くにさくロゴ
2017/03/09 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 経済産業委員会 第3号
姉妹サイト
 
2017/03/09 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 経済産業委員会 第3号

#1
第193回国会 経済産業委員会 第3号
平成二十九年三月九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小林 正夫君
    理 事
                岩井 茂樹君
                滝波 宏文君
                宮本 周司君
                石上 俊雄君
                石井  章君
    委 員
                青山 繁晴君
                井原  巧君
                北村 経夫君
                林  芳正君
                松村 祥史君
                渡邉 美樹君
                礒崎 哲史君
                浜口  誠君
                平山佐知子君
                伊藤 孝江君
                石川 博崇君
                岩渕  友君
                辰巳孝太郎君
   国務大臣
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  世耕 弘成君
   副大臣
       経済産業副大臣  松村 祥史君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       田野瀬太道君
       経済産業大臣政
       務官       井原  巧君
   政府特別補佐人
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        廣原 孝一君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      進藤 秀夫君
       内閣府大臣官房
       審議官      山本 哲也君
       金融庁総務企画
       局審議官     天谷 知子君
       文部科学大臣官
       房審議官     藤江 陽子君
       文部科学大臣官
       房審議官     板倉周一郎君
       経済産業大臣官
       房地域経済産業
       審議官      鍜治 克彦君
       経済産業大臣官
       房審議官     田中 茂明君
       経済産業大臣官
       房審議官     中石 斉孝君
       経済産業大臣官
       房審議官     星野 岳穂君
       経済産業大臣官
       房審議官     小林 一久君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       経済産業省産業
       技術環境局長   末松 広行君
       経済産業省製造
       産業局長     糟谷 敏秀君
       経済産業省商務
       情報政策局長   安藤 久佳君
       資源エネルギー
       庁資源エネルギ
       ー政策統括調整
       官        小澤 典明君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      村瀬 佳史君
       中小企業庁長官  宮本  聡君
       中小企業庁事業
       環境部長     吉野 恭司君
       中小企業庁経営
       支援部長     高島 竜祐君
       国土交通省道路
       局次長      青木 由行君
   参考人
       東京電力ホール
       ディングス株式
       会社代表執行役
       社長       廣瀬 直己君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (経済産業行政等の基本施策に関する件)
 (公正取引委員会の業務に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(小林正夫君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官進藤秀夫君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(小林正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(小林正夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長廣瀬直己君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(小林正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(小林正夫君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、経済産業行政等の基本施策に関する件及び公正取引委員会の業務に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○岩井茂樹君 自由民主党の岩井茂樹でございます。
 冒頭、去る三月六日の早朝に北朝鮮が四発の弾道ミサイルを発射をいたしまして、うち三発が日本の排他的経済水域に落下をいたしました。これは、有事における在日米軍基地への攻撃を想定した訓練で、日本の安全保障に対する重大な脅威であり、強く抗議をして、質問を始めたいと思います。
 さて、米国では、米国第一主義を掲げるトランプ政権が誕生しましたが、貿易立国である我が国にとって、自由貿易体制の堅持こそ大変重要なこととなってまいります。そこで、まずは我が国の通商政策について確認をさせていただきたいと思います。
 最初に、TPP後の通商政策について伺います。
 日本政府は、TPP協定の国内手続の完了に関して、一月の二十日に寄託国であるニュージーランドに通報をいたしました。これは、原署名国の十二か国の中で最も早く、我が国がTPP協定発効に向けた決意を改めて国内外に示す良い機会になったと思っております。
 しかしながら、トランプ大統領がTPP離脱に関する大統領令に署名をし、米国がTPPから正式に離脱することを関係国に通知をいたしました。先月の日米首脳会談では、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の下で経済対話を立ち上げることが合意をされ、経済政策、そしてインフラ投資やエネルギー分野での協力、また貿易・投資ルールの三つを柱に、具体的には日米間で今後調整がされるものと思っております。しかし、二国間協議においては、仮に米国の要求が正しくない部分についてはノーと言わねばなりません。
 三月一日にUSTRは、WTOの紛争解決手続が米国にとって不利益になる場合、従うことはないと表明したとされております。さらに、通商法三〇一条の適用も検討するとしております。米国は、一九八〇年代から九〇年代にかけて、一方的制裁措置の発動を前提としたいわゆるスーパー三〇一条をてこに、日本市場の開放を迫りました。今回のUSTRの発表は、かつての通商摩擦をほうふつさせ、再び数量制限、制裁とセットになった市場開放が求められるのではないかと危惧をしております。
 今後開始される新たな経済対話では、農産物、そして自動車など、TPP交渉よりも更に厳しい要求が出される可能性もありますが、どのように対処をしていくのか、発効が見通せないTPPの今後の扱いと併せて、政府の見解をお聞かせください。
#8
○副大臣(松村祥史君) 先般のトランプ大統領のTPP離脱表明を受けての今後のTPPについての御質問かと思います。
 私どもは、米国には今日まで様々な機会でTPPの経済的意義や戦略的意義を説明をしてきたところでございます。その結果、日米首脳会談におきまして、委員御指摘のとおり、日米が主導をして、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができたと思っております。
 そして、その上で、麻生副総理とペンス副大統領の下での日米経済対話の中でどのような枠組みが日米経済にとって最善であるかを議論を進めていくわけでございますけれども、そのときに、委員御指摘のとおり、ノーはノーと言えるのかと、こんな御指摘であろうかと思いますが、この点につきましては、この日米経済対話の中でどのような議論を進めていくか、こういったことを見詰めつつ、しっかりと、現在我が国においても、アメリカ内において、自動車産業メーカーはアメリカにとっても多大な生産や雇用、こういったものを生み出しております。こういったものをしっかりと理解をしていただきながら議論を進めてまいりたいと思いますし、主張すべきはしっかりと主張し、国益を守りつつ、日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくために努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#9
○岩井茂樹君 主張すべきはしっかりと主張していくということで、是非その姿勢で取り組んでいただければと思います。
 二国間協議を行う場合に、一つ懸念というか御提案なんですけど、米韓のFTA、これを是非参考にしていただいて、どのようなメリットがあったのか、そしてどのようなデメリットがあったのか、十分検証をしてこれからに役立てていただければと思っております。
 さて、続きまして、通商分野のルール確立についてお尋ねをいたします。
 TPPの意義については様々な面があると思いますが、その一つにルールの確立が挙げられておりました。TPPの合意事項が世界貿易の規範になっていくというものであります。知的財産の保護、そしてローカルコンテント要求の禁止など、日本企業が投資を行う際、非常に意義あるものですし、中国もTPPのルールを無視することができなくなるという見方もございました。
 先月末から今月にかけて神戸でRCEP交渉が行われましたが、RCEPについて世耕大臣は、単に関税だけではなく、このエリアにおけるルールを含む質の高い内容になる必要があると、こう述べられております。TPPのような高いレベルの協定をRCEPなどの今後の通商交渉のモデルとなるようにし、米国のプレゼンスが弱まる中、主導権を狙う中国に対してどのように日本がルール作りをリードしていくかということが大変重要だと思っております。
 通商分野におけるルールの確立について、日本はTPP署名国と連携をしつつ戦略的に取り組むべきだと考えますが、政府の御見解をお聞かせください。
#10
○副大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
 このTPPの協定というのは数年間掛けまして議論をしてきたわけでございますけれども、これは、今後の通商交渉のモデルになり得る二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが非常に期待をされておりますし、非常に質の高いルールができ上がったものだと理解をしております。
 これを基礎といたしまして、日EUのEPAやRCEPなどの経済連携交渉においても、世耕大臣がおっしゃったような質の高い協定を目指し、自由貿易の推進に全力を尽くしておるところでございますが、私も昨年の十一月、フィリピンで行われましたRCEPの会合に参加をしてまいりました。その中においても、電子商取引でありますとか、また通関の円滑化、海賊版、模倣品対策の強化などのルールの議論がされたところでもございます。物品貿易だけではなくて、こうしたルール分野を含む交渉全体での質の高い合意を目指すことが極めて重要であると、このように考えております。
 本年、我が国で四月に行われます日・ASEAN特別経済大臣会合の機会などを活用いたしまして、各国に対して引き続き働きかけをしてまいりたいと、このように考えております。
#11
○岩井茂樹君 ありがとうございます。
 続きまして、通商政策から経済政策についての質問に移りたいと思います。
 最近話題の第四次産業革命への対応ということで質問をさせていただきます。
 前回の委員会で、経済成長を生み出すものの要因として、資本、労働力、生産性の三つがあるというような質問、そして人口減少社会の下では特にその中で生産性ということが大変重要だというような質問をさせていただきました。そのためにはイノベーションが大変重要で、例えば、自動運転を始めAI、ロボット等の第四次産業革命と呼ばれる分野は、我が国の成長分野としてもうこれはなくてはならない大変重要なものだと考えております。
 自動運転技術は高齢化と人手不足の中で大変期待が高まっておりまして、高齢化が進む我が国こそこういった技術の先進国になる必要があると思いますし、それにより、これから高齢化社会を迎えていく諸外国に対して実は大きなビジネスチャンスになってくるとも思っております。また、例えば新薬の開発でビッグデータをAIを用いて分析をして、そして有望な物質を絞り込むなど、商品、サービスの研究開発においてもこのAIというのは大変重要な鍵となってまいります。
 この分野は諸外国との厳しい競争の渦中にありますが、実は、予算のところを見ますと、予算の規模が諸外国に比べて少ないというのが現状ではないでしょうか。米国では一企業が数千億円を投じている一方で、日本では、例えば理研の革新知能総合研究センターの来年度予算、前年度と比べると倍とはいえ、二十九億五千万円にとどまっております。量では勝負にならないため質で勝負するという、そんな話も大事なんですが、やはり量も一定程度確保する必要があると考えております。
 そのために、民間投資を引き出す工夫を含め、政府はどのような取組を今後進めていくのか、御見解をお聞かせください。
#12
○政府参考人(末松広行君) お答え申し上げます。
 先生お話しのとおり、今後、AI進展などでイノベーション大切、そのとおりの状況だと思っております。
 第四次産業革命がグローバルに進展し、自動走行、物づくり、医療、介護などの幅広い分野でIoTや人工知能といった技術革新と新たなビジネスモデルが結び付き、革新的な製品やサービスが次々と生まれております。こうした中、我が国が有するロボットなどの物づくりの技術力や自動車の高い国際市場シェアなどは、実世界のデータの利活用をめぐる国際競争において大きな強みになると考えております。さらに、世界に先駆けて直面する高齢化等の社会課題についても、第四次産業革命の技術を活用して、その解決に結び付けることでむしろチャンスに変えることが可能であります。こうしたチャンス、強みを生かすべく、限られた予算の中で予算措置も頑張るということでございまして、経済産業省におきましては、二十九年度のAI関連予算につきまして、二十八年度予算に比べて約一・六倍の二百五十七億円程度に増額しているところでございます。
 また、当初予算に加えまして、二十八年度第二次補正予算で措置いただきました約百九十五億円を活用させていただきまして、我が国が強みを有する物づくり技術と人工知能技術の融合を目指した研究拠点を整備することとしております。ここでは、高精度なセンサーや高速情報解析といった世界最先端の技術シーズを介護ですとか工場の現場などにおける革新的な製品やサービスにつなげるため、民間投資もお願いしながら、産学官一体による共同研究、実証事業を実施する予定であります。
 また、予算だけではというお話でございますが、従来から研究開発税制により民間企業の研究開発投資を支援しているところでございますが、平成二十九年度税制改正法案では、第四次産業革命型のサービス開発を適用対象に追加することとか、投資を増やした企業には税制支援を強化するというような見直しを盛り込んでおりまして、このようなことを通じて民間企業の研究開発投資の拡大をしっかり支援してまいりたいというふうに考えております。
 引き続き、日本の強みを生かせる分野を中心として、第四次産業革命で日本が世界の産業を引っ張っていけるよう、経済産業省としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#13
○岩井茂樹君 予算を始め税制も様々な政策を総動員をして取り組んでいるということで、引き続き、産業政策を所管する経済産業省として力強い施策をよろしくお願いをいたします。
 続きまして、プラットフォーム戦略という観点で御質問をさせていただきます。
 歴史的に我が国の産業というのは、まあ何でもそうなんですけど、技術はすばらしいのだけれども標準がなかなか取れず、プラットフォーマーに利益を、言い方悪いですけど、中間搾取されている分野が意外に結構あるんじゃないかなと感じております。
 例えば、過去には日本のゲームメーカーはプラットフォームとして世界を席巻をしておりました。今やゲームはスマートフォンで楽しむ時代となりまして、プラットフォーマーであるグーグルやアップル等のIT勢にその売上げを吸い取られているような、そんな状況ではないかなとも感じております。また、自動車産業に関して言えば、普及しつつある電気自動車では部品点数や工程が半減をして、日本勢の得意としてきた物づくりの比重が減り、自動運転や所有から利用への消費者行動のシフトで米グーグルやウーバーなどのIT勢の存在感が増しているのも事実でございます。
 AI等の第四次産業革命と呼ばれる分野はここでも重要となっております。将来のプラットフォームや標準を獲得していくことが我が国の競争力を確保する上でこれ大変重要なところだと思いますが、政府としてどう取組を今後行っていくのか、御見解をお聞かせください。
#14
○副大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、自動車産業は電動化でありますとか自動運転化、又はコネクテッド化、所有から利用への変化等が、大きな環境変化に直面しつつあると、このように認識をしておりますし、こうした中にあって、自動車メーカーのみならず、IT企業も新しいプラットフォームビジネスを展開するなど、自動車をめぐる国際的な競争環境は変化しつつあると、共通の認識を持っております。
 こんな環境の中で、我が国の自動車産業がこれからも世界の中で高い競争力を引き続き保持することは、これはもう言うまでもないことでございまして、極めて重要なことだと認識をしております。
 そこで、私ども経済産業省といたしましては、まず、自動車産業が激化する競争に貴重な経営資源を集中して戦えるような、オールジャパンで戦えるような形が必要であると思っておりまして、その上で、各社が共通して利用する共有インフラは協調領域として設定をいたしまして、各社が協力して標準化活動や技術開発に取り組むよう支援を行っているところでございます。
 例えば、自動走行につきましては、国土交通省と共同で開催をしております自動走行ビジネス検討会におきまして、八分野の協調領域を設定したところでございます。この中で、例えば自動走行に不可欠な高精度地図の仕様の共通化でありますとか、またその国際標準化、また映像データベースの共有化などを進めているところでございます。さらに、この検討会は、もっと議論を進めてもらおうということで、協調領域の深化や拡充に向けた検討を進めていただいております。年度内には取りまとめる予定でもございます。
 引き続き、競争環境の変化に対応して、新たな付加価値を生み出す民間企業の努力を適切に支援をしてまいりたいと、このように考えております。
#15
○岩井茂樹君 まさに官民の協力だけではなくて、場合によれば省庁の連携という話も含めて、オールジャパンで取り組むという視点、大変重要だと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
 続きまして、シェアリングエコノミーという概念について少し質問をさせていただきます。
 先ほど、人口減少社会での経済成長では特に生産性の向上が重要だというようなお話をいたしました。そのためにはイノベーションというのも必要ということも御指摘をいたしました。それによって新産業が創出をされ、結果として産業構造の転換がこれ図られていくんだろうなとも思っております。
 例えば、ウーバーやエアビーアンドビーなどの世界的にシェアリングエコノミーが新しい産業として急成長をしておりますけれども、シェアリングエコノミーは、眠っている既存の資源を有効活用していくという点で生産性の向上や平準化にもつながり、大きな可能性を秘めていると考えています。
 このような成長分野は、ただ、ちょっとこれは哲学的な話になるんですが、ダーウィンの進化論の適者生存の理論とでもいいましょうか、厳しい競争がなされており、日本企業が新たな革新的分野でも勝ち抜いていけるようしっかりと対応してほしいと思います。一方で、激しい競争の下では、今ある会社、事業が淘汰されていく可能性もございます。確かに、ただ既得権益を守りたいだけとか、あとは補助金に頼り切って自立はなかなか困難なケースでは、経済活性化のために、ある意味新陳代謝、これも必要だと思います。
 しかし、私は、このダーウィンの進化論の適者生存の理論だけでは足りないと考えておりまして、同じ進化について考えた今西錦司さんという方がいるんですけど、彼は日本に伝統的にある共生の思想というのを説いております。共生ですね、共に生きるなんですけれども、多様性を生かすという価値観なんですが、これを生かすことも実は日本経済にとって大変重要な視点ではないかなと考えております。
 例えば、日本の各地域には多様性のある中小企業がたくさんございます。その中で、今は小さいけれども未来のビジネスを生み出す可能性を秘めている大変やる気のある企業、これも本当に多いと思います。そういう企業はできるだけ応援をして、そして多様な主体が様々なチャレンジをしていくことが日本経済全体の活性化につながっていくと考えます。
 今国会では、審議予定の地域未来投資法案などは、地域の多様な中小企業の間で地域経済の好循環を生み出すもので、大いにこれ期待しております。
 このように、シェアリングエコノミーなどの新しい革新的なビジネスがグローバルに進展する中であっても、地域経済が活力を持ち、こうした変化と共生しながら、多様性を維持しながら発展していくことが実は重要だと考えておりますが、政府の御見解をお聞かせください。
#16
○副大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
 岩井委員御指摘のとおり、いわゆるシェアリングエコノミー、こういった革新的なビジネスの流れというのは、これはこれで極めて重要であると考えますし、これをまた国の成長に取り込んでいくということは同じ認識を持っておりまして、重要であると考えております。他方で、先生が御懸念されている部分は、地域経済の方々が、しっかりと、この担い手の方々が自然淘汰されて競争の激化の中で潰れてしまうのではないかと、こんな御質問の内容であったかなというふうに思います。
 実は今回、私どもは地域未来投資促進法案というものを出させていただいておりますが、これはそもそも、東京一極集中する企業群をそれぞれの地域の中で企業立地していただけませんかということで、十年ほど前に企業立地促進法というものを整備させていただきました。出ていただく企業の方々への税のインセンティブであるとか、また誘致してこられた首長さん方への固定資産税の減免した分の補填をするであるとか、こういった措置で企業立地を進めようということでございましたけれども、残念ながら、リーマン・ショック前は五十数兆円ありましたいわゆる投資がリーマン後三十兆円台に落ち込みまして、これが今ようやくアベノミクスの効果で四十兆円台まで回復をしてきたところでございます。そういう意味でも、地域の中で地域を牽引する企業の方々が地域経済をしっかり支えていただくことが重要であると考えております。
 そこで、今回の法案は、予算面、それから税制、規制緩和でありますとか、こういったことで地域をしっかりと引っ張っていただく企業を応援をしていこうというような観点でこれを整備させていただいているところでございます。この国会で提出をさせていただいておりますので、その中でまた十分な議論が行われることと思いますが、こういったことで、しっかりと共生の中で地域も躍動できるように応援をしてまいりたいと、このように考えております。
#17
○岩井茂樹君 ただいまの御説明を聞きまして、地域未来投資促進法案、大変期待をしておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 そして最後に、少し、ちょっと変わるんですが、日ロ関係について御質問いたします。
 私の地元である静岡県にある下田というところは、日ロの交流の原点である日露通好条約ゆかりの地でもあります。また、開国を求めて来航したプチャーチン提督のロシア軍艦のディアナ号にまつわるエピソードもいろんなところで実は残っているんですけれども、そんなことを背景に、一月に、今年の一月ですが、参議院の自民党日露懇話会の幹事として、実は団長は大臣でございますが、ロシアを訪問してきたところであります。
 日ロ間では、首脳同士で合意がなされた八項目の経済協力の具体化に向けた取組が進められていますけれども、領土問題に具体的な進展がないこともあって、ロシアへの譲歩、先食いへの懸念などの一部の評価もありました。しかし、私はそうではないと思うんですが、ただ、八項目の経済協力だけでもお互いにウイン・ウインになっているということがまだ十分説明というか理解されていないような、国民の間に、そんな気もしております。
 前回の質問で大臣から、日本企業にとってはロシアはまだフロンティアであり、本来のポテンシャルに比べてまだまだ貿易や投資額が非常に小さいので、日本企業にとってもこれは大きなチャンスになるというような御答弁がございました。
 議員交流もあります、議員間交流もあります、地域間交流もあります。経済の交流、中小企業の交流、様々なところはあるんですが、是非、大臣の思いのたけをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
#18
○国務大臣(世耕弘成君) 去年年末のプーチン大統領来日に関しては、私は、やはり大きな成果があったと思います。特に、北方四島における共同経済活動、これ両首脳が膝詰めで九十五分話して、そして四島でやるということが合意をされた、これだけでも私は大変な成果だと思います。それに加えて、東京へ来てから、経済関係を中心に、これ八項目の協力プランに関連する八十二本の覚書が調印をされました。
 そしてもう一つ、非常に画期的だったのは、やはりプーチン大統領が記者会見で述べたことですね。あれ、残念ながら同時通訳が余りうまくなくて、テレビで中継を見ていた人にはほとんど伝わらなかったんですが、あれは非常に、まず平和条約の締結こそが重要だと、これロシアの首脳がこんなことを言ったのは初めてであります。さらに、先生との関連でいえば、実は記者からの質問に対して日ロの領土交渉の歴史をプーチン大統領が語ったんですが、そのとき、まさに一八五五年の日露通好条約に言及、これもロシアの首脳が言及するというのは珍しいんですね。というのは、あの条約はまさに得撫島と択捉島の間に国境を画定させた江戸幕府とロシア帝国の条約、これを向こうから言うというのはなかなかないことなんですが、そういう意味で本当に充実した会談だったというふうに思っています。
 そして、それのフォローアップとして、私は、ロシア経済分野協力担当大臣として、そして日露議員懇話会の会長として、先生にも御同行いただいて、参議院議員十名で行かせていただきました。あの訪問の意味は、やはりプーチン大統領来日から一か月を経ずして私が行ったことで、八項目の協力プラン、しっかり日本は本気でやるんだ、覚書で終わりにしないという姿勢を示せたということと、あれだけの議員が集団でロシアへ行くというのは近年なかったことだというふうに思いまして、日本の国会も、与党ということになりますが、サポートをしているということだと思います。
 特に、この八項目の協力プランをロシア国民によく知ってもらわなければいけない。日本と付き合うとこういうことが動き出すんだということを知ってもらわなければいけない。そのためにも議員の皆さんのサポート、そして議員交流をやってもらって、ロシア側の国会議員に理解してもらって、地元で語ってもらうということも非常に重要だというふうに思っております。
#19
○岩井茂樹君 ありがとうございます。以上で質問を終わります。
#20
○滝波宏文君 自由民主党、福井県選出の滝波宏文でございます。
 まず、昨年末に政府が廃炉の決定をした地元福井県に所在する高速増殖炉「もんじゅ」に関連し、質問したいと思います。
 「もんじゅ」については昨年十月二十日の本委員会においても質問させていただきました。その中で、本件は非常に多くの論点を抱えるものでありますが、とりわけ大きく三点、最終決定の前にしっかりと整理していただく必要があると申し上げました。一つ目には、地元立地の理解、納得を確保した上での結論を出していただかねばならないということ。二つ目には、日米原子力協定を含む安全保障上の問題。三つ目は、核燃料の最終処分との関係であります。
 この三点の中で最も重要な点は、一点目、地元立地地域の方たちの理解、納得を得ていくということであると申し上げたのですが、残念ながら、年末の時点で福井県も敦賀市も納得できないとして、現在、延長戦になっていると理解しております。この点、立地選出国会議員として大変大きな危機感を抱いております。
 年末年始、地元にずっと張り付いて、立地の声を聞いてきたわけでありますが、やはり特に重く強い意見として、建設をするときには、地元に日参してとにかく頼むと、丁寧丁寧に説明をして初めて立地というふうなことになるわけですけれども、出ていくときには、地元に話をしないで東京で勝手に決定して出ていってしまうんだと、こういう不満、嘆きが多く聞かれました。
 この話は高速炉だけではなく、軽水炉を含めた原子力政策全体に関わる話で、大変憂慮すべき事態だと思ってございます。もちろん、「もんじゅ」のこの廃炉の着手、するまでには地元自治体の了解を得なければならないということで、年末の決定で担保されていることは承知しておりますけれども、国と立地地域との信頼関係確保という観点から、本件にしっかりと対応していただく必要があると思います。
 ついては、ちょっとうまく、年末、全て収まっていればいいなと願っておりましたが、こういう状況でございますので、「もんじゅ」に関連して、あえて、あるべき姿について論じさせていただきたいと思います。
 顧みれば、「もんじゅ」は、つまるところ、省庁間のはざまで残念ながら死の谷にはまってしまったものだと思っております。これには大きく二つの側面がありまして、その一つは、この高速炉開発において、いわゆる実験炉、原型炉、まあ原型炉は「もんじゅ」でありますが、この第一、第二段階までが文科省、そして実証炉、実用炉、第三、第四段階が経産省と、実施所管省庁が分かれてしまっていることについての国の権限のはざまの問題です。
 一般に死の谷というのは、新しい企業が、起業したスタートアップが、イノベーションを研究段階から実用化に至る途中でお金が続かなくなる、こういうファイナンスの問題としてよく言われることが多い言葉ですが、今回は実施所管省庁の権限のはざまという死の谷、一つ目ですけれども、この死の谷にはまってしまった。
 この点、福井県知事も今回納得できていない理由として、廃炉の体制がきちんと整理されていないという問題を取り上げております。もちろん私は、決して西川知事や渕上敦賀市長、また県議会、敦賀市議会の代理としてここに立っているわけではありませんし、自分の考えで今申し上げているわけでありますが、立地地域の選出国会議員としてお話を、地域の有権者の声を踏まえてさせていただきたいと思います。
 その立場から、私は、やはりこの実施所管省庁が一体化したエネルギー省の設置、これが必要だと思っております。すなわち、「もんじゅ」の廃炉も含めて今後のエネルギー分野における各施策の実施に当たっては、文科省のエネルギー部隊が経産省にある資源エネルギー庁と合体して、一気通貫に研究段階から実用段階まで責任を持っていかねばならないと思っております。
 もちろん、これは一朝一夕でできることではないでしょう。ただ、少なくとも関係省庁が連絡会議を、どなたをヘッドにするか分かりませんけれども、適宜開催すると、こういった程度でこの問題が解決する、高速炉等開発の現場がしっかりと前に進むというふうなこととは思えません。少なくとも、この先エネルギー省の母体になるような、例えば本部設置とか、しっかりした実施所管省庁の一体化に向かう第一歩を踏み出していただきたいと思ってございます。
 この立地の声を踏まえた政府の見解、本件について伺いたいと思います。
#21
○政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。
 先生御指摘の原子力関連の長期の技術開発を始め十数年単位の長期にわたって取り組むべき研究開発、これは、いかに円滑に実用段階に橋渡しをしていくべきかということ、そういう視点が極めて重要でございます。高速炉の開発に関しましては、まさにこれから実証のステージ、これに入るところでございまして、これまでの研究開発の成果と教訓を踏まえつつ、関係者が緊密な情報共有と責任の明確化を行った上で今後の具体的な道筋を描いていかなければならないと考えております。
 こうした考えの下、昨年末、原子力関係閣僚会議で決定した高速炉開発の方針におきましては、世耕大臣が議長を務めます高速炉開発会議の下、新たに戦略ワーキンググループを設置し、二〇一八年を目途に今後十年程度の開発作業を特定するロードマップを策定するということにしております。戦略ワーキンググループでは、当省及び文部科学省が緊密に連携すること、これはもとよりでございますが、関係者が一体となって検討を進め、実用化を見据えた研究開発の道筋をしっかりと議論し、具体化することが重要でございます。
 高速炉の研究開発から実証そして実用化までをにらんで、関係者一体となって取り組んでまいりたいというように考えております。
#22
○滝波宏文君 これに関連して、次に実施機関の話をしたいと思います。
 高速炉開発等については、実施所管省庁の下で実施機関として研究開発法人である原子力機構が担当してきましたが、「もんじゅ」に関連して様々な方から話を聞くと、法人形態に由来する制約、硬直性に行き当たります。例えば、原子力機構がメーカーや事業者から何らかの対応をしなければならないと、こう指摘を受けた場合に、研究開発法人というのは独立行政法人の類いだと理解しておりますけれども、まず来年度予算を要求してそれが付かなければいけないので、対応はその先になりますよというふうなことになっている。
 このスピード感では、関係者からの信頼、協力関係の確立が不十分になっても仕方ない。とりわけ、この対応の必要が安全に関わる話であれば、立地としてもこの制約、大変心配なところがあります。関係者の信頼、協力を得るためには、私は、やはりこの際、研究開発法人の枠を取り払って、株式会社とは言いませんけれども、例えば認可法人のような、より柔軟な迅速な対応ができる法人形態に移行すべきではないかと思ってございます。
 この点、今回の年末の整理だと、文科省の下、原子力機構が「もんじゅ」からちょっと逆戻りして第一段階の実験炉である「常陽」も使いながら研究するという話と、別途、第三、第四段階に当たりますけれども、フランスのASTRIDを中心とした実用化については、これは経産省の下、中心に実施していくというふうになっておりまして、この実施機関レベルでも再び死の谷にはまっていかないかという憂慮をしてございます。
 もちろん、これも簡単ではないんでしょうが、「もんじゅ」を無駄死にさせないためにも、この際、さきに述べた、より柔軟、迅速な対応ができる法人形態も踏まえつつ、実施機関レベルにおいてもこの死の谷問題解決に向かって意義ある一歩を踏み出していただきたい。少なくとも、例えば法改正までするのに原子力機構の法人形態を維持したまま単に廃炉業務だけを追加する、こういう小手先の法律改正で終わらせるというようなことでは私は不十分だと思ってございます。この点、政府の見解を伺いたいと思います。
#23
○大臣政務官(田野瀬太道君) ありがとうございます。原子力機構の体制についての御質問をいただきました。
 委員御承知のとおり、原子力機構というのは、主務大臣から示された中長期の目標の下、具体的な業務執行が法人の自主性と自律性に委ねられるという国立研究開発法人として、法人の判断で柔軟な事業運営が認められている、そういう組織となっておるところでございます。
 「もんじゅ」につきましては、原子力機構が廃止措置を着実かつ計画的に実施できるよう、関係府省が一体となった事業の指導監督体制の整備、また、原子力機構においても、現場の判断で柔軟な業務運営が可能となるような仕組みを今後とも構築してまいりたいと、そのように考えておるところでございます。
#24
○滝波宏文君 実施省庁間のはざまの話、実施機関のはざまの話含めて、しっかりやっていただきたいと思いますけれども、次に、大きくもう一つ、この省庁間のはざまで「もんじゅ」がはまってしまった死の谷について指摘したいと思います。
 それは何かと申しますと、原子力規制委員会と実施所管省庁とのはざまであります。本日も田中原子力規制委員会委員長においでいただいておりますけれども、そもそも原子力規制委員会は、原子力機構では「もんじゅ」の運営管理が十分できないのでほかの主体を見付けてこい、さもなければ廃炉にしろ、こういうのが当初の勧告でありましたけれども、ところが、廃炉が決まった途端に、今度は田中委員長は、廃炉という管理運営ができるのは原子力機構しかないというふうに言われました。廃炉が決まる前と決まった後で言っていることが矛盾しているんじゃないかという声、これ非常に強く地元で聞かれます。
 私も正直何だかよく分かりませんけれども、何とか無理くり整合性を取ろうとすると、結局、田中委員長はただただ「もんじゅ」を廃炉にしたいという思いだけだったのではないか、核燃料サイクルは嫌いなんだということだったんじゃないかというふうに思ってしまいます。田中委員長、結局そういうことだったんでしょうか。
#25
○政府特別補佐人(田中俊一君) まず、勧告について申し上げますと、勧告の内容は、「もんじゅ」の出力運転を前提として、その運営主体として原子力機構は不適切であると指摘したものであります。廃止措置の実施主体について述べたものではないということは申し述べておきたいと思います。
 「もんじゅ」の廃止措置は、その設置者である原子力機構が原子炉規制法に基づいて認可を受けた廃止措置計画に従って的確に実施する義務を負っております。したがって、原子力機構が行う必要があります。
 なお、当該勧告について幾つか御指摘がありましたけれども、原子力機構が出力運転の段階において保安上の措置を適正かつ確実に行うことができると認められないことから発出したものであり、「もんじゅ」を廃炉にしたいがために行ったものではないということを申し上げておきたいと思います。
#26
○滝波宏文君 私がちょっと理解できないのは、三・一一で福島事故があったときに、稼働しているところが事故を起こしたわけじゃないんです、だけが起こしたわけじゃないんです。稼働していないところも炉が水素爆発を起こしている。したがって、その出力運転、稼働をしていることだけでそれだけの差が付く、機構は任せられる任せられないということについて、そもそも三・一一の教訓をちゃんと踏まえているのかというふうな疑問を私は持ってございますし、そもそも、結局「もんじゅ」は田中委員長にとどめを刺されたんだなというふうに、翻弄されたんだなというふうに感じてございます。
 私は、この三・一一後の新しい規制組織として規制委員会は、何よりこの立地地域の人々の気持ちを第一に踏まえて、それを最大の基礎として立ち直ることがあるべき新生規制委員会の姿だったんだと思ってございます。ところが、大変残念ながら、実際はそうなっていないんです。
 それが顕著に現れたのは、先月、まさに「もんじゅ」をめぐって起きました。規制委員会が突如、早く「もんじゅ」を廃炉にしろと機構に対して言って、それに対して福井県知事がびっくりして、文科省の局長を呼んで抗議をしたと。すなわち、安全確保のために昨年から、きちんとした廃炉の体制が取れるのか、取れるまでは廃炉着手はまかりならぬ、体制どうするんだ、こういうふうに国の方に問いかけていたのに、突然別の国の組織が出てきて、この立地自治体とのやり取り、経緯を全く無視して性急な話を出してきた。これが規制委員会が言ってきた話であります。
 私が聞いたところ、「もんじゅ」というのは非常に最先端なものなので、単純に燃料棒をどんどん引き抜いていくだけでは駄目で、一本抜くためにはその重さをバランスするためにダミー棒を代わりに入れて、それで次を抜くときもまたバランスを取りながら新しいダミー棒を入れていくと、こういう作業を丁寧に順々にやっていかなきゃいけないことを始めとして、多くの未知の部分があるので、リスクを抑えるためにも、燃料棒取り出しだけでも約五年半は掛かるというふうに聞いてございます。しかし、田中委員長以下の規制委員会は、なぜかそれでは駄目で、もうとにかく早く廃炉せよというふうにせかしたわけであります。
 すなわち、規制委員会は立地自治体の思いと逆を向いている。未知の廃炉作業において安全をしっかり確保していかなきゃならないと、こういう立地の気持ちを本当だったらしっかりくみ上げながら規制委員会が主導していく、これが理想の形であるはずですけれども、現状はそれに程遠いことが、大変嘆かわしく思っております。
 累次の質問を国会で積み上げておりますので概要だけ申し上げますが、田中委員長は、現地の視察は、この間、伊方、川内と行かれてようやく十一回になったと聞いておりますが、福島以外は島根と今回の川内、伊方だけ。引き続き、全国最大の原子力集積地である福井県には足を運ぼうともしておりません。四年半の任期で十一回ですから、僅かに年に二、三回のペース。一方、任期十か月の間に、関係する大臣の方々、高木復興大臣は三十九回の現地訪問、丸川環境大臣兼原子力防災担当大臣は二十六回と、年じゃないですよ、月で三、四回のペースだったわけです。この年に二、三回、それから月に三、四回、この現場主義に対する努力というのは、正直、雲泥の差だと私は思います。
 また、規制委員会委員長御就任三年目、ようやく西川知事が初めて田中委員長にお会いしたときに露呈されたのですが、田中委員長は、個別の知事さんに会うととても時間が足りないが、知事会の代表として来ていただき、その機会にお話を伺うことはあると思うと応じられたというふうに報道されております。
 西川知事は全国知事会の原子力発電対策特別委員長、これやっているので会ったのだと。すなわち、単なる一知事じゃ会わないよと、全国組織の代表じゃないと会わないよということじゃないかと思いますけれども、これは私、正直、全く納得ができません。一つでも原子力発電所があれば、立地が直面するリスクというのは、町の大小とか全国代表かどうかと、こういったことでは左右されないはずであります。立地自治体の長が来たら、もちろん時間の制約はその時々あると思いますけれども、時間の許す限り会うべきであって、私は委員長だから全国の代表者しか会わないんだと、こういう門前払いのような態度では全く論外だと思います。
 事ほどさように、田中委員長には、立地のコミュニケーション、現場主義への努力に大きな疑問があるわけです。そのため、先月ああいう、起こるべくして起きたんだなと思ったりもしますけれども、今回、「もんじゅ」の廃炉の進め方に関して立地の思いと明らかに大きくずれてしまったことについて田中委員長はどう考えているのか、やはり立地軽視、現場無視ではないのか、お伺いしたいと思います。
#27
○政府特別補佐人(田中俊一君) 「もんじゅ」の廃止措置について、幾つか御質問がありましたので、一つごとお答えいたします。
 まず、勧告をよく読んでいただければ分かりますけれども、「もんじゅ」を安全に運転する代わりの主体が見付からないのであれば、速やかにその安全を確保できるような措置をとっていただきたいということを申し上げてあります。
 そういう意味で、「もんじゅ」の場合には、やはり原子炉の場合は一般にそうですけれども、原子炉の炉心の中に燃料があるというのが一番リスクが大きいわけです。ですから、それを速やかに抜いていただきたいと。軽水炉、一般の発電炉であれば、燃料を抜くというのはほぼ日常茶飯事に行われていることですけれども、「もんじゅ」の場合には、今回改めて私も驚いたんですが、炉心から燃料を抜くのに五年半も掛かるということです。その抜くための燃料を取り扱う装置の点検に一年掛かるというんです。普通の原子力発電所であればとても考えられないような事態になっているということです。
 ですから、まず私どもがお願いしたのは、その燃料を取り扱う装置の点検というのは、別にこれは安全上の問題ではなくて装置の点検ですから、それを速やかにやっていただきたいと。と同時に、燃料を抜く部分に関して、普通、廃炉措置計画の認可というのは炉心から燃料を抜けた段階でそういった審査をするんですが、「もんじゅ」の場合はそういった、今先生御指摘のように、非常に難しい、いろんなリスクも伴うものですから、そういった段階から私どもはきちっと関与して安全を確保していくという体制を取っていくという判断をしたわけです。そのために、特別のもんじゅ廃止措置安全監視チームも設置して、それを継続的に見ていくということであります。
 燃料を抜く、それから全体の廃止措置には四十年ぐらいは掛かるという原子力機構からの申出がありましたので、それについてはまずリスクを低減するという、リスクの大きさを考えながら順次計画を立てていただきたいということで、それも速やかに計画を立てていただくようお願いしています。
 私どもは安全を確保するということ、それが多分、立地自治体にとっても最も大事なことだと、今先生御指摘のとおりです。そういうことを、そのためにやっているんであって、立地自治体に御相談しながら安全確保をどうするかということを考えるというのは少し筋が違います。我々が判断したことについて説明するという責任はあると思いますけれども、立地自治体が安全確保についてどうすべきだということ、気持ちは分かりますけれども、そこはまず順番が違うんだというふうに思います。
 それから、私が立地自治体に大臣と比べて行くのが少ないとかという御指摘もありましたけれども、私は大臣ではありません。ほかに原子力規制委員長としてきちっとした仕事を日々忙しく過ごしております。全くそれは比較にならないことだというふうに思います。
#28
○滝波宏文君 委員長、今の話は正直ちょっと失言だと思います。大臣が日々の大事な仕事していないんですか。大臣も規制委員長と同様に、あるいはそれ以上に重い仕事をやっているし、プラス政治家でちゃんと選挙民、有権者との関係もつくらなきゃいけないんですよ、より大変なんですよ。その中で大臣の方々が月二、三回頑張って現地も見ているわけですよ。私は、むしろ委員長の努力不足だと思います。
 それから、さっきおっしゃったように、気持ちは分かるがとおっしゃいましたけど、何で知事がびっくりして呼ばなきゃいけないことになっているんですか。それは皆さんの説明が伝わっていないからじゃないですか。だから現地主義、立地地域とのコミュニケーションが大事だと私は言っているんですよ。単なる学会で話しているのと違うんですから、大事な、もう非常に強大な規制行政をやっているんですから、しっかりと立地地域とコミュニケーションを取っていただいて、現場に足を運んでいただいて、地域の人たちの心を酌み取る、その作業こそが大事なんだということがなぜ分からないのかというのが私には逆に疑問であります。
 今、その新しい炉規法、原子炉等の法律ですけれども、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、この改正法案、規制委員会の方から提出されております。この点について、以前から私が当委員会も含め質問申し上げてきた予見可能性及び適正手続の確保等の観点からの修正や、また、先ほどおっしゃっていましたけれども、「もんじゅ」の特性の話も大分されていました。今回の改正案には「原子力施設の安全上の特性に応じ、」というふうな言葉も法律上に明言されていて、専門家の世界で言われるいわゆるグレーデッドアプローチ、これも入れていくというふうな話になってございます。
 こういうものをきちんと私は積み上げていただかなきゃいけないし、当然そのことについて、ちゃんと立地自治体が、立地地域が分かるようにしなきゃいけないんですよ。それを、あなた方が説明をしているから大丈夫ですというんじゃなくて、説明が分かりましたというのは立地地域の人たちなんですから。そこを逆にしていただいたら大変私は困る。
 そういう意味で、今回の法改正、早急に法律通していただいた上で実体をちゃんと魂を込めていただくとともに、この立地とのコミュニケーションの向上、それから現場主義の徹底、そして国における他の関係省庁との連携も確保していただくことで、是非早急に成熟した規制行政に移行、脱皮してもらいたいと立地の立場から切に願います。
 そして、ここで、エネルギー政策全般を担っている経済産業大臣にお伺いいたします。
 これまで述べさせていただいて、実施所管省庁及び実施機関、規制機関との関係という現行体制の死の谷の問題について、私は、「もんじゅ」が無駄死ににならないようにするためには、研究から実用化まで、エネルギー省のようなより一貫した所管省庁体制を取るべきだと。また、実施機関も認可法人のようにより柔軟、迅速な行動の取れる法人形態に移行すべきと。そして、規制機関との関係も、国として、これ自治体等からすれば、規制機関だろうが何だろうが、いずれにせよ国の行政機関なので、国としてまとまって、しっかりとワンボイスですね、立地自治体地域と向かい合っていただき、その声をちゃんと受け止めてもらうようにしていかなければならない、こういうふうにそれぞれ思ってございますけれども、今ばらばらになっている現状の統合整理に向けた経産大臣の見解、決意をお伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(世耕弘成君) 確かに、今原子力行政に関わる部分というのは、いろんな大臣の下、そして規制委員長の下に分かれております。特に、元々規制委員会は原子力保安院という形で経済産業省の中にあったわけですが、あの三・一一の事故を受けて利用と規制はしっかり分けようということで、独立性の強い規制委員会になっているわけであります。それ以外でも、例えば原子力の平和利用に関する外交交渉となると、これは岸田外務大臣のところになります。原子力防災対策ということになりますと、これは原子力防災担当大臣としての山本公一大臣ということになります。また、福島の廃棄物ですとか中間貯蔵、そういったことに関しては今村復興大臣とそして環境大臣としての山本大臣の所管ということになります。高速炉の研究ということになりますと、これは松野文科大臣ということになります。あるいは、原子力損害賠償審査会ということになると、これまた松野文科大臣になりまして、そして原子力の研究開発のいろんな調整ということになると鶴保科学技術政策担当大臣と。ぱっと挙げただけでもこれだけ多岐にわたっているわけであります。
 しかし一方で、安倍内閣というのはこういった省庁間またがることを官邸がコーディネーターとなってきちっと調整をするということをやってきております。今でも、例えば原子力関係閣僚会議ですとか、あるいは「もんじゅ」の取扱いについては高速炉会議というのを立ち上げて調整をさせていただきました。適宜、必要に応じて官邸が調整をするという機能は、安倍内閣ではこれはしっかりワークしているんではないかというふうに思います。
 地元の気持ちを込めて滝波委員の思い、エネルギー省に一元化してくれという思いもよく理解はできますけれども、組織論ありきではなくて、組織論に時間とエネルギーを掛けるんではなくて、こういうふうに柔軟に官邸が中心となりながら、そして私もエネルギー政策担当の大臣として自分もしっかり先頭を走りながら、各省庁間の調整ということをやっていくということがまず重要ではないかなというふうに考えております。
#30
○滝波宏文君 福井県は、長年にわたり原子力の関係についてパイオニアの一つとして国策に協力してきた地域であります。今回のこの「もんじゅ」について、先ほど申し上げましたけれども、無駄死にすることのないように、しっかりと前に進むように関係各省の御協力を、そして御尽力をお願いしまして、ちょっといろんなところをお呼びしましたが、時間の関係で申し訳ございません、区切りの関係でここで終わらせていただきますが、どうかよろしくお願いいたします。
#31
○礒崎哲史君 民進党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、大臣所信に対する質疑ということで本題に入る前に、事前通告をしていないんですけれども、一点、大臣にお伺いをしておきたいことがございます。
 今、予算委員会の方で森友学園の問題について様々論議がなされております。細かい話は予算委員会の方に譲るといたしますけれども、世間一般がこうして大きく取り上げて疑惑として扱われている、その疑惑の矛先がどこなのかということを考えると、私も週末、私の関係しているところを回ったときにも、結局、政治家はそういうことに関与しているんじゃないかとか、あるいは、行政というのはそういうことをするんじゃないかという疑惑をやはり我々自身も向けられているという空気を私自身も感じています。
 その意味では、今回取り上げておりますこの森友学園の問題については、行政、政治全体が国民から不信を抱かれているという観点で私はしっかりと解明をしていくという姿勢を見せることが大切なのではないかなというふうに思っています。行政にもし問題があったのであれば、ミスがあったのであれば、システム上何が問題だったのか、そういうところも解明をし、であればこういうところを改善をしていきますという姿勢を見せることも国民に対する信頼を取り戻す一つになるのではないかなというふうに私は思っています。
 その意味では、やはり行政全体をしっかりとマネジメントをする最高の立場でおられる大臣がしっかりとそういう意思表示をするということが私は大切なのではないかなというふうに思いますが、この点について、世耕大臣のお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
#32
○国務大臣(世耕弘成君) 二つポイントがあると思っていますが、一つは学校としての設置認可の問題、そしてもう一つが国有地の売却の問題だというふうに思います。設置認可の問題については、これはもう全て大阪府の権限でありますから、これは政府としてコメントは控えさせていただきたいと思います。国有地の売却については、これは予算委員会で財務省理財局が責任を持って答弁をしている、私はそれを聞いているだけであります。
 当然、行政の責任という意味では、そこに問題があったのかなかったのかということであります。理財局は、私はきちっと一気通貫した答弁していると思いますけれども、更にそれをしっかり深掘りして、問題がなかったかどうか、今、会計検査院を中心に確認が行われている段階だというふうに思っております。
#33
○礒崎哲史君 ある大学教授のデータを見せてもらいまして、この参議院の調査会で参考人でお呼びした大学教授が全然別件で示されたデータなんですが、OECDに加盟をしている国にアンケートを行いまして、国民がどれぐらいその国の政治を信頼しているかという極めて客観的なデータでした。日本は最低レベルでありました。
 これほどまでに、先進国としてGDPも大きい、経済的にも大きい、海外からの信頼も受けている日本でありながら、その国内においては政治が非常に国民からは信頼されていないという現実を、これは与党、野党関係なく、私は改善をしていく努力は必要なんだというふうにも思います。
 今回の件もその一つに私はつながってくるんだと思います。今お話ございましたけれども、経産省が直接関わっている部分はないのかもしれませんが、是非大臣として、やはり省庁に向けられている疑惑を解明していく、あるいは白く、その中身をしっかりと透明性を高めていくためにどうすべきかという、そうした発言を私はしっかりとしていっていただきたいと思いますので、改めて大臣にはお願いを申し上げます。
 それでは、本題の方に入ってまいりたいというふうに思います。
 今日は、論点一個に絞りまして、大臣の所信の中で、第四次産業革命に絡めて標準化戦略というコメントがございましたので、国際標準化戦略についてということでお話を進めさせていただきたいというふうに思います。
 冒頭、岩井委員の方からもその標準化についてのお話がございました。極めてマニアックな分野でありますのできっと話はかぶらないんだろうと思いましたら、冒頭からお話がかぶりましたので少々面食らっておりますけれども、逆に言えば、与党の筆頭理事が大変強い関心を持っているという分野でもあるということですから、岩井先生の支援をいただいている気持ちで、今日はしっかりと質問をしてまいりたいというふうに思っております。
 大臣の所信の中でこういった言い方をされておりました。日本の強みと弱みを分析をする、そして第四次産業革命に対応するための官民のロードマップや知財・標準化戦略を早急に具体化しますということでもありましたので、その日本の弱み、強み、それから標準化に向けたその具体化していくための中身について今日は確認をしてまいりたいと思いますが、その前に、極めてベーシックなお話から入ってまいりたいと思います。
 当然、この所信で述べられたということはそれだけ重要視をしているということは重々承知でありますけれども、なぜ今この国際標準化戦略が重要なのかという極めて基本的な認識について、まずは大臣のお考えを確認をさせていただきたいと思います。
#34
○国務大臣(世耕弘成君) まず、礒崎議員にお礼を申し上げたいんですが、今日は本当に標準化について深掘りした一連の質問をやっていただくということ、本当に有り難いと思います。ここ、非常に地味な分野でして、重要なんですけれども、重要なんだけど地味な分野でなかなかスポットライトが当たらないんですが、こうやって国会で時間を掛けて質問をしていただくこと、これ非常に意義あることだと思いますので、御礼を申し上げたいというふうに思います。
 標準化というと、何となくコンセントとかそういう目に見えるものを想像しがちですし、かつてはそういうものだったわけであります。それがだんだん今、例えばエアコンの標準化というと、冷媒をどうするかとかそういうことが重要になってきたり、目に見えるものからだんだん中の部品とかそういうことになってきていて、さらに、近年ではもう一段進んで、例えばロボットで物づくりをしていくようなスマートマニュファクチャリングの分野ですとか、あるいは、まさにこれから国際競争が激しくなっていく自動走行の分野、これメーカーが違ったらぶつかっちゃうでは困りますから、いろんなものを標準化をしていかなければいけないとか、そういったことが出てきた、システムとして国際標準をやっていくということが出てきたわけであります。そういう中で、先ほど岩井議員のおっしゃったプラットフォームというのも、この標準化もその中の一部に入ってくるんだろうと思うんですね。
 そういう中で、アメリカは取りあえず先にやってしまって、本当に実際デファクトで押さえて、そういう標準化というものを作っていく。ヨーロッパというのは国の数が多いところもあって、まず、自分たちで実際の物はつくっていないんだけどルールだけは作るのは非常にうまくて、それで標準化をやって主導権を取っていく。その合間でちょっと日本がなかなかうまく立ち回れていないということがもうここのところずっと起こってきていると思っています。携帯電話の標準化から始まって、なかなかうまく取れていないということが非常に私は問題だと思っていまして、これから起こる第四次産業革命で今までやってきたことを繰り返してはいけないというふうに思っておりまして、第四次産業革命で新しい市場を獲得する上で、この標準化への取組というのが非常に優先すべき課題だというふうに考えております。
#35
○礒崎哲史君 今大臣の方からもお話がございました。様々な規格というもの、部品の一つ一つのというところから少しステージが変わっているというお話もございました。
 やはりこの標準化、そうなんですね、技術的なこういう部分の統一をしていくというだけで話が終わると、やはりなかなか認知度というものは高まっていかないと思うんですが、例えば今私が持っていますこの紙、A4サイズ、これだって規格なわけです。これもし規格がなければ、業者が好き勝手全部紙を使えば、紙、こうぽんぽんと整えてきれいにできるかといえば、できないという形にもなろうかと思いますし、実は私たちの生活に規格というものは密着をしていて、規格があるからこそ物事が整然と動いていくということもあろうかと思いますし、効率的に動いていくということにもつながっていくんだというふうに私自身も理解をしています。
 今、ステージが変わってきたというお話を大臣がされましたけれども、私自身も企業に勤めていた頃に、あるISOの規格、標準を取るための担当になったんですけれども、ISOの14000というものがありまして、これは環境対応なんですね、環境マネジメント。何か物をつくるわけでもなくて、生み出していくわけでもなくて、その事業所において環境にどのように対応しているのかということなんです。これそのものが規格になっているということで、あらゆる帳票を作ったり、定期的に点検をしたり、そうしたものがそのシステム、ISOの規格の中にこういうことをやらないといけませんよというものが入っておりました。
 なぜこれを取ったのかといいますと、14000番、つまり環境に対してきちんと対応している事業所とでないと商取引をしないというような考え方が今出てきているということです。そのものが品質を高めるというよりも、きちんと社会に対して対応している、環境に対して私はしっかりと対応していますという事業所とでないと商取引をしないという考え方、そうしたものも生まれているということから、この標準化というものは事業を進めていく上、あるいは私たちの生活を営んでいく上で極めて重要になってきているというふうに私も認識をしております。
 今幾つか話をしましたけれども、じゃ、国際標準化というものは実際どのように決まっているのかと。日本も取れているもの、取れていないものあろうかと思いますけれども、実際どのように標準が決まっているのかという、ちょっとこれもまた極めてベーシックなお話ではありますが、おさらいという意味で確認をさせていただきたいと思います。
 お手元に一枚資料を配付をさせていただきました。国際標準獲得プロセスの複線化ということで、私なりに頭を整理する意味で、経産省の方とお話をしたものを資料としているわけではありますけれども、これ、一点ちょっと訂正をさせていただきます。ピラミッドの下から二段目の一番右側にANSIという記載があって、そこに国名が書いてありませんでした。アメリカでございます。そこだけ、済みません、皆さん追記をお願いをいたします。
 これが概念的な形になろうかと思いますが、実際にどうやってこの標準が決まっているのかという点について、経産省の方から御説明をいただければと思います。
#36
○政府参考人(末松広行君) お答えいたします。
 先生お話しのとおり、国際標準としては、こういうプロセス、複線化している状況ありますが、おおむね三つに分かれるというふうに認識しております。
 まずは、国際標準化機関で明文化されて、また公開された手続により作成されるいわゆるデジュール標準というものがあります。ISOとかIECとかそういうところで決まるということでございます。あと、次に、特定の関心のある企業の合意により作られるいわゆるフォーラム標準。さらには、個別の企業の製品が市場競争の中で支配的になり、結果として事実上の標準となるいわゆるデファクト標準、この三種類であります。
 このうち、よく言われるデジュール標準については、国際標準化機関である国際標準化機構、いわゆるISO、及び国際電気標準会議、いわゆるIECなどにおいて、加盟各国による提案、審議、採決を経て制定されることとなっておりまして、個々の標準の審議は分野ごとの委員会単位で行われ、提案国が主導的な立場で進めることとなっております。提案から数次の一国一票による多数決投票を経て、国際規格として制定されるまでには通常三年以上を要するものとなっているというのが現状でございます。
#37
○礒崎哲史君 今、特に三種類、デジュールとフォーラムとデファクトというお話がありました。今デジュールについてのお話をいただきましたけれども、これは、技術的に開発をして、こういうものを規格化していこうということでピラミッドの下から上に順々にやっていくということからすると、今三年掛かるというお話がありました。
 スマートフォンですとか様々な技術革新が進んでいく中で、実際何年も掛けて、要は、この提案をするところまでで既に何年かあって、実際に提案をしてから決まっていくまでに更に三年掛かるということからすると、五年も六年も掛かってしまったら、恐らく、今の世界でいくと、技術開発のこのスピードの速さからすれば、実際規格取ってみたら技術的にはもう一歩遅れているものになっている可能性もあるというふうに思いますけれども、恐らく、そういう意味でいけば、このデファクトやフォーラムといった動きとこの左側のピラミッドの形というのは、多分もっと複雑に入り乱れながら実は行ったり来たりしているのかなというようなことも考えられるんですけれども、少し今、そういうことも考えられますが、ちょっと世界の各国の実際にどういう動きで、日本としてはそういう理解でこれ獲得プロセスを進めていますけれども、欧州やアメリカや、もし分かれば中国といった国が実際ここはどういうアプローチをしているのかというちょっと具体的な実態について、御説明をいただければと思います。
#38
○政府参考人(末松広行君) 世界の状況でございます。
 これは地域によって特徴がございまして、まず、欧州についてでございます。欧州については、市場統合を契機として、いわゆるいろんな規制をできるだけ統一すると。それから、その規制を性能規定化、基準を標準から引いてやるというような形を進めています。それから、そういう中で、欧州域内に整合した一つの標準をどんどん作っていくというようなアプローチをしています。いわゆるニューアプローチと。それまで各国ごとにいろんな規制とか標準をばらばらにしていたのを、みんなで一緒にやろうというニューアプローチという手法を使っています。その結果、欧州二十八か国あるんですけど、非常に同じような行動ができるようになっておりまして、例えばいろんな国際機関での議論をするときに二十八票あるということになります。こういう地域内で擁する複数票を活用して国際標準化を主導するというのが最近の欧州の動きでございます。
 それから、先ほど大臣からお話し申し上げたことにもあるんですが、米国においては、二百を超える民間団体や学会が主導して標準化に取り組むなど、民間主導での標準開発が行われております。また、こういう技術開発の速い分野では、ヨーロッパでもアメリカでもそうなんですが、いわゆるフォーラム標準が国際標準になるのをどんどんどんどん後押しをして迅速化するような動きもあるということでございます。
 あと、アジアでございます。アジアにおいては、APECに置かれている基準・適合性小委員会とか、あと、標準の関係者集まっている太平洋地域標準会議というのがありまして、その場で標準化分野での協力活動が各種行われていますが、アメリカとかヨーロッパに比べて結び付きは必ずしも強固ではなく、世界の国際標準化活動を主導するまでには至っていないというのが現実であります。
 あと、先生、中国のお話ございましたが、中国は近年、今申し上げたISOとかIECなどの国際標準化機関の重要なポストについて選挙で獲得をする、例えばISOの会長が今中国の方でございますし、IECの副会長も中国の方でございます。こういうことをして、国際標準の策定に主導的な役割を果たすべくすごい努力をされておりまして、いわゆるいろいろなことを事務的に委員会単位でやる幹事というのがいるんですが、国際幹事引受数というのがこの十年で六倍となるなど、国際標準化に力を注いでいるという特徴があるというのが現状でございます。
#39
○礒崎哲史君 今、それぞれの地域の話をいただきましたけれども、欧州でいけば、二十八か国がまず自分たちの中で共通できるものは何、当然一つの市場ですから話を始めていく。その中で、じゃ、これでいこうねという決めたものを、じゃ、規格にしましょうということで提案した時点で、実はもうこのピラミッドでいくと一段目、二段目クリアしちゃっているという、欧州でいくとこういう状況ということですよね。
 それに対して日本は一番下からやっていかないといけないということからすると、この進め方のプロセスということでは欧州と日本というのは随分違うんだろうということをやっぱり認識をした上で、じゃ、今後どうしていくかということを考える必要があるんだというふうに思います。
 あるいは、アメリカ、中国というところはもう自分のところで大きい市場がありますから、このデファクト標準というものを自分たちの中で作り出すこともできるということだとすれば、そこでつくってしまった既成事実をもってこの標準化プロセスの中に入ってくるということからすると、やはりこれも日本とはまた一つ違うメリットを持った上で来ているということだと思います。
 また、更に言えば、中国はその大きなポストをしっかりと取っているということで、後ほどまた日本の状況についても確認はしていきたいというふうに思いますが、やはり各国相当にここは力を入れているんだというふうに思います。特に中国は、この国際標準化をしっかりとやっていこうということは、これは一九九五年にWTOで決まったTBT協定というものが発効されたところから全世界がそちらの方向で動いていくことになるわけですが、日本はこれは当初から参加をしておりましたけれども、中国はそこから遅れること六年ですね、WTOに参加したのは。ということは、遅れて参加してきたにもかかわらず、既にもう主要ポストを中国が取り始めているということからすれば、やはりこれをいかに重要視しているのかということ、国の姿勢としてここにもう見えてきているのではないかなというふうに思います。
 その点も含めて、後ほどまたこの点も含めてお伺いをしたいと思うんですが、そういう中にあって、日本は今実際、具体的にどういう動きを取っているのかというお話をしたいんですけれども、まず、頭の中がすごく整理しやすくさせるために、経産省さんからすると言いづらいのかもしれませんが、具体的な失敗例と何で失敗したのかという点について、まずは何点か事例を挙げていただければと思います。
#40
○政府参考人(末松広行君) 失敗例も成功例もありますし、また、どれが失敗でどれが成功という判断もなかなか難しいわけでございますが、ちょっと例を挙げてみたいというふうに思います。
 洗濯機で二槽式の洗濯機というのがありまして、いわゆる洗濯するところと脱水するところがあるんですが、脱水するところのドアを開けるというのがあるんですが、今まで日本は、ドアを開けるとストップボタンが掛かってきゅうっと回転が止まるんですが、平成四年にイギリスの方から提案がありまして、要するに止まってから、止まるまではドアを、蓋を開けられないようにするのが安全じゃないかということがありました。
 それで、平成五年にそういう議論がありまして、国際規格の改正提案というのがなされて、日本とかは反対したんですが、多数決でそういう標準ができました。その標準を採用した東南アジアの国々があって、二槽式の脱水の方はボタンを押して止まってから蓋が開くようにしましょうということでありまして、それは、日本の洗濯機はそういう構造をしていなかったので、なかなか輸出が困難になるというようなことがありました。
 これ、その後、平成二十年に安全性が認められて、二槽式洗濯機の二重蓋構造について国際規格が採用されたということが現在はあるんですが、当時においてはそれで輸出がしづらくなったということがありました。各電機メーカーは現地生産をするとかでいろいろ回復はしたんですけど、そのときの標準が輸出に悪影響を与えたことは否めないというふうに思います。
 当時、洗濯機における日本メーカーの主な市場が日本国内でありまして、日本国内で非常に売れていて利益も上がっていたんだと思います。欧州の動きの情報把握とか日本方式の国際標準化への対応が遅れて、海外標準化の専門家との連携も余りうまくいかなかったというようなことがあったと思います。
 我が国の国際標準化活動においては、今の例のように、諸外国の動向把握や関係国の仲間づくりが欧米に比べて十分でない面がこれまであったんじゃないかという反省があります。
 また、先ほど話題に出ましたISOの9001とか10000、マネジメントシステムなどの個々の技術によらないもの、スマートシティーなどの複数以上の技術で構成されるものについては分野横断的な標準化専門家が必要なんですが、まだそこら辺十分育っていないことから、我が国本来の技術力が国際規格に十分に反映されていない分野もあるということがあるかというふうに承知しております。
#41
○礒崎哲史君 今の二槽式の洗濯機の話、一個目の蓋を開けたって二個目の蓋があるからこそ回転物に手が触れなくて安全なんですけど、安全だということではなくて違う観点で標準化がされてしまったと。結果的には日本の洗濯機が市場から締め出されるということになったという事例だというふうに理解をします。
 今、イギリスがと言いました。まさにEUですね。ですから、イギリスが声を上げたということは、二十八票がその時点で入るということですから、その意味では、事前の働きかけですとか、あるいは事前のネゴシエーションという点でやはり日本の進め方には弱さがあったという事例だというふうに今理解をいたしました。
 では、今失敗例をお伺いしましたけれども、逆に、様々な反省あるいは元々あった日本の強みから成功したという事例もあると思いますので、御紹介をいただければと思います。
#42
○政府参考人(末松広行君) こちらの方がたくさんあると認識しておるんですが、国際標準化機構、いわゆるISO、及び国際電気標準会議、IECでの国際標準化におきまして、専門委員会の議長とか幹事を日本が獲得して戦略的に日本発の国際標準の獲得を進めた成功例としては、鉄鋼ですとか工作機械ですとかロボットといった分野がございます。こうした分野では、技術開発と国際標準が相まって国際競争力を高めております。
 まず、鉄鋼分野ですが、これは約三十五年間、専門委員会の議長と幹事を日本が務めておりまして、国際標準化の主導権を握っております。最近では、我が国が高い技術力を持つ自動車用の鋼鈑などの高機能鋼材の強度の評価方法や耐震建築用の構造鋼材の国際標準化を実現し、我が国鉄鋼産業の高い国際競争力の基盤となっております。
 あと、工作機械分野では、機械の精度や通信に関する作業グループの座長を日本が獲得し、積極的に標準化を実施しております。例えば、最先端のマシニングセンター、これは工具の自動交換機能を持つ工作機械ですが、こういうものの計測精度、どれだけ正確にできるかという測定方法の国際標準化を実現し、市場シェアを確保しております。
 また、ロボット分野では、生活支援ロボットの安全性に係る試験方法ですとか、ロボット技術を用いた医療機械の安全等の審議でリーダーシップを発揮しております。二〇一四年二月には我が国が提案した生活支援ロボットの安全性に関する国際標準が制定されまして、今後、市場拡大が期待されているというところでございます。
 今後とも、研究開発によって技術の優位性を確保しつつ、官民で緊密に連携して戦略的な国際標準化に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
#43
○礒崎哲史君 今、三点御紹介をいただきましたけれども、工作機械の標準化、何というか、これ、要は日本の工作機械は性能がいいですよという、その性能を測る部分を基準化したということですよね。ですから、元々あった性能の良さが際立つ、それを見せる仕方というのを標準化したということで、ある意味、付加価値が更に高まっていく標準化を勝ち取ったということだというふうに思います。その意味で、やはりいかに標準化というものが技術の部分ではなくて違う点も含めて進めていくことが必要かということはこれでも分かるのかなというふうに思います。
 私は、元々は企業でエンジニアで働いておりましたので、ある意味技術ばかですから、その技術を高めることをずっとやっていた人間です。どちらかといえば、技術的にいいものをつくれば認めてもらえると、社会に、そういう考えで仕事をしていた時期もあった人間ではありますけれども、今、失敗例、成功例聞きますと、余り技術と関係ないんですよね。
 技術と実は違う部分で世界と今勝負をしているという実態が現実としてあるということ、これをやはり多くの人が認識をしながら、特に経営者それから行政に携わる者が認識しながらこれは進めていく必要があるんだろうなということを、私自身の過去も振り返って、反省も含めて今そういう思いを持って質問をさせていただいているつもりです。
 では、今、成功例、失敗例ということでお伺いをしました。その中で見えてきたのは、やはり様々な政治的な働きかけ、あるいは主要ポストを取っていくというようなお話が重要、ただ、それには元々技術力があるということも重要ということが何点か出てきたんだというふうに思いますが、では、実際に今どういう課題認識で、どういうアプローチで改善を図ろうとしているかというちょっと具体的な部分、ここを大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、まず、先ほどのピラミッドのこの構造の中で、やはりこのピラミッドをしっかりとコントロールをする、働きかけをしていくということが大変重要なんだと思いますが、こうした国際機関に対して日本が組織的に、あるいは企業でもいいんですけれども、働きかけをしていく、こういう対応面での課題認識と今の具体的なアクションについてお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(世耕弘成君) まずは、こういった国際的な標準化機関のポストを押さえることが非常に重要だというふうに思っています。議長ですとか幹事ですとかという主導権を握れるポストが、今このピラミッドを中心に九百四十六ポストあります。日本は今九十五をそのうち押さえていますけれども、二〇二〇年まで百件は押さえていきたいというふうに思っています。この九百四十六ポスト中、今ドイツがやっぱりトップ、二番目がアメリカ、三番目が日本で、その後、フランス、イギリスと。だから、やっぱりEUが合計すると非常に強いわけです。しかも、先ほど局長から説明があったように、中国が赤丸急上昇中という状況でありますから、ここをしっかりこれからもポストを取る取組というのをやっていきたいと思います。
 最後、こういった機関での規格の決定というのはやっぱり選挙で、投票で行われるわけであります。これが残念なことにやっぱり一国一票なんですね。本当は、私は製品別シェアとかそういうのを反映すべきだと思いますが、残念ながら、そういうものを全くつくっていない国であっても一票を持っているということで、どうしてもEUが有利になるということに、二十八票を最初から持っているということになるわけであります。
 だから、そういう中で、やっぱり日本は仲間づくりをしっかり進めていかなければいけないというふうに思っています。今までも、APECの標準化専門委員会で頑張ったり、あるいはアメリカと連携して太平洋地域標準会議というのをやったりとか、あるいはASEAN各国と連携をするということをやっています。
 やっぱり我々の票田はアジアだと思いますから、特にASEANとの連携というのは非常に重要で、まだ彼らはなかなか標準化というものに対する概念も弱いところがありますから、こういう国の人たちを日本にお招きをして、そして標準化に関する研修を受けてもらう。例えば、エアコンの触媒だとこういうものがあって、こういうグループ分けになっているんですよとか、そういうことを教えていって、それが当たり前になって、日本と組んで標準化の舞台でアジアが活動するようにしていく、こういう取組をやっています。
 また、今日この答弁レクを受けるときに、アジアだけじゃなくて、もう早めにアフリカとかももう手を打っておいたらどうだと。まだ標準化そのもののことを全く考えていないような国がほとんどだと思いますが、そういう国に逆に技術支援として標準化のことを教えてあげることで日本の仲間になってもらう。こういう取組をしっかりやっていくことが重要だと思っております。
#45
○礒崎哲史君 今の仲間づくり、そしてポストをしっかりと取っていって議論の議事をコントロールするというのは大変重要な観点だと思います。
 今、ASEAN、それからアフリカというお話もございました。一部、いろいろこれ調べてみますと、実はアメリカも、結局、このピラミッドの構造がやはり欧州主体になっているのではないか。そもそも、このISO、IECって、これヨーロッパの団体なんですよね。そもそも、ECの団体がトップにいること自体に少し疑義を持っている国もあるということからすれば、そういう国ともしっかりと連携を図っていくというのも戦略的にはやっていくことではないかなと思いますので、是非その点については大臣のリーダーシップの下進めていただければというふうに思います。
 ただ、そのポストを取る、仲間づくりをするといいましても、結局、そういう行動ができる人材がいなければ結果的にはそこは取れないわけでありまして、やはり人材をしっかりと育てていくということが大変重要かと思いますけれども、この点についての課題認識とアクションについてお伺いしたいと思います。
#46
○国務大臣(世耕弘成君) 結構この人材確保の在り方は課題が多いわけであります。特に、この標準化の専門家が日本では高齢化が非常に進んでいます。
 これ、何でかというのを確認しましたら、やはりWTOでこの標準化に取り組まないと世界で販売していきにくいとなったのが九〇年代半ば、その頃に標準化を学んで身に付けた人、大体四十代ぐらいになるんですが、その方々がそのままずっと来てしまっている。何で後輩が育たなかったんだろうといったら、何か立派な人たち過ぎるとかいろんな分析が出ていましたけれども、いずれにしても、残念ながらうまく後輩が育っていないということであります。
 その問題認識に立って、まず標準専門家をしっかり育成をしていくということと、あと、各企業の経営者にこの標準化が重要だ、そのための人材を育てることが重要だということをよく認識をしてもらう。そして、若い社員に標準化というものに自分の専門分野としてチャレンジをしてみたいと、そういう意識を持ってもらう。そういう意味で、産学官で連携して標準化人材を育成する三つのアクションプランというのを取りまとめたところであります。
 企業で具体的なアクションとして、まず最高標準化責任者、CSOというのを置いてくれということをやりました。今、六十三社置いていただいております。日産もNTTも置いていますので、我々出身会社はしっかりやっているということであります。二つ目は、企業の組織体制や人事評価制度を明確にして、標準化専門分野できちっと昇進をしていけるようなメカニズムをつくっていく。そして三つ目が、人材育成計画を作成して、それを計画的に人材を途切れなく育成をしてもらうということであります。
 そして、アクションプランでは、政府のやるべきこととして、まず若手人材の育成支援、これは交渉術とかそういったことをしっかりやっていかなければいけない。また、経営層の理解を深めるための政府としての広報ですとか、あるいは表彰制度で標準化で頑張ってきた人を国として表彰するような制度を拡充をしていくというようなことが求められています。
 企業は企業で頑張っていただいて、政府としてもそれをしっかり後押しをしていくということを人材育成の面でやっていきたいと思っております。
#47
○礒崎哲史君 実にいろいろなやはり課題があるということと、あわせて、既に官民の中で話合いが行われて、アクションが行われているということで今お話伺いました。
 今、特に経営者のというお話、既に六十三社がしっかりと責任者を置いて進めてもらっているということでお話もいただきましたけれども、実際、ここが重要ですよと、標準化が重要ですよという認識について、官の部分、民の部分、それぞれどれぐらいその認識が従来に対して高まってきているのかという、感覚的なものなのか、もしデータがあればデータでお示しをいただければと思いますが、感覚的な面も含めて大臣のお考えをちょっと確認をさせていただきたいと思います。
#48
○国務大臣(世耕弘成君) データはないんですけれども、感覚的にはやっぱりまだまだ不十分だと思います。先ほど申し上げたような標準化戦略担当役員を置いてくれている会社は六十三社ということでありますから、まだまだ意識は低いと言わざるを得ません。ただ一方で、鉄鋼ですとか電気電子、自動車といったグローバル競争を行っている企業では、やはりこの標準化取っていかないと取り残される、グローバルに製品を販売していくことができないという意識は大企業を中心に持たれているのかなというふうに思っています。
 ただ、これから第四次産業革命、IoT、AIという世界になってきたときに、やはり標準化に乗り遅れると大変だという危機意識は官民で共有をしていきたいというふうに思います。私もこれから折に触れて、産業界との対話などの中で、この標準化の重要性ということを政府としてしっかり働きかけをやっていきたいというふうに思っていますし、そういう意味で、こうやって国会で議題にしていただくということも非常にその一環で重要なことだと思っております。
#49
○礒崎哲史君 ちょっと前のデータになるので恐縮なんですが、三菱総研が二〇一二年に企業に対して取ったアンケートで、標準化戦略をどのように進めていますかというアンケートです。その中でいくと、やはり認識はしているデータにはなっているんですけれども、その一方で、じゃ、実際に知財戦略と標準化をセットで進めているのかとか、そういう具体的なところに入っていきますと、実は余り対応が取られていないというような結果にもなっていました。
 特に、標準化会議に、じゃ、どういう人が参加していますかというと、やはり技術者が中心になっています。別に技術者が出ることは悪いことではなくて、ただ、これから標準化を進めていくのは、これは経営戦略にも関わることだということの認識があれば、ここは技術者だけではなくて、企画を担っている方あるいは経営者の方、こういう方々もやはり会議体に参加するのが自然な形になるんだろうというふうに思います。
 その意味でいくと、この実はアンケート結果からいくと、五四%の会社が技術文書を作成する技術者が集まった会議体でやっていますということからすると、まだまだ経営戦略として必要だという認識は、この二〇一二年の当時はまだ薄かったのかなという結果が見えるというふうに思います。
 今大臣がお話をいただいた観点、私も大変重要だと思いますし、あわせて、人事評価という点で、やはりこの知財戦略あるいは標準化でどういうふうに結果が見えてくるのか。すぐに商品の売上げにつながる項目でもないですし、会社の売上げになかなか貢献したのが見えづらい分野であるので、これは会社の中でどういうふうに評価していくのかということも、これは企業が本当は考えるべきことだと思いますけれども、大変重要な観点だというふうに思います。そこでしっかりと結果を出した方が会社の中で評価をされていくというものも、これセットでやっぱり進めていくべきことだと思います。ここは会社側が労使の話で決める話ですので、余り首突っ込むことではないというふうには思いますけれども、こういう観点も含めて、是非大臣の方からもしっかりとリーダーシップを取っていただきたいなというふうに思います。ここは進めていただければと思います。
 あわせて、ちょっと観点として、そういう施策を進めていくためにはやはり当然予算が必要だというふうに思いますけれども、今回のこの標準化に関する予算の中身について、経産省の方に確認をしたいと思います。
#50
○政府参考人(末松広行君) 戦略的な国際標準化を推進するための予算として、平成二十九年度当初予算案は四十二・八億円を計上してございます。
 具体的には、先端医療機器、ロボット等の国際市場での競争優位に必要不可欠な分野ですとか、高齢者、障害者配慮、消費者保護等の社会・産業基盤に不可欠な分野ですとか、我が国が強みを有する省エネルギー製品、システムや新エネルギー関連分野ですとか、中堅・中小企業等が保有する優れた技術、製品、これらを対象に、国際標準化に必要な試験ですとか実証データ、関連技術情報の収集を行い、国際標準原案の開発、提案、開発した国際標準の普及を見据えた試験・認証基盤の構築などを行う事業を民間団体ですとか企業などに委託して実施をしております。
 また、ISO、IECにおける我が国のプレゼンスを向上させ、我が国からの国際標準提案を他国の理解、協力も得ながら円滑に進められるよう、ISO・IEC上層委員会に日本の代表を派遣し、我が国の意向を適切に反映させる活動や、他国の標準化機関との連携のための活動、いわゆるセミナーなども実施するようにしております。
 今後とも、我が国の技術の普及、競争力強化に資する戦略的な国際標準化を推進するために必要な予算措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
#51
○礒崎哲史君 今四十二・八億ということでお話しいただきましたけれども、事前のレクで確認しましたら、結構この中身は、そのデータの取得、要は規格を取るための様々なデータの積み上げが必要で、そのデータの取得にかなりの部分が割かれているということがありました。
 ただ、今日お話をさせていただいたことからすれば、人材だと思うんですね。人材をどうやって育てていくのかということが大変重要だということからすると、この人材育成に向けた予算というものも私はしっかりとこれ確保していただく必要があろうかと思いますので、これは是非大臣にお願いを申し上げます。是非ここの部分の予算を増やして、人材育成に向けた、そうした予算を確保していただきたい。
 特に、本省は今この体制六十名というお話を伺ったんですけれども、この六十名というのも規模としてどうなのかなというふうにも思います。実際にISOの会議であったり、これ何十何百という数が年間開催されています。その中で、現地でほかの国とのネットワークをつくっていく人材、体制として、民間も含めてになりますけれども、本省で六十名という体制が本当にこのままで、人脈をつくる、ネットワークをつくっていく規模として適正なのかどうかという点も、これも是非大臣には私は御検討をいただいた方がいいんではないかなというふうに思います。
 最後にまた、もう一つだけ最後お願いして終わりにしたいと思いますけれども、二〇一四年になりますが、ドイツのメルケル首相が中国に訪中をいたしまして、習近平国家主席と会われて首脳会談を行っております。その首脳会談の中で、この標準化についてお互いに協力していきましょうということで約束を取り付けています。
 官民一体で進めていく、民間主導で技術力の部分をどんどんどんどんアピールをしていくという点も重要かと思いますが、やはりトップ同士がしっかりとその部分で連携していきましょうということを話し合うことは大変重要だと思いますけど、この点について、済みません、最後。
#52
○国務大臣(世耕弘成君) 短くお答えしますから。
 去年、総理がドイツを訪問した際に、メルケル首相との間でスマートマニュファクチャリングにおける日独の二国間で国際標準化を進めていこうということを確認しています。諸般の事情が許せば、今月、総理はまたCeBIT出席のためにドイツを訪問されます。私も許していただければ同行したいと思いますが、そこでは、更にこの日独のスマートマニュファクチャリングにおける標準化での連携ということを少し深掘りをした政府間の何か合意ができればなというふうに思っております。
#53
○礒崎哲史君 終わります。ありがとうございました。
#54
○平山佐知子君 民進党・新緑風会の平山佐知子でございます。
 まずは、通告はしていないんですけれども、やはり本題に入る前に、今国民の皆様が最も関心の高いというか、思っているものがありますので、森友問題について、一つお尋ねをしたいと思います。
 昨日、衆議院の経済産業委員会で、安倍首相の昭恵夫人が森友学園が運営する塚本幼稚園を訪れた際に、経済産業省から官邸に出向されている二人が公務として同行されたということでした。
 昭恵夫人が私的に行動されていることに国民の血税で歳費を支払われている国家公務員が随行するというのはやっぱりおかしいんじゃないでしょうか。この出張費は昭恵夫人が私費で負担をされたということなんですが、随行された方は当然その日も出勤日として取り扱われているはずなんですね。つまり、私人として私事の行事をこなす人間のサポートに国家公務員が公務として随行するというのは、私はあり得ないと思うんですが、世耕大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
#55
○国務大臣(世耕弘成君) 確かに、安倍昭恵夫人には経済産業省から出向という形で職員が行っているのは事実であります。これは、内閣官房の説明によりますと、総理に同行して外国へ行かれる際に、経済関係の、また安倍政権が成長戦略、アベノミクスということで経済を重視をしているので、それに関連する仕事が国内外であるということで経産省から行っているというふうに内閣官房は説明をしております。
 それぞれ、もう内閣官房へ出向した後その二人がやっていることについては、申し訳ありませんが内閣官房に聞いていただかないと、経産大臣としてはお答えしかねるということでございます。
#56
○平山佐知子君 やはりこの問題はすっきりとさせるべきだと私は思うんです。恐らく世耕大臣もとばっちりを受けて辟易されている部分もあるかと思うんですが、ここは是非、籠池理事長を始め、当時、実際に一連のてん末に関わった皆さんに国会に来ていただいて、きちっと話を聞く場をつくって、広く国民の皆様に見ていただく必要があると思います。
 なのに政府の皆様、参考人招致に反対をされている。これは私、全く理解ができない部分でございます。これ、なぜ参考人の招致に応じていただけないのか、大臣、どうでしょうか。
#57
○国務大臣(世耕弘成君) 参考人を呼ぶ呼ばないについては、これはもう全て国会でお決めになることでありますので、政府としてはコメントは控えさせていただきます。
#58
○平山佐知子君 やはり国民の皆さんにとって疑惑が広がらないようにしっかりとこの後も誠意ある説明、分かりやすい説明をお願いしたいというふうに思います。
 さて、ここから、では本題に入らせていただきます。
 先日は、経済産業委員会では自民党筆頭理事の岩井先生始め、私も地元であります静岡県への視察に行かせていただきました。委員長始め委員の皆様には本当に訪問をしていただいてありがとうございました。私自身も、中小企業の現状、しっかりと現場を見ることができて、大変意義のある貴重な機会となりましたことを改めてお礼を申し上げます。
   〔委員長退席、理事石上俊雄君着席〕
 その中で、興津螺旋株式会社という、ねじガールと呼ばれて、ねじの製造現場に女性の皆さんが活躍されている、その現場を見せていただきました。当日は、私、個人的に疑問を持ったので、初代ねじガールの方になぜそもそも最初に製造現場に入りたいと思ったのか、そのきっかけを伺ったんですけれども、初めてねじを手にしたときにすごく温かくて感動したと、格好いいと思ったから製造現場に入りたかったと生き生きと話している姿が印象を受けて、やはり現場で生き生きと働ける環境というのがいかに大切なのかということを改めて感じました。
 また、社長の柿澤さんは、視察の当日も話されていたんですけれども、中小企業の良さの一つは個別対応が可能であることだと、過去には仕事場にベビーベッドを置いたこともあった、そうした働く人の声を聞くことが、結果、会社を信頼してくれることにつながると、一般社団法人日本ねじ工業協会の二〇一六年の会報「ねじ」、「トップに聞く」のインタビューの中でも話されていました。
 そこで、今国会の重要なテーマの一つでもあります働き方について伺いたいと思います。
 先ほどの興津螺旋株式会社では先進的に様々な取組をされていまして、静岡市女性の活躍応援事業所表彰の平成二十七年度大賞も受賞されていますけれども、まだ多くの企業ではそうした対応が難しいのが現状ではないかと思います。
 一方で、私は、一人親の皆様、静岡県母子寡婦福祉連合会の方々と以前から親しくさせてもらっていまして、先日も様々な現状と課題を伺ってきたんですけれども、その中で、せっかく仕事が決まっても子供を預けるところがなくて、いわゆる待機児童の問題でなかなか働くことができないんだという人が多いという相談を受けました。結果、正社員にはなれずに短時間のパート労働、トリプル、ダブルワーク、もうたくさん仕事をしても、働いても働いても厳しい生活が続いているという現状を直接伺いました。
 国として、企業が誰もが働きやすい環境を整えることを進めていくことに対してはどういう考えを持っているのか、まずは世耕大臣に思いを伺いたいと思います。
#59
○国務大臣(世耕弘成君) 誰もが働きやすい環境づくりに向けて、まずは働く場である民間企業の努力を促すこと、これが私は働き方改革実現の鍵だというふうに思っていますし、今政府でやっております働き方改革実現会議ではそういった問題意識で議論を行っておりまして、私も積極的に発言をさせていただいているところであります。
 具体的に申し上げると、例えば長時間労働の見直しについては、これはただ単に時間を短くするという意味だけではなくて、人口減少が進んでいく我が国で、例えば女性や高齢者の皆さんが働きやすいような環境を実現するための長時間労働の見直しという視点が非常に重要だというふうに思っています。そういうことをやることでいろんな人が参加ができる、そして生産性の向上を促す取組をすることができると思っています。
   〔理事石上俊雄君退席、委員長着席〕
 また、労働時間の話だけではなくて、例えば兼業、副業ですとかフリーランスといった働き方のニーズに応じて、当然、健康への配慮とか労働者としての権利の確保というのも大前提になりますけれども、時間とか場所とか契約にとらわれないで自由で多様で柔軟な働き方、こういったことも可能にすることによって子育てとか介護をやりながら働くこともできる、これも重要だというふうに思っています。
 意外と進んでいるなと思います。どうしても我々は東証一部上場企業の感覚で物を見がちですが、そこで働いている人というのは十数%なんですね。やっぱり先進的な働き方改革に取り組んでいる企業というのは、ベンチャーとか中小・中堅企業でも出てきています。例えば、朝型勤務制度というのを入れて、早く目が覚められる傾向にある高齢者の方でもちゃんと働いてもらえるようなやり方を取り入れているとか、あるいはテレワークですとかサテライトオフィスなんかを導入して、実際に会社に来なくても働けるというような、そういう実態は大分進んできている、変わってきているなというふうに思っています。こういう企業の取組も踏まえて、産業界との懇談会などを通じて、今積極的に働き方改革に取り組んでくださいということを要請をさせていただいています。
 今後も、経営トップに対してリーダーシップを発揮をするように促していきたいと思いますし、企業と働き手が共に働きやすい環境づくりを目指す働き方改革を通じて、生産性の向上、産業競争力の強化を目指していきたいというふうに思っています。
#60
○平山佐知子君 様々な取組をなさってリーダーシップを取ってくださるという大変心強い言葉でございますけれども、厚生労働省では、特定求職者雇用開発助成金など、一人親の就労支援の施策がございます。例えば、企業内に保育所を設けることは企業にとっては相当体力の要る話だと思います。こうしたときに、政府として例えば助成を出すとか、そういう何か施策がありましたら教えていただきたいと思います。
#61
○政府参考人(田中茂明君) 今先生から御指摘のございました企業が自ら主導して保育所を設けるということにつきましては、先般、企業主導型保育事業というものができまして、これに基づいて政府全体で積極的に推していくということになっているものと理解してございます。
#62
○平山佐知子君 とりわけ、女性にとっての働きやすさというのは、結婚しても、子供を産んでも働けるといった環境づくりではないかと思います。これは立派な経済対策だと思いますので、中小企業にも例えば社内に保育所が開けるような環境づくりを積極的にお力をお貸しいただきますようお願い申し上げますが、それについてはいかがでしょうか。
#63
○政府参考人(宮本聡君) お答え申し上げます。
 特に中小企業にとっては、人材が不足する事態が深刻化している中で、やはり女性や高齢者などのこうした多様な人材を確保すること、そして個々の人が能力が十分に発揮できるそういう職場環境を整えること、これがますます重要な経営課題になっていると思います。
 中小企業庁では、これまでも、例えばセミナー、マッチング、職場の紹介、こうした事業を通じまして、こうした多様な人材に中小企業で活躍いただくということを進めてきております。
 さらに、今年度は、委員まさに御指摘のとおり、個々の働き手の事情を十分に踏まえたこういう職場環境を追求することで、人材の確保、さらには生産性の向上に成功した事例、これが興津螺旋のほかにもたくさんございまして、例えば職場に女性が多くて結婚や出産によって安定的な人材確保に課題があった洋服のお直しサービスを行うこういう事業者が在宅勤務制度を導入したり、委員御指摘の企業内の保育園の設置の補助金を利用して保育園をつくることによって人材の定着に成功した事例などがあります。こうした事例をたくさん集めて、さらに、それをほかの事業者が気付けるような形で分析して、整理して、可能な限り分かりやすく中小企業に広報して、参考にしていただきたいと思っています。
 その他、御指摘のあったいろいろな関係する補助金制度、これらもPRしていきたいと思いますし、あるいは女性が本当に活躍するためにどういう職場環境をつくる、そのために何が必要か、こういうことをちゃんと相談できるようなよろず支援拠点を始めとした支援制度、こうしたものも充実させていきたいと思っております。
#64
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 次に、中小企業政策について伺いたいと思います。
 我が国の地方を支えてくださっているのはもう中小企業、そしてそこに働く皆さんでございます。世耕大臣は所信表明の中で、安倍内閣が発足してから四年がたって、中小・小規模事業者の倒産は二十六年ぶりの低水準となり、経済の好循環は着実に回り始めているとおっしゃいました。確かに、東京商工リサーチによりますと、平成二十八年の企業倒産件数は八千四百四十六件と、平成二年以来の低水準となっています。
 しかし一方で、業績の先行きの不透明感に加えて、経営者の高齢化、そして事業を次の世代に引き継いでいく事業継承の難しさから、休廃業、解散件数は倒産件数のおよそ三・五倍、二万九千五百八十三件、これは過去最多を更新しています。日本が誇るオンリーワン技術をこれからも失うことなく継承して、更なる発展を目指していくためには、国がやる気のある中小企業・小規模事業者を積極的に支援していくことが重要だと考えます。
 事業継承の問題のほか、中小企業では人手不足の問題も深刻化していると認識していますが、中小企業が置かれたこの現状や課題についての大臣の見解を伺いたいと思います。
#65
○国務大臣(世耕弘成君) 確かに、倒産件数は今八千四百四十六件ですから二十六年ぶりの低水準ということで、これは非常にいい数字が出ています。
 ただ一方で、二〇一六年の休廃業、解散件数、これが今御指摘のように過去最多になっているわけです。この休廃業、解散というこれの定義は、基本的には資産がまだ負債を上回った状態でありながら会社をやめたと、だから、要するに、ちゃんと資金繰りは回っている状況でやめたということになるわけであります。これが、ある程度まだ若い方が、もうこの仕事はやめて次のこの事業へ行くぞということで、また別の起業をするために会社を畳むとかそういうことであればいいんですが、この事業を停止されたうち、経営者の平均年齢を取りますと、やはり六十代以上の経営者の企業が八二・三%ということになっています。今おっしゃるように、やはり事業承継のこれは問題だろうと。
 これ政策金融公庫が六十歳以上の経営者にアンケートをしたところ、半分以上の方が廃業を予定しておられる、そして、その理由が子供に継ぐ意思がない、あるいは子供以外に適当な後継者が見付からないという理由がこれ合計すると三割にも上がっているわけでありまして、経営者の高齢化と後継者不足というのが中小企業の事業継続の上でやはり深刻な状況になっているのかなというふうに思っています。
 さらに、それに拍車掛けているのがやっぱり人手不足だと思います。いわゆるDI値、雇用人員DI値という人手の過不足状況を表す数字なんですが、中小企業では二四ポイントも低下をしているという状況であります。人手不足の深刻化というのも廃業が増えている理由の一つにもなってきているのかなというふうに思っております。
 加えて、やはりそれでも生産性が上がっていればいいんですが、二〇一二年度から一五年度にかけて、大企業が一二・八%生産性が上昇しているのに比べて中小企業は六・〇%の上昇にとどまっているということで、ここも少し伸び悩みが見えているというふうに思っています。
 こういう課題を踏まえて、経産省としては、事業承継の支援ですとか人材確保の支援ですとか生産性の向上といったことに少しスポットを当てて、中小企業の支援に取り組んでまいりたいというふうに思います。
#66
○平山佐知子君 そうした中、昨年の五月に成立して、七月一日から施行されました中小企業等経営強化法について質問させていただきたいと思います。
 中小企業等経営強化法は、中小企業や小規模事業者、中堅企業の経営力を強化して、大企業の二分の一と低迷する中小企業などの生産性を向上させることを目的としています。その中で、国による事業分野別指針の策定であったり、中小企業等が作成する経営力向上計画の認定、その経営力向上計画の認定を受けた中小企業などに対する固定資産税の軽減ですとか金融支援などの措置が設けられています。
 資料一を御覧ください。中小企業等経営強化法で経営力向上計画の認定を受けた事業者の内訳です。まず、下の枠の左側の一番上、平成二十九年一月三十一日現在、経営力向上計画の認定を受けた事業者は全体で一万三千四百五十八件あります。そのうち、製造業が一万三百四十一件、そのほか、下にずらりと並ぶほかの業種と比べてみても製造業が断トツで件数が多いのが分かります。製造業が全体のおよそ八割も占めているということになりますが、この結果について、率直な大臣の見解を伺いたいと思います。
 また、こうした現状を改善するために、資料二にお示しさせていただいておりますが、平成二十九年度税制改正では、製造業だけではなくてサービス産業での活用を促すため、固定資産税減税の対象設備に器具備品、建物附属設備等を追加するとしています。この改正によってサービス産業の活用はどの程度増えると見込んでおられるのか。例えば、サービス産業がGDPの七割程度を占める現状に鑑みれば、製造業対サービス産業の認定件数が一対一になるくらいを目指すのか。一点目と併せて大臣に伺いたいと思います。
#67
○国務大臣(世耕弘成君) 御指摘のように、中小企業等経営強化法というのは、中小企業そして小規模事業者の生産性が大企業に比べて大幅に低い、先ほども申し上げたように、伸び率でも伸び悩んでいるという状況に鑑みて、この中小企業の生産性をしっかりと向上をさせる支援をやっていこうという取組であります。
 サービス業は、中小企業において雇用の七割を占める非常に重要な産業であります。サービス業となると、更に中小企業の中でも製造業に比べて生産性が低いということになりますので、このサービス業の生産性を向上させるということは喫緊の課題だというふうに思っております。
 ただ、今まで、去年までやってきたやり方では、この固定資産減税の対象が非常に大きな機械装置に限られておりましたので、必然的にこれどうしても製造業が使う率が多いということになって、サービス産業が投資するようなものが対象にならないという問題点がありました。
 そこで、二十九年度税制改正案においては、サービス業でも使うような、例えば冷蔵陳列棚ですとか、エアコンですとか、新型のレジ装置とか、そういったものもカバーできるような拡充を今させていただいております。
 これがどれぐらい効果が出るか。ちょっとまだなかなか正確な推定は難しいですけれども、内閣府の統計によりますと、いわゆる大型の機械装置投資の約六割が製造業に集中しているのに対して、今申し上げたような、これは分類上、器具備品、建物附属設備となりますが、こういう分野ではサービス業が五割を超えてきているということになりますので、今回の拡充でサービス業の皆さんにもこの減免の措置というのを活用をしてもらえるのではないかなというふうに思っております。
 これ、周知しないと駄目ですから、この制度が変わった、税制が幅が広がったということを、是非小売業ですとか宿泊業といったサービス事業者の皆さんにも理解いただけるように、全国各地で五十回以上説明会を開催するなどさせていただいております。セミナーも行っておりますし、SNSでの情報発信も今取り組んでいるところであります。製造業に加えて、サービス業の皆さんにもバランスよく御利用をいただけるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
#68
○平山佐知子君 周知徹底をまたお願いしたいと思います。
 それでは、少し視点を変えまして、もう一度資料一を御覧いただきたいと思います。下の枠内の右側に経営力向上計画の認定を受けた事業者件数が都道府県別に記載されています。件数が多いのは、一位が大阪府で千五百一件、二位が愛知県で千三百三十八件、ちょっと飛ばさせていただきまして、五位に私の地元の静岡県六百十一件となっております。ありがとうございます。一方、件数が少ないのが、最も少ないのが島根県で三十九件、次いで青森県の四十三件となっています。企業数や人口の違いもあると思いますが、静岡県が神奈川県を上回っているところを見ると、そればかりではないのかなと思います。
 この都道府県別の認定件数についてどのように分析をされているのか、大臣の見解をお願いしたいと思います。例えば、認定支援機関の熱心さの違いと申しますか、本当に中小企業の立場に立って考えているのか、寄り添っているかの違い、あるいは各経済産業局が制度をどの程度周知徹底しているかなどの影響ももしかしたらあるのではと思うのですが、それについてはいかがでしょうか。
#69
○政府参考人(宮本聡君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の都道府県ごとの認定件数の違いでございますけれども、様々な要因が多分影響していると思いますので、正直申し上げて、明確に分析することは難しいと思っておりますが、例えば、まず認定件数が多い都道府県、これはまさに委員御指摘のとおり、比較してみますと、一般的には中小企業の数が多い、あるいは特に製造業の比率が高い、こうした都道府県がどうしても多くなっております。それから、都道府県ごとの中小企業数に占める認定件数の割合、これについて見ますと、例えば一位が山形県なんでございますが、この山形県は認定企業のその八割以上に対して金融機関などの支援機関がサポートしているということで、ある意味支援機関が東北圏内で、域内で最も活発に活動しているというような特徴が見られるところでございます。
 そういう意味もありまして、中小企業庁では、全国の都道府県において中小企業等経営強化法の活用を促進するため、これまでも、税理士や金融機関などいわゆる支援機関向けにも、一万社以上の参加を得て百回以上の説明会をしてきたところでございます。
 特に来年度からは、先ほど大臣の答弁にもございましたが、支援措置も拡充される方向でございますので、この法律の更なる周知、広報に積極的に取り組んで、少しでも全国で多くの方々が御利用いただけるように取り組んでいきたいと思っております。
#70
○平山佐知子君 かしこまりました。
 それから、中小企業等経営強化法に対する参議院経済産業委員会の附帯決議では、「PDCAサイクルを実効性ある形で確立し、中小企業・小規模事業者、中堅企業の経営力向上に資するよう努めること。」とありますが、この法案に限らず、あちらこちらの施策にこのPDCAサイクルをという言葉を目にします。
 常々思っていたのでお伺いしたいと思いますけれども、このプランとかドゥーは分かるのですが、中小企業等経営強化法に関して、特にチェックそしてアクションという点で具体的に何か実行していることがあるかどうか、教えていただきたいと思います。
#71
○政府参考人(宮本聡君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、昨年の四月、中小企業等経営強化法を御審議いただいた際に、「事業分野別指針の策定に当たっては、」、ちょっと途中省略しますが、「PDCAサイクルを実効性ある形で確立し、中小企業・小規模事業者、中堅企業の経営力向上に資するよう努めること。」との附帯決議を頂戴しております。
 中小企業庁といたしましては、やはり不断にこのPDCAサイクルを回して、中小企業・小規模事業者の実態を可能な限り反映する、で、より政策効果の高いものに改善していくということは非常に重要だと思っております。
 この法律でございますけれども、昨年の七月に施行されて、ある意味まだ八か月でございますが、この間、まず運用について、例えば計画の申請状況とか申請者の活動状況、こうしたものを分析して、申請に関するマニュアルとかあるいは具体的な業種ごとの記載事例、こうしたものを作成するなどの改善をしてきています。また、この法律は、各省ごとに業種についていろんな指針を作ったり広報したりしていますので、その各省ごとの、あるいは業種ごとの運用のばらつきがあるとこれは困りますので、各省連絡会を開いて、そういう情報の共有とか運用の統一、こうしたこともやっております。
 また、制度の普及という点につきましては、これもやはり業種の特徴を踏まえた周知が大事でございますので、随時、その産業別の団体などを事業分野別の経営力向上推進機関というのに認定してきて、随時これ増やしてきています。
 それからさらに、支援措置につきましては、これも先ほど大臣の答弁にございましたが、やはり認定計画の八割が製造業であったという、これもある意味実績ということで、これに鑑みまして、やはり製造業より生産性の低いサービス業でも使っていただくべくこの支援措置を拡充していると。
 その上で、まさにこの附帯決議で直接指摘をいただいております事業分野別の指針につきましては、しょっちゅう見直すというより、まず施行後一年、これをめどとしまして網羅的な調査をしっかりとした上で、よりその実態を反映した実効性の高い指針になるように今後も見直していきたいと思っております。
#72
○平山佐知子君 しっかり、投げっ放しにならないように、チェックとアクション、CとAをお願いしたいと思います。
 さて、このそもそも中小企業等経営強化法ですが、赤字でも設備投資を行って生産性を向上させようとする意思、意欲ある中小企業を支援しようというものであり、固定資産税による投資減税を中心的な位置付けとしていると理解しています。
 一方で、中小企業等経営強化法の委員会審議の際に明らかになったことでございますが、実際に赤字の中小企業がどの程度の設備投資を行っているのか、またどのような機械に投資しているのかなどについてのデータを政府側が持ち合わせていないことが明らかになりました。
 その後、そうしたデータの把握ですとか収集に努められたのか。こうした点において、改めて公表できるデータがあれば公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。
#73
○政府参考人(宮本聡君) 委員御指摘のとおり、この法律に基づく固定資産税の軽減措置は、赤字の中小企業に対しても税負担の軽減効果が及ぶ税制という意味で、ある意味大変画期的な制度だと思っております。
 そして、その赤字の中小企業の設備投資についてでございますけど、まず、当庁が過去に実施した調査に基づいて推計したところによりますと、今のその固定資産税の軽減措置の対象となっております百六十万円以上の設備投資、機械装置の設備投資を行っている中小企業のうち、約一四%が赤字企業でございます。また、本法の実際の運用実績、これを基に推計したものがございまして、具体的には、施行後三か月までにこの設備投資計画を含む経営力向上計画を申請した中小企業のその申請書の記載の中に、赤字であるとか、あるいは労働生産性、これは付加価値なので、これが赤字であると、こういう記載をしてきた企業は約一二%というところでございます。
 いずれにしましても、今後とも、先ほど申し上げたように、本法の利用実態とか事業者のその活動状況、こうしたものをしっかりと把握して、更なる効果的な制度の改善に役立てたいと思っております。
#74
○平山佐知子君 赤字ですけれども、苦しいけれども頑張る、意欲のある企業にとってプラスになるようにお願いしたいと思います。
 この中小企業それから小規模事業者にとっては、固定資産税の負担軽減はもちろんのこと、正規労働者を新たに雇用する場合の社会保険料の負担も大変大きく、厳しいと伺っております。昨年二月には議員立法で民進党からも社会保険料負担軽減についての法案を提出させていただいておりますが、継続審議となっています。中小企業・小規模事業者の社会保険料負担を軽減することの必要性について大臣はどのような見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
#75
○国務大臣(世耕弘成君) 中小・小規模事業者の皆さんからは、社会保険料、これは結構負担の重荷感というのはあると、特に赤字でも払い続けなければいけない。今は中小企業でも賃上げをしないとなかなか人を雇うのは難しいという状況ですから、賃上げをした分、当然それに連動して社会保険料の負担は増えるということになるわけでありますから、これはなかなか重たい感じを持っておられるというのは私も感じています。しかし一方で、社会保険料を負担するというのは、これ、人を雇う者の義務とも言えるわけでありまして、今も制度として従業員と会社側で半分ずつ負担というのが、これが社会保険制度の根幹でありまして、我々としては、これはなかなか変更するのは難しいかなというふうに思っています。
 御党の議員立法も承知しておりますが、これは多額の費用が要るわけです。そうしてあげられたらいいなと思いますが、本当に国が社会保険料を肩代わりするというようなことをやっていいのかどうか、規模的に本当に大丈夫なのかどうかという点で余り適当ではないのかなと政府としては考えております。それよりも、やはり中小企業の皆さんが人を雇用しやすいように、そして賃上げのしやすいような経営環境の改善を行っていくことこそ重要なのではないかなというふうに思っています。
 先ほどから議論になっている中小企業等経営強化法を活用することによって中小企業の生産性を上げていく、利益を高めていくということ、そして、これまた私が今全力で取り組んでいますが、下請中小企業の取引条件の改善ということで、これは五十年ぶりに支払についての通達を出し直して、もう原則手形払はやめてください、現金で払ってくださいということもやらせていただいていますし、また公取と協力をして下請法の運用基準を三十年ぶりに抜本改正して、今までは、違反、下請いじめに当たるような事例というのが六十程度しか出ていなかったですが、これを百四十四まで増やさせていただきました。調査の結果分かった、金型を保管させているとかそういうことは駄目だよということを徹底させていただきました。こういう下請取引の改善によって、中小企業がしっかり利益を上げられる体制にしていくということも重要だと思います。
 それともう一つ、やはり賃上げのインセンティブを確保するということも重要だというふうに思います。今の、普通のままだと賃上げすると社会保険料の負担も増えるからやめようかなと思うわけですが、今回、所得拡大促進税制というのを拡充をさせていただきました。特に、これは中小企業にめり張りを付けて手厚くさせていただいています。平成二十九年度において二%以上の賃上げを行う中小企業は、前年度からの賃上げ分について通常よりも税額控除を引き上げて二二%にする、こういう改正案を今提出をさせていただいております。
 こういうことを全部総合的にやって、中小企業の経営環境をよくすることによって社会保険料の負担感というのも薄めていくということがやるべき道筋かなというふうに思っております。
#76
○平山佐知子君 是非、中小企業・小規模事業者はもちろんのこと、働く側の立場になった政策をお願いしたい思います。
 最後に、ちょっと時間が少なくなりましたが、地域の商店街が抱える問題について少し触れたいと思います。
 今、御存じのように、中心市街地の空洞化とかシャッター通り化という言葉が問題になっておりますけれども、私も、地元の静岡市葵区にある商店街振興組合七間町名店街の副理事長にいろいろお話を伺ったところ、様々な町づくり、活性化のための法や予算などは、自治体が行う補助金等も含めて使いにくさも感じていらっしゃるというお話でした。
 そこで、実際にどうなのか。例えば、直近でいいますと、平成二十六年に改正した中心市街地活性化法、これは中心市街地における経済活力の向上を図るために、中心市街地を訪れる方を増加させるなどの効果が高い民間プロジェクトを認定する制度を新たに創設することなどがあります。特定民間中心市街地経済活力向上事業というのがあるんですが、これまでどのくらい活用されているのか、まずは認定件数を教えていただきたいと思います。
#77
○政府参考人(鍜治克彦君) 委員御指摘の特定民間中心市街地経済活力向上事業計画でございますが、これまでの認定状況は、法施行後、九件の認定を行いまして、さらに、今年度内にもう一件認定予定でございます。
#78
○平山佐知子君 じゃ、合わせて十件というふうに思いますと、どうしても少ないというイメージを持ってしまいますけれども、実際この結果をどういうふうに御覧になっているのか、また今後どういうふうに進めていくのか、お願いいたします。
#79
○政府参考人(鍜治克彦君) 認定件数でございますが、この事業は、市町村が作成する中心市街地活性化基本計画に記載されている事業の中で効果の高い民間事業を絞り込んだ上での認定支援ということになってございます。したがって、その母集団となります当該市町村の基本計画、この認定数が全体で百三十七でございまして、その百三十七の中から特に経済波及効果の高い事業が出てくるということで、先ほど申しましたように、年度内に十件の予定、さらに、今のところ十件強御相談を受けている状況でございます。
 また、この事業は、周辺の経済波及効果が期待される比較的規模の大きい事業を民間事業者の方々が主体となって実施されることを促進する制度でございますので、地権者など多数の方々の権利調整などで若干時間を要するという面もございまして、事業認定が少し時間が掛かるという現実もございます。他方で、委員御指摘のように、この認定要件や手続などの面でハードルが高いといったような御指摘が出ているということも承知してございます。
 したがいまして、経産省といたしましては、今後、経産本省及び経済産業局におきまして、認定要件及びこの制度を使った場合のメリット等につきまして分かりやすい形でPRに努めるほか、申請手続についても丁寧なアドバイスを行うことによりまして、制度の活用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
#80
○平山佐知子君 時間が掛かるのは分かるんですけれども、やっぱり待ったなしの状況もあると思いますので、しっかり現実を見て様々な形で事業を行っていただきたいなというふうに思います。
 最後に、従来のやり方ばかりではなくて、広くたくさんの人たちが広域で連携をして町全体をプロデュースしていくということも必要なんじゃないかなというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#81
○委員長(小林正夫君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十分開会
#82
○委員長(小林正夫君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、経済産業行政等の基本施策に関する件及び公正取引委員会の業務に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#83
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。午前中に引き続きまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は大臣所信に対する最初の一般質疑でございますので、日本の経済、そして国際経済にとって極めて重要なインパクトを及ぼしておりますアメリカのトランプ新政権の誕生、またこの政権と日本政府が一体どのように経済関係を構築していくのか、このことから質問をさせていただきたいというふうに思います。
 午前中の岩井先生の質疑にもございましたが、先月の総理訪米、そしてトランプ新大統領との日米首脳会談におきまして、麻生副総理とペンス副大統領の間で日米経済対話を立ち上げることが合意をされました。来月中旬にもペンス副大統領の訪日が予定されていると報じられているところでございます。
 財政や金融、インフラ投資、エネルギーといった分野横断的な経済協力、そして日米間の貿易や投資ルール作りのこうした三本の柱で協議するといったこと、また担当閣僚を決めて分野別に協議することなどを一般的には報じられておりますが、具体的な内容、体制というものがいまだ明らかでない状況でございます。
 大臣の所信の中でも述べられておりましたとおり、トランプ政権の誕生によりまして、国際社会、また日本経済にも不透明感が増している中にありまして、日本の経済界のみならず、国際経済全体に対して一日も早く将来の予見可能性を与えていく、このことが極めて重要だというふうに考えております。そして、これができるのは、地球儀を俯瞰する外交を進めてきて、また世界を見渡しても比較的安定した政権基盤の下運営をしている安倍政権をおいてないのではないかというふうにも考えているところでございます。できる限りスピード感を持ってこの日米経済対話の枠組みを具体化していくということが今政府には求められているというふうに思います。
 ロス商務長官の議会承認がようやく得られまして、世耕大臣も先日、ロス長官との電話会談を行われて、また近々訪米を検討されているというふうにも伺っております。
 是非、この訪米、そしてロス長官との間で経済対話の具体的な枠組み、また我が国の体制づくりを早く整えていただきたいと思っているところでございますが、この経済対話に臨む我が国の体制、特に外務省、財務省等々、関係省庁多岐にわたります。こうした役割分担をどのようにしていくのか、そして二点目といたしまして、この経済対話の枠組みの中でどのようなことを協議し、日本政府として何を目指していくのか、経産大臣の所見を賜りたいと思います。
#84
○国務大臣(世耕弘成君) 先般の日米首脳会談では、経済の面でも大きな成果が得られたというふうに思っております。
 特に、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げるということを合意したということ、そしてその経済対話では、三本柱として、マクロな経済政策と、そしてインフラ、エネルギー、サイバー、宇宙などの分野別の協力と、そして三番目に貿易、投資に関するルール、この内容について議論をしていくことになったわけであります。
 どういう体制でやっていくかということについては、はっきり言ってまだ決まっていません。何か、経産省から情報漏えいがあったから私が外されるんじゃないかと週刊誌は書いていますが、そういうこともありません。これは、麻生副総理の下で、そしてアメリカ側はペンス副大統領の下で体制が十分に検討されて、四月中旬にはペンス副大統領お見えということですから、それまでには決まっていくんだろうというふうに思っております。
 ただ、先ほどの三本柱の中で、エネルギー、サイバー、宇宙、そして貿易、投資に関するルールというのは、これはまさに経産省マターでありますから、私も恐らく間違いなくこの経済対話のメンバーとして参画をしていくことになるんではないかというふうに思っておりますし、私のカウンターパートであるウィルバー・ロス商務長官もまさにこういった分野を担当されているわけでありますから、まず、できるだけ早く、国会のお許しもいただければ、私が訪米をしてロス長官とお会いをして、そしてこういったテーマに関して率直な意見交換をできれば経済対話が立ち上がる前に行わせていただきたいというふうに思っています。
 こうしたプロセスを通じて経済対話の準備に貢献をして、そして日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという共通の目標の下、建設的な議論を進めてまいりたいというふうに思います。
#85
○石川博崇君 まだ体制が明確に固まっていないということを率直に御答弁いただいたわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、日米経済関係の重要性、国際社会に与えるインパクト等を考えますと、是非早急に各省との調整を進めていただきたいということを御要望させていただきたいと思います。
 そして、トランプ大統領、大統領選のさなかに特に我が国の自動車産業に対する批判を立て続けに行われたこと、このことに対する懸念が広がったところでございます。
 先般の日米首脳会談では、このことについての具体的な言及はトランプ大統領よりなかったというふうに言われておりますけれども、今後、日米経済対話を進めるに当たっては、米国内自動車産業界の状況を踏まえれば、こうした自動車分野での厳しい交渉も想定されるわけでございます。
 是非、政府におかれては、米国経済全体に日本企業がいかに貢献しているのか、例えば米国製造業の雇用への貢献、あるいは米国が海外に輸出しているその輸出額の中での貢献、さらには米国民の方々に対する平均賃金においても日本企業が極めて高く貢献をしているということ、特に自動車産業界におきましては、日本では外国車の関税を撤廃している、こういったことのデータを、客観的な根拠を基に理解を求めていく必要があるのではないかと考えておりますが、改めて経産大臣の御所見を確認したいと思います。
#86
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘のように、日本の製造業は本当にアメリカの国内での生産に現地生産という形でかなり貢献をしているわけであります。例えば自動車産業は、アメリカの生産を減らしているのは実はアメリカの自動車メーカーでありまして、日本の自動車メーカーはもうドイツよりも多くアメリカでの自動車生産を近年増やしているわけであります。また、日本の進出している企業の平均給与と、そしてアメリカの企業の平均給与なんかを比較してみますと、これ日本の現地企業の平均給与の方がはるかに高い。それだけ質の良い雇用を生み出しているということでもあります。
 そして、もちろん輸出への貢献も日本の企業が非常にやっているということで、日本の自動車を始めとする製造業は、本当にアメリカの国内経済、特にトランプ大統領が強い関心を持っておられる雇用については、すばらしく中身もいい、数字だけではなくて中身もいい貢献をしているわけであります。こういったことをこれからも伝えていかなきゃいけないと思います。
 先日の首脳会談では、安倍総理の方から今申し上げたようなことを、しっかりデータも示しながら、グラフをお見せしながら、大統領に対してしっかりと説明をさせていただいて、大統領側から特に反論もなかったと。米国内で日本が良い車を生産しているという評価もあったということを聞いております。
 ただ、これはずっとこれからも粘り強く情報提供というのは続けていかなければいけないと思いますので、私が訪米した際、ロス商務長官、彼は非常に日本通でありますからある程度知っているとは思いますけれども、こういったデータということはしっかりとお伝えをしていきたいというふうに思っています。
 あらゆるチャンネルを通じて、今もいろんな形で、事務レベルでもいろんな交流、情報交換をやっていますけれども、ともかくアメリカ新政権に日本が現地生産で貢献をしているということ、また日本の市場はもう既に開放されているということを粘り強く情報提供していきたいというふうに思います。
#87
○石川博崇君 今大臣もあらゆるチャネルでやっておられるということをおっしゃっていただきましたけれども、ポリティカルアポインティーを含め、今後、米国商務省も含めて体制がまだまだこれからという状況だというふうに思います。人事が確定していく段階において随時連携を強化、これは経産省挙げて取り組んでいただきたいということをお願いをしたいと思います。
 また、トランプ政権、インフラ投資を重点的に進めるということを強調しておられます。日本としてこれは極めて大きなチャンスが到来したというふうにも考えておりまして、質の高いインフラ技術を生かした高速鉄道あるいは発電所、こうした建設に積極的に参加していくこと、これによって米国内の雇用の創出も生まれてくるということも含めて重要かと思っております。
 今後の日米経済対話では、このインフラについても重要な論点となるというふうに伺っておりますが、これまで、残念ながら、アメリカに進出する日本の企業というのは民間ベースでの投資というものがほとんどでございます。政府としての行政側の支援スキームというのは、実はそれほど余り充実していないというのが現状でございまして、例えばNEXIやJBICの融資、これを活用してアメリカに投資をする企業というのは、実は件数としてもほとんどないというふうに伺っているところでございます。
 このトランプ新政権の登場、そしてインフラ投資を重点的に進めることを行政側としても政策総動員で進めていく必要があろうかと思いますが、どのような支援策を講じていくのか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#88
○国務大臣(世耕弘成君) トランプ大統領は、米国内で何と今後一兆ドルのインフラ投資をやると宣言をされているわけです。日本円で百十四兆円ですから、これすごい投資になるわけです。まだ詳細は分かりませんけど、演説をお聞きしている限り、道路、橋、空港、トンネル、鉄道などという分野に言及をされているわけであります。こういった分野は、それぞれ日本が非常に技術力を持っている分野でもありますし、また資金力とか雇用創出力で貢献をしていくということも、日米双方にとってウイン・ウインの関係になるんじゃないかなというふうに思います。
 実は、先進国における大型インフラ案件というのは非常にいい案件なんですね、かなり長期にわたって利回りがぐっと確保できるという意味で。そういう意味でも、金融機関始め日本の投資家にも是非関心を持ってもらいたいなというふうに思うわけでありますが、具体的な中身については今後の日米経済対話の中で議論をする、鉄道とか道路ということになるとこれは経産省ではありませんので、各閣僚とよく連携をしながら進めていきたいというふうに思います。
 政府として何ができるのか、まだちょっと具体的に分からないうちは今詳細には申し上げられませんが、まず一つは、日本企業が受注できるようにトップセールスをやっていくということ、あるいは今御指摘の貿易保険、NEXIの貿易保険を始め資金面でどういった支援ができるのかということをよく検討してまいりたいというふうに思います。
#89
○石川博崇君 これは、是非政府として、日本の経済界との対話を強めていただくということも念頭に置いていただければというふうに思います。これからアメリカのインフラ投資をどう進めていくのかについての例えば官民対話を進めていくとか、こういったことも一案ではないかというふうに思います。
 さて、アメリカ、トランプ大統領、TPP協定からの離脱ということが大きく取り沙汰されたわけでございますが、我が国国内におきましては、昨年、臨時国会でTPP特別委員会、与野党様々な意見がある中でこのTPPの承認をさせていただいたわけでございます。
 様々な御意見、国民の皆様にもある中で、このTPP発効を極めて強く期待していた業者の方々が、産業界がいらっしゃることもこれまた事実でございます。発効を期待していた中小企業、あるいは生産拡大、輸出を計画していた産業などにとっては、このTPPの発効が当面見通せなくなったことによって先行きが見えなくなってきている。例えば、昨年、TPP特で私も質問させていただいて、世耕大臣から御答弁をいただいた繊維製品につきましては、約七割の品目について、化合繊維やあるいはアパレル製品などで最大二五%から二八%の高関税が撤廃されるということに対する期待もあったわけでございます。日本再興戦略では、名目六百兆円に向けた成長戦略の大きな柱としてTPPを掲げていたこともございました。
 こうした展開を期待していた企業が海外展開を減速させることがないように、このTPPの発効が容易でなくなった今こそ、一層中小企業の海外展開を支援していかなければいけないのではないかと考えております。輸出大国コンソーシアム、専門家を充実していただき、また支援先企業も増やしていただいておりますけれども、この状況にあって今後いかにこうした企業の海外展開を進めていくのか、大臣の御所見をいただきたいと思います。
#90
○国務大臣(世耕弘成君) この間の首脳会談での成果の一つは、TPPに関して、これはアメリカが離脱をするということについては日本としてはもう留意するという表現になったわけでありますが、一方で、自由で公正な経済圏をつくるためにアジア大洋州で日本が旗を振るということについては、トランプ大統領も理解を示したという形になっているわけです。
 こういう中で、日本が、TPPにおいてもアメリカが今離脱という中で日本が求心力を持っているという状況になっていますので、こういう中でどういうことができるか、アメリカ以外との各国とも議論をしていきたいと思いますし、十一か国が集まる会議も間もなく、ちょっと私は日程上行けませんけれども、開かれますので、しかるべき人に行ってもらって、そういったところの情報収集もやっていきたいというふうに思っています。
 ただ、もう中小企業にとって本当に残念です。本当に私も期待をしておりましたので、中小企業にとっては非常に難しい法務とか通関の手続が非常にシンプルになるとか、あるいは模倣品対策もしっかりTPPの枠内でできるとか、いろんなメリットが考えられたわけでありますけれども、これがちょっと当面発効しづらい状況になったというのは本当に残念だと思います。
 ただ、それに備えていろいろ準備していたことがあるんですね。中小企業の海外進出と海外販売支援ということで準備していたこと、これはTPPが発効しなくても本来やるべきことでありますから、しっかりやっていきたいというふうに思っています。
 例えば、ジェトロが把握する海外の最新の市場動向などを無料で提供するような体制ですとか、あるいはミラサポでの施策情報の提供、あるいは海外事業に関心を持っている事業者が相談できる窓口をジェトロや中小機構に全国五十五か所設置をするとか、あるいは海外展開の戦略策定の支援ですとかそういったこと、あるいは海外展示会への出展、海外バイヤーの招聘を通じた具体的な海外販路開拓への支援、ジェトロ海外事務所を通じた現地での法務、労務、知財問題の解決などの実施、そしてTPPを想定して昨年二月に設立しました新輸出大国コンソーシアムの支援企業、これもしっかりと継続的に今も増加をしております。現在三千七百七十五社に上っております。
 昨年、委員からいただいた、専門家の体制を更に強化すべきだという御指摘をいただきましたので、それを踏まえて、評価が高い専門家については長期の契約を行って継続的な支援を行うようにするとともに、陶磁器や繊維製品などの地場産品や農産品の専門家を拡充するなど、コンソーシアムの体制強化にも努めているところであります。
 今後とも、こういった支援というのはしっかりとやっていきたいというふうに思います。
#91
○石川博崇君 また、日米経済関係強化していく上で、これの担い手となる人材育成というのが極めて重要でございます。
 経産省におきましては、シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクトの一環として、ベンチャーに挑戦する人材をシリコンバレーに派遣をして、そしてイノベーションのキーパーソンとして育成するプログラムを行っていただいております。残念ながら、来年度予算、昨年度に比べて減額されているというのは極めて遺憾でございますが、しっかりと取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
 時間の関係上、最後、次に一問だけ御質問させていただきます。
 午前中、平山委員からも御質問ありました中小企業等経営強化法に基づく固定資産税の減免措置でございます。昨年、私からも、大臣、この場で、機械装置のみが減免対象であったものを器具備品まで拡充して、そしてサービス産業が使いやすいようにすべきだということをお訴えさせていただき、来年度税制改正に盛り込んでいただいたこと、心より感謝と御礼を申し上げたいと思います。
 その上で一点、午前中も平山委員からの御指摘にございましたが、これから重要なことは事業者への周知でございます。特に、先般、予算委員会で我が党の議員からの質問に対して大臣も御答弁されておりましたが、小規模事業者、中小あるいは中堅の事業者に対してはある程度周知が行き届いても、小規模事業者にどのように周知していくのか、これが極めて重要でございます。二年、三年といった期間限定の措置でもございますので、遅れは許されません。
 その意味で、具体的にどのように進めていくのか、最後にお伺いをしたいと思います。
#92
○国務大臣(世耕弘成君) 石川議員におかれては、公明党の経産部会長代理としてこの税制改正の実現に大変な御尽力をいただいたことを、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。
 その上で、私、本当に周知は重要だと思っておりまして、もうこれで十分ではなくて、ずっといろんなことで続けていきたいと思います。
 やっぱりサービス事業者にお知らせをする、皆さんも使えるようになりましたよということをお知らせをするということで、一月以降も全国各地で五十回以上説明会をやらせていただいております。
 あと、ミラサポですとか中小企業の公式ツイッターを活用して、サービス業や事業規模が小さい会社の優良事例の紹介についてもきめ細やかに追加配信をしていきます。ただ、まだツイッターのフォロワーが四万三千人ですから、私よりもはるかに少ない状況ですから、これ、もっとフォロワーを増やすような取組もしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
 さらに、やはり制度改正のポイントを分かりやすくまとめた資料を、商工会、商工会議所など全国五千か所の拠点を通じて事業者の方々に配布をいたしますし、また関係省庁との連携も重要だと思います。中小企業は何も全部、小規模事業者は特にですが、全部経産省の傘の下にあるわけではなくて、農水省ですとか、あるいは国土交通省とか厚生労働省とか、そういったところが関係する特に小規模事業者というのがありますので、他省庁とも連携をしながらセミナーなどもしっかりと進めていきたいというふうに思っております。
 これからもしつこく周知活動を続けていきたいと思いますし、是非、議員の皆さんも地元でアピールしていただけるとというふうに思っております。
#93
○石川博崇君 終わります。
#94
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
 私も引き続き、小規模事業者が元気になるための制度の一つとして使われております小規模企業共済制度について本日はお伺いをしたいと思います。
 この小規模企業共済制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているもので、小規模企業の個人事業主などが個人事業の廃業などのときに備えて生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度です。要は、個人事業の方が退職金の代わりに積み立てておくという制度ですね。私自身も弁護士として独立をしたときに契約をさせていただき、昨年、任意解約をさせていただきました。
 実際の手続の方は、中小機構が委託契約を結んでいる商工会議所や金融機関などで行うことが多い。また、税理士の先生から勧められて最初に加入をするという方も多いと思われます。小規模企業の個人事業主にとっては大変大切な制度で、広く使われている。平成二十八年三月末現在では、在籍数が約百六十五万件もあるというふうにホームページの方にも載せていただいております。
 簡単にこの制度の説明をしますと、掛金の方は月額で千円から七万円までの範囲で契約者が自由に選ぶことができる。また、長い間掛金を払って共済金を幾ら受け取ることができるか、契約者にとってはこれが一番大切なことになります。この小規模企業共済制度においては、受け取ることができる金額はその払戻しの理由によって異なるとされております。
 配付されている資料の方を見ていただければと思います。今日、一枚配付をさせていただいたんですが、これは小規模企業共済制度のしおりの一部で、中小機構のホームページからもダウンロードできるものになっております。
 この左のページの方ですね。例えば個人事業主の場合には、A共済事由として個人事業の廃止、また個人事業主の死亡とあります。ほかに、B共済事由として老齢給付、準共済事由として、右のページに移りますが、法人成りし、その会社の役員に就任しなかったというような理由が挙げられております。
 この資料の下を見ていただければと思うんですが、ここを見ていただけるとお分かりいただけますように、同じように掛金を支払っていても、共済金Aですね、A共済事由での解約の場合が一番受け取る金額が多い。その次に共済金B、準共済金というように、支払受ける額がかなり大きく変わってくることになります。これは掛金の月額を一万円で計算しているときの試算ですので、仮に、これを七万円まで選べますので、掛金がもっと多いとその差がもっと広がるということになります。
 昨年、私が地元で、ある相談を受けました。この方は個人事業をされていて、平成二年に小規模企業共済に加入をされていた。平成二十七年にその事業を、要は二十五年払込みをして廃業したので、事業を廃止したことを理由に、商工会議所を通じて共済金の支払を請求されました。本人は、A共済事由にある個人事業の廃止として請求をされたんですが、商工会議所の方からは、B共済事由による金額しか払えない、なおかつ、Bの老齢給付の方では六十五歳以上の方ということになっておりますので、六十五歳まではBとしても払えませんという説明を受けられました。この方の場合、掛金が満額を払っておられましたので違いがすごく大きくなるわけですね、どの理由で解約するかによって。この相談者の方は平成二十七年廃業されておられますので、翌年の二十八年三月にも確定申告では青色申告の方でされております。
 また、共済に加入した後に山林を取得してゴルフ場に貸していたという事情があったということで、青色申告をしている人はA事由には当たらない、またゴルフ場の土地の賃貸は事業であって、全ての事業をやめないと廃業にはならないという一点張りで、何度確認しても平行線をたどると。
 ただ、御本人にすれば、元々の事業で共済に入った後に山林を取得してゴルフ場に貸していたということで、元々入っていた個人事業とは何の関係もないということと、また山林の賃貸料だけではとても生活できる金額ではなかったので、これだと何のために共済金を掛けていたか分からないということで相談を持ってこられたんです。
 事業をやめたときの退職金代わりという本当に大切な事由であるにもかかわらず、この個人事業の廃止という要件をどのように判断するか、それが全くはっきりしないということで、今日は、このA共済事由のうち個人事業の廃止という条件について少しお伺いをさせていただきます。
 このしおりによりますと、複数の事業を営んでいる場合、全ての事業を廃止したことが条件となりますというふうに記載されております。元々加入するときには、どこで何の事業をしているかを書いて申込みをすると。つまり、御本人とすれば、そこに書いてある事業を続けている、それをやめたときの担保として共済に加入しているにもかかわらず、その後に始めた事業で、また書いていなかった事業を含むというようなふうな判断をされたことがどうしても納得いかないと。その共済加入後に始めた事業まで廃止しなければ事業の廃止に当たらないのでしょうか。
 また、この全ての事業に加入後に始めた事業も含むとすれば、その根拠について。また、加入後に事業を始めた場合、契約者から機構に報告する必要があるのかどうか、その点も併せてお伺いできればと思います。
#95
○政府参考人(高島竜祐君) お答え申し上げます。
 ただいま委員からお話のありましたA共済事由についてでありますけれども、A共済事由といたしましては、全ての事業を廃止したことが条件ということになっておりまして、全ての事業には共済加入後に始めた事業も含まれるものでございます。
 これは、この小規模企業共済制度というものが、個人事業主や小規模企業の役員が廃業や退職後の生活の安定等を図るための資金を積み立てる制度、つまり、言わば小規模企業者のための退職金制度でありますために、事業活動の一切を取りやめるということをA共済事由としていると、そういうものでございます。
 また、共済加入者が共済加入後に新たに始めた事業について、中小企業基盤整備機構の方に報告するという仕組みは設けてございません。これは、事業が幾つであるか、複数であるかどうかということは掛金、共済金に影響しませんので、そういった仕組みを設けておらないということでございます。
#96
○伊藤孝江君 今、元々の共済の制度趣旨から全ての事業の判断基準を御説明いただいたかと思うんですが、それはどこかに、全ての事業というのは加入後に入ったものも含みますよというようなことは書いてあって、契約者から分かる仕組みにはなっているんでしょうか。
#97
○政府参考人(高島竜祐君) 先ほど委員の方からお配りもいただきましたしおりその他には記載をしてございますけれども、加入者の方にそのことを最初から十分に御説明していたかどうかというのはまた別の問題になろうかというふうには思っております。
#98
○伊藤孝江君 ありがとうございます。分かりました。
 この相談者の方は山林を貸しているというお話しさせていただきましたが、賃料が年間で九十万、手取りになると六十万円という規模での賃貸だったんですが、これが事業に当たるかどうかというところの判断も、御本人からすれば当然事業とは思っていないと。
 一般論として、まず、事業に当たるかどうかというのはどのように判断をされるのでしょうか。また、その根拠についてもお教えください。
#99
○政府参考人(高島竜祐君) お答え申し上げます。
 事業に該当するかどうかの判断基準ということでございますけれども、事業として行われているかどうかということにつきましては、原則といたしまして、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかということによって、かつ所得税法上の事業とみなされるか否かの考え方、これも参考としつつ、総合的に判断をさせていただいているところでございます。
#100
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 私の方で個別に御説明伺ったときには、青色申告をしているかどうかを判断基準にするということで御説明いただいたかと思うんですが、その点いかがですか。
#101
○政府参考人(高島竜祐君) 青色申告を行っているかどうかということは、事業を行っているかどうかを判断する上での直接的な判断基準ではございません。もし事前にそのように御説明したとすれば、大変申し訳ございません。直接的に、青色申告をしているから直ちに事業であるという、そういう判断基準ではございません。
 ただ、青色申告をしているかどうかということも参考としつつ、繰り返しになりますが、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかについて総合的に判断をしているものでございます。
#102
○伊藤孝江君 ただ、青色申告も判断基準の一つということで今御説明いただいたんですが、事業をされていた方が事業を廃止したとして共済金を請求する場合、廃止した時期であるとか廃止した直後の時期に共済金の請求をされることが多いかと思うんですが、その場合、次の申告のときにも営業年度に該当するということで青色申告そのままされる方が多いと思うので、実際に青色申告をしているというのは、事業に当たるかどうかの判断基準にはならないと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
#103
○政府参考人(高島竜祐君) お答え申し上げます。
 共済の契約者の方から共済金の請求がありましたときには、そのときに提出書類といたしまして、事業の廃業をなさったときに税務署の方に提出していただく個人事業の開業・廃業等届出書、これの写しを添付をしていただくようにお願いをしております。これによって事業の廃業を確認をさせていただいているということでございまして、廃止した事業以外に一部継続している事業があるということである場合には、個別にそれが事業に当たるかどうかということを確認をさせていただいているところでございます。
#104
○伊藤孝江君 この相談者の方の場合は、山林の賃貸ということで年間九十万円ほどの収入、そのうち手取りは六十万円ぐらいということなんですけど、例えばこの不動産賃貸の場合に事業に当たるかどうかというのはどのように判断をすることになるんでしょうか。
#105
○政府参考人(高島竜祐君) お答え申し上げます。
 事業として行われているかどうかということは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって判断をしておりますので、不動産賃貸業ということに関して申し上げますと、所得税法上では、例えば、貸間、アパートなどについては貸与することのできる独立した室数がおおむね十室以上であること、又は独立家屋の貸付けについてはおおむね五棟以上であること、このいずれかに当てはまる場合には原則として事業として行われているものとして所得税法上扱われているものと承知をしております。私どもが判断をする場合にもこういったことを参考として判断させていただいております。
#106
○伊藤孝江君 今の御説明では、多分、多分というか、ゴルフ場に年間九十万円で貸しているというのは事業に当たらないという判断をされるということだと思いますが、最初にお話しさせていただいたとおり、この方の場合、商工会議所では青色申告をしていると、また不動産賃貸をしているということで全ての事業を廃止していないという判断をされて、A共済事由には該当しないということでそれ以上の検討すらされていなかったということが実情なんですね。
 私の方で中小企業庁を始め問合せをさせていただいて、判断基準について教えてほしいという説明を何度か求めた後に、結局その判断が間違っていたと、事業ではないということで判断をいただいて、A共済事由に当たることを商工会議所に説明をいただいたと。
 結局、商工会議所の方では、どうやって事業かどうかを判断するのか、また、全ての事業を廃業したという判断基準ですね、その辺りも含めて現実には理解をされていない、認識をされていないというのが現状なのではないかと思います。
 共済に加入した後に始めた事業も廃止しなければならないということであるとか、また、ここでいう事業に当たるかどうかの判断基準、これについて、まず契約者に対してはどのように周知をされているのかということが一点お聞きしたい点です。また、委託先等、商工会議所であるとか金融機関で、又は税理士の先生等を含め、委託先等についてこの事由についてどのように周知されているのか、従前の取組についてお教えいただければと思います。
#107
○政府参考人(高島竜祐君) お答え申し上げます。
 二つに分けまして、まず御質問の共済加入者、契約者に対してどのように周知をしているかということでございますけれども、委員の方からもお示しをいただきましたしおりにも記載をしてまいりましたほかに、中小企業基盤整備機構の方ではコールセンターを設置をいたしまして、加入者からの個別の問合せにも応じていたところでございます。しかしながら、今まさに委員から御指摘ございましたとおり、この周知が必ずしも十分ではなかったということはそのように考えておりまして、このため、昨年の十一月からは、中小企業基盤整備機構のウエブサイトにも改めて今委員から御指摘ありましたことを明記をいたしました。また、本年一月からは、加入者に配付いたします加入者のしおり及び約款の方にも改めて明記をしたところでございます。これがこれまでの契約者に対する取組ということでございます。
 もう一つお尋ねのございました業務委託機関にどう周知をしているのかという点でございます。これにつきましては、平成二十五年に各委託機関に配付をしております制度のしおり、これを改訂をいたしまして、まず、事業の廃止とは全ての事業を廃止することが条件であるということを改めて明記をいたしました。この改訂いたしましたしおりを平成二十七年度に小規模企業共済法を改正をいたしましたときに改めて全委託機関向けに送付をし、周知を行ったところでございます。また、先ほどと同様でございますけれども、中小企業基盤整備機構にもコールセンターを設置をいたしまして、コールセンターの方では業務委託機関からの個別の問合せにも応じているところでございます。これがこれまで講じてきた周知でございます。
#108
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 ただ、全ての事業を廃止したというふうにしおりには書いてありますけれども、これ以上の文言があるわけでもありませんので、それこそ御本人、契約者からすれば少なくとも加入後に始めた事業が含まれるとは通常思わない場合も多いでしょうし、事業に当たるかどうか、そこの判断基準が書いていないことには説明をされたというふうにはなかなか考え難いと思うんですが、その点、いかがですか。
#109
○政府参考人(高島竜祐君) 委員の御指摘は大変ごもっともだと思います。今までの周知が必ずしも十分でなかったということは私どももそのように考えておりまして、十分反省をしなければならないと考えております。
#110
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 現実には、共済事由の判断基準を全ての契約者が理解をして把握するというのは大変難しいというふうに思います。共済制度に対する知識の量からすれば、手続をされる職員と契約者ではもうほぼ百対ゼロと言っても過言ではないかと思います。その手続の対応される委託先の職員等始め、そちらが判断基準を把握していなければ、幾らマニュアルなどを作っても意味がないのではないかと思います。
 何よりも、今後、委託先の職員らに判断基準を周知徹底するための具体的な手続が必要かと思います。その点についての中小企業庁としての見解、まあ経済産業省としての見解、また今後の取組について、大臣にお伺いいたします。
#111
○国務大臣(世耕弘成君) 共済の請求のときに、共済加入者の状況が事業の廃止に該当するのかどうか、この判断は、受け取れる金額がそれによって変わってきます、大きく変わる場合もあるわけですから、非常に重要だというふうに思っています。
 委員御指摘のとおり、小規模事業者本人がなかなかその内容を理解するのは難しいと思います。これは共済もそうですし保険もそうで、いろいろ細かい字でいろんなことが契約書とか申込書に書いてあって、それを小規模事業者自身に細部まで理解をしろというのは無理だと思いますから、やはり窓口業務を担う商工会や商工会議所の窓口担当者がしっかりと判断することが重要だと思いますし、丁寧に対応するということ。そして、担当者によってばらつきがあったり、別のところへ行ったらまた違う答えが出るというようなことでは困りますので、ここはよく周知徹底したいと思いますし、まあ商工会、商工会議所の人もこのことにすごく精通していない場合もありますから、そういうときはやはりコールセンターも少し活用いただきながら、全国統一の判断でしっかり対応していきたいと思います。
 特に、委員からいただいた御指摘も踏まえて、昨日、中小企業基盤整備機構の共済の窓口業務を行う機関向けのホームページに、この事業の廃止に関する判断基準、今ありましたですよね、アパートだったら十部屋以下とかいう判断基準、こういったことを周知をするということを早速始めさせていただいております。
#112
○伊藤孝江君 本当にありがとうございます。もうとても大切な制度だと思いますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。
 質問、済みません、途中になりますが、時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
#113
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 東日本大震災と福島原発事故からあさってで丸六年になります。しかし、原発事故によって、福島県内外に約八万人もの皆さんが避難生活を強いられています。
 大臣は所信で、福島の復興と安全かつ着実な廃炉・汚染水対策は経済産業省が担うべき最重要課題と述べています。原発事故の被害者が生活となりわいを再建させるまで、国が責任を持って取り組むことが福島の復興の大前提です。今日は、原発事故によって被害を受けた商工業者の事業再建に係る問題についてお聞きをいたします。
 まず初めに、大臣にお聞きします。原発事故によって被害を受けた商工業者のなりわいの現状について、大臣はどのように認識をしていますか。
#114
○国務大臣(世耕弘成君) 特に福島県においては、東北地域の中でも事業活動の回復状況が相対的に遅れているというふうに見ております。
 例えば、鉱工業生産指数は震災による工場の被災等によって大きく低下をしました。震災前を一〇〇としますと、昨年十一月、東北全体の数値で見ますと九九・五まで回復という形になっていますが、福島県の数値は八四・六にとどまっているという状況であります。こういう状況を踏まえて、福島県全域においてなりわいの再建を強力に支援をしていく必要があるというふうに認識をしています。特に、原子力被災十二市町村については避難指示等がなされていた地域でありまして、事業再開やなりわいの再建に向けてよりきめ細やかな支援を行っていく必要があると認識をしております。
 今後とも、官民合同チームを通じた被災事業者へのサポートを始めとして、あらゆる支援策を活用して、事業者のなりわいの再建を後押ししてまいりたいと考えております。
#115
○岩渕友君 大事なことなので改めて大臣に確認をしたいと思うんですけれども、原発事故は中小・小規模事業者にとって大きな打撃となっています。これは今大臣も述べられたとおりだと思います。中小・小規模事業者は、地域に根差して、地域の構成員として例えばお祭りの担い手であったり災害時の対応を行うなど、地域経済のみならず地域社会にとっても重要な役割を担っているんだというふうに考えます。
 そういう役割を踏まえて、中小・小規模事業者の生活となりわいの再建の重要性についてどのように考えておられますか。また、原発事故で被害を受けた事業者の再建が福島県の経済全体にとってどういう意味を持つとお考えでしょうか。
#116
○国務大臣(世耕弘成君) 中小企業・小規模事業者の存在というのは、もちろん、これ全国的にどこでもそうでありますけれども、被災地の復興という観点からも非常に重要だというふうに思います。この方々の仕事、生活がしっかりと再建をできない限り、本当の意味での復興はないというふうに思っております。
 ですからこそ、特に経済産業省は官民合同チームにかなり人材も派遣をしております。こういう人たちが被災事業者にしっかりと寄り添って、それぞれの状況を伺いながら個別のオーダーメードの形で支援策をしっかりと展開をしていく、そしてそれをずっとフォローアップをしていくということが非常に重要だというふうに考えております。
#117
○岩渕友君 原発事故が商工業者に与えている影響というのは、事故から六年たとうとする今でも深刻だということ、そして地域に根差す事業者のなりわいを再建するということは、地域経済、地域社会、福島県の経済全体にとって重要だと。
 今大臣も、事業者の生活、なりわいというものが再建しなければ本来の意味での復興はないというふうにおっしゃられましたけれども、認識は一致しているのかなというふうに思います。
 初めに、期限が迫っている問題があるので、お聞きをいたします。
 東日本大震災で直接被害を受けた中小企業向けの東日本大震災復興緊急保証制度というものがあります。この期限が三月三十一日になっています。被災地の復旧復興にはまだまだ時間が掛かるということが今のやり取りでも明らかになったと思うんですけれども、これは当然延長するということでいいですよね。確認をいたします。
#118
○政府参考人(吉野恭司君) 御指摘の保証制度でございますけれども、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律に基づき、東日本大震災により被災された中小企業に対して信用保証協会が通常とは別枠で借入額の一〇〇%保証を行う制度でございます。
 その実績は、平成二十三年度の制度発足からこの二十九年一月末時点までで約十三万件、約二兆六千億円となってきております。被災した中小事業者やその取引先の資金ニーズに貢献をしてきていると認識をしております。
 この適用期限に関しましては、同法の政令で規定されておりますけれども、被災地におけるニーズも踏まえまして、これまで毎年度延長を行ってきているところでございます。現状の期限は、御指摘のとおり本年三月末でございますけれども、現在、来年三月末まで一年間更なる延長をするべくパブリックコメントなどの必要な手続を進めているところでございます。
 今後とも、被災地の状況を注視しながら、復旧復興に取り組む被災中小企業に寄り添って、資金繰り支援に万全を期してまいりたいと思っております。
#119
○岩渕友君 延長するべくパブリックコメントを今募集しているということでした。
 今お話にあったように、一年ごとの延長ということになっているんですけれども、被災地の復興には時間が掛かるという現状を考えても、一定幅を持った延長期間にしていく、被災した中小企業を支えるという姿勢を示すということが必要なのではないかということを強く求めておきたいと思います。
 さて、私は先日、福島県の商工会連合会に伺って話をお聞きしてきました。
 県商工会連合会は、原発事故が県内の商工業者に対して与える影響を明らかにするために、事業者へのアンケートを実施しています。この結果を見ると、事業者の実態、何が必要なのかということを把握することができます。
 お配りしている資料の一を御覧ください。避難区域内の商工業者が今どんな実態にあるのか。三月三日に発表されたアンケート結果では、いまだに四八%の事業者が休業中です。
 資料二を御覧ください。再開事業者の七割で営業利益が減少をしています。
 これ、大臣にお聞きをしたいんですけれども、避難区域内のこうした調査結果、どのように受け止めていらっしゃいますか。
#120
○国務大臣(世耕弘成君) このアンケート、現時点においても休業している方々が五割程度、そして再開された方々においても顧客の減少などの理由によって七割以上が震災前より営業利益が落ちていると感じられていること。
 私も、この間、南相馬市へ行きまして、再開された散髪屋さんでちょっとひげをそってもらいましたが、やっぱりお客さんは大体前の二、三割程度しか来てくれない、まだ戻ってきていない人たちが多いからというようなお話もありました。これは真摯に受け止めなければいけないというふうに思っています。
 こういう状況に対応すべく、まさに官民合同チームの役割があるんだろうというふうに思っています。これまで約四千六百の被災事業者の方々を個別に訪問して、事業者お一人お一人に寄り添ったオーダーメード型の支援を行わせていただいています。この支援によって事業の再開に何とかこぎ着けたという方、あるいは新たな販路の開拓ができて利益が上向くようになったとか、そういった事例も出てきつつあります。
 私も、これまで、その散髪屋さんも含めて、福島を就任以来四回訪ねています。滝波さんの基準だとまだまだだと思いますけれども、そうした事業者の方々と意見交換もずっと行ってきています。本当に前向きに頑張ろうとされている方々だというふうに思っていまして、そういった前向きな気持ちに大変感銘を受けました。
 今後も、官民合同チーム、これしっかり連携をして、避難指示区域内の事業者の方々の事業の再建、なりわいの再建に全力で取り組んでまいりたいと思います。
#121
○岩渕友君 今、顧客の減少という話があったんですけれども、事業を再開できない理由で最も多いのは商圏の喪失で、八四・八%に上っています。営業利益が減少した最大の理由も、なじみの客が減ったから、まさにそのとおりで、これも約八割に上っています。避難先で事業を再開をしていても、その多くは避難元での事業再開を断念しています。商圏が喪失した中でどうやって事業を再建していくのか、そしてその後も継続をしていくのか、事業者の皆さんの努力と苦労は計り知れないものがあるんだというふうに思います。
 このアンケートの調査の結果を受けて、商工会連合会では、事業再開の支援に加えて、再開事業者が事業を継続するための支援の必要性が浮かび上がった、こういうふうに分析をしています。事業者が事業を再開してその後も継続をするために、先ほど話もありましたけれども、官民合同チームと商工会や商工会議所、そして地元自治体との連携を強めるということが必要だと考えますけれども、改めて、ちょっとこの連携についてお答えください。
#122
○政府参考人(星野岳穂君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、被災事業者の方々と事業、なりわいの再建を進めていく上では、官民合同チームと商工会、商工会議所や自治体との連携というのは大変重要だと私どもも認識をしてございます。
 官民合同チームは、これまでも被災事業者お一人お一人に寄り添った支援を行ってまいりましたけれども、商工会あるいは商工会議所との関係におきましても、被災十二市町村の商工会や商工会議所が、御要望に応じまして、同商工会議所、商工会が行います補助金申請の相談業務のサポートなどの支援を行ってまいりました。
 また、それに加えまして、本年一月から新たに官民合同チーム内に地域・生活支援グループというものを創設いたしまして、チーム員が各市町村を個別に訪問するなど、課題解決に向けたサポートを行う体制を整えているところでございます。
 引き続き、被災事業者の方々の事業、なりわいの一日も早い再建に向けまして、官民合同チームと商工会、商工会議所、自治体との一層の連携強化に努めてまいりたいと思います。
#123
○岩渕友君 商工会には、会員さんから、官民合同チームで取り組んでいる補助金の申請など、こうしたものの問合せも多く来ているというふうに伺っています。だけれども、実際には今いる職員の皆さんだけで対応するというのは非常に困難な状況です。この時期は確定申告が行われていて商工会が忙しいということで、官民合同チームから商工会に人を配置しているんだというふうに聞きました。官民合同チームは、商工会から要請があればそのたびに要請に応えているんだというふうにも聞いています。
 確定申告の時期だけ、要請があったときだけといった一過性ということではなくて、これだけ大変な業務の実情があるということを踏まえて、人を例えば恒常的に配置するとか、積極的な連携がもっと必要なんではないでしょうか。
#124
○政府参考人(星野岳穂君) お答え申し上げます。
 今御指摘をいただきましたとおり、被災十二市町村を始めとする商工会あるいは商工会議所におきましても、被災事業者の方々の事業、なりわいの再建に向けて全力で支援に取り組まれており、大変重要な役割を担っておると承知しております。そのため、御指摘ありましたとおり、業務が非常に多忙を極めているという現状についても存じ上げております。
 このため、官民合同チームは、商工会あるいは商工会議所を常日頃から頻繁に訪問してございまして、御要望に応じまして、例えば補助金の申請の業務サポートを行うなど、できる限りの支援に努めてきたところではございます。
 また、この官民合同チームの中核であります福島相双復興推進機構というものを、今般、福島復興再生特別措置法に位置付ける改正案を国会に提出してございまして、この改正案がお認めいただけましたら、国の職員のその当機構への派遣を可能にするなど体制を強化してまいりますので、委員御指摘の点も含めまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
#125
○岩渕友君 事業の再開、そしてその後の継続、一つ一つの事業者に寄り添った取組が必要だということは、商工会も、そして官民合同チームも一致できる中身なんだと思うんですね。だからこそ、商工会も官民合同チームの取組に協力をしているということです。その思いに応えて、あらゆる面でやっぱり連携を強化することが必要だということを強く求めておきます。
 そして、資料の三を御覧ください。商工会連合会は、昨年五月にもアンケート調査を行っています。このアンケートは、避難区域外事業者へのアンケート調査です。原発事故から五年経過をしても、原発事故によって七割が営業利益が減少をしたというふうに回答をしています。そして、営業利益が減少した理由として、五割の事業者が風評被害を感じているという結果が出ています。避難区域外でも深刻な被害が続いているということをこのアンケート調査の結果は示しているというふうに考えるんですけれども、この避難区域外の事業者の実態について、大臣はどのように認識していますか。
#126
○国務大臣(世耕弘成君) 避難指示区域外の事業者にも影響出ているということは、このアンケート調査からも、あるいは県全体の鉱工業生産指数が東北全体九九・五なのに八四・六にとどまっているというところに表れているのかなというふうに思っています。
 こういう状況を踏まえて、経産省としては、被災地における雇用の創出を通じて地域経済の活性化を図るため、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金によりまして、福島県の避難指示区域外も対象にして工場の新増設などを行う企業を支援をさせていただいています。投資額に応じた一定の雇用の創出を要件として、用地取得、工場建設、設備の取得の費用を支援をさせていただいています。避難指示区域外における補助率は、中小企業が二分の一以内、大企業が三分の一以内となっています。こういう補助金を活用して、例えばいわき市内にフリーズドライの食品製造工場が建設をされて、二十四名の新規雇用が創出されるというケースも出てきております。
 また特に、今お話があったように、風評被害、これがまだ続いているのはこれも明らかだというふうに思います。先日も私、復興再生協議会で福島の首長さんたちあるいは商工会議所の代表の方と話をしましたが、やはり風評被害が県全体として深刻であると。例えば、会津地方でも、大河ドラマがあったにもかかわらず観光客が戻らない、修学旅行もなかなか回復をしないということをおっしゃっておりました。
 まず、県の産品ですとかサービスですとか、あるいは観光地としての価値を全国の消費者に正しく伝えることができるよう、関係省庁と連携をして国内外に福島の魅力を発信をしていきたいというふうに思います。
 引き続き、被災地の皆さんの御要望も伺いながら、避難指示区域外も含めて、福島の産業復興を強力に支援をしていきたいと思います。
#127
○岩渕友君 官民合同チームの対象はあくまでも避難区域内だということで、避難区域内では官民合同チームが一件一件事業者を訪問して、それかなり丁寧な訪問しているということなんだと思うんですよね。そういう丁寧な対応というのが、今大臣が言ったように避難区域外もこれだけの被害が続いているということを考えれば、それぐらい丁寧な対応が必要ではないかということなんですけれども、そこら辺、どうですか。
#128
○政府参考人(鍜治克彦君) ただいまの大臣御答弁とやや重複した御答弁になりますが、大臣からも御説明いたしました避難指示区域外の津波補助金、これは平成二十九年二月末時点で九十四件三百五十五億円の交付決定を行ったところでございまして、これの事業によります雇用予定人数は一千二百七十八人を予定している、想定しているところでございます。
 それから、風評被害対策でございますけれども、これは復興庁、農水省、観光庁などの関係省庁共同での対策のタスクフォースというものができてございまして、福島県産品の販売促進の要請あるいは観光誘致に向けまして、各省庁のいろいろな政策を持ち寄って、まさに総合的にやらせていただいているところでございます。
 さらに、官民合同チームについての御指摘も頂戴いたしましたけれども、私どもの東北経済産業局が参画してございますオールふくしま中小企業・小規模事業者経営支援連絡協議会で専門家による経営相談なども行っておりまして、こういった様々な支援措置を併せることによりまして、福島県避難指示区域外の事業者に対しても引き続き丁寧な支援を行ってまいりたいと考えております。
#129
○岩渕友君 昨年、今年一月からの農林業の営業損害賠償素案が示されたときに、先ほどもありましたように、会津地方の全ての市町村長と議会議長でつくる会津総合開発協議会というところから素案に反対をする緊急要望というものを受けました。第一原発から八十キロ以上は離れている会津地方で風評の影響は根強く、農業を始めとする各分野への影響をいまだに受けているというふうにありました。商工業の営業損害賠償についても、実際に被害が生じている間は賠償を打ち切ることがないように誠意を持って対応することというふうにもありました。商工業の被害が福島県全域で今も続いているんだということを確認しておきます。
 この避難区域外のアンケートでは、驚くべき実態が明らかになっています。資料の四を見てください。それは、五九%にも上る事業者が損害賠償の請求をしていないということなんです。なぜ請求をしていないのか。自分の事業には賠償が出ないと思ったという理由が最も多くなっています。営業利益が五割以上減少をしている事業者の六五%がそう答えています。
 なぜ自分の事業には賠償が出ないと思ったのか。商工会の会員事業者の多くは小規模で、賠償に必要な書類を用意できずに泣き寝入りするケースがあります。それだけではありません。事業者が東京電力に問合せをしたときに、あなたは賠償できないと言われたからだというふうにお聞きをしました。東京電力の対応が悪いことが理由で賠償できない事業者がいる、これは大問題です。
 大臣にお聞きをします。こういう理由で賠償を請求していない事業者が多く残されたままでいいと言えるでしょうか。
#130
○国務大臣(世耕弘成君) 東京電力は二〇一四年に策定した新・総合特別事業計画において、賠償をいまだ請求されていない方に対して、電話連絡や戸別訪問、ダイレクトメールの送付などの取組を通じて最後の一人まで賠償貫徹を行うという方針を明らかにしているところであります。東京電力がこうした取組をそのとおり適正に行って、該当する最後の一方までしっかりと請求をいただくことが重要だというふうに思います。
 経産省としても、新・総合特別事業計画の履行状況の評価などを通じて東京電力の取組状況を確認をして、必要に応じてしっかりと指導してまいりたいと思います。
#131
○岩渕友君 今度は東京電力に聞きます。
 この商工会連合会では、請求をしていない千件以上の事業者に請求の意思があるかどうかを確認しようということで今一生懸命取り組んでいて、今の時点でやっと二百五十件の事業者に確認をして、約五十件が請求をしたいと言っています。五月の総会までには確認をし終えたいということなんですけれども、それには人手が必要です。本来だったら東京電力がやって当たり前のことです。
 実態を把握して、商工会に人を配置して、例えば確認作業を行うとか未請求の事業者に請求を促すアナウンスをするとか、これ、東京電力が当然やりますよね。
#132
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
 未請求の方々に対しての東京電力としての働きかけ、取組ということでございますが、先ほどの大臣の御答弁と少し重なりますけれども、私どもとしましては、これまで、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、民主商工会などの団体に所属されて、仮払いの実績があるものの本賠償の請求がお済みでない法人の方あるいは個人事業主の皆様に電話で連絡をして、どうなっていますかということを問い合わせております。また、商工業様に限らず、いまだに御請求いただいていない被災者の皆様に対して、自治体の広報紙等へ記事を記載したり、役場等、パンフレットを置かせていただいたりというような呼びかけを行っているところでございます。
 引き続き、最後のお一人まで賠償を貫徹すべく、こうした取組を続けていきたいというふうに思っております。
#133
○岩渕友君 六割もの方が未請求だと言っているんですよね。
 これ、本当に最後の一人までということであれば、一般的なことでは駄目だということですよね。本当に請求できるはずの方が東京電力の対応が悪くて請求できないと、そんなこと絶対にあってはならないことです。
 昨年の臨時国会で大臣は私の質問に対して、東京電力は、事業者への説明などに当たって、福島県内に商工会や商工会議所含めて五十二か所の相談窓口を設けているというふうに答えています。だけれども、常設しているのは十二か所だけで、あとは一日数時間だけだとか週何日間だけだとか、常設ではないんですよね。
 先ほどの実態踏まえれば、東京電力の相談体制を強化させることが必要ではないでしょうか。
#134
○国務大臣(世耕弘成君) 現実に今、全体の相談件数は減ってきているわけであります。ですから、広報活動や相談窓口を設けるということに加えて、ここからはやはり戸別訪問の体制の強化とか、東電の対応体制は逆に私は維持強化されてきているというふうに考えています。
 今後とも、これから相談件数が減ってきているという中で、個別の御相談に対してしっかり対応できる十分な体制を維持するよう東京電力を指導していきたいと思います。
#135
○岩渕友君 避難区域外の商工業者の賠償実態と東京電力の対応はどうなっているか見ていきます。
 避難区域外の商工業の営業損害賠償についてどう決めているのか、説明をしてください。
#136
○参考人(廣瀬直己君) 避難指示区域外の商工業者様に対して今行っております賠償について御説明をさせていただきます。
 二〇一五年の六月の閣議決定を踏まえまして、避難等対象区域外で営業、商工業を営まれている事業者の皆様に対して、当然、風評被害等、東京電力の事故との相当因果関係が認められる、その結果減収を被られているという方々につきましては、二〇一五年の八月以降、将来に発生する当社事故との相当因果関係の認められる損害相当分として、直近の減収に基づく年間逸失利益の二倍相当額を一括してお支払いしております。
 もちろん、これでおしまいということでなくて、それ以降も、この仕組みで賠償をお支払いしたもの以上に損害が発生した場合には、改めてもちろん個別に事情をお聞きして適切に対応してまいりたいと思っております。
#137
○岩渕友君 では、実際はどうなっているでしょうか。
 福島市で中古車販売業を営む事業者は、ネットオークションに出した車が福島ナンバーだからと、同じ車種、同じ年式のほかの車と比べて二割から三割安く買いたたかれています。東京電力に損害賠償を請求すると、一倍しか払わないと回答がありました。福島民主商工会では、損害賠償を請求した会員のうち、二倍の賠償が支払われたのは一割のみで、圧倒的な会員は一倍に値切られるか支払われないという状況です。福島県商工会連合会の轡田会長は、提示された二倍額を受け取った商工業者は二〇%から三〇%にすぎないと言っています。二倍の賠償すらきちんと行われていないというのが実態です。しかも、なぜ二倍にならないのか理由も分からない、そのまま値切られている、払われていない。被害が続いているのにこういう実態を放置しておくわけにはいきません。
 この東京電力の対応について、賠償の支払の内容について東電との間で考え方が異なる全ての方に対して、現地で直接訪問して個別の事情を確認していると認識しているんだと大臣は臨時国会のときに答えています。だけれども、実態はそうなっていないじゃないですか。理由も分からない状況があるということです。
 これに対して、東京電力、どうですか。
#138
○参考人(廣瀬直己君) 商工業の営業損害賠償につきましては、先ほど申し上げたとおり、事故との相当因果関係が認められる被害を被られている方々を対象として、将来にわたる損害相当分として二倍の一括払いをお支払いしているわけですけれども、内容を確認し、まさに先生御指摘のように個々の御事情を伺って内容を確認させていただいておりますが、ただ、その結果、必ずしも事故との相当因果関係を認めることが当社としては困難だというふうに考えられる請求も当然ございます。とはいえ、個々に御事情をお伺いしていく中で、そうした個別の事情を最大限配慮した上で一定額をお支払いさせていただくという場合もございます。そうしたことを今やらせていただいているということでございます。
#139
○岩渕友君 請求している方が理由も分からない状況だというふうに言っているんですよね。これでどうして丁寧な説明とか支払われているというふうに言えるのかということです。
 昨年の臨時国会の中では、商工業の営業損害賠償で一括賠償に応じた人たちから、賠償のことで東京電力に相談をすると、それについては答えられないと言われて、窓口すらなくなっているという実態について示しました。ところが、その後も同じような訴えが寄せられています。先ほど紹介をした福島市の中古車販売業を営む方も、東京電力に一倍の賠償しかしないというふうに言われたので相談窓口に連絡をすると、相談窓口はないと回答されたと言っています。
 東京電力は、二倍の賠償が行われた事業者以外の事業者は相手にしていないということなのでしょうか。東電、答えてください。
#140
○参考人(廣瀬直己君) 先生御指摘のようなケースがあったのであれば本当に不適切でございますので、しっかり改めてまいりたいと思います。
 私どもとしては、繰り返しになりますが、今回の仕組みで二倍相当額をお支払いさせていただいている被災者の方々も、あるいは二倍に相当しない場合も含めてですが、これからもしっかりと個別の事情をお聞きして、当然、事態は動いておりますので、また新たな損害が出ないとも限りませんし、新たな御事情が発生するという場合も当然ございますので、そうした場合も含めてしっかり個別の事情をお聞きして適切に対応していきたいと思いますし、当然、電話等々で、私どものコールセンター等々で受け付けておりますので、その場合はなるべく、先ほどお話ありましたように、こちらから伺って個々の事情をお聞きするというような対応をさせていただいていると思っております。
#141
○岩渕友君 さらに、相馬市のある事業者は、東京電力からの電話で被害が認められないので賠償はできないと言われたので、電話一本で払わないとはどういうことだ、理由を文書で出してほしいと言うと、三日後に一倍は払うと連絡があったそうです。実にいいかげんだと怒っています。電話一本で賠償が変わる、これで公平に賠償がされていると言えるのかと不信感を抱いています。
 大臣は、東京電力が被害者に対して真摯に耳を傾けて丁寧に実情を確認し、適切かつ公平な対応をすることが重要と、昨年、私の質問に答えています。これで丁寧な対応、公平な賠償と言えますか。
#142
○国務大臣(世耕弘成君) 個別の案件についてはちょっとコメントは控えさせていただきますが、いずれにせよ、被害者の方々が置かれた状況というのは様々でありまして、それに応じて東京電力が個別の状況をしっかりと踏まえて対応することが必要だというふうに思っています。その際には、公平かつ適切な対応となるよう今後とも東京電力をしっかり指導してまいりたいと思います。
#143
○岩渕友君 個別の対応だから答えられないということじゃなくて、やっぱり東京電力の対応がこれだけ問題だということを指摘しているんですよね。事業者の皆さんからは、加害者である東京電力が被害者に風評被害を立証しろと迫り、被害の期間や支払う額などを一方的に決める、こんなやり方おかしいと。被害が続く限り、しっかり賠償をするべきです。
 それでは、この賠償の実態は一体どうなっているのか。福島原発事故による賠償はこれまでどのぐらい行われているのか、支払われた額は一体幾らですか。
#144
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
 二十九年の一月、この一月末現在で、損害賠償としてお支払いした実績は六兆五百二十億円となっております。
#145
○岩渕友君 資料五を見てください。資料五のとおりになっています。
 先日、福島第一原発事故に係る処理費用が見直されました。賠償に係る費用について、当初の見通しが幾らで、今後の見通しは幾らになるというふうに見積もっていますか。
#146
○政府参考人(村瀬佳史君) 賠償費用につきましては、二〇一三年の十二月の閣議決定におきましては当初五・四兆円と見込んでおりましたけれども、二〇一六年三月に改定されました東京電力の新・総合事業特別計画におきましては、営業損害、風評被害等への賠償の支払実績が増加していることなどを踏まえまして、合計で六・四兆円を想定していたところでございます。
 内訳を御説明させていただきますと、まず、避難を余儀なくされた方の精神損害に対する賠償など、ここで提示いただいている一番上のところでいいますと約二・一兆円、それから営業損害や風評被害への賠償などの法人・個人事業主の方に係る項目として約二・六兆円、それから三つ目の、使用できなくなった住宅、土地に係る財物に対する賠償などの共通・その他と書いてあります三つ目の項目で約一・八兆円で、合計約六・四兆円を想定していたところでございます。
 今般、この六・四兆円に商工業、農林水産業における営業損害や風評被害がいまだに終結していないことも踏まえまして、これらに係るこれまでの支払実績を勘案いたしまして、合計で約七・九兆円と見込んでいるところでございます。
#147
○岩渕友君 資料でも、法人・個人事業主に係る賠償は二〇一四年一月時点で約一兆六千億円で賄えるというふうに見積もっていました。これに対して、今年の一月末現在の合意実績は約一兆円も増えています。当初の見積額ではとても足りない、被害は続いているし、これからも続くことは明らかです。
 大臣は三月六日の予算委員会で、この賠償について、賠償、除染はそれなりにきちっと見積りをして算定していますからこれ以上増えることはないだろうというふうに思っていますというふうに答弁しています。この答弁聞いて驚いたんですよね。被害は続いていると、被害が続く限り賠償しろというのが福島県民の思いです。国も東京電力も被害が続く限り賠償すると言いながら、賠償打ち切られるのか、これ許せないことだと思うんですね。
 大臣、どうですか。
#148
○国務大臣(世耕弘成君) そこは部分的に切り取られると逆に誤解が広がりますから、私は、その今御指摘のこれ以上増えることはないだろうというふうに思っていますと、その続きがあるんですね。ただ、今後も風評が続くようであればより増えますから、そういう意味では風評被害対策ということも我々はしっかりやっていかなければいけないと思いますというふうに答弁をさせていただいています。
 これは、蓮舫代表からこの二十一・五兆円が今後どうなるのかと言われましたので、特にこの賠償の部分については、これは七・九兆円というのは風評被害がまだこれからも続くということを前提で、それを踏まえて算定している金額だということを説明をさせていただいた答弁であります。
 当然、被害が続く限り賠償するというこの方針は何ら変更はありません。
#149
○岩渕友君 被害が続く限り賠償するということを東京電力にも強く求めます。原発事故さえなかったら失うことのなかった命があって、当たり前の暮らしがある。被害が続いているのに、加害者である東京電力が賠償を打ち切るなんてことはとても許すことができません。
 福島第一原発事故処理に係る費用が十一兆円から二十一・五兆円に増えるという見積りが示されて、もっと膨らむんじゃないかということで、不安が国民から出されています。国は、国民全体で福島を支える、賠償の備え不足について新電力も含めて負担を求めるんだというふうにしています。これ、とんでもないことです。政府は福島県民のためだって言いますけれども、福島県内では、税金や電気料金というやり方で広く国民の負担にされることになれば、賠償してほしいと言いにくくなるじゃないかという声が上がっています。福島県民のためになるどころか、被害が続く限り賠償してほしいという当たり前の訴えを妨げるものになります。さらに、原発でつくった電気は使いたくないと新電力に切り替えた人たちも負担をすることになり、批判の声が今大きく広がっています。
 国民に負担を押し付けるやり方はやめるべきです。国民に負担を押し付けるのではなくて、加害者である東京電力が負担をするべきです。そして、メガバンク、原子炉メーカー、ゼネコンなどが負担をするべきものです。
 福島原発事故の責任を国民にツケ回すやり方は許されない、被害が続く限り東京電力が責任を持って賠償をするのは当たり前、このことを強く訴えて、質問を終わります。
#150
○石井章君 日本維新の会、石井章です。本日のラストバッターにふさわしく波静かに質問を、まずトップに井原政務官始め、続いてほかの私の質問に対しては世耕大臣、そして政府参考人の皆さんに御丁寧な答弁を願いたいと思います。
 まず、今福島の原発の話が出ておりますが、私も、実は茨城県は東北三県の岩手県よりも被害額が非常に大きい、茨城県の県北はまさしく相馬の原発のすぐ隣でありまして、ちょうど東海第二原発の間のところが一番被害が大きかったんですね。今言ったとおり、会津若松とか、例えば政界でいえば渡部恒三先生、今は小熊慎司先生とかあるいは増子先生等々がいらっしゃる地域のところが一番観光地なんです。ラーメンでも、おいしい喜多方ラーメンもあったり。
 私は、実は茨城県でずっと、自分も全日本スキー連盟の準指の指導員持ちながら、地元で二十七年間スキー教室を実施しております。この場所が、会津若松の五色沼とか、今は裏磐梯、いわゆるあの大河ドラマがあった裏磐梯に宿を取って、震災後も継続して行っているんですね。私が、今ネガティブな話ばかり出ていましたけれども、実はここ何年間か、世耕大臣のお力添えもあったと思うんですけれども、直接営業損失の話はそれはそれとしてやるべきだと思うんですが、いわゆる去年辺りは、子供たちに食事の補助、例えば一食五千円のところを、それから補助をするんじゃなくて、プラスアルファで食べてもらった分を全部町を通して補助金が出たと。今年は、またこれすばらしいことに、バス例えば三台で行った場合に、今は国交省のバスの査定がうるさいので非常にバス代が上がっているんですけれども、バスの料金に対して二分の一補助してくれるんですね。これは非常に親御さんにとっても会費が安くて済むし、そういった補助を、ああいったいわゆる区域外、いわゆる原発の近くじゃなくても、会津若松の遠いところでも、そういうところに来た観光客にはそういった補助も出ているということで、非常に感謝をしているところであります。
 という話から質問に入りたいと思いますけれども、前回の質問で、私は筑波サーキットの二輪のライセンス持っているものですから二輪に対していろんな思いがありまして、特に一九八〇年代には二百三十万台のオートバイの生産があったわけです。ところが、昨年二〇一六年は、熊本の震災もあったせいか、ホンダの熊本製作所が被災して生産停止の影響もありまして、二〇一五年よりも更に七・八%ほど落ち込んでいる。この十年間だけでも、二〇〇六年の七十万台から比べると五〇%近く生産台数が減っていると。
 ちなみに、原付一種、いわゆる五十tが四十七万八千台から十六万三千という三四%減、原付二種、五十一tから百二十五tまでが八万二千台から十万三千台、一二五%、これは二五%上がっているんですね。軽二輪、百二十六tから二百五十tが九・一万台から四・三万台、四七%減、小型二輪、二百五十t以上四百t未満が四・八万台から三・四万台と、これも七一%減になっていると。
 そういうことで、一番我々が目にしていたボリュームゾーンであります原付一種、いわゆる、昔どこの農家に行っても、じいちゃん、ばあちゃんがホンダのスーパーカブ号乗って田んぼ仕事行ったり、あるいはヤマハのメイトに乗って行っていた時代があったんですけれども、今、農家でもそういうところが少なくなってしまいまして、五十tが激減しているということで、世界のシェアからすれば四割の日本の生産メーカーが誇っておるんですけれども、例えばタイとかベトナムに行けば、二輪と言わないんですね、ホンダってみんな言うんです。ホンダということはもう二輪の代名詞でありまして、そういうことでありまして、ただ、本家本元の日本の生産が非常に落ちているということで、何とかそこの、いわゆる減少しているのが拡大が止められないかどうか。特に、昨年十月に本田技研工業とヤマハ発動機が提携をしまして、今後の検討をお互いに情報を共有し合って、技術をお互いに出し合って、何とか販売増に持っていこうというような協定が結ばれたわけでございます。
 そういうことで、このように経済界そのものはお互いに切磋琢磨しながらもお互いの技術の共有ということでこれから販売を増やしていこうというお考えがあるそうなんですけれども、経済産業省は今後どのように対応を考えているのか。また、世界市場の主力として原付二種を国内市場で更に拡大させていく必要があると思いますが、特に日本をマザー市場として維持することについての考え方を、井原政務官、御答弁お願いします。
#151
○大臣政務官(井原巧君) お答えを申し上げます。
 御案内のとおり、先ほどお話あったように、世界では六千万台、バイク、二輪車あるわけですけど、四割が日本ということですから、我が国の誇る産業であることは間違いありませんから、国内での研究開発とか生産拠点をしっかり維持していくというのはすごく大事なことだというふうに、先生の御指摘のとおり思います。
 一九八〇年代、私たちの世代ですけど、三百万台というのが今ではまさに一割まで落ちてきているというような状況で、特にその特徴ですけれども、さっきお話ありましたように、ここ十年間の特徴を見ると、原付の一種という五十t以下のバイクは四十八万台から十六万台に今大幅に下がっていると。原付の二種、五十一tから百二十五tは、一種に比べると制限速度などが六十キロというふうに、一種は三十キロですけど、六十キロということで利便性が高いということから、少ない数ではありますけれども、八万台から十万台に増加しているというのが今の流れであります。
 あわせて、世界での二輪車販売の潮流というのを伺いますと、原付の二種、五十t以下じゃなくてそれ以上の馬力とスピードの出る領域がベトナムとかタイでも主流ということで、メーカーはそちらに力を注いでいるというのが現状だそうであります。
 そこで、国内市場の活性化をどうすればいいのかということでありまして、一つには、先ほどの二社の協業もありますが、二輪メーカーが魅力的な二輪車を開発することがまず重要であろうというふうに思っております。また、ユーザー側から見ると、一つには、駐車場の不足での買い控えというのもよく聞きます。もう一つは、世界の販売の主である二種等でありますけれども、国内では免許の取得が非常に、原付二種の免許取得に三日間以上掛かるというようなこともありまして、そこに控える方がいらっしゃったり、あるいは原付一種、五十t以下は制限速度がいまだ三十キロでありますので、最近は健康ブームとかあるいは電動付きアシストの自転車なんか出てきて、五十t以下は非常にそこの圧迫を受けているんだろうというふうに思っておりまして、今後、このようなニーズを踏まえて、課題も指摘されているところでありますから、関係当局においてこうした様々な課題が解決できないか検討を進めていくことも併せて重要だろうというふうに思っております。
 経産省といたしましても、二輪車市場の活性化を目指して、官民の二輪車関係者が一堂に会したバイク・ラブ・フォーラムというのを毎年開催しておりまして、今年の九月には若者の免許取得を前提とした交通安全教育に積極的な、群馬県が熱心だそうですが、で開催し、若者への更なる普及方策などを議論する予定といたしております。
 また、クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金、CEV補助金事業でありますが、原付一種であります電動二輪車の購入補助を実施しているところでもあります。昨年十月にはホンダとヤマハが、先ほど先生御指摘のように、原付一種では電動二輪車普及に向けた協業をやりますというふうに発表をしておりまして、このような購入補助を通じて、二輪メーカーによる魅力的な電動二輪車の開発を後押ししてまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、各関係省庁ともしっかり連携しつつ、国内の二輪車の利用環境整備に努めてまいりたいと考えております。
#152
○石井章君 御丁寧な答弁、ありがとうございました。
 中には国交省マターの部分もありますので、関係省庁とよく協議して、経済産業省の打ち出しているのは目指せ百万台ですからね、それを忘れずに、井原政務官、愛媛県でいっぱい売ってください。
 それでは次に、東京電力福島第一原発事故の賠償についてお伺いいたします。廃炉などに係る費用が、二〇一三年の時点で見積もった政府の従来想定を大幅に上回っている件について伺ってまいります。
 まず、賠償額についてでありますけれども、当初五・四兆円の試算でありましたけれども、東京電力改革・1F問題委員会の公表では七・九兆円まで膨れ上がっておりますが、その理由と積算根拠について、まず一点目、お伺いいたします。
#153
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘のように、二〇一三年十二月の閣議決定では賠償金額について五・四兆円という見通しをしておりました。さらに、二〇一六年三月に改定されました、これは東京電力の新・総合事業特別計画では、営業被害、風評被害等への賠償の支払実績が増加をしていることなどを踏まえて、合計六・四兆円と想定をしておりました。さらに今回、この六・四兆円に、商工業、農林水産業における営業被害や風評被害がいまだ終結していないことも踏まえまして、これらに係るこれまでの支払実績を勘案した当面必要となる資金を加えて、合計で七・九兆円と見込ませていただいております。
#154
○石井章君 そのうち三・八兆円は事故前に確保されるべきであった賠償への備えでありまして、原子力損害賠償、それから廃炉等の支援機構が成立した二〇一一年から二〇二〇年までの分一・三兆円を除いた二・四兆円を回収すべき額といたしました。そして、二〇二〇年から四十年間掛けて、託送料金の仕組みを使って全ての需要家から回収しようとしております。
 そこで、一般家庭が年間に負担する額についてお伺いいたします。
#155
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘のとおり、いわゆる賠償への備えの不足分というのを、我々、上限二・四兆円というふうに計算をしています。これを四十年掛けて、年間六百億円を託送料金に乗せて回収をさせていただきたいというふうに考えています。
 標準的な家庭の御負担に換算しますと月額約十八円ということになりますが、これは、電力事業者のコストダウンの努力をしてもらって、実際の御家庭の電気料金の値上がりにつながるようなことにはならないようにしていきたいと思っております。
#156
○石井章君 今回の託送料金への上乗せは、国会での法改正は余りこれ必要ではありませんけれども、基本的には省令の改正で済むことであります。国民の理解と協力を得るためにはどのような方法を今後考えていくのか、大臣としての御所見をお伺いいたします。
#157
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘のとおり、電気事業法上、このいわゆる託送料金については、広く国民から回収すべきだと判断される料金については、経済産業省の認可で中に盛り込むことができるわけであります。そういう中で国民にどうやって御理解をいただくか、これはまだ道半ばであります。現状でもなかなか厳しい御意見もいただいているわけでありますけれども、まず一つは、上限をもう二・四兆と、これは過去分ですから、これ以上増えることはありませんということでしっかりと確定をさせるということ。そして、消費者庁からも意見を聞いて、さらに、独立した電力・ガス取引監視等委員会による第三者のチェックを受けるということ。そして、先ほど月額十八円ぐらい、実際には値上がりにならないんだけど計算をすれば十八円ぐらい、その毎月の分を消費者に届けられる料金明細のどこかにしっかりと明記をすること、こういったことで透明性と適正性を確保していかなければいけないというふうに思います。
 それともう一つは、やはり電力事業者がしっかり合理化の努力をして実際の値上げにつながらないようにするということ。そしてまた、新電電には今回託送料金という形で新電電に直接的に御負担をいただくことになりますので、安価なベースロード電源という、今まで新電電にアクセスのチャンスがなかった、そういったベースロード電源に新電電がアクセスできるようにして、新電電にも──新電力、済みません、新電電は電話だ、新電力にもインセンティブを感じてもらえるような、そういう仕組みも導入して、世の中全体に御理解をいただけるようにしていきたいと思います。
#158
○石井章君 大臣の丁寧な答弁を聞いていますと、ああ納得だなと思うんですけれども、なかなか一般の新電力供給会社の方々は、なぜ我々がという思いもあると思うんですけれども、託送料金の仕組みを活用する方便として、公益的課題への対応に必要な負担については全ての需要家が公平に負うことを原則とすると、それを持ち出しておりますけれども、公益的の中身が問題でありまして、二〇〇〇年の電力小売部分自由化の際、送配電網の維持やユニバーサルサービス料金を託送料金で回収しようとする、そういった議論が、横並びで論じておりましたが、同じように公益性を持ち出すのであれば、それは誤りではないかと私は思うわけであります。
 また、二〇〇〇年の部分自由化の際、小売事業者が出現することから託送料金を省令で定めるとしたことは理解しますけれども、今回、省令で決めることに関してはまた議論があってしかるべきだと思いますが、大臣の所見をお伺いします。
#159
○国務大臣(世耕弘成君) これ、託送料金に関して、いわゆるユニバーサルサービス料金など全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を託送料金によって回収をできる、その内容については経産大臣が認可することで決められるという形になっているわけです。
 この背景には、今御指摘の二〇〇〇年に電力小売の部分自由化をやった際に、このときの審議会の報告書、審議会の議論の中で、供給信頼度や望ましい電源構成の維持などの公益的課題への対応に必要な負担については全ての需要家が公平に負うことを原則とする、こういう報告書が出された上で電気事業法の改正をしているわけであります。
 今回はその電気事業法に基づいて、その電気事業法の精神はまさにこの二〇〇〇年の審議会報告に基づいているわけでありますから、私が、経済産業大臣が認可することで決められるというふうに法律を我々は解釈をしております。
#160
○石井章君 回収すべきとする二・四兆円のうち、原子力発電所を持たない新電力の負担分とされているシェアが一〇%程度ありますけれども、しかし、ほとんどの新電力会社は原発事故当時には存在さえしなかったわけであります。
 政府の再利用可能エネルギーの利用促進による日本のエネルギー自給率向上や環境保護を標榜する施策に共感して新規参入された企業も多いわけでありますが、その新電力各社に負担を強いるのは道義的にも電力自由化の趣旨に大きく反するものではないかと私は考えますが、大臣、どうでしょうか。
#161
○国務大臣(世耕弘成君) これは新電力をちょっと経由させていただいてという形になりますが、最終的には消費者に、それも具体の負担にはならないように、値上げにはならないようにはするんですが、数字としては消費者に御負担をいただく。これは電力会社ベースで言っているんではなくて、過去、原子力発電の裨益をしていた国民が過去本来積み立てておくべきであった分見合いのものを負担をしていただくということを考えているということを御理解をいただきたいと思います。
 いずれにせよ、ただ新電力には何らかのいろんな負担も出てくるわけでありますから、その分またそれが新電力への値上げにもつながらないように、送配電事業者に努力をしてもらって新電力に負担感がないようにしてもらうということと、先ほども申し上げましたように、今までは石炭とか原子力とか安価なベースロード電源の、水力もそうですね、その部分というのはやはり自分のグループ内でまず使うということを優先をされていたわけですが、そこに新電力がアクセスをできるようにして、新電力が更に価格を安く設定できるような環境を整えることで新電力の皆さんに御協力をいただくことのインセンティブにさせていただきたいと思っています。
#162
○石井章君 いずれにしましても、世耕大臣の懇切丁寧なそのような説明が東京電力さんにも、先ほどの質問じゃありませんが、もう帰っちゃいましたけれども、やっぱりそういう説明が必要であると思いますので、今後、原発の後始末費用については原則に私は立ち返るべきであると思います。
 各種費用の託送料金への上乗せについては国民の理解と協力を醸成すべきであり、改めて国会で十分な議論が行われますことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わりにします。
 ありがとうございました。
#163
○委員長(小林正夫君) 両件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト