くにさくロゴ
2017/06/07 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
2017/06/07 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会 第2号

#1
第193回国会 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会 第2号
平成二十九年六月七日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月一日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     石井 準一君
 六月二日
    辞任         補欠選任
     石井 準一君     有村 治子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         尾辻 秀久君
    理 事
                愛知 治郎君
                中山 恭子君
                橋本 聖子君
                長浜 博行君
                西田 実仁君
    委 員
                有村 治子君
                鴻池 祥肇君
                山東 昭子君
                中曽根弘文君
                溝手 顕正君
                山崎 正昭君
                山谷えり子君
                小川 勝也君
                小川 敏夫君
                榛葉賀津也君
                藤末 健三君
                魚住裕一郎君
                山本 香苗君
                井上 哲士君
                小池  晃君
                片山虎之助君
                森 ゆうこ君
                松沢 成文君
                伊波 洋一君
        ─────
       議長       伊達 忠一君
       副議長      郡司  彰君
        ─────
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  野上浩太郎君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       事務総長     郷原  悟君
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
   法制局側
       法制局長     長野 秀幸君
   政府参考人
       内閣官房皇室典
       範改正準備室長  山崎 重孝君
       内閣府大臣官房
       長        河内  隆君
       宮内庁次長    西村 泰彦君
       文化庁次長    中岡  司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○天皇の退位等に関する皇室典範特例法案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に橋本聖子君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(尾辻秀久君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房皇室典範改正準備室長山崎重孝君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(尾辻秀久君) 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。内閣官房長官菅義偉君。
#7
○国務大臣(菅義偉君) ただいま議題となりました天皇の退位等に関する皇室典範特例法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、天皇陛下が、昭和六十四年一月七日の御即位以来二十八年を超える長期にわたり、国事行為のほか、全国各地への御訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的な御活動に精励してこられた中、八十三歳と御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、これに対し、国民は、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに、皇嗣である皇太子殿下は、五十七歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられることという現下の状況に鑑み、皇室典範第四条の規定の特例として、天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに、天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、皇嗣が直ちに即位することとしております。この法律の施行の日は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日としており、その政令を定めるに当たっては、内閣総理大臣は、あらかじめ、皇室会議の意見を聴かなければならないこととしております。
 第二に、退位した天皇は、上皇とし、上皇に関しては、皇室典範に定める事項については、天皇又は皇族の例によることとしております。
 第三に、上皇の后は、上皇后とし、上皇后に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太后の例によることとしております。
 第四に、上皇及び上皇后の日常の費用等には内廷費を充てることとし、上皇に関する事務を遂行するため、宮内庁に、上皇職並びに上皇侍従長及び上皇侍従次長を置くこととしております。
 第五に、天皇の退位に伴い皇嗣となった皇族に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太子の例によることとしております。また、当該皇族の皇族費は定額の三倍に増額することとし、当該皇族に関する事務を遂行するため、宮内庁に、皇嗣職及び皇嗣職大夫を置くこととしております。
 第六に、皇室典範の附則に、皇室典範の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法は、皇室典範と一体を成すものである旨の規定を新設することとしております。
 このほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であり、平成二十九年三月十七日の「「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論のとりまとめ」に基づいたものとなっております。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
#8
○委員長(尾辻秀久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎です。
 自由民主党・こころを代表し、ただいま議題となりました天皇の退位等に関する皇室典範特例法案について質問をいたします。
 御承知のとおり、本法案につきましては、国民を代表する国会において、その総意を見出すべく、衆参正副議長を中心に各政党各会派で議論を重ねてきたところであります。改めまして、正副議長の御尽力に感謝申し上げるとともに、各政党各会派の皆様に敬意を表したいと思います。
 それでは、以下、本法案の基本的な事項を中心に政府の見解をお伺いしたいと存じます。
 まず、本法案に関する議論の背景について確認したいと存じます。
 今上陛下は、即位以来二十八年を超える長期にわたり、国事行為はもちろんのこと、全国各地への御訪問、被災地へのお見舞いを始めとする公的行為に積極的に取り組んでこられました。
 思い起こせば、平成三年七月、陛下は、雲仙・普賢岳噴火で被災した長崎県島原市の避難所を御訪問され、床に膝をつき、避難されている方々に目線を合わせ、お声を掛けておられました。陛下の心からのお見舞いがどれほど励ましになったことだろうと思います。また、六年前の東日本大震災の被災地にも、私の地元宮城県を含めて、ほぼ毎年足をお運びいただいております。直近では、昨年、九割近い建物が被災した女川町で、かさ上げした土地にできた商店街を御訪問されました。被災地で暮らす私たちが陛下の御活動によってどれだけ勇気付けられてきたか分かりません。そして、被災した方々に心を寄せられる陛下のお姿を拝見した国民も、改めて被災した方々のために何ができるのかという思いを新たにいたしました。
 このように、今回の法案に関する議論の背景は、天皇陛下が長年象徴としての公的な御活動を大切にされている一方、御高齢になられ、これまでのように御活動を行うことが困難となることを深く案じておられること、これに対し、国民も、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されておられる天皇陛下を深く敬愛し、このお気持ちを理解し、これに共感していることにあると考えております。
 このことから、今回の法案には、天皇陛下の退位に至る事情等として三点を盛り込むべきと考えてまいりました。一つ目は、象徴天皇としての御活動への陛下の御精励、御活動を自ら続けられることが困難となることへの御心労、二つ目は、国民の陛下への深い敬愛と御心労に対する理解と共感、三つ目は、皇太子殿下が、五十七歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられるという現状であります。
 そこで、確認としまして、本法案は、このような状況に鑑み、検討、提出されたものと理解しておりますが、いかがでしょうか。
#10
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、特例法に、今上天皇の退位に至る事情として、「象徴天皇としての御活動と国民からの敬愛」、「今上天皇・皇太子の現況等」、「退位に関する国民の理解と共感」を盛り込むこととされております。
 政府としては、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させて法案を立案したものであります。
 天皇陛下の退位に至る事情については、この法案の第一条の趣旨規定において定めております。
#11
○愛知治郎君 次に、特例法による対応等について質問をいたします。
 天皇陛下の退位に関しては、特例法による対応とすべきか、恒久的な制度とすべきかについて議論がございました。仮に、将来全ての天皇を対象にするということになれば、将来を予見した要件の設定が必要になります。しかし、天皇の意思を要件とすると、憲法第四条の「国政に関する権能を有しない。」という規定に反するのではないかという疑義が生じてしまいます。
 年齢要件は非常に幅広い概念で、例えば法律によっては高齢者とみなす年齢も様々である上に、個人差も大きいので、一律に決めることは困難となります。また、職務遂行能力を要件にすると、憲法第二条が規定する世襲制との整合が取れないということになってしまいます。
 他方、こうした問題が生じない漠然かつ抽象的な要件を置くと、将来において制度が恣意的に使われるのではないかといった懸念が生じてまいります。つまり、将来の全ての天皇を対象とする方法では、これまで述べてきた課題の克服や適切な要件の設定が極めて困難であると考えざるを得ません。
 一方で、一代限りの特例法とした場合には、将来、退位が検討される場合でも、今回のように時々の背景を勘案し、国民の受け止め方を踏まえて、その都度、退位の是非を国会において判断することができます。また、抽象的な要件の設定による恣意的な退位を避けることも可能となります。
 このように、特例法を用いることは将来の天皇の退位を否定するという趣旨ではなく、今回は今上陛下一代限りについて議論をさせていただき、今後の天皇についてはその時々の国民の総意に委ねていくという姿勢を示したものであり、将来、退位を議論することとなった際には、今回の特例法が先例となることも否定されないということであります。この点については衆議院でも確認されたものと受け止めております。
 さらに、質問の冒頭でも触れましたが、本法案では、憲法において国民の総意に基づくとされている天皇の地位を踏まえて、国民を代表する国会が主体的に取り組む必要があるとの認識の下、各党各会派が衆参正副議長を中心に胸襟を開き真摯な議論を重ねて立法府の総意の形成を目指すという手法が取られました。政府もこの国会の議論の取りまとめを厳粛に受け止め、その内容を忠実に反映させて法案を立案しました。
 このプロセスについても、特例法という法形式同様、将来の先例になり得るものと考えております。この点をしっかりと確認させていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
#12
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができることとなる一方、これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得るものと考える。」ものとされております。
 政府としても、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させて法案を立案をしたものであり、この法案は天皇陛下の退位を実現するものではありますが、この法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方については将来の先例となり得るものである、このように考えています。
#13
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 次に、今回の法案の名称について質問をいたします。
 今回の特例法では、「天皇の退位等」とされております。本来は譲位とすべきではないかという国民の声も聞かれますが、退位とした理由を伺いたいと存じます。
#14
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「今上天皇が退位することができるように立法措置を講ずること。」とされ、法案の名称についても天皇の退位等に関する皇室典範特例法と明示されております。
 また、今回の皇位の継承は、天皇陛下がその意思により皇位を譲るというものではなく、この特例法の直接の効果として行われるものであります。
 以上を踏まえると、政府としても、このことを的確に表す用語としては譲位ではなく退位という用語が適切である、このように考えています。
#15
○愛知治郎君 続いて、本法案と皇室典範との関係について伺います。
 憲法第二条は、皇位の継承を「国会の議決した皇室典範の定めるところにより、」と規定しております。この規定は、国会の議決したルールに沿っていれば皇位の継承は可能であると述べたものであり、現行憲法下では、皇室典範に他の法律にはない特別な位置付けは与えられておりません。したがって、皇室典範そのものを改正することは必ずしも必要ではなく、その特例を定める別の法律を国会で議決することで足りると考えております。
 そこで、本法案の第一条で皇室典範第四条の規定の特例と明記し、典範自体の附則で特例法が典範と一体であるとの規定を新設した理由について伺いたいと存じます。
#16
○国務大臣(菅義偉君) 政府においては、憲法第二条は皇位継承については法律に定めるべきことを規定したものであり、一般的に、ある法律の特例を別の法律で規定することは可能であることを踏まえると、憲法第二条の皇室典範には現行の皇室典範の特例を定める特例法も含み得る、このように考えます。一方で、憲法第二条の皇室典範は昭和二十二年法律第三号の皇室典範に限られるという意見があることも事実であります。
 これらを踏まえ、衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、憲法上の疑義が生ずることがないようにすべきであるとの観点から、「皇室典範の附則に特例法と皇室典範の関係を示す規定を置いた上で、これに基づく退位の具体的措置等については、皇室典範の特例法であることを示す題名の法律で規定するのがよい」とされているものと承知しております。
 政府としては、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させ、第一条において、この法案が皇室典範第四条の規定の特例として天皇陛下の退位を実現するものであることを明記するとともに、皇室典範の附則に一体を成すとの規定を新設をする、このことによって、この法案と皇室典範との関係を明らかにしたものであります。
#17
○愛知治郎君 次に、退位後のお立場等に関してお伺いをいたします。
 本法案では、退位後の天皇陛下の新たな称号として上皇、天皇陛下と常に御活動を共にされてこられた皇后陛下の称号として上皇后、敬称については陛下とすることとなっております。また、天皇陛下の退位後は、皇位継承、摂政、臨時代行就任、皇室会議議員就任などについては資格を有しないこととなっております。
 そこで、どのような方針で本法案に規定した退位後の陛下のお立場、敬称等について検討を行ったかという点について伺いたいと存じます。
#18
○国務大臣(菅義偉君) 退位後の天皇のお立場等の在り方については、我が国の皇室の制度が長い歴史と伝統を有することを十分に踏まえること、憲法における象徴としての天皇の地位に鑑み、国民の理解と支持が得られるものとすること、また、従来から退位の弊害として指摘されている象徴や権威の二重性を回避すること、こうしたことに留意しつつ、退位後のお立場等が国民に広く受け入れられるものとなるよう検討を行いました。
 このような考え方による検討の結果、上皇及び上皇后の称号や陛下の敬称などがふさわしいものであると、このように判断をいたしました。
#19
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 本法案では、天皇陛下の退位が実現し、皇太子徳仁親王殿下が即位された場合の文仁親王殿下については、秋篠宮家の御当主としてのお立場を維持していただくこと、そしてその際には、皇嗣殿下とお呼びするとともに、そのお立場などは皇太子の例によるものとされております。また、事務をつかさどる組織として皇嗣職を設け、皇嗣職大夫を置く、また、皇族費の額も摂政同様に増額されると伺っております。
 そこで、お伺いしますが、天皇陛下の退位後における文仁親王殿下のお立場等に関して結論に至った理由をお聞かせください。
#20
○国務大臣(菅義偉君) 天皇陛下の退位後における文仁親王殿下のお立場については、秋篠宮家が三十年近く国民に広く親しまれてきた中、皇太子となると内廷皇族となり、独立の宮家として存続しないこととなることを踏まえれば、内廷皇族には位置付けず、秋篠宮家の当主としてのお立場を維持していただくことが適当であることから、皇太子としないこととしたものであります。
 一方、文仁親王殿下は、皇位継承順位第一位の皇族である皇嗣としての御活動の拡大等が見込まれることから、それにふさわしいお立場となるよう、事務をつかさどる組織や予算などについて法律上措置を講じているところであります。
#21
○愛知治郎君 最後に、御公務の負担軽減についてお伺いをいたします。
 今上陛下の御活動の推移を統計的に拝見いたしますと、昭和天皇と比較して、国事行為には大きな変化は見られませんが、公的行為については、被災地への御訪問や全国各地の社会福祉施設への御訪問、戦没者への慰霊、各国首脳との御懇談など増加傾向にあります。
 確かに、陛下の公務負担の軽減という観点から、公的行為の在り方を見直すべきとの意見もあります。しかし、天皇陛下が公的行為を通して国民に寄り添う姿は、国民にとって極めて大切な行為であり、大変有り難いものでもあります。まずは、何よりも今回の法案の成立とその後の陛下の退位に向けた準備に万全を期すべきであり、これに全力で取り組んでいくことが必要であります。
 しかし、その上で、天皇が御高齢となられ御負担を軽くする必要が生じた場合や皇族数の減少などに備え、女性皇族の御結婚後の公務への参加などを含め、皇室全体を視野に入れた御公務、御活動の在り方という課題についてしっかりとした検討を行う必要があると思っております。
 そこで、天皇陛下及び皇室の御公務の御負担の軽減等について将来的にどのように検討すべきとお考えか、お聞かせください。
#22
○国務大臣(菅義偉君) 天皇陛下や皇族方の御公務の在り方については、天皇陛下や皇族方の御年齢、皇族数の減少なども踏まえつつ、各御公務の趣旨、内容のほか、その意義や国民の期待など様々な事情を勘案をし、検討をしていくものと考えます。
#23
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 静ひつな環境の中で議論が進み、各党各会派で一致した点を見出し、本法案審議に至ったことを感謝しつつ、本法案の速やかな成立を期待いたしまして、私の質問は終わりたいと存じます。ありがとうございました。
#24
○長浜博行君 民進党の長浜博行です。
 天皇の退位等に関する皇室典範特例法を審議する特別委員会において、諸先輩がおられる中、質問の機会をいただきましたことを光栄に存じております。また同時に、本法案が成立、施行されますと、江戸時代後期に退位された光格天皇以来、二百年ぶりに天皇の退位及び皇嗣の即位が実現されることに歴史的な意義を感じております。
 先日の衆議院での質疑を通じて、民進党としての本法案の位置付けと今後の運用に関しまして、「「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論のとりまとめ」との整合性を中心に確認がなされておりますので、私は別の観点から質問をさせていただければと思っております。
 まずは、当委員会に陪席いただいております参議院正副議長の御尽力に感謝を申し上げる次第でございます。前代未聞の、少なくとも私にはそう思われますが、衆参両院合同十党派の議長公邸で開催された会議で立法府の総意を取りまとめ、政府に対して法律案の立案を促したことは、国会の責任と使命を果たしたとも言えます。また、政府におかれましては、国民代表機関たる立法府の主体的な取組が必要であるとの認識を尊重していただき、誠実に立案作業をいただいたことに敬意を表します。
 官房長官は、法律案の概要説明の中で、この法律案は、「平成二十九年三月十七日の「「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論のとりまとめ」に基づいたものとなっております。」と発言しておられます。
 そこで、お聞きをいたしますが、政府は、私どもが参加した天皇の退位等についての立法府の対応に関する全体会議をどのような存在として認識しておられたのでしょうか。また、私は、天皇の退位は議員立法により法制化すべきと主張しておりましたが、この内閣提出法案は、そのプロセスを振り返るときに、立法府の発議による立法に近いと言えるのでしょうか。お答えをお願いいたします。
#25
○国務大臣(菅義偉君) 今回、天皇の退位等に関する問題について、各政党各会派は、象徴天皇制を定める日本国憲法を基本として、国民代表機関たる立法府の主体的な取組が必要であるとの認識で一致をされて、衆参正副議長による議論の取りまとめがなされたものと承知をしております。憲法第一条において、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とされていることを踏まえた御判断であり、その御尽力に敬意と感謝を申し上げるものであります。
 その上で、この議論の取りまとめにおいては、「政府においては、」「「立法府の総意」を厳粛に受け止め、直ちに法律案の立案に着手し、誠実に立案作業を行うとともに、法律案の骨子を事前に各政党・各会派に説明しつつ、法律案の要綱が出来上がった段階において、当該要綱を「全体会議」に提示していただき、そこで確認を経た後、速やかに国会に提出することを強く求める」とされたものであります。
 政府としては、この議論の取りまとめを厳粛に受け止め、法案の立案過程において、政府への要請を確実に履行しつつ、その内容を忠実に反映させて法案を立案させていただきました。
#26
○長浜博行君 憲法第二条は、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とあります。
 皇室典範は、昭和二十二年法律第三号という法律であり、憲法百条の規定により、憲法を施行するために必要な法律として、憲法施行以前に、帝国議会、すなわち衆議院と貴族院で審議され、制度化されました。施行は日本国憲法と同日です。以来、宮内府を宮内庁に改める字句改正は行われましたが、本格的な改正手続はなされておりません。
 今回の法案附則第三条は、「皇室典範の一部を次のように改正する。」とし、「附則に次の一項を加える。 この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法は、この法律と一体を成すものである。」と記されております。
 これは、先ほど申し上げました昭和二十四年の単なる字句改正とは異なり、皇室典範第四条、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」という条項とは異なる状況を現出する改正となることから、事実上、本質的な意味において七十年ぶりに、貴族院で作られた皇室典範が参議院において初めて改正された、もちろん衆議院の存在は言うまでもありませんが、と言えるのでしょうか。政府にお尋ねをいたします。
#27
○国務大臣(菅義偉君) 皇室典範は、旧憲法下の帝国議会において成立をし、昭和二十二年に公布されて以後、昭和二十四年に行われた宮内府を宮内庁に改める法改正を除き、一度も改正をされていないものと承知しています。
 今回の法案は、附則第三条の改正規定により、皇室典範の附則に、「この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法は、この法律と一体を成すものである。」と規定を置くものであります。
 皇室典範の制定後、その改正は宮内府を宮内庁に改めるものしか存在をしないために、新たな規定を設ける内容の法改正は今回が初めてであります。
#28
○長浜博行君 本法の施行期日に関してお尋ねいたします。
 附則第一条第一項で、これを政令で定めるとあり、その第二項で、「前項の政令を定めるに当たっては、内閣総理大臣は、あらかじめ、皇室会議の意見を聴かなければならない。」となっております。
 皇室会議は、皇室典範に規定があり、議員十人で組織され、皇族お二方、衆参正副議長、内閣総理大臣、宮内庁長官、最高裁判所長官、最高裁判事がメンバーです。議長は総理です。皇室会議は大変重要な役割を持っており、摂政を置くあるいは廃する、摂政となる順位の変更、さらには皇位継承順位の変更を議決します。会議は、通常は議長が招集しますが、今述べました案件については四人以上の議員の要求があるときも招集されます。議員構成は、先ほど申し上げましたように、皇室からお二方、立法府から四名、行政府から二名、司法から二名、すなわち三権の長が参加されます。
 私は、本法案立案前の過程で重要な役割を担われた国権の最高機関である立法府の四名及びある意味では御関係者とも言える皇族の方、さらには三権の長が全て出席されることからも、皇室会議こそ皇位継承を判断できる最適の場と考えておりました。今後、安定的な皇位継承をいかにするべきか等を議論するに際して、積極的に皇室会議を開催し、議論すべきではないでしょうか。そして、そのために必要があれば、皇室典範の改正も考えるべきと思います。
 そこで、お伺いしますが、本法案の場合、会議の招集はどのようになされるのでしょうか。また、皇室典範の中には、皇室会議の議を経る、議によるとの条文がありますが、特例法の、意見を聴くとはどのような手続になるのでしょうか、お答えください。
#29
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「退位の時期の決定手続における皇室会議の関与の在り方については、国会における法案審議等を踏まえ、各政党・各会派間において協議を行い、附帯決議に盛り込むこと等を含めて結論を得るよう努力する」、このようにされております。
 政府としては、この議論の取りまとめを厳粛に受け止め、法律の施行日を政令で定めるに当たっては、国民生活や皇室の事情に関して高い識見を有する皇室会議の意見を聴かなければならないことをこの法案に明記したものであります。
 なお、平成においては、平成二年の文仁親王殿下の御結婚や、平成五年の徳仁親王殿下の御結婚の際に、皇室典範第十条に基づき皇室会議が開催をされております。その際は、会議の議長たる内閣総理大臣から出席者に招集通知が送られ、当日は、宮内庁において約四十分弱の会議の後、議決がなされ、その内容は会議後に公表するという手続が取られました。
 この度の皇室会議の開催に当たっては、その趣旨にふさわしいものとなるよう、今後、適切に検討していきたいと思います。
#30
○長浜博行君 申し上げるまでもないことでありますけれども、本法案は、成立しても施行がなければ退位は実現しません。政府におかれましては、諸事万端遺漏なきよう準備される時間が必要とは存じますが、附則第二条の規定もこれあり、国民生活への影響を考え、進捗状況を適宜情報公開しながら、可及的速やかに施行期日を決めるべきと考えますが、政府の御見解をお尋ねいたします。
#31
○国務大臣(菅義偉君) 皇位継承事由を崩御に限定する現行の皇室典範は、制度上、退位を予定しておらず、天皇陛下の退位は今回の法案によって初めて実現されるものであります。したがって、退位に向けた各方面との調整は法案成立後に開始をすべきものと考えます。
 その上で、天皇陛下の退位は憲政史上初めての事柄であり、退位に向けて準備が必要となる事項は、退位後の補佐組織の編成、退位後のお住まい、またこれらに伴う予算、退位に伴う元号の改正など多岐にわたることになるものと考えられ、これらは法案成立後に具体的な検討、準備が開始をされるものであることからすれば、これらの検討、準備にどれだけの期間が必要なのかを現時点においてお示しすることは困難だというふうに思います。
 また、退位日となる法律の施行日を定めるに当たっては、改元等による国民生活への影響等も考慮しなければならないと考えます。
 政府としては、これらの事情を踏まえ、法律上、退位日を意味する法律の施行日を政令で定めることとした上で、当該政令を定めるに当たり、国民生活や皇室の事情に関して高い識見を有する皇室会議の意見を聴かなければならないこととしたものであります。
 いずれにせよ、政府としては、宮内庁を中心に、それぞれの所管省庁が十分に連携を取りつつ適切に検討を進め、天皇陛下の円滑な退位が遅滞することなく実施されるよう最善を尽くしていきたいと思います。
#32
○長浜博行君 次に、上皇陛下、上皇后陛下について伺います。
 この法案の施行によって天皇陛下は退位され、退位後は上皇陛下とお呼びすることになっております。上皇という称号を検討するに当たっては、象徴や権威の二重性を回避する観点もあったと伺っておりますが、象徴や権威の二重性の問題は、上皇陛下が退位後にどのような御活動をされるかによるところも大きいと思います。
 一方で、退位された後も上皇陛下のお元気なお姿を拝見したいと思っている国民の皆様も数多くいらっしゃると思います。
 そこで、お伺いします。上皇陛下及び上皇陛下と常に御活動を共にされてきた上皇后陛下の退位後の御活動について、政府としてどのようにお考えになっておられるでしょうか。
#33
○国務大臣(菅義偉君) 宮内庁からは、陛下が象徴としてなされてきたその行為については、基本的に全て新天皇にお譲りになられるものと理解をしているとの見解が示されており、このような整理が適切であると考えます。
 その上で、上皇、上皇后としての御活動については、宮内庁において新たなお立場を踏まえて十分な検討を行い、個別に御相談申し上げながら決めていくことになると、このように考えております。
#34
○長浜博行君 昨年の八月八日、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の中で、重い殯の行事とそれに続く喪儀に関連する行事に触れられた箇所がありました。私は、とりわけ残された家族は非常に厳しい状況下に置かれざるを得ませんとおっしゃっておられたことに強い衝撃を受けました。また、こうした事態を避けることはできないものだろうかとの思いが胸に去来することもありますとお言葉が続きます。
 宮内庁は、平成二十五年十一月十四日、天皇皇后両陛下の御意向を踏まえ、今後の御陵及び御喪儀の在り方について検討の概要を発表しました。そこに記されているとおり、誠に恐れ多く、また重い課題であったと思われます。また、「本検討は皇室の行事である御喪儀について行ったものであり、国事行為たる儀式である大喪の礼について検討の対象としているものではない。」とされています。その上で、この取りまとめの趣旨、内容が国民に広く伝わることを願うとともに、将来の国民に、この取りまとめに沿った御陵及び御喪儀の姿を通じて、平成という時代が、そしてその時代を国民と共に歩まれていらっしゃる天皇皇后両陛下のお心、お姿が正しく伝わっていくことを願っていると結ばれています。
 さらに、同日、宮内記者会からの質問に対する回答として宮内庁が発表したこの件についての天皇皇后両陛下のお気持ちの中で、「極力国民生活への影響の少ないものとすることが望ましいのではないか、とのお気持ちをお持ちであった。」と述べられています。
 本法案の本則第三条第三項について伺います。
 天皇皇后両陛下のこのようなお気持ちを、上皇、上皇后になられた後、政府としてはどのように対応されるのか、お尋ねいたします。
#35
○国務大臣(菅義偉君) 上皇が崩じた際の大喪の礼の在り方については、昭和天皇の大喪の礼の具体的な内容が閣議決定等で定められている、こうしたことに鑑みて、国民の意識や社会情勢を含め、その時々の様々な事情を総合的に勘案し、適切に検討してまいりたいと思います。
 また、殯宮祗候など、皇室行事として行われる儀式の在り方については、宮内庁において、皇室の方々とよく御相談申し上げながら検討していくべきものと考えます。
#36
○長浜博行君 最後に、安定的な皇位継承を確保するための方策について申し上げます。
 衆議院での質疑において、官房長官から、平成二十四年十月に当時の野田内閣において取りまとめました皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理を御説明をいただきました。女性皇族の婚姻による皇籍離脱の問題の対応策として、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする場合において、配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案と付与しない案、女性皇族に皇籍離脱後も皇室の御活動を支援していただくことを可能とする案、この三案を示し、いずれの案も皇位継承問題とは切り離して検討することを前提としたものであります。これは言わば、今回政府が設置された天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議の仕事を数年前に行っていたことを意味します。しかし、残念ながらその後の議論は進んでおりません。
 この度の正副議長の取りまとめでは、「安定的な皇位継承を確保するための女性宮家の創設等については、政府において、今般の「皇室典範の附則の改正」及び「特例法」の施行後速やかに検討すべきとの点において各政党・各会派の共通認識に至っていた」と明確に述べています。すなわち、次元の違う本質的な問題提起が立法府によってなされているわけであります。
 しかし、このことも、今から十二年前、内廷皇族であられた清子内親王殿下の御成婚の年でありますが、平成十七年十一月二十四日の小泉内閣による皇室典範に関する有識者会議報告書が存在します。首相官邸のホームページから閲覧が可能です。報告書には、「当会議の結論が、広く国民に受け入れられ、皇位の安定的な継承に寄与することを願ってやまない。」と記されており、安倍首相が内閣官房長官時代にまとめられたものであります。一人でも多くの方々が目を通していただき、特にその結びには、明確に皇位の安定継承に関しての方向性と実現に向けての強い決意が示されていることを御理解いただけると思います。総理の御奮闘を願ってやみません。
 天皇皇后両陛下の御健康と皇室のいやさかを心から祈念を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#37
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 私自身、今年の一月から八回にわたりまして行われました全体会議にも臨ませていただきました。各党各会派の意見を取りまとめていただきました衆参の正副議長の皆様、そして各党各会派の皆様、さらには政府関係者や有識者会議の皆様方に心から感謝を申し上げます。
 天皇陛下の退位に関する議論の契機は、言うまでもなく、昨年八月八日の天皇陛下のお言葉にございます。言葉を選ばれながらも大変率直にお気持ちが述べられておられ、私自身何度も読み返し、大変深く感銘を受けました。日本国憲法の第一条には、天皇の地位は主権の存する国民の総意に基づくと、こう書いてございます。天皇陛下は、主権の存する国民にお言葉として問いかけをされました。
 国民の皆様がそれをどう受け止めたのか。全国民の代表から成る衆参の国会において、国民の総意を見付け出すために、今年一月より八回にわたって、十の会派に個別に意見を聴取し、時に全体会議を開催をされました。三月には、衆参の正副議長の下、議論の取りまとめが了承され、政府に立法を要請、国会への提出前にはその骨子案を各党各会派に説明しつつ、再び全体会議に提示をされてから五月十九日に閣議決定をされ、国会に提出をされたわけであります。
 この度の特例法の立法に当たっては、皇室会議の議員であられます衆参の正副議長を中心として、静かな環境の下で進めるために、各党各会派から個別に意見を聴取し、時に全体会議を開催すること八回、立法府におけます議論を取りまとめ、それに基づく政府への立法の要請、そして衆参の国会での審議という議論の進め方そのものが、天皇陛下の退位に関する議論の進め方として将来の重要な先例になるのではないかと思いますけれども、官房長官のお考えをお聞きいたします。
#38
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができることとなる一方、これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得るものと考える。」とされております。
 政府としても、この議論の取りまとめを厳粛に受け止め、その内容を忠実に反映させた法案を立案したものであり、この法案は天皇陛下の退位を実現するものではありますが、この法案の作成に至るプロセスやその中で整理をされた基本的な考え方については将来の先例となり得る、このように考えます。
#39
○西田実仁君 昨年の陛下のお言葉を発せられて以降実施されました主な報道機関による世論調査では、大抵、六割以上の国民の皆様は、退位について、今の天皇陛下だけに認める特例法ではなく、今後の全ての天皇に認める制度改正を望んでおられる姿がございました。しかし、今回の法改正におきましては、皇室典範の特例法という形を取り、今の天皇陛下のみを対象として退位をお認めをするという法案となっております。
 まず、私たちは、この天皇制度の安定的な維持を図るためには、天皇の終身在位制という基本は維持されるべきであるというふうに考えました。
 そもそも、皇位の継承を定める皇室典範では退位の規定を設けてございません。天皇は終身在位とされております。その理由として、第一に退位した天皇と新たな天皇の権威という権威の二分化のおそれ、第二に退位が強制される懸念、そして第三に恣意的な退位の可能性など、天皇の地位の安定に影響を及ぼすおそれを排除するためとされております。
 退位を認めるべきではないという立場からは、公務の負担軽減等を更に進めていけば退位は必要ではないとする意見も一部にございましたが、しかし、公務の縮小はこれまでにも相当なされてきており、これ以上の負担の軽減には限界があるのではないか。また、憲法が定めます臨時代行あるいは摂政という制度は、いずれも国事行為の法的代理でありまして、公的行為ではありません。天皇の行為には、この公的行為のほかに国事行為、そして私的行為がございます。
 公的行為は、被災地の視察や戦没者の慰霊など天皇陛下の意思に基づく行為で、国民とじかに触れ合う活動が多く含まれております。公的行為は、憲法上の明文の根拠はありませんが、その時代の天皇の思いが国民の期待とも相まって形作られておりまして、国民と共にある象徴天皇の重要な行為となってございます。
 公的行為は、天皇の象徴としての地位に基づく行為であって、天皇以外の方が事実上代行しても象徴としての行為とはなりません。したがって、天皇陛下の御負担の軽減には退位はやむを得ないという考えに至ったわけであります。
 天皇制度の安定的な維持を図るためには、あくまでも天皇の終身在位という基本は維持されるべきですけれども、他方で、現代の高齢社会にありまして、日本国憲法における象徴天皇制の下で、さきに述べたような弊害の生じるおそれのない退位については国民合意の上で許容されるものと考えたわけであります。そして、陛下のお言葉を受け、国民の多くは退位はやむを得ないと受け止めておられます。そうしたことから、各会派との議論では、退位を認めるということでまず一致をしたわけであります。
 そこで、退位の検討では、さきの世論調査の結果にもありますように、今上陛下一代限りの退位ではなく、将来の全ての天皇に認める恒久制度とすべしとの意見もございました。しかし、将来にわたる退位の要件を一般的に規定することは極めて困難であります。例えば、天皇の退位の意思を皇位継承の要件とすることは、憲法四条一項に定めます天皇の国政関与の禁止に反する疑いが生じます。
 そこで、政府にお伺いいたしますが、天皇陛下の退位をお認めをするにしても、将来の全ての天皇を対象としなかったのはなぜでしょうか。
#40
○国務大臣(菅義偉君) 将来の全ての天皇を対象とする恒久的な退位制度を創設する場合には、退位の要件を定める必要があります。しかしながら、将来の政治・社会情勢、また国民の意識等は変化し得るものであることを踏まえれば、これらを全て網羅して退位に係る具体的な要件を定めるということは困難であると考えます。
 また、衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断する」とされております。
 政府においては、これらの点を踏まえて、天皇陛下の退位を実現するための特例法案を立案したものであります。
#41
○西田実仁君 一代限りの特例法とすることによりまして、国会において、その時代の国民の意識、社会状況、天皇の年齢や皇位継承者の年齢、皇室の状況などを踏まえ、法律案として慎重に審議することが望ましいというわけであります。
 ただし、特例法とはいえ、重要な先例となりますので、将来のことも視野に入れた法整備をしなければならず、今上陛下の退位を認める事情等を立法事実として法文上に明らかにする必要があると指摘をいたしました。
 すなわち、特例法第一条には、退位に至る事情として、天皇陛下が、八十三歳と御高齢になられ、今後、国事行為のほか、象徴としての公的な御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、国民は、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに、皇嗣である皇太子殿下は、五十七歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精励されておられることの三つを挙げております。
 そこで、政府にお聞きをいたします。
 特例法第一条の退位に至る御事情は、将来、退位が問題になったときの重要な先例になると考えるか、今上天皇の御年齢と今後の活動が困難となることを案じておられること、国民の理解と共感、皇太子殿下の御年齢とこれまでの活動状況は退位を判断する際の要素となり得るのか、また附則では、退位日に当たる法施行日を決める際には首相が皇室会議の意見を聴くように定めております、これも併せて将来の退位において参照される規範となるかどうか、お聞きをいたします。
#42
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、特例法に、今上天皇の退位に至る事情として、「象徴天皇としての御活動と国民からの敬愛」、「今上天皇・皇太子の現況等」、「退位に関する国民の理解と共感」を盛り込むこととし、「今上天皇の退位の時期の決定手続における皇室会議の関与の在り方については、国会における法案審議等を踏まえ、各政党・各会派間において協議を行い、附帯決議に盛り込むこと等を含めて結論を得るよう努力するもの」とされております。
 また、この議論の取りまとめにおいては、このような法形式を取ることにより、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができることとなる一方、これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得るものと考える。」とされております。
 政府としても、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させた法案を立案したものであります。
 お尋ねの本特例法第一条の趣旨規定や附則第一条二項の皇室会議からの意見聴取の規定も含め、この法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方については将来の先例となり得るものと考えます。
#43
○西田実仁君 今回の特例法では、皇室典範の附則に、特例法が皇室典範と一体を成すものであるという規定を盛り込むよう求めております。
 皇室典範という名前の法律に退位を規定しないと憲法違反になるのではないかという意見が一部にございました。しかし、明治憲法下での皇室典範と日本国憲法下での皇室典範は根本的に性格が異なります。明治憲法下での皇室典範は、天皇陛下自らが定めるものであり、議会の関与はございません。これに対しまして日本国憲法下での皇室典範は、国会の議決した皇室典範となっております。国会の議決したというところが最大の違いであります。すなわち、日本国憲法下での皇室典範は一般の法律と同様であり、皇位継承については議会で決めていくと書かれているわけであります。しかし、それでも憲法上の疑義が生じる懸念を排除するため、念のため、附則第三条の規定、すなわち、本特例法と皇室典範は一体のものであるとの規定を設けたわけであります。
 そこで、法制局長官にお聞きいたします。
 天皇の退位を特例法で定めたからといって憲法第二条に違反するとは考えませんが、憲法上の疑義が生じてはいけないので念のため附則第三条の規定を設けたと考えますが、法制局長官のお考えを伺います。
#44
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 憲法第二条は、皇位は世襲のものとするほかは、皇位の継承に係る事項については国会の議決した皇室典範、すなわち法律で適切に定めるべきであるということを定めているものと理解しております。
 若干敷衍して申し上げますと、まず、一般に上位の法令において下位の法令の固有の名称を規定することはできないことから、憲法に規定されている皇室典範が特定の法律を指すものではないと考えられます。
 次に、憲法第二条及び第五条において用いられている皇室典範の語は、御指摘もありましたが、戦前の旧皇室典範に由来するものと考えられるところでありますが、従前の皇室典範は、明治憲法の下の国法、国務法とは区別された皇室の家法、宮務法と位置付けられ、議会による規律の及ばない特別の法体系とされていたものであります。
 しかし、現憲法は、このような特別の法体系を廃止し、皇室に関する事項についても憲法の下の法律によって規定すべきものに改めたものでございます。憲法第二条及び第五条は、そのような沿革により、従前の皇室典範において規定されていた皇位の継承及び摂政に関する事項が、国会の議決した皇室典範、すなわち法律で規定すべきものとなったということを明らかにしているものと考えられるところでございます。
 その上で、一般にある法律の特例、特則を別の法律で規定するということは法制上可能であることから、同条に規定する皇室典範には、皇室典範、昭和二十二年法律第三号のみならず、その特例、特則を定める別法もこれに含み得ると考えられるところでございます。
 したがって、法制上、本特例法は現行の皇室典範と一体のもの、一体を成すものとして憲法第二条に言う皇室典範に含まれるものでございます。本特例法附則第三条によって追加される昭和二十二年の皇室典範の附則第四項は、その旨を明記して確認するものであると考えられます。
#45
○西田実仁君 現在、皇族の十八方、うち、今後婚姻による皇族の身分を離れる可能性がある女性皇族は七方、皇族男子は四方でありますが、悠仁親王殿下の世代はお一方のみであります。安定的な皇位の継承をどう確保していくのか、皇族制度をどう維持していくのか、女性宮家の問題も含め、しっかりと議論を進めていく必要があります。
 将来の皇位継承資格者はなるべく早い時期に確定しておくことが望ましいと言われます。なぜかなれば、国民が将来の天皇として幼少時から期待を込めてその御成長を見守ることができるし、また御養育の方針も早い段階で定めることが必要となるからだと思われます。安定的な皇位継承の課題は、先延ばしができない重要な課題であります。
 そこで、政府にお聞きをいたします。
 安定的な皇位継承については、国民の期待、御養育の方針等からも先延ばしができない重要な課題であり、女性宮家の問題も含めてしっかりと議論を進めていくべきと考えます。その際、国民の理解と支持が何よりも必要であると考えますが、議論を進めるに当たっての基本的な視点について現状どのようにお考えでしょうか。
#46
○国務大臣(菅義偉君) 女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であると考えています。そのための方策についてはいろいろな考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えます。
 政府としては、衆参正副議長の議論の取りまとめを受けた各政党各会派の協議を踏まえ、国民世論の動向に留意しつつ、適切に検討を進めてまいりたいと思います。
#47
○西田実仁君 終わります。ありがとうございました。
#48
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 日本共産党は、天皇の退位の問題について、これは政治の責任で国民的な議論を進めることが必要だと述べてまいりました。その議論の根本に据えるべきは日本国憲法であります。憲法の根本精神は、個人の尊厳の尊重です。個人の尊厳という精神に照らせば、一人の方にどんなに高齢になっても仕事を続けることを求めるという今の在り方は見直す必要があると考えます。
 したがって、今回、政治の責任で天皇の退位を立法化することには日本共産党は賛成であります。
 立法に当たっては、現行憲法の象徴たる天皇の退位を初めて立法化するものであり、憲法第一条は、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」としており、広く国民的議論を踏まえたものにする必要があります。さらに、憲法第四条は、天皇は、この憲法の定める国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しないとしています。退位の立法は、こうした憲法の規定に適合するものでなければなりません。
 こうした見地から質問をいたします。まず、今回の立法の根拠であります。
 六月一日の衆議院議院運営委員会において菅官房長官は、「政府としては、天皇の意思を退位の要件とすることは、天皇の政治的権能の行使を禁止する憲法第四条第一項との関係から問題があると考えます。」と述べました。さらに、「昨年八月の天皇陛下のお言葉を今回の立法の直接の端緒として位置づけた場合には、天皇の政治的権能の行使を禁止する憲法第四条第一項に違反するおそれがある」、「そのような疑念が生じないよう、趣旨規定の中でお言葉という文言を使用しないこととした」と述べておられます。
 一方で、今回の法案の第一条にはこう書かれています。御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることに深く案じておられると。これは、昨年八月のいわゆるお言葉の内容であります。これを示した上で、国民がこの天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していることを立法理由としているわけです。
 本法案は、お言葉という文言こそ使っていないものの、間接的ではあっても天皇の意思を盛り込むことになっております。これでは、事実上天皇の意思を退位の要件とすることになるのではないだろうか、あるいは、昨年八月の天皇のお言葉を立法の直接の端緒として位置付けたことになるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(菅義偉君) 昨年八月の天皇のお言葉は、これまでの御活動を天皇として自ら続けていくことが困難となるというお気持ちを国民に向けて発せられたものであり、退位の意向を示されたものではなく、天皇の政治的権能の行使には当たらないと考えています。
 また、国民がこの天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感しているという現状は、この天皇陛下のお気持ちに対する国民の受け止めであり、天皇陛下のお言葉と直接関係するものではありません。
 加えて、政府としては、国民的な議論が高まったことを踏まえ、予断を持つことなく検討を開始し、衆参正副議長による議論の取りまとめを受けて、今回の法案を立案し、提出したものであります。
 これらのことを踏まえれば、憲法第四条第一項に違反するものとは考えておらず、また、この法案の趣旨規定の中で天皇陛下のお気持ちや国民の受け止めという現状を記載することについて、憲法上の問題はないものと考えます。
#50
○小池晃君 今の答弁は、国民がお気持ちを理解し共感している現状というのは天皇のお言葉と直接関係するものではないという御答弁でした。これが政府の見解だということなわけですね。
 それならば、高齢により活動を続けることが困難になることを深く案じているという天皇自身の懸念の内容を法律に盛り込むことは適切ではないのではないかというふうに考えるわけです。
 憲法に適合するものとするためにも、やはりここは、天皇退位を実現する理由は、天皇が高齢となって活動を続けるのが困難となるであろうという客観的な事実に基づいて、天皇の退位について国民が理解を示しているという事実に置くべきではないだろうかと私どもは考えます。
 それから、もう一つの問題点として指摘したいのが、本法案の第一条に、天皇が、「国事行為のほか、」「象徴としての公的な御活動に精励してこられた」という記述があることであります。
 日本共産党は、象徴としての公的活動、これはいわゆる天皇の公的行為ということになるんでしょうが、これを法律に書き込んでその全てを肯定するということには同意はできませんし、そもそも退位の法案に書き込む必要がないと考えるわけであります。
 いわゆる天皇の公的行為については、その在り方が天皇の政治利用につながるのではないか、これまでの国会でも議論になってまいりました。一九九〇年五月十七日の衆議院予算委員会で、当時の盧泰愚韓国大統領来日に関する議論が行われた際に、天皇の公的行為について内閣法制局長官が行った答弁があります。お示しをいただきたいと思います。
#51
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘の平成二年五月十七日の衆議院予算委員会において、当時の工藤内閣法制局長官は、天皇の公的行為について、「いわゆる天皇の公的行為というのは、憲法に定める国事行為以外の行為で、天皇が象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われるものをいう」中略「国事行為の場合にはいわゆる憲法に言う内閣の助言と承認が必要であるということになっておりますが、天皇の公的行為の場合にはそこで言う内閣の助言と承認は必要ではない。また、あくまで天皇の御意思をもととして行われるべきものではございますが、当然内閣としても、これが憲法の趣旨に沿って行われる、かように配慮することがその責任であると考えております」、さらに、「天皇の公的行為というのは」中略「いわゆる象徴というお立場からの公的性格を有する行為でございます。そういう意味では、国事行為におきますと同様に国政に関する権能が含まれてはならない、すなわち政治的な意味を持つとかあるいは政治的な影響を持つものが含まれてはならないということ、これが第一でございます。第二が、その行為が象徴たる性格に反するものであってはならない。第三に、その行為につきましては内閣が責任を負うものでなければならない」と答弁しております。
#52
○小池晃君 政府にお聞きします。
 天皇の公的行為についてのこの内閣法制局長官の当時の答弁、この立場は政府としても今も変わらないということでよろしいか。
#53
○国務大臣(菅義偉君) 御指摘の工藤内閣法制局長官の答弁の考え方、すなわち、天皇の公的行為について、国事行為と同様に国政に関する権能が含まれてはならない、すなわち政治的な意味や政治的な影響を持つものが含まれてはならない、象徴たる性格に反するものであってはならない、内閣が責任を負うものでなければならないという考え方は、現在においても変わっていません。
#54
○小池晃君 法制局にお聞きしますが、先ほどの答弁の中に三つの要件がありまして、その中で、二つ目に、公的行為は象徴たる性格に反するものではあってはならないということがございましたが、これはどういう意味でしょうか。
#55
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘の答弁における象徴たる性格というのは、憲法第一条において「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定されている、まさにそのことを言うものと理解されます。これに反するものであってはならないということは、天皇の公的行為が、この憲法第一条の趣旨、すなわち主権者である国民の総意に基づく象徴としての立場と抵触する、これに反するようなものであってはならないということと理解されます。
#56
○小池晃君 二〇一〇年、中国の習近平氏の来日の際、天皇との会見が行われたことが問題となり、当時野党の自民党が批判しております。政府を追及しております。
 自民党の下村博文議員はこう述べられました。「天皇の公的行為について内閣が責任を負うということは、時の内閣あるいは党派の都合や政治判断で天皇を意のままに動かしていいということを意味するものではありません。」、「我々は、明らかに今回のケースは政治利用だと考えています。」と述べています。
 こういう議論があったことを官房長官は覚えておられると思うんですが、この下村議員の主張に同意されますか。
#57
○国務大臣(菅義偉君) 当時の平野官房長官は、御指摘の下村委員の質問に対して、国政に関する権能を有しない天皇陛下による純然たる二国間の友好親善を目的としたものであり、天皇の政治的利用ではない旨の答弁を行っていると承知しています。
 当時の政権の判断について私の立場からお答えすることは差し控えたいと思います。
#58
○小池晃君 いや、私は、政権の判断を聞いたのではなくて、御党の議員でもある下村議員の主張に同意されますかとお聞きをしたんです。
#59
○国務大臣(菅義偉君) いずれにせよ、天皇の公的行為については、平成二十二年二月十八日に示した政府統一見解のとおり、各行事等の趣旨、内容のほか、天皇陛下が御臨席等をすることの意義や国民の期待など、様々な事情を勘案し、判断していくべきであること、内閣は天皇の公的行為が憲法の趣旨に従って行われるよう配慮すべき責任を負っていることなどから、今後とも適切に対応することが必要であると考えています。
#60
○小池晃君 ちょっとお答えいただけなかったんですけどね。
 今、もう先に次の話に行かれてしまったんですが、この問題、当時、自民党の谷垣総裁は、「特に天皇の公的行為は裁量の余地があって多様だから、天皇が政治的ないろいろなものに巻き込まれるようなことがないようにきちっとしたルールが要るのではないか、」という提起をされた。で、その年二月十八日の政府統一見解ということになったんですが、これ、今も、じゃ、現政権も同じ見解だということになるんでしょうか。
#61
○国務大臣(菅義偉君) 平成二十二年一月二十一日の谷垣委員の発言を受けて、政府において天皇陛下の公的行為についての政府の統一見解を作成をし、そして二月十八日の衆議院予算委員会理事会に提出したものと承知しています。
 その統一見解というのは、これまでの天皇の公的行為についての政府見解を踏まえ、天皇の公的行為については、各行事等の趣旨、内容のほか、天皇陛下が御臨席等をすることの意義や国民の期待など、様々な事情を勘案し、判断していくべきであること、内閣は天皇の公的行為が憲法の趣旨に沿って行われるよう配慮すべき責任を負っていること、こうしたものを示しております。
 政府においては、この考え方を踏まえて適切に判断していくべきものと考えています。
#62
○小池晃君 時の政府が様々な事情を勘案し、判断して天皇の公的行為を決めると言いますが、それが政治利用にならない担保はあるんでしょうか。
#63
○国務大臣(菅義偉君) 今申し上げましたように、内閣は天皇の公的行為が憲法の趣旨に沿って行われるよう配慮すべき責任を負っていること、こうしたものを今申し上げたのでありまして、政府においては、この考え方を踏まえて適切に判断していきたいと思います。
#64
○小池晃君 第二次安倍内閣の下でも天皇の政治利用は問題になりました。二〇一三年四月二十八日、政府主催の主権回復を記念する式典に天皇の出席を求めた。これは、一九五二年四月二十八日に発効したサンフランシスコ平和条約と日米安保条約によって、日本は形式的には独立国となりましたが、実質的にはアメリカへの従属国の地位に縛り付けられたというのが歴史の真実であります。また、沖縄にとっては、本土から切り離されて、アメリカ占領下に置かれた屈辱の日であり、その後の本土復帰運動の起点となった日です。主権回復の日というのは、歴史的事実とも異なると思います。
 このような式典に天皇の出席を求めたことは、これは、自民党の下村議員が、時の内閣あるいは党派の都合や政治判断で天皇を動かす明らかな政治利用とおっしゃったことになるんじゃないでしょうか。
#65
○国務大臣(菅義偉君) 御指摘の式典は、サンフランシスコ平和条約の発効による我が国の完全な主権回復及び国際社会復帰六十年の節目を記念し、我が国における国際社会の平和と繁栄への責任ある貢献の意義を確認するとともに、これまでの経験と教訓を生かし、我が国の未来を切り開いていく決意を確固たるものとする趣旨で行ったものであります。
 政府としては、このような趣旨で式典を挙行し、天皇皇后両陛下の御臨席を賜ったものであり、政治利用には該当しないと考えます。
#66
○小池晃君 私は、これは典型的な政治利用の一つだったというふうに思います。
 これは、非常に極めて政治的な開催経緯があります。自民党の伝統と創造の会が中心となって主権回復記念日制定議員連盟をつくって運動して、野党時代の自民党方針に盛り込んで、政権復帰後に式典が行われた。沖縄では、当日、一万人以上の市民が集まって抗議の声を上げたわけです。私は、このような式典を政府主催で開催することに国民的合意は存在しなかったと思います。
 国民の意見が割れていることが明らかな式典に天皇の出席を求めたということは、これは、天皇の政治利用であるだけではなく、先ほどの答弁にもございました、この公的行為のルールの中にある、象徴たる性格に反するものであってはならない、要するに、国民統合の象徴としての性格にも反することになるんじゃないでしょうか。
#67
○国務大臣(菅義偉君) 本式典に当たっては、沖縄がさきの大戦において悲惨な地上戦を経験をしたこと、また、サンフランシスコ平和条約の発効以降も一定期間、奄美群島、小笠原諸島及び沖縄が我が国の施政権の外に置かれたという苦難の歴史を忘れてはならず、苦難を耐え抜かれた先人の心情に思いを致し、沖縄の方々が抱える基地負担の軽減に取り組むとともに、奄美群島、小笠原諸島及び沖縄を含む我が国の未来を切り開いていく決意を新たにすることが重要であるというふうに考えたものでありますし、本式典については、このような式典の趣旨、内容のほか、天皇陛下が御臨席をすることの意義、国民の期待など、様々な事情を勘案して政府として天皇皇后両陛下に御臨席を賜ると判断したものであり、象徴としての天皇の性格に反するものではないと考えます。
#68
○小池晃君 今のお話には沖縄の人々は決して納得しないだろうと私は思います。
 このような天皇の政治利用が繰り返されてきたから、私どもは、公的行為を退位法案に書き込んで、その全てを肯定することにはこれはすべきではないということを重ねて申し上げたいというふうに思います。
 最後に、議論の進め方です。
 日本国憲法第二条は、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」としています。この規定について、戦前の皇室典範は、これは帝国議会の関与できない宮務法だったわけですが、しかし、戦後の憲法の下では国会が議決する法律となって、皇室典範は法律の一種であるというふうになったわけです。これは、金森大臣述べております。
 私は、そうであるならば、これは日本国憲法の下での天皇の制度というのは、やはり戦前の天皇主権の天皇制とは原理的に異なるわけで、主権者である国民の総意に基づく象徴の制度として議論すべきであって、したがって、やっぱり退位の立法も含めて、天皇の制度をめぐる法律の在り方については自由で闊達な国民的な議論が保障されなければならないと、静ひつなということで国民の自由な議論が抑制されてはならないと考えますが、いかがでしょうか。
#69
○国務大臣(菅義偉君) 天皇の制度の検討に当たっては、憲法第一条において、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とされていることを踏まえれば、国民の理解と支持を得られることが必要であると考えます。
 今回の天皇の退位等に関する問題についても、このような観点から衆参正副議長による議論の取りまとめが執り行われた、このように承知します。
#70
○小池晃君 終わります。
#71
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助でございます。党を代表して質問させていただきたいと思います。
 今回の立法は、もう何人もお触れになりましたが、大変異例で、よく言えば画期的なんですね。今日は参議院の正副議長さん御出席ですけれども、衆参の正副議長さんが立法府の総意を取りまとめるといって先頭に立たれた、何回も会議やりましたよね。一方、内閣の方は有識者会議で、そこでいろいろ議論して最終報告を踏まえたと。
 そういうことで、両方ががちゃんこになってこの法律ができたので、最近コラボレーションというのがはやっていますけれども、珍しいですよね、内閣と国会のコラボレーション。これについて、私の経験では初めてなんです、官房長官、御感想があれば。
#72
○国務大臣(菅義偉君) 私ども政府にとっても極めて異例のことだというふうに思います。
 しかし、天皇陛下の存在のことを考えたときに、両院の議長、副議長に立法府の意見を取りまとめていただいたということは大変に有り難いことであり、そうした立法府に取りまとめをいただいたものを私ども政府として真摯に受け止めさせていただいて、今回こうした成案を得ることができたという意味合いにおいても、心から感謝を申し上げたいと思うものであります。
#73
○片山虎之助君 我が党の意見もほぼ満額回答でこの間入れていただきましたし、本当に正副議長さん頑張っていただいたので、正副議長さんを含めまして全ての関係者の皆さんに敬意と感謝をささげたいと、こういうふうに思います。
 我が国の天皇制度は、もう言うまでもないんですが、長い歴史の中で、生前終身在位ですよね、世襲ですよ。それから男系ですよね。これが長い歴史の中で定着して、国民も支持してきたんですよね。だから、退位というのがないんですよ、そういう憲法の中にも。
 ところが、今上天皇が本当によく頑張ってこられた、誠心誠意国民のために頑張ってこられたと思いますよ。それがやっぱり御高齢で事情が変わってきた。そのお気持ちを国民が受けて、そのお気持ちに沿いたいと、これが大きい世論になったんですね。しかも、御高齢ですから急がにゃいかぬと。こういうのが今回の特例法になったと私は認識しているんですが、官房長官、それでよろしゅうございますか。
#74
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、国民代表機関たる立法府の主体的な取組が必要であるとの認識の下に、真摯に議論を重ねた結果、退位を認めることについて広く国民の理解が得られており、今上天皇が退位することができるように立法措置を講ずることは各政党各会派の共通認識である、退位の具体的措置等については、皇室典範の特例法であることを示す題名の法律で規定をする方がいい、このようにされております。
 政府においては、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させ、天皇陛下の退位を実現するための特例法案を立案したということであります。
#75
○片山虎之助君 これはあくまでも特例であり、一代限りなんですよね。原則は、天皇制度の原則は終身在位なんです。だから今回は、だから特例というのはまさにその例外である、一代限りであるという認識で。後でまとめて答えていただければいいんです。
 それから、もう一つは、天皇の御意向は表明されていない、天皇の意思は表明されていないということなんですよね。天皇のお気持ちを国民が察して、それが大きい世論になった、それがこの立法の、ここまで来たと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#76
○国務大臣(菅義偉君) 今の天皇陛下の特例の話、そして国民の皆さんがお気持ちを理解をする、そういう中でこの法案を提出になったということは、全くそのとおりであります。
#77
○片山虎之助君 そこで、今日の答弁でも官房長官何度も繰り返していますが、したがって、一代ごとに、そのたびごとに、国民の意思を国民の代表である国会で法律を作ることによって承認していくと。それは特例法ですよね。それが、天皇の地位は国民の総意に基づくと、こういう憲法の規定にも合致すると、これが政府のお考えですね。
#78
○国務大臣(菅義偉君) 今回、この議論の取りまとめにおいては、特例法に、今上天皇の退位に至る事情として、「象徴天皇としての御活動と国民からの敬愛」、「今上天皇・皇太子の現況等」、「退位に関する国民の理解と共感」を盛り込むこととし、このような法形式を取ることによって、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができる」とされております。
 そして、政府としては、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映をし、今回この特例法案を立案したものであります。
#79
○片山虎之助君 天皇陛下は意思を言われない、意思を言われることは、憲法の四条ですか何かの違反の疑いが出てくる。そうすると、この場合、特例にするかどうか、特例法を作るかどうか。今回は非常にスムーズに行きましたよね。こういうことになるんですか、今後は、これ以外のケースがあるんですか。
 どういう場合に、これは特例にして、特例法を作って退位をお認めしようかと、これは具合が悪いと、これは結構だと。天皇陛下は御意思を言われないんだから。言われると、これは憲法四条の問題が出てくる。どういう判断ですか。
#80
○国務大臣(菅義偉君) まず、この議論の取りまとめにおいては、国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができる。その一方において、今回のことが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得ると、このように考えるものであるとしております。
#81
○片山虎之助君 まあ、余りぎりぎりせずに行きたいと思うんですが、この先例論は実は私が一番最初に言い出したと自分では思っているので。今年の一月八日にNHKの日曜討論で、各党の代表が出てその年の抱負みたいなことを言った中でこの問題が出て、私は、特例法を作ったら必ず先例になると、先例にすべきだと言ったんです。そういうことを申し上げたんです。
 それが、まあいろんな経緯があって、いろんな議論があって、三月の初めに、四人の正副議長さんらで取りまとめの中に、先例として機能すると入りましたよね。それから、政府答弁で、官房長官以下政府の皆さんが、先例になると。先例になるんですよ、一度作れば。また、先例にすべきなんですよ、作ったら。
 ただ、そこで難しいのは、今言ったような事情なんですよ。今のこの法律では全部先例になりますよ。私は、先例かどうかと大分議論があるのは例えば一条の趣旨のところかと思ったら、衆議院の議論で、一条も先例だと、そういう趣旨の答弁を官房長官されましたよね。だから、それは先例になるんですよ。天皇陛下が御高齢で八十三歳ですよ、皇太子様が五十七歳、国民は敬愛している、そういうことの要件を一条に書いているんだから。
 その三つが先例になるという御答弁があったんですが、そう認識してよろしゅうございますね。
#82
○国務大臣(菅義偉君) なり得ると考えていると申し上げています。
#83
○片山虎之助君 いや、官房長官答弁うまいから、なるとは、なり得る、可能性なんですよね。いや、まさにそうなんで、なり得るなんで。
 ただしかし、高齢化社会がどんどん進んで、天皇御一族も、皇族もやっぱり御長寿になられると思いますよ。高齢になってくる中で、それじゃ、生前で退位するというのが次第に増えてくると。言葉は悪いんですが、例えば常態化すると良くないんです。それでも一代限りの特例法をずっと作り続けますか。
#84
○国務大臣(菅義偉君) 先ほど来申し上げていますけれども、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断する」、このようにされております。ですから、政府としてはこうしたことを今回忠実に反映をさせたということであります。
#85
○片山虎之助君 官房長官、この法律が成立して、施行もせなきゃいけません、ちょっと先だけれども。しかし、その後、時間を掛けてこの問題を本格的に議論されたらどうですか。だから、特例法、今後生まれてくるだろう特例法も含めて、あるいは皇室典範を含めて、皇位の継承の安定性をどうするかということの少し長い目での議論を私はする必要があるんじゃなかろうかと、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
#86
○国務大臣(菅義偉君) 政府としては、今回、衆参両院の正副議長の議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、今回その内容を忠実に反映をさせて天皇陛下の退位を実現するための特例法案を立案したものであります。そこで改めて政府の立場で法形式について議論することは考えてはおりません。
#87
○片山虎之助君 今日は予算委員会じゃありませんからぎりぎり言いませんけれども、検討課題で頭に入れておいていただいたらいいと思います。
 そこで、これから諸準備をやっていただく、スケジュールを決めていただくということなんですけれども、施行まで三年というのは長いことは長いですよね。しかし、初めてのことなんだから、おまえらそう言っても簡単にいくかという、それもよく分かります。是非万全を期していただきたいんですが、いかがでございますか、諸準備。
#88
○国務大臣(菅義偉君) 皇位継承事由を崩御に限定しているのが現行の皇室典範であります。制度上退位を予定していないのでありますから、天皇陛下の退位は今回の法律で初めて実現をされることになります。ですから、退位に向けた各方面との調整というのはこの法案が成立した後に行うことになるわけであります。
 その上で、天皇陛下の退位、まさに憲政史上初めてのことでありまして、退位に向けて様々な準備、これは必要であります。例えば退位後の補佐組織の編成、退位後のお住まい、また、これらに伴う予算、退位に伴う元号の改正、多岐にわたります。法案成立後に具体的な検討、準備が開始されるものであることからすれば、これらの検討、準備にどれだけの期間が必要なのかは、現時点において判断することはなかなか難しい状況であります。
 また、退位日となる法律の施行日を定めるに当たっては、改元等による国民生活への影響等も考えなきゃならないと思っています。
 政府としては、これらの事情を踏まえ、法律上、退位日を意味する法律の施行日を政令で定めることとした上で、当該政令を定めるに当たって、国民生活や皇室の事情に関して高い識見を有します皇室会議の意見を聴かなきゃならないこととしているものであります。
 いずれにしろ、政府としては、宮内庁を中心にそれぞれの所管省庁が十分連携を取って適切に検討を進めて、天皇陛下の円滑な退位が遅滞なく実現するようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
#89
○片山虎之助君 新天皇の即位式はおやりになるんでしょうが、退位式というのはおやりになりますか。これも例がないですわね、今まで。
#90
○国務大臣(菅義偉君) 今、退位は憲政史上初めてということで申し上げました。退位に関する儀式等については、やはりこの法案成立後に、退位に至るまでの具体的な手順、こうしたものを検討して整理をしていく中で適切に検討してまいりたいというふうに思います。
 ですから、成立後に、様々なことをこれから検討していかなきゃならないというふうに思っています。
#91
○片山虎之助君 それから、施行日というのか、即位、退位、改元、それが今、報道によれば、二〇一九年の一月一日説と四月一日説と両方ありますよね。国民は大変関心を持っているんですよ、いろんな意味で。国民生活や経済にも影響ありますよ。これについては言える範囲で言ってください。
#92
○国務大臣(菅義偉君) まだ法律も成立しておりませんし、私たちが検討する前から新聞で、今委員が言われたようなこと、いろいろ報道をされておりますけれども、やはり新たな元号については、国民生活への影響等を考えなきゃならないわけでありますので、そうした中で適切に決めていくという答弁にさせてください。
#93
○片山虎之助君 それから、衆議院の段階なんですが、附帯決議で女性宮家創設が大変議論になったんです。我が党でも大議論ですよ。しかし、我が党は、今後、国民動向の具合を見ながら中立的にこれから議論して答えを出していきますけれども、皇位継承と女性宮家創設はつながない方がいいですよ。だから、女性宮家はどうかで、これは大きい議論ですよね。だから、これは皇位の継承とはつながずに独立した議論として大いに議論していくこと、こういうことが一つ必要だと思いますね。その方が分かりやすいし、議論が進みやすい。
 それから、もっと大きい、女性天皇、女系天皇は、これは一番冒頭に言った我が国の統治機構の根幹をどう変えるかという議論で、これは国民にいっぱい議論があるんですよ。それは丁寧に国民世論の形成を図らないと、これはもう大騒動になるおそれがありますわね。今は世界的に女性強いですけどね、それこそいろんな関係を見ながらしっかりと議論していただきたいと思いますが、いかがですか。
#94
○国務大臣(菅義偉君) 女性皇族の婚姻等による皇族数の減少に係る問題については、皇族方の御年齢からしても先に延ばすことはできない重要な課題であるというふうに受け止めております。そのための方策についてはいろいろな考え方や意見があって、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要だというふうに思っています。
 政府として、衆参正副議長の議論の取りまとめを受けた各政党各会派の協議を踏まえた上で、国民世論の動向に留意しつつ、ここは適切に検討していきたいというふうに思います。
 それと、女性・女系天皇、こうしたことについては、政府としては、現状で男系男子というものでありますので、そこはしっかり引き継いでいきたいと思います。
#95
○片山虎之助君 憲法の第一章は天皇なんですよ。だから、これからいろんな皇室、天皇、皇后に係る議論は内閣でもやっていただきゃいいんですが、国会が憲法の発議権を持っているんですよ。憲法の第一章は天皇なんですよ。だから、内閣マターであると同時に、天皇制、皇室制度は私は国会マターでもあると思っている。そういう意味で、国会で常時議論する場が要ると思うんですよ。それを、今回の、正副議長さんおられますけれども、会議でも私は何度も言いましたよ。余り取り上げませんが、まあ取り上げているのかもしれない、何となく書いてくれるんだけれども、ちょっと正副議長さんを含めて検討してくださいよ。今言ったように、いっぱい問題があるんですよ。大変国民は関心がある。
 是非、そういう意味では、皇室制度の発展、皇室のいやさか、天皇皇后両陛下の御健康をお祈りして、また法案の一日も早い成立と施行をお願いして、終わります。
 ありがとうございました。
#96
○森ゆうこ君 希望の会、森ゆうこでございます。
 質問に入ります前に、一言申し上げさせていただきます。
 希望の会は、自由党と社民党の参議院における統一会派でございます。本特別法案に対しましてはそれぞれ自由党と社民党で対応が異なりますので、あくまでも私は自由党を代表して意見を表明し、質疑をさせていただきたいと思いますので、御理解をよろしくお願いいたします。
 自由党は、衆参正副議長の下での議論から一貫して、天皇の生前退位につきましては、一世一元の制を導入した経緯を見ても慎重であるべきで、本来、摂政を置かれることが望ましい、しかしながら、昨年の陛下のお言葉を踏まえ、立法府は国民的な合意を得る努力をすべきと考える、ただし、将来の天皇制の安定のためには皇室典範の改正で対処すべきである、また同時に、女性宮家の創設など基本的な議論を深めるべきだと、こう主張してまいりました。
 その趣旨は、天皇の退位が時の権力に恣意的に利用されるおそれを排除するということであり、政治的利用を避けるためにも、御年齢など退位の要件を客観的に定めることが必要ではないかということでございます。今いろいろ御議論ございましたし、御答弁もありましたけれども、有識者会議では客観的な設定が難しいという判断となっておりましたが、例えば厚生労働省の示す七十五歳という基準が一つのメルクマールになるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 質問に移ります。
 まず、現行憲法下の象徴天皇制の在り方についてお尋ねをいたします。
 現在の象徴天皇制は、伝統を踏まえつつも、日本国憲法の下における制度でございます。今上陛下は、人間が象徴を務めるという在り方に真摯に対処され、被災地への御訪問、慰霊等、重ねてこられました。国民はこのような陛下の御活動を拝見し、敬愛の念を抱いております。
 象徴天皇制は、天皇陛下という御存在に加え、この陛下の公的行為その他の御活動があって初めて社会に内在したものになると言えるのではないでしょうか。国民の総意に基づくということは、陛下の御活動を継続的に拝見することで、国民が、ああ、この方が日本国の、日本国民統合の象徴なのだとの思いを抱くことに支えられているのではないかと考えます。こうした現在の象徴天皇制は、長い歴史で見た伝統的な天皇の在り方に沿っているとも考えられます。
 政府は、現行憲法下での象徴天皇制の在り方、その象徴天皇制を支えている重要な要素の一つと位置付けられる公的行為などの御活動についてどう考えていらっしゃるのでしょうか。
#97
○国務大臣(菅義偉君) 憲法第一条では、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると定められております。その趣旨は、天皇の存在を通じて、そこに日本国と日本国民統合の姿を見ることができるということであると考えます。
 今お尋ねの公的行為については、憲法上明文の根拠はありませんが、自然人として行う事実行為のうち、象徴としての地位に基づく公的な立場で行われるものであります。象徴としての地位にある天皇陛下が公的行為として国民に寄り添う御活動に精励されていることは、大変に有り難いものと考えます。
#98
○森ゆうこ君 昨年のお言葉の中で、生き生きとして社会の中に内在するという象徴天皇としての在り方に、私は強い感銘を覚えたところであります。
 今回、自由党は、女性宮家の創設等について、女性皇族の方にも婚姻後皇室にお残りいただき、皇位にお就きいただく可能性も考える皇位継承の問題として主張してまいりました。皇位継承とは切り離すという御議論、先ほどもございましたけれども、ここで改めて、象徴制、世襲制という観点から問題提起をさせていただきたいと思います。
 憲法第一条では象徴天皇制、憲法第二条では皇位の世襲制が規定されています。世襲制は、その家にお生まれになるというお血筋に加え、後継者となられる方が、お近くの立場でいわゆる帝王学、お振る舞い等の無形の財産を受け継がれることにも大きな意義があると考えます。長子直系を優先するという考え方は、まさにお近くの立場にあることを尊重するものです。皇族としてのおありようは、そのお血筋にあることで自然に身に付くものではなく、皇族としてお過ごしになる長い間に培われ、また国民も、天皇陛下、皇族の方々に報道等を通じて接していく中、長い年月を掛けて、この方に皇族としてお務めいただくのだという意識が生まれていくものだと思います。
 世襲制の持つこのような意義についてどのようにお考えになるか、お尋ねをいたします。
#99
○国務大臣(菅義偉君) 憲法二条において、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とされております。皇位の世襲とは、皇室の長い伝統を踏まえ、皇位が代々、歴代の天皇からつながる血統に属する者によって継承されるということを規定をしたものであると考えます。
#100
○森ゆうこ君 憲法は、皇位の継承につきましては男女の別には触れておりません。国会の議決する皇室典範に委ねております。国会は全国民の代表であり、国民の負託を受け、国民の民意、総意に沿った判断をその都度下していかなければなりません。小泉政権下でも検討がなされたところでございますけれども、現代の国民感情、憲法の規定する象徴制、世襲制の意義を考えると、女性天皇の可能性について改めて検討すべきであると考えます。
 皇位継承の在り方については、伝統を尊重しつつも、日本国憲法の趣旨を踏まえ、その時代時代の国民的な議論を経て決すべきと考えますが、いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(菅義偉君) 安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本に関わる極めて重要な問題であると考えます。この問題については、慎重かつ丁寧に対応する必要があると認識をしており、男系継承が古来例外なく維持されてきているという重みをしっかり踏まえつつ、引き続き検討をしてまいりたいと思います。
#102
○森ゆうこ君 今お話しになりましたその伝統、天皇制、そうして皇室制度の伝統について確認をさせていただきたいと思います。
 天皇制、皇室制度の百二十五代にわたる長い歴史の中、伝統、先例を踏まえて様々な原則が打ち立てられ、明治期に旧皇室典範が制定され、今日、日本国憲法の精神の下に現在の皇室典範に至っていることと理解しております。
 歴史を支えてきた様々なルール、例えば御養子の可否、皇籍を離れられた方の復帰のお取扱い、男性が皇族となられる場合の要件、婚姻された皇族女子の皇籍のお取扱いなどについて確認をさせていただきたいと思います。
 皇室典範には、第九条、「天皇及び皇族は、養子をすることができない。」、第十二条、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。」、第十五条、「皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。」との規定がございます。
 これらの項目に関して、皇室の長い歴史の中ではどのようになっていたのか、明治期の皇室典範ではどのような規定が置かれたのか、そして現在の皇室典範ではどのような趣旨でどのような内容として定められたのか、それぞれの制度の趣旨はどのようなものなのか、お示しをいただきたく思います。
#103
○国務大臣(菅義偉君) 今委員から皇族身分の得喪についてお尋ねをいただきました。
 まず、九条、養子の禁止でありますけれども、天皇及び皇族の養子については、歴史的には、皇位の男系継承を維持しつつ、養子が行われた例があったとされておりますが、旧皇室典範では、養子は中世以来のもので、古来の典例ではないなどの理由から、第四十二条において「皇族ハ養子ヲ為スコトヲ得ス」と定められました。現行の皇室典範第九条はこれを踏襲したものと承知をしております。
 十二条の婚姻による皇籍離脱でありますけれども、皇族女子が天皇及び皇族以外の者と婚姻した場合については、歴史的には婚姻後も皇族の身分を離れることはなかったが、旧皇室典範では、婚姻した女子の身分は夫の身分に従うとの考え方から、第四十四条において「皇族女子ノ臣籍ニ嫁シタル者ハ皇族ノ列ニ在ラス」と定められました。現行の皇室典範第十二条は、皇族女子に皇位継承資格を認めていないこと等を踏まえ、旧皇室典範と同様に、婚姻に伴う皇籍離脱の制度を採用したものと考えております。
 十五条の婚姻以外における皇籍取得の否定であります。女子が天皇及び皇族と婚姻する場合を除き、皇族以外の者が皇族となる場合としては、歴史的には一旦皇籍を離脱した方が皇籍に復帰する例もありましたが、極めて例外なものでありました。これを踏まえて、旧皇室典範増補では「皇族ノ臣籍ニ入リタル者ハ皇族ニ復スルコトヲ得ス」とされております。現行の皇室典範第十五条はこれを踏襲したものであると承知をしています。
#104
○森ゆうこ君 今回のこの法案の審議に当たって国民の皆さんが一番関心があるのは、やはり、大変、皇位継承者、男系男子ということになりますと、結局、一番若い世代では秋篠宮家悠仁様のお一人しかいないと。どうなるんだろうか、女性宮家の創設についてなぜもっと踏み込んだ議論をしてもっと前に進めないんだろうかと、そういうことが一番の国民の関心事であると考えますし、私も、今回この法案の質疑に立つということに当たりまして、一般の国民の皆さんからそういう御意見を頂戴いたしました。これは、皇室の存続、皇位の継承、これを安定的に継承するためには、本当にすぐにでもきちんと議論をして、そして国民的な議論を喚起をして、そして結論を出さなければならない問題であると考えます。
 この法案、我々自由党は、やはり皇室典範そのものの改正で行うべきであったというふうな立場でございまして、ただしかし、国民の総意に基づくという憲法の規定を尊重し、この後、法案への対応、慎重にさせていただきたいと思いますので、御理解をいただくことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#105
○松沢成文君 無所属クラブの松沢成文でございます。
 本日は天皇退位等に関する皇室典範特例法案の質疑でございますけれども、まず、質疑に入る前に、今回、衆参の正副議長のリーダーシップによって立法府での意見を、コンセンサスを取りまとめ、その意見を政府側は最大限尊重していただいて法案を作っていただいた、この御努力に心から敬意を表するものでありますし、また、その過程において我々のような少数会派に発言の機会を与えていただけたこと、これは御関係の皆様に心より感謝を申し上げたいというふうに思います。
 これまで先輩、同僚議員から様々な御質問がありまして、かなり法案の論点は整理できたのではないかと思いますので、今日、私は、この法案に関連して、先ほど森委員からも質問がありましたが、皇族の減少の問題にどう対応していくか、この辺りから御意見をお聞かせいただきたいと、質問したいと思います。
 まず、この法案が施行されますと、今後は皇族の減少にどう対応していくかが大きな議論となってまいります。安定的な皇位継承の確保のためにも大変重要な議論ですけれども、まず、政府はこの皇族の減少にどう対応していくか、そのために現状ではどのような方策、方法があると考えているでしょうか。
#106
○国務大臣(菅義偉君) 女性皇族の婚姻等による皇族数の減少に係る問題についてでありますけれども、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であると政府は受け止めております。しかし、そのための方策についてはいろいろな考え方、意見があって、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討が必要であるというふうに考えます。
 政府としては、衆参正副議長の議論の取りまとめを受けた各政党各会派の協議を踏まえて、国民世論の動向に留意しつつ、適切に検討を進めてまいりたいと思います。
#107
○松沢成文君 今、官房長官から今後の議論の中でということでありましたが、私の認識ですと、幾つかやり方はあると思うんですね。まず一つが、女性宮家の創設をしていくと。二つ目に、先ほども議論もありましたが、旧皇族の男子男系からの養子を迎えるということです。しかし、この二つは皇室典範の改正をしていかなければいけません。もう一つ、三つ目に、旧皇族の皇籍復帰というのがある。私は、この三つの方法論が考えられるんじゃないかというふうに思います。
 この附帯決議、衆議院、そして今日参議院も附帯決議があるわけですけれども、この附帯決議案でも今後の検討課題の一つとされている女性宮家の創設は、確かに有効な手段ではあるかもしれませんが、女性天皇、女系天皇につながってしまう可能性があるということで反対論もございます。こうした立場は、万世一系の男系男子継承という伝統と原則が放棄されてしまえば、天皇の正統性や権威、あるいは国民とのきずな、国民からの尊敬の念が毀損されかねないという主張になっておりますけれども、こうした主張に対して政府はどのような見解をお持ちでしょうか。
#108
○国務大臣(菅義偉君) 安定的な皇位の継承を維持していくことは、国家の基本に関わる極めて重要な問題であります。この問題については慎重かつ丁寧に対応する必要があると認識しており、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえつつ、引き続き検討していきたいと思います。
#109
○松沢成文君 女性宮家の創設の前に、結婚によって皇室離脱をした皇族女子の方に、結婚後も政府の例えば嘱託職員のような、準公務員のような形で皇室の公務をお手伝いいただく方法があると考えておりますが、政府の認識はいかがでしょうか。そして、こうしたことに対してこれまで検討したことはあったでしょうか。
#110
○国務大臣(菅義偉君) 平成二十四年、当時、野田内閣において、皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理において、女性皇族の婚姻による皇籍離脱の問題の対応策として、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする場合において配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案と付与しない案、女性皇族に皇籍離脱後も皇室の御活動を支援していただくことを可能とする案、この三案というのが示されたと承知をしております。
 先ほど来申し上げていますけれども、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、先延ばしすることはできない課題であると受け止めております。また、この論点整理にも示されておりますとおりに、その方策についてはいろんな考え方、意見があると先ほど申し上げました。国民のコンセンサスを得るためには、やはり十分な分析や慎重な手続、これが必要であるというふうに思っております。
#111
○松沢成文君 この問題は、皇位の継承ということにはかかわらずに、公務を広く皇族の皆さんで分担するという問題への解決策にはなり得ると思いますから、是非とも今後検討をしていただきたいと思います。
 さて、皇族減少問題の対策として、女性宮家の創設とともに、今も親族として皇室と交流のある旧宮家の皇籍復帰が私は有効な方策だと考えられると思いますけれども、特に、戦後、GHQのプレッシャーの中で十一の宮家が皇籍離脱を余儀なくされてしまいました。こうした宮家の皆さんの意思を尊重しながら、もう一度皇籍に戻っていただくということも非常に有効な手段だと思いますけれども、政府はこの件についてどのような認識をお持ちか、これまで検討をしたことがあったでしょうか。
#112
○国務大臣(菅義偉君) ただいま御指摘をされた方策も含めて、皇室制度に関して各種の議論があることは承知をしております。政府としては、これまでの議論の経緯を十分検証するなど検討を行ってきているところであります。
 いずれにしろ、皇族方の御年齢からしても、先延ばしすることはできない重要な問題であるという受け止めをし、また、国民のコンセンサスを得るための十分な分析、検討と慎重が必要である、こういう中で、政府としては、衆参正副議長の議論の取りまとめを受けて、各政党各会派の協議を踏まえて、国民世論の動向に留意をしながら、適切に検討を進めていきたいと思います。
#113
○松沢成文君 この旧宮家の皇籍復帰というのは、皇室典範に定められた男系男子の継承と、これ憲法にも関係しますけれども、こうした方向を一つ目指す中で私は大変有効な考え方であると思いますので、是非とも政府でも、女性宮家の創設とともに旧宮家の皇籍復帰、しっかりと議論をしていただきたいと思います。
 この宮家に関連して、今、女性宮家あるいは旧宮家という言葉を使いましたが、皇族というのは宮家の集合体で成り立っております。天皇家直属の子女や兄弟の宮家は直宮家というらしいですけれども、それと広く天皇家の親戚全体を含めた宮家は世襲親王家というそうであります。
 しかし、この宮家というのはどのような存在なのか、これ法律で全く定義されていないんですね、皇室典範においても。今後の議論のためにも、皇室典範等で宮家についてのきちっとした規定を考えるべきだと思いますが、政府の御認識はいかがでしょうか。
#114
○国務大臣(菅義偉君) いわゆる宮家とは、独立して一家を成す皇族に対する一般的な呼称であり、宮家の名前である宮号は、天皇陛下のおぼしめしにより皇族に対して賜るものであるというふうに承知をしております。
 いずれにしろ、先ほど来申し上げていますけれども、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題、皇族の御年齢を考えた場合、これ以上先延ばすことはできない課題であるというふうに思っています。
 そのための方策について、先ほど来申し上げていますように、国民のコンセンサスを得るために、十分な分析、検討、慎重な手続、こうしたことが必要であると考えております。そして、政府としては、今回の議論の取りまとめにありましたように、各政党各会派の協議を踏まえて、国民の動向に留意しながら検討してまいりたいと思います。
#115
○松沢成文君 最後に、関連して、天皇からの御下賜について伺いたいと思います。
 今上天皇の退位、譲位は、すなわち皇嗣の即位、新天皇の即位でありまして、国民にとってもこれは至上の御慶事と言ってもいいと思います。明治以降、こうした機会に天皇から国民に対して御下賜が行われてきました。現行法令では、憲法第八条でこの賜与について国会の議決を経ることを定めておりまして、皇室経済法あるいは皇室経済法の施行法にもその条件の規定がございます。
 御下賜といっても、被災地への見舞金のような御下賜金というのもありますし、あるいは恩賜林とか、恩賜たばこというのもあって、これはなくなったので私は大変有り難いと思っているんですけれども、その中で最も有名なのが恩賜公園なんですね。この恩賜公園で有名なのは、例えば井の頭公園、上野公園、大正時代にこれは御下賜された公園でありますし、終戦後は、ここの近くにあります浜離宮の恩賜庭園、あるいは私の出身であります箱根にも箱根離宮を御下賜いただいて、箱根恩賜公園というのがあって、今多くの皆さんに使っていただいて喜んでいただいていると。
 そこで、提案したいのですが、今回の天皇の御退位、御譲位、そして新天皇の即位、さらには東京オリンピック・パラリンピックの開催などの御慶事を記念して、皇居東御苑、これ江戸城天守でいうと本丸跡のところですけれども、ここを是非とも天皇陛下から国民の皆さんにすばらしい御慶事でありますので御下賜をいただいて、恩賜公園あるいは城址公園として国又は東京都が整備をすれば、多くの国民、都民、観光客の皆さんにも大変喜んでいただけるのではないかと思いますし、天皇がお住まいになる吹上御所と、その前には恩賜公園として多くの国民の皆さんが集う、すばらしいことだと思うんですが、こうした方針を是非とも政府で御検討いただきたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
#116
○国務大臣(菅義偉君) 政府の立場で申し上げることは、いかがかなというふうに思いますけれども、現状だけ御説明をさせていただきたいと思います。
 皇居東御苑は、天皇皇后両陛下のお住まいであり、大嘗祭を始めとして皇室の行事が行われる皇居の一部分を成している地域であります。現在、皇室の御利用状況を考えれば、皇室用財産としての供用を見直すことは当面考え難いというふうに思います。
 なお、皇居東御苑は、昭和三十五年の閣議決定により、皇居附属庭園として整備の上、行事に支障のない限りで一般に公開されているところであります。今後も、皇室の御活動や伝統文化に関する国民の理解に資するような形で多くの皆さんに訪れてもらえるよう取り組んでまいりたいと思います。
#117
○松沢成文君 時間ですので、終わります。
#118
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
 ハイサイ、グスーヨーチューウガナビラ、沖縄の挨拶で、こんにちは、皆様お目にかかりますの意味です。
 私たち参議院会派沖縄の風は、代表の糸数慶子参議院議員とともに、沖縄の未来と県民の尊厳、日本の民主主義を守ることを強く訴えています。今回の議論に小会派の沖縄の風も参加させていただいたことに対し、衆参両正副議長のお取り計らいに心から感謝申し上げます。
 天皇退位等に関する皇室典範特例法案について、沖縄の風として意見を述べ、質疑を行います。
 昨年八月八日の今上天皇のお言葉は、生前退位の制度創設と象徴天皇の天皇制の安定的な継承の確保に向けた対応を強く示唆するものでした。日本国憲法は第一条で、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と象徴天皇制を規定しています。
 今上天皇が熱心に取り組んでこられた象徴的行為は、沖縄戦も含め、かつて日本が行った戦争に対する歴史的反省の表れでもあり、日本国憲法に定められた平和主義の具体化です。憲法尊重擁護義務を誰よりもよく遵守し、公的行為、とりわけ象徴的行為において積極的に憲法の三原則を始めとする憲法理念の体現に努めてこられたことこそが今日の多くの国民の支持につながっていると考えます。
 沖縄県民の間には、四百五十年間続いた琉球王国が併合された明治政府の琉球処分と、その後の皇民化教育、沖縄戦と米軍統治などをもたらした天皇制下の政府に対して、戦前政府に対して複雑な思いが存在しています。特に昭和の時代、一九四五年、本土防衛の捨て石にされた沖縄戦では、天皇の名の下に県民を巻き込んだ激しい地上戦が行われ、住民の四人に一人、十二万人を超える沖縄県民が犠牲になりました。
 私の生まれ育った沖縄本島中部の宜野湾市嘉数も沖縄戦最初の激戦の地であり、祖父母やおじ、おばたち多くが亡くなり、最後の戦場となった本島南部の摩文仁の平和の礎には、当時の嘉数地区の住民の半数を超える名前が刻まれております。
 戦後も沖縄は米軍統治とされ、困難は続きました。四七年九月、米側に対し、二十五年から五十年、あるいはそれ以上、沖縄を米国に貸し出す方針が示された天皇メッセージの問題もあります。サンフランシスコ講和条約で日本の再独立と引換えに米軍統治にされた結果、新たに日本本土に駐留していた米海兵隊を移転させるために、ハーグ陸戦法規やポツダム宣言に違反する米軍による私有地の強制接収が行われ、基地が建設、拡大されました。
 沖縄の施政返還後もこれらの基地の多くは返還されず、沖縄戦から七十年以上経て、あるいはサンフランシスコ条約から六十年以上経ても、今日の基地返還にあっても代替施設を県内に建設することが求められ、新たな基地負担が押し付けられ、辺野古新基地問題を始めとする米軍基地問題が現在まで続いています。
 昭和天皇は、施政権返還後の沖縄を訪問し、沖縄戦の戦没者の霊を慰め、長年の県民の労苦をねぎらいたいとの御希望を持っておられましたが、病によりかないませんでした。戦後、昭和天皇は人間天皇として日本国憲法の定める新しい象徴天皇としての役割を橋渡しされ、昭和の時代を終わられました。
 今上天皇は、常々、忘れてはならない四つの日として、終戦記念日、広島と長崎の原爆忌と並び、六月二十三日の沖縄慰霊の日を挙げてこられ、毎年その日は御家族で祈りをささげておられます。また、人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うため、象徴的行為として国内外の戦争犠牲者を悼む慰霊の旅に取り組まれ、中でも沖縄訪問は既に十回に及んでいます。過去を清算するという姿勢ではなく、あくまで沖縄県民の悲しみに寄り添い、共にあろうと努めてこられた姿は、保守、革新、独立論など、立場の違いを超えて多くの沖縄県民にも受け止められていると思います。
 沖縄の風の意見は参議院ホームページに掲載されておりますが、立法府の対応に当たって、天皇の生前退位の制度を創設するため、皇室典範の改正が必要であり、女性・女系天皇を容認し、女性宮家の制度創設に向けて議論すべきと訴えてまいりました。その点、本法案に懸念がないとは言えません。
 沖縄の風は、一、今上天皇以降の生前退位にも恒久的に適用される一般法の制定が望ましいこと、二、一般法は皇室典範の改正で対応すべきことを訴えてまいりましたが、本法案においてどのように扱われているか、お聞きいたします。
#119
○国務大臣(菅義偉君) 衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができることとなる一方、これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得るものと考える。」とされております。
 政府としても、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させて法案を立案したものであり、この法案は天皇陛下の退位を実現するものでありますが、この法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方については将来の先例となり得るものと考えております。
#120
○伊波洋一君 今回の御退位は先例になるということを確認いたしました。
 それでは、最後にお聞きいたしますが、沖縄の風として、女性・女系天皇、女性宮家を実現すべきことを訴えてまいりましたが、どうなっているでしょうか。
#121
○国務大臣(菅義偉君) 女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、皇族方の御年齢からしても先延ばしをすることはできない重要な課題であるものの、そのための方策についてはいろいろな考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えています。
 政府としては、衆参正副議長の議論の取りまとめを受けた各政党各会派間の協議を踏まえて、国民世論の動向に留意しつつ、適切に検討を進めてまいりたいと思います。
#122
○伊波洋一君 憲法には天皇の地位は男性に限るとの規定はなく、歴史的にも女性天皇は存在し、明治の旧皇室典範の制定過程や自由民権運動の民間憲法草案、一九四六年の臨時法制調査会においても女性天皇の容認論がありました。
 明治以来の男系男子による継承は、何ら自明の日本の伝統などではありません。二〇〇五年の小泉内閣における皇室典範に関する有識者会議では女性・女系天皇の容認が提言され、二〇一二年、野田内閣における皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理では、女性宮家の制度創設について検討されています。
 よって、皇室典範の改正に当たっては、女性・女系天皇を容認し、女性宮家の制度創設に向けて議論すべきであると沖縄の風としては考えます。
 沖縄の風として、天皇の地位は主権の存する日本の国民の総意に基づくことから、法改正に当たっては穏やかな環境で広く国民的な議論を尽くすことを求めてきました。この間の立法府の対応に当たっての各党各会派の共通認識だったと思います。しかし、今回、例年にない国会運営の中で本法案が審議されていることに、多くの県民とともに違和感を禁じ得ません。
 繰り返しになりますが、昨年八月八日の今上天皇のお言葉は、生前退位の制度創設と象徴天皇制の安定的な継承の実現を強く示唆するものでした。
 今上天皇は、戦中を旧日本帝国憲法下で皇太子として、戦後は人間宣言をして地方行幸を繰り返した昭和天皇とともに日本国憲法の下での新しい皇室での皇太子としての役割を務められ、昭和天皇崩御後、平成の時代を日本国憲法の国民統合の象徴としての象徴天皇を体現してこられました。
 今上天皇の思いを受け止めていくことは、日本の戦後の歩みとともに着実に我が国の基礎として根付いている日本国憲法を守り、日本の平和を守ることでもあります。このことを付言して、沖縄の風の意見といたします。
 ありがとうございました。
#123
○委員長(尾辻秀久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#124
○委員長(尾辻秀久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、長浜君から発言を求められておりますので、これを許します。長浜博行君。
#125
○長浜博行君 私は、ただいま可決されました天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対し、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会、公明党、日本維新の会、無所属クラブ及び沖縄の風の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議(案)
 一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
 二 一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。
 三 政府は、本法施行に伴い元号を改める場合においては、改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにするとともに、本法施行に関連するその他の各般の措置の実施に当たっては、広く国民の理解が得られるものとなるよう、万全の配慮を行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#126
○委員長(尾辻秀久君) ただいま長浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#127
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、長浜君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、菅内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。内閣官房長官菅義偉君。
#128
○国務大臣(菅義偉君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。
#129
○委員長(尾辻秀久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト