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2018/04/03 第196回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第196回国会 本会議 第15号
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2018/04/03 第196回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第196回国会 本会議 第15号

#1
第196回国会 本会議 第15号
平成三十年四月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十二号
  平成三十年四月三日
    午後一時開議
 第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 情報監視審査会会長の情報監視審査会平成二十九年年次報告書についての発言
 日程第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 生産性向上特別措置法案(内閣提出)及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 情報監視審査会会長の情報監視審査会平成二十九年年次報告書についての発言
#3
○議長(大島理森君) 情報監視審査会会長から、去る三月二十八日、議長に提出された情報監視審査会平成二十九年年次報告書について発言を求められております。これを許します。情報監視審査会会長額賀福志郎君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔額賀福志郎君登壇〕
#4
○額賀福志郎君 情報監視審査会は、去る三月二十八日に、衆議院情報監視審査会規程第二十二条第一項の規定によりまして、平成二十九年年次報告書を作成し、大島議長に提出をいたしました。
 本報告書の概要について御説明をいたします。
 本報告書の対象期間は、平成二十九年二月一日から本年一月三十一日までであります。
 まず、当審査会の経過についてであります。
 政府から、国会報告を昨二十九年五月に受けまして、当時の金田国務大臣から説明聴取を行いました。同報告におきましては、平成二十八年末時点で四百八十七件の特定秘密が指定された旨報告をされておりますが、それらを中心に、特定秘密保護制度の運用、管理の適正確保のための検証・監察等につきまして、また、特定秘密ごとにその内容や指定のあり方について調査を進めました。その上で、本年一月には、外務省、経済産業省、防衛省及び防衛装備庁から特定秘密の提示を受け、説明聴取及び質疑を行いました。
 次に、調査の結果としての政府に対する当審査会の意見につきましてであります。
 本報告書におきましては、重点的に調査を行った特定秘密文書の廃棄に係る問題を始めとする以下の三点につきまして、特定課題として中心的に取り上げたのであります。
 第一に、特定秘密文書の廃棄問題であります。
 特定秘密のような高度の秘密保全を要する情報が記載されている文書が、将来の検証の機会がないまま廃棄されることについては慎重であるべきとの考え方から、これまでも当審査会におきまして議論をしてまいりましたが、特に、今回の調査によりまして、保存期間一年未満の特定秘密文書が既に大量に廃棄されてきたこと、また、特定秘密文書であっても、廃棄の際に、一般の行政文書と変わらない取扱いがなされていること、特段に慎重な判断がなされていない可能性があるといった実態が明らかになりました。
 このような事態を受けまして、当審査会においては早急な改善を求めることにしております。
 その主な内容は、特定秘密のうち重要な情報を記録した文書につきましては国立公文書館等に移管する歴史公文書等となるよう、特定秘密文書を保有する行政機関の文書管理規則等の内規を改めることを検討すること、また、政府として公文書管理に係る法令等を見直しをし、特定秘密文書を重要な行政文書として位置づけた上で、原則として、行政文書の保存期間として一年以上を設定するなどの規定の整備を検討すること、さらに、例外として、特定秘密文書の保存期間を一年未満とするのは、正本、原本の写しなどに限定すること及び各行政機関の文書管理規則等の内規に定めるよう政府として方針の作成を検討することなどであります。
 第二に、行政文書が不存在の特定秘密関係であります。
 平成二十八年年次報告書における当審査会意見などの調査結果を受けまして、当該特定秘密を指定する行政機関において、平成二十九年中に指定を解除若しくは文書を保有するなど所要の措置が講じられ、また、内閣官房より当該取扱い等に関する事務連絡が発出され、方針が示されるなど、政府において一定の対応がなされました。
 他方で、複数の行政機関が同一の特定秘密を指定しているものに関し、文書が不存在のものにつきましては、当該情報が職員の頭の中に存在している状態となっている可能性があるわけであります。しかし、重要な情報は文書に記載して管理することが通例であり、取扱いの適正性にも疑義が生ずる懸念があることから、文書を保有していない行政機関の指定を解除若しくは文書を保有することを再検討することなどを政府に求めております。
 第三に、作成から三十年を超える特定秘密文書関係であります。
 作成から三十年を超える特定秘密文書については、当該情報が秘密として取り扱われてきた期間の長さを考慮し、保存期間満了時の措置を再検証の上、原則として歴史公文書等とし、国立公文書館等に移管することを検討することなどを政府に求めております。
 最後に、今後調査すべき課題として、「今後の調査方針及び課題」をまとめております。
 その主なものとしては、今回の報告書で特定課題として取り上げた特定秘密文書の廃棄に係る問題の調査、また、特定秘密を含む不開示情報の提出、提示を求める案件として、作成から三十年を超える特定秘密文書の取扱いの調査などを挙げております。
 議員各位の御理解と御協力を得て、今後も必要があれば随時特定秘密の提出、提示を求めるなど、引き続き、立法府としての視点と国民の立場から、政府の特定秘密保護制度の運用の監視に努めてまいる所存であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#5
○議長(大島理森君) 日程第一、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長平口洋君。
    ―――――――――――――
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平口洋君登壇〕
#6
○平口洋君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を五十人増加し、判事補の員数を二十五人減少するとともに、裁判所の事務を合理化し及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十五人減少しようとするものであります。
 本案は、去る三月二十七日本委員会に付託され、翌二十八日上川法務大臣から提案理由の説明を聴取し、三十日、質疑を行い、質疑を終局しました。次いで、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 生産性向上特別措置法案(内閣提出)及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#9
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣世耕弘成君。
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#10
○国務大臣(世耕弘成君) ただいま議題となりました生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、生産性向上特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、第四次産業革命と呼ばれるIT分野における急速な技術革新の進展に伴い、これまでの産業構造や国際的な競争条件が著しく変化する中で、我が国産業の生産性の向上を短期間に実現するための措置が早急にとられなければ、我が国産業の国際競争力が大きく低下するおそれがあります。グローバル競争の中で我が国産業が勝ち抜くためには、こうした技術革新の果実を取り入れ、世界に先駆けて新たな付加価値を生み出すことで、生産性を飛躍的に向上させる必要があります。
 こうした現状に鑑み、政府として昨年十二月にとりまとめた新しい経済政策パッケージにおいて生産性革命集中投資期間とされた平成三十二年度までの三年間に生産性革命を実現させるため、政府一丸となって計画的に取組を進める実行体制を確立するとともに、我が国産業の生産性を短期間に向上させるために必要な支援措置を期間を限って集中的に行うべく、本法律案を提出した次第です。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、生産性革命を政府一体となって強力に実行するための仕組みを創設します。具体的には、政府が重点的に講ずべき施策の内容等を定めた革新的事業活動実行計画を策定し、生産性向上のための施策の集中的かつ一体的な実施を図ります。
 第二に、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進するため、規制のサンドボックス制度を創設します。参加者や期間を限定すること等により、既存の規制にとらわれることなく新しい技術等の実証を行うことができる環境を整えることで、迅速な実証を可能とするとともに、実証で得られたデータを活用できるようにして、規制改革を推進します。
 第三に、事業者による革新的なデータ利活用を促進するため、データの共有、連携を行う取組を認定する制度を創設し、こうした取組に用いる設備等への投資に対して減税措置等の支援を行い、コネクテッド・インダストリーズを実現してまいります。また、事業者が国や独立行政法人等に対しデータ提供を要請できる手続を創設し、協調領域におけるデータの共有を支援します。
 さらに、中小企業における生産性革命を実現するため、中小企業の生産性向上に資する先端的な技術を活用した設備等の導入を後押しする仕組みを導入します。市町村が、中小企業における先端設備等の導入を促進するための計画を自ら策定し、これに基づいて中小企業の先端設備等の導入計画を認定して支援措置を講ずることで、地域の自主性のもとで、生産性向上のための設備投資を加速します。
 次に、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国は、アベノミクスの三本の矢を同時に実行した結果、設備投資の拡大、雇用の拡大など経済の停滞を打破することができました。しかしながら、我が国経済の成長軌道を確かなものとするためには、急激な経済社会情勢の変化に的確に対応して、引き続き、我が国産業の国際競争力を強化し、その持続的な発展を図ることが重要です。
 このため、業種を超えた事業再編、情報の適切な管理及び新事業の創出によるイノベーションの促進、事業再生の円滑化、事業承継の加速化、経営基盤強化のための中小企業支援機関の支援能力確保、IT導入の加速化のための支援体制及びIT化に対応したセーフティーネットの整備等のために必要な施策を講じるべく、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 まず、産業競争力強化法の一部改正です。
 第一に、業種を超えた事業再編の促進を図ります。様々な手法による事業再編を行いやすくするため、株式を対価とする事業再編を認定し、会社法の特例を設ける等の支援措置を講じます。
 第二に、情報の適切な管理の促進のための制度を創設します。競争力の源泉となる技術等の情報の漏えい防止措置に係る認証機関の認定制度を設け、事業者における情報の適切な管理を促します。
 第三に、新事業の創出によるイノベーションの促進のための施策を講じます。産業革新機構を産業革新投資機構に改め、投資機能の強化等のため、投資基準の策定や事後評価の徹底等の見直しを行います。また、国立大学法人等によるベンチャー出資の対象を拡大するとともに、市町村が行う創業に関する普及啓発の取組みを支援します。
 第四に、事業再生の円滑化を図ります。特定認証紛争解決手続において商取引債権を保護すべきとの確認がなされた事実について、裁判所の法的整理における判断において考慮されるよう措置します。
 さらに、産業競争力の強化に継続的に取り組むため、集中実施期間を廃止し、必要な支援策について、引き続き措置してまいります。
 次に、中小企業等経営強化法、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律及び中小企業倒産防止共済法の一部改正です。
 第一に、事業承継の加速化のための施策を講じます。中小企業者等が合併等により他の中小企業者等の経営資源を活用して経営力の向上を図る取組について、経営力向上計画の認定の対象とし、認定を受けた者について、各種の支援措置を講じます。また、親族外承継の増加に対応するため、他の中小企業者の事業を承継しようとする者に対して金融支援を講じます。
 第二に、経営基盤強化のための支援能力確保のための施策を講じます。経営革新等支援機関の認定制度について、認定に有効期間を設け、期間満了時に改めて業務遂行能力を確認する更新制等を導入します。
 第三に、IT導入の加速化のための支援体制整備のための施策を講じます。ITの活用支援を行う事業者に係る認定制度を設け、中小企業者等における更なるITの活用を促します。
 第四に、中小企業者のIT化に対応したセーフティーネットの整備のための施策を講じます。IT活用の高まりを見据え、電子記録債権に関する中小企業者の連鎖倒産防止のため、共済貸付対象を拡充します。
 これらの法律の見直しに伴い、独立行政法人中小企業基盤整備機構法について必要な改正を行います。
 以上が、生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の要旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 生産性向上特別措置法案(内閣提出)及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#11
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。城内実君。
    〔城内実君登壇〕
#12
○城内実君 自由民主党の城内実であります。
 自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 我が国の経済情勢は、アベノミクスの成果により、ようやく明るい兆しが見え、二十年にわたるデフレを克服しつつありますが、なお予断を許さない状況にあります。
 バブル崩壊からの経済の停滞により、国際競争力も相対的に低下し、二〇一〇年に世界第二の経済大国の座を中国に奪われて、現在GDPでは中国に倍以上の差をつけられております。
 縮小するパイを奪い合い、勝ち組と負け組に分かれるのではなく、全体のパイが拡大する中で、適切な所得の再分配により過度な格差を是正し、皆が豊かになっていく日本を取り戻さなければなりません。
 少子高齢化で人口が減少する中、経済成長には一人一人の生産性向上が不可欠であります。現在、IoTやAI、ロボット、ビッグデータの活用により、社会構造に革新的な変化が起きております。こうした新しい技術に積極的に投資をして、人口減少社会においても一人当たりの生産性を劇的に向上させ、経済を成長させていかなければなりません。
 そこで、質問です。
 今般の生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案により、どのように生産性の向上を図っていくのか、政府の方針をお聞かせ願います。
 近年、ビッグデータをAIで解析することで、新たなビジネスの創出が可能となっております。顧客の嗜好を解析したマーケティングや、機械の稼働状況を分析した効率的保守点検サービスなど、新たな付加価値が生まれております。しかしながら、我が国は欧米諸国に比べてデータを利活用している企業が少ないという調査結果があり、官民一体となったデータ利活用の推進が求められます。
 今般の生産性向上特別措置法案には、国から認定を受けた事業者が公的データの提供を要請できることになっておりますが、今後どのようにビッグデータの利活用を進めていくのか、お聞かせ願います。
 続いて、生産性向上のための技術革新についてお伺いいたします。
 革新的な技術の実用化には、実証実験を繰り返し、効果や安全性を確かめる必要があります。他方で、実証実験には危険も伴います。例えば、先日、アメリカのアリゾナ州でウーバーテクノロジーズの自動運転車が公道走行試験中に歩行者をはね、死亡させてしまう事故がありました。また、ドローンによる事故も起きております。
 昨今、規制緩和こそが正しいという風潮がありますが、規制によって守られる人命、自然環境、社会秩序があることも事実であります。やみくもな規制緩和ではなく、時代に合わせて規制のあり方を検討していくことが真の規制改革だと思います。
 そこで、質問であります。
 この法案で創設される規制のサンドボックス制度により、革新的な技術の実証実験をスピーディーに進めることができるとのことでありますが、安全性確保とのバランスなど、どのように規制改革を進めていくのか、お伺いいたします。
 次に、産業活動の新陳代謝の活性化についてお伺いいたします。
 産業競争力強化法は、アベノミクスに基づく成長戦略を実現するための法律として制定され、規制改革の進展と産業活動の新陳代謝の活性化で一定の成果を上げております。
 一方で、多くの企業はいまだ低収益事業を抱え込んでおり、中長期的に成長が見込める分野に集中できていないのではないかとの指摘もあります。
 また、今回の改正案では、親会社が少数株主から承諾を得ずに株式を取得できる条件が緩和されることで、少数株主の利益を損なわないかという懸念もあります。
 今回の産業競争力強化法の改正案により、事業再編による産業の新陳代謝をどのように活性化させていくのか、お尋ねいたします。
 景気の好循環を、大企業だけでなく、全国の中小企業、小規模事業者に広げていかなければならないことは言うまでもありません。そのため、賃上げ環境の整備、事業承継の支援、大企業の優越的地位の濫用を防ぎ下請取引の適正化を図るなど、生産性向上を強力に支援していく必要があります。
 今回の生産性向上特別措置法案では、中小企業の新規設備投資に係る固定資産税を三年間、最大でゼロにする特例措置など、まさに、我が自由民主党が昨年の衆議院選挙で公約に掲げた、従来にない大胆な税制措置の創設がうたわれております。
 私の地元であります浜松市、湖西市は、古くから物づくりの町として発展し、高い技術を持った中小企業が数多くあります。本法案のゼロの特例措置につきましても、湖西市、浜松市はいち早く手を挙げてくれました。
 全国でも、相当数の自治体がゼロの特例措置を選択する意向を示しております。これは、特例措置とあわせて、ゼロの特例措置を採用した自治体の事業者について、ものづくり補助金などで加点による優先採択を行う方針など、国が中小企業の設備投資を強力に支援するというメッセージが全国に届いた成果だと思います。
 この流れを加速させるために、中小企業、小規模事業者の生産性向上を更に強力に支援していく必要があります。政府としてどのように取り組んでいくのか、お聞かせ願います。
 最後に、事業承継についてお伺いいたします。
 高度経済成長期に創業した多くの中小企業経営者が高齢化する中、円滑な事業承継は喫緊の課題であります。
 中小企業に蓄積されたノウハウや技術を次の世代に受け継ぎ、若返りにより企業活動を活性化していく必要があります。
 すぐれた技術を持つ企業が、黒字経営であるにもかかわらず、経営者不足で廃業することは、日本経済全体にとっても大きな損失であります。もし外国企業に買収されてしまうと、技術流出に直結する事態であります。
 また、中小企業は我が国の従業者の七割の雇用を支えている存在でもあります。廃業は、地域の雇用に甚大な影響を及ぼします。
 今般の法改正、税制改正では、複数人への承継など、事業承継円滑化のための措置が設けられております。私も、自民党の経済産業部会長として、これらの措置の創設に尽力してまいりましたが、今後、いかにこの制度を有効活用していただき、事業承継を進めていくのかが重要であります。政府の方針をお伺いして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#13
○国務大臣(世耕弘成君) 城内議員にお答えいたします。
 生産性の向上についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、日本経済は、少子高齢化による生産年齢人口の減少という制約要因を抱え、一人当たりGDPも伸び悩んでおります。
 経済のパイを拡大し、国民全体が豊かになるためには、IoTやAIなどの技術革新の成果をフルに活用することで、一人当たりの生産性を飛躍的に向上させる生産性革命の実現が喫緊の課題です。
 こうした中、昨年十二月に新しい経済政策パッケージを閣議決定し、その中で掲げた、二〇二〇年までの生産性革命集中投資期間に合わせ、あらゆる施策を総動員して短期集中で取り組むとともに、日本の産業の国際競争力強化を図る基盤を固めるため、今回の両法案を提出いたしました。
 まず、生産性向上特別措置法案では、規制のサンドボックス制度、革新的データ産業活用計画の認定制度、中小企業の先端設備等導入計画の認定制度を創設いたします。これらに加え、予算や税制による措置も含め、関連施策を幅広く盛り込んだ実行計画を策定し、担当大臣の責任のもと、これらの施策を迅速に実施する仕組みを確立します。
 さらに、産業競争力強化法等の改正案において、オープンイノベーションを促進する産業革新機構の機能強化、事業再編促進のための会社法の特例措置、中小企業に対する経営支援体制の強化などの措置を講じます。
 両法案により、必要な施策を包括的に講じ、生産性革命の実現に万全を期してまいりたいと思います。
 官民一体となったビッグデータの利活用促進に向けた取組方針についてお尋ねがありました。
 経済産業省においては、グローバルなデータ獲得競争に対応するため、コネクテッド・インダストリーズの考え方を発信し、自動走行・モビリティーサービス、ものづくり・ロボティクスといった重点五分野の取組を加速しております。
 これら五分野を始めとしたデータ協調の具体的な取組を後押しするため、生産性向上特別措置法案において、協調領域のデータ共有などを行う民間事業者の取組を税制措置などにより支援する制度を創設するとともに、一定のセキュリティー確認などを経て認定された事業者については、公的データの提供を国や独法などに対して直接要請できる制度を創設することを盛り込んでいるところです。
 加えて、二〇一七年五月に策定した、データの利用権限に関する契約ガイドラインについても抜本的に改訂し、AIの開発、活用に関する論点整理などを追加し、公表する予定です。
 さらに、実証事業や、中小企業向けのIT導入補助金なども拡充しており、日本産業全体でのデータ利活用の促進に向けた取組を推進してまいります。
 規制のサンドボックスについてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、人の命や自然環境、社会の秩序は重要な価値観であり、これらを守るために一定の規制は必要であると認識しています。
 同時に、法律成立後、長期間が経過している規制法令の中には、従来の手法ではなく、革新的な技術を利用することで、規制の目的を一層適切に達成することが可能なものもあります。
 新しい技術と規制の関係が時代に適合しているかどうかを検証するためには、実社会において実証することが必要です。このため、第四次産業革命が進展する中、規制のサンドボックスの日本版である新技術等実証制度を創設し、規制の見直しにつながるデータを取得する仕組みをつくります。
 具体的には、期間や参加者等を限定し、規制が適用されない環境のもとで、新技術等の実用化に向けた社会実証を行うこととしております。その際、御指摘のように安全面などにも配慮して、実証を適切に実施するための措置を講じることも求めることとしております。
 この制度を活用して多くの事業者にイノベーションにチャレンジをしていただき、人の命や自然環境等はしっかり守りつつ、実証により得られたデータを利用して、規制をより合理的かつ現代的なものへと見直していくことを目指します。
 事業再編による産業の新陳代謝の活性化についてお尋ねがありました。
 日本の産業の持続的な発展を図るためには、各企業が事業ポートフォリオを機動的に見直し、従来の業種の枠を超えて、経営資源を成長性、収益性の見込める事業に振り向けていく大胆な事業再編が重要だと考えております。
 そのため、今回の改正案では、自社株を対価としたMアンドAを円滑化する措置を講じるなど、事業再編を円滑化するための各種支援措置を整備することとしております。
 その際には、株式等売渡請求に係る売渡価格が著しく不当な場合などには買収対象会社の少数株主が株式取得の差止めを請求できるなどの会社法上の措置に加え、事業再編計画等の認定に当たっては、少数株主に不利な条件での売渡請求が行われていないことを確認することを予定しており、少数株主保護の観点から問題が生じないよう、適切に運用してまいります。
 これらの措置を十分に活用し、成長分野を核とする事業の再編の促進を通じて、産業の新陳代謝を活性化し、日本の産業の国際競争力を強化してまいります。
 中小企業の生産性向上の支援についてお尋ねがありました。
 今回の法改正では、二〇二〇年までの三年間を集中投資期間として、人手不足や後継者不足等の厳しい経営環境に置かれる中小企業、小規模事業者の生産性向上を一層促進することを目的としております。
 特に、御指摘をいただいている固定資産税の特例については、城内議員を始め関係議員の皆様にも御尽力をいただき、多くの市町村が特例率をゼロとする意向を示しているところでございます。ものづくり補助金等の重点支援も相まって、中小企業における積極的な設備投資が期待されます。
 法案の成立後には、一つでも多くの中小企業、小規模事業者に利用してもらうことが重要であるため、関係省庁や自治体と連携し、国、自治体が更に一体となって全国の事業者に対して周知徹底を行いたいと考えております。
 これらの法律に基づく措置に加え、ものづくり補助金を始めとして、予算、税制などあらゆる政策を総動員することで、中小企業、小規模事業者の生産性向上を後押ししてまいります。
 事業承継制度の普及拡大についてお尋ねがありました。
 事業承継問題は日本経済全体にとって待ったなしの課題であるとの認識のもと、承継時の贈与税、相続税の支払い負担をゼロにするなど、事業承継税制の抜本拡充を実現したところであります。中小企業等経営強化法においては、MアンドAを通じた事業承継の支援策も盛り込んでいるところです。
 御指摘のとおり、可能な限り多くの事業者にこうした事業承継の支援策を有効活用していただくことが重要であるため、昨年末から三月末までの間に、地方経済局により百二十九回にわたる事業者説明会を開催するとともに、各地で開催されている、税理士等の専門家、金融機関向けの説明会に対して、合計百八回にわたり、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構等から職員を派遣しました。加えて、ポイントを簡潔にまとめた資料を全国の商工会議所や商工会を通じて配布することなどにより、周知徹底を図っているところです。
 特に、事業承継税制については、その適用に必要な認定申請を受け付ける都道府県や、申請に必要な計画に対して指導助言する地域の支援機関ともしっかり連携しつつ、その活用を促してまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(大島理森君) 松平浩一君。
    〔松平浩一君登壇〕
#15
○松平浩一君 立憲民主党の松平浩一です。
 ただいま議題となりました生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 二〇〇七年六月二十九日、アメリカで初代アイフォンが発売されました。それから十年が過ぎ、今や全世界でのスマートフォンの利用台数は約四十億台に達すると言われています。
 スマートフォンにより、誰もが、いつでもどこでも、インターネットを通じて人や物とつながりました。天気、交通、地図、買物、決済、レストランやお店の予約、宅配、医療、教育、更に多くのことが、スマートフォンのアプリによって、オンデマンドで解決してくれるようになりました。
 人工知能の分野では、昨年の五月に、ディープマインド社が開発したAI、アルファ碁が、世界最強と言われた囲碁棋士の柯潔氏との勝負を制したとのニュースは、皆さんの記憶にも新しいものと思います。こういった第四次産業革命の波は、今後あらゆる面に及び、我々の生活、経済に大きく影響を与えてくることは間違いありません。
 ただ、いいことばかりではありません。既存産業の構造にも大きく影響してきますので、痛みを伴う業界も出てきます。
 野村総合研究所がオックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らと共同して分析した結果に、二〇二五年から二〇三五年までにAIとロボットによって日本の労働人口の約四九%が代替されるとした推計があります。また、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによると、二〇三〇年までに我が国で転職を強いられる人数は、業務の自動化が急速であった場合、二千七百万人と予想されています。我が国の二〇三〇年の労働人口は約五千九百万人と予測されているため、その半分近くが転職を強いられるという計算になります。
 この現状は、十八世紀半ばのイギリスの産業革命を思い起こします。当時、イギリスでは手工業による毛織物産業が盛んでしたが、産業革命によって機械が普及して、職がなくなると恐れた人々は、機械打ち壊し運動、ラッダイト運動を起こしました。しかし、幾ら機械を打ち壊しても、また別のところで機械はつくられ、産業革命の波はとめることができなかったのです。そして、職を失った手工業者は都市部に流れ、資本家の工場で働く労働者として雇用が吸収されていきました。
 一方、今我々が直面している第四次産業革命では、AIとロボットによる仕事の消滅は、必ずしも新たな労働力を必要とはしないものです。あくまで一例でしかないですが、自動運転の進展は、トラック運送業、タクシー業、損害保険業で働く人々に影響が出ることは容易に予想できます。長距離トラックドライバーとタクシードライバーは、合計で約百二十三万人の労働人口と言われています。
 第四次産業革命によって劇的に変わる就業構造、これが雇用に与えるインパクトははかり知れません。遠い未来の話ではないにもかかわらず、この大変革にどのように雇用の面で対応していくのか、政府のグランドデザインやビジョンが全く見えてきませんが、この点について大臣にお伺いいたします。
 世界に目を向けると、米国はデジタルプラットホームで大きな地位を占め、また次世代の研究開発でも優位性を保っています。中国は、モバイル決済など社会実装力が強く、政府の資金投入で非常に多くのスタートアップが勃興しています。EUは、その市場規模を生かし、域内企業に有利な規制、制度を設け、競争優位性をかち取ろうとしています。
 それに対して、我が国は、残念ながら、イノベーティブな技術の開発と社会実装力、この両方でおくれをとっていると言わざるを得ません。新しいサービスやイノベーションを生み出していくためには、事業者がまずやってみること、試行錯誤し挑戦してみること、これを許容する社会、環境であることが重要です。
 本法案では、規制のサンドボックスが提案されていますが、仮にそれが事業者に対して試行錯誤し挑戦の場を与えるものであるのならば評価いたします。しかし、法文をよく読むと、この規制のサンドボックスに乗るためには、やろうとする新しいサービスが命令や告示などの規制に違反しないことということが条件となっています。サンドボックスは、あくまで参加者や期間を限定した実験の場であるはずです。これでは、挑戦の場どころか、厳格に規制に縛られる、今までと何も変わらないのではないでしょうか。
 大胆かつ迅速な規制緩和ができないと、新しい技術やサービスは海外に逃げていってしまいます。
 世界銀行が出しているデータでは、我が国の事業活動の規制の厳しさは、OECD三十五カ国のうち二十四位と、相変わらずの規制大国です。規制を打ち破るとした政府の本気度が疑われます。この点、大臣の御所見をお伺いいたします。
 本法案では、ビッグデータの活用に向けた施策として、データ利活用を行う事業者を支援する制度が創設されています。
 しかし、ビッグデータに関しては、それ以前に、我が国がもっと国を挙げて対処する必要のある大きな問題が存在します。
 デジタルデータは、二十世紀の石油のように、二十一世紀で最も重要な資源と言われています。しかし、この圧倒的大部分は、プラットフォーマーと呼ばれる海外の一部の大企業に集中、コントロールされている状況となってしまっています。
 グーグル、アマゾン、フェイスブック、我々がこれらサービスを使えば使うほど、インターネット上の閲覧履歴、買物の履歴、位置情報やアドレス帳、文字、写真、動画などがプラットホーム上に蓄積されていきます。これらデータの蓄積は、我々の消費行動の分析からマクロ予測まで、あらゆる経済活動の基礎となるものです。そして、データ保有者は、このデータを利用し、AIの精度を進化させていき、生活、社会、経済への影響力をどんどん増大させていきます。
 先日の世界経済フォーラムのダボス会議においても、ドイツのメルケル首相や投資家のジョージ・ソロス氏など多くの著名人から、デジタルデータの一部企業への独占化や寡占化に懸念が表明され、大きなトピックになっていました。
 デジタルデータの海外の一部企業への集中という重要な問題に関し、どのように考え、どのように取り組んでいかれるのか、大臣の御所見を伺います。
 本法案においては、産業革新機構の活動期間の延長が提案されました。
 世界の投資環境に目を向けてみると、ノルウェー、アブダビ首長国、中国、シンガポールなどの兆単位の運用資金を有するソブリン・ウエルス・ファンドが、市場に対し大きな影響力を持っています。これらソブリン・ウエルス・ファンドは、最近は、自国の発展を考えた戦略投資を行っており、プラットフォーマーやハイテク新興企業への投資を拡大させています。
 世界では、アルファベット、アップル、アリババ、テンセントのように、時価総額百兆円超え、又はそれに近い企業が出現しています。また、ユニコーンと呼ばれる時価総額十億ドル以上のベンチャー企業も、米国では百社以上、中国にも五十社以上ありますが、日本ではたったの二社だけです。
 成長分野で国際的に戦える日本企業を育てないと、将来、日本の富が海外に流れるだけの状況となってしまいます。
 バイオ、創薬、宇宙、ロボットなどリアルテックの分野は、我が国が非常に得意とする分野でもあります。これら分野は、研究開発からビジネスができる状態になるまで、時間とお金がかかります。しかし、ここに集中的にリスクマネーを供給する、こういったことができる機関は、我が国では官民ファンドだけと言っても過言ではありません。
 産業革新機構については、今までの民業補完という役割だけではなく、国家戦略を考えて投資を実行する、こういった大きな視点が必要だと思うんですが、大臣の御所見を伺います。
 本法案において、政府は、中小企業に対し、IT投資など生産性向上のための投資を支援することとしています。
 第四次産業革命はインダストリー四・〇の日本語訳でして、インダストリー四・〇は、もともとドイツで、今から七年前の二〇一一年に採択されてスタートしたものです。そのコンセプトは、ドイツじゅうの工場をIoTによってスマート工場化し、国を挙げて生産性を上げ、世界一の製造大国を目指すというものでした。そして、今やドイツはインダストリー四・〇の再重要課題をIoTの国際標準化というものに設定しています。ドイツのメルケル首相は、IoTの分野においてドイツが国際標準化を握るために、国を挙げて売り込みにかかってきています。
 我が国は、過去、高い技術を持ちながら国際標準化できず、他の国の国際標準に合わせなければならないという苦い経験を何度もしてきました。国際標準に適合していないため輸出が難しくなった二層式洗濯機、第二世代携帯電話など、その例を挙げれば枚挙にいとまがありません。
 日本の宝である物づくり業界、中小企業の国際競争力、こういったものを守っていくためには、IoT分野において国際標準化の主導権を握ることというのが必須です。日本は既に出おくれ感が大きいという指摘も聞くところではありますが、我が国として、今後どのような戦略を持って対応していくのか、大臣の御所見を伺います。
 ところで、成長企業への支援という点に関しては、昨年十二月、ペジーコンピューティング代表の斉藤元章氏がNEDOから助成金約六億五千万円を詐取した疑いで逮捕、起訴された事件がありました。また、それ以外にも、NEDOからの助成金の不正受給として三十五件が把握されています。
 助成に至る審査が甘くなかったか。また、今までの再発防止策が余りにも対症療法的でなかったか。さらには、助成金という方法自体に問題があるのではないか。政府の成長戦略に沿うものであれば審査がざるになるということはあってはならないことです。
 助成金のばらまきともとられかねない甘い審査は、事業が助成金ありきとなったり、いかに助成金を獲得するかが目的となってしまい、結局、成長戦略にそぐう事業は生まれてきません。
 不正受給に対する原因の追求と過去の反省、そして今後の対応、この三点について大臣にお伺いいたします。
 第四次産業革命の進展により、我が国は、いや応なしに、生活、社会、経済を始めとするあらゆる分野で大きな変革を迫られる時期に来ています。この変革に対応し、我が国の経済の発展のためにこれからも積極的な提案を行っていくことをお約束申し上げ、私からの質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#16
○国務大臣(世耕弘成君) 松平議員にお答えいたします。
 これから生じ得る就業構造の転換への対応についてお尋ねがありました。
 日本経済の最大の弱点は、人口減少と言われますが、人口の減少という弱点は、むしろアドバンテージになり得ると考えております。
 AIやロボットの活用により省人化が進展し、バックオフィス業務などが減少していく一方で、AIやデータを活用した新たな商品企画などの新たな雇用ニーズが生み出されていくことが想定されます。そういった観点から、就業構造の転換に対応した人材育成や成長分野への労働移動が必要となります。
 このため、経産省では、第四次産業革命の進展に伴い重要性が増す、データサイエンスやセキュリティーといった領域ごとのITスキル標準の策定や領域の追加を行っていきます。
 さらに、IT・データ分野における社会人の学び直しを促進する第四次産業革命スキル習得講座認定制度を平成二十九年七月に創設しました。ことし一月に、第一回の認定として、AIやデータサイエンス、製造業におけるIT利活用など二十三講座を認定しました。
 これらの取組を通じて、第四次産業革命の進展に対応した人材育成や成長分野への労働移動を促進してまいりたいと考えております。
 規制のサンドボックスと規制緩和についてお尋ねがありました。
 生産性革命の実現に向けては、日本において、人工知能、ロボットやIoTなどの技術を用いた革新的なサービスを育てることが重要です。世界で新しいビジネスが生まれており、時代の潮流を先取りする大胆な規制制度改革も進めていかなければなりません。
 そのためには、革新的なアイデアについて、まずやってみることを許容し、データを収集、分析することでスピード感のあるルールづくりを行うことが必要です。
 これまでも、試験研究や業として行うものではない活動については、既存の法令でも明確に規制の対象外としているものもあります。しかし、何が規制の対象外であるかの整理が不明確な法令も数多く存在しています。
 新技術等実証制度は、期間や参加者等を限定することなどにより、規制対象となる通常の事業ではない実証であると整理をし、既存の規制の適用を受けることなく、社会実証をスピーディーに行うことを可能とするものです。
 加えて、法案においては、規制所管官庁は、実証結果などを踏まえ規制の見直しを行うことも盛り込んでおり、大胆かつ迅速な規制改革を強力に推進してまいります。
 第四次産業革命における、デジタルデータの一部企業への集中の問題についてお尋ねがありました。
 委員御指摘のとおり、データの利活用を促進する一方で、データの寡占による影響についてもしっかりと評価をし、必要な対応をしていくことが重要であると認識しています。
 まず、公正取引委員会がデータと競争政策に関する検討会を開催して、二〇一七年六月に独占禁止法上の考え方を整理しており、データの集積によって独占や寡占をもたらし得る企業統合や、データの不当な収集に対しては、独占禁止法による対応が必要という見解が示されているところであります。
 一方、昨今のグローバル競争の主戦場は、海外企業が強みを持つバーチャルデータから、日本の物づくりの現場等に強みがあるリアルデータに移行してきていると考えております。
 このため、経産省においては、生産性向上特別措置法案において、協調領域のデータ共有等を行う民間事業者を認定し、減税措置等によりその取組を支援する制度を創設することを盛り込み、コネクテッド・インダストリーズの重点五分野を中心に、データ協調の具体的な取組を後押ししてまいります。
 産業革新機構についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、ソブリン・ウエルス・ファンドの投資などにより世界のリスクマネー供給の環境が変化する中、バイオ、創薬、宇宙、ロボットなどの分野において、民間では対応できない、長期、大規模なリスクマネーの供給の担い手としての産業革新機構の重要性が増大していると認識をしています。
 このため、産業競争力強化法の改正案においては、政府が投資基準を新たに策定し、ミッションを明確化するなど、投資機能の強化を図ることとしています。新たに策定する投資基準においては、コネクテッド・インダストリーズ及びソサエティー五・〇の実現に向けた投資など、国の政策として重要な領域への対応などを定めることを予定しています。
 グローバルにリスクマネー供給の環境が変化する中、こうした措置を講ずることにより、産革機構が十分な役割を果たせるよう万全を期してまいります。
 IoT分野における国際標準化戦略についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、ドイツなど欧州諸国は、世界市場を獲得するツールとして国際標準を活用する取組を戦略的に行っており、日本も、官民で連携して国際標準化に戦略的に取り組むことが重要です。
 そのため、日独で合意したハノーバー宣言に基づいて、IoT分野における横断的なデータ流通の国際標準づくりを日独で先導して進めています。また、コネクテッド・インダストリーズの重要分野の一つであるスマート工場の分野についても、実証事業を踏まえた国際標準化に取り組んでおります。
 引き続き、IoT分野における国際標準獲得に向けて、官民が連携して強力に取り組んでまいります。
 NEDOの助成金に関する不正受給事案についてお尋ねがありました。
 ペジー社の斉藤社長らがNEDOの助成事業に関連し詐欺の容疑で起訴されたことは大変遺憾であり、国民の皆様に申しわけないと考えております。
 NEDOは、これまでも不断の不正防止対策に努めてはまいりました。例えば、平成十八年度には、NEDOのホームページに通報窓口を開設し、不正の早期発見や不正抑止に努めております。NEDOによるこれまでの処分事案三十五件のうち、三分の一が通報窓口への情報提供によるものであります。
 また、平成二十六年には、助成先や委託先のみならず、外注先などの取引先にも帳票類の提出など必要な協力を求めることをルール化するなどの対策を講じてきております。
 今回起訴されたペジー社の事案は、平成二十六年の対策強化前の事案ではありますが、外注先と結託をして、帳票類を偽って検査の目をくぐり抜けた可能性が高いと考えられ、検査のプロセスなどで改善すべき点があると考えております。
 今後の対策の方向性としては、外注費が一定割合かつ一定金額以上の事業については原則として外注先までNEDOが検査をする、必要に応じて事業に関連する技術分野の有識者を臨時の検査職員として活用する、通常の検査に加えて実施する抜き打ち検査について、頻度を高めて実施するといったことが考えられます。
 いずれにせよ、公判を通じて事件の全容が判明してくるものと考えており、それに応じて、有識者にも御検討をいただきながら、徹底的な対策を行ってまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(大島理森君) 浅野哲君。
    〔浅野哲君登壇〕
#18
○浅野哲君 希望の党・無所属クラブの浅野哲です。
 ただいま議題となりました生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表し、質問をさせていただきます。(拍手)
 平成が始まった一九八九年、世界の時価総額上位十企業のうち、八つは日本の企業が占めていました。今や世界のビジネス界のトップランナーであるグーグル、アマゾン、フェイスブックなどの企業は、当時まだ設立さえされていませんでした。
 しかし、この三十年間にインターネットが急速に普及し、これら多くのIT関連企業が欧米を中心に急速に成長することで、我が国の産業を取り巻く環境は大きく変化をいたしました。
 そして、平成に次ぐ新たな時代を迎えようとしている今日、私たちが直面しているのは、インターネットに次ぐ産業技術の大転換期であります。あらゆるものがインターネットにつながるIoTと、それによって生み出されるビッグデータ、さらに、その膨大なデータから学習し成長する人工知能。これらは、これからの時代を生きる私たちが手にした大きな希望であり、この希望を現実のものとし、経済の成長、豊かな暮らしの実現、そして我々の子供たちの明るい未来につないでいく責任が、今この議場にいる私たち全員にあるのではないでしょうか。
 翻って、我が国の経済状況は今緩やかな改善傾向にあると思われていますが、民間企業の動きはいまだ力強さを欠いており、生産性のさらなる改善は喫緊の課題であります。
 このまま生産性を高めていけないと、それは我が国産業の国際競争力の喪失を意味し、世界の先行企業の下請と化してしまう懸念があります。今こそ政治のリーダーシップの発揮が求められています。
 まず、世耕大臣に伺います。
 我が国がグローバル化した今日、我が国産業の強み、弱みは何か。また、今回提出された二つの法案がどのように作用し、国内経済、産業活動、そして国民生活にどのような変化をもたらし得るのか、お答えください。
 革新的な技術やビジネスモデルの中には、現在の法体系や規制では対応し切れないものが出現する可能性があります。また、日々目まぐるしい速さで変化していくビジネス環境では、経営判断の一瞬のおくれが市場でのイニシアチブを失うことにもつながりかねません。
 本法案では、新しい技術やビジネスモデルにとって望ましい規制のあり方をスピーディーに検証するための制度として、規制のサンドボックス制度の新設が盛り込まれています。
 一方、過去にも同様の制度として二〇一四年に導入された企業実証特例制度がありました。しかし、この制度の活用状況は芳しくなく、現在までに十一件と低調にとどまっています。
 そこで、世耕大臣に伺います。
 本制度によって規制の見直しや新たな規制の創設が期待される産業分野について、どのように認識されておりますでしょうか。また、本制度は申請から認定までどれほどの期間を要すると想定しているのでしょうか。また、過去の制度の利用実績が低調に終わった原因と、その原因を踏まえ、新たな制度ではどのような対策、工夫をとっているのでしょうか。
 以上、お答えください。
 一般に、生産性を向上させる手段には、生産手段自体をふやす方法と、生産手段一つ当たりの生産効率を高める方法があります。本法案は、中小企業の設備投資支援のほか、企業のIoT投資を促し、生産設備の効率化やサービスの高付加価値化を進めるものと理解をしております。
 これらいずれの施策についても、その必要性は理解できる一方で、実効的な施策としていくためには、幾つかの懸念を払拭しなければなりません。
 第一の懸念は、中小企業の設備投資支援の一環として計画されている固定資産税の減免措置の具体的中身が、地元自治体の判断に大きく影響を受けるという点です。
 中小企業の経営基盤を強化し、生産性の向上に効果があるとされる一方で、減税割合は、二分の一から全額免除の範囲内で地元の自治体が条例で定めることとなっており、自治体の判断が中小企業の投資判断を左右すると言っても過言ではありません。
 そこで、世耕大臣に伺います。
 中小企業の設備投資を促進するために、これまで国は、地方自治体に対して、本施策に関する助言や指導を行ってきているのでしょうか。また、その中身についてもお答えください。そして、本施策に関する設備投資件数あるいは設備投資額の目標値についてお答えください。
 第二の懸念は、企業のIoT投資の実現性についてです。
 これまでも政府は、企業の生産性向上のためにIoT投資支援を進めてきましたが、実際には低調であり、その最大の理由は、IoTを導入できる人材がいないからだそうです。
 世耕大臣に伺います。
 企業のIoT投資の促進に向けて、こうした企業の悩みに国としてどのように対処していくおつもりでしょうか。また、特に、人材の確保、育成に対する具体的な支援策についてお答えください。
 第三の懸念は、企業のIoT投資が進むことによって、複数の事業者をまたぐデータのやりとりが増加をし、データのセキュリティーリスクが増大する点です。
 国内産業の競争力の源泉ともなり得るデータですので、使う能力ばかりでなく、守る能力も高めていかなければなりません。
 そこで、世耕大臣に伺います。
 データ流通の活性化に伴うセキュリティー対策強化に向けて、現在、国はどのような取組を行っており、また民間事業者に対してはどのような支援を行っていくおつもりでしょうか。お答えください。
 現在、企業の成長に向けたリスクマネーを供給する機能として、二〇〇九年に設立された株式会社産業革新機構があり、本法案では、その名称を株式会社産業革新投資機構に改め、新産業分野やベンチャー企業に対する投資機能が強化されることが定められました。
 一方、産業革新機構の株式は約九五%を国が保有しており、官民ファンドといいながらも、民間の出資は約五%にすぎません。また、投資の詳細な収支状況などは公表されておらず、これまでも、業務内容の透明性を向上させるべきとの指摘がなされてきました。
 最近では、アベノミクスの看板事業として、日本の漫画やアニメ、ファッションなどを海外に売り込むクールジャパン関連事業を始め、ベンチャー企業や新分野向けの投資では百八十四億円もの損失を出したとの情報もあります。
 そこで、世耕大臣に伺います。
 産業革新機構の投資終了案件のうち、ベンチャー企業及び新分野向けの投資総額及び総回収額の実績値をお答えください。
 産業革新機構に対する国費投入の効果や国民の納得感を高めるため、投資案件ごとの個別損益を公表するなど、説明責任を果たす透明性向上が必要と考えますが、これに対する大臣の見解をお聞かせください。
 限られた経営資源を強み分野に集中させる事業構造改革は、企業の成長と発展のために必要な場合があります。本法案では、企業が特定の事業を資本関係のない別会社へ切り出すスピンオフを円滑化する措置を講じるものとされております。しかし、働く人々の雇用や労働条件などに与える影響にも配慮する必要があると考えています。
 そこで、世耕大臣に伺います。
 本法案では、特定の事業を資本関係のない別会社へ切り出すスピンオフを円滑に促すための措置が設けられておりますが、会社分割に当たっては、分割される会社で働き続ける人々の労働条件に大きな影響が生じ得ることから、労働契約法など労働関係法の見直しとセットで論議すべきと考えておりますが、大臣の見解をお聞かせください。
 新たな技術革新は、企業の生産性向上や不足する労働力の補完といった面がある一方で、就業構造へ与える影響も大きく、円滑な就業構造の転換に必要な施策を講じていく必要があると考えております。例えば、第四次産業革命の到来に伴い、我が国の労働人口の約半数がAIやロボットに代替することができるようになる可能性が高いとの研究結果が出されております。
 そこで、世耕大臣にお伺いをいたします。
 これから生じ得る就業構造の転換に備えて、国としてどのように取り組んでいくおつもりなのか、具体的にお答えください。
 最後に、一言申し上げます。
 今回、森友学園へ八億円の巨額の値引きをされて売却をされた国有地は、言うまでもなく国民の大切な財産であります。その国有地の売却に関する公文書の一部が、あろうことか改ざんをされ、原本が破棄されていたことは、まことにあるまじき行為であり、誰が、いつ、何の目的で、誰からの指示によって行ったのか、徹底的に解明されなければなりません。
 同時に、早期に再発防止策を講じることは、国会に携わる我々全員の責務であります。我々希望の党は、国などが過去に行った、あるいは現在行っている諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務を全うするため、公文書改ざん防止法案を早期に取りまとめ、議員立法として提出する予定であります。与野党の皆様の建設的な御議論のもと、再発防止に向けた対策を早期に講じられるよう、ともに取り組んでいこうではありませんか。
 この思いを本日ここにいる全ての皆さんと共有し、その責任を果たすために全力で取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#19
○国務大臣(世耕弘成君) 浅野議員にお答えいたします。
 日本の産業の強みと弱み、生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等の一部を改正する法律案がもたらす変化についてお尋ねがありました。
 日本の産業の強みは現場力や現場の良質なデータにあるのに対し、IT人材の不足や起業への意欲が低いことが弱みになっているため、世界ではIT系の新興企業が急成長を遂げる中、日本ではこうした企業が生まれておらず、日本企業の存在感が低下してきていると認識しています。
 しかし、昨今、第四次産業革命をめぐる国際競争の主戦場がバーチャルデータからリアルデータを活用したビジネスに移行してきていることは、日本の強みを生かすチャンスであると考えています。
 こうしたチャンスを生かすため、今回提出した二法案においては、データを活用した企業の取組を支援するための革新的データ産業活用計画の認定制度や、新ビジネスへの挑戦を後押しする規制のサンドボックス制度などを導入することとしており、日本の強みである現場力、現場の良質なデータを生産性の向上、産業競争力の強化につなげていきます。
 これらの措置に加えて、予算や税制を含めてあらゆる施策を総動員し、生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現し、人手不足に悩む中小・小規模事業者など、企業による設備や人材への投資を力強く促進することで、生産性革命を実現してまいります。
 規制のサンドボックスの対象分野、申請からの認定期間、企業実証特例制度の課題と新制度における対策についてお尋ねがありました。
 第四次産業革命が進展する中、さまざまな分野で、IoTや人工知能を活用した新たな技術やビジネスモデルの社会実装による構造変化が起きています。
 このため、規制のサンドボックスである新技術等実証制度においては、特定の分野に限定することなく、第四次産業革命に代表されるような新技術やビジネスモデルの実用化に向けた社会実証を広く制度の対象として、日本のイノベーションの社会実装を進めてまいります。
 申請から認定までの期間については、評価委員会における審議期間を加味する必要はあるものの、現行の新事業特例制度の計画申請から認定までの期間が一カ月と定められていることを踏まえ、内閣官房に一元申請窓口を設置することなどにより、迅速に実証が開始できるよう仕組みを構築してまいります。
 企業実証特例制度においては、事業者が規制の特例措置の整備を求める場合、規制を緩和しても安全性などの目的を達成することが可能となる規制の代替措置の検証のための実証ができず、検討が進まないというケースがありました。
 こうした課題を解決するため、今回の新技術等実証制度では、期間や参加者などを限定し、規制が適用されない環境下でスピーディーに実証プロジェクトを実施することを可能としております。
 固定資産税の特例措置に係る自治体への助言指導活動と設備投資の目標についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、本法案において、自治体の判断により固定資産税をゼロとする新たな制度を導入することとしております。
 固定資産税の特例については、これまで、三月末時点で三百七十二の市町村に経産省職員が足を運ぶとともに、全国で四十回以上の説明会を開催し、合計で千百四十三の市町村に対して、直接新制度について説明を行ってきており、その中で、市町村が策定する導入促進基本計画の趣旨や記載内容等についてお伝えをしているところです。
 なお、平成二十八年度七月に施行した中小企業等経営強化法に基づいて支援対象となった設備投資は、平成三十年一月末時点で約三万二千者による約一・七兆円に上ると推計されておりまして、そのうち多くの事業者が、固定資産税を三年間二分の一に軽減する措置を活用していると考えられます。
 今回の措置についても、事業者に対してより一層の周知を図り、一つでも多くの中小企業、小規模事業者に本制度を活用していただき、生産性向上をしっかりと後押ししてまいります。
 企業のIoT投資を進めるための人材育成の支援策についてのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、IoT投資を進める上では、その担い手であるIT人材の育成、確保は極めて重要です。
 経産省では、IT・データ分野における社会人の学び直しを促進する第四次産業革命スキル習得講座認定制度を平成二十九年七月に創設しました。ことし一月に、第一回の認定として、AIやデータサイエンス、製造業におけるIT利活用など二十三講座を認定しました。
 また、ITを始め、いわゆるコネクテッド・インダストリーズの重点分野における人材育成を進めるため、主要企業や業界団体、大学、学会、研修事業者などによるプログラム開発を支援してまいります。
 経済産業省としては、これらの取組を通じ、引き続き、関係省庁や産業界とも連携しつつ、IT人材の育成、確保を図ってまいります。
 データ活用の活性化に伴うセキュリティー対策の強化についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、複数の事業者をまたぐデータのやりとりが増加する中で、サプライチェーン全体のサイバーセキュリティーを図り、守る能力を高めていくことが不可欠です。
 経産省としては、ことし三月二十九日に、事業者が実施すべき対策を具体的に示したサイバーセキュリティー確保のためのフレームワーク原案を策定したところです。今後、パブコメを経て本案を決定した上で、事業者の具体的取組を促進してまいります。
 また、民間事業者に対しては、生産性向上特別措置法案に基づいて、一定のサイバーセキュリティー対策が講じられたデータの連携、利活用のための投資に対する税制措置を講ずることとしております。
 さらに、平成二十九年度補正予算で措置したサービス等生産性向上IT導入支援補助金では、セキュリティー対策の実施を申請要件とすることで、IT導入の促進とセキュリティーの取組を同時に推進してまいります。
 産業革新機構のベンチャー及び新分野向けの投資の実績についてお尋ねがありました。
 産革機構は、二〇一七年八月末時点において、お尋ねのベンチャー企業及び新分野向けの投資について、二千百九十五億円の支援決定を行っています。このうち、既に株式売却を行った案件の実投資額は五百六十三億円、回収額は三百七十九億円、収支は百八十四億円の赤字となっております。
 なお、ベンチャー投資案件以外を含む全ての案件の収支は三千六百八十五億円の黒字であり、実投資額の二・三倍の回収がなされております。
 産革機構の透明性向上についてお尋ねがありました。
 国からの資金が投入されている官民ファンドの性格上、産革機構の情報開示は適切に行われることが重要であります。
 産革機構では、個別案件の支援決定ごとに記者会見を行っているほか、平成二十九年からは、半期に一回、機構全体の投資活動や収支状況などについて記者会見を行っています。また、最近では、株式売却案件の開示項目を見直し、全株式売却案件について新たな項目での開示を行うなど、積極的な情報開示に向けて不断の見直しを行ってきています。
 個別企業への投資の損益を開示することについては、投資対象企業への影響なども踏まえ、慎重に判断されるべき面もあると考えますが、経産省としては、情報開示の必要性と投資対象企業への影響の双方の観点を踏まえながら、産革機構の情報開示について適切な指導を行ってまいります。
 スピンオフに関する措置についてお尋ねがありました。
 今回の産業競争力強化法改正案において導入するスピンオフに関する会社法特例の適用に当たっては、従業員の地位を不当に害するものでないことを法律上の要件としており、具体的には、労働組合などとの協議による十分な話合いを行うとともに、雇用の安定に十分な配慮を行うことなどを求めることとしています。
 また、計画の認定を受けた事業者の責務として、労働者の理解と協力を得ることや、雇用の安定を図るため必要な措置を講ずることを定めております。
 これらの措置を講じていることから、今回の法改正により、労働条件に大きな影響を生じさせるスピンオフが促されるようなことはないと考えております。
 就業構造の転換への対応についてお尋ねがありました。
 日本経済の最大の弱点は人口減少と言われますが、人口の減少という弱点は、むしろアドバンテージになり得ると考えております。
 AIやロボットの活用により省人化が進展し、バックオフィス業務などが減少していく一方で、AIやデータを活用した新たな商品企画などの新たな雇用ニーズが生み出されていくことが想定されます。そういった観点から、こうした就業構造の転換に対応した人材育成や成長分野への労働移動が必要となります。
 このため、経産省では、第四次産業革命の進展に伴い重要性が増す、データサイエンスやセキュリティーといった領域ごとのITスキル標準の策定や領域の追加を行っていきます。
 さらに、IT・データ分野における社会人の学び直しを促進する第四次産業革命スキル習得講座認定制度を平成二十九年七月に創設いたしました。ことし一月に、第一回の認定として、AIやデータサイエンス、製造業におけるIT利活用など二十三講座を認定したところです。
 これらの取組を通じて、第四次産業革命の進展に対応した人材育成や成長分野への労働移動を促進してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
#20
○副議長(赤松広隆君) 太田昌孝君。
    〔太田昌孝君登壇〕
#21
○太田昌孝君 公明党の太田昌孝です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました生産性向上特別措置法案並びに産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について、世耕経済産業大臣に質問をいたします。(拍手)
 IoT、ビッグデータ、人工知能など、第四次産業革命による急速なイノベーションの社会実装が世界じゅうで発展する中、我が国においても、産業の新陳代謝の活性化等を通じて潜在成長率を高め、国際競争力の維持向上に向けた環境整備を進めることが喫緊の課題となっています。
 公明党は、昨年十一月に、潜在成長力を高める生産性革命の実現に関する提言を取りまとめ、中小企業の生産性向上やイノベーション推進のための環境整備を強力に推進するよう政府に提案し、この提案内容の多くが、昨年末に策定された新たな経済政策パッケージに反映をされました。
 政府が二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間と位置づけているように、スピード感を持って生産性の向上に取り組まなければなりません。
 このたび提出された二法案は、こうした生産性革命の実現に必要な新技術の社会実装やデータの共有、連携、中小企業の生産性向上のための設備投資を集中的かつ一体的に進めるとともに、事業再編や外部経営資源の活用などを通じた我が国産業の持続的な発展を図るために必要な施策が盛り込まれているものと認識をしております。
 以下、二法案の主要項目に沿って、具体的に質問いたします。
 初めに、規制のサンドボックス制度について伺います。
 今国会では、本法案に盛り込まれている企業が提案した実証実験の規制を期間限定で緩和するプロジェクト型のサンドボックスと、内閣府提出の国家戦略特区法改正案に盛り込まれた自動走行やドローン、電波利用など新技術の実証試験を特区内で行う地域限定型の二種類のサンドボックス制度が提案をされております。
 二種類のサンドボックス制度を進めるに当たっては、内閣官房に一元的な相談窓口を設置することとしております。事業者に寄り添い、迅速な実証を進めるためにも、その役割が大変重要になります。一元的な相談窓口が担う役割や機能について改めて確認するとともに、相談体制の充実のための人員確保や体制整備についてお伺いいたします。
 次に、データの共有や連携のための支援について伺います。
 本法案では、産業界における競争力強化や社会課題の解決に向けた高度なデータ利活用を促進するため、協調領域におけるデータの収集、活用等を行う民間事業者の取組を支援する制度が盛り込まれております。データの利活用に当たっては、データを活用する企業の情報の安全管理が極めて重要となりますが、この点については、どのような仕組みでセキュリティーの確保を図るのか、また、そのために必要なIT人材等の養成、確保策についてもあわせてお伺いをいたします。
 続いて、中小企業、小規模事業者の支援について伺います。
 本法案には、中小企業の生産性向上を支援する設備投資の促進が盛り込まれております。これは、今般の税制改正で我が党としても特に訴えてきた、固定資産税の課税標準を市町村が条例で定める割合に軽減できる特例措置があります。三年間で二分の一から最大ゼロにすることができるので、中小企業の設備投資を後押しするとともに、生産性向上を推し進めるためには、特例率をゼロにしていただく必要があります。
 その中で、固定資産税については、市町村の基幹税でもあり、減収になるのではないかという不安の声もあります。しかしながら、基準財政収入額の減少額については、不交付団体は対象外となりますが、税収額の七五%は地方交付税により補填されることとなっております。また、これにより新たな設備投資が促されることになるから、集中期間が終了して以降も、中長期で見るならば、市町村にとって税収増につながり得るものと考えます。
 また、我が党として、ものづくり補助金やIT導入補助金の拡充を訴え、二十九年度補正予算において大幅に拡充されました。ただし、これらの補助金の優先採択を受けるには、事業所のある市町村が固定資産税の特例率をゼロにする表明をしていることや、事業者の皆様が本法案に規定された先端設備等導入計画を策定する意思表明をすることが条件となります。
 ものづくり補助金については、既に一次公募が開始されております。実際に市町村が条例を策定するのは六月議会になると想定されますが、より多くの中小企業、小規模事業者の皆様が、ものづくり補助金を始めとする補助金の優先採択が受けられるよう、市町村が意欲的に取り組むことが重要です。
 本日公表されると伺っております市町村向けのアンケート調査とともに、現在行われている固定資産税の特例制度普及に向けた説明会の中で詳細な説明と周知徹底を求めますが、御見解を伺います。
 続いて、中小企業支援に関連して、産業競争力強化法の一部改正案について質問をいたします。
 中小企業の経営者の高齢化が深刻化する中、大廃業時代に備え、再編統合による事業承継の加速化も重要な課題です。
 本法案には、生産性向上を支援する経営力向上計画の対象にMアンドA等による事業承継を伴うものを追加し、税制優遇や法的な許認可の引継ぎ等の支援を講ずることが盛り込まれました。MアンドA市場を活性化し、円滑な事業承継を進める観点から、売り手側、買い手側の双方にとってどのようなメリットがあるのか、具体的に御説明ください。
 また、中小企業の生産性向上に必要なITの利活用を促進するため、このたび、ITベンダー等を情報処理支援機関として認定する制度が盛り込まれていますが、そもそも中小企業からは、どのようなITツールに効果があるのかよくわからないとの声も聞かれます。
 そこで大切なことは、こうしたツールの利用を希望する企業に対して、適切な情報提供や導入後の継続的なフォローアップなどがこの情報処理支援機関からしっかりと行われるのか、また、こうしたIT導入支援については、公明党の推進で二十九年度補正予算に盛り込まれたIT導入補助金の周知、活用をあわせて行う取組が重要であるとともに、セキュリティー対策を含めた適切な情報処理支援機関の認定について、どのような仕組みで質の確保を図るのか、お聞かせください。
 我が国において、特に企業数の九九%以上を占める中小企業がIT投資を積極的に行い、生産性を向上させていくことが、地域経済を元気にしていく上で極めて重要であります。
 以上のとおり、本法案については、我が国の新たなイノベーション創出とともに、中小企業の生産性向上に必要不可欠な法案であることを訴えて、私の質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#22
○国務大臣(世耕弘成君) 太田議員にお答えいたします。
 規制のサンドボックスにおける一元的相談窓口についてお尋ねがありました。
 規制のサンドボックスである新技術等実証制度は、法律上は、事業所管大臣及び規制所管大臣に申請することとしていますが、事業者にとって、実施しようとする実証が分野横断的かつ複雑である場合や全く新たな分野のビジネスである場合は、主務大臣の特定が困難、そして主務大臣が複数の場合、申請先が多く手続が煩雑になるといった点が課題となります。
 そこで、新技術等実証をスピーディーに進めるため、事業者の提案を広く一元的に受け付ける窓口を内閣官房に設けることを予定しております。
 一元的窓口では、民間事業者に対する事前相談をきめ細かく行うとともに、事業者が提案する新技術等実証に関する規制などについて弁護士が法的な論点を整理するなど、適切に助言を行う仕組みを用意する予定です。
 なお、御指摘の国家戦略特区において実施される地域限定型サンドボックス制度とも戦略的に連携すべく、一元的窓口において、事業者からの提案のうち、特区を活用する方が適切な場合にはそちらを推奨するなど、適切に割り振り、事業者の取組を政府横断的に応援する体制を構築してまいります。
 データ共有事業認定制度におけるセキュリティー確保策及びこれらを担うセキュリティー人材施策についてお尋ねがありました。
 当該データ共有事業を行う事業者に対しては、一定のサイバーセキュリティー対策を要件に、データの連携、利活用のための投資に対する税制措置を講じます。さらに、行政機関等のデータの提供を受けようとする者については、主務大臣が、情報処理推進機構等の専門機関による調査も活用し、国が定めるセキュリティー基準への適合を確認することとしています。
 さらに、経産省では、データ共有事業にとどまらず、幅広い分野においてセキュリティーを確保するために必要となるIT人材の育成、確保のため、サイバーセキュリティー分野初の国家資格である情報処理安全確保支援士制度の導入、普及や、情報処理推進機構に設立した産業サイバーセキュリティセンターにおける重要インフラ、産業基盤のサイバーセキュリティー対策の中核人材育成といった施策を総合的に行っており、こうした取組を強化してまいります。
 固定資産税の特例措置の周知活動についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、本法案において、自治体の判断により固定資産税をゼロにする新たな制度を導入することとしております。
 固定資産税の特例については、これまで、三月末時点で三百七十二の市町村に経産省職員が実際に足を運ぶとともに、全国で四十回以上の説明会を開催し、合計で千百四十三の市町村に対して、直接新制度について説明を行ってきており、その中で、市区町村が策定する導入促進基本計画の趣旨や記載内容等についてお伝えしているところです。
 また、今後は、中小企業、小規模事業者が固定資産税の特例を受けるために作成していただく先端設備等導入計画について、税理士等の専門家や金融機関なども含む認定経営革新等支援機関にしっかりとサポートしてもらうとともに、事業者向けの説明において記載例や様式を提示するなど、丁寧な周知徹底を行ってまいります。
 経営力向上計画の対象拡大についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、事業承継問題は待ったなしの課題です。経産省において平成二十七年度に行ったアンケート調査では、五年間で、事業承継が行われた企業のうち、親族外承継の割合は六六%となっており、近年増加傾向にある親族外承継をMアンドAを通じて活性化させることが重要な課題と認識しています。
 今回の法案において、中小企業等経営強化法を改正し、MアンドAの際に負担となる登録免許税及び不動産取得税の軽減措置や法的な許認可の引継ぎの特例措置等を盛り込んでいるところです。
 こうした措置により、中小企業がMアンドAを実施する際のコストが下がることが期待され、売り手側、買い手側の双方に対してMアンドAの実施を後押しすることができると考えています。
 なお、法案に盛り込んだ措置に限らず、平成二十九年度補正予算において、MアンドAを実施した後の後継者による新しいチャレンジを応援する補助金を盛り込むなど、支援策を総合的に実施することで、MアンドAを通じた中小企業の事業承継を強力に後押ししてまいります。
 IT導入支援についてお尋ねがありました。
 IT導入補助金を平成二十九年度補正予算で五百億円確保し、約十三万社を直接支援するとともに、IT導入補助金等を通じて得られたITツールの効果やITベンダーによるサポートの実績に係る情報を収集し、関係省庁や支援機関を幅広く結集させた中小サービス等生産性戦略プラットフォームを通じて全国的に公表、展開してまいります。
 さらに、中小企業から、どのツールに効果があり、安全に利用できるかがわからないといった声も踏まえて、今回の法案では、中小企業の生産性向上に資するITツールを提供するITベンダー等を情報処理支援機関として認定する制度を創設し、中小企業がITベンダーを選ぶ際に、各ベンダーが提供するITツールやセキュリティー対策、第三者認証の取得状況といった情報の提供がなされる仕組みを構築することとしています。
 また、認定情報処理支援機関に対して、情報処理推進機構がサイバーセキュリティーに関する情報を提供し、中小企業基盤整備機構が専門家派遣を行うことで、中小企業にとって安全で使いやすいITツールの開発を促すこととしています。
 こうした取組により、中小企業のIT導入を後押ししてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○副議長(赤松広隆君) 菊田真紀子さん。
    〔菊田真紀子君登壇〕
#24
○菊田真紀子君 無所属の会の菊田真紀子です。
 私は、無所属の会を代表し、ただいま議題となりました生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法改正法案について質問いたします。(拍手)
 第二次安倍政権の発足から五年が経過しました。この五年間、政権は看板政策のかけかえを続けてきました。アベノミクスの三本の矢から始まり、女性活躍、地方創生、一億総活躍、新三本の矢と続き、今国会では働き方改革を目玉とし、人づくり革命、そして本法案の目的でもある生産性革命をうたっています。
 しかしながら、次々と看板を掲げるだけで、具体的な成果が伴っていないものが多く見受けられます。待機児童ゼロや基礎的財政収支の目標は先送りとなり、いまだに政府はデフレ脱却を宣言できていないことが何よりの証左であります。
 昨年の通常国会で成立した法律に、企業立地促進法の一部を改正する法律、通称地域未来投資促進法があります。地域の未来を明るくする投資を促進する法律、名前は確かに立派です。法案が審議された経済産業委員会で、同僚議員からきらきらネーム法案だと指摘されました。当時、私は、実効性には懸念を持ちながらも、少しでも地域経済によい影響を与えるのであればと法案に賛成をしました。しかしながら、法律が成立、施行されても、私の地元新潟を始め、地域社会は明るい未来が見えるようになったという話は全く聞こえてきません。
 この地域未来投資促進法が施行され、地域に明るい未来が見えるようになったのですか。いたずらに看板のかけかえを続けるのではなく、打ち出した施策、取組を一つ一つ実直に実行していくことの方が重要とは考えないのでしょうか。経済産業大臣、明確にお答えください。
 次に、生産性向上特別措置法案において講じられている革新的な技術やビジネスモデルの実証計画について、主務大臣が認定すれば、事業者が既存の規制にとらわれることなく実証できる環境を整備する規制のサンドボックスについて伺います。サンドボックスとは、砂箱、砂場という意味であります。
 現在、安倍政権に対する国民の信頼が大きく揺らいでいます。安倍昭恵総理夫人が名誉校長を務めた森友学園問題における財務省の文書改ざん問題が大きな要因であります。また、加計学園、スーパーコンピューターの助成金不正受給問題も、政権中枢に近い、いわゆるお友達の方々が関与した問題です。特に、加計学園の問題では、地域限定で規制の特例措置を適用する国家戦略特区という、規制の特例措置を講じるという点では、この規制のサンドボックスと非常に類似した制度が活用されていました。
 規制のサンドボックス、日本語に訳せば規制の砂場が、政権中枢に近い人に便宜を図る、言いかえれば、お友達が砂場遊びをするための砂場になることは決して許されません。この規制のサンドボックスによって、権力の中枢にいる人たちの個人的に近しい人間が便宜を得ることはないと断言できますか。公平性や透明性が担保できると約束できますか。経済産業大臣、お答えください。
 本法案のその他の論点について、詳細は委員会の場で議論させていただきますが、一見すると、いずれの措置も、生産性が飛躍的に向上する、革命が生じるものとは到底見受けられません。この法案で本当に生産性に革命が生じるのか、経済産業大臣、端的にお答えください。
 最後に、これまでの看板政策の書きかえと同じように、またもや生産性革命法というきらきらネーム法案の看板を掲げて国民の目をくらませる手法ではなく、地域経済、中小企業の現場に目を配り、一歩ずつ着実に進めていくよう、政策実現のやり方を根本から転換していただくよう強くお願い申し上げ、私の代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#25
○国務大臣(世耕弘成君) 菊田議員にお答えいたします。
 地域未来投資促進法についてお尋ねがありました。
 地域未来投資促進法は、従前の企業立地促進法の課題を踏まえ、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域経済への波及効果が多い事業を地域経済牽引事業として、サービス業等の非製造業を含めて、予算、税制、金融、規制緩和等の政策手段を総動員して重点的に支援していくこととしています。
 昨年七月末の法施行以降、地域未来投資促進法に基づき、これまでに国は、地方自治体が作成した幅広い分野を対象とする百八十五の基本計画に同意をしています。また、道府県から、三月末までに四百三十三件の地域経済牽引事業計画を承認したとの報告を受けています。
 国としては、地方自治体における基本計画の目標に対する進捗状況を取りまとめ、フォローアップを行うなど、今後、PDCAサイクルをしっかりと回しながら、それぞれの地域の強みを生かした地域経済牽引事業が全国津々浦々で展開され、経済波及効果が着実に生じるよう、地域の取組を支援してまいります。
 規制のサンドボックスについて、制度の公平性や透明性に関してお尋ねがありました。
 個別の実証計画については、主務大臣のうち、実証による革新的な事業計画を推進する観点から事業所管大臣が、当該実証に関する規制に違反しないことなどを当該規制を所管する大臣が、それぞれ判断した上で認定することとしており、認定の内容は直ちに公表されます。
 また、主務大臣は、適切な認定の判断に当たっては、革新的事業活動評価委員会による専門的かつ客観的な観点からの意見を聞くこととしております。
 その際に、評価委員会においては、委員に直接の利害を有すると考えられる議題が上がる場合にはその委員は審議に参加しないなど、公平性に疑念を抱かれないよう運用を工夫します。また、営業上の秘密を除き、会議又は議事録を速やかに公開することにより、議事内容の透明性を確保してまいりたいと考えております。
 生産性向上特別措置法案による生産性向上の効果についてお尋ねがありました。
 生産性向上特別措置法案においては、規制のサンドボックス制度の創設、革新的データ産業活用計画の認定制度の創設、中小企業の先端設備等導入計画の認定制度の創設の三つの措置だけではなく、政府は、生産性向上に向けた事業者の取組を支援するための施策を集中的に実施するための実行計画を策定することとしております。
 この実行計画には、経営改革の促進や研究開発の推進など事業環境の整備、人材の確保の円滑化など、国が実施に努めることが規定されている施策を始めとして、生産性革命を実現するための施策を幅広く盛り込むことを予定しております。
 これらに加えて、昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージにおいては、法律のみならず予算や税制も含めて、あらゆる施策を総動員していくこととしております。
 このように、本法案とその他の施策を総動員して、生産性向上等のための施策を一体的に推進することにより、生産性革命の実現に万全を期してまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(赤松広隆君) 笠井亮君。
    〔笠井亮君登壇〕
#27
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、生産性向上特別措置法案及び産業競争力強化法等改正案について質問します。(拍手)
 本法案は、未来投資戦略や新たな経済政策パッケージをもとに、我が国の産業と就業構造をAI、人工知能やIoTなどの進展に対応させるとして、異次元の構造改革と規制緩和を推進するものです。
 しかし、この二十年間の構造改革と規制緩和が何をもたらしたか。
 法案の前身である九九年の産活法は、株主価値を最優先する大企業のリストラ、人減らしを応援するため、減税や企業再編の特例を講じてきました。安倍政権はそれを、企業が世界で一番活躍しやすい国を目指すとして、拡充強化してきたのであります。
 その結果、自動車、電機などの大企業は世界的な多国籍企業に成長し、史上空前の利益を上げ、内部留保は四百兆円を超えました。
 一方、労働者の実質賃金はマイナスを続けています。労働生産性の向上は、賃金の上昇に結びついてこなかったのではありませんか。
 多国籍企業の競争力強化は、結局、格差と貧困の拡大をもたらしただけです。その上、相次ぐ労働法制改悪で、物づくりの基盤をも掘り崩したではありませんか。反省もなく、この道を更に突き進むのですか。答弁を求めます。
 三点質問します。
 第一に、いわゆるサンドボックスについてです。
 これは、企業が行うあらゆる分野の実証実験について、現行法の規制を一時停止、凍結したもとでの実施を可能とするものです。
 イギリスなど先行国では、フィンテックを活用した金融分野で導入されています。日本版サンドボックスには、なぜ分野の限定がないのですか。生命、健康の侵害を防止する安全措置の義務づけがなければ、最悪の場合、人命を損ないかねません。
 自動走行の実用化に向けた実証が行われていますが、アメリカで発生したウーバーやテスラ社の死亡事故のようなことがあってはなりません。答弁を求めます。
 第二に、ビッグデータの利活用の問題です。
 インターネットでの情報検索やSNSの利用を通じて発信されたあらゆる個人データが、市場を独占するグーグルやフェイスブックなど米IT企業のもとに吸い上げられています。
 EUでは、人間の尊厳の観点から、プライバシー権や個人情報の自己コントロール権を保障する一般データ保護規則が来月施行されます。ナチスにより収集された個人情報が濫用されアウシュビッツの悲劇をもたらした痛苦の反省と教訓が刻まれています。
 ところが、日本では、新産業づくりを優先し、行政機関が持つ個人データを匿名加工等を条件に民間開放する法制度がつくられました。大量の情報のひもづけにより個人の特定につながるもので、これ自体が問題です。
 本法案は、さらに、認定事業者が国や独法等に対してデータ提供を要請できる仕組みまでつくろうとするものです。提供するデータには匿名加工などの処理がなされるのか、プライバシーに対する深刻な懸念があります。なぜEUのような権利保障に踏み出さないのですか。答弁を求めます。
 第三に、新たなIT技術は、労働時間の短縮と人間の自由獲得にこそ活用すべきです。
 AI導入を口実に、メガバンクは三万人もの大リストラを計画しています。新たな技術を大資本のもうけの道具にしてはなりません。
 また、政府が雇用関係によらない働き方を推奨していることも重大です。企業のもとで働く個人をフリーランスや請負にすることで、労働時間や最低賃金、残業代、有給休暇など労働者保護の対象から外そうとするものであり、断じて許されません。
 明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#28
○国務大臣(世耕弘成君) 笠井議員にお答えいたします。
 労働生産性の向上と賃上げの関係など、安倍政権の経済政策に関するお尋ねがありました。
 一九九〇年代後半以降、長く続いていたデフレにより、賃金上昇が抑制されてきました。
 第二次安倍政権発足以降の三本の矢の政策によって、今世紀以降最も高い賃上げが五年連続で実現しつつあります。
 今後も持続的な賃上げを実現していくためには、労働生産性の向上が不可欠です。
 そのため、昨年十二月に、生産性革命実現のための施策を新たな経済政策パッケージとして取りまとめ、生産性向上特別措置法案と産業競争力強化法改正法案を今国会に提出しているところであります。
 規制のサンドボックスの対象分野と安全性の確保についてお尋ねがありました。
 第四次産業革命が進展する中、さまざまな分野で、IoTや人工知能を活用した新たな技術やビジネスモデルの社会実装による構造変化が起きています。このため、規制のサンドボックスである新技術等実証制度においては、特定の分野に限定せず、第四次産業革命に代表されるような新技術やビジネスモデルの実用化に向けた社会実証を広く制度の対象としております。
 実証に当たって、生命や身体の安全が重要であることは言うまでもありません。新技術等実証制度では、実証期間、実証場所、実証方法を限定し、参加者の同意を得ること、実証実験の管理監督を行うことなど、実証を適切に実施するために必要となる措置を講じることを求めており、仮に自動走行の実証が提案された場合にも、主務大臣は、こうした措置が適切に講じられていることなどを確認した上で認定することになります。
 実証の実施段階においても、仮に、事業者が認定を受けた実証計画に従って実証を実施していないと認められる場合には、主務大臣は認定を取り消すこととしております。
 このような手続を講じ、個別の計画ごとに必要な措置が講じられているかを的確に判断してまいります。
 生産性向上特別措置法に基づく公的データの提供についてお尋ねがありました。
 この制度で提供されるのは、主には、地図データ、衛星データなど、個人情報以外の産業データを想定しています。
 公的データの提供に当たっては、当該データを保有する行政機関などが、データ提供そのものの必要性及び他の法令に違反するおそれがないかなどを踏まえ、その可否を判断することが前提となります。
 そのため、個人情報に該当するデータについては、全ての個人情報について個別に本人同意を得ることや、特定の個人が識別できないよう加工した非識別加工情報の提供の仕組みも含め、行政機関等個人情報保護法の規律に従うことになります。
 フリーランスなど、雇用関係によらない働き方についてお尋ねがありました。
 人生百年時代においては、働き手のニーズや価値観に応じて、時間や場所にとらわれない、多様で柔軟な働き方を実現すること、それによって働き手一人一人の能力を最大限に引き出すことがますます重要となります。
 経産省では、一昨年から昨年にかけ、有識者による、「雇用関係によらない働き方」に関する研究会を開催し、実態の把握と課題の整理を行いましたが、これはあくまでも働く個人一人一人のニーズに即した選択肢としての位置づけであって、企業に雇用されている人材を無理にフリーランスにするといった趣旨では全くありません。
 引き続き、厚労省などの関係省庁とも連携し、多様で柔軟な働き方の環境整備に取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕
#29
○国務大臣(加藤勝信君) 笠井亮議員より、二問御質問を頂戴いたしました。
 労働生産性の向上や賃上げについてのお尋ねがありました。
 安倍内閣が進めている政策は、成長により富を生み出し、それが国民に広く均てんされ、多くの人たちがその成長を享受できる社会を実現していこうというものであります。そして、格差が固定化しない、同時に、許容し得ない格差が生じない社会の構築を目指しております。
 賃金については、足元の実質賃金を見ると、二〇一六年に前年比プラス〇・七%の伸びとなった後、二〇一七年については、名目賃金が引き続きプラスとなった一方で、エネルギー価格の上昇などから前年比マイナス〇・二%となっております。
 他方で、名目賃金を見ると、賃上げについて、本年の春季労使交渉においても多くの企業で五年連続となるベースアップが行われ、その水準も、大半で昨年を上回っております。パートで働く方々の時給は統計開始以来最高の水準となっています。こうしたことなど、正規の方、非正規の方それぞれで所得環境の改善が進んでおります。
 また、貧困と格差について、相対的貧困率はこれまで長期的に上昇傾向となっておりましたが、政権交代後、雇用が大きく増加するなど、経済が好転する中で改善に転じました。今後とも、こうした賃上げの流れが波及し、相対的貧困率の改善が持続できるように取り組んでまいります。
 労働法制については、時々の経済社会情勢に応じて、労使の議論を経て、不断の見直しを行ってきたものと承知をしております。
 今般の働き方改革は、少子高齢化、人口減少といった我が国の構造的な課題に立ち向かい、働く方の立場に立って、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための改革であり、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、同一労働同一賃金の実現などに取り組んでまいります。
 雇用関係によらない働き方についてのお尋ねがありました。
 厚生労働省としては、非雇用型テレワークを始めとする雇用類似の働き方が拡大している現状に鑑み、働き方改革実行計画に基づき、いわゆるフリーランスなどの雇用類似の働き方について、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討していくこととしております。企業のもとで働く個人を労働者保護の対象から外そうといった趣旨での検討ではございません。
 また、現行においても、契約形態にかかわらず、労働者としての実態があれば労働関係法令に基づき保護しており、引き続き適切に対応してまいります。(拍手)
    〔国務大臣野田聖子君登壇〕
#30
○国務大臣(野田聖子君) 笠井議員にお答えいたします。
 本法案に基づくデータ提供の要請についてお尋ねがありました。
 本法案に基づくデータ提供の要請は、既存の法令で許容される範囲内でデータを提供するための手続を定めるものと承知しており、個人情報に該当するデータについては、非識別加工情報の提供の仕組みも含め、行政機関等個人情報保護法等の規律に従うこととなります。
 行政機関等が保有する個人情報については、個人の権利利益を保護するため、行政機関等個人情報保護法に基づき適切に取り扱うこととしており、本法案により、こうした規律に反して個人情報が提供されることになるものではないと考えます。(拍手)
#31
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#32
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       総務大臣     野田 聖子君
       法務大臣     上川 陽子君
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
       経済産業大臣   世耕 弘成君
 出席副大臣
       経済産業副大臣  西銘恒三郎君
ソース: 国立国会図書館
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