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2018/05/16 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第19号
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2018/05/16 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第19号

#1
第196回国会 本会議 第19号
平成三十年五月十六日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十九号
  平成三十年五月十六日
   午前十時開議
 第一 所得に対する租税に関する二重課税の除
  去並びに脱税及び租税回避の防止のための日
  本国とリトアニア共和国との間の条約の締結
  について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の除
  去並びに脱税及び租税回避の防止のための日
  本国とエストニア共和国との間の条約の締結
  について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 所得に対する租税に関する二重課税の除
  去並びに脱税及び租税回避の防止のための日
  本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締
  結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第四 投資の自由化、促進及び保護に関する日
  本国とアルメニア共和国との間の協定の締結
  について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第五 株式会社地域経済活性化支援機構法の一
  部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第六 政治分野における男女共同参画の推進に
  関する法律案(衆議院提出)
 第七 電気通信事業法及び国立研究開発法人情
  報通信研究機構法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第八 生産性向上特別措置法案(内閣提出、衆
  議院送付)
 第九 産業競争力強化法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、地域における大学の振興及び若者の雇用機
  会の創出による若者の修学及び就業の促進に
  関する法律案及び地域再生法の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
 一、森林経営管理法案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) 御紹介いたします。
 本院の招待により来日されましたオーストリア共和国連邦参議院議長ラインハルト・トット閣下御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。
 ここに、諸君と共に心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ─────・─────
#4
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。国務大臣梶山弘志君。
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(梶山弘志君) この度政府から提出いたしました地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成二十九年度は、五か年のまち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たり、同戦略に掲げられた基本目標及び各施策の重要業績評価指標の進捗状況について総点検を行いました。
 依然として、東京圏への転入超過数が十万人を超える規模で推移している状況等を踏まえ、昨年末に同戦略を改訂し、東京一極集中の是正に向け、地方への新しい人の流れをつくるべく、ライフステージに応じた政策メニューの充実強化に取り組むこととしております。
 東京圏への転入超過数は、平成二十九年には約十二万人となっており、その大半は十五歳から二十九歳までの若者であります。
 また、東京圏以外の地方において、平成十二年から平成二十七年までの十五年間で、出生数は約二割に当たる約十七万人減少し、十五歳から二十九歳までの若者は約三割に当たる五百万人以上が減少をしております。
 このように我が国における急速な少子化の進行及び地域の若者の著しい減少により地域の活力が低下している実情に鑑み、この法律案は、地域における若者の修学及び就業を促進し、もって地域の活力の向上及び持続的発展を図ることを目的としております。
 また、この目的を達成するため、内閣総理大臣による基本指針の策定及び地域における大学振興・若者雇用創出事業に関する計画の認定制度並びに当該事業の実施に要する経費に充てるための交付金制度を創設するとともに、特定地域内学部収容定員の抑制及び地域における若者の雇用機会の創出等の措置を講ずるものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進は、国、地方公共団体及び大学の相互の密接な連携並びに事業者の理解と協力の下に、若者にとって魅力ある修学の環境の整備及び就業の機会創出を図ることを旨として行われなければならないこと、また、まち・ひと・しごと創生法の基本理念に基づき行われなければならないことを定めております。
 第二に、内閣総理大臣は、地域における大学の振興、これを通じた地域における中核的な産業の振興及び当該産業に関する専門的な知識を有する人材の育成並びに地域における事業者による若者の雇用機会の創出に関する基本指針を定めることとしております。
 また、地方公共団体は、大学及び事業者等と共同して地域における大学振興・若者雇用創出推進会議を組織した上で、当該基本指針に基づき、地域における大学振興・若者雇用創出事業に関する計画を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができることとしております。
 さらに、国は、認定を受けた計画に基づく事業の実施に要する経費に充てるために交付金を交付することができることとしております。
 第三に、大学の学部の学生が既に相当程度集中し、他の地域における若者の著しい減少を緩和するために学生が更に集中することを防止する必要がある地域として政令で定める地域を特定地域とし、大学設置者等は特定地域内学部収容定員を増加させてはならないこととするとともに、その例外事項等を定めております。
 第四に、国は、地方公共団体と連携して、地域における若者の就業を促進するため、地域の特性を生かした創業の促進及び地域における事業活動の活性化による若者の雇用機会の創出等に努めることとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 次に、地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国の地方創生をめぐる現状は、二〇一六年には年間出生数が統計開始以来初めて百万人を割り込み、二〇一七年には東京圏が二十二年連続の転入超過を記録するなど、人口減少や東京一極集中の傾向に歯止めが掛からず、また、地域の経済動向についても、東京圏とその他の地域との間に一人当たり県民所得等に差が生じており、厳しい状況が続いております。
 平成二十九年度は五か年のまち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たり、同戦略に掲げられた基本目標及び各施策の進捗状況について総点検を行いました。依然として、東京圏への転入超過数が十万人を超える規模で推移している状況等を踏まえ、昨年末に同戦略を改訂し、東京一極集中を是正し、地方への新しい人の流れをつくるべく、ライフステージに応じた政策メニューの充実強化に取り組むこととしております。
 この法律案は、同改訂を踏まえ、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立し、その好循環を支える町の活力を取り戻すため、地方における良質な雇用の場を創出する企業の地方拠点強化に関する課税の特例等の拡充、民間主体の地域づくり活動を推進する地域再生エリアマネジメント負担金制度の創設、地方に仕事をつくる商店街活性化促進事業の創設、中山間地域等における小さな拠点の形成に資する株式会社に係る課税の特例の拡充のための措置を講ずるものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、事業者が特定業務施設を東京二十三区から移転する場合に課税の特例の対象となる地域を拡大するとともに、地方公共団体に対する減収補填措置の対象に、東京二十三区から移転を行った事業者に対して課税免除を行った場合を追加することとしております。
 第二に、認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、地域来訪者等利便増進活動計画の作成及びこれに基づく地域来訪者等利便増進活動に関する交付金の交付等を追加することとしております。
 第三に、認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、商店街活性化促進事業計画の作成及びこれに基づく商店街振興組合法及び中小企業信用保険法の特例等を追加することとしております。
 第四に、特定地域再生事業として小さな拠点の形成に資する事業を行う株式会社により発行される株式の取得に係る課税の特例について、認定地方公共団体による株式会社の要件の確認を株式の取得後に行うよう改めることとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。矢田わか子君。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕
#8
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表して、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案並びに地域再生法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 まず、地域における大学の振興等に関する法律案についてですが、この法律案の主たる政策目標は、地域での大学の振興と雇用機会の創出のために東京二十三区内の大学の定員を抑制しようとするものです。
 二〇一四年に開始された地方創生の取組は、二〇二〇年時点で地方と東京圏の転出入を均衡させるということが基本目標の一つでしたが、その後、東京圏への年間転入超過数は依然として拡大傾向にあります。
 具体的には、転入超過が十五歳から二十九歳の若者が中心であることから、今回の東京圏の転出入を均衡させる施策として、東京二十三区内の大学の定員抑制が打ち出されたわけです。しかしながら、このことが有効に機能し、地方創生に効果を発揮するという確証はありません。
 まず、この点に関し、梶山大臣はどのような見通しを持っておられるのか、定量的な推計があるのかどうか、御見解を伺いたいと思います。
 若者が地方に定着するのは、様々な政策手段を複合的に実行することが重要であります。とりわけ、地方創生においては若者や女性の意識や志向が鍵になると思われますが、これまで政策を策定する段階で、若者や女性がどれだけ議論に参画し、意見反映が行われたのでしょうか。
 この点、もし十分な意見反映がなかったのであれば、改めて広く意見を聞き、戦略を抜本的に見直すことも必要になってくると考えますが、梶山大臣の所見を伺いたいと思います。
 次に、東京二十三区における大学の定員抑制に関しては、何よりも大学が本来持っている自治、自主性、自律性との関係が問われてきます。また、憲法で保障されている学問の自由についても、定員の抑制が研究体制の変更などにつながることになれば、これは権利の侵害になる可能性も出てきます。この点について、大学を所管し、また憲法を尊重し擁護する義務を負う国務大臣として、林文部科学大臣に所見を伺いたいと思います。
 関連して、法案の第三条第三項においては、「国及び地方公共団体は、地域における若者の修学及び就業の促進に関する施策で大学に係るものを策定し、」「これを実施するに当たっては、大学の自主性及び自律性その他大学における教育研究の特性に配慮しなければならない。」としています。一方で、東京の大学は、自主性、自律性を制限しようとする施策を取ろうとされています。この相反する対応について、梶山大臣より納得のいく説明をお願い申し上げます。
 本法律案により、東京二十三区の大学の定員が頭打ちとなっても学生が地方の大学に行く選択をするとは限らず、むしろ東京の大学の国際競争力を低下させる弊害の方が大きいのではないかと懸念されます。
 法案では、定員抑制の例外事項の一つとしてこう表現されています。大学における教育研究の国際競争力の向上、実践的な教育研究の充実その他教育研究の質的向上を図るためにその他の特定地域内学部収容定員を増加させることが特定地域以外の地域における若者の著しい減少を助長するおそれが少ないものとして政令で定める場合、こう表現されていますが、本当に分かりにくい表現になっています。具体的に政令でどのような場合を定めるのか、改めて梶山大臣より説明していただきたいと思います。
 あわせて、日本の大学の国際競争力の強化の在り方に関し、文部科学省としてどのように対策を講じられるのか、林大臣より御説明をいただきたいと思います。
 次に、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度についてお伺いします。
 確かに、十八歳人口が減少する中で、地方における大学の撤退等による高等教育の就学機会の縮小を防ぐことは重要な施策であります。しかし、地方版総合戦略の策定や交付金の申請において、多くの地方公共団体は東京のコンサルティング会社に依頼するケースが多く、その結果、似たようなものばかりが出てくるという問題が生じています。
 地域活性化対策は、それぞれの地域の事情や特性を生かしたものでないと一定の効果を生み出すことはできません。本交付金制度の運用については、より実効性を上げるために改善をしていく必要があると思いますが、梶山大臣の所見を伺いたいと思います。
 また、この交付金に関し、本年一月十一日に地方大学・地域産業創生交付金等の取扱い(案)についてが公表されていますが、これによれば、計画で必須とする重要業績評価指標、いわゆるKPIの一つとして、事業に関連する産業の雇用者数の増加数が挙げられています。しかし、ここで留意しなければならないのは、単に短期的な非正規雇用の数の増加ではなく、若者にとってやりがいのある質の高い持続的な雇用の増加を目指すべきだということです。この点に関し、梶山大臣の所見を伺います。
 次に、地域再生法の一部を改正する法律案に関して質問をします。
 まず、私たちは、地方の衰退について現実を直視しなければなりません。日本創成会議は、二〇一四年五月に消滅可能性都市として全国八百九十六の自治体を指摘しましたが、現在、その約八割で人口減がより加速している、こういう結果が出ています。依然として地方の衰退に歯止めを掛けられていない厳しい現状にあるわけですが、政府としてこのような状況をどのように認識されているのか、梶山大臣、お答えいただけますか。
 次に、政府は、まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げた施策についてKPI検証を行われていますが、事業が多少なりとも実施されていれば進捗していると評価しているケースがあり、これは本当にやや甘い検証であると思われます。検証は厳しく的確に行われるべきと思いますが、これら総合戦略に掲げられた施策は二〇二〇年までの目標達成が可能なのかどうか、梶山大臣、その見通しについてお伺いしたいと思います。
 次に、地方拠点強化に関する課税の特例等を拡充するという政策に関してです。
 一般的に、企業が都心に本社機能を置くことは、金融市場とのアクセス、あるいは経営情報や行政情報の収集、他の産業、業種との連携、人材確保などの面でのメリットが大きく、地方移転による税制優遇で得られる金銭面の利益以上のものがあると判断される傾向にあります。このメリット論の壁を打開し、本社機能の地方移転を選択する、より大きなインセンティブが必要であり、抜本的な対策を打ち出すべきだと考えますが、梶山大臣より見解をいただけますか。
 次に、地域再生エリアマネジメント負担金制度の創設に関して伺います。
 政府は、政策目標として、エリアマネジメント活動を行うNPO等の法人数を五年後までに百団体とされていますが、この目標は現実として達成できるのかどうか確証はありません。また、幾ら団体を増やしても、この事業は、地方自治体、エリアマネジメント団体、受益者の三者で一体となって計画を作成する必要があることから、制度の活用方法や好事例の周知を積極的に進めないと目標達成は困難かと思います。梶山大臣、どのように見通されていますでしょうか。
 あわせて、地域のエリアマネジメント活動については、三分の二の受益者から同意を得られれば負担金を受益者から徴収することができますが、同意しなかった受益者からも負担金を徴収することになっているため、関係者間の合意形成を丁寧に行うことが必要です。エリアマネジメント活動によって様々な影響を受ける地域住民の合意形成も必要になると思います。このような地域や関係者の合意形成、どのように進められるのか、梶山大臣、お答えください。
 最後に、小さな拠点の形成に資する株式会社に係る課税の特例の拡充について伺います。
 中山間地域等で生活サービス等を提供する株式会社などが継続的に事業を実施でき、しかも採算が取れるような経営をすることは非常に困難が伴うと考えます。政府として、これらの事業に対して、資金調達面での支援、経営への助言などが必要となってくると思われますが、どのような支援策を取られるのか、梶山大臣より説明いただけますか。
 以上、是非とも誠意ある御回答をお願い申し上げ、二つの法律案に対する私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(梶山弘志君) 矢田議員にお答えをいたします。
 初めに、東京二十三区の大学の収容定員の抑制の効果についてのお尋ねがありました。
 二〇〇〇年から二〇一五年で、地方の若者が約五百三十二万人減少いたしました。また、東京圏への転入超過数は近年十万人を超える規模で推移し、そのほとんどが十五歳から二十九歳までの若者です。
 今後、十八歳人口が大幅に減少することが見込まれ、このまま条件の有利な東京二十三区の定員増が進み続けると、東京一極集中がますます加速をし、東京の大学の収容力が拡大する一方で、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じ、地域間で高等教育の就学機会の格差が拡大しかねないため、東京二十三区の大学の学部について原則として定員を増やさないこととしております。
 私の下で開催されました地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の最終報告において、定量的な推計として、二〇一五年の十八歳人口に占める入学者総数の割合及び東京都の大学入学者数が将来も維持されるとした場合、東京都以外の道府県の大学において大幅な定員割れを生じかねない旨が指摘をされております。
 この抑制措置と併せて本法律案に盛り込まれた新たな交付金制度によるきらりと光る地方大学づくりや地域における若者の雇用機会の創出等の施策を進め、東京一極集中の是正に取り組んでまいります。
 次に、東京一極集中是正の政策づくりに当たって、若者や女性の意見を反映させたのかについてお尋ねがありました。
 東京圏への転入超過数は、その大半を若年層が占めていることなどから、東京一極集中是正のためには、議員御指摘のとおり、若者や女性からの御意見も踏まえて政策を検討することが重要であります。
 そのため、これまでも、地方創生について御議論をいただく有識者会議等においては、若者や女性にも御参画いただき、御意見を伺っているところであります。例えば、まち・ひと・しごと創生会議では、地方で地域の振興に取り組む女性や子育て支援に取り組む女性、現在、私の下で開催をしているわくわく地方生活実現会議では、地方にUIJターンし、IT系ベンチャー企業を立ち上げた若者や就農した女性など、全国各地からお集まりいただき、御参画をいただいております。
 今後も、若者や女性の御意見も踏まえて、地方創生の取組を推進してまいります。
 次に、定員抑制と東京二十三区の大学の自主性、自律性についてのお尋ねがありました。
 私の下で開催されました地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議において収容定員の抑制について検討した際も、地方公共団体や大学の関係者の間において、大学の自主性、自律性について十分な議論が行われたと考えております。
 そのような議論を踏まえて、特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制は、大学の経営の自主性にも関わるものであることから、東京の国際都市化に対応する場合や若者の転入増加につながらない場合等には抑制の例外とすることとしております。また、十年間の時限措置としており、大学の自主性、自律性に配慮する内容になっていると考えております。
 次に、大学における教育研究の国際競争力の向上など、定員抑制の例外事項についてのお尋ねがありました。
 本法律案では、特定地域内の大学等の学生の定員抑制を講じることとしておりますが、東京が国際都市として発展していくことは重要であり、東京の国際競争力を損なわないようにする観点から、例外事項について規定しているところであります。
 具体的には、政令において例外事項の詳細を定める予定ですが、東京の大学の国際競争力の向上の趣旨を踏まえて、留学生や社会人の受入れ、スクラップ・アンド・ビルドによる時代に合った最先端の学部や学科の新設等は抑制の例外とすることとしております。また、高度な教育研究等を行う大学院については抑制の対象外としているところであります。
 次に、地域の特性等を生かした交付金制度の運用の必要性についてお尋ねがありました。
 新たな交付金は、知事等のリーダーシップの下、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行う優れた取組を重点的に支援をするものであります。
 地域における計画の案の作成に当たっては、それぞれの地域が産官学連携の推進会議を設置することとしており、各地域の優位性等を十分に見える化した上で、振興する産業分野の選定を含め、地域が自主的、自立的に計画を策定する仕組みとしております。
 また、交付金の交付に先立つ計画の認定に当たっては、自立性や地域の優位性等の評価基準により評価を行うこととしており、これにより、地域の特性等を生かした優れた取組を支援をしてまいります。
 次に、交付金の取組により増加を目指すべき雇用の質についてのお尋ねがありました。
 地域における魅力ある雇用の創出は地方創生において極めて重要であることから、若者が地域で安心して働くことができるよう、相応の賃金、安定した雇用形態、やりがいのある仕事等の要件を満たす雇用を創出することが重要であり、必要であると考えております。
 このため、地域が策定する計画において雇用者数の増加数をKPIとして設定していただくこととしておりまして、本交付金による支援を通じて、若者にとってやりがいのある質の高い雇用の増加を目指してまいります。
 次に、地方の衰退状況の認識についてお尋ねがありました。
 御指摘の分析は、本年三月に国立社会保障・人口問題研究所により公表された日本の地域別将来推計人口に基づくものと思われますが、この将来推計は、近年の出生や人口移動の傾向を踏まえて行われたものであり、近年の少子化や東京一極集中の傾向が今後も続くと、将来は、特に地方が厳しい状況となることが示されたものと承知をしております。
 次の世代、若しくはその次の世代の危機感を共有し、人口減少に歯止めを掛けて、それぞれの地域に活力を取り戻していくための地方創生の取組を、引き続き、地方公共団体に対し、情報、人材、財政の三つの側面から強力に支援をし、推進してまいりたいと考えております。
 次に、総合戦略の施策は二〇二〇年までの目標達成が可能なのか、見通しについてのお尋ねがありました。
 まち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たる昨年度、私の下に有識者による検証チームを開催をし、地方創生の総点検を行いました。
 その際、中間年の点検であることから、各施策のKPIが目標達成に向けて進捗しているかどうかの観点から検証を行い、実施した施策の大宗は一定程度進捗していると評価をされたところであります。今後は、二〇二〇年の目標達成に向けて、各施策をしっかりと進めてまいります。
 一方、目標の二にあります地方への新しい人の流れをつくる取組は、昨年も東京圏への転入超過が約十二万人に上り、東京一極集中の傾向が続いていることから、一層の取組強化により達成を目指すべきとされました。
 今後は、厳しい状況ではあるものの、この目標達成に向けて、昨年末に閣議決定した、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一七改訂版に基づき、地方への新しい人の流れをつくるための施策の拡充に取り組んでまいります。
 次に、地方拠点強化税制について抜本的な対策を打ち出すべきではないかとのお尋ねがありました。
 東京一極集中を是正し、地方への人の流れを大きくしていくためには、地方において安定した良質な雇用の場をつくり出すことが必要です。
 このため、平成二十七年度に地方拠点強化税制を創設し、企業の本社機能の地方移転、拡充を促進するために、設備投資に対する減税措置と雇用拡大に対する減税措置をそれぞれ設け、手厚い支援措置を講じたところであります。
 さらに、制度創設以降も、自治体や経済界の要望を踏まえて制度の見直しを行っており、特に、今回の制度改正においては、東京二十三区から地方に本社機能を移転する企業への支援を更に強化すべく、移転型事業の支援対象地域に近畿圏中心部及び中部圏中心部を追加するとともに、雇用促進税制に関する適用要件の緩和等の拡充措置を講じることとしております。
 地方自治体と連携しながら、今般の制度改正の内容を広く周知するとともに、地方の魅力も発信をして、制度の更なる活用を促し、地方への本社機能の移転等を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地域再生エリアマネジメント負担金制度に関する目標達成に向けた取組についてお尋ねがありました。
 今回、負担金制度における目標は、エリアマネジメント活動を行う者として地域再生法に基づき指定されている地域再生推進法人等の数を、現在の約五十強から、五年後までに倍増の百団体にすることとするものであります。
 この目標を達成するためには、今回創設するエリアマネジメント負担金制度の意義や効果に対する理解を広め、この制度の活用を積極的に進めることが不可欠であると考えております。
 内閣府としましては、エリアマネジメント団体の全国組織と連携したセミナーの開催等により本制度を周知するとともに、活用を検討する市町村やエリアマネジメント団体に対する丁寧な相談の実施などを通じて優良事例の形成を図り、目標達成を実現してまいりたいと考えております。
 次に、地域再生エリアマネジメント負担金制度に関する地域や関係者の合意形成の進め方についてのお尋ねがありました。
 地域再生エリアマネジメント負担金制度では、三分の二以上の事業者の同意を得る手続に加えて、計画の公告縦覧による少数利害関係者の意見提出の機会や市町村議会の議決といった民主的手続を法制度上設けているところであります。
 こうした法制度上の手続に加えて、負担金制度を導入していく上では、事業者の丁寧な合意形成プロセスを取ることが望ましく、こうした考え方については、ガイドライン等を通じてエリアマネジメント団体に対して周知をしてまいりたいと考えております。
 また、地域住民は負担金の徴収の対象となりませんが、負担金制度に関する取組を推進する上では、地域住民に与える影響に留意して進めていくことが望ましいと考えております。
 最後に、小さな拠点で活動する株式会社等への支援策についてお尋ねがありました。
 中山間地域等で安心して住み続けられる地域を守るためには、小さな拠点を中心に生活サービスを提供する株式会社等の地域運営組織の取組を推進することが重要ですが、その運営に当たっては、活動資金や事業運営のノウハウ不足、地域で活動する人材の不足など、様々な課題があるところであります。
 このため、地域運営組織が継続的、安定的に事業を行うことができるよう、本税制措置と併せ、地方創生推進交付金等による財政面での支援、地域運営組織の法人化のためのガイドブックの作成、内閣府ホームページでの優良事例や各省の支援措置の紹介、内閣府幹部が各地に出向いた説明会の開催など、情報面での支援、地方創生カレッジ等による人材面での支援等により、各地での取組を総合的に支援をしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(林芳正君) 矢田議員から二問御質問いただきました。
 最初に、東京二十三区における大学の定員抑制と大学の自治等との関係についてお尋ねがありました。
 学問の自由は、憲法により広く全ての国民に保障されたものであり、特に、大学における学問研究及びその成果の発表、教授が自由に行われることを保障したものであると承知をしております。また、大学の自治は、憲法により保障された学問の自由の精神に由来するものであり、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度と慣行であると承知をしております。
 東京二十三区の大学の定員増の抑制は、昨年十二月に閣議決定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一七改訂版におきまして、東京二十三区においては原則として大学の定員増は認めないこととされたことを踏まえ、地方創生や東京一極集中是正の観点から、大学の設置や収容定員増等について抑制したものでございます。
 したがって、各大学の教育研究の内容や活動を制限するものではなく、それぞれの大学の自治を侵したり、各学生が大学で学ぶ機会を妨げたりするものではないと考えております。
 次に、日本の大学の国際競争力の強化のお尋ねでありますが、ソサエティー五・〇の到来やグローバル化の急速な進展の中、我が国社会の持続的な成長、発展を実現するためには、人材育成とイノベーション創出の中核である大学の役割が一層重要です。
 このため、文部科学省では、教育再生実行会議の提言や日本再興戦略なども踏まえ、大学の自発的な国際競争力の強化やイノベーション創出を促す世界トップレベルの大学との交流、連携を実現、加速するためのスーパーグローバル大学創成支援、そして、国際的な競争環境の中で世界の有力大学と伍していくための指定国立大学法人制度、さらには、世界の学術研究を牽引し、様々な分野で活躍する高度な博士人材を育成するための卓越大学院プログラム等の着実な実施に取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(伊達忠一君) 宮沢由佳君。
   〔宮沢由佳君登壇、拍手〕
#12
○宮沢由佳君 立憲民主党・民友会の宮沢由佳です。
 会派を代表して、議題となりました地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案並びに地域再生法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 質問に入る前に、麻生大臣に伺いたいことがあります。
 先日、都内の大学教授からとても衝撃的な話をお聞きしました。教え子の女子学生が今回のセクハラ報道にショックを受け、私はジャーナリストへの道を諦めた方がよいのでしょうかと相談してきたというのです。麻生大臣の記者を男に替えればいいなどという発言は、ジャーナリストを目指している女子学生を不安に陥れています。
 海外では、セクハラは犯罪行為と考え、理解を示す男性も多く、例えば日本の商社マンの中には、海外赴任前に、現地でセクハラ的な発言、行動を取らないためにレクチャーを受けている人もいるといいます。それは、他者を守り、自分自身を守るために必須なのです。セクハラをなくすために担当者を全て男性にすべきという発言は、男性は性的衝動をコントロールできないと公言しているようなものです。
 日本は、いまだ男尊女卑の国だと言われ、ジェンダーギャップ指数ランキングでは世界百四十四か国中百十四位の過去最低を更新し、日本の女性活躍とは名ばかりだということが明らかになりました。
 麻生大臣、ジャーナリストを目指す女子学生について見解をお伺いします。
 それでは、質問に入ります。
 安倍政権は、成長戦略の柱の一つとして二〇一四年から地方創生を打ち出し、内閣府にまち・ひと・しごと創生本部を創設しました。地方自らが政策目標を設定し、やる気のある地方の提案を競ってもらうという安倍総理の掛け声の下、交付金を活用した地方の創意工夫の喚起や規制緩和などを行ってきました。
 しかし、今回は、都心の大学の定員抑制、法律成立を前提とした商店街の空き店舗兼住宅の特定建築物等への実質的課税強化措置など、国による規制強化策です。地方創生が規制強化へとかじを切るのは、これまでの三年間の施策が成果を出せず、やむを得ず方向転換を図るということなのでしょうか。地方の自主性よりも、国主導で半強制的に地方への人口移動や企業参入を促すというのであれば、これまでの安倍政権の地方創生が手詰まりであると認めることになるのではないでしょうか。
 そこで、お尋ねします。
 現在までの地方創生の取組と成果について、梶山担当大臣の明快な答弁を求めます。あわせて、新たな規制強化策を導入する必要性をどのようにお考えか、答弁を求めます。
 それでは、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案について伺います。
 本法律案は、東京の一極集中是正として、東京二十三区内の大学の定員増や学部新設を十年間禁止するとしています。しかし、東京圏への大学、短期大学進学者の転入超過は年々減少し、二〇一〇年と比べて二〇一七年は一万四百三十二人も減っています。東京が地方から学生を吸い上げているという事実はありません。地方出身者は三割にすぎず、この規制強化政策は安易と言わざるを得ません。
 どのような科学的根拠によって、定員などを抑制することが転入超過数是正につながると判断して本法律案を提出したのか、その根拠を具体的に示すとともに、梶山担当大臣、その効果の見込みをお答えください。
 加えて、この法律案の期限が十年になっていますが、定員抑制された学校にとって十年の停滞は長く、今後の展望を描くのも難しいと思われます。八年でもなく、十一年でもなく、区切りよく十年とした根拠を教えてください。
 また、地方の大学進学率は都市部に比べて低く、家庭の経済事情で進学を断念する生徒も少なくありません。規制強化の前に、奨学金の拡充などで進路の選択肢を広げ、地域に貢献する人材の育成につなげていく努力を優先すべきではないでしょうか。文部科学大臣の答弁を求めます。
 次に、地域再生法の一部を改正する法律案に関して伺います。
 地方創生推進交付金に関しては、平成二十八年度及び二十九年度の執行額等が予算額を大幅に下回っています。平成二十八年度は、予算額五百八十四億円に対し執行額は百九十九億円にとどまり、平成二十九年度は、予算額九百五十二億円に対して交付決定済額は五百三十二億円となっています。
 梶山担当大臣に伺います。
 地方のニーズが国の旗振りと違うのであれば、政策の根本的な見直しが求められてしかるべきです。なぜ平成二十八年度及び二十九年度の執行額が予算額を大幅に下回ったのでしょうか、理由をお聞かせください。さらに、未執行額をどうするのか、平成三十年度以降、どのような見直しを図っていくのか、見解を求めます。
 地域再生、地方創生、地方大学活性化、地方に残りたいと思う若者の育成、地域活動を行うNPO法人の育成、地域づくりネットワークの育成、産学官連携、商店街活性化など、どれにとっても一番重要なのは、そこで活動する人であり、そういった人と人とのつながりです。一人一人の姿が見える地方創生を目指し、国は誘導型の交付金ではなく、人材育成や地域が自主的に取り組んでいる事業への支援こそが重要だと考えます。地域活性化に欠かすことができない人材育成への国の取組について、梶山担当大臣の答弁を求めます。
 また、NPO法人を活性化するために国はどんな取組を行っているのでしょうか。助成金や税制優遇以外の具体的な支援策をどのように進めていくお考えか、茂木担当大臣の答弁を求めます。
 更に言えば、地元に愛着を持ち、地元に暮らし続けたいと思う子供たちを育てることが地域の活性化につながります。テスト重視、知識詰め込み型の画一的な教育ではなく、地域の特性や地域課題に沿った教育にもっと力を入れる必要があります。子供の頃からの課題解決能力の育成、プロジェクト教育など、個性を伸ばしながら新しい時代の新しいプレーヤーとなるべく未来型の地域教育を進めなければ、地方に残る若者の減少を食い止めることはできないと考えますが、文科大臣の見解を求めます。
 地方創生は、日本の持続可能な未来を築くために必要な政策の一つです。持続可能な未来を築くためには、世界中の国々が信頼関係を築きながら協力し合っていかなければなりません。しかし、今、残念なことに日本政府はこの信頼を失っています。世界に対して信頼を失墜させた政府の責任は非常に重く、そんな日本政府が恥ずかしくてなりません。部下だけに責任を取らせて自分は責任を取らない総理、大臣。海外の政府や各企業のリーダーたちは、今の日本の混乱をどう見ているのでしょうか。
 世界中で活躍している日本人たちにとっても、信頼のある国日本をおとしめた政府の罪は限りなく重いものです。海外に留学をしている子供たちも肩身の狭い思いをしているのではないでしょうか。あなたの国で一体何が起こっているのと聞かれても、何も答えられないのです。それは、政府が疑惑を明らかにしようとしないからです。セクハラ告発を受けても部下を守ろうとした麻生大臣は、公文書改ざん問題は理財局の一部と自らの責任には我関せず、記憶も記録もなくした部下を信頼するという安倍総理、一体子供たちに胸を張れる姿勢がどこにあるのでしょうか。
 言葉だけではなく、徹底的に原因究明と再発防止を講じて初めて子供の未来を語るべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(梶山弘志君) 宮沢議員にお答えをいたします。
 初めに、現在までの地方創生の取組と成果及び新たな規制強化策を導入する必要性についてお尋ねがありました。
 地方創生については、これまで、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、多岐にわたる施策を推進するとともに、意欲と熱意のある地方公共団体に対し、一千億円の地方創生推進交付金を始めとする財政支援、情報支援、人材支援の地方創生版三本の矢で積極的に支援してまいりました。
 総合戦略の中間年に当たる昨年度、私の下に有識者による検証チームを開催をし、地方創生の総点検を行った結果、実施した施策の大宗は一定程度進捗している一方、基本目標二の地方への新しい人の流れをつくる取組については、昨年も東京圏への転入超過が約十二万人に上り、東京一極集中の傾向が続いていることから、一層の取組強化により目標を目指すべきとされました。
 これを踏まえて、昨年末に閣議決定した、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、地方への新しい人の流れをつくるための施策の拡充に取り組むこととしております。
 具体的には、地域における雇用の創出と東京一極集中の是正に一体的に取り組むこととし、今国会において、地方大学・産業創生法案及び地方再生法の改正法案の二法案を提出をいたしました。
 なお、地方大学・産業創生法案については、地方六団体からの、振興策と併せて東京二十三区における定員抑制をすべきとの御要望があったこと、今後も条件が有利な東京二十三区の定員増が進み続けると地域間で高等教育の就学機会の格差が拡大しかねないこと等から、特定地域内の大学等の学生の収容定員を抑制することとしております。
 また、地域再生法の改正法案における商店街活性化については、事業者の資金調達面での支援などに加えて、空き店舗解消の効果をより一層高めるため、空き店舗等の活用を所有者等に促す措置も講じるものとしております。
 次に、定員抑制の具体的な根拠についてお尋ねがありました。
 二〇〇〇年から二〇一五年で地方の若者が約五百三十二万人減少いたしました。また、東京圏への転入超過数は近年十万人を超える規模で推移をし、そのほとんどが十五歳から二十九歳までの若者であります。
 今後、十八歳人口が大幅に減少すると見込まれる中にあって、東京二十三区のみで四十六・三万人と既に全国の学部学生数の一七・九%を占めていること、また、二〇〇二年から二〇一七年の間で東京二十三区の学部学生数は八万人増と増加傾向にあることから、東京二十三区の大学の学部の定員抑制を行うこととしております。
 また、二〇〇二年と二〇一七年で比較した場合、十八歳人口は地方圏において約百十五万人から約八十九万人へと二三%大きく減少しているのに対し、同時期において、東京圏の大学への入学者における地方圏の高校出身者については約八万八千人から約七万六千人へと約一四%の減少にとどまっていることから、地方圏では十八歳人口が大きく減少する中で、東京圏の大学に進学する若者の割合は相対的に高まっていると考えられます。
 定員抑制措置と併せて本法律案に盛り込まれた新たな交付金制度によるきらりと光る地方大学づくりや地域における若者の雇用機会の創出等の施策を進め、東京一極集中の是正に取り組んでまいります。
 次に、東京二十三区の大学の収容定員の抑制期間についてお尋ねがありました。
 本法案による特定地域の収容定員の抑制措置については、収容定員増について投資・機関決定等を行っている場合等を経過措置として抑制の例外としており、定員抑制の十分な効果を得るためには一定の期間が必要なこと、大学進学者の今後の動向や地方大学振興策の効果などと相まって、地域における若者の修学、就業の状況が改善するには一定の期間が必要なことから、期間を十年間としております。
 なお、本法律案においては、十年後までの間に、地域における若者の修学及び就業の実情等について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされており、東京一極集中の緩和の状況等の観点から検討を行い、検討結果に基づき、必要な措置を講じてまいります。
 次に、地方創生推進交付金の執行状況についてお尋ねがありました。
 平成二十八年度及び二十九年度において執行残が生じている原因としては、いずれも早期執行を求められる補正予算を優先して執行した結果であると考えております。
 平成三十年度予算については、現在募集中の第二回募集における活用、地方大学・地域産業創生事業百億円のうち、五十億円で地方創生推進交付金の活用等を予定をしております。
 地方創生推進交付金において、これまでも、地方からの要望を踏まえて、ハード事業割合の緩和や交付上限額の引上げを行ってきたところであり、平成三十年度には、特に要望の強かった年度当初からの事業執行が可能となるような交付決定時期の早期化を行うなど、大幅な運用の弾力化、改善を行ったところであります。
 あわせて、効果的な事業実施に資するガイドラインや事例集の作成、周知、サテライトオフィスによるアウトリーチ支援などを通じて、地方公共団体の有効活用に努めてまいります。
 最後に、地方での人材育成についてお尋ねがありました。
 地方において、地方創生を担う人材の育成は重要であり、地方創生版三本の矢の一つとして支援を行っているところであります。
 具体的には、地方創生に必要なカリキュラムをe―ラーニング形式で幅広く提供する取組として地方創生カレッジを開講し、多くの方に受講をいただいております。このほか、地方公共団体や地域企業などへの人材支援策として、地方創生人材支援制度やプロフェッショナル人材事業による取組を行っております。
 これらの施策により、地方創生を推進するため、引き続き人材の側面からの支援を積極的に進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(麻生太郎君) 宮沢議員から、女性記者に関する私の発言について一問お尋ねをいただいております。
 御指摘の発言は、これは週刊誌に報じられているものだと存じます。これは正式な記録が残っておりませんし、面会をした記憶もありませんので記憶も定かではありませんが、お尋ねの点につきましては、質問主意書において、セクハラ防止策として、担当記者から女性を排除し男性のみにすることが妥当なことであると考えておるのかという御質問だと思いますが、妥当なことであるとは考えていない、当然のことだろうと存じます。
 セクハラに関しましては、事実とすればアウトだと、これは冒頭から申し上げてきたとおりで、被害女性の尊厳とかまた人権を侵害する行為であって、決して許されるものではないということも申し上げてきておりますので、いずれにいたしましても、御質問のジャーナリストの学生さんでしたかね、御質問に関しまして、ジャーナリストを含めまして、社会において女性が安心して活躍できる、そういった環境というものを整備していくことが重要だと考えております。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(林芳正君) 宮沢議員から、二つ御質問いただきました。
 最初に、地域に貢献する人材の育成についてお尋ねがありました。
 家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは大変重要でございまして、これまでも給付型奨学金の創設を始めとする奨学金制度の充実や大学等における授業料減免の拡充によりまして高等教育の負担軽減に努めてまいりました。
 さらに、昨年十二月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおいては、授業料減免や給付型奨学金の拡充による真に必要な子供たちへの高等教育の無償化が盛り込まれており、この実現に向け検討を進めてまいります。
 また、地方創生を担う人材の育成のため、若者の地方企業への就職時に、奨学金の返還を支援する基金を地方公共団体と地元産業界が協力して造成する取組に対し、総務省による特別交付税による支援を行う奨学金返還支援制度にも取り組んでおります。
 昨年十二月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一七改訂版において、奨学金返還支援制度の全国展開を進めることとされており、関係省庁とも連携しながら取組を推進してまいります。
 次に、課題解決能力の育成やプロジェクト教育などを通じた地域教育に関するお尋ねでありますが、これからの時代において地域社会で活躍する若者を育てる上で、学校教育において、身近な地域等について学ぶことを通じて、課題を見出して、そしてそれを解決していくという学習を行うことが重要であると思っております。
 現在でも、多くの小中学校において、例えば総合的な学習の時間で、町づくりや伝統と文化、こういったものをテーマとした問題解決的な学習活動が行われているところでございます。
 さらに、昨年改訂をいたしました新しい学習指導要領においては、より良い学校教育を通じてより良い社会をつくるという理念を学校と社会とで共有をし、その実現を図る社会に開かれた教育課程という考え方を示し、地域と連携した教育活動の充実を一層推進しているところでございます。
 文科省としては、新しい学習指導要領の趣旨の着実な実現等を通じ、地域社会とも連携しながら、子供たちが未来社会を切り開くための資質、能力を確実に育成するための取組を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(茂木敏充君) 宮沢議員から、NPO法人の支援策について御質問がありました。
 NPO法人については、地域における雇用の創出や町づくりなど、地域における重要な課題の解決に欠かせない存在となっております。
 政府としては、税制優遇措置や活動に応じた資金支援等の支援策に加えまして、内閣府において、全国のNPO法人の活動を一覧できるNPO法人ポータルサイトの機能強化を図るなど、NPO法人の活動を広く周知をし、地域住民、そして企業とNPOが更に連携しやすい環境整備等に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#18
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案について質問いたします。
 本法案は、地方から東京圏への転入超過への対策だとして、地方公共団体が計画する地域における大学振興・若者雇用創出の事業に交付金を交付する仕組みをつくるものです。
 地方の大学や、経済、産業の振興を国が支援することは大切です。しかし、本法案は、全ての地方公共団体を対象とするのではなく、内閣総理大臣が認定した事業計画にのみ多額の交付金を交付するものです。既に本年度予算には七十億円が算定され、おおむね十件程度、交付期間は五年との制度設計が示されており、認定されれば巨額の交付金を得られることになります。
 この仕組みそのものが問題であり、とりわけ安倍内閣の下で公正な交付決定が担保されるのか、政治家や大臣と親しい関係にある者が優遇されることはないのか、大きな疑念を持たざるを得ません。こうした疑念を払拭するためには、まず加計学園獣医学部新設問題の真相究明が不可欠だと考えますが、梶山大臣の認識をお聞きします。
 十日の柳瀬元総理秘書官への参考人質疑で、二〇一五年、官邸で三回にわたって加計学園と面会したことが明らかになりました。なぜ総理秘書官が加計学園の獣医学部新設を特出しにして動いたのか、もはや総理の意向があったからとしか説明の付かない事態になっています。
 事実、総理に報告していない、指示も受けていないという柳瀬氏の国会答弁を信用できないという国民は、世論調査で八割近くに上っています。官房長官、この世論をどう受け止めますか。柳瀬元秘書官を始め官邸がどう動いたのか、総理の関わりも含め、全て明らかにすることが急務だと考えますが、官房長官の答弁を求めます。
 法案について、梶山大臣にお聞きします。
 法案によれば、まず内閣総理大臣が地域における大学振興・若者雇用創出の基本指針を作成し、地方公共団体は、この基本指針を踏まえ、その地域の大学や事業者と協力して事業計画を策定し国に提出する、その中から内閣総理大臣が認定した事業計画に交付金を交付することになります。冒頭で述べたとおり、認定されれば巨額の交付金が五年から十年間にわたって特定の地方公共団体に交付されることになります。
 国の基本指針を受けて、大学などとの協議、推進体制の構築など、地方公共団体の計画策定には一定の時間を要すると思われますが、既に本年度予算での執行が見込まれています。内閣府は、法案説明の際に、富山県と富山大学、山口県と山口大学の産官学連携の事例を資料として示しましたが、よもや、公募と言いながら既に内閣府が特定の地方公共団体に内定を出しているということはありませんか。
 内閣府では、戦略的イノベーション創造プログラムにおいて、全十二課題のプロジェクトの責任者を事前に内定しておきながら公募を行っていたことが五月八日の毎日新聞の報道で明らかになりました。内閣府は、補正予算のため短期間での対応となったことを理由にしていますが、中立性や公平性は絶対条件です。
 本法案で示されている認定基準は、国の基本指針に適合しているか、区域の若者の修学及び就業の促進に相当程度寄与すると認められるか、円滑かつ確実に実施される見込みかという三項目しかありません。中立性、公平性をどう担保するのでしょうか。
 また、政府は、地方公共団体が計画を策定する際に首長のリーダーシップを強調していますが、地域住民の合意形成もないままに、大学のキャンパス機能の一部を誘致することをてこにして中心市街地再開発計画などを推し進める動きもあります。こうした住民が望まない大規模開発に大学が巻き込まれることにはならないでしょうか。そうならない保証はどこにありますか。
 以上、梶山大臣の答弁を求めます。
 本法案は、地域における大学の振興を目的の一つとしていますが、そもそも地方大学の疲弊の要因をどう認識しているのでしょうか。
 ノーベル賞を受賞した研究者を始め、多くの大学人が、国立大学運営費交付金を削減し、競争的研究費を拡充するという選択と集中を政府が進めてきたことこそ、地域の大学、特に地方の国立大学や公立大学の研究教育環境の荒廃、疲弊をもたらしたと繰り返し指摘しています。梶山大臣及び林文科大臣は、この指摘をどう認識していますか。
 本法案によって、地方公共団体の計画に協力する大学に対して財政支援を行うことになりますが、その財源として本年度予算で組まれた二十五億円は、国立大学運営費交付金や私学助成の一部を活用するとしています。対象外となった大学への経常経費補助はその分減らされることになるのではありませんか。そうなれば、認定された地域以外の大学の疲弊を一層深刻にするのではありませんか。林文科大臣、お答えください。
 認定された大学と地方公共団体にとっても、長期的な振興につながるか疑問を持たざるを得ません。予算上の単純計算では、一件当たり年間約十億円規模の財政支援となりますが、その期間は五年から十年とされており、その後は地方公共団体や大学は自らの財源で事業を継続しなければなりません。特に大学は、確保した教員や研究者の人件費の保障さえありません。これでは、振興どころか、その先に更に深刻な疲弊や荒廃が起こり得るのではありませんか。梶山大臣の答弁を求めます。
 法案では、若年者の東京への一極集中を是正するため東京二十三区での大学の定員増を認めないこととしていますが、梶山大臣、これで東京一極集中の解消になるのでしょうか。
 安倍政権は、東京を世界で一番ビジネスのしやすい都市として環境を整備するという方針を掲げ、東京都心部での容積率等の規制緩和を進めてきました。都市再生法による特定都市再生緊急整備地域は、全国十三地区のうち五地区、面積では全国四千十一ヘクタールのうち二千七百二十六ヘクタールが東京二十三区内に集中しています。大規模なオフィスビルやマンションの建設が現在進行形で進められているのです。これでは、若年層を中心とした人口流入は更に加速していくでしょう。
 東京一極集中の是正には、政府自らが進めている容積率や高さの制限の緩和の見直しこそ行うべきではありませんか。梶山大臣にお聞きします。
 安倍総理がアベノミクスの効果をいかに喧伝しようとも、人、物、金は大企業と東京に集中し、地方の振興にはつながっていない、このことはもはや明らかです。小手先の施策でアベノミクスの失敗をごまかすことはやめ、真っ当な地域振興策に転換することを求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(梶山弘志君) 田村議員にお答えをいたします。
 初めに、獣医学部新設についてお尋ねがありました。
 国家戦略特区のプロセスは、ワーキンググループや特区諮問会議といった民間有識者が主導する会議を経て決定されるものであります。そのため、仮に個別の案件について誰かが何らかの関与をしようとしても、民間有識者がそのことを知らずしてプロセスは前には進まない仕組みとなっております。
 今回、規制改革プロセスを主導してこられた八田座長からは、さきの参考人質疑においても、柳瀬元秘書官から何の働きかけもない、柳瀬元秘書官の面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないとの答弁がありました。
 このように、さきの参考人質疑も含め、これまでの国会審議のプロセスにおいても、関係大臣を始め民間有識者も、誰一人として国家戦略特区における獣医学部新設につき総理から何らの指示も受けていないことが明らかとなりました。そのことが、今回の行政プロセスを評価するに当たり最も重要なポイントであります。
 しかしながら、国民の皆さんから厳しい目線が向けられていることももっともなことだと思っております。こうした国民の厳しい目線をしっかりと踏まえた上で、お尋ねに対し、事実に基づき丁寧にお話をしてまいります。
 次に、公募前の内定の有無と計画の認定に当たっての中立性、公平性の確保の仕組みについてのお尋ねがありました。
 今回の新たな交付金は、地域における事業実施に十分な期間を確保するため、法案成立後、速やかに基本指針を策定した上で公募を開始したいと考えておりますが、既に内閣府が内定を出しているということはございません。
 また、交付金の交付に先立つ計画の認定に当たっては、自立性、地域の優位性、KPIの妥当性及び実現可能性等の認定基準を設定するとともに、専門性を有する外部の有識者で構成する委員会を開催することとしており、当該委員会において書面評価、現地評価、面接評価といった複層的な評価を行うことにより、中立性、公平性を確保してまいります。
 次に、住民や大学の望まない計画にならないかとの懸念についてお尋ねがありました。
 地域における計画の作成に当たっては、地域を代表する知事等がリーダーシップを発揮するとともに、産官学の各主体が参画する推進会議を設置し、各主体が連携、調整した上で計画の案を作成するほか、事業の実施等に当たり、住民の代表である議会が適切に関与することとしていることから、地域の計画が住民の望まないものになるという御指摘は当たらないものと考えております。
 また、個々の大学が推進会議に参画するかどうかは当該大学が自ら主体的に判断することを前提とした制度となっていることから、地域の計画に大学が巻き込まれるとの御指摘も当たらないと考えております。
 次に、国立大学法人運営費交付金の削減と競争的研究費の拡充による研究教育環境の影響についてお尋ねがありました。
 運営費交付金は、基盤的経費として教育研究を推進する上で必要である一方、競争的に研究を支援する仕組みも重要であると考えており、その両者のバランスよく機能し、地域の大学において質の高い教育研究が推進されることが重要であると認識をしております。
 次に、国の支援終了後における事業継続の困難さ等についてお尋ねがありました。
 地域における若者の修学及び就業を持続可能な形で促進していくためには、将来的には、国の支援に依存することなく地域における取組が自走していくことが必要であり、その趣旨を踏まえて、各地域において計画を策定していただくことが重要であると考えております。
 このため、新たな交付金については、計画期間についておおむね十年程度を目安とし、計画期間の前半は、計画の立ち上げに際して事業の推進を集中的に支援する観点から、国が支援することとし、計画期間の後半は、産業の発展や専門人材の活躍が一定程度見込まれることから、参画主体や地域の金融機関が資金や人材等の資源を拠出し合う仕組みとしております。
 このような新たな交付金による取組と併せて、本法案に盛り込まれた特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制や地域における若者の雇用機会の創出等の施策を進め、東京一極集中の是正に取り組んでまいります。
 最後に、東京一極集中の是正に向けた容積率の緩和等の見直しについてのお尋ねがありました。
 東京一極集中の是正を進めるに当たっては、地方対東京圏という対立の構図ではなく、地方と東京圏がそれぞれの強みを生かし、日本全体が成長していく必要があります。
 東京圏においては、引き続き我が国の成長エンジンとしての役割を果たすとともに、世界をリードする国際都市として発展していくことが重要と考えており、そのための施策として容積率の緩和が有効であるケースもあります。
 このため、委員の東京の容積率等の緩和を見直すべきとの御提案そのものについては困難であると申し上げざるを得ませんが、国としても、今国会に提出している二法案に基づき、きらりと光る地方大学づくりや企業の地方拠点税制の拡充に取り組むなど、様々な施策を総動員して東京一極集中の是正に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(菅義偉君) 国家戦略特区における獣医学部の新設についてお尋ねがありました。
 今回のプロセスは、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定、いずれについても関係大臣間で異論がないことを確認をし、合意の上で関係法令に基づき適正に行われました。
 事業者の選定等のプロセスを主導した民間有識者を代表する八田座長は、今回のプロセスは一点の曇りもない、繰り返し明確に述べております。
 柳瀬元秘書官は先般の参考人質疑において、国会の様々な御質問に対し、知っていることを記憶の限り明らかにしようと、一つ一つ丁寧に誠実に答弁を行ったものと承知をいたしております。
 いずれにしても、政府としては、国民の厳しい目線が向けられていることをしっかりと受け止めながら、今後とも、事実に基づき丁寧な上にも丁寧な説明を心掛け、説明責任を果たしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(林芳正君) 田村議員から二問御質問を頂戴いたしました。
 国立大学運営費交付金の削減と競争的研究費の拡充による研究教育環境の影響についてお尋ねがございました。
 国立大学法人への国費による支援は、教育研究の基盤的経費である運営費交付金と教育研究活動の革新や高度化、拠点化などを図る競争的資金等により行ってきたところでございます。
 平成三十年度予算では、国立大学法人運営費交付金等について対前年度同額の一兆九百七十一億円を計上するとともに、科研費助成事業、科研費について対前年度二億円増の二千二百八十六億円を計上しております。
 文科省としては、今後とも、地方の国公立大学も含め、各大学の強み、特色を生かしながら、頑張る地方大学の活性化が図られるよう、多様な財務基盤を確保しつつ、基盤的経費と競争的資金等のバランスよい確保に努めてまいります。
 次に、交付金の対象となった大学以外への経常経費の補助のお尋ねでありますが、地方創生の実現には地方大学の役割は重要であり、文部科学省としても、地域で活躍する人材の育成など、地方大学の活性化に向けた支援を行うことは重要であると考えております。
 地方大学・地域産業創生事業については、内閣府交付金分の七十億円のほか、当該交付金の対象となる大学においては、文部科学省計上分として、国立大学法人運営費交付金及び私立大学等改革総合支援事業のうち二十五億円分を内閣府交付金と連動して執行することとしており、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などの優れた取組を行う大学に対して必要な支援を行うものでございます。
 文科省としては、国立大学法人運営費交付金及び私学助成等を通じて、国立大学及び私立大学が教育研究を展開するために必要な経費を確保しておりまして、今後とも各大学の強みと特色を生かしながら地方大学の活性化が図られるよう努めてまいります。(拍手)
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#22
○議長(伊達忠一君) 高木かおり君。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕
#23
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 私は、党を代表して、本日の議案である地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 日本維新の会は、東京一極集中の是正と、統治機構改革による完全な地方自治の実現、そして危機と災害に強い多極分散型の国家の実現を目指しています。
 少子化が加速し、十八歳人口は平成四年の二百五万人をピークに減少を続け、平成二十八年には百十九万人となり、更に減少が続いています。その一方で、平成二十三年以降、東京圏への転入超過数は増加傾向にあります。人口偏在の要因ともなっている大学進学時や就職時における東京への人口流入を抑制することは、地方創生の観点からも必須の課題と考えています。
 文部科学省は、東京二十三区内の私立大学等に対し、定員増を認可しないことを内容とする特例告示を定めました。また、本法案では、十年の時限措置で特定地域内の、この場合は東京二十三区内が予定されていますが、大学等の学部等の学生の収容定員を増加させてはならないとしています。しかしながら、今後、分母となる全体の学生数が小さくなっていく以上、収容定員を抑えても東京二十三区内に進学者が流入し続ける現状は変わらず、東京一極集中を是正する効果としては限定的です。この法案の内容では不十分かと思いますが、文部科学大臣のお考えをお聞かせください。
 仮に、本法案により東京一極集中を是正できたとしても、地元の大学を卒業し、そのまま地域において就職する流れをつくるためには、地域における魅力ある雇用の拡大や創出とともに、地方へ本社機能の移転等を行う企業に対する更なる支援の拡充が必要です。地域拠点拡充に当たっては、優秀な人材を集めるためにも、地方独自で多様で柔軟な働き方を選択できる制度を併せて導入するなど、より実効性が高く、地域で働きたい人々の希望がかなう制度とすることが必要と考えます。この仕事は働きがいがある、オフがエンジョイできて人生が充実できる、そのような地方の町づくりを地方の手で行えるよう、権限を地方に委ねるべきではないでしょうか。
 地方創生と働き方改革、双方の視点を持って、地方移転を目指す企業に対する優遇措置の拡充に向けて、地方自治体や経済界とどのような連携を図っていくのか、政府としての具体的な取組方向について梶山大臣にお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、新たに設けられる地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度についてお伺いします。
 平成三十年度予算では内閣府交付金として七十億円分計上されており、自治体が地域の中核的産業の振興や専門人材育成等に関する計画を作成し、認定された場合にこの交付金を受けることとなります。目標が設定された上で事業が展開されると考えますが、事業効果を高めるためにも、どのような観点が重視され認定されるか具体的に教えてください。
 通信が充実した現在、例えばアプリケーションの開発などでは都市ではなくてもできる状況にあり、産業振興自体は簡単ではありませんが、地方自治体の工夫次第で伸ばすことができる環境にあります。まずは、成功の事例をつくることが必要です。産業振興事業終了後の検証作業実施の必要性についても、併せて梶山大臣にお答え願います。
 また、キャッチフレーズのきらりと光る地方大学づくりですが、首長がリーダーシップを発揮し、地方づくりの計画を作成し、産業振興につなげるという考えに基づいていることに関しては理解できます。しかし、実例として挙げられているのは、既に実績が十分にある大学や地方に研究拠点を移した有力大学がほとんどです。現在、大学が持っている能力やアカデミアの成果を地域企業に還元することで地域企業における雇用機会の創出につなげ、地域への人材定着、地方創生につながるというストーリーを進めることは、有力な大学が持つ能力に依存するところが大きいということです。
 そうであるならば、有力な大学の地方移転の促進を行った方が地方創生につながるのではないでしょうか。梶山大臣のお考えをお聞かせください。
 文部科学省においては、オープンイノベーション機構の整備事業に係る公募が本年四月にスタートいたしました。これは、従来の産学官連携が研究者個人レベルでの連携にとどまっているのを発展させ、組織レベルでの連携を行うことを目指すものです。企業と大学が連携し、国際競争力を高める点については、今回のきらりと光る地方大学づくりと目指す方向は同じであり、目的が似た同種の事業がスタートするのであれば、双方の事業が協働連携するなど、効果的な予算執行が必要であると考えますが、関係事業との整理や事業効果を一層高めるためにどのような具体的な取組を行っていくのでしょうか。梶山大臣にお伺いします。
 最後に、地域再生エリアマネジメント負担金制度についてお伺いをいたします。
 この制度は、海外のBID制度を参考にし、市町村が地域再生に資するエリアマネジメント活動に要する費用を受益者から徴収し、エリアマネジメント団体に交付する官民連携の制度を創設するものです。しかしながら、私の地元である大阪では、既に条例によって制度化された、うめきたのまちづくりがあります。今回創設する制度と比較して、大阪版BIDはどのように評価されていらっしゃるのでしょうか。梶山大臣にお伺いいたします。
 負担金制度については、エリアマネジメント活動を行うNPO等法人数を五年後までに百団体との目標を掲げています。百団体という数字は、現状をどのように認識した上で、どのような方策で達成できるとお考えなのでしょうか。
 あわせて、この制度は日本ではまだなじみのない新しい制度です。大阪でも、先行開発区域のグランフロント大阪がオープンしたのが二〇一三年、昨年から二期区域のまちづくりが始まったばかりです。その大阪では、既に課題も上がっていて、例えば地域でエリアマネジメントを担う団体が継続的に地域活性化に貢献することができるにはどうしたらいいのかとの議論がなされています。例えば、団体が収益事業で得た収益を公共的な活動に再活用する際の損金算入を可能とするなど、何らかの税制優遇を措置すべきではないかと考えますが、この点について梶山大臣のお考えをお聞かせください。
 我が党は、地方分権を進め、魅力ある地方を生かすことにより地方の活性化を目指しています。そのための政策の推進、そして本当に支援が必要な地域へのサポートを手厚くし、将来世代への思い切った重点投資を可能にすることを目指しています。
 以上、国民の皆様にお約束をして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(梶山弘志君) 高木議員にお答えをいたします。
 初めに、地方移転を目指す企業に対する優遇措置の拡充に向けた取組方向についてお尋ねがありました。
 今回の制度改正では、東京二十三区から地方に本社機能を移転する企業への支援を強化すべく移転型事業の支援対象地域に近畿圏中心部及び中部圏中心部を追加するとともに、雇用促進税制に関する適用要件の緩和等の拡充措置を講じることとしております。
 この制度は、地方の自主的、自立的な取組を支援するものであり、制度の要件緩和等の今回の改正を踏まえ、各自治体がこれまで以上に創意工夫を凝らしながら、地方創生に取り組むことが期待をされます。
 また、地方創生において、結婚、出産、子育ての希望をかなえる観点から、働き方改革の推進は重要であると認識をしております。このため、私自身が経済団体に対して働き方改革の取組を促すとともに、地方創生推進交付金を使って、地方公共団体と地域の企業が一体となって取り組む地域の特性に応じた働き方改革の推進を支援してきたところであります。
 引き続き、地方や経済界と連携しつつ、関係省庁と一体となって働き方改革と地方創生の取組に努めてまいります。
 次に、計画の認定に当たって重視する観点や事業終了後の検証作業の必要性についてお尋ねがありました。
 新たな交付金は、知事等のリーダーシップの下、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行う優れた取組を重点的に支援するものであり、これにより、日本全国や世界中から学生が集まるようなきらりと光る地方大学づくりを進めるものであります。
 交付金の交付に先立つ計画の認定に当たっては、自立性、地域の優位性、KPIの妥当性及び実現可能性などの評価基準を設定をし、これに基づき有識者による委員会において評価を実施することを検討をしております。
 また、国において、事業終了後のみならず、毎年度、各地域が策定した計画に位置付けられたKPIを検証し、PDCAサイクルを実践することを通じて事業の質を確保することとしており、これにより、地域が一丸となって本気で改革に取り組む優れた事業を重点的に支援してまいります。
 次に、大学の地方移転についてお尋ねがありました。
 平成二十九年十二月に閣議決定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、地方の特色ある創生のための地方大学の振興とともに、東京圏に所在する大学の学部、学科のサテライトキャンパスの地方での設置を促進することとしております。
 一方、私の下で開催していた地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の最終報告において、既存の地方大学の学部、学科と単なる学生の取り合いにならないように配慮すべきとの指摘などがあり、また、今後十八歳人口の減少が大きく進む中にあっては、その推進方策に関して十分に検討していくことが必要であると考えております。
 そのため、本年度において、既存の取組を分析するとともにサテライトキャンパスを望む地方側と大学側の意向等のニーズを把握し、マッチングする仕組み等を検討するために調査事業を進めているところであります。
 次に、他の産官学連携の事業との整理や連携においてお尋ねがありました。
 今回の新たな交付金は、知事等がリーダーシップを発揮することを前提として、地方大学が特色を出しつつ、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行う優れた取組を重点的に支援するものであります。
 一方、文部科学省においては、民間投資を呼び込み産学連携を推進するための大学マネジメント体制を整備する取組を支援するオープンイノベーション機構の整備事業や、大学における革新的研究成果を用いてグローバル展開を目指した新事業を、文部科学省の直接的支援の下、地域の大学が主体となって立ち上げる取組などについて支援を行っているところであります。
 したがって、これらの文部科学省の事業とは、大学主体でなく地域を代表する知事等がリーダーシップを取ること、知事等が主導することにより地域全体に波及する中核的な産業の振興を推進すること、地域における中核的な産業振興とそれを担う専門人材の育成とを一体的に推進することなどの点で異なるものと考えておりますが、施策の推進に当たっては、文部科学省など関係省庁とも連携を図ることにより、地域における若者の修学及び就業の促進に努めてまいります。
 次に、地域再生エリアマネジメント負担金制度と比較した大阪版BID制度に対する評価についてのお尋ねがありました。
 大阪版BID制度は、地方自治法の分担金制度を活用し、大阪市が地域内の土地所有者から分担金を徴収し、これをエリアマネジメント団体に交付する官民連携の制度であり、今回、内閣府において検討を行う際にも、大阪版BID制度を参考としたところであります。
 他方、大阪版BID制度は、運用上、分担金の徴収の対象となる土地所有者の全員同意が条件とされ、かつ、分担金の使途が、エリアマネジメント活動のうち放置自転車対策などの公共空間の管理に関する活動に限定されているという課題があるとされております。
 そこで、今般創設する負担金制度では、地域の事業者の三分の二以上の同意を要件とした上で、イベントや情報発信などの来訪者等の増加により地域経済の活性化を図り、地域再生を実現するエリアマネジメント活動を対象としたものであります。
 本制度の活用を促しながら、地域再生に資するエリアマネジメント活動の促進に取り組んでまいります。
 次に、地域再生エリアマネジメント負担金制度に関する目標の現状と達成方法についてお尋ねがありました。
 今回の負担金制度における目標は、エリアマネジメント活動を行う者として地域再生法に基づき指定される地域再生推進法人等の数を、現状の約五十から、五年後までに倍増の百団体にすることとするものであります。
 エリアマネジメント活動については、平成二十八年七月にエリアマネジメント団体の全国組織が立ち上がるなど、全国的な広がりを見せているところであり、今後、こうした全国組織とも連携をしながらセミナーの開催などを行い、法律に基づき指定されている法人の数を増やしていくことにより、負担金制度の活用を促進をしてまいります。
 最後に、エリアマネジメント団体に対する税制優遇措置の必要性についてお尋ねがありました。
 エリアマネジメント活動については、地域再生エリアマネジメント負担金制度の積極的な活用を進めることで安定的な財源確保を図り、その活動を促進してまいりますが、あわせて、エリアマネジメント団体については、公益社団法人制度や認定NPO法人制度などの既存の税制特例制度もあることから、まずはこれらの制度の活用を促しているところであります。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(林芳正君) 高木議員から、東京二十三区内の学生の収容定員を増加させない措置についてお尋ねがございました。
 今後、十八歳人口が大幅に減少すると見込まれる中で、今後も東京二十三区の定員増が進み続けますと、東京一極集中がますます加速をし、東京の大学の収容力は拡大する一方で地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じ、地域間で高等教育の就学機会の格差が拡大しかねない、こういったことを踏まえ、昨年六月のまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一七及び昨年十二月のまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一七改訂版の両閣議決定において、大学生の集中が進み続ける東京二十三区においては、原則として大学の定員増は認めないこととされました。
 これを踏まえ、文部科学省告示及びこの度提出した法案においては、大学の収容定員増の抑制を行うこととしております。
 なお、東京一極集中を是正するとともに、地域におきまして高等教育の就学機会を確保していくためには、大学の定員増の抑制のみならず、地方大学の活性化が極めて重要であると考えており、引き続き内閣官房等の関係省庁と連携しながらこれらの課題に取り組んでまいります。
 他方、本格的な人口減少社会の到来を見据え、各地域における十八歳人口の将来推計や、それを踏まえて地域において質の高い高等教育を確保するための大学間の連携、統合の在り方等についても抜本的、総合的な検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
#26
○副議長(郡司彰君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#27
○副議長(郡司彰君) この際、日程に追加して、
 森林経営管理法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○副議長(郡司彰君) 御異議ないと認めます。農林水産大臣齋藤健君。
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(齋藤健君) 森林経営管理法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国の森林は、戦中戦後の大量伐採により大きく荒廃しましたが、先人の様々な努力により造成された結果がようやく実り、その約半数が主伐期を迎えようとしております。この森林資源を切って、使って、植えるという形で循環利用していくことで、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立し、先人の築いた貴重な資産を継承、発展させることが、これからの森林・林業政策の主要課題であります。
 しかしながら、現状は、多くの森林所有者が小規模零細で分散した森林を抱え、林業経営の意欲が低下している一方で、意欲と能力のある林業経営者の多くが事業規模拡大のための事業地確保に悩んでおり、このような森林所有者と林業経営者との間の連携を構築するための方策が必要となっております。
 このような認識の下、森林所有者に対して適切な経営管理を促すため、その責務を明確化するとともに、森林所有者自らが経営管理を実行できない場合に、市町村が経営管理を行うために必要な権利を取得した上で、林業経営に適した森林については意欲と能力のある林業経営者に委ねることとし、林業経営に適さない森林等については市町村が自ら経営管理を行うという新たなシステムを構築するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、責務についてであります。
 森林所有者は、その権原に属する森林について、適時に伐採、造林及び保育を実施することにより、自然的経済的社会的諸条件に応じた適切な経営管理を持続的に行わなければならないものとしております。
 また、市町村は、その区域内に存する森林について、経営管理が円滑に行われるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとしております。
 第二に、市町村への経営管理の委託及び林業経営者への再委託についてであります。
 市町村は、その区域内の森林について、経営管理の状況等を勘案して、森林所有者への意向調査又は森林所有者からの申出を踏まえ、経営管理権集積計画を定め、公告することにより、森林所有者からの委託を受けて経営管理を行うことができるものとしております。
 また、市町村が意欲と能力のある林業経営者に再委託を行おうとする場合には、都道府県が公募し、公表した林業経営者の中から、市町村が再委託を行うものを選定し、経営管理実施権配分計画を定め、公告することにより、林業経営者が経営管理を行うことができるものとしております。
 さらに、市町村は、自然的条件に照らして林業経営に適さない森林や林業経営者に再委託するまでの間の森林については、自ら経営管理できるものとしております。
 第三に、所有者不明森林に係る措置についてであります。
 森林所有者の全部又は一部が不明等の森林において、林業経営の集約化や効率化を図るため、市町村は、不明森林所有者の探索、公告等の手続を経て、経営管理権集積計画を定めることにより、経営管理の委託を受けることができるものとしております。
 第四に、林業経営者に対する支援措置であります。
 再委託を受けた林業経営者が更なる施業の効率化を図ることができるよう支援するため、独立行政法人農林漁業信用基金は、当該林業経営者に対して経営の改善発達に係る助言等の支援を行うことができるものとするとともに、国は、国有林野事業に係る立木の伐採等を他に委託して実施する場合は、当該林業経営者に委託するよう配慮するものとしております。
 第五に、災害等防止措置命令についてであります。
 市町村は、伐採又は保育が実施されておらず、かつ、引き続き伐採又は保育が実施されないことが確実であると見込まれる森林において、周辺の環境を著しく悪化させる事態等の発生を防止するため、森林所有者に対し、伐採又は保育の実施等の措置を講ずべきことを命ずることができるほか、自らこれを行うことができるものとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#30
○副議長(郡司彰君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。徳永エリ君。
   〔徳永エリ君登壇、拍手〕
#31
○徳永エリ君 国民民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 ただいま議題となりました森林経営管理法案について、会派を代表して質問させていただきます。
 安倍政権の下で、行政文書の隠蔽、改ざん、データの不備と、あってはならないことが次々と明らかになり、行政府と立法府の信頼関係が大きく損なわれました。
 そんな中で、実は、今回の森林経営管理法案の説明資料でも恣意的な作り替えが判明していたのです。一部新聞にも報道されました。参議院農林水産委員会での我が会派の舟山委員の指摘に、齋藤大臣もこれは直すべきではないかと御答弁され、林野庁は即座に修正を行いました。意識・意向調査の資料を都合よく解釈、作り替え、法案の必要性の根拠となるように印象操作をしたのです。農林水産省、林野庁には、今後このようなことがないように猛省を促します。
 さて、新たな森林管理システムを構築するための本法案は、民有林において森林所有者の森林管理の責務を明確化し、森林所有者が自ら林業経営を行わない場合には市町村に経営管理を委託すること、さらに、市町村から民間事業者に林業経営を再委託することなどにより林業経営の効率化を図り、森林を適正に管理し、林業の持続的発展と森林の持つ多面的機能の発揮に資するものとしています。この新たな仕組みを前提として、平成三十一年度税制改正においていわゆる森林環境税及び森林環境譲与税の創設が予定されており、予算が増額され、森林吸収源対策としての森林の整備が進むものと期待されています。
 しかし、本法案の提出に至る経緯を見ますと、官邸主導で成長戦略の名の下に、この五年、岩盤規制を破壊し、民間企業の参入を図り、農業分野の改悪を繰り返してきた規制改革推進会議のたくらみが透けて見えます。農業の次は林業です。
 平成二十九年九月に設置された規制改革推進会議の農林ワーキング・グループでは、主な審議事項の一つに林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の推進が位置付けられ、小規模零細で経営意欲を失っている森林所有者の経営を意欲と能力のある林業経営体に集積、集約化するとの考えが示されています。何をもって、森林経営の意欲がある、能力がある業者と認定するのでしょうか。
 さらに、林野庁は、林業経営の経験のない民間企業や外国資本の新規参入も一定の要件を満たせば排除しないとしています。
 昨年十一月二十九日に出された規制改革推進会議の森林・林業改革の第二次答申では、日本は国土面積に比して世界でも有数の森林面積を持ち、しかも、これまでは育てるだけで売上げに結び付かない保育の時期にあった人工林の約半数が林齢五十年以上となり、本格的に伐採して活用する時期、主伐期に移行しつつあるとしています。
 新たな森林管理システムの下、民間事業者がどんどん林業経営に参入し、木を伐採し、販売まで行うことが、林業イコール伐採業という領域に一気に追い込まれるのではないかと大変に心配をいたしております。国民の共有の財産である森林が今後も適切に維持管理されるのか、本法案の内容をきめ細かくチェックする必要があります。
 そこで、本法案の懸念事項に関し、以下、齋藤農林水産大臣に御質問いたします。
 まず、木材生産と輸出について伺います。
 我が国の木材産出額は、昭和五十年代半ばから減少傾向で推移しており、現在の産出額は、昭和五十年代の四分の一の水準まで落ち込んでいます。しかしながら、ここ数年、減少傾向にも歯止めが掛かり、回復の兆しが見られます。その理由の一つは、輸出の拡大です。平成二十九年における我が国の木材輸出額は三百二十六億円、前年比にして三七%の増加となっています。三十八年ぶりに三百億円を超えました。輸出先を国別に見ると、対中国が百四十五億円、続いてフィリピンが七十四億円、韓国は三十七億円となっています。特に、中国への輸出額は、前年比で六一%の増加となっています。
 そこで、今後の木材の輸出について政府の方針を伺います。
 これまで林業は、必ずしももうかる産業とはみなされてきませんでした。しかし、戦後の拡大造林期から五十年、我が国の森林資源が充実し、さらに、木材の輸出による成長産業化に向けた環境が整いつつあるとするならば、このもうかるチャンスを外国資本を含む民間企業が見逃すはずはありません。
 我が国の林業は、昭和三十九年に木材輸入が自由化されて以降、衰退が始まったと理解されていますが、衰退の本当の理由は、戦前から続く過剰な伐採により森林資源が枯渇してしまったことにあると考えられます。森林資源が再び充実してきたこのタイミングで、一気に主伐、皆伐を進めることにより、同じ過ちを繰り返してしまうのではないかと危惧しますが、この点について農林水産大臣の御見解をお伺いをいたします。
 次に、森林所有者の責務について伺います。
 本法案の第三条第一項は、「森林所有者は、その権原に属する森林について、適時に伐採、造林及び保育を実施することにより、経営管理を行わなければならない。」と、森林所有者の責務について定めており、今後森林を適切に維持管理していくために必要な規定であると評価いたします。
 一方で、私の地元北海道では、近年、外国資本による森林買収面積が広がっています。森林を取得した法人の住所地は、台湾や香港のほか、英領バージン諸島といった租税回避地と見られるところが含まれており、森林の利用目的も不明などとされているものが見られます。このような外国人所有者や素性のよく分からない法人が所有する森林については、どのようにして森林管理の責務を果たさせるのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
 続いて、新たな森林管理システムにおける林業経営の担い手となる意欲と能力のある林業経営者に関し、労働災害のリスクについて伺います。
 これまで、林業の現場においては、専門的な技術や経験を有する事業者が施業を行ってきました。しかし、近年、派遣会社を通して集めた林業の経験のない若者などを現場に連れていって、間伐などの施業を行っているケースがあると聞きます。今後、民間の事業者が林業経営に参入する中で、経験の浅い労働者が現場で増加すれば、労働災害のリスクは高くなるのではないかと危惧しております。ただでさえ、林業における死亡事故を含む労働災害の発生率は、全産業の平均値と比べると突出して高くなっています。事故発生時の対応も困難を極めます。山の中では携帯電話の電波状況は悪く、また救急車を呼んでも、到着まで非常に時間が掛かります。一刻を争う重傷の場合、ドクターヘリを呼ぼうにも、着陸できるスペースもありません。
 民間事業者の新規参入に当たっては、労働者の要件の適切な設定、これまで以上に徹底した研修等、安全対策を講ずる必要があると考えますが、齋藤大臣の御見解をお伺いいたします。
 森林は、木材生産としての側面だけではなく、広く国民の利益に資する様々な機能を有しています。質、量共に世界トップレベルの我が国の森林資源を適切に保護、管理し、次世代に引き継いでいく。そして、森林の有する様々な機能を十分に発揮させ、その恩恵を国民、地域に対して示す必要があります。そうでなければ、国民にひとしくお願いをする森林環境税についても、国民の理解を得ることはできません。
 利益ばかりを優先し、林業の知見を有しない事業者や外国資本の参入を招くことになれば、せっかく育ちつつある貴重な森林資源を過剰な伐採により損ねてしまうことにつながります。過剰な伐採により森林資源が枯渇し、林業衰退の道をたどってきた過去の経験を繰り返してはなりません。農林水産大臣の御所見をお伺いをいたします。
 本法案には、仮に所有者が森林管理を委託することに同意しなくても、市町村の勧告や知事の裁定によって所有者から森林を取り上げて勝手に経営管理してもよいとみなす強権的な規定もあります。どうか、現場が望む、国民の利益に資する法律の運用となりますことを心からお願いし、私の質問を終わります。
 御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(齋藤健君) 徳永議員の御質問にお答えいたします。
 まず、木材輸出についてのお尋ねがございました。
 我が国の木材輸出額は、平成二十五年以降、五年連続で増加しています。品目別には、丸太が四割を占めて、輸出先別では、中国、韓国、フィリピン、台湾、米国で九割を占めています。
 農林水産省では、丸太中心の輸出から付加価値の高い製品輸出に転換を進めており、中国、韓国においては日本産木材製品を使用したモデル住宅等を活用した展示、PR、今後有望なベトナム等においてはバイヤーの招聘や商談会の開催などの支援措置を行っております。
 今後とも、輸出関連団体等と連携して、木材製品の輸出促進に積極的に取り組んでまいります。
 森林の資源の管理についてのお尋ねがございました。
 我が国の森林は、戦後、荒廃林地への復旧造林、戦後復興や高度経済成長を支える木材を供給するための拡大造林などの後、数十年の歳月を経て、資源が充実し主伐期を迎えつつあります。
 この豊富な森林資源については、若齢林が非常に少なく資源構成に偏りがあることから、伐期が到来した資源を適時に伐採し、その後、再造林を行うことにより、切って、使って、植えるといった循環利用を進めていく必要があります。
 また、自然的経済的社会的条件によっては長伐期による森林経営が適している場合などもあります。これを一律に排除するのではなく、地域の実情に応じた適切な資源管理を図ることが重要と考えています。
 森林所有者の責務についてのお尋ねがありました。
 本法案におきましては、森林所有者に対して森林の経営管理を行わなければならない責務を課すとともに、森林所有者自ら責務を果たすことができない森林について、市町村が森林所有者に対して経営管理の意向を調査をした上で、経営管理を行うために必要な経営管理権を取得することができることとしております。
 その上で、森林所有者が不明の場合や森林所有者の同意が得られない場合等についても、特例措置により、市町村による所有者の探索、公告、都道府県知事の裁定等を経て、市町村が経営管理権を取得することが可能としております。
 御指摘のような外国人等が所有する森林についても同様に、市町村が当該森林の経営管理権を取得することが可能となっており、こうした制度の適用により、森林所有者が行うべき経営管理を市町村が行うことで責務が果たされるよう対処してまいります。
 新規参入の林業労働者の安全対策についてのお尋ねがございました。大変重要な御指摘だと思います。
 林業は、急傾斜地で重量物である木材を扱うなど危険を伴いますので、労働災害の発生率が全産業の約十四倍と高く、労働安全の確保が極めて重要と考えております。
 このため、農林水産省としては、厚生労働省等との連携により、林業事業体への安全巡回指導やセミナー等の開催、新規就業者を対象とした伐木技術等の研修の強化やチェーンソー防護衣等の導入支援などの取組を行っております。
 さらに、本年二月に策定された第十三次労働災害防止計画において、林業が重点業種に追加をされたことから、厚生労働省や関係団体等と連携して伐木作業における安全対策の充実強化を図ってまいりたいと思います。
 このような対策を講ずることで、新規就業者を含む林業労働者の安全確保を推進してまいります。
 森林の恩恵を次世代に引き継ぐ上での決意についてのお尋ねがございました。
 我が国の森林は、国土の保全、水源の涵養を始めとする国民生活を支える重要な多面的機能を有しており、これらの機能を持続的に発揮させていくことが大切であると考えています。
 私自身、林業の現場視察を通じて、小さな苗木が何十年の歳月を掛けて成長し、しかも長い距離を運んで、加工し、そしてようやく手元にあるんだなということに思いを致しますと、いとおしさを感じるようになりました。
 こうした思いを国民、地域の皆様と共有し、森林の多面的機能に対する国民理解の醸成を図っていく所存であり、森林資源の適切な管理を進めることにより、豊かな森林を次世代に今度は引き継いでまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#33
○副議長(郡司彰君) 川田龍平君。
   〔川田龍平君登壇、拍手〕
#34
○川田龍平君 立憲民主党・民友会の川田龍平です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました森林経営管理法案について質問いたします。
 まず、冒頭お尋ねします。
 この法案について、衆議院で四月十九日に可決された後、本院での審議に入る前である四月二十四日に、農水省は法案説明資料を書き換え、衆議院と参議院で審議する法案の説明資料が変わってしまいました。どういうつもりでしょうか。
 財務省は公文書を改ざん、防衛省は日報を隠蔽、厚労省は働かせ方改革関連法案の裁量労働制に関するデータを捏造したことが発覚し、法案から取り下げました。しかも、厚労省は、昨年も精神保健福祉法改正案の立法事実の説明資料を書き換えていました。
 立法のための重要資料を官僚が操作したり、捏造したりと、これまでの議論の前提であった行政機構と立法府の信頼関係が今根底から崩れていることに国民の不信感は限界に達しています。今回の書換えはそれを更に拡大させてしまいました。農水大臣、これについてどう説明するのでしょうか。
 衆議院での審議の中で、農水省は、経営意欲がありながら、当面は経営規模を維持と考えている経営者について、経営意欲が低く、適切な管理責務が果たせない、だから市町村に管理を委ねる法案が必要なのだと説明しています。本当にそうでしょうか。
 立憲民主党のヒアリングで分かったのは、向こう五年間主伐しないのは、経営意欲がないどころか、むしろもっとずっと先を見据えて、経営を維持していくための決断だということでした。彼らは、木材価格が下がったら生産量を抑えて対応し、切り過ぎは経営危機を招くので、逆に品質を高めることで将来の安定経営を目指しているのです。
 今回、農水省は、恣意的なデータ解釈をしただけでなく、明らかにこうした現場の実態を無視しており、さらに、所有者が行政に管理を移行することを拒否しても、一定の手続を踏めば同意したとみなす制度まで盛り込んでいる。所有者の意思を無視しても伐採を進める条項を盛り込んだのはなぜでしょうか。
 この国にとって森林の価値とは何でしょうか。今回の問題の背景には、農水省が林業経営の実際を理解していないからではないかと考えますが、以上三点、農水大臣、お答えください。
 この法案が、現場の声を反映していないだけでなく、国民の声も聞かずに作成されたことも批判しなければなりません。
 林政審議会で新たな森林管理システムについて議論されたのはたったの一時間半、パブリックコメントすら実施されていません。森林環境税という新たな税の創設に関わる重要な法案にもかかわらず、納税者である国民の理解を得る努力を怠っているのではないでしょうか。
 法律は一度できると社会の仕組みや国民の暮らしが変わってしまいます。今回のように、自分たちに都合の良い解釈や数字を基に密室で勝手に作ってよいものではありません。林家や林業に携わる現場の人々の間には、このような農水省の姿勢に強い不信感を持っている方々が多くいるのは事実です。
 実態を考慮した弾力的な運用をしなければ、むしろ林家の経営意欲をくじく結果になることを懸念しますが、政府は、この法案の運用に当たり、今回の資料書換えの反省を踏まえ、これまで以上に林家や林業に携わる様々な人々の声に丁寧に耳を傾けるべきではないでしょうか。そのためにも、まずは参議院では徹底審議を求めます。以上二点、農水大臣に伺います。
 そもそも、我が国の林業の根本的な問題は、木材貿易の自由化から始まりました。自由化によって二〇〇二年には一八・二%まで下がった木材自給率は、国際的な森林資源や環境保護の動きから丸太輸入の減少、また、戦後植林した国内人工林の半数が加工適齢期を迎え、政府の森林振興策が進み、各業界の粘り強い努力によって少しずつ上昇し、二〇一四年には三一%まで回復しています。
 地域資源を生かした雇用創出という安倍政権が掲げる地方創生も、森林が国土の三分の二を占める我が国で、林業の復活なしには実現できません。
 しかしながら、昨年十二月に政府が出した日欧EPA及びTPP11の試算では、構造用集成材の生産額が最大三百七十一億円、合板は二百十二億円減少と、国内の製材業が大きな打撃を受けるという数字が出ています。
 政府は、国内対策で競争力を上げればいいと言いますが、欧州の高品質な木材製品やアジアの安い木材製品が流れ込んでくることは、国産原木価格の低下を招き、林業を圧迫するのではないでしょうか。セーフガードで防ぐといっても、その基準も曖昧な上、強制力もありませんし、木材の地産地消を進めるための地域材利用振興策はISD条項に引っかかるおそれにもなるのではないでしょうか。
 木材自給率拡大という政府の目標と日本の森林を守る観点から、価格競争にさらされる国内林業をどのように守るつもりでしょうか。TPP担当大臣並びに農水大臣に伺います。
 森林は、二酸化炭素を吸収し、固定し、貯蔵する機能は地球温暖化防止に大きく貢献しているなど、多面的な機能を持っています。そうした森林を次世代に引き継いでいくためにも、経済的な支援だけでなく、森林吸収源対策の推進が必要です。我が国の国土の七割を占める森林を守り育むためには、森林環境税だけでは全く不十分であり、不安定な補正予算で毎回措置するのではなく、本予算できちんと確保する必要があると考えますが、いかがでしょうか。農水大臣に伺います。
 良質の木材需要と価格が落ち込む一方で、安直なバイオマス目的の径の細い材の生産が増えて、原料調達のコストが上がっている実態をどのように解決するつもりか、農水大臣及び経産大臣に見解を伺います。
 木質バイオマスエネルギーで先行するヨーロッパでは、熱利用を促進する政策誘導が行われています。ドイツでは、再生可能エネルギー法が施行されて四年目には熱電併給への誘導を行っています。今後は、熱利用を推進すべく、熱電併給を伴うよう良質な案件に絞って認定を行うよう、バイオマスのFIT制度を見直すべきと考えますが、経産大臣の見解を求めます。
 我が国の伝統的木材建築技術を生かすために、民主党政権では、公共建築物における木材利用の促進に関する法律を作りました。中高層ビルの床材CLT普及や、リフォーム需要の拡大に伴う良質の板材や丸太材の安定供給などが必要であると考えますが、国産材の需要拡大に対し、農水省はどのような取組をしていますか。
 現在一割程度しかない製材工場のJAS認定を増やすために、煩雑な事務手続や認定の維持費用など、原因の分析と解決を直ちにすべきではないでしょうか。以上二点、農水大臣に伺います。
 また、木造の中高層建築を担える設計、建築分野の専門人材の育成に努めるべきではないでしょうか。文科大臣に伺います。
 森林の役割は、伐採し木材にするだけではありません。水を蓄え、洪水を緩和し、水質を浄化し、二酸化炭素を吸収し、土壌の表層を守るなど、長い年月を掛けて国民の暮らしや健康、環境や伝統を守っていく我が国の大切な資産です。
 こうした森林の持つ様々な機能を日本学術会議が数値化したところ、何と、年間七十兆円と試算されているのを御存じでしょうか。その価値を分かっていて、五十年でなく六十年、百年という長期で森林の未来を考えている所有者が現場にはたくさんいます。林業を営む私の大学の先輩は、九十二歳ですが、あと二十年自分の木を育てる前提で森林計画を立てています。林業とは、目先の利益だけでなく、それだけ長期スパンで守り育てていく産業だという事実を私たちはもう一度思い出す必要があるのではないでしょうか。
 私が常に主張する命を守る国へという思想において、命の安全保障は国土の安全保障があってこそです。農水省は、データの操作などに時間を掛けるのではなく、この国の大切な資産を長いスパンで守り育てるという役割を思い出していただきたい。
 そしてまた、森林の大切さを子供たちがしっかりと理解するためにも、義務教育のうちに森に入る機会をつくり、百年掛けて水や空気や土を育てる林業の意義、質の高い日本の木材が持つ多様性などを教えるプログラムを設けるべきだと考えます。これについて、最後、文科大臣に伺って、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(齋藤健君) 川田議員の御質問にお答えいたします。
 法案説明資料の書換えについてのお尋ねがありました。
 今回の森林経営管理法案の説明資料の修正については、資料の基となった調査結果のデータそのものを修正したものではなく、その整理の仕方について正確性を期したものであります。
 したがって、我が国の森林の適切な管理を図るためには、現に経営管理が不十分な森林について経営管理の集積、集約化を図ることが課題であり、その実現のためには、これらの森林を経営規模の拡大を志向する者を中心とした担い手につなぐ必要があるという本法案の必要性や前提が変わるものではありませんが、今後、資料の作成に当たっては、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
 森林所有者の意思にかかわらず権利設定できる仕組みと森林の価値についてのお尋ねがありました。
 我が国の森林は、国土の保全、水源の涵養、温暖化防止、林産物の供給などの多面的機能を有しており、国民生活に大きく貢献しているものと認識しております。また、この森林資源が充実し主伐期を迎えつつあることから、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していく必要があります。
 しかしながら、森林所有者の林業の経営意欲が低下してきている中、所有者不明の森林の増加も相まって、適切な森林整備が進まず、林業の発展のみならず公益的機能の維持にも支障が生ずることが懸念されております。
 このため、本法案においては、適切に経営管理されていない森林で、森林所有者の同意を得ることができないために森林の多面的機能の発揮に支障が生ずると思われるものの適切な経営管理を確保するため、市町村が森林所有者に同意する旨を勧告し、意見書を提出する機会を与えた上で、都道府県知事の裁定を経て、市町村に経営管理権を設定できることといたしているところでございます。
 林業経営に係る実態を踏まえた法案作成についてのお尋ねがございました。
 我が国の森林は、これまでと異なり、資源が充実し主伐期を迎えつつありますが、若齢林が非常に少なく資源構成に偏りがありますので、林業経営に適した森林については、伐期が到来した資源について適時に伐採し、その後、再造林を行い若い木を育てる、切って、使って、植えるといった循環利用を進めていく必要があります。
 本法案は、このような森林資源、林業経営の実態を踏まえたものでありますが、他方で、自然的経済的社会的条件によっては長伐期による森林経営が適している場合などもあり、これを一律に排除するのではなく、地域の実情に応じた森林施業を行うことが重要と考えております。
 国民の理解や現場の声への対応についてのお尋ねがございました。
 本法案の立案過程において、林政審議会には法案の方向性について御説明をし、その趣旨について御理解いただいたと認識しています。
 また、新たな森林管理システムを円滑に運用していくためには、市町村を始め林業の現場に携わる関係者の皆様の御理解が重要であると認識しており、都道府県や市町村、林業関係団体にも本法案の方向性を御説明し、意見交換してきたところです。
 なお、パブリックコメントについては、一般に法案については国会で御審議いただくことから、行政手続法上の対象外であると認識をしております。
 このように、本法案の立案過程で国民の理解を得る努力はしっかり行ってきたと考えていますが、その運用の検討に当たっては、現場の関係者の皆様の御意見を踏まえつつ、しっかり取り組みたいと考えております。
 日欧EPA及びTPP11、国内林業対策についてのお尋ねがございました。
 日欧EPAでは、構造用集成材等の林産物について、即時関税撤廃を回避し、七年の段階的削減を経て八年目に撤廃との交渉結果となったことから、協定発効直後から関税削減の影響が生じることはないと考えております。
 また、TPP11では、林産物について、長期間の関税削減期間の設定やセーフガード措置を獲得したところであり、影響は限定的であります。
 他方、長期的には関税引下げの影響による国産材の価格下落が懸念されることから、国内林業の国際競争力強化を図るため、木材加工施設の生産性向上支援、効率的な林業経営ができる地域への路網整備、高性能林業機械の導入等の集中的な実施、木材製品の国内外での消費拡大対策などの国内対策を講じていくこととしているところでございます。
 なお、我が国の森林・林業施策は、無差別、公正等の原則に基づき実施しており、TPP協定の投資章の義務に違反するものではないため、ISDS条項により外国投資家から提訴されることは想定し難いものであります。
 森林吸収源対策を推進するための予算の確保についてのお尋ねがありました。
 森林環境税(仮称)は、所有者の自発的な施業への支援を基本とする従来の施策のみでは必要な森林整備を進めることが困難な状況となっていることから、森林経営管理法案を踏まえ、市町村が実施する森林の公的な管理を始めとした森林整備等の財源として創設されることとなっています。
 一方、地球温暖化防止に向けて森林吸収源対策を推進するためには、このような取組のみならず、従来施策である国の予算事業により森林整備を進めることが不可欠です。
 このため、農林水産省としては、森林整備を一層進めていけるよう、引き続き、当初予算における額の確保に努めるとともに、補正予算も活用して必要な予算の確保に全力で取り組んでまいります。
 バイオマス利用についてのお尋ねがありました。
 木質バイオマスのエネルギー利用については、本格的な利用期を迎えている国産材の需要拡大や地域の活性化に貢献する一方で、無計画に木質バイオマス発電施設が建設された場合には、燃料となる原木が不足するおそれがあると認識しています。
 このため、農林水産省では、木材を多段階で利用するカスケード利用を基本として、地域における既存の需要先に影響を及ぼさないよう配慮しつつ、未利用間伐材等の利用を推進しています。
 具体的には、固定価格買取り制度に基づく発電事業計画の認定に当たり、燃料材の安定供給体制や既存事業者への影響の確認、川上から川下の関係者が地域の木材の需要と供給に関する情報を共有するための協議会の開催などに取り組んでいるところであります。
 今後とも、これらの取組により、既存の需要先への影響を注視しつつ、未利用間伐材等の木質バイオマスのエネルギー利用の推進に取り組んでまいります。
 国産材の需要拡大と製材工場のJAS認証についてのお尋ねがございました。
 林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していくため、本法案で新たな森林管理システムを創設することにより木材の安定供給体制の構築を図ることから、これと併せて木材の需要拡大を進める必要があると認識しております。
 このため、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など、新たな分野におけるCLTの活用促進も含めた建築物の木造化、内装木質化、木材製品の輸出拡大に向けて、新たな輸出先国の開拓や付加価値の高い製品への転換の推進、木質バイオマスのエネルギー利用などにより、国産材の需要の拡大に取り組んでまいります。
 また、JAS認証は、厳格な検査手続によって品質や性能について一定の市場の評価がいただけるというものであり、その手数料は実費を反映した水準のものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(茂木敏充君) 川田議員から、木材の地産地消を進める地域材利用振興策がISDS条項にかかるのではないかとの御質問がございました。
 ISDSについては、外国からの投資に関して、外国企業を自国企業と差別しない、正当な補償なしに収用しないなど、TPP協定の投資章に規定されている義務に国が違反し、投資家が損害を受けた場合に、損害賠償又は原状回復のみを求める訴えを提起するものであります。
 これらの義務は、TPP協定上、御質問のような、正当な目的のために各国が必要かつ合理的な規制を行うことを妨げるものではございません。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(世耕弘成君) 川田議員にお答えいたします。
 大規模なバイオマス発電やパーム油の輸入についてお尋ねがありました。
 バイオマス発電は、地域に存在する木材等を有効活用し、安定的に発電することが可能で、地域活性化にも資する重要な電源です。
 議員御指摘のとおり、輸入材を用いた大規模なバイオマス発電のFIT認定が増加しています。こうした状況を踏まえて、調達価格等算定委員会における検討の結果、比較的小規模な案件は引き続き調達価格を維持する、一方で、大規模案件やパーム油発電案件は入札制に移行してコストの低減を促す、また、燃料の安定調達を厳格に確認し、パーム油については第三者認証による持続可能性を確認することとしました。
 今後とも、森林資源が木材そのものとして利用されるだけでなく、エネルギーとしても地域内で持続的に活用されるよう、農林水産省とも連携して、バイオマスの利用を推進してまいりたいと考えています。
 FIT制度における熱電併給の取扱いについてお尋ねがありました。
 電気のみならず熱も有効に活用することができる熱電併給を促進していくことは重要です。
 議員御指摘のとおり、ヨーロッパにおいては、熱利用を促進する政策誘導が行われていると承知しています。既にバイオマスの熱利用が進んでいる欧州と比較すると、日本では、熱需要が少なく、地域内の熱供給網が未整備であるといった社会状況の違いがあるため、仮にFIT制度の対象を熱電併給案件に限定した場合、支援対象が極めて限定的となる可能性があります。
 したがって、FIT制度における熱電併給の取扱いについては、こうした観点に留意して、慎重に対応する必要があると考えています。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(林芳正君) 川田議員から二つ御質問がございました。
 最初に、木造の中高層建築を担える設計、建築分野の専門人材の育成についてお尋ねがありました。
 建築の分野において木造設計など木造建築についての知見を有する人材の育成は重要であり、様々な大学において積極的に教育が行われているところでございます。
 例えば、ものづくり大学の木造建築コースにおいては、古くから現代にまで脈々と受け継がれている木造建築の技術を学ぶことができるとともに、木造建築物を建設するだけではなく、伝統的建造物の保存修理等についても学ぶことができます。
 また、東北大学では、宮城県と連携をしまして、新たな構法として期待されるCLT、クロス・ラミネーテッド・ティンバーですが、これを活用した建築技術を持つ人材の育成を行っているところでございます。
 大学等における教育研究は大学等の自主性の下に行われるものでありますが、各大学等が、今後とも、社会の要請を踏まえ、木造建築に関する教育に積極的に取り組んでいくことを期待をしておるところでございます。
 次に、森林の大切さに関する教育のお尋ねでありますが、学校教育においては、従来から、例えば小学校の社会科で森林資源の働きについて学習をしているところであり、平成二十九年に改訂した新学習指導要領においても、小学校の社会科の第五学年で、「森林は、その育成や保護に従事している人々の様々な工夫と努力により国土の保全など重要な役割を果たしていることを理解すること。」を明記するなど、その充実を図ったところでございます。
 また、農林水産省等とも連携をいたしまして、農山漁村等における様々な体験活動等の充実を図ってきたところであり、その中で、林業や森林資源について理解をし、森林に親しむ態度等を育成するため、例えば、小学生が農山村等で二泊三日以上、森林の間伐や枝打ち体験等の林業体験等を行う学校の取組を補助しておるところでございます。
 文科省としては、引き続き、学習指導要領に基づき、学校において森林に関する教育を行うとともに、関係府省と連携し、林業体験等が充実するよう取り組んでまいります。(拍手)
    ────────────
#39
○副議長(郡司彰君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕
#40
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
 会派を代表して、森林経営管理法案について、まず農林水産大臣に質問いたします。
 本法案は、戦後林政を大転換させるものです。それなのに、衆議院は僅か六時間の政府質疑と参考人質疑のみです。参考人からは、作成プロセスが余りにも密室的、森林所有者に対して余りにも強権的で、廃案にするのが望ましいという意見が出されました。しかも、採決後には、法案提出の根拠となる説明資料を書き換えました。戦後以来の林業改革というのに、国民的な議論もなければ国会への丁寧な説明もありません。齋藤大臣、国民置き去りではありませんか。
 本法案の審議の前提となる説明資料の捏造問題についてお聞きします。
 林野庁は、森林所有者から経営管理権を取り上げることを正当化するため、八割の林業者は経営意欲が低いとする資料を用いて説明しました。その基となったのは、林業経営規模の意向についてのアンケートでした。その回答は、現状を維持したい七一・五%、縮小したい七・三%でした。これを合わせて、八割は経営意欲がないと決め付けたのです。経営規模拡大の考えがなければ経営意欲がないとねじ曲げる、これは政府に都合のいい数字をつくり上げるための捏造そのものではありませんか。
 こうした指摘を含め、説明資料の訂正は八か所にも及びました。余りにもずさんで、法案審議をゆがめるものです。国会軽視そのものではありませんか。
 安倍晋三首相は、施政方針演説において、戦後以来の林業改革に挑戦します、意欲と能力のある経営者に森林を集約し、大規模化を進めます、その他の森林も、市町村が管理を行うことで国土を保全し、美しい山々を次世代に引き渡してまいりますと言われましたが、本当にそうなるんでしょうか。
 そもそも、なぜ林業者は経営の展望をなくしたのでしょうか。既に立木の価格は長期にわたって低下の一途をたどっています。それは、いち早く木材の輸入自由化を進め、木材価格が低迷するのを容認してきたからです。歴代の自民党政権の林業政策の下で、林業経営が成り立たない状況に追いやられました。その反省もなく、今、TPP、環太平洋経済連携協定とか日EU・EPA協定など、歯止めなき自由化政策を推進しています。
 戦後以来の林業改革と言うなら、歴代自民党政権の林業政策こそ総括すべきです。木材の自由化が林業家の経営と生活にどういう影響を与えたのか、検証、総括すべきではないでしょうか。
 本法案は、未来投資戦略二〇一七と、規制改革推進会議の林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の推進のための提言を受けて、まともな検討もないまま閣議決定されました。
 本法案の最大の問題は、森林所有者の経営権に介入して、強権的に経営の自由を奪うスキームになっていることです。
 林業家は、木材価格が安く、再造林の費用も賄えないと判断すれば、伐採を行わず、木を育てる経営判断を行います。森林所有者の中には、森林の多面的な機能を保全するために長伐期施業を行っている方もおられます。おおむね百年を掛けて間伐を繰り返すことで、コスト低減を図る効果があると言われます。こうした持続可能な森林経営を行うには、専門的知識と継続的な経営意欲が求められています。必要なのは、短期的な規模拡大意欲ではなく、長期的、継続的な経営計画です。
 それなのに、森林所有者に、適時に伐採、造林及び保育することを義務付けて、若齢段階と言われる五十年生の木の伐採を求めると言います。森林所有者に意欲と能力があるかを判断し、適時に伐採等をしないなら経営も管理もできない者と烙印を押すのは、林業政策に差別と選別を持ち込むものではないでしょうか。
 また、森林所有者が自ら伐採しないなら、市町村への委託を強要し、市町村の経営管理権集積計画に同意しないなら、市町村が勧告し、知事の裁定まで行って森林所有者の経営権も管理権も取り上げるものです。
 なぜ森林所有者が長年掛けて育てた木材を取り上げるのですか。憲法の保障する財産権や経営の自由に介入するものではありませんか、答弁を求めます。
 第二の問題は、森林所有者を林業の担い手から外し、伐採、搬出を行う素材生産者を初めて林業経営の担い手に位置付けたことです。
 林野庁は、意欲と能力のある素材生産者等に施策を集中すると言います。その選定基準は、生産量又は生産性について、五年間で二割以上、三年間で一割以上増加させると言っています。林業経営は、短期的利益追求型ではなく、作業の質を高めるとともに継続性が求められます。伐採してから再造林や保育の補助金が出る間は頑張るが、採算が見込まれないなら撤退する素材生産者が出かねません。それでは木の切り逃げになるのではないんでしょうか。以上、農林水産大臣、お答えください。
 三つ目の問題点は、これまでの森林政策の失敗を棚に上げて、地方公共団体に重い責任を負わせるものになっていることです。
 森林所有者や素材生産者の選別、経営管理権集積計画の作成、もうからない森林の管理など、最も困難な仕事は都道府県や市町村が担うことになります。戦後林政の大転換とは、まさに国の責任放棄ではありませんか。人的、財政的な負担を市町村に押し付けるものではありませんか。総務大臣と農林水産大臣に答弁を求めます。
 林業の成長産業化は誰のための産業政策なのでしょうか。
 林野庁は、この四月、森林・林政改革の推進を公表しました。木材の供給量は、千五百万立方メートルを約二倍の二千八百万立方メートルに引き上げる計画です。これだけの木材が市場に供給されれば、今でも安い木材価格が更に安くなるのは明らかです。環境保全、自国産業を育成する動きが世界的に進み、木材の輸入が困難になりつつあります。大手木材メーカーは安い国産材を求め、大規模なバイオマス発電会社も燃料用の木材を求めています。こうした要望に応えることが本法案の狙いなんじゃありませんか。
 本来、持続的な森林経営によって、災害防止、水源涵養機能、二酸化炭素の吸収による環境保全など、公益的機能を発揮させることが求められているのに、本法案の示す姿は、これに反して、日本の林業を荒廃させ、日本の山でもうける一部の産業のためのものではありませんか。農林水産大臣、お答えください。
 森林政策に必要なことは、森林が持つ公益的機能の発揮、地域の雇用や所得を補償することを通じて林業の再生を図ることです。五十年、百年という長期的な視点が必要です。本法案は、徹底審議の上廃案にするよう求めて、質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(齋藤健君) 紙議員の御質問にお答えいたします。
 国民置き去りではないかとのお尋ねがありました。
 本法案の立案過程において、林政審議会には法案の方向性について御説明をし、その趣旨について御理解いただいたと認識しています。
 また、新たな森林管理システムを円滑に運用していくためには、市町村を始め林業の現場に携わる関係者の皆様の御理解が重要であると認識しており、都道府県や市町村、林業関係団体にも本法案の方向性を御説明し、意見交換してきたところでございます。
 このように、本法案の立案過程で国民の理解を得る努力はしっかり行ってきたと考えております。
 説明資料の訂正についてのお尋ねがございました。
 今回の森林経営管理法案の説明資料の修正につきましては、資料の基となった調査結果のデータそのものを修正したものではなく、整理の仕方について正確性を期したものであります。
 したがって、我が国の森林の適切な管理を図るためには、現に経営管理が不十分な森林について経営管理の集積、集約化を図ることが課題であります。その実現のためには、これらの森林を経営規模の拡大を志向する者を中心とした担い手につなぐ必要があるという本法案の必要性や前提が変わるものではありませんけれども、今後、資料の作成に当たっては、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えています。
 林業政策の検証、総括についてのお尋ねがありました。
 戦後の経済復興に伴い木材需要が急増する中、我が国の森林資源は高度経済成長期においてその多くがいまだ利用期に達していなかったために、昭和三十九年に木材の輸入を完全自由化し、外材により国内の木材需要を満たしてきたところであります。
 その後、山元立木価格の低迷や林業の採算性悪化もあり、戦後造成された人工林がようやく本格的な利用期を迎えていますが、経済ベースで十分に活用できておらず、また、適切な森林管理が行われていないという課題が存在しているわけであります。
 こうした中、昨年、本年に妥結、署名した日EU・EPA交渉、TPP11協定については、林産物に一定の関税撤廃期間等を確保しているほか、生産コストの削減や高付加価値化等の体質強化対策を講ずることとしております。
 今後は、こうした対策と併せて、新たな森林管理システムの導入により経営管理の集積、集約化を促進し、搬出コストや流通コストの削減を通じて国産材の競争力を向上させるとともに、需要の拡大を図り、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の確立を確実に進めてまいる所存であります。
 市町村への経営管理権の設定についてのお尋ねがありました。
 今般の法案におきましては、森林所有者の林業経営の意欲が低下し、林業の発展のみならず、森林の有する多面的機能の発揮に支障が生じる懸念があることを踏まえて、森林所有者に経営管理を行う責務を明確化し、それが果たせない場合には、森林所有者の同意を得た上で市町村に経営管理権を設定することとしたほか、森林所有者が不明等の場合でも、都道府県知事の裁定等の手続を経て市町村に経営管理権を設定することを可能としております。
 このため、議員御指摘のような長期的な経営により経営管理が行われている森林については、市町村は経営管理権を設定するような判断はしないものと考えております。
 また、都道府県知事の裁定により市町村が経営管理権を設定することと憲法が保障する財産権との関係につきましても、森林はその多面的機能の発揮を図ることが重要であること、今般の措置は、森林を森林として維持、利用すべき区域にあるにもかかわらず、それがなされていない森林の多面的機能の発揮を図るためのやむを得ない措置であること、森林が適切に経営管理されることで、森林の機能の回復のみならず、財産的価値も回復、増大し、経営管理を行わない森林所有者にも裨益すること、裁定の手続を経て市町村に権利が設定された場合でも、一定の条件に該当する場合には当該森林の経営管理権が取り消されることなどから、森林所有者の財産権を不当に侵害するものではないと考えています。
 林業経営についてのお尋ねがありました。
 本法案におきましては、現に経営管理が不十分な状態になっている森林について経営管理の集積、集約化を図ることとしていることから、集積、集約化の担い手となる意欲と能力のある林業経営者については、森林所有者及び林業従事者の所得向上につながる高い生産性や収益性を有するなど、効率的かつ安定的な林業経営を行うことができることに加え、主伐後の再造林を実施するなど、林業生産活動を継続して行うことができる者を想定をいたしております。
 さらに、本法案においては、林業経営者は市町村を介して経営管理実施権の設定を受ける仕組みとするとともに、市町村は林業経営者から経営管理の実施状況等の報告を求めることができることとしていることから、切り逃げ等の実態には至らないと考えております。
 市町村などの役割についてのお尋ねがありました。
 市町村は、既に森林法上の役割として、市町村森林整備計画の策定や森林所有者等に対する指導監督のほか、林地台帳の整備等により森林や森林所有者に関する詳細な情報を把握していることなどから、本法案による新たな森林管理システムについても市町村が主体となる仕組みとするのが適当と考えています。
 人的支援については、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進するとともに、近隣市町村と連携して共同で事業を行うことが可能であるほか、本法案においては、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度を導入しており、必要な体制整備に向けた取組を進めることとしております。
 また、財政面では、農林水産省として、市町村が実施する森林情報の整備や路網整備等について支援するほか、市町村が行う公的な管理を始めとする森林整備等の財源として、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されることとなっています。
 このように、本法案で創設する新たな森林管理システムは、市町村に主体的に担っていただく仕組みではありますが、市町村への各種支援も行っており、負担を市町村のみに押し付けるというものではございません。
 本法案の狙いについてのお尋ねがありました。
 我が国の森林は、資源が充実し主伐期を迎えつつあることから、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していく必要があります。
 このため、本法案においては、森林所有者自ら経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林については、その経営管理権限を市町村を介して意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林については、市町村が公的に管理するという仕組みを創設することとしております。
 これにより、木材の供給量の増大が図られることから、並行して木材需要の拡大を図ることが重要となっております。
 このため、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など、新たな分野におけるCLTの活用促進も含めた建築物の木造化、内装木質化、木質バイオマスエネルギー利用、付加価値の高い木材製品の輸出拡大などに取り組んでまいります。
 農林水産省としては、本法案における新たな森林管理システムの創設と木材需要の拡大に取り組み、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ってまいりたいと考えています。
 法案の意義についてお尋ねがありました。
 我が国の森林は、資源が充実し主伐期を迎えつつありますが、若齢林が非常に少なく資源構成に偏りがあることから、伐期が到来した資源については適時に伐採し、その後、再造林を行い、切って、使って、植えるといった循環利用を進めていく必要があります。
 他方で、自然的経済的社会的条件によっては、長伐期による森林経営が適している場合等もあり、これを一律に排除するのではなく、地域の実情に応じた資源管理を行うことが可能と考えています。
 このような取組を通じて、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立させ、次世代に豊かな森林を引き継いでまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(野田聖子君) 紙議員にお答えいたします。
 本法案における市町村の事務の負担についてお尋ねがありました。
 本法案においては、森林として利用することが相当でないと認められる民有林を除き、森林の経営管理を行うべき責務をまず森林所有者に課した上で、森林の経営管理の状況や地域の実情等を勘案し、市町村が必要かつ適当であると認める場合に限って経営管理権集積計画を定めること等としています。
 一方、各市町村の体制の現状などに鑑み、都道府県による森林経営管理事務の代替執行の仕組みや市町村に対する国及び都道府県の援助なども盛り込まれており、農林水産省において適切な助言等がなされるものと承知しています。
 なお、本法案を踏まえ、平成三十一年度税制改正で森林環境税及び森林環境譲与税を創設することとしており、市町村分の森林環境譲与税の使途については、平成三十年度の税制改正の大綱において、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用とされています。
 各市町村においては、こうした使途の範囲内で森林環境譲与税を充当して事業を幅広く実施することが可能であり、本法案に基づいて市町村が行う森林の公的管理に要する費用にも充当していただけるものと考えています。(拍手)
    ─────────────
#43
○副議長(郡司彰君) 儀間光男君。
   〔儀間光男君登壇、拍手〕
#44
○儀間光男君 日本維新の会の儀間光男です。
 ただいま議案となりました森林経営管理法案について、党を代表して質問をいたします。
 国土の三分の二を森林が占める我が国において、森林は、水源涵養機能、山地災害防止機能や土壌保全機能、木材等の林産物生産機能のほか、地球温暖化の抑制等、多岐にわたっており、重要な役割を果たしております。
 我が国では、戦中戦後に起こった過度な森林伐採への対策として、拡大造林が公共事業として展開されました。しかし、戦後の復興と高度経済成長によって拡大する木材需要に国内生産だけでは対応することができず、昭和三十九年に木材輸入が自由化されました。
 低価格の輸入木材に対して国内の林業は停滞し、間伐や枝打ち等の手入れや本伐、再造林などの適切な管理が行われなかったため、森林の多面的機能が損なわれ、荒廃が危惧される森林が増えているのが現況でございます。
 その一方で、緑の雇用制度の導入によって若い世代の林業従事者は確実に増えています。産業として発展する余地があるだけでなく、環境保護にも寄与するなど、国家にとって林業は非常に重要な分野であると考えております。
 本法案では、森林の管理経営の集積、集約化を進めるものですが、豊富な森林資源の循環利用サイクルを確立し、森林の公益的機能の維持や増進を図るとともに、林業振興につながる取組として一定の評価をいたしております。
 しかしながら、人工林の半数が十一齢級以上となる主伐期を迎えているのは分かりますが、主伐期イコール切るという考えだけでよいのでしょうか。
 十一齢級というと、樹齢が五十年から五十五年までの木材となります。しかし、建材として価値が高いのは樹齢が長いものであり、樹齢百年、二百年、三百年といった木材は高額で取引されております。十一齢級の木を主伐する方向に限定するのではなく、更に長きにわたって手入れをし、木材として価値を高める工夫、価値の高い木材を産出する森林管理の考え方を展開することが林業を発展させるために必要だと考えます。
 木材市場において価値の高いA材、超A材も長期的な視点に立って育てることができるように資源管理をし、若い樹齢の木材出荷とのベストミックスで森林経営戦略を立てる、これこそが日本の持つ貴重な森林資源を有効に活用するために必要な視点ではないでしょうか。農林水産大臣の所見を伺います。
 また、森林の適切な管理が広がることによって人工林から良質な木材の産出が期待されますが、いわゆる出口戦略として、国産材の利用促進についてどのようにお考えか、併せてお尋ねいたします。
 国産材は、韓国ではヒノキ、中国では杉の需要が拡大していますが、戦後に植林した森林資源が切りどきを迎える中、海外市場も見据えた更なる展開が必要だと考えますが、マーケティング戦略について、齋藤農林大臣、お答えください。
 間伐などの手入れが行われない森林では、樹木の成長が阻害されるだけでなく、下草が生えず、雨水が表土を流すことから、土壌を浸食し、土砂災害などを引き起こす危険性が高まります。近年、局地的な集中豪雨が頻発する傾向にあることと、防災機能が低下した森林の増加と相まり、洪水や土砂災害が発生する潜在的リスクが拡大をしております。本来であれば、森林の荒廃による災害リスク等が具体的な被害などをもたらす前に取り組むべき課題であったのにようやく政府が着手するというのが正直な感想でございます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 適切な管理が行われてこなかった森林は、林道や路網が未整備であることが多く、伐採、搬出コストが余計にかさみ、採算が取れないことから、林業経営が成り立たないという悪循環になっています。
 本法案では、森林所有者自らが適切な経営管理ができない場合、委託を受けた市町村が林業事業者に再委託する仕組みが提案されています。しかしながら、条件不利地の森林を管理できる委託業者が確保できるか甚だ疑問です。なぜなら、この仕組みだけが直接的に採算を改善させるわけではないからです。
 森林事業者に保育、伐採を委託すること、経営管理権及び経営管理実施権を設定という新たな仕組みを設定する理由、及びそれによって経営的に成り立つと考える、効果があると考える理由について、農林水産大臣、お答えください。
 木材価格は、言うまでもなく市場に左右されます。供給が増え過ぎると当然価格が下がり、採算が取れなくなります。出荷量を調整して値崩れを抑えるような経営的手法や経験等に基づいたノウハウが必要であります。
 本法案で創設される新たな森林管理システムでは、市町村が中心的役割をなすことになっていますが、価格が変動し、利幅が薄い木材生産を、経営感覚やノウハウが十分でない市町村が対応できるとお考えでしょうか。また、政府として、地域主導で林業を発展させるためにどのような戦略が必要とお考えでしょうか。農林水産大臣、お答え願います。
 近年、外国資本による森林、水源地の買収への対策が全国的な課題となっています。地域において水資源の確保に対する不安が高まるだけでなく、管理の行き届かない森林が増加することは、森林の公益的機能の低下を招くことも危惧されております。
 住所地が海外にある外国法人又は外国人による買収された森林が放置されている場合、市町村が所有者に対し連絡を取ることすら難しいのではないでしょうか。このような場合、本法案はどのように適用されるのでしょうか。また、別の法律が必要になるのでしょうか。農林水産大臣、お伺いをいたします。
 最後に、市町村森林管理費の財源確保のため、政府は森林環境税を導入することを表明しております。何でも増税、国民に負担を求めるのはいかがかと思いますが、税金を市町村に配分するという口実で、管理困難な森林が市町村に押し付けられることが懸念されております。森林管理に必要な職員をどう確保し、どう育成していくのか。政府として、市町村に対してどのような支援が必要とお考えでしょうか。齋藤農林水産大臣、お答えください。
 私たち日本維新の会は、林業で地方を支え、活性化させる産業の一つとして育て上げるべきであると考えております。望ましい林業の姿を実現するために日々努力をしていくことをお約束をして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(齋藤健君) 儀間議員の御質問にお答えいたします。
 森林の経営戦略についてのお尋ねがありました。
 我が国の森林は、資源が充実し主伐期を迎えつつありますが、若齢林が非常に少なく資源構成に偏りがありますことから、伐期が到来した資源については適時に伐採し、その後、再造林を行い、切って、使って、植えるといった循環利用を進めていく必要があります。
 他方で、自然的経済的社会的条件によっては長伐期による森林経営が適している場合等もあり、これを一律に排除するのではなく、地域の実情に応じた経営戦略を立てることが重要と考えています。
 出口戦略としての国産材の利用促進や、海外市場も見据えた展開についてのお尋ねがありました。
 林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していくため、本法案で新たな森林管理システムを創設することにより木材の供給体制が整備されることから、これと併せて木材の需要拡大を進める必要があります。
 このため、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など新たな分野におけるCLTの活用促進も含めた建築物の木造化、内装木質化、あるいは木材製品の輸出拡大に向けて新たな輸出国先の開拓や付加価値の高い製品への転換の推進、木質バイオマスのエネルギー利用等により国産材の需要の拡大に取り組んでまいります。
 森林経営管理の仕組み、効果についてのお尋ねがありました。
 我が国の森林において、適切な森林整備が進まず、林業の発展のみならず、公益的機能の維持にも支障が生ずることが懸念されているところであります。
 このため、本法案におきましては、森林所有者自ら経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林については、林業経営者に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林については、市町村が公的に管理する、そういう仕組みを創設することとしております。
 さらに、経済ベースに乗る森林での林業経営が進むように、林業経営者に対しては、本法案による金融支援措置のほか、新たな森林管理システムが展開される地域への路網整備や高性能林業機械の導入の重点化などの取組を支援することとしております。
 このような仕組みなどによりまして、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図り、次世代に豊かな森林を引き継いでまいります。
 市町村の役割と地域主導の林業の発展についてのお尋ねがありました。
 本法案においては、森林所有者自ら経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林については、市町村が自ら経営管理を行うわけではなく、経営感覚やノウハウに優れた林業経営者に権利を設定して集積、集約化することとしており、市町村において十分対応できる仕組みとしています。
 その際、森林・林業に精通した職員が不足している市町村におきまして、業務を円滑に進められるよう、林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進することとしています。
 さらに、地域主導で林業を発展させるため、本法案では、市町村のみならず、国、都道府県、森林組合その他の関係者が林業経営の効率化等に向けて相互に連携を図りながら協力するよう努める旨を規定をいたしております。
 外国法人等が取得した森林への法案の適用についてお尋ねがありました。
 本法案では、森林所有者を確知できない森林についても、特例措置によりまして市町村に経営管理権を設定することを可能としているところであります。
 具体的には、市町村が経営管理権を設定しようとする森林が、森林法に規定する所有者となった旨の届出がなされなかったなどの理由により所有者が明らかでないものや、所有者は明らかではあるものの届出書の住所では所在が確認できないものであるときは、市町村による所有者の探索、公告、都道府県知事の裁定等を経て、当該森林の経営管理権を取得することが可能となっているところであります。
 このような制度を活用することにより、外国法人等が取得した森林が放置されている場合でも、適切に対処してまいります。
 市町村の職員の確保、育成に向けた支援についてのお尋ねがありました。
 林業の成長産業化や森林の多面的機能の維持向上を図っていく上で、地域の森林の経営管理に取り組む市町村の職員の育成、確保は重要と認識しております。
 農林水産省としては、市町村における業務が円滑に進められるよう、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用するなどの取組の推進に加え、国の研修所において、市町村職員を対象とした森林・林業の実務に関する研修の実施、森づくりの知識を有する森林総合監理士の育成を通じた市町村への技術的支援や指導助言などを行っているところであります。
 これらの取組を通じて、市町村の職員の育成、確保を図り、森林・林業行政の円滑な執行を支援してまいります。(拍手)
#46
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#47
○議長(伊達忠一君) 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上四件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長三宅伸吾君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔三宅伸吾君登壇、拍手〕
#48
○三宅伸吾君 ただいま議題となりました条約四件について、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、租税条約三件のうち、リトアニア及びエストニアとの租税条約は、いずれも、二重課税の除去を目的とした課税権の調整を行うほか、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものです。
 次に、ロシアとの租税条約は、現行の日ソ租税条約をロシアとの間で全面的に改正し、投資所得に対する源泉地国課税の更なる減免、税務当局間の徴収共助の手続の整備等を定めるものです。
 最後に、アルメニアとの投資協定は、投資の許可段階及び許可後の内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与並びに、輸出要求を始めとする特定措置の履行要求の原則禁止を規定するほか、公正衡平待遇義務、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等を定めるものです。
 委員会においては、四件を一括して議題とし、租税三条約の締結の背景、リトアニア及びエストニアとの租税条約がこれまで締結されなかった理由、ロシアにおけるビジネス環境改善の必要性、投資協定の締結に伴う日・アルメニア関係の展望、今後の投資協定の締結の方針等について質疑を行いました。その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員が四件に反対する旨の意見を述べられました。
 次いで、順次採決の結果、四件はいずれも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#49
○議長(伊達忠一君) これより四件を一括して採決いたします。
 四件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#50
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#51
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成            二百二十  
  反対              十四  
 よって、四件は承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#52
○議長(伊達忠一君) 日程第五 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第六 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案(衆議院提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長柘植芳文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔柘植芳文君登壇、拍手〕
#53
○柘植芳文君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案は、最近の地域経済をめぐる状況に鑑み、地域における総合的な経済力の向上を通じた地域経済の活性化を引き続き図るため、株式会社地域経済活性化支援機構の業務の一部の期限を延長しようとするものであります。
 委員会におきましては、機構の業務の期限延長を三年間とする理由、これまでの機構の業務実績に対する評価及び課題並びに今後の業務の方向性、地域金融機関等への事業性評価等に関するノウハウ移転の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より反対、希望の会(自由・社民)の山本委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 次に、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案は、政治分野における男女共同参画が、国又は地方公共団体における政策の立案及び決定において多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要となることに鑑み、政治分野における男女共同参画を効果的かつ積極的に推進するため、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進について、その基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、政治分野における男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院内閣委員長山際大志郎君より趣旨説明を聴取した後、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より賛成の旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#54
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 まず、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#55
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#56
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成            二百十二  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#57
○議長(伊達忠一君) 次に、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#58
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#59
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成           二百三十四  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#60
○議長(伊達忠一君) 日程第七 電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長竹谷とし子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔竹谷とし子君登壇、拍手〕
#61
○竹谷とし子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、情報通信技術の進展に対応し、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護するため、送信型対電気通信設備サイバー攻撃又はそのおそれへの対処に係る制度、電気通信番号計画及び電気通信番号使用計画に係る制度並びに電気通信業務の休止及び廃止の際の利用者保護に係る制度の整備等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、NTT霞ケ関ビルに現地視察を行うとともに、サイバーセキュリティー対策強化のための人材確保等の必要性、第三者機関による情報共有の意義と実効性、固定電話網のIP網への移行に当たっての課題と対応等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下芳生委員より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#62
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#63
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#64
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成            二百二十  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#65
○議長(伊達忠一君) 日程第八 生産性向上特別措置法案
 日程第九 産業競争力強化法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長浜野喜史君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔浜野喜史君登壇、拍手〕
#66
○浜野喜史君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、生産性向上特別措置法案は、近年の情報技術分野における急速な技術革新の進展による産業構造及び国際的な競争条件の変化等に対応し、我が国産業の生産性の向上を短期間に実現するため、新技術等の実証の促進等の革新的事業活動による生産性の向上に関する施策を集中的かつ一体的に行う等の措置を講じようとするものであります。
 次に、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案は、我が国産業の持続的な発展を図るため、事業再編及び外部経営資源の活用の支援、情報技術の発達に対応した経営手法の導入支援、円滑な事業承継及び企業再生に係る支援等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取するとともに、規制のサンドボックス制度に期待される効果と安全性の確保等に対する考え方、データの共有、連携事業を促進する必要性とサイバーセキュリティー、個人情報保護の在り方、中小企業の生産性向上、事業承継支援の重要性、産業革新投資機構におけるガバナンスの在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩渕委員より両法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対してそれぞれ附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#67
○議長(伊達忠一君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#68
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#69
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十三  
  賛成            二百十四  
  反対              十九  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#70
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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