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2017/04/13 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 法務委員会 第6号
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2017/04/13 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 法務委員会 第6号

#1
第193回国会 法務委員会 第6号
平成二十九年四月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     仁比 聡平君     田村 智子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                田村 智子君
                仁比 聡平君
                東   徹君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       多田健一郎君
       警察庁長官官房
       審議官      高木 勇人君
       警察庁長官官房
       審議官      白川 靖浩君
       総務大臣官房総
       括審議官     稲山 博司君
       法務大臣官房審
       議官       高嶋 智光君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小山 太士君
       法務省民事局長  小川 秀樹君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省人権擁護
       局長       萩本  修君
       法務省入国管理
       局長       和田 雅樹君
       スポーツ庁審議
       官        木村 徹也君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (テロ等準備罪における計画の意味に関する件
 )
 (全国中学生人権作文コンテストに関する件)
 (ヘイトスピーチ解消法施行後の成果と課題に
 関する件)
 (裁判員制度導入後の成果と課題に関する件)
 (GPS捜査についての立法措置に関する件)
 (特別永住者証明書の有効期間更新申請に関す
 る件)
 (法務省における懲戒処分数に関する件)
○裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官多田健一郎君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(秋野公造君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は、タイムテーブル上、最初に質問をさせていただくことになりまして、御配慮を感謝をいたします。
 大臣に、引き続き共謀罪について伺いたいと思います。
 私は、合意の処罰は、これは憲法違反であり、罪刑法定主義に反するものだと繰り返し指摘をしてきたわけですが、今日は、法案で処罰の対象だとなっている計画というのは一体何かと大臣にお尋ねをしたいと思うんです。
 これ、以前の質疑、三月九日のこの委員会で、局長から、「計画という行為、計画文言を使ってその行為を例えば犯罪の成立要件のように用いている罰則の例というものについては承知をしておりません。」という答弁を確認をしました。つまり、犯罪構成要件として計画という用語を使うのは、これは初めてのことなんですね。
 一方で、広辞苑などによりますと、計画とは何かというと、物事を行うに当たって方法、手順などを考え、企てることというふうにありまして、つまり、思い立ち、考え、もくろむことというのが一般用語でいう計画なわけですね。
 これ、大臣、その組織的犯罪集団が計画したら、こういう思い立ち、もくろむ、こういうことを全て処罰するわけですか。
#6
○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪における計画といいますのは、組織的犯罪集団が関与をする特定の犯罪の遂行を具体的かつ現実的に合意することを言っておるということであります。
#7
○仁比聡平君 全然分からないんですけど、具体的かつ現実的にというのは、これはどういうことなんですか。
#8
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪における計画とは、ただいまありましたように、組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪の遂行を具体的かつ現実的に合意するということをいうわけでございます。
 その場合の具体的といいますのは、この場合のその計画というものが組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪の遂行、特にそれが組織により行われることを合意、計画するということでございますので、その組織に関する部分、指揮命令でありますとか役割分担、こういったものが具体的に計画されるということを意味しております。
 また、現実的にというのは、その実際に対象となる犯罪の結果発生に向けて、その可能性という点で現実的な可能性がある合意ということを意味するというところでございます。
#9
○仁比聡平君 仰々しい法律用語を敷衍するばかりで、結局その内実というのは、意味、全然はっきりしない。
 つまり、今の御答弁を伺っても合意を処罰するんだということがはっきりしていると思うんですが、その中身については別の機会に議論したいと思うんですけれども。
 大臣、この計画というのは、これ書面でされることが必要なんですか。例えば、綿密で具体的な犯行の分担なんかを記した計画書みたいなものが、これ絶対必要なんですか。大臣。
#10
○政府参考人(林眞琴君) 計画というのは、先ほど申し上げたような具体的、現実的な合意ということでございます。そういったものを、合意というものがどのように行われるのか、ことについては、ここにおいて手段等を限定しているわけでございません。
 したがいまして、委員が御指摘になった書面というようなものは、こういった合意というものを立証する手段というふうに考えております。
#11
○仁比聡平君 つまり、計画イコール合意は、これは書面でなされる必要はもちろんないわけですね。大臣と私がどこかで二人で話し合って何か合意したとなると、これは計画だということなんですよ。
 もちろん計画書がある場合もあるでしょう、それが証拠となって立証されるということがあるでしょうけれども、計画書がない場合というのもそれはいっぱいあると。これ、大臣、どうやって立証するんですか。
#12
○国務大臣(金田勝年君) どういうふうに立証するのかということでございますが、テロ等準備罪の立証につきましては、他の多くのひそかに行われる罪の場合と同様の方法で、刑事訴訟法の規定に従って必要な立証を適切に行うことになるものと考えております。
 例えば、犯行手順が記載される、そういうメモのような証拠、あるいは計画の状況を聞いた者や他の計画に加わった者の供述などにより立証するということが考えられるわけであります。
#13
○仁比聡平君 ですから、いや、他のひそかな犯罪と同じだとか言ってみたところで、実行行為やあるいは客観的な危険性のある予備行為などを前提にしてきたこれまでの証拠収集というのとは、これはまるっきりがらっと変わるわけですよね、合意そのものを処罰するとおっしゃるわけだから。
 だから、その立証方法は何かと、どんな証拠をもって認定するのかというのが私のお尋ねですけれども、今大臣、手順を記載したメモなどとおっしゃいましたが、それはつまり計画書の類いであって、そういうメモがない場合どうするんですかと言っているんですよ。大臣のお答えは、結局、計画状況などを聞いた者あるいは加わった者の供述だと。そのほかは通信傍受だとか、あるいは固定カメラで隠し撮りするとかいうこともおっしゃるのかもしれないが、それはちょっと今回おいておきます。
 つまり、供述ということなんですが、これ大臣、この共謀罪について、特に、自首をした者の必要的減免の規定が置かれているというのは、これは御存じですね。大臣、御存じかどうか。
#14
○国務大臣(金田勝年君) お答えしますが、そのとおりであります。
#15
○仁比聡平君 その規定が密告の奨励になるではないかという厳しい批判がありますけれども、私はその機能を実際果たしていくだろうと思いますが、今日聞きたいのはそこの問題じゃないんです。
 必要的減免を受ける密告者、これはさきの刑訴法改悪によって導入された司法取引などもここに関わってくるでしょうけれども、この密告者の供述、これ大臣、イメージ湧きますよね、これこれという人たちがこのような重大犯罪の実行を計画をしていますという、そういう密告ですよね。例えば警察に自首してきてという形で、調べたらそういうことを言っていると、これが調書になると。これだけでも、大臣、有罪にできるんじゃないんですか。大臣。
#16
○国務大臣(金田勝年君) 最高裁の判例によれば、いわゆる補強法則による補強を要する供述というものは、当該被告事件における被告人の供述についてであると解されておりまして、そして、被告人本人の自白というもの、それについて、それと相まって犯罪時点を認定できるように証拠を収集し提出をするということになろうと思います。
#17
○仁比聡平君 大臣、今御答弁なさっていることの意味、お分かりですか。何ですか、その当該犯罪時点において証拠を収集することを検討するって。それは当たり前のことでしょう。
#18
○国務大臣(金田勝年君) そうです。
#19
○仁比聡平君 そうですと今大臣おっしゃったんだけれども、いや、私が聞いているのは、密告者の供述というのが、当然、法そのものがそれを期待しているわけですよね、法案そのものが。私から言わせると、何にもないのに、その中の一人がこんなことがありましたということを詳細かつ具体的に語るということ、あるんですよ。現実の戦後の刑事裁判、冤罪事件の中で、全く存在しなかった事実をさもあったかのように供述証拠が積み重ねられるという事案というのは鹿児島の志布志事件始め数々あるわけですが、そうした供述証拠の信用性というのは極めて危険な下で、私が今日尋ねているのは、密告者の供述のみをもって共謀罪が有罪とされるということがありませんかということなんです。
#20
○政府参考人(林眞琴君) 基本的に、その共犯者あるいはその自首した者の供述、これが今回のテロ等準備罪の証拠手段になるということはそのとおりでございますが、それだけでこのテロ等準備罪の立証ができるかということにつきましては、基本的に、この証拠によりまして合理的な疑いを差し挟む余地のない程度への証明ができているかどうかということの裁判所の判断に関わることになります。
 なお、こういった共犯者の自白というものについては、一般に巻き込みの危険性があるということは当然前提として書かれておりますので、共犯者の、巻き込みの危険性があるというこの共犯者の自白につきましては、やはりその他に客観的な裏付けの証拠があるかどうか、こういったことが慎重にその信用性の吟味の中で図られると考えております。
#21
○仁比聡平君 それで、大臣、今局長が、あたかも合理的な疑いを入れない証明が必要だと、そういう証拠が集まるかのようにおっしゃっているんだけれども、だけれども、局長の言うとおりなんですよ。それが有罪と立証されているかどうかの判断というのは、これ裁判官の判断なんですよね。これ、刑事訴訟法の三百十八条という条文をそのまま申し上げると、「証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。」というふうになっている、いわゆる自由心証主義という範疇の話になるわけです。
 先ほど大臣、御答弁の中で、最高裁の判例などによりますとという、共犯者の自白の問題でおっしゃいましたけれども、これ、一番端的に共犯者の自白の証明力について述べている大変有名な昭和三十三年の最高裁判決がありますが、ここでは、かかる者たちの、つまり共犯者ですが、かかる者たちの犯罪事実に関する供述は、独立、完全な証明力を有すると述べているわけです。独立、完全な証明力を有すると最高裁が言うわけだから、私が申し上げているような密告者の供述のみしか証拠がない場合だって、裁判官がこれを証明力はあるというふうに認定すれば、それのみをもって有罪にされるでしょう。大臣、どうですか。
#22
○国務大臣(金田勝年君) 先ほど刑事局長からも申し上げました。共犯者の自白については、一般に巻き込みの危険があるとの指摘がございます。そういうことも踏まえまして、客観的な裏付け証拠の収集に努めていき、その信用性については慎重に対応していくということを努力することによってしっかりと慎重に判断されるものと考えておりますし、捜査実務に関しましては、その責任者であります刑事局長の答弁を私はそのとおりだというふうに申し上げざるを得ないと思います。
#23
○仁比聡平君 慎重に判断するとおっしゃるけれども、慎重に判断するのは大臣じゃないんですよ。現場の警察官や検察官であり、あるいは裁判官なんですね。そして、その捜査機関や、残念ながら裁判所は、事実誤認あるいは誤判の冤罪を数々行ってきた、証拠の評価を誤ってきました。とりわけ自白は危険です。けれども、制度上、つまり刑事訴訟法上、密告者の供述のみをもって有罪とできるというのが共謀罪なんですよ。実行準備行為を求めることにしたから、これ、だからいいんだなんて大臣言うけれども、それって所詮、花見か下見か、その区別は内心を問わないと分からないというわけでしょう。組織的犯罪集団だと言うけれども、二人以上が、大臣と例えば私がどこかで話し合ったら、それを組織的犯罪集団だと認定するかどうかは、それは捜査機関の判断じゃないですか。
 そんな危険なことを我が国の刑事司法に持ち込んでいいのかと、罪刑法定主義も適正手続も根本から破壊するものになってしまうという警告を厳しく申し上げまして、時間参りましたので質問を終わります。
#24
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平でございます。今週二度目の質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 急遽なんですけれども、今日の朝の新聞に取り上げられていました放送法をめぐる訴訟について少しお伺いしたいと思うんですけれども、NHKの受信料支払を伴う受信契約義務を定めた放送法の訴訟についてですけれども、法務大臣権限法に基づいて金田法務大臣が最高裁に意見書を提出したということについての事実確認と、国が当事者ではない訴訟について意見書を提出したというのは戦後二例目ということですので、かなり極めて異例な措置だと思いますけれども、それについての所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#25
○国務大臣(金田勝年君) ただいま山下委員から御質問ございました。
 昨日、したがって四月十二日でございますが、最高裁判所に対しまして、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律第四条に基づきまして、放送法の規定の趣旨、目的や憲法適合性などについての意見をまとめた書面を提出をいたしております。この意見陳述は、この趣旨でございますが、法務大臣が裁判所に対しまして意見を述べることによって国の利益や公共の福祉の確保を図る趣旨の制度であると、このように承知をいたしております。
 法務省としては、最高裁判所からの打診を真摯に受け止めて、NHKの受信料をめぐる問題について法的観点から十分に検討して意見を述べたものであります。
 よろしいですか。
#26
○山下雄平君 それでは、当初予定していた本題に移りたいと思います。今日は人権問題について取り上げたいと思います。
 先月の大相撲春場所で、照ノ富士関の取組のときに、やじで、モンゴルへ帰れといったやじがあったというふうに報道されております。私は本当に非常に残念で、稀勢の里が優勝して盛り上がりましたけれども、日本人力士と各国の力士が切磋琢磨するから私は本当に白熱するんじゃないかなというふうにも考えております。
 金田法務大臣は三月の所信表明で、「人権問題について、引き続き人権啓発、調査救済活動等に適切に取り組む」というふうにおっしゃっておられます。去年の通常国会ではヘイトスピーチ対策法も成立しています。そういった中でこういった問題が起きてしまったのは非常に残念ですけれども、法務大臣としてどのように感じておられますでしょうか、お聞かせください。
#27
○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘の件につきましては、その詳細については承知をしておりませんのでコメントは差し控えたいのでございますが、仮にそのやじが外国人に対します差別や偏見から発せられたのだとすれば、残念に思う次第であります。
 なお、ただいま御指摘のヘイトスピーチに関して一般論として申し上げるとすれば、前も答弁させていただいたことがございますが、不当な差別的言動はいかなる者に対してもあってはならないものである、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の趣旨を踏まえ、今後もその解消に向けた取組を適切に推進してまいりたいと、このように考えておる次第であります。
#28
○山下雄平君 去年の臨時国会では、この法務委員会で長らく懸案となっていました部落差別解消法も成立しました。様々な人権問題について、完璧ではないかもしれませんけれども、個別の法律で国会として一つずつ対応していっているところであります。
 一方、部落差別解消法の審議の中では、お隣の西田理事からも、差別事案があった場合、行政が権限を持って調査などをすると新たな人権侵害を起こすおそれがあるのではないか、表現の自由や内心の自由が侵害される可能性はないかといった懸念も示されておるところでございます。
 これを今回の問題に当てはめれば、例えばやじをやったのが誰かというのを行政権力を使って調査したりとか、はたまた、そうした考えを持っているのが誰かというのを調査したりするようなことがあれば、また新たな問題が発生するのではないかというふうに思います。私は、やはり去年の臨時国会の審議を通じて感じたのは、広い意味での人権教育、人権意識の醸成が最も大切なんではなかろうかなというふうに感じております。
 それをすごく具体的に感じた事例がありました。去年、私の地元で人権フェスタというものがありました。私に特に案内があったわけじゃないんですけれども、情報誌で知って、じゃ、ちょっと聞きに行こうかな、参加しようかなと思って、会場の隅の方に座って聞いておりました。そうしたら、中学生の人権作文についての表彰と、その作品の御本人による朗読がされておりました。私は、非常に良かったので、すばらしかったので、学校とその御本人にちょっと紹介させていただけないだろうかという話をしたら許可をいただきましたので、短くですけれども紹介させていただければと思います。
 一つは、佐賀県鳥栖市の香楠中学校の森さんと言われる女子生徒の作品でした。当時中学三年生だったので多分もう中学校は卒業されているんじゃなかろうかと思うんですけれども、朝、ニュースを見ておったら、自分の通学路で外国人の方が日本人の方からマヨネーズを掛けられたりとか生卵をぶつけられたりしたといったニュースがあって非常に心を痛めたと、日本人も外国に行ったら外国人じゃないか、だからこそ外国人が異国の日本でも安心して過ごせるような日本にしていきたいというふうに訴えておられました。
 また、もう一つの作品は、佐賀県の唐津市の早稲田佐賀中学の浅沼さんという男子生徒の話なんですけれども、この生徒さんは関東の御出身で、自分の近くの障害者施設のお祭りに行ったときに、障害を持った年配の方から、どこに住んでいるの、どこの学校なのと聞かれて答えたら、また同じ質問をされて、答えても答えても同じ質問をされ、そして付きまとわれて嫌だったというふうに自分のお母さんに話したら、お母さんからこういうことを言われたと、ここの入居者は夏祭りをとても楽しみにしているの、なかなか外との交流はできないし、特にあなたたちみたく若い子と話すのはうれしいのよ、重い障害の人はあなたたちを目で追うだけでもうれしいのよ、上手に話せないけど皆一生懸命生きているの、だから今日をとても喜んでいるの、大変だけど付き合ってあげてねというふうに自分のお母さんから言われて、自分の思ったことをすごく恥じたというふうに書いていらっしゃいました。
 自分が図らずも人を傷つけてしまった話とか、人が傷つけられた話という具体的な話を本当に切々と書いてある、率直な思いで語るからこそ我々胸に迫るんじゃないかなというふうに思います。
 この会に偶然行ったんですけれども、そうした朗読を聞けて私は本当によかったなと思うんですけれども、ただ、会場に人が多かったかというとなかなかそういう感じでもなくて、行政関係の方と学校の関係の方が中心だったなというふうに感じて、もっと多くの人に聞いていただければなと思いました。
 私がお邪魔したのは佐賀県の授賞式だったんですけれども、じゃ全国の場合どうだろうなと思ってインターネットで調べたら、大臣室で金田大臣から表彰されている写真はホームページでアップされておったんですけれども、また聞いたら、このような全国の作品で受賞されたのの作文集を作って配布されているというふうにもお聞きしたんですけれども、法務省が主催する場で法務省が作ったものを配布するというのがどれだけ人の目に触れるのかなというふうに疑問でもあります。
 中学生の人権作文のこのコンテストを総理大臣賞や法務大臣賞、文部科学大臣賞として表彰しているのであれば、法務省主催の以外の場でも生徒さんたちが自らの作品を朗読できるような場を設けるべきではないかというふうにも考えますけれども、所見をお伺いしたいと思います。
#29
○政府参考人(萩本修君) 今委員からは、広い意味での人権教育、人権意識の醸成が最も大切ではないかというお話をいただきましたけれども、御紹介いただきました全国中学生人権作文コンテストは、中学生が作文を書くことを通じて、人権尊重の重要性、必要性について理解を深めるとともに豊かな人権感覚を身に付けること、それから、入賞作品を国民に向けて広報することによって、広く人権尊重思想を根付かせること、これらを目的としまして昭和五十六年度から実施しているものでして、昨年度、平成二十八年度実施の第三十六回大会では、全国の中学校から約九十七万編を超える応募があったところでございます。
 このコンテストは、全国の法務局、地方法務局が中心となって実施する地方大会と、地方大会で優秀作品とされた作品を対象として法務省で審査する中央大会で構成しているところでございます。
 このうち、地方大会の表彰式、これが委員が出席していただいたものですが、主として毎年十二月の人権週間中のイベントとしまして、各地の教育委員会や報道機関、Jリーグのクラブチームやプロ野球チーム等のスポーツ組織にも御協力をいただいて実施しておりまして、生徒御本人に受賞作品を朗読をいただく例が多い状況にございます。また、中央大会の表彰式は、委員からも御紹介いただきましたが、優秀作品を応募いただいた生徒及びその保護者などに法務省にお集まりいただきまして、法務大臣から直接表彰状を授与している現状にございます。
 こうした法務省、法務局主催の場以外で生徒の方が自らの作品を朗読、披露する場は現時点では設けていないところでございますが、先ほどの目的に照らして優秀作品を大勢の方に御覧いただくための方策としまして、これらの作文集を作成、配布しているほか、近年では作文の優秀作品を題材とした啓発映像を複数作成してDVDとして配布をしたり、法務省ホームページから配信するなどの方法によりまして啓発活動に活用しているところでございます。
#30
○山下雄平君 御努力はされているのは重々承知はしておるんですけれども、なかなかメディアに取り上げられたり、多くの人の目に触れるということが少ないんじゃないかなというふうにも感じます。
 そもそも、この作文の最高賞は総理大臣賞というふうになっておりますけれども、受賞者が総理大臣に面会されたりとか、総理大臣から表彰されたり等したことが過去あるんでしょうか、お聞かせください。
#31
○政府参考人(萩本修君) 今委員から御指摘いただいたような例は、記録を調べた限りでは見当たりませんでした。
 もっとも、昭和五十六年度に開始して以来、区切りの第二十回大会と第三十回大会の二回につきましては、それぞれ中央大会の表彰式に皇族の御臨席を賜りまして、その場で作文の作者本人が受賞作品を朗読し、披露したという例はございます。
#32
○山下雄平君 総理大臣もお忙しいからなかなかそう簡単に会えないというふうな、重々承知しているんですけれども、先日新聞を見ておったら、新聞の政治欄の下に首相動静というのが載っていますけれども、三月二十三日には北方領土を考える高校生弁論大会の受賞者の表敬を受けられていたので、高校生の弁論大会で会ってくださるのであれば中学生の人権作文でもと思わないわけでもありません。これは別に安倍総理が会っていないから何だと言っているわけではなくて、先ほどおっしゃったように、この総理大臣賞ができたのは私が二歳ぐらいのときで、鈴木善幸内閣のときなので、それ以来、いろんな党のいろんな方が総理大臣になっていらっしゃるので、何とかならなかったものかなというふうに思わなくもありません。
 ただ、忙しいとは思うんですけれども、何とか総理に面会するような機会があったりとか、また面会だけではなくて、ちょっと金田法務大臣に提案したいと思うんですけれども、これ例えば閣議の場で、閣議の前か後とかでこの作文を披露するようなことがあれば、私、元々マスコミの出身ですので、多分大きく取り上げられたり、そして中身についても多分触れられたりすることも、特に映像なんかであるんじゃなかろうかなというふうにも考えるんですけれども、金田法務大臣から安倍総理に提案していただくことなんかはできないでしょうか、お聞かせください。
#33
○国務大臣(金田勝年君) 山下委員の非常に、中学生の皆さんの作文というのが全国で九十七万に達する応募があった、二十八年のケースなんですが、その中で特に優秀な作品については、私もお会いしていろいろ励ましとかいろいろ申し上げてきているんですが、それに加えて、今までやってこなかったような部分をアイデアとしてお話をいただきました。非常に、中学生は、いずれの作品も感性に富んだ純粋な感覚で人権問題を捉えた、そういう作品が多いわけでございまして、その真摯な姿勢といいますか、そういうものには心が打たれるものがございますし、高い啓発効果というものはあるんだろうと、私も同感であります。
 したがいまして、こうした作品を多くの方々に知っていただく、また御愛読もいただくということが啓発の方法として非常に有効なやり方だと思いますので、御指摘の点も踏まえて、今後事務方ともいろいろ相談をさせていただきたい、このように考えておる次第であります。
#34
○山下雄平君 読んでいただけると皆さんにも分かっていただけると思うんですが、本当にすばらしい作品ばかりで、これは人権教育、人権意識の醸成についてすばらしいコンテンツだと私は思うので、いろんな仕掛けが考えられ得ると思います。先ほど局長はDVD作ったりという話もありましたが、例えばマスコミとタイアップして優秀作品をドラマ化、ドラマの中で使っていただくような仕掛けができたりとかすれば、本当に使えるなというふうにも思える作品もたくさんありますので、是非いろんな工夫をして役立てていただければと思います。
 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#35
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。
 私は、昨日の夕方、ある女性三人とお会いをして一時間ほど訴えを聞きました。三人とも何をおっしゃったかというと、今、衆議院と参議院の法務委員を回って、共謀罪の前に刑法改正、これを審議してほしいんだと、百十年ぶりに一刻も早く性犯罪についての法案を改正をして罰則の強化というよりも適正化を図っていただきたいという、そういう訴えでした。
 一人は父親からの被害、お一人は兄からの被害、もう一人の方は上司からの被害。今でもこの日本で三分に一人そういう被害が起きているんだから、共謀罪のように賛否が分かれる法案よりも前に何とかこの国会で刑法の改正案を実現していただきたいということを伺いました。私たちもそのような立場であるということをまず強調しておいて、今日の本題に入りたいというふうに思います。
 ヘイトスピーチ解消法、先ほどもお話が出ましたけれども、去年の五月に成立をいたしました。そして、最近では法務省が外国人住民調査ということで、日本に住んでいらっしゃる外国人の方々がどんな差別を受けているのかという、そういう実態も明らかになってまいりました。私たちは、ヘイトスピーチ解消法から人種差別撤廃基本法というものをやはり東京オリンピックの前に何とか超党派で実現をさせていかなければいけないと強く思っております。昨日も議連で、法務省の方々、関係省庁、警察庁も来ていただいてヒアリングを行いました。小川会長も二時間ずっと座って話を聞いていただき、あるいは指摘をしていただきましたけれども、やはり新しい課題に我々は直面しているんだろうというふうに思います。
 通告はしておりませんけれども、今から話を聞いていくことについて最後に大臣にも御所見を伺いたいと思いますので、是非ともこれからの質問を聞いていただきたいというふうに思います。
 ヘイトスピーチ解消法から約一年がたとうとしておりますけれども、様々な変化が起きてきております。
 例えば、大阪市ではいち早くヘイトスピーチの対策を目指した条例というものができて、そして大阪市の審査会が三月三十日に、これは訴えを受けて、今ネット上で流れていたヘイトスピーチのデモではないですかということに対して、審査会がそのとおりだと、こういうものをネット上で放置しておくわけにはいかないということで結論を出して、その三本の動画は削除されました。
 あるいは、この法務委員会でも意見を陳述してくださった方々含めて、個人の被害というのは今でもずっと、現在進行形も含めてネット上で、動画で、あるいは書き込みでひどい状況が続いておりますけれども、それも法務省の人権擁護局の御努力で、全てではもちろんありませんけれども、ネット上から削除をされるという、そういう解消法の成果というものがこの一年で様々なところで現れているというふうに思います。
 まず人権擁護局長にお聞きをしたいんですけれども、この一年近くにどういう変化、つまり解消法ができてどういう成果があったのかということについてお聞きをいたします。
#36
○政府参考人(萩本修君) 昨年、ヘイトスピーチの解消に向けた法律が成立、施行されまして、その法律の施行の事実そのものや法律の趣旨が報道等でも大きく取り上げられたことなどが一つの契機となりまして、特定の民族や国籍の人々を一方的に排斥しようとする不当な差別的な言動は許されないものであるということが社会の中で広く認識されつつある、そうした意識というんでしょうか、認識が醸成されつつあるのではないかというように感じているところでございます。
 法務省におきましても、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の施行を踏まえまして、その周知広報やヘイトスピーチが許されない旨の啓発活動のほか、被害相談に対応する体制の整備、関係省庁や関係地方公共団体の出席を得た上でのヘイトスピーチ対策専門部会の開催、ヘイトスピーチの解消に向けた施策を行うに当たって参考となる情報の地方公共団体への提供、外国人住民意識調査の委託及びその結果の公表、外国語による人権相談の利便性向上、そうした様々な取組をしている中で、今申し上げたように感じているところでございます。
#37
○有田芳生君 項目的には確かにそのようなことだと思うんですが、その中でも具体的な成果というものはどういうものがあったんでしょうか。
#38
○政府参考人(萩本修君) 例えばですが、これは先日の当委員会でも御紹介させていただきましたけれども、例えばインターネット上のヘイトスピーチに関しましては、通信関連業界四団体の代表で構成されます違法情報等対応連絡会が、先月ですが、違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説を改訂いたしました。この改訂に当たりましては、法務省は総務省とともに、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の趣旨、内容等を説明するなどの協力をしてきたところでございます。
#39
○有田芳生君 その関連団体の中にグーグル、ツイッター、フェイスブックは入っていますでしょうか。
#40
○政府参考人(萩本修君) 今御紹介した通信関連業界四団体の中には入っていないというように承知しております。
#41
○有田芳生君 御承知でしょうけれども、そこがやはり大きな課題だと思うんですよね。
 この一年間努力をしてくださってきたということは分かるし、例えば、何とか動画というようなところから人権擁護局が努力をしてくださることで削除されたということはあるんだけれども、だけど、グーグル、ツイッター、フェイスブック、これは本社はアメリカですよね。そういうところとの交渉をしていかなければ、いまだこの時間にもずっと続いている差別の扇動、ヘイトスピーチを始めとした様々な差別事案、書き込み、動画というものは削除できないんですよ。そういう認識は当然おありですよね。
#42
○政府参考人(萩本修君) 法務省におきましては、被害申告を受け調査をしまして、違法だと考えられるものにつきましてはその削除を要請するなど、適切な対応に努めているところでございますが、当然のことながら全ての要請に応じていただいているわけではございません。
#43
○有田芳生君 確認ですけれども、グーグル、フェイスブック、ツイッター社とも、そういう削除要請はなさっているんですか。
#44
○政府参考人(萩本修君) 個別の事案で、どのような相手方にどのような要請をしているかについての詳細のコメントは差し控えたいと思いますが、必要に応じて適切な対応に努めているところでございます。
#45
○有田芳生君 個別にどなたがこれを削除してくれということを伺っているんではなくて、そういう海外のグーグル、ツイッター、フェイスブックとも交渉はしてきたという、そういう認識でよろしいですか。
#46
○政府参考人(萩本修君) 個別の事業者との協議につきましては、相手方のある問題でして、協議のその過程なり内容なりを一方的にこうした場で公表いたしますと、相手方との信頼関係が崩れ、協議の支障となるおそれがありますから、お答えは差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げました日本の通信関連業界四団体との交渉以外にも、法務省におきましては、総務省とも連携をしつつ、個別の業者との間でもインターネット上の様々な人権問題に関する連携の在り方等について協議を行っているところでございます。
#47
○有田芳生君 じゃ、ツイッター、グーグル、フェイスブックなんですけれども、一般論として、海外にあるプロバイダーあるいはその日本支社、そういうところと交渉はなさってきましたか。
#48
○政府参考人(萩本修君) 現時点ではどこと交渉しているということについてのコメントは差し控えたいと思いますが、私ども問題意識は持っておりますので、交渉すべき相手方とはしかるべく交渉をしているところでございます。
#49
○有田芳生君 してくださっているんですから、堂々と、やっているんだと、だけどそれがなかなか難しいんだという現状は認識されていると分かっているんですよ。だけど、必要なのは、やはりアメリカに本社があれば、あるいは日本に支社があれば、アメリカとの交渉が難しいならば日本支社と交渉していくと。業界四団体以外のところでも大きな問題が起きているわけですから、そういう、アメリカ本社じゃなくたって、日本支社を通じて現状を変えていこうという、そういう努力をされるこれまでの経過ありましたか、あるいはこれからの御予定はありますか。
#50
○政府参考人(萩本修君) 今の御質問に直接お答えいたしますとその交渉の詳細を明らかにしたのと等しくなってしまいますので詳細は差し控えますけれども、当然、しかるべき相手方に、誰を相手に交渉するかも含めて検討した上で対処をしているところでございます。
#51
○有田芳生君 人権擁護局だけではなくて、警察庁なども様々な努力をこの一年間、解消法ができたからこそ動いているという現実があるんですけれども、でも、なかなか壁が厚い。ひどい書き込み、動画というものがのうのうと今この時間にも残っている。やはりそれを克服していく、新しい課題、やっぱり一緒に考えていかなければいけないと思うんですよね。
 何度もこの委員会でお聞きをしたことなんですけれども、もう局長も十分御存じだと思うんですが、EUとかドイツはそういう差別的な書き込み、動画などについてどのような現状にあるかというのは御存じですよね。ちょっと教えていただけますか。
#52
○政府参考人(萩本修君) 昨年でしたか、当委員会でも有田委員から御紹介、御指摘をいただきましたけれども、EUにおきましては、アメリカに本社がある事業者との間で個別に一定の合意を結んで、削除についての取組を進めていると承知をしております。私どもも、昨年来、そのような御指摘をいただいているところでして、そのEUでの取組も参考にしながら、現在しかるべく対処をしているところでございます。
#53
○有田芳生君 やはり国際人権基準に追い付かなきゃいけないと思うんですよね、せっかく解消法ができたんですから。ですから、法務省も総務省と協力していただいて、EUやドイツのように、グーグルやツイッター社やフェイスブックなどと話合いをして合意を得て、差別的な書き込みがあれば二十四時間以内に自動的に削除をしていくというような、そういう体制をこの日本でも取っていかなければいけないというふうに思っておりますが、局長、いかがですか。
#54
○政府参考人(萩本修君) 当然のことながら、各国における前提となる法律なり制度なりが異なりますので、全く同様というわけにはいかないことは当然ですけれども、参考にすべき諸外国の実情についてはそれも十分参考にしながら、我が国においても事態が好転するように引き続き努めてまいりたいと考えております。
#55
○有田芳生君 その推進力をもっと強めていただきたいというふうに思います。
 もう一点、ネット上の差別書き込みなどに加えて、脅迫とか名誉毀損とか威力業務妨害など、犯罪を構成するような動画であるとか書き込みがあったとき、今はどういう対応をされているんでしょうか。
#56
○政府参考人(萩本修君) 対応の在り方につきましては、事案の内容によりますので一概には申し上げられないところですが、一般論として申し上げますと、被害者からの人権相談などの中で、今委員から御指摘のありましたような書き込みがされていることが発覚した場合には、その内容に応じまして、例えば、警察の窓口を紹介するなどの助言を行う、被害者の意向も踏まえつつ警察等の関係機関に通報を行う、人権侵犯事件として立件した上、書き込みをした相手方からの聴取等の調査を進め、人権侵害の事実が認められるときには、人権侵害を行った者に対して反省を促し、人権侵害を繰り返さないように是正を求める説示や勧告などの措置を行う、そういった対応が考えられるところでございます。
#57
○有田芳生君 そういう勧告など厳しい対応を取っていただきたいんですが、勧告を法務省がしても、その勧告文というものをインターネット上で、ほら、こんなのが来ているぞと見せて、手で破って、そして中にある勧告文をびりびりびりっとインターネット上でやっているような人物がいますけれども、その人物が会長を務めていた在特会など、右派系市民グループが今でも活動を毎週のようにこの日本で続けている。
 警察庁にお尋ねをいたしますけれども、解消法ができて約この一年間で、デモとか集会の件数に解消法の前と比べて変化がありましたでしょうか。
#58
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
 いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行された平成二十八年六月三日以降、平成二十九年三月までの右派系市民グループによるデモの件数は約三十件と把握してございます。前年同期の右派系市民グループによるデモ件数は約六十件と把握しており、いわゆるヘイトスピーチ解消法施行後、約三十件の減少が見られるところでございます。
#59
○有田芳生君 そういう警察庁としての確認があるんでしょうけれども、そんなものではないんですね、残念ながら。
 皆さん、インターネットで行動保守カレンダーというのを見ていただければ分かるんですが、毎週土曜日、日曜日を中心にして全国各地でデモ、集会、それから町の中での、例えば池袋だったら中国物産を売っている店への攻撃をしようとしたりする動きとか、確かにデモは減っているんだというふうに思いますけれども、なかなか、もっと減らしていくには課題があるなというふうに思っております。
 今、数は示していただきましたけれども、彼らの主張が変わったかどうかという、そういう把握はされていますでしょうか。もし分かれば教えてください。
#60
○政府参考人(白川靖浩君) お答え申し上げます。
 右派系市民グループの一部の取組では、主催者がいわゆるヘイトスピーチ解消法に従うよう呼びかけを行うなど、過激な言動を控えようとする動向が見られたところではあります。
 ただ、他方、もとより警察といたしましては、右派系市民グループの主張の変化について確たることを申し上げることは困難ではございますけれども、依然としていわゆるヘイトスピーチと言われるような過激な言動が行われているものとは認識はしてございます。
#61
○有田芳生君 そのとおりなんです。この間、四月九日、新宿で行われたデモなんかも、私はその場におりましたけれども、相変わらずヘイトスピーチ、不当な差別的言動というのを行っている。もうこの人たちは変わらないんだなと情けなくなる思いで見ておりますけれども、残念ながらそれが日本の現実です。
 そこで、具体的にお聞きをしたいんですけれども、そういうデモをやるグループに対してやめなさいというようなことをおっしゃっていましたけれども、確かに、DJポリスが出て、ヘイトスピーチ解消法ができたんだから不当な差別的言動はやめなさい、こうやってこの間も新宿では大きなマイクで注意を喚起をされていた。それは東京だけではなくて大都市ではしばしば見かけることなんですけれども。
 警察庁に伺いたいんですけれども、DJポリスが出て、右派系市民グループのデモ行進に対してヘイトスピーチ解消法で注意を喚起するということは、これはどの程度やられているんでしょうか。これは統一的見解としてやっていらっしゃるんでしょうか。教えてください。
#62
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 警察におきましては、デモの状況等を踏まえまして、一般通行人に対するデモ行進の周知やトラブル防止のための指導といった、いわゆる警備広報なるものをこれまで全国的にも行っているところでございます。
 いわゆるヘイトスピーチ解消法の施行を受けまして、警察庁から都道府県警察に対しまして広報啓発活動の推進について指示したところでございまして、これ例えばでございますが、今委員御指摘の、警視庁においては車上からマイクを用いるなどにより法の趣旨について周知しているものと承知しているところでございます。
 引き続き、警察において法の目的等を踏まえた警察活動を推進してまいりたいと思っております。
#63
○有田芳生君 指針が通達として出されたという理解でよろしいわけですね。
#64
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 ただいま御答弁申し上げましたとおり、広報啓発活動の推進については指示してございますけれども、具体的に、警備広報のやり方等について具体的に指示したということはございません。
#65
○有田芳生君 指示してほしいんです、是非とも。
 DJポリスがヘイトスピーチ解消法に基づき不当な差別的言動は慎みなさいと言うことをもっと強化していただきたいんですが、なぜしっかりとした統一した指針を出していただきたいかというと、この間、四月九日、新宿でこの右派系市民グループがデモをやりました。そのとき、DJポリスが注意を喚起すると同時に、私たち、差別に反対し、そういうデモを許さない立場で抗議をしている、声を上げているだけなんですよ、ヘイトスピーチやめなさいと、それに対してDJポリスがずっと、沿道からの挑発行為はやめなさい、こうおっしゃっていたんです。これはやっぱりちょっと法の精神と違うんじゃないかと思うんです。私はずっとデモの横におりましたから分かっているんだけれども、挑発行為なんというのはないですよ。プラカードを掲げて、ヘイトスピーチやめろ、そういう働きかけですよ。
 だから、彼らに対して、法の精神に基づいて不当な差別的言動をやめなさいと言うのは当たり前の警察官の行為だと思うんだけれども、国民の中から、ヘイトスピーチ解消法の第三条の精神に基づいて差別的言動のない社会の実現に寄与する、これ国民の責務になったわけですよ。その国民の責務としてヘイトスピーチをやめさせようといって、この間だって、初めてその現場に来た若い男性もいましたけれども、その人たちがヘイトスピーチやめろと言っていることに対して、見ていたって何ら危険な状況にはないにもかかわらず、挑発はやめろと。これ、ちょっと方向が違うんじゃないでしょうか。どう思われますか。そこにいらっしゃらなかったから分かりませんという答弁になるのかも分からないけれども、これが現実なんですよ。
 だから、そこのバランスを欠いちゃいけない。だからこそ、統一的な指針というものをこれからでも作っていただいて全国の都道府県警察に指示をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#66
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 ただいま議員御指摘のようなアナウンスと申しますか、そういうことがあったことを私ちょっと存じておりませんのでお答えはなかなか申し上げにくいところでございますけれども、ただ、警視庁におきましては、いわゆるヘイトスピーチ解消法の趣旨については徹底してアナウンスもなされているものというふうに考えております。
 また、お尋ねの件でございますけれども、他の道府県警察におきましても、警視庁の取組を例示といたしましてしっかり共有はしてまいりたいと思います。
#67
○有田芳生君 残念ながら、警視庁のやり方を全国に広げてほしくないんです、率直に言って、それは。
 だって、警察官だって何人も現場に出動して映像を撮っていますよ。だから、DJポリスが何を言っていたかというのは見ていただければ分かります。ヘイトスピーチに反対する我々に対して、挑発はやめなさい。ヘイトスピーチやめろと言うことが挑発になるとは思えない。
 そして、なぜ警視庁の基準を全国に広げてもらいたくないかといえば、皆さんに今日資料をお配りしました。これは私が写した写真も入っておりますけれども、上二枚、四月九日の新宿です。右側、警察官多いですね。私は、このデモが来たとき、見ていて、わあ、すごいな、解消法ができてもう衰退しつつあるのかと思って、右派系市民グループがこの新宿でも百人ぐらいいるのかなと思っていた。だけど、写真見ていただいたら分かるように、ヘイトスピーチを事とするグループと警察官が一緒にデモをしているとしか見えないんですよ、残念ながら。見てくださいよ。これ、だけど、タマネギだとしたら、このタマネギの皮むいた中にいる右派系市民グループ何人かと思って、まあ警察、把握されているでしょうけれども、私は解散地点でざっと数えて、十五人から、多くても二十人かな。だけど、このデモを見たら百人以上。異常なエネルギーで新宿の町を、観光客、買物客、東京オリンピックを前にして外国人の人たち、アジアも含めていっぱいいて、みんな仰天していますよ。新宿の百貨店の横をこういうデモが通っていく。そして、DJポリスが大きな声で不当な差別的言動をやめなさいと言っている。で、我々に対して、挑発をやめなさい。挑発なんかしていない。ヘイトスピーチ解消させなきゃいけないという国民の義務としての行為をやっているにもかかわらず、こういう現実がある。
 だから、何度もお聞きをしましたけど、二〇一四年八月、スイスのジュネーブで人種差別撤廃委員会の日本審査がありました。私もそこに行きました。そして、当時、解消法ができる前、日本全国でどんなヘイトスピーチのデモが行われているかというその映像を撤廃委員会の委員の方々に見ていただきました。その感想が、日本では差別をする人たちと一緒に警察官がそれを守っているんですかという感想だったんですよ。でも、決してそんなことじゃないじゃないですか。皆さん、そんな思いでやっているわけじゃないんです。解消法ができてからだってそうですよ。現場の警察官の皆さんは本当に努力されている、分かる。だけど、解消法ができて、この四月九日、これ見たら、警察官が右派系市民グループとデモをしているとしか見えないんです。百人以上いたでしょう。中には十数人しかいない。だから、やはりちょっと過剰じゃないかなと言わざるを得ないんですよ。
 しかも、解消法ができる前の、例えば去年の四月十七日、岡山で、在特会の当時会長も含めて、拉致問題解決のための集会、デモが行われました。拉致問題なんというのはだしに使っているだけです。私はずっとそこにもいたけれども、ヘイトスピーチをずっとやっていた。
 だけど、びっくりしたのは、岡山県警すごいなと思いました。これまで、大阪府警なんかは非常に物理的に厳しい対応をヘイトスピーチに反対する人たちに取ってきたんだけれども、去年の岡山県警は、ヘイトスピーチをやる人物たち、それに抗議をする人たち、それがトラブルにならないように、警察官の配置というのは、ヘイトスピーチをする人たちに向く警察官もいれば、それに抗議をする人たちに向くというような交互の体制取っている、ああ、工夫されているなというふうに思いました。解消法の前ですよ。だから、そういう警備のインフォメーションというのは全国に広がっていくんだなというふうに思っておりました。
 だけど、残念ながら、解消法ができてもう一年近くになるにもかかわらず、四月九日の新宿というのはそうなっていないんですよ。だから、警視庁水準というものを全国に広げていただきたくないというのは、そういう意味なんですよね。
 これが現実なんですが、やはりもう少し統一的に、誤解されない指針というものを作っていただくことをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
#68
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 警察におきましては、デモの状況や時々の情勢等を踏まえまして、現場における混乱、交通の危険の防止等のため、必要な警備体制を構築し、中立性、公平性を念頭に置いて警備活動を実施しているところでございます。
 先ほど委員御指摘の点につきましても、当日は、行進するデモ参加者を規制する部隊とデモ抗議者を規制する部隊が並列して配置されておりまして、双方に対する警備措置を実施しているところでございまして、警察がデモ隊を守っているとか、そのようなことはございません。
 ただ、いずれにしましても、警備のありようにつきましては、様々な地理的な事情とか地方による実情によりますので、指針等を一律にお示しするということは困難であると考えております。
#69
○有田芳生君 そうしたら、少なくとも警視庁水準を全国に広げるような広報はやめてください。どうしたって警察と一緒にデモをしているとしか見えないんですよ、一般の人たちは、そういう思いでやっていらっしゃるんだろうけれども。
 じゃ、さっき抗議をする人たちに対する規制とおっしゃったけれども、とんでもないことが起きたんですよ、四月九日。写真見てください。写真の右の下です。
 このデモ隊が公園で解散をしようとしておりました。私たちは道路を隔てて遠くからその様子を見ておりました。当然、若い警察官の皆さんがやってきて、そこから公園、解散地点には行けないように規制をされた。それはいつものことで、当然だなというふうに思いました。その周りに、大体十人ぐらいでしたか、おりました、抗議をする人たちが。私もその中の一人でした。そして、一人、二人がプラカードを掲げて、その解散地点にいる彼らに、ヘイトスピーチやめろ、早く帰れというようなことを言っていただけ。
 ところが、私たちの前にいた若い警察官たち、いるから、それ以上誰だって入っていこうとも思わないし、公園まで、かなり離れたところで何人かが声を発していただけなんだけれども、何と、更に指示が出されて、屈強な若い警察官たちが十数人以上来たでしょうか、私たちの前に更に配置をされて、どんどんどんどん立派な体格で追い返していく、物理的に排除をしていく。下がれ、下がれ。だから、僕は聞いたんです、何で下がらなきゃ駄目なんだ、理由を教えてくれと。
 それは、現場の若い警察官たちは指示をされたからそういうことをやらざるを得なかったというのは分かります。だけど、その向こうにはマイクを持ってどこかと相談をしている上司たちでしょう。排除ですよ、物理的に、屈強な警察官に。せめて何でそんなことをやられなきゃいけないのかというのは教えてくれと言っても無言のままですよ、物理的排除ですよ。やり過ぎですよ。写真の右下ですよ。おかしいんじゃないですか。
 しかも、ヘイトスピーチをやる人物たちに向いているんじゃない、抗議をする私たちに向いている。中には、ちょっと先にマイク持った人が有田芳生だというようなことを言っている。排除ですよ。何ですかと思いましたよ。まあ何言われたっていいんだけれども、せめて聞こえないようなところで言うべきじゃないですか。おかしいですよ。何なんですか、これは、この物理的排除は。どういう指示だったんですか。明らかにしてください。
#70
○政府参考人(白川靖浩君) お答えいたします。
 その前提としまして、デモの解散地の公園付近におきまして、デモの抗議者に対するのみならずデモの参加者に対しても、警察としましても部隊を配置して、しっかりとした警備措置はしておったということは申し上げたいと思います。
 それで、委員が御指摘の点でございますけれども、警視庁によりますれば、お尋ねの警察官による警備措置は、当時、デモ参加者を解散地点である公園から退去させる際、デモ抗議者の直近を通過することが考えられたことから、現場の安全確保、違法行為の抑止等を図るため実施したところでございます。
 また、その理由について教示がなかったということでございますけれども、警視庁によりますと、そういう理由について御教示いたしますと、デモに抗議する方がかえって多く集まりまして、警備措置の目的を達成することが難しくなるということが想定されたということで、理由について教示しなかったということでございます。
#71
○有田芳生君 違うんですよ。集まってくるだけの抗議者たちは当日のデモになんかいないんですよ、非常に少なかった。なぜ少なかったかというと、中野でもヘイトスピーチのデモ、集会が駅前で行われていた、池袋でも行われていた、だから、本当少なかったんですよ。少なくとも、何でここからいなくならなきゃいけないんですかというのは、やっぱり説明は欲しかった。
 もう時間がないから次に行きますけれども、少なくとも警視庁、少なくとも特に新宿署のような警備体制というのは、去年も法務委員会で質問をしましたが、今日はやめますけれども、現場の警察官が、抗議をしている女性三人の首を喉輪で絞める、そして刑事告訴されるというような事案が去年の三月二十七日、新宿で起きましたけれども、少なくとも新宿署のような過剰な警備というものは全国に広げないでいただきたいということをお願いしておきます。
 とにかく、ヘイトスピーチ解消法ができて、警察庁も、それから文科省も率先して通達出してくださったというのは本当に有り難いことだと思っていますので、せっかくできた法律、そしてその下での警備体制というものが誤解されないようにもっと改善をしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。
 それで、大事な問題に駆け足で行きます。総務省の方も来ていただいているんですけど、もう恐らく時間がないんで、申し訳ない結果になるような気がしてまいりました。
 外国人住民調査が公表されました。評価する点、いっぱいあります。法務省、短い時間で調査結果をよくまとめてくださったというふうに思います。政府が初めて行った外国人差別の実態調査であるということ、しかも、全国の三十七地区、五百人、全国で一万八千五百人という政府の調査にふさわしい結果になったということは高く評価されていいというふうに思いますし、また調査結果として、この日本で、入居差別経験四〇%、就職差別経験二五%、差別発言を受けた経験三〇%など、そういう実態が明らかになったということは、これからの対応にとっても重要なことだというふうに思います。更に言えば、細かいことですけれども、報告書とは別に詳細な集計票、エクセルファイルを出していただいたというものも高く評価されていいというふうに思っております。
 ただ、不十分な点もあるというふうに思っております。それは、根本的に言えば、この数年間のヘイトスピーチ問題と結び付いた形で周知されていないことだというふうに思っております。例えば、法務省のウエブサイトを見ても、旧来の外国人の人権を尊重しましょうのページにだけリンクが貼られているんですけれども、より多くの人が見るだろうと予測されているヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動のページ、そこでは今回の調査触れられていないんですけれども、やはりそこから見ることができるようなホームページに変えていただきたいんですが、検討していただけないでしょうか。人権擁護局長に。
#72
○政府参考人(萩本修君) 法務省のウエブサイトの内容につきましては、利用者の視点、利用者の目線に立って少しでも利用しやすいものになるよう工夫や改善を重ねていくべきと日頃から考えております。
 今御指摘いただきました外国人住民調査の報告書や集計票、確かに確認しますと、現在では外国人の人権のページにのみ掲載されている格好になっておりますけれども、御指摘をいただきましたので、ヘイトスピーチのページからもアクセスできるようにできるだけ速やかに改善をしたいと考えております。
#73
○有田芳生君 あと、駆け足になりますけれども、せっかくお金と時間、労力を掛けてこれだけの立派な調査をしてくださったんですが、この間も担当者に来ていただいて話し合ったんですが、生データの提供を、例えば研究者と協力し合ってもっと詳細な調査ができないかなと思っております。
 つまり、なぜそういうことを言うかというと、例えば、外国人が置かれた状況というのは出身国によってかなり違うんですが、同時に男女差も多いんですよね。ただ、それを、男女の違いと差別経験、出身国の違いと差別経験といった分析できても、これらは同時に扱うことはできないんで、せっかくのデータがあるんですから、それを今後有効に活用できる体制を検討していただきたいということを最後に御質問したいというふうに思います。
#74
○政府参考人(萩本修君) 一般的な話としまして、国が予算を使って調査をした場合に、その調査の結果得られたデータを可能な限り有効活用すべきというのはおっしゃるとおりだろうというように認識をしております。
 ただ、今回の外国人住民調査の今委員がおっしゃった生データの部分にはプライバシーに関するものが多数含まれておりますので、それをそのまま公表する、あるいは今御指摘いただいたように研究者などに提供するということについては必ずしもなじむものではないというように考えておりますので、ちょっとそのような制約があることは御理解いただければと思います。
#75
○有田芳生君 終わりますが、総務省、文科省の方々も含めて、申し訳ありません、時間が来たので終わらせていただきます。
    ─────────────
#76
○委員長(秋野公造君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として田村智子君が選任されました。
    ─────────────
#77
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 今日は、裁判員制度について質問をしたいと思っております。
 裁判員制度というのは司法制度改革によって創設されたわけでありますけれども、民事裁判や家事事件については、先日の裁判所の定員に関する法律案でも審議が行われましたけれども、訴訟や裁判手続の長期化の是正ですとか、そういった問題点が指摘をされて改革が行われてきたと認識をしております。そして、刑事事件については裁判員制度というものが創設をされまして、平成二十一年の五月から開始をされましたので、ちょうど八年になるところであります。この裁判員制度というのは司法制度改革の大きな柱の一つでありまして、司法に対する国民の理解の増進と信頼の向上に資するものであるという形で法律にも明記がされているところであります。
 まず、この裁判員制度、八年も、八年はまだ経過しておりませんけれども、八年近く制度が始まってからも時間が経過をして、国民の間にも大分認識、定着をしているのではないかなというふうに思っておりますが、まず大臣に、この裁判員裁判、裁判員制度の導入の成果と、また課題として認識しているものがあれば、それについての御所見を伺いたいと思います。
#78
○国務大臣(金田勝年君) 佐々木委員からの御質問にお答えをいたします。
 まず、裁判員制度導入の成果についての評価として、平成二十九年一月末までの選任された裁判員は五万五千三百十五人、そして補充裁判員は一万八千八百十人に上っております。極めて多数の国民に熱心に参加をしていただいて、審理に取り組んでいただいているものと認識をいたしております。
 また、裁判所のアンケートに対しましては、九五・六%の裁判員経験者が裁判員として裁判に参加したことにつき、良い経験をしたと感じた旨を回答をされております。また、充実感を持って審理に取り組んでいただいているものと認識をしておる次第であります。
 さらに、裁判所による意識調査によりますと、裁判員制度について多くの割合の一般国民に裁判所や司法が身近になった、あるいは裁判の結果に国民の感覚が反映されやすくなったとの好意的な評価をいただいているものと認識をいたしております。
 このように、裁判員制度は順調に運営されておりまして、多くの国民にこのような意識を抱いていただいていること自体、裁判員裁判の一つの成果と言ってよいものと考えております。
 一方、裁判員制度の課題についての認識でございますが、先般の裁判員法の一部改正法の審議に際しましては、審理期間が長期化する事案が見られる、あるいは凄惨な写真を取り調べることに伴います心理的な負担も含めた裁判員の負担に配慮する必要があるといったような御指摘をいただいておりまして、法務省としても、このような御指摘を踏まえまして、最高裁等とも連携をしながら、裁判員裁判がより一層適切に運用されるように努力してまいりたいと考える次第であります。
 以上であります。
#79
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 大臣も紹介をしていただいたとおり、裁判員経験者の方たちのアンケートによりますと、裁判員としての活動、職務がよい経験と感じたと、こういった回答をしている方が大半、大半といいますか極めて多いということでありますし、国民の健全な社会常識を裁判に反映をしていく、また国民の司法に対するある意味参加という形にもなると思いますけれども、それによって国民からの信頼を更に強固なものにするということが実現されているのではないかというふうに思っております。
 また、直接主義ですとか口頭主義の実質化、いろいろな証拠調べの方法についても現場では工夫がされておりますし、また、当事者主義という観点からも、被告人の着席位置ですとか服装なんかも従来の、以前の刑事裁判とは違ってきたというようなところもございます。
 このように、司法制度改革の大きな柱であった裁判員制度、一定の成果を上げていると思っておりますけれども、大臣からも御紹介がありましたように課題もあると認識をしております。
 そこでまず、裁判員候補者の辞退率、こういった点をまず課題として取り上げたいと思うんですが、この近年の辞退率、また制度開始当時とまた近年の辞退率推移ですとか、また主な辞退理由などについても御紹介をいただきたいと思います。
#80
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。
 選定された裁判員候補者のうち辞退が認められた裁判員候補者の占める割合である辞退率についてでございますが、裁判員法が施行された平成二十一年が五三・一%となっており、直近の三年間で見ますと、平成二十六年が六四・四%、平成二十七年が六四・九%、平成二十八年が六四・七%となっております。
 また、辞退率がこのような推移をしていることにつきましての原因につきましてでございますけれども、辞退率の上昇につきましては様々な要因が影響しているものと考えられますが、その原因ではないかと指摘されているものとしましては、以下に申し上げるようなものがございます。
 審理予定日数が長くなるほど辞退率は高くなる傾向にありますところ、近年、審理予定日数が少しずつ長くなっており、これが影響している可能性ですとか、辞退事由ごとの辞退率の推移を見ますと、事業における重要用務を理由とする辞退の割合が増加傾向にございまして、これが影響している可能性ですとか、国民の裁判員制度に関する関心が低下している可能性などがございます。
 しかしながら、これら以外の要因が関係している可能性も否定し切れないところでございます。
#81
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
 辞退率が少しずつですけれども増加傾向にあるということ、それから辞退理由について、辞退理由といいますか、辞退率が増えている、割合が増えている原因として考えられるものを御紹介をいただきました。
 この仕事、業務ということは、仕事上のことを理由にということだと思いますけれども、この制度開始当初は非常に広報にも力を入れていただいて、裁判員として選任をされた場合の、仕事を休まなきゃいけなかったりとかそういったことについても、例えば会社にきちんと理解をしていただけるように、そうした広報にも力を入れていただいたと思います。裁判員制度に対する国民の関心が少し薄れてきているのではないかということも今指摘をしていただきましたけれども、そういったことも含めて、広報活動も、やはりこれからも、せっかく一定の成果が出てきているわけでございますので、力を入れていただきたいというふうに思っております。
 今ちょっと先取りして申し上げてしまいましたけれども、この辞退率が徐々に上がってきているという点について、裁判所としてはですかね、裁判所若しくは法務省としてどのような対策を行っているのか、お聞きしたいと思います。
#82
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。
 国民の皆様方の視点や感覚を反映させるとの裁判員制度の趣旨に照らしますと、より多くの国民の皆様方に裁判員制度を御理解いただき、高い参加意欲を持っていただくことが望ましいと考えております。
 そのため、裁判所では、裁判官等が会社や各種団体などに赴きまして、裁判員裁判の運用の現状や改善への取組状況を御説明しますとともに、実際に裁判員裁判を経験した方の多くが肯定的な評価をしていることなど裁判員経験者の声をもお伝えするなどして、裁判員制度に関する正確な情報の発信に努めております。
 また、裁判所では、従前より、国民の皆様が参加しやすい裁判となるよう、迅速で分かりやすい裁判の実現に取り組んでおります。
 裁判所といたしましては、今後とも、裁判員制度に対する理解が広がるよう適切な情報発信に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#83
○佐々木さやか君 辞退の理由として、恐らく中には育児ですとかまた介護といった家庭の事情によって辞退をされる方もいらっしゃるのではないかなというふうに推測いたします。ですので、裁判員に選任をされた方々に対して、仕事の面とか御家庭の面ですとか、できるだけきめ細やかな支援ができるように、例えばお子さんを預ける先についての情報はどういうふうに手に入れたらいいのかとかですね、他の省庁とも連携をしながら今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 それから、この審理の長期化についてですけれども、やはり裁判が長期化すると、その分お仕事を休んで参加しなければならないという方などについては裁判員になることについてちゅうちょが大きくなると思います。この平均実審理期間というものを見ますと、開始当初、平成二十一年は三・七日であったのが、平成二十八年には九・五日という形で、まあ三倍にはなりませんけれども、長期化しているというふうに思われます。ただ、平均開廷回数を見ますと、三・三から四・六回ということで、大幅に増えているというわけではないようですが、こうした実審理期間の長期化というものはどういった背景でこうなってしまっているのか、この点をお聞きしたいと思います。
#84
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。
 裁判員法の施行後、裁判員裁判の平均開廷回数が少し増加しておりますが、裁判員裁判の実審理期間が平均開廷回数の増加以上に長期化している背景といたしましては、充実した評議を尽くすという観点から評議に充てる時間が増加傾向にあることなどが考えられるところでございます。
#85
○佐々木さやか君 そうですね、恐らくそうなんだろうと思うんですけれども、先ほどもあったように、長期化をすることによってなかなか参加が難しいと思われる方が増えてしまう。他方で、充実した審理を行う、また、裁判員になる方々というのは一般の市民の方々ですので、事件についていろいろなことをしっかりと分かっていただかなきゃいけない、そういった観点からもある程度の時間を掛けるということも必要かもしれません。ということで、相反する要請があるわけで、難しいところではありますけれども、やはりこの長期化というのはどうしてなのかということをしっかり原因も分析をしていただいて、必要な対応を取っていただきたいと思います。
 それから、この裁判員の皆さんの安全の確保というものも非常に重要であります。この点に関して、昨年、ちょうど一年ほど前ですけれども、裁判員の方が暴力団員に威迫をされるという事件が北九州で起こりました。
 この事件の概要について教えていただけますでしょうか。
#86
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねの事案でございますが、福岡地方裁判所小倉支部に公判係属中の暴力団幹部による殺人未遂事件の裁判員裁判に関しまして、その暴力団幹部の関係者二名が平成二十八年五月の第一回公判期日後、その裁判を担当していた裁判員二名に話しかけ、裁判員に不安、困惑を生じさせるなどした事案であると承知しております。
 この事件につきましては、検察当局におきまして、裁判員に声を掛けた二名の暴力団関係者を公判請求いたしまして、平成二十九年一月、福岡地方裁判所におきまして、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律違反によりまして、一名につき懲役九月、三年間執行猶予の判決、もう一名につき懲役一年、三年間執行猶予の判決があり、いずれも判決確定したものと承知しております。
 なお、この事案、事件の発生を受けまして、検察当局におきまして、当該殺人未遂被告事件につきまして、平成二十八年七月、裁判員裁判対象事件からの除外請求を行いまして、裁判官の合議体で取り扱う決定がなされて審理がなされたものと承知しております。
#87
○佐々木さやか君 御紹介いただいたように、その暴力団関係者が裁判員の方に声を掛けて、その審理に影響を与えるおそれが非常に高いような行為をしたという事件でありました。
 こういったことで逮捕、起訴されたというものは初めてだというふうに認識しておりますけれども、この犯行、声を掛ける行為によって、実際に裁判員としての職務の継続に不安を感じた裁判員の皆さんが相次いで辞任を申し出たりとか、また、今もありましたとおり、裁判員裁判対象事件から除外をされて裁判員制度ではない形で裁判をすることになったと。このように、非常に裁判員制度に対して、その制度の根幹を揺るがすような行為が行われてしまったということで、非常に残念なことであります。
 そこで、こういったことが今後もあるようなことがあっては制度の存続自体に非常に懸念となりますので、この再発防止、また、なぜこうした事件になってしまったのかということを、これも原因をしっかり分析していただきたいと思っておりますけれども、その後、こうした事案が起こらないようにするための対策、裁判員の安全確保についての取組を伺います。
#88
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の裁判員法違反事件を受けまして、最高裁判所において、裁判員の安全確保に関して講ずることが考えられる方策などを改めて取りまとめて周知し、全国の高裁、地裁に対しまして、裁判員の安全確保に遺漏がないようにすることを求めました。
 その中では、日頃から講じることが考えられる方策といたしまして、第一に庁舎内の動線、庁舎出入口、共用スペース等の確認や工夫、第二に裁判員に対する接触が禁止されていることについての傍聴人への告知、第三に警察との連携方法を確認するなど、接触事案の発生に備えた体制整備を周知いたしました。
 また、接触のおそれが認められる事案における具体的な方策といたしましては、第一に庁舎内の動線の変更や一般来庁者とは別の出入口の利用、第二に庁舎内の移動時における裁判所職員の付添いあるいは見守り、第三に裁判員の送迎、第四に金属探知機による所持品検査、第五に法廷等における警備要員の配置などを周知いたしました。
 これらを受けまして、各地裁におきましては、改めて安全確保に関する方策を検討して実施し、裁判員の安全確保に遺漏がないように努めているものと承知しております。
 裁判所といたしましては、これらの方策を適切に実施し、裁判員の皆様が過度の負担を感じることなく安心して審理に参加していただけるよう万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
#89
○佐々木さやか君 今後ともよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
#90
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 今日もちょっと引き続き、テロ等準備罪のことについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、テロ等準備罪と予備罪との関係について質問をさせていただきます。
 現行法でも典型的な予備罪として殺人予備罪というのがありますけれども、実際にその殺人予備罪でどれぐらい検挙されているのか、まずはその数字をお聞きしたいと思います。
#91
○政府参考人(高木勇人君) 警察庁の犯罪統計により直近五年間の殺人予備罪の検挙件数を見ますと、平成二十四年二十二件、二十五年二十四件、二十六年三十三件、二十七年二十五件、二十八年二十二件であります。
#92
○東徹君 重大な犯罪の中でもやっぱり殺人罪というのは一番重たいというふうに思うんですけれども、その殺人の予備罪、まず、そもそも殺人罪というのが年間約九百件から千件の中で今まで推移してきております。例えば、平成二十四年だと九百六十三件、平成二十五年だと九百五十件、平成二十六年で千十件、平成二十七年で九百三十八件、平成二十八年で九百一件ということで、大体九百件台ということでありますが、先ほど、その中でも殺人の予備罪で実際に検挙されたのが大体二十件台だというふうな話です。そうすると、殺人予備罪で検挙されている件数というのが、全体からいうと二%から三%ぐらいしか殺人の予備罪では検挙されていないということになるわけですね。
 殺人予備罪については、既遂罪における、要するに遺体が発見されたと、そういったところから捜査が始まるというのが大体ほとんどだというふうに思うわけでありますけれども、その捜査を始めるきっかけが予備罪についてはないわけでありまして、予備を示すその証拠の収集が難しいというためなかなか立件できておらず、予備罪で立件できれば世の中から殺人罪というのはもっともっと減るんだろうなというふうに思うわけでありますけれども。
 今回のテロ等準備罪ですけれども、予備行為よりもまだ更に前段階で、早い段階での準備行為の段階で処罰することができるというわけでありますが、捜査の人員とかそれから予算とか、そういったものがやっぱり限られている中で、実際にこのテロ等準備罪で捜査して証拠を集めて検挙していく、これはなかなか難しいんじゃないかというふうに思ったりもするわけですが、この点に対してどのような御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
#93
○国務大臣(金田勝年君) 東委員のただいまの御質問にお答えいたしますが、テロ等準備罪の捜査につきましても、他の多くのひそかに行われる犯罪の場合と同様の方法で捜査の端緒を得て、必要かつ適正な捜査を尽くすことになるものと考えられます。
 テロ等準備罪について適切な捜査を行って証拠を収集して捜査機関として適切な処分を決することは十分に可能であると考えておりますが、この点につきまして、捜査実務の観点につきましては刑事局長から答弁をさせていただきたいと思います。
#94
○政府参考人(林眞琴君) ただいま、テロ等準備罪の捜査についても他の多くのひそかに行われる犯罪の場合と同様の方法でという答弁ございましたが、その同様の方法ということにつきましては、例えば、実際に行われた別の犯罪の捜査、その過程で計画についての供述でありますとか犯行手順が記載されたメモのような証拠が得られること、あるいは計画に参加した者の自首や計画の状況を聞いた者からの情報提供、こういったことによって計画の存在、あるいはその後の実行準備行為の存在が明らかになることがあるものと考えております。
#95
○東徹君 最初に仁比議員からも質問があったところだというふうに思うんですけれども、予備罪で検挙されているのが二から三%。そうなってくると、予備のまだまだ早い段階での準備行為というわけですから、なかなか実際には検挙していくという件数は更にこれ下がるんではないのかなというふうな感があります。
 ちょっと次の質問をさせていただきますが、前回質問をさせていただきましたオウム真理教についての組織犯罪的集団のことでありますけれども、四月六日の法務委員会で、オウム真理教を題材にして、どの時期に組織的犯罪集団に変わったんですかという質問をさせていただきました。
 答弁では、これに対して、どの時期に少なくとも組織的犯罪集団と変わったのかということは、この罰則の適用上必須の条件ではなくて、立証する必要はないというふうな答弁でありましたし、ちょっと非常に残念だったんですけれども、確かに、犯罪の立証に当たってはそのとおりかもしれないんですけれども、法案に関する質疑で、どのような状況になれば組織的犯罪集団に一変すると政府が考えているのかということが非常に大事だと思いますし、ここが明らかにならないと法案に対する国民の理解もなかなか深まっていかないのではないかなというふうに思います。
 オウム真理教については、これ安倍総理も例として挙げられているわけでありまして、証拠資料を精査し直して、このくらいの時期には組織的犯罪集団に変わったということをこれ示すべきではないのかなと思うんです。
 一番国民にとって分かりやすいのがこのオウム真理教の事件であったというふうに思いますので、是非そこは明らかにすべきだと思いますので、お聞きしたいと思います。
#96
○政府参考人(林眞琴君) 前回からの重ねての御質問でございますけれども、まず、やはり個別具体的な団体が組織的犯罪集団に当たるか否か、これは証拠に基づいて判断される事柄でございますし、また、お尋ねのオウム真理教につきましては、この同教団の関係者による一連の犯行についての捜査、公判が行われた当時、今回の法案の中の組織的犯罪集団という概念、存在していなかったわけでございますので、ここでどの段階でその教団が組織的犯罪集団となったか否かということを申し上げることはできないことを御理解いただければと思います。
 その上で、一般論として申し上げますと、例えば宗教団体として活動した実態がある団体につきまして、その教祖が殺人を正当化する教義を唱えるようになって、その実践として化学薬品を用いて無差別大量殺りくを実行することを含めてその教団の武装化を指示して、構成員らがそのような殺人などを内容とする教義あるいは指示を実現することを目的として結合しているように認められるようになって、しかも、こういった目的を実現するための組織を内部に設けて、化学薬品や武器などの研究、開発、製造などを行うなどの行為を反復継続して行うようになった場合、こういった場合には組織的犯罪集団に該当することもあり得ると考えられるところでございます。
#97
○東徹君 だから、どの段階でというのは申し上げることはできないと、一般論として今お話をされたわけでありますけれども、今回のそのテロ等準備罪というものをやっぱり理解していくに当たって、もう一度繰り返しますが、前に有田議員の方からもありました、このオウム真理教という、これが史上初のたしか都市部でのテロだというふうにおっしゃったというふうに思うんですけれども、やはりテロ等準備罪を理解を深めていくんだったら、これを基に、こういったときに組織的犯罪集団になったんですよというやっぱり明確な答弁がなかったら、なかなかこれの理解も深まっていかないんじゃないかなというふうに思います。
 続きまして、時間がありませんので、次はGPS捜査のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今年三月十五日でありますけれども、最高裁大法廷判決におきまして、車両に使用者の承諾なくひそかにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する、いわゆるGPS捜査でありますけれども、刑訴法上特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たり、令状がなければ行うことのできない処分ということでされました。あわせて、判決理由におきまして、GPS捜査の特質に着目して、憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましいというふうにも述べられております。
 立法に当たっては、判決理由でも触れられているように、適正手続の保障などの観点から、実施可能期間の限定や第三者の立会い、事後の通知などの手段が考えられますけれども、これらは、GPS捜査と同じように当事者に秘密にして行われる通信傍受法でも定められているところであります。
 法務省として、このGPS捜査についてですけれども、どのような立法措置をいつまでに行おうというふうに考えているのか、金田大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#98
○国務大臣(金田勝年君) 東委員からの御指摘がありました。
 今般、最高裁の大法廷において、GPS発信装置を自動車に取り付けて位置情報を取得する捜査、いわゆるGPS捜査は強制処分であるとの解釈が示されました。GPS捜査について、刑事訴訟法が規定します令状を発付することには疑義があり、立法的な措置が講じられることが望ましいとの指摘がなされたところであります。
 法務省としては、最高裁大法廷判決の内容を踏まえつつ、この種の捜査の具体的態様等に即しまして必要な検討を行ってまいりたいと、このように考えております。その上で、現段階で法改正の要否、あるいは内容、時期といった点について申し上げることは困難ではありますが、速やかに所要の検討を行ってまいりたいと考えておる次第であります。
#99
○東徹君 重大な犯罪を捜査するに当たって、やはりこのGPS捜査とかですね、これらは非常に私大事だというふうに思います。やはり何よりも早く、殺人して、殺された親族にとっては早く犯人を捕まえてくれというのは当然の思いなわけでありまして、そういった重大な犯罪を取り締まる、捜査して検挙する、それにおいて有効な手段はやっぱり使っていかないといけないわけでありまして、今回、強制処分法定主義ということで法律を作るのが望ましいというわけでありますが、大臣、これは、速やかにというふうな御答弁をいただきましたけれども、なかなか時期は述べられないということですけれども、速やかにというのは大体どれぐらいなのか、お伺いしたいと思います。
#100
○国務大臣(金田勝年君) 現在検討を行っているところは申し上げたとおりであります。いつまでに、じゃ、その検討を終えるのかという御質問なんですけれども、これを申し上げることは困難ではありますが、速やかに検討を行ってまいりたいという思いを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
#101
○東徹君 その速やかにという言葉を信じて待ちたいというふうに思いますけれども、テロだとか、そしてまた殺人とか、こういった重大な犯罪にはやはりGPS捜査というのは非常に有効に使っていく必要があるというふうに考えておりますので、是非とも速やかに法律を立法化していただくことを望みまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#102
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 三月九日の法務委員会で、成人年齢の十八歳引下げの民法改正案の審議が見送りになるのではないかという報道があり、事実かどうかお尋ねしたところ、金田大臣は、「法案に係る課題が非常に密集しているというんでしょうか、たくさんございます。」、「法務省としては適切な時期に民法改正案を提出する考えであります。」と答弁されました。この適切な時期ですが、それは一日も早くではないでしょうか。
 国連は、十八歳未満の婚姻を児童婚と指摘し、婚姻最低年齢の引上げを求めております。法制審議会も二十一年前の九六年に、男女とも十八歳とするよう答申しています。婚姻年齢については与野党とも異論がないはずですが、なぜ後回しにされるのでしょうか。改めて、今国会で提出するつもりがあるかどうか、金田大臣にお伺いいたします。
#103
○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員の御指摘でございます。
 成年年齢を十八歳に引き下げる内容の民法改正案につきましては、これまでも、早ければ今国会に提出することも一つの選択肢であると述べてきたものでございます。
 現在もこうした状況には変わりはないのでありまして、いずれにしましても、三月九日の参議院法務委員会で答弁いたしましたとおり、法務省としては、現下の法務省の所掌事務全体を見渡しておる中で、今、法案に係る課題が非常に密集しているというんでしょうか、そういう状況にある中で、法務省としては適切な時期に民法改正案を提出する考えでありますというふうに申し上げてまいりました。そういう状況と思いには変わりが現時点でありません。
#104
○糸数慶子君 性犯罪の厳罰化の先送りもそうですが、被害を受けた女性や子供の人権に関わる法改正を先送りするということは、人権を所管する法務大臣、法務省として非常に問題であるということを申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。
 四月六日の委員会で、牛久の入管センターで、三月二十五日、ベトナム人男性がくも膜下出血で亡くなった事件について質問いたしました。これはまだ調査中ということでございますが、詳細は明らかにできないと思いますが、一点だけ伺います。男性の死亡推定時刻は何時何分でしょうか。
#105
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 先生から御指摘ございましたように、現在この事案につきましては調査中でございますので、調査の中身に関わる事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#106
○糸数慶子君 調査中、つまり分からないということでしょうか。
 関係団体によりますと、亡くなってからかなり時間が経過したということを伺っております。六日のこの委員会で、容体の異変を認めた後、直ちに救命措置をとるなどして救急搬送するなどの措置をとったところでございますと答弁がございました。既に死後硬直していたのであれば対応にも問題があったのではないかと思いますが、いずれにしても、この問題は改めて調査結果を伺って質問したいと思います。
 次に、入管法と入管特例法について質問いたします。
 この更新通知の継続についてでありますが、特別永住者証明書や在留カードは十六歳の子供にもこの更新義務が課されています。これらの前身である外国人登録証明書が使用されていた二〇一二年七月九日の新制度施行前では、その原票を有していた各市区町村から更新申請義務期間を迎える当事者に対してその旨が通知されました。
 ところが、二〇一二年七月の制度改正に伴いその原票を回収した法務省は、新制度移行後二年以上もの間通知をしていなかったと伺っています。その結果、失念等により、十六歳になった子供を始め、相当数の更新義務者が更新義務期間内に更新していなかったということが分かりました。これは、現行法においても一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金、これ入管法第七十一条の二、入管特例法第三十一条ですが、という刑事罰の対象者となるわけです。
 法務省は、二〇一四年九月から特別永住者と永住者に対しては更新通知を始めましたが、これについては、従来各市区町村が行ってきたように今後も永続的に行うべきものと考えますが、いかがでしょうか。
#107
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 入国管理局におきまして現在の取扱いでございますが、外国人登録証明書から在留カード及び特別永住者証明書への切替え申請を促すために、平成二十六年九月十日から、切替え時期が到来する永住者又は特別永住者の方に対しまして毎月はがきの郵送による個別通知を実施しているところでございます。現在、入国管理局から個別通知の対象といたしておりますのは、十六歳の誕生日を迎える永住者及び特別永住者の方、十六歳以上の方でみなし特別永住者証明書とされる外国人登録証明書の有効期限を迎える特別永住者の方でございます。
 そこで、今後、その更新についてでございますが、特別永住者証明書や在留カードの有効期限は七年でございます。平成二十四年の改正入管法施行後に有効期間満了に至った方は、いまだ七年ですのでいらっしゃいませんので、既に切替えを済ませた方についての更新のお知らせということを行うという状況に今はなっておりません。今後、この更新のお知らせを個別に行っていくかどうかにつきましては、対象となられる方の数でありますとか更新の実施状況などを見ながら考えていきたいというふうに考えているところでございます。
#108
○糸数慶子君 当事者の利便の増進、そういう観点から是非とも検討していただきたいというふうに思います。
 次に、十六歳の更新期の申請義務者と罰則適用者についてお伺いをしたいと思います。
 これ、現行法では十六歳の誕生日の六か月前からとなっている申請義務期間のうち、その最終日である誕生日の前日までは同居している父母などが申請義務者で、最終日だけが本人が義務申請者となるわけです。一方、法務省は、申請義務期間を過ぎてしまった場合の刑事罰を受ける対象者は本人であると説明をされているというふうに伺っておりますが、これは事実でしょうか。もし事実であるなら、刑事罰の対象となるのは、その本人が申請義務期間の最後の一日で刑事罰の対象となることになり、これは明らかに問題だと思いますが、併せてお答えいただきたいと思います。
#109
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 御指摘のありました法律のとおり、有効期間の満了が十六歳の誕生日までとなっている方の有効期間の更新の申請は、十六歳の誕生日の六か月前から誕生日までの間に行う必要があるというふうに定められております。
 申請しようとする者が十六歳に満たない場合には同居の親族がこれに代わってしなければならないと規定されており、本人が申請できるというのは十六歳の誕生日のみとなっておるところでございます。そして、十六歳の誕生日までに特別永住者証明書の有効期間の更新申請が行われなかった場合には、入管特例法第三十一条一項二号違反に該当するということになっております。
 十六歳の誕生日が有効期間の満了日となっている特別永住者証明書の関係で、今御指摘ございましたが、この有効期間を見直すことに関しましては、各方面からそうすべきであるというような御意見もいただいているところでございまして、当局におきましては、平成二十一年改正入管法の施行状況の把握及び検証を現在行っているところでございますので、今御指摘のあった点についても検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#110
○糸数慶子君 つまり、この件に関しては前向きに検討していただけるということですね。
#111
○政府参考人(和田雅樹君) ただいま申し上げましたとおり、平成二十一年改正入管法の検証の中で検討していきたいというふうに考えております。
#112
○糸数慶子君 具体的に御答弁ございました。是非とも早急に見直していただきますように、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、申請義務者の規定の問題解消に向け、例えば、本人が申請義務者となる年齢を十五歳六か月を過ぎた者というような引下げは、より年少となる子供に負担を強いることになり、権利擁護の観点からも問題ではないかというふうに考えます。
 一九九四年に日本が批准した子どもの権利条約では、第一条で十八歳未満を子供と規定し、その第二条第二項では、締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念、あらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するための全ての適当な措置をとると規定しています。また、現行民法では、成年年齢を二十歳とし、二十歳未満を少年としております。
 ほとんどの子供が高校に通う状況下で、十六歳の誕生日に授業を休んで申請に行かなければならないような制度は、これは健全な育成を期した少年法の理念とは相入れないのではないかというふうに思います。
 例えば、その初回の更新義務年齢を十六歳よりも引き上げ、高等学校卒業程度の十八歳時にするということも一つの方法として検討していただければというふうに思いますが、これについて法務省はいかがお考えでしょうか。
#113
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 現行の在留管理制度が導入される前の外国人登録制度におきましては、外国人登録証明書の常時携帯義務を課すべき者の範囲を検討した結果、独立して社会生活を営むということに着目いたしまして十六歳という年齢を基準として採用したという、こういう経緯がございます。その後、この点につきまして運用面で問題がなかったということから、在留カードの有効期間も十六歳としたものでございます。
 十六歳を基準として在留カードの有効期間の更新を行うという現行の運用に特段の問題はないものと考えておりますが、委員からの御指摘は一つの御提案として受け止めさせていただきたいというふうに思っております。
#114
○糸数慶子君 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。子供たちのためにも是非御一考いただきますように、改めてお願いをしたいと思います。
 次に、入管法と入管特例法の附則第六十一条には、施行後三年を目途として必要な措置を講ずると定められています。この問題への対処はまさに必要な措置であるというふうに思いますが、どのようなスケジュールでお考えでしょうか、お伺いをしたいと思います。
#115
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 平成二十一年に改正されました現在の在留管理制度につきましては、施行から四年九か月が経過し、おおむね順調に業務が執り行われているものというふうに認識しているところでございますが、御指摘の規定等に関しまして現在各方面から御意見や御要望もあるところでございますので、こういった点も踏まえまして、施行状況の把握及び検証を鋭意行っているところでございます。
#116
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 入管法とそれから入管特例法に関わる質問をさせていただきましたけれども、かなり前向きな御答弁で検討していただくということもございましたので、期待をいたしまして引き続き注視をしていきたいと思います。
 ありがとうございました。
#117
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
 本日は、まず、人権に関することから質問をさせていただきたいと思います。
 福島第一原発事故で福島県から県内外に避難した児童生徒に対するいじめが今年三月までに百九十九件あったということが文部科学省の調査で分かったとされております。うち十三件を東日本大震災や原発事故に関連するいじめということで認定されました。
 そんな中で、先ほど山下委員の質疑の中にもございました、昨年の全国中学生人権作文コンテストで賞をもらった作品がございます。お手元にお渡しさせていただいている資料でございますが、その中を少し読まさせていただきたいと思います。タイトルとしては、「福島県民お断り」ということです。後ろの方の二ページ目を、赤線で引いたところを見ていただきたいんですが。
 私がここまでの体験で感じたこと、それは偏見と共感です。偏見とは、自分の勝手な物差しで周りのものを判断することです。相手の気持ちを無視した、とても自分勝手な行動だと思います。皆さんは、人と関わるとき、偏見を持って接することはないのでしょうか。あの人はテストの点数が悪いから頭が悪いや、あの人は口数が少ない人だから暗い人だなど、ちょっとした偏見で他人を見ることは誰にでもあることだと思います。しかし、その偏見が無意識のうちに人を傷つけるということを忘れてはならないと思います。
 逆に共感とは、相手のことを思いやり、相手の立場に立って行動することです。私が女川に来てから、私の心に寄り添ってくれた友人たち。私の痛みを自分の痛みとして捉え共に乗り越えようとしてくれたことにとても感謝しています。だからこそ、自分もまた、傷ついている人がいたら共感し、手を差し伸べることができる人間になりたいと思うようになりました。
 私は将来、自分を救ってくれた人たちのように、苦しむ人の小さな助けになりたいと思っていますと。
 福島から避難された方の、中学生の作文です。大臣も読んでいただいたと思いますが、感想をいただきたいと思います。
#118
○国務大臣(金田勝年君) 今朝ほどの山下委員の質問にもございました。そして、ただいま山口委員からの全国中学生人権作文コンテストの御紹介がございました。
 私も東北なんですけれども、福島県の南相馬出身のこの中学生の方が、宮城県の女川町に転居されて、そしてその間、この六年間の間に様々な友人というんでしょうかね、同級生に会って、偏見と共感というものは人の心を傷つけたりあるいは人の心を救ったりするものであるということについて、その違いをこの中学生の段階で非常にしっかりと受け止めた、その自分の、自らの体験で説得力のある、そういう内容の作文になっているということで、これは表彰を受けておると思いますが、優れた作文であります。
 いずれにしましても、こういう最も人間として大切なことを、この災害に遭ったことは非常に残念だったと思うんですけれども、それを通じて本当に中学生の段階でこういう大変大切なことを分かったということがこの方にとってはすばらしい体験だったのかもしれません。でも、そういうことをしっかりと受け止めて、最後に一行書いてあったと思うんですが、私は将来、自分を救ってくれた人たちのように、苦しむ人の小さな助けになりたいと、こういう結論に至っていることに非常に私は共感を感じる次第であります。
#119
○山口和之君 多くの人が共感して、いじめがなくなるような社会に是非ともなっていただきたいと思いますし、こういう広がりがとても大切なことだと思います。
 そこで、先ほども出ていました平成二十八年度の外国人住民調査報告書というものがございました。その中で、この調査を見ると、入店拒否について触れている箇所がありまして、その調査を見ると、入店拒否を経験した人の割合は約六%、入居拒否を経験した割合が約四〇%、雇用拒否を経験した割合は二五%。これらを比べると入店拒否は少ないようにも思われますけれども、しかし、入居や雇用というのは継続的契約であり、日本人でも契約拒否されることがあるそうです。それとは違い、入店というのは日本人ではほとんど経験することがないものです。ですので、入店拒否を経験したことがある外国人が二十人に一人以上いるというのは無視できないことではないでしょうか。
 昨年、ヘイトスピーチ対策法が成立しました。その後も外国人への差別として、お店や施設が外国人お断りといって入店拒否をする事例が散見されています。法律上こういったことは許されるのか、お伺いしたいと思います。
#120
○政府参考人(萩本修君) 全ての法律についてつまびらかにしているわけではありませんが、今委員から御紹介のありました、昨年成立、施行した法律、すなわち本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、これは言うまでもなく、基本理念、国及び地方公共団体の責務、相談体制の整備、教育の充実、啓発活動等の国及び地方公共団体の基本的施策を定めたものでして、不当な差別的言動の禁止規定や禁止規定に違反した場合の罰則規定は置かれていないものと理解をしております。
 したがいまして、店舗や施設が外国人であることを理由として入店やその利用を拒否したとしましても、そうした行為がこの法律によって直ちに禁止されるわけではないというように理解をしております。
#121
○山口和之君 お店側には、憲法二十二条第一項で営業の自由が保障されております。どんな客でも入店を断れないとすることは困難があるかもしれません。
 二〇二〇年の東京オリパラ開催を控えて訪日外国人の増加が予想される中で、今こそこうした入店拒否に関する何らかのガイドラインのようなものを策定して対応することはできないものでしょうか、お伺いしたいと思います。
#122
○政府参考人(萩本修君) 難しい問題だろうと思います。一口に店舗あるいは施設と言いましても、その業種、業態は多種多様でして、その運営主体、あるいは客や利用者との関係、法令等による規制の有無や内容、監督官庁の有無、あるいは監督官庁による監督の在り方等々の事情が様々であろうかと思います。したがいまして、法務省におきまして入店拒否あるいはその施設の利用拒否といったことに関する一般的な目安のようなものを策定することは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 もっとも、言うまでもなく、外国人であることのみを理由に、合理的な理由もなく外国人に対して不当な差別的取扱いをすることは人権擁護上問題があるというように考えております。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けまして、法務省では、文化の多様性を認め、言語や生活習慣の違いを正しく理解し、これらを尊重することが重要である、そうした認識を深めていただくための啓発活動に取り組んでいるところでございます。
 委員の問題意識も踏まえまして、今後も外国人の人権が尊重される社会の実現に向けまして、啓発活動あるいは人権侵犯事件の調査・救済活動といった人権擁護施策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
#123
○山口和之君 先ほどの中学生の偏見と共感という、心を動かすようなガイドラインでもいいわけで、例えばガイドラインというかそういう指標みたいなものでもいいんだと思います。
 外国人の入店拒否は外国のメディアでも取り上げられて、しっかり日本の国民はそこを見るべきというふうにも捉えているメディアもございます。大震災、原発事故、そしてまた、日本は、観光立国を目指す国として、これから外国の方がたくさん増えていくことだと思います。そういった中で、日本が心豊かな国である、より良くなる絶好のチャンスというふうに捉えて、是非、啓蒙啓発していただきたいと思います。
 次に、話変わりますけれども、懲戒処分のことについて伺いたいと思います。
 近年、一般職の国家公務員の懲戒処分者数で法務省がずっとワースト一位となっておりますが、その原因についてどのように分析されているのか、お伺いしたいと思います。
#124
○政府参考人(高嶋智光君) お答えいたします。
 平成二十八年におけます法務省の懲戒処分の数は七十四名でございまして、全府省の中で最も大きな数字になっております。
 これら懲戒処分の処分事由につきましては、公務外非行を含めて様々なものがございますので、その原因を一概に申し上げることは難しいのですが、法務省の事務当局としましては、一つには、法務省の職員数が五万人を超えているという数字で、非常に多いことが挙げられると考えております。
 もとより、法務省は、法秩序の維持等を任務としていることに鑑みまして、職員の非違行為に対して厳格な姿勢で臨んでいるところでありますが、法務省の内部部局には、矯正局、矯正施設のように厳格な服務規律を設けているところ、部署がございまして、その服務違反、規律違反に対しても厳格な姿勢で臨んでおりますので、こういった点が影響しているものと考えております。
#125
○山口和之君 そうはいっても、処分者数を減らすということは大切なことだと思います。
 これまでどのような対策を行ってきたのか、また、劇的に減少させるためには新たな抜本的な対策が必要だと思いますが、何か検討されておりますでしょうか。
#126
○政府参考人(高嶋智光君) 法務省におきましては、これまでも、非違行為防止のために職員の研修を行うとともに、職務上の非違行為が実際に発生した場合には、その原因を分析しまして再発防止に努めるなどの取組を行ってきたところであります。
 例えば、省内で懲戒処分件数が最も多い矯正局、矯正施設におきましては、平成二十五年六月に職員不祥事根絶のための総合対策を策定しまして、以後、不祥事の起こりにくい職場環境の構築、非違行為防止のための監視体制の充実強化などに努めてきたところでございます。
 また、平成二十七年には、当時の上川法務大臣の指示を受けまして、各内部部局、それから所管各庁の長に対しまして、改めて、法務省における懲戒処分件数が全府省の中で最も多いことやその事由などを通知しまして、各部局ごとに再発防止に尽力するよう指示したところでございます。
 懲戒処分事由は、先ほども申し上げましたように、公務外非行を含めまして様々なものがありますので、それらを一律に防止できる方策を講ずるというのはなかなか難しい面がございますが、事務当局としましても、引き続き職員の非違行為を防止するための各種の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
#127
○山口和之君 やはり汚名返上、これは大事なことだと思いますので、金田法務大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。
#128
○国務大臣(金田勝年君) 山口委員の御指摘、拝聴しておりました。
 法務省の懲戒処分件数が多いということは誠に遺憾であると、このように考えております。そして、職員が服務規律を遵守すべきことは当然でありますし、国民に身近で頼りがいのある法務行政を実現するためにも職員の非違行為をできる限り未然に防止することが必要であると、このように考えております。
 したがいまして、各部局ごとの取組に加えまして、私からも機会を捉えて注意喚起をするなど、法務省一丸となって職員の非違行為の防止に更に努めてまいりたい、このように考えております。
#129
○山口和之君 ありがとうございました。
#130
○委員長(秋野公造君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#131
○委員長(秋野公造君) 裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。金田法務大臣。
#132
○国務大臣(金田勝年君) 裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明をいたします。
 この法律案は、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るため、司法修習生に対し、修習給付金を支給する制度を創設すること等を目的とするものでありまして、以下その要点を申し上げます。
 第一に、司法修習生には、その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、修習給付金を支給するものとしております。
 修習給付金の種類は、司法修習生に一律に支給する基本給付金のほか、司法修習生が自ら居住するため住宅を借り受け、家賃を支払っている場合に支給する住居給付金及び司法修習生がその修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給します移転給付金としておりまして、その額はいずれも最高裁判所が定めることといたしております。
 また、いわゆる貸与制につきましては、貸与額を見直した上で新たな給付制度と併存させることとしております。
 第二に、司法修習生に品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない非行に当たる事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、罷免以外に修習の停止を命じ、又は戒告することができるものとしております。
 このほか、この法律の施行に関し必要な措置等について規定をすることとしております。
 以上が、裁判所法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
#133
○委員長(秋野公造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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