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2017/02/22 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 資源エネルギーに関する調査会 第3号
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2017/02/22 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 資源エネルギーに関する調査会 第3号

#1
第193回国会 資源エネルギーに関する調査会 第3号
平成二十九年二月二十二日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     そのだ修光君     高橋 克法君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         金子原二郎君
    理 事
                高階恵美子君
                長峯  誠君
                福岡 資麿君
                森本 真治君
                河野 義博君
                清水 貴之君
    委 員
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                上月 良祐君
                島田 三郎君
                高橋 克法君
                藤木 眞也君
                森 まさこ君
                山下 雄平君
                石上 俊雄君
                石橋 通宏君
                浜野 喜史君
                矢田わか子君
                三浦 信祐君
                市田 忠義君
                片山 大介君
                山本 太郎君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        山内 一宏君
   参考人
       和光大学経済経
       営学部教授
       同大学大学院研
       究科委員長    岩間 剛一君
       株式会社資源・
       食糧問題研究所
       代表取締役    柴田 明夫君
       秋田大学大学院
       国際資源学研究
       科教授      安達  毅君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
 (「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギ
 ー像」のうち、資源エネルギー情勢と我が国の
 対応(資源エネルギーと我が国の課題))
    ─────────────
#2
○会長(金子原二郎君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、そのだ修光君が委員を辞任され、その補欠として高橋克法君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(金子原二郎君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。
 「新たな時代に向けた我が国の資源エネルギー像」のうち、「資源エネルギー情勢と我が国の対応」について調査を行うに当たって、本日は「資源エネルギーと我が国の課題」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、和光大学経済経営学部教授・同大学大学院研究科委員長岩間剛一君、株式会社資源・食糧問題研究所代表取締役柴田明夫君及び秋田大学大学院国際資源学研究科教授安達毅君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず岩間参考人、柴田参考人、安達参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、岩間参考人からお願いいたします。岩間参考人。
#4
○参考人(岩間剛一君) どうも皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
 本日は二十分という限られた時間なんですけれども、この三つの要旨については先生方のお手元にございますでしょうか。一枚紙なんですけれども、ですから、「米国を震源地とするシェール・ガス革命のポイント」と、「米国の中東に対する関心の低下」、あと「日本のエネルギー政策に対するインプリケーション」というこの三つの項目が書かれている紙なんです。お持ちいただいていますね。
 でしたらば、先生方のお手元にあります資料はこれ実は百五十三スライドありますので、とても二十分間という限られた時間では全部を説明することはできませんので、この要点について簡単にお話をさせていただこうと思っております。(資料映写)
 まず、シェールガス革命というのは、これは、実際のところはもう八年ぐらい、米国において顕在化している新しいエネルギーの革命と言うことができます。私は、元々東京銀行におりまして、東京銀行から石油公団、現在の石油天然ガス・金属鉱物資源機構の方に出向して、それから、東京銀行に戻ってからもエネルギーのずっと研究をしてちょうど二十九年になるんですけれども、二十九年のエネルギーの研究の中で百年に一度というふうな非常に大きな革命というものが実際のところは米国で起こっているというふうなことなんですね。
 現在における実際のところの状況というのは、二〇一四年の十一月にOPEC総会において、OPECの盟主であるサウジアラビアが原油生産量を削減しないという形で米国のシェールオイル企業に対して消耗戦を挑んだわけですね。それが今回の原油価格の下落のきっかけというふうなことが言えるわけなんです。そういう意味で、サウジアラビアが元々生産コストが安いという非常に実力を持った油田のその生産を増やすことによってシェールガスとかシェールオイルとの競争を始めたわけなんです。
 ところが、実際のところは、米国のシェールガスあるいはシェールオイルというのは極めて底力があったんですね。そういう意味では、当初、二〇一四年の秋ぐらいにサウジアラビアが米国のシェールオイルの生産企業に挑戦を挑んだときには、米国のシェールオイルの生産企業の生産コストは一バレル大体六十ドルから八十ドルぐらいというふうに推定されていまして、実際に二〇一五年になってから原油価格というのは一バレル五十ドルを割り込んだんですね。ところが、原油価格が一バレル五十ドルを割り込んでも、米国のシェールオイルの生産量がそれほど減らなかった、むしろ増えたということがありまして、その関係があって、逆に世界の原油需給が緩和したんです。ですから、そういうことから原油価格が暴落してしまったということがあるわけです。
 シェールオイルの企業がなぜ強かったかということですけれども、一つは、やはりフラクチャリングといって、高圧の水を固い岩盤にぶつけて割れ目をつくって、割れ目からシェールガスやシェールオイルを追い出すというふうな、そういった水圧破砕、フラクチャリングという技術、こういった技術の要するに精緻化、高度化というものを進めたということによる生産性の向上ということと、それから、原油の先物の売りのヘッジというのを行って、それによってある程度原油の価格をヘッジしたんですね。その関係があって、原油価格が下落しても実際のところは競争力があったということがあります。
 米国においては、シェールガス、シェールオイルの生産企業というのは大体三千社から四千社あります。日本と違って、元々米国は世界で一番歴史を持った産油国ですので、米国の国内にかなり多くの、つまりエクソンモービルさんを始めとした巨大な石油企業から家族経営の小さな企業までを含めて大体三千社から四千社あるんですね。その企業のうち、実際にこの二年間で経営破綻した企業というのは大体数十社程度です。
 ですから、三千社から四千社の企業のうちで大体五十社から百社が経営破綻したことを多いと見るか少ないと見るかというのはきっと考え方によると思うんですけれども、そういう意味では、シェールガスというのはやっぱり底力があって、サウジアラビアが考えたほど簡単には実際のところは経営破綻しなかったということなんですね。
 むしろ、実際のところは、原油価格というのは二〇一四年の六月に一バレル百七ドルしていたんです、WTI原油価格が。それが二〇一六年の二月には一バレル二十六ドルまで暴落しました。これによって、さすがにサウジアラビア自身ももたなくなってきたんですね。
 サウジアラビア自身は、元々陸上の極めて生産コストの安い油田なものですから、一バレル大体四ドルから五ドル程度の生産コストです。それに対して、米国のシェールオイルの生産コストというのは、以前は大体一バレル六十ドルから八十ドル、最近安くなったといっても、大体、一番条件のいいスイートスポットで二十ドルから三十ドル、高いところですとやっぱり五十ドルから六十ドルはするんですね。そうすると、生産コスト的にはかなり実際のところは差があるわけです。
 ですから、生産コスト競争をすればサウジアラビアが勝つことは目に見えていたわけなんですけれども、しかし、サウジアラビアの場合は、二〇一一年のアラブの春以降、実際に社会保障等をかなり手厚くしている関係があって、財政を均衡させる原油価格の水準というのが一バレル六十ドルを超えているんですね。ですから、現在のようにWTIの原油価格が五十ドルから五十五ドルの間であるというこの水準では、サウジアラビアは財政の赤字に陥ってしまうわけです。ですから、生産コスト的には利益が出たとしても、財政的にはもたないんです。
 中東の産油国というのは、財政の大体八割から九割というのは石油収入に依存しています。ですから、そういう意味では、原油価格の暴落というのはそのまま中東の産油国の財政赤字に直結してしまうということがあって、最初の生産コストの競争という話から財政赤字の問題に実はだんだんと話が広がっていったというふうなことがあるわけなんですね。そういったことから、サウジアラビア自身が財政的にもたなくなってしまったために、協調減産という形に大きくかじを切ったと。
 実際、私は、かなり前、実を言いますと二〇一六年の夏ぐらいから、もうサウジアラビアはそろそろ戦略の転換を図るのではないかというふうに私は考えていました。というのは、いつまでもこうした財政赤字を続けていると、サウジアラビアというのはもうかなり豊富な準備金を持っていたわけです。実際、二〇一一年から二〇一四年にかけて、一バレル百ドルを超える水準という原油価格が実際三年半にわたって続いたんですね。これは百五十年の石油産業の歴史において初めてのことなんです。それによって相当に大きな準備金を積み重ねていたんですけれども、ところが、実際のところは、このまま財政赤字を続けているとあと五年でサウジアラビアの準備金は枯渇するということで、そういう意味では、ムハンマド副皇太子の言っているビジョン二〇三〇でのサウジアラビアの産業構造の高度化というのが難しくなってくるという状況になってきて、いつまでもそういった原油価格の下落を放任するといったような形の戦略は取れなくなってきたというふうなことがあるわけです。
 そこで、二〇一六年の十一月に、OPEC総会において、実際のところは八年半ぶりなんですけれども、OPECが協調減産をするということで、ここにありますように、ですから、OPEC自身が協調減産、実際のところは平均すると大体四・六%の減産をするということで、二〇一七年の一月の一日から減産を開始しています。新聞等にも書かれていますけれども、今、大体、八十万バレル・パー・デーから百万バレル・パー・デー前後減産をしています。ですから、減産の目標の大体八割から九割はほぼ達成しているという状況なんですね。ですから、そういう意味では、原油価格が暴落するというふうなことは今の段階では考えにくいという状況にあるわけです。
 ただ、逆に、今、OPECが実際のところは協調減産をある程度実施しているにもかかわらず原油価格がそれほど高騰しないというのは、やはり米国のシェールオイルの生産がそろそろ増えているというふうなことがあるからなんですね。
 このシェールオイルの関係でいうと、トランプ政権の影響というのは非常に大きいです。というのは、実際のところ、トランプ大統領は、基本的には環境規制というものを緩和して、シェールガス開発、シェールオイル開発というものの規制というものをもっと緩めていこうというふうな考え方なんですね。
 実際に、オバマ政権時代は、シェールガス、シェールオイルというのは、高圧の水を岩盤にぶつけるというフラクチャリングという方法を取っている関係があるので、地震の誘発あるいは飲料水の汚染の問題というのが環境保護団体から指摘されていたわけです。ですから、米国の連邦保有地に対しては、シェールガスの開発等については原則的には行われていなかったんですね。
 ところが、トランプ政権は、まず第一のポイントとしては、地球温暖化に対しては、基本的に地球温暖化はないという立場を取っています。それからもう一つは、シェールガス、シェールオイルの開発を行っても環境破壊は起こらない、実際に水圧破砕、高圧の水というものを岩盤にぶつけても地震の誘発を起こしたりとか飲料水の汚濁を起こしたりすることはないという考え方を基本的に取っています。ですから、そういう意味では、米国においてはシェールガス開発、シェールオイル開発というものが進むということで、石油業界にとっては非常に好ましい、そういった政策に切り替わってきているということが言えるわけです。
 実際に、トランプ政権を見ていると、皆さんも御存じのように、あえて私が言うほどのものではありませんけれども、国務長官にはエクソンモービルさんのCEOのレックス・ティラーソンさんがなっていますし、エネルギー省の長官には産油州であるテキサス州の州知事のリック・ペリーさんがなっています。あと、EPA長官、これ環境保護庁ですが、この長官にはやはり同じく産油州のオクラホマ州の司法長官のスコット・プルイットさんがなっています。いずれも基本的には地球温暖化には反対です。それからあと、石油、天然ガスの開発を行って、雇用の創出、経済成長、そういったものを求める、そういう考えがこの人たちの基本的な考え方ということで、従来のオバマ政権とは百八十度異なる、そういった閣僚というものを実際のところは指名しているということがあるわけです。
 ですから、皆さん御承知のように、上院の指名において、実際のところは、こういった極端な考え方を持っている、百八十度切り替わっていますから、そういう意味ではなかなか承認が取れないというのが今現状ということが言えるわけなんですね。
 ただ、こういった形でシェールオイル革命というものが一段とですからトランプ政権の下で進められるということは、中東の産油国にとっては非常に大きな脅威ということが言えるわけなんです。
 シェールオイル革命についてのポイントとして、皆さんのお手元にありますけれども、シェールガス革命については三つポイントがあります。
 まず、ポイントとしては何があるかといいますと、原油価格が下落してもシェールオイルの生産量というのがそれほど大きく減少しなかったということです。これは、ですからサウジアラビアにとっては大きな誤算と言うことができるわけなんですね。むしろ、二〇一四年の十一月にサウジアラビアがシェールオイルに宣戦というか、ある程度戦いを挑んでから、逆に米国のシェールオイルの生産は増えたんですね。二〇一六年になってようやく減少を少ししているんですけれども、それほど大きな減少はしていないということがあります。
 あと、二番目のポイントとしましては、実際のところは、今シェールガス革命というのは米国だけで起こっているんですね。二〇一七年時点においても、シェールガス革命というのが顕著に実際のところは実現しているのは米国だけです。ほかの国ではなかなかうまくいっていません。中国、ポーランド等でもシェールガスの開発を進めていますけれども、なかなか当初の予定どおりには実際のところはうまくいっていないんです。ところが、米国だけで起こっている。ですから、あくまでも米国だけで起こっている革命なんです。
 しかし、米国は、世界最大の石油消費国、天然ガス消費国なんですね。米国は、世界の四分の一の石油を消費しています。それから、世界最大の天然ガスの消費国なんですね。そういった米国において、実際のところは、米国は今、天然ガスの自給を完全に達成しています。それから、米国においての原油の輸入量というのが相当に減少しているんですね。その関係があって、世界最大の石油消費国、天然ガス消費国である米国における需給緩和というのは、玉突き的に世界全体の石油と天然ガスの需給緩和を進めるということになってくるわけです。
 というのは、なぜかというと、今まで米国に輸出していた中東産の原油というものが行き場を失ってだぶついてしまうんですね。そうすると、世界全体において石油の緩和感というものが実際のところは進んでしまって原油価格の暴落を招くという、そういった状況になってくるということがあるわけです。
 そして、実際に、今お話ししましたように、米国のシェールオイルの生産企業というのは、それほど大きく実は経営破綻していないんです。しかも、仮に経営破綻をしたとしても、連邦破産法第十一条、チャプターイレブンというものの適用によって財務内容が清算されるだけ、きれいになるだけで、実際のところは原油生産量というのはほとんど変わらないんですね。そうすると、サウジアラビアは、当初考えていたように米国のシェールオイル生産企業潰しというふうな目標というのは達成できないというふうなことに実際のところはなってくるわけです。
 実際に、米国でのシェールガスというのは、このグラフにありますように、かなり実際のところは増加をしています。実際、二十一世紀に入ってから米国においてのシェールガス、シェールオイルの生産量というのは実は相当に増加をしているんですね。しかも、シェールガスの技術というのが最初は使われるようになったんですけれども、それがシェールオイルの技術に使われるようになってきたわけです。そして、米国のシェールオイルの生産量は、これを見ていただければ分かりますように、二十一世紀に入ってから急速に増加しています。
 今、米国とそれからサウジアラビアとロシアというのは、実際に日量で一千万バレルを超える原油生産量の、過去最高の水準と言えるような、要するに生産競争を続けているんですね。この生産競争というものが実際のところは原油価格というものの低迷の大きな理由というふうに言うことができるわけです。
 そして、これによって、二つ目のポイントとして言えることは何かといいますと、米国の今、ですから原油生産量というのは歴史的な実は水準なんですね。今までの石油工学の常識というのをかなり実は覆すような状況が起こっているわけです。
 というのは、米国は一九七〇年に世界最大の石油生産国だったんですね。それから米国の原油生産量は減退しまして、二〇〇五年には五百万バレル・パー・デーぐらいまで原油の生産量は落ち込んでいます。その関係があって、実は二〇〇八年ぐらいには、ゴールドマン・サックスさんを始めとした投資銀行というのは、実際にオイルピーク論ということで、原油の生産量は減退の一途をたどって原油価格は天文学的に高騰するという、そういった資源枯渇論、オイルピーク論というのが喧伝されて、二〇〇八年の七月の十一日にWTI原油価格が一バレル百四十七ドル二十七セントという過去最高値を記録しているわけです。
 そういった状況から実は百八十度変わったわけですね、シェールガス革命によって。今、米国の原油生産量は一千万バレル・パー・デーを超えていまして、実際に一九七〇年の過去最高の水準に今達しているという状況になっているわけです。
 ですから、そういう意味では、これまでの資源が枯渇するというオイルピーク論というのは完全に消えてしまっていると。こういう議論というのは、今、ですから、エネルギーの専門家の間では完全に消えてしまっているという状況にあるということが言えるわけです。
 そして、先生方のお手元にありますように、二番目のポイントとして何があるかといいますと、それは米国の中東に対する関心の低下ということがあります。
 というのはどういうことかといいますと、米国はこれまで、今お話ししましたように、オイルピーク論が盛んに喧伝されていまして、もう米国で原油生産量が増えることはないとされていたんですね。ところが、逆に、米国では原油の生産量が増加の一途をたどったわけです。それによって、米国は二〇〇五年に石油の純輸入量が千二百五十四万バレル・パー・デーありました。実際に米国の石油の消費量の六割は輸入されていたわけなんですね。
 そういう意味で、二〇〇三年のイラク戦争というのが、これは石油のための戦争であると。要するに、ウオー・フォー・オイルということで、実際に石油を求めて、中東の石油というものの安全のために行ったというふうによく言われていますけれども、確かにその時点においては、米国においては中東の石油は極めて重要だったんです。
 ところが、その後、米国において原油生産量というのが増加していったために、二〇一五年には石油の純輸入量は四百七十一万バレル・パー・デーにまで減少しています。つまり、結局のところ、八百万バレル・パー・デーも減少しているんですね。ですから、そういう意味では、OPECの加盟国でいうと、イランとイラクを合わせた量、つまりOPECの加盟国二か国分の原油の輸入が減ったということになってくるわけです。それが、さっきお話ししたように、中東産の、産油国の、実際のところは原油の輸出の行き場がなくなってしまうという大きな理由になってきたということが言えるわけなんですね。
 そして、もちろん、主にシェールオイルというのは軽質の原油ですから、そういう意味では、ナイジェリアとかリビアとか、そういった軽質の原油の輸入が物すごく減っているんですけれども、中東全体としての原油の輸入量が減っています。中東の原油の輸入量が減るということは、当然のことながら中東に対する関心というものが低下してくるということになってくるわけですね。
 ですから、トランプ大統領が米国第一とか米国のエネルギーの自立ということを言っているその一つの根拠というのは、米国のシェールガス革命、シェールオイル革命というのが非常に大きいということがあるわけです。以前のように米国が石油の消費量の六割を海外からの石油に依存していれば、米国のエネルギーの自立あるいは米国の内向きな姿勢というものは本来は起こり得なかったというふうなことが言えるということがあるわけなんですね。
 そういう意味からいうと、実際のところは、日本にとってみると、米国が中東に対する関心を低下させているということは非常に大きな脅威であるということが言えると思います。
 具体的に私が思うには、実際のところ、米国では、シェールガス革命が起こって原油の生産量が増えてからは、米国の議会等において、巨額の軍事費を払い、しかも米国の犠牲者を払って日本のために中東を守る必要はあるのかという議論というのは、実はもう三、四年前から展開されています。ですから、そういう意味では、その延長線上でトランプ大統領の発言というのは捉えることができるわけですね。
 しかも、そういう意味では、イランに対しての核合意の見直し、つまり、イランにあえて要するに緊張関係をつくって、イランの原油の生産量が減ってもいいというふうな姿勢を取る、あるいは、親イスラエルということで中東のアラブ諸国というかイスラム諸国全体との緊張関係を増してもいいという考え方になっているというのは、やはりこれは中東の原油に依存する必要性が低下しているということもやっぱり大きな要因というふうに私は考えています。
 それから、最後に、日本のエネルギー政策に対するインプリケーションということでいうと、実際、米国のシェールガス革命というのは私の予想よりも大体二年早く進んでいます。そういう意味で、私は、実際のところは、シェールガス革命についての研究を始めてちょうど今年でもう、ですから八年になります。八年になりますけれども、実際に私の予想よりも常に二年早く米国のシェールガス革命が進んで、シェールガスの生産量、シェールオイルの生産量は増えているということがあるんですね。
 しかも、原油価格の下落は、日本にシェールガスを原料としたLNGが輸入される二〇一七年以降に実際のところは原油価格の下落が起こると思っていたんですけれども、実際には私の予想よりも二年早く、二〇一五年にシェールガス革命を先取りする形で原油価格は下落しているということがあるわけです。この原油価格の下落によって、日本の石油、天然ガスの輸入額というのは、二〇一四年と比較して二〇一六年は十五兆円も実は減少しているんです。
 というのはどういうことかといいますと、実際日本においての最大の輸入品目というのは、これは言うまでもなく石油なんですね。その石油が、実際のところは、二〇一四年は十七兆円輸入していたんです。それが二〇一六年には僅か六兆円になっています。つまり、そこで十兆円実は減っているんですね。それから、LNGも二〇一四年には八兆円輸入していました。それが今三兆円です。ですから、石油と天然ガスを合わせるだけで日本の輸入額は十五兆円減っているんです。
 ですから、日本の貿易赤字が貿易黒字に切り替わった基本的なやっぱり大きな要因というのは、実際のところは、この原油価格の下落、特にLNGの価格も、LNGの貿易の八割というのは原油価格連動になっていますから、原油価格が下落するとLNGの価格も下落するわけです。特にLNGの価格は、東日本大震災によって、最初は、百万BTUという単位で使うんですけれども、このときに十八ドルで購入していたんですね。そのときに米国の天然ガス価格は三ドルです。つまり、米国の要するに六倍の価格で実際のところは買っていたんです。ところが、今はどうかというと、日本はLNGの価格は僅か百万BTU当たり六ドルになっています。三分の一です。
 ですから、そういう意味では、シェールガス革命によって、日本は、要するに今、電力の九割は大体火力発電です。LNGをフル稼働させることによって停電を起こしていないんですね。このLNGの価格が安くなっているということは、電気料金の引下げにもつながっている。それからあと、十五兆円の要するに石油と天然ガスの輸入額が減少しているということは、その分国富の流出というものを実際のところは回避しているということです。これは、日本の名目GDPが五百兆円ですからその三%に相当するということで、かなり大きな意味を持っているということがあるわけです。
 ただ、そういうことだけではなく、実際のところは、米国が中東の安全保障に対して関心が低下しているということから、実際、日本がこれから先、ホルムズ海峡が封鎖されたような場合において、今まで米国が安全保障というものに責任を持ってきたわけですけれども、中東からのホルムズ海峡の通過、あるいはマラッカ海峡の通過、そういったものの安全保障に対して日本がどのような責任を取っていくか、こういったものについて日本が新たに考えなければいけない。米国は中東産原油にそれほど依存する必要がありません。ただ、日本を始めとしたアジア大洋州は基本的に中東からの原油の輸入に依存しています。ですから、そういう意味でいうと、これから先、日本としては、エネルギーの安全保障のために新たな政策というものを考えていく必要があるというふうに考えています。
 ちょっと時間になりましたので、私の報告は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
#5
○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。
 次に、柴田参考人にお願いいたします。柴田参考人。
#6
○参考人(柴田明夫君) 柴田でございます。よろしくお願いします。
 私は、お手元資料に沿って報告させていただきます。(資料映写)
 初めでありますけれども、世界が今抱えている十大リスクということで、いろんなところの国際機関、国内でも指摘がありますけれども、この十大リスクについて、これがまた原油のマーケットと絡んで更にこの十大リスクが増幅されるような動きにあるのではないか、こんなふうに見ております。
 具体的には、例えば石油の性格でありますけれども、一つは地政学的なリスクと非常に関連が深いということですね。石油メジャーでありますけれども、エクソンモービル辺りも大体日量二百万バレルぐらいの石油は生産しているわけでありますが、生産した部分については必ず生産分の埋蔵量の確保という格好でリプレースしていく必要があるわけですけれども、それが大きな課題になっているわけです。しかし、従来のように、在来型石油、すなわち液体で濃縮され生産しやすい場所にある安価な石油というのはだんだん減ってきていて、生産の開発の箇所が深海の油田であったり非在来型であったり、非常にまた地政学的なリスクの高いそういう場所にフロンティアが広がっているということによって、それに伴ってますます石油とこの地政学リスクとの関連が強まってきていると。それが世界が抱えた十大リスクとも密接に関わり合うということであります。
 それから、この十年間を振り返ってみると、岩間参考人が御説明されたように、アメリカのシェール革命、アメリカで起こったシェール革命によってアメリカ国内の石油の需給バランスが大きく崩れたというか供給過剰の方向に緩和したと同時に輸入も減っていますから、それがやっぱり国際マーケットがつながっているという格好で世界全体の石油の需給構造が供給過剰の方向に変わったということであります。
 三番目の観点から見ると、気候変動、地球温暖化、これに伴ってやはり二〇一五年末のパリ協定の合意のように化石燃料に対する消費を抑制せざるを得なくなったということで、この結果、埋蔵量は確認されていても、温暖化対応ということで考えてみると、開発したくとも開発ができなくなってくる、まあ座礁資源と最近言われますけれども、資源はあっても利用できないと、こういう資源が増えてきているということであります。その結果、また世界の抱えているリスクと絡み合ってきているなということであります。
 それから、これは先ほども御指摘ありましたように、日本の経済とエネルギーということで見ると、エネルギー政策というのは、上がれば国富が海外に流出する話でありますから、ひいては財政赤字につながってくる。財政赤字と、一方でうまい対策を取れば成長戦略にもつながるということで、財政面と成長戦略の両面から解決をしていく大きな鍵になるかなということであります。
 左のこのグラフというのは、貿易収支、輸出、輸入、貿易収支の部分でありますが、二〇一一年の震災以降、五年連続で貿易収支の赤字が続いたわけですが、これはこの右側の表のように、いわゆる原油、それからLNG等の鉱物性燃料の輸入金額が一気に増えたという影響を受けているわけです。幸い原油価格下がったことによって足下の貿易収支は黒字に転換しておりますけれども、総輸入金額に占める石油の輸入比率も二五%あったものが足下は一〇%切るまで下がってきているということですが、これは安心はしていられないなと、マーケットが非常に不安定化しているというふうに考えております。
 じゃ、どうしたらいいのかということで、後で最後に触れますけれども、四つのレジリエンス戦略というか、したたかな戦略を取っていくべきであると。長期的には、やっぱり脱石油の方向に産業構造を変えていかなければいけないのかなと。企業の対応としては、もう徹底した省エネ、省資源、CO2削減戦略であります。国家としてみれば、やっぱり脱石油とはいえ時間が長期に掛かるわけでありますから、この間で資源の権益、安いときに権益をしっかりと確保していくという、こういうこと。それから、官民学ということであれば、資源関連の情報リテラシー戦略を高めていくと、こういうことが必要なのかなと考えております。
 アベノミクスのエネルギー戦略というのは、長期エネルギー需給見通し、二〇三〇年に自給率を六%から二五%に上げるという、こういうふうな目標を掲げておりますけれども、なかなか現実的には難しいわけで、何とかここを達成する必要があるとは思います。
 それから、もう既に報告がありましたけれども、二〇一一年から二〇一四年の前半まで原油価格というのは百ドル前後で高止まりしていたものが、足下はすっと下がってしまった。均衡点の価格が下方に修正されるというところで見れば、この点線で囲いました六十ドルから八十ドルぐらいのところがすっと素通りして底が抜けた格好になってきていますが、足下は五十ドル台に戻ってきていると。じゃ、この後どうなるのかと、こういうことであります。
 戻った背景は、重複しますと、OPECと非OPEC、OPECであれば八年ぶり、非OPEC併せますと十五年ぶりの協調減産を行ったということで、今のところ九割方の遵守率という格好で守られているので評価したと。評価されている割には価格が反発し切れていないわけですけれども、その背景に一つ、やっぱり中東の不安定化というのがあるかと思います。
 しかも、もう一つ、中東の不安定化の中心というか、一つはサウジの戦略転換ですね、シェア重視から価格重視へと戦略を転換したと。背景には幾つかあると思うんですが、まさに直接的な背景としては、財政が非常に悪化してきて、このままではたまらないと。IMFも、こういった大盤振る舞いの財政である場合、二〇二〇年までに財政が破綻するというふうな警告が出されていたわけであります。
 それから、長期的に見た場合は、ビジョン二〇三〇という格好で脱石油戦略を図っているわけですけれども、その背景は何があるのかというと、二つのオイルピーク論があるのではないかなと考えております。一つは、需要サイドでやっぱり温暖化に対応ということになりますと、緩やかな脱石油戦略ということで、世界経済全体が石油文明からの離脱みたいな方向、方向性としてはそちらの方向に向かう、需要がピークを迎えると。一方で、供給サイドで見ても、私は、フローの生産で見るとなかなか分かりにくいけれども、ストックという埋蔵量で見ると案外埋蔵量が減少してきているのではないかなという気がいたします。
 そして、こういうのに加えて、足下は、中東、北アフリカ情勢の緊迫化ということがまずあるわけであります。このオレンジ色の部分は、トランプ政権が誕生してからまた三つの不安定要因というのが加わってきたなと。三つのI戦略というか、Iが付く親イスラエル、反イラン、そしてIS、イスラム国の壊滅という格好で中東情勢が緊迫化しているということであります。
 一方で、アメリカ国内を見ると、御指摘のように、リグの活動が活発化してきているということで、協調減産はかなりのところ守られてはきているけれども、アメリカは、一方で、このシェールの生産が今度は増えてくるんじゃないか、こういうふうな見方からマーケットで売られて、上値が重くなっているということでありますけれども、実際、じゃ、どこが増えているのかというのを見ると、幾つかのシェールオイルの鉱区で見ると、パーミアンというところが増えている。あとは、実は、でも減少に転じているなということであります。
 そして、ただ、DUCsという、右下の方に、これはOPECのオイルマーケットリポートの中で指摘されたところでありますけれども、アメリカには二〇一五年末で要するに掘削は済んだがまだ未仕上げのいわゆる坑井、井戸が四千二百九十本あると。一本当たり日量七百バレルというようなところで見れば、今大体百本、リグの活動また増えてくれば、これは七万バレルとかというのが六か月後ぐらいには生産増となって現れる。量は大したことはないとは思うんですけれども、方向として増えてくるということになれば、なかなか短期的なマーケットのおもし要因になるのかなと。
 そうなると、実は、今度はアメリカのトランプ政権でありますけれども、まさにこのエネルギー産業の競争力を強化するというところで人事が組まれておりますから、国内のシェールの開発を急ぐということでありますから、考えてみれば、これ供給増になって原油の頭を抑えるんですが、これは、じゃ、アメリカのいわゆるエクソンモービル等のオイルメジャーにとっては余り都合のいい話ではないのかなと。価格が下がるわけです。一番いいのは、価格も上がって、シェール開発もできて、あわよくば輸出も増やせると、こういうことですけれども、ここは、ちょっとうがった見方かもしれませんが、中東情勢が緊迫化すれば原油価格が反動高になる、そうするとその二兎を得ることができるのかなということで、これはロシアにとっても非常に好都合の話であります。こういう格好で、そうなると原油の生産というのがかなりまた増えてくる可能性もあるんですけれども、非在来型を含めて。
 しかし、今後の原油の生産価格をどう見るかというと、意外に生産がもうマイナスというか頭打ち傾向になっているというようなニュースも流れてきているわけであります。二〇二〇年ぐらいまでに生産がやっぱり減少し、価格が反発するのかなというふうに見ております。
 ところが、じゃ、それ、前のピークオイルの話はどうなったのかということですが、左側のグラフというのは、これはいわゆるピークオイル論ですね、キャンベルとかLBST。要するに、埋蔵量の半分を掘ってしまうと生産が急速に減退する、その生産量をたどってみるとこの釣鐘状の経路をたどると、こういう見方でありましたけれども、一方で、オイルメジャーの方は、そんなものはなくて、幾らでも埋蔵量はあるんだと、この右端の見方をしていたわけであります。
 じゃ、IEAは何かと。中立的というか、真ん中辺の見方をしておりました。じゃ、このIEAの中立的なと言われる見方がどの辺、どの程度頼りになるのかなということでありますけれども、先ほどのように、ちょっとその前に、ここの二〇〇八年以降の原油が高騰した際の、いわゆる生産も増えているんですけれども、生産が増えた国はどこなのかと見ると、実に北米での生産が増えているということなんですね。それから、右側の色が付いたグラフは、在来型石油の生産量と、赤い部分はシェールオイルなどの非在来型石油の生産量なんですが、価格が高騰したけれども、生産が増えているのは、在来型は増えていない、ここに非在来型が加わったという形になっています。
 そして、OPEC自体の埋蔵量ということなんですが、これ八六年のところから埋蔵量の変化があったわけですけれども、一気に埋蔵量が増えたという格好になっていますが、これ、サウジアラビアだけでも今の埋蔵量というのは二千六百億バレルという格好で、埋蔵量ですね、世界で最も多いわけでありますが、しかし、サウジの生産量が日量一千万バレルとして見ると、三百六十五倍すると大体年間三十五億バレルぐらいは生産している。それが三十年続いているんですね。そうすると、掛け算すると一千億バレルぐらいはその埋蔵量から消去されていなければいけないのに、相変わらずBP統計で見ると二千六百億バレルという埋蔵量になっています。本当にあるのかなと。それと、二〇三〇年のいわゆるビジョン二〇三〇を考えると、それ自体やっぱり検証する必要があるのかなという気がいたします。オイルの需要のピークと同時に埋蔵量のピークを迎える。
 それで、IMFの話でありますけれども、IEAですね、ここは二〇三〇年代の石油の供給の構図というのを、シナリオを描いているんですけれども、在来型の石油は二〇〇五年をピークに二〇三〇年代になると半分ぐらいに生産量が減りますよ、供給の増える分というのは非在来型で増えますよ、そして、ただ真ん中に未発見のこの在来型がありますよと。これは希望的観測であって、原油が下がってくれば投資がなされないわけでありますから、ここの投資が果たしてなされるのかどうかということなんですね。
 石油会社も結構ここに来て、石油会社の財政も悪化してきているということで、衰退を予測する幾つかの報告が出ております。
 私は、そう見ると、今後、原油価格の低迷、五十ドル台に回復したとはいえ、この状況が続いた場合には、必要な開発投資が減少し、在来型の埋蔵量も同時に、一方で生産も行われるわけですから、埋蔵量が減少して、最終的には埋蔵量危機とか原油価格の反動高につながる可能性があるなというふうに見ています。
 一方で、先進国においては、脱石油文明へという流れですね、再生エネルギー、ビッグデータ、IoT、こういったところへの取組が進むわけでありますが、進めば進むほど、例えばIoTといっても、待機電力含めて電力需要ってかなり上がってしまうし、それからレアメタル等のメタル需要とかいわゆる一次産品の希少性が一段と高まってしまうんじゃないかなと、こんなふうに見ております。それが今、ここの部分の長期シナリオであります。
 したがって、温暖化等を考えれば、CO2削減ということで、いわゆる行動パターンを変えるとか産業構造を変える、CO2を出さない供給システムに変えていくというのが待ったなしでありますが、改めて考えてみると、今まで石油の産油量と石油の消費量と経済成長というのはパラレルで来たものが、やっぱりそろそろ見直す必要があるんじゃないかなと。無限の成長を前提にしてきた新古典派経済学、こういうのも、今までの生産関数の中にこの資源の問題というのがなかったということなんですね。今まで経済学というのは、拡大する、増加する労働力、それから資本も、設備の高度化プラス創意工夫のトータル・ファクター・プロダクティビティーというイノベーションだと、これで成長するんだというけれども、これは地球が無限である限りそうなんでしょうけれども、ここに来て原油が高騰したり金属資源価格が上がったりすると、そろそろこういう考え方を見直す必要があるんじゃないかなと。
 今、問題は、ピコグラムの反乱、これは一兆分の一という微細な部分での問題と、それから十億トンレベルのギガトンの反乱と、ここをどういうふうに制御していくかという大きな課題を突き付けられている。
 今、イノベーションの方向性、新技術頼みになるわけですけれども、四つの提言ということで、私は先ほど、冒頭申し上げましたレジリエンス戦略ですが、日本の抱えている資産というか資源というのは四つあるわけですね。物的な資源、それから人的、人材ですね、それから社会関係資本と言われている道徳とか考え方とか、こういう部分であります。それから自然の資源であります。この四つの抱えている資源をレジリエンスという方向で戦略を練るということが必要かなと思います。
 以上であります。
#7
○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。
 次に、安達参考人にお願いいたします。安達参考人。
#8
○参考人(安達毅君) 秋田大学の安達でございます。
 本日は、私は、さきのお二人の参考人と異なる点としまして、鉱物資源に関する情勢をお話ししたいと思います。(資料映写)
 鉱物資源、主に金属ですか、メタルに関して述べさせていただきたいのと、さらに、現状をひもとくというよりも、少し長期的な見通しという面において、意見といいますか、発表させていただきたいと思います。さらに、基礎的な統計データが多いですので、そこからどう読み解いていけばいいかというのをちょっとメーンに話していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 まず最初、金属価格の推移と申しまして、ベースメタル、銅、鉛、亜鉛の価格推移を示しているのがこのグラフになります。形としましては、今まで出てきました石油、原油価格の動きと非常によく似ております。二〇〇三、四年ぐらいから上がって、一度リーマン・ショックで二〇〇八年付近で下がって、また上がったんですが、今は約半値ぐらいまで下がっている。とはいえ、二〇〇〇年の値と比べますとまだ数倍の値段を持っているような金属もございますし、ですので、過去に比べると非常にまだ高いレベルにあるとも一方では言える状態です。
 昔と比べて何が大きく違ってきたかと。まあ、いろいろ分析はございますが、こういうふうな大きな乱高下を示すようになった、いろいろな分野から資金がこういう金属まで投機的な動きが行われるようになったというのがここ十何年起こったことでして、恐らくこれは今後も続いてくるだろう。すなわち、価格のリスクというのが下がるというのは余りないのかなと。下がるときもあれば上がるときもありますし、その上下動が激しい時代になったんじゃないかなというふうに考えております。
 次のグラフですが、これは消費量、銅の地金の消費量でございます。大きく世界を三つに分けておりますが、下の緑色が中国、真ん中がG7、日本も含んでおります、アメリカも含んでおります、上がその他の国でございます。
 一見してお分かりいただけますように、約半分が中国で、銅の地金ですけれども、消費されるようになりました。ですので、中国の経済の動き、工業生産の動きが直接金属資源の価格であるとか需要に影響を及ぼすようになってきたということが一方で言えますし、さらに、世界の合計で見るとそんなに乱高下せず一定の割合で増えていっているというのが見て取れると思います。これは、G7の量が減って、その分中国で生産されるようになったというのが効いてきているかと思います。
 次のグラフに参りますと、これは一人当たりの銅の消費量を縦軸、横軸に一人当たりのGDPを取りまして、日本、韓国、中国、インド、アメリカをプロットしたものです。一九七〇年ぐらいから四十年間分。
 そうしますと、先ほど世界の半分中国で消費されていると申しましたが、一人当たりに直しますとまだまだ低いレベル、五キログラム、六キログラムですか、の中国の消費、三角形の赤い方ですけれども、左下の方ですね、なっております。もちろんですが、人口がすごい大きいためです。韓国を見ていただきますと、一度二十キログラムまで上がって、その後下がってきていると。日本、アメリカは十キログラムから少し下がってきている状況というふうに言えると思います。
 この図はよく出るんですけれども、考え方としましては、一度二十キロぐらいまで上がって、その後、産業構造が変化していくに従って十キロまで下がってくる。そこで、安定的な先進国といいますか、インフラが整った国になっていくというのが一つの見方としてございます。
 そうしますと、中国、あと四倍ですか、一人当たり四倍まで一度上がって下がってくる可能性があるという一つの考え方ができるわけです。今までただでさえ世界の半分を消費しているところが、まだ四倍まで行く可能性はあるというのが一つ、今後需要が伸びていく、まだまだ伸び代があるんじゃないかなという一つの分析の見方でございます。
 続きまして、可採年数という考え方、これも今までも出てきたかもしれませんが、七〇年代、原油はあと三十年でなくなるというんでオイルショックのときにいろいろ言われたわけですが、四十年、五十年たってもまだなくなっていない、どうなったんだというのはよく一般の方々の質問で聞くところでございます。
 むしろ、今五十年まで上がっています。これはどういうことだと、トリックは何だということですが、下のグラフは金属についてと原油について、一番上のオレンジ色といいますか黄色の線が原油の可採年数の推移が一九九〇年から書いておりまして、その下は銅、鉛、亜鉛でございます。上昇しているか、微減といいますか、一定というのが分かると思います。こういうように、ずっと続く要因というのは何かといいますと、簡単に言いますと、埋蔵量がどんどん増えていっているからです。
 今、柴田参考人からお話ありましたように、中東の原油の埋蔵量、もっと減っているんじゃないかなというお話あったと思いますが、いろいろな金属取りましても、おおよそ二、三十年一定、微増とか、そういう動きで来ているものが多うございます。RバイPと呼びますが、Rは埋蔵量、それをその年の生産量で割ったものが可採年数でございまして、年々生産量が増える、それ以上に埋蔵量が増えるとこの可採年数が増えていくという、そういうトリックになっております。
 埋蔵量を改めて定義しますと、下に書いてありますように、地質的に存在が確認されて、なおかつ経済性があるものと。今の価格より経済性がないものは埋蔵量から省かれているというのがございますし、反対に言いますと、価格が上がると埋蔵量が勝手にといいますか、埋蔵量に算入される量が増えていくという状態でございます。
 参考までに、右のグラフは様々な金属の可採年数とエネルギーとを比べたものです。多いものから少ないもの様々ございます。エネルギーと違って金属数が多いものですから、それぞれにちょっと考えていかないといけないという面がございますが、多いものですと百年を超えるようなもの、ちょっと解説が必要なのは飛ばさせてもらいますが、少ないものですと十数年のものまでございます。
 ただ、この状態が長く続いているので、必ずしも十何年のものが十何年たったらなくなるということでは決してないと思いますが、一方で、見付けやすさの差は出ているのかなと思います。探査をして見付かった量を算入していくわけですけれども、その見付かりやすさの何かしら鉱物ごとの差が出ているんじゃないかなというふうに考えております。
 引き続きまして、資源の偏在性の話、こちらの方が金属にとっては短期的に見る場合重要視される場合が多いと存じ上げます。鉱石の生産量を、世界の生産量のシェアの上位三か国を取ってきて、それを三か国で占めるシェアが多いものから並べております、上から。そうすると、例えばニオブであるとかレアアースなんかが生産に対しては非常に多うございまして、レアメタルは多めでございます。ベースメタルになってくるとだんだん低くなっていくと。
 要は、多くの国から取れるので分散化、調達の分散化がしやすいのがベースメタルでして、金属ではよく問題になりますが、レアメタルは特定の国からやはり出てきやすい傾向がありますので、こういうふうな性質といいますか、そのリスクの度合いというのの一つを見る方式としまして、この上位何か国で取れるかというのを見るのは一つだと思います。
   〔会長退席、理事福岡資麿君着席〕
 ここで、こういうとき見るのに気を付けなければいけないのは、この中でも日本が権益を取りに行っている金属もございますし、日本の企業がですね、ありますし、あと日本との関係が良い状態の国かどうかで短期的には重要になってくると思います。あと、その国の資源ナショナリズムの状態であるとかというのも重要な点かなと思います。
 もう少し長期的に見る場合には、やはり埋蔵量の分布、同じように上位三か国を並べて、シェアが大きいものから並べたのがこのグラフになります。ニオブがブラジルから多く出てくる。白金族は南アフリカで多く見付かっている。ほとんどと言ってもいいぐらいかもしれません。リチウム辺りはチリとか中国。モリブデン、タングステンで見ますと中国が多い。コバルトはコンゴというような国ですね。ベースメタルになりますと、同じように上位の三か国で取ると、五〇%前後ぐらいで低めの値になっているというのが一つでございます。
 これだけで資源戦略を正確に測るのは難しいところなんですが、イメージを与えるには重要な資料かなというふうに考えております。
 このような状況の中で日本の企業はどうしているかというので、これは日本鉱業協会さんの資料をそのまま出させてもらっておりますが、主にチリにたくさん鉱山の権益若しくは操業を開始しようとして投資をしているところです。日本の企業は、オペレーションといいますけれども、自らの会社で操業を全て仕切るという形式まではなかなか行けていない、数が限られているところなんですけれども、部分的に権益に参入したりですとか投資しているというのまで合わせますと、チリとペルーに多うございまして、全体的には、環太平洋といいますけれども、カナダ、アメリカ、オーストラリア、あとインドネシア辺りまで、太平洋で船で日本に持ってこれるという範囲で鉱山権益を取りに行っているというのが現状でございます。
 これ以外にも、商社さんが投資されている鉱山というのも南ア等々多くございますし、オーストラリアも多くございます。
 これまた基礎的な話で恐縮でございますが、今現在世界で行われている大規模な鉱山、銅ですとか金ですとか、そういう鉱山がどういうふうにやられているかというのがイメージとして、こういうふうにやられています。露天掘り鉱山といいますけれども、すごく大きな穴を掘って、直径が四キロメートルとか六キロメートルとかの大きな穴を階段状に掘っていってそこの鉱石を取ってくるというやり方、これが今の主体的な、特に大量に産出される鉱物の主体的な掘り方です。昔のように穴を掘ってやるやり方もございますが、量的にはこちらの方が圧倒的に多いと。
   〔理事福岡資麿君退席、会長着席〕
 そこで使われているダンプトラックの大きさを、ちょっと漫画チックで申し訳ないんですが、例えば人を連れてくるとまだタイヤの半分にも行かない。象を連れてくると、連れてこれないですけど、まだタイヤの上までは行かないというような、こういう四百トン積みトラックといいますか、ダンプトラックというような、こういうものを大量に導入して生産しているというのが先ほどの大きな穴を空けて開発するというには欠かせない点でございます。
 こういう大型化と機械化が進んだおかげで、反面では我々今まで比較的安い資源を手に入れられていた。金属価格は高いときももちろんございましたけれども、安い金属を生産する、費用を低減させるための世界的な技術の方向はこれでやられていたと。これだけではないです。これが大きな方向性であったのかなというふうに考えております。
 その中で、今後どうなるかという話にちょっと移っていきますが、開発が困難な鉱床が残されていると。優良鉱床の減少というふうに書いておりますが、これも自然の流れとしまして、まず企業は自分たちが見付けた鉱床の中から一番いいものから開発していくと。一番生産性が高いものとか利益が上がりそうなものを開発していって、コストが高そうなものを後に置いていくと。そうすると、自然と今後残されていくのは、今までよりも開発が困難なものが残されていくのは、これは資源の必然性といいますか、資源開発の必然性であると思います。
 さらに、深くまで掘らなければならない状態になったりとか、鉱石の品位が平均的には下がってきていて、昔だったら扱わないようなものも扱いますし、不純物と言っておりますが、狙っている金属以外の毒性の高い金属が混じっている場合も多くなってきます。そういうものも開発するようになってきておりますし、よりへき地、先ほどのチリの鉱山ですと標高が四千メートルとか五千メートルの富士山よりも高いところへ掘っていったりします。そういうところに鉱床があるんですが、そこまでインフラを整備して取りに行かなければならないというのもありますし、鉱石強度の増加と。
 さらに、下段になりますが、より求められる環境・地域対策としまして、地域とのコミュニケーションが重要になってきております。開発地域の方とよりどうやって共存していくかと。そちらの面は技術面にプラスして新しく開発するときに求められている点でございまして、あと環境の保護、環境対策にも非常に力を入れなければならない時代になってきております。水の確保であるとか、あと鉱山の場合、閉山した後、先ほどの大きな穴、そのまま残るところも多いんですけれども、そこでどういう対策をしていくかというのも掘った後の課題として残ってきております。
 技術開発の方向性としましては、採掘技術で今求められているのは自動化とかIT化とか、より情報化の技術を使ってより効率的に生産性が高いものができないかというのが世界の大きな、世界の動静として各企業取り組んでおりまして、例えば、先ほどのダンプトラックを無人で動かすであるとか、若しくは町の中からリモートコントロールでトラックやショベルを動かすといったそういう技術が求められていますし、実際やり始めているところでございます。更なる大型化や高速化、大型の坑内掘り、トンネルを掘って地下から掘る方法ですね、それの技術開発というのも求めておられますし、ズリであるとか尾鉱というようなそういう廃棄物を坑内で掘ったときの穴に充填するような技術。
 選鉱、製錬側。選鉱、製錬といいますのは、取ってきた鉱石を前処理したりですとか、そこから金属を抽出するような技術でございますが、そこでも粉砕プロセスの低エネルギー化、粉にしなければならない、処理するために粉にするんですけど、それの低エネルギー化であるとか品位低下への対応、湿式製錬とか微生物を使ったような、そういう今まで資源で扱ってこなかったような分野、技術も取り扱っていく必要が出てきているのが今の世界的な状況です。
 恐らく、こういう技術的課題を、日本の企業ももちろんなんですけれども、世界のどこかの企業といいますか、世界的に解決していかなければ今後の資源開発というのは難しくなってくるかなと。こういう技術開発、実際どうなるかというのは誰も実は分からないところでございますね、どういうふうに成功するかと。しかし、こういうところが全部駄目だったとすると、取れる資源というのはなくなってくるというのが金属の状況かと存じます。
 一方で、リサイクル、日本の場合、非常に重要でございますし、注目されていると思います。私、リサイクルの話、今回はほとんどしなかったですけれども、なかなかリサイクル率を上げていくのは難しい。法律を作って、それで各家庭で分別して出していただいている日本のような状況でもなかなかリサイクル率を上げていくのは難しいというので、これ、上の方が世界の平均的な銅のリサイクル率、下の方は日本の率ですけれども、それぞれ取っているデータが違うので上下はあんまり比較していただきたくない面はあるんですが、要は、価格が高くなったからといってリサイクル率が上がるというのはなかなかないということでございます。そのときの社会情勢といいますか、社会で回収する仕組みに依存しているのかなと。ですので、これはまた経済性以外で上げていかなければならない課題かなというふうに思っております。
 最後に、今後の見通しとして二点、二つのスライドに移らせていただきますけれども、資源開発は新しく始めるには十年、十五年掛かります。ですので、国内の資源セキュリティーを高めるためには常に十年以上の計画を持ってやる必要がありますし、これは、反対の意味では、少々値段が上下して、それに合わせて資源開発をやったりやめたりしていますと、その後続かないことになるかと思います。継続的な取組が、取組というか開発が必要なものが資源開発の特徴かなというふうに思います。
 資源の安定供給、これは我が国の資源政策の昔からの一番重要な項目として挙げられますが、それを満たすためには、やはり日本の資源企業が海外の鉱山で継続的に収益を上げられるような構造が必要かなと。価格に合わせてやったりやめたりしていると、結局いつまでたっても資源のセキュリティー高まらないですし、むしろ日本の需要を満たす以上に生産して資源を売っていくような意気込みがないとなかなか世界の大きな資源企業と対抗していくのは難しいんじゃないかなというふうに考えるところはございます。
 次、日本の資源系企業の強みとしましては、日本型のチームワークを重視した雇用方法若しくは操業の仕方、これはやはり大きな海外企業ではなかなか見られない点かなと。ここを強みとして生かしていけるかというのが今後の大きな分岐点になるかなと思いますし、技術革新を進めていく、あと、環境対策、住民対策、恐らくこの辺りで強みを出していけると、海外での資源開発、日本の企業もやっていけるんじゃないかなというふうに感じているところでございます。
 そのほか、リサイクルも重要だということも書かせてもらっています。
 最後のスライドになりますが、需要増加はとどまらず、投機的資金流入により価格変動の激しい時代に移行したと。これは一番最初のスライドで述べたとおりでございます。
 今後、資源開発の開発費用、環境対策費用は間違いなく高くなると思います。コストが高くなる。コストが高くなるという意味では、価格のベースが高くなるというふうにつながってくると思います。
 地政学的な要因、いろいろ現在の情勢、世界情勢、政治的な情勢ございますが、その点ちょっと除いて考えさせてもらいますと、資源の制約を受けて日本の産業が調達できずに困るというのはもう少し先の話であろうと、金属に関してはですね、思います。もちろん鉱種によって、レアメタルによっていろいろあるのはそのとおりでございます。ただし、地球温暖化の問題、通常五十年とか百年単位で考える、それと同じように金属を考えると、金属によってはなかなか手に入りにくいような金属も出てくるんじゃないかなというふうに考えているところでございます。
 以上で終わります。
#9
○会長(金子原二郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 上月良祐君。
#10
○上月良祐君 自由民主党の茨城県選出の上月良祐です。
 今日は、お三方の参考人の先生方、本当にためになるというんでしょうか、非常に勉強になるお話をありがとうございました。
 まず、岩間参考人にお聞きをいたしたいと思います。
 私は、政策や施策をつくる前に現状認識をきちんとするということが大変重要だと思っておりまして、そういう意味で、先生のお話の中で、シェール革命の影響とか、エネルギー価格下落にはプラスとマイナスの面があるといったようなこととか、安全保障と大変関係しているんだということ、アメリカの中東政策との関係の話などは大変勉強になりました。
 その上で、私は、是非、その現状分析は大変勉強になったというその上で、例えばアメリカはシェールの技術開発でシェール革命を起こして大変国力が今強くなりつつあるんだと思うんです。そういったふうなことを国策としてやってきたんだと思うんですが、じゃ、日本は何をしなきゃいけないのかということ、これから何をしなきゃいけないのか、我が国がというところがこれからの我々の課題としてすごく重要だと思うんですが、そこに関して、先生はJOGMECにもいらっしゃったということでもあり、実は、二週間前の参考人の先生の御意見の中に大変印象に残っているのがありまして、JOGMECが余り機能、十分していないんじゃないかというような御指摘もあって、余り権益取れそうのないところをやらされて結果につながっていないと、こんなことも聞いてみた方がいいですよなんて言われて、そこも含めて、資源外交の在り方、国のやるべきこともあるでしょうし、JOGMECもあるでしょうし、各会社の分担と連携、いろいろあるんだと思いますけれども、そこについて先生の思いをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#11
○参考人(岩間剛一君) 今、上月先生の方から御質問のあった点に関してなんですけれども、まず、米国のシェールガス革命をどう生かしていくかということでいうと、一つの答えとしては、実は二〇一七年の一月からシェールガスを原料としたLNGの輸入が日本に始まっているわけなんですね。そういう意味で、日本では、例えば中部電力さんと大阪ガスさんがフリーポートで、これはテキサス州なんですけれども、あとルイジアナ州なんですけれども、米国でLNGの実際のところはプロジェクトに参画をしています。シェールガスを原料としたLNGの開発というものに日本企業が参画をし、そのLNGを、パナマ運河の拡張工事が完成していますので、二〇一六年にですね、そこを通過する形で入ってくるという形で実際に、ですから、米国のシェールガス革命というものを日本で生かすという、そういったやり方をまず第一に取っています。
 これは非常に大きな意味を持っていまして、なぜかといいますと、やや専門的なお話になりますけれども、日本の場合は、従来は、LNG、液化天然ガスというのは、これは日本では今発電の大体四割に使っています。特に、東日本大震災以降、原子力発電所の再稼働が不透明な中において、ミドル電源であるLNG火力を最大限活用することによって実際に停電というものを回避してきているわけなんですね。
 ただ、このLNGというのは、基本的には長期契約が八割あります。この長期契約は、原油価格連動ということで、LNGの需給関係に関係なく価格が決められます。それからあともう一つは、仕向地条項といいまして、LNGを輸出する先が決まっているんですね。ですから、そういう意味でいうと、必ず引き取らなければいけないというような条項があるわけです。
 ところが、米国のシェールガスを原料としたLNGというのは、これは米国の天然ガスの需給関係を反映したルイジアナ州のヘンリーハブという、そういった市場価格を基にして、それに液化コストと船賃を含めた形で価格が形成されています。ですから、そういう意味では、LNGの需給関係を正確に反映した価格ということで新しい価格体系になっているので、原油の乱高下に振り回されません。
 それからもう一つは、仕向地条項というのがないので、実際のところは、もっと高くLNGを買ってくれるところがあれば、日本が購入をしてそれを転売することによってディーリングによっての利益を上げることができるというふうなこともあるわけなんですね。ですから、そういう意味でいうと、従来のように、カタール産とか豪州産のように固定的な、要するにリジッドなそういったLNGの契約形態からかなり変わってきているということがあって、シェールガス革命というものはそういう意味で非常に大きな意味を持っているということはあります。
 それから、二番目の御質問の点に関して、確かに私もJOGMECさんの方に出向していた経験があるんですけれども、以前の、例えば、実際のところ、一つ問題があるとすると、油田の開発だけではなくこれは事業一般、ビジネス一般について言えることなんですけれども、要するに、今盛んにですからトランプ政権が介入的な資本主義というのが問題があるというふうなことを言っていますけれども、実際のところは、政策的に過度な介入を行ってしまうとイノベーションが起こりにくいというふうなことというのは、これは油田開発についても言える部分があります。
 ですから、資金支援とかあるいは要するにリスクマネー、簡単に言いますと、油田の開発とか天然ガスの開発というのは、一般的に言うと中東、アフリカといったような地政学リスクが極めて高い地域で行われているわけですね。そういう意味では、民間企業だけではなかなかリスクテークができないということがありますから、JBICさんとかNEXIさんのような政策金融によってのリスク補完というのをしないと実際のところは民間企業単独ではなかなか出ていけないと、これは現実としてあります。ですから、そういう債務保証というか、あるいは貿易保険によるリスク補償、地政学リスクとかそういった紛争リスク、そういったものを実際のところは補完するということは極めて重要なことではあるわけです。
 ただ、実際のところ、過去のJOGMECさんの油田の開発の問題でやや難点があったとすれば、結局のところは、要するに油田の開発が失敗してもリスクマネーの返済はしなくてもいいという形になってしまうと、どうしても油田開発においての企業の責任というものが曖昧になってしまうという問題が出てくるんですね。
 ですから、そういうことでいうと、例えば米国の場合において、エクソンモービルさんとかロイヤル・ダッチ・シェルさんというのは世界で優良企業です。エクソンモービルというのは、これは二〇〇八年の純利益が四百五十二億ドルということで、これは石油産業のみならず全ての産業を通じて世界最大の利益を上げている企業はエクソンモービルです。ですから、石油企業というのは本来極めて利益を上げられる産業なんですね。ところが、日本の場合にはそうなっていないというのは何かというと、エクソンモービルさんは自分のオウンリスク、つまり自分の手金を使って自分のリスクで油田の開発を行っているので、要するに油田の目利きというものを非常にきちんとしているということとイノベーションが起こりやすいということがあるわけです。
 ところが、日本の場合、過去の失敗について言われているのは、これは石油公団さんの問題が今から十五年以上前に議論されたときにも言われていることなんですけれども、その油田の開発が失敗しても、そうすると、リスクマネーは返済しなくていいということになってしまうと、要するに経営責任が曖昧になってしまうんですね。結局のところは、そうするとリスクテークに対しての責任が不明確になってしまって、きちんとしたイノベーションが起こらないというふうなことがあるわけです。
 ですから、そういった意味で、政府による要するに支援というものと過度な介入というものとの区別というのは非常に難しいんですけれども、そういうところでの配慮というものが実際のところは必要であるというふうなことが言えると思います。
 ですから、そういう意味では、ちなみにまだ時間があるのでもう少し私の意見を言わせていただくと、実際のところは、米国でなぜシェールガス革命が起こったかというのは、これは米国のやっぱり基本的にアニマルスピリットが非常に大きいということがあると思います。
 というのはどういうことかといいますと、米国は先ほども申し上げたように三千社から四千社の企業があります。実際に、これはほとんど米国の場合は政府と関係ない完全な私企業なんですね。その私企業が、結局のところは自分たちのイノベーションによって実際のところはシェールガス革命に成功しているわけです。
 米国においてのシェールガス革命の理由について話すとちょっと一時間ぐらい掛かってしまうのでとてもこの時間では説明できないんですけれども、簡単にお話をすると、米国がまず百五十年の石油産業の歴史を持っていること、あと、米国においては実際のところシュルンベルジェを始めとして石油サービスカンパニーという石油技術を提供する会社を非常にたくさん持っているということ、それからあと、アニマルスピリットを持っている要するにベンチャー企業がいっぱいあって、そういった企業は従来の在来型の油田で使われていた水圧破砕、フラクチャリング、それから水平掘削、ホリゾンタルウエル、そういったような既存の技術というものを精緻に組み合わせるというイノベーションを使うことによってシェールガス革命が成功しているわけです。
 そういう点からいうと、日本においては、そういった百五十年の石油産業の歴史も、それからあと、実際に日本全体をくまなくそういったような形で縦断したような形の多数の石油開発企業のベンチャー企業もありませんし、そういった意味での日本での状況というのはかなりですから違うということがあって、そういうところで日本の民間企業のイノベーションをどう生かしていくかということが非常に重要だというふうに私は考えています。
 以上です。
#12
○上月良祐君 ありがとうございました。
 もう質問しませんので。柴田参考人に聞こうと思っていたんですけど、もう質問はしません。
 先々週の西川先生の話で、一九九〇年代に資源なんて買えばいいじゃないかと経産省の方が言って、人材も技術もなくなっちゃったと。今、ちょっと食糧、先生、農学部出ていらっしゃって食糧もやっていらっしゃるので、食糧も今我々そう思っているところがあるかなというふうにちょっと思いまして、食糧でそういうことになっちゃったら、いずれレアメタル化すると思うので、食糧も、人口が増えますから。そうならなければいいなと思ってその辺の感想を聞こうと思ったのですが、もう今日聞きませんので、済みません。聞けないので、申し訳ありません。また何かのときに私、教えていただきに上がろうと思います。
 安達先生にも聞こうと思いましたが、今日はこれでやめさせていただきます。
 ありがとうございました。
#13
○会長(金子原二郎君) 矢田わか子さん。
#14
○矢田わか子君 民進党・新緑風会の矢田わか子と申します。
 今日は、参考になるお話、大変ありがとうございました。たくさん質問したいことはあるんですが、まず今日、岩間先生は、日本経済新聞の方も見させていただきましたので、後ほど時間があればお願いをしたいというふうに思いまして、安達先生から質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどのお話のとおり、日本における様々な鉱物資源の確保というのは、これから日本の製造業にとっても大変重要な課題であるというふうに思っております。
 民主党の政権時代に、中国による外交カードとしてジスプロシウムなどのレアアースの輸出規制が行われたということは記憶に新しいかと思いますけれども、今後、我が国の製造業が様々な製品開発を行っていく中で新たな鉱物資源を必要とすることになった場合に、生産されるというか、取れる国が限られる中で、この前回のレアアースの事件と同じようなことにならないかという懸念が想定されます。今後、再生エネルギー関係の機器開発を含めそのようなことが生ずる事例があるのかどうか、それを防ぐためにはどうしていけばいいのかということについて御示唆をいただければと思います。
#15
○参考人(安達毅君) 的確に何が危ないというのを申し上げるのは、申し訳ないですが、なかなか難しいところでございます。といいますのも、今後出てくる日本の産業が何が出てきそうか。幾つか、例えば電気自動車、リチウム電池に必要なリチウムとか挙がったりすることもございます。ですが、一方で、リチウム、比較的資源量が豊富であるので取れるとかいうお話もございます。
 私考えますのは、レアアースの場合、中国との関係というのが非常に効いてきた点かなと思います。まず一つは、日本との関係において、そういう事案が起こり得るような国の関係をちゃんと把握しておくことが一つかと思います。その一方で、やはり新しい産業で使われるレアメタルの需要がどのように増えるかというのを継続的に見ていくと、その二点で見ていくのが必要ですし、一方で、先ほどお示しした地図の中で、日本の企業が出ていっているのが主に環太平洋でございました。それが、例えばJOGMECさんとかも行っているんですけれども、アフリカ南部であるとか中央アジアというような国、あと東南アジアもですけれども、そこでレアアースを見付けたという事例もたくさん出てきております。
 そういう努力、地域を広げる努力をしつつ、どの金属でもいいと言っては言い過ぎですけれども、今後増えてくる金属に対応していくというような何段階かの構えが必要かなと思っております。
#16
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 おっしゃられたとおり、鉱物を確保していくために日本企業が自分で自ら出ていって採掘しているのと併せて、その採掘している国に対して技術提携をし、技術を提供する代わりに鉱物を一定程度回してもらうというふうな方法もあるかと思いますが、この点についてはいかがですか。
#17
○参考人(安達毅君) その点で日本の企業が直接できる面もありますが、なかなか難しいなと思っている点もございます。といいますのは、日本の企業、資源系の企業が自分のところで一から十まで開発技術を持っているという事例がまだまだ少ない点でございます。その国によって今まで付き合いが深い、アフリカだったらアフリカの国でイギリスに近かったりフランスに近かったりしますけれども、やはりそういう昔のつながりがある国の企業とやっていく、パートナーとしてやっていく例が多うございます。
 その中で、日本の、先ほど私は最後の方に、強みを生かした、何ですか、JICAの活動とかも併せて、日本のやり方というのを浸透させていきつつ、かつ日本の企業の技術力を高めていって、一緒にやっていけるパートナーとして認めてもらうといいますか、そういう姿勢が大事かなというふうに考えております。
#18
○矢田わか子君 ありがとうございました。
 続いて、柴田参考人にお伺いをしたいと思います。
 いろいろお話があった中で、二十五ページのところに出てきましたレジリエンス戦略、大変興味深くお聞きをいたしました。特に、三つ目に挙げられている国家に対する資源権益の確保という、この戦略についてもう少し詳しく教えていただきたいなと思うんですが、特に資源を持たない国日本として、今までのお話の中でも、原油については生産国の生産量の調整動向、アメリカのシェールオイルの状況を的確に把握していくようなことが大変重要だというふうにこれから思われるんですけれども、そのほか、どんな動きとかどんな指標を見ていけばいいのかという点においてもアドバイスをいただければと思います。
#19
○参考人(柴田明夫君) 資源外交はそうなんですけれども、やはり国内の資源を地道に開発していくと。資源はマーケットで、特に原油でもマーケットメカニズムの中で自由な市場から調達するというふうな、こういうふうな流れがありましたけれども、今後、やっぱり一つは、相対できちっと、場合によってはマーケットを通さずに確保していくというふうなことも必要なのかなと。
 実は、この確保というのは、安定調達という意味で、まずは技術面での開発とか、再エネってなかなかコストの面で、広く薄く分布しているもの、不安定なものを資源というのは濃縮するという、凝縮するという、こういうことですからコストが掛かります。技術が必要ですし、メタンハイドレートなども、やっぱりコストの面とか持続性というふうなところでは大きな課題があると思うんですけれども、間違いなく資源の潜在的な力は持っている。
 それから、農業も、まさに農業資源というのは、これは単に農地とか生産力だけではなくて、これは私は、何というか、地域の経済を含めた、あるいは森林、涵養林とか水の問題とか、そういったものを含めた自然資源がありますから、きちっとこの生産力というか基盤を維持していくということが重要かなと思っています。
#20
○矢田わか子君 ありがとうございました。
 それでは、最後に岩間参考人にお伺いをいたします。
 壮大なお話があったわけなんですけれども、今回、アメリカにおけるシェールガス革命、百年に一度の革命とアメリカの製造業の関連についてお伺いをしたいというふうに思っております。
 トランプ大統領は選挙中から、製造業の復権、雇用の拡大を声高におっしゃってこられています。既にこういったエネルギー情勢の変化も読んでのことと考えられますけれども、これらの南部を中心とした製造業の新たな動き、かつての製造業を担ってきたアメリカの中西部地域にも影響を及ぼすのかどうかということについて教えていただけますか。
#21
○参考人(岩間剛一君) 米国の製造業の再生ということでいうと、まず第一のポイントとしては、米国のLNGを輸出するということ、あるいは米国のシェールオイルを輸出するということは、石油産業の振興にとっては非常にプラスになるというふうなことがあります。これも民主党政権の時代、オバマ大統領の下では、米国のシェールガスを輸出することは天然ガス価格を上昇させて国民の不利益になるということだったんですけれども、今では基本的には米国では天然ガスが余剰感がありますから、そういう意味では、LNGの輸出によって、まずLNG産業というのが実際のところは出てくると。実際に、ですから今、そういう意味ではLNGのプラントというのが次々と造られています。
 もう一つは、シェールガスを原料としたエチレンプラントの建設というものが非常に大きく進められています。これは、ダウ・ケミカルさんとかあるいはエクソンモービルさん等が、シェールガスを原料として、シェールガスからエチレンを作るんですね。このエチレンプラントというのは、実は米国においては二十一世紀になってから初めてのことなんですけれども、かつて人件費の高い米国においては製造業の復権は難しいと言われていたんですけれども、安価なシェールガスを手に入れることによって、シェールガスを原料にしてエチレン、具体的に言うと皆さんがスーパーのレジ袋で使っているポリエチレンとか、あるいは自動車産業の樹脂になっているようなポリプロピレンとか、そういったようなものを実際のところは作れるということで、特に石油化学産業というのは、基礎的なエチレンのプラント以外に合成樹脂を作るような中小のメーカーというものの裾野が非常に広いんですね、これは日本の場合も同じなんですけれども、そういったことで言うと、そういった形での産業の再生というものに対しての非常に大きな影響を与えるというふうに考えております。
#22
○矢田わか子君 ありがとうございました。勉強になりました。
#23
○会長(金子原二郎君) 三浦信祐君。
#24
○三浦信祐君 神奈川選出、公明党の三浦信祐でございます。三名の先生方には、大変興味深い、また背景がしっかりした内容を教えていただきまして、ありがとうございました。
 まず初めに、安達参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 余りリサイクルの話がなかったんですが、私は、あえて資源のない国ということを、発想の転換が必要だと思っておりまして、これも長年言われている都市鉱山の有用性と、リサイクル技術への投資、またコスト改善と効果というのは戦略的に進めていくべきではないかなというふうに考えております。
 その上で、確立されているリサイクル技術、例えばアルミなんかですと、大抵の場合にはリサイクルしたものは安くしか取り扱えないのでなかなか商売にならない。一方で、レアアース、レアメタルの技術を開発したとしても、コストが十倍以上買ってくるよりも高いというような問題もあると思います。そういう意味では、今後そこにしっかり投資をしていくという部分での御意見という部分と、また、比較的価値が高いニッケルなどのベースメタルの中でも産出量が多いものに今後焦点を当てていかなければいけないんではないかなと私は考えているんですけれども、是非御所見をいただければというふうに思います。
#25
○参考人(安達毅君) 御質問ありがとうございます。
 まず、リサイクルに関して一筋縄でいかない問題は、廃棄されたものが外国に流れていく例というのが多数報告されておるんです。特に中国ですね。そこで、同じものをリサイクルするときに日本の業者では手間が掛かり過ぎて労働力が掛かり過ぎて処理できないものを中国だと人間の手でいろいろ安い人件費でやれている状態ですので、世界的な資源の枯渇という意味ではどこでリサイクルされてもいいと思うんですが、日本の資源のセキュリティーという面でやはり日本でやられるべきだというふうに考えますので、でも、かといって中国に、条約等いろいろございますが、流れていく流れを止めるのはなかなか難しかったというのは資源の価格が高かった時代の一つの反省点かなと思います。
 そこの辺りの対策、私も具体例なかなか言えないんですけれども、国外に流れていく廃棄物という点をしっかり詰めていく必要があるのかなというふうに一つ思います。これ、中国じゃなくなってもよその国に今後出ていく可能性があると思います、人件費が中国が掛かった場合ですね。
 もう一つは、資源そのもののリサイクルよりも中古品の扱いを増やすようなシステム、これ、もちろん環境省始め、3Rで、リデュース、リユース、リサイクルと言っておりますけれども、リデュースの面はなかなか難しいのでリユースと。いろいろ日本の中古のショップというのはございますが、それが健全に、健全といいますか、なかなか利益が上がる形でできていない。むしろ買取り価格がすごく低くて、そこそこの値段で売らなければ日本でお店を続けていくのはなかなか難しいと。それが、買取り価格がもう少し高くなってとなりますとそこに出す人が増えてくるのかなと。その辺りのことも同時に考えていかなければならないかなというふうに考えております。
 最後にニッケルのお話ありました。大量に使われている金属、ステンレスに使われているニッケル、クロムというのはもちろん回収しやすいものでございますので、回収して製鉄の方に回すときにリサイクルするという流れをより確実にする。それは恐らく製造業の中で出てくるスクラップをちゃんと回収するというのにもつながってくると思います。産業の流れの中で出てくるスクラップと、市民まで渡って最終的に廃棄されるスクラップの方になりますと回収が難しくなりますので、確実にできるところはやっていくという、もちろんその姿勢は大事かなと思いますし、一方で、そうだとしてもリサイクル率が低いものというのはまだございますので、供給のリスクと併せて考えていくという点が一つの考え方でございますが、なかなか一つの金属についてどうというのは難しいところでございます。
 以上でございます。
#26
○三浦信祐君 ありがとうございます。
 安達参考人と柴田参考人にお伺いしたいと思います。
 金属材料からセラミック材料への転換というのはかなり進んできている部分もあると思います。例えば、航空機ですとジュラルミンからFRPに変わってくる。そうすると、資源という部分では鉱物から実は石油精製品になってくる。これまでの消費型というものからむしろ製品型に変わってくる可能性も高いのではないかなと。また、高温で使う材料に関しても、レニウムというのが戦略元素としてモリブデンの精製の過程でしか出てこないようなものでありますので、むしろレニウムを使わないようなものに変えていこう。車においても、バンパーなんかは今までは金属だったものがFRPに変わってくる。ということを考えますと、この技術革新とまたレアメタル、また石油の需要というのは常に経済活動、技術開発とリンクをしていくのではないかなと私は考えます。
 そういう意味では、各産業間での連携を取る必要性というのが極めて増加しているのではないかなと。こういうところで効果的な成果を得るための手法とかアドバイスをいただければ幸いです。
#27
○参考人(柴田明夫君) おっしゃるように、四つのRとか三つのRとか言われている、リデュース、リサイクル、リプレース、特にリプレースですね、こういうのが必要かなというふうに思います。
 業界の異業種の交流というのもまさに重要なのかなと思うんですけれども、技術革新の場合に、供給サイドのソースの部分から革新していくというよりも、今度はニーズですね、ニーズの方から革新していって、あるいは新たな技術革新、使い道がまだ分からないものでもこのニーズの方から、需要サイドから見て市場、需要発見というか、そういうところで使っていくのが必要なのかなと思います。
 まさに石油を燃やしてしまうという、こういう利用から材料の方に使っていくという方向、それから、石油だけでは、あるいはメタルだけではなくて、紙なんかも最近はかなり強度の強い紙ができていますので、そういう面での技術革新というのは期待できるんじゃないかと思います。
#28
○参考人(安達毅君) 代替という言葉を使うことがあると思います。私も日頃考えていますが、積極的な代替のための技術開発が必要かなというふうに思っていまして、代替資源戦略、元素戦略というのがございましたが、そのときは入ってきにくくなった元素、金属に対してそれに代わるような新しい材料できないかなという話がございましたが、今使われている金属、レアメタルというのはやはりその金属を使うのが一番性能が発揮できるものが使われている、当たり前でございますが、それをもっと安い金属、ものに変えると性能が落ちてしまうと。それでは誰も消費者は付いてこないと。やはり今お話ありましたが、車でしたら、軽くて強度が高いものに移って、より商品として魅力があるような材料の開発をしていくような積極的な代替といいますか、代替資源というものが今後を引っ張っていくのかなと。
 そういう面では、日本の場合、非鉄も鉄鋼も各企業が研究所を持って大学とも連携しておりますので、そういう材料学の面からメーカー等に提言していけるような、そういうつながりというのは非常に重要かなというふうに考えております。
#29
○三浦信祐君 極めて重要な御示唆をいただいたと思います。新しく石油を材料化をしていく過程で、今は実際に需要がないとしても、ノーベル賞つくっていくときに新しいブレークスルーが生まれたりするということにもなっていくのではないかなと思いますので、これから人材育成をしっかりやっていかなきゃいけないんだなということと、またお互いでいろんな情報共有をしながらニーズとシーズのマッチングを図っていかなきゃいけないんじゃないかなということを勉強させていただきました。
 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
#30
○会長(金子原二郎君) 市田忠義君。
#31
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
 今日は、参考人の皆さん、大変貴重な御意見をありがとうございました。
 今日は、資源問題の中でも国民生活にとって極めて重要な食料問題に絞ってお聞きしたいと思います。
 柴田参考人は、資源・食糧問題研究所を立ち上げていらっしゃいますし、いただいた資料を拝見しましても、食料、農業に言及された部分がございます。したがって、質問が柴田参考人に集中することをお許しいただきたいと思います。
 食料、言うまでもなく、人間が生存していく上でなくてはならない基礎的な物資だと思います。それだけに、食料の安定的な供給というのは社会安定の基盤ですし、各国の政府や国際社会が何よりも優先して取り組まなければならない課題だと思います。その点で、世界の食料について、今後、人口の増加、途上国での経済発展に伴う食生活の変化などで需要が大幅に増えると言われております。他方で生産は、品種改良や栽培技術の発展で一定の増加は見込まれますが、地球温暖化、あるいは水資源の制約、土壌劣化などによる問題も顕在化して、人類の食料の確保は大丈夫だろうかという心配の声も聞かれます。
 そこで、柴田参考人に、世界の食料、とりわけ穀物の需給情勢が中長期的に見た場合どうなると見ていらっしゃるかを簡潔にお答えいただきたいと思います。
#32
○参考人(柴田明夫君) 私は、中長期、二〇三〇年辺りを視野に入れて見た場合、食料というのは、今のおっしゃられる穀物の需給というのは逼迫してくる可能性が高いと見ております。
 需要サイドと供給サイドで見ると、需要サイドで見れば、人口が増えて、一人当たりの食生活も向上して、いわゆるたんぱく質というか肉を食べるようになる、飼料用の餌の需要が高まってくるということ。加えてエタノール関連も、そういったエネルギーに使われる部分も依然としてあるわけですね。そう見ると、やっぱり需要は、これ食料危機をあおってはいけないとかそういう楽観的な見方の方も需要が増えるという点では一致しています。
 供給がどのぐらい増えるのかということなんですが、供給は、実は足下の四年間、穀物の生産は過去最高のレベル、二十五億トンを超えてきているんですけれども、私はここでちょっと頭打ちになる可能性は高いなと見ています。
 供給を増やすということは、作付面積を増やすか、あるいは単収を、単位当たり収量を上げるかで、横か縦かという話になるんですけれども、面積を広げるというのは、過去いろいろな農業開発、フロンティア、草原まで開発されていますけれども、過去半世紀見ると、ほとんど農地面積、耕地面積ですね、十五億ヘクタール、穀物を作る面積七億ヘクタールで、増えていないんですね。開発しているけれども、壊廃も進んで、砂漠化、土壌の劣化等で、足し算引き算するとほとんど増えていないという状況です。
 専ら単収を上げてきているんですけれども、これは農薬、肥料を多投する、あるいは遺伝子を組み換えたバイオ的な手法を狙うと、こういうことですけれども、ここが実は今のところは効いてきているんですけれども、毎年毎年過去最高の生産量を目指すということ自体が果たして持続可能なのかなと。だんだん、気候変動、温暖化、水の制約も強まって、その辺の自然の劣化というか、ここも現れてきているんですね。そうなると結構厳しいなと。
 結構話題になっている本で、「サピエンス全史」という人類の歴史の本があるんですけれども、人類は狩猟民族の時代とそれから栽培植物を使って定住した社会とどちらが豊かな食生活をしていたかというのがあって、実は狩猟民族のときの方が豊かなんですね。栽培生活、定住した場合には、生産量は上がるんですけれども、同時に人口も増えるんですね。結果として一人当たりの取り分というのは貧しくなってくる。食料をめぐって、何というか、争いもあって、非常に凶暴になっていくと、こういう話なんですね。
#33
○市田忠義君 日本の食料自給率、カロリーベースで三九%、食料のその六割もが外国に依存するというのはこれは異常なことだと思うんですけれども、食料自給率を高めていく必要があるというのは先生もおっしゃっておりますが、いただいた資料の中に、アベノミクス農政は小規模兼業農家、中山間地の零細農業へは焦点が当てられていないという指摘を参考人されております。
 その上で、食料自給率の向上を含めて、国内の小規模の農業生産を支えるために現在どういうことが求められているかと。日本は中山間地の農業が主ですから、そういうのを切り捨てていって大規模化だけでいいのかということも含めて、余り時間がございませんが、あと三、四分、よろしくお願いします。
#34
○参考人(柴田明夫君) アベノミクス農業政策という、攻めの農業政策というのは、規模を集約して六次産業化、付加価値を付けて輸出に打って出ると。これ自体は異論はないんですけれども、じゃ、そういう平場の条件の有利な土地でどのぐらいがその対象になるのか。
 日本の農地四百四十万ヘクタールあるわけですけれども、多分一ヘクタール以上で区画整理済んだそういった攻めの農業になってくる部分というのは二十万ヘクタールぐらいで、多くのところは中小の零細農家、中山間地、それから高齢化した棚田の農家と、こういうふうになっていて、攻めの農業という産業政策をして競争力を付ける部分というのは間違いではないんですけれども、要するに、農といっても、農業は工業とこの業の部分で比較されちゃっているので、ちょっと厳しい面があるのかなと。
 農の場合はそれだけではないんですね。おっしゃられるように、四百万以上の農地を維持している中小の農家があり、零細な高齢化したところもあるわけですから、ここを地域政策としてきちっと維持していかなければいけない、生産基盤を強化していかなければいけないと、こんなふうに考えています。
#35
○市田忠義君 食料主権というのはグローバル化の時代であっても大事なことだと。我が党も自由貿易一般を否定するものではないんですけれども、やっぱり国民の胃袋は基本的にその国で賄っていくべきだというときに貿易自由化一辺倒の貿易ルールでいいんだろうかと。やっぱり食料主権、経済主権の立場から、各国の状況を踏まえた言わば国境措置だとか、相互の経済主権を尊重した対等、平等の貿易と投資のルールが必要じゃないかというふうに私たちは思うんですが、その辺についての御所見がありましたら。
#36
○参考人(柴田明夫君) まさに食料主権というのは重要だと思います。やはり、カロリーベースですけれども、六割を海外に依存する、国内のじゃ農業の生産基盤はどうなのかというと、やっぱり弱体化が止まらないという格好になっています。ここをやっぱり見直す必要があるし、それから、若干足下のところで気になっているのは、いわゆる種子法ですね、種子法を廃止するというふうな流れがあって、えっ、これはどういうことなのだと思うんですけれども、都道府県が今まで地元に密着して開発してきたものがいきなり廃止されてしまって、いわゆる競争力の強化を図るというふうなところも、じゃ、廃止し、市場を開放して誰が有利なのかというと、やっぱり海外のいろんな大手アグリビジネスに開放するようなことにもなりかねないので、極めて慎重に行っていった方がいいと思います。
#37
○市田忠義君 終わります。
#38
○会長(金子原二郎君) 片山大介君。
#39
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 今日は、大変勉強になる話、ありがとうございました。あと、事前に文献も読ませていただきました。大変勉強になりました。
 私は、まず岩間先生にお伺いをしたいんですけれども、そのシェール革命、これ日本での開発が可能なのかどうか。四、五年ほど前に秋田でシェールオイル開発ができたことが一時期ちょっと騒がれたけれども、その後ぱたりとやんでいます。そして、あと、アメリカのエネルギー省のシェール資源表ですか、これには日本はどうも載っていないような感じなんですけれども、日本での開発についてどのように見ていらっしゃるか、教えていただけますか。
#40
○参考人(岩間剛一君) 分かりました。
 まずは、日本のシェールガス、シェールオイルの開発についてなんですけれども、これは一時期、秋田県の本荘油田というところでシェールオイルの開発ということで話題になったんですけれども、これは先ほどのレアメタルの話でもそうなんですけれども、新聞で話題になることと実際に事業化できる、経済的に要するに、ですから持続可能であるということはちょっと別なことなんですね。
 御質問に簡単にお答えしますと、日本の場合、地質構造が、実を言いますと、皆様御承知のように地震が多くて火山が多い国なんですね。地質構造が数千万年から数億年安定していないと、今の石油や天然ガスの生成の通説である有機体説からいうと、要するに油田ができないんです。ですから、そういう意味でいうと、日本のように地質構造が不安定で、それで、要するに長期間にわたって安定した構造を保てないとシェールガス、シェールオイルというのが大量に存在するという可能性は極めて小さいということがあります。ですから、部分的にはシェールガス、シェールオイルの開発というのは新潟県、秋田県等で可能ではあると思いますけれども、それ以外の地域において大量のシェールガス、シェールオイルというものを実際のところは開発することはかなり現実には難しいということです。
 日本にある唯一の資源としては、やはり実際のところは、太平洋プレートとそれからユーラシアプレートがぶつかっているところがあるので、メタンハイドレートというのはこれは大量に賦存しています。ですから、そういう意味でいうと、メタンハイドレートという資源については可能性があるので、それについては、先ほど柴田先生もおっしゃっていましたように、メタンハイドレートの実際開発コストをどのように下げていくかということが日本にとっては非常に重要であるということがあります。
 あと、もう一つの御質問は何でしたっけ。
#41
○片山大介君 その辺で大丈夫です。
 そこで、次に聞きたいのが、日本の企業のビジネスモデルはどうあるべきかというのがあって、アメリカの権益を取りに行って開発を続けていくべきなのか、だけど、これは住友商事のように撤退したようなケースもあるし、あと、そうではなくて、そのシェールオイルから取り出したエチレンですか、エチレンをもとに二次精製品というか化学製品を作っていく方をやるべきなのか、そこら辺、日本のビジネスモデルの在り方というのはどういうふうにお考えでしょうか。
#42
○参考人(岩間剛一君) 日本の場合、これから先、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、エネルギー自給率、食料自給率を上げていく上でやはり日本が権益を持っている自主開発原油というものの要するに比率を引き上げることは非常に重要であるというふうに考えています。
 その中では、米国というのは、トランプ政権で不透明にはなっていますけれども、世界で一番そういった油田開発あるいは天然ガス田の開発というものに関しては自由に開けたところなんですね。そういう意味では、シェールガスの権益だけではなく、米国のメキシコ湾の深海部、つまり非常に水深が深い二千メートルとか三千メートルといった地域の開発というのも、これも自由に実は行えるわけです。ですから、そういった地域においての開発を行っていくということも日本にとっては大事なことであると思います。
 それと同時に、もう一つは、やはりシェールガスを使った形の石油化学というのは、これは非常に重要です。というのは何かというと、日本の場合も幾つかの企業が既に、ですから、米国のシェールガスを使ってエチレンプラントでエチレンを作ったりとか、あるいはシェールガスを原料として塩化ビニールというものを作って、この塩化ビニールを実際のところは米国あるいはメキシコに大量に販売をすることによって実は大きな利益を上げています。
 ですから、そういう意味でいうと、日本に資源がないからといって日本の企業が萎縮する必要はなくて、海外の資源に対して積極的に日本が働きかけをすることによって利益を上げていくという、そういったビジネスモデルというのは十分に可能であるというふうに考えています。
#43
○片山大介君 それで、その開発に乗り出していくに当たっては、必要なことが、やっぱり石油の生産の見通しだと思うんですけれども、これ、柴田先生と岩間先生双方にお伺いしたいんですが、柴田先生の見方だと若干今後下がっていくんじゃないかという話のように思えます、先ほどの資料とか、聞いていると。それで、岩間先生の場合は逆に、まだまだそれは落ちないんだという方が強いのかなというふうに文献とかを読むと思ったんですが、それぞれのちょっとお考え、違いがあれば教えていただきたいと思うんですが。
#44
○参考人(柴田明夫君) 資源の埋蔵量というのは、再三お話がありますけれども、そのときの値段と技術で開発して採算の合うものですね、これが埋蔵量になるので、価格が上がればその対象の埋蔵量は増えてくると思うんです、あと技術が進めばですね。ただ、やっぱり、過去を見ると、基本的にフローのベースで足下供給過剰だということで値段が下がった結果、必要な開発投資というのがなされなくなってきているので、その反動が現れる可能性が高いというふうに見ています。それで、価格が上がればこれは開発の対象がまた広がっていくということなので、埋蔵量自体は増えていくと思うんですね。そういう事態がこれから起こってくるんじゃないかなという気がします。
#45
○参考人(岩間剛一君) 柴田先生とそれから安達先生のお話の中で埋蔵量のことについてお話があったんですけれども、埋蔵量について多くの方は誤解をなさっていらっしゃると思います。というのは、例えば石油ショックのときに、第一次石油ショックのときに石油はあと三十年と言ったんですけれども、この三十年という言葉はどういう意味かというと、その時点における原油価格とその時点における技術によって経済的に採取が可能な量なんですね。ですから、そういう意味では、原油価格が高騰する、あるいはリチウムの価格が高騰する、技術が進歩する、そうすれば当然埋蔵量は増えるんです。
 ですから、例えば鉄鉱石の資源なんかはどうかというと、鉄の資源についても一応埋蔵量というのがあります。でも、それは現在の価格と現在の技術なんですね。ところが、地球の内部というのは、地球の核というのはほとんど鉄でつくられているわけですから、そういうことでいうと、技術が進歩してもし地球の深部というものの鉄というものをそのまま採取することが可能であればほとんど無限の状態になるということがあるわけです。ですから、そういう意味では埋蔵量というのは決して固定的な概念ではなくて、動的な概念、ダイナミックな概念ということがあります。
 あともう一つ、柴田先生からもお話がありましたけど、オイルピーク論というのは最近二つの議論がされています。つまり、一つは供給の面でピークが来るのではないか、それからもう一つ、新しい議論としては需要の面でピークが来るのではないか。具体的に言うと、電気自動車、あるいは、これから先、例えばウーバー・テクノロジーズのようなそういった形のライドシェアによって物を消費しないような経済が出てくるのではないか、そうすると、実際のところは需要が余り伸びないのではないかという、そういう議論というものが行われています。そういうところについては、私はもちろん考えています。
 ですから、電気自動車が今後普及したり、あるいはハイブリッド車のような低燃費車が普及してガソリンの消費が減ってくる、そういった可能性はあるんですけれども、ただ、実際のところは、二十世紀においては先進国が主として石油を使ってきました。ところが、二十一世紀に入ってからは先進国の数倍の人口を抱えている新興国が石油や天然ガスを主として使うようになってくるわけです。ですから、これから新興国が先進国並みの生活水準というものに向上していくということになっていくと、世界全体として見れば石油、天然ガスの需要というものは今後も増加していくというふうに考えていくのが普通だというふうに言えると思います。
 ただ、もっと長く、二〇五〇年とかそういったレベルで考えていった場合においては、そういった低炭素社会とか省エネルギー社会というものの実現の可能性というのもあるというふうに私は考えています。
#46
○片山大介君 あともう一つ、最後に柴田先生に新興国への影響についてちょっとお伺いしたいんですが、OPECが八年ぶりに協調減産をしたけれどもなかなか価格が上がっていかないということで、そうすると、だんだんその影響力というものはもうOPECの影響下には及ばなくなってきて、これからは、エネルギー産業の牽引役というか、そういうものは先進国の方にまた移っていくという考えなのか、そこの見方はどうなのか、教えていただきたいと思うんですが。
#47
○参考人(柴田明夫君) OPECの力が、特にサウジアラビアのいわゆるスイングプロデューサー、需給調整役としての役割が終わったのかとか、あるいはシェールに移ったのかということなんですけれども、私は、何というか、まだまだOPECの力は強いのかなと思います。
 サウジアラビアは市場を見て結構柔軟に生産を増減産できるという力があるわけですね。一方で、シェールも確かに柔軟性を持っているわけですけれども、シェールは市場に応じて動かされているのかなという気がするんです。ある意図を持って増減産をする、そういう意味での力というのはやっぱりサウジアラビアなのかな、中東に依然として残されているのかなと、こんなふうな気がします。
#48
○会長(金子原二郎君) 時間が来ています。
#49
○片山大介君 はい、分かりました。ありがとうございました。
#50
○会長(金子原二郎君) 山本太郎君。
#51
○山本太郎君 ありがとうございます。
 自由党の共同代表、山本太郎と申します。先生方、今日は大変御貴重なお話をありがとうございました。
 まず、岩間先生にお聞きしたいと思います。先ほど、シェールガス革命により、燃料価格の低下による経済発展というようなお話もあったと思います。それだけではなく、副産物のエタン、メタン、ブタンなどを低価格で入手できるようになることで石油化学産業への好影響があるということも論文の中にお書きになられていたと思います。逆のお話を聞きたいんです、逆。
 シェールガス革命によって直接悪影響を受けるような日本の産業というものは存在するんでしょうか。済みません、一分ほどでお願いします。
#52
○参考人(岩間剛一君) 実は、石油化学というのは、天然ガスの成分の一つであるエタンを使ったエタンクラッカーというエチレンプラントと、原油から作られるナフサ、粗製ガソリンを使ったナフサクラッカーというエチレンプラントと、二つあるんですね。日本の場合は、基本的に原油から作られるナフサを原料としたナフサクラッカーなんです。ですから、そういう意味でいうと、エチレンという汎用品、つまり基礎化学品を作る上では、米国のシェールガスを原料としたエチレンプラントには歯が立たないんです。
 ですから、そういう意味でいうと、今、山本先生から御質問がありました点でいうと、日本の場合においては、シェールガス革命において一番打撃を受けるのは、そういった価格競争力だけに頼ってしまうような汎用品である基礎化学品のところにおいては大きな打撃を受ける可能性が今後大きいということがあります。
 ただ、逆にナフサを使わないと作れないような高機能化学品というのがあるんですね。逆に、エタンでは高機能化学品は作れません。ですから、例えばベンゼンとかそういったものはそうなんですけれども、そういったところに関しては強みがありますので、それをどういうふうに、ですから強み弱みを生かしていくかということが重要だと思います。
#53
○山本太郎君 ありがとうございます。
 引き続き岩間先生にお聞きします。
 資源エネルギー庁の平成二十七年度の年次報告によると、日本の発電に対する各電源の割合、石油が一四%である、その全体の一四%を占める石油の輸入先、これ八二%が中東からだということらしいんですけれども、先生が先ほど御懸念されておりました、今後アメリカが中東から手を引いた場合を考えると、コストが大幅に膨らむということもあると思うんですね、日本にとって。
 お聞きしたいのが、中東からの輸入に頼らない、この二十七年度の一四%分のうちの八二%ですか、中東から頼っているものを中東に頼らなくするということは可能なんでしょうか。東南アジアとかほかの地域で賄うということは可能なんでしょうか。一分半ほどでお願いできますか、お願いします。
#54
○参考人(岩間剛一君) まず、アジア大洋州というのは、石油の需要は非常に大きく伸びています。先ほど柴田先生もお話をしたように、今、欧州諸国等では基本的にエネルギーの消費量って余り伸びていないんですね。ところが、世界全体で見ると、アジア大洋州というのは非常に石油の需要が伸びています。日本はちょっと人口減少で縮小していますけれども。そうすると、需要が伸びていて、しかもある程度大きな量ということになってくると、まとまったロットを輸入するということになってくると、地理的な関係からいっても、日本の場合は中東にやっぱり依存せざるを得ないということがあります。
 もちろん、世界の大産油国の中にはメキシコあるいはカナダといったような地域もあるんですけれども、まずメキシコの場合も実際のところは大西洋からずっと回ってくるというふうなことになってきますし、あとメキシコ、カナダの原油というのは基本的には米国で使われてしまうんですね。
 ですから、そうしますと、日本の場合において一番アベイラビリティーがあるものはやはり中東産の原油になってくる。ですから、そういう意味では、米国が中東に対する関心が低下するということは、日本を含めて、日本、インドあるいは中国、そういった国にとって見ると、それはエネルギー安全保障上から見ると、非常に極めて重要な問題というものを提起しているということは言えると思います。
#55
○山本太郎君 ありがとうございます。
 それに関連したお話といいますか、二〇一四年、原油価格が下落、大きな要因としてサウジアラビアが原油生産量の削減を行わなかった、事実上、原油の生産調整役を放棄したことが挙げられると先生も論文の中で書かれておりました。それで、現在アメリカが世界最大の産油国になったと。アメリカの中東からの原油輸入量が減少していけば、アメリカが中東産油国への依存が小さくなるから巨大な軍事費をわざわざ投入してまで中東に頼るということはなくなっていくんじゃないかというお話の続きなんですけれども、その結果が逆になるという可能性はないのかということについてお聞きしたいんですね。
 要は、アメリカが世界最大の産油国になったのであれば、原油価格を下落させないためにも中東の石油生産量の調整をアメリカが行う、価格をコントロールしていこうというような考えはないんでしょうかね。つまり、アメリカの世界戦略に変更はなしということはあり得ないんでしょうか、先生のお考えをお聞かせください。
#56
○参考人(岩間剛一君) 今御質問にありましたように、中東に対する関心が低下したということは、中東の安全保障に対して、あるいは中東和平に対しての責任というものが低下しているという意味なんですね。
 ですから、逆に言うと、最近のやはりトランプ政権になってからのイランの核合意に対する見直しというような強硬な姿勢とか、あるいは親イスラエルということでエルサレムに大使館を実際のところは引っ越しさせるという、そういったような動きというのは明らかに、ですから中東の要するにそういった和平に対しての責任というものに対する関心の低下ということがあると思います。
 そういった中東に対する強硬な姿勢というのは、結果的に中東情勢というものをかなり緊張化させて、結果として原油価格を高騰させる。ですから、先ほど柴田先生もちょっとおっしゃったんですけれども、実際のところ、トランプ政権のやっていることというのは、要するに、米国はシェールガス、シェールオイルの開発の促進をしながら、同時に中東の情勢を緊張化させることによって、原油価格が上がりながら米国の石油産業が利益を上げられるという、そういったウイン・ウインの関係に結果としてはなっている。まあ、どこまで計算しているかどうかは分からないということがありますけれども、そういうふうな形で結果としてはなっているということがあると思います。
 ちなみにもう一つ補足すると、実際に米国とサウジアラビアとの関係というのは前と比べるとかなり冷却化しています。というのは、なぜかというと、九・一一同時多発テロのときの遺族がサウジアラビア政府に対して損害賠償の訴訟を起こしてもいいというふうなことが米国の議会において可決されています。ですから、そういった形で、従来のサウジアラビアの原油に依存することによって米国とサウジアラビアが非常に親密な関係にあるという関係からかなり実は変化をもたらしているというふうなことが言えます。
 ですから、そういう中で、日本はサウジアラビアから一番原油を輸入していますから、そういう意味では、日本の立ち位置というのは非常に慎重に考える必要があるというふうに考えています。
#57
○山本太郎君 ありがとうございます。
 続いて柴田先生に、教えていただきたいことが一点と質問が一点あります。
 教えていただきたいことに関しましては、論文の中で述べられていました食糧競合とは何なんですかということを、短い言葉で言うとどういうことなのかということを教えていただければと思います。
 そして、質問についてはバイオエタノールについて。日本のバイオエタノールの生産量は年一・五万キロリットル、〇・〇三%、例えばガソリン生産量と比較するとそれぐらい小さなものであると、体積比で。自給率は僅か二%で、九八%はブラジルなどからの輸入に頼っていると。
 これによって得られるものって一体何なんだろうと思うんですよね。たったこれだけのものをといいますか、日本全体にとってはこのバイオエタノールというものは、言い方悪いかもしれないですけど、余り役に立っているようには思えないと。それでいて、例えば現地の方々の土地の収奪だったり、労働力の収奪というものにつながる可能性があるのではないかと。
 日本が他国の食糧競合に加担、推進するようなことになるおそれはないんでしょうか。今後もバイオエタノールを輸入し続ける必要性というのはあるんでしょうか、教えてください。
#58
○参考人(柴田明夫君) 食糧競合というのはきれいな言葉で言ったんですが、食糧争奪戦の話であります。中国、あるいは最近は、今後やはり中東、北アフリカ、MENA地域、ミドルイースト、ノースアフリカ、ここは人口が五億人ぐらいありまして、若年層が多いんですね。食糧の消費量が増えている。乾燥地帯なので余り生産増えない。トルコ、イラン、エジプト、農業大国あるんですが、生産増える余り見通しがない。輸入が増えているんですね。小麦ですと、世界の貿易量の三割が輸入になっています。トウモロコシ、大豆、キャノーラ、牛肉、米、こういったところが輸入が増えているんですね。日本と競合するんです。だから、日本もこれは、いつまでも安いもので良質なものを手に入れる、入るという状況は変わってきていると思います。
 それから、先ほどのエタノールの一%弱と。やっぱりこの一%弱というのは余り意味がなくて、そういう意味では、なかなかガソリン、石油業界が自分のところに混ぜこぜにされるのは余り好ましくないなという感じはあるんだと思うんですね。その一%の輸入の分というのは、ただ、御懸念の部分はこれ、いわゆるサトウキビのエタノールですから、直接食糧と競合するという話でもないんで、そういう意味では余り心配はないのかなと思います。ただ、サトウキビのエタノールが生産増えることによって玉突き現象で、何というかな、あそこのアマゾンとかですね、こういったところの森林がどんどんと奥にやられるというような可能性はあると思いますね。
#59
○山本太郎君 終わります。
#60
○会長(金子原二郎君) 他に御発言はございませんか。
 山下雄平君。
#61
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 まず、柴田参考人にお伺いしたいんですけれども、私、参議院のODA調査の派遣で先月ウズベキスタンに行ってまいりました。ウズベキスタンというのは、旧ソビエト時代に計画された古い非効率な発電所がかなり残っていまして、日本のODAによって新しい高性能のプラント建設を進めているところでした。古いやつが新しいやつに置き換わっていくことによってウズベキスタン自体が自国のエネルギー資源を更に輸出できるようになったりとか、また、電力自体を自国から隣国のアフガニスタンに輸出することによって過激派を生み出すような地域の安定にも貢献しているということで、非常に日本のODAとして有用だなというふうに感じたんですけれども、一方で、ODA予算を今後更に更に増やしていくというのはなかなか難しい状況を考えると、戦略的にやはりODAを進めていかなければならない、プラントの開発援助なんかを戦略的に考えていかなければならないということを思うと、私、各国いろんなところに行ったことがないので、日本としてどういった国にそうした開発援助を進めていくべきかということを、日本のエネルギー戦略という面でもいいですし、また地域への安定の貢献という点でもいいんで、所見がございましたらお考えをお聞かせください。
#62
○参考人(柴田明夫君) 私もウズベキスタンというのは余り知見がないんですけれども、ここは発電所というのは何発電なんですか、電源は、水力、火力。
#63
○山下雄平君 火力発電です。
#64
○参考人(柴田明夫君) 火力発電ですか。
 私、このODAという部分でいくと、やっぱりアフリカなのかなという気がいたします。大体アジアは行き着いているということで、今後まだ安定が必要なところといったら、やっぱりあのアフリカの十三億ぐらいの人口を対象にしたところの市場が、まあいろいろ問題も多いですけれども、一つ対象になってくるのかなと、こんなふうに考えております。
#65
○山下雄平君 同じ質問を岩間参考人にもしたいと思うんですけれども、資源開発という意味ではなくて、プラントを含めた政府開発援助というのをどういった国に日本として戦略的に進めていくべきかということについて、所見がございましたらお考えをお聞かせください。
#66
○参考人(岩間剛一君) プラント輸出については、皆さんも御承知のように、海外のインフラ戦略というのを実際のところは政府で策定していて、御存じだと思うんですけれども、実際に難しいのは何かというと、私自身も資源エネルギーをですからもう三十年近くずっと研究していますから分かるんですけれども、実際に今御質問のあった例えば石炭火力発電とか天然ガス火力発電といったものの日本のプラントの輸出というのは実は総合商社さんがかなりいろいろとやってはいるんですね。ただ、実際のところは、例えばベトナムの例を取ると、ベトナムの石炭火力発電の受注のうちの九割というのは価格が安い中国製の実は火力発電のプラントを導入しています。
 ですから、そういう意味でいうと、日本の場合はどちらかというと、石炭火力については超々臨界圧石炭火力発電とか、あるいは天然ガスについては高効率の天然ガスコンバインドサイクルといったような、かなり効率が良くて、しかも、要するに炭酸ガスの排出量が少ない地球環境に優しい火力発電ではあるんですけれども、価格が高いんですね。実際のところは、中国の石炭火力発電というのは、日本の火力発電と比べると価格が六割程度と安いんです。
 そうすると、実際のところは、途上国においては圧倒的にやっぱり安価な中国製のものを取ってしまうということで、アジア諸国の例えばインドネシア、あるいはアフリカ諸国においても例えばモザンビークとか、そういった国々でも、日本の総合商社さんは中国の安価な火力発電との間でのインフラ商戦で結構苦戦をしています。ですから、先生方ももう既に御承知だと思いますけれども、例えばアブダビの原子力発電についても韓国に取られましたし、それから、実際のところは、ベトナムの場合も原子力発電についてはこの前、ですからもうベトナムは撤退したということで、それじゃ、ベトナムの石炭火力はどうなっているかというと、日本も超々臨界圧に関して実際のところ総合商社がやっていますけれども、ただ、それ以外の亜臨界圧という、品質が劣っているけれども価格の安い火力発電については、実はハルビン電気とかそういったような、圧倒的に中国のメーカーが強い。
 ですから、そういう中で、どこの国ということでいうと、どちらかといえば、私の個人的な意見としては、親日的な、要するに、簡単に言いますと、例えばインドネシアとか、トルコとか、あるいはベトナム、あるいはフィリピン、そういった親日的な国というのに比較的日本というのはそういった火力発電のビジネスというのを展開しやすい、インフラ輸出をしやすいと思いますけれども、その中でもやはり中国との厳しい競争の中でどう勝ち抜いていくかということが非常に重要で、そこのところでは、効率の面と、それから環境に優しいという面と、その両方を考えていく必要があるというふうに思います。
#67
○山下雄平君 ありがとうございます。
 以上で終わります。
#68
○会長(金子原二郎君) 他に御発言はございませんか。
 矢田わか子さん。
#69
○矢田わか子君 済みません、先ほどは時間がなかったので、一つだけ岩間先生に追加で質問をさせていただきます。それはシェールガスの日本への輸出についてということであります。
 今年の一月に初めて新潟県の上越発電所にシェールガスを、天然ガスが到着したということなんですけれども、原子力の発電所が本格的に稼働しない中において、発電における天然ガスの位置付け、高位で続いていくものと思われます。そうしたときに、どんな戦略でもってこうしたシェールガスの輸入を促していくのか、確保していくのかということについて御見識をお伺いできればと思います。
#70
○参考人(岩間剛一君) LNGの問題というのはかなり専門的なお話ですので、なかなか分かりにくいお話だと思うんですけれども、日本の場合これまで、実は東日本大震災前までは、実際日本の場合においてはLNG火力というのは基本的にミドル電源として扱っていたんですね。電源というのは、二十四時間稼働するベースロード電源としての原子力発電と石炭火力、それから、その途中の、要するに需給の調整のためのミドル電源、真夏のピークのための石油火力電源というふうな形の電源に三つに分かれています。ただ、日本の場合、原子力発電の再稼働が不透明な中において、ミドル電源であれ、LNG火力をフル稼働させることによって実際に停電というものを起こさずに済んできているというのが現状です。
 そういった意味で、今後もどうかというと、今後については、原子力発電の推進の是非はともかくとして、実際問題として、原子力発電の再稼働というものがなかなか不透明な状況の中においては、今後やっぱり二〇二〇年に向けて、基本的にミドル電源であるLNG火力というものを実際のところはフル稼働させることによって日本の電力不足というものに対応するということになるわけです。
 ただ、そこで、LNGの問題は何かといいますと、日本は世界のLNGの三分の一を輸入する世界最大のLNG輸入国です。しかし、にもかかわらず、日本が先導的に要するにLNGのプロジェクトを実際のところは構築していく過程の中において、LNGの価格については、さっきも申し上げたように、原油価格連動、それから長期契約ということで十五年から二十年の長期契約、それからあと、仕向地とか転売を禁止するという、そういった形で、かなり日本にとって余り有利ではない条件でLNGを輸入していたわけです。それによって、結局のところは、東日本大震災以降、非常に高いLNGを買うことによって電気料金の値上げにもつながってしまったということがあるわけですね。
 ただ、足下のところではどうかといいますと、世界的に見るとLNGの価格が余りに高くて、実際にLNGの輸出国が相当な利益を実は上げてしまったんですね。その関係でLNGのプラントの増設が相次いでいることから、今、二〇一七年時点においては、世界のLNG貿易は、大体年間二億四千万トンに対して世界のLNGの生産能力は三億トンを超えています。ですから、明らかに供給過剰な状態になっています。
 ですから、そういう意味でいうと、今御質問にあったように、日本の場合においては、まず米国あるいはカナダといったようなところのシェールガスを原料としたLNGを輸入することによって、従来の硬直的な取引慣行というものを変えることによって、まず原油価格連動というものから、要するにLNGの市場の需給の実勢に合わせた形でのLNGの購入に変えていくということ。
 それからもう一つは、今まで電力企業さんは基本的に価格の安さということよりも供給の安定性に重心を置いていたんですね。ところが、エネルギーの産業というのがだんだん価格、要するに供給の安定性よりも効率あるいは価格の安さ、こういったものに軸足がだんだんと変わってきているわけです。そうなってくると、従来のようにともかく要するに供給の安定さえあれば価格は高くてもいいという考え方から、これは実は総括原価方式というふうな、そういった電力料金の決め方にも問題があったというふうに私は考えていますけれども、そういった総括原価方式が変わり、電力の自由化が進んでいく中で、実際に少しでも安いLNGを買って国民の生活というものについてもう少し、ですから、要するに利便性を図るという観点から見れば、実際のところはLNGの輸入先を多様化する。
 ですから、具体的に言うと、今お話ししたように、米国のシェールガスを原料としたLNGを輸入することによって原油価格連動とは関係のないLNGを入れる。あるいは、それから要するに転売が認められているわけですから、そうしたらば日本が買って、実際のところはディーリングを行うことによってより高く買ってくれるところに売ることによって、そのディーリングによって利益を上げていく。さらには、例えばカタール産と米国産とでてんびんに掛けて安い方のLNGを買う。
 そういう形で、実際のところはいろんな工夫を行うことによって、より安いLNGを輸入することによって最終的には電気料金の値下げを通じて国民生活の向上を図ることができるというふうに私は考えています。
#71
○矢田わか子君 ありがとうございました。
#72
○会長(金子原二郎君) ほかに。
 青山繁晴君。
#73
○青山繁晴君 ありがとうございます。
 今日出るかと思って出ない質問が一個あるので、あえてそのことだけお聞きしたいんですけど、岩間先生と柴田先生お二人それぞれからお聞きしたいんですけど。
 僕は、かつてペンシルベニアの農家に実際に行きましたら、シェールオイル、シェールガスの掘削地の辺りで風呂おけが実際真っ黒の水でいっぱいでした。それで、因果関係は分からないとは言いつつも、住民たちにとっては大変な事態でしたけれども、リベラルと言われたオバマ政権が環境保護局、EPAに命じたのは給水車の出動であって、僕の知る限りですよ、全体像をコンプリヘンシブに見たわけではないんですけど、給水車が出てお風呂に水を持ってきてくれて、しかし農家の人々は大変困惑していたというのを別件で行ったペンシルベニアで実際経験したわけですけど。
 これを例えばハーバードとかそういうところで、後でそういう系統の人と議論したときに、合衆国がやっている間はまだいいかもしれないけど、中国とか、あるいは東欧ですとポーランドとか、あるいはアフリカですと南アとか、技術力が低いんじゃないかと思われる、特に中国でシェールガス、シェールオイルの掘削や開発が大規模化すると環境影響というのが余りにも膨大になって、結局、シェールオイル、シェールガスはそう長くもたないんじゃないか、環境負荷が大き過ぎるということで生産中止に追い込まれるんじゃないかという話をハーバードとそれからもう一つMITの学者がしていたんですけど、この点については、ただいま現在の状況とそれから今後の見通しについて、岩間先生、柴田先生、それぞれいかがでしょうか。
#74
○参考人(岩間剛一君) 今の御質問ですけれども、私は、資料の中にもありますように、実際に、ですからシェールガスを開発することによって水質の、要するに飲料水等の汚染の問題とか地震の誘発、これは盛んに言われていまして、米国のニューヨーク州あるいはカリフォルニア州等においては水圧破砕によるシェールガスの開発は禁止されています。パリでもそうです。ですから、基本的にそういった動きが一部あることは確かです。
 ただ、実際にこのシェールガスの開発、シェールオイルの開発によって環境がどの程度破壊されるかということについてはかなり実は議論がされています。ですから、地球温暖化の問題とシェールガスの開発による環境破壊の問題というのは、これは実は立場によってかなり議論の違いがあって、どれが正しいかというのは必ずしも言えないということがあります。米国も、御承知のように、マサチューセッツ州とかそういったような民主党が強い環境保護派と、テキサス州のように要するに環境保護に余り関心のないそういった産油州とにはっきり分かれちゃうんですね。ですから、皆さんも知っているように、ブルーステーツとレッドステーツに分かれますから。
 そうすると、結局のところは、オバマ政権においては、基本的に政府の所有地においてはそういったシェールガスの開発に関してかなり環境規制を掛けていますけれども、今のトランプ政権においてのプルイットというEPAの長官は、政府の所有地においてもシェールガスの開発についての規制の緩和について前向きになっています。
 ですから、今御質問にあったことでいうと、正確に言うと実際のところはいろんな研究がありまして、実際、二〇一五年ぐらいのEPAの報告では、シェールガスの開発によって特に環境の破壊というようなことは例としてはないというような報告書が出ています。ただ、もちろん、今もお話にありましたように、ニューヨーク州あるいはマサチューセッツ州においては、やはりシェールガスの開発によって環境破壊があるというふうな懸念から、それが禁止されているという状況ですね。
 ただ、今、足下の状況で見ると、明らかにトランプ政権においては、そういったシェールガスの開発あるいはシェールオイルの開発によって環境破壊というふうな例はないので、環境規制を緩和してシェールガスの開発、シェールオイルの開発を進めていこうというふうな政策になっていますので、そういう意味では、トランプ政権の間においてはシェールガスの開発というのは今後も進められるというふうに私は考えています。
#75
○参考人(柴田明夫君) シェール革命というのはやっぱりアメリカならではの革命で、エネルギー産業が成熟化し、パイプラインがもう縦横無尽に引かれた中で、しかも職人技というか、結構、開発していくのでその職人のノウハウが要るというようなことが言われていますので、だから、それが世界あまねく、中国も含めた革命に広がってはいっていないんで、そこを無理やり広げた場合には環境破壊と自然の劣化をもたらすとは思うんですけれども。
 ただ、やっぱりアメリカにおいてもそういうふうな事例としては、水の汚染とかの問題とかは実際はあるんで、だからこそ環境の規制が強まっている、開発規制が強まっていると思うんですが、今度のプルイットEPA長官というのは、地球温暖化は捏造だとか、こういう話ですから、なかなか容易ではないなという気がします。
#76
○青山繁晴君 今のお答えを受けて、あくまで補足でお聞きしたいんですけれども、岩間先生がおっしゃったとおり、トランプ大統領とプルイット新長官によって、トランプ大統領の任期がもし四年続くとすればですけど、弾劾を受けないとすれば、その間は当然続けようとするんでしょうが、そうすると矛盾も恐らく拡大して、そして、シェールオイル、シェールガスがマーケットを席巻することになると、技術力の低い中国なども、技術力自体はアメリカから裏も含めて買ったりということは当然予想されますね。そうすると、普通で考えれば、トランプ政権が言わば進めれば進めるほど、国際機関で何とか、中国のように情報量が少ないところについても環境影響を調査しようというような動きが普通ですと出るんじゃないかと思うんですよね。
 それがトランプ政権にとってもやがて足かせになって、もう一回言いますが、もう一回お聞きしますけれども、シェールオイル、シェールガスが、やり過ぎたために実はその後の進展が弱まるという可能性についてはいかがでしょう。岩間先生と柴田先生それぞれ、あと時間は三分だけです。
#77
○参考人(岩間剛一君) 簡単にお話しします。
 まず、環境破壊に関しては、もちろん、ですから、米国の今お話ししましたようにマサチューセッツ州等でネガティブキャンペーンがかなり行われていて、環境破壊は行われているというふうな話があるんですけれども、ただ、石油業界の一般的な通説としては、シェールガスの開発、シェールオイルの開発において環境破壊の例はないというふうに石油業界の通説ではなっています。それがまず第一です。
 それから、第二の問題としては、中国、ポーランド等において、シェールガスの開発というのは、例えばロイヤル・ダッチ・シェルさん等とかが実際のところは進めています。ただ、最初に私が私の報告のところでもお話をいたしましたように、二〇一七年時点において、中国、ポーランドにおいても実ははかばかしい成果が出ていないんです。
 なぜ出ていないかといいますと、シェールガス、シェールオイルというのは、これは要するに米国の特有のノウハウを使って米国の地質構造に合ったそういった生産技術の下で開発に成功しているんです。ですから、中国の地質構造というのは、まだ実は米国の石油企業が完全に把握をしていません。
 それからあと、シェールガスの開発にとって一番必要なのは水なんです。その水の調達というのは、中国の四川省や貴州省というのは内陸にあって水がないので、そういった意味でシェールガスの開発にとっては、水がないんです。ですから、そういう意味で、実際のところは、直近の課題として、中国あるいはポーランドといった地域においてシェールガス、シェールオイルの開発というものが大きく進むという可能性というのは極めて小さいというふうに私は考えています。
 それからあと、そうすると、開発の可能性が小さいということは、例えば二〇二〇年、二〇二五年といったようなタームで見た場合において、中国あるいはポーランドといったところでシェールガス、シェールオイルの開発によって環境破壊が起こる可能性というのも小さいというふうに考えています。
#78
○参考人(柴田明夫君) 元々、シェールオイル・ガスというのは寿命が短いと、こう言われているもので、だから次々と移動していかなければいけないわけですけれども、今回のこのトランプ政権というのは、結構、持続的に無理なものを一気に前倒しで開発をしてしまおうみたいな強引な話にもなりかねないのかなと。その場合にはもう、また、アメリカにおいてやっぱり環境の問題というのは、自然の劣化の話ですね。
 私は、このエネルギーも含めた資源全般の問題としては二つ問題があって、一つは、今までは生産サイド、資源の埋蔵量とかそういうのを含めた生産サイドの問題でしたけれども、今世紀に入ってはっきりしてきたことは、もう一つは、廃棄物というか、だんだんだんだん鉱脈も品位が落ちてくる中で、いわゆる廃棄物がどんと出るわけですね。その結果、自然が劣化していく、水の制約も強まる、それから捨場がなくなってくると、そういう問題で、こちらの問題が非常に重要だなと思うんです。そこを強引に開発していった場合には、この自然の劣化の問題というのはやっぱり捨ておけなくなるのではないかと危惧しています。
#79
○会長(金子原二郎君) 青山先生、時間が来ていますが、いいですか。
#80
○青山繁晴君 ありがとうございました。
#81
○会長(金子原二郎君) ほかはいないですか。ほかはいないですね。
 他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 岩間参考人、柴田参考人及び安達参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。大変参考になりましたので、これからも私たちもこれを参考にしていろいろと準備を進めていきたいと思っております。改めてお礼を申し上げさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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