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2018/05/11 第196回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第196回国会 経済産業委員会 第10号
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2018/05/11 第196回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第196回国会 経済産業委員会 第10号

#1
第196回国会 経済産業委員会 第10号
平成三十年五月十一日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 稲津  久君
   理事 城内  実君 理事 平  将明君
   理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君
   理事 吉川 貴盛君 理事 落合 貴之君
   理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君
      穴見 陽一君    石川 昭政君
      上野 宏史君    尾身 朝子君
      大串 正樹君    大見  正君
      岡下 昌平君    勝俣 孝明君
      神山 佐市君    神田  裕君
      小林 鷹之君    佐々木 紀君
      佐藤ゆかり君    杉田 水脈君
      田畑  毅君    福山  守君
      穂坂  泰君    星野 剛士君
      松本 洋平君    三原 朝彦君
      八木 哲也君    中谷 一馬君
      松田  功君    松平 浩一君
      山崎  誠君    吉良 州司君
      斉木 武志君    山岡 達丸君
      國重  徹君    田嶋  要君
      笠井  亮君    谷畑  孝君
      菊田真紀子君
    …………………………………
   経済産業大臣       世耕 弘成君
   経済産業大臣政務官    大串 正樹君
   政府参考人
   (個人情報保護委員会事務局次長)         福浦 裕介君
   政府参考人
   (文化庁長官官房審議官) 永山 裕二君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           木村  聡君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           佐藤 文一君
   政府参考人
   (経済産業省経済産業政策局長)          糟谷 敏秀君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長)            多田 明弘君
   政府参考人
   (特許庁長官)      宗像 直子君
   政府参考人
   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君
   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  田嶋  要君     泉  健太君
同日
 辞任         補欠選任
  泉  健太君     田嶋  要君
同月十一日
 辞任         補欠選任
  神山 佐市君     福山  守君
  國場幸之助君     杉田 水脈君
  松平 浩一君     松田  功君
同日
 辞任         補欠選任
  杉田 水脈君     國場幸之助君
  福山  守君     神山 佐市君
  松田  功君     松平 浩一君
同日
 理事田嶋要君同月七日委員辞任につき、その補欠として浅野哲君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
四月十九日
 原発からの撤退を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇〇一号)
 小規模事業者に対する社会保険料負担軽減支援策等に関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇五四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
     ――――◇―――――
#2
○稲津委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に浅野哲君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○稲津委員長 内閣提出、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として個人情報保護委員会事務局次長福浦裕介君、文化庁長官官房審議官永山裕二君、経済産業省大臣官房審議官木村聡君、経済産業省大臣官房審議官佐藤文一君、経済産業省経済産業政策局長糟谷敏秀君、経済産業省産業技術環境局長末松広行君、経済産業省製造産業局長多田明弘君、特許庁長官宗像直子君及び中小企業庁経営支援部長高島竜祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#6
○稲津委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上野宏史君。
#7
○上野委員 おはようございます。自由民主党の上野宏史でございます。
 それでは、早速、不正競争防止法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 今回の改正法案は、大きく三つの改正事項から成るということであると思います。順次質問をしてまいります。
 まず、不正競争防止法であります。
 価値あるデータの取得、また、それが適正に使用、提供されるような環境の整備ということは、コネクテッド・インダストリーズの実現であったり、また、我が国の経済の発展のために必要であるということであると思います。その意味で、本法案ですけれども、我が国の喫緊の課題を解決する大変重要な法律であるというふうに思います。
 その内容について、順次確認をさせていただきます。
 まず、今般の改正では、データの不正取得それから使用等に対する民事上の救済措置を新たに設けるということであります。具体的にどのようなデータが対象になって、また、現状、我が国の経済活動の中でどういう問題が生じているという認識があって今般の改正を行うこととしたのか、まず御教示をいただきたいと思います。
#8
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 第四次産業革命が進展いたします中、データやそれを活用したビジネスモデルは、企業の競争力の源泉となっているところでございます。
 一方、データは、御案内のとおり、複製や転送が容易でございまして、一旦不正に取得されますと、その後の不正な流通がとめられず、データの提供者が甚大な被害をこうむるおそれがございます。
 今回、法改正を検討いたしました審議会、産業構造審議会の不正競争防止小委員会でございますけれども、こちらでは、例えば、自動走行用の地図データや化学素材データを取り扱う事業者などから、データの不正流通に対する差止めなどの対抗手段がないと安心して外部にデータを提供できないとの懸念が示されたところでございます。
 また、実際に、自動車整備事業者などに限定して提供されている車両や部品に関するデータベースが無断で複製され、部外者に販売された事案もございました。データの提供者は、訴訟において、損害賠償とともに、複製、販売の差止めを求めましたものの、判決では、民法不法行為に基づく損害賠償しか認められなかったという事実がございます。
 こうしたニーズや現行法制度の制約を踏まえまして、データを安心して取引でき、利活用できる事業環境を整備いたしますために、今回の不正競争防止法の改正では、データの不正な取得や使用等の不正な行為に対する差止め請求権などの民事措置を設けることとさせていただいたところでございます。
 その保護対象となりますデータといたしましては、例えば、先ほど申し述べました自動走行用地図データや化学素材データに加えまして、POSシステムで収集した商品の売上データでありますとか、あるいは、船主、造船所等の関連企業が共有する船舶運航データなどが想定されるものと考えてございます。
 以上でございます。
#9
○上野委員 ありがとうございます。
 今御説明いただいたような経緯も踏まえまして、データの利活用を促していくということが必要であるということだと思いますけれども、データの提供をする側の事業者の権利が守られて、安心、安全にデータが流通するような制度を整備していくということとあわせて、一方で、これは規制の新設また強化であるというふうに思います。データを利用する側の事業活動が過度に制限をされるということになると、これは逆に、利用する企業の側を萎縮させて、データの利活用が進まない、滞るということにもなりかねないというふうに思います。
 そういう意味で、今回の法改正、規制の新設に当たっては、提供する側そして利用する側の間で微妙なバランスをとって規制の水準を定めるということが必要だというふうに思います。
 具体的にどのような行為について規制をする、制限をするということにしたのか、御教示をいただきたいと思います。
#10
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正法では、先生御指摘のとおり、データ提供者の利益を適切に守ります一方で、データ利用者の利活用を萎縮させることのないように、両者のバランスに十分留意して制度設計を行ったところでございます。
 具体的な制度のあり方につきましては、産業構造審議会不正競争防止小委員会におきまして、データ提供者、利用者、両方に加えまして、学識者などにも御参画いただき、関係事業者からのヒアリングも行いながら慎重な検討を行ったところでございます。
 その結果、データの取引につきましては、契約に基づく自由な取引を前提といたしまして、正当な事業活動を阻害しない範囲で、真に悪質性の高い不正取得、使用等に限定して、必要最小限の規律を設けることとさせていただきました。
 具体的には、不正アクセスや詐欺などの不正な手段によりデータを取得することや、その取得したデータを使用、提供すること、業務の委託等を通じまして入手したデータについて、不正な利益を得る目的やデータ提供者に損害を加える目的を持って、横領、背任に相当するような態様でそのデータを使用すること、さらには、不正な経緯が介在していることを知りながら取得したデータを使用、提供することなど、真に悪質性の高い行為を不正競争行為として位置づけることとしたところでございます。
 以上でございます。
#11
○上野委員 ありがとうございます。
 今、規制の対象となるデータを伺って、その後、どういう行為が対象になるのかという話をお伺いしました。
 次に、規制の内容についてお伺いをしたいというふうに思います。
 今回、規制の対象となるデータの不正取得、使用等は民事措置の対象になるということであります。一方で、既にもう規制をされている営業秘密の不正取得、使用等については、もともと民事措置の対象だったものが、その必要性に鑑みて、平成十五年以降ということだと思いますけれども、累次の改正で刑事的保護を強化したという事実もあるというふうに承知をしております。
 今回、データの不正取得、使用等についても刑事罰の対象とすべきという議論もあったというふうに聞いておりますけれども、どういう判断で民事措置のみということにしたのか、お答えをいただきたいと思います。
#12
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 産業構造審議会不正競争防止小委員会における審議では、データ提供者の立場から、一部に刑事罰の導入を求める意見がございました。その一方で、有識者やデータ利用者の立場からは、データの取引実績が必ずしも十分でない中、現時点で刑事罰を導入すればデータの利活用が萎縮するおそれが大きいとの意見があったところでございます。
 これらの意見を総合的に勘案した結果、今回の改正法では、まずは差止め請求などの民事措置のみに限定して導入することとさせていただきました。
 なお、平成二年に営業秘密の不正取得などを不正競争行為に位置づけた際も、まずは民事措置から導入をいたしまして、その十二年半後に刑事措置が導入されたという経緯がございます。
 以上でございます。
#13
○上野委員 ありがとうございます。
 では次に、今回規制の対象とされていない部分についてお伺いをしたいというふうに思います。
 これも議論の対象になったというふうに承知をしておりますけれども、データの不正行為によって生じた成果物の取扱いであります。
 データは、その性質上、容易に加工ができる、又は分析ができるということであるというふうに思います。それを用いた物品、AI学習済みモデル、マニュアル等々、容易に作成をできるというものでもあり、また一方で、元データに加えて、こうした加工品、成果物の方がより価値を持つということも多くあるということだと思います。
 今回規制の対象外とされたということだと思いますけれども、どういう議論、判断があってこういう規制体系、規制の形にしたのか、お答えをいただきたいと思います。
#14
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 データの不正使用による成果物といたしましては、例えば、今回の法改正によって保護対象となります限定提供データを不正に使用して学習させたAIプログラムなどが想定されるところでございます。
 そうした成果物の取扱いについてでございますけれども、審議会において検討いたしましたところ、規制の対象とすべきとの意見が一部にありました一方で、個別のデータがAIプログラムの性能向上に寄与する程度には幅があります中で、成果物であるAIプログラムの流通を差止めの対象といたしますことは、データの利活用に対する萎縮効果となるおそれがあるとの意見が大勢を占めたところでございます。
 このため、データを活用したAIプログラムの開発が途上にあることにも鑑みまして、今回の改正法では、限定提供データの不正使用行為によって生じた成果物の譲渡などの行為は不正競争行為に位置づけないこととさせていただいたところでございます。
 以上でございます。
#15
○上野委員 ありがとうございます。
 これまで、規制の対象、今も規制の対象の話ですけれども、規制の対象であったり、又は規制の対象となる行為であったり、又は規制の内容についてお伺いをいたしましたけれども、この法案、今の形になるまでに随分いろいろな議論があったということだと思います。まさに規制の新設ですので、どの水準に規制を定めるのか、それが、最もデータの利活用が進んでいく、我が国経済のために資する形になっていくというのは、本当に微妙なバランスであるし、実際にこの法律を施行してみないとなかなか見えてこないということもあるというふうに思います。
 そういった意味では、またデータについて言うと、日々、日進月歩でいろいろな技術が進展をしていく、また、データの利用の方法についても、日々いろいろな新たな形態が出てくるということでもあるというふうに思います。
 その意味では、まさに、今回規制の対象となるデータの不正取得、利用等に対する規制のあり方、また規制の水準については、施行後の状況もしっかり踏まえながら不断の見直しを行って、まさに、データがしっかり活用されていく、それが日本の経済に貢献をしていく、経済の発展につながっていく、そういった形での不断の見直しをしっかり行っていくべきではないかというふうに思いますけれども、大臣の御決意、お伺いしたいと思います。
#16
○世耕国務大臣 今回の制度を導入した大きな目的は、やはりデータ利活用を促進する、そのためにルールをつくっていこうということでありますから、それぞれ、データを提供する人あるいは利用する人の保護のバランスを配慮して、データを利活用することに関して何か萎縮を起こすようなことがあってはいけないということで、今回、規制の対象にしているのは悪質性の高い行為に限定をして、必要最小限の措置を設けるという形になっています。
 データを利活用したビジネスというのはまだ端についたばかりでありますから、今回この制度を導入した後は、まずはこの制度の普及啓発にしっかり取り組んだ上で、制度自体の不断の見直しというのは非常に重要だというふうに思っていまして、施行した後、例えば、データの取引の実態がどうなっているのかとか、あるいは技術の進展がどうなっているのか、あるいは、余りあってはいけませんけれども、具体的にどういう侵害の実例みたいなものが出てくるかということを見た上で、有識者や産業界の御意見も伺って、制度の検証を行っていきたいというふうに思っています。
 この検証というのは、どちらも、検証の結果、制度をどう動かすかというのは、制度をもっと拡大するという変更もあり得れば、もっと縮小した方が使い勝手がいいという変更もあり得るのではないかというふうに思っておりますけれども、予断なく、しっかり検証を行っていきたいというふうに思います。場合によっては、刑事措置の導入ですとか、あるいは、データの不正利用によって生じた成果物の取扱いなどについても検討対象に含まれるというふうに考えています。
#17
○上野委員 ありがとうございます。
 まさに今、世耕大臣御答弁いただいたように、データの利活用が進むように規制体系を変えていくということもあり得れば、また、規制を緩和していくべきだということもあり得るというふうに思います。ぜひ、しっかり、施行した後の状況を踏まえて、経済産業省、対応いただければというふうに思います。
 次に、JIS法についてお伺いをしたいというふうに思います。
 標準化につきましては、これまで、一定程度市場に流通をした商品、物品について、業界のコンセンサスも得ながらその形式であったり品質についてルールを定めるというのが大きな形だったと思うんですけれども、一方で、企業による市場の拡大であったり、又は市場の獲得の手段としても用いられるようになってきたということでもあるというふうに思います。そういった意味で、今般の見直し、これも大変我が国の経済にとって大事な改正であるかなというふうに思っております。
 そういった状況も踏まえまして、これまで標準化については経済産業省もさまざまな取組をしてきたということだと思います。平成二十六年に新市場創造型標準化制度というのがつくられました。これまで三十七件の企業に活用されたということであります。私の地元、群馬でありますけれども、携帯用の顕微鏡、バイオロジカル顕微鏡ということをテーマに、ある企業がJISの作成に今取り組んでいるところであります。
 この新市場創造型標準化制度も、従来の、業界団体が主導で標準をつくっていく、JISをつくっていくというところから、一企業が主導して規格をつくっていくということを可能にして、JIS作成までの期間を短縮していくという、これも斬新な取組だったんだと思います。
 今回、新たに民間主導によるJIS制定の迅速化という改正を行うということでありますけれども、これまであった新市場創造型標準化制度の実施の状況も踏まえて、今現在どういう問題があって今般の改正をすることになったのか、お伺いをいたします。
#18
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、経済産業省では、少数企業が保有する先端技術、あるいは複数の業界団体にまたがる融合技術の標準化を進めるために、それにかかわる技術に関する標準化の原案を作成する団体が存在しない場合であっても原案の作成を支援する新市場創造型標準化制度を二〇一四年に導入開始したところでございます。
 本制度のもとで、生活支援ロボットあるいはダスト濃度自動計測器など中小企業からの提案を中心に、これまで、先ほど御指摘のあったとおり、三十七件のJIS国際標準案件を採択し、既に十一件のJISが制定されてございます。
 一方で、JISの原案を作成する団体がある場合においても、制定までにかかる時間を短縮したいというニーズがあるため、今回、法改正によって、認定産業標準作成機関制度を導入するということにした次第でございます。
 特定の分野における産業標準の案の作成について十分な知識及び能力を持ち、かつ、公平性を担保する業務の実施体制を持つ者を主務大臣が認定し、認定機関から申請がなされたJISの案については、日本産業標準調査会の議決を経ずにJIS制定を可能とすることで、JIS制定にまでかかる期間の短縮化を期待しておるところでございます。
 今後も、先ほど申し上げた、新市場創造型標準化制度による原案を作成する団体が存在しない場合の標準化、そして、認定産業標準作成機関制度の活用による原案作成団体からの申出にかかわるJIS制定のプロセス、この二つによって、民間主導による標準化の推進とJIS制定の迅速化、この二つに努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#19
○上野委員 ありがとうございます。
 標準化の重要性というのは今後ますます高まっていくということであるというふうに思います。
 日本企業が海外市場において経済活動を拡大していったり、市場をとっていく、利益を生み出していくというためにも、我が国主導で、日本の技術また製品に関する規格を国際標準にしていくということが大きな意味を持つのではないかというふうに思います。
 従来から、例えば、国際標準の提案であったり、また、幹事国の引受件数の増大といった目標も定めながら国として取り組んできたということだと思いますけれども、今般の改正で、法目的に国際標準化の促進が規定をされるということであります。
 具体的に、アジアの各国とも競争が厳しくなっていく中で、どのような取組、また、どのような成果を見込んで今般の改正を行われるのか、お伺いをいたします。
#20
○大串大臣政務官 自動走行やスマート工場、ドローンなどの重要分野において日本が国際標準を主導することが重要であるとの認識に立ち、これまで、国際標準提案数の倍増、欧米並みの幹事国引受数といった国際標準化戦略目標を掲げ、どちらも達成してきたところでございます。
 また、重要分野における世界の規制や標準化の動向に関する情報収集を行うとともに、内閣官房を中心に関係府省や経済団体が連携をして国際標準獲得に向けた官民連携会議を設立いたしまして、日本として市場獲得を目指すべき分野や、日本が苦手とする社会システム分野等の国際標準化のための戦略や推進体制について議論を行っているところでございます。
 なお、新しい技術分野の国際標準の議論におきましては、国内標準を制定した上で国際標準を提案すると、既存の試験データや利害関係者の議論の蓄積が有効に作用し、国際標準化活動を円滑に進めることができると考えております。直管LEDランプなど、JISを制定していたことから国際標準化が円滑に行えた事例もございます。
 また、国内標準がある場合には、国際標準化機関におきまして、通常必要とされる専門委員会での原案作成、審議、投票を経ず、直接その次のプロセスである全参加国による投票にかけられる仕組みもございます。
 こうしたことから、JIS法を改正して標準化の対象にデータやサービス、マネジメント分野などを加えることにより、国内標準と国際標準の対象分野の範囲の整合性を高めること、また、産業標準作成機関制度の導入によりJISの制定を迅速化することは、日本が国際標準化に関する取組を強化していく上でも有効なものと考えております。
#21
○上野委員 ありがとうございます。
 時間になったのでこれで質問を終わるんですが、最後に大臣に一点、本当は質問をするはずだったんですが、お願いをしておきたいというふうに思います。
 我が国の経済活動の中で中小企業が占める割合というのは非常に大きなものがあるというふうに思います。例えば標準化でありますとか、又は特許を活用した経済活動、事業活動というのは、中小企業、しっかりそれを活用して、いい形で市場を獲得していく、また、利益を出していくということが大事であるというふうに思います。
 一方で、大企業に比べると、例えば専門の部署を置いたり、又は専門の人を置いたりということがなかなか中小企業は厳しい面もあるというふうに思います。また、標準、それから特許、知財に関する意識がなかなか高くない企業も多いというふうに思います。ぜひそのあたりについて、中小企業に対して丁寧なケアをしていただけるような対応を経済産業省、中小企業庁にお願いを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#22
○稲津委員長 次に、松平浩一君。
#23
○松平委員 おはようございます。立憲民主党の松平浩一です。
 きょうは不正競争防止法の改正案についてお伺いしたいと思います。
 今回の改正案、データの不正取得や使用を不正競争ということとして差止め請求を認めようとされています。つまり、データに規制をかけようとしているわけなんですけれども、第四次産業革命の中でいかにデータの活用を進めて新しいビジネスを起こしていくかという観点からは、私、政府としてはどんどんオープンなデータをふやしていこう、そういう方向性かと思っていました。データに今回規制をかけよう、これは、つまりオープンなデータを減らしていこうというわけなのかなというふうにも思ったりもします。
 この法律の目的を読むと、データの利活用促進というふうに書いてあります。データに規制をかけていて利活用促進とは、何か余りしっくりこないのかな、つながってこないのかな、そういうふうに思うんですけれども、この点、どうなんでしょう。何か方向性が逆なんではないのかなと思ったりするんですが、御説明いただければと思います。
#24
○糟谷政府参考人 御指摘のように、第四次産業革命のもとでデータが付加価値の源泉となっている中で、まさにデータの利活用を進めていくということが重要である、全く我々も同じ認識でございます。
 他方で、データは複製とか提供が容易でありまして、一旦不正に取得されますと、その後不正な流通がとめられなくて、このことがデータの提供を差し控える原因となっているのではないか、自由であることはいいことなんですけれども、自由であり過ぎるがゆえに、つまり、規律がないがゆえにかえって貴重なデータが提供されずに、データの利活用が進まない、そういうことになっているのではないかという懸念を持っております。
 具体的に、審議会での議論におきましても、自動走行用の地図データや化学素材データの提供事業者などから、データの利活用をして付加価値が生まれることはわかっているけれども、データの不正取得や不正使用に対する対抗手段がないと安心してデータを提供できない、そんな懸念が示されたところでございます。
 今回の改正は、規制というふうにおっしゃいましたけれども、これは行政の規制ではございません。民事上のルール、規律でありまして、それを導入すること、具体的には、データの不正流通に対する対抗手段を創設することによって、より安心してデータを提供できる環境を整備するものであります。
 これによって、データの提供が安心してなされるようになって、データの利活用がむしろ現状よりも促進されるということを期待しているものでございます。
#25
○松平委員 どうもありがとうございます。
 今、民事上のルールとおっしゃいましたけれども、やはり国家がルールをつくるということには変わりないというふうに思うんです。つまり、今の御答弁、データを保護すると安心してデータを提出できるのでデータを提出しやすくなる、そして利活用がふえるということなんだと思います。
 もちろん、保護したいデータというのがあるのはわかるんですね。例えば、いろいろデータをいじって独創性を持たせて、そして創作性を持ったデータというものがあると思います。他の人にまねができないようにデータをカスタマイズして特定の人に売って商売に使う、そういうデータもあると思います。そういったものが、まさに今回保護されようとしているデータなのかというふうに思います。
 この部分に関してなんですが、著作権法上、編集著作物という概念、又はデータベースの著作物という概念があるんだと思いますが、これはどういったものか教えていただいてもいいでしょうか。
#26
○永山政府参考人 お答え申し上げます。
 データベースの著作物につきましては、著作権法上、著作権法の第十二条の二第一項に規定がございます。その規定では、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するもの」が著作権法上保護されるということになっております。
 なお、データベースそのものの定義については、著作権法上、「論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」、これがデータベースと定義されております。
#27
○松平委員 ありがとうございます。
 データというものも、今おっしゃった定義に該当すれば保護されるというふうに理解いたしました。
 この点、判例においても、著名な判例で、タウンページのデータベースが保護された、タウンページという電話帳ですね、それが保護されたというNTTタウンページ事件というのがあると思います。これは、「タウンページデータベースは、全体として、体系的な構成によって創作性を有するデータベースの著作物である」、「電話番号情報を職業別に分類したタウンページは、素材の配列によって創作性を有する編集著作物である」、そういうふうに裁判上、判示がなされております。
 実際に、創作性を有するデータというのは著作権法上保護されるということになると思います。このデータについて、では、著作権法上、どういった行為について権利として保護されるのでしょうか。
#28
○永山政府参考人 お答え申し上げます。
 著作権法上、著作権者には、複製権、譲渡権、また公衆送信権などの権利が付与されております。
 具体的に申し上げますと、例えば、データベースの著作物について、ディスクなどにコピーをして公衆に販売する行為、また、インターネットなどを通じて公衆に送信したりする行為につきましては、原則として、当該データベースの著作物の権利者の許諾が必要になる行為ということになります。
#29
○松平委員 今おっしゃっていただいたように、著作権者の許諾が必要になるということは、これの許諾なしに、違反した場合は、これは差止めであるとか損害賠償請求であるとか、そういったことができるという理解でよろしいでしょうか。
#30
○永山政府参考人 そのとおりでございます。
#31
○松平委員 ありがとうございます。
 データベースについても、今のような形で著作権法上保護されているということになると思います。
 それでは、著作権が発生しないというような場合でも、現行法上、営業秘密として保護される場合があると思うんですが、この要件を教えてもらってもよろしいでしょうか。
#32
○糟谷政府参考人 営業秘密は、秘密として管理することでその価値が保たれるものでありまして、三つの要件、すなわち、秘密管理性、第二に非公知性、第三に有用性、この三つの要件を全て満たした場合、そのデータは営業秘密として保護をすることとしております。
#33
○松平委員 どうもありがとうございます。
 今おっしゃった三つの要件、これを満たせば営業秘密として現行法上も不正競争防止法上で保護されるということになるというわけですね。
 あと、自分のこういった情報、データを守るためには、契約という手段もあると思います。契約は私的自治の一番の原則です。秘密保持というものもあり、若しくはデータを渡すときに条件をつけるということもありということで、これを破ったら、契約違反で損害賠償もできることになります。不法行為責任という責任も生じてきます。
 ちなみに、まだあるんです。こういったデータに、アクセスやコピーに対して技術的にプロテクションをかけていると、これを破ると、不正競争防止法による技術的制限手段の保護というのがあって、これに該当することになります。それからさらに、不正アクセス禁止法、そういった法律による保護もあります。
 そう考えると、データを守ろうとした場合、独自の創作性が認められるデータであれば著作権法上保護されます。そして、不正競争防止法上の営業秘密としても保護されます。契約によっても保護されます。不法行為請求もできます。それから、不正競争防止法による技術的制限手段の保護という保護もあります。不正アクセス禁止法による保護もあります。これは結構な保護手段が現時点であるわけです。今回、これにプラスして、データ自体を新たに不正競争防止法で保護しよう、そういうふうにされています。
 この不正競争防止法による保護というのは、プロテクション効果が非常に高いんです。はっきり言って、企業にとって、単なる契約違反で訴えられるのと不正競争防止法違反で訴えられるのでは、ダメージが全然違います。企業にとっては、契約違反でも、仮に負けたとしても、もちろん金銭的には大きいのかもしれないんですが、これは契約上の解釈の問題ということで済むんですが、不正競争防止法ということで負けてしまうと、レピュテーションのダメージというのが大変大きいんです。この企業はコンプライアンスが全くなっていないというイメージがついてしまいます。データにこういう保護を与えたら、企業にとっては、データ、怖くて使えないということになってしまうと思います。
 データは、持っているのは、私は大企業が結構多い気もするんです。全国のコンビニからPOSのデータを集約したり、IoT機器を消費者に大量にばらまいてデータ取得したり、そうして集められたデータを使うのは中小企業です。このデータ、ビッグデータで何かサービスできないかな、データを使って何かイノベーションを起こせないかな、生み出せないかなというふうに考えるのは中小企業です。ベンチャー企業です。中小企業やベンチャー企業は、データを使ったら不正競争防止法にひっかかってしまうかもなんというふうに思ったら、なかなかデータを使うのに萎縮してしまうんじゃないかなというふうに思ってしまいます。
 中小企業とかベンチャー企業で、もしこのデータを使ったら不正競争防止法にひっかかってしまうかどうかということをリスク評価できる会社さんって少ないんじゃないかなと思うんですよね。私も弁護士として、大企業さんから、法律の適用について意見書を書いたこともあるんですけれども、大企業なら不正競争防止法に該当するかどうかというのはコストをかけて意見書をとったりするんですけれども、やはり中小企業とかスタートアップの会社ではそうはいかないというふうに思うんです。
 私、この法案説明を受けたときに、あれだけ第四次産業革命を進めると決意をされておられた世耕大臣、そして経済産業省の方々が本当にこれを進めるのかなと、実はちょっと驚きました。データを保護する、そうしたらデータが出やすくなる、そうしたら利活用がふえる、この論理はちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。
 済みません、くどくなって申しわけないんですが、データを保護するというのは、自由に使わせたくない、だから保護するんです。利活用がふえるというのは、あくまで自由に使えるから利活用がふえるんです。保護がきつくなったら、このデータは怖いからさわらない、やめておこうとなってしまいます。特に日本企業、コンプライアンス意識、非常に高いです。
 もう一つです。
 私、ちょっと今回の立法事実のところを確認させていただきたいんですが、不正競争防止法でデータ自体を守ったらデータが出てくる、そういうニーズの調査についてはされたんでしょうか。いかがでしょうか。
#34
○糟谷政府参考人 御質問にお答えする前に、いろいろな形で保護はされているということでありますけれども、契約でのみ保護した場合に、損害賠償は認められるけれども、差止め請求が認められないということになるわけであります。実際、平成十三年の翼システム事件という東京地裁の判例で、損害賠償は認められたけれども、差止め請求が認められなかった。
 そういう認識のもと、実は今回、この検討をするに当たって、データを持っている中小企業の皆さんから、ちゃんとこれを保護してもらえないと、自分の持っているデータを活用して付加価値をつけたいんだけれども、自分で付加価値がつけられればいいけれども、自分ではできない、誰かに委託しないとできない、ただ、誰かに委託するにしても、これが転々流通したときのことを考えると怖くてできない、だから何か保護してくれないか、そんな声をいろいろ聞きました。中には、物権的な非常に強い権利を設けてほしいという声も聞いたこともございます。
 御質問についてでありますが、平成二十八年にデータの管理とか契約等の実態把握を目的とした実態調査を行っております。この中では、行った結果、社外からのデータ取得を望んでいる企業、また、社外へのデータ提供についても行いたいという企業は着実にふえつつあるということがわかっております。
 他方で、第三者によるデータの不正利用に対する法制度として、六九・一%の回答者が損害賠償基準の明確化を求めております。また、六〇%の企業が、回答者が、差止め請求を求めております。すなわち、六割以上の企業が何らかの形の損害賠償基準の明確化、差止め請求を求めているわけでありまして、他方で、先生御指摘のように、データを利活用するに当たって萎縮をするようなことになっては決していけませんので、今回の改正案においては、本当に必要最小限の形で規律を入れさせていただきたいということでございます。
 中小企業を評価するすべを持たないんじゃないかということにつきましても、守られているデータを自分で不正にとりに行くということをしなければ、それは不正な取得には当たりません。また、相手に損害を与えたり不正な利益を得る目的を持って自分で使用する、しかも、その際、相手との委託の信認関係を損なうような形でやらなければ、使用するに当たって不正競争行為になるわけでもございません。そこまで要件を限定して、最低限のルールとして入れさせていただいているところでございます。
#35
○松平委員 どうもありがとうございます。
 今、不正競争行為の要件を限定されているとおっしゃった点に関しては、この後、ぜひとも議論させていただければなと思います。
 先ほど、差止め請求を認められなかった裁判事例があるというふうにおっしゃったんですが、それも私としては、仮処分で差止めが認められるかどうかというところを、裁判所が客観的な基準で、要件に照らして評価して、結果、認められなかったわけであって、それをもって、やはり差止めを認めるべきだと国が立法するのは短絡的なのかなというふうにも思ったりもします。
 済みません、それで、先ほどちょっと質問させていただいたアンケート調査のところで、今、不正利用対策として求められる法整備というものがあり、そこで損害賠償基準の明確化であるとか差止め請求による被害の最小化ということが挙がったというふうにおっしゃられたんですが、これは別に、データを出しますということまで言っているわけではないような気がするんですね。差止め、まあそうなんですけれども、損害賠償ができるようにというところに関しては、やはり、先ほど話しましたような契約であるとか著作権、あと営業秘密というところでも守れますよということを周知すれば済むようにも思えたりもします。
 逆に、このデータ自体を不正競争防止法で今回のように守るということにした場合、データの利活用が進まなくなってしまうのではないか、そういう利用者の観点、そちらの観点での声というのは聞かれたんでしょうか。
#36
○糟谷政府参考人 この制度の検討に当たりましては、平成二十八年の十二月から、データの提供者と利用者の双方に参加をいただきながら、合計十五回、審議会を開催しております。
 議論の取りまとめに当たりましては、加えてパブリックコメントを実施して、さまざまな立場の皆様から広く意見を求めながら、データの提供者と利用者の双方の保護のバランスに配慮した制度設計を行ったところでございます。
 特に利用者側の方々からは、濫訴を招かないように不正競争行為の対象を限定してほしい、明確化してほしい、そういった御意見をいただきました。
 最終的に、今回の改正法では、アクセス権限のない者による不正取得や、横領、背任に相当する不正使用行為など、悪質性の高い行為に限って民事上の救済措置を導入することとしたものでございます。
 これは、データの不正流通に対する安全弁として必要最小限の措置でありまして、データの利活用が萎縮したり、訴訟リスクが不当に高まることはなく、利用者側にも配慮した制度設計になっているというふうに考えております。
#37
○松平委員 今、濫訴を招かないようにですとか、あと、そういった声を受けて必要最小限の措置をされたということをおっしゃられたんですが、それは何か結論ありきのような気もしていて、そもそも、データを守ったらデータの利活用が進まなくなるかどうかという声を、そういう声を本当にちゃんと聞けているのかなという疑問もあります。
 あと、そちら、審議会という話なんですが、やはり、審議会という閉じられた場所ではなくて、もっと広くアンケート調査なりをして、この法律がオープンデータによるイノベーションを進ませるのか、又は逆に阻害してしまうのか、この法案を出したら萎縮してしまうのかどうか、そういうことを広く聞いて、そして、これをちゃんと分析してから、この法案を出すメリットが大きい、デメリットよりも大きいということがちゃんとわかってから法案を出した方がいいのではないかなということを強く思います。
 そして、もしデメリットがメリットを上回るということになれば、当然出すべきではないですし、メリットかデメリットか、どちらが大きいか判断がつかないということであれば、国家が規制する法案は出さない方がいいと思います。
 更に言うと、私、こちらの法案、国際的にもこういう考えをしている国はあるのかなというふうに思って、海外におけるデータ保護制度に関する報告という報告書、これは平成二十九年度の産業経済研究委託事業で三菱UFJリサーチ&コンサルティングが出した報告書なんですけれども、こちらを見てみました。そうすると、記載されていたのは、米国、欧州委員会、ドイツ、フランス、イギリス、中国といった国では、データ保護は営業秘密と契約による保護という考え方で共通しているということが書かれていました。
 それから考えても、やはりこれは今のままで十分、むしろ、これを出すことによってデータの流通を阻害するだけになってしまうのじゃないかなと。日本だけの独自のルールというふうになってしまうと、また、日本はいろいろうるさい、データの利活用もできない、より制限の少ない国でAIやIoTの開発をしようということにもなりかねないというふうになってしまうと思います。
 今ちょっと長々と申し上げてしまったんですけれども、その点、既に著作権や営業秘密など保護手段はあるという点、保護がきつくなったら、このデータは怖いからさわれない、やめておこう、特にコンプライアンス意識が高い日本企業は萎縮効果が高いんじゃないかという点、立法事実に関してメリットとデメリットのどっちが大きいかはっきりしないという点、そして、国際的に見ても日本独自のルールになってしまうんじゃないかという点。これらの点を踏まえて、世耕大臣、いかがでございましょうか。
#38
○世耕国務大臣 やはり、このビッグデータを活用したいろいろなビジネスとか、これから始まっていくであろう新しい取組というのは、例えば、企業が誰かに自分のデータを渡して、ほかの企業のデータとまぜてビッグデータにして、そして、その中からいろいろな価値を生み出していくということになるわけなんです。そういうときに、提出する、利用されるデータというのが、データベースには日本は創作性がないと著作権法上の保護はかかりません、あるいは営業秘密に当たらない実際の生データみたいなものもあるわけでありまして、必ずしも、今、日本では、今ある制度で保護を受ける要件を満たしていないというケースもあるわけなんです。
 それで、海外の事例、今おっしゃっていただきましたが、海外はいろいろな形でやはり保護ができるようになっていまして、例えばEUは、データベースに関しては、創作性がなくても排他的な権利が付与されるという形になっています。一方で、アメリカは、まさにこれは懲罰的な損害賠償がかなり積極的に使われて、こういったデータの不正使用に対する抑止力として機能をしているわけでありまして、各国それぞれの対応で、データの利活用に当たって、いろいろ保護をする仕組みというのはできているわけであります。
 日本の場合、今回、実務家や学識者の御意見もしっかり聞いて、データの不正流通に対する対抗手段を措置して、安心、安全なデータ利活用環境を整備する観点から、適切な制度設計を検討させていただきました。その結果、不正競争防止法を改正して、データの不正取得などに対する差止め制度を創設することが適切ではないかということになったわけであります。
 御指摘のとおり、萎縮効果を我々は生み出すつもりは全くありません。これは、利活用促進のために、安心して利活用してもらえる、安心してデータを供出してもらえるような制度として、我々は今回、制度設計をしたわけでありますので、データの提供者と利用者のそれぞれの立場の方に参画をいただきながら議論を重ねて、データの保護と利活用、両面からのバランスが図れるよう、データの不正流通に対する安全弁として、正当な事業活動を阻害しない範囲で、先ほど糟谷局長が答弁したような必要最小限の措置を設けることとさせていただいたわけでございます。
#39
○松平委員 ありがとうございます。承知しました。
 ただ、EUに関してはほとんど使われていないというふうにも聞いています。それだけちょっとつけ加えさせていただきまして、今大臣、必要最小限の措置というふうにおっしゃられておりましたので、この法案、具体的中身の方について進めさせていただきたいと思います。
 資料を用意しましたので、資料を見ながらいきたいんですけれども、その前にちょっと前提として確認させていただきたいんですが、今回の法案、限定提供データというものに排他的権利というものを与えて新しい類型の知的財産権利化をしようとしているのではないというふうに理解したんですが、それでよろしいでしょうか。確認させてください。
#40
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十九年三月に取りまとめられました知的財産戦略本部、新たな情報財検討委員会の報告書では、データの利活用促進に関しまして、ビジネスモデルが確立しない中で強い権利が与えられると、それ、すなわちさまざまなビジネスモデルでございますけれども、これを試行錯誤しづらくなるなどの指摘がございまして、利用を拒否することができる排他的な権利として物権的な権利を設定することについて、現時点では望ましいとは言えないというふうにされたところでございます。
 また、安心してデータを提供しかつ利用できる公正な競争秩序を確保するために、新たな不正競争行為の対象となる行為や保護対象となりますデータについて、具体的に検討を進めることが適当であるとされたところでございます。
 この報告書を踏まえまして、産業構造審議会不正競争防止小委員会で検討を行わせていただきました結果、今回の法改正では、データ提供者が他者の利用を拒否できるような、先生御指摘のような排他的権利を付与するといった権利を付与するアプローチではなくて、悪質性の高い行為を規律する行為規制アプローチを採用することといたしたところでございます。
 具体的には、アクセス権限のない者による限定提供データの不正取得、不正使用などの行為を不正競争行為として位置づけまして、差止めなどの民事措置の対象とすることとしたところでございます。
 以上でございます。
#41
○松平委員 今回の規制が行為規制アプローチということで承知いたしました。今回の規制の限定提供データの位置づけということについて確認させていただきました。
 それでは、客体についてお伺いします。
 この表の一番左の部分、「データ保有・提供者A」のところで、「保護対象となるデータ」と書いてある部分ですね。こちら、「1技術的管理性」「2限定的な外部提供性」「3有用性」というふうに書いてあります。
 この有用性の要件のところなんですが、これに関連してですけれども、審議会の議論であるとか中間報告、これを見ると、違法性のあるデータや公序良俗違反のものを除くというふうにされているんですけれども、この条文を見ても違法性のあるデータや公序良俗違反を除く除外規定のようなものは見当たらないんですが、これをどのように除くのか、教えていただいてもよろしいでしょうか。
#42
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法改正では、限定提供データを定義させていただいております。第二条の第七項でございますが、その中では「技術上又は営業上の情報」と規定をいたしまして、技術に関する情報又は営業活動において使用、利用される情報を保護対象とさせていただいているところでございます。
 御指摘のございました公序良俗に反するデータでございますが、法律の目的でございますけれども、事業者間の公正な競争を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与するという不正競争防止法の法目的に照らしまして、保護対象となります、先ほど申し上げました「技術上又は営業上の情報」には該当しないものと考えてございます。
 また、差止め請求権に係る規定、法律の第三条でございますが、こちらにおきましても、その請求者といたしましては、「営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者」と規定されているところでございます。
 公序良俗に反するデータについて、仮に侵害行為を受けます者は、保護に値する営業上の利益を有するとは言えず、差止めの請求権者にもならない、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
#43
○松平委員 ありがとうございます。
 三条の点で明確に書いてありますので、なるほど、そのとおりかなというふうに思いました。
 では、二つ目の部分、この表の「保護対象となるデータ」の欄で言うと一つ目になるんですけれども、ここに書いてある技術的管理性についてはいかがかなと思います。
 技術的管理というものがなされていれば、例えばIDであるとか、IDでパスワードがかかっていると何でもこれは対象となってしまうんでしょうかというところです。単にパスワードがかかっているだけ、メール誤送信防止のために便宜上かけているだけという場合もあるとは思うんですけれども、このような場合も、この技術的管理性、これは該当してしまうのでしょうか。ちょっとその辺、教えていただければと思います。
#44
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 保護対象となります限定提供データの要件の一つでございます「電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている」という、いわゆる技術的管理についてでございますが、データの提供者が相手先を限定してそのデータを提供するために、権原のない第三者による不正取得を防止することを目的として施します電子的又は磁気的な方法などによる管理を想定しているところでございます。
 ID、パスワードによります管理は、その具体的な手法の一つとなり得ますが、例えば、そのデータが、業として相手先を限定して提供を行うことを目的としたものではなくて、御指摘ございましたような、自社内で利用するデータについて誤発信防止のためにパスワードをかけている場合には、仮に形式的に技術的管理が施されていたとしても、そのデータは保護対象となる限定提供データには当たらないものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、保護対象となります限定提供データに求められる技術的管理の内容、水準などにつきましては、不正競争行為の外縁などとあわせまして、現在、産業構造審議会に設置してございます不正競争防止に関するガイドラインの素案策定ワーキンググループ、このワーキンググループには産業界の実務担当者や学識者にも参画していただいていますけれども、そちらのワーキンググループで現場の実務を踏まえた検討を行っているところでございまして、今後、具体的な事例などをお示したわかりやすいガイドラインを策定し、周知徹底を図っていきたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
#45
○松平委員 ありがとうございます。
 技術的なプロテクションが何でもかかっていればほとんど全部のデータが対象となるというのではやはりいろいろ心配となってきますので、今のところの議論、しっかりとお願いできればというふうに思います。
 次に、オープンデータの除外というところなんですけれども、この表でいうと、一番左の部分ですね。「保護対象となるデータ」の1、2、3とあるうちの、下にある米印のところですね。「オープンなデータと同一の場合は除く。」と書いてあります。
 これは、法案でも、十九条の八号のロ、ここで記載されているんですけれども、この保護対象となるオープンデータと同一のデータということについて、この同一というのは、どういう点で同一とされているのでしょうか。これをちょっとはっきりとさせていただきたいなと思うので、お聞きします。
#46
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 例えば、政府が公表する統計データや相手方を限定せずインターネットを通じて無償で広く提供されるデータなどは、いわゆるオープンなデータといたしまして誰もが自由に使うことが可能なものでございます。
 このため、今回保護対象とする限定提供データがそうしたオープンなデータと同一のデータである場合には、そのデータに係る侵害行為については差止め等の民事措置の対象外とすることとさせていただいたところでございます。
 この同一性の判断に当たりましては、データの種類、内容などに応じまして個別の事案ごとに判断されることとなりますが、例えば、もとのオープンなデータの並びを単純かつ機械的に変更しただけのデータの場合、両者は同一であると認められるものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、この同一性の判断基準につきましても、先ほど御答弁させていただきました技術的管理性と同様に、ワーキンググループにおいて、ガイドラインのあり方、議論をさせていただいているところでございますので、今後、具体的な事例などを示した形でお示しをし、周知徹底を図ってまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
#47
○松平委員 ありがとうございます。
 簡単に言うと、容易に並びかえができるかどうかというところなんでしょうけれども、具体的にお示しいただけるということで、期待しております。
 ところで、この不正競争防止法の第一条にあるんですけれども、事業者間の公正な競争、これが不正競争防止法の趣旨になると思います。ということは、この限定提供データの保有者というのが、事業者ではなくて、事業を行っていない個人であるというような場合、この場合の限定提供データについてはこの法律の対象外という理解でよろしいんでしょうか。
#48
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 不正競争防止法におきましては、今回新たに導入する限定提供データに係る侵害行為を含めまして、不正競争行為が行われました場合、その行為によって営業上の利益を侵害された者が差止めなどの民事措置を請求することができるというふうにされているところでございます。
 事業者間の公正な競争を確保するという法目的に照らしますと、御指摘ございました、個人が事業を行わない者であれば、当該個人は営業上の利益を侵害された者には該当せず、差止めの請求権者にはなり得ないものと考えてございます。
 また、限定提供データは、「業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報」と定義しているところでございます。事業を行わない個人が保有するデータは、通常、業として特定の者に提供する情報には該当しないもの、このように考えてございます。
 以上でございます。
#49
○松平委員 ありがとうございます。
 該当しないということで理解させていただきました。
 それでは、先ほどのお手元にある資料ですね、「不正取得者B」というのが真ん中の上の段にあるんですけれども、これが仮に、個人であって、私的に自己使用する場合、こちらについてはどうでしょうか。お願いします。
#50
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法改正では、不正アクセスや詐欺などの不正な手段による限定提供データの取得や、その取得したデータの使用、提供といった悪質性の高い行為を不正競争行為として位置づけまして、差止め等の民事措置の対象とすることとさせていただいたところであります。
 仮に、そうした不正競争行為の実行者が事業を行わない個人であったとしても、その個人が行います限定提供データの不正取得はもとより、取得したデータを専ら私的に使用する行為も不正競争行為として規律の対象になるものと考えてございます。
 以上でございます。
#51
○松平委員 了解です。
 つまり、まとめると、提供者Aの方は、個人である場合はこの法案の不正競争には当たらない。逆に、不正取得者Bの方が個人であった場合は当たるということですね。はい、了解いたしました。ありがとうございます。
 それでは、次のところに行きたいんですが、審議会においては、ホワイトハッカーによるセキュリティー対策など、正当な目的で行われる行為については規制対象とならないよう留意すべきというふうにされているんですけれども、こちらも、ちょっと条文上、探したんですが、明確に記載されていないようです。
 今回、正当な目的で行われる行為が規制対象とならないということはどう担保されているのか。この点、教えていただければと思います。
#52
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 限定提供データの不正取得行為につきましては、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為等を定義しているところでございます。
 先生御指摘ございました、データ提供者のためのセキュリティー対策など、正当な目的で行われる行為でございますが、これは、データの取得を行わない場合はもちろんのことでございますけれども、仮に、データを取得する場合であっても、定義規定中にございます、不正の手段による取得行為には該当しないものと考えてございます。
 また、不正競争行為に対しましては、先ほども御説明させていただきましたが、営業上の利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある者が差止め請求することができることとされているところでございます。いわゆる正当目的を持った行為を受けるデータ提供者は、営業上の利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある者には該当しない、このようにも考えてございます。
 以上でございます。
#53
○松平委員 わかりました。
 このホワイトハッカーの場合は、不正の手段には該当しないという点、それから差止めの要件にも該当しない、そういう点であることを理解いたしました。
 それでは、用意した資料に戻っていただいて、どのような場合に不正競争行為となってしまうかについてです。
 この表のうち、「不正取得者B」、真ん中の上の部分、これであれば不正競争行為となるというのは理解できます。
 ただ、やはりちょっと疑問があるのが、適法に取得した「取引相手C」、それが不正競争行為となってしまう場合があるという点です。これは、適法に取得している時点でAとCの間には取引関係、契約関係というのがあるわけなんです。これはやはり当事者間の問題として契約違反と整理すれば済む話なんですけれども、提供者から見ると契約違反かもしれない、しかし、自分の認識としては契約の範囲内だ、こういう話はよくある話だと思います。
 この単なるAとCの解釈の違いを重大な効果がある不正競争という枠内で囲ってしまうべきではないというふうにやはり思うのですが、この点について、いかがでしょうか。
#54
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘ございました正当取得者は、データの編集、加工業務の委託でありますとか、あるいは対価を支払う使用許諾などを通じまして、データの提供者から適法にデータを取得する者を指します。
 こうした正当取得者の使用又は提供行為につきましては、審議会での議論の過程や事業者からのヒアリングにおきまして、データの利用者からは、当事者間の契約で規律し、仮に不正使用、提供が生じたら訴訟を通じて解決すればいい、あるいは、ビジネスの実態として、例えば、自社の新商品を開発するために購入したデータを当初の契約条件の範囲を逸脱して他の用途に使用するというケースは存在し、仮にそうした行為まで一律に不正競争行為とされればデータの利活用が萎縮しかねないなどの指摘があったところでございます。
 他方、データの提供者からは、不正使用、提供が発生したときに差止めができなければ、そもそも安心してデータを外部に提供できないでありますとか、契約に違反することを認識しながら不正の利益を得る、又はデータ提供者に損害を与える目的を持って行われる行為を仮に不正競争行為として差止めの対象としたとしても、正当な事業活動が阻害されることはない、さらには、データ取引に係る契約の実績が必ずしも十分に積み上がっていない中で、契約と訴訟を通じた不正使用、提供への対応には、とりわけ中小企業にとって大きな負担になるといったような懸念が示されたところでございます。
 こうしたデータの提供者、利用者双方の意見に配慮いたしました結果、今回の改正法では、価値あるデータの円滑な流通に資するために、契約に基づく自由な取引を前提といたします一方で、通常の事業活動を阻害しない範囲で、悪質性の高い行為を不正競争行為として位置づけまして、必要最小限の民事措置として差止め請求権などを導入することとさせていただいたところでございます。
 具体的には、正当取得者の行為につきましては、一つ目といたしまして、目的外使用禁止の条件のもとで取得したデータを図利加害目的、これは不正な利益を得る、又はデータの提供者に損害を与える目的でございますが、そういった図利加害目的を持ち、かつ、データの管理に係る任務に違反する横領や背任に相当するような使用行為、これに加えまして、二つ目といたしまして、第三者提供禁止の条件のもとで取得したデータを、先ほど申し述べました図利加害目的を持ってデータ提供者に無断で提供するといったような行為、こういった悪質性の高い行為に限定いたしまして不正競争行為として位置づけることとさせていただいたところでございます。
 以上でございます。
#55
○松平委員 どうもありがとうございます。
 今回、悪質性の高い行為に限定された、そして、図利加害目的であるとか横領、背任的行為であるとかという形で絞ったということで了解いたしました。
 ただ、図利加害目的であるとか横領、背任的というのは、やはりこれ自体、私、非常にこのままでは曖昧なものになってしまうと思っています。どういう行為が不正競争行為になってしまうのか、この不安感をやはり払拭しないとデータの利活用は進まないと思います。繰り返し申し述べていますが、レピュテーションリスクを恐れてデータの利活用ができないということになってしまうと思います。
 そこで、この図利ということなんですけれども、この部分をお聞きしたいんですが、多くのデータの利用というのは営利企業によるものだというふうに思うんですけれども、この図利という語感から、営利であれば図利に該当してしまうのではないのかという疑問もあります。この点、いかがでございましょうか。
#56
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘ございました図利目的とは、不正な利益を得る目的でございまして、例えば、公序良俗や信義則に反する態様で自己又は他人の金銭、名誉、満足を得る目的がこれに該当すると解されているところでございます。したがいまして、営利企業の通常の事業活動であれば、それが直ちに図利目的に該当することはないものと考えてございます。
 その一方で、データ利用者の事業活動に萎縮効果が及ぶことのないように、その予見可能性を高める観点から、具体的にどういった行為が図利目的に該当するかなどにつきましては、先ほど来申し上げております、わかりやすいガイドラインを策定、公表いたしまして、明確化を図ってまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
#57
○松平委員 ありがとうございます。
 通常の事業活動であれば該当することはないということで、一安心いたしました。
 それでは、次の、横領、背任的というところなんですが、横領、背任というのは、自分のためではなく、他人のために預かっていたり支配しているものを自分の目的で使うというような概念ですので、本件もそのように、データを他人のために預かっている場合に限るという理解でこれはよろしいんでしょうか。お尋ねいたします。
#58
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 限定提供データは、一定の条件のもとで他者に使用させることを前提として外部に提供をするためのデータでございまして、例えば、データ提供者からデータの編集、加工を請け負う者がそのデータを使用する場合でありますとか、あるいは、所定の対価を支払ってデータ提供者から取得したデータを使用する場合などが想定されるところでございます。
 今回の法改正の検討を行いました審議会では、そういった正当取得者の多様な使用行為のうち、図利加害目的を有し、かつ、データの管理に係る任務に違反するといった委託信任関係に背く悪質性の高い行為に限定して不正競争行為と位置づけさせていただくことになったところでございます。
 以上でございます。
#59
○松平委員 了解いたしました。委託信任関係に背く行為ということで理解いたしました。
 また、お聞きしたいんですが、例えば、データ提供者、この表で言う「提供者A」で、一番左のAのデータについて、Aからデータ分析の委託を受けた、それにもかかわらず、その委託を受けた契約で目的外使用であることを知っていながら、無断でそのデータを目的外に使用して第三者向けのソフトウエアを開発して、そして利益を得る、そういった行為があったといたします。これは、法的には単なる契約違反と評価できるものと思います。
 こういう単なる契約違反と評価できるものまで含めていたら、やはり広くなり過ぎてしまうのかなというふうに思います。この横領、背任的という、図利加害目的にこの要件を加えた意味というものはなくなってしまうのではないかなというふうに思ったりします。
 そこで、ここでの横領、背任的というのは、これは一例としてなんですけれども、初めから契約を守る意思もないのに、だましてデータの提供を受けるなど、詐欺的な要素がある場合に限定するべきではないかというふうに思ったりもします。そういう考え方について、いかがでございましょうか。
#60
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 改正法の第二条第一項第十一号では、窃取、詐欺、強迫その他の不正な手段により限定提供データを取得する行為などを不正競争行為として位置づけておりまして、御指摘のございました、詐欺によってデータを不正に取得し、そのデータを使用、提供する行為は、今回の法改正によりまして、差止め等の民事措置の対象になるところでございます。
 また、正当取得者におきましては、先ほどお答え申し上げましたが、図利加害目的を持ち、かつ、データの管理に係る任務に違反する横領や背任に相当するような使用行為や図利加害目的を持った提供行為といった、悪質性の高い行為に限定して不正競争行為に位置づけることとしたところでございます。
 正当取得者の使用や提供がどのような場合に不正競争行為に該当するかについては、各事案における行為が実際に図利加害目的を有するか否か、あるいはデータの管理に係る任務に違反するか否かなどによって決まることとなります。
 つきましては、データの利用者がその利活用を萎縮することのないように、どのようなケースが図利加害目的やデータの管理に係る任務に違反するのか、これに該当するのか、具体的な事例を含めた形で、現場の実務に即したわかりやすいガイドラインを改正法施行までのできるだけ早い時期に策定、公表いたしまして、その周知を図ってまいりたい、このように考えてございます。
#61
○松平委員 承知いたしました。
 どのようなケースが該当するか、具体的にわかりやすくガイドラインで書かせてもらうということ、よろしくお願いしたいと思います。
 今回、そもそもこの法改正は、契約取引において、よい契約違反というものと悪い契約違反というものを区別して、悪い契約違反というものを不正競争防止法で重ねて規制する結果となるものというふうに思います。
 ただ、契約法というものを鑑みるに、債務不履行については、例外的な場合を除いては、今まで故意か過失かで対応を区別することというのは行われてきていなかったんですね。したがって、今回、この改正でそういった概念を取り入れることは、契約実務に混乱をもたらすことにならないかという懸念も生じてきております。
 そこで、やはりこの契約実務、今まで培って、今までもう何千、何万、何十万と行われてきた契約実務、これに混乱を来すことのないよう、先ほどから御答弁いただいておりますけれども、ガイドラインにおいては、具体的に明確にしっかりと、そして細かく個別的に、よくあるようにケース・バイ・ケースという言葉で逃げない、これを重視してぜひともお願いしたいなと思っております。
 ちなみに、このガイドライン、国会でのこの議論も踏まえてもらえるものと理解してよろしいでしょうか。これらの点、大臣、いかがでしょうか。
#62
○世耕国務大臣 今委員御指摘のとおり、データの提供者と利用者の間の契約実務に混乱が生じてしまったら、これはもう本末転倒になるわけでありますから、どのようなデータが限定提供データに該当するのか、あるいはどのような行為が不正競争行為に該当するかなどの事項について、具体的な事例も示したわかりやすいガイドラインを策定することは非常に重要だと思っておりまして、この法案をつくるに当たって御検討いただいた有識者からもそのような御指摘をいただいているところであります。
 現在、このガイドラインの策定に向けて、データの提供者側と利用者側の両方に加えて、学識経験者にも御参加をいただいてワーキンググループを開催して、このガイドライン、どういうものにするかということを御検討いただいているところであります。
 国会の御審議も、きょうも松平委員、ほとんど法制局の法令審査並みにいろいろとチェックをいただいているわけでありますが、ここでいただいた御指摘も尊重し、踏まえながら、いいガイドラインをなるべく速やかにつくっていきたいというふうに思っております。
#63
○松平委員 どうもありがとうございます。力強いお言葉、本当にありがたく思っております。
 それでは、次に移らせていただきまして、「転得者D」のところです。この表でいう一番右のところですね。
 この転得者Dの類型ですけれども、まず、どういうデータ提供の仕方だと転得者Dに該当するのかという点、確認させていただければなと思います。
 データの提供の仕方というものもさまざまあるわけでして、普通にそのデータを転売する場合もあれば、そのまま転売する場合ですね、何もせずに転売する場合もあれば、データに加工をして売る場合もあります。そして、また一方で、加工してもらうためにほかの方に業務委託をしてそのデータを渡すという場合もあります。これは、ちなみに、個人情報保護法においては、業務に必要な個人情報を第三者に委託する場合は第三者提供に当たらない、つまり、ここに合わせて言うと、転得者に当たらないというふうにされております。
 そこで、今回、鑑みるに、そのままそのデータをいじらずに転売するという場合は転得者Dに該当するというのは容易にわかるんですけれども、データを加工して売る場合、これはどうなんでしょうか。加工して提供した場合は、これは全て対象になるのか。データの解析結果が、例えば成果物ということであるとわかりやすいんですけれども、例えば他のデータと組み合わせてデータベース化したものなど、これはどうなるのか。この点、ちょっとお尋ねしたいなというふうに思います。
#64
○糟谷政府参考人 データを加工したものを提供した場合について、審議会で検討した過程では、こんな議論がございました。
 そもそも、個別のデータがAIプログラムなどの成果物の性能向上に寄与する程度には幅がある、要するに、活用したとしても、どれぐらいそれが影響しているのかということについて相当幅があるということ。また、第三者が成果物を取得する場合に、仮にその成果物が限定提供データの一部を不正に使用して開発されたものであっても、第三者はそうした不正の事実が介在したことを認識することが難しいのではないか、そんな議論もございました。そうした制約の中で、AIプログラム自体の取得、流通を差止めの対象とすることは、取引の安定性を阻害するのではないか、そういう意見が大勢でございました。
 この結果、例えば、もとのデータが識別できない形で使用、加工された成果物、これを第三者が取得する行為については、今回の法改正では不正競争行為の対象には位置づけないということにしたものでございます。
#65
○松平委員 識別できない形は位置づけないということなんですが、ちょっとまだ曖昧なような気もします。この点も、もうちょっと具体的に、深く、明確になるように、やはりガイドラインでしっかりと定めていただきたいなというふうに思います。
 それでは、取引相手Cが、あくまで自己使用のために第三者に委託して渡す場合、例えば、先ほど申しましたように、データ解析を委託する場合など、その場合の第三者は転得者Dということになるのでしょうか。この辺、お伺いできますでしょうか。
#66
○糟谷政府参考人 Cが提供する場合について、不正競争行為に該当する要件といたしましては、そのC、すなわち、正当に取得したCが不正の利益を得る目的又はデータ提供者に損害を加える目的を持って提供をし、かつ、その委託先がそうした不正な経緯が介在していることを知った上で取得する場合を対象としておりますので、Cが正当に取得したデータをみずからのために加工委託するという行為は、基本的には当たらないというふうに考えております。
#67
○松平委員 どうもありがとうございます。
 今の、先ほどの例の場合は、じゃ、転得者Dに当たらないということで理解させていただきました。
 私、データの利活用を促進するという趣旨からは、やはり、ここの部分、どうやって転得者を保護するかというところが重要だと思います。
 この資料を見ると、転得者は、この「転得者D」のところですけれども、不正な経緯を途中で知った後、つまり、知らずに取得して、途中から何らかの理由で知ってしまう、その後、権原外で第三者に提供した場合、不正競争になってしまうというふうに書かれています。これは8ダッシュの部分なんですけれども。
 これは、正当な契約でデータを受け取った側として、不正な行為が途中で介在したと言われても、取得した側としては、どういうルートで来たかなんというのはなかなか判断しづらいわけなんです。データを知らないで取得する転得者は、そのデータを利用できることを前提に事業に投資していることがほとんどなんです。なのに、途中で不正な行為が介在したということを、それが発覚したからといって、事業を容易に停止したりできないんです。取得したデータにやはり費用をかけて投資をして新たなサービスを開発しようとする事業への意欲を失わせかねないと思います。
 また、提供に関して、取引相手Cがこの5に該当して、つまり図利加害目的があって初めて不正競争というふうにされる。それに対して、転得者Dは、直接の取引相手Cとの間で権原の範囲を逸脱したという、客観的な、単なる契約違反ですね、これを理由に不正競争行為とされるのは、論理的に言っても、CとDの間で整合性がとれないんじゃないかな、この部分、どうなのかなというふうな疑問もあります。
 そういった意味も踏まえて、やはりこの転得者類型というのは、私はこれはない方がいいんじゃないかというふうに思っています。この点について、いかがお考えでしょうか。
#68
○糟谷政府参考人 御指摘のように、取引の安全を保護するということは非常に大事だというふうに考えております。
 したがって、取引の安全を保護する観点から、転得者が不正な行為が介在したことを知らずに取得をした場合については、契約の範囲で使用、提供する限り、使用だけではなくて提供する場合においても、契約の範囲であれば不正競争行為には該当しないというふうにしたものでございます。
 ただ、不正な行為の介在を知る前に締結した契約の範囲を超えてデータを提供する場合、そういう行為については、取引の安全性への要請を超えていることから、むしろデータ提供者の被害拡大を食いとめる観点から、不正競争行為の対象としたものでございます。
 これは、審議会におきまして、転得者が事後的に不正な行為が介在したことを知った後の使用、提供行為については、権原のない者と同様に、全ての使用、提供行為を不正競争行為とすべきだという意見がありました。それに対して、やはり、転得者が不正な行為の介在を知らずに行った事業活動は、取引の安全の観点から保護すべきだという声もございました。
 こうしたことのバランスを考慮いたしまして、このような要件としたものでございます。
#69
○松平委員 政策的な観点からバランスをとられたということと理解いたしました。
 ただ、結局、この転得者Dのところからすると、相手を信頼して取得したにもかかわらず、その取引相手、前の取引相手の責任が及んでしまうということになってしまいます。取引で得たデータを利用してビジネスを行おうとする事業者は、取得したデータについて、データ提供者からの差止め請求の可能性というのを常に意識しなければならなくなってしまう。どこまでそのデータの出所の安全性を確認すればいいのか。やはりこれは、取引の安全を残念ながら害してしまうという懸念は拭えません。
 契約であるとか民法の不法行為でいけるのではないか、不正競争行為に入れてまで保護する必要があるのか、そういうことなんですけれども、神様でしたら、このデータの使用は不正競争とはならないとすぐにわかるので問題ないと思うんですけれども、ただ、データを使うのは人なので、このデータを使ったらもしかして不正競争行為になって訴えられてしまうかもしれない、そういうふうに思うと、データの利活用は進まなくなってしまいます。この不安感の払拭が、私は一番大事な肝の部分だと思います。
 この点、法案の施行、運用に関してどういう形で考えていらっしゃるのか、最後に大臣、お願いしたいと思います。
#70
○世耕国務大臣 これは、我々のコネクテッド・インダストリーズの概念をしっかり産業界に進めていく上での今回はルール整備だというふうに思っておりまして、まず、コネクテッド・インダストリーズがどういったものをもたらすかということをよく企業の皆さんに御理解をいただいて、そして、積極的にデータを提供いただいて、それをビッグデータとして解析することによってさらなる生産性の向上とか競争力の強化につなげていきたい。
 決して不安を持ってもらったり萎縮されることがないように、この法の施行に当たっては、今回の施行までの間にまず十分な期間を確保するということ、そして、この法案で導入する制度ですとか先ほど申し上げましたガイドラインについて、広く中小企業経営者も含めて、皆さんにしっかりと理解をいただけるように、丁寧に周知徹底を努めていくことが重要だというふうに考えております。説明会とかいろいろな機会をしっかりとつくって、周知、普及に取り組んでまいりたいと思います。
#71
○松平委員 どうもありがとうございます。
 恐縮ながら、私、完全に納得したわけではありません。なので、今後の運用を見守らせていただきたいと思っております。ぜひ、きょうの審議を踏まえて、よろしくお願いできればと思います。
 本日はどうもありがとうございました。
#72
○稲津委員長 次に、國重徹君。
#73
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。
 きょうは、不正競争防止法の改正案についても質疑を準備してまいりましたけれども、先ほど松平委員の方から詳細な質疑がありまして、かなりの部分重複しておりますので、まずはJIS法、弁理士法について質疑をさせていただきまして、仮に残った時間があれば不正競争防止法についても触れさせていただきたいと思います。
 まず、JIS法に関して、国内の標準獲得だけではなくて国際標準の獲得が重要であるという観点で質問をいたします。
 今般の法改正で、JIS法における標準化の対象をサービス分野に拡大するということですが、具体的にはどのような内容を想定しているのか、お伺いいたします。
#74
○末松政府参考人 お答えいたします。
 現行のJIS法の第二条、これは定義規定でございますが、これを改正し、標準化の対象に、これまでの鉱工業分野に加え、新たに役務、つまりサービス分野などを追加することとしております。分野としては、物流サービス、生活関連サービス、金融サービス、観光サービス、教育サービスなどに拡大することになります。
 具体的な例といたしましては、小口保冷配送サービス、いわゆるクール宅急便における温度管理や、家事代行サービスの事業者が守るべき品質に関する事項などが標準化の対象となるのではないかと想定しております。
#75
○國重委員 今答弁のありました小口保冷配送サービスにつきまして、ヤマトホールディングスは、佐川急便や日本郵便などとも連携をして、クール宅急便の国際標準化の手続を進めております。これにつきましては、お配りをさせていただきました資料の新聞記事でも紹介されておりますとおり、経産省始め関係省庁もバックアップしている、こういうことでありますけれども、小口保冷配送サービスの国際標準化の狙いは何なのか、お伺いいたします。
#76
○末松政府参考人 先生御指摘のとおり、運送業界としては、アジア地域に小口保冷配送サービスを展開するに当たり、質の悪い小口保冷配送サービスとの差別化、さらにはパートナーとなるアジアの物流企業の選定に活用するため、サービスの内容を明確にした国際標準の制定を目指していると認識しております。
 こうした動きを、我々経済産業省といたしましては、国土交通省、農林水産省という関係省庁とも協力して推進しているところでございます。
#77
○國重委員 では、このような国際標準を獲得するために国内のJISを獲得することはどのような意味があるのか、今回の法改正で国内のJIS制定を迅速化したとしても、国際標準の獲得に何かメリットがあるのか、あるとすればどのようなものなのか、答弁を求めます。
#78
○末松政府参考人 お答え申し上げます。
 国際標準の制定に関しましては、ISOなどの国際標準化機関において、JISの根拠となった試験データや利害関係者間の議論の蓄積を有することが評価されるということになっております。このため、JISの制定は円滑な国際標準の制定にも大きく貢献するということになります。
 さらに、JISを経てから国際標準を提案する場合ですが、通常必要な審議プロセスを経ずにすぐに参加国の投票にかけることができるなどの仕組みもございまして、二〇一七年にも七件がこの仕組みを活用して国際標準を制定しております。
 このように、今回導入する認定産業標準作成機関制度により、JISの策定を迅速化することは、日本が国際標準化に関する取組を強化していく上でも有効なものと考えております。
#79
○國重委員 国内のJIS獲得が国際標準の獲得につながっていく、有効であるということの答弁でありました。
 ただ、先ほどの小口保冷配送サービス、このサービス分野につきましては、これまで国内のJIS法の標準化の対象に入っていなかったものであります。そういった中で、ヤマトホールディングスがどのようにして国際標準化の手続を進めていくことができたのか、お伺いいたします。
#80
○末松政府参考人 お答え申し上げます。
 ヤマトホールディングスは、現状のJISではサービス分野の国家標準が制定できないこともあり、国際標準を提案するに当たり、英国の国家標準化機関に原案を作成してもらい、日英で連携して、日本からISOに提案する形で国際標準化を目指してまいりました。
 二〇一八年一月にISOにプロジェクト委員会を設置しており、二〇一八年六月から審議が本格的にスタートする予定となっております。
#81
○國重委員 では、国際標準はこのISOなどの国際標準化機関でどのように決まるのか、お伺いいたします。
#82
○佐藤政府参考人 私からお答えいたします。
 小口保冷配送サービスを審議したISOの例で申し上げますと、まず、国際標準を提案するには、投票した加盟国の三分の二以上が賛成し、かつ、五カ国以上の参加国が専門家を派遣するということが必要でございました。
 その後、専門委員会等における標準の案に関する審議を経まして、国際標準として制定するかどうかは、最終的には一国一票の投票で決まります。具体的には、投票した参加国の三分の二以上が賛成し、かつ、反対が投票総数の四分の一以下である場合に国際標準が承認されるということになります。
#83
○國重委員 国内でJIS獲得をしていくことがスムーズな国際標準の獲得につながっていくという一方で、国際標準の制定はあくまでも一国一票ということでありました。
 こういったことからしますと、国際標準を獲得するためには、国内のJISの獲得が視野に入った段階などできるだけ早い段階で海外と連携をして、多数派工作をしていく必要があるのではないかというふうに思います。国際標準の獲得に向けて、政府としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
#84
○大串大臣政務官 御指摘のとおり、ISOなど国際標準化機関では一国一票の投票で決まることから、オール・ジャパンで取り組むだけでなく、国際標準化への提案段階から関係各国と連携することが重要であります。
 例えば、自動走行用の地図の分野や車線変更などの自動走行の制御の分野では、ドイツ、フランス、アメリカなどの各国と連携しつつ、日本が主導して国際標準化を進めております。また、スマート工場の分野では、日本と同じようにものづくりを強みとするドイツとの連携を首脳レベルでコミットした上で、日独が互いの強みを生かしつつ国際標準化を主導しております。
 このように、日本が国際標準化において主導的な役割を果たせるように、関係国とも早い段階から官民で連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
#85
○國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 続きまして、弁理士法関係についてお伺いしたいと思います。
 まず、そもそも弁理士というのはどのような業務を行っているのか、その業務内容についてお伺いいたします。
#86
○宗像政府参考人 お答えいたします。
 弁理士は、弁理士資格に基づく主な業務として、特許や商標などの出願の代理を行っております。
 また、誰もが自由に行えるんですが、弁理士という名称を用いて業として行えるものと位置づけられている業務としましては、ライセンス契約の代理を行う、あるいは、企業が開発した技術を、これを特許出願するのか、あるいはノウハウとして秘匿するのかといった知財戦略の相談に応じています。
 さらに、弁理士は、特許侵害などの紛争が生じた場合に、弁護士と共同して訴訟の代理を行うことができるということでございます。
#87
○國重委員 それでは、今般の法改正で、第四次産業革命を背景に、弁理士の業務としてデータや標準に係る業務を追加するとのことでありますが、具体的にはどのような業務が追加されることになるのか、お伺いいたします。
#88
○宗像政府参考人 データに関する業務としましては、新しい不競法で限定提供データが新たに保護対象となることを踏まえまして、その保護に関する相談、あるいは契約の代理、そして不正取得などの紛争が生じた場合の訴訟の代理などでございます。
 そして、標準に関する業務としましては、標準化と知財を組み合わせて、技術を守りながら売上げを拡大するといった戦略に関する相談に応じる、こうした戦略を踏まえて、企業に対してどういう標準規格がいいかといった案の作成を支援するなどでございます。
#89
○國重委員 それでは、今般追加されるデータや標準に係る業務について、産業界からのニーズは実際どうなのか、お伺いいたします。
#90
○宗像政府参考人 昨年、特許庁が行ったアンケート調査によりますと、データに関する業務につきましては約二八%の企業、標準に係る業務につきましては約四六%の企業が、それぞれ今後弁理士に依頼したいという回答がありました。
 また、個別の面談調査でありましては、特に中小・ベンチャー企業から、弁理士の支援を期待したいという意見がありました。
 例えば、データでありますと、気象庁のデータを使って独自のデータをつくる、そして契約関係にある外部に提供する。その新しいデータを生み出す技術は特許をとった。そのときに、でき上がったデータの限定提供データとしての保護についてもまとめて助言を受けたいといったような意見がありました。
 標準につきましても、標準の専門人材が不足している企業に対して、弁理士の助言が欲しいという御意見が複数の中小企業や関係機関からございました。
#91
○國重委員 データや標準に関して弁理士からアドバイスを受けたいという要望、期待が産業界、とりわけ中小・ベンチャー企業にあるということでありました。これは、第四次産業革命が進むに伴って、その期待はより高まっていくだろうというふうに思います。その意味でも、今回の弁理士法改正でデータ、標準に関する相談業務を追加したことは評価をいたします。
 もっとも、こういったアドバイスは、法の定めがないとできないものなのかどうなのか、そもそも論についてお伺いいたします。
#92
○宗像政府参考人 アドバイス自体は法律に規定がなくても可能でございます。
#93
○國重委員 法の定めがなくてもデータや標準に関するアドバイスはできるということであります。これらのアドバイスは弁理士が独占的に行うものではないということであります。
 では、それにもかかわらず、あえて弁理士法にデータや標準に関する相談業務を追加する意義は何なのか、お伺いいたします。
#94
○宗像政府参考人 法律に規定をする意味は、弁理士がこれらの業務を行うに当たりまして、弁理士法上の秘密保持義務あるいは利益相反に該当する業務を行ってはいけないという義務、こういった義務がかかることがはっきりするということでございます。
 非常に戦略的な意味を持つ標準やデータなどについて、ライバル企業に情報が漏れたりしない、あるいは利益相反が起きないということがはっきりしますと、安心して相談しやすくなると考えております。
#95
○國重委員 これまでの御説明で、今般のこの弁理士法改正の背景、またこういった趣旨というのは一定程度理解をいたしました。今後、データの利活用や標準の戦略的な活用が重要となってくる中で、人的資源に乏しい中小・ベンチャー企業にとっては、弁理士が果たすべき役割は非常に大きいというふうに思いますので、今般の弁理士法改正は意義があるものだと思います。
 他方で、今後ますます高まると思われる産業界の弁理士に対する期待に応えるためには、弁理士がこれらの業務を適切に遂行できる能力を確保していくこともまた重要なことでありまして、そのための取組を進めていくことが必要だと思います。これについての見解、今後の取組についてお伺いいたします。
#96
○大串大臣政務官 データや標準に係る業務が法律に追加されたとしても、弁理士の能力が相応のものにならなければ、産業界の期待に応えられないのは御指摘のとおりでございます。
 個々の弁理士に自己研さんが求められることは当然でありますけれども、政府といたしましても、日本弁理士会と協力しつつ、二つの点に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
 一つは、全ての弁理士に対し、データや標準に関する基礎知識を習得するための研修を義務づけることとしたいと考えております。これによりまして、中小企業を始めとする事業者が、データや標準を組み合わせた知財戦略の重要性について的確な助言を受けられるようにしたいと考えております。
 二つ目が、データや標準に関する専門知識を持ち、これを得意分野とする弁理士を育成するために、日本弁理士会が行っている任意受講の研修カリキュラムを充実させるとともに、日本規格協会の提供する標準化人材育成プログラムの活用等を奨励していきたいと考えております。
 これらによりまして、データや標準の利活用に関する産業界のさまざまなニーズに応じ、複数の弁理士が連携して適切に助言できるような環境を整えていきたいと考えております。
#97
○國重委員 ぜひしっかりとした取組をよろしくお願いいたします。
 今、JIS法、弁理士法関連について質問をさせていただきました。
 後回しにしました不正競争防止法について、松平委員とほぼ重複いたしますので、松平委員の質疑を受けて大臣が答弁されたこと、こういったことを踏まえて、最後に質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど松平委員の質問の大臣答弁にありましたとおり、どのようなデータが限定提供データに該当して、どのような行為が不正競争行為に該当するのかなどについて、わかりやすいガイドラインを策定されるということでありました。
 このデータの分野というのは、技術進展も速い、ビジネスモデルもどんどん変わっていく。こういったことから、制度自体やガイドラインをつくってこれで終わりということではなくて、産業界の声をきちんと踏まえながら、状況の変化に応じて対応していくことが必要だと思いますけれども、これに関する大臣の意気込みをお伺いいたします。
#98
○世耕国務大臣 まさに、データを利活用したビジネスモデルというのはここから本格化をしてくるわけでありますから、そもそも我々も、どういったビジネスモデルが出てくるか自体もまだ明確に見通せていないわけであります。これが日進月歩でいろいろなビジネスモデルが出てくるだろうと思いますし、また、データサイエンスの分野あるいはIoTの分野での技術自身もどんどんどんどん進んでいくというふうに思っております。ですので、改正法の施行後においても、技術革新や社会状況に応じて制度やガイドラインを不断に見直していくということは非常に重要だというふうに思っています。
 そのために、中小企業も含む産業界や有識者の御意見もしっかり集めながら、どういうデータ取引の実態が出てきているか、技術がどういうふうに進展しているか、あるいは、侵害の実例がどんなものが出始めているかといったことをしっかり把握をし、また、諸外国でもある意味手探りで進めていく分野だというふうに思いますので、諸外国の動向なども踏まえて、必要に応じて適切な見直しを行ってまいりたいというふうに思っております。
#99
○國重委員 現場の声、また諸外国の状況を見ながら、不断の見直しをしていく、適切な見直しをしていくというような答弁でありました。ぜひよろしくお願いいたします。
 以上で、本日の私の質疑を終わります。ありがとうございました。
#100
○稲津委員長 次に、浅野哲君。
#101
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
 私どもは、今週の月曜日、五月七日の日に、新しい政党、国民民主党という政党を設立をさせていただきました。新しい次の時代の政権選択肢となれるように、正々堂々と、そして未来志向で、現実的な政策論争を展開をさせていただきたいと思います。ぜひよろしくお願い申し上げます。
 また、本日冒頭、この委員会の理事として拝命をいただきました。その職責を全うできるように、精いっぱい務めさせていただきます。(発言する者あり)はい。
 それでは、質問の方に入らせていただきます。
 本日は、不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対する質問、一時間のお時間をいただいておりますので、じっくりと細かく質問をさせていただきたいと思います。
 基本的な姿勢としましては、この法案、中身、これまでの議論にもありましたように、幾つかの、今後定期的な、不断の見直しの必要性がありながらも、これからの日本産業が迎える第四次産業革命、ソサエティー五・〇、この時代をしっかりと乗り越えていくために必要性のある法案というふうに認識をしております。ただ、やはり何点かの懸念がございますので、よりよい中身となるように提案型で質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず冒頭なんですが、今回、この法案審議、不競法、JIS法、特許法、弁理士法と、複数の法案を束ねての審査となっております。それぞれ共通項が見受けられるものの、本来、法律というのは一つ一つ丁寧に審査をして中身を充実させていくべきものという考えを持っておりますので、まずは冒頭、今回束ね法案として審査をしたその理由について御説明を求めます。
#102
○糟谷政府参考人 まず、この法案を御提出させていただきました背景といたしまして、第四次産業革命のもとで、競争力の源泉が、データやそれを活用したサービスへと移りつつある中、データの活用やIoT関連技術の開発、導入を促進する上で、中小企業も含めて、企業の知的財産の保護や標準化を戦略的に推進することが必要になっているという認識がございます。
 このために、今回の法改正では、関連する制度を一体的に整備をして、こうした環境整備を図りたいということでございます。
 具体的には、まず第一に、知的財産を適切に保護しつつ、データの流通を円滑化するために、不正競争防止法及び工業標準化法を同時に改正いたしまして、その不正取得等に対する差止めを可能とすることとともに、データの仕様などをJISの対象とする。また、さらに、あらゆる中小企業がイノベーションに取り組みやすくなるよう、中小企業の特許料等を一律に引き下げる。こうした内容を提案申し上げているわけでございます。
 また、第二に、弁理士法を改正をいたしまして、特許出願等の業務を行う弁理士が、不正競争防止法に新たに位置づけるデータの取扱いに関する支援や、工業標準化法で対象範囲が拡大される規格案の作成に関する支援、こうしたことも行えるようにするというのが二点目でございます。
 三点目に、さらに、IoT技術の普及に伴いまして、複雑化すると想定される知財紛争の処理を円滑化するために、特許法、不正競争防止法などにつきまして、いわゆるインカメラ手続を充実させる。こうした内容の御提案を申し上げているわけでございます。
 こうした改正措置は、いずれも、データやIoTを活用した第四次産業革命への対応を後押しするものとして、相互に密接不可分の関係にあるわけであります。全体の改正措置を、総合的かつ一体的に講ずる束ね法案として提出をさせていただいたものでございます。
 なお、今回の法案における一連の改正措置の趣旨とか内容などにつきましては、全体として御説明することでより理解いただけるのではないかと考えております。施行までの間に、きめ細かく周知、広報活動を行い、またその際には、こうした改正内容を一体的に御説明をすることで、中小企業を含めた多くの事業者の皆様の理解や適切な対応を促してまいりたいというふうに考えております。
#103
○浅野委員 ありがとうございました。
 今回の法案の中身としては、今後訪れる第四次産業革命、データ利活用社会、これを、その産業のビジネスを生み出す側、そしてそれをサポートする側、そしてそれぞれの分野における人材の確保、そういった部分をしっかりと支えるものであるというふうに理解をいたしました。
 そういう点では、やはり全体のバランス感、そして全体がある程度のスピード感を持って一体的にこの施策を進めていく必要性があると思いますので、これ以降の質疑に対しては、そのスピード感というのも少し強調させていただきながら質問させていただきたいと思います。
 それでは、まず不正競争防止法の改正内容について質問をさせていただきます。
 今回、不正競争防止法の中身の特徴といたしましては、限定データを対象として、その不正流通を抑止する、また差止め請求権を与える、こういった内容というふうに理解をしております。
 そもそもなんですけれども、この限定データの差止め、そしてその不正流通に対して、今このタイミングでこれだけの警戒感を示し、そして法案を整備する、そういう必要性があるものというふうに推察をするわけですけれども、具体的にそういったトラブルや市場の中での不都合、こういったものは生じているのでしょうか。答弁を求めます。
#104
○糟谷政府参考人 第四次産業革命が進む中で、データやそれを活用したビジネスモデルが企業の競争力の源泉となっているわけであります。一方で、データは複製や転送が容易でありまして、一旦不正に取得されると、その後の不正な流通がとめられず、データの提供者が甚大な被害をこうむるおそれがございます。
 過去の裁判例では、相手方を限定して提供されているデータベースが無断で複製されて、部外者に販売された事案がございました。データの提供者は、訴訟において損害賠償とともに複製、販売の差止めを求めたわけでありますが、判決では民法の不法行為に基づく損害賠償しか認められなかったわけであります。つまり、差止め請求は認められなかったということでございます。
 こうした現状がありますものですから、産業構造審議会の不正競争防止小委員会におきましては、例えば、自動走行用の地図のデータや化学素材のデータを取り扱う事業者などから、データの不正流通に対する差止めなどの対抗手段がないと安心して外部にデータを提供できない、第四次産業革命で必要性が高まっているデータの利活用を安心して進められない、こうした懸念が示されたところでございます。また、私どもが行いましたアンケート調査においても、回答企業の六割が差止めといった措置が必要だというふうに答えているわけでございます。
 こうした現行法制度の制約を踏まえ、他方で、一方でこういうニーズがあることを踏まえて、データを安心して取引でき、利活用できるような事業環境を整備するために、今回の改正法案をお願いをしているものでございます。
#105
○浅野委員 ありがとうございます。
 これまでのいろいろな市場の中での事例を踏まえて、今回、差止め請求権の必要性というのを今御説明いただいたわけですけれども、私も、不正に流通した以上は、しっかりとその不正流通をとめなければいけないというふうに思います。
 しかし、今回は、対象がデータであるということであります。以前も委員会の中で申し上げましたけれども、データというのは実体を持ちませんので、実際に流通してしまったら、今この瞬間に一体どこに流通をしているのか、そして、それを差し止める物理的手段がないという、差止めをするといったときに大変難しい対象であることもまた事実であろうかと思います。
 また、今回、不正競争行為に該当する行為そのものの定義が非常に理解が難しい内容となっておりまして、このあたり、しっかりと明確化をしていかなければいけない、こういう課題もあると思います。
 そこで、質問ですけれども、この不正競争行為の該否判断、そして差止めの具体的措置、これを実際どのように行っていくのか、その中身について説明を求めます。
#106
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正法によりまして保護対象となります限定提供データの範囲でありますとか要件、あるいは、差止めの対象となります不正競争行為の具体的な内容などにつきましては、産業構造審議会の不正競争防止小委員会のもとに設置しておりますガイドライン素案策定ワーキンググループ、こちらは産業界の実務者でありますとか、あるいは学識者で構成しているところでございますけれども、このワーキンググループにおきまして、現場の実務に即した検討を行っているところでございます。
 今後、国会での御審議も踏まえまして、改正法の施行までに、データの提供者、利用者の両方にとって明確かつわかりやすいガイドラインを策定、公表してまいりたい、このように考えてございます。
 また、独立行政法人工業所有権情報・研修館、通称INPITと申しておりますけれども、この相談窓口でございますとか、あるいは、全国四十七都道府県に設置しております知財総合支援窓口におきまして、法制度や実務に関して、弁護士、弁理士といった専門家に御相談いただけるような体制も整備してまいりたいということで考えてございます。
#107
○浅野委員 済みません、今の答弁の中ですと、差止めの措置自体をどのように実行していくのか、その部分についての内容が含まれていたのかどうかちょっとわかりかねましたので、改めてその部分について御説明をいただきたいと思います。
#108
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回導入させていただきますのは民事的な措置でございまして、個別の事案における具体の行為が、法定いたしております不正競争行為に該当するか否か、あるいは当該行為が差止めの対象になるか否かにつきましては、データを不正に取得、使用された者が提起する訴訟において裁判所が判断をするということに相なります。
 次に、差止めについてでございますけれども、不正競争防止法では、不正使用、提供等の停止に加えまして、そうした侵害の行為を組成したデータや物の廃棄も請求できるということになってございます。今回の法改正によって保護対象といたします限定提供データにつきましても、不正に取得されたデータの使用の停止やその廃棄などを求めることが可能になります。
 また、その前提として、裁判を行っている間に被害が拡大することを防止いたしますために、仮処分申立てなどの保全手続を行うことも可能になります。
 他方、これらの措置によりましてもデータの不正流通を完全に停止するということは困難でございますことから、価値あるデータにつきましては、不正に取得されることのないよう、データ提供者において適切なセキュリティー対策を講じていただくことも期待されている、このように考えてございます。
 経済産業省といたしましては、みずからのデータであることを確認し、あるいは、データの流出経路を追跡することが可能となる電子透かしなどのトレーサビリティー技術を活用することを含めまして、データを保有する者に期待される自己防衛策につきましても、わかりやすいガイドラインを策定、公表する中で周知してまいりたい、このように考えてございます。
#109
○浅野委員 詳細な御説明ありがとうございました。
 今、最後の方に出てきましたデータのトレーサビリティーの確保、これがこれからのデータ利活用社会においては非常に重要な要素技術となると私は考えております。
 ただ、このトレーサビリティー技術、追跡技術ですね、現段階の技術水準ではまだ十分とは言えないという認識を持っておりますので、ぜひ、こういった国策で進めていくこの第四次産業革命、ソサエティー五・〇、コネクテッド・インダストリーズの実現に向けては、しっかりと国がリーダーシップをとって取り組んでいかれるようにお願いをさせていただきたいと思います。
 では、次の質問ですが、本日お配りをした資料の一ページ目をごらんください。
 このページには、今回、不正競争行為とする範囲として、赤い部分に、赤く色が塗られている部分が不正競争行為ですという解説がされております。一番下の部分を見ていただくと、今回、不正競争行為の対象とならないものがあるということで、いわゆる成果物、データの不正使用により生じた成果物については、今回、不正競争行為の対象としないということであります。
 これまでの質疑の中でも説明がありましたので、その大きな理由については理解をしているものの、データベースなどというのがここに含まれていることについては、やはり、いまだその懸念を払拭できておりません。
 その次のページの図二をごらんいただきたいと思います。
 上から二つ目の部分に赤枠で囲った表現がございます。これは図利加害目的の例として示されているものでありますが、あるC社がA社から提供を受けたデータについて、第三者提供禁止を認識しながら、当該データに自社のデータを追加して新しいデータベースを作成し販売する行為、これは図利加害目的で不正競争行為になるということでありますが、もともと入手したデータに新しいデータを追加して、これは全く新しいデータベースなんですという主張をして、これは成果物だから不正競争行為の対象となりませんと主張される場合もあるわけです。
 こういったケースに対して今回のこの法律がどの程度効力を持つのかどうか、この部分は一度御説明をいただきたいと思っておりますので、今申し上げたような成果物に対する取扱い、また、こういう法律の抜け穴が今後次々と発見される可能性もありますので、今後の見直しの可能性についても御説明をいただきたいと思います。
#110
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございますけれども、限定提供データの不正使用によって生じました成果物の譲渡などの行為を、今回は不正競争行為とは位置づけないこととさせていただいたところでございます。
 これは、審議会におきまして、個別のデータがAIプログラムの性能向上に寄与する程度には幅があります中で、成果物でありますAIプログラムの流通を差止めの対象とすることは取引の安全性を阻害するおそれがある、こういう意見が大勢を占めたことによります。
 一方、そうした成果物におきまして、仮に、不正に取得されたデータが確認できます場合には、当該データ自体の取得や使用は不正競争行為に該当し得るものと考えてございます。
 こうした取扱いや解釈につきましては、現在検討中のガイドラインにおきまして、具体的な事例を含め、できるだけわかりやすくお示ししていきたい、このように考えてございます。
 なお、将来的に、成果物の譲渡などを不正競争行為に位置づけることを含めた制度の見直しにつきましては、今後のデータの取引実態でありますとか、あるいは改正法施行後の侵害事例などの状況を見きわめながら、適時に検討を行ってまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
#111
○浅野委員 ありがとうございます。
 ぜひ、ガイドラインの中でしっかりと入れていくということなので、お願いしたいと思います。
 また、これまで質問してきた中でも、私、非常に感じることなんですけれども、いわゆる限定データの取扱い、ここまではオーケー、ここからはNGという、その線引きが、これだけ議論をしてもなかなかはっきりと、国民の皆様に伝わっているかというと、それは大変難しい、技術的な話だと感じております。
 今、情報産業が国内外においてどんどん拡大していく中で、データを取り扱うということが日常的に起こる、そういう立場にある国民の方々が今後どんどんふえていくと思うんですね。ただ、そういった方々全員がこの法律の詳細までを理解して業務に当たるかというと、そういうことは恐らく難しいと思います。
 やはり、悪意のない働く人々が過ってこの法律に抵触するような行為を行わないように、現場に対する周知、理解浸透活動というのは一定程度必要なんじゃないかというふうに思っております。これに対する政府の方針についてお伺いをいたします。
#112
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘ございましたように、産業の現場で不測の混乱が生じないようにするということは大変重要な課題だというふうに考えてございます。
 そこで、経済産業省といたしましては、中小企業あるいは現場の従業員の方々を含めた多くの皆様に、新たな制度をきちんと御理解をいただき、有効に御活用いただくために、改正法施行までに、不正競争行為の外縁を始めとしまして、制度、運用の詳細について、具体例に即したわかりやすい実践的なガイドラインを策定、公表したいというふうに考えてございます。
 また、独立行政法人工業所有権情報・研修館や関係団体との連携のもとで、実務者を対象といたしました全国各地での説明会の開催、あるいは相談体制の整備など、きめ細かい周知、広報活動を行いまして、制度全体の理解促進に努めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。
 以上でございます。
#113
○浅野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ただ、一点だけ、お願いといいますか、ぜひ御配慮をいただきたいこと。
 以前、この委員会の中で、中小企業支援策について議論するときも申し上げさせていただいたんですが、今、国が設けようとしているさまざまな窓口、これが非常に多種多様化していて、現場はどこに相談していいかわからないという声も聞こえてまいります。したがって、そういった現場の相談したいと思う方たちに対して、簡単に、どこに行けばいいんだ、ユーザーフレンドリーな窓口のあり方、そしてその体制のあり方というものを経産省の中でもぜひ御議論をいただいて、現場に寄り添う、そういう政府支援のあり方、これに近づけていただけるようお願いをしたいと思います。
 次に、不正競争防止法についてはこれが最後の質問になります。
 最後は大臣の御見解を伺いたいと思っておりますが、これまでの議論の中で、これまでの産業界というのは、もともと価値あるデータをつくって、それを売って、そのデータを活用する、そういうビジネスモデルが主流だったのに対して、これからは、本当にありとあらゆるものからデータが生み出される時代がやってくる。そうなると、このデータに価値があるのかないのか、その場では判断ができない、つくる側は判断できないんですね。データを使う立場にある方がそのデータに価値を見出すかどうか、そういう世の中になっていくと思います。
 大抵の場合、私も、国会議員になる前、民間企業でこういうデータを取り扱うような仕事をしておりましたので、その経験から言わせていただくと、データが価値を出すときというのは、大抵にして複数のデータが組み合わさったときに新しい価値が生まれるということであります。
 そうなってまいりますと、やはり、このデータが不正競争行為に該当するものなのか、データベースが不正競争行為に該当するものなのかどうなのか、このあたりの判断が非常に難しくなってまいりますが、しっかりとその分、ガイドラインを決めていただくことは重要なんですけれども、今そういう、このデータをこの範囲で使っていいです、この範囲から逸脱してはだめだというのは、実際は企業間の契約で取決めがされております。
 ですので、これからのデータ利活用社会になってきますと、契約時の使用可能範囲の取決めというのが非常に重要となってきますので、ぜひ、丁寧なガイドライン、そして、政府の方でも、ユースケースの確実な積み上げと、それを踏まえた不断の見直しというのを行っていただきたいということを私からは申し上げさせていただいた上で、最後に大臣の御見解を伺えればというふうに思っております。
#114
○世耕国務大臣 今の御要望にお応えするという意味で、まず、知財については、四十七都道府県に、知財支援センターというのを今つくっておりまして、中小企業等がいろいろと相談に駆け込むような、よろず支援拠点とかそういったところには、知財に関することについてはこの知財センターにしっかりと取り次いでほしいということを徹底しておりまして、そういった意味で、地域における中小企業に対する知財、また、あるいは今回導入していくこの法律ですとかガイドラインに関する相談も、しっかり対応していくようにしていきたいというふうに思います。
 今、契約が大切だとおっしゃったことも全くおっしゃるとおりでありまして、例えば、工作機械を導入した場合に、その工作機械を納入した側と購入した側のどっちがデータの所有権があるのかとか、そういったことは契約で明らかにしていかなければいけないということで、これは、コネクテッド・インダストリーズの概念を出したときに、この契約ガイドラインというものも我々はつくり始めておりまして、これは更に今後ともブラッシュアップをしていく必要があるというふうに思っています。
 その上で、今回の不競法の改正でありますけれども、やはり、コネクテッド・インダストリーズを実現していくに当たっては、協調領域に属するデータを始めとするさまざまなデータを企業を超えて共有して、そして利活用してもらうということが重要であります。そういう中で、データを提供する側から見ると、データは非常に複製や転送が容易ですので、不正取得や不正利用に対する対抗手段がないと安心してデータが提供できないという指摘がありましたので、今回、不正競争防止法を改正をして、この差止め制度といったことを創設することにしました。
 ただ、一方で、この保護制度を創設したことによって、今度はデータを利用する側が萎縮をするようなことがあってはならないというふうに思っておりまして、この保護と利用の円滑なバランスをとるために、不正競争行為の対象を悪質性の高い行為に限定するということもやらせていただいております。
 この制度によって、特にものづくりを中心とした日本の強みであります現場力を生かしたリアルデータの活用によってコネクテッド・インダストリーズの取組を進めて、第四次産業革命のもとでの日本の競争力を高めるべく、経産省としても全力で取り組んでまいりたいと思います。
#115
○浅野委員 ありがとうございます。
 それでは続いて、工業標準化法について質問をさせていただきます。
 本日お配りした資料の図の三をごらんいただきたいと思います。
 こちらの資料は、これまでの日本の標準化政策の変遷を一覧表にしてまとめてあるものでありますが、工業標準化法が施行されたのは一九四九年、当時の社会的な産業界における主な課題としては、さまざまな規格が乱立をしていて粗悪品も横行していた。そういった産業の現状を改善するために、乱立した規格の整理や粗悪品の排除を目的とした標準化が主流であったということであります。
 そして、時間が流れて一九八〇年代ころになりますと、そのころは、貿易の促進や国際社会との協調を目的とした、グローバルスタンダードを意識した標準化施策が主流になってきた。
 そして、二〇一〇年代、最近では、この標準化というのを一つのツールとして新しい市場をつくっていこうということ、これが主流になりつつあるということであります。
 ただ、これは国内の話であって、海外に目を向けてみますと、海外では一九九〇年代、今から既にもう三十年近く前にそろそろなりますけれども、IT分野の急発展に伴って、標準化を通じた市場獲得の推進という活動が既に始まっていました。もう三十年近く前にこういう動きが世界にあったということであります。それに対して、今、日本の国内標準化政策はこれから新分野創出をしていこうというスタンスであるというのがこの表から読み取れることであります。
 まず、改めて、日本の標準化政策の現状認識と今政府が捉えている課題認識について御説明を求めます。
#116
○末松政府参考人 お答え申し上げます。
 日本の標準化政策についての概要、先生がお話しされたとおりでございますが、戦後で申し上げますと、昭和二十四年に制定された工業標準化法が基本となっていろいろな政策が進められてきたということでございます。そこで、JISを活用することで製造業の品質改善、生産性向上及び国民生活の改善に大きく貢献していくということが進められたというふうに考えております。
 その後、一九九五年にWTO・TBT協定、そういったものが動き出しまして、世界市場獲得における国際標準の重要性が高まったことから、これらの状況への対応を進めてきたということでございます。二〇〇六年以降、国際標準提案数の倍増ですとか、欧米並みの、国際標準をつくるときの幹事国の引受数といった国際標準化戦略目標を掲げていろいろな政策を進めてきたところでございます。一応、どちらも達成してきたところでございます。
 そういう中で、近年になりますと、これも先生御指摘のとおりでございますが、製品やサービスの市場が形成される前から世界各国の企業が自社に有利な標準を制定する動きが進むとともに、中国、韓国といった新興国が積極的に標準化活動を行っており、こうした中で、日本の標準化活動のスピード不足ですとか、日本企業が標準化についての認識が若干不足しているですとか、標準化を支える人材の不足といった課題が生じているというふうに認識しております。
 このため、今回御提案させていただきますJIS法改正によりまして、対象拡大とか制定の迅速化により、国際標準に見合った分野の国家標準を早く制定できるようにするということが重要だと思っております。また、これにあわせまして、企業向けの啓発活動ですとか、人材育成等の政策を強化するといったことも進めてまいりたいというふうに考えております。
#117
○浅野委員 ありがとうございました。
 とにかく今、我が国の産業界が標準化という分野において、全世界的な視点から見た場合、一歩どころではなく二歩三歩とおくれている現状があって、その中で我々はこれからしっかり追いついていこうとしているわけですから、相当なスピード感を持ってやっていかなきゃいけない。それが、今回、この工業標準化法の改正内容に盛り込まれていなければいけないと思うんですね。
 そういう観点で、これから何点か質問させていただきたいと思います。
 お配りした資料の図の四をごらんいただきたいと思います。
 こちらには、日本工業標準調査会、通称JISCの組織図を掲載をしております。一番上位の意思決定機関に総会というのがありまして、その下に三つの部会がございます。それぞれ担当分野が定められているわけですけれども、基本政策部会の所属委員の方は今十八名、そして標準第一部会が二十七名、そして標準第二部会十四名という人数だそうであります。
 このそれぞれの委員の人選自体は非常に専門性の高い優秀な方々を選ばれているということで伺ってはおりますけれども、これは、これまでは工業標準化という工業に限定をした分野の話でして、これからこれをデータ、サービス分野に拡大をしていこうとしているわけであります。そう考えたときに、率直な所感として、これで十分なのかどうかと言われると、非常に強い不安を覚えてしまいます。
 そこで、改めてお聞きをしますが、今後、データ、サービスなどを対象に追加できるだけの実力を既にJISCは持っているとお考えでしょうか。
#118
○末松政府参考人 お答え申し上げます。
 国際標準化機構や国際電気標準会議といった国際標準化機関は、産業構造の変化などを受けて、その活動を鉱工業分野からデータやサービスなどへと徐々に拡大してまいりました。こうした状況に対して、日本工業標準調査会、今御指摘あったJISCも、これまでの日本の審議団体の代表として業界団体とか学識経験者の方々をそういうところに派遣して、審議に参画してまいりました。
 例えば、データ関連の規格として、一九六七年以降、約千七百の国際標準が制定されており、QRコードやデジカメの画像ファイルフォーマットなどの国際標準の審議に日本工業標準調査会として主体的に参加してまいりました。また、サービス分野では、二〇〇〇年代以降、約七百件の国際標準が制定されており、金融、飲料水、下水、市場調査などの分野の審議に日本工業標準調査会として参加してまいりました。よって、こうした新しい分野の標準化にも一定程度の知識の蓄積はされているものというふうには考えております。
 他方、データやサービスの分野については、鉱工業分野と比較して、そもそも国内の業界団体において標準化の知見が豊富な団体が少ないことは事実だというふうに思っております。今後、これらの分野のJIS原案の審議は、日本工業標準調査会が中心的な役割を果たし、新しい分野の専門家の発掘、育成を進めて、将来的には鉱工業分野のように民間団体が標準化を担えるような体制となるように、政府としても支援していきたいというふうに思っています。
 ある程度の実績はあると我々は思っていますし、そういう専門家の方々も国際機関に行くなどして研さんを高めていただいていますが、更にそれを進めていくことが重要だというのが認識でございます。
#119
○浅野委員 ありがとうございました。
 これまでの積み上げも多少あるということではありますが、これからやってくる第四次産業革命の、もう既に来ていますけれども、その波というのは非常に大きな波だと思います。これまでのペース、あるいはこれまでの量、質でよいかと言われると、決してそんなことはないと思いますので、ぜひ、この体制の強化というのは不断の改善を求めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次、続いて、図五の方をごらんいただきたいと思います。
 今回、工業標準化法の改正によって大きく変わるスキームの一つについて質問していきたいと思います。
 こちらの図は、上側に現行スキームというのがありまして、下側に今回の改正で追加されるスキームというのが絵で描かれております。
 現行スキームは、関係団体が標準化案を作成して、主務大臣の依頼によって、今説明いただいたJISCが審議をするというものであります。ですので、このJISCの体制強化、スピードアップ、質と量の改善というのは、非常にこの現行スキームの中では重要なものとなると思いますけれども、その一方、今回の法改正によって新しいスキームが追加されるということであります。
 新しいスキームというのは、認定をあらかじめ受けている機関であれば、その機関が、JISCの審議を経ずに、ダイレクトに大臣の標準化の制定を受けられるというものであります。ですので、これまでは何段階かに分けて審査をして、中身をブラッシュアップをして標準化をつくっていたものが、案をつくった団体が一発で標準化を制定できてしまう、できるようになる、そういう制度になっていくということでございますが、となると、この認定機関というのは相当な経験と知識、そしてリソースがなければいけないと思います。
 改めてお伺いをしますが、この認定を受けようとする機関に求める認定要件について御説明をいただきたいと思います。
#120
○末松政府参考人 先生おっしゃられたように、認定機関というのは、現在JISCがやっている業務の一部を担っていただくことになりますので、認定機関については中立公平な審議を行っていただく観点から、改正JIS法第二十二条第二項第二号及び三号に基づき、申請した者の産業標準の案の作成に係る知識や能力、業務の実施方法及び実施体制を求めることとしております。
 特に実施方法及び実施体制については、これまで審議会で行っていたように、メーカー企業、ユーザー企業など業界団体の関係者に加え、消費者団体、学識経験者、国立研究開発法人の研究者など多くの利害関係者が審議に参加するような委員会を設置することや、パブリックコメントを実施し、提出した意見をJIS案に反映することを求めることを検討しており、認定機関にもJIS案の作成段階で今まで以上の業務負担が発生する可能性があり、こういうことができるところを認定していきたいというふうに考えております。
#121
○浅野委員 今、最後におっしゃっていただきましたけれども、これは、認定機関、認定された機関は確実に業務量が増加する、負担が増加することになります。ただ、今、その認定機関となり得る要素を持った団体というのを幾つか私も以前教えていただいたんですが、それぞれの団体の方の話を聞くと、別に常に人が何人か余裕があるわけじゃなくて、皆さんが皆さんそれぞれ毎日忙しい業務をこなされているわけですので、そういった部分については、ぜひ、その認定をするというだけでなくて、もちろん認定を求める機関自身の努力も必要なんですが、要件を満たしやすくするような政府側の支援策というのも必要性があるんじゃないかと課題提起をさせていただきたいと思います。
 それで、次の質問なんですが、これまでの現行スキームですと、もともと業界団体が案を作成して、JISCが審議をして、標準化として制定されるというプロセスでありました。実際、この一連のプロセス全体でどれぐらいかかっていたかと申しますと、まず原案を団体が作成するのに約一年、その後、JISCの審議などで更に一年程度かかりまして、更にそれが規制として引用されるまでには数カ月から数年かかる場合もあったということです。平均的には、三年から三年強という期間がそれぞれの標準化制定にかかっていた期間ということであります。
 これを今回、冒頭申し上げたように、ぐっと短縮をして、スピードアップしていかないといけないわけですけれども、追加したスキームによって、認定、制定までの期間がどれほど短縮されるのか、その見通しについてお伺いをいたします。
#122
○末松政府参考人 お答え申し上げます。
 昨今の国際標準化の状況を見ると、JISの制定もできるだけ迅速化することが重要だというふうに考えております。
 今次の法改正に伴い、今後は、認定機関からJIS案が提出されれば、できる限り速やかにJISが制定できるようになる見込みでございます。
 原案については、これは民間の認定機関なり業界団体の方々の努力をお願いしなくちゃいけないことでございますが、原案については早い例では半年程度のものもあるため、より多くの案件において、JIS制定まで、できれば半年程度でできるようなことを期待しているということでございます。
#123
○浅野委員 半年程度ということで、もしそれが実現するのであれば、業界団体の皆さんにとっては非常にうれしいことだと思います。ぜひ、何としてもその目標期間を必達できるように、国としても最大限の支援をお願いしたいと思います。
 私もいろいろな業界の方から声を伺います。いろいろ、まさにこのコネクテッド・インダストリーズに直結をする業界の方、あるいは日本の基幹産業である自動車関係者の皆さん、そのほかにも多くの業界団体の方からヒアリングをしますと、やはり、技術革新のスピードよりも、法整備、ルール整備のスピード感がどうしても彼らにはボトルネックになってしまっている現状があります。
 これは、三年が半年になるというのは、ビジネス界の時間軸でいったら相当な、民間電気製品のライフサイクルは、大体、短いものであれば半年、あるいは長くても二、三年と言われているんですね。本当に一世代かわってしまうぐらいの時間が稼げるわけですから、ぜひお願いをしたいと思います。
 一方で、これは国内の標準化の話であります、これまでの議論は。ただ、これからはグローバル社会、国内産業の皆さんは海外に打って出ていかなければいけない、そして、そこで稼がなければいけないという時代ですので、国内標準化だけをスピードアップしただけでは不十分だと思います。
 したがいまして、今回の法改正が国際標準化のスピードアップにもつながっていかなければいけないと思いますけれども、この国際標準化に向けた今認識されている課題、そして今後の対応方針についてお伺いをいたします。
#124
○末松政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、世界市場においてルール形成を有利に進め、市場を幅広く獲得していくためには、例えば、自動走行、スマート工場、ドローンなど、日本として市場獲得を目指すべき重要分野について、その分野における産官学の専門家を結集するとともに、世界各国と連携して日本が国際標準を主導することが必要でございます。
 こうした観点から、重要な分野における世界の規制や標準の動向に関する情報収集を行い、産官学で共有するとともに、内閣官房を中心として関係府省や経済団体が参画する国際標準獲得に向けた官民連携会議において、日本として国際標準を活用して市場獲得を目指すべきはどのような分野か、日本が苦手とする社会システム分野の国際標準化のための戦略と推進体制をどうすべきか、そういうことについて議論をしているところでございます。
 加えて、国際標準を制定する場では一国一票にしかならないため、国内の企業間や産業間での利害調整をいたずらに時間をかけるのではなくて、各国との連携を進めることが重要でございます。例えば、小口保冷配送サービスでは、ASEAN各国や英国の国家標準化機関との連携により、ISOに国際標準作成のための委員会の設置を日本が主導してやったということがございました。
 引き続き、官民が連携して国際標準化に戦略的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#125
○浅野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 この工業標準化法については、これで最後の質問にさせていただきたいと思います。
 最後、大臣の御見解、そして決意をお伺いできればと思うんですけれども、今この標準化政策というのは、世界的に見ると大きな二つの流れ、アプローチ方法を持っていると私は今認識をしています。
 一つは、日本型と言ってもいいかもしれませんけれども、日本やドイツがとっているような、標準化をスタートラインにして、そこにさまざまな企業、団体が集まって、そしてバリューチェーンを構築していくというアプローチ。もう一つはアメリカ型ですけれども、アメリカの場合は、巨大なプラットフォーマーがいて、その巨大な企業がもうビジネスモデルをつくり上げてしまう、その周辺に周辺企業が集まってバリューチェーンを形成していく、そういう二つのアプローチがあるんですね。
 要するに、ビジネスモデル構築が先か、標準化が先でそれをビジネスモデルにつなげていくか、そういう方法論の大きな二つの流れがあります。
 例えば、ドイツとアメリカと日本というのをちょっと例に挙げて少しお話をさせていただきたいんですが、ドイツというのは、国が主導して標準化を、規格をつくりまして、そこに国内企業を一気に集めて、効率的なバリューチェーンを形成しているというパターン。そして、アメリカは、インダストリアルコンソーシアムという団体をつくって、それが軸になって、要するに、コンソーシアムをつくっているのは巨大なプラットフォーマーなんですけれども、そのコンソーシアムにいろいろな企業が加盟をして、そこのビジネスに参加をしていく、そういう形になっています。
 では、日本はどうか。日本は、ソサエティー五・〇、コネクテッド・インダストリーズという動きが、今これから起きようとしています。これは、IoTをベースに、いろいろな産業から生み出されるデータをつないで、そして、それをビジネス、競争力につなげていこうという考え方でありますけれども、この大きな流れの中で、工業標準化法の見直しがどういう存在、位置づけになっているのか、これをもうちょっと、産業界からしたら位置づけを明確にしてほしいという声が届いております。
 ですので、あともう一つの問題は、アメリカの企業はアメリカ国内にとどまってくれていないんですね。どんどん日本や海外に出てきて、そこでプラットホームを根づけて、そこで、ビジネス、バリューチェーンを拡大しているというような、どんどんどんどん海外に攻めてきている中において、日本はやはりスピード感を持ってこういう標準化施策を進めていかなければいけない。標準化と同時に社会実装が始まるようなスピード感を持っていかなきゃいけないというのが産業界の率直な要望なんですね。
 ですので、冒頭の議論に戻りますけれども、この工業標準化法の見直しを通じて、データやサービス産業にまで範囲を拡大し、さらに、その標準化までのスピードを短縮する、これを何としても実現をしていただきたい、これが産業界の思いであります。
 こうした思いを受けて、大臣の御見解をいただければと思います。
#126
○世耕国務大臣 今おっしゃったように、アメリカ型とそしてドイツ型というのがあるとすれば、アメリカ型は、今、現実的に日本にそういう巨大プラットフォーマーがいないという中で、民間がもういきなりばっとマーケットを押さえてデファクトスタンダードをつくっていくというのは、非常に難しいんだろうというふうに思います。
 ただ一方で、日本も、ドイツ的に、国がもう全部決めて、そこに民間が入りなさいという、そのアプローチも余り日本には向いていないんだろうというふうに思っていまして、まさにコネクテッド・インダストリーズというのは、国がある程度方向性を示して、そこに民間が協調してやってもらう、そして、そのために、国がまたコネクテッド・インダストリーズを民間が展開しやすいようなルール整備とかそういうことを行っていく、これがやはり日本に一番ふさわしいあり方ではないかというふうに思っておりまして、今回、今御議論いただいている一連の法改正も、そういうルールを国が定めていくというところに該当するんではないかなというふうに思っています。
 特に、コネクテッド・インダストリーズの実現に向けては、最終的に、技術の互換性とか、データがちゃんと互換性を持っていくということも重要です。これは、企業を超えるだけではなくて、国境を越えていくということも非常に重要だというふうに思っていまして、そういう意味で、標準化、国際標準化といったことが極めて重要になってくるんではないか。
 私は、去年のドイツのハノーバーでのCeBITに参加した際も、やはり、このIoTの非常に激しい競争の中でも、戦略的な標準化づくりというのは非常に重要だと思いましたし、アメリカよりは日本に近いドイツと連携をしていくことも国際標準化づくりで重要だというふうに思いました。特に、ドイツはEUとつながっているわけでありますから、特に標準化をするに当たっては国の票数も多いわけでありまして、そういう意味で、ドイツともハノーバー宣言というのに署名をしてきまして、このIoT、第四次産業革命の分野で日独が国際標準化の分野で連携をしていくということも決めさせていただいたわけであります。
 特に、今回のJIS法改正ということに絞りますと、標準化の対象に、サービスですとか、データですとか、経営管理を加えたということ、そして、認定産業標準作成機関制度を導入することによって認定期間を一気に短縮をしたこと、このことによって、全ての分野においてスピーディーに標準化を進めて、円滑に国際標準を獲得できるようになって、世界市場における優位性を確保するためのルール形成もやりやすくなるというふうに考えております。
 いずれにしても、日本型のスタイルで、官民で連携をしながら国際標準化に取り組んで、国際競争力の強化に努めてまいりたいと考えています。
#127
○浅野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 本日の工業標準化法に対する議論のポイントは、私なりに三つあると感じております。
 一つ目は、やはり、データ、サービス分野への拡大、この標準化対象を拡大する、そのためのしっかりとした基盤を整備する必要性があるということ。
 二つ目は、標準化のスピードアップ、これを必ず達成していただきたい。そして、スピードアップだけではなくて、グローバル標準に対応する、そういう広い視点での取組の必要性、これを感じます。
 最後に、三つ目なんですが、今大臣もおっしゃっておりましたけれども、ルールメーカーだけが頑張ってはだめだと思うんですね。ルールメーカーとプレーヤーが一緒になってこの標準化政策というのを前に進めていかなければ、ルールはつくったけれども、そこでプレーをするプレーヤーがいなければ何もならないわけで、しっかり、連携というのが非常に大事になっていくんじゃないか、早期の社会実装の実現に向けてはですね、大きなポイントになると思いますので、ぜひ、そういう意識で国には引き続きのこの取組の加速を求めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、特許法の改正内容に移っていきたいと思います。
 今回、特許法の改正によって変更となるポイントは、大きく二つあると認識をしております。
 一つは、出願費用が変わるということ、もう一つは、インカメラ手続というふうに表現されていますけれども、特許紛争が起きた場合に、情報開示をするかどうか、それを内々に審査をする、そういう手続が創設をされるという、この二つのポイントがあるというふうに理解をしております。
 その議論に移る前に、やはり、日本の特許、知財分野が置かれている状況をしっかり認識したいと思います。
 なので、初めに、知財活動分野における日本の状況、あるいは海外との比較、また、大企業と中小企業で出願傾向も違いますから、その国内、国外の状況、そして大企業、中小企業の状況、それぞれについて説明を求めます。
#128
○宗像政府参考人 お答えいたします。
 二〇一六年の資料をお配りいただいておりますけれども、足元で確認できた範囲で少しアップデートして申し上げますと、二〇一七年、わかっているところで、日本は約三十二万件。アメリカは、二〇一六年のままですけれども、約六十一万件。欧州は、十六万が一つふえて、十七万件。韓国は二十一万件。中国は、百三十四から四万件ほどふえて、百三十八万件となっております。
 日本、アメリカ、欧州、韓国の特許出願件数は、ほぼ横ばいで推移しておりますけれども、中国につきましては、二〇一二年から約二倍に増加しております。中国では、特許に加えて、商標の出願件数も急増しております。
 国内からの特許出願件数に占める中小企業の割合は、二〇一七年時点で、これは二〇一六年とほとんど変わっておりませんけれども、一五・三%であります。二〇一一年の一〇・八%から見れば、毎年着実に増加をしていることが挙げられます。
 ただ、海外における中小企業の出願割合は、アメリカは、二〇一五年時点ですけれども、二六%、ヨーロッパでは、二〇一六年時点ですけれども、二八%となっております。
#129
○浅野委員 ありがとうございました。
 今御説明いただいたような国内の知財活動状況ですが、一言で言ってしまうと、世界に対して、急速に伸びる中国と、いつまでたっても差が縮まらない欧米を追いかけている状況がずっと続いているわけであります。国内においても、中小企業の出願件数は大企業と比べると非常に少ない、そんな状況が続いているわけであります。
 そういった状況を踏まえると、今回、出願費用を約半分にする、中小企業に対しては出願費用を半分にするというのは、非常に中小企業の知財活動活性化に対しては効果があるんじゃないかと思う一方で、じゃ、果たしてそれが中小企業の皆さんが喜ぶほどの規模なんだろうかというところが、ちょっと確認をさせていただきたいところであります。
 本日お配りをした図の九をごらんください。最後のページになります。
 こちらは、日本弁理士会が実施したアンケート、少し昔の平成二十一年のものになりますけれども、特許出願をしたときの報酬総額、要するに、弁理士の方にお支払いするお金の総額のアンケートをとりました。平均値としては二十六万円ということであります。
 今回の施策によって出願費用が半額になるということなんですが、それによってこの二十六万円が幾らになるのか、この部分についてまず答弁を求めたいと思います。
#130
○宗像政府参考人 まず国内出願で申しますと、十年間権利を維持する標準的なケースを仮定しますと、出願料、審査請求料、特許料十年分を合わせて、一件当たり約四十万円と考えております。
 今回の改正によりまして、これが中小企業については一律約二十万円、二十万円安くなるということでございます。
 これに加えまして、今御指摘の弁理士費用が一件当たり約二十六万円としますと、全体としては、四十足す二十六の六十六万円、それが二十万円減るということで約三割減の負担減となります。
 国際出願の方は、あわせますと、今、国を決めずに、特許庁、WIPOに支払う出願関係手数料が一件二十万円から約十万円に減る。その後、中国とかアメリカとか、国ごとに違いますのですけれども、例えば、アメリカと中国に両方出すとすれば、アメリカで八十五万、中国で四十五万、合計百五十万かかるところを、約十万円、こちらは軽くなっております。
#131
○浅野委員 ありがとうございます。
 中小企業の方々にこのあたりの肌感覚をしっかり認識をいただけなければ、この制度はしっかり活用していただけない可能性があるんじゃないかと思います。ですので、ぜひ周知活動に注力をいただきたいというふうに思います。
 時間がちょっとなくなってまいりましたので、弁理士法の改正について、一問質問させていただきます。
 今回、弁理士法の改正について、これまでもありましたように、弁理士の方々の業務範囲の拡大が行われる予定であります。
 そこで、私が本日聞きたいのは、業務範囲が拡大するということは、それだけ求められるスキルがふえるということであると思います。それに対して人材確保の対策というのが必要なんじゃないかということと、あとは、先ほど、もともと相談はできましたという答弁がありました。アドバイスはできましたと。アドバイスなのでそこに対価はなかったわけですね。これまでアドバイスとしてやっていたものに対して対価を求めることになるということは、報酬体系をしっかり見直していかなければいけないということになると思いますが、それに対して政府の考え方及び対応方針を伺いたいと思います。
#132
○宗像政府参考人 まず一点目の専門的知見の確保でございますけれども、まず、全ての弁理士の方々に、基礎知識として標準制度であるとか種類であるとか、標準の手続あるいはデータなどについても基本的な研修を受講していただきたいと考えております。
 特に、意欲のある、専門分野として、自分の得意分野としていきたいという方については、特に、優位のある、どんな規格をつくれば経営上得なのかといった、そういう実例であるとか、あるいは標準と知財を組み合わせた経営戦略の実例であるとか、そういうことをわかりやすく御紹介する研修メニューを、任意で受講いただけるようなメニューを充実させていきたいと思っておりまして、それから、規格協会も標準化の専門家としての資格を持っておりますので、これを弁理士の方々に取得いただくように促していきたいと思っております。
 それから、弁理士の対価についてでありますけれども、御指摘のように、特許の出願を前提とした一件当たり幾らという料金体系ではアドバイスに対する対価が得られにくいという議論がございますので、産構審の知財分科会の弁理士制度小委員会で議論いたしまして、出願一件当たり幾らではなくて、一時間当たり幾らというタイムチャージ、あるいは一定期間の報酬をあらかじめ定める顧問料など、コンサルティング業務の質を高めるインセンティブがきちんと働くような料金体系のあり方というものを検討すべきだという結論をいただいております。
 弁理士の料金はお客様との契約で個別に決められるものでありますけれども、この報告書も受けまして、今後、弁理士会等において具体的な検討が行われるように促していきたいと思います。
#133
○浅野委員 時間が参りました。
 この法律案、やはりスピード感、そして現場に寄り添う姿勢、また不断の見直し、これを最後にお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#134
○稲津委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十八分開議
#135
○稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。笠井亮君。
#136
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 まず冒頭ですが、さきの生産性向上特措法案の審議で、EUの一般データ保護規則に規定されている忘れられる権利、データポータビリティー権、それからプロファイリングへの異議申立て権という三つの重要な権利が我が国の個人情報保護法で明文規定されているか確認を求めました。
 個人情報保護委員会は、答弁として、全く同一の規律ではないが同様の趣旨に沿った規定があると述べました。
 そこで、後ほど資料を求めたところ、忘れられる権利は個人情報保護法三十条一項と十九条、データポータビリティー権は二十八条、プロファイリングへの異議申立て権は十八条と三十条一項だという回答がありました。
 そこで、個人情報保護委員会に伺います。
 EUの忘れられる権利と同趣旨とした三十条一項の消去請求を行えるのは、保有個人データの内容が事実でないとき、あるいは、当該データが同法に違反して取り扱われて、又は取得されたときに限定される、限られるということではないんでしょうか。その点、確認を求めたいと思います。
#137
○福浦政府参考人 お答えいたします。
 議員御指摘の利用停止については個人情報保護法第三十条で規定されておりまして、条文としまして、本人は、個人情報取扱事業者に対しまして、当該本人が識別される保有個人データが第十六条の規定に違反して取り扱われているとき又は第十七条の規定に違反して取得されたものであるときは、当該保有個人データの利用の停止又は消去を請求することができるというような条項になってございます。
#138
○笠井委員 まさにそのとおりだということであります。
 EUでは、オプトイン、あらかじめ本人同意が必要な制度で、一旦は同意したけれども撤回する場合、個人データが不法に処理された場合だけでなく、その収集目的に照らしてもはや必要ない場合にも消去請求権を認めるものでありまして、趣旨は違うということだと思うんです。EUのデータポータビリティー権と同じ趣旨だとした二十八条についても、これは開示請求権にすぎないということであります。
 では、もう一点伺いますけれども、プロファイリング、人物像を描き出すということについては、二〇一四年の六月のパーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱で、継続的な検討課題だ、こういうふうにされてきたのではないですか。その点、どうでしょうか。
#139
○福浦政府参考人 ただいま議員御指摘の大綱につきましては、今御指摘あったとおり、二〇一四年の六月に、「継続して検討すべき課題」として、プロファイリングについて記述がございます。
 それを受けまして、昨年五月に全面施行されました改正個人情報保護法は、今御指摘の大綱を踏まえたものというふうに私ども認識いたしております。
 いわゆるプロファイリングにつきましては、現行の個人情報保護法では、個人情報の取得時に利用目的の通知、公表が義務づけられておりまして、利用目的の違反や不正取得の場合には、本人は、個人情報取扱事業者に対しまして利用停止を求めることができると法律上なってございます。
#140
○笠井委員 そういうことだから同様の趣旨だということだと言いたいんだと思うんですけれども、個人情報保護に詳しい慶応大学の山本龍彦教授は、日本ではプロファイリングについて法の空白状態が続いていると指摘をしております。
 ビッグデータの利活用が進んでAIがますます賢くなれば、これまで人間が行ってきた重要な決定の多くがプロファイリングによって代替されることが想定されますけれども、日本では明文規定がない。これを放置すれば、プライバシー権の侵害というだけではなくて、内心の自由や個人の尊重にも触れる問題になっていくと。
 EUと比べても、日本の個人情報保護の仕組みは余りにも脆弱だと言わざるを得ません。早急なさらなる法整備が必要だと強調したいと思います。
 さて、今回の法案に関してですが、本法案は、知的財産や標準分野のデータの流通や利活用環境を整備することを目的にしたものでありますけれども、七十年ぶりに大改正されるJIS法にかかわる部分について確認をしたいと思います。
 JIS制度は、中小企業の品質管理能力の向上や事業機会の確保にも役立ってまいりました。
 先日、ある製造業の方のお話を伺いました。
 戦後間もなく、創業者でもある先代の父親が金属容器のパーツ製造の会社を立ち上げたけれども、顧客ごとに要求する部品のサイズが違っていて、製造と納入に大変苦労した。そこで、業界団体や通産省にも働きかけてJIS規格化に取り組んだことで、統一規格が実現したそうであります。そのことによって大量生産が可能になったということで、受注が安定をし、そして業界の裾野もぐんと伸びたとおっしゃっておりました。
 そこで、世耕大臣、JIS認証事業者のうち中小企業は約八八%を占めるというふうに承知しております。認証取得事業者に対するアンケートでも、事業の維持拡大、品質や技術の向上、対外的な信用度向上に効果が大きいという結果が出ていることからも、JISというのは中小企業の品質管理能力の向上や事業機会の確保に役立ってきたと評価できると思うんですけれども、大臣も同じ認識でしょうか。
#141
○世耕国務大臣 このJIS法は、戦後の復興期に、鉱工業品の品質の改善ですとか、あるいは生産、流通、消費の合理化などを目的に制定された法律であります。六〇年代の高度経済成長期には大量生産基盤を支え、そして、八〇年代以降は国際標準との整合確保によって貿易促進にも貢献をしてまいりました。
 委員御指摘のとおり、JIS法に基づく被認証事業者に占める中小企業の割合は、平成三十年三月末時点で八七・九%でありまして、そして、高度成長期とか八〇年代以降、最近でも、例えば自動車用の緊急脱出ツール、これは従業員二十人台の中小企業のビジネスであります。あるいは、しょうゆの、空気が入らない、最近我々よく使っている、あの容器を開発した、これも従業員十人ちょっとの中小企業でありますが、こういった事業に関するJISを制定したことによって、不良品の除去や市場の拡大に貢献したという中小企業の声もいただいております。
 このように、JIS制度は、中小企業の品質管理能力やマーケットの拡大などさまざまな面で中小企業に貢献してきたと認識をしております。
#142
○笠井委員 まさにそのとおりで、アンケートの自由記述欄には、JISマークは品質に関するパスポートとの声もあります。消費者にとってもJISマークは信頼のあかしとなっている。これは、一朝一夕にできたものではない。よい品質のものをつくる側、選択する側、お互いの努力で七十年かけて培ってきたもので、この信頼を大事にすべきだと強く考えております。
 そこで、JIS制定に大きな役割を果たしてきたのが、日本工業標準調査会、JISCであります。生産者、使用者、消費者など全ての利害関係者によって構成をされて、公開の場でJIS案が審査をされてまいりました。JISCが議決したJISを主務大臣が制定をする。
 そこで、もう一問、世耕大臣、法案では、JIS制定の迅速化のために、認定産業標準作成機関からのJIS提案について、JISCの審議を経ずに大臣が制定できる仕組みを今回追加するとしておりますが、この民間認定機関によるJIS案の申出というのは、これは、JISCが制定にかかわらない、そういう意味では初めての制度になると思うんですけれども、間違いありませんか。
#143
○世耕国務大臣 JIS法が昭和二十四年に制定されて以降、JISの制定については、国の審議会であります日本工業標準調査会、JISCにJIS案が付議をされて、JISCによるJIS案の審議を経て、主務大臣が制定することとしてまいりました。
 御指摘のとおり、今回の法改正によって、JIS法制定以来初めて、JISCによる審議を経ないでJISの制定が可能な認定産業標準作成機関制度を追加したということになります。
 今回の制度の改正の趣旨は、第四次産業革命によるIT分野を始めとした事業展開のスピードに対応するため、新たに認定産業標準作成機関制度を創設して、産業標準の案を作成する業務の実施の方法や実施体制を審査して、JISCと同様に公正性を担保できる者を認定することで、JISCによる審議を経なくても、これまでと同様の水準のJISを迅速に制定できる体制を整備することとしたいと考えております。
#144
○笠井委員 経産省に伺います。
 民間認定機関がJISの原案を作成するに当たって、JISCと同様に、生産者、使用者、消費者など利害関係者の関与が担保される仕組みに今回なっているのかどうか、その点いかがですか。
#145
○末松政府参考人 お答えいたします。
 現行法においては、日本工業標準調査会において、生産者、使用者、消費者などの実質的な利害関係を有する者の意向を反映するような委員の構成にすることを省令で規定し、JISの案を審議する際の公正性を担保しております。
 今後、認定産業標準作成機関を認定する際には、産業標準の案を作成する業務の実施方法や実施体制を審査し、日本工業標準調査会と同様に公正性を担保できる者を認定する予定でございます。
 具体的な基準や審査のための提出書類は省令で規定することとなりますが、実施の方法及び実施体制については、これまで、日本工業標準調査会で、メーカー企業、ユーザー企業など業界団体の関係者に加えまして、消費者団体、学識経験者、国立研究開発法人の研究者など、さまざまな利害関係者が審議に参加してきたことを踏まえ、認定機関が設置する委員会の委員構成がどのようになるかなど、公平中立な審議結果が得られるようなプロセスや体制を保有しているかという観点で審査を行い、JIS案作成における利害関係者の関与を担保することとしたいと考えております。
#146
○笠井委員 更に伺います。
 JISCの審議過程は、議事録や配付資料も含めて公開をされております。どういう経過で制定に至ったのか、後できちんと検証ができると、専門性とともに、客観性や透明性も確保されてまいりました。
 では、民間認定機関でのJIS原案の作成過程も、JISCと同様にきちんと公開されるのか、この点はいかがですか。
#147
○末松政府参考人 お答えいたします。
 認定産業標準作成機関がJISの案を作成する委員会の構成は、JISCの委員構成などを規定している省令を参考に、生産者、使用者、消費者など、実質的な利害関係を有する者の意向を反映するように求める予定でございます。
 また、現在、日本工業標準調査会の審議を経て制定されるJISについては、JISを制定する前に原案を公表して、少なくとも六十日間の意見受け付け、パブリックコメントを行うこととしております。
 民間の認定産業標準作成機関が作成するJISについても、今後、省令やガイドラインにおいて、認定機関が原案を公表し、少なくとも六十日間の意見受け付け、パブリックコメントを義務づけることを予定しております。
 これらを通じて、認定機関が作成するJISについても、これまで同様に透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。
#148
○笠井委員 パブコメをやるということでありますが、これは取りまとめた結果について意見を聞くものであります。これまで公開していた審議プロセスが公開されないことになるのであれば、JIS策定の経緯の透明性が後退をする、合意形成や情報公開をおろそかにしては新JISの信頼にもかかわると指摘をしたいと思います。
 次に、JISの対象にサービスを追加することについて問いたいと思います。
 改正案は、コンピュータープログラムやデータ、サービスをJISの対象とするために、名称を日本工業標準から日本産業標準というふうに変更するとしておりますが、サービス分野の標準化というのはどういう分野や業態を想定しているんでしょうか。経産省。
#149
○末松政府参考人 お答えいたします。
 想定しているサービス分野、業態には非常に幅広いものが含まれると考えております。
 例えば、シェアリングエコノミー関連サービスなど、規制が整備されていない中で規範的な役割を果たすいわゆるソフトローとして標準を整備することにより、市場の健全な発展が見込めるような新たなサービス。ブライダルサービスなど、事業者と顧客の間に情報の非対称性があり、標準化における品質の見える化がすぐれたサービスの差別化や粗悪なサービスの排除につながるようなサービス。防災、減災、気象情報サービスなど、国家の基盤として、標準化により品質の向上を推進すべき公益サービス。小口保冷配送サービスなど、日本独自の高い品質を正しくはかることができるような標準化を推進することで海外展開の促進が見込めるようなサービス。このようなものが挙げられると考えております。
#150
○笠井委員 シェアリングエコノミーサービスのソフトローとしての役割という問題についてなんですけれども、その役割をJISに求めるというのはどういうことか。
 例えば、ライドシェアは、もともと道路運送法で禁止をされている白タクを、経産省がグレーゾーン解消制度を使って相乗りマッチングサービスとして認めたものであります。国交省もライドシェアというのは道路運送法の規定は及ばないと認めているわけで、この間、私も質問しました。
 経産省に伺いますが、では、この問題での事業所管官庁というのはどこになるのか。そして、対応する業法というのはあるんでしょうか。
#151
○末松政府参考人 お答えいたします。
 ライドシェアについて、四月十一日の衆議院経済産業委員会で、先生からの御質問について国土交通省が答弁したこと、承知してございます。
 このシェアリングエコノミーについては、新たな業態で標準化が望まれている分野の一つとして産業構造審議会の報告書にも例示されているものでございますが、現時点では、具体的な、どういうJISをつくりたいとか、どういうJISの案があるというわけではございません。
 JISの制定については、案件ごとに主務大臣を決めることとしております。
 シェアリングエコノミーについても、今後JISの提案が出てきた場合、その対象がライドシェアに限定されるものなのか、又は、いわゆるシェアリングサービス、横断的に適用されるものか、横断的であるとすればライドシェア以外の所管も関係してくるということでございます。また、その観点が安全性などの規制に関係してくるものなのか、サービス提供プロセスの標準化に関するものかなどにより、関係する大臣が異なってくるというふうに認識しております。
#152
○笠井委員 四つのうちで想定しながらライドシェアサービスを規制する、どこになるかはまだわからない、それによって違うんだとか、業法はないということでありますけれども、では、マッチングの場を提供する事業者に対する規制もないんですか、これは。
#153
○末松政府参考人 JISについては、一定の標準を定めるものでありまして、業態、業法による規制については、もともとある、JISではない、各法によってどういうふうに対応するかということから決まってくるというふうに考えております。
 いずれにしても、JISを所管する立場で、経済産業省が必要に応じて関係大臣との調整をしてまいりたいというふうに考えております。
#154
○笠井委員 調整するということですが、この間見てみますと、内閣官房は、個別サービスごとに規定された業法による規制にはそぐわないというふうに言い、産業構造審議会の基準認証小委員会では、経産省の説明は、業法による規制ではなく、準則的なルールを及ぼすイメージと説明しております。業法はないし、つくる気もなくて、JISに肩がわりさせると。政府挙げてシェアリングエコノミーを推進しながら、サービスを利用するなら自己責任というものではないかと言わなければなりません。
 世耕大臣に伺います。
 シェアリングエコノミーサービスのJIS化というのは、業法も利用者保護のルールもない自己責任のサービスに国がお墨つきを与えることになる。JISがついているから安心という、これまでの国民からの信頼を揺るがして、JISマークの価値を曖昧にすることになるのではないか。この点はいかがでしょうか。
#155
○世耕国務大臣 今も、工業製品でJISマークがついていて、その製品に関して業法がないというのは幾らだってあるというふうに思います。
 JISはあくまでも品質を保証するものでありまして、一方で、当然、そのサービスが国民の生命、安全にかかわる問題であれば、これは業法によってしっかり規制が行われるということになるんだろうと思います。
 シェアリングエコノミーに関するJISが今後制定される場合には、さまざまな対象や観点が考えられて、それ次第で関係する大臣が異なってくるというふうに思っています。
 JISは主務大臣が制定する国家規格でありますが、それ自体は規制ではなくて、あくまでも任意の制度でありまして、技術の進歩や業態の発展に迅速かつ柔軟に対応した規格をつくることで、新たな製品やサービスの市場の健全な発展に寄与できるのではないかと考えています。
 ライドシェアを含めて、今後、シェアリングエコノミーについて、JIS提案があった際には、責任大臣が誰になるのか、これはしっかり関係大臣で協力をして、新たな業態の発展に貢献できるJISを制定できるよう、JIS制度そのものを所管する経産省として必要な調整を行ってまいりたいと思います。
#156
○笠井委員 JISに対する国民の信頼を損なうことになりかねない事態が生まれる。
 今や、やらなきゃいけないというのは、ものづくり大企業で相次いだ品質データの不正問題で傷ついたJISの信頼を回復して、日本経済を支えるものづくりを立て直すことだと思うんです。
 この点で、ぜひ一点、確認して大臣にただしたいんですが、きょうの報道でも、昨日の三菱マテリアルの発表のことが出ておりました。五月十日に新たに複数グループ会社の改ざん公表ということで、そういう点では、既に三月に問題の最終報告書をまとめて、社長らの役員報酬の返上などの処分をしていたんだけれども、全調査を終えていなく、要するに、結論を出していたのにまたこういうことが出てきたということであります。
 神戸製鋼しかり、東レを始めとして、世界に名立たる大企業の一連のデータ改ざんなどによって、日本の国際競争力の強化どころか、世界から、ものづくりの日本への信頼を根本から失う事態が相次いでいる。大臣にはそういう危機意識というのは一方でありますか。
#157
○世耕国務大臣 昨年十月以降相次ぎました製造業による製品検査データ書きかえなどの不正事案は、これはあくまでも各社の企業経営の問題だというふうに思っておりまして、日本のものづくり全体に対する信頼が揺らいだとは認識はしておりません。
 不正事案を起こした企業には、安全性の検証を速やかに進めるとともに、再発防止策を迅速、確実に実施をして、顧客のみならず、社会全体の信頼回復に全力で取り組むことを求めているところであります。
 一方で、サプライチェーンという形でいろいろな企業が今つながっているわけでありますから、そういったことを考えますと、一連の不正事案は、日本の製造業全体の競争力に悪影響を及ぼしかねないというふうに思っています。
 今、経産省として取り組んでおりますのは、まず、品質データをサプライチェーン全体で共有する、これはまさにコネクテッド・インダストリーズの観点からもこういった考え方があるわけですが、そういった取組を推進すること、あるいは、今回、データ書きかえの不正事案は子会社などで起こっておりますので、しっかりとしたグループガバナンスを徹底していくということ、そしてまた、JIS規格の対象の中にいわゆる経営管理などを追加していく、法人の罰則強化などを盛り込んだ御審議をいただいているJIS法の改正などを柱とした製造業の品質保証体制の強化に向けた対応策を公表しているところであります。
 品質保証体制の強化に当たっては、今回問題を起こした企業の報告書を読んでも、あるいは問題を起こしていない企業の取組を見ても、やはり、経営トップがどれだけ現場としっかりコミュニケーションできているかということが非常に重要だというふうに私は感じております。
 経産省としても、引き続き、経営トップに、品質管理にしっかり責任を持って、現場にしっかりと足を運んで、現場の動きをちゃんと把握するように粘り強く働きかけてまいりたいと思います。
#158
○笠井委員 やはり、大臣、基本的には個社任せということになっていると思うので、それでは真相究明も再発防止もないと思うんです。
 神戸製鋼は、三月に調査報告書は公表しましたけれども、外部調査委員会の調査結果をまとめ直したものでありまして、海外の訴訟で不利になる可能性があるということで、外部調査委員会の調査結果は公表していません。そして、第三者委員会報告書格付け委員会というのがありますが、神戸製鋼が結局そういう報告書を非公表とした対応については、九人の委員のうち三人が最低のD、Fという評価を下しているという問題で、厳しく批判しているわけですね。
 まさにそういう点では、ここまで重なっている、大臣も言われたように、国際的な信頼を失う事態ということになれば、監督官庁である経産省や政治がこの問題に正面から向き合わなきゃだめだ。産業界全体を視野に入れて調査をして、企業にきちんと社会的責任を果たさせるということで、もっとイニシアチブを正面から、大臣が先頭になって果たすことを強く求めて、きょうの質問を終わります。
#159
○稲津委員長 次に、谷畑孝君。
#160
○谷畑委員 世耕大臣、お疲れさまです。御苦労さま。
 第四次産業革命のもと、大量の情報が収集、加工され、やりとりされる中で、社会の至るところに存在する多様なデータをつなげることによって革新的な事業を生み出すというビジネスモデルの構築が期待されています。しかし、こうしたデータは、流通基盤が十分確立されていないことや、不正利用された場合、あるいは知らずに不正利用していた場合の対応に関して懸念や不安があることなどから、現状では十分に活用されているとは言えない状況にあります。
 そこで、大臣にお伺いします。
 近年、第四次産業革命のもとで大量の情報がやりとりされ、ビジネスモデルも急速に変化していく中、本改正案の背景にある知的財産制度の現状及び課題について、大臣の見解をお伺いいたします。
#161
○世耕国務大臣 第四次産業革命のもと、企業の競争力の源泉がいわゆるデータですとかあるいはそれを活用したサービス、ビジネスに移り変わっていっている中で、新たな付加価値を創出するビッグデータなどのデータの利活用を促進するための環境整備が非常に重要だというふうに思っています。
 このデータというものは、簡単にコピーとかあるいは送信、ある意味ばらまくことも簡単でありまして、一旦これを不正にとられてしまうと、その後の不正な流通がなかなかとめにくくなるわけでありまして、非常に被害が甚大になってしまうおそれがあるわけであります。
 具体的には、例えば自動走行用の地図データですとか、あるいは化学素材のデータなどの提供事業者からは、やはりデータの不正流通に対する差止めなどの対抗手段がないと安心して自分のデータを誰かに提供するということができないという懸念も表明されているところであります。
 現行法を見ますと、しかし、今の不正競争法に規定をされている営業秘密というのは、例えば設計図ですとかあるいは顧客名簿といった、いわゆる秘密として管理をされている情報ということになってしまいますので、例えば製造ラインから出てきたような生データみたいなものはこの営業秘密でなかなかカバーできないということになってくるわけであります。一定の条件のもとで外部の者に提供されるデータは十分に保護されないという状況になっているわけであります。
 こういったことに対応するために、ビッグデータなどのデータを安心して利活用できる事業環境を整備するため、これは産構審の不正競争防止小委員会において御議論をいただきまして、経産省として、不正競争防止法の改正案を提出して、このたび新たに、データの不正な取得や使用など不正な行為に対する差止めなどの民事措置を設けることにしたところでございます。
#162
○谷畑委員 データの利活用を促進することを通じて、現場力を有する中小企業が新たなビジネスチャンスを獲得する可能性を広げることは、中小企業が直面する人手不足、生産性の向上、事業の承継等の課題に対応するためにも非常に重要であります。
 しかし、中小企業の中には、第四次産業革命における懸念として、稼働状況データ等を他社と共有することによって、ノウハウ等の重要な情報が流出する可能性があるのではないか、また、データの利活用に関して企業間で同意するに当たっても、中小企業という立場からの弱さから、取引先企業に不利な契約を押しつけられるのではないかという不安の声があるわけであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 第四次産業革命の進展のもと、中小企業におけるデータの利活用を促進し、中小企業の事業活動を一層活発化させるという観点から、本改正案をどのように役立てていくのか、政府の説明を求めます。
#163
○糟谷政府参考人 データやそれを活用したビジネスモデルが競争力の源泉となっていく中で、中小企業も含めて、データを有効に活用してイノベーションを生み出すということが期待をされているわけでございます。
 他方で、中小企業からは、持っているデータを活用したいけれども自分単独では難しい、他社の力をかりて活用したいけれども渡したデータが悪用されないか心配である、そういう声が聞こえてきております。今回の不正競争防止法の改正は、データが不正に取得、使用された場合、差止めができるようにすることで、こうした中小企業も、これまでよりも安心してデータの取引を行える環境を整備しようとするものであります。
 ただ、改正をしましても、実際にうまく活用いただけないと意味がございませんので、中小企業を含めた企業に、この新たな制度を有効に活用いただけるように、改正法を成立させていただきました暁には、成立するまでの間に、わかりやすい実践的なガイドラインを策定、公表する予定でございます。
 また、独立行政法人の工業所有権情報・研修館や関係団体との連携のもとで、実務者を対象とした全国各地での説明会を開催いたしましたり、相談体制を整備することなどによって、きめ細かい周知広報活動を展開し、制度全体、役立つように、理解を促してまいりたいと考えております。
#164
○谷畑委員 もうちょっと大きな声で、しっかりと答弁してよ。
 中小企業の中には、こうしたデータや、これを活用して新たなサービスを生み出すなど、新ビジネスを始めることに意欲的な企業も数多くあると考えます。
 しかし、一方で、とりわけ小規模なベンチャー企業等では、こうしたデータを利用するための設備を導入するコストが賄えなかったり、既存の設備を拡張するだけでは余り効果が高くないことから、実際の事業展開まで結びつかないという課題もあるわけであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 本改正によりデータを利用する環境が整うことは歓迎すべきことでありますが、こうしたデータが広く中小、とりわけ小規模企業においても積極的に活用されるよう、資金、ノウハウ、人材等、多様な支援策が必要と考えます。政府の見解を求めます。
#165
○高島政府参考人 お答えいたします。
 中小企業、小規模事業者の生産性向上の実現に向けては、IT利活用の推進に係る支援は必要不可欠だと思っております。データ利活用の環境が整えば、こうした支援の重要性はより増してくるものと認識をいたしております。
 このため、まず、データの利活用に関しましては、平成二十九年度補正予算で、ものづくり補助金という補助金を一千億円に拡充をいたしまして、その中で、複数の中小企業がデータ、情報を共有して生産性向上を目指す、そういった取組を支援するために、新たに企業間データ活用型という補助の類型を創設しまして、これで支援をいたしたいと考えております。
 それからまた、IT導入の支援ということにつきましては、同じく補正予算におきまして、中小サービス業などのIT化を進めるための補助金を五百億円確保いたしまして、約十三万社を支援したいと考えております。
 その際に、ITツールの効果やITベンダーによるサポートの実績に係る情報を収集して、そういった情報を中小企業、小規模事業者の皆様に公表いたしまして、効果の高いITツールの導入を促進してまいりたいと考えております。
 またさらに、IT導入支援、IT化や業務プロセス改善の成功事例の共有を進めるために、中小サービス等生産性戦略プラットフォームというものを地域の支援機関などと連携をして発足をさせたところでございます。全国でこのプラットホームを活用して、ノウハウや成功事例を強力に横展開をいたしまして、今後三年間で、中小サービス等事業の生産性向上を百万社の規模で推進をしてまいりたいと考えております。
 その他、無料の相談でありますとか専門家派遣といったような制度も通じまして、相談対応といったことも行ってまいりまして、ITの利活用に関する資金、ノウハウなど、多様な支援策を用意いたしまして、中小企業者、小規模事業者のデータ利活用を支援してまいりたい、このように考えているところでございます。
#166
○谷畑委員 次に、特許法についてお伺いをいたします。
 中小企業に対する特許料の軽減措置については、現行制度でも一部の中小企業に対して行われておりますが、軽減申請を行う中小企業の割合はおよそ三分の一にとどまっている状況です。このように利用が少ない原因としては、これまで軽減対象となる企業が限定されてきたこともありますが、制度が複雑で手続も煩雑であること、軽減制度について十分に認知されていないことが挙げられております。
 そこで、お伺いをいたします。
 本改正により、全ての中小企業が軽減制度の対象となることは、手続の簡素化により中小企業から申請が行いやすくなることに加え、軽減制度に関する認知不足についても解消につながるものと期待されているところであります。
 政府として、この制度が真に効果を発揮するよう、中小企業に対してどのように周知徹底を図っていくのか、具体的な方針をお伺いいたします。
#167
○宗像政府参考人 お答えいたします。
 この制度を中小企業の方々に実際に御活用いただけるように、制度の使い方やメリットを簡潔に御紹介するパンフレットをつくりまして、ホームページに掲載するとともに、全国の四十七都道府県に設置しております知財総合支援窓口等を通じて周知を行う予定でございます。
 また、中小企業の方々はお忙しいですので、代理人である弁理士とか、よろず支援拠点などの中小企業支援機関、それから、日ごろから接点の多い中小企業の経営指導員、商工会、商工会議所の経営指導員や地域金融機関の方々などにも御協力いただきたいと考えております。
 身近なところにとにかく情報を流して、いろいろな機会に気づいていただけるように、あらゆるネットワークを活用して周知してまいりたいと思います。
#168
○谷畑委員 あと一問で、時間が来たところで終わりたいと思います。
 今回、国際出願についても料金が下げられることとなっておるわけでありますけれども、今後、中小企業に対して、知財戦略や海外進出する際の特許出願の重要性についても一層の周知徹底を図るとともに、さらなる支援を講ずる必要があると考えます。政府の見解をお聞きいたします。
#169
○宗像政府参考人 海外展開を目指す中小企業の方々を御支援するために、情報収集から侵害対策まで、いろいろな段階で御支援をしております。
 まず、情報収集につきましては、先ほど申し上げた知財総合支援窓口におきまして、弁理士、弁護士等の専門家が、進出する際の知財のリスクあるいは外国の出願の手続などについて情報を提供したりアドバイスを行ったりしております。
 外国出願の際には、翻訳であるとかあるいは海外の弁理士等の代理人にかかる費用の半分を補助しております。
 海外で知財を侵害されてしまった場合の対策としましては、模倣品が出回ってしまった場合に、警告状を送るための調査費用、あるいは悪意の第三者が自社ブランドを、こちらのブランドを先取りしてしまった場合に、それを取り消すための審判請求の費用など、一部補助しております。
 このほかにもいろいろ支援策がございまして、これらもパンフレットにまとめ、ウエブサイトに載せるとともに、中小企業にとって身近な方々に周知をすることによって、わかりやすく伝わるようにしてまいりたいと思っております。
#170
○谷畑委員 ちょっと時間が中途半端になりましたので、一応これで終わりたいと思います。
 ありがとうございます。
#171
○稲津委員長 次に、菊田真紀子君。
#172
○菊田委員 菊田真紀子です。
 質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。
 不正競争防止法は、平成に入ってから十五回の改正が行われてまいりました。今回の改正によりまして十六回目となります。ほぼ二年に一回の改正が行われているということでありますが、かなり頻度の高いペースではないかと思います。なぜこう頻繁に改正が行われているんでしょうか。法律を提出する責任者であります世耕経産大臣にまず伺いたいと思います。
#173
○世耕国務大臣 不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保するために、不正競争となる行為と、必要な民事措置と刑事罰を規定しているわけであります。その際、事業者の予見可能性を確保するという観点から、不正競争となる行為を類型ごとに分けて規定をしております。
 そのために、事業環境の変化や技術の進展などに伴って新たに生じる不正競争行為に迅速に対応するために、その都度、保護の対象や違反となる侵害行為を拡大するなど、機動的に法改正を行う必要があるわけであります。
 これまで、昭和九年の制定以降、二十四回の改正を行ってまいりましたが、基本的には社会経済情勢の変化や新たな国際約束に対応したものでありまして、国会においても、その必要性について御審議の上、法改正を行ってきたものであります。
 今回導入するデータの保護制度も、やはり第四次産業革命の急速な展開といったことを背景に、新たに生じる不正競争行為を規定するものであります。今後も、経済社会情勢の変化に応じて事業者のニーズに対応して、適時適正に必要な法改正を提起してまいりたいと思います。
#174
○菊田委員 時代に即して適宜対応することはもちろん重要でありますけれども、どうも直面する事態への対応が後追いになっているのではないか。しかも、法改正をしても、十分な手当てができたとは言えない状況なのではないかということを指摘させていただきたいと思います。
 特許法の改正について伺います。
 中小企業の特許料を半減するかわりに、特許特別会計を収支相償とするため、全ユーザーを対象に減収見込み額見合いの料金引上げを予定することとされていますが、料金をどの程度引き上げる予定で考えているのか、政府参考人、お答えください。
#175
○宗像政府参考人 お答えいたします。
 特許料金、過去十年間に約二五%引き下げてきておりまして、二年前には、標準的なケースでありますけれども、二万円程度引き下げております。二万円強引き下げております。今回の引上げ幅は、この直近の二万円強の引下げ幅を上回らないようにする方針でございます。
#176
○菊田委員 特許特別会計に現在剰余金が存在していると承知していますが、現在の特許特別会計にある剰余金の額と、なぜその額の剰余金が必要なのか、教えてください。
#177
○宗像政府参考人 剰余金の額につきましては、先生の配付資料にもありますけれども、千五百億円弱、これが平成三十年度予算における金額でございます。
 これは、これまで引き継いできたものなんですけれども、今、当面の、情報システムの開発と、それから、庁舎の改修を行っておりまして、今後五年程度は歳出が歳入を上回る構造になっております。
 そのため、具体的には、三十年度予算では歳出が歳入を約三百億円程度上回っておりますので、この剰余金は急速に減少していく見込みでございます。
 したがって、値下げの原資に使えないという状況がございます。
#178
○菊田委員 特許庁情報システムの開発において、平成十六年に公表された計画が大幅におくれたためにプロジェクトを中断し、発注先の会社に支払っていた金額を回収したことがあったと承知しております。この件の経緯と、幾ら発注し、幾ら回収したのか、教えてください。
#179
○宗像政府参考人 お答えします。
 平成十六年に策定いたしました特許庁業務・システム最適化計画につきましては、これは、平成二年に世界で初めてペーパーレス化に成功した後、順次業務ごとにシステム化をしてきたために、非常に複雑なシステムになってしまったものを一本化するという非常に野心的なプロジェクトとして始められたものでございました。平成十八年に開始をしたんですけれども、非常に難易度が高かったために、開発の見通しが立たなくなりました。
 外部の有識者から成る委員会が、問題点として、事業者の技術力、プロジェクト管理能力が足りなかった、それから、調達手続がこれらの能力を十分確認するものでなかった、それから、大規模なシステムを一括更新するというのはやはり技術的に難し過ぎたということを指摘しました。これを受けて、平成二十四年一月に中断されたところでございます。
 このシステム開発は、設計開発の九十九億強と、プロジェクト管理支援の三十四億強、合計百三十三・六億円の契約を結びまして、中断に至るまでに五十四・五億円を事業者に支払いまして、契約が解除されましたので、利子も含めて五十六・二億円の返還を受けたところでございます。
 この非常に大きな失敗がございましたので、調達の技術点の重みを価格点の三倍にするであるとか、開発を業務単位ごとに分けて個々の開発規模を小さくするとか、あるいは外部の専門家をCIO補佐官として多数登用する、あるいは業務を網羅的に文書化するなど、一連の改革を経まして、平成二十五年三月に新しい開発計画を策定いたしまして、現在はこの計画に沿って順調に開発を進めております。
#180
○菊田委員 平成十八年の落札では九十九億円の予定だったシステム開発のために、果たして一千億円を超える剰余金が必要なのでしょうか。特許庁の庁舎建てかえも賄うということは伺っていますが、それにしても、一千億円以上必要になるんでしょうか。
 今回、ユーザーに特許料の引上げをお願いする前に、剰余金の取崩しも考えるべきではないでしょうか。特許料の引上げと特別会計の剰余金についてどう考えるか、大臣にお答えいただきたいと思います。
#181
○世耕国務大臣 システム最適化計画ですとか、あるいは庁舎のアスベスト、老朽化対策でお金がかかるというのは、先ほど宗像長官の説明のとおりであります。
 今、平成三十年度予算は歳出が歳入を約三百億円上回る状況になっておりまして、今後、やはり特許特会の剰余金は急速に減少していくというふうに見込んでいるわけであります。
 しかも、今回改正する中小企業の特許料等の一律半減というのは、これは恒久的な措置でありますことから、特許会計を安定的に運営していくためには、特許料金の値上げを行う必要があるというふうに考えております。
 ただし、二年前には平均約二万円値上げをしておりますので、値上げ幅はこれを上回らないようにすることで、負担感が大きくならないように配慮したいと考えております。
#182
○宗像政府参考人 恐れ入りますが、二年前は二万円の値下げをしております。済みません。
 それで、九十九億円とおっしゃったんですけれども、九十九億円は平成十六年のプロジェクトの一部でございまして、プロジェクトの管理支援を含めまして百三十三億円強になっております。かつ、そのプロジェクトは設計だけを対象にしておりまして、開発と保守を含まないものでありますので、今回のプロジェクトの方が規模が大きいということでございます。
#183
○菊田委員 ありがとうございます。もうちょっとマイクの前でしゃべってください。
 今回の法改正で、全ての中小企業に対して特許料等が一律半減されるということでありますが、ここで言う中小企業の定義とは何か、また、中小企業の定義に該当すれば、大企業の子会社であっても対象とされるのか、教えてください。
#184
○宗像政府参考人 中小企業の定義でございますけれども、まずは、中小企業基本法で定義されております中小企業者でございまして、従業員数又は資本金、出資額の業種ごとの要件を満たす個人や会社を想定しております。
 これに加えまして、これまで個別法で軽減対象としてきた事業協同組合や特定非営利活動法人なども対象とする方針でございます。具体的な要件は政令等で定めます。
 大企業の子会社につきましては、親会社による資金的支援が見込まれることなどから、原則、軽減対象から除きます。ただし、研究開発型の中小企業とか福島に進出する企業など、これまでの軽減対象で大企業の子会社も含めていたものについては、引き続き含めるということでございます。
#185
○菊田委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
#186
○稲津委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#187
○稲津委員長 これより討論に入ります。
 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮君。
#188
○笠井委員 私は、日本共産党を代表して、不正競争防止法等改正案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、脆弱な個人情報保護制度のもと、内外資本の新ビジネス最優先でデータ利活用を推し進めることが、プライバシーなどの人権侵害をもたらしかねないからです。
 本法案は、生産性向上特措法案と一体的に、データ流通環境を整備するものです。この間、行政機関が保有する官民データのオープンデータ化、匿名加工情報や非識別加工情報の創設など、個人にかかわるデータも含めたビッグデータの利活用が促進されてきました。
 その一方で、個人情報保護ルールはおくれたままです。個人の尊厳の観点から個人情報の自己コントロール権を保障したEUと比べても、極めて脆弱です。たとえ匿名、非識別加工を施したとしても、データ量がふえれば個人の特定に至る、その危険を一層深刻にするものです。
 第二は、迅速化ありきでJIS制定を民間任せにすることが、国民生活や産業活動の基盤となる公的規格への信頼を後退させかねないからです。
 これまでJISを審議してきた日本工業標準調査会では、制定過程の議事録や資料の公開により、専門性とともに客観性や透明性を確保してきました。ところが、民間認定機関の情報公開はパブリックコメントの募集にとどまります。これでは、JISへの信頼性を損なうのみならず、品質管理能力の向上や事業機会の確保にJISを役立ててきた中小企業にも悪影響を及ぼしかねません。
 今やるべきは、神戸製鋼所や三菱マテリアルなど大企業で相次いだ品質不正事件の実態解明と信頼回復です。本法案は、この方向にも逆行するものです。
 第三は、JISにサービス分野の準則的な役割を担わせることで、業法による安全性や信頼性が担保されないシェアリングエコノミーの促進を狙っているからです。
 経産省はこれまで、道路運送法が禁止する白タクを相乗りマッチングサービスとして容認するなど、規制緩和の仕組みを利用してシェアリングエコノミーを拡大してきました。JIS化で一見国のお墨つきを得たように見えても、トラブルの際は利用者の自己責任が原則で、業法のような規制の役割は果たせません。
 七十年かけて培ってきたJISの信頼の土台を崩すことになりかねない、このことを厳しく指摘し、反対討論とします。
#189
○稲津委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#190
○稲津委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、不正競争防止法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#191
○稲津委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#192
○稲津委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、城内実君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠君。
#193
○山崎委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び最高裁判所は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 政府は、この法律の施行後三年を目途として、データの適正な流通及び利活用を促進する観点から、データに関連するビジネスの展開、技術革新、経済社会の情勢の変化等を踏まえ、この法律による改正後の不正競争防止法の規定の実施状況を勘案し、当該規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じること。
 二 政府は、データ取引の安全を図り、データ取引の萎縮を避けるため、ガイドラインにおいて、限定提供データに係る不正競争行為の明確化を図ること。特に、保護されるデータの客体、図利加害目的、限定提供データの管理に係る任務、取引によって取得した権原の範囲等の要件の該当性や、正当な目的での使用で不正競争に該当しない場合等について、考え方や具体例を分かり易く明示すること。また、運用状況を見つつ、適時適切にガイドラインの見直しを行うこと。
 三 政府は、外国企業が我が国における企業活動を控えたり国内企業とのデータ取引を躊躇したりすることがないよう、諸外国におけるデータ保護制度との整合性の確保に努めること。また、外国企業が行った不正競争行為による国内企業の損害を防止するため、諸外国との連携を通じた国際的なデータ流通環境の整備に努めること。
 四 政府は、「限定提供データ」を取扱う事業者において、「限定提供データ」が適切に管理、保護及び利活用される環境を構築するため、事業者が、従業員に対してデータの適切な取り扱いに関する教育・啓発活動を適切に行えるよう支援を行うこと。
 五 政府は、本法に基づく不正競争防止に関する新たな制度及びガイドラインについて、施行まで十分な期間を確保し、広く国民や中小企業を含む産業界に対して、その内容の丁寧な周知に努めること。
 六 政府は、今般日本産業規格の対象となるサービス分野を始め、今後新たな分野等の標準化に適切に対応するため、省庁の枠を超えた連携体制を構築するとともに、国際標準化を推進するため、専門人材の確保と育成を図ること。また、国際標準を通じた市場優位性の確保のため、官民が一体となった標準化戦略の立案及び実行に努めること。
 七 政府は、「認定産業標準作成機関」に求める基準を明確に定めるとともに、事前の十分な情報提供に努め、認定された機関が標準化作業を円滑に進めるために必要な支援を提供するよう努めること。
 八 政府は、中小企業者に対する特許料等の軽減措置の拡充及びその手続の簡素化については、制度が確実に利用されるよう、中小企業者に対して制度の周知徹底を図ること。一方、負担が増加する者に対しては、全体としての知財活動を縮小あるいは停滞させないよう、十分留意すること。
 九 最高裁判所は、専門委員の任命に当たっては、その適格性及び公平性を確保するとともに、中立の立場であるとの理解を得られるよう努めること。また、人員不足とならないよう専門委員の確保に努めること。
 十 政府は、本法施行による弁理士の業務範囲拡大に当たっては、新たに対象となる標準化関連業務やデータ関連業務等の知見を有する人材の確保・育成のため、適切な支援を行うよう努めること。また、弁理士が該当業務を行うに当たっては、適正な報酬の獲得とユーザー側の安心感につながるよう適切な報酬体系となるよう促すこと。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#194
○稲津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#195
○稲津委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕経済産業大臣。
#196
○世耕国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
#197
○稲津委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#198
○稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#199
○稲津委員長 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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