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2018/07/03 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第20号
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2018/07/03 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第20号

#1
第196回国会 法務委員会 第20号
平成三十年七月三日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十八日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     岡田 直樹君
 七月二日
    辞任         補欠選任
     岡田 直樹君     佐藤  啓君
     柳本 卓治君     進藤金日子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川 博崇君
    理 事
                中西 健治君
                山田  宏君
                若松 謙維君
                有田 芳生君
    委 員
                佐藤  啓君
                進藤金日子君
                福岡 資麿君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                山谷えり子君
                櫻井  充君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                石井 苗子君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   参考人
       東京大学大学院
       法学政治学研究
       科教授      大村 敦志君
       弁護士      横山 佳枝君
       立命館大学法学
       部教授
       法学博士     二宮 周平君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○法務局における遺言書の保管等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、こやり隆史君及び柳本卓治君が委員を辞任され、その補欠として佐藤啓君及び進藤金日子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(石川博崇君) 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案及び法務局における遺言書の保管等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授大村敦志君、弁護士横山佳枝君及び立命館大学法学部教授・法学博士二宮周平君でございます。
 本日は、大変にお忙しい中、本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の先生方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考としたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、大村参考人、横山参考人、二宮参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が十五分と限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 それでは、大村参考人からお願いいたします。大村参考人。
#4
○参考人(大村敦志君) おはようございます。東京大学で民法を担当しております大村と申します。本日は、このように意見を申し上げる機会をいただきまして、大変有り難く存じます。
 私は、法制審議会での審議に部会委員及び部会長として参加しておりましたが、本日は、今回の相続法改正につきまして、一人の研究者としての観点からの評価を交えつつお話をさせていただきたいと存じます。
 まず最初に、改正の背景についてでございます。
 今回の改正は、直接には、二〇一三年、平成二十五年に最高裁判所で、嫡出子と非嫡出子の相続分の差を設けた民法旧九百条四号ただし書前段の規定、これが憲法に反するとの判断が下されたと。そして、これを受けて、国会においてこの部分が削除された。その際に、この法改正によって、生存配偶者、すなわち亡くなられた方の妻ないし夫に不利益が及ぶことがないだろうかという懸念が示されたということに端を発しております。
 嫡出子と非嫡出子の相続分が平等化されましても、子供の相続分が全体として遺産の二分の一、配偶者の相続分が残りの二分の一であるという点、この点は変わりませんので、今申し上げた法改正は直接には配偶者の相続分に影響を及ぼすわけではありません。しかしながら、配偶者とその子である嫡出子とを合わせた相続分というのが相対的に減ることになりますので、このことによって配偶者が実質的な不利益を受けることがないかということが問題にされたというふうに理解しております。
 もっとも、今回の法改正の背後には、今申し上げたものとは別に、より長期的な、それ以外の状況の変化というものも存在いたします。
 一九四七年、昭和二十二年に日本国憲法が施行されたのに伴い、民法の親族編、相続編についても大改正がなされました。このうち、相続編につきましては、一九六二年、昭和三十七年と一九八〇年、昭和五十五年に改正がなされましたけれども、その後は改正が行われてはおりません。つまり、相続法は、四十年近くにわたって改正を受けることなく今日に至っております。
 ところが、この四十年の間に、相続をめぐる状況というのは大きな変化を見せてまいりました。
 第一に、高齢化が進むことによりまして、すなわち長生きをされるという方々が増えたことによりまして、その方が亡くなると残された配偶者もまた高齢であるというケースが多くなってきております。そうなりますと、先ほど触れました法改正は別にいたしましても、高齢化した生存配偶者の生活を守る必要性が高まってくるということになります。
 第二に、一九八〇年代以降の不動産価格の上昇等によりまして、遺産の価値というものが相対的に大きくなってまいりました。また、遺産の内容を見ましても、被相続人、亡くなった方ということになりますが、被相続人が自らつくり上げたものが遺産中に占める割合というのが大きくなっている。そうであるならば、それは自分の思うように処分しても構わないのではないかと、こういう考え方が強まってまいりました。そこで、民法の定める相続分とは異なる仕方で財産を残すために遺言を利用しようという人が増えてまいりました。その結果といたしまして、遺言に関する紛争あるいは遺産分割に関する紛争も増えてまいりました。
 第三に、家族に対する考え方、あるいは親子関係の実態といったものも随分多様化しております。一つの家族の中で見ましても、親と密接な関係を保つ子がいる一方で、親との関係が疎遠な子もいるというような状況がございます。より具体的に申しますと、親の介護に対する関わり方なども全ての子供が同じではないというようになってまいります。また、ある場合には、子供ではなく、親しい人のうちの誰かが亡くなった方の面倒を見ていた、こういう場合も出てまいります。
 以上のような状況の変化を踏まえまして、今回の相続法改正案においては幾つかの提案がなされたと、このように理解をしております。要綱では六つにまとめられておりましたけれども、以下におきましては、ここまでお話をさせていただきました法改正の背景事情に照らしつつ、三つに整理をしてお話をさせていただきたいと存じます。
 第一、一つ目は生存配偶者の保護に関するものでございます。
 その一つが、広い意味での配偶者居住権の新設ということでございます。今、広い意味でと申し上げましたけれども、この中には短期のものと長期のものがございます。
 短期のものは一時的なものでございまして、大まかに申しますと、相続が始まってから一定の期間、例えば、遺産分割が終わるまでは亡くなった方の所有する住宅に配偶者が住み続けられるというものでございます。
 これに対して長期のものは、残された配偶者が生きている間はその住宅に住み続けることができるというものでございます。もっとも、こちら、長期の居住権は一時的なものではございませんので、無料で、無償で住み続けられるというわけではありません。終身の居住権には経済的な価値がございますので、遺産分割の際には自分の相続分の範囲でこの長期居住権を得るということができる、そうした選択肢を付け加えたというのが今回の改正であろうかと思います。
 もちろん、従来と同様に、所有権という形で住宅を相続するということも可能であるわけですけれども、所有権に比べますと長期居住権の評価額は相対的に小さなものとなります。そこで、所有権を得るのではなく、長期居住権を得ると同時に他の遺産、例えば預貯金等を相続するといったことも考えられるようになってまいります。
 このように、選択肢が増えたということは、生存配偶者の保護のための措置として一定の意味を持つと考えております。また、夫婦の住居に対して法が特別の配慮をするということは、今後様々な場面に影響を及ぼすきっかけになるのではないかとも考えております。
 もう一つが持ち戻し免除の意思の推定というものでございます。
 現在、婚姻期間が二十年以上の夫婦間では、居住用の不動産につき贈与がなされた場合に税制上の優遇措置がなされておりますけれども、これに関わる規定でございます。この制度を利用する夫婦は一定数あるようですけれども、この制度を利用して配偶者に贈与をするという場合、それまでの配偶者の貢献に報いる、もう少しドライに言いますと、配偶者の貢献を金銭的に評価して支払うと、こういう意図を持っている人が多いのではないかと思われます。
 生前贈与は、一般には相続の前倒しとしてなされることが多いわけですけれども、今申し上げたような場合には、狭い意味での相続とは別に、財産関係を清算するという意味での贈与をしているのではないかと。そうであれば、相続の際に生前に贈与された財産を計算上相続財産に含める、これを持ち戻しと呼んでおりますけれども、そうした必要はないだろうと、このように考えようということでございます。
 遺産形成への配偶者の貢献を考慮に入れる方策といたしまして当初検討されていた案とは内容は変わっておりますけれども、小さな規定ではございますが、意外に役割を果たす規定となるのではないかと思っているところでございます。
 第二に、遺産分割や遺言に関する紛争への対応に関わるものがございます。
 一つは、預貯金の仮払い制度でございます。相続法改正案の審議中に、最高裁判所は、預貯金債権は相続開始、すなわち被相続人の死亡によって当然に各相続人に分割帰属するという従来の考え方を改めまして、預貯金もまた遺産分割の対象となるといたしました。その方が合理的で公平な遺産分割ができるというのが実質的な理由かと思います。このような考え方は法制審でも検討されていたところでございます。
 しかし、そうなりますと、例えば葬儀費用が必要だという場合、亡くなった方の口座から引き出すことができなくなる、それでは困るだろうということで、一定の額について遺産分割に先立ち仮払いを認めるというわけでございます。これによって、指摘されていた難点に解決が与えられるということを期待しております。
 このほかに、遺言の方式の緩和ですとか遺言の保管制度などもございます。また、遺言執行者の権限の明確化、遺留分制度の見直しなどもございますけれども、時間の関係で省略させていただきます。
 最後、三番目は、相続人以外の人の貢献に関する特別の寄与という制度の新設でございます。
 亡くなった方に対して生前療養看護など労務の提供をしていたという場合、その人がもし相続人であれば、このことは寄与分という制度によって相続分を増やすという形で評価されます。しかし、寄与分が認められるのは相続人だけでございます。そこで、相続人でない人についても、亡くなった方と一定の関係にあった人については、言わば相続法の内部で、遺産分割と並行して寄与に応じた金銭の請求を認めようというものでございます。これが特別寄与料と呼ばれているものでございます。
 この問題につきましては、一方で、請求できる人の範囲を制限すべきであるという意見、他方で、そもそもこの問題は相続法の外部で対応すべきだという意見など様々な意見がありましたが、そうした意見を調整する中でこの案に落ち着いたものと理解しております。この案がまとまったということ自体に意味があるのではないかというふうに考えております。
 最後に、二つのことを申し上げて結びとさせていただきます。
 第一に、一九四七年の民法改正は、不都合な部分を削る言わば引き算の改正であったため、遺産分割に関する規定はずっと乏しいままでございました。今回の法案がこの点を相当補っているというのは、一つの成果であったと評価しております。
 第二に、家族法の改正は意見が対立することが多く、成案を得ることはなかなか難しいのですけれども、今回は立場の相違を超えて何とか案をまとめようということで、それぞれの立場からは不満が残るものの、改正案が取りまとめられております。これも評価すべきことであり、ある意味では今後の家族法立法のモデルになる面もあるのではないかと考えております。
 私の意見は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
#5
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。
 次に、横山参考人にお願いいたします。横山参考人。
#6
○参考人(横山佳枝君) 本日は、参考人としてこのような場を与えていただきましたことを、誠に感謝申し上げます。
 私は、第二東京弁護士会に所属しておりまして、その中にあります両性の平等に関する委員会の委員をしております。当委員会は、当初はセクシュアルハラスメント、ジェンダーバイアスの問題などに取り組んでおりまして、数年前からは性的少数者の人権問題についても取り組み、研修会を開催するなど性的少数者に対する理解を深める活動を実施しております。
 本日は、性的少数者の方々が直面している困難の解消とその人権擁護の点から、相続法改正のうち、法律案第千五十条に規定されております相続人以外の者の貢献を考慮するための方策に絞って意見を述べさせていただきます。
 第千五十条の相続人以外の者の貢献を考慮するための方策とは、被相続人に対し無償で療養看護その他労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者に特別寄与料の支払を相続人に求めることを認めるものです。つまり、相続人以外の者であっても、財産の維持、増加に無償の貢献があった場合に、これを評価し、事実上遺産の一部を取得させることで関係者間の実質的公平を図ることを目的とするものです。
 しかし、本年三月十三日に提出された改正案では、この特別寄与者の範囲を被相続人の親族に限定しております。法制審議会の中間試案では、請求権者の範囲を限定しない案も併記されていましたが、最終案ではその案は採用されておりません。特別寄与者の範囲を親族に限定した場合、例えば事実婚を選択している異性カップルのパートナーや同性カップルのパートナーは特別寄与料の請求権を有しないこととなります。したがいまして、何年連れ添い、どれだけ貢献をしたとしても、事実婚の異性のパートナー、同性のパートナーは特別寄与料を請求することはできません。
 先ほどお話ししましたように、改正案の趣旨は関係者間の実質的公平を図るというものとお聞きしています。そうであれば、無償の貢献とそれによる財産の維持、増加がポイントであって、請求権者の範囲に身分的限定を課す合理的理由はないと考えます。
 特に、同性カップルは、日本の現行法制ではカップルの関係性に伴う法的保護は何もありません。また、いまだあります社会の偏見や無理解により、社会生活上様々な困難に直面しています。そのような状態にある同性カップルからパートナーとの死別後の特別寄与料請求権すらも取り上げてしまうということは、極めて問題であると考えます。
 精神的、経済的に互いに助け合い、支え合い、家族として生きている同性カップルは昔から社会に確かに存在しております。しかし、日本では、同性カップルは社会で見えない存在とされ、家族は男女のカップルによりつくられるという観念から、法制度は異性カップルを前提としてつくられてまいりました。他者との親密な関係、互いに精神的、経済的に支え合う関係は、生存の基盤として極めて重要なものです。異性カップルの場合、そのような関係は大切なものとして扱われ、婚姻制度に象徴されるように法的な保護の対象に位置付けられますが、同性カップルは婚姻制度から除外され、何らの法的保護も与えられずにいるのです。
 例えば、同性カップルは、どれほど長期間にわたり夫婦同然の生活をしていたとしても、健康保険、介護休業の取得、労災の遺族補償、遺族年金などについて社会保障法による保護を受けることはできませんし、税制上配偶者に認められる優遇措置を受けることもできません。また、生活の基礎となる居住の面でも、同性パートナーの場合は同居を断られるケースがあります。また、入院や手術などの医療行為を受ける場合、法律上の家族には面接権や医療上の同意権など通常認められていますが、同性パートナーに対しては、医療機関の対応に委ねられておりますので、場合により同性パートナーは面会も医療上の同意もできないケースがあります。
 さらに、同性パートナーが亡くなった場合、相続人ではないことから遺産を相続することはできません。ただ、生活の実態を見れば、同性パートナーが築いた遺産はカップルの相互扶助により築かれたものとして、残された同性パートナーの権利が認められるべきものと考えます。
 資料として配付しております二〇一八年四月二十六日の東京新聞の記事がありますが、これは本年四月二十六日に大阪地方裁判所に提起された訴訟であり、これは死別した同性パートナーの遺産に関する紛争です。四十年以上にわたり共同生活をし、自営業を共に営むことで財産を築いたにもかかわらず、同性パートナーの急逝により、相続人である同性パートナーの妹が全ての遺産を取得し、同性パートナーが名義上代表していた自営業についても、勝手に廃業通知を取引先に出されたことから事業を継続できなくなったという件です。原告は、パートナーの妹に慰謝料の支払と財産の引渡しを求めて争っています。
 国際社会では、同性カップルの関係を家族と認め、異性カップルと同様の法的保護を与えようという動きが顕著に見られます。現在、二十五か国で同性間の婚姻が法制化されています。移民政策という国の裁量が前提とされる領域においても、同性カップルの関係性を家族と認め、在留資格を付与する潮流にあります。
 欧州人権裁判所では、同性カップルのパートナーに在留許可を付与しなかった事案において、国家の移民政策における裁量を認めた上で、国は家族生活の尊重という権利を侵害しない方法をもって政策を実施しなければならず、同性パートナーに在留許可を付与しないことは性的指向に基づく差別であると判断しています。
 以上述べた国際社会の動きと比較し、日本における同性カップルの法的保護の取組は余りに遅れていると言わざるを得ません。G7構成国のうち、いまだに同性間の婚姻制度も登録パートナーシップ制度もないのは日本のみです。
 もっとも、日本においても、現時点で七つの地方自治体において同性カップルのパートナーシップ制度に関する条例や要綱を制定しています。また、企業においても、同性カップルを家族として扱うようサービスを変更したり、就業規則を改定する動きも見られます。このような地方自治体や企業の施策により、同性カップルに対する法的保護を実現する動きが全国的に広がりつつあります。
 なお、同性カップルを家族と認めるべきことに関連し、同性婚と憲法について一言お話しします。
 憲法二十四条一項の「両性の合意のみに基いて」との文言について、憲法を改正しなければ同性婚は認められないという見解がありますが、これは理由がないと考えます。ここの「両性の合意のみに基いて」の意義については、憲法制定当時の経緯によれば、戸主、血族の意思などに関わりなく、婚姻当事者の合意のみによって婚姻をするということを意味すると解されます。
 以上まとめますと、異性カップルの結合を前提として構築された政策により、同性カップルは社会の構成単位として認められず、法的主体として承認されていない状況にあります。それにより、同性カップルは社会生活を営む上で多岐にわたる困難に直面しております。
 以上述べたところによれば、精神的、経済的に支え合ったパートナーを失い、何らの生活保障もない同性パートナーから、特別寄与料という制度の利用までも奪うべきではありません。同性パートナーや事実婚のパートナーを含め、特別の寄与をした者全てを対象とすることにより、関係者間の実質的公平を図るという趣旨はより貫徹できるものであり、親族要件を課す合理的理由はないと考えます。
 以上述べたところによれば、千五十条の特別の寄与をした被相続人の親族という文言は特別の寄与をした者に変更し、特別寄与料の請求から親族要件を外すべきであると考えます。文言の僅かな違いですけれども、これは同性カップルの権利保護に向けた第一歩であり、昨今の自治体の動き、社会の意識の変化、国際社会の動向に鑑みれば、国として今こそその一歩を踏み出すべきと考えます。
 以上、御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。
 次に、二宮参考人にお願いいたします。二宮参考人。
#8
○参考人(二宮周平君) 相続法改正に関しまして見解を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
 私は、二〇一三年の十二月三日、民法の婚外子相続分差別規定の廃止、それから出生届の嫡出子、嫡出でない子の区別記載の根拠規定となっている戸籍法四十九条二項の改正がこの法務委員会で可決されました、そのときに参考人として招致されておりまして、言わばそのときの婚外子相続分差別平等が今回の相続法改正の契機となった、大村参考人が述べられたとおりの経過がありますので、非常に感慨を覚えておる次第です。
 今次法改正の経過につきましては大村参考人が述べられたところでもありますし、私も実は短い文章を書いておりまして、こちらの調査室の人に作っていただいた関連論文、新聞記事集があります。この中に、「時の法令」、持ってまいりましたが、これの二千四十四号で、「相続法改正要綱案と法律婚の保護」ということで書いているところですので、それを御参照いただければと思います。
 今回の相続法改正について大村参考人が述べられました二番目の要点、遺産分割、遺言に関わることについては私も賛同するものです。しかし、大村参考人が述べられました生存配偶者の居住権の新設、持ち戻し免除の推定、そして特別寄与の三点につきましては、私は反対の立場です。
 実は、二〇一三年の十二月三日のときに、法律婚配偶者の居住保護がそのときも議論になりました。当時、佐々木さやか委員は、そういった場合には個別事情を考慮して、そのケースで妥当かどうかということが判断されるべきであり、何らかの居住の権利ということで生存配偶者に法定の権利のようなものが認められることになった場合、個別の事情が考慮できなくなるおそれがあり、かえって、配偶者の地位の確保、配偶者の居住権の保護という議論を通じて、せっかく平等が実現される婚外子の相続分についてまた新たな、新しい差別のようなことが生まれはしないかと心配していると述べられました。
 今次提案は直接的に婚外子の差別をもたらすものではありません。しかし、法律婚の生存配偶者保護に特化していますから、法律婚以外の家庭生活を排除するおそれがあります。この点で、佐々木委員の懸念は実は正鵠を得ているように思うわけです。
 どこがその排除になっているかということを申し上げます。
 まず、配偶者居住権の新設ですけれども、高齢社会における居住形態は所有家屋だけではありません。賃貸住宅や施設で暮らしている場合もあります。高齢者の再婚に先妻の子供たちらが反対したことから事実婚で暮らしている場合もあります。長期間、同性カップルで共同生活をしている場合もあります。複数の高齢者ないし親密な者同士で居住している場合など、居住形態は多様です。しかし、今回は相続法という枠組みの中での居住保障ですから、当然、法律婚配偶者に限定された居住保障です。それ以外の家庭生活、所有権以外の居住形態を取っている人は対象外になっています。包括的な高齢者のための居住保護という視点で捉え直すときに、今次法改正は排除の論理が含まれているように思うのです。
 二番目は、生前贈与の持ち戻し免除に関わることですが、これは元々、相続法制検討ワーキングチーム、二〇一四年につくられておりますけれども、このときには、遺産を実質的夫婦共有財産と固有財産に分けて、実質的共有財産については配偶者に二分の一の法定相続も認める、残余の固有財産について相続を開始するという、こういう組立てでした。しかし、二つの財産に分けられるのかということについて疑問が提起され、今次の民法(相続関係)部会の中間試案では三つの案が提起されました。被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上に増加した場合、その割合に応じて配偶者の相続分を増やす案、婚姻成立後一定期間が経過した場合、その夫婦の合意により配偶者の法定相続分を引き上げるという案、第三に、婚姻成立後一定期間の経過により当然に配偶者の相続分を引き上げるという案、これらがまとめられました。
 しかし、パブリックコメントを取りますと、なぜ配偶者の相続分だけ引き上げるのか、その理由が分からない、被相続人の財産形成に貢献し得るのは配偶者だけではない、それ以外の相続人や、さらには内縁関係にある者にも貢献が認められることがあるなどの批判があり、結局、部会ではこうした反対の意見を考慮をされまして修正されました。それが今次の生前贈与の持ち戻し免除という提案になっています。
 しかしながら、この提案についても、パブリックコメントを取りますと反対意見がありました。婚姻期間の長短、つまり二十年で切っていますから、婚姻期間の長短は生存配偶者の生活保障の観点とは直接関係がない、不動産を持たない高齢者についても生存配偶者の生活保障ができる制度にすべきだ、他の相続人や内縁夫婦についても財産形成への貢献や生活保障の必要性が同じである、居住用不動産以外の相続財産が少額であった場合、他の相続人、子供たちとの間に著しい格差が生じてしまうといった反対意見でした。
 現在の判例によりますと、個別対応しています。例えば、自立できない子供がいる場合に、精神的に、身体的にきつい状態にある子供さんのために土地や住宅を生前贈与する、あるいは株式を生活のためにといって生前贈与をする、そういう場合に裁判所は、必要性を認めた場合に持ち戻し免除という黙示の意思表示があったとして具体的に解決をしています。あえてこのように画一的に二十年、居住用不動産の生前贈与のみと限定する必要は何もありません。
 相続人以外の者の貢献、特別寄与に関しては、横山参考人からるる御説明がありましたので私の方から追加することはありませんが、私も横山参考人と同じく、同性カップルを始め、事実婚を取っている人たちなどで被相続人の療養看護に尽くすケースはあるわけですから、そういう人たちが今次提案の対象外となるということにも、ここにも法律婚以外の家庭生活を排除するという、そういう考え方を読み取ることができるように思います。多様な生活への配慮が必要ではないかと思います。
 事前にお送りいただいた参議院の法務委員会の議事録未定稿版を参照させていただきました。そこで上川法務大臣は、事実婚、同性婚など多様な生き方を排除するものではないとおっしゃっています。また、特に多様な家族の在り方に関する状況に十分熟慮し、今後も必要な検討を行うと発言されています。今次改正に反映させなくて、排除するものではない、十分留意しと言えるのでしょうか。
 法律婚では、居住保障、それから特別寄与の保障がありますが、事実婚では、上川法務大臣によれば、遺言とか事前の契約を結べば対応できるとおっしゃるのですが、法律婚カップルの場合には求められない自助努力を、なぜこうした事実婚の人たちに求めるのでしょうか。同じ家庭、共同生活であるのにそこに区別があるということは、やはり排除の論理があるように思われてなりません。
 民法は基本法ですから、象徴的な意味を持ちます。最高裁大法廷、平成二十五年九月四日、婚外子の相続分差別を違憲とした決定要旨の中に次のようなフレーズがあります。「本件規定の存在自体がその出生時から嫡出でない子に対する差別意識を生じさせかねない」、民法の持つ規定の重さです。
 二十一世紀、日本社会の在り方は、もう議員の皆様がお考えと思いますけれども、キーワードは多様性と包摂です。ダイバーシティー・アンド・インクルージョンです。法律婚以外の家庭生活への法的保障を排除することは、このダイバーシティー・アンド・インクルージョンに反しているように思います。だからこそ、法律婚以外の多様な家庭生活への配慮、これを民法の規定に盛り込むべきだと思うのです。
 事実婚の選択は多様です。選択的夫婦別氏制度が実現しないために事実婚を取られる方、同性カップルの方は、同性婚は制度化されておりませんから、当然事実婚になりましょう。高齢者同士の再婚に子供たちが反対するために、やむを得ず事実婚を選ばれる方もあります。こうした法律婚以外の事実婚、家庭生活を営む人たちで療養看護に尽くした場合、せめてその場合だけでも特別寄与者として含むと、つまり親族に限定しないということは、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンのそういう思想の一つの反映として多くの人に受け入れられるのではないかと思います。パブリックコメントにおいてもこの方向が支持されていたと聞きます。
 さらに、私見を付け加えさせていただきますと、相続の代替措置として、民法七百六十八条、これは離婚の際の財産分与規定ですが、これを事実婚カップルの人たちに適用するということが考えられます。最高裁はこれを認めなかったものですから、あえてこれを法律の条文にする意味があると考えているのです。
 七百六十八条の四項に、第一項から前項までの規定は、婚姻の届出がない二人の共同生活関係が当事者の一方の死亡により解消した場合に準用する、こういう規定を新設すれば、財産分与、非常に柔軟な規定ですので、生存当事者の居住や生活保障や療養看護への保障なども可能になります。極めて限られた部分での法的保障でありますが、こうしたことによってダイバーシティー・アンド・インクルージョンを明示的に示す象徴的な役割があると考えますので、こうした考え方の採用を御提案する次第です。
 御清聴どうもありがとうございました。
#9
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○中西健治君 自由民主党の中西健治です。
 本日は、三人の参考人の先生方、大変ありがとうございます。
 大村先生がおっしゃっていたように、家族法分野の改正というのは意見がいろいろあると。特に相続も、婚姻の在り方に密接に絡むということで、なかなか意見がまとまりにくいという中でこうした法案がきっちり法案として形になったということ、これ自体、今後の家族法の改正のモデルになるんじゃないかと、こういう御評価をいただいたわけでありますが、三人の先生方のお話を聞いていると、やはりなかなか難しいものだなということを改めて感じたところであります。
 今回、配偶者居住権、これ大きな新しい制度の創設ということに、権利の創設ということになりますけれども、今般、事実婚状態の配偶者に権利を認めないということにしたわけでありますけれども、これ、まずは大村先生にお伺いしたいと思いますけれども、この事実婚の配偶者は認めない、法律婚に限るということにしたこと、この理由と、そしてこれについての評価について大村先生の御意見をお伺いしたいと思います。
#11
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。御質問にお答えをさせていただきます。
 配偶者の居住権というのは、相続の内部における選択肢の一つとして提案されているものでございます。
 相続の内部でこれを考えるということになりますと、その対象として考えられるのは、一番広く取って、全ての相続人についてこのような権利を認めるかどうかということになってくるかと思います。その段階で相続人でない者というのは、その外に漏れてしまうということにならざるを得ないのだろうと思います。これがお答えでございます。
 それとの関連で一言付け加えさせていただきたいのですけれども、先ほど二宮参考人から、今のような考え方こそが排除の論理につながるのだという御趣旨の発言があったというふうに伺いました。私は、これを排除として捉えるのではなくて、配偶者について従前不十分であったものを補うと、その部分の保護を高めていく、そういうふうな措置であると。何かを切り捨てたというのではなくて、配偶者に何かを足したということなんだろうと思っております。
 配偶者、法律上の配偶者にこのような保護が与えられているということがありますと、その後、他の生活関係にある者についても更なる保護が必要なのではないかという力が働きますので、このこと自体は評価に値することなのではないかと考えております。
#12
○中西健治君 ありがとうございます。
 今後の議論のきっかけともなることではないかと、こういうふうにおっしゃっていただきました。
 大村先生のこれまでお書きになったもの若しくは法制審での御発言なんかを見ますと、やはり、今回の配偶者居住権というのは登記がなし得るというか、される権利ですので、やはり形式的にすぐ判断できるものじゃないといけないのではないかということも理由として挙げられたというふうに思いますので、その意味でも、やはり法律婚に限るということが必要なのではないかと、こういう御意見だったと思います。
 そういう意味で、私も、どこかで分かるようにしなきゃいけないということでは、必ずしも排除の論理という言葉で切って捨てるようなものではないのかなというふうには思っているわけでありますけれども。
 ただ、横山参考人、二宮参考人がおっしゃるとおり、事相続に関しては、高齢者が特に対象となってくるということでありますから、高齢者の場合に、これ二宮参考人のお話にありましたけれども、先妻の子供たちの反対もあるかもしれないので、波風を立てないように本人たちの意思とは別に事実婚を選択しているケースだとか、こうしたことなどもあるんだろうと思いますし、あと、特別寄与に関しても、やはり婚姻関係はなくても高齢のお二人がお互いに支え合って、そして一方が病気になったときに介護を行っていくと、こういうような事情もあり得るだろうというふうに思いますので、横山参考人、二宮参考人のおっしゃることも確かにという部分、私もあるなというふうに思ったわけでありますが。
 今回の法改正以外にも、この辺は二宮参考人、横山参考人にお伺いしたいと思いますけれども、こうした高齢の事実婚の方及び同性パートナーの方々、やはり居住するところは必要ですし、介護することもきっと多いだろう、パートナーの介護をすることも多いだろうと思うんですけれども、その方々の保護をしていく、救済をしていく、それは、どうした方策が他に考えられるのか、ここら辺について、それでは、二宮参考人、横山参考人の順番でお伺いできればと思います。
#13
○参考人(二宮周平君) ありがとうございます。
 それが私が最後に申し上げました、本当に代替的な手段でありますが、民法七百六十八条、財産分与に関わる規定を事実婚カップルの死亡解消の場合に適用するという、そういう一文を七百六十八条四項に設ければ対応可能です。
 今、離婚の際の財産分与については、例えば別れる場合、妻子の居住を保障するために借家権とかあるいは無償の利用権を設定するということが財産分与で可能になっています。もちろん、その後の生活費については、財産分与の中の離婚後扶養という要素で保障することもできます。ですので、財産分与という形態を用いることが、私としてはあり得るのではないかと考えております。
#14
○参考人(横山佳枝君) 婚姻の配偶者についての従前不十分だった措置を補うということのお話をお伺いしまして、そこの点について、事実婚の場合、そして同性カップルの場合、何らか方策はあるかという、そういう御質問と理解しております。
 事実婚のカップルの場合は内縁保護法理がありますので、事実上夫婦として共同生活があれば同居・協力義務はありますし、婚費の分担義務もありますし、離婚の場合の財産分与についても類推適用がなされます。社会保障法についても、事実婚の夫婦であればその保護も受けられます。内縁保護法理を同性カップルのパートナーにも適用するべきではないかと私は考えております。それによって大分救済はできるのではないかと思います。
 ただ、先ほど、婚姻についての保護のところなんですが、やはり公示が必要だと、皆さんが、誰でも分かるような公示が必要ではないかというところなんですけれども、あれの点についても、自治体のパートナーシップ条例など最近できておりますので、それも公示としての役に立つのではないかと思います。
 ただ、将来的には、やはり婚姻というものについての門戸を、希望するカップルであれば誰でも活用できるように、選択的夫婦別姓ですとか同性婚についての議論が進められるべきだと考えます。
#15
○中西健治君 どうもありがとうございます。
 続きまして、大村先生にお伺いしたいんですが、大村先生はフランスの民法の大家でもあられますので、バルザックを読まないとフランス法は分からないと、こういうことで、私も大学のときにバルザックを読んだなと思いましたけれども、フランス法を勉強するために読んだわけではありませんということはちょっと申し上げておかないといけませんが。
 その中で、今回の改正で、配偶者居住権の評価について、この間の法務委員会でも質問をしたんですけれども、平均余命が長い場合には配偶者居住権の評価というのは高くなって法定相続よりも大きくなる可能性があると。その場合には、他の相続人に対して超過した分は配偶者が払わなきゃいけないと、こういうことになるわけですけれども、フランスではその超過分というのは支払わなくていいということになっておりますけれども、これは、今回の法改正で配偶者に対する保護が十分と言えるのか、それとももう少しフランスのようなことを考えていった方がいいのか、ここをお伺いできますか。
#16
○参考人(大村敦志君) 御質問ありがとうございます。
 今、中西議員御指摘の点は、法制審に先立つワーキングチームで検討していた際にワーキングチームのメンバーからも指摘されたところでございます。法定相続分を超える部分について無償で取得できるという保護こそが望ましいのではないかという御意見があったというふうに理解しております。
 配偶者の保護ということだけを取り出して考えますと、それは望ましいということになるのだろうと思いますが、しかし、この点を考えるに当たっては、日仏の法制の差異ということも考慮に入れる必要がございます。それは、フランス法の下では、婚姻継続中のその夫婦の居住について一定の保護がされています。こういう保護がされているということを前提にして、相続においても死後においても保護がされる、こういうことであると。日本の場合には、婚姻継続中の住居についての保護が必ずしも十分でないところ、死後について保護をしようということを今回導入いたしましたので、これを第一歩として考えると。翻りますと、婚姻継続中の夫婦の住居についてもいずれは考える必要があるのかなというふうに個人的には思っております。
 以上でございます。
#17
○中西健治君 ありがとうございます。
 もう一つ、この配偶者居住権についてです。ちょっと細かいところになりますので、大村先生にお伺いしたいというふうに思うんですけれども、配偶者居住権を取得した配偶者というのは高齢であるケースというのは非常に多いということだと思いますので、二宮参考人のお話にもありましたけれども、この配偶者居住権を取得してすぐ施設に入るということが十分に想定できるということになるんじゃないかと思います。
 施設に入った場合には現金がまた必要になるということになりますけれども、キャッシュフローが乏しい高齢配偶者、施設に入ったときにこの配偶者居住権を現金化したいと、こういうニーズが当然出てくるだろうというふうに思いますが、所有権とは違いますので、これをどうにか、例えばこの相続人に対して買戻し請求ができないのかとか、そこら辺の議論はいかがだったんでしょうか。
#18
○参考人(大村敦志君) 今御指摘の点についても様々な御意見があったというふうに了解しております。所有者に対する買取りを認めてはどうか、あるいは配偶者居住権の譲渡を認めてはどうかと、こういうふうな御意見もありましたけれども、様々な事情を考慮いたしまして、今回はいずれも認めないと、専ら配偶者が居住するための権利という制度設計をしております。
 これでは不十分ではないかという御指摘もある面ではそのとおりでございますけれども、このような言わばミニマムの権利を設定するということがこの権利の評価額に影響を及ぼすということもございます。この程度の権利であるからこの程度の評価額で済むということになりますと、配偶者が、限られたその相続分の中でこの権利を取得し、その余の部分を他の財産を取得すると、こんな形で使うということもあるのではないかと考えております。
#19
○中西健治君 分かりました。どうもありがとうございます。
 確かに、配偶者居住権、すぐ施設に入ってしまうとそのまま使われなくなる権利でもありますので、そうしたことを評価の実務でこれから勘案していくということが必要なんだろうと思います。
 三人の先生方、どうもありがとうございました。
 これで私は終わります。ありがとうございました。
#20
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
 三人の参考人の先生方、今日は本当にありがとうございます。
 改めて、この今回の法律改正は非常に難しいテーマだと認識いたしました。我が家は、妻一人、子供三人、四か所それぞれ住んでおります。決して例外的ではないと思いますけれども、日本の家族の在り方って大分、多様化という言葉が出ておりますが、本当はお一人お一人に家族観って何ですかとお聞きしたいんですけど、それをお答えすると終わってしまいますので、もうちょっと具体的な質問をさせていただきたいんですが。
 特に、大村参考人がフランスの法律の権威ということなんですが、御存じのようにフランスは、いわゆる例えば出生ですか、子供の申請時ですけど、半分ぐらいの方がいわゆる結婚をされていないと、こういうことがありますけれども、こういう国をずっと研究をされて、かつ今回、事実婚ですか、は認めないという法律改正になったわけでありますが、先生はこのフランスの法律をどう評するかということと併せて、日本の今後の家族観というんですか、特に事実婚というやつについてどういうふうに定義というんですかね、規定するかということについてお考えをいただければと思います。
#21
○参考人(大村敦志君) 御質問ありがとうございます。
 若松議員御指摘のとおり、フランスも含めましてヨーロッパの諸国では、婚外子の形で生まれる子供の割合が日本に比べるとかなり高いという状況になっております。その前提となります事実婚、いわゆる事実婚のカップルというのも多数存在するというのが現状だろうと思います。本日も何度も指摘されておりますように、家族の多様化というのは日本でもこの先進んでいくと思いますので、今のような状況というのが現れるということもあろうかと思っております。そうした状況について日本の家族法は対応しなくてよいのかというと、私はそれは対応する必要はあるんだろうというふうに思っております。
 私の持論になりますけれども、私、家族だけではなくて契約の研究もしております。契約において既に使われている契約類型、売買ですとか賃貸借ですとか委任ですといったようなものがあります。こういうものが一方であると。これをより使いやすくするということが、言わば婚姻に対して必要な保護を与えていくということに対応するんだろうと思います。これに対しまして、新しく社会の中で生まれてきた契約というのもございます。これはなかなか姿が定まらないところがございますけれども、その姿を明確にし、必要な保護を与えていくということがもう一つ必要なことなんだろうと思っております。
 家族についても同様でございまして、婚姻による家族を適正に扱うということが一方で必要だと、これはそうなんだろうと思いますが、他方で、そうではない様々な形態の家族について必要な保護を与えていく、順次、保護の強化が必要であればそれを図っていく、そういうふうな考え方で多様化する家族に対応していくということを考えるべきではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
#22
○若松謙維君 ありがとうございます。
 横山参考人に同じような観点から質問させていただきたいんですが、横山先生は、どちらかというと、多様な形態ですか、社会が今変わりつつありますが、それについてもっと積極的に法律が寛容になるべきだと、そういうふうに理解したわけでありますが。いわゆる離婚率も実際増えていると、それが恐らく、否定的に捉えるのか、また肯定的に捉えるのか、また、何ですか、冷静に捉えるのか。
 これ、いろいろ見方もあると思うんですけど、ちょっと質問、私もしながらどうやって質問まとめようかということなんですけど、この結婚という、まあ契約というんですかね、結婚ということを非常にやっぱり重視している日本の法体系、フランスを研究された大村先生でさえもかなり慎重にこの日本の多様化というのを少しずつ取り入れるというお考えなんですけど、それに対して、結婚、さらに離婚が増えているという日本のこの社会の現象ですか、さらにフランスの事実婚が非常に多いというところも含めて、今回の法律改正ですか、この今日取り扱っている法律改正についてどんな御意見、総括的な御意見をお持ちなのか、ちょっと質問も抽象的で申し訳ないんですけど、お答えいただければと思います。
#23
○参考人(横山佳枝君) お答えいたします。
 法律婚重視の意識が強いというところはよく聞いておりまして、それ自体否定するものではないんですね。ただ、今議論になっておりますように、非常に多様な家族形態というのが出てきて、それについて社会的な承認も得られている状態にありますので、どういった家族形態を選んだとしても安心して生きていける、そういうような方策が必要ではないかと考えています。
 また、ちょっと同性のパートナーの話になりますけれども、やはり性的指向というのは自分で選択できるものではありませんので、それを理由として社会で生きづらい状況になるということは非常に望ましくないと。ダイバーシティー、先ほど二宮参考人がおっしゃったダイバーシティー・インクルージョンの観点から非常に望ましくないのではないかと。
 非常に、弁護士としてやっておりますと、やはり最近は同性パートナーの方から相談を受けることもあります。特に、グローバル化が進んでいますので、外国のパートナーと日本人の同性パートナーの方から相談を受けるケースも増えています。先ほど申し上げましたように、非常に先進国では同性婚法制化やパートナーシップ制度法制化が進んでいますので、日本で安心して暮らせないのであれば、じゃ、同性婚認められている海外で暮らそうと、そういう選択肢を実際に実施されている方、まあやむなく実施されている方もたくさんいらっしゃいます。
 性的少数者の割合というのはいろいろ統計が出ていますけれども、それを割合が大きいと思うか小さいと思うかはいろいろあると思うんですけれども、そういった少数者に焦点を当てた方策を考えるというのは、やはり憲法の人権保障の観点から非常に必要なものであると考えます。
#24
○若松謙維君 横山参考人、今、さらに、特別寄与料額の算定というちょっと観点から質問させていただきたいんですが、特に事実婚に対する一つの配慮ということで、今回、特別寄与ですか、の料額の算定という制度が出てきたと思うんですけど、今後、この内容ですか、算定基準と、例えば今、事実婚というか一緒に同居されている方々、また、親族関係はないけれどもいろいろとサポートしてくれた方々に対して、これから、法務省が様々なガイドラインというんですか、こういった作業が始まると思うんですが、このガイドラインの中に、先ほど横山参考人が懸念と御指摘されているいわゆる同性に対する寄与度というんですかね、ここら辺も盛り込まれるすべはあるのかなと思っているんですけど、それについて、済みません、政府側じゃないんでしょうけれども、どんな御意見というか、また、もしそれが可能であればやっぱり取り入れるべきではないかなと、私なりに議論を聞きながらそう思ったんですけど、それについていかがでしょうか。
#25
○参考人(横山佳枝君) ガイドラインの中に同性パートナーの保護の方策を盛り込むことができるかどうかという御質問だと理解しておりますが、やはりそれは、文言について親族要件を外さないとなかなか難しいのではないかと考えております。
#26
○若松謙維君 分かりました。いわゆる現状のこの法律改正では難しいという恐らく御認識だと思います。
 それでは、二宮参考人にお伺いしたいんですが、やはり、先ほどの事実婚というんですか、非常に私、フランスのいわゆる事実婚の比率が高いと、結果的に、結果的にか分かりませんが、出生率も高いというこの事実というか、あるわけでありますが、先ほど横山参考人にも聞いたような質問になるんですけど、二宮参考人は、日本の離婚率等も含めて家族の、まあ何というんですかね、家族観も含めて、どう言ったらいいんですかね、多様化するというのが、またプラス面もあるし、いろんな新たな課題も生むということで難しい評価だと思うんですけれども、日本のこの家族観の一つの在り方というか展開というのが、どう言ったらいいんですかね、良くなっているのか。また、それに対して、今回の法律の改正も含めて、恐らくかなり十分じゃないと思うんですけれども、そういってもやはりやるべきことは一つ含まれているなという評価なんですけれども、そこをどういうふうに、何というんですかね、今後、将来のこの法律改正も含めて、また家族観の多様化も含めてどういう方向性を持っていったらいいのかというと、どんなお考えをお持ちでしょうか。
#27
○参考人(二宮周平君) ありがとうございます。
 良くなっているかどうかというのは、その方がどういう家族を理想的な家族として描いているかによって評価は変わると思います。ですから、夫婦と子供がいて、どちらかというと性別役割分業で、お父さんが働いてお母さんが家庭を支える、そういう家族が望ましいと思っている方から見ると、今日のように家族の形態が実際多様化して、一人親あるいは単身で暮らしている世帯が夫婦と子供で暮らしている世帯よりも多くなっているという、あっ、ごめんなさい、一番多いのは一人で暮らしている世帯ですね、その次が夫婦と子供、それから夫婦だけ、それから一人親、そして三世代同居などが順番に続いているんですけれど、こういうふうに家族の形態が多様化することに対して危機感をお持ちになるかと思います。
 でも、人のライフスタイルは多様ですから、女性が仕事を持って働くようになりますと、今までのような性別役割分業では規律できなくなりますし、それぞれのライフスタイルに合わせて別居婚であったりすることもありましょうし、それから同性カップルの方もおられるでしょうし、それから夫婦別姓のために事実婚される方もあるでしょうし、一色では、何というか、一つのモデルで統括することはできない状態になっているのではないかと思うのです。
 そうすると、それぞれの方が求められているニーズに合わせて制度も多様化していかざるを得ないのではないかと考えています。そのことによって少子化も防げるような気がいたします。それはフランスが実践されていることですので、多様化を私は肯定的に受け止めております。
#28
○若松謙維君 今、横山参考人、二宮参考人のお話聞きながら、大村参考人にお聞きしたいんですが、いわゆる今回四十年ぶりの改正ということでありますが、この間、大きく社会の変化もありますが、恐らくこれから五年先もかなり大きな変化があろうかと思います。
 そういう中、いわゆる家族に関する民法の規定というんですか、法律変更というのは大変な作業なんですけれども、かつ法制審の皆さんの御意見というのも必要でしょうけど、恐らく五年後になるともういろんな議論が出てくると思います。次なる家族に対するこの民法の改正の方向性というかタイミングというんですか、どんなふうにお考えですか。
#29
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 議員御指摘のとおり、家族法の改正というのはこの先も続いていくというふうに認識しております。それで、一九九六年の婚姻法の改正案、あるいは二〇〇三年の親子法の、中間試案まで行ったでしょうか、こういったものは必ずしもうまくいかないで、現在中断した状況になっております。
 これまで進んできたものは、先ほど触れました、進んでいるものは、成年後見ですとか、あるいは親権ですとか、今回の相続ですとか、高齢者の保護、あるいは子供の保護、あるいは相続の複雑化に対する対応ということで、コンセンサスが比較的取りやすいもの、こういうものについて議論してきた、まとまってきたというふうに思っております。
 しかし、こういうふうなことで、親族・相続法につきまして一定の部分が改正されるということになりますと、残りの部分についての見直しというのも必然的に必要になってくると。立法でございますので、コンセンサスの取れるところから決めていくということになるかと思いますけれども、次にできるところというのを見出しまして、それをやるということかと思います。
 具体的に申しますと、現在、法制審議会では特別養子法の改正のための審議というのが始まっておりますので、親子法について見直すと。今日話題になっておりますカップルについての関係というのが最も難しい問題かと思いますけれども、親子の問題がもしうまくまとまるようであれば、その先にカップルについての問題の検討というのも浮上してくるというような見通しを個人的には持っております。
#30
○若松謙維君 ありがとうございました。
#31
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。
 今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。
 話をお伺いして、それから、法律上の立て付けでいうと、家族法というのが親族法とそれから相続法の上位の概念にあるということだとすると、その家族という概念をどう捉えてくるのかというのが多分一番大事なことなんじゃないだろうかと、そう思いました。
 その家族というのが、ちょっと待ってください、広辞苑によると、済みません、こんな見ながらで怒られそうですけれど、広辞苑では、夫婦の配偶関係や親子、兄弟の血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団としていると、そう決められています。だったとすると、配偶関係、配偶者、それから、こういうような考え方に立って決められているとすると、この概念を法律上変えていかないと、多分今の議論って進んでいかないんじゃないのかと、そう思います。済みません、ちょっと本当はスマホ見ながらやっちゃいけないんでしょうが、ごめんなさい、覚え切れなかったのでちょっと勘弁していただきたいと。これからこういうことのないように注意します。
 それで、お三人の参考人の先生方にお伺いしたいんですが、家族とはどういう概念であるべきだとお考えでしょうか。
#32
○委員長(石川博崇君) 三人の先生方全員ですか。
#33
○櫻井充君 はい。
#34
○参考人(大村敦志君) 櫻井議員から御質問いただきました点は非常に難しい問題で、私も残りの研究者生命が短くなってまいりましたけれども、終生を懸けて追求をしなければならない問題だというふうに思っております。
 他方、現行法との関係で申し上げますと、現在の民法の中には家族という言葉はございません。これ、戦前には家族制度というのがございまして、家族というのは親族の中の特定の者を指す法的な概念として存在しておりましたけれども、四七年の改正によってこの家族概念が否定されて民法典から除去されましたので、現在民法にはございません。民法にあるのは、婚姻ですとか親子、我々が家族というふうに考えているものの中の言わばパーツに相当するような部分についての規定でございます。ですから、もし家族ということを考えるということになりますと、民法典にはない新たな概念というのを現状を踏まえつつ構成していくということになるんだろうと思います。
 そのときのポイントは二つなんだろうと思っています。狭い意味での家族というのを考えるのか、広い意味での家族というのを考えるのかと。
 狭い意味での家族というのを考えると、多分、子供、特定の子供というよりも、社会が子供を育てていくために必要なユニット、そういうものを家族として捉える子供中心の家族観というのがあろうかと思います。他方、緩く考えますと、様々な、経済合理性だけによって支えられるわけではない人間的な関係で、一定の継続性、親密性を持つというものを広く家族と捉えるという考え方があろうかと思いますが、この両極の考え方を踏まえつつ、どのように考えていくのかという問題ではないかと認識しております。
 長くなりましたが、以上でございます。
#35
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 家族の概念という非常に難しいところなんですけれども、やはり一つの要件というか、それが必要ではないかと思うのは、相互に扶助をし合っている、それは精神的な、経済的な扶助関係というものがやはり必要ではないかというふうに考えています。共同生活が必要かどうかというのは、いろいろ、今は別居婚ですとかそういう形態もありますので、そこまで必要かは分かりませんけれども。
 そういうふうに考えるようになったのは、ヨーロッパ人権裁判所の判決をいろいろ調査していた際に、ヨーロッパ人権裁判所では、過去には同性カップルについては家族とは認めていなかったんですね。ヨーロッパ人権条約に、私生活及び家族生活の尊重をしなければいけないという条項があるんですけれども、ヨーロッパ人権裁判所は、過去には同性カップルの関係性はその私生活に当たるという判断はしていたんですが、家族生活には当たらないと、そういう判断でしたが、昨今の海外の情勢等を踏まえ、家族生活に同性カップルの関係性は当たるという判断に変えています。そこのやはり判断に当たっての関係性の検討をしているんですけれども、それはやはり精神的、経済的な相互扶助の関係というのを重視していますので、それが一つの参考になるかと思います。
#36
○参考人(二宮周平君) ありがとうございます。
 大村参考人もおっしゃいましたように、民法には家族という定義規定がありません。夫と妻、親と子、親族相互の個人と個人の権利義務関係として捉えています。だから、家族とは何かというのには定義規定がないので、各自がこれが家族だと思うしかないのだと思います。
 国連国際家族年、一九九四年ですが、そのときに、家族の定義不能だとしました。つまり、地域、社会、人々によって家族の捉え方が違うと。しかし、大切なことは、社会の核となるものがあると。その社会の核となるものに民主主義を打ち立てようと、ビルディング・ザ・デモクラシー・アット・ザ・ハート・オブ・ソサエティーというのが国連国際家族年の標語でした。だから、どのような家族、まあ集団生活にしても、そこに個人の尊重とか男女の平等とか、そういう理念が入っていないと駄目だよというのが九四年の国連国際家族年の立場だったのだと思います。
 ですので、家族といったときに、婚姻とか血縁とか、それを中心にしてしまいますと、そうではない人たちを、また排除という言葉を使いますけれども、やっぱり排除していくような気がしてならないのです。
 人は、横山参考人もおっしゃったように、助け合いながら共同生活をしていきます。その実態は今後も続くと思います。まあ、言ってみたら、ケアを担い合う、そういう関係性はこれからも続くと思うんですね。それに一定の枠をはめるということはしてはならないのではないかと。むしろ、その当事者だけでは支え切れないものを社会がサポートしていって、安心して高齢者のお世話をしたり子供を育てるような、そういう当事者の関係性を保障していくことが法の任務ではないかと考えています。
#37
○櫻井充君 ありがとうございます。
 難しいんだろうなと思いながらお伺いさせていただきましたが、でも、今の中で、確かにまず一つは、狭義の家族と広義の家族というのを分けて考えるというのは一つの考え方かもしれないと思ったことと、それから、横山参考人からあったように、経済的、精神的に相互に扶助していると、多分、広義の意味でいうと、こういう形にしてあげると概念的にはまとまりやすいんじゃないのかなと、そう思いながらお伺いさせていただきました。
 もう一点、ちょっとまたこれも難しいんですが、三人の参考人の先生方にお伺いしたいのは、相続における平等性とは一体何なんでしょうか。つまり、先ほどからお話があったとおり、非嫡出子に財産分与を行った場合にどういうふうになっていきますというのがあったとすると、その相続における平等性というのがどういう考え方に立つのかというのが基本原則だと思っていて、この点について教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。三人の先生に。
#38
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 相続における平等、特に子供の間の平等というのは、先ほど議員から御指摘ありましたけれども、フランス法では非常に重視をされてきた理念でございます。
 相続人間の平等ということを考えるんですけれども、そのときに、考え方はやはり一つではないんだろうと思います。法定相続分が子供なら子供で対等になっている、これは形式的な平等ということでございますけれども、実質的に見たときに平等とは何かと。財産形成に多く貢献した子供に多くの財産が行く、そうではない人には少ない財産が行く、こういうことを考慮した形の仕組みというのも民法の中に組み込まれております。そう考えますと、平等という言葉でどの局面をつかまえるかということを整理しながら考えるということが大切なんだろうと思います。
 他方で、この平等に対立する概念として、被相続人、亡くなった方の自由というのがあるんだろうと思います。自分でつくった財産なんだから、生きている間ならばそれは自由に処分できるわけですので、遺言によって自由に処分することもできるはずだと、こういう考え方は強まってきていると思います。そうなりますと、被相続人の自由と相続人間における幾つかの平等のバランスをどう取るかというのが相続法の基本に据えられるべき考え方になるんだろうというふうに思います。
 以上です。
#39
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 相続における平等性をどう考えるかという点なんですけれども、相続というのは、現行法制の場合、やはり婚姻から発生する一種の特権、婚姻から発生した家族形態に与える一種の特権的なものだと理解をしています。この婚姻から発生する特権の一つとしてそれをどこまで組み立てるかというのは非常に価値判断の問題があると考えますので、ちょっと今どれが一番適切かというのはなかなか申し上げにくいんですけれども、やはりコントロールできない、個人がコントロールできない事情によって相続というものから排除されるという論理は、まずそこは誤っているのではないかと思います。
 婚外子の相続分差別の最高裁判決でも、やはり、親が法律婚をしているかどうかという子供がコントロールできない事情によって子供に不利益を与えるべきではないという判示がありましたように、やはりそれはまた同性カップルにも当てはまると思います。やはりそこは、個人がコントロールできない事情によって不利益を与えるべきではないと考えます。
 そこについては、遺言のこともありますけれども、やはり、二宮参考人、先ほどおっしゃいましたように、その遺言というものを、異性カップル、婚姻している異性カップルには必要のない遺言という手続上の手間を、どうして同性カップルや事実婚のパートナーにだけ与えられるのかという点は説明が付かないように考えます。
#40
○参考人(二宮周平君) 相続の平等は子供の平等に尽きます。相続人である以上、子供の間に差別を設けてはならない、これが平等だと思います。
 配偶者の相続権については、別の論理で出てきています。戦後の民法改正で内助の功をどうやって評価するんですかという議論になり、それを離婚の際の財産分与と相続の場合の配偶者相続権で保障するという立て方になりました。私は、理想的には、欧米、台湾が取っている考え方ですが、夫婦になったわけですから夫婦財産制の適用があります。婚姻関係が終了する、死亡であれ離別であれ、それは夫婦財産の清算の問題として取り上げることであろうと考えています。それで、余った財産について子供たちが相続するわけですから、それは子供は平等という理屈になるのではないかと考えております。
#41
○櫻井充君 ありがとうございます。
 やっぱりこれもすごく難しくて、今、大村参考人から、なるほどと思っていたのは、被相続人の自由というのをどう認めてくるのかということがあったので、そういう概念も含めて相続とはどうあるべきなのかというのをこれから考えていかなきゃいけないと思っていましたし、それから、今、横山参考人からコントロールできない事情があってということも、これ本当に大変な、大切なことなんだなと思いながらお伺いしました。
 最後、ちょっと二宮参考人に改めてお伺いしたいと思いますが、子供が平等であると、そこまではそれでいいんですけれど、例えば、子供さんがもう手が離れて、今度は、事実婚だったとして、夫婦で新しく財産を築き上げていくということもあるんだろうと思うんですよ。そして、そこで亡くなった際に、その事実婚の方が今の相続法でいうと残念ながら相続を受ける権利がないという話になってくると。
 ですから、その平等というのは子供だけではなくて、当然その配偶者なり、配偶者というか、事実婚として認められて、今社会では認められている人たちって随分いると思います、私の周囲にもいっぱいいますので。そういう意味では、子供だけの平等性ということにはならないんではないんでしょうか。
#42
○参考人(二宮周平君) 御指摘ありがとうございます。
 そこが私の中でもある意味で徹底はしていないのですけれど、人は法律婚と事実婚を選択することができます。つまり、法律婚にはこれこれこういうメリットがあり、デメリットがあり、事実婚にはこういうメリット、デメリットがあるということを考えながら人は生活を選択していきます。そのときの現行の一番大きな分かれ目は、相続権の有無だと思います。
 ですので、法律婚制度を取った上、そこに相続権を確定することによって法律婚を選ぶ人を増やすという、そういう政策的なことはあると思います。それがいいかどうかというふうになると、私は、今おっしゃったように、本来であるならば平等であるべきと考えます。
 ただし、この相続については、債務の承継なども含めまして、一義的に明確に誰が相続人であるかということを確定しなければ取引社会が維持できないということがありますので、そう単純に平等にというところには行かないと思っています。ここは私自身ももう少し検討してまいりたいと思っています。
#43
○櫻井充君 ありがとうございました。
 基本的な概念を教えていただいて、今度の審議にちゃんと頭の整理ができて臨めるなと思いました。本当にどうもありがとうございました。
#44
○有田芳生君 立憲民主党・民友会の有田芳生です。
 まず、ダイバーシティー、多様性の問題から三人の参考人の方々に伺っていきたいというふうに思っております。
 今年の四月は大阪で、あるいは五月の初めには東京の代々木公園で、東京では東京レインボープライド、そしてパレードが行われました。大阪にも多くの方々が集まったんですが、東京の場合は延べ十五万人の方がお集まりになって、これまでで最高の人数でした。自民党の国会議員の方、公明党の国会議員の方、そして私たち野党の国会議員も参加をして、パレードなどにも共に行動しました。それだけ問題関心というのは高まってきているというふうに実感しております。
 例えば、セクシュアルハラスメントという言葉が出てきたときに、これは一体何だろうかということで、日本社会にもなかなか伝わらなかった状況があるけれども、今ではもう一定の理解がありますよね。例えば、ヘイトスピーチという言葉でも、二〇一三年に初めて日本社会に広まっていって、それから五年ですけれども、今では、少なくとも良くないことだということはもう社会の了解になって、国会においても安倍首相などは、あってはならないことだという答弁を何度も何度も繰り返してこられました。そのように、LGBTという言葉も、これはこの数年、メディア通じて社会にも広がっていったと思うんですよね。
 そこでお聞きをしたいのは、現実があって概念というものが固まっていく、固まっていくことによって現実が更に理解されてくる、あるいはこれまで隠れていたものが表に出てくるようになってくる。だけど、それを概念として確定していくのはなかなか大変な作業だと思いまして、先ほど、櫻井委員が広辞苑引用されていましたけれども、新しい広辞苑でもLGBTという表記はあったんだけれども、その中身が間違っていたということで訂正されるというような、なかなか現実と概念との関わりというのは確定していくのには時間が掛かると思うんですよね。
 そういう中で、この民法の改正、これからのことにも関わってくるんですけれども、LGBTの日本における実態、アメリカだったらニューヨークなんかでは百万人の集会が行われるわけですけれども、私、パレードをしていてびっくりしたのは、協賛する団体が一流企業の特に外資系が多かったということにやはりまだまだ日本と海外との差を感じたんですけれども。
 これから、民法との関係でLGBTという現実をどのように捉えていけばいいのか、その問題関心について、それぞれの参考人の方々にまずお聞きをしたいというふうに思います。
#45
○委員長(石川博崇君) どなたから。
#46
○有田芳生君 大村参考人から横山参考人、二宮参考人。
#47
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。不十分でありますけれども、現段階で考えていることをお答えさせていただきたいと思います。
 私、十年ほど前に「マイノリティと民法」という論文を書いたことがございます。LGBTに限らず、日本社会には様々なマイノリティーが存在する。この人たちを、先ほどの二宮参考人の言葉で言うと、包摂した形で社会を築き上げていくということが二十一世紀に必要なことなんだろうというふうに思っております。
 それを民法の次元で考えたときにどういうふうに反映させていくのかということがございます。このマイノリティーの問題、LGBTも含めてマイノリティーの問題ですね、家族の局面でも確かに現れます。家族的な結合がされている場合に、これを従前典型的な家族だというふうに思われていたものとの関係でどう処遇するかという問題がございますが、その他に例えば契約というのを考えてみたときに、契約においてこの人たちがどのような扱いをされているのかというような問題がございます。これ、LGBTに限らず様々なマイノリティー、例えば外国人などについてこれまで論じられてきたところでございます。
 我々民法学者が対応するのは、今申し上げたように、家族と契約というのが非常に大きな領域でございますので、両方の領域で少しずつ包摂というのを図っていくということが望ましいのではないかというふうに考えております。
 一応、以上でございます。
#48
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 先ほど、レインボーパレードで外資系の協賛が非常に多かったというお話がありましたが、やはり、外資系企業はそれだけ性的少数者の人権擁護に非常にセンシティブに捉えているということの表れだと思います。それは、なぜそうしているかというと、やはりそうしないと有能な人材が集まらないからだということを認識しているからだと考えています。
 民法上どのように同性カップルなどを位置付けるかなんですけれども、やはりこれ家族として、社会の構成単位として法的な承認を与える、それが社会的な承認につながっていくと思います。内縁保護法理がありますので、同性カップルにも内縁保護法理の適用をすることによって一定の保護は図られますけれども、やはり将来的には選択的夫婦別姓や同性婚などによった法制度が必要だと考えております。
#49
○参考人(二宮周平君) LGBTという言葉自体に対しては異論のある方もいますけれども、今日はこれを使わせていただきますけれど、私はそれをセクシュアリティーの多様性だと考えています。したがって、それはその人の個性であって、異性愛はいいけれども同性愛は駄目であるとか、性別違和はおかしいとか、そういう次元の問題をもう今は超えつつあるのではないかと思っています。
 だから、それぞれのセクシュアリティー、その人が有能であるかどうかには関わりなく、その人の個性として尊重していく必要があるだろうと、そのためには、それを社会的にそうだということが目に見える形でアピールしたいと、その象徴が登録パートナーシップ制度であったり婚姻制度だと思います。そのLGBTの人たちが共同生活をしている、カップルで生活しているということを可視化して、それを社会的に承認していくことが、それぞれのセクシュアリティーの個性だとして尊重していくことにつながると思うのです。異性愛じゃない人も選択できる生活形態があるということが分かって初めてその人の個性を尊重することになるのではないかと考えています。
#50
○有田芳生君 横山参考人にお聞きをしますけれども、最初の御発言の中で、同性婚を認めている国が二十五か国だとおっしゃったと記憶しているんですけれども、それは、例えばG7、先進国の中ではどういう事実関係、傾向があるんでしょうか。
#51
○参考人(横山佳枝君) お答えいたします。
 G7の中で同性婚も登録パートナーシップも認めていないというのは日本のみです。同性婚法制度、パートナーシップ法制度の国には相続も認めております。そういった中で、非常に日本が遅れているということを先ほど申し上げた次第であります。
#52
○有田芳生君 そこで、今回の法律案についてお聞きをしたいと思いますけれども、現行法制では捉え切れていない相続人以外の方々が献身的に介護あるいは看病などの貢献したときに、それをちゃんと評価をして実質的な公平を図る制度をつくろうという提案には賛成なんですけれども、私たち立憲民主党が衆議院で反対をしましたのは、やはり本質的な問題として、これまでも議論になっておりますけれども、今回創設される特別寄与制度の対象から事実婚あるいは同性パートナーが排除されている。排除という言葉がいいのかどうかは先ほどありましたけれども、二宮参考人は排除というお言葉を使われましたけれども、衆議院の法務委員会で立憲民主党の反対討論を山尾志桜里委員が行ったときには、排除という言葉は使っていないんですけれども、人権意識における致命的鈍感さという表現をしているんですよ。
 そういう私たちの判断、立場、あるいはその判断の前にあるそういう事実婚、同性パートナーが、あえて排除という言葉を使わせていただければ、その問題をこれからどうしていけばいいと大村参考人はお考えでしょうか。
#53
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 御指摘の特別寄与料の問題、非常に難しい問題で、様々な意見があったところでございます。
 まず一つ、前提として考える必要があることは、結果として様々な人が様々な貢献をしているというのをどのように考慮するかというときに、相続法というものにどれだけの役割を担わせるのかという問題があろうかと思います。この点につきましては、相続法ではなくて財産法の問題として処理すべきだという意見も非常に強く主張されていたところでございます。
 広い範囲で、例えば無制限にその請求を認めるということになりますと、相続に様々な人が介在してくることになりまして、相続というのは非常に重いものになってまいります。そこで、何らかの線引きが必要なのではないかということで、どこで線引きをするかということが中心的な争点になったと理解しております。そのときにいろんな考え方が出されましたけれども、今回親族ということで線を引いているわけです。
 なぜ親族なのかというと、親族間であれば財産法で処理できるような明確な法律関係というのが結びにくいと、事後的にこれを財産法以外の法理で評価してやるということが必要なんじゃないかと、こんなふうな観点から親族というところで線が引かれたというふうに考えております。
 もしこれ、先ほども御質問ありましたけれども、家族という概念を使うとすると、家族であればそういうことになるだろうということで線引きができるわけなんですけれども、家族というのは、先ほども話題になりましたように概念規定が非常に難しいわけです。そこで、今回親族というところで線を引いたと。
 この先の話になりますけれども、立法の段階では親族ということで線を引いたけれども、これでよいのだという考え方を社会が取るのか、それとも、この親族というのは、立法段階ではこういうふうに線を引いたけれども、もっと緩めて考えていく必要があるのか、ここは考え方が分かれるところで、我々の社会がこの親族というのを緩やかに解するべきだというふうに考えていくということであれば、仮に立法の際に親族は親族であってその外の者は含まないというふうに考えていたとしても、そうでない方向での法形成がなされる可能性というのはあるかもしれないというふうに考えております。
#54
○有田芳生君 今のお話の続きで大村参考人にお聞きをしたいんですけど、法制審の議論の中で、やはり賛成、反対、いろんな御意見が当然出てきたんだけれども、事実婚であるとかそうした人々に対する対応について、賛成意見、反対意見、たしか反対意見の方が多かったんでしょうか。どういう議論の実態、比率というのか割合というのか。
#55
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 法制審は、最終的にはこれまで採決をしないで決定をするということを慣行にしております。私、二十年少々、幹事、委員を務めておりますけれども、私が関与した法制審で採決がされたということはございません。ですので、最終的には皆さんこの案で了解が得られたというふうに理解しておりますけれども、もちろん、議員御指摘のとおり、その前の段階では様々な議論があったわけでございます。
 中間試案の段階で甲案、乙案というのがございました。乙案に対する賛成というのが多かったんじゃないかというような御意見も見られます。甲乙を比較するとそうかもしれません。ただ、私が最初に申し上げましたように、甲案以前に、そもそもこのような制度を設けることがどうかという考え方に立つ人、これも含めて考えますと、乙が大勢を占めていたということではないというふうに理解しております。
#56
○有田芳生君 時間が迫っていますので、横山参考人にお聞きをしたいんですが、今日配付をしてくださった資料、「四十年同居の同性パートナー 遺産は誰に 相手男性の妹を提訴」と、こうした裁判というのは最近増えつつあるという理解でよろしいんでしょうか。
#57
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 こういった同性カップルの相続発生に関して財産の帰属が争われたというケース、この新聞記事のケースですけど、これは非常に異例であって、初めてのケースではないかと思われます。
 他方で、その同性カップルについての現行法令の解釈を争うというのは最近出ておりまして、例えば、犯罪被害者給付金の給付が同性カップルのパートナーが亡くなったときに認められなかったという件で争っているという件はありますので、まだこれから増えていくと思いますし、また、同性婚そのものを争う訴訟というのも将来的に出されるものと考えております。
#58
○有田芳生君 LGBTにしても、概念、そして今回の法律改正も含めて、いろんな現実というものがこれまでになく表に出てくるだろうというふうに思うんです。そうしたときに、やはりマイノリティー含めた方々の権利をいかに保護するかというのはこれからの大事な課題だというふうに思いますので、これを機会に更に前に進めていかなければいけないというふうに思います。
 終わります。
#59
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
   〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕
 ちょっとこれまでの質疑も踏まえて、まず二宮参考人からお尋ねをしたいと思うんですけれども、先ほど来、例えば大村参考人からも御発言があるように、今回の配偶者、法律婚配偶者の保護、あるいは被相続人の親族に限るというこの特別寄与の請求人の限定ということに関して、そうでなければ紛争が複雑化、長期化する、複雑化、長期化を防ぐためであるというような趣旨が語られるわけですけれども、端的に申し上げると、家族、親族間の特に相続をめぐる紛争が裁判規範として働くような場面、実務法曹に相談があったり、あるいは家庭裁判所に調停や審判が申し立てられたりというようなケースというのは、これは複雑化、長期化するものなのであって、この今回のような限定を付したから複雑化しないかというと、そうでは私はないのではないかなと思うんですね。
 二宮参考人が論文でも指摘をされているとおり、具体的な事案に応じて実質的な公平を図る解決ということがこれまでも求められてきたし、この改正の後もそれは求められるんじゃないのかと思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
#60
○参考人(二宮周平君) 確かに、特別寄与者を親族に限定するとか、それから事実婚カップルなどに相続権を否定するという、こういった場合に事案の長期化、複雑化ということが言われているんですけれども、少なくとも今回話題、一番の焦点になっています特別寄与者のところについて親族概念を外した場合どうなるかということですが、基本的に療養看護に尽くしている人ですから、共同生活は証明できると思います。療養看護は、今は単体、家族だけではやりません。必ず介護契約を結んでヘルパーさんに来てもらったり、あるいはデイケアとかショートステイとか、そういうことを利用しながらやっていきます。そうすると、療養看護の実態というのは比較的証明しやすいと思います。ですので、特別寄与についてそれを、親族概念を外すと複雑化、長期化するというのは、ちょっと紛争実態に合っていない気がします。
   〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕
 一般論として、事実婚カップル、婚姻登録をしていない人に相続権を認めるのかという話になると、それは複雑化、長期化という議論は出てくるかもしれません。でも、特別寄与に関しては、今申し上げたことから長期化、複雑化ということは起こり得ないと考えています。
#61
○仁比聡平君 先ほど横山参考人がその点について、親族というこの要件はもう外すべきであると、特別の寄与をした者で足るではないかという趣旨の御提案がありまして、私もそうだと思うんです。
 そうした場合に、何をもって実質的な公平というのを図っていくかというと、実際に同居してお互い助け合って親密な共同生活を送っている、男女の事実婚であれば子も産み育てているということだってある、そういう家族、法律婚でよく語られる言葉で言うと、実質的な婚姻意思ということがあるカップル、そうした中での関係にふさわしい公平を図っていくというようなことになるのではないかなと思うんですが、親族を外してはどうかという見解、それから、今のその公平の中身の問題については、二宮参考人、いかがでしょうか。
#62
○参考人(二宮周平君) 今、仁比委員がおっしゃったとおりでして、高齢者の介護をしている方は必ずしも同居しない、近接住居で介護をなさる人もいます。でも、ここで、事実婚カップルとか同性カップルを取り込もうといったような場合には、近接型じゃなくてちょっとハードルを高くすることはあり得ると思うのですね。だから、実際に共同生活をして何年も暮らして、一方が介護を必要となったので社会的なインフラを利用しながらやっていると、その利用実態というものは、その契約なり通所している記録で明らかですし、それから住民登録の場所であるとか、それから周囲の人がこの人たちはもう長い間一緒に暮らしておられますよといった証言も得られるわけですから、何も立証において困ることはないと思います。
#63
○仁比聡平君 今の二宮先生の御意見も踏まえて大村先生にお尋ねしたいと思うんですけれども、二宮先生、先ほど多様な家庭生活を民法規定に取り込むべきであるという基本的な方向性、考え方をお示しになられて、大村参考人も、排除ではない様々な形態の家族に法的な保護を必要とするのではないかというそうした方向性、これが今回の改正で働いていくんだという大前提のようなお話をされたと思うんですけれども、二宮参考人からは、財産分与の規定を見直したら公平な解決に進むのではないかというお話もありました。
 私は、選択的別氏制度、別姓制度を実現さえしない下で法律婚配偶者だけを保護するということになれば、これは排除という声が出てくるのも当然だとも思うんですけれども、今後の問題、どんなふうにしていくのかということについて、大村参考人、いかがお考えでしょうか。
#64
○参考人(大村敦志君) お答えをいたします。
 私は先ほど、様々な家族に対して必要な保護を与えていくことが望まれるのではないかというふうに申し上げました。これは二宮参考人もちょっと触れておられたんですけれども、例えば我々が事実婚というふうに言っているものの中にも様々なタイプのものが含まれているんだろうと思います。
 中には、まさに法律婚と同じように暮らしたいのだけれども、例えば議員御指摘の夫婦別姓の問題があってそれが実現できない、実質的には婚姻と同様にしたいというカップルもあろうかと思います。それから、これも二宮参考人おっしゃいましたけれども、財産関係について子供たちに影響を及ぼさないような形にしたい、しかし夫婦の間の関係というのはきちんとしたい、カップルの間の関係はきちんとしたいと、こういうカップルもあろうかと思います。さらに、婚姻というような保護も厚いけれども拘束も強いような制度は望まない、もっと緩い、開かれた薄い保護があれば十分だと、こんなふうな人たちもいるんだろうと思います。これらに見合うような形のものが必要なんだろうと思っています。
 一方で、現在の婚姻の概念というのを分節化する、あるいはそこに選択肢を設けるというようなことができるのかどうなのかということを考える、他方で、婚姻よりも保護の程度、拘束の程度の低い類型というのを設けていくと。これは諸外国でそういう形の立法進んでいるわけですけれども、そんな方向で包摂を図っていくということを考えるべきなのではないかと思っております。
 財産分与の問題につきましては、夫婦の財産関係の清算、まず夫婦間で清算した上で、残りについて相続の問題でどうすべきだという二宮参考人の意見ですね、原則論としては私も賛成でありまして、個人的にはそういう考え方を持っております。
 今回の相続法改正の中で最初に検討されました配偶者の貢献に対する考慮というのはそういう方向で考えていたわけですけれども、財産分与というんでしょうか、清算プラス相続というのはなかなか、私どもが考えたのは、かつて考えられた、一九八〇年に考えられたものよりは使いやすい制度だったつもりなんですけれども、それがやっぱりまだ複雑なのではないかということで現在の提案に落ち着いているということでありまして、研究者として理想として考えていることと国民がそれを受入れ可能だというふうに考えているものの間に落差があるなというふうに考えました。
 これ、国民の意識に合わせて立法するしかないというのが今の状況でありますけれども、国民の意識の方に働きかけるということも考えてまいりたい、今の多様化についてもそういうことを考えてまいりたいというふうに思っております。
#65
○仁比聡平君 本当にありがとうございます。
 国民の側が求めているのに政治がそれを排除しちゃならないと私は強く思うので、国会が頑張らなきゃいけないことというのはたくさんあるなと思うんですね。
 ちょっとその焦点の課題で、同性パートナーの問題について横山参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、いわゆる内縁保護法理、事実婚の法律婚同様の保護を図っていこうという、これまでの判例も含めた戦後日本社会での様々な努力とその到達点を同性カップルにも適用すべきだというのは、私もそのとおりだと思うんですね。これを進めていく上での実定法上、あるいは社会の側の何か当面の課題といいますか、重要な課題とか、ここを乗り越えなきゃいけないというようなことがありましたら、教えていただきたいと思うんですが。
#66
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 内縁保護法理なんですけれども、これ、判例上積み重ねられてきた法理ですので、特に実定法上あるというものではないですね。社会保障法上は特に配偶者又はそれに準じる関係にある者ということで、それにより、事実婚の配偶者というのは保護される関係にありますけれども。なので、やはり事実婚の配偶者は一定程度保護されているものの、やはり婚姻関係にある配偶者とは歴然とした差があることになります。つまり、相続も排除されていますし、配偶者の優遇税制というものも受けられません。
 そういう意味において、事実婚であって、そういう婚姻をしている配偶者とは異なる何らかの制度を設けるというよりも、私は、やはりその事実婚の方がどうして婚姻に踏み切らないのか、その理由は何なのかと。選択的夫婦別姓が認められた場合というのはかなりたくさんの方が婚姻に移行するのではないかと考えております。やはりそちらを解消するべきではないかとまずは考えます。
#67
○仁比聡平君 実際、法律婚から別姓選択をという信条が排除されているということが今大きな問題になっているわけですから、横山先生のおっしゃるとおりなのだと思います。
 時間が限られているので、最後、二宮参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども。こうした多様な家庭生活あるいは生き方が法律婚から排除されるというようなことが起こってくる根っこに、戦後、憲法十四条や二十四条の下にありながら、家族法、相続法の中に戦前以来の戸主制度だとか家督相続などの家制度の残滓というものが決して拭い去られていないのではないのかという問題意識を私は持っておりまして、その下で固定的な女性の役割分担を強いるというような意識、あるいはそれが正当に評価さえされずに、特に相続関係において著しい実質的不公平が生じてきたという日本社会の現実もあるのではないかと思うんですけれども。
 一問だけ、嫡出ですね。これ、非嫡出子の相続分差別は違憲であるという判決が出て、国会でも法改正がされながら、嫡出でない子という言葉は法制度上残ってしまっている。こういう辺りをどう考えたらいいのでしょうか。
#68
○参考人(二宮周平君) ありがとうございます。
 御指摘のように、私も、その嫡出という概念を残すことには反対をしております。つまり、嫡出という概念には正統な子という含意がありますので、子供に正統な子と正統でない子という区別をもたらすようなものですから、子供は子供であって、そこに嫡出、嫡出でないという形容詞を付ける必要はないと思います。欧米諸国でも嫡出概念は既に廃止されています。
 ただ、親子関係の成立の過程で、婚姻から生まれた子と婚姻外で生まれた子について成立方法の若干の違いがありますので、婚姻外で生まれたか婚姻内で生まれたかという、こういうことが解釈上区別されることはありますけれども、表記上はもう子に統一されているので、日本もそれをやらなければならない。そのためには、戸籍法の改正をしなければならないと思います。
#69
○仁比聡平君 ありがとうございました。終わります。
#70
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 三人の参考人の方々、ありがとうございました。私も、これまでの勉強の中の数倍、頭の中が整理されてきたのではないかと思っております。
 これまでの、過去には民法が家族の在り方をリードしてきたという経緯があったと私は判断しているんですが、家族の在り方が変わったのであれば、そこに合わせた民法を変えていくべきではないかと思っておりますが、そこで変わってきた中に、先ほど家族がないというのを知って、ちょっと驚きました。
 これが改正であったならば、先ほどからのダイバーシティーとインクルージョンですか、これ元々相反するものであって、ダイバースというのはディバイドですから分かれていくわけですよね。インクルージョンというのはインクルーシブですから含めていくわけですね。そうすると、分かれていったものが、多様化のスピードが、あるいはその変化が大きければ、再びそれを含めていって民法、法律を変えていくべきではないかという頭の整理をすることが一つと。
 それから、法律の専門でいらっしゃる方が先ほど採決をされないとおっしゃったのは、私は、法律の専門家というのは選択肢を考え、弁護をなさる方はその選択肢を人々に提供して教えるというお仕事をしていらっしゃると思うんですね。決して採択だの採決だのということをされる方ではないんだと、それは、国民から選ばれた議員たちが国会でやるべきだということですよね。
 もしその判断が正しければ、大村参考人に教えていただきたいんですが、配偶者居住権を事実婚に認めないというのは、事実婚をしているという判断が形式的に明確でないというのが理由の一つにあるのではないかと思うんですが、もしそうであるならば、片方で、同居や協力とか扶養義務や財産分与に関する規定というのは、事実婚に類推してというか適用されることもあると思うんですね。裁判的には多元的な家族観という、さっき、家族というのが定義がないんですが、だから多元的に家族観というものに一定の理解を示していると、裁判所は理解を示していると言えるとも思うんです。
 そうすると、むしろ事実婚を認める基準を明確にしていくことが必要なのではないかと思うんですが、大村参考人はどう思われるか。例えば、何年一緒にいれば事実婚届を出せる制度をつくるとか、審議会でそういう選択肢や議論は、意見出なかったんでしょうか。教えていただけますか。
#71
○参考人(大村敦志君) 御質問ありがとうございます。
 石井議員の御指摘になった、何を事実婚として認定するかという問題は、事実婚という概念を仮に、言葉はどうなるか分かりませんが、事実婚という概念を立てて、これに対して一定の法的保護を与えるということになったときに、その明確な概念規定が必要なのではないかという形で議論の対象になるんだろうと思います。
 これ、外国の例でまた恐縮ですけれども、二年以上同居していると事実婚としての証明が取れるとか、カップルとしての証明が取れるといったような制度を設けている国もあります。ですから、そういうものによって外延を画していくということが、カップルの法的保護ということを考える際には一つの選択肢として出てくるというふうに思います。
 ただ、今回は、先ほどの御質問に対しても申し上げましたけれども、相続法の改正で、配偶者の相続分があるというのを前提にして、例えば子供とともに相続人になったときには二分の一は取れると、その二分の一の中身をどういうものにするかということを主眼にいたしまして配偶者相続権というのを考えました。もし、例えば、長期居住権というのが相続分と関係なくパートナーに与えられる、そういう権利であれば、それを誰に与えるのかという形で問題を立てることができるのですけれども、配偶者相続分があると、その中で何をどうやって分けるのかという、そういうふうな形で議論をしておりますので、議員御指摘のようなことが話題になりにくかったという事情があるんだろうと思います。
 ですが、御指摘は御指摘としてあり得ることだろうと思っております。
#72
○石井苗子君 ありがとうございます。よく分かりました。
 相続法が中心であったということで、にもかかわらず、今たくさんの問題がテーブルに投げられているんだという頭でいいと思うんですが、全参考人の方にここでお聞きしたいのは、今回の改正ですけれども、非常に法律婚に保護を与えていると私は理解しているんですが、その一方で、事実婚に対しては冷たいんでないかという、これが、何でしょうかね、社会の風のようになってくれば変わるんではないかと思っておりますが、法律婚は、妻って変ですけど、片っ方が家庭で育児、家事、片っ方が外で仕事という、専念すると、どちらでもそれに専念するという、これが日本の経済成長を支えてきたんだという見方もあって、法律婚は性の役割分担を強制、まあ強制まではしていませんが、今日でも、誰かは外で働き、誰かは、まあ妻の場合が多いんですが、家で家事をするという役割を担うものだという考え方をしている人は本当は多いのではないかと、現実的には、そう私は思うんですが、事実婚を選ぶカップルは、法律婚の持つある種の強制的な家族の像みたいなものを嫌って、法律婚からの解放を願っているのではないかと、勝手な判断ですが、そう思うんです。
 そうすると、全参考人に教えていただきたいんですが、婚姻届を出さないカップルはなぜそのような選択をしているのか、教えていただきたい。
#73
○委員長(石川博崇君) どなたからお聞きしますか。
#74
○石井苗子君 じゃ、こちらから順番に。
#75
○参考人(二宮周平君) 先ほども申し上げましたけれども、皆さんがそういう戦闘的な方ではありません。だから、別姓が実現できないという方はおられます。それから、同性カップルの人は婚姻登録ができません。それから、高齢者で再婚したいんだけど、子供たちへの配慮、相続権のことを思って婚姻登録しないという方もあります。それから、有責配偶者の離婚請求をなかなか裁判所は認めてくれませんので、重婚的内縁ですね、配偶者がいるんだけれども、その人とは長年別居して別の方とパートナーとして暮らしているという方もおられます。
 もちろん、現行の婚姻制度、そういう性役割が込められているとか、あるいは戸籍上の婚外差別がまだ残っているので、自分たちの意思として、そういう差別する側には回りたくないというので婚姻届を出さない方もおられます。それから、もう無意識で、別にいいじゃんという、出す必要も認識されずそのまま一緒に暮らしている方もいます。
 ですから、大村参考人がおっしゃったように本当に多様です。多様な事実婚の中に、広いとか狭いとかいろんな概念で区別していくというのは私は難しいと思います。だから、共同生活の実態、関係性の親密な協力関係があれば、それをもって事実婚カップルだという認定をしていく方が望ましいのではないかと思っている次第です。
#76
○石井苗子君 済みません。婚姻届を出さないカップルはなぜそのような選択をしていると考えるかというお考えだけでお願いいたします。
#77
○委員長(石川博崇君) 二宮参考人。
#78
○石井苗子君 いやいや、横山参考人に。質問が分からなくなっちゃったかなと。全員に同じ。
#79
○委員長(石川博崇君) 全員に続けてお聞きしてよろしいですか。
#80
○石井苗子君 はい。
#81
○参考人(横山佳枝君) お答えいたします。
 どうして婚姻届を出さないカップルがいるかという、その理由についてなんですけれども、かなりいろいろあると思うんですけれども、一つ大きいのは、やはり選択的夫婦別姓がまだ認められていないと。今もう共働き増えていますから、やはり仕事で使っている氏が結婚によって変わるというのは非常に面倒なところがあるんですね。銀行口座も全て、カード類も全部変えないといけませんから。九割方はもう男性の姓に変えているのが現状ですので、そういった負担が結局のところ女性の方に掛かっていると、非常に煩雑であるというところで、それを回避しているという方は相当数いらっしゃると思います。
 ただ、子供が生まれるとなると、またこれ別の、親権の問題も出てきますので、私の知っている方ですと、子供生まれる直前に籍を入れて、またその後抜く、次の子供生まれる前にまた入れて、また抜くと、そういうことを繰り返されている方もいらっしゃいます。
 ただ、またほかの理由としては、やはり婚姻というのはいろいろ特権的なところありますけれども、やはり義務も伴います。同居扶助義務ありますし、婚費分担義務ありますので、そういった義務を負いたくないという理由から避けていらっしゃる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんし、また、先ほどおっしゃられました伝統的家族観というもの、まだやはりあると思いますので、そういったのに縛られたくないということで避けていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
#82
○参考人(大村敦志君) 理由についてはデータを挙げてお話しするのは難しいんですけれども、感触としては、先ほど二宮参考人が指摘されたような様々な理由によるという認識を共有しております。
 私自身は、内縁という言葉を使うとすると、選ばれた内縁というのと強いられた内縁というのがあるだろうというふうに書いてまいりました。この割合がどのくらいなのかというところについて、二宮参考人と私の間では若干認識が違うかもしれません。あるいはまた、そういう複数の異なるタイプの理由に基づくカップルがいるというときに、これを単一の方法で処遇するのか、それとも類型に分けて処遇するのか、この辺りも二宮参考人と私の間で若干意見は違うかもしれませんが、理由についての認識は、二宮参考人が述べたようなものなのではないかというふうに思っております。
#83
○石井苗子君 ありがとうございました。
 最後の質問です。
 個人の自己決定を尊重するということなら、法律婚の要件を緩和していくという方向に向いてもよいのではないか、あるいはそっちの方向に行かざるを得ないんじゃないかと私は思っているんですけれども、先ほどの、事実婚でありますとかLGBTなどを法律婚に取り入れるということによって、インクルーシブですよね、インクルージョンするということによって、パートナーの方が亡くなった後の生活もある程度保護される面が出てくるのではないかと思うんですが、皆さん、全参考人の方にお聞きしたいんですが、法律婚というものは緩和していくべきだとお考えか、できるとしたらどこまで緩和できると思うかという、最後にそれをお聞きしたいんですけど、教えていただきたいんですが、よろしくお願いいたします。
#84
○参考人(二宮周平君) おっしゃるとおりで、誰でも法律婚ができるようにすべきですので、要件は緩和していく必要があろうと思います。
 でも、重婚の禁止とか近親婚の禁止の、範囲は狭めることがあっても、近親婚の禁止とか、やっぱり社会で認められた、これが婚姻だねと認められているような、そういうものはやっぱり維持する必要があろうかと思います。ですので、要件のところがどこまで緩和できるのか、少なくとも私は異性である必要はないと思っています。
 それから、効果のところでは、選択的夫婦別姓を設けないと別姓を希望する人は婚姻できないということになりますので、全ての人のための婚姻にはならないだろうと思っています。
#85
○参考人(横山佳枝君) お答えいたします。
 法律婚の要件を、緩和という表現が私はいいのかどうか分かりませんけれども、今、二宮参考人おっしゃったように、希望するカップル、それは同性異性問わず、そういった方が希望すれば婚姻をできるという制度にするべきだと考えております。
 やはり、夫婦選択的別姓が実現された場合に、その実現を待っている方、それが法制度化されたら婚姻しようと考えている方は相当数いらっしゃると思います。それによって婚姻制度を利用することができるようになれば、生活保障の点でも、パートナーが亡くなった後の生活保障の点もクリアできると考えております。
#86
○参考人(大村敦志君) 私は、前の二人の参考人とやや異なる意見を持っております。
 婚姻の要件を緩和するということはある程度考えられることなのではないかというふうには思います。しかし、婚姻の要件を緩和して、婚姻したい人は誰でも婚姻をすることができるんだという制度は、インクルージョンという言葉が先ほど、包摂という言葉がありましたけれども、一面では包摂なんですけれども、他面で排除を生み出すところがあるんだと思うんですね。婚姻できるようになったんだから婚姻すべきじゃないかと。婚姻以外の、先ほど申し上げましたけれども、緩やかな結び付きみたいなものを家族として認めないのかという問題もあると。私は、家族関係について、婚姻は婚姻で一つの形だと思いますけれども、その他の形も含めてより広い家族というのを考えるべきなんではないかと思っております。
 それからもう一つ、どのぐらいその要件を緩めてということと関係いたしますけれども、子供の問題ですね、親子関係をどう考えるのか。先ほど横山参考人から外国の例も出ましたけれども、外国の例を見ましても、子供の取扱いについてなかなか難しい、苦慮しているという国もありますので、それも併せて考える必要があるというふうに思っております。
#87
○石井苗子君 終わります。ありがとうございました。
#88
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 参考人の皆様には、貴重なお話を伺うことができ、大変感謝申し上げます。
 まず、大村参考人に伺います。
 大村参考人は、法制審議会で様々な民法の見直しの審議に関わってこられていますので、まず、法制審議会の答申が立法化されないことについて伺います。
 一九九六年、平成八年に答申された民法改正案要綱が立法化されない状況が長らく続きました。法制審議会は審議会の中で最も権威があると言われ、答申が立法化されないのは、家族法ではこの答申だけとなっていました。答申のうち、婚外子相続分規定は、二〇一三年九月に最高裁の違憲決定を受け、答申から十七年後に法改正されました。再婚禁止期間は、二〇一五年十二月の違憲判決を受け、翌年、答申から二十年遅れて法改正され、婚姻適齢は法改正まで二十二年掛かりました。しかも、改正の理由が法制審の答申理由と変わっていないことが法務大臣の答弁でも明らかになりました。
 学者、実務家、有識者等を構成メンバーとして、法制審議会民法部会身分法小委員会が五年の歳月を掛けて改正すべき法案の中身を調査そして審議し、総会の議を経て答申された民法改正案要綱が、長い間、様々な意見があるという理由だけで法改正されてこなかったことについてどのような御見解をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
#89
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 九六年の答申自体に私は関わっておりませんけれども、一般論として、法制審で答申されたものについて立法していただけるということが、答申をする側としては強く希望するところでございます。
 ただ、一九九〇年代までの状況と二〇〇〇年代の状況というのが多少違うところがございます。九〇年代までは、法制審議会の民法部会、その下に財産法小委員会と身分法小委員会というのがありましたけど、ここは言わば、何というんでしょうか、専門家の集団であると。専門家が専門家の観点として望ましいものを提案していくと、こういう色彩が強かったというふうに思います。専門家としては、私は九六年の案でよいというふうに思うところがございますけれども、それがなかなか社会的なコンセンサスの得られるものとならなかったということなんだろうと思います。
 二〇〇〇年代になりますと、審議会のメンバーの方に様々な非法律家の方々も多く加わるようになってまいりました。そうなりますと、答申自体が、先ほど来私が申し上げておりますように、様々な御意見を調整したものになるということで、専門家の観点からいうとやや物足らないものになりますけれども、しかし、国会等で御審議をいただくという場面では多くの方に御賛同いただけるものになっていると、こういうふうな関係があるのではないかというふうに思っておりますので、今後、法制審で答申するものにつきましては、国会で御議論いただいて賛成をいただけるようなものを、もし委員になった場合にはつくり出せるように努めてまいりたいというふうに思っております。
#90
○糸数慶子君 次に、二宮参考人に伺います。
 今回の相続法制の改正は、最高裁が二〇一三年九月四日、婚外子相続分規定を違憲判断したことが契機となっています。くしくも、二宮参考人は、法案審議の参考人として意見を述べておられますので、この当時の慎重意見についても理解されているかと思います。
 しかし、この慎重な意見は、実は二〇〇八年の国籍法改正のときまで遡ります。婚姻関係にない外国人女性と日本人男性の子供の国籍確認を求めた訴訟で、最高裁が六月四日、父母の婚姻を国籍取得の要件としている国籍法三条を憲法違反と判断しました。違憲判決を受け閣議決定された法案の審議では、驚くような排外主義の反対意見が展開されました。当時の改正は、胎児認知には国籍を認め、出生後認知には更に婚姻要件を課すことが憲法違反とされ、婚姻要件を削除しただけであり、偽装認知の防止策として罰則規定を新たに設けたにもかかわらず、法案審議では偽装認知の防止に議論が集中いたしました。この排外主義の反対運動は、翌年の女性差別撤廃条約選択議定書の批准に向けた議論で、さらに二〇一三年の婚外子相続分規定の見直しの際にも、国籍法の二の舞になるなというその掛け声で反対キャンペーンが展開されました。
 この反対論者が婚外子相続分規定の改正に条件を付けて戸籍法改正を阻止し、相続法制のワーキングチームをつくる経緯となったことについてどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。
#91
○参考人(二宮周平君) 見解ということでいいますと、まあそれは変だなと思います。
 基本的には、婚外子の平等を徹底することができませんでした。相続分差別が平等になっても、嫡出子と嫡出でない子は立場が違うんだということを明示するためにこの戸籍法改正を阻止したのだと思います。最高裁大法廷決定は子供を個人として尊重するということを明確に示していますので、そのことについて次の最高裁小法廷が違憲ではないとしたことが大きな影響を与えていると思いますけれども、やはり基本には、法律婚を尊重すべきであると、それは婚外子の差別があっても当然だというこのトーンが消えていません。
 したがって、今回の相続法改正であっても、法律婚配偶者の居住権の保護、あるいは法律婚配偶者の財産形成についての寄与、貢献をいかに評価するかというところが出発点だったので、法律婚じゃない人たちを、まあ言葉を使いますと排除するような、そういう提案になったのだと考えます。
#92
○糸数慶子君 引き続き二宮参考人に伺います。
 今回創設される特別寄与制度の対象から、事実婚や同性パートナーは排除されています。私はこの委員会で、夫婦同姓しか認めない現行制度は、それぞれが名前を名のりたいというカップルに法律婚を諦めさせ事実婚に向かわせるわけですから、法律婚の推奨という婚姻制度の目的に逆行するのではないかと度々指摘してまいりました。
 この点について、二宮参考人の御見解を伺います。
#93
○参考人(二宮周平君) 繰り返しになりますが、法律婚は全ての人に開かれたものであるべきだと考えます。先ほど大村参考人がおっしゃったように、もちろん、法律婚じゃない選択をした人にも、それにふさわしい処遇、対応というのはしなければなりませんけれども、あるカップルは法律婚が認められ、あるカップルは認められないという、そこは平等にしていく必要があると思うのです。ですから、別姓を希望する人、同性カップルの人たちに法律婚を認めることが逆に法律婚制度を広げていくことになるわけですから、方向としてはその方向が望ましいと考えています。
#94
○糸数慶子君 今回の法改正は、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に鑑み行われるわけですが、家族の多様化について言及がありません。むしろ、変化が著しいのは、その家族のありようや価値観の多様化であろうと思います。しかしながら、家族の形や意識のその変化のスピードに法改正が追い付いていないというのが現状ではないかというふうに思います。
 今回の法改正にとどまらず、二宮参考人が見直すべきだというふうにお考えになる法や制度はありますでしょうか。
#95
○参考人(二宮周平君) まず、その前提として、今回は相続法の改正ですので、相続法の中でどうしたら多様性を取り込むことができるのかということになると、千五十条の特別寄与の条文しかないと思いますので、だからこそ多くの方がこの条文の適用対象者を広げることに御意見が出たんだろうと思います。
 相続法改正を除いて必要なこととなりますと、もうこれも繰り返しになりますけれども、選択的夫婦別氏制度の導入と同性による法律婚の承認、これに尽きると思います。さらに加えて言えば、生殖補助医療に関して適切な規制を、規制というよりも規律ですね、抑制するのではなくて規律していく必要がありまして、これは大村参考人がおっしゃっていましたように、二〇〇三年の法制審議会の親子法部会の報告が出ているんですけど、それは塩漬けになっています。
 そこも含めて生殖補助医療の在り方については立法が必要だろうと思いますし、それからもう一点、最後に述べさせていただきますと、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定するという民法七百七十二条の規定も改める必要があろうかと思います。婚姻中出生した子は夫の子と推定するという規定とか、あるいは嫡出否認権を妻や子供に平等に認めていくといったような法改正も求められるのではないかと考えます。
#96
○糸数慶子君 大変示唆に富むお話をいただきまして、ありがとうございます。今回の法改正に向けた議論の参考とさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#97
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。あと十五分ですので、ブラック委員会じゃないとは思うんですけれども、トイレも行かず我慢していただいてありがとうございます。お疲れのところ恐縮ですが、もう少しお付き合い願いたいと思います。
 三人の参考人の方にお伺いしたいんですが、現在審議中の法律案は、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化を受けたものと説明されております。法律婚や親族制度を前提にしたものであり、近年の急激な生涯未婚率の増加という社会経済情勢の変化に対応できているとは思いません。生涯未婚率の増加を受けて、法律婚や親族制度を前提にしない相続制度を考えていくことも重要かと思いますが、それぞれどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。
#98
○委員長(石川博崇君) どなたからお伺いしますか。
#99
○山口和之君 大村参考人から。
#100
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 先ほど、横山参考人だったでしょうか、御発言があったと記憶するんですけれども、婚姻というのは婚姻時の約束であって、これに子供、親子関係とか、あるいは相続という関係が結び付いております。
 嫡出子、非嫡出子の平等化というのは世界の趨勢でございますけれども、実はどこが最後まで残っていたかというと、日本のほかはドイツ、フランスが二十世紀の終わりぐらいまでこの区別を残しておりました。それは、婚姻というものが親子関係をつくり出し、相続関係をつくり出す、そういうものだという観念というのを大事にしていたということだと思います。それが、今日では、いや、子供の権利という観点から、そこを譲ってその相続分の平等化というのを図ったということだろうというふうに考えておりますので、相続制度と婚姻関係、親子関係というのが結び付いてくるというのは、あるところでは必然的なところがあるのではないかと思っております。
 しかし、他方で、遺言等によって法律上の親族関係がない人に財産を残すということも可能であるわけです。先ほど私が申し上げました緩やかな結び付きというのは、個別の関係についてはその問題ごとに解決していこう、それでいいんじゃないかという、そういう考え方に立つ結び付きだと思います。子供については、子供を認めるかどうか、それは認知の問題として考える、相続については、財産を残すかどうかはこれは遺言で考える、こんなふうな形で、家族に関する効果を一まとまりに与えるという、婚姻でない形もあり得るのではないかと、こんなことだろうと思います。
 それはあり得る考え方だと思うんですけれども、そうなりますと、議員御指摘の点に関わるわけですけれども、認知の制度が適切なものとなっているか、あるいは遺言について、相続人とならない人に対する遺言をするということが適切にできるような制度になっているか、そんなふうなことを考えていくということになろうかというふうに思っております。
#101
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 高齢化社会の進展ですとか性的少数者が可視化されつつある社会、また事実婚が増加する社会において、やはり民法上、今形式的に定められている親族というものと、実態として共同生活をしている方とか介護等を行っている方との間に非常にずれが生じているというのが実態だと考えております。そういった中で、相続というもの、婚姻から発生するそういった利益というものから、そういった現在実態として家族として生きている方を除外しているという状況は極めて問題であると考えております。
 婚姻というものについて、先ほどから繰り返しお伝えしていますけれども、婚姻制度というものを利用するかどうかというのを、それを希望するカップルに自由に決めることができるようにすべきだと、それが個人の自己決定にもつながるというふうに考えています。
 もちろん、婚姻に伴って、利益とともに責任も生じますので、そういった婚姻に縛られたくないという方もいらっしゃると思います。そういった方たちのために緩やかな制度というものも手当てしておくということは一つあり得るかと思いますが、それは決して婚姻制度をそういった方が利用する選択肢をなくすということであってはならないというふうに考えております。
 遺言というものも、遺産をある第三者に分けるということで一つの手段だとは思いますけれども、やはり、遺言というものを作っておくというのは、それでカバーし切れないこともありますし、それを強いるというか、そういった準備をしておくべきだというのを一定のカテゴリーの方々にのみ強いるということは非常によろしくないのではないかというふうに考えております。
#102
○参考人(二宮周平君) カップルの関係については先ほど申し上げましたので、親子のことを考えてみたいと思います。
 先ほど山口委員おっしゃったように、生涯未婚率が増加していまして、五十代の人で婚姻したことがないという人が二〇%を超えるような時代になってまいりました。しかし、人はやっぱり一人では生きられません。自分のことを心配して考えてくれている人がそばに必要だということが求められてくると思います。そういうときに、日本で可能な制度は養子縁組です。日本の場合は縁組届だけで簡単に親子になれてしまうんですね。でも、これが悪用され、養子縁組の意思確認もしないまま、高齢者の方が寂しさから財産を侵奪されるような縁組もあったりします。ですから、高齢者の場合の養子縁組の成立の仕方、ここを配慮していくことが求められておると思います。
 それから、成人に至るまでの未成年の子供さんについては、大村参考人と私も見解を共通するのですけれども、子供にとってみたら、父母が婚姻しているのか離婚しているのか、あるいは婚姻していないで生まれた子なのかということは関係がありません。子供にとっては父母です。だから、どのような婚姻状態であれ、子供を養育する責任を父母は担う必要があると考えています。
 したがって、現在の、離婚後は単独親権にする、婚外子は単独親権にするというこういう仕組みも、共同親権が選択できるような改正をしていく必要があろうかと。親子の関係でその二つを私は課題として認識しているところです。
#103
○山口和之君 ありがとうございます。
 養子縁組の話がちょっと出たので、三人の参考人の方にお伺いしますけれども、相続対策のために孫を養子にしたり、子の配偶者を養子にしたりすることが行われているということをお聞きします。
 このように、相続対策目的で身分行為が行われることに関して、それぞれどのようにお考えでしょうか。また、そもそも孫や子の配偶者を養子にすることを法的に認める必要性についてどうお考えでしょうか。
#104
○委員長(石川博崇君) どなたから。
#105
○山口和之君 大村参考人から。
#106
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 先ほど、私、一九四七年改正は引き算の改正だったというふうに申し上げました。養子制度につきまして、家督相続と関わるようなものを除いて、従前の考え方をそのままほぼ維持して今日に来ているかと思います。
 普通養子は、議員御指摘のとおり、様々な形で用いられているところでございます。これ、親子という形を取るのでございますけれども、その実質は、当事者間に一定の共同生活のための契約関係のようなものをつくり出す、そういうことになっているのではないかというふうに感じております。そうであるとするならば、これは個人的な見解ですけれども、普通養子によって実現されている適切な目的を代替的に実現するような制度というのを構想していくべきではないかと、それを養子というふうに名付ける必要は必ずしもないのではないかというふうに思っております。
 ただ、法改正は、現行法があって、そこから行われるものでございます。経路依存性というのがございますので、今申し上げたのは研究者としての見解でございますけれども、実際に立法をするということになりますと、現在普通養子に求められ、託されている様々なものをどういうふうにさばいていくのかということをより現実的に考えるということになろうかと思います。
#107
○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。
 養子縁組の場合の縁組意思というものが必要となるわけですけれども、それは、その親子関係を創設する意思が必要だということで、親子関係を創設する意思が実際にその縁組当事者にあったのかどうかというので紛争になる、訴訟になるケースというのはよくあるわけですけれども、最近、最高裁で節税目的での養子縁組についての判決出されまして、それはその縁組意思に欠けるところはないという判断がなされています。
 つまり、これ、親子関係を創設する意思というのと節税目的が両立し得るという判断であったかと思いますけれども、今後、その縁組意思というものについて、親子関係創設する意思というものと、それとはまた、両立し得る目的というのはまたあると思うんですけれども、それをどう捉えていくかというのはいろいろ価値観があるのかなと考えております。
#108
○参考人(二宮周平君) 成年養子の場合には、大人同士ですから、当事者の意思に委ねて、縁組意思があるかどうかを裁判所が確認するような仕組みで対応できると思います。
 未成年の子供の養子縁組については、実親がいます。これ、実親が子供を監護、教育するのが当然であって、実親が子供を監護、教育できない事情があるときに養子縁組を結ぶべきであると考えますので、節税目的の未成年養子縁組というのは脱法行為だと思います。
 それから、子連れ再婚した場合の再婚相手との養子縁組についても、その子供にとってみたら、なぜその縁組を強制されるのか理解できないことがあると思います。別居している実親を親と思って慕っているにもかかわらず、親権者の代諾縁組で養子縁組が成立してしまうわけですから、ここもメスを入れる必要があって、繰り返しになりますけれども、未成年の養子縁組は実親が子供を監護、教育できない場合にのみ成立させるという、そういう仕組みに変えていくべきではないかと考えています。
#109
○山口和之君 大村参考人にお伺いしたいんですが、夫婦共有財産の取扱いが離婚の際の財産分与と死別の際の相続とで大きく異なっておりますけれども、その現状についてどういうふうにお考えでしょうか。
#110
○参考人(大村敦志君) ありがとうございます。
 今の点は、先ほども触れましたけれども、夫婦の財産関係の清算というのと、それから清算後の相続の問題というのを理屈の上では分けて考えるということが望ましいというふうに私自身は思っております。
 ただ、現行法制は、夫婦財産制のレベルでは、婚姻継続中財産は別々に所有するということをベースとし、離婚については財産分与、そして死別の場合については配偶者相続権で対応するということで制度が形成されております。こうならなきゃいけないという必然性はなかったんですけれども、こうなることが便宜であったということでこうなってきたということだろうと思います。
 配偶者相続分という形で夫婦の財産関係の清算をそこに含めるということは、何というんでしょうか、言わば近似的に清算をすると。あと、固有の相続の問題はそこで処理するということで、精密な議論ではないわけなんですけれども、ある程度やむを得ないところもあると。そのことを前提にした上でどのような修正を図っていくのかということなんだろうと思っております。
 一言付け加えますと、今の夫婦の財産関係の清算を相続の問題に置き換えるというのは、一九八〇年の相続法改正のときから日本では出てきた考え方ですけれども、外国でもそのような形で簡略な処理を図ろうという国もありますので、一概に無理な考え方というわけではありませんので、そういうことで日本法は動いてきたということを踏まえつつ、どうするのかというのを考えていくということかと思っております。
#111
○山口和之君 どうもありがとうございました。
#112
○委員長(石川博崇君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 三人の先生方、本日は、長時間にわたりまして御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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