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2018/02/13 第196回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第196回国会 本会議 第5号
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2018/02/13 第196回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第196回国会 本会議 第5号

#1
第196回国会 本会議 第5号
平成三十年二月十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成三十年二月十三日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 検査官任命につき同意を求めるの件
 総合科学技術・イノベーション会議議員任命につき同意を求めるの件
 公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 調達価格等算定委員会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国際観光旅客税法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 検査官任命につき同意を求めるの件
 総合科学技術・イノベーション会議議員任命につき同意を求めるの件
 公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 調達価格等算定委員会委員任命につき同意を求めるの件
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(大島理森君) お諮りいたします。
 内閣から、
 検査官
 総合科学技術・イノベーション会議議員
 公正取引委員会委員長
 国家公安委員会委員
 電波監理審議会委員
 日本放送協会経営委員会委員
 中央更生保護審査会委員
 労働保険審査会委員
 中央社会保険医療協議会公益委員
 社会保険審査会委員
 調達価格等算定委員会委員
及び
 運輸審議会委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申出があります。
 内閣からの申出中、
 まず、
 検査官に森田祐司君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#4
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
 次に、
 総合科学技術・イノベーション会議議員に小林喜光君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#5
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
 次に、
 総合科学技術・イノベーション会議議員に松尾清一君、梶原ゆみ子君及び橋本和仁君を、
 運輸審議会委員に山田攝子君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 公正取引委員会委員長に杉本和行君を、
 日本放送協会経営委員会委員に森下俊三君を、
 社会保険審査会委員に後藤昭夫君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 国家公安委員会委員に小田尚君を、
 日本放送協会経営委員会委員に槍田松瑩君及び村田晃嗣君を、
 調達価格等算定委員会委員に山内弘隆君及び山地憲治君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 電波監理審議会委員に吉田進君及び長田三紀君を、
 日本放送協会経営委員会委員に葛西雅子君及び佐藤友美子君を、
 中央更生保護審査会委員に岳野尚代君を、
 労働保険審査会委員に井上繁規君及び東郷眞子君を、
 中央社会保険医療協議会公益委員に田辺国昭君及び岡村由美君を、
 社会保険審査会委員に中森正二君を、
 調達価格等算定委員会委員に松村敏弘君、高村ゆかり君及び大石美奈子君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 中央更生保護審査会委員に加藤朋寛君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国際観光旅客税法案(内閣提出)の趣旨説明
#11
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案及び国際観光旅客税法案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣麻生太郎君。
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
#12
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び国際観光旅客税法案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明をさせていただきます。
 本法律案は、働き方の多様化等への対応、デフレ脱却と経済再生の実現などの観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、働き方の多様化等を踏まえ、給与所得控除及び公的年金等控除から基礎控除への振替並びに給与所得控除、公的年金等控除及び基礎控除の適正化を行うことといたしております。
 第二に、デフレ脱却と経済再生に向け、所得拡大促進税制の改組、情報連携投資等の促進に係る税制の創設、事業承継税制の拡充等を行うことといたしております。
 このほか、外国法人等に係る恒久的施設の範囲の見直し、法人税の申告等の電子情報処理組織による申告義務の創設、たばこ税の税率引上げ等の見直し等を行うとともに、特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。
 次に、国際観光旅客税法案について御説明を申し上げます。
 本法律案は、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充及び強化の要請に鑑み、国際観光旅客税を創設するものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、国際観光旅客税の納税義務者は、国際観光旅客等といたしております。
 第二に、課税の対象は、国際観光旅客等の国際船舶等による本邦からの出国といたしております。
 第三に、税率は、本邦からの出国一回につき、千円といたしております。
 その他、納税義務の適正な履行を確保するため必要な規定を設けることといたしております。
 以上、所得税法等の一部を改正する法律案及び国際観光旅客税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国際観光旅客税法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#13
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。生方幸夫君。
    〔生方幸夫君登壇〕
#14
○生方幸夫君 立憲民主党の生方幸夫です。
 立憲民主党を代表して、所得税法等の改正案並びに国際観光旅客税法案について質問いたします。(拍手)
 冒頭、大雪の被害に遭われている北日本、北陸の皆様にお見舞いを申し上げます。まだ大雪のおそれがあるようでございますので、政府として万全の体制をとるようにお願いをいたします。
 さて、今週の金曜日、十六日から確定申告が始まります。税務署の職員にとっては最も忙しい季節が始まるわけですが、ことしは、いつにも増して忙しいことが予想されます。なぜなら、ことしは申告の質問に加えて、自分たちの上司である佐川さんについても質問に答えなければいけないからです。自分たちの上司についての質問にも答えなければいけないからです。
 国税庁のトップは、前理財局長、佐川宣寿氏です。佐川氏は、国税庁長官に就任して以来、恒例となっております記者会見を一度も開いておりません。国会では、我々の質問に対して、書類は廃棄をした、面会記録はないを繰り返していた方が、今度は一転して、記者の質問には一切答えておりません。
 麻生財務大臣は、国税庁所管以外に関心が高まっていたから実施しなかったと、森友問題の追及を避けるために佐川長官が記者会見を開かなかったことを擁護するような答弁もしております。とんでもない話です。
 国税庁長官は徴税のトップです。その人に国会でうそをついたのではないかという疑惑がかけられていたのでは、部下がしっかり仕事ができるはずはありません。
 国有財産は財務省の財産ではありません。言うまでもなく国民の財産です。所管する財務省としては、財政が逼迫している折、少しでも高く売るというのが基本的な立場です。
 しかるに、森友学園への国有地の売却の過程を見ますと、高く売るどころか、買い主の要求に応じて価格を決めるという極めて不明確なことが行われていたことが明らかになりました。
 これまで国有財産の売却で一度もしたことがない定期借地権を与えるとか、随意契約で延納特約をつけたとか、売却額を非公開にしたとか、例外措置がずらっと並んでいます。その結果、最終的に、九億五千万円の価値がある土地を一億三千万円で売ってしまった。国民の側からすれば、八億円を超える損をしたことになります。
 会計検査院の調査でも、値引きについて、十分な確認ができていないという報告が出ています。書類を廃棄したと言っておきながら、九日にも、会計検査院に提出していなかった新たな書類が二十件も出てまいりました。このままいけば、更に隠されていた書類が出てくる可能性が高い。これでは財務省の言うことを誰も信用しなくなってしまいます。
 一般の法人は、確定申告の後、取引記録などの帳簿を七年間保存することが義務づけられております。確定申告で書類を求められた法人が、書類は軽微なものだったので廃棄しましたと言ったら、職員は一体どう答えるのでしょうか。
 佐川氏の証人喚問がなければ、国にとって大事な徴税義務に支障が出ます。麻生財務大臣、佐川氏にきちっと国会で説明するように要請をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 それができなければ、佐川氏には国税庁長官をやめてもらうしかありません。総理は適材適所だと言っておりますが、我々から見れば、不適材不適所以外の何物でもありません。総理、証人喚問に応じない場合には更迭をするべきだという私たちの要求について、お考えをお聞かせください。
 これに関連して、安倍昭恵さんについても触れないわけにはいきません。国有財産が不当な安値で売られた裏には、昭恵さんが森友学園の名誉校長だったということを抜きにしては考えられません。昭恵さんは、自分も真実を知りたいなどと他人事のように述べておりますが、真実を知りたいのは国民の方です。
 もう一方の当事者である籠池夫妻は、証人喚問をされ、詐欺容疑でもう半年以上も収監されたままです。真実を明らかにするためには、籠池氏にも再度国会に来ていただき、うそが言えない証人喚問の場で真実を国民の前に明らかにする必要があると考えますが、総理、いかがでしょうか。
 もう一つ、国民が納得していない事例があります。加計学園問題でございます。
 もう既に入試が始まっており、獣医学部が少ないということもあって、大変な倍率になっているようです。それはそれでいいのですが、加計学園に関する疑惑が晴れたわけではありません。肝心かなめの加計孝太郎理事長が一度も国民の前できちんと説明していないからです。
 ここでも例外措置を重ねて、友達のために国家戦略特区に今治市を指定し、獣医学部の新設を認めさせた疑念があります。問題なのは、行政が恣意的にゆがめられたおそれがあるということでございます。
 前川前文科事務次官は、あったことをなかったことにするわけにはいかないと発言をいたしました。総理の友人であることをそんたくして事が進められたことは疑いようがありません。
 行政府の長である総理大臣が、行政の公平、公正さに疑問符を、図ったとしたら、国民が誰も税金を払おうとはいたしません。真相解明のためには、加計学園理事長の証人喚問が欠かせないと思いますが、総理、友人として、加計氏に証人喚問に出るように説得をする気がありますか。御答弁ください。
 政党助成金も税金が使われております。その使途に疑問符がつけられれば、国民の納税意識に大きな影響を与えます。
 茂木財務担当大臣は、地元の有権者に線香や国会手帳を配ったそうです。茂木大臣は、政治活動の一環として政党支部の秘書が行ったと答えておりますが、これで納得する国民が一体何人いるでしょうか。
 過去にも、小野寺防衛大臣が有権者に線香を配ったという事例がありました。小野寺氏の場合は潔く議員辞職をいたしました。どうして茂木大臣は辞任をしないのか、総理、どう考えているのでしょうか。お答えください。
 ここから個別事項についてお尋ねをいたします。
 まず、給与所得控除についてですが、今回の改正では、控除額の上限について、年収が八百五十万円を超える会社員や公務員が対象となりました。しかし、なぜ八百五十万円を基準にしたのか、十分な説明がなされておりません。
 取りやすいところから取るということで八百五十万円が決まったという話もあります。根拠なく場当たり的に決めたと言われても仕方ありません。
 年収八百五十万円は、都市部では必ずしも高所得者とは言えません。中間層と言っても過言ではないのが実情です。消費が盛り上がらない景気環境の中で、消費性向の強い中間層を対象にした増税は、さらなる消費の落ち込みを招きかねません。どうして八百五十万円を基準にしたのか、消費への影響をどう考えているのか、財務大臣、お答えください。
 法人税制についてもお伺いいたします。
 大企業は高収益を上げているにもかかわらず、賃上げは十分に進んでおりません。一方、企業の内部留保は、二〇一六年度法人企業統計で四百六兆円超と、過去最高を更新いたしております。
 企業の行動を国が指図することはできませんが、税制改正を通じ、人への投資を促すことは可能です。今回の改正では、所得拡大促進税制を見直し、十分な賃上げも設備投資もしていなかった企業には税額控除の運用を停止することで、内部留保の活用を求めております。
 しかし、これまでの経験からして、本当に実効性があるのか、甚だ疑問です。所得拡大促進税制がどんな効果があったのか、また、さらなる賃上げを促すために、税率の引上げや租特の廃止を含む法人税制の抜本的な改正をするつもりがあるのかどうか、財務大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、金融所得税制について伺います。
 ここ数日、株価は乱高下していますが、年初から、株式市場はバブル以来の最高値を記録するなど、生活実感とかけ離れたところで盛り上がっています。
 しかし、来年度税制改正では、金融所得課税の引上げに向けた議論が十分に進むことなく、給与所得者を中心とした増税が議論されることになり、格差の固定化が一層進むのではないかという懸念があります。
 高所得者の所得源の多くは給与所得よりも金融所得であるという調査もあり、このままの状況が続けば、高所得者ほど所得税負担が小さくなるという逆転現象を生んでしまいます。さまざまな商品が乱立する金融市場の実態を鑑み、金融所得課税引上げが必要と考えますが、財務大臣はどうお考えでしょうか。
 また、最近、不正流出などの問題が発生している仮想通貨について伺います。
 十分な防御措置がとられないまま、仮想通貨が投資対象として活用されております。仮想通貨自体への規制のあり方、市場における健全性確保をどうするのかということについて、今後議論が必要です。税務当局として、課税対象の捕捉、課税のあり方など、どのように進めていく考えか、あわせて財務大臣にお伺いをいたします。
 国際観光旅客税について伺います。
 日本を訪れる外国人観光客が順調にふえていることは好ましいことです。しかし、観光客がふえたからといってすぐに税を課すというのは、やはり取りやすいところから取るという発想と言わざるを得ません。
 税額は、出国一回につき千円となっております。旅行者にとってそう負担になる額ではないと思いますが、これ以上ふやさないように要望をしておきます。
 この税の目的は、観光基盤の拡充強化を図るためとされております。そうであるならば、国税として国が全額を徴収するのではなく、空港や港が置かれている地方にも財源の一部を回す方が、より効果的と考えますが、財務大臣、いかがでございましょうか。
 今後の税制改革について伺います。
 さきの衆議院選挙で、総理は、社会保障と税の一体改革によって決定された消費税の引上げに伴う徴収増加分について、教育や子育て支援に転用するなど、使途を大きく変更いたしました。
 その結果、財政健全化目標も先送りになり、過日示された内閣府の中長期の経済財政に関する試算では、プライマリーバランス黒字化目標の達成は、当初の目標から二年おくれ、二〇二七年まで遠ざかることとなりました。何度も先送りしてきたこれまでの経過からいえば、この目標すら達成は難しいと言わざるを得ません。
 高齢化に伴い、今後も支出はふえ続けることが予想されます。それに引きかえ、税収が大幅にふえることは予想しづらい状況です。そうであれば、きちんとした将来像を示し、甘い見通しを繰り返すのではなく、真剣に、あるべき税負担について国民に示すことが責任ある政府の態度だと考えます。総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、日銀総裁の任期は四月に迫っております。
 この間、デフレ脱却のためと称して、日銀は大規模な金融緩和を実施し、マイナス金利まで導入いたしました。
 しかし、目標とした物価上昇二%は、ついに見果てぬ夢と終わってしまいそうです。EUや米国では既に金融緩和から脱出しつつあります。ところが、日本では依然として二%目標を掲げたままで、真っ当な出口論争が行われておりません。
 財政規律がないがしろにされたまま超金融緩和政策を続けていけば、いつか、円が急落するとか国債が暴落するとか、不測の事態が起こる危険があります。
 いわばアベノミクスの後始末と言える出口戦略を、総理はどう考えているのか、また、巷間言われておりますように黒田総裁を続投させるかどうかを総理にお尋ねして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、このたびの大雪によってお亡くなりになられた方々に対しまして、改めて哀悼の誠をささげ、被害に遭われた全ての方々に対しましてお見舞いを申し上げます。政府としては、今後も万全の対応を期してまいります。
 国税庁長官の人事についてお尋ねがありました。
 国税庁長官の人事については、一月二十四日の衆議院本会議を始め、これまで国会において所管の財務大臣から答弁したとおりです。
 なお、森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。
 政府から独立した機関である会計検査院が検査を行い、さきの国会において報告が提出をされました。その報告については真摯に受けとめる必要があると考えています。
 国有地は国民共有の財産であり、その売却に当たっては、国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。私としても、国有財産の売却について、業務のあり方を見直すことが必要と考えており、関係省庁において今後の対応についてしっかりと検討させているところです。
 また、国会における審議のあり方については、国会においてお決めいただくことだと認識しております。
 森友学園への国有地売却についてお尋ねがありました。
 私や妻がこの国有地払下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということはこれまでも申し上げてきたとおりであります。
 国会における審議のあり方については、国会においてお決めいただくことだと認識しております。
 国家戦略特区についてお尋ねがありました。
 今回の獣医学部新設の決定までのプロセスは、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれについても、民間有識者が主導する特区諮問会議やワーキンググループにおいて適正に行われてきました。実際、今回のプロセスについて、民間有識者も、一点の曇りもないと述べていられると承知しています。
 いずれにしても、昨年夏の閉会中審査において、担当大臣も前川前次官も、誰一人として、私から、国家戦略特区における獣医学部新設につき何らの指示も受けていないことが明らかになったところであり、そのことが最も重要なポイントであります。
 その上で、証人喚問など国会運営については、国会においてお決めいただくことと認識しております。
 茂木大臣の地元での活動についてお尋ねがありました。
 茂木大臣の地元での活動については、これまでに衆議院予算委員会の場で茂木大臣から説明があったとおりです。
 また、これまでの衆議院予算委員会の場で総務大臣から説明があったとおり、個別の事案についての公職選挙法の解釈については、個々に具体の事実に即して判断されるものであり、具体の事実関係を承知する立場にもないことから、私からお答えすることは差し控えさせていただきます。
 いずれにせよ、政治家の行動については、政府、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が、国民の信頼が得られるよう、みずから襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
 財政健全化と税負担についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもと、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋をつけてきました。国、地方を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。また、二〇一五年度プライマリーバランス赤字半減目標も達成しています。
 二〇一九年十月に予定されている消費税率引上げ分の使い道の見直しにより、プライマリーバランス黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となると判断しました。
 ただし、財政健全化の旗は決しておろしません。歳出歳入両面から改革を続け、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
 御指摘のように、今後、医療や介護などの社会保障費の増大に伴う財政上の課題が想定されます。プライマリーバランス黒字化目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までに、プライマリーバランス黒字化の達成時期と、裏づけとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定してまいります。
 なお、先日公表された中長期の経済財政に関する試算は、過去の実績や足元の経済状況を組み込んだ現実的な試算にすべきとの経済財政諮問会議の議論を踏まえて作成したものであり、甘い見通しとの御指摘は当たりません。
 金融政策の出口戦略及び日本銀行の総裁人事についてお尋ねがありました。
 金融緩和の出口戦略に具体的に言及することについて、黒田総裁は、市場の混乱を招くおそれが高いため、時期尚早であると述べているものと承知しています。
 出口戦略を含め、金融政策の具体的な手法については、日本銀行に委ねるべきであると考えております。政府としては、引き続き、日本銀行が、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、二%の物価安定目標の実現に向けて、大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。
 なお、財政運営については、先ほども申し上げたとおり、財政健全化を着実に進めてきており、財政規律がないがしろにされているとの御指摘は当たりません。
 また、今後の人事については全くの白紙です。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
#16
○国務大臣(麻生太郎君) 生方先生からは、税制などについて、五問お尋ねがあっております。
 初めに、国税庁長官の国会への出席についてのお尋ねがありました。
 佐川長官は、売却後、本件を所管する財務省が組織としてお答えすべき事柄について、現職の理財局長として答弁していたものであり、その内容につきましては、現在の理財局長から責任を持って答弁、説明させるべきが適当だと考えております。
 次に、給与所得控除の見直しについてのお尋ねがありました。
 給与所得控除が頭打ちとなります給与収入の水準につきましては、与党の税制調査会において、家計への影響や地方財政への影響等を総合的に勘案し、八百五十万円超とされたものであります。
 ただし、子育て世帯、また介護世帯に配慮することにより、約九六%の給与所得者は負担増とはならない見込みとなっております。
 また、限界消費性向につきましては、所得が高いほど低くなる傾向にあります。
 こうした点を踏まえれば、消費を含めた国民生活への影響は限定的であると考えております。
 次に、企業の賃金引上げを促すための税制についてのお尋ねがあっております。
 経済の好循環を達成する上で、賃金の引上げは重要な課題であります。このため、政労使会議などの取組のほか、所得拡大促進税制の創設、拡充といった対応を進めておりますのは御存じのとおりです。この税制も一つのきっかけとして、四年連続で二%程度の賃金引上げが実現したものだと考えております。
 さらに、平成三十年度の税制改正におきましては、賃金引上げや設備投資に積極的な企業の税負担を引き下げるとともに、収益が拡大しているにもかかわらず投資に消極的な企業には研究開発税制などの適用を停止することとし、過去最高の企業収益をしっかり循環させていく取組を進めることといたしております。
 まずは、今回の改正を契機として、企業の積極的な取組が進むことを期待いたしております。
 次に、金融所得課税、仮想通貨についてのお尋ねがありました。
 金融所得に対する課税のあり方につきましては、平成三十年度与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援することとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方も含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討するとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。
 また、仮想通貨に関する所得を含め、所得の捕捉や課税については、国税当局において、あらゆる機会を通じて資料情報の収集に努め、必要があれば調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めておりまして、今後もこうした努力を続けていくことが重要であろうと考えております。
 最後に、国際観光旅客税による財源を地方に譲与することについてのお尋ねがありました。
 御指摘のような仕組みとする場合、譲与基準としてはどのような客観的指標を用いればよいのかというような課題がある中で、各地方の空港や港湾において旅客がふえている現状を踏まえれば、スムーズな出入国手続を始め、快適に旅行ができる環境を整備することは国全体の喫緊の課題であることから、まずは国として対応することが適当であり、御指摘のような仕組みをとることは考えてはおりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(大島理森君) 古本伸一郎君。
    〔古本伸一郎君登壇〕
#18
○古本伸一郎君 希望の党の古本伸一郎でございます。
 希望の党・無所属クラブを代表し、消費税と財源確保を中心に質問してまいりたいと思います。(拍手)
 私からも、冒頭、豪雪災害で被災された皆様にお見舞い申し上げますと同時に、救助に当たられておられます警察、消防、自衛隊、関係機関に敬意を表する次第であります。国会としても、一刻も早い復興復旧に向けて努力してまいることをお誓い申し上げます。
 幼児教育の無償化など、人への投資は財源がなければ実現できません。
 二〇一四年十二月、当時の安倍総理は、翌十月に予定されていた消費税率一〇%への引上げの延期を問うと解散され、勝利されました。
 多くの有権者は、消費税の延期に魅力を感じて投票したわけではないと思います。税はそう簡単に決められるものではない、そう思うからであります。
 安倍総理は、二〇一六年の参議院選で二度目の延期を公約され、社会保障財源を赤字国債に頼る財政を続け、結果として更に悪化しました。
 麻生大臣に伺います。
 消費税率一〇%に引き上げなかったことによる、得られなかった税収は幾らでしょうか。また、これを穴埋めするために発行した国債は幾らで、償還に係る年間経費と、返済には何年を要し、将来世代へ総額幾らの負担増となるのか、お尋ねします。
 安倍総理に伺います。
 子育て世代を支援するための消費税としながら、先送りにより生じた新たな負担増を、その将来世代が返済しなければなりません。先送りは正しかったのか、御所見を求めます。
 昨年十月の総選挙では、消費税率一〇%の使い道として、幼児教育の無償化などに充てると公約され、再び勝利されました。投票率は五三%、有権者の半数近くは棄権した選挙でもありました。投票しても世の中は変わらない、野党に魅力がないとの理由から多くが棄権されたとするならば、責任を痛感いたします。
 二大政党の一翼を担える野党が定着しないのは、世の中をよくしてくれるならば何党でも構わない、そう思っておられるからではないでしょうか。政治が求められているのは、そのための仕組みの変革ではないかと思います。
 二〇一二年の社会保障と税の一体改革は、年金、老人医療、介護に加えて、子育ての分野にも初めて消費税を使うことを、当時の主要な三党で協議し、国会で決めた、歴史的な仕組みの変革でありました。社会保障を安定的に制度として継続させるためには、可能な限り、より多くの党派が参加し、財源確保と使い道について合意する意義は大きかったと思います。
 税率を何%にするかも大切ですが、どの分野に使わせていただくのか、このことこそ国民的な合意が必要です。納税者と使い道について信頼関係を築けたならば、消費税は日本の未来を支える確固たる礎になると確信いたします。
 抜本改革法では、消費税収の使い道は、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付、そして少子化に対処するための施策に要する経費に充てるとされました。
 総理にお尋ねいたします。
 三党協議では、大枠については合意に至りましたが、具体的な使い道は未定であったと理解しますが、正しいでしょうか。
 今回の、保育を含む幼児教育の無償化及び大学の無償化に消費税を二兆円近く使うことは、初めて使途を決めることになります。関係法令のどこを照らせば、消費税の使い道を政府・与党の差配で決められるのでしょうか。これだけ大きな使い道の決定は、野党各党とも事前に協議すべきではなかったか、伺います。
 昨年の選挙結果は、比例代表は、自公合わせ、有権者の二四%の得票でした。税率引上げで得られる財源の多くを幼児教育と大学の無償化に充てる公約が、納税者各層の御理解を得たと評価するのでしょうか。
 幼児教育及び大学の無償化は制度として確立するのか、歳出で対応するのか、伺います。
 社会保障制度改革推進法八条では、消費税の使い道として、待機児童に関する問題を解決するための即効性のある施策等の推進に使うとされました。
 加藤厚生労働大臣にお尋ねします。
 幼児教育の無償化が、どう待機児童対策につながるのでしょうか。待機児童問題の解決が消費税の使い道として適していると法律で明示した経緯を踏まえ、御説明を願います。
 幼児教育の無償化はありがたいと思います。でも、働く子育て世帯の本音は、朝晩の保育時間の延長や病児保育園の整備、土日も受け入れてくれる託児所、シッターサービスなど、質の向上こそが切実な願いではないでしょうか。こうした整備に限定すれば予算も絞れると思いますが、御試算があればお示し願います。
 子ども手当の反省から、第三子以降など、子供の多い御家庭に傾斜配分した方がより少子化対策につながると考えますが、御所見を求めます。
 総理に伺います。
 低所得世帯は、既に保育料の減免などが行われています。誰のための無償化なのか。国民全体が負担する消費税を充てる理屈は何か、伺います。
 納税者の声は、保育園、幼稚園、託児所を全て無償化するお金があるならば、親や配偶者、そしてみずからの介護の安心にも消費税を使ってほしい、そう思っておられるのではないでしょうか。超高齢社会の実態に対応した消費税の使い道を提案し、総理の御所見を求めます。
 地域によっては、待機児童よりも、特養に入所できないシニアの皆さんの不安がございます。
 一括交付金など、自治体に委ね、子育てか介護か選ぶことができたならば、より地域の実態に合った施策になると考えますが、いかがでしょうか。
 二〇一二年六月十五日の夜半に、当時の主要な三党で、社会保障と税の一体改革について合意しました。自民党が、亡くなられた町村信孝先生、公明党が斉藤税調会長、そして当時の民主党が藤井裕久先生でありました。未明の記者会見で町村先生が、税について与野党で合意した歴史的な一歩であると談話を出され、今でも忘れられません。
 総理、そのときの約束、税の使い道の大枠を三党で合意し、消費税率引上げに当たっては、残された課題の解決に互いに努力するというとうとい合意は今も生きているとの御認識か、伺います。
 残された課題の一つは、いわゆる逆進性の問題でした。
 低所得者に絞り税を戻す給付つき税額控除とするのか、ある品物について消費税率を軽減する軽減税率なのか、もめました。最後は両論を併記し、互いを尊重することが合意であり、法律事項でありました。
 そこで、麻生大臣に伺います。
 今回、サラリーマン増税となる所得増税で得られた財源を消費税の軽減税率に充てるのは事実でしょうか。負担者と受益者に著しく乖離のある制度となりますが、どう説明されるおつもりでしょうか。
 電磁的なカードを利用し、一定の低所得層に限定して税を戻すなど、折衷案が技術的に本当に不可能なんでしょうか。税は社会を変える力があります。一度導入すれば、なかなかもとには戻りません。両論併記を法律事項とした重みを踏まえ、御答弁を求めます。
 希望の党として、議場の皆様に、仕組みの改革について提案があります。
 一つが税の与野党協議です。
 税は民主主義の原点。党派を超え、公平、中立、簡素な税制を目指すため、納税者の皆さんに一人でも多く納得していただけるよう努力を重ねる必要があります。
 年度改正は、年末の限られた短期間で、十二月末に与党が税制改正大綱として取りまとめ、野党は国会が始まったこの時期に政府から説明があります。わずかな質疑を通じ、賛否などを決めるわけですが、急ごしらえは否めず、納税者の御期待にお応えしているのか悩みます。
 そこで、国会の中に、通年で議員間討議ができる、税に関する小委員会を設置してはどうでしょうか。政府全体を見ておられる菅官房長官の御所見を求めます。
 小委員会に出席する政府委員は、政治家は副大臣、政務官、そして官僚は課長以下の実務者に絞ります。各党が互いに予算哲学を主張、広く納税者に考えを説明する場とします。その分、大臣の国会出席が削減できたならば、外交や国際会議等へ対応が機動的となり、国益にも資すると考えますが、いかがでしょうか。
 また、政務三役や若手の官僚も、通年での国会答弁を通じ、さまざまな立場の声に触れ、政策の鍛錬となります。国会のことは国会に聞いてくれではなく、むしろ、政府・与党と野党が真摯に協力すればかなう国会改革であると確信しますので、菅官房長官に検討を求めます。
 現在、与党幹部の中に、外務大臣の外交を始め、機動的な国会対応を求める声があると承知しております。もし税の小委員会が設置できれば、国会改革につながると期待します。
 もう一つが法案の出し方です。
 規模の小さな租特から千億円規模の所得増税まで一本の法案として審議するため、仮に所得増税に反対となると、租特などは賛成なのに法案には反対をせざるを得ません。より多くの党派の賛同を得れば、より多くの納税者の声を生かすことにもなります。
 国税一本、地方税一本とまとめて審議するやり方を、閣議請議の際、分けて提出するよう官邸が指示すればできる改革であり、官房長官の御所見を求めます。
 今回のサラリーマン増税は、こうした与野党での議論の積み上げ不足、唐突感のある税制改革の典型例です。
 総理は、フリーランスなどの自営業者を減税し、働き方に中立な税を目指すためと説明されましたが、サラリーマンから見れば不公平そのものです。源泉徴収のサラリーマンと、経費として実費処理が可能な職業との間に不公平感が深まる、働き方による分断線を政治が税制で引いてはなりません。
 そこで、総理に伺います。
 サラリーマンにも経費認定の枠を拡大しなければ、職業による税の不公平が拡大すると考えますが、いかがでしょうか。給与所得控除の縮減等によるサラリーマン増税は、今後、年収七百五十万円、六百五十万円と拡大をするおつもりはあるんでしょうか。それでもサラリーマン増税をするならば、あわせて金融課税、資産課税など、真に担税力のある富裕層への課税も示さなければ、サラリーマンの皆様の御理解は得られません。御所見を求めます。
 麻生大臣に伺います。
 設備投資や賃上げをした法人を減税する政策は、法人の七割が赤字を考慮すると、効果は限定されます。社会保険料の事業主負担の軽減を提案しますが、いかがでしょうか。
 たばこ税は、加熱式は医学的にも通常たばこより負担が少ないとされ、従量税の本旨に留意しつつ、加熱式を据え置けば、財政物資としての役割を求めながらも、受動喫煙の削減や喫煙者自身の健康にも配慮できると考えますが、御所見を求めます。
 新税のいわゆる国際観光旅客税は、観光資源の財源確保には理解しますが、日本に住む日本人は、国税及び地方税を通じ、既に納税しております。外国人旅客に限ってはどうか。また、入国税とする方がわかりやすいと考えますが、いかがでしょうか。
 租特について申し上げます。
 租税特別措置は、政策的な増税や減税を時限で行うものであります。役割を終えた租特は縮減又は廃止し、時代が求める政策分野には新たな租特をつくる機動性と合理性が求められます。
 政策目的が終了しているのにいつまでも続ける政策増税の代表例が、自動車関係諸税の暫定税率、現在の当分の間税率であります。昭和四十九年のオイルショックのときより、本則税率に二倍から二・五倍の上乗せ増税を、購入時の取得税、登録時の自動車重量税、走行段階のガソリン税へと重課を続けてきました。
 高度成長期には、道路建設の緊要性があり、特定財源でもあり、また、車を購入できる世帯は担税力があるとされた時代でしたので、一定の政策目的があったと思います。おかげさまで、世界に誇れる道路網が整備され、車は、夢のマイカーから、地方ほど、生活の中になくてはならないものとなっています。一般財源化された今、保有台数の多い地方ほど、家計に占める自動車関係諸税の割合は重くなっています。
 麻生大臣に伺います。
 都市と地方を比べると、世帯収入の低い地方ほど保有台数が多い傾向のため、自動車関係諸税の負担が重くなっています。担税力に見合わない税となっている現状について、麻生大臣の御所見を求めます。
 税を通じ目指す社会をつくり終えれば、その税は改廃し、また税を通じて新たな社会をつくるべきであります。仕組みの変革は、政府と国会が協力すれば、必ず実現できます。税は社会をつくる、理想につながると確信し、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 古本伸一郎議員にお答えをいたします。
 消費税率引上げの延期判断についてお尋ねがありました。
 消費税率八%への引上げによって、個人消費が落ち込むなど、予想を超えた影響を及ぼしたことから、一〇%への引上げについて、二〇一四年に一回目の延期判断を行いました。
 また、二〇一六年の二回目の延期判断については、当時、世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取組に万全を期すべきであることから、延期を判断したものであります。
 消費税率を引き上げた結果、経済が腰折れをしてしまっては元も子もありません。失業率が上がり、新卒者が就職の機会を失えば、本人は将来にわたって大きな困難を抱えることになりますし、また社会にとっても大変な損失であります。私たちは、二度と就職氷河期をつくるわけにはいきません。
 これまで二度、引上げを延期してまいりましたが、この間、しっかりと三本の矢の政策を進めてきた結果、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、消費も、GDPベースで見て、実質で二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移するなど、持ち直しております。また、正規の有効求人倍率も過去最高となっています。
 このような中、今回の消費税率の一〇%への引上げに当たっては、その使い道を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当することとしました。そのことについては、さきの総選挙で信を問い、国民の理解をいただいたところです。
 こうした経済を全体として見れば、延期の判断が誤りであったとは考えていません。
 消費税の使い道についてお尋ねがありました。
 社会保障と税の一体改革における三党合意については、少子高齢化が進展する中で、社会保障の持続可能性確保と財政健全化と同時に達成する観点から、合意がなされたものです。
 政府としては、消費税法で定められたとおり、消費税収を社会保障四経費に充て、具体的な使い道について、毎年度の予算として、国会の場で与野党の皆様に御議論をいただいて決定してきました。その上で、今般、急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行することとしました。
 このため、消費税の使い道を見直すこととし、幼児教育の無償化や、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化など、人への投資を拡充するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしました。
 この見直しは、社会保障と税の一体改革の延長と位置づけられているものであり、さらに、国民の皆様に信を問い、理解を得たものです。国民の皆様とお約束したこれらの政策の実現に万全を期してまいりたいと考えております。
 幼児教育の無償化と介護の充実についてお尋ねがありました。
 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要です。幼児教育が将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等に著しい効果をもたらすことを示す、世界レベルの著名な研究結果もあります。
 さらに、調査によれば、二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由です。
 こうしたことから、今般、所得制限を設けることなく、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることとしております。これらについては、同じ理由から、全国で実施することが必要であると考えます。
 大きな改革には大きな財源が必要になります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなるおそれがあります。また、幼児教育に係る負担軽減措置を講じることは、重要な少子化対策の一つであると考えています。このため、今回、国民の信を問い、理解を得た上で、消費税の使い道を見直すこととしました。
 介護については、介護離職ゼロに向けて、二〇二〇年代初頭まで、五十万人分の介護の受皿を整備します。また、その大きな目標に向かって、介護人材確保への取組を強化します。さらに、他の産業との賃金格差をなくしていくため、介護人材のさらなる処遇改善を進めてまいります。
 こうした取組により、子育て、介護など、現役世代が抱える大きな不安を解消し、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へと改革することにより、女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、全ての日本人がその可能性を存分に開花できる一億総活躍社会を実現してまいります。
 社会保障と税の一体改革に関する三党合意についてのお尋ねがありました。
 社会保障と税の一体改革は、三党合意を経て成立した各般の法律の枠組みに沿って、社会保障の充実、安定化と同時に重点化、効率化を進めるなど、着実に実施してきています。
 その上で、今般、少子高齢化を克服するため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度への転換を図ることとしました。
 これは、少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化と同時に達成することを目的とする社会保障と税の一体改革の延長と位置づけられ、三党合意において与野党間で共有された大きな考え方と共通しているものと考えています。
 給与所得控除の見直しと金融所得課税等についてお尋ねがありました。
 給与所得控除については、主要国の概算控除額と比べて過大となっていること等を踏まえ、控除が頭打ちとなる給与収入を八百五十万円超に引き下げることとしました。ただし、子育て世帯等に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっています。
 御指摘のサラリーマンの経費認定に関し、特定支出控除制度については、これまでも、特定支出が給与所得控除額の二分の一を上回る場合には控除できるようにするなど、使いやすくするための見直しを行ってきたところですが、更に、今般の見直しに際し、控除できる特定支出の範囲を拡充することとしたところです。
 給与所得控除を含め、今後の個人所得課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、個人の負担に直結するものであることから、累次の改正の影響も見きわめつつ、国民の理解を得ながら、引き続き丁寧に議論を進めていくとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えております。
 御指摘の金融所得に対する課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討するとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。
 また、資産課税については、再分配機能の回復を図るため、平成二十七年から相続税の最高税率を引き上げるなどの見直しを行ったところです。今後のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
#20
○国務大臣(麻生太郎君) 古本先生から、計六問お尋ねがあっております。
 まず、消費税率の引上げについてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げの延期による国、地方の税収への影響額は、平成三十年度の予算をもとに、軽減税率の影響を加味して機械的に試算をすれば、平年ベースで約四・五兆円と見込んでおります。
 他方で、消費税率の引上げ延期が国債の発行額に及ぼす影響については、引上げ延期に伴い生じる経済への影響や社会保障の充実に係る歳出の見直しなどのさまざまな影響があることから、一概にお答えすることは困難であります。
 次に、軽減税率制度についてのお尋ねがありました。
 今般の個人所得課税の見直しは、働き方の多様化への対応や制度の適正化の観点から行うものであります。
 軽減税率制度の財源につきましては、平成三十年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置を講ずることにより安定的な恒久財源を確保することとされており、今後、歳入及び歳出両面にわたってしっかり検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、逆進性への対応につきましては、御指摘のようなマイナンバーカードを活用した還付ポイント制度についても検討されてまいりましたが、還付されるまでに時間がかかり、買物の際に痛税感の緩和を実感できない、また、技術的にも、ポイント付与のため、仕組みやポイント情報の保護について小規模な事業者が対応できないのではないかなどの御指摘がありまして、消費税そのものの負担を直接軽減する軽減税率を実施することとした次第であります。
 次に、企業に対する政策支援についてのお尋ねがありました。
 これまで、所得拡大促進税制などの取組によって、四年連続で二%の賃金引上げが実現をされております。今回の税制改正では、さらなる賃上げや設備投資を行うよう要件を変更することとしており、一定の効果があるものと考えております。
 なお、社会保険料の事業主負担については、働く人が安心して就労できる基盤をきちんと整備することが事業主の責任であることなどの観点から求められているものであり、公費で肩がわりするということは適当ではないと考えております。
 次に、たばこ税についてのお尋ねがありました。
 加熱式たばこにつきましては、紙巻きたばことの間で大きな税負担の格差が存在しておりますのは御存じのとおりです。紙巻きたばことの代替性が高い製品でもあり、足元の販売量は急速に増加をしておりますことから、財政面から早急な対応が必要であると考えております。
 加えて、加熱式たばこと紙巻きたばことの間だけではなく、加熱式たばこの製品の間でも税負担が大きく異なっておりますため、課税の公平性を確保するという対応が必要であろうと存じます。
 こうした点を踏まえて、今回の税制改正において、たばこ税の見直しを行うこととしたものであります。
 次に、国際観光旅客税についてのお尋ねがありました。
 国際観光旅客税を財源として講じられる観光施策は、日本人を含む出入国環境の円滑化、利便性向上などが含まれております。また、各国と締結しております租税条約には、自国と相手国の国民を差別できない条項が含まれておりますのも御存じのとおりです。こうしたことを踏まえて、課税対象に日本人も含めることといたしました。
 また、課税のタイミングにつきましては、円滑な入国手続の観点に加え、諸外国においても出国時に一度だけ課税することが一般的であることを踏まえ、出国時に一度だけ課税することといたしております。
 最後に、自動車関係諸税についてのお尋ねがあっております。
 自動車関係諸税に関しましては、リーマン・ショック以降、エコカー減税や税率の引下げなどを行い、ユーザー負担の軽減を図ってきたところであります。また、車体課税は、道路損壊などの社会的費用の原因者負担、そして道路整備などの利便性向上の受益者負担との考え方から、自動車ユーザーに御負担をいただいているものであります。
 自動車関係諸税のあり方については、こうした観点から、財政状況が厳しい中で、今後、道路の老朽化対策に多額の財源が必要となることなども踏まえて検討する必要があるものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕
#21
○国務大臣(加藤勝信君) 古本議員から、二問御質問をいただきました。
 幼児教育、保育の無償化と消費税の使途についてお尋ねがございました。
 社会保障制度改革推進法においては、社会保障制度改革の基本的な考え方などが規定されているところであり、社会保障制度改革推進法も含め、社会保障・税一体改革の枠組みで議論された結果、消費税の使途については、消費税法において、制度として確立された少子化対策等に充てられることとされております。待機児童対策を進めるとともに、幼児教育、保育の無償化を始めとする負担軽減措置を講じることは、重要な少子化対策の一つであると考えております。
 昨年閣議決定された新しい経済政策パッケージに基づき、子育て安心プランを二年前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受皿を確保することで、待機児童対策に最優先で取り組むとともに、幼児教育、保育の無償化を進め、少子高齢化の課題の克服に取り組んでまいります。
 子ども・子育て支援の質の向上についてお尋ねがございました。
 子ども・子育て支援の充実については、子育て世帯のニーズも踏まえ、幼児教育、保育や子育て支援の質の向上と量の拡充の双方を固めるため、御指摘の二〇一二年当時から、一兆円超程度の財源が必要とされております。
 そのうち、消費税の一〇%への引上げにより実施することとされている病児保育の充実などの質の向上を含む〇・七兆円のメニューについては、子ども・子育て支援新制度が施行された二〇一五年度から全ての事項について実施をしております。
 また、これ以外の財源により実施をすることとされています、さらなる質の向上のための〇・三兆円超のメニューについても、保育人材の処遇改善などの一部を既に実施しているところであります。
 なお、多子世帯への支援については、児童手当について、三歳から小学校修了までの第三子以降は、第一子、第二子より五千円多い一万五千円を支給しております。また、保育料については、兄弟が保育園に通っている場合の第二子、第三子以降に係る保育料負担軽減に加え、第二子については、二〇一七年度予算において、既に実施している生活保護世帯に加えて、市町村民税非課税世帯の無償化を実施しております。
 今後とも、安定的な財源確保に努めつつ、子ども・子育て支援のさらなる質の向上や多子世帯への支援の充実も図ってまいります。(拍手)
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
#22
○国務大臣(菅義偉君) 税に関する小委員会の設置と国会改革についてお尋ねがありました。
 広く国民に御負担をお願いする税の問題については、国会におけるしっかりとした御議論が重要であります。
 このため、政府・与党の連携のもと、与党における議論を踏まえ、毎年度の税制改正法案が決定され、国会における与野党の御質疑を経て法案が成立していると承知をいたしております。また、その中で、我が国においては、閣僚が多くの時間を国会に費やし、政府としてもできる限り丁寧でわかりやすい説明を行っております。
 さらに、議員の御提案を含め、国民により広く税の問題を御理解いただくために、国会でどのように税を扱うかについては、国会改革の御議論も踏まえ、国会において御検討いただくべき課題であると考えております。
 税に関する法案の一括化についてお尋ねがありました。
 毎年度の税制改正法案においては、財務省及び総務省において、改正内容の共通性や相互の関連性を判断し、国税、地方税それぞれにおいて、毎年度、一本の法律案として提出をしてきているところであります。
 平成三十年度税制改正法案については、平成二十四年の税制抜本改革法を踏まえた税制の見直しや国際化への対応など、共通の趣旨、目的に沿った税目横断的な改正内容を含むものであり、国税、地方税それぞれ一本の法律案として国会に提出をさせていただいたものであります。
 また、国民に広く負担を求める税制改正の内容は相互に関連するものであり、一体的にお示しすることで総合的な検討を行うことに資するものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(大島理森君) 竹内譲君。
    〔竹内譲君登壇〕
#24
○竹内譲君 公明党の竹内譲でございます。
 私は、自由民主党並びに公明党を代表し、所得税法等の一部を改正する法律案並びに国際観光旅客税法案について、安倍総理並びに財務大臣に質問をいたします。(拍手)
 質問に入る前に、このたびの自衛隊のヘリコプター墜落事故により亡くなられたお二人の自衛官に謹んで哀悼の意を表しますとともに、けがをされた女子児童の早期治癒を祈願し、御家族を始め被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。政府におかれては、二度とこのような事故が起きないよう万全を尽くすことを強く要請します。
 また、北陸地方を中心とした記録的な豪雪被害に遭われた皆様にも、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。現地での食料品やガソリン、灯油などの不足や、地方自治体の除排雪費用の増大等に対して、政府の強力な支援を求めるものであります。
 さて、本二法案は、与党の税制調査会で議論し、昨年末に決定した税制改正大綱の内容を実行するためのものであり、税制面から成長と分配の好循環を後押しするものであります。
 まず、個人所得課税改革について伺います。
 近年の経済社会の著しい変化の中で、結婚、出産、子育てをする経済的余裕がない若者が増加しています。若い世代や子育て世帯に光を当てていくことは、政治の重要な役割です。
 そのためには、税制、社会保障制度、労働政策等から、総合的な取組を進める必要があります。個人所得課税においては、所得再分配機能の回復を図ることの重要性とともに、現行の税制は昨今の経済社会の変化に対応できていないという問題が指摘されてきました。
 すなわち、第一に、現行制度が働き方の選択に中立な制度になっていないこと、第二に、所得格差の拡大が意識されている中で、所得再分配機能が弱まっていること、第三に、雇用の流動化や労働者に近い形態で働く個人事業主の増加など、働き方の多様化に対応できていないことであります。
 平成二十九年度改正では、個人所得課税改革の第一弾として、配偶者が就業調整を意識しなくても済むように、配偶者控除の見直しが実施されました。今回の平成三十年度改正は、その第二弾として、我が国の経済社会の構造変化に対応するための改革であると位置づけられます。
 総理及び財務大臣に、今回の個人所得課税改革の狙い、及び、さきに述べた三つの課題にどのように対応しているのか、伺います。
 個人所得課税は、個人の負担に直結するものであることから、今後の検討に当たっても、引き続き丁寧な議論が必要です。このたびの改正に当たっても、公明党内においてさまざまな角度から議論を重ねてきました。その結果、現行制度が抱える諸課題に対応しつつ、年収八百五十万円未満の世帯及び子育て世帯、介護世帯には新たな負担が生じない改正となっています。
 子育て世帯への対応という観点から、寡婦控除の見直しについて伺います。
 公明党は、平成二十五年以来、一人親家庭に対する支援の観点から、現行制度では婚姻歴の有無によって格差が生じていることを訴え、その是正に取り組んできました。
 既に公営住宅はみなし適用がなされていますが、このたび、厚生労働省においても、保育料の算定基準を見直し、婚姻歴の有無にかかわらず、一人親にはみなし適用をすることを公表いたしました。
 今回の見直しが実現すれば、未婚の一人親の不公平は一部解消されることになります。しかし、所得税や住民税の税負担は重いままであるなど、まだ課題は残っています。
 子供の貧困に対応する観点から、税制についても積極的な見直しが必要だと考えますが、総理の御所見を伺います。
 次に、賃上げ、生産性向上のための税制について伺います。
 私は、今こそ、中小企業が生産性を高め、足腰の強い経営体質へと転換できるよう強力に支援すべきときだと考えます。
 所得拡大促進税制については、これまでは平成二十四年度給与支給総額が基準になっていたことから、要件をクリアすることができない企業も多かったと聞きます。今回の改正により、前年度からの賃上げ率が要件となり、よりわかりやすくなっていることに加え、一層の賃上げに取り組む中小企業には税額控除の上乗せがされることになっています。
 今回の税制改正をきっかけに、今まで賃上げにちゅうちょしていた多くの中小企業が思い切って従業員給与の引上げに取り組める環境づくりがますます重要であります。
 他方で、働き方改革の推進により、残業時間の抑制が進むことは大いに歓迎するものではありますが、その分残業代が減り年収が下がれば、従業員にとっては本末転倒です。残業時間を削減しつつ、それ以上の売上げが確保できるよう、企業の生産性を高める取組とそれを支援することも不可欠であります。
 総理に、今般の法人税改革の狙いや期待される効果について伺います。
 企業の積極的な投資や賃上げを促す一方で、事業承継は、この先十年の日本経済にとって最重要テーマの一つであります。
 このたびの改正では、株式の相続税、贈与税について、承継時の納税を全額猶予することや、雇用要件の弾力化、さらに承継時と売却、廃業時の納税額の差額を免除するなど、税制面から相当大胆な見直しが行われます。
 事業承継は、こうした税制措置に加え、後継者のマッチング支援などの予算措置や、これらの制度を広く周知していくといった努力も欠かせません。
 事業承継に対する総合的な支援の必要性と、今回の税制改正の効果について、総理の見解を伺います。
 先週から平昌冬季五輪が開幕いたしました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、日本としても政府を挙げて準備を進めなければなりません。
 そこで、初めに、健康増進、受動喫煙防止の観点から、たばこ税について伺います。
 たばこのないオリンピック・パラリンピックは、過去のオリンピック開催国が引き継いできた大切な伝統です。
 受動喫煙対策を進めるための法案が今国会の提出に向けて検討されていますが、税制の面からも受動喫煙対策や社会保障関係費の財源を確保するために、他の先進国に比べて低くなっているたばこ税率を引き上げることには合理性があると思います。
 今回のたばこ税率引上げの趣旨と受動喫煙対策への総理の決意を伺います。
 新たに創設される二つの新税について伺います。
 一つは、長年議論が重ねられてきた森林環境税です。
 国際的な温暖化対策に関する枠組みであるパリ協定を履行するために、間伐や再造林などの森林整備は喫緊の課題です。適齢期を迎えた森林資源の利用拡大も期待されます。
 そこで、既に各自治体において独自に徴収している環境税との関係や、新たな国民負担が生じるものなのか等について、総理にわかりやすい説明を求めます。
 もう一つは、国際観光旅客税です。
 観光促進のための税財源として、日本各地の観光資源の魅力向上や、空港等での出入国手続施設の高度化に使われることとされています。これによって観光産業の活性化が図られ、さらに、訪日外国人旅行者の出入国手続が円滑になり、地方空港ネットワークの充実なども図られることになれば、地方創生にもつながると期待できます。
 他方で、新税を創設する際には、その受益者と負担者の双方の理解と納得が欠かせません。
 今回新たにつくられる税制が国民に受け入れられるためには、税収が何に使われているのか、その使途を明確にし、毎年度の予算審議においてチェックできるようにすることが必要不可欠と考えます。
 使途の明確化についてどのように対応するのか、財務大臣に伺います。
 以上申し上げてきたとおり、本二法案は、日本経済を再生するために必要な税制上の措置を実行するものであり、平成三十年度予算とあわせて早期に成立させる必要があることを訴えて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 竹内譲議員にお答えをいたします。
 今回の個人所得課税の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の個人所得課税の見直しにおいては、働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、特定の収入のみに適用される給与所得控除等から、どのような所得にでも適用される基礎控除に控除額の一部を振りかえることとしています。この見直しは、議員の御指摘のとおり、働き方に左右されない税制に向けた見直しであると考えています。
 また、今回の見直しにおいては、給与所得控除や公的年金等控除の適正化を図るとともに、基礎控除について、所得が一定額を超えると控除額が逓減、消失する仕組みに見直すこととしています。この見直しは、議員御指摘のとおり、所得再分配機能の回復に資するものと考えています。
 未婚の一人親に対する税制上の対応についてお尋ねがありました。
 未婚の一人親に対する税制上の対応については、平成三十年度の与党税制改正大綱において、児童扶養手当の支給に当たって事実婚状態でないことを確認する制度等も参考にしつつ、平成三十一年度税制改正において検討し、結論を得ることとされています。与党における検討も注視しつつ、必要な検討を行ってまいります。
 法人税改革、特に中小企業における所得拡大促進税制の見直しについてお尋ねがありました。
 平成三十年度税制改正においては、賃上げや人的投資等に取り組む中小企業に対して、より裾野広く、かつ強力に支援する観点から、所得拡大促進税制を見直し、前年度から一・五%以上の賃上げを行う中小企業に対し、法人税の税負担を軽減することとしています。さらに、前年度から二・五%以上と高い賃上げを行い、かつ、リカレント教育等の人的投資や経営力を向上させる取組を行う中小企業については、更に税額控除を上乗せし、強力な支援を行うこととしています。
 こうした税制支援を含め、生産性革命の実現に向け、あらゆる政策を総動員することにより、中小・小規模事業者の生産性向上を進め、賃金上昇、景気回復の波を全国津々浦々へと広げてまいります。
 事業承継に対する総合的な支援の必要性と税制改正の効果についてお尋ねがありました。
 今後十年で、中小・小規模事業者の経営者の六割が七十歳を超えるという現実があります。黒字廃業が相次ぐような事態は我が国経済にとって大きな損失であり、事業承継問題は待ったなしの課題です。
 この強い危機感のもとに、事業承継税制を抜本的に拡充し、承継時の贈与税、相続税の支払い負担をゼロにすることとしました。また、後継者による新しいチャレンジを応援する補助金などにより、切れ目のない支援を行います。
 さらに、御指摘のとおり、後継者難に苦しむ企業と事業を引き継ぐ企業のマッチングは極めて重要です。安倍内閣はこれまでに、事業引継ぎ支援センターの全国展開を実施したところであり、センターを通じたマッチング機能のさらなる強化にも取り組んでまいります。
 そして、何よりも、こうした支援制度を十分に周知し、一つでも多くの中小・小規模事業者の皆さんに活用していただくことが大切であります。自治体や商工会議所、商工会とも連携しながら、全国津々浦々にしっかりと普及させ、我が国の宝である中小・小規模事業者を次世代へとしっかりと引き渡してまいります。
 たばこ税率引上げの趣旨と受動喫煙対策についてお尋ねがありました。
 たばこ税については、高齢化の進展により社会保障関係費が増加する中、引き続き厳しい財政事情にあることを踏まえ、たばこ税の税率を国と地方合わせて一本当たり三円引き上げることとしたものです。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを目指し、受動喫煙対策を徹底することが重要です。望まない受動喫煙をなくしていくため、引き続き、厚生労働省を中心に、関係省庁及び与党と調整し、成案を得て、法案を国会に提出します。
 森林環境税についてお尋ねがありました。
 現在、一部の地方団体において、森林整備等を目的に独自に課税が行われておりますが、二〇二四年度から課税を予定している国の森林環境税は、今国会に提出予定の森林経営管理法案を踏まえ、この法案によって新たに市町村が担うこととなる森林の公的な管理等の財源として新たに創設するものです。
 森林環境税の課税を開始する時期は、国民の負担感に十分配慮し、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するための個人住民税均等割の引上げ措置が終了する時期も考慮して設定しています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(麻生太郎君) 竹内先生から、計二問お尋ねがあっております。
 まず、個人所得課税の見直しについてお答えをさせていただきます。
 今回の所得課税の見直しにおきましては、働き方の多様化というものを踏まえて、働き方改革を後押しするという観点から、給与所得控除や公的年金等控除から、どのような所得にでも適用される基礎控除に十万円振りかえるということといたしております。これは、働き方に左右されない税制に向けた見直しであると考えております。
 また、基礎控除につきましては、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないかとの指摘を踏まえて、所得二千四百万円超から逓減し、所得二千五百万円超で消失する仕組みに見直すことといたしております。この見直しは、所得再配分機能の回復に資するものと考えております。
 次に、国際観光旅客税の使途の明確化についてのお尋ねがありました。
 国際観光旅客税の税収につきましては、入国時の長時間の待ち時間等々、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、また、日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備による地域での体験滞在の満足度向上の三つの分野に充当することを政府の基本方針として昨年十二月に定めたところであります。
 その上で、これら三つの分野については、観光庁所管の法律を改正し、使途として明記をするとともに、毎年度の予算書におきまして、観光財源を充当する予算を明確化するということにいたしております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
#27
○副議長(赤松広隆君) 金子恵美さん。
    〔金子恵美君登壇〕
#28
○金子恵美君 無所属の会の金子恵美です。
 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び国際観光旅客税法案につきまして、会派を代表して質問いたします。(拍手)
 冒頭、記録的な大雪が続く福井県を始めとして、豪雪災害により亡くなられた方々に心から哀悼の誠をささげ、被害を受けている全ての皆様にお見舞い申し上げます。
 まだ大雪は続いています。これ以上犠牲者をふやすことがないよう、政府としても万全を期して対策を講じることを求めます。
 税制は、社会保障制度などと同様に、社会をつくる手段であり、国には、あるべき社会像と、その手段としての税制改革の大きな絵姿を示す責任があります。
 私が党籍を持つ民進党は、既に、所得控除から税額控除へ、さらに税額控除から給付つき税額控除へと進めることにより、所得再分配機能を回復し、中間層の復活を図る等の所得税の抜本改革を提案しております。
 一方、今回の政府・与党の税制改正案は、改革の方向性を示さず、小手先の改正、びほう策に終始しており、その責任を全く果たしていないと言わざるを得ません。
 特に、所得税については、一部のサラリーマンにのみ負担増を求めるだけでなく、制度をいたずらに複雑化し、公平、中立、簡素という租税の大原則からかけ離れた姿にするものと思われますが、安倍総理の評価を伺います。
 もしすぐれた大改正であるというのであれば、なぜ、昨年の総選挙で訴えることなく、だまし討ちのように出してきたのですか。
 消費税引上げ延期に際し、代表なくして課税なし、国民生活に大きな影響を与える税制において重大な決断をした以上、どうしても国民の皆様の声を聞かなければならないと判断したと言って、衆議院を突如解散したのは安倍総理です。
 今回の増税は、国民の皆様の声を聞かなくてよい程度のものという判断なのですか。総理の見解をお聞かせください。
 今回の改正案では、給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律十万円引き下げ、基礎控除の控除額を一律十万円引き上げることで、増加しているフリーランス等の方々の負担を軽減するとのことですが、そもそも、伝統的な自営業者以外のフリーランスの方々の人数や平均収入を把握されているのですか。フリーランスの方々はここ十年でどれぐらい増加したのですか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
 給与所得控除が諸外国の水準に比べて高いので引き下げるとのことですが、日本における税の捕捉率の問題、いわゆるクロヨン問題を放置したまま給与所得控除を引き下げることについて、納税者の理解を得ることができるとお考えですか。安倍総理の見解を伺います。
 また、そのような捕捉率の問題を放置したまま、今後も給与所得控除を引き下げていくお考えなのですか。総理、いかがですか。
 所得税以外についても、理念なく、取りやすいところから取ろうという発想の増税が目立ちます。
 国際観光旅客税、いわゆる出国税については、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充強化を図るとの看板は美しく見えますが、本来、地方経済の活性化等の観点から、観光インフラや観光資源の整備促進のための財源は一般財源に求めるべきです。
 出国税など、国境を越える人や金融資本の移動にかけられる税は、これまでの国際連帯税の議論や諸外国の導入実績等も踏まえ、主として、気候変動や感染症対策などの国境を越えた地球規模課題への対策にこそ使われるべきと考えます。
 一九九二年に導入された地価税以来の新税であるにもかかわらず、十分な検討なく取りまとめられた国際観光旅客税は、なぜ日本人出国者にも負担を求めるのか、なぜ出国一回につき千円という水準なのか、なぜ来年一月七日から適用という性急過ぎる時期が設定されているのか、全くわかりません。総理の明確な説明を求めます。
 たばこ税についても、税率を一本当たり三円引き上げるだけでなく、加熱式たばこを大幅に増税することとしています。
 たばこ税については、あくまで健康の観点等から検討を行うべきであり、紙巻きたばこと、副流煙を出さない加熱式たばことを一様に扱うべきではないと考えますが、財務大臣の見解を伺います。
 また、たばこ事業法には、財政収入の安定的確保が目的と記されておりますが、これを国民の健康的な生活を目的とすることに改めるお考えはありませんか。お答えください。
 自動車関連税制について伺います。
 本来であれば、社会保障と税の一体改革決定時には、自動車取得税の廃止を始めとする抜本的見直しが行われるはずでした。しかし、消費税増税先送りを口実に、見直しが行われないどころか、二十九年度の税制改正では、エコカー減税、グリーン税制が縮小されることとなりました。
 自動車産業は我が国産業の基盤であり、自動車は、地方では生活の足となっています。そうした観点を踏まえれば、取りやすいところから取るといった発想で自動車関連諸税を増税するのは誤りであり、むしろ負担軽減を行っていくべきであると考えますが、総理の所見を伺います。
 来月、三月十一日で、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故が発災してから丸七年となりますが、被災地の復興再生はまだ道半ばです。
 安倍総理は、消費税八%引上げに際し、復興特別法人税の前倒し廃止を行いました。復興費用は、当初の十年間二十三兆円から三十二兆円まで膨らんでいます。
 その中で、被災地の住民にも負担がある復興特別所得税は続いています。あのとき黒字法人の税負担だけを軽減したことは、今でも正しかったとお考えでしょうか。安倍総理にお尋ねします。
 最後に、安倍政治、アベノミクスによってもたらされた社会の分断化を食いとめ、日本の成長と全ての人を包摂する社会の実現を両立させることに尽力していくことを国民の皆様にお約束し、私の代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金子恵美議員にお答えをいたします。
 今般の個人所得課税の見直しについてお尋ねがありました。
 今般の個人所得課税の見直しでは、働き方の多様化を踏まえ、特定の収入のみに適用される給与所得控除等から、どのような所得にでも適用される基礎控除に控除額の一部を振りかえることとしています。この見直しは、働き方に左右されない税制に向けた中立性を高めるものと考えています。
 また、基礎控除については、所得が一定額を超えると控除額が逓減、消失する仕組みに見直すこととしています。この見直しは、所得再分配機能の回復に資するものであり、垂直的公平性を高めるものと考えています。
 また、給与所得控除の見直しに当たっては、子育て世帯等には負担増が生じないようにしたところです。これは、少子高齢化に立ち向かうために、子育て等についてきめ細やかに配慮するものであり、適当なものと考えています。
 なお、さきの衆院選における公約においては、個人所得課税の見直しについて、経済社会の構造変化を踏まえた個人所得課税改革を行うことを掲げていたところであり、今回の見直しは、この方向性に沿って検討されたものであります。
 事業所得等の所得捕捉と給与所得控除の見直しについてお尋ねがありました。
 これまでも、記帳義務制度の拡充、法定資料の整備充実、罰則の強化、青色申告の普及促進など、事業所得等の適正な申告や所得把握に向けた取組を進めてきているところであります。
 引き続き、マイナンバー制度も活用しつつ、更に正確で効率的な所得把握に努めるとともに、ICT化等の動向や諸外国の制度も踏まえ、適正な申告に向けた取組を進めていく必要があると考えています。
 給与所得控除を含め、今後の個人所得課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、個人の負担に直結するものであることから、累次の改正の影響も見きわめつつ、国民の理解を得ながら、引き続き丁寧に議論を進めていくとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。
 国際観光旅客税についてお尋ねがありました。
 観光は、我が国の成長戦略の柱、地方創生の切り札です。
 今般、二〇二〇年四千万人の達成に向けて、これまでにない高次元の施策を一気呵成に展開していく必要があります。
 また、二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えており、受入れ体制の充実を図る必要があります。
 このため、来年一月七日以降の出国に適用される国際観光旅客税を創設し、観光施策の充実に必要な財源の確保を図ることとしました。
 課税の対象に関しては、空港、港湾の出入国の円滑化、利便性向上が含まれることを勘案し、受益と負担の観点も踏まえ、日本人出国者にも御負担をお願いすることとしています。
 税額の水準に関しては、近隣アジア諸国との競争や訪日旅行需要への影響等を考慮し、出国一回につき千円の御負担をお願いすることとしています。
 今後、新たな財源を活用し、瞬時に顔を認証して入管審査を通過できるゲートの整備など、先進的でコストパフォーマンスの高い観光施策に取り組んでまいります。
 車体課税の見直しについてお尋ねがありました。
 車体課税については、リーマン・ショック以降、エコカー減税や税率の引下げ等を行い、ユーザー負担の軽減を図ってきました。
 今後の車体課税の見直しについては、平成二十九年度与党税制改正大綱において、平成三十一年度税制改正までに総合的な検討を行うこととされており、引き続き検討してまいります。
 復興特別法人税の前倒し廃止についてお尋ねがありました。
 御指摘の復興特別法人税の前倒し廃止は、経済成長を賃金上昇につなげる観点から行ったものであり、これを契機として、企業の賃金水準全体の上昇を促し、賃上げを通じて、被災地を含む日本経済の再生につなげることを目的としたものです。
 こうしたこともあり、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップが実施されました。
 民間主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却の道を確実に歩んでいます。したがって、当時の前倒しの判断が間違っていたものとは考えていません。
 東北の復興なくして日本の再生なし。その決意のもとに、引き続き、なりわいの復興、心の復興に全力で取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
#30
○国務大臣(麻生太郎君) 金子議員から、二問お尋ねがあっております。
 まず、フリーランスの実態についてのお尋ねがありました。
 自営業主のうち、いわゆる伝統的な自営業以外の人数について、総務省の国勢調査をもとに、一定の仮定のもと、機械的に試算をいたしますと、二〇一〇年で百六十万人程度であり、一九八五年時点と比べて約三十万人程度増加しているものと見込まれております。
 また、いわゆるフリーランスの方々の年収につきましては、中小企業庁が行った委託調査によれば、二百万円未満が四割、二百万円から四百万円までが約三割、四百万円から六百万円までが約二割程度、六百万円以上が一割程度となっております。
 次に、たばこ税とたばこ事業法の目的の見直しについてのお尋ねがあっております。
 加熱式たばこにつきましては、紙巻きたばこより税負担が低い中、紙巻きたばことの代替性が高い製品でもあり、足元の販売量は急速に増加をいたしております。したがって、財政に与える影響を踏まえて、早急な対応が必要であると考えており、今回、たばこ税の見直しを行ったものであります。
 なお、たばこ事業法というのは、御存じのとおり、たばこ産業の健全な発展を図り、財政収入の安定的な確保と国民経済の健全な発展に資することを目的といたしております。喫煙と健康の観点からは、このたばこ事業法に基づいて、パッケージへの注意表示を義務づけているほか、たばこ広告の規制を行っているところでもあり、たばこ事業法の目的規定を改めるということは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(赤松広隆君) 宮本徹君。
    〔宮本徹君登壇〕
#32
○宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。
 所得税法等改正案及び国際観光旅客税法案について質問します。(拍手)
 今、安倍政権のもとで、税への国民の信頼が大きく揺らいでいることを指摘しなければなりません。
 森友学園への国有地の八億円の値引きの根拠を会計検査院は確認できませんでした。国会が求め続けてきた森友学園側と国との交渉内容を記した文書は、今ごろになって提出されました。ところが、安倍政権は、虚偽答弁がはっきりした佐川国税庁長官を適材適所だと擁護し続け、安倍昭恵氏の証人喚問も拒否しています。
 十六日から確定申告が始まります。総理、森友疑惑がこのままなら納税はしたくない、こういう国民の声をどう受けとめますか。安倍昭恵氏と佐川国税庁長官の証人喚問を強く求めます。
 安倍政権のもと、格差と貧困が拡大しました。今求められるのは、格差と貧困を正し、暮らしを応援する経済政策、税制改正です。ところが、来年度の税制改正の内容は、個人向けの増税のオンパレードです。
 総理、与党の選挙公約には、サラリーマン増税も、出国旅客に税を課す国際観光旅客税創設もなかったのではありませんか。出国税の創設には、国民的議論も国民的合意もありません。観光財源確保のためといいますが、使い道も曖昧で、無駄遣いの温床になるという批判があるのではありませんか。
 重大なのは、サラリーマン増税です。法案は、所得再分配機能の回復の観点から各種控除の見直しを行ったといいます。しかし、増税の対象となる年収八百万円台は、高所得者層ではなく、中間層なのではありませんか。
 この間、給与所得控除の上限の見直しで、増税となる収入ラインが一千五百万円超、一千万円超、八百五十万円超と引き下げられてきました。次は七百万円になると不安が広がっています。
 総理は、このラインを更に引き下げるつもりでしょうか。
 やるべきは、庶民増税ではありません。株の譲渡益や配当で巨額の収入を得ている超富裕層への課税強化こそやるべきです。証券優遇税制を廃止し、税率を一〇%から二〇%に戻す際、投資意欲が減退する、経済に悪影響という批判も一部にありました。しかし、現実には、株式市場への悪影響などなかったのではありませんか。高額な株式配当、譲渡益など、証券税制の税率引上げに早急に踏み出すことを求めます。
 総理、所得再分配機能の回復を口にしながら逆進性の強い消費税を増税するのは、全くつじつまが合いません。消費増税は、低所得者を一層追い込みます。教育、社会保障の財源は、応能負担の原則に基づいた法人税、所得税の改革でこそつくるべきです。
 安倍政権は、黒字の大企業に対しては、法人税率引下げを繰り返し、租税特別措置による優遇を次々拡大してきました。研究開発減税は最大で四割の税額控除に拡大、本法案では、所得拡大促進減税も最大二割の税額控除に引き上げ、AIなどへの投資で更に二割の税額控除です。この三つの措置を併用すれば、法人税の実効税率は一体最大どこまで下がるんでしょうか。
 総理、庶民への増税の一方で大企業への減税を重ねるのは、税の公平性を欠きます。税の透明化を図るために、租税特別措置によって巨額の減税の恩恵を受けている企業については、企業名と減税額を公表すべきです。
 本法案は、三%の賃上げをした企業に減税するといいますが、総務省行政評価局も、賃上げ促進税制の効果は説明が不十分だと指摘しております。この間、大企業の内部留保は巨額に膨らんでいます。租税特別措置の適用額トップはトヨタです。そのトヨタの利益剰余金は、この四年で約五兆円もふえています。総理は、大企業は減税しなければ賃上げができない体力だとお考えなのでしょうか。
 本法案は、賃上げに最も苦労している赤字の中小企業、小規模事業者には何の支援にもなりません。総理、社会保険料減免や適正な利益を含む取引価格となるよう、大企業と中小企業の公正な取引ルールづくりに真剣に取り組むべきではありませんか。
 さらに、政治の責任で、正社員化、均等待遇、最低賃金抜本的引上げこそ進めるべきであります。
 トランプ政権が法人税の大幅な引下げを決めました。法人税引下げ競争に拍車がかかれば、各国が税源を失い、しわ寄せが国民に行くことになります。総理、法人税引下げ競争に歯どめをかけるために力を尽くすべきではありませんか。
 本法案は、国際課税の強化として、海外の通販業者などが日本国内に倉庫などを所有している場合に課税します。しかし、日本で売上げの大きいアマゾンなどは米国企業です。米国は、OECD諸国で唯一、BEPS防止措置実施条約に保留を表明しております。日米租税条約では、倉庫があるだけでは課税できません。総理、税逃れの大穴を防ぐために、米国にBEPS条約への加盟をあなたが先頭に立って求めるべきではありませんか。
 もう一つは、税の使い方です。
 総理は、空母の保有について、具体的な検討を行ってきた事実はありませんと本会議で答弁いたしました。しかし、予算委員会で小野寺防衛大臣は、昨年から護衛艦「いずも」での新種航空機の運用に向けた調査研究を行っていることを明らかにしました。この新種航空機とは、F35Bではないのですか。そうであれば、攻撃型空母を保有できないという政府の見解を覆すことになるのではありませんか。
 最後に、日韓首脳会談について伺います。
 総理が米韓合同演習は延期すべきでないと主張したと報道されています。平和の祭典であるオリンピックを機に南北間の対話が再開し、対話による解決の努力が強められる中、なぜ冷や水を浴びせかけるのか。
 けさの報道によれば、アメリカのペンス副大統領は北朝鮮との直接対話に言及しました。総理はこうした動きをどう受けとめますか。
 明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本徹議員にお答えをいたします。
 森友学園への国有地売却に関する疑念についてのお尋ねがありました。
 森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。
 国有地は国民共有の財産であり、その売却に当たっては、国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。私としても、国有財産の売却について、業務のあり方を見直すことが必要と考えており、関係省庁において今後の対応についてしっかりと検討しているところです。
 なお、国会における審議のあり方については、国会においてお決めいただくことだと認識しております。
 国際観光旅客税の創設等についてお尋ねがありました。
 観光財源の確保については、一昨年の観光ビジョンや昨年の六月の未来投資戦略二〇一七に明記し、政府内で検討を進めてきました。その後、与党の税制調査会において御議論いただいた結果、三十年度税制改正において国際観光旅客税を創設することとなりました。
 税収の使途に関しては、三十年度予算では、例えば、瞬時に顔を認証して入管審査を通過するゲートの整備など、先進的でコストパフォーマンスの高い施策に充当することとしました。また、三十一年度以降については、民間有識者の意見も踏まえつつ検討を行い、大きな効果が発揮できるよう使い道を決定してまいります。その上で、行政事業レビュー等をしっかり活用して、効果的かつ効率的に使用されるように取り組んでまいります。
 なお、さきの衆院選における公約においては、高次元で観光施策を実行するために必要となる追加的な観光財源の確保に取り組むこと、経済社会の構造改革を踏まえた個人所得課税改革を行うことを掲げており、今回の措置はこの方向性に沿って検討されたものです。
 給与所得控除の見直しについてお尋ねがありました。
 給与所得控除については、主要国の概算控除額と比べて過大となっていること等を踏まえ、控除が頭打ちとなる給与収入を八百五十万円超に引き下げることとしたところです。
 どの程度の所得層が中間層であるかについて一概に申し上げることは困難ですが、今般の見直しでは、子育て世帯等に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっております。
 給与所得控除を含め、今後の個人所得課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、個人の負担に直結するものであることから、累次の改正の影響も見きわめつつ、国民の理解を得ながら、引き続き丁寧に議論を進めていくとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えております。
 金融所得課税についてお尋ねがありました。
 金融所得課税については、平成二十六年から、上場株式の譲渡益等について、税率を一〇%から二〇%にしたところです。これにより、高所得者ほど所得税の負担率が上昇する傾向が見られ、所得再分配機能の回復に一定の効果があったのではないかと考えています。
 金融所得に対する課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討するとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。
 所得再分配機能や応能負担等についてお尋ねがありました。
 低所得者の教育負担の軽減を含め、社会保障の安定財源については、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、消費税がふさわしいと考えております。
 消費税率の一〇%への引上げに当たっては、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当するほか、低所得者対策として軽減税率制度を実施することとしております。
 御指摘の再分配機能の回復については、これまで安倍内閣において、所得税や相続税の最高税率引上げ、金融所得課税の税率の引上げ、給与所得控除の見直しを講じてきたところです。平成三十年度税制改正においても、基礎控除について、所得二千四百万円超から逓減し、所得二千五百万円超から消失する仕組みに見直すこととしており、これは所得再分配機能の回復に資するものと考えております。
 大企業の租税特別措置についてお尋ねがありました。
 御指摘の研究開発税制は、大企業を優遇するものではなく、将来の経済成長の礎となる企業の研究開発投資を後押しするものであり、利用件数を見ると、中小企業も含め、幅広く利用されています。
 また、今般の税制改正では、過去最高の企業収益を賃上げや設備投資につなげていくため、賃上げや投資に積極的な企業や革新的なイノベーションに挑戦する企業の税負担を引き下げることとしています。一方、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げ等に消極的な企業には優遇税制の適用を停止するなど、税収中立の考えのもと、めり張りをつけた内容としており、ただ単に大企業に対して減税を行うというものではありません。
 その上で、平成三十年度に大企業に一律に適用される国、地方合わせた法人実効税率は二九・七四%であります。三つの租税特別措置は政策目的が異なるため、諸外国と同様、併用可能であることから、理論的には、最大で、研究開発税制で総額型や高水準型といったあらゆるタイプの試験研究を行った場合に法人税額の四割、今回の賃上げ及び投資の促進に係る税制で法人税額の二割、情報連携投資等の促進に係る税制で法人税額の二割を控除することが可能となります。
 しかしながら、租税特別措置の適用は個々の企業によってまちまちであり、実際の控除の割合がどの程度になるかさまざまであるため、企業の実質的な税負担を一概に申し上げるのは困難であります。
 なお、これらは生産性革命実現に向けた日本経済の成長に必要な支援であり、単にそうした仮定の企業の税負担を前提に税の公平性の議論をするのは、必ずしも妥当ではないものと考えています。
 一方で、租税特別措置については、不断の見直しを行っていくべきものであり、こうした改正の成果を見きわめてまいりたいと考えています。
 なお、租税特別措置の適用を受ける企業名を公表すべきとの御指摘については、競争上の不利益が生じるおそれがあることから、個別企業名を公表することについては慎重であるべきと考えています。
 所得拡大促進税制の効果、企業収益と賃上げの関係についてお尋ねがありました。
 所得拡大促進税制については、内閣府の試算によれば、二〇一二年度との比較で、二〇一六年度までに一・五兆円近い賃上げ効果があったと推計されており、御指摘の行政評価においてもこの推計結果は否定されていないと承知しています。
 現在、過去最高の収益を上げる中でも企業は厳しい国際競争にさらされ、収益の活用に当たってもシビアな投資判断が求められています。こうした中で、企業収益をしっかりと賃上げにつなげていくためには、政府として、国際競争で十分に戦える事業環境を整備していくことが極めて重要です。
 今回の税制措置は、国際的に企業の税負担を軽減する動きが強まる中、このような観点から、賃上げや設備投資に積極的な企業に対して法人税負担を国際的な水準にまで引き下げるものです。今回の措置により、厳しい国際競争のもとでも、企業に三%以上の力強い賃上げを促すことで、四年間続いてきた今世紀最高水準の賃上げの流れを一層強化していく考えであります。
 赤字の中でも頑張る中小企業、小規模事業者への支援についてお尋ねがありました。
 賃上げを進め、経済の好循環を全国津々浦々に浸透させていくためには、全国で三千三百万人を超える従業員を雇用している中小・小規模事業者の生産性向上が必要不可欠です。その実現に向け、来年度から、赤字など厳しい経営環境のもとで新たな設備投資にチャレンジする中小・小規模事業者の皆さんを後押しするため、自治体の判断により、固定資産税をゼロにする新しい制度を設けます。
 さらに、設備投資や販路開拓、IT導入を支援するため、ものづくり補助金やIT導入補助金、持続化補助金を活用しながら、中小・小規模事業者の生産性向上を後押ししてまいります。
 加えて、下請取引の適正化に向けた取組や事業承継税制の抜本的拡充など、あらゆる政策を総動員することで、赤字の中でも頑張る事業者を含め、中小・小規模事業者の皆さんの生産性革命をしっかりと実現してまいります。そのことによって、四年連続の賃上げの流れをさらに力強いものとし、また、日本全国へと広げていく決意であります。
 賃上げと中小企業に関連したお尋ねがありました。
 正社員や均等待遇については、非正規から正規への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金などを通じ、今後も正社員転換や待遇改善を進めてまいります。さらに、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消に向けて、同一労働同一賃金の実現など、働き方改革に取り組んでいきます。
 最低賃金については、時給で、安倍政権前の十年間は八十円の引上げにとどまっていましたが、安倍政権発足以降の五年間で約百円引き上げました。引き続き、年率三%程度を目途として引き上げていき、全国加重平均で千円を目指してまいります。
 また、大企業と中小企業の間で公正な取引が行われるよう、関係法令の厳格な運用、業界ごとの自主行動計画の策定やフォローアップなどを通じて、引き続き、取引条件の改善に取り組んでまいります。
 今後とも、大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる施策を総動員することにより、賃金アップの勢いを力強いものとしてまいります。
 なお、社会保険料の事業主負担は、働く人が安心して就労できる基盤を整備することが事業主の責任であるとともに、事業主の利益にも資するという観点から事業主に求められているものであり、社会保険料の事業主負担を公費で肩がわりすることは適当ではないと考えています。
 法人税引下げ競争についてお尋ねがありました。
 一般論として申し上げれば、税率を含め、法人税制をどのように組み立てるかは、基本的には各国の責任に属する事柄であると考えています。各国においても、法人税収は財源調達の上で重要な役割を担っていると考えておりますが、いずれにせよ、各国がどのような経済政策をとるかについては、今後の動向を注視してまいりたいと思います。
 国際課税の強化とBEPS防止措置実施条約についてお尋ねがありました。
 国際的な租税回避の防止については、日本はこれまで、OECD、G20によるBEPSプロジェクトでの議論を主導し、例えば、日本が議長国を務めた伊勢志摩サミットにおいても、その合意事項を各国が足並みをそろえて着実に実施していくよう、首脳宣言に盛り込みました。
 BEPS防止措置実施条約についても、より多くの国が参加することで真価を発揮することから、日本としては、米国を含む未参加国に対して署名を呼びかけているところです。
 政府としては、国内における取組を進めるとともに、国際社会と協調し、租税回避の防止に向けて不断に取り組んでまいります。
 護衛艦「いずも」についてお尋ねがありました。
 これまで、政府として、護衛艦「いずも」の空母化に向けた具体的な検討を行ってきたとの事実がないことは、累次答弁しているとおりです。
 他方で、今後の防衛力のあり方については、さまざまな検討を不断に行っているところであり、この点も政府として累次申し上げているところです。
 例えば、護衛艦「いずも」の将来の活用方策に関する基礎的な調査研究や情報収集などは、防衛省においてかねてより行ってきているものと承知していますが、いまだ調査研究の途上であるとの報告を受けております。現時点では、具体的な内容について申し上げることは差し控えたいと思います。
 いずれにせよ、攻撃型空母を含め、性能上専ら他国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは許されないとの政府の見解には、今後ともいささかの変更もありません。
 防衛計画の大綱の見直しに当たっては、専守防衛は当然の大前提とした上で、従来の延長線上ではなく、新たな課題や対応策について幅広く検討していく考えであります。
 日韓首脳会談と米韓合同演習及びペンス副大統領の発言についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核、ミサイルの脅威に対処する上で、米韓合同演習は、日米合同演習及び日米韓の防衛協力と並び重要な柱となっています。
 北朝鮮は、平昌五輪の前日に、平壌で大規模な軍事パレードを行いました。そこでは、昨年日本の上空を飛び越えて発射された二発の弾道ミサイルや、我が国のEEZ内に撃ち込まれたICBM級弾道ミサイルと同じものと見られる弾道ミサイルを含め、四種類の弾道ミサイルが登場しました。
 日韓首脳会談では、私より文大統領に対し、北朝鮮は、平昌五輪を機に南北対話を進める一方で核・ミサイル開発を継続しており、北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならない旨指摘し、率直な意見交換を行いました。
 文大統領とのやりとりの詳細については差し控えますが、北朝鮮に政策を変えさせ、核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていかなければならないこと、日韓、日韓米で、それぞれ緊密に連携していくことについて完全に一致しました。
 なお、ペンス副大統領のインタビュー記事に関する御指摘がありましたが、ペンス副大統領とは、訪日の際に加えて平昌でも、今後の方策につき綿密にすり合わせを行っており、北朝鮮の完全、検証可能、不可逆的な非核化に向け、圧力を最大限まで高めていくとの方針につき、完全に一致しています。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(赤松広隆君) 杉本和巳君。
    〔杉本和巳君登壇〕
#35
○杉本和巳君 日本維新の会の杉本和巳です。
 私は、我が党を代表して、本日の議案について質問いたします。(拍手)
 まず、先週に続き、なお降り続く大雪の被害が北陸、東北地方ほかで発生しております。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈りいたします。また、被災されている方々にお見舞い申し上げます。
 また、自衛隊ヘリコプター事故で殉職されたお二人の自衛官に謹んで哀悼の意を表します。また、けがをされた女子児童並びに御家族の方々へのお見舞いを申し上げます。
 ある中小企業を紹介させていただきます。業種は広い意味での製造業、創業五十六年、社長は四代目。創業者の方針が守られ、四代の社長に世襲なし。従業員五十名、全員正規社員、すなわち非正規社員ゼロ。ニッチ市場での多品種少量生産、廉価販売なし。売上げの六割は国内、海外事業はほぼ外外取引。もちろん業績好調です。このような会社が東海地方にはあります。
 総理が施政方針演説で述べられた、「非正規という言葉をこの国から一掃してまいります。」を率先垂範、有言実行している会社の事例が明白にあるわけです。松下幸之助公のダムの経営、あるいは蛻変の経営など、よき日本の経営のあり方を再認識し、民間の力を信じて適切な政策を進めていくことが大切であると提起いたします。
 さて、少子高齢化と人口減少、グローバル化や産業構造の変化等によって生じているさまざまな課題を解決していく上で、税制の果たす役割は極めて重要です。
 ふえ続ける財政赤字や社会保障費の膨張など、財政が悪化の一途をたどる中、中長期的な経済成長を支援することで税収を確保し、税制を通じて適正な所得再分配を行うためには、小手先の利害調整だけではなく、抜本的な税制改革が必要であると考えます。
 また、社会保障費のピークをいつ乗り越えられるのかという中長期の将来見通しを明らかにすることが、国民の皆様への将来不安払拭につながると提案いたします。
 以上のような観点から、本法案についての質問をいたします。
 まず、所得税についてです。
 昨年の税制改正では、配偶者控除制度について議論されました。税制が女性の働き方やライフスタイルを誘導している不合理さについて指摘をいたしましたが、配偶者控除についてはさらなる見直しが行われなかったことについては、大変残念です。
 今回は、個人所得課税における諸控除の見直しが提案されました。働き方の多様化を踏まえ、給与所得控除の縮小と基礎控除の引上げといった見直しが行われることについては一定の評価をしています。しかしながら、給与所得控除の見直しによって、八百五十万円を超える収入を得る人にとっては増税となるという案は、可処分所得が減り、勤労意欲を阻害しかねないのではとの懸念もあります。
 高度プロフェッショナル制度を創設し、裁量労働制も拡大しようとしている一方、その対象となる人たちをターゲットとした増税は、政策効果を相殺します。その点についての総理の所見をお伺いいたします。
 給与所得者と個人事業主との所得把握の不均衡、いわゆるクロヨンに対して、マイナンバーの活用等によって抜本的な見直しを行わない限り、税の公平性が担保できないのではないでしょうか。マイナンバーの活用に向けて、具体的かつ早急に検討を進める必要性について、総理の御所見をお伺いします。
 また、年金等控除についても見直しが行われていますが、依然として、現役世代よりも年金受給者に対して手厚い制度であることに変わりはありません。人生百年時代を見据えた全世代型社会保障の実現を目指すのであれば、今後は、年齢ではなく、負担能力に応じた制度設計が必要です。世代間格差の是正に向けて更に踏み込んだ、カナダのクローバック制度のような改正が必要ではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 次に、法人税についてお伺いします。
 大手企業は、業績好調な中、賃上げや設備投資をためらい、内部留保をため込む傾向にあります。この流れに対して、所得拡大促進税制を通じて歯どめをかけるための方向については一定の評価をします。しかしながら、租税特別措置を講ずることでどの程度の賃上げに結びつくのでしょうか。
 先日公表された法人税改正に対する企業の意識調査によると、賃上げは三割、設備投資は二割が実施予定となっています。
 我が党は、以前から、租税特別措置については、その効果について、経済成長にどの程度の寄与が見込まれるのか、試算を行った上で実施すべきであることを指摘しております。
 総理、今回の租税特別措置がもたらす経済効果の政府試算について具体的にお答えください。
 次に、国際観光旅客税についてお伺いいたします。
 昨年の訪日外国人客数は二千八百六十九万人で、前年比一九・三%増、訪日外国人客の国内消費額は四兆円を突破するなど、少子化、高齢化、人口減少で国内マーケットが縮小する中にあって、インバウンド市場は拡大を続けています。
 今回の新税導入案は、国立公園の自然保護による観光資源強化策などの発想も首肯し得る一方、唐突感は否めません。
 新税の導入によって四百三十億円の税収が見込まれていますが、観光関連予算は、国交省だけでなく、農水省、経産省等、複数の省庁において計上されており、合計三千二百億円とも言われています。複数の省庁にまたがる施策は無駄の温床になります。政府全体で観光関連事業について見直しは実施したのでしょうか。国民に税負担を求める前に、まず観光関連事業を全体としてマネジメントした上で、それぞれの施策効果を分析するべきではないのでしょうか。
 今回の国際観光旅客税の導入に当たって、このような見直しを十分に行ったのか、また、新税の導入の必要性について、総理の御所見をお伺いいたします。
 我が日本維新の会は、税負担を求める前に、まずは身を切る改革、徹底行革が必要とのスタンスであります。民間の活力を最大限発揮できる制度を実現すると同時に、本当に支援が必要な方々へのサポートを手厚くし、将来世代への思い切った重点投資を可能にすることを目指してまいります。
 以上、お誓い申し上げて、私の質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 杉本和巳議員にお答えをいたします。
 給与所得控除の見直しについてお尋ねがありました。
 御指摘の高度プロフェッショナル制度は、高度な知識、技術を持つ専門職の自律的に働きたいというニーズに応えて、意欲と能力を十分に発揮できるよう、めり張りのある効率的な働き方を可能とする観点から設けるものです。また、裁量労働制は、みずからの裁量で時間配分や出勤時間などを決めることができる、自律的で創造的に働く方を対象とする制度です。
 他方、給与所得控除については、主要国の概算控除額と比べて過大となっていること等を踏まえ、控除が頭打ちとなる給与収入を八百五十万円超に引き下げることとしたところです。
 ただし、給与所得控除の見直しについては、子育て世帯等に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっており、負担増となる者については、給与八百五十万円超から急激に負担が増加するわけではなく、段階的にふえる仕組みになっております。このことを踏まえれば、勤労意欲への影響は限定的であり、二つの政策の効果が相殺されるとは考えておりません。
 個人事業主の所得把握とマイナンバーの活用についてお尋ねがありました。
 これまでも、記帳義務制度の拡充、法定資料の整備充実、罰則の強化、青色申告の普及促進など、事業所得等の適正な申告や所得把握に向けた取組を進めてきているところであります。
 引き続き、マイナンバー制度も活用しつつ、更に正確で効率的な所得把握に努めるとともに、ICT化等の動向や諸外国の制度も踏まえ、適正な申告に向けた取組を進めていく必要があると考えています。
 年金のクローバック制度についてお尋ねがありました。
 高所得者の年金額を調整する、いわゆるクローバック制度については、平成二十八年の年金改革法において、社会保障制度改革プログラム法で示された課題の一つとして検討する旨の検討規定が盛り込まれており、引き続きしっかりと検討してまいりたい、このように思っております。
 法人税の租税特別措置に係る経済効果についてお尋ねがありました。
 今回の措置に係る経済効果は現時点で試算していませんが、これまでの所得拡大促進税制については、内閣府の試算によれば、二〇一二年度との比較で、二〇一六年度までに一・五兆円近い賃上げ効果があったと推計されています。
 現在、過去最高の収益を上げている中でも企業は厳しい国際競争にさらされ、収益の活用に当たってもシビアな投資判断が求められています。こうした中で、企業収益をしっかりと賃上げにつなげていくためには、政府として、国際競争で十分に戦える事業環境を整備していくことが極めて重要です。
 今回の税制措置は、国際的に企業の税負担を軽減する動きが強まる中で、このような観点から、賃上げや設備投資に積極的な企業に対して法人税負担を国際的な水準にまで引き下げるものです。今回の措置により、厳しい国際競争のもとでも、企業に三%以上の力強い賃上げを促すことで、四年間続いてきた今世紀最高水準の賃上げの流れを一層強化していく考えであります。
 国際観光旅客税についてお尋ねがありました。
 観光は、我が国の成長戦略の柱、地方創生の切り札です。安倍内閣では、政府全体の観光施策を取りまとめた観光ビジョンを策定し、ビザの緩和、免税制度の拡充など、精力的に取り組んできたところです。
 また、私を議長とする行政改革推進会議のもとで、毎年行政事業レビューを実施し、観光関連事業について、より効果的かつ効率的なものへと改善するよう努めてきたところです。
 その上で、今般、二〇二〇年四千万人の達成に向け、これまでにない高次元の施策を一気呵成に展開していく必要があることから、国際観光旅客税を創設し、観光施策の充実に必要な財源の確保を図ることとしました。
 この税の使途についても、行政事業レビュー等をしっかり活用して、効果的かつ効率的に行われるように取り組んでまいります。(拍手)
#37
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#38
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
       総務大臣     野田 聖子君
       法務大臣     上川 陽子君
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
       経済産業大臣   世耕 弘成君
       国土交通大臣   石井 啓一君
       国務大臣     江崎 鐵磨君
       国務大臣     小此木八郎君
       国務大臣     菅  義偉君
       国務大臣     松山 政司君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官  西村 康稔君
       財務副大臣   うえの賢一郎君
ソース: 国立国会図書館
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