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2017/06/01 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 法務委員会 第16号
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2017/06/01 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 法務委員会 第16号

#1
第193回国会 法務委員会 第16号
平成二十九年六月一日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月一日
    辞任         補欠選任
     山添  拓君     仁比 聡平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                山添  拓君
                東   徹君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   衆議院議員
       修正案提出者   松浪 健太君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
       外務大臣     岸田 文雄君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    松本  純君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      高木 勇人君
       警察庁長官官房
       審議官      白川 靖浩君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       外務大臣官房参
       事官       飯島 俊郎君
       外務省国際情報
       統括官      鈴木  哲君
   参考人
       弁護士      西村 幸三君
       青山学院大学名
       誉教授      新倉  修君
       立命館大学大学
       院法務研究科教
       授        松宮 孝明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
 する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に弁護士西村幸三君、青山学院大学名誉教授新倉修君及び立命館大学大学院法務研究科教授松宮孝明君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(秋野公造君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から御意見を伺います。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、西村参考人、新倉参考人、松宮参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきとう存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 それでは、西村参考人からお願いいたします。西村参考人。
#5
○参考人(西村幸三君) 本日は、法案に賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
 私は、二十数年間、弁護士として民事介入暴力対策に取り組んでまいりまして、現在は日弁連民事介入暴力対策委員会の幹事を務めております。代理人として取り扱った事件としては、広域暴力団組長に対する使用者責任を認めた最高裁判所平成十六年十一月十二日判決、今年のものでは京都を本拠とする広域暴力団の本部の組事務所の使用差止め仮処分決定などがございます。
 なお、以下は個人としての見解です。
 長年私が民暴対策活動として取り組んできたのは、組織犯罪から資金を剥奪して弱体化させ、被害者に被害回復することができないかというテーマです。
 平成十三、四年頃の組織的闇金、架空請求の被害はひどいものでした。一般の方々が何十万人と暴力的被害に遭って、さらに追い詰められて命まで落としていく姿を目の当たりにしました。消費者センターの電話もパンクし、私は闇金を追い払うために声がかすれ、目がかすむまで連日電話を掛け続けていた記憶があります。
 闇金などの匿名犯罪対策として、携帯電話不正利用防止法を私が日弁連内で言い出しまして民暴委員会発から提唱したところ、迅速に平成十六年、議員立法で成立いたしました。たちまち携帯電話闇金、架空請求は数の上では激減しましたが、その後も振り込め詐欺は私設私書箱や転送電話など犯罪ツールを変えて莫大な被害を発生させています。
 組犯法、組織的犯罪処罰法という法律は、組織的な犯罪行為の重罰化と並んで犯罪収益の剥奪に重きを置いた法律で、組織的犯罪集団からの犯罪収益の剥奪が犯罪組織を弱体化させ、被害を防止し、社会が奪われた被害を回復するということを目的とする法律です。
 日弁連は、暴力団対策法にも平成三年の制定時には猛反対し、平成十一年の組犯法の制定時にも猛反対をしています。そのときも、法律ができたら戦前のような社会になる、治安維持法の再来だと激烈な反対運動がありました。ですから、今回の日弁連の反対運動には既視感があります。
 この法案では、日弁連意見書や弁護士が主張する反対論がマスコミや野党の主張に取り入れられて反対の根拠をされてきました。しかし、私の見るところ、その内容には多くの誤りがあります。批判は後ほど触れますが、私の意見といたしまして、今回の組犯法の改正に賛成の理由を申し上げます。
 理由の第一は、組犯法の没収対象の罰条や犯罪化することを要求されているレベルをようやく世界の標準レベル、TOC条約レベルまで引き上げることができることです。
 第二に、TOC条約でいずれか又は両方の導入が義務付けられている共謀罪と参加罪のうち、結社の自由に配慮して共謀罪型を選択し、しかも、それに対して絞りを二重に掛けて、準備行為と、組織的犯罪集団について行われていることを要求したことです。これによって、参加罪型の国はもちろん、共謀罪型の国も含めて、世界の法制でも恐らく例を見ないくらい構成要件が謙抑的で、対象罰条も立法事実面から数を絞り込んで処罰範囲を狭めたリベラルなものとなっていることです。
 第三に、世界がボーダーレスになり、犯罪収益が日本に持ち込まれることも海外に持ち出されることも多いところ、条約の相互主義の観点からは、TOC条約を批准しなければ日本の社会から奪われた犯罪被害の回復に支障が出かねないことです。
 第四に、外国からの情報を受けられなければ、日本国内での外国人犯罪者、特にテロリストの摘発や予防には致命的ということです。さらに、摘発できなければ、犯人の外国への引渡しもできない、犯罪収益の没収ができない、外国が奪われた犯罪被害を外国に返還してあげることもできない。これは日本が国際的責任を怠っていると非難されてもしようがないことです。十数年この法案がたなざらしされてきて、日本が犯罪化を怠ってきた国際的責任を今回の法案でようやく果たせることになったと思っています。
 次に、この法案について主に日弁連や弁護士らから発信されて各方面に広がっている様々な反対理由について、私が誤りと考える点を指摘していきたいと思います。
 まず、立法ガイド五十一項の第四文を根拠にして、共謀罪、参加罪、どちらも犯罪化しなくてもよいという主張が日弁連から反対の大前提の根拠として二〇〇六年意見書以来一貫して提起されており、今でも各都道府県の単位弁護士会レベルに浸透しています。しかし、立法ガイド五十一項の英文の日弁連翻訳が間違いというのは、既に平成十八年の時点で外務省が国連事務局に口頭で確認し、外務省ウエブサイトに掲載され、国会でも答弁され、しつこいぐらい時間が費やされてきました。
 私も以前から、日弁連の訳は完全な誤訳だ、牽強付会と考えていました。仮に外務省がそんなすぐばれるうそをついているというなら、何で日弁連から直接国連事務局に問い合わせないんだろうと思っていました。
 今回、政府から書面で問い合わせることとなり、四月十一日付けで国連UNODCから書面ではっきり回答が返ってまいりました。それによれば、本条約五条1(a)が少なくとも一方を犯罪化することを明確に求めているから、立法ガイド、パラグラフ五十一は、いずれをも犯罪化しないことを許容することを意図するものではないとの回答となっています。
 つまり、外務省が十一年前に確認した内容そのままです。にもかかわらず、日弁連が拡散させたこの誤訳がマスコミや多くの議員にまで拡散して、いまだに無駄な議論に社会全体が膨大な時間を費やしています。日弁連二〇〇六年意見書では、共謀罪、参加罪のイーザーを採用しなくてもいいというのを、これらの概念と訳しています。イーザーは単数形なので、いずれもと訳すならまだ分かりますが、複数形で翻訳されているわけです。
 今年の二月一日付けで、共謀罪法案の提出に反対される刑事法研究者の方々の声明で、百六十三名の方が日弁連二〇〇六年意見書と似た論理で共謀罪、参加罪、どちらも導入不要と意見表明されていますが、ここでも五十一項の問題を、イーザーを、それらをと、やはり複数形で訳されています。日弁連の誤訳が拡散しているという印象が強いです。こんなことでは日弁連の法律家団体としての意見の信用性はかなり損なわれてしまうのではないかと、私は大変懸念を感じております。
 組犯法といえば、話が変わりますが、平成十七年頃、山口組五菱会闇金の首魁の資産数十億円の没収と被害回復が課題になりました。当時、組犯法が、被害財産を一旦国が没収してから被害者に分配するのではなく、そもそも没収しないという立て付けになっていたことから、仮に外国が被害を受けた場合にも外国に送るシステムもない、つまり相互主義が確保されていなかったためにスイスで没収された預金が日本に返還を受けられないという事態が起きました。急遽、日弁連では民暴委員会で起案して日弁連提言として国に申し入れ、国でも急遽法整備をし、被害財産のスイスからの一部返金は受けられたものの、結局シンガポール・ルートの数十億円の追及はできなかったという結末になりました。シンガポールから、日本とは捜査協力の相互協定がないため銀行の口座情報を開示できないと捜査協力を拒否されたと報道されたように記憶しています。
 私の依頼者も、この五菱会闇金の被害回復は受けました。一四・七%の配当率でした。多いか少ないか、見方はどちらもありますが、組織的犯罪に対する国際的な捜査協力、情報交換というのはこれほどに大事なものです。TOC条約十四条二項にも、外国の犯罪被害財産をその国に返還することの優先考慮が定められています。
 さて、ほかの反対理由に触れます。
 立法ガイドの五十一項の英文が誤訳であるとして、それでもなお反対論の根拠として、立法ガイド四十三項と六十八項(e)を根拠に、条約の精神を生かせば、共謀罪、参加罪、どちらも導入しなくてもよいと言い続けておられる論者もあります。しかし、それも国連からの書面回答で、いずれをも犯罪化する必要がないことを意味するものではないとはっきり否定されています。しかし、それでもやはりその発言が各所でされていて、マスコミでも取り上げられ、議論をミスリードされ続けているように思います。
 あるいは、立法ガイド十二項でその他の措置と書いてあるのを取り上げて、立法措置ではなくてもいいのだという反対論もあります。これも国連の正式回答で、犯罪化するための立法措置をとらなくてもよいということを意味するものではないとしています。
 さらに、TOC条約三十四条に関して、国をまたがった犯罪でなければ共謀罪で処罰する必要はないという反対論もあります。これも間違いで、国連からの書面回答で、犯罪化に当たっては国際性の要件がそれらの犯罪の要件とされてはならないことは明白であるとして、やはり反対論が間違いと回答されています。
 つまり、条約や立法ガイドの解釈として反対理由に挙げられてきた多くの論点はほぼ間違いで、外務省が国連にこれまで問い合わせて説明した内容が正しかったということは決着が付いてしまっていると思います。
 ほかの反対理由として、本法案がテロ準備罪と呼称されていることについて、TOC条約はテロと無関係である、組織的犯罪の経済行為を処罰することが目的だから、それ以外を罰条に加えるのは間違いというものがあります。でも、これも間違っています。
 まず、テロとの関係ですが、平成二十六年十二月、国連安保理の全会一致決議で、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ていることを防ぐべきとされていて、組織犯罪防止はテロ対策の一環と位置付けられています。安保理決議第二千百九十五号は外務省のサイトで公表されており、それによれば、前文十三で、国際組織犯罪から資金を得ているテロ組織が、国の安全、安定、統治及び社会経済発展を妨げることにつながり得ることを深刻に憂慮とされ、主文八では、加盟国及び関係機関に対して、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ることを防ぎ、また、国境管理能力やテロリスト及び国際犯罪組織に対する捜査・訴追能力を構築するための協力と戦略を強化することを奨励となっています。これがTOC条約の国際的な位置付けです。TOC条約の締結がテロと無関係であるという反対論が展開されていることには強い違和感を感じます。
 TOC条約は、直接又は間接的に物質的利益を得る目的と五条で書いていて、反対論はそれを、経済犯罪だけを共謀罪で処罰すれば足りるのに罰条が多過ぎると言われているようですが、間接目的の中に組織的犯罪集団の暴力犯罪始め、ほかの法益侵害類型を含むのは当然の話と思います。犯罪組織は、単に資金獲得活動をするだけではなく暴力犯罪に走ります。報復、見せしめ、内部統制のためのリンチ、組織内外で暴力によって威力を強化し、社会を恐怖に陥れること自体が組織犯罪集団、テロ組織にとっては意味があります。そういったアウトローのデモンストレーションを見て、信奉したり、関係をつくろうと思ったり、恐怖に屈し金やその他の支援を提供する者も出てきます。組織犯罪の暴力の最終目的は、あくまで物質的利益です。
 次に、テロ準備罪で処罰される対象罰条が広過ぎるという反対意見が繰り返し出ます。しかし、一通り対象罰条を見てみれば、よく絞り込んだという印象です。
 今回の法案では、組織的犯罪集団の団体の活動としてという要件の絞り込みが入りました。その結果、立法事実として組織的犯罪集団が行うことを考えにくい罪については対象罰条から外すというベクトルプレッシャーが掛かったと思います。
 過失犯を外すことについては、TOC条約五条が故意を要求していますから、外しても条約批准には影響はなく、構わないと思います。ただ、諸外国の規定例を見ていると、単に何年以上の罪の共謀を罰するという包括規定を置いているものも結構あって、過失犯などをそもそも除外していないように見られる立法例が多分に見受けられます。これは、実際には適用されることがないからという、割り切っておられるということだとは思いますが、過失犯が処罰されないのは明らかだと思います。
 日本は別表方式で特別法も全部列挙してはいますけれども、日本の刑事実体法は刑法典の外にある特別刑法が多いこともあって対象罰条は増えてしまいがちだと思いますが、国際比較で罰条数をベースに客観的比較をすること自体が無理がありますし、構成要件の広がりが各国によって違いますから、だからこそ四年以上の罪という基準が客観的としてTOC条約で採用されています。それを、罰条数を基準に多いあるいは少ないという議論自体が比較基準として客観性を欠いているし、ガラパゴス的なのではないかと考えております。
 絞り込みを行うことは謙抑的な立法としては結構なことですけれども、立法事実による絞り込みは諸外国から見てどうか、外国での組織犯罪集団の実態はどうかということも踏まえないといけませんが、全ての外国の実態を調べ尽くすことはできません。全ての国がそういう調査をしなくても済むように、TOC条約が四年以上の罪という客観的な基準を置いています。
 しかし、日弁連は、政府がTOC条約に加盟した全ての国が重要な犯罪の全てについて共謀罪を制定したのか調べていないから、不明になっているから法案に反対だと今年の意見書でも書いています。しかし、これは余りにむちゃな要求だと思います。一方で、日弁連は、共謀罪不要説の根拠として、諸国の実情に踏まえて立法すればよいのだ、だから日本も共謀罪は要らないと言っているのですから、批判のベクトルがばらばらです。あるいは、条約批准の審査はないんだから、今のまま批准すると言えばいいという意見まで出ています。しかし、それを言ってしまったら、憲法で言う条約、国際法の誠実遵守義務違反、憲法尊重義務違反だと思います。そうなりかねないと思います。
 ちなみに、諸外国の共謀罪立法では、組織的犯罪集団の要件も置かれていないところが多いと思います。なぜなら、TOC条約策定作業当時、条約五条で組織犯罪が関与するという絞りを掛けられるようにと要望したのは日本政府で、他国はそもそもそれ以前にその絞りのない共謀罪を持っていて、そんな必要も感じていなかったようです。
 適用罰条について、テロ準備罪制定の後も社会経済の発展により立法事実、特別刑法は変わっていきます。逐次適用罰条は見直していくものです。やや極端な例をあげつらって法案自体をそもそも通さないという発想はサボタージュになりかねないものであって、私には理解ができません。今回の適用罰条を全体として見れば、適切な絞り込みだというのが私の評価です。それがここまで入口論で混迷してきたように見受けられます。
 今回の反対論には、外国から見て日本がどう見えているかという視点が欠けていて、ガラパゴス化しているのではないかと感じています。しかし、ガラパゴス化して条約の相互主義まで軽視してしまったら、それはエゴイスティックということになってしまうと思います。
 どうぞ、TOC条約の早期国内法化を進められるよう要望して、私の意見とさせていただきます。
#6
○委員長(秋野公造君) ありがとうございました。
 次に、新倉参考人にお願いいたします。新倉参考人。
#7
○参考人(新倉修君) 新倉と申します。
 私は、傍聴人の資格で何回かこの委員会も、別の案件だったと思いますけれど、傍聴しております。
 十五分と限られた時間なので簡潔に手短に申しますと、私は、この法案は、当面、何といいますか、急いで決めるべきものではないんじゃないかという意味で反対ということですね。それが私が言いたいことの主眼ではなくて、それとは別に、国会とか政府がやるべきことは、先に国会でその条約を承認しているわけですから、国内法を作ってから条約を承認するという手続じゃなかったというふうに記憶しておりますので、それを踏まえると、先に決めたものを早くやっぱり執行した方がいいんじゃないかと。そういう意味で、条約の批准を、あるいは加入を先行すべきじゃないかと、それがまさにやるべき仕事ではないかというふうに理解しております。
 それで、私としては、この間いろんな機会に発言することがあって、特にまとめて発言したのは、雑誌の「世界」の六月号に「共謀罪は条約加入に必要か」というタイトルをいただきまして、まあ必要じゃないという結論なんですけれど、本法案は共謀罪という言い方はあえて避けているわけですから、テロ等準備罪というふうに言い換えてもいいんですけれど、それはそのTOC条約の批准に必要なのかということですね。
 私としては、そのきっかけになったのはやはり、いろんなことはあったと思いますけれど、安倍首相は最初にもう施政方針演説で、TOC条約に入ると、テロ対策だと、これを十分やらないと東京オリンピック・パラリンピックはできないということをかなり強くおっしゃられて、TOC条約を批准するためにはテロ等準備罪の法案を作る必要あるんだと、こういう枠組みを示されたと。それに基づいて今議論が進んでいるというふうに思いますけれど、それは私から言わせるとボタンの掛け違いではないかということですね。衆議院の審議でも、ボタンの掛け違いということはどこに問題があるのかということはまだ十分に解明されていないし、それも解消されず、先行き不透明感が増したんじゃないかというふうに私は見ております。
 その間に、五月十八日に、ケナタッチさんというプライバシーに関する報告者が、この法案については重大な懸念があるという見解を発表されて、安倍首相宛ての書簡という形で、公開の書簡ですけれど、回答を求められたわけですよね。それに対する回答をきちっとやっぱりすべきじゃないかというのは私の立場ということですね。
 時間が限られていますので手短に申し上げますと、まず条約と担保法の関係についてどう考えるのかということですけれど、まず引用すべきは、衆議院の法務委員会の四月二十五日の審議で、元ウィーン大使だった小澤俊朗参考人が議員の質問に対して、条約を審査する国際機関はあるのかと聞かれたら、ありませんと明確に否定されたわけですから、これは私の論文を読んでいただくと分かりますけれど、要するに、批准するということは、国際法的に言えば、それぞれの国の憲法及び法手続に従って条約を承認するという手続なんで、それについて国際機関がどうこうするということは基本的にはないんですよね。
 ですから、そこがまずボタンの掛け違いで、何といいますか、国内法を整備しないと批准はできないんですよというのは国際法上の要請ではなくて日本の政府の政策なり都合なんですよね。その点はやっぱりよく理解していただかないと、何か法案に反対して批准が遅れるのはみんな反対している人たちのせいだみたいなキャンペーンが張られて、何か国民、焦燥感に駆られて、とにかくいいから、バーゲンに走るような感じで、立法を早く通して条約を批准しないと日本は国際社会で非常に肩身が狭い思いするというようなキャンペーンを張られているのは非常に、何といいますか、おかしいんじゃないかなという感じがします。
 詳しくはレジュメに書いたんですけど、これ全部説明していると時間がないんで、後で御質問があったらばお答えしますけれど、基本的には、日本政府としてはどういうことを我々はすべきなのか、あるいは国際条約で、これで何が問題になっているのかということを聞くチャンスは幾らでもあったわけですね。
 どういうことかというと、ここに国連の文書ありますけれど、これは国際組織犯罪防止条約の締約国会議のルールなんですね。日本はこの条約にはもう署名しているんですね。署名していますから、当然署名国としてオブザーバーですけれど締約国会議に出ているわけですね。どういうことができるかというと、ステートメントを発表できる、それから文書を受け取れる、それから見解を発表できる、それからこういう公開の審議でその審議に参加することができると。だから、幾らでもこの条約会議で問題になっていることについて問いただすチャンスはあるわけですよね。現在でもあるわけですね。
 ですから、疑義になっているところを、外務省なら外務省、しっかり議論を詰めて国会に報告するなりあるいは法案作りで法務省と相談するなりするという手続はやっぱり必要なんじゃないかと。それを欠いたまま、こういう国内、かなり大幅な刑法の原則をひっくり返すようなものを作るというのはいかがなものかという感じがしますね。
 詳しくは多分、松宮先生は専門の立場で詳しい議論をすると思いますけれど、私に言わせれば、この立法というのは言わば共謀罪刑法ですね。今まであった法益侵害を基にした刑法とは違う、もう少し一枚上の大きな上物を、それを、言えば共謀罪刑法なんですよ。共謀罪を中心に刑法を全部再編成しようという非常に大胆不敵というか恐るべき法案を用意して、これをのめのめというふうに言っているという状況ですね。これを本当に責任持って皆さんは、議員ですから国民の代表として審議された上で、これは自分としても納得がいける、じゃ、これを新しい刑法、共謀罪刑法を我が国に導入しましょうというふうに胸を張って言えるのかということですね。
 そういう問題があるわけですけれど、そこですったもんだする前に、国際社会で要求されているTOC条約に入りなさいという要請はあるわけですから、それに対して応えるならば、まず条約を批准して加入の手続を取れば、それから、じゃ、どういう対策が必要なのかということは十分時間取ってできるんじゃないかということですね。
 国連の文書について今あれこれされていまして、私もいろいろと読みますけれども、非常に複雑な交渉経過に基づいて非常に分かりにくい条文が作られていて、それについて各国で国内法の整備過程をいろいろと調べてみても十分よく分からない点もあるし、日本とは全然違う方法で条約に加盟している国もあるわけですよね。
 今、西村先生の方からも少し紹介ありましたけれども、国連にこの関係では三種類の条文が、条文といいますか文書があるわけですけれども、この立法ガイド、これはフランス語版なんですけれども、立法ガイドに間違いがあるとか誤訳があるとかいう話がありますけれども、これがもし内容的に間違っているならば、もう既にこれは国連によって撤回されているはずですし、あるいはこんな立法ガイドをまだ公刊しているのかというので、日本政府としては厳重な抗議を国連に対してするはずなんですよね。
 それから、モデル立法とか、それからアセスメントのツールとか、ほかにも二つあるんですけれども、これはまさに、批准したときのそれぞれの国の立法状況がばらばらだと、ばらばらなものをじゃどういうふうに国際的にコーディネートしていくかというために、国連の事務局がいろんな方法で今議論といいますか作業を続けているということですから、日本としては条約で求めている以上のものを、あるいは求めているのとは違うものをわざわざ国内法作ってやるというのは、よっぽど私の信じられないような蛮勇を振るってやるおつもりなのかということをすごく懸念しております。
 それで、あと少しなので、五月十八日のジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者の書簡についてちょっと触れたいと思いますけれども、これに対して内閣官房の方はすごく敏感に反応したわけですけれども、それに対して国連の報告者の方からもいろんな反応があったわけで、ついては、五月二十九日の月曜日に本会議で、安倍首相としては、だから官房長官とはやっぱりちょっとニュアンスの違う反応をしているわけですよね。やっぱり内心の自由というのは守らなきゃいけないんだということで、一応、国連の特別報告者と要するに見解は共通していても、この法案に対する評価は違うんだというようなふうに少しスタンスを変えたというふうに私は見ているわけですけれども。
 それにしても、国連の特別報告者とはどういう立場なのかということについて十分理解されていないんじゃないかという点に懸念があるわけですね。彼は個人の資格で言っているというふうに言われていますけれども、元々、特別報告者というのは個人なんですよね。政府ではないし、機関でもないんですね。有識者という資格で国連の人権理事会で任命されている人たちなわけですから、それは単なる個人じゃないかというふうに言うのはとんでもない言いがかりですね。だけど、言っていることとか仕事は私的な見解ではないわけですよ、国連活動の一環として専門家の立場から寄与しているわけですから、それを個人の資格で言うのはけしからぬというふうに切り捨てるのはいかがなものかなというふうに思いますね。
 基本的には、あと一分なのでもうまとめますけれども、国連のやり方というのは、それぞれの違いということを認めつつ、コンセンサスですね、対話によってやっぱりいい方向を目指そうというわけですよね。特別報告者というのもそういう制度ですし、人権理事会もそういうシステム取っていますし、様々な人権条約についての履行審査委員会もそういう方法を取っているわけですよね。そういうことをやっぱり十分理解した上で、この法案について本当にどこから見ても懸念がないという形で十分答えられるのかという点についてまだ重大な疑義が残っている。まあ、はっきり言えば欠陥法であり、憲法に違反する法律なわけですから、憲法に違反する法律を幾ら作ってもこれは違憲無効なわけですから、無駄なことをされているということになりかねないわけですよね。
 ついては、だから、こういう人権の問題についても、国会として正当なやっぱり考慮を払って、例えば国内人権機関を早くつくるとか、あるいは人権条約についてそれぞれに挙げられている個人通報制についても早く実施するように外務省を督促するとか、そういう方法を取るべきじゃないかと。
 そういうことを全部ネグっていって、とにかくそのTOC条約、オリンピックを開始、テロ対策という何か掛け声だけで、大変な今までの刑法の原則をひっくり返すような新しい共謀罪刑法を作ろうとしているのは何としても不可解でありますし、是非、立法の府として正しい判断して、ちゃんとした議論を進めていただきたいと思いまして、私の発言を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
#8
○委員長(秋野公造君) ありがとうございました。
 次に、松宮参考人にお願いいたします。松宮参考人。
#9
○参考人(松宮孝明君) 松宮です。
 この今回の法案にあるテロ等準備罪、イコール共謀罪ということは後で御説明しますが、これは、その立法理由とされている国連越境組織犯罪防止条約、TOC条約の批准には不必要です。それにもかかわらず、その成立が強行されれば、何らの組織にも属していない一般市民も含めて広く市民の内心が捜査と処罰の対象となり、市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法となるだけでなく、実務にも混乱をもたらします。
 まず、本法案の共謀罪にある組織性も準備行為も、過去に廃案となった共謀罪の特に修正案の中には含まれておりました。また、認知件数においては一般刑法犯の八〇%以上が対象犯罪になるという点でも、対象犯罪も余り限定されていません。その点では過去の共謀罪法案と同質のものです。
 また、ここにある組織的犯罪集団はテロ組織に限定されないことも明らかです。テロと関係ない詐欺集団でも該当します。また、最高裁の平成二十七年九月十五日決定によれば、組織が元々は詐欺罪に当たる行為を実行するための組織でなかったとしても、その性格が変わればこれに該当します。その結合関係の基礎としての共同の目的による限定も余り機能しません。大審院の明治四十二年六月十四日判決は、殺人予備罪における目的につきまして、条件付、未必的なものでもよいとしたとされています。
 したがって、これを当てはめますと、この組織はもしかして別表第三に定める罪をすることになるかもしれないという認識でも目的要件は満たされるのです。この点では、本法案には、ドイツ刑法百二十九条の犯罪結社罪のように、犯罪を当初から第一次的目的としている団体に限定する明文規定がないのです。
 もちろん、テロ等準備罪が共謀罪でないとする根拠は全くありません。そもそも、テロ等準備罪がTOC条約に言う犯罪の合意を処罰するものであるなら、それがこれまでの共謀罪法案と明らかに別物になるということはあり得ないからです。
 このTOC条約二条(a)には、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」という言葉があります。これは、本条約がマフィアなどの経済的組織犯罪を対象としていることを表しています。この点については、国連薬物犯罪事務局も、原則としてテロ集団対象ではないと述べています。西村参考人が述べられたのは、あくまで間接的にテロ組織にもお金が流れるかもしれないということでテロ対策にもつながるかもしれないというだけのことです。ゆえに、本法案がテロ対策を目的とするものになるはずはありません。
 この条約の狙いは、外交ルートを経由しない犯罪人引渡し、捜査、司法共助にあります。条約第一条に書いています。これらの国際協力には、双罰性、すなわち引き渡す国でも当該行為が犯罪であることが必要です。本条約は、そのために共謀罪又は参加罪の立法化を要請しているのです。
 ところで、国際協力の対象となるような犯罪では、それが共謀それから中立的な準備段階行為にとどまっているということはほとんどありません。そのため、犯人引渡しを求められるような共謀罪容疑者は、大抵実行された犯罪の共犯となり得るのです。この点については、東京高等裁判所の平成元年三月三十日決定が、双罰性を考えるに当たっては、単純に構成要件に当てはめられた事実を比べるのは相当ではない、構成要件的要素を捨象した社会的事実関係に着目して、その事実関係の中に我が国の法の下で犯罪行為と評価されるような行為が含まれているか否かを検討すべきであると述べて、犯人引渡しを認めていました。
 つまり、国際協力の対象となるような重大犯罪につき、このように実質的に見て処罰の間隙がなければ、共謀罪立法は不要なのです。すなわち、これは共謀罪の立法理由にはならないんです。
 しかし、一つ注意すべきことがあります。国際協力の点では、本条約十六条七項に犯罪人引渡しのために最低限必要とされている刑に関する条件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができると定められていることが我が国にとっては大きな問題になります。
 要するに、死刑に相当する真に重大な犯罪の場合、我が国は死刑廃止国から犯人の引渡しを受けられないのです。ロシアも加盟しているヨーロッパ人権条約や、ブラジルが加盟している米州死刑廃止条約を考えれば、これは深刻な問題です。法定刑に死刑のある凶悪犯の被疑者がそれらの国に逃亡したなら、日本に引き渡されませんから、事実上処罰を免れることができることとなって、日本国内の治安維持その他の刑事政策に対して大きな障害となるからです。
 現に、我が国は一九九三年、スウェーデンから犯人引渡しを拒否されたことがあります。つまり、TOC条約による国際協力を真剣に考えるのであれば、共謀罪を作るより死刑廃止を真剣に考える必要があるのです。
 ここからは、本法案にある組織犯罪処罰法第六条の二第一項及び第二項の解釈を検討します。
 まず、組織的犯罪集団の定義ですが、テロリズム集団という言葉は「その他の」とあるように単なる例示であって、限定機能がありません。TOC条約二条(a)の定義では、組織的な犯罪集団とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在するものであればよいので、三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループでもこれに当てはまります。
 他方、法案には、TOC条約二条(a)にある直接又は間接に金銭的利益その他の物質的利益を得るためという目的要件が欠落しています。また、その結合関係の基礎としての共同の目的という文言では、ドイツ刑法百二十九条のように組織設立当初からの第一次的目的に限定されるという保証がありません。
 別表第三の対象犯罪の選択も恣意的です。保安林での無断キノコ狩りは含まれて、公職選挙法二百二十一条、二条に規定する多数人買収及び多数人利害誘導罪や特別公務員職権濫用罪、暴行陵虐罪、それから様々な商業賄賂の罪が除かれる理由はありません。
 なお、さきに述べたように、この点では今回の法案はTOC条約を文字どおり墨守する必要はないという立場を既に取っているということは明らかです。
 さて、遂行を二人以上で計画した主体は、団体や組織ではなく自然人です。また、この文言では、計画した人物が組織に属する者であることを要しません。組織的な犯罪の計画を作り、組織に提案する人物でも対象となるからです。
 なお、ここに言う計画は、共謀共同正犯に言う共謀とほぼ同じ意味だという答弁が過去ございましたので、例えばAさんとBさんが相談し、次にBさんとCさんが相談するという順次共謀でも成立します。そして、順次共謀を介せば見知らぬ誰かによる準備行為が行われても一網打尽にできるという構造になっています。準備行為は、何々したときという規定ぶりから見て、詐欺破産罪に言う破産手続開始の決定が確定したときと同じく、客観的処罰条件です。資金又は物品の手配、関係場所の下見は単なる例示であり、限定機能を有しません。したがって、対象犯罪を実行するための腹ごしらえのような外見的には中立的な行為でもよいことになります。この場合、共謀罪の成否は、どういうつもりで食事をしたかという内心に左右されるため、実質的な内心処罰になります。
 この点では、偽造という問題行動があった上で行使の目的を検討する目的犯、通貨偽造罪や文書偽造罪などの目的犯とは質的に異なる行為主義違反の規定です。しかも、捜査機関によって準備行為とみなされるものは無限にあるため、そのうち誰が検挙され処罰されるかは、法律ではなくその運用者によって決まることになります。これは、近代法の求める法の支配ではなく運用者による人の支配です。
 実行に着手する前の自首による必要的減免は、反省して実行を中止しただけではこれを満たしませんし、反対に、反省は不要で、密告、裏切りによる自首でも構いません。さらに、密告された場合、冗談であったという抗弁の立証は困難ですので、冤罪の危険は極めて高いということになります。
 また、法案の第六条の二第二項では、計画の主体が組織内の者に限定されないことは明らかだと思います。
 共謀罪がこのままの形で成立した場合に予想される実務上の混乱も相当なものになると思われます。
 まず、窃盗の実行に着手した者が自己の意思で中止したときは窃盗罪の中止未遂として刑の必要的減免を受けますのに、窃盗の共謀罪としてはなお二年以下の懲役に処される、免除の可能性がなくなるのかという問題があります。
 この点につき、共謀罪は未遂罪に吸収されるので中止未遂が優先されると法制審議会ではそういう理解をしていたんですが、そのように解したとしても、未遂処罰規定のない罪の共謀、これは対象犯罪のうちの百四十ぐらいあります、この共謀では、その実行の着手前に中止した者も、共謀罪を吸収する未遂罪がないので刑の免除の余地がなく、共謀罪として処罰されてしまいます。例えば傷害罪の共謀だと、実行に着手したが、けがをさせる前に反省してやめたとしても、五年以下の懲役又は禁錮になります。
 このようなことでは、犯人を引き返させて被害者を救うという刑法の機能が害されます。これは未遂処罰規定のない罪について共謀段階で処罰することの矛盾の一つです。ついでに言えば、傷害罪には罰金刑も選択刑としてあるんですが、傷害罪の共謀には罰金刑がないという矛盾もあります。
 次に、親告罪の共謀罪の親告罪化です。告訴権は、刑事訴訟法二百三十条により、まずは犯罪により害を被った者が持ちます。しかし、共謀段階では誰が害を被ったということになるのでしょうか。狙われた人物ですか。狙う相手が不特定のときは一体どうするんでしょうか。つまり、告訴権者がいないという親告罪になるわけですね。
 これもまた、既遂、未遂、予備という実害に近い行為から順に犯罪化するという刑法の原則を破ったことによって生じた矛盾です。強姦罪などを除き親告罪というのは基本的には軽微な犯罪なんですから、これを共謀罪の対象にしてしまったこと自体が既に矛盾だということになります。
 最後に、凶器準備集合罪という刑法を学んだ人なら誰でも知っている罪を例に取って、法務大臣と刑事局長が当時暴力団等にしか適用しないという答弁をしたのですが、これが裁判所を拘束しなかったということを指摘しておきましょう。
 暴力団以外の学生団体の凶器準備集合にも適用されました。それから、衆参両院での附帯決議も裁判所を拘束しませんでした。なぜなら、憲法七十六条三項は裁判官が憲法及び法律のみに拘束されると規定しているからです。つまり、本当に裁判所を拘束したいのであれば、附帯決議ではなく法律に明記しなければならないのです。この点は弁護士の先生方が非常に懸念されていますが、新設される予定の組織犯罪処罰法七条の二にある証人等買収罪の濫用の危険に対する対応にも同じことが当てはまります。
 さて、共謀罪が成立すれば、現行通信傍受法三条一項三号により、共謀はすぐさま盗聴の対象となる可能性があります。しかし、日本語しかできない警察組織が用いる共謀罪は、日本語を話す人々のプライバシーは侵害しますが、見知らぬ外国語で意思疎通をする国際的な組織は相手にできません。こんなものでテロ対策などと言われたら多分諸外国に笑われると思います。それよりも、多様な言語を操れる人、そういう人材をリクルートするなど警察組織の改革の方が私は大事だというふうに思っております。
 なお、条約と国内法整備との関係については、例えば国際刑事裁判所規程などがございますけれども、日本政府は必要な国内法整備をしないで条約を締結するということは過去多々やってきました。本当に何が必要かどうかは、実際先にTOC条約を締結した上で、運用してみて具体的に検討すべきではないかというふうに思います。
 以上で私の意見陳述を終わります。
#10
○委員長(秋野公造君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 貴重なお時間をいただき、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
 早速質問をさせていただきたいんですけれども、このTOC条約に入るべきだという視点ではお三方一緒だというふうにお見受けしております。ただ、そこで国内法の整備が、特に参加罪又は合意罪の立法化が必要なのかどうかという点で多分見解が分かれるところだと思いますけれども。
 まず、新倉参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、もうそもそも各国に任されているんだと、しかも、そのことについて日本は国際社会の場で何度もただす機会があったのにたださなかったというような指摘もありましたけれども、一方で、西村参考人は、この立法ガイドの、先ほどフランス語の話をされましたけれども、日本語訳が多分おかしいという西村参考人の指摘だったと思うんですけれども、そのことについて、平成十八年ですかね、外務省が確認したところ、多分第三の道というものはなくて、参加罪又は合意罪を立法化しなければならないというふうに正式に向こうから言ってきたということだったと思うんですけれども、多分その点の見解が分かれているんだろうと思うんですけれども。
 では、参加罪若しくは合意罪、どちらもやらなくていいんだという立場の方、例えば学界の方だったり日弁連が正式に国連側に問合せをして、そしてそれについてコメントをもらったということはあるんでしょうか、お聞かせください。
#12
○参考人(新倉修君) ただいまの御質問に対してお答えしますが、日弁連とか法律家団体が国連に問い合わせたということはないんですよね。私は、それは余り意味ないというふうに思います。
 それはどうしてかというと、条約の中身はどうあるべきかということは、実は条約の条文と、それからトラボ・プレパトワールという条約を作るときに作られたメモですよね、これが基本なんですよ。ですから、条約の中身について問題があるならば、その事務を担当するところに幾ら問い合わせても、事務局として答えられる範囲もある意味では技術的な問題に限られちゃうので、今のような非常にセンシティブな問題については締約国会議で、この条約の意義はどうなのかと、この条文について我が方はこういう対応をしているとか、ほかの国はどうなんだという、ちょうちょうはっしとした議論がまさに条約の運用としてはあるべきわけで、それを何かお役所に物を尋ねるような感じで国連機関に聞いた方がいいとか聞かない方が悪いんだとかいうふうに、恐れながらちょっと何か筋が違うんじゃないかなという感じがします。
#13
○山下雄平君 では、新倉参考人と松宮参考人にお伺いしたいんですけれども、このTOC条約に入るべきだというお二人の主張だとは思うんですけれども、参加罪若しくは合意罪、どちらも全く国内法に立法化されないまま加盟されている国というのは具体的にどこの国があるんでしょうか。若しくは、その部分について完全に留保した形で加盟された国というのの例について教えていただければと思います。お二人。
#14
○参考人(新倉修君) 我々の知っている範囲では、むしろ新しい立法をした国は二つしかないというふうには聞いております。
 それから……(発言する者あり)既存で。そこは、詳しくはやっぱり外務省で調査されていると思いますけれど、我々はっきり知っているのは、例えばアメリカも州によって州法があってカバーする領域が違って、アメリカは多分アラスカ州はコンスピラシー罪はないので、その点はアメリカとしては留保しているということはありますので、そういう例を考えれば、そう、何といいますか、急いで何か立法しなきゃいけないという事実はないんじゃないかというのが私の趣旨です。
#15
○参考人(松宮孝明君) 私もアメリカ合衆国がそうであるというふうに聞いております。
#16
○山下雄平君 ありがとうございます。
 私もこの問題に専門家でもないですけれども、専門に研究されているお二人からするとアラスカがそこだということで、無数にある中でアラスカ一州と同じような対応をすべきだという考えだと思うんですけれども。
 また、そこは解釈の疑義がある中で、先に西村参考人がしゃべられて、その後お二人だったので、西村参考人にお伺いしたいんですけれども、お二人、松宮参考人、新倉参考人の方から参加罪も合意罪もやらなくても条約に加盟できるんだという話が西村参考人、後にあったと思うんですけれども、お二人のお話を受けて、改めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#17
○参考人(西村幸三君) 今のお二人の参考人の意見をお聞きしても、余り私の見解は変わりません。
 やはり条約の明文が、五条で本文ではっきりと、どちらかは導入しないといけないと、採用しないといけないとはっきり書いてあるわけですよね。
 立法ガイドの表現がやや紛らわしいという言い方もありますけれども、どう考えてもオプションは二つしかなくて、ツーオプションだからジ・オプションズになっていると、普通そうにしか読めない。いずれか又は両方というのならイーザー・オア・ボースぐらいじゃないんだろうかとか。条約の本文の方ではイーザー・オア・ボースのどちらかを導入しなさいというふうに義務付けているんですから。立法ガイドで、もしどちらも要らないんだったらナイザーでいいと思いますし、いずれか一方だったらイーザー・オア・ボースでしょうか。
 まあ紛らわしいと言われれば紛らわしいとは思いますが、文脈からしたらどう考えても読めないわけですよね。つまり、条約の本文を基本にすべきだというのが私の普通の読み方です。
#18
○山下雄平君 非常に参考になりました。ありがとうございました。
#19
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
 三人の参考人の方、今日はありがとうございました。
 お三方から、やっぱりこの法案の複雑な面とか、大変難しい、解釈が難しい面とか、そういうことを大変多面的、そして様々な角度から御意見をいただいたという気がいたします。
 それから、あとはやっぱり国際条約なので英文をどういうふうに訳すのかという、これ、翻訳論争をやっちゃうと幾ら時間があってもちょっと足りないので、こういうことはまた別の機会という気がするんですが、この法案めぐって私たち国民がやっぱり一番分からないところは、何か肝腎なことがなかなかよく分からないということがあると思います。
 今日は委員の方たくさんいるのでいろんな質問が出ると思いますので、私は、やっぱり参議院に来てもう一回原点に戻ってというか、その辺で、お三方がそれぞれお話しになって立場の違いがすごく、それぞれ主張の違うことが分かりましたので、共通して同じ質問を伺って、それでそれに対してお三方がどういうようなお考えなのかなということをちょっと伺いたいというふうに思っております。
 この法律は、組織犯罪防止条約に基づいて政府が出した法案、通称テロ等準備罪というのがとてもポピュラーというか、これがもうすっかり知られて、こういう名前で言われることが多いです。もちろん、私たちはやはり、この中にある本当の法案の意味はやっぱり共謀罪であるというふうには思っておりますけれども、そのテロ等準備罪、政府はこう言っています、五輪のために必要だと言っています。
 それで、お三方にお伺いしたいんです。これ、本当にテロを防止するための法律になっていますか、そして、なっているんだったら防止できるんでしょうか。これをお三方、最初は西村参考人の方から伺いたいと思います。
#20
○参考人(西村幸三君) 平成二十六年、国連安保理決議で、先ほど私が申し上げたとおりですけれども、組織的犯罪組織が収益を得て、それがテロリスト集団に流れていると、これを防止すべきだというのが国際的な共通認識だと考えております。
 ですから、組織的犯罪処罰法の犯罪収益剥奪がテロ防止に役立つ、これはもうはっきりした国際的認識だと考えております。
#21
○参考人(新倉修君) テロとは何かという定義がそもそも書いていないんですよね。ですから、これはもう見る人によって答え方が全部違うというふうに思いますし、既に日本より進んでいるいろんなコンスピラシー罪みたいなのを持っているイギリスとか、それから参加罪の規定を持っているドイツとかフランスでもテロは起こっているわけですよ。それを防げるのかと言われたら、私に言わせると、刑法でどこまでそういう予防的なことができるのかといったら、恐らくこれは無理ですよ。無理なことを承知でやろうとしているのは、かなり冒険じゃないかというのが私の意見です。
#22
○参考人(松宮孝明君) 西村参考人のおっしゃることは、実はテロ資金準備罪系統の法律で対処すべきものであって、共謀罪で対処すべきものではありません。
 私は、この法案の中で、共謀罪、ほとんど共謀罪についてしか述べておりませんけれども、テロ資金準備罪についてのきちっとした規制をするかどうかということについては今回問題になっていないというふうに思っております。
 その上で申し上げます。共謀罪がテロを防止する効果がある、それは実際的に考えてあり得ません。そうではなくて、大事なことは、警察とかいろんな組織、国の側の組織が持っているいろんな情報をきちんと有機的に組み合わせてテロを未然に防止するという活動である。例えば、二十数年前のオウム真理教のテロ事件が幾つかございましたけれども、あれでも断片的な情報は幾つかの機関が、例えば地方の警察組織とかが持っていたのに、それを総合できなかったのが地下鉄サリン事件を防止できなかった最大の問題であるという指摘がございます。
 共謀罪でテロが防止できると。元々、共謀罪というか、その前提として、TOC条約はテロ対策ではないというのは先ほど申し上げたとおりですが、共謀罪でテロが防止できるということは考えない方がいいし、考えたら危険です。それから、そういう誤解を招くということで、人が安全でないのに安心感を持ってしまいます。
#23
○真山勇一君 ありがとうございました。
 それでは、次の質問、伺いたいと思うんですけれども、これまでのこの委員会での答弁で、政府側は、組織犯罪集団、こうしたものの犯罪を防ぐことができるという一方で、例えば、団体とか大勢の人数が計画、準備をするということならば、これは当然捜査の対象になるという一方で、例えば、今ヨーロッパとかアメリカで起きている、本当に、個人がやったり、少人数の二人、三人、それもどういうつながりがあるかなかなか難しい、そういうテロというものが頻発しているわけですよね。
 これに対して、先日この委員会でも、いわゆるローンウルフ型と呼ばれるテロにはこの法律は適用できないと、それでは取り締まれないという答弁が政府側からあったんですが、お三方に、そうなのか、そうならば、こういうテロを取り締まる、防止するためなんだから、じゃ、こういうことを防げなかったらやっぱり駄目だと思うんですが、これはどういうふうにいわゆる抜けとか漏れを防ぐべきなのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
 じゃ、今度は松宮参考人からお願いします。
#24
○参考人(松宮孝明君) はっきり申し上げて、ローンウルフ型のテロを防止するということは法律では無理です。事前には何が行われているのか、それは分からないです、一人でやられたら。むしろ問題は、どうしてそのようなローンウルフ型のテロに走る人が出てしまうのかということをきっちり解明して、これに対する社会の雰囲気だと思いますけど、これに対する対策を取ることだと思います。
#25
○参考人(新倉修君) 私も基本的には松宮参考人と同じ意見ですね。犯罪を起こそうという気持ちを起こすのは、やっぱり社会から相当自分はひどい目に遭っているという人ですよね。例えば、秋葉原事件を起こした彼なんかもそういう感じですよね。ネットで書いたら逆にバッシングを受けて、ますます孤立感を深めて、わざわざ鯖江まで、鯖江ですよ、福井の鯖江までナイフを買いに行って、それからまた新たにレンタカー借りて秋葉原で事件を起こすという、こういう人たちは、その経過はみんな知っているわけですよね、場面場面はみんな。だけど、誰も止めなかった、止められなかったというわけですよ。それを、じゃ、警察力で止められるんだというのだったら、もうそれこそ怪しい人に全部タグでも付けて監視するしかないでしょうという話になるわけで、そういう監視社会を我々は望むのかと。それよりも、やっぱりみんなが安心して暮らせるような地域の社会、地域性を高めていくようなことが必要ですし、これはまさに教育におけるいじめの問題と同じなんですよね。だから、そこをよく考えていただきたいというふうに私は思います。
#26
○参考人(西村幸三君) 共謀罪の段階で単独犯による犯行は全く処罰の対象ではありませんので、まず、そもそも単独犯を処罰するものではないです。アグリーイング・ウィズ・ワン・オア・モア・パーソンズですから、確かに最低限二人でも成立はしてしまいます。ただ、実質的にはそういう組織、そういう人の結合体が組織的犯罪処罰法の二条と今回の六条の両方に絞り込まれたものに該当するとはなかなか思えない、まずめったにないんじゃないかというのが私の感覚です。
 もう一つ、両参考人おっしゃいましたように、テロが実際にどういう方が起こして、背景が分かってくるかというと、社会から疎外感を持たれている方たちが多いと思います、移民にしても。そういう意味では、日本でもやはり移民に優しい社会というのは、きちんと外国人に優しい社会というのは構築していかなければいけない。日本がやはりテロがこれまで少なかったのは、そういう移民に優しく、セーフティーネットもちゃんと整備する、もちろんどこまで受け入れているかという問題はありますけれども、少なくとも生活保護面などでも整備されておりますので、そういう意味ではセーフティーネットをいかに大事にして疎外感を持たれないような社会を築けるかというのはとても大事なことだと思っています。
#27
○真山勇一君 ありがとうございます。
 それから、やっぱり今回のこのテロ等準備罪、いわゆる共謀罪、これについて一般の人たちが対象になるのか、巻き込まれるのかということはこれはとても大きな関心事になっているというふうに思うんですね。この辺りの不安というのは依然と、いや、巻き込まれるんだというのと、いや、きちっと条件を付けて、今回対象になる団体を指定しているんだから巻き込まれない、一般の人が巻き込まれることはないという、そういう対立構造というか意見が続いているわけですけれども、今日のお三方の御意見の中でも、絞り込みがちゃんとされているという一方で、やっぱり歯止めがどうなのかということもありました。
 そういうことで、もう一回、やはりこれは今回の法案の一番大きな焦点ではないかと思いますので、一般の人が対象になる、巻き込まれる可能性があるのかないのかということの、ひとつそれぞれの方からお伺いしたいというふうに思います。
#28
○参考人(西村幸三君) 先ほど申し上げましたが、組織的犯罪処罰法の現行法の二条、ここに団体の定義がございます。この団体の定義は、継続性、あるいは指揮命令関係、あるいはあらかじめ定められた任務の分担、さらに反復という、二条の段階で既に厳しい要件が設定されております。
 さらに、今回は組織的犯罪集団の定義として、六条の二で、団体のうち、結合関係の基礎としての共同目的ということで、単なる共同目的では駄目なんだと、その結合関係の基礎とまでなるだけの本質的なものでなければ駄目なんだということで更に絞り込みを掛けています。
 そういう意味では、この要件で一般人がこれに該当するということを本当に想定できるのかと、いろんな事例がマスコミなどで、あなたも共謀罪とかいうようなタイトルで取り上げられているんですけれども、ちゃんとこういう法律の要件を一個一個当てはめて論じておられるようなものは、少なくとも弁護士がコメントしているようなものにも余り見当たらないように思っております、それは残念だと思っております。
#29
○参考人(新倉修君) 一般人とは何かという定義についても国会で随分議論していますので、それを見ますと、やっぱり一般人というのは相変わらず漠然とした概念だなという感じがしますね。
 私は一般人だと思いますけれど、しかし、人から見ればあなたは特殊だと、変わっているとかいうことになるし、あなたの付き合いからいうとそういう人たちもいるでしょうと。実際、私も元受刑者の支援活動とかやっていますので、そういう人たちがまた転落して刑務所へ入るような瀬戸際の生活をしておるわけですから、そういう人と付き合っているあなたは普通じゃないよと言われれば、ああそうだと、そういうふうに思われるのかなという感じはしますね。
 だから、要するに、その歯止めを一体その法案できちっと書かれているのかということで考えると、その歯止めはないんじゃないかというのが私の意見です。
#30
○参考人(松宮孝明君) 二つの点を指摘いたします。
 まず第一に、五月二十九日、参議院の本会議ですね、法務大臣が結合関係の基礎としての共同の目的についてこのようにおっしゃっておられますね。
 ある団体について、結合関係の基礎としての共同の目的が何であるかについては、個別具体的な事案における事実認定の問題でありますとまず言っているんですね。だから、余り一般的には分からないんですよ。当該団体が標榜している目的や構成員らの主張する目的のみによって判断するのではなく、継続的な結合体全体の活動実態等から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて、社会通念に従って認定されるべきものと考えられます、したがって、対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において、構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるような場合には組織的犯罪集団と認められると、こういうふうにおっしゃっているんですね。
 これ、非常に大事なことで、どういう看板を掲げているかではないんですよ。外から見て、これはその結合関係の基礎が犯罪にあるという団体だというので判断する。その外から見てという、見る人は誰かというと捜査機関なんですね。ですから、いや、看板としてはそうなっていないんだけどということで安心ということはないし、しかも、個別具体的判断ですから、個別具体的なので安心じゃないです。これが一点目です。
 二点目は、先ほどの私の意見陳述の中で述べたことです。法案の条文をよく見てください。六条の二は、確かに、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」と書いています。しかし、それは行われるものの定義なんですよ。この後、「の遂行を二人以上で計画した」というときの計画者は、この団体、組織の構成員であるということはこの法案には一言も書いていないんです。ですから、計画者が組織内の人物に限られるということはこの条文からは読み取れない。一般人という言葉が何を意味するかは分かりませんけれども、少なくとも計画者が組織内の人物に限られているということはこの法案からは言えないということは明らかだと思います。
#31
○真山勇一君 時間になりました。どうもありがとうございました。
#32
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 今日は、三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
 私の方からは、西村参考人にまず伺いたいと思います。
 先ほど、限られた時間の中でいろいろなことを教えていただきました。私の質問の時間は十五分ございますので、先ほど急いでいろいろお話ししていただいたと思いますので、もう少し聞きたいなと思ったところもありましたものですから、そういった観点で質問させていただきます。
 西村参考人は民暴の対策の御専門でいらっしゃるということであります。やっぱり組織犯罪といっても、何となくは国民の皆さんも分かると思うんですけれども、その実態とか活動の状況とか、実際に対策としてどういうことが今求められるのか、そういったことはなかなか具体的に想像し難いと思います。そういう観点からも、西村参考人の経験に基づいた具体的な御説明というのは非常に参考になると思います。
 そういった意味で、先ほどもお話ししていただきましたけれども、我が国の組織犯罪処罰法をTOC条約が求めて、TOC条約のそうした世界の標準に引き上げるといいますか、そういったことが今回できるのではないかと、こういうお話があったかと思うんですけれども、その必要性と、我が国の組織犯罪処罰法をより、何というんでしょうか、適切にしていくためにどういうことが必要だというふうに考えていらっしゃるか、また、今回の立法によってどういうことが具体的にできるようになるのかとか、そういった観点についてもう少し詳しく教えていただければと思います。
#33
○参考人(西村幸三君) 私が弁護士になった頃はちょうど暴力団対策法が施行された頃でした。暴力団対策法が施行されてから、暴力団というのはなかなか表立って看板を上げにくくなりました。でも、相変わらず看板を上げていた事務所もあり、あるいは部屋の中ではもう当然やくざグッズが山のようにあふれ返っているわけですね。あるいは名刺を渡されたことも私は実際ありますし、依頼者が恐喝のときに名刺を渡されたこともございます。
 一般人は、やくざというだけでもう完全に恐怖で震え上がります。もう言うことを聞かなければ人生が終わってしまう、殺されてしまう、家族がどうなってしまうか分からない、夜も寝られない、もう妻と離婚して別に住んでもらうしかないと、そういう相談がもう本当にしょっちゅうです。それぐらい組織犯罪の恐怖というものは一般人にとったら悲惨なものです。そういう案件をもう日常的に弁護士になって以来扱ってきたものですから、被害者の側の恐怖というものを物すごく私は痛感しております。
 山口組のトップを訴えた最高裁判決の事件ですけれども、これも抗争で撃たれているんですよね。ただし、末端の実行犯は上部を巻き込まないように自分で終わらせようとするので、なかなかその上まで責任がたどり着かないと。被害回復が受けられない、物すごく不条理な中で闘って、地裁では負けたけれども最終的には勝訴して被害回復ができました。
 闇金の被害、本当にこれはもういまだに怒りを、思い出すたびに怒りを忘れられないです。丸三日電話掛け続けて、七十件ぐらいの闇金に、ようやく追い払った翌日に被害者が亡くなりました。泣き叫んで息子さんが電話されてきたのはもういまだに忘れません。
 この二つの体験は同時並行でやっております。どうしても許せなくて、携帯電話本人確認法で闇金を封じられないかということを提言して、今携帯電話闇金はみんな忘れたようにもう落ち着いていますけれども、火を付けるだとか、子供の学校に電話するだとか、親兄弟、それこそおじ、おばまで連絡先を聞き出して職場に追い込みを掛けるだとか、電話で。あんなひどい、まさにあれが組織犯罪なんですね、私の実感では。
 それでようやく逮捕された五菱会闇金の犯罪被害収益が何と返ってこないと、スイスから。しかも、シンガポールは捜査もできないと。どうなっているんですかというのが私の怒りでしたね。
 ただ、外交ルートでしか捜査協力を求められなければ異常に時間も掛かるし、難しいことはそれはもうよく分かっています。離婚訴訟を韓国に帰っちゃった夫に起こしたときには、領事館送達で、訴状一通、一年半届くのに掛かりました。そんなテンポで犯罪捜査に対応できるわけがないわけです。
 今回のTOC条約は、外交ルートでなくてもそういう捜査協力ができるようになる。ある意味画期的なんですけれども、その画期的なことを十数年されていないということについては一体どうなっているんですかということを、私は常に市井の弁護士として、被害回復という被害者の目で見ています。ただ、残念ながらそういう目で見てくれている弁護士がどこまでいるのかというのは、まあ余り言いたくはないですけれども、そういう気持ちになることもあります。
 もちろん、国民のプライバシー大事です。刑事被告人の権利大事です。被疑者の権利も大事です。ただ、バランスというものがあって、そのバランスが今国際的にTOC条約の中身になっている、人権バランスの感覚がですね。私の感覚はそこにあるので、もちろんお立場が違う方が多いのはよく分かっておりますが。
 ちょっと質問の答えになっているかどうか分かりませんけれども、私の実体験として感じたことを申し上げました。
#34
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 このTOC条約に入って締結をするということの必要性自体は、恐らく与党だけじゃなく野党の皆さんもまた多くの方が必要性を感じているんだと思うんですね。恐らくそこは争いがない。しかしながら、この国内担保法としてテロ等準備罪、今回の法案が必要かどうかというところで意見が分かれております。西村参考人は、既に述べていただきましたけれども、これは必要であると、立法をすべきだというお立場から意見をいただきました。
 もう一つ、これも重複するかもしれませんけれども、今回のテロ等準備罪を含む改正案、人権保護とのバランスというところが大事だ、私もそう思っております。ですから、必要性と同時に国民の権利を不当に侵害したり制約したりするようなものではあってはならないと、こういうふうに思っております。そういう意味で憲法にも違反しないと思っているわけですけれども、いや、憲法に違反するんだと、こういう御意見を述べられる方もいらっしゃるわけですね。
 先ほど西村参考人が、このTOC条約というのが人権とのバランスという意味でも国際標準なんだということを今おっしゃっていただいたかと思うんですけれども、そこの点。例えば、海外の他の加盟国での立法例ですとか、それに比べた我が国の今回の法案、どのように人権に配慮しているというふうに考えていらっしゃるか。私は、海外の立法例等見ましても、今回の法案というのはしっかりと人権に配慮をした、むしろほかの国よりも厳格に要件を定めているのではないかと、こういうふうに思っているんですけれども、この点について西村参考人の御意見がございましたら教えていただけますでしょうか。
#35
○参考人(西村幸三君) 私はさすがに学者ではございませんで、海外の法律の研究をとことんするまでの時間的余裕も能力もございません。しかも、今回、共謀罪のことで日弁連見解はおかしいのではないかと疑問を感じた弁護士何人かで実は勉強会をしております。その中で、有志が調べました、大阪弁護士会の田中一郎弁護士が実は調べてくれた数字があるんですけれども、これはあくまで、各国、法律の中身というのはある意味表現がばらばらで、本則とあるいは特則があるかとか、分からないことが多いわけですけれども、ざっと調べてみられた数字としてお聞きしたのが、TOC条約に参加している百九十か国のうち、条文上見受けられるという意味で、参加罪で対応している国が百十二か国、参加罪、共謀罪がある国が二十一か国、共謀罪で対応している国が四十四か国で、まだちょっと調べ切れていないところがその他になるというようなことを聞いておりまして、要は両方持っている国も多いんですよね。
 イギリスなんかは共謀罪型と言われていますけれども、EUに加盟しているので、EUは参加罪義務付けているので当然参加罪も持っているとか、国連ではそのどちらかで対応しましたと言っていながらどっちも持っている国もあるようで、これを調べるのは、ざっと調べれば分かりますけれども、正直正確性に欠ける部分は絶対出てくるし、各国の状況を聞かないと分からないし、そもそも先進国、OECDレベルであればそういうことをある程度できても、立法能力が低くて、自分の国で自分で立法の策定すら困難な国だって世界にはいっぱいあるわけですよね。それを全部調べ上げて、十分に誠実に遵守できていない国が仮にあったとして、そのレベルに合わせるという議論は私はおかしいと思っています。
 OECDレベルでいえば三十五か国だと思いますけれども、共謀罪を成立させる要件で準備行為と組織的犯罪集団という縛りを付けているわけですけれども、この二つの縛りを両方導入している国は日本だけと。これはもうこれまでも政府答弁でも何回も出てきているところで、つまり、一番厳しく少なくともOECD三十五か国レベルで縛っているのが日本だという現実はこれはもうはっきりしているわけで、その構成要件が緩やかであるという批判があるのは分かりますけれども、じゃ、ほかの国のことをちゃんと全部調べて批判されるのならまだ分かるんですけれども、単に緩やかとかいうような批判があるのは、私はそれは前提事実とか根拠を示して批判をしていただかないと困りますという話になるんです。
#36
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
 時間が来てしまいましたので、ほかの参考人の先生方には質問ができませんでしたけれども、それぞれ専門的な見地から貴重な御指摘をいただきました。やはり、この委員会では、しっかりとそうした国民の皆さんの懸念ですとか各専門家の先生方の御懸念に対して応えていくという充実した審議をこれからも行ってまいりたいと思っております。
 今日はありがとうございました。以上です。
#37
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 三名の参考人の皆さん、今日は急なお願いにもかかわらずおいでいただきまして、大変ありがとうございます。
 私から、まず西村参考人、そして新倉参考人にお伺いいたします。
 今も少し話もあったところですが、TOC条約の締結のための国内担保法が必要だということなんですが、そうだとしても、国際人権規約で保障されるプライバシーの権利やあるいは憲法の十三条や十九条、こういった権利を侵すような、それに反するようなものではあってならない、そして、そういった点についての懸念が表明されていることに対しては、これが十分払拭されることが最低限必要ではないかと思いますが、この点についての御意見をお聞かせください。
#38
○参考人(西村幸三君) ケナタッチ氏という国連特別報告者の方の大部な質問状ですけれども、私も拝読いたしました。ただ、質問そのものに対する疑問の方が多くて、本当に十分にこの組織的犯罪処罰法、現行のものと改正法を両方理解されているのかということが実は非常に疑問に感じております。
 まず、六条といって、英文で六条の二、一について翻訳されているんですけれども、そこで英訳が正確なんだろうかというふうに考えられるところがございます。結合目的の基礎としてのという記載が英訳にはなくて、その英訳を翻訳した日本語訳にはあるというふうに私は見受けます。どういう翻訳をしたのかなと思ってグーグル翻訳で試しに実は翻訳をしてみましたところ、グーグル翻訳ではアザー・ファウンデーション・オブ・ザ・ボンド・リレーションシップというふうにちゃんと出てくるんですね。つまり、グーグル翻訳でもできるはずの作業がちょっとここではされていないかもしれないと。ただ、これが縛りなので、六条のですね、そもそもちょっと前提事実の御認識がどうなのかなというふうには感じております。
 また、実はその……(発言する者あり)
#39
○委員長(秋野公造君) ちょっと、山添さん、止めますか。
 山添拓君。
#40
○山添拓君 大変恐縮です。私が伺いたかったのは、国内担保法を作っていくに当たって、人権規約で保障されるプライバシー権、あるいは憲法上の権利、こういうものを侵すものであってはならないと、その懸念は払拭される必要が少なくともあるのではないかということで、そのことについての話で、恐らくケナタッチ氏の懸念についてはいろんな意見があろうかと思います。それはもう私も重々承知をしておりますので、この点について御意見をということなんですが。
#41
○参考人(西村幸三君) もちろん、憲法への適合性ですね、こういうものはもう絶対条件であると思います。
 憲法適合性ということで共謀罪を見た場合に、裁判例というのは非常に少ないわけですよね、ぴったりそれに当たるのかということが私も学者ではないので判然とはしませんけれども、いわゆる三無事件の最高裁判決というのがありまして、最高裁、昭和四十五年七月二日、ここの判旨で、これは三十一条、デュープロセスと、二十一条違反が問題になった事件ですけれども、いわゆる陰謀罪ですね、予備罪が否定されて陰謀罪になった。
 ここで、罪を実行するための具体的な準備をすることや、その実行のための具体的な協議をすることのような社会的に危険な行為を処罰しようとするものであり、その犯罪構成要件が不明確なものとも認められないというふうになっていて、具体的な協議、だから犯罪の合意だけ、いわゆる共謀という言葉からあえて要は計画という言葉に変えた趣旨が、具体的、現実的なものという答弁が政府からされていたかと思いますけれども、余りこの裁判例が引っ張られているわけではないので、私の意見が正しいのかどうか分かりませんけれども、まずまず配慮されているのではないのかなというふうには思っております。
 あるいは、平成二年九月二十八日の最高裁判決、これも破防法に関するものですけれども、これは扇動の事案ですが、扇動として外形に現れた客観的な行為を処罰の対象とするものであって、行為の基礎となった思想、信条を処罰するものでないことは各条の規定自体から明らかであるからと書かれています。
 準備行為を必要とするという要件を入れているというところは配慮はされている、そこは前回法案よりは改められていると感じております。
#42
○山添拓君 新倉参考人にも一言御意見をいただけますか。
#43
○参考人(新倉修君) 簡潔に言いますと、プライバシーの権利は非常に大事な権利ですよね、やっぱり個人として生きていく上で。やっぱり人から干渉されない自由というのを確保するもう最後のとりでみたいなものですから、これはやっぱり尊重すべきだということをケナタッチさんが言われているのはもっともですし、安倍首相もそれは否定はしていないわけですよね。
 だから、そういう点で見ると、この法案にはまだまだ十分慎重に検討すべき案があるという点では私は同感です。
#44
○山添拓君 ありがとうございます。
 済みません、質問の趣旨が正確に伝わりませんで、失礼いたしました。
 松宮参考人に伺いますが、政府は、組織的犯罪集団が計画し、実行準備行為を行ったことを総体として見ると危険なのだと、その意味では、組織的犯罪集団が加わっているということに着目をして処罰を要するんだという説明をしています。一方で、政府は、共謀罪は実行の着手前の行為を処罰するもので、固有の保護法益はない、専ら計画をした犯罪により保護される法益の保護に資するものと、こういう答弁もしています。この点をどのように考えるべきでしょうか。
#45
○参考人(松宮孝明君) 私もその答弁をされた方の思想までは分かりませんので推測ですけれども、組織的犯罪集団が計画し、実行準備行為を行ったことを総体として見ると危険であるというのですから、これは要するに組織的犯罪だから、一人がやるんじゃなくて大きな組織でやるということになるから世の中は危険を感じるだろうという趣旨のことをおっしゃっておられるのかなという感じがいたします。
 ただ、先ほど私、何度も申し上げていますように、この法案の、組織的犯罪処罰法六条の二の第一項の計画は、組織的にやる必要ないんですよ、二人以上ですからね。自然人二人以上ですので、組織的犯罪集団が計画しではないので、ちょっとこの答弁は条文と合っていないんじゃないかなという感じがしますね。
 もう一つの御質問、この共謀罪は固有の保護法益はなくて、専ら計画した犯罪によって保護される法益の保護に資するというのは、これは要するに計画された犯罪、例えば組織的な殺人罪が計画されたのであれば、その共謀罪の保護法益は殺人罪の保護法益である人の生命である、それから計画されたのが窃盗罪、万引きであるというのであれば、人の財物に関する権利ですね、これが保護法益であるというふうに、計画された犯罪ごとに保護法益は全部違うんだということをおっしゃっておられるんだと思います。
 ちょっと余談ですけど、ただ、この総体として見ると危険ということを言いながら、計画された犯罪の法益が保護法益だと言うと、例えば殺人考えてみますね。組織的殺人罪で、ある一人の人を組織的に殺すということを考える場合に、保護法益はやっぱり一人の人の生命なんですよ。そうなると、一人の人の生命が危険にさらされているという点では、これは組織的犯行であろうと単独犯であろうと具体的にどこまで進んだかによって変わるだけでそんなに変わりませんので、ちょっとこの答弁には矛盾があるんじゃないかなと私は感じています。
 例えば、ヨーロッパの結社罪型のように、犯罪をやるぞと社会に公言して結社をつくる、結社をするというようなことが社会の安全に対する公共危険犯であるという理解をするのであれば、総体としての危険というのも論理的に一貫してくるんですけど、そうじゃなくて、計画された犯罪ごとに法益は違うんだというのであれば、総体としてというのは余りよくないんじゃないかと、論理的に一貫していないんじゃないかなという印象を受けています。
#46
○山添拓君 ありがとうございます。
 続いて松宮参考人に伺いますが、先ほど来、今度の法案で対象の罪を二百七十七としたことについて、これは絞り込みがされたんだという評価もありますけれども、一方で、これでもまだいろんな恣意的な判断の結果だということもあります。その中で、先ほど松宮参考人からは、本法案はTOC条約を文字どおり墨守する必要はないという立場を示したものだという話もありました。
 そこで、TOC条約の五条の一項では、合意罪を選択する場合に、合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴うものとすることができるんだと、こういう規定になっているかと思います。日本には既に陰謀罪がある罪もありますし、あるいは現行法の予備罪の共謀共同正犯という考え方もあるわけです。こうしたものがこの条約上も許容されるオプションといいますか選択肢に当たり得ると考えることができるでしょうか。その際に、予備罪として処罰していない犯罪類型はもちろんあるわけですけれども、そのことについてどのように見ればよいでしょうか。
#47
○参考人(松宮孝明君) 私は、予備罪の共謀共同正犯と、予備行為を、処罰要件としてですが、共謀処罰するということとは、実質的にほとんど違いはないと考えています。以前、衆議院の法務委員会で井田参考人が、現行の予備罪については未遂に近い、より危険性の高いものに限って処罰しているとおっしゃったんですが、これはそうしないと証拠がはっきりしないからでして、論理的に予備罪の成立範囲がそこまで限定されているという意味じゃないんですよ。ですから、これは実質的に同じです。
 問題は、現行法で予備段階がまだ処罰されていないものに関しては、共謀罪をつくればその段階の行為が処罰されるようになるという点で違いは出てくる、確かにそうなんですね。しかし、問題は、じゃ、実際上、例えば国際協力の関係で、薬物にも予備罪ありますからね、日本で予備罪処罰がないものについても、例えばコンスピラシーで日本に逃げてきた人物の捜査や引渡しに協力してくれというふうに言われたときに、予備段階だからそれができないんですよというのが一体どれくらいあるのかということなんですね。
 実際は、アメリカでもそうですけど、あそこは手続がうるさい国ですから、客観的に間違いない、証拠があるというのでないとコンスピラシーも適用しないので、実際には実行までやっています、もうほとんど。ですから、引渡しに困難を来すということは私はまずないと思っております。
 他方、西村参考人がおっしゃったことなんですが、TOC条約五条一項(a)を実は現行法も、現行法じゃないですね、法案でございます、今回の法案も文字どおり墨守していないというのは二百七十七に対象犯罪を絞ったことから明らかです。これは一方で、例えば会社法にある取締役の収賄罪のような、TOC条約が狙いとしているそういう腐敗がなぜか今回の共謀罪法案では対象犯罪から落ちているという点で恣意的だという疑問を引き起こしているんですが、見方を変えれば今回の法案はTOC条約の条文を文字どおり墨守する必要はないよねということを明らかにした法案なんですよね。
 ですから、済みませんが、西村参考人の言っていることは私は当たっていないなというふうに思っています。
#48
○山添拓君 最後に、松宮参考人に伺いますが、共謀罪のこの法案の法定刑は、罪によって五年以下の懲役又は禁錮、あるいは二年以下の懲役又は禁錮、こういう一律の法定刑になっています。そのことによって現行の予備罪などとの整合性が問題として指摘されるケースがありますけれども、この点について御意見をお聞かせください。
#49
○参考人(松宮孝明君) 先日の本会議だったと思いますけれども、政府特別補佐人の横畠氏が、例えば殺人予備罪より組織的殺人共謀罪の方が五年以下の懲役になって重くなるのは矛盾かと聞かれて、これは組織的にやっているから矛盾じゃないと、先ほどの御質問にあるような、総体として見ると危険という考え方を取っておられると思いますけれどもね、というふうな答弁をされたんですけど、他方で、大麻取締法なんかを見ますと、実は現行法の予備罪の方が三年以下の懲役で、共謀罪の二年以下の懲役、法案の二年以下の懲役より重くなるというケースも幾つかあるんですね。これは横畠氏の答弁からすると全く矛盾でして、組織的だから重くすべきはずが逆に軽くなるという、多分裁判所というか、実務はこれ混乱すると思います。
 同じような問題は幾つもございます。先ほど申し上げました傷害罪は、傷害結果を起こしても罰金で済む場合もありますのに、共謀罪では罰金の選択肢がないとか、あるいは懲役刑しかない罪の共謀がなぜか禁錮で処罰できる、禁錮刑しかない罪の共謀がなぜか懲役でも処罰できるという法案になっているということですね。
 法案の作り方としてかなりずさんじゃないかというのが私の率直な印象でして、これはもっともっと詰めなければいけないものをこのまま通してしまったら、多分実務も大混乱に陥るだろうというのが私の見方でございます。
#50
○山添拓君 どうもありがとうございました。大変参考になりました。
#51
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 今日は、お三人の参考人の方々、本当にお忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。
 まず、私の方から質問をさせていただきたいと思います。
 今回のテロ等準備罪でありますけれども、このテロ等準備罪について、やはりテロ等準備罪に係る事件の捜査の段階で一般人が捜査の対象となる可能性はこれ否定できないというふうに思いまして、また、テロ等準備罪においては行為者の内心が重要な問題となって、捜査手法として被疑者取調べが重要となることが考えられる、その中で自白強要のおそれがあると。
 そんなことを鑑みて、テロ等準備罪の被疑者についての適正手続の保障を図るために、テロ等準備罪の被疑者の取調べについて可視化の対象とすべきだというふうに考え、是非、被疑者取調べの可視化の対象犯罪としてテロ等準備罪を追加すべきだということを我々主張させていただいたわけでありますが、その可視化について、これ世界の諸外国を見ましてもやはり可視化というのは当たり前になってきているというふうに考えますし、日本の中では僅か二・八%にしかすぎないというふうに考えております。
 その可視化について、それぞれの先生方から御意見をいただけたらと思います。最初に松宮参考人の方から御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
#52
○参考人(松宮孝明君) きついこと申し上げますよ。可視化は、別にテロ等準備罪、共謀罪についてのみ問題となるのではなくて、全ての犯罪について取調べの適正化のために検討すべき課題でございます。これを今回の共謀罪の法案の修正だというふうにおっしゃること自体が既におかしいと。共謀罪の実体要件自体の修正とは何ら関係がない。なぜそんなことを評価しろとおっしゃるんですかと聞きたいぐらいです。
#53
○参考人(新倉修君) 何か松宮参考人は怒っていますけれど、和やかにお話ししたいと思います。
 私は、可視化全般についてやっぱりもっと進めるべきだというふうに思います。可視化だけではなくて、これはもう指宿参考人も維新の会の推薦でそういう御見解述べたと思いますけれど、いろんな捜査手法が進展している中で、そういうことをもう少し配慮すべきじゃないかと。
 特に、可視化も、ただ録音、録画をすればいいというだけじゃなくて、やっぱり弁護人をちゃんと付けるとか、それから被疑者だけではなくて、参考人とか証人とか、そういう人についてもきちっと付けるとか、そこまでやらないと可視化としては十分じゃないわけですよね。
 ですから、何といいますか、修正としてこれを入れるから本体を通しましょうというふうな御議論の立て方だとすると、私も松宮さんと一緒に怒り心頭にならざるを得ないですけれど、可視化は必要ですかという一般的な質問ですと、可視化だけでは十分じゃないけれど、まあないよりはましじゃないですかというふうに考えているのは私の見解でございます。
#54
○参考人(西村幸三君) 昨年、新しい刑事司法制度の改革がされたときに、法曹三者で恐ろしいほどの激論とやり取りが、長い間、法制審議会で展開されたのは、私の記憶にも残っております。
 正直、その議論はある程度私も読んでいたんですけれども、余りの途方もなさと、それこそ法曹三者のもう本当に多分トップレベルから詰めて詰めて、膨大な議論と調整をされた結果が昨年のあの結論、可視化の結論だったのかなというふうに思っております。いろんなほかの制度との関係もあったと思います。
 率直に言いまして、あの重さというのは、私には、とてもじゃないんですけれども、そこから思い付きで、私の考えでどう動かしたらいいのかということをここの場で申し上げるだけの識見が私にはないなというふうに考えております。済みません、抑えめな答えですが、この程度の答えとさせてください。
#55
○東徹君 ありがとうございます。
 じゃ、西村参考人にお伺いをしたいと思いますが、先日のイギリスでの、マンチェスターでのテロ事件とか、世界でもいろんなテロ事件が起こっておりますし、そしてまた、日本におきましては、もちろんその危険性もありますが、先ほどおっしゃっていた振り込め詐欺とか、そういったものもあります。
 今回のこの法案についてですけれども、そういった犯罪の抑止力効果というのはあるのかないのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#56
○参考人(西村幸三君) 共謀という、計画ですね、極めて早い段階で現実に摘発ができるかと言われると、そんなことできるのという意見が当然出るのは当たり前で、実際それはなかなか難しいことははっきりしていると思います。
 ただ、要は、いわゆるテロ等準備罪、共謀罪は自首減免規定を置いていて、積極的にそれを知った人が通報してきて、言ってみたら一種の内部告発のようなものですけれども、それを奨励しているわけですね。つまり、情報提供を、そういう内部のたまたま知った人から共謀段階で受けることによって、それで情報を取得しようというある意味意図がある。これは結構予備にもそういうものがありますので、現行のですね、そういう立て付けになっている制度だと思っております。
 つまり、そういう内部の情報をまず取れる環境をつくると。これは実は振り込め詐欺でも、刑事弁護人をされている先生なんかが言われるんですが、出し子、受け子と言われている末端の人が、やっぱりこんなことして家まで行って受け取ってきたけど、もう二回目は嫌だといって警察に自首してくるという事例はやっぱりあるそうです。既遂はしているけれども、次の段階では、要は準備ですよね、そういう意味では効果が、もちろんそんなものはないといえばないし、あるといえばある。
 もう一つ、外国からの情報提供が積極的にどんどん外交ルートじゃなしに早く受けられるというのは、外国の捜査機関は、もうこれは明らかに外国で共謀してから日本に来ていますよという情報が直前にやってくる可能性はあるわけです。こいつとこいつは明らかにやっていますという情報が来れば、それはもう捜査に入れる。これは組織的犯罪集団ですよ、そこの資料を送りますと言われれば、日本は捜査に入れる可能性がある。でなければ、外国人旅行者として入り込んできたテロリストを現実に、そんな、わざわざどうやって調べるんですかという。
 ですから、ほとんど無理な話で、まさに内部者の情報あるいは外国からの情報をスムーズに取れるための制度ではないのかなというふうに私は考えております。
#57
○東徹君 予備の前段階で取り締まっていくというのはなかなか本当に難しいんだろうというふうに私も思うわけですけれども。
 そのテロ等の準備罪の犯罪のうち最も危険性の高い、本当にテロに近いような犯罪なんかにおいては、通信傍受なんかもなかったらこれ取り締まれないんじゃないかなというふうに思ったりするわけですけれども、通信傍受についてはどのようにお考えでしょうか。
#58
○参考人(西村幸三君) 現実に、少なくとも現行法制ではできませんね。それはもうはっきりしていることで、できないというのが当たり前ということにはなると思います。
 例えば、振り込め詐欺にしても、いわゆる組犯法二条によって、反復して行われているから既遂犯として通信傍受するはずですね、と思います。だから、別に共謀罪で、テロ準備罪で通信傍受するわけではないはずです、反復されて行われているケースは。そういう意味では、なぜテロ準備罪で通信傍受というのが、実は私は非常に疑問で、余り考えられないし、そもそも既遂の部分を十分に通信傍受できていない日本の現状で果たして余りそういうことを、懸念として表明されることはよく分かるんですけれども、ちょっと私は余りイメージが湧かないというのが感想です。
#59
○東徹君 ありがとうございます。
 新倉参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 先ほどTOC条約の締約国会議のお話なんかもありました。TOC条約の加盟国の中には北朝鮮もありまして、これはもう一年前に北朝鮮が締約国になっておるわけですけれども、北朝鮮の最近の情勢を見たときに、本当に北朝鮮がこのTOC条約に加盟していて、これ、本当にこういった捜査共助とか犯人の引渡しとか、そういったことができる国なのかなというふうにも思ったりするわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#60
○参考人(新倉修君) それは外交の問題に絡みますよね。だから、実際にできるのかということと法的に可能なのかって、ちょっと訳が違うんですよね。条約に加盟すれば、さっきから西村参考人が言っているように、外交ルートではなくて、要するに捜査機関同士で情報のやり取りとか協力関係を築ける、これはメリットだという話になっているわけですよね。だから、北朝鮮であっても、そういう必要性があればできるようになる。それに対して相手が本当に応じるのかとか、相手から来たのを是非、何といいますか、対応しなきゃいけないのかということであれば、それはそれぞれの国の、何といいますか、関心とか利害ということを考えて、応ずるかどうかというのはまた別の選択肢が残されているわけですよね。
 だから、お尋ねの趣旨が私よく分かりませんけれど、日本がだから孤立するんじゃないかということを懸念しているような御発言だとすると、その懸念を払うためにはTOC条約に早く加入すればいいわけで、国内法を整備するまではちょっと待とうというのはむしろ逆効果ではないかというふうに私は思います。
#61
○東徹君 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#62
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、参考人の皆様には大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、松宮参考人にお伺いをしたいと思います。計画罪とそれから中止犯との関係についてであります。
 現行法上、刑法の窃盗罪については予備罪が設けられていませんので、窃盗することについて共謀しても、共謀した者のうち一人以上の者の行為が予備行為にとどまって、そして窃盗の実行の着手にまで至らなかった場合には、これ、不可罰となりますね。今回の法案では、窃盗罪も二百七十七の対象犯罪に含まれていますので、窃盗について計画をし、そのうちの一人が準備行為をすれば二年以下の懲役又は禁錮の刑が科されるという、そのような理解でよろしいでしょうか。この点についてどうお考えか、お伺いいたします。
#63
○参考人(松宮孝明君) 刑事局長の答弁の中に、実行の準備前、準備行為前にやめたのであれば適用はないですよというお話があったかと思うんです。しかし、今の御質問は、準備行為がなされたが実行の着手に行っていないという段階ですよね。それは、もちろんこの法案の条文そのまま読めば、二年以下の懲役で処罰できるということになりまして、刑の免除の可能性がなくなります。
#64
○糸数慶子君 窃盗について共謀した者のうち一人が実行に着手した後にその行為を中止すれば、窃盗の中止犯として刑法によって必要的に刑の軽減又は免除となるわけですね。ところが、本法案によりますと、その場合には既に窃盗の計画罪が成立していますから、自首しない限り刑の軽減又は免除を受けられなくなるということですね。
 先ほども伺いましたけれども、政府の答弁で、計画罪は独立罪ではなく本犯に吸収されるということでした。そうであれば、窃盗の共謀をして実行に着手して中止した場合に、窃盗の計画罪は窃盗の未遂罪に吸収されることになるわけですね。窃盗の共謀をした場合には実行に着手してから中止した方が有利に扱われることになるわけですが、これは中止犯に恩恵を与えてできるだけ犯罪の既遂に至らないようにしようという刑事政策的な観点から見ておかしな結論になるのではないかというふうに思いますけど、松宮参考人はどのようにお考えでしょうか。
#65
○参考人(松宮孝明君) 御指摘のとおりだと思います。少なくとも条文上はそうなりますので、実行に着手して中止した方が刑の免除の可能性が出てくるというおかしなことになります。
 他方、先ほど私、凶器準備集合罪の例を挙げたんですけど、凶器準備集合罪は法案審議段階ではその後の傷害罪などに吸収されるのではないかという議論があったんですが、裁判所は独立罪だという解釈を取りましたので、国会でそのような答弁がなされても裁判所がその答弁どおりに解釈してくれるという保証はありません。
#66
○糸数慶子君 刑法の傷害罪には、この未遂犯を処罰する規定はありません。したがって、傷害行為をしようとして実行の着手をした者がその行為を中止した場合には傷害罪は不成立となり、不可罰となります。ところが、今回の法案では、傷害罪も二百七十七の対象犯罪に含まれているので、傷害行為をすることを計画をして、そのうちの一人が実行の着手をした後に中止した場合にはこの傷害の計画罪が成立し、自首しない限り刑の軽減や免除を受けることはできず、五年以下の懲役又は禁錮の刑が科せられるということになるわけですが、この点について改めて松宮参考人の御見解を伺います。
#67
○参考人(松宮孝明君) それも御指摘のとおりです。例えば、暴行によらない傷害、薬物などによって身体障害を引き起こそうとして薬を盛ったが、直前に全員で反省してやめたと、組織的に行ったけど全員反省してやめたというような場合について、もちろん傷害未遂罪がございませんので中止未遂規定もございませんが、共謀罪は残りますから五年以下の懲役であって刑の免除の可能性はないということになります。
#68
○糸数慶子君 計画罪の対象犯罪であるこの二百七十七の罪の選別に当たってこのような不都合が生じないかどうかという点について、松宮参考人はきちんと検討されたというふうに思われるでしょうか。
#69
○参考人(松宮孝明君) 今御指摘いただいた点については、少なくとも法案を読む限りきちんと検討されているとは到底思えません。
#70
○糸数慶子君 ただいま四点について伺ったわけですが、伺った以外にも、この計画罪と中止犯との関係で補足することがもしありましたら、計画罪と、一昨日、罪数関係についても質問したんですけど、御意見がございましたらお伺いをしたいと思います。
#71
○参考人(松宮孝明君) 裁判所を含めてきちんと実務を拘束するのであれば、そのルールは全て法律に書くべきです。したがって、罪数関係についてどうなるかということについての明記が法案には必要でしょうし、実際に結果を起こすまでに全員が中止をしたというような場合について有利な取扱いをするということを明記しないと、犯罪を反省してやめさせる、中止させるという刑法の中止犯規定の趣旨が没却されてしまいます。
 したがって、例えば、例えばですよ、私、それ賛成しているわけではありませんが、この法案の中に、当該犯罪の既遂に至るまでに中止した場合については刑を必要的に減免するというような規定も当然考慮されてよかったのではないかというふうに考えております。
#72
○糸数慶子君 それでは、新倉参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどもお話がございましたけれども、国連の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏の公開書簡のコピーの件なんですけれど、これ、安倍晋三首相に宛てた五月十八日付け書簡におきましては、これ国連人権高等弁務官事務所と明記されて国連のホームページで公開されています。この共謀罪法案について、やはり計画や準備行為の文言が抽象的で、恣意的に使用される懸念があり、プライバシーや表現の自由に関し国連の国際人権規約に抵触するおそれがあるというふうに指摘をされた内容であります。
 この書簡に対して日本政府は、外務省を通じて抗議をした上で、三十日には、国連の見解ではない、誤解に基づくというふうに考えられる点も多いとする答弁書を閣議決定をしております。
 安倍首相も参議院の本会議で、著しくそれはもうバランスを欠き、客観的であるべき専門家の振る舞いとは言い難いというふうにケナタッチ氏を個人的に攻撃をしておりますけれども、改めまして、やはりこのケナタッチ氏、日本も理事国を務める国連人権理事会から任命された特別報告者であります。このことに対して、日本の今の対応に対する状況は国際社会で通用するかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
#73
○参考人(新倉修君) 通用するかと言われれば通用し難いと。しかし、国際社会というのはやっぱり外交ですから、面と向かって面罵するとか手袋を投げ付けるなんということは、これはもう戦争を覚悟しなきゃできないわけですよ。そういう意味では、にこにこ笑いながらテーブルの下で足を蹴り合うという例え話がありますけれども、そういうふうに微妙な関係ですよね。
 だけど、やっぱり日本のやっていることは大国としてはふさわしくないといううわさといいますか評判といいますか、そういうのは、もう特に国連の職員はそういうことを非常に、マナーがいいからそういうことをめったに口にしませんけれども、国際活動をやっているNGOの間では、日本のやっていることは非常に、何といいますか、不誠実というふうに受け取られちゃうわけですよね。
 これはこの委員会でも多分出た話だと思いますけれども、本会議で出た話かもしれませんけれども、要するに、日本が人権理事国に立候補するときに、特別報告者には協力するということをちゃんと誓約しているわけですよね。にもかかわらず、それを忘れたかのように特別報告者なんというのは眼中にないみたいな発言をするということは、これはもう言動不一致の最たるものでありまして、そういうことはやっぱり余りよろしからないというふうに私も思います。
#74
○糸数慶子君 今、ケナタッチ氏だけではなくて、アメリカの弁護士のローレンス・レペタ氏も、実は今回提案されている法案というのは、読んで分かる以上に深刻な問題をはらんでいるというふうに指摘をされています。
 私は、先日のこの委員会におきまして安倍総理に御質問いたしました。実は、辺野古の基地の座込みをしている反対運動をしている人たちは、実際にこの法案、共謀罪の対象になるのかどうかということを伺いましたら、これは地域の負担軽減と自然環境の保全が目的で、一定の重大犯罪等の実行を目的に構成員が結合しているとは考え難いので、このテロ等準備罪は成立しないというふうにおっしゃっているんです。
 でもしかし、現実には、そういう思いを持って運動している沖縄の山城博治さんが、実は百五十日以上も不当に逮捕、拘束をされたという、そのことがありまして、今回、国際人権規約の第九条で、この問題に関しては恣意的な逮捕と長期勾留を禁じていることに反するのではないかということで、山城さんは今月六月、実際に国連、スイスのジュネーブに行ってこのことをきちんと訴えることになっておりますけれども、この件に関して今のこの法案、本当に私たちに与えられた憲法で保障された内心の自由、あるいは一般の市民がこうやって活動することを規制をすることに大変大きな危惧を持っているんですけれども、この山城さんの今回の国連で訴えることに対する御感想、ありましたらお伺いしたいと思います。
#75
○委員長(秋野公造君) 新倉参考人でよろしいですか。
#76
○糸数慶子君 新倉参考人に伺います。
#77
○参考人(新倉修君) 訴えることはもっともだと私は思いますし、私がもし彼の立場だったら私も同じことを多分しただろうというふうに思いますね。
 もう少しはっきり言えば、やっぱり、こういう問題であれだけ長期に人身拘束するというのは、国際社会のルールからいうと、とても信じられないというか、とても野蛮だという評価になるわけですよね。そういうことはできるだけやっぱり国内で防ぎましょうということで、国連ではパリ原則ということで、国内の人権機関でそういう人権侵害がないことをちゃんとチェックしていらっしゃいと、国内での救済手段が尽くされてどうしても解決付かないときには国際社会がそれを引き受けるから、個人通報制でそういう国際人権条約に関する履行審査委員会に訴えてくださいと、そういう仕組みを持っているわけですよね。そういう仕組みを日本はもうあえて、そんなもの日本には要らないという態度をずっと取り続けているわけですよ。
 そういう中で、実際こんな人権侵害ありましたということを日本人が行って国際社会で言ったら、これは日本政府としては一体どういう、何といいますか、顔をしたらいいのかという非常に深刻な問題なんですよね。だから、そういうやっぱり、何といいますか、人権侵害があってもいいんだというような、言わんばかりの態度はやっぱり改めるべきじゃないかというふうに思います。
#78
○糸数慶子君 時間になりましたので終わりにしたいと思いますが、今おっしゃっていただきましたように、やはり米国の警察の方でも、仮に逮捕しても、この程度の山城さんのような軽微な罪であれば、その日のうちに釈放してもいいというふうにおっしゃられています。そういう意味で、今の御答弁に大変心強く思います。
 以上です。ありがとうございました。
#79
○山口和之君 無所属の山口和之と申します。
 今日は、最後です。本日は貴重な意見をありがとうございました。最後ですので、確認の意味を含めて質問したいと思います。また、最後にそれぞれ物足りないところ、これだけは言っておきたいところというのをお聞きしますので、反論でも結構ですし、参考人同士の反論でも結構ですし、言っていただければと思います。
 それで、まず一つ目なんですけれども、心配する方々の声の中には、戦前から、治安維持法の再来ではないかという声もあったりもします。本法案にそのような危険性があるのか、それぞれの意見を伺いたいと思います。西村参考人から。
#80
○参考人(西村幸三君) 私は、冒頭での意見陳述でも申し上げましたけれども、それは極論ではないですかと。これだけ謙抑的に、リベラルに作られた法律に対する評価としてはちょっと極論の表現ではないのかなというのが私の意見です。
#81
○参考人(新倉修君) 破防法、破防法じゃない、治安維持法というのは、国体の変革と私有財産の否認という、そういう目的で行われるような様々な活動を全部抑え付けるという法律だったわけですから、そういう法律の本来の目的というところでいうと、今回の法案というのはそういう目的持っていないわけですから、それと同じだというふうには思えないわけですよね。
 だけど、機能としては、普通の人のやっぱり日常的な活動に対しても監視の目を光らせるとか、あるいは社会的な活動として行われるいろんな社会集団活動に対する規制というのが強まることは確かなんですよね。それをチェックするような仕組みは非常に乏しいわけですよ。それが特別報告者の懸念として表れているわけです。
 だから、こうだと決め付けているわけじゃなくて、こういうおそれありませんかと、大丈夫なんですかという心配をされているわけですから、それを心配無用だというふうに言うのはやっぱりおかしいと思いますし、そういう点で十分良識の府として議論を尽くしていただきたいというふうに私は思います。
#82
○参考人(松宮孝明君) 私は以前に、治安維持法の再来あるいは現代の治安維持法ということをどこかで書いたことがございますが、実は内心では治安維持法よりたちが悪いと考えております。
 なぜたちが悪いかというと、治安維持法は、新倉参考人がおっしゃいましたが、一応、国体の変革等、対象者を条文上は絞っているんですよ、それはもちろん思想、信条の自由に反するんですけれども。今回の共謀罪法案は、対象者をそういう点では思想、信条で絞っていないんですね。その代わりに二百七十七、これは全刑法犯でいうと八〇%を超える犯罪です、それをカバーできるということですので、逆に言えば誰でもこれによって対象にできるということなんですね。
 先ほど私申し上げましたように、計画自体は組織内の人間である必要はありません、この条文の体裁、立て付けでは。ですので、誰でも対象にできるということに加えて、先ほど指摘しましたけれども、現行通信傍受法三条一項三号に、既に「長期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が別表第一又は別表第二に掲げる罪と一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯され、」云々という条文があるんですよね。だから、この法案がこのまま成立してしまうと、通信傍受法の対象犯罪にすぐさまなり得るんです。
 そこに、御存じと思いますが、元CIAのスノーデン氏の警告がございます。Xキースコアというのが既に日本には提供されているというふうに指摘をされています。これは治安維持法時代より、よりたちが悪いと。スマートフォンですね、これにソフトを忍び込ませて全ての会話を傍受できるという装置がもう整っているんだということまで言われているときに、法律自体に明確に、クリアに、この範囲しか対象にしません、間違いなく犯罪だというものしか対象にしませんということが書かれていない。いや、この法律は明確で、自由を保障するというそういう内容の趣旨で書いたんですよと幾ら答弁しても、言葉が大事です、法律は言葉が命ですから。この言葉自体からは何とでも取れるというような言葉で法律を作れば、それは濫用の懸念があると。濫用の懸念があるものを立法段階でチェックせずにそのまま通してしまったら、それは濫用がされます。
 したがって、治安維持法とは質が違うけれども、やはり治安維持法の再来であるという懸念は現実に存在するというふうに申し上げておきます。
 以上です。
#83
○山口和之君 また確認になりますけれども、法律は、立法事実に裏付けられた必要性があること、そしてそれに加えて、法制度全体や社会状況から見て相当性がある場合でなければ制定することができないというふうになっているはずです。今回の法案の必要性、相当性について、それぞれの御意見を伺いたいと思います。
 それで、松宮参考人からお願いしたいと思います。そして、最後に西村参考人のところでは、それに対する反論等がありましたら、それも伺いたいと思います。
#84
○参考人(松宮孝明君) 必要性でございます。
 誤解のないように申し上げておきます。TOC条約に加盟するために何らの法改正も必要ないと私は一言も申し上げておりません。しかし、この法案、組織犯罪処罰法の六条の二にある共謀罪の規定は要らないだろうというふうに申し上げております。それから、併せて言えば、七条の二にある証人等買収罪についても、もっと慎重な規定の仕方が必要だというふうに申し上げました。
 さらに、より日本の刑事政策的な課題として、死刑問題をどうするかということに正面から向き合わなければ日本に対する国際協力が得られない、重大犯罪においてね、凶悪犯罪、重大犯罪において日本に対する国際協力が得られないというおそれが非常に高いということも申し上げました。それが私の法改正に関する何が必要であるかということについてのお答えです。
 それから、相当性でございます。
 西村参考人が先ほどおっしゃいましたように、先進国には共謀罪又は参加罪を持っている国がほとんどですけれども、しかし、もう一つ注意しておかなければならないことは、得られた捜査情報を開示させて国民の側からそれをコントロールするためのプライバシー保護のための法制もまた日本よりも先進国は優れたものを持っているということです。
 今回のケナタッチ氏の書簡などで触れられているのも実はそういう問題なんですね。人権保障ということを考え、ある法案を作るということについて言えば、懸念があるのであればその法案を作らないか、あるいは限定して作るか、あるいはそれと併せて人権を侵害しないような、それを保障するような法制度を作るか、そういうものを含めてトータルとして提案しなければならないというふうに考えております。その点では、今回の法案にはそれがありませんので、立法としてもやはり相当性を欠くものというふうに考えております。
 以上です。
#85
○参考人(新倉修君) 必要性ということでいえば、条約の批准のためにこういう法律が必要なのかといったら、私はノーだと。今すぐでも、駆け込みでもいいから加入書を持ってニューヨークへ飛べばいいわけですよね。その後で会議で、いや、日本は全く手ぶらで入ってきた、これはけしからぬと言われたら、堂々と議論すればいいわけです、そこでね。
 恐らくこれだけ厳重なものを作っている国はないわけですから、でかしたね、すごいねとかいう話になるのか、いや、そこまでやる必要はないんじゃないですかという話になるのか、それはもう国際社会の評価を待てばいいわけですよね。
 それから、相当性といえば、必要性がないのに相当性があるわけないわけですから、当然これもノーと言わざるを得ないと。
#86
○参考人(西村幸三君) 必要性について、TOC条約の履行が目的であるということは、これははっきりしたことで否定はできない、その必要性は否定できないと思っております。
 ここまで混迷を重ねてきたのは、やはりできるだけ誠実にこの条約の導入をしたいという政府、外務省、法務省のスタンスがあっただろうと思います。それ自身は国際法、条約の誠実遵守義務、憲法ですね、当然公務員ですから義務は負うわけでして、非常に真面目さを感じます。それが、最後、その立法事実面から組織的犯罪集団という絞り込みが、結合の基礎となるような共同目的というところまで絞り込んで、更に準備行為まで絞り込んで、それで大分罰条を絞り込んできた。これが絞り込み過ぎているところと絞り切れていないところがもしかしたらあるのかもしれません。それは当然、学説上絶対に、どんなに法務省が言っても、裁判所が言っても、当然反対説はあります、必ずあるので。ただ、それはここまで来たら、最後はもう司法のチェックだろうと思っております。
 それに、組犯法はそもそも、平成十一年の制定の際に、市民団体とか労働組合への適用を厳に慎むということをその附帯決議に入れております。ある意味、政府がうかつなことをすれば、もう国家の、政府の信用自体が損なわれる。それこそ元厚生労働次官のようなことになりかねないと思っております。ですから、政府も当然慎んで法運用をしていかないといけない。
 ただ、必要かと言われれば必要だと思っております。TOC条約レベルで導入することは相当だと思っております。
#87
○山口和之君 ありがとうございました。
 一人一分ぐらいしか残っていないんですけれども、最後に言い残したことを、松宮参考人の方から先に言っていただきたいなと思います。
#88
○参考人(松宮孝明君) 本日の私の意見陳述の趣旨をよく御理解いただければ、西村参考人のおっしゃっているような十分な絞り込みができていないということはよくお分かりいただけるだろうということを最後に申し上げておきます。
#89
○参考人(新倉修君) 私は、さっきも言いましたけれど、条約の批准が先決であって、その条約にどういう立法義務が課せられているかということについてはよくよくやっぱり慎重に考えて事に当たったらいいわけですよね。元々の原案が作られた二〇〇二年の法制審議会の議論というのは、立法事実は何ですかと言われたら、その条約を批准することです、国内に立法事実はありませんというふうに法務省は言っているわけですよね。そうだとすると、何かこういう国内向けの非常に厳しい法律を作らないと条約は批准できないというふうに考えるのは、そもそもボタンの掛け違いじゃないかというふうに思いますし、そこはやっぱりよく考えて、本当に今立法すべきものは何なのかということを一から出直して考えていただきたいというのが私の希望でございます。
#90
○参考人(西村幸三君) 先ほど言い漏らしましたケナタッチ氏の質問へのコメントを若干補足させていただきます。
 ケナタッチ氏の質問の前提で組犯法の六条の二が書かれておりますけれども、実はこの条文だけ見ても分からないはずなんですね、組織的犯罪集団の定義というのは、現行の二条を見ないと、そこでかなり厳しい継続要件、指揮命令要件、反復要件などが書かれているわけで、それをちゃんとケナタッチさんは見ているんでしょうかというふうに、これが抜けているところが私は非常に疑問です。
 もう一つ、別の箇所でケナタッチさんが、テロ組織に明らかに限定されていると言えないというふうに書かれているんですけれども、どう見ても、冒頭で書かれている英文見ても、オアでくくられているのでテロリストだけを処罰する法律でないことは明らかなはずなんですけれども、その下の方ではテロリストに限定されていないことを批判されていますので、ちょっと十分に本当に理解されているのかなという疑問を感じておりました。ただ、これはケナタッチさんに聞かないと分からないなと思っています。
 以上です。
#91
○山口和之君 三人の参考人の方々が一致していたことは、テロの起きない国にするためにはどうしたらいいんだというところで、やはり日本のブランド、ジャパン・ブランドというのでしょうか、日本の王道、あるべき姿というものはやはりしっかりと受け止めましたので、それはみんなで、皆さんで、みんな全員でつくっていけるように頑張りたいと思います。
 以上で終わります。
#92
○委員長(秋野公造君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時三十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十五分開会
#93
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山添拓君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。
    ─────────────
#94
○委員長(秋野公造君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官高木勇人君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#96
○委員長(秋野公造君) 休憩前に引き続き、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#97
○古川俊治君 では、自由民主党、古川俊治から質問をさせていただきます。
 まず冒頭、本日朝に、昨日、アフガニスタンの首都カブールで爆弾事故が起こって、事件がありまして、九十人が亡くなり、また四百人以上、邦人を含んでおりますけれども、けがをされたという報道に触れました。亡くなられた方に哀悼の意を表し、また負傷された方にお見舞いを申し上げたいと思っております。
 トランプ大統領はこれをテロと一応考えまして声明を発表しているようですけれども、今、ここのところ、先日のイギリスのテロ事件もありましたけれども、大変頻発しているわけであります。こういう状況からお考えいただきまして、国内でも、今ISILからは名指しされている国でもありますし、今後、このテロの防止に関しまして国家公安委員長はどうお考えになっていらっしゃるか、御所見をお述べいただきたいと思っております。
#98
○国務大臣(松本純君) 昨日、アフガニスタン・カブールにおいて爆発が発生し、多数の死傷者が発生したと承知をしております。また、我が国の大使館関係者が負傷したと承知をしているところでございます。
 このような卑劣なテロ行為は断じて許すことができず、断固非難するとともに、犠牲者の方々に心から哀悼の意を表し、負傷者の方々の一日も早い御回復を御祈念申し上げる次第でございます。
 本件の背景等の詳しい状況につきましては現地当局が捜査中であり、警察においては、関係機関と連携しつつ情報収集に努めているところでございます。
 厳しい国際テロ情勢の中、我が国に対するテロの脅威が現実のものとなっているところ、テロ対策に万全を期す必要があります。警察では、警察庁国際テロ対策強化要綱に基づき、水際対策や官民連携の強化、国内におけるテロ等発生時の事態対処能力の強化等の施策を推進しているところでございます。
 こうした取組を着実に推進し、テロ対策に万全を期すよう指導してまいりたいと存じます。
#99
○古川俊治君 ありがとうございます。
 今回、このTOC条約に加入するためのテロ等準備罪、ずっと議論をしているわけでありますけれども、今日、実を言うと、午前中の参考人質疑でもございましたが、あるいはいろんなメディア等でも言われておりますけれども、現行法でも、条約というのはそれぞれの国家が解釈の一応権限があるというふうに理解されておりますので、その上では、現行法のままでも入っちゃえばいいじゃないかと、今日、参考人のお一人もそう明確におっしゃっておりましたけれども、仮に、もちろん我々は、日本は条約の誠実遵守をするということを憲法にも明示しておりますのでそういったことはできないわけでありますけれども、しかしながら、仮に入ってしまったということになった場合には、そこから先はどういうようなことになるのか、お聞きしたいと思っております。
#100
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 国際組織犯罪防止条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂又は既遂とは別に犯罪化することを義務付けておりますが、我が国には現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在しておりません。我が国の現行の国内法では、本条約の義務を履行できてはいないと考えております。
 こうした状況の下で、委員御指摘のとおり、現行法のまま我が国が本条約を締結することは、締結した条約等を誠実に遵守することを必要とすると規定する日本国憲法第九十八条第二項に反することになると考えております。
 その上で、この本条約第三十二条は、締約国会議を設置し、締約国による本条約の実施状況を定期的に検討し、その実施の改善のための勧告を行うこと等を定めております。仮に、我が国が現行法の国内法で本条約を締結した場合には、今後この締約国会議において我が国の法整備が不十分であるとの指摘を受ける可能性があるものと考えております。
#101
○古川俊治君 そうすると、今後、国際的な議論になってしまう。まあ、もちろん、今各国は日本がTOC条約に加入するための法整備をしているということは分かっているわけですから、そういう意味ではこれを詰めなきゃいけないと。仮に入ると、そういう協議体で日本が批判される可能性があるというふうに伺いました。
 今、やはり一つの問題点として、この法整備、テロ等準備罪ができると非常に監視社会になるんじゃないかという話があるんですね。現行法からは刑事訴訟法は変わらないわけですから私はそうではないと思っていますけれども、もちろん捜査には令状を必要とする強制捜査と任意捜査があるということで、その任意捜査というものがどのような実態で行っているかということが非常に皆さんのある意味で不安の対象になっていると思うんですね。
 私は弁護士ですけれども、刑事事件というのは、例えば、医療過誤とか、あるいは国選で出入国管理法違反とか傷害とか、一部痴漢とか贈収賄なんか、そういうのはやったことがあるんですけれども、それは、証拠の証明力を争えるものは経験しておりますけれども、捜査方法を争うということは余りしたことがなかったんですね。
 ちょっと、刑事訴訟法を見ても、令状を必要としない任意捜査の範囲というのは、警察や検察の裁量に委ねられていると考えられる条文が多いんですけれども、講学上、これは学問上という話ですけれども、任意捜査についてもいわゆる捜査比例の原則という原則があると聞いておりますけれども、これはどのようなものであるのか、そして、それが条文上何条に規定されているのか、お答えをいただきたいと思っております。
#102
○政府参考人(林眞琴君) 捜査比例の原則でございますが、これは、その内容といたしましては、捜査は被疑者等の自由、財産その他私生活上の利益に直接重大な脅威を及ぼすものである以上、捜査の必要と人権保障の間には調和が求められなければならず、捜査上の処分は必要性に見合った相当なものでなければならない、こういった考え方をいうとされております。
 こういった考え方に基づきまして、刑事訴訟法の百九十七条第一項は任意捜査の原則を採用しております。一般に、特定の捜査目的を達成するに当たりまして、強制捜査によらず任意捜査によることが可能であると認められる場合には、対象者の権利利益の制約をより小さいものにとどめるという見地から任意捜査を選択すべきであると定めているものと解されております。
#103
○古川俊治君 済みません、条文は、もちろん任意捜査の原則は分かっておりますけれども、捜査比例の原則、それが条文上どうなっているのか、その点についてお願いします。
#104
○政府参考人(林眞琴君) 捜査比例の原則そのものを条文の中で規定しているものはございません。ただ、この捜査比例の原則というものの考え方をこの刑事訴訟法百九十七条第一項は、任意捜査の原則、任意捜査を原則とするという形で採用しているということでございます。
#105
○古川俊治君 その明文がないそういう考え方があるということですけれども、そうすると、その捜査比例の原則に踏み外した、違反したような任意捜査というのは、これは違法になるんでしょうか。あるいは、そういうことを違法とした、認定した裁判例というのはありますか。
#106
○政府参考人(林眞琴君) この任意捜査の限界あるいはその内容としての捜査比例の原則というものにつきましては、これは判例の中ではこの考え方が採用されておりまして、その判例において任意捜査への限界を画するに当たりまして、その限界を逸脱しているとか逸脱していないとか、そういった判示がなされている判例は多数存在します。
 例えば、強盗殺人等の事件の捜査に関して、防犯ビデオに映っている人物の容貌、体形等と被告人の容貌、体形等の同一性の有無という犯人特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手するために行われたビデオ撮影、こういったものについて、当該事件においてはこれらのビデオ撮影は捜査目的を達成するため必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われたものと言え、捜査活動として適法なものと言うべきであると、このように判断を下しているような判例、こういったものは多数ございます。
#107
○古川俊治君 その必要性と相当性というところで多分判断されている、判例法理の中に織り込まれているというふうに伺いました。
 任意捜査の端緒といいますか、行われる場合というのは、基本的には犯罪の嫌疑がある、すなわち一般的には犯罪が行われたと考えられる場合、この場合なんですけれども、一部には、犯罪が起こる蓋然性があって捜査の必要があるというように認められる場合も任意捜査が行われる場合があるというふうに伺っております。
 犯罪が起こる蓋然性があって捜査の必要性が認められる場合というのは、具体的に言うとどういう場合なんでしょうか、お答えいただきたいと思います。例示をしてお願いします。
#108
○政府参考人(林眞琴君) まず、前提といたしまして、捜査というものは犯罪の嫌疑がある場合に開始されます。この場合の嫌疑ということは、これは犯罪事実が存在するという蓋然性のことでございます。したがいまして、捜査というものは、捜査開始以前に発生した過去の犯罪事実、これについて認められるのが通例でございます。これが原則でございます。
 しかし、その捜査の対象、必ずしも事案に応じましては過去に行われた犯罪に限られるものではなくて、個別具体的な事実関係の中で、犯罪が行われる蓋然性が高度に存在して捜査の必要性が認められる場合には、手段の相当性が認められる範囲において任意捜査が許容されるという考え方がございます。
 具体的には、例えば特定の場所で薬物の密売が繰り返されている、このようなことが判明している場合に、薬物の密売を現認してその場で犯人を検挙する、あるいはその場で証拠を確保すると、こういった目的で張り込み捜査が行うといったことがございます。これについては、厳密にはそれは犯罪の発生前ではございますけれども、犯罪の高度の蓋然性というものが認められますので、そういった場合には犯罪の嫌疑があるというふうに考えられまして、捜査の必要性が認められる限度において任意捜査を行うことができるものと解されていると考えています。
#109
○古川俊治君 そういった捜査の必要性が認められるという場合、今おっしゃったような場合というのは恐らくあるんだと思います。ですけれども、現実の適用の場面というのを考えますと、そういった任意捜査をしていっても、テロ等準備罪、いざ本当につくっていっても、実は非常に立証するのは難しいんじゃないかと思うときがあるんですね。
 例えば、今回は、この法律ができて本当にテロ準備罪適用する場合には、その計画というものがしっかり、対象犯罪を実行するための計画というのをちゃんと立証しなきゃいけないと。そして、それに基づく実行準備行為がしっかり行われているということを合理的な疑いが差し挟まない程度にこれ証明しなきゃいけないわけですよね、これは検察側の立証責任がありますから。
 過去に、今現在、予備罪というものがありますけれども、一般的な殺人予備が一番多いんでしょうけど、それでも認知件数が大体年間二十件というふうに聞いております。その中で、やはりほとんど全てが、要するに、ほかの事件で分かったことから偶然にその予備があったということが分かったというような事例ばかりで、実を言うと、それを追っていって見付かった、予備のところで捉えたという事例はほとんどないというふうに聞いているんですね。
 そういう実態、今の殺人予備の場合のそういう立証の困難性あるいは任意捜査の難しさということを考えて、実際、テロ準備罪がどの程度組織犯罪の防止というものに、未然の防止ですね、これに役立つと、そのようにお考えなのか。もし、今後それを高めるためにはどのような方策があると考えていらっしゃるのか、未然に防止する方策ですね、ちょっとこれをお願いをしたいと思っています。
#110
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘のように、テロ等準備罪、これについては、いろんな対象犯罪の結果発生に至るまでの実行着手前の段階、こういう場合での処罰、検挙を可能にするというための犯罪でございます。
 ただ、このテロ等準備罪そのものも、これは犯罪でございますので、この犯罪というものの捜査というものは、先ほど申し上げましたように、その犯罪の嫌疑があるという場合に初めて開始ができるわけでございますので、実際にはそのテロ等準備罪の捜査についても、これは現在行われている他の犯罪と同様の方法で捜査を行っていくということになります。
 その場合に、じゃ、どのような形で捜査が行われるのか。これは、確かにリアルタイムで実行準備行為が行われているところを捕捉するというようなことがないわけではないと思いますけれども、多くの場合は、それは例えば実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で、犯行の手順の記載されたメモのような物証でありますとか、計画についての供述が得られること、あるいはその計画に参加した者が自首したような場合、自首したような場合に、それあるいはその者の情報でありますとか、計画の状況というものを聞いた者からの情報提供、こういったものなどによって、計画の実際の行為、あるいは実行準備行為の存在と、こういったものが明らかになることがあると考えられます。
 こういった、捜査機関におきましたそういった幅広いその捜査の端緒を的確に把握して、このテロ等準備罪について適法な捜査を積み重ねることによって事案の真相を解明していくものと考えられます。
 なお、今回、テロ等準備罪を整備することによりまして、国際組織犯罪防止条約を締結することにおいて情報収集ということのチャンネル、あるいはその活性化が期待されるということでございまして、こういった国際社会からの情報の入手といったことも今回のテロ等準備罪の捜査に対しては生かされるものであると考えております。
#111
○古川俊治君 未然に防止するという話ですから、やっぱり事件が起こって調べていったら偶然分かったということだとちょっと心もとないと思うんですね。
 実際に、本当に捜査でこれをしっかり見付けていくというのは難しいと思いますけれども、例えば、テロを起こした、関与した人がいて、その人が一度処罰を受けて、またそこから、拘束から離れてきて、そして社会に出ていると、それでまた組織に戻っていることが明らかなような場合、そうした場合には恐らく捜査共助ということで国際的に情報が入ってきますから、そういう人間がいるというのであればマークしていけると、そういうことは可能だと思うんですよね。
 ですから、その意味では、是非このTOC条約に加入して、有効にこの捜査共助を使っていただきたいというふうに思います。
 それでは、質問を移しますけれども、ちょっと前回の質問でもこの構成要件については私はいろいろ伺ったところでございます。
 今日はちょっとこの図をお作りして持ってきたんですけれども、今回の、実はひとつ法務省の資料の作り方がちょっと私も良くないと思っています、これ。
 要は、組織犯罪処罰法の審議でありながら、二条一項のところとか三条って抜けちゃっているんですね、これ。見ても出てこない、結局。略になっちゃっているんですよ、これ。こうすると全体像がつかめないんですね、今見ても、ずっと。二条二項になっていますね、改正案、二条一項は略になっているね、これ。それとか、三条のところも略になっているんですよ、一項がね。これだと、本当に構造がどうなっているかというのがつかめないんですよね、全然。だから議論がうまくいかない。六条の二のところばっかり議論に行っちゃうんですよ。
 これ、一応全部どういう構成要件になっているのかと、私も審議のというか部会の途中でよく見ていったら、なるほどなというふうに分かったんですけど、これはいつも資料に書いてないから分からない。
 まず、二条一項で団体というものが定義されているんですね。この団体というのは、共同の目的を有する多人数の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるんですよ。だから、その組織というのが、この一番のちょっと青で書いたところが全体なんですけれども、その中に二番という組織が、これが要はその目的の一部又は全部を実行するためにあるわけですね。
 さらに、その中で、この中には、その今言っているような組織的犯罪集団、これ三のところ、ちょっと赤っぽいところですけれども、ここというのは、団体、二条一項の要件を満たした団体のうちのその結合関係の基礎としての共同の目的が目的犯罪を実行することにあるものというふうに書いてあるわけですね。ということは、ここで構成要件に一定の絞りが入っているわけですよね。中に、その団体のうちということになっていますから。
 そうすると、これは当然、組織的犯罪集団というのも団体なので、団体の中には組織があって、目的又は意思を実行する、実現行為をするための組織じゃなきゃいけないと。この組織というのは、すべからく指揮命令系統があって、そして任務の分担に従って構成員が一体となって活動するということになっているわけですね。こういう構造の上にこのテロ等準備罪というのは新たにここで出てきているわけでありまして、テロ等準備罪の対象というのは、組織的集団の活動として対象犯罪を組織として行うものを計画した場合ということになっているわけですね。
 それで、この構造からいって、私もこの間も申し上げたのは、要はこの一番の目的、団体の目的、共同の目的、これが仮に目的犯罪だった場合、ちょっとここに書きましたけど、目的犯罪の目的又は意思を実行する、実現を全部、一部を継続して行うと書いてありまして、ちょっとここに例としては、目的犯罪A、B、これを共同の目的として行うような団体を考えていただいてということを申し上げて、そして同時に、それがテロ等準備罪の、これも一応目的犯罪A、Bの場合ですけれども、この場合とどう違うのかということをお聞きしたら、そこの答弁がよく分からなかったのが前回だったんですね。
 今回お聞きしたいのは、火曜日の答弁、これいただいたときには、かつての法案においても、その共同の目的というのは結合関係の基礎としての共同の目的というものを意図していたとおっしゃいまして、審議過程で一般人が含まれる等の疑義が出たので今回組織的犯罪集団を新たに定義したもので、その実態は犯罪の実行を共同の目的として有する多人数の継続的結合であって変わらないというふうに、そのように火曜日の答弁ではおっしゃっていると。
 私がちょっと明確にしていただきたいのは、この一番と二番のところですね。このA、B、目的犯罪A、Bを目的とするような団体、二条一項の団体に当たっていて、かつ六条二項の組織的犯罪集団に当たらないというもの、これは、一番と二番です。これ、三番の外にある一番と二番、これ、あるのかないのか、そして、あるんだったらどういうものなのか、それが私はこの二条一項の団体と六条二項の団体の一番の差が分かりやすい事例だと思うんですよ。これはどういうものでしょうか。
#112
○政府参考人(林眞琴君) お答えの前に、先ほどの資料の中の参照条文の方に六条、二条でありますとか三条とかいうものが記載されております。新旧対照表は変わっていないところが略になってしまいますけれども、参照条文の中には記載してございます。御指摘ありがとうございました。
 その上で、この御質問でございますけれども、まず、第三条第一項各号に掲げる犯罪の実行を共同の目的としている団体のうちで組織的犯罪集団に該当しないものというものは、これはないものと私どもは考えております。先般申し上げましたが、元々かつての組織的犯罪の共謀罪の法案の場合には、団体の活動としてということの解釈を通じましてその団体の適用対象は限定されるというふうに説明させていただいたところでございますが、それではやはり団体というものが明文で規定されていないので、限定されていないので、場合によって通常の団体というものが適用対象になり得るのではないかと、こういう懸念、不安、批判がございました。
 そこで、当時も、共同の目的が犯罪の実行にあるということに限定するという考え方、現在の組織的犯罪集団の定義の持ち方と同様でございますけれども、そういったことでの修正案等も出ましたが、その場合に、実は共同の目的が犯罪実行の目的にあるということを表現した場合に、じゃ、その共同の目的というのは何なんだというところでの議論がございまして、そのときには、我々としては、その共同の目的というのは、やはり結合関係の基礎としての共同の目的であると、そういった意味で結合関係の、結合体の構成員が共通として有して、その達成又は保持のために構成員が結合している目的であると、このように説明したところでございます。
 そうしたところ、やはり、それであれば、共同の目的というものの定義を、もう少し、結合関係の基礎としての共同の目的という意味合いで共同の目的を使うのであれば、そのことを法文上明文に書くべきであると、こういった議論がございまして、そのような定義が、経過を踏まえまして、今回、この共同の目的というものを犯罪実行の目的に限定するという形で、組織的犯罪集団の定義を置くに当たりましては、その共同の目的という言葉についても、結合関係の基礎としての共同の目的であるということを明確に今回させていただいた次第でございます。
#113
○古川俊治君 その一、二というのはないということになりますと、要は、共同の目的として犯罪を行う多人数の継続的結合体というのと、団体ではあるけれども結合関係の基礎としての共同の目的が目的犯罪であると。要は、今のおっしゃっていることというのは、要は継続関係の基礎としてのという部分は実際意味がないんだということなんですよね。それは一応分かりやすく説明をすることにしたんだというお話でしたけれども。
 ちょっと、もう一つ伺いたいんですが、これ、私、この議論は、ちょっと今後裁判でこの新条文が、仮にこれ成立した場合ですけど、適用されるときに、しっかりやっぱり参議院というのは基準になるような審議をしておくべきだと思うんですね。今のままではちょっと私自身もよく分からなかったですし、そういう意味では、ちょっとこれ非常に複雑な図を書いた人に申し訳ないんですが、ちゃんと答えていただきたいと思うんですね。
 三条一項、これ三条一項をちょっと書きましたけど、三条の一項には各号が並んでいます。各号に挙げる罪に当たる行為が、団体の活動、団体の活動を定義してありまして、団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものと書いてあるんですよ。それとして、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは罰則が付いているわけですね、重い罰則が付いていると。これは、組織犯罪で危険だからという話なんですけれども。
 そうすると、この三条一項に当たるような団体、これもすべからく組織的犯罪集団になりますね、これは。それは、要するに、言ってみると、三条一項の団体というのは、そういう団体の活動として罪に当たる行為をやるわけだから、組織としてですね。ということは、要は目的犯罪、それはまあ目的犯罪に入っていますよ、重い罪なんで。それを共同の目的とする多人数の継続的結合体なわけですから、当然その三条一項に該当するものも六条二項の一項に該当すると思うんですけど、この点、いかがでしょうか。
#114
○政府参考人(林眞琴君) 三条一項に該当する団体において、その共同の目的が犯罪実行にあるもの、そしてその犯罪がその対象犯罪、別表の中に掲げられているものであれば組織的犯罪集団に該当いたします。
#115
○古川俊治君 そうすると、目的犯罪あるいは三条の一項に該当するような団体というのは、言ってみると、一、二はなくなっちゃうということで、同じだということは分かりました。じゃ、それで多分、しっかり今後も裁判で運用されると思うんですけれども、済みません、成立した場合ですね、と思うんですけれども。
 予算委員会の段階から、ずっと法務省の答弁は、宗教団体とか株式会社というものが一変した場合ということは、ずっとその議論、一変するとこの組織的犯罪集団に該当し得るんだという御答弁をずっとされております。
 株式会社が一変した場合の事例としては、有名な判決ですけど、リゾート会社の販売等を目的とする団体だったものが、実質的に破綻に陥ったのに預託金の名目で金銭を集めたというケースですね、これは平成二十七年の最高裁のケースですけれども。この判決は、会社が一変した場合に、当時の、これ三条一項なんですね、その当時は九号ですけれども、今は十一号になっている、集団詐欺ですよね、に該当するすなわち会社であっても、団体の活動として詐欺罪に当たる行為を組織として実行すると認められる場合があるというふうに、そういう判示をしています。
 答弁を伺っておりますと、その平成二十七年の最高裁の事案というのは、当時の組織犯罪処罰法のこの三条一項九号に該当するものだけではなくて、今回の六条の二が新設されれば、これに該当すると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#116
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘の最高裁の判例、決定につきましては、これはまだ組織的犯罪集団という概念を前提としなくて、現行の組織的犯罪処罰法の第三条一項の中で、その団体の活動として当該行為を実行するための組織に行われた否か、これが議論になった。そして、その場合には、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われたというふうに認定された事案でございます。
 今回、その一変という問題を考えているときには、これは団体の中にも、その団体が違法な犯罪実行目的のもの、これを共同の目的とするものに限られないわけでございますので、当初、そういった正当な、犯罪実行の目的でない正当な団体の共同の目的があったものがいかなる場合にその犯罪実行を目的とした、それが共同の目的になったかどうか、こういったもののところが問題になるところでございますが、最高裁の決定、いわゆる組織的犯罪、現行の組織的犯罪処罰法の三条一項の事案は、そういった判断を要しないで、いきなりこれが団体の活動として当該行為の組織に行われたかどうかということについて、このリゾート会員権の販売を目的とする当該団体については、これは団体に当たり、かつ当該行為を実行するための組織に行われたんだと、このように認定された事案であると考えております。
 そうしますと、御指摘のような最高裁決定の基になった事案について、これが組織的犯罪集団に該当するのかどうか、あるいはその一変ということで組織的犯罪集団に該当しているのかどうかということは、ちょっとお答えすることが困難になってくると思います。
#117
○古川俊治君 これ、午前中の実は参考人質疑でも、要は、一変すると適用されて、普通の団体でもこの組織的犯罪と認められる可能性があるから危険だという意見はすごく多いんですよ。多くの皆さんがこの平成二十七年の最高裁判決を引用しまして、ですからこれは危ないということをおっしゃるんですね。
 私も、これはかなり今回の事案と関連があるから明確にしておかなきゃいけないと思うんですけれども、この最高裁判決は、団体、これ会社は団体に当たると言っているんですけれども、しかしながら、それが要は詐欺をどっとやるようになったから、詐欺罪に当たる行為を実行するための組織により行われたと言うことができると。詐欺罪に当たる行為を実行することを目的として成り立っている組織であるというふうに認定しているんですよね。
 そして、この団体というのは、そもそもが組織によってその目的の全部又は一部を実行するわけですよね。ということは、やっぱり組織が詐欺行為をやっているような団体であれば、それはやっぱりその目的の全部又は一部なんだから、必ず。すると、その団体というのは詐欺行為を目的としていなきゃいけなくなりますよね。そうしたら、やっぱり同じじゃないんですかね、これ。
#118
○政府参考人(林眞琴君) お答えになるかどうか分からないですが、この最高裁の決定は、その団体の中の、団体に当たるかどうかということの中で、そういったものの目的、例えばこのリゾート詐欺、詐欺を、詐欺の目的であることを知っている者と知っていない者がいて、知っていなくてもその団体に当たると、こういうふうに判示したものではなくて、この団体の中に実は反復継続して団体の目的を実行する組織というものがございます、これは組織要件としての組織です。それだけ、それではなくて、そこの部分は最高裁の決定は判断していませんで、実際に詐欺を行う、組織的な詐欺を行うときに、組織により行うことについてのその組織に当たるかどうか、いわゆる犯罪実行部隊としての組織、この組織の方について、そのような組織、犯罪実行部隊としての組織の中にはたまたまその組織について詐欺行為の加担している認識のない者がいたからといって、その組織に当たらないということを言う必要はないと、このように議論されたものでございます。
 したがいまして、団体の中には当然その組織というものが存在しなくちゃいけないんですけれども、その組織の在り方についてこの最高裁決定は言ったものではなくて、当該犯罪詐欺行為がその組織により実行されるという部分、これは組織要件の組織ではございませんで、実際の詐欺行為を行う犯罪実行部隊としての組織、この組織においては、必ずしもその詐欺行為について加担しているという認識のない者がいたからといって、その犯罪、組織的詐欺は成立いたしますと、このようなことをこの判例は判示しているわけでございます。
#119
○古川俊治君 それっていうことは、今伺っていますと、二条一項に言う組織と三条の一項に言う組織は違うということですね。そういうことですよね、今おっしゃっているのは。これ、法律で組織と書いてあるのが、そういうふうに条文を離れて違うという概念なんということってやっぱりあるんですかね。同じ、一緒に読まないとちょっと私もよく分からないんですが。
#120
○政府参考人(林眞琴君) 組織の定義については同じ文言を使っているわけでございますが、今回のまず組織というのは二か所で使われております。
 この二か所といいますのは、一つは、その団体の定義の中に、団体というのは、多数人の継続的結合体であって、その目的の意思を実現する行為の、又は全部の、一部が組織により反復して行われるもの、この場合の組織という形で一回使われております。こうやった形で、その組織によりその目的の行為が反復して行われるという実態がないと、まず団体という認定ができません。
 その団体という認定ができた上で、できた上で、実際に組織的詐欺というものがどういう場合に成立するかということについては、それが、その行為が団体の活動として、その当該行為を組織により行うと、こういった場合の組織というものがございまして、こちらの組織の方は、実際の犯罪、団体の中には幾つかの組織というものがあるわけでございますが、その中で当該具体的に犯罪を実行する場合には、その組織の中の一つが、あるいは複数でもいいんですが、具体的な犯罪実行のときには選ばれるわけでございます。その場合の組織のことでも使われております。
 それで、最高裁決定は、その後者の方、実際の犯罪実行部隊のときの組織について判示したものであるということです。
#121
○古川俊治君 その組織というのは、会社の目的の一部又は全部を達成するための組織ではないということですか。それは二条一項の定義からすると、どういうことになるんでしょうか。
#122
○政府参考人(林眞琴君) 団体の中で、団体を基礎付ける組織要件としての組織という場合については、その目的に沿う目的が必要となります。一方で、犯罪実行の際にそのときにだけ使われる組織というのは存在するわけでございます。そういった場合に、これは臨時的につくられる組織も、それも含まれるということになっております。そうしますと、必ずその団体の目的を持っているかどうかということは、その犯罪実行部隊としての組織の場合には要件とはされていないということでございます。
#123
○古川俊治君 そうすると、この二条一項の言う組織というものと三条一項に言う組織というものは異なってくる場合があるというふうに、もちろん同じ場合もあると思いますけれども、ということですね。
#124
○政府参考人(林眞琴君) はい。それは同じ場合も多数、当然、普通の場合、同じ場合には多いですけれども、臨時的につくられるような組織を使って犯罪、その団体が犯罪実行を行うということはございますので、そういった場合においては重なり合わない部分があり得るということでございます。
#125
○古川俊治君 この法律自体、これは法務省が所管ですから、そういう解釈をするということになればそれが一応規範になっていくと思いますけれども、立て付け全体から見た場合にはそれ非常にイレギュラーな解釈だと私は思うんですけれども、一つ申し上げるとね。分かりました。それを前提にちょっとまた後日これは考えたいと思いますけれども。
 今おっしゃって、ただ、このリゾート会員権の最高裁判決の中では、構成員は団体の中に入っているんですね、これ。ちゃんと入っていた人たちを団体の一員だと認めています。その一員が組織としてまさに詐欺をやっている。もう言ってみると、この団体って、全部が、ほとんど全部の人がそれに絡んじゃっているんですよ、この会社自体がですね。それで、組織として志向してやっているので、ごく一部の人がやっているというイメージじゃないんですね。それで、組織としてやったということが認定されていて、かつ、ただの電話を掛ける人とか、あるいは電話勧誘員とか営業員、これは全然詐欺の目的知らなかったわけですけれども、そういう人たちもこの組織の中に入っていると、団体の中にも入っているということは判示されているわけですね、この判決では少なくとも。
 ですから、そういうことになると、組織でやっていることが団体の目的、二条一項の組織とは違う組織なんだというのは、私はちょっと、この条文、このケースの中ではちょっと考えられないことと思うんですけど、いかがでしょうか。
#126
○政府参考人(林眞琴君) このケースは、まさしく組織的犯罪集団という概念を前提としない、現行の組織的犯罪処罰法の適用に関する判示でございます。この場合に団体と言われていたのは、実態としては会社を意味していたと思います。会社の中に会社員というのがおります。それは、会社が団体であればその会社員はその団体の構成員であろうと、そういうことを前提としながら、しかし、この会社がリゾート詐欺を行うに当たって、実際に詐欺を行う犯罪実行部隊として選ばれたその組織というものを観念したときに、そのときには、たまたまその団体の構成員である者であるけれども、この犯罪実行の部隊としての組織の中にそういった者が入っていたと、そういった者が入っていた場合でも犯罪は成立しますと。
 この場合の成立しますというのは、詐欺をしているという認識のない者、その者については当然成立しませんけれども、組織によりこの組織的犯罪、詐欺、組織的詐欺が行われたということの、その部分で認識のある者については組織的詐欺が成立しますという判示をしたということでございます。
#127
○古川俊治君 分かりました。じゃ、二条一項の組織というものと三条一項の組織というものが違う場合があるという、これを前提として、またちょっとこの点は後日しっかりもう一度詰めたいと思いますけれども。
 先ほど局長おっしゃった、この一番と二番がないんだと。要は、共同の目的をする、これが仮に目的犯罪をそもそもが目的とするような団体であって、その結合関係の基礎としての共同の目的というのが仮になかったというような団体というのは、要は一、二がないから、一番、青の外枠のところと赤の外枠のところはイコールだって話ですね、この目的犯罪を目的としていたら。そういうことになるわけですけれども、今日、御答弁でですね。
 実は、私はずっと二〇一四年からロースクールでも教壇に立っていますけれども、十二年間、中央大学に行かれた井田先生とはずっと共にクラスもやっていましたので、非常に懇意にしているんですけれども、井田先生が衆議院の参考人質疑に来られてずっとお話をされて、またテレビに出たりしてよくこのテロ準備罪についてはお話しいただいていますけれども、彼の衆議院でのお話ということから見ると、要は、今回のリゾート詐欺集団みたいな会社、団体の認定ですね、共同の目的、リゾート会員権の販売するような株式会社というのは、結合をしているものの本来の目的は営業活動であるから犯罪の実行ではないと、このような団体は三条一項には該当するけれども六条の二項には該当しないんじゃないかと、こういうことをその場ではおっしゃっていて、今回は、だから、二条一項に更に六条二項の限定を掛けているからすごく厳しいんだと。だから二重の絞りができていると、彼は二重、三重の絞り込みができているとおっしゃっているんですよ、ちゃんと。
 ということは、要するに、井田先生は当然その団体の目的とするような犯罪の目的であっても、そういった団体から特に元々がその結合の基礎としての共同の目的があったものだけが組織的犯罪集団になるというようなお考えなんですけれども、だから彼が、要するに、組織的犯罪集団に認められるようなものは、テロ組織だとか麻薬密売ですとか暴力団だとか、そういうものしか考えられないとおっしゃっているんですよ。だから、株式会社が一変するような場合は、彼としては組織的犯罪に入らないんだという解釈なんですけど、それは間違っていますか。
#128
○政府参考人(林眞琴君) 私は井田教授のお話は全く間違っていないと考えております。縛りがあるといいますのは、先ほど最高裁判例の決定の中のリゾート裁判、その際の団体といいますのは、必ずしも犯罪目的の団体でなくてもよいということを前提に判示しているわけでございます。会社が団体の活動としてその詐欺を組織を使ってやったかどうか、この場合の団体というものは、違法、犯罪実行を目的としていない会社であっても該当し得るということを、これを前提としているわけでございます。
 今回のテロ等準備罪において、改めて組織的犯罪集団をさらに団体の上に定義したのは、団体の中に、その共同の目的が犯罪実行にあるということのその団体でないと組織的犯罪集団でないということを限定したわけでございまして、井田教授が言うように、この最高裁判例の中では、直ちに団体として本法を適用したものがありますけれども、このような形でのテロ等準備罪を適用するための目的要件をクリアすることはできませんと言っていることは、まさしく正しい御指摘だと私は思っております。
 委員御指摘の、この青い部分と赤い部分が範囲が重なるのではないかというのは、当然委員も、あらゆる団体としてこの青い部分の範囲を定めているんじゃなくて、その団体の中で目的犯罪、犯罪実行を目的としている団体として定義されておりますから、その結果、その範囲は一緒になるということでございまして、リゾート裁判の詐欺の判決の場合は、そのような犯罪実行の目的にあるかということを前提としない団体、これについてを前提として判示したものですから、その場合にはやはり、その場合の団体の範囲というものは異なってくると思います。
#129
○古川俊治君 それは、答弁はそれでいいと。じゃ、仮にそうして、だけど、二条一項がせっかくあるんだから、いいですか、二条一項があるんだから、そもそもが新設したものが、六条一項で、じゃ、だったら、結合関係の基礎としてなんて使わなきゃいいじゃないですか。団体で、今おっしゃっている答弁で、団体に目的犯罪を目的とされればそれで済むわけでしょう、結局。そういうことですよね。
#130
○政府参考人(林眞琴君) スタートラインというのは、団体を法文上限定しようと、犯罪実行を目的としているものにまず法文上も限定しようというところから始まりました。その場合に、共同の目的が、二条一項のままでいきますと、二条のままでいきますと、共同の目的が別表に掲げている犯罪を実行することを目的とするものと、このように規定すればよかったのではないかと、こういう御指摘であります。
 実は、それは、共同の目的をそのように定義するのであれば、それは過去の組織的犯罪の共謀罪のときの審議の中でも様々な修正案出ましたけれども、共同の目的が犯罪実行の目的にあるものという形での修正案というのもございました。その際に、共同の目的という言葉については、やはりこれ自体も多義的であるから、やはり結合関係の基礎としてそういった共同の目的が犯罪実行の目的にあると、こういう趣旨でいうのであればそのことを明確に掲げた方がいいのではないかという御指摘が過去の審議の中でありました。
 そこで、今回、団体を違法な目的、犯罪実行の目的を共同の目的とするという形で団体を限定するに当たりまして、すなわち組織的犯罪集団という定義をつくるに当たりましては、より明確にその点の限定が掛かるように、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行の目的にあるものと、このように限定、表現をさせていただいたという次第であります。
#131
○古川俊治君 時間になりましたので、今日ほとんど用意した質問が終わらなかったので、また火曜日にやらせていただきます。
 以上です。
#132
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 今日、午前中参考人質疑が行われましたけれども、そのときに西村参考人から、ケナタッチ氏の公開書簡について、今回の法案の六条の二の英訳に誤訳があるというような指摘があったんですけれども、ちょっとお話が途中になってしまったのでよく分からなかったんですが、どういう誤訳があるのかについて、外務省としてはどういうふうに認識をしていらっしゃるでしょうか。
#133
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 本法案につきましては、今、国会において御審議をいただいているところであり、現時点において政府がお示しできるテロ等準備罪に関係する規定の英訳はございません。また、御指摘のカンナタチ氏の公開書簡におきまして引用されているテロ等準備罪に対応する英訳の出典については、政府としては承知をしておりません。
 その上で、この公開書簡において引用されておりますテロ等準備罪に関係する英訳を見ましたところ、テロ等準備罪の規定で用いられている幾つかの規定に対応する英訳が見当たりません。例えば、団体の定義が規定されている組織的犯罪処罰法第二条第一項、団体の活動としての定義が規定されている同法第三条第一項、そして先ほど委員御指摘になられた本法案第六条の二第一項における結合関係の基礎としての共同の目的等の規定に対応する英訳が見当たりませんということを御指摘できるかと思います。
#134
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
 この六条の二の部分の、最後に御説明をいただきましたけれども、どういうところかというと、まさにこの六条の二というのは今回のテロ等準備罪を規定している条文であって、どういう要件が犯罪成立のために必要なのかということが記載されているわけですね。
 その中で、六条の二というのは、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団、括弧、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいうということで、要するに組織的犯罪集団というものは何なのかと、それを、その団体の結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行するところにあるという形で団体の定義をぎゅっと絞る、そういう役割を果たす極めてこの法案について重要な文言であるわけであります。
 私が前回の質疑でも何度も例を出しながら申し上げたとおり、一般の方が巻き込まれるんじゃないか、そういう御不安に応えるためにも非常に重要な要件でありまして、団体というのはどういうことか、先ほど古川委員からもありましたけれども、継続的な結合体ということで、例えば三人が今日こうやって集まっている、それだけでは団体にはなりませんし、その中でもまたさらにこの組織的犯罪集団に当たらなきゃいけないんだと。
 じゃ、それがどういうことをいうのかというと、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行をすることにあると。ここが本当にこの法案の大変重要な肝でありまして、やはりここについての理解をしていただけるかどうか、また、国民の皆さんがここの部分、非常に文言も難しいですし、法律的な独特な言い回しでありますけれども、本当にここをきちんと理解していただけるかということが今回の法案について不安を払拭する非常に重要なところだというふうに私は思っております。ですので、そこの部分について、今日も審議の中でできるだけ分かりやすく説明をさせていただければと思っております。
 普通の通常の社会生活を送っている人たちが巻き込まれるということはないんだということで、前回、例えば労働組合で頑張っていらっしゃる方とか市民団体で熱心に活動をしていらっしゃる方、例えばそういう方がデモの行進の中でたまたま警察官ともみ合いになってけがをさせてしまったとか、そういう場合でも、じゃ、この組織的犯罪集団に当たるのか、そうではないですよと、これも確認をさせていただきました。それはなぜかといったら、まあちょっとしつこいようですけれども、先ほど申し上げた、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいうというところだからであります。
 今日は、一般の方、普通に通常の生活を送っていらっしゃる方々が巻き込まれないかどうかという、質問というか、疑問、懸念に引き続きお答えができればと思うんですけれども、この組織的犯罪集団に、じゃ、限って、今回こういうテロ等準備罪を設けることの意義といいますか必要性といいますか、そうしたところをまずテーマにしていきたいというふうに思っております。
 その前提として、またちょっと事例を挙げて一つずつ確認をしたいと思うんですけれども、例えば次のような事例ではテロ等準備罪は成立するでしょうか。
 まず一つ目ですが、個人が一人で水道の水源に毒物を混入させて多くの人を死亡させるという計画を立てた、実行準備行為もあるとして、こういう場合。二つ目としては、SNSで知り合った五人の人がいる、インターネット上で知り合った、その五人がネット上で五回連絡を取り合って、その中で、先ほどと同じ水道の水源に毒物を混入させて多くの人を死亡させる、こういう計画を立てた、実行準備行為もあるとしてですね。三つ目には、テロリズム集団が水道の水源に毒物を混入させて多くの人を死亡させるという計画を立てた、実行準備行為もあると。
 この三つの事例を挙げたいと思いますが、一つずつ聞きますけれども、一つ目の、個人が一人でそうした計画を立てた、実行準備行為に当たるような行為もあると、この場合にはまず今回のテロ等準備罪は成立するでしょうか。しないと思いますが、しないとしてその理由を教えてください。
#135
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘の事例につきましては、端的に組織的犯罪集団の関与というものが全くございませんので、テロ等準備罪は成立いたしません。
#136
○佐々木さやか君 簡単な事例だったかもしれませんけれども、当たり前かなと思うようなことも確認を一つ一つしていきたいと思います。
 二つ目ですけれども、SNSで知り合った五人の人がネット上で五回連絡を取り合って同じような計画を立てた、実行準備行為もあると、こういう場合はいかがでしょうか。
#137
○政府参考人(林眞琴君) 今の御指摘の場合について、まず組織的犯罪集団というためには組織的犯罪処罰法上の団体である必要がございます。その団体というものが、一つの要件といたしましては多数人の継続的結合体という必要がございます。
 委員の今の御指摘の場合においては、通常はその構成員でありますとか、あるいは、その単なる集合体とは別個独立した社会的存在として実態を有すると認められるだけの継続性を有するものとは認められませんので、そういった場合には団体の要件を満たしません。したがいまして、組織的犯罪集団という要件も満たしませんので、テロ等準備罪が成立しないと考えます。
#138
○佐々木さやか君 三つ目の事例ですけれども、テロリズム集団が水道の水源に毒物を混入させて多くの人を死亡させる計画を立てて実行準備行為もしたという場合は、念のため確認ですが、どうでしょうか。
#139
○政府参考人(林眞琴君) その三つ目の事例につきましては、その設例のテロリズム集団が組織的犯罪集団に該当し、かつその計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合、この場合にはテロ等準備罪が成立することになります。
#140
○佐々木さやか君 しつこかったかもしれませんけれども、こうしたテロリズム集団のような組織的な犯罪集団、その結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにある、そういうものに対象を限定をしてテロ等準備罪を成立をさせると、そういう法律、法案でございます。
 今確認したとおり、三つの事例というのはいずれも計画をしている内容というのは同じなわけですね。水道の水源に毒物を混入をさせて多くの人を死亡させようと、かつその実行準備に当たるような行為もしているということですけれども、今回の対象は、一つ目と二つ目はならないということであります。
 確認ですけれども、昨日も申し上げましたけれども、今回の法案というのはTOC条約の国内担保法として提出をされたものと理解をしております。なので、このTOC条約の国内担保法としてこれで足りるのかということを念のため確認をしたいんですが、TOC条約が各国に求めている義務との関係で、今申し上げたような三つ目の事例、要するに組織的犯罪集団に限ってテロ等準備罪が成立するという今回の法案というのは、国内担保法として十分というふうな理解でよろしいでしょうか。
#141
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 TOC条約の第五条1(a)(1)は、締約国に対し重大な犯罪の合意を犯罪化することを義務付けつつ、国内法上求められるときは、組織的な犯罪集団が関与するとの要件と合意の内容を推進するための行為を伴うとの要件を付すことを認めております。本法案におけるテロ等準備罪は、この双方のオプションを活用して立案したものであり、本法案により本条約の義務を履行することができるものと考えております。
 また、個人の計画についての言及がございましたけれども、本条約の第五条1(a)(1)は、重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することの犯罪化を求めておりますので、御指摘のとおり、個人が単独で重大な犯罪を計画することの犯罪化を求めるものとはなっておりません。
#142
○佐々木さやか君 確認でございました。
 先ほどの三つの事例、いずれも計画をしている内容は同じようなことであって、じゃ、なぜ個人かどうか、SNSで知り合った五人なのかどうか、テロリズム集団であるかどうかによって今回犯罪化、処罰の対象になるかならないかが違うのかというところについてお聞きをしたいんですけれども、先ほど確認したように、TOC条約上はこれでオーケーであると。
 TOC条約と一旦離れて、この法律を作るに当たって、なぜ組織的犯罪集団というもののこうした計画、実行準備行為を伴う計画を犯罪化する必要性があるのか。私は、主体が異なることによって、その計画をする、実行準備行為をするということの意味合いも変わってくる、その危険性というところでも、恐らくテロリズム集団がそういうことをするということになりますと、一般の国民の皆さんも非常に危険だなというふうに思うんじゃないかと思うんですけれども、ここの部分について、なぜ同じような計画であっても、一番、二番については犯罪化しない、その上で三番について犯罪化をするのかというところについて御説明をいただければと思います。
#143
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は、その計画行為に加えてその実行準備行為、これだけで処罰するものではございません。組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為、さらに実行準備行為が行われた場合に処罰するものでございます。
 このような構成を取っておりますのは、次のような考え方によります。組織的犯罪集団が関与して一定の重大な犯罪の計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合には、その計画した犯罪が実行される可能性が高い、また、一たび実行されると重大な結果を生ずることが多く、したがって特に悪質で違法性が高い、未然防止の必要性が高い、こういったことからテロ等準備罪として処罰するのが適当であると、このように考えております。
 すなわち、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪の計画行為等の危険性に着目したものでありまして、テロ等準備罪について、例えば先ほど三番目の事例ではテロ等準備罪が成立するけれども、その前者の二つの事例では成立しないといったことは、こういった危険性の高さに着目した結果、そのような相違が出てくるということでございます。
#144
○佐々木さやか君 つまり、この組織的犯罪集団、団体の結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにある、要するにもう犯罪をするための集団ですから、暴力団なんていうのはまさに犯罪集団であって常日頃から犯罪に当たるような活動をしている、そういう組織が、団体が、じゃ、その私が言った事例でいえば、そうした人々を多く死亡させるようなことをしようというふうに決めた場合と、そういう集団じゃなくて普通の、例えば一般の会社、日頃から犯罪なんか全然していない、もし思い付いたとしても、じゃ、その武器はどこで手に入れるのかとかですね、私も犯罪をするためのちょっとプロセスは分かりませんけれども、やはりその現実的に危険性が異なってくると思います。
 それは、社会通念上といいますか、本当にそうした暴力団が何か犯罪をしようと決意をしたときには、危険だなということは国民の一般の感覚としても思われると思うんですね。ですから、そうした危険性というものに着目をして、今回、この組織的犯罪集団に限っては、その危険性を実際に犯罪に着手をするとか結果が生じるよりも前の段階で防いでいこうと、これがこの法案の目的であるというふうに私は理解をしております。そうであれば、そのために作られた法律になるわけですから、運用においてもしっかりそうした立法の趣旨というものを踏まえて運用がされるべきであるというふうに思います。
 ちょっとテーマというか、また別の論点でありますけれども、このテロ等準備罪についての国民の皆さんの御心配、懸念としてこういうことが言われることがあります。内心の自由、憲法十九条で思想、良心の自由というものが保障されておりますけれども、そうした内心の自由を侵害するものではないかと、思想、良心の自由に反して内心を処罰されるのではないか、こういう御不安があるというふうに認識をしております。
 この内心の自由というのは憲法上明確に保障をされておりまして、どんなことを考えても心の中で思う分には自由であると、こういうことでありますし、それは必ず保障されなければならないと思います。
 この心の中の自由というのは誰しも持っている。それを行動に移す。例えば思っていたことを言葉に出す。例えばヘイトスピーチなんかでですね、心の中で思っている分には自由ですけれども、それを言葉に出して実際に暴言を言うということになると、やはりそこに相手との関係が出てきて、相手の人権との調整ですとか、そうしたことが生じてくるわけですけれども、心の中で思う分には自由であると、これが内心の自由であります。
 これの関係で、今回の法案が憲法に反するのかということに関してお聞きしたいと思いますけれども、これもちょっと事例を申し上げたいと思いますが、じゃ、例えばテロリスト集団ですね、幹部のトップが一人でテロ計画を思い付いた。どこどこのあの建物に爆弾を仕掛けて大勢の人を殺してやろうということを具体的に考えて、じゃ、どういうふうに爆弾を手に入れようかなとか、処理はどうしようかな、その実際の行為は誰に担当させようかな、見張りはどういうふうに入れようかな、いろいろ考えたと。そのテロリスト集団のトップが一人で計画を思い付いたと。仮に実行準備行為に当たるような行為を一人でしてもいいと思います。そういう段階でテロ等準備罪成立するでしょうか。
#145
○政府参考人(林眞琴君) 一人でその計画を思い付いた段階、これというのは完全にまだ内心にとどまっている段階でございます。その段階においては、こういったテロ等準備罪での処罰はあり得ません。なぜならば、今回、テロ等準備罪で計画というものは二人以上で計画という形で構成要件を掲げております。すなわち、二人以上で計画した場合、これは内心の問題から行為というものに出てきた段階でございます。あくまでも行為の段階にならなければ処罰ができないわけでございまして、一人が何らかの犯罪等を思い付いている段階あるいは考えている段階、こういったものを処罰するということであればそれは内心を処罰することになりますけれども、そういったものではございません。
#146
○佐々木さやか君 六条の二の要件の中でも二人以上で計画をした者はと、こういうふうにありまして、先ほどのような事例は当たらない。簡単な事例だったかもしれませんけれども、確認をさせていただきました。
 じゃ、その二人以上で計画をするという場合でも、じゃ、その計画というのは具体的にどういうことが必要なんでしょうか。どの程度の具体性が必要かとか、計画といってもいろいろあると思うんですけれども、この点について教えていただければと思います。
#147
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪における計画というものは、一定の犯罪をすることに意思が合致するということにとどまるものではございません。この場合のテロ等準備罪の計画の対象として条文に掲げておることを考えますと、この計画というのは、一定の重大な犯罪を、組織的犯罪集団の団体の活動として、当該犯罪を実行するための組織により実行することについて、このことについて具体的かつ現実的な合意をすることが必要であると、このように考えております。
#148
○佐々木さやか君 二人以上で計画をする。しかも、それが団体の活動としてと今おっしゃいましたけれども、いろいろな要件がある。単に思い付いたということではなくて、やはり結果発生の危険性があるという程度まで具体的でなければならないということなんだと思います。
 それに加えて、今回は実行準備行為、これが必要とされております。この実行準備行為というのを必要としたのはなぜでしょうか。思想、良心の自由との関係で御説明をいただければと思います。
#149
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪につきましては、まず、かつての組織的な犯罪の共謀罪、これにつきまして、これは内心が処罰されるのではないか、あるいは、居酒屋で上司を殴ると意気投合しただけで処罰されるのではないかと、こういった批判あるいは不安、懸念が示されたわけでございます。そういった場合に、かつての組織的犯罪の共謀罪におきましても、これは共謀という実際の行為を処罰するものであって、内心を処罰するものではございませんでした。
 しかしながら、そういった不安、懸念が出されたことがございましたので、今回その不安、懸念を真摯に受け止めまして、テロ等準備罪を立案するに当たりましては、TOC条約の五条の1(a)(1)が、国内法上求められるときはその合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴うものとすることを許容していると、こういったオプションを認めていることを踏まえまして、今回、計画に加えまして、実行するための準備行為という要件を付することとしたわけでございます。
 これによりまして、一定の重大な犯罪の計画行為に加えまして、実行するための準備行為が行われて、犯罪の実行に向けて計画の内容が前進を始めたこと、このことが顕在化した場合に処罰されることとなりまして、先ほど私が述べた不安、懸念というようなものを払拭し得るものになっているものと考えております。
#150
○佐々木さやか君 実行準備行為ということが加わったことで、外形的にその行為が伴うということで、より内心の自由を処罰をするとか、内心の自由を侵害するのではないか、そうした懸念に応えようとしたものであるということでありました。やはりそうした不安があることに対しては真摯に、丁寧に説明をしていかなければならないと思います。
 しかしながら、やはり先ほど冒頭申し上げましたけれども、たとえテロリスト集団のトップの幹部が人殺しを考えたとしても、それは内心の自由ですからテロ等準備罪は成立しませんし、暴力団員が犯罪をしようと思って一人で考えてもテロ等準備罪は成立をいたしませんし、また、その計画に加えて実行準備行為、こうしたことも要件として今回の法案には加わっている、こういったことから考えても、思想、良心の自由を不当に侵害するものではないと、このように考えております。
 残り時間があと七分程度ですので、次に参りますけれども少し飛ばしまして、今日の冒頭に事例三つ挙げました。一つ目の、個人で水道の水源に毒物を混入させて人をたくさん死亡させようとか、そういうことを思い付いた場合でも、今回のテロ等準備罪の対象にはならないということであります。そうなると、そうした個人であってもそういう危険なことをする、言わばテロを個人でする、そういうことから国民の安全ももちろん守らなければいけないわけでありますけれども、そうした言わばローンウルフ型テロと言われるもの、これは今回のテロ等準備罪の対象にはならないわけですけれども、大臣にお伺いをしたいんですが、今回の法案には対象にならない、しかしながら、こうしたローンウルフ型テロと言われるものについても、この法案とは別に、どうやって国民の安全を守っていくのかということも重要だと思います。
 この点についてはどうやって対応していこうというふうにお考えなのか、大臣に伺いたいと思います。
#151
○国務大臣(金田勝年君) 佐々木委員の御質問にお答えをいたします。
 先ほどから、どういうケースがテロ等準備罪に当たるのかということを非常に分かりやすくお聞きになられて、そしてお話を進めてこられた中で、ただいまローンウルフ型と呼ばれる個人によるテロを処罰の対象とできないのであるという場合に、テロ対策はどういうふうに考えていくんだという御質問だと受け止めました。
 基本的に、テロ等準備罪の新設を含む国内法の整備を行いましてTOC条約を締結することは、テロ対策として有効であると考えているわけであります。しかしながら、様々な対策も重要だということは申し上げることができるわけであります。もとより、テロ対策は、本条約を締結することにとどまるものではなくて、様々な対策を行うことが重要であると。したがって、政府においては、官邸直轄の国際テロ情報収集ユニットを設置いたしまして、国際社会と緊密に連携をして情報の収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対します警戒警備の強化、サイバーセキュリティー対策の強化といった総合的なテロ対策を強力に推進をしているところであります。
 法務省としましても、御指摘のローンウルフ型のテロを含めて、関係省庁等と連携をして、引き続きテロ対策にしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えておる次第であります。
#152
○佐々木さやか君 今日は国家公安委員長にも御出席をいただいておりまして、あと残り時間が三分になりました。もう少し実は質問しようと思って準備をしていたんですけれども、最後にお答えを国家公安委員長にいただければと思うんですが、このTOC条約に国内担保法を整備をしてしっかり締結をできるということになりますと、やはり我が国の犯罪捜査としても、各国と連携をしながら、今日は午前中、参考人の先生からも、我が国の国内の組織犯罪対策についても重要であるし、また、国際組織、国際的な犯罪組織、そうしたものの各国が連携して対応していこうというときに日本として必要な協力をしていくと、そういう体制もTOC条約の締結について環境が整うんだと思うんです。
 そうしたTOC条約にしっかりと締結ができるということを前提とした上でですけれども、各国で、例えばテロが今各地で起こっている、そうしたテロを含むような国際組織犯罪の根絶のために日本としても必要な捜査協力を国際社会と連携をしながら行っていくべきではないかと思うんですけれども、こうしたTOC条約の締結と組織犯罪に対する捜査について、国家公安委員長の、大臣の御所見をいただければと思います。
#153
○国務大臣(松本純君) 国際組織犯罪に効果的に対処するため、警察では、情報収集の強化や取締りの徹底、水際対策を始めとする国内関係機関と連携した取組のほか、外国捜査機関との連携等を推進しているところでございます。
 今後、国際組織犯罪防止条約を締結することができれば、諸外国との捜査共助等による国際協力が促進されることになりますので、警察としては外国捜査機関を始めとする関係機関と緊密に連携をし、国際的に必要な協力を一層進めていくことができると考えます。
#154
○佐々木さやか君 以上で終わります。
#155
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。
 私は、この共謀罪、政府の言うテロ等準備罪、この審議においてオウム真理教の地下鉄サリン事件にあくまでこだわるのはなぜかといえば、やはり、今から二十二年前の地下鉄サリン事件当時にこの法案が仮に成立していたとしてもテロは防げなかっただろう、そのように確信しているからにほかなりません。
 皆さん御承知のように、地下鉄サリン事件というのは、人類史において初めて都市部においてサリンというものがまかれた。世界史の中でいえば、第二次世界大戦でサリンというものが開発をされ、例えばヒトラーナチズムでさえもがそういうサリンを使うことはできなかった。一九八〇年代になって、イラン・イラク戦争の中でクルド人がサリンによって殺害をされましたけれども、都市部において私たちは二十二年前に目の当たりに、そして経験をしてきた、この教訓に学ばなければいけないというふうに考えております。
 ですから、確かに総理も言い、刑事局長もおっしゃいましたけれども、当時はこの法律はなかった。だけど、私たちは、痛切な被害があったこの教訓というものを、やはり歴史を遡って、あのときこの法律があったら防げたのかという視点で考えていかなければいけないというふうに思っております。
 もう少し細かく言うと、私は捜査員たちの無念さ、そのことを物すごく心にずっと重く抱え込んできたんです。
 オウム事件当時、お世話になったと言っていいでしょう、警察庁の幹部、警視庁の幹部、もう既にお亡くなりになりました。あるいは、当時全国で必死に捜査をしていた人たちももう引退をされている。オウム事件が起きて、坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件などなど、一連の凶悪事件が起きてしまったことに対して、警察の責任だった、悔しいんだと今でも多くの捜査員たちは振り返っていらっしゃる。だから、そういうことを二度と繰り返さないために、今審議されている法案が果たして有効なのかどうかという視点からお聞きをしていきたいというふうに思います。
 その前に、アフガニスタンのカブールで自爆テロが起きました。九十人の方がお亡くなりになりました。これについて、タリバンは犯行を否定しております。ISではないかという情報もありますけれども、まだ確定しておりません。
 実は、この二年間で世界でどれだけ自爆テロがあったのかということを公安調査庁のホームページに基づいて調べてみますと、この二年間で自爆テロは世界で百五十七件起きております。そのうち、組織かどうか分からない、一匹オオカミ、ローンウルフの犯行の可能性があるものは百五十七件のうち五十六件、三五・七%、約四割が自爆テロ、一匹オオカミの犯行の可能性があるんですよ。
 そこで、まず大臣に確認をしておきたい。
 二日前に質問をしたときに、私は幾つかの具体的なケースを刑事局長にお聞きをしました。ローンウルフ型のテロというものはこの法案では食い止めることはできないわけですねと、一匹オオカミ型の自爆テロというのは食い止めることができませんねと刑事局長にお聞きをしましたところ、単独犯によるローンウルフ型のテロについては今回の対象ではございません、全くの単独犯についてはその射程の外にあります、今回の法案とは別の話として対応が必要になってくるんだと思います。大臣もこの認識でよろしいですね。──そんなのもらわなくても分かる話じゃないですか。
#156
○国務大臣(金田勝年君) 先般刑事局長がお答えしたとおりに私も考えております。
#157
○有田芳生君 大臣、更にお聞きをしますけれども、インターネット型の人間関係というのが、今の社会は、オウム真理教の事件のときとは違ってもう現実のものとしてありますよね。ですから、そういう意味では、この組織的犯罪処罰法も含めた犯罪の構成というものにおいて、人間が対等、平等で、指揮命令系統のない人たちの犯罪行為というものもあり得る。これは現実に、この間もお聞きしましたけれども、女性がインターネットでつながった全く指揮命令系統のない関係において殺害をされるという事件を念頭に置きましたけれども、そのことについて刑事局長は、そういった指揮命令に基づいて定められた任務の分担という組織、こういったものが存在していないような団体というものは今回のテロ等準備罪の構成要件は満たしません。大臣もそのような認識でよろしいですね。
#158
○国務大臣(金田勝年君) 有田委員の御質問にお答えしますが、その点につきましても刑事局長から御説明をしたとおりであります。
#159
○有田芳生君 そして、最後にもう一点だけ確認させてください。
 何の団体にも関係していない人たちがインターネットで知り合って、たった一回、デパートを爆破しようじゃないかという計画をして、一週間の間に継続して何回かの相談をした、そして爆破をしようとしたデパートの下見をした、これをテロ等準備罪で処罰できるんでしょうかという質問を刑事局長にいたしましたところ、これは団体というものが存在しませんのでテロ等準備罪には当たりません、そのようにお答えになりましたが、大臣もそのような認識でよろしいですね。
#160
○国務大臣(金田勝年君) 少し詳しく申し上げれば、組織的犯罪集団としての要件、この要件に該当するとは思えませんので、これもまた先般刑事局長から申し上げたとおりであると思います。
#161
○有田芳生君 一言で言えば、今度の法案が仮に成立したとしても、世界で今多く起きている一匹オオカミ型の自爆テロというのがもしこの日本で計画され実行されても食い止めることはできない、その前提で更にお聞きをしていきたいというふうに思います。
 オウム真理教の事件というものを具体的に聞いても、それは刑事局長のお立場としても一般論としてしかお答えになれないでしょうから、その前提として、私が今から質問すること、それを、全てオウム真理教の事件の現実なんですが、それを宗教団体、ある宗教団体と仮定をしてお答えいただきたいというふうに思います。
 オウム真理教というのは、一九八四年にオウム神仙の会というヨーガ、その修行のサークルとして出発をしました。初めは僅か数人です。それが一九八七年にオウム真理教と名前を変えますけれども、その一九八七年の一月、まだオウム真理教になっていない段階で教祖は、一月四日、丹沢セミナーというところで信者たちを集めて講義をしました。要するに、自分たちの教えに基づいて、小乗、大乗、そして秘密金剛乗、よく当時は報道されましたけれども、タントラ・ヴァジラヤーナの教え、宗教団体ですから宗教的な教えに基づいて当時の教祖は何を言ったかというと、悪いことをしようとした人がいて、それを殺害する人は、つまりポアという言葉、そういったことはその人のためになるんだ、まあ簡単に言えばそういう教えを信者たちに説いた。
 刑事局長、この段階で、こういう宗教団体があったとしたら、テロ等準備罪のどういう段階にあるんでしょうか。
#162
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘の、まず宗教団体の中での経緯の中で、そのように教祖が例えば殺人でありますとかそういった犯罪実行について述べていくと、こういった事象をどのようにこのテロ等準備罪で捉えるかということでございますが、一つには、組織的犯罪集団と認めるためには、まず共同の目的が犯罪実行の目的、この目的で、ある集合している、そういった継続的集合体が、多数人の結合、集合体があるということが前提になりますので、そういった教祖がそのようなことを言ったことによって、その宗教教義とそれから具体的、具体的といいますか、犯罪実行というものが不可分に結び付いたような共同の目的が形成されたかどうか、そのためにその構成員が集まっているかどうか、こういったことが問題になろうかと思います。そこの段階だけで、そこが、そういった共同の目的が犯罪実行であると、宗教教義と結び付いた犯罪実行であると、こういったことの認定ができるかどうか、そういったことが問題とされることになると思います。
#163
○有田芳生君 その丹沢セミナーというものが行われて、更に三年たって、化学物質、化学兵器を作ろうかという話が徐々に話し合われるようになって、具体的には一九九三年に、信者数人が集まって、じゃ、サリン製造プラントでも造ろうかという話があった、六人の信者で。
 そのとき、サリンプラント製造の責任者は教祖に対して、サリン七トンから作りましょう、それに対して教祖は、いやいや大きくどおんと七十トンからいこうじゃないか。七十トンというのは、もしまかれたら日本人全員が殺されているサリンの量なんですけれども、じゃ、サリン製造プラント造っていこうじゃないか、サリン七十トンからやろうじゃないか。この段階ではテロ等準備罪のどういう段階に当たりますでしょうか。
#164
○政府参考人(林眞琴君) 先ほどは、例えばその教祖の発言、教祖の考え方がその宗教教義の実践と犯罪実行が結び付いているかどうか、こういった観点で問題になり得るだろうと、このように申し上げましたが、組織的犯罪集団と認めるためには、もう一つ、その共同の目的が犯罪実行の目的であるということに加えまして、その犯罪実行に向けてチーム、いわゆる組織がそういった犯罪実行に向けて役割を分担して行うと、そういったことが、そういう組織によってその共同の目的を実行していくことのそういった組織的な性質を備えていくことが必要でございます。
 その場合に、サリンというものを作るというときに、例えばいろんな、サリンというものを作るためには、様々な役割分担をして、その組織というものを団体の中につくっていかなくちゃいけませんが、そういったものが形成されたかどうか、そういったことが問題になろうかと思います。
#165
○有田芳生君 そこが、この第六条二の結合関係の基礎としての共同の目的が、そういった危険な教義を持っている宗教団体だとすれば、である以上、最初から最後まで結合関係の基礎としての共同の目的は危険な教義だった場合、これは組織的犯罪集団に当たるんでしょうか。
#166
○政府参考人(林眞琴君) もちろん、先ほど申し上げた共同の目的が犯罪実行にあるというふうに認定されるためには、その宗教的な教義と犯罪実行の目的が不可分一体のものとして結び付いていると、こういった実態が必要だと思いますが、今委員は、その点については、危険な教義である、危険な実態を備えていると、そのことを前提にいたしますれば、もう一度繰り返しますが、それプラス、もう一つ、その共同の目的が犯罪実行の目的であるとともに、その犯罪実行の目的を実現するためにその団体の中に様々な役割分担をつくりまして、あるいは指揮命令、いろんな役職をつくったりそのチームをつくったりして、サリンならサリンを製造するなり、そういったものについて、向けてのチームを、組織を構成すると、こういったことが必要になります。
 そういった構成がもしできているということであれば、それは組織的犯罪集団として認めることが可能だと思います。
#167
○有田芳生君 教祖が五人の信者を集めて、先ほどもお話ししましたけれども、サリン製造プラントを造ろうじゃないかということを決めた。さらには、そういう計画の下で化学薬品を購入するためのダミー会社を三つつくった。この段階ではテロ等準備罪というのは適用されるんでしょうか。
#168
○政府参考人(林眞琴君) 今委員が具体的に、サリンを作るための様々なプラントでありますとか、あるいはダミー会社をつくってそのような目的に向かって組織を構成していくと、そういったことを前提にお尋ねになりましたので、そういうことであれば、その組織的犯罪集団と認めるための最初の段階のその共同の目的が犯罪実行にあるかどうかという問題をクリアしていますでしょうし、今申し上げた、その中に犯罪実行を目的としてその団体の中に組織をつくって、その組織が反復してそのようなことに向かって動き出すといったことのところの点も委員の御指摘であれば満たすでしょうから、組織的犯罪集団という認定ができる可能性があると思います。
#169
○有田芳生君 ならば、その化学薬品を購入するためのダミー会社、三つあった。そのダミー会社の信者たちが、全くサリン製造計画なんというのは聞いたこともない、サリンのサの字、当時日本人だって知らなかったわけですから、知らなかったのにそういう構造に組み込まれた場合、テロ等準備罪において、この全く知らないダミー会社の社員たちはどういう位置付けになるんでしょうか。
#170
○政府参考人(林眞琴君) まず、今委員が御指摘になった段階で組織的犯罪集団というのが認定し得るという前提で申し上げますと、その組織的犯罪集団のそれでは構成員というのはどういうものかと申し上げますと、それは組織的犯罪集団であるという認識を持っていないと構成員とは言えません。すなわち、今回の組織的犯罪集団の構成員というのは、その共同の目的が犯罪実行にあるということを認識していなければ構成員とは言えません。
 一方で、今言われたような社会的な実態のある宗教団体の中にそうした組織的犯罪集団という集団が観念して認定できるといたしましても、実際にその宗教団体に関与していた人たちの中でその犯罪実行を目的としているということを認識していない者はその組織的犯罪集団のある意味周辺にいると、構成員ではないという位置付けになります。
 あくまでもその前提として、今回のテロ等準備罪は、構成員であれば処罰されるものではなくて、構成員らが計画をした場合、その計画者が処罰されるわけでございまして、実際にその組織的犯罪集団の構成員、今委員が御指摘となった人たちは構成員とは認められません。さらには、そのような認識を持っていなければ計画をするということにもなりませんので、テロ等準備罪はその者には成立しません。
#171
○有田芳生君 サリン製造プラントを計画した段階ではテロ等準備罪は適用されないけれども、化学薬品を集め始めてダミー会社をつくった、そこにいる人たちは全くそういう計画を知らなかった、その人たちは言葉としては一般人と言えるわけですよね、構成しないわけですよね。だけど、その段階においては、サリン製造プラントを造ろうと言った六人というのは組織的犯罪集団と認定されるわけですよね。
 だけど、そのときにサリン製造プラントの責任者であった人物、当然計画も知っている、ダミー会社つくってサリン作っていこう、七トン作ろう、七十トン作ろうという話し合った人物が、責任者が、その組織的犯罪集団と認定された後にロシアに行ったら、このロシアに行った人間はテロ等準備罪の適用対象になるんでしょうか。
#172
○政府参考人(林眞琴君) まず、委員御質問の前提として、その組織的犯罪集団があると、その周辺に実際にはその犯罪の実行目的を知らないでそのサリンのプラントなどに関与している者がいると。こうした場合に、その知らないで関与している者は組織的犯罪集団の構成員ではございません。他方で、組織的犯罪集団の構成員の中に、実際に今後サリンを作っていこうと、それでサリンを例えば研究開発もしようと、そういった段階であれば、テロ等準備罪の計画があり、かつ、それはサリンの製造の計画があり、かつ、その研究開発に着手していれば、その段階でテロ等準備罪が成立する可能性があります。
 その上で、その上で、その計画に具体的には関与したと、構成員であってその計画に関与した者がその後国内を離れていったといった場合に、これは計画に関与しておれば、それは、その後、その計画者のいずれかが実行準備行為をすれば、それはその計画に関与した者というものについてはテロ等準備罪の成立が考えられます。(発言する者あり)
#173
○有田芳生君 すっきりしないんだよね。
 つまり、そのテロ等準備罪が適用された段階では捜査が進むわけですよね。観念的な話しているわけじゃないですから、組織的犯罪集団として認定されたら、そういう計画知らない人たちもいっぱいいても捜査当局は動くじゃないですか。違いますか。
#174
○政府参考人(林眞琴君) 先ほど来私が申し上げたのは、そのテロ等準備罪が成立するか否か、あるいはその構成員で計画した者が計画した後に日本を離れたとしても、計画した以上、かつその計画した人の中のいずれかが実行準備行為をすればテロ等準備罪は成立しますと。したがって、計画した後にたまたま日本を離れていたとしてもその者にテロ等準備罪は成立し得ますと、こういうことを申し上げました。
 一方で、じゃ、捜査が、そういった実態を前提として捜査がどのように開始されるかというものは、これは基本的に捜査というものは、犯罪の嫌疑をつかまえて、そして犯罪嫌疑があるとなった段階で始まるわけでございます。ですから、今申し上げたような実態をもしその捜査当局がその情報として入手してあったり、あるいは誰かからの情報提供があれば、もちろんそのときには捜査が開始されていると思いますが、そういったことについて必ずそのときにそういう実態があれば捜査が開始できるかどうかというのは、それは捜査機関がどのような情報を入手しているかということに関わってこようかと思います。
#175
○有田芳生君 今日は時間が限られているので急がざるを得ないんですけれども、一九八九年十一月四日未明に坂本弁護士一家殺害事件が起きました。そして、さらに、時間を超えて一九九四年の六月二十七日、松本サリン事件が起きました。さらには九か月後、九五年の三月二十日に地下鉄サリン事件が起きました。そういう一連の経過について、これは当時から、宮崎県警、長野県警、山梨県警、神奈川県警、警視庁、当然警察庁も多くの情報を持っていた。
 例えば、松本サリン事件が起きた九四年の六月二十七日の一か月後の九四年七月に、長野県警はオウム真理教の上九一色村第七サティアン近くでサリン残留物を採取した。別ルートで坂本事件を追っていた神奈川県警は、オウムがどうもサリンを作っているのではないかという疑問を持って、九四年の八月段階に、長野県警、そして神奈川県警が別々に警察庁の幹部に、オウムがどうもサリン事件に関わっているという報告を出す。それでも翌年の地下鉄サリン事件は防ぐことができなかったんですよ。これは、当時の国松孝次警察庁長官もこのテロ等準備罪ができたってオウム真理教の事件というのは防ぐことはできないんだと言うのは、違ったところにやはり原因があるからなんですよね。だから、そこの総括を日本社会はやっていないまま、こういう法案を作ろうとしている。
 もう一つ、時間がないのでお聞きをしたいんですけど、公安委員長にお聞きをします。
 そうやって地下鉄サリン事件に至るまでは、ずっといろんな事件があったにもかかわらず、捜査は進まなかった。だけど、一方で、神奈川県警は、現場の捜査員たちは懸命に捜査に当たっていた。
 坂本弁護士一家殺害事件捜査の記録という刑事警察資料、内部文書ですけれども、地下鉄サリン事件が起きてから二年後に三百ページ近いものを作られた。そこに驚くべきことが書かれている。多くの信者たちの捜査をやったんだけれども、一般人たちも調べられている。内偵、張り込み、尾行、宅配、郵便業者の伝票捜査、住民票、銀行捜査など、信者八千四百五名、脱会した人二百三十一人までが調べられている。
 繰り返しますけれども、凶悪事件に関与したのは、オウム真理教の一万一千人の当時の信者の中でも逮捕、起訴されているのは六十三人ですよ。ごくごく一部だ、圧倒的に一般信者だった。視察内偵、張り込み、二十四時間の監視体制、一般人もがこういう捜査の対象になった。
 公安委員長、やはり捜査対象になれば一般人だってこういう監視の対象になるわけですよね。
#176
○国務大臣(松本純君) 刑事訴訟法百八十九条第二項におきましては、司法警察職員は犯罪があると思料するときに犯人及び証拠を捜査するものとされているところでございまして、警察といたしましては、犯罪の嫌疑が生じていない方を被疑者として捜査の対象とすることはございません。
 お尋ねの事件につきましても、犯罪の疑義が生じていない方を被疑者として捜査の対象としたものではないと承知しております。
#177
○有田芳生君 被疑者として捜査の対象にしていなくても、一般の元信者も含めて八千人以上の人たちの個人情報がデータベース化されている、神奈川県警の総括として明らかにされているんですよ。だから、そういうのが現実なんです。観念的な議論を幾らしていたって実態というのは分からないということを強調しておきたいというふうに思います。
 とにかく、このテロ等準備罪が仮に成立してしまえば、テロの防止にはならず、労働組合や市民運動などがやはり威力業務妨害罪などの疑いで捜査の対象になる可能性は極めて高いんだということを強調をして、時間が来ましたので終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
#178
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 大臣、二日前に質疑いたしまして、結局一問しか大臣とやり取りできませんでした。団体の構成員が二人から成立しますかという、その議論でありまして、私が、団体は、二人以上であればこの団体の要件を満たすんでしょうかとお尋ねしたところ、国務大臣金田勝年君は、御指摘のとおり、満たすと考えておりますと、このように答弁しました。それで、私はその答弁に従ってるる意見を述べて質問したところ、次の答弁は、御指摘のように構成員が二名の場合には、通常、組織的犯罪処罰法上の団体には当たらないものと考えられますと、こういう答弁になっちゃった、なったんです。
 この団体は二人でも当たるという答弁とこの通常当たらないという答弁、ちょっとこの整合性か、あるいはどういう位置関係なのか、どういう答弁だったのか、御説明していただけますか。
#179
○国務大臣(金田勝年君) 小川委員の御質問にお答えをいたします。
 先日の御質問で、団体の構成員は二人でよいのかと、そして、それに対しまして私の方からは、条文の文言上は多数人としか書かれておらず、団体の要件として構成員の数が二人の場合が排除されているわけではないけれども、団体に当たるか否かは個別具体的な事実関係によることになると、こういう趣旨のお答えをしたつもりでございます。
#180
○小川敏夫君 じゃ、まあ、そこのところはそういうふうにお伺いしておきましょう。
 それで、大臣、一般人は対象にならないと、この法律の対象にならないという説明がよくあるんですが、ここで言う一般人というのは、要するにこの団体の構成員じゃない人間のことを一般人という趣旨なんでしょうか。
#181
○国務大臣(金田勝年君) 我々が一般の方々という言葉は、一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象とならないという文脈において一般の方々という文言を使用いたしております。その組織的犯罪集団と関わりがない方々という、言い換えれば、何らかの団体に属しない人はもちろんのこと、通常の団体に属し通常の社会生活を送っている方々という意味で用いておるところであります。
#182
○小川敏夫君 もう少し、じゃ、ちょっと質問の聞き方変えましてね。
 この要件ですが、六条の二ですか、要するに団体の活動として二人で計画した者というのが要件の骨子でありますね。この二人で計画した者というのは団体の構成員に限定されるんでしょうか、あるいは団体の構成員じゃなくてもよろしいんでしょうか。
#183
○委員長(秋野公造君) 林刑事局長。(発言する者あり)ちょっと、まず聞いてください。
#184
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の主体に制限はございません。これ身分犯との構成は取っておりませんので、組織的な犯罪集団の構成員である者はもちろんでございますが、構成員でない者についてもテロ等準備罪の計画の主体というものにはなり得るということでございます。
#185
○小川敏夫君 委員長、今参考人がしゃべった分、私の質問時間から引いてください。
 四十二条の三によりまして、行政に関する細目、技術的事項について参考人が答弁できるとあるんですが、私は、行政に関する細目でも技術的に関することでもなくて、法務大臣が提案したその法律のこの条文の解釈を聞いているんです。ですから、法務大臣に答えていただかなくちゃなりません。法務大臣、答えてください。
#186
○国務大臣(金田勝年君) ただいま政府参考人から申し上げたとおりでありますが、テロ等準備罪の主体につきましては、一定の身分を有する者に限定する、限定されている身分犯とはされていないと、このように認識をいたしております。一定の身分を有する者に限定されている身分犯とはされていないということであります。
#187
○小川敏夫君 そうすると、大臣、団体というものがある、そして団体の活動として行われる何らかの計画がある、で、その計画を例えば指示した者、団体の関与がなくちゃいけないから指示した者がいるとして、その指示を受けて計画した者は団体の構成員である必要はないので、一般私人でもよろしいわけですね。
#188
○国務大臣(金田勝年君) この点については専門的な部分になります。詳細に関わる部分でございますので、局長に答弁をさせます。
#189
○小川敏夫君 だって、大臣、身分犯じゃないというふうに答弁しましたよね。だから、団体の構成員に限って、団体の構成員という身分を持っている人が対象じゃなくて、団体の身分を持っている人、つまり団体の構成員から指示を受けた人あるいは団体の構成員と一緒になって相談した人は、団体の構成員じゃなくても、一般人であってもこの計画罪の対象になるわけですね。もう、そうですと一言お答えください。
#190
○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪、これは、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行に関する計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合に成立するものであることは御承知のとおりであります。組織的犯罪集団と関わりがない者がこのような組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の遂行を計画することは考え難いと申し上げることができます。
 他方、組織的犯罪集団の構成員ではないが組織的犯罪集団と関わり合いがある周辺者につきましては、一定の重大な犯罪の遂行に関する計画に加わって一定の重大な犯罪を実行する部隊である組織の一員として関与するなどをした場合には、テロ等準備罪で処罰されることもあり得るものと考えられると申し上げております。
#191
○小川敏夫君 要するに、大臣が一般人はこの対象とならないと言うから、私はその一般人を議論しているんですけれどもね。だから、一番簡単なのは、団体の構成員以外の人が一般人だといえば、一般人はこの法律の対象に当たるわけですよ。だって、団体の構成員じゃなくたって団体の構成員に指示された構成員じゃない人もこの計画罪の対象になるわけですから。
 じゃ、今の私のそのところはよろしいですよね。つまり、団体の構成員から指示された、あるいは団体の構成員と相談してこの計画をした構成員じゃない人もこの対象になりますね、計画罪の対象になりますね。一言で、一言で。
#192
○副大臣(盛山正仁君) この法律のポイントというのは、組織的犯罪集団であるかどうか、そしてその組織的犯罪集団の中で計画を立てる者であるかどうか、そして実行準備行為と、こういうことになるわけでございまして、その小川先生のおっしゃる趣旨が、その計画を立てたグループからただ単に指示を受けるだけということであればこの対象にはならないと、こういうことになるかと思います。
#193
○小川敏夫君 質問をした趣旨と違う質問の趣旨にして答えないでください。私の質問した趣旨に明確に答えてください。
 団体の構成員から指示を受けた、若しくは団体の構成員と相談して計画した構成員以外の人もこの計画罪の対象になるんですねと。なるんですよ。だから、その前提で一般人のことを聞いているわけです。
#194
○国務大臣(金田勝年君) 申し上げます。
 そもそも一般の方々という定義についていろいろ御質問だなというふうに受け止めまして申し上げます。
 一般の方々という言葉は、使用される文脈によってその意味は異なると思うんですけれども、我々は、一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象とならないという文脈においては、組織的犯罪集団と関わりがないという方々、言い換えれば、何らかの団体に属しない人はもちろんのこと、通常の団体に属して通常の社会生活を送っている方々という意味で用いております。組織的犯罪集団と一般の方々は無縁でございます。組織的犯罪集団とは、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、何度も申し上げてまいりましたとおり、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織といった違法行為を目的とする団体に限られ、一般の方々はこれらと関わりがないのはもちろんのこと、関わりを持っていると疑われることもないわけです。
 したがって、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々、すなわち何らかの団体に属していない人はもちろんのこと、通常の団体に属し通常の社会生活を送っている方々は、組織的犯罪集団の構成員から誘われて、構成員から誘われて組織的犯罪集団の構成員とともに重大な犯罪の計画を行うことは考え難いと、このように申し上げる次第であります。
#195
○小川敏夫君 だから、そういう犯罪集団の団体に関わりのない方が団体の人から指示を受けたり、団体の人と協力してやった場合にはこの計画罪の対象になりますね。もう、なるの一言でいいんです。(発言する者あり)じゃ、西田さん答えてください。
 もう、なるの一言でいいんですよ。なるんだから。これ法律の解釈大事なことです。
#196
○国務大臣(金田勝年君) 時間が掛かりますが。
 テロ等準備罪が成立するためには、組織的犯罪集団の団体の活動として実行される重大な犯罪等を計画する必要がございます。そして、テロ等準備罪の計画というためには、組織的犯罪集団の団体の活動として行われる犯罪の遂行であることについての合意を要しますから、テロ等準備罪の計画をなし得る者は、関与する団体が組織的犯罪集団であることの認識を有している必要がございます。したがって、組織的犯罪集団と無関係の一般の方々がこのような犯罪を計画することは考え難いのであります。
 一般の方々は組織的犯罪集団と関わりを持つことはなく、組織的犯罪集団の構成員から誘われるということは考え難い上に、組織的犯罪集団の構成員からの誘いに応じるなどということは想定はされません。したがって、一般の方々がテロ等準備罪の捜査、処罰の対象となることはないと、このように申し上げます。
#197
○政府参考人(林眞琴君) 今大臣からありましたように、今回のこの計画をする者、どんな者に限定されるかということでございますけれども、計画というためには組織的犯罪集団の存在を認識していなくてはいけません。さらに、組織的犯罪集団がその団体の活動として、すなわち団体の意思決定に基づいて行っている、行おうとしている計画であるということを認識していなくてはいけません。さらには、その組織的犯罪集団の中に当該犯罪を実行する組織というものがあるわけでございますが、その組織によって行われる犯罪実行の計画であるということを認識していなくてはなりません。こういったことを認識していない者は計画をした者とは言えないわけでございます。計画に参画した者とは言えないわけでございます。
 したがいまして、そういったものとして計画に参加する者というものについては必ずしも構成員でなくてもいいという点はさきに申し上げたとおりでございますが、一般の方というものを我々としては組織犯罪集団に関わりのない方々と、このように申し上げております。そういった関わりのない方々がそういった認識を持ち、かつ当該犯罪実行がその組織によって、団体の、組織犯罪集団の中の組織によって行われるということを計画するということは想定し難いと考えておりますので、純粋にその組織的犯罪集団と関わりがない方々、こういったものを我々は一般の方々と申し上げておりますが、そういった方々がこういった計画に参画することはないと、こういうふうに申し上げております。
#198
○小川敏夫君 例えば、振り込め詐欺という、そういうこの要件に当たる団体があります。それが、言われているいわゆる出し子ですね、自動預金機からお金を下ろしてくればちょっと小遣いあげるから下ろしてこいと言って、下ろしに行ったごく普通の少年がお小遣い欲しさにそういうことをやった。それが振り込め詐欺集団だとは分かっているけど、しかしお小遣いが欲しいからやった普通の少年、これ計画罪に当たりますよね、やることに賛同した少年は。
#199
○政府参考人(林眞琴君) 今委員の御指摘の者は計画した者には当たりません。
#200
○小川敏夫君 いやいや、じゃ、もう少し言います。そういう下ろす行為、そういう振り込め詐欺だということを、あっ、何か知らないけど参考人と議論始めちゃったな、私呼んでないんですけどね。
 私の質問の趣旨は、一般人には対象じゃないと言うから、それはおかしいだろうと。一般人だって、要するにこの要件に当たれば、つまり、組織に入っている構成員じゃなくたって、構成員と一緒に事情を知って計画すれば対象になるでしょうと。だから、なるかならないか、大臣、一言で答えてもらえませんか。
#201
○政府参考人(林眞琴君) 結局、質問の一般人とはどのように考えるかということで、委員御指摘のように、構成員以外の人は一般人であると、もしそれを前提としていれば、構成員以外の人でも、先ほど申し上げたような重層的な要件を満たすのであれば計画をした者になりますので、そういった者は一般人、もし構成員以外の者を一般人だというのであれば、そういった者が一般人として計画に参画することはあり得ると思いますが、我々は、構成員以外を一般人だというふうに申し上げていないということはこれまでずっと申し上げているところでありまして、組織的犯罪集団と関わりがない方、周辺にいるような方ではない、関わりのない方には今回の捜査は及びませんと、そういうことを申し上げているわけでございます。
#202
○小川敏夫君 じゃ、大臣、こういう話とどういうふうに違うんですか。人を殺した人間は殺人者だと、殺人した人間が殺人者であって、一般人は殺人者じゃないと。だけど、一般人だって何かのときに人を殺したら殺人者になるわけですよね。だから、一般人だって、構成員じゃない一般人だってこうしたこの構成要件に合致する計画罪に参加したら犯罪者で、この計画罪の捜査対象、いや、犯人の主体になるわけでしょう。なるという答えしかないので、大臣、私は、この法律の解釈について一言で、もし分からないんなら参考人に聞いて大臣答えてください。なるかならないかの一言でいいです。
#203
○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘にもございましたが、この点については刑事局長から答えさせます。
#204
○政府参考人(林眞琴君) 委員が御指摘になった殺人罪、これについては、一般の方々あるいは組織的犯罪集団なのか、こういった要件を見ますと、組織的犯罪集団という限定が付されていない構成要件でございます。こういったものについては捜査の対象で、もし殺人の嫌疑があるならば一般の方々もその嫌疑の対象となるわけでございます。
 今回は、犯罪の構成要件の中で組織的犯罪集団という主体の限定を設けたわけでございます。設けた以上は、犯罪の嫌疑が生ずるかどうかというところにもその規範は掛かってくるわけでございまして、捜査機関といたしましては、組織的犯罪集団が存在して、それとの関わりがあるかないか、その嫌疑があるかないかがまず出発点でございます。その出発点のないまま、一般の殺人罪のような場合の嫌疑の持ち方と、今回のように組織的犯罪集団という要件を加えた場合の嫌疑の発生の仕方はおのずから異なると。そういった意味で、今回は組織的犯罪集団に関わりのない方々は犯罪の嫌疑が生じないので捜査の対象とならないということを申し上げているわけであります。
#205
○小川敏夫君 要するに、一般人は対象じゃないということですね。この法律の構成要件的には一般人だって要するにこの計画罪の対象になるんですよ。ただ、そういう悪いやつらと付き合わなければそういうことをやらないだろうという事実論でお話しされているだけであって、構成要件的には一般人だって誰だって、全ての国民は対象なんですよ。
 委員長、私が質問した以上のことも参考人が長々としゃべって質問時間が随分取られちゃったので、延ばしていただけますでしょうか、その分。だってもうあと五分しかないんですよ。少なくとも……(発言する者あり)いやいや、今日ちょっと、まだ時間延ばしていただかないと。じゃ、私やっていますから、駄目なところで言ってください、駄目だと。
 それで、共謀の成立について目くばせの点がございます。例えば、こういう場合ですよ、私は目くばせだって共謀成立すると思いますよ。例えば、脱税なんかが対象になっていますね。じゃ、私が脱税チーム作って、脱税チーム作ってどこかの会社の脱税を請負にして、税金浮いた分の半分をもうけてやろうと、ばれたら逃げちまえばいいといってチームを作って、この要件に当たるようなグループを作ったわけです。
 それで、グループの人間と二人で歩いていて、食事でも行こうと思ったら、おっ、いいカモがいたなと思って、その同行者の仲間の一人に、おい、あいつ、やるぞと目くばせすれば、目くばせ受けた方ももう当然、俺たちは脱税のカモを、脱税相手のカモを見付けるために歩いているんだから、うん、とその目くばせで分かると思うんですよね。だから、目くばせで共謀成立するんじゃないですか、計画は成立するんじゃないですか。
#206
○国務大臣(金田勝年君) 小川委員にお答えします。
 テロ等準備罪における計画、合意、計画とは、組織的犯罪集団の構成員が、構成員らが組織的犯罪集団が関与する特定の犯罪の実行をすることについて具体的かつ現実的な合意をすることをいいます。したがって、このような合意がなされるに当たりましては、その過程において綿密な相談や話合いなどがなされるのが通常であって、事前に何らの話合いもないままに、目くばせだけによってこのような合意に至ることはないので、計画は成立しないということになります。
#207
○小川敏夫君 だって、もう事前に自分たちは脱税を請け負って、それで脱税するそのカモ、カモといいますか、言わばその脱税の対象となる会社なり人を見付けたらそれをやろうという、その犯罪の合意はもう全部できているわけですよ。あとは、誰を相手にやるかということが決まっていない。で、その具体的にはまだ準備行為にも入っていないけれども、だけど、もう目くばせで分かるわけですよ。
 これ、本来の刑法の共謀の理論ではもう既に確立しているわけですよね、目くばせでも共謀罪が、共謀が成立し得ることがあると。すなわち、そうした目くばせでお互いがやろうとする犯罪のその意思が結合が認められる場合には成立するわけですよ。
 だから、大臣みたいに全ての場合に成立しないかのような言い方は、これは間違いですよ。条件が整えば、大臣が言ったように、こういう場合がないから駄目だと言うけど、そういう場合がある場合には目くばせで足りるわけですよ。だから、目くばせでも計画が成立することがあり得るんじゃないですか。一言で答えてください。
#208
○国務大臣(金田勝年君) 一言で答えろという御指摘でございます。
 目くばせだけで一定の重大な犯罪を組織的に実行するための具体的かつ現実的な合意をすることは不可能であると、このように申し上げます。
#209
○小川敏夫君 だから、どうやって脱税して、それでもうけて云々かんぬんやろうということはもう全部話ができているわけですよ。だけど、その対象の被害者は決まっていないわけですよ。だからそういうときに、よし、ここでやろうと。成立するんじゃないですか。いや、大臣、刑事局長に聞いてくださいよ。
#210
○国務大臣(金田勝年君) 私からは同じことを何度も申し上げることになると思いますので、それでは刑事局長に。(発言する者あり)
#211
○政府参考人(林眞琴君) 委員の御指摘のような状態というのは、既にその計画が成立しているわけでございます。そういったものの計画に参加する、その計画全体をその目くばせだけで成立するということはないということを申し上げているわけです。
#212
○小川敏夫君 いやいや、計画の主要な部分は成立しているけど、まだどこでやるかという具体的なその実行に至る部分の計画の合意はないんですよ。だから、準備には着手していないんですよ。だから、計画の主要部分はあるけれども、これからその計画に基づいて実際の準備行為に入ろうというときのこの共謀なり計画のその完成時点、これはやはり目くばせだって足りるんじゃないですか。
#213
○政府参考人(林眞琴君) 今委員の御指摘の計画というものがなされたのは、その全体の形でその計画がなされているわけでございますので、その目くばせだけで計画は成立したということではないということを言っています。
#214
○小川敏夫君 だから、私が言っている質問とは違うことを答えているわけですよね。つまり、計画の全部が目くばせで成立するわけないと。それはまあ成立しないでしょう、だって、目くばせだけで私が大臣に何を言いたいかって分かるわけないんで。だけど、大体のことはもう基本的なことが分かっていれば目くばせで完成するでしょうということならあり得るわけですよね。
 最後に一つだけ簡単な質問、全く別のことを聞きますけどね。この準備行為ですけれども、例えば、二人で計画していると、そこで、いや、ちょっと二人だけじゃ足らないからもう一人ちょっとグループの外の人間を一人誘おうといってもう一人をその計画の中に誘い込んだ、この場合は準備行為になるんでしょうか。
#215
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のものは、その計画で一人がまだ足りないということで更にもう一人を誘い込んでということということであれば、それはまだ計画の途中、計画ができる途中の段階であろうかと思います。
#216
○小川敏夫君 いやいや、計画はもう既に成立しているんですよ。だけど、もう一人いた方がいいなといって更に計画をする人間を増やした、あるいは一人じゃなくても、二人でもどんどん増やしていった。こういう場合のこの計画者を増やす行為は準備に当たるんですか。もう二人だけで既に計画が成立しているんですよ。成立しているけれども、更にその仲間を募る行為は準備に当たりますか。
#217
○政府参考人(林眞琴君) 今委員の御質問の中に、計画は成立しているけれども、一方でその計画にまだ足りないので仲間を募るという部分で、計画に足りないので仲間を募るということであるならば、それは計画の途中であろうかと思います。
#218
○小川敏夫君 だから、計画に足らないのであればということは私聞いていないんですよ。もう計画はできている。だから二人だけでやっちゃってもいいんです、もう計画はできているんです。だけど、少しでも多い方がいいから仲間を一人、もう一人を増やそうとして、一人、もう一人引っ張り込んで今度は三人の計画になったというようにした場合にはどうなんですか。
#219
○委員長(秋野公造君) 林刑事局長。時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
#220
○政府参考人(林眞琴君) 委員の御指摘のやつは、あくまでも計画が足りないので計画のためにもう一人を、その実行に必要だから一人を入れるということじゃなくて、計画のために必要だということでもう一人加えるということであれば、計画の途中であろうかと思います。
#221
○委員長(秋野公造君) 小川敏夫君。おまとめください。
#222
○小川敏夫君 いや、計画に足らないと言ってないじゃないですか。話の筋を変えないでくださいよ。もう計画はできている、二人で計画はできていると言っているんですよ。計画はできているんだけれども、しかし、更に計画に参加する人間を誘い込んだ、こういう場合はどうですかと。もう計画はできているんですよ。だから、二人だけでもう計画ができている、だけども準備行為はしていないと。しかし、計画ができている計画を実行するためにはもう一人増やした方がいいかなといって前に進むわけですよ。これは準備行為に当たるんですかと聞いているわけで。
#223
○委員長(秋野公造君) 林刑事局長。時間ですので答弁は簡潔にお願いいたします。
#224
○政府参考人(林眞琴君) 計画ができているという前提でいえば、その者が加わっても計画の内容が変わるわけではございませんので、計画が、その参画したという者は、その者は言えません。さらに、計画の内容を推進させる行為として、計画に基づいての実行準備行為だとは言えません、人を増やすことだけがですね。計画の、更に一歩進めると、計画出ている、一歩進める行為とは言えませんので、実行準備行為とは言えないと思います。
#225
○小川敏夫君 時間が足らなくなってしまって、外務大臣、それから公安委員長、質問ができなくて申し訳ありませんでした。
 質問を終わります。
#226
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 前回の質疑で、ケナタッチ特別報告者の公開書簡について、政府は敵視をするけれども無視はできないということがはっきりしたと思うんですね。
 外務大臣にお尋ねしたいと思うんですが、特別報告者の権限に基づく照会である以上、政府が情報提供をしないとこのまま人権理事会への報告、発表あるいは日本政府との意見交換などという格好になっていくわけですね。世界に範を示していくべき人権理事国である我が国にとってこれほど恥ずべきことはない。これ、午前中、特に新倉参考人からも厳しく指摘のあったところなわけです。
 この特別報告者の指摘に正面から答えて、直ちに情報提供をして、昨年人権理事国に立候補したときに、いわゆる自発的誓約という文書にあるとおり、建設的な対話を行うというのが、これは世界、国際社会における日本のあるべき姿、当たり前の姿だと思うんですね。
 ところが、前回の議論で、政府はこの対応について精査しているんだと、具体的な対応については検討中で、少し時間を要していると外務副大臣がお答えになったわけです。これ、とんでもないんじゃないのかと、今更泥縄かと。
 私、大臣に伺いたいんですよ。法案提出に当たって整理した政府の立場が国際社会にはそのままではとても提供できないということなのか、今更何を検討しているんですか。
#227
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のカンナタチ氏、特別報告者の書簡でありますが、これ、我が国は国連を尊重しておりますし、特別報告者に対してもできる限りの協力をこれまでも続けてきました。
 ところが、今回の書簡に関しては、特別報告者というのは、現地を調査する権利あるいは資料を要求する権利を持ち、そして理事会に報告をする、これが特別報告者の役割でありますが、ほかの特別報告者と違って、今回のカンナタチ氏、この特別報告者は、我が国に対して調査も行わず、そして我が国の意見も何も聴取せず、報告を行うのではなくして、一方的に書簡を明らかにした。そして、我が国がそれに対して反論したことに対して、マスコミを通じてまた一方的に発言をしていると。全く一方的な対応ではないか、これは国連の公平性から考えてもいかがかという問題提起を我が国としてはしているわけです。
 その上で、この中身についても、懸念や指摘事項があるわけですが、一部の関係者から得た限られた情報のみに基づいているものであるのではないか、こういったことがうかがわれ、我が国政府がこうした説明していたことにつきまして十分な理解がないのではないか、こういった点から、こうした懸念や指摘事項について精査をし具体的な対応を検討しているところであります。
 是非、国際社会に正確な理解を得るためにしっかり説明をしたいと思います。そのために今正式な回答を準備しているということを多分、今副大臣の発言として御指摘がありましたが、副大臣はそういった趣旨を説明したものであると理解をしています。
#228
○仁比聡平君 ですから、その説明を速やかに行うべきだし、法案をこうして提出して、事は参議院にまで来ているわけですから、速やかに提出できるはずでしょうと。これを提出まだしていないというのは、提供していないというのはこれおかしいんじゃないのかと、速やかに提出しなさいと私は聞いているんですよね。
 まず、特別報告者が公開をしたという件について再び大臣から非難の言葉があったわけですが、その理由については、当初の書簡において、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これは即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えますと、特別報告者自身がなぜ公開するかということについて述べていますよね。その懸念のとおりに、重大な懸念を残したまま衆議院では強行採決が行われた。
 そうした現実の下で、この特別報告者の態度を政府が批判する、普通のときと違うじゃないかというのはそれはそうかも、政府のお立場はそうかもしれないが、しかし、あえてそうする必要があると特別報告者が考えたということなのであって、これはつまり、外務大臣、前提にしておられると思いますけど、特別報告者の人権理事会決議に基づく権限に基づくことであって、これはこの照会に答えると、情報提供を今検討しておられるのは、その照会に答えるものだということなんでしょう。だったら速やかにやるべきじゃないですか。
#229
○国務大臣(岸田文雄君) まず、特別報告者につきましては、これは個人の専門家の立場で行動するということであり、国連の総意を示すものではない、このように位置付けられています。こうした特別報告者に対して、我が国として、これはこれまでも様々な特別報告者に丁寧に対応してきました。しかし、どの特別報告者に関しても、我が国もしっかりと立場や説明をさせていただき、そして全体をしっかりと把握していただいた上で報告を出していただいている、これがありようでありました。
 今、緊急性ということが御指摘がありましたが、これ、緊急性ももちろん大事ですが、中身が大事であります。中身において、我が国政府を含め様々な関係者にしっかりヒアリングをする、そうした権限を持っているわけですから、そうした権限を行使していただいて実態を把握していただく、資料が必要であれば資料を求めていただく、そういった丁寧な行動を行った上で、公平なしっかりとした内容を明らかにしていただくことが大事だと思います。
 いずれにしましても、報告ではなくしていきなりこの書簡が公表されたこと、内容においても、またそうした経緯におきましても、我々としては納得がいかない、こういったことを申し上げています。
 しかし、その上で、やはり国際社会の理解を得るためには丁寧に説明をしなければならない、そういったことで正式な回答を用意をしているわけであります。しっかりと用意をし、用意ができ次第回答を行いたいと思っています。
#230
○仁比聡平君 今も大臣が個人というふうなことをえらく強調されるんですが、本会議でも大臣御自身が御答弁になったとおり、独立の専門家なのであって、人権理事会や特別報告者の制度については午前中の参考人質疑でもしっかりとした意見陳述が参考人からもなされたわけです。大臣も、感情的になっておられるわけじゃないんだと思うんだけれども、特別報告者制度そのものを何だか一人の個人が、一個人がやっているんだとかなんて、そんなことをおっしゃっているわけじゃないんでしょう。
 だから、私が聞いているのは、照会されたんだから、その権限に基づいて照会されたんだから、それに答えるということですよねと。そうでしょう。
#231
○国務大臣(岸田文雄君) 私が申し上げているのは、特別報告者、これは我が国としてもこれまでもしっかりと尊重し、しっかりと対応してきたわけです。その中にあって、今回のこの報告者の対応は先ほど申し上げたとおりであります。
 この報告者は二〇一五年にもう指名されているわけです。しっかりとした時間を持って今日に至っている中にあって、急遽こういった突然の行動に出られたことに対して、我が国として問題意識を提起をしているということであります。
 いずれにしましても、しっかりとした回答を用意し、そして用意ができ次第返したいと考えます。
#232
○仁比聡平君 どのように日本政府が言おうと、特別報告者の制度や、あるいは国連人権水準そのものの動きに対して、これを否定するとか無視するなんていうようなことはできっこないんですよ。
 そこで、TOC条約を担保法としてのこの法案が人権侵害なのではないのかということが懸念としてあるわけです。そもそも、人権侵害にわたってはならないというのは前回総理もお認めになったわけですけれども、国家公安委員長にお尋ねしたいと思うんですが、この特別報告者の指摘をされているこの公開書簡、五点の着目項目の三、四のところに関わるんですが、三では、国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようです、これでは監視活動を実施する個別の機関の裁量に委ねられることになると思われますという趣旨の指摘があり、四には、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動が適法であるか、又は必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督、あるいはその質の問題というのがあると、GPSなどを示して懸念が示されているわけですね。
 そこで、国家公安委員長に伺いたいんですが、捜査や警備、あるいは外事も含む公安活動の事前チェックを行う独立した第三者機関は我が国には存在はしません。活動を実施する個別の警察組織内部だけの裁量で行われてきたし、これからも行うのではないんですか。
#233
○国務大臣(松本純君) 警察の活動は公共の安全と秩序の維持という責務の範囲に限られるものでありまして、その責務の遂行に当たって、法令を遵守し、権限を濫用してはならないこととされております。特に重要な権利利益を制約する強制の処分については裁判官による事前審査に服することとなるほか、任意処分であっても例えば当該事件の公判においてその適法性について裁判所の審査の対象となるものであります。
 いずれにいたしましても、警察においては、権限行使が法令に従って適正に行われることを確保するため、指導監督、教育などに努めているところであり、警察の活動が適正に行われるよう、今後もしっかり指導してまいりたいと存じます。
#234
○仁比聡平君 私は外事も含む公安活動ということも申し上げたんですが、その点についてお答えがないんですが、いかがですか。
#235
○国務大臣(松本純君) 警察活動が法令に従って適正に行われなければならないということは言うまでもございませんが、今後とも一層適正な運営が確保されるよう、国家公安委員長としてしっかりと警察を指導してまいりたいと存じます。
#236
○仁比聡平君 正面からきちんとお答えにならない。警察内部で秘密に処分をしてきている、調査をずっと続けてきていると、それが現実でしょうと。
 本会議でもお認めになったとおりなんですが、ちょっと分けて二つ聞きますけど、一つは、先に法務大臣に伺いましょう。
 今も国家公安委員長が、任意捜査の適正さにおいては公判において議論がされるんだというお話がありました。法務大臣もこれまでに同じ趣旨の御答弁されていますよね。裁判所で是正されるという御答弁がありますが、これはつまり、そういう捜査が進んで、起訴がされて、法廷に被告人としてさらされて、拘束をされて、闘って、挙げ句、やっと無罪ということになって初めてこれ是正されるという、そういう意味ですよね、大臣。
#237
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの仁比委員の御質問は、警察活動の遂行についてのお尋ねだと受け止めております。
 警察の活動について具体的に申し上げられる立場にはございませんが、一般論として申し上げれば、警察においては公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすために法令に基づいて適切に職務を遂行しているものと承知をしておりまして、テロ等準備罪処罰法案が成立した場合においても同様であろうと、このように承知をしているものであります。また、検察においても、その職責上、警察を含む第一次捜査機関が行う捜査活動の適正確保に努めているものと承知しております。
 その上で、テロ等準備罪の処罰範囲は明確かつ限定的なものであるとともに、我が国においては、先ほど御発言にもございましたが、裁判所による審査が機能していることから、捜査機関による恣意的な運用はできない仕組みとなっているものと受け止めております。
#238
○仁比聡平君 そんな仕組みにはなっておらない。現実に、今、日本の裁判の中でどれだけの冤罪が繰り返されてきたか。それは、捜査機関の重大な問題に、ここにあるわけです。これ、大臣の今のような答弁で、本当にプライバシー侵害の警察活動の適正がチェックできるなんという、そのまま国際社会に報告して私は通用するものじゃないと思います。
 もう一つ、国家公安委員長にお尋ねしたいんですが、今日も与党からしきりに労働組合や市民団体が組織的犯罪集団にならないという議論があっているんですけど、いや、とんでもないと。ここに来て政府は、組織的犯罪集団が環境保護団体などを隠れみのにしている場合は共謀罪に当たると言い始めているじゃありませんか。
 だから、国家公安委員長に聞きたいんですが、隠れみのかどうか、これはどう見極めるのか。政府の答弁は、対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるような場合と言っているわけですよ。だから、実態というのをこれ警察が捜査もする、未然に防止するための情報収集などもやる、こういうことでしょう。
#239
○国務大臣(松本純君) 捜査は、これは個別の事実関係に即して行われるものであることから、テロ等準備罪をどのように捜査するかについて具体的にお答えすることは困難でございます。
 その上で、一般論として申し上げれば、ある団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかについては、その団体の実態に即して、法と証拠に基づき個別に判断されることになるものと承知しております。
#240
○仁比聡平君 本会議でも、警察の通常業務の一環であるとかつて述べた態度は変わらないという趣旨の御答弁を国家公安委員長御自身がされた岐阜の大垣事件ですけれども、情報収集をして関係の会社に提供して、住民運動をどう潰すかというのを相談しながら、これは通常警察業務の一環だという。
 つまり、住民運動が隠れみのかどうか、同じように情報収集し、共謀罪の嫌疑がそこから出てくれば、これは捜査に移行していくというのがこれ警察活動の現実でしょうと。
#241
○国務大臣(松本純君) これは、公共の安全と秩序の維持という責務を果たすために行う警察活動の結果を個別具体の状況に応じて捜査に活用するということは否定されていないものと承知をしております。
 もっとも、捜査は犯罪があると思料するときに行うものでありますから、犯罪の嫌疑がない段階において警察活動の結果を捜査に用いることはありません。また、犯罪捜査のために用いる場合には、刑事訴訟法に定める手続に従うこととなると承知をしております。
#242
○仁比聡平君 否定されないということで、つまりお認めになっているわけです。連続してそうした警察活動は行われるわけですね。しかも、それが発覚し、重大なプライバシー権の侵害だと言われながら、それは通常業務ですと開き直っているわけです。
 外務大臣、こうした問題についての国際社会の考え方というのはどういうことなのかと。つまり、今回の共謀罪法案、この法文そのものが極めて明確性を欠き重大だという問題と併せて、法執行機関の在り方だって、人権侵害の危険性という観点でしっかり捉えて議論するというのがこれ国際人権水準の議論ではありませんか。
 そこを、今、法務と国家公安委員長のその答弁聞いただけでも、いや、一体どこまでプライバシー侵害になるのか、どこまで内心に踏み込んでくるのか、重大な懸念があるし、開き直っていると。これ、こんな内容で国際社会に情報提供をしても、これは私、決して理解されるものではないと思うんですよ。
 これ、速やかに情報提供を政府としてするとともに、私、それを、委員長、この委員会にちゃんと提出いただいて、国際社会に対して説明をすること、それをこの法案の審議の中で徹底して議論すると。これができなかったら、この法案を審議していく基礎というのが私は欠けると思うんです。
 委員長、是非、この国際社会に情報提供するものを、この委員会に、この法案審議の中で提出をさせて、その上で徹底して審議をするということを御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
#243
○委員長(秋野公造君) 後刻理事会にて協議をいたします。
#244
○仁比聡平君 外務大臣にもう一点。
 この特別報告者に対する日本政府見解には、これまで私どもが繰り返し要求をしながら提出をしてきていない情報が記されています。それは、百八十七の国と地域が条約締結しているわけですが、我が国が承知する限りということで三点ですね。今度の法案のように五条オプションの二つの要件を付している国はほとんどない。二つ目は、ほとんどの国があらゆる犯罪を対象犯罪としている。三点目は、ほとんどの国には条約採択以前から合意罪、参加罪があって、締結に際し新たな法整備が必要ではなかった、つまりほとんどの国は新たな法整備の必要はなかった。この三点あるんですが、これ、前提となっている事実認識というのがあるわけですから、政府は。
 これ、私どもに提供していただけますね。
#245
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の政府見解ですが、これまで我が国として把握してきた様々な情報、そしてこの国会の議論におきましても、各国の状況を明らかにしろという御指摘、度々受けてきました。その中で、全締結国の状況を網羅的に把握するのは難しいながらも、我が国として参考にすべき国々、最初はG7の国々、それから後にOECD、日本を除く三十四か国、全ての状況について我が国は改めて問合せを行ってそれを公開するということも行っています。こういった取組を通じて、総合的に把握した情報を下にこの全体的な傾向を述べた、それが委員の今御指摘になった部分であると考えます。
 OECDの加盟国のこの状況については、回答を全て公開しております。組織的な犯罪集団に関する、及びこの合意の内容を推進するための行為を伴う、こうした二つのこのオプションについても、国連事務総長に通報している国、これは承知しておりませんし、それから、米国や英国、これは重大犯罪の合意罪のこの対象犯罪を限定していない、あるいは対象犯罪をリスト化して限定列挙している国は承知していない、また、新たに立法を行って合意罪あるいは参加罪、これを創設した国は四か国のみである、今までいろいろ御説明されていたこういった情報に基づいてこの全体的な傾向を今言った部分で述べたということであります。
 今までもこういった情報については提供させていただいていると思いますが、これからも丁寧に御説明をさせていただき、この審議の材料としてしっかり供したいと考えております。
#246
○仁比聡平君 今の御答弁は、つまり私の指摘した一点目はない、二点目もない、そして新たな整備をした国は四か国と、これまで二か国と言っていましたけど四か国という御答弁なんだと思うんですね。
 私、その資料を、ちょっともう時間もありませんから、きちんと説明できる紙にしてこの委員会に提出していただきたいと思いますが、委員長、それ、お取り計らいください。
#247
○委員長(秋野公造君) 後刻理事会にて協議いたします。
#248
○仁比聡平君 一個聞いておきたいんです。
 つまり、ほとんどの国は新設する必要がないということがどういうことなのかと。これ、一九九九年からのその条約交渉のプロセスの冒頭で、日本政府は、このTOC条約の国際組織犯罪の未然防止と、防止という角度で国際協力を進めていく上で、大陸法や英米法の体系ではない国がきちんと締結できるようにすべきだと。その英米法、大陸法の国はそれは共謀罪、参加罪あっていいでしょうけれども、そういう二つのシステムに限定されていませんよと、世界各国は、という立場で、日本の立場を、全ての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しないという趣旨での提案がされている。
 この立場で修正案を出したり議論したりしているわけですけど、この日本の立場が理解された、条約に、そこに盛り込まれたから条約に署名したと、そういうことなんですよね。それだけ伺いたいと思います。
#249
○国務大臣(岸田文雄君) 今の委員の御質問は、条約交渉の過程についての御質問だと思いますが、これは、条約交渉における初期におけるこの案文においては、重大な犯罪の合意罪について組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付すことが認められていなかった、さらには重大な犯罪の範囲が定まっていなかった、さらには重大な犯罪を行うことの合意を、単に重大な犯罪を行うことの合意を処罰する、こういった内容の条文でありました。また、参加罪についても、特定の犯罪行為と結び付きのない犯罪集団の活動への参加を一般的に処罰の対象としている、これが条約交渉の初期の段階の案文でありました。それに対して問題提起を行いました。
 そのうち、受け入れられたから条約に賛成したのかという部分に端的に答えますと、重大な犯罪の合意罪について、我が国の提案に基づいて、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付すことができるものとされました。また、累次の議論の結果、重大な犯罪の範囲につき、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪、このように範囲を限定する、こういった条約の中身が改められました。
 こういったものを受けて、我が国としてこの条約に賛同したということであります。
#250
○仁比聡平君 もう時間超えていますから質問しませんが、つまり、日本の案が認められれば新たな国内法は不要という立場で条約を議論していたというふうにしか読めないし、そうじゃなかったら私は分からないと思うんですよ。その点は重大な問題で、引き続き議論していきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。
#251
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 今日は、衆議院の方から修正案の提出者に来ていただきまして、衆議院における法案の修正についてまず聞いていきたいというふうに思います。
 我々、テロ等準備罪、これは、そもそも取調べにおいて可視化が必要ということで考えてきておりました。可視化だけではなくて、可視化、それから弁護人の付与、取調べの立会い、それからまたGPS捜査、そして通信傍受、そして親告罪を明記することということで、これまで修正項目、五項目を掲げておったというふうに思うんですが、今回の法案の修正については、日本維新の会と自由民主党と公明党の三党で協議を行って、そして、取調べの可視化、それからGPS捜査の制度の在り方の検討、それから親告罪の取扱いの明記という三つのポイントで合意に至ったということであります。それぞれに基づく修正案が提出されて衆議院で可決されたというふうに承知をいたしております。
 そこで、まず、この三党が合意に至ったことについてどのように評価されているのか、修正案提出者にお伺いをしたいと思います。
#252
○衆議院議員(松浪健太君) ただいまいただきました質疑、質問でありますけれども、まず、衆議院の修正案提出者としては、人権保障と犯罪抑止の両面の修正が重要と考えておりました。言わば、車でいえば、アクセルをもうちょっと利きのいいアクセル、そしてブレーキは更に利きのいいブレーキを付けて、高性能な、国民の皆さんにはしっかりと信頼される、そうした安心いただける車にしようということで出しました。
 この修正協議の結果、これらの両面については、五項目おっしゃいましたけれども、この三項目の中で相当程度配慮する方向に修正をされたものと考えております。特に、人権の保障の観点からは、委員が御指摘の取調べの録音、録画について特に重点的に検討したわけであります。
 幾ら車といっても、やはりアクセルよりもブレーキの方が事故防止の点では大事だと、これがまた安心につながると我々は考えたわけでありまして、これを本則、附則、附帯決議において明記をさせていただきました。テロ等準備罪の事件の捜査においては、これは与野党問わず、自白偏重の捜査が行われる懸念が指摘をされて、この国会における議論を踏まえて、特にこの録音、録画について重視をされたものであります。
 また、GPSの捜査の在り方については、御案内のとおり、最高裁の判決におきまして、これ、本年三月十五日ですか、ありまして、GPS捜査が強制処分であり、これが今後も広く用いられ得る有力な捜査方法であるとすれば、立法的な措置が講じられることが望ましいとの指摘がありました。また、一昨日、ちょうど東京地裁の方でも、窃盗と覚せい剤取締法の違反で逮捕された方が、これについては、覚醒剤所持していたのにこれが無罪になるというようなこともありました。こうしたことが、今後、国民感情にふさわしいのかどうかというようなことも考えられるなというところで、これはタイムリーな、GPSにとってはですね、附則にこれを付けさせていただいたというのは、一昨日の判決を見てもタイムリーなものであったというふうに考えております。
 また、親告罪について、対象犯罪が親告罪である場合にはそのテロ等準備罪も親告罪になることを明記をさせていただきました。これも最初議論があったところで、これは親告罪になるんだという政府答弁もありましたけれども、明記することによってより国民の不安の払拭を明確にさせていただいたというふうに考えております。
#253
○東徹君 その中で、取調べの可視化というところなんですけれども、先ほどから話がありましたように、テロ等準備罪に係る捜査の段階で、一般人が捜査の対象になるかもしれないと。そこで、テロ等準備罪においては行為者の内心が重要な問題となって、捜査手法として被疑者取調べが重要となることが考えられるから、自白強要のおそれがあると。それに鑑みて、テロ等準備罪の被疑者についての適正手続の保障、人権保障を図るために、テロ等準備罪の被疑者の取調べについて可視化を入れたということでありますけれども、衆議院の方では指宿参考人にも来ていただいて、かなり取調べの可視化についての参考人質疑も行われたというふうに聞いております。
 今回の修正では、本則として改正法案の第六条の二第四項にテロ等準備罪の取調べ等の捜査の適正確保に向けた配慮義務というものが追加をされております。そして、附則として取調べの可視化に関する検討というものがこれ追加されることになったわけですね。
 この修正は、テロ等準備罪ができることによって、先ほども話がありましたけれども、冤罪が生まれるのではないかとか、また自白偏重の捜査になるのではないかと、そういった懸念を払拭するためというふうなことでありますけれども、参議院本会議では金田法務大臣の方から答弁がありました。配慮義務について、捜査機関において、テロ等準備罪に関する国会での議論の経過も踏まえ、取調べの録音、録画を適切に実施することを含め、一層慎重な対応をすることになるというふうな答弁でありました。
 本則にある配慮義務というこの言葉の中に取調べの可視化も含まれるというふうな見解も示されたわけでありますけれども、大臣の答弁も踏まえて、取調べの可視化について修正案提出者の見解をお伺いしたいと思います。
#254
○衆議院議員(松浪健太君) このまさに衆議院の議論において、この修正案が出たことによって、この取調べの可視化というものについての議論が随分と活発になりました。そして、これが衆議院を通過いたしまして、御指摘の参議院での本会議において大臣答弁が明確にあったところであります。
 本則では、取調べその他の捜査を行うに当たってはその適正の確保に十分に配慮すべきということで、直接この可視化に触れているわけではありませんけれども、この大臣の答弁によってこれが明確になっていると。この基になっているのが、まさに先ほどおっしゃいました内心の自由、そうしたものについての、これは本当に特に野党の皆さんからあった懸念を払拭するためにこの可視化というものが大臣答弁で裏付けられたというふうに考えております。
 また、附則では、平成二十八年の刑事訴訟法改正法の附則で、まさにおっしゃいました第九条第一項に基づく取調べ録音、録画についての検討の際には、これは可及的速やかにという文言でテロ等準備罪に係る事件についての取調べの録音、録画の在り方を検討することになりました。これによって、次の刑訴法の改正によるこの検討条項の中で、このテロ等準備罪に係るものについては、取調べの録音・録画制度については大変高いプライオリティーで検討されるということが保証されたというふうに考えております。
 そしてまた、この附帯決議において、取調べ等の録音、録画をできる限り行うように努めるということでありますけれども、この法律が通ったらすぐにでもやはり捜査が行われる可能性があるわけでありまして、すぐに行われるものについては、我々はこれは附帯決議で、しっかりと捜査現場についてこれが実施をされるように、実質的にこれを義務化すべきだという議論も大変ありましたので、捜査現場もこれを踏まえて重く受け止めるものと我々考えております。
#255
○東徹君 我々の、修正協議していただいて、そして修正協議が整って可視化というものが、ある一定、大臣からの答弁も聞いたように、これからの可視化がより一層進んでいくものというふうに考えるわけですけれども、次に、附則の十二条第一項において、テロ等準備罪の規定の適用状況やテロ等準備罪の捜査及び公判の状況等を踏まえという文言があるわけでありますけれども、ここに言う適用状況や捜査及び公判の状況等とは、これは具体的にどのようなことを想定しているのか、伺いたいと思います。
#256
○衆議院議員(松浪健太君) この適用状況なんですけれども、捜査機関、また裁判所においてテロ等準備罪を適用した件数とか、それがどのような事案であったのかといったことがテロ等準備罪の規定の適用状況ということで想定をしております。
 また、捜査及び公判の状況というのは、捜査における被疑者取調べの状況、そして、公判において被疑者段階の自白の任意性、信用性が争われた状況を想定していると。
 あと、この状況等と付けているわけでありますけれども、こうしたもののほかに取調べの録音・録画制度を検討をするに当たって踏まえるべき事項として、テロ等準備罪における逮捕状請求の却下状況などといった捜査段階における裁判官の令状審査の状況、そして、取調べの録音、録画を試みたことによる事案の全容解明への支障の有無といった、こうした周辺の状況も想定をしているわけであります。
#257
○東徹君 そこでなんですけれども、昨年の刑事訴訟法の改正で、取調べの可視化に関する規定、三百一条の二が設けられました。裁判員裁判の対象事件のように取調べの可視化が義務化されたものであっても、三百一条の二第四項に定められる除外規定、この除外規定に該当する場合は可視化の対象にはなりませんということになっておるわけですね。
 そこには三号のように指定暴力団の構成員による犯罪を除外するものもありますが、このことと今回のテロ等準備罪の可視化との関係についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
#258
○衆議院議員(松浪健太君) 昨年の刑訴法の改正において、暴力団については第三百一条の二の第四項第三号でこれが一律に除外をされた。これは、捜査現場で報復等がある、こうしたことを踏まえて、捜査のことを考える等して暴力団というものについてはこれは一律に除外をしようという結論を得ているところであります。
 一方で、組織的犯罪集団についてですけれども、この組織的犯罪集団というのは事前に暴力団のように指定をされているわけではない。しかしながら、組織的犯罪集団も暴力団と違って様々な形態が予想されるわけでありまして、組織的犯罪集団によっても、暴力団のように報復等があってこれはかえって自白をさせるのは難しいだろうと、この録音、録画をさせない方がいいだろうという判断がなされ得るというふうに我々は考えておりまして、一律に除外される指定暴力団とこうした組織的犯罪集団を一様に論ずるということは、これはやっぱり不適当であろうというふうに考えました。
 しかしながら、当然に録音・録画制度の対象ということであれば、組織的犯罪集団を対象としているからといって当然にこの録音・録画制度の対象とならないとされるものではないというべきであると考えております。
 そして、今後の刑訴法改正法附則第九条第一項の検討に当たっては、テロ等準備罪に係る事件の証拠収集方法として被疑者取調べが重要な意義を有するということを指摘して、録音・録画制度の対象とすべきとの意見もあることを踏まえながら検討が行われていくべきだというふうに考えております。
#259
○東徹君 要するに、証拠となるのは自白というのが非常に大事になってくる、供述というか自白が大事になってくると。その上でも録音、録画が大事だと。
 ただ、何でもかんでも録音、録画しなきゃならないわけではなくて、例えばそういった暴力団で親分の名前を言わなきゃいけないとか、そういったときに報復を恐れる場合もあると。そういったときには可視化の対象としないということで、そこはそう一定、配慮されても構わないということですね。
 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 テロの防止事例について伺いたいと思います。せっかく岸田外務大臣がお越しいただいておりますので、岸田外務大臣の方にお伺いをしたいと思います。
 一昨日午前中の法務委員会で、英国のように共謀罪が既にある国において実際にこれテロが生じているわけであります、テロを未然に防ぐことの難しさということを質問させていただいたわけですけれども、安倍総理からは未然に防がれている事例も数多くあるというふうな御答弁がありました。
 そこで、テロが未然に防がれた事例について具体的にどのようなものがあるのか、岸田大臣にお伺いをしたいと思います。
#260
○国務大臣(岸田文雄君) 未然にテロが防がれている事例について御質問いただきましたが、最近承知している事案で申し上げるならば、豪州では、メルボルンでクリスマス行事の参加者を狙ったテロを計画し、標的候補の下見に行った男女七名が当局に逮捕されたという事案がありました。フランスでは、テロを計画していた男女四名が当局に逮捕され、その潜伏場所から高性能爆薬等が押収されました。また、ヨルダンでは、同国内の空港や外国大使館、軍関係者を標的とする自爆テロを計画、準備していた者が当局に逮捕され、破壊活動準備の罪で有罪判決を受けた例があると承知をしています。
 これら事例は、それぞれの国において、実際にテロ計画を察知した場合に関係者を摘発し得る制度が機能してテロを未然に防止できた、阻止できた例であると認識をしております。
 これ、全体像を把握するということはなかなか困難ですが、例えば米国のランド研究所の報告書は、一九九五年から二〇一二年までの期間で、米国を標的としたテロが未然に阻止された事案が九十八件ある、こういった指摘があると承知をしております。
#261
○東徹君 実際にテロを防止した事例がメルボルンとかフランスとか米国とか、そういったところであるというわけでありますけれども、その中で、このTOC条約を締結していたことによってテロの防止につながった事案というのがあるのかどうか。TOC条約を締結していることによる効果みたいなものについて、あれば伺いたいと思います。
#262
○国務大臣(岸田文雄君) 御質問のように、TOC条約を締結したことによってテロの防止につながったかどうかということについては、諸外国の事案、それぞれこの事案の詳細を把握しているわけではありませんので一概に申し上げるのは困難ですが、その上で申し上げるならば、これ、例えば捜査共助に関しては、我が国との間で捜査共助条約を締結していない国との間で、本条約に基づく義務として、確実に、かつ、外交ルートによることなく、中央当局間でより迅速かつ効率的に共助が行われるようになります。
 また、犯罪人引渡しに関しては、我が国との間で引渡条約を締結していない国との間で犯罪人引渡しの要請の実効性が高まる、こういったことが期待をされます。
 こういったことについて、例えば米国においては本条約を二〇〇五年に締結していますが、同条約に基づいてこれまで三百回以上の捜査共助を実施するとともに、他国に対して二百回近くの犯罪人引渡請求を行っています。その中には、テロ資金犯罪等に関する警察記録やテロ捜査の記録に係る捜査共助、こういったものが含まれていると承知をしております。
#263
○東徹君 ちょっと時間がなくなってきましたけれども、次に、英国のマンチェスターでのテロ事件、ニューヨーク・タイムズが爆発物の現場写真を報じたことをめぐって、英国の警察当局は米国当局とのテロ情報の共有を中断する方針を固めたという報道がありました。各国が連携してテロの脅威に立ち向かっていかなきゃならない中で、情報共有においてこのようなことが起こってしまうということはこれ問題だというふうに思いますが、各国とのテロ情報の連携についてどのように考えておられるのか、岸田大臣の見解を伺いたいと思います。
#264
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の英米間のやり取り、詳細は承知はしておりませんが、我が国として承知をしておりますのは、英国マンチェスターのテロ事件に関する捜査情報が米国に共有されて、その米国においてメディアに対してリークされてしまったと、こういった事案を受けて、英国当局は一旦情報共有を中断したということを承知しております。その後、現在は米国との情報共有を再開したということも承知をしております。
 いずれにしましても、こうしたテロ事案、一旦発生すれば国籍を問わず多くの市民が無差別に巻き込まれることになるため、テロ関連の国際的な情報共有、これは極めて重要であります。しかし、その際に、共有された情報の機密保全、これをしっかり確保するということは言うまでもないことではないか、この事案を見ましてもそういったことを感じております。
#265
○東徹君 機密を保全していく、非常に大事だと思いますけれども、先日のG7サミットでは、これ、テロとの闘いについて、外国人戦闘員によるリスクを管理する共同のアプローチを追求し、アルカイダ支配地域に渡航したことがある個人に関する情報の共有などにコミットする旨の声明が出されました。
 この個人に関する情報の共有など、これどのように行っていくのか、岸田大臣にお伺いしたいと思います。
#266
○国務大臣(岸田文雄君) この同声明、御指摘の声明においては、御指摘の外国人テロ戦闘員によるリスク管理の共同アプローチの追求を始め、テロリストによるインターネットの悪用、組織犯罪を含むテロ資金調達、そして暴力につながる過激化の根本原因への対処、こういった諸課題への対処の重要性が指摘されるとともに、昨年、伊勢志摩で取りまとめたテロ及び暴力的過激主義対策に関するG7の行動計画の完全な実施に引き続きコミットする、こういったことが確認をされています。
 我が国としましては、こうした声明、そして昨年のG7行動計画に基づいて、情報共有、国境管理、寛容や相互理解の促進、こういった分野における取組、是非強化していきたいと考えております。
 また、その声明の中で指摘されているとおり、国際社会と一致結束して対処するためにも、TOC条約締結に必要な国内法、すなわちテロ等準備罪処罰法を成立させ、本条約を早期に締結すること、これは極めて重要だと認識をしております。
#267
○東徹君 時間なくなってきましたが、最後に質問させていただきたいと思いますが、還付金詐欺、これももう多いんですね。これ新聞記事を配付させていただいておりますけれども、昨年一年間の特殊詐欺の被害額、これが四百六億三千万円ということで、四年連続四百億円をこれ上回っているんですね。
 これ、大阪では、オレオレ詐欺というのがよくはやっていたんですけれども、オレオレ詐欺のときは大阪はそれに結構巻き込まれなかった、被害を受けなかった人も結構多かったんですが、この還付金詐欺には非常に弱いということで、還付金詐欺は結構増えてきました。
 もう時間がありませんので今日はもう質問しませんが、この還付金詐欺について、ちょっと次回、是非これちょっと質問させていただきたいと思いますので、次回に回させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#268
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 まず、前回通告をしてできなかった課題についてお伺いをいたします。
 今回、計画罪の対象とされる二百七十七の罪の中には、既遂犯しか処罰されず、未遂犯も予備罪も処罰されない犯罪類型がかなり多く含まれていますが、それらの犯罪類型について、計画罪は処罰するという今回の法案は、これまでの法律との整合性を欠いていると考えられますが、二百七十七の罪を選別する際にそのような観点は考慮されたのでしょうか。されなかった場合、どうして考慮されなかったのか、お伺いいたします。
#269
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の対象犯罪は、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪のうちで、組織的犯罪集団が実行、計画することが現実的に想定される罪、これを対象犯罪として選択いたしました。
 組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪の計画行為に加えまして実行準備行為が行われた場合、その行為は、その計画した犯罪が実行される可能性が高い上に、一たび実行されると重大な結果が生ずることが多く、特に悪質で違法性が高く、未然防止の必要性が高いと考えられます。
 したがいまして、組織的犯罪集団が実行、計画することが現実的に想定される罪につきましては、未遂罪や予備罪が処罰されない犯罪類型でありましてもテロ等準備罪として処罰するものとするのが適当であると考えたことがその理由でございます。
#270
○糸数慶子君 国際組織犯罪防止条約、これは、各国が国内法化する際のガイドラインとして作成された立法ガイドのパラグラフ四十三には、国内法の起草者は新しい法が国内の法的伝統、原則及び基本法と合致することを確保しなければならないというふうにされておりますが、計画罪の立案に当たっては、先ほどから述べている現在ある刑事法との整合性を考えるということは必要なことではないでしょうか、伺います。
#271
○政府参考人(林眞琴君) 現行の刑事法との整合性についてお答えいたします。
 まず、先ほどの点にも関連いたしますが、我が国の刑事法におきましては、特に重大な犯罪や取締り上必要がある犯罪については、予備罪や共謀罪など、実行の着手前の行為をも処罰しております。テロ等準備罪も、先ほど申し上げましたように、その処罰の必要性、危険性に着目して創設するものでございますので、こういった点において我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に整合するものと考えております。
 また、刑事法の基本原則との整合性について更に申し上げれば、まず、テロ等準備罪は、処罰の対象となる行為と刑罰とを明文で規定をしておりまして、罪刑法定主義に反するものではございません。特に組織的犯罪集団に限られることを明文で規定するとともに、対象犯罪についても限定をし、それを別表に掲げております。処罰範囲は一層明確になっております。また、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰対象とすることにして、処罰範囲も限定することとしております。こうしたことから、罪刑法定主義の趣旨を一層実現するものとなっているものと考えます。
 さらには、テロ等準備罪は、刑法の発動は全ての違法行為を対象とすべきものではなく刑罰は必要やむを得ない場合に限って適用すべきであるといういわゆる謙抑主義という考え方がございますが、この謙抑主義にも反しないと考えております。テロ等準備罪も全ての犯罪計画を広く一般的に処罰するものではなくて、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為、さらに、それに加えて実行準備行為が行われた場合に限って処罰の対象としているものでございますので、この謙抑主義に反するものでもないと考えております。
#272
○糸数慶子君 本日は岸田大臣に御出席をいただきました。久しぶりに大臣に質問いたしますが、その前に一言申し上げておきたいと思います。
 岸田大臣が日頃から外交に御尽力をされていらっしゃる、そして諸外国においてもその信頼関係を築いていらっしゃる、そのことには大変敬意を表します。
 日本は人権の分野において多大な国際貢献をしてきたというふうに認識をしております。例えば、国連の人権機関に日本は多くの委員を輩出しております。昨年は障害者権利委員会、そして子どもの権利委員会において日本の候補がそれぞれ当選をし、今年から新たに委員として御活躍をいただいております。私、昨年の二月、傍聴いたしましたが、女性差別撤廃条約日本政府報告審査会では、日本の方から当時の委員長、林陽子委員長に対して心のこもった敬意と、そして輩出国への謝意が発言をした全ての委員から述べられておりました。
 ところが、一方で、国連の報告者に対する一連のこの政府の発言についてでありますが、これは国内外から疑問視する声が上がっています。一昨日、本日の委員会でも仁比委員からも指摘がありましたが、三年前に日本が国連人権理事会理事国選挙に立候補した際の公約、これは、特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため今後もしっかりと協力していくという発言があるわけですね。こういう発言があるにもかかわらず、正反対の言動が政府首脳から出ていることを大変憂慮しております。
 情報通信システムが発達した現代では、政府や政治家などの言動は瞬時に世界中に広がり、その分析と評価はNGOなども常に行っているため、恣意的な利用はすぐに批判にさらされることになります。最近の安倍総理や菅官房長官、あるいは政治家から発せられる国連人権機関の委員等に対する事実に基づかない批判や感情的な発言が日本の信頼と国益を損ねているということを強く申し上げて、質問に入りたいと思います。
 まず、国連条約との関係についてでありますが、これまで外務省は、国連の組織犯罪防止条約を批准するために、同条約五条が求める全ての重大犯罪に共謀罪を設ける必要があるという立場だったと思いますが、いかがでしょうか。
#273
○国務大臣(岸田文雄君) TOC条約五条の1(a)(1)ですか、これにおいては、締約国に対し、重大な犯罪、すなわち長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪の合意の犯罪化を義務付けつつ、国内法上求められるときは組織的な犯罪集団が関与するものとの要件を付すこと、これを認めている。これが条約のありようだと理解しております。
#274
○糸数慶子君 今大臣がお答えになりましたが、同条約が重大な犯罪として定義する長期四年以上の懲役、禁錮の罪の全てについて共謀罪を新設する必要があるということで、その対象は、二〇〇五年当時で六百十九、現在では六百七十六あるということでよろしいでしょうか。
#275
○政府参考人(林眞琴君) 平成十七年四月一日の時点におきまして、国際組織犯罪防止条約上重大な犯罪とされる死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪は、犯罪行為の態様に着目して考えます、数えますと六百十九個でありまして、また、性質上その共謀の対象とならない過失犯及び未遂犯に係るものを除きますとその数は六百十五個でございました。
 他方で、現在、国際組織犯罪防止条約上重大な犯罪とされている罪につきましては、法務省におきまして改めて数えますと、本法案により新設することとしている証人等買収罪を除きまして六百七十六個でございます。
#276
○糸数慶子君 今回、外務省はこれまでの方針を変更して、対象犯罪を組織的犯罪集団が現実的に実行すると考えられる犯罪に限定することが可能という立場に変更したということでしょうか。
#277
○国務大臣(岸田文雄君) まず、条約の解釈あるいは立場の変更はございません。
 過去の法案においては、この組織的犯罪集団という文言やこの定義が明文で定められていなかったことを前提に、対象犯罪を限定すること、これを行ってこなかったわけですが、その後、国会の審議を経て、より一般の方がこの犯罪の対象にならないことを明確化することが必要である等の認識の下にこの法案を吟味し、そしてこの条約のオプションをしっかり活用することで、法文上この犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪についても組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪二百七十七個に限定する、このようにしたものであると認識をしております。
#278
○糸数慶子君 これは大きな方針変更だと思われますが、どうして今回そのような変更をすることになったのでしょうか、伺います。
#279
○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的な条約の解釈ですとか立場は全く変わっておりません。そして、どうしてそういった対応を取ったかということにつきましては、御案内のとおり、このTOC条約の国内担保法の議論、これまでも何回も国会の方で御審議いただき、長い期間を掛けていろんな議論をいただいてきました。その議論の中でいただいた様々な指摘を踏まえて、政府としても、また新たな法律を用意したわけであります。
 この指摘の中で特に強く指摘されたのは、一般の方々が対象になるのではないか、こういった点でありました。この点を念頭に新たな法案を準備したわけですが、その際に、条約の第五条に定められている二つのオプション、これを活用することによって一般の方々が対象にならないことをより明確化することができるのではないか、こういったことで新しいこの法案、今御審議いただいている法案を準備した次第であります。
 どうして先ほどのような対応が変わったかという理由につきましては、今申し上げたような経緯を経て政府として慎重に検討をし、そして結果として、今御審議いただいている法案を提出させていただいた、こういったことが理由であります。
#280
○糸数慶子君 国連の国際組織犯罪防止条約は、その起草段階において、日本政府は、本条約五条に相当する規定について、我が国の法体系に反するとして当初反対していたと承知しておりますが、間違いないでしょうか。
#281
○国務大臣(岸田文雄君) 国際組織犯罪防止条約が国連総会によって承認されるその前の交渉段階での話について御指摘をいただきました。
 その交渉段階において、条約の案文、かなり様々な議論が行われ、変化をしていきました。そして、その中にあって、交渉の初期における案文においては、この重大な犯罪の合意罪について組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付すこと、これは認められておりませんでした。また、重大な犯罪の範囲も定まっておりませんでした。単に重大な犯罪を行うことの合意、これを処罰するというような内容のものでありました。こうした初期の段階における案文に対して、我が国として、そのまま受け入れられない旨意見を述べてきたわけです。そして、この重大な犯罪の合意罪について組織的な犯罪集団の関与するものという要件を加えることを提案を行った次第であります。
 委員の御指摘になられましたその我が国の対応というのは、今申し上げました経緯の中での発言を御指摘されたものだと認識をいたします。
#282
○糸数慶子君 日本政府は、その後、これは各国が立法する際に、組織的犯罪集団の関与と、さらに犯罪行為を推進する行為というこの二つのオプションが入ることになったことから本条約に賛成して加入することを決めたというふうに理解しておりますが、それでよろしいのでしょうか。
#283
○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、我が国は、このTOC条約交渉の初期の段階における当時の案文、これはこのまま受け入れられない、こういった意見を述べて、重大な犯罪の合意罪について、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加える、こういった提案を行いました。そして、議論の結果、重大な犯罪の合意罪について、我が国の提案に基づいて、組織的な犯罪集団が関与するものという要件が付された次第であります。また、累次の議論の結果、重大な犯罪の範囲も明確化され、長期四年以上の罪、このようにされたわけであります。
 こうした議論の結果を踏まえて、政府としては、この条約、コンセンサスによる採択に参加をしたというのが経緯であります。
#284
○糸数慶子君 我が国の法体系に反するとして反対していた日本政府が、どうして二つのオプションが加わることになったから賛成することになったのか、御説明をいただきたいと思います。この二つのオプションが入ったから我が国の法体系に反しないことになったのでしょうか、お伺いいたします。
#285
○国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、我が国としては、その議論の中で、この重大な犯罪の合意罪について、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加えることを提案いたしました。そして、議論の結果、重大な犯罪の合意罪について、我が国の提案に基づいて、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付すことができる、このようになり、そして重大な犯罪の範囲についても明確化された、こういった議論の経緯を踏まえてコンセンサスの採択に参加した、これが我が国の対応であり、考え方であります。
#286
○糸数慶子君 ところが、二〇〇三年以降、国会に提出されたかつての共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案は、この二つのオプション、いずれも使わない内容だったと思いますが、いかがでしょうか。
#287
○政府参考人(林眞琴君) TOC条約で認められている二つのオプションについては、かつての組織的な犯罪の共謀罪におきましては、この二つのオプションのうち組織的な犯罪集団が関与するものというオプションにつきましては、重大な犯罪の合意が処罰される範囲を適正なものとするために用いることとしておりました。
 その際、我が国では既に、組織的な犯罪集団が関与する犯罪の高度の違法性に鑑みまして、組織的犯罪処罰法が組織的な対応に着目した要件と不正権益関連目的に着目した要件という二つの観点から特別の法規制を講じていたところから、組織的な犯罪集団の関与ということにつきましても、この当時の既存の国内法との整合性を保って、この二つの観点から要件を定めるのが適切であると考えました。
 そこで、条約の言うところの組織的な犯罪集団が関与するものというオプションにつきましては、その条約の文言をそのまま用いるのではなく、団体の活動として犯罪行為を実行するための組織により行われるものというもの、さらには、第三条第二項に規定する目的で行われるものというのの遂行を共謀した者を処罰すると、そういう形で定めていたわけでございます。
 他方で、もう一つのオプションでありますところの合意の内容を推進するための行為を伴うものという条約のオプションについては、今申し上げたように、既に厳格な組織性の要件が付せられているので処罰範囲は不当に広がることはないとその当時考えまして、こちら側のオプションについては用いていなかったというものでございます。
#288
○糸数慶子君 それでは、日本政府は、この二つのオプションが加わったから我が国の法体系に反することはなくなったはずなのに、その二つのオプションをいずれも使わない組織犯罪処罰法の改正案を作ることになったのでしょうか、外務省はそれに対して意見を述べたのでしょうか、伺います。
#289
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 過去の組織的な犯罪の共謀罪におきましても、本条約が国内法において付すことを認めております組織的な犯罪集団が関与するとの要件に対応するものとして、団体の活動として罪に当たる行為を実行するための組織によりとの要件を付しておりました。このように、過去の法案におきましても、本条約の義務を履行できるものであることを前提に、我が国の法制度との整合性を考慮しながら必要な範囲で立案をしたものでございます。
#290
○糸数慶子君 国連の国際組織犯罪防止条約は、二〇〇〇年十二月にこれはもうイタリアのパレルモで署名式が行われておりまして、日本政府も署名をしておりますが、それから十六年以上経過した今国会に提出された法案において、本条約五条の二つのオプションを使った法案が出されましたが、どうして十六年も、その二つのオプションを使おうと考えたのでしょうか。その対応は余りにも遅過ぎたのではないですか。
#291
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 本法案の立案に当たりましては、一般の方々が処罰の対象とならないことを明確にするという観点から、本条約が認められるオプションを活用するという新しいアプローチでテロ等準備罪を立案いたしました。
 すなわち、第一に、計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときとの要件を新たに付すことといたしました。これにより、計画行為に加え、計画をした犯罪を実行するための準備行為があったときに初めて処罰の対象となることとなりました。
 第二に、法文上、犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪につきましても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪に限定することといたしました。
 このことは、過去の国会審議等におきましていただきました様々な御指摘を踏まえ、政府として真摯に検討を重ねた結果であり、遅過ぎたということにはならないと考えております。
#292
○糸数慶子君 この条約については、当初は毎年、最近では二年に一度締約国会議が開かれておりますが、外務省からは毎回国費で職員を派遣して、オブザーバー資格で出席しているということでよろしいでしょうか。
#293
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えをいたします。
 毎回オブザーバーとして締約国会合に出席しております。
#294
○糸数慶子君 いろいろ質問してまいりましたけれども、冒頭にも申し上げましたように、やはり国連において日本の国はかなり貢献をしているというふうに評価されております。
 また一方で、ただいまのこの沖縄での大きな課題になっておりますけれども、沖縄の新基地建設の抗議行動を主導しております山城博治さんが長期的な勾留をされまして、これ、国際人権法を犯しているのではないかということを内外から多く批判されています。
 国際人権規約の第九条で、今回のこのことは、恣意的な逮捕と長期勾留を禁じている、この山城さんの今の状況について、通告はしておりませんけれども、岸田大臣、人権を尊重するという立場から一言、今回の山城さんの勾留と、そして今度六月の十九日、国連、スイスのジュネーブにおきまして、人権に対する会議の中で山城さんが訴えをいたします、そのことについて一言、御存じでしたら御感想をお伺いしたいと思います。
#295
○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的に我が国としまして、国連を重視しながら外交を進めていかなければならない、この認識はこれからも全く変わりません。そして、その中において人権という考え方、これは大変重要な考え方であり、我が国もこの人権を尊重する上でしっかりと貢献する取組を進めていかなければなりません。
 ただ、個別のこの具体的な案件、事件については、これはまず基本的には国内法理に基づいてしっかりと法律に基づいて対応されるべきものであります。そのことは間違いないとは思いますが、具体的な案件について私の立場から何か申し上げるのは控えたいと思います。
#296
○糸数慶子君 時間が参りましたので終わるわけですが、今、この共謀罪法案提案されておりますけれども、過激なテロが行われる時代に、やはりこのテロ対策というのは確かに重要だと思います。ただ、やっぱり民主国家であれば、個人の自由を前提に治安の問題を考えなければいけないというふうに思います。
 危ないからという理由で監視社会を進めるなら、これは民主主義自体がなくなってしまうのではないかということを強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#297
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
 先日の委員会後も国民の皆さんから、一般人が捜査の対象になるのではないか、そして捜査機関から組織的犯罪集団の一員だと思われてしまえば、無実なのに身体拘束を受け有罪とされてしまうのではないかといった心配の声が上がっておりました。
 なので、今日はまず冤罪の防止についてお伺いしたいと思います。
 日本の刑事手続では、客観的真実に基づいて事件が解決されなければならないという実体的真実主義という考えが取られております。もっとも、何が客観的真実か一義的に明確とならないことも多いのですが、そのような場合に、無実の者を処罰することは絶対にあってはならないという消極的実体的真実主義の考えと、犯人は必ず処罰されなければならないという積極的実体的真実主義の考えが対立すると言われております。
 昨今、国民の中には、テロによる被害をゼロにするためには後者の考えを取らざるを得ないという意見や、今回の法案がテロ対策としてプラスになるのであれば冤罪が多少あっても仕方がないといった意見もあるようであります。
 日本の刑事手続は、積極的実体的真実主義、消極的実体的真実主義のいずれに基づくものか、金田大臣の見解を伺いたいと思います。
#298
○大臣政務官(井野俊郎君) 端的にお答え申し上げます。
 我が国の刑事訴訟法においては、いずれかを採用しているものではございません。すなわち、刑事訴訟法第一条によりますと、この一条には、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令の適正かつ迅速に適用実現することを目的とするというふうに規定しております。
 これは、すなわち、初めから犯罪を認定、処罰しようとか、あるいは無辜の者を処罰することがないようにしようという目的意識を持って事実認定を行うものではなく、予断を抱かずに客観的実体的真実を厳正に認定しようとするものでございます。
 これ、コンメンタールにも、消極的実体的真実主義という概念をつくること自体について問題があるとともに、さらには、これに対比されるものとして積極的実体的真実主義の概念をつくり、これを必罰主義的なものと結び付けて概念することには問題があるというふうにも規定されておりますので、いずれにしても、このような概念を取っているものではないというふうに考えております。
#299
○山口和之君 真実を発見し真犯人を処罰するということは重要ですが、それは人権保障を前提としたものでなければならないと思います。テロ対策は重要ですが、そのために冤罪が起こるようでは決してあってはならないというふうに思います。
 午前中にも出ておりましたが、無実の者が自白をし一度は死刑が確定したものの、再審によって無罪となるような事件が免田事件を始め相次いでおります。
 法務省は、無実の者が自白をしてしまう原因はどこにあるのかと分析しているのか、お答え願いたいと思います。
#300
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、過去に、捜査段階で自白し有罪が確定した後に犯人ではないことが明らかと認められるような証拠が発見され再審無罪となった事件があることは事実でございます。検察当局においても、このことを重く受け止めているものと承知しております。
 そのような事態が生じた原因につきましては、これは各事案ごとに様々であると考えられます。一概にお答えすることは困難でございますけれども、これまでこういった事件を通じて把握された問題点としては、例えば取調べを行った警察官あるいは検察官が誘導的な聴取を行ったとうかがわれること、あるいは、取調べを行った検察官において警察での供述内容を否定しても差し支えないということを十分に理解してもらうなどの配慮を怠っていたこと、あるいは、そのような取調べの背景として客観的な証拠、客観証拠の慎重な吟味が欠けていたことや、供述の信用性、その裏付けの有無などの精査についても問題があった、こういった事件があるものと承知しております。
#301
○山口和之君 冤罪事件の自白は身体拘束中に捜査機関によって強要されたものであることが多いと言われております。
 憲法三十八条二項は、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」と定めておりますが、強制、拷問若しくは脅迫による自白、不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白の具体的意味、内容は何か、また法務省、検察庁ではこれらの禁止に当たらないようにするためにどのような取組をしていたのか、教えていただきたいと思います。
#302
○政府参考人(林眞琴君) 憲法の三十八条第二項で、強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは、あっ、勾留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができないと、こう規定しております。
 これを受けまして、刑事訴訟法三百十九条第一項におきましても、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く勾留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができないと規定しております。このように、この刑事訴訟法では、強制、拷問又は脅迫による自白、この不当に長く勾留又は拘禁された後の自白、これについては、任意にされたものでない疑いのある自白の例示であるとされております。具体的には、強制、拷問又は脅迫あるいは不当に長い勾留又は拘禁との間に因果関係のある自白というものをいうものと承知しておるところでございます。
 これを受けまして、まず取調べが適正に行われなければならないことは当然でございまして、検察におきましては、検察の精神及び基本姿勢を示す「検察の理念」の中におきまして、「取調べにおいては、供述の任意性の確保その他必要な配慮をして、真実の供述が得られるよう努める。」とされているところでございます。
 その上で、具体的なそういった取調べの適正を確保するための具体的な取組について申し上げれば、まず検察当局においては、取調べの全過程を録音、録画することを含め積極的に録音、録画を実施しており、取調べの適正確保にこれが資するものと考えております。
 また、最高検察庁から取調べの適正を確保するための通達などを数次にわたって発出しておりまして、例えば、取調べに当たりまして、深夜又は長時間にわたり取調べを行うことを避けるべきこととされていることや、取調べに関する不満等に対して、それが出された場合にこれを組織的に適切に対応すべきこと、また被疑者と弁護人等の間の接見につきましてもより一層の配慮を行うべきこと、こういったことの通達を発出しているところでございます。
#303
○山口和之君 今日の午前中の参考人の方々、また午後、東委員からも出ておりましたけれども、虚偽の自白を防ぐために有効と考えられる手段として取調べにおける弁護人の立会いがあり、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、そして韓国などでは認められております。日本では現行法下においてこのような立会いを認めた例はあるのか、また、このような立会いを被疑者、被告人及び弁護人の権利とすべきとの意見もありますが、法務省としてはどう考えているのか、理由とともに賛否をお教え願いたいと思います。
#304
○政府参考人(林眞琴君) まず、身柄事件の被疑者の取調べについて見ますと、これについて弁護人の立会いを認めた事例というものについては承知をしていないところでございます。御指摘のその被疑者取調べへの弁護人の立会い制度、あるいはその権利の制度につきましては、これは、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会において、取調べの録音、録画と並んで議論がなされました。しかしながら、この議論の中では、この取調べへの、被疑者取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、取調べの在り方を根本的に変質させ、その機能を大幅に損なうおそれが大きいといった問題が指摘されたことから、法制審議会においては答申に盛り込まれることがなかったわけでございます。
 この制度につきましては、この法制審議会で指摘されたような問題点がありますことから、法務省といたしましても慎重な検討が必要である事項であると考えているところでございます。
#305
○山口和之君 虚偽自白を防ぐために、その他の手段として取調べの可視化がありますが、前回の委員会では、現在はまだ全体の二・八%しか可視化されておらず、その原因として予算の問題があるということでありました。
 弁護人の立会い、特に私選弁護士、弁護人の立会いであれば予算の問題は全く生じないと、少なくとも被疑者、被告人が弁護人の立会いを希望し、弁護人がそれを了承した場合には取調べの立会いを認めるべきだと考えます。検討をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、これも参考人の質疑の中で出ておりましたが、告訴と親告罪について伺いたいと思います。
 前回、刑事局長から、テロ等準備罪の計画中の被害者とされている者も告訴権を有するとの答弁があったので、その件についてお尋ねしたいと思います。
 刑事訴訟法二百三十条は、犯罪により害を被った者、すなわち被害者を告訴権者としており、保護法益を実際に侵害された者でなければ告訴できないようにも思えます。現行法における告訴の定義、被害者の定義はどうなっているのか、今回の法案はそれらの定義を変更するものなのか、伺いたいと思います。
#306
○委員長(秋野公造君) 答弁の前に、岸田外務大臣は、申合せの時間が過ぎておりますので、御退席いただいて結構です。
#307
○政府参考人(林眞琴君) まず、告訴でございます。
 告訴は、被害者その他法律に定められた一定の者、告訴権者が権限を有する捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示であるとされております。また、被害者については、これは通常、犯罪により害を被った者、これは刑事訴訟法二百三十条でございますが、そういった者をいうとされております。
 そして、今回の法整備におきまして、この告訴、あるいは犯罪により害を被った者、この意義を変更するものではございません。
#308
○山口和之君 現行法下では、着手未遂の場合であって実際の法益侵害が発生していないときにも告訴が認められるのか、また、予備罪しか成立していない場合にも告訴が認められているのか。認められているとすれば、これまでどのような告訴が受理された、どのような、告訴が受理された件数をお教え願いたいと思います。
#309
○政府参考人(林眞琴君) これまで、未遂罪や予備罪についても犯罪により害を被った者等を観念することはでき、これらの罪についても告訴はできるものと考えられております。
 例えば殺人の例で考えてみますと、既に実行に着手している殺人未遂の場合はもちろんでございますが、殺人予備の段階においても、人の生命に対する客観的に相当の危険性が生じているということから被害者を特定する、し得ることは、特定することが可能である場合があると考えられます。そして、それらの者は犯罪により害を被った者に当たると解されております。
 もっとも、統計につきましては、予備罪又は未遂罪のみで告訴が受理された件数というものについては統計を取っておりませんので、その数字についてはお答えすることができません。
#310
○山口和之君 そもそも現行法下において予備罪が親告罪とされているケースは存在するのか、伺いたいと思います。
#311
○政府参考人(林眞琴君) 現行法上の予備罪のうちで親告罪であるものについて、これは現時点では把握、承知、そういったものがあるということは承知しておりません。
#312
○山口和之君 今回の二百七十七の対象犯罪のうち、親告罪となっているものを全てお教え願いたいと思います。
#313
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の対象犯罪のうち親告罪であるものについて、まず刑法で見ますと、強制わいせつ罪、強姦罪等のいわゆる性犯罪がございます。また、未成年者略取及び誘拐罪のほか、わいせつ、結婚目的の略取及び誘拐罪などがございます。また、配偶者、直系血族又は同居の親族以外の親族との間で犯した場合に係る窃盗罪等の、いわゆるこれは親族相盗例と申し上げますが、こういった罪について、これは刑法の中での親告罪に当たります。
 特別法で見ますと、著作権法百十九条一項及び二項の罪の著作権等の侵害の罪、それから、不正競争防止法二十一条二項六号の罪であるところの秘密保持命令違反、これらがテロ等準備罪の対象犯罪のうちで親告罪と理解しております。
#314
○山口和之君 テロリズム集団等の処罰を目的とする本法案は、法益の帰属主体である被害者に犯罪処罰を委ねている親告罪と本来的に相入れないものであり、対象犯罪から親告罪となっているものは除外すべきという意見もありますが、法務省の見解はいかがなものでしょうか。
#315
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪は、それぞれの対象犯罪を計画、実行準備行為の段階で処罰するものでございます。その保護法益は、それぞれの対象犯罪により保護されている法益と考えられます。したがいまして、テロ等準備罪が保護法益の主体である被害者個人に犯人処罰を委ねる親告罪と相入れないという考え方には、法務省としては立っておりません。
#316
○山口和之君 テロ等準備罪は、国家的法益、社会的法益を保護するもののはずであります。その対象犯罪に、個人的法益に関する犯罪であって、しかもその処罰が被害者の意思に委ねられているものが含まれていることには若干違和感を覚えるところでございます。
 次に、GPS捜査についての反省に関して質問したいと思います。
 法の不知は害するという法格言の意味は何か、また、法律の錯誤とは何か、これを伺いたいと思います。
#317
○政府参考人(林眞琴君) まず、その法の不知は害するというものについては、文献の記載によれば、一般に、これはローマ法の法諺でございまして、一般に、法律の錯誤は故意を阻却しないという意味で理解されてきたものと承知しております。
 そして、法律の錯誤というものにつきましては、これは講学上、一般的には、行為者が錯誤によって違法性の意識を欠いた場合をいうと、そのように理解しております。
#318
○山口和之君 一般国民が行った行為については、行為者の主観では適法と信じていたものであっても、また、下級審が適法と判断を示していても、客観的に違法であることが確定すれば、原則として犯罪が成立します。今回のGPS捜査は、捜査機関の主観では適法であったかもしれませんが、客観的にはずっと違法ということであったことになります。
 法の不知又は法解釈の誤りについては、一般国民の場合は刑事罰をもって責任を取らなくてはならないことになりますが、今回のGPS捜査を違法とした最高裁判決を受けて、法務省、検察庁で処分を受けた者はいるのか、また、今回のように、憲法や刑事訴訟法の解釈を誤り強制処分であるものを任意捜査だとして違法捜査を行い続けた場合、起訴検察官又はその上位者が処分を受けることはないのか、大臣に伺いたいと思います。
#319
○国務大臣(金田勝年君) 山口委員の御質問にお答えをいたします。
 最高裁判決に至る経緯といたしまして、御指摘の判決以前におきましては、いわゆるGPS捜査につきましては、任意捜査であるとする裁判例、検証の性質を有する強制処分であるとする裁判例など、下級審の判断が分かれている状況にあったものと承知をいたしております。
 このような状況の下で、御指摘の最高裁判決は、GPS捜査が強制処分であるとの解釈を示したものと承知をいたしております。
 検察当局におきましては、従来、そのような裁判例や個別事件における証拠関係等を踏まえつつ、GPS捜査が行われた事案に対処してきたものでありまして、その捜査、公判に関わった検察官について、国家公務員法上の懲戒処分に該当する事由はないものと考えております。
 そもそも刑事裁判は、当事者主義の下、検察官、被告人及びその弁護人による主義、立証を踏まえ、裁判所が最終的に判断するものでありまして、検察官の判断と裁判所の判断が異なり得ることは制度上も想定されているところであります。
 したがって、起訴時の法解釈及び証拠関係に照らして、起訴したことが明らかに誤りと言えるような場合でなければ、その起訴が職務上の義務に違反したとは言えないものと考えられます。
#320
○山口和之君 今回の最高裁大法廷判決を受けて心配になったことがございます。それは、強制処分法定主義や令状主義に反する捜査であっても、捜査機関が任意捜査だと言い張れば、最高裁から明示的に違憲、違法といった判断が下されるまで広く違法捜査が行われてしまうことになります。早急にそのようなことができない仕組みづくりが必要だと考えます。
 次に、今年三月十五日の最高裁大法廷判決は、捜査機関の人権意識が十分でないことを示すものとなりましたが、その後、法務省、検察庁では何か再発防止のための取組を行っているか、伺いたいと思います。
#321
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の最高裁判決の以前におきまして、いわゆるGPS捜査につきましては、一方で任意捜査であるという裁判例があった、あるいは検証の性質を有する強制処分であるという裁判例がある、このように下級審の裁判所の判断が分かれている状況にあったものと承知しております。
 検察当局においては、従来そのような裁判例や個別事件における証拠関係等を踏まえながら、GPS捜査が行われた事案について対処してきたものでございます。したがいまして、その御指摘の最高裁判決が最終的に言い渡されたことをもって、捜査機関の人権意識は十分でないということを示すものでは必ずしもないと当方では考えております。
 もっとも、このような今回の最高裁判決のように、今後の捜査、公判に影響が及ぶ裁判所の判断があった場合には、当然これは検察官の間で情報を共有した上で、その判断、裁判所の判断の趣旨を十分に踏まえて、捜査、公判の活動を行っていくものと承知しております。
#322
○山口和之君 警察庁は最高裁大法廷判決を受けて、同日、全国の警察に対して、検証として行うものも含め、移動追跡装置を用いての車両の位置情報を取得する捜査を控えるよう通達を出したということです。
 GPS捜査が行えないことによって、公訴提起、公判維持にどのような影響が出てくるのか、お教え願いたいと思います。
#323
○政府参考人(林眞琴君) 一般に捜査機関、個別の事案ごとに必要かつ適切な捜査を行っておりますので、その証拠関係等、事案ごとに様々でございます。こういったGPS捜査などの特定の捜査手法を用いないことによる、これが個別事件の公訴提起や公訴維持へのどのような影響が出るのかということについては、これは一概にお答えすることは困難でございます。
#324
○山口和之君 五月三十日は、令状なくGPS捜査が行われた事件で一部無罪が言い渡されております。この事件はまさに先日の大法廷判決の影響を受けたものですが、証拠が認められなかったことが無罪に直接結び付いた初の判決ということで大きな衝撃をもたらしております。GPS捜査なしでも重大犯罪の検挙に支障がないのであれば別ですが、GPS捜査が重要な捜査手段であるならば、一刻も早く必要な立法措置を行うべきであって、また、捜査機関は、東京地裁から、警察官の行動には司法による審査を軽視する態度が見てとれ、違法の程度は大きいというふうに辛辣な指摘をされたことを真摯に受け止めるべきで、捜査の適正に努めていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#325
○委員長(秋野公造君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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