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2018/06/01 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第24号
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2018/06/01 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第24号

#1
第196回国会 本会議 第24号
平成三十年六月一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十四号
  平成三十年六月一日
   午前十時開議
 第一 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管
  理機構法の一部を改正する法律案(衆議院提
  出)
 第二 生活困窮者等の自立を促進するための生
  活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 地域の自主性及び自立性を高めるための
  改革の推進を図るための関係法律の整備に関
  する法律案(内閣提出)
 第四 文化財保護法及び地方教育行政の組織及
  び運営に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第五 土地改良法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴
  う関係法律の整備に関する法律の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
 一、環太平洋パートナーシップに関する包括的
  及び先進的な協定の締結について承認を求め
  るの件(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。国務大臣茂木敏充君。
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定を締結し、これを実施するため、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律について、一部の修正を行うものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、法律の題名を、環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律に改めることとしております。
 第二に、施行期日を、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定が日本国について効力を生ずる日に改めることとしております。
 このほか、環太平洋パートナーシップ協定を引用している箇所については、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効にも対応できるよう等改めることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨です。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。井原巧君。
   〔井原巧君登壇、拍手〕
#7
○井原巧君 自由民主党の井原巧です。
 私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 少子高齢化が進み、人口減少社会に直面する我が国において、アジアや太平洋の周りの成長著しい国との経済的なつながりを深めていくことは、経済政策として欠くことのできない視点であります。また、自由や民主主義よりも国家の安定を優先し、統制を強める勢力が強まっていく中で、我が国が、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と共に貿易、投資の新たな基軸を打ち立てることにより、今後の世界の貿易・投資ルールの新たなスタンダードを通じて経済的な相互依存関係を深めていくことは、地域の成長、繁栄、安定にも大きく貢献するものであります。
 私は、このような視点を持って、米国がTPP離脱表明後も、自由貿易を進める旗手として、米国以外の国との間で同協定の内容を実現すべく努力した政府の行動は高く評価できるものと考えております。
 そこで、まず安倍総理に、TPP11が我が国の経済とアジア太平洋地域の安定と繁栄にどのように貢献するのかという点について、具体的な例を交えてお示しをください。
 次に、本年三月、米国は突然、安全保障上の脅威を理由に、中国等からの鉄鋼、アルミニウムの輸入制限等を打ち出しました。四月に入ると、今度は、突然、トランプ大統領は通商代表部にTPPについて再考するよう指示しました。同大統領は基本的に二国間ディールを好むと言われていたことからすれば、驚きの発言ではありました。
 このようにTPPに対する米国の思惑と今後の行く末が見えにくい中、総理は四月、訪米し、日米首脳会談を開催いたしました。TPPへの復帰を含め米国のスタンスを占う意味で、世界中から注目を集める極めて重要かつベストなタイミングでの首脳間の会談でありました。トランプ大統領が、二国間ディールの方がよいと述べつつも、TPPを担当する茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表による協議を始めると合意したことは、TPPへの復帰に向けた大きな足掛かりと考えます。
 今月八日、九日には、カナダにてG7が開催されます。米朝首脳会談の行方は分かりませんが、開催されるとなれば、その前後にもトランプ大統領との北朝鮮情勢をめぐる綿密なすり合わせが必要であります。五月末にトランプ大統領が自動車への関税の検討を打ち出した中であるからこそ、是非、総理には、このような機会も含め、しっかりとTPPをベースとした日米の経済関係の在り方についても、トランプ大統領と率直な意見交換に力を入れてほしいと思います。
 そこで、米国のTPPへの復帰を見据えて、政府は、G7首脳会談などの機会を活用した日米首脳会談、茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表による協議など、あらゆる機会に、どのような方針でTPPへの理解を得ていくつもりなのかという点について、安倍総理に伺いたいと思います。
 次に、先月一日、茂木経済再生担当大臣が、バンコクにおいてタイのソムキット副首相と会談した際、タイ側からTPPに参加したいとの意思を明確に示されました。タイには日本の自動車メーカーの生産拠点が数多くあることから、TPP加盟国間での部品調達では関税コストが減るなどの利点があります。また、タイが参加すれば、東南アジア諸国連合の他の国も参加を望む可能性があり、米国の復帰を促すことにつながるものと期待できます。
 それにも増して、タイが今回、我が国を橋渡し役としてTPPへの参加希望を伝えてきたことは、我が国がこれまでTPPをまとめるために汗をかいてきたことが評価されたものであると考えます。
 今後も、TPPがこれからの経済連携協定の基準となり得ることを評価したTPP非加盟国からも参加要望が寄せられることが予想されます。
 そこで、今回のタイなどからのTPP参加希望について、我が国としてはどのように評価し、また対応していくのかという点について、茂木大臣にお伺いいたします。
 次に、TPP11が発効されれば、これを契機として貿易や投資が拡大することはもちろんですが、企業と企業の取引が活発になることで技術等の相互移転も活発となります。それが、更に新しい革新的な技術の創造につながることとなります。我が国の生産性は向上し、賃金は上昇し、働くインセンティブも高まります。所得の増加から消費の増加、投資の増加から所得の増加と、経済の好循環が生み出されることと期待をいたしております。
 また、TPP11に参加している国は、著しい経済成長を背景に、鉄道や港湾、空港、電気通信などのインフラ需要が旺盛な国であります。TPPにより政府投資に関する自由度が高まれば、我が国のインフラ輸出に大きなチャンスになると考えます。
 以前、私は、ODA調査団の一員としてベトナムを訪問し、我が国の企業が建設した高速道路を視察した際、わざわざ、他の国が建設した、大きく道がうねり、ゆがみの出ている高速道路と、我が国の全くゆがみの出ていない高速道路との比較の写真を提示していただきながら説明を受けました。改めて、我が国のインフラの品質に対する高い評価と信頼を得ていることを強く実感した次第であります。
 このように、優れた性能を持ち、安全性も高く、環境にも優しい我が国の質の高いインフラが、TPPにより、透明で公正な調達によって整備される可能性も高まります。
 さらに、著しい経済成長を背景に、アジア太平洋諸国では消費需要が高まっています。
 これも実体験でありますが、一昨年、経産政務官としてペルーでのAPECに出席した際、現地に進出している日本企業の雑貨店に伺いましたが、多くのお客様が商品の裏を見てメード・イン・ジャパンと確認して購入するとのことでありました。つまり、メード・イン・ジャパンそのものが品質の安全、安心のブランド力を持っていると感じた次第であります。
 このように、我が国の製品や農産物や食品などは、高い品質や安全性が評価され、人気を集めているわけです。身近な食品や製品を通じて、我が国に対するイメージが更に向上することも期待できます。
 そこで、TPP11により我が国のインフラ輸出や農産品、農産加工品などがどの程度伸びていく可能性があるのか、さらに、このチャンスを物にするために政府としてどのような点に力を入れて進めていくつもりなのか、安倍総理にお伺いいたします。
 最後に、TPP11や日EU・EPAなどに対する国民の皆様の不安や懸念に関する質問をいたします。
 TPP11の発効に向けて、農家からは、関税や調整金等の見直しによる影響が読み切れないなどの切実な不安、懸念が寄せられています。私の地元愛媛県では、かんきつ類や豚肉、合板や集成材などの農林水産業で最大十七億円の影響を受けるという試算があります。
 我が国の食や暮らしを支えるという気概を持って日々汗をかいておられる農林水産業に携わる皆様の努力が報われないことがあってはなりません。幾らアジア太平洋地域の経済発展を我が国に取り込むといっても、国内の農林水産業が弱まるようなことがあってはならないのであります。
 生産者の経営の実情にしっかり耳を傾けながら、農林水産業に携わる皆様の生産性と所得の向上につながるよう、きめ細やかにTPP11の関連施策を展開していくという決意を最後に安倍総理にお伺いして、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井原巧議員にお答えをいたします。
 TPP11の我が国経済とアジア太平洋地域の安定と繁栄への貢献についてお尋ねがありました。
 TPPは、単に関税を下げるだけでなく、知的財産保護、環境・労働規制、国有企業の競争条件の規律など、幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものです。
 そのことによって、消費者の皆さんが域内の様々な良い商品をより安く安心して手に入れることができるようになるとともに、良いものが良いと評価される広大なマーケットが生まれることで、品質の高いものをこしらえてきた我が国の農業者や中小企業にとって大きなチャンスが生まれます。
 同時に、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々が、力を合わせてこのアジア太平洋地域における新たな経済秩序をつくり上げることは、将来にわたってこの地域に安定と繁栄をもたらす共通の基盤になると考えます。
 米国のTPP復帰を見据え、米国の理解を得るための方策についてお尋ねがありました。
 本年一月、TPP11の交渉が大詰めを迎え、現実味を帯びる中、ダボス会議において、初めてトランプ大統領から米国がTPPに参加する可能性について言及があったところです。そうした意味で、TPP11の早期発効を目指すことが、TPPのメリットを具体的に示し、TPPが米国の経済や雇用にとってもプラスになるとの理解を深める大きな力となるものと考えます。
 米国のTPP十一か国への輸出額は日本への輸出額の十倍であり、米国がTPPに入れば米国のマーケットは飛躍的に拡大するなど、我が国としては、TPPが日本だけでなく米国にとっても最善であると考えています。
 こうした点について、首脳会議や閣僚間の会議などあらゆる機会を捉えて、引き続き米国に説明し、理解を得る考えであります。
 TPP11による輸出拡大についてお尋ねがありました。
 TPP11では、政府調達市場の開放など、インフラ輸出へのアクセスが改善されるとともに、農産品、農産加工品についても、関税の撤廃、削減に加えて、通関手続の迅速化等の輸出促進につながる規定が盛り込まれています。こうした規定により、先般行ったTPP11の経済効果分析を踏まえると、現在のGDP換算で二兆円程度の輸出拡大効果が見込まれます。
 このチャンスを生かすため、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、優れた技術力等を有する我が国の中堅・中小企業と海外の企業とのマッチング支援や、農林水産品の産地の国際競争力強化、畜産、酪農の収益力強化など、きめ細やかな施策を実施することでしっかりと輸出促進につなげてまいります。
 TPP11の関連施策と農林水産業の生産性と所得の向上についてお尋ねがありました。
 農林水産業は国の基であります。その信念の下に、これまで強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するため、安倍内閣は農林水産行政全般にわたって改革を進めてまいりました。
 この結果、生産農業所得は直近で三兆八千億円と過去十八年間で最も高い水準まで伸び、四十代以下の若手新規就農者は、統計開始以来、初めて三年連続で二万人を超えています。農林水産物、食品の輸出も五年連続で過去最高を更新し、一兆円目標の実現も視野に入ってまいりました。
 TPP11を契機に、この流れに更なる弾みを付けるとともに、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、意欲ある農林漁業者の皆さんが安心して再生産できる環境を確保し、更なる生産性や所得の向上を図ってまいります。
 我が国の美しい田園風景やそして食を支えているのは、農林水産業に従事する皆さんであります。今後とも、農林漁業者の皆さんの声に耳を傾けながら、将来にしっかりと夢や希望を持てる農林水産業の構築に全力で取り組んでいく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(茂木敏充君) 井原議員から、TPPの新規加盟についての御質問がありました。
 タイについては、井原議員御指摘のとおり、日本企業のサプライチェーンからも重要な拠点でありまして、自分も、先月バンコクに出張し、ソムキット副首相と直接意見交換を行いました。その際、ソムキット副首相からは、TPP11に是非参加したいとのタイの強い意向が示されました。
 新たな国・地域の加盟を通じて、TPPのハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくことがTPP参加国の共通の思いであります。
 その意味で、タイ、コロンビア、英国、台湾など様々な国・地域がTPPへの参加に関心を示していることを歓迎したいと思います。我が国としては、そういった関心国・地域に対して必要な情報提供を行う所存であります。
 タイも含め、新たな国・地域の加盟については、発効後に正式協議が開始されることになりますが、そのための対応方針について、十一か国の間で共通認識を確立しておく必要があります。このための作業についても、我が国が主導して必要な調整を行ってまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(伊達忠一君) 田名部匡代君。
   〔田名部匡代君登壇、拍手〕
#11
○田名部匡代君 国民民主党・新緑風会の田名部匡代です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。
 まずは、森友、加計問題について伺います。
 総理はうみを出し切るとおっしゃいました。この間、総理はその努力をされてこられたでしょうか。さらに、総理は丁寧に真摯に説明するとおっしゃいました。しかし、答弁席からやじを飛ばしたり、時間稼ぎのはぐらかし答弁を繰り返されるなど、どこが丁寧で真摯なのでしょうか。
 真実は一つであります。でも、誰かがうそをつき、うそが重ねられています。なぜうそをつかなければならないのか、誰を守ろうとしているのか、なぜ野党が要求する参考人招致や証人喚問が与党によって拒否され続けているのか、なぜ文書が改ざんされたのか、なぜこの期に及んで全ての文書が出てこないのか、そして、なぜ、記録を残した人ではなく、記憶のない人を信じるのか、全く理解できません。
 総理、総理のおっしゃるうみとは何でしょうか。そのうみを出し切るために総理として具体的に何をするおつもりでしょうか。この点について総理に御答弁いただき、この前代未聞の異常な状況を長引かせている安倍内閣そして与党に対し、問題の全容解明のために誠実に御協力いただくことを強く求め、質問に入ります。
 初めに、関連整備法の一部改正案の前提となる重要な点について、何点か質問させていただきます。
 総理は、二〇一六年十一月、ブエノスアイレスへ行ったとき、記者会見にて、TPPについて、米国抜きでは意味がない、根本的な利益のバランスが崩れてしまうと述べられました。一方、米国のトランプ大統領は、四月十八日の日米首脳会談後の共同会見で、断れないほどの良い取引を持ちかけられれば復帰はあり得るかもしれないと述べましたが、そのことはつまり、米国は現状の内容を全く評価しておらず、米国が復帰する可能性は限りなくゼロに近いということではないでしょうか。
 米国抜きでは意味がないと言っておきながら米国抜きのTPP11の発効を急ぐ矛盾に対し、総理から納得のいく説明は全くありません。この矛盾について総理から答弁を求めます。
 また、TPP11協定の交渉では、秘密保持契約を締結していないにもかかわらず、その過程が国民に情報開示されていません。政府は、外交交渉の慣行を盾に、一定期間情報を明らかにしないとの方針を示しています。国会や国民に全く判断材料が与えられない状況で関連法を審議しろと言われても、非常にそれは乱暴ではないでしょうか。まずは国会と国民に対し可能な限り情報公開することが先決だと思いますが、経済再生担当大臣に御見解を伺います。
 今回の新たな協定は、二十二項目の凍結項目が設けられたものの、その他の大部分については、一昨年の国会において、安倍内閣により強引に承認させられたTPP協定の内容がほとんどそのまま引き継がれております。特に、市場アクセス、関税に係る部分については全く変更がなされておりません。
 以前も指摘されていましたが、これは国会決議の趣旨に反していると言わざるを得ません。平成二十五年四月に、衆参農林水産委員会で、農林水産物の重要品目については、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること等が決議されました。政府は、重要五品目を中心に多くのタリフラインで関税撤廃の例外を勝ち取ったとしていますが、重要五品目でも無傷のものはありません。改めて、この点について総理の御見解をお聞かせください。
 今回のTPP11協定は、特に我が国の国内農業に対し、従来の協定以上に深刻な打撃が避けられない内容となっています。
 なぜなら、米国参加を前提に設定されたセーフガードの発動水準や関税割当ての枠数量が変更されていないためです。これでは、例えば米国以外から農林水産物の輸入が急増した場合であっても、米国の参加を念頭に設定された輸入枠の範囲内であればその輸入が可能になり、また、セーフガード基準も発動されにくいことになります。このことは、カナダやニュージーランドなど農産物の輸出国にとっては有利でありますが、我が国のような農産物の輸入国にとっては著しく不利であり、国益を損なうことになるのではないでしょうか。総理の御認識を伺います。
 また、今後、米国が貿易交渉において農林水産物のセーフガード発動水準の緩和や関税割当ての拡大等を求めてくることも考えられます。そうなれば、TPP11協定と併せて、我が国の農林水産業にとっては更に大きな打撃となるおそれがあります。このようなことが想定できるにもかかわらず、不都合な面を放置したまま関連法の審議やTPP11協定の承認を求める政府・与党の姿勢は、全く無責任の極みと言うほかにありません。
 次に、今回の協定には、第六条に、TPP12協定の発効が差し迫っている場合又はTPP12協定の発効の見込みがない場合に、締結国が見直しの検討を要請することができる規定が設けられています。しかし、政府がガラス細工と表現したように、その合意内容について他の締結国が見直しに応じるとは考えにくく、セーフガードの発動水準の緩和や関税割当ての拡大は放置されたままになるのではないかとの懸念は拭えません。まず、TPP12の発効の見込みがないと判断する基準は何かについて伺います。また、第六条の規定では日本の国益を守る見直しが確実に担保されたと言えないのではないかという点についても、経済再生担当大臣に伺います。
 次に、農林水産物の生産額への影響について伺います。
 体質強化対策や経営安定対策の実施により、農林水産物の国内生産量が維持されることを影響の試算の前提としていますが、政策が確実に実施された場合と政策が実施されない場合の影響を試算し、これらを比較考量しなければ、政策が妥当であるか検証することはできないのではないでしょうか。この問題は以前の協定においても指摘されましたが、今回も全く改められていません。
 我が国では、人口減少に伴い、農林水産物の国内消費の増加が期待できないことが予測されます。国内生産量が変わらず国内消費が増えない場合には、輸入農林水産物も増加しないことが考えられるでしょう。しかし、関税の削減や撤廃、関税割当ての枠数量拡大等により、輸入農林水産物が増加する可能性は大いにあります。その場合、国内生産量の減少や国内での生産される生産物の価格低下など、影響を想定し、それらを踏まえて影響額を試算する必要があると考えます。国内生産量は維持、全ての対策がうまくいくという都合の良い楽観的な試算をされているように思いますが、前提条件の妥当性が完全に欠けているのではないでしょうか。試算の根拠と併せて、農林水産大臣に伺います。
 TPP11協定の発効により、農産品の関税収入額は、初年度で百九十億円減少、最終年度で六百二十億円減少と機械的に試算されています。農産品の関税収入やマークアップ等は、農業の国内対策の財源となっています。例えば、肉用子牛生産者補給金や肉用牛肥育経営安定特別対策事業等の実施には、関税収入を基に、平成三十年度は一般会計予算三百五十三億円の交付金が農畜産業振興機構に交付されています。関税収入の減少額が仮に六百二十億円となれば、国内対策の一部経費三百五十三億円と比べてかなり大きな金額となります。総合的なTPP等関連政策大綱では、「既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」としていますが、その財源をどのように確保するのか、財務大臣に伺います。
 私たち国民民主党は、他の野党と共同で、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案を衆議院に提出しています。畜産経営の安定を早期に図るため、TPP11協定の発効にかかわらず必要なものであり、本法とは切り離して審議、成立させるべきものと考えますが、総理の御見解を伺います。
 今回の法律は、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律という法律の題名を、環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律に改めるとしています。このことからも分かるように、現状においては、国際的に、TPP12協定とTPP11協定の二種類が存在しているのです。
 米国が復帰するまでの間の協定という位置付けであるならば、従来のTPP12協定を修正するという方式で凍結項目を設けたり、発効条件を修正するというやり方もあったはずですが、なぜ新たなTPP11協定という形が取られたのでしょうか。二種類の国際協定が存在するということで、無用な混乱が生じることがないのでしょうか。今回の新たな協定の締結においては我が国が主導的な役割を果たしたと聞いていますが、なぜ修正という形ではなく、新たなTPPという形式を取ることにしたのか、その理由と経緯について、総理に答弁を求めます。
 また、米国に対して復帰を求め続けるという姿勢に変化がないのであれば、復帰を求める先の協定は、従来のTPP12協定なのでしょうか、それとも新たなTPP11協定なのでしょうか。総理に答弁を願います。
 本法案では、施行期日の改正として、これまでTPP12協定の発効日とされていたものを、今回の新たなTPP11協定の発効日へと改められました。附則第十九条において調整規定が設けられてはおりますが、基本的にはTPP11協定の発効日に修正されているのです。
 法律の題名は従来の協定と新たな協定の両方に対応させたにもかかわらず、なぜ施行期日についてはTPP11の方に合わせることにしたのでしょうか。分かりにくいことこの上ないと私は思いますが、このことについても、併せて総理に明確な説明を求めます。
 今回は、従来の協定から二十二項目について凍結がなされました。しかしながら、この関連整備法の一部改正案では、凍結された二十二項目の中で、著作権物等の保護期間の延長や技術的保護手段、衛星・ケーブル信号の保護及び審査遅延に基づく特許権の存続期間の延長について、凍結又は削除されることもなく、TPP11協定発効日に施行される法律事項として含まれたままであります。
 これらの項目については凍結項目とされたのですから、協定の発効とは何ら関係がないはずではないでしょうか。にもかかわらず、今回盛り込まれた理由は何なのか、そしてその立法事実は何なのかということについて、総理に説明を求めます。
 また、協定の発効と関係がないのにこれらの改正が必要であるというのであれば、今回の束ね法案とは切り離して、それぞれ独立の法案の体裁を取った上で、国会において、該当する委員会で一本一本、法律案の立法事実を議論し、審議することが筋ではないでしょうか。TPP11発効とは関係ないものまで束ね、関係する個別委員会の審議に付さないのは、国会の権威をないがしろにする行為であると考えますが、なぜ新たな協定で凍結されたものまで束ね法にしてくくられているのか、国会軽視ではないのか、総理に答弁を求めます。
 申し上げたように、農林水産業では大きな打撃を受ける可能性があります。しかしながら、今進められている農政は、まさに規制改革推進会議が提案する、そういった法律が提案をされてきています。このことがいかに国内農業を壊していくのか、地域を壊していくのか、そのことに大きく不安を抱き、懸念を持っています。
 是非とも、ここにおられる皆さん、地域の現場の声を代弁をしていただき、何とぞ国内の農林水産業がしっかりとこれからも守られるように全力を尽くしていただくことをお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田名部匡代議員にお答えをいたします。
 うみを出し切る決意についてお尋ねがありました。
 行政をめぐる様々な問題について、国民の皆様の信頼を揺るがす事態となっていることに対して、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 各々の事案について、どこに問題があったのかを徹底的に解明し、そして二度とこのような問題が起こらないように再発防止に全力を傾注する、これがうみを出し切ることであります。私自身が国民の皆様に疑念を与えたことについて深く反省し、襟を正しつつ、今後とも誠実に説明責任を果たしていく考えであります。
 米国抜きのTPPの意義と私の一昨年の発言との整合性についてお尋ねがありました。
 一昨年の時点においては、我々としては、十二か国の枠組みでTPP交渉を長い時間を掛けて行ってきたことから、米国がTPPに戻るのであればそれが最善であるという観点から御指摘のような発言を行ったものであります。
 他方、その後、昨年一月に米国がTPPからの離脱を正式に表明した以降、世界的に保護主義への懸念が高まる中で、自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げることの重要性について十一か国で共有し、協定を署名することに至ったものであります。
 十一か国の人口は五億人、GDPは十兆ドルという大きな経済圏が生まれます。その経済効果も、我が国のGDPを八兆円押し上げ、四十六万人の雇用増につながるという大きな効果が見込まれます。また、ベトナムなどのASEAN諸国や、メキシコ、チリなど、北米、中南米諸国十一か国が参加して、アジア太平洋地域に二十一世紀型のルールが広く共有される意義は大きいと考えます。
 さらに、本年一月、TPP11の交渉が大詰めを迎え、現実味を帯びる中、ダボス会議において、初めてトランプ大統領から米国がTPPに参加する可能性について言及があったところです。そうした意味で、TPP11の早期発効を目指すことが、TPPのメリットを具体的に示し、TPPが米国の経済や雇用にとってもプラスになるとの理解を深める大きな力になるものと考えます。
 農林水産業の重要品目に関する交渉結果についてお尋ねがありました。
 今回のTPP交渉では、重要品目について、乳製品などは、関税割当てを導入することにより、枠外の関税については従来の関税を引き続き維持するとともに、牛肉などでは、十年を超えるような長期間の関税削減期間を確保することなどによって、関税撤廃の例外をしっかりと確保したところであります。
 実際に生産者に影響が出るかどうかということについてしっかりと注目しながら交渉し、結果として、生産者が再生可能となるような措置を交渉を通じて勝ち取ったものと考えています。
 セーフガードの発動基準に関してお尋ねがありました。
 セーフガードの発動基準については、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく対策も併せて実施することにより、再生産可能な環境を確保できるものとして設定したものであります。
 その上で申し上げれば、TPP11の影響はTPP12の範囲内であり、同様に大綱に基づく対策をしっかり実施することにより、再生産できる体制は確保できるため、我が国に著しく不利との御指摘は当たらないと考えます。
 その上で、近年、世界で保護主義への懸念が高まる中、十一か国がアジア太平洋地域に自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げる意義を共有し、TPP交渉で生まれたモメンタムを維持すべく、早期合意を目指し、御指摘のセーフガードなど、物品市場アクセスの内容を含めた協定の修正は行わないことで一致したものであります。
 ただし、例えば米国がTPP諸国と個別に貿易協定交渉を始めるなど、通商政策の動向を踏まえ、米国を含めたTPPが発効する見込みがなくなった場合等には、協定第六条において締約国の要請に基づき協定の見直しを行うと規定しています。この点、米国からの輸入量も念頭にTPP協定で合意された個別のセーフガードについては、第六条に基づく見直しの対象と考えています。
 こうした我が国の考えについては、閣僚会議の場も含め、繰り返し各国に明確に伝えており、これに対し、各国からも特段の異論がなかったものであり、十分各国の理解を得ていると考えています。こうした規定も前提にしながら、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 いわゆる牛・豚マルキンについての野党提出法案についてお尋ねがありました。
 牛・豚マルキンの補填率の引上げ等については、TPP11協定等の発効による関税削減等の影響に対応するためのものであるため、政府としては、TPP11協定等の発効日から実施することが適当であると考えております。
 今般、御党を始め野党五党一会派が提出した法案は、TPP11協定等の影響が生じていない段階で新たな国庫負担を伴う経営安定対策を講じようとするものであり、適当でないと考えています。
 TPP11の法形式に関してお尋ねがありました。
 TPP12は、参加国の様々な利害関係を綿密に調整してつくり上げたハイスタンダードかつバランスの取れた協定であります。
 そうした中で、十一か国によるTPPの早期発効が米国のTPP復帰を促すことにつながるとの認識の下、六年掛けて署名に至ったTPP12協定自体には手を付けるべきではない、これが十一か国共通の理解でありました。
 同時に、米国のTPP離脱以降、世界的に保護主義への懸念が高まる中で、TPPが目指した自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げる意義を十一か国が共有する中で、凍結項目を最小限としながら、TPP11協定の署名に至ったものであります。
 米国に対し、TPP11協定とTPP12協定どちらへの復帰を求めるかにつきお尋ねがありました。
 TPPは、日米がリードして世界に二十一世紀型の経済秩序をつくり上げるという観点から、元々、十二か国で推進してきたものであります。そのため、TPP12協定に米国が復帰するよう今後も働きかけてまいります。
 他方、TPP11についても、同様に、ハイスタンダードでバランスの取れた協定であると認識しており、もし十一か国の同意が得られる前提で、米国が望むのであれば、米国がTPP11協定に参加する形式もあり得ると思っています。
 本改正法案の施行期日の規定についてお尋ねがありました。
 本法案については、TPP11協定とTPP12協定のいずれかが発効した場合であっても、基本的に同一の内容であることから、法案の題名については両方を併記する形式としました。
 他方で、協定の発効については、TPP12は米国抜きでは発効しないものであり、現実的には、現在各国が早期発効を目指して国内手続を進めているTPP11が先に発効することが見込まれていることから、原則としてTPP11協定の施行期日としたところであります。
 TPP11協定で凍結された項目が改正法案に盛り込まれている理由及び立法事実についてお尋ねがありました。
 TPP11協定において凍結されることとなった事項については、我が国として、当該事項について制度整備等を行う国際的な義務を負わないところでありますが、米国も含めたTPP12協定が最も望ましいとの考え方の下、今回の交渉においても、我が国として、TPP12協定のハイスタンダードを維持すべきと強く主張し、各国との交渉においてリーダーシップを発揮したところであります。
 その上で、我が国は自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく二十一世紀型の経済秩序づくりを今後とも世界でリードするとの決意を込めて、政府として、TPP11協定発効を機に、全ての凍結項目を含むハイスタンダードなTPP12協定の内容を受けて、我が国において実施することとしたものであります。
 関連法案の形式についてお尋ねがありました。
 今回のTPP11関連法案の盛り込まれた改正事項は、いずれもTPPが目指す自由で公正なルールに基づく経済圏をつくるために対応すべき措置という同一の趣旨、目的を有するものであります。
 そのため、同法律案については、改正内容の全体像を一覧的にお示しし、国会において総合的、一体的に御審議いただくことが適当と考え、一つの改正法案として提案することとしたものであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(茂木敏充君) 田名部議員にお答えをいたします。
 まず、国民への情報開示についての御質問がございました。
 TPPを含め、交渉過程での各国とのやり取り等につきましては、従来から申し上げているとおり、相手国との信頼関係や我が国の交渉手法などをさらすことで類似の交渉に悪影響を与えかねないことなどを踏まえた慎重な対応が求められると考えております。
 その上で、TPP11協定については、交渉会合ごとに記者会見を行い、できる限り丁寧に内容を説明しており、交渉の結果とともに内閣官房ホームページに公表しているところであります。
 また、三百回以上実施してきた説明会等においても、情報を幅広く提供して丁寧に説明をしてきております。今後とも、丁寧な説明を心掛けてまいりたいと考えております。
 次に、TPP11協定第六条についてお尋ねがありました。
 TPP11協定の第六条においては、米国を含めたTPP12協定が発効する見込みがなくなった場合等には、締約国の要請に基づき協定の見直しを行う旨規定をいたしております。これは、例えば米国の通商政策の新たな動向などを踏まえて判断をすることが考えられます。
 米国の復帰が見込まれなくなった場合には、各国としても、第六条に基づき見直しが必要な項目があると承知をいたしております。また、日本としても見直しを求める項目を各国に伝えており、我が国が第六条に基づき必要な協定の修正を行うことに各国も理解を示していると考えております。
 TPP11の交渉を通じて、参加各国との間では様々な利害調整も日本が主導して行い、強固な信頼関係を各国との間で構築することができました。この信頼に基づいた理解であり、我が国が必要な修正を行うことについて各国が反対することはないものと理解をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(齋藤健君) 田名部議員の御質問にお答えいたします。
 TPP11の影響試算についてお尋ねがありました。
 農林水産物の影響試算につきましては、現実に起こり得る影響を試算すべきものと考えており、協定自体の発効による効果だけでなく、国内対策の効果も併せて考えることが適切と考えております。
 したがいまして、TPP11の影響試算も、TPP12のときと同様、まず、関税撤廃の例外やセーフガード等の国境措置をしっかり確保したことを明らかにした上で、国内対策も踏まえて、輸入品が国産品に置き換わり得るかどうか、こういう観点から試算を行いました。
 これによりまして、TPP11の我が国の農林水産分野への影響につきましては、関税削減等の影響で価格低下がありますので、その分生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減や品質向上、経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量は維持されるものと見込んでおります。
 このように、農林水産業についての試算は、守るべきものは守った交渉結果や、政府が責任を持って講じていく国内対策などを踏まえて行うことが妥当であると考えておりまして、国内対策なしの試算を行うことは現実に起こり得ることとは異なることとなりますので、これを行うことは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(野田聖子君) 田名部議員にお答えいたします。
 TPP等関連政策の財源確保についてお尋ねがありました。
 総合的なTPP等関連政策大綱においては、施策実施に必要な経費の取扱いについては、予算編成過程で検討することとされております。
 いずれにせよ、TPP等関連政策大綱に沿って、農林水産業の体質強化対策を講じながら、農家の方々に懸念や不安が生じないよう必要な取組を推進してまいります。(拍手)
#16
○議長(伊達忠一君) しばらくお待ちください。
    ─────────────
#17
○議長(伊達忠一君) 白眞勲君。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕
#18
○白眞勲君 立憲民主党の、そして民友会の白眞勲です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきますが、その前に、財務省の改ざんに関し、総理にまずお聞きいたします。
 本来は、この件、会計検査院に来てもらって答えてもらうつもりでおりました。しかし、法律で、この本会議には会計検査院は呼べないということです。皆さん、御存じでしたでしょうか。予算委員会などの委員会には呼べるにもかかわらず、本会議に呼べないなんて、全く理解できません。議員の皆さん、これ、法律変えようじゃありませんか。
 そこで、質問を変えて、総理にお聞きいたします。総理、御理解いただきたいと思います。
 会計検査院は、昨年十一月、森友の件で検査報告書を参議院に提出しています。ただ、これは改ざんした後の文書に基づくものであり、信頼性に欠けるものであります。
 政府は、改ざんした文書をもって会計検査院で検査をさせるなどということは、会計検査院を軽く見ているのではないんでしょうか。総理、お答えください。
 総理は、責任を負うべき財務省に対し、厳しく指導されたのでしょうか。
 今回のことを踏まえ、早急に会計検査院は再検査を行うべきと考えます。河戸会計検査院長も、本院予算委員会での私の、再検査すべきだとの質問において、非常に重要な事案であると考えておりますので、しっかり検査をしてまいりたいと答弁しています。
 現在、政府は会計検査院の調査にどのように協力しているのでしょうか。総理、お答えください。
 昨年十一月に会計検査院から検査報告が取りまとめられる前の九月に、航空局長と理財局長が会計検査院の対応をめぐって意見交換をしていたことが衆参の委員会答弁で明らかになりました。特に、今回の意見交換で、報告書の総額を消すことが重要である等の会話がなされているとのことです。驚くべき内容です。
 特に、今回の件は、会計検査院の独立性を脅かすものであり、存在意義が厳しく問われています。検査報告は、この意見交換の結果を反映したかのように、地下埋設物の撤去費用の試算額は示されておりません。会計検査院はなぜこの試算額を示さなかったのか、大変疑問です。
 政府は、会計検査院に対し、何か検査報告の内容に働きかけをした事実はあるのか、総理としてお答えください。
 この森友問題で大阪地検が告発を受けた財務省職員を不起訴処分にしたことを受け、麻生大臣は、昨日、関与した職員への処分も含めと、職員の処分をすることを明らかにしました。
 ここで聞きたいのは、総理、役人だけ処分するのでしょうか。麻生大臣は処分しないのですか。お答えください。
 では、この度のTPPについて質問いたします。
 元々、自民党は、このTPPに反対だったのではないですか。二〇一二年の総選挙において、北海道などでは、TPP断固反対、うそつかない、ぶれないなどという自民党のポスターが貼られていたとのことです。さらに、稲田朋美氏は、当時、TPPバスの終着駅は日本文明の墓場なのだと、二〇一一年十一月に産経新聞に寄稿しています。
 ところが、自民党が政権を取った途端、TPP交渉を始める。おかしくないですか。今まで有権者にこの方針の転換についての納得いく説明はされたのでしょうか。総理、お答えください。
 今年の三月に米国が発動した鉄鋼、アルミニウムの輸入制限で、同盟国であるはずの我が国が除外対象から外されました。さらに、トランプ大統領はこうおっしゃっています。日本の安倍首相やほかの人たちに言っておきたい、彼らはいいやつで私の友人だが、こんなに長い間米国をうまくだませたなんて信じられないとほくそ笑んでいる、そんな日々はもう終わりだと発言しました。
 余りにもひどくないですか。安倍総理はもとより、日本人全体を侮辱しています。同盟国として看過できるものではありません。外務大臣にお聞きいたします。これに対して、外務省を始めとした日本政府は抗議したのでしょうか。
 さらに、毎日新聞の牧太郎氏はコラムでこう書いています。トランプ大統領が昨年十一月に来日した際、屈辱を感じた、彼は羽田ではなく横田基地に降り立った、千人以上の在日米軍兵士を前に、私のアジア歴訪を始めるに当たって、すばらしい米兵と自衛隊員がいる横田基地を選ぶのは当然だと演説した、このとき、数百人の自衛隊員がトランプのお迎えに動員されている、戦後レジームからの脱却なんて言いながら、まるで、日本はアメリカの占領下にあるかのようである、安倍政権で、日本はアメリカの属国になってしまったと書いています。
 そこで、外務大臣にお聞きいたします。
 サンフランシスコ条約以降、アメリカ大統領の日本公式訪問で横田基地に降り立った大統領はトランプ大統領以外にいるのでしょうか、お聞きいたします。
 ところで、茂木大臣は、今回、参議院内閣委員会において、担当の法案審議のさなか、急遽アメリカに安倍総理と旅行するとのことで、これによって、いわゆるREVIC法の改正案の採決が少なくとも一週間延びてしまいました。与党筆頭理事で私の大好きな藤川政人議員が困っていましたよ。まあ、それでも日本の国益のために米国にて鉄鋼、アルミの輸入制限を解除してもらうように交渉するのであればしようがないかなとも思っておりましたら、何と、鉄鋼、アルミ輸入制限はそのまま、それどころか、自動車に二五%の追加関税までお土産にもらってきたんじゃありませんか。一体あの旅行は何だったのでしょうか、お答えください。
 外務大臣にお伺いいたします。
 米国による鉄鋼、アルミの追加関税はWTO違反ではないでしょうか。さらに、米国が自動車への追加関税を課した場合、これはWTOルールに違反すると言えるのでしょうか。併せてお答えください。
 安倍総理にお聞きいたします。
 米国による安全保障への脅威を理由とするWTOの例外措置の濫用に対し、今こそ外交力を発揮し、EUとの連携が必要なときではないんでしょうか。この度行われるG7において一緒にアメリカと交渉をする必要性があると思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 我が国がTPP交渉に参加するに当たり、衆参の農林水産委員会は平成二十五年四月に決議を行いましたが、農産品の重要五品目についてはTPP交渉から除外することを政府に求めました。
 しかし、関税率をそのまま維持すると説明してきたものについても、単純に枠内税率も枠外税率も変更を加えていないものがあったかなかったかと問われれば、それはないと当時の森山農林水産大臣は答弁し、重要五品目については無傷で守られた品目はなかったことが明らかとなりました。これは明白な決議違反ではないですか。安倍総理の見解をお伺いいたします。
 茂木大臣にお聞きいたしますけれども、今回の交渉に当たり、我が国がどのような交渉過程で日本の国益を守ろうとしたのかということを国民に説明することはとても重要です。今回のTPP交渉経緯でなされた我が国の主張とその結果についてお答えください。
 農水省の資料では、牛肉、豚肉、乳製品などのTPPによる影響が生じる品目については、生産額は減少するが、対策の適切な実施により国内生産量は維持されると見込むと結論付けられています。これ、さっぱり理解できません。誰か理解できる人いますか。関税下げれば輸入は増加するんです。当たり前じゃありませんか。ところが、輸入は増えても国内はそのまま対策しているから生産量は維持できる。さっぱり分かりません。人間の胃袋は一つです。こっちを食べればあっちは食べられないんです。胃袋、牛みたいに四つないのです。農水大臣、私に分かるように説明してください。
 また、この件の対策とは一体何ですか。具体的には、どのような経営安定対策を取ることで農家所得が確保されるのでしょうか。特に影響が大きい牛肉、豚肉、乳製品の場合について、その例示を求めます。
 そもそも、関税を下げることによって国民の血税を使うのであるならば、関税下げなければいいじゃありませんか。こんなことをするのであるならば、TPP交渉は日本にとって失敗だったと言えるのではないんでしょうか。総理、お伺いいたします。
 これにて質問は一旦終えますが、きちんとした答弁がない場合、再質問あるいは再々質問することを申し上げます。
 質問終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 白眞勲議員にお答えをいたします。
 森友学園への国有地売却に関する会計検査院への対応等についてお尋ねがありました。
 今般の決裁文書に関する問題については、国民の皆様の信頼を揺るがす事態となっており、改めて国民の皆様におわびを申し上げます。
 会計検査院は、本件について、決裁文書に関する問題が明らかになったことから、国会に適切な時期に適切な方法で報告したいと考えていると答弁されたと承知しております。会計検査院には、しっかりとその役割を果たしてもらいたいと考えております。
 私としては、かねてから申し上げているとおり、会計検査院の検査に協力することは重要と考えており、政府としても全面的に協力をしてまいります。財務省にも厳しく指導をしているところであります。
 その上で、検査の過程の話については、検査院も答弁を差し控えており、受検する立場である政府がお答えをすることは差し控えたいと考えておりますが、検査報告に掲記すべき内容については、あくまでも会計検査院内部における手続を経て、自律的に決定されていると承知しております。
 真摯な反省の上に、二度とこうしたことが起こらないように、全力を挙げて、再発の防止に向け、総理大臣としての責任を果たす覚悟であります。
 森友学園問題に関する処分についてお尋ねがありました。
 個別の事件に関する検察当局の捜査結果について、政府としてコメントすることは差し控えます。
 いずれにせよ、財務省において決裁文書の書換え等が行われていたことは、誠に遺憾であります。国民の皆様におわびを申し上げます。
 麻生財務大臣からは、引き続き徹底的に調査を行い、一連の問題行動に関与した職員への処分も含め、週明け早々に取りまとめる旨の発言があったところであります。
 国民の皆様から厳しい目が向けられていることを真摯に受け止めながら、麻生財務大臣には、厳正な処分を行った上で、再発防止に全力を挙げて取り組んでもらいたいと考えています。
 TPPの交渉参加に係る有権者への説明についてお尋ねがありました。
 二〇一二年の衆議院選挙における自由民主党の公約は、聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉の参加に反対するというものでありました。
 その上で、政権発足後間もない二〇一三年二月、日米首脳会談において、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないことを私自身が直接確認した上で、交渉参加を決断したものであります。
 実際、我が国は、交渉を主導することで、重要品目について農林漁業者の皆さんが安心して再生産できる内容を勝ち取ったところであり、厳しい交渉の中で国益にかなう結果を得ることができたと考えています。
 同時に、政府としては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農業者や中小・小規模事業者の皆さんに対して、きめ細やかな対策を講じ、それでもなお残る不安や懸念にもしっかり向き合っていきます。
 こうした点については、TPP協定の大筋合意後、合計百三十時間を超える国会審議や三百回以上に及ぶ説明会を通じ、国民の皆様に丁寧に説明をしてきました。政府としては、今後とも、一層の国民理解を得ることを目指し、引き続き、積極的な情報提供と丁寧な説明を行っていく考えであります。
 米国による安全保障を理由とするWTOの例外措置についてお尋ねがありました。
 米国による安全保障を理由とする広範な貿易制限措置は、世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものであり、極めて遺憾です。そもそも、米国の同盟国である日本の生産する製品が米国に安全保障上の脅威を与えることはないと考えています。こうした日本の立場については、先般のマーララゴにおける日米首脳会談でも、私からトランプ大統領に申し上げているところです。
 来るG7サミットでは、自由貿易を堅持するとの立場から、WTOルールにのっとった解決を図ることが適切であるとの基本的な考え方の下、米国の措置への懸念を共有するG7各国やEUとともに、率直な議論を行いたいと考えています。
 その上で、G7サミットは、あくまで首脳間で自由闊達な議論を行う場であり、首脳同士の交渉を行う場ではないことは付言しておきます。
 農林水産業の重要品目に関する交渉結果についてお尋ねがありました。
 今回のTPP交渉では、重要品目について、乳製品などでは、関税割当てを導入することにより、枠外の関税については従来の関税を引き続き維持するとともに、牛肉などでは、十年を超えるような長期間の関税削減期間を確保することなどによって、関税撤廃の例外をしっかりと確保したところであります。
 実際に生産者に影響が出るかどうかということにしっかりと注目をしながら交渉し、結果として生産者が再生産可能となるような措置を交渉を通じて勝ち取ったものと考えております。
 それでもなお、様々な不安を持っておられる方々がいらっしゃることは承知しており、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、体質強化対策や経営安定対策などのきめ細やかな対策を講じることにより、そうした不安や懸念にもしっかり向き合ってまいります。
 TPPの関税引下げと予算措置の関係、TPP交渉の評価についてお尋ねがありました。
 関税の引下げは、ハイスタンダードな協定を目指すTPPの大前提です。しかし、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく予算措置においても、特に農業者や中小企業の皆さんの国際競争力の強化等はいずれにせよ実施すべき対策であり、こうした予算措置を関税引下げと比較する議論自体、おかしな議論です。
 TPPは、単に関税を下げるだけでなく、知的財産保護、環境・労働規制、国有企業の競争条件の規律など幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものです。良いものが良いと評価される広大なマーケットが生まれ、品質の高いものをこしらえてきた我が国の農業者や中小企業にとって大きなチャンスが生まれます。
 政府としては、農業者や中小・小規模事業者の皆さんの海外販路開拓や、体質改善、商品開発などを支援し、協定の効果ができる限り早期に実現するよう全力を上げてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(茂木敏充君) 白議員にお答えをいたします。
 最初に、本年四月の私の米国出張について御質問がありました。
 四月の日米首脳会談では、経済分野に関し議論が行われることになったため、私も同席することになりました。
 首脳会談では、日米両国がリードして、インド太平洋地域に自由で公正なマーケットをつくり上げていくための方策について、両首脳間で、また、私やライトハイザー通商代表も参加して、率直な議論が行われたところであります。その上で、私とライトハイザー通商代表との間で、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、いわゆるFFRを開始することで一致をいたしました。
 今後、この協議の場を通じて、日米両国が日米経済関係及びアジア太平洋地域の発展にいかに協力をすべきか、多角的貿易体制の意義、そして自由貿易のルールを尊重する我が国の考えやTPPの持つ意義も含めて、建設的な議論を行っていきたいと考えております。
 次に、TPPの交渉における我が国の主張と結果について御質問がありました。
 TPP12交渉では、我が国が投資や電子商取引のルールの議論を主導いたしました。また、我が国が世界に誇る牛肉、水産物などの輸出拡大の重点品目の全てで相手の国の関税撤廃を獲得した一方で、農林水産物の重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得をいたしました。攻めるべきは攻め、守るべきは守ることができたと考えております。
 昨年一月の米国のTPP離脱以降は、世界的に保護主義が台頭する中で、十一か国で議論を深め、TPPのハイスタンダードを維持するとの観点から、知的財産関連などごく一部のルールのみを凍結し、早期の合意を目指すということで各国の共通認識を確立し、実際、この三月の八日にチリでの署名に至ったわけであります。
 このように、ハイスタンダードでバランスの取れたTPP11を早期に実現できたことは、我が国及びアジア太平洋地域の将来にとって画期的な成果であると考えております。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(河野太郎君) 米国による鉄鋼、アルミニウムへの輸入制限措置やトランプ大統領の発言についてのお尋ねがありました。
 米国の鉄鋼、アルミニウムに関する広範な貿易制限措置は、世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものであり、極めて遺憾です。こうした日本の基本的立場については、安倍総理から、トランプ大統領を含め様々なレベルで伝えてきています。
 トランプ大統領の発言の一々について、コメントすることは差し控えます。
 米国大統領の訪日についてのお尋ねがありました。
 確認した範囲内では、日本への入国の際に横田基地を使用した米国大統領は、トランプ大統領が初めてです。
 昨年十一月のトランプ大統領訪日時には、到着後の大統領の日程等、諸般の事情を総合的に勘案し、日米で協議の上、関係省庁間で必要な調整を行い、横田飛行場を使用することとしたものです。
 米国による鉄鋼、アルミニウム及び自動車の追加関税の動きについてお尋ねがありました。
 米国の鉄鋼、アルミニウムの関税措置に関する追加関税の賦課は、米国がWTO協定上約束している譲許税率を超える税率の関税を賦課するものであり、関税及び貿易に関する一般協定第二条との整合性に懸念がある措置と考えます。
 また、自動車及び自動車部品の輸入に関する調査については、具体的な措置が決定されたものではなく、現時点において予断を持ってコメントすることは差し控えます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(齋藤健君) 白議員の御質問にお答えいたします。
 TPPの影響試算についてお尋ねがございました。
 農林水産省の試算は、重要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、国家貿易の維持や長期の関税削減期間等も獲得したというTPPの大筋合意の内容を踏まえながら、国境措置の変更により輸入品が国産品に置き換わり得るかどうかと、そういう観点から試算をしたものであります。
 また、TPP合意等を踏まえ、農林漁業者の方々が安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき万全の対策を講ずることとしていることから、その効果を踏まえて試算を行ったところであります。
 その結果、関税削減等の影響で国産品の価格低下により生産額の減少が生じるものの、生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により、引き続き農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んだところでございます。
 次に、具体的な経営安定対策についてのお尋ねがありました。
 TPPにおきましては、牛肉、豚肉、乳製品などの重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保するなど、我が国畜産、酪農の再生産が引き続き可能となる国境措置を確保したところでございます。
 それでもなお残る生産者の方々の不安や懸念に向き合い、安心して再生産に取り組むことができるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、畜産クラスター事業を始めとする体質強化対策を講じているところでございます。
 また、経営安定対策として、牛肉、豚肉につきましては、牛マルキン及び豚マルキンの補填率を八割から九割に引き上げるとともに、豚マルキンの国庫負担水準を国一対生産者一を国三対生産者一に引き上げる等の措置を協定発効に合わせて講じ、乳製品につきましては、加工原料乳生産者補給金制度の対象に生クリーム等の液状乳製品を追加する等の措置を協定発効に先立って実施しているところでございます。
 農林水産省といたしましては、生産者の方々の不安や懸念に向き合い、意欲ある生産者が将来にわたって希望を持って畜産、酪農経営に取り組んでいただけるよう、必要な対策をしっかりと講じてまいります。(拍手)
#23
○議長(伊達忠一君) しばらくお待ちください。
 白君から再質疑の申出があります。これを許します。白眞勲君。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕
#24
○白眞勲君 改めまして、立憲民主党・民友会の白眞勲でございます。
 御答弁ありがとうございました。
 しかしながら、農産品の重要五品目について、総理から、衆参の農林水産委員会決議の違反について、明確な私は御答弁いただいていないんじゃないかなというふうに思っております。
 重要五品目については、除外又は再協議とすることを決議で求めたにもかかわらず、結局全て手を付けられたんではないんでしょうか。これ、決議違反かどうか、それをはっきりと言っていただきたいというふうに思います。
 それから、茂木大臣、協定の内容やその結果が明らかになっているのは、国会に提出されているので分かるんですよ。要は、今も少し御答弁いただきましたけれども、それまでの結果に至るまでの交渉の中での日本の主張はどのようなものであったのか、少し答えられたけれども、それがどれぐらい反映され、どれぐらい反映されなかったということを知らなければ、茂木大臣です、そのTPP関連法案について賛否の判断できなくなるんではないんだろうかということです。
 それから、農水大臣、資料の説明さっぱり分からないから、私、理解できるようにお聞きしているんですよ。今の御答弁では、私、全く分からない。
 関税が低くなれば、当然輸入された商品は安くなりますから、消費者はそちらを選ぶ、当たり前じゃないですか。だから輸入量は増える、これも当たり前。輸入量が増えれば、その分国内商品は苦戦を強いられる。ところが、対策を施すから国内生産量変わらないと言えば、これちんぷんかんぷんなんですよ。農水省の説明だと、輸入量は増える、国内生産量も変わらない。ということは、日本に物があふれちゃうじゃありませんか。だから、日本人の食べる量は一緒なんだと、だから分からないと言っているんですよ。農水大臣、もう一回ちゃんと説明してください。
 以上です。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 白眞勲議員の再質問にお答えをいたします。
 明白な決議違反ではないかということでありました。私の答弁は不十分ではないかということであったと思いますが、政府としては、国会決議等を踏まえ、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、結果として、生産者が再生産可能となるような措置を交渉を通じて勝ち取ったものと考えております。政府としてはそう考えているところでございます。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、最終的に国会で御審議をいただくこととなりますが、政府としては国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(茂木敏充君) TPPの交渉における我が国の主張、そしてその結果どうなったのかと、こういったことについて改めて御質問いただきました。
 まず、TPP12の交渉では、我が国は、投資や電子商取引のルールの整備が必要だ、こういう主張をいたしまして、結果として二十一世紀型のルールが確立をされたわけであります。また、我が国は、世界に誇る牛肉、水産物などの輸出拡大の重点項目の全てで相手国の関税撤廃、これを求め、そして結果として獲得いたしました。また、農林水産物の重要五品目を中心に関税撤廃の例外を確保すると、こういう主張をいたしまして、結果として関税割当てやセーフガード等の措置を獲得をいたしました。
 また、TPP11交渉におきましては、ハイスタンダードを維持し、知的財産関連などごく一部のルールのみを凍結する、そして早期の合意を目指す、こういったことを主張いたしまして、そのとおりに合意をし、早期の署名に至ったと、こういう結果を得ております。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(齋藤健君) 白議員の再質問にお答えをさせていただきます。
 まず、このTPP交渉におきましては、これ、物によりますので一つ一つ見ていただく必要があると思うんですけれども、基本的に国境措置をしっかりと講ずるということ、これを交渉の結果として獲得をしております。例えば、長期にわたって関税を少しずつ下げていく、あるいは何かあったときのためのセーフガードを講じるということにしております。
 それと同時に、対策によりまして、コストを下げる努力、品質を良くする努力、そういうことをしますので、徐々に関税が下がるのに従いまして日本の農産物の競争力も上がっていきますので、確かに関税が下がりますので金額への影響はありますけれども、そういう形で国内産業が再生産可能となるように対策も講じているということでございます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(伊達忠一君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕
#29
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部改正案について、安倍晋三総理に質問いたします。
 衆議院において、TPP11協定案は五月十八日に、TPP整備法案は二十四日に、多くの国民が反対する中、採決されました。
 国政の私物化と批判されている森友、加計疑惑、自衛隊のイラク日報問題など、疑惑の解明には蓋をしながら、五千ページに及ぶ協定案の質疑は、外務委員会で僅か六時間、TPP整備法案も十七時間という短時間で質疑が打ち切られました。
 参考人からは、何がメリットなのか曖昧だ、TPP11はTPP以上に大きな打撃となる、影響試算も納得できないなどの意見が出されました。
 国民生活と国内産業、地域経済に大きな影響を及ぼす法案を、会期末が近づいたからといって採決を強行することがあってはなりません。国民の意見を聞いて、丁寧に審議すべきではありませんか。答弁を求めます。
 安倍総理、思い起こせば、あなたの通商政策は、国民を欺くばかりです。
 自民党は、野党時代には、TPP断固反対、六つの選挙公約を掲げました。政権に就くや否や、アメリカを訪問し、聖域なき関税撤廃が前提でないことが分かったなどと言って、TPP、環太平洋経済連携協定に参加しました。
 アメリカのトランプ大統領がTPPからの離脱を表明すると、アメリカ抜きのTPPはあり得ないと言いながら、いち早くアメリカを訪問し、アメリカの意向に沿って二国間の交渉を求める日米経済対話の枠組みをつくりました。
 日米経済対話において日米交渉が進展しないことにアメリカが不満を漏らすと、アメリカのいら立ちを抑えるために、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で新たな経済協議の場、FFRを設けました。
 日本農業新聞が四月に行ったモニター調査では、安倍農政を評価しないが七割を超えています。安倍総理、あなたは、二年前、TPPの慎重審議を求めた農業者や消費者、地方自治体関係者の意見を忘れたのですか。
 TPPは、トランプ政権が離脱したことで発効できなくなりました。
 TPP11は、そのTPP協定の一部を除き、TPPをよみがえらせるものです。第一条でTPPの全条項を取り込み、二条でTPPの一部の項目を凍結しました。生物製剤などアメリカが押し込んだ項目に各国から不満が噴出したからです。第六条は協定の見直し規定で、TPP協定の効力発生が差し迫っている場合又はTPP協定が効力を生じる見込みがない場合に見直すことになっていますが、この凍結項目も含め、アメリカの意向に合わせた協定ではありませんか。
 アメリカが抜けたとはいえ、TPPの本質は全く変わりありません。多国籍大企業や国際競争力の強い国の利益を優先し、関税の原則撤廃や投資の自由化を参加国に押し付け、各国の経済主権や食料主権を侵害するものです。
 日本にとっては、食の安全や医療、雇用、地域経済も脅かされ、農業は壊滅的な打撃を受けるものではありませんか。答弁を求めます。
 日本の農業の生産基盤の弱体化や、食料自給率の低下に拍車を掛けるのがTPPです。
 安倍総理、あなたは、今年の施政方針演説で、攻めの農政によって生産農業所得は直近で三兆八千億円となり、過去十八年で最も高い水準になったと言われました。
 しかし、食料自給率は三七・五%、一年間で約二%低下し、冷害で苦しんだ一九九三年を除けば最低です。販売農家は、二〇一〇年の約百六十三万戸から二〇一七年には百二十万戸に、基幹的農業従事者は約二百五万人から百五十万人に減少し、耕地面積も四百五十九万三千ヘクタールから四百四十四万ヘクタールへと減少しています。
 今年の冬は、生産量が減ったという理由で野菜価格が高騰しました。これは一時的なものではありません。近年、野菜や果実、肉類などでは生産量、供給量が減り、価格が上昇しました。大手農機具メーカーの経営者は、食料の生産基盤はかなり厳しい状況であり、生産基盤の弱体化で食料問題になってくる可能性があると語っています。価格が高騰しているのは、生産基盤が弱体化し供給量が減ったことに原因があるんです。
 齋藤農水大臣は私の質問に生産基盤の弱体化を認めましたが、総理も同じ認識でしょうか。
 TPP整備法で経営安定対策を行うと言いますが、生産基盤の弱体化に歯止めを掛けることができるのですか。答弁を求めます。
 TPP11は、アメリカが抜けたことで、日本の農業にとってメリットがあるのでしょうか。
 TPPで譲歩したバターと脱脂粉乳の低関税輸入枠は残されたままです。七万トンの枠を、ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどが対日輸出を迫ってくることになります。そうなれば、アメリカの畜産業界は不満を募らせ、日本と二国間交渉での圧力を強めるのは必至です。日本政府には、その場合、対抗できる手だてはあるのですか。お答えください。
 TPP11の農林水産業への影響試算についてお聞きします。
 政府が公表した影響試算では、農林水産物の生産額は約九百億円から千五百億円下がるものの、国内対策を行うから国内生産量は維持できる、農家所得も食料自給率も変わらないというものですが、余りにもこれは過小に見積もっているんじゃありませんか。
 カナダも影響試算を公表していますが、対日輸出で八・六%増加する、その大半が農林水産物だと言っています。ニュージーランドも対日輸出は、乳製品で八四・九%から一一九%増えるとしています。そのことを把握していますか。
 熊本県は、独自の影響試算を公表しました。減少額は政府試算の二倍の最大九十四億円になるとしつつ、今後の国の対策が十分でない場合は更に影響が大きくなる可能性があるとしています。本当にこんなTPP11を進めていいのですか。
 輸入品の検査は、平均九十二時間掛かっている検疫所通過を四十八時間以内にすること、違法な遺伝子組換え食品が見付かっても突き返さずに輸出国と協議する等、こういう食の安全を後退させることはやめるべきではありませんか。
 TPP11には守秘義務はありません。国民への丁寧な説明と言うならば、情報は全て公開にすべきです。答弁を求めます。
 私のふるさとである北海道は、日本の食料基地として大きな役割を果たしています。北の大地で長年を掛けて今日の生産基盤をつくってきました。
 冬はいてつく厳寒の大地で、農家は、今は大変だけれども、春が来たら雪は解ける、だから頑張れる、でも、TPPが来たら春は来ないと言っているんです。これはオール北海道の思いです。
 今、各国で歯止めなき自由化の動きに反対する世論が高まっています。各国の経済主権を尊重しながら民主的で秩序ある経済の発展を目指す、平等、互恵の貿易と投資のルール作りこそ求められている流れではないでしょうか。TPPに断固反対することを表明し、質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 紙議員にお答えをいたします。
 国民の意見を聞いて丁寧に審議すべきとのお尋ねがありました。
 TPPについては、既に合計百三十時間を超える国会審議や三百回以上に及ぶ説明会を通じ、国民の皆様に丁寧に説明をしてきたところであります。
 そうした中で、TPP11協定は、一部の凍結項目を除き、TPP12のハイスタンダードな内容が維持されており、また、今回のTPP整備法の改正内容も実質的に施行期日のみを改正するものであり、TPP12のときと比べて、十本の法律に係る改正事項に変更はありません。
 いずれにせよ、政府としては、今後とも、一層の国民理解を得ることを目指し、引き続き、国会審議を通じて丁寧な説明を行うことも含め、不断の努力を重ねてまいります。
 TPPに対する様々な意見に関する認識についてお尋ねがありました。
 TPPについては、様々な不安を持っておられる方々がいらっしゃることは承知しており、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農林水産業者、地方自治体関係者等に対してきめ細やかな対策を講じることにより、そうした不安や懸念にもしっかりと向き合ってまいります。
 こうした政策の中身については、この二年間、求めに応じて説明会を実施するなど、農業者や消費者、自治体関係者等の皆様に説明する努力を重ねるとともに、その声に耳を傾けてまいりました。今後とも、丁寧な説明を心掛け、一層の理解を得るよう努力してまいります。
 TPP11は米国の意向に合わせた協定ではないかとのお尋ねがありました。
 近年、世界で保護主義への懸念が高まる中、このアジア太平洋地域に自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げるとの意思を世界に示すことは、自由貿易を推進する観点から、画期的な意味があります。
 TPPは、我が国を含め十一か国全てがこうした思いを共有し、米国が離脱した中でも、TPP交渉で生まれたモメンタムを維持するべく、早期合意を目指し、物品市場アクセスの内容を含めた協定の内容自体の修正は行わず、米国が離脱したことに伴う一部ルールを凍結することによって策定した協定であります。
 このため、米国の意思に合わせて策定された協定との御指摘は当たらないと考えます。
 TPPの食の安全や医療、雇用、地域経済、農業への影響についてお尋ねがありました。
 TPPは、単に関税を下げるだけではなくて、幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールをつくり出すものであります。その結果として、最大のメリットは、消費者の皆さんが、域内の様々な良い商品をより安く、安心して手に入れることができるようになります。さらに、手間暇掛けて良いものをこしらえてきた我が国の雇用や地域経済を支える中小・小規模事業者、農家の皆さんに大きなチャンスが生まれます。
 TPPには、食の安全や国民皆保険、地域経済を脅かすようなルールは一切ありません。こうした点についても、引き続き丁寧に説明してまいります。
 同時に、政府として、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農業者や中小・小規模事業者の皆さんに対してきめ細やかな対策を講じ、それでもなお残る不安や懸念にもしっかり向き合っていく考えであります。
 農業の生産基盤についてお尋ねがありました。
 農業従事者の平均年齢が六十六歳を超えるなど、農業の生産基盤を含め、農業をめぐる状況が非常に厳しいことは私も認識しております。
 安倍内閣では、こうした状況を正面から受け止め、農業の活性化は待ったなしとの強い危機感の下、米の生産調整の見直し、農地集積バンクによる農地集積や輸出促進、若者の新規就農の支援など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。これにより、四十代以下の若手新規就農者は統計開始以来初めて三年連続で二万人を超えるなど、着実に成果が出始めています。
 さらに、TPPの影響についても、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、コスト低減や品質向上などの体質強化対策や、経営安定対策を充実させることで、引き続き国内の生産量が維持されると見込んでいます。
 安倍内閣としては、TPPを攻めの農林水産業に切り替えるチャンスと捉える若者が夢や希望を持てる農林水産新時代を構築していく決意であります。
 TPP11の我が国農業へのメリットと低関税輸入枠についてお尋ねがありました。
 TPPは、単に関税を下げるだけではなく、幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものであります。良いものが良いと評価される広大なマーケットが生まれ、品質の高いものをこしらえてきた我が国の農業者にとって大きなチャンスであります。
 その上で、協定の第六条では、米国を含めたTPPが発効する見込みがなくなった場合等には、締約国の要請に基づき協定の見直しを行うと規定しています。
 この点、米国からの輸入量も念頭にTPP12協定で合意された個別の関税割当て等について、我が国として第六条に規定する将来の見直しの対象と考えております。こうした我が国の考え方は、各国に明確に伝え、十分理解を得ていると考えています。
 米国も含め、将来の協議等について予断を持ってお答えすることは困難ですが、いずれにしても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 TPP11の影響試算についてお尋ねがありました。
 TPPについて、カナダやニュージーランドなど、各国でそれぞれ経済効果を分析、公表していることは承知していますが、前提や試算の根拠が明らかでないため、コメントすることは差し控えたいと考えています。
 TPPについては、我が国が交渉を主導することで、特に農業分野について、重要五品目を中心に、関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得することができました。
 それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止め、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、体質強化や経営安定など万全の対策を講じてまいります。
 今回の農業についての試算は、こうした点を十分に勘案して、過大でも過小でもなく、適切に評価した結果であると考えています。
 食の安全についてお尋ねがありました。
 食品安全に関する制度については、食品安全委員会のリスク評価を経ていない遺伝子組換え食品の輸入、販売等の禁止を始め、TPP協定によって一切変更を求められておりません。
 消費者の健康を守るため、国産品であれ輸入品であれ、安全性が確保されたものでなければ流通は許されない、これは食品行政上の大原則であり、今後もこの原則を堅持してまいります。
 TPP11の情報公開についてお尋ねがありました。
 TPPについては、協定の内容等に関する各種説明資料、分野別の中小企業向けの資料など、これまで四千ページ以上に及ぶ資料を情報を公開しております。
 交渉のやり取りを明らかにすることはお互いの信頼関係の下に控えるというのが、条約、協定交渉における一般的な考え方でありますが、可能な限り、一層の国民理解を得るため、積極的な情報提供と丁寧な説明を行うことにより、引き続き不断の努力を積み重ねてまいります。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(伊達忠一君) 清水貴之君。
   〔清水貴之君登壇、拍手〕
#32
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
 会派を代表して、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 TPP11については、アメリカの離脱があったものの、TPP11協定の署名に至ったことは、交渉を主導してきた日本政府の御尽力のたまものであると思います。
 TPP11には、経済成長が著しいアジア諸国が含まれる上、自由で公正な二十一世紀型の貿易ルールであることなどから、参加六か国以上の国内承認の手続が完了し、本条約が早期に発効されることが望まれます。
 しかし、一方、TPP、イラン核合意、パリ協定からの離脱を表明し、アメリカ第一主義を貫くトランプ大統領は、三月に追加関税を課した輸入鉄鋼、アルミニウムに引き続き、先週には、輸入自動車及び自動車部品に対する最大二五%の関税を課す可能性を発表しています。
 TPPが日米両国にとって最善と考えていると総理はおっしゃっていますが、自由と公正を担保するのはお互いが協議した約束を守ることが大前提であり、アメリカに合意を守らせるための強い政治力が必要だと思いますが、総理はその根拠をお持ちだと考えますでしょうか。
 また、アメリカ通商代表部、USTRから発表されている二〇一八年版スペシャル三〇一条報告書では、新たに医薬品市場アクセス障壁に関する項目が設けられ、アメリカのバイオ医療イノベーション企業の保護に向けて、日本、カナダ、コロンビアなどにスポットが当てられました。
 これに対して、米国研究製薬工業協会は、報告書を歓迎し、政府が、今後、不公平な手段を講じている一部の国々における公平な活動条件を求めていくだろうとの声明を出しています。
 こうした流れを見ますと、今後、日米経済対話の中でも、日本の薬価政策等について議題とされ、アメリカ側から強い要求が押し込まれることが懸念されます。
 今回の診療報酬改定では、海外製薬企業からの反発もありながら、薬価の引下げに踏み切りました。アメリカがこれまで強い姿勢を示してきた製薬分野において、日米経済対話及び日米二国間協定を通じて切り崩されていくおそれもある中、この薬価問題について、総理、政府としてどのような方針で臨まれるのでしょうか。
 次に、TPP11に伴う国内における規制緩和の推進について質問をいたします。
 自由貿易体制の拡大を掲げ、TPP11の実現に向けて日本が主導的役割を果たしてきていますが、対外的な姿勢とは裏腹に、国内における規制緩和がほとんど進んでいないことに大きな矛盾を感じます。TPPによる国内での経済成長をTPP対策と銘打った補助金政策で実現することは、TPPの自由競争の観点におけるメリットを根本から否定することになります。ガットのときは六兆円の予算を活用しながらも、経済効果という形では現れませんでした。同じことをやらずして経済の高い成果をつくり上げるというシナリオ、戦略があれば、総理の見解を是非お聞かせください。
 また、農業競争力強化をうたいながら、農地法改革や農協改革も進んでおらず、旧態依然とした農業保護政策や規制が数多く残されている環境では、外交的努力で海外販路を拡大というチャンスを生み出したとしても、十分に生かし切れないことが強く懸念されます。
 守りではなく攻めのTPPと総理はおっしゃいますが、五百兆円のGDPを持つ日本が国内経済を高めるTPP戦略というのは、農業の一兆円程度の輸出を意味するものでは不十分だと思います。GDP一〇%、五十兆円規模を見据えた日本経済の新たな成長を促すような戦略的な政策を取るべきだと考えますが、具体的な目標や政策があるのかどうか、総理、いかがでしょうか。
 また、TPP11が真に日本の農業を始めとした各産業の国際競争力強化につながるよう、更なる大胆な規制緩和が必要であると考えますが、特にTPP11に合わせて規制緩和すべき分野はどこなのか、総理の見解をお伺いします。
 次に、総合的なTPP等関連政策大綱について質問をいたします。
 この大綱は、TPP、日EU・EPAの発効を見据え、必要となる施策を目標とともにまとめたものでありますが、その内容については統一感がなく、一見良いことのようであると受け止められそうな項目がちりばめられているという印象です。
 例えば、TPP等を通じた地域経済の活性化の促進として、訪日外国人旅行者数や旅行消費額の増加を目標とした上で、地域に関する情報発信を行うというものがあります。しかし、既に、観光立国に向けた取組は、複数の省庁、関係機関等において関連事業が展開されていることからも、TPPによる地域産業への経済効果として位置付けられていることは、TPPによる経済効果を不自然に大きく見せようとしているように思えてなりません。
 TPP関連予算は、平成二十七年度補正予算以降、総合的なTPP等関連政策大綱を実現するため累計一・七兆円が計上されており、今後もTPPに関連するとの位置付けで予算が投入されていくことと思います。財政状況が逼迫する中、網羅的ではなく、真に経済効果の高い事業や取組だけに精査する必要があるのではないでしょうか。総理の考えをお聞かせください。
 平成三十一年度からTPP11が発効される可能性が高いですが、これらの対策事業についての検証をどのようなスケジュールで進めていくのでしょうか。また、これまで投入した予算累計額を上回る経済効果が出るのは何年先からになるとお考えでしょうか。茂木経済再生担当大臣にお伺いいたします。
 サービス産業の労働生産性の向上について質問します。
 革新的な技術の開発やイノベーションを生み出す環境を整備して、二〇二〇年にはサービス産業の労働生産性上昇率を二%にする目標を掲げています。しかし、TPPによって労働生産性を上げるというのはどういうことでしょうか。TPPは締約国との間の交易において自由貿易を促進するものと捉えていますが、労働生産性を向上させるには国内的な別の施策が必要であるはずです。
 TPPに伴い、どのような施策を実施してサービス産業の労働生産性を向上させるのでしょうか。総理にお伺いします。
 次に、知的財産関連について質問いたします。
 TPPを契機とした措置のうち、特許、商標関係の分野において、地域中小企業等の知財戦略の強化や、特許審査体制の整備強化を図ることとなっています。地域の中小企業が特許を取得したとしても、同業他社によってその特許が侵害された場合、中小企業は多くの場合、大企業のような特許に専門的に対応する組織を持っているわけではありません。裁判の場において相手が特許を侵害したことを証明することは容易ではなく、必ずしも特許があるからといって権利が守られるわけではありません。
 ですから、特許の取得を容易にするだけでは地方活性化をもたらすものではないと考えますが、中小企業の特許を地域経済の活性化につなげる上での更なる取組の必要性について、総理の見解を伺います。
 次に、チェックオフ制度について質問いたします。
 諸外国においては、品目ごとに生産者等から資金を徴収し、これを原資として生産者が主体となって販売促進活動を行うものですが、日本においてもTPP対策として導入が検討されているところです。
 新たな取組でもあることから、農林水産省において団体からの要望を踏まえて法制化に着手されることとなりますが、具体的な事業効果についての評価体制や、費用負担のスキームについての考え方について、齋藤農林水産大臣の見解をお伺いします。
 次に、収入保険制度についてお伺いします。
 収入保険制度とは、農産物の販売価格の下落や災害によって、ある年の収入が基準収入の九割を下回ったときに、下回った額の八割から九割を補填する仕組みとされています。
 天候要因だけではなく、市場価格が下落した場合にも対応可能なセーフティーネットという考え方もできますが、例えばある年の収入が減れば、それにつれて基準収入も下がり、補填後の収入も所得も下がるということになります。
 アメリカのように、生産費を基準にして基準価格を決定し、市場価格が基準価格を下回った場合には、基準価格と市場価格の差額を補填するといった仕組みの導入の必要性について、齋藤農林水産大臣はどのようにお考えでしょうか。
 また、生産者が安心して農業に従事できる環境整備のためにも、制度の更なる検討が必要と考えますが、併せて見解をお伺いいたします。
 私たち日本維新の会は、自由貿易の拡充を支持します。TPPが自由貿易の拡充に寄与するかどうかは、これから先、参加各国が自由貿易から得られる優位性をいかに維持するかに懸かっていると思います。国内農業への補助についても、単なる補助金にするのではなく、国際競争力を育て上げるものでなければなりません。
 その点を指摘した上で、私からの質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#33
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 清水貴之議員の質問にお答えをします。
 米国がTPPへ参加する場合に、その合意をどのようにして守らせるかについてお尋ねがありました。
 何よりも重要なことは、TPPに参加することでもたらされる大きなメリットを米国に十分に理解してもらうことであると考えます。米国のTPP11への輸出額は日本への輸出額の十倍であり、米国がTPPに入れば米国のマーケットは飛躍的に拡大するなど、我が国としては、TPPが日本だけでなく米国にとっても最善であると考えております。
 その上で、本年一月、TPP11の交渉が大詰めを迎え、現実味を帯びる中で、ダボス会議において、初めてトランプ大統領から米国がTPPに参加する可能性について言及があったところです。そうした意味で、TPP11の早期発効を目指すことが、TPPのメリットを具体的に示し、TPPが米国の経済や雇用にとってもプラスになるとの理解を深める大きな力になるものと考えております。
 米国との関係での薬価の取扱いについてお尋ねがありました。
 我が国としては、薬価制度は、すぐれて内政の問題であり、二国間交渉の対象とすることは受け入れられないとの立場であり、日米経済対話においても、その旨、米国に対して繰り返し説明してきています。
 御指摘のUSTRの報告書においては、我が国は優先監視国や監視国に指定されていません。
 いずれにせよ、我が国としては、薬価に関する事項を含め、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 TPPと成長戦略、更なる規制緩和についてのお尋ねがありました。
 規制改革は、これまでも、これからも、アベノミクス成長戦略の一丁目一番地であります。
 農業分野では、これまでも六十年ぶりの農協改革、農業委員会制度の改革、いわゆる減反の廃止、農地バンクを活用した農地集積など、様々な規制や仕組みの改革に大胆に取り組んでまいりました。その結果、四十代以下の若手新規就農者が、統計開始以来、初めて三年連続で二万人を超え、農林水産物、食品の輸出は五年連続で過去最高を更新するペースで伸び、生産農業所得も、過去二年で九千億円も伸び、直近で三兆八千億円になるなど、着実に成果が現れ始めています。
 今後、更に林業改革や水産業改革など農政全般にわたる抜本的な改革を引き続き推し進め、強い農林水産業をつくり上げてまいります。
 さらには、先般成立した規制のサンドボックス制度なども活用し、国際競争力のある革新的なビジネスの創出に向けて、あらゆる分野において規制改革を断行していく決意であります。
 こうした中で、TPP11による経済効果を最大化するため、規制改革のみならず、税制、予算など、あらゆる政策を総動員していく決意であり、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農業者や中小・小規模事業者の皆さんの経営安定対策、体質強化対策に万全を期してまいります。
 TPP11に関する項目ごとの戦略的な目標についてお尋ねがありました。
 TPPや日EU・EPAによる自由で公正なルールに基づく経済圏を世界に広げていくことで、良いものをこしらえている日本の企業にとって、輸出拡大と成長の大きなチャンスが生まれると考えています。
 その中で、中小企業の輸出額を二〇二〇年までに二十五兆円に拡大する、インフラ輸出については二〇二〇年までに三十兆円の受注を目指すなどの目標を掲げており、その実現のために総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、個別分野ごとに戦略的に国際競争力強化に取り組んでまいります。
 TPP関連予算の経済効果についてお尋ねがありました。
 TPP関連予算については、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、我が国の経済再生、中小企業や農林水産業の経営安定、体質強化の観点から、真に効果の高いものに限定して実施しています。
 その上で、政策目標をより効果的、効率的に実施するという観点から、今後とも、予算編成過程において、既存施策を含め不断の点検、見直しを行っていく考えであります。
 TPPに伴うサービス産業の労働生産性向上についてお尋ねがありました。
 自由で公正なルールに基づく経済圏が構築されることは、おもてなしの心に裏打ちされた我が国の良質なサービスが真っ当に評価され、新たな付加価値が生まれることを通じ、サービス産業の生産性向上につながる大きなチャンスだと考えます。
 こうした観点から、総合的なTPP等関連政策大綱においては、サービス産業の高付加価値化に係る取組を進めることとしており、昨年から運用を始めたおもてなし規格認証などによりサービスの質の見える化を推進するとともに、そうした制度の海外展開にも取り組んでまいります。
 TPPを契機として中小企業が知的財産を活用することによる地域経済活性化についてのお尋ねがありました。
 TPPは、自由で公正なルールに基づく経済圏を構築することにより、優れたオンリーワンの技術を持つ中小企業の皆さんに海外展開の大きなチャンスを生み出します。
 このため、政府は、海外展開を目指す中小企業の皆さんに対して、全国四十七都道府県に設置した知財総合支援窓口を通じて、外国出願する際の支援、知的財産を侵害された場合の対応支援、訴訟リスクへの対応支援など、きめ細やかな対策を講じることとしております。
 それぞれの地域経済を支える中小企業が持つ知的財産を世界の舞台で適切に管理、活用することを促すことで地域経済の活性化につながるよう、今後も全力で取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(茂木敏充君) 清水議員から、総合的なTPP等関連政策大綱の対象事業の検証スケジュールと、経済効果及びその時期について御質問がございました。
 大綱に盛り込んだ農林水産業の体質強化策などにつきましては、各省庁が予算措置を講じておりますが、予算編成の都度、内閣官房が各省庁の施策の実施状況について確認、検証を実施しております。引き続き、適時必要な検証等を行ってまいります。
 TPP11の経済効果につきましては、GDPの押し上げ効果が七・八兆円、四十六万人の雇用増と、大きな効果が見込まれております。これらの効果が実際に生ずる時期については一概に言えない、こういう面もあるわけでありますが、日本の工業品輸出額の約九割の関税はこのTPP11によりまして即時撤廃をされること、こういったことを考えますと、発効直後から大きな経済効果が見込まれると、このように期待をされております。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(齋藤健君) 清水議員の御質問にお答えいたします。
 チェックオフ制度についてのお尋ねがありました。
 チェックオフについては、平成二十八年十一月に決定されました農業競争力強化プログラムにおきまして、チェックオフの法制化を要望する業界においてスキームを決めて、一定程度、七五%以上同意が得られた場合に法制化に着手するとされているところであります。
 現在、これを受けて、養豚業界におきまして、昨年三月に、関係団体及び学識経験者で構成される養豚チェックオフ協議会が設立されました。この協議会で、具体的な事業効果についての評価体制や費用負担の考え方を含むスキームにつき検討が行われているところであり、今後、生産者の意見も踏まえて更なる検討が進んでいくものと承知しております。
 農林水産省といたしましては、養豚業界の検討が円滑に進むよう、引き続き情報提供や助言を行ってまいります。
 収入保険についてのお尋ねがありました。
 収入保険の基準収入につきましては、農業者が経営努力をしなくても毎年一定の補填が受けられるといったモラルハザードが生じないよう、農業者の過去五年間の平均収入を基本としています。ただし、経営規模を拡大したり新たな取組にチャレンジすることにより農業者の収入が増加傾向にある場合は、こうした努力を反映できる仕組みとなっています。
 収入保険は来年一月から導入することとなりますが、その実施状況を見ながら必要な見直しを検討することとしています。
 なお、規模拡大等により生産性の向上を図り、農業の成長産業化を目指すことが急務となっている我が国におきまして、生産費を常に補填するような仕組みを導入することについては、生産性向上に向けた意欲を阻害するおそれがあると考えています。
 以上です。(拍手)
#36
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 これにて休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時十一分開議
#37
○議長(伊達忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。外務大臣河野太郎君。
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(河野太郎君) ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、アメリカ合衆国が環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したことを受け、同国を除く同協定署名十一か国で同協定の内容を実現するための法的枠組みとしての協定の交渉を開始しました。その結果、平成三十年三月八日にチリのサンティアゴにおいて、十一か国の代表者によりこの協定の署名が行われた次第であります。
 この協定は、アジア太平洋地域において、物品及びサービスの貿易並びに投資の自由化及び円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等幅広い分野で新たなルールを構築するための環太平洋パートナーシップ協定の内容を実現するための法的枠組みについて定めるものであります。
 この協定の締結は、我が国の成長戦略に資するものであり、また世界的に保護主義的な風潮が広まる中で自由貿易の旗手である我が国から世界に向けた力強いメッセージとなり、アジア太平洋地域に二十一世紀型の貿易・投資ルールを広げていく上で大きな一歩となることが期待されます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#40
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田幸久君。
   〔藤田幸久君登壇、拍手〕
#41
○藤田幸久君 国民民主党・新緑風会の藤田幸久です。
 私は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求むる件について質問いたします。
 私は、いよいよ安倍晋三総理の終えんのときが到来したと感じております。歴史家は、安倍内閣を、国会審議と行政の基本である公文書を隠蔽、改ざんし、法治主義から人治主義、つまり身びいき主義へと政治手法を改悪し、解釈で憲法を変えるという禁じ手を行使して、民主主義と行政に対する国民の信頼を失ったという評価を下すと思います。
 この政治手法の原点が、自民党が政権に復帰した二〇一二年の総選挙でした。当時の自民党の公約は、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対でした。ある候補は、うそつかない、TPP断固反対というポスターで選挙を戦い、後に農水大臣に就任しました。安倍総理は、その数か月後にTPP加盟を決定しました。安倍内閣のうその始まりです。
 安倍総理の答弁に対する茨城新聞の投書があります。昔からうそは泥棒の始まりと言われ、うそをつく人は世間から相手にされなくなる、まして一国一城のあるじが国会でうそを並べては、教育上も決して良くない。これは国民多くの思いと思います。
 昨日、大阪地検は、佐川元財務省理財局長の不起訴を決定しました。検察までも政治にそんたくしているといった疑念を国民に与えないことを望みます。
 とはいえ、森友、加計問題は、国民にとっては余り直接的な被害者意識を持てない問題であるのに対し、今回の条約、いわゆるTPP11は、国民生活に大きな打撃を与える大問題です。
 その本質は、グローバル企業の一部の経営者だけがもうかり、賃金が下がり、失業が増え、国家主権が侵害され、食の安全が脅かされることです。この言葉は、二年前にアメリカ国民と全ての大統領候補がTPPに反対した理由でした。
 以下、質問します。
 TPP12からアメリカが脱退後、日本はTPP11を先頭に立って推進してきました。TPP11発効後、日本政府は、日米FTAなどによって米国からのより厳しい要件を受け入れることを想定してきたのではないですか。つまり、日本の農業などがTPP12以上の打撃を受けることは想定済みではないですか。河野外務大臣の答弁を求めます。
 八千ページに及ぶこの協定全体の内容は、保護主義と闘う自由貿易協定というよりも、投資家保護協定ではないですか。また、アメリカのハッチ上院議員が製薬会社から五億円の献金をもらい、ジェネリック医薬品を作れないように新薬のデータ保護の二十年延長を推進したと言われていることを御存じですか。まさにお友達への便宜供与です。河野大臣、併せてお答えください。
 国家戦略特区に象徴される規制改革が加計学園に便宜供与する国家の私物化と言われるのに対し、TPP型協定に象徴される自由貿易は、国境を越えたグローバル企業に便宜供与する世界の私物化ではないですか。答弁を求めます。
 国家よりも企業を優先するのがISDS条項です。TPP十一か国中七か国がISDSについて除外ないし慎重な立場を取っています。トランプ政権はISDSを否定する方向にかじを切ったと言われ、日欧EPAでは、EUはISDSを死んだものとさえ述べています。言わば死に体のISDSになぜ日本だけが固執するのでしょうか。答弁ください。
 こうしたグローバル企業の窓口役が規制改革推進会議ではありませんか。その対極とも言える共助・共生システムの共同体である生協、農協、漁協などを既得権益、岩盤規制と攻撃し、ドリルで壊して市場を奪って自らの既得権益にしようとするウォール街は、郵貯のマネーに続き、貯金、共済のJAマネーにも手を伸ばそうとしています。こうしたマネーゲームの動きが日本の国民を幸せにすると本当にお考えですか。外務大臣、お答えください。
 TPP12で米国市場へのアクセスとの引換えで受け入れていた条項を凍結したいという項目を各国が八十も挙げたのに対し、日本は何も提出しませんでした。つまり、アメリカの要求を全て受け入れるという意思表示ではないですか。外務大臣、お答えください。
 TPP12で、日本は、農産物の関税撤廃で過去最悪の約束を受け入れました。日本政府がTPP11で凍結要求をしなかったことで、オーストラリア、ニュージーランドなどは、米国分を含めて日本が譲歩した乳製品の輸入枠を全部使えることになり、国内農業は更に大きな打撃を被ると思われますが、大臣の認識を伺います。
 国益として乳製品関税を死守したカナダを見習うべきと思いますが、いかがですか。
 酪農はトリプルパンチと言われています。日欧EPAとTPP11の市場開放に加えて、改正畜安法、畜産経営の安定に関する法律によって、バター不足の理由とされた酪農協の弱体化が進められています。EUでは生乳生産者団体の組織化と販売契約の明確化による取引交渉力の強化が進められているのとは真逆の対応と思われますが、農水大臣の答弁を求めます。
 生乳生産の減少が加速しており、バター不足の解消どころか、牛乳が消える事態が生じることになるのではありませんか。農水大臣の現状認識と対策を求めます。
 消費者は、欧州産チーズが安くなると言っていると国産牛乳が飲めなくなる危機を認識すべきです。酪農版マルキンといった所得の下支え対策も必要と思われますが、答弁を求めます。
 グローバル企業に屈したのが種子法の廃止です。米や麦の優良な種を国と県が安く提供する種子法を廃止し、種の情報をグローバル種子企業に差し出すことにしたのです。これら企業は、払下げで手に入れた種をベースに遺伝子組換え種子にして特許化して独占するため、農家はそれを買い続けない限り米の生産が継続できなくなり、価格もつり上げられます。この重大な危機にどう対応するのか、答弁を求めます。
 製薬会社に有利な特許期間の延長の規定やバイオ医薬品の保護データ期間などの条項が凍結されたことは歓迎されますが、あくまでアメリカ復帰までの暫定措置にすぎません。長期的なジェネリック医薬品取得に向けた対策について、厚生労働大臣に伺います。
 日本の自動車産業の主要輸出国はアメリカです。しかし、そもそも既に二・五%という低い関税率で、十五年後に初めて関税を引き下げ、二十五年も掛けてゼロになるものです。アメリカ抜きのTPP11で、日本の自動車、半導体、鉄鋼等の主要輸出産業はどれほどの輸出増を見込んでいるのか、どの産業が何年後にどれ程度の恩恵を受けるのか、経産大臣は数値を示してお答えください。
 政府は、テレビなどで関税撤廃による消費者利益の大きさを強調する一方で、生産者の損失に関する政府試算を過小評価している印象を禁じ得ません。農水大臣の答弁を求めます。
 農産物輸出国は対日輸出の大幅増加を見込んでおり、政府試算の妥当性には大きな疑問があります。豚肉については、カナダだけで日本の生産減少見込額の二倍以上、牛肉についてもほぼ見込額に相当します。日本の国内生産の減少を政府試算の範囲内とすることは無理ではないですか。答弁を求めます。
 国民の命、健康、生活、雇用、食料を守ることが国政の最大の課題ではないでしょうか。とりわけ、どんなときにも安全、安心な食料や医療を安定的に国民に供給することです。世界が不安定な状況を増している今、国家安全保障の要として、国として農林水産業を支え、食料自給率を維持するのは、独立国家としての最低条件ではないでしょうか。農水大臣の答弁を求めます。
 私は根っこからの自由貿易論者でありますが、TPP11が、トランプ大統領などが指摘する、グローバル企業の一部の経営者だけがもうかり、賃金が下がり、失業が増え、国家主権が侵害され、食の安全が脅かされるものであるならば反対せざるを得ないことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(河野太郎君) TPP11発効後の国内農業への影響についてのお尋ねがありました。
 我が国としては、TPPが日米両国にとって最善と考えており、様々な機会を捉え、米側に対して説明してきました。その立場を踏まえ、引き続き米国との議論に臨んでまいります。
 我が国としては、引き続き自由貿易の旗頭として自由で公正なルールに基づく経済圏を世界に広げていく考えであり、いかなる国とも、農業分野を含め、国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 新薬のデータ保護期間及びTPP11協定の意義についてのお尋ねがありました。
 自由で公正な投資ルールを維持発展させていくことは、世界経済、ひいては日本経済全体の成長につながると考えます。こうした考え方の下、我が国は投資家の保護に関するルールを含む経済連携や投資協定を積極的に推進してきており、TPP11は投資家のみを保護するものとの御指摘は当たらないと考えます。
 また、医薬品のデータ保護期間については、交渉経緯を承知しているかを含めお答えすることは差し控えますが、TPP12協定においては、生物製剤とそれ以外の医薬品の保護期間について、それぞれ八年間及び五年間と規定されております。これは、新薬の開発の促進、新薬の安全性の確保、医薬品への迅速なアクセスのバランスの観点から、柔軟性のある適切な水準の規範であると考えております。
 さらに、自由貿易はグローバル企業のみを利するものではないかとの御指摘ですが、例えば、TPP協定では、中小企業章を設けるなど、中小企業及び地方産業のグローバルサプライチェーンへの参加を積極的に後押しする規定が導入されており、御指摘は当たらないと考えます。
 ISDSについてのお尋ねがありました。
 ISDS制度は、投資家にとって、海外の投資先の国におけるビジネスへのリスクを軽減できるツールであり、海外投資を行う日本企業を保護する上で有効な制度であると考えています。また、ISDS条項は、公共の福祉に係る正当な目的のために、必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げるものではありません。
 我が国としては、ISDS条項が有する意義を踏まえて、投資家の保護と国家の規制権限との適切なバランスの確保等に努めつつ、我が国が締結する投資関連協定にISDS条項が盛り込まれるように取り組んでいきます。その上で、ISDSへの懸念についても耳を傾けつつ、ISDS改革に関する議論にも建設的に貢献していく考えです。
 TPPと規制改革についてのお尋ねがありました。
 TPP11協定の投資章の規定は、投資受入れ国が正当な目的のために、必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げるものではなく、このことは投資章の複数の規定において確認されています。
 また、我が国は、TPP11協定等の投資関連協定において必要な例外規定を置くなど、国内法との整合性を確保しています。また、ISDS手続で仲裁廷が裁定で命じることができるのは損害賠償又は原状回復のみで、国内法の改正を求めることはできません。よって、TPP協定によって、我が国の生協、農協、漁協といった仕組みが影響を受けることは想定されません。
 日本が凍結項目を提出しなかったことについてのお尋ねがありました。
 我が国としては、今回凍結されることとなった二十二の項目全てを含め、TPP12協定全体について、幅広い分野において二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものであり、今後の経済連携協定のスタンダードになるものと考えています。このような考えに基づき、我が国から凍結提案は行いませんでした。
 このように、我が国がアメリカの要求を全て受け入れる意思表示をしたものではありません。
 TPP11協定における乳製品の関税割当て枠についてのお尋ねがありました。
 TPP11においては、元々のTPP12の特徴であるハイスタンダードを維持するという観点から、米国不在であっても協定の内容自体は維持した上で、ごく一部のルール分野の適用の停止のみを行うことで合意したものです。
 御質問の乳製品を含むいわゆるTPPワイドの関税割当てについては、カナダなど、我が国と同じ制度を持っている状況にある国が幾つかある中で、現時点では修正を行わず、発効後必要と判断した時点で、TPP11協定第六条に従い、見直しを行うということで合意したものです。
 政府としては、総合的なTPP等関連政策大綱を踏まえ、農家の皆さんの不安や懸念にもしっかり向き合い、十分な対策を講じてまいります。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(齋藤健君) 藤田議員の御質問にお答えをいたします。
 改正畜産経営安定法の趣旨及び生乳生産量の減少に対する現状認識と酪農対策についてのお尋ねがございました。
 近年、飲用牛乳需要が減少傾向にある一方で、乳製品の消費は今後も増加が見込まれておりまして、酪農家が消費者ニーズに応えて創意工夫を生かせる環境の整備が重要な課題であると考えております。
 こうしたことを踏まえまして、改正畜産経営安定法により、加工原料乳生産者補給金の交付対象を拡大し、指定生乳生産者団体が条件不利地域における集送乳を今後も安定的かつ確実に行う体制を整備したところでございます。
 また、近年、生乳生産量は減少傾向にあるものの、平成二十九年度の二歳未満の乳用牛の飼養頭数が前年に比べて増加するなど、生産基盤の回復の兆しが見え始めたところであります。
 農林水産省としては、この動きを確固たるものとし、農業者が安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、収益力、生産基盤の強化を進めるとともに、経営安定対策において、生クリーム等の液状乳製品を加工原料乳生産者補給金の対象に追加するなどの見直しを協定発効に先立って実施をしたところでございます。
 引き続き、農業者の不安や懸念にしっかり向き合い、新たな国際環境においても、消費者への牛乳、乳製品の安定供給が図られるよう、万全の対策を講じてまいります。
 種子法の廃止についてのお尋ねがございました。
 主要農作物種子法は、戦後、食糧増産のために制定され、全ての都道府県に種子生産の奨励を義務付けてきましたが、米の供給不足の解消や消費者ニーズの変化等を踏まえ、法律による義務付けを廃止し、民の力も活用して多様なニーズに応じた種子が供給されるよう措置したものです。
 また、一般に、大ロットで種子を販売する外資系企業は、小ロットで地域ごとの品種が必要な我が国種子市場にほとんど参入しておりません。そして、そもそも種子法には外資系企業の参入防止規定がなかったわけでありますので、種子法の廃止を機に外資系企業が種子供給を席巻することは想定されません。
 農林水産省としては、引き続き、良質な種子の安定供給のために必要な施策を責任を持って講じてまいります。
 TPP11の影響試算についてお尋ねがございました。
 TPP11の農林水産物の生産額への影響につきましては、まず、重要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、国家貿易の維持や長期の関税削減期間等も獲得したという合意内容を踏まえて定性的な影響分析を行いました。
 その上で、それでもなお残る農林水産業者の不安を受け止め、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき万全の対策を講じていくこととしております。
 その結果、関税削減等の影響で、価格低下によりまして約九百億円から千五百億円の生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や、経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量は維持されるものと見込んだところでございます。
 このように、TPP11の影響試算は様々な要素を考慮しながら個別品目ごとに試算を積み上げた結果であり、国内生産の減少額を意図的に過小評価しているということはございません。
 食料自給率についてのお尋ねがございました。
 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つであります。世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有している中で食料の安定供給を図るためには、食料自給率目標を掲げ、国内生産の増大を図ることが重要であると認識しています。
 他方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化の進行、耕作放棄地の増大など、大きな曲がり角に立っていると認識しております。
 このような中、我が国の農林水産業に活力を取り戻し、魅力ある成長産業にしていくためには、消費者ニーズに応えた付加価値の高い農産物の生産、販売や、成長著しい海外マーケットの開拓を進めるとともに、農林水産業の構造改革を進めていく必要があります。
 このため、安倍内閣においては、米政策改革や輸出促進、農地集積バンクの創設など、農政全般にわたる改革を精力的に進めるとともに、林業や水産業の改革にも着手いたしました。
 今後とも、農林水産業を産業として強くするための施策を積極的に進め、食料自給率の向上と食料安全保障の確立を図ってまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(加藤勝信君) 藤田幸久議員より、医薬品のデータ保護期間等とジェネリック医薬品についてお尋ねがありました。
 米国が参加していたTPP協定では、生物製剤に八年間以上のデータ保護を与える等の規定が設けられていましたが、TPP11では、この規定は凍結をされました。
 我が国の制度では、生物製剤を含む医薬品に実質八年間のデータ保護期間を付与しています。また、特許期間の延長規定についても、既に国内措置が講じられております。
 このため、仮に凍結が解除されたとしても、現行の国内制度を変更する必要はなく、現状と比較してジェネリック医薬品の承認が遅れることはありません。
 厚生労働省としては、引き続き、ジェネリック医薬品の品質確保、そして使用促進に努めてまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(茂木敏充君) 藤田議員にお答えをいたします。
 TPP11によります主要産業への効果とその時期についてお尋ねがありました。
 TPP11の経済効果については、GDP押し上げ効果が七・八兆円、四十六万人の雇用増と、大きな効果が見込まれております。この効果分析を行いました内閣府のGTAPモデルでは、個別の産業に与える影響については分析を行っておりませんが、TPP11協定では、工業製品輸出の九九・九%について関税が撤廃をされます。二〇一七年の我が国のTPP域内向けの工業製品輸出額は約九・四兆円であり、この輸出額に対して関税の撤廃効果が及ぶと考えられます。
 これらの効果が実際に生ずる時期については、一概に言えない面もありますが、日本の工業製品輸出額の約九割の関税が即時撤廃をされるなど、TPP11発効直後から大きな経済効果が見込まれると期待をいたしております。(拍手)
    ─────────────
#46
○議長(伊達忠一君) 小西洋之君。
   〔小西洋之君登壇、拍手〕
   〔発言する者あり〕
#47
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
 小西君、質問してください。
#48
○小西洋之君 立憲民主党・民友会の小西洋之です。
 会派を代表して質問いたします。
 冒頭、この議場にいらっしゃいます議運委員長と両筆頭に申し上げます。ただいま議場でありました極めて不適切な発言、立法府のシビリアンコントロールの意義を踏まえないような暴言について、議長の御指導の下、後ほど発言を精査し、しかるべき処分を行っていただくように求めます。
 質問に参ります。
 去る五月三十日の枝野代表との党首討論で、安倍総理は、昨年二月十七日の福島伸享議員に対する、私や妻が関係したということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるとの答弁について、その当時から、この関係とは贈収賄の関係に限定していたのだと強弁をしています。
 しかし、これは、一国の総理にあるまじき、ひきょう極まりない詭弁、虚偽答弁そのものであります。
 二月十七日の質疑は、福島議員は、昭恵夫人が名誉校長になっていることについて、この事実、総理は御存じでしょうかと質問し、さらに、安倍晋三記念小学校の名を利用した寄附金集めについて、こうした名目でお金を集めているということを総理は御存じでしたでしょうかと質問したのに対して、安倍総理は、それぞれについて、一切関わっていない、もし関わっていたのであるなら辞める、一切関係もない、関係したということになれば辞職すると繰り返し答弁しているのであります。
 要するに、名誉校長昭恵夫人、安倍晋三記念小学校という関係性の事実を御存じでしょうかと尋ねた福島議員に対し、安倍総理は、自分らは、この認可や払下げには一切関わっていない、関係もないと言い張っていただけなのであり、その文脈上も文理上も、贈収賄をしていないとの主張は全く入り込む余地はないのであります。
 菅長官に伺います。
 二月十七日の福島議員の会議録の中で、安倍総理が主張するように、これが贈収賄の関係に限定されていると論理的に読み取ることができる安倍総理の答弁箇所、あるいは福島議員の質問箇所は存在するのでしょうか。もし存在すると考えるのであれば、その会議録の箇所を読み上げ、お示しいただくことを求めます。
 さて、本TPPの審議の大前提として、立法府の存立を懸け追及すべきことは、安倍内閣は、国会の条約承認権を踏みにじり、そもそも条約提出を行う資格すらないという事実であります。
 安倍内閣が強行した集団的自衛権行使の解釈変更は、昭和四十七年政府見解という決裁文書の外国の武力攻撃という文言を同盟国に対する外国の武力攻撃と恣意的に読み替え、九条解釈の基本的な論理なるものを捏造した、法論理ですらない不正行為であり、これは決裁文書の解釈改ざんによる史上空前の憲法破壊であります。
 一方、この暴挙は、同時に、日米安保条約第三条に違反する暴挙なのであります。
 実は、安保条約三条には、日本はアメリカのため違憲である集団的自衛権を行使しなくてよいと、主権国家同士の国際約束が明記されているのです。すなわち、アメリカが上院決議により、全ての同盟国と締結している共通条項が、共通条項第三条が、日米安保三条だけは特別の文言変更がなされているのであります。このことは、安保改定当時の政府答弁において、集団的の能力という文言をそれぞれの能力と変更し、憲法上の規定に従うことを条件としてとの文言を付け加えるなど、日本による集団的自衛権行使を法的に免責した条文として作り込まれたことが明確に説明されているのであります。
 その証拠に、外務省ホームページの第三条の逐条解説では、集団的自衛権の行使を禁じている憲法の範囲のものに限られることを明確にするためと記載されていました。しかし、解釈変更以降に外務省はホームページの記述を改ざんし、集団的自衛権の行使を禁じているという文言を削除しているのであります。
 河野大臣に伺います。
 条約は、法的効力において法律に優位します。解釈変更と安保法制は、限定的なるものを含めあらゆる集団的自衛権行使は違憲であるとの九条解釈に基づき、そのことを徹底的に明文化した安保条約三条に違反する無効の暴挙であるとの認識はありますか。国際承認した条約を勝手に読み替え、条約違反の閣議決定や法案提出を行い、戦争行為を行えるようにした内閣なら、本協定を勝手に読み替えることなど平気で行うのではないでしょうか。
 なお、あったはずのものをなかったと言い張るこの間の一連の不正と異なり、解釈変更は、絶対にないものをあると言い張っている不正行為であり、安倍総理のみがどこまでも立証責任を負い、そして、その主張が虚偽であることは誰でも証明可能、理解可能であります。したがって、河野大臣が一政治家としての良心に基づく限り、四十七年見解の中に集団的自衛権行使を許容する法理が作成当時から存在するという安倍総理の主張は到底容認できないはずですが、大臣の見解を伺います。
 さて、この憲法、法の支配、立憲主義の破壊を契機として、森友、加計学園問題、自衛隊の日報隠蔽等々、安倍内閣による国民主権、議会政治の破壊が繰り広げられることとなりました。これらの、まさに、民主主義の破壊、すなわち安倍レジームとも言うべき惨状も本協定に深刻な問題を投げかけています。すなわち、本協定には、透明性、腐敗行為の防止と銘打った第二十六章が置かれ、その中では、何と、締約国に対して虚偽の文書を使用すること、書類を故意に廃棄することなどが明文で禁止されているのであります。
 河野大臣に伺います。
 TPP11の中で、近年において、国会から提出要求された文書を改ざんし、国会と国民を欺いた政府があるのでしょうか。また、国会で追及を受けた文書を故意に廃棄したような政府があるのでしょうか。さらに、その上で、安倍内閣の下で御意向やそんたくなどを強いられる公務員が、憲法九十八条に定める条約遵守義務に従い、虚偽文書の使用、文書廃棄などを二度と絶対に行わないとなぜ国際約束できるのでしょうか。条約担当大臣として誠実にお答えください。
 また、第二十六条・八条には、締約国は、腐敗行為と戦うため、自国の公務員について、特に誠実性、廉直性及び責任感を高めるようにすべきであるという、安倍総理や麻生大臣らの言動を踏まえたとき、当惑と絶望を禁じ得ないような規定があります。
 菅長官に伺います。
 廉直性とは心が清らかで私欲がなく正直なことという意味ですが、公務員たる安倍総理ら閣僚にこうした倫理、道徳規範まで求められるのであれば、安倍内閣は、TPP加盟のため内閣総辞職以外に道はないのではないでしょうか。
 また、安倍総理はうみを出し切る決意を繰り返し述べていますが、私がかつて勤めた霞が関には、国会を欺く捏造、改ざん、隠蔽、廃棄、詭弁、虚偽答弁といった恐るべきうみは一切ありませんでした。安倍総理の言ううみは、いつからたまっていったのでしょうか。まさに、戦後、第二次安倍内閣以降に初めてこれらの不正のうみが生まれ、安倍レジームが増殖されているのではないですか。そうだとすると、これら行政を腐敗させる元凶は一体誰なのでしょうか。まさに、最高権力者の安倍総理そのものが、各方面からの指摘にあるように、不正のうみの生みの親であり、民主主義の破壊、すなわち安倍レジームからの脱却こそが、日本政治、日本社会の最大の課題なのではないでしょうか。菅長官の見解を求めます。
 さて、他の条項についても重大な懸念を禁じ得ず、以下質問します。
 牛肉のセーフガード発動基準や乳製品の関税割当て枠について、政府は凍結の主張を一切行っていません。しかし、アメリカの参加を前提に設けられたこれらの数量は、当然削減すべきではないでしょうか。さらに、政府は、これらの数量基準の見直しについて、各国に文書による確認をしていません。口約束だけで済ませたのは意図的な国益放棄ではないでしょうか。
 また、トランプ政権は、投資紛争についてISDSではなく国内法廷を使う意向との指摘があり、EUに至っては、ISDSは死んだとまで主張しています。アメリカに追従し、ISDSを必要不可欠と言い続けた我が国は、北朝鮮問題と同様、はしごを外されているのではないでしょうか。加えて、こうした安倍外交のおはこになりつつあるはしご外しの危険を踏まえると、アメリカ第一主義の下に日米FTAを強要された際には、TPP協定が自由化の上限どころかアメリカの要求の最低ラインになるおそれはないのでしょうか。
 最後に、政府は、農林水産業への打撃などの懸念に対し、総合的なTPP等関連政策大綱を策定し、万全の対策を講じていると繰り返し豪語しています。しかし、この大綱は僅か十七ページ、農業などの悪影響への数値評価は全くなく、輸出促進、産業競争力強化は既存の政策を束ね合わせたものがほとんどで、新規施策は数えるほどしかありません。各政策分野の数値目標も既存の成長戦略の引き写しであり、政策実現の工程表など、PDCAサイクルも全く措置されていません。
 これのどこが、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国民の不安を払拭するものなんでしょうか。攻めることも守ることもできず、国民と国益を犠牲にした無能で無責任な失政というべきものではないでしょうか。茂木大臣より明確な答弁を求めます。
 以上、政権打倒、民主主義の破壊である安倍レジームからの脱却、真の通商産業政策の実現の決意を訴え、私からの代表質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(河野太郎君) 平和安全法制と日米安保条約第三条についてお尋ねがありました。
 日米安保条約第三条は、「憲法上の規定に従うことを条件として、」との文言から明らかなとおり、特定の憲法解釈に立ち入った規定ではなく、我が国自身が行う憲法解釈の下で実施されるものです。
 平和安全法制は、新三要件を満たす場合には、従来の政府見解の基本的な論理に基づく必要最小限の自衛のための措置として武力の行使が憲法上許容されるとの判断に至ったものであることから、日米安保条約に違反するとの御指摘は当たりません。
 TPP11の影響及び条約提出についてのお尋ねがありました。
 TPPは、単に関税を下げるだけでなく、幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものです。その結果として、消費者の皆さんが域内の様々な良い商品をより安く安心して手に入れることができるようになります。さらに、手間暇掛けて良いものをこしらえてきた我が国の中小・小規模事業者、農家の皆さんに大きなチャンスが生まれます。
 同時に、政府としては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農業者や中小・小規模事業者の皆さんに対してきめ細やかな対策を講じ、それでもなお残る不安や懸念にもしっかり向き合っていきます。
 よって、国民や国内産業に大打撃を与えるとの御懸念は当たらないと考えます。
 政府としては、こうした協定の意義を踏まえ、我が国が率先して国内手続を終えることでTPP11の早期発効を目指していきたいと考え、条約を提出しており、引き続き丁寧に説明をしてまいります。
 昭和四十七年政府見解についてのお尋ねがありました。
 平成二十六年七月の閣議決定にて政府が示した憲法解釈は、我が国を取り巻く安全保障環境が客観的に大きく変化しているという現実を踏まえ、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留意し、昭和四十七年政府見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な結論を導いたものであります。
 このように、限定的な集団的自衛権の行使について、昭和四十七年政府見解の基本的論理が維持されている旨を政府としてこれまで丁寧に説明してきています。
 TPP11協定参加国における文書管理についてのお尋ねがありました。
 ほかのTPP11協定参加国の文書管理や情報公開等の状況について申し上げる立場にはありませんが、他国との信頼関係や外交上の影響を考慮した上で、各国の関係法令に従って適切に対応しているものと考えます。
 なお、交渉記録を含む公文書の管理について、公文書管理法にのっとり適切に管理を行っており、引き続き適切な管理を行うよう指導してまいります。
 また、情報の開示については、外交交渉である以上おのずと制約があることは御理解いただいた上で、TPP11協定の交渉の経緯や結果について、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。
 憲法九十八条の条約を誠実に遵守する義務及び文書管理についてのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、憲法第九十八条は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と規定しており、TPPについても、我が国として誠実に遵守してまいります。
 TPP協定第二十六章七条五においては、文書管理に関し、自国の法令に従い、虚偽の書類を使用すること及び法令に定める日前に帳簿書類を故意に廃棄すること等を禁止するために必要な措置を採用し、又は維持することが規定されております。
 これは、TPP上の義務であることはもとより、政府として、公文書管理法にのっとり、公文書を適切に作成、管理していくことは当然の義務と考えております。
 いずれにせよ、政府の諸活動や歴史的事実の記録である公文書が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であり、公文書を扱う者の立場は極めて重いことを改めて肝に銘じつつ、外務省において、引き続き適切な作成、管理を行うよう指導してまいります。
 ISDSについてのお尋ねがありました。
 ISDS制度は、投資家にとって海外の投資先の国におけるビジネスへのリスクを軽減できるツールであり、海外投資を行う日本企業を保護する上で有効な制度と考えています。ISDS条項は、公共の福祉に係る正当な目的のため、必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げるものではありません。
 今後とも、我が国としては、ISDS条項が有する意義を踏まえて、投資家の保護と国家の規制権限との適切なバランスの確保等に努めつつ、我が国が締結する投資関連協定にISDS条項が盛り込まれるように取り組んでいきます。その上で、ISDSへの懸念についても耳を傾けつつ、ISDS改革に関する議論にも建設的に貢献していく考えです。
 TPP協定の内容が米国の要求の最低ラインになるのではないかとのお尋ねがありました。
 米側は二国間ディールに関心を有していると承知していますが、我が国としては、TPPが日米両国にとって最善と考えており、その立場を踏まえ、引き続き議論に臨んでまいります。
 他国の通商政策についてコメントする立場にはありませんが、いずれにしても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(菅義偉君) 総理の国会答弁についてお尋ねがありました。
 昨年二月十七日、質疑の中で、福島議員から、脱法的な疑いがある、土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況もおかしいとの旨の発言があり、総理は答弁されました。
 この答弁については、その後、総理は一貫して、問題の本質は、国有地が不正に安く払い下げられ、そこに政治の関与があったのではないか、学校の認可に政治的な関与があったのでないかとの点にある旨を述べた上で、政治家等に籠池氏側から依頼があって、例えばそこに何かお金が流れ、言わば籠池氏側が様々な便宜を図る中において政治の側がそれに応えたのではないかという意味において、総理も総理夫人も事務所も一切関わっていないとの趣旨を説明されてきたものと承知をいたしております。
 協定第二十六条に関するお尋ねがありました。
 TPP協定については、貿易及び投資に影響を及ぼす事項における腐敗行為を防止する観点から、条約締結国は、自国の法制の基本原則に従い、必要な措置を講ずるように努めるとされております。
 政府としては、国家公務員倫理規程や国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範の制定、運用を含め、腐敗行為の防止のため様々な取組を行い、公務員の誠実性、廉直性及び責任感の向上に努めてきたところです。
 引き続き、これらの取組をしっかり進めつつ、協定の適切な実施に努めることが重要であると考え、内閣総辞職をするべきであるとは考えておりません。
 行政をめぐる一連の問題と安倍政権の課題についてお尋ねがありました。
 安倍政権としては、行政をめぐる一連の問題について国民から厳しい目が向けられていることを真摯に受け止め、どこに問題があったのかを徹底的に解明の上、丁寧に説明責任を果たし、二度とこうしたことが起こらないよう再発防止を図ってまいります。
 あわせて、国民生活にとって極めて重要な経済の再生や北朝鮮問題への対応など、内外の諸課題に全力で取り組み、国民の皆さんの信頼を回復できるように努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(茂木敏充君) 小西議員にお答えをいたします。
 まず、牛肉のセーフガード発動基準や乳製品の関税割当て枠数量についてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、TPPのハイスタンダードを維持するという観点などから、米国がいないことを踏まえた協定内容の修正は行わず、知的財産関連などごく一部のルールのみを凍結するということで合意をしたものであります。
 十一か国としては、米国のTPP復帰を促すという立場から、我が国と同様の制度を持つ国も含めて、現時点で修正を行わず、発効後、必要とされる時点で見直しをすることが望ましいと判断をしたものであります。
 具体的には、協定第六条において、「TPPの効力発生が差し迫っている場合又はTPPが効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に応じ、この協定の改正及び関係する事項を検討するため、この協定の運用を見直す。」旨を規定しているところであります。
 そして、第六条に基づく見直し規定についてでありますが、TPPワイド枠等に関する懸念に対しては、第六条に規定されていることだけではなくて、見直しの必要性が生じた場合に修正を行うことについて各国の理解が得られていると考えております。
 米国の復帰が見込まれなくなった場合には、各国としても見直しが必要な項目があると承知をしており、各国から個別にもそのような意向を聞いております。もちろん、我が国の意向も各国にしっかりと説明をしており、各国が、我が国が修正を行うことに理解を示したものであります。
 TPP11の交渉を通じて、各国との間では様々な利害関係を日本が主導して調整をし、強固な信頼関係を構築することができました。この信頼に基づいた理解であるので、修正が必要な場合には、修正を行うことについて各国が反対することはないものと理解をいたしております。
 次に、総合的なTPP等関連政策大綱についてお尋ねがありました。
 大綱には、新輸出大国コンソーシアムなど中小企業の海外展開支援や、農林水産業の体質強化策など、必要な施策を盛り込んでおります。また、農林水産業の体質強化策として三回の補正予算で合計一兆円近くの予算措置を講じるなど、大綱に盛り込んだ施策の具体化、実現を図ってきております。
 PDCAにつきましては、大綱にも盛り込んだ施策のフォローアップを平成二十九年一月に行い、十一月にも改めてフォローアップし、その結果を踏まえて大綱の改定を行ったところであります。
 引き続き、総合的なTPP等関連政策大綱に盛り込んだ施策につきまして、適時必要なフォローアップ、そして見直しを行ってまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#52
○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕
#53
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 会派を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定について質問します。
 TPPは、多国籍企業の国境を越えた利益拡大のために、国の経済主権をないがしろにして、関税、非関税障壁を撤廃する協定であり、国内の産業への打撃と広範な国民の暮らしへの計り知れない影響が懸念されるものです。
 まず、外務大臣にお聞きします。
 一昨年秋の臨時国会での審議でも、多くの国民からも、重要項目を除外するとした国会決議に違反し、農業とその関連産業に及ぼす壊滅的な影響、ISDS条項による主権侵害、食の安全を始めとする国民の命と暮らし、健康を脅かすこと、国内産業の空洞化など、深刻な問題点を危惧する声が上がりました。
 ところが、安倍内閣は、この懸念にどれ一つとしてまともに応えることはなく、アメリカの離脱方針表明により発効の見込みもない下で、協定の国会承認の議決を強行する暴挙を行いました。
 政府は、今回のTPP11はTPPの一部の条項が凍結されたと言います。しかし、条文と譲許表などをそのまま組み込むものであり、国会審議で指摘されたTPP協定の抱える本質的な問題は全く変わっていないのではありませんか。
 私は、一昨年秋の本会議で安倍総理に対して、一旦離脱を決めた後、アメリカはどう対応するか、二国間のFTAを日本に求めてくるか、アメリカに更に有利になるように再交渉を求めてくることになるとただしました。この危惧がいよいよ現実になろうとしています。
 トランプ政権のロス商務長官は、五月一日、アメリカCNBCテレビとのインタビューで、TPPを欠陥協定だと述べ、トランプ大統領はTPP離脱によりアジアから離れたのではなく、欠陥のある協定から離脱したと述べました。
 政府は、米国の復帰を待つとし、TPP11の締結がそのために役立つかのように言います。しかし、トランプ大統領がTPP離脱を撤回してそのまま復帰する可能性がどこにあると考えているのですか。具体的な論拠を示していただきたい。
 米商務長官の発言を見れば、より米国の利益になる再交渉や新協定を求めるのは明らかではありませんか。
 TPP11は、日本が国際的に約束した市場開放や規制緩和の到達点であり、防波堤どころか、米国からはより大幅な譲歩を求める出発点となるのではないですか、お答えください。
 ライトハイザー米通商代表は、三月二十一日、米下院歳入委員会公聴会で証言に立ち、日本に対して、適切な時期に二国間FTAを結びたいとの要望を伝えたとし、日本はTPP11を締結させる過程にあるが、米国が日本とより緊密な経済関係を持つことが米国の利益であり日本の利益であると考えていることについて、日本は非常によく分かっていると発言しました。
 そして、TPP参加国への輸出拡大についてトランプ政権の方策を問われたのに対し、米国と二国間FTAを締結していない五か国に関して、群を抜いて最も重要なのが日本だ、日本と協定を結べば、本質的に問題は解決すると述べました。
 この発言は、トランプ政権にとって輸出拡大の最大の狙いが日本市場であることを示しているのではありませんか。認識を伺います。
 また、この発言のように、米国がFTA協議を求めてきた事実はありますか。今後、協議に応じるのですか。米国の更なる要求に道を開く協議は行うべきではありません。明確な答弁を求めます。
 米通商代表部が二月に提出した年次報告書は、国家安全保障に資する通商政策を五つの柱の冒頭に掲げました。実際、トランプ政権は、三月、鉄鋼、アルミの輸入が米国の安全保障を切り崩しているとして一方的に関税を課し、さらに五月には、自動車の輸入関税引上げの検討に入りました。いずれもその対象には日本も含まれています。
 安倍総理は、大統領の就任以前から訪米するなど、幾度もトランプ氏と会談し、首脳間の信頼関係を築いてきたとされていました。その相手からいきなり制裁を言われる事態に、経済界のみならず、国民の多くが驚きました。こうした事態が生まれる関係を果たして信頼関係と呼ぶのですか。
 安倍政権は、日米同盟の強化を推進してきました。にもかかわらず、米国の安全保障上の一方的な措置の検討対象となっている事実をどう認識しているのですか。日本の立場を説明して米国に理解を得たいとしてきましたが、現時点で制裁対象としないとの確約を得ることはできたのですか、お答えください。
 米通商代表は、さきに述べた公聴会において、一方的な制裁の根拠である通商法について、我々はWTOでの訴訟において我が国の通商法を積極的に擁護すると述べて、制裁の構えを崩していません。これこそが米国ファーストの立場そのものではないですか。その認識はありますか。
 WTOのルールと貿易制裁について日米で見解の違いがあるのか。以上、外務大臣、お答えください。
 四月に行われた日米首脳会談では、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始することが合意されました。
 日米間の経済協議の枠組みとして日米経済対話が既に存在するにもかかわらず、なぜ新たな協議を行うこととしたのですか。米通商代表部の年次報告書に挙げられた項目も協議の対象になるのではないですか。協議の目的、対象を具体的に説明されたい。米国からすれば、二国間FTAを持ちかけるための協議体になるのではないですか。茂木大臣に答弁を求めます。
 さらに、首脳会談では、安倍総理の側から、厳しい安全保障環境に対応するため、今後とも、米国装備品を含め、高性能な装備品を導入することが我が国の防衛力強化のために重要であることを伝え、トランプ大統領がこれを歓迎したとされます。首脳会談で日本側から米国製武器の積極的な購入を表明したのは初めてではありませんか。
 安倍政権の下で、軍事費は過去最高を更新し続けていますが、中でも、米国からの武器購入の調達額は既に大きく膨れ上がっています。FMS調達額は十年前の約六倍の四千百二億円に達し、中央調達の額の年度別調達先ランキングでは、二〇一五年度以降連続してトップに立つのは、三菱重工でも川崎重工でもなく、米国政府となっています。
 トランプ政権は、軍事産業強化を推進しています。昨年の本会議で総理は、米国製武器の購入は米国の経済や雇用にも貢献すると述べました。なぜ米国の軍需産業の利益増大に力を入れるのですか。
 これらは地域での緊張を高め、周辺国との軍拡競争にもつながるものであり、憲法の平和原則にも反するものです。米国製武器の巨額の購入と軍事費増大は中止すべきです。防衛大臣の見解を求めます。
 政府は、TPP11は、保護主義を防止し、自由貿易を守る成長戦略の柱だと言います。しかし、多国籍企業の国境を越えた利益のためのルールの拡大は、一握りの大企業のもうけの一方で、各国で国民の貧困と格差を拡大するものです。
 今求められていることは、グローバル化の下で多国籍企業の利益優先により現に引き起こされている格差や不平等を解消し、各国の食料主権、経済主権を尊重した平等互恵の経済関係を発展する道に進むことではありませんか。
 外務大臣の見解を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#54
○国務大臣(河野太郎君) TPP協定の問題点についてのお尋ねがありました。
 TPP協定については、合計百三十時間以上に及ぶ国会審議や三百回以上に及ぶ説明会を通じ、その意義について説明するとともに、国民の皆様から寄せられる不安の声にも丁寧に応えてきました。
 その中でも説明してきたとおり、農産品については、関税撤廃の例外を確保するとともに、重要五品目を中心に、国家貿易制度の堅持やセーフガード等の有効な措置をしっかりと獲得しており、国益にかなう最善の交渉結果が得られたと考えております。加えて、総合的なTPP等関連政策大綱の実施など、引き続き万全の措置を講じていく考えです。こうした交渉結果は、国会決議の趣旨に沿っているものと考えております。
 ISDS条項を含むTPP協定の投資章の規定は、公共の福祉に係る正当な目的のために、必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げるものではありません。また、我が国は、TPPを含む投資関連協定の締結に当たっては、必要な例外規定を置くことなどにより、国内法との整合性をしっかり図っています。
 また、TPPでは、中小企業章を設けるなど、中小企業及び地方産業が国内にいながらのグローバルサプライチェーンへの参加を積極的に後押しする規定が導入されており、産業の空洞化を招くとの御指摘は当たらないと考えます。
 政府としては、こうした点を引き続き丁寧に説明していく考えです。
 米国のTPPへの復帰についてのお尋ねがありました。
 TPPは、日米がリードして、世界に二十一世紀型の経済秩序をつくり上げるという観点から、米国と共に十二か国で推進してきたものです。米国にとってTPPは、経済的、戦略的重要性を有しており、米国の経済や雇用にとってもプラスになるものと考えます。
 また、米国のTPP離脱以降、様々な機会に米国に対してTPPへの復帰を働きかけてきた結果、トランプ大統領も、より良い合意内容ができるのであればTPPに参加する可能性がある旨述べるに至っています。
 これらを踏まえて、米国に対しては、TPPが米国の経済や雇用にとってもプラスになるものであることを引き続き訴えてまいります。
 より米国の利益になる再交渉や新協定を求めるのではないか、また、TPP協定の内容が米国の要求の出発点になるのではないかとのお尋ねがありました。
 米国が二国間ディールに関心を有していると承知していますが、我が国としては、TPPが日米両国にとって最善と考えており、その立場を踏まえ、引き続き議論に臨んでまいります。
 他国の通商政策についてコメントする立場にありませんが、いずれにしても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
 ライトハイザー米国通商代表の発言及び二国間FTAについてのお尋ねがありました。
 ライトハイザー米国通商代表の発言の意味するところについてコメントする立場にはありません。
 米国から我が国に対しては、日米経済対話の議論の中で、二国間FTAに関する米側の考え方が示されています。他方、我が国としてはTPPが日米両国にとって最善と考えており、様々な機会を捉え、米側に対して説明してきました。その立場を踏まえ、引き続き米国との議論に臨んでまいります。
 なお、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議は、日米FTA交渉と位置付けられるものではなく、その予備協議でもないことを明確にしておきます。
 日米首脳間の信頼関係、米国による鉄鋼、アルミニウムに関する措置及び自動車等に対する調査に関するお尋ねがありました。
 トランプ大統領就任以降、約三十回にも及ぶ日米首脳会談を通じて構築された安倍総理とトランプ大統領の強固な信頼関係の下、日米同盟はかつてないほど盤石です。
 鉄鋼、アルミニウムに関する広範な貿易制限措置は、世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものであり、極めて遺憾です。
 我が国としては、この立場に立って、除外を獲得すべく、引き続き米国に粘り強く働きかけていきたいと思います。
 また、自動車及び自動車部品の輸入に関する調査については、具体的な措置が決定されたものでなく、現時点において予断を持ってコメントすることは差し控えます。
 米国の米国第一主義とWTOルールと貿易制裁に関する日米の認識についてお尋ねがありました。
 ライトハイザー米国通商代表の発言の意味するところについては、政府としてコメントする立場にありません。
 その上で申し上げれば、今般の米国の鉄鋼、アルミニウムに関する追加関税の賦課は、米国がWTO協定上約束している譲許税率を超える税率の関税を賦課するものであり、関税及び貿易に関する一般協定第二条との整合性に懸念がある措置と考えています。
 また、自動車及び自動車部品の輸入に関する調査については、具体的な措置が決定されたものでなく、現時点において予断を持ってコメントすることは差し控えます。
 TPPと多国籍企業についてのお尋ねがありました。
 自由貿易の利益を社会全体に及ぼすためには、大企業のみならず、中小企業、農業者、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものにしなければなりません。
 自由で公正な貿易圏をつくるTPPは、知的財産保護、労働・環境規制、国有企業の競争条件の規律など、幅広いルールを定め、頑張った人が報われる公正な競争環境を整えるもので、まさにこれを実現するものです。
 TPPを含め、グローバル化の中での自由貿易に対しては、多国籍企業のみを利するとの誤解がありますが、TPPの新しいルールによって大きな恩恵を受けるのは、これまで様々なリスクを懸念して海外展開に踏み切れなかった地方の中堅・中小企業や農業者です。よって、TPPが多国籍企業の利益を優先するものとは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#55
○国務大臣(茂木敏充君) 井上議員にお答えをいたします。
 自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議についてお尋ねがありました。
 四月の日米首脳会談で合意した自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、いわゆるFFRでありますが、これは、日米双方の利益となるように日米間の貿易や投資を更に拡大させ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域を実現することを目的に行われるものであります。
 一方、日米経済対話につきましては三点、一つは、貿易及び投資のルールと課題に関する共通戦略、二つ目に経済及び構造政策分野での協力、三つ目に分野別の協力、こういった三つの柱について議論をしておりまして、FFRよりも広範囲のテーマを対象といたしております。
 FFRにつきましては、私とライトハイザー通商代表との間で協議を行いますが、これを麻生副総理とペンス副大統領の下で行われている日米経済対話に報告する、こういった枠組みといたしております。
 次に、協議の対象について、米通商代表部の年次報告書の項目が含まれるのかとのお尋ねがありましたが、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、まさにこれから始まるところでありまして、具体的な議論の対象については日米双方で今後調整していく、このように考えております。
 次に、協議の目的、対象についてでありますが、四月の日米首脳会談で合意したFFRは、日米双方の利益となるように日米間の貿易や投資を更に拡大させ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域を実現するための方策について議論するものであります。そして、この協議を通じて、日米両国が日米経済関係及びアジア太平洋地域の発展にいかに協力すべきか、建設的な議論を行っていきたいと考えております。
 FFRの基本的な目的、そして大枠での議論の方向はこのような形でありますが、まさに協議、これからでありまして、具体的な議論の対象は今後米側と調整をしてまいります。
 最後に、二国間FTAについてもお尋ねがございました。
 我々として、二国間FTAは念頭に置いておりません。この点につきましては、日米首脳会談でも米側に強調をしたところであります。本協議は、日米FTA交渉と位置付けられるものではなく、その予備交渉でもありません。日米二国間の協議イコール二国間の協定というわけではなくて、双方の利益となるような様々な成果が考えられると思っております。
 いずれにしても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはございません。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#56
○国務大臣(菅義偉君) 米国製装備品の購入についてお尋ねがありました。
 四月の日米首脳会談における安倍総理の発言は、我が国の防衛力を強化する上で高性能の装備品の導入が重要であるという我が国の従来からの考え方を述べたものであります。米国製装備品の積極的な購入を表明したとの御指摘は当たりません。
 昨年の本会議における安倍総理の答弁は、安全保障と経済の問題は別物であることを前提とした上で、我が国における米国製装備品の購入が、結果として米国の経済や雇用にも貢献するとの見方もあることを述べたものであります。政府として、米国の利益のため米国製装備品の購入に力を入れるという事実はありません。
 国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の重大な責務であります。そのための防衛力確保は憲法の平和主義に反するものではありません。今後とも、中期防衛力整備計画に基づき、米国製を含め、我が国の防衛に不可欠な装備品を計画的に取得する必要があると考えています。(拍手)
    ─────────────
#57
○議長(伊達忠一君) 浅田均君。
   〔浅田均君登壇、拍手〕
#58
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
 私は、我が党を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について承認を求めるの件について質問いたします。
 この多国間協定TPP11は、経済成長が著しいシンガポール、ベトナム、マレーシア等アジア諸国を含むこと、そして何よりも、自由で公正な二十一世紀型の貿易ルールを明確にした条約であることなどから、参加六か国以上が国内承認の手続を完了させ、早期に発効されることが望まれます。外需を取り込むTPP11の発効は、日本経済の活性化、そして消費者の利益につながるものと大いに期待されます。
 しかしながら、このTPP11には二つの大きな問題点があります。一つはアメリカの不参加、もう一つは二十二の凍結項目を設定したことです。
 アメリカをどのようにしてTPPに復帰、加盟させるのかは大きな課題です。外務大臣に伺います。TPP11のうち七か国は東アジア地域包括協定、RCEPのメンバーでもあります。中国、韓国を含むRCEP十六か国の交渉をまとめ上げることがアメリカのTPP復帰を促す有効な方法であると考えますが、河野外務大臣のお考えをお聞かせください。
 また、日欧EPAが七月にも署名の見通しと報道されておりますが、日欧EPAと東アジア地域包括協定、RCEPでは、TPP11で凍結された二十二項目はどのような扱いになっているのでしょうか、河野外務大臣にお尋ねいたします。
 次に、凍結項目二十二のうち、一点、著作権等の保護期間について質問します。
 現在、アメリカの議会では、録音についての著作権を百四十四年に延長する法案が審議されていると聞いております。アメリカは知的財産が多いので、知財保護を強化する方が有利になることが多く、ある意味自然な流れであります。ところで、我が国の著作権法では残存期間は七十年になりましたが、法律が効力を持つのはTPPの発効日以降とされているので、現在でも五十年のままであります。FTAであれTPPであれ、将来のアメリカとの交渉カードという意味で著作権は五十年にしておくべきではなかったのかと思いますが……(発言する者あり)ありがとうございます、茂木経済再生担当大臣はどのように理解されているのか、御説明ください。
 戦後の貿易体制を支えたガットが世界貿易機関、WTOとして発展的に改編され、世界は自由貿易の拡大に向かって進み始めたかに見えました。ところが、昨年度、貿易額世界第一位の中国が自由貿易の拡大に積極的ではなく、自国に有利な貿易ルールを実施することによって、自由貿易の拡大は停滞しております。今回、TPP11を発効させ、参加国で決めた自由貿易のルールを守ることにより参加各国に利益がもたらされることを示すことがこれからの国際社会にとって必要であり、その点がTPP11の持つもう一つの意味であると考えますが、今後のTPP11をどのように活用していくのでしょうか。その方向性について、河野外務大臣、お答えください。
 アメリカとの関係について河野外務大臣に質問します。
 先週、五月二十三日に、アメリカのトランプ大統領が、輸入自動車及び自動車部品に対して最高二五%の関税を新たに課税することを発表しました。これを受け、アメリカ商務省は、国家安全保障上の脅威を根拠として、輸入車に対し最大二五%の関税を課す可能性について調査に着手することを発表しております。
 三月に追加関税を課した輸入鉄鋼、アルミニウムに引き続き、このような保護貿易を助長する発表が行われたことは、日本の自動車関連メーカーに大きな衝撃を与えております。アメリカとの関係からいえば、日本の自動車メーカー各社は、輸出ばかり行っているのではなく、アメリカ国内に投資をし、現地で自動車製造を行うことで多くの雇用を生み出すなど、両国の良好な関係づくりに大きく寄与してきました。
 今回のアメリカの言い分は、安全保障を理由にしているものの、これは明らかにWTO違反ではないでしょうか。自由主義経済の中心、自由貿易を守るべき立場にあるはずのアメリカからの強引かつ理不尽な交渉姿勢に対して、日本は自由貿易を守る立場から毅然とした態度でこの措置の不当性を主張すべきと考えます。
 アメリカが自動車関税をてこにして日米二国間FTAに持ち込みたい思惑が透けて見える中、今後の交渉については、対等かつ公正な態度で臨むことが必要と考えます。国益に関して、アメリカは簡単に折れてこないでしょう。
 今後の日米交渉をどのように進めていくのか、政府の方針について河野外務大臣の答弁を求めます。
 また、アメリカのこうした対抗措置が世界情勢に与える影響についてどのように分析されているのか、河野外務大臣、併せてお答え願います。
 次に、セーフガードの発動基準について質問いたします。
 アメリカからの農産物の急激な輸入増加への対抗措置として設定されたセーフガードの発動基準が、TPP11では見直しのないまま残されたことで、ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどの農業大国にとっての対日輸出枠が実質的に増加していることについて、衆議院で安倍総理からは、TPP交渉で生まれたモメンタムを維持するために協定の修正は行わなかったが、米国の参加が見込めなくなった場合には見直しが可能といった旨の答弁がありました。
 この総理答弁の中にあります米国の参加見込みがなくなったということを判断するのは、どのような条件がそろったときを想定されているのでしょうか。締約国の要請に基づき協定の見直しを行うとありますが、要請がなければ見直しが行われないのではないでしょうか。
 米国が今後日本との間のFTA交渉を進めてくる場合、高いセーフガード発動の基準を押し込んでくることは明らかです。また、逆に米国がTPP11に参加を表明した場合であっても、二国間FTA交渉と同じスタンスで強硬にセーフガード発動基準値の拡大を押し込むことが想定されますが、この点についてはどのような交渉姿勢で臨まれるのでしょうか。茂木経済再生担当大臣、お答えください。
 日本維新の会は、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの構築が自由貿易圏拡大の一つのゴールであると考えております。FTAAPは、GDPで世界の約半分、貿易額でも約半分、そして人口で約四〇%を占めるAPEC、アジア太平洋経済協力に参加する二十一か国で構築する自由貿易圏です。そこには、アメリカも、中国、ロシアも入っております。この意味は非常に大きいと思います。
 環太平洋パートナーシップ、TPP協定を早期に批准することが、東アジア地域包括協定、RCEPや、日本とEUのEPA等、経済連携協定を日本が主導して進めていくための足掛かりになると考えていますし、それがやがてFTAAPにつながるものであると確信しておりますが、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
 私たち日本維新の会は、自由貿易圏の拡大を公約の柱にしております。TPP11によって世界の自由貿易体制が拡充するかどうかは、これから先、TPP11参加各国が自由貿易からもたらされる利益が享受され、自由貿易のアドバンテージを世界の国々にしっかりと認識させるだけの実績を示すことから始まると考えます。同時に、農業や他の産業の規制緩和を大胆に進める必要があります。自由貿易の拡大にリーダーシップを発揮すると言いながら、国内は規制でがんじがらめ。これでは世界の笑い物です。
 消費者の利益のためには、自由貿易圏の拡大と国内での規制緩和による競争力の強化はセットで進める必要があることを指摘し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#59
○国務大臣(河野太郎君) 米国のTPP復帰に向けたRCEP交渉の役割についてのお尋ねがありました。
 RCEPは、TPPに参加していない中国や韓国を交渉参加国に含んでおり、我が国企業にとって、世界で最もダイナミックに成長する地域のサプライチェーン構築に寄与するものです。こうした観点から、我が国は質の高いRCEPの早期妥結を目指し、精力的に交渉を進めていく考えです。
 我が国としては、RCEPやTPP11協定を通じたアジア太平洋地域での自由貿易の推進が、結果として米国のTPP復帰につながることを期待しています。
 TPP11の凍結項目が日EU・EPA及びRCEPにおいてどのように扱われているかについてのお尋ねがありました。
 日EU・EPAは、TPP11とは交渉相手も協定内容も異なり、TPP11の凍結項目の扱いを単純に比較してお答えすることは困難です。
 その上で、日EU・EPAにおいては、例えば、医薬承認審査に基づく特許期間延長及び著作権等の保護期間などは、TPP11で凍結された規定と同様の規定があります。
 RCEPは、現在交渉中であるため、交渉の具体的内容についてはお答えを差し控えさせていただきます。
 TPP11協定の意義と活用法についてお尋ねがありました。
 TPP11協定は、二十一世紀型の自由で公正な貿易・投資ルールをアジア太平洋地域に作り上げ、人口五億人、GDP十兆ドル、貿易総額五兆ドルという巨大な一つの経済圏をつくり出していくものであり、参加国及び世界の自由貿易に対して大きな効果が期待されます。
 また、TPPに結実した自由で公正なルールは、今後の通商交渉のモデルとなっていくものです。TPP11協定が早期に発効し、実際に活用され、十一か国の企業や人々がそのメリットを実感することにより、TPPの魅力は更に高まり、その輪が世界に広がっていくものと考えます。
 米国による自動車などへの関税賦課の動きに関し、今後の日米交渉の方針及び米国の措置が与える影響についてお尋ねがありました。
 自動車及び自動車部品の輸入に関する調査については、具体的な措置が決定されたものではなく、現時点において予断を持ってコメントすることは差し控えます。
 その上で申し上げれば、ルールに基づく多角的貿易体制を重視する我が国としては、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えており、今後も、日本に悪影響が生じることのないよう動向を注視してまいります。
 FTAAP実現に向けて、考えについてのお尋ねがありました。
 アジア太平洋地域の成長と繁栄のためには、質の高いFTAAPの実現が重要だと考えており、こうした観点から種々の経済連携協定を進めております。
 我が国の主導でTPP11が合意に至ったことは、FTAAP実現に向けた大きな一歩です。同様に、FTAAP実現への道筋の一つでもあるRCEPも、質の高い協定を早期に妥結できるよう、精力的に交渉を進めています。
 FTAAPの実現に向けて、TPP11早期発効を目指すとともに、今後とも、APECのメンバーと協力して必要な取組を実施していく考えであります。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#60
○国務大臣(茂木敏充君) 浅田議員にお答えをいたします。
 まず、著作権の保護期間についてどう考えているか、お尋ねがありました。
 TPP11協定交渉を主導してきた我が国として、TPPのハイスタンダードを維持するとの交渉中の立場を実践する観点から、TPP11協定発効を機に、著作権の保護期間等の全ての凍結項目を含むTPP12協定の内容について、我が国において実施することといたしました。
 また、内外における著作権等の保護期間の延長によって、長期間にわたり得られる収益によって新たな創作活動や新たなアーティストの育成が進み、文化の発展に寄与することが期待されていることから、TPP12協定どおりに実施すべきものと考えております。
 なお、TPPに関し、米国復帰を促すために一つの特定の項目をカードやレバレッジとして使うことは考えておりません。
 次に、セーフガードの発動基準の見直しについてでありますが、TPP11協定の第六条においては、米国を含めたTPP12協定が発効する見込みがなくなった場合等には、締約国の要請に基づき協定の見直しを行う旨規定をいたしております。
 これは、例えば、米国の通商政策の新たな動向などを踏まえて判断することが考えられます。また、この場合、締約国のうち一か国でも、例えば我が国が要請を行えば見直しを実施することとなっております。
 なお、米国との協議でFFRについては、これからまさに協議が始まるところでありまして、この段階で相手の主張等を予断することは差し控えたいと思っております。
 いずれにしても、FFR、日米双方の利益となるような成果を求めるものでありまして、我が国として、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはございません。(拍手)
#61
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#62
○議長(伊達忠一君) 日程第一 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長竹谷とし子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔竹谷とし子君登壇、拍手〕
#63
○竹谷とし子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国民生活に必要不可欠である郵政事業のユニバーサルサービスの提供を安定的に確保するため、郵便局ネットワークの維持を支援するための交付金及び拠出金の制度を創設しようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院総務委員長古屋範子君から趣旨説明を聴取した後、金融二社の窓口業務委託手数料引下げの懸念への対応等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#64
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#65
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#66
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成           二百二十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#67
○議長(伊達忠一君) 日程第二 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長島村大君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔島村大君登壇、拍手〕
#68
○島村大君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、生活困窮者等の一層の自立の促進を図るため、都道府県等による生活困窮者就労準備支援事業等の実施の努力義務化、教育訓練施設に入学する被保護者に対する進学準備給付金の創設、住居を設置する第二種社会福祉事業に係る規制の強化、児童扶養手当の支払回数の増加等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、生活困窮者の定義の明確化及び基本理念創設の意義、生活困窮者自立支援制度の任意事業の実施割合向上に向けた取組、医療扶助における後発医薬品の使用を原則化する理由等について質疑を行うとともに、参考人より意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局しましたところ、立憲民主党・民友会、日本共産党及び希望の会(自由・社民)を代表して石橋通宏委員より、医療の給付について、原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする生活保護法第三十四条の改正規定を削ることを内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して倉林明子委員より原案に反対、希望の会(自由・社民)を代表して福島みずほ委員より修正案に賛成、原案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#69
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#70
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#71
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成             二百七  
  反対             二十一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#72
○議長(伊達忠一君) 日程第三 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長柘植芳文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔柘植芳文君登壇、拍手〕
#73
○柘植芳文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、地方公共団体等の提案等を踏まえ、国から地方公共団体又は都道府県から中核市への事務・権限の移譲を行うとともに、地方公共団体に対する義務付けを緩和する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、地方分権改革及び地方創生に対する基本認識、地方分権改革に関する提案募集の対象範囲の在り方、マイナンバーの利活用に伴う諸課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より反対、希望の会(自由・社民)の山本委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#74
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#75
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#76
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成             二百十  
  反対              十七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#77
○議長(伊達忠一君) 日程第四 文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長高階恵美子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔高階恵美子君登壇、拍手〕
#78
○高階恵美子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地域における文化財の総合的かつ計画的な保存及び活用を図るため、都道府県による文化財保存活用大綱の策定、市町村が作成する文化財保存活用地域計画及び所有者等が作成する重要文化財保存活用計画等の文化庁長官による認定並びにこれらの計画に基づく現状変更の許可等の特例について定めるとともに、条例により地方公共団体の長が文化財の保護に関する事務の管理等をすることができることとする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、文化財の保存と活用のバランスの在り方、文化財の継承を担う人材の確保、文化財の保護に関する事務を地方公共団体の長が担当することの是非等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の吉良理事より反対の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#79
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#80
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#81
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成            二百十四  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#82
○議長(伊達忠一君) 日程第五 土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事舞立昇治君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔舞立昇治君登壇、拍手〕
#83
○舞立昇治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、土地改良区の業務運営の適正化を図るため、土地改良区の准組合員及び施設管理准組合員たる資格について定めるとともに、土地改良区の総代会の設置及び土地改良区連合の設立に係る要件の緩和等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、准組合員制度を導入する意義、土地改良区の貸借対照表作成に対する支援体制、土地改良施設の維持管理の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#84
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#85
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#86
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#87
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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