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1947/12/04 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第71号
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1947/12/04 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第71号

#1
第001回国会 本会議 第71号
昭和二十二年十二月四日(木曜日)
    午後二時五十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第七十号
  昭和二十二年十二月四日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 昭和二十二年法律第八十号(國会議員の歳費旅費及び手当等に関する法律)の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 第二 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 昭和十四年法律第三十九号災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律を改正する法律案(内閣提出)
 第四 印紙等摸造取締法案(内閣提出)
 第五 都会地轉入抑制緊急措置令を改正する法律案(内閣提出)
 第六 道路運送法案(内閣提出)
 第七 簡易生命保險等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 國の利害に関係のある訴訟についての最高法務総裁の権限等に関する法律案(内閣提出)
 第九 副檢事の任命資格の特例に関する法律案(内閣提出)
 第十 最高法務廳設置に伴う法令の整理に関する法律案(内閣提出)
 第十一 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十二 自作農創設特別措置法一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十三 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十四 登呂遺跡調査会に國庫補助の請願(第四〇六号)
 第十五 自由討議 (前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) 諸般の報告をいたさせます。
    〔参事朗読〕
 委員会に付託された議案は次の通りであります。
 (内閣提出)食品衛生法案
  十二月二日 厚生委員会に付託
 (内閣提出、参議院送付)医藥部外品等取締法案
 (内閣提出)あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法案
  以上二件 十二月三日 厚生委員会に付託
 (内閣提出)特別都市計画法第四條の規定による國庫補助を國債証券の交付により行う等の法律案
 (内閣提出)未復員者給與法案
  以上二件 十二月三日 財政及び金融委員会に付託
 (予備審査のため内閣から送付)昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案
  十二月三日 司法委員会に付託
  〔朗読を省略した報告〕
一、昨三日次の法律の公布を奏上し、その旨参議院に通知した。
  赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律
  健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律
  國民医療法の一部を改正する法律
  毒物劇物営業取締法
  船員法戰時特例を廃止する法律
  造船事業法を廃止する法律
  全國選挙管理委員会法
一、昨三日議長において、次の常任委員の辞任を許可した。
  商業委員 星島 二郎君
一、常任委員の退職に伴い、去る二日議長において、次の通り補欠指名した。
  財政及び金融委員 淺利 三朗君
一、昨三日議長において、常任委員の辞任に伴い、次の通り補欠指名した。
  商業委員 多田  勇君
一、去る二日内閣から提出した議案は次の通りである。
 昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の一部を改正する法律案
 会社利益配当等臨時措置法案
 財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律案
 食品衞生法案
一、昨三日議員及び委員長から提出した議案は次の通りである。
 農林省官制の一部を改正する法律案(永井勝次郎君外四名提出)
 昭和二十二年法律第八十号(國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律)の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
一、昨三日内閣から提出した議案は次の通りである。
 船員保險法の一部を改正する法律案
 特別都市計法画第四條の規定による
 國庫補助を國債証劵の交付により行う等の法律案
 あん摩、はり、きゆう、柔道整復営業法案
 未復員者給與法案
一、昨三日参議院から受領した内閣提出案は次の通りである。
 医藥部外品等取締法案
一、去る二日予備審査のため参議院から送付された次の議案を受領した。
  青年補導法案(鬼丸義齊君提出)
一、昨三日予備審査のため内閣から送付された次の議案を受領した。
 昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案
一、去る二日参議院に送付した本院提出案は次の通りである。
 全國選挙管理委員会法案
一、去る二日参議院に送付した内閣提出案は次の通りである。
 民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第九号)
 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第四号)
 配炭公團法の一部を改正する法律案
 地方税法の一部を改正する法律案
 北海道に在勤する政府職員に対する越冬燃料購入費補給のための一時手当の支給に関する法律案
 関税法の一部を改正する法律案
 食糧の輸入税を免除する法律案
 最高法務廳設置法案
 漁業法の一部を改正する法律案
 横須賀港を開港に指定する等の法律案
一、昨三日参議院において、次の本院提出案を可決した旨の通知書を受領した。
 全國選挙管理委員会法案
一、昨三日参議院において、本院から送付した次の内閣提出案を可決した旨の通知書を受領した。
 赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律案
 健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案
 國民医療法の一部を改正する法律案
 毒物劇物営業取締法案
 船員法戰時特例を廃止する法律案
 造船事業法を廃止する法律案
    ━━━━━━━━━━━━━
#3
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 昭和二十二年法律第八十号(國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律)の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
#4
○議長(松岡駒吉君) 日程第一は委員長提出の法律案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 よつて、日程第一、昭和二十二年法律第八十号の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長淺沼稻次郎君。
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#6
○淺沼稻次郎君 ただいま議題となりました昭和二十二年法律第八十号(國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律)の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 御承知の通り、われわれ議員の事務補助員の給料は月額千百五十円となつているのでありますが、これ以外何らの加給や手当がありませんから、他の公務員等と比較いたしますと、著しく不均衡の点があると思います。しかして、他の官吏等の実情を見ますと、この法律施行当時の本年五月と今日と比較すれば、ほぼ二倍の給料となつておりますので、それだけ増額しようとするものであります。この増額支給は、本年九月分より実施することといたしました。何とぞ全員の御賛成を願いたいと存じます。(拍手)
#7
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決せられました。
     ――――◇―――――

 第二 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 昭和十四年法律第三十九号災害被害に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律を改正する法律案(内閣提出)
 第四 印紙等模造取締法案(内閣提出)
#9
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、企業再建整備法の一部を改正する法律案、日程第三、昭和十四年法律第三十九号災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律を改正する法律案、日程第四、印紙等模造取締法案、右三案はいずれも同一の委員会に付託した議案でありますから、一括して議題といたします。財政及び金融委員会理事梅林時雄君。
  ―――――――――
 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 昭和十四年法律第三十九号災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 印紙等模造取締法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
    〔梅林時雄君登壇〕
#10
○梅林時雄君 ただいま議題となりました三案につき、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果について、その概略を御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨について申し述べます。
 企業再建整備法の一部を改正する法律案は、臨時石炭鉱業管理法案の國会提出に伴い、企業再建整備法の一部を改正し、同法によつて整備計画に記載して主務大臣の認可を受けた事項については、他の法令の規定による認可、許可、免許等の処分を要しないこととなつているのに対しまして、臨時石炭鉱業管理法による許可をその例外とすることといたしたいと考え、この法律が出された次第であります。
 本案は、去る十一月八日本委員会に付託され、十一日提案理由の説明を聽き、その後二回にわたり審議を重ねましたが、本案は手続的なもので、さして問題もないので、二十六日討論に入りましところ、社会党中崎委員より、本案は臨時石炭鉱業管理法案の成立に伴い、企業再建整備法一部を改正する必要に迫られて成立したもので、臨時石炭鉱業管理法案に賛成した社会党としては原案に賛成するとの意見があり、自由党は塚田委員より、臨時石炭鉱業管理法案は完全に両院を通過しておらず、しかも自由党はこれに反対であるから、本案についても反対であると述べられました。次に國民協同党内藤委員は、臨時石炭鉱業管理法案が成立することを前提として賛成する旨述べられ、第一議員倶樂部の石原委員は、反対の意見を述べられました。続いて採決の結果、起立多数をもつて可決いたしましたが、二十七日、國民協同党の吉川君より、昨日委員会において可決した企業再建整備法の一部を改正する法律案については、臨時石炭鉱業管理法案との関係から、施行期日について再檢討する必要があるのではないかとのことで、これを再議するようにとの動議があり、全員これに賛成いたしまして、二十八日の委員会において、委員長提案になる、附則中「臨時石炭鉱業管理法案中行政官廳の認可、許可その他の処分を要する旨の規定の施行の日から」とあるのを、「昭和二十三年四月一日から」と改める旨の修正案が提出され、これについて採決の結果、多数をもつて可決、よつて本案は修正議決いたしました。
 次に、昭和十四年法律第三十九号災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律を改正する法律案について申し上げます。災害により被害を受けた者に対する租税の減免、徴收猶予等については、現在のところ、災害が発生した都度、減免等の内容に関する政令を公布していたのでありますが、今回この法律を全面的に改正いたしまして、災害被害者に対する租税の軽減、免除または徴收猶予、課税標準の計算または申告及び申請の特例に関する具体的な規定を整備することといたしたのであります。
 次に、印紙等模造取締法案について申し上げます。從前の印紙等模造取締規則は、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律により、本年十二月末日限り効力を失うこととなりますので、これを法律として整備した次第であります。
 以上の二案は、十一月十五日提案理由の説明を聽き、質疑に入りましたが、さして問題もなく、二十七日、討論省略採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。
 以上、簡單でございますが、御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。日程第二の委員長報告は修正でありまして、日程第三及び第四の両案の委員長報告はいずれも可決であります。
 まず日程第二企業再建整備法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に、日程第三及び第四の両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第五 都会地轉入抑制緊急措置令を改正する法律案(内閣提出)
#14
○議長(松岡駒吉君) 日程第五、都会地轉入抑制緊急措置令を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。國土計画委員長荒木萬壽夫君。
  ―――――――――
 都会地轉入抑制緊急措置令を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
    〔荒木萬壽夫君登壇〕
#15
○荒木萬壽夫君 ただいま議題となりました都会地轉入抑制緊急措置令を改正する法律案に関し、國土計画委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず第一に、政府提案の利用を御紹介申し上げます。都会地における人口の過度の集中による食糧及び住宅の不足、交通その他公共施設の混乱等のため、都市生活者の不安を増大し、各種の弊害が惹起されるおそれがありますので、これらの弊害を防止する目的をもつて、昨年三月一日、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き、都会地転轉入抑制緊急措置令が公布施行せられました結果、全國二十五都市を指定して、人口の過度の流入を抑制することと相なつたのでありますが、その後食糧、住宅等の問題は依然として好轉緩和いたしませんので、前後四回にわたりその期間を延長し、一應本年十二月末日までをもつて期間が満了することとなつているのであります。しかして、その間各般の事情を勘案し、右の指定都市中より富山市及び豊橋市だけは同勅令の適用より除外し得たのみで、現在に至つているのであります。しかるに政府において、過般來指定都市につき綿密なる状況調査を行いまするとともに、関係方面とも十分協議いたしました結果、東京都ほか十三都市に対しては、引続き都市轉入を抑制するの必要を認め、本法律案の提出を見るに至つた次第であります。
 以下、本法律案の内容を概略御説明申し上げます。提案の理由により御了察願えるように、本法律案は現行の都会地轉入抑制緊急措置令と大差ないものでありまして、異なるところは、轉入抑制指定都市を、在來の二十三箇所より十四箇所に減少したことと、轉入の事由が一時的であるものについて、轉入許可に際して一定の期間を附することができるようにしたことの二点がおもなるのであります。すなわち、指定都市の選定にあたりましては、努めてこれを解除する方針のもとに愼重調査を行いまして、特に大都市が連接し、食糧及び住宅事情の混乱が予想されるような東京都を中心とする京浜地区、大阪を中心とする京阪神地区及び北九州地区等十四都市を指定いたしまして、函館、長崎、佐世保、名古屋、靜岡、岐阜、仙台、廣島及び呉の九都市は、これを指定より解除されているのであります。
 次に、政府委員との間に行われました質疑應答のおもなるものを御紹介いたします。委員質疑の第一としては、本法案は憲法違反ではないか。すなわち、憲法第二十二條には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移轉及び職業選択の自由を有する。」とあるのに、本法案は、公共の福祉に反しない場合でも、居住、移轉及び職業選択の自由を奪うことになりはしないかが懸念される。そもそも新憲法下國民に許されたる自由の権利は最も重要嚴粛なるものであつて、これに対する各種の制限は努めて狭義に解釈すべきである。本法案において、公共の福祉に反する場合として、人口の過度の集中による窮状を指摘しているが、これは何を基準として過度というか。元來都市には、その都市の有する経済的、社会的性格により人口はおのずから集中するものであつて、人爲的にこれを抑制しても大した効果はないであろうし、住宅、食糧等の制約は第二義的である。たとえば、同居人同志が承知の上で数家族雜居しても、別に公共の福祉に反するとも思えない。また都市の食糧が窮迫することは、全國的に見た食糧の絶対数に変化がない限り、問題はその輸送にかかる。輸送機関に相当のロードがかかるからといつて、これを公共の福祉に反するとも断言できないであろう。これを要するに、都市への轉入を拒否するならば、政府は轉入を拒まれた者の生活を保障するか、しからずんば本法案を撤回すべきである。これに対する政府側の答弁は、人口が過度に集中すると、住宅、食糧の不足、交通機関の混乱等の惡條件が集積して、遂には公共の福祉に反するような各種の弊害が発生すると信ずる。從つて、本法案による調整措置がないと、どれだけ大都市の民衆が困るか、実際問題を対象として考えていただきたい。東京都の一例でも、抑制実施前の一箇月の轉入者十六万人が、実施後は一箇月三万人に激減している。また失業の面は、これを職業安定法等の運用により善処したいと思うが、いずれにしろ、大局的に過去の実績より判定しても、本法案としては公共の福祉に反する場合のみを抑制するもので、憲法の精神には違反しないと思う。
 質疑の第二は、人口の都市轉入抑制は就職の機会を抑圧することとなり、失業者を多くする結果となると思うが、これに対する政府の対策はどうか。また現在都市以外では、ほとんど就職不可能であると思われるのか、いやしくも就職が決定した者には、すべて都市轉入を許可してはどうか。これに対する政府側の答弁は、失業対策としては、職業紹介の強化、輸出産業、公共事業への吸收、最後の手段として失業手当法、失業保險法の運用等を考えているが、職業紹介は原則として通勤可能区域内とし、他の都市への轉入を必要とする紹介は極力避けている。また通勤区域外えの紹介は、就職率もすこぶる惡い。統計によると、失業者の数は商工業都市の方が農山漁村等より約二倍ほど多いし、六大都市のある都府縣と、その他の縣の就職者の比率は一対二であり、求職と就職の比率も後者の方が良好であること等から見て、必ずしも就職は都市にのみに限るとは断定されない。また職業のいかんを問はず、就職決定者をすべて自由に轉入許可すれば、本法のほとんど喪失することになるであらう。
 質疑の第三として、このままの状態では、住宅の不足は当分解決しそうにも思われぬが、臨時建築制限令の緩和、建築許可と資材配給の一元化を考慮する意思はないか。これに対する政府側の答弁は、庶民住宅の建築に関しては、極力これを簡易に許可する方針で、現在は便法として、手持資材のある者にはただちにこれを許可している。また建築許可と資材配給の一元化については、目下研究中である。
 質疑の第四は、消極的な人口抑制よりも、積極的な人口の適正配置を考うべきではないか。これに対する政府側の答弁は、國土計画的見地より、産業文化その他の施設を全國を通じて適正に配置し、これに伴つて人口の大都市集中を是正するいき方が合理的であることは言うまでもない。一應の計画はすでにできてはいるが、目下再檢討中である。
 質疑の第五は、抑制された都市の周辺に人口が過度に集中するおそれはないか。これに対する政府側の答弁は、その現象は、大都市え向つての交通網の便利な方面により顯著になると思う。しかし、將來のことを考えると、大都市の衞星都市の発達を促す結果ともなり、國土計画、地方計画的には、むしろ好結果をもたらすと思うから、なるべくこれが発展を善導したい。
 質疑の第六は、第二條第一項第一号の、國民生活を再興するため必須の業務に從事する者の解釈いかん。これに対する政府側の答弁は、必須の業務というのは、生活必需物資、輸出品、生産用器材等の工業生産に從事する者、電氣、ガス、水道、文化、交通、運輸通信等に從事する者、商業、医療関係者等であるが、その他の各都市ごとに当面する諸情勢を考慮して、一定の基準を樹立させるよう指示いたしている。
 質疑の第七は、第二條第一項第六号の「主務大臣の定める者」とはどういう者か。これに対する政府側の答弁は、主務大臣の定める者とは、連合軍の要務に從事する者、國または公共團体の経営する訓練所あるいは養成所等に入所する者、入院患者と必要なる看護人、内縁の妻等であるが、その他都市の実情に應じ、市町村長の裁量を認めてまいりたいと思つている。
 質疑の第八は、第二條第二項の、轉入の事由が一時的であるものについて轉入の期間を限定するものは、いかなる場合か。これに対する政府側の答弁は、現行の緊急措置令では、短期轉入が必要ではあるが、その後は在住を必要としない者、たとえば養成所、補導所、講習会等の入所生、あるいは指定都市附近で災害が起つた場合等に、一時轉入を許可するという途が認められていないため不便があり、弊害を生ずるおそれもあつたので、今回新たにこの第二項を挿入した。
 質疑の第九は、本法の有効期限を一箇年としてあるが、一箇年で住宅、食糧事情等が十分に好轉するとは思えぬ。眞に抑制を必要とする年限を想定して有効期間としてはいかん。これに対する政府側の答弁は、お説の通りではあるが、とりあえず期間を一箇年とし、その後の情勢に應じて処置したいと思う。
 質疑の第十は、附則第三項に「建設院設置法の一部を次のように改正する。」とあるが、建設院設置法案は一應撤回されたまま再提出されてもいないのに、「建設院設置法」の字句を本法に挿入するがごときは、國会を軽視するものと認められるがどうか。これに対する政府側の答弁は、建設院設置法案が本法案に先行して提出される予想のもとに本法案を提出したところ、余儀なき事情で手間どつたため、思わぬ手違いを生じた次第であるから、了承されたい。
 以上が、質疑應答のおもなるものでありますが、詳しくは会議録に讓りたいと存じます。
 かくて、十二月二日討論に入り、細野三千雄君より、各派共同の提案として、附則第三項を削除すべしとの修正意見が述べられました。続いて、日本社会党を代表して藤田榮君より、都市における人口の過度の集中を防止する一時的措置として本法案を適用することは賛成である。しかし、國土計画的見地より、一日も早く人口の適正配分を考慮されたい。次に、民主党を代表して村瀬宣親君より、本法案はほぼ、從來の都会地轉入抑制緊急措置令に新たに第二條第二項が追加されたものであるが、本法の適用は緩嚴そのよろしきを得ないと全法案の目的を阻害することにもなるから、運用上十分留意されたい。なお、本法案のごときものは一日も早く廃止できるよう、政府においても十分に努力されたい。次に、日本自由党を代表して今村忠助君より、本法案は憲法第二十二條の自由権をはなはだしく制約すると認める。現実問題として大都市がこれ以上多数の人口を收容しかねる点は認めるが、しかし、本法案はあくまで應急的措置であつて、一日も早く憲法の示す自由が國民に與えられるよう政府は努力されたい。次に、國民協同党を代表して野本品吉君より、本法案は臨時的措置としてやむを得ないと認めるが、本法案はあくまで公正妥当に取扱われたい。最後に、第一議員倶樂部を代表して只野直三君より、本質的に考へると都市の人口集中は自然的現象であつて、これを人爲的に抑制することは実効が少い。自然的に都市人口を縮小し得るよう政府は格段の努力を拂われたいと、それぞれ賛成意見を述べられました。かくて採決に入り、細野君提出の修正案及び修正部分を除く原案に対し採決の結果、いずれも全会一致をもつて可決された次第であります。
 以上、簡單ながら御報告申し上げます。
#16
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
第六 道路運送法案(内閣提出)
#18
○議長(松岡駒吉君) 日程第六、道路運送法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長正木清君。
  ―――――――――
 道路運送法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
    〔正木清君登壇〕
#19
○正木清君 ただいま議題となりました道路運送法案について、運輸及び交通委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、八月二十三日本委員会に付託せられ、八月二十八日政府より提案理由の説明を聽取して、以來委員会を開くこと実に二十四回、愼重なる審議をいたしたのであります。
 本法案の趣旨を簡單に申し上げますと、現行交通事業法は、自動車運送事業及び自動車道事業のみを対象とする事業法規でありまして、陸上運送において重大なる役割を担当する荷牛馬車、乘合馬車等の軽車輛運送事業に関する規定を欠くのみならず、現下の道路運送の秩序を確立するために必要な規定もなく、産業経済の要請から見ても、また公共の福祉を確保する上から見ても、不備な点が少くないのであります。かつ、統制組合としての自動車運送事業組合を規定する等戰時法規としての残滓を帶びておりますので、これを廃止して、現下の事態に即應して、これら不備の点を補正するとともに、産業経済の要請に應ぜんとしたものであります。
 本法案の内容のおもなる点をあげれば、第一、本法案は道路運送に関する総合法規として、自動車運送事業、自動車道事業のみならず、軽車輛運送事業、自家用自動車の使用及び道路運送の基礎をなす車輛の構造、檢査及び整備をも対象とするのであります。
 第二、事業の監理については、自動車運送事業、自動車道事業は、その公共性の大なるに鑑み免許事業とし、軽車輛運送事業は、これを届出事業といたしておるのであります。
 第三、道路運送行政の民主化をはかり、その適正な運用を期するために、中央及び地方に道路運送委員会を置き、重要な行政事項に関しては、その意見を徴してこれをなすこと。
 第四、自動車運送事業に関しては、妥当な免許基準を設けることとして免許の適正を期しておるほか、運送約款の制度を設けて、契約を定型化するとともに、運送義務及び運送責任を明確にし、不当競爭その他公共の福祉に反する行爲の取締り等事業の公正合理化に必要な規定を設けていること。
 第五、自家用自動車に関する規定を設け、運送営業行爲を禁止し、また公共の福祉確保のため必要なときには、その使用を制限または禁止し得ることとする等運送秩序の確立を期していること。
 第六、車輛の整備いかんは輸送力に直接大いなる影響を及ぼすものでありますから、車輛の機能及び保安の適正化をはかり、輸送力の向上に資するために、車輛の構造、檢査及び整備につき必要な規定を設け、特に車輛の檢査については、車輛檢査官制度を設けることとしたこと。
 第七、罰則については、從來の規定が相当抽象的であつたのを改めて、具体的にこれを規定し、また金刑を増額しておること。
 第八、從來の統制方式による自動車運送事業組合を解散して自主的團体の設立に任せることとしたほか、自動車交通事業財團制度の廃止その他自動車交通事業法の廃止に伴う所要の規定を設けておること等であります。
 次に、質疑應答の概略を申し上げますと、第一には、自動車運送事業及び軽車輛運送事業等に関する主管行政廳についてであります。第四條に、主務大臣の職権の一部を、政令の定めるところにより下級の行政廳に委任することができるとありますが、いかなる職権を、いかなる下級の行政廳に委任する考えであるかとの質疑に対して、政府より、自動車運送事業、自家用自動車の使用に関する運輸大臣の職権は鉄道局長に委任し、自動車事務所長をしてその事務を取扱わしめ、自動車道及び自動車道事業については、鉄道局長及び都道府縣知事に委任したい、また貨物軽車輛事業に関する行政廳は鉄道局長とし、自動車事務所長をしてその事務を取扱わしめ、旅客軽車輛運送事業及び旅客軽車輛に関しては、都知事または市町村長としたいと考えている旨の答弁がありました。なおこの点について、現業を取扱う鉄道局長に道路運送に関する職権を委任することは、現業と監督行政とを紛淆し、從來の実績に徴するも、道路運送行政の円滑なる運営を期するゆえんでない、現業部門と監督部門分離の意思ありやとの質疑に対しては、政府側より、現業部門と監督部門とはこれを分離し、現在の自動車事務所を拡充整備してこれを本省直属とし、これに道路運送行政を取扱わしめることとしたい旨の答弁がありました。
 第二に問題となりました点は、第八條の道路運送委員会についてであります。道路運送委員会の組織、委員の数、任期等は政令で定めることとなつておるが、地方委員会設置の場所、委員の数、任期等はいかに定めるつもりであるかとの質疑に対しては、政府より、地方委員会は交通経済の実情に即する必要上、大体鉄道局の区域に置くこととしたい、委員は、各都府縣は一人、北海道は数人を、各都道府縣知事の推薦により、運輸大臣の申出によつて内閣総理大臣がこれを命ずることとしたい、地方道路運送委員会の委員長をもつて中央道路運送委員会委員としたい、任期は五年としたいと考えておる旨の答弁がありました。これに対して、各般の運送事情に通曉し、地方の輿論を把握する適任者一人を知事に推薦させることは無理であり、現段階においては、各都府縣二人または三人の委員を出すこととしなければならないと思うがいかんとの質疑に対しては、各都府縣一人とするも知事の推薦する委員は國民代表の立場において公正な意見を立てるものと思う、また委員会として必要な報告等を求めることができ、事件関係人または参考人の出頭を求めて意見、報告を徴しなければならない規定となつておるものであるから、一府縣一人でも完全にその職務を遂行し得るものと思うとの政府の答弁がありました。
 その他自動車運送事業、軽車輛運送事業及び自動車、軽車輛に関する行政は都道府縣知事に取扱わしむべきであるがいかん。下級行政廳を新設して道路運送行政を取扱わしめるにあたつては、都道府縣知事との緊密なる連絡が必要であるがその点いかん。道路運送委員会の性格いかん。また本法において規定せんとする軽車輛の範囲、自動車運送事業免許に関する妥当な基準及び本法施行の期日等に関して、種々論議が闘わされたのでありますが、その詳細は会議録に讓りたいと思います。
 以上のごとく政府側と熱心な質疑應答の結果、本法案は、政令に委ねておる主務大臣の職権の一部を委任する下級行政廳及びその委任事項、道路運送委員会の組織、委員の任免、資格及び任期、本法施行の期日等の諸点について修正を要するものありと認め、十月二十二日修正案起草小委員会を設け、種々意見を交換した上、後述の修正案を得たものであります。そこで、十二月二日委員会において討論に入り、社会党高瀬傳君、民主党原彪君、自由党高橋英吉君が、それぞれ党を代表して、政府に対し、この法律の施行にあたり、地方自治行政との密接な連繋につき特段の考慮を希望し、各派共同提案による修正案及び修正部分を除く他の原案に賛成する旨述べられまして、ただちに採決に入り、全会一致をもつて原案を修正議決した次第であります。
 時間も大分経ちましたので、委員会において決定いたしました修正部分のおもなる内容を簡單に申し上げまして、報告を終りたいと存じます。
 すなわち、第四條について、この法律において行政官廳の職権に属させた事項の一部で、都府縣の区域内または政令の定める道内の区域内におけるものを掌理させるため、都府縣廳の所在地、札幌市、函館市、室蘭市、帶廣市、釧路市、北見市及び旭川市に道路運送監理事務所を置くようにしたこと。
 また、この法律に規定する主務大臣の職権の一部は、政令の定めるところにより、一、第三章及び第七章に規定する職権については道路運送監理事務所長、二、第五章に規定する職権については道路運送監理事務所長及び都道府縣知事に委任し得ることとしたこと。
 また第四章、第五章、第八章に規定する行政廳は、政令の定める場合を除いて、一、貨物軽車輛運送事業に関する事項及び自動車に関する第八章に規定する事項については道路運送監理事務所長、二、旅客軽車輛運送事業に関する事項及び旅客軽車輛に関する第八章に規定する事項については都の区の長または市町村長、三、自動車道の工事のためにする土地の立入り及び使用に関する事項については都道府縣知事としたこと。
 第八條につきましては、中央道路運送委員会は委員九人、地方道路運送委員会は委員若干人とし、地方道路運送委員会の委員は、各都道府縣知事の推薦に基き、運輸大臣の申出により、内閣総理大臣がこれを命じ、その数は都府縣二人、北海道若干人、道路運送委員の任期は三年とし、交代制をとり、また再任を妨げない、その他資格、任免等につき新たに規定したこと。
 附則の本法施行期日については、自動車取締令廃止の関係から、第一條ないし第三條その他車輛に関する規定、自動車運送事業組合及び同連合会の廃止等に関する規定は昭和二十三年一月一日、第八條の規定施行の期日は、この法律公布の日から四十五日を超えない期間内において、政令でこれを定める。その他の規定は、昭和二十三年三月十五日からこれを施行することとしたこと。
 以上のほか案の字句の修正をいたした次第であります。
 以上をもつて報告を終わります。(拍手)
#20
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第七 簡易生命保險法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#22
○議長(松岡駒吉君) 日程第七、簡易生命保險法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通信委員長岡田勢一君。
  ―――――――――
 簡易生命保險法等の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
    〔岡田勢一君登壇〕
#23
○岡田勢一君 ただいま議題となりました簡易生命保險法等の一部を改正する法律案に関し、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本法律案の制定理由でありますが、最近における物價の急激なる高騰に伴いまして、簡易生命保險の保險金額及び郵便年金の年金額の現行最高制限額をもつてしまつては、國民経済生活の安定強化を目的とする両制度本來の機能を十分に発揮できないのみならず、他面両事業それ自体としても、高額契約の獲得により努めて事業費の低減、收支状況の改善をはかる必要がありますので、右最高制限額を適当な限度に引上げる一方、利用者にとつてほとんど價値がなく、いたずらに事業費の増嵩を來すような小額契約を排除するために、新たに保險金額及び年金額の最低制限額を設けようとして、政府は本案を提出するに至つたのであります。
 次に本法律案の内容は、以上の理由によりまして、簡易生命保險金額については、その最高制限額を被保險者一人につき現行の五千円から二万五千円に引上げるとともに、新たに一保險契約につき千円の最低制限額を設け、郵便年金額については、その最高制限額を年金受取人一人につき現行の六千円から二万四千円に引上げるとともに、新たに一年金契約につき二百四十円の最低制限額を設けようとするものであります。なお、本法律案の施行期日は明年一月一日とし、施行前の保險、年金契約については、この法律案による改正にかかわらず、なお從前の規定による旨、附則において規定しております。
 十一月二十七日本案の付託を受けまして以來、委員会はまず逓信大臣より提案理由の説明を聽取し、引続き質疑を行つたのでありますが、その詳細は会議録に讓りまして、ここにはその一、二を要約して申し上げることにいたします。
 まず、本法律案による保險年金額の最高制限数算定の根拠いかんという質疑に対し、政府は、簡易生命保險金額については、かりに昭和十七年当時と今日とを対比して、物價騰貴率に應じて最高制限額を算出するときは、三万円以上になるのであるが、民間保險業者に及ぼす影響をも考慮して、これを二万五千円に止めた旨並びに郵便年金額については、一面生活保護法による生活扶助費との均衡をはかり、他面、安逸徒食の弊風を生じないように考慮して、これを二万四千円にした旨の答弁がありました。
 次に、インフレの高進によつて、保險、年金のような長期契約は、利用者に貨幣價値の下落による損害を與える結果を招くことが多いが、何らか救済の方法はないかという問に対しましては、政府は、簡易生命保險及び郵便年金制度自体としては、制度を通じてインフレの防止に努めるほか、事業の建前からいつて特別の方途をとることはできない旨答弁いたしております。
 かくて、本月二日質疑を終了し、討論を省略して、ただちに採決を行いましたところ、全員一致をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#24
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第八 國の利害に関係のある訴訟についての最高法務総裁の権限等に関する法律案(内閣提出)
 第九 副檢事の任命資格の特例に関する法律案(内閣提出)
 第十 最高法務廳設置に伴う法令の整理に関する法律案(内閣提出)
 第十一 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#26
○議長(松岡駒吉君) 日程第八、國の利害に関係のある訴訟についての最高法務総裁の権限等に関する法律案、日程第九、副檢事の任命資格の特例に関する法律案、日程第十、最高法務廳設置に伴う法令の整理に関する法律案、日程第十一、裁判所法の一部を改正する法律案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員大島多藏君。
  ―――――――――
 國の利害に関係ある訴訟についての最高法務総裁の権限等に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 副檢事の任命資格の特例に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 最高法務廳設置に伴う法令の整理に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
    〔大島多藏君登壇〕
#27
○大島多藏君 ただいま議題と相なりました國の利害に関係のある訴訟についての最高法務総裁の権限等に関する法律案、副檢事の任命資格の特例に関する法律案、最高法務廳設置に伴う法令の整理に関する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案の四案について、委託によりまして、私から司法委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告いたします。
 第一に、國の利害に関係ある訴訟についての最高法務総裁の権限等に関する法律案について御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨を御説明いたします。最高法務廳設置法の制定により、國の利害に関係のある訴訟に関する事項は、最高法務総裁がこれを管理することとなりますので、これに対應して、この種の訴訟に関する権限を定めることが必要となつたのであります。中央または地方の行政官廳の所管事務にかかわる民事訴訟については、憲法、裁判所法及び國家賠償法の制定に伴い、國民から國に対する損害賠償の請求訴訟、國から職員に対する求償の訴訟等國を当事者とする訴訟その他いわゆる行政事件の訴訟が從前よりも増加し、その内容もまた一層複雜となることが予想されるのであります。かような事態に対処するため、この種の訴訟については、法律問題に関する内閣の最高顧問たる地位にある最高法務総裁が一元的にこの実施等の責に任ずることとし、もつて関係各廳の負担の軽減をはかるとともに、その実施の統一を期そうとするのが、本案の趣旨であります。
 以下、この法律案の要点を申し上げます。第一は、國を当事者または参加人とする民事訴訟については、最高法務総裁が國を代表するものとしたことであります。第二は、最高総務総裁は、その指定する所部の官吏その他のものに、國を当事者または参加人とする民事訴訟を行わせ得るものとしたことであります。第三は、最高法務総裁は、國の利害または公共の福祉に重大な関係のある訴訟において、みずから、または所部の職員により、裁判所に意見を述べることができるものとしたことであります。第四は、行政廳を当事者または参加人とする訴訟の代理人に関する規定を設けたことであります。違法な行政処分は、すべて裁判所に出訴し得ることとなりましたが、この種の行政事件について、行政廳は弁護士を訴訟代理人に選任するほか、その指定する所部の職員に訴訟を行わせることができるものとしております。第五は、行政事件の訴訟について、最高法務総裁の指揮権を定めたことであります。右の訴訟は、実質上は國の事務にかかわる訴訟にほかなりませんので、行政廳は最高法務総裁の指揮を受けるものとし、これにより國の利害に関係のある訴訟の一元的実施を期したのであります。但し、私的独占及び公正取引の確保に関する法律による委員の訴訟については、総裁の右の指揮監督を受けないものといたしました。以上が政府原案の要旨であります。
 委員会は、十一月二十七日政府の説明の後、ただちに質疑に入り、本月二日まで質疑應答を続けましたが、質疑應答はほとんど第四條に集中せられたのであります。
 すなわち同第四條によりますれば、「最高法務総裁は、國の利害又は公共の福祉に重大な関係のある訴訟において、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、自ら意見を述べ、又はその指定する所部の職員に意見を述べさせることができる。」とあります。この條文をめぐつて、第一に、國の利害または公共の福祉に重大な関係がある訴訟といつても、その概念が明確でない。いかなる範囲か、これを明らかにされたいとの質疑がありました。これに対し政府より、國の財政的見地から、あるいは政策的見地から國の利害に関係のある訴訟であつて、具体的事件の出現を重ねてその範囲が定まるものである。但し、重要な利害の程度については、法務総裁だけの見解でなく、裁判所側の解釈も加わつて裁判所の許可が定まるのであるから、必ずしも概念が不明確というわけではないとの答弁がありました。第二は、最高法務総裁みずから裁判所に対し意見を述べることは、たとい裁判所の許可を得た場合とはいえ、裁判に干渉というような惡影響を與えないかという質疑がありました。これに対し政府から、法務総裁は裁判所の許可がなくては意見を述べられないし、多くの場合は、裁判所側から國に利害関係のある事件につき総裁の意見を求めて参考にするのである。総裁が出廷して意見を述べることは、すでに人事訴訟法や非訟事件手続法によつて、檢事が公益の代表者として事件に立ち合い、意見を述べるのとその由來を同じくするのであつて、総裁の意見陳述は裁判の参考となつても、惡影響は受けないと思うとの答弁がありました。
 本月二日、明禮委員より修正案が提出せられましたが、その内容は、本案第四條中、法務総裁「自ら意見を述べ、又は」を削らんとするものであり、その理由は、裁判の公正のため、いやしくも司法権行使に惡影響あるものは一切これを排除したいというにあるのであります。
 次いで、同日討論に移り、修正案に対しては鍛冶委員の賛成意見が述べられましたが、採決の結果は少数を以て否決となり、本案は多数をもつて原案通り可決いたしました次第であります。
 次に、副檢事の任命資格の特例に関する法律案について御報告申し上げます。
 政府原案の要旨は、区檢察廳の檢察官の充実をはかるため、その檢察官の職に補すべき副檢事を急速に任命する必要があるのに、適当な資格を備えた者が少い現状に鑑み、任命資格に特例を設け、向う一年以内に限り、檢察廳法第十八條第二項の規定にかかわらず、副檢事の職務に必要な学識経驗者で選考を経た者の中からも任命することができるというのであります。
 本案については、十一月二十九日政府の説明の後、わずか一箇條の條文でありますが、十二月一日、二日の両日にわたつて質疑が行われたのであります。その要点をかいつまんで御紹介いたします。 第一に、副檢事に任命される者はいかなる人物かとの質疑に対し、たとえば裁判所、検察廳で業務成績の優秀なる者や、外地帰りの領事、副領事や、警察署司法主任のごとき者が副檢事の選考にはいるとの應答がありました。
 第二に、本案が裁判所内の人員補充の危機突破のための特例であるならば、副檢事の將來については、檢事になることを約束せず、また弁護士となることを禁じてはどうかという質疑がありましたが、これに対して、副檢事在職三年の後に嚴正な考試を行えば、檢事の素質及び実力がさほど低下することはないし、また弁護士に轉ずることは、別途の方法をもつて処理すればよいものと考える、なお、五年間の在職期間を定めることは、檢事任命資格としての副檢事在職期間に二種類を認める結果になるから適当でないとの答弁がありました。以上が、質疑の要点でございます。
 次いで、同日討論に移り、各党委員より、それぞれ党を代表して原案に賛成の旨の発言がなされましたが、この際一部に、任用の際においては嚴格な考試の実施を要望する意見がありましたことを附加いたしておきます。次いで採決の結果、本案は満場一致をもつて政府原案の通り可決いたしました次第でございます。
 次に、最高法務廳設置に伴う法令の整備に関する法律案について御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨を御説明申し上げます。本案は、新たに最高法務廳が設置せられ、司法省及び法制局が廃止されることになりますので、これに伴い関係各法令に必要な変更を加える必要から提出せられたものであります。
 改正の要点を申し上げますと、第一に、司法省及び法制局を廃止し、関係各法令についてそれぞれこれらに関する規定を削除し、必要に應じて、「司法省」「法制局」とあるのを最高法務廳と改めております。第二に、司法大臣とあるのを最高法務総裁と改めております。第三に、從來内務大臣に属していた國籍、外國人登録、ポツダム宣言受諾に伴う勅令による團体の禁止、解散等の権限が最高法務総裁に移されますので、これらに関する法律、勅令中「主務大臣」とあるのを「最高法務総裁」と改めております。第四に、最高法務廳に置かれる五人の長官の職を、その地位職責に鑑み、國家公務員法にいう特別職としたのであります。第五に、裁判官及び檢察官の任命資格等に関する法令の規定について、司法次官、司法事務官及び檢察官司法教官に代つて、新たに最高法務廳に置かれる各長官、官房長、最高法務廳事務官及び最高法務廳教官を加えるように改めております。第六に、警察法及び官吏懲戒令の各細部を改正して、國家公安委員会の警備すべき官廳の中に、最高法務廳を加えたことなどであります。以上が、本案の要旨であります。
 十一月二十九日、本案に対する政府の説明がありましたが、この法案はまつたく文字の改正でありまして、最高法務廳設置に伴つて関係法令中の用語を整理しただけのものでありますので、委員会においては、別に発言がなく、質疑討論を省略し、ただちに採決の結果、本案は満場一致をもつて原案の通り可決いたしました次第であります。
 次に、裁判所法の一部を改正する法律案について御報告いたします。まず、政府原案の要旨を御紹介申し上げます。本案は、裁判所法施行以來情勢も変化し、また本法施行の実績に徴して、これを若干改正する必要が生じたために提出せられたものでありまして、そのおもなる改正点をあげますれば、第一点は、從來地方裁判所のみに属していた窃盗罪及びその未遂罪に関する裁判権を簡易裁判所にも與え、簡易裁判所は、これらの罪について三年以下の懲役を科することができるとした点であります。その理由は、現下の不安定な経済情勢を反映して、窃盗罪をはじめ犯罪が激増の一途をたどり、地方裁判所の刑事事件は山積している状態でありますので、事案の簡單な窃盗罪を簡易裁判所に移そうというのであります。第二点は、裁判官任命諮問委員会に関する規定を廃止した点であります。これは、諮問委員会の諮問を経て任命する方式が形式に流れて所期の効果を得られない憾みがあり、かつ指名及び任命に対する責任の所在を不明確ならしめるおそれがあるという理由によるのであります。よつて、第三十九條第四項及び第五項を削除して、最高裁判所の裁判官の任命についてはこれを内閣の自由裁量とし、その代り、指名または任命に関しては内閣が一切の責任を負うことにしたというわけであります。第三点は、裁判官の任命資格の中に司法教官を加えたことであります。これは、裁判所法案の提出当時には司法研修所の設立が未定であつたので、司法教官が裁判官の任命資格中に漏れていたので、今回それを補うというわけであります。第四点は、簡易裁判所判事の停年を六十五年から七十年に引上げた点であります。これによつて、老練な退職判檢事、弁護士が続々簡易裁判所判事に任命されることを期待しているわけであります。以上が、政府原案の要旨でございます。
 この法案につきましては、十一月二十九日政府の説明を聽き、本月一日、二日懇談会を重ねてまいりましたが、問題となりましたのは、最高裁判所裁判官の任命諮問委員会を何ゆえ廃止するかということであります。これに対する政府の答えは、諮問委員に各方面の納得する人を得ることが困難であること、さらに諮問委員会の答申があれば、内閣は事実上拘束を受けざるを得ないのであつて、これは憲法上内閣の責任と明記されているにもかかわらず、その責任の帰趨をあいまいならしめるものであるとのことでありました。
 委員会は、昨三日討論を行い、次いで採決の結果、本案は満場一致をもつて原案の通り可決いたしました次第であります。
 以上、四案に対する報告を終ります。(拍手)
#28
○議長(松岡駒吉君) 採決に入りますが、四案の委員長報告はいずれも可決であります。
 まず日程第九、副檢事の任命資格の特例に関する法律案につき採決いたします。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、日程第八、第十及び第十一の三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第十二 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十三 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#31
○議長(松岡駒吉君) 日程第十二、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、日程第十三、農地調整法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託した議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長野溝勝君。
  ―――――――――
 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の附録に掲載]
  ―――――――――
    〔野溝勝君登壇〕
#32
○野溝勝君 ただいま議題となりました、内閣提出、農林委員会付託にかかわる自作農創設特別措置法及び農地調整法の一部を改正する法律案に関し、一括、その審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、両法案の提出理由を簡單に説明申し上げます。御承知のごとく、農地改革は現に着々進行中でございまして、來年度中に、いわゆる第二次農地改革はほぼ所期の目標を達成する予定でございます。しかるに、この農地改革の進行途上におきまして、農業経営の安定の度を高めるために、農地改革の一環として、自作農創設、土地集約利用の促進をはかり、かつ放牧地、採草地、農用林等の開放を行う必要があるという認識に到達し、それに関する所要の規定を制定いたしまするとともに、農地改革実施の経驗に基き、若干の点で改善をはかろうというのが、本案提出のおもなる理由でございます。以下、両改正法律案の特色及び内容について概要を御説明いたします。
 まず、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案中の重要事項をかいつまんで申し上げます。
 第一に、本法の要点といたしましては、まず牧野の開放を行うことであります。すなわち政府は、推定二十万町歩に上る牧野の買收をいたしますが、その買收要領について、第四十條の二、三、四に新しい條項を掲げております。改正法案によりますと、不在地主の所有する小作牧野はこれを全部買收いたし、在村地主の所有する小作牧野は、北海道におきまして平均一町歩、都府縣では平均三反歩を超える部分を買收いたすことにしておるのであります。自作牧野についても一定の制限を設け、この制限の面積以上の部分は買收いたします。すなわち、北海道では農地と合計として平均二十町歩、都府縣では平均農地と合わせまして五町歩をその限度といたしますが、この数字は、各地域について有畜農業経営が有効に成立し得るよう具体的に決定するのでありまして、その最高限度は四十町歩でございます。以上の牧野のほかに、政府は農地委員会の認定によつて、次の牧野をもこれを買收し得ることとなつております。一、まつたく農業に縁のない者が所有する牧野、二、自作牧野の保有限度まで保有せずとも、牧野利用の集約化によつて、それと同樣の生産が上げられると認める場合は、その節約可能面積、三、農業を主要な業務としない法人その他の團体の所有する牧野、四、放棄されたる牧野、五、所有者が買收を申出た牧野、なお、以上買收牧野に関連する立木、工作物、農業用施設または水の使用権をも買收し得ることに定められております。この反面、買收を免除される牧野は、市町村または協同組合等の所有にかかわる共同牧野及び公共用、公用に供している牧野で農林大臣の指定したもの並びに優良種苗の供給牧場、大都市への牛乳配給を目的とする牧場として農林大臣の指定するものでございます。以上の牧野買收に関する手続規定は、第四十條の四でありますが、その要点は、牧野の買收は昭和二十年十一月二十三日現在の事業に基ずいて、市町村農地委員会の作成する牧野買收計画によつて行い、その対價は近傍類似の農地の四割五分以内ということになつているのでございます。
 本改正法律案の第二の重要事項は、未墾地買收関係の規定の改正であります。すなわち、現行規定は開拓用地のみを対象としていますが、大規模の國営土地改良事業を円滑に実施いたしまするために、それに必要な用排水路の敷地等についても、これを買收または使用し得るよう規定の拡張をはかつているのでございます。第三の重要改良工事は、農地買收の遡及原則に関する判断の基準を明確化した点でありまして、昭和二十年十一月二十三日以後土地の賣買、小作地の取上げ等がありました場合においては、同日現在に遡つて農地の買收計画を立てますことは、從來通りでございますが、何分法文が簡單すぎ、実施上種々の疑義を生じていますので、これを詳細かつ明確に規定したのでございます。
 以上、その概要を説明申し上げました改正箇所以外に、現行法の実施上不備な点、あるいは他の法律の改正に伴い生じました改正点等につき、所要の改正が行われているのでありますが、細部にわたりましては、法案についてごらんを願うことといたしまして、ここでは説明を省略いたします。
 次に、農地調整法の一部を改正する法律案について、重要事項の説明を行うことといたします。
 本改正法律案の最大のねらいは、三つございまして、その一は、まず第十四條における七つの追加規定において示されておりますように、農業上当然必要な自家用燃料及び肥料等を採取する薪炭林、採草地または放牧地等について継続的な使用権を設定せしめ、農地改革の進行とともに、地主がこれらの土地を囲いこむ懸念がありますことに対し、勤労農民の立場に立つて、山と農業とのつながりをつけ、農業経営の安定をはかつていることであります。
 次に第二の重要事項は、小作地取上げに関する制限の強化並びに耕作権回復の規定でございます。第九條第三項の改正及び附則の第三條ないし第五條は、これに対する規定でございまして、今日まで農地の賃貸借を解約する場合、合意解約についても市町村農地委員会の承認を要するかどうかに関し解釈上の疑義があつて、本法の逆用により、一方的な土地取上げが盛んに行われた事実に鑑みまして、本改正規定により、合意解約を含む一切の土地返還は、これを市町村農地委員会または知事の審査を必要とすることに定めたのであります。附則の第三條ないし第五條は、昭和二十年十一月二十三日以後における不法不当な土地取上げについて、たとい一町歩以下の小地主でありましても、元の小作人から耕作権回復の請求があつた場合、市町村農地委員会がこれを救済し得ることを定めたものであります。
 最後に、第三の重要改正事項としては、小作料代物弁済の廃止であります。現行規定第九條の二の但書によつて、小作料債務が弁済期にあるとき、債務者が債権者の承諾を得たならば、金銭以外の物で支拂うことができることになつていますために、本規定が惡用される傾向がありますので、この但書を削除して、脱法の余地なからしめているのでございます。
 以上、両改正法律案の概要について説明いたしましたが、次に、農地改革法の運用に関連し、農林委員と政府委員との間に行われました質疑應答中、参考とすべきもの若干を御報告申し上げます。
 まず、第二次農地改革の予定開放面積に対して、実際の面積はかなり少いと言われるが、その実情及び原因いかんという質疑に対する答弁は、小作地の買收面積は最終的には決定していない、しかし、当初の予定二百万町歩に及ばないことは事実である、その原因は、二百万町歩という数字そのものが推測にすぎないこと、從來の耕地面積六百万町歩が現在の農林統計上では五百万町歩を割つていること、土地取上げが盛んに行われたこと等である、大体、來年末までに百三十万町歩の開放を行う見込みであるというのであります。
 次に、農地開放が著しく遅れている地方がある、その原因の一つは、農地開放を好まぬ地主またはこれに同調する自作階層が妨害するからである。この際、一町歩の地主保有を全廃するか、または農地委員会の委員構成を変更する意思はないかとの質問に対する政府委員の答弁は、一町歩の地主保有は、農家労働力の消長、農業経営の彈力性等に着眼して定めたのであつて、今にわかにこれを廃しようとは思はぬ。しかし、強制を伴わぬ自主的な地主保有地の廃止は賛成である。
 次に、市町村農地委員で、法の精神を沒却し、地位を惡用して私腹を肥す者がいる、罰則を設ける必要はないかとの質疑に対しては、農地委員は公務員に準ずる者であるから、不正行爲に対しては刑法の適用を受けるとの答弁でございます。制度上の問題としては、第二次改革の終了後考究すべきものと思う、さらに農地委員の構成に関しては、今のところ、これをかえようとは思わない、立場を異にした者が論議を盡して決定した方がよいと思うが、どうしても農地開放の進まない場合には、農地調整法第十五條が発動されるはずであるというのであります。
 次に、大正十三年制定の小作調停法によつて、頻々として小作地の取上げが行はれているのであるが、この問題は農地調整法によつて行政的に解決すべきものと思う、そこで、同法第十條ないし第十四條の小作調停に関する條項を削除するのみならず、小作調停法そのものをも廃止すべきである、政府の見解いかんとの質疑に対しまして、小作調停法を全廃するほど農地委員会は成長を遂げていない、しかし、農地上の問題は、あくまで農地委員会を中心に、農民の團結により解決すべき筋合のものであるから、將來は裁判所による調停はこれを廃すべきものと思うとの答弁でございましたが、この問題はすこぶる重大でございますので、さらに司法当局に対し、農地委員会の裁定と裁判所の判決との関係について、その所見を質しましたるところ、農地委員会の裁定が違法であつた場合に、裁判所はこれを取上げるのであるが、その重点は、その裁定が適法なりや否やの点におかれるから、場合によつては地方の具体的事情に副わぬことがあるかもしれぬが、一應やむを得ない、しかし、農地調整法により解決することは当然であるから、今後ともその趣旨を徹底させるという答弁を得たのでございます。
 次に、農地委員の待遇が惡いために辞職する者が少くない、十二億円の請求予算の半額が認められたにすぎぬが、いかに処置するつもりかとの質疑に対しては、予算の残額は、次回の通常議会に措置するよう目下所要経費の算定中であるとの答弁がございました。
 最後に、薪炭林等に対する使用権の設定は國有林を除外されるが、依託林制度を拡充せねば、民有林に対して不公平ではないかという質疑が行われ、これに対しましては、依託林の内容をかえようとは思つていない旨の答弁がございました。
 以上、質疑應答中の主要なるものを整理して御紹介した次第でございます。
 両改正法律案は、十一月十二日、提案の理由について政府の説明を聽取いたしましたる後、爾來七回にわたつて審議を行い、十二月一日質疑を打切つて、三日討論にはいつたのであります。討論の概要を次に御報告いたします。
 まず、社会党を代表いたしまして野上委員より、一町歩の不耕作在村地主の存在が農地改革の進行を妨げている事実はおおいがたいところであり、かつ農地委員会の構成にも一段と徹底した改正を施すべきであるが、すでに期日も切迫しているので、この点、政府は次期國会においてさらにこれを改正されることを要望する、但し、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案中、第十二條の二において、電線路の施設の用に供される土地に賃借権を認めるとある点については、電氣事業の公的性格に鑑み、かつ農地改革に紛淆のおそれがあるので、これを地役権に改定すべきであつて、各党各派の了解のもとに、これを共同修正案として提出したい、なお、右の修正部分を除いた原案に対しては賛成である旨の意見が述べられ、民主党を代表して寺本委員より、農地委員会の運営には、階級鬪爭にとらわれることなきを期すとともに、牧野開放により畜産を阻害せないよう注意すること等につき希望意見を付して、修正部分及び修正部分を除く原案に賛成する旨の意見が表明されたのであります。次いで、自由党を代表して岩本委員より、農地調整法第十四條の五但書における、自家用薪炭の原木採取のための使用権設定に関する制限の例外規定の問題は、政府の説明により一應不安は除去されたが、治山治水または燃料問題に関連し、軽々に扱われると造林意欲を減殺する結果になるから、その点、政府の善処方を要望することとし、各派共同提案の修正部分並びに修正部分を除いた政府原案に対し賛成するものであるとの意見が表明せられました。次に、日本農民党北委員より、不耕作地主の存在により農地改革の進行が阻害されている事実について、この際さらに改革を一歩進めるため政府の反省を求めるが、修正部分及び修正部分を除いた政府原案に対して賛成の意思表示がありました。
 かくて、討論を終り採決に入りましたところ、全員起立、各派共同提案の修正点並びに修正部分を除く政府提出の両法律案は、いずれも可決するに至つたのであります。
 以下、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案に対する各派共同提案にかかる修正條項を朗読いたします。
 自作農創設特別措置法の一部改正法律案修正案
一、第十二條第二項中「地役権があるときは、」の下「第十二條の二第二項の場合を除いて、」を加える。
二、第十二條の二 前條第一項の規定により政府の取得した農地がその取得の当時電氣事業法による電氣事業者又は同法第三十條第二項の事業を営む者(以下電氣事業者と総称する。)の所有に属し、電線路(電線の支持物を除く。以下本條において同じ。)の施設の用に供されているものであるときは、その取得の時に当該電氣事業者のために当該電線路の施設を目的として、当該電線路に近接する発電所、変電所、開閉所又は電線の支持物の用地で当該電氣事業者の所有するものを要役地とし、当該農地を承役地とする地役権が設定されたものとみなす。
 前條第一項の規定により政府が取得した農地につき、その取得の当時電氣事業者が電線路の施設のためにする賃借権、使用賃借による権利又は地上権を有するときは、その取得の時に当該電氣事業者のために当該電線路の施設を目的として、当該電線路に近接する発電所、変電所、開閉所又は電線の支持物の用地で当該電氣事業者の所有するものを要役地とし、当該農地を承役地とする地役権が設定されたものとみなす。但し、その地役権の存続期間は、從前の権利の残存期間とする。
 前二項の地役権は、承役地の所有者が工作物の設備その他電線路の施設の妨げとなる行爲をしないことを内容とする。
 第一項又は第二項の規定により地役権が設定された場合において、その設定の当時その要役地が抵当権の目的である工場財團、鉄道財團又は軌道財團に属しているときは、その地役権は当該抵当権の目的となるものとする。
三、附則第六條を第七條とし、附則第五條を第六條とし、附則第五條として、次の一條を加える。
 第五條 この法律施行前に政府が第十六條(第二十九條第二項において準用する場合を含む。)又は第四十一條第一項の規定により賣り渡した土地については、第二十二條第一項但書の規定を適用する。
 以上、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案並びに農地調整法の一部を改正する法律案を修正可決するに至つた経過について御報告いたした次第でございます。何分、議員各位の御了承を願いたいと思います。(拍手)

#33
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。日程第十二の委員長報告は修正であります。日程第十三の委員長報告は可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#34
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第十四 登呂遺跡調査会に國庫補助の請願(第四〇六号)
#35
○議長(松岡駒吉君) 日程第十四、登呂遺跡調査会に國庫補助の請願を議題といたします。委員長の報告を求めます。文化委員長福田繁芳君。
    〔福田繁芳君登壇〕
#36
○福田繁芳君 ただいま上程に相なりました登呂遺跡調査会に対する國庫補助の請願につきまして、文化委員会における審査の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 今さら申し上げるまでもありませんが、この登呂の遺跡と申しますのは、特にこの春ごろから、新聞、雑誌、ラジオやニュース映画を賑わしております。あの靜岡市の南郊三キロほどの地点にある、廣さは約十万坪に及び、各種雑多な考古学上の遺物がぞくぞくと数多く出てまいりつつありますところの、今から約二千年前の、きわめて珍らしい彌生式文化の遺跡のことであります。
 この請願の提出者代表は、発掘当事者にして、登呂遺跡調査会の委員長たる、東京大学名誉教授、学術研究会議会員今井登志喜君でありますが、その請願の要旨は、靜岡市登呂遺跡の調査は、日本古代史の科学的研究に寄與するところがすごぶる大きいので、調査会としては本年三月以來この調査に從事しているが、その資金がきわめて少いために、本年は試掘程度に止めざるを得ない、情けない状態にある、ついては、この事業に國家の補助を願つて、後世民族のために、これが徹底的究明を期したいというのであります。
 この請願書に追いかけて、調査会から、あらためて四名の学者が打そろつて文化委員会に出頭の上、親しく説明せられるところがありました。すなわち、まず東京大学名誉教授、学士院会員、文学博士原田淑人君は、総論として國庫補助の請願趣旨を敷衍し、次に各論として、同じく東京大学助教授、文学博士駒井和愛君は、登呂遺跡の考古学的意義を明らかにし、また同大学教授、工学博士關野克君は、登呂遺跡発掘調査の計画を述べ、終りに、早稻田大学講師、農学博士小野武夫君は、遺跡発掘と農地の問題に言及せられたのでありましたが、その眞劍さは襟を正さしめるものがあり、なかんずく、炎天の下、食糧難と鬪いながらも、なおよく学問的良心の命ずるままに、所期の目的達成に邁進しつつある心構えは、おのずからその眉宇に現われていたのであります。
 しかも感銘にたえないのは、その発掘調査の仕組みが、学界に残る封建制の現れである官僚主義や事大主義あるいは繩張主義を排して、調査員それぞれの能力を十分に発揮できるようにくふうせられ、総合調査が形だけのものでなく、眞にその実をあげ得るように組織立てられていることでありました。すなわち、考古学を初め、地形、地質、木材、建築、動植物、植物化学、それに農業経済や、文献学など各方面の專門家二十五人ほどが、渾然一体となつて同一調査に精進しつつあることでけだし、わが学界未曽有の盛観なのであります。
 よつて、本委員会といたしましては、事の重要性を認めまして、まず專門調査員を現地に派遣いたしましたが、その報告は、いたく同僚各位の関心を呼び、特に議長に対し國政調査の承認を求めまして、玉井祐吉君外八名が、派遣委員として現地に赴くことになりました。派遣委員は、炎天の下、前後五時間を、廣さ十万坪に及ぶ木陰の一つない現地の調査に費した後、靜岡縣及び市並びに地元有志と、事業達成のための便宜供與あるいは地元負担額等に関していろいろと懇談を重ねてまいつたのであります。その結果、八月十九日及び二十六日の委員会におきましては、この派遣委員の一人たる榊原千代君の報告を基礎にして、あらためて活発なる意見が交換せられました。特に政府当局に対して、竹尾弌君は、登呂遺跡に対する所見を質し、森山武彦君はは、遺跡の全貌が判明するまでは発掘事業が中絶せざるよう善処法を要望し、山口助太郎君よりは、遺跡の保存に万全を期せられたき旨の希望の開陳がありましたが、これに対して、親しく現地を視察せられたばかりの森戸文部大臣よりは、登呂の遺跡は考古学上の大発見であること、これはまた、從來神話によつて潤色せられてきた日本古代史を今後科学的に研究する上においての貴重な資料となるべきこと、また当時の聚落生活の全貌をうかがうためには、やはり遺跡を継続して全面的に発掘する必要があること、そして、その保存についても十分に注意を拂いたいとの、すこぶる積極的な答弁がありました。
 かくして登呂遺跡の発掘事業が、國史の科学的、実証的吟味という國民的要請にこたえるよすがとなるべき点において、同僚委員の意見は完全に一致し、去る九月三十日の委員会におきまして、満場一致、本請願を採決すべしと議決いたしたのであります。なおこの請願は、本院において採択となりました後、これを内閣に送付すべきものと認めた次第であります。
 以上が、審議の経過及び結果の概要でありますが、ただ私は、この際、登呂遺跡の発掘がいかなる特徴をもつているかについて、一言ごく簡單に附け加えたいと思います。
 登呂遺跡は、前にも申し上げましたように、廣さは少くとも十万坪に及ぶものでありますので、その規模において、はたまたその出土品の質はおいて、同じ彌生文化の遺跡とはいえ、大和の唐古池や九州の比惠などとは、比較にならぬ重要さをもつているのであります。けれども、本年発掘いたしました部分は、わずかに幅二メートル、長さ三百メートルのいわゆるトレンチ、すなわち試し堀にすぎません。從つて、この結果だけによつて全貌をおしはかることは無理でありますし、今魅力のありそうな憶測を軽々しく口にすることは愼しまなければなりませんが、ただ、現在の発掘段階におきまして、およそ二千年前におけるわが國古代の農耕社会とその文化とがすでに大いに明らかとなつたことは、申すまでもありません。
 その大要を申し述べますと、第一に遺跡に関しましては、周囲に木柵をめぐらした平面円形の民家の木柱や礎板などの構造を知ることができ、家屋の密集していた村落の形態をうかがうことができ、村落の外に水田地帶のあつたこと、当時の耕作状況も明らかになり、水田に木柵でつくつた畦畔のあつたことも明瞭になりました。
 第二に遺物に関しましては、この登呂遺跡が彌生式土器の時代であつて、金属器とともに石器をも使用していたことがわかり、木器の製作から見て、当時すでに鉄製のちような、のみ、小刀の類が存在していたことがほぼ明らかとなり、木器、木製品がおびただしく出土し、その中には、すき、くわや田下駄のように、現在農民の間で用いられているものも少くないことがはつきりし、或はまた、彌生式時代の発火法――火をおこす方法が初めてわかり、裝身具の類に、銅製の釧やガラスの小玉のあつたことも知ることができたわけであります。
 第三にその外の方面、たとえば植物学から申せば、当時の穀物としては、米やひえがあり、栽培物としては、桃や、うりや、ひようたんがあり、そのほか、くりや、くるみや、しいの実や、山ぐみなども食用に供せられていたことが、事実はつきりわかつておるのであります。
 なお登呂の遺跡は、安倍川の東海岸に森林があつた模樣で、これを背にして聚落があり、その東南一円に耕作地が開けていたわけでありますが、その森林の樹木をみますと、当時の切株から見ましてでも、すぎ、いぬがや、くす、それからえのきなどであつたことが、はつきりわかつております。最もここで関心を持たなければならないのは、こういう樹木は、その時代は今と違つて非常に成長が早かつたということであります。
 なお、考古学的の調査が現在全國各地で行われているにもかかわりませず、われわれが特にこの登呂の発掘だけを取上げました理由は、この遺跡が、前に申し上げましたような、他の追随を許さない特徴をもつているのを好機とし、從來の発掘が、ともすれば個人的にして独善的ないしは小規模にして断片的な結果に陷つていた通弊をためるべく、このただ1箇所の遺跡を徹底的に究明せんとの意図に出でたものであります。
 また、この國家財政多端の折に、わざわざこの事業の完遂を主張いたしますのは、現場が無数の木質遺跡を含んでおりますので、從つて、日が経ちますと破壊しやすく、すでに、この三月まではつきりわかつていた耕作地の木柵が、七、八月にはもう壊れて跡形もない、こういう始末であります。ただ、これが來年度からいやしくも國家的な発掘事業として続行せられます上は、登呂遺跡調査会自体も、これにふさわしいように再編成あつてしかるべきかと存ずるのであります。
 二千年前の日本人はどんな生活を営んでいたか、それはわれわれの遠い祖先へのノスタルジアでありますが、新國会のもと、文化常任委員会が設けられまして、同僚諸君とともに、この現在の生活に連なる民族の歴史の礎の科学的にして実証的なる究明に貢献すべき機会を與えられたことは、実に私として御同慶に堪えない次第であります。
 一言私見を加えて、経過並びに結果を御報告申し上げた次第でございます。(拍手)

#37
○議長(松岡駒吉君) 本請願は委員長報告の通り採択するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本請願は委員長報告の通り採択するに決しました。
     ――――◇―――――
 第十五 自由討議(前会の続)
#39
○議長(松岡駒吉君) これより前会に引続き臨時農業生産調整法について自由討議に入ります。
 森三樹二君、発言者を指名願います。
#40
○森三樹二君 社会党は、成瀬喜五郎君を指名いたします。
#41
○議長(松岡駒吉君) 成瀬喜五郎君、発言を許します。
    〔成瀬喜五郎君登壇〕
#42
○成瀬喜五郎君 私は、本日議題となりました農業生産調整法に対しまして、社会党の立場から所感の一端を申し上げまして、皆樣のご檢討を仰ぎたいと、かように考えておるのであります。
 日本の経済復興は、食糧の確保が前提であるとまでいわれている。この食糧の重大な問題に関連いたしましてのこの農業生産調整法は、あらゆる角度から考えてみましても、全國民の立場から眞劍に檢討を加えなくてはなりません。
 本議場におきましても、七月の二十六日におきまして、食糧問題を自由討議に付したのであります。また八月二十六日におきましては、農林委員会食糧供出対策小委員会におきまして、食糧の確保と供出に対するところの最後的な点を、四党の満場一致によりまして政府に進言をいたしたことは、皆樣も御承知の通りであります。越えて十月二十八日に、本議場におきまして、同僚の八百板君、水野君、また民主党、自由党の各位からも、いろいろと非常なる御意見があつたのであります。
 十月二十八日におけるところの農林大臣の説明によりますと、この農業生産調整法は、最も苦難なる食糧を確保するため、また二十二年度のごとき食糧の轍を履まないように、この際國会の権威を集めて食糧の確保をしていきたい。また本年は、欧州におけるところの食糧事情、東北・関東の水害、全國の旱害等の関係によりまして、きわめて食糧の困難なる状態にあるわけでありますがために、さような立場におきまして、やはり相当量の輸入を連合國に対し懇請しなくてはならない。かような立場から、われわれ農民ができる限りの最大可能の誠意を盡して、そうして供出の責任を果たさなければならない。かような意味を持つ農業生産調整法に対しましては、これらの数々の委員会及び自由討議の意見を尊重いたしまして、責任生産制をとる。また責任生産制をとる内容といたしましては、事前に割当をする。また耕作面積で数十万町歩のやみ反別があるが、これも確保していこう。また地力に基いての割当をやり、適地適作によるところの方法によつて地力を挽回していきたい。また作付反別の実績に應じて割当をすると同時に、場合によりましては、ある程度の統制を加える必要がある。こういうふうにいたしまして、農民が安心して生産し得るように、安心して供出をなし得るようにする。
 そういうようなことが本法案の趣旨なのでありまして、これに対しましては、私ども全幅の賛意を表するわけであります。おそらく各党におきましても、農林委員会におけるところの共同のある趣旨におきましても、すべての党は歩調をそろえまして、この農業生産調整法の通過のために努めなければならないと、かように思つておる次第であります。(拍手)
 しかるに、自由党におきましては、前会におけるところの反対の意見を、まつたく何と言いましようか、常識はずれと言いましようか、前提條件といたしまして、この法案には断じて反対するということを岩本君が主張されております。その反対の理由というものは、いわゆる農民の生産意欲を喪失せしめるものである、それに対するところの具体的の方針といたしましては、いわゆる産業の國家管理に対し、裏づけとしての資金・資材及び勤労者に対する衣食住または厚生施設までを政府が責任をもたなければならないと同じように、農民に対しましても、肥料・農機具等のこれらの裏づけがない、電力の危機に基いて、昭和電工は八分の一の肥料になつてしまつておるが、かようなことをもつてしては、これらの調整法に対する賛成はできかねるというような意見であります。
 また、その次の意見といたしましては、委員会の構成については非民主的である。この点に関する限りは、私も同感であります。しかしながら、その次におきましては、統制経済のイデオロギー及び計画経済のイデオロギーによつてやることは非常に無理ある。太陽、天候、台風などを例にとりまして、こういう危險な日本農業形態におきましては、かような農民の百人百樣の農業経営に、官僚的のプランによるところの統制はまつ平御免だ。生産の自由、まかり間違えば供出の自由まで要求いたしておるということは、あまりにも今日の世界の食糧、また日本の食糧を無視いたしておる。農民のみの日本であるというような考え方が彼自由党にあるということは、断じて許すべきものではない。かように考えております。
 また、その次の理由といたしましては、生産の増強は何をもつてするか。以上のような反対の上におきまして、生産の増強は物の裏付けがあつて、適期に適量を配給することが随一である。本法案に対する反対の意見のかようなお粗末なことは、唖然とせざるを得ないのであります。
 また適正價格によるところの農産物の價格決定をやつてもらいたい。これも、もちろん私も農業者の一人であるがゆえに、農民の力による農産物の價格決定は、つとに叫んできたところの一人であります。しかし、日本の今日おかれておる経済状態下におきまして、農民のみが米價の高額なる釣上げをし、かつ、その他のすべての物に対しましても、それを要求するということは、社会的道義観念に乏しきものと言わざるを得ないのであります。(発言する者多し)默つてお聽きなさい。以上のようなことが、大体本法案に対する自由党の根本的反対理由であります。
 その次に、民主党はどういうような意見を吐かれておるかと申しますと、民主党の村瀬君の意見によりますと、根本的に農民に対する考え方に対して檢討を加えなくてはならない。私も、このお考えに対しては敬意を表する。私も同一観念をもつておるのであります。しかし、さういう考えばかりをもちまして、これに対する反対は当らないと考えるのであります。もちろん、それ以外に物資の配給が非常に不完全であるということ、またソ連式の農村の監督制度、ドイツの官僚制度で制御されることはまづ平御免だというような意見がありますし、從つて、これに代るところの方法といたしましては、ただ技術員を優遇する。五億円を、これらの予算に基いてやるという意見であります。
 現在におきましても、予算の許す限りにおきまして、技術員優遇は、ただ單に民主党の專賣ではありません。すべての議員によりまして、この方向に進んでおりますし、また民主的事前割当をやつてもらいたい。これはこの農業生産調整法精神に一應賛成をいたされておるということに私ども考える次第でありますが、その民主的事前割当の内容におきましては、古き歴史をもつ徳川時代からの年貢米の高を超えてはならないというようなことは、あまりにも日本の食糧事情を考えておらないのではなかろうか。かような点から考えまして、一歩前進して、大所高所からこの農業生産調整法の趣旨を考えてもらいたいと思うのであります。
 わが社会党の同僚の八百板君は、賛成の意見を述べるとともに、それらの賛成に対する條件といたしましては、肥料、農機具の裏づけを十分にやつてもらわなくては、これは不十分である。農家食糧の確保というようなこと、またその実績反別に対しましても徹底的にやつてもらいたいというような点、あるいはまた罰則、責任におきましても、あまりにも一方的であるというようなことが述べられておるのであります。
 私は、かような十月二十八日におけるところの意見からいたしまして、以下、少しばかりの私の意見を申し上げてみたいと思うのであります。
 私は、本法案がしばしば本会議におきまして論じられてまいつておりますように、一日も早くこの責任生産制を断行してもらわなくてはならない。昨年における供出のあり方が、自由党の農業政策におきまして、多くの悲劇が生れたということは、隠れなき事実であります。すなわち、数十年來かつてない食糧の増産であるから、食糧の供出は八割程度でいいというような、これらの無責任な連中が町村の代表者によつて生れてくるし、また農林当局は、豊作であるという関係もあり、アメリカの株式が十六年來の暴落である等々をも主張いたしまして、農民に先安の宣傳をし、そして手持食糧を早目にさばいておるというような点。しかしながら、連合國における放出食糧の前提といたしまして、でき得る限りの誠意をもつて日本政府は供出を完了しよう、かような点で、半ばにおきまして、あわてふためいて、一一〇%というような、かつてないところの無謀なる供出方法を用いたところに多くの悲劇が生れ、各所に農民の自殺が生れたのであります。
 かような点からいたしまして、私どもは、かような自由党の農業政策、食糧政策に対しましては、痛烈に、七月二十六日の本議場におきまして指摘いたしたのであります。從つて、無辜の農民を再びかような惨禍に陷れないように、一刻も早く責任生産によつて、増産の意欲を高揚するように努めてもらいたいと話をいたした次第であります。
 本法案の説明によりますと、さいぜん申し上げましたようなことが、すべて織りこまれておるということは、今さら喋々申し上げるまでもありません。從つて、かようにいたしましてこそ、この食糧の増産と責任が完了せられる次第であります。
 ただ私どもは、第三條以下に対しましては、徹底的に修正を加える必要がある。今の案の内容によりますと、農林大臣が絶対の権限をもち、そうして中央農業調整委員会の議を経る。いわゆる意見を徴する。また知事と協議いたしまして、それらを参考にいたしまして、農林大臣が独断によつて割当てていこう。また都道府縣の知事におきましても、そういうような考え方によりまして、都道府縣の農地委員会及びその他市町村の意見を徴する。こういうふうに、今回のそれらの委員会制度は、徹頭徹尾上から天降り的になされておるところに、私どもは絶対反対を唱え、大修正を加える必要がある。かように考えておる次第であります。
 從つて、われわれはこれをいかに修正すべきか。いかにすべきか。この点につきましては、しばしば、民主的な、農民の納得のいく方法に改むべきであるということを主張されておりまするが、それはどういうふうになるか。いわゆる都道府縣、市町村、部落に至るまで、上から下まで、逆に下から上へ、縦の区分によるところの方法によつて積み重ねていこう。また社会道徳観念に基きまして、部落々々、市町村市町村、また都道府縣というような横の連絡による調整によりまして、公平にして緊密な方法で、不公平の生じないように、縦と横の面から、ほんとうに農民が納得のいくような方法にもつていきましたならば、本委員会の成果たるや期してまつべきものがあると考えるのでありまして、これらは事前に大幅の修正を加えていきたい。かように考えておる次第であります。
 それから罰則についてでありますが、この罰則につきましては、われわれの経驗するところによりますと、戰時下における農業作付統制令の復活であろうというようなことも、一部誤解せる人たちは考えておりますが、この通り戰時下における作付の統制を、この法案によつて強化するということになつたならば、これは、われわれは絶対反対である。しかしながら、これらの法案と、また食糧管理法のあの強権発動によるところの苦い経驗からいきまして、住々にいたしまして、第二十七條、第二十八條、第二十九條の罰則規定は削除すべきものであるというような意見も生れてきておる次第であります。
 あらゆる産業をとらえ、なかんずく、血の一滴とも比べらるべき石炭の増産に対して、これらの方面のやみ流し業者に対しましては、政府はいかなるところの処罰を加えたか。あらゆる産業に対する罰則規定の適用はそのままにいたしておきまして、ひとり農民に対してのみ強権発動によるところの犠牲を今日まで行つてきたということは、断じて許されない。かかるところに、本案二十七條から二十九條に至るところの削除の意見も生れてきたものであると考えるのでありまして、かような考え方は、民主党の同僚議員の言われるように、農民に対する考え方が違つておるからではなかろうかという点に思いを及ぼす次第であります。
 もともと農民は、農に生れて農に帰する、土に生れて土にゆくところの純眞なる精神をもつて生産に携わつておる次第でありますが、この生産に携わつておるこれらの人々が、なぜ生産の幾割かをやみ流しするかということを、政府は檢討することを怠つておる。いわゆるやみの肥料、やみの農機具等々を入手することについては、物交により、あるいはその他米のやみ流しにより、再生産のためにやむを得ないところの方法として行つておるのでありますが、かようなことをなさしめるところの政府それ自体の怠慢は、断固として糾彈しなければならない。しかるに、今までの自由党の時代までは、これら自己の責任をたな上げいたしまして、ただ農民をもつて惡農のごときものと考えるところに、こういつた罰則規定の適用が生れてきたものである。この点は、嚴に根本的観念を修正しなければならない。かように考えておる次第であります。
 私どもは常に叫んでおることでありますが、水や空氣と同じく、土地は公器性をもつものであるし、この土地は八千万同胞の共有財産である。農民が農に携わる以上、この共有財産である土地から生まれた農産物は、すべて八千万同胞のために増産されなければならないものである。かような農民道義に立脚したところの精神をもつて進んでおるのでありまして、かような考え方からいたしまして、私ども農民はあくまで責任をもつが、しかし、その責任を果たすための裏づけとなるところのあらゆる施策を講じてもらいたいのであります。
 私は、かような点から考えて、ここに御参考までに申し上げることがあります。これは、徳島縣阿波郡伊澤村の農民組合の支部長から、徳島縣の農民を代表いたしまして、最近寄せられたところの文書であります。それは米の價格を引上げることが農民の希望でなくて、値段を上げることも下げることも、農民の力によつてこれを求め得られるようにする組織をつくることである。現在農民は、米價を上げることのみを希望しないということは、農民は目覚めておるのであつて、米價引上げは、結果において一般生活費が高くなるので、米價をますます引上げんとすれば、結果はかえつて農民は哀れな生活をすることになる。現在の農民は、米價引上げの小細工よりも、強力なる政治力によつて物價の引下げと均衡を希望しておるのである。衣料のごときも、やみなれば何ほどでもあるが、公定なれば品がないのでは、結局において何にもならぬのであるというのが農民の声であります。急を要する責任供出について、最も急を要する問題は、農業経営上左のことを必要と存じます。イ、一筆調査によつて地力の徹底調査、ロ、耕作反別と家族数によつて嚴正なる品種作付の統制、ハ、責任供出割当の嚴守、ニ、農産物利益の均等、ホ、薪炭・採草山林の開放、ヘ、主食やみ賣買の嚴罰、ト、代替供出絶対不認可、チ、余剩主食供出に対する特賞を厚くする。以上のような点が指摘されておるのであります。
 結論として、私は最後に申し上げて見たいのは、臨時農業生産調整法は、農林委員会におきましても十分檢討を加え、一日も早くこの案の実施を念願いたします。労働基準法は、第一條において、労働者が人たるに値するところの條件を満たすものでなくてはならないというのと同じように、現在の農民も、政治的には微力でありますが、今日の民主國家におきましては、この微力なる農民が、農民として人たるに値するところの諸條件を備えるためのあらゆる方法、施策を講じてもらいたいと熱願してやまない次第であります。
 時間の関係上、以上を申し上げまして、私は本案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
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#43
○安平鹿一君 本日の自由討議はこの程度に止め、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#44
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 よつて動議のごとく決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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