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2017/11/22 第195回国会 参議院 参議院会議録情報 第195回国会 本会議 第5号
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2017/11/22 第195回国会 参議院

参議院会議録情報 第195回国会 本会議 第5号

#1
第195回国会 本会議 第5号
平成二十九年十一月二十二日(水曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成二十九年十一月二十二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#4
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の所信表明演説について、総理並びに関係大臣に質問をさせていただきます。
 第四次安倍内閣が発足をしました。さきの衆議院選挙において、自民、公明の連立政権による安定した政治基盤の下での確かな実行力、実現力を評価していただいたものと確信しております。
 引き続きの政権運営に当たり、謙虚に、決しておごることなく、日々真摯に国民との対話に努めながら、更に政策を磨き、待ったなしである内外の諸課題の解決に全力を挙げてまいる決意であります。
 人づくり革命について伺います。
 先進国の中でも群を抜いて高齢化が進む我が国が、更に寿命を延ばし、約半数の人が百歳まで生きる可能性がある時代が来る、目指すべきは自分らしく元気に生き生きと過ごしながら年を重ねる社会の実現であり、そのために将来世代に対し何を残していけるのか、私は今を生きる我々の世代の責任を強く感じています。
 人生百年時代への挑戦、それは本格的な少子高齢化、人口減少社会への挑戦です。総理は国難と称されましたが、社会保障や教育、雇用など現在の社会システムの大転換、若者から高齢者まで誰もが安心できる全世代型の社会保障へのシフトチェンジは避けては通れません。
 その重要な鍵が人づくり革命です。これまでも政府・与党を挙げて人への投資に力を入れてきましたが、更に前へ進め、年齢にも経済的事情にも左右されない、希望に応じて学び働ける社会の実現こそが、我が国が取るべき道であると考えます。
 全ての人が輝く社会の実現に向けて、特に、制度と制度のはざまに陥り社会的に孤立している方、様々な理由でスタートラインにすら立てない方に対して最も温かな手を差し伸べるべきと、強く申し上げておきたいと思います。
 人づくり革命の意義について、総理の答弁を求めます。
 総理は、少子高齢化という最大の壁に立ち向かい、生産性革命と人づくり革命を断行するため、新しい経済政策パッケージを十二月上旬に取りまとめるとし、あわせて、人づくり革命を力強く進めていくため、消費税率一〇%への引上げに伴う増収分などを活用した二兆円規模の政策を取りまとめるとしています。
 消費税の増収分の子育てや教育などへの活用は、消費税の使途として分類されている四経費の中の少子化対策を拡充するものとして、社会保障と税の一体改革の趣旨に沿うものであると考えます。一方、消費税の使い道の見直しによって、財政健全化の旗をおろそかにしてはなりません。当初の目標の二〇二〇年プライマリーバランス黒字化達成は困難とのことですが、できる限り早く健全化への道筋を示すべきです。
 社会保障と税の一体改革の意義と財政健全化について、総理の答弁を求めます。
 全ての子供たちの笑顔が輝く社会へ、公明党は衆議院選挙において、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向け、人への投資が未来を開くとの考え方の下、幼児教育から大学までの大胆な教育費の無償化を主張してきました。
 これまでにも、一体改革で消費税の使い道に子育て支援が追加され、子ども・子育て支援新制度がスタートし、保育所や幼稚園などの幼児教育の無償化も、お子さんの多い世帯や所得の少ない世帯などについて段階的に進めてきました。
 しかし、待機児童については、政権発足以降、解消に向けて約五十三万人分の保育の受皿を確保してきましたが、女性の社会進出が進む中、なかなか実現には至っていません。政府は、子育て安心プランを更に前倒しして実施し、企業主導型保育など多様な保育の受皿を早急に確保するとともに、それを支える人材の確保や質の向上にも取り組むべきです。あわせて、放課後児童クラブの新たな整備などを盛り込んだ放課後子ども総合プランの前倒しも進めるべきと考えます。
 総理も所信表明演説で述べられたように、今こそ、五歳児までの全ての幼児を対象に、質を確保しつつ、待機児童解消の取組と併せ、幼児教育無償化を一気に進めてまいりましょう。総理の答弁を求めます。
 長年、公明党が訴えてきた返還不要の給付型奨学金が今年度から先行実施されています。来年度からの本格実施に万全を期すとともに、さらに、生活の不安なく学べるよう給付型奨学金の対象者や給付額を拡充し、授業料減免、無利子奨学金も含め、経済的な負担軽減策を大きく進めるべきです。その際、多子世帯など幅広い対象にも配慮した制度設計を検討すべきです。
 学び直しができる環境整備も重要です。人工知能やITなど、技術革新が急速に進む時代、実社会のニーズは日々変化しています。誰でも希望に応じて学び直しができ必要なスキルを身に付けられるよう、職業訓練、リカレント教育など、必要な公的助成を含め大幅に拡充すべきです。あわせて、身に付けた新たなスキルを存分に活用できるよう、転職者の受入れや元気な高齢者の活躍など、転職、再就職の環境整備を進めるとともに、副業や起業への後押しも重要です。
 奨学金の拡充、学び直しについて、総理の答弁を求めます。
 政権交代以来、安倍内閣が最優先で取り組んできたのが経済再生です。金融政策、財政政策、成長戦略という三本の矢によってデフレからの脱却と持続的な経済成長を支える基盤をつくるとともに、地域に新たな人の流れをつくる地方創生を始め、子育て支援や社会保障を強化する新三本の矢による一億総活躍社会の実現、そして、これらを横断的に支える働き方改革など、我が国の構造的な課題である人口減少や少子高齢化への対応も積極的に進めてきました。
 その結果、この五年間で名目GDPは五十兆円増加。足下の経済成長も七四半期連続でプラスが続き、政府などの調査でも、全ての地域で拡大、回復の傾向が続いています。雇用も大きく改善。昨年六月にはパートを含む有効求人倍率が全ての都道府県で一倍を超え、現在、全国ベースでは一・五二倍まで改善しました。さらに、今年六月には、全国ベースの正社員のみの有効求人倍率が統計開始以来初めて一倍を超えました。所得環境も、中小企業を含めて、二%程度の高い賃上げと最低賃金の大幅な引上げが四年連続で実現しています。
 私は一貫して成長と分配の好循環を訴えてきましたが、好循環がようやく回り始めました。政府一体となって、より確かに、より深化させるよう強く求めたい。
 何より重要なのは、家計所得を増やす更なる賃上げです。総理は経済界に三%の賃上げを要請しました。過去最大の営業利益が見込まれる中で、賃上げの余地は十分にあり、企業の一層の努力を期待したい。その上で、地方版政労使会議を活用することとともに、政府においては、企業業績の拡大を着実に賃上げや設備投資へとつなげる予算、税制上の取組が求められます。特に、中小企業の賃上げに向け、所得拡大促進税制の拡充などの支援強化を強く求めます。
 確実な賃上げに向けた総理の決意を伺います。
 総理は、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員するとしています。
 残念ながら、これまでの成長戦略は、毎年改訂を繰り返すものの十分な成果に結び付いていないとの批判もあります。生産性革命は、総理の言葉どおり集中的に大胆に実行し、確実な成果を出していただきたい。
 特に深刻なのは、中小・小規模事業者の人手不足、そして後継者問題です。
 景気拡大に伴う労働需給の逼迫だけでなく、少子高齢化を見据えれば、まさしく構造問題であり、中長期にわたって企業の稼ぐ力を強くする生産性の向上が重要です。
 具体的には、中小企業等経営強化法に基づく研究開発や設備投資への支援、IT、IoT、ロボット、AIなどの導入、活用の支援を大きく進めるべきです。ものづくり補助金は、中小・小規模事業者の経営力向上に欠かせない支援策であり、確実な継続、拡充を求めます。
 また、下請取引の適正化に向け、業界団体による自主行動計画の策定と着実な実行とこれらのフォローアップの実施、長時間労働につながる商慣行の是正などに取り組むべきです。
 建設や物流分野の生産性向上も急務の課題です。建設現場でICTを活用するi―Construction、トラック業界の荷待ち時間、荷役時間を削減する物流生産性革命などを加速すべきです。
 生産性革命について、世耕経済産業大臣並びに石井国土交通大臣の答弁を求めます。
 会社は黒字だが後継者がいないので廃業する、そうした企業が急増しています。中小・小規模事業者の経営者の高齢化が進み、今後十年の間に多くの経営者が引退が見込まれる中で、その約半数の百二十七万を超える事業者で後継者が未定という衝撃的な試算もあります。このまま放置すれば、単に一事業者の問題だけにとどまらず、日本全体の経済や雇用、さらには物づくりや技術の継承などにも深刻な影響を及ぼしかねない重大な事態と捉えるべきです。
 こうした事態を打開するため、今こそ事業承継税制の抜本的な拡充を図るべきです。具体的には、株式の贈与税、相続税について、現行の要件である雇用維持条件の更なる緩和、対象株式総数制限の撤廃、納税猶予割合一〇〇%への引上げなど、大事業承継時代を乗り越える思い切った税制改正を講じるべきであると強く申し上げたい。
 あわせて、早期、計画的な事業承継を促進するため、気付きの機会の提供と事業引継ぎ支援センターを通じたプッシュ型の支援などで、現在年間五百件程度にとどまっている事業承継を桁違いに増やせるよう、抜本的な対策を求めます。
 事業承継問題に関する総理の決意を伺います。
 現在、二〇二五年をめどに、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域の特性に応じた、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取組が始まっています。
 来年度は、六年に一度の診療報酬、介護報酬同時改定を迎えます。医療と介護の連携強化、医療機能の分化、連携を一層推進し、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築を強力に推し進めるチャンスであり、診療報酬、介護報酬の両面から一体的な対応を図るべきです。
 また、医療や介護現場でのICT活用に関心が高まっています。医療と介護の連携強化につながり、結果、従事者の負担軽減も可能となるものであり、強く推し進めるべきです。
 介護人材の確保も重要な課題です。本年度から、技能や経験に応じて昇給する仕組みを構築し、月額平均一万円相当の処遇改善を行うなど、様々な取組を進めていますが、今なお他業種との賃金格差は歴然であり、一層の取組が欠かせません。
 どんなにすばらしい制度や仕組みをつくり上げても、支えてくださる方がいなければサービスの提供はできません。二〇二五年に約三十八万人不足すると予想される介護人材の確保に万全を期すため、より一層の処遇改善を進めるべきです。とともに、業務負担の軽減や労働環境の改善なども促進すべきです。
 地域包括ケアシステム及び介護人材の確保に向けた総理の見解を伺います。
 二〇二五年には認知症高齢者が約七百万人に増加するとされる中、認知症対策の推進は最重要課題です。何よりも当事者の意思を大切にし、家族も含めて寄り添っていくとの姿勢に基づく政府一体での総合的な対策が求められます。
 具体的に三点申し上げたい。
 認知症の研究開発費が十分ではなく、万全な対策を検討し実行に移すためにも大きく拡充すべきです。また、認知症初期集中支援チームが二〇一八年度から全ての市町村で立ち上がりますが、医療・介護人材の確保など、万全な支援策を講じるべきです。さらには、若年性認知症など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題にも踏み込むべきです。
 以上、認知症対策について、総理の答弁を求めます。
 防災・減災対策について伺います。
 今年も大型台風が日本列島を襲いました。政府は、九州北部豪雨、台風二十一号などの大規模災害からの復旧、さらには昨年の熊本地震からの復興に向け、補正予算を含め適切に対応されるよう強く要請します。
 近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しています。各地で水害や土砂災害を伴うような豪雨も頻発しており、災害に強い国づくりは喫緊の課題です。
 公明党は、国民の命と生活を守ることが政治の最優先課題との認識に立ち、防災・減災ニューディールを提唱し推進してきました。単に災害が起きたときの復旧にとどまるのではなく、災害を教訓として、様々な大規模自然災害のリスクを踏まえた予防型の防災・減災対策を大きく前進させていくべきと考えます。
 地域における防災対策も重要です。公明党は、大震災を教訓に、女性の視点が欠けている事例を指摘しながら、地方自治体における防災対策の改善に取り組んできました。女性は防災の主体的な担い手です。地域の防災力向上のため、第四次男女共同参画基本計画を踏まえ、各自治体の防災会議での女性の割合を着実に増やすなどの取組を進めるべきです。
 以上、防災・減災対策について、石井国土交通大臣の答弁を求めます。
 東日本大震災の発災から六年と八か月がたちました。被災地では、公共インフラや災害公営住宅の整備など、復興が着実に進む一方で、いまだ約八万人の方々が避難生活を強いられ、約四万人の方々が仮設住宅での生活を余儀なくされています。
 公明党は、世界が刮目するような東北復興を目指し、被災者一人一人が人間の復興を成し遂げるまで、これからも全力を挙げる決意です。
 復興の進展に伴い、被災者、被災地のニーズは多様化、複雑化しています。政府には、引き続き、被災者、被災地に寄り添った、よりきめ細かな支援を強く求めたい。
 被災地における産業、なりわいの再生は着実に進んでいるものの、依然として根強いのが風評被害です。世界で最も厳しいとされる安全検査を実施している農作物だけでなく、東北の観光業も全国的に急増するインバウンドの効果を享受し切れていない厳しい現実があります。
 政府の風評対策強化指針に基づいた対策を抜本的に強化し、特に正確な情報提供を通じて、国内外の誤解、偏見、思い込みの払拭に努めていただきたい。
 公明党は、福島県浜通り地域の魅力ある復興を果たしていくため、福島イノベーション・コースト構想を力強く推進してきました。現在、この構想の軸となるロボット産業では、物流やインフラ点検、災害対応に活用されるロボットの一大拠点となる福島ロボットテストフィールドの整備が進められています。二〇二〇年には、ロボット国際大会のインフラ・災害対応分野の競技がこのフィールドで開催される予定です。
 まち・ひと・しごと、これがそろわずして福島再生の実現はありません。その決定打となり、さらには日本経済全体の成長につなげるという夢と希望のプロジェクト、これが福島イノベーション・コースト構想です。今年五月には、改正福島復興再生特別措置法が成立し、同構想が法定化されました。福島再生の実現に向けて、今後も国が十分に関与し、責任を持って取り組むことを強く求めます。
 風評対策、福島再生に向けた総理の決意を伺います。
 外交問題について伺います。
 アメリカのトランプ大統領がアジアを初歴訪し、最初に日本を訪問しました。日米両首脳がこれまで重ねてきた信頼関係の上に、北朝鮮情勢や経済分野などで率直に意見を交わし、強固な日米同盟のきずなを内外に示したことは大変有意義であったと思います。
 今般の日米首脳会談の意義について、総理に伺います。
 北朝鮮情勢は、我が国のみならず、東アジア、世界にとっての最大の懸念です。北朝鮮は、国際社会の強い非難と警告を完全に無視し、核実験や日本の上空を飛び越えた事案を含む多くの弾道ミサイル発射を試み、核・弾道ミサイル開発能力を急速に進展させています。繰り返される北朝鮮の暴挙に対し、政府のみならず、与野党の垣根を越え、立法府も共に断固たる姿勢で対処することが大切です。
 また、この暴挙を止めるためには、国際社会が連携と連帯を深めることが不可欠です。国際社会が一致して、一連の安保理決議に基づく制裁の実効性を具体的に高めていくことが重要であり、今は北朝鮮に対して圧力を掛けるときです。その上で、核・弾道ミサイル開発を断念させ、対話による解決へとつなげていくべきです。
 今般の日米首脳会談のみならず、総理のアジア訪問の中で、中国やロシアなどの首脳との会談を通じて改めてこうした方向性が確認されたことは大きな意義を持つものです。
 また、トランプ大統領と拉致被害者御家族との面会が実現しました。政府として引き続き拉致問題解決に全力を挙げるよう強く要請します。
 対北朝鮮政策について、総理の見解を伺います。
 貧困や飢餓などの脅威から人々を守る人間の安全保障の理念に立脚した持続可能な開発目標、SDGsがスタートして間もなく三年を迎えます。SDGsは、さきのAPEC首脳宣言の中でも二〇三〇アジェンダに沿った取組の促進が合意されるなど、広く国際社会に浸透しつつあります。
 本来SDGsは、政府はもちろん、企業、市民社会を含めた地球規模での行動を要請しています。しかし、残念ながら、企業などでは事業開発や企業の社会的責任の観点からの取組が増えつつあるものの、国民の認知度はまだ低いのが現状です。まずは、二〇一九年の首脳級のフォローアップ会合を目指し、日本が地球的な脅威から人々を守る取組を強くリードしていくべきではないでしょうか。
 SDGsの取組について総理の見解を伺います。
 本年七月、核兵器の開発や保有、使用を法的に禁止する核兵器禁止条約が採択されました。現在、発効に必要な批准国数五十か国以上が既に署名済みです。多くの方々の核廃絶に対する思いが条約として実を結んだことは大局的に一歩前進と評価します。加えて、核兵器禁止条約の採択に貢献してきたNGOの核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANにノーベル平和賞が授与されたことについて国民の多くは率直に歓迎しています。核軍縮・不拡散に向けた機運が高まることは大変喜ばしいことです。
 他方、条約採択の過程において、核兵器のない世界に向けた具体的なアプローチの違いから核兵器保有国が参加せず、非保有国との間で溝が深まり、分断が大きくなったとの指摘もあります。核兵器のない世界という共通する大きな目標に向けて、核兵器の非人道性への共感を基軸として、厳しい安全保障環境も踏まえつつ、日本が橋渡し役となり、今後は双方の信頼関係の再構築を図りながら、具体的かつ現実的なアプローチを積み重ねていくことが極めて重要と考えます。
 今月二十七日には、核兵器の保有国と非保有国などの有識者が参加する賢人会議が被爆地である広島で開催されます。政府には、これらの会議を始め、核不拡散体制の維持強化や包括的核実験禁止条約の発効に向け、粘り強い取組を求めます。
 核兵器のない世界に向けた総理の見解を伺います。
 先般、APEC首脳会談、ASEAN首脳関連会議が開催されました。世界の成長センターであるアジア太平洋地域において、APEC、そして創立五十年を迎えるASEANが果たすべき役割は非常に重要です。
 特に、APEC期間中のTPP閣僚会合にて、いわゆるTPP11について大筋合意がなされたことは、自由、公正でレベルの高い経済ルールを世界に広げていくという意思を示すものであります。アジア地域の繁栄における日本の役割は重大であり、今後も主導的な役割を発揮することに期待するものであります。
 日中関係は、本年の日中国交正常化四十五周年及び来年の平和友好条約締結四十周年の節目を迎えます。そうした中、ベトナムで日中首脳会談が行われ、新たなスタートとして、今後、意思疎通を図っていくことが確認されました。今後、さらに、延期となっている日本での日中韓首脳会談の早期開催や両国首脳の相互訪問を通じて、関係改善の動きを更に進めていくことが重要です。
 アジア太平洋地域における日本の役割及び日中関係について、総理の見解を伺います。
 最後に、日ロ関係について伺います。
 安倍総理は、APEC首脳会議の際、ロシアのプーチン大統領と二十回目の首脳会談に臨まれ、特に北朝鮮問題で安保理決議の完全履行などが確認されたことは極めて重要です。
 一方で、北方領土問題を含む平和条約交渉の進展に向けては、北方四島における共同経済活動の成否に懸かっていますが、今後のプロジェクトの具体化に向けた現地調査を含め、粘り強い交渉を求めます。また、元島民の方々の航空機による墓参を始めとする自由な往来など、人道的な措置の継続、改善も進めるべきです。
 私が本年九月にロシアに訪問した際にも、共同経済活動を通じた平和条約交渉や相互交流などについて、強い期待や関心が示されたところです。来年は、日本年、ロシア年。幅広い交流を通じて相互理解を深め、日ロ平和条約締結へとつなげていくことも必要です。
 日ロ関係についての総理の見解を伺います。
 いよいよ、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本開催まで六百六十七日、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで九百七十五日、国際的なスポーツの祭典への機運は高まってきました。国と関係自治体、そして国民が力を合わせ、大成功を期していかなければなりません。
 しかし、それらは決してゴールではありません。私たちは、更にその先の未来をも見据え、政治を前に進めていかなければならない。そのために、公明党は更に力を尽くしていくことをお誓いし、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 人づくり革命についてお尋ねがありました。
 急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行しなければなりません。
 子供たちには無限の可能性が眠っています。どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学に進学できるよう、真に必要な子供たちには高等教育を無償化します。また、幾つになっても誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保するため、リカレント教育を抜本的に拡充します。
 幼児教育の無償化や介護人材の確保など、子育て、介護といった現役世代が直面するこの二つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へと大きく変革してまいります。
 人生百年時代を見据えた経済社会の在り方を大胆に構想し、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する。それにより、女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した方も、誰もが生きがいを持って、一人一人がその能力を存分に生かせる一億総活躍社会を、公明党の皆様と力を合わせ、つくり上げてまいります。
 社会保障と税の一体改革と財政健全化についてのお尋ねがありました。
 少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、社会保障と税の一体改革を推進してきたところであります。その上で、足下の経済の成長軌道を確かなものとするために、我が国の最大の課題である少子高齢化の克服に向け、人づくり革命を断行します。
 人づくり改革を力強く進めていくため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしております。これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。
 ただし、財政健全化の旗は決して下ろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、プライマリーバランスの黒字化の達成時期、そして、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画をお示ししてまいります。
 子ども・子育て支援についてお尋ねがありました。
 待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。本年六月に策定した子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の保育の受皿整備を進め、待機児童の解消に最優先で取り組んでまいります。
 あわせて、保育人材の確保や質の向上を図るため、保育士の処遇改善や潜在保育士の再就職支援、保育士の事務負担の軽減などに総合的に取り組んできたところであります。引き続き、こうした取組の推進に努めてまいります。
 放課後児童クラブについては、放課後子ども総合プランに基づく二〇一九年度までの約三十万人分の新たな受皿の確保を来年度までに前倒しすることとしております。
 幼児教育の無償化については、安倍内閣において毎年度段階的に取組を進めてきたところですが、先般の総選挙でもお約束したとおり、二〇二〇年度までに三歳から五歳まで全ての子供たちの幼稚園、保育園の費用を無償化します。ゼロ歳から二歳児についても、所得の低い世帯に対して無償化するとの方針の下で、現在、具体的な検討を進めているところです。
 この点については、現在、与党においても議論が行われていると承知しており、政府としては、与党の提言をいただいた上で、十二月上旬に新しい経済政策のパッケージを取りまとめてまいります。
 奨学金の拡充と学び直しについてのお尋ねがありました。
 公明党から御提言も受け、今年度から新たに創設した給付型奨学金制度は、私立大学の自宅外生や社会的養護を必要とする学生など、経済的に特に厳しい学生を対象に既に運用を開始しており、来年度からの本格実施を着実に進めてまいります。
 さらに、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学にも進学できる日本にしてまいります。真に必要な子供たちには高等教育を無償化します。そのために、授業料の減免措置の拡充と給付型奨学金の支給額の大幅増加を実施します。
 現在、与党においても議論が行われていると承知しており、政府としては、与党の提言をいただいた上で、十二月上旬に新しい経済政策パッケージを取りまとめてまいります。
 また、学び直しができる環境整備につきましては、幾つになっても誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保するため、人生百年時代を見据えて、その鍵であるリカレント教育を抜本的に拡充するとともに、高齢者の方々を含め、リカレント教育を受けた方々の転職、再就職が可能となるような環境整備に努めてまいります。
 さらに、副業、兼業の普及促進に向けたガイドラインの策定など、柔軟な働き方がしやすい環境整備に努めてまいります。
 賃上げについてお尋ねがありました。
 この四年間、今世紀最高水準の賃上げが続いています。安倍内閣では、最低賃金をこの四年間で約百円引き上げました。パートで働く方々の時給も過去最高となっています。こうした流れを更に力強く持続的なものとしていかなければなりません。賃上げは企業に対する社会的要請だと言えます。来春の労使交渉においては、生産性革命をしっかり進める中で、三%の賃上げが実現するよう期待しています。
 政府としては、過去最大の企業収益を賃上げや設備投資へと向かわせるため、御指摘の所得拡大促進税制を含めた税制面での環境整備、賃上げに努力する中小企業への支援の推進、公明党の御提案で全国に設置した地方版政労使会議を通じた政労使の連携の推進など、あらゆる施策を総動員することで、四年連続の賃上げの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。
 事業継承問題についてお尋ねがありました。
 中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化は、日本経営の屋台骨を揺るがしかねない待ったなしの課題です。円滑な世代交代、事業承継を進めるため、気付きの機会を提供するための地域の支援体制の強化や、マッチングの支援、後継者による経営改革や新事業展開の支援など、今後編成する補正予算も活用し、切れ目のない支援策を講じてまいります。
 事業承継税制については、更に使いやすい制度にすべく、山口代表を始め公明党の皆様のお知恵も拝借しながら、御指摘の提案も含め、思い切った拡充を検討してまいります。
 地域包括ケアシステムと介護人材確保についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて地域包括ケアシステムの構築を進めることが重要です。このため、平成三十年度の診療報酬、介護報酬同時改定においては、地域包括ケアシステムの推進を第一の柱とし、議論を進めてまいります。また、ICTを活用した医療・介護現場における情報連携、生産性の向上に向けてしっかり取り組みます。
 介護人材の確保については、これまで自公政権で月額四万七千円の処遇改善を実現してきました。他の産業との賃金格差をなくしていくため、更なる処遇改善を進めてまいります。また、介護人材の負担軽減や職場環境の改善による離職防止や就業促進などにも取り組み、介護人材確保に向けた総合的な方策を講じてまいります。
 認知症対策についてお尋ねがありました。
 認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気です。認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができる取組を進めていく必要があります。このため、一昨年、我が国の認知症国家戦略として新オレンジプランを策定し、総合的な施策を推進しています。
 認知症の研究開発については、平成三十二年頃までに認知症の進行を遅らせる効果等を有する薬の治験開始を目指し、必要な予算をしっかり確保しつつ、予防や診断、治療の研究開発を推進します。
 認知症初期集中支援チームについては、チームが効果的に機能するよう、研修等を通じて医療・介護人材の確保を支援しているところです。
 若年性認知症の方は、就労や経済的な問題など、様々な課題を抱えています。医療、福祉、就労に関する相談や就労継続の支援等、総合的な支援を行ってまいります。
 今後とも、新オレンジプランに基づき、認知症の方々やその家族の方に寄り添いながら、認知症の方々が自分らしい生活を営めるよう支援してまいります。
 被災地の風評対策、福島再生についてお尋ねがありました。
 福島県の農林水産業や観光業で今なお続く風評の払拭は、福島の産業、なりわいの復興の大前提であります。農産品の輸入規制については、私自身、首脳会談などの機会に、緩和、撤廃を積極的に働きかけ、これまでに二十五か国で規制撤廃を実現しています。観光業では、在外公館における観光誘致PR、外国プレスの福島への招聘などを行い、昨年、福島県への外国人宿泊者数は前年比で五割増となっています。
 今後、対策を更に強化するため、年内に風評払拭のためのリスクコミュニケーション戦略を策定いたします。全国の小中高等学校などにおいて放射線に関する科学的な知識を分かりやすく伝えるなど、正確な情報発信を一層強化してまいります。
 福島イノベーション・コースト構想は、福島復興の切り札であります。そのため、この構想を福島復興特措法に位置付けるとともに、この夏から関係閣僚会議を創設したところです。
 今後、関係省庁が一体となって、ロボットなど最先端技術の研究開発拠点の整備、産業集積、人材育成などを進めてまいります。引き続き、国が前面に立って福島の再生に全力で取り組んでまいります。
 先般の日米首脳会談についてお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談では、北朝鮮問題を始め日米が直面する地域や国際社会の諸課題について、胸襟を開いて率直な意見交換を行うことができました。
 アジア歴訪の最初に当たり、トランプ大統領と深い意思疎通を行い、その後の韓国、中国訪問やAPEC、ASEAN関連首脳会合に向けて十分なすり合わせを行えたことは大変有意義でありました。先般の日米首脳会談を通じ、アジア太平洋の平和と繁栄を主導する日米同盟の揺るぎない姿を世界に向けて示すことができたと考えています。
 北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領とは、訪日の際に、十分な時間を掛けて北朝鮮の最新の情勢を分析し、今後の方策について完全に意見の一致を見ました。この成果を踏まえ、習近平国家主席、プーチン大統領との間でも率直な意見交換を行い、北朝鮮における制裁の効果を注意深く見極めていくことで一致しました。
 北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方々から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。
 我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行を全ての国連加盟国に働きかけ、問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。トランプ大統領が、全世界が注目する国連総会の演説で横田めぐみさんに言及したことに加え、訪日の際に、拉致被害者の御家族の皆様と面会し、御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けていただいたことは、拉致問題の早期解決の重要性を世界に訴える上で非常に大きな力となりました。
 私が司令塔となって、北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 持続可能な開発目標、SDGsの取組についてお尋ねがありました。
 SDGsには我が国が国際社会に示してきた人間の安全保障の理念が反映されており、私が本部長を務めるSDGs推進本部の下、民間企業、市民社会等の多様な担い手と連携しつつ、取組を加速化してまいります。国民の認知度向上ための広報にも更に注力してまいります。
 日本は、これまで、保健、教育、防災、女性などのSDGsの主要分野で積極的に国際貢献を行ってきています。来月半ばに開催するUHCフォーラム二〇一七等の機会も活用しつつ、二〇一九年の首脳級会合に向けて、SDGsの推進を引き続き主導していく考えであります。
 核兵器のない世界の実現に向けた我が国の取組についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向け国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。核兵器禁止条約の採択やICANのノーベル平和賞受賞が、被爆の悲惨な実相や核兵器の非人道性についての国際社会の理解を深めるきっかけになれば喜ばしいことですが、同時に、ますます厳しさを増す安全保障環境の中で、北朝鮮の核・ミサイル問題といった現実の脅威に真正面から取り組んでいく必要があります。
 我が国は、核兵器国、非核兵器国双方の信頼関係を再構築していく上で橋渡し役を務め、御指摘の賢人会議の開催や、CTBTの発効や、FMCT、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約の交渉開始に向け、現実的かつ実践的な観点から、核軍縮・不拡散を進めていくべく粘り強く取り組んでまいります。
 TPP11及び日中関係についてお尋ねがありました。
 TPP閣僚会合での大筋合意は大きな成果となりました。自由貿易の旗手として、TPPのハイスタンダードの基準を踏まえ、二十一世紀型の質の高い、自由で公正なルールに基づく経済圏を広げていく取組を主導してまいります。
 今回、習近平国家主席及び李克強首相とそれぞれ日中首脳会談を行いました。日中韓サミットを早期に開催して李克強総理の訪日を実現し、その後、私が訪中し、その後には習主席に訪日していただきたいと考えています。
 本年は日中国交正常化四十五周年、来年は日中平和友好条約締結四十周年という節目の年であり、戦略的互恵関係の考えの下、大局的な観点から日中の友好協力関係を安定的に発展させていく好機であると考えます。
 日ロ関係についてお尋ねがありました。
 APEC首脳会議の際のプーチン大統領との首脳会議では、率直な議論を行い、長門合意を具体的に前進させていくことで一致しました。
 北方四島における共同経済活動は、現地調査を実施し、早期に取り組む五件のプロジェクト候補が特定されています。双方の法的立場を害さない形で、来春に向けてプロジェクトを具体化させるための検討を加速させていきます。
 また、首脳間の合意の成果として、本年九月に航空機による特別墓参が実施されました。来年以降も元島民の方々がより自由な往来をできるよう、ロシア政府と協議していきます。
 我が国政府としては、来年の日本年、ロシア年を含め、幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で発展させつつ、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、粘り強く交渉を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(世耕弘成君) 山口議員にお答えいたします。
 中小・小規模事業者における生産性の向上や下請取引の適正化についてお尋ねがありました。
 深刻化する人手不足や少子高齢化に対応するため、中小・小規模事業者の稼ぐ力を強化する観点から、生産性向上の取組を進めていくことは不可欠であります。このため、昨年成立した中小企業等経営強化法に基づく低利融資や税制支援により、これまで約三万五千者の中小・小規模事業者の生産性向上の取組を支援してきたところであります。引き続き、各省庁とも連携をし、取組を強化してまいります。
 また、厳しい経営環境の中でもチャレンジする中小企業の生産性を向上するため、革新的な物づくり、サービスの開発に取り組む中小企業の設備投資やIT利活用を促進してまいります。
 さらに、下請取引の適正化につきましては、現在、自主行動計画の実施状況についてのフォローアップ調査を行っており、その結果を年内をめどに公表する予定であります。長時間労働につながる商慣行についても、下請Gメンによる聞き取りを通じて実態把握に努め、その改善に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(石井啓一君) 生産性革命につきまして、国土交通省の取組に関するお尋ねがありました。
 国土交通省では、生産性の向上が喫緊の課題であることから、平成二十八年に国土交通省生産性革命本部を設置し、これまで二十のプロジェクトの具体化を進めてきております。
 建設分野の生産性向上を図るi―Constructionにつきましては、本年度から土工に加えまして舗装工やしゅんせつ工にICT対応の工種を拡大をし、今後は維持管理分野などへも拡大をしてまいります。さらに、中小企業への普及や新技術の開発、導入、施工時期の平準化等にも積極的に取り組んでまいります。
 物流分野につきましては、ICTを活用いたしましたトラックの予約受付システムの導入による荷待ち時間の削減のほか、宅配ボックスの設置促進による再配達の削減などに取り組んでおります。さらに、ダブル連結トラックやトラックの隊列走行の実現等に向け取り組んでまいります。
 国土交通省といたしましては、これらの施策を積極的に推進するとともに、生産性革命の基礎にある、小さなインプットでできるだけ大きなアウトプットを生み出すという考え方をあらゆる分野の施策に生かしてまいりたいと存じます。
 防災・減災対策の推進についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、昨年四月の熊本地震、本年七月の九州北部豪雨、十月の台風第二十一号等、数多くの災害が発生をしております。被災地の方々が一日も早く日常の生活に戻れるよう、早期の復旧復興に向け、国土交通省として全力で取り組んでまいります。
 このような災害の教訓を踏まえ、災害リスクに関する知識と心構えを社会全体で共有し、地震、洪水、土砂災害等の様々な災害に備える防災意識社会へ転換し、整備効果の高いハード対策と住民目線のソフト対策を総動員していく必要があると考えております。
 まず、切迫する南海トラフ巨大地震や首都直下地震につきましては、それぞれ想定される具体的な被害特性に合わせ、避難路、避難場所の整備、ゼロメートル地帯の堤防の耐震化等、実効性のある対策を推進をいたします。
 また、頻発、激甚化する水災害につきましては、一昨年の関東・東北豪雨を踏まえまして、水防災意識社会再構築ビジョンに基づき、堤防の強化やタイムラインの作成を始め、事前に災害に備えるハード、ソフト一体となった取組を進めております。
 一方で、御指摘のように、地域の防災力向上のためには女性の視点を取り入れることが必要と考えます。例えば、地方公共団体の防災会議における女性の参画割合は現在一割程度であり、内閣府において積極的に女性を登用している事例を提供するなど、女性の割合を増やす取組を進めているところであります。
 女性の視点を取り入れた地方公共団体の防災対策を支援することも含めまして、国土交通省の現場力を最大限活用し、国民の生命と財産を守り自然災害に強い国づくりを実現するため、総力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(伊達忠一君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#9
○山下芳生君 日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 総理は、森友、加計疑惑について、丁寧に説明すると繰り返しながら、所信表明では一言も語りませんでした。しかし、総理夫妻のお友達のために行政がゆがめられ、国政が私物化されたのではないかという重大な疑惑です。いつまでも逃げ続けることは許されません。
 まず、森友疑惑について聞きます。
 国民の財産である国有地が八億円も値引きされ、ただ同然で森友学園に払い下げられたからくりが、音声データの生々しいやり取りで明らかになりました。
 近畿財務局の職員が、幾らなら買えるのかと籠池理事長に尋ね、籠池氏が一億六千万円と応じ、財務局職員は、それに近いところまで努力していますと述べていました。深さ九・九メートルまでごみが埋まっていたことにして土地を値引きするというストーリーが作られ、それが財務省の側から提案されていたのです。
 総理、政府の側から値引きが持ちかけられたことは異常だと思いませんか。総理の責任で事実の究明を行うべきだと考えますが、いかがですか。
 大幅値下げ実現の背景に安倍昭恵氏の存在があったとの疑いはいよいよ強くなりました。総理は、妻はだまされたと言っていますが、園児に教育勅語を暗唱させていた幼稚園をすばらしいと絶賛し、小学校建設予定地を籠池氏と一緒に視察するなど、一連の過程に積極的に関わっていたのが昭恵氏ではありませんか。
 籠池氏も、昭恵氏の名誉校長就任で神風が吹き、大幅値下げが実現したと国会で証言しました。真相究明のためには、安倍昭恵氏に国会に来ていただき、真実を語ってもらう必要があると考えますが、総理の見解を求めます。
 次に、加計疑惑です。
 獣医師の数は足りているとして五十二年間認められなかった獣医学部の新設が加計学園に認められたのは、今年一月、その計画が国家戦略特区に認定されたからであります。政府は、認定理由について、一つ、新分野での具体的な需要が明らかなどの四条件を満たしている、二つ、競合する他の大学の計画よりも熟度が高いと説明してきました。
 ところが、この説明には全く根拠がなかったことが明らかになりました。今年五月、文部科学省の大学設置審議会は、加計学園の計画に対し、新分野の具体的な需要が不明である、教員が高齢層に偏り、実習を補助する助手もおらず、カリキュラムの実現可能性に疑義があるなどとして警告を発していたのです。
 四条件についてまともに検証されず、熟度が高いどころか設置基準の最低ラインさえ到達していない計画だった。要するに、一月の特区認定がでたらめだったということではありませんか。認定したのは国家戦略特区諮問会議。その議長は安倍総理です。総理、あなたの責任は重大だと考えますが、いかがですか。
 大学設置審専門委員会のある委員は、しんぶん赤旗の取材に対し、四条件はアンタッチャブルだった、設置審の審査は答えを教えながら何回も試験するようなものだ、だから最終答申では合格に至った、じくじたる思いだと証言しています。
 こんなずさんな計画がごり押しされたのはなぜか。加計学園の理事長が総理の腹心の友だったからではないかとの新たな疑問が起こっています。
 総理、加計学園の特区認定プロセスについてしっかり検証すべきではありませんか。真相究明のためには、加計孝太郎氏も国会に来ていただき、本当のことを話してもらう必要があると思いますが、いかがですか。
 次に、北朝鮮問題について、総理の認識、基本姿勢を伺います。
 北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されません。同時に、破滅をもたらす戦争だけは絶対に引き起こしてはなりません。
 トランプ大統領の日本、韓国、中国歴訪の際、中国と韓国の首脳は、いずれもこの問題について対話による平和的解決を表明しました。これに対し、安倍総理は、今は対話のときでないと北朝鮮との対話を拒否する姿勢を示すとともに、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持すると表明しました。この選択肢の中には軍事的オプションも当然含まれます。対話による解決を求める中国と韓国、さらに同じ姿勢を示すドイツやフランスなどと比べ、安倍政権の立場は異常なものと言わねばなりません。
 今、最も危険なことは、米朝両国の軍事的緊張が高まる下で、双方の意思に反して偶発的な衝突が発生し、それが戦争に発展してしまうことです。秋山昌廣元防衛事務次官は、米朝の対立が進めば誤解や誤算による軍事衝突の危険が高まる、第二次朝鮮戦争に発展し、韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらすと警告しています。
 ところが、総理は、トランプ氏との首脳会談後の会見で、偶発的な軍事衝突を避けるためにどのような対応が必要かと問われ、誰も紛争など望んでいないと答えるのみでした。そんなことは当然です。しかし、望んでいなくても偶発的な衝突が発生する危険が高まっていると内外の専門家が共通して指摘しているのです。その点について、政府は対応策を持っていないのですか。危機を打開し、戦争を回避するためには、米朝が直接対話することがどうしても必要だと考えますが、いかがですか。
 国際社会が一致して経済制裁の圧力を強めることは必要です。しかし、それだけでは問題を解決することはできません。制裁強化と一体に、対話による平和的解決を図ることこそ唯一の解決策です。そのために日本政府が積極的な役割を果たすべきではありませんか。真剣に考えていただきたい。
 さらに、米国による先制的な軍事力行使への懸念もあります。それがどのような深刻な事態をもたらすか。米統合参謀本部は、北朝鮮の核兵器を完全に破壊する唯一の方法は陸上侵攻だとする文書を発表しました。これに対し、退役軍人である民主、共和両党の米上下両院議員十六人が共同声明を発表し、何十万あるいは何百万人もの人命が最初の数日の戦闘で失われることすら意味する、北朝鮮問題で有効な軍事選択肢というものはないと強調しています。
 韓国の大統領は、先日の施政方針演説で、いかなる場合にも朝鮮半島で武力衝突はあってはならないと述べ、一方的な軍事行動には同意しない立場を改めて示しました。国民の生命と安全に責任を持つ為政者として当然の見識です。
 総理、日本を守り抜くというのなら、日本にも大きな被害がもたらされることになる先制的な軍事力行使は絶対にやるべきでないと米国に提起すべきではありませんか。答弁を求めます。
 東京電力福島第一原発事故から六年八か月。総理は所信表明で、福島では、帰還困難区域を除き、ほぼ全ての避難指示が解除されたと述べました。また、今年三月、避難指示の解除を決めた際には、本格的な復興のステージを迎えると述べました。
 しかし、福島の現実は、避難指示解除が本格的な復興に直結するような状況ではありません。医療、介護を始め、除染、住宅の整備、雇用など、まさに課題山積です。そもそも、原発事故は収束していません。だからこそ、いまだに六万八千人の方がふるさとや元いた場所に帰れない、あるいは帰らないということになっているのではないでしょうか。総理にこの認識はありますか。
 しかも、安倍政権は、自主避難者への住宅提供を今年三月末で打ち切り、精神的苦痛への賠償は来年三月末で終了するとしています。絶対に許されません。復興加速の看板の下に被害者切捨てを進める安倍政権こそ、復興の最大の障害だと言わなければなりません。全ての被害者が生活となりわいを再建できるまで国と東京電力が責任を持つことは当たり前ではありませんか。総理の認識を伺います。
 政府の長期エネルギー需給見通しでは、二〇三〇年度の電力に占める原発の割合を二〇ないし二二%にするとしています。全国で約三十基もの原発を再稼働することになります。
 しかし、これは国民の世論に真っ向から反するものです。どの世論調査でも、再稼働に反対が賛成の約二倍となっています。
 他方、財界は、原発の再稼働を強く求め、原発事故を起こした東電の柏崎刈羽原発まで再稼働しようとしています。政府も、稼ぐことが福島事業への貢献などとして、柏崎刈羽を再稼働させようとしていますが、福島を口実に再稼働を正当化するなど言語道断、被害者を愚弄するものではありませんか。
 再稼働にひた走る道に未来はありません。原発事故後、約二年間にわたって稼働原発ゼロとなり、日本社会が原発ゼロでやっていけることも証明されています。直ちに原発ゼロの政治決断を行い、再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的普及へと道を切り替えるべきではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、今回の解散・総選挙に当たり、二〇一九年に消費税を一〇%に引き上げるとともに、全世代型の社会保障への改革を行うと宣言しました。ところが、選挙が終わるや否や政府が打ち出してきたのは、医療費の窓口負担の引上げ、介護保険の在宅サービスの給付外し、子育て世代の生活保護費削減など、全世代を対象にした社会保障の切捨てです。国民をだまし討ちにするにも程があると言わなければなりません。
 これらがどんな影響を与えるか。例えば、認知症の高齢者は四百六十二万人、軽度認知障害のある人も四百万人いると推計されています。高齢者の三ないし四人に一人が認知症か軽度認知障害という状況です。ところが、現行の介護保険では利用できるサービスに限度があり、認知症のお世話は専ら家族任せという高齢者が膨大な数に上っています。
 にもかかわらず、安倍政権は、要支援一、二に続き、要介護一、二の在宅介護サービスを保険給付から外すことを検討しています。こんなことをやれば、政府が提唱している認知症の早期発見、早期対応に逆行する事態を政府自らつくることになるではありませんか。介護を必要とする多くの人に影響する在宅介護サービスの保険給付外しは中止すべきであります。
 認知症の人と家族の会の皆さんは、認知症になったとしても、介護する側になったとしても、人としての尊厳が守られ日々の暮らしが安穏に続けられなければならないという理念を掲げ、奮闘されています。こうしたすばらしい理念に現実社会を近づけることこそ政治の役割だと考えますが、総理の認識はいかがですか。
 所得の低い人ほど負担が重くなる、社会保障財源として最もふさわしくない税金が消費税です。一〇%への増税はきっぱり中止し、応能負担の原則に立って、アベノミクスで大もうけした大企業と富裕層に応分の負担を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。
 安倍政権は、働き方改革と称して、労働時間規制が掛からない労働者をつくり出す残業代ゼロ制度を導入しようとしています。さらに、月八十から百時間という過労死ラインの残業を合法化しようとしています。とんでもありません。これでは、長時間労働と過労死が一層はびこることは明らかです。
 総理も演説で触れた、電通で過労自死した高橋まつりさんの母、幸美さんは、過労死遺族の一人として全く納得できません、政府は働く人の健康と命を守るために法律改正を行ってくださいと訴えています。総理、この訴えにどう応えますか。
 働き方に関わって、喫緊の課題について質問します。
 政府は、昨年、通算雇用期間が五年以上になる有期雇用労働者のうち、希望する労働者は全て無期転換、すなわち期間の定めのない雇用に切り替えるとの目標を掲げました。
 ところが、改正労働契約法に基づく無期転換権が生ずる来年四月を前に、トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーは、雇用契約更新の際、六か月の空白期間を設ける契約への変更を進めています。無期雇用にしないためです。明らかな脱法行為です。こんなことが許されたら、無期転換権を行使できる労働者は誰もいなくなってしまうではありませんか。
 五年たったら無期雇用でなく、五年以内で雇い止め、これでは雇用の安定化どころか大量の失業者を生み出すことになります。多くの国立大学、独立行政法人でも同様の動きが顕在化しています。有期雇用労働者一千五百万人に関わる重大な問題です。
 政府は大手自動車メーカーに対する調査を行っているといいますが、具体的にどのような手だてを取るつもりですか。このような脱法的なやり方は今すぐ止めるべきではありませんか。しかとお答えください。
 最後に、憲法について質問します。
 五月三日、総理は憲法九条を変えると宣言しました。しかし、憲法九条は、日本国民三百十万人、アジアの人々二千万人もの犠牲をもたらした日本が起こした戦争への深い反省から生まれたものです。戦争はしない、戦力は持たないと決意した九条には、内外の犠牲者の無念、残された者の平和への願いが刻まれています。
 九条は、その後、国民の中に広く定着し、日本社会の姿形を規定する根幹となりました。軍事では、自衛隊の海外派兵を制限する最大の歯止めとなり、自衛隊員が海外で殺し殺されることのない状態をつくりました。経済では、軍事費を抑制することにより、民生分野を中心とする経済成長を促し、国民生活を向上させる力となりました。学術、文化では、戦前のような軍事優先と決別し、科学と文化が我が国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献する基礎となりました。
 総理は、こうした憲法九条の生い立ちと働きについてどのような認識をお持ちですか。しっかりお聞かせいただきたい。
 総理は、憲法に自衛隊を明記すると主張しています。
 仮にそれが実現すれば、新法は旧法を改廃するという法の原則によって、戦力は持たないとした九条二項が空文化し、歯止めのない海外派兵に道が開かれます。経済でも学術、文化でも、軍事が優先され、今述べた日本社会の姿形が大きく変わります。それが総理の狙いではありませんか。そのようなことを断じて認めるわけにはいきません。
 今変えるべきは、憲法ではなく、憲法をないがしろにする政治であることを訴えて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生君にお答えいたします。
 森友学園への国有地売却についてお尋ねがありました。
 国有地の売却における当事者間でのやり取りについては、現在捜査が行われており、捜査の場及びその後の司法の場において明らかになっていくだろうと思います。
 ただ、私の妻が、一時期、名誉校長を務めていたこともあり、国民の皆様から疑念の目を向けられたとしても、もっともだと思います。
 その上で、本件については、私自身、閉会中審査に出席するなど、国会において丁寧な説明を積み重ねてまいりました。今回の衆議院選挙における各種の討論会でも質問が多くあり、その都度、丁寧に説明をさせていただいたところであり、今後もその考え方に変わりはありません。
 なお、国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことと認識をしております。
 特区認定のプロセス、加計理事長の国会招致についてお尋ねがありました。
 今回のプロセスは、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれについても、御指摘の四項目も当然踏まえた上で、民間有識者も加わった特区諮問会議やワーキンググループが主導し、適正に行われてきました。その際、節目節目で、農林水産大臣、文科大臣も会議に出席するなど、関係大臣の間に異論がないことを確認し、合意の上で関係法令に基づき実施してきたものと理解しています。
 このように、法令にのっとり一貫してオープンなプロセスで進められる中で、関係大臣の合意の下、四項目の充足は確認されており、その選定のプロセスについては、民間有識者も一点の曇りもないと述べられていると承知しています。
 そして、さきの閉会中審査では、関係大臣を始め誰一人として、誰一人として私から何らの指示も受けていないことが明らかとなったところであり、そのことが今回の行政プロセスを評価するに当たり最も重要なポイントであると考えています。
 その上で、国会の運営については国会がお決めになることであると考えます。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 まず指摘したいのは、挑発を行っているのは北朝鮮の方であり、世界の脅威となっているのは北朝鮮であります。私も、世界中の誰一人として紛争など望んでおりません。
 韓国でトランプ大統領は、北朝鮮が対話のテーブルに着き、北朝鮮の人々や世界中の人々にとって良い合意を結ぶことは筋が通っている、また、米国は北朝鮮に対してより良い未来への道を提供することができると述べており、これに対し、非核化に向けた対話を拒否しているのは北朝鮮です。
 北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。
 我が国としては、国際社会とも緊密に連携しながら、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。
 もとより、政府として、他の国・地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはありません。米国の今後の対応を予断することは差し控えますが、日米間で北朝鮮問題への対応に関し、緊密に連携してまいります。
 福島の復興の現状と原発ゼロについてお尋ねがありました。
 今年春には大幅に避難指示解除が進みましたが、これは福島復興のスタートにすぎません。いまだ多くの方々が避難生活にある現状を胸に刻み、一日も早い生活再建、なりわいの再生に向けて、お一人お一人の事情に応じたきめ細かな就労支援、住まいの復興などに引き続き国として責任を持って取り組んでまいります。
 原発については、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減することが安倍内閣の一貫した方針です。同時に、資源に乏しい我が国にとって、電気料金のコスト、気候変動問題への影響、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。
 高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の方針であります。
 軽度者向け介護サービスと認知症対策についてのお尋ねがありました。
 御指摘の軽度の要介護者に対する生活援助サービス等については、経済・財政再生計画改革工程表に沿って、認知症の方を含め、高齢者の自立支援等の観点から、引き続き検討を行ってまいります。
 なお、平成二十六年の介護保険法改正では、要支援の方を引き続き介護保険の地域支援事業の対象として、市町村が必要なサービスを地域の実情に応じて効果的かつ効率的に提供できるよう仕組みを見直したものであります。
 認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気です。認知症の方の意見が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる取組を進めていくことが必要です。そのため、一昨年、我が国の認知症国家戦略として新オレンジプランを策定しました。
 今後とも、新オレンジプランに基づき、認知症の方やその家族の方の支援を進め、認知症の方々が自分らしい生活を営めるよう支援してまいります。
 消費税率引上げの中止等についてお尋ねがありました。
 消費税については、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置付けております。
 消費税率の一〇%への引上げに当たっては、その使い道を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当することとしており、引上げを中止することはありません。こうした使い道の見直しによって、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へと大きく改革してまいります。
 企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んでまいりましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により、財源をしっかり確保しております。
 また、税制の再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げ等を講じてきたところです。
 今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討をする必要があるものと考えています。
 働き方改革についてお尋ねがありました。
 過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。
 罰則付き時間外労働の上限規制の導入などの働き方改革については、働き方改革実行計画の内容を踏まえ、法案の早期提出を目指します。まず、時間外労働の上限は、月四十五時間かつ年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定め、これらに違反した際には罰則を科すこととします。
 なお、高度プロフェッショナル制度は、働く方の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、残業代ゼロ制度との批判は当たりません。
 無期転換ルールについてお尋ねがありました。
 まず、無期転換ルールを避ける目的で雇い止めをすることは、法の趣旨に照らして望ましいものではないということを申し上げます。このため、無期転換ルールの適切な適用のため、都道府県労働局に特別相談窓口を設置するなど、企業への周知や啓発指導にしっかりと取り組んでまいります。
 御指摘の企業における事例については、現在、厚生労働大臣において実態を調査中であり、調査結果を踏まえて必要な対応を取ってまいります。
 憲法九条についてお尋ねがありました。
 我が国は、第二次世界大戦後、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう決意し、不戦の誓いをより確かなものとするべく、平和国家の建設を目指してひたすらに努力を重ねてきました。恒久平和は日本国民の念願であります。
 この平和主義の理念は、国民主権、基本的人権の尊重と並ぶ日本国憲法の基本原則の一つであり、憲法前文は我が国が平和主義の立場に立つことを宣明し、第九条は平和主義の理念を具体化した規定であると考えています。
 憲法九条の改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正の内容については、私は今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している改正案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、自衛隊の存在が憲法に明記されることによって自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないものと考えており、御指摘は全く当たらないことを申し上げておきたいと思います。(拍手)
#11
○議長(伊達忠一君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#12
○議長(伊達忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。片山虎之助君。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕
#13
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 私は、我が党を代表して、安倍総理に質問いたします。
 第四十八回衆院総選挙が終わり、自民党は大勝し、与党は三分の二を超える議席を維持しました。自民党は、平成二十四年末政権復帰以来、国政選挙五連勝です。総理はこの結果をどのように総括されますか。この結果を受け、総理は謙虚に、真摯に政権運営に当たると表明されましたが、今後の国会運営、政権運営はこれまでとどこがどう違うのか、あるいは違わないのか、お聞かせをいただきたい。
 また、総理は所信表明演説で、政策とその実行を何度も繰り返し強調されました。良き政策をつくり、それを全力で実行することは、まさに政治の原点であり、政治家の本来の使命です。改めて、今回の所信表明で強調された真意を御説明ください。
 憲法第四十一条には、国会は国権の最高機関であり、かつ唯一の立法機関と規定されています。しかし、今の国会にそれだけの権威があり、国民の強い信頼があるとは私には思えません。前国会においても、国会議員の不祥事が続発、国会運営では、与党は数に頼んで力で押し、時に強行採決、野党は日程闘争とモリカケ問題のパフォーマンスに終始し、時に審議拒否、国民のための健全な議論も合意形成のための努力も共に足りなかったと私は思います。我が党は、小政党ながら国会審議に真摯に対応、課題に対しては是々非々主義に立ち、非の場合には建設的な対案を示し、国民の理解と信頼を得るよう懸命に努力してきたつもりです。いかがお受け止めでしょうか。
 また、一強状況が続く中で安倍政権は、国会審議を忌避し、長期間国会を開かず、その間、重要政策を官邸や審議会主導で決めていく姿勢は国会軽視であり、国権の最高機関は官邸と誤解しているとの批判もありました。確かに、我が国は他の先進国に比べ総理や閣僚の国会拘束が多過ぎます。この際、質問時間の配分を含め、国会改革について与野党で真剣に取り組むことを提案します。総理に御所見があれば伺います。
 私はかつて、参議院自民党国対委員長時代、参院は、与党であっても内閣や衆議院に対するチェック・アンド・バランスの関係に立つので質問時間では差を付けないようにすべきだと主張し、野党の理解も得て実現しました。
 国会には、与野党を問わず立法を行うとともに、政権運営や行政執行を不断に監視、チェックする役割が求められています。したがって、その役割の多寡に応じ公正に質問時間が配分されるべきだと考えますが、政権側の総理の御所見を伺います。
 唯一の立法府である国会は、今や閣法の追認機関と化し、本来中心であるべき議員立法は隅に追いやられています。我が党はそれを打破すべく、前国会に議員立法を計百八本提案し、今国会にも、十六日、十五本の身を切る改革法案を提出しました。しかし、全ての会派が同意しなければ議員立法の審議はしないのがこれまでの国会のあしき慣例で、審議してもらえません。是非、この審議入りを各会派にお願いしたいと思います。
 また、国民に負担や痛みをお願いするのなら、まず身を切る改革を国会議員が率先して行わなければ説得力はありません。昨年、身を切る改革について、議員立法が成立するまで我が党だけでも行うことを決め、以降実行しています。
 主なものは、第一に、議員報酬から毎月一人が十八万円を拠出、総額を毎月被災地へ提供しています。復興特別所得税は二十五年間、住民税は十年間、国民は負担し続けるのに、議員、公務員の報酬カットは震災後二年間で終わりました。第二に、企業・団体献金は受け取らない。受け取れば政党助成金との二重取りになります。第三に、議員一人月百万円支給されている文書通信交通滞在費の使途を公開しています。第四に、選挙区支部への寄附の税額還付は申請しない等です。
 かつて総理には同じ質問をして御評価をいただきましたが、これらの実行にリーダーシップを発揮されるお考えはありませんか。自民党だけでもいかがですか。
 憲法改正について、今回の選挙結果で、具体的な議論を開始することは国民の信任を得たと私は考えます。現憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則など優れた内容を持ちつつも、制定に国民が直接参加せず、国民の意思も反映されていない点が最大の欠陥です。
 私はその解消をできるだけ早く図ることが絶対の要件だと考えています。拙速は慎むとしても、また、あらかじめスケジュールありきではないとしても、衆参審査会の議論が結果的に引き延ばしにならないように、おおよそのスケジュール感の共有が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 まず、衆参の憲法審査会で発議案をまとめるとして、各党が案を持ち寄らなければなりません。改正反対も一つの意見ですから、自由に各党が持ち込まれればよい。しかし、いずれにせよ、最大会派の自民党がテーマの集約を先導することは必要です。その用意はありますか。
 我が党は、憲法改正案を既に発表しております。教育の無償化、地方分権・統治機構改革、憲法裁判所の設置の三項目で、案文も作成済みです。第九条改正については現在論議中です。これら三項目は、あるいは第九条を含めて、いずれも憲法事実、憲法を変えるだけの実態と必要性があると考えての上ですが、総理の御所見をお伺いします。
 今から二年半前の平成二十七年三月の予算委員会で、私は、初めて総理に教育無償化について質問しました。その教育無償化は今回の総選挙では大きな争点となりました。無償化論の先駆けをし、流れをつくったと自負する我が党としては、大変好ましい事態です。そして、教育の無償化は国の基本法である憲法に書き込みたいというのが我が党の主張です。政権が替わっても財政状況が悪くなっても変更されない国是にしたい。これは自民党総裁としての総理のお考えとも一致すると思いますが、いかがですか。また、膨大な財源を要しますので、国民の理解を得ながら段階的に進めることも当然です。総理の御所見を伺います。
 政府から示されるという二兆円規模の教育無償化のパッケージについてお伺いします。
 三歳から五歳については年収に関係なく、ゼロ歳から二歳児については住民税非課税世帯を対象に無償化する案と聞きます。三歳から五歳についても所得に応じて助成額に上限を設ける考え方も出ています。財源上の理由からのお考えは分かりますものの、かえって不公平を助長するようで釈然としません。私は、現時点ではともかく、最終的にはナショナルミニマムとして幼児教育は全て無償とすることを基本方針とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、総理は、今回の選挙では、消費税の使途を見直し、教育無償化に充てるとの公約を前面に掲げられました。
 消費税増税については、我が党は、景気の回復や身を切る改革・徹底行革など四条件が満たされなければ凍結と主張し、教育無償化の財源も、本気で身を切る改革・徹底行革等で捻出することを提案しています。今回の消費税の使途変更は単なる財源の付け替えであり、新たな財源とは言い難い。こうした努力から逃げて、本来、将来世代の借金を抑制するためだった消費税財源にその解決を求め、さらに足りない部分は別途経済界に拠出をさせる案は、少なくとも政権与党としては正攻法ではないと考えますが、いかがでしょうか。
 高等教育機関の質の向上も大きな課題です。少子化が進むにもかかわらず大学の数が増え続けたことにより、大学全入時代となり、大学生の学力低下は深刻です。高等教育の場としての大学も、バウチャー制度など大胆な競争原理や規制緩和を導入し、思い切った再編や統廃合を促進すべきです。あわせて、地方活性化のため、大学の地方分散を更に奨励すべきでしょう。総理の御所見を伺います。
 高等教育の無償化については、結論を急ぐ必要はなく、条件を整えつつ十分な検討をすべきだと考えますが、いかがですか。
 次に、外交・安保政策についてお伺いします。
 まず、日米関係について、先日来日したトランプ大統領との日米首脳会談では、強固な日米同盟の下、北朝鮮に対する圧力を最大限に高めていくことで一致した点など、大きな成果がありました。
 一方、経済面については、これから本格化する日米経済対話や米国が離脱したTPP11の発効や運用にしっかりと取り組む必要があります。もしTPP11が米国抜きでも十分な成果を上げていけば、米国世論を刺激し、米国復帰を早めることにつながります。日欧EPAも同じ効果が期待されます。
 さて、米中首脳会談では、中国、アメリカとの間で二十八兆円の巨額商談が発表されました。トランプ大統領から対米貿易赤字についての不満が表明されたことからも、アメリカ・ファーストに立った主張が今後の日米FTA交渉等の中で出てくることは想像に難くありません。中国が行ったように、経済界とも連携して先手を打つ方策を検討する必要はありませんか、総理の御所見を伺います。
 次に、日朝関係についてです。
 北朝鮮からの度重なる挑発的なミサイル発射や核実験は我が国の安全保障にとって重大な脅威ですが、幸い、九月十五日以降、挑発的な行為は止まっています。しかし、油断はできません。対話は重要としても、現時点で北朝鮮が直ちに応じ、事態が解決するとは考えにくい。今行うことは、国連安保理の追加制裁の完全実施や国際的に足並みをそろえた外交努力等を続けることです。
 トランプ大統領の各国歴訪は、北朝鮮の非核化では一致したものの、韓国と日米には温度差があり、中国とは擦れ違い、ロシアとは会議もしないという状況でした。これらアメリカ、韓国、中国、ロシアの対応をどう理解し、どう評価されますか。特に中国とアメリカの本音をどう思われますか。
 北朝鮮の脅威が増していく中、核・ミサイル防衛システムの一層の整備を図り、抑止力として敵基地攻撃能力の保有についての議論を高めることも必要です。
 米国製の防衛装備品の更なる購入について、総理は、日本の防衛力を質的に量的に拡充していくと表明されましたし、かつて予算委員会での私の質問に、防衛費をGDP一%以内に抑えるという考え方は取らないとも答弁されました。私も同意見ですが、重ねて総理の御見解を伺います。
 拉致問題についても解決に向けしっかりした取組が必要です。トランプ大統領は、国連総会の演説でも横田めぐみさんの拉致について触れ、訪日時には拉致被害者や家族等との面談が行われました。トランプ大統領はほかでも拉致問題に触れておられますので、国際世論を巻き込んでの解決が期待されます。総理は具体的にどのような方途をお考えでしょうか、お聞かせください。
 次に、日中関係について、政府が尖閣諸島を国有化してから五年を迎えました。依然として、尖閣諸島周辺での中国関係船による領海侵入が常態化し、違法操業が横行しています。中国の海洋強国化が鮮明になり、中国海軍の軍備が増強される中、海上保安庁による警戒監視、取締りのみで対応は十分でしょうか、御所見をお伺いします。
 また、日米はもとより、日豪、日印の首脳会談でも、アジアからアフリカに至る地域の成長と安定を目指す自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力が合意されました。もとより、一帯一路構想で存在感を増す中国を牽制する狙いもありますが、今後、日米豪印四か国を中心とした戦略的連携をどうつくり、我が国はどういう役割を果たすのか、総理の御所見をお伺いします。
 一方で、総理は十一日に中国・習主席と、十三日に李首相とも相次いで会談をし、相互の往来を約して、日中関係改善が新たな段階に入りつつあることも世界に印象付けました。今後の進展についていかがお考えですか。
 日本経済の現状認識は、株価の上昇や企業の好調な業績等、景気回復局面にあるという大方の見方がある中、七―九月期のGDP速報値も年率一・四%のアップとなりました。イザナギ景気を超える戦後二番目、七期連続の景気拡大ですが、依然、地方や中小企業などで景気回復の実感に乏しいのも事実です。また、雇用状況がこれだけ好転しているにかかわらず、なぜ賃金が上がらないのかも不思議です。総理はいかに認識されていますか。
 また、日銀の黒田総裁の任期も来年四月に迫ってきました。金融緩和に対するいわゆる出口戦略について、米国、EUの動きに対し、日本だけが遅れているという意見が声高になっていますが、日銀の姿勢は変わりません。いかがお考えですか。
 税制改正について、まず働き方改革と所得税改革は不可分です。昨年の税制改正、特に配偶者控除等の見直しは不十分で、結局、鳥籠を大きくしただけだとの批判があります。真に働き方改革を行うつもりなら、どの所得層をどう遇するのかという所得税在り方の基本哲学を持って抜本改革を行うべきでしょう。残念ながらそうなっていません。いかがですか。
 世界的に法人税引下げ競争の様相を呈しています。米国は三五%から二〇%へ、フランスは三三%から二五%へを目指しています。我が国でも法人税実効税率はこの二、三年低下していますが、その効果は、賃金を上げたり設備投資に回らず、内部留保を増やしただけに終わっています。
 内部留保課税には税理論から問題があるとの指摘もあり、経済の好循環を実現するためには賃上げや投資を行った企業に大胆に税負担を軽減する政策税制を選択する方がベターでしょう。いかがですか。
 今国会は短い国会ですが、来年の通常国会に続く憲法改正や教育無償化に向けた本格的な議論が始まる重要な国会と考えます。我が党は、国会を正常化し、その権威と国民の信頼を回復するよう先頭に立つとともに、我が党政策の中心である身を切る改革・徹底行革と地方分権・統治機構改革に引き続き最大限努力することをお誓いして、私の代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 選挙結果の総括と今後の政権運営、所信表明の真意についてお尋ねがありました。
 今回の総選挙においては、三たび、国民の皆様から連立与党で衆議院の三分の二を超える力強い信任をいただきました。その責任の重さをかみしめながら、選挙でお約束した政策を一つ一つ実行していかなければならないと強く決意しております。その責任感と使命感の下に、これまで以上に身を引き締めて、しっかりと結果を出せるよう謙虚な姿勢で真摯な政権運営に当たっていく考えであります。
 いかに困難な課題であっても立ち向かい、次の時代を切り開くことこそ政治に与えられた使命であります。未来を切り開くことができるのはスローガンやパフォーマンスではありません。政策です。政策の実行力であります。その思いを今回の所信表明演説に込めたところであります。
 日本維新の会の国会対応についてお尋ねがありました。
 さきの通常国会では、テロ等準備罪処罰法案の審議において、日本維新の会の皆さんには、その必要性を共有していただき、具体的な対案を提出していただきました。その後、真摯な政策協議を経て、建設的な法案修正が行われたと承知しております。何でも反対、ただ批判だけを繰り返すのではなく、平素より政策実現を目指して誠実に取り組まれている片山議員を始め日本維新の会の皆様に改めて敬意を表します。
 私たち連立与党は、政策の実現を目指す責任野党とは柔軟かつ真摯に政策協議を行ってまいります。是非、今後とも、それぞれの具体的な政策を国民の前で明らかにしながら、正々堂々の議論を行い、建設的な協議を行わさせていただきたいと考えております。
 質問時間の配分、国会改革についてお尋ねがありました。
 片山議員の国対委員長時代のお話は大変示唆に富むものであります。こうした見識ある諸先輩方が、良識の府たる参議院において、これまで大胆な国会改革に取り組まれてこられたことに深甚なる敬意を表します。
 一般論として、数万を超える得票を有権者の皆様からいただいて国会議員となった以上、与党、野党にかかわらず、政党内部の活動だけではなく、国会の中において国会議員としての責任を果たすべきであり、それが有権者の負託に応えることであるとの指摘もあります。
 いずれにせよ、質問時間の配分自体については、まさに国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場である私から答弁することは差し控えます。
 我々政治家の役割は、国家国民のために建設的な議論を行い、結果を出していくことであります。そうした大局的な観点から、国民の負託に応えるため、国会もまた与野党の枠を超えて不断の改革に向けた議論が行われることを期待しております。
 身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然です。
 日本維新の会が、そうした観点から、議員歳費から被災地への寄附、文書通信交通滞在費の使途公開や、企業・団体献金、政党支部への寄附などに関し自主的な取組を行いながら、国会の場に具体的な提案をしておられることについては敬意を表したいと思います。
 その上で申し上げるとすれば、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
 憲法改正のスケジュール等についてお尋ねがありました。
 日本維新の会が、憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 憲法改正の内容については、私は今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している改正案やスケジュール、今後国会の憲法審査会において議論されるであろう御党の改憲案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、今後、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められることを強く期待しております。
 教育の無償化を憲法に明記することについてのお尋ねがありました。
 憲法改正の内容についてお答えをする立場ではないことは既に述べたとおりですが、その上で申し上げるとすれば、私は、子供、若者こそ我が国の未来であり、世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済事情にかかわらず子供たちが夢に向かって頑張ることができる日本、政権などのいかんにかかわらずそれが保障される国でありたいと考えております。
 いずれにせよ、憲法改正については、今後、各党各会派がそれぞれの意見を持ち寄り、国会の憲法審査会において議論が深められることを強く期待しております。
 教育無償化についてお尋ねがありました。
 幼児教育の無償化については、幼稚園等が義務教育の基礎を培う場であり、子ども・子育て支援の場として広く利用されているほか、諸外国でも、就学前の教育の重要性を踏まえ、三歳から五歳については所得制限を設けていないと承知しています。
 こうしたことも踏まえ、政府としては、二〇二〇年度までに、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育園の費用を無償化する、ゼロ歳から二歳児についても所得の低い世帯に対して無償化するとの方針の下で、現在、具体的な検討を進めているところです。
 安倍内閣としては、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は約二十二兆円増加し、新規国債発行額は約十兆円減っています。行政改革についても、これまで行政事業レビューなどの取組を不断に進めてきたところです。
 他方、人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年十月に予定される消費税率一〇%への引上げによる財源を活用しなければならないと判断し、衆議院を解散して国民に信を問うこととしました。あわせて、社会全体で子育てを支えるという観点から、税財源と併せ、産業界に対しても三千億円程度の拠出について検討をお願いしているところです。
 人づくり革命の推進と並行して、御指摘の大学改革を行っていくことは重要です。将来的な十八歳の人口の減少を見据えた大学間の連携、統合の枠組みの検討や教育研究の質の向上を一体的に進める必要があると考えています。
 また、地方創生の核として、地方大学の役割は極めて重要です。地域の人材ニーズを踏まえた組織にするなど、地方大学の振興を図ってまいります。
 さらに、所得の低い世帯ほど大学進学率が低いことが指摘されております。全ての人に開かれた大学教育の機会を確保していくことは喫緊の課題です。そのため、どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、専修学校、大学にも進学できる、真に必要な子供たちには高等教育を無償化する、そういう日本に一日も早くしてまいりたいと考えています。
 米国との経済関係についてお尋ねがありました。
 日本企業は、八〇年代以降、米国での現地生産の体制を築くなど、米国内に積極的に投資を行ってきました。その結果、米国の対日貿易赤字の比率を減少させるとともに、米国内で大きな雇用を生み出してきました。
 本年一月以降だけでも、外国企業による対米投資は日本が第一位であり、一万七千人の雇用創出につながります。これは、トランプ大統領も高く評価しています。こうした互いに利益をもたらす日米の経済関係を更に深化させるため、今後も日米経済対話で建設的に議論していきます。
 北朝鮮問題における米韓中ロの対応についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領とは、訪日の際に、十分な時間を掛けて北朝鮮の最新の情勢を分析し、今後の方策について完全に意見の一致を見ました。昨日、米国は北朝鮮をテロ支援国家に再指定しましたが、我が国はこれを北朝鮮に対する圧力を強化するものとして歓迎、支持しています。
 北朝鮮問題への対応に当たっては、日米両国のみならず、日米韓の三か国による緊密な連携が非常に重要です。私はこれまでも三か国の緊密な連携の重要性を訴えてきており、引き続き日米韓の連携を強化してまいります。
 中国及びロシアは、北朝鮮との対話を重視し、ダブルフリーズや段階的アプローチといった独自の提案をしていますが、その一方で、北朝鮮に対して格段に厳しい措置を課す強力な国連安保理決議の採択に賛成しています。私自身、習近平国家主席、プーチン大統領と率直な意見交換を行い、国連安保理決議の完全な履行に向けて緊密に連携していくことで一致しました。
 我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国際社会全体で結束し、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。
 ミサイル防衛、敵基地攻撃能力、米国製装備品の購入及び防衛費についてお尋ねがありました。
 弾道ミサイル防衛については、陸上配備型イージスシステムを中心として、能力の抜本的な向上を図ってまいります。
 いわゆる敵基地攻撃能力については、日米の役割分担の中で米国に依存しております。今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えておりません。
 その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の命と平和な暮らしを守るため何をすべきか。我々には、常に現実を踏まえて、様々な検討を行っていく責任があると考えております。もとより、今後とも専守防衛の考え方にはいささかも変更はありません。
 我が国の防衛力については、質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠であると考えています。自衛隊の装備品については、防衛大綱及び中期防に基づき、米国製の装備品を含め計画的に取得しており、今後とも防衛力の強化を図ってまいります。
 防衛関係費については、現在、GDP一%枠というものがあるわけではなく、防衛関係費をGDPと機械的に結び付けることは適切ではないと考えています。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領は、全世界が注目する国連総会の演説で横田めぐみさんに言及し、韓国での演説でも拉致問題を取り上げました。また、訪日の際に、拉致被害者の御家族の皆様と面会し、御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けていただいたことは、拉致問題の早期解決の重要性を世界に訴える上で非常に大きな力となりました。
 先般の東アジア・サミットでは、私から拉致問題の早期解決の重要性を訴え、各国の賛同を得ました。二国間会談でも、習近平国家主席、プーチン大統領を始め、各国首脳に対して理解と協力を要請しました。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日まで私の使命は終わりません。私が司令塔となって、北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 尖閣諸島、自由で開かれたインド太平洋、日中関係についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島周辺における中国公船の領海侵入等に対しては、海上保安庁に尖閣領海警備専従体制を確立しており、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、引き続き冷静かつ毅然と対応していきます。
 今般、米国、豪州、インドとの間で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力していくことで一致しました。また、東アジア・サミットや各国首脳との会談等でも、我が国が推進する自由で開かれたインド太平洋戦略を丁寧に説明しました。こうした考え方に賛同してもらえるのであれば、中国を含め、いずれの国とも協力していけると考えており、我が国として、この地域の安定と繁栄のため、引き続き主導的な役割を果たしてまいります。
 今回、習近平国家主席及び李克強首相とそれぞれ日中首脳会談を行いました。特に、習主席からは、今回の会談は日中関係の新しいスタートとなる会談であったとの発言があり、私も全く同感であります。今後、日中韓サミットを早期に開催して李克強首相の訪日を実現し、その後、私が訪中し、その後には習主席に訪日していただきたいと考えています。
 本年は日中国交正常化四十五周年、来年は日中平和友好条約締結四十周年という節目の年であり、戦略的互恵関係の考え方の下、大局的な観点から日中の友好協力関係を安定的に発展させていきたいと考えています。
 日本経済の現状認識と日本銀行の金融政策についてお尋ねがありました。
 アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一〇・八%、五十三兆円増加し、過去最高となりました。
 御指摘の地方や中小企業においても、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、日銀短観の業況判断DIは全国九地域全てで改善しました。中小企業の経常利益が過去最高水準で推移するなど、明るい動きが見られています。
 こうした明るい動きを確かなものとするため、生産性を一気に高めていくための中小・小規模事業者の皆さんの攻めの投資を全力で支援してまいります。人口減少の時代にあって、生産性革命のうねりを全国津々浦々に広げていきたいと考えています。
 賃上げについては、これまで、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現しました。最低賃金もこの四年間で約百円引き上げました。来春の労使交渉においては、生産性革命をしっかり進める中で、三%の賃上げが実現するよう期待しています。大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる施策を総動員することで、四年連続の賃金アップの勢いを更に力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。
 なお、金融政策について黒田総裁は、金融緩和の出口戦略に具体的に言及することについて、市場の混乱を招くおそれが高いため時期尚早であり、また、それぞれの国の状況が違えば金融政策の状況も違ってくるのは当然のことと述べているものと承知しています。
 政府としては、引き続き日本銀行が、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しています。
 所得税の在り方についてお尋ねがありました。
 御指摘の配偶者控除等については、平成二十九年度税制改正において、配偶者の収入制限の引上げなどを行うこととしました。これにより、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境づくりに寄与するとともに、人手不足の解消を通じて日本経済の成長に資することが期待されるものと考えます。
 所得税の在り方については、骨太の方針二〇一七において、所得再分配機能の回復や多様な働き方に対応した仕組み等を目指す観点から、引き続き丁寧に検討を進めることとしたところであり、議員の御指摘も踏まえつつ、引き続き丁寧に検討してまいります。
 賃上げや投資を行った企業に対する政策税制についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年を大きな目標に、生産性革命の実現に向けて企業による人材や設備への力強い投資を促すため、これまでにない大胆な政策を講じてまいります。
 賃上げや設備投資に積極的な企業には、国際競争において十分に戦える環境を整備します。特に、革新的な技術やビジネスに果敢に挑戦する企業には、世界で打ち勝つことができる環境を思い切って提供してまいります。
 他方で、企業収益が過去最高となる中で賃上げや投資に消極的な企業には、コーポレートガバナンス改革や様々な政策ツールを活用して果断な経営判断を促してまいります。その中で、税制についても大胆かつめり張りの付いた対策を検討してまいります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(伊達忠一君) 長浜博行君。
   〔長浜博行君登壇、拍手〕
#16
○長浜博行君 民進党の長浜博行です。
 会派を代表して、総理の所信について総理に質問いたします。
 質問に先立ち、この夏から秋にかけて台風や集中豪雨等でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 年々脅威を増す世界的規模での自然災害に対処することが急務です。先週までドイツで国連気候変動枠組条約第二十三回締約国会議が開催されていました。そこで議論されたパリ協定に基づくルール作りに日本は積極的に貢献すべきと私は考えます。総理は地球温暖化対策についてどのような御所見をお持ちか、また、パリ協定をどのように評価されているかについてお伺いをいたします。あわせて、来年ポーランドで開催されるCOP24に向けて政府の地球温暖化対策推進本部ではどのように取り組まれる方針か、本部長である総理に伺います。
 トランプ大統領が来日される直前の今月二日、私は、所属する超党派の地球環境国際議員連盟、GLOBEジャパンが衆議院の国際会議場で行ったシンポジウムにパネリストとして参加をしました。会議では、二〇〇七年にノーベル平和賞を受賞し、「不都合な真実」でも有名なアル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領が地球温暖化の現状について強い危機感を持って訴えられました。出席された復興大臣はよく御理解のことと思います。
 総理は、先日の日米首脳会談あるいはグリーン上において、この問題についてトランプ大統領に対してどのような働きかけをなさったのでしょうか。パリ協定にコミットすることこそが世界の安心、安全、また米国の発展と経済的利益をもたらすということを粘り強く説得すべきであったと考えますが、総理の答弁を求めます。
 次に、余りに独善的な安倍総理の政治姿勢、政権運営に関して触れなければなりません。更に言えば、安保法制の議論のときにも感じたことですが、総理は日本国憲法第九十九条にある憲法を尊重し擁護する義務を本当に理解しておられるのだろうかということです。日本国憲法の冒頭には、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と書かれており、第四十一条では国会は国権の最高機関と規定されております。官邸主導の名の下に、国民の代表が集う国会での議論をないがしろにしてはなりません。
 憲法五十三条に、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」とあります。行政府の意思ですることができるということと、立法府の意思によりしなければならないということが書かれております。民主主義社会では多数決の原理が通用しますが、その裏には少数意見が尊重されるということも忘れてはなりません。
 民進党は、憲法の規定に基づいて、六月二十二日に臨時国会の召集を求めました。いつまでに開くとは憲法に書かれていないと驚くべき強弁をする方もおられますが、自民党の日本国憲法改正草案を拝見しますと、要求があった日から二十日以内に召集されなければならないと明記されています。また、そのQアンドAには、当然のこととはいえ、御丁寧にも、党内議論の中では少数会派の濫用が心配ではないかという意見がありましたが、臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然であるという意見が大勢でしたと書いてあるではないですか。
 これでは、森友、加計学園問題を始めとする諸課題について、国会での論戦を避けるために衆院を解散し選挙を行ったと言われても仕方がないのではないですか。李下に冠を正さずではなかったのですか。なぜ臨時国会を早期に召集しなかったのか、お答えください。
 八月に組閣された仕事人内閣の多くの大臣各位の御所見すら、国会ではいまだ拝聴しておりません。そんな中、解散の大義は判然とせず、どの大臣が何を御担当されていて、どんな抱負経綸かも争点にならず、選挙が終われば内閣総辞職、そして、再び大臣も副大臣も同じ顔ぶれで第四次安倍内閣を組閣。解散は理論上は国会閉会中でもできるとの説もありますが、一切議論することもなく、単に冒頭で解散するがためにのみ国会を召集したという暴挙は、国権の最高機関たる国会を愚弄したとは思われませんか、答弁を求めます。
 また、憲法第七条においては、天皇は、内閣の助言と承認により国民のために国事に関する行為を行うことが記されております。国会を召集すること、衆議院を解散すること、国会議員の総選挙の施行を公示すること、国務大臣の任免。今御説明いたしましたこの僅か四か月の間に起きた事象を顧みて、総理は余りにも天皇の国事行為を軽々に考えておられるのではありませんか。総理がなされた内閣の助言と承認の的確性について、お考えをお聞かせください。
 国民の血税を無駄に使うことや不適切な経理処理は厳に戒めなければなりません。会計検査院は、今月八日、国の二〇一六年度決算の検査報告を総理に提出いたしました。四百二十三件で合計八百七十四億円の規模ではありましたが、氷山の一角にすぎないと言う方もおられます。この件に関して、総理の御所見を求めます。
 また、学校法人森友学園への国有地売却について、会計検査院は三月に検査を実施すると発表しましたが、今回の報告には含まれておりません。この問題は、さきの通常国会においても、予算委員会、国土交通委員会等において我が党の小川敏夫会長を先頭に疑惑追及を行ってまいりました。ごみ撤去費が国土交通省が算出した約八億二千万円よりも大幅に安い二億円から四億円程度で済み、値引き額は最大約六億円過大であったとの試算もあるようでございます。これまで政府は適正な価格で売却したとの答弁を繰り返してきましたが、答弁を変更されますか、お答えください。
 また、この本会議終了後参議院に提出される会計検査院の報告は、まさか資料が廃棄されているので積算の根拠が確認できないなどという唖然とするものではないでしょうね、お答えください。
 次に、加計学園問題について伺います。
 今月十四日、加計学園獣医学部の新設が文科大臣によって正式に認可されました。二〇一五年六月の閣議決定には獣医学部新設の四条件が示されていますが、内閣府は特区の認定をするだけ、文科省は学部新設を審査するだけで、四条件がどのように満たされたのか十分な根拠が示されておりません。政府は、国家戦略特区諮問会議の取りまとめの際に関係省庁で四条件の充足を確認したと答弁しています。それならば、なぜその後の大学設置審の審査で四条件の充足に関して多くの疑義が呈されたのか、安倍総理の認識を伺います。
 加計学園をめぐっては、加計学園関係者が国家戦略特区の会合に出席して発言していたことが議事要旨に記載されていないばかりか、内容が改ざんされたことが分かっております。また、官邸では面談記録すら保存されておらず、今治市の職員等が官邸で誰と何を話したのかが不明であるなど、分からないことばかりです。加計学園ありきで行政手続が進められたのではないというならば、議事要旨ではなくて議事録そのものを全面開示するとともに、官邸への出張記録の全面公開を今治市に求めることが必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
 総理は、今国会では謙虚かつ真摯に対応されると伺っております。衆議院では従来に比して野党の質問時間を制限しようという動きが出ているようでありますが、これらの問題の真相解明に努力しておられる方々の要求にどのようにお応えになるのか、伺います。
 次に、公文書管理について伺います。
 通常国会での審議を振り返りますと、意図的な情報隠しとしか思えない政府の対応が次々と明るみとなりました。先ほどお尋ねした件にも関係しますが、財務省は、森友学園との国有地の売買契約に関する交渉記録を、行政文書管理規則に基づく歴史公文書等には該当せず、保存期間が一年未満であるとの理由で廃棄。また、政府は、加計学園に関する総理の御意向などと書かれた内部文書が文科省に存在することは認めたものの、個人のメモであり行政文書とは認めず。防衛省は当初、南スーダンPKOの日報は存在せず不開示と決定しましたが、その後、電子データの省内掲示板に公開されていた日報を、用済みになった個人資料であり行政文書には該当しないと説明。
 民進党は、パソコン上などの電磁的記録である行政文書や、当該行政機関以外の者との交渉が記録されている行政文書の保存期間を一年未満にできないようにすること等を盛り込んだ公文書管理法改正案をさきの通常国会で提出しました。自民党は総選挙の政権公約で「国民への情報公開、説明責任を全うするため、行政文書の適正な管理に努めます。」と約束しておられます。
 政府は、行政文書に関するガイドラインの改正でその場しのぎの対応をしようとしていますが、憲法二十一条を根拠とする国民の知る権利に関する事項なんですから、正々堂々と国会審議が必要な法改正で行うべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 また、政府のガイドラインの改正で、行政文書に該当するか否かを、文書の作成又は取得の状況、当該文書の利用の状況、保存又は廃棄の状況等を総合的に考慮して実質的に判断されるとした場合は、これまでと同様に、都合の悪い場合は個人のメモだと言って廃棄が可能となってしまう、いわゆる行政組織において国民の知る権利よりも上司の意向をそんたくする文化があるとすれば、それを払拭できなくなるおそれがないでしょうか。行政のトップである総理のお考えをお聞かせください。
 総務省統計局の資料では、二〇一六年の二人以上世帯の消費支出は、一世帯当たり一か月平均二十八万二千百八十八円で、前年比名目一・八%減、実質一・七%の減少となっております。消費支出の対前年実質増減比は、二〇一四年二・九%減、二〇一五年二・三%減で、三年連続の実質減少です。安倍総理は華々しくアベノミクスなるものを吹聴しておられますが、消費低迷の原因をどのようにお考えでしょうか、答弁を求めます。
 私は、実質賃金が二〇一一年と比べ五%程度下がっていることに加え、国民の将来不安が大きいと考えます。財務省のホームページを拝見しますと、債務残高の対GDP比を見ると、一九九〇年代後半に財政健全化を着実に進めた主要国と比較して我が国は急速に悪化しており、最悪の水準、二〇一七年度で約二五三%となっています。また、平成二十九年度一般会計予算における歳入のうち、税収で賄われているのは約三分の二であり、残りの約三分の一は将来世代の負担となる借金、公債金収入に依存していますと書かれています。多くの国民の皆様は分かっているんです。
 安倍政権は大規模財政出動を繰り返してきただけでなく、二度にわたって消費税引上げ延期を行ってきました。このことが持続可能な社会保障制度構築への国民の不信を惹起し、将来への備えのために消費低迷に拍車を掛けたとは思いませんか。
 そもそも、消費税の引上げは社会保障と税の一体改革の中で決められたものです。社会保障の充実、安定化を図り、将来世代に過度な借金を押し付けないため、一体改革は着実に推進しなければならず、政争の具にはしてはいけないとの観点から、民主党、自民党、公明党の三党の合意に至った枠組みであります。しかし、安倍政権は、先ほど述べましたように、消費税引上げ延期と使途変更を二度の総選挙及び参議院選挙のまさに政争の具に仕立て上げることによって、当時の政党の責任者が苦労して積み上げた合意をずたずたに引き裂いてしまいました。このことは後世に大きな禍根を残したと私は痛感しておりますが、総理の御所見を伺います。
 本年六月、通常国会で天皇の退位等に関する皇室典範特例法が成立しました。民進党は、皇室のいやさかを祈念し、両陛下、皇族方のお気持ちを酌み取りながら、国家の基本に関わる象徴天皇制を支えるため引き続き努力してまいります。
 今朝、官房長官が会見で、本法施行日決定の前提となる皇室会議を十二月一日に開催することを発表されましたが、皇室会議の議長を務める総理はどのような方針で臨まれるのか、国民に明らかにしてください。答弁を求めます。
 本法は立法府の総意を受けて提出されており、政府は、天皇陛下の退位や新天皇の即位の儀式などの検討状況について適宜適切に各党会派に説明を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 また、本法の採決に当たって附帯決議がなされていることを忘れてはなりません。それは、「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。」等であります。
 政府として、安定的な皇位継承を確保するための方策についてどのように議論を進めていくのか、国会への報告時期も含めて答弁を求めます。
 外交日程が一段落し、いよいよ国会で遅ればせながら実質的審議が始まりました。しかし、過日の所信表明で総理が大切な一文を読み飛ばすという珍事といいますか不祥事が発生をいたしました。与党の関係者の方々も扱いに苦慮されていると思いますが、国会軽視と言われないように、行政府の誠意ある対応を求めるとともに、総理の猛省を促します。
 今後、予算等各委員会において、総理ほか大臣と山積する諸課題、国際会議出席等の成果等について丁寧かつ十分な議論ができることを願いながら、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長浜博行議員にお答えいたします。
 地球温暖化対策、パリ協定の評価、COP24に向けた取組についてお尋ねがありました。
 地球温暖化対策については、内閣の最重要課題の一つであると認識しております。徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入により、国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体の排出削減にも最大限貢献し、これらの取組を我が国の更なる経済成長につなげてまいります。
 パリ協定は、歴史上初めて全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みです。政府としては、気候変動という国際社会の深刻な課題への対応において世界を主導していくとの立場から、パリ協定の着実な実施を進めてまいります。
 地球温暖化対策推進本部の下、関係省庁が一体となって、来年のCOP24におけるパリ協定の実施のための国際的な詳細ルールの構築に向けて、我が国としても積極的な役割を果たしてまいります。
 地球温暖化に対する米国への働きかけに関してお尋ねがありました。
 先般のトランプ大統領の訪日では、パリ協定についてのやり取りはありませんでした。他方、五月のG7タオルミーナ・サミットでは、米国がパリ協定にとどまるよう他のG7首脳と共に働きかけを行いました。米国はイノベーションを通じた先進的な環境技術の導入等を行っており、引き続き、米国に対し気候変動問題への取組の必要性を働きかけ、共に協力していく方法を探求していきたいと考えています。
 国会の召集、衆議院の解散についてお尋ねがありました。
 まず、憲法五十三条による臨時会の召集の決定と憲法七条による衆議院の解散とは個別の事柄です。
 臨時会については、本年六月二十二日の臨時国会召集の要求を踏まえ、同年九月二十八日に召集しました。これは、予算編成に向けた概算要求作業、北朝鮮情勢が緊迫する中での外交日程など、内閣として諸般の事情を勘案した上で適切に行ったものです。
 内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はなく、いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣がその政治的責任で決すべきものと考えています。
 国民の信任なくして、緊迫する北朝鮮情勢、急速に進む少子高齢化といったまさに国難とも呼ぶべき課題を乗り越えることはできないため解散を行ったものであり、国会軽視との御指摘は当たりません。
 総選挙で示された国民の意思を踏まえ、この国会においてそれぞれの政策を大いに闘わせ、建設的な議論を行ってまいりたいと考えています。
 内閣の助言と承認についてお尋ねがありました。
 日本国憲法においては、天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負うこととされています。御指摘の国会の召集、衆議院の解散、国会議員の総選挙の施行の公示及び国務大臣の任免の承認については、いずれも憲法にのっとり、内閣の責任において適切に助言と承認を行ったものです。
 平成二十八年度決算検査報告についてのお尋ねがありました。
 今月八日、会計検査院より、平成二十八年度決算検査報告として四百二十三件、八百七十四億円の指摘を受けました。これらの指摘については、十七日に私から各大臣に対して確実に改善するよう指示を行っており、指摘の内容に応じて一つ一つ着実に改善策を講じ、今後の予算や会計事務などにしっかりと反映させてまいります。
 森友学園への国有地売却についてお尋ねがありました。
 森友学園への国有地売却に関する会計検査院からの検査の結果がまだ公表されておりませんので、お尋ねのことについては現時点でお答えしかねます。なお、会計検査院の報告については、本日夕刻公表予定であると聞いております。
 大学設置・学校法人審議会における意見と四項目の充足についてお尋ねがありました。
 大学設置・学校法人審議会では、加計学園の作成した設置計画に対して設置基準への適合性といった観点から意見が付されたものであり、これは御指摘の四項目の充足に対して疑義を呈したものではありません。
 今回のプロセスは、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれについても、御指摘の四項目も当然踏まえた上で、民間有識者も加わった特区諮問会議やワーキンググループが主導し、適正に行われました。その際、節目節目で農水大臣、文科大臣も会議に出席するなど、関係大臣の間に異論がないことを確認し、合意の上で関係法令に基づき実施してきたものと理解しています。
 このように、法令にのっとり一貫してオープンなプロセスで進められる中、関係大臣合意の下、四項目の充足は確認されており、その選定のプロセスについては、民間有識者も一点の曇りもないと述べられているものと承知しております。
 国家戦略特区に係る議事の公開、今治市の文書の公開、国会での質問時間についてのお尋ねがありました。
 今治市の文書の開示については、今治市が条例に基づき適切に御判断されるものと考えます。
 国家戦略特区ワーキンググループの議事については、運営要領に基づき原則は公開とするとの八田座長の方針に基づき、議事録並みの詳細な議事要旨を公表するとの運用が行われてきたものと承知しています。こうしたオープンなプロセスの下、関係大臣を始め誰一人として私から獣医学部新設について何らの指示も受けていないことが先般の閉会中審査において明らかとなったところであり、そのことが今回の行政プロセスを評価するに当たり最も重要なポイントであると考えております。今後とも、必要があれば私もこの点を説明してまいります。
 なお、国会での質問時間の配分につきましては、まさに国会がお決めになることであり、内閣総理大臣の立場として私からコメントすることは差し控えます。
 公文書管理についてお尋ねがありました。
 公文書管理については、様々な御指摘をいただいたことも踏まえ、まずは現行法の中において、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保等を内容とするガイドラインの改正を年内に行うこととしております。また、現在及び将来の国民への説明責任を全うするとの公文書管理法の目的を果たしていくためには、公文書を扱う職員一人一人の意識をより一層高めていくことも重要です。各府省職員向けの研修の充実等を図るなどの取組を推進してまいります。
 こうした公文書管理の質を高めるための取組を推し進め、その上で、必要に応じ、更なる制度の見直しについて検討してまいりたいと思います。
 消費税率の引上げ等についてお尋ねがありました。
 御指摘のあった消費税については、世帯当たりの消費を捉える家計消費は世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっていますが、一国全体の消費を捉えるGDPベースでは、二〇一六年以降プラス傾向で推移しています。実質賃金についても、二〇一六年に前年比プラスとなった後、二〇一七年に入ってからはおおむね横ばいで推移しています。
 二〇一四年四月に消費税率を引き上げた際には、消費に影響がありました。これまで二度引上げを延期しましたが、引上げが可能な経済状況をつくるために経済財政運営に万全を期し、二〇一九年十月には引上げを実施いたします。
 さらに、消費税率の一〇%への引上げに当たっては、その使い道を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当します。これにより、子育て、介護等現役世代が抱える大きな不安を解消し、また、財政の持続可能性に対する不安も解消していきます。消費の喚起にもつながるものと考えております。
 消費税率一〇%への引上げは、社会保障と税の一体改革において決定したものであり、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要なものです。
 引き続き、責任を持って、経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを同時に実現してまいります。
 皇室会議の運営、儀式などの検討状況及び安定的な皇位継承のための方策についてお尋ねがありました。
 本日、私は、皇室会議に対し、天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行日について意見を求めました。これを受け、十二月一日に皇室会議が開催されることになりました。皇室会議においては、皇室典範特例法の施行日に関して十分に御議論をいただき、御意見をいただけるものと考えています。
 政府としては、国民がこぞってことほぐ中、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位がつつがなく行われるよう、最善を尽くしてまいります。
 安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本に関わる極めて重要な問題です。男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行ってまいります。
 政府としては、安定的な皇位継承を確保するための諸課題について、衆参両院の委員会で可決された附帯決議を尊重し、しっかりと対応してまいります。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(伊達忠一君) 岡田直樹君。
   〔岡田直樹君登壇、拍手〕
#19
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹です。
 自由民主党・こころを代表して、安倍総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 さきの衆議院総選挙で、自民党は、「この国を、守り抜く。」と題した政権公約を掲げて国民の御信任をいただき、自民・公明連立与党の政権運営が継続されました。そこで、本日、私は、公約の、この国を守り抜く、あるいは我が国民を守り抜くことを主なテーマに伺います。
 その第一は、やはり北朝鮮の差し迫った脅威からいかに国民の命と暮らしを守り抜くかであります。
 今から二十年前、私は、平成九年と十年の二回、新聞記者として北朝鮮に渡り、拉致問題などを取材しました。金日成が亡くなり、金正日がまだ公式の場に姿を現さない謎の指導者と呼ばれた時期でありました。私は、その際、昭和三十八年に漁船に乗って日本海で消息を絶ち、北朝鮮に連れ去られた石川県出身の寺越武志さんを追いかけ、平壌で寺越さんと対面もいたしました。しかしながら、今年で拉致されて四十年となる横田めぐみさんら多くの拉致被害者については糸口をつかむことはできませんでした。
 当時、北朝鮮は、日本人拉致そのものを全面的に否定していました。しかし、私は拉致が存在することを確信し、それが日本国民に対する許し難い人権侵害であるとともに、我が国の主権をも踏みにじる実質的な戦闘行為にほかならないことを確信したのであります。
 同時に、軍事独裁体制の下の恐怖政治、また、自由と民主主義のかけらもない抑圧社会、貧困社会を目の当たりにし、罪なくして苦しむ一般の北朝鮮の人々のために涙が出る思いでありました。それは、日本国憲法前文にある「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」、この文章がむなしく感じられた体験でありました。また、既に始まっていた核開発が将来日本に重大な脅威となることを予想し、戦慄を覚えたものであります。
 安倍総理がいち早く拉致問題追及に取り組み、小泉政権の官房副長官として平壌に飛び、拉致被害者の一部を帰国させたことは、改めて深い敬意を表します。
 先般、トランプ大統領が拉致被害者の御家族と会い、その救出に協力を誓ったことは一つの慰めではありますが、横田めぐみさんの母、早紀江さんは、安倍総理に、自ら北朝鮮に乗り込み娘を助けてほしいとまで悲痛な叫びを上げています。
 今も北朝鮮に数多く生存するはずの被害者の救出に向けて、また最悪の場合、朝鮮半島有事が発生することも想定して被害者の命を守ることは日本国家の使命であります。拉致問題の解決に対する政府の決意を改めて総理に伺いたいと存じます。
 北朝鮮は、国際社会の制止と非難にもかかわらず、去年から今年にかけて核実験を三回強行し、ミサイル発射は三十九回という暴挙を繰り返しております。北海道納沙布岬上空を飛び越えた長距離ミサイルはもとより、度々日本海に撃ち込まれるものも深刻な脅威であります。
 本年三月六日には、スカッドERと推定される弾道ミサイル四発が同時発射され、そのうちの一発は日本海の我が国排他的経済水域、EEZの内側、石川県舳倉島の北、僅か百五十キロの地点に落下しました。これは、我が国の領土に最も接近した事案の一つです。
 新たな脅威の段階に達した北朝鮮のミサイルに対して、国民の皆様の生命、安全を守り抜くには、我が国は従来とは異なるレベルでの迅速かつ有効な対処を講ずる必要があり、そのためには、あらゆる角度から検討し議論をしなければなりません。
 いわゆる敵基地反撃能力についても、我が党安全保障調査会の弾道ミサイル防衛に関する検討チームで議論をされ、小野寺防衛大臣が当時の座長として提言をまとめていますが、総理は八月六日、広島で、現時点において敵基地反撃能力の保有に向けた具体的な検討を行う予定はないと発言されています。まずは、このお考えに変わりはないのか、この本会議場で総理に改めてお伺いしたいと存じます。
 一方で、防衛省が島嶼防衛のために現有の対艦ミサイルの能力向上についての研究を検討していると聞きますが、これを指して日本版トマホークの開発の検討に入ったとする一部の報道もあります。防衛大臣には、そうした事実があるかどうか伺います。
 なお、私は、唯一の被爆国たる日本が核抑止力を持つことは現実的ではないと考えるものでありますが、非核三原則を堅持するということに変わりはないでしょうか、総理に確認をさせていただきます。
 変わりないとするならば、核抑止力を持たず、敵基地をたたくような巡航ミサイルなど長射程の兵器も当面は持たず、万一の際それを米国に委ねるとすれば、今、日本がなすべきことは、やはり弾道ミサイル防衛の能力を向上させ、陸海空自衛隊が一体となってミサイル迎撃体制を強化することと考えます。
 イージスという言葉の由来は、ギリシャ神話の女神アテナが身を守る盾ということでありますが、日本国民の命を守り抜くためにイージスという盾をより分厚いものにする必要があります。すなわち、海上自衛隊イージス艦のSM3、航空自衛隊の地対空PAC3、そして新たに地上配備が想定されるイージス・アショアなどの重層的な迎撃体制の強化と前倒しが必要と考えますが、総理の決意をお聞かせください。
 また、イージス・アショアについては、山口県、秋田県の日本海側二か所に配備して日本全土をカバーするとの構想も報道されましたが、具体的な地点に関する報道はさておき、周辺住民の皆様の御理解を得ながら、運用する要員の教育訓練なども含めて、新たな弾道ミサイル防衛システムの配備を急ぐべきだと思います。これは防衛大臣の御見解をお聞かせください。
 安全保障環境が極めて厳しい中、二十四時間三百六十五日、我が国を守り抜くためには、日米同盟の下、米国との連携強化が欠かせません。具体的には、日米双方のイージス艦が我が国周辺海域に配備され弾道ミサイル防衛に当たっておりますが、給油等で持ち場を離れざるを得ないときにも防衛網に穴が空かないようにしなければなりません。
 遡って、平和安全法制が成立する前は、海上自衛隊による米艦防御はできませんでしたし、洋上給油も制限されていました。しかし、今は、海上自衛隊の補給艦が、米国側からの要請により、北朝鮮弾道ミサイル発射の警戒に当たっている米海軍イージス艦に燃料を補給することも可能となりました。米艦が警戒中の海域を離れてわざわざ基地に戻る必要がなくなったのであります。また、こうした日米の緊密な連携を示すことによって北朝鮮への大いなる牽制にもなります。これは平和安全法制が我が国の安全保障に確実に役立っていることを示す証拠であります。戦争法案といった極端な批判も受けましたが、国難とも言える昨今の緊迫した状況下、平和安全法制が整備されていたことは、まさに先見の明があったと言うべきでしょう。
 総理に伺いますが、北朝鮮の脅威あるいは中国の太平洋進出など我が国を取り巻く安全保障環境が一層緊迫する中で、改めて平和安全法制の意義をどのようにお考えか、今後どのような姿勢で運用に臨まれるか、お聞かせください。
 さて、北朝鮮の脅威は、核開発、弾道ミサイルだけではありません。北朝鮮の多連装ロケット砲などの多数の長射程の火砲がソウルなど韓国北部の都市、拠点を射程に入れております。ソウルを火の海にする、これはこけおどしではなくて、その実力を備えた北朝鮮の恫喝なのです。
 現在、韓国には常時五万人から六万人の日本人が滞在しておると推定されています。韓国の在留邦人の保護や避難には何よりも韓国の同意と協力が不可欠でありますが、この点も含めて日米韓で方策をあらかじめ想定し、詰めておくことが必要と考えます。これについての総理の御見解をお聞かせください。
 さらに、北朝鮮に核開発、弾道ミサイル開発を放棄させるには、また無謀な韓国への攻撃を阻止するには、日米韓の一体となった対応が必要であります。しかし、元慰安婦や竹島に関する韓国の反応は、日米韓の一体感に大きな影を投げかけています。
 いわゆる慰安婦問題については、一昨年の平成二十七年十二月に、日韓両国政府がこの問題を最終的かつ不可逆的に解決すること、さらに、今後、国連など国際社会において互いに非難、批判することを控えることで合意をいたしました。我が国は、この合意に基づき、日韓両政府が協力して行う事業に対する資金の拠出を既に実行いたしております。
 しかし、極めて遺憾なことに、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像は、日韓合意や外交関係に関するウィーン条約を基に申し入れても、一向に撤去されていません。今回のトランプ大統領訪韓の際の晩さん会にも元慰安婦を招待するなど、一昨年の合意など忘れたかのような対応であります。本来、竹島エビと呼ぶべき島根県の海産物を独島エビと称して米大統領のメニューに載せるに至っては唖然としてしまいますが、韓国政府にはもう少し理性的な態度を求めるとともに、度を越した日本に対する反発は、結局、北朝鮮を利するばかりであることを理解させる必要があると思います。
 韓国政府の対応にいかがなものかと言いたくなりますが、それでも、韓国は重要な隣国であります。韓国側に日韓合意を守らせ、粘り強く北朝鮮問題に取り組む上でのパートナーとして建設的な関係を築いていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。これは外務大臣にお伺いします。
 続けて、国民保護の観点から伺います。
 本年八月二十九日早朝、全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートが鳴り、北朝鮮からミサイルが発射された模様です、頑丈な建物や地下に避難してくださいとの情報が国民に伝えられました。国民の生命、安全を守るためには迅速な情報提供が必要であり、政府の速やかな対応とそのベースとなる日常の備えをまずは評価したいと思います。
 Jアラートを、空襲警報のようであり、単に脅威をあおるだけで間に合わないから無意味だ、こんな批判も聞かれましたが、全く無責任な、ためにする批判と言わざるを得ません。我が国の上空を弾道ミサイルが飛ぶという緊急事態の下で、まずは国民を守るために、たとえ不完全であっても現時点でできることを懸命に考えて整備したのがJアラートであります。
 もちろん、Jアラートが届かなかった、あるいは、届いたものの、どこにどのように避難すればよいか分からなかった、こうした様々な御意見に対しては、その問題を把握し、改良すべきは当然であり、政府にも一層の努力を望みます。
 同時に、Jアラートは、ミサイルのみならず、地震、津波など災害を速報するものでもあります。災害対策あるいは国土強靱化の観点からも、Jアラートの改良やシェルターの整備などを含め、国民保護の体制をいかに充実させていくお考えか、周知徹底も含めて総理に伺います。
 さて、日本海の中央部に大和堆と呼ばれる海域があります。ここは、暖流と寒流が交わり、水深も浅く、イカ釣り漁や底引き網漁などの格好の漁場であり、日本海側各県や北海道の漁業者にとって生活の糧を得る貴重な場となっております。
 ところが、昨年十月以降、多数の北朝鮮籍や中国籍と見られる漁船が大和堆に侵入して大規模な違法操業を行っております。日本のイカ釣り漁船の光に集まってきたイカを狙って接近してくる北朝鮮漁船とのトラブルも発生しています。
 この夏、石川県や県漁協、また関係国会議員などが官邸に菅官房長官を訪ねて取締り強化を要望し、海上保安庁巡視船や水産庁漁業取締り船の活動で、一旦、外国漁船が大和堆から姿を消したことは感謝に堪えません。しかし、イタチごっこのようなものでありまして、漁業者によれば、今月に入ってまたもや多くの北朝鮮籍と見られる木造漁船が目撃されており、漁業者の生活も安全も直接的な脅威にさらされております。しばしば日本海にミサイルを撃ち込まれた上に、密漁船に漁場を奪われた日本の漁師は怒り、その家族は不安にさいなまれております。
 そんな折から、今月十五日、北朝鮮籍の漁船が転覆し、北朝鮮漁民三人が海上保安庁に救助される事案が発生しました。三人は、翌日、他の北朝鮮の船に引き渡されましたが、余りにも帰すのが早過ぎたのではないかと私は思います。日本のEEZの外での転覆であったとしても、EEZの中で違法操業をしていた疑いは濃厚なのですから、帰す前にせめて違法操業の実態をしっかり事情聴取すべきだったのではないかという声もあります。
 総理は、北朝鮮のミサイル発射や核実験に対しては、今は圧力をもって臨むべきであると常に言明されております。賛成であります。実効性ある経済制裁で北朝鮮に圧力を強め、対話の場に引きずり出すべきであります。そうであるならば、同様に、違法操業の取締りももっと圧力をもってすべしと思うんです。経済制裁と異なり、臨検や拿捕は実力を伴う行為であり、日朝間の衝突が起こる懸念も理解した上で、一罰百戒の見せしめ的な立入検査でもよいから検討される余地はあると、こう考えております。
 違法操業の問題は大和堆だけではありません。本年七月七日には、大和堆から西に二百キロほど離れた地点の我が国EEZ内で、水産庁漁業取締り船が北朝鮮と思われる船舶の乗組員から小銃らしきものを向けられるという威嚇行為も確認されています。中国との関係でも、違法操業は南西方面や太平洋側の我が国沿岸のどこにでも起こり得ることであります。
 我が国の漁業者を守り、漁業権益を守るため、海上保安庁や水産庁などが限られた船艇や航空機、そして人員をフル回転させている現状も承知した上で、大和堆のような漁場に二度と北朝鮮、中国の違法操業を見ないよう、また日本のEEZをどう守るのか、政府全体としてどのような方策を考えておられるか、総理の御所見を伺います。
 次に、この国を守り抜くために、より長期的な国難、少子化、そして人口減少に関連して幾つか質問いたします。
 地方が健全に維持されていなければ、都会の発展も、我が国全体の発展もありません。しかし、少子化、人口減少の影響を最も受け疲弊しているのは、我が国の国土保全、食料、環境、エネルギー、そして人づくりにとって欠くことのできない役割を果たしている地方なのであります。
 近年多発する災害や近隣諸国の不当な動きから国土を守るには、地方に暮らし、国土保全能力の高い農地や森林を守る農林業従事者、また、国境の最前線である離島を守る漁業者、地域の社会インフラの維持修繕や災害時の復旧に重要な役割を果たす建設土木従業者の方々の日々の活動が欠かせません。しかし、この方々の仕事も、年間を通じた安定した見通しがなければ維持できません。国土を守るには、自衛隊や海上保安庁、警察、消防のような方々の公の仕事に加えて、地域に住み続ける一般の事業者、生活者のお力が必要なのです。
 地方創生は、都市部、特に首都圏への行政、経済機能の集中がもたらす危険性を改善するためにも欠かせない視点であります。災害や先ほどから申し上げているミサイル攻撃など万一の事態が生じれば、首都圏、とりわけ東京都心に集中した国家の中枢が甚大な被害を受け、国民を守る機能も失われるおそれがあります。国民を守り抜くために、こうした不測の事態から目をそらさず準備を怠らないことも、政府・与党の責任であります。地方の過疎化も都市の過密化も背中合わせの問題であり、防災等の観点から、大きなリスク要因である東京一極集中の解消のためにも、地方創生による国土の均衡ある発展という言葉をもう一度見直さなければならない時期に来たと考えております。
 政府関係機関の地方への移転、分散を本腰で速やかに進めることはもちろん、企業の本社機能の移転を促す政策も更に深掘りが必要であります。また、都市と地方を問わず、優良企業であっても後継者探しに苦労し事業承継を諦めてしまうケースが増えており、早急に手を打つ必要があります。地方での事業展開に魅力を感じつつも踏み切れない都市の企業や働く人々が不安を感じないように、経済活動や生活に直結する道路や通信等のインフラの整備や維持、きめ細かい事業支援策などにも取り組むことが不可欠であります。
 多角的な視点を持って、地方に暮らし、農林水産業やインフラ整備に従事する人々、地域で経済活動に取り組む人々の役割を評価し、その仕事を次の世代につないでいかなければ、結果として、国土が荒廃し地域経済は衰退を免れません。地方創生や国土保全の観点から、このような産業をどのように守り、育て、次の世代に受け継いでいくか、その総理の構想をお尋ねしたいと思います。
 同時に、国を守り抜くという観点で、東日本大震災、熊本地震、九州北部豪雨災害等からの復興、そして福島の再生は極めて重要です。さきに行われた衆議院選挙では、災害から国民の生命と財産を守ることが政治の責任という強い思いから、安倍総理は福島県から遊説を始められました。
 被災地を忘れないという思いを持って、政府・与党一体となって復興の加速化に取り組んでいくことが使命であると考えていますが、基幹インフラの復興、また被災地の二重ローンへの対応など、推進すべき政策は数多くあります。総理には、東日本大震災等の自然災害からの一日も早い復旧復興の実現に懸ける思いと今後の取組について伺います。
 最後に、少子高齢化、人口減少社会における地域交通また地域間交通についてお伺いします。
 都心では、公共交通機関の混雑が問題となっておりますが、地方では、全く逆の利用者の減少が切実な問題となっています。
 地方では、公共交通機関が、高齢者の生活の足、また、数は少ないが、生徒、学生の通学手段として重要な役割を担っておりますが、人口減少、過疎化は、この生活の足の経営状況を悪化させ、ひいては路線の廃止に至るといった悪循環を生み出しています。
 一年前、JR北海道は、単独では維持困難な十路線十三区間を発表し、地域に大きな衝撃を与えました。人口減少で財政力も低下している地方自治体は、自治体が鉄道施設を保有しJRが鉄道運行を行う上下分離方式は困難という姿勢を示しています。
 今年の四月で、旧国鉄が分割・民営化されJR七社が発足して三十年を迎えました。確かに、親方日の丸の無責任体質から収益やサービスを重んじる体制に転じ、昨年上場したJR九州を含め四社が株式の上場を果たしました。その一方で、JR北海道やJR四国は大変厳しい状況で、民間企業としての経営とインフラを担う公的な使命との両立は困難な局面に差しかかっていると言わざるを得ません。
 収益を上げているJR各社が有する優れた技術力や経営ノウハウが、廃止の危機にある路線を抱えるJR北海道やJR四国を支援することは、全国的な鉄道ネットワークの維持や鉄道全体の成長から意義のあることであると考えています。是非とも、政府には、元は同根であるJR各社間の協力と助け合いを促してほしいと思います。
 整備新幹線については、総理は通常国会の代表質問で、地方創生回廊、こう力強く位置付けていただきました。未着工の整備区間から順次完成、開業を急ぐことが地方創生にとって重要と考えますが、ネットワークの動脈に当たる新幹線のみならず、毛細血管に当たる在来線、ローカル線についても手当てが必要であります。
 そこで、JR本州三社が過去最高益を計上する一方、地方で鉄道の存続に苦慮している状況にある中で、政府として、鉄道ネットワークがどうあるべきで、そのために何をすべきと考えているのか、総理に御見解を伺います。
 同時に、新幹線と並ぶ大動脈である高速道路や産業、観光の拠点となる港湾の整備も着実に進めることが地方創生には不可欠であり、なすべき社会資本整備はまだまだあると考えております。
 災害列島とも言える日本の国土強靱化を進める観点からも、アベノミクスの原点に戻って、第二の矢である機動的な財政政策を行うことが、デフレからの完全な脱却を成し遂げ、国民生活を守るゆえんであることを訴え、追加的な予算措置を講ずることも辞さないよう願い、総理のお考えを伺いたいと存じます。
 最後に、経済成長なくして財政再建なし、経済成長なくして財政再建なし、こう繰り返し申し上げ、日本全土に及ぶアベノミクス貫徹の覚悟を申し上げまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田直樹議員にお答えをいたします。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領が、全世界が注目する国連総会の演説で横田めぐみさんに言及したことに加え、訪日の際に、拉致被害者の御家族の皆様と面会し、御家族の方々の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けていただいたことは、拉致問題の早期解決の重要性を世界に訴える上で非常に大きな力となりました。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日まで私の使命は終わりません。私が司令塔となって、北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 あらゆる事態において拉致被害者の安全を確保することは極めて重要です。半島有事の際は、同盟国たる米国との協力が特に重要であり、米国政府に協力を依頼しています。
 敵基地攻撃能力の保有、非核三原則及び弾道ミサイル防衛体制の強化についてお尋ねがありました。
 いわゆる敵基地攻撃能力については、日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えておりません。
 その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の命と平和な暮らしを守るため何をなすべきか、我々には常に現実を踏まえて様々な検討を行っていく責任があると考えています。もとより、今後とも専守防衛の考え方にはいささかも変更はありません。
 非核三原則については、国是として堅持しており、これを見直すことは全く考えておりません。
 弾道ミサイル防衛については、現在、弾道ミサイル対応のイージス艦を四隻から八隻に増強中ですが、これを可能な限り前倒しして体制の強化を進めます。さらに、陸上配備型イージスシステムを中心として、弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図ってまいります。
 平和安全法制の意義と今後の運用姿勢についてお尋ねがありました。
 今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しいと言っても過言ではありません。特に、北朝鮮による核・弾道ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威となっています。このような中、平和安全法制により、日本を守るため、日米は切れ目なくスムーズに互いに助け合うことが可能となりました。助け合うことのできる同盟は、そのきずなを強くします。
 実際、繰り返される北朝鮮の核実験及び弾道ミサイル発射への対処に当たって、日米は従来よりも一層緊密かつ円滑に連携できています。先般来日したトランプ大統領は、米軍人と自衛隊員を前に、日米は今日、かつてないほど高い自信と信頼関係の下、優れた能力を発揮できる状況にあると述べています。また、この地域の米軍を統括するハリス太平洋軍司令官は、平和安全法制は日米の能力を向上させ、日米間の連携が向上したと述べています。これが現実であります。
 米議会の上院外交委員会と軍事委員会も共同で、平和安全法制について、重要な同盟を強化するものであるとの声明を出しています。
 また、さきの大戦で戦場となったフィリピンを始め、東南アジアの国々、かつて戦火を交えた豪州や欧州の国々など、世界の多くの国から強い支持と高い評価が寄せられています。これは、平和安全法制が日本と世界の平和と安全に貢献する法律であることの何よりのあかしです。平和安全法制の整備により、私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたと確信しています。
 今後とも、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、対応に万全を期してまいります。
 在韓邦人の保護と避難についてお尋ねがありました。
 政府としては、様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行ってきています。韓国とは在韓邦人の安全確保について平素から緊密に連携しており、米国とは日米防衛協力のための指針も踏まえ協力を進めてきていますが、日米韓の方策も含め、その内容は、事柄の性質上及び相手国との関係もあり、差し控えさせていただきます。
 Jアラートの改善やシェルター整備なども含めた国民保護の体制の充実についてお尋ねがありました。
 緊急事態に際し、国民の生命と財産を守る上で、国民に対し、情報を迅速、的確に伝えることは極めて重要です。そのため、政府では、Jアラート機器の更なる高度化や情報伝達ルートの多様化を進めるとともに、情報を受け取った国民の皆様が身を守るために取るべき行動について、広報や住民避難訓練の実施を通じて国民の皆様により一層理解を深めていただくよう努め、住民が避難する施設として堅牢な建築物や地下施設の指定を促進してまいります。
 政府としては、迅速、的確な情報伝達に向けた体制の強化を始め、様々な取組を通じて国民保護の措置が実効的に実施されるよう万全を期してまいります。
 大和堆での北朝鮮等による違法操業対策についてのお尋ねがありました。
 大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、単に違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題と考えております。
 このため、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保することを第一に、水産庁漁業取締り船及び海上保安庁巡視船を重点的に配備し、放水等の厳しい対応によって我が国排他的経済水域から退去させております。
 今後とも、政府として、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然として対応してまいります。
 地方の産業の維持、継承についてのお尋ねがありました。
 農林水産業や建設業を始め、地域の産業の維持発展は、地方の活力向上や国土保全を図る上で極めて重要であると認識しております。
 地域経済の核である農林水産業については、その成長産業化を実現するため、農地集積バンクの創設、六十年ぶりの農協改革、輸出促進など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。林業改革、水産業改革を含め、引き続き、農林水産業全体にわたって改革を展開し、若者が将来に夢や希望を持てる農林水産新時代を切り開いてまいります。
 地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、災害対応、除雪といった地域を維持する役割を担っています。将来にわたって地域を支えていけるよう、受注機会の確保やダンピング対策の強化等にしっかりと取り組んでまいります。
 中小企業や小規模事業者は地域経済の主役です。収益力の向上と地域に根付いた事業の次世代への継承を、税制や予算措置などあらゆる施策を総動員して促進してまいります。
 ふるさとへの情熱を持って地方創生にチャレンジする、そうした地方の皆さんを安倍内閣は全力で応援してまいります。
 東日本大震災等の自然災害からの復旧復興についてお尋ねがありました。
 東北の復興なくして日本の再生なし。あの大震災、困難の日々を胸に刻みながら、被災地の皆さんと力を合わせ、新しい東北の未来を切り開いてまいります。
 東日本大震災からの復興に向け、必要なことは全てやり遂げるという強い決意の下、切れ目のない被災者支援、道路、鉄道の復旧や住まいと町の更なる復興、震災支援機構等を通じた債務免除を含む二重ローン対策などによる産業、なりわいの再生を進めてまいります。
 福島では、帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、復興再生に向けた動きが本格的に始まっております。今後とも、帰還困難区域における特定復興再生拠点の整備や福島イノベーション・コースト構想の推進、風評の払拭等、復興再生に向けて、国が前面に立って全力で取り組んでまいります。
 また、近年、熊本地震や九州北部豪雨等の甚大な災害が頻発しております。政府としては、これらの災害に対し、激甚災害の指定を始め、インフラの復旧復興や被災者の生活、なりわいの再建など、政府一丸となって取り組んでまいりました。
 いずれの災害においても、被災者に寄り添いながら、被災自治体と密に連携して、一日も早い被災者の生活再建、被災地の復旧復興に全力を挙げてまいります。
 鉄道ネットワークの在り方と社会資本整備への追加的な予算措置についてお尋ねがありました。
 全国各地を結ぶ鉄道ネットワークは、地域内及び地域間の交流を促進し、我が国の産業の発展や観光立国の推進に大きな役割を担っています。また、災害時における代替輸送ルートの確保など、国土強靱化の観点からも重要な意義を有しています。
 これらを踏まえ、整備新幹線については、現在整備中の三区間の工事を着実に進めるとともに、本年ルートが決定した敦賀―大阪間の詳細調査を進め、財源の確保を行うことで、整備計画路線の確実な整備にめどを立てていきます。
 リニア中央新幹線についても、財投の活用により、大阪までの全線開業を最大八年間前倒しし、整備効果を早期に発現してまいります。
 さらに、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等の在り方の検討に必要な様々な課題について、国土交通省において調査を行うこととしております。
 一方、地方部の鉄道については、人口減少や他の交通手段の発達により輸送人員が大きく減少し、厳しい状況にあります。持続可能な交通体系の在り方について、地域の関係者が検討を進める場に積極的に参画し、急増する訪日外国人旅行者の交通手段としての役割も踏まえつつ、必要な支援を行ってまいります。
 社会資本の整備は、未来への投資により次の世代に引き渡すしっかりとした資産を形成するものであり、国土強靱化、防災・減災対策、老朽化対策などの分野について、選択と集中の下、効果が最大限に発揮されるよう進めていくことが重要です。
 なお、平成二十九年度補正予算については、災害対応を始めとする追加的財政需要に適切に対処するとともに、防災・減災対策等を講じるため、編成を指示したものであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣小野寺五典君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(小野寺五典君) 岡田議員にお答えいたします。
 まず、対艦ミサイルの能力向上の研究についてのお尋ねがありました。
 防衛省としては、平成三十年度概算要求に島嶼防衛用の新対艦誘導弾の要素技術の研究について七十七億円を計上しております。
 これは、あくまでも我が国の島嶼防衛のために、現有の対艦ミサイルの能力向上、つまり相手方の艦艇への対処のための必要なミサイルの要素技術を研究するものであって、日本版トマホークなどと位置付けているものではなく、いわゆる敵基地攻撃能力の保有を目的としたものではありません。
 次に、新たな弾道ミサイル防衛システムの配備についてお尋ねがありました。
 北朝鮮が弾道ミサイル能力の増強を進める中、一刻も早く、全国を常時持続的に防護する能力を抜本的に強化させ、国民の生命、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、より一層の万全を期すための備えを構築する必要があります。
 現時点ではどの新規BMDアセットをどの場所に配置するのかについては何ら決定しておりませんが、イージス・アショアを中心に新規BMDアセットの導入を最速のスケジュールで行うべく、要員の養成などの点も含め、早急に検討を進めてまいります。
 また、今後の新規BMDアセットの配備に当たっては、地元の理解と協力を得ることが必須であり、地元に対しても丁寧に説明する考えです。
 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発がこれまでになく重大かつ差し迫った脅威となっている中、防衛省・自衛隊として、国民の命と平和な暮らしを守るため、引き続き万全を期してまいります。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(河野太郎君) 日韓関係についてお尋ねがありました。
 韓国は、日本にとって戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。また、北朝鮮問題への対応に当たっては、日韓及び日米韓三か国の連携が重要です。康京和韓国外交部長官との間では、既に三度の外相会談を行い、緊密な意思疎通を行っています。両国が共に困難な問題を適切にマネージし、未来志向の日韓関係を築いていくことが重要と考えます。
 一昨年末の慰安婦問題に関する合意は、最終的かつ不可逆的な解決について日韓両国間で確認したものであり、韓国側に合意の着実な実施を求めます。(拍手)
#23
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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