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2017/05/10 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号
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2017/05/10 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号

#1
第193回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号
平成二十九年五月十日(水曜日)
   午後三時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十一日
    辞任         補欠選任
     青山 繁晴君     大家 敏志君
     佐藤  啓君     大沼みずほ君
     宮崎  勝君     杉  久武君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     大家 敏志君     山下 雄平君
     里見 隆治君     竹谷とし子君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     井上 哲士君     山添  拓君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 哲郎君
    理 事
                中西 祐介君
                堀井  巌君
                三宅 伸吾君
                礒崎 哲史君
                河野 義博君
                辰巳孝太郎君
    委 員
                朝日健太郎君
                有村 治子君
                石井 準一君
                岩井 茂樹君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                佐藤 正久君
                松下 新平君
                松山 政司君
                元榮太一郎君
                山下 雄平君
                相原久美子君
                大塚 耕平君
                古賀 之士君
                長浜 博行君
                藤末 健三君
                牧山ひろえ君
                杉  久武君
                竹谷とし子君
                山添  拓君
                清水 貴之君
                藤巻 健史君
                又市 征治君
   副大臣
       外務副大臣    薗浦健太郎君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   政府参考人
       外務省国際協力
       局長       山田 滝雄君
   参考人
       独立行政法人国
       際協力機構理事
       長        北岡 伸一君
       独立行政法人国
       際協力機構理事  加藤  宏君
       独立行政法人国
       際協力機構理事  前田  徹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (参議院政府開発援助調査に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(野村哲郎君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、宮崎勝君、青山繁晴君、佐藤啓君及び里見隆治君が委員を辞任され、その補欠として杉久武君、大沼みずほ君、竹谷とし子君及び山下雄平君が選任されました。
 また、本日、井上哲士君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(野村哲郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に外務省国際協力局長山田滝雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(野村哲郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に独立行政法人国際協力機構理事長北岡伸一君、同理事加藤宏君及び同理事前田徹君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(野村哲郎君) 政府開発援助等に関する調査のうち、参議院政府開発援助調査に関する件を議題といたします。
 本日は、平成二十八年度参議院政府開発援助調査派遣団参加議員の方々から各十分程度御意見を伺った後、六十分程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。
 御意見を表明していただくのは、第一班のアンゴラ共和国、南アフリカ共和国、マラウイ共和国、モーリシャス共和国については佐藤正久君、第二班のブラジル連邦共和国、チリ共和国については松下新平君、第三班のカンボジア王国、シンガポール共和国、ミャンマー連邦共和国については岩井茂樹君、第四班のウズベキスタン共和国については山下雄平君です。
 なお、御意見を表明される際は着席のままで結構です。
 それでは、まず、第一班の佐藤正久君からお願いいたします。佐藤正久君。
#8
○佐藤正久君 ODA調査派遣第一班について御報告いたします。
 当班は、本年一月十日から二十日までの十一日間、アンゴラ共和国、南アフリカ共和国、マラウイ共和国及びモーリシャス共和国の四か国に派遣されました。今回の派遣先決定に当たっては、我が国にとって外交上重要であると考えられる国の中で、参議院派遣団の訪問実績のない国を優先しております。
 派遣議員は、堀井巌議員、杉尾秀哉議員、そして私、団長を務めました佐藤正久の三名でございます。
 本日は、調査を通じて得られました所見を中心に、その概要を御報告いたします。
 まず、アンゴラについて申し上げます。
 第一の所見として、日本の特徴を生かしたきめ細やかな支援の必要性を指摘したいと思います。
 今回、当班では、ヴィアナ職業訓練センター、ジョシナ・マシェル病院の二か所を視察しました。
 ヴィアナ職業訓練センターは、インフラ整備のための人材の育成を進めている施設であり、石油依存体質からの脱却を図り経済の多角的発展を目指すアンゴラにとりまして重要な役割を担っています。これまで施設、機材等の量的拡充を中心に支援を行ってまいりましたが、今後は、質的充実を目指し人材の高度化に対応するため、能力強化プロジェクトを実施し、ブラジルの専門家の協力を得て、より高度な指導を行うこととしております。
 ジョシナ・マシェル病院は、アンゴラで最大規模の総合病院であり、我が国から複数回にわたり機材を供与してきました。機材は日常的に使用されており、コストパフォーマンスに優れた支援となっておりますが、一部の機材では老朽化が目立ち、故障等で利用できなくなっているものも見受けられました。また、同病院には日本人スタッフが不在でしたが、今後要請があれば人的、技術的支援も考えられるところであります。
 また、アンゴラでは、内戦終了後十五年を経過した現在もなお多数の地雷が埋設され、経済復興や民生安定の妨げとなっていることから、NPOであるJMAS、日本地雷処理を支援する会が、地雷除去だけではなくインフラ整備や子供たちへの教育を行っています。JMASの活動は本年五月での終了が予定されているため、その後の継続支援の在り方を考える必要があります。
 以上、いずれの支援も、現地の要請に応じて、魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるという手法、すなわち、将来の成長、発展につながる適切な方法で支援が行われています。今後とも我が国らしい創意工夫を通じ、成長段階に応じて、将来の発展につながるきめ細やかな支援を継続することが望まれます。
 アンゴラについて付言すると、現在、同国には青年海外協力隊員が派遣されていません。派遣のための技術協力協定が早期に締結されるとともに、隊員の派遣等を通じて我が国のプレゼンスが高まることを期待しています。
 次に、南アフリカ共和国について申し上げます。
 南アフリカ共和国は、アフリカ唯一のG20参加国であり、既に一定水準以上の経済発展を達成しているため、利用可能な無償資金協力は限定的です。また、今回の訪問でお会いした閣僚や国会議員には、有償資金協力など制約が伴う制度の利用よりも、技術協力等を通じた人的支援や企業の進出による直接投資の増加を求める声が強い上に、今後の成長モデルとして日本の長所を積極的に学びたいという姿勢がうかがえました。
 したがって、今後の南アフリカ共和国との関係は、共にG20の参加国としての水平関係を基調としつつ、経済、技術分野における世界有数の先進国として的確な助言を行い、同国が中所得国のわなに陥らず順調に成長、発展を遂げるよう協力することが適切と考えます。
 今回の訪問では、ケープタウン市子供病院を視察しました。同病院は二〇一四年度の草の根支援として七百五十万円相当の機材の無償供与を行った施設ですが、不可欠な機材としていずれも日常的に利用されていました。また、研修医として同病院に派遣されている日本人医師からは、珍しい臨床事例を豊富に経験することができるという話がありました。同国との人的交流を進めることで我が国では得ることができない貴重な経験をすることが可能であり、我が国にとっても意義があると考えられます。
 次に、マラウイについて申し上げます。
 マラウイについては、将来を見据えた支援の在り方を考える必要があります。
 マラウイは、我が国から青年海外協力隊員が既に千七百名以上も派遣されており、全世界でも一、二を争う実績のある派遣先国となっています。
 我が国は、マラウイに対して有償資金協力及び無償資金協力を合わせて約一千億円の支援を二〇一四年度までに行ってまいりました。しかし、二〇〇六年度に円借款の債務免除を実施するなど、同国の経済財政状況は悪く、近年では干ばつが発生するなど、アフリカでも最低レベルの生活水準にとどまっています。
 今回、当班は、マラウイの第二の都市であるブランタイヤ市から首都のリロングウェ市まで自動車で一日掛けて移動しながら、我が国のODAの実施状況を視察いたしました。
 ブランタイヤ市では幹線道路の整備状況を視察しました。我が国の約三十億円の無償資金協力により、輸送時間の短縮と渋滞の解消及び維持管理費用の削減に寄与している現場を確認しました。
 次に、マラウイ国道三号線にあるマンゴチ橋を視察しました。我が国の約十四億円の無償資金協力により木造一車線からアスファルト敷設二車線に架け替えられており、同国の経済活性化に寄与しているとのことでした。なお、同橋梁建設の際の銘板が喪失しており、早急に復旧するように求めたところ、マラウイ政府により三月二十五日に再設置されたと聞いております。
 さらに、マンゴチ県ナンクンバ村にあるゾコマ・ハニー・グループによる蜂蜜生産を視察しました。JICAによる一村一品運動活動支援を受けて村全体で蜂蜜生産に取り組んでいるものであります。試食いたしましたところ、バオバブの花粉から取られた蜂蜜は大変高品質でありました。
 翌日はリロングウェ市内を視察しました。
 最初に訪問したのがムクイチ中学校です。我が国の約十一億円の無償資金協力により、設備、機材の整備が行われました。日本人青年海外協力隊員が担当する理科の授業を拝見しましたが、生徒は全員が意欲的に取り組み、教育レベルも高いと感じました。
 次に訪問したのがカムズ国際空港です。同空港は我が国からの円借款等の資金により整備され、一九八二年に開港されました。近年利用者数が増加し、ターミナルビルの拡張など設備増強が喫緊の課題となっています。また、同空港の航空保安機材についても国際基準から逸脱し改善勧告を受けていました。保安機材については、約八億円の無償資金協力が行われ、空港整備には二〇一九年までに約三十七億円の無償資金協力が行われることとなっています。今回の視察では、機材が整備、活用され国際基準達成が見込まれることや、今後の空港の整備計画について現場で説明を受け、確認しました。
 最後に、空港に隣接する航空学校を訪問しました。JICAを通じて航空管制人材育成プロジェクトによる技術協力が実施されており、供与されたシミュレーターを用いた授業の様子を視察しました。
 以上の視察結果を踏まえて、当班が考える今後のマラウイへの支援の方向性は次のとおりです。
 第一に、主要産業である農業の生産性向上のためにかんがい施設の整備が必要となります。特に、電力インフラであるダムの整備が理想です。
 第二に、道路、空港などのインフラ整備は極めて重要です。今後とも要請に応じて我が国から質の高い支援を行っていく必要があります。
 第三に、一村一品運動はJICAの支援を通じて着実に成果を上げており、マラウイの農工業製品の付加価値を高めています。今後は、民間の専門家の知恵を生かして販路開拓を進め、生産規模を拡大することが課題です。
 第四に、全ての産業の発展に必要なのは人材の質の向上です。教育面では、教育専門家の派遣、日本への留学制度の活用が考えられます。
 最後に、青年海外協力隊については、志の高い隊員も多く、現地での評価が大変高いのが印象的でした。隊員の将来の勤務先を考える際に国際機関職員へのキャリアパスを整備することも検討の余地があると考えます。
 最後の訪問国としてモーリシャスについて申し上げます。
 モーリシャスは一人当たりGDPが九千二百十八ドルの高中所得国であり、我が国の協力分野は限られています。一方、小島嶼国連合等で中心的な役割を果たすことから、我が国の外交戦略上も重要な国であります。
 今回の訪問では、島の高台にある建設中の気象レーダーサイトの視察を行いました。モーリシャスは島嶼国であり、海面上昇やサイクロン等の自然環境の影響に対して脆弱であるため我が国の気象観測における経験を活用しようとするものであり、大きな期待が寄せられていました。また、三名の閣僚と意見交換を行いましたが、いずれも我が国からのODAによる支援の継続を求めていました。ロボット、ナノテクノロジー等の高付加価値産業だけでなく、水産業でも我が国からの積極的な投資が求められました。特に、IT担当大臣からは政府職員の訪問を含むIT分野での両国間の交流強化の要望がありました。
 モーリシャスの現在の経済発展の状況や将来性を考慮すると、今後は、技術協力を中心とするODA関係事業にとどまらず、観光、IT、水産等分野の民間投資を含めた二国間の協力関係を戦略的に発展させていくことが適切であると考えます。
 最後になりますが、今回の派遣に当たり御協力いただきました外務省及び在外公館、JICAを始め、現地で御活躍される青年海外協力隊や日本企業の方々に心から感謝を申し上げ、報告といたします。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(野村哲郎君) ありがとうございました。
 次に、第二班の松下新平君にお願いいたします。松下新平君。
#10
○松下新平君 ODA調査派遣第二班について御報告いたします。
 当班は、去る二月二十日から三月二日までの十一日間、ブラジル連邦共和国及びチリ共和国に派遣されました。
 派遣議員は、中西祐介議員、礒崎哲史議員、そして私、団長を務めました松下新平の三名でございます。
 本日は、調査を通じて得られました所見を中心に、調査の概要を御報告いたします。
 初めに、調査全体を通じ感じましたことを申し上げますと、我が国のODAが両国の発展に少なからず貢献し、良好な二国間関係の柱の一つとしても有効に機能していること、また、特にブラジルでは、推定百九十万人にも及ぶ世界最大の日系社会が存在し、日系人を通した日本人に対する信頼感の土台の上にODAが複層的に展開され、同国ならではの良い効果が生まれていることを強く感じました。
 一方、今後に向けた課題として、近い将来、ODA卒業国になることも見据え、新しい発想に基づいた支援、二国間協力の在り方について考えなければならない段階にあるとの認識を持った次第であります。
 以下、順次、視察や意見交換等を行った案件等について申し上げます。
 ブラジルにおけるセラード農業開発協力事業につきましては、同国の発展のみならず、世界の食料の需給バランスの安定確保の上においても誠に意義深い取組であったと改めて認識いたしました。今回訪問したブラジル農牧研究公社・セラード農牧研究所では、日本との協力の経験が現在にも大切に受け継がれ、かつてのような協力関係を再開したいとの希望が示されましたが、同国の農業の更なる発展、我が国のプレゼンス拡大の可能性等も見据え、十分検討に値する提案ではないかとの印象を持ちました。
 一方、チリにおいて今回訪問したカトリカ・デル・ノルテ大学浅海養殖センターでは、ホタテ等の養殖技術導入の拠点となった施設でありますが、我が国が供与した施設や機材などが大切に利用されていたほか、地元漁民や大学関係者との意見交換を通じて支援に対する深い感謝の念が言葉の端々から伝わってまいりました。
 これら二つの案件は両国の発展に重要な役割を担った成功事例とされるものですが、いずれも今日までに重要な産業として根付いており、評価できると思われます。
 一方、首都圏州パイネ区では、日本で研修を受けた同区役所の職員が地元のスイカ農家とともに一村一品運動に取り組んでいる現場を視察し、研修の効果を確認することができました。
 次に、防災関係の案件でございます。
 ブラジルにおける統合自然災害リスク管理国家戦略強化プロジェクトは、観測、予警報、リスク評価、都市計画など総合的な能力構築に向けた協力ですが、都市省との意見交換の中で、技術の確かさに加え、それを押し付けるのではなく、相手国の行政システムや慣習を尊重する日本の姿勢が高く評価されていることが印象に残りました。
 また、チリとの間では、同国を拠点に中南米全体で二千人の防災分野の人材育成を展開する中南米防災人材育成拠点化プロジェクト、すなわちKIZUNAプロジェクトの進展を確認することができました。一方、訪問の際には、同国史上最大規模の森林火災が発生しており、我が国からの消火剤の供与等の支援に対し謝意が示されるとともに、災害対応の司令塔である国家緊急対策庁、ONEMIの一層の機能強化への協力に強い期待感が寄せられました。
 また、我が国は、世界津波の日の制定や高知県黒潮町での「世界津波の日」高校生サミットin黒潮の開催、チリを始めとした太平洋沿岸国とのリレー津波防災訓練の実施等に大きな役割を担っております。チリでは高校生を含む関係者と意見交換を行いましたが、こうした取組が防災教育、また防災意識の共有という観点から高く評価できると感じられました。
 次に、その他の分野関連の主な案件について申し上げます。
 ブラジルにおけるサンパウロ州沿岸部衛生改善事業につきましては、日本の支援による下水道施設の拡大や機能強化により、周辺水域の水質向上に効果が上がっていることを確認しましたが、現状では、沿岸の水質が十分良いようには見えず、なお課題があるように思われました。
 また、日本の交番システムを取り入れた地域警察活動普及プロジェクトにつきましては、ブラジル側で犯罪に対する予防措置の必要性を認識し、創意工夫で地域住民と協力し効果も上げております。ただ、治安状況はまだまだ悪く、引き続き協力していくべきであると感じました。
 また、チリにおけるサン・ボルハ病院の視察では、中南米で最高水準とも言われる同国の高い医療技術に我が国の協力が大きく貢献していることが確認できました。一方で、同国の医療サービスの供給網は十分ではなく、我が国による救急車の供与が農村部の医療確保の観点から非常に高い評価を受けていることも印象に残りました。
 次に、三角協力について申し上げます。
 我が国は、両国との間でパートナーシップ・プログラムを締結し、農業、水産養殖、医療、衛生、防災など様々な分野で三角協力を進めております。こうした取組に両国とも非常に意欲的であるとともに、取組を通じ、ドナー国としての意識や能力の向上を促進する効果についても認識いたしました。
 次に、日系社会について申し上げますと、ブラジルにおきましては、入所者の高齢化が進む等、厚生施設の経営環境の変化への対応、若い世代が日本語を学ぶインセンティブの確保や、日本へ出稼ぎ帰国者の子女に対する言語教育などの課題について認識いたしました。日系社会が、日系人としてのアイデンティティーを共有し、現地社会で存在感を維持拡大させつつ、引き続き両国の懸け橋であり続けられるよう、様々な形でサポートしていく重要性を認識いたしました。こうした中で、JICA日系社会ボランティアについては、人数の面でまだ十分とは言えないように感じられました。
 次に、JICA専門家やボランティアにつきましては、その真摯な活動は現地の人々の記憶に深く刻まれていくことを改めて認識いたしました。一方で、青年海外協力隊等JICAボランティアの帰国後の就職問題などがかねてから指摘されておりますが、こうした方々に対する理解が国内企業等の雇用主側に深まるよう、更に広報活動等の強化が必要であると感じられました。
 次に、ODA後をも見据えた今後の課題ということで、感じたことを申し上げます。
 チリにつきましては、本年中にもOECDの援助受取国リストから外れる可能性があり、国内での格差や防災対応等の課題がある中で、今後の我が国との二国間関係や三角協力に影響が及ぶことに懸念があるようでした。やはり、緩和措置的な考え方に基づいて対応を検討する必要があると思われます。
 ブラジルにつきましては、すぐに援助受取国リストから外れる状況ではありませんが、例えば、近年、中国は資源や食料の調達先として大きな期待を掛け、インフラ整備などへの協力とのセットでアプローチを強めております。日本とブラジルには、日系社会の存在やODAを通じた人脈、さらには国民の間での親近感や信頼感が存在しますが、ODAを通じた様々な課題への協力とともに、民間企業の投資を通じた貢献の可能性についても模索していく必要があろうと思われます。しかし、ブラジルコストと呼ばれる複雑な税制、労働、雇用面での過度の保護、治安などの問題が指摘されるなど投資環境は十分に良いとは言えず、対話等を通じた協力、また、こうした問題への対処の負担がより大きい中小企業を適切にサポートする仕組みを考えていくべきではないかと思われます。
 また、日本に魅力を感じ、好意を持つ人々の存在の重要性ということも強く感じました。こうした人々を増やしていく取組をODA卒業後においても継続的に進めていく必要があり、特に、若者を中心に様々な招聘スキームを考え進めていくこと、また、技術、学術、文化等の分野での交流はますます重要性を増していくものと思われます。
 今回、サンパウロにおいて五月に開館しました、当時建設中のジャパン・ハウスを視察しました。ジャパン・ハウスにつきましては、必要性の議論が分かれる指摘もなされてはおりますが、日系社会が集中し、ブラジル経済の中心地から日本の魅力を広く伝える拠点として大いに活用していくべきであるとの感想を持ちました。
 最後になりますが、今回の調査に当たり、視察先の関係者、外務省及び在外公館、JICAに多大な御協力をいただきました。また、JICA専門家や青年海外協力隊員、シニア隊員、日本企業関係者、日系移民の方々からは被援助国の課題や協力活動の実態等について有意義な情報をいただき、意見交換を行うことができました。御協力いただきました皆様方に改めて感謝の意を示したいと存じます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#11
○委員長(野村哲郎君) ありがとうございました。
 次に、第三班の岩井茂樹君にお願いいたします。岩井茂樹君。
#12
○岩井茂樹君 ODA調査派遣第三班について御報告いたします。
 当班は、本年二月十六日から二月二十四日までの九日間、カンボジア王国、シンガポール共和国及びミャンマー連邦共和国に派遣されました。
 派遣議員は、三宅伸吾議員、古賀之士議員、竹谷とし子議員、山添拓議員、そして団長を務めました私、岩井茂樹の五名でございます。
 今回訪問した三か国の現状は、これまでの歴史的歩みや地理的条件等の違いから大きく異なりますが、とりわけ後発開発途上国であるカンボジア及びミャンマーが成長を持続していくためには、戦略的なインフラ整備と経済発展を担う人材の育成が極めて重要となります。
 本日は、今回の調査から得られた知見に基づき、派遣団が考えるODAに係る課題につきまして、その概要を御報告いたします。
 まず、インフラ整備をめぐる課題について四点申し上げます。
 第一に、質の高いインフラ整備を行うメリットの周知の必要性であります。
 ODAによるインフラ整備の際、我が国は事前調査を入念に行い、ライフサイクルコストを勘案した質の高い援助を行っておりますが、訪問国からは、財政上の制約がある中で、当面は量的な拡充や整備のスピードを優先したいという見解が示されました。
 中長期的に見れば効率的かつ信頼性も高い我が国の質の高いインフラ整備のメリットについて、相手国の理解を深めるべく丁寧に説明することが必要です。また、スピードと質の両立ができるよう、円借款等の使い勝手の向上とともに、相手国が真に必要としている支援を十分把握し、柔軟に対応する姿勢が一層求められております。
 第二に、官民パートナーシップ、PPPを活用した民間企業等との協力の推進であります。
 ASEAN地域における膨大なインフラ需要に必要な資金を賄うためには、民間の資金とノウハウの活用が不可欠です。カンボジアでは既に空港、発電等の分野でPPPによるインフラ整備が行われていますが、公共事業運輸大臣からは、インフラ整備のためのPPPへの日本企業の投資が要望されました。
 このように、ニーズに応えるためにも、ODAを触媒として民間投資を呼び込み、PPP活用の加速化が必要であります。その際、相手国政府や地元の人々のニーズ等に十分配慮したきめ細やかな取組を行うことにより、相手国と我が国のウイン・ウインの関係を構築することが不可欠であると考えます。
 第三に、我が国の技術の維持、継承であります。
 今回視察したプノンペンのプンプレック浄水場では、北九州市を中心に長期にわたる技術協力が行われております。漏水等のために水道料金を徴収できない割合である無収水率の大幅な低下と水質改善を実現し、プノンペンの奇跡と呼ばれるこの事例は、地方公共団体による水ビジネス展開の成功事例の一つとなっております。このような継続的な技術協力は、我が国の技術者が高い技術やノウハウを発揮する機会にもつながり、橋梁やダムなどの既存施設の老朽化とその対策等が問題となっている分野においても、技術の維持、継承の上で有効な取組であります。
 第四に、更なる道路整備の必要性についてであります。
 カンボジアの首都プノンペン、ミャンマー最大の都市ヤンゴンでは、慢性的な交通渋滞が発生し、円滑な物流等を大きく阻害しており、両国が経済発展を図る上で更なる道路整備が喫緊の課題であることを強く認識しました。
 なお、二〇一六年十一月に本格稼働した電子通関システム、MACCSをミャンマーにおいて視察しましたが、国境を越える物流の円滑化の上で通関手続の効率化、簡素化は不可欠であり、通関に係るシステムの導入とその運用のための人材育成も必要であることを申し添えたいと思います。
 次に、人材育成をめぐる課題について三点申し上げます。
 第一に、産業人材育成における現地ニーズの把握の必要性であります。
 経済発展著しいカンボジア及びミャンマーでは産業人材の育成が急務であることから、両国において日本人材開発センター、日本センターを視察いたしました。
 日本センターは、ビジネス人材育成と日本との人脈形成の拠点として設置されたものであり、各国において重要な役割を果たしています。しかし、日本センターと他のビジネススクールとの差別化には課題もあり、今後、日本センターが財政面、運営面で自立を図り、活動を継続していくためには、日本型経営を学ぶことのメリット等を周知するとともに、現地の経営者等のニーズをより丁寧にくみ上げることが求められます。
 なお、産業人材の育成に関して、ミャンマーにおいて、一般財団法人海外産業人材育成協会、HIDA関係者との意見交換も行いました。HIDAが実施している日本国内研修は、日本への理解を深める上で意義のある取組ですが、研修生が帰国した後も日本との関係が途切れることのないよう、研修生による同窓会等を活用した更なる取組を継続して行うことが必要であります。
 第二に、教育に対する長期的な支援の必要性であります。
 教育は、国の根幹や将来像に大きな影響を及ぼす重要なものでありますが、内戦等の影響により教育システムが崩壊したカンボジア、暗記中心型の教育が続けられているミャンマー共に、教育を量、質共に抜本的に改善することが急務となっております。
 カンボジアでは、草の根・人間の安全保障無償資金協力による比較的少額の支援で校舎の新設等が行われたケオポア中学校を視察いたしました。ケオポア中学校では、二部制授業が解消されるなど教育環境が大幅に改善しており、この無償資金協力による校舎建設は、人材育成の有効な支援策の一つであると認識しました。
 ミャンマーでは、初等教育の改善に向けた支援の状況をヤンゴンの基礎教育研究開発センターにおいて視察しました。我が国の支援は、教科書やカリキュラムの改訂にとどまらず、学習評価や教員養成の改善等を含めた包括的なものであります。従来ミャンマーでは、児童生徒が自ら考えて課題に対処する指導が行われていなかったことから、指導、評価を行う教員の研修、意識改革も極めて重要であり、息の長い取組が求められます。
 第三に、シンガポールと我が国が協力して技術協力を行う二十一世紀のための日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム、JSPP21におけるアフリカ支援の更なる強化についてであります。
 シンガポールは一九九二年から開発途上国に対して技術協力を実施しておりますが、同国は技術協力以外の支援を行っておらず、まさに人材育成を支援の中心に据えております。
 外務副次官からは、JSPP21はASEAN地域における日本の存在感を高めるものであるとの見解が示されるとともに、シンガポールがJSPP21を実施するメリットとしては、日本の専門性と地理的優位性を享受できる点が挙げられました。
 JSPP21の更なる展開に当たっては、シンガポールにとって足掛かりの少ないアフリカにおける取組を一層強化することにより、日本、シンガポール両国が互いに役割を補完し、JSPP21が両者にとってより有意義なものとなると考えます。
 最後に、インフラ整備、人材育成以外の課題について三点申し上げます。
 第一に、幅広い視野を持った法制度全体の整備の必要性であります。
 開発途上国が自立的発展を遂げ、公正かつ安定的な社会運営を行うためには、その基盤となる法制度の構築が不可欠であることから、今回の調査では、ミャンマーの首都ネーピードーにおいて、法整備も含め様々な分野で政策形成に携わるJICA専門家との意見交換を行いました。
 法整備に係る我が国の支援は、相手国の主体性を尊重したきめ細やかなものであると高く評価できる一方、広く全体を見通したプラットフォームの構築に至るような制度全体の構築は苦手であるようにも見受けられます。個別の法律の制定支援にとどまらず、他の制度も含めた広い視野を持つとともに、法整備後の運用面まで含めた支援の強化が求められます。
 第二に、NGOを始めとする多様な主体の更なる連携協力の推進であります。
 開発途上国の支援において、現地に深く根差して継続的な活動を行っているNGOの役割は非常に大きいものがあります。ミャンマーにおいて我が国のNGO関係者との意見交換を行った際、より効果的な開発途上国支援を行うためには、支援に関わる多様な主体が有する知識や人脈等の共有に向け、相互の連携を深めることの重要性が指摘されました。
 既に一定の連携協力は行われておりますが、JICAの現地事務所を核として、より戦略的なネットワーク形成と相互の信頼関係の醸成が必要であると考えます。
 第三に、介護に係るODA実施の可能性であります。
 今回の調査では、ミャンマーにおいて、国立で唯一の高齢者向けデイケアセンター及び同センターと連携して介護人材の育成と日本語教育を実施しているポールスター介護サービス社を視察いたしました。これは、我が国を始めとするアジア地域において人口減少社会が進展する中、我が国が高い知見を有する介護分野は、将来的にはODA案件となる可能性があることから、現地ニーズの把握に向け調査を行ったものであります。
 ミャンマーでは、これまで介護は家族によって担われてきましたが、高齢者の増加や核家族化の進展に伴い、我が国同様、介護サービスの提供や公的な介護制度の導入が必要となる可能性があります。現時点では、ミャンマーにおける介護サービスの提供は緒に就いたばかりであり、人材育成を始め、我が国の支援が必要となる余地は大きいものがあると感じました。その反面、介護は民間企業が率先して取り組んでいる分野であることから、今後介護分野でODA支援を行う場合は、民間企業との役割分担を十分考慮に入れることが必要であります。
 以上が、第三班が今回の調査を通じて認識した課題であります。我が国のODAはこれまで大きな成果を上げておりますが、より一層戦略性を持ち、相手国と我が国双方の国益にかなう未来への投資となるよう、その在り方について改善を続けていくことが必要であります。
 終わりに、今回の調査に当たり、関係者の皆様には多大な御協力をいただきました。改めて深く感謝の意を表し、私からの報告を終わります。
 以上でございます。
#13
○委員長(野村哲郎君) ありがとうございました。
 次に、第四班の山下雄平君にお願いいたします。山下雄平君。
#14
○山下雄平君 ODA調査派遣第四班について御報告いたします。
 当班は、本年一月十五日から二十一日までの七日間、ウズベキスタン共和国に派遣されました。
 派遣議員は、大沼みずほ議員、宮沢由佳議員、石井苗子議員、そして団長を務めました私、山下雄平の四人でした。
 ウズベキスタンは、天然ガスなどの資源に恵まれており、堅調な経済成長が続いている一方、旧ソビエト連邦時代に建設されたインフラの老朽化、市場経済移行後の産業界を担う人材の不足といった課題があります。また、経済成長に伴い都市部と地方部の経済格差が拡大しており、経済成長の成果が広く国民に波及していないという課題も抱えております。
 以下、今回の調査を通じて得られました所見を報告いたします。
 第一に、エネルギーインフラについて申し上げます。
 ウズベキスタンでは、天然ガスを主なエネルギー源とする火力発電所が全体の約八七%の電力を供給しております。しかし、発電施設の老朽化に加え、人口増加と経済発展により、電力供給能力の向上が課題となっております。我が国は、円借款を通じて複数の火力発電所の改修、新設等を支援しており、今回、その中の一つ、タリマルジャン火力発電所を視察いたしました。
 我が国の支援によるガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクルガスタービンの導入により、電力供給能力が向上し、天然ガス消費量及び二酸化炭素排出量が削減されます。さらに、余剰となった天然ガスを化学産業に振り向けることによって雇用機会創出という効果も期待されます。
 発電分野における我が国の強みは、設備が高効率で耐久性に優れていること、工期を守ることです。これらの点について、意見交換した複数の要人や視察先関係者から極めて高い評価をいただきました。
 この成果を確かなものとするためにも、高効率の設備を長期間にわたり高いパフォーマンスで運営することに更に注力すべきであると考えます。そのためには、メンテナンス及び人材育成が重要です。現在も運用保守を支援する事業が進行しておりますが、より一層支援していくべきではないでしょうか。
 第二に、人材育成、教育について申し上げます。
 人材育成では、ビジネス教育事業等を実施しているウズベキスタン日本人材開発センター、UJCを視察しました。UJC側からは、これまでの成果としては、ビジネス研修機関としての評価の確立、ビジネスコース修了者による活発な起業活動等が挙げられるとの説明がありました。
 教育では、日本語教育機材の提供や日本語教師の派遣を行っているウズベキスタン国立世界言語大学、タシケント国立東洋学大学を視察しました。これらの大学では多くの学生が日本語を学んでおり、日本に対する関心の高さや、学生たちの日本語が相当上達していることが分かりました。大学側は、日本人教員を高く評価するとともに、各種日本語文献の寄附等を要望されました。
 このように、人材育成、教育に関する支援が着実に進んでいることは確認できましたが、課題を二点指摘いたします。
 一点目は、ウズベキスタンの自由化、市場経済化が進展しているか否かです。意見交換した複数の要人からは、様々な経済改革に努めているとの説明がありましたが、道のりは長いという印象を受けました。経済改革の進展がなければ人材育成支援の効果は限られます。今後、我が国としては、経済改革の動向を注視しつつ、改革を促す支援を行っていく必要があると考えています。
 もう一点は、日本語学習者の雇用機会です。ウズベキスタンに進出している日系企業は少なく、在留邦人も二百人に満たない規模です。今後は、日本語学習者が日本に関わる仕事に就くことができる環境を考えていくことが必要だと考えます。
 次に、農業改革、地域開発、保健医療について申し上げます。
 農業改革では、リンゴ栽培技術の近代化による農家の生計向上事業を実施しているタシケント農業大学を視察いたしました。ウズベキスタンにおいて農業はGDPの約二五%を占める基幹産業であり、果樹も重要産業の一つですが、栽培技術等は旧ソ連時代のままであり、改善が求められております。本事業は講義や実習のほか、我が国への研修員も受け入れており、我が国で学んだ研修員からは、日本の栽培技術に極めて高い評価をいただきました。
 他国への出稼ぎが多いウズベキスタンですが、我が国の支援により自国の農業の生産性が上がり、農家の所得が向上することが期待されます。加えて、農業分野の雇用創出に結び付けば、この支援の意義は更に大きくなると感じました。
 地域開発では、JICAボランティアが大学での講義や体験交流型ツアーの企画、実施などを行っているサマルカンド経済サービス大学附属観光案内センターを視察しました。大学側からは、観光の質の向上に貢献しているとの説明がありました。
 世界遺産を始めとする多くの観光資源を有するウズベキスタンにおいて、観光分野の伸び代は大きいと感じました。
 保健医療では、サマルカンド州障害者リハビリテーションセンター、国立がん研究センター、国立小児精神神経病院を訪問し、供与された機材やJICAボランティアの活動を視察しました。視察先関係者からは、機材供与がリハビリ期間の短縮や質の向上、乳がんの早期診断体制の強化に寄与している、JICAボランティアには心から感謝するといった話が聞けました。
 このように、保健医療に係る我が国の支援が一般の国民に役に立っていることが確認できましたが、我が国の支援に直接裨益しているウズベキスタン国民はまだまだ少数であるのではないかと思います。広く国民一人一人の生活向上に資するためには、現地ニーズの見極めとともに、ソフト面も重視して支援することも必要だと考えます。特に、機材については、かなり高額な機材が投入されていましたが、現場のニーズとどの程度マッチしているかについては検証が必要です。ベーシックな医療がまだまだ整っていない地域においては、まずは人材育成への支援を強化すべきではないでしょうか。
 第四に、戦略的視点の重要性について申し上げます。
 すなわち、我が国の対ウズベキスタン支援によるアフガニスタンの安定、中央アジア地域全体の安定という視点です。
 アフガニスタンの安定が中央アジア地域全体の安定に結び付くことは明らかです。アフガニスタンの平和達成のためには、アフガニスタンへの支援だけでなく、隣国であるウズベキスタンへの支援も極めて重要です。例えば、我が国からウズベキスタンへの発電インフラ整備支援は、ウズベキスタンからアフガニスタンへの電力支援につながり、アフガニスタンの安定に寄与すると考えられます。また、ウズベキスタンの若者の中で働き場のない人がアフガニスタンなどで過激派に染まっていくという話も聞きました。ウズベキスタンで教育支援することは、彼らが過激な思想に走ることを防ぐことにつながります。
 このように、ウズベキスタン支援に取り組むことは、経済的な投資効果といった面だけでなく、国際社会の安定に日本が寄与していくという意義も極めて大きいと考えています。国際テロが拡大している現在、今まで以上にこうした観点を重視する必要があります。
 第五に、相互理解と広報活動の重要性について申し上げます。
 ウズベキスタンの国民感情は、一般的に親日的です。この背景の一つに、かつての日本人抑留者の存在があると考えられます。
 第二次世界大戦の終結後、当時のソビエト連邦に抑留された日本人のうち約二万五千人が極東から旧ソ連ウズベク・ソビエト社会主義共和国に移送され、強制的に重労働に従事させられました。日本人抑留者が携わった有名な建築物として、一九六六年のタシケント大地震の際にも倒壊しなかったナボイ劇場が挙げられます。この劇場の建設を始めとする日本人抑留者の真面目な働きと誠実な態度から、日本人は勤勉で礼儀正しいとの印象を持っているとのことでした。
 旧ソ連時代から日本人抑留者の歴史に関心を寄せていたジャリル・スルターノフ氏は、日本人ゆかりの収容所などを回り、貴重な資料や証言を収集、私財を投じて日本人抑留者記念館を開館しました。同館は抑留関係者とウズベキスタンの交流拠点にもなっています。スルターノフ氏のこうした活動は、両国の友好関係発展及び両国の相互理解に大きく貢献していると言えます。
 先人の偉業が強固な土台となり、その上にウズベキスタン独立以降の我が国のODAによる様々な支援が積み上げられ、今日の我が国に対する信頼、親近感となっていると考えられます。
 その一方、中国のプレゼンスの大きさを随所で感じました。日系企業関係者との意見交換においては、国際競争入札をするとイニシャルコストが安い中国に負ける、中国は活発なトップ外交を行っており日本政府にもトップ外交を望むといった意見が出されました。国際社会として支援が広がることは望ましいことですが、我が国はいかに支援を進めていくのか、我が国の強みを現地の方々によく理解してもらうことが必要だと思います。イニシャルコストの例でいえば、耐久性等を加味したライフサイクルコストを理解してもらうなど、十分な説明や広報活動の一層の促進が求められると思います。
 我が国に対する信頼、親近感を今後も維持、発展させていくためにも、広報活動は欠かせません。相手国の国民に日本のODA事業を、そして日本自体のことをより知ってもらう努力を一層行っていくことが重要です。同時に、我が国の国民に対しても、我が国ODAが各国においていかに評価、感謝されているか、どのように国際社会の安定に寄与しているのかをより広く知ってもらう努力が重要だと思います。
 最後に、日系企業やJICAボランティアなど現地で活躍されている日本人の方々との意見交換は大変意義深いものでした。しかし、ほとんどが日程の最後の方に組み込まれていたため、要人会見の際に、現地の日本人の方々から伺った声や要望を伝えることができなかったことは極めて遺憾でした。現地で汗をかかれている日本人の思いをその国の政府や議会関係者に伝えることも我々のミッションの大きな役割だと思います。そうしたことができる日程調整を今後は期待します。
 以上が、第四班の調査から得られた所見です。今回の調査に御協力いただきました訪問先の皆様、内外の関係機関の皆様に心から感謝申し上げ、報告といたします。
 ありがとうございました。
#15
○委員長(野村哲郎君) ありがとうございました。
 以上で意見の聴取は終わりました。
 これより意見交換に入ります。
 本日は、外務省から薗浦外務副大臣及び山田国際協力局長に、独立行政法人国際協力機構から北岡理事長、加藤理事及び前田理事に、それぞれ御同席をいただいております。発言に対して回答をお求めになる場合には、派遣に参加された委員に対してだけでなく、御同席をいただいている方々に対してお求めいただいても結構です。
 発言を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言ください。
 また、回答をされる方も挙手をお願いいたします。
 なお、発言は全て起立してお願いいたします。
 それでは、発言を希望される方は挙手をお願いいたします。
 又市征治君。
#16
○又市征治君 希望の会、社民党の又市です。
 トップバッターでございまして、時間が短いですから、ミャンマーに絞ってお伺いをしたいと思います。
 まず初めに、外務副大臣、そして調査団からお伺いしたいと思うんですが、まずこのミャンマーの国内情勢についてでありますけれども、一昨年、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟、NLDが総選挙で圧勝して、昨年、その政権が成立をしたわけですけれども、彼女は軍政権下で行われた憲法改正で大統領に就任することができず、国家顧問、こういう立場にあるわけですね。この憲法の再改正を現在も追求されているようですけれども、軍部の同意を得ることが難しいというように伝わっております。
 そこで、アウン・サン・スー・チー氏は、軍部との決定的な亀裂を避けるためにその融和を図る努力をする、そのことがまた逆に批判も受けているというふうに言われているわけですが、まず外務省としては現在のこの政権と軍部との関係をどのように見ておいでなのか、また調査団へ行かれた方々、何かその点についての意見交換されたことがあったならばお答えをいただきたい、これが第一問であります。
#17
○政府参考人(山田滝雄君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、現在、アウン・サン・スー・チー氏は大統領には憲法上就けないということで、国家最高顧問という立場で、しかしながら、事実上最も強い影響力を持つ指導者という立場で活動をしておられます。
 それで、おっしゃったとおり、憲法につきましては旧軍政が制定した憲法でございます。その中で、国政には引き続き国軍が強い影響力を有しておりまして、この国軍との連携が円滑な国政の運営のためには不可欠でございますけれども、現状見ますと、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問は極めて優れた指導力を発揮して、おおむね大きな問題なく国家を運営されておられるというふうに考えております。
#18
○岩井茂樹君 ありがとうございます。
 ODAの派遣の中で具体的にその国の情勢というのを向こうの方から詳細に聞いたということはないんですけれども、印象としては、軍事政権が元々あって、それが本当の民主化というか、そういうのが少しずつ進んでいるというイメージは起きました。首都の方もネピドーという新しいところに移ったり、非常に動きが大きな国、これから成長が大変期待できるなという印象を持った次第です。
#19
○又市征治君 そこで、次に外交の関係ですが、今月中旬に北京で開催されるシルクロード経済圏構想、中国が一帯一路と、こう言っているものですけれども、この初めての首脳会議が二十八か国参加をすると、こう伝えられているわけですけれども、参加者の中にはロシアのプーチン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領と並んでアウン・サン・スー・チーさんも参加をするというふうに伝わっています。
 この中国とミャンマーの関係なんですが、ミャンマーは軍政時代には中国と良好な関係を維持していたんですが、民主化が進む過程の中で脱中国ということが進んできましたけれども、さて、このNLDが政権を取って、その下では再び中国との関係が親密化されているというふうに言われている、何か複雑な関係があるようなんですが、この現在のミャンマーと中国との関係はどのような方向にあるのか、これは外務省からお聞きした方がいいのかなと思いますが、お答えください。
#20
○政府参考人(山田滝雄君) お答え申し上げます。
 ミャンマーと中国は、経済面では非常に深い関係にあると同時に、政治面ではポジティブな面と、それから歴史であるとか少数民族問題であるとか、そういったものに起因する非常に微妙な面、こういった面を持っておられます。また、歴史的に見ますと、中国とミャンマーとの間に幾つかの問題が生じたことも事実でございます。
 それを総じて申しますと、現在では、外交面ではいわゆる非同盟の中立を維持しておられますので、中国とは一定の関係を持つと。そういう意味では、中国等の周辺大国との巧みなバランス外交をスー・チー女史は展開しておられると、このように見ております。
#21
○委員長(野村哲郎君) 又市委員、ほかにも手が挙がっておりますので……
#22
○又市征治君 はい、十分以内に全部終わるつもりですから。
#23
○委員長(野村哲郎君) よろしくお願いします。
#24
○又市征治君 そこで、こうした状況の中で、今後のミャンマーに対して日本はどのような政府開発援助を行った方がいいと思っておいでになるのか、これは調査団からお聞きすると同時に、JICAからもお伺いした方がいいのかなと思いますので、よろしくお願いします。
#25
○岩井茂樹君 ありがとうございます。
 ミャンマーというのは非常に日本に対して特別な感情を持っていて、ある老人ホームみたいなところを訪問したんですけど、日本の歌をもう八十五歳ぐらい過ぎたおじい様が歌われたというような、そういう親日的な面もあると思います。
 一方で、今お話があったように、中国との関係というのも、例えば車のハンドルが実は右ハンドルから左ハンドルに変えられました。実はミャンマーというのは日本車がほとんど、中古車なんですけれどもほとんどなんですが、そのような中でハンドルが切替えになったという、まあ中国の圧力があったんじゃないかといううわさもあるぐらいなんですが、その辺を含めて、中国との関係も加味しながら、やっぱり日本は日本の良さを生かしてやっていくべきだと思っております。
 以上です。
#26
○参考人(北岡伸一君) お答え申し上げます。
 私も最近ミャンマーに行ってまいりましたが、一番の問題は、長い軍政の間に経済開発で様々な後れを取ってきたことだろうと思います。これは、スー・チーさんにせよ、あるいは軍にせよ、いずれにしても克服しなければならない課題としてたくさんのものが残っていると。
 まず、例えば、あの国は、ヤンゴンからマンダレーに行く中心線が非常に交通網が遅れていると。それからまた、産業基盤も遅れていて、まずはこれは農業をやり、また工業の立ち上げも必要だ、この農業支援も我々はお手伝いしたいと。それから、今言いましたヤンゴンの市内の交通、そしてマンダレーに行く交通網、そしてティラワにおける工業団地、そういうものも支援すると。あわせて、地方の失望を買わないように地方における農業その他の産業支援も行うというのを、かなり包括的なものをやらざるを得ないというふうに考えておりまして、これは先方政府とよく相談しながらバランスの取れたパッケージとして支援していきたいと。その核にあるのは、しかし、これを運営していく人材育成ではなかろうかというふうに考えております。
#27
○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
#28
○委員長(野村哲郎君) ありがとうございました。
 次に、三宅伸吾君。
#29
○三宅伸吾君 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自民党の三宅伸吾でございます。
 介護とODAの将来の在り方について、JICAと外務省の方に基本方針をお聞きしたいと思います。
 今年の秋から技能実習制度の新しい仕組みがスタートいたしまして、技能実習として介護職が追加されるということでございまして、今、ベトナム、フィリピンに加えてミャンマーの方でも、日本語を勉強して、そして日本に行って我が国の進んだ介護ノウハウを勉強し、そして母国に帰ってこれから高齢化が進む自国において介護の分野で頑張ろうという方が増えているように聞いております。
 私、岩井団長とともにミャンマーに参りましたけれども、日本語学校を視察をいたしました。ソーシャルネットワークとそれから新聞広告で日本語学校の募集を見た若い方が十数人、一生懸命日本語を勉強しておりました。
 お聞きしたいのは、今後、我が国の、まあ課題先進国という評価もありますけれども、少なくとも介護のノウハウは我が国進んでおります。そして、東南アジア等においては、まだまだ介護というものがマニュアル化をされておらず、家庭介護が基本でございますので、我が国が国際貢献ということで技能実習制度を通じて他国に介護ノウハウを移転するということは国益にもかなうと、我が国のソフトパワーの向上にもつながるというふうに思っておりますけれども、今JICAそして外務省において介護とODAの今後の在り方についてどのような大きな方向感を持っていらっしゃるのか、もしあればお聞かせをいただきたいというわけでございます。
#30
○委員長(野村哲郎君) それでは、北岡理事長。
#31
○参考人(北岡伸一君) 御質問ありがとうございます。
 冒頭お触れになりましたミャンマーにおきましては、介護に関する支援のニーズはまだ緊急ではございません。ただし、他の地域、例えばタイのような中進国におきましては、高齢化の進展のスピードはかなり急速でございます。ですから、この辺りを中心に、高齢化という問題に先に直面したいわゆる課題先進国としての日本としてはこれに対する支援を実施しております。
 例えば、タイにおきましては、地域社会に応じた介護サービスモデルの開発でございますとか、介護人材の育成を支援するための技術協力、これは要援護高齢者のための介護サービス開発プロジェクトというようなものを実施しておりまして、日本のノウハウ、在宅介護の拠点づくり、介護に関する専門的知識を備えた人材の育成、あるいは財政的にも持続可能な介護制度の提案などをしておりまして、それは日本にも役に立つかもしれないというふうに考えております。
#32
○政府参考人(山田滝雄君) JICAと基本的認識は同じでございますけれども、外務省としましても、特にアジアのASEANの幾つかの国では既に高齢化が進んでおりますので、今後ODAの中でも介護分野における協力を強化していくべきだと、その可能性を模索して準備しておくべきだというふうに考えております。
#33
○委員長(野村哲郎君) 竹谷とし子さん。
#34
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。
 今回、岩井団長とともに第三班で参加をさせていただきました。
 三点、外務省とJICAに質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、JICAの青年海外協力隊、シニアボランティアの方々についてであります。
 JICAの職員、また外務省の職員の方々とともに相手国に尽くして、そして日本の外交を顔の見えるODAという形で本当に支えてくださっているその姿に、お話を数か所で伺わせていただきまして、感銘を受けて改めて帰ってきたところでございますけれども、特に青年海外協力隊の隊員の方々のキャリアパス、ほかの班での、第一班の中でも言及がありましたけれども、それについてしっかり国として考えていく必要があるということを以前から私自身も思っているところでございますけれども、国連の職員などになっていけるようにするということも必要であると思いますし、また、元いた職場に戻れるようにすると、辞めずに行けるようにすることを支援していくということも必要であろうと思います。学校の先生ですとか公務員ですとか、また民間企業にしっかりとその理解を得ていく、また必要であれば仕組みをつくっていくということも必要ではないかというふうに考えております。それが一点目でございます。
 また、二点目、私も参りましたカンボジアで伺った話でございますが、地雷の除去、非常にアンコールワット周辺始め日本が貢献をしたということが現地にも認識をされており、現地の方々に日本が機材を提供しながら地雷を除去する方々が育って、今度はコロンビアにその方々と日本も協力をして地雷除去しに行くというお話も聞いてまいりましたけれども、これは日本が復興に対して貢献をしてきたという大きな歴史的な事実であると思いますので、今後も引き続きこういった活動を、当然相手国のニーズがあるという前提ではございますけれども、しっかりと続けていくべきではないかというふうに思いました。それが二点目でございます。
 そして、三点目、我が国のODAの在り方についてでございますが、シンガポールでお話を南南協力について伺ってまいりましたけれども、シンガポールは小さな国ということもあり、人材育成に特化をしているということを大変印象を強くいたしました。ここは非常に、日本もこれから量から質へと変わっていくに当たって、また日本も人口が少なくなってきている状況下にあって、こちらにシフトしていくということも大きく考えられるのではないか、方向性として、と感じてきたところでございます。そうしたことも含めて、今後のODAの方向性、人材育成にどのように力を入れていくかということを三点目に伺いたいと思います。
#35
○副大臣(薗浦健太郎君) お答え申し上げます。
 まず、青年海外協力隊でございますけれども、先生御指摘のとおり、彼ら、彼女たちのキャリアパスというのは極めて重要でありまして、外務省もできることからということで、今既に職員採用に当たっては海外のボランティア経験というものを加味をすることにしております。今、JICAさんとも協力をいたしまして、地方自治体さんですとか、例えば教育委員会、大学院等々に、採用してくださいとか入学してくださいという制度の導入を働きかけをしておりますし、企業や地方自治体の現職の方に参加をしていただく制度というものもつくって理解を促進するような作業を努めております。
 こうした結果、平成二十六年の調査でありますが、今、平成二十六年で調査をした結果、行った方のうち八割から回答をいただきまして、その一〇〇%の方々が帰国後一年以内に就職等の進路が決定をしたという回答をいただいております。
 それから、地雷除去でございますけれども、地雷除去の技術、また機材供与というのは我々の非常に強みとする分野、御指摘のとおりでございまして、こうした人材を現地でも育成して地雷除去を現場で進めるということをやっております。
 御指摘いただいたカンボジア、それからコロンビア、コロンビアは今ちょっと政情が不安定になりつつありますけれども、以外にも、例えば今年イラクのクルド自治区でもそういうような供与の署名式をやってまいりまして、近々そこでも地雷除去が始まるということで、引き続きこれは続けていきたいというふうに考えております。
 それから、ODAの人材育成の分野ですけれども、例えば学校の先生ですとか、日本語を教えるにしても、その日本語を教える人を育てる教育ですとか、そうした人材育成の分野というのは、近年、私自身が海外を訪問していても、非常に相手から頼まれることが多い。日本のすばらしいところは、物を作っていなくなるところじゃなくて、物を作るのと一緒に我々に技術を教えてくれて、そしてその人たちがまた次の世代に教えられるようになるところだということを様々に聞いておりますので、この人材育成の分野というのは限られた予算の中で効果的なODAを実施する上で非常に大切な分野だと考えておりますので、今後更に強化をしてまいりたいと考えております。
#36
○参考人(北岡伸一君) お答え申し上げます。
 御質問ありがとうございました。大部分は副大臣のお答えと同じなのでありますが、なお若干補足申し上げますと、青年海外協力隊はおかげさまで方々で高い評価をいただいて、有り難く思っております。
 既にお答えいただきましたとおり、調査しましたところ、その八割から返事がございまして、全員が一年以内に進路が決定できたということでありまして、これは今の現在の経済状況等もありまして、今時点では帰ってきて職に困る人は余り出ておらないと。それからまた、その前提として、大学や地方自治体等々で入学や採用における優遇制度を導入してくださるよういろいろ働きかけておりまして、平成二十八年度時点で十七大学、三十六教育委員会、七十自治体で受け入れる優遇措置を行っていただいております。
 ただ、一言付言申し上げますと、言わば戻ってきてからのキャリアパスはいいんですけれども、ただ、今、求人が非常に、こういう状況ですのでちょっと応募者が減っておりまして、一定の水準を維持するために実は結構苦労しておりますというのが実態でございます。
 二番目に、地雷の件でございます。
 地雷は、先生御指摘のとおりでありまして、カンボジアがうまくいったと。それから、それに引き続いてこれをコロンビアでも是非やりたいというふうに思っております。コロンビアは今時点ではちょっと難しいこともあるんですけれども、とにかく長年続いた紛争が平和になって国際社会の称賛を浴びているところであります。こういうところで是非ここで協力していきたいというふうに思っております。
 第三に、ODAと教育でございます。
 シンガポールは確かに教育にすごく力を入れまして、遺憾ながら、私が長年奉職しておりました東京大学よりも世界のランキングが上に来ております。シンガポール・ナショナルには負けておりまして、これはもう彼らが戦略的に世界中からいい先生を呼び、いい学生を呼びということをやってきた成果なんですね。
 東京大学では、公共政策大学院と向こうのリー・クアンユー・スクールというのと一緒にやっておりまして、向こうは積極的に日本から学ぼうとしておりますけれども、我々はちょっと世界に学ぼう、戦略的に人を集めようという努力が足りなかったんじゃないかというふうに、ちょっと東大関係者としての反省でございますが。
 それもありまして、今JICAはいろいろ留学生招聘のスキームを持っておりますが、これを更に統一して、そしてより戦略的にいろんな国からいろんな意図を持って招聘したいと思っています。例えばその一つは、将来のそれぞれの国のリーダーになりそうな人を呼んできて日本で勉強してもらうと。英語の授業で修士課程か何かやってもらって、そして戻ってその国の発展に貢献してもらうと。
 我々は自信持ってよいと思うんですね。言わば非西欧から発展した、そして近代的な価値とそして伝統を両立させているという点で、日本以上の国は世界にありません。そして、ODAの成功でも日本以上の国はございません。ですから、我々こそODAの開発研究の最先進国としてこれを世界にシェアすると、そしてそういう方々がお国に帰ってその国を発展させ、同時に親日家になっていただくということがやはり非常に重要ではないかというので、今年から来年度に向けて私はJICAの中で非常に力を入れることにしておりまして、関係の省庁、政府の政治家の先生方にいろいろお願いをしているところでございます。
#37
○委員長(野村哲郎君) 大沼みずほさん。
#38
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほでございます。
 この度、私も山下団長のウズベキスタンに行かせていただきまして、団長には大変、要人会見、またいろんなところで尽力いただいたことに謝意を申し上げたいと思います。
 二点、行かせていただく中で感じたので、ほかの是非団の皆様にもお話を伺いたいんですが、やはり中国の影響力というものが非常にウズベキスタンでも色濃く出ていたと思います。それはODAのインフラの投資の部分のみならず、日本語教育に比べてもやはり中国語教育の方が人気があると。なぜ中国語を勉強するのかというと、将来性があるからという答えが返ってきて、日本の将来性はないのかなと思うとちょっと悲しい気持ちにもなったんですが、やはり中国のODAにしても、人材育成にしても、どのようにやっていったらいいのかなというところを少しやはり戦略的にいろいろ考えていかなきゃいけないというふうに感じました。
 ほかの団の委員の先生からも、是非、中国の現地でのいろんな活動を見てこられたところ、また感じられたことがあれば教えていただきたいと思います。
 二点目に、松下委員に是非お伺いしたいんですが、やはりブラジルの日系社会との強力な連携というのは非常に大事であります。その中で、日系社会ボランティアのちょっと人数がまだ不足しているのではないかということであったんですが、具体的にちょっとこの方々がどういった取組をされているのか少し聞かせていただいて、さらに、どのような取組を今後していくのがよいのかという点と、いろんな支援をしている中で、やはり治安が悪いということに関して、警察のシステムをODAの交番システムということでされて一定の効果があったということなんですが、これをブラジル内に幅広くやっていく、又は改善して取り組んでいく、さらには、何か追加的な取組があれば、やはり治安がもう日本のおかげで物すごく良くなったというふうになれば物すごいこれは効果が大きいのではないかというふうに感じました。そういった点でお話を伺えればと思います。
 以上でございます。
#39
○佐藤正久君 御質問ありがとうございます。
 アフリカは全般に、中国のやっぱり進出は日本と比べてもかなり規模が大きくて、特に資源国、我々が行ったアンゴラ、鉱物やあるいは油等かなり出ますので、かなり中国の影響等大きいのは確かで、特に箱物等についてはもうただで、政府関係の建物もただで建てるというぐらいかなり大掛かりなものをやっております。
 ただ、やはり日本のODAと比べてあるのは、非常に目立つもの、大型はあるんですけれども、きめ細かさという部分については日本のODAの方が評判がいい、あるいは質的なものは評判がいいというものはあります。
 そこで、どちらかというと日本の方は、金額とかあるいは目立つ大きなものという部分ではなかなか額的に太刀打ちはできないと思いますが、まさに日本らしさというか、きめ細かな分野、あるいは人材育成という部分、日本らしさという部分ではかなり評価が高いというものはいろいろ話を聞きました。
 特に、中国の場合は、案件を決めるのは早い、日本と比べても案件を決めるのは早い、日本の場合は、案件決めるまでにかなり向こうの外務省の人たちも汗をかかないといけないと。ところが、日本の場合は、一旦それが決まってしまったらあとは日本側がほとんどやってくれると。ところが、中国の場合は、案件が決まってから、それから結構汗をかくことが多いという話も一部ありますというふうに、やっぱり日本の強みという部分をどんどん生かしていくという部分をやっていくことがアフリカ等においてはいいんではないかというふうに思いました。
 以上です。
#40
○松下新平君 まず、中国との関係についてお答えいたします。
 私は中南米の方でございましたけれども、やはり中国からは資源、そして食料の調達先としての中国からのアプローチが見られました。また、それに合わせてインフラの整備、それも組み込まれているというのを感じましたけれども、報告でも申し上げましたけれども、日本は日系社会が歴史を積み重ねております。その信頼関係の下に、日本ならではのODAを中心とした支援体制ができておりますので、それは引き続き力を入れていったらいいんじゃないかなというふうに感想として思いました。
#41
○委員長(野村哲郎君) 岩井委員はありますか。
#42
○岩井茂樹君 済みません、どうしても建設系が専門なもので。
 インフラについて、実際に向こうのいろんな大臣と話をしたときに、日本のライフサイクルコストを勘案したインフラの整備というのは非常にいいんじゃないかという話をしたんですけど、言われた言葉というのは、日本のそういう支援というのはスピードが遅いという話、それと高いと言われました。
 それで、やはり日本としてはその辺りは説明するのも、さっき読んだ中には説明する、説得することが大事と言ったんですけれども、ガラパゴスとよく携帯で言われていますけれども、狙いどころをいろいろ分けてもいいんではないかと。価格を抑えてスピードを持った施工、そういうことも日本の選択肢としてあるんではないかなというのが一つと。
 あと、もう一個だけ。先ほどハンドルの話をしました。ミャンマーというのは、日本の中古車が多分九割以上だと思います。日本車しかほとんど走っていない。ところが、それを、ハンドルが左ハンドルに変える。つまり、プラットフォームを変えられてしまうということだと思います。幾ら物を作って幾らサービスで日本が良くても、根幹たるところ、制度とかですね、それは法律も含めて、そこを変えられてしまうと日本は太刀打ちできない、そこの戦略も日本はこれから考えていくべきだと思います。
 以上です。
#43
○松下新平君 済みません、私の直接の質問に対してなんですけれども、この中南米、ブラジルとチリに参りましたけれども、日系社会ボランティア不足に関してなんですけれども、ちょうど今百九十万人の日系社会がございます。もう百十年移住してからたちますけれども、今四世、五世の時代ですけれども、日本語をしゃべれない世代もありまして、それが一つの課題となっております。
 総理も、そしてまた麻生副総理もこのサンパウロに入っていただきましたけれども、日本からのこの日系社会に対するアプローチが更に必要だということを感じまして、取組としてはですね、日本の伝統文化とかを更にいろんな形で表すことが大事だと思います。一つ、ジャパン・ハウスというのを五月に開設いたしましたけれども、そういったものを活用して、より日本の本来のこの持ち得た文化、そしてまた忘れかけたものがこのサンパウロ、ブラジルにありますけれども、そういったものを連携していくことが大事だと思います。
 あと、警察の仕組みに関してなんですけれども、これは、日本の交番システムを治安の悪いサンパウロに協力しているんですけれども、我々も、派遣されるときには、一週間前に邦人の事件がありまして、防弾ガラスの車に、そしてSPも同行してもらって視察をしたんですけれども、この日本の交番がかなり効果を上げているということでした。
 地域にずっと日本のように根差して、すぐ何かあったら交番に連絡をして、そして信頼関係を築いていつでも対応できる体制を取っているというのを、日本のシステムが有効に交番として受け止められていると思います。日本からは、ちょうど婦人警察官の方がたくましく活動されていらっしゃいましたけれども、それが今サンパウロからずっと広がりつつあるということでございました。
 以上です。
#44
○委員長(野村哲郎君) さっきから手を挙がっておりますが、済みません、ちょっとお待ちください。
 堀井巌君。
#45
○堀井巌君 自由民主党の堀井巌です。発言の機会をありがとうございます。
 二点質問をさせていただきます。
 私は、佐藤団長と一緒にアフリカ諸国を訪問いたしました。
 一点目は、量的充実の必要性ということでございます。これは前回の特別委員会でも外務大臣にもお尋ねさせていただきました。
 確かに、日本のODAは本当にすばらしい形で現地の方々に信頼をされ、受け入れられていました。まさに、質の高いインフラ、質の高いODA、そのような供与が行われていることを私は誇らしく感じましたし、実施に当たっておられるJICAの皆さん、現地の様々な関係の日系企業の皆さん、大使館の皆さんに心から敬意を表したいというふうに思います。
 しかしながら、先ほど大沼委員の方からも質問があったように、例えば中国との対比で見ますと、やはり質の高いインフラ、あるいは質の高い整備といったときに、実は量的な制約があるということの裏返しで皆さん言っている、そういう場面も感じました。
 やはりこれは、ODAというのは、日本の外交力の非常に重要な要素であると同時に、やはりその量的な問題というのは、これは日本の外交力の制約要因になっていることも私は確かなんだろうというふうに思うわけであります。日本という国は軍事力でなくて外交力でしっかりと国際社会に確固たる地位を築くんだ、これで今後もやっていくんだろうと、これが外交政策の一貫した姿勢だろうというふうに思います。
 そういった意味で、これから概算要求等始まりますけれども、是非、薗浦副大臣にODA予算の充実ということに向けた御決意をお聞かせいただきたいと存じます。
 あわせて、二点目は、施設に係る外務省そしてJICAとの連携の強化ということであります。特に、大使館の整備などに際しての連携の強化ということでございます。
 マラウイという国では、中国は本当に三百メートル四方ぐらいの土地を恐らく供与されたんだと思いますけれども、当該国から、そこに大使館機能、あるいは様々な中国の関係の部署を一堂に集めて施設を整備していられます。
 日本の場合は、大使館とそしてJICAの事務所がある。JICAの事務所の方に大使館以上のたくさんの邦人の職員の方も働いておられます。これは離れています。私は、邦人の安全確保等々を考えますと、例えば大使館が持っている安全の管理のノウハウといったものが、もし一体的に同じような建物を借りることができれば、うまく連携してできるんではないかというふうにも感じたところでございます。
 また、モーリシャスでは新しい大使館が造られました。厳しい財政制約の下で、多分いろんな、大使館の人数に応じた面積とかいろんなことで財政当局とお話をしながらされていると思うんですけれども、私は、この大使館の機能というのは、例えば今地方団体が行くときに、その大使館を活用して様々な日本の産品の売り込みの拠点として活用いただいたりということで、今、大使館の機能というのは非常に大きく広がっている。
 JICAから例えば出張者が来られても、そういった中で、同じように日本の大使館あるいはそれに付随する機能を活用しながらお互い連携しながらやっていく。そうなりますと、大使館の機能というのは、単に大使館員の人数掛ける面積にとどまらず、もっともっと広い意味で、柔軟にそして幅広く考えていくことが重要ではないかと思いますが、その点についてお聞かせください。
 以上です。
#46
○副大臣(薗浦健太郎君) 御質問ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、我が国のODA予算というのは当然制約があるものですから、これを今最大限に効果的にやるために、まず質を高めましょうということと、もう一つは、相手国に返済義務があるような形での支援というものをやりましょうということで、最大化をできる限り図っております。
 一方で、先生御指摘のとおり、やはり幾ら質を向上しても量というものが重要であるということは、これは間違いありませんので、ここについては、来年の概算要求に向けて、御指摘も踏まえて全力で頑張ってまいりたいと思っております。
 二点目の在外公館についてですが、例えば大使館に併設した広報センターを持っているところとか様々なものがあります。御指摘のとおり、やはりばらばらにあったんでは機能が分散するという面もこれ否めないものでございますから、今ちょうど話にありましたジャパン・ハウスのサンパウロの建物の中には、例えば国際交流基金さんも移っていただいてここで日本語教育も一緒にやっちゃおう、じゃ、JNTOさんも来てもらおうということを既にやらせていただいております。
 将来的には、これ、ちょっとスペースの問題があるのでまだ検討段階という前置きでお聞きをいただきたいんですが、例えば総領事館も同じ建物に来て、ここに来れば日本のものが全て分かると。留学相談もできるし、企業の相談もできるし、領事業務やパスポートの話もできるといったようなワンストップ化というものも我々としては検討しておりまして、さらに、今日の御指摘を踏まえてできるところからやってまいりたいというふうに考えております。
#47
○委員長(野村哲郎君) それでは、山添拓君。
#48
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 私も、岩井委員を始め第三班のメンバーとして調査派遣をさせていただきました。感謝いたします。
 既にされた質問とも少し角度としては重なるかもしれないんですが、外務省と、それから可能であればJICAの方にもお答えいただければと思っています。
 私もカンボジアやまたミャンマーに伺って、円借款、貸付けの場合に、とりわけ日本が支援した案件については日本企業が落札できるのが望ましいんだと、こういうような意見を伺いまして、今日は四班の御報告の中にも中国のプレゼンスの大きさを感じたと、そうはならないようにというような趣旨の発言があったのを拝見したんですけれども、しかし、ODAというのは本来、援助国の経済成長のためのものではないだろうというふうにも思います。ODAの目的というのは、途上国が自立した発展を遂げられるように支援し、貧困と格差を解消していくと、こういう本来の目的があるだろうと思います。しかも、こういう中で日本が仮に案件を獲得して得られるのは日本企業の言わば短期的な利益が中心であって、本物の、本当の経済成長にもつながるものではないというようにも感じます。
 また、実際には、日本企業が仮に落札をしたとしても、自前では全部を担えないという現実もあると伺ってきました。先ほどJICAの方から御説明のあったミャンマーのヤンゴンからマンダレーまで六百キロの鉄道の設備更新が計画されているという話も伺いましたが、もう六百キロに及ぶような鉄道の設備更新は日本では案件がないので、日本でやったとしても既にそういう生産ラインが追い付かないんだというような話も伺いました。
 また、建設業について言えば、国内でも担い手不足が言われていて、災害復旧だとか、あるいは東京オリンピックに向けて、また老朽インフラの更新など需要も増えています。そうすると国外で指揮を執る人材についてもなかなか担い切れないところもあるんだろうと思います。
 私は、こういう状況の下で、とにかく日本がたくさんの案件を取れるように、日本企業がもうかるようにすべきだと、こういう考え方には若干の疑問があります。ODAの本来の在り方に立ち返って、どのような支援が必要とされているのか、誰がどのように関わって実施をすべきなのか、支援に関わる複数の国で真摯に議論をすると、その上で必要な役割分担を行っていくというような、そういう在り方の旗振り役をむしろ日本が率先して担っていくべきなんじゃないかと感想を持ちました。
 そういう意味で、例えばシンガポールと行っているようなJSPP21での取組などもそういうことに当たるのかもしれませんが、単に日本企業が獲得するということだけにはとどまらないODAの今後の在り方ということについて、お考えのことがありましたら是非伺いたいと思います。
#49
○副大臣(薗浦健太郎君) 先生御指摘いただきましたように、ODA関係の案件の形成においては、我々からこれやりたいという話じゃなくて、まず相手国からこういうものがやりたいと、じゃ、こういう案件ということで、一緒に案件を形成していくということを我々は非常に重視をしております。
 一方で、円借款の供与というのには、当然OECDのルールもありますし、DACのルールもあります。これを始めとするいろんな国際ルールにのっとって、これに加えて相手国の法令とか規制もありますから、こういうものを全部クリアしながら、入札においては競争性とか透明性というものを確保した上でやっているということをまず御理解をいただきたいなと思います。
 その上で、今先生がおっしゃったように、やはり途上国の方々の暮らしというのを中長期的に見て豊かにするという観点、そして我が国が途上国とともに成長していくということで、双方に資するような案件というものが我々の目指すものであります。
 こういう認識の下で、ODAを活用しながら、日本企業の技術やノウハウ、こうしたものも、やはり質の高いインフラというものを出していくことが相手国にも利益になるという認識の下で、途上国の様々な経済の発展とかを後押しする意味で、ODAの本来の趣旨に合致したものについてそうした支援を行っているというふうに認識をしております。
 いずれにしても、今後とも途上国のニーズと我々の持っている高いノウハウ、そして技術というもののマッチングを行って、途上国の開発に貢献をしながら、我が国の国益にも資するような支援をやっていきたいというふうに考えております。
#50
○委員長(野村哲郎君) 藤巻健史君。
#51
○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻です。
 第二班の方からブラジルはODA卒業国を見越してという話があったんで、ちょっとそれに関してお聞きしたいんですが、過去ODA卒業国はあるのかどうか、これが一点、事実だけなんですけれども。二番目に、ODA卒業国になるためのクライテリアがあるのかどうか。要するに、例えば名目GDPが幾ら以上になったらやめるとか、それから、若しくは日本とのリターンが余りなくなっちゃったらやめるかとか、若しくは、例えば日本との経済格差、日本というのは大体三十年で一・五倍ぐらいしか名目GDP伸びていないんですけれども、新興国は物すごいきっと伸びていると思うんですよね。そうすると、昔は例えば大関が新入幕、入幕した力士に援助していたようなものが、最近になって小結が前頭五枚目ぐらいの人に援助するような状況になるとそれはやっぱりやり過ぎかなというふうに思いますので、そういうような基準があってその卒業国を決めるのかというのをちょっと教えていただきたいのがこれ一点目。
 二点目に、これちょっとODAとは関係ないかもしれないんですが、ブラジルの日本人社会の話が何度か出ていたのでお聞きしますけれども、ブラジルの日本人社会というのは、考えようによっては当時の政権のミスだった可能性があるわけですね。要は、あの頃はやっぱり人口がどんどん増えていってしまって、我々の小さいときは、何かひょっとすると場所がなくなって陸からこぼれ落ちて海におっこっちゃうかもしれないということで、どんどん移民政策でハワイとかブラジルに送ったわけで、そういうことを考えると、当時の政権ミス、政策ミスでああいう人たちが増えてしまった可能性もあるわけですけれども、彼らがそれに対して不満はもう既にないのかどうか、まあなければ非常に有り難いことなんですけれども、ないのかどうか、その辺をちょっと感想をお聞きしたいなというふうに思います。
#52
○副大臣(薗浦健太郎君) まず、私の方から日系人の関係で少しお答えをさせていただきたいと思いますが、様々な機会を捉まえて意見交換をさせていただいております。現地、私の方から相手国に伺って日系の方々と意見交換したのが今年七か国、また、海外日系人大会などでこちらに来られた方とも意見交換をしておりますが、彼ら自身は、僕が知る限り日本にルーツがあるということを若い人たちも含めて誇りに思っているというところを非常に感じます。
 したがって、我々としては、おととい、ちょうどその日系人に関する有識者懇談会から今後こういう施策をという提言を受け取ったばかりなんですけれども、基本的には、この一世、二世、高齢の方々とのつながりを維持しながら、若い人たち、いわゆる日本語を全く話さないけれども自分たちのルーツが日本ですよという方々に日本に興味を持ってもらって、そしてつながりを横でつくってもらう。実際、二十代、三十代の日系の方々が国を越えていろんな活動、例えば運動会とか研修会といういろんな動きが始まっていますので、現時点で既に、これを我々としてはサポートをすることによって、新しい世代もまたこちらと連携をしながらいろんなことをやっていきたいなということを今まさに考えている最中でございますので、これからまた、先生の御指摘を踏まえながら更に強化をしてまいりたいというふうに考えております。
#53
○参考人(北岡伸一君) 卒業国等々の基準は客観的なものはございますが、それは後でまたお示しすることにしまして、一つ、御関心のブラジル等の場合は、JICA法の規定の中にODA以外に移住者支援というコンセプトがございまして、仮に卒業をしても日本の移住者の方々を支援するというのが我々の仕事の中に入ってございます。
 そして、その移住者というのは、じゃどの範囲かと、一世、二世、三世とあるんですけれども。今副大臣お答えになりました会の私もその委員だったんですが、その答申の中には、日系人はもっと広く考えようと。日系人はもちろん大事だと、しかしその周りに、日系人が向こうに定着してよくやってこられた、彼らを信頼する、日本、日系人ってすばらしいねと思ってくださる知日派、親日派の人が大勢いらっしゃるわけですね。こうした人もみんな我々の仲間に取り込むような、そういうふうに我々は考えるべきではないだろうかという方向を盛り込ませていただいたので、是非御採用いただければ有り難いというふうに思っております。
#54
○政府参考人(山田滝雄君) 今、卒業についてお話がございましたので、ちょっと技術的な説明をさせていただきます。
 DACは援助受取国・地域のリストというのを作っておりまして、これは三年に一回改訂されております。二〇一七年はちょうど改訂年となりまして、ですから、今年どういう改訂が行われるかということを皆さん注目をしておると。
 それで、一応DACのリスト上のODA適格国ということで、一番所得が高い部類のカテゴリーは高中所得国というのがございますけれども、これにつきましては、二〇一六年までは一人当たりのGNIが四千百二十六米ドルから一万二千七百四十五米ドルという、この範囲の国というふうにされております。
 その一方、チリは、二〇一五年の統計で一人当たりのGNIが一万四千六十米ドルと既に一万二千米ドルを超えておりまして、ですからチリは今年の改訂で卒業するのではないかというふうに見られております。
 一方、ブラジルはまだ九千ドル台でございまして、一万ドル弱の水準でございますので、今年直ちに卒業になるということではないと。
 他方、では、DACから、そのリストからなくなったら直ちにODAをやめるかというと、それはいろいろ事情がございますので、ニーズであるとか当該国との関係などを踏まえながら移行措置を設けることもございます。
 チリについてどうするかについては、これからしっかり考えていきたいと考えております。
#55
○委員長(野村哲郎君) 松下委員にお願いします。
#56
○松下新平君 ブラジルに関して、チリと、卒業国に関してなんですけれども、チリに関して今年中の卒業があるということですけれども、やはりお話があったように、我々団員としては、引き続き卒業後も連携を何らかの形で取っていく必要があるというふうに思います。
 過去に卒業した国ですけれども、シンガポールとか幾つかあると思いますので、また報告をしていただきたいというふうに思います。
 また、日系社会における不満ですけれども、移住から百十年たって今もうかなりの世代が替わっておりますけれども、やはり一番大きいのは第二次世界大戦があったということだと思います。そのときに日系の皆さんがどういう立場を取ったかでいまだにしこりが残っているというのをいろいろお話をする中で感じたところです。ただ、そういうのを乗り越えて、この日系社会の中で自分たちは役割を果たすんだというのを未来志向でお話も伺ったところです。
 以上です。
#57
○委員長(野村哲郎君) 時間が参っておりますので、意見交換会を終了したいと思いますが、よろしいですか。
 他に御発言もなければ、これをもちまして意見交換を終了いたします。
 本日は、限られた時間でありましたが、派遣団に参加された方々から貴重な御意見をいただくとともに、本委員会として大変有意義な意見交換を行っていただき、誠にありがとうございました。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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