や相談事例の周知を図っていきたいというふうに思っております。
#51
○若松謙維君 PIO―NET、そうですね、先ほど件数ですか、様々な件数等のデータが中西委員からも触れられましたけれども、恐らく様々な相談を、先ほど、ノウハウを、何ですか、分析というんですか、これをAIのレベルなんですかね、それともそんな量多くはないんですかね、具体的にどんな感じでこのノウハウを分析されているかと、分かる範囲で結構ですので、お答えください。
#52
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 相談件数につきましては、年によって十万件から百万件というような単位で各地の消費生活センターから相談事例とかが入りますけれども、その中で、情報システムネットワークですので、キーワード等によって似た事例を引き出すことができます。これを基に国民生活センター等において分析をして、それを分かりやすい形でまた相談に使えるようにということで、消費生活相談員の方へフィードバックする、そういうようなことが行われているということでございます。
#53
○若松謙維君 今キーワードという言葉が出たのでちょっと興味を持ったんですけど、どんなキーワードがありますか。分かる範囲で結構です。
#54
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 具体的には、商品別とか、あるいは商法ですね、例えばデート商法とかそういう形で入っております。
#55
○若松謙維君 分かりました。じゃ、そういう、何ですか、キーワードがあるということは、それなりの相談の内容等が分析されているということは、ホームページか何かで我々も見ることができるんですか。
#56
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 国民生活センターにおいては、そういう事例についてのものを、QアンドAのような形ですね、こういう事例についてはこういう形で相談を行って解決するというような形でホームページ上でも見れることになっております。
#57
○若松謙維君 ということで、国民の皆さん、アクセスできる環境があると思いますので、是非更に使いやすいように工夫をしていただきたいと思います。
 次の質問をさせていただきますが、いわゆる未成年者後見人制度との関係について伺います。
 これも、成年年齢引下げによりまして、進学、就職、独り暮らしのための賃貸借契約、ちょうどこのような行為が行われるわけでありますが、そういう十八歳の誕生日が迎えられると、いわゆる成年になるということで後見人がいなくなると、そしてサポートを得られず大変困る方が現在よりも多くなるという懸念があります。
 そこで、これは一つ提案ですけれども、例えば、若者をサポートする人材をボランティアとして登録し、サポートを必要とする若者から求めがあった場合、サポートをする人材を紹介するような制度の創設というんですか、こういうのがやはりこういう時期には必要ではないかと思います。
 これ、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#58
○国務大臣(上川陽子君) ただいま御指摘いただきましたように、成年年齢引下げに伴って父母や後見人のサポートを受けることができない若年者が困難に直面する、そうしたおそれがあるということでございます。今までも、政府におきましても、子供・若者育成支援推進大綱に基づきまして、若者の自立支援を含みましての各種の子供・若者施策に取り組んできたところでございます。
 今御指摘いただいたように、若者の自立を支援する取組につきましては着実に進めていく必要があるというふうに考えておりますので、御提案がございました点も含めまして、成年年齢の引下げを見据えた関係府省庁連絡会議におきまして検討してまいりたいというふうに思います。
#59
○若松謙維君 今検討していただけるということで、例えば今の成年後見人、いわゆる家裁、家庭裁判所で、なかなか受け手がいないと、そのときに本当、裁判官の方が一生懸命人を探して、あるいは弁護士さんにお願いしたりとか、やっぱりそういう、大変だと思うんですけど、是非これシステム化していただいて、そういうニーズに対して人材、体制をしっかり充実できるような検討をよろしくお願いを申し上げて、少し時間たちましたら具体的に進行状況を質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムということでお伺いをさせていただきますが、私も本会議の質問で、成年年齢引下げに伴う法教育の充実、消費者教育の充実、金融経済教育の充実、この三つの必要性を訴えましたけれども、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムですか、これに基づいて、今後これらの三つの項目についてどのように進めていくのか、是非イメージが湧くような形で御答弁をお願いしたいと思います。
#60
○政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。
 まず、現状でございますが、文部科学省におきましては、平成二十一年度に改訂した高等学校学習指導要領におきまして、主に公民科や家庭科において法教育、消費者教育、金融経済教育に関する内容の充実を図ったところでございます。
 具体的には、法に関する基本的な見方、考え方を身に付けさせるとともに、法の規範の意義及び役割について理解を深めさせること、消費者として適切な意思決定に基づき行動できるようにすることや、契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題などを取り上げて具体的に扱うこと、現代の経済社会の変容などに触れながら金融について理解を深めさせることや、生涯を見通した生活における経済の管理や計画について考えることなどについて指導しているところでございます。
 委員お尋ねの若年者への消費者教育に関するアクションプログラムにおきましては、ただいま御説明申し上げました現行の高等学校の学習指導要領の趣旨の徹底や、消費者庁作成の教材「社会への扉」の全国での活用の促進等によりまして、実践的な消費者教育を推進することとしております。
 このアクションプログラムに基づきまして、二〇二〇年度までの三か年において関係省庁が連携して集中的に取組を強化することとしておりまして、文部科学省といたしましては、学習指導要領に基づき、「社会への扉」等も活用した高等学校における実践的な消費者教育が充実するよう努めてまいりたいと考えております。
#61
○若松謙維君 この実践的な教育ですけれども、科目ですと、どの科目でこういう勉強を行うんですか。
#62
○政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。
 ただいま御説明申し上げましたとおり、高等学校におきましては、主に公民科や家庭科におきまして、法教育、消費者教育、金融経済教育に関する内容を取り扱っているところでございます。
#63
○若松謙維君 あと、このアクションプログラムには、例えば実務経験者から話を聞くと、そういうことも、例えば金融経済教育の実務者ですか、いわゆる実務、まさに学校の外部の方からいろんな話を聞くと、そういうこともやっているということですね。いかがですか。
#64
○政府参考人(下間康行君) 委員御指摘のとおり、このアクションプログラムにおきましては、消費生活相談員や弁護士等、その実務者を外部講師として活用するということが求められているところでございます。
#65
○若松謙維君 そうすると、特に金融経済教育、これ簡単に言うんですけど、かなり難しいと思いますよね。だけど、被害は実際にある可能性があるということで、いろいろと現場では大変な御苦労されていると思うんですけど、やっぱり失敗談というのも話されるんですか、失敗。こういうのが実際にありましたよという事例というんですかね。
 分かる範囲で結構ですので、もし、どんな感じで高校生に、いわゆる現場のこういう契約とかリアリティー、ある意味では非常に危険だというところもどう伝えていくのか、実践的な観点からどのようにやっているのか、お願いします。
#66
○政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。
 例えば、その実務経験者の活用による学校教育現場の取組といたしまして、金融広報委員会との連携による消費者教育の推進といたしまして、弁護士、司法書士が講師となる公開授業とか講演会などを実施したり、あるいは若年層の消費者被害の未然防止等、消費者としての自立を支援するための、消費生活センター職員が講師となって、若年層が被害に遭いやすい悪徳商法の具体的な紹介とその対処法等の啓発を行っている事例などがあるところでございます。
#67
○若松謙維君 ちょっとイメージが湧きました。是非、これも工夫創意して、本当にリアリティーがしっかり共有できるような消費者教育、是非お願いしたいと思っております。さらに、法、金融経済ですね。大変ですね、高校生も、これだけ勉強しなくちゃいけないというのは。改めて実感いたしました。
 それでは、次の質問に移りますが、いわゆる主権者教育、若年者が社会形成に参画する態度を育む教育、いわゆる主権者教育でありますけれども、これは、恐らく先ほど、あの話、副大臣がお触れになりましたけど、平成二十七年六月の選挙権年齢を十八歳に引き下げる改正公職選挙法、これが成立をいたしまして、政府としては、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質や能力を育む主権者教育の推進に取り組んでいると、このように承知しております。
 これが成年年齢引下げに当たりましても有効と考えられますけれども、具体的にこの主権者教育の目的、さらに、どんなことを教えているのか、お尋ねいたします。
#68
○政府参考人(神山修君) お答えいたします。
 選挙権年齢につきましては、成年年齢に先立ちまして十八歳以上に引き下げられているところでございます。
 選挙権年齢の引下げによりまして、これまで以上に国家、社会の形成者としての意識や、自身で課題を多面的、多角的に考え、自分なりの考えを主張し、説得する力を育むことが求められているところです。
 このため、学習指導要領に基づき、政治参加の重要性や選挙の意義等について指導いたしますとともに、平成二十七年以降、全ての高校生に主権者教育に関する副教材を配付するなど、主権者教育の充実を図っているところです。
 さらに、高等学校において主体的な社会参画に必要な力を実践的に育む科目であります公共の設置、大学等の入学時におけるオリエンテーションなどを通じた学生への啓発活動、子供が地域に主体的に関わる地域行事などの機会の創出や家庭教育支援などを行っています。
 今後とも、成年年齢の引下げも見据え、総務省等関係省庁とも連携しながら、学校、家庭、地域がお互いに連携、協働し、社会全体で子供たちの発達段階に応じた主権者教育が実施されるよう取り組んでまいります。
#69
○若松謙維君 済みません、分かればなんですが、大体、時間的にどのくらいこの主権者教育というものをやっているんですか。大体、二、三時間なのか十時間なのか。分かればで結構ですので、質問通告していませんので。
#70
○政府参考人(神山修君) 画一的に各学校で何時間ということではなく、その学校に応じてそれぞれの科目の中で取捨選択をして適切に行われているものと存じております。
#71
○若松謙維君 分かりました。そこら辺は現場に任されているということですね。はい、了解いたしました。
 それでは、じゃ、いわゆる選挙権年齢引下げに伴って主権者教育が行われております。それでは、この主権者教育の効果として、一つに選挙の投票率が挙げられます。改正後初の国政選挙が二〇一六年参議院選挙ということで、そのときの二十代の投票率が三五・六%に対して十代の投票率は四六・七八%と約一一%多いんですね。しかし、その中身を見ますと、十八歳の投票率は五一・二八%、十九歳の投票率は四二・三%とこういう差があるんですが。
 この十八歳と十九歳の投票率、まずは、やはりこの主権者教育という効果が二十歳代以上に、この十代ですか、十八歳、十九の投票率が上がったというのかなと思っているんですが、それに対する評価と、なぜ十八歳と十九歳の投票率の差が生じているのか、これについてお伺いいたします。総務省ですかね。
#72
○政府参考人(篠原俊博君) お答え申し上げます。
 まず、十代の投票率が二十代の投票率に比べまして高い数字となった理由といたしましては、選挙権年齢の引下げを受けまして、模擬選挙や出前授業など選挙管理委員会が学校教育と連携いたしまして主権者教育を推進したことや、学生やNPO法人その他の関係機関による周知啓発などによりまして一定の成果が出たことによるものと考えております。
 また、十九歳の投票率が十八歳の投票率と比べまして低い理由といたしましては、平成二十九年三月の主権者教育の推進に関する有識者会議の取りまとめにおきまして、十九歳の多くが直接的に教育や呼びかけを受ける環境になかったことや、各メディアの注目が十八歳の高校生に集中したこと、大学生等が住民票異動の手続を行っておらず、現在住んでいる住所地で投票できなかったことが指摘されました。住民票異動につきましては、総務省が実施した意識調査におきましても同様の結果となっております。
 このことから、適切な住民票の異動につきまして周知啓発を行う必要があると考えておりまして、政治や選挙等に関する高校生向けの副教材におきましてQアンドAを記載しているほか、周知用リーフレットを作成し、選挙管理委員会を通じまして高校や大学に配布するとともに、文部科学省に対しまして、高校における卒業時や大学等における入学時のオリエンテーション等の機会を通じまして、住民票の適切な異動について周知を依頼しております。
 今後とも、文部科学省などの諸関係機関とも協力し、住民票の異動の必要性につきまして周知に努めてまいります。
#73
○若松謙維君 今の答弁の話を聞いてみると、結局、やはりしっかりと選挙の重要性とかPRをしないと現実には投票率が上がらないと。で、何もしなければ翌年はすぐ下がってしまうと、そういう現実だと思います。
 だから、高校卒業というか、高校内でしっかり選挙の大切さ等を教育することと併せて、大学に入ったらまた行うということだと思うんですが、そうすると、二十歳になって低いということは、そういう、選挙権というんですかね、選挙の大事さというのがやはりだんだんだんだん希釈というんですかね、薄まっているというのがやはりこれは問題じゃないかと思うので、そこは総務省として、質問通告していないんですけど、どんなふうに考えているのか、分かる範囲で結構ですので、お答えください。
#74
○政府参考人(篠原俊博君) お答え申し上げます。
 まず、選挙権年齢の引下げに伴いまして十八歳、十九歳の方が投票できるようになったという環境にございます。まず、そこに対してしっかりと啓発をすることが、二十代以降も続けて投票していただけるという環境をつくるものと思っておりますし、また、若者に対する投票の周知といったことにつきましても引き続き注力してまいりたいと考えております。
#75
○若松謙維君 分かりました。そうですね、本当に投票率上げるの難しいと思うんですね。オーストラリアみたいに投票を義務化するというまた一つの方法もあるんでしょうけど、是非頑張ってください。こちらもいい考え方がありましたら提案したいと思います。引き続き御検討をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、働き方改革との関係でお尋ねをいたします。
 現在、働き方改革関連法、これが審議されておりますが、長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを改善する働き方改革、将来を担う若者にとって大変重要な取組と考えております。
 今回の民法改正に伴いまして、若者が今まで以上に安心して働ける環境とするためにも、今後、新成年に対して、いわゆる十八歳、十九歳ですね、に対して、同一労働同一賃金等の新しい雇用制度、これを分かりやすく周知徹底すべきと考えますが、厚生労働省のお考え並びに今後どのようにしていくのか、お尋ねをいたします。
#76
○政府参考人(成田裕紀君) 今回政府が導入しようとしております同一労働同一賃金は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指し、非正規雇用労働者の待遇の改善を図っていくものでございます。
 このため、現在国会において御審議いただいている働き方改革関連法案では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を図るため、パートタイム労働者、有期雇用労働者及び派遣労働者について、不合理な待遇差や差別的取扱い等の禁止等を盛り込んでいるところでございます。
 御指摘のとおり、アルバイト等で働く若者など、非正規雇用で働く方々に今回の改正法案の趣旨、内容を適切に理解していただくことは非常に重要であると考えております。このため、改正法案が成立し、ガイドライン案を確定した後に、SNSの活用も含め、適切な周知を行えるよう検討してまいりたいと考えております。
#77
○若松謙維君 これは、そうすると、さっきのガイドライン、それでSNSということで周知徹底するんですが、当然それは厚生労働省がそういう、何というんですかね、このガイドラインを作って、これをやはり文科省等にお願いしていくと、そういう流れになるんですか。
#78
○政府参考人(成田裕紀君) 具体的な周知の方法につきましてはこれから検討していきたいと考えておりますので、御指摘いただいた点も踏まえて考えていきたいと考えております。
#79
○若松謙維君 了解いたしました。是非連携をスムーズにしていただきたいと思います。
 それでは、少年法、ネット上の名誉毀損等の関係についてお尋ねをいたします。
 まず、少年法の趣旨でありますが、第一条に、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の整備に関する保護処分を行うということで、保護そして教育が重要な観点となります。
 成年年齢に伴いまして少年法の少年の上限年齢の引下げは行われないということですが、民法、公職選挙法が十八歳になって少年法が二十歳ということに対して、ちょっといろいろと他の委員の方も指摘されましたが、再度、この少年のいわゆる上限年齢の引下げが行われないことに対する議論、さらに、この少年という法律の名称、これについて今後どういうふうにしていくのか、整合性も含めてお尋ねをいたします。
 それで、具体的には、まず、成年になれば自らの行動に責任を持たなければならない、これは当然であります。しかし、成年年齢の引下げを契機に少年の上限年齢を単に引き下げるということではなくて、若者の可塑性というんですかね、に着目して、保護、教育という趣旨を重視して再犯防止としっかり立ち直らせる、そして社会で活躍していけるような保護措置も必要ではないかと考えておりまして、この少年の上限年齢に対する大臣の見解、そして今後の取組についてお伺いをいたします。
#80
○国務大臣(上川陽子君) 少年法における少年の上限年齢の在り方につきましては、刑事司法全般において成長過程にある若年者をどのように取り扱うか、またどのように改善更生、再犯防止を図るかと、こうした問題に関わるものでございます。民法の成年年齢引き下げられた場合におきましても、論理必然的にこれを引き下げなければならないこととなるものではないというふうに考えているところでございます。
 そこで、平成二十九年二月、法制審議会に対しまして諮問をさせていただきました。少年法における少年の上限年齢の在り方、また若年者を含む犯罪者に対する刑事政策的措置の在り方につきまして諮問をし、現在、法制審議会におきまして議論が進められているところでございます。
 御指摘のような若年者の再犯防止等の観点も含めまして、議論をしっかりと見守ってまいりたいというふうに考えております。
#81
○若松謙維君 これは質問通告していないんですけど、先ほど葉梨副大臣から、法律ができて三年以内というお話でしたが、この少年法の、いずれにしても中長期的には見直しされると思うんですが、やはりこの三年というイメージではなく、やっぱり少年法の改正はもっと慎重に、ある意味でしっかりと、この成年年齢引下げの実態面等をしっかり見た上で、やはり少年法はそれ以上の慎重な見極めというんですか、検討が必要だと思うんですけど、大臣はどんなお考えでしょうか。
#82
○国務大臣(上川陽子君) ただいま法制審議会で審議をしていただいているところでございますので、その慎重に審議をしていただくという姿勢、これは極めて重要であるというふうに考えております。
 年齢によって直ちにということでは必ずしもないということの判断の中で審議会にかけているということでありますので、慎重に検討をしていただけるものというふうに考えております。
#83
○若松謙維君 ということで、私と同じ考えであると思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、少年事件の報道についてお尋ねをいたします。
 少年法六十一条が禁じているのは、少年が家庭裁判所の審判に付された場合と少年の犯した罪により公訴を提起された場合でありますけれども、現在、少年の逮捕又は指名手配について実名が報道がされておりません。これはなぜかというと、マスコミによる自主規制に委ねられていると、こういう事実であります。
 少年法で少年とされている以上、犯罪を行った十八歳、十九歳の成年については、適切な処分を受けて立ち直ることに支障が出ないよう、これまでどおり実名報道を控えることをマスコミ等の業界団体にやっぱり要請することが大事ではないかと、そう思いますが、法務省の見解はいかがでしょうか。
#84
○政府参考人(辻裕教君) ただいま御指摘いただいたような状況、事態と申しますのは、民法の成年年齢が引き下げられた場合でありましても少年法における少年の上限年齢は維持されるということに実際なった場合ということだと考えられますけれども、ただいま大臣からも申し上げましたとおり、少年法における少年の上限年齢の在り方につきましては、現在法制審議会において調査審議していただいているということでございますので、今御指摘いただいた点につきましては、法制審議会の議論の状況を踏まえつつ、そういう必要な状況になるかどうかということに応じまして適切な対応を検討させていただければと考えております。
#85
○若松謙維君 法制審の審議を見守るということでありますけれども、是非、私が申し上げましたように、少年法という、これがあくまでも二十歳ということであれば、十八歳、十九歳については、やはりしっかりと実名報道というのはすべきではないということを改めて主張申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 インターネット上に触法少年、いわゆる法に触れた少年の実名写真を掲載すること、これは禁止されておりません。少年事件に限らず、事件が起こればネット上で犯人捜しが行われて、該当少年はもとより、全く無関係の人物、被害者まで人権侵害を受けるというのがネット社会でもあります。ネット上の名誉毀損につきましては、情報が瞬時に拡散して全てを削除するなどの名誉回復が非常に困難であるということで、この委員会でも既に議論をなされているところであります。
 プロバイダーに対する迅速かつ確実な削除要請を可能とするための体制整備と安全なインターネットの利用を確保するために、特に若年層を対象にインターネットリテラシーですか、これを向上するための啓発活動又は充実強化、これを図る必要がありますけれども、しっかり本腰を入れて取り組むべきと考えますが、法務省のお考えはいかがでしょうか。
#86
○政府参考人(名執雅子君) 法務省の人権擁護機関では、被害の申告を受けた場合、名誉毀損やプライバシーの侵害に当たる情報の削除をプロバイダーに要請するなどして被害の救済に努めるとともに、各種人権啓発活動を実施することにより被害の防止を図っております。
 インターネット上の人権侵害の救済に関しましては、関係省庁と連携してプロバイダー等と協議するなどして迅速かつ確実な削除要請を可能にするための体制整備に努めているほか、被害者からの相談や被害申告に応じている全国の法務局職員に対しまして、インターネット上の人権侵害事案への対応に関する研修を実施するなど対応力向上を図っているところでございます。
 また、若年層を中心としました啓発活動に関しましては、「インターネットを悪用した人権侵害をなくそう」を特に強調すべき事項として掲げ、各種の取組を実施しております。具体的には、インターネット上の人権侵害から身を守るとともに、他人の権利を侵害しないために注意すべきことなどを内容とする啓発雑誌、「あなたは大丈夫? 考えよう!インターネットと人権」を作成し全国の高校一年生に配付したほか、法務省のホームページにも掲載して自由にダウンロードして利用できるようにしております。本年度は、同冊子の内容を改訂して増刷し、スマートフォンの利用が増える高校入学前の全国の中学三年生に配付する予定としております。
 また、平成二十八年度には、インターネットを利用する上での危険性や安全な利用法等をドラマ形式で分かりやすく解説した啓発ビデオ、「インターネットと人権 加害者にも被害者にもならないために」を作成し、そのDVDを全国の法務局で無料で貸し出しているほか、ユーチューブ法務省チャンネルにおいて公開しております。
 法務省といたしましては、委員御指摘のとおり、体制整備及び啓発施策の充実強化が重要であると認識しております。引き続き取り組んでまいりたいと思います。
#87
○若松謙維君 今のはいわゆるインプットですね、こういうことをやりましたということなので、ちょっと今後の、質問通告していませんので、今後どういうアウトプット又はアウトカムが出てきたのか等についても質問していきたいと思っております。
 あともう一つなんですが、これ、内閣府にお尋ねをいたします。本委員会でAV出演強要問題について取り上げまして、被害が発生しないようどのような取組を行うかということで、内閣府の見解をただしました。そして、十八、十九歳の若者の未成年者取消し権、これがなくなるわけでありますが、そうすると、一方的な出演契約を結ばれて、出演を拒むと法外な違約金を請求されるという被害が生じているわけでありますし、そういう、実際大きな懸念となっております。
 そこで、今回のこの年齢引下げによりまして新成年にそのような被害が生じないように対策をしっかりと講じるべきではないかと思いますが、内閣府はどのようにするんでしょうか。
#88
○政府参考人(渡邉清君) 内閣府の男女共同参画局でございます。
 ただいま質問いただきましたAV強要問題の関係ですが、内閣府が平成二十八年に専門調査会において民間団体からヒアリングをしたところで明らかになりましたアダルトビデオ出演強要の被害者の特徴を申し上げますと、まず、被害者の年齢は十八歳から二十歳代前半までの若年層の女性に集中しておりまして、特に二十歳を超えたばかりの女性の被害が当時多かったということでございます。もう一つ、二十歳を超えると未成年であることを理由に契約を取り消すことができなくなるため、中には、二十歳になるまでは露出の多いイメージビデオへの出演を強要され、二十歳になりますと今度はアダルトビデオへの出演を強要されると、そういうケースも見られることが挙げられました。
 また、契約関係ですけれども、若年層の方は契約に関する知識が全くないか又は乏しいということで、契約書に記載されている内容が理解できないまま、又は読まずに署名捺印をしてしまったり、また契約書の控えを取っておかないと、こういった例が多いということも明らかになりました。
 こういった特徴があると聞いているところでございますが、こうしたことが、成年年齢の引下げによりまして十八歳、十九歳の方に移行していくという懸念もあろうかと思います。
 内閣府では、ホームページ上におきまして、本人が承諾していなければその内容については契約としては成立していないこと、また、契約として成立したとしても、錯誤に基づくものであれば無効であり守る必要はないこと、アダルトビデオ出演契約の解除に際して高額の違約金の支払義務の有無が争われた訴訟ありましたけれども、こちらにおいて、意に反する契約は直ちに解除できるという、メーカー側の請求が棄却された裁判例がございます。こういったことを掲載いたしまして、契約してしまったからもう仕方ないんだと一人で悩まず相談するように呼びかけているところでございます。
 あわせて、進学、就職等の生活環境の変化に伴って被害に遭うリスクが高まる四月を被害防止月間と位置付けて広報啓発活動を引き続き集中的に実施しておりますけれども、今後とも、十八歳、十九歳を中心とした若年層の女性が被害に遭わないようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#89
○若松謙維君 今の内閣府の説明聞いて、大変リスクがやっぱり高まっていると、十八歳、十九歳ですね、そう実感いたしました。
 是非、今後の委員会でも、いわゆるまさにAVの制作者の方にもちゃんと周知徹底させる、義務化をさせるとか、またクーリングオフを明確にさせるとか、ちょっとそんな問題点もこれから取り上げてこの議論を深めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
#90
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。
 まず最初に、改めてですが、この民法改正の意義というか意味についてお伺いさせていただきたいと思います。
 分かるようで分からないのは、選挙年齢を引き下げたから、だから民法の年齢も引き下げなきゃいけないという理屈でして、どうしてそういうことになるのかがよく分かりません。なぜかというと、今の少年法もそうですけれど、法務省から民法の一部を改正する法律案に関してポンチ絵をいただきました。そのポンチ絵の中には、二十歳が維持されるもの、十八歳に変わるものと、まだ十分な議論がなされていないわけであって、何でここにおいて、選挙年齢を引き下げるから、だから成人の年齢も十八歳に引き下げるという理屈が私は成り立つとはちょっと思えないんですが、なぜそういうようなロジックになるのか、御説明いただけますでしょうか。
#91
○国務大臣(上川陽子君) ただいま、民法の成年年齢引き下げる理由ということでの基本的な御質問がございました。
 今般の民法の成年年齢の引下げでございますが、日本国憲法の改正手続に関する法律の制定の際に附則で、民法の成年年齢について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる旨の規定が設けられたこと等を契機として議論がなされるようになってきたものでございます。
 成年年齢の引下げはこのような政策的な流れの中に位置付けられるものでございまして、十八歳、十九歳の若者に参政権を与えるとともに、私法上も大人として扱うことにより、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加することを促進し、ひいては我が国の将来、活力あるものにすることにつながるとの意義があるというふうに考えております。
 このような立法の意思を踏まえまして、政府におきましては、この二十歳等の年齢を要件としている各種法律の規定に関しまして、この民法の成年年齢の引下げによる影響の有無等につきましても検討を行い、民法と同時に法改正するのが適切かどうかという観点から見極めを行った上で、今国会に法律案を提出することとなったところでございます。
 それぞれの法律、年齢要件、引き下げるか否かにつきましては、先ほど少年法の言及もございましたけれども、それぞれの立法趣旨をしっかりと踏まえた上での議論があろうかというふうに思いますし、また今後も議論があろうかと思います。今回御提出させていただいた法律案におきましては、政府内におきまして基本的に一定の結論に至ったところという形でお出しをさせていただきました。
 重ねて、少年法における取組ということでございますが、民法の成年年齢との関係も含めまして、現在、法制審議会におきまして調査審議をしていただいているところでございます。少年の上限年齢に関する議論の結果によって、これ、民法の成年年齢の引下げが直ちにその結果によって左右される性質のものではないということはそのとおりでございますが、その意味でただいま議論をしていただいているという状況でございます。
#92
○櫻井充君 ありがとうございます。
 大臣、今の中で、流れとしてこうなりましたということはよく分かるんですよ。つまり、公職選挙法の改正のときに民法の見直しを行いましょうとそこに書かれていて、必要な措置を講ずるという、そういう趣旨が書かれていると。ですが、必ずしもそれに引き下げろとか、引き上げなきゃいけないとか何も書いていないわけです。
 ですから、議論のスタートになることは分かります。議論のスタートになる理屈は分かりますが、改めて、ここの中に書かれているような、答弁されているような、公選法の年齢を引き下げたから、だから民法の年齢も引き下げるという理屈にはならないと思いますが、いかがですか。
#93
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、公職選挙法上の選挙権年齢あるいは憲法改正に係る国民投票年齢と論理必然的に民法の成年年齢が連動するというものではないというふうに理解しております。
 もっとも、この近時の公職選挙法の改正等によりまして、十八歳以上二十歳未満の者に対して、国家の在り方や国政の方向性に関わる最も基本的な権利が与えられたと、こういうことは、十八歳以上の者にはこれらの重要事項についての判断能力が備わっており、言わば一人前の大人として扱うのが相当であると、こういった国政上の判断が示されたと言うことができようかと思っております。
 このため、法制度としての一貫性あるいは簡明性といった観点からは、市民生活の基本法である民法の成年年齢もできる限り一致していることが望ましいというふうに考えられるというものでございます。
#94
○櫻井充君 今の答弁どおりであれば、むしろそういう内容をもうちょっときちんと発信していった方がいいと思うんですよ。選挙年齢引き下げたから民法も合わせるんですという理屈だと、何かおかしいんですよね。ほかのものも全部そうやって合わせていかなきゃいけないんですかということには、私は単純にそういうものではなくて、今お話があったとおり、要するに大人として扱わなければいけないんだと。その大人としてもう扱うというその一つが公選法の改正であって、民法としても、そうであれば大人として扱いますと。先ほど、積極的な社会進出でしたか、そういう趣旨の大臣から発言がありましたが、むしろその方が国民の皆さんには分かりやすいんではないのかと思うので、是非そういう趣旨で御説明いただきたいと、そう思います。
 ただ、一方で、この間の我が党の石上俊雄議員に対する答弁の中で、こういうこともあるからという話をされているんですが、十八歳、十九歳の方の中には、大学入試等を機に独立して生活したり、働いたりしている方が多くいるにもかかわらず、これらの方が単独で有効な取引をすることができないというのは、その経済活動の実態を適切に反映しておらず、相当でないと考えますと、こう答弁されているんです。
 しかし、今の社会と例えば戦後の復興期と考えたときに、実は社会的に自立して経済活動を行っているのは、若い人たちがです、これ戦後の復興期の方がはるかに多いわけですよ。我々の東北の地区からも中学を卒業した人たちが集団就職をされて、金の卵ともてはやされた時期がありました。つまり、あの当時は、中学を卒業した時点でもう経済活動を行っているんですよ。そして、逆に言えば、今の高校の進学率、それから大学の進学率、それから短大や専門学校等を含めてくると、むしろ働いている方の数は減ってきているわけです、割合は減ってきていると。
 そうしてくると、ここの答弁にあったように、経済活動の実態を適切に反映しておらずと、こういう答弁されていますが、私はまさしく、逆に言うと、経済活動の実態を適切に反映していないような答弁でしかないような気がするんですが、この点について、大臣、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(上川陽子君) 経済的な状況、また社会的な状況というのは、先ほど委員から御指摘があった中学の卒業生が金の卵として都会に出てきたあの時代と比べると圧倒的な違いがあるというのも確かであります。また、教育も、本来ならば教育、高等教育を受けたいけれども、なかなか経済的な事情で受けられないというような形で、兄弟多い中で、御長男や上のお子さんたちが下の子供たちの面倒を見ながら家族全体で生計を支えると、こういった時代もございました。
 今、その意味で考えてみますと、今の十八歳、十九歳、高校を卒業し、またその頃の、卒業しているその世代の方たちは、大変進学率も高くなっているし、高等教育まで受けることができる。その意味では、大変教育の機会も格段に高まってきているというふうに思います。同時に、やはり親元から離れて経済的な自立をするという、そうした形で、アルバイトをしたりいろいろな形で経済活動をするという方たちもまた増えているというのも事実であります。
 経済社会的な状況についてはいろんな角度から検討する必要があろうかというふうに思います。いろんな説明の仕方があろうかと思いますが、丁寧に今の実態にしっかりと踏まえた形で対応していくことが非常に重要であるというふうに考えておりまして、その意味でも、懸念の一つであった消費者契約法の契約に係る問題や懸念と、こういったことは大変重要な御指摘であるというふうに思っておりまして、ここは更にしっかりとした対応をしていくべき事柄であるというふうに考えております。
#96
○櫻井充君 丁寧に御答弁いただいたことについては感謝申し上げますが、しかし十分な答えにはなっていないと思うんです。
 例えば、親元を離れて独り暮らしをしますと、だけど、ほとんどの子供さんたちが親から支援を受けているわけであって、経済的に自立しているとは私はとても思えません。うちの子にも仕送りをしておりました。だけど、一方で、繰り返しになりますが、十六歳から働き始めている人たちがあの当時いっぱいいるということになれば、この人たちの方こそ経済的に独立しているのであって、そういう意味合いでは、この本会議での答弁は私は余り適切な答弁ではないんじゃないだろうかと。つまり、民法のこの二十歳を、成年を十八歳に引き下げる根拠として述べるにはちょっと問題点が多いんじゃないのかなと、そう思うんです。
 さらに、もう一点申し上げれば、先ほどの若松議員の質問に対して、内閣府からのAVに関連するような答弁がございました。そうすると、あの若年の人たちは、若年者の人たちの被害が多いと、しかも契約書もほとんど読んでいないと。多分、今、高校生の人たちが奨学金の借入れを行ってきていて、我々の時代と違って、もう高校三年生になると配られて説明があるんだそうですが、それを今、大学生の方々、借り入れている方々に、これ読んでいますかと聞いてみると、ほとんどの人たちが全部は読んでいないんですよ。
 そうなってくると、その判断から考えてくると、十八歳に引き下げることが本当に適切なのかどうか。繰り返しになりますが、ここにあるような、この方々が単独で有効な取引をすることができないというのは、その経済活動の実態を適切に反映しておらずと、こういう答弁とは私は違うと思いますが、事務方でも結構ですが、御答弁いただきたいと思います。
#97
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 まず、十八歳、十九歳の者の経済活動の実情という点でございますけれども、この点につきましては、やはり十八歳、十九歳の者は、十七歳以下の者に比べて、何らかの形で就労し金銭収入を得ている者の割合が大幅に高く、八割を超える大学生がアルバイトをしているという調査結果もございます。
 委員御指摘のとおり、確かに大学進学率は昔に比べまして非常に高まっていると、そういう点がございます。しかしながら、今の現状、今のその実情を踏まえますと、やはりそういった実情を踏まえて、十八歳、十九歳の者が一人前の大人として扱われ、単独で契約を締結することができるようにすることは、これらの者の経済活動にとって便宜であって、実態にも合致するものであると言えようかと思っております。
 また、その昔の十六歳あるいは今の十八歳、十九歳との点で申しますと、現在では高等学校への進学率が九八%を超えていることに加えまして、消費者教育につきまして、学習指導要領の改訂におきまして、高校までの課程で消費者教育、法教育、金融経済教育の取扱いなどが充実されております。
 こういったような実情も踏まえて、今回、その成年年齢の引下げというような環境といいますか、そういったものが整えているというふうに考えているところでございます。
#98
○櫻井充君 済みませんが、私の質問に答えてもらっていませんからね。
 言っておきますが、今、八割、たとえバイトで金銭を得ていようが得ていまいが関係ないです。私、そんなこと聞いていませんから。私が申し上げているのは、働いている人たちの割合は圧倒的に昔の方が若年者が多かったでしょうということを言っているんですよ。
 であったとすると、なぜそういう時期には引下げとかそういう議論にはならなくて、今になって、むしろ数からしてみれば、経済的な独立という点でいったら独立している人たちは少ないんですよ、多分。これはちょっとデータ取っていませんから、改めてデータを取ってまた議論させていただきたいと思いますが。だから、こういうことを理屈として引き下げるんだという理由がおかしいと言っているんです、私は。
 別に引き下げることがどうだというのはこれから議論させてもらいますが、理屈としておかしいでしょうと。なぜ特別最近になってこうやって増えたんですかと。増えたんならいいですよ、そういう人たちがどんどんどんどん増えてきているんならいいですよ。これ、統計上の、じゃ、済みませんが、労働者の、今度統計ちゃんと取った上で答弁してくださいよ。
 済みませんが、今の答弁では私は不服なので、改めて数字をきちんと基にしたような内容の答弁について、この委員会に提出していただきたいと思います。
#99
○委員長(石川博崇君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
#100
○櫻井充君 ありがとうございます。
 そして、もう一つ、昨日、おとといになりますか、昨日かな、本会議ありましたが、その中で理事として壇上に上がらせていただきました。その理由は何なのかというと、婚姻年齢の引上げに関して例外的な要件を設けなかった根拠についてということで、石上議員からエビデンスをもって説明してくださいと言っていました。しかし、悲しいかな、エビデンスはなく、健全な婚姻をする能力を欠くと考えられる若年者の婚姻を禁じと、健全な婚姻をする能力を欠くと考えられるという根拠がないんですよ。その根拠は一体何なのかどうか。こういう議論をやっていく上において、私は一つ一つのちゃんと根拠があって進めていかないとおかしいと思っているので、ここについての裏打ちできる、裏打ちするデータをお示しいただきたいと思います。
#101
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 その婚姻開始年齢が定められております趣旨といたしましては、早い年齢での婚姻といいますものが破綻につながる、そういうおそれがあると、こういうことが言われているわけでございます。
 そこで、その若年者の方の婚姻につきまして、その離婚がどうなのかという点につきましては、これは厚生労働省の平成二十一年度の離婚に関する統計の概況といったものがございます。こういったものからしますと、これは十九歳以下の方の有配偶離婚率というものでございますけれども、この数字が、夫の方、男性の方と比較いたしまして、女性、妻の方が非常に明らかに高くなっているといったような事情がございます。しかしながら、ほかの年代につきましては、男女の差はほとんどないということになっております。
 こういったことを踏まえますと、恐らく十九歳以下の方について女性の有配偶者離婚率が高いというのは、女性の方はこの対象者が十六歳から十九歳までということで十六歳、十七歳が含まれていて、そこの部分の有配偶離婚率が高いのではないかということを推測しているということでございます。
#102
○櫻井充君 こういうデータがあるんだとすれば、答弁の際に、ここにあるような、健全な婚姻をする能力を欠くと考えられる若年者と、こういう表現しない方がいいと思うんですよ。そうではなくて、ちゃんと、離婚の率が高くなってきているので、ですからここについての規制を掛けるんですというような答弁書にするべきだと、私はそう思います。そうでないと、若年者の人たちに対して、若者、若年者に対して婚姻をする能力を欠くと考えられるというのは非常に失礼な表現だと思うんですよ。ですから、若者だから適切な婚姻をする能力に欠けるとか、そういう表現すべきじゃ私はないと思います。
 ただ、一方で、役所からいただいた数字はそのとおりなんです。男性と女性と十九歳以下のところの離婚率が違ってきていて、男性の場合には、十九歳以下の方々とそれから二十歳から二十四歳の方の離婚率はほとんど一緒です。女性の場合は高くなっています、十九歳以下の方が。それをもってして、十六歳や十七歳を含んでいるからなんだろうと昨日説明を受けて、一応それで納得いたしましたが、一方で、別な統計が見付かりました。
 別な統計がありまして、ホームページ上で、これ、「よい家計」というものからの数字ですけれど、これ見てみると、まず、ここはどうやって計算しているのかというと、厚生労働省の人口動態統計とそれから総務省の統計局の国勢調査、この数字から、二〇一五年と二〇一六年から簡易的に推計を行っている数字を見てみると、十六歳の女性の離婚率は四%、十七歳の女性の離婚率は八%でした。女性の場合の一番離婚率の高い人たちが二十歳で九・二%になってきていて、これ、法務省から示された数字とちょっと違っているんですよ。
 ですから、法務省の数字が正しいのか、それとも、この「よい家計」の数字が正しいのかは分かりません。こういう差が生じてきているのは、多分統計的な問題があることと、それともう一つ、この法務省からいただいた参考資料は実は平成二十一年度でして、これは昭和二十五年から平成十七年までの統計の資料なんです。つまり、平成十七年で相当古い、昭和二十五年から平成十七年までの相当古い数字を持ってきて昨日説明をいただきました。
 一方で、この「よい家計」の場合には、総務省の統計局の国勢調査は二〇一五年であり、厚生労働省の人口動態統計は二〇一六年で、それから推計しているということは、期間的に見ればこちらの方が、あとは統計の問題があるかどうかは別として、数字から見れば実態を反映しているのは私はこちらの方ではないのかと、そう思います。
 そうなってくると、昨日、議運の理事会でいろいろるる御説明いただきましたが、その根拠は私はなくなったと、そう判断しているんですが、この点についていかがでしょうか。
#103
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 先ほど申し上げました、この離婚に関する統計の概況というものでございますが、これは厚生労働省の人口動態統計の特殊報告の一つでございます。こちらにつきましては、毎年テーマを決めて人口動態調査のデータに基づき報告を行っているものでございますが、離婚というテーマは平成十一年、平成二十一年に選ばれているものでございまして、過去の選ばれている状況を見ますと、十年に一度報告されているというものでございまして、その平成二十一年以降のこういった報告はないというものでございます。
 なお、委員から今紹介いただきましたその資料でございますが、大変申し訳ございませんが、私ども、本日初めて拝見するものでございますので、御指摘の点につきましては、今後精査して改めてお答えを申し上げたいと思っております。
#104
○櫻井充君 ありがとうございます。
 ちょっと、今朝、うちの秘書から報告を受けて、それで先ほど提示したので、すぐに答えられないとは思っておりましたが、問題提起としてやらせていただきました。
 今御答弁あったとおり、後で報告をいただけるということなので、よろしく取扱いをお願いします。
#105
○委員長(石川博崇君) 後刻理事会において協議いたします。
#106
○櫻井充君 それでは、ちょっと具体的なことについて質問していきたいと思います。
 要するに、ポンチ絵いただいたら、二十歳を維持するものとそれから維持しないものといろいろ決められたようですが、ベースラインに流れているものは一体どの点、どういうことを勘案して、これは二十歳、これは二十歳でないと、そういうふうに定められたんでしょうか。
#107
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 各種の法律におきます年齢要件は、それぞれの法律の趣旨に基づいて様々な要素を総合的に考慮して定められているものと承知しております。
 成年年齢の引下げを行う場合にそのほかの法律の年齢要件をどうするかという点につきましては、それぞれの法律の趣旨に基づきそれぞれの所管省庁において個別に引下げの要否を検討したものでございまして、必ずしも一律の基準があるわけではございません。もっとも、民法の成年年齢が二十歳であることを前提に二十歳と定められている年齢要件につきましては、民法の成年年齢の引下げと合わせて基本的に十八歳に引き下げることとしております。
 他方で、健康被害の防止あるいは若年者の福祉といった観点から現行の年齢要件を維持する必要があると考えられるものにつきましては、二十歳を維持することとしております。
#108
○櫻井充君 そうすると、民法が変わったから自動的にではありませんと、各法律の趣旨にのっとって、それが二十歳のまま維持した方がいいのか、それとも十八歳に引き下げることは可能なのかとか、そういう判断が下されたということでよろしいんでしょうか。
#109
○政府参考人(小野瀬厚君) ただいま御指摘いただきましたとおり、各種それぞれの法律の趣旨に基づいて、それぞれの所管省庁において個別に引下げの要否を検討したものでございます。
#110
○櫻井充君 そうすると、典型的な例から質問させていただきたいと思いますが、喫煙とか飲酒、これは一体どういうふうになっていくんでしょうか。
#111
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法が二十歳未満の者による喫煙及び飲酒を禁止している趣旨は健康被害防止と非行防止の二点にあり、法律行為を単独で行うことができる民法の成年年齢の定めとはその趣旨を異にしております。このため、必ずしもその年齢を一致させる必要があるものではないと考えているところであります。
 近年、国内外におきまして、喫煙や飲酒が健康に与える悪影響を防ぐための取組が強化されているところでもあり、今回の民法改正を理由として喫煙、飲酒を禁止する年齢を引き下げることとはしなかったものであります。
#112
○櫻井充君 今、健康ということと非行という点から御答弁いただきました。
 データは多分ないんだと思うんですよ。それは何かというと、健康の面でいえば。十八歳の方がたばこを吸っていて、そして二十歳からたばこを吸った人と健康の被害に差があったと、そういうデータはあるんでしょうか。
#113
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 例えば、健康増進法に基づき定められた国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的方針である健康日本21の目標達成状況や取組状況を取りまとめた健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料におきまして、二十歳未満の者である未成年者の飲酒は成人の飲酒に比べ急性アルコール中毒や臓器障害を起こしやすい、また、飲酒開始年齢が若いほど将来のアルコール依存症リスクがより高くなることが指摘されているものと承知しております。また、公益社団法人日本医師会も同様に、飲酒開始年齢が低いほどアルコール依存症になる確率が高くなることを指摘しているものと承知しております。
#114
○櫻井充君 ありがとうございます。
 飲酒についてはそうありますが、喫煙についてはあるんでしょうか。
#115
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 健康増進法に基づき定められた国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的方針である健康日本21の目標達成状況や取組状況を取りまとめた健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料におきまして、未成年期からの喫煙は健康影響が大きく、かつ成人期を通した喫煙継続につながりやすいことが指摘されているところであります。
 当該記述に関連して、参考文献として記載されておりますアメリカ合衆国保健福祉省の報告書におきまして、幼年期や青年期における喫煙は重大な健康被害をもたらし、早くから喫煙を開始した者は遅く始めた者に比べて重大なニコチン依存になりやすいとされているものと承知しております。
 また、平成十年度の厚生省におきます調査研究によりますと、習慣的に喫煙を開始する年齢が若いほどニコチン依存度が高くなる傾向が示されていると承知しております。
#116
○櫻井充君 ありがとうございます。
 そういう数字があるんだとすれば、それはそれとして一つの根拠ですが、そうであれば、二十歳というところから始めること自体が適切なんでしょうか。
#117
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 現在の未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法は、二十歳未満の者による喫煙及び飲酒を禁止しているところであります。その趣旨は、先ほど御答弁申し上げましたように、健康被害の防止と非行防止の二点にありまして、民法の成年年齢の定めとはその趣旨を異にしているところでございます。
 先ほど申しましたように、飲酒を開始する年齢が早いほど依存になるリスクが高まるといったようなことでございますとか、近年、国内外において喫煙や飲酒が健康に与える悪影響を防ぐための取組が強化されているところであり、今回の民法改正を理由として、喫煙及び飲酒を禁止する年齢を引き下げることとはしなかったものであります。
#118
○櫻井充君 いや、私は、引き下げることを聞いておりません。
 そこまで悪いと。若年者の人たちが若いうちからたばこを吸えばニコチン依存症になっていきます、それから、アルコールも若い人たちであればあるほどアルコール依存症になっていきますということであれば、二十歳という年齢が適切なんですか。その二十歳としてこのまま維持するという理由はどこにあるんですか。
#119
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 先ほども御答弁申しましたけれども、現行の未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法においては、二十歳未満の者による喫煙及び飲酒を禁止しているところでございます。
 そのことに関しまして、先ほど申しましたような状況でありますとか、また、近年、国内外において喫煙や飲酒が健康に与える悪影響を防ぐための取組が強化されているというところでもあり、今回の民法改正を理由として喫煙及び飲酒を禁止する年齢を引き下げることとはしなかったというものでございます。
#120
○櫻井充君 済みませんけど、答弁できないんなら答弁できないと言ってくださいよ。こんな同じこと言わないで、その二十歳を、そんなに体に悪いんだということになってくるのであれば、特にたばこの場合には圧倒的に健康に悪いという、もうデータ出ているわけですよ。
 そうであったとしたら、この機にたばこはもう少し、相当みんなで禁煙進めていきましょうと、東京オリンピックに向けてもいろいろやっているんだとしたら、これ、せめてそのぐらいは引き上げるとか、そういうことを検討なされたらいいんじゃないですか。
#121
○政府参考人(小田部耕治君) 平成二十四年に内閣府が特別世論調査を実施しておりまして、その中で、喫煙、飲酒の禁止年齢を現行の年齢どおり二十歳とするとの回答が七五%を超えているといった結果が出ております。
 こういった状況等も踏まえまして、二十歳という禁止年齢が社会的にも相当程度浸透していることを踏まえまして考えますと、現状において直ちに禁止年齢の見直しを検討する必要性は乏しいと考えているものでございます。
#122
○櫻井充君 まあ見解の相違だと思いますが、データはどんどんどんどん、医学のデータは日進月歩で出てきています。そういうものをちゃんと受けた上で判断していただきたいということだけはお願いしておきたいと思います。
 それで、もう一つです。
 非行というお話がありました。これは、たばこを吸うから非行に走るんですか、非行をする人たちがたばこに走るんですか。
#123
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 健康情報の発信の場として、厚生労働省におかれましてホームページを開設されておられます。その中で、未成年者を含め若者の喫煙の問題点ということで、健康影響が大きい、より高度なニコチン依存症に陥りやすいといったことのほか、喫煙以外の薬物依存の入口になるということが挙げられている旨掲載されているとともに、喫煙がアルコール、その他薬物の使用など、喫煙以外の健康リスクのある行動とも関連がある旨掲載されているものと承知しております。(発言する者あり)あっ、非行でございます。はい、非行でございます。
 それで、例えば、喫煙と犯罪の関係につきまして科学警察研究所が行った調査研究によりますと、覚せい剤取締法違反や刑法犯で検挙された少年は、一般群として設定しました大学生に比べまして喫煙経験者の割合が顕著に高く、また、喫煙経験がある検挙群の喫煙開始年齢は、一般群よりも平均して二歳ほど低いということが示されているところでございます。
 また、先ほど御説明いたしました厚生労働省のホームページにおきまして、参考文献として掲載されているアメリカ合衆国の保健福祉省が取りまとめた報告書におきまして、喫煙は一般的に違法薬物の使用に先行して薬物使用の危険を増大させることから、若年者にとって喫煙は薬物使用の入口になっているといったことが指摘されているものと承知しております。
#124
○櫻井充君 最後のところだけ答弁いただければよかったと思いますね。
 今の、すごく大事な指摘、視点だと思うんですよ。要するに、薬物依存に移っていく前にたばこを吸っている人が多いというのであれば、それは十分な理由になると思うんです。ですが、繰り返しになりますが、非行に走った人たちが、昔なんかは、テレビのコマーシャルなんかでたばこを吸っている絵が格好よかったから、それに憧れてたばこを吸ってみようという人たちもいっぱいいたわけですよ。別にたばこを吸い始めたからその人が非行になるわけでも何でもないので、そこら辺の関係はもう少し明確に御答弁いただきたかったと、そう思います。
 それから、二十歳が維持されるものに小児慢性特定疾病医療費の支給に係る患児の年齢というのがありますが、これはなぜこのまま維持することになったんでしょうか。
#125
○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
 小児慢性特定疾病医療費助成につきましては、児童福祉法に基づきまして、児童の健全育成及び家庭の負担の軽減を図る観点から、原則として十八歳未満の児童を支給対象としており、さらに、十八歳未満までに小児慢性特定疾病医療費を受給している児童等につきましては、特例的に二十歳未満まで支給を継続しているものでございます。
 これは、小児慢性特定疾病医療費助成の対象となる方は十八歳になった時点で治療が不要になるわけではございませんし、また引き続き治療が必要になる、また長期の療養が必要であることから、児童の健全な育成及び家庭の負担軽減の観点から引き続き支援が必要であることに鑑みまして、小児慢性特定疾病医療費の支給対象年齢につきましては、引き続き二十歳未満を維持することとしたものでございます。
#126
○櫻井充君 ありがとうございます。
 そうすると、ちょっと繰り返し確認させていただきたいんですが、小児の慢性疾患そのものは十八歳まで規定されてきているけれど、それに対して、さらに家庭の事情などを勘案して二年間延長していると、それを継続するという理解でよろしいんでしょうか。
#127
○政府参考人(吉永和生君) 御指摘のとおりでございます。
#128
○櫻井充君 それから、今度は改正するものでちょっと何点か、もう時間がないので一点で終わるかもしれませんが、帰化の要件が二十歳から十八歳に引き下げられるということなんですが、これはどうして引き下げられるんでしょう。
#129
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 国籍法では、その帰化の要件といたしまして、二十歳以上で本国法でも行為能力を有することということを帰化の要件としております。これは、国籍の変動という重大な効力が生ずる帰化手続の選択を適正に判断するためには相応の判断能力を有する、こういった視点から、本国法上行為能力を有するだけでなく、帰化が許可された後に本国法となる日本法においても成年者である必要があるためでございます。
 したがいまして、この規定は民法の成年年齢を受けた規定でございますので、この国籍法の二十歳につきましては、民法の成年年齢の引下げに連動して十八歳に引き下げることとしたものでございます。
#130
○櫻井充君 済みません、別に、民法の引下げと言われると、また、はっという感じになるんですが、要するには十八歳でそこの判断ができると、そういう理解をしたということなんですね。
#131
○政府参考人(小野瀬厚君) 御指摘のとおりでございます。
#132
○櫻井充君 そうすると、ちょっとこれどういう仕事なのかよく分からないんですが、登録水先人養成施設等の講師と、これ多分、講師ですから、いろいろ教えることが可能になるんでしょうが、この年齢が十八歳に引き下げられる中の一つに入っていますが、それはなぜでしょうか。
#133
○政府参考人(馬場崎靖君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の水先法に基づきます登録水先人養成施設等につきましては、水先人などの国家資格である海技資格を得るために必要となる知識、技能を教授する講師又は教員の要件を法律で定めておりまして、一定の海技資格の保有などを定めているところでありますが、これに加えまして、これら登録機関で国家資格を得るための授業や講習を実施するその講師、これは船舶運航に関する技能を教授する者でありまして、それの適格者としてこれまで民法の成人年齢を要件としてきたところでございます。
 元々、民法の成人年齢を前提に要件を定めていたというところでございますので、今般の民法改正におきまして成年年齢が十八歳となるということでございますので、従来からの考え方を踏まえまして講師の年齢要件を十八歳とすることとしたものでございます。
#134
○櫻井充君 済みませんが、この資格って幾つで取れる資格なんですか。
#135
○政府参考人(馬場崎靖君) 水先人の資格は、先ほど申し上げましたように、一定の海技資格を取ることが前提となっております。海技資格の中でも比較的小型の、例えば四級とかそういうものにつきましては、水産高校とかそういうところを課程を卒業して一定の乗船履歴を積むと資格が、もちろん筆記試験等もございますけれども、ごめんなさい、口頭試問等もございますけれども、大体十八歳代でその要件に達するということはございます。
#136
○櫻井充君 済みませんが、水産高校を卒業する年齢が十八だと思っていて、その人がいきなり教えることができるようになるというのは、それちょっと不思議な話じゃないですか。
#137
○政府参考人(馬場崎靖君) 先生御指摘のとおり、実際上、登録養成機関というのは幾つかございますけれども、現在のところ、今は最低年齢を二十歳としておりますから、二十歳ですぐに講師になるということはございませんけれども、実際上は余りございませんけれども、これは制度の一つの要件として成人年齢を最低の要件として定めているという趣旨のものであると理解しております。
#138
○櫻井充君 済みません、理解しておりますって、御省のこれ所管でしょう。そうじゃなくて、ちゃんと説明していただきたいんですが、高校を卒業して、しかも経験積んでいるのかどうか分かりませんが、高校を卒業した時点で取得した人がそこで教壇に立つ、立てるような資格をなぜ十八歳に引き下げなきゃいけないのか、私には全く理解できませんが、そこはいかがですか。
 だから、民法で定めていたから、それで必然的に、じゃ、二十歳だったものを十八に下げますというのは、私これちょっとおかしな話だと思いますよ。これ、まともにちゃんと教えられる人ですか。僕はとても教えられると思いませんよ。医学部卒業した人が、急に、じゃ、はい、医療教えますからというのと全く同じことじゃないですか。こんないいかげんな改正、私ないと思いますけど、いかがですか。
#139
○政府参考人(馬場崎靖君) お答え申し上げます。
 元々、水先法の登録養成施設での講師要件の年齢要件につきましては、先ほど御説明したとおり民法の成人年齢を引っ張っている、参考にこれまで整理してきたというのは事実でございます。今回、この民法の改正に伴いまして引き下げるかどうかという議論をする中で、これはあくまでも参考ということではあるかもしれませんが、例えば教職員免許法によります普通免許状、いわゆる教員免許でありますが、これは現行の法律で、正確に申し上げますと欠格事由として定められているようですけれども、十八歳未満の者でないことというふうになっておりますので、要は十八歳以上であれば法律上の要件を満たしているということもございます。
 そういうことと、今回の民法の改正の趣旨も勘案して総合的に判断をいたしたというところでございます。
#140
○櫻井充君 ちょっと、説明全然なっていないと思います。
 こういうことで、一つ一つやはり具体的な事例を検証させていただきたいと思いますし、それから、十分議論されていないようなものもあって、本当にこの時期に引き下げなきゃいけないのかなと、時期尚早ではないのかと、そういう感想を述べまして、今日、質問終わります。
 どうもありがとうございました。
#141
○委員長(石川博崇君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十分開会
#142
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、三木亨君が委員を辞任され、その補欠として中西哲君が選任されました。
    ─────────────
#143
○委員長(石川博崇君) 休憩前に引き続き、民法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#144
○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫です。
 大臣に基本的なお尋ねいたしますけれども、成人、二十歳、もうずっとこれで社会に根付いてきているわけでして、二十歳が成人ということがもうずっとあって、私は、この二十歳が成人である、社会に根付いているだけじゃなくて、二十歳が成人であって何の不都合もないと思うんですよね。何か二十歳が成人だから世の中が回らないとか、二十歳にならなきゃ成人にならないので特別困った人がいるとか、余りそういうことはないと思うので、だから、どうしてこれをわざわざ十八歳にするのか、そこら辺が、ちょっとまず基本的なことでお尋ねしたいんですが、その意味で、まず、この二十歳が成人ということで何か世の中に不都合なことがあるんですか。
#145
○国務大臣(上川陽子君) 二十歳であるというこの成年年齢の、今まで長い間培ってきたこの社会でありますけれども、少子高齢の中で昨今様々な形で百四十年前と比べて大きな変化がございますし、また若者の様々な活動、これは経済活動も含めて様々な活動そのものも様々に多様化している状況でございます。
 そうした社会の全体的な大きな動きの中で、若者の皆さん一人一人の自己決定をする権利、この自己決定権を制約をするということについては、過度の制約を、一律に制限するということについては、私はいろんな意味で考えていかなければいけないことというふうに考えております。自己決定権をしっかりと認めていくということ、これが成年年齢の引下げの大変重要な要素であるというふうに考えているところでございます。
#146
○小川敏夫君 これまでも、中学校を卒業したら就職して働く人もいるし、高校を卒業したらそこで就職して働く人もいるわけですし、言わば社会にそこで就労という意味で参加するようになるわけですけれども、そういった方たちが、二十歳が成人だから仕事に困ったということはないと思うんですよね。だから、二十歳が成人、今大臣が使ったお言葉を言えば、十八歳、十九歳の人が自己決定ができない、だから自己決定を認めるんだと言うけれども、少なくともそれは、具体的に社会のどういう場面においてそれを認めないことによる不都合が生じているんでしょうか。
#147
○国務大臣(上川陽子君) 少子高齢化が急速に進んでいる折でございます。時代環境が大きく変わっているということで、将来この国を担う十八歳、十九歳の若い世代、積極的に社会に参画をしていくということはこれまで以上に求められていると私は思っております。
 このような観点もございまして、国政上、十八歳以上の者を一人前の大人と見て、将来の国づくりの中心になっていただくと、こうした政策的な判断がなされ、この間、十八歳、十九歳の者に、憲法改正国民投票の投票権、また公職選挙法の選挙権、こうした大変重要な参政権、これも与えられたところでございます。
 選挙権につきましては、二度にわたりまして実際にその行使をしていただくこと、それによりまして、十八歳、十九歳の方々につきましても、若い世代の問題意識、またそれに伴う行動といったことについても一つの大きな成果があったのではないかというふうに思っております。
 成年年齢の引下げの議論の中で、何も不都合があったのではないじゃないかという御質問でございますが、こうした国民投票の投票権の年齢、公職選挙法の選挙権の年齢、いずれも、国政上、十八歳以上の者を大人として認めるということを前提としているというふうに判断をいただいたものというふうに思っておりまして、今回の成年年齢の引下げにつきましては、そうした一連の政策的な流れの中に位置付けられるものであるというふうに認識をしております。
#148
○小川敏夫君 公職選挙法で十八歳に選挙権を与えたから、だから民法の成人年齢も十八歳にしなければならないという論理必然性はないと思うんですよ。つまり、選挙権は、この国の将来の在り方、まさにその選挙に参加するということでありますから。
 もう一言言わせてもらえば、選挙権を行使した結果によってその投票者が何の不利益を被ることもないわけでして、自分が投票したい人が落選したら借金を負うわけでも何でもないので。ところが、この民法の成年制度というのは、未成年者、これはまだ取引について十分な判断ができないから、だからその十分な、未経験ゆえに、あるいは、まだ判断力が完全ではないということのゆえに、取引によって自己に損害が、損失が生じてしまうということを防止する、言わば未成年者を守るためにこういう制度があるわけなんですよ。
 ですから、公職選挙法で選挙権を認めたという趣旨と、具体的な取引等のそういう経済活動において保護しなければならないという必要性があるから保護するということは全く観点が違う話でして、選挙権を認めたから、だから、こちらの民事上のこれまで保護してきた人たち、少年たちを保護しなくていいんだという理屈にはならないと思うんですがね。
 どうして、公職選挙法で選挙権認めたから、もうそういう民事上の取引において十八歳、十九歳を保護しなくていいんだと、そういう考えになるんでしょうか。
#149
○国務大臣(上川陽子君) ただいま、参政権の行使の年齢を十八歳、十九歳に引き下げたからといって、民法上のその成人年齢、成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げることの必要性はないというふうに委員からの御指摘でございました。
 この十八歳、十九歳の若者に参政権という権利を与えるということでございます。そして、これは、生活の中の、大変、日本の中で生活をするという意味で、様々な責任を伴う行動をするということで、大人として扱うということの意思決定の上で、この十八、十九歳という年齢についてそのような判断をなされたものと思います。
 そして、その十八歳、十九歳、参政権を持ち、そして様々な意思決定に参加をするという、議会制民主主義の一番基本のところにこの年齢の区分の若者たちを認めるということ、つまり大人として認めるという判断をしたものではないでしょうか。
 その意味では、私法上も大人として扱うということについては、これにより直ちにということについては必ずしもそうではないかもしれませんが、しかし、私法上も大人として扱うことによって、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加するということを促すわけでございまして、これは、我が国の将来の在り方、また活力をもたらす力になるというふうに思っております。
#150
○小川敏夫君 大臣の御説明聞いていると、選挙権を与えたんだから、もう一人前の大人として扱うんだから、だから私法上の面においても一人前の大人として扱えと、こういうふうに言っているように私解釈したんですがね。
 例えば、公職選挙法上、十八歳で投票権を認めた。しかし、被選挙権は認めていませんよね。これはやはりまだ、投票権は認めたけど、被選挙権を認めるほど成熟していないということだから、被選挙権は十八歳で認めていないんじゃないですか。
#151
○国務大臣(上川陽子君) 今、ただいま委員から成熟という言葉が出ました。十八歳、十九歳の方たちは未成熟であるという御指摘にも聞こえたものでございます。
 参政権を行使をする年齢を十八歳、十九歳に引き下げたその当時の御議論の中でも、一人前の大人として認める、しかし成熟には様々な幅があるし、また、いろんな識者の意見の中にも、二十歳になったから直ちに大人になったというふうな位置付けではない、ある意味ではしっかりと、その様々な弊害等についてはしっかりとした支援をしていく必要がある、その典型的な課題として消費者被害の問題が挙げられたというふうに思っております。
 その意味では、環境整備をしっかりしていく、そうした経過、プロセスというものも大事であるということは、先ほど委員から、私のその考え方に対して、全て、大人になったから何もしなくてもいいじゃないかという御指摘もございましたけれども、私もそのように考えているものでは必ずしもございません。
 ただ、社会全体が、これからの将来を考えたときに、参政権の行使をしていくということの中で、ただいま被選挙権のお話もございましたけれども、年齢に応じてどのように様々な権利やあるいは義務を認めていくのかというのは、今回も法律のそれぞれの規定の趣旨に照らして議論をしていくべき事柄ということで今回の法律案を提出させていただいたところでありますけれども、そういう中でしっかりと議論をしていくべき一つずつの事柄ではないかというふうに思います。
#152
○小川敏夫君 余り議論がかみ合わないんですけど、私の質問に端的に答えていただかないですかね。
 今、大臣のお言葉の中で、いろいろこの習熟の度合いがあるということでした。私は、まさにそういう目でこの未成年、十八歳、二十歳を見なくちゃいけないと思うんですよ。つまり、十八歳や十九歳、未成年だから家で寝てろと言っているわけじゃないんで、未成年者でもやはり社会に参加して、どんどん社会の構成員の一人としてその役割を果たしていただきたい。実際に就労している人もいるし、あるいは学生の人もいるし、いろんな形で社会に参画している、そういう人はたくさんいるでしょうし。
 ただ、そうはいっても、まだ十八歳や十九歳ですと社会経験も少ないし、いろんな取引経験も少ないから、そういう人たちについては、そうした経験不足などで思わぬ不利益を被ることがないように法律で守ってあげようというのが、私はこの民法の趣旨だと思うんですよね。
 もっと具体的な議論をしましょう。ですから、社会に参画する、今までだって十八歳や十九歳の人も十分社会に参画できたんですけれどもね。
 端的にお尋ねしますけれども、じゃ、二十歳を十八歳に成人年齢を引き下げたことによって、新たに参画できるそうした社会的な参画の行為というのは具体的にどういうことを言っているんですか。(発言する者あり)
#153
○委員長(石川博崇君) まず、法務省小野瀬民事局長。
#154
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 もちろん、これまでも十八歳、十九歳の方々というものが様々なところで社会に参加していたということは承知しております。ただ、今回、この公職選挙法等の改正によりまして、十八歳、十九歳の方、こういった方については、非常に国政に参加するという、そういう重要事項についての判断能力が備わっており、言わば一人前の大人として扱うのが相当であるという国政上の判断が示されたものと言うことができようかと思っております。
 そういうことから、この民法の成年年齢が引き下げられることによりまして、言わば社会的な責任を持った主体としてこの社会に参画していくと、そういう意味では、これまでの社会への参加の仕方というものが変わってくるのではないかなというふうに思っております。
#155
○小川敏夫君 私は、具体的な立法事実があるかどうかという意味で、一番最初に質問した二十歳が成年だということで何か不都合があるんですかと、不都合があるんだったらそれを改善しなくちゃいけない。まさに、だから法を改正しなくちゃいけないというのが立法事実です。
 だから、二十歳を十八歳にして社会に参画していただくんだと、これが趣旨だ、趣旨だと言うんだったら、じゃ、今まで二十歳の成人制度で社会に参画できなかったことが、十八歳に成人年齢を引き下げることによって新たに社会に参画できるようになる、その具体的な例は何ですかと聞いているんです。民事局長も何も答弁になっていませんよ。
 そもそも、今日、約束は、民事局長、私は大臣と議論をしたいんで、民事局長に御同席いただいたのは、もしかしたら聞くかもしれない瑕疵担保のことについてということで今日御同席いただいているので、その趣旨もわきまえていただきたいし、まして、答弁者を副大臣が立場でもないのに指示するなんということはけしからぬですよ。
 まあ、それは別にして、私の質問をまた、要するに、具体的に、だから、十八歳に成人年齢を引き下げることによって十八歳の人、十九歳の人に社会に参画していただくんだと、こういうふうにおっしゃるから、だから、この法律の改正によって社会に参画していただけることになる、その新たに広がる、その社会に参画していただくことになる新たに広がるものは具体的に何なんですかと、例を挙げてくださいと聞いているわけで。
#156
○副大臣(葉梨康弘君) 済みません、また申し訳ないです。実務的な話かと思えて、ちょっと手を、指ささせていただいたんですが。
 先ほど私御答弁したときに、国民投票法案の発議者であったということで、民法とそれから公職選挙法はマスト、セットであったというような答弁もいたしましたし、当時の民主党さんともそういうような協議をさせていただいたんですが、今具体的な例ということで全てをお示しするということはなかなか困難ではありますけれども。
 例えば、探偵業という業をやろうという若い人たちがいます。今は二十歳にならないとできません。でも、十八歳で成年年齢が引下げになれば、そういうことができます。あるいは、ほかのいろいろな業法で経営をしたい、十五歳からアルバイトはできるわけですけれども、何かを経営をして、自分でこの業を経営をしたいといったときに、それぞれが欠格事由の中で未成年者となっている法律が非常に多うございます。そういったものが、十八歳から自ら考えて経営をすることができる、そういうような一つの例でございますけれども、そのような例があろうかと思います。
#157
○小川敏夫君 例えば、一つの例を挙げましたけど、例えばお酒は二十歳、たばこは二十歳と決まっているけど、運転免許は十八歳で取れます。今、副大臣が言われた探偵業、十八歳に認めたいんだったら探偵業法を変えればいいじゃないですか。何もこんな基本中の根本の民法全体を変える必要はないので、そういう具体的な職業において十八歳まで広げたいんだったら、その法律で十八歳まで広げればいいでしょう。民法によって、十八歳の者の取引全てにおいてもう保護する必要がないということまで私は裏付ける事実にはならないと思いますがね。
 それから、もう一つ副大臣おっしゃられましたね、会社を起こしたい、起業したいと。民事局長にお尋ねしますが、今、商法上、未成年者は会社の役員になれないという規制はありますか。
#158
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 そういう規定はございません。
#159
○小川敏夫君 ですから、副大臣、いろいろなものがあるという抽象的な言葉じゃなくて、まあ探偵業のことについては、私、今御説明しました、探偵業を十八歳にすればいいじゃないかと。
 もっと具体的に、ですから、二十歳で成人というものを十八歳に成人にして、十八歳、十九歳に広く社会に参画していただくんだと言うんだけど、だから私はもう初めから同じ質問しているんで。じゃ、どういうことが具体的に社会に参画していただくんですかと、具体的な例を挙げていただきたい。
#160
○委員長(石川博崇君) 小野瀬民事局長。
#161
○副大臣(葉梨康弘君) ちょっと誤解があるようなので。
#162
○委員長(石川博崇君) 葉梨法務副大臣。
#163
○副大臣(葉梨康弘君) ちょっと追加をさせていただきます。
 先ほど、私、会社法というか、取締役になるかならないかということで申し上げたわけではございませんで、先ほど探偵業法というような法律を挙げましたが、例えば風営適正化法、古物営業法、質屋営業法、警備業法、さらには自動車運転代行法、ほかにも、まあそうですね、行政書士法、たばこ事業法、塩事業法、そういったようないわゆる業法の類いにおいては、行為能力ある者でなければその業を始めることができないということで、未成年者というのを欠格事由としているという例が非常に多いということで、その行為能力をする年齢を十八歳に下げるということで未成年者が欠格事由となっている。非常にたくさんあるんですけれども、その法律が、それを個々にいじるのではなくて、民法を十八歳にするということで、全体が行為能力があるということを前提として欠格事由を置いているような法律については、その法律の中においては事業ができるようになるということを申し上げた次第でございます。
 また、取締役でございましても、取締役になれましても、融資を受ける契約については、現在では、未成年者ということでは、二十歳にならないとできないということのようでございます。
#164
○小川敏夫君 今副大臣はいろんな業法の例を、それぞれ個別法を挙げました。で、そういう個別の法について十八歳でもいいじゃないかというんだったら、個別の法律があるんだから、その個別の法律で十八歳にすればいいじゃないですかと言っているわけで。にもかかわらず、この基本法の民法を変えて、すなわち、まだ経験の浅い人を守ろうという、未成年者を保護する、こういう制度そのものを根本から変えてしまうという必要はないでしょうと言っているわけです。
 それから、私は弁護士をずっとやってきました。十八歳、十九歳の人が、この成人であるがために仕事ができないということの悩みの相談を受けたことがありません。まず一つは、十八歳、十九歳が法律行為ができないという法律じゃないんで。必要があれば法定代理人の承諾を得ればいいんで。じゃ、法定代理人が承諾しなかったらどうするんだと。その法定代理人が承諾しないために十八歳、十九歳が仕事ができないでトラブルになったというのは、観念的には想定できるけど、ただ、現実問題として私はそういう事例に遭遇したことはありませんし、法律相談も受けたことがない。
 ですから、私が一番最初に聞いたんでね。成人年齢が二十歳ということでこの社会生活上何か不都合なことが起きているんですかと、これを聞いたわけで。私の感覚では、二十歳の成人ということにおいて社会でその不都合を感じている人はいないんじゃないか、あるいはほとんどいないんじゃないかと。未成年者の保護というこの大きな原則を変えるほどのそうした不都合は全くないんじゃないかと、私はそういう理解でいる。だから聞いたんです、一番最初に。二十歳が成人で世の中何か不都合なことが生じているんですかと聞いたわけです。
 副大臣、この点についてはお答えいただけますか。
#165
○副大臣(葉梨康弘君) そこのところですけれども、少なくとも、これからの国の政策の問題として、そういった十八歳、十九歳の人たちにも積極的に発言をしていただこう、そして、積極的に発言をしていただくという意味では、十八歳、十九歳の方であっても、先ほどの業法の規制等もある中で、これは行為能力があるということで自ら経営をする、これも含めて前に進んでいただこうというのは、やはり政策的な意思であろうかというふうに思います。
 今、例えばそういったような相談がないからといっても、それは、本当にやりたいけれども、これはそういう法律になっているからしようがないなというふうに諦めている方がいるからかも分かりません。やっぱり国の意思として、十八歳、十九歳であっても、いろんな法律行為もできるし、いろんな業態にもそういって乗り出していけるんだと、あなたたちにはそういう権利があるんですということを示していくということは私は大切なことだというふうに考えています。
#166
○小川敏夫君 ですから、十八歳や十九歳でもできるんですよ、法定代理人の承諾を得れば。それを、十八歳、十九歳がそういうことをやりたいのに法定代理人が承諾しないといって紛争になったというのは私は遭遇したことない。
 それから、時間に限りがありますから、今日のところは余り深い議論はできませんけど、ただ、副大臣の言葉の中にありましたよ。要するに、どういう不都合があるんだということについても、抽象的なことは言わないけれども、要するに、選挙権を認めたと、大人として扱うんだから、政策的な意味で大人として扱うんだと、こういう考えなのかなと。
 法務大臣のお話も聞いても、結局、今、二十歳の成人ということで不都合が生じているわけじゃないけれども、しかし、政策的な意味で十八歳を大人と認めたんだから、選挙権も与えて認めたんだから、この民事上の取引の面においても大人と扱っていいんじゃないかという政策的な判断だと、こういうふうに私は大臣の御説明を受け止めたんですがね。そうした受け止めでよろしいんでしょうか。
#167
○国務大臣(上川陽子君) 今回の百四十年ぶりの改正の中で、社会が大きく変化し、また将来に向かって日本が置かれている状況、国際的な進展もありますし、グローバル化が進む中で、様々な分野で多様な生き方あるいは多様な社会というものをこれから担っていくべき若い世代の皆さん、今、参政権を付与されたということで、この憲法改正国民投票の投票権、また公職選挙法の選挙権といった参政権が与えられたということでございますが、同時に、私法上も大人として扱うということによりまして、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加するということについては、これは極めて重要であるというふうに思っております。
 一連のこの議論の中でも、将来を担う十八歳、十九歳の若者の積極的な社会参加を促す必要があるというこのような観点から、国政上の十八歳以上の者を一人前の大人と見て将来の国づくりの中心とするという政策的な御判断がなされたというふうに思っております。
 そうしたこともございまして、必ずしも参政権の付与が私法上の大人として扱うということに直ちにつながるということでは必ずしもないにしても、その人、十八歳、十九歳の若者が参政権を行使し、同時に私法上も大人として扱われるということについては、これから先、若い世代がこの国の担い手としてしっかりとした自己決定権を持って進んでいくということに対して、大変大きな意義があるものというふうに考えております。
#168
○小川敏夫君 私は、十八歳の人に選挙権を与えて参加していただくということは大賛成ですよ。それから、そうした若い人にも大きな夢を持って実際に社会に大きく参加していただきたい、将来の夢も大きく広げていただきたいし、積極的に行動していただきたいというのは大賛成ですよ。
 ただ、二十歳が成人という今のこの制度で、何かそれを阻害することがあるんですか。ですから、十八歳や十九歳の人が社会に参画することの妨げになっているんですか。その具体的なことを聞いているんです。何回聞いても、それについて、妨げになっているということの具体例をお示しいただかない。
 もう時間が来ましたから、一つだけ、また次の質問に続ける意味で発言させていただきますけど。
 法制審議会の意見などで消費者被害ということが大きくテーマになっているけど、悪徳商法から消費者を守るというのは、これ若年層に限らず、全ての人に対して守らなくちゃいけないことですよ。民法の二十歳の成年というのは、その悪徳商法からの救済だけじゃないんで、まさに経験が浅い、まだ人格的な判断に完璧でないというところからくる被害を防止しようと。
 もっと具体的に言えば、十八歳の人に、ちょっと俺の借金、悪いけど困っているんで保証してくれないか。悪徳商法じゃないですよ。だけど、保証の判こを押してしまえばそれが有効で取消しできない。たまたま父親が死んじゃって自宅を相続している十八歳の少年がいた。何か不動産屋が来て、この土地、何か生活ごみが埋まっているから、元々は九億円だけど八億円値引きして一億円にしかならないぞと、こんなことを言って取引しちゃった、売っちゃったと。今の制度なら、そういう普通の取引ですよ、悪徳商法じゃないですよ。まさに連帯保証だ、抵当権の設定だ、あるいは資産の売却だ、そういうことについてまだまだ経験が浅い、そうした十八歳、十九歳、未成年者を守るという、保護しようという、そういう趣旨なんですよ。
 しかし、これが今度、全然できなくなる。十八歳の少年がおじさんや誰かに頼まれて連帯保証しちゃったら、それがもう取り消せない、もう保護することができないと、そういうことになってしまうんで、そういうような不利益保護というものをないがしろにしてまで二十歳を十八歳にしなくちゃならない、そういう社会の不都合が生じているんですかということで、そのことをお尋ねしたわけです。
 そのことについて、二十歳のこの今の制度では不都合が生じているということについて具体的なことを何もお示しいただかなかったことは大変残念だということを述べて、また次回質問させていただくことにして、今日は終わります。
#169
○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。
 今お話を聞いておりまして、小川委員のバトンを継いで質問をしたいというふうに思います。
 昨日の本会議で私はこういう文言を使いました。干物のような言葉ではなくて生ものの現実が大切なんだと、そう言って、どうして二十歳を十八歳に下げなければならないのか、具体的に示していただかなければ分からないという趣旨で質問をしましたけれども、返ってくる言葉はもう抽象的な話ばっかり。二十歳から十八歳に下げるのにどんな社会的な自己決定権あるのか。積極的に社会に参加する、大臣もそのように先ほどおっしゃいました。副大臣もそうおっしゃいました。
 まず、副大臣にお聞きをしたいんですけれども、二十歳から十八歳に下がることによって、例えば探偵業、二十歳から十八歳でも十九歳でもできるようになると言いましたけれども、具体的にお答えいただきたいんですが、探偵業で今、二十歳、二十一歳ぐらいでやっている方どのぐらいいらっしゃるか、つかんでいらっしゃいますか。あるいは、十八歳、十九歳で、そこを撤廃してもらわないと探偵業できないんだと、是非ともやってくれという、そういう声、お聞きなんですか。
#170
○副大臣(葉梨康弘君) 理念的なお話としてお答えをしたんですけれども、探偵業については全国で今五千強ぐらいの届出がございます。その多くが警察庁が所管ということになるんですけれども、個人事業でやっているような届出者が多いというふうに聞いています。また、若い人でも探偵業みたいなことをやっていることは、結構いるという話は業者さんから聞くんですけれども、数的には私はそこまで把握はしておりません。
 さらには、その探偵業類似の行為みたいな形で、いわゆる便利屋とかそういったものもあるやに聞いております。そういった面については結構若い人がアルバイトでやったりしている面もあるというような話もありますが、具体的な数を持っているわけではありません。
 そして、法律上、探偵業法、まあほかの業法もそうなんですけれども、未成年を欠格事由としています。先ほどそれを、じゃ、十八にその法律だけ下げればいいんじゃないかというような質疑もございましたけれども、経営者としての欠格事由ですので、それを十八に下げてしまいますと、その経営者として届出をしたり許可をした人たちは法律行為ができるということで、みなし成人にするというような形が必要になってきますから、やはりその行為能力を、その欠格事由として未成年者としてあるのであれば、そこは尊重した上で、民法の改正に合わせてそのレベルを、十八歳であれば、民法の改正に合わせて十八歳にしていくというのが妥当な解決策なのかなというふうに考えています。
#171
○有田芳生君 十八歳、十九歳で探偵業をやりたいから二十歳を十八歳に下げてくれという声、聞いたことありますか。
#172
○副大臣(葉梨康弘君) 具体的には聞いたことはございません。
#173
○有田芳生君 じゃ、探偵業以外に、先ほど幾つかの業種を語られましたけれども、それ以外に二十歳から十八歳に下がることによって新たにその業界に参加できるという、さっき以外の業種でもいっぱいあるんでしょうか。
#174
○副大臣(葉梨康弘君) 未成年者を欠格事由としている法律で、その未成年者を二十歳から十八歳に、この民法の法律によって自動的に下がるという法律が百二十六でございます。それから、十八歳に変わる、つまり二十歳を十八歳に改めるというものが八つほどございますので、計で大体百三十以上、強になろうかと思います。
#175
○有田芳生君 この法律が仮に成立した場合に、新たに十八歳、十九歳になる、その当時、その将来の時間のときには大体二百四十万人ですよね。例えば、その中で、探偵業とかいろいろあるでしょう、だけど、それはごくごく一部じゃないですか。積極的に社会に参加するしっかりした自己決定権というのは、二百四十万人のうちごく一部なんじゃないですか。ほかにどんな積極的な意味があるんでしょうか。
#176
○副大臣(葉梨康弘君) 積極的な意味につきましては、もうるる、先ほど来大臣が答弁しておりますように、やはり十八歳、十九歳の若者であっても社会に参画する、責任を持って、将来の国の担い手としての自覚を持っていただきたいと。また、あわせて、それについては消費者保護等のための施策も、これもやっていかなければいけないと。
 私の先ほどの探偵業を例に出して申し上げましたのは、具体的な例として、じゃ、十八歳、十九歳が、親の同意を得れば法律行為は現在できるわけですけれども、実際にこの未成年者が二十歳から十八になることによってどのような形で活躍の機会が広がるとか、あるいはどのような不都合があり得るのかというようなお話でございましたので、具体的に私が相談を受けているということではありませんけれども、十八歳、十九歳の若い方が探偵業をやりたいということになると、今の現行法の中ではできませんというようなことを申し上げたわけです。
 そして、探偵業という業界は極めて、全国で五千しかないという極めて小さな業界でございますけれども、例えば、戸籍法の分籍、それから歯科医師、獣医師、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、薬剤師といった業態であれば、非常にまた数も多くなります。
 ただ、そのことを、先ほど申し上げましたのは、具体的な相談があるかどうかということではなくて、やっぱり理念の問題として、そういったような多くの法律において、実際に民法において法律行為ができるようになる、また、多くの法律においてそういう資格が与えられる、例えば人権擁護委員とか民生委員とか、そういったものもあるわけですけれども、そういった形で活躍の機会が広がるということをやはり国民に知ってもらって、若い人にも知ってもらって、それぞれの一人一人が将来の国の担い手、社会の担い手として活躍していただく、このことが非常に大事なことだろうと。
 具体的な例としては、先ほど申し上げましたとおり、一つの例としてこういうような法律の形で活躍の機会があり得るという、具体例を出せということでしたので、私も指摘をさせていただいたと、そういうことでございます。
#177
○有田芳生君 だから、繰り返しますけれども、干物としての理念を聞いているんではなくて、豊かな現実、そこを聞いているんですよ。
 民事局長にお聞きをしたいんですけれども、物事を獲得すれば失うものもあります。今度の二十歳から十八歳に下げられることによるメリットとデメリット、どういうことがありますでしょうか。
#178
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 民法の成年年齢は、基本的に、一人で単独で有効な契約をすることができる年齢、あるいはまた、親権に服することがなくなる年齢ということになりますので、結局、その成年年齢が引き下げることということになりますと、まず一つは、十八歳、十九歳の者が、親の同意がなくても一人で有効な契約をすることができると、そういう意味で自己決定権というものが広がるというふうに考えております。
 もちろん、社会的に親の同意を得られなくてどれだけ困っているのかといったような御指摘があるところではございますけれども、やはり、例えば何らかの契約をする際に、その本人と親との間の意見が違うというようなこともやはりあり得るのではないかと思っております。そういった中で、例えば自分が獲得した金銭というものを自由に使うことができる、あるいは自分の進路を自分で決められることができる、そういった意味では、そういった十八歳、十九歳の者の自己決定権が広がっていくのかなというのは、そういった若者にとっても一つのメリットになるのではないかなというふうには考えております。
 ただ、他方で、一人で有効な契約をすることができるということになりますと、これは未成年者取消し権というものがなくなるわけでございますので、そういった意味で消費者被害に遭うおそれがあるのではないか、あるいは、親権に服するということが十八歳でなくなるということになりますと、自立に困難を抱えている若者、こういった者がそういった支援というものを得られにくくなるのではないか、こういったような指摘があるところでございまして、そういったようなおそれというものが引下げの問題点としてはあるかなというふうに思っております。
#179
○有田芳生君 副大臣、警察庁御出身ですよね、ですから副大臣にお聞きしますけれども、デメリットは、やはり今答弁いただいたことは、非常に危ないところだと私は考えているんですよ。だから、積極的に社会的に参加をして、自己決定権でサラ金、闇金、そういうものに手を付ける若者が増えてくる、そう思われませんか。
#180
○副大臣(葉梨康弘君) 確定的な話を、私ここで、予想の話になりますのですることはできませんけれども、今も民事局長から話がございましたが、何も私どもが対策を取らないということになりますと、十八歳で社会の波にさらされるということで、そういう悪徳な業者のターゲットになる機会は計算上はやはり増えてはくるんだろうと思います。
 ですから、それに対して、やはり十八歳でもそういったものに対して自らがしっかり防御をすることができるような、そういったような教育を施したり、いろんな対策を施したりすることによってこれを防止するということが併せて必要になってきて、ですから、そういった作業を、今までも従来、平成十九年に法律ができた後も、例えば消費者庁ができて消費者行政も相当変わりました、また学習指導要領も変わりました。これを、この法律が施行された後、三十四年の四月一日というふうに定められておりますので、その間にやっぱり政府一丸となってそういう対策を施して、十八歳においても、十八歳になった途端に全く無防備な中でそういった危険にさらされると、これはもう絶対あってはならないことですから、今の二十歳の皆さん、あるいはそれ以上に消費者として賢い消費者になっていただくような対策を政府を挙げて取っていくことが私は大事なことではないかというふうに思っています。
#181
○有田芳生君 あってはならないんだけれども、現実に存在をして更に手口が巧妙になって大変な事態が広がっているというところが現実問題として克服しなけりゃいけないと思うんですよ。
 その問題に行く前に民事局長にお聞きをしたいんですけれども、いわゆる成年式というのは、ただ年が変わるから、あるいは社会心理学的に気持ちが変わるからということではなくて、かつての成年式というのは、ある者が成年になることによって家長が替わってくる、そして年取った者は引退をしていく、そうやって社会全体の構造が変わっていくのが成年式だった。だけど、今二十歳から十八歳に引き下げようというのは、そういう社会的構造、どう変化していくというふうに捉えていらっしゃいますか。
#182
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 かつての成年に至るきっかけといいますものは、これは歴史的にいろんなものがあると考えております。これは、例えば元服といったようなものですとか、あるいは髪上げといったような、そういった様々なものがあろうかと思います。
 そういったものについてそれぞれがどういう意義を持っていたのかというのは、そこはまたなかなか一概には論ずることは困難であろうかと思いますけれども、現在の成年になるということの意味といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、お一人で、単独で有効な契約ができる、あるいは親権に服さなくなる、そういった位置付けというふうに理解しております。
#183
○有田芳生君 この問題は、確かに民法でいえば二十歳から十八歳に変えるということなんでしょうけれども、視点を変えてみれば時代認識、昨日も本会議でそういう言葉を使いましたけれども、言ってみれば層としての若者論に関わっているというふうに思うんですよね。
 ですから、大臣にも率直にお聞きをしたいんですけれども、大臣の時代でしたら、私たちの時代には、家を出たら路地があって、そこには世代を超えた子供たちが、年上のもいれば小さい子供たちもいて、こづいたりこづかれたりしたときには年上の子供が助けるというようなことがある。恐らくビー玉とかめんことかいろいろやっていらしたでしょう、ビー玉やったとは言わないけれども、そういう時代がありましたよね。
 だから、それは、子供たちというのは、やはり社会に出る前にそういう成長の中で社会集団としての子供というものがあって、疑似的な社会というものを経験して、さらに社会に出ていったということがあるんだけれども、どんどんどんどん時代が変わっていって、今や隠れんぼうなんかはできるところもなくなりましたよ、もう何十年も、都会では。だから、そういう中で子供たちも相当変わってきているというふうに思うんですよね。
 もっと大きく言ってしまうと、私は仕事上、明治の人たち、大正の人たち、会ってびっくりしました。あるいは、例えば「きけわだつみのこえ」で、特攻隊で十九歳、二十歳で命を失うという人たちの手記を見たときに、いや、すごい教養だなと思うことがありました。例えば、二十八歳で京都大学経済学部から軍隊に行ってカーニコバル島というところで、生き延びたんだけれども、戦犯容疑で二十八歳で処刑された木村久夫さんという人がおりますけれども、木村さんの蔵書というもの、今高知大学に置いてあるんですけど、そこ見に行くと、十八歳、十九歳でこんな本読んでいたかというぐらい教養の程度が違う、そういう層があったと思うんです、明治、大正、そして昭和の初めの頃までは。
 今、違うと思うんですよね、残念ながら。社会は変わってきている。若者たちも変わってきている。ゲームがこれだけ広がっている中で、人間としての認識も恐らく変わっているだろうと思うときに、悪徳商法の加害者の側から見た場合、今の若者たち、二十歳、二十一、二十二、二十三、赤子の手をひねるように引っかけることできる。私は、何人もそういう人たち、手口も含めて聞いてきた。
 そういう危惧を言っているんですよ。二十歳だって危ない、二十一だって危ない。それが十八、十九になってもっと危なくなるんじゃないかな、ターゲットが増えるんですから、そこを聞きたかった。副大臣、いかがですか、危険性というのは広がってくると危惧されませんか。
#184
○副大臣(葉梨康弘君) 概念的な意味での、理論的な意味での危険性というのは、当然、成年年齢が二十歳から十八歳になるわけですから、それは概念的には減るということはないだろうというふうに思いますし、また現実に、私も、十七年ほどの経験でしたけれども、警察に身を置いて詐欺とか実際に扱ったこともありますけれども、非常に手口も巧妙であるということもよく、十分分かっています。また、二十歳と言わず、特に二十五なり三十なり、そういう方も意外と簡単に引っかかってしまうものだなということでびっくりしたこともございます。
 ですから、ただ、やはり、じゃ、二十歳を二十五に上げればいいのか、二十一に上げればいいのかということではなくて、二十歳の今のままであったにしても、しっかりとした消費者教育なり、そういったことをもし国が施さなかったら、どんどんどんどんそういう悪徳業者に引っかかるといいますか、そういう若年者は増えていくだろうと思います。
 ですから、逆に、やはり理念的に、若い人がこれからの将来の国の担い手となるんだという自覚と権利、これを与えつつ、これを機にやはり消費者教育、若い方に対する消費者教育というのを、本当に今までこの議論が起こる前はそんなになかったわけです、現実に私も警察におりましたけど。ところが、やっぱり二十歳から十八に下げるということで、やっぱり消費者教育なりをしっかりやっていこうじゃないかという機運が盛り上がってきている。
 ですから、それを政府を挙げて、国民を挙げてやっていくことで、諸外国ではもう既にほとんどの国が十八歳で法律行為、契約ができるという形になっているわけですから、日本の若者がそれと比べて私は幼いということではなくて、やっぱりそれはもう教育次第だと、あるいは対策次第だというふうに私は考えています。
#185
○有田芳生君 一般論としてはそのとおりだというふうに思います。例えばカルト教育にしたって、フランスなどヨーロッパでは子供の頃からやっていますから、そういうものに引っかかる人は少ない。だけど、日本なんかは、オウム真理教事件経験したって、そんなカルト教育なんというのは全く行われていませんよ、学校でも社会でも。だから、今でもオウムの残党に入っていく若者たちがいっぱいいる。と同じように、消費者教育やるというのは確かにそうだし、やらなければいけないし、強化しなければいけないんだけれども、私が今から警察庁に伺いたいのは、その教育を上回るスピードでいろんな手口でやってくるんですよね。
 警察庁に伺いますけれども、限定します、サラ金、闇金、今被害の実態どうなっていますでしょうか。特に、具体的に教えてほしい。数だけ言ったって、その数というのは、百人だと言ったって一人一人の被害があるわけですから。数と同時に被害の実態、手口、お話しいただければというふうに思います。
#186
○政府参考人(小田部耕治君) お答えいたします。
 警察におきましては、闇金融事犯に係る相談を平成二十九年は一万百九件受理しているところでございます。また、被害額について申し上げますと、警察が平成二十九年に検挙いたしました闇金融事犯の被害額は九十一億三千八百五十二万円となっております。
 また、具体的な事例といたしましては、例えば、昨年、勧誘のチラシを投函して、貸付けを申し込んできた被害者に対して法定金利の最大約百四十四倍の高金利で貸付けを行い、他人名義の口座に振り込み送金を受ける方法等により、元利金合計約五億七千万円を受領した事件を出資法違反等で検挙しているところでございます。
#187
○有田芳生君 百万人の死は統計であるけれども百人の死は犯罪であるというアイヒマンの言葉がありますけれども、今そういう数を挙げていただいたって、その背景には一人一人の被害実態があるわけですよね。あるからそういう統計が出てきているわけじゃないですか。
 特に若い人たちの被害、どういうものがありますか。その手口とともに結果なども教えてください。
#188
○政府参考人(小田部耕治君) 若者の手口につきましては特段把握しているところございませんので、お答えはちょっと差し控えさせていただきます。
#189
○有田芳生君 ほら、被害の実態、若者把握していないのに二十歳から十八歳に下げる。だけど、もう待っていますよ、加害者たちは。二百四十万人ぐらいになるんですか、この法律がもし仮に成立をしたとして、二十歳だけじゃなくて、十八歳、十九歳まで自己決定権でそういうものにも手を出すことができるようになってくれば、若者たち、簡単にやられていきますよ。私は加害者から話をいっぱい聞いている。本当にすごいですよ。それに対策が出てきたら、その対策に対してどのように改善していくのか、ターゲットできたら、そのターゲットの反応に応じて頭のいい加害者たちが集団で検討をして、アリ地獄に引きずり込みますよ。自己破産どころじゃない、命を絶つ人たちだっていっぱいいる。それが十八歳、十九歳にまで広がっていく危険性なんですよ。
 副大臣、本当具体的なんですよ、危ないんですよ。だから、そういうものに対して、啓蒙だとか啓発だとか教育だとか追い付かない。だけど、追い付かせなきゃ駄目なんですよ。だけど、その危険性が分かっていながらどうして二十歳を十八歳に今変えなきゃいけない、その必然性があるのか、そこをさっき小川委員も質問したんだと思うんです。私は、消費者被害の観点から、物すごく危険性を感じている。
 だから、例えばある人が、お金なくなったんで五十万円借りるんで保証人になってよと頼まれた。だけど、後で分かるんだけれども、五十万円だから毎月一万円ずつ返していけばあなたには迷惑掛けないからということで保証人になる。だけど、その五十万円を借りようとした人は闇金から借りていた、サラ金じゃもう貸してくれないから、ブラックリスト、ブラックリスト、ブラックリスト。もっと別のケースでいえば、闇金で返せなくなる。闇金何やっているかというと、いや、まだ何とかなりますから、こっちからお金貸してくれますから、そっち行ってお金借りるんですよ、もうお金ない人は。そして、どんどんどんどん追い詰められていくと、いや、まだこっちがありますよ、そしてお金貸してくれるんですよ。そして、だけど、悪徳ですから、どんどんどんどん追い込んでいく。会社に、職場に電話をする、職場の人が出る、何々いるかという電話がある。追い詰められて、結果的に三月に自殺しましたよ、私の知人も、五十代ですよ。
 赤子の手をひねるように、四十代、三十代どころか、二十代というのはそういう危険にさらされることになるじゃないですか。だから、どうして今、二十歳を十八歳に変えなけりゃいけないのか、そこを聞きたい、副大臣に。
#190
○副大臣(葉梨康弘君) この点については、消費者被害のこともあるわけですけれども、現実に申し上げますと、先ほども大臣もずっと答弁をされているわけですが、平成十九年に国民投票法が成立いたしました。その附則の中で、三年以内に結論を得ることとして、公職選挙法と民法について、その他の法律ということで、民法と公職選挙法はマストの例示として挙げられていました。当時の審査の過程においても、三年以内にいろんな法律をいじるんだけれども、民法と公職選挙法というのはマストですねというのが平成十九年に成立した法律でした。
 これは、当時、民主党さんとも、私どもとも、当初、私どもの案にはなかったんですけれども、やはり政治的な自己決定権というのをもっと若い人まで広げていくべきであると、そして、その政治的な自己決定権と社会的な自己決定権というのは表裏一体であると、そういうような思想に基づいてあの二つの法律を例示として挙げました。その十一年前の話で、三年間でやるという話がずっと延び延び延び延びになっていましたけれども、法制審の答申等も得まして、これもまた二十一年の答申ですけれども、こういったような対策を施せば、やっぱりしっかり十八歳にしていくべきだということに基づいて、私どもも活動というか、こういったものを提案をさせていただいておるわけでございます。
 そして、あわせて、その消費者に対する対策というのも、教育、対策もしっかりやっていくということを前提に、皆さんの国会での御議論を賜りたいということで提案をさせていただいている次第です。
#191
○有田芳生君 全然質問に答えていらっしゃらないじゃないですか。悪徳商法に引っかかる若者たちが増えていく可能性があることを、どのように具体的に防止するんですかという質問なんですよ。
 もう時間来ますからやめざるを得ませんけれども、今でもテレビであなたのお宅訪問させてくださいというのはやっていますよね、最終電車降りてきた人たちに。あれやっているスタッフに話聞きますと、百人に一人、いいですよという人が出るんですって。
 私、キャッチセールスの悪徳をやっていた人にも話聞くと、ターゲットを狙い定めるんですよ。ああ、この人の顔つきだったらいけるかな、地方から出てきて、都会に出てきて寂しそうにうつむいて歩いている人、これだったらいけるかなというターゲットを複数で判断をして声掛けていく。やっぱり、今でもそうですが、渋谷なんかもそうだけど、百人に一人引っかかるんですよ、引っかかる。
 だから、そういう手口がいかに巧妙かということは、次回、また具体的にその手口のマニュアルお示ししてお聞きをしたいと思いますけれども、最後に、繰り返しです。二十歳から十八に下げることによって、サラ金、マルチ、キャッチセールス、そして悪徳商法の数々に引っかかる若者たちが増えていくという危険性が高まってくるということを強調して、今日はこれで終わりたいというふうに思います。
 ありがとうございます。
#192
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 これまでの議論の中で、大臣を始めとした政府側のこの本法案の改正理由について、焦点の極めて曖昧なぼやんとした抽象的な、そうした答弁がずっと続いているわけです。その下で、私、ちょっと大臣に通告していませんけど、確認しておきたいと思いますけれども、今回の法案の中で、民法についてのこの改正、これは、十八歳、十九歳の若者に未成年者取消し権の保護がなくなるということ及び親権者の子に対する親権や監護義務がなくなるということ、ここに民法上極めて大きな重い改正なのであって、もちろん所管省庁がそれぞれの関係する法令があります。先ほど来、葉梨さんが探偵業法というお話もされますけれども、それはそれぞれの所管省庁がある、それぞれの保護法益や立法目的がある。
 大臣が直接責任を負っていらっしゃる民法、これについては、申し上げている未成年者取消し権の問題、それから親権や監護義務の問題、ここが柱だということはよろしいですか。
#193
○国務大臣(上川陽子君) 民法の成年年齢、これについて二十歳から十八歳に引き下がるということでございます。民法の成年年齢の引下げに伴いまして、委員御指摘の二つの要点ということについては影響が及ぶということでございます。
#194
○仁比聡平君 その問題について、昨日の大臣の本会議場での答弁についてお尋ねしていきたいと思うんですけれども、まず伺いたいのは、昨日有田議員がお尋ねになった成熟とは何かという問題なんですね。有田議員が、人間の成熟という視点からどのような検討が行われ、結論が出されたのかという問いに対して、大臣は、今日の十八歳、十九歳の若者は自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきているという実態があるとお述べになりました。その上で、十八歳、十九歳の若者は、一般に、大人の入口に立ったと言えるだけの成熟度を備えているという認識をお示しになったわけです。
 この意味をちょっと改めてよく分かるように伺いたいと思うんですけれども、要点として、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力というのは一体何であって、これを今日の若者たちが備えるようになってきているという実態があるというのを、これどういうふうに把握されたんですか。
#195
○国務大臣(上川陽子君) 委員の御指摘のとおり、昨日の参議院の本会議におきまして、十八歳、十九歳の若者は、一般に、大人の入口に立ったと言えるだけの成熟度を備えているものと認識しているということを答弁をいたしました。
 これは、十八歳、十九歳の若者は、一般に、成年に達したと扱うのに必要な成熟度を備えている一方で、いまだ完全な大人として成熟した存在にまでは至っておらず、その自己決定権を尊重しつつも、社会全体で支援していくべき存在であるという趣旨で申し上げたところでございます。
#196
○仁比聡平君 完全な大人ではないと。スタートラインでしたっけ、大人の入口に立ったが完全な大人ではないという意味だとおっしゃりたいようなんですけれども、そのことを成熟度というのかと。
 これ、成熟というのは一体どういう意味なんですか。
#197
○国務大臣(上川陽子君) 今回の成年年齢の引下げにつきましては、日本国憲法の改正手続に関する法律の制定の際に附則で、民法についても法制上の措置を講ずるよう求める旨の規定が設けられたことを契機といたしまして、議論がなされるようになってきたものでございます。
 成年年齢の引下げは、国民投票の投票権の年齢、また公職選挙法の選挙権年齢が十八歳と定められ、国政上、十八歳以上の者を大人として見るとの判断がされたという政策的な流れの中に位置付けられるものと考えております。十八歳、十九歳の若者に参政権という権利を与えるとともに、私法上も大人として扱うことにより、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加することを促進をし、ひいては我が国の将来の担い手として、中心となって活力ある生き方を選択をしていただきたいというものでございます。
 公職選挙法が改正されまして、十八歳、十九歳、若者が国政選挙におきまして実際に選挙権を行使をされました。このような若者に社会の一員としての自覚をもたらし、また、大人としての自覚を強く促す効果があったものというふうに考えております。
 また、九八%を超える高校等の進学率、消費者教育、また法教育及び金融経済教育等の充実によりまして、今日の十八歳、十九歳の若者は自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきているという実態があるものと考えております。さらに、今日の十八歳、十九歳の者の実情として、法律上は親の監護下にあるものの、大学入学あるいは就職を契機に独り暮らしを始め、独立した主体として生活をしている者も多い状況でございます。
 十八歳、十九歳の者は、十七歳以下の者に比べましても、何らかの形で就労し、金銭収入を得ている者の割合が大幅に高くなっておりまして、八割を超える大学生がアルバイトをしているという調査結果もございます。社会的、経済的なこの若者たちの生活、あるいは社会的な行動ということにつきましても、そのようなデータもございます。こうした事情から、十八歳、十九歳の若者は、一般に、大人の入口に立ったと言えるだけの成熟度を備えているものというふうに認識をしております。
 大人として、今日から大人と言われてそれに足るかどうかということは、それぞれの、個々の様々な環境にもよるでしょうし、しかし、社会全体としてそういう方向に向けて、若者たちがしっかりと担い手として活躍することができるように、環境の整備が何よりも重要であるというふうに考え、そしてその旨の取組をこの間してきたものでございます。入口に立って、そしてそれをしっかりと支援をしながら、しっかりとした形で担い手として、この日本の中でしっかりと大人として活躍をしていただきたいと、こういう趣旨でございます。
#198
○仁比聡平君 長々御答弁いただきましたが、今大臣がお話しになった言葉は全て昨日の本会議場で述べられたとおりでございまして、私は、その中で、成熟度とは何か、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力とは何かと問うているんですが、お答えがないわけです。大臣の、そのお手元の答弁メモをめくられておられるけど、そのことについてのメモがないわけですね。
 大臣、改めて聞きますけど、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力とは何ですか。何で、大臣。
#199
○委員長(石川博崇君) まず、山下法務大臣政務官。
#200
○大臣政務官(山下貴司君) 法律的な問題でございまして、私も憲法の司法試験委員をやっていたということもありまして、お答えさせていただきます。
 これ、未成年者の取消し権と申しますのは、もう仁比先生御承知のとおり、これ制限、行為能力の制限という面がございます。すなわち、これ、取消し権という権利的なものでありますが、反面、単独では法律行為を完結できないという立場であります。ある意味、私的自治の例外であります。
 そういった意味で、未成年者ということになりますと、これは十八歳、十九歳が問題になっておりますけれども、これは、意思能力がない十歳以下の者、十歳以下は意思能力ないかもしれませんが、十歳も十一歳も十二歳も十三歳も十八歳も十九歳も一律に未成年取消し権があるという意味において、これは行為能力を私的自治の原則の例外をもって制限するということなんであります。
 そこで、では、国としてこの行為能力の制限のラインをどこに引くかと。行為能力の制限を一律に引けば、この一律、これはもう制限行為能力ということでありますが、そういうふうに引くのか、それとも、それを下げて、その中で生まれる例えば消費者保護の部分を消費者保護法の従属によってそれを担保するのかという、そういったものがあろうかと思います。
 そうした中で、まず、制限行為能力のラインをどこに引くかというところにおいて、一つには、参考になるのは国政上の判断として参政権、すなわち政治に参加する権利につきまして十八歳ということになった。それに照らして、それに、論理的必然ではありませんけれども、私法上の参加権、市民生活の参加権について、これも十八歳にするということがあっていいのではないかということで検討を重ねておったわけであります。それにつきましては、国際比較上も十八歳の成年年齢というところは多いということも参考になります。
 そして、経済的実態におきましても、例えば高校を卒業して大学で独り暮らしをする、あるいは就職をするという方々も増えているという経済実態もあると。
 そういったことも踏まえ、そして、他方で消費者保護、これはしっかりやらなければなりませんが、平成二十年以降、消費者教育あるいは消費者契約法、様々な拡充がなされているということで、これを拡充することによってこの行為能力の制限を、例えば十八歳、十九歳を十一歳、十二歳、十三歳と同じように考えるのか、あるいは、十八歳でその市民生活として私法上のこの行為能力を認めて、しかしながら、消費者生活において足らざるところをしっかりと押さえていくというアプローチ、これを国政上の御判断をいただきたいということで国会の御審議をお願いしているものと考えております。
#201
○仁比聡平君 せっかく御答弁に立たれたけれども、政務官の今のお話は極めて抽象的なことを繰り返しておられるだけなんですね。
 十八歳選挙権の実現が、これが人にとって極めて重要なものであると、特に若者の政治参加、これは極めて重要なものであるということは、昨日、私、本会議で申し上げたとおりなんですが、今の政務官の御答弁、あるいは昨日の大臣の御答弁でも、そのことと成年年齢の引下げというのは論理必然ではないと。当たり前のことです。
 もう一つ、私的自治の例外あるいは制約であるという未成年者取消し権についての御理解が示されました。これ、後で時間をちゃんと取って議論をしたいと思うんですけれども、人は生まれながらに基本的人権の享有主体であって、もちろん、物心付いてからということが何歳ぐらいなのかというのは様々な研究やあるいは子供の権利という国際的な法意識の発展の中で議論はありますけれども、成年、未成年という問題と人の自己決定権、その尊重という問題は、これは別の問題です。
 先ほどの政務官の論に立てば、この法案が仮に成立して施行された場合、十八歳未満の人々は自己決定権が剥奪でもされているとでも言うのかと。そんなことはあり得ないでしょう。いやいや、御答弁をしていただくんじゃない。つまり、政務官の答弁あるいは政府の答弁が極めて焦点を曖昧にしていると私は批判をしているわけなんですね。
 そこで、大臣がお使いになられた、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力とは何か、成熟度とは何かという点については、お答えが結局ないので議論を進めたいと思うんですけれども、今のお話の中で、消費者被害の防止策、これについての拡充は必要なんだが、これはされてきているという認識を示されているわけですね。
 これ、法務省として、そうした認識に至った実態の調査といいますか、確かに消費者教育がこの間取り組まれてきているというのはそのとおりです。大臣、いいですか。その消費者教育の推進がうたわれ進められてきているということは、それはそのとおりだと思うんですけれども、この効果が既に検証されたのかという点については、これは大きな疑問がそもそも消費者庁が設置してきた消費者委員会においても示されているところなんであって、法務省がこの法案の提出に当たって、そうした施策が行われてきているということが、この未成年者取消し権を外すということも含めて、十八歳、十九歳が大人の入口に立ったと言える成熟度を持っているというこの認識に至っているその根拠、法務省としてどんな調査をしてそうした認識に至っているんですか、大臣。
#202
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 成年年齢の引下げに向けた環境整備の施策には、各種の教育あるいは周知啓発活動など様々な施策が含まれておりまして、なかなかその全体的な効果を定量的に検証するということは困難でございます。したがいまして、その施策の全体的な効果について定量的な結果を得られるような検証は行っておりません。
 しかしながら、消費者被害の拡大を防止するための施策につきましては、学習指導要領の改訂によりまして充実が図られた学習指導要領に基づく教育を受けているところでございます。また、消費者庁の設置によりまして消費者行政の一元化及び充実が図られているところでございます。こういった消費者の被害を拡大を防止するための施策、これは若者に対しまして直接的な効果を持つ、そういう内容であると理解しておりまして、そういったようなことから、こういった消費者被害の拡大を防止するための施策についても相応の効果が上がっているものと私どもとしては判断しているというものでございます。
#203
○仁比聡平君 相応の効果が上がっているというのは、これどんな意味ですか。どういう意味ですか、これ、局長。
#204
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、なかなかその効果というものを定量的に判断するというのは難しいところがあるというふうに思っております。
 したがいまして、私どもといたしましては、この環境整備を整って、そういった中でこの成年年齢の引下げについて国会の御判断を仰ぐと、こういう形で法案を提出させていただいているところでございますけれども、そういった今の消費者被害の拡大防止のための施策の実施状況、その内容を踏まえてそういった成年年齢の引下げについて国会の御判断を仰ぐ、そういったような段階に至っていると。そういった意味での環境整備の効果、そういう意味での相応の効果は上がっているものと考えているということでございます。
#205
○仁比聡平君 今のお話だと、環境整備が整ったという認識のことであって、効果が上がったというこの言葉とは、日本語としてはこれは全然食い違いですよね。
 環境整備が整った。例えば、学習指導要領が改訂をされました。消費者教育の、あるいは法教育や金融経済教育の体制を整えようという努力が進められています。そういう方針ができています。そのことを環境整備が整ったとおっしゃっているわけですか。
#206
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法制審議会の最終報告書におきましては、そういった様々な消費者被害の拡大を防止するための施策等の実現、それから、その効果が上がってきて、またそれが国民の意識に現れていると、こういったようなことから、成年年齢の引下げの環境整備ということを指摘しているものと理解しております。
 そういう意味で、先ほど具体的なその実施ということを申し上げましたけれども、そういった実施されている状況及びそういったそれぞれの施策の内容に照らして相応の効果が上がっていると、その効果が上がっているということも、やはりこの法案を提出するに当たっての環境整備の一つであるというふうに考えているというものでございます。
#207
○仁比聡平君 いや、だから、環境整備が整ったと、相応の効果が上がっていると。意味が分からないんですね。
 ちょっと一個一個、聞きますかね。
 その消費者教育などに関して、委員の皆さん、昨年一月に消費者委員会の成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループが、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書というのを出しておられるのを御存じでしょうか。是非、この法案の審議に当たってお読みいただきたいと思うんですけれども。
 消費者庁に伺いますが、その十五ページで、「意思決定のスキルや批判的思考力、判断力など消費者教育にて育成すべき資質・能力」という、こういう言葉があります。この消費者取引あるいは消費者教育が獲得を目標とする能力、資質ですね、これは、この報告書にはこういう表現がありますけれども、これはちょっと敷衍するとどういう意味なんでしょうか。
#208
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 報告書で指摘されているとおり、消費者教育により身に付けるべき力は、知識だけではなく、日常生活の中でそれを実践する力、すなわち主体的に判断し、責任を持って行動できるような能力というふうに認識しております。社会に参画する入口の段階において必要な、今申しましたような、このような自立した消費者としての力を身に付けるためには、自分自身の行動を考えるきっかけとなるような実践的な消費者教育を受ける機会が与えられることが重要と考えております。
 これまで、学習指導要領に基づく教育の実施や消費者教育の推進に関する法律を踏まえて、関係省庁等を挙げての消費者教育の推進及び消費者教育の充実が図られてきたところでございますが、成年年齢の引下げを見据え、将来を担う全ての若者に対して実践的な消費者教育を確実に行うことが重要でございます。このため、関係省庁で緊密に連携し、二〇二〇年度には全ての都道府県の全高校において、消費者庁が作成した教材、「社会への扉」などを活用した実践的な消費者教育の授業を行われることを目指しているところでございます。
 以上でございます。
#209
○仁比聡平君 今お聞きいただいたとおり、そうした能力を獲得をするという、その獲得をすべき資質や能力の目標、概念が掲げられて、それを獲得するための教材、あるいはそれを全ての小中高で実施をしようという目標が定められたというところなんであって、第一に掲げられているのはその効果の測定ですよ。学校における消費者教育の効果測定を行うための必要な調査を行うべきであるということがこの報告書の大きな課題になっているのであって、つまり、目標やこれからの施策について基本は定めたけれども、その効果はこれからという、測定の仕方もこれからという話じゃないですか。
 消費者庁、もう一回確認しますけど、その獲得すべき能力について、勉強の中で、何かがあったときに立ち止まれるだけの批判的思考力が働くように生きてきたかという、そういう表現がありまして、ああ、なるほどねと思いました。
 十八歳になって高校を卒業しようとする、大学に合格したと、そうしたら、下宿を決めるためにいろいろ努力をするとか、あるいは独り暮らしを始めるのにいろいろな新しいものを買うとかということがある。大学にも近いし、ワンルームだし、お風呂もあるし、ここはいいなと、だけれども家賃が十何万円する。いや、もうちょっといいところ、もうちょっと安いところでいいんじゃないといった親のアドバイス、周りの相談なんかありますよね。何か物を決めようとする、そういう意味じゃ、大人のスタートラインに立って、何か消費行動を行おうとするそのときに、誰かに相談する、立ち止まって考える、そういう批判的な思考力が身に付いていることが大事と、それを身に付けていくために教育をするんだと、そういうことでしょう。
#210
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 まずは、自分で自立して判断をすると。と同時に、仮に迷ったようなときには、もちろん親もございますし、あるいは消費生活相談というのもございますので、そこで相談すると。そういうような実践的な能力を付けるということだと考えております。
#211
○仁比聡平君 消費者庁としては、その効果が既に検証され、十八歳、十九歳の若者たちに備わっていると、そういう認識ですか。
#212
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。
 先ほども法務省の方からございましたように、消費者教育の効果というのは定量的に示すということはなかなか難しいんですけれども、消費者庁としては、今消費者庁がオフィスを徳島にも置いてございますけれども、そこでは、昨年度はもう既に、徳島県では全ての高校等において私どもの作った「社会への扉」というような教材を使いまして授業が行われております。ですから、こういうものの効果等を見てお示しできるのではないかというふうに今は考えております。
#213
○仁比聡平君 つまり、効果が発揮されているかはこれからの検証の話なんですよ。それを法務省流の用語といいますか、玉虫色の判決用語といいますか、相応の効果が上がっているという民事局長のその相応のあるいは効果というのは一体どういうことですか。
 それは、現実の十八歳、十九歳、あるいはこの法改正が実現をするとしたら、今現在中学二年生の子たちが十八歳で成人となるということになるのだろうと思いますけれども、いや、本当にリアルに大臣が言ったような能力が備わっていますか。やっぱりそこをしっかり、若者の置かれている実情、声を聞きながら、しっかりはっきりさせていくという必要あると思うんですね。
 ちょっと時間取りましたので、もう一点だけ、ワーキング・グループの報告書を紹介しておきますと、冒頭に若者の実態と課題ということを整理をしておられるわけです。
 十八歳という年齢は、多くの者にとって高校を卒業し、大学へ進学したり、就職したりするなど生活環境が大きく変わる時期である。例えば、大学へ進学し、親元を離れて独り暮らしを始めると、扱う金銭の額が大きくなるなど生活環境が変わるため、消費者トラブルに遭った場合の被害も大きくなる。また、クレジットなどを利用することで、被害が大きくなるとの報告もある。
 さらに、知識としてクーリングオフという言葉を知っていても、正確な知識がないためにかえって被害に遭ってしまうことや、マルチ商法は知っていても、ネットワークビジネスと言われるとその区別が付かず被害に遭ってしまうなど、適切な判断ができないことも指摘されている。他方、この年代は、就職活動や教育実習など社会と接点を持つ活動を体験すると急速に成長するという指摘もされている。私、よく特徴つかんでいると思うんですよ。
 今日、資料に、日弁連の院内集会でお話をいただいた公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の教育委員長窪田久美子さんの資料をまず一枚目にお配りしていますけれども、そうした講座を受講した高校の教員の先生の感想ですが、我が校では、経済的に大学進学を諦めざるを得ない生徒もおり、楽してもうかる、簡単に借りられるという言葉を信じ、トラブルに巻き込まれる可能性が高く、卒業後の彼らの生活が非常に心配です。一方で、契約の基本やクレジットカード、多重債務などの講座は専門知識も必要で、どうやって教えればいいのか分からず、現場は大変ですと。まあ、そのとおりだと思うんですね。
 大臣、次の資料、二枚目は、公益社団法人全国消費生活相談員協会の井坂江美子さんのものですけれども、若者被害の問題点、特徴として、一、契約に関する知識が乏しい、二、絶対もうかるなどのうまい話に弱い、三、その場の雰囲気にのまれ、事業者の勧誘を断れない、四、借金やクレジット等の分割払の提案を安易に受け入れてしまう、五、SNSの利用によりウエブ上のバーチャルな人間関係を信用してしまうなどが挙げられますというこの指摘も、私、そのとおりだろうと思います。
 法務省あるいは民事局は別として、消費者団体も、それから、私いろいろ意見ありますが、厳しい意見がいっぱいありますが、消費者庁を始めとした政府の消費者教育の関係のところでも、こういう認識は、省庁を超えてこれまでだって取組がなされ、認識があるじゃないですか。こういう認識が一方でありながら、大臣が、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきているという実態がある。
 この答弁というのは、これちょっと実際と相当乖離するんじゃありませんか。大臣。
#214
○国務大臣(上川陽子君) ただいま消費者教育の一連の資料等も踏まえて委員から御指摘がございました。主体的に判断をする、そして責任を持って行動をする、そして何か事があったときには、それに対して立ち止まってしっかりと考え直してそれに対して取り組むことができる、こうした能力を身に付ける。これは、小さいときからの、ある意味では生活上に非常に必要な能力ということで、実践を通して、これからの時代の大きな変化に合わせて小さい頃からこうした能力を身に付けていくということが極めて重要であるというふうに改めて認識をしているところでございます。
 先ほど来の成熟度の議論ということで問題が提起されたわけでございますが、二十歳になったら必ず大人になる、そして完全に何事も全てなし得るという存在では必ずしもないということについては、年齢の物の考え方に関わるものでございまして、成年年齢の引下げのこの議論におきましても、そうした様々な考え方を持ってこの問題に取り組んでいくということが必要であるということは、この間の委員からの様々な御意見もいただきながら考えていかなければならない、これからも考えていかなければならないことだというふうに思っております。
 法務省といたしましては、成年年齢の引下げによって新たに成年となる十八歳、十九歳のこの若い世代が、大人の入口に立ったという認識の中で、いまだ成熟の段階を駆け上がっていくというような物の考え方の中で、こうした中で引き続き様々な施策の支援をしていくということについては、これから、この教育については、平成三十二年までの集中期間がございますし、また、その後、三十四年の四月一日施行までの期間の中で、四年弱ということでございますが、これまでしっかりと打ち出してきた施策の様々なメニュー、こういったことがしっかりと実行していくことができるように、更なる改善をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
#215
○仁比聡平君 大臣、要はこれからやるというふうにおっしゃっているんですけど、それは違うんでしょうと私は申し上げたいんですよ。
 消費者のワーキング・グループの報告書は、先ほど御紹介した後の続きの部分で、このように大きく生活状況が変化する中で、成熟した成人として十分な知識、経験、判断能力が身に付いているとは言えない若者に対して、成年になった時点で全て自己責任ということで責任を負わせるのではなく、社会人としての出発点あるいは助走期間とも言える時点で多額の負債を負い、また、その支払のためのアルバイトで学業や就職活動がままならなくなるなどの回復不能なダメージから保護しつつ、段階的に経験を積んで成熟した成人に成長することができる社会環境を整備し、若者の成長を支える必要があると述べておられまして、これを読む、この文字として読む限り、私は、先ほどちょっと議論おいておいた、政務官さっきおっしゃった、この未成年者保護の法理、我が民法の、というのは、こういうふうにも、今の趣旨に沿った形で考えられているのではないかと思うわけです。
 これ、詳しくはもう時間が迫っていますから次回に譲るほかありませんが、この民法の未成年者取消し権について、これは未成年者が不当な契約に拘束されることがないようにする、そして徐々に大人になるために段階的に未成年者が契約をすることができる仕組みなのであると。それを、親を中心にした法定代理人ですね、ここに係らしめているという、こうした理解は次回ちょっと深めていきたいと思うんです。
 今日、あとちょっとだけ残る時間で、立法事実に基づいた、十八歳、十九歳の若者の実態に基づいたしっかりとした議論が私必要だと思うんですが、どうも政府・自民党は違うようですね。五月二十九日、衆議院本会議のこの本法案の自民党の賛成討論、これ議事録を読んで私ちょっと仰天しているんですが、この討論者は、この成年年齢の引下げは政治決断により導入の方向が示されたものですと言い、一部参考人からは成年年齢引下げに対する要望が国民の中から上がっているとは言えないという指摘がされたが、これはある意味当然のことである、この成年年齢引下げは元々与野党を超えた政治決断として取り組んできたものだからですと。加えて、私も申し上げている十八歳、十九歳の保護への懸念ですね、保護を外すことへの懸念、これについて、そのような懸念に関する議論を本法律案の審議で議論をすることは時期遅れであるということです、本来、成年年齢引下げに伴う弊害の有無に関する議論は、成年年齢引下げの方向性が与野党で合意された平成十九年の国民投票法成立の段階までに行うべきことですと。
 これはもってのほかの議論であって、けれども、自民党の討論者がこう述べて賛成討論をやっているということは、これは、政府・与党として、大臣、こういう認識だということですよね。私たち国会に判断を願うと何回も何回もおっしゃるけれども、政治決断したと、だから、これで大人として自覚をせよと、それが少子高齢化が急速に進行する我が国社会を活力あるものにする道だと、それが政府・自民党の考え方だということですか。
#216
○国務大臣(上川陽子君) 今回、成年年齢の引下げの御議論をこの国会にこのような法律案としてお出しをさせていただきました。国民投票の投票権年齢、また公職選挙法の選挙権年齢、十八歳と定められ、また、国政上十八歳以上の者を大人として見るとの判断がなされたという政策的な流れの中に位置付けられるものでございます。
 先ほど来の答弁の中で申し上げましたけれども、十八、十九歳の若者に参政権という権利を与えるということが、直ちに私法上におきましても民法の成年年齢の引下げにつながるという趣旨のものではないと認識をしておりますが、私法上も大人として扱うことによりまして、これらの者が責任ある立場で積極的に自己決定権を持って、そして自らの様々な夢や希望をかなえていただくことができる、そして、この国そのものを、これから先の日本の社会の在り方として、国の在り方として、こうした若者が中心となって活躍をしていただくことができる、こういったことは将来の我が国の発展にも寄与するものというふうに認識をしているところでございます。
 法務大臣として、この間、消費者被害の問題について、悪徳商法の問題から身を守るために、また適切な行動をすることができるために、様々な環境整備について消費者教育という立場、また、消費者教育のみならず、身近に様々な相談をする相手が存在するということの中で、しっかりと活動していただきたいと。
 その意味では、省庁挙げての環境整備が何よりも大事であるということを考え、そしてこの委員会も立ち上げながら、各省庁の連携した施策の一元的な管理の中でしっかりと進捗を持って成果をしっかりと上げていく。そして、その環境整備を通じて更に周知をしていくことができる、また理解をしていただくことができるというような形で、様々な懸念を防いでいくための取組については、そうした御意見をしっかりといただきながら、更に拡充強化をしていくということも必要ではないかというふうに思っているところでございます。
 今後も、三十四年四月一日、こうした期限を御検討いただくお願いをしているところでございますが、そのためにも、環境整備の施策について十分であるかどうかも含め、また新たなこうした御指摘をいただいたところにしっかりと声を伺わせていただき、また御意見と提言もいただきながらこの議論もしていただいているところでございますので、そうした取組につきましても真摯に対応してまいりたいというふうに考えております。
#217
○仁比聡平君 いや、もう時間が来ましたから、これ以上答弁求めることができませんけれども、結局、大臣、あれこれ言われるけど、この私がちょっと名指しした自民党の討論者の発言について否定されないじゃないですか。私たちが今やっているこの議論を時期遅れであると言っているんですよ。二〇〇七年の国民投票法を、葉梨副大臣、さっきちょっと触れられたけれども、本当にひどいやり方で暴力的に強行していきましたよ。そのときまでに、その段階までに行うべき議論だというわけですから、何を言っているんですか。
 葉梨さん、先ほど発議者だったという話ありましたけれども、そのときにこの十八歳、二十歳という問題が出て、その時点で政府は、成年とか二十歳とか十八歳とかいう年齢が定められている法というのが何本あるのかということ自体が答弁できなかったんですから。そのときまでにそれぞれについてどうするべきかの議論は終わっているんだなんていうような、こんな認識でこの法案を進めていくなんというのは、私は断じて許されないと思いますよ。
 徹底した事実に基づいた審議が必要だということを強調して、質問を終わります。
#218
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 質問が重ならないように努力してやっていこうと思いますけれども、朝からずっとでございますので、聞きたかったことが何回も出てきてしまって、中には午前中に何とお答えになったのか忘れてしまったような質問のこともあるので、もう一回繰り返しになるかもしれませんが、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、今回の改正ですけれども、この中で、民法の改正が一番重い議論になっていくだろうということは再三言われておりましたけれども、まず、事の発端が、どうも先ほどから、十八歳に投票権があるということが、ちょっと前の参議院選挙から始まったということが発端で民法が変わっていくのだというイメージをつくってしまうというのはミスリードだと思います。国民の代表として選挙で選ばれた国会議員としては、これから何かを変えて訂正していかなければならないことだと思います。櫻井議員もおっしゃっていました、国民が、なぜ急に十八歳にしなきゃいけないんだということの説明が理屈に合わない、腑に落ちないということだとこれはよくないと私個人的に思っております。
 二十歳に据置きのままにするところと十八歳に引き下げるところがまちまちあります。これはよく分かります。ここに、国民の皆さんが五六%反対という意見がありましたが、これは反対と具体的に言っているのではなくて、不安だということの表れだと思います。でも、世界的に見れば十八歳成人としている国が多いわけですから、もしこれ一律十八歳に全部下げて全部移行するということになって、そこから問題を整理していきましょう、個々の法律でという考え方ならまだ腑に落ちる、分かったとなるかもしれないんですが、都合の悪いこととか年齢が適切かどうかで良い悪いを決めるという基準が非常に複雑で、かつ曖昧だと思います。
 ちょっと話が横にそれますけど、成熟という言葉遣いは、医学の世界では、生殖機能が男女整った場合というのを成熟といいます。しかし、それには個体差、ありていに言えば個人差ですが、個体差がありまして、成熟ですらの定義も個体差によってまちまちと言われておりますから、その人の判断能力などということの成熟度というのは、全く科学的な根拠をもって測れることはいまだ証明されておりません。反対は証明されています。判断能力がないという証明はできますが、あるという証明が確実にある国というのはまだ私は確認したことがございません。
 ですので、二十歳でよいか悪いかという、決める基準というものが曖昧では、そしてその基準の説明が不明瞭だと、やはり国民の皆さんは不安がかき立てられるだけなのではないかと。一つ一つ丁寧にやっていかなければならないのであれば、そもそも据置きのまま、二十歳のままにしておけばよかったじゃないかという意見が出てきても当然だと思います。
 そこでなんですが、先ほどの国際的に見れば十八歳成人としている国が多いという、ここで日本も国際的に、先ほど大臣がグローバルというお答えがございましたので、バランスを取らなければならないという意味においての何か正当な説明、十八歳に落とさなきゃならないんだ、もうそろそろということで、十八歳としている国が幾つあって、二十歳、二十一という国のバランスを取らなければいけないとすれば、何かそこに正当な理由がグローバライゼーション以外にあるでしょうか。お答えできる方いらっしゃいますでしょうか。
#219
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 ちょっと諸外国、網羅的に全ての国というわけではございませんけれども、例えばOECD加盟国におきましては、三十五か国中三十二か国が成年年齢と選挙権年齢を共に十八歳と定めているといったような事情がございます。
 諸外国、この成年年齢でございますけれども、基本的には、各国において、何歳であれば一人前の大人として扱うことができる程度に成熟したかと、こういったようなことを反映しているものかと思われます。
 このことを考えますと、多くの諸外国において成年年齢が十八歳と定められていると、こういう状況の下で、日本人において成年年齢を世界標準よりも高くすると、こういったような必ずしもその合理的な理由というものはないのではないか。そういう意味で、委員御指摘のようなグローバルスタンダードといいますか、各国の状況といいますものも今回の成年年齢の引下げの一つの理由にはなり得るものというふうに考えております。
#220
○石井苗子君 御説明が、やっぱりもうちょっとぴたっとエビデンスに基づいた説明があるといいなと思っていたんですけれども、諸外国では、国際紛争などが多い場合に十八歳で武器を持たせることができるだとか、その国によって十八歳にしなければいけないという基準というのがいろいろあって、その中の何に日本が当てはまるのかというようなことで、これは諸外国と合わせてやっていかなければならないと、このような説明ができれば国民の皆様でも、ああ、そうかというふうに感じることができる基準があるんじゃないか。
 どうして十八歳に引き下げようという動きが出てきたんでしょうか、なぜ選挙権だけいきなり十八歳に下げられたんでしょうかというような質問が出てくるようでは、納得がいくとか腑に落ちるというところには程遠いと思います。
 ほかは、民法の改正はそれに引きずられて引き下げようとしていっているんじゃないだろうかという誤解を生んでしまうのはよくないと思います、先ほどから何度も言っていますが。政治主導という言葉にありますように、午前中にも御発言がございましたけれども、国民の皆様が政治家に対する懐疑心を持ってしまうようなことで民法が引き下げられたということは、これ歴史的な汚点を残してしまいます。
   〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕
 成人年齢が十八歳に引き下げられるということは、まず、親権という親子の間に今まであったものがなくなるということです。これが国民にしてみれば一番気になるところです。親権というのをちょっと調べましたら、一緒に住む権利、そういう居住権なんというのが中心的に書かれておりますけれども、親権がなくなる、十八歳で離れるということになりますと、それによって何が困ることになるのか、どんな問題について親は知っていなければならないのか、高校三年生の親は何を助けてやることが法律上できなくなってしまったのかという不安だと思います。
 私も、つい最近まで子育てをしておりましたし、国民でもございますし、女性でもありますので、こうしたことがすっきりと腑に落ちるようにならなければならない。できれば、何か正当な理由があって先に民法が変わって、それから十八歳の投票の権利というのも、これは自然の流れとしてあるよねと、こういうふうにシステムが変わっていったなら何も問題がなかったんではないかなと、とても残念に思うんですね。というのは、投票できるできないというのは権利であって義務ではありませんから、棄権するということもできるわけですから、そんなに親は心配することもないわけで、教育に力を入れる親もあれば学校もあればという選択の範囲が広がるんですが、親権が外れると何が困るようになるのかということ、先ほどからずっといろんな御質問が出ていると思います。
 私は、一つ、昨日の登壇のときにエビデンスという言葉がすごくたくさん出てきましたが、民法改正であれば、こうしたエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングというそうですけれども、こういう根拠に基づいて、これが困っているから、こんな具体的なデータがあるから現実的にこう変えました、そして世の中が良くなる改正になりましたということを申し上げ、十八歳になったら、今はその親の監護ということばかりが出ていますけれども、親から外れる、離れることができる権利を子供が持つこともこれからはできるようになるという訴えがあってもいいのではないかと思います。
   〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕
 五月二十五日の読売新聞ですけれども、上川法務大臣は、午前の閣議ですね、の記者会見を行いまして、育ての親が戸籍上の実の親になる特別養子縁組制度を見直す民法改正について、六月四日の法制審議会に諮問すると表明をされました。
 これは、エビデンスに基づいてなぜ変えていった方がいいかというのがよく分かるポリシーメーキングです。なぜならば、リアリティーとして、制度上の理由で成立しなかった養子、特別養子縁組ですね、これが二百九十八件もあり、そのうち同意が得られなかったケースが二百五件あり、原則六歳未満の対象年齢を超えたという理由だけで縁組を断念したという件が四十六件もあると。
 これは、六歳未満じゃないと、親を選ぶなんということは六歳未満の子ができるわけないんですが、そうでないとこの特別養子縁組制度が事実上同意撤回をされてしまうということは子供が守られていないじゃないかという点について、対象年齢を拡大し、十五歳まで引き上げることができるかもしれない。この特別養子縁組制度を、成立するのに十五歳。そのときに、子供がこの親では嫌だと、自分で、特別養子縁組に向けられたときに、それこそ自己決定というのが、子供の中に自意識があったときに、十五歳まで引き上げられれば、十八歳まで三年です。そうすると、もうこの親からも離れ、親権もないのだから、自立して、さんざん苦労したけれども、二年早く自分は自立することができるんだということができるようになるかもしれないという、大変、私もこれは画期的な法整備になっていくのではないかと。こういうふうにして積み上げていって、自己決定権が十八歳で手に入れば良くなるという一つの社会通念としての見方も訴えていけばいいと思っております。
 これは法務大臣に感謝申し上げたいことなんですが、先ほどの反対が、不安の、五六%。これ、私、統計について日本は非常に曖昧だと思うんですけれども、一つ議事録に残りますので教えていただきたい。
 平成二十年から二十五年の間の内閣府の世論調査ですが、この対象の年齢と性別、性をどのぐらいにもって分けてイーブンになっていたのか、何人を対象とした調査でしょうか。反対という意味ですが、これは漠然とした不安の数字であって、何に具体的に反対しているという詳しいデータをお持ちでしょうか。どうしても、年齢が変わる必要があることは何なのかというところの具体的な、ここに非常に不安を感じると、ここはとても賛成できるというような、そういったデータをお持ちでしたら、ポリシーメーキングにつながると思うので、教えてください。
#221
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 この成年年齢の引下げに関します世論調査につきましては、平成二十年七月と平成二十五年十月の二回行われております。調査対象でございますけれども、全国十八歳以上の男女五千人を対象としたものでございます。回収結果の方は、平成二十年の方が有効回収が三千六十人、平成二十五年の方が回収結果は有効回収三千百十九人でございます。
 御指摘のとおり、この過去に実施した二度の世論調査におきましては、いずれも単独で契約をすることができる年齢の十八歳への引下げについてはおよそ八割の国民が消極的な意見でありまして、親権に服する年齢の十八歳への引下げについてもおよそ七割の国民が消極的な意見でございました。
 もっとも、これらの調査におきましては、消極的な意見の中にも、法的な物の考え方を身に付けるための教育の充実や消費者保護の施策の充実という前提が整えば成年年齢を引き下げてもよいという意見が多数含まれておりまして、こういった意見の者と賛成の意見の者を合わせますと、その数は六〇・八%ということでございました。
 こういった世論調査において成年年齢の引下げに関する認知度が低かった要因といたしましては、その引下げに向けた議論の内容あるいは環境整備の施策等についての周知が不十分であったことが挙げられると認識しております。
 法務省としましては、今後も、平成三十四年四月一日の施行日までの間、消費者被害の拡大を防止する施策などの環境整備の施策の推進やその周知の徹底に努めて、国民の十分な理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
#222
○石井苗子君 統計学的に言えば、五千人、三千百の、有効率としてはパーセンテージ全然低いと思います。まず成功した信用できるデータにはなっていないと思うんですけど、十八歳だけに聞いたということですよね。それでよろしいですか。いや、違いましたですか。
#223
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 対象になった者は十八歳以上でございますので、幅広い年齢層の方からお聞きしております。
#224
○石井苗子君 年齢と男女の数と、その年齢によってというようなことも、今じゃなくていいですけど、これからはもう少し緻密なデータを出していっていただきたいと思います。
 私も、本会議のときに質問させていただきましたが、成年年齢、成人年齢ですか、十八歳に引き下がることが民法の改正で決まって、そこから三年掛けての周知徹底というわけですが、二〇一八年の今の現在、反対の意見は多いというふうに認識をされています。
 この背景を踏まえて、国民の皆様が生活が今からどう変わっていくのかというところに基軸を置いた具体的な周知徹底の方法を考えていかなければならないと思うんですが、何がなくなっていってどう困るのかというようなことを分かりやすく書いていく、法務省として各省庁と連携を取ってやってまいりますというお答えをいただいておりますけれども、親と子供の不安を取り除くという意味で、どのような周知方法を考えているのか。
 例えば、取消し権がなくなるとどうなるのか、親はどういうことを勉強しておかなきゃいけないのか。高校三年生というのは同じ教室で勉強している集団でありまして、隣か一階下か何かは高校二年生で、高校二年生と高校三年生で大人と子供と変わってくるのは、二十歳で大学のときに大人になるのとは、大分親としても子供としても雰囲気が違うと思うんですけれども。
 例えば、少しかみ砕いて教えていただきたい。その周知徹底、マスコミに対しては何か考えがおありでしょうか。お答えいただきます。
#225
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 この成年年齢の引下げにつきましては、若者のみならずその保護者等々、非常に幅広い方々に影響を与えるものでありまして、この周知徹底、仮に法律が成立した場合には、その周知徹底に努める必要性は非常に大きいものだと考えております。
 その具体的な周知活動といたしましては、例えば高等学校等に対しまして、成年年齢の引下げの意義やほかの年齢要件がどのように変わるのかといった内容を周知するためのポスターやパンフレットを配布すること等を検討しておりますが、そのほか、幅広く説明会を開催したり各種のメディアを活用するといった形で、国民一般に対する周知活動を進めていきたいと考えております。
 また、飲酒、喫煙年齢など、現在民法の成年年齢と一致している各種の年齢要件のうち、改正法の施行により民法の成年年齢と異なることとなるもの、こういったことにつきましては、関係省庁と連携して手厚く周知活動を行う必要があると考えております。
#226
○石井苗子君 余り具体的に決まっていないというようなお答えだったと思いますけれども、少し根本的な質問をさせていただきたいんですが、私、法律の専門家じゃないのでよく分からないから教えていただきたいんですけれども、この十八歳と二十歳というところで大変先ほどから議論が交わされておりますけれども、年齢を取っ払ってここには年齢制限を置かないというような民法の決め方というのは今まであるんでしょうか。ここに関しては各法律に任せて、ここからは年齢制限を取っ払いますというようなことは絶対にできないんでしょうか。どなたか御返答をお願いいたします。
#227
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 現在の成年年齢というこの制度でございますけれども、これは一定の年齢に達しない者の行為能力といいますか、一人で有効に契約できることができる、こういう年齢というものを画しまして、そこに至らない者を保護すると、そういった者が単独で契約した場合には取り消すことができると、そういう意味では、そういった若年者の保護といったような観点でつくられている制度というふうに考えております。
 そうなった場合に、例えば一つの方策としまして、年齢要件を決めずに個々の人を見て、それぞれそういった判断能力があるかどうかということを見た上でそれぞれ個別的に保護を与えるかどうかを決めていくと、こういった制度も理論的にはあり得るとは思いますけれども。
 ただ、そうしますと、やはり契約をする相手方という者もおりますので、やはりそういった者からしますと、一般的には、この年齢に達していれば有効な契約ができるということになりますと、それは取引の相手方も安心して契約ができますので、そういった意味では、やはり一つの年齢要件で画するというのは取引の安全を確保する、こういう観点からは意味のあることだと思っております。
#228
○石井苗子君 非常に、商品取引とか悪徳商法だとか、そういうビジネスに関することは、私は、その取消し権ですか、そういうものがなくなったら、これからは一人でやっていかなきゃいけないんだよというような、親が子供に話をするとか、あるいは逆に、こんな親から早く離れて自分一人で生きていくんだという権利を持つこともできるというような、実際に日本の子供たちはまるで赤子の手をひねるように簡単に悪徳商売に引きずられていってしまうというと、何か個人的な判断が非常に幼くて駄目な若者が多いというような印象を受ける人もいるかもしれないんですね。保護をしてあげなければいけないという見方は非常に温かくていいんですけれども、世の中はもっと厳しくなるんだというような考え方も、一つ社会通念としてはあるかもしれません。
 その一方で、これは年齢制限を設けるものじゃないと、私は、性同一性障害の審判を受ける年齢を十八歳にする、高校三年生のそこでいいという、これ学校で大混乱になるんじゃないかと思うんですが、親も非常に困ると思いますけれども、もう相談をしなくても自分の勝手にしていいんだ、親権は離れたんだ、高校三年生からと言わなきゃならないのは親なんです、自分で決めなさいと。
 だけど、これは医学的なエビデンスがあるんですかと言ったら、何か精神科協会が示してきたと言っていますので、あら、ドクター、どこかへいなくなりましたけれども、本当にそのエビデンスが十八でいいというエビデンスなのかどうか、こんなものは払えばいいと思うんですよ、要らないでしょうと思うんですね。もう個体差があるじゃないかと思うんですが、ここまでも民法で決めていかなければならないのでしたら、若者の自立について質問をいたします。厚生労働省の方に伺います。
 十八、十九の新成人、自立が困難なもの、これは身体的、精神的、経済的と大きく三つに区分されると思いますが、親の監護ですね、保護が外されて、サポートを親がする義務というものがなくなる、十八歳で親権が外れるということで、十八、十九、二年間のそれぞれのこの身体的、精神的、経済的な、社会的なサポート、もう本当に単純に大丈夫なんだろうかと思うんですが、ここはどのようにお考えでしょうか、お答えいただきます。厚生労働省の方、お願いします。
#229
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 厚生労働省としては、若年者の自立を支援するための施策として、キャリア形成支援や困難を有する子供、若者への支援を推進しているところでございます。
 具体的には、ニート、フリーター等の若者の社会的、経済的自立に向けた支援として、地域若者サポートステーションやわかものハローワーク等において、就職実現に向け課題を抱える若者に対するきめ細かい就労支援等を行っております。続きまして、学生アルバイトの労働条件確保対策、労働法に関する教育、周知啓発につきましては、労働条件相談ほっとラインを設置いたしまして、夜間、休日の相談の受付を行ったり、ポータルサイトの運営を通じまして、労働基準関係法令や事案に応じた相談先の情報提供などを行っております。
 また、社会的養護を必要とする方につきましては、児童福祉法において、児童養護施設等への入所は二十歳まで入所等の延長を可能にしているほか、児童養護施設等を退所した児童等に対する二十二歳の年度末までの必要に応じた支援などの自立支援を行っております。さらに、一人親家庭につきましては、就業支援を基本としつつ、子供の居場所づくりなどの子育て・生活支援、学習支援など総合的な支援を進めております。
 これらの施策につきましては、親権の対象年齢が引き下げられても支援の対象年齢は維持することとしておりまして、これらの施策の一層の推進を通じて若年者の自立を支援してまいりたいと考えております。
#230
○石井苗子君 ありがとうございます。
 日本は、子供に着目しないで、その子供の親がどうかということに着目を強くするという、そういう傾向があるという私は印象を持っているんですが、私は、これから、もし時代が若者にもっと社会参加とか自立とか主権を持って物事を考えてもらいたいというのであれば、子供に着目した社会あるいは制度をつくっていくべきだと思っております。
 今、ほっとライン、ポータルサポート、児童相談所、それが二十歳まで、あるいは二十二歳になる年度末まで延長ということに関して、これは、それぞれの子供たちがよく知っていなければいけないことだと思います。三年後から、十八歳になったら子供の面倒を見なくてもいいのだと、今回の民法の法改正をそう受け取る親が出てくるという理解も一方にありまして、法律上、子供を追い出すことも親として正当性があるのだとなれば、事実上自立できない十八歳をこうした親からどのようにサポートするか。
 ポータルサイトというところに親に追い出されましたと言ってくるまでなのか、そういうこともあるのだと、親の方から追い出すような、十八歳から親権が外れるということはそういうことなんだという、そういう厳しい世の中になっていくという教育も高校でやっていかなきゃならないんですが、事実上、これ三年の間でどのようなサポートを考えていらっしゃいますでしょうか。厚生労働省の方にお願いします。
#231
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 先ほど、各般の若者自立支援策について御説明をさせていただきましたけれども、この成年年齢引下げの施行までに、この制度、施策を利用される当事者の方々、また親御さんの方々、支援をされる地域の方々含めまして、しっかりと周知をしてまいりたいというふうに思っております。
#232
○石井苗子君 これまでも地域で周知徹底というのをやってきたんですけど、なかなかそこがうまくいっておりません。もう少しこれは、民法が変わると大きな、予想もしていなかったことが起きるのではないかと思うんですね。法律の改正の変化、そしてそれが及ぼす影響というものについて、もう一つ質問させてください。
 先ほどの続きですが、考え方によっては、親権の対象となる年齢を引き下げて十八歳に、親から不当な親権のその行為を受けている子供を十八歳で解放してあげるんだという見方もあるかもしれません。この考え方ですと、虐待ということの意味においては救済になるかなと思うんですが、虐待が起きている年齢というのは幼児期に行われることが多いとなれば、現実、リアリティーですね、現実を見ると、これ十八歳に下げても意味がないのではないかと思うのですけれども、この点に関しては、法務省の方、どうでしょうか。
#233
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 済みません、ちょっとその前に、先ほど、OECDの国の数を三十二か国と申しましたが、三十一か国でございましたので、訂正いたします。
 虐待との関係でございますけれども、御指摘のとおり、親権の対象となる年齢を引き下げることは、親権者から不当な親権の行使を受けている子を解放することとなると、こういう意見があるところでございます。
 この親権者による不当な親権の行使の典型例は虐待でございますけれども、それ以外にも、一定の判断能力を備えた子がした契約等の法律行為について親権者が不当に干渉し、不合理な理由でこれを取り消す、こういった場合もこういった不当な親権の行使に該当し得るものと考えられます。その意味では、子が親権者から不当な親権の行使を受け、その利益が害されているような事案では、成年年齢を引き下げることにより、子がこのような不当な状態から早期に解放されるという効果が生じ得るものと考えられます。
 子が親権者から長年にわたり虐待を受けていたような場合にも同様な効果が生じ得るものとは考えられますが、御指摘のとおり、児童虐待は幼少期から行われる場合も多く、このような場合には、できる限り早期の段階で対応を講ずることが必要でございますので、児童虐待の問題は成年年齢の引下げによって対応すべき問題ではないように思われます。
#234
○石井苗子君 ありがとうございます。
 多岐にわたって質問をしておりますが、親権というものは、子供と一緒に住む場所を決めていいという権利、これが中心になっていると聞いておりますが、これを十八歳の高校三年生になれば失うと、失うというか、自動的に出ていけという親はいないかもしれませんけれども、とにかく法律上は失うわけです。この一緒に住むという場所を決めていいという権利を親が持たない。そうすると、二十歳から成人年齢というのを十八歳に引き下げるのに、これに関連して、自立を十八歳からできるものとします、しかし、十八歳を超えているのに親権に服しているという保護を与えるというのは、これは矛盾しているじゃないかという質問にはどうお答えになりますか。
#235
○政府参考人(小野瀬厚君) 済みません、ちょっと質問の趣旨、正確に捉えているかどうか分かりませんけれども、親権には様々な効果がございます。ただいま御指摘されましたような居所指定の権利ですとか、あるいはその子供の財産を管理するですとか、そういったような権利もありますけれども、そのほかにしっかりとした監護をしていく義務もあるわけでございます。
 仮にその親権の子が、成年年齢が十八歳になった場合に、十八歳に達して親権の対象から外れたといたしましても、子供が要扶養状態といいますか、そういったような状態にありますれば、それはやはり扶養の義務というのはあるわけでございますので、そういう状況にありながら家からほっぽり出して何らの監護、保護も与えないというようなことは、これはそういうことには直ちにはならないものと思っております。
 ただ、親権に服する年齢が下がることによって親の保護というものが薄くなるのではないか、こういったような指摘はございますので、その点につきましては、この成年年齢の引下げに伴う環境整備といたしまして、そういった自立に困難を抱えているような子供への支援、こういったものはしっかりと今後も充実させていくというふうに考えております。
#236
○石井苗子君 扶養の義務ですね。そういう親ばかりではないということも一方では心して掛からないと、法律が変わったんだからといって思わぬことが起きてくるかもしれないと。十八、十九の子が追い出される子が増えるかもしれません。
 ちょっと話が、質問が切り替えさせていただきますが、日本は何歳から商売をやっていい国なのでしょうか。現在どのくらいの人口が十八歳から起業をしているとかいうデータありますか、親が許可すればいいという。何歳からどのぐらいの人口と、そういうデータ、分布データ持っていらっしゃいますか。昨日、レクのときに質問して、答え用意しておいてくださいとお願いしたと思うんですが、これ分からないんですよね、どのくらいの人がいるのか。どういう国なのか教えてください。
#237
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 基本的に、営業していくには、行為能力、成年に達するということが必要ではございますが、未成年者でありましても、その親権者の方が営業を許可するということになりますれば、それは可能でございます。
 ただ、ちょっとその実際の数につきましては、大変申し訳ありませんが、今手元には持ち合わせておりません。
#238
○石井苗子君 これもやっぱりデータそろえておいた方がいいと思います。
 というのは、今この国は何の動きがあるからというのが、櫻井議員が、十六から金の卵と言われていた時代はとうの昔じゃないかというふうにさっきおっしゃっていましたけれども、今現在どのくらいの人口が十八歳から、起業です、起業、親の許可をもらっても、うちの家業を手伝っているじゃなくて起業というようなことの人口分布とか、本当に実際この国がどうなのかというのも親としても知っておきたいと思います。
 次に、養育費の支払について質問させていただきます。
 離婚した夫婦の場合、養育費というものの支払は家事調停というもので、成年になる、成人になる年の三月までとなっていますが、十八歳に引き下げられますと二年間これが短くなります。ここはどういうふうにお考えですか。
#239
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 養育費の支払の定め方につきましては、御指摘のように、成年に達する年の三月までというようなものもありますし、また、具体的な年月を特定する、あるいは満何歳に達する日の属する月までとかいって様々な定め方があろうかと思います。
 この場合、成年に達する年とかあるいは成年に達する日の属する月というように過去に定められた場合に、それが今回の成年年齢の引下げに当たってどのようになるのかという問題はございますが、基本的には、それが合意された当時は成年は二十歳だったわけでございますし、また、その当時の子供の状況、将来的に監護が必要となるような状況といいますものも、法律が変わったからといってそういう具体的な状況が変わるわけではございません。
 したがいまして、これは最終的には裁判所の判断ということになりますけれども、基本的には、過去の合意というものにつきましては影響は及ばないというふうに考えております。
 この点につきましては、法務省といたしましてもしっかりと、法律が成立した場合には周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
#240
○石井苗子君 これも思わぬ法改正によって起きる出来事ではないかなと思うんですが、こういったことを非常に整理して書いて、何がなくなる、何が困る、こんなことが起こるというようなことを書かないと周知徹底ということにはならないと思うんですが。
 十八歳に婚姻年齢を男女で同じくしまして権利が一緒になったという件についてですけれども、本会議でも質問しましたが、私は個人的に、十八歳で権利を男女が同じくするということは、権利の一致として認めるかもしれませんが、現実的な解決策がどこにあったんだろうかという意味がよく分からなかったんですね。
 午前中にもありましたが、十六歳で結婚できるという既得権を確保しておいてあげてもよかったのではないかと。十八歳と二十歳ばかり言っておりますけれども、事実上成熟という医学的なエビデンスというのは生殖能力ですから、それはもうどんどん下に、栄養が良くなりましたので下がってきているわけです。そうすると、出産というのは女性のイベントなのでありますから、婚姻の自由というのを女性に逆に奪っているし、先ほどのデータですと、離婚率というのが、ちょっと次の理事懇までに提出してくださるデータらしいですけれども、櫻井議員のを私も見ましたけれども、そのデータが違うんですね、分析の仕方も違う。
 そうすると、これだけ女性に対する虐待だとか、それから悪徳商売だとか、何が起こるか分からないということも含めまして、女性の体を守るということであれば、同時に十六歳にしようということは一度も議論されていませんでしたでしょうか。これは諸外国に合わせても、私も調べましたけど、十六歳としているところもまだありまして、別に十六歳で結婚しなきゃいけないと言っているわけじゃなくて、何かあったときには結婚することもできるのだという婚姻の自由ですね、これを奪わないようにしようという議論はされたことがあったでしょうか、お答えいただきます。
#241
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、女性の婚姻開始年齢を引き上げて男女とも十八歳にするということは、十六歳、十七歳の女性が結婚、婚姻することができなくなるということを意味するものでございますので、現行制度と比べて女性の婚姻の自由を制限することとなる面があることは否定できないところでございます。
 ただ、この婚姻開始年齢の定められている趣旨といいますものは、一般に早婚、早く結婚した場合に破綻につながりやすいといったようなところから、未熟な若年者の婚姻を禁止して若年者を保護することにあるということでございますので、このような制度趣旨に照らしますと、十八歳未満の者の婚姻を一律に禁止するということも、必要かつ合理的な規制としてやむを得ないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 男女を統一する場合に、なぜ十八にするのか十六にするのかというのは、これは一つの選択肢ではございますけれども、先ほど、今申し上げましたような事情ですとか、あるいは、現在の日本社会においては、共同生活を営むに当たって要求される社会的、経済的成熟度が高度化していること、高校進学率が約九九%であって、その大半は卒業しているという現状、また、世論調査の結果によりましても、やはり十六歳というよりは女性の婚姻年齢を十八歳にするといったようなことの賛成の意見が多かった、こういったことなどを考慮しまして、十六歳にそろえるのではなくて十八歳にそろえるということとしたものでございます。
#242
○石井苗子君 高校に進学すれば妊娠しなくなるということの保証には何もなりませんが、こうやって嫡出子と婚外子の質問というのを前回させていただいたんですが、これ、十八歳で親権が外れるということは、十六、十七で出産をした場合でも十八歳から親権が外れてしまって、それは親によってはかばうこともできますが、かばわなくていいという親が出ても、法律上違反にならないわけですよね。
 だから、母親が十六歳、十七歳で出産した場合、嫡出子となるには現状どのような手続が必要で、父親と母親が婚姻しなかった場合、その子供は嫡出子となれないと理解しておりますが、生まれた子供の扱いはどうなりますか、不利益というのが生じませんか、お答えください。
#243
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 婚姻開始年齢を十八歳に引き上げた場合には、十六歳、十七歳の女性が婚姻することができなくなりまして、十六歳、十七歳の女性が子を出産したといたしましても、その生まれてくる子は、民法上嫡出でない子となって、母の氏を名のるとともに、原則として母の単独親権に服することとなります。もっとも、嫡出でない子供につきましても、母が婚姻開始年齢に達した後にその子の法律上の父と婚姻した場合には、民法上嫡出子の身分を取得するものとされておりまして、これにより父母の共同親権に服することとなり、また、戸籍窓口に届出をするのみで父母の氏を名のることができることとされております。
#244
○石井苗子君 時間が来ましたので、質問は次回に回させていただきます。
 いずれにしても、こういうことは、娘を持っている母親はどうなっていくのかということをよく知っていなきゃいけない時代になるということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#245
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 まず、婚姻適齢についてお伺いいたします。
 一九九六年に法制審議会が答申した民法改正案要綱では、女性の婚姻適齢を二歳引き上げ、男女とも十八歳とすることが適当であるとしました。その理由を二点お伺いいたします。法務大臣に伺います。
#246
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘をいただきましたが、女性の婚姻開始年齢、これを十八歳に引き上げることにつきましては、平成八年に法制審議会から答申を得ているものでございます。この答申自体は、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることを相当とする理由につきまして言及をしているものでは必ずしもありませんが、答申に至るまでの法制審議会での審議の状況を踏まえますと、次のような理由であったものと考えられるところでございます。
 すなわち、夫婦として共同生活を営むに当たって必要とされる成熟度は、社会の複雑化や高度化を踏まえると、肉体的、精神的成熟度よりも社会的、経済的な成熟度をより重視すべき状況になっていると考えられること、また、社会的、経済的な成熟度といった観点からは男女間に特段の差異はないと考えられることなどが考慮されたものと認識をしております。
#247
○糸数慶子君 社会的、経済的成熟に男女差はないとされたにもかかわらず、なぜ男女差別規定を二十二年間も改正しなかったのでしょうか、伺います。法務大臣に伺います。
#248
○国務大臣(上川陽子君) 委員から御指摘いただきましたこの女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることにつきましては平成八年の法制審議会から答申を得ておりましたが、この答申全般の内容につきまして国民の皆様の間に様々な意見があったこと等から、これを反映した法改正案の提出には至らなかったところでございます。
 その後、女性の婚姻開始年齢の引上げについては、法制審議会民法成年年齢部会が平成二十一年に取りまとめた最終報告書におきまして、成年年齢を十八歳に引き下げるのであれば女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げるべきであるとの指摘がなされました。また、成年年齢を十八歳に引き下げることとしつつ、女性の婚姻開始年齢を現行法のまま十六歳とした場合には、女性のみ成年年齢と婚姻開始年齢が一致しないこととなりまして、男女の取扱いに差異が生じると、またこれが際立つということになるというところでございます。
 こうしたことも踏まえまして、今回、成年年齢を十八歳に引き下げることに伴いまして、女性の婚姻開始年齢につきましても十八歳にすることとしたものでございます。
#249
○糸数慶子君 現在、婚姻最低年齢に男女差を設けている国はあるでしょうか。ありましたら、主な国で結構ですので、お示しください。法務大臣にお願いします。
#250
○国務大臣(上川陽子君) 婚姻開始年齢につきまして、諸外国における法律の改廃状況について厳密に把握しているわけではございませんけれども、法務省で把握している限りで申し上げますと、婚姻開始年齢に男女差を設けている国としては、インド、中国などがあるものと承知をしております。
#251
○糸数慶子君 我が国のこの婚姻最低年齢に男女差があることについては、今お配りしております資料の中にもございますのでちょっとこれを見ていただきたいと思いますが、国連の人権機関から、二十年前から度々このことを勧告されておりますが、その勧告の理由をお示しいただきたいと思います。法務大臣に伺います。
#252
○国務大臣(上川陽子君) 我が国は、平成二十八年三月に国連の女子差別撤廃委員会から、遅滞なく女性の婚姻開始年齢を男性と同じ十八歳に引き上げることを要請するとの勧告を受けております。また、児童の権利委員会、自由権規約委員会からも同様の勧告を受けております。
 これらの勧告は、男性と女性とで異なる婚姻開始年齢を定めていることは差別的な取扱いに当たるという理由に基づいてされたものであるというふうに認識をしております。
#253
○糸数慶子君 一九九六年の法制審答申のその内容、これは、法制化は、男女平等や差別撤廃の見地から政府が主体的に見直してきたわけではありません。
 例えば、婚外子の相続分規定は、二〇一三年九月四日、これは最高裁大法廷が違憲決定したことを受け、法改正をされました。ただし、出生届書に、先ほど石井議員からも、前回も指摘がございましたが、出生届書に嫡出子、嫡出でない子の記載を義務付ける戸籍法改正案は否決され、立法府の差別解消に消極的な姿勢を露呈しました。
 また、女性の再婚禁止期間は、二〇一五年十二月十六日、最高裁大法廷が違憲と判決したことから、翌年に法改正がなされました。最高裁が法令違憲と判断したからそれに従わざるを得なかったのであって、婚姻適齢については与党にも明確な反対意見があったわけではなく、世論調査でも男女とも十八歳への賛成が多数を占め、大方の意見や社会的コンセンサスがあったにもかかわらず、また国連から女性差別の撤廃や児童婚の解消が要請されていたにもかかわらず、無視し続けてまいりました。
 憲法九十八条二項に、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と条約実施義務を規定していますが、なぜこれに従わなかったのでしょうか、法務大臣に伺います。
#254
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおり、我が国は、国際人権諸条約に基づきまして国連に設置された委員会から、男女で異なる婚姻開始年齢を定めている民法の規定を改正するよう勧告を受けております。委員の御指摘は、この婚姻開始年齢に関する現行の規定が条約に違反しているとの解釈を前提としているものと思われますが、政府といたしましては、現行の規定は男女の心身の発達の差異に対応したものでありまして、条約に違反するものではないというふうに認識をしております。
 もっとも、社会経済が高度化、複雑化しておりますし、また今日の社会におきましては夫婦として共同生活を営むのに必要とされる社会的、経済的な成熟度も高度化していること、また社会的、経済的な成熟度といった観点からも男女間に差異はないと考えられること等を考慮して、今回の改正により、男性及び女性の婚姻開始年齢を共に十八歳としたものでございます。
#255
○糸数慶子君 上川大臣は、選択的夫婦別姓について、世論の動向、大方の意見、社会的コンセンサスなどを理由に法改正に否定的な答弁を繰り返されています。そうであれば、今回の民法改正も世論調査を行うなど大方の意見を参考にするべきだということを申し上げ、成年年齢の質問に入りたいと思います。
 消費者の権利保護がいまだ十分に確立していない環境下で成年年齢引下げを行うことが更なる被害拡大を生む可能性について伺います。
 日本では、消費者が事業者に比べて非常に弱い立場にあり、被害の救済を得にくい状況にあります。それは、消費者が事業者に比べて情報量や交渉力において不利であり、因果関係を立証しにくいということもありますが、根本的な原因としては、欧米に比べて、日本では積極的に自らの権利を主張し利益を確保するという自主性を、自立性を伸ばす教育が根付いていないため、泣き寝入りしやすいという国民性というか、特性があるのではないでしょうか。
 そのような環境下では、本来行政が積極的に関与して消費者を保護していかなければならないところを、逆に成年年齢を引き下げて、十八、十九歳の若年者に対する保護を失わせるというのは、更なる被害者を増やすことになるのではないかと懸念いたしますが、このことについて法務大臣の御見解を伺います。
#256
○国務大臣(上川陽子君) 消費者の被害拡大の防止につきましては、これまでも政府として消費者教育の充実などの施策に取り組んできたところでございます。
 改正法が施行される平成三十四年四月一日に新たに成人となる若者たちは、既にこのような充実した消費者教育を受けてきた者となります。さらに、消費者教育につきましては、平成三十二年度までを集中強化期間として更なる取組が進められているものと承知をしております。
 また、今国会におきましては、若年者を中心に発生する消費者被害事例を念頭に置きました取消し権、これを追加すること等を内容とする消費者契約法の一部を改正する法律案が提出をされているところでございます。
 さらに、本法律案の施行後は、多くの若者は高校三年生の途中で成年に達することになるため、自らの問題であることをより強く意識して消費者教育を受けることになるというふうに考えられます。
 法務省としては、以上のような施策を通じまして、新たに成年と取り扱われることになります十八歳、十九歳の者の消費者被害の拡大を防止することは可能であると考えておりますが、今後も、平成三十四年四月一日の施行日までの期間を用いまして、関係省庁としっかり連携をし、更なる環境整備の施策の充実強化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#257
○糸数慶子君 実践的な消費者教育を全都道府県の高校で実施し、その結果を踏まえてから本改正案を提出する必要性についてお伺いいたします。
 政府は、成年年齢引下げに向け、高校生に対し実践的な消費者教育を実施する必要があるとして、二〇一八年二月に、消費者庁、文部科学省、法務省及び金融庁の四省庁局長会議において、二〇一八年度から二〇二〇年度の三年間を集中強化期間とする若年者への消費者教育に関するアクションプログラムを決定したと承知しております。
 このアクションプログラムは、消費者庁が作成している高校生向け消費者教育教材、「社会への扉」を全都道府県の全高校に提供し活用を促すことや、学校教育現場において外部講師の活用を進めるために、消費者教育コーディネーターを全都道府県で配置することを目標とすることが定められています。
 その工程表を見ますと、例えば、「社会への扉」を活用した授業を実施する高校の都道府県数は、二〇一七年度が徳島県の一県のみで、二〇一八年度は八県、二〇一九年度が二十五県、そして二〇二〇年度でようやく四十七都道府県の全高校で実施する予定となっています。これでは、民法の成年年齢の引下げの法整備を行う具体的時期は、関係府省庁が行う各施策の効果等の、その若年者を中心とする国民への浸透の程度を見極める必要があるとしていた法制審議会民法成年年齢部会の最終報告書の意見にそぐわないのではないでしょうか。
 成年年齢引下げに向けて必要とされるこの実践的な消費者教育が二〇二〇年度に全高校生に実施され、その効果が実際に現れ、若年者を中心とする国民の間に浸透すると思われる一定期間がたってから本改正案を国会に提出するのが本筋ではないかと思われますが、法務大臣の見解を伺います。
#258
○国務大臣(上川陽子君) 先ほども申し上げたとおりでございますが、政府としてはこれまで、成年年齢の引下げによって生じ得る弊害につきまして、これに対応するため、若年者の自立を促すような施策や、また消費者被害の拡大の防止に資する施策など、環境整備の施策に取り組んできたところでございます。
 また、先ほど御指摘いただきましたアクションプログラム、「社会への扉」、この実践型の教育ということについてもメニューが整い、それについては全国規模でこれを進展していくべく、精力的な取組を進めるべく今対応しているところでございます。この環境整備の施策の取組につきましては、着実な効果を上げてきたものというふうに考えているところでございます。
 平成二十七年の公職選挙法の改正によりまして、実際に十八歳、十九歳の者が選挙権を行使するようになったことは、これらの若者に対しまして社会の一員としての自覚をもたらすものであるというふうに考えております。
 法務省としても、以上のような諸事情を踏まえまして、現時点において、成年年齢の引下げについて国会の御判断を仰ぐ前提となる環境は整ったものというふうに考えているところでございます。
#259
○糸数慶子君 次に、若年者に対する社会参画教育の取組を充実させてから法案を提出する、その必要性について伺います。
 先ほど指摘いたしましたような、積極的に自らの権利を主張し利益を確保する自立した生き方をするための教育に関して、過去の政府答弁では、学校教育においてはこれまでも、社会参加や賢い消費者としての在り方、市民性を育む教育を行ってきたが、今後そうした教育を更に充実させるため、平成二十六年十一月に中央教育審議会に対して学習指導要領の改訂に関する諮問を行い、高等学校に主体的な社会参画の力を育む新科目を設置することについて審議がされ、平成二十九年度に新しい学習指導要領を告示、平成三十四年度から学年進行でそうした科目について実施をしていく旨、述べています。
 その具体的な中身、検討の進捗状況について、文部科学省にお伺いいたします。
#260
○政府参考人(白間竜一郎君) お答え申し上げます。
 今御指摘のございました高等学校の学習指導要領についてでございますけれども、本年の三月に、中央教育審議会の答申を踏まえまして新しい高等学校の学習指導要領を改訂をいたしたところでございます。
 この高等学校の学習指導要領におきましては、自立した主体としてより良い社会の形成に参画することに向けて、現実の具体的な事象を扱ったり、あるいは模擬的な活動を行ったりする必履修科目、これは高校生全員が必ず履修をする科目として公共を新設をしたところでございます。
 この科目では、例えば、法や規範の意義や役割、多様な契約、消費者の権利と責任ですとか、あるいは政治参加と公正な世論形成、地方自治、雇用、労働、金融の動きなどに関する主題を設定をいたしまして、社会参画を視野に入れながら現実社会の諸課題の解決に向けて考察をすると、こういった学習を行うことという内容のものを新設したところでございます。
#261
○糸数慶子君 民法の成年年齢引下げは二〇二二年四月一日から施行されるので、二〇二二年度から高等学校で新科目が実施されるというのでは、成年年齢引下げに必要な環境整備としての教育の効果を若者に浸透させるどころか、成年年齢引下げと同時にその教育がスタートするということで、先ほどのアクションプログラムよりも対応が後手に回っているのではないでしょうか。再び文部科学省に伺います。
#262
○政府参考人(白間竜一郎君) お答え申し上げます。
 ただいま御説明させていただきました高等学校の学習指導要領につきましては、先生御指摘のように、平成三十四年度から学年進行で実施をするということでございますけれども、一方で、私ども、これまでも、主体的な社会参画の力を育てることの重要性、これにつきましては、平成十八年の教育基本法改正ですとか、あるいは平成十九年の学校教育法改正におきまして、既に、主体的に社会の形成に参画をし、その発展に寄与する態度を養うということは規定をされておることを踏まえまして、現行の今実施をしている学習指導要領におきましてもその充実を図っているところでございます。
 具体的には、公民科の科目に現代社会というのがございますけれども、ここにおきまして社会参画と関連付けて指導するということになっておりまして、社会参画することによって、社会の維持発展に貢献するばかりでなく、自己実現を可能にすることができることなどを理解をさせる、どのように社会的な役割を担っていくのかということを考察させる、こういった指導が既に行われているところでございます。
 また、これに加えまして、平成二十七年六月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立をしておりますけれども、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられたということも踏まえまして、高等学校の授業においては現実の政治課題を扱うこと、また、その際の留意点等を示す通知を発出をいたしましたし、また、総務省とも連携をしまして、模擬選挙などの実践的な活動についてのワークシートを盛り込んだこれは副教材、これを作成をしまして全ての高校生に配付をしたりするなど、その充実に既に努めてきているところでございます。
 こうしたこれまでも子供たちの社会参画に関する意識の向上等を図ってきているところでございまして、引き続きこういった教育の充実を進めてまいりたいと考えております。
#263
○糸数慶子君 次に、法制審議会民法成年年齢部会が必要と指摘したシチズンシップ教育の取組について伺います。
 法制審議会民法成年年齢部会の最終報告書では、成年年齢引下げに伴い、若年者の自立を援助する施策が必要として、具体的内容の一つとして、いわゆるシチズンシップ教育の導入、そして充実を挙げています。
 このシチズンシップ教育とは、多様な価値観や文化で構成される現代社会において、個人が自己を守り自己実現を図るとともに、より良い社会の実現のために寄与するという目的のために、社会の意思決定や運営の過程において、個人としての権利と義務を行使し、多様な関係者と積極的に関わろうとする資質を獲得することができるようにするための教育とされています。
 これはまさに、先ほど述べた、欧米に比べて日本が遅れている、積極的に自らの権利を主張し利益を確保するという自立性を重視した教育に資するものではないかと思われますが、当時の成年年齢部会の議事録を読みますと、このシチズンシップ教育は、幾つか数えるほどの学校現場で試みているだけで、日本では余り広がっていないとされており、これまでの成年年齢引下げに関する国会審議においても、政府からこの教育についての言及がされていないように思われます。
 この成年年齢部会最終報告書で具体的に挙げられたシチズンシップ教育のその導入について、どのような取組をされているのでしょうか、文部科学省に伺います。
#264
○政府参考人(神山修君) お答え申し上げます。
 法制審議会民法成年年齢部会最終報告及びこれを受けました法制審議会の平成二十一年十月二十八日の答申によりますと、先生御指摘のとおり、シチズンシップ教育とは、社会の意思決定や運営の過程において、個人としての権利と義務を行使し、多様な関係者と積極的に関わろうとする資質を獲得することができるようにするための教育とされているところです。
 文部科学省におきましては、シチズンシップ教育とは呼んではおりませんけれども、主権者として社会の中で自立し、他者と連携、協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせる教育を主権者教育として、その充実を図っているところです。
 具体的に申し上げますと、学習指導要領に基づき、社会科、公民科等において指導を行いますとともに、全ての高校生の主権者教育に関する副教材を配付するとともに、若者の政治参加意識の向上を図るため、大学等の入学時におけるオリエンテーションなどを通じて行う投票に向けた学生への啓発活動、子供が地域に主体的に関わる地域行事などの機会の創出や家庭教育支援などを行っているところです。さらに、先ほど御答弁ございましたように、高等学校におきまして、社会に参画する主体として自立することを目指す科目、公共を新設することとしております。
 今後とも、成年年齢の引下げも見据え、総務省などと連携しながら、学校、家庭、地域が互いに連携、協働し、社会全体で子供たちの発達段階に応じた主権者教育が実施されるよう取り組んでまいります。
#265
○糸数慶子君 法制審議会民法成年年齢部会が必要と指摘したワンストップサービスセンターの取組について伺います。
 民法成年年齢部会最終報告書が必要と指摘している若年者の自立支援施策としては、ほかにも、欧米諸国のように、若年者が必要な各種情報提供や困ったときに各種相談を受けられるようなワンストップサービス、ワンストップサービスセンターの設置などが挙げられています。これに関し政府は、衆議院法務委員会での審議の中で、まず、子供・若者育成支援に関する相談に応じ、関係機関の紹介、その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点としては子ども・若者総合相談センターがあり、働くことに悩みを抱えている十五歳から三十九歳までの無業の若者に対しては地域若者サポートステーションがあり、正社員での就職を目指す若者に様々な就職支援を行う機関としてはわかものハローワークがあり、引きこもりの状態にある方の支援はひきこもり地域支援センターがある旨の答弁をしています。
 しかし、これだけ様々な相談支援機関があると、逆に若年者が実際困ったときにどの機関へ相談したらよいか分からず、敷居が高い状況に陥っているのではないでしょうか。それではワンストップサービスセンターとは言えないので、若年者が迅速に必要とする相談支援を受けられる機関へたどり着けるように、まず初期の段階ではどこへアクセスしたらよいのか、伺います。また、そのような各相談窓口、支援機関についての周知はどのように行っているのかも併せて法務省に伺います。
#266
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 政府が設置しております窓口で若年者が必要な各種情報提供を受けたり、あるいは困ったときに各種相談が受けられるものといたしましては、委員御指摘の各種の窓口がございます。まずは、地方公共団体が設けます子ども・若者総合相談センターでございますけれども、平成三十年四月一日現在で八十二の地方公共団体に設置されております。
 また、働くことに悩みを抱えている十五歳から三十九歳の無業の若者に対してサポートをいたします地域若者サポートステーション、これも平成三十年度時点で全国百七十五か所に設置されております。
 さらに、正社員での就職を目指す若者、若年者を対象に様々な支援を専門的に行います公共職業安定所としてわかものハローワーク等がございますが、平成三十年四月一日現在で、わかものハローワークは全国二十八か所、わかもの支援コーナー等は全国二百六か所にそれぞれ設置されております。
 また、引きこもりの状態にある者につきまして支援を行うものとしてひきこもり地域支援センターがございますが、平成三十年四月一日現在で全ての都道府県及び政令指定都市に設置されているという状況でございます。
 このうち、子ども・若者総合相談センターは、一般的に子供、若者の育成支援に関する相談に応じる窓口でありまして、ワンストップサービスとして呼ぶことができるものと承知しております。そのほかの窓口も、それぞれ就労、引きこもりといった分野に関するものではございますが、その分野におきましては、一つの場所で様々な相談が受けられるものでございます。
 これらの窓口の存在につきましては、これまでも様々な形での周知が図られてきたところでございますが、引き続き、成年年齢の引下げを見据えて、関係省庁と連絡しつつ、更に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
#267
○糸数慶子君 成年年齢を引き下げる一方で、競馬、競輪等の公営競技の投票券を購入できる年齢を二十歳とすることの矛盾について伺います。
 本改正案は、附則第十条において、競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法及びモーターボート競走法の規定中、未成年者を二十歳未満の者に改める旨の改正を行っており、いわゆる公営ギャンブルができる対象年齢を二十歳で維持することとしていますが、その趣旨について法務省に伺います。
#268
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘の競馬、競輪等の公営競技の投票券を購入することができる年齢につきましては、青少年のギャンブル依存症へのリスクに関してギャンブルの開始年齢と依存症リスクとの因果関係が明らかにされているとは言えないことや、教育現場の環境整備ができていないことなどから二十歳を維持することとしたものと承知しております。
#269
○糸数慶子君 法務大臣は、成年年齢を引き下げる意義について、十八、十九歳の者を独立の経済主体として位置付け、経済取引の面で言わば一人前の大人として扱うことを意味するものでございます、その結果、若年者の自己決定権が様々な場面で拡大をするということになるものでございます、こうした取扱いは、新たに成年として扱われる若年者の自己決定権を尊重し、自らその生き方を選択することができるようにするものであると考えられ、若年者個人にとって大きなメリットをもたらすものであると考えておりますと述べていらっしゃいます。
 しかし、その一方で、十八、十九歳の公営ギャンブルを禁止するというのは彼らの自己決定権を制限することになり、矛盾しているのではないでしょうか。改めて申し上げたいと思いますが、私はIR法案などにはもちろん反対をしておりますが、ただ、ここの矛盾点はきちんとお伺いをしたいというふうに思っております。法務省に伺います。
#270
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、法務省といたしましては、成年年齢の引下げには十八歳、十九歳の若者の自己決定権を尊重するという意義があるものと考えておりまして、特に十八歳という年齢は進学や就職のように人生の節目に直面する年齢でありまして、こうした若者が自らの意思で人生の方向性を選択することができるよう、その環境を整えることには大きな意義があるものと考えております。
 これに対しまして、二十歳未満の者の競馬、競輪等の公営競技の投票券の購入が禁止されております趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、青少年保護という点にあると承知しておりますが、公営競技の投票券を購入することができる年齢を引き下げることにつきましては、成年年齢の引下げのような積極的な意義は特段論じられていないように思われます。このため、成年年齢の引下げに伴い、公営競技の投票券を購入することができる年齢をこれに連動させる必要はないものと考えておりまして、これらの年齢を二十歳で維持することとしたといたしましても、成年年齢の引下げと矛盾するものではないと考えております。
#271
○糸数慶子君 納得はできませんけれども、また次に伺いたいと思います。
 次に、成年年齢引下げが養育費の支払終期に及ぼす影響についてお伺いをいたします。
 二〇一一年に、児童虐待の防止を図るため親権の停止制度等を新設した民法改正により、民法七百六十六条に、面会交流、養育費の分担についての例示、子の利益の優先の明確化が盛り込まれました。これにより、養育費の支払については一定の前進が図られたものの、依然として一人親世帯の養育費の受給額は十分な状況になっているとは言えないのではないでしょうか。
 二〇一六年度全国ひとり親世帯等調査結果報告、養育費の受給状況についてお示しをいただきたいと思います。厚生労働省に伺います。
#272
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査の結果でございますが、母子世帯のうち養育費の取決めをしている世帯が約四三%ありまして、そのうち約五三%が現在も支払を受けていると回答しております。また、父子家庭のうち養育費の取決めをしている世帯が約二一%で、そのうち約一六%が現在も支払を受けていると回答しております。また、一世帯当たりの養育費の平均月額は、母子世帯が四万三千七百七円、父子世帯が三万二千五百五十円となっております。
#273
○糸数慶子君 現行法下で養育費の支払終期について成年に達するまでと合意されている場合において、成年年齢引下げにより、養育費を支払いたくない親からは十八歳で支払を打ち切ることが予想されます。その場合、受け取る側が裁判などを起こさなければ二十歳までの支払を確保できないという負担をどのように考えるのでしょうか。子供を育てる親はそのような負担を敬遠し、その結果、泣き寝入りを余儀なくされるのではないでしょうか。法務省に伺います。
#274
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のように、この法律案の施行前に、養育費の支払について子が成年に達するまで毎月幾らを支払うと、こういったような文言で合意が調っていた場合には、その合意が成立した時点での当事者の意思を推測することとなると思われます。一般的には合意当時の成年年齢は二十歳でありますので、その当時、成年年齢に関する法改正があり得ることを想定してそれに連動させると、こういう意思を有していたと、こういう例外的な場合を除きますと、成年に達するというのは二十歳に達するという意味であると解釈するのが自然であるというふうに思われます。
 また、本法律案の施行前に既に確定している養育費の審判で成年に達するまでといったような支払を命ずるものにつきまして、当事者間でその内容について争いが生じた場合にも、一般的には先ほど申し上げました施行日前の合意に関してお答えしたところが当てはまるものと考えられまして、審判確定時の成年年齢である二十歳までの養育費の支払を命ずる内容であるとの解釈がされるものと考えております。
 したがいまして、最終的には裁判所の判断に委ねられることにはなりますが、一般的には成年年齢の引下げが、既にされている子が成年に達するまで毎月幾らを支払うといった合意等に影響を及ぼすことはないものと考えております。
 もっとも、養育費の支払の重要性に鑑みますと、両親の合理的な話合いによって養育費が適切に支払われることが子の利益に資するものと考えられますので、できる限り養育費の支払をめぐる紛争が生じないようにすることが望ましいものと考えております。このため、法務省といたしましては、成年年齢の引下げがこのような養育費の支払をめぐる紛争を誘発することがないよう、本法律案の内容を周知する際には、あわせて、養育費の支払終期に関して、先ほど述べました解釈についても周知に努めてまいりたいと考えております。
#275
○糸数慶子君 養育費の支払期間は、専門家、法律家の間では、子が未成年の間ではなく未成熟の間という考え方が言われていますが、それが国民一般の間には共通認識となっていません。裁判所からも成年というのがまず一つの基準として先に出ており、成熟というものが第一の基準として出てくることはありません。養育費の支払期間は子が未成熟の間という考え方を広く周知させる必要があるのではないでしょうか、法務省に伺います。
#276
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、養育費は、子が未成熟で経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるべきものであり、必ずしも子が未成年である場合に限定されるものではなく、成年年齢の引下げが直ちに養育費の支払期間の終期を早めることにはならないと考えております。もっとも、国民の間に養育費を支払う必要があるのは子が未成年である間に限られるとの誤解がありますと、成年年齢の引下げが養育費の支払期間の終期を早めることにつながりかねないことになりますので、これまでの国会での御審議でもそのような懸念があるとの御意見をいただいているところでございます。
 このような事態を防止するためには、御指摘のとおり、適切な周知活動をしていくことが必要であると考えております。法務省といたしましては、本法律案が成立した後には、養育費を支払う必要があるのは必ずしも子が未成年である間に限られるものではないということを含めて、本法律案の施行に当たって必要な情報について広く周知をしてまいりたいと考えております。
#277
○糸数慶子君 成年年齢引下げにより、養育費支払終期は自らの判断で取引ができる成年として扱われる十八歳までという実務が大勢になることが予想され、現状でも養育費支払状況が低迷している中で、一人親家庭などの子供の更なる貧困、格差、機会の不平等などの拡大につながるのではないでしょうか。成年年齢の引下げが一人親家庭などの子供に対する貧困につながることのないよう、どのような支援を行っていくつもりでしょうか、厚生労働省に伺います。
#278
○政府参考人(山本麻里君) お答え申し上げます。
 子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、一人親家庭に対する支援を含め、子供の貧困対策に取り組んでおります。中でも、御指摘のように養育費の確保は重要であり、厚生労働省としては、すくすくサポート・プロジェクトに基づき、平成二十八年度から、自治体における弁護士による養育費相談の実施を支援しているほか、自治体の対応が困難な事例については公益財団法人に事業を委託し、直接当事者からの相談に応じるなどの取組を行っています。
 さらに、親の就業支援を基本としつつ、子育て・生活支援など総合的な支援を実施しており、具体的には、自治体の相談窓口のワンストップ化の推進、学習支援等を行うことが可能な居場所づくりの推進、看護師等の資格取得を促進するための給付金の充実を図っているところでございます。
 また、児童扶養手当について、平成二十八年八月分から多子加算を増額したほか、今年の八月分からは全部支給の所得制限限度額を引き上げ、その結果、五十万を超える世帯で支給額が増えるといったような支援の充実を図っているところでございます。
 今後も、引き続き、養育費の確保対策を含め、一人親家庭に対する支援を着実に行っていきたいと考えております。
#279
○糸数慶子君 民法のこの成年年齢引下げに伴い、今回、民法以外の多数の法律の年齢条項が十八歳に変更又は二十歳に維持されることになっています。しかし、今般提出された法案を見ただけでは、どの法律がどのように変わるのか等が全く分かりません。また、それらの法律を所管する府省庁は多岐にわたっているため、各法律の年齢要件を変更又は維持した趣旨についても、それらの法律を所管する府省庁ごとの検討となっており、私たち国会議員にとっても分かりづらいと言わざるを得ません。このような所管府省庁が多岐にわたっている各法律の年齢条項の周知などについては、かなり通告はいたしましたけれども、時間が参りましたので、引き続きまた次の委員会で質問させていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#280
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
 本日から、成年年齢を引き下げるための民法改正法案の審議が始まりましたので、初めに、そもそも成人とは何か、大人とは何かということについて質問していきたいと思います。
 まず、上川大臣はどのようなときに自分が成人した、大人になったと実感されたのか、お教えいただきたいと思います。
#281
○国務大臣(上川陽子君) 随分昔になりまして、なかなかその当時のことを思い出すのも遠い昔になったという気持ちもいたしますが、この間、子供も成人をするとか様々な節目もございましたので、そうしたそれぞれの時々で自分のときのことを振り返るということについては時々あるわけでございます。
 そういう意味で御質問をいただいたのではないかというふうに思いますが、私は実は早生まれでありましたので、同じ学年で四月生まれの方と、そして私は三月でしたので、同じ学年でもかなり成熟度というと差があるのではないかと思う時期もありました。二十歳になるということについて、どういうことなのかということについては親とも話をした記憶もありますが、一番記憶が強いのは、やはり参政権を持つ、選挙をする年齢だということが非常に強い印象であります。成人式に出る出ないというよりも、大人になると投票権があるという形の中で、これは絶対に行かなくてはいけないという、そうしたことを強く親とも話した記憶がございます。
 親元を離れてまた暮らすということを通して、親元から離れてということは一緒に暮らさないということでありますので、そういった節目のときとか、あるいは就職をするというような、自分で稼得をする、そしてその所得を自分で判断して使うというようなこととか、あるいは結婚をするというライフステージとか、いろんなライフステージの中でそれぞれ判断をしていくということの大切さとか重要性というものを認識してきたのではないかなと、こんなふうに振り返ってみると感じるところでございます。
 よく成人になるとたばことか酒を飲めるようになるというような話もあるわけでありますが、このところについては、そういうイメージ、大人になるとそれができるということについて積極的に考えた記憶は全くありません。
#282
○山口和之君 私は四月生まれなので、高校三年になったときにはもう十八歳になっていましたので、それで大人だよと言われても、ううんと感じるんですが、車の免許というのが十八歳から取れるということだったので、そのときはそう思ったかどうかちょっと記憶にはないんですが、現行法では二十歳になれば成年ということになっており、成年を迎える年に成人式も行うので、二十歳になったときに成人した、大人になったという実感も少なくないと思います。
 しかし、就職したとき、独り暮らしを始めたとき、結婚をしたとき、自分の子供が生まれたときなど、必ずしも二十歳ではないときに成人した、大人になったと実感する人も多いと思います。成年年齢が定められているのに、成人、大人の感じ方が人それぞれあるのは、余りにも形式的な基準であり、かつ、それが国民の感覚として乖離しているからなのかもしれません。審議中の民法改正法案は成年年齢を十八歳に引き下げるというものですが、これによって成人、大人に対する国民の感覚と乖離が大きくならないのか、その辺りの検証が必要だと思います。
 本法律案の提出の理由については、社会経済情勢の変化に鑑み、成年となる年齢及び女性の婚姻適齢をそれぞれ十八歳とするなどの措置を講ずる必要がある、これがこの法律案を提出する理由であると説明されていますが、ここで言う社会経済情勢の変化とは何のことでしょうか、具体的に事情を御説明願います。また、なぜその事情から成年年齢を十八歳にするということになったのか、それによって成人、大人に対する国民の感覚との乖離が大きくならないのか、お教え願います。
#283
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 成年年齢の引下げの理由となります社会経済情勢の変化といたしましては、まず、十八歳以上の者が現に参政権を行使するようになったことが挙げられます。すなわち、少子高齢化が急速に進展、進行する我が国におきまして、将来を担う十八歳、十九歳の若者の積極的な社会参加を促すため、十八歳、十九歳の者に憲法改正国民投票の投票権や公職選挙法の選挙権といった参政権が与えられ、これらの者は平成二十八年七月の参議院議員選挙から実際に選挙権を行使しておりますが、市民生活の基本法である民法の成年年齢は参政権に関する年齢とできる限り一致していることが望ましいものと考えられます。
 また、人口減少や超高齢化社会といった多くの構造的課題を抱える我が国において、こうした課題に対処するためには国の将来を担う若者の力が必要となっていること、あるいは、九八%を超える高校等の進学率、消費者教育、法教育及び金融経済教育等の充実により、十八歳、十九歳の者が自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきていることも成年年齢の引下げの理由となる社会経済情勢の変化として挙げることができるものと考えております。
 次に、男性及び女性の婚姻開始年齢を共に十八歳にすることとした社会経済情勢の変化としては、社会経済の高度化、複雑化が挙げられます。社会経済の高度化、複雑化が進展した今日では、夫婦として共同生活を営むに当たっては、社会的、経済的な成熟度が重要であり、その必要とされる程度も高度化しておりますけれども、社会的、経済的な成熟度といった観点からは男女間に差異はないと考えられますことから、男性及び女性の婚姻開始年齢を共に十八歳とすることとしたものでございます。
 なかなか、大人といったそのものにつきましては、様々な捉え方、考え方はあろうかと思いますけれども、民法の成年年齢を引き下げるということの理由となります社会経済情勢の変化はただいま申し上げたようなものでございます。
#284
○山口和之君 確かに、国民投票法の投票年齢や公職選挙法の選挙権年齢が十八歳になったというのは重要な変化だとは思います。しかし、そのことを過度に重視して成年年齢を十八歳に引き下げるのも乱暴な気がします。やはり、成人、大人とは何か、日本の社会において何をもって成人、大人とされてきたのか、すべきなのかという、そもそも論から考える必要があると思います。
 明治までの日本では、二十歳をもって成年とされていたのではなくて、元服や髪上げによって成人とされていました。これらは必ずしもある年齢を超えれば一律に行われたものではなかったようですが、元服や髪上げの基準はどうなっていたのか、またそれらにはどのような社会的意義があったのかについてお教え願います。
#285
○政府参考人(小野瀬厚君) 委員御指摘のとおり、元服の年齢につきましては、時代や身分階級によって異なっていたようでございます。江戸時代には、庶民階級では男子は十五歳で元服をし、幼年を脱して一人前の大人として扱われるようになったとのことでございますが、これと異なる地方の慣習の例も多数あったというふうに言われております。
 その元服等の私法上の意義は必ずしも明らかではございませんが、男子は元服によって社会的に成人の資格を得て一人前の大人になるというふうに考えられていたものと承知しております。
#286
○山口和之君 太政官布告及び現行民法によって、元服や髪上げによる成人から成年年齢による成人へと移行したわけですが、そのことによってどのような社会的、経済的変化があったのかについてもお教え願いたいと思います。
#287
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 民法制定当時の起草者によりますと、近代的な経済取引秩序をつくり上げるための必要条件として欧米の成年制度を取り入れることとして、契約などを行うたびに相手方の成熟度を逐一確認することはできないことから、一定の年齢をもって成年に達するものと定めたというふうに言われております。
 成年年齢を一律に定めますことは、今申し上げましたように近代的な法制度の一環でございまして、近代的な経済取引秩序をつくり上げる前提の一つとなったものと考えられます。
 また、それ以前は一般に十五歳程度が大人として認識されておりましたけれども、成年年齢を二十歳と定めたことがきっかけとなって、二十歳を大人と見る風潮が広まったものと推測されます。
#288
○山口和之君 現行民法の制定経緯を調べると、成年年齢を二十歳とする必然性はなかったと。当時のまま、政治的事情によって決まったことが分かります。乱暴な言い方をすれば、一定の年齢で大人か否かの線引きをするという前提ありきで、何となくその年齢を二十歳にしたということかもしれません。
 このような一定の年齢で線引きは、成年年齢に限らず、日本の法令や行政においてよく見られます。それが余りにも行き過ぎており、何でも年齢を基準にすればよいという年齢主義ともいうべき考えがはびこっているようにさえ感じますが、そのことについて、上川大臣はどのようにお考えでしょうか。
#289
○国務大臣(上川陽子君) 法務大臣として答弁ということでございますが、我が国全体の法律あるいは行政全般を所管するという立場ではございませんので明確なお答えをするというのはなかなか難しいものではございますが、あくまで一般論として申し上げるところでございますが、法令上一定の年齢要件が定められているものにつきましては、程度の差こそあれ、一律の取扱いをすべき要請がある、その要請に基づいてこうした要件を設定しているものと思います。個別具体的な事情を考慮して判断すべきものにまで年齢要件が設けられているわけでは必ずしもないというふうに考えております。
#290
○山口和之君 一昨日、自民党の人生百年時代戦略本部がまとめた政府への提言では、年齢に関係なく活躍できる定年のないエージフリー社会の構築や、年齢を前提とした高齢者の定義、名称の在り方を見直すことを訴えているとの報道がなされています。そういった年齢を基準にしない考えというのは、これからの日本において非常に重要だと思います。そして、そのような考えは、高齢者についてだけではなく、成年者についても当てはまるのではないでしょうか。
 法務省に伺います。
 ライフスタイルの多様化が進む現在において、年齢で一律に成人か否かを分ける合理性はどれほどあるのでしょうか。例えば、義務教育を十八歳までとするとともに、無償化も含めて、さらに、飛び級を含めた上で、義務教育の終了をもって成人と認めるなどとすれば、年齢のみによらない成人の基準になるとも考えられますが、そういったことは検討しなかったんでしょうか。
 大臣に伺いますが、また、このような義務教育卒業といった成人の基準について、上川大臣はどのようにお考えでしょうか。
#291
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 民法におきましては、成年者は親権に服さないわけでございます。親権者の同意を得ないで単独で契約をすることができるのに対しまして、他方で、未成年者は親権に服し、その行為は未成年者取消し権の対象となり得るわけでございます。
 このように、成年であるかあるいは未成年であるかということは、親権に服する者の範囲や未成年者取消し権の対象となる行為を画する基準となるものでございまして、年少者を含む未成年者の保護を安定させると、こういう観点のほか、取引の安全を図る、こういう観点などから、年齢によって一律に定める必要性があるものと考えられます。
 そこで、一般的に申し上げますと、通常この年齢に達すれば、経済取引を単独で行うことができる程度の社会的、経済的成熟度に達していると認められる十八歳との年齢をもって成年年齢を定めることとしているものでございます。
#292
○国務大臣(上川陽子君) 委員から御提案をいただいた、この義務教育の終了をもって成人と認める制度についてということでありますが、大変実践的なアイデアであるというふうに受け止めるところでございますが、もっとも、今民事局長が答弁をしたとおりでございまして、民法におきましては、この成年であるのか未成年であるのかということにつきましては、未成年者取消し権の対象などを画する基準となるものでございまして、年少者をも含む未成年者の保護を安定させる観点、また取引の安全を図る観点、その観点から、一定の年齢によって一律に定める必要があるということで考えられたものでございます。
 また、義務教育を終了した時点の者が、一般的に申し上げても経済取引を単独で行うことができる程度の社会的、経済的成熟度を備えていると言えるかどうかにつきましても、これは様々な見方があろうかというふうに思います。義務教育の終了をもって成人と認める制度を設けるということにつきましては、そういった観点から直ちにこれでということにはならないものというふうに思っております。
#293
○山口和之君 先ほども、自分四月生まれですので、高校三年生になったとき十八歳になっておりました、すぐになりました。春休み終わってすぐですね、終わる前かもしれませんね、それで大人ですと言われて、果たして本当に大人なのかというふうに思うところもあります。
 成人、大人を一人前の社会人としての能力が備わった者であると考えれば、能力の備わり方には当然個人差がありますので、年齢を基準とすることは本来合理性が乏しいとも言えると思います。国民を形式的に一律にカテゴライズできるという意味では、国家の側にとっては都合のいい基準でしょうが、それによる弊害を無視していいのか、もっと良い基準はないのか検討していく必要があると考えます。ただ、今回の法改正には到底間に合わないと思いますので、以降は、閣法として提出されている法律案について質問させていただきます。
 法制審議会民法成年年齢部会から提出されている民法の成年年齢引下げについての最終報告書では、成年年齢を引き下げた場合には幾つかの問題が起きることが想定されているので、それを解決するための施策が重要であるとの指摘がされておりますが、本法律案の提出までそれらの施策がしっかりと行われているのでしょうか、検討された施策ごとにお尋ねしたいと思います。
 まず、若年者の社会的経験の乏しさに付け込んで取引等が行われないよう、取引の類型や若年者の特性、就労の有無、収入の有無等に応じて事業者に重い説明義務を課したり、事業者による取引の勧誘を制限することについてですが、本法律案の提出に至るまでこのような施策は行われていたのでしょうか、また、行われていないとすれば、その理由は何でしょうか。
#294
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、法制審議会民法成年年齢部会においては、若年者の社会的経験の乏しさに付け込んで取引等が行われないよう、取引の類型や若年者の特性に応じて事業者に重い説明義務を課したり、事業者による取引の勧誘を制限したりするなど、民法の成年年齢を引き下げても十八歳、十九歳の者の消費者被害が拡大しないよう、消費者保護施策の更なる充実を図る必要があるとの指摘がございました。
 これに関する施策でございますけれども、これまで政府全体として様々な取組を行ってきたところでございます。
 取引の類型や若年者の特性に応じて事業者による取引の勧誘を制限する制度といたしましては、例えば貸金業法では、「貸金業者は、資金需要者等の知識、経験、財産の状況及び貸付けの契約の締結の目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて資金需要者等の利益の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、貸金業の業務を行わなければならない。」といった規制がございます。
 このほか、若年者の特性に応じて事業者に説明義務を課す制度に関しましては、今国会に提出されました消費者契約法の一部を改正する法律案におきまして、消費者契約法第三条第一項を改正し、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上での情報提供を事業者の努力義務として明示することとしております。
#295
○山口和之君 次に、若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には契約を取り消すことができるようにすることについてですが、本法律案の提出に至るまでこのような施策は行われたのでしょうか、また、行われていないとすれば、その理由は何でしょうか。
#296
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、法制審議会民法成年年齢部会におきましては、若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には契約を取り消すことができるようにする必要があるとの指摘がございました。
 政府は、消費者被害の拡大を防止する施策の一つとして、この国会に消費者契約法の一部を改正する法律案を提出しております。この法律案におきましては、不安をあおる告知や恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用を、取消しの対象となる不当な勧誘行為として追加するなどの措置を講じております。これによって新たに取消しの対象となる不当勧誘行為は、主として若年者など社会生活上の経験が乏しい消費者を中心に発生する被害事例を念頭に置いたものでありまして、この施策は、先ほど申し上げました社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合の取消し権を規定したものと言うことができるものと考えております。
#297
○山口和之君 では、若年者が消費者被害に遭った場合に気軽に相談できる若年者専用の相談窓口を消費者センター等に設けることについてですが、本法律案の提出に至るまで、このような施策は行われたのでしょうか、また、行われていないとすれば、その理由は何でしょうか。
#298
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法制審議会民法成年年齢部会におきましては、御指摘のような相談窓口を消費者センター等に設けるなどの消費者保護施策の更なる充実を図る必要があるとの指摘があったところでございます。
 若年者がどこに住んでいても気軽に相談することができ、質の高い救済を受けられるようにするため、消費生活相談の体制を充実していくということは重要であると考えております。そのため、法制審議会の答申が出された後も、政府においては、消費生活センターの数を増加させるとともに、消費者被害に遭った際の相談先である消費生活センターにつながる消費者ホットラインの三桁番号化、一八八でございますけれども、こういった三桁番号化を実施し、その周知を行うなどの施策を実施しているところでございます。
 政府としましては、引き続き、こうした施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
#299
○山口和之君 次に、十八歳、十九歳の者には契約の取消し権がないということを十八歳、十九歳の者に自覚させるような広報活動をすることについてですが、そもそも、これまで二十歳以上の者には契約の取消し権がないということを自覚させるような広報活動はされてきたのでしょうか。また、現在、二十歳未満の者のうちどれだけの者が未成年者取消し権について知っているのか、未成年者取消し権がどれだけ行使されているのかなどの調査は行われているのでしょうか。本法案成立後、どのような広報活動を行う予定かと併せて、それぞれお教え願います。
#300
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 政府といたしましては、これまでも消費者教育の施策の実施などを行ってきておりますが、内閣府が平成二十五年に実施した世論調査におきましては、十八歳、十九歳の者のうち、成年年齢の引下げの議論がされていることを聞いたことがあり、議論の内容も知っていると回答した者が二二・五%、引下げの議論がされていることを聞いたことがないと回答した者が二九・六%、議論されていることを聞いたことはあるが、議論の内容までは知らないと回答した者が五五・六%という結果が出ております。
 過去の世論調査において成年年齢の引下げに関する認知度が低かったことからしますと、その引下げに向けた議論の内容や環境整備の施策等についての周知が不十分であったことは否定することはできないと認識しております。
 法務省といたしましては、二十歳未満のうちどれほどの者が未成年者取消し権について知っているのか、また未成年者取消し権がどれほど行使されているのかなどについて統計的な数値を把握しているものではございませんが、本法律案が施行されるまでの間に、未成年者取消し権を行使することができなくなることなど、成年年齢の引下げの具体的な意義について若年者に十分に理解していただくことが、成年年齢の引下げの意義を実現するとともに消費者被害の拡大等の弊害を防止するために重要であると考えております。
 このような観点から、調査方法等の詳細については現在検討中でございますが、本法律案の成立後に、成年年齢を引き下げることの意味やその時期、ほかの法律で定める年齢要件の変更の有無といった事項について、国民にどの程度浸透しているのか調査することを検討しております。また、成年年齢の引下げについて、若年者と意見交換を行う機会も設けたいと考えております。これらの取組によって得られた結果を分析した上で、その結果を活用して、若年者の認知度が向上するよう効果的な周知活動を行っていきたいと考えております。
 なお、二十歳以上の者に取消し権がないということを自覚させるような活動という意味では、学校教育において、契約の重要性やそれを守ることの意義といった事項が指導されておりまして、二十歳以上の者は取消し権を行使することができないことについても教育が行われてきたものと言うことができようかと考えております。
#301
○山口和之君 最後に、民法の成年年齢を引き下げても消費者被害が拡大しないようにするためには、一、法教育の充実、二、消費者教育の充実、三、金融経済教育の充実が必要とのことについてですが、これらの教育は全て国民が受ける必要があると思います。そのためには、まず、義務教育カリキュラムの内容とすることが考えられますが、そもそも、現行の義務教育制度の下で実効的な法教育を行うことは実現可能なのでしょうか。
 消費者被害をなくすためにはどういった内容の法教育が必要か、その内容を理解するだけの学力があるのはどの学年からか、そしてその内容には何時間の授業が必要なのかなどを考えると、義務教育のカリキュラム、内容では難しいように思われますが、いかがでしょうか。また、一部又は全部を高校の教育で行おうとすれば、高校に通わない人に対してはどうやって教育をしていくつもりなのか、お教え願います。
#302
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘の法教育、消費者教育、金融経済教育については、平成二十年の学習指導要領の改訂により、既に充実化が図られております。
 また、義務教育におきましては、小学校社会科や家庭科において、地域の社会生活を営む上で大切な法や決まりについて扱うこと、物や金銭の大切さに気付き計画的な使い方を考えることや、身近な物の選び方、買い方を考え適切に購入できることが指導されております。中学校社会科や技術・家庭科においては、契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任などに気付かせること、消費者の基本的な権利と責任について理解することが指導されております。高等学校公民科や家庭科において、消費者に関する問題、契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題について指導されております。
 また、学校教育以外の場におきましても、法教育については、地域の市民講座等への講師派遣や法教育イベントの開催等を通じて、社会人を含めた一般の方々に対して実施されておりまして、消費者契約については、消費生活センターや公民館、図書館等において消費者問題に関する普及啓発が実施されております。
 また、金融経済教育については、金融庁を含む金融関係団体が、地域の市民講座等への講師派遣、自治体等へのガイドブックの配布、説明会等のセミナーやイベントの開催等を通じて、一般社会人に対する金融経済教育を実施しているところでございます。
 法務省としましては、引き続き、関係省庁と連携して、これらの取組の充実強化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
#303
○山口和之君 いろいろとお話を伺っていると、法制審議会民法成年年齢部会で検討された施策が既に全てが行われており万全の状況になっているとは言い難いと思います。
 本日は、最後に、刑の一部執行猶予制度についてお尋ねいたします。
 刑の一部の執行猶予制度の運用が始まってからちょうど二年となりますが、この制度の現状はどのようになっていますでしょうか、御説明願います。
#304
○政府参考人(辻裕教君) 御承知のとおり、刑の一部執行猶予制度は、犯罪をした者のうち再犯者が占める割合が少なくない状況にあることに鑑みまして、懲役又は禁錮に処せられた者について、その刑のうち一定期間について執行して施設内処遇を行った上で、残りの期間については執行を猶予し、相応の期間、刑の執行猶予の取消しによる心理的強制の下で社会内における更生を促すということを可能とする制度でございまして、平成二十八年六月に施行されたものであります。
 それで、平成二十八年六月から同年十二月までの通常第一審、地方裁判所、簡易裁判所における通常第一審でございますが、ここでの終局処理人員の統計によりますと、懲役、禁錮を言い渡された者のうち、一部執行猶予が付いた判決の言渡しを受けた者は千七名であると承知しております。また、一部執行猶予付判決の言渡しを受けた者千七名は、その全員が保護観察に付されたものと承知しております。
 なお、平成二十九年十二月末現在におきまして、実刑部分の執行が終了したことによって保護観察が開始された刑の一部執行猶予者につきまして、その執行猶予が取り消された事例はないというふうに承知してございます。
#305
○山口和之君 再犯防止推進計画においては、薬物依存を有する者への支援等という項目において、政府においては、平成二十八年六月から施行された刑の一部の執行猶予制度の適切な運用を図ることとしているとしていますが、ここで言う適切な運用の具体的な内容をお教え願います。また、これまで検察官が裁判において刑の一部の執行猶予付きの懲役を求刑した事例は何件あるのかも併せてお教え願います。
#306
○政府参考人(辻裕教君) 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予制度でありますが、その趣旨は、薬物使用等の罪を犯す者は、一般に薬物への親和性が高く薬物事犯の常習性を有する者が多いと考えられ、これらの者の再犯を防止するためには、刑事施設におきまして物理的に薬物を遮断するなど薬物への傾向を改善するための処遇を行う、それとともに、これに引き続きまして、薬物の誘惑があり得る社会内においてもその処遇の効果を維持強化する社会内での処遇を実施することが有用であるというふうに考えられた点にあると承知してございます。
 そこで、かかるこのような法の趣旨にのっとりまして、法律の要件に照らして適切な事案において刑の一部の執行猶予が付されるように努めるとともに、薬物使用等の罪を犯し刑の一部の執行猶予に付された者につきまして、施設内処遇及び社会内処遇を適切に行って、その再犯防止、改善更生を図っていくということがこの制度の適切な運用ということと言えるのではないかと考えてございます。
 次に、お尋ねとして、検察官が裁判において刑の一部執行猶予の懲役を求刑した事例ということでございますけれども、一般論として申し上げれば、事案に応じた適正な量刑を求めるという観点から、検察官が刑の一部執行猶予の適用についてその適用を求めるという意見を述べることはあり得ると考えられるところではございますが、申し訳ございませんが、検察官が裁判において刑の一部執行猶予付判決を求めた事例は網羅的には把握していないというところでございます。
#307
○山口和之君 新しく導入された制度が正しい方向に向かっているかどうか監視する上では定量的なデータを取り続けることが重要ですが、現在、刑の一部の執行猶予制度について、法務省としてはどういった項目について統計を取っているのでしょうか、お教え願います。
#308
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 法務省では、関係する統計といたしまして、全国の検察庁で取り扱った刑事事件に関する統計資料を収録した検察統計年報、保護観察所等で取り扱った犯罪をした者等の更生保護に関する統計資料を収録した保護統計年報、全国の刑務所及び拘置所の被収容者等に関する統計資料を収録した矯正統計年報を毎年八月頃をめどに前年分について公表しております。
 お尋ねの刑の一部執行猶予制度に関しましては、平成二十八年六月の法律施行後、検察統計年報におきましては、刑の一部執行猶予の言渡しを受けた者の罪名別人員数、刑期別人員数、執行猶予の期間別人員数、言渡しを取り消された者の人員数、保護統計年報におきましては、保護観察付き刑の一部執行猶予の言渡しを受けた者であって保護観察が開始された人員数及び終了した人員数のほか、保護観察中の者の居住状況別人員数及び就職状況別人員数、矯正統計年報におきましては、刑の一部執行猶予の言渡しを受けた者であって実刑期を終え出所した者の人員数、仮釈放された者の人員数などの数値を集積し、それぞれ公表することとしております。
#309
○山口和之君 では、刑の一部の執行猶予制度について、最高裁判所としてはどういった項目について統計を取っているのでしょうか、教えてください。
#310
○最高裁判所長官代理者(安東章君) お答え申し上げます。
 最高裁判所におきましては、判決において刑の一部の執行が猶予された被告人の人数、処断罪名、宣告刑、それから、その刑のうち執行が猶予された部分、保護観察の有無などについて統計を取ってございます。
 若干新しい統計の概要を御説明申し上げますと、平成二十八年六月の制度施行時から今年の四月末までに、高等裁判所、地方裁判所あるいは簡易裁判所において刑の一部執行猶予が言い渡された被告人の人数は合計で三千三十一人となってございます。刑の一部執行猶予が言い渡された被告人の処断罪名につきましては、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反などの薬物犯が多くなってございますが、窃盗罪、傷害罪などの刑法犯もございます。また、保護観察につきましては、法律上必要的とされていない事案におきましても、ほぼ全ての被告人に保護観察が付されてございます。
#311
○山口和之君 刑の一部の執行猶予制度は、再犯防止を目的として導入されたものですが、この目的を確実に達成するためには、PDCAサイクルを回していく必要があります。現時点で改善が必要な点は見付かっていますでしょうか、必要な点を見付けていますでしょうか。また、今後どういったスケジュールで見直しや改善を行う予定なのでしょうか、説明願います。
#312
○政府参考人(辻裕教君) 刑の一部執行猶予制度は、平成二十八年六月に施行されてから二年たつわけでございますが、刑の一部の執行猶予が言い渡された者のうち、実刑期間を終えて執行猶予中である者、更に進みまして、執行猶予期間を終了した者といった者についての事例の集積がいまだ十分ではないということでございますので、現時点において改善が必要がある点について具体的にお答えすることは困難でございます。
 ただ、この制度につきましては、国会における法案審議の際の附帯決議におきまして、「再犯状況を検証し、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」とされているところでございます。
 法務省といたしましては、引き続き、運用状況等を注視し、集積された事例等に基づきまして適切に検討を行ってまいりたいと考えております。
#313
○山口和之君 政府が設置した成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議では工程表が示されており、今回の民法改正の目的を確実に達成するためにPDCAサイクルを回していくということになっております。刑の一部執行猶予制度に関しても、是非、工程表なりを作り、PDCAサイクルを回していくことによって、再犯防止をより確実に、より早期に達成できるようにしていただきたいと思います。
 以上で本日の質問を終わります。
#314
○委員長(石川博崇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#315
○委員長(石川博崇君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案の審査のため、来る六月五日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#316
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#317
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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