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2018/06/29 第196回国会 参議院 参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第31号
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2018/06/29 第196回国会 参議院

参議院会議録情報 第196回国会 本会議 第31号

#1
第196回国会 本会議 第31号
平成三十年六月二十九日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十二号
  平成三十年六月二十九日
   午前十時開議
 第一 オゾン層を破壊する物質に関するモント
  リオール議定書の改正の受諾について承認を
  求めるの件(衆議院送付)
 第二 環太平洋パートナーシップ協定の締結に
  伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 働き方改革を推進するための関係法律の
  整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第四 労働安全衛生法の一部を改正する法律案
  (石橋通宏君外五名発議)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長三宅伸吾君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔三宅伸吾君登壇、拍手〕
#4
○三宅伸吾君 ただいま議題となりましたモントリオール議定書二〇一六年改正について、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 この改正は、オゾン層を破壊する物質の代替物質としてその使用が増大した高い温室効果を有するハイドロフルオロカーボンを、モントリオール議定書の下で、生産、消費等の規制や非締約国との貿易禁止の対象となる物質に追加すること等を目的とするものです。
 委員会では、本改正の意義と地球温暖化の抑制効果、温室効果の低い代替物質への転換に向けた技術開発と途上国支援、本改正による規制が国内産業や国民生活に及ぼす影響、米国の本改正締結の動向、モントリオール議定書によるオゾン層保護の達成状況等について質疑を行いました。その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成           二百三十五  
  反対               〇  
 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(伊達忠一君) 日程第二 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長柘植芳文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔柘植芳文君登壇、拍手〕
#9
○柘植芳文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆるTPP11協定の締結に伴い、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の規定の整備を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、農林水産委員会との連合審査会を行い、参考人から意見を聴取したほか、内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行いました。
 委員会における主な質疑の内容は、TPP11協定の意義及び早期発効の必要性、TPP11協定で凍結されたTPP協定の項目の一部を本法律案で実施する理由、農林水産物の生産額への影響を含むTPPの経済効果分析に関する政府試算の妥当性、TPP11協定の締結が国内農業に与える影響及び対策の実効性、米国のTPPへの参加を前提に設定されたセーフガード発動基準数量等について見直しを判断する時期、米国との間で行われる自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議への懸念等でありますが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より反対、希望の会(自由・社民)の山本委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(伊達忠一君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。大島九州男君。
   〔大島九州男君登壇、拍手〕
#11
○大島九州男君 国民民主党・新緑風会の大島九州男でございます。
 私は、会派を代表して、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
 まず、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と広報しながら選挙を戦い、政権交代した途端、国民との約束違反を平気で行う。自民党は、国民を裏切る法案に賛成するわけにはいかないのではないでしょうか。国政に関わる政治家として、この法案の反対は当然の姿勢であると同時に、国民との約束を守る政治を実践するため自民党さんも断固反対であることを信じ、以下、反対の理由を述べさせていただきます。
 反対の第一の理由は、TPP11協定により、農産物の大幅な輸入増が起きる懸念があることであります。
 TPP11協定では、TPP12協定から関税割当ての枠数量やセーフガードの発動水準が全く変わっていません。農産物の主要な対日輸出国である米国が協定から外れたにもかかわらずです。これでは、農産物輸出の拡大を狙う他の締約国に対し、対日輸出を大幅に伸ばすチャンスを与えてしまうことになります。実際にカナダ政府は、豚肉で五百億円以上、牛肉で三百億円以上対日輸出を増加できると試算をしております。
 TPP11協定第六条には、TPP12協定の発効が差し迫っている場合又はTPP12協定の発効の見込みがない場合、関税割当ての枠数量やセーフガードの発動水準を含め、締約国が見直しの検討を要請することができる規定が設けられております。政府は、これらの見直しについて、他の締約国から理解を得ていて反対はない、信頼関係に基づいて見直しも行われると答弁をしています。
 しかし、他の締約国が反対していないのは要請に応じて協議することだけであって、自分たちに有利なルールを見直すことに応じることまでは含まれていないと考えるべきではないでしょうか。対日輸出の拡大を図りたいオーストラリアやニュージーランド等の締約国が、合意内容の見直しに応じてくれる保証は全くありません。
 TPP11協定は、TPP12協定を丸ごと取り込んでおりますので、発効後七年目の再協議規定があります。この規定に基づき、他の締約国から再協議を求められ、関税の撤廃の前倒し等を迫られることが懸念されています。
 政府は、TPP12協定の審議の際、そのような要求はガラス細工のような協定を壊してしまうことを意味し、他の締約国が一方的な要求を通すことは難しく、我が国が受け入れることはないと答弁いたしました。
 それならば、TPP11協定による関税割当ての枠数量やセーフガードの発動水準の見直しについても、ガラス細工のような協定を壊してしまうことになるため、他の締約国が受け入れる見込みはないと考えるのが自然であって、政府の見通しは余りにも甘く一方的であると言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、協定締結を契機として、日米二国間の貿易交渉により、我が国に不利な農産物輸入の合意がなされ、総合的なTPP等関連政策大綱及びTPP整備法に基づく国内対策では不十分となるおそれが強いことです。
 TPP11協定に参加しない米国から牛肉の輸入が急増した場合、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉で設けられた現行の関税暫定措置法に基づく牛肉の関税緊急措置が発動されます。この措置は、米国がTPP12協定に復帰し、TPP12協定が発効するまで引き続き存続いたします。
 昨年八月、米国に対し、現行の関税暫定措置法に基づく牛肉の関税緊急措置が発動されました。その際、米国は日米経済対話でその見直しを提案したと報じられております。米国第一主義を標榜するトランプ米国大統領が、TPP11協定締結国と同等以上の条件を求め、今後、日米二国間の自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議において、牛肉を始めとする農産物について、関税割当ての枠数量の拡大やセーフガードの発動水準の緩和の要求を求めてくるのは必至であると思います。
 しかし、総合的なTPP等関連政策大綱及びTPP整備法に基づく国内対策は、TPP及び日EU・EPAの発効に対応したものであって、米国からの対日輸出の更なる拡大があれば全く不十分なものとなるのではないでしょうか。これでは我が国の農業にとって大打撃となります。
 国民民主党は、今国会に他の野党会派と共同で、衆議院に畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案を提出しております。
 我が国畜産業の厳しい状況を考えると、TPP11協定発効の有無にかかわらず、肉用牛肥育経営安定特別対策事業及び養豚経営安定対策事業の法制化を進め、速やかに生産基盤の強化を図ることが重要であります。
 反対の第三の理由は、TPP11協定及び対策の是非を判断する上で重要となる影響試算の前提が妥当ではないことです。
 政府が行った「農林水産物の生産額への影響について」では、国内対策の実施等により国内生産量及び食料自給率が維持されることが前提となっており、また、輸出増加は考慮されておりません。内閣委員会の参考人質疑において、磯田参考人からは、政府の影響試算の前提では、輸入が全く増えない、人口減に伴う消費減を考慮すればむしろ輸入が減ることさえ意味する結論が導き出され、非現実的であるとの厳しい指摘がありました。
 これは、政府の影響試算が、TPP11協定によって農業は影響を受けないとする結論が先にありきの試算であって、妥当な試算になっていないと言うべきではないでしょうか。したがって、この試算の前提となっている国内対策の妥当性についても、十分な精査が求められるのではないでしょうか。
 反対の第四の理由は、TPP11協定により我が国の食の安全が守れなくなるおそれがあることです。
 一昨年のTPP特別委員会において、多くの委員から食の安全に対する懸念が指摘されましたが、いまだに払拭されておりません。検疫所における検査体制は不十分で、輸入食品の検査率は八・四%にとどまっています。食品添加物、残留農薬、遺伝子組換え食品等に関するモニタリング検査が九割以上の輸入食品に対して行われておらず、食品衛生法に違反する輸入食品が国内に流通している懸念があります。TPP11協定の発効で関税の撤廃、削減が行われ、我が国への輸入食品の増加が見込まれるにもかかわらず、検疫体制の大幅な改善は期待できません。さらに、ルール分野の合意により、検疫所での貨物引取りが到着から四十八時間以内に許可するよう緩和されてしまいます。
 このような状況で農産物の輸入が増大すれば食の安全が危険にさらされることになり、国民生活の安全、安心を守るという観点から看過することはできません。
 農業の成長産業化、農産物の輸出拡大を一概に否定するものではありませんが、その前に、まず、足下の国内における農業生産基盤を確保し、地域の特性に応じた農業の持続的な発展に努めることが必要ではないでしょうか。それでなくては、食料・農業・農村基本法が規定する国民に対する食料の安定的な供給や多面的機能の発揮は確保できず、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることはできません。
 TPP11協定の国内手続を完了させるためには、協定自体の承認だけではなく、関連法の成立が必要であります。TPP11協定は、我が国の農業、国民の暮らしに大きな悪影響を与える可能性があり、協定の発効を阻止しなければなりません。このため、協定の国内手続が完了しないよう、TPP整備法を成立させてはなりません。
 このように、TPP整備法及びTPP11協定には大いに問題があることを指摘して、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)
#12
○議長(伊達忠一君) 藤川政人君。
   〔藤川政人君登壇、拍手〕
#13
○藤川政人君 自由民主党の藤川政人です。
 私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。
 TPP協定は、単に関税を下げるだけではなく、知的財産保護、環境・労働規制、国有企業の競争条件の規律など、幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものであります。
 少子高齢化が進み、人口減少社会に直面する我が国において、アジアや太平洋の周りの成長著しい国との経済的なつながりを深めていくことは、経済政策として欠くことのできない視点であります。そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とともに貿易、投資の新たな基軸を打ち立て、今後の世界の貿易・投資ルールの新たなスタンダードを広げて経済的な相互依存関係を深めていくことは、地域の成長、繁栄、安定にも大きく貢献するものであります。
 国内においては、消費者の皆さんもTPP域内の様々な良い商品を安心して手に入れることができるようになります。また、海外において良いものが良いと評価される広大なマーケットが生まれることで、品質の高いものを生み出してきた我が国の農林漁業者や中小企業にとっても大きなチャンスとなるものです。
 それでは、以下、本法案に賛成するべき主な理由を二点申し上げます。
 一点目は、我が国の成長戦略に資する点であります。
 TPP11では、経済成長著しい国々の政府調達市場の開放など、インフラ輸出へのアクセスが改善されるとともに、農林水産品、農林水産その他加工品についても、関税の撤廃、削減に加えて、通関手続の迅速化等の輸出促進につながる規定が盛り込まれております。TPP11の経済効果分析では、現在のGDP換算で二兆円程度の輸出拡大効果が見込まれております。このチャンスを最大限に生かすため、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、優れた技術等を有する我が国の中堅・中小企業と海外の企業とのマッチング支援や、農林水産品の産地の国際競争力強化、畜産、酪農の収益力強化など、きめ細やかな施策を実施することでしっかりと輸出促進につなげていくことであります。
 一方、農業者や生産者のTPPによる影響が生じるのではないかという懸念に対しましては、牛肉、豚肉、乳製品などの主要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保するなど、我が国畜産、酪農の再生産が引き続き可能となる措置を確保してまいります。それでもなお残る生産者の方々の不安や懸念に向き合い、安心して再生産に取り組むことができるように、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、畜産クラスター事業を始めとする体質強化対策を講じてまいります。
 二点目は、アジア太平洋地域に二十一世紀型の貿易・投資ルールを広げていく上で大きな一歩となることが期待されております。
 自由貿易の旗手として公正なルールに基づいた二十一世紀型の経済体制を構築する、TPP協定の合意は、そのスタンダードであり、今後の経済連携の礎となるものであります。TPP域内の良質で多様な商品を安価で安心して入手できることはもちろん、域内の広大なマーケットで日本の商品が正当に評価されることは、質にこだわってきた我が国の農業者や中小企業にとって、またとない好機であります。また、自由で公正なルールに基づく経済圏が構築されることは、おもてなしの心に裏打ちされた我が国の良質なサービスが真っ当に評価され、新たな付加価値が生まれることを通じ、サービス産業の生産性向上につながってまいります。
 このような自由で公正な共通のルール作りに基づく自由貿易体制こそが世界経済発展の源泉であります。TPPにより日本が二十一世紀型の新しいルール作りをリードすることの意味合いは非常に大きいものがあり、また、アジア太平洋地域においても画期的な成果であります。
 米国抜きでの協定の締結に疑問を持つ声も聞こえてまいりますが、本協定が発効すれば、参加国の全てが本協定を締結することにより、アジア太平洋地域において、人口五億人、GDP合計約十兆ドル、貿易総額約五兆ドルの経済圏が誕生いたします。米国のTPPへの復帰という観点でも、TPPを早期発効することで、TPPが米国の経済や雇用にとってもプラスになるなどのメリットを具体的に示し、理解を深める上で大きな力ともなります。そのため、米国抜きであってもTPPを早期発効することは極めて重要であります。
 あわせて、政府においては、米国に対して引き続きTPPへの復帰へ向けて協議していただくことを望みます。
 以上申し上げましたように、TPP協定は、我が国の成長戦略を高める上で必要不可欠であると同時に、将来にわたってアジア太平洋地域に安定と繁栄をもたらす共通の基盤となるものであります。そのため、TPPが目指す自由で公正なルールに基づく経済圏をつくるために対応すべき措置という同一の趣旨、目的を有する関係法律を整備する本法案は速やかに成立させなければならないということを申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)
#14
○議長(伊達忠一君) 相原久美子君。
   〔相原久美子君登壇、拍手〕
#15
○相原久美子君 立憲民主党・民友会の相原久美子です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 討論に入る前に、国民の負託を受けた立法府の一員として、この間の森友問題、加計問題、自衛隊の日報問題に関わる政府の対応について指摘せざるを得ません。
 森友学園に関わる国有地売却問題では、国民の財産がそんたくと言われる不当な値引きで売却され、あまつさえ、その事実を隠蔽するために財務省の行政文書改ざん、そして、国家戦略特区における獣医学部新設は総理のお友達ありきだったのではないか。これらの問題に対する指摘等に一年以上にわたり関係者が国会で、記憶がない、記録がないなど虚偽答弁を繰り返してきたと思える事実が明らかになりました。
 多くの国民の皆さんが、これら疑念、疑惑に対する政府の対応に不信の念を持っており、説明責任が一向に果たされていないことは世論調査で明々白々です。国民の皆さんへ真相を明らかにすることが、三権分立の立法府の一員として求められています。これ以上の見苦しい言い訳に終止符を打ち、行政、政治への信頼を取り戻す姿勢が求められていることに党派を超えて協力していくべきであることを申し上げます。
 さて、本題に入らせていただきます。
 反対の理由の一番は、政府の説明不足です。
 そもそも、安倍総理がTPP12協定の交渉参加を表明した際の二〇一三年に、衆参両院の農林水産委員会において、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」と決議を行いました。
 確かに、一昨年のTPP12では衆参両院に特別委員会を立ち上げ、協定案と併せ関連法案に関し計百三十時間以上の審議が行われましたが、その際にも、衆議院における附帯決議において、「TPP協定の内容及び効果について広く国民の理解を得て、その不安を払拭するため、引き続き情報提供を積極的に行うとともに、わかりやすく丁寧な説明に努めること。」、国会の意思が示されていました。
 政府は、影響があるのは事実だが、総じて国民にとってプラスとなる、攻めるべきは攻め、そして守るべきは守ることができたと繰り返しますが、何が影響され、何がプラスとなるのか、守られたもの、守られなかったものは何なのか、そこがいつまでたっても釈然としないから不安や懸念が払拭されないのです。
 国会審議や説明会等で丁寧に説明を行ってきたと何度も繰り返し述べられておりますけれども、説明を受けた相手から、丁寧に説明していただいたので理解ができたと言われるのが丁寧な説明と言えるのではないでしょうか。
 懸念事項は山積しています。ISDS条項による国家の主権侵害に対する懸念、食の安全や医療等に影響が出て私たちの暮らしや健康を損なわないのか、そして、今後行われていくアメリカとの貿易交渉はどうなっていくのか、アメリカのTPP不参加が確定的となった場合のために政府は協定に見直し規定を設定していると説明されていましたが、総理の言うところの、参加国の様々な利害関係を綿密に調整して作り上げたガラス細工のような協定を見直す保証が取れているのか、結局、最後まで分からずじまいでした。
 かつてない大幅な市場開放を迫られる農林水産業への影響は、政府の試算が果たして正しいのか、多くの審議時間が割かれましたが、質疑者も含め関係者は皆さん理解できないと言っています。
 そもそも、一番大きな影響が出ると思われる農林水産物の生産額への影響について、国内対策を打った後の試算を出していますが、TPP発効によって影響額がこれくらいになるので、それに対応する国内政策をというのが本来であり、政府の影響評価では、我が国に与える影響額が不明瞭です。これでは、農家の方々の懸念は払拭されるよりむしろ膨らむばかりです。
 様々な政策によってようやく上向きになってきた食料自給率や木材自給率が打撃を受けても、必要ならば輸入すればよいとおっしゃるのでしょうか。
 農林水産分野における人手不足に拍車が掛かれば、山里荒れ、農地が荒れ、水源が荒れる。結果として、総理のお好きな美しい日本の衰退につながるばかりか、この国で暮らす国民に大きな影響を与えます。総理は、TPPをまさに国家百年の計と言われていますが、百年後のこの国をどなたが保証するのでしょうか。
 このTPP11は、一体全体、誰のための何のためのルールなのでしょうか。多国籍企業や投資家のみを利することになってしまうのではないでしょうか。
 TPPは私たちにチャンスをもたらします、意欲あふれる地方の皆さん、若者の皆さんには、是非TPPという世界の舞台でこのチャンスを最大限生かしてほしいと説明されますが、全員が全員、世界の舞台に立ちたいわけでもありません。生活を維持するために、この仕事が好きだからと言われる人もいるでしょう。また、全ての人が勝ち組になることもあり得ない話です。
 努力した結果、チャンスを勝ち取ることを否定するものではありません。しかし、政治は、全ての人々に居場所と出番のある社会と国民の安心生活を保障するのが役割です。
 また、TPP協定においては、第十九章に労働項目を置き、一九九八年にILOで採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言とそのフォローアップについて規定されています。
 政府は、TPP協定に労働規定を置く効果として、これらの規定により各締約国で労働者の権利保護が進めば、公正公平な競争条件の確保につながり、ひいては、我が国企業の相対的な競争力強化につながることが期待され、TPP協定締約国における労働環境水準の向上を図ると説明しています。
 しかし、ILOが締結を求めている八本の条約のうち、日本は、強制労働の廃止に関する条約、百五号条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、百十一号条約が未批准のままです。その理由として、厚生労働省は、協定ではILO条約の批准を義務付けていない、条約の義務を締結国に具体的に課すものでないと答弁しています。政府が繰り返し宣伝するように、日本がTPP11協定を率先して実施する必要があるのであれば、他国の労働に関する規律となるべく、率先して未批准のILO条約を批准し、国内法の整備を図るべきです。
 参議院は熟議の院と言われてきました。十分な議論をし、不安を抱える皆さんに納得のいく結果を出すことが私たちの仕事です。
 TPP11協定によるメリット、デメリット、そして対応策について、いま一度丁寧に政府から説明をいただき、これなら大丈夫、自分たちの暮らしも良くなる、生産力アップのチャンスとなるといった理解を得た上で、改めて発効手続のための関連法案の成立を図ること、それこそが国益につながると申し上げて、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)
#16
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#17
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるTPP11整備法案に反対の討論を行います。
 本法案の成立は、TPP11を批准する条件となります。うそつかない、ぶれない、TPP断固反対と自民党もポスターに掲げたはずのTPP協定。このTPPの関税撤廃、非関税障壁の緩和水準は、そのままTPP11に受け継がれています。凍結事項は極めて限定的であり、食の安全、ISDSなど、二〇一六年の国会審議で焦点となった問題点は何ら解決されていません。
 また、国会決議で関税撤廃の交渉から除外することを求めた、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要五品目のうち、無傷のものは一つもなく、TPP11批准もまた明白な国会決議違反です。
 多国籍企業の利益のために我が国の経済主権や食料主権を侵害するというTPPの本質は何ら変わるものではなく、TPP11批准には断固反対です。
 以下、法案審議で明らかとなった問題点にも触れて、具体的に反対の理由を述べます。
 第一に、TPP11によって、TPP協定よりも深刻なダメージが日本の農業にもたらされる危険性があることです。
 TPP11では、アメリカが抜けた状態にもかかわらず、日本の乳製品等の低関税輸入枠も、牛肉、豚肉等の輸入急増への対策であるセーフガード発動の基準も、TPPで合意された輸入量のままになっています。かつて、BSEが発生し、アメリカからの牛肉輸入が禁止された際、その直後からオーストラリアからの牛肉輸入が急増しました。今回も、アメリカ抜きのTPP11協定の合意によって、カナダ、ニュージーランドなどが既に対日輸出の大幅増を見込んでいます。一方、トランプ大統領は貿易赤字を重大視しており、TPP枠の外でアメリカもまた日本への輸出増を要求することは明らかです。
 内閣委員会と農水委員会との連合審査会で我が党の紙智子議員が、カナダが農林水産物の大幅な対日輸出増を見込んでいることを示してただすと、茂木大臣は、カナダの試算が正しいという根拠をお持ちでしたら是非御質問くださいという、傲岸不遜、失礼千万の答弁までしたのです。これを批判すると、今度は、アメリカの動向によってセーフガードの基準の見直しを要求する、自分は共同議長まで務めたが、議長の立場を離れての発言を行ったのだから各国の理解を得ているという答弁を長々と繰り返しました。しかし、茂木大臣が具体的にどういう発言をしたのか、その発言に対して各国がどういう意見を示したのか確認できる文書の提出を求めると、議事録は作成していないと言う。日本側の記録があるでしょうと何度ただしても、メモの存否すら明らかにしませんでした。
 そもそも、TPP11は秘密会議ではありません。閣僚級会議で共同議長も務めた茂木大臣が議事録作成を主張しなかったことは重大であり、大臣が、私が発言したから大丈夫とどんなに強弁しても、それでは何の担保にもなりません。TPPの枠組みの維持を最優先させ、TPP11合意を急ぐために、他国の見直し要求、凍結要求を抑え込み、当然交渉すべきセーフガード発動基準さえそのままにしたことは、余りにも無責任だと言わなければなりません。
 このように、TPPの枠組みにしがみついたまま日米交渉を進めればどうなるか。日本政府は、ミニマムアクセスの外枠でアメリカから五万トンの米輸入をTPP協定で合意しました。農水省は、アメリカがTPPを批准しない限りアメリカ枠の輸入を認めることはない、また、TPPの牛肉、豚肉の低関税もアメリカには適用しないと説明しました。ところが、委員会質疑では、これらをアメリカとの二国間協議の交渉事項とすることを拒否するのかという私の問いに、茂木大臣は、何を協議事項とするかは協議中である、予断を与えることは言えないと答弁したのです。
 また、TPPの日米サイドレターでは、対日投資を行うに当たり、外国投資家や利害関係者から意見提言を求め、それを規制改革会議に付託するとの約束がありますが、規制改革推進会議には次々とアメリカ資本の多国籍企業や米国医薬品業界の代表が参加し、発言を行っています。発効もしていないTPPにしがみついて日米二国間協議に突入すれば、TPP合意は最低ラインとなり、更に対日要求に応えることになりかねません。
 反対の理由の第二に、法案による国内農業支援策が、長年にわたる厳しい価格競争の押し付けを前提としていることです。
 農水省が示しているTPP11の影響評価は、あらゆる農林水産物の品目について、影響ゼロ、生産量は減らないとしました。関税の引下げで、より低価格となる輸入品に引きずられて国産品の価格も下がる。そのため、生産額は、例えば牛肉で約二百から三百九十九億円減少する。しかし、価格競争に耐えられるように、大規模化、機械化等でコスト削減を行うので、国産品の消費が輸入品に置き換わることはない。だから、生産量も自給率も減らないというのです。
 こんな説明で農家の方々が納得できるでしょうか。関税の引下げは十年以上掛けて徐々に進んでいくので、支援策がその間に行き渡ると言いますが、それは価格競争が十年以上にわたって強いられ続けるということではありませんか。
 示された支援策は、意欲ある生産者との前提付きであり、その多くは、新たな、そして大規模な設備投資が条件となっています。
 参考人質疑で北海道の小麦農家である山川秀正北海道農民連代表は、例えば畜産業では億単位の負債を抱えることになると指摘し、大規模化一辺倒の支援策でよいのか、様々な形態の農業経営が生き残ってこそ地域社会、地域経済の発展だと思うと意見陳述しました。
 畜産など、二十四時間三百六十五日、牛や豚などの管理が必要な農家で、過重負担の軽減や休息を取るために機械化を行うということはあるでしょう。また、農地を広げて経営しようという方もおられるでしょう。それぞれの事情、それぞれの経営スタイル、それぞれの規模があってよいはずです。元々価格の安い輸入品との更なる価格競争を国策によって農家に強いる、価格競争に耐え続ける農家は支援する、このような政策はおよそまともな農業支援とは言えません。
 参考人質疑では、そもそも国土も環境も国によって全く異なる農業は自由貿易の対象とすべきではないとの指摘もありました。豊かな農地を大切に受け継ぎ、品種改良や収穫率を上げる努力を繰り返し、四季折々の作物を豊かに収穫できる日本で、なぜ自給率が四割を切っているのか。自動車などの輸出を増やすために輸入農作物を大量に受け入れ、過酷な価格競争に日本の農業をさらしてきたからにほかなりません。
 日本の農林水産業を第一次産業にふさわしく位置付け、何よりも、農家の方々が望んできた価格保障、所得補償を進めて、自給率を大幅に引き上げることこそ急務です。食料自給率が四割を切る国で、輸出を進めて稼ぐ農業を推進するなど、本末転倒ではありませんか。
 TPP11交渉では、多くの国が凍結事項を主張しました。今月訪日したマレーシアのマハティール首相は、貧しい国と富める国との自由貿易とはどうあるべきか、正しい自由貿易とは何かと問題提起し、TPP11の再協議に言及しました。これらは、多国籍企業の利益追求から国内産業や自国民を守るためにほかなりません。
 各国の経済主権、食料主権を尊重しながら、国際的な経済関係を築く新たなルールの構築にかじを切ることを求め、討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#19
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#20
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#21
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成            百六十五  
  反対              七十  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#22
○議長(伊達忠一君) 日程第三 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 日程第四 労働安全衛生法の一部を改正する法律案(石橋通宏君外五名発議)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長島村大君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔島村大君登壇、拍手〕
#23
○島村大君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため、時間外労働の限度時間の設定、高度な専門的知識等を要する業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有する労働者に適用される特定高度専門業務・成果型労働制の創設、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者と通常の労働者との間の不合理な待遇の相違の禁止、国による労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針の策定等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者の同意の撤回に関する手続を労使委員会の決議事項とすること等の修正が行われております。
 次に、石橋通宏君外五名発議の労働安全衛生法の一部を改正する法律案は、業務上の優位性を利用し、又は消費者対応業務の遂行に関連して行われる労働者に精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動により当該労働者の職場環境が害されることを防止するため、当該言動に関し事業者の講ずべき措置等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取するとともに、埼玉県に委員を派遣し、地方公聴会を実施したほか、高度プロフェッショナル制度の在り方、健康管理時間の適切な把握の重要性、勤務間インターバル制度の将来的な義務化の必要性、非正規雇用労働者への待遇に関する説明の在り方、中小企業に対する支援措置の重要性、パワーハラスメント対策の必要性等について、安倍内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 両法律案について質疑を終局し、討論に入りましたところ、国民民主党・新緑風会を代表して浜口誠委員より、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に反対、自由民主党・こころ及び公明党を代表して三浦信祐委員より、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に賛成、立憲民主党・民友会を代表して難波奨二委員より、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に反対、日本共産党を代表して倉林明子委員より、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に反対、希望の会(自由・社民)を代表して福島みずほ委員より、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものとし、労働安全衛生法の一部を改正する法律案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。
 なお、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(伊達忠一君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。浜口誠君。
   〔浜口誠君登壇、拍手〕
#25
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
 会派を代表し、働き方改革関連法案に反対の立場で討論します。
 政府提出法案に対して、働く者の立場で考えると、時間外労働の上限規制の導入、中小企業における月六十時間超の時間外労働に対する割増し賃金の適用、年五日の年次有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金、非正規労働者への待遇差の説明義務化、産業医、産業保健機能の強化等に関しては、法案の方向性には賛同できます。
 しかしながら、高度プロフェッショナル制度の創設は、長時間労働や過労死となる懸念が極めて大きく、労働者保護の観点からは絶対に導入してはならないと、衆議院と参議院の委員会審議においても、繰り返し法案からの削除を強く求めてきました。
 また、労働組合のナショナルセンターである連合、過労死遺族でつくる全国過労死を考える家族の会なども、高度プロフェッショナル制度の創設の削除を求めています。とりわけ、全国過労死を考える家族の会は、過労死を増やす法案が成立することは絶対にあってはならない、過労死で愛する家族を失い地獄の苦しみを味わうのは私たちだけでたくさんですと訴えるとともに、五月十六日付けで安倍総理への面会を文書で要請されています。
 しかしながら、安倍総理は、面会依頼の文書にも目を通しておらず、面談も拒否しています。今国会の最重要法案は働き方改革関連法案だと声高に主張されていた総理が、過労死を考える家族の会の皆さんから直接声を聞かないで高プロ制度を創設することは、絶対に許されません。家族の会の皆さんと会って、真摯な思いや訴えに耳を傾け、誠心誠意対応すべきです。
 それでは、本法案に対する反対の理由を以下に述べます。
 反対する第一の理由は、高プロ制度は立法事実がないことです。
 労働法制は、本来、経営者よりも立場の弱い労働者を保護するために制定されたものです。今回の高プロ制度は、労働者を保護するための時間外労働、休日労働、深夜労働の規制がなく、実労働時間の管理も全く行われません。働く皆さんがこうした働き方を本当に望んでいるとは到底思えません。日本の生産性向上が喫緊の課題であるとの大義の下、時間にとらわれず、成果を重視した柔軟な働き方が必要との経営者ニーズだけが最優先された結果、残業代削減が本質的な目的である高プロ制度が創設されたのではないでしょうか。
 また、政府からは十二名の専門職からヒアリングしたとの説明もありましたが、法案提出前にヒアリングしたのはたった一人、余りにもずさんです。残り十一名のうち九人は人事担当者が同席でヒアリングを行っています。これでは、労働者からのニーズは本当にあるのかとの指摘を受けて、後付けでアリバイづくりのために行ったヒアリングだと言わざるを得ません。
 こうした労働者不在の議論経過、立法事実のない高プロ制度は、労働者にとって全く必要はありません。本法案から削除すべきです。
 反対する第二の理由は、長時間労働や過労死につながると強く危惧される高プロ制度に対する様々な懸念や疑問が全く払拭されていない点です。
 例えば、一千七十五万と言われる年収要件は、税込みで、パート労働者を含む毎月勤労統計をベースにすること、各種手当も含めることができ、年収要件の妥当性はなく、今後引き下げられる懸念も依然として残っています。また、対象業務は高度な専門的知識が必要とされていますが、高度な業務として例示されているアナリスト業務であっても、更に高度な企画、市場などの分析業務が対象となるなど、高度な業務の定義の曖昧さは全く払拭できませんでした。
 さらに、極めて重要な労働時間の把握に関しては、高プロ制度適用者は、事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間の合計時間である健康管理時間を把握しなければなりません。
 しかしながら、政府は、健康管理時間は事業場内ではタイムカードやパソコンのログオン、ログオフ等により客観的に把握すると説明しましたが、全ての事業所で客観的に把握できるとは限りません。その場合は、管理者が高プロ制度適用者の在社時間を現認することが必要になるとの答弁がありましたが、全く非現実的な対応です。さらに、事業場外の労働時間も、客観的な把握は実際には困難であり、自己申告にならざるを得ず、高プロ制度適用者の健康管理時間を正確に日々記録していくことは、極めて困難です。
 ましてや、健康管理時間は実労働時間ではないんです。万が一、高プロ制度適用者が過労死しても、過労死基準となる労働時間の実態を把握し、立証することが、高プロ制度では不可能に近いのです。その結果、高プロ制度で過労死が増えたとしても、過労死申請をできない、過労死をしても過労死が認定されず、表向きは過労死が減少したということになりかねません。こうした事態を絶対に生じさせてはならないんです。
 反対する第三の理由は、法案内容に関して、国会審議において議論が深まらなかった、先送りとなった項目が多く、国民の理解が進まなかった点です。
 国会審議の役割は、法案の内容や疑問点などに関して、委員会での質疑を通じて曖昧な部分を明確にし、国民がより深く、正しく法律の内容を理解するためにあると考えます。しかしながら、本法案に関しては、法律制定後に、高プロ制度の細部や非正規労働者への待遇差の説明方法など、六十を超える項目が省令で定めることとされ、指針や通達まで含めると更にその数は増えます。こうした中で、政府の答弁も同じ内容の繰り返し、さらには、先送り答弁が目立ち、法案内容の深掘りやより具体的な対応まで議論が及ばなかったことは極めて遺憾です。こうした政府の姿勢は、白紙委任、国会軽視の対応と言わざるを得ず、政府に猛省を求めます。
 以上が反対の理由となります。
 次に、本法案の議論に関連して、今後政府に対して適切な対応を求めたい点を申し上げます。
 まず、時間外労働の上限規制に関しては、今回適用猶予あるいは適用除外となった自動車運転業務、建設事業、医師等や研究開発業務については、早期に一般則を適用となるよう対応すべきと考えます。あわせて、学校教員の長時間労働是正への取組も不可欠であり、給特法の見直しに向け議論を加速すべきです。また、委員会でも取り上げられた、副業、兼業に対する課題、フリーランスなどの雇用類似の働き方、管理職の働き方など、労働行政に関わる様々な課題に対して、労働者保護の観点から、政府には迅速な対応や法整備を求めます。
 また、野党提出法案に織り込まれている勤務間インターバルの義務化、裁量労働制の要件の厳格化や規制強化、労働時間管理の義務化等は、極めて重要な内容であり、早期に実現すべきです。今回参議院で審議した野党提出のパワハラ規制法案に対しては、参考人質疑や地方公聴会においても、多くの皆さんから必要な法案だとの期待が寄せられたにもかかわらず、与党の反対で否決されました。極めて遺憾です。パワハラ法は絶対に必要です。各党において協議いただいているワークルール教育推進法案とともに、働く人たちが本当に必要としている法律を国会の総意として与野党連携して成立させていきましょう。
 最後になりますが、昨日委員会で決議した四十七項目の附帯決議は極めて重要な内容です。政府として、重く受け止め、確実に実施することを強く求めて、反対討論を終わります。(拍手)
#26
○議長(伊達忠一君) そのだ修光君。
   〔そのだ修光君登壇、拍手〕
#27
○そのだ修光君 自由民主党のそのだ修光です。
 私は、自民・公明を代表して、ただいま議題となりました政府提出の働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に賛成をし、民主、立憲、希望の会提出の労働安全衛生法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 今から約二十年前、私は、衆議院議員として自民党の社会部会に所属をして、当時の部会長、今、安倍総理の下に、介護保険法の成立に、創設に汗をかいてきました。当初は、介護の現場が現在のように深刻な人手不足になるとは想像もできませんでした。常に、政策は月日の流れ、変化に合うように努めていかなけりゃならないと感じております。
 介護保険制度も、三年ごとの見直し、時代の流れ、国民のニーズに捉えながら、より理想に近づける努力を続けております。今回の働き方改革、私は、介護保険を超えるような、時代のニーズに対応する政府提出法案であると強く確信をして、審議に当たったところであります。(発言する者多し)
#28
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#29
○そのだ修光君(続) 我が国の雇用を取り巻く状況は大きく変化をしております。少子高齢化、生産年齢人口の減少といった問題、生産性向上の低迷や革新的技術の投資不足といった課題にも直面をしております。雇用形態は非正規雇用が約四割を占めて、パートタイムや有期雇用、派遣といった形で働く方は、正社員と比べて賃金水準も低く、年齢階級別賃金では、企業規模にかかわらず、年齢が上昇しても賃金がほぼ横ばいになっております。
 では、日本の経済成長も望めず、衰退をしていくのでしょうか。違います。働きたい、自分の力を自分のスタイルで発揮させたい、そのような皆さんが柔軟に働くことのできる、能力を最大限に発揮されることができる今回の法案、大きな働き方を実現できれば、我が国の経済も更に力強く成長をします。今は介護や子育てで働けないが、長時間労働の常態化が是正され、自分の都合に合わせて柔軟に働ければ、多様な才能を持った皆さんから世界が驚くような優れた製品やサービスが生み出され、付加価値を生み出す力もより強くなると思います。今回の政府提出法案はそんな法案であることを強く訴えたいと思います。
 では、以下、法案に賛成する主な理由を三点申し上げます。
 一点目は、時間外労働の上限規制を導入する点です。
 我が国は、欧州諸国と比較して年平均労働時間が長いこと、時間外労働をしている労働者の構成割合が高くなっています。長時間労働は、今や美徳ではありません。健康の確保だけではなく、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成を阻む原因にもなります。
 ですから、現行の仕組みでは罰則なしの大臣告示で対応されている労使合意による時間外労働の限度について、この法案で上限を設け、罰則による強制力を持たせていることとしております。また、中小企業・小規模事業者向けには、働き方改革推進支援センターや労働基準監督署等においてきめ細やかな個別相談にも当たります。中小企業・小規模事業者等においても円滑に働き方改革が進むような対策も取られていることとなっております。
 二点目は、時間ではなくて成果で評価される働き方を選択をする高度プロフェッショナル制度を創設する点です。
 今や、時間ではなく成果で評価される働き方が求められていることに対応……(発言する者多し)
#30
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
#31
○そのだ修光君(続) 政策であることが必要です。そして、活力ある日本経済のためにも、高い付加価値を生み出す働き方も必要です。そのためには、高度専門職の方が最も成果を上げられるように、自分の判断で仕事の仕方を決めて、その意欲や能力を有効発揮できることが不可欠です。これを実行すべく、時間ではなく成果で評価される働き方を選択できるようにする高度プロフェッショナル制度を導入することは極めて重要です。
 同時に、この制度を選択する労働者の長時間労働を防止し、健康を確保していかなければなりません。この点についても、医師による面接指導その他の健康確保措置を義務付けるなど、十分配慮をしております。
 三点目は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消、いわゆる同一労働同一賃金の実現を目指す点です。
 現状では、均等待遇規定に関しては有期雇用労働者に関する規定はなく、均衡待遇規定に関してはどのような待遇差が不合理に当たるかが明確でありません。また、派遣労働者の派遣先の待遇差については、配慮義務規定のみになっております。不合理な待遇差があれば、働く人のモチベーションは上がりません。
 そこで、この法案では、非正規雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇差の禁止に関し、不合理な待遇差を解消することで労働生産性の向上を図ります。
 また、今回、三会派の提出法案の反対の理由、どのようなケースがパワハラに該当するのかという点について、説明が明確ではないことなどであります。実効性のあるパワハラ防止対策を講じるためには、十分な実態把握と労使間での議論が必要です。この法案を拙速に成立させることは、企業における円滑な事業運営の妨げになるおそれもあり、避けるべきだと考えております。
 最後に、今回の政府提出法案は、長い間、働き方に関して、労使双方の代表を含む労働政策審議会で議論をされて合意に至らなかったもので、今回、政労使が集まり議論をした働き方改革実現会議において合意をされたものであります。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。
 本法案を必ず成立させねばならないことを申し上げ、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#32
○議長(伊達忠一君) 石橋通宏君。
   〔石橋通宏君登壇、拍手〕
#33
○石橋通宏君 立憲民主党・民友会の石橋通宏です。
 ただいま議題となりました働き方改革関連法案に対し、会派を代表して、そして、今この瞬間にも全国各地でこの法案に反対の声を上げている多くの国民、働く仲間の皆さんの思いを代弁して、断固反対の立場で討論をいたします。
 初めに、法案の審議がまだ全く不十分であるにもかかわらず、そして、国会の会期が大幅に延長されて、まだ幾らでも日程があるにもかかわらず、厚生労働委員会での審議が多数の力によって終局とされ、採決が行われたことに怒りを込めて強く抗議します。
 厚生労働委員会では、熟議の府参議院らしい審議を真摯に積み重ねてきました。しかし、これだけ大事な法案の審議だからこそ、時間ありきではないはずです。ここに至っても審議は尽くされていません。それは、取りも直さず、八本もの法案を一本にまとめて国会に出してきた、その上さらに、データ偽造問題などで国会を混乱させた政府・与党の責任じゃありませんか。
 問題はそれだけではありません。審議しても審議しても議論が深まらないんです。委員会での審議を通じて私たちは法案の数々の問題点を明らかにしてきました。その多くは、これまで安倍総理や加藤厚労大臣が国民に対して説明してきた法案の目的やメリットと完全に矛盾する問題だったんです。だからこそ、政府は、丁寧かつ真摯に答弁する責任があったはずです。それにもかかわらず、政府の答弁は、衆議院段階からの答弁をテープレコーダーのように繰り返すばかり、加藤大臣は最後まで御飯論法、これで国民の理解や納得が得られるわけがない。
 国会審議を軽視し、最後まで聞こえのいい美辞麗句ばかりを並べて労働者を欺こうとする安倍政権の姿勢を強く糾弾して、以下、反対の理由を申し述べます。
 第一の、そして反対の最大の理由は、やはり高度プロフェッショナル労働制の問題です。
 審議を通じて、改めてこの高プロ制度が、定額働かせ放題そのもので、過労死促進につながる戦後最悪の労働法制大改悪であることが明らかになりました。
 高プロは、時間ではなく成果で評価される制度などでは全くありません。単に労働時間の制約を一切取り払い、残業代なしで時間制限なく働かせることを可能にするためだけのとんでもない制度です。成果で評価することも、時間で評価してはいけないことも、明文の規定などどこにもありません。頑張って働いて、同じ期間に二倍、三倍の成果を出しても、二倍、三倍の報酬を出す必要などどこにもありません。一体どこが成果で評価される制度なのでしょうか。
 高プロの対象者が、強い交渉力を持つ超高度な専門職に限定される保証などどこにもありません。対象業務は省令で拡大できる上、年収要件の目安とされた一千七十五万円にも根拠は全くなく、通勤手当や住宅手当など、諸手当込みで賃金額を決めれば、やりようによっては基本給何と八百万円以下の労働者にも適用が可能です。どこが高度なプロフェッショナルですか。将来的な拡大にも全く歯止めがありません。
 自由で裁量ある働き方も、どこにも保証はありません。使用者が労働時間に関わる業務命令を出してはいけない規定など、どこにもありません。そもそも、達成すべき成果を決めるのも、その達成期限を決めるのも、使用者の権限なんです。過労死レベルの働き方をしなければ達成できないような成果と期限を課すことを禁じる条文などどこにもありません。
 その上、高プロは、新規採用や中途採用でも何と適用可能です。しかも、高プロへの同意を採用条件にしてもよくて、同意しなければ不採用とすることも全くおとがめなしなんだそうです。一旦入社して、嫌なら後で撤回すればいいという政府の無責任な説明には、ただ愕然とするばかりです。
 政府は、本人同意があるから大丈夫、同意の撤回もできるから大丈夫、繰り返し宣伝しています。しかし、それも全く根拠はありません。同じ制度で運用されている企画業務型裁量労働制で過労死や精神疾患が続出しています。その事実を知っていながら大丈夫だと喧伝しているのであれば、それは詐欺に等しく、断じて許せません。
 高プロ適用労働者には、実労働時間が把握されません。この問題は実に深刻です。過労死で倒れても、労働時間の証明ができないので、労災申請も裁判も困難なんです。万が一のとき、一体どうやって健康管理時間から実労働時間を算出するのかという我々の質問に対し、政府はこう答弁しました。パソコンのオンオフで見る、本人に聞いてみる、挙げ句の果てに、管理者が対象労働者の労働時間を現認する、そんなふざけた答弁を国会の場で平気で言い放つほどずさん極まりない法案であり、とんでもない制度なんです。
 今週、安倍総理がついに真実を語りました。高プロは、産業競争力会議で経済人などから意見があり取りまとめられた、経団連会長らから高プロを導入すべきと御意見をいただいたと。労働者の希望やニーズに応えるための制度だ、これまでの説明は全くの虚偽だったんです。
 どおりで、本当に残念ながら、過労死家族会の皆さんの面会要請を拒否していながら、その一方で、財界人との会食には喜び勇んで出かけていくはずです。いまだに家族会の皆さんに会おうとせず逃げ回っている安倍総理の姿勢が、高プロ制度の真実の姿を見事に物語っています。
 結局、安倍政権は、財界からの要望に応えるために、労働時間等総合実態調査の調査結果を都合よく捏造し、JILPTの調査結果は都合が悪いから隠蔽して、さらに、労働者の要望をさも聞いたかのように、法律の骨格ができ上がってしまってから十二人のヒアリングをでっち上げた。高プロの立法事実を捏造していたのであれば、これはもう法案の撤回どころではありません。今すぐ国民に謝罪をして、内閣総辞職すべき大問題です。
 反対理由の第二は、本法案が、現行の裁量労働制の深刻な制度的欠陥を放置して、何ら対策を講じていないことです。
 この間、裁量労働制の適用労働者に過労死や精神疾患など、健康被害が拡大しています。しかし、労災の申請がなされ、支給決定となるのは氷山の一角と言われています。実労働時間の把握が困難で、申請にすらたどり着けず、泣き寝入りせざるを得ないからです。
 厚生労働省も、現行制度がそもそもの制度趣旨に反して濫用、悪用されている実態を認めています。制度的な欠陥があるからです。では、なぜその欠陥をこの法案で埋めないんでしょうか。
 いや、一部埋めようとしたんです。しかし、その大切な規制強化まで、安倍総理の鶴の一声で撤回してしまいました。加藤大臣、なぜ体を張って止めなかったんですか。恐らく、大臣自身、中身を理解していなかったんでしょうね。残念ながら、厚生労働大臣失格としか言いようがありません。
 理由の第三は、残業時間の上限規制について、残念ながら、それが真に実効性ある長時間労働削減策になり得ていない問題です。
 私たちも、上限規制が導入されることは歓迎しています。しかし、特例水準が過労死水準を超える水準であること、それが安易に適用されて悪用されたら、四週間に百六十時間もの残業が可能になってしまうことはやはり大問題です。
 その抜け穴を埋めるためには、特例水準適用の厳格化や勤務間インターバル規制の義務化、一日当たり、一週間当たりの上限規制の設定が必要であるにもかかわらず、大臣は最後まで積極的な答弁をしませんでした。
 また、自動車運転手や建設労働者など、一部労働者に対して上限規制の適用を五年間も猶予すること、その上、自動車運転手については、五年後の上限を休日労働を含まない九百六十時間としていることも大問題です。命や健康の大切さは同じなのに、ダブルスタンダードで異なる労働時間規制を適用し、労働者を差別することなど、絶対に許されません。
 理由の第四は、政府案にパワハラ規制を含むハラスメント規制に対する規制が盛り込まれていない問題です。
 今この瞬間にも、パワハラ、セクハラ、そして顧客やユーザーからの過剰クレームによって精神的に追い詰められ、苦しんでいる労働者がいます。命に関わる深刻な問題も発生しています。それにもかかわらず、政府案には規制が含まれていません。これでは到底労働者のための法案と言えません。
 以上、数ある法案の欠陥の中から幾つかの重要事項に絞って反対の理由を申し述べました。
 最後に、いま一度、同僚議員の皆さんに申し上げます。
 労働時間の大原則は、一日八時間、週四十時間です。そして、その時間内で働けば……
#34
○議長(伊達忠一君) 石橋君、時間が超過しております。簡単に願います。
#35
○石橋通宏君(続) 労基法第一条が規定する、人たるに値する生活を営むための必要を満たす労働条件が保障されなければなりません。それこそが、憲法が保障する国民の権利であり、その当たり前を実現することこそが真の働き方改革です。
 残業代ゼロ制度によるコストカットで……
#36
○議長(伊達忠一君) 石橋君、時間が超過しております。簡単に願います。
#37
○石橋通宏君(続) 労働者の犠牲の上に一部企業だけがもうかる成長戦略に、日本の未来を託すことはできません。
 私たち立憲民主党は、これからも働く者の立場に立って、市民の皆さんと力を合わせ、全力で戦っていく決意を申し上げ、私の反対討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#38
○議長(伊達忠一君) 東徹君。
   〔東徹君登壇、拍手〕
#39
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について、賛成の立場から討論を行います。
 本法案について、高度プロフェッショナル制度が過労死を助長するのではないかという不安、そしてまた、中小企業にとっては人件費の増加が経営に大きく影響するのではないかという懸念があります。これらの点を少しでも解消するため、我が党は、衆議院において、与党及び希望の党と法案の修正を行いました。
 この修正では、まず、高プロの導入に必要な本人の同意を撤回する手続について規定を整備しました。これにより、高プロが、一旦は自分の意思で選択したものの、自分に合わないと分かれば元の働き方に戻ることができる制度であることを明確にしました。撤回による不利益な取扱いの禁止と相まって、労働者にとって高プロは出入り自由な働き方の一つの選択肢となります。
 また、中小企業対策として、法案修正によって、地方公共団体、労働者団体、中小企業により構成される協議会の設置を盛り込みました。地方公共団体が入って様々な立場の意見を聞く仕組みは、働き方改革の実効性を確保し、そして必要不可欠なものであります。さらに、事業主に対しては取引上の配慮に関する努力義務も追加しており、これによって、事業主や働く人たちにとって過度な負担にならないよう、不安や懸念を一定程度解消できるものと考えます。
 我が国は、少子高齢化が進み、これから特に働き手となる生産年齢人口が減っていきます。長時間労働を前提とするこれまでの働き方では、女性や高齢者など働く上で時間的制約のある人が働くことができず、貴重な人材が活躍できないばかりか、我が国の経済成長が妨げられ、我が国の様々な制度を維持できなくなるおそれがあります。
 本法案は、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入など、使用者と労働者双方にとって必要不可欠です。多様な働き方を推進し、人手不足の解消へつなげるとともに、非正規労働者の待遇改善や労働生産性の向上によって我が国の経済成長と社会保障制度の維持を実現させなければなりません。
 また、高プロは、日本にとどまらず世界と競争している日本の企業や人材にとって、優秀で多様な人材の能力を最大限に発揮していくために、働き方の新しい選択肢として必要です。
 この際、厚生労働省の在り方について何点か申し上げます。
 本法案の最大の論点は高度プロフェッショナル制度の是非であり、これについて与野党の論戦が激しくなることは当初から予想されておりました。高プロという新しい制度のニーズが本当にあるのかどうかや、高プロの対象になりそうな人が、今どのような働き方をしていて、どのような働き方を望んでいるかなど、新しい制度をつくっていく上で実態を把握することが大事であるため、多くの人からヒアリングをして確認することは当たり前のことであります。
 戦後の労働基準法の制定以来、七十年間続いた労働法制を大きく転換しようとする法案であるにもかかわらず、直接ヒアリングを行ったのがたった十二人だけというのは、全くの準備不足であることを示しています。厚労省の法案審議に対する考え方を改めていただきたいと思います。
 また、裁量労働制に関するデータの問題は、本来比較すべきでないものを比較するなど、法案の前提に疑義が生じ、政府に対する国民の不信感を招いてしまいました。調査から既に五年も経過していることから、早急に再調査を行い、今の実態を把握していく上で、あるべき政策を検討することを求めます。
 厚労省は、これまで、重要法案と言われた数々の法案でも様々なミスを繰り返しています。今国会では、法案審議以外でも、例えば年金機構の年金過少支給問題、野村不動産に対する特別指導についての東京労働局長の問題発言など、厚生労働省をめぐる問題が多数生じてしまいました。
 今のままでは、厚生労働省はもはや限界です。
 毎年のように起こる厚生労働省の問題は、もはや大臣一人の責任ではありません。以前から指摘しているとおり、厚生労働省の所管する範囲が広過ぎることが原因です。
 社会保障制度の在り方は、国民に重要な関心事です。財政状況の厳しい我が国で、今後の社会保障制度をどのように維持していくか、国会でしっかりと議論していかなければなりませんが、厚生労働委員会は、政府提出の法案も多く、厚生労働省に何らかの問題が起こるたびに議論がストップするため、議論に必要な時間が十分に確保できません。
 ここは、大き過ぎる厚生労働省を大臣がしっかりマネジメントできる範囲に分割していくことを前向きに検討していただきたいことを申し上げ、賛成の討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#40
○議長(伊達忠一君) 倉林明子君。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕
#41
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。
 昨日、与党は、継続、徹底審議を求める野党の要求を打ち切り、野党三会派が提出した厚生労働委員長解任決議を本会議にも諮らず棚上げするという前代未聞の暴挙の上、厚生労働委員会を再開させ、採決を強行いたしました。これは二重の暴挙であると断ぜざるを得ません。断固抗議するものです。
 以下、反対の理由を述べます。
 本法案は、その立法事実が破綻しているということです。
 議論の出発点である労働時間のデータの捏造、データの隠蔽が発覚し、法案から裁量労働制を削除せざるを得ないという異例の事態となりました。二割にも上るデータを削除した後も、残りのデータに次々と誤りや記載ミスが見付かっただけでなく、削除後のデータに重大な乖離が生じていたのです。さらに、管理監督者を一般的な働き方に含めたデータを労政審に提出したことも発覚し、大臣は誤りだったと認めています。誤ったデータで労政審での議論が行われていたのです。誤りを認めるのであれば、労政審に差し戻すのが当然ではありませんか。法案の前提は完全に崩れているのです。
 総理が、成果で評価される働き方をしたい方のために制度をつくると説明してきたのが高度プロフェッショナル制度です。審議を通じて明らかになったのは、十二人に聞き取ったという労働者のニーズはでっち上げだったということです。高プロを初めて提案したのは武田薬品工業株式会社の社長であり、ニーズは大企業にあったことが明らかになりました。労働法制の立法根拠が使用者の要請であるなど、本末転倒、労働法制の根幹をゆがめることにほかなりません。立法事実は完全に破綻しています。
 労政審も国会も冒涜し、国民世論も過労死家族の会の願いも踏みにじる本法案は、廃案とするのが立法府としての責任ではないでしょうか。
 第二に、本法案が過労死促進法であることが審議を通じて明らかになったからです。
 高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制を一切取り払うもので、戦後の労働法制上やったことがない異次元の規制緩和となるものです。対象業務は限定するというものの、どんな業務が対象になるのか明らかになるのは法案成立後であります。労働者派遣法でも裁量労働制でも、省令により対象業務を拡大させてきたのが厚労省です。国会に諮ることなく、際限なく対象業務が拡大される道が開かれています。
 肝腎の年収要件も、高収入とは看板倒れで、実はパートも含む労働者の平均が根拠だったこと、通勤手当など固定的な手当も含まれること、一千七十五万円の総額は示されているものの、手取り額の実態は最後まで明らかになりませんでした。
 この制度が最初に法案として盛り込まれた当時の厚労大臣は、小さく産んで大きく育てると発言していたとおり、高プロの対象となる業務も労働者も大きく膨らむ危険が極めて強いのです。
 さらに、裁量権があるから自由な働き方が可能だと説明しながら、裁量権は法案で規定されておらず、たまたまこういう会議がありますよという通知なら指示に当たらないと大臣は驚きの答弁をいたしました。これでは、名ばかり裁量権になることは目に見えているのではないでしょうか。対象業務など、省令や指針、通達で決める項目を数えると九十を超えています。こんな危険な白紙委任は到底認められません。
 成果を上げるまで残業代なしで働かせ、過労死しても、過労死としては認められず、労災認定はおろか労災申請さえも極めて困難にし、結果として、表向きは過労死の件数だけが減少するという最悪の事態を招くのが高度プロフェッショナル制度です。命を奪うだけでなく、残された家族に何の補償もされない、こんな制度は絶対に成立させてはなりません。
 時間外労働の上限規制についても、過労死ラインの時間外労働を合法化するものとなっていることは重大です。三井住友海上では、法改定を前提として三六協定の特別条項の上限規制を年間百九十時間も引き上げる見直しがされています。罰則付きの上限規制が長時間労働を助長する危険性は極めて高いのです。
 そもそも、日本は異常な長時間労働が放置されたままとなっている数少ない先進国の一つです。
 今では世界の常識ともなっている一日八時間、週四十八時間の労働時間条約をILOが採択したのは一九一九年。当時の労働時間は、一日十四時間又は十六時間でした。月百時間未満の残業時間の法定化は一日十三時間に当たるもので、百年前の世界の働かせ方の水準を容認するものと言っても過言ではありません。長時間労働の是正というのであれば、日本政府が行うべきは、百年前の条約を直ちに批准することではないでしょうか。
 さらに、本法案が雇用対策法の役割を大きく変質させることも重大な問題です。
 法律の名称を雇用対策から労働施策に変え、労働生産性の向上を目的に据え、多様な就業形態の普及が国の施策と位置付けられています。
 現在でも増え続けるフリーランスなど多様な就業形態で働く人たちの中には、保護されるべき労働者でありながら、請負で働く人々が少なくありません。最賃法も労働基準法も適用されない労働者を労働法制で普及するなどあってはなりません。労働者保護法制が適用されない働き方も含む多様な就業形態の普及を国の施策に加えることは、無権利、低所得の労働者を増大させることにつながるものであり、到底容認できません。
 また、同一労働同一賃金についても、格差是正のために正社員の処遇を引き下げることが可能となっています。既に、日本郵政では、正社員の処遇を引き下げて、正規、非正規間の処遇間格差を是正するという対応をしているのです。労使の合意があれば、正社員の処遇を引き下げることも不利益とは言えません。大臣は望ましくないと言うだけで、何ら歯止めはありません。加えて、フレックスタイム制の清算期間を三か月に拡大することは、長時間労働の助長、新たな未払残業につながるものです。
 二〇一四年六月、この議場で過労死等防止対策推進法が全会一致で可決、成立し、翌年には過労死等の防止のための対策に関する大綱が閣議決定されました。その大綱には、「法が成立した原動力には、過労死に至った多くの尊い生命と深い悲しみ、喪失感を持つ遺族による四半世紀にも及ぶ活動があった。」と書かれています。
 総理は、二度と悲劇を繰り返してはならないと何度も決意を述べてきました。にもかかわらず、大綱策定から僅か三年、政府が過労死促進法ともいうべき本法案を提出すること自体、言語道断、到底許されるものではありません。
 過労死の悲劇を繰り返さないという総理の言葉は、過労死家族も全ての働く人々をも欺くものだと言わざるを得ません。国民を欺く安倍政権には一刻も早い退陣を強く要求して、反対討論といたします。(拍手)
#42
○議長(伊達忠一君) これにて討論は終局いたしました。
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#43
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 まず、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#44
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#45
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成            百六十四  
  反対             七十一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#46
○議長(伊達忠一君) 次に、労働安全衛生法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#47
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#48
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成             七十八  
  反対            百五十七  
 よって、本案は否決されました。
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#49
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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