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2017/05/09 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 経済産業委員会 第9号
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2017/05/09 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 経済産業委員会 第9号

#1
第193回国会 経済産業委員会 第9号
平成二十九年五月九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月九日
    辞任         補欠選任
     丸川 珠代君     足立 敏之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小林 正夫君
    理 事
                岩井 茂樹君
                滝波 宏文君
                宮本 周司君
                石上 俊雄君
                石井  章君
    委 員
                足立 敏之君
                青山 繁晴君
                井原  巧君
                北村 経夫君
                林  芳正君
                松村 祥史君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                礒崎 哲史君
                浜口  誠君
                平山佐知子君
                伊藤 孝江君
                石川 博崇君
                岩渕  友君
                辰巳孝太郎君
   国務大臣
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  世耕 弘成君
   副大臣
       経済産業副大臣  松村 祥史君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       井原  巧君
   政府特別補佐人
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        廣原 孝一君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      増子  宏君
       内閣府大臣官房
       審議官      山本 哲也君
       内閣府原子力委
       員会委員長    岡  芳明君
       文部科学大臣官
       房審議官     白間竜一郎君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       田中 誠二君
       経済産業大臣官
       房原子力事故災
       害対処審議官   平井 裕秀君
       経済産業省電力
       ・ガス取引監視
       等委員会事務局
       長        松尾 剛彦君
       資源エネルギー
       庁長官      日下部 聡君
       資源エネルギー
       庁省エネルギー
       ・新エネルギー
       部長       藤木 俊光君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      村瀬 佳史君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       長官官房審議官  青木 昌浩君
   参考人
       原子力損害賠償
       ・廃炉等支援機
       構理事長     山名  元君
       東京電力ホール
       ディングス株式
       会社代表執行役
       社長       廣瀬 直己君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(小林正夫君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、資源エネルギー庁長官日下部聡君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(小林正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(小林正夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長山名元君及び東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長廣瀬直己君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(小林正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(小林正夫君) 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○滝波宏文君 自民党、福井県選出の滝波宏文でございます。
 先月二十五日の質問でも原子力いじめとの関係で強調いたしましたが、原子力、放射線について正しく怖がるという国民理解をしっかりと広げていくことが重要です。
 そこで、小中高での放射線についての副読本を見ましたら、第二章には、我々が普通に生活していても、また医療健診や飛行機に乗ることなどでも放射線を受けることが書いてあります。例えば、自然放射線は日本平均で年間二・一ミリシーベルトということが明記されております。もちろんそれで、生活、健康に支障が出るわけではありません、我が国で普通に住んでいる場合に受けるものでありますから。
 これで分かることは、放射線は、あるない、オンオフの問題ではなくて、レベル、程度の問題なんだということが分かるわけであります。よって、正しく怖がるということが非常に大事なんだということ、これは第二章で分かるわけでありますし、書き方の工夫はまだまだ必要でしょうけれども、内容としてはこれで第二章大丈夫だと思いますが、一方、驚いたのは章立てであります。これに先立つ第一章が福島事故でありました。第一章から順番に子供たちが見たら、まず、福島事故で単純に放射線を全て怖いということになりかねない、冷静に第二章に読み進める気にならないのではないかというふうに思います。結果、放射線、原子力は全て菌だというふうに安易に考えてしまうことにもなりかねない。これはやはり変えるべきではないでしょうか。
 文科省にお聞きしましたら、三・一一後の直後に、福島県側から事故風化防止ということで第一章を福島事故にしてほしいというふうな話があったとは聞いておりますが、今、各地で原子力いじめが発覚、確認されている中で、結果的に福島から避難した子供たちが原子力いじめに遭う遠因になっているのではないかと心配しております。
 この副読本の改善について文科省に以前からお願いしてきたところ、対応状況についてお伺いいたします。
#8
○政府参考人(白間竜一郎君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の放射線副読本につきましては、その構成については、今先生も御指摘もございましたように、当初、福島県から、原発事故の深刻な状況を正確に記載すること、また差別や風評被害についても明記するといったような御要望を受けまして、副読本の一章に原発事故について取り上げたところでございます。しかしながら、副読本の作成から既にもう三年経過しております。見直しが必要な時期に来ているものと認識をしているところでございます。そのため、現在、福島県教育委員会とも意見交換をしながら、内容や構成の見直しについても検討を行っているというところでございます。
 少し具体的に御説明させていただきますと、引き続き福島県とも連携をしながらということではございますけれども、一つに、副読本の冒頭に「はじめに」というところがございます。ここに、復興が進んでいる一方で避難児童生徒に対するいじめの問題が課題になっている、これは決して許されないことだということを言及するということが一つ。そして、そのためにも、まず放射線に関する基礎的な内容をしっかりと理解をした上で、その上で原発事故の状況や復興に向けた取組を知ると、そういった章立ての構成にするということが二つ目。そしてさらに、電力などの需給をめぐる地域間の協力関係、こういったことにも触れながら、このような観点からも避難児童生徒に対するいじめが決して許されないということを理解をさせると。
 こういったことを柱に、子供たちの理解のしやすさを向上させる、またデータを更新するということも行いながら、本年度中を目途に副読本を見直してまいりたいと、このように検討を今進めているところでございます。
#9
○滝波宏文君 正しく怖がる、リスクコミュニケーションをしっかり進めていただきたいと思います。
 それで、お手元に配付してございますが、今回の福島事故対応の資金倍増をどう賄うかというこの政府の計画表において、ちょうど真ん中の欄ですけれども、除染のところですが、これを東電の株式売却益で対応するとされていることに私は強い感慨を覚えます。
 それは、仮に、九〇年代の我が国の金融危機対応の事態において公的資金投入、とりわけ資本注入がこのように一政策として冷静に受け入れられていれば、我が国は失われた二十年に至らずに済んだのではないかというふうな慨嘆でありまして、また逆に、今その金融危機対応の痛い経験に基づく知恵がこのエネルギー危機対応においてしっかり生かされているという安堵の思いであります。
 この点、事故の責任を果たさせるために東電を破綻させるべきというふうな主張がございますけれども、九〇年代の日本の金融危機対応の経過を見てきた者としては、なぜ今になって、長銀、日債銀の特別公的管理と言われますが、その破綻処理モデルを模倣するような対応をこのエネルギー危機においてしようとするのか、理解に正直苦しみます。
 なぜなら、長銀、日債銀のいわゆる国有化は、強制的に国の管理下で倒産させるもので、各々数兆円の公的資金を投入した挙げ句、外資等にスズメの涙の金額で売られたという逸話で知られておりまして、結局のところ、日本経済の底で損失を実現化するということを確定してしまったため、数兆円の税金の損失が即座に決まったというふうなものでありました。
 この政策の下策ぶりは、先般のアメリカの金融危機対応を見ると更に際立つものであります。リーマン・ショックの早くも翌日に、保険会社ですけれども、AIGに数兆円の公的資金、資本注入を決定したアメリカは、いずれの大金融機関も潰すことなく、アメリカ経済は結果的においてV字回復を見せております。大事なところは、資本注入された公的資金というのは、その後株価が上昇して回復してくる中で、その株価の売却益でしっかりと取り戻すことができたというわけであります。
 この資本注入と株式売却益というふうな手法が今回の除染において使われているわけでありまして、このような日米金融危機対応の経験を、教訓を踏まえて、国民負担軽減のためにも、政府として東電については、強制的に破綻させる長銀、日債銀的な国有化をすることなく、このまま引き続き、まさにチッソが水俣病賠償のために存続しているのと同様、重い十字架を東電は背負い続けながら、賠償等の貫徹のため更なる経営改革を求めていくべきではないかというふうに思いますけれども、経産大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(世耕弘成君) 単純に金融危機との比較というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、東電の破綻整理という選択肢については、これは発災直後、かなり議論をされました。あの当時、私も野党議員でしたけれども、破綻させた方がすっきりするんじゃないかなという考えも持ちながら当時議論に参画をしておりましたけれども、結局のところ、これ破綻をさせてしまいますと、まず被災者、被災企業への賠償や廃炉といった、こういった作業が停滞をするという懸念、そして、結局破綻をさせてしまいますと、こういった賠償とか廃炉の責任が国の方へ移ってしまって、結果としては、東電がその後どうなるかはともかくとして、東電自体はその責任が消滅してしまうということになるわけであります。
 また、破綻処理をするとなると、当然会社がかなりごたごたをするわけですから、東京電力というのは首都圏に電力を供給する非常に重要な会社でありますから、そういう意味で首都圏の電力の安定供給への懸念などがあって、東電は破綻させずに、国が、一つは株式を五〇・一%買うということ、資金注入を行うということ、また交付国債という形で、資金繰りの支援を行うという形で東電自身に賠償や廃炉の責任を負わせるという判断を当時しまして、自民党もそれには賛成をして今日に至っております。安倍政権でもその路線で現在この廃炉・汚染水対策あるいは賠償といった問題に臨んでおります。
 ただ一方で、当然、東京電力がしっかり責任を持ってもらわなければいけない。あくまでも国の資金繰り支援というのは一時的というか、かなり長期にはなりますけれども、あくまでも最終的には東電がきちっとカバーをしなければいけないというものであります。今回も所要資金が大体二十一・五兆円という見積りになっていますけれども、そのうち十六兆円は東京電力の負担によってきちっと最終的には返してもらうという形になるわけであります。
 そういう意味でも、東京電力を存続させて、東京電力にそれこそしっかりと責任を果たしてもらうということが重要だという考えに立って今回も政策を進めさせていただいております。
#11
○滝波宏文君 ありがとうございます。
 今振り返りますと、金融危機対応において、当時耳触りの良かった金融機関潰し、これは結局失敗で、逆に批判を受けた金融機関救済が成功になったように、人気取りで物事が正しいというわけではないということを我々は肝に銘じなきゃいけないと思います。
 ちょっと順番変えて恐縮ですが、前回も東電地域優先負担原則という形で申し上げたように、福島第一原子力発電所の安定、安価な電力を享受してきたのは東電管内の消費者でありますので、他の地域の消費者よりも多く負担することになるのは私は当然だと思います。その上で、東電を含め全ての電力会社において、引き続き地域独占である配送電部門の効率化を進め、それぞれ消費者の負担を軽減すべく託送料金の引下げを進めていくことは重要だと思います。そのための経産省の取組についてお伺いします。
#12
○政府参考人(松尾剛彦君) 送配電部門につきましては、小売全面自由化後も地域独占が続くわけでございまして、市場競争も存在いたしません。このため、東京電力を含めた全ての電力会社におきまして、送配電部門の効率化を促し、料金の低廉化を促進していくことが重要だと認識いたしております。
 このような問題意識の下、電力・ガス取引監視等委員会では、平成二十八年度実績分から一般送配電事業者の収支状況あるいは効率化の取組状況等につきまして定期的に公開の場で事後評価を行うことを決定したところでございます。東京電力は、小売部門、発電部門だけでなく送配電部門の効率化につきましても徹底的に追求するということになるわけでございます。
 こうした中で、東京電力が先進的な取組を行った場合には他の電力会社のモデルともなり得るというふうに思っておりまして、本事後評価を通じて東京電力を始めとする各一般送配電事業者の先進的な取組を共有し、電力業界全体に広げること等によりまして、各社が効率化と料金の低廉化に向けてしっかりと取り組んでいただけるように促し、電力システム改革、中でも消費者利益の増大につなげてまいりたいというふうに考えております。
#13
○滝波宏文君 戻りまして、賠償費用についてですけれども、過去に確保すべきであった賠償の備え、いわゆる過去分について、広く需要者全体の負担とし、必要な託送料金の見直し等の制度整備を行うと、こういう政府の方針が示されておりますが、この方針に対しましては、今では原子力を使っていない新電力の消費者にも負担を求めるものだということで一部批判があることは承知してございます。
 しかしながら、立地の立場から申し上げれば、昔から原子力の安定、安価な電力を享受してきた消費者、とりわけ東電管内の消費者が、今になって新電力にスイッチすれば賠償費用を免れられるというのは私はおかしいと思います。本件は電力自由化や新電力振興といった経済政策の文脈で語られるべき話ではない、むしろ社会正義、公平性、イコールフッティング、こういったことを確保すべき場面だと思います。知らず知らずとも福島にリスクを背負わせて安定、安価な電力を享受してきた東電管内の消費者は、一律に福島の賠償に向き合うべきであって、今になって新電力に乗り換えたら福島の賠償から逃げられるということになってしまっては、社会正義、公平性に反すると考えますし、またそういうことではかえって新電力へのスイッチングの心理的ハードルを上げてしまうことになりかねない、そう思うわけであります。
 新電力振興は別の経済政策で手だてすべきものであって、厳にこの福島賠償の場面においてイコールフッティングを壊すような形ですべきではないと考えますが、このような受益と負担の関係を踏まえ、この点、経産省の見解を伺います。
#14
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました賠償に係る費用につきましては、福島第一原発事故以前に賠償に係る備えが原賠法に基づく賠償措置のみであったということ、それから、制度上、事業者がこれを超える備えを規制料金の下で回収し自ら資金を確保する自由が制度上認められていなかったことなどによりまして、賠償の備えが十分でなかったことにどう対応するか、特に委員御指摘の受益と負担の関係性も踏まえまして、いかに公平かつ公正な対応を行うことができるかといった問題だったというふうに認識しておりまして、政府といたしましては、制度が不十分であったことについては真摯に反省をしつつ、福島の復興を支えるという観点や、今御指摘いただきましたように、原子力の電気を広く消費者が受益していた実態があるにもかかわらず、同じ管内にいながら新電力にスイッチした方々が負担をしなくてよいのかといったような点も勘案いたしまして、消費者間の公平性の観点から、託送制度を利用いたしまして、公平な、公正な回収措置を講ずることが適切と判断したということでございます。
#15
○滝波宏文君 最後に、この福島事故に係る費用についての東電地域優先負担原則、すなわち、福島事故に関する資金については、受益と負担の観点から、福島のリスクと引換えに安定、安価な電力を享受してきた東電及び東電地域の消費者が、他の地域の人々、事業者に先んじて負担すべきとの原則について、改めて経産省に見解を伺います。
#16
○政府参考人(村瀬佳史君) 今御指摘いただきましたとおり、やはり東京電力が事故を起こした事業者としてその責任を果たすということが大原則でございまして、かかる観点から、必要とされる資金の大宗は東電改革を通じて捻出するという方針で臨むこととしているところでございます。
 また、東京電力がこうした責任を果たす中で、福島第一原発によって受益してきた東電管内の需要家の負担が他の地域と比較して相対的に重くなることがあり得ると考えておりまして、その意味で、福島事故関連の所要資金の負担につきましては委員御指摘の考え方に沿ったものとなっていると、このように考えているところでございます。
#17
○滝波宏文君 終わります。
#18
○石上俊雄君 おはようございます。民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。
 この原賠機構法の法案の改正の審議、入ってからいろいろなことがありましたが、これまでの間、視察にも行かせていただきました。さらには、多くの参考人の皆さんに来ていただいて、幅広い視点から論議もさせていただきました。そして今日、多分法案の審議最終日というふうになるわけでありますが、原点から、それぞれこれまで皆様方が論議されてきた論点を踏まえながら今日はちょっと質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、早速質問の方に入らせていただきますが、まず、原点でございます。
 先ほど滝波委員からも質問という形で出ましたが、やはりこれは福島原発の事故、これに対してどういうふうに対応していくかといったところにやっぱり尽きるんだろうかなというふうに思います。いわゆる、長いスパンが掛かりますから、まあ贖罪の四十年と言われますけれども、その後に東京電力がどういう形になっていくのか、このことをちょっとお聞きしていきたいというふうに思います。
 今日は廣瀬社長にもお越しいただいておりますけれども、経産委員会の中で私が廣瀬社長に質問させていただくのは今日が多分最後じゃないかなというふうに思いますので、ちょっと思いといったところを聞くようになっちゃうかもしれませんが、ちょっと御容赦いただきながら、お答えいただければと思います。
 資料一にちょっと示させていただきましたけれども、東京電力改革・1F問題委員会がまとめた東電改革提言に、東電を破綻処理すべしという議論もあったが、その一方で、福島への責任を果たすためにその存続が許されたとの記述があるわけであります。その一方で、海外展開も可能なグローバルプレーヤーに、稼ぐことが福島への貢献との記述もあるわけであります。その資料一の下の方に、四月十八日の日経新聞で立命館大学の開沼博准教授が言っていたことが載っていたということでございますが、東電の経営の持続性が廃炉や賠償に不可欠だという、それは理論的には理解できても気持ちが付いていかない、廣瀬直己社長がグローバル企業的なプレゼンテーションをしたとき、同じ話を福島でもできるかという質問をされたのを思い出すということであります。逆説的にも見える、現状に対する複雑な心境が語られている内容になっているわけであります。
 この福島目線で考えると、頭をよぎっていくのが三つあるわけでありますけれども、一つが、復旧や損害の償いは本質的に可能なのかどうか、二つ目が、どうすれば被害者から許しを得られるのか、三つ目が、企業として再び東京電力が輝きを取り戻せるのかどうか、さらには、それをそもそも目指すべきなのかどうかというところが頭をよぎるわけでありますが、この三点について廣瀬社長のお考え、御認識をお伺いしたいと思います。
#19
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
 今日は五月九日ですので、事故から六年と二か月がたとうとしておりますが、本当にこのような長きにわたりまして、地元の皆さんを中心に、広く社会の皆さんに大変な御迷惑、御心配をお掛けして、それがまた今も続いているということ、おわびを申し上げたいと思います。改めまして、事故の大きさというんでしょうか、を痛感しているところでございます。
 そうした中で、東京電力といたしましては、もちろんその賠償や廃炉、そして福島の復興に向けた様々な取組を今後ともしっかり、これまでもやってきたつもりでございますけれども、今後ともしっかりやっていく、それを最後までやり抜くという所存でずっと続けてまいりましたし、これからもまいろうと思っているところでございます。
 そうしたことが、ずっと続けていっています、最後までしっかりできた暁に、被災者の皆様が東京電力に対してどういう御評価をいただけるのかということについては分かりませんけれども、とにかく、私どもといたしましては、しっかりそうした取組を最後まで続けていくということだろうというふうに思っているところでございます。
 事故のあった後二年間、新入社員の採用を控えましたけれども、その後、新入社員の採用は始まっております。今年も二百八十余名の新入社員が四月一日に入社をしてきておりますけれども、そうしたこれから新しく東京電力の仲間として加わる新入社員、さらには社員全員が今後ともしっかりモチベーション高く、責任感高くやっていくということが極めて大事だというふうに思っておりますので、そうしたことを踏まえて、これからも電力の安定供給をしっかり果たしつつ、福島の責任を最後まで貫徹していきたいというふうに考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
#20
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 続いて世耕大臣にもお聞きしたいわけでありますが、国は東電の筆頭株主ということでございます。救済ではなくて改革を掲げて、東電に福島責任の貫徹、国民への還元を果たさせるべく全力を尽くすということでございます。
 そもそも、これは当然のことでございますが、今はまだまだ事故対応が全体の長期スパンの中の始まりといったところでありますから、今は資金をどうやって確保するかといったところがこの一番重要なところだというふうに思うわけであります。しかし、長期的な視点で思いをはせると、先ほど廣瀬社長にもお聞きしましたが、どうやれば被害者から許しを得られるのか、そしてさらに、先ほどもお聞きしましたが、企業としての東電が今後再び輝きを取り戻せるのかどうか、先ほどもちょっとお聞きしましたが、そこはしっかり目指すべきなのかどうかというところについて、率直な世耕大臣の御認識というかお考えをお聞きしたいと思います。
#21
○国務大臣(世耕弘成君) やはり福島の皆様からのお許しをいただくためには、廃炉・汚染水対策、そして賠償といったものにしっかりと取り組んで、そして福島自身の復興に東京電力も役割を果たしていく、国もしっかり前面に立っていく、そして復興がきちっと完了したなという段階で初めてお許しがいただける場合はいただけるものなんだろうというふうに思っておりますから、これは東京電力も国もまだまだ長い期間、しっかりと真摯に取り組んでいかなければいけないというふうに思います。特に廃炉・汚染水対策、賠償については東京電力が責任を果たしていかなければいけないということは、東京電力グループという一つの企業体の中で、福島事業と、そしてもう一つ経済事業、特に首都圏への電力の安定供給というこの二つの役割をやっていかなければいけないわけであります。
 そのためには、やはり東京電力自身が非連続な経営改革をする、まだまだ改革できるポイントはたくさんありますし、東電改革委員会の有識者の特に経営者の皆さんから、まだまだできるということをおっしゃっていただきました。こういったところで、ともかく資金の、今資金の確保が入口での議論だというふうに言っていただきましたけれども、この確保できる資金を最大化をしながら、結果として国民の負担を最小に抑えながら被災者の御理解をいただいて、この廃炉・汚染水対策、賠償といった問題に東京電力が取り組んでいくということが重要だというふうに思っております。
 ただ一方で、東京電力は、じゃ、ずっと体を小さくしてじっとしていればいいのかといったら、私は、そういうことはないというふうに思っています。まず一つは、首都圏に電力を安定供給していかなければいけない。しかも、電力の自由化というのが進んでまいりますから、新電力と競争をして、そしてその中で安定供給というのもやっていただかなければいけない。
 そして、安倍政権はもう一つ、インフラ輸出というのを掲げております。これが成長戦略の一つの重要なファクターであります。その中で、今まで全然輸出されていないインフラというのが電力システムなんですね。発電機の輸出というのは行われていますけれども、いわゆるグリッドも含めた、あるいは全体の制御も含めた電力システムというのはまだ輸出ができていません。
 私は、東京電力、あるいは今中部電力と組んでいるJERA、こういった会社はこれからまさに電力システムを質の高いインフラとして輸出をする大きなポテンシャルを持っているというふうに思っておりまして、そういった面で東京電力は是非活躍をしていただきたいと思いますし、かつての輝きを取り戻してもらいたいというふうに思います。そのことが単に東京電力の利益につながるのではなくて、その中から廃炉や賠償の費用が捻出をされ国民負担が最小化される、あるいはそのことによって東京電力の企業価値が上がることによって、今除染費用は国が立て替えているわけでありますけれども、それを株式売却益につなげていって、これも結果として国民負担の最小化につながるということになるんだろうというふうに思っております。
#22
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 長い時間の対応になるというふうに思いますけれども、国、東電、全力を挙げて対応いただきたいと思います。
 それでは、論点の一ということで、当初見込みを上回る賠償費用という観点で質問をさせていただきます。
 資料二の一に付けさせていただいておりますが、今月三月末までに合意された賠償は累計で七兆二千百億円であるということで、今もまだ右肩上がりだというふうに記載されております。また、原子力損害賠償紛争解決センターへの申立て件数も昨年末で累計で二万一千四百四件で、未済件数累計も二千件台で推移となっているところでございます。
 東電委員会は、確保すべき資金の全体像二十二兆円の中で賠償を八兆円と示しているわけでございますが、この根拠についてお伺いしたいと思うところでございますし、今後、この表にも書いてありますが、風評や営農賠償又は自主避難への賠償等も配慮すると更に膨張するのではないか、膨らむのではないかなという心配があるわけでございます。実際、昨年一月三十一日に主務大臣に変更認定された新・総合特別事業計画、新総特では要賠償額が八兆三千六百六十四億円となっているわけでございまして、ここの新々総特に向けて計画間での整合性が取れているのかという視点でも、併せて資源エネ庁、教えていただけますでしょうか。
#23
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
 お手元に配付いただきました資料二の一にありますその八兆三千六百六十六億円につきましてでございますけれども、この数字は除染等の費用の約一・六兆円も含まれておりまして、これを除きました約六・七兆円がいわゆる被災者の方々への賠償というものに充てられる費用となるわけでございます。
 加えて申し上げますと、被災者への賠償分として実際に合意されている金額が、ここの資料にある合意実績とあります七兆二千百億円でございますけれども、これにも除染等の費用が含まれておりまして、その除染等の費用を除いた約六・二兆円が被災者の方々への賠償に当たるものということでございます。
 それで、この被災者の方への賠償に要する資金として、二十二兆円のうち約八兆円、七・九兆円というものを試算をお示ししているところでございますけれども、これは、今申し上げた六・七兆円、若しくは既に実際に合意されている六・二兆円ではとどまらないという前提に立ちまして、足下で商工業、農林水産業における営業損害ですとか風評被害への賠償の支払実績が増加している、今御指摘いただいたような実態があるものですから、これらの支払について当面同様の傾向が継続するといった仮定を置きまして、約六・七兆円から更に約一・二兆円の増加分も見込みまして七・九兆円、約八兆円という試算になっているところでございます。
#24
○石上俊雄君 内容的には分かりました。
 続きまして、資料の二の二、この資料の二の下の方に付けさせていただきましたが、せんだっても視察をさせていただいたときに、福一の中に汚染水のタンクがたくさんあるのを見させていただきましたが、日々発生する汚染水を多核種除去装置、ALPSで処理した水、トリチウム水をタンクで大量に貯蔵しているわけでありますけれども、その数量が数百万トンと言われておりますが、これは最終的にどうなるのかといったところをお聞きしたいと思います。
 さらに、今後、トリチウム水タスクフォースで検討されている五つの方法、これも右側の方にちょっと書いておきましたが、地層に注入するとか海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設とあるわけでありますけれども、総合的に検討するとのことで今進められているということで認識しておりますが、トリチウムは、現在、日本国内で動かしている原発の規制基準に基づき排出されているところもあったり、また、スリーマイルアイランドでの事故でも最終的には水蒸気化して大気に放出したということが報告されているわけであります。
 しかし、これは、コスト的に考えればまあいいのかなというふうなところもあるわけでありますが、社会的に受け入れられるような内容になっているのかなという、そういうふうな疑問があるわけであります。また、それをやることによって、また、先ほど賠償費用にもありましたが、風評とか賠償の繰り返しに陥らないということも限らないわけでありまして、そういったところも考えて、何か一番適切な対策というのがあるのかなというふうに考えているところでございます。
 いかなる方法でこの数百万トンと言われるトリチウム水の処理を考えているのか、そして、この処理について全体像の中の二十二兆円という中にこの費用は含まれているのかどうか、その辺について資源エネ庁、教えていただけますでしょうか。
#25
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました多核種除去設備等で浄化処理した水の扱い、いわゆるトリチウム水の扱いにつきましては、汚染水処理対策委員会の下に設置いたしましたトリチウム水タスクフォースにおいて昨年六月に様々な選択肢、この資料のAのところの右のところでお示しいただいておりますけれども、このタスクフォースにおきまして、昨年六月に様々な選択肢について技術的評価を取りまとめたところでございます。
 さらに、今御指摘いただきましたように風評被害、こういったことも考慮しなければいけないということでございまして、風評被害などの社会的観点も含めた総合的な議論を行うということで、そこの汚染水処理対策委員会の下に多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会を設置いたしまして昨年十一月から議論を進めているところでございまして、この小委員会で、現在まで四回開催されておりますけれども、その中で、風評被害に関する専門家の方から風評被害のメカニズムやその対策、それから福島での風評の実態などについて聞き取りをしているところでございます。さらに、福島県やJA全農福島の方から福島県の農林水産業の現状とそれから風評被害対策の取組などにつきましてお話をお伺いするなど、丁寧に御意見を伺っているところでございます。引き続き、この委員会等の場におきまして、しっかりと検討を進めていきたいと思っております。
 この処理をした水の取扱いにつきましては、この小委員会の今後示される検討結果も踏まえまして、また関係者の理解をいただきながら、具体的方法を検討していきたいと、このように考えているところでございます。
 なお、更に御指摘いただきました二十二兆円の試算の中での位置付けということでございますけれども、この中で汚染水対策として約一兆円を見込んでいるところでございまして、多核種除去設備等で浄化処理した水の最終処分の費用につきましては、汚染水対策の一部として事故の当事者である東電が負担するということが原則と、このように考えているところでございます。
 また、御指摘いただきました民間の研究機関による試算につきましては、これはトリチウムを分離する前提で試算をされたものと承知しておりまして、昨年の国の有識者会議、このタスクフォースにおきましての報告書でも、トリチウムの分離技術につきましては直ちに実用化できる段階にある技術は確認されていないと、このように位置付けられておりまして、お示ししている試算におきましては、トリチウム水の分離を行うことを前提とした資金を想定しているわけではございません。
#26
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、上振れ懸念の除染費用という観点で質問させていただきたいと思いますが、四月二十五日の参議院の経産委員会の政府答弁で、汚染土壌の最終処分費用も二十二兆円には含まれないということの答弁がありました。
 資料三に示させていただきましたが、せんだって私も、川俣町にグループの事業所、関係会社があるわけでありまして、そこに訪問したときにちょっと山の方に車で連れていっていただきましたら、フレコンバッグで山積みにされていた除染をされたものがたくさん置かれている光景を見ましたけれども、このものをどうやって処理をしていくのかということでございます。
 資料三のところにもちょっと下の方に付けさせていただいていますが、日本経済研究センターで、除染については、現在、二千二百万立米の土壌などを中間貯蔵する計画を進めているが、最終処分をどこでどのように行うのか全く決まっていないと。当センターは、最終処分費用を青森県六ケ所村の低レベル放射性廃棄物並みの処理単価、これ八十億円から百九十億円、一万トン当たり掛かるみたいですが、それで試算すると三十兆円という金額になると試算したということで公表されているわけでございます。
 そもそもこの三十兆円というのは破格な額になっているわけでございまして、この計算を適切と考えていいのかどうか。さらには、もしこれがそのとおりだとすると、この巨額な費用を、最終処分費用をどうやって捻出してやっていくのか。その辺について、ちょっとエネ庁のお考えをお聞きしたいと思います。
#27
○政府参考人(村瀬佳史君) お答えさせていただきます。
 御指摘の試算につきましては、先ほども若干触れさせていただきましたが、独自の仮定に基づいて行っておられるものでございまして、国の試算の前提とは大きく異なる前提を置いたものでございます。国がお示しした復興加速化の観点から必要となる制度の整備や資金の確保の検討に用いるための試算としては、必ずしも適切なものとは言えないというふうに考えております。
 例えばでございますけれども、先ほど申し上げたように、トリチウム水につきましては、汚染水処理費用についてトリチウムを分離することを前提に試算をしておりますけれども、国の有識者会議では、この分離については直ちに実用化できる段階にある技術は確認されなかったということになっておりまして、この点も大きく異なる点でございます。
 また、同試算は、今御指摘いただきましたように、中間貯蔵予定の汚染土壌等の最終処分につきまして、将来的な除染土壌等の最終処分の具体的な方策が現時点で決まっていない中、様々な汚染土壌というのは放射性レベルのものが含まれるわけでございますけれども、これを全て、汚染土壌を全てを一律に六ケ所村で処理される廃棄物と同様の処理単価を用いるといったような仮定を置いておりまして、こういった点でも大きく前提が異なっているということでございまして、先ほど申し上げたように、我々の検討とは大きく前提を異にしたものということでございます。
#28
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、燃料デブリの取り出しというところについて質問させていただきますが、これは今までもちょっと別な調査会だったかな、でも取り上げさせていただいて質問させていただきましたが、経産委員会でもさせていただいたかもしれません。
 デブリを取り出すこの費用、なかなか積算が難しいということで、そもそも二兆円ということで初め分からないので見積もっていた。それをいろいろ試算をする中で、要はスリーマイルアイランドの事故のときのデブリの取り出しのときのものを勘案しながら、今の福島の原発に置き換えるとどれくらいになるかということで試算をされたということで今まで答弁を聞いてきました。
 その中で、政府も見積りの責任は取れない、コストの積み上げは不可能だということで答弁があったわけでありますが、やはり国民の皆さんが一番心配しているのは、本当にデブリは取り出せるのかといったところがやっぱり心配だというふうに思うんです。やっぱりNHKスペシャルでもいろいろやられていますが、何とか今の日本の技術を総結集すれば取り出せるんだという、そういうようなところに至るというところをちょっとずつ、何とか少しずつでも前に進んでいるというのを国民の皆さんに出していくことがやっぱり国民の皆さんが安心するというか、特に福島の皆さんもそうだと思いますけれども、そういうところにつながっていくんだというふうに思うんです。
 そういった意味で、ちょっと細か過ぎるかもしれませんが、今の福島の一号機、二号機、三号機、それぞれ今の現状で特徴が、今の状態のちょっと違いがあるわけでありまして、それぞれにどうやってそのデブリを取り出していくかというところについて質問させていただければと、そういうふうに思います。
 まず、一号機でございます。一号機は、溶けた核燃料が圧力容器を貫通して格納容器底部に落下をしているというふうに考えられているわけでございまして、ペデスタル、せんだっても視察で確認をさせていただきましたが、の外側に漏れ出した可能性が大きいと言われております。ペデスタルの外側にその燃料デブリが広がりますと、スリーマイルアイランドのときの事故のように、資料の五の一のような上アクセス工法では難しいというのが一般的な考えではないかなと思っておりまして、したがって、資料の五の二のところに付けさせていただきましたが、格納容器に開口部をつくりまして、横アクセス工法が必須ではないかと素人的にも思うわけでございます。
 しかし、横アクセスだけだと圧力容器の全てを撤去するというのは困難であるので、最終的にはやっぱり上からのアクセスもやっていかないといけないということで、最終的には横と上、両方というふうになるわけでございますが、上からは、一号機は一番上の方にまだ燃料、使用済燃料があるわけで、それを取り出すのに優先で、そっちの方が優先されて二〇二〇年まで掛かるということですから、やっぱり一号機を何とかしようとすると、まず横からアクセスを掛けるというふうになっちゃうのかな、その中で燃料、使用済燃料を取り出したら上からのアクセスにやっていくという、そういうふうな素人的な考えになるわけでありますが、今日は山名理事長にお越しいただいておりますので、その辺のお考えについてお聞きしたいと思います。
#29
○参考人(山名元君) お答えさせていただきます。
 不覚にも喉を痛めてしまいまして、多少お聞き苦しいところがあるかと思いますが、お答えしたいと思います。
 一号機について、先生の認識は極めて適切と考えているところです。一号機の場合は、炉心の燃料のほぼ大半が溶融して格納容器の底部に落下した可能性が高いと、こういうふうに考えておりまして、これは宇宙線ミューオンを使った透視調査によってもその可能性を強く示唆する結果が得られているということでございます。
 また、先生の御指摘のように、資料四にありますように、ペデスタルの外にこの溶けた燃料が広がって固まっている可能性も非常に高いと、我々もそのように考えております。既に点検ロボットが格納容器の中に入って格納容器底部の状況を調査するということをやっておりますが、底部の放射線量の状況などが分かるとか、着実に情報が得られているという状況でございます。
 このペデスタルの外に広がっている燃料デブリを取り出すということは、先生おっしゃるように、横からアクセスする工法の方が適性が高いだろうなというのはそのとおりであるかというふうに思っておりますが、結局、上からのアクセスというのも必要になるということは当然ありまして、両者併せてどのように最適な方法を考えるかという多面的な検討を進めていくことが必要であると考えているわけです。
 使用済燃料についても先生のおっしゃるとおりでございまして、これをしっかり取り出すことが優先であるということは御指摘のとおりであります。燃料デブリを取り出すという工法が今申しましたような可能性を検討している中で、使用済燃料の取り出しとうまく平仄を合わせて総合的にいい形をつくっていくということが必要と思っていますので、それを今我々が検討しているところでございます。
 国民の皆さんにその工法のイメージを伝えることも大事だというのも先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもとしては、この夏頃までにこのデブリ取り出しの方針について一つの我々の提言を政府の方に上げていくというつもりで現在作業を進めているところでございます。
 以上でございます。
#30
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 続いて二号機なんですが、二号機は、上の使用済燃料、これをプールから取り出すのは二〇二一年。したがって、横からのアクセスになるというふうに思うわけであります。
 当初、要は発災、事故が起こった当初は、要はヒューマノイド型のロボットとかそういうのを作って、要はそれでデブリを取り出すんだという、そういうようなイメージが膨らんでいたわけでありますけれども、そういう複雑なやつじゃなくて、やはり単純にXの6ペネといったところからアームを入れて、それでかき出して外に出すという、こういう方法とか、あとは電子的じゃなくて、水圧とかを使ったロボットとかを組んで対応するというような様々な取り出しの方法が考えられているというふうに聞いておるわけでありますが、そのデブリを回収する戦略の検討状況について、山名理事長、教えていただけますでしょうか。
#31
○参考人(山名元君) 二号機についての御指摘でございますが、二号機は、おっしゃいますように、炉心溶融のプロセスが一号機とはかなり違っておりまして、非常用の冷却系がかなり動いていたという状況があることから一号機とは大分違う状態になっていると。恐らく、溶けた燃料が圧力容器の底部にかなり残っている可能性がありますし、また一部については格納容器の底部に落ちているとも考えられております。このことは宇宙線のミューオンを使った透視調査でも確認されているところでありますし、最近はロボットが格納容器に入りまして、圧力容器の底部を貫通して溶融物が格納容器の方に落ちた痕跡を示唆するような状況も見受けられておりますので、やはり圧力容器と格納容器の底部の両方に燃料デブリが存在しているだろうと、このように考えておるところであります。
 それで、このデブリ取り出しの方針の検討と技術開発を現在進めているところでございますが、先生がまさにおっしゃるように、技術の確実性、作業の確実性、極めて重要なことであります。といいますのは、取り出しの最中に妙なトラブルを起こしてはいけないということでございますので、その技術の確実性というのは私どもが発表しております技術戦略プランの中でも最も重要な原則の一つとして挙げているところであります。そういうことで、先生の御指摘のように、技術の確実性を高めるために、取り出しの遠隔装置の部品の構成ですとかそれのメンテナンス、あるいはそこでトラブルが発生したときにどう対処するかというような保守の対応、全てそういうことも考えた上でこの取り出しの技術をしっかりと進めていくということが大事だというふうに思っております。
 取り出しの工法自体については、上部からアクセスする工法と横からアクセスする工法の両方についてもちろん検討しているわけでございますが、御指摘のように、横からアクセスする場合にはX6ペネと、先生御指摘のように、大きな開口部を持っているところからアクセスするという概念も含めた上で、耐放射線性を確保するとか、様々な視点を入れながら取り出し装置の開発を行っていくということで、確実な技術をつくるということで今取り組んでおるところでございます。
 こういった炉内の状況や開発の状況をしっかりと成果を確認しつつ、引き続き検討していきたいと、また、これについても夏頃をめどに方針をお示しできると、こう考えております。
#32
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それで、三号機なんですが、三号機は、一番一号機と二号機と違うのが、損傷が軽微だということもあって水位が六・三メートルあるということになるわけであります。かつ、上の使用済燃料の取り出しが二〇一九年には完了する予定だということでありますから、これは横じゃなくて上からのアクセスが可能になるのではないかというふうに考えているわけでありますが、この辺について、山名理事長から教えていただけますでしょうか。
#33
○参考人(山名元君) 三号機については、先生御指摘のように、水位が六・三メートルと非常に高い状態でございます。ただ、燃料デブリの存在状態についてはまだ十分確認できておりません。これから、ちょうど間近にミューオンによる内部透視調査を開始いたします。また、水中を移動するロボットを使って格納容器の底部を調査するということも計画しておりまして、内部の状況をしっかり確認することがまず前提になるかと、こう考えておるんです。
 それで、御指摘の冠水工法なんですが、工法の実現性をきちっと確認することが大事であると、先生の御指摘のようなことも含めてその実現性を確認することがまず大事でありまして、そのための技術開発を現在進めております。
 先ほど御指摘の確実性という意味ですね。冠水工法をやる場合には、例えば格納容器の水漏れを止めるという、これも非常に難しい技術でございます。これの確実性をまず検証しておく必要があるということがございますし、冠水で水を中に入れた場合には、それによって荷重が掛かりますので、この荷重に対して建屋の健全性を確保するというところの技術的な見方をはっきりする必要があると。また、その他、取り出しに関してはやはり安全第一でございます。このための安全確保のことをいろいろ考えて、そういったことも全部含めて総合的に取り出しについては考えるという作業を現在進めておるわけでございます。
 三号機については、一、二号機と同様に格納容器や建屋の状況をまず可能な限り把握して周到に準備をした上で、先生の御指摘の作業のタイミング、使用済燃料等の絡みというのは非常に重要でございますので、そのタイミングの最適化という視点もしっかり捉えた上で、安全性を最優先にこれから取り出し方法について最終的な方針を決めていくということに取り組んでいきたいと、こう思っております。
#34
○石上俊雄君 ありがとうございます。
 それぞれ特徴があるわけでありまして、内容を国民の皆さんに知らせながら、不安の解消に努めていただければと思います。
 それでは、次の論点でありますが、進むべき道は共同事業体か設備売却かという視点で質問をさせていただきたいと思います。
 資料八の一に示させていただきましたが、要は再編ですね、JERAというもので火力部門が再編されているわけでありますが、事故対応でより踏み込んだ協力を再編によって求められる懸念もあるわけで、そういうことを考えると、一定の歯止めを掛けておく必要があるのではないか。そういうことで、掛ける意味でリスク遮断が必要で、稼いだ利益を共同事業体自身の成長投資に回せないと、これまたメリットがないということになるわけでございます。
 そういった意味で、このJERAにつきましては、いかなるルールでその辺合意されているのか。資料のところに書いてございますが、配当議決権制限とは一体どういうものなのか。また、このリスク遮断は送配電や原子力等の共同事業体でも適用できるひな形たり得るのかといったところについて、廣瀬社長、教えていただけますでしょうか。
#35
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
 JERAのいわゆる利益処分の在り方につきましては、今中部電力さんと鋭意協議を進めておるところでございます。その考え方の基本は、今先生お話ございましたように、JERAの成長に必要な資金をしっかり確保できるようないわゆる配当ルールを作っていこうということだというふうに認識しております。
 そうした配当ルールなり利益処分の方法が決まった上ですけれども、その暁に、もし一方の株主が何らかの重大な財務状況の懸念が生じるようなことがあった場合に、その配当ルールを超えて配当を欲しいというようなことを制限するということが今両者で検討しているということでございまして、まだ成案ができているわけではございません。
 今また、先生お話ありましたように、それを送配電事業あるいは原子力事業の再編にモデルとして使うのかという御質問だと承知しておりますけれども、それはこれから、まず送配電あるいは原子力の再編の協議をこれからしていこうということでございますし、まだお相手もこれからでございますので、お相手の意向をしっかり踏まえてそうした話をしていかなければいけませんので、まずは再編あるいは共同事業のメリットをパートナーの方々としっかり共有できるようなことからそうした共同事業の話合いが進めていかれるんだろうというふうに認識しておりますので、まずはそれで、テーブルに一緒に着いてそうしたお話をしていこうというふうに考えておりますが、その上で、御懸念の、福島にお金が行ってしまうのではないかというお相手側の御懸念については、また必要があれば、そのJERAのモデルみたいなものを参考にできるのではないかというふうには考えているところでございます。
 以上でございます。
#36
○石上俊雄君 そこで、JERAへの本統合で燃料調達や需要調整などで効率化が見込めるというのは分かるわけでありますが、先ほど出てきました配当議決権制限というリスク遮断付きの共同事業体で、そもそも東電が欲しい事故対応のキャッシュや除染費用を賄う株式売却益の約四兆円に相当する企業価値向上はどういうふうに得られるのかどうかといったところです。
 また、東電がJERAのキャッシュを配当で持ち出せないということは、JERAの上場株式売却等も視野にあるのかといったところ、さらには、報道、評論では賠償そっちのけで中電と東電の実質合併とか東電解体の始まりと捉える向きもあるわけでありますが、この辺について、世耕大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#37
○国務大臣(世耕弘成君) あくまでも、特に火力ですね、火力の統合ということでこのJERAというのができましたし、東電改革委員会の提言の中では、原子力ですとか送配電事業についてもできるだけ早く共同事業体を立ち上げること、そして将来的には再編統合も検討することとなっている。この一番根本は、やっぱり日本というこの狭い国でこれだけ細かく、戦後ずっとこの体制で、十電力体制でやってきたわけでありますけれども、それでいいのかどうかという問題意識があるわけであります。
 特にこの火力については、統合をすることで、例えばLNGの調達とかそういったことでやはりバイイングパワーを発揮できるわけであります。あるいは、今後、送配電事業も共同事業をやっていくことによって、例えばいろんな資材の調達とか工事とか、そういったこともかなりコストを抑えることができるわけでありまして、そういったことを非連続の改革の一環としてやってほしいというのが我々の思いであります。
 配当はできないというわけではないわけです。配当は当然、株主として出資をしている以上、一定の配当の期待はあるわけでありまして、これは、これから当事者でどういう配当を行っていくかということは話し合われるんだろうと思いますけれども、当然、配当性向とかそういったところで常識的な線の配当というのが行われる。このJERAがしっかりと改革を進めていって、今の東電、中電がばらばらにやっているよりも、統合していろんなメリットが出れば当然利益が上がる、そうしたら、その分、配当は常識的なレベルの配当ということでその配当は増えていく、それが当然東電の今廃炉、賠償の費用に充てることができるというわけであります。
 リスク遮断という意味で、その常識的な線を越えて緊急にこのお金を欲しい云々については、これは今遮断をするということを中電と東電の間で検討をされている、それは中電の立場からしたら当然だと思います。一定レベルの配当以上のものを福島事業のためにJERAから持っていかれるとなったら、これは中部電力が中部電力自身の株主に対して説明が付かないわけでありまして、それは中電の思いとしては当然でありますから、そういう話が行われているんだろうというふうに思います。
 JERAの上場ですとか株式売却については、まだこれは全く何ら決まっておりません。この株式上場とか売却を前提としないでも、JERAが非常にいい会社になって、海外でも稼ぎ始めていい会社になれば、当然その株の半分、五〇%は東京電力が持っているわけですから、そういう意味で、東京電力本体の株価にもいい影響が出てくるというわけでありますから、その辺、その時点でどういう状況になっているかというのを総合的に見ていくことになるんだろうというふうに思っております。
#38
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 もう一つ世耕大臣にお聞きしたいんですが、資料の八の二に付けさせていただきました。せんだって、参考人で、橘川参考人にお越しいただきましてお話を聞いたわけですが、東電はまず資産売却を行うべきとの意見表明をされまして、御本人がおっしゃるには、柏崎刈羽原発を日本原電プラス東北電力へ売却する案で、一見衝撃的だが、安定供給も変わらず、雇用も維持される現実的なソフトランディング策として解説されたわけであります。
 一方で、政府は、政府というか今の考え方は、この資産売却の案というのではなくて、共同事業体を早期に設立して再編統合を目指すというのが今の案だというふうに思うんです。そこが、考え方では一緒じゃないんですかと橘川参考人に聞いたら、いや、全然違うんだというお答えがどんと返ってきたわけでございます。
 その辺について、世耕大臣の御認識をお聞かせいただけますでしょうか。
#39
○国務大臣(世耕弘成君) やはり福島第一原発の責任を果たしていくためには、今後数十年にわたってしっかりとキャッシュを確保していかなければいけないというわけであります。この御指摘の参考人の御発言というのは、今売ってしまえということです。当面ワンショットでお金は入ると思いますが、それが、じゃ、これから数十年続く廃炉・汚染水対策の費用に充てていくだけのお金になるのかどうかという問題があるというふうに思っています。
 もうこれは委員よく御承知のように、発電事業というのは割と息長くキャッシュを生み出していく事業でありますから、その事業を慌てて今売却して一時的なお金を得るよりも、やはりしっかりとキャッシュを稼いでもらう、そしてその中でいろんな改革を行っていって、そのキャッシュが更に生まれるようにしていく、そのことによって福島に対する責任を東京電力が果たすという考え方からすれば、私は、一時的な売却益を見込むよりは、しっかり事業として展開をしていってキャッシュを生み出していくということが重要だというふうに思います。
 中部電力との統合事業、JERAはその考えの延長にあるものでありまして、何か会社に売ってという発想ではなくて、統合することによってより利益を生み出しやすい体質にして、そのことによって福島への責任を果たしていくという考え方に基づくものであります。
#40
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それでは、廣瀬社長への質問があったんですがちょっと飛ばさせていただいて、また後ほどになります。
 それでは、五つ目の論点でありますが、原発依存度低減の時代に我が国原子力が目指す姿とはどこかというところの視点でお聞きしたいと思います。
 まず、避難計画についてなんですが、資料九の一に付けさせていただきました。私の地元柏崎市なんでありますが、そこの避難計画はイラストが豊富に、保存版の柏崎市防災ガイドブック原子力災害編ということで発行されまして、町内ごとにどこのところでバスに乗ってどこの避難地に行くんだというような事細かく書いてあって、大変分かりやすいものになっておるわけであります。
 一方で、新潟県の避難計画や地域協議会の避難計画、緊急時対応の策定状況は今どうなっているのかどうか。さらに、具体的には、県は原子力災害に備えた新潟県広域避難の行動指針バージョン1を策定して、県と市町村が共に広域避難の観点から必要な項目について現時点で共有できる点をまとめたものと位置付けているわけでありますが、これは、災害対策基本法第四十条で定める避難計画となるのかどうかということですね。さらに、内閣府が支援を行っている県、市町村の避難計画充実化で、何が課題で今どんな取組をいただいているのか、この辺について、内閣府、お聞かせいただけますでしょうか。
#41
○政府参考人(山本哲也君) お答えいたします。
 委員御指摘の新潟県が策定をいたしました原子力災害に備えた新潟県広域避難の行動指針バージョン1と呼ばれるものでございますけれども、これは災害対策基本法第四十条第二項第二号に規定する避難に関する事項別の計画、いわゆる避難計画に該当するものとして作成しているものということで新潟県より聞いているところでございます。
 それから、委員の御指摘のとおり、現在、この柏崎刈羽地域についての避難計画、更なる充実のための検討が進められているところでございます。これの検討に当たりましては、新潟県、関係の市町村のみならず、私ども国としましても、一体となって検討を進めているところでございます。
 具体的な課題の例を申し上げますと、例えばUPZの住民の方々が避難される際に放射性物質が付いているかどうかの確認をするための避難退域時検査、これを設定する必要があるわけでございますけれども、これをどこの場所に設定をするのか、あるいはその体制をどうするのか、あるいは、その避難先、避難経路は決まっているところではございますけれども、さらには避難手段、基本は自家用車が基本というふうに考えているところでございますけれども、自家用車が利用できない方々についてはバス等の、あるいは要介護者の方については福祉車両等の準備が必要でございます。こういった避難手段の更なる具体化に向けた検討、こういったところを関係の機関と様々に議論をいたしまして、しっかりした計画を作っていくことが必要であろうと考えてございます。
 この体制につきましては、委員御指摘の資料にありますように、それぞれ発電所がある地域ごとに地域原子力防災協議会、この場合は柏崎刈羽地域になるわけでございますけれども、この枠組みの下で国と県と関係の市町村などが参画いたしまして引き続き検討し、しっかりとした実効性のある計画を作っていくということで取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
#42
○石上俊雄君 ありがとうございます。
 今日は原子力規制委員会の田中委員長にお越しいただいておりますが、この避難計画についてです。
 IAEAの深層防護の考え方で、第五の防護レベルで避難計画などの整備が必要とされているわけでありますけれども、日本の法体系では、避難計画は設置許可基準規則における事業者規制の内容に含まれていないわけでございます。規制委員会は原子力災害対策指針を策定して、避難計画は都道府県、市町村が策定するということになっているわけですね。
 資料九の二に示させていただきましたが、アメリカの原子力規制委員会のように、避難計画も併せて審査をする仕組みの方が国民の納得や信頼を得やすく、素直な立て付けではないかというふうに考えるわけであります。
 法改正は田中委員長の担務外かもしれませんけれども、初代の原子力規制委員会委員長として、さらには五年にわたる貴重な経験、さらには福島の御出身ということでございますので、田中委員長の率直な御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
#43
○政府特別補佐人(田中俊一君) まず、原子力防災についての私どもの基本的な任務としては指針を作るということで、それに基づいて原子力防災の避難計画を各地方自治体に作っていただくということになっています。これは、今先生御指摘のように、災害対策基本法に基づいて、その地域地域の特殊性、いろんな状況を踏まえて、よく十分に承知している自治体が中心になって作った方が実効性があるだろうということになっています。
 先ほど内閣防災の方からもありましたように、地域原子力防災協議会において国の方も十分に積極的に協力しながら、実効性のある避難計画の策定を図っているところでございます。
 それで、NRC、米国の例を引かれましたけれども、まず、この図にありますように、NRCがその避難計画を見ているというのは、まず、アメリカは日本と違いまして事業者が防災計画を作るという側面があります。ですから、その点をきちっと見ていくということがありますので、若干、規制委員会、規制庁がその地方自治体が国と相談しながら作ったものを被規制者というような形で見るというようなのは、そもそもが考え方の上で大分違うというところがあると思います。
 私どもとしては、やはり今のように地域の実情をよく承知している自治体が避難計画を策定し、それに基づいて様々な訓練をして更に改善を図っていくということが最も適切だろうというふうに考えています。もちろん、その際には、私どもも含めまして、国全体として実効的な避難計画の策定に協力していくということにしていきたいというふうに考えております。
#44
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 続きまして、資料十に示させていただきましたが、日本のエネルギー自給率、これは福島の事故以降、三・一一の東日本大震災以降急落しているわけでございまして、電力料金も高止まりしているといったところにあるわけであります。
 一方で、原子力の安全と信頼回復は大前提になるわけでありますが、CO2の問題等を考えると、まだまだ日本としても原発依存度低減の時代で行うべき取組が何かあるのではないかなというふうに考えるわけでございます。この辺について岡委員長にお伺いしたいと思いますし、岡委員長は御自身のメルマガ、そこの中で、被災された多数の方々には誠に申し訳なく言葉もない、もし原子力関係者の中に福島事故前の状態に戻りたい、戻りつつあるのではないかと考える方がおられるならば、それは大きな誤りであると述べられつつ、原子力利用に関する基本的考え方では着実な軽水炉利用に向けた取組を明記されておるわけでございます。脱原発や即ゼロでなく、どういうことが本質的課題とお考えか、併せて岡委員長にお伺いしたいと思います。
#45
○政府参考人(岡芳明君) お答えいたします。
 日本の原子力発電利用については、自主的安全性の向上、規制の改善によって安全性と経済性が米国では両立しております、この事例を参考に、原子力発電所の発電電力量増加、重要事象、事故事象の発生率低減などを目指すのがよい、この結果、国民に安全で安価な原子力発電の役割が実感していただけるように関係者が努力するのがいいと思います。
 東京電力福島第一原子力発電所事故をきっかけに、原子力の規制は独立いたしました。原子力利用についても改善の必要がございます。事故前と同じ考え方で利用すると、以前より良い状態にはならないと思います。これが先ほど御指摘のあった点で申し上げたことでございます。
 国に依存する思考方式から脱却し、原子力利用のニーズに合わせて原子力関係機関及び関係者が知恵を絞りつつ役割を果たすように自ら変革する必要がございます。その際には、日本人の集団主義や現状維持意識などの国民性は我々の価値観や社会構造の中に深く組み込まれておりますので、留意する必要がございます。
 さらに、原子力関係機関の縦割りを改め、情報交換や共同作業を進め、それぞれの機関が自らの役割を果たすような連携を生み出すことも重要であります。例えば、軽水炉長期利用と安全、過酷事故と防災、廃止措置と放射性廃棄物といったテーマについて、研究開発における連携から着手するのがよいと考えております。
#46
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間ももうなくなっちゃったんですが、最後の論点でありますけれども、原賠法から導き出せるということで過去分という言葉ですね、この点について、もう時間がないんですけど、ちょっと議論をしたいと思いますが、過去分という言葉が出たときに、そもそも出たのは貫徹委員会でエネ庁から出たということが始まりなわけでありますが、そこの中で出席委員からは、資料の十一にも付けさせていただきましたが、ウルトラCとか驚きの声とかあった一方、まあ致し方ないなという意見もあったというところでございます。
 そんな中で、日本の原賠法の十六条で政府の援助が具体的に整備されなかった問題は確かにあるわけでありますが、その答えが支援機構法であり、事故に対しては事前保険も重要であるわけでありますが、事が起これば、事後ではあるけれども十分な対応が取れる制度を整備しておくこと自体が一種の保険と考えるという考え方もあるわけでございまして、こういう考えに基づき、この過去分ということに対してちょっとしっかり整理しないといけないんじゃないかなと、そういうふうに思うわけであります。
 そこで、十三の二に示させていただきましたが、本来、こうした万一の際の賠償への備えは1Fの事故以前から確保されておくべきだった。しかし、だから過去分の回収と立論してしまうと、1F事故までは、日本の原賠制度を事前保険に限定してしまうように見えてしまうわけです。過去分ということで言ってしまうと、返す刀で、じゃ、今動いているやつについてはしっかりそれが積み立たないと駄目よという話になってくるわけでございまして、本質的に、1Fの事故が起こったときには、国民の皆さんは何とかしたいというふうにやっぱり考えるわけですね。何かしたい、何かすべきだという感じがあるわけで、その収穫方法として、税とか電気料金、どちらがいいかという議論に、本質はそこに来るんではないかということでございます。
 したがって、1F事故時も含めて、そこまでについては、制度の不備とかいろいろあるわけでありますけれども、何というんですか、何か皆さんからの気持ちをしっかり大事にさせていただいて復旧に寄り添うという、事故の被害者の復旧復興に寄り添うというところを大事にしていただいて、事前の保険、さらには事業者間の相互扶助、そして国の支援という三本立てで対応させていくということが本来のあるべき姿ではないかなというふうに思うわけであります。
 このことについて、最後になりますが、世耕大臣のお考えをお聞かせください。
#47
○国務大臣(世耕弘成君) この仕組みの一番難しいところでありまして、この限られた時間で答弁するのがなかなか難しいんですが、この原賠機構法というのが震災後に措置をされました。これは1Fだけを取り扱っているものではなくて、これ今後、起こってはいけないんですけれども、万が一起こった場合の事故も含めたいわゆる積立て、各電力事業者の負担金という形になるわけであります。
 実は、このままやっていってもよかったんです。よかったんですが、電力自由化というのが起こってきて、今までは既存の電力会社の請求書が全家庭に行っていたわけなんですが、これが今後は必ずしも行かないという状況になる。まだ今のように新電力のシェアが数%という段階ではそんな大きな問題ではありませんが、今後競争が進展してきて、例えばもう既存電力会社のシェアが五〇%になった、では、五〇%の人しか既存の電力会社から請求書を受けないということになったときに、この負担金を負担する人というのがかなり範囲が限られてくる。そういうときに、過去の原子力によって受益をしていた人の負担の公平性というのはどうなるんだということからこの過去分というのが出てきたわけであります。
 こうやって答弁していてもなかなか難しいわけでありますけれども、この辺を、特に福島のための費用の負担なんだということを国民の皆さんに御理解をいただけるように、一方で、これからの分については、当然、新電力を選定した方々には負担もいただいていないということも分かりやすく説明をする努力を続けていきたいというふうに思います。
#48
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 一部質問ができなかった部分もございます。どうも失礼しました。
 以上で終わります。
#49
○伊藤孝江君 おはようございます。公明党の伊藤孝江です。
 短時間ですので、早速質問の方に入らせていただきます。
 原発事故からの復興再生に関する費用に関して、まず東電が責任を持ってというところに関しては当然としましても、現実には東電だけでは経済的な負担は賄い切れないと。その中で、電気料金など、どういう形でかというのはありますけれども、国民が一部負担をしなければならないという現実もあります。先ほども復旧に寄り添うという話もありましたけれども、東電の供給エリアの方のみならず、国民全体でどのような形で協力をしていくのかというところも今大きな課題になっております。
 その中で、東電改革についてというところでの費用の捻出ということがありますが、そこで、先日の参考人質問の中でも、国民の納得という点も一つ橘川教授からも挙げられていた中でありました。橘川教授におかれては、東電の資産売却が先行しなければ国民は納得することができないというような形での表現ではありましたけれども、また、託送料金、税金といったどういう方法を取るにしても、結局は、国民が広く協力していくに当たって、まず東電自身がしっかりと努力をしていって、やれることをやっていただくというのが大前提だということに変わりはないと思っております。
 原発事故の対応で、またそれを今後にどのように生かしていくのかというその東電の姿勢に対する納得と理解というのは、東電改革のみならず、東電の在り方、また、世耕大臣も最初におっしゃられていた企業としての発展、これからの発展ですね、そこからの資産の確保、そしてこれからの電力システムの在り方にも関係してくることかと思っております。
 ただ、国民の納得、理解というところは、抽象的なことでもありますし、どう捉えていくのかというのも難しいと言わざるを得ないのが現状だと思います。今後、東電改革を進めていくに当たり、国としては国民の納得というものをその方向性を決めていくための判断材料の一つとするのか、その辺りの基本的な考え方について、世耕大臣より御説明いただけますでしょうか。
#50
○国務大臣(世耕弘成君) やはり国民の納得というのは非常に重要だというふうに思っております。
 資産売却という点でいきますと、これは当然国民に御納得をいただかなければいけませんから、いわゆる事業に使っていない、直接使っていない資産については東京電力は当然極力売却すべきだというふうに思いますし、これまでも行ってきていると思います。例えば、空いている土地ですとかあるいは保養所の類いとかですね、こういったものは今まで売却を進めてきているはずでありまして、総額すれば八千億円を超えるぐらいの売却の収入も得ているはずであります。
 ただ一方で、電力事業に使う資産、これを売却をするというような話、橘川参考人の御発言にもあったような話は、それは一時的な収益は上がるかもしれませんけれども、電力事業を運営していくことによってキャッシュを稼いで、そしてそれを福島の廃炉・汚染水対策に充てるということは困難になってしまうわけであります。
 この福島の廃炉・汚染水対策の事業というのは今後何十年も掛かっていく事業だという観点に立てば、やはり電力事業に係る資産についてはしっかり東京電力は保有をして、そして合理化によってフル活用をして、よりキャッシュを生み出していくことが重要だというふうに思っていまして、そのことが逆に国民負担の軽減にもつながって、国民の皆さんにも納得がいただけるようになるのではないか。ただ、仕組みは非常に難しいので、納得いただくためには、東電も含めて、国も含めて丁寧な説明を続けていく必要があるだろうと思っております。
#51
○伊藤孝江君 その国民の納得というのを得ていくための努力をしていただくということは今教えていただいたんですけれども、ただ、実際その国民の納得というものをどのように判断していくのか、何をもって国民の納得というふうに進めていくのかというところについて、併せてお聞かせいただければと思います。
#52
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
 今御答弁大臣からありましたとおり、国民の理解、納得を得ながらこの改革を進めていくということは極めて重要なことだと認識しております。国民の理解、納得を得ていく上で大事な点、まず、今御答弁ありましたように、改革のその中身を、これなかなか難しい内容も含んでおりますけれども、丁寧に説明をしていくと、これがまず第一だと思っております。その上で、改革の進捗に応じてきめ細やかに適切な情報の開示をしていく、国民の皆さんからまず見えるようにしていく、それから、積極的に発信を政府としてもしていく、そのことによって国民の皆様に情報が届き、国民の皆さんの反応を我々としてもしっかり見届けられる、このようになってくると思いますので、そこの情報の開示、それから情報の発信、これを徹底していくことが大事かというふうに思っております。
 改革の中身につきましては、昨年、東電委員会におきまして、まず三つの方針ということで、まずは福島の方々が安心できるような改革、それから国民の納得が得られるような改革、それから三つ目としまして、昼夜を問わず第一線で頑張っておられる現場の方々の気概が損なわれないような改革、この改革の方向性について議論していただくということで、東電委員会で徹底的に議論いただきまして、昨年末にその方向性が示されたということでございます。
 この中身には、従来の東電改革、企業の合理化、単なる企業の合理化努力を超えまして、他社との連携によって合理化を進めていく、それから、ダウンサイドじゃなくてアップサイドの価値も生み出していく、収益も生み出していく。これを、長い時間は掛かる部分もあるけれども、しっかりと国民の皆様に還元していく、消費者の皆様の利益につなげていくと、こういった取組でございます。
 したがいまして、先ほど大臣から御答弁もありましたように、ワンショットで何か利益が得られるように見えても、実際はしっかり資産を持って収益、利益を上げていくことの方がいいようなこともありますので、そういったことを丁寧に分かりやすく説明をしていくということを徹底していくということに意を尽くさせていただきたいと思います。
 このような中で、改革の意図、意義、それから進捗状況ということを積極的に発信をして、その反応をしっかりと見させていただきながら、国民の皆様に徹底的に理解を得られるように取り組んでいくということを基本方針として取り組まさせていただきたいと、このように考えております。
#53
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 今、情報開示とまた発信というところで改革の意図や意義もしっかりと御理解いただけるようにというようなお話がありましたけれども、これからまた更に長期にわたっての取組を進めていく中で、これまで以上に何か国民への発信というところで考えておられることがありましたら、教えていただければと思います。
#54
○政府参考人(村瀬佳史君) 情報発信という意味では、まず、今回の改革の中で、国民の御負担が発生する部分について消費者の方々に御理解いただけるようにということで、先ほど議論になっております過去分につきましては、月々皆様のお手元に届くいわゆる料金明細票の中に御負担ができる限りはっきりと分かるように取り組むということを措置させていただくといったようなことをやる。それから、第三者機関でありますところの、先ほどにもありましたけれども、電力取引等監視委員会のフォローアップを受けながら、この第三者委員会からの評価といいますか、改革の評価ということも積極的に発信していただきたいと、このように思っています。
 さらには、実は、これまでのいろいろな過去分に類する措置について、我が省のホームページでも、制度の中身についてホームページ上で説明をしてきているところではあるんですけれども、なかなかそれが十分な内容になっていないという御指摘もありますので、日々の改善努力の中で、今回講じた措置も含めて、ホームページですとかその他の我々の情報発信ツールを最大限活用いたしまして総合的な取組をしていきたいと、このように考えているところでございます。
#55
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 では、話は変わりまして、機構が今東電ホールディングスの筆頭株主であるということがあります。筆頭株主としての責任の在り方についてということでお伺いしたいと思っております。
 東電ホールディングスには、今現在、株主として、機構のほかに東京電力の従業員持ち株会、また東京都、金融関係、個人の方を含め多くの人や法人が存在しています。東電改革を進めていくに当たっては株主総会などの手続を経ることが必要となるということもあると思われますところ、東電又は国が進めていきたいと考える方向性があっても、特に経営という観点から他の株主の方と利害が一致しないということもあるかもしれません。これまでは、まず賠償、まず除染という本当に目の前に直面した課題への取組、当面の取組が中心ということもあって合意形成がしやすかったと思いますが、これからは、長いスパンの中で他の株主の協力を得られることばかりではないかもしれないという現状があります。
 その中で東電改革を進めていく上で、例えばほかの株主への働きかけなど、これまで筆頭株主として機構が動いてきたことはあるのでしょうか、また、現状において機構が筆頭株主として果たしている役割にはどのようなものがあるか、お教えいただければと思います。
#56
○国務大臣(世耕弘成君) まさに機構が筆頭株主であるがゆえに、こういった東電改革の取りまとめとかそういったこともできてきたんだろうというふうに思っております。
 機構が筆頭株主でなくなったらどうなるのかと。これはまだ大分先のことですから、今余り想定はしておりません。どちらかというと、機構が筆頭株主の間に改革の道筋をしっかり付けて、もう後戻りはすることがないようにしておくということが大切かなというふうに思っております。いずれにしても、機構が株主でなくなったとしても、賠償や廃炉が滞るようなことがあっては絶対ならないわけであります。
 政府は、機構を通して筆頭株主であるということ以外にも、様々な許認可権も持っているわけであります。株式を売る売らないにかかわらず、例えば原賠機構法が定める総合特別事業計画の認定というのもこれは国の権限として残っていくわけでありますから、こういったことの着実な履行の確保などを通して、東京電力に対して福島の責任をしっかりと果たしていくよう求めていきたいというふうに思っております。
#57
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 今大臣にお答えいただいたことと少し関連するところにはなるかと思いますけれども、元々、東電の株式を売却をして四兆円相当をしっかりと捻出をしていくというところが、一つ到達する目標としてはそこではあるかと思うんですけれども、実際に四兆円まで株価が上がるのかどうかというところに関しては、しっかりと焦点が当てられていろいろ議論が進んでいるかと思うんですが、本当に実際に株式を売却してしまうとなると、機構が株主ではなくなってしまって、新たな株主がそこに入ってくると。その新たな株主によって、東電の経営、また賠償であるとかいろいろな方向性についてマイナス面の影響を与えられてしまうことがないのかというのもやはり懸念するところではあるかと思っております。
 今、先ほどの世耕大臣の答弁で、そういうことは影響がないようにするということではあったかと思うんですけれども、改めての確認としまして、もちろん四兆円相当の回収というところでの大きな一つの目標はあるかと思うんですが、決してその回収というだけではなく、株主として、また東電の今後をどうしていくのかというところに国としても関わり続けていくというところに関して、回収ありきではないと、それだけではないということですね、回収だけを考えて売ってしまって、終わりですということではないということについて、また改めてお答えいただければと思います。
#58
○国務大臣(世耕弘成君) 回収ありきではないとまでは言えないんですね、これ除染費用はやはり売却益で回収をしていくということになっていますから。そこへ向けて東京電力の企業価値を上げていって最終的には売却をするということがこの仕組みの大前提になっているわけでありますが、先ほども申し上げたように、原賠機構法の縛りが掛かっています。あるいは、その他、経産大臣は例えば託送料の許認可権も持っているわけでありますから、そういった法律上の権限も行使をしながら、しっかりと東京電力が福島に対する責任を果たしていくようにやっていきたいと思いますし、ともかく、国が筆頭株主である間にやはり改革の道筋をしっかり付けて、もう後戻りをしないようにしていきたいと思いますし、万が一売却したとしても、やはり株主の方々にもこれは社会的責任があるわけでありますから、そういう方々の良識にも期待をしたいというふうに思っております。
#59
○伊藤孝江君 ありがとうございました。以上で終わります。
#60
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 世耕大臣は、所信で、福島の復興と安全かつ着実な廃炉・汚染水対策は経済産業省が担うべき最重要課題だと述べて、本法案の趣旨説明でも、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施は福島の復興再生の大前提だと述べています。
 事故の収束、廃炉・汚染水対策を着実に進めていくためには、そこで働く労働者の皆さんが安心して働き続けることができるように、健康管理に対して万全の体制で臨んでいくことが欠かせません。
 そこで、初めに、東京電力福島第一原子力発電所で廃炉・汚染水対策に携わる労働者の問題について、厚生労働省にお聞きをいたします。
 国は、福島第一原発構内に健康相談窓口を設置しましたけれども、この設置の経緯、相談件数、そして主な相談内容についてお答えください。
#61
○政府参考人(田中誠二君) お答えいたします。
 健康相談窓口の設置の経緯でございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所での廃炉作業に従事される方が作業中や作業時間外に体調を崩されたり、あるいは持病を悪化させたりする事例が少なからず発生いたしまして、現場で働く方々の健康管理を強化する必要があるというふうに認識し、厚生労働省として平成二十八年七月から設置をしたものでございます。
   〔委員長退席、理事石上俊雄君着席〕
 この健康相談窓口では、毎週一回、労働衛生専門の医師による対面の相談を実施しておりまして、相談件数は平成二十八年度で四十一件となっております。主な相談内容ですが、労働者とそれから事業場の健康管理担当者の双方からの相談を受け付けておりますが、労働者からは体調不良に関するものがありまして、また、事業場の健康管理担当者からは、医療機関によってその労働者が就業可能かどうかの判断が異なるがどう対処したらいいかとか、あるいは健康診断の有所見者に対してどのような措置をしたらいいのかといった健康診断結果に関するものなどがございます。
 これに対して、相談を受けた医師が問診とかアドバイスを行っているところでございますが、現在のところ、ほとんど事業者の健康管理担当者からの相談となっておりますので、労働者本人からの相談についても今後強化していく必要があると考えております。
#62
○岩渕友君 東京電力が責任を果たすというのは当然のことなんですけれども、廃炉・汚染水対策がこれからも長く続くということを考えると、国がこの健康相談窓口を継続していくということが大切だというふうに考えます。
 次に、東京電力にお聞きします。
 東京電力が福島第一原発構内に設置をしている救急医療室について、この救急医療室の受付件数、そして主な相談内容についてお答えください。
#63
○参考人(廣瀬直己君) お答えいたします。
 緊急医療室というのは、その名のとおり、けがをされたりあるいは熱中症といったような緊急の患者さんの初期の治療を行うこと、また、その後病院に搬送される場合がございますので、それまでの状態を安定させるというような目的でつくられておりますが、元々、そうした大きなけがや病気でなくても気軽に、ちょっと今日は調子が悪いというようなことでも是非治療室に訪れてほしいということを我々積極的に呼びかけております。それは、元請さんを通じて広くお一人お一人作業員の方々にとにかく行きなさいというようなこと、あるいはウエブサイトが1Fの中にございますので、そこでも積極的に呼びかけているところでございます。
 そうしたことをやってきたわけですけれども、事故当初はやはりかなりの患者さんというか、方が訪れておりまして、平成二十三年から二十六年までは百五十人とか六十人、百七十人、百九十人、そのぐらいの、毎年百人台の後半の方々が治療されております。
 ところが、この二年ぐらい随分減ってきまして、平成二十八年度、終わった二十八年度は全体で六十八名の方が訪れておりまして、月間で見ましてもゼロの月もございましたし、一番多い月でも九名ということがありました。
 これは、随分減ってきたのは、御存じのように、大分場所の線量を下げまして、全面マスクの要らない区域が随分広がったり、それから熱中症対策も、当初随分ありましたですけれども、随分休憩所を、出前の休憩所を置くとか水の補給ができるようにするといったようなことをやってきた結果で少しずつ減ってきているのかなというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。
   〔理事石上俊雄君退席、委員長着席〕
#64
○岩渕友君 大きなけがや病気じゃなくても何となく体調が悪いと、そういうことでも気軽に来てほしいというようなお話で、来室がない月も最近ではあるということでしたけれども、会社から労働者の方が、救急医療室に行けばどこの会社かなどと聞かれるから行くなと、こういうふうに言われている方、会社に迷惑が掛かるので行くことができないという方もいるんだというふうにお話もお聞きをしました。
 四月の二十三日に全日本民医連がいわき市の小名浜生協病院で行った原発労働者への健康相談会の中では、免疫力が落ちた気がする、風邪を引きやすく、だるくて疲れやすい、頭痛もある、休んでも疲れが取れない、こういう方や、元々高血圧など持病があったけれども、症状はなかった、ところが、だるさや虚脱感があって休日は全く動けない、こうした相談が寄せられています。
 先ほど、持病が悪化しているというようなことも答弁の中にありましたけれども、この持病が悪化したということも含めて、健康管理をしていくということが重要です。
 また、東京電力が行ったアンケートでは、救急医療室について、風邪や頭痛など軽い症状で受診すると作業に影響が出てほかの方に迷惑が掛かるので受診しづらい、移動などは団体行動のために立ち寄る時間が取りづらい、場所が分からないといった意見も出されています。
 国が設置した健康相談窓口は週一回ということでしたけれども、週一回の四時間ということなんですよね。東京電力と国が福島第一原発で働く労働者にとって利用しやすい救急医療室、そして健康相談窓口に改善をしていくということが必要だというふうに考えます。
 この健康管理には健康診断が欠かせないわけですけれども、会社に在籍をしていなければ健康診断にお金が掛かるということで、受けることができないという方もいらっしゃいます。原発事故後、一度でも福島第一原発で働いたことのある労働者の健康診断を無料で受けられるようにする必要があるのではないでしょうか。また、健康診断の結果、要精密検査、こういうふうな結果になる方もいらっしゃいます。精密検査を無料で受けられるようにする必要があるのではないでしょうか。これ、厚生労働省にお聞きします。
#65
○政府参考人(田中誠二君) 健康診断の結果で要精密検査とされた方が確実に医療機関を受診することは非常に重要であると認識しております。
 このため、厚生労働省で定めたガイドラインにおいては、東京電力に対しまして、元請だけでなく下請も含めた全ての関係請負人の作業員について安全衛生管理体制を構築することを求めております。東京電力においては、ガイドラインに従い、昨年の夏より健康診断の結果で要精密検査とされた方が医療機関を受診しているかどうかを元請事業者経由で報告させ、受診状況を確認、フォローする取組を行っており、これを通じて精密検査等の受診の徹底を図っており、一定の成果が出ていると聞いております。今後とも、廃炉作業従事者について必要な精密検査が確実に行われるように、東京電力等に対して指導してまいりたいと考えております。
 なお、労働安全衛生法上、事業者に実施が義務付けられている定期健康診断の費用については、当然事業者が全額負担すべきものでございますが、健康診断結果を踏まえた精密検査につきましては、一般的には事業者に実施を義務付けておらないため、事業者に対して精密検査費用の負担を求めることは難しいと考えております。
#66
○岩渕友君 廃炉作業が非常に重要だということ、そして労働者の皆さんがやっぱり特別な作業の中で大きなストレスを感じながら仕事をしているというふうに考えると、確実な受診ということはもちろん大切なんですけれども、無料で安心して受けられる、働き続けられるということが必要だということを指摘をしておきたいと思います。
 この長く働いている労働者の皆さん、長く働いていれば分かることがあるんだというんですね。例えば、原発構内で図面と実際の配管が違うということがしょっちゅうあると。でも、そういった違いにも気付くことができるし、使用済核燃料をキャスクに入れて蓋をする作業など非常に技術が必要だというふうに思うんですけれども、経験ある労働者が行ってもプールのへりに少しだけぶつけることがあって、ほんの少しぶつけただけでも大きな衝撃、扱っているものが大きいので衝撃も大きいと。
 廃炉作業がどのくらい掛かるか分からないといった状況の中で、熟練した経験のある労働者の力と同時に、人材を育てていくということが必要です。そのためにも、経験ある労働者が長く働き続ける環境をつくることが必要です。
 先日、大臣はチェルノブイリに行かれていますが、チェルノブイリでは、原発で働く労働者に対して家族で住める住宅が用意をされているとか、十分に事前の研修が行われていたり、給料も多く払われる、年金も優遇されるということで、労働者が国の役に立っている、そういう使命感を持って働いているということだそうです。こうした対策が福島原発の廃炉に携わる労働者にも必要だと考えます。
 この長く続く廃炉・汚染水対策に携わる労働者の健康管理と人材確保の重要性について、大臣はどのように認識をしていますか。
#67
○国務大臣(世耕弘成君) 先日、私もチェルノブイリを見てまいりました。そこでも作業員の方々が整然と働いておられるお姿も非常に印象的でしたし、作業員の方々の、あそこはもう三十キロ圏内全部強制移住という形になっていますので、その移住された後の住宅を活用して作業員の宿舎のようなものが確保されているということでありました。
 福島第一原発については、幾ら立派な法律や制度を整備しても、あるいは資金の確保をしても、最終的に廃炉作業をやっていただくのは一人一人の働く方々でありますので、そういう方々をしっかりと確保をするということ、そしてその方々の健康管理をしっかり行っていくということは非常に重要だというふうに思っております。その観点から、東京電力では全作業員の健康診断及びその結果に基づく検査、治療についての受診確認体制の構築を行っておられる、あるいは一人一人に確かに長く働いていただくといろんな経験値が積み上がっていくという点がありますので、協力企業の人材育成確保に配慮をして、発注期間を長期化するといった取組をやっていただいているところであります。
 委員の皆さんにも1Fを御視察をいただいた、私も行きましたけれども、本当に線量の管理ですとかそういったものも徹底していますし、もう今九五%でほぼ作業服と防じんマスクだけで作業が可能になるという状況になっていますし、食堂があったり大きな休憩所があったりして、大分働きやすい環境の整備もしっかりと進んできているというふうに思っております。今後とも、作業員の健康管理を始め、人材の安定的な確保に向けて、東京電力が取組をしっかり行っていくよう指導をしていきたいというふうに思っております。
#68
○岩渕友君 先ほど紹介をした健康相談会の中では、たった三分間でアラームが鳴った現場もある、自分は退避をしたけれども残って作業をする同僚もいた、自分は使い捨てにされた、危険手当をピンはねされていたことにも怒りが沸いてくる、危険手当のピンはねが問題になったときに一回だけきちんと支給をされたけれども、文句を言うと首になる、こうした実態も併せて寄せられています。
 厚生労働省が今年の三月に発表をした東電福島第一原発で廃炉作業を行う事業者に対する監督指導結果の中では、労働基準関係法令違反があった事業者は四六%、そのうち安全衛生関係が二割、労働条件関係が六割というふうになっています。健康管理が適切に実施されているとは言えない実態、危険手当がピンはねをされているという実態が今もあります。長く続く廃炉・汚染水対策を着実に進めるための人材確保という意味でも、健康管理、労働条件についても大臣が実態を把握して、必要な指導を行うべきです。
 次に、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップについてお聞きをいたします。
 この中長期ロードマップでは、二〇一一年十二月のステップ2の完了から、二〇一三年十一月十八日に四号機の使用済燃料プールから燃料の取り出しを開始したことをもって第一期を終了したとして、その第一期終了から初号機の燃料デブリ取り出し開始までを第二期として、ステップ2完了から十年以内を目標としています。今年の夏には号機ごとの燃料デブリの取り出し方針を決定して、二〇一八年度の上半期には初号機の燃料デブリ取り出し方法を確定するとあります。
 この取り出し方針の決定というのは具体的にどういうことを決めるのか、経産省、お答えください。
#69
○政府参考人(平井裕秀君) お答え申し上げます。
 御説明ありました本年夏頃をめどに決定することを予定しております燃料デブリの取り出し方針ということにつきましては、今後の取り出し工事のための具体的なエンジニアリング作業の基本とするべく、取り出し工法の大まかな考え方を示すことを考えているところでございます。具体的には、先ほど石上委員の御質問に対して山名理事長が号機ごとに詳細に方向を御答弁申し上げたとおりでございまして、原子炉のどの方向からどのように燃料デブリにアクセスするのかといったことですとか、水位管理をどのようにするのかといったようなことについての考え方を示すことを考えているところでございます。
 この考え方の検討は、現段階における研究開発成果や調査結果、そして原賠・廃炉機構における実現性評価等を踏まえて行われることになりますが、できるだけ早い段階であらかじめ大まかな考え方を示すということが以後の作業を具体化していく上で非常に重要なプロセスであるというふうに我々重く受け止めているものでございます。
#70
○岩渕友君 第一原発の二号機にカメラと線量計を搭載したロボットを投入した調査の中では、デブリの実態を把握できないままにロボットが途中で走行できなくなるということがありました。こうした状況で、今年の夏までに取り出し方針決めることができるというふうに考えているのか、経産省。
#71
○政府参考人(平井裕秀君) お答え申し上げます。
 燃料デブリの取り出しに向けましては、中長期ロードマップに基づきまして、原子炉格納容器内の状況把握に取り組むということをまず第一に考えまして、この工法の実現性評価を進めているところでございます。
 炉内状況の把握ということにつきましては、御指摘のありました一月から二月にかけて実施された二号機における調査、ここにおきましては、先ほど山名理事長からもお話がありましたけれども、原子炉圧力容器の直下の状況を初めて直接確認することができましたとともに、三月に実施されました一号機における調査におきましては、燃料デブリが存在すると想定されております格納容器底部付近の多くの地点での放射線量等のデータを取得することができております。こうしたところで着実に成果、データの取得ができているところでございます。
 三号機におきましても、今月初めから宇宙線ミューオンを活用した調査を開始したところでございます。遠隔操作ロボットを活用した調査も今後実施する予定にしておりまして、順次そうしたデータが集まってくることを想定しております。
 また、現在、原賠・廃炉機構におきまして燃料デブリ取り出し工法の実現性評価を進めているところでございまして、こうした調査検討結果を踏まえて、本年夏頃をめどに、号機ごとの燃料デブリの取り出し方針、これは予定どおり決定するということの考え方でいるところでございます。
#72
○岩渕友君 中長期ロードマップでは、二〇二一年内には第二期を終了させて、廃止措置終了までを第三期としています。ステップ2完了の後三十年から四十年後を目標としているので、二〇四一年から二〇五一年ということになります。
 燃料デブリを取り出してから廃止措置終了までというんですけれども、この廃止措置終了とはどういう状態のことでしょうか。
#73
○政府参考人(平井裕秀君) 廃止措置終了の状態というところについての御質問でございますが、この燃料デブリ取り出し開始後の第三期に、燃料デブリ取り出しや廃棄物の処理、処分についての検討結果を踏まえながら、規制当局の御意見も伺って、この在り方を決めることとしているところでございます。
#74
○岩渕友君 現段階では決まっていないということですよね。
 これ、確認をするんですけれども、通常炉の廃止措置終了というのはどういう状態のことをいいますか。
#75
○政府参考人(青木昌浩君) お答えいたします。
 現行法令上、発電用原子炉施設を廃止しようとするときには、施設の解体、保有する核燃料物質の譲渡し、核燃料物質による汚染の除去、そして核燃料物質によって汚染されたものの廃棄等の原子力規制委員会規則で定める措置を講じなければならないとされております。
 具体的に御質問のありました廃止措置を終了したときの確認ですが、その確認項目の一つとして、廃止措置対象施設の敷地に係る土壌そして当該敷地に残存する施設について放射線による障害の防止の措置を必要としない状況にあること、そういったことを含めて確認することとしております。
 以上でございます。
#76
○岩渕友君 レクの中では、これまで廃止措置計画が認可された原発は全て更地にすることになっていますというような話もありました。
 日本ではこれまで廃止措置を完了させた原発があるかないか。あるかないかで答えてください。
#77
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
 我が国におきましては、いわゆる商業用原子炉の廃止措置が終了した事例はございませんけれども、試験炉では、日本原子力研究開発機構のJPDRという動力試験炉がございまして、これは運転開始が一九六三年、運転終了が一九七六年でありますけれども、このJPDRの廃止措置が一九九六年三月に終了しているところでございます。
#78
○岩渕友君 国内で廃止措置中の実用原子炉は、廃止措置計画認可日から廃止措置完了までにそれぞれどれぐらいの期間が掛かるのか、どういう見込みになっているのかということで、玄海原発なんかは二十六年だと、島根は二十八年ということで、通常炉でも大体三十年ぐらいは掛かるというふうになっているんですよね。
 過酷事故を起こして放射線量が非常に高い福島第一原発が三十年から四十年でこの廃炉終了できるのか、これ本当に疑問だなというふうに思うわけなんです。
 資料一を御覧ください。これ、二〇一一年十一月に東京電力が公表した福島第一原発の二号機、三号機の炉心の推定状態になっているんです。この二〇一一年の状態と二〇一六年の状態、このデブリの状況が大きく異なっているわけですよね。先ほども言ったように、二号機にロボット投入して分かったのは、圧力容器の下に大きな穴があって、黒い塊があって高濃度の放射線量になっていたということで、原子力デコミッショニング研究会会長の石川迪夫氏は四月二十四日付けの電気新聞で、ロードマップは事故直後の混乱期に作られた、これまで三度見直されたけれども、まだ工程上の議論はない、無駄な費用と被曝を伴うなら工程を延伸すべきだというふうに述べています。
 そこで、大臣にお聞きするんですけれども、ロードマップの工程を早急に見直すべきではないでしょうか。
#79
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘の中期ロードマップは、三から四十年後の廃止措置完了を目標として、これに向けた対策や工程をお示しをしているところであります。
 廃止措置完了期間もだから十年ぐらいの幅があるわけです、三十年から四十年後ということでありますから。ですので、全体として見て、現時点で一部の工程に遅れはありますけれども、着実な進捗も見られているわけでありまして、この廃止措置完了の工程を直ちに見直すことは考えておりません。引き続き、三十年から四十年後の廃止措置を確実に成し遂げるべく、廃炉・汚染水対策をしっかりと進めて、福島の皆様の復興、安心につなげてまいりたいと考えております。
#80
○岩渕友君 これまで聞いてきた状況から考えると、廃炉まで時間も費用もどれだけ掛かるか分からないということです。廃炉費用については東京電力が負担するといいますけれども、送配電事業の合理化で捻出した費用は、本来なら託送料の値下げに充てて、東電の利用者に還元するべきものだと。
 この問題については、四月二十七日の参考人質疑の中で消費者代表の大石参考人がいろんなことを述べられていますけれども、経営合理化分を廃炉費用に充てるということは託送料金の不正使用であって、違法とも言えるのではないかと思っていると、このように厳しく批判をされています。
 政府は、原発事故の処理費用の多くは東電が責任を持つんだと言っているけれども、実態はどうなっているのかと。
 ここで廣瀬社長にお聞きします。
 東京電力が被害者に支払った二〇一一年度から二〇一六年度までの賠償金について、東電の決算で特別損失の原子力損害賠償費として計上された総額が幾らなのか、金額をお答えください。
#81
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
 先生のお配りいただいた資料をちょっと使わせていただきます。申し訳ございません。
 二枚目ですけれども、下の赤字で原子力損害賠償費で六兆七千四百九十一億五千万というのがございますけれども、いわゆるこれが特別損失でございます。これまで東京電力としてこのぐらい損害賠償に掛かるのだろうということを見通し、そして交付国債のお金をこれぐらい御用意いただきたいというふうにお願いしていただいている金額で、これは特別利益でございます。
 一方で、真ん中辺にあります六兆六千五百十三億八千万円というのは、それを受けて国から今お金が交付国債という形で入ってきているわけですが、それを特別利益として計上しておりまして、これが六兆六千五百十三億八千万円ということでございます。
#82
○岩渕友君 加えて言うと、機構から資金の交付された回数は六十三回だというふうに伺っています。
 この資料二の表を見ていただいても、損害賠償に必要な資金は機構から東京電力に交付されていると。お金の流れを見ると右から左へ資金を流すだけで、東電は事故の加害者である責任を果たしているとは言えません。しかも、機構からの資金は交付金であって貸付金ではない、返済義務はありません。機構は支払った交付金の原資として国債を充てています。
 国民負担を避けるために機構は利益を国庫納付して返済することにしていますけれども、これまで国庫に納付された金額は幾らになっているでしょうか。
#83
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、原賠機構法では、毎事業年度、機構の損益計算において利益が生じました場合にはこれを国庫に納付しなければならないと、こういう規定になってございまして、これに基づきまして、二〇一一年度から一五年度にかけまして、一一年度に八百億円、一二年度に九百七十三億円、一三年度に二千九十八億円、一四年度に二千五百四十億円、二〇一五年度に二千六百三十九億円、総額で約九千五十億円が原賠機構から国庫に納付されております。
#84
○岩渕友君 交付国債は、当初の五兆円から九兆円へ、今では十三・五兆円に膨らんでいます。東電に言われるままにお金つぎ込んでいる状況です。
 東電改革提言は、東電自らの経営改革で毎年廃炉、賠償のために五千億円の資金を準備するとしています。廣瀬社長が再稼働なしで年五千億円を生み出すのは難しいというふうに述べている柏崎刈羽原発の再稼働が前提になっています。けれども、新潟県では、この柏崎刈羽原発の再稼働について、福島原発事故の原因も究明されていないのに再稼働などできないと米山知事が述べています。福島の責任を果たすためといって柏崎刈羽を再稼働させるなどということを福島県民は望んではいません。
 廣瀬社長自身が東電は破綻処理を免れているというふうに述べていますけれども、普通の会社ならとっくに潰れている状況です。東電は、法的に整理をして一時的に国有化をし、賠償と廃炉の主体を再構築することが必要です。
 資料三を御覧ください。
 賠償のための過去分としている一九六六年度から二〇一〇年度までの株主の配当収入は合計で二兆五千六百三十三億円、メガバンクなど金融機関の借入金の利息収入は六兆七千二百三十億円になっています。この社債の利息を含めると約十六兆円になります。
 東電を救済して国民に負担を押し付けるのではなくて、東電の利害関係者、株主、メガバンク、原子炉メーカーなどがまず費用負担を行うべきなのではないか、大臣にお聞きします。
#85
○国務大臣(世耕弘成君) 当然、ステークホルダーも一定の責任は果たしていただいていると考えております。株主については、やはり株価が震災前に、事故前に比べて大きく下がっているわけであります。また、金融機関についても、借換えの対応など、東電がしっかりと事業を成り立つようにサポートしているという意味で責任を果たしていただいているというふうに考えております。
#86
○岩渕友君 東電に出資をしている巨大銀行が、原発事故後も東電から累計約二千億円もの利息を受け取っていると。本法案は、福島原発事故の加害者である東京電力を救済して、福島への責任を果たすためという口実でそのツケを国民に押し付けるものであり、断じて認めることができない、このことを指摘して、質問を終わります。
#87
○石井章君 日本維新の会、石井章、皆さんの最後の質問になりますので、大分ダブるとは思うんですけれども、出がらしと言われないように、しっかり質問したいと思います。
 世耕大臣は、今月、チェルノブイリ原発を視察され、事故から三十一年たった廃炉作業にまだ着手すらできていない悲惨な状況を目の当たりにしてきたわけでありますが、我が国の原発政策の責任者であります大臣が、ゴールデンウイークの貴重な時間を外遊先の一つにウクライナの原発を選ばれたことに対しては、大変敬意を表する次第であります。
 チェルノブイリ原発事故は、福島原発第一事故とともに国際原子力事象評価尺度、INESで最も深刻なレベル7に分類されておりますが、レベルの尺度が7以上でなく、チェルノブイリの放射性物質の放出量は五百二十万テラベクレルと福島原発の約六倍の規模であることや、減速材に黒鉛を使用しない沸騰水型原子炉、これが福島であります、そしてデブリの状態の違いなど、単純に比較することは困難であります。
 しかし、廃炉費用については、チェルノブイリがバックエンドコストを除いても三十億ドルと、いわゆる三千三百億円とした場合に、福島は約五千億ドル、いわゆる約五十五兆円が必要であり、その期間も百年を超えるという研究結果も存在するのも事実であります。
 それを踏まえて、松村副大臣に御質問したいと思います。
 そこで、廃炉費用は二兆円から八兆円に増えておりますけれども、この六兆円の増額された積算の根拠について、1Fの廃炉や賠償などの費用総額は、経産省が示している見積りでは二十一兆五千億円、これまでの想定の十一兆から倍増しております。現段階にて正確な見積りは困難とは承知しておりますけれども、廃炉費用が二兆円から八兆円に増えたこの六兆円の増額の根拠について、再度御説明をいただきたいと思います。
#88
○副大臣(松村祥史君) まず、福島第一原発の廃炉というのは、これはもう石井委員も御理解のとおり、世界にも前例のない困難な事業でございます。現時点におきましては、先ほども御議論がございましたが、燃料デブリの取り出しの作業の方針でありますとか工法が決定しておりません。そうした中、政府として廃炉に要する資金を具体的かつ合理的に見積もることは困難であります。
 ただ、だからといって何もしないということではございませんで、合理的な見積りを作るのが困難ではありますが、東電改革の具体的な姿の検討でありますとか廃炉に係る制度整備を検討するためには、やっぱり一定の規模感が示されないとこれは議論が進まないわけでございますので、今般、廃炉に要する資金として約八兆円という試算の数字をお示しをしたところでございます。具体的には、機構が有識者のヒアリング結果を基にいたしまして機械的に算出した金額六兆円に、これまで準備していた二兆円を加算したものでございます。
 ヒアリングにおきましては、先ほど委員はチェルノブイリのお話をされましたが、スリーマイル島事故の事例を参考に御議論いただきまして、例えば、スリーマイル島事故におけるデブリ取り出し等に掛かった費用は約十億ドルであることや、スリーマイル島事故と比較をいたしまして、福島第一原発は一基当たりのデブリ取り出し量が最大で二倍程度あること、例えばデブリが炉内全体に分散していることや取り出しが必要な基数が三倍であることなど、こういった相違点を考慮いたしまして最大値を推測をいたしますとおおむね二十五倍から三十倍程度となり、これに物価上昇率を考慮した結果、約五十倍から六十倍程度となるとの結果が得られたところでございます。
 確保すべき資金につきましては、このような方法で計算をした結果、最大約六兆円程度と算出をされ、これまで準備をしておりました二兆円と合わせて八兆円という数字が示されたところでございます。
#89
○石井章君 ありがとうございます。
 増額の六兆分については経済産業省として評価したものではないと、また、その考え方及び定量情報についても原子力損害賠償・廃炉等支援機構が評価したものではないとされております。
 今御説明いただきましたけれども、この六兆円という数字については、これ最終的には誰が責任を持つのか。そもそも中長期ロードマップでは、燃料デブリの取り出し方法の確定が二〇一八年の上半期とされているわけであります。取り出しの方法がまだ決まらないままで金額を算出できないのではないかという、そういう考えもあるんですけれども、大臣としての御答弁をお願いいたします。
#90
○国務大臣(世耕弘成君) 確かに、いわゆるボトムアップ型で、それぞれの工程でこれぐらいの人件費が掛かるとか、これぐらいの機材費が掛かるとか、そういうのを算定した上で積算できればいいんですが、現時点では、それはまだ工程も決まっていない中で非常に難しいわけであります。そういう意味で、いわゆる責任を取れる数字、その対象が経産省であろうと原賠機構であろうと、責任の取れる数字というのは残念ながら出せないわけであります。
 しかし一方で、早く規模感を示して東電改革の道筋を示すということも非常に重要でありまして、今回は有識者にヒアリングをした上で、かなり保守的な数字ということは大きめの数字ということで試算をいただいたものでありまして、これが上振れることは現時点では想定をしておりません。この示した規模感によって東電改革の道筋を示すということ自体が、やはり我々の今執行すべき責任ではないかなというふうに考えております。
#91
○石井章君 東京電力福島第一原発事故の対応費用について、民間シンクタンクの日本経済研究センター鈴木達治郎長崎大教授らが全体の総額で五十兆から七十兆円に上るとの試算結果をまとめております。これは経産省の試算の約三倍以上でありまして、特に廃炉費用は十一兆から三十二兆円とされております。
 現在、託送料金は、見積総額を経産大臣がこれは承認するということで妥当性を確保する現行の仕組みを継続されているわけでありますが、仮に廃炉費用が上振れして大きく膨らむ場合に、廃炉費用までが今後託送料金に転嫁され、国民が負担するということにならないかどうか、再度大臣の御所見をお伺いいたします。
#92
○国務大臣(世耕弘成君) 先ほども申し上げたように、いわゆる廃炉費用が今我々が示した規模感から上振れをするということは考えていないわけであります。
 ただ、今、託送料は、いわゆる備えの不足分について託送制度を利用して回収することになったわけですが、それを実行していくに当たっては、現状の電気料金の水準と比べて国民全体の負担は増加させることがないようにしたいというふうに思っておりまして、電力会社の送配電部門の合理化などによって、今回の措置を理由に我が国全体で総じて料金が上昇することがないようにしてまいりたいというふうに思っております。
#93
○石井章君 幾つかの質問をしているんですが、ちょっと一部飛ばしますけれども、前回も私質問したんですが、何度も申し上げておりますけれども、本来は東電と株主、先ほど共産党の委員さんから金融機関に何千億もの金利も払っているということなんですが、そういった金融機関が本来であれば責任を果たして、東電が解体された後にそれでもなお費用が賄えない場合は初めて国民負担の議論が出てくるべきであるという考えは、私はずっと持っているわけでございます。国民に費用負担を納得してもらうためになし崩し的に託送料金への上乗せとするのではなく、例えば東日本大震災の復興費用を捻出するために時限的に導入されました復興特別税のような時限的な立法によって正式な租税として、その必要性についてきちんと国会で議論を経て国民に負担をお願いすべきではないかと考えております。
 先日の当委員会での参考人の中でも、私の意見に賛同する参考人もおったわけでございますが、改めて大臣の御所見をお願いいたします。
#94
○国務大臣(世耕弘成君) 託送料金については、これは現行の電気事業法上、例えば送配電網の維持管理に係る費用以外でも、例えばユニバーサルサービス費用など、全ての消費者が公平に負担すべき費用を含めることができる制度となっているわけであります。
 今回の賠償の不足分についても、やはり福島の復興を支えるという観点ですとか、あるいは新電力に切り替えた方々を含めて、原子力の電気を広く消費者が利用して受益をしていた過去の実態を踏まえて、やはり広く消費者が公平に負担すべき費用という考え方の下、現行法の下で措置できるというふうに我々は考えているわけであります。
 何もこっそりやろうとかそういうつもりではなくて、こうやって国会でも御審議いただいているわけでありますし、質疑に私も答えているわけでありますけれども、この点を更に国民には分かりやすく説明をしていきたいというふうに思いますし、当然これ幾らでも取っていいという話ではありません。
 あくまでも過去分ということで上限額を二・四兆円にし、なおかつ消費者庁の意見も聞き、独立した電力・ガス取引等監視委員会による第三者チェックも受け、さらに毎月消費者に届けられる料金明細票等において負担額を明記をする。さらに、どうしても料金明細票はスペースに限りがありますから、ホームページ等でどういう趣旨のお金であるかということも詳しく説明をしていくというなど、丁寧な説明を国民に対して行ってまいりたいと思っております。
#95
○石井章君 いろんな議論がこれからも尽くされるということでありますけれども、世耕大臣のように、右でも左でもどこから矢が飛んできても全ての答弁ができるような大臣がずっと続いて着任していただくことは非常に有り難いんですけれども、これまで原発の発電コストについては、政府はかたくなに廃炉や賠償、除染、そしてバックエンドコストを含めても他の電源に比べて安いということは譲っておりません。
 先日の政府答弁でも、事故関連費用が一兆円増加したとしても、発電単価は一キロワット当たり〇・〇二円キロワットアワーの微増でしかなく、石炭やLNGと比較しても安い電源であると、これまで同様に原発の安価神話を改めようとしていないのが現実であります。
 しかし、この電事連の算定は、運転期間四十年、設備利用率八〇%のモデル計算でありますが、民間機関による実績値での発電コスト計算では、一キロワット当たり原発は十・二五円、火力が九・九一円、水力が七・一九円という数値も示されているのも事実であります。しかも、これはバックエンドコストを含めない試算であります。
 この件に関しても、先日の当委員会の参考人質疑でも橘川先生ははっきりと原発は高いとおっしゃっております。それでも政府の原発は安いという主張は現在も変わっていないのは、これ、井原政務官にこの答弁をいただきたいと思います。
#96
○大臣政務官(井原巧君) お答え申し上げます。
 それぞれ算出の考え方あるので、先般の話では有価証券という今までの実績値で算定したらいいじゃないかという意見もあります。ただ、四十年という耐用年数を考える中で、基本的に、稼働して二年、三年でそこの決算で見るのと、四十年間稼働して、特に原発なんかは初期費用が高くて電力料金で回収できるという、こういう仕組みになっていますので、公平な意味でどちらで算定しようかというような議論の中で今の発電コストの算出方法になっている、モデル方式になっているということでありますが、私も、先生から御指摘あったので、一生懸命勉強いたしました。
 まず、この原子力の発電コストということでありますけれども、基本的には、発電原価というのは、初期費用というか設備費用に当たる資本費、そして運転維持費、新規制基準ができましたのでそれについての追加的な安全の対策のお金、それと核燃料のサイクル費用というのが、これが基本的な発電の原価になります。
 ただ、原発の場合は、それに加えて社会的費用というのが当然出てくるわけで、それは賠償や汚染、中間貯蔵等の事故リスク対応の費用と、そして立地対策とかあるいは研究開発等の政策費用ということになります。それを全部足し合わせていって割り戻していくと、やはり十・一円というのがモデルとして出たと。その後、当時の算定では、十二・二兆円というのが事故対応費用だったので、それが今二十一・五兆円で約十兆円増えましたと。それをまた割り戻していくと、先般大臣が御答弁したように十・二円から十・四円になるということでございまして、そのライフサイクル全体で見ると、八円とか九円とかいう水力の話もありますけれども、その算定方式になりますと、石炭火力は十二・三円、一般水力は十一・〇円という結果を得られたところでありまして、数字の細かい差はありますけれども、原発が低廉である電源であるということだけは間違いないと言えると考えております。
#97
○石井章君 時間も来ましたので、井原政務官、ありがとうございます。
 最後になりますが、世耕大臣には、卓越した政治家として国民のための脱原発への勇気ある一歩を踏み出して、その先鞭を着けていただきたいと期待しておりますが、最後に大臣から御答弁をお願いいたします。
#98
○国務大臣(世耕弘成君) 当然、我々のエネルギー基本計画でも原発依存度は下げていくということはしっかりとうたっておりますので、その方向で取り組んでまいりたいと思います。
#99
○石井章君 ありがとうございました。これで終わります。
#100
○委員長(小林正夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#101
○委員長(小林正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、丸川珠代君が委員を辞任され、その補欠として足立敏之君が選任されました。
    ─────────────
#102
○委員長(小林正夫君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#103
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案に対し、反対の討論を行います。
 政府は、原発事故の加害者である東京電力を債務超過させずに何度でも資金援助するとして、原賠機構法により、この間六十三回、約七兆円にも上る機構からの資金交付を行い、東京電力の虚構の黒字決算をつくり出して、救済、延命させてきました。
 反対の第一の理由は、本法案が機構に廃炉積立金制度を創設し、事故炉廃炉の実施責任は東京電力が負うとしながら、実際は巨額の廃炉費用を東京電力の利用者から託送料金に上乗せする形で回収し消費者に転嫁するもので、新たな東電救済、原発優遇、延命策だからです。
 第二の理由は、原発事故処理費用は十一兆円から二十一・五兆円に膨れ上がり、賠償費の過去分として法的な根拠もないままに消費者に不当請求するなど、国民、消費者に莫大な負担を押し付けるものであるにもかかわらず、一切の国会の関与、承認も、国民的議論の場もないものだからです。
 参考人質疑では、電力システム改革貫徹小委員会の委員であった消費者代表から、国民の声を無視した拙速な進め方であったこと、託送料金で回収することになれば青天井で転嫁されることになるのではないかと懸念されること、原子力を使わない電気を選択した消費者にも負担を求めることは選択権を奪い、電力システム改革の目的に大きく反する内容であることなど、消費者が大きな不満と不安を持っていることが述べられました。
 第三の理由は、本法案の土台にある東電改革提言が、財界人を中心とした非公開、密室の結論を、事故費用を国民にツケ回す仕組み、柏崎刈羽原発の再稼働、原発輸出という三段階の改革として国民に押し付けるもので、福島への責任を果たすといいながら、原発事故の反省もなく再稼働や原発輸出に突き進むものであり、容認できないからです。
 福島原発事故の原因は究明されず、いまだに炉心の状態すら把握できておらず、廃止措置までどのくらい掛かるか分かりません。廃炉の見通しを含む総合的な検討が不可欠です。
 東京電力は法的整理をして一時的に国有化し、賠償と廃炉の主体を再構築して、株主、メガバンクなど貸し手の責任を問い、原発利益共同体に応分の負担を求めて、国民負担の最小化を図ることが必要です。
 福島への責任を果たすというのであれば、国の法的責任を認めた前橋地裁判決を真摯に受け止め、損害賠償の打切りや仮設住宅からの退去を迫るなど福島切捨てをやめ、福島第二原発を廃炉にするべきです。そして、原発との決別を政治決断することを求め、反対討論とします。
#104
○委員長(小林正夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#105
○委員長(小林正夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、石上君から発言を求められておりますので、これを許します。石上俊雄君。
#106
○石上俊雄君 私は、ただいま可決されました原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 原子力損害賠償・廃炉等支援機構における廃炉等積立金制度の運営について、廃炉等積立金の額の決定、廃炉等実施認定事業者による積立て、取戻し、使用等の各段階における状況を分かりやすく公開・説明し制度運営の透明性の確保に万全を期すこと。
 二 廃炉等積立金の額を定める基準を明確で予見可能なものとし、また、その運用に当たっては、東京電力ホールディングスの経営状況、長期的な投資計画、廃炉等の実施状況、他の負担金等を勘案して、廃炉等積立金の額を柔軟に設定すること。
 三 東京電力ホールディングスによる廃炉の確実な実施のためには、廃炉作業に当たる関係作業員の高い意欲が必要不可欠であることに鑑み、安全第一を基本として作業員の労働環境の充実と確立に努めること。特に、燃料デブリ取出し作業に際しては、作業員の被ばく対策と安全管理・健康管理に万全を期すこと。
 また、高いレベルの原子力分野の人材を育成し、技術を発展させることは、廃炉の着実な実施のために重要であることから、関係機関がより緊密に連携して積極的に取り組むこと。
 四 廃炉等費用の試算額については、今後の廃炉等工程の進展に応じ適時適切に見直し・公表を行い、国民に対して十分な説明責任を果たすこと。また、処理済水の取扱いについても早期にその方針を決定し、その費用の合理的見積りを行うこと。
 五 東電改革の取組状況について、福島復興や事故収束への歩みが滞ることのないよう、毎年度、定期的に評価を行い、筆頭株主としての立場を踏まえ、改革の完遂を図ること。
 なお、託送原価の低減努力が着実に廃炉等費用の捻出につながるような明確なルールを設定するとともに、東電改革の取組をベンチマークとし、電気料金や託送料金の引下げなどにより、需要家に対して改革の果実が十分にもたらされるよう、事業者の適切な対応を促すこと。
 六 一般負担金に係る過去分について、需要家に負担を求める必要性について十分な説明を行うとともに、個々の需要家が負担する額についてより具体的な情報が得られるよう措置すること。また、今後、託送料金の仕組みによる同様の措置が安易に導入されることがないよう、十分な情報公開等、第三者によるチェックが可能となる措置を講ずること。
 七 原子力損害賠償支援機構法附則第六条第一項に基づく「原子力損害の賠償に係る制度における国の責任の在り方、原子力発電所の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方」について、本年秋までに検討を加え、その結果に基づき、財務健全性や自律的な事業運営が可能となるような国の関与の在り方や、費用負担等のルールを速やかに整備すること。
 また、福島第一原子力発電所の今後の廃炉等の進捗、電力自由化の状況等を踏まえつつ、廃炉等に要する資金の負担について、国の負担の在り方を含め必要な検討をすること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#107
○委員長(小林正夫君) ただいま石上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(小林正夫君) 多数と認めます。よって、石上君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、世耕内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。世耕内閣府特命担当大臣。
#109
○国務大臣(世耕弘成君) ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
#110
○委員長(小林正夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(小林正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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