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2017/03/10 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号
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2017/03/10 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号

#1
第193回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号
平成二十九年三月十日(金曜日)
   午後零時十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月九日
    辞任         補欠選任
     橋本 聖子君     朝日健太郎君
     山本 一太君     青山 繁晴君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 基之君
    理 事
                猪口 邦子君
                山田  宏君
                石橋 通宏君
                竹谷とし子君
    委 員
                青山 繁晴君
                朝日健太郎君
                石田 昌宏君
                今井絵理子君
                島田 三郎君
                中川 雅治君
                長谷川 岳君
                松川 るい君
                徳永 エリ君
                鉢呂 吉雄君
                高瀬 弘美君
                紙  智子君
                儀間 光男君
              アントニオ猪木君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策))  鶴保 庸介君
   副大臣
       内閣府副大臣   石原 宏高君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  武井 俊輔君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件
 )
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(藤井基之君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、橋本聖子君及び山本一太君が委員を辞任され、その補欠として朝日健太郎君及び青山繁晴君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤井基之君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件について関係大臣から所信を聴取いたします。
 まず、鶴保沖縄及び北方対策担当大臣から所信を聴取いたします。鶴保沖縄及び北方対策担当大臣。
#4
○国務大臣(鶴保庸介君) 沖縄及び北方対策を担当する内閣府特命担当大臣の鶴保庸介でございます。沖縄及び北方問題に関する特別委員会の開催に当たり、所信を申し述べます。
 まず、沖縄政策について申し上げます。
 沖縄については、昭和四十七年の本土復帰以降講じられてきた様々な施策によって、社会資本の整備、就業者数の増加、入域観光客数の増加や有効求人倍率が初めて一を超えるなど着実に成果を上げてきています。しかし、全国と比較すると依然として失業率が高いなどの課題が存在し、必ずしも県民一人一人が豊かさを実感できているとは言えない状況であります。
 一方で、沖縄は、東アジアの中心に位置する地理的特性や日本一高い出生率といった優位性、潜在力を有しています。これらを生かし、沖縄が自立的に発展することにより、地方創生のモデルとなることを目指し、引き続き、沖縄振興策を総合的、積極的に推進してまいります。
 平成二十九年度の沖縄振興予算については、厳しい財政状況の中、沖縄振興を国家戦略として総合的、積極的に推進するために必要な額を積み上げ、総額三千百五十億円を計上いたしました。
 特に、今後の産業イノベーションの創出につなげるための予算や離島市町村の活性化のための予算を新たに計上しています。
 産業の創出については、中核となる人材育成を始め、高度・高付加価値な産業の集積・育成、企業誘致に取り組んでまいります。
 また、アジア主要都市を結節する国際物流拠点の形成を推進するとともに、企業の集積や国際物流拠点を活用した物づくり産業等の創出を図ってまいります。
 厳しい自然的条件に置かれている沖縄の離島については、海洋環境の保全等に重要な役割を担っていることに鑑み、頑張る市町村が行う先導的な事業を国が直接支援し、その活性化に取り組んでいきます。
 観光・リゾート産業については、平成二十八年の入域観光客数は過去最高の八百六十一万人を記録し、このうち、外国人観光客は二百八万人を記録するなど、十年間で二十倍を超える伸びを示しており、インバウンドも急速に増加しています。引き続き、沖縄の観光振興に強力に取り組んでまいります。
 また、空港や港湾、主要幹線道路等の社会資本整備を一層推進してまいります。
 まず、全国県庁所在地中で最も深刻とされる沖縄の渋滞問題については、沖縄の新たな交通環境創造会議を立ち上げ、幹線道路網整備や交差点改良、交通結節点整備など、できるところから着実に実施することといたします。また、沖縄において最先端の科学技術を積極的に取り入れ、バス自動運転の実証実験を行うこととしており、この結果を踏まえ、地域の公共交通の活性化を図ってまいります。
 重要な拠点空港である那覇空港の滑走路増設事業については、平成三十一年度末の供用開始に向け、着実に事業を進めてまいります。
 また、近年、大型クルーズ船の寄港が急増し、今や寄港地として魅力にあふれる沖縄が全国のクルーズ需要をリードしています。那覇港、石垣港、平良港、本部港等の受入れ環境整備に万全を期してまいります。
 沖縄科学技術大学院大学、OISTについては、開学から五年目を迎え、新たな研究棟の建設や新規教員の採用など、規模拡充に向けた取組を支援するとともに、産業のイノベーションにつながる産学連携を図ってまいります。
 また、子供の貧困については、経済界や教育界など、様々な立場の皆様と連携しつつ、支援員の配置や居場所づくり、親の経済的自立の支援などにしっかり取り組んでまいります。また、沖縄の将来を担う人材の育成に努めることで、貧困の連鎖を断ち切り、沖縄の自立、発展につなげてまいります。
 このほか、農林水産業の振興、北部地域の振興、鉄軌道等の調査を進めるとともに、子育ての支援及び雇用の促進にも取り組んでまいります。また、不発弾対策についても着実に取組を進めてまいります。
 加えて、こうした様々な沖縄振興策を広く周知していくため、昨年、フェイスブックを開設するとともに、本年一月には新たにパンフレットを作成いたしました。今後とも、沖縄県民の方々を始めとする皆様に対して、沖縄振興の取組を積極的に発信していきたいと考えております。
 沖縄には今なお多くの在日米軍専用施設・区域が存在し、沖縄県民の皆様に大きな御負担を掛けているものと認識しております。昨年末には北部訓練場の過半である四千ヘクタールの返還が実現し、沖縄の本土復帰後、最大規模の返還となりました。引き続き、沖縄の皆様の理解を得る努力を続けながら、沖縄の基地負担軽減に取り組むことが政府の方針です。
 特に、普天間飛行場については、その危険性の除去を図ることが極めて重要な課題であるとの認識の下、日米合意に従い、一日も早い移設に向けて政府として取り組むこととしております。
 西普天間住宅地区を始めとする駐留軍用地の跡地利用は、今後の沖縄振興の観点から極めて重要な課題です。地元の要望である国際医療拠点構想の具体化に向け用地の先行取得が開始されたところであり、今後も跡地利用をしっかりと推進してまいります。
 私としても、沖縄振興を担当する大臣として、県民の心に寄り添いながら、沖縄の振興策を一歩も二歩も進めてまいる所存です。
 次に、北方領土問題について申し上げます。
 北方領土の日である二月七日には、元島民や返還要求運動関係者に加え、各党の代表者にも御出席をいただき、平成二十九年北方領土返還要求全国大会を開催いたしました。私からは、元島民の皆様の過ぎた歳月に対する無念さや、その思いを受け継いでいる若い世代の皆様の力強い意思をしっかりと受け止め、北方領土問題の解決に向けて断固たる決意と強い意思を持って取り組んでいくことをお約束したところです。安倍内閣総理大臣からも、元島民のふるさとへの切実な思いをしっかりと胸に刻み、一歩一歩着実に前に進めていくとの強い決意が表明されたところです。
 北方対策担当大臣として、北方四島の帰属の問題を解決して日ロ平和条約を締結するという我が国の一貫した基本方針の下、この問題が一日も早く解決されるよう、国民世論の啓発を強化することが重要です。このため、関係団体と密接に連携しながら、外交交渉を後押しする国民世論の啓発に全力で取り組んでまいる所存であります。内閣府北方対策本部のホームページに北方領土問題についての分かりやすい解説を掲載し、随時更新しているほか、昨年十一月には北方領土隣接地域の交流人口の拡大に向けた関係省庁等会議を立ち上げ、北方領土隣接地域への訪問客拡大に向けた振興方策を検討しております。
 平成二十九年度予算においては、引き続き、若い世代を対象にした啓発の強化を図るため、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの活用を始め、ふれあい広場のような広報啓発イベントの実施、北方領土を目で見る運動の推進調査を実施するための経費を計上しております。
 また、日ロの相互理解の増進を図り、領土問題の解決に寄与するという本来の目的を実現するため、北方四島交流事業の効果的かつ戦略的な推進に努めるとともに、元島民の方々への援護措置の充実にも取り組んでまいります。
 藤井委員長を始め理事、委員の皆様方の一層の御理解と御協力をよろしくお願いを申し上げます。
#5
○委員長(藤井基之君) 次に、岸田外務大臣から所信を聴取いたします。岸田外務大臣。
#6
○国務大臣(岸田文雄君) 沖縄及び北方問題に関する特別委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げるとともに、所信を申し述べます。
 まず、沖縄に関する事項について述べます。
 日本を取り巻く安全保障環境は、北朝鮮が新たな段階の脅威となるなど、一層厳しさを増しています。我が国の安全を確保する上で、日米同盟の強化と域内外のパートナーとの協力関係の強化が不可欠です。特に、在沖縄米軍を含む在日米軍の抑止力は、我が国の安全、ひいては地域の平和と安全の確保に不可欠です。
 在日米軍の安定的駐留には、地元の御理解が不可欠です。昨年末に北部訓練場の過半の返還が実現し、一月には日米地位協定の軍属に関する補足協定に署名しました。普天間飛行場の一日も早い辺野古への移設を始め、引き続き沖縄の負担軽減に全力で取り組みます。
 沖縄県の尖閣諸島についても一言申し上げます。
 尖閣諸島をめぐる情勢については、日本の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意で毅然かつ冷静に対応していく考えです。一方、中国との関係は、日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、日中国交正常化四十五周年に当たる本年、戦略的互恵関係の下、大局的な観点から様々な対話、協力、交流を強化し、関係改善に努めます。
 次に、北方領土問題について述べます。
 日ロ間最大の懸案である北方領土問題については、昨年十二月にプーチン大統領が訪日した際の日ロ首脳会談の結果、平和条約問題を解決する両首脳の真摯な決意が表明されました。そして、四島における共同経済活動に関する協議の開始と、元島民の方々の墓参等の手続を改善することで一致しました。
 こうした成果を具体化するため、私自身、ラブロフ外相との間で先月も会談を行い、協議の進展を図ることを確認しました。今月二十日には、東京で日ロ外務・防衛閣僚協議、2プラス2を開催する予定であり、その際にもラブロフ外相と再び会談を行い、更なる前進を図ってまいります。また、私が座長となり、関係省庁の参加を得て共同経済活動関連協議会を設置し、検討を進めているところです。
 引き続き、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針の下、精力的に交渉に取り組んでまいります。
 私としては、元島民の方々の思いを胸に交渉の前進を図ります。元島民、北方四島隣接地域の方々はもちろん、全ての国民から政府の取組に対する理解と力強い支持をいただき、しっかりとした交渉を展開していく考えです。
 以上の諸問題に取り組むに当たり、藤井委員長を始め理事、委員各位の御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げます。
#7
○委員長(藤井基之君) 以上で所信の聴取は終了いたしました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 この際、武井外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。武井外務大臣政務官。
#8
○大臣政務官(武井俊輔君) 外務大臣政務官の武井俊輔でございます。
 日米同盟の強化、ロシアとの平和条約締結交渉への取組等の重要問題につきまして、外務大臣政務官として責任を果たすべく、岸田外務大臣を補佐してまいります。
 藤井委員長を始め理事、委員各位の皆様の御支援と御協力を心からよろしくお願い申し上げます。
#9
○委員長(藤井基之君) 政府側は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
#10
○委員長(藤井基之君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。石橋通宏君。
#11
○石橋通宏君 民進党・新緑風会の石橋通宏です。派遣委員を代表いたしまして、委員派遣における調査の概要について御報告いたします。
 本年一月十二日及び十三日の二日間、北方領土及び隣接地域の諸問題等に関する実情調査のため、北海道を訪問いたしました。派遣委員は、藤井委員長、猪口理事、竹谷理事、紙委員、糸数委員及び私、石橋の計六名でございます。
 政府は、日ロ両国にとって最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結するとして、ロシア政府との間で粘り強く交渉を行い、特に昨年は、精力的に日ロ首脳会談が重ねられました。十二月にはプーチン大統領が訪日し、山口及び東京で行われた首脳会談では、平和条約締結に向けた両首脳の真摯な決意が表明されるとともに、北方四島における共同経済活動を行うための特別な制度に関する協議の開始及び人道上の理由に立脚して墓参手続の簡素化等を検討することが合意されるなど、北方領土問題解決へ向けた新たな第一歩がありました。
 一方、北方領土問題が未解決であることから、北方領土隣接地域は地域社会として望ましい発展が阻害されております。隣接地域では水産業が重要な役割を担っておりますが、サンマ等の水揚げ量の減少や昨年からのロシア二百海里水域におけるサケ・マス流し網漁業禁止等は地域経済に深刻な影響を及ぼしております。また、人口減少、高齢化に伴う保健医療、介護等の問題が深刻化しているほか、鳥取県とほぼ同じ面積を有するほど広大な隣接地域では、観光振興等の観点から道路等交通インフラ整備も課題となっております。
 こうした状況を踏まえた上で、今回の委員派遣では、関係者との意見交換及び関連施設の視察等を通じ現地の実情の把握に努めました。
 一月の北海道への派遣ということで、当初、天候が心配されておりましたところ、派遣期間中、最低気温がマイナス二十六度となるなど厳しい冷え込みになりましたが、幸い、地元の方もめったにないと驚くほどの好天に恵まれ、予定していた全ての日程を無事に終えることができました。
 以下、日程に沿って御報告申し上げます。
 一日目は、まず、釧路空港からの車中において、北海道より根室管内の概況と北方領土問題への取組などについて説明を聴取しつつ、根室市の納沙布岬に向かいました。
 納沙布岬では、啓発施設である北方館、望郷の家のほか、昨年十二月に開館したばかりの根室市北方領土資料館を視察しました。岬から僅か三・七キロメートル先にある歯舞群島の貝殻島灯台を目視するとともに、根室が北方領土返還要求運動の原点の地であることを再認識いたしました。
 次に、根室市内の水産加工業者である株式会社カネヒロを訪れ、工場での作業を見学しながら説明を聴取しました。サケ・マス流し網漁業禁止の影響で同社の売上げは二割減少したものの、補助金を利用して購入した機械を活用しながら、人員整理は行わずに何とか対応しているとのことでした。
 次に、サンマの水揚げ日本一として知られる花咲港を訪れ、根室における水産業の状況について根室市から説明を聴取しました。サケ・マス流し網漁業禁止により、春から初夏にかけての漁獲確保が大きな課題となっており、昨年実施された代替漁業の試験操業も厳しい結果となったことに加え、昨年は、主力魚種であるサンマ、イカ、アキサケがいずれも不漁で漁獲量が六十一年ぶりの低水準となったことから、水産加工業を始めとする関連産業に甚大な影響が及び、地域経済が深刻な事態に直面しているとのことでした。
 次に、北海道立北方四島交流センターに移動し、元居住者の組織である千島歯舞諸島居住者連盟、北海道における北方領土返還要求運動の主要な担い手である北方領土復帰期成同盟及び地元行政機関である北海道などから要望を聴取するとともに、関係者と意見交換を行いました。
 まず、千島連盟から、北方領土の早期一括返還、自由訪問事業及び北方墓参事業の円滑な実施、財産権不行使に対する補償、北対協融資制度の融資対象の要件緩和などについての要望が、また、北方同盟から、北方領土教育の拡充強化及び北方四島交流事業の推進についての要望が、さらに、北方地域漁業権補償推進委員会から、旧漁業権に対する早急な補償措置についての要望が述べられました。
 また、意見交換では、北方領土問題が学校の授業で取り上げられるよう働きかけてほしい、北方領土に所在地不明の墓地があるため調査を要望したい、財産権補償は国内措置で可能であり実施願いたい、共同経済活動を行う場合には、現在の漁業協定の枠組みを残しながら四島周辺の海を開放してもらいたいなどの発言がありました。
 続いて、北海道から、北方領土返還要求運動の推進、北方四島交流事業等の円滑実施及び支援強化、共同経済活動に関する協議の推進、北方領土隣接地域の振興対策の充実強化並びにサケ・マス流し網漁業禁止を受けた国の対策の継続についての要望が、また、北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会から、内閣総理大臣による現地視察の実現、隣接地域の住民生活の安定を図るための地域財源対策の充実及びポスト四島交流の推進についての要望が述べられました。
 また、意見交換では、物流機能形成のための道路網及び港湾の整備はインフラ整備の中で優先度が高い、財産権補償に関し、共同経済活動を進めていく際には元居住者及びその後継者並びに地域全体への配慮を願いたい、運用益が減少傾向にある北方基金について、減少した分を補える安定的な財源の確保が望ましい、道としても地籍調査等を行いたい、隣接地域は、漁業や観光など全ての共同経済活動に中核として関与したい、啓発予算の増額を継続してほしいなどの発言がありました。
 二日目は、早朝、根室のホテルを出発し、まず羅臼の国後展望塔に向かいました。当委員会が羅臼を訪問したのは平成十一年以来、十八年ぶりとなります。好天にも恵まれ、羅臼国後展望塔からは、眼前に横たわる国後島の雄大な姿と羅臼漁港を一望し、北方領土の最高峰である国後島爺爺岳の輪郭も肉眼ではっきり捉えることができました。
 次に、羅臼漁港に向かい、羅臼における水産業の状況について羅臼漁業協同組合及び羅臼町長から説明を聴取しました。スケトウダラ・タラの刺し網漁業は、根室海峡でのロシア・トロール船の操業以来大幅な水揚げ減となり、ホッケについても不漁が続くなど、主要産業である漁業は厳しい現状に置かれているが、日ロ首脳会談で合意された共同経済活動の検討分野の一番目に漁業が挙げられていることをうれしく思うとのことでありました。
 その後、中標津町に向かい、最後の視察先である町立中標津病院において説明を聴取しました。常勤医師が不在で出張医師が担当する診療科もあり、地域住民のため赤字は覚悟しているが、町の予算から、約十五億円の持ち出しとなっている、また平成十八年度から行っている北方四島住民患者の受入れについては、経費負担等の問題はないものの、受診した患者の事後のフォローまで行うことは難しいとのことでした。
 こうして全日程を終え、中標津空港から帰路に就きました。
 以上が調査の概要でございます。
 今回の委員派遣が、昨年十二月の日ロ首脳会談から一か月も経過しない中で行われたこともあり、地元の関心は高く、元居住者など多くの関係者の方々とお会いし、意見交換を行う中で率直な思いを聞くことができました。現地では、首脳会談で北方領土返還についての合意がなされなかったことについては残念に思う一方、北方墓参の手続改善や北方四島での共同経済活動についての協議開始が合意されたことで、今後それが北方領土返還に向けた新たなスタートになることへの相当の期待とともに、元居住者の財産権への影響に対する不安の気持ちも感じられました。
 また、視察等を通じて、北方領土隣接地域の振興においては、特に基幹産業である水産業の活性化、物流機能の向上や観光振興のための交通インフラの整備促進並びに住民の生活安定に資するための高度医療へのアクセス確保、医療・介護体制及び教育施設の維持拡充など、課題が山積している実情を感じる中で、北方領土問題解決と平和条約締結を目指し、ロシアとの交渉を行う立場の国においても、地元の声に十分に耳を傾けながら、隣接地域の振興により真摯に取り組む必要があると強く感じた次第であります。
 最後に、今般の委員派遣に際し、御協力いただきました北海道を始めとする関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
 なお、委員派遣の文書による報告につきましては、本日の会議録の末尾に掲載されますよう、お取り計らいをいただきたいと存じます。
 以上です。ありがとうございました。
#12
○委員長(藤井基之君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 ただいまの派遣報告につきましては、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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