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2017/03/29 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第11号
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2017/03/29 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第11号

#1
第193回国会 本会議 第11号
平成二十九年三月二十九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
    ─────────────
  平成二十九年三月二十九日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 独立行政法人日本学生支援機構法の一部
  を改正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。文部科学大臣松野博一君。
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(松野博一君) 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府においては、教育基本法に定められている教育の機会均等の確保の重要性を踏まえ、意欲と能力のある若者が経済的理由により大学等への進学を断念することがないよう、教育費負担の軽減に一層取り組んでいく必要があります。
 この法律案は、このような観点から、大学等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与するため、特に優れた学生等であって経済的理由により極めて修学に困難があるものとされた者に対して学資を支給する業務を独立行政法人日本学生支援機構の業務に追加すること等について所要の措置を講ずるものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、独立行政法人日本学生支援機構の目的及び業務に学資の支給を追加するものであります。
 第二に、独立行政法人日本学生支援機構は、特に優れた学生等であって経済的理由により修学に極めて困難があるものと認定された者に対して学資を支給することとするものであります。
 第三に、独立行政法人日本学生支援機構に、学資の支給の業務に要する費用に充てるため、学資支給基金を設けることとするものであります。
 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。斎藤嘉隆君。
   〔斎藤嘉隆君登壇、拍手〕
#6
○斎藤嘉隆君 民進党・新緑風会の斎藤嘉隆です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました日本学生支援機構法改正案について質問をいたします。
 まず、冒頭、那須町で雪崩被害に遭い、高校生ら八名が亡くなり、四十名がけがをするという痛ましい事故がありました。事故に遭われた皆様、御家族に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 それでは、まず、学校法人森友学園をめぐる問題についてお尋ねをいたします。
 先日の証人喚問で、籠池泰典氏は、安倍昭恵総理夫人との金銭のやり取りや、同夫人と国有地の売買予約付定期借地契約に関する相談を行っていたと証言をしました。夫人付きの内閣官房職員から送られたファクスの内容も公開され、財務省職員へ問合せを行った上で回答したことが明確となりました。夫人付きの職員が、籠池氏から直接陳情を受け、夫人に相談もなく独断で財務省に問合せを行い、籠池氏に回答をすることなど通常はあり得ません。事実、ファクスには総理夫人に報告済みとの記述もあります。夫人による本件への関与があったことは明らかです。
 これまで総理は、総理夫人は森友学園の土地の取扱いには一切関与をしていないと明言をしてきましたが、その見解は今でも変わりませんか。官房長官にお聞きします。
 国政調査の有力な手段である証人喚問では虚偽の答弁をすることは許されません。したがって、証人喚問での証人の発言は極めて重いものと受け止める必要があります。それでなければ証人喚問を行う意味がありません。百万円の授受の問題についても、籠池氏の証人喚問での証言と総理夫人のSNSでの発言とで内容が大きく異なっています。
 官房長官は会見において、喚問における籠池氏の証言の多くを否定しておられますが、それを明らかにするためには、総理夫人を国会にお呼びをし、籠池氏と同じく証人喚問を行う必要があるのではないでしょうか。官房長官の見解を求めます。
 それでは、法案の内容についてお伺いをいたします。
 二十年前には僅か二〇%だった大学生奨学金利用者は、今や約百八十万人、半数以上の大学生が何らかの奨学金を受けています。私は、初当選以来、学ぶ意思ある学生が経済的な環境にかかわらず学ぶ機会を得るため、大学生等に対する公的給付型奨学金制度の必要性を訴えてまいりました。しかし、我が国は、大学の学費が有償でありながら給付制度が存在しない唯一の先進国、学ぶ若者に対して世界一冷淡な先進国、こういう指摘を受けながらも、現在まで導入には至りませんでした。このことは、教育は親や家族、自己の責任であるという考え方の下、長らく教育分野への投資拡大を怠ってきた自民党政権の責によるところが大きいとあえて指摘をさせていただきます。
 このような中、大きな世論に動かされて給付型奨学金の創設にかじを切ったことは率直に評価をしたいと思います。しかし、本法案の内容を見ると、支給対象者や支給額が絞り込まれ、規模的にお粗末なものと言わざるを得ません。これでは、ただ制度として給付型奨学金を導入したという実績づくりにしかならず、学費等の高騰に悩む多くの学生たちや進学を断念せざるを得ない若者たちの生活実態を反映したものとは言えません。
 今回の制度設計では、学生に月二万円から四万円を支給し、来年度の先行実施に必要な予算額は約十五億円となっています。学生生活調査を見ても分かるように、家庭からの支援やアルバイト収入などを加味しても、なお追加必要額に達しない今回の支給額となっています。大阪の学校法人に対しては国有地をただ同然で払い下げる政府が、学生の学びに対する支援には厳しくせこいと受け止められても仕方ありません。支給額や来年度の実施規模について率直にどのようにお考えか、文部科学大臣の答弁を求めます。
 また、給付型奨学金と授業料減免を併用する場合の減額調整、つまり、国立大学進学者が授業料減免を受けると給付金が減少するという措置がとられます。これでは奨学金給付の意味が何一つありません。学生の無力感が広がるだけです。この件について再考するおつもりはないか、文部科学大臣の答弁を求めます。
 制度改正により本格実施となる二〇一八年度以降、約二万人が給付型奨学金の対象となります。しかし、制度の対象となる児童養護施設退所者、里親出身者は高校の一学年当たり約二千人、生活保護世帯一万五千人、住民税非課税世帯十四万二千人、合計で十五万九千人です。そのうち大学進学者が六・一万人と推計されており、給付の対象者はその三分の一にすぎません。同じ境遇であっても、給付を受けることができる学生とそうでない学生に二分されることになります。二万人への給付を、まずは早い段階で六万人規模に拡充していくことが必要だと考えますが、対象拡大についての考えを文部科学大臣に伺います。
 また、全国五千校ほどの高校に各校一人ずつの枠を配分し、残りの人数分を各学校の非課税世帯の奨学金貸与者数を基に配分する方式を取ると聞いています。給付型の受給者推薦はあくまでも各高校が行うシステムです。各高校では、非課税世帯で同じような成績の生徒が多数いても、給付を受ける生徒を選ばなければならない事態が生じます。説明責任が求められ、様々な困難が予想される高校の現場にどのようなガイドラインを示すのでしょうか。文部科学大臣にお伺いをします。
 二〇〇〇年代に入り、貸与型奨学金の利用者が年々増加している理由は大きく二つあると考えています。一つは国立大学も含め大学授業料が急激に値上がりしたこと、もう一つは親の所得が大幅に減少していることです。
 一九六九年に年額一万二千円であった国立大学の授業料は、二〇一六年には標準額五十三万八千円と四十五倍になりました。世帯収入を見ても、ピーク時の一九九四年六百六十四万円から二〇一五年は五百四十一万円と、百二十万円以上減少しています。相次ぐ規制改革により正社員が減少し、非正規雇用者が増え、年功序列型賃金の体系も大きく崩れました。子供が大学生になる頃には賃金も上がるという平均的勤労者モデルが崩壊し、子供の学費を工面できない家庭が増え、その分が奨学金貸与者の増につながっていることは明らかです。
 二〇〇〇年には一人の学生に対する家庭からの経済的支援は年間百五十六万円でした。二〇一四年には百十九万円と、三十七万円減少しています。反面、奨学金貸与額は二〇〇〇年の平均十八万円から四十万円と、二十二万円増加をしています。家庭からの支援の減少を奨学金の増では賄い切れない状況が生まれています。もはや、一部の裕福な家庭を除いて、親や保護者が学費を用意できる時代は終わったのです。
 現在の社会状況から学生を取り巻く現状をどのように捉え、今後の教育費負担の在り方についてどのような構えで政策立案に向かう考えであるのか、文部科学大臣に伺います。
 今回の法改正による奨学金給付は、あくまでも新たに進学する学生のみを対象としたものです。既に奨学金の貸与を受けている学生たちや返還中の者にとってのメリットはありません。今貸与を受けている学生も、大きな借金を背負う自らの将来に不安を覚えていることに変わりはありません。既に貸与を受けている、あるいは返還中である者に対して、有利子から無利子へ、あるいは貸与から給付への転換、猶予期限の延長などの具体的な手だてを講じる考えはないのか、文科大臣に伺います。
 二〇一四年に縮減されたとはいえ、延滞金賦課率は現在五%となっています。返したくても返すことができない返還者に対して重いペナルティーを科すことは問題です。さらに、二〇一四年三月までの延滞分に対しては依然として一〇%の延滞料が課されています。延滞金の賦課率の引下げや、延滞率五%の二〇一三年度までの返還分に対する適用について拡充するおつもりはないのか、文部科学大臣に伺います。
 民主党政権時代に導入を定めた所得連動返済型奨学金制度も四月からは新しい制度としてリニューアルされます。所得によって最低二千円の返済でも認められる制度で、一定の効果があると考えています。逆に、収入がゼロでも二千円の返済を求められることになります。また、制度の対象は無利子貸与に限られ、有利子貸与は対象にはなりません。所得連動返済型奨学金制度の更なる改善、拡充について、文部科学大臣のお考えをお聞きします。
 夫婦で奨学金を返還している事例も多く見受けられます。ある二十代後半の御夫婦のお話を聞きました。二人合わせて約一千万円の返還が残っており、毎月五万円以上の返還をし続けても、完済までに十五年ほどが必要です。完済時には二人とも四十歳を超える年齢となっています。現在の最大の悩みは出産と子育てです。ある程度返還のめどが立ってから出産をと考えておられますが、一人目の出産時期が遅れることによって希望する二人目の出産がかなわない、そのような心配をしているのも事実です。
 奨学金貸与を受けた学部生が四年制大学をストレートに卒業したとすると、二十三歳の十月から返済が始まります。返済期間は、貸与額によって変わりますけれども、十三年から二十年、完済が三十六歳から四十三歳というのが一般的です。結婚、出産の時期とまさに重なって、子育て費用がかさむ時期に奨学金返還という新たな負担がのしかかっているのです。
 奨学金事業が我が国の少子化の進展に拍車を掛けているのではないかとの思いを持っています。子供を産み育てやすい社会の創造と相矛盾するこの奨学金事業の現状について、早急な改革が必要だと考えますが、文科大臣の見解を求めます。
 奨学金の予約採用は、高校三年生の一学期に行われることが通例です。説明会に出るのは高校生ですが、奨学金の利用や貸与額について決定するのは親、保護者である場合が一般的です。また、大学進学後も、奨学金が振り込まれる口座を管理するのは親や保護者であるケースが多いと聞きます。奨学金を借りているという実感に乏しく、制度を周知していない学生が多い理由の一つとなっています。労福協の調査によると、延滞に五%の延滞金が賦課されることを知らない利用者は七七%、返済期限を猶予する制度があることを知らない利用者は六〇%に上ります。
 日本学生支援機構は、本人、保護者、高校の教員などに制度の分かりやすい説明と情報提供、相談窓口の充実などを図る義務があります。しかし、機構で奨学金事業を担っている正規職員は六割強。非常勤や派遣職員が多く、電話相談も外部に委託されている状況と聞いています。今回の法改正で、機構の職員の負担は更に増加します。制度の専門家である機構の職員体制充実について、文部科学大臣の認識を伺います。
 私たち民進党は、教育は未来への先行投資であり、教育の無償化こそが教育の機会均等の実現、経済的な格差の是正、子供たちに夢と希望をもたらすものだと考えています。就学前から高等教育までの各教育段階における授業料の無償化、学校給食や学用品などの就学に関する負担の軽減など、教育を通した人への投資を広げていくための政策や法整備を進めたいと考えています。
 政権時には、高校無償化の導入、小学校一、二年生における少人数学級の実現、大学授業料の減免などを進めるとともに、国際人権規約の中等・高等教育の漸進的無償化条項に付してきた留保を撤回するなど着実に施策を実行してきました。子供たちは自ら生まれ育つ環境を選ぶことはできません。経済格差による教育格差の拡大を危惧する声が大きくなっています。どのような環境にあろうとも意思あれば道が通ずる状況を提供することは、大人の、そして政治の責務です。
 就学前教育や高等教育の無償化、その負担軽減などを通して、全ての子供たちがフェアな環境の中でチャンスを与えられる社会をつくることが日本の目指すべき道であることを強く申し上げ、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(松野博一君) 斎藤議員から十の質問がありました。
 初めに、給付型奨学金の支給額と先行実施の規模についてお尋ねがありました。
 給付型奨学金の支給額については、学生生活費の実態を踏まえ、国公私立といった進学先や自宅、自宅外といった通学形態の違い、また対象とならない世帯との公平性等を考慮の上、月額二万円から四万円と設定しております。加えて、児童養護施設の退所者など社会的養護が必要な学生については、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしています。
 平成二十九年度については、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする観点から、住民税非課税世帯の学生であって特に経済的な負担が重い私立自宅外生と社会的養護を必要とする学生、約二千八百人を対象に先行実施することとしています。新たに創設する給付型奨学金と併せて来年度より大幅に拡充する無利子奨学金を活用いただくことにより、住民税非課税世帯の子供であってもおおむね必要な学生生活費を賄うことができると試算しており、大きな進学の後押し効果があると考えています。
 次に、国立大学進学者における給付型奨学金と授業料免除を併用する場合の減額調整についてのお尋ねがありました。
 高等教育における教育費負担の軽減については、従来から奨学金制度のほか授業料免除などの各種支援方策を組み合わせながら総合的に施策を講じてきたところです。国立大学においては、国費によって授業料減免制度が整備されており、授業料免除の対象となる学生に対しては既に給付的支援が行われております。
 このことから、私立大学に通う方との公平性の観点も踏まえ、国立大学において授業料免除を受けた学生については給付型奨学金の支給額を調整することを検討しています。その上で、給付型奨学金の対象者が国立大学に進学した場合には授業料の全額免除を行う取扱いとし、そのことが進学前の段階であらかじめ予見できるようにすることで進学の後押しを図ってまいります。
 次に、対象規模の拡大についてお尋ねがありました。
 今回の給付型奨学金については、貸与型の奨学金以上に説明責任が求められるものであることから、給付型奨学金を支給するのにふさわしい学生を対象にするという観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を課すこととし、一学年二万人を対象としております。まずは制度を安定的に運用し、定着を図ることで進学の後押し効果を十分に発揮することが重要であります。引き続き、高等教育の負担軽減については必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、給付奨学生の推薦に関するガイドラインについてお尋ねがありました。
 給付奨学生の推薦は、各学校において、当該学校における様々な学習活動の成果を踏まえて行われることとなります。このため、各学校においてはそれぞれの教育目標を踏まえた推薦の基準を定めていただくこととしています。その指針としてのガイドラインの内容については、各学校において、奨学生としてふさわしい者の推薦が円滑に行われるよう、推薦基準の策定等に関する基本的な考えを示すことを検討しております。
 文部科学省の検討チームの議論のまとめでは、推薦基準のうち学力及び資質に関するものについて示しており、各学校の教育目標に照らして十分に満足できる高い学習成績を収めている者、教科以外の学校活動等で大変優れた成果を収め、各学校の教育目標に照らしておおむね満足できる学習成績を収めている者を掲げております。今後、議論のまとめや本国会での審議等を踏まえ、学校現場で推薦業務が円滑に行われるよう、ガイドラインの作成を行ってまいります。
 次に、学生を取り巻く現状と今後の教育費負担軽減の在り方についてお尋ねがありました。
 高等教育段階における教育費負担が一部の学生にとって大きな負担となっているという課題があることは認識しています。このため、平成二十九年度予算において、誰もが希望すれば進学できる環境を整えるため、給付型奨学金の創設に加えて、授業料減免や奨学金制度をより一層充実することとしております。今後とも、教育費の負担軽減を進めるべく、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、既に貸与を受けている者や返還中の者への救済措置についてお尋ねがありました。
 様々な事情により、卒業後厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な方に対しては、従来から返還期限猶予制度や減額返還制度により対応しています。
 返還期限猶予制度は、卒業後の本人の年収が三百万円以下の場合、申請により返還を猶予しており、平成二十六年度には猶予の年数制限を従来の五年から十年に延長する制度の改正を行ったところです。また、このうち奨学金申請時に家計支持者の年収が三百万円以下の学生に対しては無期限に猶予を可能としているところです。さらに、既に返還を開始している方について、減額返還制度を拡充することにより負担の軽減を図ることとし、返還月額を二分の一から例えば三分の一に減額することを検討しております。
 奨学金の返還については、まずは平成二十六年度に猶予制限年数を十年にしたことの効果や、来年度から導入する所得連動返還型奨学金制度の効果、さらには減額返還制度を拡充することの効果などを十分に把握、検証してまいりたいと考えています。
 次に、延滞金の賦課率についてのお尋ねがありました。
 延滞金については、期日どおりに返還するように促すこと、また、期日どおりに返還している者との公平性から課しているものですが、経済的に困難な返還者の負担を軽減するため、平成二十六年四月以降に発生する延滞金の賦課率を一〇%から五%へ引き下げたところです。また、平成二十六年四月より前に発生した延滞金について賦課率を五%に引き下げることについては、既に一〇%の賦課率で延滞金を支払った返還者との公平性の観点から困難であると考えます。
 奨学金の返還に際しては長期にわたって延滞に陥らないことが重要であり、延滞初期段階での返還促進や返還困難時の救済措置の案内により、延滞の防止、解消に努めてまいりたいと考えています。
 次に、所得連動返還型制度の改善、拡充についてお尋ねがありました。
 新たな所得連動返還型奨学金制度は、卒業後の所得に連動して返還月額が決定されることによって、所得が低い状況でも無理なく返還することを可能とする制度であり、平成二十九年度進学者から導入するものです。例えば私立大学自宅生では、貸与月額が五万四千円であり、その場合の返還月額は定額で一万四千四百円となりますが、所得が低い場合には最低で二千円という返還月額となり、大幅に負担が軽減されることとなります。
 本制度の有利子奨学金への導入については、返還者の所得が低く返還月額が低額となる場合、利息の支払が増大し、返還が非常に長期にわたるといった課題が想定されます。このため、まずは無利子奨学金での運用状況を見つつ、有利子奨学金への導入についても同時並行的に課題を分析するといった検討を開始するなど、取組を進めてまいりたいと考えています。
 次に、少子化への対応のための奨学金事業の改革についてお尋ねがありました。
 将来を担う子供たちは日本の宝であり、教育費の負担軽減を始めとする若者世代への支援を積極的に行っていくことが重要であると考えております。このため、文部科学省では、平成二十九年度予算において、大学等奨学金事業の充実のほか、幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料減免の充実等の教育費負担軽減のために必要な経費を盛り込んでいます。
 特に奨学金事業については、来年度から、無利子奨学金の低所得世帯の子供たちに係る成績基準の実質的撤廃や残存適格者の解消、所得連動返還型制度の導入に加え、我が国初の給付型奨学金制度を創設するなど、制度全体にわたる抜本的な拡充を図ることとしております。これらの施策を通じて、家庭の教育費負担の軽減を図り、少子化対策にも寄与してまいりたいと考えております。
 最後に、機構の職員体制充実についてのお尋ねでありますが、日本学生支援機構の体制については、給付型奨学金を含む新たな奨学金制度を円滑に実施できるよう、平成二十九年度予算において必要な経費を計上いたしました。
 具体的には、日本学生支援機構において業務を行う職員を増員し、新しい制度に対応する担当者を配置するとともに、システムの改修等、必要な基盤を整備することとしております。必要な業務を十分に行えるよう、日本学生支援機構の職員体制の充実に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(菅義偉君) 森友学園の土地の取扱いについて、総理夫人の関与及び証人喚問についてお尋ねがありました。
 御指摘のファクスでは、籠池氏側から、総理夫人にではなく夫人付きに対して書面が送られ、夫人付きが財務省に問合せを行い、その結果として自ら作成をしたものであります。そこで籠池氏側からの要望に沿うことはできないときっぱりお断りをしており、ゼロ回答であって、そんたくしていないことは明らかであります。また、内容についても法令や契約に基づく一般的な対応を説明したものであり、このように土地の取扱いについては総理夫人が関与していないことは明らかであると考えております。
 本件については、政府も総理も国会において何度も丁寧に説明を行っているところでありますし、総理夫人の行為は土地の取引とは関係なく、そもそも犯罪や違法性がある行為でもないと承知しております。したがって、総理夫人の証人喚問の必要はないと考えます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(伊達忠一君) 三浦信祐君。
   〔三浦信祐君登壇、拍手〕
#10
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました日本学生支援機構法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 まず冒頭、栃木県で発生した雪崩事故でお亡くなりになられた方々、御家族にお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。
 政府におかれましては、原因究明と早急な再発防止策を強く求めます。
 それでは、質問に入ります。
 安倍総理は、本年一月二十日の施政方針演説にて、子供たちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育もまた、全ての国民に真に開かれたものでなければなりません、その上で、どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる、そのためには、誰もが希望すれば高校にも専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりませんと述べられました。そして、返済不要の給付型奨学金制度の創設を明言されました。
 公明党は、約半世紀前の義務教育の教科書無償化実現に始まり、今日まで、奨学金制度の拡充など教育の機会均等を実現するための施策に取り組んできました。また、長年にわたって給付型奨学金制度の導入を訴え続けてまいりました。
 今回、要件を満たしていても予算の関係で借りられない無利子奨学金の残存適格者の解消、成績要件の事実上の撤廃とともに、本法案が成立しますと、日本初の給付型奨学金制度が実現することになります。経済的理由によって進学を断念することがない社会の実現に近づくための大切な法案であり、高く評価いたします。
 そこで、給付型奨学金の創設を含め、奨学金制度の充実がもたらす意義とその効果について、松野文部科学大臣の見解をお伺いいたします。
 給付型奨学金制度の支給対象者について伺います。
 平成二十七年度の文科省学校基本調査では、全世帯の大学等への進学率は七三・二%であるのに対し、平成二十六年度厚生労働省調査による児童養護施設出身者の進学率が二二・六%と著しく低くなっています。生活困窮状態が進学率への影響を及ぼし、進学の夢を持つことがはばかられてきました。総理の宣言を実現するためにも、本当に支援を必要としている人に手厚くすべきと考えます。制度上では、社会的養護を必要とする学生に対し特別な配慮をするとしております。給付対象者をどのような考えに基づき選び、どう配慮をするのでしょうか。また、制度上、どう担保されているのでしょうか。お聞かせください。
 次に、高校卒業程度認定試験合格者及び既卒者の給付型奨学金の採用について伺います。
 高校卒業程度認定試験は、様々な事情で高校等を卒業していない方が高等学校卒業者と同等以上の学力があるかどうかを文科省が認定する試験です。平成二十八年度は約二万五千人が受験して、約九千人が合格し、大学など高等教育機関への受験資格が得られています。
 今回の給付型奨学金は、高校等からの学校推薦により選考された方を対象としています。しかし、本試験合格者は、給付型奨学金受給対象であっても推薦が得られません。高校を卒業した既卒者の方も、給付型奨学金受給対象の条件に該当する厳しい経済状況下で受験に挑戦している方もおられると思います。厳しい中で頑張っている方に進学機会の後押しとして本法案があるならば、高卒認定試験合格者及び既卒者についても給付型奨学金の選考対象とすべきだと考えますが、松野大臣、いかがでしょうか。
 奨学金返還について伺います。
 現行の定額返還型制度では、返還の過程で所得が減少している場合、負担感は考慮されておりません。毎月固定の返還額が生活を圧迫することで返還に苦慮し、ひいては滞納へと陥ってしまうことが見られます。
 今回、現行制度に加えて、時の経済状況によって低賃金や不安定雇用のとき、資格試験受験や学び直し等、新たな挑戦のときにおいて収入が低い場合に対応する所得連動返還型奨学金制度の導入が検討されております。セーフティーネットとして大変評価すべき制度だと思います。本制度のメリットについて伺います。
 一方、所得が低い場合、返済期間が長期化し、連帯保証人の返還能力が担保されないことが想定されるため、本制度では全員が機関保証に加入することを義務付けています。現行の機関保証制度では〇・六九三%と保証料率が高く、在学期間中の奨学金から保証料が引き去られるため、学生生活が圧迫されているのが現状です。今後、所得連動返還型奨学金を選択した生徒が増えた場合、保証料収入は増大が見込まれ、保証料率を低減することは可能だと考えます。松野大臣の見解を伺います。
 所得連動返還型奨学金は、来年度新規採用の貸与者からとされており、現在、返還を開始している既卒者の方には恩恵が及びません。経済的理由でやむを得ず返還が困難になっている方もおられるため、既卒者への拡充が期待されます。一方、今回、既卒者対象の減額返還制度の拡充が盛り込まれております。本制度の意義について伺います。
 奨学金は、基本的に学資として貸与され、授業料等の学業に充てられています。親からの仕送りなどが期待できない学生の多くはアルバイトにて生計を立てています。しかし、いわゆるブラック企業では、雇用弱者となる学生が劣悪な労働環境の中で不当なアルバイトを強いられているとの報告が多数あります。その結果、本来の学生の本分である学業に影響を及ぼしているとの実態も明らかになりつつあります。
 過重労働やパワハラなどにより、精神的に追い詰められ、ブラックバイトであると判断できなくなっている場合もあります。高校や大学において、アルバイト環境についての相談、対応支援体制の強化が望まれます。と同時に、労働についての基本的な知識があることで防げる場合は数多いと思います。労働法に関する知識が少ないことに付け込み、法令違反が疑われる賃金未払や労働契約の未提示などの事案を防ぐため、高校や大学等において、労働法や過去のブラックバイトの事例と解決方法を含めた労働教育を学生及び教職員関係者に推進すべきと考えますが、松野大臣、いかがでしょうか。
 最後に、奨学金制度の周知について伺います。
 高校生が進学を希望し、判断するのは、高校三年生では遅い場合も多いと思います。高校入学後の早い時期に、進学希望か就職希望かによるコース分け、文系か理系かの選択など、将来進路の選択、判断が求められるのが現状です。本制度の情報提供は、進学の気持ちをつくる、経済的な理由により諦めない契機になると期待できます。奨学金の制度周知と徹底の仕方、時期はどう考えるか、松野大臣に伺います。
 本法律案が可決することで、奨学金は貸与型のみからの脱却が図られます。教育への投資が未来への投資です。誰もが経済的理由により進学を断念することのない社会づくりのために邁進することをお誓いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(松野博一君) 三浦議員から七つの質問がありました。
 初めに、給付型奨学金の創設を含む奨学金制度の充実の意義と効果についてお尋ねがありました。
 文部科学省では、これまで貸与型の奨学金の拡充により大学等進学者の経済的負担の軽減に努めてきましたが、今般、誰もが希望すれば進学できる環境を整えるため、給付型奨学金の創設を含む奨学金制度の抜本的拡充を図ることといたしました。給付型奨学金制度は、意欲と能力がありながら経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、我が国として初めて返還不要の給付型の奨学金として創設しようとするものであります。
 また、無利子奨学金については、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、基準を満たしながら予算上の制約により貸与を受けられなかった残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにしてまいります。さらに、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度も来年度から導入することとしております。こうした一連の施策を進めることで、経済的に困難な状況にある子供の大学等への進学を大きく後押ししてまいります。
 次に、社会的養護を必要とする学生についてお尋ねがありました。
 社会的養護を必要とする生徒に関しては、進学後に個人が置かれる経済的状況が厳しいのはもちろん、親族などの頼ることができる者が不在であるなど、特に厳しい状況に置かれることとなります。このため、これらの生徒については、一定の学力・資質要件を満たしていれば高等学校からの推薦を受けられるようにするとともに、支給の額を定める政令において入学金相当額の費用として二十四万円を追加給付することを規定することとしております。
 次に、高等学校卒業程度認定試験の合格者や既卒者も給付型奨学金の選考対象となるのかについてお尋ねがありました。
 文部科学省としては、高等学校卒業程度認定試験の合格者や、一定の要件は付されますが既に高等学校を卒業された方に対しても、経済的な理由で大学等への進学を断念することがないよう、給付型奨学金の選考の対象とすることを予定しています。
 具体的な手続としては、貸与型奨学金と同様、高等学校卒業程度認定試験の合格者又は出願者については、直接、日本学生支援機構に申込みができることとし、また、既に卒業された方については、高校卒業後二年以内であれば各高校に対して申込みができることとする予定です。
 次に、新たな所得連動返還型奨学金制度についてお尋ねがありました。
 新たな所得連動返還型奨学金制度は、卒業後の所得に連動して返還月額が決定されることによって、所得が低い状況でも無理なく返還することを可能とする制度であり、平成二十九年度進学者から導入するものです。
 例えば、私立大学自宅生では貸与月額が五万四千円であり、その場合の返還月額は定額で一万四千四百円となりますが、所得が低い場合には最低で二千円という返還月額となり、大幅に負担が軽減されることとなります。これにより、将来の奨学金の返還について極力不安を取り除き、意欲と能力を有する者の高等教育機関への進学機会の確保につながるものと考えています。
 また、機関保証料については、この度の新たな所得連動返還型奨学金制度の導入に合わせて、加入者数が増加することを前提に、二十五年後まで安定的に運用するためのシミュレーションを行った上で、無利子奨学金の機関保証率を〇・六九三%から〇・五八九%へと約一五%分引き下げることといたしました。今後についても、機関保証制度の安定的運用を図りつつ、運用状況を見ながら適切な保証料となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、減額返還制度の拡充についてお尋ねがありました。
 既に返還を開始している方に対する負担軽減策については、有識者会議において検討を行い、当面、減額返還制度を拡充することが望ましいとされています。具体的には、返還月額を二分の一から例えば三分の一に減額し、より長い期間を掛けて返還できる制度へ拡充するよう検討を進めています。この拡充により、経済的に困難な状況にある返還者の負担が更に軽減されることになると考えています。
 次に、労働教育と相談体制についてお尋ねがありました。
 高校や大学においては、教員、学生支援担当課、学生相談窓口等がアルバイトに関する相談に対応しています。また、各都道府県労働局では、若者相談コーナーでの対応や大学等への出張相談を実施しているところです。また、生徒、学生が労働法制に関する知識や実際のトラブル事例を知ることも非常に重要であり、各学校において、働くときのルールを取り上げたハンドブックの活用や都道府県労働局からの講師派遣によるセミナーの開催、高校においては、学習指導要領に基づく公民科における労働問題についての指導、大学においては、日本学生支援機構と厚生労働省が連携した学生支援担当教職員を対象としたセミナーの活用といった取組が行われています。
 文部科学省としては、今後とも厚生労働省と連携し、高校や大学におけるアルバイトをめぐる問題や労働関係法規に関する理解促進に取り組んでまいりたいと考えています。
 最後に、制度の周知についてお尋ねがありました。
 給付型奨学金を含め、奨学金事業について生徒や保護者、教員等にしっかりと周知を図ることは大変重要なことと認識しております。
 このため、平成二十九年度予算においては、資金計画を含めた奨学金の利用について生徒や教員等の理解を促進するために、スカラシップアドバイザーの派遣に係る経費などを計上しております。また、大学進学を含む進路については、早い時期から考えておくことが重要であり、この際、奨学金を含む教育費の支援策を理解しておくことはとても大切なことと考えます。具体的には、説明会やセミナーの開催、新制度に係るチラシの配布など、奨学金事業全体の周知、広報をしっかりと進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(伊達忠一君) 吉良よし子君。
   〔吉良よし子君登壇、拍手〕
#13
○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人日本学生支援機構法改正案、いわゆる給付型奨学金法案について質問します。
 やりたいことがあって学んでいるのに、卒業後も返済のことが心配で、何のために大学で学んでいるのか分からなくなりそう。奨学金が将来の足かせになり、夢を絶たれてしまいます。これは、昨年十一月、本物の奨学金を求める国会前緊急アクションでスピーチした、奨学金を借りながら都内の大学に通っている女子学生の言葉です。彼女は、毎月九万五千円の有利子奨学金を借りていて、総額で四百五十六万円、利子も入れれば二十年間で五百七十万円もの返済をしなければならないそうです。
 まさに奨学金という名の借金が若者の将来の足かせとなっている今の日本で、今回ようやく給付型奨学金が創設されることになりました。しかし、本法案は国民の期待に応えるものになっているでしょうか。
 まず、支給対象の問題です。
 今や、全体の五三%、二人に一人の学生が奨学金を借りているのに、新たな給付の対象者は一学年二万人、全体の二・五%です。文科大臣、余りに少な過ぎると思いませんか。
 本法案で、給付型奨学金の支給対象は、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと限定されています。総理は施政方針演説で、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりませんと述べました。この立場に立つならば、特に優れたや極めて困難などのような線引きはやめるべきではありませんか。
 また、高校での推薦を決める際のガイドラインでは、学力、資質の目安として、高い学習成績又は教科以外の学校活動などで大変優れた成果等を収めることなどを要件とするとしています。しかし、誰もが進学できるための支援というのであれば、こうした成績要件もなくすべきではありませんか。不要な線引きをなくし、一刻も早く給付対象を広げるように求めます。
 次に、本法案で、学生等の学業が著しく不良となった等の場合には学資支給金を返還させることができるとしている点について伺います。
 この学生等の学業が著しく不良となるというのは、標準的な修業期間での卒業が困難となることが確定した場合や、当該年度における修得単位が著しく少ない場合と衆議院での答弁がありました。しかし、今、奨学金だけで高い授業料は賄えません。また、生活費のためにアルバイトをせざるを得ない学生も多くいます。そのアルバイトが無理なシフトを強いるようなブラックバイトで、授業や試験に出られずに留年となってしまう学生だって少なくありません。そういう学生への奨学金の支給を止め、さらに、今までもらったものを返せと、借金というペナルティーを背負わせるなんて余りにひどい。これでは給付とは言えません。返還できる規定はなくすべきではありませんか。
 以上、文科大臣、お答えください。
 給付型奨学金の創設のための財源も問題です。
 政府は、大学院生の奨学金返還免除制度の見直しや無利子奨学金の減額など、これまでの教育予算の枠内での組替えによって財源を捻出しようとしています。政府を挙げて新しい制度をつくろうというときに、なぜ新たな予算を付けないのか。給付型奨学金創設に合わせ、教育予算そのものを増やすべきではありませんか。とりわけGDP比〇・五六%という世界の中でも低過ぎる高等教育予算を抜本的に増額すべきです。財務大臣、お答えください。
 私たち日本共産党は、国民の望む本物の奨学金の実現を強く政府に求めます。本物の奨学金を実現するためには、今ある制度の見直しも必要です。何より問題なのは、奨学金地獄とも言われる返済苦の問題です。今、奨学金を返したくても返せない若者が増えています。二人に一人が非正規雇用、正社員でも長時間労働、低賃金のブラック企業で働くならば、奨学金を返そうと思っても返せません。
 日本学生支援機構の調査でも、奨学金延滞者のうち八〇・二%が年収三百万円未満といいます。たとえ返せていても、半数前後が返済が苦しいと答えています。それなのに、他の金融ローンと同じかそれ以上の厳しい取立てがされている奨学金。これが、ブラック企業を辞めたくても辞められない、又は結婚も子育ても諦める理由の一つになっています。奨学金という名の借金がここまで若者の人生を追い詰めている事実を文科大臣は認めますか。奨学金返済に苦しむ一人一人の生活実態に寄り添った柔軟な救済制度へと見直すべきではありませんか。
 現行制度では、一旦奨学金の回収が滞ると延滞金が課されます。これは返済促進のためのシステムだといいますが、圧倒的多数の返したくても返せない滞納者にとっては、延滞金は返済を促すどころかペナルティーという意味にしかなりません。生活苦で奨学金も返せないほど困窮している人間に更なるペナルティーを科すような延滞金、すぐにでも廃止すべきではありませんか。
 文科大臣は衆議院本会議で、経済的理由等による返還が困難な方に対しては返還期限猶予制度や減額返還制度を適用することにより対応していると答弁されました。しかし、これらの制度は、返済に困っている人々を救済するには不十分な内容です。
 例えば返還猶予制度、これは利用期間が十年と限られていますが、十年後、確実に返済可能な収入を得られる保証はどこにあるというのでしょう。十年を超えるとどんな年収でも返済が必要というのでは、救済にはなりません。この利用期間制限を撤廃し、本人が返せる状況になるまで猶予する制度にすべきではありませんか。
 また、制度を利用したくても、機構側が様々な条件を付けてその利用を実質的に認めない事態が横行していることは問題です。機構側は、救済をするかしないかはあくまでも自分たちの裁量と言いますが、借り手のための救済制度を貸し手側である機構の裁量としていては、本当の救済にはつながりません。返済猶予を求める全ての人の制度利用を認めるべきではありませんか。
 日本国憲法第二十六条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と、教育の機会均等をうたっています。その立場に立つならば、これまでの日本の高学費、低給付の高等教育の在り方そのものを転換することが必要です。だからこそ、奨学金は一刻も早く全て給付に、少なくとも有利子奨学金はもう廃止すべきではありませんか。何よりも高過ぎる学費を下げて無償を目指す、そのために国立大の運営費交付金、そして私立大への私学助成、それぞれ増やすべきではないでしょうか。
 以上、文科大臣、お答えください。
 最後に、今、教育の無償化のために憲法改正が必要との議論もありますが、とんでもありません。二〇一二年、現行憲法の下で高等教育の漸進的無償化を求める国際人権規約の留保を撤回したことを考えれば、必要なのは憲法を変えることではありません。憲法の理想を一向に実現しようとしない政治の姿勢を変えることこそ、今必要なのではないでしょうか。
 高い学費や奨学金ローンが若者の将来の足かせとなるような社会を変え、憲法の掲げる教育の機会均等を一刻も早く実現するために、日本共産党は全力を挙げる決意を申し上げて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(松野博一君) 吉良議員から十二の質問がありました。
 初めに、給付型奨学金の対象者の規模についてお尋ねがありました。
 給付型奨学金の対象者については、住民税非課税世帯の大学等進学者は六万人程度を想定しておりますが、そのうち給付型奨学金を支給するにふさわしい学生を対象とするという観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を課すこととし、二万人を対象としております。
 次に、給付型奨学金の対象についてのお尋ねでありました。
 今回の給付型奨学金制度においては、教育的な観点や働く者の理解を得るという観点から、一定の学力・資質要件を考慮するとともに、より経済的に厳しい世帯の進学を後押しする観点から家計基準を設定しております。
 平成二十九年度予算においては、給付型奨学金の創設に加えて、授業料減免の一層の充実や、無利子奨学金について、低所得者世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃するとともに残存適格者を解消することとしております。また、卒業後の所得に応じて返還月額が変わる所得連動返還型奨学金制度を導入することとしております。これら一連の施策を一体的に進めることにより、給付型奨学金を受給しない者も含め、確実に子供の進学を後押しすることが可能になると考えております。
 次に、成績要件についてお尋ねがありました。
 給付型奨学金制度は、教育的な観点及び働く者の理解を得るという観点から、学生の努力を促す制度とすることが重要です。また、貸与型の奨学金以上に説明責任が求められるものであることから、一定の学力、資質を考慮の上、給付奨学生を選考することが適当と考えます。
 次に、学業不良の場合の返還についてのお尋ねがありました。
 給付型奨学金は、貸与型奨学金以上に説明責任が問われるものであることから、学業に励まず学業成績が著しく不良となった者については返還を求めることができることとしています。なお、学業成績が著しく不良となった場合にも、それに至った事情は様々であると考えられることから、返還を求めるかどうかの判断に当たっては、当該事情も十分に踏まえた上で、必要に応じて返還を求めるような運用が行われることが重要であると考えています。
 次に、奨学金の返済苦のお尋ねがありました。
 奨学金事業は、意欲と能力のある学生が経済的理由により進学を断念することなく高等教育を受けられる環境を整備するために重要な役割を果たす施策であると認識しています。
 我が国の奨学金制度は、返還金を次の奨学金の原資として活用することにより、限られた財源の中で奨学金を希望する学生を幅広く支援しており、貸与を受けた奨学金については返還していただくことが基本であると考えています。一方、様々な事情により奨学金の返還に困難を抱えている方がいることは認識しており、日本学生支援機構においては、そうした方々に対する救済制度を設け、制度の利用について周知を図っているところです。
 次に、返済に苦しむ者の救済制度についてのお尋ねがありました。
 様々な事情により、卒業後厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な方に対しては、従来から返還期限猶予制度や減額返還制度により対応しています。
 返還期限猶予制度は、卒業後の本人の年収が三百万円以下の場合、申請により返還を猶予しており、平成二十六年度には猶予の年数制限を従来の五年から十年に延長する制度の改正を行ったところです。また、このうち、奨学金申請時に家計支持者の年収が三百万円以下の学生に対しては、無期限に猶予を可能としているところです。さらに、既に返還を開始している方について、減額返還制度を拡充することにより負担軽減を図ることとし、返還月額を二分の一から例えば三分の一に減額することを検討しております。
 奨学金の返還については、まずは、平成二十六年度に猶予制限年数を十年にしたことの効果や来年度から導入する所得連動返還型奨学金制度の効果、さらには減額返還制度を拡充することの効果などを十分に把握、検証してまいりたいと考えています。
 次に、延滞金の廃止についてのお尋ねがありました。
 延滞金については、期日どおりに返還するよう促すこと、また期日どおりに返還している者との公平性から課しているものであり、廃止は困難です。なお、経済的に困難な返還者の負担を軽減するため、平成二十六年四月以降、延滞金の賦課率を一〇%から五%へ引き下げたところです。
 奨学金の返還に際しては、長期にわたって延滞に陥らないことが重要であり、延滞初期段階での返還促進や返還困難時の救済措置の案内により、延滞の防止、解消に努めてまいりたいと考えています。
 次に、返還猶予制度の見直しについてのお尋ねがありました。
 返還猶予制度については、平成二十六年度に猶予制限年数を十年にしたことの効果等を十分に把握、検証をしてまいります。
 次に、返還期限猶予制度の利用についてお尋ねがありました。
 返還期限猶予制度は、返還者の状況に応じて日本学生支援機構において要件を定め、適切に運用しているものと承知しています。
 次に、有利子奨学金の廃止についてお尋ねがありました。
 有利子奨学金は、在学中は利息が掛からず、また利率も、この三月に貸与が終了する方は、固定金利の場合、年利〇・三三%、五年ごとの変動金利の場合、年利〇・〇一%と極めて低利となっております。
 有利子奨学金においては、平成十一年度の自公合意に基づき大幅に拡充を図ったことにより、それまで奨学金の貸与を受けられなかった学生への貸与が可能となりました。これにより、経済的な理由で進学を断念せざるを得なかった学生等の進学を後押しすることができ、進学率の向上に大きく寄与してきたものと認識をしており、引き続き必要な制度と考えております。
 次に、学費の値下げ、国立大学の運営費交付金の増額についてのお尋ねがありました。
 意欲と能力のある学生が家庭の経済状況にかかわらず大学教育を受けられるようにすることは重要なことと考えています。
 国立大学の授業料については、最近の十一年間は値上げしておらず、来年度も授業料標準額の引上げを行わないこととしています。また、平成二十九年度予算では、国立大学の授業料減免について、対前年度十三億円増の三百三十三億円を計上し、免除対象人数を対前年度二千人増の六・一万人に増員するなど、教育費負担の軽減に努めています。
 御指摘の国立大学授業料の引下げについては、国立大学の運営に当たって必要な財源の確保や受益者負担の在り方などから、慎重な検討が必要と考えております。一方、教育費負担の軽減を図るため、今後とも、授業料減免を含めた国立大学法人運営費交付金等の確保に努めてまいります。
 最後に、学費の値下げ、私学助成の増額についてのお尋ねがありました。
 私立大学の授業料は、設置者である学校法人において、各大学の建学の精神に基づく教育研究を実現する観点から設定されており、国として私立大学の授業料を引き下げることについては、私学の自律性や必要となる財源の確保の問題など、慎重な検討が必要と考えています。
 一方で、意欲と能力のある学生が家庭の経済状況にかかわらず大学教育を受けられるようにすることは重要であり、文部科学省としては、今後とも私立大学に通う学生が経済的な理由で修学を断念することがないよう、授業料減免の充実を含めた私学助成の確保に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(麻生太郎君) 吉良議員から、給付型奨学金の財源と高等教育予算の拡充について二問お尋ねがあっております。
 まず、給付型奨学金の財源についてのお尋ねであります。
 厳しい財政状況を踏まえますれば、恒久的な制度創設に当たりましては、安易に予算を増額するのではなく、予算の重点化、効率化などにより安定した財源を確保することが基本であると考えております。
 一方、給付型奨学金の財源につきましては、御指摘の奨学金制度の見直しだけでなく、文部省と厚生労働省の事業の重複排除や事業の効率化といった既定経費の見直しも行うことといたしております。したがって、教育予算の枠内での組替えによって財源を捻出しようとしているという御指摘は当たっておりません。
 もう一問、高等教育予算の拡充についてのお尋ねもありました。
 高等教育予算の規模につきましては、国際的に低水準であるとの指摘があることは承知をいたしております。しかし、初等中等教育まで含めた在学者一人当たりの財政支出はOECD諸国の平均を上回っておる、また国民負担率はOECD諸国の中では最も低いレベルにあることなどを考えますと、数値を単純に比較できるものではないと考えております。
 その上で、高等教育に対する国からの財源支援については、平成二十九年度予算においても、国立大学運営費交付金等の充実、無利子奨学金の拡充、返還不要の給付型奨学金の創設、国立・私立大学授業料減免の拡充など公的支援を増やしているところであります。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(伊達忠一君) 高木かおり君。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕
#17
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 我が党を代表して、ただいま議題となりました改正案につきまして質問いたします。
 日本は、OECD加盟国中、GDPに占める教育機関への公的支出が三十三か国中三十二位という状況です。言い換えれば、教育に対する家庭負担の割合が突出して重い国となっています。
 文部科学白書によると、一人の子供を大学まで進学させるために必要な教育費は、公立の場合は約一千万円、私立の場合は約二千三百万円にも上ります。大学の進学率は、アメリカは七一%、韓国は六八%、それに対しまして日本は平均以下の五二%になっており、これは教育費が家計に与える負担が重過ぎた結果と指摘されています。
 教育は未来への先行投資であり、我が国が持続的に成長、発展していくためには、教育投資の充実を図っていくことが何より重要です。我が党は、先日、教育無償化法案を再び提出いたしました。幼児教育、高校、大学等の教育についても、経済状況にかかわらず授業料の負担をなくし、誰もが希望する質の高い教育を受けられる仕組みづくりを目指しております。
 政府においては、平成二十五年に閣議決定された第二期教育振興基本計画においては、OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考とするとありますが、既に四年が経過しております。具体的にどのような行程で進められているのでしょうか。文部科学大臣の御所見をお聞かせください。
 次に、給付型奨学金制度についてお尋ねします。
 現在の奨学金制度は、さきに述べたとおり、大学の授業料が高額であるにもかかわらず、国の制度としては卒業後に返済する有利子又は無利子の貸与型奨学金しか用意されていなかったことから、卒業時から相当な額の返済負担が生じていることが大きな社会問題となっています。近年は、家計の状況悪化等によって奨学金返済が困難になるケースもあり、平成二十七年度末時点の延滞額は約八百八十億円にも上っています。
 今回法案提出されている給付型奨学金については、所得連動型の返還とされており、将来の奨学金の返還について極力不安を取り除き、意欲と能力を有する者の高等教育機関への進学機会の確保につながる点や、社会人になった人が所得に連動して返還月額が決定されることとなっており、所得が低い状況でも無理なく返還することができるという点については、一定評価をいたします。
 しかしながら、これまで、OECD加盟国中、給付型奨学金を導入していないのは日本とアイスランドのみで、そのアイスランドも国立大学の授業料は無料、国公立大学の授業料が高めに設定されている日本とは事情が全く異なります。財政状況の厳しさは世界的に共通しており、日本だけが例外ではありません。他国においても高等教育の有償化、高授業料化という傾向はありますが、負担増の際には貸与制や給付制奨学金等の導入や拡充が図られています。
 今回の給付型奨学金のみならず、無利子奨学金を拡充することなど、複合的に負担軽減を図ることが求められていると考えますが、今後の具体的な方向性について、文部科学大臣の御所見をお尋ねいたします。
 日本では百万人以上が日本学生支援機構の奨学金を受給している現状があるにもかかわらず、この給付型奨学金制度では、一学年の対象者は僅か二万人、月額も二万円から四万円となっています。給付対象についても極めて狭く設定されており、家計基準は住民税非課税世帯、学力・資質基準は十分に満足できる高い学習成績等の結果が要求されています。貧困世帯の子供たちは本人の努力とは関係のない理由で結果を出せないことも多いため、今後、給付型奨学金が真に進学困難な家庭に有効に機能するためには要件緩和等が必要となると考えます。
 文部科学大臣は、衆議院本会議において、教育費の家計負担の軽減策全体の中で、総合的な観点から優先順位を付けながら検討することが必要とおっしゃっておりますが、総合的な観点とは何か、検討はどの程度のスケジュール感を持ってされるのか、具体的にお答えください。
 給付型奨学金の対象が限定的となった背景には厳しい財政事情があることは理解しますが、新制度の給付規模は、本格実施初年度の平成三十年でも七十億円強、四学年が出そろう平成三十三年度からは毎年二百二十億円程度となると試算されています。今回の奨学金については年間給付額が四十万円弱となりますが、他国の状況を見ますと、大抵五十万円台から六十万円台となっており、更なる充実が求められていると考えます。
 我が党の試算では、大学の授業料無償化に必要な額は約二兆六千億円、教育の全課程無償化に必要な額は約四兆二千億円です。これほどの額の財源確保には説得力のある政策効果を示す必要があります。衆議院文部科学委員会に参考人でいらっしゃってくださった京都大学の柴田准教授は、大学の学費軽減は出生率の上昇と労働生産性の上昇の二つをもたらす可能性があると示唆されておられます。教育投資のマクロ効果を積極的に検証する必要があると思いますが、文部科学大臣の御見解をお伺いいたします。
 教育投資に効果があるとしても、その財源をどこに求めるかは大きな問題です。教育再生実行会議第八次提言では、まず、既存の施策の見直し、優先順位付けによる予算の質の向上、重点化、民間資金の効果的な活用に取り組んだ上で、十分な財源を確保できない場合には税制の見直しを検討するといったことが掲げられています。
 我が党は教育費無償化の財源として公務員の定数削減と給与削減を提案しておりますが、衆議院の議論の中では、相続税の課税ベースを拡大し目的税化する、また配偶者控除の所得制限といった御提案もありました。また、今回の法案では、日本学生支援機構が寄附を募り、基金として運用することとしています。
 高等教育機関に対する公財政支出の在り方を考えた場合、安定した財源を確保することが肝要です。この点につきまして、財務省においては未来への投資とも言える教育投資についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、財務大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、より中長期的な視点での改革についてお伺いいたします。
 今国会では、与野党を問わずに、教育無償化をすべきとの方向性を打ち出しておられます。政府・与党においては、幼児教育の段階的無償化の方針を既に決定していますが、一歩進めて、幼児教育から高等教育に至るまでの全課程での教育無償化に向けて、制度上、予算措置上の検討を始めるべきではないでしょうか。文部科学大臣の御認識をお伺いいたします。
 我が党は、教育無償化を憲法改正で実現しようと考えております。教育無償化こそ、今、国民が最も身近に、切実に、その必要性を感じていると考えるからです。我が党が目指すのは、世論を真っ二つに割るような憲法改正ではなく、ほとんどの国民が賛成できるような、言わば国民を一つにするための憲法改正です。このことを国民の皆様に申し上げて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(松野博一君) 高木議員から五つの質問がありました。
 最初に、教育投資についてお尋ねがありました。
 私も、教育は極めて重要であり、未来への先行投資であると考えております。
 教育投資の充実、教育財源の確保等については、現在、中央教育審議会において、第三期教育振興基本計画の策定に向けた御審議の中で御議論をいただいており、現行計画の進捗状況の点検も行いつつ、本年一月には基本的な考え方が取りまとめられたところです。
 その中で、教育投資の充実に向けては、広く国民の間で、教育投資は未来への先行投資であることについて理解の醸成を図っていくことが不可欠であり、いわゆるエビデンスベースでの教育政策を進め、国民、社会の理解が得られる教育投資の充実、教育財源の確保を図っていくことが必要とされています。
 第三期教育振興基本計画については、来年度中の策定に向け、引き続き審議が進められていきますが、文部科学省としては、こうした議論を踏まえながら、今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、教育費負担軽減の今後の方向性についてお尋ねがありました。
 文部科学省では、これまで、貸与型の奨学金の拡充により大学等進学者の経済的負担の軽減に努めてきましたが、今般、我が国として初めて給付型奨学金を創設することとしました。
 あわせて、貸与型奨学金についても抜本的拡充を図ることとし、無利子奨学金は、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、基準を満たしながら予算上の制約により貸与を受けられなかった残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにしてまいります。また、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度も来年度から導入することとしております。
 給付型奨学金と貸与型奨学金を複合的に利用いただくことで大きな進学の後押しになると考えており、また授業料減免も併せて、教育費の負担軽減に努めてまいります。
 次に、給付型奨学金の要件緩和についてお尋ねがありました。
 今回の給付型奨学金制度においては、無利子奨学金の基準に照らし、より経済的に厳しい世帯を対象とする観点から、現在の小中高等学校で行われている給付型支援制度で基準として広く用いられている住民税非課税世帯を対象とすることとしたものです。また、貸与型の奨学金以上に説明責任が求められるものであることから、給付型奨学金を支給するにふさわしい学生を対象にするという観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を課すこととし、一学年二万人を対象としております。
 給付型奨学金については、まずは制度を当面安定的に運用し、定着を図ることで進学の後押し効果を十分に発揮することが重要であり、制度の見直しについては、本格実施時に進学した生徒が卒業する、法律の施行後五年を念頭に検討したいと考えております。
 なお、先日の衆議院本会議において申し上げたとおり、授業料の無償化については、教育費の家計負担の軽減策全体の中で、総合的な観点から優先順位を付けながら検討することが必要であると考えております。
 次に、高等教育への投資効果についてのお尋ねでありますが、高等教育への公財政支出は、教育の質の向上、教育の機会均等などに資するだけでなく、高い能力を持った人材の育成等を通じ、将来の経済成長にもつながり得るなど、様々な効果をもたらすものと考えております。今後とも、高等教育への投資効果などに関する実証的なデータ等の把握に努めるとともに、その成果を活用し、高等教育政策の充実を図ってまいります。
 最後に、教育無償化についてお尋ねがありました。
 誰もが、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは、大変重要です。
 このため、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減として、平成二十九年度予算では、特に、幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料減免等や、給付型奨学金の創設を含めた大学等奨学金事業の充実等に必要な経費を盛り込んでいます。今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育費負担軽減に向けた取組をしっかりと進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(麻生太郎君) 高木議員から、財政的見地からの教育投資の在り方について一問お尋ねがあっております。
 教育が将来への投資として重要であることは御指摘のとおりであります。他方で、日本の国民負担率はOECD諸国の中で最も低いレベルにあることや、在学者一人当たりの財政支出はOECD諸国の平均を超えております。国際的に見ても遜色はないと存じます。したがって、更なる財政支援の拡充に当たりまして、安定した財源を確保することが基本と考えております。
 このため、高等教育に対する国からの財政支援について、平成二十九年度予算におきましても、無利子奨学金の拡充、給付型奨学金制度の創設、国立、私立大学授業料減免の拡充といった取組を、しっかりと財源を確保しつつ、進めることといたしております。(拍手)
#20
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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