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2017/04/13 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 内閣委員会 第4号
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2017/04/13 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 内閣委員会 第4号

#1
第193回国会 内閣委員会 第4号
平成二十九年四月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     矢田わか子君     蓮   舫君
     里見 隆治君     長沢 広明君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     矢田わか子君
     長沢 広明君     里見 隆治君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     矢田わか子君     蓮   舫君
     里見 隆治君     長沢 広明君
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     矢田わか子君
     長沢 広明君     里見 隆治君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     石井 準一君     小野田紀美君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     田村 智子君     仁比 聡平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         難波 奨二君
    理 事
                上月 良祐君
                高野光二郎君
                相原久美子君
                西田 実仁君
    委 員
                有村 治子君
                江島  潔君
                小野田紀美君
                岡田 直樹君
                岡田  広君
                山東 昭子君
                豊田 俊郎君
                野上浩太郎君
                和田 政宗君
                神本美恵子君
                矢田わか子君
                里見 隆治君
                田村 智子君
                仁比 聡平君
                清水 貴之君
                山本 太郎君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    松本  純君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、男女共同
       参画))     加藤 勝信君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(クール
       ジャパン戦略、
       知的財産戦略、
       科学技術政策、
       宇宙政策))   鶴保 庸介君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革、地方創生)
       )        山本 幸三君
       国務大臣     丸川 珠代君
   副大臣
       内閣府副大臣   松本 洋平君
       法務副大臣    盛山 正仁君
       外務副大臣    岸  信夫君
       文部科学副大臣  義家 弘介君
       防衛副大臣    若宮 健嗣君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        長坂 康正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       土生 栄二君
       内閣官房働き方
       改革実現推進室
       次長       小林 洋司君
       内閣官房内閣人
       事局人事政策統
       括官       三輪 和夫君
       内閣府大臣官房
       総括審議官    井内 正敏君
       内閣府官民人材
       交流センター副
       センター長    岡本 義朗君
       警察庁生活安全
       局長       山下 史雄君
       警察庁刑事局長  吉田 尚正君
       警察庁交通局長  井上 剛志君
       総務大臣官房審
       議官       吉田 眞人君
       法務大臣官房審
       議官       菊池  浩君
       法務大臣官房審
       議官       武笠 圭志君
       法務大臣官房審
       議官       佐々木聖子君
       公安調査庁次長  杉山 治樹君
       文部科学大臣官
       房審議官     白間竜一郎君
       文部科学省生涯
       学習政策局生涯
       学習総括官    佐藤 安紀君
       厚生労働大臣官
       房審議官     土屋 喜久君
       厚生労働大臣官
       房審議官     中井川 誠君
       厚生労働大臣官
       房審議官     坂口  卓君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○内閣の重要政策及び警察等に関する調査
 (外国人技能実習生の受入れに関する件)
 (教育勅語の教材としての使用に関する件)
 (国際儀礼を踏まえた国旗の取扱いに関する件
 )
 (災害時における緊急通行車両の指定に関する
 件)
 (国家公務員の再就職に関する件)
 (介護職の確保のための支援に関する件)
 (レッド・パージによる人権侵害の救済に関す
 る件)
○地域の自主性及び自立性を高めるための改革の
 推進を図るための関係法律の整備に関する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(難波奨二君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、石井準一君が委員を辞任され、その補欠として小野田紀美さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(難波奨二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 内閣の重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官土生栄二君外十七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(難波奨二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(難波奨二君) 内閣の重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○山本太郎君 おはようございます。自由党共同代表、山本太郎です。自由・社民の会派、希望の会を代表し、質問いたします。十五分しかございません。皆様、できれば短い答弁いただけると助かります。よろしくお願いします。
 クールジャパン担当大臣にお聞きいたします。
 外国の方々に日本の魅力を知っていただくのに一番効果的なのは、日本を実際に訪れた外国の方々が、いい国だった、おまえも行ってみろよという口コミ、これが一番大きいんじゃないかなと思うんですけれども、大臣もそう思われませんか。
#7
○国務大臣(鶴保庸介君) 同感でございます。
 日本を訪れた外国人による口コミを広げるためにも、我が省としても、消費行動などに大きな影響力を持つブロガーの皆さんやジャーナリストなど、いわゆるインフルエンサーと呼ばれるような方々に、SNSやブログ、メディア等を通じて情報発信をしていただくことを旨として大きな広がりを持たせようと努力をしておるところであります。
 このため、ファムトリップやモデルツアーあるいはモニターツアーなどを通じて、外国の方に日本に訪れていただいて日本での体験をしていただくということを今内閣府として取り組んでおるところであります。
#8
○山本太郎君 鶴保大臣、お忙しい中来ていただきまして、ありがとうございます。この後もあるようなので、ここで結構でございます。ありがとうございます。
#9
○委員長(難波奨二君) 鶴保大臣、御退席いただいて結構でございます。
#10
○山本太郎君 ありがとうございます。
 実際日本を訪れ暮らした人々にとって日本はどんな印象でしょうか。移民政策と誤解されないよう配慮しつつ、更なる外国人人材の活用の仕組みを検討すると安倍総理御発言のとおり、東京五輪向けの建設、造船分野での緊急措置、神奈川、大阪、東京、特区での外国人家事労働者導入、在留資格「介護」の新設、製造業での外国従業員受入れ事業など、着々と進んでいると。さらに、今年三月、農業人材の就労解禁のため、国家戦略特区法改正案も提出、今年秋には技能実習の介護分野への拡大も予定。こういった方々が母国に帰った際に大いに日本を宣伝してくれる存在になれば、これぞやはり、何といいますか、廃りのないといいますか、本物のクールジャパン戦略ではないかという観点で、外国人技能実習生に国家戦略特区を絡めて質問していきたいと思います。
 お聞きします。外国人技能実習生に日本に来てもらう狙いは何でしょうか。
#11
○政府参考人(佐々木聖子君) 技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することによる国際貢献を目的とするものでございます。
#12
○山本太郎君 技術、技能の移転、つまりは国際貢献だと。日本では、介護分野での労働不足、深刻です。この秋、介護分野に実習生が入ってきます。開発途上国では家族介護がほとんどと聞きます。
 介護職が職業として定着していない、じゃ、日本で学んだ技術、帰国後にどう生かされるんですかといったら、大いに疑問なんですよね。送り出し国側のリアルな技能実習ニーズの把握、厳格にされていますか。技術、技能の移転でなく、日本の介護分野の人手不足、補っているんじゃないですか。客観的に確認する手続を採用すべき。すなわち、送り出し国にある日本大使館、領事館、ジェトロ、JICAなど在外機関を通じて送り出し国の社会経済状況等を把握した上で、技能実習ニーズの有無について判断すべきだと。これは、国が実際にやっていないことを今お伝えしております。
 副大臣、是非、送り出し国側のリアルな技能実習ニーズの把握を客観的に確認する手続を採用すべきと各省庁などに御提言いただきたいんです。よろしくお願いします。副大臣、あっ、ちょっと待ってください、ここはお答えは結構です。よろしくお願いしますというお願いです。よろしくお願いします。
 日本の外国人実習制度については、世界からはクレームの嵐です。国連からは、女性差別撤廃委員会、人身売買に関する特別報告者報告、移住者の人権に関する特別報告者報告、人種差別撤廃委員会、自由権規約委員会からは二度指摘いただき、性的虐待、労働に関係する死亡、強制労働となり得る状況に関する報告がいまだに多く存在することを懸念とともに留意すると。アメリカ国務省人身売買報告書では、人身取引を示す実質的証拠があるにもかかわらず、政府はこの制度における強制労働の被害者をこれまで一人も認知していないと、二〇〇七年から二〇一六年まで毎年指摘されました。
 世界は見ています。そして、世界に完全にばれてしまっているようです。これではさすがにまずいと、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が成立。運用は今年十一月から。
 現在、現場ではどんな問題があるでしょうか。資料の一、冊子になります。外国人技能実習生権利ネットワーク発行、「実習生ネット通信」から紹介。ショッキングな写真があります。お気を付けください。
 六ページです。二〇一五年冬、中国から来た黄さん、二十四歳。監理団体は岐阜県大垣の商工会、受入れ企業は大垣市の段ボールの製造、こん包資材の加工業者。黄さんはそこで段ボールを製造していましたが、翌年七月、B段繰ロール、機械ですね、七ページの左、のロールに右手を挟まれた。けがは、親指を除く四本の指のうち、小指は曲がらず、ほかの三本は骨まで砕けるほど。直ちに病院へ搬送、入院。資料を見れないインターネットの方々にお伝えすると、親指と小指以外は一つになっています。そして、テニスボールのようになっています。
 入院治療から二か月、医師の診断書、治療終了までに今後十二か月を要し、皮膚移植手術を二回、指の分離手術を三回程度予定していると。当時、黄さんのビザの期限、二〇一六年十二月十七日まで。更新が必要です。日本での治療を強く望んでいた黄さんは、監理団体の商工会及び受入れ企業にビザの申請を何度もお願い。しかし、商工会は、けがをしたので技能実習一号から在留資格を延長する技能実習二号へ移行する試験が受けられない、そのため、制度上在留資格がなくなることを理由にビザの申請を拒否。同時に、資料七ページに書いてあります在留資格変更に係る確認書に署名を求められたといいます。要は、監理団体にも受入れ企業にも責任はないという書類です。
 黄さん、名古屋入管、大垣労基署を訪ね、監理団体はビザ申請をせず、確認書に署名するよう言われたが、確認書に同意できない、自分でビザ申請ができないかを相談しました。入管や労基署は、制度上自分で申請できない、監理団体と話し合うしかないと言われ、行き詰まった黄さん、岐阜一般労働組合第二外国人支部へ相談。このことが明るみになりました。
 業務中けがを負った実習生への対応で特に多いのが、労災休養中の実習生に在留資格延長のための移行試験が受けられないという理由で帰国を強要すること。このように、実習生が長期の療養を必要とする場合などで技能検定試験を受験できず、在留資格の延長ができない場合、一時的に在留資格を特定活動などに変更することによって治療を受けたり、その後、回復状況により再び技能実習への在留資格変更を行い、復帰する道が考えられると思います。
 お聞きします。例えば、特定活動などに在留資格を変更した状況でも、技能実習生の労働契約は労災休業時でも解雇はされないということでよろしいでしょうか。つまり、在留資格変更で自動的に労働契約が終了することはないということでいいですか。また、このような状況で使用者が技能実習生に合意による退職を迫ることは、法的にどういった問題となりますか。
#13
○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 まず、労働災害による休業中の解雇についてでございますけれども、労働基準法におきましては、第十九条で、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間は解雇してはならないことが規定されておりまして、技能実習生は労働基準法上の労働者でありますので、この規定が適用されるということでございます。
 それから、在留資格の変更と労働契約の終了についてでございますが、技能実習生についても通常の労働者と同じ労働関係法令が適用されますので、労働契約の終了事由についても同様でございます。具体的には、その労働契約の終了事由には、一般的に使用者から解約をする解雇、それから労働者からの解約である辞職、労使の合意による合意解約などがあると解されておりますが、先ほど申し上げましたとおり、労働災害による休業中の解雇は禁止をされておりますけれども、仮にそれ以外の場合において在留資格が変更されたことによって解雇をされたというような場合には、労働契約法の規定に基づいて当該解雇の有効性が司法において判断をされるということになります。
 それから、もう一点、合意による退職を迫ることについてお尋ねがございました。これも司法において判断されるものでございますけれども、最高裁判例でも示されているように、殊更に多数回、長期にわたるなど、自由な意思決定が妨げられている状況での退職勧奨行為は違法な権利侵害となり得るということでございます。
#14
○山本太郎君 ありがとうございます。
 確かに労働の法律では守られています。でも、言葉がうまく話せない実習生には、日本人と同じルールでしか守ってもらえないというのはかなりハードル高いと思いませんか。司法の判断と言いました。裁判、これできますかねって。実習生制度としてしっかりとサポートすることを考えるべきだと思うんですけれども、新しい法律の内容を聞いてもいまいち実効性に欠ける、技能実習生の救済についてはっきりとまだまだ決まっていないことが多いというのが正直なところじゃないかなと思います。
 実習生を受け入れる企業などには、それぞれ受入れの人数枠があるとお聞きしました。そもそも人数枠を設けた理由、簡単に教えてください。
#15
○政府参考人(佐々木聖子君) 技能実習制度の趣旨が、先ほど申し上げましたとおり、技能等の開発途上国等への移転を目的とするものであることに鑑みまして、受入れ企業の基準として受入れ企業の常勤職員数に応じた技能実習生の受入れ人数枠を設けておりますのは、受入れ企業における十分な指導体制を確保するためのものでございます。
#16
○山本太郎君 ありがとうございます。
 例えばでお聞きします。今、常勤職員の数が五十人の企業は、現在、実習生の受入れ可能人数は九人です。今年十一月から始まる法律の運用で、受入れ人数は最大で何人まで増やせますか。
#17
○政府参考人(佐々木聖子君) 新制度におきましては、通常の受入れ機関の場合は技能実習二号までの技能実習生が最大十五人、それから、中でも優良な受入れ機関の場合、これはまさに十分な指導体制が確保できているものということでございますけれども、技能実習三号までの技能実習生を最大六十人までそれぞれ受けることが可能になります。
#18
○山本太郎君 最大九人だった受入れ枠が最大で六十人、九人が六十人、これすごい拡大ですね。資料の三、この大幅な受入れ拡大、技能、技術を移転するための実習制度の意義を変えるものじゃないですか、空洞化させるんじゃないですか。技術、技能を移転するためにこれ人数ちゃんと制限しなきゃいけないねという話だったのに、九人が六十人というような、例えば五十人の常勤職員がいるところであれば、これぐらいの幅を持って拡大させるって、これ異常じゃないですかねって。
 実習生の権利侵害に関わる数々の問題については、はっきりとした解決方法もなく、答えもないまま、ちゃんとやりますという雰囲気物がほとんど。世界中から人身売買国家認定された反省、反映された制度にもなっていない。どう実習生を守るか、具体的に決まっているものの方が少ない。一方で、労働者の数を増やすことだけは、安い賃金で調達するための人数枠拡大だけは、何よりもむちゃくちゃ具体的じゃないですか。受入れ体制もできていないのに、受入れ枠拡大なんて筋が通りますかね。
 日本に来た実習生の日本での記憶が、過去に国連などで報告された実習制度そのものであったなら、つまりは、長時間労働、超低賃金、暴力、性的虐待、パワハラ、モラハラのオンパレードといった思い出だったとしたら、日本なんて大嫌いだという人々を日本国自ら大量生産しているのと同じことですよ。周辺国の若者たちから奴隷労働の事実が口コミで広がれば、日本がアジアのリーダーになる日など永遠に来ることもありません。アメリカからも人身売買国家として認定されるきっかけの実習生制度は、進みながら改良することなど許されないと考えます。
 しっかりと体制ができるまで受入れは中止するべきじゃないですか。副大臣、いかがでしょうか。
#19
○副大臣(盛山正仁君) 山本先生の御指摘、我々もそういうような御指摘があるのは承知はしておりますけれども、誤解に基づく御指摘も多いのではないかなと、そんなふうに思っております。これまでの法案審議でもそういうようなやり取りが行われたところであります。
 さて、お問合せの件でございますけれども、御指摘のとおり、技能実習法は今年の十一月一日から施行されるという予定でございます。同法に基づき、法務省として監理団体の許可を厳格に行っていく、それとともに、外国人技能実習機構においても、技能実習計画の認定や実習実施者などに対する実地検査などの管理監督業務を的確に行い、併せて、技能実習生からの相談、申告への対応や援助などの技能実習生保護業務をきめ細かく行っていくこととしております。
 そして、何といいましても、政府間の取決め、相手国との間の取決めによりまして、送り出し国や送り出し機関による技能実習生に対する制度趣旨の周知徹底を求めることとしております。こうしたことを通じて制度の一層の適正化に努めてまいりたいと考えております。
#20
○山本太郎君 国家戦略特区関係も御担当されている山本大臣にお聞きします。
 外国人労働者がいないと日本の社会、回っていかないんですかね、もう。いかがお考えですか。
#21
○国務大臣(山本幸三君) これは先生先ほど御指摘されましたけれども、日本再興戦略二〇一六で、移民政策と誤解されないように配慮しながら、我が国の将来の形や国民生活全体に関する問題として、国民的なコンセンサスを踏まえつつ政府全体で外国人材の受入れについては検討していく必要があると、そういうふうに再興戦略で書かれているわけであります。
 一方で、私どもは、日本経済の更なる活性化を図り、競争力を高めていくためには、これに資する専門的、技術的分野の外国人の受入れは重要と認識しているところであります。このため、国家戦略特区担当大臣としては、日本経済活性化の観点から外国人家事支援人材の受入れ事業を推進するとともに、現在提出中の改正国家戦略特区法案に盛り込んだ強い農業を実現するための農業外国人材の受入れや、クールジャパン、インバウンド分野の外国人材の受入れを進めてまいりたいと思っております。
 詳しいことは法案の審議のときにしっかりとやりたいと思いますが、一方で、技能実習制度の問題については、先生御指摘のようなことは認識しております。劣悪な労働環境や低賃金等により、技能実習生の失踪も起こっておりまして、そういう問題が生じないような万全の対策を講ずる必要があると思っております。
 このために、今回の制度設計においては、国と自治体が合同で協議会を設置して、国、自治体が自ら受入れ企業を直接管理することで、労働時間、賃金等の労働条件等を適切に管理する仕組みを導入する予定でありますし、また、仮に問題が生じた場合は外国人材を適切に保護できるよう、苦情相談を直接受け付ける窓口を協議会に設置する予定でありまして、これらの取組により万全を期してまいりたいと考えております。
#22
○山本太郎君 もう終わりなのでまとめます。
 受入れ体制ははっきり言ってまだできていないと思います。修正点たくさんあるのに、それもせずに受入れ枠の拡大、これは余りにもあり得ない。ここをしっかりと体制を整えるまでは、この実習生そして国家戦略特区で外国人を受け入れるということも一度見合わせるということが必要だと強く申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#23
○神本美恵子君 おはようございます。民進党・新緑風会の神本美恵子でございます。
 今日は二十分しかありませんので教育勅語だけに絞ってと思っておりますが、その前に一問だけ。
 先日から、安倍昭恵夫人が国家公務員を同行して選挙の応援に行かれたということ、三か所というような報道を見まして、私、昨年六月に愛媛に行ったときにたまたま地元紙を見たときに、そこに、昭恵夫人が見えて、女性後援会の集まりの中で、地元紙によりますと、米国が血を流してまで日本を守ってくれる時代は終わった、自分の国は自分で守らないといけないと訴え、憲法改正への理解を求めたというふうな記事を見ていたのを思い出してしまいました。
 それで、愛媛にも行かれたことは地元紙によってはっきりしているんですけれども、そのときに国家公務員の同行があったのかどうかということについてまずお伺いします。
#24
○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
 委員から、昨年六月二十四日の件だと思いますけれども、総理夫人の選挙応援への職員の同行につきまして御質問いただいたところでございます。現在、他の先生方も含めまして多数の同様の問合せあるいは質問主意書等の提出を受けているところでございまして、現在、私どもとして精査を行っているところでございます。
 当時の事情といたしましては、旅行命令発令手続が取られておらなかったということで、そこは今般改善をしたわけでございますけれども、そうした中で、現在全ての案件につきまして調査を行っているところでございます。どこまで正確にお答えできるのかということはございますけれども、いずれにいたしましても、御指摘の件につきましては、主意書の提出をいただいているところでございます、現在確認しているところでございますので、確認でき次第、先生にも御説明させていただきたいと考えております。
#25
○神本美恵子君 先日の報道では、調べたところ三か所、岡山と沖縄と東京、三か所というふうに断定的に書かれていたんですけれども、私の記憶から今申し上げたので、それは調べればすぐに分かることだと思うんですけれども、お答えにならないようですので、これはこのぐらいにしておきたいと思います。
 次に、教育勅語についてであります。今日は官房長官と加藤大臣においでいただいておりますが、今回の森友の国有地売却問題で浮上した、いわゆる塚本幼稚園で教育勅語を幼稚園児が暗唱するというか朗唱する、あの映像が何度も流れて、国民の大多数が違和感を持ち、私ももちろんですけれども、これは戦前回帰ではないかというような懸念を抱かれていると思います。
 一方で、稲田防衛大臣はそれに関して国会で聞かれて、その答弁の中で、教育勅語の精神であるところの日本が道義国家を目指すべきであるという核の部分、親孝行とか友達を大切にとか、そこは取り戻すべきなどと、やはり教育勅語復活を望むような発言が出てきております。また、安倍昭恵夫人も、あるいは一部の与党議員も、この塚本幼稚園の教育に感動し、共感するというようなことも報じられたり、国会で答弁されたりもしております。
 そのような中での今回の質問主意書に対する閣議決定された答弁書は、教育勅語復活への布石ではないかというような臆測も出てきております。
 一九四八年の排除・失効決議、今日、資料の、ページ打っていなくて申し訳ないんですが、二枚目に衆議院と参議院の排除・失効決議を載せておりますけれども、そこに至る経緯をつぶさに見てみると、そこにはやはり、この決議がなぜ出されたのかというところでは、三百万人を超える犠牲を出したあの戦争への反省、それからそこへ国民を向かわせた皇民化教育、忠君愛国の象徴として教育勅語が果たした役割、そういったものへの反省が明確に出ております。
 安保法制によって今海外での武力行使も可能になり、自民党の改憲草案や安倍総理の改憲への意欲などを見ると、今回のこの閣議決定された答弁書は、こうした反省を忘れ、またもや教育が政治的に利用されようとしているのではないかとの懸念を抱くのは私だけではないと思います。はっきりと改めて教育勅語の使用を私は否定すべきだと考えております。こうした問題意識から、今日は官房長官にお伺いしたいと思います。
 教育勅語を肯定的に語る人は、資料の一ページに付けております「教育ニ関スル勅語」、この中の三行目、「爾臣民」というのは余り取り上げられないんですが、「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ」といった部分をよく持ち出されます。今国会での稲田防衛大臣の答弁の中でも、さっき言いましたように、親孝行とか友達を大切に、そこは取り戻すべきなどと教育勅語復活を望むような発言をしておりますけれども、官房長官は、教育勅語のこの稲田大臣が言う核の部分、真髄といいますか根幹、これは一体どこにあるというふうにお考えでしょうか。
#26
○国務大臣(菅義偉君) まず、教育勅語でありますけれども、これにつきましては、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力は喪失しているわけでありますから、政府の立場でコメントすることは控えたいというふうに思います。
#27
○神本美恵子君 どこが教育勅語全体の中で、核の部分というふうに閣僚である稲田大臣はおっしゃっていますけれども、菅官房長官としては、この真髄、根幹はどこにあるかと。これは別に、政府として申し上げる、効力がないから言えないということはないと思いますが、もう一度お願いします。
#28
○国務大臣(菅義偉君) 私、政府の立場では、もうそういう意味で、喪失しているものについてコメントはやはりすべきじゃないというふうに思います。
 私自身も委員と同じように戦後生まれでありますから、教育勅語の教育を受けてもおりません。今、稲田大臣のコメントについて言及がありましたけれども、そこは政治家個人としてのコメントをされたんだろうというふうに思います。ですから、私自身はそういう立場でいますので、コメントは差し控えたいと思います。
#29
○神本美恵子君 政治家個人としては、じゃ、習っていないけれども、どのように、稲田大臣はここだとおっしゃっていますけれども、菅衆議院議員としてはいかがでしょうか。
#30
○国務大臣(菅義偉君) ですから、教育勅語というのは、今私申し上げたとおり、効力は喪失しているわけであります。私個人的には、委員と同じように戦後の民主教育の中で育ったものでありますから、この問題についてはやっぱり憲法とか教育基本法、それに基づいて対応していくのが筋道だと私は思っています。
#31
○神本美恵子君 そこは私も是としますけれども、記者会見の中では、記者にいろいろ聞かれたら、人類普遍の価値も持っているとか、内容を全否定するものではないとか、内容を使うことは問題ないというようなことをお答えになっていらっしゃるんですよね。そのじゃ内容というのはどの部分を指しているんでしょうか。
#32
○国務大臣(菅義偉君) これは委員が一番よく御存じだと思いますけれども、学校教育における教科書以外の教材の使用、これについては、学校教育法に基づいて、憲法、教育基本法の趣旨に従って、有益適切なものに限って、それは現場の校長や設置者の責任と判断で使用できる、このようになっております。国はその是非を個別具体的にそこは判断する立場にはない、ここも事実だというふうに思っています。
 いずれにしろ、教材が法令等に反しないように適切に配慮の下に使用する、このことが大事だというふうに思います。いずれにしろ、教育勅語を憲法の基本理念等に反するような形で教育に用いることはこれは不適切である、こういうふうに思います。
#33
○神本美恵子君 お答えにならないようですね。どの内容ならいいんだとか、全否定しないんだったらここは否定されるべきではないということをお答えいただきたかったんですが、おっしゃらないようですので、ちょっと中身に入っていきたいと思います。
 今日、資料の教育勅語の中で、この教育勅語の真髄といいますか根本は、私は全体だと思うんですね。中でも、二行目にある「我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ済セルハ此レ我カ国体ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス」というところ、つまり今風に言えばといいますか、意味するところは、忠君愛国であると、忠と孝は一体のものである、これを教育の淵源、教育の根本とする。つまり、天皇への忠誠と親に対する孝行は一体のものであるという考え方がまず述べられて、皇室中心主義の国家主義にのっとってこれを軍国主義に利用するというところが、下の方にあります、六行目ですね、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」と、ここが私はこの教育勅語の一番言わんとするところであるというふうに思いますけれども。
 さて、先ほど、稲田大臣が取り戻すべきとおっしゃったのはその真ん中のところにある「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ」というところなんですけれども、ここの意味は、ここの意味ですね、は、官房長官、これを評価するしないは別にして、この意味はどのようにお考えですか。
#34
○国務大臣(菅義偉君) 今、法制上の効力を失効したものについて、政府の立場で私がコメントすることは控えたいというふうに思います。
 ただ、私にも両親がおります。ですから、両親を大切にするとか、そういうことはある意味で自然なことだろうというふうに思います。
#35
○神本美恵子君 「父母ニ孝ニ」というのは、官房長官が両親を大切に思うそれと同じだというような意味合いというふうに聞きました。
 この「父母ニ考ニ兄弟ニ友ニ」というようなところの中の「夫婦相和シ」という、今日資料いっぱい付けておりますけれども、是非後で皆さん方お読みになっていただきたいんですが、今日は「夫婦相和シ」というところに絞ってちょっと見ていただきたいと思います。
 資料の、ちょっとページがややこしくて済みません、二の九って書いてあるところの下に三の一、三の二、三の三って分かりますかね、分かります。これは「勅語衍義」といって、教育勅語が出された後に、井上哲次郎という当時の文部省が依頼した学者、文学博士なんですけれども、その方を中心として編さんされた衍義、つまり中学校や師範学校でこれを基に教育勅語を解説し、授業の中で、あるいは研修で使われたというもので、教育勅語とはこういう解釈するんですよというような説明がされているものであります。
 「夫婦相和シ」というところ。「夫婦ハ一家ノ因リテ起ル所ニシテ、實ニ一國ノ大本ナルガ故ニ、一國ノ治ヲ欲スルモノハ、家々其宜シキヲ得テ、不和ヲ生ズルコトナキヲ」云々というふうにあります。つまり、一家というのは、一国の大本を成すものであるということで、国家と家とはつながっているというような考え方であります。
 その横の二ページにありますが、二行目の辺りですね。「夫タルモノハ、妻ヲ愛撫シテ、以テ其歓心ヲ得ベク、又妻タルモノハ、夫ニ柔順ニシテ、妄ニ其意志ニ戻ラザランコトヲ務ムベシ、蓋シ妻ハ元ト體質」、ちょっとそこ読めないんですが、「體質」、弱いということですね、「弱ニシテ、多クハ労動ニ堪ヘザルモノナレバ、夫ハ之レヲ憫ミ、力ヲ極メテ之レヲ扶ケ、危難ニ遇ヒテハ、愈之レヲ保護スベク、又妻ハ元ト智識才量多クハ夫ニ及バザルモノナレバ、夫ガ無理非道ヲ言ハザル限リハ、成ルベク之レニ服従シテ能ク貞節ヲ守リ、妄ニ逆フ所ナク、始終苦楽ヲ共ニスル」というような、こういう夫と妻の関係が書かれているわけです。
 これはもう明治憲法下における民法で、女性には全く権利がない、財産権も相続権もない、家父長制の中で父や夫に従えという、その考え方がこの「夫婦相和シ」のバックにあるということの証左だというふうに思います。
 今笑いも起きてきましたけれども、戦後、憲法や教育基本法で見られる、あるいは民法の改正によって、あるいは参政権によって女性の地位が今日に至っているわけですけれども、男女共同参画担当大臣として、加藤大臣、この「夫婦相和シ」というのは、今日でも通用する考え方だというふうにお考えでしょうか。
#36
○国務大臣(加藤勝信君) 御質問のその「夫婦相和シ」というのは、今、解釈付いていたお話ありましたですが、解説をいただきました、ということをもっておっしゃっているのか、その「夫婦相和シ」という言葉だけを取っておっしゃっているのかによってだと思うので、その言葉だけを取れば、先ほど、言葉だけですよ、言葉だけ取れば、別に私として違和感があるわけではありませんけれども、今お話をされたこの資料、ちょっとどういう位置付けか、御説明はありましたけど、ちょっと私にはいま一つ見えていないところもありますが、その中身について今朗読いただきました部分、全てを私が解釈できたわけではありませんけれども、聞く限り違和感、一部違和感があったというのはそのとおりであります。
#37
○神本美恵子君 これは教育勅語の中の「夫婦相和シ」という意味です。今、夫婦仲よくしましょうと一般的に言う、そういう意味ではなくて、勅語の中の「夫婦相和シ」、これはなぜ相和しなければいけないのか、そして相和するということはどういうことなのかということの解説があるということで、これ実は、もう本が残っていないのでデータで取り出すしかないんですが、全体こんなに分厚いものの中に一つ一つこの文言が解釈をされております。そして、これが師範学校で当時の先生方に解説されて教えられて子供にそれが伝えられたということですので、紛れもなくここで言う教育勅語の中の「夫婦相和シ」というのはこういう意味だということを是非皆さんには御理解いただきたいと思います。
 時間がもうなくなってまいりましたけれども、次に、元に戻りますが、質問主意書への答弁書ということで、これについて、答弁書では当時の森戸文部大臣の言葉を引用されております。資料の中にもちょっと付けておりますけれども、答弁書は三枚目と四枚目にあります。四枚目のところに答弁書を書いておりますけれども、何行目かに、森戸大臣が、教育勅語その他の詔勅に対しましては、教育上の指導原理たる性格を否定してきたのであります、このことは云々ということで、法制上明確にされましたと答弁しているとおりだというふうに答弁書に書かれております。
 これは、ですから、この排除決議、排除・失効決議は生きているというふうに理解していいんでしょうか、官房長官。
#38
○政府参考人(佐藤安紀君) 当時の森戸文部大臣の国会の発言によりますと、日本国憲法及び教育基本法の制定等により、教育勅語の教育上の指導原理的性格は否定されており、この意味で教育勅語を教育の唯一の根本として取り扱うことは法令の趣旨に反し不適切であると承知をしております。
#39
○神本美恵子君 というふうに一で答えながら、答弁書の二枚目にありますけれども、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではないというふうに、今度は教材として用いることは否定されないというふうに書いてあるんですけれども、これは、国会で排除、失効、効力がないからこれについてはコメントしないと先ほどから官房長官おっしゃっていますけれども、教材として使用することは否定されるものではないというのは矛盾すると思うんですけれども、いかがでしょうか、官房長官。
#40
○国務大臣(菅義偉君) 憲法、教育基本法、それに基づいて今、今日の社会はあるわけでありますから、そのことに反しないような形でこの教育に関する勅語を教材として用いることまで否定されることではないというこの答弁書について、もう今委員の質問でありましたけれども、具体的な教材としての想定というのはこれ何かということは正直言って余りよく分からないわけでありますので、ですから、基本的に憲法と教育基本法に基づいてこれは現場で判断をすることまで政府としてはここは否定をすべきじゃない。また、よく政治介入はすべきじゃないということもいろいろ実は受けております。ですから、あくまでも憲法、教育基本法が私どもは基本だというのがこれ当然政府の立場でありますので、そのようなお答えをされているというふうに思っています。
#41
○神本美恵子君 もう時間が来ましたけれども、これは憲法、教育基本法に反するから失効決議が出され、排除決議が出されたと。その排除、失効をわざわざ院議をもって決議したということは、お手元に配っている資料の中にも、決議の中にも書かれておりますし、森戸大臣の答弁、その決議に対する答弁の中にも、下の方にちょっと書かれておりますけれども、下線を引いています、「永年の習慣から誤解を残すおそれもあり、また将来濫用される危険も全然ないとは申されません。」ということで、だからこの決議を出したんだと、あえて。この決議は今も生きているんですから、一部反しないような使い方ならいいですよ、教材として使うのはいいですよというような今回の閣議決定というのは、政府の姿勢がこれで変わるのかなという今混乱を来していると思います。今後ろのお役人の方は首を振っていますけれども、そういう混乱があちこちで起きているということで、これはまた改めて続きをやりたいと思います。
 今日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
#42
○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子です。
 答弁者、各府省のスタッフの皆様、御準備、御出席、誠にありがとうございます。
 今日、私が賜りました質疑時間は二十分です。この二十分のチャンスを最大限に生かしていきたいので、御答弁は要点のみを簡潔にお答えいただけますれば大変有り難いと存じます。お力を貸してください。
 早速本題に入ります。日本において国際マナーについて最も経験が多く、ノウハウが蓄積されている外務省に伺います。
 国旗を扱う基本的マナーとして、複数の独立国家の国旗を上下に掲揚、位置させることはありますか。
#43
○副大臣(岸信夫君) お答え申し上げます。
 外交儀礼上、複数の独立国の国旗を一本の旗ざおや壁、壁面等に上下に掲揚することは適切でなく、あってはならないことであると認識をしております。
#44
○有村治子君 独立国の国旗を上下に位置させることはあってはならないことだと明言されました。なぜ重大なマナー違反になるのでしょうか。複数の国旗を仮に上下の位置で掲揚あるいは表示をしたら、それは何を意味するのでしょうか。
#45
○副大臣(岸信夫君) 上下に複数の独立国の国旗を掲揚すること、これは、下に掲揚された国旗は下位、服従あるいは敵への降参等を意味すると、このように受け止められるからであると承知をしております。
#46
○有村治子君 今、外務省を代表をして副大臣が、服従を意味するというふうにおっしゃいました。私が今回の質問に向けて調べた限り、国際プロトコールにおいては、国旗を上下に掲揚あるいは表示することは下の国が属国、属国扱いになると解説している解説書が複数見付かる、見付けることができました。
 では、今日の資料一を御覧くださいませ。左端に国旗掲揚のポールがありまして、上に中国の国旗、下に日本の国旗が配されています。
 この表記、ポジショニングは国際マナーに照らして適切ですか。
#47
○副大臣(岸信夫君) 国際儀礼上の一般論として申し上げれば、同じ一本の旗ざおや壁面等に上下に二つ以上の国旗を掲揚することは適切でないと、このように承知をしているところでございます。
#48
○有村治子君 先ほど明言していただきましたとおりに、複数、上下にするというのは隷属あるいは属国あるいは服従を意味するということで、大変失礼なマナー違反に当たります。
 国際儀礼のマナーからすると属国を意味する、つまり独立国に対しては大変不遜な下の序列に独立国の国旗を位置するこの絵は、実は先週の全国で放送されましたNHK「ニュースウオッチ9」での放送の一こまを基にした図案でございます。
 全国の視聴者が御覧になったテレビ画面の実物は今日の配付資料の二のB、右上を御覧になってください。中国の戦闘機やロシアの爆撃機による日本の領空侵犯を防ぐために、日本の自衛隊が緊急発進、スクランブル発進を掛ける回数が急激に増えていることを特集する番組でございました。
 国旗・国歌法を所管する内閣府は、このNHKの他国の国旗を上にしてその下に日本の国旗を配した映像をどのように受け止められますか。
#49
○政府参考人(井内正敏君) 国旗及び国歌に関する法律を所管する内閣府としての認識を申し上げます。
 法制定時の平成十一年八月九日に出されました小渕恵三内閣総理大臣談話にもありますとおり、国旗と国歌はいずれの国でも国家の象徴として大切に扱われているものであり、国家にとって、なくてはならないものであります。また、国民のアイデンティティーのあかしとして重要な役割を果たしているものでございます。我が国の国旗はもとより、いかなる国の国旗もひとしく敬意を持って尊重されるべきものであります。
 なお、二つの国旗を並べる場合には、例えば左右に同じ高さで表記するといった方法はあろうかと思います。
#50
○有村治子君 大変意味のある御答弁をいただきました。
 独立国家の国旗を、二国家以上掲揚あるいは表示する場合は、上下ではなくて同じ位置で右左あるいは同じ高さでラウンドにする、それが国連の基本的な民主主義の考えではなかったか。すなわち、国において、人口が多い少ない、経済力があるない、あるいは軍事力が強い強くない、そんなことではなく、独立国であれば、人口が少なくても十三億であろうとも、それは一国としてその独立国家に敬意を表すからこそ、国旗は対等に同じポジションで表示するというのが世界の常識というふうに理解をいたしております。
 誤解が生じないように申し上げますが、私は日本の国旗を他国の上にしてくれと言っているわけではありません。この点を明確にした上で、複数の国旗を表すときは同じ高さで表記するというのが国際マナーの常識ではなかったか、この一点のみをNHKに問うているわけでございます。
 日々、日本の主権と国民の安全を守るために過酷な任務に就いている自衛隊の貢献に思いをはせるとき、このNHKの中国の国旗と日の丸を上下にした映像は大変皮肉に見えてしまいます。
 若宮副大臣、まさにこの映像のような状況にならないよう、すなわち外国の属国とならず、日本の主権と国民の命を守るためにこそ、自衛官は心身の危険や負荷を顧みず、日夜過酷な訓練を重ねて練度を上げているのではないでしょうか。スクランブル発進をするパイロットには、急激に上昇していく機体の中で9Gの負荷が掛かります。通常の人間であれば、もう首も動かせないようなきつい状況の負荷が掛かります。職業病ともいうべき深刻な腰痛やあるいは頸椎損傷のリスクと向き合い、その負荷に負けないような筋力、筋肉を養い、二十四時間アラートの緊張の中で、また上空では時速千キロという中で、未確認、国籍が分からない飛行物体、戦闘機と向き合い、神経をすり減らす操縦を強いられる実態がございます。
 このNHKの取材に協力された防衛省、自衛官からしてみれば、この映像、中国の旗が上で日本の旗が下というこの映像はどのように映りますか。
#51
○副大臣(若宮健嗣君) 今委員が御説明くださいましたように、私ども防衛省・自衛隊といたしましては、まずは航空自衛隊で全国二十八か所のレーダーサイト、またE2Cの早期警戒機、あるいはE767の早期警戒管制機等で警戒をいたしてございます。また、各戦闘機はスクランブル態勢を、おっしゃるとおり二十四時間態勢で昼夜をたがわず待機をしております。こうした戦闘機の隊員におきましては、まさに本当に厳しい訓練の中、そしてまた精神力も強靱な状態を維持しなければいけないということで、非常な過酷な状況に置かれているのも委員が御指摘のとおりでございます。
 その上で、報道につきましてでございますが、私ども防衛省としても確かに取材に協力したものであり、このお尋ねの場面についても承知をいたしているところではございますが、一方、個別のやはり報道におけます国旗の取扱いにつきましては、私ども防衛省としては、コメントするのは事柄の性質上慎重であるべきではなかろうかというふうに考えているところでございます。
 また、委員御指摘の国旗の、今までのやり取りございましたけれども、取扱いを含みます国際儀礼につきましては、やはり国際交流の場で無用な誤解やあるいは不信を招かないためにも大変重要なものであるというふうにも認識をいたしているところでございます。私ども防衛省が行います様々な防衛協力・交流の場におきましても、国際儀礼上の慣習に沿って適切な対応を取ってまいりたい、このように思っております。
#52
○有村治子君 直接のコメントは差し控えるということでございますけれども、明確にこれは日本の自衛隊パイロットが日本の領空を守るために日々の任務をしているという特集でございます。日本に全く非はないという文脈において、中国の戦闘機が日本に向かって猛スピードで来る、それを、日本の自衛隊が日本の領空を守るために、主権を守るためにやっているということで、全く非のない日本が何で海外の国旗の下に置かれなきゃいけないのか。その必然性は全くないのではないか、そのことは若宮副大臣も認められますね。
#53
○副大臣(若宮健嗣君) 一般論として申し上げますと、こうした国際儀礼上の慣習についても念頭に置きつつ、公共放送でありますNHKにおかれましても適切な放送に努められるものというふうに承知をいたしているところでございます。
#54
○有村治子君 スクランブル発進を任務とするパイロットに直接お話を聞いたことがあります。そのパイロットが一言目におっしゃったことは、私は、日本の国民を守る、日本の領空を守る、もとよりその基盤となる日本の主権を守るために日々訓練していますとおっしゃっていました。主権、すなわち国民が国民自身で国の在り方を決める、その権利を維持するためにやっているんだという気概を感じました。そう明言をされました。
 この写真、映像は、まさに主権が奪われた状況の属国、隷属した主権がない状態、属国扱いというポジションに日本を、日の丸を置いているということでございます。
 先ほど大変若宮副大臣が気を付けておっしゃったように、もとより日本には、当然NHKも含めて、報道、編集の自由があります。公序良俗に反しない限り表現の自由が保障されている民主主義国家日本のことを私自身誇りに思い、その価値、民主主義の価値を大事にする議会人でありたいと常に思っております。ゆえに、NHKがどうすべきだとか、これがいいとか悪いとかというような価値観に基づくレッテル貼りは、今日のこの質問においても一切口にいたしません。NHKが自ら掲げている、世界平和の実現に寄与し、民主主義精神の徹底を図るという崇高な理念、NHKが自らに課している番組基準に照らして自らの職責を果たしていただきたいと思っております。
 そこで、総務省にお伺いします。
 NHKは、どこの国の公共放送でしょうか。
#55
○政府参考人(吉田眞人君) お答え申し上げます。
 NHKは、日本の公共放送でございます。
#56
○有村治子君 なるほど、日本、日本の公共放送。
 この映像、中国の戦闘機から日本の空を守るための自衛隊のスクランブル発進を特集しているわけですから、当然中国大使館もこの番組をマークしています。中国の方がこの番組を見ていないはずがありません。中国の為政者、中国当局が見たら、この映像はどのように見えるでしょうか。すなわち、中国共産党直結の中国国営テレビが、日本に依頼もせず、日本に資金も提供せず、日本に編集員を潜り込ませず、派遣せずとも、日本の公共放送が自らの意思で中国の国旗の下に日本の国旗を配する、その映像を気前よく日本全国に配信してくれている。中国の方から見れば、中華思想、チャイナ・ファーストを日本の報道が自らやってくれていると見えるのではないでしょうか。これがNHKの意図なのでしょうか。
 お世辞にも決して安くはない受信料を毎月負担している視聴者・国民の一人として、この映像がNHKの報道姿勢の実態だとは思いたくありません。性善説に立ちたいと思います。これがNHKの報道姿勢でないとすれば、素朴な疑問が出てまいります。NHKに国際人はいないのか。どの国の国旗にも敬意を払い、対等の位置で扱うという基本的マナーをわきまえた国際人がNHKに一人もいないのでしょうか。この度就任されました上田良一会長は、三菱商事の御出身です。日本を背負って、世界中を舞台に難しい国際交渉をまとめてきた方でもあるはずです。
 NHKは、国際放送も持っています。世界中に特派員を派遣しています。その国際放送には、受信料のみならず国民の税金、血税が投入をされています。先日、NHKの七千億を超える予算は国会で承認をされました。全会一致での賛成は実に四年ぶりとのことです。その翌週にこの映像が流れました。
 NHKを所管する総務省として、NHKは日本の公共放送としての役割を本当に果たしていると考えますか。この映像は、中国の国旗が上、日本の国旗が下というこの映像は、受信料を負担し公共放送を支える視聴者・国民の期待や評価に堪え得る適切な表記だとお考えでしょうか。
#57
○政府参考人(吉田眞人君) まず、御指摘の点につきましては、先ほど外務省から御答弁がございましたように、一本の旗ざおに複数の国旗を上下に掲揚してはならないというのは、これは国際儀礼上のマナーということでございます。
 一方、NHK等を始めといたします放送事業者は、放送法上、自らの責任において番組を編集し、放送を行うこととされております。個別の放送に係る問題につきましては、放送事業者の自主的な取組により適切な対応が行われることが重要であると考えております。
 その上で、今御指摘の点について一般論として申し上げますと、こうした国際儀礼上のマナーなどにつきましてもしっかりと念頭に置いていただきまして、NHKにおかれては、自らの責任により、放送法、それと、委員先ほど引用されました、自ら定められました番組基準、そういうものに基づきまして、公共放送といたしまして国民・視聴者の負託にしっかりと応えていただきたいというふうに考えております。
#58
○有村治子君 NHKの番組基準は、民主主義の精神ということを高くうたっています。民主主義というのは、独立国家を対等に尊重するという姿勢であるはずでございます。
 文部科学省に伺います。
 三年後に迫りました二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックには、世界中から各国選手、ゲストがお見えになられます。真の国際人として温かく安全に世界のゲストをお迎えしたいものです。あらぬ誤解を招かないよう、国際的なマナーの基本を国民共有の知識とするために、文部科学省は国旗についてのマナー教育をどのように進めていかれますか、義家副大臣に伺います。
#59
○副大臣(義家弘介君) 生徒児童が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくためには、我が国のみならず、他国も含めた国旗の意義を理解し、それらを尊重する態度を育てることが重要でございます。
 このため、幼稚園指導要領においては国旗に親しむこと、学習指導要領においては、社会科において国旗の指導を行うとともに、入学式などについてはその意義を踏まえ国旗を掲揚することや、諸外国の国旗も同様に尊重する態度を育てるよう配慮することが定められております。この三月末に公示した次期学習指導要領においても、引き続き国旗の取扱いや意義について位置付けを行っております。
 また、私も見てすごく丁寧に教えられているなと思ったわけですが、例えば東京都が配付しているオリンピック・パラリンピック教育の教材では、小学校では、まずは互いの国旗を尊重し大切に扱うことは世界共通のルールであること、また中学校では、国旗掲揚についての国際儀礼がどのようになっているか、高等学校においては、さらに国旗掲揚のマナーと留意点について具体的に取り上げられております。
 このような教材の活用は、国旗の取扱い等の理解を深める上でも極めて効果的であると考えており、今後とも、東京都や大会組織委員会とも連携し、教材の周知を図ることを通じ、各学校における指導の充実を促してまいりたいと思っております。
#60
○有村治子君 義家副大臣、ありがとうございました。
 今副大臣から御紹介のありました東京都教育委員会、オリンピック・パラリンピック学習読本の高校編、非常にいいことが書いてありますので、資料三に付けさせていただきました。読みます。左上。
 国際儀礼、国際的な交流の場では、歴史、文化、言語などの違いから誤解や不信が生まれやすくなる。相手への敬意と全ての国を平等に扱うことを基本とするプロトコールは、無用な誤解を避け、そして、その場にいる人々がお互いを認め合い、心地よいコミュニケーションを図るための共通認識。
 この常識をNHKも体現していただきたいと思います。
 最後に、丸川大臣に伺います。
 国旗は国の象徴であり、国旗に敬意を表することは国際社会の基本的なマナーです。この基本を具現化してこそ日本らしい温かいおもてなしができると考えます。
 世界に開かれた日本のオリンピック・パラリンピックを実現するために、国旗に関する今日の質疑を聞いていただいての大臣の御所見、また、国際マナーを尊重して内外のゲストが心地よく交流を深め、世界の平和に寄与するオリンピック・パラリンピックの開催に向けての大臣の御決意を伺います。
#61
○国務大臣(丸川珠代君) 昨年の夏、リオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックに私も参りまして、表彰式等でそれぞれ、自国の国旗はもちろんですけれども、勝利した国、頑張った国、そうした国々の国旗また国歌に対して観客や選手が敬意を表して、勝者、あるいは負けたけれどもすばらしい戦いをしたという方々に対して祝福をする姿というのを何度も目にいたしました。やはり東京大会においてもこうして、言葉は通じなくてもお互いの敬意を表するという行為の中で、相手の国の国旗、国歌、あるいはそうしたものについてのプロトコルをしっかり基づいて接遇をするということは大変重要なことだと考えております。
 そして、一昨年の十一月に閣議決定しましたオリパラ基本方針にあるとおり、このオリンピック・パラリンピックの開催ということ自体がそれぞれの国旗に対する敬意を含めた国際的な相互理解、友好関係を増進し、また理解を深める上で極めて意義深いものだと思っております。
 先ほど義家副大臣がお触れになったオリンピック・パラリンピックの教育の教材も大変有効なツールではございますけれども、このように国旗についての取扱いの意義や理解を深め尊重する態度というものを皆様の間に広げていくとともに、国際的な儀礼やマナーを理解し実践していくことは極めて大切でありますので、引き続き、東京都、大会組織委員会、また文部科学省など、関係者が連携して取り組んでいくことは極めて重要であると考えております。
#62
○有村治子君 国旗はその国の国民のいでたち、価値観、国土、そしてその国の誇りを象徴するものであります。我が国の国旗はもとより、他国の国旗も敬意を持って表する、そんなオリパラになることを心から念じて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#63
○委員長(難波奨二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、田村智子さんが委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。
    ─────────────
#64
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 まず、子供の貧困対策の中で、とりわけ地方公共団体向けの交付金につきまして加藤大臣にお伺いをしたいと思います。
 先般、二〇一五年度から始まりました自治体向けの地域子供の未来応援交付金の利用状況が報告をされました。補正予算で組まれた二十四億円に対して、その利用は約一割の二億四千万ということで、六十六の自治体に交付されたと伺っております。
 この子供の貧困対策は待ったなしであることは言うまでもございませんで、六人に一人の一六・三%がいわゆる相対的貧困に陥っているという意味で、地域においてこうした困っているお子さんをどう支援していくのかということをそれぞれの自治体が一生懸命考えているんだろうというふうに思います。
 この交付金は二〇一六年度の補正でも十億円計上されてございまして、それだけ重視をされているということであろうかと思いますけれども、にもかかわらずこの利用率が約一割にとどまっているというのは何ゆえなのかということをきちんと知っておく必要があるんではないかというふうに思います。
 そこで、まず、この現状、二〇一五年度の補正予算について、正直申し上げれば利用率は非常に低いと言わざるを得ないわけでありますけれども、大臣としてはどのように認識をされているか、お聞きしたいと思います。
#65
○国務大臣(加藤勝信君) 今、西田委員御指摘いただきました地域の子供未来応援交付金、これ、地域において子供の貧困対策に対応していただこうということで、平成二十七年度の補正予算で二十四億を計上させていただきました。
 ただ、残念ながら、委員御指摘のように、現状、補正について見れば、約二・四億円が交付された、十分の一にとどまるという大変な状況でありまして、私どもとしても、子供の貧困対策を推進するという意味においてもこの活用が十分に至っていないと、こういう認識をしております。
 その背景についてでありますけれども、一つは、それぞれの自治体においての子供の貧困対策がまだ手探り状態ということもあって準備が整っていないということもあります。また、この本交付金の場合には、改めて実態調査をしていただいて、それに基づいて地域の計画を策定して地域の連携体制を整備していただき、さらに先行的なモデル事業と、こういうふうに段階的に実施するということになって、かなり自治体の負担になっていた、またさらに、交付金事業の出発点であり、また貧困対策の出発点であると言ってもいいと思いますけれども、この実態把握の調査においてどんな項目を実施すればいいのかよく分からないと、こういう自治体からの指摘もあったと、そういったことがこうした背景にあるというふうに認識をしております。
#66
○西田実仁君 まさに、これから行っていくという意味でもどんどんこれから利用されていくというふうにならなきゃならないと思うわけでありますけれども、また、この自治体向けの交付金がより活用されるような、申請要件等を柔軟化しているという面も伺ってはございます。
 しかし、この交付金の性格に加えまして、基礎自治体の現場におきましては、子供の貧困対策に利用できる補助金については、例えば厚労省、文科省、内閣府と、その予算が混在をしていると、その使い道のすみ分けに非常に苦労しているという実態を度々お聞きします。そうしたこともこうした交付金の利活用を妨げている一因になっているのではないかというふうに危惧をしているわけであります。
 子供を、例えば生活保護、就学援助、一人親と、この支援の対象となる子供を予算ごとに分類をしたり、あるいは支援する内容そのものを学習支援や居場所づくりや体験活動といった形で省庁ごとに分類をしていったり、分けられていったり、こうした新たな予算を使うには、どう組み合わせていけば有効に地域の貧困対策に活用できるのかということが非常に分かりにくいという声を基礎自治体からもよく聞きます。
 こうしたことを以前もお聞きしたところ、丁寧に、様々な地方公共団体の担当者の会議等でもあるいは説明会でも説明されているというお話でございましたけれども、今申し上げましたように、省庁ごとに異なる子供の支援内容をいかに組み合わせればこうした交付金が活用できるのかというようなことを、その好事例を紹介するなどしていくような丁寧さがないと、実際にはなかなかこの交付金の活用は進まないんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣の御認識を伺います。
#67
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員からもお話がありましたけれども、この交付金の活用をいかにしやすくするかということで、先ほど申し上げた、段階的な事業実施を求めないということで交付要件の弾力化を進めるとともに、こうした様々な具体的な、例えば設問の仕方等の具体的な事例を周知をする、また更に言えば、連携体制の整備事業や、あるいは自治体独自の先行的なモデル事業についても、具体的にこうやってうまくやっている事例を一つの冊子にさせていただいて、それをそれぞれの自治体にお配りをし、また、それぞれに対して説明会、特に直接おやりになる基礎自治体についてそうした事例をもって説明会を積極的に実施をしていくというようなことを取り組んでいきたいと思っておりますし、また、委員御指摘のように、この交付金以外にも、ひとり親家庭等生活向上事業、居場所づくりを支援する、そうした事業など、様々な事業がございます。そういった事業がどういうふうになっているのかを含めて私どもの方で一覧的に情報を発信できるような、こうした対応も取らせていただきたい。一覧化については、この週明けにも一覧化してそれぞれの自治体にお示しをいただき、その中でうまく活用いただける、そういったことにも努力をしていきたいと考えております。
#68
○西田実仁君 是非、この一覧とともに、それをどう組み合わせれば地域のニーズに合うのかというところまでかなり丁寧にやらないとなかなか分からないという声も聞きますので、よろしくお願いしたいと思います。
 子供の貧困対策についてはここまででございますので、委員長のお許しがございましたら、加藤大臣は結構でございます。
#69
○委員長(難波奨二君) 加藤大臣、御退席いただいて結構でございます。
#70
○西田実仁君 次に、災害時に使用されますレッカー車の取扱いにつきまして、担当の松本大臣にお聞きしたいと思います。
 災害、大規模自然災害等で、起きた際に、消防車や救急車など緊急自動車が道路を走行するためには、道路上に捨ておかれた被災車両の排除というものは決定的に必要でございます。真っ先に行わなきゃならないと言っても過言ではありません。
 そのため、国土強靱化アクションプログラム二〇一六におきましても、事前に備えるべき目標として、大規模自然災害発生後であっても、地域社会、経済が迅速に再建、回復できる条件を整備するというふうに定められておりまして、その二番目に、道路啓開等の復旧復興を担う人材等の不足による復旧復興が大幅に遅れる事態を起きてはならない最悪の事態として位置付けておりまして、そうした不足が生じないようにすべきだというふうに掲げられてございます。大規模災害が起きた際に真っ先に現場へと急行し、被災した車両の排除を行わなければ復旧復興はままならないわけでございまして、そこで、このレッカー車というものが大変に重視されているわけであります。
 この国土強靱化アクションプログラムの中には、国、地方公共団体のみならず、民間の自主的かつ主体的な取組も極めて重要と、このようにも指摘をされてございます。実際にレッカー車両を扱う団体におきましては、国や県あるいは道路管理者等と災害協定を結んで、万が一の際の被災車両の排除、すなわち道路の啓開でありますけれども、取決めを行っております。そうした民間のレッカー車の中には、高速道路株式会社と協定を結び、その義務の一環として応急作業を行うレッカー車について緊急自動車に指定されている場合もございます。
 まずお聞きしたいのは、現状、この緊急自動車の指定についてでありますが、道路管理者と協定を結び、公安委員会から指定を受けるという流れになっております。ただ、この申請書類を受理する警察、都道府県警によっては条件が、その要件が異なる、あるいは道路管理者と災害協定を結んでいても緊急自動車の指定が全く受けられていない県もあるやに聞いております。こうした実態を警察庁としてどのように把握し、今後、緊急自動車の指定について、ある程度全国でばらつきのない統一の基準というものを示す必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#71
○国務大臣(松本純君) 緊急自動車の指定については、各都道府県公安委員会におきまして、緊急走行の具体的な必要性と緊急走行が及ぼす一般交通への危険性との均衡等を配慮しつつ判断することとなります。
 かつてはその必要性、危険性を厳格に解する運用が行われまして、一部の民間事業者のレッカー車について緊急自動車の指定がなされていない県もあったと報告を受けております。しかしながら、これまで全国統一の運用がなされるよう指導してきた結果、現在は道路管理者と協定を結び、その義務の一環として、高速道路上における事故車、故障車の排除等の危険防止のための応急作業を行う民間事業者のレッカー車については、いずれの都道府県公安委員会におきましても緊急自動車の指定を行うこととしております。
 今後、緊急自動車の指定手続が適正に、適切に行われるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
#72
○西田実仁君 今大臣からお話がございましたように、この緊急自動車の指定につきましては、高速道路上においては全ての県で指定されるようになったという話でした。
 しかし、今日取り上げたいのは、高速道路はもちろんですけれども、こうした被災車両の排除等は一般道路におきましても必要になる場合があるのではないか、しかし、今現状ではそれが緊急自動車として指定をされていないことによる問題を取り上げたいと思います。
 なぜ一般道路においては緊急自動車としてレッカー車が指定されないのか。その理由は、一つは、一般道路では、高速道路に比べると事故車や故障車を移動させる緊急性が一般的には低い、こういうふうに指摘されております。また、緊急走行、言ってみれば、サイレン鳴らしたり、赤色灯を付けたりすることに一般道路でレッカー車がしますと、他の一般交通に対する危険というのが増すという、そういうことから、一般道路においては、こうした被災車両を排除するレッカー車において緊急自動車には指定されていないと、このように認識をしてございます。
 しかし、大規模自然災害が発生した際には、災害拡大を防止する、二次災害を防止する、さらには、もっと大事なのは、そのためにも緊急輸送道路、一般道においても緊急輸送道路の確保がどうしても必要になります。それが確保されないと、まさに二次災害や災害が拡大してしまう。
 この大規模自然災害が発生した現場へ、人命を救助するための車両、例えば消防車や救急車などの緊急自動車、あるいは自衛隊等の第一陣がその被災地の現場にたどり着くためにも、道路上の瓦れきや放置車両の撤去、排除がどうしても必要になると、これ繰り返し述べております。あの東日本大震災の際にも、車両で避難していた住民が放置した車両が道路上に多数ありまして、そのために、人命救助のための車両がなかなか現場にたどり着けなかったという話も聞いてございます。それゆえ、先ほど冒頭申し上げましたように、国土強靱化プログラムの中には、起きてはならないリスクとして、その対応として道路啓開というものがプログラムの一つに盛り込まれているわけでございます。
 仮に、首都直下地震等が発生した場合に、道路管理者からレッカー事業者、協定を結んでいるレッカー事業者に被災車両の排除の要請が来ても、現状では、一般道における緊急自動車の指定は受けられません。高速道路に行くために一部認められる場合もあるとは聞いておりますけれども、一般的には認められていない。一般車両同様に渋滞に巻き込まれてしまい、業務を遂行することが不可能になる、これで果たしていいのだろうかという問題意識を持ってございます。
 道路管理者と災害協定を結ぶレッカー事業者におきましては、当然道路啓開に対応できる人員あるいは装備がそろっております。また、緊急の要請にいつでも対応できる人員装備を備えてございます。まさに、国土強靱化プログラムでいうところの起きてはならないリスクに対応できる体制が取られているわけで、こうした民間の力を利用しない手はないというふうに思います。そのためには、特定のレッカー車両に対して赤色灯やサイレンの装着を認める緊急自動車の指定が必要ではないかというふうに思います。
 そこで、大臣に御認識をお聞きしたいと思いますが、大規模災害時、被災した車両を排除するために真っ先に現場に到着しなければならないレッカー車両については、高速道路のみならず一般道路においても緊急自動車に指定することも検討すべきではないか。先ほど、検討を今までしてこなかった理由として挙げられている、高速道路に比べると一般道路においては事故車や故障車を排除する緊急性は低いということですけれども、どういう場合が緊急性が高いのか、あるいは、その緊急走行が及ぼす一般交通への危険性をいかに排除していくのかなどを検討した上で、どういう場合に一般道における緊急自動車に指定し得るのか、そうした事例研究を是非とも行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(松本純君) 現在、一般道路上における応急作業に使用するレッカー車については緊急自動車の指定がなされておりません。これは、高速道路においては、事故車、故障車があると他の車両が高速走行しているため交通事故を誘発する危険性が特に高く、また高速道路の構造上迂回等もできずに著しい交通渋滞を招くおそれが特に高いことから緊急性が認められるのに対し、一般道路においては、高速道路と比べその緊急性が一般的には低いと考えられるためでございます。
 一方、大規模災害時において被災車両を排除して災害応急対策を的確かつ円滑に行うことは重要な課題であると認識をしております。このため、レッカー事業者から具体的な事例を伺いながら、緊急走行が及ぼす一般交通への危険性も考慮しつつ、大規模災害時にどのような対応を行うことが可能なのか研究していくよう、警察庁を指導してまいりたいと思います。
#74
○西田実仁君 研究いただけるということで、是非現場で、例えば東日本の大震災の際、あるいはゲリラ豪雨等で水害があった常総市等の場合に、レッカーの災害協定を結んでおられる民間の方が現場に行ってどういう場面に出くわして、どういうもどかしさを持ちながら人命を助けるために頑張ってきたのかということを是非お聞きをしていただきたいと思います。これは単にレッカーの業界団体の利益ということではなくて、まさに災害時に国民の命を救っていくことに直結する話でございますので、是非とも真摯な研究をお願いしたいと思います。
 この緊急自動車の指定は、しかし、現状、レッカー車とクレーン付きの積載車のみとされてございますけれども、実際に現場でこの災害時に対応するのは、このレッカー車やクレーン付積載車に加えまして、工作車あるいは普通の積載車も道路管理者の要請により出動しているわけでございまして、その現場の実態に合わせた指定車両の見直しを行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#75
○国務大臣(松本純君) この緊急自動車としての指定がなされているレッカー車に随伴し、レッカー作業の人員や資機材を運搬するために使用される積載車あるいは工作車についても、公益性及び緊急性が認められる場合には緊急自動車の指定が可能であります。
 今後とも、緊急自動車の指定手続が適切に行われるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
#76
○西田実仁君 最後になりますけれども、このレッカーの作業中の事故というものが絶えません。昨年も、私どもが聞いているところでは、数名のレッカー隊員が作業中に事故に巻き込まれて亡くなっているとも聞いてございます。こうした作業中の事故、亡くなるという最悪の事態に至らずとも、事故をどのように現状を認識をされておられるのか。
 このレッカー作業中、現状ではいわゆる警光灯の点火が許可されておらないと聞いております。現場では発煙筒の使用にとどまっておりまして、他の車の追突事故など、二次災害あるいは二次事故の可能性も正直高まっているというふうに思われます。レッカー作業という大変公益性の高い作業をする方々の二次事故を防ぐためにも、レッカー作業車の停車中の警光灯の使用を許可してもよろしいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#77
○国務大臣(松本純君) 作業中の事故に巻き込まれてお亡くなりになる方の状況でございますけれども、都道府県警察からの報告によりますと、事故車、故障車を車載車によって運搬し又はレッカー車によって牽引することに伴って発生した交通事故について、平成二十七年中は五件発生しましたが、死亡事故はありません。二十八年中は七件発生し、このうち二件が死亡事故でありました。
 平成二十八年中の死亡事故について、一件は、自動車修理業者の車載車が現場に向かう途中、路上横臥者をひいて死亡させたという事故で、レッカー作業と直接関係はありませんでした。もう一件は、レッカー事業者の車載車が事故車両を積載作業中、当該車載車に追突したトラックの運転手が死亡したという事故がありました。
 今後とも、レッカー事業に伴う交通事故の実態把握に努めてまいりたいと思っております。
 また、緊急走行の必要がない場合、赤色の警光灯をつけることは道路交通法上想定されておりません。道路上における各種作業を行う上で安全を確保することは重要であり、停車してレッカー作業を行う際には、非常点滅表示灯の点灯や停止表示器材の設置などによって安全を確保するよう、各事業者に対する周知を図ってまいりたいと思います。
#78
○西田実仁君 終わります。
#79
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。どうぞよろしくお願いいたします。
 一連の文科省によります天下りの問題です。
 明らかな国家公務員法違反事件、もう違法なことを組織ぐるみで、しかも長い期間にわたって行っていたということで、これはもうもちろん許されるべきものではありません。最終調査報告書というのも出されましたので、今後しっかりと再発防止策というのを講じていかなきゃいけないわけですけれども、じゃ、本当にこれは文科省だけの問題なのかと、話なのかということで、他省庁も含めた全ての省庁での調査を今進めているというふうに聞いています。その実施の状況、見通し、どうなっているでしょうか。
#80
○国務大臣(山本幸三君) 安倍内閣総理大臣から指示を受けまして、文部科学省の事案と同様の事案がないかどうか、全省庁について、現在、内閣人事局に立ち上げた再就職徹底調査チームにおきまして全力を挙げて調査を行っている最中であります。調査チームの体制につきましても、当初の三十人強から、やはりそれじゃ足りないということで、二月末に四十人強に増強したところであります。
 調査の状況といたしましては、現行の規制が導入された平成二十年十二月三十一日以降に再就職情報が公表されました対象国家公務員OBのうち、営利企業などに再就職した約六千四百人に対する再就職に至る経緯などについての書面調査、それから本省幹部や地方機関を含む現役の人事担当者に対する早期退職者への対応やOBへの情報提供の実情などについてのヒアリング調査、それから各府省官房人事担当課に対する職員等への再就職規制の周知のための取組についての書面調査等を鋭意実施しているところでございます。
 これらの調査につきましては現在も継続中であることから、更に具体的なことについてはお答えを差し控えたいと思います。ただし、引き続き徹底的な調査を行い、その結果が出次第、速やかに明らかにしてまいりたいと考えております。
#81
○清水貴之君 この天下りの問題に関しましては、もう十年ほど前にも大きな社会的な問題となりました。私はまだ議員になって四年目ですから、その当時の国会の状況は分かりませんけれども、皆さん、先輩議員の皆さんが様々議論をして法改正をしたりということで、何とか国民の皆さんにしっかり理解してもらえるような制度づくりというのを進めてきたと思うんですが、やはりまた起きてしまっているわけですね。となりますと、やはりどこかに問題がある、その認識の甘さなのか制度なのか、問題があるわけですね。
 我々維新としましては、大阪でこの天下り規制というのを厳しくやっています。大阪府職員基本条例というのを作りまして、かなり厳しくやっています。これを基にこの国政の場においても天下り規制法案というのを今作っておりまして、国民の皆さんが納得できる制度をと思っておりますので、この辺りは是非皆さん共に、また改めてになりますが、議論をしながら進めていけたらというふうに思います。
 そのルールの面、制度上の面というのももちろん天下りの起きている原因にあると思うんですけれども、じゃ、もう一個戻りまして、そもそもなぜかというところで、私は、国家公務員の皆さんの早期退職の慣行というのがこれあると思います。官僚の皆さん、これ一般的に言われていることですね、次官レースがあって、それに乗れなかった場合は定年の年齢に達していなくても早期に職場を離れなければいけないような、ある意味の慣行、慣例があるというふうに言われています。
 これは、今、日本全体でいいますと、なるべく、もう今高齢化社会が進んでいて、元気な高齢の方が増えているわけですから、少しでも長く働いていただこうという流れの中で、その流れに乗れていないといいますか逆行しているといいますか、そういった仕組みが生まれていて、辞めなければいけないからどこかに就職をしなければいけないと。
 そうすると、なかなかやはり、ずうっと国家公務員で一つの職場でいらっしゃった皆さんが、じゃ一般企業とかどこかにというときに、なかなかこれは難しいのは現実だと思うんですね。そうするとOBを頼るとかどこか知り合いのつてを頼るということになると思うんですが、やっぱりこういう定年まで働けないような状況が一つの大きな原因ではないかと思います。この辺も、働き方という面からも、山本大臣、考えていかなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(山本幸三君) 御指摘のとおりだと認識しております。
 定年まで勤務できる環境の整備は大変重要であると考えておりまして、中高年期の職員が長年培った知識や経験を有効に生かしていけるよう、専門スタッフ職など知識や経験を生かせるポストの活用により、職員の多様な分野への積極的な活用を図っていきたいと考えております。引き続き、このような取組をしっかりと推進してまいりたいと思います。
 年功序列人事に関しましては、これまでの国家公務員法の改正におきまして、人事評価に基づく能力・実績主義による人事管理を導入したところでもあります。また、幹部職員の候補となり得る管理職員としてその職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するための幹部候補育成課程も導入したところであります。こうした制度をしっかりと運用することにより、能力・実績主義を踏まえた、採用年次等にとらわれない人事を推進し、できるだけ定年まで勤務できる、そういう環境をつくっていきたいと思っております。
#83
○清水貴之君 能力・実績主義も、じゃどういった評価がされているかといいますと、ほとんどが本当にもうSとかAとか上位の評価のみが付いている状況なわけですね。実際に制度は少しずつ変えようということで導入はし始めているのかもしれませんが、じゃ本当に適正に運用されているかというと、ここは私も疑問だと思っておりまして、この辺も大臣には是非見ていっていただきたいと思います。
 もう一つ、再就職、これ、もちろん全てが悪いわけではありません。官僚の皆さんの優秀な能力をほかの一般の民間企業などでどんどんどんどん生かしていただく、これ自体は悪いことではないというふうにもちろん思います。ただ、やはりそこに利害関係が生まれたり国民の税金が無駄に使われるような仕組みになっている、ここには大きな問題があってメスを入れていかなければいけませんけれども、どんどんどんどん民間と交流をして入っていっていただいてその能力を生かしてもらうような、これも進めていくべきではないかというふうに、大臣、思いますが、これについてはいかがでしょうか。
#84
○国務大臣(山本幸三君) おっしゃるとおりであります。
 国家公務員の再就職について問題がありますのは、官民の癒着につながりかねない予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。このために、平成十九年の国家公務員法改正によりまして、再就職規制について、行き先を制限する外形基準から行為規制に転換し、それまで禁止されていなかった各府省による再就職あっせんの禁止等厳格な規制を導入したところであります。
 一方で、法令に違反することなく再就職することは問題なく、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することは大変大きな意味があると考えております。
 いずれにしても、現在、内閣人事局に立ち上げた再就職徹底調査チームにおいて徹底的な調査を行っているところであり、その結果を踏まえて、御指摘のような点も含めどのような対策を取れば実効が上がるか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。
#85
○清水貴之君 その官民の交流目的でつくられた組織としまして官民人材交流センターというのがあります。ただ、これ本当に残念ながらほとんど使われていませんね。
 一旦つくられて、機能がストップしていた時期もありますが、平成二十五年にあっせん業務、これ再開をされました。その後、二十七年度末までの数字を見ますと、この交流センターを使って再就職した人、二十八人です。同じ時期に全体で見ますと三千人以上の方が再就職をしているわけですね。ということは、もう本当に僅かの人しかこの官民人材交流センターというものを使って再就職をしていないわけです。もうこの組織が使われていないわけですね。何でこんなに使われていないんですか。
#86
○政府参考人(岡本義朗君) お答えいたします。
 官民人材交流センターにおきましては、平成二十五年十月以降、早期退職募集による退職者のうち、希望する者に対しまして民間の再就職支援会社を活用した再就職支援を実施しております。
 先ほど先生がおっしゃいました平成二十五年度から二十八年度までの各年度における再就職支援の利用者数は、それぞれ、平成二十五年度が二十一名、二十六年度三十五名、二十七年度四十四名、二十八年度五十三名になっているところでございます。
 これまでのところ、平成二十五年十月以降におきまして、官民人材交流センターにおける再就職支援の利用者数は若干ではございますが毎年増加してきておりますが、その仕組みが職員にはまだ十分に浸透していないと考えております。官民人材交流センターが実施する再就職支援制度の周知につきましては、これまでにも各府省の人事担当者などへの説明を実施してまいりましたところでございますけれども、本制度の利用のメリット等について一層の周知を図りまして、利用者数が増えるようにしてまいりたいと存じております。
#87
○清水貴之君 今、その利用者が少ない理由として周知の話が出ましたけれども、僕は周知よりももう制度に問題があるんじゃないかなと思っておりまして、これ使えるのが早期退職制度に応募した人のみというふうになっています。制度を使わずに自主的に早期退職をしたりとか定年退職する方もいっぱいいらっしゃいます。そういう方は利用できないという仕組みになっているわけですね。これはなぜこういう制度になっているんですか。
#88
○政府参考人(三輪和夫君) お答えを申し上げます。
 平成十九年の国家公務員法の改正によりまして、各府省による再就職あっせんは禁止をされまして、内閣府に設置をする官民人材交流センターに一元化をされました。発足当初、官民人材交流センターにおいては、退職を勧奨された者及び組織の改廃等による分限免職者等を対象として再就職支援、いわゆる直接あっせんでございますけれども、これを行っておりました。しかし、平成二十一年九月に当時の鳩山総理から、官民人材交流センターによるあっせんも組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き今後は一切行わないと、こういう旨の発言がなされ、現在に至っているところでございます。その後、平成二十五年の早期退職募集制度の導入に伴いまして、この制度を利用した応募認定退職者等のうち、利用を希望する者に民間の再就職支援会社を活用した再就職支援を実施をしているということでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、現在内閣人事局において全省庁の調査を行っている最中でございます。その結果も踏まえまして、どういった対策を取れば実効が上がるのか、御指摘の点も含めてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
#89
○清水貴之君 このセンターの、どんな活動をしているかというこの報告書を見ますと、就職をあっせんするというのも一つの業務なのかもしれませんけれども、でも官民の交流ということにかなり重きを置いているなと、民間企業とか団体を呼んで説明会などを開いているというのが、これも一つの大きな目的、仕事になっているなというふうには読み取れます。
 でも、これ、開いているだけではなかなかやはり再就職につながっていかないわけですね。お互い話しているだけでは、そこはもう一歩進まないとやはりなかなか使い勝手が悪い。今おっしゃったとおり、過去のこの歴史的な流れがあって今の仕組みになっているというのは非常によく分かりますけれども、こういう組織がありながら使われていないところにやはり天下りが今回起きてしまった大きな、もう組織あるのに、要は使い勝手が悪いわけですね。ここを使うぐらいだったら、もう知り合いのOBに頼むとか、それこそ文科省の場合は中でそういった話をしたら通してくれたりしてもいたわけですが、そこを使った方がいいですし、条件も良かったり絶対するわけですね、ということも一つ大きな原因になっていると思いますので、せっかくある組織です、我々出している法案では、ちょっとこの官民人材交流センターというのはもう不必要ではないかというふうに思っていますけれども、でも、今ある組織ですから、これはもう積極的に活用できるように、大臣、これも是非前向きに考えていただきたいなというふうに思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#90
○矢田わか子君 民進党・新緑風会、矢田わか子でございます。本日もよろしくお願いをいたします。
 まず冒頭、総理大臣の夫人付きの秘書官に関して質問をさせていただきます。
 資料一にありますように、総理大臣夫人付きの秘書官、第二次安倍内閣以降、一人から三人、そして今現在五人へと増えていったわけであります。政府は、総理大臣夫人はあくまで私人であるという見解を出されていますが、もし何らかの総理大臣サポートにまつわる業務が増えたということであれば、どのような業務が増えているのかということについてお聞かせいただけますか。
#91
○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
 安倍内閣におきましては、地球儀俯瞰外交を推し進めます、また経済最優先を旨とするということで運営をしているところでございまして、そうした観点から、各国首脳夫人も同行するサミットへの同行、夫妻で来日した外国要人の接遇などの活動、あるいは女性活躍など内閣の重要政策に関する会議等への単独での出席、在東京の外交団が催す多数のイベントなど、総理大臣の公務遂行の補助に係る総理夫人の活動が全体に大幅に増加をしているという状況でございます。
#92
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 政府の国家公務員の定員管理方針には、「既存業務の増大への対応に当たっては、自律的な組織内の再配置によることを原則とし、新規増員は厳に抑制する。」と記載されております。
 夫人付きの秘書官の増員に関し、官邸職員の定員管理がどのように行われたのか、お願いをいたします。
#93
○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
 いずれも既存の定員管理の中で対応しているところでございまして、一例を申し上げますと、内閣官房本務の者につきましては、内閣官房全体の既存定員の中で対応しているという状況でございます。
#94
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 総理夫人の様々なサポートの業務が増えたということで、特に海外の訪問等も増えていますので、これまでの事例から見ても確かに納得できる部分もありますけれども、ただ、外務省からの一人の秘書官で対応できたのではないかという見方もありますので、是非ともその辺りについてもお考えをいただければというふうに思います。
 あわせて、今回、やはり特に官房長官に是非お伺いしたいのは、森友学園問題において、やっぱり総理大臣の夫人とその秘書官が幾つかの場面で当事者や行政機関と直接接触されたということは間違いのない事実でありまして、やはり国家公務員として秘書官の日常的な行動については問題視せざるを得ないというふうに思っております。この点について、官房長官のお考えがあればお願いをしたいと思います。
#95
○国務大臣(菅義偉君) 総理夫人の総理の公務遂行を補助するための活動が飛躍的に増大しているという、今事務方の説明がありました。
 そういう中で、私ども政府の立場としても、今後、海外のそうした夫人付きというものも調査しながら、体制の在り方については検討していきたいというふうに思います。
#96
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 事件については、やっぱり真相解明を求めている国民の声もまだいまだに根強くあると思います。総理夫人や秘書官含めた関係者の国会での参考人招致を今後も党としては求めていきますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 官房長官、お忙しいところありがとうございました。
#97
○委員長(難波奨二君) 官房長官、御退席いただいて結構でございます。
#98
○矢田わか子君 引き続き、介護の問題についてお伺いをしていきます。
 昨年六月、ニッポン一億総活躍プランの中で介護離職ゼロを目標に再度掲げられております。総務省の平成二十四年就業構造基本調査によると、会社で仕事と両立しながら働き続けている方は二百四十万人、そして残念ながら介護による離職者は十万人を超えているという統計が明らかになっております。本年十月に五年ぶりのまた調査が行われますが、高齢化が一段と進む中でこの数もきっと増えていることと思われます。
 この問題、介護職の確保という対策が最も重要なことの一つと考えられます。このように様々なアプローチをやってきたというふうに思うんですけれども、今日は、介護職における能力・技能向上に関わる資格制度の整備という課題と処遇の改善という二つの観点からお話をお願いしたいというふうに思っています。
 まず資格の問題ですが、資料二を御覧ください。介護関係の資格は、現在、主として、この左端にありますように、職員の初任者研修を受けた旧ヘルパー二級の方から、実務者研修と言われている旧ヘルパー一級の方、そこからさらに介護福祉士、介護支援専門員、ケアマネージャーと呼ばれる方々に分類されます。基本的には上位の資格を取りながらキャリアパスをしていく仕組みができており、給与が順番に上がっていくということもありますので、このようなステップを考える人は多くいらっしゃると思います。
 しかし、本年に入って実施されました、実はこの介護福祉士、これ一番キーマンとなる方々、実務も担うし様々な指導もしていく方々ですが、この国家試験において大きな異変が起きました。受験者と合格者が大幅に減ったということであります。受験者はほぼ昨年の半分、七万六千三百人まで減りました。合格者は前年度より三八%、四割近く減り、五万五千三十一人となりました。これは、これまでの出願者の約九割、九〇%を占める実務経験者向けの試験、これを受ける方が実際には多いわけですけれども、この資格要件が四百五十時間の実務者研修を受けた方という要件が加わったからではないかと思われております。
 介護の仕事をしながら、さらに研修を四百五十時間受けなければその資格がないという要件になったということなんですが、大きなこれが受験の壁になったのではないかと見られております。結果から、試験制度そのものの改正、本当に正しかったのかどうかという議論も出ております。このことについて、是非御見解をいただきたいと思います。
#99
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 介護福祉士試験につきましては、介護現場の中核的役割を担う介護福祉士の資質向上のため、平成二十六年の法改正によりまして、本年一月実施の試験から新たに、先ほど御指摘ありましたように、三年以上の実務経験を経て受験しようとなされる場合につきましては、実務経験に加えまして、例えば認知症等の医学的知識の学習など、実務経験だけでは十分に取得できない体系的な知識、技術を習得するための実務者研修の修了というものを受験の要件としたところでございます。
 この実務者研修の義務付けにつきましては、認知症高齢者の増加や医療的ニーズの高まり等による近年の介護ニーズの高度化、多様化に対応できる資質を担保し、質の高い介護サービスが提供できる人材を養成することを目的としておりまして、介護福祉士が専門性を発揮し、社会的にも評価されながら誇りを持って働くことができることにもつながるため、必要なものと考えているところでございます。
 先ほど、受験者、合格者の減のお話出ました。今回のいわゆる減少の要因につきましては、一つは、実務者研修の導入に伴いまして受験者層の変化、つまり、より取得意思の高い方々が受験をしたということ、それからあとは、前回までの試験制度、前回までの試験で、いわゆる制度改正前のいわゆる駆け込み、駆け込み受験があり、その反動で減になったのではないかと、私どもはそのように考えておるところでございます。
 先ほど御負担のお話ございました。実務者研修の実施に当たりましては、働きながらでも受験しやすい環境を整える必要があると考えているところでございまして、厚生労働省といたしましては、ほかの研修で既に履修した科目については受講を免除する、それから事業主が研修参加者の代替職員を雇う際の助成、受講者に対する返還免除付きの受講費用の貸付け等の負担軽減措置を図っているところでございます。
 今後とも、これらの支援策を受講者や事業主へ周知することで、実務者研修の受講促進を図って質の高い人材の養成に取り組んでまいりたいと考えております。
#100
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 介護における全体的なスキルアップの必要性は分かります。スキルアップが図れれば、例えば介護福祉士の能力、守備範囲が広がることによって訪問介護でも一人で対応できるようになる、いろんな資格を持った人が集まってこなくてもいいというふうなこともありますので、そういう可能性もあるんですけれども、一方で、やはり介護職の絶対的な不足がこれからも予測される中にあって、資格取得へのインセンティブを失わせるようなそんな試験制度であれば、これは介護職の確保という観点からは課題があるというふうに思いますので、引き続きの検討をお願いしたいというふうに思います。
 続いて、処遇改善の実態についてお伺いをしていきたいと思います。
 二年前の平成二十七年度から、介護職員の処遇改善の加算によって、徐々にですけれども給料は上がってきていると思います。しかし、依然として全産業労働者の平均賃金からすれば低い。昨年六月分の賃金を対象とした厚労省の賃金構造基本統計調査では、施設で働く介護職員の平均月収二十一万五千二百円と言われております。前年から増加しているものの、全産業の平均三十万四千円に比べれば八万八千八百円下回っております。
 民進党は、先月二十二日に議員立法として介護に関する法案二案を衆議院に提出をさせていただいておりますが、特に処遇改善に関しては、国の責任による助成金制度を創設し、賃金をアップさせて、他産業の平均の差九万円を段階的に縮めていくべきというふうに考えております。
 介護職を目指す人を増やして、また、介護職の皆さんそのものが離職をしてしまわないためにも、是非こうした処遇改善、最優先の課題だと考えますが、いかがでしょうか。
#101
○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
 介護職員の賃金水準でございますけれども、相対的に低い現状でございまして、それの改善のために介護職員の処遇改善につきましては、私どもとしましても、これまでも財源を確保しつつ着実に行ってきたところでございます。
 具体的には、これまで累次の介護報酬の改定を行うことなどによりまして、合計四万三千円の処遇改善を図ってきたところでございます。そして、今年度におきましては、ニッポン一億総活躍プランに基づきまして、平成三十年度の介護報酬改定を待つことなく臨時に介護報酬改定を行いまして、月額一万円相当の処遇改善を行っておりまして、まずはこれを着実に実現していくということが重要であると考えております。
#102
○矢田わか子君 ありがとうございます。引き続き御検討をお願いしたいというふうに思います。
 三つ目には、介護におけるIoTロボット、ICTの活用について質問させていただこうと思ったんですが、時間がありませんので、少し要望ということでお伝えをしたいと思います。
 人手不足の解消のためにこうした介護関連のIoT介護ロボット活用に本気で取り組む時期が来ているというふうに思っております。平成二十七年度の補正予算から介護ロボット等の導入支援特別事業が実施されましたが、今日、こうしたロボット導入ニーズが急速に高まっていることから、この支援の予算、追い付いていないという現状になっているとお伺いをしております。
 是非とも、今後、厚労省におかれましては、この事業の検証を行う中で将来の介護報酬改定においてロボット活用も反映させるような方針を持っていただき、ロボット導入の支援に関する予算確保とロボット産業の振興ということについても取組の強化をお願いしたいと思います。
 その上で、最後に加藤大臣にお伺いをいたします。
 介護離職の防止という観点で今回三つの課題をお伺いしましたけれども、一億総活躍の視点からも、介護に関わる介護職の要員の確保、それから親の介護を抱える現役労働者の両立支援という観点から、加藤大臣が考える今後の支援策についてお伺いできますでしょうか。
#103
○国務大臣(加藤勝信君) 介護離職ゼロは一億総活躍社会の実現に向かって三本柱の一つと位置付けさせていただいておりまして、介護によって離職をしてしまうということになりますと、その離職をされた方の将来不安も増大をしていくということもございます。
 そういったことも含めて、介護する側も介護を受ける側も心豊かに過ごすことができるように、必要な介護サービスの確保と、また働く環境改善、家族支援、そういったことを両輪で進めていくことが必要だというふうに思っております。
 具体的には、先般成立をしていただきました二十九年度予算においても、月額一万円相当の処遇改善の介護人材の確保を始めとして整備量を確保していく、あるいは介護休業を活用しやすくしていく、まさに今御指摘ありましたロボット等を活用していく等々、働く環境を良くしていく、そういったことを総合的に進めていく中で、介護離職ゼロの実現に向けて努力をしっかりと進めていきたいと思います。
#104
○矢田わか子君 大臣、ありがとうございました。是非とも、誰もが、どの労働者も抱える今後大きな課題になってくるというふうに想定されますので、本腰を入れてお取組の強化をお願い申し上げておきます。
 最後に、働き方改革に関して御質問していきます。
 三月二十八日に働き方改革実行計画が示されました。労使の代表が入って合意された内容でもあり、おおむね評価できる点もあるというふうに思っております。ただ、懸念するのは時間外労働の規制に関しての件であります。具体的な規制パターンが大変複雑化しております。したがって、今後、法改正が行われ、それを基に労使交渉が進められていくことになりますけれども、的確な制度運用が行われるように関係者への丁寧な説明が必要だというふうに思っております。
 その際の一つの課題が時間外労働における休日労働の取扱いです。先般、予算委員会でもインターバル規制の導入について意見をさせていただきましたが、今回、やむを得ず休日労働をしたときに、それが時間外労働に含まれない可能性を残したということでもありますが、それが果たしてよかったのかどうかということ、そして、法定休日と法定外休日の取扱い、休日労働に対する代休取得と割増し賃金の関係、今回の時間外労働の上限規制における休日出勤の扱いのケースごとの違いなど、もうかなり複雑なものになっておりますので、是非とも、当該の労使はもとより、労働者本人にも理解を促すような丁寧な御説明への対応をお願い申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
#105
○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 時間外労働の上限規制につきましては、本年三月末に働き方改革実行計画が決定されたことを受けまして、四月の七日から、労働政策審議会の労働条件分科会において具体的な制度設計に向けた議論を開始したところでございます。この分科会におきましても、先生御指摘のとおり、委員からも御指摘の休日労働の取扱いについて誤解のないよう周知する必要があるといった意見も出されているところでございます。
 今後、審議会での議論を踏まえて具体的な法制化に向けた作業を行っていくこととなりますけれども、いずれにいたしましても、上限規制の内容につきましては、例えば月四十五時間、年三百六十時間が原則であって、その上で臨時的な特別の事情がある場合の規制が設けられているということや、御指摘のような休日労働の取扱いなども含めまして、働く方々あるいは事業者の方々を始めとした国民の皆様方に十分に御理解をいただいてルールとして守っていただくということが何より重要だと考えておりますので、丁寧かつ効果的な周知に努めていきたいと考えております。
#106
○矢田わか子君 ありがとうございました。
 今回の議論、働き方改革そのものを生産性の向上に結び付けていくという話や適用除外の項目を残したというような様々な課題も残っている中で、最後に一言、加藤大臣から今後の意気込みをお聞かせいただければと思います。
#107
○国務大臣(加藤勝信君) 例えば長時間労働の是正については、今回罰則付きの時間外労働の上限規制を導入するということと併せて、例えばパワハラ対策、メンタルヘルス対策、あるいは取引条件改善など、業種ごとの取組の推進など総合的に進めることによって、そうした長時間労働の是正が具体的に実現し、働く方の健康の確保、そしてワーク・ライフ・バランスの改善、そして女性や高齢者が働きやすい社会の実現を目指していきたいと思っております。
 それから、こうしたことを通じて、今申し上げたことに資するとともに、生産性の向上にも資するというふうに考えておりますけれども、これは単に生産性の向上にとどまるのではなくて、それがしっかりと働く人に分配をされ、賃金が上昇し、そしてそれが需要の拡大、そして成長につながるという成長と分配の好循環、これをしっかり形成していけるように努めていきたいと思います。
#108
○矢田わか子君 ありがとうございました。
#109
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は質問の機会をつくっていただきまして、委員長始め皆さん、ありがとうございました。官房長官、どうぞよろしくお願いいたします。
 資料をお配りをしておりますけれども、六枚目からをまずちょっと御覧いただきたいと思うんですが、これは二月の十日に、レッドパージを戦後最大の人権侵害として、日弁連及び各地の弁護士会に人権救済を申し立てた被害者の皆さんとレッド・パージ反対全国連絡センターが、安倍総理に対して、日弁連の二度の勧告を始め十四度にわたる人権救済勧告の早期実施を求めた要請書です。要請には私も同席をしたんですけれども、内閣総務官室を通じて、二月の十五日に官邸の総理室と官房長官室に上げられたと伺っております。
 私から少し紹介しますと、一九四九年から五一年にかけて、推定四万人の共産党員、支持者、労働組合員を解雇、職場追放したというのがレッドパージです。米占領軍の示唆を受けて、当時の吉田内閣の閣議決定によって行われたと。
 資料の七枚目、御覧いただきますと、日本発送電株式会社、現在の九電になりますが、ここからレッドパージされた被害者の藤江忠太郎さんの遺族の総理宛ての手紙があります。何の理由も示されずに解雇された父だけではなく、母はもちろん、家族の生活は激変し、父、母は生活の糧を得るために郷里の壱岐に帰り、地域の視線に耐えながら慣れない農業や雑貨店などを営み、子供たちもレッドパージに向き合わざるを得なくなった。名誉回復を実現することなく十五年前に逝去した父の無念を晴らすために、苦労を共にしてきた母が弁護士会に人権救済を申し立てた。そうした中で、昨年十月に出された総理に対する福岡県弁護士会の勧告書は、私たち遺族の気持ちを代弁するものでしたと述べていらっしゃいます。
 ここに出てくる日弁連の最初の勧告は二〇〇八年に出されまして、九年前になります、二度目の勧告が二〇一〇年、七年前になるわけですけれども、その勧告の中では、レッドパージは、日本国憲法や世界人権宣言が明確にうたっている思想、良心の自由、法の下の平等、結社の自由を著しく損なうものである、被害者の名誉回復と国家賠償を含む人権侵害救済措置を可及的速やかに実施するようと勧告をされています。そして、全ての勧告が、一九五二年に平和条約が発効した後は政府として被害者の名誉回復措置を容易に行うことができたのに、これまで放置してきた責任は重いと。
 昨年十月の福岡の勧告は、日弁連勧告が出された後も何らの被害回復措置を講じていないと政府の責任を指摘しているところなんですね。
 官房長官、以上のような簡単な紹介ですけれども、こうした歴史の中で、当事者あるいは被害者の方々が今次々と亡くなっていっておられます。けれども、この藤江さんのように生きているうちの名誉回復をと、このことが強く求められているわけですし、私もそのとおりだと思います。
 そこで伺いたいと思うんですが、資料の一枚目、これ内閣府から提出をいただいたものをお配りしましたが、表題に「共産主義者等の公職からの排除に関する件」という閣議決定ですが、これが指摘されている、一九五〇年、昭和二十五年九月五日の閣議決定だと思いますが、官房長官、よろしいでしょうか。
#110
○政府参考人(武笠圭志君) まず、私の方からお答えさせていただきます。
 御指摘の免職あるいは解雇につきましては、その行為の時点におきまして連合国最高司令官の指示に従ってなされたもので法律上効力を有しており、その後に平和条約の発効により連合国最高司令官の指示の効力が失ったとしても影響を受けるものではないという司法判断が確定しております。この判決の中で、委員御指摘のように、昭和二十五年九月五日、政府、第三次吉田内閣は「共産主義者等の公職からの排除に関する件」の閣議決定を行ったということが認定されております。
#111
○仁比聡平君 マッカーサー指示の超憲法的効力ということがこの問題について繰り返し言われているんですが、私は、果たしてそうなのかと、この閣議決定をいただいて改めて思うんですけれども、皆さん、三ページ目を御覧いただきますと、元々の請議された文書に、恐らく当時の吉田首相のものと思われる文章が書かれて、書き込みがございます。本件についての意見がある、次回閣議にて再考を云々と。ちょっと私、読みづらいところがありますが、こうした趣旨の吉田当時首相の署名があり、続いて、五日法務総裁より御説明済みのはずと読めるんですが、岡崎という署名がありますが、この岡崎さんというのは、当時の官房長官、岡崎勝男さんのことだと思うわけですね。
 これ一ページ目に戻っていただきますと、この案が起案されたのがその年の九月一日であり、閣議決定が九月の五日であると、請議は法務総裁が請議したものであるということになっているので、そうした経過の下で五日に法務総裁の説明の上、閣議決定されたということのようなんですけれども、これ、官房長官、そのように読めると思われませんか。
#112
○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
 私ども、昨日この資料を拝見いたしまして、ところでございますけれども、確かに先生御指摘のとおり一部読み取り難い部分もあるわけでございまして、確たることを申し上げることは難しいわけでございますけれども、今先生がおっしゃいましたような記述があるということは、私どもとしてもそのように思われるということでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、この閣議請議等の経緯について現時点でお答えするということは難しいというふうに思っております。
#113
○仁比聡平君 現時点でお答えはできないのかもしれないけれども、この閣議決定がどのようなものなのかということは、やっぱり歴史、そして今、当事者、被害者が現にいらっしゃるわけで、重要な事実だと思うんですね。この点、よく調べていただきたい、検討いただきたいと思うんですけれども。
 今の点に加えて、一枚目の、「別紙 法務総裁請議」とあります。これ、今も、現在も閣議決定のやり方はさほど変わってはいないということなんですが、つまり当時の法務府、現在の法務省の大橋武夫法務総裁の下で準備され閣議決定されたものであるということが示されているんだと思うんですね。
 当時、法務省のどこが所管していたのか。そして、この閣議決定の文書に、「法務総裁請議」の文字の上に二重線が引かれているんですけれども、これはどういう意味なのか、お分かりになりましたでしょうか。
#114
○政府参考人(杉山治樹君) 御指摘の閣議決定につきましては、現在のところ、当該閣議決定の請議文書あるいは決定の経緯に関する資料等の存在が確認できておりませんので、当時の法務総裁が閣議請議したものかどうか、あるいは御指摘の二重線、これが何を意味しているのかについてお答えすることは困難でございます。
 ただ、仮に、今所管の御質問がございましたので、仮に法務総裁が閣議請議をしていたとすれば、当時の法務府設置法等を踏まえますと、担当部局は法務府の特別審査局であったという可能性も考えられますけれども、確たることは申し上げられません。
#115
○仁比聡平君 確たることは申し上げられないが、当時の特審局だったのではないかというお話だったわけですね。
 当時の法務総裁の大橋武夫氏の聞き取りを行った内政史研究会の「大橋武夫氏談話第三回速記録」という文献がございます。この中で、竹前栄治氏の聞き取りに対して大橋法務総裁は、共産党員は公務員とかそういうものにはしないのがアメリカのやり方だと、日本でも是非やってくれと、どうしましょうかと特審局長の吉河光貞君から言われて、とにかく雇うか雇わないかというのは雇主の自由、それでやれということでやらすことにした。アメリカから何か通知があったかというと、それは特にない、日本政府の責任でやるかということだった。そこで、吉田総理と相談したら、吉田総理もやろうやということでやることにしたのです。それで、大分長い間準備をした。それで、一番先にやったのが電産じゃなかったか。その前に、関係閣僚で相談をした。労働大臣が保利茂さん、官房長官が岡崎君で、私が法務総裁、通産大臣が横尾さんでした。当時の赤坂御門の中で秘密に相談した。私が全面的に治安面は引き受ける。吉田さんも、大橋君がそこまで言うのならば、大橋君に引き受けてもらってやれということで決定したのですと。要旨ですけれども、そうしたインタビューがあるわけですね。
 資料の四枚目、五枚目を御覧いただきますと、通産省からレッドパージをされた、免職された飯沼勝男さんという方に対する免職の辞令書とそして処分説明書がありますが、これを見れば、閣議決定の具体化としてこのレッドパージが、国、地方の公務員、教職員、公共企業体、そして全産業で強行されていったということは明らかだと思うんです。
 確かにGHQの示唆などがあった。けれども、日本政府は、GHQの権力、権威を奇貨として極めて能動的、積極的に、しかも周到に準備をしてこれを強行していったということではないかというのが歴史の資料から私は浮き彫りになっていると思うんですね。だからこそ弁護士会が次々と人権救済の勧告をしているわけです。
 官房長官、時間がもう来ておりますので、是非、官房長官御自身の御答弁をいただきたいと思うんですけれども、二〇〇八年に最初の勧告を日弁連が出したとき、あの当時の当事者の皆さん、今日も傍聴席にもいらっしゃいますが、河村建夫官房長官に院内の閣僚懇談室で御面会をいただきました。このときも私も同席をしたんですが、勧告の早期実施を求める当事者の皆さんに対して河村当時官房長官は、対応部署を定めるということについて検討するという御発言をなさったわけです。その後九年、ずっと勧告は続いていることも踏まえて、是非、当事者にお会いいただくことも含めて、勧告の実施あるいは対応部署を定めることについて御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#116
○国務大臣(菅義偉君) まず、政府としての基本的見解でありますけれども、今いろいろなお話がありました。その中で、御指摘の免職又は解雇については、その行為の時点において連合国最高司令官の指示に従ってなされたものであって法律上の効力は有しているというふうに思います。その後に平和条約の発効により連合国最高司令官の指示が効力を失ったとしても影響を受けるものではないとの司法判断が確定しているものと、ここは認識をいたしております。
 政府としては、このような司法判断を踏まえて、御指摘の弁護士会からの勧告の実施を検討することは考えておりません。
 また、河村当時の官房長官の発言について言及がありました。どのようなやり取りがあったかについて詳細承知しておりませんけれども、本件については、やはり司法判断が示されているものというふうに認識をいたしております。
#117
○仁比聡平君 司法判断が確定しているというお話ですが、弁護士会の厳しい指摘は、とりわけ占領下という特殊な状況下における人権侵害に対しても救済を行うということは、どのような状況下に置かれても人権は保障されなければならないという、人権の固有性、普遍性、不可侵性を改めて確認するという意味においても重要だということなんですよ。現に、痛苦の人生を送られて、その方々が救済を求められていると。
 先ほどの閣議決定の経過というのも、これ、よく分からないと、今。だからこそ、しっかりと調べて、是非とも対応部署をつくること、そして、当事者の皆さんの願いに是非応えていただけるように、今日は問題提起の質問とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#118
○委員長(難波奨二君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#119
○委員長(難波奨二君) 次に、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。山本内閣府特命担当大臣。
#120
○国務大臣(山本幸三君) 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマです。
 本法案は、昨年十二月に閣議決定した平成二十八年の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、都道府県から指定都市等への事務・権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し等を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、住民に身近な行政主体である指定都市等が地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるようにするため、都道府県から指定都市等への事務・権限の移譲を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。
 第二に、地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務付け・枠付けの見直し等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。
 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#121
○委員長(難波奨二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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