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2017/04/07 第193回国会 参議院 参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第14号
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2017/04/07 第193回国会 参議院

参議院会議録情報 第193回国会 本会議 第14号

#1
第193回国会 本会議 第14号
平成二十九年四月七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十四号
  平成二十九年四月七日
   午前十時開議
 第一 臨床研究法案(第百九十回国会内閣提出
  、第百九十三回国会衆議院送付)
 第二 原子力利用における安全対策の強化のた
  めの核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規
  制に関する法律等の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
  の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。厚生労働大臣塩崎恭久君。
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 相模原市の障害者支援施設で発生をした殺傷事件、精神保健指定医の指定の不正取得の事案等を踏まえ、措置入院者が退院した後の医療等の支援の強化、精神保健指定医制度の見直し等を行うため、この法律案を提出をいたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、国及び地方公共団体の義務として、精神障害者に対する医療は精神的健康の保持増進を目的として行われるべきことを認識するとともに、精神障害者の人権を尊重し、地域移行の促進に十分配慮すべきことを法律に位置付けます。
 第二に、措置入院者が退院した後に医療等の継続的な支援を確実に受けられるようにするため、都道府県及び政令市が、措置入院者の入院中から、退院後の医療等の関係者と協議の上、退院後支援計画を作成をし、退院後は帰住先の保健所を設置する地方公共団体がこの計画に基づいて支援を行う仕組みを創設をいたします。
 第三に、精神障害者の適切な医療その他の援助を行うため、保健所を設置する地方公共団体が、精神障害者支援地域協議会を組織し、精神障害者の支援体制、退院後支援計画の作成に関する協議等を行うこととします。
 第四に、精神保健指定医の指定申請の適正を図り、その資質を担保するため、申請者に一定の要件を満たす指定医の指導の下での実務経験を求めるなど、指定医の指定及び更新の要件の見直し等を行います。
 第五に、医療保護入院に係る手続を改め、家族等が同意又は不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とします。
 最後に、この法律案は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。島村大君。
   〔島村大君登壇、拍手〕
#7
○島村大君 自由民主党の島村大です。
 自民、公明を代表し、ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 まず、この場をお借りしまして、昨年七月、私の地元であります神奈川県相模原市津久井やまゆり園にて発生した事件で尊い命を失った方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々に対して改めて哀悼の意を表したいと思います。
 本日、こうした事件の再発を防ぐとともに、精神疾患の患者に対する医療の充実を図るという観点から、今般の法改正の背景や改正点、今後の政府の取組などについて、塩崎厚生労働大臣に伺ってまいりたいと思います。
 まず、この法改正の背景及び趣旨について伺います。
 政府におかれましては、津久井やまゆり園事件の発生を受けて、事件の検証・検討チームを立ち上げて事件の検証を行ってきました。今回の法改正は、その過程で明らかとなった現行制度の課題への対応だけではなく、平成二十五年の改正後の三年後見直し規定を踏まえた医療保護入院の手続の見直し、そして精神保健指定医の指定取消処分を踏まえた指定医の不正取得の再発防止策も含めたものになっていると理解しています。
 そこで大臣に、改めて、この度法改正となります現行制度の課題や改正の趣旨について確認したいと存じます。
 続いて、退院後支援計画作成と退院時期の関係について伺います。
 本法案の制度改正では、措置入院者が退院した後の社会復帰のために必要な医療やその他の援助は、原則、入院中に、帰住先の自治体や入院先病院、そして通院先医療機関などから構成される精神障害者支援地域協議会などにおいて関係者と協議の上で作成された退院後支援計画により定められることとなっています。そして、この計画に沿って帰住先の保健所設置自治体が支援全体を調整することとなっています。
 しかし、措置入院が短期で計画策定が間に合わない場合に、本来は退院できるにもかかわらず、計画ができていないという理由で退院できなくなるのではないか、また、計画ができていないので退院後の支援措置も実施されないのではないかという懸念があります。
 そこで、措置入院が短期となった場合にも、計画策定の遅延を理由に措置入院が延ばされる懸念はないということを明らかにした上で、退院後支援計画を核とした支援が円滑に行われるために、速やかな計画策定などについてどのように対応していくおつもりか、お聞かせください。
 次に、都道府県、病院管理者による相談指導体制について伺います。
 実際の現場で制度をより意義のあるものとするには、対象者へきめ細やかなフォローが行われるよう、相談指導を担う人材の確保や帰住先の保健所の体制充実が大きな課題であると考えます。
 そこで伺いますが、現状では、相談指導を担う人員や帰住先の保健所の体制は十分なのでしょうか。また、実効性ある制度とするためには、地域それぞれで個別のケースに対して適切に対処できる能力を有する質の高い人材が十分確保されるような対策を講ずる必要があると思いますが、どのような対応をしていくおつもりなのか、お聞かせください。
 次に、精神障害者支援地域協議会への懸念点について伺います。
 犯罪防止の観点と医療機関の役割から見て、医療機関が入手した犯罪の発生防止につながるかもしれない情報の警察等関係機関との共有は、微妙な問題です。
 今回の改正案では、保健所設置自治体が精神障害者支援地域協議会を設置することとされています。その役割として、市町村、警察等の関係機関、精神科医療関係者、障害福祉サービス事業者、障害者団体、家族等が地域の代表として参加する会議において、確固たる信念を持って犯罪を企図する者への対応や入院後に薬物使用が認められた場合の連絡体制等について、地域としての対応を協議することとなっています。
 一方、こうした会議に警察等が参加することが想定されることから、個別のケースにおいて、警察から常時監視されるのではないか、警察へ通報を恐れて退院後の通院を避けるのではないかといった誤解に基づいた指摘があります。
 そこで、本改正は地域における精神障害者の退院後の支援体制の構築を目指して、行政、医療、警察間の連携について協議する仕組みをつくるものであり、この代表者会議が退院後の監視のための仕組みではないということについて改めて確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
 続けて、本法案のもう一つの柱である医療保護入院の入院手続等の見直しについて伺います。
 今回の改正では、平成二十五年の改正精神保健福祉法の施行から三年を経過したことの見直しとして、医療保護入院の手続において、患者本人との関係悪化等を理由に家族等が同意、不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意で医療保護入院を行うことを可能とすることとしています。これにより、これまで医療保護入院が必要なのに家族がはっきり回答せずに入院に至らないケースに対応できることとなります。しかし、一方、家族がすぐに回答しなかったような場合にも、同意、不同意の意思表示を行わないものとみなして市町村長の同意を得ると、家族の本当の意思に反している不本意な医療保護入院となるおそれもあります。
 そこで、今回の改正により追加される、家族等の同意、不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意で医療保護入院を行うことを可能とするという制度が、家族等同意の趣旨を損なわないよう適切に運用されるためにどのような措置を講ずるかという点について伺います。
 最後に、共生社会の実現に向けた厚生労働行政について伺います。
 今回の改正案は、精神障害者に対する自立支援を強化することを趣旨としていますが、これを支える社会的な前提として、障害の種類にかかわらず全ての障害者の尊厳が重んぜられ、障害を理由とする差別がない共生社会を築いていくことが大変重要です。障害の有無にかかわらず多様な生き方を認めていくことは、一億総活躍社会の実現にもつながります。
 そこで、最後に、共生社会の実現に向けて厚生労働行政をどのように推進していくか、その決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(塩崎恭久君) 島村大議員にお答えを申し上げます。
 法改正の背景と趣旨についてのお尋ねがございました。
 相模原市で起きた殺傷事件などを踏まえ、現行制度の検討を行った結果、措置入院について、患者が退院した後の医療等の支援が不十分であること、精神保健指定医制度について、指定医になろうとする者を指導する指導医の役割が十分認識されていないこと、医療保護入院について、患者の家族等が同意、不同意の意思表示を行わない場合、患者の適切な医療につながらないこと等の課題があることが明らかとなりました。これらの課題に対応するため、この法律案を提出申し上げました。
 退院後支援計画についてのお尋ねをいただきました。
 退院後支援計画は、原則として、患者の措置入院中に、精神障害者支援地域協議会で協議の上、作成することとしております。ただし、入院期間が短いなどの場合には退院後速やかに計画を作成することとしており、計画作成の遅れを理由に措置入院期間が長くなることはありません。また、仮に計画作成が退院後となる場合でも、必要な通院治療や障害福祉サービスなどの支援が遅れたり途切れたりすることのないよう、自治体に周知を徹底してまいります。
 相談指導の体制確保につきましてのお尋ねをいただきました。
 保健所や精神保健福祉センターにおける相談指導等の体制を強化するため、平成二十九年度から、全国の自治体で二百人程度の精神保健福祉士を新たに雇い入れることができるよう、地方交付税措置を講じております。自治体の状況を見ながら、引き続き体制の確保に努めてまいります。
 また、今後、退院後の医療等の支援に関するガイドラインを作成するとともに、自治体職員に対する研修を行うことにより、その専門性の向上を図ってまいります。
 精神障害者支援地域協議会についてのお尋ねをいただきました。
 精神障害者支援地域協議会では、地域における精神障害者の支援体制の協議と個別ケースの支援内容の協議という二つの役割があります。このうち、支援体制の協議を行う代表者会議には警察の参加も想定されていますが、個別の患者の事例は対象となりません。このため、代表者会議で精神障害者への監視を行うことはなく、法の施行に当たっては、この趣旨について周知徹底してまいります。
 医療保護入院についてのお尋ねをいただきました。
 本法案では、医療保護入院について、精神障害者の家族等が同意、不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長の同意によりこれを行うことができることとしております。その適切な運営を図るため、今後、市町村長が同意を行う際に必要となる手続や確認事項をガイドラインとして明示をしてまいります。
 共生社会の実現についてのお尋ねをいただきました。
 一人一人の命の重さは、障害のあるなしによって少しも変わることはありません。こうした当たり前の価値観をいま一度共有していくことが何よりも重要であると考えております。今後とも、共生社会の実現に向け、こうした基本的な考えを発信をし、周知啓発等に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(伊達忠一君) 川田龍平君。
   〔川田龍平君登壇、拍手〕
#10
○川田龍平君 民進党・新緑風会の川田龍平です。
 精神保健及び精神障害者福祉法の改正案について、会派を代表して質問いたします。
 質問に先立ち、四日の今村復興大臣の発言には強い憤りを抑え切れません。同僚の福島選出の増子議員の、潔く自ら辞職すべきという言葉と全く同じ気持ちです。
 参議院の超党派同僚議員と立法した原発事故子ども・被災者支援法の理念には、とどまる人も避難する人も帰還する人も、国が責任を持って支援することを明記しています。今も先を見通せず、ふるさとを奪われた被災者の気持ちに寄り添えず、被災者が置かれている現状を理解していない今村復興大臣には即刻辞任していただきたい。
 冒頭、昨年七月、神奈川県相模原市の知的障害者の入所施設で事件に巻き込まれ、お亡くなりになった十九人の御冥福を祈り、心から哀悼の意をささげたいと思います。
 あの事件が衝撃的だったのは、その残虐性もさることながら、犯人が犯行前に重度の障害者は死んだ方がよいという思想を公言していたこと、そして、それを支持するような書き込みがネット上に少なからず出ていたことです。
 まず、厚労大臣には、障害者に死を強制する優生思想は絶対に認められないこと、また、障害者へのヘイトクライムを許さないというメッセージを発していただけないでしょうか。
 松野文科大臣は、インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育を推進すると所信を述べられておられます。
 では、普通学級で障害のある生徒が机を並べて共に学ぶための環境整備や、普通学級の教職員や生徒、保護者が障害のある生徒と支え合うことの理解を深めるための取組、障害のある生徒との交流及び共同学習の現状は、障害者への差別、偏見を解消するに十分だとお考えでしょうか。
 私は、小学生、中学生時代、自分も障害者ですが、同じクラスに知的障害児も発達障害児もいて、一緒のクラスで学ぶことができました。そうした当たり前に教室にいることで、障害者ということを意識せず、一人の人間として共に生きることを学べるのではないでしょうか。
 以上二点、松野大臣の見解をお聞かせください。
 森友学園傘下の幼稚園が障害児に関する補助金を不正申請したとして、大阪府教育庁が二〇一六年度分の交付を見送ったとの報道がありましたが、文科大臣はどのような見解をお持ちですか。
 この不正を同僚の石橋議員が指摘したのは三週間前のこの本会議です。なぜ厚労省はいまだに対応していないのでしょうか。森友学園の国有地の不当な払下げ問題でますます拡大する国民の不信感を払拭するためにも、すぐに必要な対応策を実施し、障害児を含め全ての子供たちが安心できる保育を整備するべく全力で取り組むべきと考えますが、厚労大臣の見解を伺います。
 では、精神保健福祉法改正案について伺います。
 まず、本来の精神保健福祉法の目的は、精神障害者の人権を守り、地域の中で安心して暮らせる環境を整備するための法律です。ですから、今回の法改正の中で、精神保健指定医指定の不正取得に対する再発防止策が盛り込まれていることや、さらに、市町村は、精神障害者に対する医療は精神的健康の保持増進を目的とすることを認識するとともに、精神障害者の人権を尊重し、地域移行の促進に十分配慮すべきという一文を明記したことも前向きに評価できます。しかしながら、どうしても納得できないのは法改正の趣旨です。
 大臣は趣旨説明で、相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件を踏まえと述べましたが、犯罪防止が法改正の趣旨の一部なのでしょうか。
 精神鑑定結果を基に起訴した検察官は、被告人に責任能力ありと判断しました。これは、つまり、やまゆり園での殺傷行為は、精神障害が原因ではなく自由意思だったという判断です。このように、この事件と精神障害に直接の関係性がなかったという鑑定結果にもかかわらず、なぜわざわざ精神保健福祉法に治安維持の要素を入れるのでしょうか。両者を一緒にすることは、精神障害者に対する差別、偏見につながるだけでなく、精神保健福祉法の本来の目的とも矛盾していると考えますが、厚労大臣、いかがでしょうか。
 今回の法改正に犯罪対策を盛り込んだという事実について、精神障害者当事者や精神科ソーシャルワーカーの立場や精神科医からも、措置入院者の退院後支援を強化したからといって犯罪を予防することはできないのではないか、むしろ、やまゆり園を理由にして精神保健福祉法改正に犯罪対策まで入れるのは筋違いではという疑問の声が上がっています。
 塩崎厚労大臣は、この法律に何か原因があって相模原事件が発生したと考えているのでしょうか。措置入院者の退院後支援があれば今回の犯罪は防げたとお考えでしょうか。イエスであれば、その根拠をお聞かせください。
 今回の法改正の内容を見ると、精神障害者支援地域協議会の代表者会議に警察が含まれるとされています。警察にどのような役割を期待しているのでしょうか。
 検討チームの山本座長は、監視を強めるのではなく、精神医療の底上げを図り、患者を孤立させないことが再発防止につながると述べましたが、警察が入るとなぜ精神医療の底上げにつながるのでしょうか。
 現在、措置入院者の三分の一は一か月未満で退院し、一週間程度の方も少なくありません。今回の法改正の中で、退院後支援計画は原則として入院中に作成することとされていますが、計画が作成されなければいつまでも退院できず、入院は長期化します。このリスクについてはどう対処するのでしょうか。
 また、措置入院者は障害者総合支援法の相談支援等の支給決定に沿って、本人の希望を反映したサービス等の利用計画を作ることができます。今回の法改正によると、退院後の支援計画は本人なしでも作成できるようですが、国連障害者権利条約や精神保健福祉法の目的に沿って、こうした退院後の支援計画も患者本人の意思で必要な医療・福祉サービスの選択ができるように設計されなければなりません。
 退院後の計画を作る際、本人の意思はいつどのような形で確認され、もし不服がある場合、どのように申立てや変更ができるのでしょうか。そもそも、この退院後支援を措置入院者に限定している理由は何でしょうか。
 これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会について質問します。
 国連の障害者権利条約第十四条では障害を理由とした人身の自由の剥奪の禁止が規定されており、同委員会の十四条ガイドラインでは精神障害を理由とした非自発的入院は第十四条違反とされています。また、同条約第十二条についても同条約違反であるとされていることを塩崎厚労大臣は御存じでしょうか。
 我が国のこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の中で、非自発的入院についての同条約第十二条と第十四条の整合性が議題に上がっていないのはなぜですか。
 今回の法改正の附則第十条には五年後の見直しが規定されています。五年たつ前に、国連障害者権利条約に関する対政府審査が来ます。そうなる前に、我が国の検討会において同条約との整合性を議論するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 二〇一三年の前回改正の際、附則第八条が修正により設けられ、医療保護入院における手続などが検討されてきました。これは、先ほど申し上げた権利条約に逆行することが指摘されているにもかかわらず、議論が不十分なまま医療保護入院及び家族同意制度が残されました。これは重要な点なので、引き続き検討課題とすべきではないでしょうか。
 前回改正以降、市町村長同意による医療保護入院件数は半減しました。今回の要件緩和で件数が再び増えることを懸念しますが、いかがお考えでしょうか。
 権利擁護の仕組みについて伺います。
 前回改正時にも議論したことですが、非自発的入院者には、自動的に、病院から独立した立場の法律家や入院経験者、ソーシャルワーカーなどが付いて相談に乗ってくれる仕組みが求められています。厚労省は障害者総合支援法の枠組みで検討しているようですが、患者によっては自ら院外に電話をすること自体が困難です。入院したら自動的に病院から独立した権利擁護の仕組みを案内し、利用を勧める仕組みをつくるべきではないでしょうか。
 現在、我が国の精神科病院の入院患者数は約三十万人、その六割以上が長期入院患者です。さらに、隔離や身体拘束を受けている患者数は二〇一四年時点でそれぞれ一万人を超え、身体拘束されている患者に関しては過去十年で二倍に増えるという異常事態になっています。
 この中で、かねてより行き過ぎた身体拘束についての報告が多々出ていますが、不適切な身体拘束を防止するため、身体拘束を可視化する検討や、それについてのより丁寧な議論が必要だと思われますが、いかがでしょうか。
 地域移行を進めるに当たっては、退院後に地域の中で本人が孤立せずに安心して生活できるよう、地域住民と行政、福祉、医療などによる地域包括ケアシステムが求められていますが、退院後の生活では家族のサポートが不可欠です。よって、このシステムを設計する際、本人だけでなく、患者の家族への具体的支援も必要と考えますが、いかがでしょうか。
 今、我が国では、精神障害者のみならず、誰もが病気や障害など様々なハンディによって苦しむことのない真の共生社会を早急に整備することが政府には求められています。多くの人は、障害者をかわいそうだと同情します。その人自身が生きづらさを抱えていれば、余裕のなさから距離を取り、心のどこかで障害者を自分とは違った世界の他人として見てしまうでしょう。
 ですが、障害を抱えた側が望むのは、同情されることでも、単に手を差し伸べられることでもなく、同じ一人の人間として平等に扱われる社会なのです。だからこそ、その仕組みづくりのプロセスにおいて、当事者やその家族といった弱い立場の視点が抜け落ちることのないよう、同じ一当事者である私からも強く訴えたいと思います。
 最後に、私事ですが、今年、国会議員になって十年になります。薬害エイズの被害者が名前も出せずにエイズを発病して亡くなっていくのを、同じ病室で見てきました。やまゆり園の事件で被害者たちが名前も出せずに亡くなっていくことに、あのときと同じ悔しさと悲しさを感じずにはいられません。
 二度と同じ過ちを繰り返さないために国会議員になり、この間ずっと様々な薬害再発防止法案に取り組んできましたが、実はその一つである臨床研究法案が、今日、この本会議でこの後採決されます。被験者保護の観点からはまだまだ足りない部分もありますが、ずっと後回しにされてきたこの法案がやっと採決にまでこぎ着けたことは、あのとき声を上げられずに死んでいった仲間たちのことを思うと、本当に感無量です。
 今国会でまずこの法律を成立させ、その上で不十分な点は、二年、三年、五年掛かっても改正を重ねていき、二度と薬害を起こさないしっかりした法律をこの国に確立するよう、引き続き尽力していきたいと思います。
 ここまでは本当に長い道のりでした。多くの人の協力がなければ、ここまで来ることはできませんでした。採決に至るまで御尽力いただいた皆様にこの場を借りて一言感謝を申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(塩崎恭久君) 川田龍平議員にお答えを申し上げます。
 優生思想等についてのお尋ねがございました。
 この世に必要のない人間などはいません。一人一人の命の重さは障害のあるなしによって少しも変わることはなく、また、皆が平等に生きる価値がある存在であるということを改めて強く申し上げたいと思います。共生社会の実現に向けて、様々な機会を捉え、こうした基本的な考えを私からも繰り返し発信をしてまいる覚悟でございます。
 個別の保育園への対応と保育環境整備についてのお尋ねをいただきました。
 御指摘の保育園に対しては、指導監督権を持つ大阪市が三月三十一日に立入調査を実施をしておりますが、引き続き調査を進めるとの報告を受けております。調査の結果を踏まえ、必要な対応を検討してまいります。また、国としては、保育を必要とする子供が安心して保育を受けられるよう、今後とも多様なニーズに応じた保育の受皿整備に全力で取り組んでまいります。
 法改正の趣旨や警察との関係についてのお尋ねがございました。
 本法案では、措置入院者が退院をした後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みを整備をいたします。その目的は、社会復帰の促進等であり、犯罪防止や治安維持ではありません。医療等の退院後支援は、患者の孤独を防ぎ、結果として事件の再発防止にも資すると考えております。
 精神障害者支援地域協議会では、地域における精神障害者の支援体制の協議と個別ケースの支援内容の協議という二つの役割がございます。このうち、支援体制の協議を行う代表者会議には警察の参加も想定されていますが、これにより、医療と警察の適切な役割分担を図ってまいります。
 退院後支援計画についてのお尋ねがございました。
 入院期間が短いなどの場合には退院後速やかに計画を作成することとしており、計画作成の遅れを理由に措置入院期間が長くなることはありません。
 計画の作成には可能な限り患者本人や家族に御参加をいただき、その意向を踏まえた適切な支援がなされるよう努めます。計画には拘束力はありませんが、仮にその内容に不服が表明された場合には、自治体において本人や家族の意向を尊重した対応がなされるよう運用を図ってまいります。
 また、今回、措置入院者についてのみ計画を作成することとしたのは、措置入院が都道府県知事等が行う行政処分であり、その退院後、円滑な地域生活への移行を支援する必要性が高いことなどによるものでございます。
 障害者権利条約との整合性についてのお尋ねをいただきました。
 障害者権利条約の批准に当たっては、国内法との整合性を確認をしています。精神保健福祉法に基づく非自発的入院は、精神障害者であることを理由に行うものではなく、疾患のため自らの意思による入院が行えないなどの要件を満たす場合に、法律に基づく手続により行われるものであります。このため、同条約に定める人身の自由剥奪の禁止規定に反するものではないと考えております。
 また、御指摘の検討会では、医療保護入院の必要性について議論いただきましたが、今後、条約に基づく対政府審査が行われる際には、その結果も踏まえ、対応を検討してまいります。
 医療保護入院の手続についてのお尋ねをいただきました。
 医療保護入院の手続等については、前回改正の際、施行三年後の検討事項とされたことから、有識者検討会で議論をしてまいりました。
 検討会では、精神疾患は症状の悪化により治療に結び付きにくくなる場合があるため、治療の手段として医療保護入院制度が必要であることが確認をされました。一方で、その実態の継続的な検証が必要とされており、引き続き検討を行ってまいります。
 また、今回の改正により、市町村長の同意による医療保護入院がどの程度増えるかについては明確に申し上げることは困難でございますが、この改正は、現在、入院医療につながらない患者を必要な医療につなげることを目的とするものでございます。
 権利擁護の仕組みについてのお尋ねがございました。
 入院中の精神障害者の権利擁護については、平成二十五年改正法の三年後見直し規定に基づく検討の結果、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業を活用してその推進を図ることとしております。具体的には、退院に向けた意思決定や退院請求等の権利行使について、医療機関以外の第三者がピアサポーター等の地域の社会資源と連携しながら支援をしてまいります。
 身体的拘束と家族支援についてのお尋ねをいただきました。
 身体的拘束は、精神保健指定医の診察により患者の医療と保護のため必要性が認められた場合に限り必要最小限の範囲内で行うことができます。今回、毎年六月に行っている実態調査に合わせて身体的拘束に関する調査も行い、その結果を踏まえ、不適切な身体拘束を防止するための方策を検討してまいります。
 また、御指摘のとおり、精神障害者の地域移行を進めるに当たっては、家族への支援が重要であります。こうした支援に取り組む自治体に対して補助を行う等の対応を図ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(松野博一君) 川田議員から三つ質問がありました。
 最初に、障害のある子供が共に学ぶための環境整備についてお尋ねがありました。
 御指摘の、障害のある子供とない子供が可能な限り共に学ぶための環境整備、学校教育における障害者理解の推進、交流及び共同学習の推進は、共生社会の形成の基礎となるものとして大変重要であると認識しております。
 そのため、文部科学省においては、共に学ぶための環境整備として、学校に外部専門家を配置するための補助事業、特別支援教育支援員の配置のための地方財政措置を実施しています。また、小学校で平成三十二年度、中学校で三十三年度から全面実施される次期学習指導要領においては、道徳を新たに特別の教科と位置付け、相互理解、寛容、公正、公平、社会正義など内容の充実を図るとともに、障害のある児童生徒との交流及び共同学習の機会を設けることを規定したところであり、そのための取組を推進します。
 文部科学省としては、これらの取組の更なる充実が必要であると考えており、引き続き努力してまいります。
 次に、障害のある子供とない子供が共に学ぶことのお尋ねでありますが、障害のある子供たちが一般社会に出た後に障害のない人たちと共に活動していくためには、早期から共に学び、活動する経験をすることが重要であると考えます。また、障害のない子供たちにとっても、障害のある子供たちと共に学ぶことは、社会が様々な個性を持つ人々によって構成されていることや、それらの人々と共に生きることを学ぶ機会になると考えています。
 文部科学省としては、障害のある子供たちがその能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加することができるようにするとともに、可能な限り障害のない児童生徒と共に教育を受けることができる仕組みの構築に努めてまいります。
 最後に、大阪府における補助金の不交付のお尋ねでありますが、大阪府に確認したところでは、大阪府において、塚本幼稚園に対する平成二十八年度の大阪府私立幼稚園等特別支援教育費補助金の不交付を決定したとのことです。今回の不交付については、所轄庁である大阪府が適切に判断して決定したものと承知しています。
 なお、幼児教育を含め、特別な支援が必要な子供に対する支援は今後とも必要と考えており、文部科学省としては、引き続き特別支援教育の適切な推進に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(伊達忠一君) 倉林明子君。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕
#14
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、厚生労働大臣に質問します。
 近代日本の精神医学、医療の先駆けとなった呉秀三氏は、我が国何十万の精神病者は実にこの病を受けたる不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものと言うべしと表しました。
 座敷牢に始まり、一九五〇年の精神衛生法制定に至るまで、日本における精神障害者対策は、長く隔離、収容する歴史であったと言っても過言ではありません。
 精神衛生法制定後も、圧倒的に不十分な体制と診療報酬の下で精神病院での隔離、拘束が行われ、患者の人権侵害が続発しました。暴行事件や無資格診療が放置され続けた宇都宮事件では、措置入院の患者の多くが措置の必要のない患者だったことが判明するなど、大きな社会問題に発展し、ようやく一九八七年の精神保健法で患者の人権尊重が盛り込まれることとなりました。しかし、現在でも精神障害者に対する偏見は根強く、人権侵害の事案も少なくありません。
 日本の精神障害者の処遇が、国際的に見ても、他の障害者施策から見ても遅れているとの認識はありますか。大臣の認識をお聞かせください。
 本法案では、改正の趣旨として、相模原市の障害者施設、津久井やまゆり園の殺傷事件が挙げられています。二度と同様の事件が発生しないよう法整備を行うとしていますが、これでは改正目的が精神障害者の犯罪防止となり、本法律の第一条、精神障害者の福祉増進、国民の精神保健の向上を図るとした目的と矛盾するのではありませんか。
 そもそも、相模原事件の被疑者は起訴前の鑑定結果で責任能力が認められています。犯罪の主要因が精神疾患や精神医療歴にあるとの立証もされていません。事件と精神障害との因果関係も未解明なまま、なぜ法改正が必要となるのか。立法事実について明確な説明を求めます。
 入院しなければ自傷他害のおそれがある場合、都道府県知事の権限による入院が精神科医療にのみ認められているのが措置入院です。この措置入院患者に対する退院後の継続的な支援と称して、入院中に都道府県等が退院後支援計画を策定するとしています。設置される精神障害者支援地域協議会に新たに警察も参加することとしています。なぜ精神障害者の退院後の継続的支援に警察が関与する必要があるというのでしょうか。加えて、グレーゾーン事例を対象に含めた理由は何か、答弁を求めます。
 また、この計画策定に当たって実施する個別ケース会議には、患者本人や家族は必要に応じて参加するとされているだけで、精神障害者の自己決定権が担保されているものではありません。誰が参加の可否を判断するのか、その基準は何なのか、説明を求めます。
 さらに、措置入院患者が入院時と異なる地方自治体に転出した場合、転出先の自治体とも情報を共有するとして、移転元から移転先への通知を義務付けています。この情報は警察も共有するということになるのではありませんか。
 どこに退院したとしても、警察の監視対象とされかねない危険があります。これは、憲法二十二条、居住、移転の自由を侵害するのではありませんか。大臣の見解を求めます。
 厚労省の調査によれば、精神病院で身体拘束や施錠された保護室への隔離を受けた入院患者が二〇一四年度に過去最高を更新し、隔離は調査が始まって以来、初めて一万人を突破しました。大臣は、入院医療における精神障害者に対する人権保護はいまだ改善されていないとの認識はお持ちですか。
 我が国の精神科医療は、一九五八年、医療法に精神科特例が設けられ、一般科と比べて医師は三分の一、看護師は三分の二の人員でよいとされて以来、半世紀を超えてもなおこの基準が続き、精神科医療の向上を妨げる大きな要因となってきました。障害者権利条約第五条は、平等の実現と差別の禁止の遵守を求めています。こうした格差は直ちに解消すべきではありませんか。
 精神病院の入院患者数は減少傾向にあるものの、この間、医療保護入院は増え続け、二〇一五年には精神病院入院患者の四六%を占めています。医療保護入院とは、精神保健指定医が本人の医療及び保護のために入院が必要と判断しているが、本人が同意しない場合、保護者の同意による入院を認めているものです。医療保護入院は、入院を必要とする精神障害者で、自傷他害のおそれはないが、任意入院を行う状態にない者という要件が曖昧で、措置入院と同様、本人の同意のない入院となるものです。
 本法案では、本人に代わって入院の同意をする範囲を、家族等に加えて市町村長にも拡大するとしています。安易な保護入院を増やし、入院の長期化につながりかねません。市町村長に同意の範囲を拡大した理由は何か、説明を求めます。
 医療保護入院については、さきの法改正時に、三年後をめどにその手続の在り方等について検討し見直すとされていたものです。日本精神神経学会からは、措置入院も含め、本人同意のない入院や行動制限は、精神科医療に限定された問題ではなく、医療全体の問題として特別法の制定も視野に入れた検討が求められていたものです。精神障害者の人権保護という観点からの検討はどのようにされたのか、お答えください。
 一九九一年、国連は、精神疾患を有する者の保護及びケアの改善のための原則を定め、精神疾患を有する者の基本的な自由と人権と法的権利を保護するための最低限の基準を定め、各国政府に国内法の整備を要請しました。既に、日本政府は二〇一四年に障害者権利条約を批准しています。果たして、本法案は要請や条約に沿ったものとなっているでしょうか。
 障害者権利条約第十四条(b)は、「不法に又は恣意的に自由を奪われないこと、いかなる自由の剥奪も法律に従って行われること及びいかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在によって正当化されないこと。」としています。この条文にのっとれば、精神障害を理由に精神障害者を強制的に保護することが認められないことは明らかです。まして、精神障害を理由に犯罪防止の対象とするなど、決して容認されるものではありません。
 本法案には、精神障害者の権利擁護に逆行する重大な問題が含まれています。関係者の意見も十分に踏まえた徹底審議が必要であることを主張し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(塩崎恭久君) 倉林明子議員にお答えを申し上げます。
 日本の精神障害者の処遇についてのお尋ねがございました。
 日本の精神障害者の処遇についてでございますが、精神保健福祉法は、これまでも精神障害者の人権擁護、適正な医療の確保、社会参加の促進などの観点から改革を重ねてまいりました。
 精神障害者の処遇について、諸外国の取組や他の障害者施策と単純に比較することは難しいと考えておりますが、引き続き、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしく暮らせるように施策を推進をしてまいります。
 法案の目的、立法事実についてのお尋ねをいただきました。
 本法案の目的は、精神障害者の社会復帰の促進等であり、犯罪防止ではありません。また、昨年七月に発生をした相模原市の障害者支援施設における事件の検証の結果、現行法には、措置入院者について退院後の医療等の支援が不十分である等の課題が明らかになりました。こうした課題に対応するため、措置入院者の退院後の支援の強化等を内容とする本法案を提出したものでございます。
 退院後支援における警察の関与等についてのお尋ねをいただきました。
 精神障害者支援地域協議会では、地域における精神障害者の支援体制の協議と個別ケースの支援内容の協議という二つの役割があります。このうち、支援体制の協議を行う代表者会議には警察の参加も想定されていますが、個別ケースの退院後支援に原則警察は関与いたしません。また、御指摘のグレーゾーン事例については、例えば、確固たる信念を持って犯罪を企図する者への対応などは、医療と警察の役割分担が必要でございます。このため、あらかじめ代表者会議においてその対応方針を明確化することが必要であると考えております。
 退院後支援計画を策定する個別ケース会議への患者、家族の参画についてのお尋ねがございました。
 退院後の医療等の支援を行う上では、患者本人や家族の意向を踏まえることが極めて重要であると認識をしております。個別ケース会議の開催に当たっては、都道府県等が患者、家族の参加を判断することになりますが、可能な限り患者本人と家族に御参加をいただき、計画の内容や必要性について丁寧に説明を行うこと等により、その意向を踏まえた適切な支援がなされるよう求めてまいります。
 措置入院者が転出した際の、転出先の自治体への通知の義務付けについてのお尋ねがありました。
 御指摘の通知は、措置入院者が退院をし、他の自治体に転出した後も、継続して必要な医療等の支援を受けられるようにするためのものであり、監視をしたり、居住、移転の自由を制限したりするものではありません。
 精神障害者の人権保護等についてのお尋ねがございました。
 精神科病院において、隔離や身体的拘束が増加している要因については、本年六月に予定をしている実態調査を通じて早期に分析を行います。また、精神病床の人員配置基準については、一般病床と比べて低く設定されていますが、その上で、急性期の患者に対しては手厚い医療を提供するなど、精神科病院における医療の特性や治療の密度も考慮に入れて検討していくことが必要と考えております。
 医療保護入院についてのお尋ねがございました。
 現行では、精神障害者の家族等が意思表示を行わない場合、必要な入院医療につながりません。このため、本法案では、市町村長による同意の対象を拡大をし、患者を適切な医療につなげることとしております。同意の際に必要となる手続や確認事項は、ガイドラインとして明示をしてまいります。また、本法案では、患者の人権保護の観点から検討を行い、医療保護入院を行う際に、病院管理者に対し、その理由を患者に告知することを求めることなどを盛り込んでまいります。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(伊達忠一君) 片山大介君。
   〔片山大介君登壇、拍手〕
#17
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 私は、我が党を代表して、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 相模原市での痛ましい事件では、多くの尊い命が失われました。哀悼の意を申し上げるとともに、負傷した方々の一刻も早い回復をお祈りいたします。
 まず、措置入院者に対する退院後の医療支援についてお尋ねします。
 都道府県などの義務として、措置入院中から個別の退院後支援計画が作られ、継続的な支援を確実に受けられるようにするとしています。措置入院者の退院後支援に必要な精神保健福祉士の配置に必要な財源として、都道府県などに対しては交付税措置を検討するということです。
 しかし、保健所における組織再編も進み、在宅訪問の機会も減っていることなどから、訪問スキルが十分ではないという指摘もあり、継続的に十分な支援を確実に受けられる体制をどのように整備するおつもりなのか、厚生労働大臣にお尋ねします。
 また、病院管理者において、退院後に退院後生活環境相談員が選任されますが、相談員の人件費についてはどのように確保されるのでしょうか。そして、予算措置とともに、行政や医療など各主体が専門性のある人材をどう育てていくかも重要です。これについてどのようにお考えか、厚生労働大臣の御所見を伺います。
 長期入院精神患者の地域移行に向けた訪問活動は、以前のモデル事業から一般制度化されていますが、重症患者の早期集中支援管理料については、平成二十七年一月現在の届出医療機関数が全国で僅か十一医療機関、実施件数は一件、そして算定回数は十三回という状況です。
 在宅精神障害者の生活について、医療や福祉など多様な職種のチームによる訪問などで支えることが想定されていますが、日本医師会精神保健委員会が行った平成二十六年度の調査によると、人員の不足や二十四時間対応が可能な体制を確保できないといった理由で広がりが見られていないと分析しています。
 病院などにおいて、在宅精神障害者を支える取組は不採算となるケースが多いことから、きめ細かなフォローを行うためには現状の取組だけでは不十分だと思われます。厚生労働大臣の御所見を伺います。
 今回の法改正が目指す目的を達するためには、制度のみならず、社会における信頼関係が必要であり、地域住民も参加した見守り体制が不可欠だと思われます。医療、福祉の切れ目ないサービスの提供体制が欠かせず、地域に暮らす精神障害者を孤立させないためにも、地域との関係確保は重要です。当事者同士の支え合いや自立生活を援助するための制度設計など、地域移行を推進する施策についてはどのような方向で検討されるのでしょうか。厚生労働大臣の御所見を伺います。
 続いて、精神保健指定医制度の見直しについて伺います。
 この制度の見直しに当たっては、不正事案を防止できるよう、これまでのケースリポートだけではなく、口頭試問の導入などが検討されています。また、更新対象者について、地域において、措置診察や判定医としての活動など指定医業務の実施状況や、地域の精神科救急システムへの協力実績を更新の要件とすることなど、地域の精神科医療における指定医としての役割に実効性を持たせる点については評価いたします。
 そして、提出が求められている八症例のケースリポートですが、症例が集めにくいといった事情がこれまでリポートの使い回しの背景にあったと言われています。また、指定医は診療報酬制度において加算対象になっていることが大学病院における指定医の不正取得など不祥事の背景にあったと言えなくもありません。こうした点についてどのようにお考えか、厚生労働大臣の御所見を尋ねます。
 また、厚生労働省が去年十二月に指定医の更新の講習会で行ったアンケートによりますと、過去五年において、指定医業務の参加実績にばらつきがあったということです。こうしたばらつきが起きないようにする取組は検討されているのでしょうか。そして、特に五年間指定医としての業務を行っていない場合の更新についてはどのような取扱いをするのか、併せてお伺いしたいと思います。
 今回の事件では、措置入院の際、元職員に大麻使用の陽性反応が出ていました。事件を起こした元職員が薬物使用者であったという事実に着目すると、今回の法改正だけでは十分ではない点があります。
 麻薬及び向精神薬取締法によりますと、医師は、麻薬中毒者を診察したときは都道府県知事に届けなければならないと定められていますが、大麻取締法や覚せい剤取締法には医師による届出の義務は明記されていません。精神医療の現場において、薬物四法ごとに通報義務などが異なることや、守秘義務などの関係もあり犯罪予防に向けた情報共有が適切に行われてこなかったことが問題ではないのでしょうか。
 今回の措置入院の際も、大麻使用の陽性反応や薬物使用などについて警察への情報提供ができていれば、措置解除後に保護観察のプログラム利用などの対応が取れていた可能性もあります。
 精神保健福祉法において、精神障害者とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者と定められています。今回の法改正をより実効性のあるものとするためには、薬物四法においても、医師からの通報義務など所要の改正の早急な実施が必要と考えますが、厚生労働大臣のお考えを伺います。
 元職員は、逮捕後の精神鑑定ではパーソナリティー障害があると診断されています。精神障害者の定義が広いことから、精神障害者の方全体が社会からの偏見を受けることのないよう、犯罪の主要因が精神疾患や精神医療受療歴にあるかのような誤解を生じさせない社会全体の理解が必要と考えます。
 我が党は、あらゆる国民が性別や年齢によらず生き生きと暮らし、将来世代により良い未来を築くことを目指していきます。
 以上お約束して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(塩崎恭久君) 片山大介議員にお答えを申し上げます。
 継続的な医療等の支援体制についてのお尋ねがございました。
 精神障害者に対し、退院後の医療等の支援を適切に提供するためには、保健所や医療機関等の職員が支援の趣旨、内容等を理解をし、その専門性を向上させることが重要であります。今後、退院後の医療等の支援に関するガイドラインを作成をし、これらの職員に対する研修を行うなど、人材育成に努めてまいります。
 また、退院後生活環境相談員の人件費の確保など、病院の取組に対する支援については、診療報酬による対応も含め、必要な対応を検討してまいります。
 多職種チームによる訪問支援と地域移行についてのお尋ねがございました。
 精神障害者の地域生活や地域移行への支援を充実させるため、御指摘のような事例も含め、保健、医療、福祉の関係機関の連携が進んでいる先進的な事例について、アドバイザーを通じて全国に広げていく取組を今年度から新たに開始することとしております。引き続き、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしく暮らすことができるよう取り組んでまいります。
 精神保健指定医についてのお尋ねがございました。
 指定医は、措置入院を始め患者の意向に反した処置を行う権限を持つ重要な資格でございます。しかし、その認識が医療の現場において希薄であったということなどが今回の不正取得の背景にあったと考えております。
 また、本法案では、指定医の資質を確保するため、措置入院を行う際の診察等、指定医としての業務の実績を指定の更新のための要件に追加をいたしました。これにより、五年間指定医としての業務を行っていない場合、原則として指定は失効することとなります。
 いわゆる薬物四法を改正することについてのお尋ねがございました。
 いわゆる薬物四法を改正をして、医師に対し、医療機関を受診した薬物依存症者を警察等に通報する義務を課すことは、適切な治療の機会を奪うことにつながりかねないことから、慎重に検討すべきと考えております。厚生労働省としては、本法案により、措置入院者が退院後に継続的な医療等の支援を受けられる仕組みを整備してまいります。(拍手)
#19
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#20
○議長(伊達忠一君) 日程第一 臨床研究法案(第百九十回国会内閣提出、第百九十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長羽生田俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔羽生田俊君登壇、拍手〕
#21
○羽生田俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、臨床研究の対象者を始めとする国民の臨床研究に対する信頼の確保を図ることを通じてその実施を推進するため、臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定めようとするものであります。
 なお、衆議院において、本法律の法律番号中、平成二十八年を平成二十九年に改める修正が行われております。
 委員会におきましては、研究対象者の保護の必要性、法規制による臨床研究の現場への影響、臨床研究の不正防止対策の実効性等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#23
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#24
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二  
  賛成           二百三十二  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#25
○議長(伊達忠一君) 日程第二 原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境委員長森まさこ君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔森まさこ君登壇、拍手〕
#26
○森まさこ君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、国際原子力機関の勧告等を踏まえ、我が国の原子力利用における安全対策の一層の強化を図るため、原子力事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化、放射線障害の技術的基準に関する放射線審議会の機能の強化等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、国際原子力機関の勧告と本法律案の関係、検査制度の今後の詳細設計の重要性、原子力規制委員会の人材育成の方針等について質疑が行われました。その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の武田委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成            二百十二  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#30
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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