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2018/01/25 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第2号
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2018/01/25 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第2号

#1
第196回国会 本会議 第2号
平成三十年一月二十五日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成三十年一月二十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十二日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。大塚耕平君。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕
#4
○大塚耕平君 民進党・新緑風会を代表して、政府四演説に対して総理に質問をいたします。
 初めに、一昨日の草津白根山の噴火被害に遭われた皆様に、お悔やみ、お見舞いを申し上げます。政府においては、今後の被害拡大を防ぐために、万全の対策を講じることをお願い申し上げます。
 総理は施政方針演説の最後において、憲法について、議論を深め、前に進めていくことを期待していますと述べました。一月四日の年頭記者会見においても、憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、議論を一層深めていくと発言されました。
 憲法のあるべき姿とは、どういう意味でしょうか。また、それは誰にとってのあるべき姿なのでしょうか。総理にお伺いいたします。
 あるべき姿、すなわち、べきという言葉は、そのことの正当性を示す接尾語であります。あるべき姿の正当性を誰が担保するのでしょうか。あるいは、それは総理自身があるべき姿と考えるということでしょうか。総理の認識を伺います。
 施政方針及び年頭記者会見における発言は、今年は議論を一層深めていくことに徹するという意味でしょうか。あるいは、今年中に改正発議を行うことを目標にしているのでしょうか。総理の認識を伺います。
 憲法改正の内容については、昨年十二月二十日に自民党憲法改正推進本部が論点取りまとめを公表しました。その中で、自衛隊について、緊急事態について、合区解消・地方公共団体について、教育充実についての四つの論点が示されました。それぞれについて、憲法改正が必要と考える緊要性、立法事実に関して、総理の御認識をお伺いいたします。
 国会法第六十八条の三は、憲法改正原案の発議に当たっては、内容において関連をする事項ごとに区分して行うと定め、個別発議の原則を掲げています。しかし、関連する事項の定義等については明示されていません。
 平成十八年十一月三十日、衆議院の日本国憲法に関する調査特別委員会における国民投票法案の審議の際に、提出者の船田元議員が、条文ごとに賛否を問うのではなく、相互に関連するというものについてはなるべくワンパッケージとして国民に問いかける必要があると答弁しています。
 そこで、総理に伺います。現行法制において、個別発議の原則における関連する事項の定義をどのように認識しているのでしょうか。個別発議の原則に基づいて、逐条で国民投票を行うことが重要と考えますが、総理の見解を伺います。
 憲法改正案は、憲法審査会での採決、衆参両院で三分の二の賛成を得て発議されます。逐条ではなく、複数の条文をまとめた憲法改正案及び国民投票とすることが法理上できるのか、総理の見解を伺います。
 残念ながら、総理には信頼できない過去があります。反対の多い法案と全会一致の賛成となるような法案を束ねて一括法案として、安保法制等を強行に成立させてきました。今国会でも、働き方改革において八本の関連法案を束ね法案として提出しようとしています。この手法を顧みると、憲法改正発議についても懸念を抱かざるを得ません。
 憲法改正はあくまで個別発議であり、国民投票も逐条で行うということでよいか、総理の認識を伺います。仮に、現在の国民投票法では、厳格な個別発議、厳格な逐条投票を求めていないという認識であれば、憲法改正の内容の議論の前に早急にその点についての検討を行うべきと考えます。総理の認識を伺います。
 国民投票の際の運動は、できるだけ自由に行うという原則の下、投票日前十四日間におけるテレビ等のスポットCMが禁止されているだけです。しかし、改正発議から国民投票までは六十日から百八十日の期間があるため、資金力のある団体等が強力な広報宣伝活動を展開し、世論を誘導することに歯止めが掛からないおそれがあります。特に、国民投票法が成立した二〇〇七年当時と比べ、SNS等の影響も著しく、インターネット環境等が大きく変化しています。有料広告宣伝等の扱いについても、コンセンサスが形成されていないと思います。
 世論誘導や不公正、不適切な国民投票運動が行われない環境を担保するために、国民投票運動のルールや広告宣伝の在り方についても早急に議論を行うべきと考えますが、総理の認識を伺います。
 総理の施政方針は、働き方改革、人づくり革命、生産性革命、地方創生、外交・安全保障の五つの項から構成されています。そのうち、外交・安全保障以外の項は、昨年十二月八日に閣議決定された人づくり革命、生産性革命を柱とする新しい経済政策パッケージを前提としています。
 人への投資は、民進党が従来から掲げる政策の柱です。人への投資に注力することで国民生活の向上を図る、それが民進党の立場です。その観点からいえば、表現は違いますが、人づくり革命といって人に焦点を当てている点は従来の安倍政権からの方向転換のような気もしますが、人を単なる生産要素、単なる労働力という捉え方をしないことを求めます。
 人の尊厳を重んじた政策を行うことによって、社会や経済の中で人が生き生きと活動できる姿を実現することが人への投資の意味と考えます。民進党が訴えてきた人への投資は、生活が良くなることで経済が良くなるとの考えの下、従来型の公共事業偏重や既得権益的な予算配分を改め、子育て支援や人材育成の予算に大胆にかじを切っていくものであります。そうした立場から、以下、質問いたします。
 総理は、過重な長時間労働を促進する高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の対象業務拡大、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金等の八つの法案を束ねた働き方改革法案を国会に提出しようとしています。長時間労働を促進する内容と是正する内容、趣旨が真逆の法案を一つに束ねて審議を要求することは適切でないとさきの特別国会でも申し上げました。総理は、いずれの施策も働く側のニーズに応じていると説明していますが、高度プロフェッショナル制度や裁量労働制の対象業務拡大は働かせる側のニーズが高いと言わざるを得ません。
 日本経済の国際競争力は相対的に後退しています。好調な企業業績は、海外景気、金融緩和、そして労働分配率の低下や労働者へのしわ寄せによってもたらされている傾向を否めません。日本の企業や産業の戦略、そして国の経済政策等が奏功しているとは言い切れないことに真摯に目を向ける必要があります。
 そうした中、総理は施政方針において、働き方改革は、戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革と自賛しています。しかし、ただいま申し上げました日本経済の実情と深層を踏まえると、今回の法案の内容は、過労死等を誘発する大改悪になる危険性があることを認識すべきです。かつて、一九九九年の派遣対象業務の拡大や二〇〇七年の製造業派遣期間の延長等、派遣法の規制緩和を進めたため、派遣切り等の問題が深刻化したことを思い出してください。そのような認識を与野党が共有し、思慮深い議論を行うことが必要です。
 高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の対象業務拡大を働き方改革の法案から削除し、断念すべきと考えます。総理の答弁を求めます。
 次に、同一労働同一賃金について伺います。
 不合理な待遇を是正するため、待遇に関する使用者と労働者の情報格差を正すことが不可欠です。現時点で判明している政府案では、事業主に対し、正規雇用労働者との待遇格差の内容や理由を非正規雇用労働者に説明する義務を課すとしています。
 非正規雇用労働者が収集できる情報が限定的なものとならないよう、情報開示の義務を課す項目等について、より具体的に定めるべきです。どのような項目を定めるのか、総理の見解を伺います。
 また、政府案による説明義務は、短時間・有期雇用労働者、派遣労働者から求めがあったときに限定しています。政府案は説明を求めたことを理由とした不利益な取扱いを禁止していますが、果たして立場が弱い非正規雇用労働者が事業主に説明を求められるでしょうか。こうした懸念が現実化しないよう、他にどのような対策を講じるのか、総理に伺います。
 また、政府案には説明義務に違反した場合の罰則は設けられておらず、現行法に基づいて助言、指導等が行われるにすぎません。政府案の説明義務は十分な実効性が確保されていると言えるのか、総理の認識を伺います。
 今回の働き方改革の法案には触れていませんが、労働者の使い捨てにつながりかねない解雇の金銭解決制度の検討も続いています。厚労省の検討会は、副業について、企業や事業主が就業規則等に定めることに関するガイドラインの案を取りまとめました。さらに、政府は、大手広告代理店の新入女性社員の過労自殺の要因の一つと言われるパワハラ対策の法改正等には及び腰です。また、オリンピックメーンスタジアムの建設に従事していた建設会社の若手男性社員の過労自殺という痛ましい被害も出ました。労働者に無理な事業計画やノルマを課すことは、パワハラや過労を誘発します。
 働き方改革が働く側のニーズと強弁するのであれば、改めて総理に伺います。
 解雇の金銭解決制度の検討をやめること、副業を推奨するような政府の姿勢を改めること、企業が労働者に無理な事業計画やノルマを課したり、オリンピックの準備を含め、それを誘発するような様々な分野における政府の無理な施策や運営を総理自らが先頭に立って是正していくお気持ちがあるのか否かを伺います。
 働き方改革に関連して、労働者の所得、税制についてもお伺いします。
 総理、今週月曜日の大手経済紙の一面トップ記事の見出しを御存じでしょうか。日本の賃金、世界に見劣り、生産性の伸びに追い付かず、国際競争力を左右、G7のうち日本だけが賃下げ、人材流出のおそれとなっています。ゆゆしき事態です。
 そうした中、今年度の政府・与党の税制改正案は、一部の労働者にのみ負担を求める内容になっています。また、所得税制の複雑化を更に進めるものであり、公平、中立、簡素という租税の大原則からも評価できません。昨年の配偶者控除引上げも同様でした。
 政府案を取り下げ、かねてより民進党が主張しているように、所得再分配機能の回復、強化、ライフスタイルに中立で公平な税制構築、労働力人口増加を促す成長戦略の観点等から、人的控除の整理を含め、所得控除から税額控除に転換を図り、さらには、税額控除から給付付き税額控除、手当へと税体系を本気で変えていくことを提案いたします。総理の見解を伺います。
 人づくり革命の一環として、政府は二〇二〇年度までに保育の受皿三十二万人分を整備して待機児童を解消する方針ですが、申込みを断念した人を含む潜在的需要を勘案すると、三十二万人分では足りないと思います。
 厚労省は、昨年十二月、保育を必要としているものの申込みに至らないケースも把握することを求める通知を都道府県に発出しました。その結果次第では三十二万人分という目標を見直すのでしょうか。総理に伺います。
 政府は、三十二万人分の受皿整備のために、七・七万人の保育人材を確保することを目指しています。しかし、新しい経済政策パッケージに保育士の抜本的な処遇改善は盛り込まれておらず、七・七万人の保育士を確保できるか疑問です。待機児童を解消するためには、全ての保育士を対象に抜本的な処遇改善を行うべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 幼児教育の無償化については、子供たちを、親の所得や、認可、認可外等、通う施設によって区別することがあってはなりません。実施に当たっては、全ての子供を対象にすべきと考えます。無償化の対象範囲についてどのように考えているのか、総理の答弁を求めます。
 高等教育の無償化は、住民税非課税世帯の学生の学費を免除する方針と聞き及びますが、授業料の高さを考えると、対象を更に広げるべきと考えます。今後、支給対象は拡大されるのでしょうか。総理の考えを伺います。
 また、全体として、対象世帯の考え方について一貫性と整合性を欠いています。三歳から五歳の幼児教育無償化は所得制限なし、高等教育無償化は住民税非課税世帯等に限定、私立高校の授業料無償化は年収五百九十万円未満の世帯。更に言えば、民主党政権が所得制限なしでスタートした高校授業料無償化は、安倍政権下で約九百十万円の所得制限が設けられています。
 総理は、このような所得制限のばらつき、子供、子育て世代に対する支援の在り方についてどのように考えているのでしょうか。現在示されているそれぞれの基準の合理的根拠とともに伺います。
 次に、生産性革命について伺います。
 新しい経済政策パッケージでは、二〇二〇年までの三年間で、我が国の生産性の伸びを二〇一五年までの五年間の平均値である〇・九%から倍増させ、年二%を実現すると記しています。その際、新しい経済政策パッケージでは、ここでの生産性は労働生産性とすると明記しています。
 そこで伺います。総理は生産性の定義をどのように理解しているのでしょうか、お答えください。
 生産要素には、労働以外にも資金や設備等の資本、土地等が含まれるほか、それらの生産要素以外の要因を包括する全要素生産性、TFPがあります。労働以外の生産性について、どのような目標を設定して新しい経済政策パッケージが構成されているのかを伺います。そして、なぜ労働生産性と限定しているのでしょうか。総理に伺います。
 労働以外の生産要素の生産性が向上し、実質GDPが増加すれば、労働者の働き方が変わらなくても労働生産性は結果として向上します。総理は、労働生産性は生産性向上の結果と考えていますか、それとも原因と考えていますか。今後の政策論争の基礎となりますので、総理の認識を伺います。
 新しい経済政策パッケージや施政方針には、生産性革命との関連でIT、IoT、AI等に関連する施策や記述が多岐にわたっています。IT、IoT、AI等の分野に関して、日本は進んでいるのか、遅れているのか、どの分野が進み、どの分野が遅れているのか、総理の基本的認識を伺います。
 中国では、金融機関から融資を受けたり、ファイナンスを得ることに関し、三・一・〇という表現が普及しつつあります。スマホやネット経由で融資を申請するために必要情報を入力する時間が三分、融資の可否はAIが一秒で下し、融資業務に係るマンパワーはゼロという意味のようです。
 日本で起業家やスタートアップ企業が融資を受ける際の煩雑さは十分には改善されておらず、フィンテック等の分野でも世界からの遅れが目立ちます。クラウドファンディングも十分に普及していません。中国の科学技術予算は、二〇一五年には日本の六倍に当たる二十・七兆円に達しており、現在の予算格差は更に広がっていることでしょう。
 毎年開催されるAIの国際学会であるNIPS、ニューラル・インフォメーション・プロセッシング・システムズは三十一年目を迎えました。世界のIT、AI関連の主要企業も学会に参加し、昨年末に米国で開催された直近のNIPSには約八十社が参加しました。ところが、日本からの参加はベンチャー企業一社のみ。主要国のAI関係者から、日本は蚊帳の外と言われているようです。
 AIに関する日本の遅れの打開策について総理の考えを伺うとともに、当初予算案にどのような施策が盛り込まれているのか、お答えください。
 生産性革命に関連して、もう一つお伺いします。
 施政方針において、ビッグデータ時代に対応し、行政が保有する様々なデータから新たな価値を生み出すため、公開、民間開放を原則としますと述べています。公開、民間開放を原則とするというのは、どのような行政情報を対象として考えているのでしょうか。個人情報保護の観点とのバランスをどのように考えているのでしょうか。従来は非公開であったものを公開とする際の法的対応をどのように考えているのでしょうか。それぞれ総理にお伺いします。
 人づくり革命、生産性革命に関連して、予算について伺います。
 平成二十九年度補正予算案の編成理由として、総理は、第四次安倍内閣の初閣議及びさきの特別国会において、災害復旧を強調していました。しかし、直接的な災害復旧等として計上された予算は〇・三兆円にすぎず、それ以外の項目において公共事業を中心に約二・四兆円もの歳出が追加されています。
 利権の温床との批判も多い土地改良事業について、当初予算案で四千三百四十八億円計上されていますが、補正予算案にも千四百五十二億円計上されており、総額五千八百億円に及びます。
 このような予算編成をしていては、国民生活や科学技術に関する予算を潤沢に捻出できるわけがありません。
 当初予算案は、九十七・七兆円と過去最大です。残念ながら、当初予算案で国民生活の向上に資する項目が手厚く配慮されているとは感じられません。農林水産省所管の公共事業である土地改良事業費だけでなく、国土交通省所管の公共事業費も増加しています。国土強靱化を口実に、大型公共事業に偏重する傾向が強まっており、予算構造が先祖返りしている印象を受けます。総理に所感を伺います。
 注目すべきデータを一つ御紹介します。
 IMF統計に基づいて私自身が試算したところ、一九六〇年から二〇一五年の五十六年間の日本の公的資本形成の対GDP比は七・七%、実額にして千三百八十九兆円。同時期のG7の他六か国合計の対GDP比は三・九%。日本の半分です。仮に対GDP比が欧米並みであった場合、日本の公的資本形成は六百八十五兆円多い計算になります。
 物価水準を勘案して現在価値に引き直すと、九百五十六兆円。単純比較はできませんが、欧米比で約一千兆円多い公的資本形成を行っていた計算になります。約一千兆円を教育や科学技術、社会保障等に投入していたら、現在の日本は随分違う姿になっていたのではないでしょうか。総理の所見を伺います。
 この現実をどのように是正するかは重要な課題です。過去のこの現実についての総理の所感を伺います。また、今後これをどのように変えていく考えがあるのか、そうした観点から、当初予算案ではどのような留意がなされているのか、総理にお伺いいたします。
 防衛費についても伺います。
 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るために必要な予算は確保しなければなりません。しかし、何でも認めるというわけにはいきません。
 昨年、会計検査院は、F35AのFMS、有償軍事援助の調達状況の問題点や防衛装備品調達における過払いの可能性を指摘しました。こうした点について、どのような改善を行った上で当初予算案を編成したのか、総理に伺います。
 施政方針では、専守防衛は当然の大前提としながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めてまいりますと述べています。従来の延長線上ではなくとはどういう意味でしょうか。総理に伺います。
 当初予算案には、射程九百キロメートル超の巡航ミサイルの配備関連経費が計上されています。巡航ミサイルは、一般的には攻撃的兵器であり、自衛のための必要最小限を超えると受け止められ、安全保障環境に緊張をもたらすことが懸念されます。
 施政方針にも明記されている陸上配備型弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショアの導入に関しては、ロシアのラブロフ外相を始め近隣国が懸念を表明しています。このような兵器が専守防衛の範囲内であるか否か、総理の認識を伺います。
 施政方針では専守防衛は当然の大前提としていますが、新三要件により集団的自衛権を一部容認している現在の政府の立場は立憲主義に反しています。
 総理は、集団的自衛権行使の根拠を、平成二十六年の七・一閣議決定において、昭和四十七年十月十四日の政府資料に示されていることを根拠にして、今日まで安全保障法制の合法性、憲法適合性を主張し続けています。しかし、当時の内閣法制局の担当者が、昭和四十七年の政府見解は集団的自衛権を前提としたものではなかったと証言していることが報道等で指摘されています。
 総理は、施政方針の外交・安全保障の項で、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携すると述べています。
 法の支配とは、国際法規のみならず、法治主義、立憲主義に忠実であることが前提です。そうであってこそ、日本自身も、他国から信頼される法の支配という基本的価値を共有する国と言い得るのです。
 平成二十七年の安保法制の強行採決にまで至った総理の立憲主義を軽視する姿勢、束ね法案を濫用して国会審議を形骸化する姿勢こそが、総理が熱意を燃やす憲法改正論議に国民や野党が信頼して応じられない最大かつ根本的な理由です。
 総理、安保法制の違憲部分の見直しに真摯に向き合い、与野党のみならず、国民全体が納得できる環境をつくってから、改めて憲法改正論議を行うことをお勧めします。総理の所見をお伺いします。
 多くの人命が失われ、未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、間もなく七年がたとうとしています。阪神大震災からは二十三年が経過しました。今なお被災で苦しんでいる方々のために民進党は全力を尽くします。
 東日本大震災からの復興復旧はいまだ道半ばです。
 民進党は、被災者生活再建支援金のうち加算支援金を最大五百万円に増額する被災者生活再建支援法案、災害関連死について国が一定の基準を設ける災害弔慰金支給法案、所有者不明等の用地について手続中であっても権利取得、土地利用開始を可能とする制度を創設する東日本大震災特区法案、津波被害等で使うことができなくなった土地の処分を円滑に行うための土地等処分円滑化法案から成る復興加速四法案を提案しています。
 いずれも、昨年の衆議院解散で廃案となりましたが、再び提出し、是非成立させたいと思います。御賛同いただけるかどうか、総理の御見解をお伺いいたします。
 今国会における焦点、論点は、以上申し上げた内容以外にも枚挙にいとまがありません。
 北朝鮮問題への対応、沖縄での米軍機事故への対応、年金、医療、介護の諸課題への対応、財政健全化への対応、総理が説明責任を果たそうとしない森友学園、加計学園問題への対応、新たに発覚したスーパーコンピューター開発をめぐる補助金詐欺疑惑への対応について、総理の基本的姿勢を伺います。
 総理は、施政方針の冒頭で会津藩の山川健次郎翁の名言を引用しました。会津藩といえば、子供たちを教育する集まりであった什という組織がよく知られており、「什の掟」も今に伝えられています。その第三は「虚言を言ふことはなりませぬ」であり、「ならぬことはならぬものです」と締めくくられています。山川翁も反すうしたであろう「什の掟」も踏まえ、総理には全ての問題に真摯に向き合っていただきたいと思います。
 最後に、民進党は国民生活の向上のために全力を尽くすことをお約束申し上げ、代表質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えをいたします。
 答弁に先立ちまして、一昨日の本白根山の噴火により亡くなられた自衛官の方に心から哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 政府としては、本白根山について、新たに観測機器を設置し、観測体制を強化するなど、対応に万全を期してまいります。また、今後、火山の監視観測・研究体制の充実強化、登山者等の安全確保対策の推進など、火山防災対策の強化に取り組んでまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法は、この国の形、理想の姿を示すものです。私たちは、時代の節目にあって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ていると思います。
 言うまでもなく、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により国民の皆様が決めるものであります。改正の必要性やその内容、発議の時期等のスケジュールについても、国会における御議論や国民的な議論の深まりの中で決まっていくものと考えております。
 私は、今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している御指摘の四項目についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、今後、憲法審査会において、各党による建設的な議論が行われ、国会における議論が深まる中で、与党、野党にかかわらず幅広い合意が形成され、国民的な理解も深まっていくことを期待しております。
 憲法改正原案の発議及び国民投票についてお尋ねがありました。
 国民投票法では、国民投票は、国会の発議に係る日本国憲法の改正案ごとに行われることとされています。憲法改正の発議は、国会法の規定により、内容において関連する事項ごとに区分して行うこととされていますが、具体の発議をどのように行うかについては国会において判断されるものと考えています。
 国民投票における広告宣伝活動の規制についてお尋ねがありました。
 国民投票法は、平成十九年に議員立法で制定されたものですが、その際、各党各会派で様々な議論がなされた結果として、広告放送を含めた国民投票運動については、基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限の規制のみを設けるとの結論に至り、現在の制度となったものと承知しています。
 法律制度後の事情の変化等、御指摘の問題意識については、本法律が制定された際の議論の経緯等を踏まえ、各党各会派で御議論をいただくべき事柄と考えております。
 働き方改革についてお尋ねがありました。
 働き方は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するため、労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革です。働く方の健康の確保を大前提にワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など、様々な事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく。こうした社会を実現するために労働時間法制の見直しが急務です。
 その中で、高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ、誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと改革するものであり、一つの法案でお示しすることが適当と考えています。
 同一労働同一賃金に関する説明義務についてお尋ねがありました。
 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正するためには、不合理な待遇差を禁止するだけでなく、待遇差に関して企業側しか持っていない情報を非正規雇用労働者も知ることができ、労使の話合いや訴訟において不利にならないようにする必要があります。
 このため、現在検討中の法案においては、非正規雇用労働者が事業主に求めた場合、正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等の説明義務を事業主に課すとともに、説明を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止することとしています。
 この待遇差に関する説明義務の対象となる項目は、基本給、賞与のみならず、全ての待遇差です。説明すべき具体的な内容については、非正規雇用労働者が必要な情報の開示を受けられるように検討していきます。
 また、非正規雇用労働者が待遇差について説明を求めたことを理由として事業主が不利益な取扱いを行った場合や、非正規雇用労働者が説明を求めたにもかかわらず事業主が説明をしないという場合には、都道府県労働局において指導、勧告等を行い、待遇差に関する説明が確実に受けられるようにします。
 解雇無効時の金銭救済制度等の働き方改革についてお尋ねがありました。
 働き方改革を進めるに当たっては、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するため、働く方の立場を十分に踏まえて検討する必要があります。
 解雇無効時の金銭救済制度については、金銭を支払えば自由に解雇できるといった、いわゆる事前型の制度は導入しないことを前提として、労働者の保護等の観点から検討を進めています。
 この仕組みについては、昨年十二月の新しい経済政策パッケージにおいて、労働政策審議会において法技術的な論点についての専門的な検討に着手し、同審議会の最終的な結論を得て所要の制度的措置を講ずるとし、現在、専門的な検討を行う場を設置する準備を進めています。
 副業、兼業についても、新しい経済政策パッケージに基づき、労働者の主体的なキャリア形成を支援する観点から促進しています。このため、長時間労働を招かないよう留意しつつ、現行法令での留意点をまとめたガイドラインを策定します。
 また、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、有識者や労使関係者による議論も踏まえ、対策を検討してまいります。
 さらに、企業が働く方に長時間労働を強いる背景には、取引先からの短納期発注や急な仕様変更に応えなければならないという業種ごとの商慣習や取引条件の問題があります。
 働き方改革を進めるに当たっては、こうした商慣習の見直しや取引条件の適正化について、それぞれの業界の実態に応じたきめ細かな対応に取り組んでまいります。
 特に、建設業については、適正な工期設定等に向けたガイドラインを策定し、政府自らが発注者になる場合も含めて徹底するなど、省庁横断的な取組を進めてまいります。
 所得税の控除の在り方等についてお尋ねがありました。
 今般の個人所得課税の見直しにおいては、特定の収入のみに適用される給与所得控除等から、どのような所得にでも適用される基礎控除に控除額の一部を振り替えることとしています。この見直しは、働き方の多様化を踏まえたものであり、働き方やライフスタイルに左右されない税制に向けた見直しであると考えています。
 また、基礎控除については、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないかとの指摘を踏まえつつ、現行の所得控除方式から税額控除方式に変更した場合、負担の変動が急激なものとなりかねないこと等を考慮して、逓減・消失型の所得控除方式を採用することとしたところであります。
 給付付き税額控除を導入すべきとの御提案については、低所得者対策全体の議論の中で、生活保護制度など、同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要と考えています。さらに、所得や資産の把握が難しいといった問題や、過誤、不正受給といった支給の適正性の確保など多岐にわたる課題があり、慎重な検討が必要と考えます。
 保育の受皿確保と保育の人材の処遇についてお尋ねがありました。
 待機児童の解消は待ったなしの課題であり、最優先で取り組んでいきます。子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分については、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇すること、その就業率と相関して、保育の利用申込率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量を推計したものです。
 待機児童の解消に当たっては、保育の実施主体である市区町村が待機児童の状況や潜在ニーズを踏まえながら保育の受皿整備を行うことが重要であり、引き続き取組を加速してまいります。
 また、保育人材の処遇については、政権交代後、月額三万円相当の改善を実施し、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行っています。
 さらに、平成二十九年度補正予算案及び平成三十年度予算案に月額三千円の処遇改善を盛り込んでいるほか、新しい経済政策パッケージでは、二〇一九年四月から更に三千円の賃金引上げを行うことを盛り込んでおります。引き続き、保育人材の処遇改善に取り組んでまいります。
 教育無償化の対象範囲と子育て支援に関する考えについてお尋ねがありました。
 児童教育の無償化については、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めます。幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化対象範囲等については、専門家の声も反映する検討の場で議論を開始したところであり、この夏までに結論を出してまいります。
 大学、専門学校等の高等教育における授業料の減免措置については、住民税非課税世帯の子供たちに対して拡充するとともに、これに準じる経済的に厳しい家庭の子供たちにもしっかりと必要な支援を行います。
 また、今般の無償化の措置は、それぞれの制度の趣旨、目的やこれまでに進められてきた取組などを踏まえて設計したものです。
 幼児教育の無償化については、重要な少子化対策の一つであることに加え、幼稚園等が義務教育の基礎を培う場であり、子ども・子育て支援の場として広く利用されているほか、諸外国でも、就学前の教育の重要性を踏まえ、三歳から五歳については所得制限を設けていないと承知しており、所得制限を設けずに実施することとします。
 高等教育の無償化については、低所得者層の進学を支援し、格差の固定化を解消することが少子化対策になるとの観点から、対象を低所得者世帯に限定します。
 現行の高等学校等就学支援金について、幅広く教育を受けられるようにする観点から、年収五百九十万円未満世帯を対象に拡充を行い、私立高等学校を実質無償化します。
 こうした取組を通じて、子育てや教育に係る負担の軽減を図ってまいります。
 新しい経済政策パッケージにおける生産性についてお尋ねがありました。
 新しい経済政策パッケージは、生産性革命を実現することで、働く皆さんの賃金を持続的に上昇させていくことを目指しています。そうした観点から、今回は賃金に直結する労働生産性の上昇を目標として掲げたところです。
 大胆な投資などを行うことで、結果として一人一人の働く皆さんが生み出す付加価値をしっかりと高め、四年連続の賃金アップの流れを更に力強いものとしてまいります。
 IoTや人工知能といった分野で日本は優位性を持つのか、及び人工知能に係る施策についてお尋ねがありました。
 最先端分野であり、必ずしも全体的な統計は整っていませんが、IoT分野での国際競争力については、主要十か国・地域のうち、我が国が米国に次いで二位となっているとの調査もあります。しかし、こうした分野は日進月歩でイノベーションが起きており、現状の精緻な分析に終始するよりも、時代を先取りするような挑戦を果敢に続けることが重要と考えております。
 人工知能については、昨年三月、我が国初の人工知能技術戦略を取りまとめたところであります。そして、そのロードマップに基づき、平成三十年度予算では医療やインフラ分野において具体的な利活用プロジェクトを実施するなど、予算総額も昨年度予算の二倍近くへと大幅に拡充しています。
 今後とも、世界に先駆けたソサエティー五・〇の構築に向けて、更にスピード感を持って取組を進めてまいります。
 行政が保有する様々なデータの公開、民間開放についてお尋ねがありました。
 政府においては、各府省が保有するデータは原則公開とするとの方針の下、オープンデータに取り組んでいますが、個人及び法人の権利利益や国の安全等を損なうおそれがある情報を公開するものではありません。
 今後とも、官民データ活用推進基本法に基づき、個人情報の保護等に十分配慮しつつ、ビッグデータ時代に対応して、行政機能が保有する有益なデータの公開、民間開放を進めることで、新たな価値の創造につなげていきます。
 補正予算と当初予算の構造についてお尋ねがありました。
 平成二十九年度補正予算では、災害復旧約〇・三兆円のほか、保育の受皿整備など人づくり革命や、ソサエティー五・〇に向けたイノベーションの支援など生産性革命、昨年の九州北部豪雨災害等を受け実施した全国の中小河川の緊急点検の結果などを踏まえた防災・減災対策、総合的なTPP等関連政策大綱に盛り込まれた農林水産業の体質強化対策、新たな段階の脅威となった北朝鮮の核・ミサイル開発等に対応した自衛隊の運用態勢の確保など、いずれも緊要性の高い事業を計上しています。
 平成三十年度予算においては、土地改良事業を含む公共事業関係費を前年度同水準とする中、生産性向上のためのインフラ整備や、豪雨、台風災害等を踏まえた防災・減災対策などに重点化しています。また、保育の受皿の拡大や、幼児教育、高等教育の負担軽減の充実など、国民生活の向上に資する予算を計上するとともに、科学技術振興費を〇・九%増やしており、大型公共事業に偏重する傾向が強まっているとの御指摘は当たりません。
 予算の配分についてお尋ねがありました。
 我が国においては、これまでも、その時々の政策課題に対して必要な予算を配分してきており、平成三十年度予算においても、保育の受皿枠拡大、幼児教育や高等教育の経済的負担の軽減、科学技術イノベーションの促進、生産性向上のためのインフラ整備や、防災・減災対策などの重要な政策課題に必要な予算措置を講じています。
 今後とも、めり張りのある予算編成により、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。
 防衛装備品に関する会計検査院の指摘と平成三十年度予算の編成についてお尋ねがありました。
 FMSによる防衛装備品の調達等については、防衛大臣から直接米国に改善を申し入れるなどの問題点の改善を進めております。
 平成三十年度予算案については、会計検査院の指摘を踏まえ、F35Aの更なる価格低減を図るとともに、国内企業の製造参画を促進する等、所要の改善措置に取り組んだ上で予算編成を行っております。
 従来の延長線上ではなくの意味についてお尋ねがありました。
 防衛計画の大綱の見直しに当たっては、安全保障環境の現状が戦後最も厳しいと言っても過言ではない中、まずは何よりも、現実から目をそらすことなく、真正面から向き合うことが不可欠です。
 その上で、これまで進めてきた南西地域の防衛態勢や弾道ミサイル防衛の強化にとどまらず、サイバー空間や宇宙空間など新たな領域分野について本格的に取り組んでいく必要があると考えています。
 このような意味で、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく必要があると考えているものです。
 スタンドオフミサイル及びイージス・アショアと専守防衛との関係についてお尋ねがありました。
 まず初めに、脅威をつくり出しているのは北朝鮮の側であり、日本ではないということははっきりと申し上げておきたいと思います。我が国に対する脅威から国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、しっかり備えをしておくことは私たちの大きな責任であります。
 スタンドオフミサイルは、我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を確保しつつ、我が国を有効に防衛するために導入するものであります。
 イージス・アショアは、弾道ミサイルの脅威から我が国全土を二十四時間三百六十五日、切れ目なく防衛する能力を抜本的に向上させるものです。
 いずれの装備も、専守防衛の下、国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的向上を図るものです。
 スタンドオフミサイルの導入が安全保障環境に緊張をもたらすとは考えていません。また、イージス・アショアの導入についても、周辺国に懸念を生じさせることがないよう、引き続き様々な機会を捉え透明性の確保に努めてまいります。
 平和安全法制の見直しと憲法改正の関係についてのお尋ねがありました。
 平和安全法制は、国権の最高機関である国会において二百時間を超える御審議をいただいた上で成立したものです。野党の皆さんからも複数の対案が提出されるなど、充実した深い議論が行われたものと考えています。
 憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解でお示しした憲法解釈の基本的論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであります。憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制はその考え方に沿った判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものです。
 平和安全法制は、その手続と内容のいずれにおいても、憲法の下、適切に制定されたものであり、見直すことは考えていません。
 憲法改正は、国会で発議し、最終的に国民投票で国民が決めるものです。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。
 民進党が提案している復興加速四法案に対する見解についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興については着実に進展しておりますが、切れ目のない被災者支援や住まいと町の復興、なりわいの再生を一層加速化させ、被災者の心に寄り添い、一日も早い被災地の復興に向けて全力を尽くしてまいります。
 これまで、住宅の再建、産業、なりわいの再生等、様々な取組を進めてきたところであります。その上で、民進党から提案している四法案が本当に必要なのかどうかについて国会で御議論いただければと思います。
 今国会におけるその他の論点として、北朝鮮問題、沖縄での米軍機事故、年金、医療、介護、財政健全化、森友学園、加計学園、スーパーコンピューター開発をめぐる疑惑への対応に対する基本的姿勢についてお尋ねがありました。
 様々な課題を指摘されましたが、いずれにせよ、政府としては、国民の負託に応えるため、国民の安全を守り、国民の幸せな暮らしを実現する一つ一つの政策を政府一丸となって着実に実行してまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(伊達忠一君) 吉田博美君。
   〔吉田博美君登壇、拍手〕
#7
○吉田博美君 自由民主党の吉田博美です。
 私は、自由民主党・こころを代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説について総理に質問いたします。
 冒頭、一昨日、群馬県の草津白根山で噴火があり、お亡くなりになられた方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。政府には、今後の火山活動を注視しながら、万全の対応をお願いいたします。
 安倍内閣が政権に復帰して五年が経過をしました。先進各国の中で見ても長期政権と呼べるでしょう。G7諸国の中でも、安倍総理より前からリーダーを務めているのはドイツのメルケル首相のみです。各国首脳との会談は六百回近くに上り、外交の継続性、一貫性が大きく高まりました。政権の安定は国家安定の基礎であり、大いに誇りにすべきであります。
 経済も着実に回復しています。四年連続での今世紀最高水準の賃上げ。高卒、大卒の皆さんの就職率は過去最高水準です。
 この雇用回復の意味は本当に大きいと考えます。働く中でこそ、若者は経験を積み、夢の実現に近づいていくことができます。企業がこぞって人を求め合う、奪い合うような状況だからこそ、我が社の職場を更に魅力的にしなければならないと考えます。
 大胆な労働法制の改革も、この雇用回復があってこそ進めることができるのであります。アベノミクス三本の矢を五年間着実に進めてきたことによる成果の上に更なる改革を進めていけるのです。
 しかし、その成果に慢心してしまってはなりません。
 参議院自民党の幹事長である私は、総理に耳障りなことをあえて申し上げることも役目の一つだと考えています。一強だ何だと言われることもありますが、総理にしっかりと話ができる人間がきちんといる、それが自民党の強みであります。
 慢心は、自分では気付きにくいところがあります。長く続ければ、慣れのようなものも生じてしまうかもしれません。だからこそ、我々は、国民の皆様の声に常に謙虚に耳を傾けなければなりません。
 今、政治にとって最も重要なのは信頼だと思います。
 昨年の流行語大賞に「忖度」という言葉が登場しました。私たち政治家にとって、そんたくとは、国民の皆様の気持ちを推し量り、大事にして、それに応えていくことであり、これこそが大切なのであります。そんたくではなく、損得で動く政治や政治家からは、信頼は生まれてくるはずもありません。まさに、信なくば立たずであります。
 また、英国の歴史学者ジョン・アクトン氏の、権力は腐敗するという言葉もありますが、政治にはバランスと緊張感も必要です。緊張感を欠いた政治は、時としておごりや緩みにつながる危険があります。
 昨年の衆議院選直後の十月二十五日、よみうり時事川柳に、「受け皿が割れて大皿だけとなり」という句がありました。思えば、現行の選挙制度も、政権交代可能な二大政党制の確立を目指したものでした。与野党が互いに切磋琢磨して、緊張感のある議論を繰り広げられる国会運営を与野党を超えてできる体制を目指さなければなりません。野党の皆様の御理解と御協力を望みます。
 国民の皆様が国会や政府に寄せる期待は、政策にあります。安倍内閣についても、政策を次々に実現してきた内閣だからこそ、国民の皆様が期待し、支持してくださる。昨年の選挙の勝利は、そのように理解しなければならないと思います。国民の皆様の期待に応え、選挙でお約束した政策を着実に実行し、成果を出し続ける。そうしなければ、国民の皆様の支持を失ってしまう。それは当然のことであります。
 我々に課せられた国民の皆様からの負託は、五年を経て更に重い、そう考えなければなりません。
 そして、国民の皆様がしっかりとやれと政治に期待する課題、それは、デフレ脱却、北朝鮮問題の解決などの外交上の諸課題、憲法改正、この三点ではないでしょうか。
 今日は、この三点を中心に総理に質問をさせていただきます。
 まず、デフレ脱却、経済政策について伺います。
 政権交代以来、安倍内閣が最優先で取り組んできたのが経済再生であります。金融政策、財政政策、成長戦略という三本の矢によって、デフレからの脱却と持続的な経済成長を支える基盤をつくり上げてきました。あわせて、子育て支援や社会保障の強化による一億総活躍社会の実現、これらを横断的に支える働き方改革、我が国の構造的な課題である人口減少や少子高齢化への対応も積極的に進めてきました。
 その結果、名目GDPは、五年間で五十六兆円増加し、昨年七月から九月期で過去最高の五百四十九兆円を記録しております。企業収益は七十五兆円と過去最高水準であります。就業者数は約百八十五万人増加し、有効求人倍率は史上初めて全ての都道府県で一倍を超えました。賃金についても、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップを実施しています。
 安倍内閣は、これまでの五年間でデフレ脱却に向けた道筋をつくり上げてきました。成長の果実は確実に雇用や所得へと回るようになり、人々は生活が良くなったことを実感できるようになりました。
 今年のお正月は福袋の売行きが殊更良かったそうです。長く日本経済を覆ってきたデフレから完全に脱却するまであと一歩というところであります。そこで、デフレ脱却及び経済成長へ向けた一層の取組について、総理の決意をお伺いします。
 次に、社会保障について伺います。
 今般の総選挙において、自民党は、全世代型社会保障への転換を打ち出しました。総理が国難と呼ぶ少子高齢化の問題を解決し、出生率を希望出生率一・八に近づけていくためには、生半可な政策では足りません。だからこそ、我々は、人づくり革命断行のため、幼児教育無償化を一気に加速することなどを内容とする二兆円規模の新たな政策パッケージを取りまとめることを今般選挙の公約に掲げたのであります。
 その結果、国民の皆様に御支持をいただきました。次はこの約束を前に進めることで、そこで、総理に、国民の皆様にお約束したこれらの政策を進めるに当たっての総理の決意をお伺いいたします。
 また、経済成長が雇用の拡大、賃金の上昇につながる中で、安心して消費や投資をしようと思うためには、将来への不安があっては思い切った行動に踏み切れません。足下の個人消費は総じて見れば持ち直していますが、更に勢いを付けていくためには、社会保障の持続可能性に対する将来不安に応える必要があります。この点についての総理の見解をお伺いします。
 次に、財政再建について伺います。
 安倍内閣の五年間の取組による経済成長によって、税収は、国、地方合わせて二十四兆円増え、毎年の国の借金も十一兆円減り、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標も達成するなど、財政健全化は着実に進んできました。
 平成三十年度予算案は過去最大の規模ですが、税収が平成三年度以来の五十九兆円台となったことなどから、公債の発行額は六年連続で減少しています。しかしながら、債務残高GDP比は今なお先進国でもかなり高い水準にあり、更に財政健全化を進めていく必要があります。
 総理は、人づくり革命のために消費税の使い道を見直す際、同時に、財政再建の旗を下ろすことはない、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持すると言われております。今年は、その具体的方針を政府・与党で大いに議論し、決めていくことになります。そこで、財政健全化に向けた総理の御決意をお伺いします。
 次に、働き方改革について伺います。
 総理は、内閣の重要課題として働き方改革に取り組んでいく姿勢を示し、昨年三月には働き方改革実行計画を決定しました。
 働き方改革の主要なテーマの一つである長時間労働の是正は、我が国にとって高度成長期以来の宿題と言ってもよい長年の課題であります。これまで我が国では、多くの企業が社員の長時間労働に依存してきたことは否定できない事実であります。そして、企業の中で長時間労働をする人の方が評価されるという風土が存在してきたことも、また事実であります。こうした状況を改善するためには、個々の企業の努力のみならず、社会全体として長時間労働に頼らない働き方に変えていく必要があります。
 女性活躍については、安倍政権の下で、女性の就業者数は百五十二万人も増え、女性の就業率は、今や二十五歳以上の全ての世代で米国を上回っています。更に手を緩めることなく支援を拡大していかなければなりません。
 総理は、昨年三月に働き方改革実行計画を決定した際、この実行計画は最初の一歩にすぎない、法案を作成し国会に提出して、そしてさらに成立させなければ、単なる作文であり、絵に描いた餅に終わってしまうと述べられました。
 働き方改革は、社会の在り方を変えると同時に、経済問題として日本経済の潜在成長力の底上げにもつながる、第三の矢、構造改革の柱でもあります。雇用情勢が好調な今こそ、働き方改革を一気に進める大きなチャンスであります。その上で、懸命に納期を守り、日本の物づくりや国際競争力を支え、商店街など地域経済を守っている中小企業・小規模企業事業者の方々の配慮も欠かせません。
 今国会で働き方改革関連法案の成立を目指すに当たり、総理の決意をお聞かせください。
 次に、社会資本の整備について伺います。
 昨年十二月、参議院自民党の議連である故郷を支援する参議院の会の会長として、成長率を高めるためには社会資本の整備が重要であると総理に直接申入れをさせていただきました。
 急速に少子高齢化が進行する我が国が、産業を活性化させ、地方を創生し、国際競争力を高めて、経済成長を続けていくためには、生産や物流の効率化の基盤となる社会資本の整備が必要であります。例えば、日本よりも人口の少ないドイツにおいては、鉄道や道路などの社会資本の整備を精力的に行っています。人口減少に直面している我が国は、ドイツを始めとする他の先進国以上に、成長の基盤を確保するために高速交通ネットワークなどの社会資本の整備を着実に進めていくことが重要です。
 また、昨年七月に発生した九州北部豪雨では、河川の氾濫や土砂災害など甚大な被害をもたらし、三十九人もの尊い命が犠牲となり、二人の方が行方不明となっております。近年、我が国では自然災害が頻発化かつ激甚化しており、地球温暖化が進むと強い台風が発生する確率が高くなるとの分析もあります。南海トラフ地震、首都直下型地震のような巨大地震が発生するリスクも高まっています。
 このような災害列島とも言える我が国においては、いかなる災害が発生しようとも、国民の命を守る、国民の財産に係る被害を最小化する、万が一の被害にも迅速な復旧復興が実現できる、すなわち国土強靱化を力強く進めていくことが必要であります。
 このような状況において、社会資本の整備を進めていくに当たっては、無駄を排除し、中長期的な視点に立って計画的に進めていくべきであることは論をまちませんが、私の地元である長野県を始め、山岳地帯の多い我が国において、社会資本の整備にお金が掛かるのは宿命とも言えます。社会資本そのものを無駄と決め付けてその整備を遅らせることは、我が国の経済成長のためにも、国民の生命や財産を守るためにも、絶対に避けなければならないと考えております。
 我が国の経済成長や国土強靱化の推進の観点から、社会資本の整備をどのように進めていくお考えか、総理の見解をお伺いします。
 次に、外交について伺います。
 日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しいと言っても過言ではありません。北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射等の挑発行動はとどまることを知らず、日本国民の安全を脅かしています。また、東シナ海を始め、日本の周辺では、力による一方的な現状変更の試みが行われています。
 これらにしっかりと対応し、日本国民の安全と平和な暮らしを守るためには、日米同盟を基軸にした安全保障政策、外交政策が不可欠であります。今ほど日米同盟の強化が求められているときはありません。
 この点、安倍総理は、トランプ大統領の当選直後、世界に先駆けていち早くトランプ大統領にアプローチし、その後も、相互訪問や幾度にわたる首脳会談、夕食会、昼食会、さらには頻繁な電話会談などを通じて、個人的な信頼関係を深めてきていると承知しています。シンゾウ・ドナルド関係は、かつてのロン・ヤス関係を超える信頼で支えられているのではないかと思うほどであります。このように、積極的な首脳外交により、日米同盟の下での連携協力をかつてなく強固なものにされてきていることを高く評価します。
 他方、米国は、中間選挙を控えて、これまで以上に内政重視の傾向が強まるとも考えられます。日本を始めとする同盟国、友好国への要求も今後増えていくかもしれません。
 このような中、総理は、今後、日米同盟をどのように強化していくお考えでしょうか、お聞かせください。
 北朝鮮問題は、我が国の外交にとっての懸案です。北朝鮮は、本年に入っても、金正恩委員長の新年の辞で、核やミサイルの大量生産、そして実戦配備を加速する方針を示しており、非核化を進める考えがないことは明らかであります。
 南北間では二年ぶりに対話が行われ、南北高官級協議において、再来週に開幕する平昌オリンピックへの北朝鮮の参加に向けた調整が進んでいます。韓国や中国は、朝鮮半島情勢の緊張が緩和することを期待していますが、北朝鮮が約束をほごにしてきたこれまでの経緯を踏まえれば、今後の情勢も予断を許しません。米韓両国を始めとする関係国と緊密に連携しながら、緊張感を持って対応していく必要があると考えます。
 そこで、北朝鮮の核、ミサイル、そして最重要課題である拉致問題をどのように解決するのか、安倍総理の御見解を改めてお伺いします。
 戦後七十年余りを経てなお、沖縄の皆様には、米軍基地の存在による大きな負担を背負っていただいています。このような現状を是認することは到底できません。最低でも県外という無責任な言葉による混乱を引きずる中、安倍政権は、米国との関係を立て直し、一つ一つ負担軽減の成果を現実のものとしてきました。このことは率直に評価すべきものであります。特に、昨年末、北部訓練場四千ヘクタールを土地所有者の方々にお返しすることができたことは、沖縄の本土復帰後最大の返還であり、大きな成果であると思います。
 他方で、沖縄の普天間飛行場に隣接する小学校に米軍ヘリコプターの窓が落下するという危険極まりない事故が発生しました。普天間の一日も早い全面返還はもはや待ったなしの課題であります。
 総理に、沖縄の負担軽減、特に普天間飛行場の全面返還に向けた決意を伺います。
 沖縄は、成長するアジアの玄関口に位置し、優位性と潜在力を有しています。我が国の経済再生を牽引するフロントランナーにもなり得る未来に満ちたこの沖縄の振興を総合的、積極的に推進することは、沖縄にとっても日本全体にとっても大変重要です。
 安倍政権では、平成二十五年十二月に、現行の沖縄振興計画の期間中においては毎年三千億円台を確保するとの方針を打ち出し、以来ずっと、それまでの水準よりも一段と高いこの三千億円台という水準の沖縄振興予算を確保し続けています。一部には、来年度の沖縄振興予算の概算要求額が今年度よりも少ないことをもって、政府は沖縄の要望に耳を傾けず、沖縄の振興を軽んじているかのような批判がありますが、大きな間違いと言わざるを得ません。
 予算案では、更なる強化、推進が必要と認められる事業については今年度よりも予算を増額しているほか、沖縄健康医療拠点の整備や人材育成事業といった沖縄の特性を踏まえた事業についての経費も新たに盛り込まれています。これらからも、安倍政権が、いかに沖縄振興の重要性を認識し、これにしっかりと取り組んでいることは明らかと考えます。
 そこで、平成三十年度予算を早期に成立させ、沖縄振興をどんどん前に進めていくことが重要と考えますが、今後の沖縄振興についての総理のお考えをお聞かせください。
 次に、憲法改正について伺います。
 言うまでもなく、憲法改正は、自由民主党の立党以来の党是であります。自由民主党は、占領時代につくられた憲法を始めとする様々な仕組みを時代に即したものに変えていくことを目的の一つとして、昭和三十年に自由党と日本民主党が合同し、結成されました。以来、我々は、この国の形、理想の姿を示すものである憲法の在り方について議論を続け、時代の変化に応じて、憲法を日本の未来の姿を示すものに改正することを目指してまいりました。
 戦後七十年余が経過し、我が国が北朝鮮問題や少子高齢化といった国難とも呼ぶべき事態に直面している今だからこそ、我々は、日本の目指すべき未来の姿を憲法を通じて明らかにし、一致団結してこの危機を乗り越えていかなければなりません。
 こうした中にあって、自由民主党は、昨秋の衆議院選で初めて、自衛隊、教育、緊急事態対応、参議院合区解消に関する四項目について、憲法の改正を目指すことを公約に掲げて戦いました。国民の皆様から大きな信任をいただいた我々には、憲法改正について、議論をしっかりと前に進めていく責任があると考えます。
 そこで、総理、総理は、今年一月五日、自民党本部の仕事始めで、時代に対応した国の姿、理想の形をしっかりと考え、議論していくのは、私たちの歴史的な使命であると言われました。年頭記者会見においても、今年こそ、新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民の皆様にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を一層深めていくとおっしゃっています。憲法改正は、最終的には国民の皆様の意思で決められるものであり、十分な理解をいただくことが何よりも大切です。
 そこで、これから憲法改正の議論をどのように進めていかれるのか、総理のお考えを改めてお聞かせください。
 来春には、天皇陛下が御退位をされ、皇太子殿下が御即位をされることになります。憲政史上初めての事柄であり、我々国民は、これを祝福するとともに、改めて、我が国の歴史とともに長らく続いてきた天皇制をこれからも守っていくという自覚を持たなければならないと思います。
 そのためには、政府には、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位がつつがなく行われるよう、多岐にわたる諸準備に万全を期すことが求められていると考えます。
 天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位に向けた取組について総理にお伺いして、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉田博美議員にお答えをいたします。
 デフレ脱却及び経済成長への決意についてお尋ねがありました。
 政権交代前、日本にはまさにデフレマインドが蔓延し、諦めという名の壁が立ちはだかっていました。しかし、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出すことができました。
 五年間のアベノミクスにより、日本経済は足下で二十八年ぶりとなる七四半期連続プラス成長となり、四年連続の賃上げにより経済の好循環は着実に回り始めており、民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。
 この好機を逃さず、デフレ脱却に向けあらゆる政策手段を総動員してまいります。働き方改革を断行し、誰もが生きがいを感じて、その能力を思う存分発揮できるようにする、人づくり革命を力強く進め、人生百年時代を見据えて経済社会の在り方を大胆に改革していく、世界で胎動する生産性革命をリードし、二〇二〇年までを集中投資期間と位置付け、賃金上昇、景気回復の波を全国津々浦々へと広げていく、こうした政策により、成長と分配の好循環をつくり上げ、デフレ脱却と力強い経済成長を目指してまいります。
 人づくり革命と社会保障の持続可能性についてお尋ねがありました。
 人づくり革命については、経済の成長軌道を確かなものとし、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、昨年十二月に新しい経済政策パッケージを閣議決定しました。
 これに基づき、待機児童解消を目指す子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受皿整備を進めます。また、保育士や介護職員について、他産業との賃金格差を踏まえた更なる処遇改善を進めます。さらに、これまで段階的に進めてきた幼児教育の無償化を一気に進めるとともに、給付型奨学金や授業料の減免措置を大幅に拡充することにより、真に必要な子供たちの高等教育無償化を実現します。
 子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、国民の皆様とお約束をしたこれらの政策を一つ一つ実行していくことで、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型の制度へと大きく転換してまいります。
 社会保障制度の持続可能性の確保は、成長と分配の好循環を実現していく上で不可欠なものです。不断の改革を行い、国民の理解と安心が十分に得られるように取り組んでまいります。
 具体的には、医療、介護の提供体制改革や保険者のインセンティブ改革を通じた予防、重度化防止の強化等に取り組むとともに、公平な負担の在り方についても検討し、社会保障制度の持続性確保に向けた改革を進めてまいります。このように、社会保障を全世代型へと転換するとともに、制度の持続可能性に対する不安に応えていくことが消費を活性化することにもつながると考えております。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
 今般、人づくり革命を力強く進めていくため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしました。
 これにより、プライマリーバランス黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、財政健全化の旗は決して下ろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
 この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までにプライマリーバランス黒字化の達成時期と、裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定してまいります。不退転の決意で改革を進めてまいります。
 働き方改革関連法案についてお尋ねがありました。
 安倍政権は、高齢者も若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んでおり、その最大のチャレンジが働き方改革です。働き方改革は、社会政策にとどまるものではありません。成長戦略そのものであります。
 高度成長時代の猛烈社員のように、長時間働いたことを自慢するような社会は根本から改めなければなりません。欧州諸国と比較して、我が国の年平均労働時間は長く、かつ、時間外労働を行っている労働者の割合も高くなっています。長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者が仕事に就きやすくなり、男性も子育てを行う環境が整備されます。
 今回、史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設けます。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。安倍政権として、働き方改革関連法案を早期に提出し、法案の成立に全力を傾注していきます。
 この際、取引関係の弱い中小企業・小規模事業者は、発注企業からの短納期要請や顧客からの要求などに応えようとして長時間労働になりがちです。全国四十七都道府県に働き方改革推進支援センターを設置し、中小企業・小規模事業者の個別相談に当たることとし、労働基準監督署にも中小企業・小規模事業者の相談に対応する特別チームを編成します。また、商慣習の見直しや、取引条件の適正化を一層強力に推進してまいります。中小企業・小規模事業者に十分配慮してまいります。
 社会資本整備の進め方についてお尋ねがありました。
 昨年十二月、吉田議員より、少子高齢化が進行する我が国において、地域を活性化し、経済成長を続けていくためには、社会資本の整備が重要との御指摘をいただきました。
 社会資本の整備は、未来への投資により、次の世代に引き渡すしっかりとした資産を形成するものであり、これまでも、地方を含め、我が国の経済成長を支えてきたものと認識しています。
 少子高齢化に立ち向かい、生産性向上による経済成長を実現するため、また、一昨日の本白根山の噴火によって改めて認識させられた自然災害が起こりやすい環境にある我が国において、国民の生命と財産を守るため、今後の社会資本整備は、中長期的な見通しの下、効率化を図りながら計画的に推進していくことが必要です。
 既存施設やソフト施策の最大限の活用を図りつつ、国土強靱化、防災・減災対策、老朽化対策、国際競争力の強化などの分野について、選択と集中の下、効果が最大限発揮されるよう戦略的な取組を進めていきます。
 日米同盟の強化についてお尋ねがありました。
 北朝鮮情勢を始め、地域の安全保障環境がますます厳しさを増す中、トランプ大統領との強固な信頼関係の下、日米の協力を一層緊密にし、同盟の抑止力を高め、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
 さらに、自由で開かれたインド太平洋戦略を日米で主導して推進し、この考え方に賛同していただける関係国と連携しながら、地域及び世界の平和と繁栄に貢献してまいります。
 経済関係については、双方にとってウイン・ウインの成果を得るべく、麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話で建設的に議論を進めてきており、今後とも、日米両国で協力して、貿易、投資における高い基準をアジア太平洋地域に広げ、地域ひいては世界の経済成長を力強くリードしてまいります。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、北朝鮮が非核化の約束をほごにしてこれまで核・ミサイル開発を進めてきた経緯を踏まえれば、北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません。北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄させるため、安保理決議の完全な履行を始め、あらゆる方法で圧力を最大限に高めてまいります。
 諸般の事情が許せば平昌五輪の開会式に出席し、その機会に文在寅大統領と会談を行って、北朝鮮問題に関する日米韓の緊密な協力を改めて確認したいと考えております。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、私が司令塔となって北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 沖縄の負担軽減と普天間飛行場の全面返還についてお尋ねがありました。
 戦後七十年以上を経た今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を背負っていただいております。到底是認できるものではありません。この事実を重く受け止め、国を挙げて基地負担の軽減に一つ一つ結果を出していかなければなりません。
 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故があってはなりません。安全の確保は、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、御指摘のとおり、もはや待ったなしの課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 辺野古への移設が実現すれば、飛行経路が海上となることで、安全性は格段に向上し、騒音も大幅に軽減され、住宅防音が必要となる世帯は一万数千からゼロになります。
 その上、辺野古に移るのは、普天間が有する三つの基地機能のうち、オスプレイなどの運用機能に限定されます。空中給油機の運用機能については、既に十五機全て岩国飛行場への移駐を実現しました。緊急時における航空機受入れ機能についても、九州の自衛隊基地へ移すことを決定しています。残るオスプレイについても飛行訓練の本土への移転を進めており、機体の定期整備は千葉県の木更津駐屯地で行っています。
 辺野古への移設は最高裁判所の判決に従って進めているものです。引き続き、丁寧な説明に努め、御理解、御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいきます。
 今後とも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くしてまいります。
 今後の沖縄振興についてお尋ねがありました。
 沖縄は、成長するアジアの玄関口に位置し、出生率が日本一高いなど、大きな優位性、潜在力を有しています。そして、現在、有効求人倍率が十四か月連続で一倍超を記録しているほか、入域観光客数も五年連続で過去最高を更新するなど、経済は好調です。
 このような中、平成三十年度の沖縄振興予算案は、厳しい財政状況の下、三千十億円を確保しました。基地の跡地である西普天間住宅地区における健康医療拠点の整備や人材育成推進のための予算を新たに計上するとともに、沖縄科学技術大学院大学の規模拡充、産業の創出、離島の活性化、子供の貧困緊急対策のための予算を増額しています。
 これら予算の有効活用を通じ、引き続き、国家戦略として沖縄振興を総合的、積極的に推進してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法は、この国の形、理想の姿を示すものです。御指摘のとおり、私たちは、時代の節目にあって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ていると思います。憲法改正を立党以来の党是とする自由民主党において、現在、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消の四項目について熱心な議論が行われていますが、言うまでもなく、憲法改正は国会が発議し、最終的には国民投票により国民の皆様が決めるものであります。
 今後、憲法審査会において、自由民主党を始め各党による建設的な議論が行われ、国会における議論が深まる中で、与党、野党にかかわらず幅広い合意が形成され、国民的な理解も深まっていくことを期待しています。
 天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位に向けた取組についてお尋ねがありました。
 天皇陛下の御退位は憲政史上初めての事柄であり、そのために準備が必要となる事項は、御退位後の補佐組織やお住まい、元号の改正、式典の準備など多岐にわたります。
 これらの事項については、関係省庁が連携して準備を進めており、来年度予算案にも所要の関係経費を計上しているところです。
 式典の準備については、先般、官房長官を長とする式典準備委員会を設置し、今年度内に基本方針を取りまとめるべく検討を進めています。
 政府としては、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くしてまいります。(拍手)
#9
○議長(伊達忠一君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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