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2018/04/27 第196回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第196回国会 本会議 第22号
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2018/04/27 第196回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第196回国会 本会議 第22号

#1
第196回国会 本会議 第22号
平成三十年四月二十七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  平成三十年四月二十七日
    午後一時開議
 第一 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(大島理森君) 日程第一、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長高鳥修一君。
    ―――――――――――――
 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔高鳥修一君登壇〕
#4
○高鳥修一君 ただいま議題となりました生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、生活困窮者等の一層の自立の促進を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、就労準備支援事業及び家計改善支援事業を実施する努力義務の創設等、生活困窮者に対する包括的な支援体制を強化すること、
 第二に、大学等に入学する生活保護世帯の子供に対して、進学準備給付金を支給すること、
 第三に、貧困ビジネス対策として無料低額宿泊所に対する規制を強化すること、
 第四に、児童扶養手当の支払い回数を年三回から年六回に見直すこと
等であります。
 本案は、去る三月三十日の本会議において趣旨説明が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、同日加藤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、四月四日から質疑に入り、二十四日には、参考人から意見を聴取した後、台東区の無料低額宿泊所等を視察するなど審査を行い、翌二十五日に質疑を終局いたしました。次いで、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(大島理森君) 起立総員。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#7
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣加藤勝信君。
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕
#8
○国務大臣(加藤勝信君) ただいま議題となりました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 急速に少子高齢化が進展する中において、働く方の働き方に関するニーズはますます多様化しており、非正規雇用で働く方の待遇を改善するなど、働く方がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現することが重要です。このことは、働く方の就業機会の拡大、職業生活の充実や労働生産性の向上を促進し、働く方の意欲や能力を最大限に発揮できるようにし、ひいては日本経済における成長と分配の好循環につながるものであります。また、過労死を二度と繰り返さないため、長時間労働の是正が急務です。
 このような社会を実現する働き方改革を推進するため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、働き方改革を総合的かつ継続的に進めていくため、その基本的な考え方を法律上明らかにするとともに、国が労働に関する施策の基本的な方針を策定することとしています。
 第二に、働く方がその健康を確保しつつ、ワーク・ライフ・バランスを図り、能力を有効に発揮できる労働時間制度等を構築します。
 具体的には、長時間労働を抑制するため、時間外労働に上限を設け、これに違反した場合には罰則を設けるほか、月六十時間を超える法定時間外労働に係る五割以上の割増賃金率の中小企業主への適用猶予の廃止や、年五日の年次有給休暇の時季指定の事業主への義務付け等を行うこととしています。
 また、高度な専門的知識等を要する対象業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有するとともに職務が明確に定められている方を対象として、法令に定める手続を経た上で、労働時間等に関する規定を適用除外とする一方、年間百四日の休日確保等の健康確保措置を義務付ける新たな制度の創設を行うとともに、フレックスタイム制の清算期間の上限について一箇月から三箇月に延長することとしています。
 さらに、勤務間インターバルの努力義務の創設や、産業医・産業保健機能の強化等を行うこととしています。
 第三に、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指します。
 具体的には、短時間労働者、有期雇用労働者及び派遣労働者について、不合理な待遇や差別的取扱い等を禁止するとともに、通常の労働者との間の待遇の相違の内容、理由等を説明することを事業主に義務付けるほか、行政による裁判外紛争解決手続の整備等を行うこととしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十一年四月一日としています。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。堀内詔子君。
    〔堀内詔子君登壇〕
#10
○堀内詔子君 自由民主党の堀内詔子です。
 本日、初めてこの本会議場で登壇の機会をいただきましたことを心から厚く御礼申し上げます。(拍手)
 ただいま議題となりました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案につき、自由民主党を代表して質問をさせていただきます。
 御案内のように、少子化の進展により、我が国の人口は減少局面に入っております。一方で、働く側は育児や介護などさまざまな事情を抱え、働き方に関するニーズは多様化しております。
 こうした中、働く方々、働きたい方々の御希望にしっかりと応え、成長と分配の好循環を実現していくためには、誰もがそれぞれの事情に応じた形で働き、最大限に能力を発揮できる社会、いわば、働き方における個性、多様性を尊重する社会をつくることが何よりも必要です。
 このような社会の実現に向け、働き方改革は不可欠な改革であり、これまで、安倍総理と労使トップが参画された働き方改革実現会議、そして与党の中でも議論が重ねられてまいりました。
 安倍総理のリーダーシップのもと、政府・与党、労使が議論と合意を積み重ねてまとめましたこの七十年ぶりの大改革の法案は、今国会の最重要法案であり、国会の厳粛な責務として、十分に審議、議論し、結論を出さなければなりません。このことを本日御欠席の方々にも申し上げたいと思います。
 そこで、まず、時間外労働の上限規制についてお尋ねします。
 人は生きるために働くのであって、働くために生きているわけではありません。青天井と言われてきました時間外労働につき、強制力のない大臣告示による指導にかえ、法律による上限を設けることは、過労死ゼロに向けた大きな大きな前進です。また、これまで指導から除外されてきた業務などにつきましても、猶予期間を設けた上で、法律による上限を課す内容となっており、相当困難な調整を経た上で実効的な内容になっていると評価いたします。
 そこで、上限時間の考え方や現行の適用除外業務にも適用することの意義について、まず安倍総理にお尋ねいたします。
 次に、高度プロフェッショナル制度についてお尋ねします。
 この制度は、高度専門職の方々がみずから希望する場合に、あらかじめ明確に取り決めた職務につき、仕事の進め方などをみずから決定して働くことを選択できる制度です。御本人の能力発揮やイノベーションを生み出す観点からも必要な制度だと思います。
 一方で、長時間労働になって健康を損なうのではないかとの御不安や御懸念を抱かれている方もいらっしゃいます。しかし、この制度は、あくまで、自律的な働き方のできる一部の高度専門職で高い年収の方が希望する場合に限られ、連合からの要請も取り込み、しっかり休日をとる仕組みにするとともに、健康確保の措置も手厚く設けられ、健康に万全を期したものとなっております。
 そこで、この制度の創設意義、選択できる方の要件と健康確保の仕組みについて、国民の皆様方にわかりやすい御説明を厚生労働大臣にお願いいたします。
 次に、同一労働同一賃金についてお尋ねいたします。
 安倍総理は施政方針演説におきまして、非正規という言葉をこの国から一掃すると力強く語られました。子育てや介護など、さまざまな事情を抱える方々が、雇用形態にかかわらず意欲を持って働くことができる、そういう社会の実現のためにも、ぜひ今回の法案を成立させる必要があると思っております。
 そこで、今回の法案に盛り込まれている同一労働同一賃金の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保のための改正の意義について、厚生労働大臣にお尋ねします。
 もう一つ大事な視点は、働き方改革に取り組む中小企業、小規模事業者の方々への支援です。我が国の雇用の七割を担う中小企業、小規模事業者で取組を進めていただくためにはどのような環境整備が必要か、政府・与党の支援策の内容について、厚生労働大臣に伺います。
 最後に、働き方改革は最大のチャレンジであると力強くおっしゃられている安倍総理のこの法案成立に向けた強い意気込みを伺い、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 堀内詔子議員にお答えをいたします。
 時間外労働の上限規制についてお尋ねがありました。
 過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。
 時間外労働の上限規制については、私みずからが議長となり、労働界と産業界のトップにお集まりをいただいた働き方改革実現会議の場で計十回にわたり議論を行い、労使のトップが合意した働き方改革実行計画に基づき法案化したものです。
 今回、史上初めて、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を労使トップの合意により設けることになったことは、戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であり、大きな前進と考えております。
 具体的には、時間外労働規制の大臣告示を法定化することとし、時間外労働の上限は月四十五時間かつ年三百六十時間とします。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を別途設けることとします。
 また、業務の特性や取引慣行の課題があることからこの大臣告示の適用除外とされてきた自動車運転業務や建設事業についても、五年間の猶予を設けた上で上限を適用することとします。
 あわせて、それぞれの業種ごとに設置した関係省庁連絡会議において、取引条件の改善などの取引環境の適正化や労働生産性の向上の取組にも既に着手しており、これらの分野においても長時間労働の是正にしっかりと取り組んでいきます。
 法案成立への意気込みについてお尋ねをいただきました。
 安倍政権は、高齢者も若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んでおり、その最大のチャレンジが働き方改革です。
 高度成長時代の猛烈社員のように、長時間働いたことを自慢するような社会は、根本から改めなければなりません。今回、史上初めて、労働界と産業界のトップの合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けます。長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者が仕事につきやすくなり、男性も子育てを行う環境が整備されます。
 また、同一労働同一賃金の実現により、雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、非正規という言葉をこの国から一掃してまいります。
 さらに、高い交渉力を有する高度専門職に限って、健康を確保しつつ、自律的な働き方を可能とする制度として、高度プロフェッショナル制度を創設します。
 子育て、介護など、さまざまな事情を抱える皆さんが、意欲を持って働くことができ、誰もがその能力を発揮できる、多様で柔軟な労働制度へと抜本的に改革します。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であり、これを実現する本法案の成立に向けて、安倍政権として全力を傾注してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕
#12
○国務大臣(加藤勝信君) 堀内詔子議員より、三問御質問いただきました。
 高度プロフェッショナル制度についてのお尋ねがありました。
 高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方をみずから選択することができる、高い交渉力を有する高度専門職に限って、自律的な働き方を可能とする制度であります。
 そのような方々に限って制度の対象となることを明確にするため、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められる業務に従事し、書面等による合意に基づき職務が明確に定められている労働者であって、労働契約により使用者から支払われると見込まれる一年間の賃金の額が、毎月決まって支給する給与の平均額を基礎として算定した額の三倍を相当程度上回る水準以上であることを法律上の要件としております。その上で、本人の同意がなければ制度は適用できません。
 また、働く方の健康を確保するため、一般の労働時間制度と比べてより直接的な措置をさまざま講じることとしております。
 具体的には、昨年七月に連合から総理宛てに要請いただいた内容を踏まえ、法律上の要件として、年百四日かつ四週当たり四日以上の休日取得を義務づけるとともに、健康管理時間の客観的な把握を義務づけた上で、インターバル規制及び深夜業の回数制限など、法律に規定する健康確保措置を選択して実施することとしております。
 これらにより、高度専門職の方で創造的な仕事を行う方について、健康を確保しつつ、効率的に成果を出す働き方が可能となると考えております。
 同一労働同一賃金についてのお尋ねがありました。
 今回政府が導入しようとしている同一労働同一賃金は、同一企業、団体における、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものであります。
 今回の法案においては、短時間労働者、有期雇用労働者及び派遣労働者について、不合理な待遇や差別的取扱い等を禁止するとともに、通常の労働者との間の待遇の相違の内容、理由等を説明することを事業主に義務づけるほか、行政による裁判外紛争解決手続の整備などを行うこととしています。
 今回の法案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の理由のない待遇差を埋め、自分の能力を評価されているという納得感や働くモチベーションを高め、労働生産性の向上にも資するものであります。
 これにより、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方の選択肢を待遇の差を気にすることなく選べる社会を実現してまいります。
 中小企業、小規模事業者への支援策についてお尋ねがありました。
 働き方改革は、女性、高齢者等の誰もが生きがいを感じられる一億総活躍社会実現の最大の鍵であり、我が国雇用の大宗を占める中小企業、小規模事業者において着実に取り組んでいただくことが重要と考えております。また、働き方改革は、中小企業等においても生産性の向上や人手不足解消に資する魅力ある職場づくりにつながると考えます。
 このため、厚生労働省として、中小企業庁とともに立ち上げた中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会における検討を踏まえ、全都道府県に働き方改革推進支援センターを設置し、中小企業、小規模事業者の個別相談に当たるとともに、労働基準監督署にも中小企業、小規模事業者の相談に対応する特別チームを編成するなど、相談体制を充実させることとしています。
 さらに、長時間労働の是正や同一労働同一賃金という働き方改革や、企業内の雇用管理の改善に中小企業、小規模事業者が取り組むに当たっての支援策として、時間外労働を縮減するため、生産性向上に資する機器の導入等を行う中小企業に対する助成、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を実施した中小企業に対する助成などを行うこととしております。
 引き続き、中小企業等が働き方改革に前向きに取り組むことができるよう、しっかりと取り組ませていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(大島理森君) 佐藤茂樹君。
    〔佐藤茂樹君登壇〕
#14
○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹です。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案につきまして質問をいたします。(拍手)
 二〇一二年末に第二次安倍内閣が発足してより五年四カ月。三本の矢と呼ばれる経済政策、地方創生、一億総活躍社会、そして人生百年時代構想と、我が国が直面する重要課題に対し、これまで政府・与党として真正面から取り組んできました。
 こうした一連の流れの中で、安倍総理は今国会を働き方改革国会と位置づけられています。働き方改革の意義や、これまで取り組んできた重要課題との関係性について、改めて安倍総理に確認をいたします。
 私は、公明党の一億総活躍推進本部事務局長、そして働き方改革実現推進本部事務局長として、本部長である石田政調会長のもと、党の提言の取りまとめに携わらせていただきました。
 これまで公明党は、一貫して、働く人の立場に立った働き方改革を主張し、政府にたび重ねて提言を行ってまいりました。時間外労働の上限規制や勤務間インターバル等により働く人の心身にわたる健康を守ることや、同一労働同一賃金の実現による非正規雇用労働者の処遇改善などです。
 こうした公明党の主張がどのように法案に反映されているのか、安倍総理の答弁を求めます。
 政府は、本法案の提出理由を、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するためとしています。
 労働者の視点に立ったときに、本法案によりどのように働き方改革が進むのか、法案の目的も含め、改めて安倍総理から国民への丁寧な説明を求めます。
 本法案の提出過程において、裁量労働制をめぐり大きな混乱がありました。裁量労働で働く人と一般労働者について異なる調査方法のデータを比較するなど、政府の対応は大変不適切であり、改めて猛省を促したいと思います。
 裁量労働制については、現行の対象業務の範囲などが遵守されるよう徹底するとともに、国民の疑念を払拭するため、早急に新たな調査を行い、実態を把握した上で、健康の確保も含めた制度の見直しを検討すべきです。
 裁量労働制をめぐる問題と今後の対応について、改めて加藤大臣の答弁を求めます。
 裁量労働制に関する改正は法案から削除されたものの、裁量労働で働く方も含め、働く人の健康の確保は極めて重要です。
 公明党は、みなし労働時間制の適用労働者や管理監督者も含め、労働時間の状況を把握する措置を法律で明確にするよう、本年三月十五日、政府に申入れを行いました。
 労働者の労働時間の状況の把握と健康確保について、公明党の提案を踏まえ、法案がどのように修正されたのか、加藤大臣の答弁を求めます。
 高度プロフェッショナル制度について伺います。
 時間ではなく成果で評価される働き方を希望する方のニーズに応えるため、本法案には、労働時間などの規定を適用除外とする高度プロフェッショナル制度が盛り込まれています。こうした働き方については、働く人の健康をしっかりと確保できることが大前提であり、また、その対象についても、本人の同意も含め、厳格に絞り込むことが必要です。
 法案の提出過程においては、昨年七月、日本労働組合連合会が官邸へ法案の修正を申し入れています。
 こうした経緯も踏まえ、高度プロフェッショナル制度に関し、どのように対象業務と対象労働者を絞り込み、働く人の健康が確保されるのか、改めて加藤大臣から国民への丁寧な説明を求めます。
 時間外労働の上限規制について伺います。
 過労死や過労自殺という悲劇を繰り返してはなりません。長時間労働の是正は喫緊の課題です。
 時間外労働の罰則つきの上限規制は、労働政策審議会等で労使の意見がまとまらず、長年の課題となってきました。今般、労働者側と使用者側の意見が一致し、法案に盛り込まれたことは、労働基準法七十年の歴史の中で歴史的な快挙と言えます。
 上限の水準について、月四十五時間、年三百六十時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも、年七百二十時間、単月百時間未満、複数月平均八十時間としています。
 その上でお尋ねいたしますが、一般的に過労死ラインと呼ばれる過労死の労災認定基準と比較したときに、この水準は妥当と言えるのか。また、上限いっぱいに働くのではなく、労使の取組により、時間外労働をできるだけ短くしていくことが重要だと考えますが、時間外労働の上限規制に関し、水準の妥当性や労使の取組について、加藤大臣の答弁を求めます。
 中小企業、小規模事業者の働き方改革について伺います。
 日本の雇用の約七割を占める中小企業、小規模事業者において、働き方改革を着実に進めることは重要な課題です。
 少子高齢化、人口減少が進む我が国において、特に中小企業、小規模事業者では人手不足が深刻となっています。
 時間外労働の上限規制への対応など、中小企業、小規模事業者の働き方改革を進めるに当たっては、こうした実態に十分配慮するとともに、長時間労働の是正や生産性の向上に向けて効果的な支援が求められます。
 中小企業、小規模事業者の働き方改革の取組を支援するため、人手不足の対応や、雇用管理の見直しや生産性向上のための支援をどのようにされるのか、中小企業、小規模事業者への配慮と支援について、加藤大臣の答弁を求めます。
 また、大企業の働き方改革により、中小企業、小規模事業者にしわ寄せが行かぬよう、取引条件の改善も進める必要があります。
 取引条件の改善や生産性や経営力向上の支援にどのように取り組まれるのか、世耕大臣の答弁を求めます。
 勤務間インターバル制度について伺います。
 長時間労働の是正に有効な施策の一つが、欧州で普及している勤務間インターバル制度です。これは、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保する制度であり、本法案では事業主に努力義務を課しています。
 その上で、制度のさらなる普及を図るため、労使の取組を促進するとともに、助成金の活用や好事例の周知を通じ、特に中小企業における制度の導入を力強く後押しすべきです。勤務間インターバル制度の普及促進について、加藤大臣の答弁を求めます。
 非正規雇用労働者の処遇改善について伺います。
 今月より、有期雇用で働く人が同じ企業で五年以上勤務すると無期雇用へ移行できる、いわゆる無期転換ルールが本格的に実施されています。公明党は、政府に対し、五年手前での雇いどめの防止や企業への積極的な情報提供など、同制度の円滑な施行を訴えてきました。政府においては、引き続き無期転換ルールに関する取組を徹底していただきたいと思いますが、加藤大臣の答弁を求めます。
 全労働者のうち非正規雇用が約四割を占める中、不本意に非正規雇用で働く人たちの正社員化や、同一労働同一賃金の実現など、非正規雇用労働者の処遇改善は喫緊の課題です。
 本法案には、不合理な待遇差を解消するための規定が設けられており、待遇に関する説明義務の強化や、行政による履行確保措置などが定められています。これらにより、具体的にどのように非正規雇用労働者の処遇が改善されるのか、安倍総理から国民への丁寧な説明を求めます。
 結びに、時間外労働の上限規制を始め、本法案は、七十年に及ぶ我が国の労働法制の歴史的な大改革であり、また、国民の生活に直結する重要な内容です。政府におかれては、国会での丁寧な説明を求めるとともに、審議を通じて国民の理解が深まることを期待し、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐藤茂樹議員にお答えをいたします。
 働き方改革の意義と位置づけについてお尋ねがありました。
 安倍内閣は、これまで、アベノミクス三本の矢、地方創生、人生百年時代を見据えた人づくり革命などに取り組んできています。これらの取組を進めることで安倍内閣が目指すのが、高齢者も若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現です。
 働き方改革は、一億総活躍社会の実現のための最大のチャレンジであり、働く人の視点に立って、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現していきます。
 働き方改革により長時間労働を是正すれば、女性、高齢者も仕事につきやすくなります。経営者はどのように働いてもらうかに関心を高め、労働生産性が向上します。働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段です。
 同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋めて、若者が将来に明るい希望が持てるようにすることによって、中間層が厚みを増し、より多くの消費につながってまいります。働き方改革は、アベノミクス三本の矢の三本目の矢である成長戦略そのものであります。
 働き方改革により多様な働き方を選択することができるようになれば、人生百年時代において、幾つになっても、誰にでも、学び直しと新たなチャレンジの機会を確保することができるようになります。
 安倍内閣として、働き方改革の実現に全力を尽くしてまいります。
 御党からいただいた提言についてお尋ねがありました。
 平成二十九年三月に、御党から、働く人の立場に立った働き方改革の実現に向けた提言をいただきました。
 その中では、労使が合意した場合であっても上回ることのできない時間外労働の上限を罰則つきで設けること、勤務間インターバル制度の導入について事業主に努力義務を課すこと、同一労働同一賃金により非正規労働者の処遇改善を図るため、労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備を行うことといった提言をいただきました。
 この御提言を踏まえて、政府においては、働き方改革実行計画を決定し、その内容を盛り込んだ働き方改革関連法案を提出させていただいています。
 御党から御提言いただいた、罰則つきの時間外労働の上限規制、勤務間インターバルの努力義務、同一労働同一賃金の実現に関する法整備については、この法案においてしっかりと明記させていただいたところであります。
 法案の提出理由についてのお尋ねがありました。
 働き方は、日本の企業文化そのものであり、日本人のライフスタイル、働くということに対する考え方に根づいたものと考えます。長時間労働についても、その上に、さまざまな商慣行や労働慣行ができ上がっています。それゆえ、多くの人が働き方改革を進めていくことは、ワーク・ライフ・バランスにとっても、あるいは生産性にとってもよいと思いながら、実現できなかったものです。もはや先送りは許されません。
 今回、史上初めて、労働界と産業界のトップの合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けます。長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者が仕事につきやすくなり、男性も子育てを行う環境が整備されます。
 また、同一労働同一賃金の実現により、雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、非正規という言葉をこの国から一掃してまいります。
 人生百年時代においては、新卒で皆が一斉に会社に入り、その会社一社で勤め上げて、定年で一斉に退職して老後の生活を送るという単線型の人生は、時代に適合しなくなっています。それを一斉にみんなで送るということではなく、一人一人のライフスタイルに応じたキャリア選択ができるようになるべきと考えています。
 私の目指す働き方改革は、誰もが、幾つになっても、学び直しをしながら、新たなチャレンジをする選択肢を確保できるようにすることです。日本的雇用慣行には人を大切にするというすぐれた点があり、これを大切にしながら、時代の変化を踏まえ、働く人々の視点に立った働き方改革を着実に進めていきたいと考えています。
 非正規雇用労働者の処遇改善についてお尋ねがありました。
 まず、正規、非正規という雇用形態によって不合理な待遇差がある場合には、その是正を求める労働者が裁判で争えることを保障する規定を整備します。
 また、裁判や労使の話合いにおいて、待遇差の是正を求める労働者が不利にならないよう、企業側しか持っていない情報を知ることができ、労働者が待遇の異なる理由の説明を確実に受けられるようにします。
 さらに、実際に裁判に訴えるには経済的負担を伴うため、裁判外の紛争解決手段、いわゆる行政ADRを整備し、労働者が身近に、無料で利用できるようにします。
 こうした措置を講じることで、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の理由のない待遇差を埋め、多様な働き方を自由に選択できる社会を実現してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕
#16
○国務大臣(加藤勝信君) 佐藤茂樹議員より、七問頂戴をいたしました。
 裁量労働制についてのお尋ねがありました。
 政府の裁量労働制に関するデータは、国民の皆様に今回の裁量労働制の改正について疑念を抱かせることとなり、今回の法案から全面削除いたしました。国会そして国民の皆様に大変な御迷惑をおかけしたことについて、深くおわびを申し上げます。
 裁量労働制については、厚生労働省において新たな実態調査を行うこととしており、今回の問題点をしっかりと反省した上で、正確なデータが得られるよう、専門家の御意見等も伺いながら、適切な調査設計を行ってまいります。その上で、それらを踏まえ、制度のあり方について、労働政策審議会で御議論いただくこととしております。
 また、現行の裁量労働制については、本年二月に全国一斉に自主点検を実施したところであり、この結果をも踏まえつつ、重点的な監督指導を実施し、適正化を図ってまいります。
 労働時間の状況の把握についてのお尋ねがありました。
 みなし労働時間制の適用を受けている方や管理監督者の方を含め、労働者の労働時間の状況を適切に把握することで、健康確保措置がしっかりと行われることが必要です。
 この点について、本年三月十五日の公明党からの申入れなどを踏まえ、労働安全衛生法を改正し、事業者に対し、これらの方も含め、労働者の労働時間の状況を把握することを法律によって義務づけることとしました。
 これにより、医師の面接指導並びにその結果に基づいて事業者が行う措置が適切に実施されるようにすることを通じて、労働者の健康確保を図ってまいります。
 高度プロフェッショナル制度についてお尋ねがありました。
 高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方をみずから選択することができる、高い交渉力を有する高度専門職に限って、自律的な働き方を可能とする制度であります。
 そのような方々に限って制度の対象となることを明確にするため、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められる業務に従事し、書面等による合意に基づき職務が明確に定められている労働者であって、労働契約により使用者から支払われると見込まれる一年間の賃金の額が、毎月決まって支給する給与の平均額を基礎として算定した額の三倍を相当程度上回る水準以上であることを法律上の要件としております。その上で、本人の同意がなければ制度は適用できません。
 また、働く方の健康を確保するため、一般の労働時間制度と比べてより直接的な措置をさまざま講じることとしております。
 具体的には、昨年七月に連合から総理宛てに要請いただいた内容を踏まえ、法律上の要件として、年百四日かつ四週当たり四日以上の休日取得を義務づけるとともに、健康管理時間の客観的な把握を義務づけた上で、インターバル規制及び深夜業の回数制限など、法律に規定する健康確保措置を選択して実施することとしております。
 これらにより、高度専門職の方で創造的な仕事を行う方について、健康を確保しつつ、効率的に成果を出す働き方が可能となると考えております。
 時間外労働の上限規制についてのお尋ねがありました。
 今回、史上初めて、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けます。これは、戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。
 時間外労働の上限規制は、あくまで、原則として月四十五時間かつ年三百六十時間であります。その上で、臨時的な特別の事情がある場合に該当すると労使が合意しても、上限は年七百二十時間であり、その範囲内において、複数月の平均では休日労働を含んで八十時間以内、単月では休日労働を含んで百時間未満、原則としての延長時間を超えることができる回数は一年について六カ月以内に限るとしており、これらに違反する場合は罰則を科すこととしております。
 これは、実効性があり、かつ、ぎりぎり実現可能なものとして労使が合意した内容であり、それに沿って法定するものであります。
 また、今回の労使合意は、上限水準までの協定を安易に締結することを認める趣旨ではありません。法案では、可能な限り労働時間の延長を短くするため、労働基準法に根拠規定を設け、新たな指針を定めて、必要な助言指導を行うこととしており、長時間労働の削減に向けた労使の取組を促してまいります。
 中小企業、小規模事業者への配慮と支援についてのお尋ねがありました。
 働き方改革は、女性、高齢者等の誰もが生きがいを感じられる一億総活躍社会実現の最大の鍵であり、我が国雇用の大宗を占める中小企業、小規模事業者において着実に取り組んでいただくことが重要と考えております。また、働き方改革は、中小企業等においても生産性の向上や人手不足解消に資する魅力ある職場づくりにつながると考えます。
 このため、厚生労働省として、中小企業庁とともに立ち上げた中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会における検討を踏まえ、全都道府県に働き方改革推進支援センターを設置し、中小企業、小規模事業者の個別相談に当たるとともに、労働基準監督署にも中小企業、小規模事業者の相談に対応する特別チームを編成するなど、相談体制を充実させることとしております。
 さらに、長時間労働の是正や同一労働同一賃金といった働き方改革や、企業内の雇用管理の改善に中小企業、小規模事業者が取り組むに当たっての支援策として、時間外労働を縮減するため、生産性向上に資する機器の導入等を行う中小企業に対する助成、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を実施した中小企業に対する助成などを行うこととしています。
 引き続き、中小企業等が働き方改革に前向きに取り組むことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 勤務間インターバルについてお尋ねがありました。
 勤務間インターバルは、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要であります。このため、本法案では、事業主に対して勤務間インターバル制度の導入を努力義務として課し、制度導入についての環境整備を進めていくこととしています。
 さらに、昨年度より、勤務間インターバルを導入する中小企業に対する助成金を創設しており、就業規則の作成、変更や労務管理用機器の導入などを行った中小企業に対して、その費用の一部を助成するとともに、好事例の周知にも努めています。
 今回の春闘においても、勤務間インターバル制度を新たに導入する企業が見受けられるところであり、そうした労使の取組を更に促進してまいります。
 無期転換ルールについてのお尋ねがありました。
 本年四月から無期転換の申込みが本格的に始まることを踏まえ、無期転換ルールへの対応が円滑に行われるよう、これまで、労働者や企業等に対して、あらゆる機会を捉えて周知を行ってまいりました。直近では、無期転換ルール緊急相談ダイヤルによる相談対応の強化や業界団体等への要請を行ったところであります。
 今後においても、無期転換ポータルサイト等において周知を行うとともに、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持って雇いどめをする事案を把握した場合には必要な啓発指導を行うなど、無期転換ルールへの対応が円滑に行われるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕
#17
○国務大臣(世耕弘成君) 佐藤議員にお答えいたします。
 取引条件の改善と生産性や経営力向上の支援策についてお尋ねがありました。
 働き方改革を進めるに当たり、現場の中小企業、小規模事業者からは、大企業の働き方改革の影響によって短納期発注などのしわ寄せが来るのではないか、あるいは、人手不足の中、せっかく自分たちが生産性向上やコストダウンの努力をしても、その果実を大企業や親事業者に吸い上げられてしまうのではないかといった懸念や不安の声も聞かれており、取引条件の改善が重要であると考えております。
 取引条件の改善のため、主要産業界が策定した自主行動計画に基づく取組の徹底とともに、今年度から下請Gメンの体制を八十名から百二十名規模に増強し、年間約四千件以上の下請ヒアリングを実施する中で、働き方改革による影響も含めて、継続的に取引実態を把握し、必要に応じ改善を求めてまいります。
 生産性や経営力向上に向けては、IT導入や設備投資の支援を進めていきます。具体的には、IT導入補助金やものづくり・商業・サービス補助金などの予算を措置するとともに、中小企業による設備投資を更に強力に後押しするため、今国会に提出した生産性向上特別措置法案において、自治体の判断により固定資産税をゼロにする新しい制度を導入いたします。
 引き続き、中小企業、小規模事業者の取引条件改善、生産性や経営力向上に向けた取組を粘り強く続けてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(大島理森君) 浦野靖人君。
    〔浦野靖人君登壇〕
#19
○浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。
 我が党を代表して、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について質問いたします。(拍手)
 終身雇用、年功賃金といった日本型雇用慣行の構造改革を進めることで労働市場の流動性を高めることは、企業の競争力向上と経済成長につながると考えています。日本維新の会は、成果給への転換法案や解雇ルール明確化法案等を議員立法として提案してきたことから、政府の働き方改革は、構造改革を進めるものであり、一定の評価をしています。
 正規雇用者は一度採用されたら基本的に解雇されない一方、全体の四割近くを占める非正規雇用者は、景気動向や会社都合により雇いどめされる不安定な状況に置かれています。正規雇用者が既得権益化し、非正規雇用者が割を食うのではなく、同一労働同一賃金のもと、多様な働き方が可能な社会であることが必要です。
 しかし、同じ企業内で働く正社員と非正規労働者間で、賃金については待遇差の是正に向けた取組が進められることになる一方、退職金や住宅手当等の各種手当などの福利厚生については明記されていません。
 同じ職場でこのような待遇差が生じると、モチベーションの低下にもつながります。賃金以外の部分に係る待遇格差の是正について、今後どのような取組が必要とお考えでしょうか。総理大臣、お答えください。
 また、本法案が目指す本来の目的から逸脱し、大企業によって、同一労働同一賃金が、下請となる中小零細企業に対してのコスト引下げの口実として濫用されないことが必要です。政府として、同一労働同一賃金を適正に普及させていくため、具体的にどのような取組を進めていくのでしょうか。総理、お答えください。
 日本の企業においては、個別労働紛争に関する明確なルールがなく、労働契約法第十六条において、解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とすると規定されており、解雇事由の妥当性については、客観的合理的理由と社会的相当性に照らし、判例によって判断されています。正社員でも、適格性を欠いたり、勤務成績が著しく不良である場合などは雇用を打ち切ることができるように解雇条件をはっきりさせることが、働き方改革を進める上で必要ではないでしょうか。
 我が党からも提案している金銭解決による解雇ルール明確化法案について、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、高度プロフェッショナル制度についてお伺いします。
 我が党は、第百九十二及び百九十三国会において同様の法案を提出しましたが、政府案よりも年収要件を引き下げるなど、労働時間ではなく成果で評価する働き方を可能とし、生産性を高めるために必要な取組であると考えています。
 日本の労働生産性は、OECD加盟国三十五カ国中二十位と、低位にとどまっています。日本では、労働生産性に対する意識が低く、非効率的な業務でも、深夜まで会社に残ることが評価されるなど、欧米の常識とは大きく異なります。
 日本における労働時間や生産性に対する意識を変えていくためにも、高度プロフェッショナルの対象については、対象を拡大すべきであると考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 労働基準監督業務に関して質問します。
 労働基準監督署の定期監督業務は、平成二十七年度は、総事業所数に対し定期監督業務を実施した事業所はわずか三%しかなく、そのうち、違反事業所数が六九・一%を占めていました。七割が労働基準法違反をしていては、とても勤労者を守ることはできません。
 我が党は、第百九十二及び百九十三国会において、労働基準監督署等の業務民間委託・職員配置適正化法案を提出しました。
 限られた職員の中で、早急に勤労者を過労死から守るためには、労働基準監督署における業務についても民間に開放し、実効性の高い取組を進めることが必要と考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、産業医制度に関してお伺いします。
 事業主は、長時間労働の状況について産業医への提供が義務づけられているところですが、事業所の規模によって産業医の選任状況に大きな格差があるのが実態です。
 また、メンタルヘルスや、長時間労働による健康被害等の予防に対して事業主責任を求めていくことは重要であると考えますが、現状では、産業医面接が形骸化している事例が多く見受けられます。
 産業医活動を効果的なものとするため、必要な情報を提供される仕組みが整備されるとのことですが、情報提供のみならず、産業医面接後のフィードバックも含め、制度の実効性をより高めるための見直しが必要ではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 我が党は、働き方改革とともに社会保障改革をあわせて進めていくことが、少子高齢化社会が進む我が国の切り札の一つであると考えています。社会や雇用情勢の変化に合わせて、必要な対策を今後も目指してまいります。
 ここで、国会の働き方について、当時与党であった現野党議員の言葉をおかりします。
 審議を拒否して国会を空転させ、政権にダメージを与え、政権を倒そうとする方法は、国民からは理解は得られないと思います。私は、与党議員として、審議拒否はせず、引き続き会期末までしっかり仕事を続け、法案を成立させるべく頑張ります。気に入らないことがあれば国会に来ない。それはおかしい。
 山井さん、私も全く同じ意見です。
 同時に、与党の皆さんも、野党であったときに国会を空転させていたことをお忘れなきよう願いまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 浦野靖人議員にお答えをいたします。
 同一労働同一賃金のもとでの待遇差の是正についてお尋ねがありました。
 同一労働同一賃金の実現に向け、今回の働き方改革関連法案の国会審議を踏まえて最終的に確定するガイドラインの案を、平成二十八年十二月に公表しました。このガイドライン案は、不合理な待遇差に関する原則となる考え方を示すとともに、中小企業の方にもわかりやすいよう典型的な事例を示したものであり、基本給や賞与のみならず、役職手当や通勤手当などの各種手当、教育訓練、福利厚生施設の利用なども対象とされています。
 御指摘の退職金や住宅手当などがガイドライン案に記載されていないのは、その性格に照らして、どのような待遇差が不合理であるかについて一律にルールを設けることが難しいという理由によるものです。
 今回の法案は、ガイドライン案に記載されていない待遇差を除外することなく、御指摘の退職金や住宅手当などを含め、不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えることを保障しています。
 また、賃金以外の待遇差の是正に向けては、今回の法案による法律上の措置以外にも、キャリアアップ助成金などを通じた待遇改善といった取組を行っており、引き続きその充実を図ってまいります。
 同一労働同一賃金を実現し、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の理由のない待遇差を埋め、どのような雇用形態を選択しても、自分の能力が評価されているという納得感が得られ、働くモチベーションが高まる処遇を受けられるようにしてまいります。
 同一労働同一賃金の適正な普及についてお尋ねがありました。
 大企業による働き方改革のしわ寄せが、下請の中小企業、小規模事業者に及ぶことのないようにすることが重要です。このため、下請Gメンの体制を増強し、継続的に取引実態の把握を行っていくとともに、商慣行の見直しや取引条件の適正化を一層強力に推進していきます。
 これに加え、全国四十七都道府県に働き方改革推進支援センターを設置し、中小企業、小規模事業者の個別相談に当たるほか、キャリアアップ助成金を拡充して、人手確保を支援していきます。
 このような取組を通じ、中小企業、小規模事業者の皆さんを始め、同一労働同一賃金の実現に向けた取組を政府として全力で支援してまいります。
 解雇ルールについてお尋ねがありました。
 働き方改革を進めるに当たっては、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するため、働く方の立場を十分に踏まえて検討する必要があります。
 解雇ルールに関しては、金銭を支払えば自由に解雇できるといった事前型の制度を導入しないことを前提として、解雇無効時の金銭救済制度について、労働者の保護等の観点から検討を進めています。
 この仕組みについては、昨年十二月の新しい経済政策パッケージにおいて、労働政策審議会において法技術的な論点についての専門的な検討に着手し、同審議会の最終的な結論を得て、所要の制度的措置を講ずるとし、現在、専門的な検討を行う場を設置する準備を進めています。
 高度プロフェッショナル制度についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、我が国の労働生産性の低さは大きな課題です。こうした課題に立ち向かうため、第四次産業革命の出現やグローバル化のもと、我が国は高い付加価値を生み出していく経済を追求していく必要があります。
 付加価値の高い革新的な分野では、高度専門職の方であって、希望する方が、仕事の進め方等をみずから決定し、その意欲や能力を有効に発揮することが求められます。こうした方たちが能力を発揮することによって、新しい産業が発展し、ひいては日本全体の生産性向上につながっていくものと考えます。
 このような考え方のもと、高い年収の確保、職務範囲の明確化等の要件を設定した上で、雇用関係のもとで自律的に働くことができる高度プロフェッショナル制度を働き方改革の選択肢として整備することが重要です。
 本法案においては、対象者について、第一に、年間平均給与額の三倍を相当程度上回る水準、現状では千七十五万円以上の方であること、第二に、専門性があり、通常の労働者と異なり、雇用契約の中で職務の記述が限定されていること、いわゆるジョブディスクリプションがあること、第三に、何より本人が制度を理解して、個々に書面等により同意していることとしています。
 これらの適用条件については、労働政策審議会においておおむね妥当という答申をいただいたものであり、また、連合からの要請を踏まえて確定したものとしてお示ししております。
 労働基準監督署の業務についてお尋ねがありました。
 働く方々の労働条件をしっかり守っていくため、これまでも、労働基準監督官の増員を行うとともに、過重労働撲滅のための特別チームを設置するなど、監督指導体制の強化を図ってきました。
 その上で、より効率的な業務運営を図るため、平日夜間や休日の電話相談等について、民間業者に委託して行っています。また、平成三十年度からは、新たに、経験豊富なOBを非常勤の労働基準監督官として採用する、三六協定を届け出ていない事業場に対する相談指導について民間業者を活用することとしています。
 政府としては、今後とも、必要な労働基準監督官の確保や体制の整備、効果的な業務運営に取り組んでいきます。
 産業医制度の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の見直しは、働く方々が、健康の不安なく、働くモチベーションを高め、その能力を最大限に発揮できるように、その健康管理を担う産業医の強化を図るものであります。
 具体的には、長時間労働により健康リスクが高い状況にある方を見逃さないようにするために、労働時間の情報に加えて、その業務に関する情報を事業者が産業医に提供するとともに、面接指導の結果に基づいて、健康確保のために事業者が行った措置の内容についても産業医が把握できるようにするなどの見直しを行います。
 これらにより、長時間労働となっている方に対して、産業医による面接指導や健康相談等がより効果的に行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)
#21
○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       厚生労働大臣   加藤 勝信君
       経済産業大臣   世耕 弘成君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官  西村 康稔君
       厚生労働副大臣  牧原 秀樹君
ソース: 国立国会図書館
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